(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-02
(54)【発明の名称】物理学に着想を得たコンピュータおよび物理学に着想を得たコンピュータシミュレータへのアクセスを可能にするためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
G06N 10/20 20220101AFI20230126BHJP
【FI】
G06N10/20
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022533186
(86)(22)【出願日】2020-12-03
(85)【翻訳文提出日】2022-06-30
(86)【国際出願番号】 IB2020061464
(87)【国際公開番号】W WO2021111368
(87)【国際公開日】2021-06-10
(32)【優先日】2019-12-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】518300652
【氏名又は名称】1キュービー インフォメーション テクノロジーズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】1QB INFORMATION TECHNOLOGIES INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100224683
【氏名又は名称】齋藤 詩織
(72)【発明者】
【氏名】プーヤ ロナー
(72)【発明者】
【氏名】ハオ マー
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンドル ベレツスキー
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュー ブレンダン フルスマン
(72)【発明者】
【氏名】ベフルーズ セペリ
(57)【要約】
処理装置がコンピューティングプラットフォームに遠隔でアクセスすることを可能にするためのコンピューティングシステム及び方法が開示される。コンピューティングプラットフォームは、可変なパラメータを含む、少なくとも1つの物理学に着想を得たコンピュータシミュレータを含む。コンピューティングシステムは、要求を受信するための通信インタフェースであって、要求は、可変なパラメータを含む、物理学に着想を得たコンピュータシミュレータを使用して処理するための少なくとも1つの計算タスクを含む、通信インタフェースと、少なくとも1つの物理学に着想を得たコンピュータシミュレータのための命令に要求を変換し、命令を伝送し、少なくとも1つの対応する解を受信するために動作可能な制御ユニットと、少なくとも1つの計算タスク、データ集合、可変なパラメータ及び少なくとも1つの対応する解のうちの1つ以上を格納するためのメモリとを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理装置が、ネットワークを介してコンピューティングプラットフォームに遠隔でアクセスすることを可能にするためのコンピューティングシステムであって、前記コンピューティングプラットフォームは、可変なパラメータを含む、少なくとも1つの物理学に着想を得たコンピュータシミュレータを含み、前記コンピューティングシステムは、
a)処理装置によって提供される要求を受信するための通信インタフェースであって、前記要求は、可変なパラメータを含む、少なくとも1つの物理学に着想を得たコンピュータシミュレータを使用して処理するための少なくとも1つの計算タスクを含む、通信インタフェースと、
b)前記通信インタフェースと、可変なパラメータを含む、前記少なくとも1つの物理学に着想を得たコンピュータシミュレータとに動作可能に接続された制御ユニットであって、前記制御ユニットは、前記受信された要求を、前記少なくとも1つの物理学に着想を得たコンピュータシミュレータのための命令に変換することと、前記命令を、前記少なくとも1つの物理学に着想を得たコンピュータシミュレータに伝送して、前記少なくとも1つの計算タスクを実行することと、少なくとも1つの対応する解を受信することと、を実行するための制御ユニットである、制御ユニットと、
c)前記制御ユニットと、前記少なくとも1つの物理学に着想を得たコンピュータシミュレータとに動作可能に接続されたメモリであって、前記メモリは、前記少なくとも1つの計算タスクと、前記受信された要求に含まれるデータ集合と、前記少なくとも1つの物理学に着想を得たコンピュータシミュレータの前記可変なパラメータと、前記受信された少なくとも1つの対応する解とのうちの1つ以上を格納するためのメモリである、メモリと、
を含む、コンピューティングシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のコンピューティングシステムにおいて、
前記コンピューティングプラットフォームは、少なくとも1つの物理学に着想を得たコンピュータをさらに含み、
さらに、前記要求は、前記少なくとも1つの物理学に着想を得たコンピュータシミュレータと、前記少なくとも1つの物理学に着想を得たコンピュータとのうちの少なくとも1つについての選択をさらに含み、
さらに、前記制御ユニットは、前記少なくとも1つの物理学に着想を得たコンピュータに動作可能にさらに接続され、
さらに、前記要求の前記選択が、前記少なくとも1つの物理学に着想を得たコンピュータについての選択である場合、前記制御ユニットは、前記受信された要求を、前記少なくとも1つの物理学に着想を得たコンピュータのための命令に変換することと、前記命令を、前記少なくとも1つの物理学に着想を得たコンピュータに伝送して、前記少なくとも1つの計算タスクを実行することとのためにさらに使用され、
さらに、前記制御ユニットは、前記少なくとも1つの物理学に着想を得たコンピュータから、少なくとも1つの対応する解を受信するためにさらに使用される、
コンピューティングシステム。
【請求項3】
請求項1に記載のコンピューティングシステムにおいて、前記コンピューティングシステムは、前記少なくとも1つの物理学に着想を得たコンピュータシミュレータに動作可能に接続された訓練ユニットをさらに含み、前記訓練ユニットは、前記少なくとも1つの物理学に着想を得たコンピュータシミュレータを訓練するための訓練ユニットである、コンピューティングシステム。
【請求項4】
請求項2に記載のコンピューティングシステムにおいて、前記コンピューティングシステムは、前記少なくとも1つの物理学に着想を得たコンピュータシミュレータに動作可能に接続された訓練ユニットをさらに含み、前記訓練ユニットは、前記少なくとも1つの物理学に着想を得たコンピュータシミュレータを訓練するための訓練ユニットである、コンピューティングシステム。
【請求項5】
請求項4に記載のコンピューティングシステムにおいて、
前記少なくとも1つの物理学に着想を得たコンピュータシミュレータの種類は、前記物理学に着想を得たコンピュータに対応し、
さらに、前記訓練ユニットは、前記物理学に着想を得たコンピュータに伝送された前記命令を少なくとも使用して、および前記物理学に着想を得たコンピュータから取得された少なくとも1つの対応する解を使用して、前記少なくとも1つの物理学に着想を得たコンピュータシミュレータを訓練するために使用される、
コンピューティングシステム。
【請求項6】
請求項1に記載のコンピューティングシステムにおいて、前記通信インタフェースは、複数の要求を受信し、さらに、前記コンピューティングプラットフォームは、基準に従って、前記受信された複数の要求を待ち行列化するための待ち行列ユニットをさらに含む、コンピューティングシステム。
【請求項7】
請求項5に記載のコンピューティングシステムにおいて、前記少なくとも1つの計算タスクと前記少なくとも1つの対応する解とが訓練目的のために使用可能であるという標示を、対応する要求が含む場合、前記訓練ユニットは、前記物理学に着想を得たコンピュータに伝送された対応する前記命令と、前記物理学に着想を得たコンピュータから取得された前記少なくとも1つの対応する解とを使用して、前記少なくとも1つの物理学に着想を得たコンピュータシミュレータを訓練する、コンピューティングシステム。
【請求項8】
請求項1に記載のコンピューティングシステムにおいて、前記コンピューティングシステムに遠隔でアクセスする前記処理装置は、データネットワークを介して前記通信インタフェースに動作可能に接続されたデジタルコンピュータを含む、コンピューティングシステム。
【請求項9】
請求項2に記載のコンピューティングシステムにおいて、前記物理学に着想を得たコンピュータのための前記命令と、前記少なくとも1つの物理学に着想を得たコンピュータシミュレータのための前記命令とは、同一である、コンピューティングシステム。
【請求項10】
請求項1に記載のコンピューティングシステムにおいて、前記コンピューティングプラットフォームは、分散コンピューティングシステムを含む、コンピューティングシステム。
【請求項11】
請求項2に記載のコンピューティングシステムにおいて、前記物理学に着想を得たコンピュータは、非古典的なコンピュータを含む、コンピューティングシステム。
【請求項12】
請求項11に記載のコンピューティングシステムにおいて、前記非古典的なコンピュータは、NISQ装置、量子コンピュータ、超伝導量子コンピュータ、イオントラップ量子コンピュータ、量子焼きなまし、光量子コンピュータ、スピンに基づく量子ドットコンピュータ、およびフォトニックに基づく量子コンピュータからなるグループから選択される、コンピューティングシステム。
【請求項13】
請求項1に記載のコンピューティングシステムにおいて、前記少なくとも1つの物理学に着想を得たコンピュータシミュレータは、コンピュータ実装方法を含み、前記方法は、
a)所与の入力について物理学に着想を得たコンピュータの出力を模倣することと、
b)前記訓練ユニットを使用して前記可変なパラメータのうちの少なくとも1つを更新し、それによって対応する性能を改善させることと、
を含む、コンピューティングシステム。
【請求項14】
請求項3~4のいずれか1項に記載のコンピューティングシステムにおいて、前記訓練ユニットは、テンソル処理ユニット(TPU)、グラフィカル処理ユニット(GPU)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、および特定用途向け集積回路(ASIC)からなるグループから選択される、コンピューティングシステム。
【請求項15】
請求項1に記載のコンピューティングシステムにおいて、前記少なくとも1つの物理学に着想を得たコンピュータシミュレータは、ニューラルネットワークを含む、コンピューティングシステム。
【請求項16】
コンピューティングプラットフォームへの遠隔アクセスを可能にするためのコンピュータ実装方法であって、前記コンピューティングプラットフォームは、可変なパラメータを含む、少なくとも1つの物理学に着想を得たコンピュータシミュレータを含み、前記方法は、
a)通信インタフェースにおいて、要求を受信することであって、前記要求は、少なくとも1つの物理学に着想を得たコンピュータシミュレータを使用して処理するための少なくとも1つの計算タスクを含む、ことと、
b)前記受信された要求の前記少なくとも1つの計算タスクを、前記少なくとも1つの物理学に着想を得たコンピュータシミュレータに適した命令に変換することと、
c)前記命令を、前記少なくとも1つの物理学に着想を得たコンピュータシミュレータに提供することと、
d)前記命令の実行から結果として得られる、少なくとも1つの対応する生成された解を受信することと、
e)前記少なくとも1つの対応する生成された解を提供することと、
を含む、コンピュータ実装方法。
【請求項17】
請求項16に記載のコンピュータ実装方法において、
前記コンピューティングシステムは、少なくとも1つの物理学に着想を得たコンピュータと、前記少なくとも1つの物理学に着想を得たコンピュータシミュレータを訓練するための訓練ユニットとをさらに含み、
さらに、前記受信された要求は、前記少なくとも1つの計算タスクの処理に使用するために、前記物理学に着想を得たコンピュータと前記少なくとも1つの物理学に着想を得たコンピュータシミュレータとのうちの少なくとも1つの選択の標示をさらに含み、
さらに、前記要求の前記少なくとも1つの計算タスクは、前記物理学に着想を得たコンピュータと前記少なくとも1つの物理学に着想を得たコンピュータシミュレータとのうちの少なくとも1つに適した命令に変換され、
さらに、前記命令の前記提供は、選択の前記標示に応じて、前記物理学に着想を得たコンピュータと前記少なくとも1つの物理学に着想を得たコンピュータシミュレータとのうちの少なくとも1つにおいて実行される、
コンピュータ実装方法。
【請求項18】
請求項16に記載のコンピュータ実装方法において、前記要求は、データネットワークを使用して前記通信インタフェースに動作可能に接続されたデジタルコンピュータから受信され、さらに、前記少なくとも1つの対応する生成された解は、前記デジタルコンピュータに提供される、コンピュータ実装方法。
【請求項19】
請求項17に記載のコンピュータ実装方法において、
前記少なくとも1つの対応する生成された解は、前記少なくとも1つの物理学に着想を得たコンピュータから取得され、
さらに、前記少なくとも1つの対応する生成された解と前記少なくとも1つの計算タスクとを使用して、前記少なくとも1つの物理学に着想を得たコンピュータシミュレータを訓練することを含む、
コンピュータ実装方法。
【請求項20】
請求項19に記載のコンピュータ実装方法において、前記少なくとも1つの計算タスクと前記少なくとも1つの対応する生成された解とが訓練目的のために使用可能であるという標示を、前記要求が含む場合、前記訓練は実行される、コンピュータ実装方法。
【請求項21】
請求項19に記載のコンピュータ実装方法において、前記訓練は、
a)前記少なくとも1つの対応する生成された解と前記少なくとも1つの計算タスクとを使用して、機械学習プロトコルに基づいて手順を実行することと、
b)それに応じて、前記物理学に着想を得たコンピュータシミュレータの前記可変なパラメータを更新することと、
を含む、コンピュータ実装方法。
【請求項22】
請求項16に記載のコンピュータ実装方法において、前記コンピュータ実装方法は、前記命令と前記少なくとも1つの対応する生成された解とを格納することをさらに含む、コンピュータ実装方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の1つ以上の実施形態は、ネットワークを介してコンピューティングプラットフォームへの遠隔アクセスを提供するためのコンピューティングシステムおよび方法を対象とする。これは、1つ以上の実施形態において、ユーザが、実際の物理学に着想を得たコンピュータ(physics-inspired computer)の使用とそのシミュレータの使用との間で選択することを可能にする。特に、コンピューティングシステムの1つ以上の実施形態は、実際の物理学に着想を得たコンピュータの代わりに物理学に着想を得たコンピュータシミュレータの使用を可能にして、コストを削減する。
【背景技術】
【0002】
今日、科学界は、たくさんの様々な、ノイズあり中規模量子(NISQ:noisy intermediate-scale quantum)装置、ならびに絶えず開発され、改良され、発表される他の物理学に着想を得た装置およびコンピュータを考案した。最適化タスク、確率的サンプリングおよび/または他の計算タスクは、量子物理学および/またはその他の物理学の現象の多様性により、大幅に高速化して、実行することが可能であるにもかかわらず、これらのマシンへのアクセスは、研究グループおよびスタートアップなどのカテゴリーの中のユーザにとって、依然として極めて高価である。この状況は、製造コストおよび維持コストが高いことを含むいくつかの要因によって引き起こされる。
【0003】
そのようなコンピュータへのアクセスに関連付けられた制約のうちの少なくとも1つを克服する方法およびシステムのうちの少なくとも1つについての必要性が、本明細書において認識される。
【発明の概要】
【0004】
広範な態様によれば、処理装置が、ネットワークを介してコンピューティングプラットフォームに遠隔でアクセスすることを可能にするためのコンピューティングシステムが開示される。コンピューティングプラットフォームは、可変なパラメータを含む、少なくとも1つの物理学に着想を得たコンピュータシミュレータを含む。コンピューティングシステムは、処理装置によって提供される要求を受信するための通信インタフェースであって、要求は、可変なパラメータを含む、少なくとも1つの物理学に着想を得たコンピュータシミュレータを使用して処理するための少なくとも1つの計算タスクを含む、通信インタフェースと、通信インタフェースおよび可変なパラメータを含む、少なくとも1つの物理学に着想を得たコンピュータシミュレータに動作可能に接続された制御ユニットであって、制御ユニットは、受信された要求を、少なくとも1つの物理学に着想を得たコンピュータシミュレータのための命令に変換することと、命令を、少なくとも1つの物理学に着想を得たコンピュータシミュレータに伝送して、少なくとも1つの計算タスクを実行することと、少なくとも1つの対応する解を受信することと、を実行するための制御ユニットである、制御ユニットと、制御ユニットおよび少なくとも1つの物理学に着想を得たコンピュータシミュレータに動作可能に接続されたメモリであって、メモリは、少なくとも1つの計算タスク、受信された要求に含まれるデータ集合、少なくとも1つの物理学に着想を得たコンピュータシミュレータの可変なパラメータおよび受信された少なくとも1つの対応する解のうちの1つ以上を格納するためのメモリである、メモリと、を含む。
【0005】
1つ以上の実施形態によれば、コンピューティングプラットフォームは、少なくとも1つの物理学に着想を得たコンピュータをさらに含む。要求は、少なくとも1つの物理学に着想を得たコンピュータシミュレータと、少なくとも1つの物理学に着想を得たコンピュータとのうちの少なくとも1つについての選択をさらに含む。さらに、制御ユニットは、少なくとも1つの物理学に着想を得たコンピュータに動作可能にさらに接続される。要求の選択が、少なくとも1つの物理学に着想を得たコンピュータについての選択である場合、制御ユニットは、受信された要求を、少なくとも1つの物理学に着想を得たコンピュータのための命令に変換することと、命令を、少なくとも1つの物理学に着想を得たコンピュータに伝送して、少なくとも1つの計算タスクを実行することとのためにさらに使用される。さらに、制御ユニットは、少なくとも1つの物理学に着想を得たコンピュータから、少なくとも1つの対応する解を受信するためにさらに使用される。
【0006】
1つ以上の実施形態によれば、コンピューティングシステムは、少なくとも1つの物理学に着想を得たコンピュータシミュレータに動作可能に接続された訓練ユニットをさらに含む。訓練ユニットは、少なくとも1つの物理学に着想を得たコンピュータシミュレータを訓練するための訓練ユニットである。
【0007】
1つ以上の実施形態によれば、コンピューティングシステムは、少なくとも1つの物理学に着想を得たコンピュータシミュレータに動作可能に接続された訓練ユニットを含む。訓練ユニットは、少なくとも1つの物理学に着想を得たコンピュータシミュレータを訓練するための訓練ユニットである。
【0008】
1つ以上の実施形態によれば、少なくとも1つの物理学に着想を得たコンピュータシミュレータの種類は、物理学に着想を得たコンピュータに対応する。さらに、訓練ユニットは、物理学に着想を得たコンピュータに伝送された命令を少なくとも使用して、および物理学に着想を得たコンピュータから取得された少なくとも1つの対応する解を使用して、少なくとも1つの物理学に着想を得たコンピュータシミュレータを訓練するために使用される。
