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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-02
(54)【発明の名称】組織処理装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 1/28 20060101AFI20230126BHJP
   G01N 35/10 20060101ALI20230126BHJP
【FI】
G01N1/28 J
G01N35/10 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022530891
(86)(22)【出願日】2020-11-24
(85)【翻訳文提出日】2022-07-01
(86)【国際出願番号】 CN2020131122
(87)【国際公開番号】W WO2021104258
(87)【国際公開日】2021-06-03
(31)【優先権主張番号】201922063022.3
(32)【優先日】2019-11-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500113648
【氏名又は名称】ライカ ビオズュステムス ヌスロッホ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100080816
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 朝道
(74)【代理人】
【識別番号】100098648
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 潔人
(72)【発明者】
【氏名】ジン、チュン
【テーマコード(参考)】
2G052
2G058
【Fターム(参考)】
2G052AA33
2G052CA03
2G052CA48
2G052HC08
2G052HC12
2G052HC25
2G058CA02
2G058CB09
2G058EA14
(57)【要約】
【課題】複数の個別組織を夫々固有のプロトコルで処理可能にして相互汚染を回避する。
【解決手段】組織処理装置は組織を保持するよう構成されたカセット;カセットコンテナ、但し前記カセットは前記カセットコンテナに受容される;互いに対し反対側に位置する上側及び下側を有する作業ステージ、但し前記カセットコンテナは前記作業ステージの前記上側に可動に配置される;及び、前記作業ステージの前記下側に配置される弾性容器を含む。前記作業ステージは貫通孔を画定し、前記カセットコンテナは前記貫通孔を介して前記弾性容器と連通可能であり、前記弾性容器は、当該弾性容器が変形されると、当該弾性容器内に収容されている試薬を前記カセットコンテナ内へ搾り出すよう、及び、当該弾性容器が復元されると、前記カセットコンテナ内の試薬を当該弾性容器内へ吸い込むよう構成されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
組織を保持するよう構成されたカセット;
カセットコンテナ、但し前記カセットは前記カセットコンテナに受容される;
互いに対し反対側に位置する上側及び下側を有する作業ステージ、但し前記カセットコンテナは前記作業ステージの前記上側に可動に配置される;及び、
前記作業ステージの前記下側に配置される弾性容器
を含む、組織処理装置であって、
前記作業ステージは貫通孔を画定し、前記カセットコンテナは前記貫通孔を介して前記弾性容器と連通可能であり、前記弾性容器は、当該弾性容器が変形されると、当該弾性容器内に収容されている試薬を前記カセットコンテナ内へ搾り出すよう、及び、当該弾性容器が復元されると、前記カセットコンテナ内の試薬を当該弾性容器内へ吸い込むよう構成されていること
を特徴とする、組織処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の組織処理装置において、
前記カセットコンテナの頂部は開口部を有し、試薬は前記開口部を介して前記弾性容器及び前記カセットコンテナへ充填されること
を特徴とする、組織処理装置。
【請求項3】
請求項2に記載の組織処理装置において、
