(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-03
(54)【発明の名称】シーケンシャルインパルススラスター
(51)【国際特許分類】
F03H 99/00 20090101AFI20230127BHJP
【FI】
F03H99/00 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021554418
(86)(22)【出願日】2020-10-20
(85)【翻訳文提出日】2021-09-16
(86)【国際出願番号】 MA2020000009
(87)【国際公開番号】W WO2021112659
(87)【国際公開日】2021-06-10
(32)【優先日】2019-12-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】MA
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521406743
【氏名又は名称】イシャン タウフィ
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】イシャン タウフィ
(57)【要約】
シーケンシャルインパルススラスターは、それを適用できるあらゆる航空宇宙船に永久的なスラストを提供するシステムである。該システムのスラストは、密閉フレーム内の空気又は圧縮気体のシーケンシャルインパルスの方式の放出と反対のスラストから生成される。該スラストを実現するため、システムがセットになった構成要素からなるオーガニゼイションによるものであり、以下のようにまとめることができる。回転軸、圧力減少のための回転体及び圧力伝達のための回転体の2つのタイプの回転体、複数の孔を有する孔あきディスク、さらに、空気又は圧縮気体の放出とその圧力源への供給との分離を許すチューブである。しかし、これらの構成要素がそのオーガニゼイションによりスラストを生成するが、該システムがその回転軸を駆動する動力を提供することによりしか作動できない。該動力は、比例をなす力比で磁気ねじれモーターにより生成される。シーケンシャルインパルススラスター又はセットになったシーケンシャルインパルススラスターを使用すれば、それを適用できる如何なる航空宇宙船も大気内及び/又は地球大気圏外でスラストを有することが許される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シーケンシャルインパルススラスターであって、
密閉フレーム(1)内の圧縮空気を排出することによりスラストを生成し、前記シーケンシャルインパルススラスターは、軸(8)と少なくとも1つの放出部セット(5及び9)とを備え、前記軸により駆動力を供給し、各セットがいくつかの孔を有する孔あきディスク(9)とシーケンスプロペラ(5)によって構成され、前記シーケンスプロペラが固定されるとともに前記回転軸(8)により支持され、ディスク(9)がチューブ(3)及び/又はフレームに取り付けられ、前記チューブの直径が前記フレームの直径より小さく、前記チューブと前記フレームとの間にリリースされた空間により、少なくとも1つのプロペラ(4)が排出された空気をその圧力源に向かって逆流させることが許され、
前記密閉フレーム内の圧縮空気が前記ディスク(9)の孔からシーケンスプロペラのフィンの間の空間においてシーケンシャルインパルスの方式で排出される、ことを特徴とするシーケンシャルインパルススラスター。
【請求項2】
前記フィンの間の空間は、シーケンスプロペラ(5)の前記フィンの間の部分が占める体積からなる
ことを特徴とする請求項1に記載のシーケンシャルインパルススラスター。
【請求項3】
前記回転軸(8)を駆動する動力を供給することにより移動する間、前記シーケンスプロペラの前記フィンにより低気圧を付与する
ことを特徴とする請求項2に記載のシーケンシャルインパルススラスター。
【請求項4】
前記シーケンスプロペラ(5)は、少なくとも2枚のフィンを備え、
前記フィンは、各フィンについてそれに続くフィンに影があるように形作られ、
各フィンが前記プロペラを構成する1つ又は2つのファセットを備えなければならない
ことを特徴とする請求項3に記載のシーケンシャルインパルススラスター。
【請求項5】
いくつかの孔を有する前記孔あきディスクを構成する2つの表面のうちの1つは、シーケンスプロペラによりそれに曝されるフィンのファセットとの接触の限界に近づく
ことを特徴とする請求項4に記載のシーケンシャルインパルススラスター。
