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特表2023-504309電磁シールド構造を有するソリッドステート組み立て共振器及び製造プロセス
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-02
(54)【発明の名称】電磁シールド構造を有するソリッドステート組み立て共振器及び製造プロセス
(51)【国際特許分類】
   H03H 9/17 20060101AFI20230126BHJP
   H03H 3/02 20060101ALI20230126BHJP
【FI】
H03H9/17 F
H03H3/02 B
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022549698
(86)(22)【出願日】2020-08-12
(85)【翻訳文提出日】2022-08-18
(86)【国際出願番号】 CN2020108711
(87)【国際公開番号】W WO2021164215
(87)【国際公開日】2021-08-26
(31)【優先権主張番号】202010103144.5
(32)【優先日】2020-02-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520296211
【氏名又は名称】見聞録(浙江)半導体有限公司
【氏名又は名称原語表記】JWL (ZHEJIANG) SEMICONDUCTOR CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】1219-23, BUILDING 3, 1366 HONGFENG ROAD, SOUTH TAIHU NEW AREA, HUZHOU, ZHEJIANG 313000, CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】李 林萍
(72)【発明者】
【氏名】盛 ▲荊▼浩
(72)【発明者】
【氏名】江 舟
【テーマコード(参考)】
5J108
【Fターム(参考)】
5J108AA01
5J108BB08
5J108CC04
5J108EE03
5J108HH06
5J108KK01
5J108KK07
5J108MM08
5J108MM11
(57)【要約】
電磁シールド構造を有するソリッドステート組み立て共振器及び製造プロセスであって、基板(101)と、基板(101)に形成された音波反射層(201)と、音波反射層(201)に形成された共振機能層(301)とを含み、共振器は基板(101)に形成された金属シールド壁(401)をさらに含み、金属シールド壁(401)は音波反射層(201)及び共振機能層(301)の有効領域(I-1)の周辺に包囲リングを形成する。そして、音波反射層(201)及び共振機能層(301)の有効領域(I-1)の周辺に閉じれた電磁シールド層を形成することによって、共振器を製造すると同時に電磁シールド層を製造し、電磁シールド装置を増加する必要がなく、小体積、高性能を保証する前提で共振器が外部と内部の電磁干渉源の影響を受けることを回避し、特に隣接する周波数帯域及び信号送信端に対して、無線周波数端末製品の信号隔離度を大幅に向上させ、ノイズ信号を低減させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁シールド構造を有するソリッドステート組み立て共振器であって、基板と、前記基板に形成された音波反射層と、前記音波反射層に形成された共振機能層とを含み、前記共振器は前記基板に形成された金属シールド壁をさらに含み、前記金属シールド壁は前記音波反射層及び前記共振機能層の有効領域の周辺に包囲リングを形成することを特徴とするソリッドステート組み立て共振器。
【請求項2】
前記音波反射層は、交互に積層された少なくとも2組の誘電体反射層と金属反射層との組み合わせを含み、前記共振機能層は、順に積層された下電極層、圧電層、及び上電極層を含むことを特徴とする請求項1に記載の電磁シールド構造を有するソリッドステート組み立て共振器。
【請求項3】
前記金属シールド壁は、前記音波反射層及び前記共振機能層と同層に形成された複数の金属リングを積層してなることを特徴とする請求項2に記載の電磁シールド構造を有するソリッドステート組み立て共振器。
【請求項4】
前記複数の金属リングのうちの1つは、前記誘電体反射層、金属反射層、下電極層、及び圧電層とそれぞれ同じ層に形成されることを特徴とする請求項3に記載の電磁シールド構造を有するソリッドステート組み立て共振器。
【請求項5】
前記金属シールド壁の各金属リングは、電気的に連通することを特徴とする請求項4に記載の電磁シールド構造を有するソリッドステート組み立て共振器。
【請求項6】
前記金属シールド壁は、前記音波反射層及び前記下電極層の有効領域の周辺に1回で形成された閉じた金属壁であることを特徴とする請求項2に記載の電磁シールド構造を有するソリッドステート組み立て共振器。
【請求項7】
前記基板と前記音波反射層との間に一層の金属シールド層が形成され、前記金属シールド壁は前記金属シールド層に接続され且つ電気的に導通することを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の電磁シールド構造を有するソリッドステート組み立て共振器。
【請求項8】
前記金属シールド壁は、接地されることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の電磁シールド構造を有するソリッドステート組み立て共振器。
【請求項9】
前記上電極層は、外部に接続される電極リードを有し、且つ前記電極リードが位置する位置で、前記金属シールド壁の高さは前記圧電層を超えないことを特徴とする請求項2に記載の電磁シールド構造を有するソリッドステート組み立て共振器。
【請求項10】
前記共振器の上部は、前記上電極層を覆うパッケージ構造を有することを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の電磁シールド構造を有するソリッドステート組み立て共振器。
【請求項11】
電磁シールド構造を有するソリッドステート組み立て共振器の製造プロセスであって、
第1の基板に圧電層を製造するステップS1と、
前記圧電層に下電極層及び音波反射層を順次製造し、且つ前記下電極層及び前記音波反射層の周りに前記下電極層及び前記音波反射層の有効領域を囲むように第1の金属シールド壁を製造するステップS2と、
前記音波反射層が位置する層に第2の基板をボンディングするステップS3と、
前記圧電層の前記下電極層と反対する裏面を露出させるように、前記第1の基板を除去するステップS4と、
前記第1の金属シールド壁の少なくとも一部を露出させるように、前記圧電層の前記第1の金属シールド壁に対応する部位をエッチングするステップS5と、
前記圧電層のエッチングされた部位を充填し且つ前記第1の金属シールド壁と電気的に連通するように、第2の金属シールド壁を製造するステップS6と、
前記圧電層の前記裏面に上電極層を製造するステップS7と、を含むことを特徴とする。
【請求項12】
前記ステップS2は、具体的に、
前記圧電層に前記下電極層を製造し、同時に前記下電極層の周りに、前記下電極層と同じ層にあり前記下電極層を囲む第1の金属シールドリングを形成するステップS21と、
前記下電極層が位置する層に音波反射層を製造し、同時に前記第1の金属シールドリングに前記音波反射層と同じ層にあり前記音波反射層を囲む第2の金属シールドリングを形成し、前記第1の金属シールドリングと前記第2の金属シールドリングとは一体的に前記第1の金属シールド壁を形成するステップS22と、を含むことを特徴とする請求項11に記載の製造プロセス。
【請求項13】
前記ステップS21は、具体的に、前記圧電層に第1の金属層を製造し、次にフォトリソグラフィ及びエッチングプロセスによって前記下電極層、及び前記下電極層を囲むが前記下電極層に接続されない前記第1の金属シールドリングを形成することを含むことを特徴とする請求項12に記載の製造プロセス。
【請求項14】
前記ステップS22は、具体的に、
前のステップで形成された層に誘電体反射層を成長させ、且つ前記誘電体反射層を平坦化するステップS221と、