前記組織処理装置は、更に、前記開口部をシールするよう前記カセットコンテナに分離可能に取り付けられたコンテナカバーを含み、前記コンテナカバー、前記カセットコンテナ及び前記弾性容器はシール化チャンバを画成すること
を特徴とする、組織処理装置。
【請求項4】
請求項3に記載の組織処理装置において、
前記組織処理装置は、更に、吸引装置又は加圧装置を含み、前記吸引装置又は前記加圧装置は前記カセットコンテナの上方に作動可能に配置され、及び、前記シール化チャンバの内部に真空又は圧力を形成するために、前記シール化チャンバ内のガスを吸引し又は前記シール化チャンバにガスを充填するよう作動可能に構成されていること
を特徴とする、組織処理装置。
【請求項5】
請求項4に記載の組織処理装置において、
前記組織処理装置は、更に、前記カセットコンテナの上方に作動可能に配置されかつ試薬を前記カセットコンテナ及び前記弾性容器に充填するよう構成された分注ノズルを含むこと
を特徴とする、組織処理装置。
【請求項6】
請求項5に記載の組織処理装置において、
前記吸引装置又は前記加圧装置は前記分注ノズルと一体的に構成されていること
を特徴とする、組織処理装置。
【請求項7】
請求項5又は6に記載の組織処理装置において、
前記コンテナカバーは前記分注ノズルに固定的に結合されていること
を特徴とする、組織処理装置。
【請求項8】
請求項2~6の何れかに記載の組織処理装置において、
前記組織処理装置は、更に、前記カセットコンテナの上方に作動可能に配置されかつ前記弾性容器内へ延伸し、前記カセットコンテナ内の試薬を前記弾性容器内へ吸引することが可能に構成された排出ノズルを含むこと
を特徴とする、組織処理装置。
【請求項9】
請求項1~6の何れかに記載の組織処理装置において、
前記組織処理装置は、更に、前記弾性容器の下方に配置されたイジェクトロッドを含み、前記イジェクトロッドは、前記弾性容器を変形し又は復元するべく、前記弾性容器を圧迫又は解放するよう作動可能に構成されていること
を特徴とする、組織処理装置。
【請求項10】
請求項9に記載の組織処理装置において、
前記イジェクトロッドは加熱装置を備え、前記加熱装置によって生成される熱は前記イジェクトロッドを介して前記弾性容器へ伝達可能であること
を特徴とする、組織処理装置。
【請求項11】
請求項1~6の何れかに記載の組織処理装置において、
前記組織処理装置は、更に、搬送装置を含み、前記カセットコンテナは前記搬送装置に固定的に取り付けられ、前記搬送装置は前記カセットコンテナを前記作業ステージに対し相対的に運動するように駆動するよう構成されていること
を特徴とする、組織処理装置。
【請求項12】
請求項11に記載の組織処理装置において、
前記搬送装置は平行に配置された2つの搬送ベルトを含み、前記2つの搬送ベルトは対向して配された少なくとも一対の取付け溝を画定し、前記カセットコンテナは対向して配された一対の取付けラグを形成し、及び、対向して配された前記一対の取付けラグは対向して配された前記少なくとも一対の取付け溝に嵌合するよう適合化されていること
を特徴とする、組織処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は組織処理技術の分野に関し、より具体的には組織処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
組織処理装置は組織を試薬に浸漬し、組織の後続の処理を容易化するために使用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
[特許文献1]
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
関連技術においては、組織処理装置は組織処理のための圧力又は真空を提供することができず、ただ1つの分注ノズルを用いて多試薬処理プロトコルを実行する場合に制限が課される。
【0005】
本開示は少なくとも1つの上記の問題点を少なくともある程度解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
【発明を実施するための形態】
【0007】
【0008】
このために、本開示は、ワンピースフロー(one-piece-flow)式組織処理装置であり、個別(単一)組織(複数)を(夫々)固有(独自)のプロトコルを用いて処理することにより相互汚染を回避することができ、組織の品質を改善すべく組織処理のための圧力、真空(ないし負圧)及び(加)熱機能を提供することができる組織処理装置を提供する。
