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特表2023-504348生物活性植物代謝産物の組換え細胞、抽出物、消費可能な製品及び生産方法
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  • 特表-生物活性植物代謝産物の組換え細胞、抽出物、消費可能な製品及び生産方法 図1
  • 特表-生物活性植物代謝産物の組換え細胞、抽出物、消費可能な製品及び生産方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-03
(54)【発明の名称】生物活性植物代謝産物の組換え細胞、抽出物、消費可能な製品及び生産方法
(51)【国際特許分類】
   C12N 1/19 20060101AFI20230127BHJP
   C12P 13/12 20060101ALI20230127BHJP
   C12P 13/02 20060101ALI20230127BHJP
   C12P 13/22 20060101ALI20230127BHJP
   A23L 33/10 20160101ALI20230127BHJP
   A61K 31/165 20060101ALI20230127BHJP
   A61P 1/16 20060101ALI20230127BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20230127BHJP
   C12N 9/88 20060101ALN20230127BHJP
   C12N 9/10 20060101ALN20230127BHJP
   C12N 15/54 20060101ALN20230127BHJP
   C12N 15/60 20060101ALN20230127BHJP
【FI】
C12N1/19
C12P13/12 A
C12P13/02
C12P13/22 B
C12P13/22 C
C12P13/12 Z
C12P13/22 Z
A23L33/10
A61K31/165
A61P1/16
A61P3/10
C12N9/88
C12N9/10
C12N15/54
C12N15/60
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022524216
(86)(22)【出願日】2020-10-22
(85)【翻訳文提出日】2022-06-23
(86)【国際出願番号】 US2020056887
(87)【国際公開番号】W WO2021081222
(87)【国際公開日】2021-04-29
(31)【優先権主張番号】62/925,941
(32)【優先日】2019-10-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520253214
【氏名又は名称】ブライトシード・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ジェームズ・フラット
(72)【発明者】
【氏名】チュアン・ワン
(72)【発明者】
【氏名】ジェシカ・リー・オチョア
(72)【発明者】
【氏名】クリフ・ラット
【テーマコード(参考)】
4B018
4B050
4B064
4B065
4C206
【Fターム(参考)】
4B018MD18
4B018MD19
4B018ME09
4B050CC03
4B050DD01
4B050LL01
4B050LL02
4B050LL05
4B064AE02
4B064AE03
4B064AE16
4B064AE29
4B064AE30
4B064CA06
4B064CA19
4B064CC24
4B064DA01
4B064DA10
4B065AA72X
4B065AA72Y
4B065AB01
4B065AC14
4B065AC20
4B065BA01
4B065BB12
4B065BB15
4B065CA16
4B065CA17
4B065CA27
4B065CA29
4B065CA41
4B065CA44
4C206AA04
4C206GA08
4C206GA28
4C206KA19
4C206MA01
4C206MA04
4C206MA72
4C206NA20
4C206ZA75
4C206ZB11
4C206ZC35
(57)【要約】
チラミン含有ヒドロキシケイ皮酸アミド化合物、誘導体及び抽出物を生産することが可能な組換え宿主細胞及び方法が本明細書で開示される。提供される一部の実施形態は、例えば、組換え宿主細胞によって生産されるチラミン含有ヒドロキシケイ皮酸アミドを含有する消費可能な製品を含む。本明細書で提供される一部の実施形態は、チラミン含有ヒドロキシケイ皮酸アミド又はヒドロキシケイ皮酸アミド誘導体を生産するための方法である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
チラミン含有ヒドロキシケイ皮酸アミドを生産することが可能な組換え真核宿主細胞であって、
(a)L-チロシン又はL-フェニルアラニンの過剰生産が可能な1種又は複数の酵素をコードする1種又は複数の核酸分子、
(b)ヒドロキシシンナモイル-CoAエステルを生成するためのフェニルプロパノイドCoA経路の1種又は複数の酵素をコードする1種又は複数の核酸分子、
(c)チロシンデカルボキシラーゼ(E.C.4.1.1.25)をコードする核酸分子、及び
(d)チラミンN-ヒドロキシシンナモイルトランスフェラーゼ(E.C.2.3.1.110)をコードする核酸分子
を含む組換え真核宿主細胞。
【請求項2】
ヒドロキシシンナモイル-CoAエステルを生成するためのフェニルプロパノイドCoA経路の1種又は複数の酵素をコードする1種又は複数の核酸分子が、フェニルアラニンアンモニアリアーゼ、4-クマル酸-CoAリガーゼ、ケイ皮酸-4-ヒドロキシラーゼ、クマル酸-3-ヒドロキシラーゼ、クマロイル-CoA 3-ヒドロキシラーゼ、カフェオイル-CoA O-メチルトランスフェラーゼ、フェルラ酸-5-ヒドロキシラーゼ、カフェイン酸/5-ヒドロキシフェルラ酸O-メチルトランスフェラーゼ、チロシンアンモニアリアーゼ、又はこれらの組合せを含む、請求項1に記載の組換え真核宿主細胞。
【請求項3】
メチオニンを更に過剰生産する、請求項1又は2に記載の組換え真核宿主細胞。
【請求項4】
組換え酵母株である、請求項1又は2に記載の組換え真核宿主細胞。
【請求項5】
酵母株が、
【表1A】
【表1B】
から選択される、請求項4に記載の組換え真核宿主細胞。
【請求項6】
チラミン含有ヒドロキシケイ皮酸アミドが、N-カフェオイルチラミン、N-フェルロイルチラミン、5-ヒドロキシフェルロイルチラミン、シンナモイルチラミン、シナポイルチラミン、p-クマロイルチラミン、(E)-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-N-(4-エトキシフェネチル)アクリルアミド、(E)-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-N-(4-(2-メトキシエトキシ)フェネチル)アクリルアミド、(E)-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-N-(4-(2-(メチルスルホニル)エトキシ)フェネチル)アクリルアミド、(E)-2-(4-(2-(3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)アクリルアミド)エチル)フェノキシ)酢酸、エチル(E)-2-(4-(2-(3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)アクリルアミド)エチル)フェノキシ)アセタート、(E)-N-(4-(シクロプロピルメトキシ)フェネチル)-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)アクリルアミド、(E)-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-N-(4-(3,3,3-トリフルオロプロポキシ)フェネチル)アクリルアミド、(E)-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-N-(4-((テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)メトキシ)フェネチル)アクリルアミド、(E)-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-N-(4-((4-フルオロベンジル)オキシ)フェネチル)アクリルアミド、(E)-N-(4-(シアノメトキシ)フェネチル)-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)アクリルアミド、(E)-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-N-(4-(ピリジン-3-イルメトキシ)フェネチル)アクリルアミド、(E)-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-N-(4-(ピリジン-2-イルメトキシ)フェネチル)アクリルアミド、(E)-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-N-(4-(2-(ジメチルアミノ)エトキシ)フェネチル)アクリルアミド、(E)-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-N-(4-イソブトキシフェネチル)アクリルアミド、(E)-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-N-(4-(ピリジン-4-イルメトキシ)フェネチル)アクリルアミド、(E)-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-N-(4-((4-メトキシベンジル)オキシ)フェネチル)アクリルアミド、(E)-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-N-(4-(オキセタン-3-イルメトキシ)フェネチル)アクリルアミド、(E)-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-N-(4-((テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)メトキシ)フェネチル)アクリルアミド、(E)-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-N-(4-((テトラヒドロフラン-2-イル)メトキシ)フェネチル)アクリルアミド、(E)-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-N-(4-(チオフェン-2-イルオキシ)フェネチル)アクリルアミド、(E)-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-N-(4-(3,3-ジメチルブトキシ)フェネチル)アクリルアミド、(E)-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-N-(4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェネチル)アクリルアミド、(E)-N-(4-((1H-テトラゾール-5-イル)メトキシ)フェネチル)-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)アクリルアミド、(E)-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-N-(4-((1-メチルピロリジン-2-イル)メトキシ)フェネチル)アクリルアミド、(E)-2-ヒドロキシ-5-(3-((4-ヒドロキシフェネチル)アミノ)-3-オキソプロパ-1-エン-1-イル)フェニル水素カルボナート、(E)-3-(4-ヒドロキシ-3-(ピリジン-4-イルオキシ)フェニル)-N-(4-ヒドロキシフェネチル)アクリルアミド、(E)-3-(4-ヒドロキシ-3-イソブトキシフェニル)-N-(4-ヒドロキシフェネチル)アクリルアミド、(E)-3-(3-(4-フルオロフェノキシ)-4-ヒドロキシフェニル)-N-(4-ヒドロキシフェネチル)アクリルアミド、(E)-3-(3-(シアノメトキシ)-4-ヒドロキシフェニル)-N-(4-ヒドロキシフェネチル)アクリルアミド、(E)-2-(2-ヒドロキシ-4-(3-((4-ヒドロキシフェネチル)アミノ)-3-オキソプロパ-1-エン-1-イル)フェノキシ)酢酸、(E)-3-(3-ヒドロキシ-4-(ピリジン-4-イルメトキシ)フェニル)-N-(4-ヒドロキシフェネチル)アクリルアミド、(E)-3-(4-((4-フルオロベンジル)オキシ)-3-ヒドロキシフェニル)-N-(4-ヒドロキシフェネチル)アクリルアミド、(E)-3-(3-ヒドロキシ-4-イソブトキシフェニル)-N-(4-ヒドロキシフェネチル)アクリルアミド、(E)-3-(4-(シアノメトキシ)-3-ヒドロキシフェニル)-N-(4-ヒドロキシフェネチル)アクリルアミド、(E)-N-(3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)アクリロイル)-N-(4-ヒドロキシフェネチル)グリシン、(E)-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-N-(4-ヒドロキシフェネチル)-N-(ピリジン-4-イルメチル)アクリルアミド、(E)-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-N-(4-ヒドロキシフェネチル)-N-イソブチルアクリルアミド、(E)-N-(シアノメチル)-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-N-(4-ヒドロキシフェネチル)アクリルアミド、3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-N-(4-ヒドロキシフェネチル)プロパンアミド、又は3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-N-(4-(メチルスルホンアミド)フェネチル)プロパンアミドの少なくとも1つから選択される、請求項1又は2に記載の組換え真核宿主細胞。
【請求項7】
チラミン含有ヒドロキシケイ皮酸アミドがN-カフェオイルチラミン、N-フェルロイルチラミン、5-ヒドロキシフェルロイルチラミン、シンナモイルチラミン、シナポイルチラミン、p-クマロイルチラミンである、請求項6に記載の組換え真核宿主細胞。
【請求項8】
チラミン含有ヒドロキシケイ皮酸アミド又はチラミン含有ヒドロキシケイ皮酸誘導体を生産するための方法であって、
(a)チラミン含有ヒドロキシケイ皮酸アミドを生産することが可能な組換え真核宿主細胞を用意する工程であって、前記組換え真核宿主細胞が、
L-チロシン又はL-フェニルアラニンを過剰生産し、組換え真核宿主細胞が、
(i)ヒドロキシシンナモイル-CoAエステルを生成するためのチラミン含有ヒドロキシケイ皮酸アミドの1種又は複数の酵素をコードする1種又は複数の核酸分子、
(ii)チロシンデカルボキシラーゼ(E.C.4.1.1.25)をコードする核酸分子、及び
(iii)チラミンN-ヒドロキシシンナモイルトランスフェラーゼ(E.C.2.3.1.110)をコードする核酸分子を更に含む、工程と、
(b)組換え真核宿主細胞がチラミン含有ヒドロキシケイ皮酸アミドを生産するのに十分な時間組換え真核宿主細胞を培養する工程と、
(c)チラミン含有ヒドロキシケイ皮酸アミドを組換え真核宿主細胞又は培養上澄みから単離し、これによりチラミン含有ヒドロキシケイ皮酸アミドを生産する工程と
を含む方法。
【請求項9】
ヒドロキシシンナモイルCoAエステルを生成するためのフェニルプロパノイドCoA経路の1種又は複数の酵素をコードする1種又は複数の核酸分子が、フェニルアラニンアンモニアリアーゼ、4-クマル酸-CoAリガーゼ、ケイ皮酸-4-ヒドロキシラーゼ、クマル酸-3-ヒドロキシラーゼ、カフェオイル-CoA O-メチルトランスフェラーゼ、5-ヒドロキシラーゼ、カフェイン酸/5-ヒドロキシフェルラ酸O-メチルトランスフェラーゼ、チロシンアンモニアリアーゼ、又はこれらの組合せを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記組換え真核宿主細胞がS-アデノシルメチオニンを更に過剰生産する、請求項8又は9に記載の方法。
【請求項11】
組換え酵母株である、請求項8又は9に規定の組換え真核宿主細胞。
【請求項12】
酵母株が、
【表2A】
【表2B】
から選択される、請求項11に記載の組換え真核宿主細胞。
【請求項13】