下の第1の金属シールドリングを露出させるように前記誘電体反射層をエッチングし、次に前記誘電体反射層に第2の金属層を製造し、そして下の金属シールドリングに前記誘電体反射層と面一の他の金属シールドリングを形成するように、前記第2の金属層を平坦化するステップS222と、
誘電体反射層に位置する金属反射層と、前記金属反射層を囲むさらに他の金属シールドリングとを形成して二重機能層を形成するように、前記誘電体反射層にさらに第3の金属層を製造するステップS223と、
以上のステップS221~S223を繰り返して交互に重ね合わせた少なくとも2組の誘電体反射層と金属反射層との組み合わせを形成して前記音波反射層を構成し、且つ前記音波反射層を囲む前記第2の金属シールドリングを形成するステップS224と、を含むことを特徴とする請求項12に記載の製造プロセス。
【請求項15】
前記ステップS2は、具体的に、
前記圧電層に下電極層及び音波反射層を順次製造し、同時に前記下電極層及び前記音波反射層の周りに誘電体層を形成するステップS21’と、
前記誘電体層に前記下電極層と前記音波反射層とを囲む溝をエッチングし、そして前記溝に金属材料を充填して、前記第1の金属シールド壁を形成するステップS22’と、を含むことを特徴とする請求項11に記載の製造プロセス。
【請求項16】
前記ステップS21’は、具体的に、
前記圧電層に下電極層を製造し、下電極層の周辺部分を除去するステップS211’と、
前のステップで形成された層に誘電体反射層を製造し、前記誘電体反射層を平坦化するステップS212’と、
前記誘電体反射層に金属反射層を製造し、前記金属反射層の周辺部分を除去するステップS213’と、
以上のステップS212’~S213’を繰り返して交互に重ね合わせた少なくとも2組の誘電体反射層と金属反射層との組み合わせを形成して前記音波反射層を構成し、同時に音波反射層の周辺に前記誘電体層を形成するステップS214’と、を含むことを特徴とする請求項15に記載の製造プロセス。
【請求項17】
前記ステップS22’は、具体的に、
前のステップで形成された層に誘電体保護層を製造するステップS221’と、
前記誘電体保護層の表面から前記圧電層まで延在し下電極層と前記音波反射層とを囲む溝を形成するように、前記誘電体保護層の周辺部位をエッチングするステップS222’と、
金属材料で前記溝を充填し、前記金属材料の表面を前記誘電体保護層と面一にするステップS223’と、を含むことを特徴とする請求項15に記載の製造プロセス。
【請求項18】
前記製造プロセスは、ステップS1の前に、前記第1の基板にシード層を製造するステップをさらに含み、
前記ステップS4は、具体的に、研磨、化学機械研磨、及びトリミングプロセスによって前記第1の基板を除去し、前記シード層を除去し、前記圧電層を薄くすることを含むことを特徴とする請求項11に記載の製造プロセス。
【請求項19】
前記圧電層の材料はAlNであり、前記圧電層をトリミングする場合前記圧電層における初期アモルファス形態のAlNを除去することを特徴とする請求項18に記載の製造プロセス。
【請求項20】
前記シード層は、スパッタリング又は堆積によって形成された2層以上の材料からなることを特徴とする請求項18に記載の製造プロセス。
【請求項21】
前記シード層は、前記第1の基板に近いAlN層と前記AlN層に位置するMo層とを含むことを特徴とする請求項20に記載の製造プロセス。
【請求項22】
前記シード層は、前記第1の基板に近いCr又はIr、Pt層と、前記Cr又はIr、Pt層に位置するMo層とを含むことを特徴とする請求項20に記載の製造プロセス。
【請求項23】
前記シード層は、前記第1の基板に近いSiC層と前記SiC層に位置するAlN層とを含むことを特徴とする請求項20に記載の製造プロセス。
【請求項24】
前記AlN層は、C軸配向の(0,0,0,2)結晶面を有することを特徴とする請求項21又は23に記載の製造プロセス。
【請求項25】
前記Mo層は、(1,1,0)結晶面の体心立方構造を有することを特徴とする請求項21又は22に記載の製造プロセス。
【請求項26】
前記ステップS3は、具体的に、前記音波反射層に金属結合層を製造し、そして前記第2の基板の表面に金属層を蒸着し、そして前記第2の基板の前記表面を前記金属結合層にボンディングすることを含むことを特徴とする請求項11に記載の製造プロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、通信デバイス分野に関し、主に電磁シールド構造を有するソリッドステート組み立て共振器及び製造プロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
電磁スペクトルがますます混雑することに伴い、無線通信装置の周波数帯域と機能が多くなり、無線通信に使用される電磁スペクトルが500MHzから5GHz以上に高速に成長し、高性能、低コスト、低電力消費、小型化の無線周波数フロントエンドモジュールに対する需要がますます高まっている。外部電磁波がますます混雑すると、デバイスの正常動作にひどく妨害する。無線周波数端末製品の内部空間が小さく、各モジュールが非常に集中しているという特点により、デバイス間の相互電磁干渉を引き起こしやすい。無線周波数製品の正常な有効動作を保障するために、外部EM(電磁)源と内部の他のモジュールEM源の干渉をシールドする必要がある。
【0003】
フィルタは無線周波数フロントエンドモジュールの1つであり、送信信号と受信信号を改善でき、主に複数の共振器がトポロジーネットワーク構造を介して接続されて構成される。BAW(Bulk Acoustic Wave)は、バルク音波共振器であり、BAWで構成されたフィルタは小型化で、集積能力が強く、高周波動作時に高品質要因Qを保証し、電力耐性が強いなどの利点があり、無線周波数フロントエンドのコアデバイスとして用いられている。
【0004】
SMR(Solidly Mounted Resonator)はBAWデバイスタイプの1つに属し、従来技術におけるSMRデバイス自体に電磁シールド層がなく、使用過程において電磁シールド装置を追加する必要があり、フィルタのデバイスサイズが大きくなり、性能に影響を与える。また、従来のSMRデバイス構造における上電極、圧電層、及び下電極は、良好なC軸優先配向を有さないため、SMRデバイスの性能及び品質要因に影響を与える。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、新規なSMR構造及び製造プロセスを設計することにあり、デバイスがBAWの優れた特性を有するだけでなく、外部と内部の電磁干渉をシールドする特性も有するようにする。
【0006】
上記したソリッドステート組み立て共振器が電磁シールド機能を有さず、且つ上電極層、圧電層、及び下電極層が良好なC軸優先配向を有さないためデバイスの性能及び品質要因に影響を与えるなどの問題に対して、本出願は、電磁シールド構造を有するソリッドステート組み立て共振器及び製造プロセスを提供して上記存在する問題を解決する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の態様では、本出願は、電磁シールド構造を有するソリッドステート組み立て共振器を提供し、当該共振器は、基板と、基板に形成された音波反射層と、音波反射層に形成された共振機能層とを含み、共振器は基板に形成された金属シールド壁をさらに含み、金属シールド壁は音波反射層及び共振機能層の有効領域の周辺に包囲リングを形成する。当該電磁シールド構造を有するソリッドステート組み立て共振器は、製造過程で形成された金属シールド壁を設置しており、当該シールド構造はコンパクトで、小型化で、且つ外部と内部の電磁干渉を同時にシールドすることができ、そして動作状態でのフィルタの放熱効果を向上させる。
【0008】
いくつかの実施例では、音波反射層は、交互に積層された少なくとも2組の誘電体反射層と金属反射層との組み合わせを含み、共振機能層は、順に積層された下電極層、圧電層、及び上電極層を含む。共振機能層は圧電層によって電気エネルギー及び機械エネルギーの変換を実現し、機械エネルギーは音波の形態で存在し、音波反射層は高い音響インピーダンスと低い音響インピーダンスが交替する特点を有し、音波を効果的に反射することができ、音波エネルギーの損失を回避し、音波を有効な共振領域に共振の目的を達成させる。
