(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-03
(54)【発明の名称】ランダムデータのためのクロックレス遅延適応ループ
(51)【国際特許分類】
H04L 25/03 20060101AFI20230127BHJP
H04L 7/04 20060101ALI20230127BHJP
H04L 7/033 20060101ALI20230127BHJP
H04B 3/06 20060101ALI20230127BHJP
【FI】
H04L25/03 Z
H04L7/04 200
H04L7/033
H04B3/06 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022528942
(86)(22)【出願日】2020-11-18
(85)【翻訳文提出日】2022-07-18
(86)【国際出願番号】 US2020061021
(87)【国際公開番号】W WO2021101972
(87)【国際公開日】2021-05-27
(32)【優先日】2019-11-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507107291
【氏名又は名称】テキサス インスツルメンツ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】230129078
【氏名又は名称】佐藤 仁
(72)【発明者】
【氏名】アビシェク マニアン
【テーマコード(参考)】
5K029
5K046
5K047
【Fターム(参考)】
5K029AA03
5K029CC01
5K029DD12
5K029DD30
5K029EE01
5K029FF10
5K029HH05
5K029KK25
5K029LL08
5K029LL12
5K046AA01
5K046BB05
5K046EE10
5K047AA07
5K047AA08
5K047HH15
5K047MM05
5K047MM36
5K047MM44
5K047MM53
(57)【要約】
装置(110)が、ランダムデータに適応するように構成されるクロックレス遅延適応ループ(115)を含む。装置(110)は、クロックレス遅延適応ループ(115)に結合される回路(114)も含む。クロックレス遅延適応ループ(115)は、カスケード接続された遅延線と、カスケード接続された遅延線に結合される自己相関制御回路とを含み、自己相関制御回路の出力は、カスケード接続された遅延線のための制御信号を生成するために用いられる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置であって、
ランダムデータに適応するように構成されるクロックレス遅延適応ループと、
前記クロックレス遅延適応ループに結合される回路と、
を含み、
前記クロックレス遅延適応ループが、
カスケード接続される遅延線と、
前記カスケード接続された遅延線に結合される自己相関制御回路と、
を含み、
前記自己相関制御回路の出力が、前記カスケード接続された遅延線のための制御信号を生成するために用いられる、
装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置であって、前記カスケード接続された遅延線が、電圧制御された遅延線(VCDL)を含み、前記自己相関制御回路が、
XNORゲートと、
前記XNORゲートの出力に結合されるトランスコンダクタンス段と、
前記トランスコンダクタンス段の出力に結合される第1のプレート、及び接地ノードに結合される第2のプレートを備えるコンデンサと、
を含み、
前記トランスコンダクタンス段の前記出力が制御信号であり、前記制御信号が、前記クロックレス遅延適応ループを1ユニット間隔(UI)の遅延値にロックする、
装置。
【請求項3】
請求項1に記載の装置であって、前記カスケード接続された遅延線が、電圧制御された遅延線(VCDL)を含み、前記自己相関制御回路が、
XNORゲートと、
前記XNORゲートの出力に結合されるデジタル状態機械と、
前記デジタル状態機械の出力に結合されるデジタルアナログコンバータ(DAC)と、
を含み、
前記DACの出力が前記制御信号であり、前記制御信号が、前記クロックレス遅延適応ループを1ユニット間隔(UI)の遅延値にロックする、
装置。
【請求項4】
請求項1に記載の装置であって、前記回路がクロックレス判定帰還等化器(DFE:decision-feedback equalizer)を含む、装置。
【請求項5】
請求項4に記載の装置であって、前記装置が、前記クロックレスDFEの出力に結合されるドライバを備える線形中継デバイスである、装置。