チラミン含有ヒドロキシケイ皮酸アミドが、N-カフェオイルチラミン、N-フェルロイルチラミン、5-ヒドロキシフェルロイルチラミン、p-クマロイルチラミン、シンナモイルチラミン、シナポイルチラミン、(E)-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-N-(4-エトキシフェネチル)アクリルアミド、(E)-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-N-(4-(2-メトキシエトキシ)フェネチル)アクリルアミド、(E)-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-N-(4-(2-(メチルスルホニル)エトキシ)フェネチル)アクリルアミド、(E)-2-(4-(2-(3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)アクリルアミド)エチル)フェノキシ)酢酸、エチル(E)-2-(4-(2-(3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)アクリルアミド)エチル)フェノキシ)アセタート、(E)-N-(4-(シクロプロピルメトキシ)フェネチル)-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)アクリルアミド、(E)-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-N-(4-(3,3,3-トリフルオロプロポキシ)フェネチル)アクリルアミド、(E)-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-N-(4-((テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)メトキシ)フェネチル)アクリルアミド、(E)-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-N-(4-((4-フルオロベンジル)オキシ)フェネチル)アクリルアミド、(E)-N-(4-(シアノメトキシ)フェネチル)-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)アクリルアミド、(E)-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-N-(4-(ピリジン-3-イルメトキシ)フェネチル)アクリルアミド、(E)-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-N-(4-(ピリジン-2-イルメトキシ)フェネチル)アクリルアミド、(E)-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-N-(4-(2-(ジメチルアミノ)エトキシ)フェネチル)アクリルアミド、(E)-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-N-(4-イソブトキシフェネチル)アクリルアミド、(E)-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-N-(4-(ピリジン-4-イルメトキシ)フェネチル)アクリルアミド、(E)-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-N-(4-((4-メトキシベンジル)オキシ)フェネチル)アクリルアミド、(E)-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-N-(4-(オキセタン-3-イルメトキシ)フェネチル)アクリルアミド、(E)-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-N-(4-((テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)メトキシ)フェネチル)アクリルアミド、(E)-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-N-(4-((テトラヒドロフラン-2-イル)メトキシ)フェネチル)アクリルアミド、(E)-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-N-(4-(チオフェン-2-イルオキシ)フェネチル)アクリルアミド、(E)-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-N-(4-(3,3-ジメチルブトキシ)フェネチル)アクリルアミド、(E)-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-N-(4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェネチル)アクリルアミド、(E)-N-(4-((1H-テトラゾール-5-イル)メトキシ)フェネチル)-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)アクリルアミド、(E)-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-N-(4-((1-メチルピロリジン-2-イル)メトキシ)フェネチル)アクリルアミド、(E)-2-ヒドロキシ-5-(3-((4-ヒドロキシフェネチル)アミノ)-3-オキソプロパ-1-エン-1-イル)フェニル水素カルボナート、(E)-3-(4-ヒドロキシ-3-(ピリジン-4-イルオキシ)フェニル)-N-(4-ヒドロキシフェネチル)アクリルアミド、(E)-3-(4-ヒドロキシ-3-イソブトキシフェニル)-N-(4-ヒドロキシフェネチル)アクリルアミド、(E)-3-(3-(4-フルオロフェノキシ)-4-ヒドロキシフェニル)-N-(4-ヒドロキシフェネチル)アクリルアミド、(E)-3-(3-(シアノメトキシ)-4-ヒドロキシフェニル)-N-(4-ヒドロキシフェネチル)アクリルアミド、(E)-2-(2-ヒドロキシ-4-(3-((4-ヒドロキシフェネチル)アミノ)-3-オキソプロパ-1-エン-1-イル)フェノキシ)酢酸、(E)-3-(3-ヒドロキシ-4-(ピリジン-4-イルメトキシ)フェニル)-N-(4-ヒドロキシフェネチル)アクリルアミド、(E)-3-(4-((4-フルオロベンジル)オキシ)-3-ヒドロキシフェニル)-N-(4-ヒドロキシフェネチル)アクリルアミド、(E)-3-(3-ヒドロキシ-4-イソブトキシフェニル)-N-(4-ヒドロキシフェネチル)アクリルアミド、(E)-3-(4-(シアノメトキシ)-3-ヒドロキシフェニル)-N-(4-ヒドロキシフェネチル)アクリルアミド、(E)-N-(3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)アクリロイル)-N-(4-ヒドロキシフェネチル)グリシン、(E)-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-N-(4-ヒドロキシフェネチル)-N-(ピリジン-4-イルメチル)アクリルアミド、(E)-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-N-(4-ヒドロキシフェネチル)-N-イソブチルアクリルアミド、(E)-N-(シアノメチル)-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-N-(4-ヒドロキシフェネチル)アクリルアミド、3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-N-(4-ヒドロキシフェネチル)プロパンアミド、又は3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-N-(4-(メチルスルホンアミド)フェネチル)プロパンアミドの少なくとも1つから選択される、請求項8又は9に記載の方法。
【請求項14】
チラミン含有ヒドロキシケイ皮酸アミドが、N-カフェオイルチラミン、N-フェルロイルチラミン、5-ヒドロキシフェルロイルチラミン、p-クマロイルチラミン、シンナモイルチラミン、シナポイルチラミンの少なくとも1つから選択される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
請求項1~14のいずれか一項に記載の方法によって生産されるチラミン含有ヒドロキシケイ皮酸アミドを含む抽出物。
【請求項16】
請求項15に記載の抽出物を含む消費可能な製品。
【請求項17】
栄養補助食品、食品成分若しくは添加物、食品製品、医療用食品、栄養補給食品又は医薬組成物である、請求項16に記載の消費可能な製品。
【請求項18】
チラミン含有ヒドロキシケイ皮酸アミド又はチラミン含有ヒドロキシケイ皮酸誘導体を生産することが可能な1種又は複数の核酸分子を含む組換え真核宿主細胞を培養する方法であって、
a)組換え真核宿主細胞を増殖培地に接種する工程と、
b)宿主細胞を所望の細胞密度に培養する工程と、
c)宿主細胞を培養培地から収穫する工程と
を含む方法。
【請求項19】
増殖培地がグルコース、p-クマル酸、カフェイン酸、フェルラ酸、シナピン酸、ケイ皮酸、フェニルアラニン、チロシン、又はこれらの組合せから選択される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
組換え酵母株である、請求項18又は19に規定の組換え真核宿主細胞。
【請求項21】
酵母株が
【表3A】
【表3B】
から選択される、請求項20に記載の組換え真核宿主細胞。
【請求項22】
生産されるチラミン含有ヒドロキシケイ皮酸アミドがN-カフェオイルチラミン、N-フェルロイルチラミン、5-ヒドロキシフェルロイルチラミン、p-クマロイルチラミン、シンナモイルチラミン、シナポイルチラミンの少なくとも1つから選択される、請求項18に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
この特許出願は、2019年10月25日に出願された米国仮出願第62/925,941号の優先権の利益を主張する。前記出願は、その全体があらゆる目的で参照により本明細書に完全に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
N-ヒドロキシケイ皮酸アミド(HCAA)は、ヒドロキシシンナモイル-CoAチオエステル及び芳香族アミンの縮合によって合成される。ヒドロキシシンナモイル-CoAチオエステルはシンナモイル-CoA、p-クマロイル-CoA、カフェオイル-CoA、フェルロイル-CoA、及びシナポイル-CoAを含み、ケイ皮酸-4-ヒドロキシラーゼ、クマル酸-3-ヒドロキシラーゼ、カフェイン酸O-メチルトランスフェラーゼ、フェルラ酸-5-ヒドロキシラーゼ、及びヒドロキシケイ皮酸:CoAリガーゼを含む一連の酵素によってケイ皮酸から合成される(Douglas (1996) Trends Plant Sci l:171~178頁)。
【0003】
チラミン由来HCAAは一般的に、病原体感染又は創傷治癒領域の近くの組織の細胞壁に関連する。更に、フェルロイルチラミン及びフェルロイルオクトパミンは、ジャガイモ(ソラナム・チューベロサム(Solanum tuberosum))塊茎の天然及び傷害周皮の両方の共有結合型細胞壁構成成分であり、スベリンの芳香族ドメインの推定上の成分である。HCAAの堆積は、細胞壁消化率を低下させることによって病原体に対する障壁を作ると考えられる。HCAAは、ヒドロキシシンナモイル-CoAチオエステルとチラミン等のフェニルエチルアミン、又はプトレシン等のポリアミンの縮合によって形成される。チラミン由来HCAA生合成における最終工程は、ヒドロキシシンナモイル-CoA:チラミンN-(ヒドロキシシンナモイル)トランスフェラーゼによって触媒される。
【0004】
植物特異的フェルロイルチラミン、p-クマロイルチラミン、及びカフェオイルチラミンは、それぞれアラビドプシス・タリアナ(Arabidopsis thaliana)及びコショウからクローニングされた、p-クマル酸:補酵素Aリガーゼ及びチラミンN-ヒドロキシシンナモイルトランスフェラーゼをコードする2種の生合成遺伝子の異種発現によって大腸菌(Escherichia coli)において生産されている(Kangら(2009) Biotechnol. Lett. 31(9):1469~75頁)。加えて、単一自己プロセシングポリペプチドからチラミンN-ヒドロキシシンナモイルトランスフェラーゼ及びチロシンデカルボキシラーゼを発現するトランスジェニックイネ種子が記載されている(Parkら(2009) Biotechnol. Lett. 31(6):911~5頁)。更に、N-ヒドロキシシンナモイルフェネチルアミン及びチラミンの合成のための代謝経路は、4-クマル酸-CoAリガーゼ、チラミンN-ヒドロキシシンナモイルトランスフェラーゼ又はフェネチルアミンN-ヒドロキシシンナモイルトランスフェラーゼ、フェニルアラニンデカルボキシラーゼ又はチロシンデカルボキシラーゼ、及びチロシンアンモニアリアーゼを含むいくつかの遺伝子を発現させ、シキミ酸代謝経路を操作して大腸菌における内因性チロシン濃度を上昇させることによって、大腸菌において再現された(Simら(2015) Microbial Cell Fact. 14:162頁)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第6,368,837号
【特許文献2】米国特許第6,521,748号
【特許文献3】米国特許第5,605,793号
【特許文献4】米国特許第5,811,238号
【特許文献5】米国特許第5,830,721号
【特許文献6】米国特許第5,837,458号
【特許文献7】WO2004/101757
【特許文献8】米国特許第6,265,185号
【非特許文献】
【0006】
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【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
この開示は、チラミン含有ヒドロキシケイ皮酸アミドを生産することが可能な組換え真核宿主細胞であって、L-チロシン又はL-フェニルアラニンを過剰生産し、ヒドロキシシンナモイル-CoAエステルを生成するためのフェニルプロパノイドCoA経路の1種又は複数の酵素をコードする1種又は複数の核酸分子、チロシンデカルボキシラーゼ(E.C.4.1.1.25)をコードする核酸分子、及びチラミンN-ヒドロキシシンナモイルトランスフェラーゼ(E.C.2.3.1.110)をコードする核酸分子を保有する組換え真核宿主細胞を提供する。一部の実施形態では、チラミン含有ヒドロキシケイ皮酸アミドは、N-カフェオイルチラミン、N-フェルロイルチラミン、5-ヒドロキシフェルロイルチラミン、p-クマロイルチラミン、シンナモイルチラミン又はシナポイルチラミンである。他の実施形態では、ヒドロキシシンナモイル-CoAエステルを生成するためのフェニルプロパノイドCoA経路の1種又は複数の酵素をコードする1種又は複数の核酸分子は、フェニルアラニンアンモニアリアーゼ、4-クマル酸-CoAリガーゼ、ケイ皮酸-4-ヒドロキシラーゼ、クマル酸-3-ヒドロキシラーゼ、カフェオイル-CoA O-メチルトランスフェラーゼ、フェルラ酸-5-ヒドロキシラーゼ、カフェイン酸/5-ヒドロキシフェルラ酸O-メチルトランスフェラーゼ、チロシンアンモニアリアーゼ、又はこれらの組合せを含む。更なる実施形態では、宿主細胞はS-アデノシル-メチオニンを過剰生産する。組換え真核宿主細胞を使用してチラミン含有ヒドロキシケイ皮酸アミドを生産するための方法、並びにチラミン含有ヒドロキシケイ皮酸アミドを含有する抽出物及び消費可能な製品も提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】ヒドロキシシンナモイル-CoAエステル及びチラミンからのチラミン含有ヒドロキシケイ皮酸アミドの生合成のための概略経路を示す図である。しかし、明確にするために補因子及び補基質は示されていない。フェニルプロパノイド経路の酵素は、フェニルアラニンアンモニア-リアーゼ(PAL、E.C.4.3.1.24)、ケイ皮酸-4-ヒドロキシラーゼ(C4H、E.C.1.14.14.91)、p-クマロイル-CoAリガーゼ(4CL、E.C.6.2.1.12)、クマル酸-3-ヒドロキシラーゼ(C3H、E.C.1.14.13.-)、クマロイル-CoA 3-ヒドロキシラーゼ(CCoA3H又は5-O-(4-クマロイル)-D-キナ酸3'-モノオキシゲナーゼ、E.C.1.14.14.96)、カフェオイル-CoA O-メチルトランスフェラーゼ(CCoAOMT、E.C.2.1.1.104)、フェルラ酸-5-ヒドロキシラーゼ(F5H、E.C.1.14.-.-)、及びカフェイン酸/5-ヒドロキシフェルラ酸O-メチルトランスフェラーゼ(COMT、E.C.2.1.1.68)である。チラミン含有ヒドロキシケイ皮酸アミドの生合成における追加の酵素は、ヒドロキシシンナモイルCoA:チラミンヒドロキシシンナモイルトランスフェラーゼ(THT、E.C.2.3.1.110)、チロシンアンモニアリアーゼ(TAL、E.C.4.3.1.23)、フェニルアラニンヒドロキシラーゼ(PAH、E.C.1.14.16.1)及びチロシンデカルボキシラーゼ(TYDC、E.C.4.1.1.25)を含む。
図2】フェニルアラニン及び/又はチロシンの過剰生産のための、S.セレビシエ(S. cerevisiae)及び大腸菌における操作された経路の概略図である。エリトロース4-リン酸(E4P)、ホスホエノールピルビン酸(PEP)、3-デオキシ-D-アラビノ-ヘプツロソン酸7-リン酸(DAHP)、3-デヒドロキナ酸(DHQ)、3-デヒドロ-シキミ酸(DHS)、シキミ酸(SHIK)、シキミ酸-3-リン酸(SHP)、5-エノールピルビルシキミ酸-3-リン酸(EP3P)、プレフェン酸(PPA)、フェニルピルビン酸(PPY)、para-ヒドロキシ-フェニルピルビン酸(HPP)、フェニルアセトアルデヒド(PAC)、para-ヒドロキシ-アセトアルデヒド(p-PAC)、L-フェニルアラニン(L-PHE)、L-チロシン(L-TYR)、p-クマル酸(p-CA)。「*」は過剰発現された酵素を示し、箱の中のAro10及びPdc5はノックアウトであり、「fbr」はフィードバック耐性を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
あるクラスのチラミン含有ヒドロキシケイ皮酸アミドは、バランスのとれた代謝(恒常性)の維持に関与する遺伝子の発現を調節する包括的な核転写因子HNF4α(肝細胞核因子4α)に対するアゴニスト活性を示すことが現在示されている。HNF4α活性をアゴナイズすることによって、植物特異的チラミン誘導体は、遊離脂肪酸の有害作用を軽減すること、代謝をモジュレートすること、消化の健康状態を改善すること並びに非アルコール性脂肪性肝疾患、非アルコール性脂肪性肝炎及びII型糖尿病等の代謝障害の根底にある病因に対処することにおいて使用される。したがって、本開示はこれらの生物活性植物代謝産物の組換え宿主細胞、抽出物、食品製品及び組換え生産方法を提供する。
【0010】
本明細書で使用される場合、本開示の生物活性植物代謝産物は、式(I):
【化1】
の構造を有するチラミン含有ヒドロキシケイ皮酸アミドである。
【0011】
一部の実施形態では、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、及びR9はそれぞれ独立して水素、重水素、ヒドロキシル、ハロゲン、シアノ、ニトロ、任意選択で置換されているアミノ、任意選択で置換されているC-アミド、任意選択で置換されているN-アミド、任意選択で置換されているエステル、任意選択で置換されている-(O)C1~6アルキル、任意選択で置換されている-(O)C1~6アルケニル、任意選択で置換されている-(O)C1~6アルキニル、任意選択で置換されている-(O)C4~12シクロアルキル、任意選択で置換されている-(O)C1~6アルキルC4~12シクロアルキル、任意選択で置換されている-(O)C4~12ヘテロシクリル、任意選択で置換されている-(O)C1~6アルキルC4~12ヘテロシクリル、任意選択で置換されている-(O)C4~12アリール、任意選択で置換されている-(O)C1~6アルキルC5~12アリール、任意選択で置換されている-(O)C1~12ヘテロアリール、及び任意選択で置換されている-(O)C1~6アルキルC1~12ヘテロアリールから選択される。
【0012】
一部の実施形態では、R1、R2、R3、及びR8はそれぞれ独立して水素、重水素、ヒドロキシル、ハロゲン、シアノ、ニトロ、任意選択で置換されているアミノ、任意選択で置換されているC-アミド、任意選択で置換されているN-アミド、任意選択で置換されているエステル、任意選択で置換されている-(O)C1~6アルキル、任意選択で置換されている-(O)C1~6アルケニル、任意選択で置換されている-(O)C1~6アルキニル、任意選択で置換されている-(O)C4~12シクロアルキル、任意選択で置換されている-(O)C1~6アルキルC4~12シクロアルキル、任意選択で置換されている-(O)C4~12ヘテロシクリル、任意選択で置換されている-(O)C1~6アルキルC4~12ヘテロシクリル、任意選択で置換されている-(O)C4~12アリール、任意選択で置換されている-(O)C1~6アルキルC5~12アリール、任意選択で置換されている-(O)C1~12ヘテロアリール、及び任意選択で置換されている-(O)C1~6アルキルC1~12ヘテロアリールから選択され、R4、R5、R6、R7、及びR9はそれぞれ独立して水素、重水素、ヒドロキシル、又はハロゲンである。