【0009】
いくつかの実施例では、金属シールド壁は、音波反射層及び共振機能層と同層に形成された複数の金属リングが積層されてなる。金属シールド壁における各金属リングは音波反射層及び共振機能層と同じ層にあるため、金属シールド壁が各機能層の形成過程において徐々に形成されることを可能にし、プロセスにおいて実現及び製造しやすい。
【0010】
いくつかの実施例では、複数の金属リングのうちの1つは、誘電体反射層、金属反射層、下電極層、及び圧電層とそれぞれ同じ層に形成される。誘電体反射層、金属反射層、下電極層、及び圧電層と同じ層に金属リングを製造する方が、より便利で、プロセスが成熟する。
【0011】
いくつかの実施例では、金属シールド壁の各金属リングは、電気的に連通する。各金属リングの間に電気的に連通を形成して金属シールド壁を接地して、電磁シールドの機能を持たせる。
【0012】
いくつかの実施例では、金属シールド壁は、音波反射層及び下電極層の有効領域の周辺に1回で形成された閉じた金属壁である。そのため、金属シールド壁の製造方式がより簡便であり、閉じた金属壁の性能がより安定する。
【0013】
いくつかの実施例では、基板と音波反射層との間に一層の金属シールド層を形成しており、金属シールド壁は金属シールド層に接続され且つ電気的に導通する。金属シールド層は金属シールド壁に接続されて接地し、音波反射層と共振機能層を完全に電磁シールドする。
【0014】
いくつかの実施例では、金属シールド壁は接地される。金属シールド壁は圧電層から引き出して接地することができ、プロセスが簡単で実現しやすい。
【0015】
いくつかの実施例では、上電極層は外部に接続された電極リードを有し、且つ電極リードが位置する位置で、金属シールド壁の高さは圧電層を超えない。電極リードは上電極層に接続されてデバイスに共振機能を持たせ、電極リードは金属シールド壁に接続されず、短絡によるデバイスの性能への影響を回避する。
【0016】
いくつかの実施例では、共振器の上部は、上電極層を覆うパッケージ構造を有する。パッケージ構造は、共振機能領域を保護すると同時に、一定の電磁シールド効果を果たすこともできる。
【0017】
第2の態様では、本出願は、電磁シールド構造を有するソリッドステート組み立て共振器の製造プロセスを提供し、当該製造プロセスは次のステップを含む。
第1の基板に圧電層を製造するステップS1と、
圧電層に下電極層及び音波反射層を順次製造し、且つ下電極層及び音波反射層の周りに下電極層及び音波反射層の有効領域を囲むように第1の金属シールド壁を製造するステップS2と、
音波反射層が位置する層に第2の基板をボンディングするステップS3と、
圧電層の下電極層と反対する裏面を露出させるように、第1の基板を除去するステップS4と、
第1の金属シールド壁の少なくとも一部を露出させるように、圧電層の第1の金属シールド壁に対応する部位をエッチングするステップS5と、
圧電層のエッチングされた部位を充填し且つ第1の金属シールド壁と電気的に連通するように、第2の金属シールド壁を製造するステップS6と、
圧電層の裏面に上電極層を製造するステップS7と、を含む。
【0018】
いくつかの実施例では、ステップS2は、具体的に、
圧電層に下電極層を製造し、同時に下電極層の周りに、下電極層と同じ層にあり下電極層を囲む第1の金属シールドリングを形成するステップS21と、
下電極層が位置する層に音波反射層を製造し、同時に第1の金属シールドリングに音波反射層と同じ層にあり音波反射層を囲む第2の金属シールドリングを形成し、第1の金属シールドリングと第2の金属シールドリングとは一体的に第1の金属シールド壁を形成するステップS22と、を含む。
第1の金属シールドリング及び第2の金属シールドリングは、それぞれ下電極層及び音波反射層と同じ層にあるので、それぞれ下電極層及び音波反射層と同じ水平面で製造され、プロセスが成熟して簡単で、実現しやすい。
【0019】
いくつかの実施例では、ステップS21は、具体的に、圧電層に第1の金属層を製造し、次にフォトリソグラフィ及びエッチングプロセスによって下電極層、及び下電極層を囲むが下電極層に接続されない第1の金属シールドリングを形成することを含む。第1の金属シールドリングは、下電極層の周りを囲んで、下電極層に対して良好な電磁シールド作用を果たす。
【0020】
いくつかの実施例では、ステップS22は、具体的に、
前のステップで形成された層に誘電体反射層を成長させ、且つ誘電体反射層を平坦化するステップS221と、
下の第1の金属シールドリングを露出させるように誘電体反射層をエッチングし、次に誘電体反射層に第2の金属層を製造し、そして下の金属シールドリングに誘電体反射層と面一の他の金属シールドリングを形成するように、第2の金属層を平坦化するステップS222と、
誘電体反射層に位置する金属反射層と、金属反射層を囲むさらに他の金属シールドリングとを形成して二重機能層を形成するように、誘電体反射層にさらに第3の金属層を製造するステップS223と、
以上のステップS221~S223を繰り返して交互に重ね合わせた少なくとも2組の誘電体反射層と金属反射層との組み合わせを形成して音波反射層を構成し、且つ音波反射層を囲む第2の金属シールドリングを形成するステップS224と、を含む。
【0021】
音波反射層は交互に重ね合わせた誘電体反射層と金属反射層で構成され、同時に研磨、エッチングなどの成熟したプロセスによって、同じ層に金属シールドリングをそれぞれ製造し、最後に音波反射層を囲み且つ良好なシールド効果を有する第2の金属シールドリングを形成する。また、製造された圧電層は平坦な表面を有し、応力の一致性を保証し、電気機械結合係数の一致性を保証し、より優れたデバイス性能及びデバイス製品の歩留まりを得ることができる。
【0022】
いくつかの実施例では、ステップS2は、具体的に、
圧電層に下電極層及び音波反射層を順次製造し、同時に下電極層及び音波反射層の周りに誘電体層を形成するステップS21’と、
誘電体層に下電極層と音波反射層とを囲む溝をエッチングし、溝に金属材料を充填して第1の金属シールド壁を形成するステップS22’と、を含む。
【0023】
誘電体層にエッチングし金属材料を充填することによって、下電極層と音波反射層の周りに第1の金属シールド壁を形成し、プロセスフローが簡単で、1回で成型した第1の金属シールド壁はより良好なシールド効果を有する。
【0024】
いくつかの実施例では、ステップS21’は、具体的に、
圧電層に下電極層を製造し、下電極層の周辺部分を除去するステップS211’と、
前のステップで形成された層に誘電体反射層を製造し、誘電体反射層を平坦化するステップS212’と、
誘電体反射層に金属反射層を製造し、金属反射層の周辺部分を除去するステップS213’と、
以上のステップS212’~S213’を繰り返して交互に重ね合わせた少なくとも2組の誘電体反射層と金属反射層との組み合わせを形成して音波反射層を構成し、同時に音波反射層の周辺に誘電体層を形成するステップS214’と、を含む。
【0025】
誘電体層は平坦化された誘電体反射層により形成されるため、当該プロセスは音波反射層を形成する同時に誘電体層も形成し、プロセスが非常に簡便であり、また、製造された圧電層は平坦な表面を有し、応力の一致性を保証し、電気機械結合係数の一致性を保証し、より優れたデバイス性能及びデバイス製品の歩留まりを得ることができる。
【0026】
いくつかの実施例では、ステップS22’は、具体的に、
前のステップで形成された層に誘電体保護層を製造するステップS221’と、
誘電体保護層の表面から圧電層まで延在し下電極層と音波反射層とを囲む溝を形成するように、誘電体保護層の周辺部位をエッチングするステップS222’と、
金属材料で溝を充填し、金属材料の表面を誘電体保護層と面一にするステップS223’と、を含む。
【0027】
誘電体保護層の周辺部位の下方は誘電体層であり、誘電体保護層の周辺部分に簡単なエッチング及び金属材料の充填などのプロセスによって下電極層及び音波反射層を囲む第1の金属シールド壁を形成する。
【0028】
いくつかの実施例では、製造プロセスは、ステップS1の前に、第1の基板にシード層を製造するステップをさらに含み、
