(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-02
(54)【発明の名称】流体用の1つ以上のタンクの補給管路の自動閉塞装置
(51)【国際特許分類】
F17C 13/04 20060101AFI20230126BHJP
【FI】
F17C13/04 301A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022550826
(86)(22)【出願日】2021-02-23
(85)【翻訳文提出日】2022-08-23
(86)【国際出願番号】 EP2021054428
(87)【国際公開番号】W WO2021170572
(87)【国際公開日】2021-09-02
(32)【優先日】2020-02-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521525527
【氏名又は名称】プラスチック・オムニウム・ニュー・エナジーズ・フランス
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ローナン・ベルレック
(72)【発明者】
【氏名】ニコラ・フバツザック
(72)【発明者】
【氏名】アマール・アラヤン
(72)【発明者】
【氏名】ビョルン・クリエル
【テーマコード(参考)】
3E172
【Fターム(参考)】
3E172AA02
3E172AA05
3E172AB01
3E172AB04
3E172AB05
3E172AB20
3E172BA01
3E172BB05
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3E172EB02
3E172JA01
3E172JA03
3E172JA05
3E172JA08
3E172KA22
3E172KA23
(57)【要約】
流体用のタンクの補給管路を密閉状態で塞ぐ自動閉塞装置は、既定の場合にタンクの補給を妨げ、当該自動閉塞装置は、可動要素がタンクの補給に対応する抵抗を流体に対してもたらすように位置決めされる補給管路の非閉塞位置と可動要素がタンクの補給に対応しない抵抗を流体にもたらすように位置決めされる補給管路の閉塞位置との間で移動可能な可動要素と、可動要素を非閉塞位置に保持することおよび可動要素の閉塞位置への移動が可能となるように変形または移動することができる保持要素と、可動要素を閉塞位置に移動させることができる保持要素の第1の不可逆移動または不可逆変化手段と、を備え、その少なくとも1つの第1の不可逆移動または不可逆変化手段は、制御装置によって制御することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ以上のタンク(3)に流体を補給するための補給管路(40)を、流体に対して少なくとも部分的に密閉状態で塞ぐための自動閉塞装置(21、121、221)であって、既定の事象が発生したとき、1つ以上の前記タンク(3)の補給を妨げる自動閉塞装置において、
- 少なくとも1つの可動要素(44、144、244)であって、
少なくとも1つの前記可動要素(44、144、244)が、前記タンク(3)の補給に対応する抵抗を流体に対してもたらすように位置決め可能となる、前記補給管路(40)の非閉塞位置と、
少なくとも1つの前記可動要素(44、144、244)が、前記タンク(3)の補給に対応しない抵抗を流体に対してもたらすように位置決め可能となる、前記補給管路(40)の閉塞位置と、
の間で移動可能な少なくとも1つの可動要素(44、144、244)と、
- 少なくとも1つの前記可動要素(44、144、244)の少なくとも1つの保持要素(52、144、244)であって、
- 少なくとも1つの前記可動要素(44、144、244)を非閉塞位置に保持すること、および
- 少なくとも1つの前記可動要素(44、144、244)の閉塞位置への移動が可能となるように変形または移動すること
ができる少なくとも1つの保持要素(52、144、244)と、
- 少なくとも1つの前記保持要素(52、144、244)の少なくとも1つの第1の不可逆移動または不可逆変化手段(54、154、254)であって、少なくとも1つの前記可動要素(44、144、244)を閉塞位置にのみ移動させることができる手段と
を備え、
少なくとも1つの前記第1の不可逆移動または不可逆変化手段(54、154、254)は制御装置(51)によって制御することができる、自動閉塞装置。
【請求項2】
少なくとも1つの前記可動要素(44、144、244)は、前記自動閉塞装置(21、121、221)の少なくとも1つの部位(46)において少なくとも部分的に位置決め可能であり、前記部位(46)は、前記補給管路(40)に対して密閉状態で組み付けられるよう意図されており、
少なくとも1つのオリフィス(48)が、前記自動閉塞装置(21、121、221)の少なくとも1つの前記部位(46)の少なくとも1つの壁(50)に位置しており、
少なくとも1つの前記オリフィス(48)は、
- 少なくとも1つの前記可動要素(44、144、244)の少なくとも1つの前記保持要素によって漏れ止め状態で封止され得ること、および
- 少なくとも1つの前記可動要素(44、144、244)を少なくとも1つの前記部位(46)に通すことで、少なくとも1つの前記可動要素(44、144、244)が閉塞位置に到達できるようにすることができる、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記既定の事象は、前記タンク(3)の少なくとも1つで安全上の欠陥が検出されることである、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
少なくとも1つの前記可動要素(44、144、244)と少なくとも1つの前記保持要素(52、144、244)が全く同一の要素を形成する、請求項1から3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の装置を備える流体を1つ以上のタンク(3)に補給するための補給管路(40)。