【0009】
1つ以上の実施形態によれば、通信インタフェースは、複数の要求を受信する。さらに、コンピューティングプラットフォームは、基準に従って、受信された複数の要求を待ち行列化するための待ち行列ユニットをさらに含む。
【0010】
1つ以上の実施形態によれば、少なくとも1つの計算タスクと少なくとも1つの対応する解とが訓練目的のために使用可能であるという標示を、対応する要求が含む場合、訓練ユニットは、物理学に着想を得たコンピュータに伝送された対応する命令と、物理学に着想を得たコンピュータから取得された少なくとも1つの対応する解とを使用して、少なくとも1つの物理学に着想を得たコンピュータシミュレータを訓練する。
【0011】
1つ以上の実施形態によれば、コンピューティングシステムに遠隔でアクセスする処理装置は、データネットワークを介して通信インタフェースに動作可能に接続されたデジタルコンピュータを含む。
【0012】
1つ以上の実施形態によれば、物理学に着想を得たコンピュータのための命令と、少なくとも1つの物理学に着想を得たコンピュータシミュレータのための命令とは、同一である。
【0013】
1つ以上の実施形態によれば、コンピューティングプラットフォームは、分散コンピューティングシステムを含む。
【0014】
1つ以上の実施形態によれば、物理学に着想を得たコンピュータは、非古典的なコンピュータを含む。
【0015】
1つ以上の実施形態によれば、非古典的なコンピュータは、NISQ装置、量子コンピュータ、超伝導量子コンピュータ、イオントラップ量子コンピュータ、量子焼きなまし、光量子コンピュータ、スピンに基づく量子ドットコンピュータ、およびフォトニックに基づく量子コンピュータからなるグループから選択される。
【0016】
1つ以上の実施形態によれば、少なくとも1つの物理学に着想を得たコンピュータシミュレータは、コンピュータ実装方法を含む。本方法は、所与の入力について物理学に着想を得たコンピュータの出力を模倣することと、訓練ユニットを使用して可変なパラメータのうちの少なくとも1つを更新し、それによって対応する性能を改善させることと、
を含む。
【0017】
1つ以上の実施形態によれば、訓練ユニットは、テンソル処理ユニット(TPU)、グラフィカル処理ユニット(GPU)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、および特定用途向け集積回路(ASIC)からなるグループから選択される。
【0018】
1つ以上の実施形態によれば、少なくとも1つの物理学に着想を得たコンピュータシミュレータは、ニューラルネットワークを含む。
【0019】
広範な態様によれば、コンピューティングプラットフォームへの遠隔アクセスを可能にするためのコンピュータ実装方法が開示される。コンピューティングプラットフォームは、可変なパラメータを含む、少なくとも1つの物理学に着想を得たコンピュータシミュレータを含む。本方法は、通信インタフェースにおいて、要求を受信することであって、要求は、少なくとも1つの物理学に着想を得たコンピュータシミュレータを使用して処理するための少なくとも1つの計算タスクを含む、ことと、受信された要求の少なくとも1つの計算タスクを、少なくとも1つの物理学に着想を得たコンピュータシミュレータに適した命令に変換することと、命令を、少なくとも1つの物理学に着想を得たコンピュータシミュレータに提供することと、命令の実行から結果として得られる、少なくとも1つの対応する生成された解を受信することと、少なくとも1つの対応する生成された解を提供することと、を含む。
【0020】
1つ以上の実施形態によれば、コンピューティングシステムは、少なくとも1つの物理学に着想を得たコンピュータと、少なくとも1つの物理学に着想を得たコンピュータシミュレータを訓練するための訓練ユニットとをさらに含む。さらに、受信された要求は、少なくとも1つの計算タスクの処理に使用するために、物理学に着想を得たコンピュータと少なくとも1つの物理学に着想を得たコンピュータシミュレータとのうちの少なくとも1つの選択の標示をさらに含む。さらに、要求の少なくとも1つの計算タスクは、物理学に着想を得たコンピュータと少なくとも1つの物理学に着想を得たコンピュータシミュレータとのうちの少なくとも1つに適した命令に変換される。さらに、命令の提供は、選択の標示に応じて、物理学に着想を得たコンピュータと少なくとも1つの物理学に着想を得たコンピュータシミュレータとのうちの少なくとも1つにおいて実行される。
【0021】
1つ以上の実施形態によれば、要求は、データネットワークを使用して通信インタフェースに動作可能に接続されたデジタルコンピュータから受信される。さらに、少なくとも1つの対応する生成された解は、デジタルコンピュータに提供される。
【0022】
1つ以上の実施形態によれば、少なくとも1つの対応する生成された解は、少なくとも1つの物理学に着想を得たコンピュータから取得される。さらに、少なくとも1つの対応する生成された解と少なくとも1つの計算タスクとを使用して、少なくとも1つの物理学に着想を得たコンピュータシミュレータを訓練することを含む。
【0023】
1つ以上の実施形態によれば、少なくとも1つの計算タスクと少なくとも1つの対応する生成された解とが訓練目的のために使用可能であるという標示を、要求が含む場合、訓練は実行される。
【0024】
1つ以上の実施形態によれば、訓練は、少なくとも1つの対応する生成された解と少なくとも1つの計算タスクとを使用して、機械学習プロトコルに基づいて手順を実行することと、それに応じて、物理学に着想を得たコンピュータシミュレータの可変なパラメータを更新することと、を含む。
【0025】
1つ以上の実施形態によれば、本方法は、命令と少なくとも1つの対応する生成された解とを格納することをさらに含む。
【0026】
本明細書において開示される方法およびコンピューティングシステムの1つ以上の実施形態の利点は、それらが、実際の計算タスクを使用して訓練された物理学に着想を得たコンピュータシミュレータへのアクセスを可能にすることである。これは、例えば、量子装置のシミュレータであり、それは、量子装置へのアクセスよりも比較的安価である。
【0027】
本明細書において開示される方法およびコンピューティングシステムの1つ以上の実施形態の別の利点は、それらが、量子コンピュータなどの物理学に着想を得たコンピュータを模倣することを可能にすることである。
【0028】
本明細書において開示される方法およびコンピューティングシステムの1つ以上の実施形態の別の利点は、それらが、少なくとも1つの計算タスクを使用して、物理学に着想を得たコンピュータシミュレータを改善させることを可能にすることである。
【0029】
本発明の1つ以上の実施形態が容易に理解され得るために、本発明の1つ以上の実施形態は、添付の図面において例として示される。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】量子コンピュータおよび量子コンピュータシミュレータへのアクセスを提供するためのシステムの一実施形態を示す図である。
【
図2】量子コンピュータおよび量子コンピュータシミュレータへのアクセスを提供するためのシステムの別の実施形態を示す図である。
【
図3】訓練ユニットを使用して、物理学に着想を得たコンピュータシミュレータを訓練して、その性能を向上させるための方法の一実施形態を示すフローチャートである。
【
図4】物理学に着想を得たコンピュータシミュレータおよび物理学に着想を得たコンピュータへの遠隔アクセスを可能にするための方法の一実施形態を示すフローチャートである。
【
図5】少なくとも1つの物理学に着想を得たコンピュータシミュレータを含むコンピューティングプラットフォームへの遠隔アクセスを可能にするための方法の一実施形態を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0031】
1つ以上の実施形態の以下の説明において、添付の図面への参照は、本発明を実施することができる例を例示するためのものである。
【0032】
<用語>
用語「発明」などは、特に明記されない限り、「本願に開示される1つ以上の発明」を意味する。
【0033】
用語「態様」、「一実施形態」、「実施形態」、「本実施形態」、「この実施形態」、「1つ以上の実施形態」、「ある実施形態」、「特定の実施形態」、「1つの実施形態」、「別の実施形態」などは、特に明記されない限り、「開示された発明の1つ以上の(ただし、すべてではない)実施形態」を意味する。
【0034】
実施形態を説明する際の「別の実施形態」または「別の態様」への言及は、特に明記されない限り、参照された実施形態が別の実施形態(例えば、参照された実施形態の前に説明された実施形態)と相互に排他的であることを含まない。
【0035】
用語「含む」、「備える」、およびそれらの変形は、特に明記されない限り、「含むがこれに限定されない」を意味する。
【0036】
用語「不定冠詞」、「定冠詞」および「少なくとも1つ」は、特に明記されない限り、「1つ以上」を意味する。
【0037】
用語「複数」は、特に明記されない限り、「2つ以上」を意味する。
【0038】
用語「本明細書において」は、特に明記されない限り、「本出願において、参照により組み込まれ得るものを含む」を意味する。
【0039】
用語「それによって」は、本明細書において、先に明示的に列挙された何かの意図された結果、目的、または結果のみを表す節または他の単語の集合の前にのみ使用される。したがって、用語「それにより」が請求項において使用される場合、用語「それにより」が修飾する節または他の単語は、請求項において特定のさらなる限定を確立しない、または請求項の意味もしくは範囲を制限しない。
【0040】
用語「例えば」および同様の用語は、「例を挙げれば」を意味し、したがって、それらが説明する用語または句を限定しない。例えば、文章「コンピュータはインターネットを介してデータ(例えば、命令、データ構造)を送信する」において、用語「例えば」は、「命令」が、コンピュータがインターネットを介して送信する可能性がある「データ」の一例であることを説明し、「データ構造」が、コンピュータがインターネットを介して送信する可能性がある「データ」の一例であることも説明する。しかし、「命令」と「データ構造」との両方は、単なる「データ」の例であり、「命令」および「データ構造」以外の他のものが「データ」とすることができる。
【0041】
用語「すなわち」および同様の用語は、「言い換えれば」を意味し、したがって、それらが説明する用語または句を限定する。
【0042】
値が範囲として記載される場合、そのような開示は、特定の数値または特定の下位範囲が明示的に述べられているかどうかにかかわらず、そのような範囲内のすべての可能な下位範囲、ならびにそのような範囲内に入る特定の数値の開示を含むことが、当業者に理解されるであろう。
【0043】
以下の詳細な説明において、本明細書の一部を構成する添付の図面を参照する。図面において、同様の記号は、文脈が別段の規定をしない限り、典型的には同様の構成要素を識別する。詳細な説明、図面、および特許請求の範囲に記載される例示的な実施形態は、限定することを意味しない。本明細書において提示される主題の範囲から逸脱することなく、他の実施形態を使用することができ、他の変更を行うことができる。本開示の態様は、本明細書において一般に説明され、図面に示されるように、多種多様な異なる構成で配置され、置換され、組み合わされ、分離され、設計されることができ、そのすべてが本明細書において明示的に企図されることが容易に理解されるであろう。
【0044】
本明細書において使用されるように、用語「古典的」は、計算または算定の文脈で使用されるとき、一般に、量子力学的重ね合わせおよび量子力学的もつれを使用せずに、離散ビットを使用する2進値を使用して実行される計算を指す。古典的なコンピュータは、量子力学的重ね合わせおよび量子力学的もつれを使用せずに、離散ビット(例えば、0および1)を使用するコンピュータなどのデジタルコンピュータとすることができる。
【0045】
本明細書において使用されるように、用語「非古典的」は、計算または算定の文脈で使用されるとき、一般に、古典的計算のパラダイム以外の計算手順を実行するための任意の方法またはシステムを指す。
【0046】
本明細書において使用されるように、用語「物理学に着想を得た」は、計算または算定の文脈で使用されるとき、一般に、任意の物理現象に少なくとも部分的に基づくおよび/または模倣する、計算手順を実行するための任意の方法またはシステムを指す。
【0047】
本明細書において使用されるように、用語「量子装置」は、一般に、量子力学的重ね合わせおよび量子力学的もつれなどの任意の量子力学的現象を使用して計算を実行する任意の装置またはシステムを指す。
【0048】
本明細書で使用されるように、用語「量子計算」、「量子手順」、「量子演算」、および「量子コンピュータ」は、一般に、量子装置によって表されるヒルベルト空間上で量子力学的演算(量子チャネル上のユニタリ変換またはCPTP(completely positive trace-preserving)マップなど)を使用して計算を実行するための任意の方法またはシステムを指す。
【0049】
本明細書において使用されるように、用語「量子コンピュータシミュレータ」は、一般に、量子コンピュータによって提供される結果を模倣して、計算タスクに対する解を提供する任意の古典的なハードウェアを使用する任意のコンピュータ実装方法を指す。
【0050】
本明細書において使用されるように、用語「物理学に着想を得たコンピュータシミュレータ」は、一般に、物理学に着想を得たコンピュータによって提供される結果を模倣して、計算タスクに対する解を提供する任意の古典的なハードウェアを使用する任意のコンピュータ実装方法を指す。
【0051】
本明細書において使用されるように、用語「ノイズあり中規模量子装置」(NISQ)は、一般に、今日の古典的なデジタルコンピュータの能力を超えるタスクを実行することができる任意の量子装置を指す。
【0052】
本開示は、分散コンピューティング環境において、少なくとも1つの物理学に着想を得たコンピュータおよび少なくとも1つの物理学に着想を得たコンピュータシミュレータのうちの少なくとも1つへのアクセスを可能にするための方法およびコンピューティングシステムの1つ以上の実施形態を開示する。
【0053】
名称も要約書も、開示された発明の範囲と同様、何ら限定するものと解釈されるべきではない。本出願の名称と本出願で提供される項目の見出しとは、便宜上のものにすぎず、何ら本開示を限定するものと解釈されるべきではない。
【0054】
多数の実施形態が、本出願において説明され、例示の目的のためだけに提示される。説明される実施形態は、いかなる意味においても限定するものではなく、限定することを意図されるものではない。本開示の発明は、本開示から容易に明らかであるように、多数の実施形態に広く適用可能である。当業者は、本開示の発明が、構造的および論理的な修正などの様々な修正および変更を伴って実施され得ることを認識するであろう。本開示の発明の特定の特徴は、1つ以上の特定の実施形態および/または図面を参照して説明され得るが、そのような特徴は、特に明記されない限り、それらが説明される1つ以上の特定の実施形態または図面における使用に限定されないことが理解されたい。
【0055】
本発明の1つ以上の実施形態は、多くの方法で実施され得ることが理解されるであろう。本明細書において、これらの実施、または本発明がとり得る任意の他の形態は、システムまたは技術と呼ばれることができる。タスクを実行するように構成されると説明される処理装置またはメモリなどの構成要素は、所与の時間でタスクを実行するように一時的に構成された汎用構成要素、またはタスクを実行ように製造された特定の構成要素のいずれかを含む。
【0056】
このすべてを念頭に置いて、本発明の1つ以上の実施形態は、ネットワークを介してコンピューティングプラットフォームへの遠隔アクセスを提供するための方法およびコンピューティングシステムを対象とする。コンピューティングプラットフォームは、可変なパラメータを含む、少なくとも1つの物理学に着想を得たコンピュータシミュレータを含む。
【0057】
本発明の1つ以上の実施形態は、機械学習アルゴリズムに基づいて、少なくとも1つの物理学に着想を得たコンピュータおよび少なくとも1つの物理学に着想を得たコンピュータシミュレータのうちの少なくとも1つへのアクセスを可能にする。
【0058】
物理学に着想を得たコンピュータシミュレータは、量子コンピュータまたは他の物理学に着想を得たコンピュータに対する費用効果の高い代替を提供することを目的とし、ユーザは、比較的低い価格で、古典的な対応物と比較して計算を高速化することを可能にすることが理解されるであろう。1つ以上の実施形態では、ユーザは、要件に基づいて、物理学に着想を得たコンピュータと物理学に着想を得たコンピュータシミュレータとの間で選択する選択肢を有し、問題を選択された解答機に投入する。
【0059】
1つ以上の実施形態では、投入された問題は、以下でさらに説明されるように、物理学に着想を得たコンピュータに適した命令に復号されることが理解されるであろう。1つ以上の実施形態では、これらの命令は、物理学に着想を得たコンピュータまたは物理学に着想を得たコンピュータシミュレータのいずれかに向けられる。さらに、命令が実際の物理学に着想を得たコンピュータに向けられる場合、投入された問題は、結果と共に、機械学習技術を使用して物理学に着想を得たコンピュータシミュレータの性能を改善させるためにさらに使用されることができる。
【0060】
例えば、量子焼きなましのシミュレータは、条件付き生成モデルを含むことができる。条件付き生成モデルは、メトロポリス-ヘイスティングスモンテカルロ(Metropolis-Hasting Monte Carlo)などの既存のサンプリングアルゴリズム、または量子焼きなましなどの実際の量子装置のいずれかから取得されたサンプルを用いて事前訓練される。条件付き生成モデルは、対応するデータサンプルを生成することができる。このデータサンプルは、ユーザによって投入された元の問題を解決するためにさらに使用される。
【0061】
<物理学に着想を得たコンピュータ>
物理学に着想を得たコンピュータは、光パラメトリック発振器(OPO)および統合フォトニックコヒーレントイジングマシン(integrated photonic coherent Ising machine)などの光コンピューティング装置、量子焼きなましなどの量子コンピュータ、またはゲート型量子コンピュータ、擬似焼きなまし、擬似量子焼きなまし、ポピュレーション焼きなまし、量子モンテカルロなどの物理学に着想を得た方法の実装のうちの1つ以上を含み得ることが理解されるであろう。
【0062】
<量子装置>
任意の種類の量子コンピュータが、本明細書において開示される技術に適し得る。本明細書の説明によれば、好適な量子コンピュータは、非限定的な例として、以下を含む。
超伝導量子コンピュータ(小さな超伝導回路(ジョセフソン接合)として実装される量子ビット)(Clarke et al., "Superconducting quantum bits," Nature 453.7198 (2008): 1031)
イオントラップ量子コンピュータ(イオントラップの状態として実装される量子ビット)(Kielpinski et al., "Architecture for a large-scale ion-trap quantum computer," Nature 417.6890 (2002): 709.)