ステップS4は、具体的に、研磨、化学機械研磨、及びトリミングプロセスによって第1の基板を除去し、シード層を除去し、圧電層を薄くすることを含む。絶対的に平坦なシード層に圧電層を成長させ、圧電層に非常に平坦な表面を有させ、第1の基板とシード層を除去し、圧電層をトリミングした後平坦な表面を有する圧電層を取得し、応力一致性を保証する。
【0029】
いくつかの実施例では、圧電層の材料はAlNであり、圧電層をトリミングする場合圧電層における初期アモルファス形態のAlNを除去する。このステップはアモルファス形態圧電層AlNを除去し、全体の圧電層により良好なC軸配向、より良好な圧電性を有させ、共振器の動作性能を向上させる。
【0030】
いくつかの実施例では、シード層は、スパッタリング又は堆積によって形成された2層以上の材料からなる。異なる材料で製造されたシード層は、良好なC軸優先配向を有する圧電層を得ることができ、電極材料の選択性を向上させることができ、生産コストを低減することができる。
【0031】
いくつかの実施例では、シード層は、第1の基板に近いAlN層とAlN層に位置するMo層を含む。Mo層は圧電層の優先配向の程度を強化することができる。
【0032】
いくつかの実施例では、シード層は、第1の基板に近いCr又はIr、Pt層と、Cr又はIr、Pt層に位置するMo層とを含む。Moは、(1,1,0)結晶面があり、以降の膜層のC軸優先配向を強化することができる。
【0033】
いくつかの実施例では、シード層は、第1の基板に近いSiC層とSiC層に位置するAlN層とを含む。同様に、AlN層は、以降の膜層のC軸優先配向を強化することができる。
【0034】
いくつかの実施例では、AlN層は、C軸配向の(0,0,0,2)結晶面を有する。(1,1,0)結晶面のMo層が得られる。
【0035】
いくつかの実施例では、Mo層は、(1,1,0)結晶面の体心立方構造を有する。(1,1,0)結晶面のMoは圧電層AlNの(0,0,0,2)結晶面の優先配向程度を強化することができ、音響損失を低減することができ、共振器が動作周波数で必要な振動モードを維持するように促進する。
【0036】
いくつかの実施例では、ステップS3は、具体的に、音波反射層に金属結合層を製造し、そして第2の基板の表面に金属層を蒸着し、そして第2の基板の表面を金属結合層にボンディングすることを含む。金属結合層は音波反射層と平行な方向においてデバイスに対して良好な電磁シールド効果を果たすことができ、且つ第2の基板と接続やすい。
【0037】
本出願は、電磁シールド構造を有するソリッドステート組み立て共振器及び製造プロセスを提供し、当該共振器は基板と、基板に形成された音波反射層と、音波反射層に形成された共振機能層とを含み、共振器は基板に形成された金属シールド壁をさらに含み、金属シールド壁は音波反射層及び共振機能層の有効領域の周辺に包囲リングを形成する。そして、音波反射層及び共振機能層の有効領域の周辺に閉じた電磁シールド層を形成することにより、共振器を製造すると同時に電磁シールド層を製造し、電磁シールド装置を増加する必要がなく、小体積、高性能を保証する前提で共振器が外部と内部の電磁干渉源の影響を受けることを回避し、特に隣接する周波数帯域及び信号送信端に対して、無線周波数端末製品の信号隔離度を大幅に向上させ、ノイズ信号を低減させる。また、電磁シールド層は、ある程度でフィルタの動作状態での放熱効果を向上させることができる。当該プロセスで製造された圧電層は平坦な表面を有し、応力の一致性を保証し、電気機械結合係数の一致性を保証し、より優れたデバイス性能及びデバイス製品の歩留まりを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図面は、実施例のさらなる理解を提供するためのもので、図面は、本明細書に組み込まれ、その一部を構成する。図面は実施例を図示し、説明と共に本発明の原理を解釈する。他の実施例及び実施例の多くの期待される利点は、以下の詳細な説明を参照することによってよりよく理解できるだろう。図面の素子は、必ずしも相互に縮尺通りではない。同様の符号は、対応する類似の構成要素を指す。
図1】本発明の実施例による電磁シールド構造を有するソリッドステート組み立て共振器の概略構成図を示す。
図2】本発明の他の実施例による電磁シールド構造を有するソリッドステート組み立て共振器の概略構成図を示す。
図3】本発明の実施例による電磁シールド構造を有するソリッドステート組み立て共振器の金属シールド壁の平面図を示す。
図4】本発明の実施例による電磁シールド構造を有するソリッドステート組み立て共振器の製造プロセスのフローチャートを示す。
図5図5a~図5sは本発明の実施例1による電磁シールド構造を有するソリッドステート組み立て共振器の製造プロセスにより製造された電磁シールド構造を有するソリッドステート組み立て共振器の概略構成図を示す。
図6】本発明の実施例1による電磁シールド構造を有するソリッドステート組み立て共振器の製造プロセスにおけるステップS2のフローチャートを示す。
図7】本発明の実施例1による電磁シールド構造を有するソリッドステート組み立て共振器の製造プロセスにおけるステップS22のフローチャートを示す。
図8図8a~図8hは本発明の実施例2による電磁シールド構造を有するソリッドステート組み立て共振器の製造プロセスにより製造された電磁シールド構造を有するソリッドステート組み立て共振器の概略構成図を示す。
図9】本発明の実施例2による電磁シールド構造を有するソリッドステート組み立て共振器の製造プロセスにおけるステップS2のフローチャートを示す。
図10】本発明の実施例2による電磁シールド構造を有するソリッドステート組み立て共振器の製造プロセスにおけるステップS21’のフローチャートを示す。
図11】本発明の実施例2による電磁シールド構造を有するソリッドステート組み立て共振器の製造プロセスにおけるステップS22’のフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下は、図面及び実施例を参照して本出願をさらに詳細に説明する。ここで説明する具体的な実施例は関連する発明を解釈するためのものであり、本発明を限定するものではない。なお、説明の便宜上、関連する発明に関連する部分のみを図面に示している。なお、図面における構成要素のサイズ及び大きさは縮尺どおりではなく、明らかな理由により、何らかの部品の大きさが強調表示される可能性がある。
【0040】
なお、衝突しない場合、本出願における実施例及び実施例における特徴は、互いに組み合わせることができる。以下は、図面を参照して実施例を結合して本出願を詳細に説明する。
【0041】
本発明は、電磁シールド構造を有するソリッドステート組み立て共振器を提供し、当該共振器は図1に示すように、基板101と、基板101に形成された音波反射層201と、音波反射層201に形成された共振機能層301とを含む。音波反射層201は、音響インピーダンスが整合しない金属と誘電体膜層とが交互に堆積されてなるため、高い音響インピーダンスと低い音響インピーダンスが交互になる特徴を有し、音波を効果的に反射することができ、音波エネルギーの損失を回避し、音波を有効な共振領域に共振の目的を達成させる。共振機能層301は、電気エネルギーと機械エネルギーの変換を実現し、共振効果を生じる。共振器は、基板101に形成された金属シールド壁401をさらに含み、金属シールド壁401は、音波反射層201及び共振機能層301の有効領域の周辺を囲む。従って、共振器の製造と同時に電磁シールド層として金属シールド壁401を製造し、小体積、高性能を保証する前提で共振器が外部と内部の電磁干渉源の影響を受けることを回避し、特に隣接する周波数帯域及び信号送信端に対して、無線周波数端末製品の信号隔離度を大幅に向上させ、ノイズ信号を低減させる。
【0042】
具体的な実施例では、図1に示すように、音波反射層201は、交互に積層された少なくとも2つの誘電体反射層202と金属反射層203との組み合わせを含む。共振機能層301は、順に積層された下電極層302、圧電層303、及び上電極層304を含む。従って、図1に示したI-1領域は、共振器の有効領域である。II-1領域とII-2領域は、金属シールド壁401領域であり、II-3領域は金属シールド層402領域であり、III-1領域は音波反射層201領域である。この3つの領域は、いずれも平面構造で積層されるため、構造が簡単で、製造しやすい。そして、この時に得られる圧電層303は、平坦な表面を有し、応力の一致性を保証し、電気機械結合係数の一致性を保証し、より優れたデバイス性能及びデバイス製品の歩留まりを得ることができる。