【請求項6】
1つ以上の前記タンク(3)が前記補給管路(40)に漏れ留め様式で連結される、請求項5に記載の管路。
【請求項7】
請求項5または6に記載の流体を1つ以上のタンク(3)に補給するための補給管路(40)と、1つ以上の前記タンク(3)と、制御装置(51)と、からなるアセンブリ。
【請求項8】
前記制御装置(51)が演算装置である、請求項7に記載のアセンブリ。
【請求項9】
流体用のタンク(3)のための少なくとも1つの弁(1)を備え、
少なくとも1つの前記弁(1)が、
- 流体を特徴づける少なくとも1つのパラメータを測定するための、センサの少なくとも1つの部分であって、前記弁(1)は前記弁(1)の外部にある外部演算装置(5)から送出される情報を受け取ることができる、センサの少なくとも1つの部分と、
- 内部演算装置(7)と、
を備え、
前記内部演算装置(7)は、
少なくとも1つの前記センサから送出されるデータを取得するように構成された第1の取得手段(9)と、
前記外部演算装置(5)と双方向に通信することができる通信手段(11)と、
前記外部演算装置(5)から受け取る情報および少なくとも1つの前記センサから送出されるデータを計算に入れて、前記弁(1)の少なくとも1つのアクチュエータ(100)を制御するように構成された制御手段(13)と
を備え、
前記演算装置が内部演算装置(7)である、請求項8に記載のアセンブリ。
【請求項10】
請求項7から9のいずれか一項に記載のアセンブリの一部を形成する1つ以上の流体用のタンク(3)の安全確保の方法であって、
- 前記タンク(3)の少なくとも1つの安全上の欠陥に関する情報を前記制御装置(51)によって計算に入れるステップと、
- 前記制御装置(51)によって少なくとも1つの前記自動閉塞装置(21、121、221)に閉塞指示を伝達するステップと、
- 少なくとも1つの自動閉塞装置(21、121、221)によって前記閉塞指示を取り入れるステップと、
- 少なくとも1つの前記自動閉塞装置(21、121、221)が非閉塞位置から閉塞位置に移行するステップと
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体、特に加圧流体の貯蔵および配給の分野に関し、とりわけ固定式または可動式のあらゆる機材(道路車両、鉄道車両、海洋車両、航空宇宙車両)に化学エネルギーを供給する燃料を入れるためのタンクの分野に関する。本発明は、より詳細には、流体、特に加圧流体用のタンクの弁に関する。本発明は、1つ以上の流体用タンクの補給管路の自動閉塞装置にも関する。
【背景技術】
【0002】
それぞれが700バールに圧縮された水素の貯蔵タンク(ANSI HGV3.1規格ではH70と略記される)や、350バールに圧縮された水素の貯蔵タンク(ANSI HGV3.1規格ではH35と略記される)、さらには200バールに圧縮された天然ガス(CNGと略記される)の貯蔵タンクである複数の加圧タンク、たとえば2基から12基を使用する車両では、各タンクには仕切弁(英語で「Shut-off valve」)が装備され、さらに必要に応じて温度センサおよび/または圧力センサが装備される。
【0003】
それらの弁により、
- 車両によって流体の供給が必要とされていないとき、加圧流体用タンクを圧力調整管路から切り離すこと、
- 車両の動作のために流体の供給が求められるとき、燃料電池や熱機関などの流体消費システムに供給を行うこと、
- 補給ステーションと連結された専用の補給インターフェースを介してタンクの補給作業を行うこと
が可能となる。
【0004】
これらの装置の各々は、それら装置のすべてまたは一部を管理する中央演算装置または駆動モジュールによって管理される。それら装置の数に応じて、そうした演算装置の設計を予定される用途に適合させることが望ましい。それら装置はさらに、すでに車両に装備されている演算装置に必ずしも含まれているわけでない特別な通信インターフェースを有する。そうした適合化は、ニーズに即した演算装置の設計(専用開発)に伴う追加費用なり、汎用演算装置で必要となる大型化による追加費用なりを発生させることになる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、中央演算装置によって管理される流体、特に加圧流体用のタンクを含むシステムであって、上述のような適合化を必要としないシステムを提供することを特にその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで、本発明は、流体、特に加圧流体用のタンクの弁を対象とする。弁は、流体を特徴づける少なくとも1つのパラメータを測定するためのセンサの少なくとも一部分を備え、弁は弁外部の演算装置から送出される情報を受け取ることができる。弁はさらに、
- 少なくとも1つのセンサから送出されるデータを取得するように構成された第1の取得手段と、
- 外部演算装置と双方向に通信することができる通信手段と、
- 外部演算装置から受け取る情報および少なくとも1つのセンサから送出されるデータを計算に入れて、弁の少なくとも1つのアクチュエータを制御するように構成された制御手段と
を具備する内部演算装置を備える。
【0007】
それによって弁は自律的なものとなり、弁外部の演算装置の調整や、高価な追加のインターフェースの開発を必要とすることなく、各種装置の管理に適したものとすることができる。
【0008】
たとえば、センサの一部分とは、センサの感応素子、センサの筐体、センサの電気接続部、センサの保護管(センサが温度センサのとき)などである。
【0009】
対象とされる流体は、たとえばガソリン、軽油、圧縮水素、圧縮天然ガス、液化石油ガス(LPGと略記)であり、またはバイオメタンのようなバイオガスである。
【0010】
流体用のタンクの弁の任意選択によるその他の特徴であって、単独で、または組み合わせて採り入れられる特徴によれば、
- 弁は電磁弁である。そのため、電気的な命令によって弁を操作することができる。