【0009】
本開示の実施形態(複数)に応じた組織処理装置は、組織を保持するよう構成されたカセット;カセットコンテナ、但しカセットはカセットコンテナに受容される;互いに対し反対側に位置する上側及び下側を有する作業ステージ、但しカセットコンテナは作業ステージの該上側に可動に配置される;及び、作業ステージの該下側に配置される弾性容器を含む。作業ステージは貫通孔を画定し、カセットコンテナは貫通孔を介して弾性容器と連通可能であり、弾性容器は、当該弾性容器が変形されると、当該弾性容器内に収容されている試薬をカセットコンテナ内へ搾り出すよう、及び、当該弾性容器が復元されると(元の状態(形状)に戻ると)、カセットコンテナ内の試薬を当該弾性容器内へ吸い込むよう構成されている。
【0010】
本開示の実施形態(複数)に応じた組織処理装置では、貫通孔を作業ステージに設けることによって、作業ステージの上側に配置されたカセットコンテナは作業ステージの下側に配置された弾性容器と連通される;弾性容器が変形すると、当該弾性容器に収容されている試薬はカセットコンテナ内へ搾り出され、そのため、組織は試薬内に浸漬される;弾性容器が復元されると(元の状態に戻ると)、カセットコンテナ内に収容されていた試薬は当該弾性容器内へ吸い込まれ、そのため、組織は試薬から解放(レリース)され、かくして、相互(クロス)汚染(即ち二次汚染)を回避するべく、個別(単一:single)組織(複数)を(夫々)固有(独自)のプロトコルで処理できることが実現される。
【0011】
更に、本開示の実施形態(複数)に応じた組織処理装置は以下の付加的特徴を有し得る。
【0012】
本開示に応じた少なくとも1つの実施形態では、カセットコンテナの頂部は開口部を有し、試薬は開口部を介して弾性容器及びカセットコンテナへ充填(注入)される。
【0013】
本開示に応じた少なくとも1つの実施形態では、組織処理装置は、更に、開口部をシール(密封)するようカセットコンテナに分離可能に取り付けられたコンテナカバーを含み、コンテナカバー、カセットコンテナ及び弾性容器はシール化チャンバ(シール(密封)されたチャンバ)を画成することができる。
【0014】
本開示に応じた少なくとも1つの実施形態では、組織処理装置は、更に、吸引装置又は加圧装置を含み、吸引装置又は加圧装置はカセットコンテナの上方に作動可能に配置され、及び、シール化チャンバの内部に真空又は圧力を形成するために、シール化チャンバ内のガスを吸引し又はシール化チャンバにガスを充填(注入)するよう作動可能に構成されている。かくして、組織は試薬内により完全に浸漬されることができ、組織の品質は改善されることができる。
【0015】
本開示に応じた少なくとも1つの実施形態では、組織処理装置は、更に、カセットコンテナの上方に作動可能に配置されかつ試薬をカセットコンテナ及び弾性容器に充填(注入)するよう構成された分注ノズルを含む。かくして、試薬の充填(注入)の動力化(自動化)が実現される。
【0016】
本開示に応じた少なくとも1つの実施形態では、吸引装置又は加圧装置は分注ノズルと一体的に構成されている。かくして、組織処理装置の構造は単純化(簡潔化)されることができる。
【0017】
本開示に応じた少なくとも1つの実施形態では、コンテナカバーは分注ノズルに固定的に結合されている。かくして、分注ノズルの操作によってコンテナカバーがカセットコンテナに分離可能に取り付けられることが実現されることができる。
【0018】
本開示に応じた少なくとも1つの実施形態では、組織処理装置は、更に、カセットコンテナの上方に作動可能に配置されかつ弾性容器内へ延伸し、カセットコンテナ内の試薬を弾性容器内へ吸引することが可能に構成された排出ノズルを含む。かくして、カセットコンテナ内の試薬はカセットコンテナから完全に排出されることができる。
【0019】
本開示に応じた少なくとも1つの実施形態では、組織処理装置は、更に、弾性容器の下方に配置されたイジェクトロッドを含み、イジェクトロッドは、弾性容器を変形し又は復元する(元の状態に戻す)べく、弾性容器を圧迫(加圧ないし圧縮)又は(圧力)解放(レリース)するよう作動可能に構成されている。かくして、組織は試薬内に浸漬されること又は試薬から解放されることができる。
【0020】
