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特表2023-504244単離結合抗原AXLタンパク質及びその用途
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-02
(54)【発明の名称】単離結合抗原AXLタンパク質及びその用途
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/13 20060101AFI20230126BHJP
   C12N 15/63 20060101ALI20230126BHJP
   C07K 16/46 20060101ALI20230126BHJP
   C07K 16/18 20060101ALI20230126BHJP
   C07K 16/28 20060101ALI20230126BHJP
   C12N 1/15 20060101ALI20230126BHJP
   C12N 1/19 20060101ALI20230126BHJP
   C12N 1/21 20060101ALI20230126BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20230126BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20230126BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20230126BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20230126BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20230126BHJP
   A61K 35/12 20150101ALI20230126BHJP
   A61K 31/537 20060101ALI20230126BHJP
   A61K 47/68 20170101ALI20230126BHJP
   G01N 33/574 20060101ALI20230126BHJP
【FI】
C12N15/13 ZNA
C12N15/63 Z
C07K16/46
C07K16/18
C07K16/28
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
A61P35/02
A61P35/00
A61K39/395 N
A61K39/395 L
A61K48/00
A61K35/12
A61K31/537
A61K47/68
G01N33/574 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022530881
(86)(22)【出願日】2020-11-27
(85)【翻訳文提出日】2022-07-20
(86)【国際出願番号】 CN2020132456
(87)【国際公開番号】W WO2021104496
(87)【国際公開日】2021-06-03
(31)【優先権主張番号】201911187949.6
(32)【優先日】2019-11-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520302497
【氏名又は名称】尚健単抗(北京)生物技術有限公司
(71)【出願人】
【識別番号】520302486
【氏名又は名称】杭州尚健生物技術有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】呂 明
(72)【発明者】
【氏名】丁 暁然
(72)【発明者】
【氏名】繆 仕偉
(72)【発明者】
【氏名】談 彬
(72)【発明者】
【氏名】王 学恭
【テーマコード(参考)】
4B065
4C076
4C084
4C085
4C086
4C087
4H045
【Fターム(参考)】
4B065AA01X
4B065AA57X
4B065AA83X
4B065AA87X
4B065AA90X
4B065AA90Y
4B065AC14
4B065BA02
4B065CA25
4B065CA44
4C076AA95
4C076BB11
4C076CC27
4C076CC41
4C076EE41
4C076EE59
4C076FF11
4C084AA13
4C084NA14
4C084ZB261
4C084ZB262
4C084ZB271
4C084ZB272
4C085AA14
4C085AA16
4C085AA27
4C085BB36
4C085BB41
4C085BB43
4C085BB44
4C085CC23
4C085EE01
4C085GG02
4C085GG03
4C085GG04
4C085GG06
4C086AA01
4C086AA02
4C086CB22
4C086GA16
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA13
4C086ZB26
4C086ZB27
4C087AA01
4C087AA02
4C087BB64
4C087BB65
4C087CA04
4C087CA12
4C087NA14
4C087ZB26
4C087ZB27
4H045AA10
4H045AA11
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA10
4H045CA40
4H045DA75
4H045DA76
4H045EA20
4H045FA74
4H045GA26
(57)【要約】
本願は単離結合抗原AXLタンパク質及びその用途に関するものである。細胞の浸潤と移動の調節に重要な役割を果たすAXLの治療能を考慮し、AXLタンパクに特異的に結合し得る抗体を作製する必要がある。具体的には、SEQ ID NO:1またはSEQ ID NO:46に示すVHの少なくとも1つのCDRを含み;かつSEQ ID NO:2に示すVLの少なくとも1つのCDRを含む単離抗原結合タンパク質を提供する。また前記単離抗原結合タンパク質を含む免疫複合体、前記単離抗原結合タンパク質をコードする核酸、前記単離抗原結合タンパク質を含むベクター、前記核酸または前記ベクターを含む細胞、前記単離抗原結合タンパク質の調製方法、及び前記単離抗原結合タンパク質の用途を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アミノ酸配列SEQ ID NO:1またはSEQ ID NO:46に示すVHの少なくとも1つがCDRを含み;アミノ酸配列SEQ ID NO:2に示すVLの少なくとも一つのCDRを含む、単離抗原結合タンパク質。
【請求項2】
以下の特性の1つ以上を有する、請求項1に記載の単離抗原結合タンパク質:
1) AXLタンパク質と1×10-7M以下のKDで結合できること;
2)細胞表面に発現するAXLタンパク質を特異的に認識できること;
3)細胞表面に発現するAXLタンパク質と結合し、細胞内への取り込みを仲介できること。
【請求項3】
請求項2に記載の単離抗原結合タンパク質であって、前記AXLタンパク質は、ヒトAXLタンパク質を含み得る。
【請求項4】
請求項3に記載の単離抗原結合タンパク質であって、前記ヒトAXLタンパク質は、SEQ ID NO:39に示すアミノ酸配列を含み得る。
【請求項5】
請求項2~4のいずれか一項に記載の単離抗原結合タンパク質であって、前記AXLタンパクは、細胞外ドメインを含み得る。
【請求項6】
請求項5に記載の単離抗原結合タンパク質であって、前記細胞外ドメインは、SEQ ID NO:40に示すアミノ酸配列を含み得る。
【請求項7】
請求項2に記載の単離抗原結合タンパク質であって、前記細胞は、腫瘍細胞を含み得る。
【請求項8】
請求項7に記載の単離抗原結合タンパク質であって、前記腫瘍はAXL陽性腫瘍を含み得る。
【請求項9】
請求項8に記載の単離抗原結合タンパク質であって、前記腫瘍は、次の群から選択される:肺癌、皮膚癌、腎癌、膵臓癌、血液腫瘍、乳癌、卵巣癌、リンパ腫、および骨髄腫。
【請求項10】
請求項9に記載の単離抗原結合タンパク質であって、前記腫瘍は、次の群から選択される:非小細胞肺癌、皮膚扁平上皮癌、腎臓明細胞腺癌、膵臓癌、赤白血病、急性T細胞白血病、乳癌、卵巣癌、リンパ腫、および骨髄腫。
【請求項11】
請求項2に記載の単離抗原結合タンパク質であって、前記細胞がヒトの細胞を含み得る。
【請求項12】
請求項7または11に記載の単離抗原結合タンパク質であって、前記細胞は、次の群から選択される:ヒト非小細胞肺癌A 549細胞、ヒト皮膚扁平上皮癌A 431細胞、腎臓明細胞腺癌786-O細胞、ヒト膵臓癌MIA PaCa-2細胞、赤白血病K 562細胞、急性T細胞白血病Jurkat細胞、ヒト乳癌MCF-7細胞、ヒト乳癌MDA-MB-231細胞、ヒト乳癌MDA-MB-468細胞、ヒト乳癌SKBR 3細胞、ヒト卵巣癌SKOV 3細胞、リンパ腫U-937細胞、リンパ腫Raji細胞、ヒト骨髄腫U 266細胞、およびヒト多発性骨髄腫RPMI 8226細胞。
【請求項13】
請求項1に記載の単離抗原結合タンパク質であって、前記VHは、HCDR1、HCDR2、およびHCDR3を含み得る。
【請求項14】
請求項13に記載の単離抗原結合タンパク質であって、前記HCDR1は、SEQ ID NO:25に示すアミノ酸配列を含み得る。
【請求項15】
請求項13に記載の単離抗原結合タンパク質であって、前記HCDR2は、SEQ ID NO:26、44および45のいずれか一つに示すアミノ酸配列を含み得る。
【請求項16】
請求項13に記載の単離抗原結合タンパク質であって、前記HCDR3は、SEQ ID NO:27に示すアミノ酸配列を含み得る。
【請求項17】
請求項1に記載の単離抗原結合タンパク質であって、前記VLは、LCDR1、LCDR2、およびLCDR3を含み得る。
【請求項18】
請求項17に記載の単離抗原結合タンパク質であって、前記LCDR1は、SEQ ID NO:28に示すアミノ酸配列を含み得る。
【請求項19】
請求項17に記載の単離抗原結合タンパク質であって、前記LCDR2は、SEQ ID NO:29に示すアミノ酸配列を含み得る。
【請求項20】
請求項17に記載の単離抗原結合タンパク質であって、前記LCDR3は、SEQ ID NO:30に示すアミノ酸配列を含み得る。
【請求項21】
請求項1または13に記載の単離抗原結合タンパク質であって、前記VHがフレームワーク領域H-FR1、H-FR2、H-FR3、およびH-FR4を含み得る。
【請求項22】
請求項21に記載の単離抗原結合タンパク質であって、前記H-FR1の前記C末端は、前記HCDR1のN末端に直接または間接的に連結され、前記H-FR1は、SEQ ID NO:7に示すアミノ酸配列を含み得る。
【請求項23】
請求項22に記載の単離型抗原結合タンパク質であって、前記H-FR1は、SEQ ID NO:11及び15のいずれか一つに示すアミノ酸配列を含み得る。
【請求項24】
請求項21に記載の単離抗原結合タンパク質であって、前記H-FR2は前記HCDR1と前記HCDR2との間に位置し、前記H-FR2は、SEQ ID NO:8に示すアミノ酸配列を含み得る。
【請求項25】
請求項24に記載の単離抗原結合タンパク質であって、前記H-FR2は、SEQ ID NO:12に示すアミノ酸配列を含み得る。
【請求項26】
請求項21に記載の単離抗原結合タンパク質であって、前記H-FR3は前記HCDR2と前記HCDR3との間に位置し、前記H-FR3は、SEQ ID NO:9に示すアミノ酸配列を含み得る。
【請求項27】
請求項26に記載の単離抗原結合タンパク質であって、前記H-FR3は、SEQ ID NO:13に示すアミノ酸配列を含み得る。
【請求項28】
請求項21に記載の単離抗原結合タンパク質であって、前記H-FR4は、前記HCDR3のC末端と連結したN末端を有し、前記H-FR4は、SEQ ID NO:10に示すアミノ酸配列を含み得る。
【請求項29】
請求項28に記載の単離抗原結合タンパク質であって、前記H-FR4は、SEQ ID NO:14に示すアミノ酸配列を含み得る。
【請求項30】
請求項1、13~16および22~29のいずれか1項に記載の単離抗原結合タンパク質であって、前記VHは、SEQ ID NO:3、5、42および43のいずれか一つに示すアミノ酸配列を含み得る。
【請求項31】
請求項1または17に記載の単離抗原結合タンパク質であって、前記VLはフレームワーク領域L-FR1、L-FR2、L-FR3、およびL-FR4を含み得る。
【請求項32】
請求項31に記載の単離抗原結合タンパク質であって、前記L-FR1のC末端は、前記LCDR 1のN末端と直接または間接的に連結され、前記L-FR1は、SEQ ID NO:16に示すアミノ酸配列を含み得る。
【請求項33】
請求項32に記載の単離抗原結合タンパク質であって、前記L-FR1は、SEQ ID NO:20および24のいずれか一つに示すアミノ酸配列を含み得る。
【請求項34】
請求項31に記載の単離抗原結合タンパク質であって、前記L-FR2は、前記LCDR1と前記LCDR2との間に位置し、前記L-FR2は、SEQ ID NO:17に示すアミノ酸配列を含み得る。
【請求項35】
請求項34に記載の単離抗原結合タンパク質であって、前記L-FR2は、SEQ ID NO:21に示すアミノ酸配列を含み得る。
【請求項36】
請求項31に記載の単離抗原結合タンパク質であって、前記L-FR3は、前記LCDR2と前記LCDR3との間に位置し、前記L-FR3は、SEQ ID NO:18に示すアミノ酸配列を含み得る。
【請求項37】
請求項36に記載の単離抗原結合タンパク質であって、前記L-FR3は、SEQ ID NO:22に示すアミノ酸配列を含み得る。
【請求項38】
請求項31に記載の単離抗原結合タンパク質であって、前記L-FR4は、前記LCDR3のC末端と連結したN末端を有し、前記L-FR4は、SEQ ID NO:19に示すアミノ酸配列を含み得る。
【請求項39】
請求項38に記載の単離抗原結合タンパク質であって、前記L-FR4は、SEQ ID NO:23に示すアミノ酸配列を含み得る。
【請求項40】
請求項1、17~20および32~39のいずれか一項に記載の単離抗原結合タンパク質であって、前記VLは、SEQ ID NO:4および6のいずれか一つに示すアミノ酸配列を含み得る。
【請求項41】
抗体重鎖定数領域を含み、前記抗体重鎖定数領域がヒトIgG重鎖定数領域に由来する、請求項1~4、6~11、13~20、22~29および32~39のいずれか一項に記載の単離抗原結合タンパク質。
【請求項42】
前記抗体重鎖定数領域が、ヒトIgG1重鎖定数領域またはヒトIgG4重鎖定数領域に由来する、請求項41に記載の単離抗原結合性タンパク質。
【請求項43】
請求項42に記載の単離された抗原結合タンパク質であって、前記抗体重鎖定数領域は、SEQ ID NO:33および41のいずれか一つに示すアミノ酸配列を含み得る。
【請求項44】
抗体軽鎖定数領域を含み、前記抗体軽鎖定数領域がヒトIgκ定数領域を含む、請求項1~4、6~11、13~20、22~29、32~39および42~43のいずれか一項に記載の単離抗原結合タンパク質。
【請求項45】
請求項44に記載の単離された抗原結合タンパク質であって、前記抗体軽鎖定常領域は、SEQ ID NO:34に示すアミノ酸配列を含み得る。
【請求項46】
請求項1~4、6~11、13~20、22~29、32~39、42~43および45のいずれか一項に記載の単離抗原結合タンパク質であって、抗体重鎖を含み、前記抗体重鎖はSEQ ID NO:35および37のいずれか一つに示すアミノ酸配列を含み得る。
【請求項47】
請求項1~4、6~11、13~20、22~29、32~39、42~43および45のいずれかに記載の単離抗原結合タンパクであって、抗体軽鎖を含み、前記抗体軽鎖はSEQ ID NO:36および38のいずれか一つに示すアミノ酸配列を含み得る。
【請求項48】
請求項1~4、6~11、13~20、22~29、32~39、42~43、および45のいずれかに記載の単離抗原結合タンパク質であって、抗体またはその抗原結合フラグメントを含み得る。
【請求項49】
請求項48に記載の単離された抗原結合タンパク質であって、前記抗体は、モノクローナル抗体、一本鎖抗体、キメラ抗体、多特異性抗体、ヒト化抗体、および全ヒト化抗体からなる群から選択される。
【請求項50】
請求項48に記載の単離抗原結合タンパク質であって、前記抗原結合フラグメントは、以下の群から選択される:Fab、Fab'、F(ab)2、Fv、F(ab')2、scFv、ジscFvおよびdAbフラグメント。
【請求項51】
請求項1~50のいずれか一項に記載の単離抗原結合タンパク質を含む、免疫複合体。
【請求項52】
次のグループから選択される少なくとも1つの他の試薬、すなわち、化学療法剤、放射性元素、細胞増殖抑制剤、および細胞毒性剤をさらに含む請求項51記載の免疫複合体。
【請求項53】
前記単離抗原結合タンパク質は、連結分子を介して前記他の試薬と連結される請求項52に記載の免疫複合体。
【請求項54】
前記単離抗原結合タンパク質および前記他の試薬は、それぞれ、前記結合分子と共有結合している請求項53に記載の免疫複合体。
【請求項55】
前記その他の試薬は、メデニンまたはその誘導体を含む、請求項52~54のいずれか一項に記載の免疫複合体。
【請求項56】
前記メデジン誘導体は、メデジン誘導体DM 1を含む、請求項55に記載の免疫複合体。
【請求項57】
請求項1~50のいずれかに記載の単離抗原結合タンパク質をコードする単離された1または複数の核酸分子。
【請求項58】
請求項57に記載の核酸分子を含むベクター。
【請求項59】
請求項57記載の核酸分子または請求項58記載のベクターを含む細胞。
【請求項60】
請求項1~50のいずれか一項に記載の単離抗原結合タンパク質、請求項51~56のいずれか一項に記載の免疫化合物、請求項57に記載の核酸分子、請求項58に記載のベクターおよび/または請求項59に記載の細胞、ならびに任意に薬学的に許容されるアジュバントを含む、医薬組成物。
【請求項61】