光格子量子コンピュータ(光格子内に捕捉される中性原子の状態として実装される量子ビット)(Deutsch et al., "Quantum computing with neutral atoms in an optical lattice," arXiv preprint: quant-ph/0003022 (2000))
スピンに基づく量子ドットコンピュータ(補足された電子のスピン状態として実装される量子ビット)(Imamoglu et al., "Quantum information processing using quantum dot spins and cavity QED," arXiv preprint: quant-ph/9904096 (1999))
空間に基づく量子ドットコンピュータ(二重量子ドットの電子位置として実装される量子ビット)(Fedichkin et al., "Novel coherent quantum bit using spatial quantization levels in semiconductor quantum dot," arXiv preprint: quant-ph/0006097 (2000))
結合された量子細線(量子点接触により結合された量子細線の対として実装される量子ビット)(Bertoni et al., "Quantum logic gates based on coherent electron transport in quantum wires," Physical Review Letters 84, no. 25 (2000): 5912.)
核磁気共鳴量子コンピュータ(核スピンとして実装され、ラジオ波によりプローブされる量子ビット)(Cory et al., "Nuclear magnetic resonance spectroscopy: An experimentally accessible paradigm for quantum computing," arXiv preprint: quant-ph/9709001 (1997))
固体NMRカーン量子コンピュータ(シリコン内の燐供与体の核スピン状態として実装される量子ビット)(Kane, B.E., "A silicon-based nuclear spin quantum computer," nature 393, no. 6681 (1998): 133.)
ヘリウムの上の電子(electrons-on-helium)量子コンピュータ(電子スピンとして実装される量子ビット)(Lyon, S.A., "Spin-based quantum computing using electrons on liquid helium," arXiv preprint: cond-mat/0301581 (2006))
共振器量子電気力学に基づく量子コンピュータ(高度に精密な共振器と結合した捕捉された原子の状態として実装される量子ビット)(Burell, Z., "An Introduction to Quantum Computing using Cavity QED concepts," arXiv preprint: arXiv:1210.6512 (2012))
分子磁石に基づく量子コンピュータ(スピン状態として実装される量子ビット)(Leuenberger et al., "Quantum computing in molecular magnets," arXiv preprint: cond-mat/0011415 (2001))
フラーレンに基づくESR量子コンピュータ(フラーレンに包まれた原子または分子の電子スピンとして実装される量子ビット)(Harneit, W., "Quantum Computing with Endohedral Fullerenes," arXiv preprint: arXiv: 1708.09298 (2017))
線形光量子コンピュータ(鏡、ビームスプリッタ、および移相器などの線形光素子を介して光の異なるモードの処理状態として実装される量子ビット)(Knill et al., "Efficient linear optics quantum computation," arXiv preprint: quant-ph/0006088 (2000))
ダイヤモンドに基づく量子コンピュータ(ダイヤモンドのNV中心の電子または核スピンとして実装される量子ビット(Nizovtsev et al., "A quantum computer based on NV centers in diamond: optically detected nutations of single electron and nuclear spins," Optics and spectroscopy 99, no. 2 (2005): 233-244.)
ボース-アインシュタイン凝縮(Bose-Einstein condensate)に基づく量子コンピュータ(2つの構成要素BECとして実装される量子ビット)(Byrnes et al., "Macroscopic quantum computation using Bose-Einstein condensates," arXiv preprint: quantum-ph/1103.5512 (2011))
トランジスタに基づく量子コンピュータ(フォトニック共振器に結合した半導体として実装される量子ビット)(Sun et al., "A single-photon switch and transistor enabled by a solid-state quantum memory," arXiv preprint: quant-ph/1805.01964 (2018))
希土類イオンドープされた無機結晶に基づく量子コンピュータ(希土類イオンドープされた無機結晶の原子基底状態の超微細レベルとして実装される量子ビット)(Ohlsson et al., "Quantum computer hardware based on rare-earth-ion-doped inorganic crystals," Optics communications 201, no. 1-3 (2002): 71-77.)
金属調炭素ナノ粒子(metal-like carbon nanosphere)に基づく量子コンピュータ(導電性炭素ナノ粒子内の電子スピンとして実装される量子ビット)(Nafradi et al., "Room temperature manipulation of long lifetime spins in metallic-like carbon nanospheres," arXiv preprint: cond-mat/1611.07690 (2016))
D-Wave量子焼きなまし(超伝導論理素子として実装される量子ビット)(Johnson et al., "Quantum annealing with manufactured spins," Nature 473, no. 7346 (2011): 194-198.)
【0063】
<NISQ-ノイズあり中規模量子技術>
用語「ノイズあり中規模量子技術(NISQ)」は、John Preskillによって導入された( "Quantum Computing in the NISQ era and beyond," arXiv:1801.00862)。ここで、「ノイズあり(Noisy)」は、量子ビットに関する制御が不完全であることを意味し、「中規模(Intermediate-Scale)」は、量子ビットの数を指し、量子ビットの数は、50から数百までの範囲とし得る。超電導量子ビット、人工原子、イオントラップから作られるいくつかの物理学システムは、NISQ量子装置と最終的にユニバーサル量子コンピュータとを構築する実現可能な候補として提案される。
【0064】
<量子焼きなまし>
量子焼きなましは、複数の製造された量子ビットからなる量子力学システムである。
【0065】
各量子ビットには、局所場バイアスと呼ばれるバイアス源が誘導結合される。一実施形態では、バイアス源は、量子ビットの状態の制御を提供するために、量子ビットを介して磁束を通すために使用される電磁装置である(米国特許出願第2006/0225165号参照)。
【0066】
量子ビット上の局所場バイアスは、プログラム可能であり、制御可能である。1つ以上の実施形態では、デジタル処理ユニットを含む量子ビット制御システムは、量子ビットのシステムに接続され、量子ビット上の局所場バイアスをプログラミングし、調整することを可能にする。
【0067】
量子焼きなましは、さらに、複数の量子ビットの複数の対の間の複数の結合を含むことができる。一実施形態では、2つの量子ビット間の結合は、両方の量子ビットに磁束を通す、両方の量子ビットの近傍にある装置である。同じ実施形態では、結合は、複合ジョセフソン接合によって遮断された超伝導回路から構成されることができる。磁束は、複合ジョセフソン接合を通ることができ、その結果、両方の量子ビットに磁束を通すことができる(米国特許出願第2006/0225165号参照)。この磁束の強さは、横磁場を有する量子イジングモデルのエネルギーに二次的に寄与する。一実施形態では、結合強度は、両方の量子ビットの近傍で結合装置を調整することによって強制される。
【0068】
結合強度は、制御可能であり、プログラム可能であるとすることができる。1つ以上の実施形態では、デジタル処理ユニットを含む量子焼きなまし制御システムは、複数の結合に接続され、量子焼きなましの結合強度をプログラムすることが可能である。
【0069】
1つ以上の実施形態では、量子焼きなましは、初期の構成から最終的な構成に、横磁場を有する量子イジングモデルの変換を実行する。このような実施形態では、横磁場を有する量子イジングモデルの初期および最終の構成は、それらの対応する初期および最終のハミルトニアンによって説明される量子システムを提供する。
【0070】
量子焼きなましは、それらのエネルギー関数の発見的最適化として使用され得ることが理解されるであろう。そのようなアナログプロセッサの実施形態は、McGeochらによって開示され(“Experimental Evaluation of an Adiabatic Quantum System for Combinatorial Optimization,” Computing Frontiers; May 14-16, 2013)、米国特許出願第2006/0225165号にも開示される。
【0071】
有限温度において、対応するイジングモデルのボルツマン分布からサンプルを提供するために、量子焼きなましをさらに使用することができることが理解されるであろう(Bian et al., (2010), "The Ising model: teaching an old problem new tricks"、およびAmin et al., (2016), "Quantum Boltzmann Machine" arXiv:1601 .02036.)。このサンプリングの方法は、量子サンプリングと呼ばれる。
【0072】
<光コンピューティング装置>
イジングモデルのボルツマン分布からその平衡状態近傍でサンプリングを行うことができるアナログシステムの別の実施形態は、光学装置である。
【0073】
1つ以上の実施形態では、光装置は、米国特許出願第2016/0162798号および国際出願第2015006494号に開示さるような光パラメトリック発振器(OPO)のネットワークを含む。
【0074】
この実施形態では、イジングモデルの各スピンは、縮退度で動作する光パラメトリック発振器(OPO)によってシミュレートされる。
【0075】
縮退した光パラメトリック発振器(OPO)は、発振閾値で二次相転移を経験する開散逸システムである。位相感応増幅により、縮退した光パラメトリック発振器(OPO)は、閾値を超える振幅の励起位相に関して0またはπのいずれかの位相を用いて発振することができる。位相は、ランダムであり、発振のビルドアップ中の光パラメトリック下方変換に関連付けられた量子ノイズによる影響を受ける。従って、縮退した光パラメトリック発振器(OPO)は、その出力位相によって指定された2進数を自然に表す。この特性に基づいて、縮退した光パラメトリック発振器(OPO)システムは、イジングスピンシステムの物理学的典型として使用されることができる。各縮退した光パラメトリック発振器(OPO)の位相は、イジングスピンとして同定され、その振幅と位相とは関連するスピン間のイジング結合の強さと符号とによって決定される。
【0076】
強い源により励起されると、縮退光パラメトリック発振器(OPO)は、イジングモデルのスピン+1または-1に対応する2つの位相状態のうちの1つをとる。相互結合を有するN個の実質的に同一の光パラメトリック発振器(OPO)のネットワークは、同じ源を用いて励起され、イジングスピンシステムをシミュレートする。ポンプの導入からの過渡期間の後、光パラメトリック発振器(OPO)のネットワークは、その熱平衡近傍で定常状態に近づく。
【0077】
位相状態選択処理は、真空変動と光パラメトリック発振器(OPO)の相互結合とに依存する。ある実施態様では、ポンプは、一定の振幅で変調される。他の実施態様では、ポンプ出力は、徐々に増加される。さらに別の実施態様では、ポンプは、他の方法で制御される。
【0078】
光学装置の1つ以上の実施形態では、イジングモデルの複数の結合は、光パラメトリック発振器(OPO)間で光学場を結合するために使用される複数の構成可能な結合によってシミュレートされる。構成可能な結合は、オフになるように構成されることができ、オンになるように構成されることができる。結合をオンおよびオフに変えることは、徐々に、または急激に行われることができる。オンになるように構成される場合、構成は、イジングモデルの結合強度に応じて、任意の位相または振幅を提供することができる。
【0079】
各光パラメトリック発振器(OPO)出力は、位相の基準を用いて干渉され、その結果、光検出器において捕捉される。光パラメトリック発振器(OPO)の出力は、イジングモデルの構成を表す。例えば、イジングモデルにおいて、ゼロ位相は、スピン?1状態を表し、π位相は、+1スピン状態を表す。
【0080】
スピンを有するイジングモデルについて、1つ以上の実施形態によれば、複数の光パラメトリック発振器(OPO)の共振空洞は、ポンプ源からのパルスの周期の倍に等しい往復時間を有するように構成される。本明細書において使用されるような往復時間は、説明された再帰経路の1つの道に沿って光が伝播する時間を示す。共振空洞の往復時間の周期に等しい周期を有するパルス列のパルスは、互いに干渉することなく、同時に光パラメトリック発振器(OPO)を通って伝播することができる。
【0081】
1つ以上の実施形態では、光パラメトリック発振器(OPO)の結合は、共振空洞に沿って割り当てられた複数の遅延線によって提供される。
【0082】
複数の遅延線は、結合の強度および位相を同期的に制御する複数の変調器を含み、イジングモデルをシミュレートするように光学装置をプログラムすることを可能にする。
【0083】
光パラメトリック発振器(OPO)のネットワークでは、遅延線および対応する変調器は、2つの光パラメトリック発振器(OPO)毎の間の結合の振幅および位相を制御するのに十分である。
【0084】
1つ以上の実施形態では、イジングモデルからサンプリング可能な最適化装置は、米国特許出願第2016/0162798号に開示されるような、光パラメトリック発振器(OPO)のネットワークとして製造されることができる。
【0085】
1つ以上の実施形態では、光パラメトリック発振器(OPO)のネットワークおよび光パラメトリック発振器(OPO)の結合は、商業的に入手可能なモードロックレーザおよび光学素子、例えば、電気通信ファイバ遅延線、変調器、および他の光学装置を使用して達成される。あるいは、光パラメトリック発振器(OPO)のネットワークおよび光パラメトリック発振器(OPO)の結合は、光ファイバ技術、例えば、電気通信用途のために開発されたファイバ技術を使用して実装される。結合は、ファイバを用いて実現され、光学カーシャッター(Kerr shutter)によって制御され得ることが理解されるであろう。
【0086】
<統合フォトニックコヒーレントイジングマシン>
イジングモデルのボルツマン分布からその平衡状態近傍でサンプリングを実行することができるアナログシステムの別の実施形態は、例えば、米国特許出願第2018/0267937号明細書に開示される統合フォトニックコヒーレントイジングマシンである。
【0087】
1つ以上の実施形態では、統合フォトニックコヒーレントイジングマシンは、特定のイジング問題を解決するノードと接続ネットワークとの組合せである。そのような実施形態では、ノードと接続ネットワークとの組み合わせは、断熱的である光コンピュータを形成することができる。言い換えれば、ノードと接続ネットワークとの組み合わせは、ノードに格納された値が定常状態に達して、ノードと接続ネットワークとのエネルギーを最小化するときに、イジング問題を非決定論的に解決する。最小エネルギーレベルでノードに格納された値は、特定のイジング問題を解決する値に関連付けられることができる。確率的解決は、イジング問題に対応するハミルトニアンによって定義されるボルツマン分布からサンプルとして使用されることができる。
【0088】
このような実施形態では、システムは、複数のリング共振器フォトニックノードを含む。複数のリング共振器フォトニックノードの各々の1つは、値を格納する。ポンプは、複数のリング共振器フォトニックノードの各々の1つにエネルギーを供給するために、ポンプ導波路を介して複数のリング共振器フォトニックノードの各々の1つに結合される。接続ネットワークは、複数の2つずつの元素の構成要素を含む。2つずつの構成要素の各元素は、イジング問題の符号化に関連付けられたパラメータを用いて接続ネットワークを同調させるための複数の移相器を含む。接続ネットワークは、複数のリング共振器フォトニックノードの各々の1つに格納された値を処理する。イジング問題は、複数のリング共振器フォトニックノードのうちの各々の1つに格納された値によって、最小エネルギーレベルで解決される。
【0089】
<デジタル焼きなまし>
1つ以上の実施形態では、デジタル焼きなましは、デジタル焼きなましユニット、例えば、Fujitsu(登録商標)によって開発されたものなどを指すことが理解されるであろう。
【0090】
<量子装置を使用して実装されるアルゴリズム>
量子装置に実装されることができる任意の種類のアルゴリズムは、本明細書において開示される方法およびコンピューティングシステムの1つ以上の実施形態に適し得ることが理解されるであろう。本明細書における説明によれば、好適なアルゴリズムは、非限定的な例として、以下を含む。
量子コンピュータの化学問題を解決するためのスケーラブルな共設計フレームワークである変分量子固有値ソルバー(VQE:Variational Quantum Eigensolver)(Peruzzo et al., (2014), "A variational eigenvalue solver on a photonic quantum processor,".Nature communications, 5, p.4213., arXiv: 1304.3061、およびNam et al., (2019), "Ground-state energy estimation of the water molecule on a trapped ion quantum computer,".arXiv preprint: arXiv:1902.10171 .)