本開示に応じた少なくとも1つの実施形態では、イジェクトロッドは加熱装置を備え、加熱装置によって生成される熱はイジェクトロッドを介して弾性容器へ伝達可能である。かくして、試薬の温度維持は容易化され、組織の品質は改善される。
【0021】
本開示に応じた少なくとも1つの実施形態では、組織処理装置は、更に、搬送装置を含み、カセットコンテナは搬送装置に固定的に取り付けられ、搬送装置はカセットコンテナを作業ステージに対し相対的に運動するように駆動するよう構成されている。かくして、カセットコンテナは作業ステージに対し相対的に運動することができ、以って、組織の後続する処理は容易化される。
【0022】
本開示に応じた少なくとも1つの実施形態では、搬送装置は平行に配置された2つの搬送ベルトを含み、2つの搬送ベルトは対向して配された少なくとも一対の取付け溝を画定し、カセットコンテナは対向して配された一対の取付けラグを形成し、及び、[対向して配された]一対の取付けラグは[対向して配された]少なくとも一対の取付け溝に嵌合するよう適合化されている。かくして、カセットコンテナは2つの搬送ベルトに固定的に取り付けられかつ搬送ベルトの運動によって(運動と共に)運動することができる。
【0023】
本発明の更なる視点及び利点は、部分的に以下の説明において与えられ、部分的に以下の説明から明らかとなり、又は、本発明の実施形態(複数)の具現化から知得される。
【0024】
本開示の他の特徴及び利点は、添付の図面と組み合わせて及び具現化例(複数)に基づいて本開示を詳細に説明する以下の説明を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本開示の一実施形態に応じた組織処理装置の一例の斜視図。
図2】本開示の一実施形態に応じた組織処理装置の一例の部分側面図。
図3】本開示の一実施形態に応じた組織処理装置の一例の部分斜視図。
【実施例
【0026】
本開示の好ましい実施形態(複数)の特徴(複数)及び利点(複数)について以下に添付の図面を参照して詳細に説明する。同じ又は類似の図面参照符号は、本書全体において同一若しくは類似の要素又は同一若しくは類似の機能を有する要素を表すために使用されている。図面を参照してここに説明される実施形態(複数)は説明的、例証的なものであり、本開示を全般的に理解するために使用される。実施形態(複数)は本開示を限定するものと理解されるべきではない。
【0027】
本開示の実施形態(複数)に応じた組織処理装置の一例を以下に図1図3を参照して説明する。
【0028】
図1図3に示されているように、本開示の実施形態(複数)に応じた組織処理装置100は、組織を保持するよう構成されたカセット;カセットコンテナ10、但しカセットはカセットコンテナ10に受容される;互いに対し反対側に位置する上側及び下側を有する作業ステージ20、但しカセットコンテナ10は作業ステージ20の上側に可動に配置される;及び、作業ステージ20の下側に配置される弾性容器30を含む。作業ステージ20は貫通孔22を画定し、カセットコンテナ10は貫通孔22を介して[更にカセットコンテナ10のアパーチャを介して]弾性容器30と連通可能であり、弾性容器30は、当該弾性容器30が変形されると、当該弾性容器30内に収容されている試薬をカセットコンテナ10内へ搾り出すよう、及び、当該弾性容器30が復元されると(元の状態に戻ると)、カセットコンテナ10内の試薬を当該弾性容器30内へ吸い込むよう構成されている。
【0029】
本開示の実施形態(複数)に応じた組織処理装置100では、貫通孔22を作業ステージ20に設けることによって、作業ステージ20の上側に配置されたカセットコンテナ10は作業ステージ20の下側に配置された弾性容器30と連通される;弾性容器30が変形されると、当該弾性容器30に収容されている試薬はカセットコンテナ10内へ搾り出され、そのため、組織は試薬内に浸漬される;弾性容器30が復元されると(元の状態に戻ると)、カセットコンテナ10内に収容されていた試薬は当該弾性容器30内へ吸い込まれ、そのため、組織は試薬から解放され、かくして、相互(二次)汚染を回避するべく、個別(単一:single)組織(複数)を(夫々)固有(独自)のプロトコルで処理できることが実現される。
【0030】
幾つかの実施形態では、図3に示されているように、カセットコンテナ10は下部分にアパーチャを画定し、カセットコンテナ10のアパーチャは作業ステージ20の貫通孔と整列されることができる。かくして、弾性容器30は作業ステージ20の貫通孔22とカセットコンテナ10のアパーチャを介してカセットコンテナ10と連通することができる。