請求項1~50のいずれか一項に記載の単離抗原結合タンパク質を調製する方法であって、請求項1~50のいずれか一項に記載の単離抗原結合タンパク質の発現させる条件で、請求項59に記載の細胞を培養することを含む、前記方法。
【請求項62】
請求項1~50のいずれか一項に記載の単離抗原結合タンパク質、請求項51~56のいずれか一項に記載の免疫複合体、請求項57に記載の核酸分子、請求項58に記載のベクター、請求項59に記載の細胞および/または請求項60に記載の医薬組成物の薬物製造における用途であって、前記薬物は、腫瘍の予防、緩和および/または治療に用いられる。
【請求項63】
前記腫瘍は、AXL陽性腫瘍を含む、請求項62に記載の使用。
【請求項64】
前記腫瘍は、肺癌、皮膚癌、腎臓癌、膵臓癌、血液腫瘍、乳癌、卵巣癌、リンパ腫、および骨髄腫からなる群から選択される、請求項63に記載の使用。
【請求項65】
前記腫瘍は、非小細胞肺癌、皮膚扁平上皮癌、腎臓明細胞腺癌、膵臓癌、赤白血病、急性T細胞白血病、乳癌、卵巣癌、リンパ腫、および骨髄腫からなる群から選択される、請求項64に記載の使用。
【請求項66】
請求項1~50のいずれか一項に記載の単離抗原結合タンパク質であって、AXLタンパク質の発現に関連する疾患または病態を診断するための診断薬の製造における使用。
【請求項67】
被験者におけるAXLタンパク質の発現に関連する疾患または病態を診断する方法であって、前記方法は、前記被験者由来のサンプルを請求項1~50のいずれかに記載の単離抗原結合タンパク質と接触させることと、前記試料中の前記単離抗原結合タンパク質に特異的に結合できる物質の存在および/または含有量を判断することとを含む。
【請求項68】
請求項1~50のいずれか一項に記載の分離抗原結合タンパク質を投与することを含む、試料中のAXLを検出する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願はバイオ医薬品分野に関し、具体的には単離結合抗原AXLタンパク質及びその用途に関するものである。
【背景技術】
【0002】
AXL (受容体チロシンキナーゼ)は、リガンドGas6 (抗凝固因子タンパク質Sと相同の70-kDaタンパク質)の結合によって活性化されるキナーゼTyro-3ファミリーの一員である。AXL活性化は、PI-3-キナーゼ/Akt (Frankeら、Oncogene 22:8983-8998、2003)及びRas/Erkやβ‐カテニン/TCF (Goruppiら、Mol.Cell Biol.21:902-915、2001)のような他の主要経路を介したシグナル伝達をもたらす。
腫瘍細胞において、AXLは細胞の浸潤と移動の調節に重要な役割を果たす。AXLの過剰発現は予後不良と関連するだけでなく、乳房、結腸、食道癌、肝細胞、胃、神経膠腫、肺、メラノーマ、骨肉腫、卵巣、前立腺、横紋筋肉腫、腎臓、甲状腺及び子宮内膜癌で報告された種々のヒト癌の浸潤増大とも関連する(Linger R.M.Adv.Cancer Res. 2008、100、35-83及びVerma A.Mol.Cancer Ther. (2011).10、1763-1773)。
AXLの治療能を考慮すると、AXLタンパクに特異的に結合する抗体を作製する必要がある。
【発明の開示】
【0003】
一方、本願は、アミノ酸配列SEQ ID NO:1またはSEQ ID NO:46に示す単離抗原結合タンパク質を含み、アミノ酸配列SEQ ID NO:2に示すVLの少なくとも一つのCDRを含む、単離抗原結合タンパク質を提供する。
【0004】
いくつかの実施形態では、本願に記載の単離抗原結合タンパク質は、以下の1つまたは複数の特性を有する。
1) AXLタンパク質と1×10-7M以下のKDで結合できること;
2)細胞表面に発現するAXLタンパク質を特異的に認識できること;
3)細胞表面に発現するAXLタンパク質と結合し、細胞内への取り込みを仲介できること。
【0005】
いくつかの実施形態では、前記AXLタンパク質は、ヒトAXLタンパク質を含む。
【0006】
いくつかの実施形態では、前記ヒトAXLタンパク質は、SEQ ID NO:39に示すアミノ酸配列を含む。
【0007】
いくつかの実施形態では、前記AXLタンパク質は、細胞外ドメインを含む。
【0008】
いくつかの実施形態では、前記細胞外ドメインは、SEQ ID NO:40に示すアミノ酸配列を含む。
【0009】
いくつかの実施形態では、前記細胞は腫瘍細胞を含む。
【0010】
いくつかの実施形態では、前記腫瘍はAXL陽性腫瘍を含む。
【0011】
いくつかの実施形態では、前記腫瘍は、以下の群から選択される:肺癌、皮膚癌、腎臓癌、膵臓癌、血液腫瘍、乳癌、卵巣癌、リンパ腫、及び骨髄腫。
【0012】
いくつかの実施形態では、前記腫瘍は、以下の群から選択される:非小細胞肺癌、皮膚扁平上皮癌、腎臓明細胞腺癌、膵臓癌、赤白血病、急性T細胞白血病、乳癌、卵巣癌、リンパ腫と骨髄腫。
【0013】
いくつかの実施形態では、前記細胞はヒトの細胞を含む。
【0014】
いくつかの実施形態では、前記細胞は、以下の群から選択される:ヒト非小細胞肺癌A 549細胞、ヒト皮膚扁平上皮癌A 431細胞、腎臓明細胞腺癌786-O細胞、ヒト膵臓癌MIA PaCa-2細胞、赤白血病K 562細胞、急性T細胞白血病Jurkat細胞、ヒト乳癌MCF-7細胞、ヒト乳癌MDA-MB-231細胞、ヒト乳癌MDA-MB-468細胞、ヒト乳癌SKBR3細胞、ヒト卵巣癌SKOV3細胞、リンパ腫U-937細胞、リンパ腫Raji細胞、ヒト骨髄腫U 266細胞及びヒト多発性骨髄腫RPMI8226細胞。
【0015】
いくつかの実施形態では、VHは、HCDR1、HCDR2、及びHCDR3を含む。
【0016】
いくつかの実施形態では、HCDR1は、SEQ ID NO:25に示すアミノ酸配列を含む。
【0017】
いくつかの実施形態では、HCDR2は、SEQ ID NO:26、44及び45に示すアミノ酸配列を含み得る。
【0018】
いくつかの実施形態では、HCDR3は、SEQ ID NO:27に示すアミノ酸配列を含む。
【0019】
いくつかの実施形態では、VLは、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含み得る。
【0020】
いくつかの実施形態では、LCDR1は、SEQ ID NO:28に示すアミノ酸配列を含む。
【0021】
いくつかの実施形態では、LCDR2は、SEQ ID NO:29に示すアミノ酸配列を含む。
【0022】
いくつかの実施形態では、LCDR3は、SEQ ID NO:30に示すアミノ酸配列を含む。
【0023】
いくつかの実施形態では、VHは、フレーム領域H-FR1、H-FR2、H-FR3、及びH-FR4を含む。
【0024】
いくつかの実施形態では、H-FR1のC末端は、直接または間接的にHCDR1のN末端に接続され、H-FR1は、SEQ ID NO:7に示すアミノ酸配列を含む。
【0025】
いくつかの実施形態では、H-FR1は、SEQ ID NO:11、15のいずれか一つに示すアミノ酸配列を含み得る。
【0026】
いくつかの実施形態では、H-FR2はHCDR1とHCDR2との間に位置し、H-FR2はSEQ ID NO:8に示すアミノ酸配列を含む。
【0027】
いくつかの実施形態では、H-FR2は、SEQ ID NO:12に示すアミノ酸配列を含む。
【0028】
いくつかの実施形態では、H-FR3はHCDR2とHCDR3との間に位置し、H-FR3はSEQ ID NO:9に示すアミノ酸配列を含む。
【0029】
いくつかの実施形態では、H-FR3は、SEQ ID NO:13に示すアミノ酸配列を含む。
【0030】
いくつかの実施形態では、H-FR4のN末端は、HCDR3のC末端と接続され、H-FR4は、SEQ ID NO:10に示すアミノ酸配列を含む。
【0031】
いくつかの実施形態では、H-FR4は、SEQ ID NO:14に示すアミノ酸配列を含む。
【0032】
いくつかの実施形態では、VHはSEQ ID NO:3、5、42及び43のいずれか一つに示すアミノ酸配列を含み得る。
【0033】
いくつかの実施形態では、VLは、フレーム領域L-FR1、L-FR2、L-FR3、及びL-FR4を含む。
【0034】
いくつかの実施形態では、L-FR1のC末端は、直接または間接的にLCDR1のN末端に接続され、L-FR1は、SEQ ID NO:16に示すアミノ酸配列を含む。
【0035】
いくつかの実施形態では、L-FR1は、SEQ ID NO:20及び24のいずれか一つに示すアミノ酸配列を含み得る。。
【0036】
いくつかの実施形態では、L-FR2はLCDR1とLCDR2との間に位置し、L-FR2はSEQ ID NO:17に示すアミノ酸配列を含む。
【0037】
いくつかの実施形態では、L-FR2は、SEQ ID NO:21に示すアミノ酸配列を含む。
【0038】
いくつかの実施形態では、L-FR3はLCDR2とLCDR3との間に位置し、L-FR3はSEQ ID NO:18に示すアミノ酸配列を含む。
【0039】
いくつかの実施形態では、L-FR3は、SEQ ID NO:22に示すアミノ酸配列を含む。
【0040】
いくつかの実施形態では、L-FR4のN末端は、LCDR3のC末端と接続され、L-FR4は、SEQ ID NO:19に示すアミノ酸配列を含む。
【0041】
いくつかの実施形態では、L-FR4は、SEQ ID NO:23に示すアミノ酸配列を含む。
【0042】
いくつかの実施形態では、VLは、SEQ ID NO:4及び6のいずれか一つに示すアミノ酸配列を含み得る。
【0043】
いくつかの実施形態では、本願の単離抗原結合タンパク質は抗体重鎖定常ドメインを含み、かつ前記抗体重鎖定常ドメインはヒトIgG重鎖定常ドメインから由来する。
【0044】
いくつかの実施形態では、抗体重鎖定常ドメインは、ヒトIgG 1重鎖定常ドメインまたはヒトIgG 4重鎖定常ドメインに由来する。
【0045】
いくつかの実施形態では、抗体重鎖定常ドメインはSEQ ID No:33及び41に示すアミノ酸配列を含み得る。
【0046】
いくつかの実施形態では、本願に記載の単離抗原結合タンパク質は、抗体軽鎖定常ドメインを含み、かつ前記抗体軽鎖定常ドメインは、ヒトIgκ定常ドメインを含む。
【0047】
いくつかの実施形態では、抗体軽鎖定常ドメインはSEQ ID NO:34に示すアミノ酸配列を含み得る。
【0048】
いくつかの実施形態では、本願の単離抗原結合タンパク質は、抗体重鎖を含み、抗体重鎖は、SEQ ID NO:35及び37のいずれか一つに示すアミノ酸配列を含み得る。
【0049】
いくつかの実施形態では、本願の単離抗原結合タンパク質は、抗体軽鎖を含み、抗体軽鎖は、SEQ ID NO:36及び38のいずれか一つに示すアミノ酸配列を含み得る。
【0050】
いくつかの実施形態では、本願に記載の単離抗原結合タンパク質は、抗体またはその抗原結合フラグメントを含む。
【0051】
いくつかの実施形態では、前記抗体は以下の群から選択される:モノクローナル抗体、一本鎖抗体、キメラ抗体、多特異性抗体、ヒト化抗体と全ヒト由来抗体。
【0052】
いくつかの実施形態では、前記抗原結合フラグメントは以下の群から選択される:Fab、Fab’、F (ab)2、Fv、F (ab.) 2、scFv、di-scFv、及びdAbフラグメント。
【0053】
一方、本願は、本願に記載の単離抗原結合タンパク質を含む免疫複合体を提供する。
【0054】
いくつかの実施形態では、前記免疫複合体は、化学療法剤、放射性元素、細胞増殖阻害剤及び細胞毒性剤からなる群より選択される少なくとも1つの他の薬剤をさらに含む。
いくつかの実施形態では、前記単離抗原結合タンパク質は、リンカー分子によって前記他の試薬に連結される。
【0055】
いくつかの実施形態では、前記単離抗原結合タンパク質及び前記他の試薬は、それぞれ前記リンカー分子に共有結合で連結される。
【0056】
いくつかの実施形態では、前記他の試薬はメイタンシンまたはその誘導体を含む。
【0057】
いくつかの実施形態では、前記メイタンシン誘導体はメイタンシン誘導体DM 1を含む。
【0058】
一方、本願は、本願に記載の単離抗原結合タンパク質をコードする単離された1種または複数の核酸分子を提供する。
【0059】
一方、本願は、本願に記載の核酸分子を含むベクターを提供する。
【0060】
一方、本願は、本願に記載の核酸分子または本願に記載のベクターを含む細胞を提供する。
【0061】
一方、本願は医薬組成物を提供し、本願の前記単離抗原結合タンパク質、前記免疫複合体、前記核酸分子、前記ベクター及び/または前記細胞、及び任意選択的に、薬学的に受け入れ可能なアジュバントを含む。
【0062】
一方、本願は本願に記載の単離抗原結合タンパク質を製造する方法を提供し、前記方法は前記単離抗原結合タンパク質を発現させる条件で、前記細胞を培養することを含む。
【0063】
一方、本願は単離抗原結合タンパク質、前記免疫複合体、前記核酸分子、前記ベクター、前記細胞及び/または前記薬物組成物の薬物製造における用途を提供し、前記薬物は腫瘍の予防、緩和及び/または治療に用いる。
【0064】
いくつかの実施形態では、前記腫瘍はAXL陽性腫瘍を含む。
【0065】
いくつかの実施形態では、前記腫瘍は、以下の群から選択される:肺癌、皮膚癌、腎臓癌、膵臓癌、血液腫瘍、乳癌、卵巣癌、リンパ腫、及び骨髄腫。
【0066】
いくつかの実施形態では、前記腫瘍は、以下の群から選択される:非小細胞肺癌、皮膚扁平上皮癌、腎臓明細胞腺癌、膵臓癌、赤白血病、急性T細胞白血病、乳癌、卵巣癌、リンパ腫と骨髄腫。
【0067】
一方、本願は、AXLタンパク質の発現に関連する疾患または病態を診断するための診断剤の製造における単離抗原結合タンパク質の使用を提供する。
【0068】
一方、本願は被験者におけるAXLタンパク質の発現に関連する疾病または病状を診断する方法を提供し、前記方法は以下を含む:前記被験者から由来する試料を前記単離抗原結合タンパク質と接触させ、及び前記試料中に前記単離抗原結合タンパク質を特異的に結合できる物質の存在と/または含有量を判断する。
【0069】
一方、本願は、単離抗原結合タンパク質を投与することを含む試料中のAXLを検出する方法を提供する。
【0070】
当業者は、本願の他の態様及び利点について、以下の詳細な説明から容易に洞察することができる。以下の詳細な説明では、本願の例示的な実施形態のみを示し、説明する。当業者が認識するであろうように、本願の内容は、当業者が、本願に記載の発明の精神及び範囲を逸脱することなく、開示された特定の実施形態に変更を加えることを可能にするものである。したがって、本願の添付図面及び明細書の記載は単なる例示であり、限定的なものではない。
【図面の簡単な説明】
【0071】
本願に記載の発明の具体的な特徴は、特許請求の範囲に記載のとおりである。本願で詳細に説明される例示的な実施形態及び添付図面を参照することによって、本願に記載の発明の特徴及び利点をよりよく理解することができる。添付図面の概略説明は以下のとおりである。
図1】本願に記載の単離抗原結合タンパク質の結合抗原能を示す図である。
図2】本願に記載の単離抗原結合タンパク質6G12M11と異なる標的抗原との結合を示す図である。
図3】本願に記載の単離抗原結合タンパク質6G12M21と異なる標的抗原との結合を示す図である。
図4】本願に記載の単離抗原結合タンパク質6G12M31と異なる標的抗原との結合を示す図である。
図5】本願に記載の単離抗原結合タンパク質6G12M41と異なる標的抗原との結合を示す図である。
図6】本願に記載の単離抗原結合タンパク質6G12M11、6G12M21とA549細胞表面の抗原との結合を示す図である。
図7】本願に記載の単離抗原結合タンパク質6G12M11、6G12M21とMDA-MB-231細胞表面の抗原との結合を示す図である。
図8】本願に記載の単離抗原結合タンパク質6G12M11、6G12M21と786-O細胞表面の抗原の結合を示す図である。
図9】本願に記載の単離抗原結合タンパク質6G12M21、6G12M31、6G12M41とMDA-MB-231細胞表面の抗原との結合を示す図である。
図10】本願に記載の単離抗原結合タンパク質6G12M21、6G12M31、6G12M41と786-O細胞表面の抗原との結合を示す図である。
図11】本願に記載の単離抗原結合タンパク質6G12M11、6G12M21のA549細胞への内在化率を示す図である。
図12】本願に記載の単離抗原結合タンパク質6G12M11、6G12M21のMDA-MB-231細胞への内在化率を示す図である。
図13】本願に記載の単離抗原結合タンパク質6G12M11、6G12M21の786-O細胞への内在化率を示す図である。
図14】本願に記載の単離抗原結合タンパク質6G12M21、6G12M31、6G12M41のMDA-MB-231細胞への内在化率を示す図である。
図15】本願に記載の単離抗原結合タンパク質6G12M21、6G12M31、6G12M41の786-O細胞への内在化率を示す図である。
図16】本願に記載の免疫複合体によるMDA-MB-231の阻害曲線を示す図である。
図17】本願に記載の免疫複合体投与後の腫瘍(乳がんMDA-MB-231)体積変化傾向図を示す図である。
図18】本願に記載の免疫複合体投与後のマウスの体重変化の傾向グラフを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0072】
以下では、特定の具体的な実施形態を用いて本願発明の実施形態を説明するが、当業者であれば、本願で開示されている情報により、本願発明の他の利点及び効果を容易に理解され得る。
【0073】
以下では、本願についてさらに説明する:本発明において、特に明記されていない限り、本願で使用される科学技術用語は、当業者にとって一般的に理解され得る意味を有する。さらに、本明細書で使用されるタンパク質及び核酸化学、分子生物学、細胞及び組織培養、微生物学、免疫学に関する用語及び実験手順は、それぞれの分野で広く使用されている用語及び日常的な手順である。また、本発明をよりよく理解するために、関連する用語の定義及び説明を以下に示す。
【0074】