【0013】
一部の実施形態では、R1、R2、及びR8はそれぞれ独立して水素、重水素、ヒドロキシル、ハロゲン、シアノ、ニトロ、任意選択で置換されているアミノ、任意選択で置換されているC-アミド、任意選択で置換されているN-アミド、任意選択で置換されているエステル、任意選択で置換されている-(O)C1~6アルキル、任意選択で置換されている-(O)C1~6アルケニル、任意選択で置換されている-(O)C1~6アルキニル、任意選択で置換されている-(O)C4~12シクロアルキル、任意選択で置換されている-(O)C1~6アルキルC4~12シクロアルキル、任意選択で置換されている-(O)C4~12ヘテロシクリル、任意選択で置換されている-(O)C1~6アルキルC4~12ヘテロシクリル、任意選択で置換されている-(O)C4~12アリール、任意選択で置換されている-(O)C1~6アルキルC5~12アリール、任意選択で置換されている-(O)C1~12ヘテロアリール、及び任意選択で置換されている-(O)C1~6アルキルC1~12ヘテロアリールから選択され、R3、R4、R5、R6、R7、及びR9は、それぞれ独立して水素、重水素、ヒドロキシル、又はハロゲンである。
【0014】
一部の実施形態では、破線の結合は存在する又は存在しない。
【0015】
一部の実施形態では、XはCH2又はOである。
【0016】
一部の実施形態では、ZはCHRa、NRa、又はOである。
【0017】
一部の実施形態では、Raは水素、重水素、ヒドロキシル、ハロゲン、シアノ、ニトロ、任意選択で置換されているアミノ、任意選択で置換されているC-アミド、任意選択で置換されているN-アミド、任意選択で置換されているエステル、任意選択で置換されている-(O)C1~6アルキル、任意選択で置換されている-(O)C1~6アルケニル、任意選択で置換されている-(O)C1~6アルキニル、任意選択で置換されている-(O)C4~12シクロアルキル、任意選択で置換されている-(O)C1~6アルキルC4~12シクロアルキル、任意選択で置換されている-(O)C4~12ヘテロシクリル、任意選択で置換されている-(O)C1~6アルキルC4~12ヘテロシクリル、任意選択で置換されている-(O)C4~12アリール、任意選択で置換されている-(O)C1~6アルキルC5~12アリール、任意選択で置換されている-(O)C1~12ヘテロアリール、及び任意選択で置換されている-(O)C1~6アルキルC1~12ヘテロアリールから選択される。
【0018】
一部の実施形態では、式(I)の化合物は、(E)-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-N-(4-エトキシフェネチル)アクリルアミド、(E)-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-N-(4-(2-メトキシエトキシ)フェネチル)アクリルアミド、(E)-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-N-(4-(2-(メチルスルホニル)エトキシ)フェネチル)アクリルアミド、(E)-2-(4-(2-(3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)アクリルアミド)エチル)フェノキシ)酢酸、エチル(E)-2-(4-(2-(3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)アクリルアミド)エチル)フェノキシ)アセタート、(E)-N-(4-(シクロプロピルメトキシ)フェネチル)-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)アクリルアミド、(E)-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-N-(4-(3,3,3-トリフルオロプロポキシ)フェネチル)アクリルアミド、(E)-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-N-(4-((テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)メトキシ)フェネチル)アクリルアミド、(E)-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-N-(4-((4-フルオロベンジル)オキシ)フェネチル)アクリルアミド、(E)-N-(4-(シアノメトキシ)フェネチル)-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)アクリルアミド、(E)-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-N-(4-(ピリジン-3-イルメトキシ)フェネチル)アクリルアミド、(E)-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-N-(4-(ピリジン-2-イルメトキシ)フェネチル)アクリルアミド、(E)-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-N-(4-(2-(ジメチルアミノ)エトキシ)フェネチル)アクリルアミド、(E)-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-N-(4-イソブトキシフェネチル)アクリルアミド、(E)-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-N-(4-(ピリジン-4-イルメトキシ)フェネチル)アクリルアミド、(E)-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-N-(4-((4-メトキシベンジル)オキシ)フェネチル)アクリルアミド、(E)-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-N-(4-(オキセタン-3-イルメトキシ)フェネチル)アクリルアミド、(E)-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-N-(4-((テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)メトキシ)フェネチル)アクリルアミド、(E)-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-N-(4-((テトラヒドロフラン-2-イル)メトキシ)フェネチル)アクリルアミド、(E)-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-N-(4-(チオフェン-2-イルオキシ)フェネチル)アクリルアミド、(E)-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-N-(4-(3,3-ジメチルブトキシ)フェネチル)アクリルアミド、(E)-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-N-(4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェネチル)アクリルアミド、(E)-N-(4-((1H-テトラゾール-5-イル)メトキシ)フェネチル)-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)アクリルアミド、(E)-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-N-(4-((1-メチルピロリジン-2-イル)メトキシ)フェネチル)アクリルアミド、(E)-2-ヒドロキシ-5-(3-((4-ヒドロキシフェネチル)アミノ)-3-オキソプロパ-1-エン-1-イル)フェニル水素カルボナート、(E)-3-(4-ヒドロキシ-3-(ピリジン-4-イルオキシ)フェニル)-N-(4-ヒドロキシフェネチル)アクリルアミド、(E)-3-(4-ヒドロキシ-3-イソブトキシフェニル)-N-(4-ヒドロキシフェネチル)アクリルアミド、(E)-3-(3-(4-フルオロフェノキシ)-4-ヒドロキシフェニル)-N-(4-ヒドロキシフェネチル)アクリルアミド、(E)-3-(3-(シアノメトキシ)-4-ヒドロキシフェニル)-N-(4-ヒドロキシフェネチル)アクリルアミド、(E)-2-(2-ヒドロキシ-4-(3-((4-ヒドロキシフェネチル)アミノ)-3-オキソプロパ-1-エン-1-イル)フェノキシ)酢酸、(E)-3-(3-ヒドロキシ-4-(ピリジン-4-イルメトキシ)フェニル)-N-(4-ヒドロキシフェネチル)アクリルアミド、(E)-3-(4-((4-フルオロベンジル)オキシ)-3-ヒドロキシフェニル)-N-(4-ヒドロキシフェネチル)アクリルアミド、(E)-3-(3-ヒドロキシ-4-イソブトキシフェニル)-N-(4-ヒドロキシフェネチル)アクリルアミド、(E)-3-(4-(シアノメトキシ)-3-ヒドロキシフェニル)-N-(4-ヒドロキシフェネチル)アクリルアミド、(E)-N-(3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)アクリロイル)-N-(4-ヒドロキシフェネチル)グリシン、(E)-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-N-(4-ヒドロキシフェネチル)-N-(ピリジン-4-イルメチル)アクリルアミド、(E)-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-N-(4-ヒドロキシフェネチル)-N-イソブチルアクリルアミド、(E)-N-(シアノメチル)-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-N-(4-ヒドロキシフェネチル)アクリルアミド、又は3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-N-(4-ヒドロキシフェネチル)プロパンアミド、3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-N-(4-(メチルスルホンアミド)フェネチル)プロパンアミドから選択される。
【0019】
一部の実施形態では、本開示の生物活性植物代謝産物は、式(II):
【化2】
の構造を有する生成されたチラミン含有ヒドロキシケイ皮酸アミドである。
【0020】
一部の実施形態では、R1、R2、R3、及びR4はそれぞれ独立して水素、重水素、ヒドロキシル、ハロゲン、シアノ、ニトロ、任意選択で置換されているアミノ、任意選択で置換されているC-アミド、任意選択で置換されているN-アミド、任意選択で置換されているエステル、任意選択で置換されている-(O)C1~6アルキル、任意選択で置換されている-(O)C1~6アルケニル、任意選択で置換されている-(O)C1~6アルキニル、任意選択で置換されている-(O)C4~12シクロアルキル、任意選択で置換されている-(O)C1~6アルキルC4~12シクロアルキル、任意選択で置換されている-(O)C4~12ヘテロシクリル、任意選択で置換されている-(O)C1~6アルキルC4~12ヘテロシクリル、任意選択で置換されている-(O)C4~12アリール、任意選択で置換されている-(O)C1~6アルキルC5~12アリール、任意選択で置換されている-(O)C1~12ヘテロアリール、及び任意選択で置換されている-(O)C1~6アルキルC1~12ヘテロアリールから選択される。
【0021】
一部の実施形態では、破線の結合は存在する又は存在しない。
【0022】
一部の実施形態では、ZはCHRa、NRa、又はOである。
【0023】
一部の実施形態では、Raは水素、重水素、ヒドロキシル、ハロゲン、シアノ、ニトロ、任意選択で置換されているアミノ、任意選択で置換されているC-アミド、任意選択で置換されているN-アミド、任意選択で置換されているエステル、任意選択で置換されている-(O)C1~6アルキル、任意選択で置換されている-(O)C1~6アルケニル、任意選択で置換されている-(O)C1~6アルキニル、任意選択で置換されている-(O)C4~12シクロアルキル、任意選択で置換されている-(O)C1~6アルキルC4~12シクロアルキル、任意選択で置換されている-(O)C4~12ヘテロシクリル、任意選択で置換されている-(O)C1~6アルキルC4~12ヘテロシクリル、任意選択で置換されている-(O)C4~12アリール、任意選択で置換されている-(O)C1~6アルキルC5~12アリール、任意選択で置換されている-(O)C1~12ヘテロアリール、及び任意選択で置換されている-(O)C1~6アルキルC1~12ヘテロアリールから選択される。
【0024】
一部の実施形態では、式(II)の化合物は、(E)-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-N-(4-エトキシフェネチル)アクリルアミド、(E)-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-N-(4-(2-メトキシエトキシ)フェネチル)アクリルアミド、(E)-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-N-(4-(2-(メチルスルホニル)エトキシ)フェネチル)アクリルアミド、(E)-2-(4-(2-(3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)アクリルアミド)エチル)フェノキシ)酢酸、エチル(E)-2-(4-(2-(3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)アクリルアミド)エチル)フェノキシ)アセタート、(E)-N-(4-(シクロプロピルメトキシ)フェネチル)-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)アクリルアミド、(E)-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-N-(4-(3,3,3-トリフルオロプロポキシ)フェネチル)アクリルアミド、(E)-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-N-(4-((テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)メトキシ)フェネチル)アクリルアミド、(E)-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-N-(4-((4-フルオロベンジル)オキシ)フェネチル)アクリルアミド、(E)-N-(4-(シアノメトキシ)フェネチル)-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)アクリルアミド、(E)-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-N-(4-(ピリジン-3-イルメトキシ)フェネチル)アクリルアミド、(E)-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-N-(4-(ピリジン-2-イルメトキシ)フェネチル)アクリルアミド、(E)-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-N-(4-(2-(ジメチルアミノ)エトキシ)フェネチル)アクリルアミド、(E)-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-N-(4-イソブトキシフェネチル)アクリルアミド、(E)-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-N-(4-(ピリジン-4-イルメトキシ)フェネチル)アクリルアミド、(E)-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-N-(4-((4-メトキシベンジル)オキシ)フェネチル)アクリルアミド、(E)-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-N-(4-(オキセタン-3-イルメトキシ)フェネチル)アクリルアミド、(E)-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-N-(4-((テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)メトキシ)フェネチル)アクリルアミド、(E)-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-N-(4-((テトラヒドロフラン-2-イル)メトキシ)フェネチル)アクリルアミド、(E)-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-N-(4-(チオフェン-2-イルオキシ)フェネチル)アクリルアミド、(E)-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-N-(4-(3,3-ジメチルブトキシ)フェネチル)アクリルアミド、(E)-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-N-(4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェネチル)アクリルアミド、(E)-N-(4-((1H-テトラゾール-5-イル)メトキシ)フェネチル)-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)アクリルアミド、(E)-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-N-(4-((1-メチルピロリジン-2-イル)メトキシ)フェネチル)アクリルアミド、(E)-2-ヒドロキシ-5-(3-((4-ヒドロキシフェネチル)アミノ)-3-オキソプロパ-1-エン-1-イル)フェニル水素カルボナート、(E)-3-(4-ヒドロキシ-3-(ピリジン-4-イルオキシ)フェニル)-N-(4-ヒドロキシフェネチル)アクリルアミド、(E)-3-(4-ヒドロキシ-3-イソブトキシフェニル)-N-(4-ヒドロキシフェネチル)アクリルアミド、(E)-3-(3-(4-フルオロフェノキシ)-4-ヒドロキシフェニル)-N-(4-ヒドロキシフェネチル)アクリルアミド、(E)-3-(3-(シアノメトキシ)-4-ヒドロキシフェニル)-N-(4-ヒドロキシフェネチル)アクリルアミド、(E)-2-(2-ヒドロキシ-4-(3-((4-ヒドロキシフェネチル)アミノ)-3-オキソプロパ-1-エン-1-イル)フェノキシ)酢酸、(E)-3-(3-ヒドロキシ-4-(ピリジン-4-イルメトキシ)フェニル)-N-(4-ヒドロキシフェネチル)アクリルアミド、(E)-3-(4-((4-フルオロベンジル)オキシ)-3-ヒドロキシフェニル)-N-(4-ヒドロキシフェネチル)アクリルアミド、(E)-3-(3-ヒドロキシ-4-イソブトキシフェニル)-N-(4-ヒドロキシフェネチル)アクリルアミド、(E)-3-(4-(シアノメトキシ)-3-ヒドロキシフェニル)-N-(4-ヒドロキシフェネチル)アクリルアミド、(E)-N-(3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)アクリロイル)-N-(4-ヒドロキシフェネチル)グリシン、(E)-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-N-(4-ヒドロキシフェネチル)-N-(ピリジン-4-イルメチル)アクリルアミド、(E)-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-N-(4-ヒドロキシフェネチル)-N-イソブチルアクリルアミド、(E)-N-(シアノメチル)-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-N-(4-ヒドロキシフェネチル)アクリルアミド、3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-N-(4-ヒドロキシフェネチル)プロパンアミド、又は3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-N-(4-(メチルスルホンアミド)フェネチル)プロパンアミドから選択される。
