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特表2023-504308気分障害の処置での使用に特異的なトリプタミン
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  • 特表-気分障害の処置での使用に特異的なトリプタミン 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-02
(54)【発明の名称】気分障害の処置での使用に特異的なトリプタミン
(51)【国際特許分類】
   C07D 209/16 20060101AFI20230126BHJP
   A61P 25/24 20060101ALI20230126BHJP
   A61P 25/18 20060101ALI20230126BHJP
   A61P 25/30 20060101ALI20230126BHJP
   A61P 25/22 20060101ALI20230126BHJP
   A61K 31/4045 20060101ALI20230126BHJP
【FI】
C07D209/16 CSP
A61P25/24
A61P25/18
A61P25/30
A61P25/22
A61K31/4045
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022549507
(86)(22)【出願日】2021-02-18
(85)【翻訳文提出日】2022-10-14
(86)【国際出願番号】 US2021018534
(87)【国際公開番号】W WO2021168082
(87)【国際公開日】2021-08-26
(31)【優先権主張番号】62/978,075
(32)【優先日】2020-02-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522254734
【氏名又は名称】ギルガメッシュ・ファーマシューティカルズ・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュー・キャリー・クリューゲル
(72)【発明者】
【氏名】ジョナサン・スポーン
【テーマコード(参考)】
4C086
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086BC13
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA13
4C086MA16
4C086MA35
4C086MA52
4C086MA57
4C086MA59
4C086MA63
4C086MA65
4C086MA66
4C086NA14
4C086ZA05
4C086ZA12
4C086ZA18
4C086ZC39
(57)【要約】
本明細書に開示される化合物で気分障害を処置する方法。また提供されるのは、これらの化合物を含む医薬組成物である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
【化1】
で表される化合物又は薬学的に許容されるその塩。
【請求項2】
請求項1に記載の化合物、及び薬学的に許容される補助剤又は担体を含む、医薬組成物。
【請求項3】
気分障害を処置する方法であって、治療有効量の請求項1に記載の化合物又は請求項2に記載の医薬組成物を、それを必要とする対象に投与する工程を含む、方法。
【請求項4】
気分障害が、うつ病性障害及び双極性障害からなる群から選択される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
気分障害が、うつ病性障害である、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
気分障害が、治療抵抗性うつ病性障害である、請求項3に記載の方法。
【請求項7】
気分障害が、大うつ病性障害、持続性うつ病性障害、産後うつ病、月経前神経不安障害、季節性情緒障害、精神病性うつ病、重篤気分調節症、物質/薬誘発性うつ病性障害、及び別の医学的状態によるうつ病性障害からなる群から選択される、請求項3に記載の方法。
【請求項8】
気分障害が、物質関連障害である、請求項3に記載の方法。
【請求項9】
気分障害が、物質使用障害である、請求項3に記載の方法。
【請求項10】
気分障害が、不安障害である、請求項3に記載の方法。
【請求項11】
気分障害が、強迫性障害及び関連する障害、外傷関連障害及びストレッサー関連障害、摂食障害及び栄養補給障害、境界性人格障害、注意欠陥/多動性障害、並びに自閉症スペクトラム障害からなる群から選択される、請求項3に記載の方法。
【請求項12】
約0.5mg~150mgの請求項1に記載の化合物又は請求項2に記載の医薬組成物を投与する工程を含む、請求項3から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
請求項1に記載の化合物又は請求項2に記載の医薬組成物が、10mg~20mgの量で投与される、請求項3から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
請求項1に記載の化合物又は請求項2に記載の医薬組成物が、20mg~40mgの量で投与される、請求項3から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
請求項1に記載の化合物又は請求項2に記載の医薬組成物が、40mg~80mgの量で投与される、請求項3から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
請求項1に記載の化合物又は請求項2に記載の医薬組成物が、80mg~100mgの量で投与される、請求項3から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
請求項1に記載の化合物又は請求項2に記載の医薬組成物が、100mg~120mgの量で投与される、請求項3から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
請求項1に記載の化合物又は請求項2に記載の医薬組成物が、120mg~150mgの量で投与される、請求項3から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
悲哀又は嗜眠又は倦怠、抑うつ気分、感覚の消失、不安に満ちた心配した感情、恐怖、緊張感、不穏の感情、全て又はほぼ全ての活動への興味の低下、活動の開始の困難さ、体重増加又は体重減少をもたらす食欲の著しい増減、不眠症、短気、疲労感、無価値の感情又は自尊感情の低下、強く保持された自己、他人又は世間についての負の信念又は悲観的な思考、無力感、集中不能又は散漫性、死又は自殺についての反復思考、罪悪感、記憶の病訴、肯定的な感情の経験の困難さ、人と分離した又は人から離れた感覚、過剰警戒、リスクテイキング行動、ストレス的事象又は外傷的事象についての思考回避、疼痛及び痛み、反芻思考及び強迫観念、強迫性行動、よく知らない人又は見知らぬ人に話しかけること、注目の中心にいること、侵入思考の妨害、薬物を使用せずに1週間を終えることができないこと、薬物使用での有罪、薬物使用のための友人又は家族との問題、並びに薬物使用による離脱症状からなる群から選択される、少なくとも1つの症状の改善をもたらす、請求項3から18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
請求項1に記載の化合物又は請求項2に記載の医薬組成物が、経口、バッカル、舌下、吸入ミスト、局所、鼻腔内、皮下、筋肉内、及び静脈内からなる群から選択される経路を介して投与される、請求項3から19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
請求項1に記載の化合物又は請求項2に記載の医薬組成物が、1日に1~4回投与される、請求項3から20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
請求項1に記載の化合物又は請求項2に記載の医薬組成物が、1か月に1~10回投与される、請求項3から20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
気分障害を処置する方法であって、それを必要とする患者に、
【化2】
で表される有効量の化合物又は薬学的に許容されるその塩、及び薬学的に許容される添加剤を含む医薬組成物を投与する工程を含む、方法。
【請求項24】
気分障害が、うつ病性障害及び双極性障害からなる群から選択される、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
気分障害が、うつ病性障害である、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
気分障害が、治療抵抗性うつ病性障害である、請求項23に記載の方法。
【請求項27】
気分障害が、大うつ病性障害、持続性うつ病性障害、産後うつ病、月経前神経不安障害、季節性情緒障害、精神病性うつ病、重篤気分調節症、物質/薬誘発性うつ病性障害、及び別の医学的状態によるうつ病性障害からなる群から選択される、請求項23に記載の方法。
【請求項28】
気分障害が、物質関連障害である、請求項23に記載の方法。
【請求項29】
気分障害が、物質使用障害である、請求項23に記載の方法。
【請求項30】
気分障害が、不安障害である、請求項23に記載の方法。
【請求項31】
気分障害が、強迫性障害及び関連する障害、外傷関連障害及びストレッサー関連障害、摂食障害及び栄養補給障害、境界性人格障害、注意欠陥/多動性障害、並びに自閉症スペクトラム障害からなる群から選択される、請求項23に記載の方法。
【請求項32】
約0.5mg~150mgの化合物を投与する工程を含む、請求項23から31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
約10mg~20mgの化合物を投与する工程を含む、請求項23から31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
約20mg~40mg、約40mg~80mg、約80mg~100mg、約100mg~120mg、又は約120mg~150mgの化合物を投与する工程を含む、請求項23から31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
悲哀又は嗜眠又は倦怠、抑うつ気分、感覚の消失、不安に満ちた心配した感情、恐怖、緊張感、不穏の感情、全て又はほぼ全ての活動への興味の低下、活動の開始の困難さ、体重増加又は体重減少をもたらす食欲の著しい増減、不眠症、短気、疲労感、無価値の感情又は自尊感情の低下、強く保持された自己、他人又は世間についての負の信念又は悲観的な思考、無力感、集中不能又は散漫性、死又は自殺についての反復思考、罪悪感、記憶の病訴、肯定的な感情の経験の困難さ、人と分離した又は人から離れた感覚、過剰警戒、リスクテイキング行動、ストレス的事象又は外傷的事象についての思考回避、疼痛及び痛み、反芻思考及び強迫観念、強迫性行動、よく知らない人又は見知らぬ人に話しかけること、注目の中心にいること、侵入思考の妨害、薬物を使用せずに1週間を終えることができないこと、薬物使用での有罪、薬物使用のための友人又は家族との問題、並びに薬物使用による離脱症状からなる群から選択される、少なくとも1つの症状の改善をもたらす、請求項23から34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
経口、バッカル、舌下、吸入ミスト、局所、鼻腔内、皮下、筋肉内、及び静脈内からなる群から選択される経路を介して組成物を投与する工程を含む、請求項23から35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
組成物が、1日に1~4回投与される、請求項23から36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
組成物が、1か月に1~10回投与される、請求項23から36のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、2020年2月18日に出願された米国仮特許出願第62/978,075号の利益及び優先権を主張し、その内容は、全体を参照により本明細書に組み込む。
【背景技術】
【0002】
うつ病は一般的な心理的問題であり、低下した気分の心理状態及び活動に対する嫌悪感を指す。うつ病に関連する様々な症状として、持続する不安感又は悲哀感、無力、絶望、悲観及び/又は無価値の感情、低エネルギー、不穏、短気、疲労感、楽しい活動又は趣味に対する興味喪失、過眠、過食、食思不振、不眠症、自殺思考、並びに自殺の企てが挙げられる。上述の症状の存在、重篤度、頻度、及び期間は、ケースバイケースで変動する。
【0003】
大うつ病性障害(MDD)の患者のおよそ3分の1は、選択的セロトニン再取込阻害剤(SSRI)を含むいくつかの公知のクラスの抗うつ剤で多数回処置した後でさえ、これらの症状が緩解に達することはない(Rush等、2006年)。治療抵抗性うつ病(TRD)のこの高い罹患率は、新規の機構及び/又は患者集団を標的とするうつ病への新規でより効果的な薬物療法に対する必要性を明らかにする。