本願では、「単離した/の」という用語は、通常、自然の状態から人為的に得られたものを指す。もし自然界にある「単離」 の物質或いは成分が出現すれば、それが置かれた自然環境に変化が発生したか、あるいは自然環境からその物質を単離したか、あるいはその両方が発生した可能性がある。例えば、ある生体動物体内にはある種の単離されていないポリヌクレオチドまたはポリペプチドが自然に存在し、この自然状態から単離された高純度の同じポリヌクレオチドまたはポリペプチドを単離したと称する。「単離した/の」という用語は、人工または合成が混在する物質、または物質の活性に影響しないその他の不純物の存在を排除しない。
【0075】
本願では、「単離抗原結合タンパク質」という用語は、通常、自然状態から人工的に得られる抗原結合能を有するタンパク質を指す。「単離抗原結合タンパク質」は、抗原結合部分と、任意に、抗原結合部分が前記抗原結合部分による抗原の結合を促進する立体構造をとることを可能にする足場またはフレームワーク部分とから構成され得る。単離抗原結合タンパク質は、例えば、抗体由来タンパク質足場、または移植されたCDRまたはCDR誘導体を有する代替タンパク質足場または人工足場を含み得る。このような足場は、例えば、単離抗原結合タンパク質の三次元構造を安定化させるために導入された変異を含む抗体源を含む足場と、生体適合性ポリマーなどの完全合成を含む足場とを含むが、これらに限定されない。例:Korndorferら、2003、Proteins:Structure、Function、andBioinformatics、53(1):121-129 (2003);Roqueら、Biotechnol.Prog.20:639-654 (2004)。さらに、フィブロネクチン成分を用いたペプチド抗体模倣体(「PAMs」)及び抗体模倣体に基づく足場を足場として用いることができる。
【0076】
本願では、用語「KD」( 同様に「KD」や「KD」)は、という用語は、通常、「親和定数」又は「平衡解離定数」のいずれかを意味し、解離速度定数(kd)を結合速度定数(ka)で除して滴定測定で平衡にしたときに得られる値を指す。抗原(例えばAXLタンパク)に対する結合タンパク(例えば、本願に記載されている単離抗原結合タンパク質)の結合親和性は、結合速度定数(ka)、解離速度定数(kd)、及び平衡解離定数(KD)を用いて表される。結合解離速度定数を決定する方法は本分野ではよく知られている。蛍光に基づく技術の使用は、生理的緩衝液中で平衡時に試料を検査する高い感度と能力を提供する。例えば、KD値はBIAcore Octet(生体分子相互作用分析)によって測定されてもよく、あるいは、のような他の実験経路及び機器を用いて測定されてもよい(例えば、BIAcoreInternationalAB、aGEHealthcarecompany、Uppsala、スウェーデンで入手できる器具)。なお、前記KD値は、SapidyneInstruments (Boise、Idaho)から得られるKinExA (動的排除測定(KineticExclusionAssay))を用いて測定してもよいし、表面プラズマ共鳴装置(SPR)を用いて測定してもよい。
【0077】
本願では、用語「EC50」または「EC50」は、半最大効果濃度とも呼ばれ、通常は50%の最大効果を引き起こす抗体濃度を指す。
【0078】
本願では、用語「AXLタンパク質」は、通常、axl遺伝子によってコードされるタンパク質受容体チロシンキナーゼを指す。AXL (Ark、UFO、Tyro-7)はキナーゼTyro-3ファミリーの一員であり、リガンドGas6 (抗凝固因子タンパク質Sと相同の70-kDaタンパク質)の結合により活性化される。一部の癌細胞(例えば、肺がん、腎がん、乳がん)では、AXLタンパクの過剰発現がみられることがある。ヒトAXLタンパク質は894アミノ酸のタンパク質であり、そのアミノ酸配列はSEQ ID NO:39のように示すことができる。その中の第1-26位アミノ酸残基はシグナルペプチドである。27-451番はAXLタンパク質の細胞外ドメイン(そのアミノ酸配列をSEQ ID NO:40とする)である。
【0079】
本願では、「細胞外構造ドメイン」という用語は、通常、細胞外に位置するポリペプチドまたはタンパク質ドメインを指す。例えば、前記細胞外ドメインはAXLタンパク質の細胞外ドメインであってもよく、そのアミノ酸配列は、SEQ ID NO:40に示すとおりであってもよい。AXLタンパク質の細胞外ドメインは、細胞接着分子に近づくために必要な構造を持つことができる。前記AXLタンパク質の細胞外構造域は2つの免疫グロブリン様構造域の組成物とすることができ、Gas6リガンド(Sasaki T他、 EMBO J. (2006).25、 80-87)を結合することができる。
【0080】
本願では、「特異的結合」または「特異的」という用語は、通常、標的と抗体の間の結合のような、異種分子集団(生体分子を含む)の存在下で標的の存在を決定できる測定可能で再現性のある相互作用のことを指す。例えば、標的(エピトープであってもよい)と特異的に結合する抗体とは、他の標的と結合するよりも高い親和性、親和性、より容易に、及び/またはより長い時間、その標的と結合する抗体である。一実施形態では、抗体の非関連標的への結合の程度は、例えば放射免疫分析(RIA)によって測定されるように、抗体の標的への結合の約10%よりも小さい。例えば、本願では、前記単離抗原結合タンパク質は、<1 x10-7M以下の解離定数(KD)でAXLタンパク質と結合することができる。いくつかの実施形態では、抗体は、異なる種のタンパク質に保存されているタンパク質上のエピトープに特異的に結合する。別の実施形態では、特異的結合は排他的結合を含み得るが、排他的結合を必要としない。
【0081】
本願では、「内在化」という用語は、通常、抗体またはその抗原結合フラグメントまたはポリペプチドが細胞表面の受容体と特異的に結合し、受容体-抗体複合体を形成し、そしてその受容体を介したエンドサイトーシスを介して細胞内に入る過程を指す。このとき、そのような抗体またはその抗原結合フラグメント(Fabフラグメント)が内在化抗体となりうる。前記内在化抗体は指向的に薬物、酵素またはDNAを運ぶベクターとすることができる。場合によっては、前記内在化は腫瘍細胞の増殖を抑制することができる。例えば、前記内在化抗体は抗腫瘍の化学療法剤、放射性元素、細胞成長抑制剤と細胞毒性剤を結合することに用いられ、かつ腫瘍生物治療の候補分子とする。
【0082】
本願では、「腫瘍」という用語は通常、異常な細胞増殖によって形成される増殖物または実質性病変を指す。本願では、腫瘍は固形腫瘍または血液腫瘍であってもよい。例えば、本願において、腫瘍はAXL陽性腫瘍であってもよく、前記AXL陽性の腫瘍は以下の群から選択され得る:肺癌、皮膚癌、腎癌、膵臓癌、血液腫瘍、乳癌、卵巣癌、リンパ腫、骨髄腫。いくつかの実施形態では、前記AXL陽性の腫瘍は以下の群から選択され得る:非小細胞肺癌、皮膚扁平上皮癌、腎臓明細胞腺癌、膵臓癌、赤白血病、急性T細胞白血病、乳癌、卵巣癌、リンパ腫と骨髄腫。
【0083】
本願では、「可変ドメイン」という用語は、通常、抗体重鎖または軽鎖のアミノ末端ドメインを指す。重鎖と軽鎖の可変構造ドメインは、それぞれ「VH」「VL」(または「VH」「VL」)と呼ばれることがある。これらのドメインは通常、抗体の変化が最も大きく(同じタイプの他の抗体に対して)、抗原結合部位を含む。
【0084】
本願では、「可変」という用語は、通常、可変ドメインのある領域が抗体間で配列的に大きく異なることを指す。Vドメインは抗原結合を媒介し、その特異抗原に対する特異抗体の特異度を決定する。しかし、可変性は可変ドメイン全体に均一に分布するわけではない。対照的に、軽鎖及び重鎖可変ドメインの高可変領域(CDRまたはHVR)と呼ばれる3つのセグメントに集中している。可変ドメインのより保存性の高い部分をフレーム領域(FR)と呼ぶ。自然重鎖と軽鎖の可変ドメインはそれぞれ4つのFR領域を含み、大部分はβ‐フォールディング構造をとり、 3つのCDR結合を介して環状結合を形成し、場合によってはβ‐フォールディング構造の一部を形成する。各鎖におけるCDRはFR領域を介して互いに近接して保持され、他方の鎖からのCDRは一緒に抗体の抗原結合部位の形成を促進する(Kabat ら、 Sequences of Immunological Interest、 Fifth Edition、 National Institute of Health、Bethesda、 Md.(1991)を参照)。定常ドメインは抗原への抗体の結合に直接関与しないが、抗体依存性細胞毒性への抗体の関与のような様々なエフェクター機能を示す。
【0085】
本願では、「抗体」という用語は、in vitroまたはin vivoのいずれで生成されるかにかかわらず、抗原結合部位を含むポリペプチドを包含する免疫グロブリンまたはそのフラグメントまたはその誘導体を一般的に指す。この用語には、多クローン性、単クローン性、単特異性、多特異性、非特異性、ヒト化、一本鎖性、キメラ性、合成性、組換え性、ハイブリッド性、変異性、及び移植抗体が含まれるが、これらに限定されない。「完全な」という用語が特に改変されていない限り、「抗体」という用語は、「完全抗体」本発明の目的のために、Fab、F (ab') 2、Fv、scFv、Fd、dAb、及び抗原結合機能(例えば、 AXLに特異的に結合する)を保持する他の抗体フラグメントのような抗体フラグメントも含む。通常、そのようなフラグメントは抗原結合ドメインを含むべきである。基本的な4本鎖抗体単位は、 2つの同一の軽 (L) 鎖と2つの同一の重 (H) 鎖からなるヘテロ四量体糖タンパク質である。IgM抗体は5つの基本的なヘテロ4量体単位とJ鎖と呼ばれるもう1つのポリペプチドから構成され、 10個の抗原結合部位を含むが、 IgA抗体は2~5個の基本的な4鎖単位を含み、 J鎖と結合して多価結合を形成する。IgGの場合、 4鎖単位は通常約150、000ダルトンである。各L鎖は1つの共有結合ジスルフィド結合によってH鎖と連結し、2つのH鎖は1つまたは複数のH鎖アイソフォームに依存するジスルフィド結合によって互いに連結する。各HとL鎖はまた規則的間隔の鎖内二硫化橋結合を有する。各H鎖はN末端に可変ドメイン(VH)を有し、α及びγ鎖にはそれぞれ3つの定常ドメイン(CH)、μ及びεアイソフォームには4つのCHドメインが続いている。各L鎖はN末端に可変ドメイン(VL)を有し、その他端に定常ドメインを有している。VLはVHに対応し、 CLは重鎖の第一定常ドメイン(CH 1)に対応する特定のアミノ酸残基は軽鎖と重鎖可変ドメイン間の界面を形成すると考えられている。VHとVLのペアは一緒に単一の抗原結合部位を形成する。異なるクラスの抗体の構造及び特性については、例えば、Basic and Clinical Immunology、8 th Edition、Daniel P. Sties、Abba I.Terr and Tristram G. Parsolw (eds)、Appleton & Lange、Norwalk、Conn.、1994、 71ページ及び6章を参照のこと。あらゆる脊椎動物のL鎖は、その定常ドメインのアミノ酸配列に基づいて、κ及びλと呼ばれる2つの明確に異なるタイプのいずれかに分類することができる。免疫グロブリンは、その重鎖(CH)の定常ドメインのアミノ酸配列により、異なるクラスまたはアイソフォームに分類できる。IgA、IgD、 IgE、 IgG、及びIgMの5種類の免疫グロブリンが存在し、それぞれα、δ、ε、γ、及びμと命名された重鎖を有する。γ及びαは、 CH配列及び機能の比較的小さな差異に基づいてさらに亜分類され、例えば、ヒトではIgG1、IgG2A、IgG2B、IgG3、IgG4、IgA1、及びIgK1が発現している。
【0086】
本願では、「CDR」という用語は、通常、高度に可変的な配列を有し、かつ/または構造的に定義されたループを形成する抗体の可変ドメインの領域を指す。通常、抗体には6つのCDRが含まれる;VHでは3個(HCDR1、HCDR2、HCDR3)、 VLでは3個(LCDR1、LCDR2、LCDR3)である。自然抗体の中で、HCDR3とLCDR3は6つのCDRの大部分の多様性を示し、特にHCDR3は抗体に細かい特異性を付与することにおいてユニークな役割を果たすと考えられる。例:Xuら、Immunity 13:37-45 (2000);Johnson and Wu、in Methods in Molecular Biology 248:1-25 (Lo、 ed.、 Human Press、Totowa、N.J.、2003)。実際、重鎖のみで構成される自然に存在するラクダ抗体は、軽鎖の欠如下では正常に機能し安定である。例:Hamers-Castermanら.、 Nature 363:446-448 (1993);Sheriffら、 Nature Struct. Biol. 3:733-736 (1996)。
【0087】
本願では、「FR」という用語は、一般に、フレームワーク領域と呼ばれる、抗体の可変構造ドメインのより高度に保存された部分を指す。通常、自然重鎖及び軽鎖の可変ドメインはそれぞれ4つのFRドメイン、すなわちVHでは4つ(H-FR1、H-FR2、H-FR3、及びH-FR4)及びVLでは4つ(L-FR1、L-FR2、L-FR3、及びL-FR4)を含む)。例えば、本願で説明される単離抗原結合タンパク質のVLは、フレームワーク領域L-FR1、L-FR2、L-FR3、及びL-FR4を含み得る。本願に記載の単離抗原結合タンパク質のVHはフレーム領域H-FR1、H-FR2、H-FR3、及びH-FR4を含み得る。
【0088】
本願では、「抗原結合フラグメント」という用語は、通常、抗原(例えば、AXLタンパク質)に特異的に結合する能力を有する1つまたは複数のフラグメントを指す。本願では、前記抗原結合フラグメントは、Fab、Fab'、F(ab)2、Fvフラグメント、F(ab')2、scFv、di-scFv及び/またはdAbを含み得る。
【0089】
本願では、「モノクローナル抗体」または「単抗」または「モノクローナル抗体組成」という用語は、通常、単一の分子からなる抗体分子製品を指す。モノクローナル抗体組成は特定のエピトープに対する単一結合特異性と親和性を示した。
【0090】
本願では、「一本鎖抗体」という用語は、通常、抗体重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含む分子を指す。例えば、前記一本鎖抗体は抗体重鎖可変領域と軽鎖可変領域がリンカー分子(linker) (例えば、結合ペプチド)によって連結して形成される。
【0091】
本願では、「ヒト抗体」という用語は、通常、可変領域フレームワーク及びCDR領域から得られたヒト生殖細胞系免疫グロブリン配列に対する抗体を指す。さらに、抗体に定常ドメインが含まれる場合は、ヒトの生殖細胞系免疫グロブリンの配列からも得られる。本願のヒト由来抗体は、ヒトの生殖細胞系免疫グロブリン配列によってコードされないアミノ酸残基、例えば、in vitroでのランダム変異または点変異によって導入された変異、またはin vivoでの体細胞変異を含み得る。しかし、 「ヒト抗体」という用語には、ヒトのフレームワーク配列に挿入された他の哺乳類種のCDR配列からの抗体は含まれない。
【0092】
本願では、「マウス抗体」という用語は、通常、可変領域フレームワーク及びCDR領域から得られるマウスの生殖細胞系免疫グロブリン配列の抗体を指す。さらに、抗体に定常ドメインが含まれる場合は、マウスの生殖細胞系免疫グロブリンの配列からも得られる。本願のマウス由来抗体は、in vitroでのランダム突然変異または点変異、またはin vivoでの体細胞突然変異によって導入される突然変異など、マウスの生殖細胞系免疫グロブリン配列によってコードされないアミノ酸残基を含み得る。ただし、「マウス由来抗体」という用語には、マウスのフレーム配列に他の哺乳類種のCDR配列を挿入した抗体は含まれない。
【0093】
本願では、「キメラ抗体」という用語は、通常、非ヒト由来の遺伝物質とヒト由来の遺伝物質とを組み合わせて得られる抗体を指す。キメラ抗体とは、ある種の遺伝物質と別の種の遺伝物質を組み合わせた抗体のことです。
【0094】
本願では、「多特異抗体」という用語は、通常、2つ以上の抗原またはエピトープを同時に認識することができる抗体分子を指す。前記多特異性抗体は化学結合法、交雑-ハイブリドーマ法、遺伝子工学抗体作製法などの方法によって真核発現系または原核発現系で得られる。
【0095】
本願では、「ヒト化抗体」という用語は、通常、非ヒト種に由来するが、そのタンパク質配列がヒト自然に生成される抗体との類似性を高めるように改変された抗体を指す。
【0096】
本願では、「完全ヒト抗体」という用語は、通常、完全ヒト抗体、すなわち、抗体の定数領域及び可変領域の両方がヒト由来であるものを指す。前記全ヒト抗体はファージ抗体ライブラリ技術、トランスジェニックマウスによるヒト抗体の作製、リボソーム展示技術、EBV転化B細胞クローン技術、単独B細胞クローンなどの技術によって実現できる。
【0097】
本願では、「抗原を認識する抗体」及び「抗原に対する抗体」という用語は、「抗原に特異的に結合する抗体」という用語と重複して使用される。
【0098】
本願では、「直結する」という用語は、「間接接続」という用語と対比させて使用され、「直結する」という用語は、一般に直接接続を指す。例えば、前記直接接続は物質間に間隔子がなくて直接接続する場合である。前記間隔子は連結子である。例えば、リンカーは、ペプチドリンカーとすることができる。「間接接続」という用語は通常、物質間が直接接続されていない状況を指す。例えば、間接的接続は、スペーサーを介して接続される場合であってもよい。例えば、本願に記載の単離抗原結合タンパク質において、前記L-FR1のC末端と前記LCDR1のN末端とは、直接的または間接的に連結されていてもよい。
【0099】
本願では、「免疫複合体」 という用語は、通常、前記他の試薬(例えば、化学療法剤、放射性元素、細胞増殖抑制剤、及び細胞毒性剤)が、前記単離抗原結合タンパク質と結合(例えば、リンク分子の共有結合によって連結) して形成される複合体を指し、前記複合体は、前記単離抗原結合タンパク質と標的細胞上の抗原との特異的結合によって、前記他の試薬を標的細胞(例えば、腫瘍細胞)に送達することができる。その後前記免疫複合体は前記内化を経て、最終的に標的細胞の内部に入り(例えば、ライソゾームなどの胞嚢への侵入)、この時前記免疫複合体の中のリンカー分子は溶解することができ、前記他の試薬を放出することによってその細胞毒性効果を発揮する。さらに、前記抗原は前記標的細胞から分泌され、かつ前記標的細胞外の間隙に位置することもできる。