【請求項6】
請求項1に記載の装置であって、前記回路がロック損失検出器を含む、装置。
【請求項7】
請求項1に記載の装置であって、
前記カスケード接続された遅延線が、直列の第1の遅延線及び第2の遅延線を含み、前記第1及び第2の遅延線の各々が制御入力ノードを含み、前記自己相関制御回路の前記出力が、前記第1及び第2の遅延線の前記それぞれの制御入力ノードに入力される制御信号を生成するために用いられる、装置。
【請求項8】
請求項1に記載の装置であって、
前記カスケード接続された遅延線が、直列の第1の遅延線と第2の遅延線とを含み、前記第1及び第2の遅延線の各々が制御入力ノードを含み、前記自己相関制御回路が、
前記第1の遅延線に関連する第1の自己相関器と、
前記第2の遅延線に関連する第2の自己相関器と、
を含み、
前記第1の自己相関器の出力が、前記第1の遅延線の前記制御入力ノードに入力される制御信号を生成するために用いられ、
前記第2の自己相関器の出力が、前記第2の遅延線の前記制御入力ノードに入力される制御信号を生成するために用いられる、
装置。
【請求項9】
請求項1に記載の装置であって、
前記カスケード接続された遅延線が、直列の第1の遅延線及び第2の遅延線を含み、前記第1及び第2の遅延線の各々が制御入力ノードを含み、前記自己相関制御回路が、
前記第1の遅延線に関連する第1の自己相関器と、
前記第2の遅延線に関連する第2の自己相関器と、
を含み、
前記第1及び第2の自己相関器の平均出力が、前記第1及び第2の遅延線の前記制御入力ノードに入力される制御信号を生成するために用いられる、
装置。
【請求項10】
クロックレスDFEであって、
入力信号と帰還信号とを組み合わせることによって出力信号を提供するように構成される加算回路と、
前記出力信号を受け取り、前記帰還信号を提供するように構成されるDFE帰還経路と、
を含み、
前記DFE帰還経路が、ランダムデータに適応するように構成される遅延適応ループを含み、
前記遅延適応ループが、
データ入力ノードと、データ出力ノードと、制御入力ノードとを備える電圧制御遅延線(VCDL)と、
前記データ入力ノード及び前記データ出力ノードに結合される自己相関器であって、前記自己相関器の出力が、前記制御入力ノードに入力される制御信号を生成するために用いられる、前記自己相関器と、
前記VCDLに直列のDFEタップ回路と、
を含む、
クロックレスDFE。
【請求項11】
請求項10に記載のクロックレスDFEであって、
前記自己相関器がXNORゲートであり、前記遅延適応ループが更に、
前記自己相関器の出力に結合されるトランスコンダクタンス段と、
前記トランスコンダクタンス段の出力に結合される第1のプレート、及び接地ノードに結合される第2のプレートを備えるコンデンサと、
を含み、
前記トランスコンダクタンス段の前記出力が前記制御信号であり、前記制御信号が、前記遅延適応ループを1ユニット間隔(UI)の遅延値にロックする、
クロックレスDFE。
【請求項12】
請求項10に記載のクロックレスDFEであって、
前記自己相関器が前記XNORゲートであり、前記遅延適応ループが、
前記自己相関器の出力に結合されるデジタル状態機械と、
前記デジタル状態機械の出力に結合されるデジタルアナログコンバータ(DAC)と、
を更に含み、
前記DACの出力が前記制御信号であり、前記制御信号が、前記遅延適応ループを1ユニット間隔(UI)の値にロックする、
クロックレスDFE。
【請求項13】
請求項10に記載のクロックレスDFEであって、前記遅延適応ループが、前記VCDLに対応する単一のVCDLを含む、クロックレスDFE。
【請求項14】
請求項10に記載のクロックレスDFEであって、
前記VCDLが第1のVCDLであり、前記遅延適応ループが、前記第1のVCDLに直列の第2のVCDLを含み、前記第1及び第2のVCDLの各々が制御入力ノードを有し、前記自己相関器が、前記第1のVCDLと関連付けられた第1の自己相関器であり、前記第1の自己相関器の出力が、前記第1のVCDLの前記制御入力ノードへの制御信号入力を生成するために用いられ、
前記遅延適応ループが更に、第2のVCDLに関連する第2の自己相関器を含み、前記第2の自己相関器の出力が、前記第2のVCDLの前記制御入力ノードに入力される制御信号を生成するために用いられる、
クロックレスDFE。
【請求項15】
請求項10に記載のクロックレスDFEであって、
前記VCDLが第1のVCDLであり、前記遅延適応ループが、前記第1のVCDLに直列の第2のVCDLを含み、前記第1及び第2のVCDLの各々が制御入力ノードを有し、前記自己相関器が、前記第1のVCDLに関連する第1の自己相関器であり、