検索タスクの古典的な対応物と比較して、2次高速化を可能にする量子アルゴリズムであるグローバー(Grover)のアルゴリズム(Chuang et al., (1998), "Experimental implementation of fast quantum searching,".Physical review letters, 80(15), p.3408)
ドイチ-ジョサ問題を解決するための効率的な量子アルゴリズムであるドイチ-ジョサアルゴリズム(Jones et al., (1998), "Implementation of a quantum algorithm on a nuclear magnetic resonance quantum computer,".The Journal of chemical physics, 109(5), pp.1648-1653., arXiv:quant-ph/9801027、およびDebnath et al., (2016)."Demonstration of a small programmable quantum computer with atomic qubits,".Nature, 536(7614), p.63., arXiv: 1603.04512)
古典的な最新の因数分解アルゴリズムに対して指数関数的に高速化できる、整数の因数分解の量子アルゴリズムであるショア(Shor)のアルゴリズム(Lu et al., (2007). "Demonstration of a compiled version of Shor's quantum factoring algorithm using photonic qubits,".Physical Review Letters, 99(25), p.250504., arXiv:0705.1684、およびMonz et al., (2016)."Realization of a scalable Shor algorithm,". Science, 351(6277), pp.1068-1070., arXiv:1507.08852)
【0091】
<物理学に着想を得たコンピュータシミュレータ>
物理学に着想を得たコンピュータの任意の種類のシミュレータおよびシミュレーションは、本明細書において開示される方法およびコンピューティングシステムの1つ以上の実施形態に適し得ることが理解されるであろう。物理学に着想を得たシミュレータは、物理学に着想を得たコンピュータによって提供される結果を模倣して、計算タスクに対する解を提供する任意の古典的なハードウェアを使用する任意のコンピュータ実装方法とし得ることが理解されるであろう。物理学に着想を得たシミュレータは人工知能の方法に基づく。物理学に着想を得たシミュレータは、例えば、任意の機械学習方法を含む。任意の機械学習方法は、例えば、教師あり機械学習方法及び教師なし機械学習方法などであり、それらの両方は、強化学習方法と組み合わされることができる。物理学に着想を得たシミュレータは、任意の強化学習方法を含むことができる。
【0092】
1つ以上の実施形態では、量子コンピュータシミュレータは、確率的フレームワークによって表される。これは、生成機械学習モデル、特に、制限ボルツマンマシン(Restricted Boltzmann Machine)を定義するパラメータの強化学習が、所与の量子ハミルトニアンの基底状態および時間依存物理状態のニューラルネットワーク表現を取得するために実行される。ネットワークの重みは、一般に、複素数値をとるべきであり、波動関数の振幅と位相との両方の完全な記述を提供する。ニューラルネットワークのパラメータは、静的変分モンテカルロサンプリングによって、または動的特性に関心がある場合には時間依存変分モンテカルロによって、最適化されている(ニューラルネットワークの言語で訓練されている)。詳細については、Carleo et al., 2017.Solving the quantum many-body problem with artificial neural networks.Science, 355(6325), pp.602-606, arXiv:1606.02318、およびMelko et al., (2019)."Restricted Boltzmann machines in quantum physics,".Nature Physics, 15(9), pp.887-892、およびTorlai et al., (2018) "Neural-network quantum state tomography,", Nature Physics 14, 447, arXiv: 1703.05334を参照されたい。
【0093】
1つ以上の他の実施形態では、量子コンピュータシミュレータは、ディープボルツマンマシン(Deep Boltzmann Machine)によって表される。この構成は、多体格子ハミルトニアンの大きなクラスの正確な基底状態を表すことができることを証明する。そのような実施形態では、隠れニューロンの2つの層は、可視層における物理学の自由度の間の量子相関を伝達する。この手法は、正確な虚数時間ハミルトニアン展開を再現し、完全に決定論的である。基底状態のコンパクトで正確なネットワーク表現は、ネットワークパラメータの確率的最適化なしに取得される。物理量は、物理学の自由度とニューロン自由度との両方の構成をサンプリングすることによって測定されることができる。詳細については、Carleo et al., (2018). "Constructing exact representations of quantum many-body systems with deep neural networks,". Nature communications, 9(1), p.5322を参照する。
【0094】
1つ以上の代替実施形態では、量子コンピュータシミュレータは、再帰ニューラルネットワーク(より正確には、いくつかのスタックされたゲート付き回帰型ユニット、またはGRUからなる構造)を含む。この種のスケーラブルな機械学習手順を使用することは、純粋状態と混合状態との両方を再構成することを可能にする。この方法は、量子システムの測定のみを必要とするので、実験的に優しいことが理解されるであろう。学習手順は、再構成の組み込み近似証明(built-in approximate certificate)を伴い、精査中の状態の純度についての仮定を行わない。これは、量子情報における原型状態、ならびに凝縮物質物理学に共通する局所スピンモデルの基底状態を含む広範な種類の複合システムを効率的に扱うことができる。この手順は、状態トモグラフィを、量子測定の統計の教師なし学習問題に低減することを含む。これは、複合量子装置の検証に対する最新の機械学習アプローチを構成する。これは、さらに、変分最適化に適した混合状態にわたるニューラルネットワーク量子回路(Ansatz)として関連性があることを証明することができる。詳細な説明については、Carrasquilla et al., (2019). "Reconstructing quantum states with generative models,".Nature Machine Intelligence, 1 (3), p.155, arXiv:1810.10584を参照する。
【0095】
量子コンピュータシミュレータは、量子状態トモグラフィデータに関して訓練される生成モデルを含み得ることが理解されるであろう。生成モデルは、量子状態を表すニューラルネットワークを含むことができる。
【0096】
ニューラルネットワークは、量子状態を説明する波動関数の関数表現として使用されることができる。ニューラルネットワーク量子状態トモグラフィは、ニューラルネットワーク量子状態を訓練するための可能な処理のうちの1つであることが当業者に理解されるであろう。
【0097】
量子状態トモグラフィ(QST)、測定を使用して量子状態を再構成することが量子装置を検証し、基準にする(benchmarking)ためのゴールドスタンダードであることを、当業者は理解するであろう(Cramer et al., "Efficient quantum state tomography," Nature Communications 1 no. 1, (2010)を参照)。QSTを使用して状態を正確に再構成するのに必要な測定の数および時間は、システムの大きさに応じて指数関数的にスケーリングする。ニューラルネットワークトモグラフィでは、
は、システムの1組の測定から再構成される。この戦略は、ニューラルネットワークの学習された確率分布を、波動関数の確率表現にマッピングする。
【0098】
<デジタルコンピュータ>
1つ以上の実施形態では、デジタルコンピュータは、デジタルコンピュータの機能を実行する1つ以上のハードウェア中央処理ユニット(CPU)を含む。1つ以上の実施形態では、デジタルコンピュータは、実行可能命令を実行するように構成された動作システムをさらに含む。1つ以上の実施形態では、デジタルコンピュータは、コンピュータネットワークに接続される。1つ以上の実施形態では、デジタルコンピュータは、インターネットに接続されて、ワールドワイドウェブ(World Wide Web)にアクセスする。1つ以上の実施形態では、デジタルコンピュータは、クラウドコンピューティング基盤に接続される。1つ以上の実施形態では、デジタルコンピュータは、イントラネットに接続される。1つ以上の実施形態では、デジタルコンピュータは、データ記憶装置に接続される。
【0099】
当業者は、様々な種類のデジタルコンピュータが使用され得ることを理解するであろう。実際には、好適なデジタルコンピュータは、非限定的な例として、サーバコンピュータ、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、ノートブックコンピュータ、サブノートブックコンピュータ、ネットブックコンピュータ、ネットブックコンピュータ、セットトップコンピュータ、メディアストリーミング装置、手持ちコンピュータ、インターネット家電製品、モバイルスマートフォン、タブレットコンピュータ、パーソナルデジタルアシスタント、ビデオゲーム装置および車両を含む。スマートフォンは、本明細書において説明される方法およびシステムの1つ以上の実施形態を用いて使用するのに適し得る。テレビ、ビデオプレーヤ、およびデジタル音楽プレーヤを選択することは、場合によってはコンピュータネットワーク接続性を用いて、本明細書において説明されるシステムおよび方法の1つ以上の実施形態における使用に適し得る。好適なタブレットコンピュータは、ブックレット、スレート、および転換可能な構成を有するタブレットコンピュータを含むことができる。
【0100】
1つ以上の実施形態では、デジタルコンピュータは、動作システムを含む。動作システムは、実行可能命令を実行するように構成される。動作システムは、例えば、プログラムおよびデータを含むソフトウェアとすることがでる。これらは、装置のハードウェアを管理し、アプリケーションの実行のためのサービスを提供する。当業者は、様々な種類の動作システムが使用され得ることを理解するであろう。実際には、好適なサーバ動作システムは、非限定的な例として、FreeBSD、OpenBSD、NetBSD(登録商標)、Linux、Apple(登録商標)、Mac OS X Server(登録商標)、Oracle(登録商標)、Solaris(登録商標)、Windows Server(登録商標)、およびNovell(登録商標)、NetWare(登録商標)を含む。好適なパーソナルコンピュータ動作システムは、非限定的な例として、Microsoft(登録商標)、Windows(登録商標)、Apple(登録商標)、Mac OS X(登録商標)、UNIX(登録商標)、およびGNU/Linux(登録商標)などのUNIXのような動作システムを含むことができる。1つ以上の実施形態では、動作システムは、クラウドコンピューティングによって提供される。好適なモバイルスマートフォン動作システムは、非限定的な例として、Nokia(登録商標)、Symbian(登録商標)OS、Apple(登録商標)iOS(登録商標)、Research In Motion(登録商標)、BlackBerry OS(登録商標)、Google(登録商標)Android(登録商標)、Microsoft(登録商標)Windows Phone(登録商標)OS、Microsoft(登録商標)Windows Mobile(登録商標)OS、Linux(登録商標)、およびPalm(登録商標)WebOS(登録商標)を含むことができる。好適なメディアストリーミング装置動作システムは、非限定的な例として、Apple TV(登録商標)、Roku(登録商標)、Boxee(登録商標)、Google TV(登録商標)、Google Chromecast(登録商標)、Amazon Fire(登録商標)、およびSamsung(登録商標)、HomeSync(登録商標)を含むことができる。好適なビデオゲーム装置動作システムは、非限定的な例として、Sony(登録商標)PS3(登録商標)、Sony(登録商標)PS4(登録商標)、Microsoft(登録商標)Xbox 360(登録商標)、Microsoft Xbox One、Nintendo(登録商標)Wii(登録商標)、Nintendo(登録商標)Wii U(登録商標)、およびOuya(登録商標)を含むことができる。
【0101】
1つ以上の実施形態では、デジタルコンピュータは、記憶装置および/またはメモリ装置を含む。当業者は、様々な種類の記憶装置および/またはメモリがデジタルコンピュータにおいて使用され得ることを理解するであろう。1つ以上の実施形態では、記憶装置および/またはメモリ装置は、データまたはプログラムを一時的または永続的に格納するために使用される1つ以上の物理装置を含む。1つ以上の実施形態では、装置は、揮発性メモリを含み、格納された情報を維持するために電力を必要とする。1つ以上の実施形態では、装置は、不揮発性メモリを含み、デジタルコンピュータに電力が供給されていないときでも格納された情報を保持する。1つ以上の実施形態では、不揮発性メモリはフラッシュメモリを含む。1つ以上の実施形態では、不揮発性メモリはダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)を含む。1つ以上の実施形態では、不揮発性メモリは強誘電体ランダムアクセスメモリ(FRAM)を含む。1つ以上の実施形態では、不揮発性メモリは相変化ランダムアクセスメモリ(PRAM)を含む。1つ以上の実施形態では、装置は、記憶装置を含む。記憶装置は、非限定的な例として、CD?ROM、DVD、フラッシュメモリ装置、磁気ディスクドライブ、磁気テープドライブ、光ディスクドライブ、およびクラウドコンピューティングに基づく記憶装置を含む。1つ以上の実施形態では、記憶装置および/またはメモリ装置は、本明細書において開示される装置などの装置の組合せを含む。
【0102】
1つ以上の実施形態では、デジタルコンピュータは表示装置を含む。表示装置は、ユーザに視覚情報を提供するために使用される。当業者は、様々な種類の表示装置が使用され得ることを理解するであろう。1つ以上の実施形態では、表示装置は、陰極線管(CRT)を含む。1つ以上の実施形態では、表示装置は、液晶表示装置(LCD)を含む。1つ以上の実施形態では、表示装置は、薄膜トランジスタ液晶表示装置(TFT-LCD)を含む。1つ以上の実施形態では、表示装置は、有機発光ダイオード(OLED)表示装置を含む。1つ以上の実施形態では、OLED表示装置は、パッシブマトリックスOLED(PMOLED)またはアクティブマトリックスOLED(AMOLED)表示装置を含む。1つ以上の実施形態では、表示装置はプラズマ表示装置を含む。1つ以上の実施形態では、表示装置はビデオプロジェクタを含む。1つ以上の実施形態では、表示装置は、本明細書において開示される装置などの装置の組合せを含む。
【0103】
1つ以上の実施形態では、デジタルコンピュータは、入力装置を含み、ユーザから情報を受信する。当業者は、様々な種類の入力装置を使用し得ることを理解するであろう。1つ以上の実施形態では、入力装置はキーボードを含む。1つ以上の実施形態では、入力装置は、ポインティング装置を含む。ポインティング装置は、非限定的な例として、マウス、トラックボール、トラックパッド、ジョイスティック、ゲームコントローラ、またはスタイラスを含む。1つ以上の実施形態では、入力装置は、タッチスクリーンまたはマルチタッチスクリーンを含む。1つ以上の実施形態では、入力装置は、音声または他の音入力を捕捉するためのマイクロフォンを含む。1つ以上の実施形態では、入力装置は、動作または視覚入力を捕捉するためのビデオカメラまたは他のセンサを含む。1つ以上の実施形態では、入力装置は、Kinect、Leap Motionなどを含む。1つ以上の実施形態では、入力装置は、本明細書において開示される装置などの装置の組合せを含む。
【0104】
ここで
図1を参照すると、量子コンピュータおよび量子コンピュータシミュレータへのアクセスを提供するためのシステム100の一実施形態が示される。
【0105】
システム100は、デジタルコンピュータ110を含む。デジタルコンピュータ110は、処理装置112と、とりわけ要求を生成するために処理装置によって実行可能なコンピュータプログラムを含むメモリ114とを含む。上述されたように、デジタルコンピュータ110は、様々な種類のデジタルコンピュータとし得ることが理解されるであろう。要求がデジタルコンピュータ110によって生成される実施形態が開示されるが、要求は様々な代替実施形態に従って提供され得ることが理解されるであろう。