【0100】
本願では、「化学療法剤」という用語は、通常、腫瘍及び/または腫瘍細胞の増殖を抑制することができる化学療法用試薬を指す。前記化学療法剤は以下の群から選択され得る:有糸分裂抑制剤、キナーゼ抑制剤、アルキル化試薬、抗代謝薬、埋め込み抗生物質、成長因子抑制剤、細胞周期抑制剤、酵素、トポイソメラーゼ抑制剤、ヒストンデアセチラーゼ抑制剤、抗生存剤、生物学応答調節剤、抗ホルモン例えば抗アンドロゲンと抗血管生成剤。例えば、前記化学療法剤は以下の群から選択される:カペシタビン、ダウノルビシン、ダウノルマイシン、アクチノマイシンD、ドキソルビシン、エピルビシン、イダルビシン、エソピシン、ブレオマイシン、ウマシクロホスファミド、イホスファミド、シタラビン、ジクロプリド、ニトロソウレア、ブスルファン、マイトマイシンC、アクチノマイシンD、プリカマイシン、プレドニゾン、ヒドロキシプロゲステロン、テストステロン、タモキシフェン、ダカルバジン、プロカルバジン、ヘキサメチルメラミン、ペンタメチルメラミン、ミトキサントロン、アクリジン、クロラムブシル、メチルシクロヘキシル、ニトロソウレア、ナイトロジェンマスタード、メルファラン、シクロホスファミド、6-メルプリン、6-チオグアニン、チオグアニン、シタラビン(CA)、5-アザシチジン、ヒドロキシカルバマイシン、4-ヒドロキシカルバミド、4-デオキシシクロホスファミド(5-FU)、5-フルオロデオキシウリジン(5-FUdR)、メトトレキサート(MTX)、コルヒチン、テオフィリン(taxol)、ビンクリスチン、ビンクリスチン、エトポシド、トリメトプリム、テニポシド及び/またはジエチルスチルベストロール(DES)。
【0101】
本願では、「放射性元素」という用語は、通常、腫瘍及び/または腫瘍細胞の増殖を抑制することができる放射線療法用の要素を指す。放射性元素は以下の群から選択される:3H、14C、15N、35S、90Y、99Tc、111In、125I及び/または131I。
【0102】
本願では、「細胞増殖抑制薬」という用語は、通常、腫瘍細胞の増殖及び複製を促進する増殖因子を阻害することによって腫瘍を抑制する試薬を指す。増殖因子が細胞表面上の受容体に結合すると、細胞内のシグナル伝達経路が活性化され、複雑な経路が制御不能な細胞増殖を促し、それにより細胞が過剰に分裂して腫瘍に進行する可能性がある。前記細胞成長抑制剤はこれらの成長因子の作用を抑制できる。前記細胞増殖抑制剤は、以下の群から選択され得る:血管形成抑制因子、脱アセチル化酵素(HDAC)抑制因子、Hedgehogシグナル経路抑制剤、mTOR抑制剤、p53/mdm2抑制剤、PARP抑制剤、プロテアソーム抑制剤及び/またはチロシンキナーゼ抑制剤。
【0103】
本願では、「細胞毒性剤」という用語は、通常、作用する細胞に対して毒素を産生することによって、腫瘍及び/または腫瘍細胞の増殖を阻害する試薬を指す。前記細胞毒性剤は、以下の群から選択され得る:アルキル化剤、例えばブスルファン、ヘキサメチルメラミン、チオテパ、シクロホスファミド、ナイトロジェンマスタード、ウラムスチン、メルファラン、クロラムブシル、カルムスチン、ストレプトゾトシン、ダカルバジン、テモゾロミド、イホスファミドなど。マイトマイシンCなどの抗腫瘍薬;代謝拮抗薬、例えばメトトレキサート、アザチオプリン、メルカプトプリン、フルダラビン、フルオロウラシルなど;プラチナを含む抗がん剤、例えばシスプラチン、カルボプラチンなど;アンスラサイクリン、例えばダウノルビシン、ドキソルビシン、エピルビシン、イダルビシン、ミトキサントロンなど;ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビノレルビン、ビンジキシン、ポドフィロトキシン、ドセタキセルなどの植物アルカロイド及びテルペノイド;トポイソメラーゼ阻害薬、例えばイリノテカン、アムアクリジン、トポテカン、エトポシド、テニポシドなど;抗体、例えばリツキシマブ、トラスツズマブ、ベバシズマブ、エルロチニブ、及び再生マイシンなど;フィナステリド;アロマターゼ阻害薬;タモキシフェン;ゴセレリン;パクリタキセル及び/またはメシル酸イマチニブ。前記細胞毒性剤は経口、注射などの方式で使用できる。
【0104】
本願では、「リンカー分子」という用語は、通常、2つの分子を連結または結合する機能性分子を指す。例えば、前記リンカー分子は一つの分子と他の分子(例えば、ある分子はタンパク質分子であり、他の分子もタンパク質分子であり、あるいは低分子薬物であり得る)を連結できる。前記リンカー分子は前記免疫複合体の構築に用いることができる。前記免疫複合体の中に、前記リンカー分子は二つの機能特徴を有する:1、循環システムの安定性を有して、前記免疫複合体が標的細胞に到達する前に、循環システムの中にクラッキングを発生して、前記他の試薬を釈放できなくて、毒性作用を産生することを避ける。2、標的細胞に入った後、前記リンカー分子は迅速かつ有効に断裂する必要があり、前記他の試薬を有効に放出させて適切な薬理活性を発揮させる。前記連結分子は、極性アミノ酸または非極性アミノ酸からなるものであってもよい。前記リンカー分子はヘテロ原子(窒素原子、硫黄原子など)を含む炭素鎖であってもよい。前記リンカー分子は、2~100原子の長さ、例えば2~50原子であってもよく、または3、5、10、15、20、25、30、35、40、45または50原子であってもよく、さらに例えば、前記リンカーは20~26(20、21、22、23、24、25または26)原子長であってよい。前記リンカー分子は以下の組から選択される置換基置換を含む:水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、トリアルキルアミノ基、水酸基、アルコキシ基、ハロゲン、アリール基、複素環、芳香族複素環、シアノ基、アミド、カルバモイル基、カルボン酸、エステル、チオエーテル、アルキルチオエーテル、メルカプト基と尿素基。その他、前記リンカー分子は以下の組から選択される:pH敏感リンカー分子、プロテアーゼ切断可能リンカー分子、ヌクレアーゼ敏感リンカー分子、リパーゼ敏感リンカー分子、グリコシダーゼリンカー分子、酸欠リンカー分子、光切断リンカー分子、熱不安定リンカー分子と超音波敏感リンカー分子。
【0105】
本願では、「共有結合」という用語は、通常、2つ以上の原子が共通の電子対を共有し、電子飽和状態に達して、比較的安定した化学構造をもたらす共有結合を指す。共有結合は、隣り合う2つの原子間でスピンの向きが反対の電子が対になることで形成されるが、このとき原子軌道が重なり、2つの原子核間の電子雲密度が相対的に高くなるため、2つの原子核にかかる重力が大きくなる。共有結合は飽和性と方向性を持つことができる。共有結合は非極性共有結合、極性共有結合と配位結合に分けられる。共有結合のみを含む化合物を共有結合化合物と呼ぶことができる。
【0106】
本願では、「メイタンシン」という用語は、通常、メイテナス(Maytenus)属植物から単離して得られた(米国特許US3896111を参照)化合物を指し、それは抗有糸分裂細胞毒素に属し、構造式は:
【0107】
【化1】
【0108】
前記メイタンシンのCAS番号は35846-53-8である。メイタンシンは、L-1210、P-388白血病、S-180、W-256、Lewis肺癌、及び上咽頭癌などの様々な腫瘍に効果的である。前記メイタンシン誘導体には、メイタンシンの環構造を有し、その環に1つ以上の置換基を修飾した化合物、例えば、メイタンシン誘導体DM1、DM4が含まれ得る。
【0109】
本願では、「メイタンシン誘導体DM 1」という用語は、通常、以下の構造式を有する化合物を指す。
【0110】
【化2】
【0111】
CAS番号は139504-50-0である。前記メイタンシン誘導体DM 1は抗有糸分裂細胞毒素である。
【0112】
本願では、「AXLタンパクの発現に関連する疾患または病態」という用語は、通常、AXLタンパク質の発現に関連する、またはAXLタンパク質の発現の上昇によって引き起こされる疾患または病態を指す。例えば、AXLタンパクの発現に関連する疾患または病態は、肺癌、皮膚癌、腎癌、膵癌、血液腫瘍、乳癌、卵巣癌、リンパ腫、及び/または骨髄腫であり得る。
【0113】
本願では、「単離された核酸分子」という用語は、通常、ヌクレオチド、デオキシリボヌクレオチド、またはリボヌクレオチドの任意の長さの単離形式、またはその自然環境から単離され、または人工的に合成された類似物を指す。
【0114】
本願では、「ベクター」という用語は、通常、タンパク質をコードするポリヌクレオチドが挿入され、その中でタンパク質が発現し得る核酸送達ビヒクルを指す。ベクターは形質転換、形質転換または宿主細胞へのトランスフェクションにより、宿主細胞内で遺伝子を発現させる。例えばベクターには次のようなものがあります:プラスミド;バクテリオファージ;コスプラスミド;酵母人工染色体(YAC)、細菌人工染色体(BAC)、P 1由来の人工染色体(PAC)などの人工染色体;ファージはλファージやM 13ファージ、動物ウイルスなどである。ベクターとして用いられる動物ウイルスの種類は逆転写酵素ウイルス(スローウイルスを含む)、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、ヘルペスウイルス(単純ヘルペスウイルスのように)、ポックスウイルス、バキュロウイルス、乳頭腫ウイルス、ヒトパピローマウイルス(SV 40の場合)である。1種のベクターは多種の発現を制御する要素を含み、プロモーター配列、転写開始配列、エンハンサー配列、選択要素及びレポーター遺伝子を含む。また、ベクターは複製開始部位を含み得る。また、ベクターは、ウイルス粒子、リポソーム、タンパク質シェルなど、細胞への侵入を補助する成分を含み得るが、これらの物質だけに限定されるものではない。
【0115】
本願では、「細胞」という用語は、通常、本発明に記載の核酸分子または本発明に記載されたベクターを含む、被験者プラスミドまたはベクターのレシピエントであり得る、またはすでにある単一の細胞、細胞株または細胞培養物を指す。細胞は単一細胞の子孫を含み得る。自然突然変異、偶発突然変異、または意図的突然変異のために、子孫が必ずしも始原母細胞と同一同一ではない場合がある(全DNA相互補体の形態学的またはゲノム的)。細胞は、本願に記載のベクターを用いてin vitroでトランスフェクトされた細胞を含み得る。細胞は、細菌細胞(例えば、大腸菌)、酵母細胞、またはCOS細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、CHO-K1細胞、LNCAP細胞、HeLa細胞、HEK293細胞、COS-1細胞、NS0細胞、ヒト非小細胞肺がんA549細胞、ヒト扁平皮膚がんA431細胞、腎透明細胞などの真核細胞であってもよい。 細胞腺癌 786-O細胞、ヒト膵臓腺癌MIA PaCa-2細胞、赤色白血病 K562細胞、急性T細胞白血病Jurkat細胞、ヒト乳癌 MCF-7細胞、ヒト乳癌 MDA-MB-231 細胞、ヒト乳癌MDA-MB-468 細胞、ヒト乳癌 SKBR3細胞、ヒト卵巣癌 SKOV3細胞、 リンパ腫 U -937細胞、リンパ腫Raji細胞、ヒト骨髄腫U266細胞、またはヒト多発性骨髄腫RPMI8226細胞である。いくつかの実施形態では、細胞は哺乳動物細胞である。いくつかの実施形態では、哺乳動物細胞はHEK293細胞である。
【0116】
本願では、「医薬組成物」という用語は、通常、患者、最適な人の患者に適用するのに適する組成物を指す。例えば、本願に記載の医薬組成物は、本願に記載の単離抗原結合タンパク質、本願に記載の免疫複合体、本願に記載の核酸分子、本願に記載のベクター及び/または本願に記載の細胞、及び任意選択で薬学的に許容されるアジュバントを含み得る。さらに、前記医薬組成物はまた1種または多種(薬学的に有効な)の支持剤、安定剤、賦形剤、希釈剤、可溶化剤、界面活性剤、乳化剤及び/または防腐剤の適当な製剤を含み得る。組成物の許容成分は使用用量と濃度で優先的に受取人に無毒である。本発明の医薬組成物は液体、冷凍と凍結乾燥組成物を含むがそれに限定されない。
【0117】
本願では、「薬学的に許容されるアジュバント」という用語は、通常、薬物投与に適合するあらゆる溶媒、分散媒、コーティング、等張剤、及び吸収遅延剤などを意味し、通常は安全で、無毒であり、生物学的にも他の点でも好ましくないものではない。
【0118】
本願では、「被験者」という用語は、通常、猫、犬、馬、豚、牛、羊、ウサギ、マウス、ラットまたはサルを含むがこれらに限定されない、ヒトまたは非ヒト動物を指す。
【0119】
本願では、「含む」という用語は、一般に、他の要素を除外することなく、明示的に指定された特徴を含むことを指す。
【0120】
本願では、「約」という用語は、通常、指定値以上0.5%~10%の範囲での変動を意味し、例えば、0.5%、1%、1.5%、2%、2.5%、3%、3.5%、4%、4.5%、5%、5.5%、6%、6.5%、7%、7.5%、8%、8.5%、9%、9.5%、または10%の範囲での変動を指す。
単離抗原結合タンパク質 SEQ ID NO:1またはSEQ ID NO:46に示すVHの少なくとも1つのCDRを含み; かつSEQ ID NO:2に示すVLの少なくとも1つのCDRを含む単離抗原結合タンパク質を提供する。
【0121】
QVQL X1 QSGPGLVKPSQSLSLTC X2 V X3 G X4 SISSGYYWNWIRQ X5 PG X6 X7 LEWMGYRSYDGSNNYNPSLKNRISITRDTSKNQFFLKLNSVT X8 EDTATYYCARGWLLHYTMDYWGQGT X9 VTVSS(SEQ ID NO:1)、X1はKまたはV、X2はSまたはA、X3はTまたはS、X4はF、Y、DまたはS、X5はFまたはS、X6はNまたはQ、X7はKまたはG、X8はTまたはS、X9はSまたはTであってもよい。 QVQLVQSGPGLVKPSQSLSLTCSVTGFSISSGYYWNWIRQFPGQKLEWMGYRSYDGSNNYX1PSLKNRISITRDTSKNQFFLKLNSVTSEDTATYYCARGWLLHYTMDYWGQGTTVTVSS(SEQ ID NO:46)、X1はDまたはGであってもよい。
【0122】
X1 X2 VMTQSP X3 S X4 X5 VTLG X6 SASISCRSSRSLLHSNGFTYLYWYX7QKPGQSPQLLIYQMSNLASGVPDRFS X8 SGSGTDFTL X9 ISRVEAEDVGVYYCGQNLELPLTFG X10 GTKLE X11 K(SEQ ID NO:2)、X1はEまたはD、X2はLまたはI、X3はFまたはS、X4はNまたはV、X5はAまたはS、X6はTまたはQ、X7はLまたはQ、X8はSまたはG、X9はRまたはK、X10はAまたはG、X11はLまたはIであってもよい。
【0123】
本願に記載の単離抗原結合タンパク質のVHは、6G12抗体VH(SEQ ID NO:31)の1箇所以上のアミノ酸変異によって得ることができ、具体的には、本願に記載の単離抗原結合タンパク質は、6G12抗体VHの枠組み領域(FR)の1箇所以上のアミノ酸変異、または6G12抗体の1箇所以上のアミノ酸変異によって得ることができる。 抗体VH、または6G12抗体VHの可変領域(CDR)の1箇所以上のアミノ酸の変異により、本願に記載の単離抗原結合タンパク質を得ることができる。例えば、6G12抗体VHでは、N端からC端まで、5位のKはVに、23位のSはAに、25位のTはSに、27位のFはY、DまたはSに、41位のFはSに、44位のNはQに、45位のKはGに、88位のTはSに、114位のSはTにそれぞれ変異が可能である。
【0124】
例えば、6G12抗体VHでは、N端からC端まで、5位のKはVに、23位のSはAに、25位のTはSに、27位のFはY、DまたはSに、41位のFはSに、44位のNはQに、45位のKはGに、61位のNはDまたはGに、88位のTはSに、114位のSはTに変異が可能である。
【0125】
本願に記載の単離抗原結合タンパク質のVLは、6G12抗体VL (SEQ ID NO:32)の1箇所以上のアミノ酸変異によって得ることができ、具体的には、本願記載の単離型抗原結合タンパク質は、6G12抗体VLのフレームワーク領域(FR)の1箇所以上のアミノ酸変異によって得ることができる。
【0126】
例えば、6G 12の抗体VLでは、N端からC端まで、1位のEはDに、2位のLはIに、9位のFはSに、11位のNはVに、12位のAはSに、17位のTはQに、42位のLはQに、69位のSはGに、79位のRはKに、105位のAはGに、111位のLはIに変異が可能である。
【0127】
前記単離抗原結合タンパク質の性質
本願では、前記単離抗原結合タンパク質は、以下の特性のうちの1つまたは複数を有することができる。
1)1×10-7M以下のKDでAXLタンパク質に結合する能力を有すること。
2)細胞表面に発現するAXLタンパク質を特異的に認識できること;
3)細胞表面に発現するAXLタンパク質と結合し、細胞内への取り込みを仲介できること。
【0128】
本願では、前記単離抗原結合タンパク質は、AXLタンパク質と1×10-7M以下のKDで結合することができる。例えば、本願に記載の単離抗原結合タンパク質は、ヒト由来のAXLタンパク質のKD値が≦1×10-7M、≦9×10-8M、≦8×10-8M、≦7×10-8M、≦6×10-8M、≦5×10-8M、≦4×10-8M、≦3×10-8M、≦2×10-8M、≦1.5×10-8M、≦1.2×10-8M、≦1.15×10-8M、≦1.1×10-8M、≦1.05×10-8M、≦1×10-8M、≦5×10-9Mまたは≦1×10-9 Mであってもよい。また、例えば、本願に記載の単離抗原結合タンパク質は、マウス由来のAXLタンパク質のKD値が≦1×10-7M、≦9×10-8M、≦8×10-8M、≦7×10-8M、≦6×10-8M、≦5×10-8M、≦4×10-8M、≦3×10-8M、≦2×10-8M、≦1.5×10-8M、≦1.2×10-8M、≦1.15×10-8M、≦1.1×10-8M、≦1.05×10-8M、≦1×10-8M、≦5×10-9Mまたは≦1×10-9 Mであってもよい。また、例えば、本願に記載の単離抗原結合タンパク質結合は、サル由来のAXLタンパク質のKD値が≦1×10-7M、≦9×10-8M、≦8×10-8M、≦7×10-8M、≦6×10-8M、≦5×10-8M、≦4×10-8M、≦3×10-8M、≦2×10-8M、≦1.5×10-8M、≦1.2×10-8M、≦1.15×10-8M、≦1.1×10-8M、≦1.05×10-8M、≦1×10-8M、≦5×10-9Mまたは≦1×10-9 Mであってもよい。
