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特表2023-504295超扁平アクチュエータのための永久磁石回転子
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-02
(54)【発明の名称】超扁平アクチュエータのための永久磁石回転子
(51)【国際特許分類】
   F04D 29/00 20060101AFI20230126BHJP
   F04D 13/06 20060101ALI20230126BHJP
【FI】
F04D29/00 B
F04D13/06
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022544078
(86)(22)【出願日】2021-01-08
(85)【翻訳文提出日】2022-07-20
(86)【国際出願番号】 US2021012567
(87)【国際公開番号】W WO2021142177
(87)【国際公開日】2021-07-15
(31)【優先権主張番号】62/959,010
(32)【優先日】2020-01-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】504005091
【氏名又は名称】ゲイツ コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100156199
【弁理士】
【氏名又は名称】神崎 真
(74)【代理人】
【識別番号】100124497
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 洋樹
(74)【代理人】
【識別番号】100090169
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 孝
(72)【発明者】
【氏名】ルサリアン,ヴィーゲル
【テーマコード(参考)】
3H130
【Fターム(参考)】
3H130AA03
3H130AB06
3H130AB22
3H130AB46
3H130AC16
3H130BA74C
3H130BA98C
3H130CB19
3H130DB08X
3H130DD03X
3H130DF00X
3H130EC12G
3H130EC13C
3H130EC13G
3H130ED01C
(57)【要約】
ハウジングと、ハウジングに取付けられたカバーと、ハウジング内に設けられた固定子とを備え、固定子がリングに取付けられた複数の固定極を有し、各固定極が電気巻線を有し、単一のベアリングにより固定子に対して協働的関係でハウジングに枢支されたロータと、ロータの端部に固定されたインペラと、固定極に対して協働的関係でロータの端部に取付けられた複数の磁石と、ロータとハウジングの間にあることにより固定子と磁石がドライ領域にあるシールとを備え、固定子がハウジング内においてサーマルポッティングに取り囲まれ、カバー内に設けられるパワーエレクトロニクスとを備える超扁平アクチュエータ・ウォータポンプ。ロータは焼結技術を用いて製造されてもよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと、
前記ハウジングに取付けられたカバーと、
前記ハウジング内に設けられた固定子とを備え、前記固定子がリングに取付けられた複数の固定極を有し、各固定極が電気巻線を有し、
単一のベアリングにより前記固定子に対して協働的関係で前記ハウジングに枢支されたロータとを備え、前記ロータが焼結工程により製造され、焼結工程が
第1の材料をダイに加え、
前記ダイの前記第1の材料の上に第2の材料を加え、
前記ダイの中において前記第1の材料と前記第2の材料を圧縮し、
前記第2の材料を磁化させ、
前記ロータの端部に固定されたインペラと、
前記固定極に対して協働的関係で前記ロータの端部に取付けられた複数の磁石と、
前記ロータと前記ハウジングの間にあることにより前記固定子と前記磁石がドライ領域にあるシールと、
前記固定子が前記ハウジング内においてサーマルポッティングに取り囲まれ、
前記カバー内に設けられるパワーエレクトロニクスとを備える
超扁平アクチュエータ・ウォータポンプ。
【請求項2】
前記電気巻線が平線である請求項1に記載の超扁平アクチュエータ・ウォータポンプ。
【請求項3】
前記電気巻線が丸線である請求項1に記載の超扁平アクチュエータ・ウォータポンプ。
【請求項4】
前記ロータが複列ボールベアリングに軸支される請求項1に記載の超扁平アクチュエータ・ウォータポンプ。
【請求項5】
前記インペラが前記ロータに取付けられた片持ち梁である請求項1に記載の超扁平アクチュエータ・ウォータポンプ。