前記遅延適応ループが更に、前記第2のVCDLに関連する第2の自己相関器を含み、
前記第1及び第2の自己相関器の平均出力が、前記第1及び第2のVCDLの前記制御入力ノードに入力される制御信号を生成するために用いられる、
クロックレスDFE。
【請求項16】
遅延適応ループであって、
第1の遅延線と、
第2の遅延線と、
前記第1の遅延線及び第2の遅延線に結合される自己相関制御回路と、
を含み、
前記自己相関制御回路が、前記第1及び第2の遅延線の少なくとも一方の入力データ及び出力データに適用される自己相関関数に基づいて前記第1及び第2の遅延線の各々に制御信号を提供する、
遅延適応ループ。
【請求項17】
請求項16に記載の遅延適応ループであって、前記自己相関制御回路が、
XNORゲートと、
前記XNORゲートの出力に結合されるトランスコンダクタンス段と、
前記トランスコンダクタンス段の出力に結合される第1のプレートと、接地ノードに結合される第2のプレートとを備えるコンデンサと、
を含み、
前記制御信号が、前記第1及び第2の遅延線の各々を0.5ユニット間隔(UI)又はそれより小さい遅延にロックする、
遅延適応ループ。
【請求項18】
請求項16に記載の遅延適応ループであって、前記自己相関制御回路が、
第1の遅延線の入力データ及び出力データを受け取るように構成される第1のXNORゲートと、
前記第1のXNORゲートの出力に結合される第1のトランスコンダクタンス段と、
前記第1のトランスコンダクタンス段の出力に結合される第1のプレートと、接地ノードに結合される第2のプレートとを備える第1のコンデンサと、
前記第2の遅延線の入力データ及び出力データを受け取るように構成される第2のXNORゲートと、
前記第2のXNORゲートの出力に結合される第2のトランスコンダクタンス段と、
前記第2のトランスコンダクタンス段の出力に結合される第1のプレートと、接地ノードに結合される第2のプレートとを備える第2のコンデンサと、
を含む、遅延適応ループ。
【請求項19】
請求項16に記載の遅延適応ループであって、前記自己相関制御回路が、
前記第1の遅延線の入力データ及び出力データを受け取るように構成される第1のXNORゲートと、
前記第1のXNORゲートの出力に結合される第1の端部と、前記トランスコンダクタンス段の入力ノードに結合される第2の端部とを備える第1の抵抗器と、
前記第2の遅延線の入力データ及び出力データを受け取るように構成される第2のXNORゲートと、
前記第2のXNORゲートの出力に結合される第1の端部と、前記トランスコンダクタンス段の入力ノードに結合される第2の端部とを備える第2の抵抗器であって、前記トランスコンダクタンス段が入力ノードにおいて電圧を受け取るように構成される、前記第2の抵抗器と、
前記トランスコンダクタンス段の出力に結合される第1のプレートと、接地ノードに結合される第2のプレートとを備えるコンデンサと、
を含む、
遅延適応ループ。
【請求項20】
請求項16に記載の遅延適応ループであって、前記自己相関制御回路が、
XNORゲートと、
前記XNORゲートの出力に結合され、カウンタ、累算器、及びコンパレータを含む、デジタル状態機械と、
前記デジタル状態機械の出力に結合されるデジタルアナログコンバータ(DAC)と、
を含む、
遅延適応ループ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ネットワーク化された電子デバイスが普及し続けるのに伴い、信号インテグリティを維持しつつシグナリング速度を上げるための労力が費やされている。通信リンクの中核は、信号を生成するトランスミッタと、信号を搬送するチャネルと、信号を受信し、正しく処理するレシーバとで構成されている。信号は、電気信号、光パルス、又は電磁信号としてチャネルによって搬送され得る。ネットワーク化されたデバイス又は構成要素間の正確なシグナリングのために、信号のインテグリティを維持する必要がある。物理層の観点から、これは、トランスミッタから銅線、光ファイバ、又は無線であり得るチャネルに沿って「1」が送信される場合に、レシーバもその信号が「1」であると判定すべきであることを意味する。これは、信号インテグリティに影響する種々の要因により、データ送信システムや回路設計者にとって基本的な課題である。
【0002】