【0025】
一部の実施形態では、本開示の生物活性植物代謝産物は、式(III)の構造を有するチラミン含有ヒドロキシケイ皮酸アミドを含む。
【化3】
式中、
Xの各出現は独立してC又はNであってもよく;Zは-CR6-又は-SO2-であってもよく、
R1は-OH、-OCH2CH2R7、若しくは-NHR8基から選択されてもよく、又はR1はR5と一緒になって6員の置換ヘテロシクロアルキル環を形成してもよく、R2及びR3は独立して水素若しくは-CH2CH2R7基から選択されるか、又はR2及びR3は一緒になって5若しくは6員のヘテロシクロアルキル環を形成し;R4は水素又は-CH2CH2R7基であってもよく;R5は存在しても又は存在しなくてもよく、存在する場合は1つ又は複数の環原子の置換基であり、各出現について独立してハロ、ヒドロキシ、アルキル、置換アルキル、アルコキシ、置換スルホニル、カルボキシルエステル、アミノ、置換アミノ、シアノ、アリール、置換アリール、シクロアルキル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリールであり;R6はH2、オキソ、置換アルキル、スピロシクロアルキル又はスピロヘテロシクロアルキルであってもよく;R7は水素、ヒドロキシ、アルキル、置換アルキル、アルコキシ、置換スルホニル、カルボキシルエステル、アミノ、置換アミノ、シアノ、アリール、置換アリール、シクロアルキル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリールであり;R8は置換スルホニル、置換アルキル、カルボキシルエステル又はアミノカルボニルであってもよく;破線の結合は存在しても又は存在しなくてもよい。
【0026】
一部の実施形態では、本開示の生物活性植物代謝産物は、式(IV)の構造を有するチラミン含有ヒドロキシケイ皮酸アミドを含む。
【化4】
式中、
Rlは存在する又は存在せず、存在する場合は1つ又は複数の環原子(例えば2、3、及び/又は4位)の置換基であり、各環原子について独立してヒドロキシ基、ハロ基、置換若しくは非置換低級アルキル基、又は置換若しくは非置換低級アルコキシ基であり、
破線の結合は存在する又は存在しない。この開示に従い、チラミン含有ヒドロキシケイ皮酸アミドはcis及びtrans異性体の両方を含む。
【0027】
本明細書の基について、以下の挿入的下付き文字は基を以下の通り更に定義する:「(Cn)」は基における正確な炭素原子数(n)を定義する。例えば「C1~C6-アルキル」は1~6つの炭素原子(例えば1、2、3、4、5、若しくは6つ、又はそこから導き出せる任意の範囲(例えば3~6つの炭素原子))を有するアルキル基を表す。
【0028】
用語「低級アルキル」は、1~6つの炭素原子を含有する分枝状又は非分枝状飽和一価炭化水素基(すなわちC1~C6-アルキル)、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、tert-ブチル、ブチル、n-ヘキシル等を意味することが意図される。
【0029】
同様に低級アルコキシ基は、Rが上で更に定義されている通りの「アルキル」である構造-ORを有するC1~C6-アルコキシ基である。特定のアルコキシ基は、例としてメトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシ、n-ブトキシ、tert-ブトキシ、iso-ブトキシ、sec-ブトキシ、n-ペントキシ、1,2-ジメチルブトキシ等を含む。
【0030】
用語「ハロ」は、クロロ(Cl)、フルオロ(F)、ブロモ(Br)及びヨード(I)基を指すために本明細書で使用される。特定の実施形態では、ハロ基はフルオロ基である。
【0031】
本明細書に記載の基のいずれかにおいて、置換された基(例えば置換低級アルキル基又は置換低級アルコキシ基)は、利用可能な水素がアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、アルキルアリール、ヘテロアラルキル、ヘテロアリールアルケニル、ヘテロアリールアルキニル、アルキルヘテロアリール、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アラルコキシ、アルコキシアルコキシ、アシル、ハロ、ニトロ、シアノ、カルボキシ、アラルコキシカルボニル、ヘテロアリールスルホニル、アルコキシカルボニル、アルキルスルホニル、アルキルチオ、アリールチオ、アリールオキシカルボニル、アリールスルホニル、ヘテロアリールチオ、アラルキルチオ、ヘテロアラルキルチオ、シクロアルキル、ヘテロシクリル又はグリコシル基で置き換えられていることを指す。
【0032】
この出願において示される構造の原子の任意の定義されていない価数は、その原子に結合した水素原子を暗に表す。
【0033】
一部の実施形態では、チラミン含有ヒドロキシケイ皮酸アミドは式(V)の構造を有する:
【化5】
式中、
R2は存在する又は存在せず、存在する場合はヒドロキシ又はメトキシ基であり、
R3は存在する又は存在せず、存在する場合はヒドロキシ基であり、
R4は存在する又は存在せず、存在する場合はヒドロキシ又はメトキシ基である。
【0034】
「異性体」は、特に光学異性体(例えば本質的に純粋なエナンチオマー、本質的に純粋なジアステレオマー、及びそれらの混合物)並びに配座異性体(すなわちそれらの少なくとも1つの化学結合の角度だけが異なる異性体)、位置異性体(特に互変異性体)、及び幾何異性体(例えばcis-trans異性体)を指す。
【0035】
ある特定の実施形態では、式(I)~(V)のチラミン含有ヒドロキシケイ皮酸アミドは、
【化6】
から選択される。
【0036】
この開示のチラミン含有ヒドロキシケイ皮酸アミドは、ソラナム属種(Solanum sp.)(例えばトマト、ジャガイモ、イラクサ、トウガラシ、及びナス)、アリウム属種(Allium sp.)(例えばニンニク、タマネギ、及びニラ)、トリビュラス属種(Tribulus sp.)(例えばハマヒジ)及びアノナ属種(Annona sp.)(例えばチェリモヤ、カスタードアップル及びバンレイシ)を含むいくつかの植物属に見出された。一般的に、この開示の生合成手法は、スキーム1に描かれる通りに行われ得る。
【化7】
【0037】
より具体的には、この開示のチラミン含有ヒドロキシケイ皮酸アミドの生合成経路は図1に提示される。図1に示される通り、チラミン含有ヒドロキシケイ皮酸アミドを生産することが可能な組換え宿主細胞が提供され、宿主細胞は、L-チロシン及び/又はL-フェニルアラニンを過剰生産し、ヒドロキシシンナモイル-CoAエステルを生成するためのフェニルプロパノイドCoA経路の1種又は複数の酵素をコードする1種又は複数の核酸分子、チロシンデカルボキシラーゼ(E.C.4.1.1.25)をコードする核酸分子、及びチラミンN-ヒドロキシシンナモイルトランスフェラーゼ(E.C.2.3.1.110)をコードする外因性核酸分子を含む。
【0038】
チロシン及びフェニルアラニン過剰生産
「L-チロシン又はL-フェニルアラニンの過剰生産」を示す宿主細胞は、野生型細胞と比較して増加した量のL-チロシン、L-フェニルアラニン又はL-チロシン及びL-フェニルアラニンの両方を生産するように遺伝的に改変された細胞を指す。本明細書で使用される場合、用語「フェニルアラニン」、「L-フェニルアラニン」、「Phe」及び「L-Phe」は互換的に使用される。同様に、用語「チロシン」、「L-チロシン」、「Tyr」及び「L-Tyr」は互換的に使用される。
【0039】
多くの細菌は、シキミ酸経路を介する芳香族化合物の天然の生産者である(Bongaertsら(2001) Metab. Eng. 3:289~300頁;Ikedaら(2006) Appl. Microbial. Biotechnol. 69:615~626頁;Sprengerら(2007) Appl. Microbial. Biotechnol. 75:739~749頁)。この経路において、中心代謝経路を通してグルコースから変換されたホスホエノールピルビン酸(PEP)及びエリトロース4-リン酸(E4P)は、初めに化合し、3-デオキシ-d-アラビノ-ヘプツロソン酸-7-リン酸(DAHP)を形成し、次いでこれはコリスミ酸に変換される。コリスミ酸から経路は分岐し、フェニルアラニン(Phe)、チロシン(Tyr)、及びトリプトファン(Trp)を含む様々な芳香族最終生成物を形成する(図2)。芳香族化合物の生産性を増強するために、遺伝的に改変された株が作製されている。例えばPhe生産において、最も重要な工程はシキミ酸経路の最初及び最後の工程である。しかし、これらの工程に含まれる酵素、DAHPシンターゼ(aroGによってコードされる)及びコリスミ酸ムターゼ/プレフェン酸デヒドラターゼ(pheAによってコードされる)は、Pheによって強力に阻害される。したがって、フィードバック耐性変異体(fbr)がPhe生産のために研究され、利用されている(Kikuchiら(1997) Appl. Environ. Microbiol. 63:761~762頁;Nelmsら(1992) Appl. Environ. Microbiol. 58:2592~2598頁)。加えて、aroG及びpheAの両方の発現のレベルは転写抑制因子TyrRによって制御され、したがってtyrRの欠失もPhe生産に効率的である(Berry (1996) Trends Biotechnol. 14:250~256頁)。DAHP前駆体PEP及びE4Pの可用性を増強するために、トランスケトラーゼ(tktA)及びPEPシンターゼ(pps)遺伝子は過剰発現され(Patnaik & Liao (1994) Appl. Environ. Microbiol. 60:3903~3908頁)、PEPカルボキシラーゼ遺伝子(ppc)は欠失され(Millerら(1987) J. Ind. Microbiol. 2:143~149頁)、炭素貯蔵調節因子遺伝子(csrA又はcsrB)は過剰発現又は欠失され(Tatarko & Romeo (2001) Curr. Microbiol. 43:26~32頁;Yakandawalaら(2008) Appl. Microbiol. Biotechnol. 78:283~291頁)、グルコース輸送系はPEP依存性糖ホスホトランスフェラーゼ系(PTS)からガラクトースパーミアーゼ(GalP)-グルコキナーゼ(Glk)系(Baez-Viverosら(2004) Biotechnol. Bioeng. 87:516~524頁;Yiら(2003) Biotechnol. Prog. 19:1450~1459頁)又はザイモモナス・モビリス(Zymomonas mobilis)グルコース促進因子(Glf)-Glk系に換えられている(Patnaik & Liao (1994) Appl. Environ. Microbiol. 60:3903~3908頁)。これらの改変は、芳香族化合物の生産を増強するために適切な組合せで使用されている。合成をL-チロシンに変えるために、コリスミ酸ムターゼ/プレフェン酸デヒドラターゼをコードするpheA遺伝子は欠失され、コリスミ酸ムターゼ/プレフェン酸デヒドロゲナーゼをコードするtyrAが、強いtrcプロモーターと共に挿入され、48時間で55g/LのL-Tyr力価が達成されている(Olsenら(2007) Appl. Microbiol. Biotechnol. 74(5):1031~40頁)。
【0040】
チロシン及び/又はフェニルアラニンの過剰生産のための例示的な細菌株は、Table 1(表1)に記載の株を含むが、これらに限定されない。
【0041】
【表1A】
【0042】
【表1B】
【0043】
S.セレビシエにおいて、芳香族化合物は芳香族アミノ酸生合成経路(AAP)により合成される(Braus (1991) Microbiol Rev. 55:349~70頁)。この高度に調節された経路は酵母代謝の中心ノードであり、いくつかの他の経路に入る(例えばキノン、葉酸及びエールリッヒ経路;図2)。フラックスバランス解析を使用して、エリトロース-4-リン酸(E4P)の可用性が、ZWF1を欠失させ、トランスケトラーゼをコードするTKL1を過剰発現させてフラックスを解糖中間体フルクトース-6-リン酸(F6P)及びグリセルアルデヒド-3-リン酸(G3P)からE4P及びキシルロース-5-リン酸(X5P)へと逆にすることによって達成され得ることが示されている。これは芳香族アミノ酸経路(APP;Deaner & Alper (2017) Metab. Eng. 40:14~22頁)へのフラックスの最大7倍の増加をもたらした。AAPへのフラックスを改善する別の手法は、トランスアルドラーゼ(Tall)及びエノラーゼ2(Eno2)の過剰発現である(Maoら(2017) Biotechnol. Lett. 39(7):977~982頁)。Tallは、セドヘプツロース-7-リン酸(S7P)及びG3PをE4P及びF6Pに変換することを支持し、Eno2は2-ホスホグリセリン酸をホスホエノールピルビン酸(PEP)に変換する。
【0044】
シキミ酸経路の最初の酵素的工程はDAHPシンターゼによって触媒され、これはE4P及びPEPを縮合して3-デオキシ-D-アラビノヘプツロソン酸7-リン酸(DAHP;図2)にする。酵母においてAR03及びAR04は2種のDAHPシンターゼアイソフォームをコードする。AR03の欠失並びにAro4K229L及びAR07FBRの過剰発現(フィードバック阻害を避けるため)の組合せは、芳香族アミノ酸経路を通るフラックスを増加させる(Luttikら(2008) Metab. Eng. 10:141~153頁)。更に、チロシン非感受性変異体Aro4G226Sは、チロシン由来ナリンゲニンの生産を改善し(Koopmanら(2012) Microb. Cell Fact. 11:155頁)、チロシン由来オピオイドの生産に使用されている(Galanieら(2015) Science 349:1095~100頁)。シキミ酸経路の最後の工程、すなわちコリスミ酸シンターゼ(Aro2)によるEPSPのコリスミ酸への変換は、AAPにおけるボトルネックであることが示されている。したがって、Aro2の過剰発現は、チロシンからのp-クマル酸のレベルにおいて2倍の改善をもたらすことが示されている(Maoら(2017) Biotechnol. Lett. 39(7):977~982頁)。
【0045】
コリスミ酸からチロシン及びフェニルアラニン分岐へと更に下流へ、Aro7によって触媒される共通の酵素的工程はコリスミ酸をプレフェン酸に変換する(図2)。Aro7は芳香族アミノ酸生合成経路の第3のフィードバック調節可能酵素である。Aro7の変異(例えばAro7G141S又はAro7T226I)は、S.セレビシエにおいてフィードバック調節を緩和し、Aro7の野生型アイソフォームを過剰発現する、同じように操作された株と比較した場合、チロシン及びフェニルアラニン経路の中間体の力価を改善することが示されている(Luttikら(2008) Metab. Eng. 10:141~153頁;Trenchardら(2015) Metab. Eng. 31:74~83頁)。
【0046】
次の反応工程は、プレフェン酸からフェニルアラニンの前駆体であるフェニルピルビン酸(PPY)、又はチロシンの前駆体であるヒドロキシフェニルピルビン酸(4-HPP)への変換である。Tyr1は4-HPPへの反応を触媒し、上の経路の改変と組み合わせたTyr1の過剰発現はチロシン由来p-クマル酸の生産を増加させることが示されている(Maoら(2017) Biotechnol. Lett. 39(7):977~982頁)。
【0047】
Aro10はアミノ酸の異化であるエールリッヒ経路への入口反応を触媒する。ARO10、PDC5及びPDC6の欠失によって、エールリッヒ経路中間体フェニルエタノールの力価は、フラボノイドのナリンゲニンを生産する株において22分の1になる(Koopmanら(2012) Microb. Cell Fact. 11:155)。
【0048】
チロシン及び/又はフェニルアラニンの過剰生産のための例示的な真核宿主細胞は、Table 2(表2)に記載の株を含むが、これらに限定されない。
【0049】
【表2】
【0050】
フェニルプロパノイドCoA経路
本開示に従い、フェニルプロパノイドCoA経路の1種又は複数の酵素をコードする1種又は複数の核酸分子は、操作されて組換え宿主細胞に入れられ、フェニルアラニン及び/又はチロシンからヒドロキシシンナモイル-CoAエステルを生産する。本明細書で使用される場合、用語「フェニルプロパノイドCoA経路」は、好ましくはフェニルアラニン及び/又はチロシンからのヒドロキシシンナモイル-CoAエステル(すなわちp-クマロイル-CoA、シンナモイル-CoA、カフェオイル-CoA、フェルロイル-CoA及びシナポイル-CoA)の生産に必要な細胞内部の酵素的経路を指す。図1に示される通り、フェニルプロパノイドCoA経路の酵素は、フェニルアラニンアンモニアリアーゼ、4-クマル酸-CoAリガーゼ、ケイ皮酸-4-ヒドロキシラーゼ、クマル酸-3-ヒドロキシラーゼ、クマロイル-CoA 3-ヒドロキシラーゼ、カフェオイル-CoA O-メチルトランスフェラーゼ、フェルラ酸-5-ヒドロキシラーゼ、カフェイン酸/5-ヒドロキシフェルラ酸O-メチルトランスフェラーゼ、チロシンアンモニアリアーゼを含む。より具体的には、フェニルアラニンはフェニルアラニンアンモニアリアーゼ(PAL;EC4.3.1.24)を発現することによってケイ皮酸に変換される。P450酵素であるケイ皮酸4-ヒドロキシラーゼ(C4H;E.C.1.14.14.91)を発現することによって、ケイ皮酸(trans-ケイ皮酸、ケイ皮酸又はtrans-シンナマートとしても公知)は、次いでp-クマル酸(para-ヒドロキシケイ皮酸、p-ヒドロキシケイ皮酸、4-ヒドロキシケイ皮酸又は4-ヒドロキシシンナマートとしても公知)に変換される。クマロイルCoAリガーゼ(4CL;E.C.6.2.1.12)は、p-クマル酸(及び他の置換ケイ皮酸)を対応するCoAチオールエステル(すなわちp-クマロイルCoA)に変換し、これはフラボノイド、イソフラボノイド、リグニン、スベリン、及びクマリンの生合成に使用される(Ehltingら(1999) Plant J. 19(1):9~20頁)。