【0004】
トリプタミンは、インドール環を含有するモノアミンアルカロイドであり、その名前の由来であるアミノ酸のトリプトファンに構造的に類似している。
【0005】
置換されていない環又は置換した環でありうる類似の構造を有する天然由来の化合物及び化学誘導体を含む、著しい数のトリプタミン化合物が存在する。多くのトリプタミンは、5HT2A受容体アゴニスト及び/又は他のセロトニン受容体のモジュレーターであり、精神活性があることが知られており、多くのケースで、長引く幻覚を引き起こす。最も周知されているトリプタミンは、サイケデリック化合物であり、エンセオジェンの(entheogenic)真菌由来の化合物(サイロシビン及びサイロシン)、N,N-ジメチルトリプタミン(DMT)、リセルグ酸ジエチルアミド(LSD)、5-メトキシ-N,N-ジメチルトリプタミン(5-MeO-DMT)、ブホテニン、及びイボガインを含む。これらの化合物は、思考、知覚、及び行動に著しい影響を有することが知られている。しかし、これらの化合物は、現在、乱用の可能性が高いこと、承認された医学的使用がないこと、及び安全性が確立されていないことにより、規制物質法(Controlled Substances Act)下のスケジュールI薬物として分類されている。更に、トリプタミンは、いくつかの経路により代謝され、モノアミンオキシダーゼを含むいくつかのケースでは、いくつかの化合物の経口の生物学的利用能を制限し、作用が非常に短期間になる。逆に、他のトリプタミンは、作用期間が非常に長く、誘導療法の設定で使用するためにはこれらは困難となり、期間中、長時間監視される診療活動は、患者にとって費用がかかり、医療提供者には不便である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、気分障害の処置に確実に使用することができる安全で効果的なトリプタミン化合物に対する必要性が依然として存在する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示は、化合物2:
【化1】
又は薬学的に許容されるその塩を含む。
【0008】
加えて、本開示は、化合物2の医薬組成物及びこれを使用する方法を含む。
【0009】
加えて、本開示は、それを必要とする患者の気分障害を処置する方法であって、有効量の化合物2若しくは化合物4:
【化2】
又は薬学的に許容されるその塩を投与することを含む、方法を含む。
【0010】
例えば、本明細書で提供されるのは、それを必要とする患者に、有効量の化合物2若しくは化合物4又は薬学的に許容されるその塩を含む医薬組成物を投与することにより、気分障害を処置することを対象とする方法及び組成物である。実施形態において、方法及び組成物は、うつ病性障害、双極性障害及び関連する障害、物質関連障害、並びに/又は不安障害を含む気分障害を処置しうる。
【0011】
実施形態において、方法及び組成物は、強迫性障害及び関連する障害を含む気分障害を処置しうる。実施形態において、方法及び組成物は、外傷関連障害及びストレッサー関連障害を含む気分障害を処置しうる。実施形態において、方法及び組成物は、摂食障害及び栄養補給障害を含む気分障害を処置しうる。実施形態において、方法及び組成物は、認知障害を含む気分障害を処置しうる。実施形態において、方法及び組成物は、神経発達障害を含む気分障害を処置しうる。実施形態において、方法及び組成物は、人格障害を含む気分障害を処置しうる。実施形態において、方法及び組成物は、性機能障害を含む気分障害を処置しうる。実施形態において、方法及び組成物は、性別違和感を含む気分障害を処置しうる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】FSTでの無動時間を示す。一元配置分散分析は、FSTでの無動に費やした総時間における処置の有意な主要効果を明らかにした(F(9,99)=12.42、P<0.0001)。ダネットの多重比較検定を、群がビヒクルとの間に有意差を認めた場合に試験するために使用した。0.1mg/kgでの化合物2を除く全ての処置では、ビヒクルとの間に有意差が認められた。*P<0.05、**P<0.01、***P<0.001、****P<0.0001対ビヒクル。
図2】FSTでの水泳時間を示す。一元配置分散分析は、FSTでの水泳に費やした総時間における処置の有意な主要効果を明らかにした(F(9,99)=2.653、P=0.0090)。ダネットの多重比較検定を、群がビヒクルとの間に有意差を認めた場合に試験するために使用した。*P<0.05、**P<0.01、***P<0.001、****P<0.0001対ビヒクル。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本開示は、式I:
【化3】
(式中、
R1は、任意に置換されたC1~C4脂肪族であり;
R2は、任意に置換されたC1~C4脂肪族であり;
R26は、水素、ハロゲン、-CN、-OH、C1~C3アルコキシ、C1~C3ハロアルキル、OAc、-OPO(OH)2、及びNH2からなる群から選択される)
による化合物又は薬学的に許容されるその塩を含む。
【0014】
いくつかの実施形態において、R1は、Me、Et、nPr、iPr、シクロプロピル、アリル、イソブチル、シクロプロピルメチルからなる群から選択される。いくつかの実施形態において、R2は、Me、Et、nPr、iPr、シクロプロピル、アリル、イソブチル、シクロプロピルメチルからなる群から選択される。
【0015】
いくつかの実施形態において、R26は、水素、F、Cl、Br、I、CF3、Me、CN、OMe、OH、OAc、及びNH2からなる群から選択される。いくつかの実施形態において、R26は、F、Cl、Br、I、CF3、Me、CN、OMe、OH、OAc、及びNH2からなる群から選択される。いくつかの実施形態において、R26はハロゲンである。いくつかの実施形態において、R26はフルオロである。いくつかの実施形態において、R26はクロロである。いくつかの実施形態において、R26はブロモである。いくつかの実施形態において、R26はヨードである。
【0016】
実施形態において、本開示は、
【化4】
からなる群から選択される化合物又は薬学的に許容されるその塩を含む。
【0017】
実施形態において、本開示は、
【化5-1】
【化5-2】
からなる群から選択される化合物又は薬学的に許容されるその塩を含む。
【0018】
実施形態において、本開示は、
【化6-1】
【化6-2】
からなる群から選択される化合物又は薬学的に許容されるその塩を含む。
【0019】
本明細書に記載されるのは、それを必要とする患者に本明細書に開示される化合物を投与することにより、気分障害を処置するための方法及び組成物である。また提供されるのは、本明細書に開示される化合物を含む医薬組成物である。
【0020】
実施形態において、方法及び組成物は、うつ病性障害、例えば大うつ病性障害、持続性うつ病性障害、産後うつ病、月経前神経不安障害、季節性情緒障害、精神病性うつ病、重篤気分調節症、物質/薬誘発性うつ病性障害、及び別の医学的状態によるうつ病性障害を含む気分障害を処置するのに使用することができる。
【0021】
いくつかの実施形態において、うつ病状態は、大うつ病性障害及び気分変調性障害を含む。いくつかの実施形態において、うつ病状態は、限定されないが、精神病性うつ病、産後うつ病、季節性情緒障害(SAD)、気分障害、がん又は慢性疼痛のような慢性的な医学的状態により引き起こされるうつ病、化学療法、慢性ストレス、心的外傷後ストレス障害、及び双極性障害(又は躁うつ病性障害)を含む、独特の状況下で発症する。いくつかの実施形態において、本開示の本態様により処置されると期待されるうつ病状態として、限定されないが、大うつ病性障害、気分変調性障害、精神病性うつ病、産後うつ病、月経前症候群、月経前神経不安障害、季節性情緒障害(SAD)、不安症、気分障害、がん又は慢性疼痛のような慢性的な医学的状態により引き起こされるうつ病、化学療法、慢性ストレス、心的外傷後ストレス障害、及び双極性障害(又は躁うつ病性障害)が挙げられる。
【0022】
また本明細書で提供されるのは、難治性うつ病、例えば、少なくとも1種又は少なくとも2種の他の抗うつ化合物又は治療法の適した過程に応答しない及び/又は応答していないうつ病性障害に罹患する患者を処置する方法である。例えば、本明細書で提供されるのは、治療抵抗性の患者のうつ病を処置する方法であって、a)任意で、治療抵抗性として患者を同定すること、及びb)有効用量の本開示の化合物を投与することを含む、方法である。本明細書で使用した場合、「うつ病性障害」は、難治性うつ病を包含する。いくつかの実施形態において、難治性うつ病は、三環系抗うつ剤、MAOI、SSRI、並びに二重及び三重の取込阻害剤及び/又は抗不安薬を含む標準的な薬理学的処置、並びに、精神療法、電気ショック療法、迷走神経刺激及び/又は経頭蓋磁気刺激のような非薬理学的処置に抵抗性があるうつ病に罹患する患者で起こる。いくつかの実施形態において、治療抵抗性の患者は、1つ以上の標準的な薬理学的又は非薬理学的処置を受けているにもかかわらず、うつ病の1つ以上の症状(例えば、持続する不安感又は悲哀感、無力、絶望、悲観の感情)の軽減を経験することがない患者として同定されうる。ある特定の実施形態において、治療抵抗性の患者は、2つの異なる抗うつ薬での処置を受けているにもかかわらず、うつ病の1つ以上の症状の軽減を経験することがない患者である。他の実施形態において、治療抵抗性の患者は、4つの異なる抗うつ薬での処置を受けているにもかかわらず、うつ病の1つ以上の症状の軽減を経験することがない患者である。いくつかの実施形態において、治療抵抗性の患者はまた、1つ以上の標準的な薬理学的又は非薬理学的処置の副作用に対して耐性があることが望ましくない又は耐性のできない患者として同定されうる。
【0023】
いくつかの実施形態において、うつ病に関連する症状として、限定されないが、持続する不安感又は悲哀感、無力、絶望、悲観及び/若しくは無価値の感情、低エネルギー、不穏、短気、疲労感、楽しい活動又は趣味に対する興味喪失、過眠、過食、食思不振、不眠症、自殺思考、又は自殺の企てが挙げられる。いくつかの実施形態において、不安に関連する様々な症状として、とりわけ、恐怖、パニック、心臓の動悸、息切れ、疲労感、悪心、及び頭痛が挙げられる。加えて、任意の形態のうつ病に罹患する患者は、多くの場合、不安を経験する。本条件の方法は、不安又はその症状のいずれかを処置するのに使用することができると期待される。いくつかの実施形態において、うつ病の症状の存在、重篤度、頻度、及び期間は、ケースバイケースで変動する。
【0024】
実施形態において、方法及び組成物は、双極性障害及び関連する障害を含む気分障害、例えば、双極性障害I型、双極性障害II型、気分循環障害、物質/薬誘発性の双極性障害及び関連する障害、並びに別の医学的状態による双極性障害及び関連する障害を処置するのに使用することができる。
【0025】
実施形態において、方法及び組成物は、例えば、物質使用欲求を予防して、物質使用欲求を減少させて、及び/又は物質使用の中断若しくは離脱を促進して、物質関連障害を含む気分障害を処置するのに使用することができる。物質使用障害は、アルコール、カフェイン、大麻、吸入剤、オピオイド、鎮静剤、催眠剤、抗不安剤、興奮剤、ニコチン、及びタバコのような精神活性化合物の乱用を含む。本明細書で使用した場合、「物質」とは、アルコール、カフェイン、大麻、幻覚剤、吸入剤、オピオイド、鎮静剤、催眠剤、抗不安剤、興奮剤、ニコチン、及びタバコのような中毒性でありうる精神活性化合物である。例えば、方法及び組成物は、禁煙又はオピオイド使用の中断を促進するのに使用することができる。
【0026】
実施形態において、方法及び組成物は、不安障害を含む気分障害、例えば、分離不安障害、選択的緘黙、特定恐怖症、社会不安障害(社交恐怖症)、パニック障害、パニック発作、広場恐怖症、全般性不安障害、物質/薬誘発性の不安障害、及び別の医学的状態による不安障害を処置するのに使用することができる。
【0027】
実施形態において、方法及び組成物は、強迫性障害及び関連する障害を含む気分障害、例えば、強迫性障害、身体醜形障害、ため込み症、抜毛癖(抜毛症)、皮膚むしり症(excoriation disorder、skin-picking disorder)、物質/薬誘発性の強迫性障害及び関連する障害、並びに別の医学的状態による強迫性障害及び関連する障害を処置するのに使用することができる。
【0028】
実施形態において、方法及び組成物は、外傷関連障害及びストレッサー関連障害を含む気分障害、例えば、反応性愛着障害、脱抑制型対人交流障害、心的外傷後ストレス障害、急性ストレス障害、及び適応障害を処置するのに使用することができる。
【0029】
実施形態において、方法及び組成物は、摂食障害及び栄養補給障害を含む気分障害、例えば、神経性食欲不振症、神経性過食症、無茶食い障害、異食症、反芻性障害、及び回避/制限性食物摂取障害を処置するのに使用することができる。
【0030】