【0031】
幾つかの実施形態では、図3に示されているように、カセットコンテナ10の頂部は開口部12を有し、試薬は開口部12を介して弾性容器30及びカセットコンテナ10へ注入(充填)されることができる。
【0032】
幾つかの実施形態では、図2に示されているように、組織処理装置100は、更に、コンテナカバー[カセットコンテナ10のカバー部材]40を含み、コンテナカバー40は開口部12をシール(密封)するようカセットコンテナ10に分離可能に取り付けられており、そのため、カセットコンテナ10、弾性容器30及びコンテナカバー40はシール(密封)されたチャンバ(シール化チャンバ)を画定し得る。かくして、組織処理はシールされた環境において実行されることができ、以って、組織の品質の改善は容易化される。
【0033】
幾つかの実施形態では、図2に示されているように、組織処理装置100は、更に、吸引装置又は加圧装置を含み、吸引装置又は加圧装置は、カセットコンテナ10の上方において作動可能に配置され、シール化チャンバ内のガスを吸引するよう又は(該)ガスをシール化チャンバ内へ注入(充填)するよう作動可能に構成され、以って、シール化チャンバ内に真空又は圧力を形成する。かくして、組織は試薬内により完全に浸漬されることができ、組織の品質は改善されることができる。
【0034】
吸引装置又は加圧装置がカセットコンテナ10の上方に作動可能に配置されているということは、吸引装置又は加圧装置がカセットコンテナ10の上方へ移動され得ること又はカセットコンテナ10の上方から除去され得ることを意味すると理解することができる。幾つかの(実施)例では、吸引装置又は加圧装置はカセットコンテナ10の上方において上下方向に運動可能である、即ち、上下方向においてカセットコンテナ10に接近するよう又はカセットコンテナ10から離隔するよう運動可能である。
【0035】
幾つかの実施形態では、図1及び図2に示されているように、組織処理装置100は、更に、分注(dispensing)ノズル50を含み、分注ノズル50は、カセットコンテナ10の上方に作動可能に配置され、カセットコンテナ10及び弾性容器30内に試薬を[所定分量]充填(注入)するよう構成されている。かくして、試薬の充填(注入)の動力化(自動化)が実現され、オペレータ(操作者)の労力は低減される。
【0036】
分注ノズル50がカセットコンテナ10の上方に配置されているということは、分注ノズル50がカセットコンテナ10の上方へ移動され得ること又はカセットコンテナ10の上方から除去され得ることを意味すると理解することができる。幾つかの(実施)例では、分注ノズル50はカセットコンテナ10の上方において上下方向に運動可能である、即ち、上下方向においてカセットコンテナ10に接近するよう又はカセットコンテナ10から離隔するよう運動可能である。
【0037】
幾つかの実施形態では、図2に示されているように、吸引装置又は加圧装置は分注ノズル50と統合(一体化)されている。このため、組織処理装置100の構造は単純化(簡潔化)されることができる。例えば、ガスポンプが分注ノズル50に選択的に結合(接続)され得るが、そのため、ガスは分注ノズル50を介して、シール化チャンバから吸引され又はシール化チャンバ内へ充填(注入)され、これにより、シール化チャンバ内において真空又は圧力が形成される。
【0038】
幾つかの実施形態では、図2に示されているように、コンテナカバー40は分注ノズル50に固定的に結合される。かくして、コンテナカバー40が分注ノズル50を操作することによってカセットコンテナ10に分離可能に取り付けられることを実現することができる。
【0039】
分注ノズル50はカセットコンテナ10に接近するよう又はカセットコンテナ10から離隔するよう上下方向に運動し、従って、分注ノズル50に固定的に結合されたコンテナカバー40はカセットコンテナ10の開口部12をシール又は開放することができると理解することができる。
【0040】
分注ノズル50の先端部はカセットコンテナ10へ向かって延伸し、コンテナカバー40を貫通通過し、かくして、分注ノズル50は、カセットコンテナ10及び弾性容器30内に選択的に試薬を充填(注入)し、又はシール化チャンバ内に選択的に圧力又は真空を生成し、以って、組織の品質の改善を容易化すると更に理解することができる。