【0051】
フェニルアラニンアンモニアリアーゼは植物(Koukolら(1961) J. Biol. Chem. 236:2692~2698頁)、真菌(Bandoniら(1968) Phytochemistry 7:205~207頁)、酵母(Ogataら(1967) Agric. Biol. Chem. 31:200~206頁)、及びストレプトマイセス(Streptomyces)(Emesら(1970) Can. J. Biochem. 48:613~622頁)において広く分布しているが、大腸菌又は哺乳動物細胞において見出されていない(Hanson & Havir、In: The Enzymes (第3版) Boyer編、Academic: New York、1967;75~167頁)。PAL酵素はフェニルアラニンをケイ皮酸に変換し、これはケイ皮酸-4-ヒドロキシラーゼ(C4H、E.C.1.14.14.91)によってp-クマル酸に更に変換され得る。更に、C4HはシトクロムP450酵素であるので、シトクロムP450レダクターゼ(CPR)も同時発現され得る。したがって、一部の実施形態では、本開示の宿主細胞はC4H酵素と組み合わせてPAL酵素を発現する。別の実施形態では、本開示の宿主細胞はC4H及びCPR酵素と組み合わせてPAL酵素を発現する。
【0052】
フェニルアラニンアンモニアリアーゼは、ある程度チロシンも基質として受け入れ、チロシンを直接p-クマル酸に変換する。例えばパセリ(Appertら(1994) Eur. J. Biochem. 225:491頁)又はトウモロコシ(Havirら(1971) Plant Physiol. 48:130頁)から単離されたPAL酵素は、チロシンを基質として使用する能力を実証する。同様に、ロドスポリジウム(Rhodosporidium)から単離されたPAL酵素(Hodgins (1971) J. Biol. Chem. 246:2977頁)もL-チロシンを基質として使用し得る。そのような酵素は、本明細書で「PAL/TAL」酵素(E.C.4.3.1.25;Rosierら(1997) Plant Physiol. 113:175~179頁)と称される。したがって、PAL酵素(特に少なくとも0.1のPAL/TAL活性比を有するもの)もこの開示の宿主細胞によって発現され得る。PAL/TAL活性をコードする野生型遺伝子を発現する組換え生物を作ることが望まれる場合、遺伝子はトウモロコシ、コムギ、パセリ、リゾクトニア・ソラニ(Rhizoctonia solani)、ロドスポリジウム、スポロボロマイセス・パラロセウス(Sporobolomyces pararoseus)、ロドスポリジウム、及びファネロケーテ・クリソスポリウム(Phanerochaete chrysosporium)から単離される(Hanson & Havir (1981) Biochem. Plants 7:577~625頁を参照されたい)。実例として、P.プチダ(P. putida)S12の芳香族アミノ酸過剰生産株を使用して、ロドスポリジウム・トルロイデス(Rhodosporidium toruloides)からの二機能性PAL/TAL酵素をコードするpal遺伝子は、ケイ皮酸(Nijkampら(2005) Appl. Microbiol. Biotechnol. 69:170~77頁)及びp-クマル酸(Nijkampら(2007) Appl. Microbiol. Biotechnol. 74:617~624頁)の生産を増加させることが示されている。同様に、アラビドプシス・タリアナからのPAL(AtPa11又はAtPa12)は、S.セレビシエにおいてフェニルアラニンのケイ皮酸への変換に使用されている(Koopmanら(2012) Microb. Cell Fact. 11:155頁)。
【0053】
p-クマル酸の生産につながる別の生合成経路は、TAL活性を有する酵素(E.C.4.3.1.23)の使用に基づく。フェニルアラニンをp-クマル酸に変換するために使用される2つの酵素反応の代わりに、TALはL-チロシンを直接p-クマル酸に変換する。したがって、一部の実施形態では、本開示の宿主細胞はTAL酵素を発現する。
【0054】
PAL及びTAL酵素の分類は、各基質への酵素の活性によって主に決定され、分類は好ましい基質に基づいて割り当てられる。TAL酵素はL-チロシンを基質として優先的に使用するものと定義されるが、PAL酵素はL-フェニルアラニンを基質として優先的に使用するものと定義される。しかし、これらの酵素は通常、程度の差はあるが、L-チロシン及びL-フェニルアラニンの両方を基質として受け入れる。したがって、一部の実施形態では、PAL及びTAL酵素は、一般的に「PAL/TAL酵素」と称される。
【0055】
一部の実施形態では、別のものと比べたある基質への特異性は、例えば天然に存在するPAL遺伝子を、L-チロシンを基質として優先的に使用する酵素をコードするものに変異させることによって達成され得る(米国特許第6,368,837号又は米国特許第6,521,748号を参照されたい)。PAL/TAL酵素の変異誘発のために様々な手法が使用され得る。変異誘発のための適切な手法は、エラープローンPCR(Leungら(1989) Techniques 1:11~15頁;Zhouら(1991) Nucleic Acids Res. 19:6052~6052頁;Speeら(1993) Nucl. Acids Res. 21:777~778頁)、in vitro変異誘発、及びin vivo変異誘発を含む。タンパク質操作は、「遺伝子シャッフリング」として一般的に知られている方法によって(米国特許第5,605,793号; 米国特許第5,811,238号; 米国特許第5,830,721号;及び米国特許第5,837,458号)、又は三次元構造及び古典的タンパク質化学に基づく合理的設計によって達成され得る。
【0056】
本開示におけるPAL、TAL又はPAL/TAL酵素及びC4H酵素の供給源は、任意の天然に存在する供給源から得られ又は誘導され得る。この開示において有用な適切なPAL、TAL、PAL/TAL及びC4H酵素の例はTable 3(表3)に記載される。
【0057】
【表3A】
【0058】
【表3B】
【0059】
別の態様では、L-フェニルアラニンは、フェニルアラニンヒドロキシラーゼ(PAH、E.C.1.14.16.1)活性を有する酵素を使用してL-チロシンに変換される。次いで、フェニルアラニンヒドロキシラーゼを使用して生産されたL-チロシンはその後、TAL活性を有する酵素を使用してp-クマル酸に変換される。したがって、一部の実施形態では、本開示の宿主細胞はTAL酵素と組み合わせてPAH酵素を発現する。PAH活性は、内因性であり得る又はチロシンの生産を増加させるために宿主細胞に導入され得る。PAH酵素は当技術分野で周知されており、プロテオバクテリア(Proteobacteria)において報告されている(Zhaoら(1994) Proc. Natl. Acad. Sci. USA. 91:1366頁)。例えばシュードモナス・エルギノーサ(Pseudomonas aeruginosa)は、フェニルアラニンヒドロキシラーゼを含む多重遺伝子オペロンを有する(Zhaoら(1994) Proc. Natl. Acad. Sci. USA. 91:1366頁)。L-フェニルアラニンのL-チロシンへの酵素的変換は真核生物においても知られている。ヒトフェニルアラニンヒドロキシラーゼは、肝臓において特異的に発現され、L-フェニルアラニンをL-チロシンに変換する(Wangら(1994) J. Biol. Chem. 269 (12):9137~46頁)。本開示におけるPAH酵素の供給源は、任意の天然に存在する供給源から得られ又は誘導され得る。この開示において有用な適切なPAH酵素の例はTable 4(表4)に記載される。
【0060】
【表4】
【0061】
一部の実施形態によると、宿主細胞は、フェニルプロパノイド経路の(i)PAL及びC4H、(ii)PAL、C4H及びCPR、(iii)PAL/TAL及びC4H、(iv)PAL/TAL、C4H及びCPR、(v)TAL、並びに/又は(vi)PAH及びTALをコードする核酸を組換え発現することによって、宿主細胞によって過剰生産された芳香族アミノ酸の一部(L-フェニルアラニン及び/又はL-チロシン)をp-クマル酸に変換するために必要とされる酵素をコードする核酸を組換え発現するように操作される。
【0062】
組換え宿主細胞によって生産されたp-クマル酸は、クマロイル-CoAリガーゼ活性を有する酵素を発現することによってp-クマロイル-CoAに変換される。クマロイル-CoAリガーゼ(4CL、E.C.6.2.1.12)は、p-クマル酸及び他の置換ケイ皮酸(例えばケイ皮酸、カフェイン酸、フェルラ酸及びシナピン酸)の対応するCoAチオールエステル(すなわちp-クマロイル-CoA、シンナモイル-CoA、カフェオイル-CoA、フェルロイル-CoA及びシナポイル-CoA)への変換を触媒する本開示の文脈において使用される。クマロイル-CoAリガーゼは当技術分野で周知されている。クマロイル-CoAリガーゼは、宿主細胞に対して内因性又は外因性であり得る。ある特定の実施形態では、クマロイル-CoAリガーゼは宿主細胞内で過剰発現され、p-クマロイル-CoA生産を増加させる。この開示において有用な公的に入手可能なクマロイル-CoAリガーゼの非限定的なリストはTable 5(表5)に提供される。
【0063】
【表5】
【0064】
一態様では、クマロイル-CoAリガーゼは、p-クマル酸をp-クマロイル-CoAに変換するその能力に基づいて選択される。別の態様では、複数のクマロイル-CoAリガーゼは同時発現され、チラミン含有ヒドロキシケイ皮酸アミドの生産を増加させる。
【0065】
それぞれp-クマル酸又はp-クマロイル-CoAからのカフェイン酸又はカフェオイル-CoAの生産について、組換え宿主細胞は、クマル酸-3-ヒドロキシラーゼ(C3H、E.C.1.14.13.-)又はクマロイル-CoA 3-ヒドロキシラーゼ(CCoA3H、E.C.1.14.14.96)をコードする核酸を更に含み、発現し得る。同様に、それぞれp-クマル酸又はp-クマロイル-CoAからのフェルラ酸又はフェルロイル-CoAの生産について、組換え宿主細胞は、クマル酸-3-ヒドロキシラーゼ(C3H、E.C.1.14.13.-)又はクマロイル-CoA 3-ヒドロキシラーゼ(CCoA3H、E.C.1.14.14.96)、及びカフェイン酸/5-ヒドロキシフェルラ酸O-メチルトランスフェラーゼ(COMT、E.C.2.1.1.68)又はカフェオイル-CoA O-メチルトランスフェラーゼ(CCoAOMT、E.C.2.1.1.104)をコードする核酸を更に含み、発現し得る。カフェオイル-CoAのフェルロイル-CoAへの変換を加速させ、これにより最終生成物の生産速度を上げるために、宿主細胞は、S-アデノシル-メチオニン(AdoMet)を補充されてもよく、AdoMetの過剰生産に選択されてもよく(Choiら(2009) Korean J. Chem. Eng. 26(1):156~9頁)又は任意選択でAdoMetを過剰生産するように操作されてもよい。実例として、酵母Met13p N末端触媒ドメイン及びアラビドプシス・タリアナMTHFR(AtMTHFR-1)C末端調節ドメインからなるキメラタンパク質を発現する酵母株は、野生型の100倍超のAdoMetを蓄積することが見出された(Rojeら(2002) J. Biol. Chem. 277:4056~4061頁)。したがって、ある特定の実施形態では、組換え宿主細胞はAdoMetを過剰生産する。更に、シナポイル-CoAを合成するために、組換え宿主細胞は、クマル酸-3-ヒドロキシラーゼ(C3H、E.C.1.14.13.-)又はクマロイル-CoA 3-ヒドロキシラーゼ(CCoA3H、E.C.1.14.14.96)、カフェイン酸/5-ヒドロキシフェルラ酸O-メチルトランスフェラーゼ(COMT、E.C.2.1.1.68)又はカフェオイル-CoA O-メチルトランスフェラーゼ(CCoAOMT、E.C.2.1.1.104)、及びフェルラ酸-5-ヒドロキシラーゼ(F5H、E.C.1.14.-.-)をコードする核酸を発現し得る。これらのヒドロキシシンナモイル-CoAエステルを生産するための公的に入手可能な酵素の非限定的なリストはTable 6(表6)に提供される。
【0066】
【表6A】
【0067】
【表6B】
【0068】
チラミン含有ヒドロキシケイ皮酸アミドの生産
ヒドロキシシンナモイル-CoAエステル(すなわちp-クマロイル-CoA、シンナモイル-CoA、カフェオイル-CoA、フェルロイル-CoA及びシナポイル-CoA)を対応するチラミン含有ヒドロキシケイ皮酸アミドに変換するために、宿主細胞は、チラミンN-ヒドロキシシンナモイルトランスフェラーゼ(THT、E.C.2.3.1.110)をコードする核酸分子も保有し、発現する。チラミンN-ヒドロキシシンナモイルトランスフェラーゼは、ヒドロキシシンナモイル-CoAエステルをチラミンにコンジュゲートさせ、チラミン含有ヒドロキシケイ皮酸アミド(すなわちN-カフェオイルチラミン、N-フェルロイルチラミン、p-クマロイルチラミン、シンナモイルチラミン又はシナポイルチラミン)を生産する本開示の文脈において使用される。THTは、当技術分野で周知されており、宿主細胞に対して内因性又は外因性であり得る。ある特定の実施形態では、THTは宿主細胞内で過剰発現される。この開示において有用な公的に入手可能なTHT酵素の非限定的なリストはTable 7(表7)に提供される。
【0069】
【表7】
【0070】
チラミンの供給源を提供するために、本宿主細胞はチロシンデカルボキシラーゼ(TYDC、E.C.4.1.1.25)をコードする核酸分子を更に含む。本開示の文脈において有用なチロシンデカルボキシラーゼはチロシンをチラミンに変換する。TYDCは宿主細胞に対して内因性又は外因性であり得、好ましくは宿主細胞内で過剰発現される。この開示において有用な公的に入手可能なTYDC酵素の非限定的なリストはTable 8(表8)に提供される。
【0071】
【表8】
【0072】
本明細書で使用される場合、用語「組換え宿主」、「組換え宿主細胞」又は「宿主細胞」は、少なくとも1つの組み込まれたDNA配列によってゲノムが増えた宿主を指すことが意図される。このようなDNA配列は、天然に存在しない遺伝子、通常はRNAに転写又はタンパク質に翻訳(「発現」)されないDNA配列、及び非組換え宿主に導入したい他の遺伝子又はDNA配列を含むが、これらに限定されない。典型的には本明細書に記載の組換え宿主細胞のゲノムは、1種又は複数の組換え遺伝子の安定な導入により増えることが認識される。しかし、自律又は複製プラスミド又はベクターもこの開示の範囲内で使用され得る。更に、本開示は低コピー数、例えば単一コピー、又は高コピー数(本明細書で例示される通り)のプラスミド又はベクターを使用して実施され得る。
【0073】
一般的に、導入されるDNAは、そのDNAのレシピエントである宿主に元々常在しないが、DNAセグメントを所与の宿主から単離し、その後例えば遺伝子産物の生産を増強する又は遺伝子の発現パターンを変えるために、そのDNAの1つ又は複数の追加のコピーを同じ宿主に導入することは本開示の範囲内である。一部の場合では、導入されるDNAは、例えば相同組換え又は部位特異的変異誘発によって内因性遺伝子又はDNA配列を改変する又は更には置き換える。
【0074】
用語「組換え遺伝子」又は「組換え核酸分子」は、レシピエント宿主に導入される遺伝子又はDNA配列を指し、同じ又は同様の遺伝子又はDNA配列がそのような宿主に既に存在し得るかどうかは関係ない。この文脈における「導入される」又は「増える」は、人の手によって導入される又は増えることを意味すると当技術分野で公知である。したがって、組換え遺伝子は、別の種からのDNA配列であってもよく、又は同じ種に由来する若しくは存在するDNA配列であってもよいが、組換え方法によって宿主に組み込まれ、組換え宿主を形成している。宿主に導入される組換え遺伝子は、形質転換される宿主に通常存在するDNA配列と同一であってもよく、導入され、DNAの1つ又は複数の追加のコピーを提供し、これによりそのDNAの遺伝子産物の過剰発現又は改変された発現を可能にすることが認識される。
【0075】
本明細書に記載のポリペプチドをコードする組換え遺伝子は、ポリペプチドを発現するのに適した1つ又は複数の調節領域にセンス方向で作動可能に連結したそのポリペプチドのコード配列を含む。多くの微生物はポリシストロン性mRNAから多数の遺伝子産物を発現することが可能であるので、望まれる場合、多数のポリペプチドがそれらの微生物の単一の調節領域の制御下で発現され得る。調節領域が配列の転写又は翻訳を調節するのに有効であるように、調節領域及びコード配列が配置される場合、コード配列及び調節領域は作動可能に連結しているとみなされる。典型的には、コード配列の翻訳リーディングフレームの翻訳開始部位は、モノシストロン性遺伝子の調節領域の1~約50ヌクレオチド下流に配置される。
【0076】
多くの場合、本明細書に記載のポリペプチドのコード配列は、組換え宿主以外の種において特定され、すなわち異種核酸である。本明細書で使用される用語「異種核酸」は、組換え宿主に導入される核酸であって、前記宿主に天然に存在しない核酸を指す。したがって、組換え宿主が微生物である場合、コード配列は他の原核若しくは真核微生物、植物又は動物からのものであり得る。しかしある場合には、コード配列は、宿主に由来し、その生物に再導入されている配列である。天然配列は、外因性核酸に連結した非天然配列、例えば、組換え核酸コンストラクトにおける天然配列に隣接する非天然調節配列の存在によって天然に存在する配列としばしば区別され得る。加えて、安定に形質転換された外因性核酸は典型的には、天然配列が見出される位置以外の位置に組み込まれる。
【0077】
「調節領域」又は「調節配列」は、転写又は翻訳開始及び速度、並びに転写又は翻訳産物の安定性及び/又は移動性に影響を及ぼすヌクレオチド配列を指す。調節領域は限定なしに、プロモーター配列、エンハンサー配列、応答エレメント、タンパク質認識部位、誘導エレメント、タンパク質結合配列、5'及び3'非翻訳領域(UTR)、転写開始部位、終止配列、ポリアデニル化配列、イントロン、及びこれらの組合せを含む。調節領域は、典型的には少なくともコア(基本)プロモーターを含む。調節領域は、少なくとも1つの制御エレメント、例えばエンハンサー配列、上流エレメント又は上流活性化領域(UAR)も含み得る。調節領域が配列の転写又は翻訳を調節するのに有効であるように、調節領域及びコード配列を配置することによって、調節領域はコード配列に作動可能に連結される。例えば、コード配列及びプロモーター配列を作動可能に連結するために、コード配列の翻訳リーディングフレームの翻訳開始部位は、典型的にはプロモーターの1~約50ヌクレオチド下流に配置される。しかし、調節領域は、翻訳開始部位の約5,000ヌクレオチドも上流、又は転写開始部位の約2,000ヌクレオチド上流に配置され得る。