【0129】
本願では、前記KD値は、ELISA、競合ELISA、またはBIACORE、またはKINEXAによって測定することもできる。
【0130】
本願では、前記競合的結合能は、前記単離抗原結合タンパク質の抗体‐抗原相互作用の解離平衡定数を決定することによって測定できる。前記解離平衡定数の測定方法は以下の組から選択される:酵素結合免疫吸着法、表面等解離振動子共鳴(SRP)法、電位差滴定法、分光光度法、細管電気泳動法、蛍光法と薄層クロマトグラフィーpH法。例えば、前記単離抗原結合タンパク質は、SRP法(例えば生体高分子相互作用計の使用)によって検出することができる。
【0131】
本願では、前記単離抗原結合タンパク質は細胞表面に発現するAXLタンパク質に特異的に結合できる。特異的結合はFACSによって決定できる。例えば、FACSアッセイにおけるEC 50は、本願に記載されている単離抗原結合タンパク質が細胞表面のAXLタンパク質に特異的に結合する状況を反映することができ、例えば、EC 50が低いほど特異的な結合が良好であることを示す。例えば、前記単離抗原結合タンパク質がFACS測定において、非小細胞肺癌A 549細胞表面のAXLタンパク質に結合するEC 50値は0.01μg/ml~0.10μg/ml、0.01μg/ml~0.15μg/ml、0.01μg/ml~0.20μg/ml、0.01μg/ml~0.25μg/ml、0.01μg/ml~0.30μg/ml、0.01μg/ml~0.35μg/ml、0.01μg/ml~0.40μg/ml、0.01μg/ml~0.45μg/ml、0.01μg/ml~0.50μg/ml、0.01μg/ml~0.55μg/ml、0.01μg/ml~0.60μg/ml、0.01μg/ml~0.65μg/ml、0.01μg/ml~0.70μg/ml、0.01μg/ml~0.75μg/mlまたは0.01μg/ml~0.80μg/mlであってもよい。また、例えば、前記単離抗原結合タンパク質はFACS測定において、ヒト乳がんMDA-MB-231細胞表面のAXLタンパク質に結合するEC 50値は、0.01μg/ml~0.10μg/ml、0.01μg/ml~0.15μg/ml、0.01μg/ml~0.20μg/ml、0.01μg/ml~0.25μg/ml、0.01μg/ml~0.30μg/ml、0.01μg/ml~0.35μg/ml、0.01μg/ml~0.40μg/ml、0.01μg/ml~0.45μg/ml、0.01μg/ml~0.50μg/ml、0.01μg/ml~0.55μg/ml、0.01μg/ml~0.60μg/ml、0.01μg/ml~0.65μg/ml、0.01μg/ml~0.70μg/ml、0.01μg/ml~0.75μg/mlまたは0.01μg/ml~0.80μg/mlであってもよい。また例えば、前記単離抗原結合タンパク質はFACS測定において、腎臓明細胞腺癌786-O細胞表面のAXLタンパク質と結合し、EC 50値は0.01μg/ml~0.10μg/ml、0.01μg/ml~0.15μg/ml、0.01μg/ml~0.20μg/ml、0.01μg/ml~0.25μg/ml、0.01μg/ml~0.30μg/ml、0.01μg/ml~0.35μg/ml、0.01μg/ml~0.40μg/ml、0.01μg/ml~0.45μg/ml、0.01μg/ml~0.50μg/ml、0.01μg/ml~0.55μg/ml、0.01μg/ml~0.60μg/ml、0.01μg/ml~0.65μg/ml、0.01μg/ml~0.70μg/ml、0.01μg/ml~0.75μg/mlまたは0.01μg/ml~0.80μg/mlであってもよい。
【0132】
本願では、前記単離抗原結合タンパク質は細胞表面に発現するAXLタンパク質を結合した後、内在化を媒介することができる。例えば、前記内在化は以下のステップを含む:前記単離抗原結合タンパク質が細胞(例えば腫瘍細胞)の質膜に結合することができ、または、細胞微小環境(例えば腫瘍細胞の微小環境)におけるタンパク質分解活性に応答した後、細胞内に放出する。したがって、前記単離抗原結合タンパク質は細胞膜に飲み込まれ、かつ前記細胞に吸入される。いくつかの実施形態では、前記免疫複合体の中の前記単離抗原結合タンパク質、及び/或はそれと結合する前記他の試薬は、前記単離抗原結合タンパク質が細胞の質膜に結合した後、細胞膜に飲み込まれて、かつ前記細胞の中に吸入されることもできる。
【0133】
本願では、前記AXLタンパク質はヒトAXLタンパク質(NP_068713)であってもよい。カニクイザルAXLタンパク(Genbankログイン番号HB387229.1)であってもよい。例えば、前記AXLタンパク質はヒトAXLタンパク質であってもよく、そのアミノ酸配列はSEQ ID NO:39に示される。
【0134】
前記AXLタンパク質はAXLタンパク質の異形を含み得る。例えば、前記変異体は、1) 前記AXLタンパク質のアミノ酸配列において1つまたは複数のアミノ酸が置換、欠失、または追加されたタンパク質またはポリペプチドであってもよく;2) 前記AXLタンパク質と少なくとも約85% (例えば、少なくとも約85%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%以上の)の配列相同性を有するタンパク質またはポリペプチドであってもよい。
【0135】
前記AXLタンパク質はまたAXLタンパク質のフラグメントを含み得る。例えば、前記AXLタンパク質はヒトAXLタンパク質の細胞外ドメインであってもよく、そのアミノ酸配列はSEQ ID NO:40に示される。
【0136】
本願では、前記細胞は腫瘍細胞を含み得る。例えば、前記腫瘍はAXL陽性腫瘍である。例えば、前記腫瘍は以下の群から選択され得る:肺癌、皮膚癌、腎臓癌、膵臓癌、血液腫瘍、乳癌、卵巣癌、リンパ腫と骨髄腫。また例えば、前記腫瘍は以下の群から選択される:非小細胞肺癌、皮膚扁平上皮癌、腎臓明細胞腺癌、膵臓癌、赤白血病、急性T細胞白血病、乳癌、卵巣癌、リンパ腫と骨髄腫。
【0137】
本願では、前記細胞は、ヒトの細胞を含み得る。例えば、前記細胞は以下の群から選択される細胞を含み得る:人非小細胞肺癌A 549細胞、人皮膚扁平上皮癌A 431細胞、腎臓明細胞腺癌786-O細胞、人膵臓癌MIA PaCa-2細胞、赤白血病K 562細胞、急性T細胞白血病Jurkat細胞、人乳癌MCF-7細胞、人乳癌MDA-MB-231細胞、人乳癌MDA-MB-468細胞、人乳癌SKBR3細胞、人卵巣癌SKOV3細胞、リンパ腫U-937細胞、リンパ腫Raji細胞、人骨髄腫U 266細胞と人多発性骨髄腫RPMI8226細胞。
【0138】
前記単離抗原結合タンパク質の種類
本願では、前記単離抗原結合タンパク質は抗体またはその単離抗原結合フラグメントを含み得る。例えば、本願に記載の単離抗原結合タンパク質は、組換え抗体、モノクローナル抗体、ヒト抗体、マウス由来抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体、二重特異性抗体、一本鎖抗体、二本抗体、三本抗体、四本抗体、Fvフラグメント、scFvフラグメント、Fabフラグメント、Fab'フラグメント、F (ab') 2フラグメント、及びラクダ化単ドメイン抗体を含むが、これらに限定されない。
【0139】
本願では、前記抗体は、ヒト化抗体であってもよい。言い換えれば本願に記載の単離抗原結合タンパク質は、関連抗原(例えば人間のAXL)に免疫特異的に結合し、かつ基本的にヒト抗体のアミノ酸配列を有するフレーム(FR)領域及び基本的に非ヒト抗体のアミノ酸配列を有する相補性決定領域(CDR)を含む抗体またはその変異体、誘導体、類似物またはフラグメントであってもよい。ここで、「基本的には」はCDRの場合、CDRのアミノ酸配列が非ヒト抗体CDRのアミノ酸配列と少なくとも80%、好ましくは少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%または少なくとも99%同一であることを指す。前記ヒト化抗体は基本的にすべての少なくとも一つ、かつ通常二つの可変領域(Fab、Fab’、F (ab!) 2、FabC、Fv)を含む、その中、すべて或は基本的にすべてのCDR領域は非ヒト免疫グロブリン(抗体)のCDR領域に対応する、すべて或は基本的にすべてのフレーム領域はヒト免疫グロブリン共有配列を有するフレーム領域である。好ましくは、ヒト化抗体はまた少なくとも一部分の免疫グロブリン定常ドメイン(たとえば、Fc)を含み、通常はヒト免疫グロブリンの定常ドメインである。いくつかの実施形態では、ヒト化抗体は軽鎖及び重鎖の少なくとも可変領域を含む。抗体はまた、重鎖のCH 1、ヒンジ、CH 2、CH 3、及びCH 4領域を含み得る。いくつかの実施形態では、ヒト化抗体は、ヒト化軽鎖のみを含む。いくつかの実施形態では、ヒト化抗体は、ヒト化重鎖のみを含む特定の実施形態では、ヒト化抗体は軽鎖及び/またはヒト化重鎖のヒト化可変領域のみを含む。
【0140】
本願では、抗原結合フラグメントは、Fab、Fab’、F(ab) 2、Fvフラグメント、F(ab.) 2、scFv、di-scFv、及び/またはdAbを含み得る。
【0141】
CDR
抗体のCDRは相補性決定領域とも呼ばれ、可変領域の一部である。この領域のアミノ酸残基は抗原または抗原エピトープと接触する。抗体CDRは、CCG、Kabat、Chothia、IMGT、Kabat/Chothiaなどの様々なコーディングシステムによって決定される。これらの符号化システムは、http://www.bioinf.org.uk/abs/index.html#kabatnumを参照してよく知られている。当分野の技術者は抗体の序列と構造によって、異なるコーディングシステムでCDR区を確定することができる。CDR領域は、エンコーディングシステムによって異なる場合があります。本願に記載の単離抗原結合タンパク質のCDRはKabatを用いて決定することができる。
【0142】
本願では、前記単離抗原結合タンパク質の前記VHは、HCDR1、HCDR2、及びHCDR3を含み得る。
【0143】
本願では、前記HCDR1は、SEQ ID NO:25に示すアミノ酸配列を含み得る。
【0144】
本願では、前記HCDR2は、SEQ ID NO:26、44及び45に示すアミノ酸配列を含み得る。
【0145】
本願では、前記HCDR3は、SEQ ID NO:27に示すアミノ酸配列を含み得る。
【0146】
例えば、本願に記載の単離抗原結合タンパク質のHCDR1は、SEQ ID NO:25に示すアミノ酸配列を含み得、HCDR2は、SEQ ID NO:26に示すアミノ酸配列を含み得、HCDR3は、SEQ ID NO:27に示すアミノ酸配列を含み得る。
【0147】
例えば、本願に記載の単離抗原結合タンパク質のHCDR1は、SEQ ID NO:25に示すアミノ酸配列を含み得、HCDR2は、SEQ ID NO:44に示すアミノ酸配列を含み得、HCDR3は、SEQ ID NO:27に示すアミノ酸配列を含み得る。
【0148】
本願に記載の単離抗原結合タンパク質のHCDR1は、SEQ ID NO:25に示すアミノ酸配列を含み得、HCDR2は、SEQ ID NO:45に示すアミノ酸配列を含み得、HCDR3は、SEQ ID NO:27に示すアミノ酸配列を含み得る。
【0149】
本願では、前記LCDR1は、SEQ ID NO:28に示すアミノ酸配列を含み得る。
【0150】
本願では、前記LCDR2は、SEQ ID NO:29に示すアミノ酸配列を含み得る。
【0151】
本願では、前記LCDR3は、SEQ ID NO:30に示すアミノ酸配列を含み得る。
【0152】
例えば、本願に記載の単離抗原結合タンパク質のLCDR1は、SEQ ID NO:28に示すアミノ酸配列を含み得、LCDR2は、SEQ ID NO:29に示すアミノ酸配列を含み得、LCDR3は、SEQ ID NO:30に示すアミノ酸配列を含み得る。
【0153】
また、例えば、本願に記載の単離抗原結合タンパク質のHCDR1は、SEQ ID NO:25に示すアミノ酸配列を含み得、HCDR2は、SEQ ID NO:26に示すアミノ酸配列を含み得、HCDR3は、SEQ ID NO:27に示すアミノ酸配列を含み得、とLCDR1は、SEQ ID NO:28に示すアミノ酸配列を含み得、LCDR2は、SEQ ID NO:29に示すアミノ酸配列を含み得、LCDR3は、SEQ ID NO:30に示すアミノ酸配列を含み得る。
【0154】
また、例えば、本願に記載の単離抗原結合タンパク質のHCDR1は、SEQ ID NO:25に示すアミノ酸配列を含み得、HCDR2は、SEQ ID NO:44に示すアミノ酸配列を含み得、HCDR3は、SEQ ID NO:27に示すアミノ酸配列を含み得、とLCDR1は、SEQ ID NO:28に示すアミノ酸配列を含み得、LCDR2は、SEQ ID NO:29に示すアミノ酸配列を含み得、LCDR3は、SEQ ID NO:30に示すアミノ酸配列を含み得る。
【0155】
また、例えば、本願に記載の単離抗原結合タンパク質のHCDR1は、SEQ ID NO:25に示すアミノ酸配列を含み得、HCDR2は、SEQ ID NO:45に示すアミノ酸配列を含み得、HCDR3は、SEQ ID NO:27に示すアミノ酸配列を含み得、とLCDR1は、SEQ ID NO:28に示すアミノ酸配列を含み得、LCDR2は、SEQ ID NO:29に示すアミノ酸配列を含み得、LCDR3は、SEQ ID NO:30に示すアミノ酸配列を含み得る。
【0156】
FR
本願では、単離抗原結合タンパク質の前記VHは、フレームワーク領域H-FR1、H-FR2、H-FR3、及びH-FR4を含み得る。
【0157】
本願では、前記H-FR1のC末端は、直接または間接的に前記HCDR1のN末端に接続され得、前記H-FR1は、SEQ ID NO:7に示すアミノ酸配列を含み得る。 QVQL X1 QSGPGLVKPSQSLSLTC X2 V X3 G X4 SIS(SEQ ID NO:7)、X1 はKまたはV、X2はSまたはA、X3はTまたはS、X4 はF、Y、DまたはSであってもよい。
【0158】
例えば、本願では、前記H-FR1は、SEQ ID NO:11及び15のいずれか一つに示すアミノ酸配列を含み得る。
【0159】
本願では、前記H-FR2は、前記HCDR1と前記HCDR2との間に位置し得、前記H-FR2は、SEQ ID NO:8に示すアミノ酸配列を含み得る。 WIRQ X1 PG X2 X3 LEWMG(SEQ ID NO:8)、X1はFまたはS、X2はNまたはQ、X3はKまたはGであってもよい。
【0160】
例えば、本願では、前記H-FR2は、SEQ ID NO:12に示すアミノ酸配列を含み得る。
【0161】
本願では、前記H-FR3は、前記HCDR2と前記HCDR3との間に位置し得、前記H-FR3は、SEQ ID NO:9に示すアミノ酸配列を含み得る。 RISITRDTSKNQFFLKLNSVT X1 EDTATYYCAR(SEQ ID NO:9)、X1はTまたはSであってもよい。
【0162】
例えば、本願では、前記H-FR3は、SEQ ID NO:13に示すアミノ酸配列を含み得る。
【0163】
本願では、前記H-FR4のN末端は、HCDR3のC末端と接続され得、前記H-FR4は、SEQ ID NO:10に示すアミノ酸配列を含み得る。 WGQGT X1 VTVSS(SEQ ID NO:10)、X1はSまたはTであってもよい。
【0164】
例えば、本願では、前記H-FR4は、SEQ ID NO:14に示すアミノ酸配列を含み得る。
【0165】
また、例えば、本願に記載の単離抗原結合タンパク質のH-FR1は、SEQ ID NO:11に示すアミノ酸配列を含み得、H-FR2は、SEQ ID NO: 12に示すアミノ酸配列を含み得、H-FR3は、SEQ ID NO:13に示すアミノ酸配列を含み得、H-FR4は、SEQ ID NO:14に示すアミノ酸配列を含み得る。
【0166】
さらに、例えば、本願に記載の単離抗原結合タンパク質のH-FR1は、SEQ ID NO:15に示すアミノ酸配列を含み得、H-FR2は、SEQ ID NO:12に示すアミノ酸配列を含み得、H-FR3は、SEQ ID NO: 13に示すアミノ酸配列を含み得、H-FR4は、SEQ ID NO:14に示すアミノ酸配列を含み得る。
【0167】
本願では、前記単離抗原結合タンパク質のVLは、フレームワーク領域L-FR1、L-FR2、L-FR3、及びL-FR4を含み得る。
【0168】
本願では、前記L-FR1のC末端は、直接または間接的に前記LCDR1のN末端に接続され得、前記L-FR1は、SEQ ID NO:16に示すアミノ酸配列を含み得る。 X1 X2 VMTQSP X3 S X4 X5 VTLG X6 SASISC(SEQ ID NO:16)、X1はEまたはD、X2はLまたはI、X 3はFまたはS、X4はNまたはV、X5はAまたはS、X6はTまたはQであってもよい。
【0169】
例えば、本願では、前記L-FR1は、SEQ ID NO:20及び24のいずれか一つに示すアミノ酸配列を含み得る。
【0170】
本願では、前記L-FR2は、前記LCDR1と前記LCDR2との間に位置し得、前記L-FR2は、SEQ ID NO:17に示すアミノ酸配列を含み得る。
【0171】
WY X1 QKPGQSPQLLIY(SEQ ID NO:17)、X1はLまたはQであってもよい。
【0172】
例えば、本願では、前記L-FR2は、SEQ ID NO:21に示すアミノ酸配列を含み得る。
【0173】
本願では、前記L-FR3は、前記LCDR2と前記LCDR3との間に位置し得、前記L-FR3は、SEQ ID NO:18に示すアミノ酸配列を含み得る。