【請求項6】
ハウジングと、
前記ハウジングに取付けられたカバーと、
前記ハウジング内に設けられた固定子とを備え、前記固定子がリングに取付けられた複数の固定極を有し、各固定極が電気巻線を有し、
単一のベアリングにより前記固定子に対して協働的関係で前記ハウジングに枢支されたロータとを備え、前記ロータが焼結工程により製造され、焼結工程が
第1の材料をダイに加え、
前記第1の材料を圧縮してロータフレームを成形し、
第2の強磁性体材料を前記ロータフレームの上の前記ダイに加え、
前記第2の材料を前記ロータフレームに対して圧縮し、
前記ロータの端部に固定されたインペラと、
前記固定極に対して協働的関係で前記ロータの端部に取付けられた複数の磁石と、
前記ロータと前記ハウジングの間にあることにより前記固定子と前記磁石がドライ領域にあるシールと、
前記固定子が前記ハウジング内においてサーマルポッティングに取り囲まれ、
前記カバー内に設けられるパワーエレクトロニクスとを備える
超扁平アクチュエータ・ウォータポンプ。
【請求項7】
前記電気巻線が平線である請求項6に記載の超扁平アクチュエータ・ウォータポンプ。
【請求項8】
前記電気巻線が丸線である請求項6に記載の超扁平アクチュエータ・ウォータポンプ。
【請求項9】
前記ロータが複列ボールベアリングに軸支される請求項6に記載の超扁平アクチュエータ・ウォータポンプ。
【請求項10】
前記インペラが前記ロータに取付けられた片持ち梁である請求項6に記載の超扁平アクチュエータ・ウォータポンプ。
【請求項11】
第1の材料をダイに加え、
前記ダイの前記第1の材料の上に第2の材料を加え、
前記ダイの中において前記第1の材料と前記第2の材料を圧縮し、
前記第2の材料を磁化させる
電気モータの固定子に協働するように構成されたロータを製造する方法。
【請求項12】
第1の材料をダイに加え、
前記第1の材料を圧縮してロータフレームを成形し、
第2の強磁性体材料を前記ロータフレームの上の前記ダイに加え、
前記第2の材料を前記ロータフレームに対して圧縮する
電気モータの固定子に協働するように構成されたロータを製造する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は概略的に超扁平アクチュエータ・ウォータポンプに関し、特に、メカニカルシールを備えた超扁平アクチュエータ・ウォータポンプに関する。加えて、本発明のいくつかの実施形態は、焼結工程により製造された永久磁石回転子を採用する。
【背景技術】
【0002】
本発明のいくつかの実施形態は、流体、特に、冷却液循環ポンプを必要とする内燃機関あるいは他のアプリケーションにおける冷却水を圧送するためのウォータポンプに関する。ウォータポンプとともに使用される超扁平アクチュエータは、関連した技術分野において知られている。超扁平アクチュエータにおいて、磁束線はモータの空隙において軸方向に延びる。固定子は典型的には、丸線ワイヤを備える。
【0003】
この技術の代表は米国特許出願第2015/0030479号であり、これは固定子と回転子を有する超扁平アクチュエータを備えたウェットロータポンプを開示する。固定子はドライ領域に配置され、インペラの回転子はウェット領域に配置される。回転子は1以上のサマリウムコバルト(SmCo)永久磁石により形成される。
【0004】
代表的な技術はさらに、米国特許出願第2017/0016449号を含み、これは、空隙を部分的に定義するハウジングと、空隙内に配置されたインペラとを備え、インペラが第1のディスクを有し、第1のディスクに配置された羽根を備え、インペラが回転軸の周りに回転するように作動し、ハウジングに配置された第1固定子コアと、第1固定子コアに配置された巻線と、ハウジングにより定義された第1吸入口とを備え、第1吸入口とインペラとハウジングが流体の流動経路を部分的に定義するポンプを開示する。
【0005】
従来技術の超扁平アクチュエータと電気機械モータの1つの欠点は、回転子が、例えば接着剤によってフレームに接続された永久磁石から成ることである。すなわち、電気モータ内にある回転子は一般に、積層鋼板コア(いくつかの例では軟質金属コア)に固定された、1または複数の永久磁石から成る。これらの要素は個別に作成され、圧入、接着、あるいは他の結合方法によって、単一または複数の磁石をコアに取付けることにより結合される。従来技術の方法は非効率的であり、回転子の組立体の間の大きな振動を発生させ、コストのかかる試験工程を必要とし、これは回転子において、信頼性が低下し、重量アンバランスの問題を増加させることとなる。当業者が理解するように、必要とする結合工程も製造コストを増加させる。
【0006】