実施形態において、方法及び組成物は、認知障害を含む気分障害、例えば、せん妄、重度の認知症、軽度の認知症、アルツハイマー病による重度又は軽度の認知症、重度又は軽度の前頭側頭型認知症、レヴィ小体を伴う重度又は軽度の認知症、重度又は軽度の血管性認知症、外傷性脳損傷による重度又は軽度の認知症、物質/薬誘発性の重度又は軽度の認知症、HIV感染による重度又は軽度の認知症、プリオン病による重度又は軽度の認知症、パーキンソン病による重度又は軽度の認知症、ハンチントン病による重度又は軽度の認知症、別の医学的状態による重度又は軽度の認知症、及び多数の病因による重度又は軽度の認知症を処置するのに使用することができる。
【0031】
実施形態において、方法及び組成物は、神経発達障害を含む気分障害、例えば、自閉症スペクトラム障害、注意欠陥/多動性障害、常同性運動障害、チック障害、トゥレット病、持続性(慢性)運動性又は音声チック障害、及び暫定的チック障害を処置するのに使用することができる。いくつかの実施形態において、様々な他の神経学的状態は、本開示の方法にしたがって処置されると期待される。いくつかの実施形態において、神経学的状態として、限定されないが、学習障害、自閉症性障害、注意欠陥多動性障害、トゥレット症候群、恐怖症、心的外傷後ストレス障害、認知症、AIDS認知症、アルツハイマー病、パーキンソン病、痙直、ミオクローヌス、筋痙縮、双極性障害、物質乱用障害、尿失禁、及び統合失調症が挙げられる。
【0032】
実施形態において、方法及び組成物は、人格障害を含む気分障害、例えば、境界性人格障害を処置するのに使用することができる。
【0033】
実施形態において、方法及び組成物は、性機能障害を含む気分障害、例えば、遅漏、勃起障害、女性オルガズム障害、女性の性的関心/性的喚起障害、性器骨盤痛/挿入障害、男性の性欲低下障害、早漏(premature ejaculation、early ejaculation)、及び物質/薬誘発性の性機能障害を処置するのに使用することができる。
【0034】
実施形態において、方法及び組成物は、性別違和感を含む気分障害を処置するのに使用することができる。
【0035】
実施形態において、提供されるのは、それを必要とする対象に、有効量のエチルプロピルトリプタミン(EPT;化合物1)又は薬学的に許容されるその塩を投与することにより、気分障害を処置するための方法及び組成物である。
【化7】
【0036】
他の実施形態において、提供されるのは、それを必要とする対象に、有効量のメチルエチルトリプタミン(MET;化合物2)又は薬学的に許容されるその塩を投与することにより、気分障害を処置するための方法及び組成物である。
【化8】
【0037】
他の実施形態において、提供されるのは、それを必要とする対象に、以下の構造:
【化9】
から選択される有効量の本明細書に開示される化合物又は薬学的に許容されるその塩を投与することにより、気分障害を処置するための方法及び組成物である。
【0038】
他の実施形態において、提供されるのは、それを必要とする対象に、以下の構造:
【化10-1】
【化10-2】
から選択される有効量の本明細書に開示される化合物又は薬学的に許容されるその塩を投与することにより、気分障害を処置するための方法及び組成物である。
【0039】
他の実施形態において、提供されるのは、それを必要とする対象に、以下の構造:
【化11-1】
【化11-2】
から選択される有効量の本明細書に開示される化合物又は薬学的に許容されるその塩を投与することにより、気分障害を処置するための方法及び組成物である。他の実施形態において、本明細書で提供されるのは、それを必要とする患者に本開示の化合物を投与することにより、偏頭痛又は群発性頭痛を処置するための方法及び組成物である。
【0040】
他の実施形態において、本明細書で提供されるのは、それを必要とする対象に、本開示の化合物を投与することにより、炎症を処置するための方法及び組成物である。
【0041】
実施形態において、方法は、それを必要とする患者に、約0.01mg~約400mgの本明細書に開示される化合物を含む医薬組成物を投与することにより、気分障害、例えばうつ病性障害を処置することを含む。実施形態において、用量は、例えば、約0.01~400mg、0.01~300mg、0.01~250mg、0.01~200mg、0.01~150mg、0.01~100mg、0.01~75mg、0.01~50mg、0.01~25mg、0.01~20mg、0.01~15mg、0.01~10mg、0.01~5mg、0.01~1mg、0.01~0.5mg、0.01~0.1mg、0.1~300mg、0.1~250mg、0.1~200mg、0.1~150mg、0.1~100mg、0.1~75mg、0.1~50mg、0.1~25mg、0.1~20mg、0.1~15mg、0.1~10mg、0.1~5mg、0.1~1mg、10~300mg、10~250mg、10~200mg、10~150mg、10~100mg、10~50mg、10~25mg、10~15mg、20~300mg、20~250mg、20~200mg、20~150mg、20~100mg、20~50mg、50~300mg、50~250mg、50~200mg、50~150mg、50~100mg、100~300mg、100~250mg、100~200mgの範囲でありえ、例えば、約0.25mg、0.5mg、0.75mg、1mg、1.25mg、1.5mg、1.75mg、2.0mg、2.5mg、3.0mg、3.5mg、4.0mg、4.5mg、5mg、10mg、15mg、20mg、25mg、30mg、35mg、40mg、45mg、50mg、75mg、100mg、125mg、150mg、175mg、200mg、225mg、250mg、275mg、300mg、及び400mgが用量の例である。
【0042】
具体的な実施形態において、投与量は、例えば、約1mg~200mg、1mg~100mg、1mg~50mg、1mg~40mg、1mg~30mg、1mg~20mg、1mg~15mg、0.01mg~10mg、0.1mg~15mg、0.15mg~12.5mg、又は0.2mg~10mgの範囲の、本明細書に開示される化合物の量を含み得、0.1mg、0.2mg、0.3mg、0.4mg、0.5mg、0.6mg、0.7mg、0.8mg、0.9mg、1.0mg、1.5mg、1.75mg、2mg、2.5mg、2.75mg、3mg、3.5mg、3.75mg、4mg、4.5mg、4.75mg、5mg、5.5mg、6mg、6.5mg、7mg、7.5mg、8mg、8.5mg、9mg、9.5mg、10mg、11mg、12mg、15mg、20mg、25mg、30mg、35mg、40mg、45mg、50mg、60mg、75mg、80mg、90mg、100mg、125mg、150mg、及び200mgの用量が具体的な用量の例である。
【0043】
典型的には、本明細書に開示される化合物の投与量は、1日に1回、2回、3回、若しくは4回、1日おきに、3日おきに、週に1回、月に2回、月に1回、又は年に3~4回、それを必要とする患者に投与される。実施形態において、投与量は、例えば、約1~400mg/日、又は1~300mg/日、又は1~250mg/日、又は1~200mg/日であり、例えば、300mg/日、250mg/日、200mg/日、150mg/日、100mg/日、75mg/日、50mg/日、40mg/日、30mg/日、25mg/日、20mg/日、15mg/日、10mg/日、5mg/日、又は1mg/日である。
【0044】
実施形態において、本明細書に開示される化合物の非経口投与又は吸入、例えば噴霧又はミスト用の医薬組成物は、約0.005mg/ml~約500mg/mLの濃度を含む。実施形態において、組成物は、本明細書に開示される化合物を、例えば、約0.05mg/mL~約50mg/mL、約0.05mg/mL~約100mg/mL、約0.005mg/mL~約500mg/mL、約0.1mg/mL~約50mg/mL、約0.1mg/mL~約10mg/mL、約0.05mg/mL~約25mg/mL、約0.05mg/mL~約10mg/mL、約0.05mg/mL~約5mg/mL、又は約0.05mg/mL~約1mg/mLの濃度で含む。
【0045】
実施形態において、組成物は、本明細書に開示される化合物を、例えば、約0.05mg/mL~約15mg/mL、約0.5mg/mL~約10mg/mL、約0.25mg/mL~約5mg/mL、約0.5mg/mL~約7mg/mL、約1mg/mL~約10mg/mL、約5mg/mL~約10mg/mL、約5mg/mL~約15mg/mL、約5mg/mL~25mg/mL、約5mg/mL~50mg/mL、又は約10mg/mL~100mg/mLの濃度で含む。実施形態において、医薬組成物は、例えば、約10mL、20mL、25mL、50mL、100mL、200mL、250mL、又は500mLの総体積として製剤化される。
【0046】
典型的には、投与量は、1日に1回、2回、3回、若しくは4回、1日おきに、3日おきに、週に1回、月に2回、月に1回、又は年に3~4回、対象に投与されうる。実施形態において、本明細書に開示される化合物は、朝に1回又は夕に1回、対象に投与される。実施形態において、本明細書に開示される化合物は、朝に1回及び夕に1回、対象に投与される。実施形態において、本明細書に開示される化合物は、1日に3回(例えば、朝食、昼食、及び夕食)、例えば50mg/投与(例えば、150mg/日)の用量で対象に投与される。
【0047】
実施形態において、本明細書に開示される化合物は、1回以上の用量で、12.5mg/日で対象に投与される。実施形態において、本明細書に開示される化合物は、1回以上の用量で、25mg/日で対象に投与される。実施形態において、本明細書に開示される化合物は、1回以上の用量で、35mg/日で対象に投与される。実施形態において、本明細書に開示される化合物は、1回以上の用量で、50mg/日で対象に投与される。実施形態において、本明細書に開示される化合物は、1回以上の用量で、75mg/日で対象に投与される。実施形態において、本明細書に開示される化合物は、1回以上の用量で、100mg/日で対象に投与される。実施形態において、本明細書に開示される化合物は、1回以上の用量で、150mg/日で対象に投与される。実施形態において、本明細書に開示される化合物は、1回以上の用量で、200mg/日で対象に投与される。実施形態において、本明細書に開示される化合物は、1回以上の用量で、250mg/日で対象に投与される。
【0048】
実施形態において、本明細書に開示される化合物の投与量は、1日に1回、2回、3回、又は4回、0.0005~5mg/kg、0.001~1mg/kg、0.01~1mg/kg、又は0.1~5mg/kgである。例えば、実施形態において、投与量は、1日に1回、2回、3回、又は4回、0.0005mg/kg、0.001mg/kg、0.005mg/kg、0.01mg/kg、0.025mg/kg、0.05mg/kg、0.1mg/kg、0.15mg/kg、0.2mg/kg、0.25mg/kg、0.3mg/kg、0.4mg/kg、0.5mg/kg、0.75mg/kg、1mg/kg、2.5mg/kg、又は5mg/kgである。実施形態において、対象は、1日に1回、2回、3回、又は4回、0.01mg~500mgの総一日用量の本明細書に開示される化合物を投与される。実施形態において、24時間の期間に対象に投与される総量は、例えば、0.01mg、0.025mg、0.05mg、0.075mg、0.1mg、0.125mg、0.15mg、0.175mg、0.2mg、0.25mg、0.3mg、0.4mg、0.5mg、0.75mg、1mg、1.5mg、2mg、2.5mg、3mg、4mg、5mg、7.5mg、10mg、12.5mg、15mg、17.5mg、20mg、25mg、30mg、35mg、40mg、45mg、50mg、60mg、75mg、80mg、90mg、100mg、125mg、150mg、175mg、200mg、250mg、300mg、400mg、又は500mgである。実施形態において、対象は低用量で開始することができ、投与量は段階的に増加させる。実施形態において、対象は高用量で開始することができ、投与量は低減させる。
【0049】
実施形態において、本明細書に開示される化合物は、所定の間隔で、例えば吸入又は経口を介して投与されうる。例えば、処置の間、患者は、本明細書に開示される化合物を、例えば、1年、6か月、90日、60日、30日、14日、7日、3日、24時間、12時間、8時間、6時間、5時間、4時間、3時間、2.5時間、2.25時間、2時間、1.75時間、1.5時間、1.25時間、1時間、0.75時間、0.5時間、又は0.25時間おきの間隔で投与されうる。
【0050】
実施形態において、本開示の化合物又は薬学的に許容されるその塩は、医療提供者の監視下で患者に投与される。
【0051】
実施形態において、本開示の化合物又は薬学的に許容されるその塩は、精神活性処置の実施に特化した診療所で、医療提供者の監視下で患者に投与される。
【0052】
実施形態において、本開示の化合物は、対象においてサイケデリックな経験を誘発することを意図した高用量、例えば、12.5mg、15mg、17.5mg、20mg、25mg、30mg、35mg、40mg、45mg、50mg、60mg、70mg、80mg、90mg、100mg、125mg、又は150mgで医療提供者の監視下で患者に投与される。