【0041】
幾つかの実施形態では、図2及び図3に示されているように、組織処理装置100は、更に、排出ノズル60を含み、排出ノズル60はカセットコンテナ10の上方に作動可能に配置され、及び、弾性容器30内に延伸し、カセットコンテナ10内の試薬を弾性容器30内に吸引できるよう構成されている。かくして、カセットコンテナ10内の試薬はカセットコンテナ10から完全に排出されることができる。
【0042】
排出ノズル60がカセットコンテナ10の上方に配置されているということは、排出ノズル60がカセットコンテナ10の上方へ移動され得ること又はカセットコンテナ10の上方から除去され得ることを意味すると理解することができる。幾つかの(実施)例では、排出ノズル60はカセットコンテナ10の上方において上下方向に運動可能である、即ち、上下方向においてカセットコンテナ10に接近するよう又はカセットコンテナ10から離隔するよう運動可能である。
【0043】
幾つかの実施形態では、図1図3に示されているように、組織処理装置100は、更に、イジェクトロッド70を含み、イジェクトロッド70は弾性容器30の下方に作動可能に配置され、また、イジェクトロッド70は弾性容器30を変形し又は復元するために弾性容器30を押圧(圧迫)又は(圧力)解放するよう作動可能に構成されている。かくして、組織は試薬内に浸漬され又は試薬から解放されることができる。
【0044】
イジェクトロッド70がカセットコンテナ10の下方に配置されているということは、イジェクトロッド70がカセットコンテナ10の下方へ移動され得ること又はカセットコンテナ10の下方から除去され得ることを意味すると理解することができる。幾つかの(実施)例では、イジェクトロッド70はカセットコンテナ10の下方において上下方向に運動可能である、即ち、上下方向においてカセットコンテナ10に接近するよう又はカセットコンテナ10から離隔するよう運動可能である。
【0045】
幾つかの実施形態では、図2及び図3に示されているように、イジェクトロッド70は加熱装置(図示省略)を備えることができ、そのため、加熱装置によって生成された熱はイジェクトロッド70を介して弾性容器30へ伝達されることができる。かくして、試薬の温度維持は容易化され、組織の品質は改善される。幾つかの(実施)例では、加熱装置は、組織処理装置100の構造を単純化(簡潔化)するために、イジェクトロッド70内に配置され得る。
【0046】
幾つかの実施形態では、図1に示されているように、組織処理装置100は、更に、搬送装置80を含み、カセットコンテナ10は搬送装置80に固定的に取り付けられ、搬送装置80は、カセットコンテナ10を作業ステージ20に対し相対的に運動するように駆動するよう構成されている。かくして、カセットコンテナ10は、組織の後続の処理(プロセス)を容易化するべく、作業ステージ20に対し相対的に運動することができる。
【0047】
幾つかの実施形態では、図2及び図3に示されているように、搬送装置80は平行に配置された2つの搬送ベルト82を含み、2つの搬送ベルト82は対向して配された少なくとも一対の取付け溝84を画定し、カセットコンテナ10は対向して配された一対の取付けラグ(張出部)14を形成し、一対の取付けラグ14は少なくとも一対の取付け溝84に嵌め込まれるよう適合化されている。かくして、カセットコンテナ10は2つの搬送ベルト82に固定的に取り付けられ、搬送ベルト82の運動によって運動することができる。
【0048】
幾つかの実施形態では、作業ステージ20は第1作業位置及び第2作業位置を備え得、第1作業位置は貫通孔22及び弾性容器30を備え、分注ノズル50は第1作業位置の上方に配置され、イジェクトロッド70は第1作業位置の下方に配置される;第2作業位置は貫通孔22及び弾性容器30を備え、排出ノズル60は第2作業位置の上方に配置される。
【0049】
本開示の実施形態(複数)に応じた組織処理装置100の作業プロセスについて、図1図3を参照して説明する。
【0050】