【0043】
具体的な実施例では、金属シールド壁401は、音波反射層201及び共振機能層301と同層に形成された複数の金属リングを積層してなる。このことから、複数の金属リングを積層することにより、金属シールド壁401を形成できることが分かる。好ましい実施例では、各金属リングは、それぞれにそれに対応する誘電体反射層202、金属反射層203、下電極層302、及び圧電層303と同層に形成する。つまり、誘電体反射層202、金属反射層203、下電極層302、及び圧電層303は、製造の際に、外部周りの金属層又は二重機能層を残し、各膜層の製造に従って金属シールド壁401を重畳して形成する。各金属リングは誘電体反射層202、金属反射層203、下電極層302、及び圧電層303と同じ層にあるため、製造プロセスにおいてより便利であり、プロセスが成熟する。圧電層303と同じ層において、一部はII-1領域のような金属リングを形成し、一部は図面II-2領域のように圧電層303の領域を超えず、圧電層303と同じ層にある金属リングを形成しなく、即ち、その領域の金属シールド壁の高さが圧電層303を超えないようになる。好ましい実施例では、金属シールド壁401の各金属リングは、電気的に連通する。各金属リングの間に電気的に連通を形成して金属シールド壁401を接地させた後、より強い電磁シールドの機能を持たせる。
【0044】
具体的な実施例では、図2に示すように、金属シールド壁421は、音波反射層201及び下電極層302の有効領域の周辺に1回で形成された閉じた金属壁である。この場合、1回で形成された閉じた金属壁は、音波反射層201及び下電極層302の周辺に、電磁シールド壁を形成する。従って、金属シールド壁421の製造方式は、より便利であり、閉じた金属壁の性能はより安定して、閉じた金属壁である金属シールド壁421は複数の金属リングで形成される金属シールド壁401と位置および形状が同じであるが、材料および製造プロセスが異なり、同様に、良好な電磁シールド効果を有する。
【0045】
具体的な実施例では、基板101と音波反射層201との間に一層の金属シールド層402を形成しており、金属シールド壁401は金属シールド層402に接続され且つ電気的に導通する。図1に示すように、II-1領域、II-2領域及びII-3領域の金属シールド層402は、回路が導通する構造を構成し、全体的には金属シールド壁401領域のII領域の金属シールド壁401及び金属シールド層402が共振器の有効領域I-1領域及び音波反射層201領域のIII-1領域を囲むとみなすことができ、平面から見た包囲構造は図3に示す円形リング構造に限定されず、四角形リング等の他の任意の閉じた形状であってもよい。少なくとも一箇所のII-1領域が接地され、II-2領域が圧電層303を超えず、共振器の正常動作を保証する。II-3領域の金属シールド層402は、基板101と全面で接触している。また、ある程度でフィルタの動作状態での放熱効果を向上させることができる。
【0046】
具体的な実施例では、金属シールド壁401は接地される。金属シールド壁401の接地方式は、圧電層303から引き出して接地することができ、簡単で実現しやすい。具体的に、少なくとも一箇所のII-1領域から接地してもよく、全部接地してもよく、接地した後II-1領域、II-2領域及びII-3領域の金属シールド層402を一つの回路が導通する構造に構成し、囲まれた音波反射層201及び共振機能層301を、外部と内部の電磁干渉源の影響から保護し、特に隣接する周波数帯域及び信号送信端に対して、無線周波数端末製品の信号隔離度を大幅に向上させ、ノイズ信号を低減させる。
【0047】
具体的な実施例では、上電極層304は外部に接続された電極リード501を有し、且つ電極リード501が位置する位置で、金属シールド壁401の高さは、圧電層303を超えない。この場合、図面のように、II-2領域の下の金属シールド壁401は圧電層303を超えない。電極リード501は上電極層304に接続されてデバイスに共振機能を持たせ、電極リード501は金属シールド壁401に接続されず、短絡によるデバイスの性能への影響を回避する。
【0048】
具体的な実施例では、共振器の上部は、上電極層304を覆うパッケージ構造601を有する。パッケージ構造601は有効な共振機能領域I-1領域を保護することができ、また、一定の電磁シールド効果を果たすこともできる。パッケージ構造601及びII領域の金属シールド壁401と金属シールド層402は、完全な電磁シールド層を構成し、音波反射層201及び共振機能層301を完全に囲み、隣接する周波数帯域と信号送信端の電磁干渉を隔離し、無線周波数端末製品の信号隔離度を効果的に向上させる。
【0049】
本出願の実施例は、電磁シールド構造を有するソリッドステート組み立て共振器の製造プロセスを提供し、図4に示すように、
第1の基板に圧電層を製造するステップS1と、
圧電層に下電極層及び音波反射層を順次製造し、且つ下電極層及び音波反射層の周りに下電極層及び音波反射層の有効領域を囲むように第1の金属シールド壁を製造するステップS2と、
音波反射層が位置する層に第2の基板をボンディングするステップS3と、
圧電層の下電極層と反対する裏面を露出させるように第1の基板を除去するステップS4と、
第1の金属シールド壁の少なくとも一部を露出させるように、圧電層の第1の金属シールド壁に対応する部位をエッチングするステップS5と、
圧電層のエッチングされた部位を充填し且つ第1の金属シールド壁と電気的に連通するように、第2の金属シールド壁を製造するステップS6と、及び
圧電層の裏面に上電極層を製造するステップS7と、を含む。
【実施例1】
【0050】
図5a~5iは、電磁シールド構造を有するソリッドステート組み立て共振器の製造プロセスにより製造された電磁シールド構造を有するソリッドステート組み立て共振器の概略構成図である。製造プロセスは、ステップS1の前に、第1の基板111にシード層701を製造するステップをさらに含む。図5aに示すように、好ましい実施例では、シード層701は、スパッタリング又は堆積によって形成された2層以上の材料からなる。第1の基板111の材料はSiであり、第1の基板111に異なる材料で製造されたシード層701は、良好なC軸優先配向を有する圧電層303を取得することができ、電極材料の選択性を向上させることができ、生産コストを低減することができる。その中の一実施例では、シード層701は、第1の基板111に近いAlN層と、AlN層に位置するMo層とを含む。AlN層の厚さは約50nmで、AlNはC軸配向の(0,0,0,2)結晶面である。Mo層の厚さは約50nmで、Moは(1,1,0)結晶面の体心立方構造であり、第1の基板111の材料はSiであり、AlNシード層の(0,0,0,2)結晶面は(1,1,0)結晶面のMoの優先配向の程度を強化する。
【0051】
他の実施例では、シード層701は、第1の基板111に近いCr又はIr、Pt層と、Cr又はIr、Pt層に位置するMo層とを含む。MOCVDプロセスによって、まず、第1の基板111にCr/Ir、Pt層を成長させ、そして温度、圧力、ガス流れ、及び気密性などの要因を制御して単結晶または多結晶のMo層を取得し、Moは(1,1,0)結晶面があり、以降の膜層のC軸優先配向を強化する。
【0052】
他の実施例では、シード層701は、第1の基板111に近いSiC層と、SiC層に位置するAlN層とを含む。MOCVDプロセスを採用して、まず、第1の基板111にSiC層を成長させ、そして、温度、圧力、ガス流れ、及び気密性などの要因を制御して単結晶または多結晶のAlN層を取得し、以降の膜層のC軸優先配向を強化し、AlNは(0,0,0,2)結晶面である。
【0053】
図5bに示すように、シード層701に圧電層303をスパッタリングし、圧電層303はAlNを選択し、(0,0,0,2)結晶面に優先配向する。従来技術では、C方向のAlNが得られるように、一般的に下電極層302としてMoを選択する。すなわち、下電極層302の選択に大きな制限がある。しかし、本出願の実施例では、複合シード層701にAlNを成長させる方法によって高度なC方向のAlNを直接実現しているため、電極材料の選択に対する制限が小さい。
【0054】
図6に示すように、ステップS2は、具体的に、