【請求項6】
圧縮空気は、圧縮流体又は前記スラスターの前記密閉フレーム内の圧力をリリースする粒子のセットで置き換えることができる
ことを特徴とする請求項1に記載のシーケンシャルインパルススラスター。
【請求項7】
圧縮空気流は、シーケンシャルインパルスにより循環される
ことを特徴とする請求項6に記載のシーケンシャルインパルススラスター。
【請求項8】
軸(8)と連結する回転モーターにより駆動され、前記スラスターがその圧力を維持してスラストを生成することを可能にする
ことを特徴とする請求項7に記載のシーケンシャルインパルススラスター。
【請求項9】
スラストは、前記シーケンシャルインパルススラスターの前記密閉フレーム内の圧縮空気の放出と反対のスラストから生成される
ことを特徴とする請求項8に記載のシーケンシャルインパルススラスター。
【請求項10】
シーケンシャルインパルススラスター又はセットになったシーケンシャルインパルススラスターの使用であって、前記スラスターは、少なくとも1つの放出部セット(5及び9)と駆動モーター(M)とを備え、各セットがいくつかの孔を有する孔あきディスク(9)とシーケンスプロペラ(5)によって構成され、前記シーケンスプロペラが固定されるとともに回転軸(8)により支持され、ディスク(9)がチューブ(3)及び/又はフレームに取り付けられ、前記チューブの直径が前記フレームの直径より小さく、前記チューブと前記フレームとの間にリリースされた空間により、少なくとも1つのプロペラ(4)が排出された空気をその圧力源に向かって逆流させることが許され、
航空輸送手段、航行輸送手段、ローリング輸送手段又は発電の機械において、前記密閉フレーム内における圧縮空気が前記ディスク(9)の孔からシーケンシャルインパルスの方式で排出される、
ことを特徴とするシーケンシャルインパルススラスター又はセットになったシーケンシャルインパルススラスターの使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
シーケンシャルインパルススラスター(The sequential impulse thruster)は、圧縮空気の放出を利用してスラストを実現するシステムである。
【背景技術】
【0002】
この圧縮空気は、密閉フレーム内でシーケンシャルインパルスの形式で排出される。該システムにより実現されるスラストは、スラスターの密閉フレーム内の圧縮空気の放出と反対のスラストから生成される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
現在、シーケンシャルインパルススラスターに関するこの新たなシステム以外、機械が大気のない空間で永久的且つ制御可能なスラストを得ることできるシステムに関わる技術がなかった。
【0004】
しかし、スラスターは、電気モーターに関連付けなければならなく、又は好ましくは、(2019年11月26日にOMPIC(モロッコ工商業所有権庁)に提出したNo.47546の特許に関する、比例をなす力比でねじれる磁気モーター)に関連付けなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
現在宇宙船に適用される技術の制限とは反対に、シーケンシャルインパルススラスター技術と磁気モーターとの組み合わせにより、宇宙船が地球大気圏を離れることを可能にする設備を提供する。
【0006】
シーケンシャルインパルススラスターは、新しいコンセプトのシステムを提供する。それにより、大気内及び/又は地球大気圏外での永久的なスラストを可能にする。
【発明を実施するための形態】
【0007】
現在、あらゆる輸送手段の移動のために配備された装置は、基本的に燃料の反応に基づくものである。これらの反応装置は高価でありながら、一般的に害があり、且つ大気内しか機能できない。
【0008】
再生可能エネルギーや化石エネルギーは、絶え間ない需要の要求に応えることができない。輸送手段の移動に関するエネルギーへの依存度を減らす目標を実現するため、シーケンシャルインパルススラスターは、磁気モーターに関連することが好ましく、如何なる有害物質を発生しなく、新たな代替可能なシステムとなる。
【0009】
シーケンシャルインパルススラスターは、いくつかの目標がある。まず、各ユニット又はスラスターのグループごとによるスラストが、如何なるニーズにも応えることができる。
【0010】
そして、これによるスラストシステムは、安全性が高く、製造が容易で、生産コストが低く、使用の信頼性が高く、適用範囲が広いことを考慮したものである。