- 弁の少なくとも1つのアクチュエータは少なくとも1つの電気接続部によって制御手段と接続され、その電気接続部における少なくとも1つの電流パラメータの測定手段を備える。それにより、遠隔測定の必要なしに弁の状態の診断をつけることができる。このような診断は、遠隔測定によって生じるバックグラウンドノイズを免れることができる。そのため、その診断はより高い信頼性をもつ。したがってセキュリティが向上する。
- 第1の取得手段は、たとえば、ファイバ・ブラッグ・グレーティング・センサ、超音波センサ、加速度計、応力センサのような、タンクの健全性を測定できるセンサなど、タンクと組み合わされた少なくとも1つのセンサから送出されるデータを取得するように構成される。
- 測定される少なくとも1つのパラメータは温度または圧力であり、第1の取得手段は、温度センサまたは圧力センサから送出されるデータを取得するように構成される。温度センサは、たとえば、負の温度係数(略してNTC)をもつサーミスタまたはPt100型またはPt1000型の白金測温抵抗体である。
- 温度センサおよび/または圧力センサから送出されるデータの取得は、アナログまたはデジタル通信インターフェース、たとえば、LIN(英語の「Local Interconnect Network」の略)インターフェース、SENT(英語の「Single Edge Nibble Transmission」の略)インターフェース、CAN(英語の「Controller Area Network」の略)インターフェース、FlexRayインターフェース、Ethernetインターフェースなどによって管理される。
- 測定される少なくとも1つのパラメータは温度であり、第1の取得手段は、温度センサから送出されるデータを取得するように構成される。
- 外部の演算装置と弁との間の通信は、CAN、FlexRayまたはLINタイプのインターフェースを利用した通信モジュールを介して行われる。
- 弁のアクチュエータの駆動は、弁のアクチュエータ、たとえばソレノイドであって、直流定電流または直流パルス電流により、たとえばPWM(英語で「Pulse Width Modulation(パルス幅変調)」の略)などによって、動作するソレノイドに作用する制御手段によって行われる。あるいは、ソレノイドは「ピーク・アンド・ホールド」で動作する。
- 内部演算装置は、弁の1つ以上のアクチュエータ駆動モジュールを備える。
- 内部演算装置は、少なくとも部分的に弁に含まれるセンサのデータであって、弁の少なくとも1つのアクチュエータに関するデータを処理し、外部演算装置との間で交換される情報を構築し、それを計算に入れることができる演算モジュールを備える。
- 通信手段は、計量、タンクの健全性、弁の開閉状態、弁の健全性、タンク内の温度、タンク内の圧力のような、タンクの状態に関する情報や、タンクの製造年月日、その容積、その公称使用圧力、加圧流体の種類(H35、H70、CNG等々)のような、タンクに関する全般的情報を外部演算装置に通信することができる。
- 通信手段は、タンクに関する外部演算装置からの要求を受け取り、実行することができる。たとえば、この要求は、(燃料電池または熱機関などのための)流体の利用要求であり、ステーションでの補給要求であり、事故発生時のタンクの切離し要求、さらにはその他のあらゆる具体的ニーズである。
- 内部演算装置は、タンクの使用時間(たとえばタンクの使用年数)および/またはタンクの補給サイクル数など、タンクの使用期間に関するデータを取得し、記憶し、通信するように構成された第2の取得手段を備える。実際、規則では、タンクの使用期間(水素貯蔵システムの場合は15年、CNG貯蔵システムの場合は最高20年)が、また補給サイクル数(水素貯蔵システムの場合は最低5000回、CNG貯蔵システムの場合は最低15000回)が制限されている。一般に、タンクの使用限度はタンクおよびそのタンクが装備された車両の補給口に取り付けられたラベルに表示されており、設計上は、タンク製造者が定める最大補給サイクル数が車両の寿命(15年ないし20年)を全うするのに十分であることが保証されるようになっている。タンク使用限度についてのこの視覚表示は、容易に劣化し、簡単に見落とされる媒体の上にあるという欠点があり、規定の限度を超えて補給サイクルが継続されることを妨げることができない。タンク使用データの弁による管理および外部演算装置への通信は、その情報管理の信頼度を高め、規定の限度に達したときには、たとえば車両の始動を阻止できるようにすることを可能にする。
【0011】
本発明はまた、上述したような弁を備えるタンクを対象とする。
【0012】
本発明はさらに、上述のような複数のタンクと、それらのタンクの弁外部の演算装置とを備えるシステムを対象とする。それにより、弁外部の演算装置の調整や追加的なインターフェースの開発を必要とすることなく、車両に可変的な数のタンクを組み込むことができる。
【0013】
任意選択によるシステムの1つの特徴によれば、タンクは少なくとも1つの単一の流体集合管に接続される。
【0014】
本発明はまた、上述のようなシステムの管理方法であって、
- 少なくとも1つのセンサから送出されるデータを内部演算装置によって取得するステップと、
- 外部演算装置との間で双方向に通信するステップと、
- 外部演算装置から受け取る情報および少なくとも1つのセンサから送出されるデータを取り入れるステップと
を含む方法を対象とする。
【0015】
引火性の高い流体、特に加圧流体の貯蔵はユーザーの安全にかかわるリスクを伴う。リスクとして大きなものの1つとして、損傷したタンクに補給を行うことが挙げられる。これは、タンクの破断および爆発につながるおそれがある。現在、このリスクについては、主にタンクの取扱説明書で注意が促されており、事故が起きた場合にはタンクの使用を避けることが推奨され、システムの点検の必要性が指摘されている。しかし、そうした注意事項は必ずしも守られておらず、残念ながら事故は起こる。出願人は、安全上のリスクが検出されたときはタンクの補給が妨げられるようにすれば安全が大幅に向上するに違いないことを確認した。
【0016】
本発明は、安全上のリスクが検出されたときにタンクの補給を妨げる強固な手段を提供することを目指す。