圧電層に下電極層を製造し、同時に下電極層の周りに、下電極層と同じ層にあり下電極層を囲む第1の金属シールドリングを形成するステップS21と、
下電極層が位置する層に音波反射層を製造し、同時に第1の金属シールドリングに音波反射層と同じ層にあり音波反射層を囲む第2の金属シールドリングを形成し、第1の金属シールドリングと第2の金属シールドリングとは一体的に第1の金属シールド壁を形成するステップS22と、を含む。
【0055】
具体的な実施例では、図5cに示すように、ステップS21は、具体的に、スパッタリングなどのプロセスによって圧電層303に第1の金属層を製造し、そしてフォトリソグラフィ及びエッチングプロセスによって第1の金属層を下電極層302及び下電極層302を囲むが下電極層302に接続しない第1の金属シールドリング411にエッチングすることを含む。第1の金属シールドリング411は、下電極層302の周りを囲み、下電極層302に対して良好な電磁シールド作用を果たす。
【0056】
具体的な実施例では、図7に示すように、ステップS22は、具体的に、
前のステップで形成された層に誘電体反射層を成長させ、且つ誘電体反射層を平坦化するステップS221と、
下の第1の金属シールドリングを露出させるように誘電体反射層をエッチングし、誘電体反射層に第2の金属層を製造し、そして下の金属シールドリングに誘電体反射層と面一の他の金属シールドリングを形成するように、第2の金属層を平坦化するステップS222と、
誘電体反射層に位置する金属反射層と、金属反射層を囲むさらに他の金属シールドリングとを形成して二重機能層を形成するように、誘電体反射層にさらに第3の金属層を製造するステップS223と、
以上のステップS221~S223を繰り返して交互に重ね合わせた少なくとも2組の誘電体反射層と金属反射層との組み合わせを形成して音波反射層を構成し、且つ音波反射層を囲む第2の金属シールドリングを形成するステップS224と、を含む。
【0057】
図5dに示すように、ステップS221において、CVDプロセスによって誘電体反射層212を成長させ、誘電体反射層212の材料はSiO又はSiOドーピング材料、及びSiOFなどの他の誘電体材料である。図5eに示すように、CMP(化学機械研磨)プロセスによって誘電体反射層212の上面を平坦化し、下電極層302上の残りの誘電体反射層212の厚さは、共振器の縦波波長λの1/4倍である。厚さは、誘電体反射層212及び金属反射層213の材料による異なる効果によって調整してもよい。
【0058】
図5f及び図5gに示すように、下の第1の金属シールドリング411を露出させるように、誘電体反射層212をエッチングする。次に、フォトリソグラフィ、エッチング、及びスパッタリング(又は電気めっき、蒸着など)プロセスによって、第2の金属層4111を製造する。第2の金属層の材料はCu又はWである。また、CMPプロセスによって、第2の金属層の上面を平坦化し、図5hに示すように、平坦化された第2の金属層4111は、上面が誘電体反射層212の上面と面一である他の金属シールドリングを形成する。
【0059】
図5iに示すように、フォトリソグラフィ、スパッタリング、及びエッチングプロセスによって、誘電体反射層212に第3の金属層4112を製造し、誘電体反射層212に位置する金属反射層213と、金属反射層213を囲むさらに他の金属シールドリングとを形成して二重機能層を形成し、金属反射層213の厚さは共振器の縦波波長λの1/4倍であり、第3の金属層の材料は、タングステン(W)、アルミニウム(Al)、モリブデン(Mo)、白金(Pt)、ルテニウム(Ru)などを含んでもよい。
【0060】
図5j~5mに示すように、CVD、CMP、エッチングなどのプロセスによって、金属反射層213に少なくとも一組の同じ厚さの誘電体反射層212と金属反射層213とを繰り返して製造する。最後に、図5nに示すように、フォトリソグラフィ、エッチング、スパッタリング(又は電気めっき、蒸着など)、及びCMPプロセスによって、最上層の誘電体反射層212に金属リングを製造して音波反射層211を囲む第2の金属シールドリング412を形成する。音波反射層211は、交互に重ね合わせた誘電体反射層212及び金属反射層213で構成され、同時に研磨、エッチングなどの成熟したプロセスによって同じ層に第2の金属シールドリング412を製造し、最後に音波反射層211を囲み良好なシールド効果を有する第2の金属シールドリング412を形成し、第1の金属シールドリング411と第2の金属シールドリング412とは、一体的に第1の金属シールド壁413を形成する。また、製造された圧電層303は平坦な表面を有し、応力の一致性を保証し、電気機械結合係数の一致性を保証し、より優れたデバイス性能及びデバイス製品の歩留まりを得ることができる。
【0061】
具体的な実施例では、図5oに示すように、ステップS3は、具体的に、音波反射層211に金属結合層801を製造し、そして第2の基板112の表面上に金属層を蒸着し、第2の基板112の表面を金属結合層801にボンディングすることを含む。金属結合層801は、音波反射層に平行な方向でデバイスに対して良好な電磁シールド効果を発揮することができ、第2の基板112との接続に便利である。好ましい実施例では、wafer bondingプロセスによって、金属結合層801の上に蒸着処理された第2の基板112をボンディングし、第2の基板112の材料はSiであり、wafer蒸着は、ボンディングした後の結合力を確保するためである。
【0062】
図5pに示すように、ステップS4は、具体的に、研磨、化学機械研磨、及びトリミングプロセスによって第1の基板111を除去し、シード層701を除去し、そしてトリミングプロセスによって圧電層303を薄くすることを含み、好ましい実施例では、圧電層の材料はAlNであり、圧電層をトリミングする場合、圧電層303において初期アモルファス形態のAlNを除去する。好ましくは、圧電層303は30~50nmの厚さを薄くすることができる。シード層701の存在は、シード層701に良好なC軸優先配向を有する圧電層303、上電極層304、及び下電極層302を形成することに有益であり、電極材料の選択の制限を低減し、圧電層303上の30~50nmのアモルファス形態のAlNを除去し、デバイスにより良好な圧電性を有させ、共振器の動作性能を向上させる。AlN圧電層303(例えば、厚さ1000nm)を成長させる場合、最初の30~50nmはアモルファス形態のAlNであり、このアモルファス形態のAlNは、圧電層の性能に影響を与える。従って、トリミングプロセスによって、最初の30~50nmアモルファス形態のAlNを除去し、最終的に優れたC軸配向のAlN圧電層を得て、電磁シールド構造を有するソリッドステート組み立て共振器はより優れた圧電性能を有する。
【0063】
図5qに示すように、フォトリソグラフィ、エッチング、スパッタリング(又は電気めっき、蒸着など)、及びCMPプロセスによって、第2の金属シールド壁414を製造する。第2の金属シールド壁414の材料はCu又はWであり、平坦化した第2の金属シールド壁414は圧電層303と面一である。このステップの第2の金属シールド壁414の数は制限されないが、少なくとも1つの第2の金属シールド壁414が圧電層303から引き出され、圧電層303の下の第1の金属シールド壁413に電気的に接続され接地される。
【0064】
図5rに示すように、フォトリソグラフィ、スパッタリング、及びエッチングプロセスによって、圧電層303の裏面に上電極層304を製造し、上電極層304の材料はMoであり、タングステン(W)、アルミニウム(Al)、モリブデン(Mo)、白金(Pt)、ルテニウム(Ru)などの単一又は複合の電極でもよい。
【0065】
図5sに示すように、圧電層303に上電極層304を囲むパッケージ構造601を製造し、第2の金属シールド壁414が接地され、上電極層304が外部に接続された電極リード501を有し、電極リード501が位置する位置で、第1の金属シールド壁413の高さは、圧電層303を超えない。電極リード501は上電極層304に接続され、デバイスが共振機能を有し、電極リード501は第1の金属シールド壁413に接続されず、短絡によるデバイスの性能への影響を回避する。閉じた金属シールド構造は電磁シールド効果を形成し、電極リード501は信号源に接続して共振器を正常に動作させる。