【0053】
いくつかの実施形態において、医療提供者の監視下での高用量の患者への投与は、例えば、3日おきに、週に2回、週に1回、月に2回、月に1回、年に3回、年に2回、又は年に1回、患者において治療効果を維持するために定期的に行われる。
【0054】
いくつかの実施形態において、本開示の化合物又は薬学的に許容されるその塩は、家庭又は医療提供者の監視から離れたところで患者自身に、患者により投与される。
【0055】
いくつかの実施形態において、本開示の化合物又は薬学的に許容されるその塩は、知覚以下の精神活性効果となる又は閾値の精神活性効果を誘発することを意図した低用量、例えば、0.1mg、0.25mg、0.5mg、0.75mg、1mg、1.5mg、2mg、2.5mg、3mg、4mg、5mg、7.5mg、又は10mgで家庭又は医療提供者の監視から離れたところで患者自身に、患者により投与される。
【0056】
いくつかの実施形態において、患者自身への低用量の患者による投与は、例えば、毎日、1日おき、3日おき、週に2回、週に1回、月に2回、又は月に1回、患者において治療効果を維持するために定期的に行われる。
【0057】
本明細書に開示される化合物に好適な剤形として、限定されないが、経口形態、例えば錠剤、硬質若しくは軟質ゼラチンカプセル剤、散剤、顆粒剤及び経口液剤、シロップ剤若しくは懸濁剤、トローチ剤、並びに舌下、バッカル、気管内、眼内、若しくは鼻腔内形態、吸入に対応した形態、局所形態、経皮形態、又は非経口形態、例えば、静脈内投与、細動脈内投与、腹腔内投与、鞘内投与、心室内投与、筋肉内投与、若しくは皮下投与に対応した形態が挙げられる。実施形態において、このような非経口投与に対して、血液と等張である溶液を作製するための他の物質、例えば十分な塩又はグルコースを含有しうる滅菌水溶液の形態でありうる。水溶液は、必要ならば、(好ましくは3~9のpHに)好適に緩衝化されるべきである。滅菌条件下での好適な非経口製剤の調製は、当業者に周知されている標準的な薬学的技術により容易に達成される。
【0058】
本明細書の医薬組成物は、即時放出、遅延放出、持続放出、又は調節放出のプロファイルで提供されうる。実施形態において、異なる薬物放出プロファイルを有する医薬組成物は、二相又は三相の放出プロファイルを創出するために合わせることができる。例えば、医薬組成物は、即時放出及び持続放出のプロファイルで提供されうる。実施形態において、医薬組成物は、持続放出及び遅延放出のプロファイルで提供されうる。このような組成物は、パルス製剤、多層錠剤、又は錠剤、ビーズ剤、顆粒剤等を含有するカプセル剤として提供されうる。組成物は、安全で効果的であるとみなされる材料から構成される薬学的に許容される「担体」を使用して調製することができる。「担体」は、1つ以上の有効成分以外の医薬製剤に存在する全ての成分を含む。用語「担体」は、限定されないが、賦形剤、結合剤、滑沢剤、流動促進剤、崩壊剤、充填剤、及びコーティング組成物を含む。
【0059】
医薬組成物は、経口、直腸、経鼻、局所(経皮、バッカル、及び舌下を含む)、経膣、若しくは非経口(皮下、筋肉内、静脈内、及び皮内を含む)の投与、又はインプラントを介した投与に好適なものを含む。組成物は、薬学の分野で周知されている任意の方法により調製することができる。
【0060】
このような方法は、本開示で使用される化合物又はその組合せを補助剤と混ぜ合わせる工程を含む。補助剤は、補助成分とも命名されるが、当該技術分野における従来のもの、例えば、担体、充填剤、結合剤、賦形剤、崩壊剤、滑沢剤、着色剤、着香剤、抗酸化剤、及び湿潤化剤を含む。このような補助剤は、意図した形態及び投与経路に対して、従来の薬学的実務と一致して好適に選択される。
【0061】
経口投与に好適な医薬組成物は、丸剤、錠剤、糖衣剤若しくはカプセル剤、若しくは散剤若しくは顆粒剤のような別個の剤形として、又は液剤若しくは懸濁剤として提供されうる。有効成分はまた、ボーラス剤又はペースト剤としても提供されうる。組成物は、直腸投与用の坐剤又は浣腸剤に更に加工することができる。
【0062】
錠剤は、有効成分化合物、並びに好適な結合剤、滑沢剤、崩壊剤、着色化剤、着香剤、流動誘導剤、及び溶解化剤を含有することができる。ゼラチンカプセル剤は、ラクトース、デンプン、セルロース誘導体、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸等のような、有効成分化合物及び粉末状の担体を含有することができる。類似の賦形剤は、圧縮錠剤を作製するのに使用することができる。圧縮錠剤は、いかなる不快な味もマスキングし、大気から錠剤を保護するために糖衣コーティング若しくはフィルムコーティングすることができる、又は、消化管で選択的に崩壊させるために腸溶コーティングすることができる。例えば、錠剤又はカプセル剤の単位剤形での経口投与に対して、有効薬物成分は、ラクトース、ゼラチン、寒天、デンプン、スクロース、グルコース、メチルセルロース、ステアリン酸マグネシウム、リン酸二カルシウム、硫酸カルシウム、マンニトール、ソルビトール等のような経口的で非毒性の薬学的に許容される不活性担体と合わせることができる。好適な結合剤として、デンプン、ゼラチン、グルコース若しくはベータ-ラクトースのような天然糖、トウモロコシ甘味剤、アカシア、トラガカントのような天然ゴム及び合成ゴム、又はアルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール、ワックス等が挙げられる。これらの剤形で使用される滑沢剤として、オレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム等が挙げられる。崩壊剤として、限定されないが、デンプン、メチルセルロース、寒天、ベントナイト、キサンタンガム等が挙げられる。
【0063】
液体剤形での経口投与に対して、経口薬物成分は、エタノール、グリセロール、水等のような任意の経口的で非毒性の薬学的に許容される不活性担体と合わせる。好適な液体剤形の例として、限定されないが、水中の液剤又は懸濁剤、薬学的に許容される脂肪及び油、アルコール及び他の有機溶媒(エステルを含む)、乳剤、シロップ剤又はエリキシル剤、懸濁剤、非発泡性顆粒剤から再構成される液剤及び/又は懸濁剤、並びに発泡性顆粒剤から再構成される発泡性調製物が挙げられる。このような液体剤形は、例えば、好適な溶媒、保存剤、乳化剤、懸濁化剤、賦形剤、甘味剤、増粘剤、及び溶解化剤を含有しうる。経口投与用の液体剤形は、患者の許容性を高める着色化剤及び着香剤を含有しうる。
【0064】
非経口投与に対して、好適な組成物として、水性及び非水性の滅菌溶液が挙げられる。一般に、水、好適な油、生理食塩水、水性デキストロース(グルコース)及び関連する糖溶液、並びにプロピレングリコール又はポリエチレングリコールのようなグリコールは、非経口液剤に好適な担体である。非経口投与用の液剤は、好ましくは、有効成分の水溶性塩、好適な安定化剤、必要ならば、緩衝物質を含有する。重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、又はアスコルビン酸のような抗酸化剤は、単独で又は組み合わせて、好適な安定化剤である。また使用されるのは、クエン酸及びその塩、並びにナトリウムEDTAである。加えて、非経口液剤は、塩化ベンザルコニウム、メチル又はプロピル-パラベン、及びクロロブタノールのような保存剤を含有しうる。組成物は、単位用量又は複数用量の容器、例えば密封したバイアル及びアンプルで提供することができ、使用前に、滅菌の液体担体、例えば水の添加のみを要する凍結乾燥した(freeze-dry、lyophilized)状態で保存しうる。経皮投与に対して、例えば、ゲル剤、貼付剤、又はスプレー剤を企図しうる。例えば経鼻吸入による肺内投与に好適な組成物又は製剤は、計量加圧エアゾール剤、ネブライザー、又は注入器により生成することができる微粉末又はミストを含む。非経口形態及び静脈内形態はまた、選ばれた注射又は送達系の種類に適合した鉱物及び他の材料も含む。
【0065】
本開示の方法で使用される化合物はまた、小型単層小胞、大型単層小胞、及び多層小胞のようなリポソーム送達系の形態で投与することもできる。リポソームは、コレステロール、ステアリルアミン、又はホスファチジルコリンのような様々なリン脂質から形成することができる。化合物は、組織標的性乳剤の成分として投与されうる。
【0066】
本開示の方法で使用される化合物はまた、標的可能な薬物担体として又はプロドラッグとして可溶性ポリマーに結合することもできる。このようなポリマーとして、ポリビニルピロリドン、ピランコポリマー、ポリヒドロキシルプロピルメタクリルアミド-フェノール、ポリヒドロキシエチルアスパルタ-ミデフェノール、又はパルミトイル残基で置換したポリエチレンオキシド-ポリリシンが挙げられる。更に、化合物は、薬物の制御放出を達成するのに有用なクラスの生分解性ポリマー、例えばポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ乳酸及びポリグリコール酸のコポリマー、ポリエプシロンカプロラクトン、ポリヒドロキシ酪酸、ポリオルトエステル、ポリアセタール、ポリジヒドロピラン、ポリシアノアシレート、及びヒドロゲルの架橋又は両親媒性ブロックコポリマーに結合することができる。
【0067】
本明細書の医薬組成物は、即時放出、遅延放出、持続放出、又は調節放出のプロファイルで提供されうる。いくつかの実施形態において、異なる薬物放出プロファイルを有する医薬組成物は、二相又は三相の放出プロファイルを創出するために合わせることができる。例えば、医薬組成物は、即時放出及び持続放出のプロファイルで提供されうる。いくつかの実施形態において、医薬組成物は、持続放出及び遅延放出のプロファイルで提供されうる。このような組成物は、パルス製剤、多層錠剤、又は錠剤、ビーズ剤、顆粒剤等を含有するカプセル剤として提供されうる。
【0068】
本明細書の医薬組成物は、当該技術分野で知られている技術により、例えば、粉砕するのが難しい、又は水に溶解するのが難しい錠剤を作製することにより、乱用防止の性質で提供されうる。
【0069】
本開示は、下記の通り、包装材料と組み合わせた、以下に記載される使用のための組成物の使用に対する取扱説明書を含む、医薬組成物を更に含む。
【0070】
組成物の投与の正確な用量及びレジメンは、必然的に、達成すべき治療効果又は栄養効果の種類及び大きさに依存し、特定の化合物、配合物、投与経路、又は年齢、及び組成物を投与すべき個別の対象の状態のような因子によって変動しうる。
【0071】
本開示の方法で使用される化合物は、本明細書で詳述される形態を含む様々な形態で投与することができる。化合物での処置は、併用療法又は補助療法の成分でありうる、即ち、薬物を必要とする対象又は患者は、本化合物の1つ以上と併用して、疾患に対して別の薬物で処置する、又は別の薬物を投与する。この併用療法は、患者を最初に1つの薬物で処置し、次いで他の薬物で処置する、又は2つの薬物を同時に投与する逐次療法でありうる。これらは、利用する剤形によって投与の同じ経路又は2つ以上の異なる経路により独立して投与されうる。
【0072】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示される化合物は、うつ病又は不安を緩和させることを含む、うつ病、不安、及び/又は他の関連する疾患を処置し、うつ病又は不安の再発を予防するための医薬を製造するための、三環系抗うつ剤、MAOI、SSRI、並びに二重及び三重の取込阻害剤及び/又は抗不安薬のような1つ以上の他の抗うつ剤処置と組み合わせて投与されうる。いくつかの実施形態において、本開示の化合物と組み合わせて使用されうる治療薬として、限定されないが、アナフラニール、アダピン、アベンチル、エラビル、ノルプラミン、パメロール、ペルトフラン、シネクアン、スルモンチール、トフラニール、ビバクチル、パルネート、ナーディル、マープラン、セレクサ、レクサプロ、ルボックス、パキシル、プロザック、ゾロフト、ウェルブトリン、イフェクサー、レメロン、シンバルタ、デジレル(トラゾドン)、及びルジオミールが挙げられる。
【0073】
定義
本開示の文脈において、用語「5-HT2a受容体アゴニスト」とは、5-HT2a受容体を活性化する任意の化合物又は物質を意味することが意図される。アゴニストは、部分アゴニスト又は完全アゴニストでありうる。
【0074】
用語「脂肪族」又は「脂肪族基」とは、本明細書で使用した場合、完全に飽和した若しくは1単位以上の不飽和を含有する直鎖(即ち、非分岐鎖)若しくは分岐鎖、置換若しくは非置換の炭化水素鎖、又は、完全に飽和した、若しくは分子の残りへの単一の結合点を有する、1単位以上の不飽和を含有するが、芳香族ではない単環式炭化水素若しくは二環式炭化水素(本明細書で「炭素環」、「脂環式」、若しくは「シクロアルキル」とも称す)を意味する。別段指定しない限り、脂肪族基は、1~6個の脂肪族炭素原子を含有する。いくつかの実施形態において、脂肪族基は、1~5個の脂肪族炭素原子を含有する。他の実施形態において、脂肪族基は、1~4個の脂肪族炭素原子を含有する。更に他の実施形態において、脂肪族基は、1~3個の脂肪族炭素原子を含有し、なお他の実施形態において、脂肪族基は、1~2個の脂肪族炭素原子を含有する。いくつかの実施形態において、「脂環式」(又は「炭素環」又は「シクロアルキル」)とは、完全に飽和した、又は分子の残りへの単一の結合点を有する、1単位以上の不飽和を含有するが、芳香族ではない単環式C3~C6炭化水素を指す。好適な脂肪族基として、限定されないが、直鎖状又は分岐鎖、置換又は非置換のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、及び(シクロアルキル)アルキル、(シクロアルケニル)アルキル、又は(シクロアルキル)アルケニルのようなそれらの混成物が挙げられる。