【0017】
そのため、本発明は、流体用の1つ以上のタンク、特に加圧タンクの補給管路を、流体に対して少なくとも部分的に密閉状態で塞ぐようにされた自動閉塞装置であって、既定の事象が発生したとき、1つ以上のタンクの補給を妨げる自動閉塞装置において、
- 少なくとも1つの可動要素であって、少なくとも1つの可動要素がタンクの補給に対応する抵抗を流体に対してもたらすように位置決め可能となる、補給管路の非閉塞位置と、少なくとも1つの可動要素が、タンクの補給に対応しない抵抗を流体に対してもたらすように位置決め可能となる、補給管路の閉塞位置と、の間で移動可能な少なくとも1つの可動要素と、
- 少なくとも1つの可動要素の少なくとも1つの保持要素であって、
- 少なくとも1つの可動要素を非閉塞位置に保持すること、および
- 少なくとも1つの可動要素の閉塞位置への移動が可能となるように変形または移動すること
ができる保持要素と、
- 少なくとも1つの保持要素の少なくとも1つの第1の不可逆移動または不可逆変化手段であって、少なくとも1つの可動要素を閉塞位置に移動させることができる手段と
を備え、
少なくとも1つの第1の不可逆移動または不可逆変化手段は制御装置によって制御することができる、自動閉塞装置を対象とする。
【0018】
閉塞装置が「自動」であるとは、装置がユーザーの意思とは関係なく作動することを意味する。
【0019】
要素が「可動」であるとは、少なくともその一部分が本発明による補給管路の残りの部分に対して移動可能であることを意味する。可動要素の移動は膨張運動であることができる。
【0020】
「可動要素」とは、可動要素と、第1の不可逆移動手段への接続部などのその付属物とからなる総体を意味する。
【0021】
こうして、本発明は、権限保持者による手動介入が行われることなしに管路の再開放が妨げられるように補給管路を不可逆的に閉塞することができる。そのため、タンクのシステムはより安全である。
【0022】
また、可動要素はヒューズとしての働きをするため、従来型の弁ほどには複雑な構造を必要としない。その結果、閉塞装置は製造がより簡易となり、より安価となる。
【0023】
単独で、または組み合わせて採り入れられた任意選択による自動閉塞装置のその他の特徴によれば、
- 少なくとも1つの可動要素は、自動閉塞装置の少なくとも1つの部位において少なくとも部分的に位置決め可能であり、当該部位は、補給管路に対して密閉状態で組み付けられるよう意図されており、少なくとも1つのオリフィスが自動閉塞装置の少なくとも1つの部位の少なくとも1つの壁に位置しており、その少なくとも1つのオリフィスは、
- 少なくとも1つの可動要素の少なくとも1つの保持要素によって漏れ止め状態で封止され得ること、および
- その少なくとも1つの可動要素をその少なくとも1つの部位に通すことで、その少なくとも1つの可動要素が閉塞位置に到達できるようにすることができる。それにより、自動閉塞装置は、どのような補給管路に対しても密閉状態で組み立てられることができる。
- 既定の事象とは、少なくとも1つのタンクで安全上の欠陥が検出されることである。これにより、欠陥を生じたタンクの補給を阻止することができる。
- 少なくとも1つの可動要素と少なくとも1つの保持要素は全く同一の要素を形成する。それにより、自動閉塞装置は、その構成要素の数を抑えることでその構造を単純化することができる。
【0024】
1つの実施形態では、可動要素は第2の流体の圧力のもとで膨張することができるバッグである。可動要素は、膨張していない状態では非閉塞位置に保持されて、保持要素ともなる。可動要素はオリフィスのレベルに組み付けられて漏れ止め状態となるようにオリフィスを封止し、変形することによって閉塞位置への可動要素の移動を可能にする。この実施形態では、第1の不可逆移動手段は第2の流体の発生装置(たとえば水ポンプ)である。
【0025】
別の実施形態では、可動要素と保持要素とは、漏れ留め状態となるように封止しながらオリフィス内に保持されることを可能にする断面および材料(たとえばゴム)を有する全く同一の要素を形成する。可動要素/保持要素は、駆動装置(たとえば火薬による推進手段などの第1の不可逆移動手段)であって、閉塞位置へのその移動を可能にするものと組み合わされる。変形形態では、可動要素/保持要素はアクチュエータ(たとえばジャッキのロッドのような第1の不可逆移動手段)であって、閉塞位置へのその移動を可能にするものと組み合わされる。
【0026】
本発明はまた、上述のような装置を備える流体、特に加圧流体用の1つ以上のタンクの補給管路を対象とする。
【0027】
そのため、タンクの補給管路はユーザーの意思とは関係なく動作を停止され、それによって望ましくないタンクの補給リスクが大幅に制限される。自動閉塞装置は、事故の発生に関連した安全上の問題や、タンクの最大使用期間および/またはタンクの最大補給サイクル数に達したときの安全上の問題への対処を可能にする。
【0028】
好ましくは、1つ以上のタンクは補給管路に密閉状態で連結される。そうすることで、水素やCNGなどの流体の加圧タンクに対する補給を行うことができる。
【0029】
好ましくは、自動閉塞装置の少なくとも1つの部位は補給管路に配置され、補給管路に対して密閉状態で組み立てられる。そのため、自動閉塞装置の一部位を補給管路とは別に製作し、それをあとから補給管路と組み立てることができる。
【0030】
あるいは、自動閉塞装置の少なくとも1つの部位は補給管路の一部位である。そうすることで、自動閉塞装置の一部位と補給管路の一部位とを単一の部品として一緒に製作することができる。
【0031】
補給管路の非閉塞位置では、補給管路は、タンクの補給に対応する最小限の抵抗を流体の通過に対して与える。
【0032】
任意選択では、自動閉塞装置は、少なくとも1つの可動要素が少なくとも1つの保持要素から解放されたとき、可動要素を閉塞位置に移動させる少なくとも1つの第2の移動手段をさらに備える。
【0033】
好ましくは、少なくとも1つの可動要素の移動は自動閉塞装置の少なくとも1つの部位の長手方向に対してほぼ横断方向である。
【0034】