【実施例2】
【0066】
実施例2のステップS2が実施例1のステップS2と異なり、他のステップは同じである。図8a~図8gは、実施例2のステップS2の製造プロセスにより製造された電磁シールド構造を有するソリッドステート組み立て共振器の概略構成図である。図9に示すように、ステップS2は、具体的に、
圧電層に下電極層及び音波反射層を順次製造し、同時に下電極層及び音波反射層の周りに誘電体層を形成するステップS21’と、
誘電体層に下電極層と音波反射層とを囲む溝をエッチングし、溝に金属材料を充填して第1の金属シールド壁を形成するステップS22’と、を含む。
【0067】
具体的な実施例では、図10に示すように、ステップS21’は、具体的に、
圧電層に下電極層を製造し、下電極層の周辺部分を除去するステップS211’と、
前のステップで形成された層に誘電体反射層を製造し、誘電体反射層を平坦化するステップS212’と、
誘電体反射層に金属反射層を製造し、金属反射層の周辺部分を除去するステップS213’と、
以上のステップS212’~S213’を繰り返して交互に重ね合わせた少なくとも2組の誘電体反射層と金属反射層との組み合わせを形成して音波反射層を構成し、同時に音波反射層の周辺に誘電体層を形成するステップS214’と、を含む。
【0068】
具体的な実施例では、図8aに示すように、フォトリソグラフィ、スパッタリング、及びエッチングプロセスによって、圧電層303に下電極層302を製造し、下電極層302の材料はMoであることが好ましい。図8bに示すように、CVD及びCMPプロセスによって誘電体反射層222を製造し、誘電体反射層222の材料はSiOであることが好ましく、CMP処理の後に下電極層302に残る誘電体反射層222の厚さは、共振器の縦波波長λの1/4倍である。図8cに示すように、フォトリソグラフィ、スパッタリング、及びエッチングプロセスによって、誘電体反射層222に金属反射層223を製造し、金属反射層223の厚さは共振器の縦波波長λの1/4倍である。ステップS212’~S213’を繰り返して図8d及び8eに示すような概略構成図を得て、交互に重ね合わせた複数の組みの誘電体反射層222及び金属反射層223から構成される音波反射層221を形成する。各金属反射層223の製造中に、金属反射層223の全ての周辺部分が除去され、音波反射層221の周辺部分が誘電体層901を形成する。誘電体層901が平坦化された誘電体反射層222によって形成されるので、当該プロセスは、音波反射層221を形成する同時に、誘電体層901も形成する。従って、プロセスが非常に簡便であり、そして製造される圧電層303が平坦な表面を有し、応力の一致性を保証し、電気機械結合係数の一致性を保証し、より優れたデバイス性能及びデバイス製品の歩留まりを得ることができる。
【0069】
具体的な実施例では、図11に示すように、ステップS22’は、具体的に、
前のステップで形成された層に誘電体保護層を製造するステップS221’と、
誘電体保護層の表面から圧電層まで延在し下電極層と音波反射層とを囲む溝を形成するように、誘電体保護層の周辺部位をエッチングするステップS222’と、
金属材料で溝を充填し、金属材料の表面を誘電体保護層と面一にするステップS223’と、を含む。
【0070】
具体的な実施例では、図8fに示すように、CVD及びCMPプロセスによって、音波反射層221に誘電体保護層902を製造する。図8gに示すように、フォトリソグラフィ、エッチング、スパッタリング(又は電気めっき、蒸着など)、及びCMPプロセスによって、誘電体保護層902の周辺部分及び誘電体層901に溝を製造し金属材料を充填して、第1の金属シールド壁423を形成する。誘電体保護層902の周辺部位の下に誘電体層901があり、誘電体保護層902の周辺部分に、簡単なエッチング及び金属材料の充填などのプロセスによって、下電極層302と音波反射層221とを囲む第1の金属シールド壁423を形成する。第1の金属シールド壁423は、下電極層302及び音波反射層221を効果的に保護して、内部又は外部の電磁信号源による干渉を回避することができる。その後の製造プロセスは実施例1と同じであるため、ここで説明を省略する。最後に、図8hに示すような電磁シールド構造を有するソリッドステート組み立て共振器を得る。
【0071】
本出願は、電磁シールド構造を有するソリッドステート組み立て共振器及び製造プロセスを提供し、基板と、基板に形成された音波反射層と、音波反射層に形成された共振機能層とを含み、共振器は基板に形成された金属シールド壁をさらに含み、金属シールド壁は音波反射層及び共振機能層の有効領域の周辺に包囲リングを形成する。そして、音波反射層及び共振機能層の有効領域の周辺に閉じた電磁シールド層を形成することにより、共振器を製造すると同時に電磁シールド層を製造し、電磁シールド装置を増加する必要がなく、小体積、高性能を保証する前提で共振器が外部と内部の電磁干渉源の影響を受けることを回避し、特に隣接する周波数帯域及び信号送信端に対して、無線周波数端末製品の信号隔離度を大幅に向上させ、ノイズ信号を低減させる。また、電磁シールド層は、ある程度でフィルタの動作状態での放熱効果を向上させることができる。当該プロセスで製造された圧電層は平坦な表面を有し、応力の一致性を保証し、電気機械結合係数の一致性を保証し、より優れたデバイス性能及びデバイス製品の歩留まりを得ることができる。
【0072】
以上に本出願の具体的な実施方式を説明したが、本出願の保護範囲はそれに限定されなく、当業者であれば本出願に開示された技術範囲内で、変更または置換を容易に考えることができ、いずれも本出願の保護範囲内に含まれるべきである。従って、本出願の保護範囲は請求項の保護範囲を基準とすべきである。
【0073】
本出願の説明において、「上」、「下」、「内」、「外」などの用語で示される方位又は位置関係は、図面に示される方位または位置関係に基づいており、本出願の説明を容易にし、説明を簡略化するためだけであり、装置又は素子が特定の方位を有し特定の方位で構成及び操作されなければならないことを指示又は示唆するのではなく、従って、本出願を限定するものと理解すべきでない。「含む」という言葉は、請求項に記載されていない素子又はステップの存在を排除するものではない。素子の前の言葉「一」又は「1つ」は、複数のそのような要素の存在を排除するものではない。相互に異なる従属請求項に記載されているある手段の単なる事実は、これらの手段の組み合わせが改善に使用できないことは示さない。請求項におけるいかなる参照符号も、範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
図1
図2
図3
図4
図5a
図5b
図5c
図5d
図5e
図5f
図5g
図5h
図5i
図5j
図5k
図5l
図5m
図5n
図5o
図5p
図5q
図5r
図5s
図6
図7
図8a
図8b
図8c
図8d
図8e
図8f
図8g
図8h
図9
図10
図11
【手続補正書】
【提出日】2022-08-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁シールド構造を有するソリッドステート組み立て共振器であって、基板と、前記基板に形成された音波反射層と、前記音波反射層に形成された共振機能層とを含み、前記共振機能層は、順に積層された下電極層、圧電層、及び上電極層を含み、前記共振器は前記基板に形成された金属シールド壁をさらに含み、前記金属シールド壁は前記音波反射層及び前記共振機能層の有効領域の周辺に包囲リングを形成し、前記金属シールド壁は、前記下電極層及び前記音波反射層を囲む第1の金属シールド壁と、前記圧電層のエッチングされた部位に充填され、前記第1の金属シールド壁に電気的に連通する第2の金属シールド壁とを含むことを特徴とするソリッドステート組み立て共振器。
【請求項2】
前記音波反射層は、交互に積層された少なくとも2組の誘電体反射層と金属反射層との組み合わせを含むことを特徴とする請求項1に記載の電磁シールド構造を有するソリッドステート組み立て共振器。
【請求項3】
前記金属シールド壁は、前記音波反射層及び前記共振機能層と同層に形成された複数の金属リングを積層してなることを特徴とする請求項2に記載の電磁シールド構造を有するソリッドステート組み立て共振器。
【請求項4】