【0075】
用語「アルキル」とは、直鎖又は分岐鎖アルキル基を指す。例示的なアルキル基は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、及びtert-ブチルである。
【0076】
用語「ハロアルキル」とは、1つ以上のハロゲン原子で置換されている直鎖又は分岐鎖アルキル基を指す。
【0077】
用語「ハロゲン」とは、F、Cl、Br、又はIを意味する。
【0078】
本明細書で使用した場合、用語「薬学的に許容される」とは、「一般に安全とみなされる」、例えば、生理学的に耐性があり、ヒトに投与した場合、アレルギー反応又は類似の有害反応を典型的に生じない、分子実体及び組成物を指す。実施形態において、この用語は、動物、より具体的にはヒトでの使用に対して、FDAによる販売前の検討及び承認を行う連邦食品・医薬品・化粧品法(Federal Food, Drug and Cosmetic Act)の204(s)節及び409節のGRASリスト又は類似のリストとして、連邦政府若しくは州政府の規制当局、米国薬局方、又は別の一般に認識される薬局方により承認された分子実体及び組成物を指す。
【0079】
本明細書に記載される場合、本発明の化合物は、「任意に置換された」部分を含有しうる。一般に、用語「置換された」とは、用語「任意に」が先行したかどうかにかかわらず、指定された部分の1つ以上の水素が好適な置換基で置き換わることを意味する。別段指示がない限り、「任意に置換された」基は、基の置換可能な各位置に好適な置換基を有することができ、任意の所与の構造での2つ以上の位置が特定の基から選択される2つ以上の置換基で置換されうる場合、置換基は、各々の位置で同じでありうる、又は異なりうる。本発明で想定される置換基の組合せは、好ましくは、安定な又は化学的に実現可能な化合物の生成をもたらすものである。用語「安定な」とは、本明細書で使用した場合、本明細書に開示される目的の1つ以上に対して、それらの製造、検出、並びに、ある特定の実施形態において、それらの回収、精製、及び使用を可能にする条件におく場合、実質的に変化しない化合物を指す。
【0080】
「任意に置換された」基の置換可能な炭素原子の好適な1価の置換基は、独立して、ハロゲン; -(CH2)0~4R; -(CH2)0~4OR; -(CH2)0~4R、-O-(CH2)0~4C(O)OR; -(CH2)0~4CH(OR)2; -(CH2)0~4SR; -(CH2)0~4Ph(Rで置換されうる); -(CH2)0~4O(CH2)0~1Ph(Rで置換されうる); -CH=CHPh(Rで置換されうる); -(CH2)0~4O(CH2)0~1-ピリジル(Rで置換されうる); -NO2; -CN; -N3; -(CH2)0~4N(R)2; -(CH2)0~4N(R)C(O)R; -N(R)C(S)R; -(CH2)0~4N(R)C(O)NR 2; -N(R)C(S)NR 2; -(CH2)0~4N(R)C(O)OR; -N(R)N(R)C(O)R; -N(R)N(R)C(O)NR 2; -N(R)N(R)C(O)OR; -(CH2)0~4C(O)R; -C(S)R; -(CH2)0~4C(O)OR; -(CH2)0~4C(O)SR; -(CH2)0~4C(O)OSiR 3; -(CH2)0~4OC(O)R; -OC(O)(CH2)0~4SR、SC(S)SR; -(CH2)0~4SC(O)R; -(CH2)0~4C(O)NR 2; -C(S)NR 2; -C(S)SR; -SC(S)SR、-(CH2)0~4OC(O)NR 2; -C(O)N(OR)R; -C(O)C(O)R; -C(O)CH2C(O)R; -C(NOR)R; -(CH2)0~4SSR; -(CH2)0~4S(O)2R; -(CH2)0~4S(O)2OR; -(CH2)0~4OS(O)2R; -S(O)2NR 2; -(CH2)0~4S(O)R; -N(R)S(O)2NR 2; -N(R)S(O)2R; -N(OR)R; -C(NH)NR 2; -P(O)2R; -P(O)R 2; -OP(O)R 2; -OP(O)(OR)2; SiR 3; -(C1~4直鎖若しくは分岐鎖アルキレン)O-N(R)2; 又は-(C1~4直鎖又は分岐鎖アルキレン)C(O)O-N(R)2であり、各Rは、以下に定義されるように置換されえ、独立して、水素、C1~6脂肪族、-CH2Ph、-O(CH2)0~1Ph、-CH2-(5~6員のヘテロアリール環)、若しくは、窒素、酸素、若しくは硫黄から独立して選択される0~4個のヘテロ原子を有する5~6員の飽和した、部分飽和した、若しくはアリール環である、又は、上記の定義にもかかわらず、Rの2つの別個の存在は、その介在原子と併せて、3~12員の飽和した、部分飽和した、若しくは窒素、酸素、若しくは硫黄から独立して選択される0~4個のヘテロ原子を有する単環又は二環式のアリール環を形成し、以下に定義されるように置換されうる。
【0081】
Rの好適な1価の置換基(又はRの2つの別個の存在をその介在原子と併せて取ることにより形成される環)は、独立して、ハロゲン、-(CH2)0~2R、-(ハロR)、-(CH2)0~2OH、-(CH2)0~2OR、-(CH2)0~2CH(OR)2; -O(ハロR)、-CN、-N3、-(CH2)0~2C(O)R、-(CH2)0~2C(O)OH、-(CH2)0~2C(O)OR、-(CH2)0~2SR、-(CH2)0~2SH、-(CH2)0~2NH2、-(CH2)0~2NHR、-(CH2)0~2NR 2、-NO2、-SiR 3、-OSiR 3、-C(O)SR、-(C1~4直鎖若しくは分岐鎖アルキレン)C(O)OR、又は-SSRであり、各Rは、非置換である、又は「ハロ」が先行して1つ以上のハロゲンのみで置換されており、独立して、C1~4脂肪族、-CH2Ph、-O(CH2)0~1Ph、又は、5~6員の飽和した、部分飽和した、若しくは窒素、酸素、若しくは硫黄から独立して選択される0~4個のヘテロ原子を有するアリール環から選択される。Rの飽和した炭素原子の好適な2価の置換基として、=O及び=Sが挙げられる。
【0082】
「任意に置換された」基の飽和炭素原子の好適な2価の置換基として、以下: =O、=S、=NNR*2、=NNHC(O)R*、=NNHC(O)OR*、=NNHS(O)2R*、=NR*、=NOR*、-O(C(R*2))2~3O-、又は-S(C(R*2))2~3S-が挙げられ、R*の各々別個の存在は、水素、以下に定義されるように置換されうるC1~6脂肪族、又は、非置換の5~6員の飽和した、部分飽和した、若しくは窒素、酸素、若しくは硫黄から独立して選択される0~4個のヘテロ原子を有するアリール環から選択される。「任意に置換された」基の隣接置換可能な炭素に結合された好適な2価の置換基として、以下: -O(CR*2)2~3O-が挙げられ、R*の各々別個の存在は、水素、以下に定義されるように置換されうるC1~6脂肪族、又は、非置換の5~6員の飽和した、部分飽和した、若しくは窒素、酸素、若しくは硫黄から独立して選択される0~4個のヘテロ原子を有するアリール環から選択される。
【0083】
R*の脂肪族基の好適な置換基として、ハロゲン、-R、-(ハロR)、-OH、-OR、-O(ハロR)、-CN、-C(O)OH、-C(O)OR、-NH2、-NHR、-NR 2、又は-NO2が挙げられ、各Rは、非置換である、又は「ハロ」が先行して1つ以上のハロゲンのみで置換されており、独立して、C1~4脂肪族、-CH2Ph、-O(CH2)0~1Ph、又は、5~6員の飽和した、部分飽和した、若しくは窒素、酸素、若しくは硫黄から独立して選択される0~4個のヘテロ原子を有するアリール環である。
【0084】
「任意に置換された」基の置換可能な窒素の好適な置換基として、-R、-NR 2、-C(O)R、-C(O)OR、-C(O)C(O)R、-C(O)CH2C(O)R、-S(O)2R、-S(O)2NR 2、-C(S)NR 2、-C(NH)NR 2、又は-N(R)S(O)2Rが挙げられ、各R†は、独立して、水素、以下に定義されるように置換されうるC1~6脂肪族、非置換の-OPh、若しくは、非置換の5~6員の飽和した、部分飽和した、若しくは窒素、酸素、若しくは硫黄から独立して選択される0~4個のヘテロ原子を有するアリール環である、又は、上記の定義にもかかわらず、Rの2つの別個の存在は、その介在原子と併せて、非置換の3~12員の飽和した、部分飽和した、若しくは窒素、酸素、若しくは硫黄から独立して選択される0~4個のヘテロ原子を有する単環又は二環式のアリール環を形成する。
【0085】
Rの脂肪族基の好適な置換基は、独立して、ハロゲン、-R、-(ハロR)、-OH、-OR、-O(ハロR)、-CN、-C(O)OH、-C(O)OR、-NH2、-NHR、-NR 2、又は-NO2であり、各Rは、非置換である、又は「ハロ」が先行して1つ以上のハロゲンのみで置換されており、独立して、C1~4脂肪族、-CH2Ph、-O(CH2)0~1Ph、又は、5~6員の飽和した、部分飽和した、若しくは窒素、酸素、若しくは硫黄から独立して選択される0~4個のヘテロ原子を有するアリール環である。
【0086】
本明細書で使用した場合、用語「薬学的に許容される塩」とは、酸付加塩及び塩基付加塩の両方を含み、化合物は、その酸又は塩基の塩を作製することにより修飾される。薬学的に許容される塩の例として、アミンのような塩基性残基の鉱酸塩又は有機酸塩、及びカルボン酸のような酸性残基のアルカリ塩又は有機塩が挙げられるが、限定されない。薬学的に許容される塩として、例えば、非毒性無機酸又は有機酸から形成される親化合物の従来の非毒性塩又は第四級アンモニウム塩が挙げられる。このような従来の非毒性塩として、塩酸、臭化水素酸、硫酸、スルファミン酸、リン酸、及び硝酸のような無機酸由来のもの; 並びに、酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、ステアリン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、パモ酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、フェニル酢酸、グルタミン酸、安息香酸、サリチル酸、スルファニル酸、2-アセトキシ安息香酸、フマル酸、トルエンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンジスルホン酸、及びシュウ酸のような有機酸から調製される塩が挙げられる。本明細書に開示される化合物の薬学的に許容される塩は、従来の化学的方法により、塩基性部分又は酸性部分を含有する親化合物から合成することができる。
【0087】
用語「約」又は「およそ」とは、本明細書で使用した場合、当業者により決定される特定の値に対して許容される誤差範囲内を意味し、どのように値が測定又は決定されるか、即ち、測定システムの限界に部分的に依存している。例えば、「約」とは、当該技術分野の慣例により、3以上の標準偏差以内であることを意味することができる。或いは、「約」とは、所与の値の最大で20%の範囲、最大で10%の範囲、最大で5%の範囲、及び/又は最大で1%の範囲を意味することができる。或いは、特に生物学的なシステム又は方法について、この用語は、値の1桁程度以内の大きさ、例えば5倍以内又は2倍以内を意味することができる。「約」又は「およそ」は、本明細書で互換的に使用される。
【0088】
実施形態において、用語「有効量」又は「治療有効量」とは、悲哀若しくは嗜眠、抑うつ気分、不安感若しくは悲哀感、全て若しくはほぼ全ての活動への興味の低下、体重増加若しくは体重減少をもたらす食欲の著しい増減、不眠症、短気、疲労感、無価値の感情、無力感、集中不能、及び死若しくは自殺についての反復思考の頻度若しくは重症度を軽減することを含むが限定されない、特定の薬理学的及び/又は生理学的効果を達成するのに、又は、例えば、神経機能障害の根底にある基礎をなす病態生理学的機構の1つ以上を軽減、阻害、若しくは逆転して、ドーパミンレベル若しくはシグナル伝達を調節して、セロトニンレベル若しくはシグナル伝達を調節して、ノルエピネフリンレベル若しくはシグナル伝達を調節して、グルタメート若しくはGABAレベル若しくはシグナル伝達を調節して、ある特定の脳領域のシナプス結合若しくは神経形成を調節して、若しくは、これらの組合せで、所望の薬理学的効果及び/若しくは生理学的効果をもたらすのに効果的な、化合物、材料、組成物、医薬、又は他の材料の量を指す。厳密な投与量は、対象に依存する変数(例えば、年齢、免疫系の健康、臨床的症状等)、処置される疾患又は障害、並びに投与経路及び投与される薬剤の薬物動態のような、様々な因子によって変動する。
【0089】