有利には、自動閉塞装置はさらに、少なくとも1つの可動要素の閉塞位置での少なくとも1つのロック要素を備える。
【0035】
補給管路は、各々のタンクの弁であって、弁それ自体がその上流側の入口管と下流側の出口管を具備する弁を備える。自動閉塞装置の少なくとも1つの壁の少なくとも1つのオリフィスが設けられるのは、弁の上流側の入口弁内であっても、弁の入口管の上流側に位置する補給専用の配管内であっても、補給ステーションに連結された補給管路の補給インターフェース内であっても、さらには弁の下流側の出口管内であってもよい。補給ステーションは、本発明における補給管路の一部をなすものではない。
【0036】
「下流」および「上流」との用語は補給管路内の位置に応じてとらえられるべきものである。補給ステーションに近い位置は「上流」とされ、よりタンクに近い位置は「下流」とされる。
【0037】
有利には、少なくとも1つのオリフィスは自動閉塞装置の少なくとも1つの部位の少なくとも1つの側壁に位置する。
【0038】
任意選択では、自動閉塞装置はまた、中空体などの案内要素であって、少なくとも1つの可動要素がその中を非閉塞位置から閉塞位置に移動することができる案内要素を備える。
【0039】
有利には、第2の移動手段は、可動要素と案内要素の遠位支持面との間に作用する弾性要素である。「遠位」および「近位」との語は補給管路との位置関係においてとらえられるべきものである。管路に近い位置は、それよりも遠くにあって「遠位」と称される位置との対比で「近位」と称される。
【0040】
有利には、自動閉塞装置の少なくとも1つの部位であって、少なくとも1つのオリフィスがその中に位置する部位は、その少なくとも1つのオリフィスに対向して、少なくとも1つのオリフィスと径方向反対側に設けられた少なくとも1つの逃げであって、少なくとも1つの可動要素がその中に部分的に閉塞位置に収まることができる逃げを有する。
【0041】
少なくとも1つの自動閉塞装置の少なくとも1つの可動要素は、ロック解除ツールの作用を受けて閉塞位置から非閉塞位置に戻され得る。このようなツールの使用には権限が必要となることがある。そのため、タンクは、必要な検証を経た上で、再び補給し、使用することができる。
【0042】
本発明はまた、上述のような流体用の1つ以上のタンクの補給管路、1つ以上のタンクおよび制御装置のアセンブリを対象とする。
【0043】
制御装置は、演算装置であることも、経年化、使用時間または使用サイクル数などによって状態が変化する機械的システムであることもできる。
【0044】
演算装置は、弁外部の中央演算装置であることも、または各々の弁の内部演算装置であることもできる。
【0045】
本発明はまた、上述のようなアセンブリの一部をなす流体用の1つ以上のタンクの安全確保の方法であって、
- タンクの少なくとも1つの安全上の欠陥に関する情報を制御装置によって計算するステップと、
- 制御装置によって少なくとも1つの閉塞装置に閉塞指示を伝達するステップと、
- 少なくとも1つの閉塞装置によって指示を取り入れるステップと、
- 少なくとも1つの自動閉塞装置が非閉塞位置から閉塞位置に移行するステップと
を含む方法を対象とする。
【0046】
本発明は、添付の図面を参照しながら以下にあくまでも例として示す説明を読むことによってよりよく理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【
図1】一実施形態による弁および弁外部の演算装置のブロック図である。
【
図2】
図1の弁およびその弁が使用されるタンクの一部分の側面概略図であって、本発明のもう1つの対象の一実施形態による補給管路の自動閉塞装置が弁の上流側の入口管内に位置する側面概略図である。
【
図3】本発明の一実施形態による複数のタンクを備えるシステムの概略図である。
【
図4】本発明の一実施形態による流体用のタンク補給管路の概略図であって、自動閉塞装置が非閉塞位置にある概略図である。
【
図5】同じ補給管路の概略図であって、自動閉塞装置が閉塞位置にある概略図である。
【
図6】本発明の一実施形態による補給管路の弁の概略図であって、弁の入口管の上流側に設けられた補給専用配管内に自動閉塞装置が位置する概略図である。
【
図7】本発明の一実施形態による補給管路の概略図であって、補給ステーションに連結された補給管路の補給インターフェース内に自動閉塞装置が位置する概略図である。
【
図8】本発明の別の実施形態による流体用のタンク補給管路の概略図であって、自動閉塞装置が閉塞位置にある概略図である。
【
図9】本発明の別の実施形態による流体用のタンク補給管路の概略図であって、自動閉塞装置が非閉塞位置にある概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0048】
本発明による弁1の技術的解決法を
図1に示した。
図2は、流体、特に圧縮水素などの加圧流体のタンク3のための弁1の概略図であって、その上端部30だけを示した図である。弁1は車両(図示せず)のタンクの補給管路(図示せず)の一部をなす。弁1は、入側では、それぞれ弁1内で入口弁6と連結された弁1への入口管2および弁1からの出口管4に接続され、出側では、出口弁8に接続された電磁弁である。弁1はまた、TPRD(英語で「Thermal and Pressure Release Device(熱・圧力放出装置)」)減圧装置10をさらに備える。弁1は、少なくとも部分的に弁1に含まれるセンサであって、流体を特徴づける少なくとも1つのパラメータを測定する少なくとも1つのセンサを備える。この実施形態では、センサは温度センサ35であり、測定されるパラメータは流体の温度である。弁1は弁1外部の演算装置5から送出される情報を受け取ることができる。弁1は少なくとも1つのアクチュエータ100と1つの内部演算装置7を備えており、内部演算装置7は、内部演算装置7および弁1のアクチュエータ100の給電ブロック12を備える。給電ブロック12は、車両のバッテリ33から電気接続14線を介して給電される。外部演算装置5およびバッテリ33は車両関連の技術領域37に属する一方、温度センサ35およびアクチュエータ100は弁1関連の技術領域38に属する。内部演算装置7は、マイクロプロセッサ28のほか、