このように、固定子の周辺にメカニカルシールとサーマルポッティングを備える超扁平アクチュエータ・ウォータポンプを提供することは、長年の要望である。高精度にバランスされ、製造にコストがかからない等の永久磁石を提供することも必要である。本発明の実施形態はこれらの必要性に合致する。
【発明の概要】
【0007】
本発明のいくつかの実施形態の1つの特徴は、固定子の周辺にメカニカルシールとサーマルポッティングを備えた超扁平アクチュエータ・ウォータポンプを提供することである。
【0008】
本発明のいくつかの実施形態の他の特徴は、効率的な製造工程により作成された永久磁石回転子を提供することである。したがって、意図された回転子の実施形態は焼結工程により製造される。焼結製造工程は単一ステップまたは2ステップで実行される。1ステップ工程は、ダイの中で回転子と磁石に協働して材料を圧縮するラムを採用する。2ステップ工程はダイの中でまずフレームを成形し、次に強磁性体材料が予成形されたフレームの上に置かれる。強磁性体材料の予成形されたフレーム上への圧縮により、最終的な回転子組立体が創作される。当業者は、フレームと強磁性体材料の間に境界材料が必要とされるならば、2ステップの圧縮工程が3ステップ工程に修正されることを理解するであろう。回転子が製造される工程にかかわらず、加熱工程が構成部品を溶解させるために必要であるかもしれない。ここに記述される工程は、この明細書では「コア」とも言われる、複数の磁化領域または磁化環状体を有する回転子を製造することを意図する。
【0009】
本発明の1つの実施形態は、ハウジングと、ハウジングに取付けられたカバーと、ハウジング内に設けられた固定子とを備え、固定子がリングに取付けられた複数の固定極を有し、各固定極が電気巻線を有し、単一のベアリングにより固定子に対して協働的関係でハウジングに枢支されたロータと、ロータの端部に固定されたインペラと、固定極に対して協働的関係でロータの端部に取付けられた複数の磁石と、ロータとハウジングの間にあることにより固定子と磁石がドライ領域にあるシールとを備え、固定子がハウジング内においてサーマルポッティングに取り囲まれ、カバー内に設けられるパワーエレクトロニクスとを備える超扁平アクチュエータ・ウォータポンプである。この実施形態の変形例において、ロータは焼結技術を用いて製造される。
【0010】
この明細書において用いられる「1つのもの」という語句は、1以上のものを指す。したがって、「1つの」、「1以上の」および「少なくとも1つの」は交換可能に用いられる。さらに、この明細書において用いられる「少なくとも1つの」、「1以上の」、「および/または」の語句は、作用において接続後および離接語である自由な表現である。例えば、「A、BおよびCの少なくとも1つ」、「A、B、またはCの少なくとも1つ」、「A、B、およびCの1以上」、「A、B、またはCの1以上」、「A、Bおよび/またはC」の各表現は、Aのみ、Bのみ、Cのみ、AとB、AとC、BとC、あるいは、AとBとCを意味する。
【0011】
特に明記されていなければ、この明細書と図面において用いられる、量、大きさ、条件等を示す全ての数値は、ここに記載された新規なアセンブリおよび方法の特定のアプリケーションにおいて要求されるように、全ての例において修正されるかもしれない近似値であると理解されるべきである。
【0012】
「含む」、「備える」、または「有する」およびこれらの変形の使用は、ここに表示された事項、および追加の事項と同様な均等物を包含することを意味する。したがって、「含む」、「備える」、または「有する」およびこれらの変形は交換可能に用いられる。
【0013】
ここに用いられる「手段」の語句は、米国特許法第112条(f)に従って可能な限り広く解釈されると理解されるべきである。したがって「手段」の語句は、ここに記載される全ての構造、材料または作用、およびこれらの均等物をカバーする。さらに、構造、材料、または作用と均等物は、発明の概要、図面の簡単な説明、発明を実施するための形態、および図面に記載されるものを含む。
【0014】
発明の概要は、本発明の十分に広い範囲の代表としては意図されず、解釈されるべきでもない。すなわち、これらと他の特徴および利点は、ここに記載された本発明の開示から明らかになる。さらに、上述した実施形態、特徴、目的、および構造は完璧ではなく、網羅的でもない。理解されるように、本発明の他の実施形態は、上述した、または後述する特徴の1以上を、単独または組合せて用いることが可能である。さらに、「本発明」または他の特徴への言及は、本発明のある実施形態を意味すると理解されるべきであり、全ての実施形態を特定の記述へ限定するとして必ずしも解釈されるべきではない。本発明は、添付された図面および発明を実施するための形態と同様に、発明の概要において種々の詳細なレベルで記載され、発明の概要における、要素、成分等の含有または非含有によって、本発明の範囲に対する限定は意図されない。本発明の付加的な特徴は、特に図面とともに解釈されるとき、発明を実施するための形態から、より明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