実施形態において、本明細書に開示される重水素濃縮化合物及びその使用は、本明細書に記載される方法及び組成物の範囲内であることが企図される。重水素は、当該技術分野で知られている合成手順にしたがって、合成して水素(プロチウム)の場所の任意の位置に組み込むことができる。例えば、重水素は、アミンN-Hのような交換可能なプロトンを有する様々な位置に、プロトン-重水素平衡交換を介して組み込むことができる。ゆえに、重水素は、当該技術分野で知られている方法を通して選択的に又は非選択的に組み込むことができる。
【0090】
いくつかの実施形態において、化合物の重水素が濃縮された各-H部位での重水素のレベルは、0.02%~100%である。
【0091】
いくつかの実施形態において、化合物の重水素が濃縮された各-H部位での重水素のレベルは、50%~100%、70%~100%、90%~100%、95%~100%、96%~100%、97%~100%、98%~100%、又は99%~100%である。
【0092】
例示的な本明細書に開示される重水素濃縮化合物として、以下が挙げられる:
【化12】
【0093】
本明細書に開示される化合物は、そのラセミ異性体及び/又は光学活性異性体でありうる。この点に関して、化合物のいくつかは、不斉炭素原子を有し、したがって、ラセミ混合物又は個別の光学異性体(鏡像異性体)のいずれかとして存在しうる。キラル中心を含有する本明細書に記載される化合物は、2つの鏡像異性体のラセミ混合物を含む組成物、並びに他の鏡像異性体を実質的に含まない鏡像異性体毎に個別に含む組成物を含む、化合物の全ての可能な立体異性体を含む。ゆえに、例えば、本明細書で企図されるのは、R鏡像異性体を実質的に含まない化合物のS鏡像異性体、又はS鏡像異性体を実質的に含まない化合物のR鏡像異性体を含む組成物である。命名した化合物が2つ以上のキラル中心を含む場合、本開示の範囲はまた、ジアステレオマー間の各種割合の混合物を含む組成物、並びに他のジアステレオマーの1つ以上を実質的に含まない1つ以上のジアステレオマーを含む組成物を含む。「実質的に含まない」とは、組成物が25%未満、15%、10%、8%、5%、3%、又は1%未満の少量の鏡像異性体又はジアステレオマーを含むことを意味する。
【0094】
実施形態
例示
様々な立体異性体を合成、単離、調製、及び投与するための方法は、当該技術分野で知られている。ジアステレオマー又はシス及びトランス異性体の分離は、従来の技術により、例えば、薬剤又は好適なその塩若しくは誘導体の立体異性体混合物の分別晶出、クロマトグラフィー、又は高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により達成することができる。本明細書に開示される化合物の個々の鏡像異性体はまた、適宜、対応する光学的に純粋な中間体から、又は、好適なキラル支持体を使用して対応するラセミ体のHPLCによる等の分解により、若しくは対応するラセミ体を好適な光学的に活性な酸若しくは塩基と反応させることにより形成されるジアステレオマー塩の分別晶出により調製することができる。
【0095】
本開示の方法で使用される化合物は、有機合成において周知され、当業の専門家に知られている技術により調製することができる。例えば、化合物は、以下の一般的手順で示され、続く具体的な例で更に記載される合成的な変換により調製することができる。
【0096】
略語
ACN: アセトニトリル
DCM: ジクロロメタン
DIPEA: ジイソプロピルエチルアミン
DMAc: ジメチルアセトアミド
DMSO: ジメチルスルホキシド
DMT: N,N-ジメチルトリプタミン
HLM: ヒト肝ミクロソーム
HPLC: 高速液体クロマトグラフィー
LCMS: 液体クロマトグラフィー質量分析
MAO: モノアミンオキシダーゼ
5-MeO-DMT: 5-メトキシ-N,N-ジメチルトリプタミン
MLM: マウス肝ミクロソーム
NADPH: ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸水素化物
NMR: 核磁気共鳴
PBS: リン酸緩衝生理食塩水
Pd/C: パラジウム担持炭素
RLM: ラット肝ミクロソーム
R.T.: 室温(room temperature/ambient temperature)
THF: テトラヒドロフラン
【0097】
一般的手順
【化13-1】
【化13-2】
【0098】
しかし、これらは、所望の化合物を合成する又は得るための唯一の手法ではないかもしれない。
【0099】
本開示は、本開示の化合物及び薬学的に許容される担体を含む医薬組成物を提供する。
【0100】
開示される対象はまた、本明細書に開示される化合物で存在する原子の全ての異性体を含むことを意図している。異性体は、同じ原子番号を有するが、異なる質量数を有する原子を含む。限定しない一般的な例として、水素の異性体は、トリチウム及び重水素を含む。炭素の異性体は、13C及び14Cを含む。
【0101】
本出願を通して構造での炭素の任意の表記は、更なる表記をせずに使用した場合、12C、13C、又は14Cのような炭素の全ての異性体を表すことを意図していることは留意されよう。更に、13C又は14Cを含有する任意の化合物は、本明細書に開示される化合物のいずれかの構造を特に有しうる。
【0102】
本出願を通して構造での水素の任意の表記は、更なる表記をせずに使用した場合、1H、2H、又は3Hのような水素の全ての異性体を表すことを意図していることも留意されよう。更に、2H又は3Hを含有する任意の化合物は、本明細書に開示される化合物のいずれかの構造を特に有しうる。
【0103】
同位体標識化合物は、一般に、利用される非標識試薬の代わりに適した同位体標識試薬を使用して、当業者に知られている従来の技術により調製することができる。
【0104】
本明細書で提供される実施例及び実施形態が例示的であることは理解すべきである。当業者は、本明細書の開示の範囲に一致する実施例及び実施形態の様々な変形例を想定するであろう。このような変形例は、特許請求の範囲に包含されることが意図される。
【実施例
【0105】
(実施例1)
化合物3・HClの調製
【化14】
【0106】
ステップ1: 2-(5-フルオロ-1H-インドール-3-イル)-2-オキソアセチル塩化物の調製。5-フルオロ-1H-インドール(3g、22.20mmol、1当量)のTHF(30mL)中の混合物に、0℃のN2下、二塩化オキサリル(4.23g、33.30mmol、2.91mL、1.5当量)を一度に添加した。混合物を15℃で2時間撹拌した。完了すると、反応混合物を濃縮して、2-(5-フルオロ-1H-インドール-3-イル)-2-オキソ-アセチル塩化物を黄色固体として得た(5.01g、22.21mmol、100%収率)。
【0107】
ステップ2: N-エチル-2-(5-フルオロ-1H-インドール-3-イル)-2-オキソ-N-プロピルアセトアミドの調製。N-エチルプロパン-1-アミン(2.90g、33.32mmol、4.63mL、1.5当量)のDCM(20mL)中の溶液に、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(5.74g、44.42mmol、7.74mL、2当量)を添加した。次いで、THF(30mL)中の2-(5-フルオロ-1H-インドール-3-イル)-2-オキソアセチル塩化物(5.01g、22.21mmol、1当量)を0℃で添加した。次いで、混合物を15℃で2時間撹拌した。完了すると、NH4Cl水溶液(30mL)を添加し、混合物を5分間撹拌した。水性相をDCM(50mL×3)で抽出した。合わせた有機相を無水Na2SO4で乾燥し、濾過し、真空下で濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(SiO2、石油エーテル/酢酸エチル=5/1~0/1)で精製して、N-エチル-2-(5-フルオロ-1H-インドール-3-イル)-2-オキソ-N-プロピルアセトアミドを白色固体として得た(5.28g、19.11mmol、86%収率)。1H NMR (400 MHz, CDCl3) (配座異性体のため半端な積分値) δ 10.80 (br s, 1H), 7.94 (dd, J = 2.0, 9.3 Hz, 1H), 7.53 (d, J = 3.2 Hz, 1H), 7.17 (ddd, J = 1.2, 4.3, 8.9 Hz, 1H), 6.93 (dt, J = 2.4, 9.0 Hz, 1H), 3.58 - 3.49 (m, 1H), 3.48 - 3.39 (m, 1H), 3.35 (q, J = 7.2 Hz, 1H), 3.29 - 3.20 (m, 1H), 1.76 - 1.53 (m, 2H), 1.25 (t, J = 7.2 Hz, 1.5H), 1.17 (t, J = 7.2 Hz, 1.5H), 1.00 (t, J = 7.6 Hz, 1.5H), 0.80 (t, J = 7.2 Hz, 1.5H).
【0108】
ステップ3: N-エチル-N-(2-(5-フルオロ-1H-インドール-3-イル)エチル)プロパン-1-アミン塩酸塩(3・HCl)の調製。N-エチル-2-(5-フルオロ-1H-インドール-3-イル)-2-オキソ-N-プロピルアセトアミド(2g、7.24mmol、1当量)のTHF(30mL)中の溶液に、水素化リチウムアルミニウム(824.18mg、21.72mmol、3当量)を0℃で添加した。次いで、混合物を60℃で5時間撹拌した。完了すると、混合物を0℃に冷却した。水(0.83mL)を添加し、反応混合物を5分間撹拌した。次いで、30%のNaOH水溶液0.83mLを添加した。混合物を濾過し、濾液を真空下で濃縮した。残渣を分取-HPLCカラム(Phenomenex luna C18(250×70mm、15μm); 移動相=水(0.05%のHCl)-ACN、B%=10%~34%; RT=22分)により精製して、N-エチル-N-[2-(5-フルオロ-1H-インドール-3-イル)エチル]プロパン-1-アミン塩酸塩(3)を白色固体として得た(845.6mg、2.97mmol、41%収率)。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 11.13 (br s, 1H), 10.53 (br s, 1H), 7.48 - 7.30 (m, 3H), 6.94 (dt, J = 2.4, 9.2 Hz, 1H), 3.33 - 2.94 (m, 8H), 1.85 - 1.57 (m, 2H), 1.26 (t, J = 7.2 Hz, 3H), 0.93 (t, J = 7.2 Hz, 3H); 13C NMR (101 MHz, DMSO-d6) (C-Fカップリングのため余分なピーク) δ 158.40, 156.10, 133.35, 127.51, 127.41, 126.00, 113.04, 112.94, 110.07, 110.03, 109.96, 109.70, 103.69, 103.46, 52.87, 52.06, 46.94, 19.87, 17.01, 11.45, 8.86; LCMS (RT = 1.709分, MS計算値: 248.17, [M+H]+ = 249.1).
【0109】
(実施例2)
化合物4・HClの調製。
N-エチル-2-(5-フルオロ-1H-インドール-3-イル)-N-メチル-2-オキソアセトアミド(1.73g、6.97mmol、1当量)のTHF(30mL)中の溶液に、水素化リチウムアルミニウム(795.46mg、20.96mmol、3当量)を0℃で添加した。次いで、混合物を60℃で5時間撹拌した。完了すると、混合物を0℃に冷却した。水(0.8mL)を添加し、混合物を5分間撹拌した。次いで、30%のNaOH水溶液0.8mLを添加した。混合物を濾過し、濾液を真空下で濃縮した。残渣を分取-HPLCカラム(Phenomenex luna C18(250×70mm、15um); 移動相=水(0.04%のHCl)-ACN、B%=10%~30%; RT=20分)により精製して、N-エチル-2-(5-フルオロ-1H-インドール-3-イル)-N-メチルエタン-1-アミン塩酸塩(4)を白色固体として得た(670mg、2.61mmol、37%収率)。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 11.11 (br s, 1H), 10.46 (br s, 1H), 7.48 - 7.30 (m, 3H), 6.93 (dt, J = 2.4, 9.2 Hz, 1H), 3.36 - 3.00 (m, 6H), 2.79 (d, J = 5.2 Hz, 3H), 1.25 (t, J = 7.2 Hz, 3H); 13C NMR (101 MHz, DMSO-d6) (C-Fカップリングのため余分なピーク) δ 158.39, 156.09, 133.38, 127.49, 127.39, 125.96, 113.04, 112.94, 109.98, 109.94, 109.90, 109.72, 103.74, 103.51, 54.87, 50.38, 38.60, 20.20, 9.32; LCMS (RT = 1.581分, MS計算値: 220.14, [M+H]+ = 221.1).