データ伝送システムにおける信号インテグリティは、多くの要因によって影響を受ける。不規則雑音、大気及び人工雑音とは別に、信号インテグリティの劣化に寄与する決定論的要因がある。銅ベースの信号伝送は、銅チャネルの制限された帯域幅と隣接チャネルからのクロストークとに影響される。光信号は、ファイバに沿って伝搬する際の、周波数に非依存しない光パワー損失や、ファイバのタイプに応じて分散を生じさせるメカニズムに影響される。銅における帯域幅制限及び光ファイバにおけるパルス分散は、レシーバにおける符号間干渉(ISI)をもたらす。典型的には、ISIは、データレート及びチャネル長が増加するにつれて劣化する。ISIは、高いデータレート(例えば、10Gb/秒)での銅ベースの送信チャネル及び光ファイバを介した伝送距離を制限する主な要因である。ISIを補償し、また、その他の方式で信号インテグリティを維持するための労力は、等化を含むトランスミッタ側及びレシーバ側の様々な技術をもたらしてきた。
【0003】
等化は、トランスミッタ又はレシーバのいずれかで、チャネルに誘起されるISIを補償し、信号インテグリティを改善するために、電気信号を調整するプロセスである。線形及び非線形の等化技術が文献で探求されている。非線形等化技術の一つは、判定帰還等化(DFE:decision-feedback equalization)と呼ばれる。DFEでは、レシーバ回路要素に遅延要素が導入され、等化値が入力データストリームと組み合わされる。
【0004】
多くの応用例(例えば、リドライバ)では、クロックが利用できず、したがって、(ランダムデータを遅延させるために)クロックレス遅延線が必要とされる。遅延は、許容されるデータレートの範囲に対して、1ユニット間隔(UI)又は1UIの倍数に自動的に適応される必要がある。異なるデータレートに対する遅延適応は簡単なことではなく、コスト、電力効率、及びフットプリントサイズなどの問題を考慮する必要がある。DFE設計を改善し、異なるデータレートを考慮する努力が成されている。
【発明の概要】
【0005】
少なくとも1つの例において、装置が、ランダムデータに適応するように構成されるクロックレス遅延適応ループを含む。この装置はまた、クロックレス遅延適応ループに結合される回路を含む。クロックレス遅延適応ループは、データ入力ノードと、データ出力ノードと、制御入力ノードとを有する遅延線を含む。クロックレス遅延適応ループはまた、カスケード接続された遅延線に結合される自己相関制御回路を含み、自己相関制御回路の出力が、カスケード接続された遅延線のための制御信号を生成するために用いられる。
【0006】
少なくとも1つの例において、クロックレス判定帰還等化器(DFE:decision-feedback equalizer)が、入力信号と帰還信号とを組み合わせることによって出力信号を提供するように構成される加算回路を含む。DFE帰還経路が、出力信号を受信し、帰還信号を提供するように構成され、DFE帰還経路は、ランダムデータに適応するように構成される遅延適応ループを含む。遅延適応ループは、データ入力ノードと、データ出力ノードと、制御入力ノードとを備える電圧制御遅延線(VCDL)を含む。遅延適応ループはまた、データ入力ノード及びデータ出力ノードに結合される自己相関器を含み、自己相関器の出力が、制御入力ノードへの制御信号入力を生成するために用いられる。遅延適応ループはまた、VCDLに直列のDFEタップ回路を含む。
【0007】
少なくとも1つの例において、遅延適応ループが、第1の遅延線及び第2の遅延線を含む。遅延適応ループはまた、第1の遅延線及び第2の遅延線に結合される自己相関制御回路を含む。自己相関制御回路は、第1遅延線及び第2遅延線の少なくとも一方における入力データ及び出力データに適用される自己相関関数に基づいて、第1遅延線及び第2遅延線の各制御信号を提供する。
【0008】
種々の例の詳細な説明のため、ここで、添付の図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】幾つかの例における通信システムを示す図である。
【0010】
【
図2】幾つかの例におけるクロックレス判定帰還等化(DFE)ループを示す図である。
【0011】
【
図3A】シンボル間干渉(ISI)なしのXNORゲートを用いる自己相関を示すグラフである。
【0012】
【
図3B】ISIのあるXNORゲートを用いる自己相関を示すグラフである。
【0013】
【
図4】幾つかの例における遅延適応ループの図である。
【0014】
【
図5】幾つかの例における遅延及び制御電圧(V
ctrl)曲線を示すグラフである。
【0015】
【
図6A】異なる例における適応遅延整定を示すグラフである。
【
図6B】異なる例における適応遅延整定を示すグラフである。
【0016】
【
図7A】異なる例における適応遅延整定を示す付加的なグラフである。
【
図7B】異なる例における適応遅延整定を示す付加的なグラフである。