この明細書に組み込まれその一部を構成する添付図面は、本発明の好ましい実施形態を示し、上述した本発明の概略的な記述、および後述する図面の詳細な記述とともに、本発明の原理を説明することに役立つ。
図1図2のポンプのA-A線に沿う断面図である。
図2】ポンプの平面図である。
図3】ポンプの平面図である。
図4】図解されたクーラントシステムである。
図5】分解図である。
図6】モータ磁石とフレームの斜視図である。
図7】従来技術の永久磁石回転子を構成する要素の斜視図である。
図8図7に示される組み立てられたロータの断面図である。
図9A-9D】1ステップ工程における本発明の一実施形態の永久磁石回転子を製造する方法を示す。
図10A-10D】2プロセスにおける本発明の他の実施形態の永久磁石回転子を製造する方法を示す。
【0016】
図面は必ずしも寸法を示すとは限らない。ある例では、本発明の理解のためには必要ではなく、あるいは理解することが困難である他の詳細を描写する細部は省略されている。本発明は、ここに記載された特定の実施形態には必ずしも限定されないことは、勿論理解されるべきである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1図2のポンプのA-A線に沿う断面図である。ウォータポンプはインペラを駆動する電気モータを備える。電気モータは超扁平アクチュエータである。超扁平アクチュエータにおいて、磁束は、磁極と固定子巻線の位置により、モータの空隙内において軸方向に延びる。本発明のウォータポンプは典型的にはエンジン冷却システムにおいて用いられる。ウォータポンプはエンジン冷却システムにおいてクーラントを加圧し、循環させる。
【0018】
ウォータポンプ1000はハウジング10とカバー50を備える。インペラ150はロータシャフト100の端部に取付けられる。固定子200はハウジング内に配置される。複数の固定極201がハウジング10の内部11内のリングの中に配置される。超扁平アクチュエータの場合と同様に、各極201の軸B-Bは、シャフト100の回転軸D-Dに平行である。モータは、3相9コイル構造を有する。固定極201は軟質金属合成物である。磁性体が固定極201として用いられてもよい。
【0019】
電気巻線202は各極201の周りに巻き付けられる。巻線202は断面形状において平線あるいは丸線であってもよい。平面電線は正方形あるいは長方形の断面形状を有していてもよい。平面電線あるいは円形電線は銅またはアルミニウムでもよい。巻線202の巻き面C-Cは、磁束が軸D-Dに平行な軸方向に延びるように、シャフト軸D-Dに垂直に延びる。本発明のモータは200Wの定格出力を有し、最高12kWまでである。
【0020】
複数の永久磁石110がフレーム115においてシャフト100の他端に取付けられる。磁石110は、多極の単一環状磁石であってもよい。フレーム115はシャフト100の端部に固定され、シャフト100とともに回転する。磁石110は極201に対して径方向に整列する。空隙Gが極201と磁石110の間に維持され、これにより作動中にこれらが接触することが防止される。空隙は0.2mmから1.5mmまでの範囲にある。空隙Gは最大磁気効果を実現するために、できるだけ小さいことが好ましい。
【0021】
メカニカルシール250は加圧された液体クーラントが内部11へ浸入して、固定子200と磁石110が接触することを防止し、したがって固定子200と磁石110はドライ領域にある。ドライ領域は典型的には大気圧である。シール250はシャフト100とハウジング10の間に配置される。シール250は、従来技術において知られている、ベローズ、カートリッジ、バランスタイプのカートリッジよびOリング、アンバランスタイプのカートリッジおよびOリング、プッシャタイプおよび従来タイプのシール等、適当なメカニカルシールであってもよい。固定子と磁石のためにドライ領域を維持することは、内部11がクーラントを含有してクーラントが固定子の極と回転子の磁石との間の空隙G内にあったとしたら存在したであろう、風損と粘性損失を低減させることにより、ポンプの効率を増加させる。
【0022】