【0110】
(実施例3)
ヒト肝ミクロソームの代謝安定性
本開示の化合物を、ヒト肝ミクロソーム(HLM)の安定性に対して試験し、結果をTable 1(表1)にまとめた。化合物2は、本モデルにおいて、化合物1、N,N-ジメチルトリプタミン(DMT)、5-メトキシ-N,N-ジメチルトリプタミン(5-MeO-DMT)、及びサイロシンより大きな代謝安定性を呈した。
【0111】
HLM安定性。成人男性及び女性のドナー由来のプールしたHLM(Corning 452117)を使用した。ミクロソームのインキュベートをマルチウェルプレートで実行した。肝ミクロソームのインキュベート培地は、1mL当たり0.50mgの肝ミクロソームを含むPBS(100mM、pH7.4)、MgCl2(1mM)、及びNADPН(1mM)からなった。対照のインキュベートを、NADPH共因子系をPBSと置き換えることにより実施した。試験化合物(1μM、最終溶媒濃度1.0%)を、37℃で一定の振とうを行いながらミクロソームと共にインキュベートした。60分にわたって6時点で、反応混合物の60μLのアリコートを各時点で採取して、分析した。反応アリコートを、内部標準(IS)として200ng/mLのトルブタミド及び200ng/mLのラベタロールを含有する180μLの冷(4℃)アセトニトリルを添加することにより停止し、続いて10分間振とうし、次いで4000rpmで20分間、4℃で遠心分離することによりタンパク質を沈降させた。上清サンプル(80μL)を水(240μL)で希釈し、目的にかなった液体クロマトグラフィータンデム質量分析(LC-MS/MS)法を使用して残留する親化合物に対して分析した。
【0112】
データ分析。排出定数(kel)、半減期(t1/2)、及び固有クリアランス(CLint)を、線形回帰分析を使用して、ln(AUC)対時間のプロットで決定した。
【0113】
【表1】
【0114】
(実施例4)
マウス肝ミクロソームの代謝安定性
本開示の化合物を、マウス肝ミクロソーム(MLM)の安定性に対して試験し、結果をTable 2(表2)にまとめた。化合物2は、本モデルにおいて化合物1より大きな代謝安定性を呈した。
【0115】
MLM安定性。CD-1マウス由来のプールしたMLM(BIOIVT M00501)を使用した。ミクロソームのインキュベートをマルチウェルプレートで実行した。肝ミクロソームのインキュベート培地は、1mL当たり0.50mgの肝ミクロソームを含むPBS(100mM、pH7.4)、MgCl2(1mM)、及びNADPН(1mM)からなった。対照のインキュベートを、NADPH共因子系をPBSと置き換えることにより実施した。試験化合物(1μM、最終溶媒濃度1.0%)を、37℃で一定の振とうを行いながらミクロソームと共にインキュベートした。60分にわたって6時点で、反応混合物の60μLのアリコートを各時点で採取して、分析した。反応アリコートを、内部標準(IS)として200ng/mLのトルブタミド及び200ng/mLのラベタロールを含有する180μLの冷(4℃)アセトニトリルを添加することにより停止し、続いて10分間振とうし、次いで4000rpmで20分間、4℃で遠心分離することによりタンパク質を沈降させた。上清サンプル(80μL)を水(240μL)で希釈し、目的にかなった液体クロマトグラフィータンデム質量分析(LC-MS/MS)法を使用して残留する親化合物に対して分析した。
【0116】
データ分析。排出定数(kel)、半減期(t1/2)、及び固有クリアランス(CLint)を、線形回帰分析を使用して、ln(AUC)対時間のプロットで決定した。
【0117】
【表2】
【0118】
(実施例5)
ラット肝ミクロソームの代謝安定性
本開示の化合物を、ラット肝ミクロソーム(RLM)の安定性に対して試験し、結果をTable 3(表3)にまとめた。両方の化合物とも、本モデルにおいて低い安定性を呈した。
【0119】
RLM安定性。成体の雄及び雌のドナー由来のプールしたRLM(Xenotech R1000)を使用した。ミクロソームのインキュベートをマルチウェルプレートで実行した。肝ミクロソームのインキュベート培地は、1mL当たり0.50mgの肝ミクロソームを含むPBS(100mM、pH7.4)、MgCl2(1mM)、及びNADPН(1mM)からなった。対照のインキュベートを、NADPH共因子系をPBSと置き換えることにより実施した。試験化合物(1μM、最終溶媒濃度1.0%)を、37℃で一定の振とうを行いながらミクロソームと共にインキュベートした。60分にわたって6時点で、反応混合物の60μLのアリコートを各時点で採取して、分析した。反応アリコートを、内部標準(IS)として200ng/mLのトルブタミド及び200ng/mLのラベタロールを含有する180μLの冷(4℃)アセトニトリルを添加することにより停止し、続いて10分間振とうし、次いで4000rpmで20分間、4℃で遠心分離することによりタンパク質を沈降させた。上清サンプル(80μL)を水(240μL)で希釈し、目的にかなった液体クロマトグラフィータンデム質量分析(LC-MS/MS)法を使用して残留する親化合物に対して分析した。
【0120】
データ分析。排出定数(kel)、半減期(t1/2)、及び固有クリアランス(CLint)を、線形回帰分析を使用して、ln(AUC)対時間のプロットで決定した。
【0121】
【表3】
【0122】
(実施例6)
マウスにおける薬物動態
本開示の化合物の薬物動態を、静脈内(iv)及び経口(po)での投薬後に、マウスの血漿(Table 4(表4))及び脳(Table 5(表5))において試験した。化合物2は、化合物1と比較してより改善した絶対経口生物学的利用能(F)を示し、マウス肝ミクロソームにおけるより大きなその安定性と一致した(上記の実施例4を参照)。このより改善した経口曝露にもかかわらず、血漿中の化合物2の半減期は、化合物1と類似した。全体として、所見は、化合物2が経口的に活性で速効型の治療剤として役立つことができることを示す。
【0123】
動物。8~12週齢の雄のC57BL/6マウスを、本試験において使用した。4匹のマウスを各ゲージに収容した。温度及び湿度は、それぞれ22±3℃及び30~70%を維持し、照明は、12時間の明と12時間の暗のサイクルとなるように制御した。温度及び湿度は、自動制御データロガーシステムで記録した。全ての動物に実験用齧歯類飼料を与えた。紫外線で処理した逆浸透水を適宜与えた。動物は、無作為に処置群に割り当てた。
【0124】
薬物。試験化合物を、フマル酸水素塩として使用し、生理食塩水からなるビヒクルに溶解した。次いで、これらを、10mg/kg(遊離塩基に基づいて計算)の用量及び5mL/体重1kgの体積で、尾静脈を介して静脈内(iv)投与、又は胃管栄養を介して経口(po)投与した。
【0125】
サンプル採取及び生体分析。血液サンプル(およそ60μL)を、0.08、0.25、0.5、1、2、4、8、及び24時間(時点ごとに4匹の動物)、低濃度のイソフルレン麻酔(Surgivet(登録商標))下で後眼窩叢から採取した。採血直後、血漿を、4000rpmで10分間、4℃で遠心分離することにより回収し、サンプルは生体分析まで-70±10℃で保存した。採血に続いて、動物を直ちに殺処理し、腹部大静脈を切開し、全血を10mLの生理食塩水を使用して心臓から潅流させ、脳サンプルを全動物から採取した。分離した後、脳サンプルを、氷冷の生理食塩水で3回すすぎ(各すすぎに対して使い捨てペトリ皿で約5~10mLの生理食塩水を使用して5~10秒/すすぎ)、吸取紙で乾燥させた。脳サンプルを、氷冷のリン酸緩衝生理食塩水(pH7.4)を使用してホモジェナイズした。ホモジネートの全体積は、組織質量の3倍であった。全てのホモジネートは、生体分析まで-70±10℃で保存した。生体分析に対して、血漿/脳の試験サンプルの25μLのアリコート又はスパイクした血漿/脳の較正標準を、個別に予め標識したマイクロ遠心管に添加し、続いて、100μLのアセトニトリルを添加したブランクを除いて100μLの内部標準溶液(グリピジド、アセトニトリル中に500ng/mL)を添加した。サンプルを、5分間ボルテックスし、次いで4000rpmで10分間、4℃で遠心分離した。遠心分離に続いて、100μLの透明な各上清を96ウェルプレートに移し、較正及び同定に使用される各分析物の基準サンプルと共に目的にかなったLC-MS/MS法で分析した。
【0126】
データ分析。薬物動態パラメーターを、Phoenix(登録商標)WinNonlinソフトウェア(Ver 8.0)の非コンパートメント解析ツールを使用して推定した。
【0127】
【表4】
【0128】
【表5】
【0129】
(実施例7)
ヒト肝ミクロソームのCYP阻害
本開示の化合物による5つの主なシトクロムP450(CYP)酵素(1A2、2C9、2C19、2D6、及び3A4)の阻害を、試験化合物の存在下及び非存在下で基準CYP基剤のカクテルの代謝的変換をモニタリングするLC-MS/MSを使用することによりヒト肝ミクロソーム(HLM)で決定した(Table 6(表6))。10μMの試験濃度で、試験化合物は、全体的にCYPの限定的な阻害を呈した。試験したCYPの多くで、化合物1は、最も少ない阻害を呈した。
【0130】
HLMインキュベート。成人男性及び女性のドナー由来のプールしたHLM(Corning 452117)を使用した。ミクロソームのインキュベートをマルチウェルプレートで実行した。肝ミクロソームのインキュベートは、1)PBS(100mM、pH7.4)、MgCl2(3.3mM)、及びNADPН(1mM); 2)肝ミクロソームタンパク質(0.2mg/mL); 3)基準CYP基剤: CYP1A2(10μM)に対してフェナセチン、CYP2C9(5μM)に対してジクロフェナク、CYP2C19(30μM)に対して(S)-メフェニトイン、CYP2D6(5μM)に対してデキストロメトルファン、及びCYP3A4(2μM)に対してミダゾラム; 並びに4)試験化合物(10μM)、対照阻害剤(CYP1A2に対して3μMのα-ナフトフラボン、CYP2C9に対して3μMのスルファフェナゾール、2C19に対して1μMの(+)-N-3-ベンジルニルバノール、CYP2D6に対して3μMのキニジン、若しくはCYP3A4に対して3μMのケトコナゾール)、又は溶媒(阻害されない状態に対して)を含有した。インキュベートを、37℃で一定の振とうを行いながら10分間実行した。反応アリコートを、内部標準(IS)として200ng/mLのトルブタミド及び200ng/mLのラベタロールを含有する400μLの冷(4℃)アセトニトリルを添加することにより停止し、続いて4000rpmで20分間、4℃で遠心分離することによりタンパク質を沈降させた。
【0131】
サンプル分析。上清サンプル(200μL)を水(100μL)で希釈し、各基準CYP基剤の基準代謝物を、目的にかなった液体クロマトグラフィータンデム質量分析(LC-MS/MS)法を使用して定量化した。試験化合物又は対照阻害剤による阻害パーセントを、阻害剤の存在下での代謝物の形成を阻害剤の非存在下での代謝物の形成と比較することにより計算した。
【0132】
【表6】
【0133】
(実施例8)
モノアミンオキシダーゼの存在下での安定性
本開示の化合物を、ヒト肝ミトコンドリアの調製物においてモノアミンオキシダーゼA及びB(MAO-A及びMAO-B)の存在下で安定性に対して試験し、結果をTable 7(表7)にまとめた。本開示の化合物は、本モデルにおいて、DMTより大きなMAO安定性を呈した。
【0134】
肝ミトコンドリアのインキュベート。ヒト肝ミトコンドリア(Xenotech H0610.M)を使用した。ミトコンドリアのインキュベートをマルチウェルプレートで実行した。肝ミトコンドリアのインキュベート培地は、1mL当たり0.30mgの肝ミトコンドリアタンパク質を含むPBS(100mM、pH7.4)からなった。試験化合物(1μM、最終溶媒濃度1.0%)を、37℃で一定の振とうを行いながら肝ミトコンドリアタンパク質と共にインキュベートした(1ウェル当たり100μLの総反応体積)。60分にわたって6時点で分析した。各時点で、反応を、内部標準(IS)として200ng/mLのトルブタミド及び200ng/mLのラベタロールを含有する300μLの冷(4℃)アセトニトリルを添加することにより停止し、続いて10分間振とうし、次いで4000rpmで20分間、4℃で遠心分離することによりタンパク質を沈降させた。上清サンプル(100μL)を水(300μL)中の5%のトリクロロ酢酸で希釈し、目的にかなった液体クロマトグラフィータンデム質量分析(LC-MS/MS)法を使用して残留する親化合物に対して分析した。
【0135】
データ分析。排出定数(kel)、半減期(t1/2)、及び固有クリアランス(CLint)を、線形回帰分析を使用して、ln(AUC)対時間のプロットで決定した。
【0136】
【表7】
【0137】
(実施例9)
セロトニン受容体での機能的活性
本開示の化合物を、Ca2+フラックスの機能的アッセイを使用して、いくつかのセロトニン受容体サブタイプ(5-HT2A、5-HT2B、5-HT2C、及び5-HT1A)でアゴニスト活性に対して試験し、結果をTable 8(表8)にまとめた。全ての化合物は、5-HT2Aで強力なアゴニスト活性を呈し、これは潜在的な幻覚誘発性活性並びに潜在的な治療効果を示唆した。しかし、5-HT2Aでのシグナル伝達の効能及び他のセロトニン受容体に勝る本標的に対する選択性は、化学構造の小さな変化に対してでさえ劇的に変動した。例えば、化合物1は、5-HT2Bより5-HT2Aに対してほとんど選択性を示さなかった一方、化合物2は、5-HT2Bと比べて5-HT2Aに対して選択性が高かった。同時に、化合物1は、5-HT2Aで非常に効果的なアゴニストであった(Emax=85.2%)一方、化合物2は、効能の低い部分アゴニスト(Emax=36.2%)であった。インドール環の5位でのフッ素化もまた予測できない効果を有した。例えば、化合物3及び4は、それぞれ、その非フッ素化アナログである化合物1及び2より、5-HT1A受容体で両方ともに著しく強力であった。化合物3のケースでは、フッ素化はまた、化合物1と比べて5-HT2Aで効力が高かった。化合物4のケースでは、フッ素化は、5-HT2Aで効力においてほとんど効果がなかったが、化合物2と比較して最大効能が劇的に上昇し、部分アゴニストよりむしろ高い効能をもたらした。