【0106】
図1に開示される実施形態では、システム100は、コンピューティングプラットフォーム120をさらに含む。コンピューティングプラットフォーム120は、可変なパラメータを含む、少なくとも1つの物理学に着想を得たコンピュータシミュレータと、少なくとも1つの任意選択の物理学に着想を得たコンピュータとを含む。1つ以上の代替実施形態では、コンピューティングプラットフォーム120は、少なくとも1つの物理学に着想を得たコンピュータシミュレータを含む。
【0107】
システム100は、コンピューティングシステム118をさらに含む。より正確には、コンピューティングシステム118は、通信インタフェース140、制御ユニット126、任意選択の訓練ユニット128、およびメモリ130を含む。デジタルコンピュータ110は、通信インタフェース140を介して、図示されていないデータネットワークを使用して、コンピューティングシステム118に動作可能に接続される。
【0108】
コンピューティングプラットフォームの少なくとも1つの任意選択の物理学に着想を得たコンピュータは、様々な種類のものとすることができる。例えば、1つ以上の実施形態では、少なくとも1つの任意選択の物理学に着想を得たコンピュータは、量子コンピュータ122を含む。量子コンピュータ122は、非古典的なコンピュータの実施形態であることが、当業者に理解されるであろう。
【0109】
量子コンピュータ122は、様々な種類の量子コンピュータとし得ることが理解されるであろう。実際には、1つ以上の実施形態では、量子コンピュータ122は、NISQ装置、超伝導量子コンピュータ、イオントラップ量子コンピュータ、量子焼きなまし、光量子コンピュータ、スピンに基づく量子ドットコンピュータ、およびフォトニックに基づく量子コンピュータからなるグループから選択されることが理解されるであろう。
【0110】
1つ以上の実施形態では、少なくとも1つの物理学に着想を得たコンピュータシミュレータの種類は、任意選択の物理学に着想を得たコンピュータに対応する。
【0111】
1つ以上の実施形態では、少なくとも1つの物理学に着想を得たコンピュータシミュレータは、量子コンピュータシミュレータ124を含む。1つ以上の実施形態では、物理学に着想を得たコンピュータシミュレータは事前訓練されることが当業者に理解されるであろう。
【0112】
1つ以上の実施形態では、少なくとも1つの量子コンピュータシミュレータ124は、確率的フレームワークによって表される。強化学習は、任意選択の訓練ユニット128によって使用されて、生成機械学習モデルを定義するパラメータを改善させる。1つ以上の実施形態では、生成機械学習モデルは、制限ボルツマンマシンである。別の実施形態では、生成機械学習モデルは、ディープボルツマンマシン、順伝播ニューラルネットワークおよび再帰ニューラルネットワークからなるグループから選択される。ネットワークの重みは、複素数値をとることができ、振幅と波動関数の位相との両方の完全な記述を提供する。1つ以上の実施形態では、ニューラルネットワークのパラメータは、静的変分モンテカルロサンプリングを使用して最適化される。別の実施形態では、動的特性は、ニューラルネットワークのパラメータが時間依存変分モンテカルロを使用して最適化されることに関心がある。
【0113】
1つ以上の代替実施形態では、量子コンピュータシミュレータは、ディープボルツマンマシンによって表される。そのような実施形態では、隠れニューロンの2つの層は、可視層における物理学の自由度の間の量子相関を伝達するために使用される。このような方法は、正確な虚数時間ハミルトニアン展開を再現し、決定論的であることが理解されるであろう。基底状態のネットワーク表現を取得するために、ネットワークパラメータの確率的最適化は必要とされない。物理量は、物理学の自由度とニューロン自由度との両方の構成をサンプリングすることによって測定され得ることがさらに理解されるであろう。
【0114】
1つ以上の代替実施形態では、量子コンピュータシミュレータは、再帰ニューラルネットワークを含む。より正確には、量子コンピュータシミュレータは、いくつかのスタックされたゲート付き回帰型ユニットまたはGRUからなる構造を含む。この種のスケーラブルな機械学習手順を使用することは、純粋状態と混合状態との両方を再構成することを可能にする。この方法は、量子システムの測定を含む。学習手順は、再構成の組み込み近似証明を含み、検査中の状態の純度について仮定を行わない。学習手順は、状態トモグラフィを、量子測定の統計の教師なし学習問題に低減することを含む。
【0115】
さらに
図1を参照すると、コンピューティングシステム118は、要求を受信するための通信インタフェース140を含むことが理解されるであろう。要求は処理装置によって提供されることが理解されるであろう。1つ以上の実施形態では、処理装置はデジタルコンピュータである。要求は、様々な実施形態に従って提供され得ることがさらに理解されるであろう。1つ以上の実施形態では、要求は、処理装置によって、データネットワークを介して通信インタフェース140に提供される。
【0116】
通信インタフェース140は、様々な実施形態に従って実装され得ることが理解されるであろう。1つ以上の実施形態では、通信インタフェース140は、ユーザが計算タスクを送信して、計算の解を受信することを可能にするように構成されたアプリケーションプログラミングインタフェース(API)ゲートウェイを使用して実装される。
【0117】
1つ以上の実施形態では、アプリケーションプログラミングインタフェース(API)ゲートウェイは、コンピューティングシステムのユーザを認証するようにプログラムまたは構成される。複数の実施形態のうちの1つでは、アプリケーションプログラミングインタフェース(API)ゲートウェイは、システムおよびデータセキュリティを監視するようにプログラムまたは構成される。一例として、アプリケーションプログラミングインタフェース(API)ゲートウェイは、要求と応答との暗号化についてセキュアソケットレイヤ(SSL:secure sockets layer)を使用することができる。複数の実施形態のうちの1つでは、アプリケーションプログラミングインタフェース(API)ゲートウェイは、データトラフィックを監視するようにプログラムまたは構成される。
【0118】
要求は、少なくとも1つの物理学に着想を得たコンピュータシミュレータを使用して処理するための少なくとも1つの計算タスクを含む。
【0119】
1つ以上の実施形態では、要求は、少なくとも1つの任意選択の物理学に着想を得たコンピュータと、少なくとも1つの物理学に着想を得たコンピュータシミュレータとのうちの少なくとも1つについての選択の標示をさらに含むことが理解されるであろう。
【0120】
少なくとも1つの計算タスクは、様々な種類の計算タスクとし得ることが理解されるであろう。1つ以上の実施形態では、少なくとも1つの計算タスクは、最適化タスクを含む。1つ以上の代替実施形態では、少なくとも1つの計算タスクは、確率分布からのサンプリングを含む。1つ以上の代替実施形態では、少なくとも1つの計算タスクは、データベース検索、ドイチ-ジョサ問題の解決、量子化学関連問題の解決、および整数の因数分解からなるグループから選択される任意の計算タスクを含む。
【0121】
1つ以上の実施形態では、少なくとも1つの計算タスクと少なくとも1つの対応する解とが少なくとも1つの物理学に着想を得たコンピュータシミュレータを改善させるために、訓練目的で使用可能であるという標示を、要求はさらに含むことができることがさらに理解されるであろう。
【0122】
さらに
図1を参照すると、コンピューティングシステム118は、メモリ130をさらに含む。メモリ130は、制御ユニット126と、少なくとも1つの物理学に着想を得たコンピュータシミュレータとに動作可能に接続される。メモリ130は、少なくとも1つの計算タスクのうちの1つ以上を格納するように構成される。メモリ130は、データ集合を格納するためにさらに使用される。このデータ集合は、要求に含まれて、少なくとも1つの計算タスクを実行するために要求される。メモリ130は、少なくとも1つの物理学に着想を得たコンピュータシミュレータの可変なパラメータを格納するためにさらに使用される。最後に、メモリ130は、受信された少なくとも1つの対応する解を格納するためにも使用される。
【0123】
1つ以上の実施形態では、要求は、計算タスクを実行するための、少なくとも1つの任意選択の物理学に着想を得たコンピュータと、少なくとも1つの物理学に着想を得たコンピュータシミュレータとのうちの少なくとも1つについての選択の標示をさらに含み、メモリ130は、選択を格納するためにさらに使用される。
【0124】
メモリ130は、制御ユニット126および少なくとも1つの物理学に着想を得たコンピュータシミュレータに動作可能に接続されることが理解されるであろう。1つ以上の実施形態では、メモリ130は、制御ユニット126、任意選択の訓練ユニット128、および少なくとも1つの物理学に着想を得たコンピュータシミュレータによってアクセスされる。
【0125】
さらに、メモリ130は、様々な種類のメモリとし得ることが理解されるであろう。例えば、1つ以上の実施形態では、メモリ130はデータベースから構成される。多くの種類のデータベースがデータの記憶および検索に適し得ることが当業者に理解されるであろう。1つ以上の実施形態では、好適なデータベースは、非限定的な例として、関係データベース、非関係データベース、オブジェクト指向データベース、オブジェクトデータベース、実体関係モデルデータベース(entity-relationship model databases)、連想データベース、およびXMLデータベースを含む。1つ以上の実施形態では、データベースはインターネットに基づく。1つ以上の実施形態では、データベースはウェブに基づく。1つ以上の実施形態では、データベースは、クラウドコンピューティング(例えば、クラウド上)に基づく。他の実施形態では、データベースは、1つ以上のローカルコンピュータ記憶装置に基づく。1つ以上の実施形態では、解決された問題に対する解は、データベースによって保持される。1つ以上の実施形態では、要求と共に送信されるデータは、データベース内にも格納される。
【0126】
さらに
図1を参照すると、コンピューティングシステム118は、制御ユニット126をさらに含むことが理解されるであろう。制御ユニット126は、通信インタフェース140、メモリ130、任意選択の訓練ユニット128、およびコンピューティングプラットフォーム120に動作可能に接続される。
【0127】
制御ユニット126は、受信された要求に含まれる少なくとも1つの計算タスクを、少なくとも1つの任意選択の物理学に着想を得たコンピュータおよび少なくとも1つの物理学に着想を得たコンピュータシミュレータのうちの少なくとも1つのための命令に変換するために使用される。さらに、制御ユニット126は、少なくとも1つの任意選択の物理学に着想を得たコンピュータおよび少なくとも1つの物理学に着想を得たコンピュータシミュレータのうちの少なくとも1つに命令を伝送して、計算タスクを実行するためにさらに使用されることが理解されるであろう。
【0128】
制御ユニット126は、少なくとも1つの任意選択の物理学に着想を得たコンピュータおよび少なくとも1つの物理学に着想を得たコンピュータシミュレータのうちの少なくとも1つから、計算タスクに対する少なくとも1つの対応する解を受信するためにさらに使用される。
【0129】
1つ以上の実施形態では、コンピューティングシステム118は、訓練ユニット128をさらに含み、訓練ユニット128は、少なくとも1つの物理学に着想を得たコンピュータシミュレータに動作可能に接続されることが理解されるであろう。
【0130】
任意選択の訓練ユニット128は、少なくとも1つの物理学に着想を得たコンピュータシミュレータを訓練するために使用される。そのような実施形態では、少なくとも1つの計算タスクおよび少なくとも1つの対応する解が、少なくとも1つの物理学に着想を得たコンピュータシミュレータを改善させるために、訓練目的で使用可能であるという標示が受信される場合、制御ユニット126は、命令および対応する少なくとも1つの解を、任意選択の訓練ユニット128に伝送するためにさらに使用されることが理解されるであろう。
【0131】
1つ以上の実施形態では、少なくとも1つの物理学に着想を得たコンピュータシミュレータの種類は、物理学に着想を得たコンピュータに対応し、訓練ユニット128は、物理学に着想を得たコンピュータに伝送された命令を少なくとも使用して、および物理学に着想を得たコンピュータから取得された少なくとも1つの対応する解を使用して、少なくとも1つの物理学に着想を得たコンピュータシミュレータを訓練するために使用される。1つ以上の実施形態では、物理学に着想を得たコンピュータのための命令と、少なくとも1つの物理学に着想を得たコンピュータシミュレータのための命令とは同一であることが理解されるであろう。
【0132】
1つ以上の実施形態では、少なくとも1つの物理学に着想を得たコンピュータシミュレータは、コンピュータ実装方法を含むことがさらに理解されるであろう。この方法は、所与の入力について物理学に着想を得たコンピュータの出力を模倣することと、訓練ユニット128を使用して前述の可変なパラメータのうちの少なくとも1つを更新し、それによって対応する性能を改善させることとを含む。
【0133】
任意選択の訓練ユニット128は、様々な種類の訓練ユニットとし得ることが理解されるであろう。実際には、1つ以上の実施形態では、少なくとも1つの物理学に着想を得たコンピュータシミュレータの性能を改善させるために使用される任意選択の訓練ユニット128は、人工知能に基づく方法を使用して、物理学に着想を得たコンピュータシミュレータの可変なパラメータを更新するコンピュータ実装方法であることが理解されるであろう。
【0134】
1つ以上の実施形態では、任意選択の訓練ユニット128は、ニューラルネットワークを含む。ニューラルネットワークは、様々な種類のニューラルネットワークとし得ることが当業者に理解されるであろう。1つ以上の実施形態では、ニューラルネットワークは、制限ボルツマンマシンを含む。1つ以上の他の実施形態では、ニューラルネットワークは、ディープボルツマンマシンを含む。さらに1つ以上の他の実施形態では、ニューラルネットワークは、回帰ニューラルネットワークを含む。代替実施形態では、ニューラルネットワークは、順伝播型ニューラルネットワークを含む。可変なパラメータは、ニューラルネットワークの重みを含み得ることが理解されるであろう。1つ以上の実施形態では、訓練ユニット128は、関数近似器を含む。可変なパラメータは、関数近似パラメータを含むことができる。
【0135】
訓練ユニット128は、様々な実施形態に従って実装され得ることが当業者に理解されるであろう。より正確には、訓練ユニット128は、テンソル処理ユニット(TPU)、グラフィカル処理ユニット(GPU)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、および特定用途向け集積回路(ASIC)のうちの少なくとも1つを含むことができる。当業者は、訓練ユニット128を実装するために、様々な代替実施形態が提供され得ることを理解するであろう。
【0136】
1つ以上の実施形態では、制御ユニット126は、計算タスクを、任意選択の物理学に着想を得たコンピュータおよび物理学に着想を得たコンピュータシミュレータのうちの少なくとも1つのための命令に変換することを実行するワーカー(worker)を生成するためにプログラムされる。そのような実施形態では、生成されたワーカーは、計算タスクを実行するための選択に従って、少なくとも1つの任意選択の物理学に着想を得たコンピュータおよび少なくとも1つの物理学に着想を得たコンピュータシミュレータのうちの少なくとも1つに命令を伝送する。さらに、この実施形態では、生成されたワーカーは、少なくとも1つの対応する解を受信して、命令および少なくとも1つの対応する解を任意選択の訓練ユニット128に伝送する。
【0137】
1つ以上の実施形態では、コンピューティングシステム118は、任意選択の待ち行列ユニットをさらに含むことができ、待ち行列ユニットは、中央待ち行列とも呼ばれ、
図1に示されていないことが理解されるであろう。そのような任意選択の待ち行列ユニットは、基準に従って、受信された複数の要求を待ち行列化するようにプログラムされる。1つ以上の実施形態では、所与の要求は、待ち行列内の要求の順序を維持し、メッセージを失うことを防止するために、待ち行列内に置かれることが理解されるであろう。
【0138】
ここで
図2を参照すると、システム2000の一実施形態が示される。システム2000は、デジタルコンピュータ110と、コンピューティングプラットフォーム120と、量子コンピュータおよび量子コンピュータシミュレータのうちの少なくとも1つを含むコンピューティングプラットフォーム120へのアクセスをデジタルコンピュータ110に提供するために使用されるコンピューティングシステム200の別の実施形態とを含む。
【0139】
量子コンピュータ122は、物理学に着想を得たコンピュータの実施形態であり、一方で、量子コンピュータシミュレータ124は、物理学に着想を得たコンピュータシミュレータの実施形態であることが理解されるであろう。
【0140】
この実施形態では、コンピューティングシステム200は、APIゲートウェイ202と、メモリ130と、制御ユニット126と、訓練ユニット128とを含むことが理解されるであろう。
【0141】