【0011】
これにより、さらにすべての適用可能性を考慮したシステムを提供する。例えば、シーケンシャルインパルススラスターは、固定的に取り付けてもよく、可動的に取り付けてもよい。大気内を移動する輸送手段に対して、スラスターを機械に固定することができる。代わりに、その地球大気圏外の改良として、地球大気圏に進入したあと希望する方向に向けて減速できるように(大気圏に進入する速度と大気圏を離れる速度とが等しい)、スラスターがいくつかの方向を決めることが可能なシステムにより航空機に保持する必要がある。
【0012】
該システムは、電気モーターの作動にも適用できる。例えば、いくつかのスラスターは、電気モーターの軸により支持された1つ又は複数のホイールの周りに固定されてもよい。
【0013】
航空機原子炉とシーケンシャルインパルススラスターとの比較実験により、この2つのコンセプトの相違点を認識することができる。
・航空機エンジンのプロペラは、大気における空気を圧縮するように形作られる。代わりに、シーケンシャルインパルススラスターは、放出シーケンスを実現するように形作られる。
・航空機エンジンからの圧縮空気の放出は連続的な放出であり、代わりに、シーケンシャルインパルススラスターの放出はシーケンシャルインパルスの方式で発生することである。
・航空機原子炉により圧縮された空気は、大気から継続的に減らされるとともに、比較的オープンな空間に排出される。代わりに、シーケンシャルインパルススラスターの(圧縮空気)は、密閉フレーム内に閉じ込められるとともに、密閉回路で排出される。
【0014】
シーケンシャルインパルススラスターは、永久的なスラストによる移動を実現することを目的としたシステムである。後者は、システムの幾何学形状の安定性と維持が必要とされる。したがって、密閉フレームは、剛性材料によって作製しなければならなく、圧力に耐え、システムのねじれを防止することができ、そして、システムの良好な作動に必要なすべての素子を適切な位置に保つことを可能にする。
【0015】
シーケンシャルインパルススラスターのシステムは、コンセプトとして、セットになる構成要素からなるオーガニゼイション、密閉フレーム内の圧縮空気の存在、及びシステムの構成要素の1つに供給された機械的動力源が必要とされる。
【0016】
このために、シーケンシャルインパルススラスターは、密閉フレーム(1)内の圧縮空気を排出することによりスラストを生成する。該シーケンシャルインパルススラスターは軸(8)と少なくとも1つの放出部セット(5及び9)とを備え、該軸により駆動力を供給し、各セットがいくつかの孔を有する孔あきディスク(9)とシーケンスプロペラ(5)によって構成され、該シーケンスプロペラが固定されるとともに回転軸(8)により支持され、ディスク(9)がチューブ(3)及び/又はフレームに取り付けられ、チューブの直径がフレームの直径より小さく、チューブとフレームとの間にリリースされた空間により、少なくとも1つのプロペラ(4)が排出された空気をその圧力源に向かって逆流させることが許され、密閉フレーム内の圧縮空気がディスク(9)の孔から、シーケンスプロペラのフィンの間の空間においてシーケンシャルインパルスの方式で排出される。
・フィンの間の空間は、シーケンスプロペラ(5)のフィンの間の部分が占める体積からなる。
・回転軸(8)を駆動する動力を供給することにより移動する間、シーケンスプロペラのフィンにより低気圧を付与する。
・シーケンスプロペラ(5)は少なくとも2枚のフィンを備え、前記2つのフィンが、各フィンについてそれに続くフィンに影があるように形作られ、そして、各フィンがプロペラを構成する1つ又は2つのファセット(facets)を備えなければならない。
・いくつかの孔を有する孔あきディスクを構成する2つの表面のうちの1つは、シーケンスプロペラによりそれに曝されるフィンのファセットとの接触の限界に近づく。
・圧縮空気は、圧縮流体又はスラスターの密閉フレーム内の圧力をリリースする粒子のセットで置き換えることができる。
・圧縮空気流は、少なくとも1つのシーケンスプロペラにより生成されたシーケンシャルインパルスにより循環される。
・シーケンシャルインパルススラスターは、軸(8)と連結する回転モーターにより駆動され、スラスターがその圧力を維持してスラストを生成することを可能にする。
・スラストは、シーケンシャルインパルススラスターの密閉フレーム内の圧縮空気の放出と反対のスラストから生成される。