カセットコンテナ10は搬送装置80の搬送ベルト82によって第1作業位置へ搬送され、カセットコンテナ10のアパーチャは第1作業位置において作業ステージ20の貫通孔22と整列され、かくして、第1作業位置における作業ステージ20の弾性容器30はカセットコンテナ10と連通する。分注ノズル50は試薬をカセットコンテナ10及び弾性容器30に充填(注入)する。イジェクトロッド70が上昇し、組織を試薬内に浸漬する。分注ノズル50はカセットコンテナ10をシールすべくコンテナカバー40をカセットコンテナ10へ移動するよう移動され、ガスポンプは、カセットコンテナ10、弾性容器30及びコンテナカバー40によって画成されるシール化チャンバの内部に分注ノズル50を介して真空又は圧力を形成するよう作動されて、以って、組織の浸漬及び組織の品質の改善を可能にする。イジェクトロッド70は下方に運動し、試薬は弾性容器30内へ吸引される。カセットコンテナ10は搬送装置80の搬送ベルト82によって第2作業位置へ搬送され、排出ノズル60は弾性容器30内に延伸して、カセットコンテナ10の試薬を完全に排出する。かくして、組織は搬送装置80の搬送ベルト82によって次の処理ステップへと搬送されることができる。
【0051】
このように、本開示の実施形態(複数)に応じた組織処理装置はワンピースフロー(one-piece-flow)式組織処理装置であり、個別(単一)組織(複数)を(夫々)固有(独自)のプロトコルを用いて処理することにより相互汚染を回避することができ、組織の品質を改善すべく、組織処理のための圧力、真空及び(加)熱機能を提供することができる;更に、追跡(状況監視され:track)及び前の処理ステップ又は次の処理ステップと統合される。
【0052】
更に、「第1」や「第2」のような語句は、本書では説明の目的のために使用されており、相対的な重要性ないし有意性を指示又は示唆することを意図していない。従って、「第1」や「第2」によって限定される特徴は、1つ以上のこれらの特徴を含むことを指示又は示唆することを意図している。本開示の説明において、「複数の」は、別段の定めがない限り、2つ又は3つ以上を意味する。
【0053】
本開示においては、別段の定め又は限定がない限り、用語「取り付けられる(mounted)」、「結合される(connected)」、「連結される(coupled)」、「固定される(fixed)」等は、広義に使用されており、例えば、固定的結合、分離可能な結合又は一体的結合等であり得;また、機械的又は電気的結合であり得;また、直接的結合又は介装構造体を介した間接的結合であり得;また、2つの構成要素の内的(inner)連絡であり得る。上記の語句ないし用語は特定の状況に応じて当業者によって理解可能である。
【0054】
本開示において、別段の定め又は限定がない限り、第1の特徴が第2の特徴の「上」又は「下」にある構造は、第1の特徴が第2の特徴と直接的に接触している一実施形態を含み得、また、第1の特徴と第2の特徴が互いに直接的には接触していないがそれらの間に形成された追加の特徴を介して接触している一実施形態を含み得る。更に、第2の特徴の「上」、「上方」又は「頂部」にある第1の特徴は、第1の特徴が第2の特徴の丁度又は斜め「上」、「上方」又は「頂部」にある一実施形態を含み得、又は単に第1の特徴が第2の特徴の高さ(レベル)より高い高さ(レベル)にあることを意味する。他方、第2の特徴の「下方」、「下」又は「底部」にある第1の特徴は、第1の特徴が第2の特徴の丁度又は斜め「下方」、「下」又は「底部」にある一実施形態を含み得、又は単に第1の特徴が第2の特徴の高さ(レベル)よりも低い高さ(レベル)にあることを意味する。
【0055】
本書全体を通じての「一実施形態」、「幾つかの実施形態」、「一(実施)例」、「一特定(実施)例」又は「幾つかの(実施)例」への参照は、実施形態又は(実施)例に関連して説明される(1つの)特定の特徴、構造、材料又は性質が、本開示の少なくとも1つの実施形態又は(実施)例に含まれることを意味する。従って、本書全体にわたり種々の箇所に現れる上記の語句は、必ずしも本開示の同じ実施形態又は(実施)例を指すものではない。更に、特定の特徴(複数)、構造(複数)、材料(複数)又は性質(複数)は、任意の適切な方法で、1つ以上の実施形態又は(実施)例において組み合わせられ得る。更に、本書で説明される種々の実施形態又は(実施)例は当業者によって組み合わせられ得る。
【0056】
例示的実施形態(複数)を示しかつ説明したが、上記の実施形態(複数)は本開示を限定するものと理解されてはならず、本開示の精神、原理及び範囲から逸脱することなく上記実施形態(複数)において変更、置換及び修正が可能であることは当業者であれば理解できるであろう。
図1
図2
図3
【国際調査報告】