そのうえ、さらに説明されるように、制御ユニット126は、中央待ち行列204と、クラスタマネージャ208と、ワーカーファーム206と、中央ログ210とを含む。
【0142】
この実施形態では、計算タスクを含む要求は、デジタルコンピュータ110によってAPIゲートウェイ202に送信される。次に、受信された要求は、まず、制御ユニット126の中央待ち行列204によって処理される。中央待ち行列204は、受信された要求を待ち行列内に置く。当業者は、待ち行列が、受信された要求の数に応じて様々な大きさを有し得ることを理解するであろう。
【0143】
メモリ130は、中央待ち行列204に動作可能に接続される。特に、メモリ130は、とりわけ中央待ち行列204と通信して、待ち行列の状態およびトランザクションを記録する。
【0144】
中央待ち行列204は、さらに、待ち行列の現在の状態をクラスタマネージャ208に送信する。
【0145】
クラスタマネージャ208は、開始して、特定の種類の計算構成要素の存続期間を制御することが理解されるであろう。より正確には、クラスタマネージャ208は、ワーカーファーム206内の少なくとも1つのワーカーを開始して、計算を実行する。これは、例えば、特定の量子計算の受信された命令に変換し、デジタルプロセッサおよび量子プロセッサを制御して計算タスクを実行することである。
【0146】
図2に示される実施形態では、ワーカーファーム206は、第1のワーカー212と、第2のワーカー214と、第3のワーカー216とを含む。当業者は、複数のワーカーが任意の数のワーカーを含み得ることを理解するであろう。1つ以上の実施形態では、割り当てられたタスクを完了したワーカーは、次に、クラスタマネージャ208によって破棄されることが理解されるであろう。
【0147】
図2に示される実施形態では、中央ログ210は、ワーカーファーム206と通信して、すべてのイベントを記録する。実際には、中央ログ210は、別のタスク実行において発生するイベントの追跡を担当することが理解されるであろう。したがって、1つ以上の実施形態では、すべての実行は、イベントの対応するログを中央ログ210に送信する。イベントは、タスクの実行の開始、タスクの実行の終了、タスクの実行の間に発生する誤り、通信中断などからなるグループから選択される。当業者は、様々な代替の実施形態がイベントについて提供され得ることを理解するであろう。
【0148】
コンピューティングシステム200の特定の実施形態が
図2に開示されるが、コンピューティングシステム200について様々な代替実施形態が可能であることが当業者に理解されるであろう。
【0149】
ここで
図3を参照すると、任意選択の訓練ユニットを使用して、物理学に着想を得たコンピュータシミュレータを訓練するための方法の実施形態が示される。物理学に着想を得たコンピュータシミュレータを訓練する目的は、その性能を改善させることであることが理解されるであろう。
【0150】
より正確には、1つ以上の実施形態では、物理学に着想を得たコンピュータシミュレータを訓練するための方法は、機械学習訓練手順を使用することを含む。
【0151】
物理学に着想を得たコンピュータシミュレータは、任意の適切な物理学に着想を得たコンピュータシミュレータとすることができ、例えば、
図1に開示されたシステム100または
図2に開示されたシステム2000に関して本明細書において説明された任意の物理学に着想を得たコンピュータシミュレータであることが理解されるであろう。
【0152】
任意選択の訓練ユニットは、任意の適切な訓練ユニットとすることができる。これは、例えば、
図1に開示されたコンピューティングシステム118に関して本明細書において説明された任意の訓練ユニット、または
図2のコンピューティングシステム126において説明された訓練ユニット128である。少なくとも1つの任意選択の物理学に着想を得たコンピュータを使用する選択がなされ、訓練目的のために計算タスクを使用する承認が与えられる場合、少なくとも1つの計算タスクと少なくとも1つの対応する解とは、少なくとも1つの物理学に着想を得たコンピュータシミュレータを訓練する目的のために、任意選択の訓練ユニットに提供されることができる。これに応答して、任意選択の訓練ユニットは、機械学習プロトコルに基づいて手順を実行し、少なくとも1つの物理学に着想を得たコンピュータシミュレータの可変なパラメータを更新することができる。1つ以上の実施形態では、少なくとも1つの任意選択の物理学に着想を得たコンピュータを使用する選択がなされ、訓練目的のために少なくとも1つの計算タスクを使用する承認が与えられる場合、命令および少なくとも1つの対応する解がメモリ内に格納される。
【0153】
さらに
図3を参照すると、処理ステップ302によれば、命令の少なくとも1つのインスタンスと少なくとも1つの対応する解とが、任意選択の訓練ユニットを使用してメモリから選択される。選択は、様々な基準に基づくことができ、基準は、例えば、命令の格納されたインスタンスと少なくとも1つの対応する解との時系列に基づくことが当業者に理解されるであろう。1つ以上の実施形態では、選択は、命令の格納されたインスタンスと少なくとも1つの対応する解とに関連付けられた少なくとも1つの優先順位に基づく。
【0154】
さらに
図3を参照すると、処理ステップ304によれば、命令の選択された少なくとも1つのインスタンスと少なくとも1つの対応する解とに対応する総誤差が計算される。総誤差を計算するために様々な実施形態を使用し得ることが当業者に理解されるであろう。1つ以上の実施形態では、総誤差の計算は、平均二乗誤差に基づく。1つ以上の代替実施形態では、総誤差の計算は、交差エントロピーに基づく。1つ以上の代替実施形態では、総誤差の計算は、平均絶対誤差に基づく。総誤差の計算は、物理学に着想を得たコンピュータシミュレータを訓練するために使用される機械学習手順に依存し得ることがさらに理解されるであろう。
【0155】
さらに
図3を参照すると、処理ステップ306によれば、機械学習プロトコルに基づく手順が、任意選択の訓練ユニットを使用して実行される。機械学習プロトコルは、様々な種類の機械学習プロトコルとし得ることが理解されるであろう。1つ以上の実施形態では、機械学習プロトコルは、教師あり学習、教師なし学習、および強化学習からなるグループから選択されるメンバである。1つ以上の実施形態において、この手順は、誤差逆伝播法を含む。この手順は、可変なパラメータに関する導関数を計算することを含み得ることが理解されるであろう。この手順は、バッチ勾配降下法、確率的勾配降下法およびミニバッチ勾配降下法からなるグループから選択される少なくとも1つのメンバをさらに含むことができる。この手順は任意の最適化方法を含み得ることが当業者に理解されるであろう。
【0156】
さらに
図3を参照し、処理ステップ308によれば、物理学に着想を得たシミュレータの可変なパラメータは、任意選択の訓練ユニットを使用して更新される。1つ以上の実施形態では、可変なパラメータは、ニューラルネットワークの重みを含むことが理解されるであろう。ニューラルネットワークは、制限ボルツマンマシン、ディープボルツマンマシン、順伝播型ニューラルネットワーク、および再帰ニューラルネットワークからなるグループから選択される少なくとも1つのメンバを含み得ることがさらに理解されるであろう。
【0157】
更新は、様々な実施形態に従って実行されることができる。例えば、1つ以上の実施形態では、任意選択の訓練ユニットは、物理学に着想を得たコンピュータシミュレータの可変なパラメータを直接更新する。1つ以上の他の実施形態では、任意選択の訓練ユニットは、メモリ内に格納された物理学に着想を得たコンピュータシミュレータの可変なパラメータを更新する。次に、物理学に着想を得たコンピュータシミュレータは、メモリ内に格納された更新された値にアクセスして読み取る。当業者は、物理学に着想を得たコンピュータシミュレータの可変なパラメータを更新するために、様々な代替実施形態を提供し得ることを理解するであろう。
【0158】
ここで
図4を参照すると、物理学に着想を得たコンピューティングリソースおよびそのシミュレーションへの遠隔アクセスを可能にする方法の実施形態が示される。1つ以上の実施形態では、物理学に着想を得たコンピューティングリソースは、少なくとも1つの任意選択の物理学に着想を得たコンピュータを含む。任意選択の物理学に着想を得たコンピュータは、任意の適切な物理学に着想を得たコンピュータとすることができ、例えば、
図1に開示されたシステム100または
図2に開示されたシステム2000に関して本明細書において説明された任意の物理学に着想を得たコンピュータであることが理解されるであろう。1つ以上の実施形態では、任意選択の物理学に着想を得たコンピュータは、量子コンピュータを含む。量子コンピュータは、任意の適切な量子コンピュータとすることができる。これは、例えば、
図1に開示されたシステム100または
図2に開示されたシステム2000に関して本明細書において説明された任意の量子コンピュータである。
【0159】
したがって、量子コンピュータおよび量子コンピュータシミュレータがさらに
図4に開示される、一方で、
図4に開示される方法は、より一般的に、物理学に着想を得たコンピュータへの遠隔アクセスを可能にすることが理解されるべきである。その一例は、量子コンピュータおよび物理学に着想を得たコンピュータシミュレータであり、その一例は、量子コンピュータシミュレータである。
【0160】
さらに
図4を参照すると、処理ステップ402によれば、要求が受信され、その要求は、少なくとも1つの計算タスクと、少なくとも1つの計算タスクを処理するために使用する、物理学に着想を得たコンピュータおよび少なくとも1つの物理学に着想を得たコンピュータシミュレータのうちの少なくとも1つの選択の標示とを含む。
【0161】
要求は、様々な実施形態に従って受信され得ることが理解されるであろう。1つ以上の実施形態では、要求は、データネットワークを介して計算システムの通信インタフェースによって受信される。1つ以上の実施形態では、要求は、データネットワークを介して通信インタフェースに動作可能に接続されたデジタルコンピュータによって送信される。
【0162】
デジタルコンピュータは、任意の適切なデジタルコンピュータとすることができ、例えば、
図1に開示されたシステム100または
図2に開示されたシステム2000に関して本明細書において説明された任意のデジタルコンピュータであることが理解されるであろう。
【0163】
さらに、通信インタフェースは、様々な種類の通信インタフェースとし得ることが理解されるであろう。1つ以上の実施形態では、通信インタフェースは、APIゲートウェイを含む。選択は、少なくとも1つの任意選択の物理学に着想を得たコンピュータと少なくとも1つの物理学に着想を得たコンピュータシミュレータとのうちの少なくとも1つについての選択である。1つ以上の実施形態では、少なくとも1つの対応する計算タスクに対する少なくとも1つの対応する生成された解が、訓練目的のために使用可能であるという標示を、要求はさらに含むことが理解されるであろう。より正確には、以下でさらに説明されるように、少なくとも1つの対応する生成された解と少なくとも1つの対応する計算タスクとは、次に、少なくとも1つの物理学に着想を得たコンピュータシミュレータを訓練するために使用されることができる。
【0164】
少なくとも1つの計算タスクは、様々な種類の計算タスクとし得ることが当業者に理解されるであろう。1つ以上の実施形態では、少なくとも1つの計算タスクは最適化タスクを含む。1つ以上の代替実施形態では、少なくとも1つの計算タスクは、確率分布からのサンプリングを含む。1つ以上の代替実施形態では、少なくとも1つの計算タスクは、データベース検索、ドイチ-ジョサ問題の解決、量子化学関連問題の解決、および整数の因数分解からなるグループの任意のメンバを含む。
【0165】
さらに
図4を参照すると、処理ステップ404によれば、受信された要求は、待ち行列内に置かれる。1つ以上の実施形態では、受信された要求は、コンピューティングシステム内に配置された待ち行列ユニットを使用して、待ち行列内に置かれる。この処理ステップは任意選択であることが理解されるであろう。
【0166】
さらに
図4を参照すると、処理ステップ406によれば、受信された要求は変換される。受信された要求は、処理ステップ404が実行される、または実行されないに応じて、待ち行列内に置かれるまたは置かれないとし得ることが理解されるであろう。実際には、受信された要求は、量子コンピュータおよび量子コンピュータシミュレータのうちの少なくとも1つに適した命令に変換されることが理解されるであろう。
【0167】
1つ以上の実施形態では、変換は、コンピューティングシステムの制御ユニットを使用して実行される。受信された要求を変換するために、様々な代替実施形態が提供され得ることが理解されるであろう。量子コンピュータシミュレータは、任意の適切な量子コンピュータシミュレータとすることができ、例えば、
図1に開示されたシステム100または
図2に開示されたシステム2000に関して本明細書において説明された任意の量子コンピュータシミュレータであることが理解されるであろう。
【0168】
さらに
図4を参照すると、処理ステップ408によれば、決定が行われる。決定の目的は、量子コンピュータまたは量子コンピュータシミュレータが、命令を実行するために使用されるべきかどうかを決定することであることが理解されるであろう。決定は、様々な実施形態に従って行われ得ることが理解されるであろう。1つ以上の実施形態では、決定は、ユーザの選択に基づいて行われる。1つ以上の代替実施形態では、決定は、様々な他の考慮事項に基づいて行われる。
【0169】
量子コンピュータが、命令を実行するために使用されるべきであるという決定である場合、処理ステップ410によれば、命令は量子コンピュータに伝送される。命令は、当業者に既知の様々な実施形態に従って、量子コンピュータに伝送され得ることが理解されるであろう。
【0170】
処理ステップ414によれば、命令は、量子コンピュータを使用して実行され、命令の実行から結果として得られる、少なくとも1つの対応する解が生成される。
【0171】
量子コンピュータシミュレータが、命令を実行するために使用されるべきであるという決定である場合には、処理ステップ412によれば、命令は、量子コンピュータシミュレータに伝送される。命令は、当業者に既知の様々な実施形態に従って、量子コンピュータシミュレータに伝送され得ることが理解されるであろう。
【0172】
処理ステップ416によれば、命令は、次に、量子コンピュータシミュレータを使用して実行され、命令の実行から結果として得られる、少なくとも1つの対応する解が生成される。
【0173】
さらに
図4を参照すると、処理ステップ418によれば、命令の実行から結果として得られる、少なくとも1つの対応する生成された解が受信される。1つ以上の実施形態では、少なくとも1つの対応する生成された解は、コンピューティングシステムの制御ユニットを使用して受信される。
【0174】
処理ステップ420によれば、少なくとも1つの対応する生成された解は、メモリ内に格納される。1つ以上の実施形態では、少なくとも1つの対応する生成された解は、制御ユニットによってコンピューティングシステムのメモリ内に格納される。
【0175】
さらに
図4を参照すると、処理ステップ422によれば、少なくとも1つの対応する生成された解が、デジタルコンピュータに提供される。1つ以上の実施形態では、少なくとも1つの対応する生成された解は、データネットワークを介してデジタルコンピュータに提供される。
【0176】
処理ステップ420および422は、少なくとも1つの対応する生成された解を提供する実施形態であることが理解されるであろう。
【0177】
少なくとも1つの対応する生成された解が、少なくとも1つの量子コンピュータから取得される実施形態では、この方法は、少なくとも1つの対応する生成された解と少なくとも1つの計算タスクとを使用して、量子コンピュータシミュレータを訓練することをさらに含み得ることが理解されるであろう。
【0178】
さらに、1つ以上の実施形態では、少なくとも1つの計算タスクおよび少なくとも1つの対応する生成された解が訓練目的のために使用可能であるという標示を、要求が含む場合、訓練が実行されることが理解されるであろう。
【0179】
1つ以上の実施形態では、訓練は、少なくとも1つの対応する生成された解と少なくとも1つの計算タスクとを使用して、機械学習プロトコルに基づいて手順を実行することと、それに応じて量子コンピュータシミュレータの可変なパラメータを更新することとを含む。
【0180】
ここで
図5を参照すると、可変なパラメータを含む、少なくとも1つの物理学に着想を得たコンピュータシミュレータを含むコンピューティングプラットフォームへの遠隔アクセスを可能にするための方法の実施形態を示すフローチャートの実施形態が示される。より正確には、
図5は、データネットワークを介して物理学に着想を得たコンピュータシミュレータを使用するための方法を説明する。
【0181】
物理学に着想を得たコンピュータシミュレータは、任意の適切な物理学に着想を得たコンピュータとすることができ、例えば、
図1に開示されたシステム100または
図2に開示されたシステム2000に関して本明細書において説明された任意の物理学に着想を得たコンピュータであることが理解されるであろう。1つ以上の実施形態において、物理学に着想を得たコンピュータシミュレータのパラメータは、メモリ内に格納される。
【0182】
処理ステップ502によれば、少なくとも1つの計算タスクを含む要求が受信される。