・シーケンシャルインパルススラスター又はセットになったシーケンシャルインパルススラスターを使用し、スラスターは、少なくとも1つの放出部セット(5及び9)と駆動モーター(M)とを備え、各セットがいくつかの孔を有する孔あきディスク(9)とシーケンスプロペラ(5)によって構成され、シーケンスプロペラが固定されるとともに回転軸(8)により支持され、ディスク(9)がチューブ(3)及び/又はフレームに取り付けられ、チューブの直径がフレームの直径より小さく、チューブとフレームとの間にリリースされた空間により、少なくとも1つのプロペラ(4)が排出された空気をその圧力源に戻すことが許され、密閉フレーム内で圧縮された空気がディスク(9)の孔から、シーケンシャルインパルスの方式で航空輸送手段、航行輸送手段、ローリング輸送手段又は発電の機械内において排出される。
【0017】
シーケンシャルインパルススラスターのシステムは、様々な実施形態で実現することが可能である。このため、基本モデルが提案され、その実現が単一セットの放出部により設計される。このモデルは、スラストを生成する可能性の1つを提供する。これに関して、説明(
図1)により例示される実施形態モデル、及びシステムのいくつかの構成要素のモデル(
図2)、(
図3)、(
図4)、(
図5)、(
図6)、(
図7)を示す7枚の図面が添付された。
【0018】
シーケンシャルインパルススラスターに関する基本モデルの組み立て手順は、下記のとおりである。
1.分離チューブ(
図1)(2)を密閉フレーム(
図1)(1)に固定する。
2.2つのリングにより、孔あきディスク(
図1)(9)を分離チューブ内に固定する。
3.2つのサポータの1つを密閉フレームに固定する。
4.シーケンスプロペラ及びその逆流用のプロペラ(
図1)(4+5)軸を含む回転軸(
図1)(8)を配置する(シーケンスプロペラが、孔あきディスク及び分離チューブとの接触の限界の箇所に配置される)。
5.他のサポータで密閉フレームを閉じる。
6.利用可能なモーターのアウトプットを回転軸に固定するとともに、モーターをスラスターに固定する軸。
7.エアコンプレッサーにより、バルブ(
図1)(6)を介して密閉フレーム内の空気を圧縮する。
【0019】
これらのプロセスが完了したあと、必要なのは、モーター(
図1)(M)の加速によりスラストを加えることのみである。
【0020】
しかし、他のモデルは、いくつかのセットの放出部により実現してもよいが、どのようなモデルを選択しても、密閉フレーム内の圧縮空気の量及び動力がスラストの発生の要因である。
【0021】
したがって、シーケンシャルインパルススラスターのシステムは、電気又は磁気モーターに関連するシステムの入力に供給される動力により機能する。しかし、どのタイプのモーターがこの新たなシステムと連結しても、本発明に適用できなければならない。
【0022】
しかし、比例をなす力比でねじれる磁気モーターによりシステムの良好な作動に必要な動力源を提供する。例えば、回転軸に永久且つ制御可能な動力を提供し、モーターを密閉フレームに固定することにより、スラスターがその圧力を維持すること可能であり、スラスターが大気内及び/又は地球大気圏外での永久的なスラストを加える設備を可能にする。
【0023】
本発明によれば、シーケンシャルインパルススラスターのシステムは、様々実施形態及び組み合わせにより実現できる。しかしながら、この新たなシステムは、どの実施形態又は組み合わせにしても、シーケンシャルインパルススラスターに言及された同じ特別な特徴を有する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】単一セットの放出部により形成されたシステムを例示するものである。 1:フレーム。 2:固定装置。 3:チューブ。 4:逆流プロペラ。 5:シーケンスプロペラ。 4+5:放出部セット。 6:バルブ。 7:圧力リリースバルブ。 8:軸。 9:ディスク。 10:球状セグメント。 11:プレート。 M:モーター。
【
図2】いくつかの孔を有する孔あきディスクを例示するものである。 9:ディスク。
【
図3】逆流プロペラを例示するものである。 4:プロペラ。
【
図4】逆流プロペラと12枚のフィンを有するシーケンスプロペラとの組み合わせのプロペラを例示するものである。 4+5:組み合わせのプロペラ。
【
図5】シーケンスプロペラを例示するものである。 5:プロペラ。
【
図6】逆流プロペラと4枚のフィンを有するシーケンスプロペラとの組み合わせのプロペラを例示するものである。 4+5.1:組み合わせのプロペラ。
【
図7】シーケンスプロペラを例示するものである。 5.1:プロペラ。
【国際調査報告】