- 少なくとも1つのセンサから送出されるデータを取得するための第1の手段9のモジュールと、
- 外部演算装置5と双方向通信を行うための通信手段11のモジュールと、
- 外部演算装置5から受け取る情報および少なくとも1つのセンサから送出されるデータを計算に入れて、弁1の少なくとも1つのアクチュエータを制御するように構成された制御手段13のモジュールと、を含む中央処理ユニット16を備える。この実施形態では、アクチュエータ100はソレノイドであり、制御手段13は、直流定電流で、変形例では直流パルス電流(ピークアンドホールド)で、動作するソレノイドに作用する。
【0049】
この実施形態では、外部演算装置5との通信手段11は、CAN、FlexRayまたはLINタイプのインターフェースを使用するモジュールである。モジュール11と外部演算装置5は接続部18によって接続される。
【0050】
少なくとも1つのアクチュエータ100は少なくとも1つの電気接続15によって制御手段13に接続される。
図1から3に示した実施形態では、中央処理ユニット16はまた、
- 電気接続15における少なくとも1つの電流パラメータの測定手段17と、
- タンク3の使用時間および/またはその補給サイクル数など、タンク3の使用期間に関するデータを取得し、記憶し、伝達するための第2の手段19と、
- 流体を特徴づける少なくとも1つのパラメータを測定するために、少なくとも部分的に弁1内に含まれる別のセンサからデータを取得する第3の手段20であって、この実施形態ではその別のセンサが流体の圧力センサ34である第3の手段20と、
- 安全上のリスクが検出されたときに、タンクの補給管路を、ここでは弁1の入口管レベルで、閉塞することができる装置21の操作手段26と、を備える。装置21も本発明の対象である。入口管2は、装置21(ここでは図示せず)の可動要素を弁1の入口管2内に通すことができる穴48を備える。
【0051】
この実施形態では、第2の取得手段19もまた、タンク3と組み合わされた少なくとも1つのセンサ25から送出されるデータを取得して、タンク3の健全性を測定することができるように構成される。このセンサは、たとえば、ファイバ・ブラッグ・グレーティング・センサ、超音波センサ、加速度計、応力センサのような、タンクの健全性を測定できるセンサである。
【0052】
図3は、本発明によるシステム22であって、この実施形態では、補給ネック24、安全弁29、そしてそれぞれが本発明による弁1を装備した12基の流体タンク3を備えるシステムを示している。各々の弁1は、
図2に示すように、出口弁8を備えている。出口弁8は、内部演算装置7の制御手段13によって制御される少なくとも1つのアクチュエータ100によって制御される電磁弁である。出口弁8の出口管4は、補給管路40および安全弁29を介してタンク3を流体の単一の集合管23と流体連通させる。集合管23は圧力調整装置36および安全圧力センサ27を装備しており、流体を燃料電池や熱機関などの車両の流体消費システム(図示せず)まで案内することをその役割とする。安全弁29は圧力調整装置36に接続された電磁弁であり、外部演算装置5によって制御され、タンクの補給の間、補給管路40を集合管23から切り離すことができる。安全弁29は、集合管23が、漏れなど、不具合を生じたときにも補給管路40を集合管23から切り離すことができる。補給ネック24は補給管路40に接続されており、補給ステーションで入口管2を通して流体タンクの補給を行うことができる。補給ネック24と組み合わされた赤外線通信装置31により、外部演算装置5は電気接続32を通して補給ステーションに情報を伝達することができる。伝達される情報は、たとえば、タンクの圧力、温度、容積である。
【0053】
図4および
図5は、流体用の1つ以上のタンクの補給管路の概略図を示したものである。矢印42は、流体の補給管路40補給時の流体の流れを表している。補給管路40は、流体に対して少なくとも部分的に密閉状態となるように補給管路40を塞いで1つ以上のタンクの補給を妨げる自動閉塞装置21を備える。自動閉塞装置21は、少なくとも1つの可動要素44であって、その少なくとも1つの可動要素44がタンクの補給に対応する抵抗を流体に対してもたらすように位置決めされる補給管路の非閉塞位置(
図4に示す位置)と、その少なくとも1つの可動要素21が補給管路40の少なくとも1つの部位46に少なくとも部分的に位置決めされ、
図5で補給管路40の当該部位46の手前で矢印42が止まっていることによって表されるように、それがタンクの補給に対応しない抵抗を流体に対してもたらす閉塞位置(
図5に示す位置)との間で移動可能な可動要素44を備える。
【0054】
補給管路40はまた、補給管路40の少なくとも1つの部位46の少なくとも1つの壁50に設けられた少なくとも1つのオリフィス48であって、補給管路40内に少なくとも1つの可動要素44を通して、その少なくとも1つの可動要素44が閉塞位置に到達できるようにすることができるオリフィス48を備える。この実施形態では、オリフィス48が設けられた壁50は、補給管路40の部位46の側壁である。
【0055】
自動閉塞装置21はさらに、
- 少なくとも1つの可動要素44の少なくとも1つの保持要素52であって、
- 可動要素を非閉塞位置に保持すること、
- その少なくとも1つのオリフィス48を漏れ止め状態で封止すること、および
- 少なくとも1つの可動要素44の閉塞位置への移動が可能となるように変形または移動すること
が可能な保持要素52と、
- 少なくとも1つの保持要素52の少なくとも1つの第1の不可逆移動または不可逆変化手段54であって、少なくとも1つの可動要素44を閉塞位置にのみ移動させることができる手段と、
を備え、
少なくとも1つの第1の不可逆移動手段54または不可逆変化手段は制御装置51によって制御することができる。
【0056】
図4および