【0017】
【
図8】幾つかの例における他の遅延適応ループを示す図である。
【
図9】幾つかの例における他の遅延適応ループを示す図である。
【
図10】幾つかの例における他の遅延適応ループを示す図である。
【0018】
【
図11】幾つかの例における電圧制御遅延線(VCDL)の概略図である。
【0019】
【
図12】幾つかの例における電流モード論理(CML)XNORゲートの概略図である。
【0020】
【
図13】幾つかの例におけるトランスコンダクタンス(G
m)段の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本明細書では、自己相関関数を用いる遅延適応ループトポロジーについて説明する。ランダムデータストリームの自己相関関数は、遅延シフトがゼロ遅延から増加するにつれて単調に減少し、時間シフトが1単位間隔(UI)に達し、それを超えるとゼロになる。シンボル間干渉(ISI)が存在する場合、自己相関関数は、1UIの時間シフトを超える非ゼロテールを有し得る。そのため、1UIにロックする代わりに、よりロバストなオプションは、自己相関関数を(0の代わりに)0.5に強いることによって0.5UIにロックすることに関与する。必要に応じて、1つ又はそれ以上の0.5-UI遅延要素がカスケード接続されて、1-UI遅延が生成される。本明細書に記載されるように、例示の遅延要素は、電圧制御遅延線(VCDL)及び判定帰還等化(DFE)タップ回路を含み、ここで、VCDLは調節可能な遅延を有し、DFEタップ回路は固定遅延を有する。
【0022】
幾つかの例において、遅延適応ループが、データ入力ノードと、データ出力ノードと、制御入力ノードとを備えるVCDLを含む。遅延適応ループはまた、VCDLのデータ入力ノード及びデータ出力ノードに結合される自己相関器を含む。遅延適応ループは、自己相関器に結合されるトランスコンダクタンス(Gm)段も含み、ここで、トランスコンダクタンス段は、自己相関器出力の一部(例えば、0.5)に対応する電圧を電流に変換するように構成される。遅延適応ループは、トランスコンダクタンス段の出力に結合される第1の(例えば、頂部)プレートと、接地ノードに結合される第2の(例えば、底部)プレートとを備えるコンデンサも含む。また、トランスコンダクタンス段の出力は、VCDLを1UI未満の値にロックするために、VCDLの制御入力ノードに結合される。必要に応じて、付加的なVCDL及び/又はDFEタップ回路が、トランスコンダクタンス段の出力に結合される。他の例において、遅延適応ループが、複数のVCDLと、各VCDLのための自己相関器とを含む。そのような場合、自己相関器出力は、別々に用いられる(例えば、別々のトランスコンダクタンス段が用いられる)か、又は組み合わせられる(例えば、単一のトランスコンダクタンス段が用いられる)。
【0023】
幾つかの例において、遅延適応ループは、クロックレス判定帰還等化器(DFE)に採用される。また、異なる例において、クロックレスDFEは、線形中継器又はリドライバ回路の一部である。記載される遅延適応ループにより、遅延ロックループが、システム内のクロックを必要とすることなく、ランダムデータに対して1UI遅延(又は0.5UIの倍数)に適応することができる。様々な遅延適応ループオプション、システムオプション、自己相関オプション、及び関連する回路が、図を用いて以下に説明される。
【0024】
図1は、幾つかの例における通信システム100を示す図である。図示されるように、システム100は、トランスミッタ104、チャネル106、線形中継器又はリドライバ110、チャネル118、及びレシーバ120を含む。幾つかの例において、通信システムは、線形中継器又はリドライバ110の前及び後にAC結合コンデンサ(C
AC1及びC
AC2)を含む。
図1において、ソースデータ102が、トランスミッタ104から出力され、送信された信号アイダアグラム105によって表される。チャネル106を介して搬送された後、ソースデータ102は、受信された信号アイダアグラム107によって表されるように、区別できなくなる。線形中継器又はリドライバ110の動作は、トランスミッタ104によって送信されたソースデータ102を回復し、ドライバ116を用いて同じ信号を反復することであり、ここで、ドライバ116によって送信されたデータは、送信された信号アイダアグラム117によって表される。反復されたデータは、ドライバ116によってチャネル118に送信される。
図1の例では、線形中継器又はリドライバ110は、連続時間線形等化器(CTLE)112及びクロックレスDFEループ114を用いてデータを回復する。