【0183】
要求は、様々な実施形態に従って受信され得ることが理解されるであろう。1つ以上の実施形態では、要求は、データネットワークを介してコンピューティングシステムの通信インタフェースによって受信される。1つ以上の実施形態では、要求は、データネットワークを介して通信インタフェースに動作可能に接続されたデジタルコンピュータによって送信される。
【0184】
デジタルコンピュータは、任意の適切なデジタルコンピュータとすることができ、例えば、
図1に開示されたシステム100または
図2に開示されたシステム2000に関して本明細書において説明された任意のデジタルコンピュータであることを理解されたい。
【0185】
さらに
図5を参照すると、処理ステップ504によれば、受信された要求は変換される。実際には、受信された要求は、少なくとも1つの物理学に着想を得たコンピュータシミュレータに適した命令に変換されることが理解されるであろう。
【0186】
1つ以上の実施形態では、変換は、コンピューティングシステムの制御ユニットを使用して実行される。受信された要求を変換するために、様々な代替実施形態が提供され得ることが理解されるであろう。
【0187】
さらに
図5を参照すると、処理ステップ506によれば、命令は、少なくとも1つの物理学に着想を得たコンピュータシミュレータに伝送される。
【0188】
1つ以上の実施形態では、命令は、制御ユニットを使用して、少なくとも1つの物理学に着想を得たコンピュータシミュレータに伝送される。1つ以上の実施形態では、命令はメモリ内に格納される。
【0189】
さらに
図5を参照すると、処理ステップ508によれば、命令は、少なくとも1つの物理学に着想を得たコンピュータシミュレータを使用して実行され、少なくとも1つの対応する解は、物理学に着想を得たコンピュータシミュレータによって生成される。
【0190】
さらに
図5を参照すると、処理ステップ510によれば、少なくとも1つの対応する生成された解が受信される。
【0191】
少なくとも1つの対応する生成された解は、様々な実施形態に従って受信され得ることが理解されるであろう。1つ以上の実施形態では、少なくとも1つの対応する生成された解は、コンピューティングシステムの制御ユニットを使用して受信される。1つ以上の実施形態では、少なくとも1つの対応する生成された解は、メモリ内に格納される。
【0192】
さらに
図5を参照すると、処理ステップ512によれば、少なくとも1つの対応する生成された解は、デジタルコンピュータに提供される。
【0193】
少なくとも1つの対応する生成された解は、様々な実施形態に従ってデジタルコンピュータに提供され得ることが理解されるであろう。1つ以上の実施形態では、少なくとも1つの対応する生成された解は、コンピューティングシステムの通信インタフェースとデータネットワークとを使用して、デジタルコンピュータに提供される。
【0194】
本明細書において開示される方法およびコンピューティングシステムの1つ以上の実施形態は、様々な理由で非常に有利な実施形態であることが理解されるであろう。
【0195】
より正確には、本明細書において開示される方法およびコンピューティングシステムの1つ以上の実施形態の利点は、それらが、実際の計算タスクを使用して訓練された物理学に着想を得たコンピュータシミュレータへのアクセスを可能にすることである。これは、例えば、量子装置のシミュレータであり、それは、量子装置へのアクセスよりも比較的安価である。
【0196】
本明細書において開示される方法およびコンピューティングシステムの1つ以上の実施形態の別の利点は、それらが、量子コンピュータなどの物理学に着想を得たコンピュータを模倣することを可能にすることである。
【0197】
本明細書において開示される方法およびコンピューティングシステムの1つ以上の実施形態の別の利点は、それらが、ユーザによって提供される計算タスクを使用して、物理学に着想を得たコンピュータシミュレータを改善させることを可能にすることである。
【0198】
第1項
処理装置が、ネットワークを介してコンピューティングプラットフォームに遠隔でアクセスすることを可能にするためのコンピューティングシステムであって、コンピューティングプラットフォームは、可変なパラメータを含む、少なくとも1つの物理学に着想を得たコンピュータシミュレータを含み、コンピューティングシステムは、
a)処理装置によって提供される要求を受信するための通信インタフェースであって、要求は、可変なパラメータを含む、少なくとも1つの物理学に着想を得たコンピュータシミュレータを使用して処理するための少なくとも1つの計算タスクを含む、通信インタフェースと、
b)通信インタフェースと、可変なパラメータを含む、少なくとも1つの物理学に着想を得たコンピュータシミュレータとに動作可能に接続された制御ユニットであって、制御ユニットは、受信された要求を、少なくとも1つの物理学に着想を得たコンピュータシミュレータのための命令に変換することと、命令を、少なくとも1つの物理学に着想を得たコンピュータシミュレータに伝送して、少なくとも1つの計算タスクを実行することと、少なくとも1つの対応する解を受信することと、を実行するための制御ユニットである、制御ユニットと、
c)制御ユニットと、少なくとも1つの物理学に着想を得たコンピュータシミュレータとに動作可能に接続されたメモリであって、メモリは、少なくとも1つの計算タスクと、受信された要求に含まれるデータ集合と、少なくとも1つの物理学に着想を得たコンピュータシミュレータの可変なパラメータと、受信された少なくとも1つの対応する解とのうちの1つ以上を格納するためのメモリである、メモリと、
を含む、コンピューティングシステム。
【0199】
第2項
第1項に記載のコンピューティングシステムにおいて、
コンピューティングプラットフォームは、少なくとも1つの物理学に着想を得たコンピュータをさらに含み、
さらに、要求は、少なくとも1つの物理学に着想を得たコンピュータシミュレータと、少なくとも1つの物理学に着想を得たコンピュータとのうちの少なくとも1つについての選択をさらに含み、
さらに、制御ユニットは、少なくとも1つの物理学に着想を得たコンピュータに動作可能にさらに接続され、
さらに、要求の選択が、少なくとも1つの物理学に着想を得たコンピュータについての選択である場合、制御ユニットは、受信された要求を、少なくとも1つの物理学に着想を得たコンピュータのための命令に変換することと、命令を、少なくとも1つの物理学に着想を得たコンピュータに伝送して、少なくとも1つの計算タスクを実行することとのためにさらに使用され、
さらに、制御ユニットは、少なくとも1つの物理学に着想を得たコンピュータから、少なくとも1つの対応する解を受信するためにさらに使用される、
コンピューティングシステム。
【0200】
第3項
第1項に記載のコンピューティングシステムにおいて、コンピューティングシステムは、少なくとも1つの物理学に着想を得たコンピュータシミュレータに動作可能に接続された訓練ユニットをさらに含み、訓練ユニットは、少なくとも1つの物理学に着想を得たコンピュータシミュレータを訓練するための訓練ユニットである、コンピューティングシステム。
【0201】
第4項
第2項に記載のコンピューティングシステムにおいて、コンピューティングシステムは、少なくとも1つの物理学に着想を得たコンピュータシミュレータに動作可能に接続された訓練ユニットを含み、訓練ユニットは、少なくとも1つの物理学に着想を得たコンピュータシミュレータを訓練するための訓練ユニットである、コンピューティングシステム。
【0202】
第5項
第4項に記載のコンピューティングシステムにおいて、
少なくとも1つの物理学に着想を得たコンピュータシミュレータの種類は、物理学に着想を得たコンピュータに対応し、
さらに、訓練ユニットは、物理学に着想を得たコンピュータに伝送された命令を少なくとも使用して、および物理学に着想を得たコンピュータから取得された少なくとも1つの対応する解を使用して、少なくとも1つの物理学に着想を得たコンピュータシミュレータを訓練するために使用される、
コンピューティングシステム。
【0203】
第6項
第1項に記載のコンピューティングシステムにおいて、通信インタフェースは、複数の要求を受信し、さらに、コンピューティングプラットフォームは、基準に従って、受信された複数の要求を待ち行列化するための待ち行列ユニットをさらに含む、コンピューティングシステム。
【0204】
第7項
第5項に記載のコンピューティングシステムにおいて、少なくとも1つの計算タスクと少なくとも1つの対応する解とが訓練目的のために使用可能であるという標示を、対応する要求が含む場合、訓練ユニットは、物理学に着想を得たコンピュータに伝送された対応する命令と、物理学に着想を得たコンピュータから取得された少なくとも1つの対応する解とを使用して、少なくとも1つの物理学に着想を得たコンピュータシミュレータを訓練する、コンピューティングシステム。
【0205】
第8項
第1項に記載のコンピューティングシステムにおいて、コンピューティングシステムに遠隔でアクセスする処理装置は、データネットワークを介して通信インタフェースに動作可能に接続されたデジタルコンピュータを含む、コンピューティングシステム。
【0206】
第9項
第2項に記載のコンピューティングシステムにおいて、物理学に着想を得たコンピュータのための命令と、少なくとも1つの物理学に着想を得たコンピュータシミュレータのための命令とは、同一である、コンピューティングシステム。
【0207】
第10項
第1項に記載のコンピューティングシステムにおいて、コンピューティングプラットフォームは、分散コンピューティングシステムを含む、コンピューティングシステム。
【0208】
第11項
第2項に記載のコンピューティングシステムにおいて、物理学に着想を得たコンピュータは、非古典的なコンピュータを含む、コンピューティングシステム。
【0209】
第12項
第11項に記載のコンピューティングシステムにおいて、非古典的なコンピュータは、NISQ装置、量子コンピュータ、超伝導量子コンピュータ、イオントラップ量子コンピュータ、量子焼きなまし、光量子コンピュータ、スピンに基づく量子ドットコンピュータ、およびフォトニックに基づく量子コンピュータからなるグループから選択される、コンピューティングシステム。
【0210】
第13項
第1項に記載のコンピューティングシステムにおいて、少なくとも1つの物理学に着想を得たコンピュータシミュレータは、コンピュータ実装方法を含み、本方法は、
a)所与の入力について物理学に着想を得たコンピュータの出力を模倣することと、
b)訓練ユニットを使用して可変なパラメータのうちの少なくとも1つを更新し、それによって対応する性能を改善させることと、
を含む、コンピューティングシステム。
【0211】
第14項
第3~4項のいずれか1項に記載のコンピューティングシステムにおいて、訓練ユニットは、テンソル処理ユニット(TPU)、グラフィカル処理ユニット(GPU)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、および特定用途向け集積回路(ASIC)からなるグループから選択される、コンピューティングシステム。
【0212】
第15項
第1項に記載のコンピューティングシステムにおいて、少なくとも1つの物理学に着想を得たコンピュータシミュレータは、ニューラルネットワークを含む、コンピューティングシステム。
【0213】
第16項
コンピューティングプラットフォームへの遠隔アクセスを可能にするためのコンピュータ実装方法であって、コンピューティングプラットフォームは、可変なパラメータを含む、少なくとも1つの物理学に着想を得たコンピュータシミュレータを含み、本方法は、
a)通信インタフェースにおいて、要求を受信することであって、要求は、少なくとも1つの物理学に着想を得たコンピュータシミュレータを使用して処理するための少なくとも1つの計算タスクを含む、ことと、
b)受信された要求の少なくとも1つの計算タスクを、少なくとも1つの物理学に着想を得たコンピュータシミュレータに適した命令に変換することと、
c)命令を、少なくとも1つの物理学に着想を得たコンピュータシミュレータに提供することと、
d)命令の実行から結果として得られる、少なくとも1つの対応する生成された解を受信することと、
e)少なくとも1つの対応する生成された解を提供することと、
を含む、コンピュータ実装方法。
【0214】
第17項
第16項に記載のコンピュータ実装方法において、
コンピューティングシステムは、少なくとも1つの物理学に着想を得たコンピュータと、少なくとも1つの物理学に着想を得たコンピュータシミュレータを訓練するための訓練ユニットとをさらに含み、
さらに、受信された要求は、少なくとも1つの計算タスクの処理に使用するために、物理学に着想を得たコンピュータと少なくとも1つの物理学に着想を得たコンピュータシミュレータとのうちの少なくとも1つの選択の標示をさらに含み、
さらに、要求の少なくとも1つの計算タスクは、物理学に着想を得たコンピュータと少なくとも1つの物理学に着想を得たコンピュータシミュレータとのうちの少なくとも1つに適した命令に変換され、
さらに、命令の提供は、選択の標示に応じて、物理学に着想を得たコンピュータと少なくとも1つの物理学に着想を得たコンピュータシミュレータとのうちの少なくとも1つにおいて実行される、
コンピュータ実装方法。
【0215】
第18項
第16項に記載のコンピュータ実装方法において、要求は、データネットワークを使用して通信インタフェースに動作可能に接続されたデジタルコンピュータから受信され、さらに、少なくとも1つの対応する生成された解は、デジタルコンピュータに提供される、コンピュータ実装方法。
【0216】
第19項
第17項に記載のコンピュータ実装方法において、
少なくとも1つの対応する生成された解は、少なくとも1つの物理学に着想を得たコンピュータから取得され、
さらに、少なくとも1つの対応する生成された解と少なくとも1つの計算タスクとを使用して、少なくとも1つの物理学に着想を得たコンピュータシミュレータを訓練することを含む、
コンピュータ実装方法。
【0217】
第20項
第19項に記載のコンピュータ実装方法において、少なくとも1つの計算タスクと少なくとも1つの対応する生成された解とが訓練目的のために使用可能であるという標示を、要求が含む場合、訓練は実行される、コンピュータ実装方法。
【0218】
第21項
第19項に記載のコンピュータ実装方法において、訓練は、
a)少なくとも1つの対応する生成された解と少なくとも1つの計算タスクとを使用して、機械学習プロトコルに基づいて手順を実行することと、
b)それに応じて、物理学に着想を得たコンピュータシミュレータの可変なパラメータを更新することと、
を含む、コンピュータ実装方法。
【0219】
第22項
第16項に記載のコンピュータ実装方法において、コンピュータ実装方法は、命令と少なくとも1つの対応する生成された解とを格納することをさらに含む、コンピュータ実装方法。
【手続補正書】
【提出日】2022-08-03
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0062
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0062】
<量子装置>
任意の種類の量子コンピュータが、本明細書において開示される技術に適し得る。本明細書の説明によれば、好適な量子コンピュータは、非限定的な例として、以下を含む。
超伝導量子コンピュータ(小さな超伝導回路(ジョセフソン接合)として実装される量子ビット)(Clarke et al., "Superconducting quantum bits," Nature, Issue 453, No. 7198, pp. 1031-1042, (2008))
イオントラップ量子コンピュータ(イオントラップの状態として実装される量子ビット)(Kielpinski et al., "Architecture for a large-scale ion-trap quantum computer," Nature, Issue 417, No. 6890, pp. 709-711, (2002))
光格子量子コンピュータ(光格子内に捕捉される中性原子の状態として実装される量子ビット)(Deutsch et al., "Quantum computing with neutral atoms in an optical lattice," arXiv preprint: quant-ph/0003022 (2000))
スピンに基づく量子ドットコンピュータ(補足された電子のスピン状態として実装される量子ビット)(Imamoglu et al., "Quantum information processing using quantum dot spins and cavity QED," arXiv preprint: quant-ph/9904096 (1999))
空間に基づく量子ドットコンピュータ(二重量子ドットの電子位置として実装される量子ビット)(Fedichkin et al., "Novel coherent quantum bit using spatial quantization levels in semiconductor quantum dot," arXiv preprint: quant-ph/0006097 (2000))