【0174】
GVPDRFS X1 SGSGTDFTL X2 ISRVEAEDVGVYYC(SEQ ID NO:18)、X1はSまたはG、X2はRまたはKであってもよい。
【0175】
例えば、本願では、前記L-FR3は、SEQ ID NO:22に示すアミノ酸配列を含み得る。
【0176】
本願では、前記L-FR4のN末端は、LCDR3のC末端と接続され得、前記L-FR4は、SEQ ID NO:19に示すアミノ酸配列を含み得る。
【0177】
FG X1 GTKLE X2 K(SEQ ID NO:19)、X1はAまたはG、X2はLまたはIであってもよい。
【0178】
例えば、本願では、前記L-FR4は、SEQ ID NO:23に示すアミノ酸配列を含み得る。
【0179】
また、例えば、本願に記載の単離抗原結合タンパク質のL-FR1は、SEQ ID NO:20に示すアミノ酸配列を含み得、L-FR2は、SEQ ID NO:21に示すアミノ酸配列を含み得、L-FR3は、SEQ ID NO:22に示すアミノ酸配列を含み得、L-FR4は、SEQ ID NO:23に示すアミノ酸配列を含み得る。
【0180】
また、例えば、本願に記載の単離抗原結合タンパク質のL-FR1は、SEQ ID NO:24に示すアミノ酸配列を含み得、L-FR2は、SEQ ID NO:21に示すアミノ酸配列を含み得、L-FR3は、SEQ ID NO:22に示すアミノ酸配列を含み得、L-FR4は、SEQ ID NO:23に示すアミノ酸配列を含み得る。
【0181】
例えば、本願に記載の単離抗原結合タンパク質H-FR1は、SEQ ID NO:11に示すアミノ酸配列を含み得、H-FR2は、SEQ ID NO:12に示すアミノ酸配列を含み得、H-FR3は、SEQ ID NO:13に示すアミノ酸配列を含み得、H-FR4は、SEQ ID NO:14に示すアミノ酸配列を含み得、とL-FR1は、SEQ ID NO:20に示すアミノ酸配列を含み得、L-FR2は、SEQ ID NO:21に示すアミノ酸配列を含み得、L-FR3は、SEQ ID NO:22に示すアミノ酸配列を含み得、L-FR4は、SEQ ID NO:23に示すアミノ酸配列を含み得る。
【0182】
例えば、本願に記載の単離抗原結合タンパク質H-FR1は、SEQ ID NO:15に示すアミノ酸配列を含み得、H-FR2は、SEQ ID NO:12に示すアミノ酸配列を含み得、H-FR3は、SEQ ID NO:13に示すアミノ酸配列を含み得、H-FR4は、SEQ ID NO:14に示すアミノ酸配列を含み得、とL-FR1は、SEQ ID NO:24に示すアミノ酸配列を含み得、L-FR2は、SEQ ID NO:21に示すアミノ酸配列を含み得、L-FR3は、SEQ ID NO:22に示すアミノ酸配列を含み得、L-FR4は、SEQ ID NO:23に示すアミノ酸配列を含み得る。
【0183】
VH及びVL
本願に記載の単離抗原結合タンパク質は抗体軽鎖可変領域VHと抗体重鎖可変領域VLを含み得る。
【0184】
本願では、前記V’Hは、SEQ ID NO:3、5、42及び43のいずれか一つに示すアミノ酸配列を含み得る。
【0185】
本願では、前記VLは、SEQ ID NO:4、6のいずれか一つに示すアミノ酸配列を含み得る。
【0186】
例えば、前記VHは、SEQ ID NO:3に示すアミノ酸配列を含み得、前記VLはSEQ ID NO:4に示すアミノ酸配列を含み得る。
【0187】
また、例えば、前記VHは、SEQ ID NO:5に示すアミノ酸配列を含み得、前記VLはSEQ ID NO:6に示すアミノ酸配列を含み得る。
【0188】
また、例えば、前記VHは、SEQ ID NO:42に示すアミノ酸配列を含み得、前記VLはSEQ ID NO:6に示すアミノ酸配列を含み得る。
【0189】
また、例えば、前記VHは、SEQ ID NO:43に示すアミノ酸配列を含み得、前記VLはSEQ ID NO:6に示すアミノ酸配列を含み得る。
【0190】
定常ドメイン、重鎖、軽鎖
本願では、前記単離抗原結合タンパク質は抗体重鎖定常ドメインを含むことができ、かつ前記抗体重鎖定常ドメインはヒトIgG重鎖定常ドメインから由来することができる。
【0191】
いくつかの実施形態では、前記単離抗原結合タンパク質は抗体重鎖定常ドメインを含み得、かつ前記抗体重鎖定常ドメインはヒトIgG 1重鎖定常ドメインから由来し得る。他の実施形態では、前記単離抗原結合タンパク質は抗体重鎖定常ドメインを含み得、かつ前記抗体重鎖定常ドメインはヒトIgG4重鎖定常ドメインから由来し得る。
【0192】
例えば、抗体重鎖定常ドメインは、SEQ ID NO:33及び41に示すアミノ酸配列を含み得る。
【0193】
本願では、前記単離抗原結合タンパク質は抗体軽鎖定常ドメインを含み得、かつ前記抗体軽鎖定常ドメインはヒトIgκ定常ドメインを含み得る。例えば、抗体軽鎖定常ドメインは、SEQ ID NO:34に示すアミノ酸配列を含み得る。
【0194】
本願では、前記単離抗原結合タンパク質は、抗体重鎖HCを含み得、前記HCは、SEQ ID NO:35、37のいずれか一つに示すアミノ酸配列を含み得る。
【0195】
本願では、前記単離抗原結合タンパク質は、抗体軽鎖LCを含み得、前記LCは、SEQ ID NO:36、38のいずれか一つに示すアミノ酸配列を含み得る。
【0196】
本願に記載の単離抗原結合タンパク質は抗体重鎖と抗体軽鎖を含み得る。
【0197】
例えば、前記重鎖は、SEQ ID NO:35に示すアミノ酸配列を含み得、前記軽鎖はSEQ ID NO:36に示すアミノ酸配列を含み得る。
【0198】
例えば、前記重鎖は、SEQ ID NO:37に示すアミノ酸配列を含み得、前記軽鎖はSEQ ID NO:38に示すアミノ酸配列を含み得る。
【0199】
本願では、前記単離抗原結合タンパク質の重鎖はSEQ ID NO:35に示すアミノ酸配列を含み得、軽鎖はSEQ ID NO:36に示すアミノ酸配列を含み得る。その中、前記単離抗原結合タンパク質のHCDR1は、SEQ ID NO:25に示すアミノ酸配列を含み得、HCDR2は、SEQ ID NO:26に示すアミノ酸配列を含み得、HCDR3は、SEQ ID NO:27に示すアミノ酸配列を含み得、とLCDR1は、SEQ ID NO:28に示すアミノ酸配列を含み得、LCDR2は、SEQ ID NO:29に示すアミノ酸配列を含み得、LCDR3は、SEQ ID NO:30に示すアミノ酸配列を含み得る。さらに、前記単離抗原結合タンパク質のH-FR1は、SEQ ID NO:11に示すアミノ酸配列を含み得、H-FR2は、SEQ ID NO:12に示すアミノ酸配列を含み得、H-FR3は、SEQ ID NO:13に示すアミノ酸配列を含み得、H-FR4は、SEQ ID NO:14に示すアミノ酸配列を含み得、とL-FR1は、SEQ ID NO:20に示すアミノ酸配列を含み得、L-FR2は、SEQ ID NO:21に示すアミノ酸配列を含み得、L-FR3は、SEQ ID NO:22に示すアミノ酸配列を含み得、L-FR4は、SEQ ID NO:23に示すアミノ酸配列を含み得る。さらに、前記VHは、SEQ ID NO:3に示すアミノ酸配列を含み得、前記VLは、SEQ ID NO:4に示すアミノ酸配列を含み得る。例えば、前記単離抗原結合タンパク質は、6G12M11抗体であってもよい。
【0200】
本願では、前記単離抗原結合タンパク質の重鎖はSEQ ID NO:37に示すアミノ酸配列を含み得、軽鎖はSEQ ID NO:38に示すアミノ酸配列を含み得る。その中、前記単離抗原結合タンパク質のHCDR1は、SEQ ID NO:25に示すアミノ酸配列を含み得、HCDR2は、SEQ ID NO:26に示すアミノ酸配列を含み得、HCDR3は、SEQ ID NO:27に示すアミノ酸配列を含み得、とLCDR1は、SEQ ID NO:28に示すアミノ酸配列を含み得、LCDR2は、SEQ ID NO:29に示すアミノ酸配列を含み得、LCDR3は、SEQ ID NO:30に示すアミノ酸配列を含み得る。さらに、前記単離抗原結合タンパク質のH-FR1は、SEQ ID NO:15に示すアミノ酸配列を含み得、H-FR2は、SEQ ID NO:12に示すアミノ酸配列を含み得、H-FR3は、SEQ ID NO:13に示すアミノ酸配列を含み得、H-FR4は、SEQ ID NO:14に示すアミノ酸配列を含み得、とL-FR1は、SEQ ID NO:24に示すアミノ酸配列を含み得、L-FR2は、SEQ ID NO:21に示すアミノ酸配列を含み得、L-FR3は、SEQ ID NO:22に示すアミノ酸配列を含み得、L-FR4は、SEQ ID NO:23に示すアミノ酸配列を含み得る。さらに、前記VHは、SEQ ID NO:5に示すアミノ酸配列を含み得、前記VLは、SEQ ID NO:6に示すアミノ酸配列を含み得る。例えば、前記単離抗原結合タンパク質は、6G12M21抗体であってもよい。
【0201】
本願では、前記単離抗原結合タンパク質のHCDR1は、SEQ ID NO:25に示すアミノ酸配列を含み得、HCDR2は、SEQ ID NO:44に示すアミノ酸配列を含み得、HCDR3は、SEQ ID NO:27に示すアミノ酸配列を含み得、とLCDR1は、SEQ ID NO:28に示すアミノ酸配列を含み得、LCDR2は、SEQ ID NO:29に示すアミノ酸配列を含み得、LCDR3は、SEQ ID NO:30に示すアミノ酸配列を含み得る。さらに、前記単離抗原結合タンパク質のH-FR1は、SEQ ID NO:15に示すアミノ酸配列を含み得、H-FR2は、SEQ ID NO:12に示すアミノ酸配列を含み得、H-FR3は、SEQ ID NO:13に示すアミノ酸配列を含み得、H-FR4は、SEQ ID NO:14に示すアミノ酸配列を含み得、とL-FR1は、SEQ ID NO:24に示すアミノ酸配列を含み得、L-FR2は、SEQ ID NO:21に示すアミノ酸配列を含み得、L-FR3は、SEQ ID NO:22に示すアミノ酸配列を含み得、L-FR4は、SEQ ID NO:23に示すアミノ酸配列を含み得る。さらに、前記VHは、SEQ ID NO:42に示すアミノ酸配列を含み得、前記VLは、SEQ ID NO:4に示すアミノ酸配列を含み得る。例えば、前記単離抗原結合タンパク質は、6G12M31抗体であってもよい。
【0202】
本願では、前記単離抗原結合タンパク質のHCDR1は、SEQ ID NO:25に示すアミノ酸配列を含み得、HCDR2は、SEQ ID NO:45に示すアミノ酸配列を含み得、HCDR3は、SEQ ID NO:27に示すアミノ酸配列を含み得、とLCDR1は、SEQ ID NO:28に示すアミノ酸配列を含み得、LCDR2は、SEQ ID NO:29に示すアミノ酸配列を含み得、LCDR3は、SEQ ID NO:30に示すアミノ酸配列を含み得る。さらに、前記単離抗原結合タンパク質のH-FR1は、SEQ ID NO:15に示すアミノ酸配列を含み得、H-FR2は、SEQ ID NO:12に示すアミノ酸配列を含み得、H-FR3は、SEQ ID NO:13に示すアミノ酸配列を含み得、H-FR4は、SEQ ID NO:14に示すアミノ酸配列を含み得、とL-FR1は、SEQ ID NO:24に示すアミノ酸配列を含み得、L-FR2は、SEQ ID NO:21に示すアミノ酸配列を含み得、L-FR3は、SEQ ID NO:22に示すアミノ酸配列を含み得、L-FR4は、SEQ ID NO:23に示すアミノ酸配列を含み得る。さらに、前記VHは、SEQ ID NO:43に示すアミノ酸配列を含み得、前記VLは、SEQ ID NO:6に示すアミノ酸配列を含み得る。例えば、前記単離抗原結合タンパク質は、6G12M41に対する抗体であってもよい。
【0203】
さらに、本願に記載の単離抗原結合タンパク質は、6G12M11、6G12M21、6G12M31、及び6G12M41抗体と1つ以上の保存配列によって修飾された重鎖及び/または軽鎖配列を含み得ることが記載されるべきである。「保存配列による修飾」とは、抗体の結合特性に大きな影響や変化を与えないアミノ酸修飾を指す。このような保守的修飾には、アミノ酸置換、追加、及び削除が含まれる。修飾は、点突然変異及びPCR媒介突然変異のような、分野内で知られている標準技術によって、本願に記載の単離抗原結合タンパク質に導入することができる。保存アミノ酸置換は、アミノ酸残基を類似した側鎖を持つアミノ酸残基で置換することである。類似した側鎖を持つアミノ酸残基群はドメイン内で知られている。これらのアミノ酸残基組は塩基性側鎖(例えば、リジン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸)、帯電しない極性側鎖(例:グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、トレオニン、チロシン、システイン、トリプトファン)、非極性側鎖(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン)、β-側鎖(例えば、トレオニン、バリン、イソロイシン)と芳香族側鎖(例えば、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)を有するアミノ酸を含む。いくつかの実施形態では、本願の単離抗原結合タンパク質のCDR領域の1つまたは複数のアミノ酸残基は、同側鎖群の他のアミノ酸残基と置換されてもよい。当業者であれば、いくつかの保守的配列の改変によって抗原結合性が消失することはないことを知っていよう。詳細は、例えばBrummellら., (1993) Biochem 32:1180-8; de Wildtら., (1997) Prot. Eng. 10:835-41; Komissarovら., (1997) J. Biol. Chem. 272:26864-26870; Hallら., (1992) J. Immunol. 149:1605-12; Kelley and O'Connell (1993) Biochem.32:6862-35; Adib-Conquyら., (1998) Int. Immunol.10:341-6 and Beersら., (2000) Clin. Can. Res. 6:2835-43を参照されたい。
【0204】
本願に記載のタンパク質、ポリペプチド及び/またはアミノ酸配列はまた、少なくとも以下の範囲を含むものと理解されるべきである:前記タンパク質またはポリペプチドと同一または類似の機能を有する変異体または同族体。
【0205】
本願では、前記変異体は、前記タンパク質及び/または前記ポリペプチド(例えば、本願に記載されている単離抗原結合タンパク質)のアミノ酸配列において1つまたは複数のアミノ酸が置換、欠失、)または追加されたタンパク質またはポリペプチドであってもよい。例えば、前記変異体は、例えば1~30個、1~20個、または1~10個、さらには1、2、3、4、または5個のアミノ酸置換、欠失、及び/または挿入などの少なくとも1個のアミノ酸置換、欠失、及び/または挿入によってアミノ酸変化を有するタンパク質またはポリペプチドを含み得る。前記機能的変異体は、実質的に、変化する(置換、欠落、追加など)前の前記タンパク質または前記ポリペプチドの生物学的特性を保持することができる。例えば、機能的変異体は、変化前のタンパク質またはポリペプチドの少なくとも60%、70%、80%、90%、または100%の生物学的活性 (例えば、AXLタンパク質に特異的に結合する能力) を維持することができる。
【0206】
本願では、前記同族体は、前記タンパク質及び/または前記ポリペプチド(例えば、本願に記載の抗体またはその単離抗原結合フラグメント)のアミノ酸配列と少なくとも約80% (例えば、少なくとも約85%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%以上の)の配列相同性を有するタンパク質またはポリペプチドであってもよい。
【0207】
本願では、前記相同性は、通常、2つ以上の配列間の類似性または関連性の程度を指す。「配列相同性率」は、マッチングする2つの配列を比較ウィンドウで比較し、両配列に同じ核酸塩基(例えばA、T、C、G、I)または同じアミノ酸残基(例えばAla、Pro、Ser、Thr、Gly、Val、Leu、Ile、Phe、Tyr、Trp、Lys、Arg、His、Asp、Glu、Asn、Glyn、Cys及びMet)がある位置数を求め、一致した数の数を算出することができます。 Leu, Ile, Phe, Tyr, Trp, Lys, Arg, His, Asp, Glu, Asn, Gln, Cys, Met)より、一致した位置の数を求め、その数を比較ウィンドウ内の全位置数(ウィンドウサイズ)で割り、100を乗じたものを配列相同率として算出した。配列相同性率を決定するための比較は、例えば、BLAST、BLAST-2、ALIGNまたはMegalign (DNASTAR)ソフトウェアのような、公的に利用可能なコンピュータソフトウェアを使用して、当技術分野で知られている様々な方法で実施され得る。当業者は、比較される全長配列範囲内または標的配列領域内で最大の比較を達成するために必要な任意のアルゴリズムを含む、配列を比較するための適切なパラメータを決定することができる。これらの相同性は、FASTA及びBLASTの方法で測定することもできる。FASTAアルゴリズムの説明は、以下を参照されたい。R.Pearson及びD.J.Lipman.「Improved tools for biological sequence comparison」、Proc.Natl.Acad.Sci.)、 85:2444-2448、 1988;及びD.J.Lipman及びW.R.Pearson 「Rapid and sensitive protein similarity searches」、Science、227:1435-1441、1989。BLASTアルゴリズムの説明は、以下を参照されたい。S.Altschul、W.Gish、W.Miller、E.W.Myers及びDLipmanの'A basic local comparison (alignment) search tool'、 Journal of Molecular Biology、 215: 403-410、 1990.