復水チャンバおよびリザーバ301は通風孔302と排水孔303を有する。チャンバ301はシール250を通って漏洩するかもしれない流体を集める。通風孔302と排水孔303は大気に開口する。
【0023】
固定子200を取り囲むためにサーマルポッティング12がハウジング10内で用いられる。サーマルポッティングは、固定子とハウジングからの熱伝導の信頼性のある手段を与えることにより、ポンプを冷却された状態で駆動させる。ポンプの熱は典型的には、変化する磁界により固定子と巻線に誘起される渦電流による抵抗加熱と、鉄損および銅損とにより生じ、エンジンブロック(図示せず)と同様に、圧送される冷却液からハウジングに伝導する。サーマルポッティングは電気の分野で公知である。
【0024】
シャフト100は単一のベアリング120内で回転する。ベアリング120は、シャフト100がベアリングのインナーレースを備える、インテグラルベアリングであってもよい。回転アセンブリはシャフト100とフレーム115と磁石110とインペラ150とを備える。単一のベアリング120は複列ボールベアリングまたは複列ボールローラベアリングである。ローラベアリングは円柱状または先細ローラを備えていてもよい。単一のベアリングの使用は、超扁平アクチュエータの構造により得られるポンプシャフトの短さにより可能になる。ベアリングはシールされたベアリングである。シャフト100の短い全長により、インペラ150はシャフト100に取付けられた片持ち梁である。
【0025】
クーラントはインペラ吸入口151内に流入し、インペラが回転することにより、吐出口152から排出される。インペラはウォータポンプの分野において公知である。典型的な作動吐出圧力は約1.5バールまでであるが、エンジンの熱負荷に応じて5バールを超えるかもしれない。流量は毎分220リットルまでであるか、あるいはアプリケーションに応じて最大毎分500リットルであってもよい。
【0026】
パワーエレクトロニクスがカバー50内においてエレクトロニクスのハウジング51内に設けられる。パワーエレクトロニクスはシャフトの回転スピードを制御し、また故障を検出することができる。超扁平アクチュエータのパワーエレクトロニクスはこの分野において公知である。カバー50は、パワーエレクトロニクスを冷却するためのヒートシンクとして機能する。超扁平アクチュエータは可変スピードであり、クーラント流体がエンジンの熱負荷の要求に従って調整されるように流れることを許容する。制御方法はPWM、LINプロトコル/バスあるいはCANプロトコル/バスである。LINバスはシリアル通信プロトコルに基づいたサブバスシステムである。バスは、データを伝送するために単一のワイヤを用いる、シングルマスタ/マルチプルスレーブバスである。Controller Area NetworkすなわちCANプロトコルは、自動車に搭載されるエンジン管理システム、ウォータポンプ、オイルポンプ、アクティブサスペンション、ABS、ギアコントロール、照明コントロール、空調、エアバッグ、セントラルロッキングなどの種々の電子機器の間における通信方法である。PWMすなわちパルス幅変調は、制御回路を含む種々のアプリケーションにおいて用いられる一種のデジタル信号である。
【0027】
図2はポンプの平面図である。排出ボリュート13はエンジンブロック(図示せず)の協働溝に係合する。ハウジング10はエンジンブロックに直接取付けられる。吸込み、すなわち吸入側150はエンジンの流体管(図示せず)に協働的に係合する。
【0028】
図3はポンプの平面図である。固定具(図示せず)は、エンジンブロック(図示せず)のような取付け面にポンプを取付けるために取付孔14に係合する。
【0029】
図4は図解されたクーラントシステムである。ポンプ1000はエンジン(E)に搭載される。エンジン(E)は3つのシリンダ(1)、(2)、(3)を備える。エンジン(E)は必要に応じて如何なる数のシリンダを備えていてもよい。ウォータジャケット(J)はシリンダを取り囲む。このシステムはさらに、ラジエター(R)とエンジントランスミッションオイル熱交換器(OC)と補助熱交換器(AUX)と排気マニフォルド熱交換器(EM)とを備える。
【0030】
熱管理モジュール2000がポンプ1000の吸入側に取付けられる。モジュール2000は複数のバルブ2001、2002、2003、2004、2005、2006を備える。各バルブは、システムの要素のためにクーラントの流れを制御する。バルブ2001はラジエターRへの流れを制御する。バルブ2002は熱交換器OCへの流れを制御する。バルブ2003は熱交換器AUXへの流れを制御する。バルブ2004はR、OC、AUX、EMからの還流を制御する。バルブ2005はポンプ1000からの再循環流とEMへの流れを制御する。バルブ2006はE、EM、AUX、OC、Rからの還流を制御する。複数のセンサと入力信号(3001)を介してエンジンECUは、エンジンおよびシステムの状態と、大気状態と、システムおよび運転者の要求とを検知して、各バルブを所望の位置にセットし、クーラントの流れを調整することにより、エンジンおよびシステムの熱性能を制御する。各バルブはポンプの吸入口151に流体的に連通している。