結合された量子細線(量子点接触により結合された量子細線の対として実装される量子ビット)(Bertoni et al., "Quantum logic gates based on coherent electron transport in quantum wires," Physical Review Letters, Issue84, No. 25, pg. 5912, (2000))
核磁気共鳴量子コンピュータ(核スピンとして実装され、ラジオ波によりプローブされる量子ビット)(Cory et al., "Nuclear magnetic resonance spectroscopy: An experimentally accessible paradigm for quantum computing," arXiv preprint: quant-ph/9709001 (1997))
固体NMRカーン量子コンピュータ(シリコン内の燐供与体の核スピン状態として実装される量子ビット)(Kane, B.E., "A silicon-based nuclear spin quantum computer," Nature, Issue 393, No. 6681, pp. 133-137, (1998))
ヘリウムの上の電子(electrons-on-helium)量子コンピュータ(電子スピンとして実装される量子ビット)(Lyon, S.A., "Spin-based quantum computing using electrons on liquid helium," arXiv preprint: cond-mat/0301581 (2006))
共振器量子電気力学に基づく量子コンピュータ(高度に精密な共振器と結合した捕捉された原子の状態として実装される量子ビット)(Burell, Z., "An Introduction to Quantum Computing using Cavity QED concepts," arXiv preprint: arXiv:1210.6512 (2012))
分子磁石に基づく量子コンピュータ(スピン状態として実装される量子ビット)(Leuenberger et al., "Quantum computing in molecular magnets," arXiv preprint: cond-mat/0011415 (2001))
フラーレンに基づくESR量子コンピュータ(フラーレンに包まれた原子または分子の電子スピンとして実装される量子ビット)(Harneit, W., "Spin Quantum Computing with Endohedral Fullerenes," arXiv preprint:arXiv: 1708.09298 (2017))
線形光量子コンピュータ(鏡、ビームスプリッタ、および移相器などの線形光素子を介して光の異なるモードの処理状態として実装される量子ビット)(Knill et al., "Efficient linear optics quantum computation," arXiv preprint: quant-ph/0006088 (2000))
ダイヤモンドに基づく量子コンピュータ(ダイヤモンドのNV中心の電子または核スピンとして実装される量子ビット(Nizovtsev et al., "A quantum computer based on NV centers in diamond: optically detected nutations of single electron and nuclear spins," Optics and Spectroscopy, Issue 99, No. 2, pp.233-244, (2005))
ボース-アインシュタイン凝縮(Bose-Einstein condensate)に基づく量子コンピュータ(2つの構成要素BECとして実装される量子ビット)(Byrnes et al., "Macroscopic quantum computation using Bose-Einstein condensates," arXiv preprint: quantum-ph/1103.5512 (2011))
トランジスタに基づく量子コンピュータ(フォトニック共振器に結合した半導体として実装される量子ビット)(Sun et al., "A single-photon switch and transistor enabled by a solid-state quantum memory," arXiv preprint: quant-ph/1805.01964 (2018))
希土類イオンドープされた無機結晶に基づく量子コンピュータ(希土類イオンドープされた無機結晶の原子基底状態の超微細レベルとして実装される量子ビット)(Ohlsson et al., "Quantum computer hardware based on rare-earth-ion-doped inorganic crystals," Optics Communications, Issue 201, No. 1-3, pp. 71-77, (2002))
金属調炭素ナノ粒子(metal-like carbon nanosphere)に基づく量子コンピュータ(導電性炭素ナノ粒子内の電子スピンとして実装される量子ビット)(Nafradi et al., "Room temperature manipulation of long lifetime spins in metallic-like carbon nanospheres," arXiv preprint: cond-mat/1611.07690 (2016))
D-Wave量子焼きなまし(超伝導論理素子として実装される量子ビット)(Johnson et al., "Quantum annealing with manufactured spins," Nature, Issue 473, No. 7346, pp. 194-198, (2011))
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0063
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0063】
<NISQ-ノイズあり中規模量子技術>
用語「ノイズあり中規模量子技術(NISQ)」は、John Preskillによって導入された("Quantum Computing in the NISQ era and beyond," arXiv preprint: arXiv:1801.00862)。ここで、「ノイズあり(Noisy)」は、量子ビットに関する制御が不完全であることを意味し、「中規模(Intermediate-Scale)」は、量子ビットの数を指し、量子ビットの数は、50から数百までの範囲とし得る。超電導量子ビット、人工原子、イオントラップから作られるいくつかの物理学システムは、NISQ量子装置と最終的にユニバーサル量子コンピュータとを構築する実現可能な候補として提案される。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0071
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0071】
有限温度において、対応するイジングモデルのボルツマン分布からサンプルを提供するために、量子焼きなましをさらに使用することができることが理解されるであろう(Bian et al., "The Ising model: teaching an old problem new tricks," (2010)、およびAmin et al., "Quantum Boltzmann Machine," arXiv preprint: arXiv:1601.02036 (2016))。このサンプリングの方法は、量子サンプリングと呼ばれる。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0090
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0090】
<量子装置を使用して実装されるアルゴリズム>
量子装置に実装されることができる任意の種類のアルゴリズムは、本明細書において開示される方法およびコンピューティングシステムの1つ以上の実施形態に適し得ることが理解されるであろう。本明細書における説明によれば、好適なアルゴリズムは、非限定的な例として、以下を含む。
量子コンピュータの化学問題を解決するためのスケーラブルな共設計フレームワークである変分量子固有値ソルバー(VQE:Variational Quantum Eigensolver)(Peruzzo et al., "A variational eigenvalue solver on a quantum processor,” 2013, arXiv preprint: arXiv: 1304.3061、およびNam et al., "Ground-state energy estimation of the water molecule on a trapped ion quantum computer," arXiv preprint: arXiv:1902.10171 (2019))
検索タスクの古典的な対応物と比較して、2次高速化を可能にする量子アルゴリズムであるグローバー(Grover)のアルゴリズム(Chuang et al., "Experimental implementation of fast quantum searching," Physical Review Letters; 1998, 80(15), p.3408)
ドイチ-ジョサ問題を解決するための効率的な量子アルゴリズムであるドイチ-ジョサアルゴリズム(Jones et al., "Implementation of a quantum algorithm on a nuclear magnetic resonance quantum computer," The Journal of Chemical Physics, 1998, 109(5), pp.1648-1653, arXiv preprint:arXiv:quant-ph/9801027、およびDebnath et al., "Demonstration of a small programmable quantum computer with atomic qubits,"Nature, 536(7614), p.63, arXiv preprint:arXiv: 1603.04512 (2016))
古典的な最新の因数分解アルゴリズムに対して指数関数的に高速化できる、整数の因数分解の量子アルゴリズムであるショア(Shor)のアルゴリズム(Lu et al., "Demonstration of a compiled version of Shor's quantum factoring algorithm using photonic qubits," Physical Review Letters; 2007, 99(25), p.250504, arXiv preprint: arXiv:0705.1684、およびMonz et al., "Realization of a scalable Shor algorithm," Science, 2016, 351(6277), pp.1068-1070, arXiv preprint: arXiv:1507.08852 (2015))
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0092
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0092】
1つ以上の実施形態では、量子コンピュータシミュレータは、確率的フレームワークによって表される。これは、生成機械学習モデル、特に、制限ボルツマンマシン(Restricted Boltzmann Machine)を定義するパラメータの強化学習が、所与の量子ハミルトニアンの基底状態および時間依存物理状態のニューラルネットワーク表現を取得するために実行される。ネットワークの重みは、一般に、複素数値をとるべきであり、波動関数の振幅と位相との両方の完全な記述を提供する。ニューラルネットワークのパラメータは、静的変分モンテカルロサンプリングによって、または動的特性に関心がある場合には時間依存変分モンテカルロによって、最適化されている(ニューラルネットワークの言語で訓練されている)。詳細については、Carleo et al., “Solving the quantum many-body problem with artificial neural networks," Science, 2017, 355(6325), pp.602-606, arXiv preprint: arXiv:1606.02318 (2016)、およびMelko et al., "Restricted Boltzmann machines in quantum physics," Nature Physics, 2019, 15(9), pp.887-892、およびTorlai et al., "Neural-network quantum state tomography," Nature Physics, Issue 14, No.447, arXiv preprint: arXiv: 1703.05334 (2017)を参照されたい。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0093
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0093】
1つ以上の他の実施形態では、量子コンピュータシミュレータは、ディープボルツマンマシン(Deep Boltzmann Machine)によって表される。この構成は、多体格子ハミルトニアンの大きなクラスの正確な基底状態を表すことができることを証明する。そのような実施形態では、隠れニューロンの2つの層は、可視層における物理学の自由度の間の量子相関を伝達する。この手法は、正確な虚数時間ハミルトニアン展開を再現し、完全に決定論的である。基底状態のコンパクトで正確なネットワーク表現は、ネットワークパラメータの確率的最適化なしに取得される。物理量は、物理学の自由度とニューロン自由度との両方の構成をサンプリングすることによって測定されることができる。詳細については、Carleo et al., "Constructing exact representations of quantum many-body systems with deep neural networks," Nature Communications, 9(1), p.5322, 2018を参照する。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0094
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0094】
1つ以上の代替実施形態では、量子コンピュータシミュレータは、再帰ニューラルネットワーク(より正確には、いくつかのスタックされたゲート付き回帰型ユニット、またはGRUからなる構造)を含む。この種のスケーラブルな機械学習手順を使用することは、純粋状態と混合状態との両方を再構成することを可能にする。この方法は、量子システムの測定のみを必要とするので、実験的に優しいことが理解されるであろう。学習手順は、再構成の組み込み近似証明(built-in approximate certificate)を伴い、精査中の状態の純度についての仮定を行わない。これは、量子情報における原型状態、ならびに凝縮物質物理学に共通する局所スピンモデルの基底状態を含む広範な種類の複合システムを効率的に扱うことができる。この手順は、状態トモグラフィを、量子測定の統計の教師なし学習問題に低減することを含む。これは、複合量子装置の検証に対する最新の機械学習アプローチを構成する。これは、さらに、変分最適化に適した混合状態にわたるニューラルネットワーク量子回路(Ansatz)として関連性があることを証明することができる。詳細な説明については、Carrasquilla et al., "Reconstructing quantum states with generative models," Nature Machine Intelligence, 1 (3), p.155,arXiv preprint: arXiv:1810.10584, 2019を参照する。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0097
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0097】
量子状態トモグラフィ(QST)、測定を使用して量子状態を再構成することが量子装置を検証し、基準にする(benchmarking)ためのゴールドスタンダードであることを、当業者は理解するであろう(Cramer et al., "Efficient quantum state tomography," Nature Communications
, Issue 1
, No. 1, (2010)を参照)。QSTを使用して状態を正確に再構成するのに必要な測定の数および時間は、システムの大きさに応じて指数関数的にスケーリングする。ニューラルネットワークトモグラフィでは、
は、システムの1組の測定から再構成される。この戦略は、ニューラルネットワークの学習された確率分布を、波動関数の確率表現にマッピングする。
【国際調査報告】