【0078】
含まれる調節領域の選択は、効率、選択性、誘導性、所望の発現レベル、及びある特定の培養段階中の優先発現を含むが、これらに限定されないいくつかの因子に依存する。コード配列に対して調節領域を適当に選択し、配置することによって、コード配列の発現をモジュレートすることは当業者にとって日常的な事柄である。1つより多くの調節領域、例えばイントロン、エンハンサー、上流活性化領域、転写ターミネーター、及び誘導エレメントが存在し得ることが理解される。
【0079】
所望の宿主細胞において関連遺伝子の発現を駆動するのに有用なプロモーターは多数あり、当業者によく知られている。宿主細胞における発現は、一時的又は安定な方法で達成され得る。一時的発現は、目的の遺伝子に作動可能に連結した調節可能なプロモーターの活性を誘導することによって達成され得る。安定な発現は、目的の遺伝子に作動可能に連結した構成的プロモーターの使用によって達成され得る。実際には、これらの遺伝子を駆動することが可能な任意のプロモーターが本開示に適しており、FBAIN、FBAINm、EXP、FBA1、GPAT、CYC1、HIS3、GALl、GAL10、ADH1、PGK、PROS、GAPDH、ADCI、TRP1、URA3、LEU2、ENO、TPI;AOXI(ピキア(Pichia)における発現に特に有用);並びにlac、trp、IPL、IPRR、T7、tac、及びtrc(大腸菌における発現に特に有用)を含むがこれらに限定されない。
【0080】
宿主細胞が酵母である場合、酵母細胞において機能的な転写及び翻訳領域は、特に宿主種から提供される(例えばWO2004/101757を参照されたい)。プロモーターは、例えば解糖経路の遺伝子、例えばアルコールデヒドロゲナーゼ、グリセルアルデヒド-3-リン酸-デヒドロゲナーゼ、グリセルアルデヒド-3-リン酸O-アシルトランスフェラーゼ、ホスホグリセリン酸ムターゼ、フルクトース-ビスリン酸アルドラーゼ、ホスホグルコース-イソメラーゼ、ホスホグリセリン酸キナーゼ等;又は調節可能な遺伝子、例えば酸性ホスファターゼ、ラクターゼ、メタロチオネイン、グルコアミラーゼ、翻訳伸長因子EFl-cx(TEF)タンパク質(米国特許第6,265,185号)、リボソームタンパク質S7(米国特許第6,265,185号)等から得られ得る。いくつかの調節配列のいずれか1つは、構成的又は誘導転写が望まれるかどうか、目的のオープンリーディングフレームの発現におけるプロモーターの効率、構築の容易さ等に応じて使用され得る。
【0081】
翻訳開始コドン「ATG」周囲のヌクレオチド配列は、酵母細胞における発現に影響を及ぼすことが見出されている。所望のポリペプチドが酵母において不十分に発現される場合、遺伝子は、最適な遺伝子発現を得るために、効率的な酵母翻訳開始配列を含むように改変された外因性のヌクレオチド配列であり得る。酵母における発現について、これは、非効率的に発現される遺伝子を内因性酵母遺伝子、好ましくは高度に発現される遺伝子にインフレームで融合することによって、その部位特異的変異誘発によって行われ得る。
【0082】
終結制御領域も、好ましい宿主に由来する様々な遺伝子から誘導され得る。任意選択で、終結部位は不要であり得るが、含まれている場合最も好ましい。終結領域は、開始領域が得られた遺伝子の3'領域から又は異なる遺伝子から誘導され得る。多数の終結領域が知られており、様々な宿主において十分に機能する(これらが誘導された同じ及び異なる属及び種の両方において利用される場合)。終結領域は通常、任意の特定の特性のためよりも便宜上選択される。好ましくは、終結領域は酵母遺伝子、特にサッカロマイセス(Saccharomyces)、シゾサッカロマイセス(Schizosaccharomyces)、カンジダ(Candida)、ヤロウイア(Yarrowia)又はクルイウェロマイセス(Kluyveromyces)から誘導される。y-インターフェロン及びα-2インターフェロンをコードする哺乳動物遺伝子の3'領域も酵母において機能することが知られている。終結制御領域も、好ましい宿主に由来する様々な遺伝子から誘導され得る。任意選択で、終結部位は不要であり得るが、含まれている場合最も好ましい。一実施形態では、ターミネーターはLIP2、PEX20、及びXPR2からなる群から選択される。
【0083】
1種又は複数の遺伝子、例えば1種又は複数の異種核酸は、チラミン含有ヒドロキシケイ皮酸アミド生産に有用な「モジュール」で組換え核酸コンストラクトにおいて組み合わされ得る。複数の遺伝子又は異種核酸をモジュールで組み合わせることは、様々な種におけるモジュールの使用を促進する。例えば、L-チロシン及び/又はL-フェニルアラニン、ヒドロキシシンナモイル-CoAエステル、チラミン及びチラミン含有ヒドロキシケイ皮酸アミドの生合成に関与する遺伝子は、各コード配列が個別の調節領域に作動可能に連結され、真核生物における生産のためのチラミン含有ヒドロキシケイ皮酸アミドモジュールを形成するように組み合わされ得る。代替的に、モジュールは、ロドバクター(Rhodobacter)、大腸菌、バチルス(Bacillus)又はラクトバチルス(Lactobacillus)等の原核宿主においてチラミン含有ヒドロキシケイ皮酸アミドの生産のためのポリシストロン性メッセージを発現し得る。チラミン含有ヒドロキシケイ皮酸アミド生産に有用な遺伝子に加えて、組換えコンストラクトは、典型的には複製起点、及び適当な種におけるコンストラクトの維持のための1つ又は複数の選択可能マーカーも含有する。
【0084】
遺伝子コードの縮重により、いくつかの核酸が特定のポリペプチドをコードし得る;すなわち多くのアミノ酸について、アミノ酸のコドンとして働く1つより多くのヌクレオチドトリプレットが存在することが認識される。したがって、所与ポリペプチドのコード配列におけるコドンは、特定の宿主における最適な発現が得られるように、その宿主(例えば微生物)の適当なコドンバイアス表を使用して改変され得る。単離された核酸として、これらの改変された配列は精製された分子として存在することができ、コンストラクトのモジュールの構築に組み込まれ得る。
【0085】
標準的な組換えDNA及び分子クローニング技術を使用して、この開示のコンストラクト及び組換え宿主細胞を調製することができる。例えばSambrookら(1989) Molecular Cloning: A Laboratory Manual、第2版、Cold Spring Harbor Laboratory、Cold Spring Harbor、NY;Silhavyら(1984) Experiments with Gene Fusions、Cold Spring Harbor Laboratory、Cold Spring Harbor、NY;及びAusubelら(1987) In Current Protocols in Molecular Biology、Wiley-Interscienceを参照されたい。
【0086】
本開示は、真核宿主細胞においてチラミン含有ヒドロキシケイ皮酸アミドを生産するために、L-チロシン及び/又はL-フェニルアラニンの過剰生産、ヒドロキシシンナモイル-CoAエステル及びチラミン前駆体の生合成のための酵素、並びにチラミンN-ヒドロキシシンナモイルトランスフェラーゼをコードする核酸を保有するチラミン含有ヒドロキシケイ皮酸アミド生産組換え宿主細胞を提供する。本開示による使用のために企図される原核及び両方は、単一の細胞及び細胞培養物中の細胞、例えば細胞株である。適切な細胞の例は、細菌宿主細胞、例えば大腸菌又はバチルス属種;酵母宿主細胞、例えばサッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae);昆虫宿主細胞、例えばスポドプテラ・フルギペルダ(Spodoptera frugiperda);又はヒト宿主細胞、例えばHeLa及びJurkat細胞を含む。好ましい真核宿主細胞は、例えばカンジダ属種、ピキア属種及びサッカロマイセス属種からの一倍体細胞である。細菌宿主細胞が使用され得るが、本開示は真核宿主細胞、特に、サッカロマイセス、クルイウェロマイセス、ピキア、ハンゼヌラ(Hansenula)、シゾサッカロマイセス、クルイウェロマイセス、ヤロウイア及びカンジダ属の酵母宿主細胞の使用を採用することが好ましい。S.セレビシエは、この開示の化合物の生産のための代謝操作プラットフォームとしていくつかの魅力的な特徴を有する。分子及び合成生物学技術へのその優れた利用可能性に加えて、その真核的性質は植物由来生合成遺伝子の機能的発現を促進する。例えば、S.セレビシエは、シトクロムP450含有酵素を機能的に発現することができ、その細胞内区画は植物細胞のものと同等である。最後に、そのGRAS(一般的に安全と認められる)ステータスは、哺乳動物における使用のための化合物の生産へのその後の適用を促進する。したがって、ある特定の実施形態では、宿主細胞は好ましくは真核宿主細胞、最も好ましくはS.セレビシエである。
【0087】
外来タンパク質の高レベル発現を指示する調節配列を含有する、微生物発現系及び発現ベクターは当業者に周知されている。これらのいずれかを使用して、宿主細胞におけるチラミン含有ヒドロキシケイ皮酸アミドの生産のためのキメラ遺伝子を構築することができる。次いでこれらのキメラ遺伝子は、形質転換により適当な微生物に導入され、酵素の高レベルの発現を可能にし得る。
【0088】
適当な発現コンストラクトが宿主細胞における発現のために調製されたら、それは宿主細胞において自律複製が可能なプラスミドベクターに入れられる、又はそれは宿主細胞のゲノムに直接組み込まれる。発現カセットの組込みは、宿主ゲノム内でランダムに起こり得る、又は宿主遺伝子座との組換えを標的化するのに十分な宿主ゲノムとの相同性領域を含有するコンストラクトの使用により標的化され得る。コンストラクトが内因性遺伝子座に標的化される場合、転写及び翻訳調節領域の全て又は一部が内因性遺伝子座によって提供され得る。
【0089】
2種以上の遺伝子が別々の複製ベクターから発現される場合、各ベクターが異なる選択手段を有し、安定な発現を維持し、コンストラクト間のエレメントの再集合を防止するために他のコンストラクトに対する相同性を欠くべきであることが望ましい。調節領域、選択手段及び導入されたコンストラクトの増殖方法の賢明な選択は、全ての導入された遺伝子が必要なレベルで発現され、所望の生成物の合成をもたらすように実験的に決定され得る。
【0090】
目的のコード領域を保有するコンストラクトは、任意の標準的な技術によって宿主細胞に導入され得る。これらの技術は、形質転換(例えば酢酸リチウム形質転換[Guthrie, C.、Methods in Enzymology、194:186~187頁(1991)])、プロトプラスト融合、微粒子銃衝撃、電気穿孔、微量注入、又は目的の遺伝子を宿主細胞に導入する任意の他の方法を含む。
【0091】
便宜上、DNA配列(例えば発現カセット)を取り込むように任意の方法によって操作された宿主細胞は、本明細書で「形質転換された」又は「組換え」と称される。形質転換された宿主は、遺伝子がゲノムに組み込まれるか、増幅されるか、又は多数のコピー数を有する染色体外エレメント上に存在するかどうかに応じて、発現コンストラクトの少なくとも1つのコピーを有し、2つ以上を有し得る。形質転換された宿主細胞は、導入されたコンストラクトに含有されるマーカーの選択によって特定され得る。
【0092】
代替的に、多くの形質転換技術は多くのDNA分子を宿主細胞に導入するので、個別のマーカーコンストラクトは、所望のコンストラクトと同時形質転換され得る。典型的には、形質転換された宿主は、選択培地上で増殖するそれらの能力で選択される。選択培地は、抗生物質を組み込み得る又は形質転換されていない宿主の増殖に必要な因子、例えば栄養素若しくは増殖因子を欠き得る。導入されたマーカー遺伝子は、抗生物質耐性を付与する又は必須の増殖因子若しくは酵素をコードすることができ、これにより、形質転換された宿主において発現された場合に選択培地上での増殖を可能にする。形質転換された宿主の選択は、発現されたマーカータンパク質が直接的又は間接的に検出され得る場合にも起こり得る。マーカータンパク質は、単独で、又は別のタンパク質との融合物として発現され得る。マーカータンパク質は、その酵素活性(例えば、β-ガラクトシダーゼは基質X-gal[5-ブロモ-4-クロロ-3-インドリル-β-D-ガラクトピラノシド]を着色生成物に変換することができ、ルシフェラーゼはルシフェリンを発光生成物に変換することができる);又はその光生産若しくは変更特性(例えば、エクオレア・ビクトリア(Aequorea Victoria)の蛍光青色光で照射された場合の緑色蛍光タンパク質)によって検出され得る。代替的に、抗体を使用して、例えば目的のタンパク質上のマーカータンパク質又は分子タグを検出することができる。マーカータンパク質又はタグを発現する細胞は、例えば、視覚的に又はFACS若しくは抗体を使用するパンニング等の技術によって選択され得る。酵母形質転換体の選択について、酵母において機能する任意のマーカーが使用され得る。カナマイシン、ハイグロマイシン及びアミノグリコシドG418に対する耐性、並びにウラシル又はロイシンを欠く培地上で増殖する能力が、ここでの使用に好ましい。
【0093】
組換え宿主細胞に加えて、この開示は、組換え宿主細胞を使用してチラミン含有ヒドロキシケイ皮酸アミドを生産するための方法も含む。この開示の方法に従い、チラミン含有ヒドロキシケイ皮酸アミドを生産することが可能な組換え真核宿主細胞は提供され、前記組換え真核宿主細胞はチラミン含有ヒドロキシケイ皮酸アミドを生産するのに十分な時間培養される。生産されたら、チラミン含有ヒドロキシケイ皮酸アミドは、組換え真核宿主細胞又は培養上澄みから単離される。一般的に、目的の特定のコード領域の高レベル発現のために最適化され得る培地条件は、炭素源の種類及び量、窒素源の種類及び量、炭素対窒素比、酸素レベル、増殖温度、pH、バイオマス生産期の長さ及び細胞収穫の時間を含む。酵母等の目的の微生物は、複合培地(例えば酵母抽出物-ペプトン-デキストロース培養液(YPD))又は増殖に必要な成分を欠き、これにより所望の発現カセットの選択を強制する限定最少培地(例えばYeast Nitrogen Base(DIFCO Laboratories社、Detroit、MI))において増殖させる。
【0094】
本開示における発酵又は培養培地は、チラミン含有ヒドロキシケイ皮酸アミドの生産のための適切な炭素源を含有しなければならない。適切な炭素源は、単糖(例えばグルコース、フルクトース)、二糖(例えばラクトース、スクロース)、オリゴ糖、多糖(例えばデンプン、セルロース又はこれらの混合物)、糖アルコール(例えばグリセロール)又は再生可能原料(例えば乳清透過液、コーンスティープリカー、テンサイ糖蜜、オオムギの麦芽)の混合物を含み得るが、これらに限定されない。加えて、炭素源はアルカン、脂肪酸、脂肪酸のエステル、モノグリセリド、ジグリセリド、トリグリセリド、リン脂質並びに植物油(例えばダイズ油)及び動物性脂肪を含む脂肪酸の様々な市販の供給源を含み得る。加えて、炭素源は、重要な生化学中間体への代謝変換が実証されている一炭素源(例えば二酸化炭素、メタノール、ホルムアルデヒド、ギ酸、炭素含有アミン)を含み得る。したがって、本開示において利用される炭素の供給源は、多種多様な炭素含有供給源を包含することができ、宿主生物の選択によってのみ限定されることが企図される。上記の炭素源及びその混合物の全てが本開示において適していることが予期されるが、好ましい炭素源は糖及び/又は脂肪酸である。グルコース及び/又は10~22個の炭素を含有する脂肪酸が最も好ましい。
【0095】
窒素は、無機(例えば(NH4)2SO4)又は有機源(例えば尿素又はグルタミン酸)から供給され得る。適当な炭素及び窒素源に加えて、発酵培地は適切なミネラル、塩、補因子、緩衝液、ビタミン、及び微生物の増殖に適した、当業者に公知の他の成分も含有しなければならない。
【0096】
炭素源(例えばグルコース又は糖蜜)からのチラミン含有ヒドロキシケイ皮酸アミドの生産に代えて又は加えて、この開示は、チラミン含有ヒドロキシケイ皮酸アミドを生産するための生合成経路の中間の1種又は複数の基質の発酵槽培地への外因性供給も提供する。したがって、更なる態様では、L-フェニルアラニン、L-チロシン、ケイ皮酸、p-クマル酸、カフェイン酸、フェルラ酸、シナピン酸及び/又はS-アデニル-L-メチオニンは、この開示の組換え宿主細胞に外因的に供給され得る。当業者は、遊離芳香族アミノ酸の濃度の低下が組換え宿主細胞の生存能力又は健康に有害でないように、芳香族アミノ酸生産からチラミン含有ヒドロキシケイ皮酸アミドの生産への炭素の流れのバランスをとる必要があることを認める。したがって、一部の実施形態では、L-フェニルアラニン及び/又はL-チロシンは、チラミン含有ヒドロキシケイ皮酸アミドの生産を増加させるために、培養培地に外因的に供給され得る。
【0097】
この開示の組換え宿主細胞は、当技術分野で公知の方法を使用して培養され得る。例えば、細胞は、適切な培地において、目的のコード領域の発現を可能にする条件下で行われる、振盪フラスコ培養、実験室用又は産業用発酵槽における小規模又は大規模発酵によって培養され得る。チラミン含有ヒドロキシケイ皮酸アミドの商業的生産が望まれる場合、様々な発酵方法が適用され得る。例えば、組換え宿主から過剰発現された特定の遺伝子産物の大規模生産は、バッチ、フェドバッチ又は連続発酵プロセスによって生産され得る。
【0098】
バッチ発酵プロセスは閉鎖系であり、培地組成はプロセスの開始時に固定され、プロセス中のpH及び酸素レベルの維持に必要なもの以外は更なる追加を受けない。したがって、培養プロセスの開始時に、培地に所望の生物を接種し、追加の供給源(すなわち炭素及び窒素源)を培地に添加することなく増殖又は代謝活動が生じることが可能になる。バッチプロセスにおいて、系の代謝産物及びバイオマス組成物は、培養が終了するときまで絶えず変化する。典型的なバッチプロセスにおいて、細胞は静止遅滞期を経て高増殖対数期、最後に静止期に進み、増殖速度は落ちる又は停止する。処理しないままにすると、静止期の細胞は最終的に死滅する。標準的なバッチプロセスの変形はフェドバッチプロセスであり、供給源が発酵プロセスの過程にわたり発酵槽に連続的に添加される。フェドバッチプロセスも本開示において適している。異化産物抑制が細胞の代謝を阻害する傾向がある場合、又はどの時点でも限定量の供給源が培地中にあることが望ましい場合、フェドバッチプロセスは有用である。フェドバッチ系における供給源濃度の測定は難しく、したがって、pH、溶存酸素及び排ガス(例えばCO2)の分圧等の測定可能な因子の変化に基づいて推定され得る。バッチ及びフェドバッチ培養方法は、当技術分野で一般的であり、周知されており、例はBiotechnology: A Textbook of Industrial Microbiology、第2版、(1989)Thomas D. Brock、Sinauer Associates Sunderland、Mass.;又はMukund V. Deshpande、(1992). Appl. Biochem. Biotechnol.、36:227頁において見出され得る。