図1の例では、DFEループ114は、本明細書で説明されるように、自己相関器及びカスケード接続された遅延線を備える遅延適応ループ115を含む。幾つかの例において、カスケード接続された遅延線は、少なくとも1つのVCDLとDFEタップ回路とを含む。CTLE112及びクロックレスDFE114の等化動作は、ソースデータ102の回復を促進する。
【0025】
より具体的には、チャネル106は、トランスミッタ104と線形中継器又はリドライバ110との間で信号を搬送するために用いられる1つ又はそれ以上の物理的伝送媒体(例えば、配線、無線、光ファイバなど)を表す。動作において、トランスミッタ104は、ソースデータ102を受け取り、ソースデータ102を表す信号をチャネル106に搬送する。線形中継器又はリドライバ110は、チャネル106から信号を受信し、ソースデータ102を回復し、回復されたデータを別の通信リンクに線形に渡すように動作する。
【0026】
線形中継器又はリドライバ110においてソースデータ102を回復することは、クロックレスDFEループ114によって実施されるものを含む様々な動作を含む。クロックレスDFEループ114の動作は、レシーバ側信号を短時間遅延させること及び改変することを含み、その結果、「等化された」信号が得られ、これは、その後ドライバ116によって用いられて、ソースデータ102に一致する新しい信号が生成される。クロックレスDFEループ114では、シンボル間干渉(ISI)の低下に起因するより高速のシグナリングが可能である。
【0027】
図2は、幾つかの例におけるクロックレスDFEループ200を示す図である。図示されるように、クロックレスDFEループ200は、入力信号202と帰還信号216とを組み合わせることによって出力信号214を提供するように構成される加算回路208を含む。クロックレスDFEループ200はまた、ランダムデータに適応するように構成される遅延適応ループ204を含む。
図2の例では、遅延適応ループ204は、入力として出力信号214を受け取り、出力として帰還信号216を提供する。図示のように、遅延適応ループ204は、自己相関制御回路206及びカスケード接続される遅延線206を含み、自己相関制御回路206は、カスケード接続された遅延線206から入力/出力データを受け取り、少なくとも1つの制御信号(例えば、V
ctrl、V
ctrl、V
ctrl2)をカスケード接続された遅延線206に提供する。異なる例において、自己相関制御回路206は、少なくとも1つの制御信号(例えば、V
ctrl、V
ctrl1、V
ctrl2)を生成するために用いられる自己相関器及び/又はその他の構成要素の数に関して変化する。動作において、自己相関制御装置206は、カスケード接続された遅延線205の遅延線のうちの少なくとも1つに関連する入力/出力(I/O)データを相関させる。相関結果は、カスケード接続された遅延線205の遅延線に提供される少なくとも1つの制御信号(例えば、V
ctrl、V
ctrl1、V
ctrl2)を生成するために用いられる。幾つかの例において、カスケード接続された遅延線205は、単一のVCDLと、符号付きDFEタップ重みを出力信号214の遅延バージョンに適用することによって帰還信号を生成するように構成されるDFEタップ回路(プログラム可能な出力スイングを有する固定遅延を有する遅延線)とを含む。他の例において、カスケード接続された遅延線205は、一連のVCDLと、符号付きDFEタップ重みを出力信号214の遅延バージョンに適用するように構成されるDFEタップ回路とを含む。
【0028】
図3Aは、シンボル間干渉(ISI)のないXNORゲートを用いる自己相関を示すグラフ300である。実信号f(t)の自己相関関数は、
によって与えられる。ランダム非ゼロ復帰(NRZ)ビットストリームの場合、自己相関関数は、右項に示すように、1UIで0になる(及びゼロのままである)三角関数である。ランダムNRZビットストリームの場合、XNORゲート(出力:±1V)が自己相関器として使用可能である。
【0029】
図3Bは、ISIのあるXNORゲートを用いる自己相関を示すグラフ310である。ISIがある場合、テールはグラフ310に示すように広がるが、0.5UI地点312はあまりシフトしない。したがって、1つの提案されるストラテジーは、平均XNORゲート出力(出力:±1V)を0.5Vと比較し、遅延を0.5UIにロックすることを含む。
【0030】
図4は、幾つかの例における遅延適応ループ400の図である。遅延適応ループ400は、クロックレスDFEの一部である