【0031】
図5は分解図である。モータは3相モータである。巻線202(a)は第1相である。巻線202(b)は第2相である。巻線202(c)は第3相である。この実施形態において、各相は3つの固定極を備える。しかし、単相または複数相に接続した個々の極のために巻線が用いられてもよい。ガスケット15はハウジング10とエンジンEの間をシールする。
【0032】
図6はロータ磁石とフレームの斜視図である。磁石110はフレーム115に取付けられる。フレーム115はシャフト100に圧入される。フレーム115は冷却風を循環させるためにブレードを備えてもよい。
【0033】
磁石110は、円周の周りに極を有する環状磁石であってもよく、また交互の位置に極を有する複数の個々の磁石であってもよい。磁石はフェライト、レア・アース、あるいは他の公知の材料であってもよい。磁石は公知の方法を用いてフレームに取付けられる。
【0034】
図7、8は、フレーム715に取付けられた永久磁石710から成る従来技術の永久磁石回転子700を示す。当業者は、いくつかの例において、永久磁石710が接着剤によりフレーム715に固定されるが、締り嵌め、溶接等の他の接続機構が通常用いられることを理解するであろう。
【0035】
図9A図9Dは、本発明のロータ900を製造する1つの方法を示す。ここで、ダイ920は、最終的にはロータのフレーム915になる粉体材料924が充填される。次に、第2の粉体材料928がダイ920の最初の材料924の上に加えられる。次に、混合された材料がラム932によって圧縮され、ロータ900の最終形状を成形する。当業者は、ロータを形成する構成部材の間の接着力を高めるために加熱工程が必要であることを理解するであろう。最後に、磁石936が磁石側面910に隣接したロータ900に導入され、公知の方法を用いて磁化する。
【0036】
図10A図10Dは、本発明のロータ900を製造する2ステップ方法を示す。この方法において、フレーム915に関連する材料924は、ダイ920に加えられ、ラム932によって圧縮される。次に、強磁性体を備える第2の粉体材料928がダイ920の成形されたフレーム915の上に加えられ、圧縮されてロータ900を成形する。構成部材の間の接着力を高めるために加熱処理が必要であるかもしれない。上述したように、構成材料の間の接着力を高めるために、第3の構成部材が上述した工程のいずれかにおいて用いられてもよい。最後に、磁石936が磁石側面910に隣接したロータ900に導入され、公知の方法を用いて磁化する。
【0037】
本発明の形態が説明されたが、ここに記載された発明の精神と範囲から逸脱することなく、当業者が、構成と部分の関係と方法において変形を施すことは自明である。特に否定しない限り、図面に示された要素は尺度を表さない。数値の例は本発明を説明するために用いられ、特許請求の範囲の幅を限定しない。さらに、「means for」または「step for」の語句が明確に用いられていない限り、添付された特許請求の範囲の要素のいずれかが米国特許法第112条(f)の問題を引き起こすことは意図していない。本件の開示は、図面に示され、またここに記載された、代表的な実施形態または数値の大きさに限定されるものではない。
【0038】
本発明の種々の実施形態が詳細に記載されたが、それらの実施形態の修正と変更が当業者に生じることは明らかである。そのような修正と変更は、次の請求の範囲に記載された、本発明の範囲と精神の範囲内であることは明確に理解されるべきである。さらに、ここに記載された本発明がアプリケーションにおいて、前述の記載または図面に表示された、詳細な構成および要素の配置に限定されないことは理解されるべきである。
本発明は、他の実施形態を可能にし、実行を可能にし、あるいは種々の方法で実施可能にする。またここに用いられた言い回しおよび用語は記述のためであり、限定を意図すべきでないことは理解されるべきである。「including」「comprising」または「having」および種々の語句は、付加的な事項と同様に、この後に記載された事項と均等物を包含することを意味する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図9C
図9D
図10A
図10B
図10C
図10D
【国際調査報告】