【0208】
免疫複合体、核酸分子、ベクター、細胞と薬物組成物
免疫複合体
一方、本願は、前記単離抗原結合タンパク質を含む免疫複合体を提供する。
【0209】
例えば、前記免疫複合体は以下の群から選択される少なくとも1種の他の試薬を含み得る:化学療法剤、放射性元素、細胞成長抑制剤と細胞毒性剤。いくつかの実施形態では、前記免疫複合体中の前記単離抗原結合タンパク質と前記少なくとも1種の他の試薬は、リンカー分子によって連結され得る。例えば、前記免疫複合体の中に前記単離抗原結合タンパク質及び前記少なくとも一種の他の試薬はそれぞれ前記リンカー分子と共有結合して連結できる。
【0210】
本願では、前記他の試薬は、メイタンシン(maytansine)またはその誘導体を含み得る。例えば、前記メイタンシン誘導体はメイタンシン誘導体DM 1を含み得る。
【0211】
核酸分子
一方、本願はまた、本願に記載の単離抗原結合タンパク質をコードすることができる単離された1つまたは複数の核酸分子を提供する。本願に記載の単離の1種または多種の核酸分子は任意の長さの単離形式のヌクレオチド、デオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチド、またはその自然環境から単離するまたは人工合成する類似物であり、しかし本願に記載の単離原結合タンパク質をコードすることができる。
【0212】
ベクター
一方、本願は、本願に記載の核酸分子を含み得るベクターも提供する。前記ベクターは形質転換、形質転換または宿主細胞へのトランスフェクションによって、その遺伝子要素を宿主細胞内で発現させる。例えば、ベクターは、プラスミドを含み得る。バクテリオファージ;コスプラスミド;酵母人工染色体(YAC)、細菌人工染色体(BAC)、P1由来の人工染色体(PAC)などの人工染色体;ファージはλファージやM 13ファージ、動物ウイルスなどである。ベクターとして用いられる動物ウイルスの種類は逆転写酵素ウイルス(スローウイルスを含む)、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、ヘルペスウイルス(単純ヘルペスウイルスのように)、ポックスウイルス、バキュロウイルス、乳頭腫ウイルス、ヒトパピローマウイルス(SV 40の場合)である。また、例えば、前記ベクターは、プロモーター配列、転写開始配列、エンハンサー配列、選択要素及びレポーター遺伝子を含む、発現を制御する複数の要素を含み得る。あるいは、前記ベクターは、複製開始部位を含み得る。さらに、前記ベクターは、ウイルス粒子、リポソーム、タンパク質シェルなど、細胞への侵入を補助する成分を含み得るが、これらの物質に限定されない。
【0213】
細胞
一方、本願は、本願に記載の核酸分子または本願に記載のベクターを含み得る細胞も提供する。前記細胞は単一細胞の子孫を含み得る。自然突然変異、偶発突然変異、または意図的突然変異のために、子孫が必ずしも始原母細胞と同一でなくてもよい(全DNA相互補体の形態学的またはゲノム的)。いくつかの実施形態では、前記細胞はまた、本発明に記載のベクターを用いてin vitroでトランスフェクトされた細胞を含み得る。いくつかの実施形態では、前記細胞は、細菌細胞(例えば、大腸菌)、酵母細胞または他の真核細胞、例えば、COS細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、CHO-K1細胞、LNCAP細胞、HeLa細胞、HEK293細胞、COS-1細胞、NS 0細胞、骨髄腫細胞、ヒト非小細胞肺癌A 549細胞、ヒト皮膚扁平上皮癌A 431細胞、腎臓明細胞腺癌786-O細胞、ヒト膵臓癌MIA PaCa-2細胞、赤白血病K 562細胞、急性T細胞白血病Jurkat細胞、ヒト乳癌MCF-7細胞、ヒト乳癌MDA-MB-231細胞、ヒト乳癌MDA-MB-468細胞、ヒト乳癌CHO細胞、ヒト卵巣癌SKOV3細胞、リンパ腫U-937細胞、リンパ腫Raji細胞、ヒト骨髄腫U 266細胞、またはヒト多発性骨髄腫RPMI8226細胞であってもよい。いくつかの実施形態では、前記細胞は哺乳動物細胞であってもよい。いくつかの実施形態では、前記哺乳動物細胞はHEK293細胞であってもよい。
【0214】
医薬組成物
一方、本願は、本願に記載の単離抗原結合タンパク質、本願に記載の免疫複合体、本願に記載の核酸分子、本願に記載のベクター及び/又は本願に記載の細胞、並びに任意に薬学的に許容されるアジュバントを含み得る医薬組成物も提供する。
【0215】
いくつかの実施形態では、前記医薬組成物はまた1種または多種(薬学的に有効な)の支持剤、安定剤、賦形剤、希釈剤、可溶化剤、界面活性剤、乳化剤及び/または防腐剤の適当な製剤を含み得る。組成物の許容成分は使用用量と濃度で優先的に受取人に無毒である。本発明の医薬組成物は液体、冷凍と凍結乾燥組成物を含むがそれに限定されない。
【0216】
いくつかの実施形態では、前記薬学的に許容されるアジュバントは、薬物投与に適合する任意及びすべての溶剤、分散媒体、コーティング、等張剤及び吸収遅延剤を含むことができ、通常は安全で、無毒であり、生物学的にも他の点でも好ましくないものではない。
【0217】
いくつかの実施形態では、前記医薬組成物は非経口、経皮、腔内、動脈内、髄腔内と/または鼻腔内投与または直接組織に注射することを含み得る。例えば、前記医薬組成物は注入または注射によって患者または被験者に投与することができる。いくつかの実施形態では、前記医薬組成物の使用は異なる方式によって行うことができ、例えば静脈内、腹腔内、皮下、筋肉内、局部または真皮内の使用である。いくつかの実施形態では、前記薬物組成物は間断なく使用できる。継続的(または連続)投与は、WO2015/036583で説明されているように、患者の体内に流れ込む治療薬を測定するために患者が装着する小さなポンプシステムによって実現できる。
【0218】
前記薬物組成物の投薬計画は快速注入剤を使用し、時間の推移によって複数の分用量を使用することができ、または用量は治療状況の危急程度に比例して低下または向上させることができる。いくつかの実施形態では、治療選択肢は、週1回、2週間に1回、3週間に1回、4週間に1回、1カ月に1回、3カ月に1回、または3~6カ月に1回である。いくつかの実施形態では、投与計画は、1 mg/kg体重または3 mg/kg体重の静脈内投与を含み、抗体は、以下の投与スケジュールのいずれかで投与される: (i) 4週間毎に6回投与され、その後3カ月毎に投与される;(ii) 3週間に1回;(iii) 3 mg/kg体重1回、その後は1 mg/kg体重3週間に1回。いくつかの実施形態では、用量は、約1~1000μg/mlの血中濃度を達成するように調整され、例えば、約25~300μg/mlであってもよい。
【0219】
製造方法と用途
製造方法
一方、本願は本願の前記単離抗原結合タンパク質を製造する方法を提供し、前記方法は本願の前記単離抗原結合タンパク質を発現させる条件で、本願の前記細胞を培養することを含み得る。
【0220】
用途
一方、本願はさらに前記単離抗原結合タンパク質、前記免疫複合体、前記核酸分子、前記ベクター、前記細胞及び/または前記薬物組成物の薬物製造における用途を提供し、前記薬物は腫瘍の予防、緩和及び/または治療に用いる。
【0221】
一方、本願は、腫瘍を予防、緩和または治療する方法も提供し、前記方法は、本願に記載の単離抗原結合タンパク質、前記免疫アジュバント、前記核酸分子、前記ベクター、前記細胞及び/または前記医薬組成物をそれを必要とする対象に投与することを含み得る。本願では、これらの投与は、静脈内、腫瘍内、腹腔内、皮下、筋肉内、局所、または真皮内投与のような異なる方法で行われてもよい。
【0222】
一方、本願の前記単離した抗原結合タンパク質、前記免疫複合体、前記核酸分子、前記ベクター、前記細胞及び/または前記医薬組成物は、腫瘍の予防、緩和または治療に用いることができる。
【0223】
本願では、前記腫瘍は固形腫瘍または血液腫瘍であってもよい。
【0224】
本願では、前記腫瘍はAXL陽性の腫瘍を含み得る。例えば、前記AXL陽性の腫瘍は以下から選択され得る:肺癌、皮膚癌、腎臓癌、膵臓癌、血液腫瘍、乳癌、卵巣癌、リンパ腫と骨髄腫。また例えば、前記AXL陽性の腫瘍は以下から選択され得る:非小細胞肺癌、皮膚扁平上皮癌、腎臓明細胞腺癌、膵臓癌、赤白血病、急性T細胞白血病、乳癌、卵巣癌、リンパ腫と骨髄腫。
【0225】
本願では、前記被験者は、ヒト及び非ヒト動物を含み得る。例えば、被験者は、猫、犬、馬、豚、乳牛、羊、ウサギ、マウス、ラットまたはサルを含み得るが、これらに限定されない。
【0226】
本願では、被験者における腫瘍増殖を効果的に阻害するために、前記単離抗原結合タンパク質を1つ以上の他の抗体とともに投与することができる。いくつかの実施形態では、単離抗原結合タンパク質と、LAG-3抗体、PD-1抗体、及び/またはCTLA-4抗体のような1つまたは複数の他の抗体とを、被験者に投与することができる。
【0227】
本願では、前記単離抗原結合タンパク質は化学療法剤と一緒に使用することができ、前記化学療法剤は細胞毒性剤、例えば、SN-38、エピルビシン、オキサリプラチン、及び/または5-FUであることができる。
【0228】
一方、本願は、AXLタンパク質の発現に関連する疾患または病態を診断するために用いられる、上記の単離された抗原結合タンパク質を提供する。
【0229】
一方、本願は、AXLタンパク質の発現に関連する疾患または病態を診断するための診断薬を製造するための前記抗体またはその抗原結合フラグメントに基づく用途を提供する。
【0230】
本願では、前記診断剤は、単独で使用されてもよく、または装置、器具、装置、またはシステムと組み合わせて使用されてもよい。疾患の予防、診断、治療モニタリング、予後観察、健康状態の評価及び遺伝性疾患の予測において、前記診断剤を用いて人体試料(例えば、様々な体液、細胞、組織試料など)の体外測定を行うことができる。前記診断剤は以下の組から選択され得る:試薬、試薬容器、校正品と品質管理品。
【0231】
前記体外検出の方法は、以下の群から選択され得る:Western Blot、ELISAと免疫組織化学法。例えば、前記試薬は前記AXLタンパク質の発現量を測定できる試薬を含み得る。例えば、前記試薬は、Western Blotを実施するための試薬、ELISAを実施するための試薬、及び免疫組織化学法を実施するための試薬からなる群から選択されることができる。
【0232】
一方、本願は被験者におけるAXLタンパク質の発現に関連する疾病または病状を診断する方法を提供し、前記方法は以下を含む:前記被験者から由来する試料を前記単離抗原結合タンパク質と接触させ、及び前記試料中の前記単離抗原結合タンパク質を特異的に結合できる物質の存在及び/または含有量を判断する。
【0233】
一方、本願は、単離抗原結合タンパク質を投与することを含む試料中のAXLを検出する方法を提供する。本願では、これらの投与は、静脈内、腫瘍内、腹腔内、皮下、筋肉内、局所、または真皮内投与のような異なる方法で行われてもよい。
【0234】
本願では、前記AXLタンパク質の発現と関連する疾病または病状は、以下の群から選択され得る:肺癌、皮膚癌、腎臓癌、膵臓癌、血液腫瘍、乳癌、卵巣癌、リンパ腫と骨髄腫、または、以下の群から選択され得る:非小細胞肺癌、皮膚扁平上皮癌、腎臓透明細胞腺癌、膵臓癌、赤白血病、急性T細胞白血病、乳癌、卵巣癌、リンパ腫と骨髄腫。
【0235】
さらに、本願は、以下の実施形態を含み得る。
1アミノ酸配列SEQ ID NO:1またはSEQ ID NO:46に示すVHのうちの少なくとも1つのCDRを含み得;アミノ酸配列SEQ ID NO:2に示すVLの少なくとも一つのCDRを含む、単離抗原結合タンパク質。
2実施の形態1に記載の単離抗原結合タンパク質は、以下の性質の1つまたは複数を有する。
1) AXLタンパク質と1×10-7M以下のKDで結合できること;
2)細胞表面に発現するAXLタンパク質を特異的に認識できること;
3)細胞表面に発現するAXLタンパク質と結合し、細胞内への取り込みを仲介できること。
3実施形態2に記載の前記単離抗原結合タンパク質によれば、前記AXLタンパク質は、ヒトAXLタンパク質を含む。
4実施形態3に記載の前記単離抗原結合タンパク質によれば、前記ヒトAXLタンパク質は、SEQ ID NO:39に示すアミノ酸配列を含む。
5実施形態2~4のいずれかに記載の前記単離抗原結合タンパク質によれば、前記AXLタンパク質は、細胞外ドメインを含む。
6実施形態5に記載の前記単離抗原結合タンパク質によれば、前記細胞外ドメインは、SEQ ID NO :40に示すアミノ酸配列を含む。
7実施形態2に記載の前記単離抗原結合タンパク質によれば、前記細胞は腫瘍細胞を含む。
8実施形態7に記載の前記単離抗原結合タンパク質によれば、前記腫瘍はAXL陽性腫瘍を含む。
9実施形態8に記載の前記単離抗原結合タンパク質によれば、前記腫瘍は以下の群から選択される:肺癌、皮膚癌、腎癌、膵臓癌、血液腫瘍、乳癌、卵巣癌、リンパ腫と骨髄腫。
10実施形態9に記載の前記単離抗原結合タンパク質によれば、前記腫瘍は以下の群から選択される:非小細胞肺癌、皮膚扁平上皮癌、腎臓明細胞腺癌、膵臓癌、赤白血病、急性T細胞白血病、乳癌、卵巣癌、リンパ腫と骨髄腫。
11実施形態2に記載の前記単離抗原結合タンパク質によれば、前記細胞は、ヒトの細胞を含む。
12実施形態7または11に記載の前記単離抗原結合タンパク質によれば、前記細胞は以下の群から選択される:ヒト非小細胞肺癌A 549細胞、ヒト皮膚扁平上皮癌A 431細胞、腎明細胞腺癌786-O細胞、ヒト膵臓癌MIA PaCa-2細胞、赤白血病K 562細胞、急性T細胞白血病Jurkat細胞、ヒト乳癌MCF-7細胞、ヒト乳癌MDA-MB-231細胞、ヒト乳癌MDA-MB-468細胞、ヒト乳癌SKBR3細胞、ヒト卵巣癌SKOV3細胞、リンパ腫U-937細胞、リンパ腫Raji細胞、ヒト骨髄腫U 266細胞及びヒト多発性骨髄腫RPMI8226細胞。
13実施形態1の単離抗原結合タンパク質によれば、前記VHは、HCDR1、HCDR2、及びHCDR3を含む。
14実施形態13に記載の前記単離抗原結合タンパク質によれば、前記HCDR1は、SEQ ID NO:25に示すアミノ酸配列を含み得る。
15実施形態13に記載の前記単離抗原結合タンパク質によれば、前記HCDR2は、SEQ ID NO:26、44及び45に示すアミノ酸配列を含み得る。
16実施形態13に記載の前記単離抗原結合タンパク質によれば、前記HCDR3は、SEQ ID NO:27に示すアミノ酸配列を含み得る。
17実施形態1に記載の前記単離抗原結合タンパク質によれば、前記VLは、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含み得る。
18実施形態17に記載の前記単離抗原結合タンパク質によれば、前記LCDR1は、SEQ ID NO:28に示すアミノ酸配列を含み得る。
19実施形態17に記載の前記単離抗原結合タンパク質によれば、前記LCDR2は、SEQ ID NO:29に示すアミノ酸配列を含み得る。
20実施形態17に記載の前記単離抗原結合タンパク質によれば、前記LCDR3は、SEQ ID NO:30に示すアミノ酸配列を含み得る。
21実施形態1または13に記載の前記単離抗原結合タンパク質によれば、前記VHはフレーム領域H-FR1、H-FR2、H-FR3、及びH-FR4を含む。
22実施形態21に記載の前記単離抗原結合タンパク質によれば、前記H-FR1のC末端は、前記HCDR1のN末端と直接的または間接的に連結され得、前記H-FR1は、SEQ ID NO:7に示すアミノ酸配列を含み得る。
23実施形態22に記載の前記単離抗原結合タンパク質によれば、前記H-FR1は、SEQ ID NO:11及び15に示すアミノ酸配列を含み得る。
24実施形態21に記載の前記単離抗原結合タンパク質によれば、前記H-FR2は、前記HCDR1と前記HCDR2との間に位置し得、前記H-FR2は、SEQ ID NO: 8に示すアミノ酸配列を含み得る。
25実施形態24に記載の前記単離抗原結合タンパク質によれば、前記H-FR2は、SEQ ID NO:12に示すアミノ酸配列を含み得る。
26実施形態21に記載の前記単離抗原結合タンパク質によれば、前記H-FR3は、前記HCDR2と前記HCDR3との間に位置し得、前記H-FR3は、SEQ ID NO:9に示すアミノ酸配列を含み得る。
27実施形態26に記載の前記単離抗原結合タンパク質によれば、前記H-FR3は、SEQ ID NO:13に示すアミノ酸配列を含み得る。
28実施形態21に記載の前記単離抗原結合タンパク質によれば、前記H-FR4のN末端は、前記HCDR3のC末端と連結され得、前記H-FR4は、SEQ ID NO:10に示すアミノ酸配列を含み得る。
29実施形態28に記載の前記単離抗原結合タンパク質によれば、前記H-FR4は、SEQ ID NO:14に示すアミノ酸配列を含み得る。
30実施形態1、13~16、22~29のいずれか一項に記載の単離抗原結合タンパク質によれば、前記VHは、SEQ ID NO:3、5、42および43のいずれか一つに示すアミノ酸配列を含み得る。
31実施形態1または17に記載の前記単離抗原結合タンパク質によれば、前記VLはフレーム領域L-FR1、L-FR2、L-FR3、及びL-FR4を含む。
32実施形態31に記載の前記単離抗原結合タンパク質によれば、前記L-FR1のC末端は、前記LCDR1のN末端と直接的または間接的に連結され得、前記L-FR1は、SEQ ID NO:16に示すアミノ酸配列を含み得る。
33実施形態32に記載の前記単離抗原結合タンパク質によれば、前記L-FR1は、SEQ ID NO:20及び24に示すアミノ酸配列を含み得る。
34実施形態31に記載の前記単離抗原結合タンパク質によれば、前記L-FR2は、前記LCDR1と前記LCDR2との間に位置し得、前記L-FR2は、SEQ ID NO:17に示すアミノ酸配列を含み得る。
35実施形態34に記載の前記単離抗原結合タンパク質によれば、前記L-FR2は、SEQ ID NO:21に示すアミノ酸配列を含み得る。
36実施形態31に記載の前記単離抗原結合タンパク質によれば、前記L-FR3は、前記LCDR2と前記LCDR3との間に位置し得、前記L-FR3は、SEQ ID NO:18に示すアミノ酸配列を含み得る。
37実施形態36に記載の前記単離抗原結合タンパク質によれば、前記L-FR3は、SEQ ID NO:22に示すアミノ酸配列を含み得る。
38実施形態31に記載の前記単離抗原結合タンパク質によれば、前記L-FR4のN末端は、前記LCDR3のC末端と連結され得、前記L-FR4は、SEQ ID NO:19に示すアミノ酸配列を含み得る。
39実施形態38に記載の前記単離抗原結合タンパク質によれば、前記L-FR4は、SEQ ID NO:23に示すアミノ酸配列を含み得る。
40実施形態1、17~20、32~39のいずれか1項に記載の前記単離抗原結合タンパク質によれば、前記VLは、SEQ ID NO:4及び6のいずれか一つに示すアミノ酸配列を含み得る。
41実施形態1~4、6~11、13~20、22~29、32~39のいずれか一つに記載の前記単離抗原結合タンパク質は、抗体重鎖定常ドメインを含み、かつ前記抗体重鎖定常ドメインはヒトIgG重鎖定常ドメインに由来する。
42実施形態41の単離抗原結合タンパク質によれば、前記抗体重鎖定常ドメインは、ヒトIgG1重鎖定常ドメインまたはヒトIgG4重鎖定常ドメインに由来する。