図2における遅延適応ループ204の一例である。他の例において、遅延適応ループ400は、クロックレスフィードフォワード等化器(FFE)、ロック喪失検出器、及びデータレートにわたる他のそのような応用例において用いられる。図示のように、遅延適応ループ400は、VCDL404に直列のVCDL402を含み、これらは、カスケード遅延線(例えば、
図2におけるカスケード遅延線205)を形成する。遅延適応ループ400はまた、VCDL402の入力及び出力に結合される自己相関器406を含む。
図4の例では、自己相関器406は、VCDL402の入力及び出力を相関させるXNORゲートである。幾つかの例において、自己相関器406の出力から0.5Vを減算するトランスコンダクタンス段408を用いて、平均自己相関器出力が0.5に設定される。トランスコンダクタンス段408の出力は、V
ctrlを決定するキャパシタ(C1)を充電するために用いられる。
図4の例では、V
ctrlが、VCDL402及び404に制御信号として提供され、VCDL402及び404の各々についての遅延を0.5UIにロックする(
図4の遅延適応ループについて1UIの総遅延をもたらす)。
図4において、自己相関器406、トランスコンダクタンス段408、及びC1は、自己相関制御回路(例えば、
図2の自己相関制御回路206)に対応する。
【0031】
図5は、幾つかの例における遅延及びV
ctrl曲線を示すグラフ500である。グラフ500では、自己相関関数(例えば、
図2又は
図4のもの)を用いて、遅延曲線及びV
ctrl曲線を生成する。
図5の例では、V
ctrlが整定すると遅延曲線は2×0.5UI(~62.5ps)に整定するかロックされるため、適度に閉じた入力アイ(図示せず)になる。
【0032】
図6A、
図6B、
図7A、及び
図7Bは、異なる例における適応遅延整定を示すグラフである。
図6Aのグラフ600では、擬似ランダムバイナリシーケンス(PRBS7)が、自己相関関数に基づいて遅延曲線を生成するために用いられ、ここで、16Gb/sで10-in FR4が用いられる。グラフ600では、遅延曲線は、約18μs後のピークトゥピーク変動が40fsになるように整定する。
図6Bのグラフ610では、擬似ランダムバイナリシーケンス(PRBS15)が、自己相関関数に基づいて遅延曲線を生成するために用いられ、ここで、16Gb/sで10-in FR4が用いられる。グラフ610では、遅延曲線は、約18μs後のピーク・ツー・ピーク変動が800fsになるように整定する(より長いPRBS実行がより多くの遅延ジッタ/変動をもたらす)。定常状態における遅延変動は、遅延適応ループの帯域幅(BW)の関数でもある。
【0033】
図7Aのグラフ700では、遅延曲線が、1UIより大きいか又は小さい初期遅延について表され、ここで、必要に応じて遅延を調節するために自己相関関数が用いられる。グラフ700に示すように、自己相関関数は、初期遅延が1UIより大きいか小さいかにかかわらず有効である(自己相関は双方向ロックをサポートする)。グラフ700では、PRBS7及び16Gb/sで10-in FR4が用いられる。
図7Bのグラフ710では、異なるデータ速度に対応する異なる遅延曲線が表され、ここで、10-in FR4チャネル及びPRBS7の自己相関が、遅延曲線を生成するために用いられる。グラフ710に表されるように、遅延線が十分な範囲を有する場合、提案された自己相関関数は、様々なデータレートにわたって遅延を自動的に適応させる。
【0034】
2つのVCDLの遅延ミスマッチが問題となる場合、各VCDLの周りの独立した自己相関ループが可能である。
図8は、幾つかの例において独立した自己相関ループを有する遅延適応ループ800の図である。遅延適応ループ800は、クロックレスDFEの一部である、
図2における遅延適応ループ204の一例である。他の例において、遅延適応ループ800は、クロックレスFFE、ロック喪失検出器、及びデータレートにわたる他のそのような応用例において用いられる。
【0035】
図示のように、遅延適応ループ800は、VCDL804に直列のVCDL802を含み、これらは、カスケード遅延線(例えば、
図2におけるカスケード遅延線205)を形成する。遅延適応ループ800はまた、VCDL802の入力及び出力に結合される自己相関器806を含む。また、自己相関器816が、VCDL804の入力及び出力に結合される。
図8の例では、自己相関器806及び816はXNORゲートであり、自己相関器806はVCDL802の入力及び出力を相関させ、自己相関器816はVCDL804の入力及び出力を相関させる。幾つかの例において、自己相関器806の出力から0.5Vを減算するトランスコンダクタンス段808を用いて、自己相関器806のための平均自己相関器出力が0.5に設定される。トランスコンダクタンス段808の出力はキャパシタ(C2)を充電するために用いられ、キャパシタ(C2)はVCDL802のための制御信号(V