前記複数の金属リングのうちの1つは、前記誘電体反射層、金属反射層、下電極層、及び圧電層とそれぞれ同じ層に形成されることを特徴とする請求項3に記載の電磁シールド構造を有するソリッドステート組み立て共振器。
【請求項5】
前記金属シールド壁の各金属リングは、電気的に連通することを特徴とする請求項4に記載の電磁シールド構造を有するソリッドステート組み立て共振器。
【請求項6】
前記金属シールド壁は、前記音波反射層及び前記下電極層の有効領域の周辺に1回で形成された閉じた金属壁であることを特徴とする請求項に記載の電磁シールド構造を有するソリッドステート組み立て共振器。
【請求項7】
前記基板と前記音波反射層との間に一層の金属シールド層が形成され、前記金属シールド壁は前記金属シールド層に接続され且つ電気的に導通することを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の電磁シールド構造を有するソリッドステート組み立て共振器。
【請求項8】
前記金属シールド壁は、接地されることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の電磁シールド構造を有するソリッドステート組み立て共振器。
【請求項9】
前記上電極層は、外部に接続される電極リードを有し、且つ前記電極リードが位置する位置で、前記金属シールド壁の高さは前記圧電層を超えないことを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の電磁シールド構造を有するソリッドステート組み立て共振器。
【請求項10】
前記共振器の上部は、前記上電極層を覆うパッケージ構造を有することを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の電磁シールド構造を有するソリッドステート組み立て共振器。
【請求項11】
電磁シールド構造を有するソリッドステート組み立て共振器の製造プロセスであって、
第1の基板に圧電層を製造するステップS1と、
前記圧電層に下電極層及び音波反射層を順次製造し、且つ前記下電極層及び前記音波反射層の周りに前記下電極層及び前記音波反射層の有効領域を囲むように第1の金属シールド壁を製造するステップS2と、
前記音波反射層が位置する層に第2の基板をボンディングするステップS3と、
前記圧電層の前記下電極層と反対する裏面を露出させるように、前記第1の基板を除去するステップS4と、
前記第1の金属シールド壁の少なくとも一部を露出させるように、前記圧電層の前記第1の金属シールド壁に対応する部位をエッチングするステップS5と、
前記圧電層のエッチングされた部位を充填し且つ前記第1の金属シールド壁と電気的に連通するように、第2の金属シールド壁を製造するステップS6と、
前記圧電層の前記裏面に上電極層を製造するステップS7と、を含むことを特徴とする。
【請求項12】
前記ステップS2は、具体的に、
前記圧電層に前記下電極層を製造し、同時に前記下電極層の周りに、前記下電極層と同じ層にあり前記下電極層を囲む第1の金属シールドリングを形成するステップS21と、
前記下電極層が位置する層に音波反射層を製造し、同時に前記第1の金属シールドリングに前記音波反射層と同じ層にあり前記音波反射層を囲む第2の金属シールドリングを形成し、前記第1の金属シールドリングと前記第2の金属シールドリングとは一体的に前記第1の金属シールド壁を形成するステップS22と、を含むことを特徴とする請求項11に記載の製造プロセス。
【請求項13】
前記ステップS21は、具体的に、前記圧電層に第1の金属層を製造し、次にフォトリソグラフィ及びエッチングプロセスによって前記下電極層、及び前記下電極層を囲むが前記下電極層に接続されない前記第1の金属シールドリングを形成することを含むことを特徴とする請求項12に記載の製造プロセス。
【請求項14】
前記ステップS22は、具体的に、
前のステップで形成された層に誘電体反射層を成長させ、且つ前記誘電体反射層を平坦化するステップS221と、
下の第1の金属シールドリングを露出させるように前記誘電体反射層をエッチングし、次に前記誘電体反射層に第2の金属層を製造し、そして下の金属シールドリングに前記誘電体反射層と面一の他の金属シールドリングを形成するように、前記第2の金属層を平坦化するステップS222と、
誘電体反射層に位置する金属反射層と、前記金属反射層を囲むさらに他の金属シールドリングとを形成して二重機能層を形成するように、前記誘電体反射層にさらに第3の金属層を製造するステップS223と、
以上のステップS221~S223を繰り返して交互に重ね合わせた少なくとも2組の誘電体反射層と金属反射層との組み合わせを形成して前記音波反射層を構成し、且つ前記音波反射層を囲む前記第2の金属シールドリングを形成するステップS224と、を含むことを特徴とする請求項12に記載の製造プロセス。
【請求項15】
前記ステップS2は、具体的に、
前記圧電層に下電極層及び音波反射層を順次製造し、同時に前記下電極層及び前記音波反射層の周りに誘電体層を形成するステップS21’と、
前記誘電体層に前記下電極層と前記音波反射層とを囲む溝をエッチングし、そして前記溝に金属材料を充填して、前記第1の金属シールド壁を形成するステップS22’と、を含むことを特徴とする請求項11に記載の製造プロセス。
【請求項16】
前記ステップS21’は、具体的に、
前記圧電層に下電極層を製造し、下電極層の周辺部分を除去するステップS211’と、
前のステップで形成された層に誘電体反射層を製造し、前記誘電体反射層を平坦化するステップS212’と、
前記誘電体反射層に金属反射層を製造し、前記金属反射層の周辺部分を除去するステップS213’と、
以上のステップS212’~S213’を繰り返して交互に重ね合わせた少なくとも2組の誘電体反射層と金属反射層との組み合わせを形成して前記音波反射層を構成し、同時に音波反射層の周辺に前記誘電体層を形成するステップS214’と、を含むことを特徴とする請求項15に記載の製造プロセス。
【請求項17】
前記ステップS22’は、具体的に、
前のステップで形成された層に誘電体保護層を製造するステップS221’と、
前記誘電体保護層の表面から前記圧電層まで延在し下電極層と前記音波反射層とを囲む溝を形成するように、前記誘電体保護層の周辺部位をエッチングするステップS222’と、
金属材料で前記溝を充填し、前記金属材料の表面を前記誘電体保護層と面一にするステップS223’と、を含むことを特徴とする請求項15に記載の製造プロセス。
【請求項18】
前記製造プロセスは、ステップS1の前に、前記第1の基板にシード層を製造するステップをさらに含み、
前記ステップS4は、具体的に、研磨、化学機械研磨、及びトリミングプロセスによって前記第1の基板を除去し、前記シード層を除去し、前記圧電層を薄くすることを含むことを特徴とする請求項11に記載の製造プロセス。
【請求項19】
前記圧電層の材料はAlNであり、前記圧電層をトリミングする場合前記圧電層における初期アモルファス形態のAlNを除去することを特徴とする請求項18に記載の製造プロセス。
【請求項20】
前記シード層は、スパッタリング又は堆積によって形成された2層以上の材料からなることを特徴とする請求項18に記載の製造プロセス。
【請求項21】
前記シード層は、前記第1の基板に近いAlN層と前記AlN層に位置するMo層とを含むことを特徴とする請求項20に記載の製造プロセス。
【請求項22】
前記シード層は、前記第1の基板に近いCr又はIr、Pt層と、前記Cr又はIr、Pt層に位置するMo層とを含むことを特徴とする請求項20に記載の製造プロセス。
【請求項23】
前記シード層は、前記第1の基板に近いSiC層と前記SiC層に位置するAlN層とを含むことを特徴とする請求項20に記載の製造プロセス。
【請求項24】
前記AlN層は、C軸配向の(0,0,0,2)結晶面を有することを特徴とする請求項21又は23に記載の製造プロセス。
【請求項25】
前記Mo層は、(1,1,0)結晶面の体心立方構造を有することを特徴とする請求項21又は22に記載の製造プロセス。
【請求項26】
前記ステップS3は、具体的に、前記音波反射層に金属結合層を製造し、そして前記第2の基板の表面に金属層を蒸着し、そして前記第2の基板の前記表面を前記金属結合層にボンディングすることを含むことを特徴とする請求項11に記載の製造プロセス。
【国際調査報告】