【0099】
チラミン含有ヒドロキシケイ皮酸アミドの商業的生産は連続発酵プロセスによっても達成されてよく、限定培地がバイオリアクターに連続的に添加される一方で、等量の培養物体積が、生成物回収のために同時に取り出される。連続培養は一般的に細胞を一定の細胞密度の対数増殖期に維持する。連続又は半連続培養方法は、細胞増殖又は最終生成物濃度に影響を及ぼす1つの因子又は任意の数の因子のモジュレーションを可能にする。例えば、1つの手法は炭素源を限定し、全ての他のパラメーターが代謝を加減することを可能にし得る。他の系において、培地の濁度によって測定される細胞濃度を一定に維持しながら、増殖に影響を及ぼすいくつかの因子は連続的に変えられ得る。連続系は定常状態増殖を維持することを目指しており、したがって、細胞増殖速度は、培養から取り除かれた培地による細胞損失に対してバランスをとらなければならない。連続培養プロセスのための栄養素及び増殖因子をモジュレートする方法、並びに生成物形成速度を最大化する技術は、産業微生物学の技術分野において周知されている。
【0100】
チラミン含有ヒドロキシケイ皮酸アミドは、宿主細胞から又は培養上澄みから、溶媒抽出(例えば分配)若しくは沈殿、活性炭による処理、蒸発、濾過、クロマトグラフ分別、又はこれらの組合せによって抽出され得る。溶媒抽出は、例えばn-ペンタン、ヘキサン、ブタン、クロロホルム、ジクロロメタン、ジエチルエーテル、アセトニトリル、水、ブタノール、イソプロパノール、エタノール、メタノール、氷酢酸、アセトン、ノルフルラン(HFA134a)、酢酸エチル、ジメチルスルホキシド、ヘプタフルオロプロパン(HFA227)、並びに亜臨界又は超臨界流体、例えば液体二酸化炭素及び水、又は任意の割合のこれらの組合せを使用して行われ得る。上記のもの等の溶媒が使用される場合、得られる抽出物は典型的には非特異的脂溶性物質を含有する。これは、特定の温度、典型的には-20℃に冷やすこと、続いて蝋質のバラストを除去するための濾過又は遠心分離、亜臨界若しくは超臨界二酸化炭素又は非極性溶媒(例えばヘキサン)による抽出、及び蒸留を伴う「脱蝋」を含む様々なプロセスによって除去され得る。
【0101】
チラミン含有ヒドロキシケイ皮酸アミドが濃縮された抽出物は、理想的にはクロマトグラフ分別によって得られる。クロマトグラフ分別は、典型的にはカラムクロマトグラフィーを含み、分子サイズ、電荷、溶解度及び/又は極性に基づき得る。クロマトグラフィー法の種類に応じて、カラムクロマトグラフィーは、例えばデキストラン、寒天、ポリアクリルアミド又はシリカからなるマトリックス物質で行われてもよく、ジメチルスルホキシド、ピリジン、水、ジメチルホルムアミド、メタノール、食塩水、エチレンジクロリド、クロロホルム、プロパノール、エタノール、イソブタノール、ホルムアミド、メチレンジクロリド、ブタノール、アセトニトリル、イソプロパノール、テトラヒドロフラン、ジオキサン、クロロホルム/ジクロロメタン等の溶媒を含み得る。
【0102】
典型的には、クロマトグラフィー工程の生成物は多数のフラクションで収集され、次いでこれらは任意の適切な分析技術(例えば薄層クロマトグラフィー、質量分析法)を使用して所望の化合物の存在について試験され得る。次いで所望の化合物が濃縮されたフラクションは、更なる精製のために選択され得る。
【0103】
代替法として、又はクロマトグラフィーと併せて、結晶化を行って高純度のチラミン含有ヒドロキシケイ皮酸アミドを得ることができる。チラミン含有ヒドロキシケイ皮酸アミドの溶解度は、溶液の温度及び/若しくは組成を変化させることによって、例えばエタノールを除去することによって、並びに/又はpHを調整して沈殿を促進し、続いて沈殿した結晶若しくは油状物の濾過若しくは遠心分離によって調整される。
【0104】
実例として、N-trans-カフェオイルチラミンを含む抽出物は、宿主細胞又は培養上澄みを80%エタノールに室温で供し、80%エタノール抽出物を濾過及び濃縮し、濃縮された抽出物を水に再懸濁し、水溶液をヘキサンで分配し、クロロホルムを水性層に添加し、クロロホルム層を、シリカゲルを用いる液体クロマトグラフィーに供することによって得られる。例えばKoら(2015) Internatl. J. Mol. Med. 36(4):1042~8頁を参照されたい。
【0105】
チラミン含有ヒドロキシケイ皮酸アミドを含む抽出物は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)又は高速薄層クロマトグラフィー(HPTLC)等の従来の技術を使用して標準化され得る。用語「標準化された抽出物」は、抽出物中に存在する特徴的な成分又は生物活性マーカーを特定することによって標準化された抽出物を指す。特徴付けは、例えば、質量スペクトル(MS)、赤外線(IR)及び核磁気共鳴(NMR)分光分析データ等のスペクトルデータの分析によるものとし得る。
【0106】
実質的に純粋なチラミン含有ヒドロキシケイ皮酸アミド又はチラミン含有ヒドロキシケイ皮酸アミドを含む抽出物は、担体と組み合わされ、対象による消費又は対象への投与のための任意の適切な形態で提供され得る。適切な消費可能な形態は、栄養補助食品、食品成分若しくは添加物、食品製品(例えば機能性食品)、医療用食品、栄養補給食品又は医薬組成物を含むが、これらに限定されない。
【0107】
食品成分又は添加物は、直接的又は間接的に任意の食品の成分になる又はそうでなければ任意の食品の特徴に影響を及ぼすことが意図された食用物質(食品の生産、製造、梱包、加工、調製、処理、包装、輸送、又は収容における使用が意図された任意の物質を含む)である。食品製品、特に機能性食品は、追加の補足的な栄養素及び/又は有益な成分を含むように、加工中に強化又は濃縮された食品である。この開示による食品製品は、例えばバター、マーガリン、甘い又は辛味のスプレッド、ビスケット、健康バー、パン、ケーキ、シリアル、キャンディー、菓子類、ヨーグルト又は発酵乳製品、ジュースベース及び野菜ベースの飲料、シェーク、フレーバーウォーター、発酵飲料(例えば昆布茶又は発酵イェルバ・マテ)、コンビニエンススナック、例えば焼いた若しくは揚げた野菜チップ又は他の押出しスナック製品、或いは任意の他の適切な食品の形態であり得る。
【0108】
栄養補助食品は、本開示の化合物又は抽出物を含有する、口から摂取される製品であり、食事を補うことが意図される。栄養補給食品は、食品に見出される基本的な栄養価に加えて、追加の健康利益を提供する食品源から誘導される製品である。医薬組成物は、薬理学的活性又は疾患の診断、治療、軽減、処置、若しくは防止における他の直接的な効果をもたらすこと、或いはヒト又は他の動物の身体の構造又は任意の機能に影響を及ぼすことが意図された薬品の任意の成分と定義される。栄養補助食品、栄養補給食品及び医薬組成物は、錠剤、コーティング錠剤、丸剤、カプセル剤、ペレット、顆粒剤、ソフトゲル、ゲルカプセル剤、液剤、散剤、乳剤、懸濁剤、エリキシル剤、シロップ剤、及び使用に適した任意の他の形態等の多くの形態で見出され得る。
【0109】
本明細書で使用されるフレーズ「担体」は、対象化合物をある臓器又は身体の一部から別の臓器又は身体の一部に運搬又は輸送することに関与する液体若しくは固体充填剤、希釈剤、賦形剤、製造助剤(例えば滑沢剤、タルク、ステアリン酸マグネシウム、カルシウム若しくは亜鉛、又はステアリン酸)、又は溶媒封入物質等の物質、組成物又はビヒクルを意味する。各担体は、製剤の他の成分と適合性があるべきであり、対象に有害であってはならない。担体として働き得る物質の一部の例は、(1)糖、例えばラクトース、グルコース及びスクロース;(2)デンプン、例えばトウモロコシデンプン及びジャガイモデンプン;(3)セルロース、及びその誘導体、例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース、酢酸セルロース、及びヒドロキシプロピルメチルセルロース;(4)粉末トラガント;(5)麦芽;(6)ゼラチン;(7)タルク;(8)賦形剤、例えばカカオ脂及び坐剤ワックス;(9)油、例えばラッカセイ油、綿実油、ベニバナ油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油及びダイズ油;(10)グリコール、例えばプロピレングリコール;(11)ポリオール、例えばグリセリン、ソルビトール、マンニトール及びポリエチレングリコール;(12)エステル、例えばオレイン酸エチル及びラウリン酸エチル;(13)寒天;(14)緩衝剤、例えば水酸化マグネシウム及び水酸化アルミニウム;(15)アルギン酸;(16)発熱物質不含水;(17)等張食塩水;(18)リンゲル溶液;(19)エチルアルコール;(20)pH緩衝溶液;(21)ポリエステル、ポリカーボネート及び/又はポリ無水物;(21)リン脂質及びリン脂質誘導体;並びに(23)従来の製剤に採用されている他の非毒性の適合性のある物質を含む。
【0110】
錠剤又はカプセル剤等の固体組成物を調製するために、化合物又は抽出物を担体(例えば従来の錠剤化成分、例えばトウモロコシデンプン、ラクトース、スクロース、ソルビトール、タルク、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、リン酸二カルシウム又はガム)及び他の希釈剤(例えば水)と混合して、固体組成物を形成する。次いでこの固体組成物は、本開示の有効量の化合物を含有する単位剤形に細分される。化合物又は抽出物を含有する錠剤又は丸剤は、コーティング又はそうでなければ調合され、長期作用及び/又は潜在的に増強された吸収の利点をもたらす剤形を提供することができる。
【0111】
本開示の化合物又は抽出物が、経口又は非経口投与のために組み込まれている液体形態は、水溶液、適切に風味付けされたシロップ剤、水性又は油性懸濁剤、及び食用油を用いる風味付けされた乳剤及びエリキシル剤及び同様のビヒクルを含む。水性懸濁剤のための適切な分散剤又は懸濁化剤は、合成天然ガム、例えばトラガント、アラビアゴム、アルギン酸塩、デキストラン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン又はゼラチンを含む。経口投与用の液体調製物は、例えば溶液剤、シロップ剤若しくは懸濁剤の形態をとってもよく、又は使用前に水若しくは他の適切なビヒクルで復元する乾燥製品として提示されてもよい。このような液体調製物は、従来の手段によって、許容される添加物、例えば懸濁化剤(例えばソルビトールシロップ、メチルセルロース又は硬化食用脂肪);乳化剤(例えばレシチン又はアラビアゴム);非水性ビヒクル(例えばアーモンド油、油性エステル又はエチルアルコール);保存剤(例えばp-ヒドロキシ安息香酸メチル若しくはプロピル又はソルビン酸);並びに人工又は天然着色料及び/又は甘味料を用いて調製され得る。
【0112】
この開示の製剤又は組成物を調製する方法は、本開示の化合物又は抽出物を担体並びに任意選択で1種又は複数の補助及び/又は活性成分と会合させる工程を含む。一般的に製剤は、本開示の化合物又は抽出物を液体担体、又は微細固体担体、又は両方と均一且つ密接に会合させ、次いで必要に応じて生成物を成形することによって調製される。したがって、開示されている製剤は、適切な担体と組み合わせた本明細書に記載の化合物又は抽出物からなり得る、又は本質的になり得る。
【0113】
本開示の化合物又は抽出物が医薬品、栄養補給食品、又は栄養補助食品としてヒト及び動物に投与される場合、これらはそれ自体で与えられ得る、又は例えば0.1~99%(より好ましくは10~30%)の活性成分を含有する組成物として、許容される担体と組み合わせて与えられ得る。
【0114】
個々のチラミン含有ヒドロキシケイ皮酸アミドがこの開示の消費可能物において使用され得ることが企図されるが、化合物又は抽出物の2種以上が任意の相対量で組み合わされ、2種以上のチラミン含有ヒドロキシケイ皮酸アミドを所望の比で含有する成分のカスタム組合せを生産し、製品の有効性を増強し、官能特性又は製品の最終的使用に重要な品質の何らかの他の測定値を改善することができることが更に企図される。
【実施例1】
【0115】
チラミン含有ヒドロキシケイ皮酸アミドを生産するための組換え酵母株
チラミン含有ヒドロキシケイ皮酸アミドは内因性代謝産物ではないので、酵母において合成生産経路を再現する必要がある。合成は、全てのフェニルプロパノイドのようにフェニルアラニン及び/又はチロシンから始まり、これらは細胞によって内因的に生産される。本開示の組換え酵母株における導入及び過剰発現のための遺伝子はTable 9(表9)に記載される。
【0116】
【表9A】
【0117】
【表9B】
【0118】
使用したサッカロマイセス・セレビシエ株は、同質遺伝子一倍体である。出発酵母株は栄養要求性(-ura3、-leu2、his3)マーカー遺伝子のノックアウトを含有する。クローンの濃縮及び増殖は、YPD液体培養液(10g/l BACTO-酵母抽出物、20g/l BACTO-ペプトン及び2%デキストロース)において30℃で行う。組換え体は、ウラシル又はロイシン又はヒスチジンがないドロップアウト寒天プレート(YNB+CSM)上で選択する。ウラシル、ヒスチジン及びロイシン生合成経路における遺伝子欠損は栄養要求性をもたらす。相同組換えについて、ミスマッチ欠陥株を使用する。オープンリーディングフレームをPCRによって合成及び/又は増幅する。
【0119】
慣習のクローニング及び酵母形質転換プロトコールを使用して、コンストラクトを酵母に導入し、唯一の炭素源としてグルコースを含む培地において細胞を増殖させる。追加の基質が必要とされる場合(例えばフェニルアラニン、チロシン又はケイ皮酸)、培養を開始してから24時間後に前記基質を添加する。次いで上澄みを高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によって分析し、適当な生成物を特定する。
【0120】
ある特定の実施形態では、酵母細胞はフェニルアラニン及びチロシンの一方又は両方を過剰生産する。特定の実施形態では、フェニルアラニン及びチロシンは組換え宿主細胞によって、およそ等しい比率で生産される。芳香族アルコールの生産を避け、経路のフラックスを芳香族アミノ酸に向けるために、ARO10(フェニルピルビン酸デカルボキシラーゼ)及びPDC5(ピルビン酸デカルボキシラーゼ)のダブルノックアウトを株に導入する。チラミン含有ヒドロキシケイ皮酸アミドを生産するための酵母株及び増殖培地サプリメントはTable 10(表10)に提供される。
【0121】
【表10A】
【0122】
【表10B】
【0123】
【表10C】
【0124】
チラミン含有ヒドロキシケイ皮酸アミドの高い生産レベルを示す株を使用して、チラミン含有ヒドロキシケイ皮酸アミドを含有する抽出物及び消費可能物を生産する。生産株はバイオリアクター内で、チラミン含有ヒドロキシケイ皮酸アミドを生産するのに十分な時間増殖させる。発酵の完了後、細胞塊を上澄みから遠心分離又は濾過によって除去する。次いでチラミン含有ヒドロキシケイ皮酸アミドを上澄みから、適切な溶媒、例えば水性アルコール又は酢酸エチルを用いた抽出によって回収する。次いでチラミン含有ヒドロキシケイ皮酸アミドを溶媒分配及び/又はクロマトグラフィーによって更に精製し、溶媒を改変することによって、例えば溶液温度及び/又は組成を調整することによって結晶化することができる。チラミン含有ヒドロキシケイ皮酸アミドは、溶媒を細胞培養物に直接添加することによるエタノール又は他の適切な溶媒、例えば酢酸エチルの添加、続いて濾過又は遠心分離によって、細胞塊から直接回収することもできる。上澄みからの溶媒除去後、結晶(又は油状物若しくは沈殿物等の他の脱溶媒した形態)を収集する。次いでこの物質を、例えば溶媒分配及び/又はクロマトグラフィーによって更に精製し、溶媒の温度及び/又は組成を変更することによって結晶化し、高純度の物質を得て、次いでこれを回収、洗浄、及び乾燥し、チラミン含有ヒドロキシケイ皮酸アミドの精製された(>90%)供給源を得る。
図1
図2
【手続補正書】
【提出日】2021-08-23
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
チラミン含有ヒドロキシケイ皮酸アミドを生産することが可能な組換え真核宿主細胞であって、
(a)L-チロシン又はL-フェニルアラニンの過剰生産が可能な1種又は複数の酵素をコードする1種又は複数の核酸分子、
(b)ヒドロキシシンナモイル-CoAエステルを生成するためのフェニルプロパノイドCoA経路の1種又は複数の酵素をコードする1種又は複数の核酸分子、
(c)チロシンデカルボキシラーゼ(E.C.4.1.1.25)をコードする核酸分子、及び
(d)チラミンN-ヒドロキシシンナモイルトランスフェラーゼ(E.C.2.3.1.110)をコードする核酸分子
を含み、組換え酵母株である、組換え真核宿主細胞。
【請求項2】
ヒドロキシシンナモイル-CoAエステルを生成するためのフェニルプロパノイドCoA経路の1種又は複数の酵素をコードする1種又は複数の核酸分子が、フェニルアラニンアンモニアリアーゼ、4-クマル酸-CoAリガーゼ、ケイ皮酸-4-ヒドロキシラーゼ、クマル酸-3-ヒドロキシラーゼ、クマロイル-CoA 3-ヒドロキシラーゼ、カフェオイル-CoA O-メチルトランスフェラーゼ、フェルラ酸-5-ヒドロキシラーゼ、カフェイン酸/5-ヒドロキシフェルラ酸O-メチルトランスフェラーゼ、チロシンアンモニアリアーゼ、又はこれらの組合せを含む、請求項1に記載の組換え真核宿主細胞。
【請求項3】
メチオニンを更に過剰生産する、請求項1又は2に記載の組換え真核宿主細胞。
【請求項4】
酵母株が、
【表1A】
【表1B】
から選択される、請求項1に記載の組換え真核宿主細胞。
【請求項5】