図5の実施形態では、オリフィス48が設けられた補給管路40の部位46は、オリフィス48に対向して、オリフィス48とは径方向反対側に設けられた逃げ58を壁50に有しており、その逃げ58の中で可動要素44が少なくとも部分的に閉塞位置に収まるようになっている。逃げ58は可動要素44の自由端60の受け座をなす。
【0057】
図4および
図5の実施形態では、自動閉塞装置21は、遠位支持面63を有する中空体である案内要素62をさらに備える。可動要素44はその案内要素62内を移動して非閉塞位置から閉塞位置へと移る。自動閉塞装置21は、可動要素44が保持要素52から解放されたときに可動要素44を閉塞位置に移動させる第2の移動手段64をさらに備える。
図4および
図5に示した第2の移動手段64は弾性要素で、より具体的にはばねであり、可動要素44と遠位支持面63との間で作用する。
【0058】
図4および
図5では、可動要素44の移動は、オリフィス48が設けられた補給管路40の部位46の長手方向に対してほぼ横断方向に行われる。
【0059】
自動閉塞装置21はさらに、閉塞位置でのロック要素(図示せず)を備える。
【0060】
可動要素44は、ロック解除ツール(図示せず)の作用を受けて閉塞位置と非閉塞位置との間で移動することができる。
【0061】
図2、
図6および
図7の各実施形態では、簡単にするため、自動閉塞装置21の可動要素、保持要素および第1の不可逆移動手段は図示していない。
【0062】
図2の実施形態では、補給管路40のオリフィス48は弁1上流側の入口管2に設けられる。制御装置51は弁1の内部演算装置7である。
【0063】
図6の実施形態では、補給管路40のオリフィス48は、現行技術による弁71の入口管72上流側に位置する補給専用などの配管76に設けられる。制御装置51は弁1外部の演算装置(図示せず)である。この実施形態とすべての点で似通った別の実施形態では、弁は、内部演算装置を備えた本発明による弁とすることができる。
【0064】
図7の実施形態では、補給管路40のオリフィス48は、補給ネック24を介して補給ステーション(図示せず)と連結された補給管路40の補給インターフェース78に設けられる。この実施形態とすべての点で似通った別の実施形態では、弁は、内部演算装置を備えた本発明による弁とすることができる。その実施形態では、タンクおよび外部演算装置のアセンブリが本発明の手段の範囲内でシステムを形成する。
【0065】
図8は、自動閉塞装置121の可動要素144が、
図8に示すバッグであって、水などの圧縮不能な流体の圧力を受けて膨張するバッグである点で、
図4および
図5の実施形態とは異なる本発明による補給管路の実施形態を表している。バッグは、制御装置51の制御下にある水ポンプ154と連通されるが、水ポンプは、他の流体注入装置、たとえばピストンに置き換えることもできる。水ポンプ154は、本発明における第1の不可逆移動手段をなす。図示しない非閉塞位置では、バッグ144の体積はきわめて小さい。バッグ144は補給管路40の外に位置する。水ポンプ154が起動すると、バッグ144は膨張運動を受けて非閉塞位置から
図8に示す閉塞位置へと移動することができる。この実施形態では、可動要素144は保持要素ともなる。なぜなら、膨張していない状態では可動要素144は非閉塞位置に保持されるためである。別法として、水は油、たとえばエンジンオイルで置き換えることもできる。
【0066】
変形例では、流体は、空気、または二酸化炭素、窒素などのその他のガスのように、圧縮可能なものであることもできる。この変形例では、バッグ144は、化学反応による注入ガスでふくらむ「ミニエアバッグ」のバッグとすることができる。
【0067】
図9は、自動閉塞装置221の可動要素244が、漏れ止め状態となるようにオリフィス48を封止しつつ、補給管路40外におけるオリフィス48内でのその保持が可能となる断面および材料(ここではゴム)を有する部品である点で、
図4および
図5の実施形態とは異なる本発明による補給管路の実施形態を示している。火薬装置254が作動することで、可動要素244を
図9に示す非閉塞位置から図示されていない閉塞位置まで押しやることができ、閉塞位置では可動要素244の自由端260が逃げ58に入り込む。可動要素と保持要素は全く同一の要素244をなし、本発明における第1の不可逆移動手段をなす火薬装置254がまだ起動していない間は非閉塞位置で保持され得る。
【0068】
本発明は紹介した実施形態だけに限られるものではなく、当業者にはそれ以外の実施形態が明らかなものとして現れるであろう。
【符号の説明】
【0069】
1 内部演算装置を備えた弁
2 弁への入口管
3 タンク
4 弁からの出口管
5 弁外部の演算装置
6 入口弁
7 内部演算装置
8 出口弁
9 センサから送出されるデータの第1の取得手段
10 TPRD減圧装置
11 外部演算装置との通信手段
12 給電ブロック
13 弁のアクチュエータの制御手段
14 電気接続
15 弁とアクチュエータとの間の電気接続
16 中央処理ユニット
17 電気接続15における少なくとも1つの電流パラメータの測定手段
18 通信手段と外部演算装置との接続
19 タンクの使用期間に関するデータを取得し、記憶し、伝達するための第2の手段
20 他のセンサのデータを取得するための第3の手段
21 安全上のリスクがある場合にタンクの補給を妨げるための手段(自動閉塞装置)
22 複数のタンクと外部演算装置を含むシステム
23 流体の単一の集合管
24 補給ネック
25 タンクの健全性を測定できるセンサ
26 タンクの補給管路の自動閉塞装置の制御手段
27 安全圧力センサ
28 マイクロプロセッサ
29 安全弁
30 タンクの上端
31 赤外線通信装置
32 電気接続
33 車両のバッテリ
34 圧力センサ
35 温度センサ
36 圧力調整装置
37 車両関連の技術領域
38 弁関連の技術領域
40 補給管路
42 補給管路における流体の流れを示す矢印
44 可動要素
46 可動要素が閉塞位置となる補給管路の部位
48 オリフィス
50 オリフィスが設けられる補給管路の部位の壁
51 制御装置
52 保持要素
54 保持要素の第1の不可逆移動または不可逆変化手段
58 逃げ
60 可動要素の自由端