43実施の形態42に記載の単離抗原結合タンパク質によれば、前記抗体重鎖定常ドメインは、SEQ ID NO:33及び41のいずれか一つに示すアミノ酸配列を含み得る。
44実施形態1~4、6~11、13~20、22~29、32~39、42~43のいずれか一項に記載の前記単離抗原結合タンパク質は、抗体軽鎖定常ドメインを含み、前記抗体軽鎖定常ドメインは、ヒトIgκ定常ドメインを含む。
45実施形態44に記載の単離抗原結合タンパク質によれば、前記抗体軽鎖定常ドメインは、SEQ ID NO: 34に示すアミノ酸配列を含み得る。
46実施形態1~4、6~11、13~20、22~29、32~39、42~43及び45のいずれか一項に記載の前記単離抗原結合タンパク質は、抗体重鎖を含み得、抗体重鎖は、SEQ ID NO:35及び37のいずれか一項に示すアミノ酸配列を含み得る。
47実施形態1~4、6~11、13~20、22~29、32~39、42~43及び45のいずれか一項に記載の前記単離抗原結合タンパク質は、抗体軽鎖を含み、抗体軽鎖は、SEQ ID NO:36及び38のいずれか一項に示すアミノ酸配列を含み得る。
48実施形態1~4、6~11、13~20、22~29、32~39、42~43及び45のいずれか一項に記載の前記単離抗原結合タンパク質であって、抗体またはその抗原結合フラグメントを含み得る。
49実施形態48に記載の前記単離抗原結合タンパク質によれば、前記抗体は、モノクローナル抗体、一本鎖抗体、キメラ抗体、多特異性抗体、ヒト化抗体、及び全ヒト由来抗体からなる群から選択される。
50実施形態48に記載の単離抗原結合タンパク質によれば、前記抗原結合フラグメントは以下の群から選択される:Fab、Fab’、F (ab) 2、Fv、F (ab.) 2、scFv、di-scFv、及びdAbフラグメント。
51実施形態1~50のいずれか一項に記載の前記単離抗原結合タンパク質を含む免疫複合体。
52実施形態51に記載の免疫複合体は、さらに以下の群から選択される少なくとも1種の他の試薬を含む:化学療法剤、放射性元素、細胞増殖抑制剤及び細胞毒性剤。
53実施形態52に記載の免疫複合体によれば、前記単離抗原結合タンパク質は、前記他の試薬とリンカー分子を介して連結される。
54実施形態53に記載の免疫複合体によれば、前記単離抗原結合タンパク質及び前記他の試薬はそれぞれ前記リンカー分子と共有結合で連結される。
55実施形態52~54のいずれか一項に記載の免疫複合体によれば、他の試薬は、メイタンシンまたはその誘導体を含む。
56実施形態55に記載の免疫複合体によれば、前記メイタンシン誘導体は、メイタンシン誘導体DM 1を含む。
57実施形態1~50のいずれか一項に記載の単離抗原結合タンパク質をコードする単離された1種または複数の核酸分子。
58実施形態57に記載の核酸分子を含むベクター。
59実施の形態57に記載の核酸分子または実施の形態58に記載のベクターを含む細胞。
60医薬組成物であって、実施形態1~50のいずれかに記載の単離抗原結合タンパク質、実施形態51~56のいずれかに記載の免疫複合体、実施形態57に記載の核酸分子、実施形態58に記載のベクター及び/または実施形態59に記載の細胞、及び任意に薬学的に許容されるアジュバントを含む。
61実施形態1~50のいずれか一項に記載の単離抗原結合タンパク質を製造する方法であって、前記方法は実施形態1~50のいずれか一項に記載の抗原結合タンパク質を発現させる条件で、実施形態59に記載の細胞を培養することを含む。
62実施形態1~50のいずれか一項に記載の単離抗原結合タンパク質、実施形態51~56のいずれか一項に記載の免疫複合体、実施形態57に記載の核酸分子、実施形態58に記載のベクター、実施形態59に記載の細胞及び/または実施形態60に記載の医薬組成物の薬物製造における用途であって、前記薬物は腫瘍の予防、緩和及び/または治療に用いられる。
63実施形態62に記載の用途によれば、前記腫瘍はAXL陽性腫瘍を含む。
64実施形態63に記載の用途によれば、前記腫瘍は以下の群から選択される:肺癌、皮膚癌、腎癌、膵臓癌、血液腫瘍、乳癌、卵巣癌、リンパ腫と骨髄腫。
65実施形態64に記載の用途によれば、前記腫瘍は以下の群から選択される:非小細胞肺癌、皮膚扁平上皮癌、腎臓明細胞腺癌、膵臓癌、赤白血病、急性T細胞白血病、乳癌、卵巣癌、リンパ腫と骨髄腫。
66実施形態1~50のいずれか一項に記載の単離抗原結合タンパク質の診断剤の製造における用途であって、前記診断剤はAXLタンパク質の発現に関連する疾患または病態の診断に用いられる。
67被験者におけるAXLタンパク質の発現に関連する疾患または病態を診断する方法であって、前記方法は以下を含む:前記被験者由来の試料を実施形態1~50のいずれかに記載の単離抗原結合タンパク質と接触させ、及び前記試料における前記単離抗原結合タンパク質に特異的に結合できる物質の存在及び/または含有量を判断する。
68実施の形態1~50のいずれか一項に記載の単離抗原結合タンパク質を投与することを含む、試料中のAXLを検出する方法。
【0236】
いかなる理論にも限定されることなく、以下の実施形態は、本願の発明の範囲を限定するものではなく、本願のタンパク質分子、製造方法及び用途等を説明することのみを目的とする。実施形態は、ベクター及びプラスミドを構築する方法、そのようなベクター及びプラスミドにタンパク質をコードする遺伝子を挿入する方法、またはプラスミドを宿主細胞に導入する方法など、従来の方法の詳細な説明を含まない。このような方法は、当業者にはよく知られており、Sambrook J. Fritsch E.F.and Maniais T.(1989) Molecular Cloning:A Laboratory Manual,2nd edition,Cold spring Harbor Laboratory Pressを含む多くの出版物に記載されている。
【0237】
実施例
実施例1.標的抗原の抗体認識
標的抗原AXL-His (Sino Biological Inc.) をELISAプレートに1μg/ml、4℃で一晩静置した;PBST洗浄後、10%牛胎児血清を加え37℃で1時間閉鎖し;異なる濃度の6G12M11、6G12M21、6G12M31、6G12M41抗体を加え37℃で1時間反応させ;PBST 洗浄後、西洋ワサビペルオキシダーゼ(Goat Anti-mouse IgG HRP 、Abcam) を加え、37℃で30分間反応させた;PBSTで5回プレートを洗浄し、吸水紙で残った液滴をできる限りふき取った;100 μl TMB (eBioscience) を各ウェルに加え、光を避けて室温 (20±5℃) に1.5分間放置した; 各ウェルに2N H2SO4停止液を100 μl加えて基質反応を終止させ、酵素マーカーでOD値を450 nmで読み取り、抗体の標的抗原AXLへの結合能を分析した。このうち、 6G12M11抗体の重鎖アミノ酸配列はSEQ ID NO:35、軽鎖アミノ酸配列はSEQ ID NO:36に示した。6G12M21抗体の重鎖アミノ酸配列をSEQ ID NO:37、軽鎖アミノ酸配列をSEQ ID NO:38、 6G12M31抗体のVHをSEQ ID NO:42、 VLをSEQ ID NO:6に示した。6G12M41抗体のVHをG12M11:43、 VLをSEQ ID NO:6に示した。
【0238】
試験結果を図1A図1Bに示すと、 6G12M11と6G12M21抗体はいずれも標的抗原AXLを特異的に認識していることがわかる。この認識活性は有意な用量依存性を示し、6G12M11のEC50値は27.03ng/mL、6G12M21のEC50値は25.29ng/mL、6G12M31のEC50値は21.11ng/mL、6G12M41のEC50値は17.56 ng/mLであった。
【0239】
実施例2.抗体アフィニティーアッセイ
本実験は表面プラズモン共鳴技術を用いて、AXL-Hisと6G12M11、6G12M21、6G12M31と6G12M41抗体との親和性を測定した。実験機器はBIACOR生体高分子相互作用計(GE Healthcare、T-200)を用いた。まず、抗体捕獲法を用いて、6G12M11、6G12M21、6G12M31と6G12M41抗体をチップ表面に固定し、両者の濃度を0.5μg/mLとし、流速10μL/minで60秒間試料を注入し、調製したAXL-His(Sino Biological Inc.、6×Hisラベル、分子量47.5 Kda)を移動相として用い,5種類の濃度勾配(8, 4, 2, 1, 0.5 μg/mL)をチップ表面に流し,AXL-Hisを30 μL/minの流速で120秒間結合し,1800秒間解離させて相互作用を判定した。抗原抗体アフィニティの結果を表1に示すが、本願の単離抗原結合タンパク質は1×10-7 M以下のKDでAXLタンパク質に結合できることがわかった。
【0240】
【表1】
【0241】
実施例3.標的抗原の抗体特異性認識 AXL、TRYO3、MERはTYRO3受容体チロシンキナーゼサブファミリーに属し、6G12M11、6G12M21、6G12M31、6G12M41に対する抗体の特異性認識を検証するために、同じファミリーの他のAXLに対する抗体の結合能をELISA法により試験した。
【0242】
標的抗原AXL-His (Sino Biological Inc.) をELISAプレートに1μg/ml、4℃で一晩静置した;PBST洗浄後、10%牛胎児血清を加え37℃で1時間閉鎖し;6G12M11、6G12M21、6G12M31、6G12M41抗体を加え37℃で1時間反応させ;PBST 洗浄後、二次抗体としてホースラディッシュ・ペルオキシダーゼ(Goat Anti-Human IgG(Fab')2(HRP),Abcam) を加え、37℃で30分間反応させた;PBSTで5回プレートを洗浄し、吸水紙で残った液滴をできる限りふき取った;100μl TMB (eBioscience, #85-00-420)を各ウェルに加え、光を避けて室温(20±5℃) で1.5分間放置した。各ウェルに2N H2SO4停止液を100μ加えて基質反応を終止させ、酵素マーカーでOD値を450 nmで読み取り、抗体のタンパク質に対する結合能を分析した。
【0243】
結果は図2-5に示すように、6G12M11、6G12M21、6G12M31と6G12M41抗体特異性に標的抗原AXLを認識できるが、AXL同一族の他のタンパク質TYRO3、MERとは結合しなかった。
【0244】
実施例4.抗体による細胞表面抗原の特異性認識
フローサイトメトリーを用いて、ヒト非小細胞肺癌A549細胞、ヒト乳癌MDA-MB-231細胞と腎臓明細胞腺癌786-O細胞表面のAXLと6G12M11、6G12M21、6G12M31と6G12M41抗体の結合を測定する。対数増殖期細胞を採取し、細胞密度を5×106/mLに調整し、氷冷した。2% FBSを含有する生理食塩水は、6G12M11、6G12M21、6G12M31及び6G12M41抗体を20μg/mLに希釈したものである。100μlの細胞を取り、等体積の前記希釈抗体を加え、4℃で30 min遮光反応した。終了後、 2% FBSの予備冷を含む生理食塩水で2回洗った(6000 RPM、45秒)。2% FBSを含む生理食塩水を1:5の比率で希釈して、二次抗体PE Mouse Anti-Human IgG (BD Pharmingen)、100μLの浮遊細胞を取り、4℃で30 min遮光反応させる。反応終了後、2% FBSの予冷を含む生理食塩水で2回洗浄した(6000 RPM、45秒)。細胞を400μlの1%パラホルムアルデヒドで再懸濁した。フローサイトメトリー(BD Calibur)を用いて、細胞表面抗原に対する抗体の結合能を測定した。
【0245】
その結果、図6図7図8に示すように、6G12M11及び6G12M21抗体は、ヒト非小細胞肺癌A 549細胞、ヒト乳癌MDA-MB-231細胞、及び明細胞腺癌786-O細胞表面のAXL、6G12M11及び6G12M21抗体を特異的かつ用量依存的に認識する能力が類似していることがわかった。その中、6G12M11と6G12M21抗体、A549細胞と結合するEC50値はそれぞれ0.46μg/mL、0.78μg/mLである。MDA-MB-231細胞と結合したEC 50値はそれぞれ0.59μg/mL、0.39μg/mLであった。786-O細胞に結合したEC 50値はそれぞれ0.43μg/mL、0.31μg/mLであった。
【0246】
結果を図9図10に示す通りである。結果により、6G12M21、6G12M31と6G12M41抗体は特異的かつ用量依存的にヒト乳癌MDA-MB-231細胞と腎臓明細胞腺癌786-O細胞表面のAXL、6G12M21、6G12M31と6G12M41抗体の認識能力が類似している。これらのうち、 EC 50値は、6G12M21ではMDA-MB-231細胞への結合で0.64μg/mL、6G12M31では0.60μg/mL、6G12M41では0.54μg/mLであった。786‐O細胞に結合したEC50値は6G12M21が0.40μg/mL、6G12M31が0.53μg/mL、6G12M41が0.47μg/mLであった。
【0247】
実施例5.抗体の内在化活性
フローサイトメトリーを用いて、ヒト非小細胞肺癌A 549細胞、ヒト乳癌MDA-MB-231細胞、腎臓明細胞腺癌786-O細胞における6G12M11、6G12M21、6G12M31と6G12M41抗体の内在化率を測定した。対数増殖期細胞を採取し、細胞密度を5×106/mLに調整し、氷冷した。2% FBSを含有する生理食塩水は、 6G12M11、6G12M21、6G12M31、及び6G12M41抗体を様々な濃度に希釈した。100μlの細胞を取り、等体積の前記希釈抗体を加え、4℃で30分間インキュベートした。終了後、細胞は3回、2% FBSの予備冷却を含む生理食塩水で洗浄した。細胞を4℃または37℃で2時間培養し続けた後、細胞を2回洗浄した。2% FBSを含む生理食塩水を1:5で希釈し、ジスルフィラムPE Mouse Anti-Human IgG (BD Pharmingen)を100μL過剰刺激し、4℃で30分間遮光反応させた。反応終了後、細胞を3回洗浄した。細胞を400μlの1%パラホルムアルデヒドで再懸濁した。フローサイトメトリー(BD Calibur)により、異なる温度下で培養した細胞表面の蛍光強度を分析し、抗体の内在化率を以下の式により算出した。
【0248】
内在化率=(4℃表面総MFI-37℃表面総MFI)/4℃表面総MFI× 100%.
【0249】
その結果、図11図12図13に示すように、 6G12M11と6G12M21抗体は、ヒト非小細胞肺癌A 549細胞、ヒト乳癌MDA-MB-231細胞、明細胞腺癌786-O細胞にいずれも有効に内在化され、内在化率は類似しており、6G12M11と6G12M21抗体が良好な内在化活性を示すことが明らかになった。
【0250】
図14図15に示すように、6G12M21、 6G12M31と6G12M41抗体はヒト乳癌MDA-MB-231細胞、腎臓明細胞腺癌786-O細胞のいずれにおいても効率的に内在化でき、内在化率が類似していることがわかる。また、6G12M21、6G12M31と6G12M41抗体は良好な内在化活性を持つことが分かった。
【0251】
実施例6. 免疫複合体による腫瘍細胞増殖抑制効果 ADCの試料分子として小分子linker及びMMAFを用いた免疫共役体6G12M41-ADCの構築、6G12M41に基づく免疫共役体の生物学的活性の評価、抗体小分子共役体(ADC)のような免疫共役体を構築するための6G12M41抗体の可能性の分析を行った。 96ウェルプレートに一定数の対数増殖期細胞(ヒト乳がんMDA-MB-231細胞)を接種し、24時間接着して増殖させた後、 72時間作用させるために様々な濃度の薬物を添加した。薬物作用終了後、CCK-8 (Dojindo、日本同仁化学研究所)を1孔につき10μl培養プレートに加え、37℃、5%二酸化炭素インキュベーターで3-5時間培養した。酵素標識450nmの波長でOD値を測定し、次式により細胞増殖抑制率を計算した:
抑制率=(OD値対照ウェル-OD値投薬ウェル)/OD値対照ホール×100%
【0252】
各濃度抑制率に基づいて、さらに半数抑制濃度IC50を算出した。
【0253】
結果を図16に示す通りである。その結果、6G12M41抗体共役MMAF(6G12M41-ADC)は乳腺癌MDA-MB-231に対して顕著な増殖抑制作用を示し、IC 50は8.298 nMであった。
【0254】
実施例7.免疫複合体内腫瘍活性抑制
免疫複合体6G12M41-ADCを例として、in vivo腫瘍抑制活性分析を行った。 B-NDGマウスにMDA-MB-231乳癌細胞を皮下接種して皮下乳癌動物モデルを樹立し、6G12M41-ADCのin vivoでの腫瘍抑制活性を評価した。雌、8週齢B-NDGマウス(Biocytogen JiangSu Co.,Ltd.)を選び、MDA-MB-231細胞を10%不活性化ウシ胎児血清を含むGIBCO Leibovitz's L-15培地で培養した。指数増殖期のMDA-MB-231細胞を採取し、1×107個/0.1 mL濃度、0.1mL/匹の容積でB-NDGマウスの右皮下に接種した。接種後、腫瘍の平均体積は92 mm3時、腫瘍の大きさによってランダムに4群に分け、群ごとに6匹、それぞれG1 PBS、G2 6G12M41(10mg/kg)、G3 6G12M41-ADC(10mg/kg)とG4 6G12M41-ADC(5mg/kg)であり、腹腔内に注射し、毎週1回、連続に2回投与する。群分け投与25日目に実験を終了した。マウスの体重と腫瘍体積を投与中と観察中に週2回測定し、測定値を記録した。実験終了時、動物を安楽死させ、マウスの腫瘍を切り取り、重さを量った。相対的腫瘍抑制率(TGI)により治療効果を評価し、動物の体重変化と死亡状況により安全性を評価した。TGITV (%)=[1-(Ti-T0)/(Vi-V0)]×100%(Ti:投与i日目における治療群の腫瘍体積平均値、T0:投与0日目における治療群の腫瘍体積平均値;Vi:投与i日目における溶媒対照群の腫瘍体積平均値、V0:投与0日目における溶媒対照群の腫瘍体積平均値)。
【0255】
結果図17図18に示すように、実験過程において、投薬群の実験動物は投薬期間中の活動と食事状態が良好であり、体重がある程度上昇し、実験動物が受検品に対する耐性が比較的良いことを示した。投与25日目、PBS対照群の平均腫瘍体積は668±45mm3、G2-G4各投与群の平均腫瘍体積はそれぞれ458±14mm3、311±26mm3と395±14mm3、TGITVはそれぞれ36.5%、62.0%と47.5%であった。
【0256】
各被験品はMDA-MB-231細胞皮下移植腫の成長に対していずれも著しい抑制作用を生じ、かつ薬効を発揮すると同時に動物に対して明らかな毒副作用を生じず、安全性が良好であった。さらに、被験体6G12M41-ADCの腫瘍抑制作用は濃度依存性であった。
【0257】
前述の詳細な説明は、添付の特許請求の範囲を限定するものではなく、説明及び例示として提供される。本願に現在列挙されている実施形態の様々な変形は、当業者には明らかであり、添付の特許請求の範囲及びその均等物の範囲内に留まるであろう。
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
【配列表】
2023504244000001.app
【国際調査報告】