チラミン含有ヒドロキシケイ皮酸アミドが、N-カフェオイルチラミン、N-フェルロイルチラミン、5-ヒドロキシフェルロイルチラミン、シンナモイルチラミン、シナポイルチラミン、p-クマロイルチラミン、(E)-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-N-(4-エトキシフェネチル)アクリルアミド、(E)-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-N-(4-(2-メトキシエトキシ)フェネチル)アクリルアミド、(E)-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-N-(4-(2-(メチルスルホニル)エトキシ)フェネチル)アクリルアミド、(E)-2-(4-(2-(3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)アクリルアミド)エチル)フェノキシ)酢酸、エチル(E)-2-(4-(2-(3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)アクリルアミド)エチル)フェノキシ)アセタート、(E)-N-(4-(シクロプロピルメトキシ)フェネチル)-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)アクリルアミド、(E)-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-N-(4-(3,3,3-トリフルオロプロポキシ)フェネチル)アクリルアミド、(E)-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-N-(4-((テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)メトキシ)フェネチル)アクリルアミド、(E)-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-N-(4-((4-フルオロベンジル)オキシ)フェネチル)アクリルアミド、(E)-N-(4-(シアノメトキシ)フェネチル)-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)アクリルアミド、(E)-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-N-(4-(ピリジン-3-イルメトキシ)フェネチル)アクリルアミド、(E)-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-N-(4-(ピリジン-2-イルメトキシ)フェネチル)アクリルアミド、(E)-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-N-(4-(2-(ジメチルアミノ)エトキシ)フェネチル)アクリルアミド、(E)-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-N-(4-イソブトキシフェネチル)アクリルアミド、(E)-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-N-(4-(ピリジン-4-イルメトキシ)フェネチル)アクリルアミド、(E)-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-N-(4-((4-メトキシベンジル)オキシ)フェネチル)アクリルアミド、(E)-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-N-(4-(オキセタン-3-イルメトキシ)フェネチル)アクリルアミド、(E)-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-N-(4-((テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)メトキシ)フェネチル)アクリルアミド、(E)-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-N-(4-((テトラヒドロフラン-2-イル)メトキシ)フェネチル)アクリルアミド、(E)-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-N-(4-(チオフェン-2-イルオキシ)フェネチル)アクリルアミド、(E)-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-N-(4-(3,3-ジメチルブトキシ)フェネチル)アクリルアミド、(E)-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-N-(4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェネチル)アクリルアミド、(E)-N-(4-((1H-テトラゾール-5-イル)メトキシ)フェネチル)-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)アクリルアミド、(E)-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-N-(4-((1-メチルピロリジン-2-イル)メトキシ)フェネチル)アクリルアミド、(E)-2-ヒドロキシ-5-(3-((4-ヒドロキシフェネチル)アミノ)-3-オキソプロパ-1-エン-1-イル)フェニル水素カルボナート、(E)-3-(4-ヒドロキシ-3-(ピリジン-4-イルオキシ)フェニル)-N-(4-ヒドロキシフェネチル)アクリルアミド、(E)-3-(4-ヒドロキシ-3-イソブトキシフェニル)-N-(4-ヒドロキシフェネチル)アクリルアミド、(E)-3-(3-(4-フルオロフェノキシ)-4-ヒドロキシフェニル)-N-(4-ヒドロキシフェネチル)アクリルアミド、(E)-3-(3-(シアノメトキシ)-4-ヒドロキシフェニル)-N-(4-ヒドロキシフェネチル)アクリルアミド、(E)-2-(2-ヒドロキシ-4-(3-((4-ヒドロキシフェネチル)アミノ)-3-オキソプロパ-1-エン-1-イル)フェノキシ)酢酸、(E)-3-(3-ヒドロキシ-4-(ピリジン-4-イルメトキシ)フェニル)-N-(4-ヒドロキシフェネチル)アクリルアミド、(E)-3-(4-((4-フルオロベンジル)オキシ)-3-ヒドロキシフェニル)-N-(4-ヒドロキシフェネチル)アクリルアミド、(E)-3-(3-ヒドロキシ-4-イソブトキシフェニル)-N-(4-ヒドロキシフェネチル)アクリルアミド、(E)-3-(4-(シアノメトキシ)-3-ヒドロキシフェニル)-N-(4-ヒドロキシフェネチル)アクリルアミド、(E)-N-(3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)アクリロイル)-N-(4-ヒドロキシフェネチル)グリシン、(E)-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-N-(4-ヒドロキシフェネチル)-N-(ピリジン-4-イルメチル)アクリルアミド、(E)-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-N-(4-ヒドロキシフェネチル)-N-イソブチルアクリルアミド、(E)-N-(シアノメチル)-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-N-(4-ヒドロキシフェネチル)アクリルアミド、3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-N-(4-ヒドロキシフェネチル)プロパンアミド、又は3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-N-(4-(メチルスルホンアミド)フェネチル)プロパンアミドの少なくとも1つから選択される、請求項1又は2に記載の組換え真核宿主細胞。
【請求項6】
チラミン含有ヒドロキシケイ皮酸アミドがN-カフェオイルチラミン、N-フェルロイルチラミン、5-ヒドロキシフェルロイルチラミン、シンナモイルチラミン、シナポイルチラミン、p-クマロイルチラミンである、請求項5に記載の組換え真核宿主細胞。
【請求項7】
チラミン含有ヒドロキシケイ皮酸アミド又はチラミン含有ヒドロキシケイ皮酸誘導体を生産するための方法であって、
(a)チラミン含有ヒドロキシケイ皮酸アミドを生産することが可能な組換え真核宿主細胞を用意する工程であって、前記組換え真核宿主細胞が、
L-チロシン又はL-フェニルアラニンを過剰生産し、組換え真核宿主細胞が、
(i)ヒドロキシシンナモイル-CoAエステルを生成するためのチラミン含有ヒドロキシケイ皮酸アミドの1種又は複数の酵素をコードする1種又は複数の核酸分子、
(ii)チロシンデカルボキシラーゼ(E.C.4.1.1.25)をコードする核酸分子、及び
(iii)チラミンN-ヒドロキシシンナモイルトランスフェラーゼ(E.C.2.3.1.110)をコードする核酸分子を更に含む、工程と、
(b)組換え真核宿主細胞がチラミン含有ヒドロキシケイ皮酸アミドを生産するのに十分な時間組換え真核宿主細胞を培養する工程と、
(c)チラミン含有ヒドロキシケイ皮酸アミドを組換え真核宿主細胞又は培養上澄みから単離し、これによりチラミン含有ヒドロキシケイ皮酸アミドを生産する工程と
を含む方法。
【請求項8】
ヒドロキシシンナモイルCoAエステルを生成するためのフェニルプロパノイドCoA経路の1種又は複数の酵素をコードする1種又は複数の核酸分子が、フェニルアラニンアンモニアリアーゼ、4-クマル酸-CoAリガーゼ、ケイ皮酸-4-ヒドロキシラーゼ、クマル酸-3-ヒドロキシラーゼ、カフェオイル-CoA O-メチルトランスフェラーゼ、5-ヒドロキシラーゼ、カフェイン酸/5-ヒドロキシフェルラ酸O-メチルトランスフェラーゼ、チロシンアンモニアリアーゼ、又はこれらの組合せを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記組換え真核宿主細胞がS-アデノシルメチオニンを更に過剰生産する、請求項7又は8に記載の方法。
【請求項10】
組換え酵母株である、請求項7又は8に規定の組換え真核宿主細胞。
【請求項11】
酵母株が、
【表2A】
【表2B】
から選択される、請求項10に記載の組換え真核宿主細胞。
【請求項12】
チラミン含有ヒドロキシケイ皮酸アミドが、N-カフェオイルチラミン、N-フェルロイルチラミン、5-ヒドロキシフェルロイルチラミン、p-クマロイルチラミン、シンナモイルチラミン、シナポイルチラミン、(E)-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-N-(4-エトキシフェネチル)アクリルアミド、(E)-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-N-(4-(2-メトキシエトキシ)フェネチル)アクリルアミド、(E)-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-N-(4-(2-(メチルスルホニル)エトキシ)フェネチル)アクリルアミド、(E)-2-(4-(2-(3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)アクリルアミド)エチル)フェノキシ)酢酸、エチル(E)-2-(4-(2-(3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)アクリルアミド)エチル)フェノキシ)アセタート、(E)-N-(4-(シクロプロピルメトキシ)フェネチル)-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)アクリルアミド、(E)-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-N-(4-(3,3,3-トリフルオロプロポキシ)フェネチル)アクリルアミド、(E)-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-N-(4-((テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)メトキシ)フェネチル)アクリルアミド、(E)-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-N-(4-((4-フルオロベンジル)オキシ)フェネチル)アクリルアミド、(E)-N-(4-(シアノメトキシ)フェネチル)-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)アクリルアミド、(E)-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-N-(4-(ピリジン-3-イルメトキシ)フェネチル)アクリルアミド、(E)-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-N-(4-(ピリジン-2-イルメトキシ)フェネチル)アクリルアミド、(E)-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-N-(4-(2-(ジメチルアミノ)エトキシ)フェネチル)アクリルアミド、(E)-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-N-(4-イソブトキシフェネチル)アクリルアミド、(E)-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-N-(4-(ピリジン-4-イルメトキシ)フェネチル)アクリルアミド、(E)-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-N-(4-((4-メトキシベンジル)オキシ)フェネチル)アクリルアミド、(E)-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-N-(4-(オキセタン-3-イルメトキシ)フェネチル)アクリルアミド、(E)-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-N-(4-((テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)メトキシ)フェネチル)アクリルアミド、(E)-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-N-(4-((テトラヒドロフラン-2-イル)メトキシ)フェネチル)アクリルアミド、(E)-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-N-(4-(チオフェン-2-イルオキシ)フェネチル)アクリルアミド、(E)-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-N-(4-(3,3-ジメチルブトキシ)フェネチル)アクリルアミド、(E)-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-N-(4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェネチル)アクリルアミド、(E)-N-(4-((1H-テトラゾール-5-イル)メトキシ)フェネチル)-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)アクリルアミド、(E)-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-N-(4-((1-メチルピロリジン-2-イル)メトキシ)フェネチル)アクリルアミド、(E)-2-ヒドロキシ-5-(3-((4-ヒドロキシフェネチル)アミノ)-3-オキソプロパ-1-エン-1-イル)フェニル水素カルボナート、(E)-3-(4-ヒドロキシ-3-(ピリジン-4-イルオキシ)フェニル)-N-(4-ヒドロキシフェネチル)アクリルアミド、(E)-3-(4-ヒドロキシ-3-イソブトキシフェニル)-N-(4-ヒドロキシフェネチル)アクリルアミド、(E)-3-(3-(4-フルオロフェノキシ)-4-ヒドロキシフェニル)-N-(4-ヒドロキシフェネチル)アクリルアミド、(E)-3-(3-(シアノメトキシ)-4-ヒドロキシフェニル)-N-(4-ヒドロキシフェネチル)アクリルアミド、(E)-2-(2-ヒドロキシ-4-(3-((4-ヒドロキシフェネチル)アミノ)-3-オキソプロパ-1-エン-1-イル)フェノキシ)酢酸、(E)-3-(3-ヒドロキシ-4-(ピリジン-4-イルメトキシ)フェニル)-N-(4-ヒドロキシフェネチル)アクリルアミド、(E)-3-(4-((4-フルオロベンジル)オキシ)-3-ヒドロキシフェニル)-N-(4-ヒドロキシフェネチル)アクリルアミド、(E)-3-(3-ヒドロキシ-4-イソブトキシフェニル)-N-(4-ヒドロキシフェネチル)アクリルアミド、(E)-3-(4-(シアノメトキシ)-3-ヒドロキシフェニル)-N-(4-ヒドロキシフェネチル)アクリルアミド、(E)-N-(3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)アクリロイル)-N-(4-ヒドロキシフェネチル)グリシン、(E)-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-N-(4-ヒドロキシフェネチル)-N-(ピリジン-4-イルメチル)アクリルアミド、(E)-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-N-(4-ヒドロキシフェネチル)-N-イソブチルアクリルアミド、(E)-N-(シアノメチル)-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-N-(4-ヒドロキシフェネチル)アクリルアミド、3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-N-(4-ヒドロキシフェネチル)プロパンアミド、又は3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-N-(4-(メチルスルホンアミド)フェネチル)プロパンアミドの少なくとも1つから選択される、請求項7又は8に記載の方法。
【請求項13】
チラミン含有ヒドロキシケイ皮酸アミドが、N-カフェオイルチラミン、N-フェルロイルチラミン、5-ヒドロキシフェルロイルチラミン、p-クマロイルチラミン、シンナモイルチラミン、シナポイルチラミンの少なくとも1つから選択される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか一項に記載の方法によって生産されるチラミン含有ヒドロキシケイ皮酸アミドを含む抽出物。
【請求項15】
請求項14に記載の抽出物を含む消費可能な製品。
【請求項16】
栄養補助食品、食品成分若しくは添加物、食品製品、医療用食品、栄養補給食品又は医薬組成物である、請求項15に記載の消費可能な製品。
【請求項17】
チラミン含有ヒドロキシケイ皮酸アミド又はチラミン含有ヒドロキシケイ皮酸誘導体を生産することが可能な1種又は複数の核酸分子を含む組換え真核宿主細胞を培養する方法であって、
a)組換え真核宿主細胞を増殖培地に接種する工程と、
b)宿主細胞を所望の細胞密度に培養する工程と、
c)宿主細胞を培養培地から収穫する工程と
を含む方法。
【請求項18】
増殖培地がグルコース、p-クマル酸、カフェイン酸、フェルラ酸、シナピン酸、ケイ皮酸、フェニルアラニン、チロシン、又はこれらの組合せから選択される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
組換え酵母株である、請求項17又は18に規定の組換え真核宿主細胞。
【請求項20】
酵母株が
【表3A】
【表3B】
から選択される、請求項19に記載の組換え真核宿主細胞。
【請求項21】
生産されるチラミン含有ヒドロキシケイ皮酸アミドがN-カフェオイルチラミン、N-フェルロイルチラミン、5-ヒドロキシフェルロイルチラミン、p-クマロイルチラミン、シンナモイルチラミン、シナポイルチラミンの少なくとも1つから選択される、請求項17に記載の方法。
【国際調査報告】