62 案内要素
64 可動要素の第2の移動手段
71 現行技術による弁
72 弁71への入口管
74 弁71からの出口管
76 補給専用配管
78 補給管路の補給インターフェース
100 アクチュエータ
121 自動閉塞装置
144 可動要素
154 空気ポンプ
221 自動閉塞装置
244 可動要素
254 火薬装置
260 可動要素の自由端
【手続補正書】
【提出日】2022-08-23
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ以上のタンク(3)に流体を補給するための補給管路(40)を、流体に対して少なくとも部分的に密閉状態で塞ぐための自動閉塞装置(21、121、221)であって、既定の事象が発生したとき、1つ以上の前記タンク(3)の補給を妨げる自動閉塞装置において、
- 少なくとも1つの可動要素(44、144、244)であって、
少なくとも1つの前記可動要素(44、144、244)が、前記タンク(3)の補給に対応する抵抗を流体に対してもたらすように位置決め可能となる、前記補給管路(40)の非閉塞位置と、
少なくとも1つの前記可動要素(44、144、244)が、前記タンク(3)の補給に対応しない抵抗を流体に対してもたらすように位置決め可能となる、前記補給管路(40)の閉塞位置と、
の間で移動可能な少なくとも1つの可動要素(44、144、244)と、
- 少なくとも1つの前記可動要素(44、144、244)の少なくとも1つの保持要素(52、144、244)であって、
- 少なくとも1つの前記可動要素(44、144、244)を非閉塞位置に保持すること、および
- 少なくとも1つの前記可動要素(44、144、244)の閉塞位置への移動が可能となるように変形または移動すること
ができる少なくとも1つの保持要素(52、144、244)と、
- 少なくとも1つの前記保持要素(52、144、244)の少なくとも1つの第1の不可逆移動または不可逆変化手段(54、154、254)であって、少なくとも1つの前記可動要素(44、144、244)を閉塞位置にのみ移動させることができる手段と
を備え、
少なくとも1つの前記第1の不可逆移動または不可逆変化手段(54、154、254)は制御装置(51)によって制御することができる、自動閉塞装置。
【請求項2】
少なくとも1つの前記可動要素(44、144、244)は、前記自動閉塞装置(21、121、221)の少なくとも1つの部位(46)において少なくとも部分的に位置決め可能であり、前記部位(46)は、前記補給管路(40)に対して密閉状態で組み付けられるよう意図されており、
少なくとも1つのオリフィス(48)が、前記自動閉塞装置(21、121、221)の少なくとも1つの前記部位(46)の少なくとも1つの壁(50)に位置しており、
少なくとも1つの前記オリフィス(48)は、
- 少なくとも1つの前記可動要素(44、144、244)の少なくとも1つの前記保持要素によって漏れ止め状態で封止され得ること、および
- 少なくとも1つの前記可動要素(44、144、244)を少なくとも1つの前記部位(46)に通すことで、少なくとも1つの前記可動要素(44、144、244)が閉塞位置に到達できるようにすることができる、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記既定の事象は、前記タンク(3)の少なくとも1つで安全上の欠陥が検出されることである、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
少なくとも1つの前記可動要素(44、144、244)と少なくとも1つの前記保持要素(52、144、244)が全く同一の要素を形成する、請求項1から3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の装置を備える流体を1つ以上のタンク(3)に補給するための補給管路(40)。
【請求項6】
1つ以上の前記タンク(3)が前記補給管路(40)に漏れ留め様式で連結される、請求項5に記載の管路。
【請求項7】
請求項5または6に記載の流体を1つ以上のタンク(3)に補給するための補給管路(40)と、1つ以上の前記タンク(3)と、制御装置(51)と、からなるアセンブリ。
【請求項8】
前記制御装置(51)が演算装置である、請求項7に記載のアセンブリ。
【請求項9】
流体用のタンク(3)のための少なくとも1つの弁(1)を備え、
少なくとも1つの前記弁(1)が、
- 流体を特徴づける少なくとも1つのパラメータを測定するための、センサ
(35)の少なくとも1つの部分であって、前記弁(1)は前記弁(1)の外部にある外部演算装置(5)から送出される情報を受け取ることができる、センサ
(35)の少なくとも1つの部分と、
- 内部演算装置(7)と、
を備え、
前記内部演算装置(7)は、
少なくとも1つの前記センサ
(35)から送出されるデータを取得するように構成された第1の取得手段(9)と、
前記外部演算装置(5)と双方向に通信することができる通信手段(11)と、
前記外部演算装置(5)から受け取る情報および少なくとも1つの前記センサ
(35)から送出されるデータを計算に入れて、前記弁(1)の少なくとも1つのアクチュエータ(100)を制御するように構成された制御手段(13)と
を備え、
前記演算装置が内部演算装置(7)である、請求項8に記載のアセンブリ。
【請求項10】
請求項7から9のいずれか一項に記載のアセンブリの一部を形成する1つ以上の流体用のタンク(3)の安全確保の方法であって、
- 前記タンク(3)の少なくとも1つの安全上の欠陥に関する情報を前記制御装置(51)によって計算に入れるステップと、
- 前記制御装置(51)によって少なくとも1つの前記自動閉塞装置(21、121、221)に閉塞指示を伝達するステップと、
- 少なくとも1つの自動閉塞装置(21、121、221)によって前記閉塞指示を取り入れるステップと、
- 少なくとも1つの前記自動閉塞装置(21、121、221)が非閉塞位置から閉塞位置に移行するステップと
を含む方法。
【国際調査報告】