【0138】
5-HT2A、5-HT2B、及び5-HT1Aでの機能的アッセイ。5-HT2A、5-HT2B、及び5-HT1Aの受容体でのアゴニスト活性を、その標準的なプロトコルにしたがって、WuXi AppTec社(香港)でFLIPR Ca2+フラックスアッセイを使用して決定した。簡潔には、目的の受容体を発現する安定してトランスフェクトした細胞(5-HT2A及び5-HT2Bに対してHEK293; 5-HT1Aに対してCHO細胞)を成長させ、384ウェルプレートにプレーティングし、37℃、5%のCO2で終夜インキュベートした。250mMのプロベネシドの1mLのFLIPRアッセイ緩衝液中の溶液を新たに調製した。これを蛍光色素(Fluo-4 Direct(商標))と合わせて、2.5mMの最終アッセイ濃度にした。化合物を10点に対して1:3.16で希釈し、750nLを30μLのアッセイ緩衝液と共にECHOを使用して384ウェル化合物に添加した。次いで、蛍光色素を、アッセイ緩衝液と共にアッセイプレートに添加し、最終体積を40μLにした。細胞プレートを37℃、5%のCO2で50分間インキュベートし、化合物プレートと共にFLIPR Tetraに置いた。次いで、10μLの基準及び化合物を、化合物プレートから細胞プレートに移し、蛍光シグナルを読み取った。
【0139】
5-HT2Cでの機能的アッセイ。5-HT2Cでのアゴニスト活性を、その標準的なプロトコルにしたがって、Eurofins DiscoverX社(Fremont、CA)でFLIPR Ca2+フラックスアッセイを使用して決定した。簡潔には、ヒト5-HT2C受容体を発現する安定してトランスフェクトした細胞を成長させ、384ウェルプレートにプレーティングし、37℃、5%のCO2で終夜インキュベートした。アッセイは、HBSS/20mMのHepes中の1×色素、1×添加物質A、及び2.5mMのプロベネシドからなる1×色素負荷緩衝液で実施した。プロベネシドを新たに調製した。細胞を試験する前に色素で負荷し、37℃で30~60分間インキュベートした。色素負荷した後、細胞をインキュベーターから除き、10μLのHBSS/20mMのHepesを添加した。3×ビヒクルをアッセイ緩衝液に含ませた。細胞を室温で30分間、暗室でインキュベートして、プレート温度を平衡させた。サンプル原料の中間希釈を実施して、アッセイ緩衝液中に4×サンプルを生成した。化合物アゴニスト活性を、FLIPR Tetra(MDS)で測定した。カルシウム動員を2分間モニタリングし、HBSS/20mMのHepes中の10μLの4×サンプルを、アッセイ中の5秒間、細胞に添加した。
【0140】
【表8】
【0141】
(実施例10)
マウスにおける頭部攣縮応答(Head Twitch Response)(HTR)の効果
本開示の化合物を、マウスにおいて頭部攣縮応答(HTR)を誘発するその能力に対して試験し、結果をTable 9(表9)にまとめた。5-HT2A受容体でのそのアゴニスト活性と一致して、化合物1及び化合物2の両方ともHTRを誘発した。しかし、本開示の化合物の最大の効果は、プロトタイプ5-HT2Aアゴニスト、4-ヨード-2,5-ジメトキシアンフェタミン(DOI)(35.6回の頭部攣縮/20分)の効果より小さかった。本アッセイでの化合物2の最大の効果(6.00回の頭部攣縮/20分)もまた、化合物1の効果(14.7回の頭部攣縮/20分)より小さく、in vitroでの5-HT2Aのアゴニストとしての化合物2のより小さい効能と一致した(上記の実施例9を参照)。
【0142】
動物。8週齢の成体の雄のC57BL/6マウス(体重20~25g)を、本実験で使用した。動物を、制御された温度及び12時間の明/暗サイクル(7:00~19:00の間は明)の下、適宜食餌と水を与えながら収容した。プロトコルは、Eurofins Advinus Institutional Animal Care and Use Committeeにより承認された。本試験は、Guide for the Care and Use of Laboratory Animals of the National Institutes of Healthの推薦に厳密にしたがって実行した。苦しさを最小限にするために全ての努力を行った。
【0143】
薬物及び薬物投与。試験化合物をフマル酸水素塩として使用し、DOIをHCl塩として使用した。薬物を、生理食塩水からなるビヒクルに溶解し、10mL/kgの体積で皮下(s.c.)投与した。試験化合物を、N=6の動物/群を使用して、化合物毎に5用量(1~100mg/kg、遊離塩基に基づいて計算)で投与した。対照化合物DOIを、N=12の動物を使用して、1用量(3.16mg/kg、HCl塩に基づいて計算)で投与した。
【0144】
手順。マウスに1用量の試験薬物(又はビヒクル)をs.c.投与し、直ちに行動観察用の小さなオープンフィールドにおいた。動物を20分間継続して観察し、HTRの数を、処置条件を盲検化した観察者が計数した。
【0145】
統計分析。Table 9(表9)で示すデータ点は、平均値±平均値の標準誤差(SEM)である。分析は、GraphPad Prism 9を使用して実施した。
【0146】
【表9】
【0147】
(実施例11)
ラットの強制水泳試験
本開示の化合物は、23.5時間の前処置時間でのラットにおける強制水泳試験(FST)で抗うつ様効果を誘発した(図1)。具体的には、化合物は、ビヒクル対照と比べて無動時間を低減し、抗うつ様効果を示した。無動に対するこれらの効果は、1回の化合物の投与の23.5時間後に観察されたが、その時点で、薬物のほとんど又は全ては、体循環から排除されており、化合物が迅速に作用する抗うつ様効果及び長く持続する抗うつ様効果の両方を有することを示唆した。加えて、化合物は、試験中の水泳行動に著しい増加を誘発した(図2)。水泳に対するこれらの効果は、対照の抗うつ剤デシプラミンにより誘発されたものより強かった。
【0148】
動物。8~10週齢の雄のSprague Dawleyラットを、本実験において使用した。動物を、制御された温度(22±3℃)及び相対湿度(30~70%)の条件下、12時間の明/暗サイクルで、適宜食餌と水を与えながら2つの群で収容した。本試験は、インドのCommittee for the Purpose of Control and Supervision of Experiments on Animals (CPCSEA)の要件に厳密にしたがって実行した。苦しさを最小限にするために全ての努力を行った。
【0149】
薬物及び薬物投与。試験化合物、生理食塩水ビヒクル、及び陽性対照デシプラミンを、遊離塩基に基づいて計算した用量で皮下(s.c.)投与した。生理食塩水をビヒクルとして使用した。全ての化合物を、5mL/kgの体積で投与した。試験化合物及びビヒクルを、水泳のトレーニング(水泳1)を開始して0.5時間後及び試験水泳(水泳2)の23.5時間前に投与した。デシプラミンを、試験水泳(水泳2)の23.5時間前、5時間前、及び1時間前の3回、各時間に20mg/kgの用量で投与した。
【0150】
強制水泳試験(FST)。動物は、体重に基づいて無作為化し、群間のばらつきが最小限となり、群間の平均体重の±20%を超えないことが確認された。群の規模は、N=20であるビヒクル群及びデシプラミン群を除いて、処置当たりN=10であった。ラットを、実験手順を開始する前の5日間、1日に約2分間処理した。実験の最初の日(即ち第1日)、無作為化の後に、トレーニングする水泳期間(水泳1)は、12:00~18:00の間、ラットを個別に23~25℃の水を深さ30cmまで含有したガラスシリンダー(高さ46cm×直径20cm)に15分間入れることにより全ての動物で行った。水泳1の終わりに、動物をペーパータオルで水分をぬぐい、加温した乾燥ゲージに15分間置き、次いでそれぞれの収容ゲージに戻した。次いで、動物には、上述の通り、適切な薬物又はビヒクル処置を投与した。明確にするために、水泳2の23.5時間前の化合物投与時間は、水泳1の開始の0.5時間後で水泳1の完了の0.25時間後(即ち、収容ゲージに戻った直後)を意味する。第1日(即ち、水泳1の開始の24時間後)に、動物は、5分間の試験水泳(水泳2)を行ったが、それ以外は水泳1と同じ条件下であった。全ての水泳期間の間、水は動物毎に交換した。
【0151】
行動のスコアリングを、処置群に盲検化した観察者が行った。動物は、水泳2の間に継続して観察し、以下の行動を行う総時間を記録した: 無動、水泳、及びよじ登り。ラットを、もがくことなく水に浮いたままであり、その頭を水面上に維持するのに必要な動きしかしない場合に、無動と判断した。ラットを、その頭を水面上に維持するのみに必要な動き以上に能動的な水泳行動を行う(例えば、シリンダーを動き回る)場合に、水泳と判断した。ラットを、通常は壁に向けて、水から出し入れする前足の能動的な動きを行う場合に、よじ登りと判断した。
【0152】
統計分析。図1及び図2で示すデータ点は、平均値±平均値の標準誤差(SEM)を表す。分析は、GraphPad Prism 9を使用して実施した。群間の比較は、一元配置分散分析(ANOVA)と、続くビヒクルとの比較に対するダネット検定を使用して実施した。
【0153】
(実施例12)
マウスの血漿及び脳のホモジネートの安定性
本開示の化合物は、LC-MS/MSによりマウスの血漿(Table 10(表10))及びマウスの脳のホモジネート(Table 11(表11))の安定性に対して試験した。化合物は、実験の条件下で安定であり、これらが実質的に血漿又は脳の代謝に供されないことを示唆した。
【0154】
血漿安定性。陽性対照及び試験化合物(インキュベート培地の最終濃度=1μM、0.5%のDMSO)を、37℃でのCO2インキュベーターで、DBA2マウス血漿の(n=3)の400μLでインキュベートした。50μLのアリコートを、0、5、15、30、60、及び90分で各インキュベートから取り出し、直ちに内部標準を含有する500μLの氷冷のアセトニトリルでクエンチし、続いて-80℃で保存した。生体分析の時間で、全てのサンプルを室温に解凍した。サンプルを5分間ボルテックスし、続いて4,000RPMで15分間、4℃で遠心分離した。各サンプルの100μLのアリコートを、96ウェルディーププレートに移し、目的にかなったLC-MS/MS法で残留した親化合物に対して分析した。
【0155】
脳のホモジネートの安定性。脳組織のホモジネートのサンプルを、C57BL/6マウス由来の全脳組織の一体積を透析緩衝液(リン酸緩衝生理食塩水、pH7.4、0.1Mのリン酸ナトリウム及び0.15Mの塩化ナトリウム)の三体積で希釈することにより調製して、4倍希釈したホモジネートを得た。陽性対照及び試験化合物(インキュベート培地の最終濃度=1μM、0.5%のDMSO)を、37℃でのCO2インキュベーターで、上述の希釈したマウスの脳のホモジネートの(n=3)の400μLでインキュベートした。50μLのアリコートを、0、5、15、30、60、及び90分で各インキュベートから取り出し、直ちに内部標準を含有する500μLの氷冷のアセトニトリルでクエンチし、続いて-80℃で保存した。生体分析の時間で、全てのサンプルを室温に解凍した。サンプルを5分間ボルテックスし、続いて4,000RPMで15分間、4℃で遠心分離した。各サンプルの100μLのアリコートを、96ウェルディーププレートに移し、目的にかなったLC-MS/MS法で残留した親化合物に対して分析した。
【0156】
【表10】
【0157】
【表11】
【0158】
(実施例13)
追加の化合物のミクロソーム安定性
本開示の追加の化合物は、化合物3及び4を含むが、実施例3~5に記載される通り、ヒト、マウス、又はラットの肝ミクロソームにおいて安定性に対して試験される。化合物4は、ヒト及びマウスのミクロソームにおいて中程度から高い安定性を呈し、このような調製物においてDMTより安定する。
【0159】
(実施例14)
マウスにおける追加の化合物の薬物動態
本開示の追加の化合物は、化合物3及び4を含むが、実施例6に記載される通り、マウスにおいてその薬物動態特性及び経口生物学的利用能を決定するために試験される。化合物4は、中程度から高い経口生物学的利用能を呈する。
【0160】
(実施例15)
モノアミンオキシダーゼの存在下での追加の化合物の安定性
本開示の追加の化合物は、化合物3及び4を含むが、実施例8に記載される通り、肝ミトコンドリア調製物を使用して、モノアミンオキシダーゼの存在下でのその安定性を決定するために試験される。化合物3及び4は、このような調製物において中程度から高い安定性を呈する。
【0161】
(実施例16)
HTRアッセイにおける追加の化合物の効果
本開示の追加の化合物は、化合物3及び4を含むが、実施例10に記載される通り、マウスにおいて頭部攣縮応答(HTR)を誘発するその能力を決定するために試験される。化合物3及び4は、用量依存様式でマウスにおいて頭部攣縮応答を誘発し、in vitroで、5-HT2A受容体でのそのアゴニスト活性と一致する。
【0162】
(実施例17)
ラットの強制水泳試験における追加の化合物の効果
本開示の追加の化合物は、化合物3及び4を含むが、実施例11に記載される通り、ラットの強制水泳試験(FST)において試験される。化合物3及び4は、用量依存様式で本試験における無動を低減し、抗うつ様効果と一致する。
【0163】
(実施例18)
追加の化合物の合成
本開示の追加の化合物は、有機合成の当業者に知られている標準的な方法、例えば、実施例1~2に示され、本明細書の他に記載されるものにより調製することができる。
図1
図2
【手続補正書】
【提出日】2022-10-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
【化1】
で表される化合物又は薬学的に許容されるその塩。
【請求項2】
請求項1に記載の化合物、及び薬学的に許容される添加剤を含む医薬組成物。
【国際調査報告】