ctrl1)を決定する。また、自己相関器816の出力から0.5Vを減算するトランスコンダクタンス段818を用いて、自己相関器816のための平均自己相関器出力が0.5に設定される。トランスコンダクタンス段808の出力はキャパシタ(C3)を充電するために用いられ、キャパシタ(C3)はVCDL804のための制御信号(V
ctrl2)を決定する。V
ctrl1及びV
ctrl2では、VCDL802及び804の各遅延は0.5UIでロックされる(
図8の遅延適応ループ800に対して総遅延は1UIになる)。
図8において、自己相関器806及び816、トランスコンダクタンス段808及び818、C2、及びC3は、自己相関制御回路(例えば、
図2の自己相関制御回路206)に対応する。
【0036】
別の選択肢として、2つの自己相関器が2つの0.5UI遅延のために用いられ、自己相関器の出力は、G
m段を通過する前に平均化される。
図9は、幾つかの例において、平均化された自己相関ループを有する遅延適応ループ900の図である。遅延適応ループ900は、クロックレスDFEの一部である、
図2における遅延適応ループ204の一例である。他の例において、遅延適応ループ900は、クロックレスFFE、ロック損失検出器、及び様々なデータレートにわたる他のそのような応用例で用いられる。
【0037】
図示のように、遅延適応ループ900は、VCDL904に直列のVCDL902を含み、これらはカスケード遅延線(例えば、
図2におけるカスケード遅延線205)を形成する。遅延適応ループ900はまた、VCDL902の入力及び出力に結合される自己相関器906を含む。また、自己相関器916が、VCDL904の入力及び出力に結合される。
図9の例では、自己相関器906及び916はXNORゲートであり、自己相関器906はVCDL902の入力と出力を相関させ、自己相関器916はVCDL904の入力と出力を相関させる。
図9の例では、自己相関器906及び916の出力は、抵抗器R1及びR2を用いて組み合わされ(平均化され)、ここで、自己相関器906及び916の平均自己相関器出力は、自己相関器906及び916の平均出力から0.5Vを減算するトランスコンダクタンス段908を用いて0.5に設定される。トランスコンダクタンス段908の出力は、VCDL902及び904のための制御信号(V
ctrl)を決定するキャパシタ(C4)を充電するために用いられる。
図9において、自己相関器906及び916、R1、R2、トランスコンダクタンス段908、及びC4は、自己相関制御回路(例えば、
図2の自己相関制御回路206)に対応する。遅延適応ループ900を用いると、各遅延線がミスマッチ(例えば、プロセス、温度、又は供給電圧のミスマッチ)のために0.5UIからわずかに外れている場合であっても、ループは1UIの総遅延にロックする。
【0038】
別の選択肢として、幾つかの例において、XNORゲートから出てくるパルスを計数するデジタル累算器/積分器を用いてフィルタリングが実施される。そのような場合、ループは、離散的に同調された遅延線又はDACのいずれかで閉じられる。
図10は、自己相関を有する遅延適応ループ1000と、幾つかの例におけるデジタル状態機械との図である。遅延適応ループ1000は、クロックレスDFEの一部である、
図2における遅延適応ループ204の一例である。他の例において、遅延適応ループ1000は、クロックレスFFE、ロック喪失検出器、及び様々なデータレートにわたる他のそのような応用例において用いられる。
【0039】
図示のように、遅延適応ループ1000は、VCDL1004に直列のVCDL1002を含み、これらはカスケード遅延線(例えば、
図2におけるカスケード遅延線205)を形成する。遅延適応ループ1000はまた、VCDL1002の入力と出力に結合される自己相関器1006を含む。
図10の例では、自己相関器1006がXNORゲートであり、自己相関器1006はVCDL1002の入力と出力を相関させる。図示のように、自己相関器1006の出力は、デジタル状態機械1008に提供される。
図10の例では、デジタル状態機械は、カウンタ1010と、累算器及び比較ブロック1012とを含む。デジタル状態機械1008の出力はDAC1014に提供され、DAC1014の出力は、VCDL1002及び1004に対する制御信号(V
ctrl)である。
図10において、自己相関器1006、デジタル状態マッチング1008、及びDAC1014は、自己相関制御回路(例えば、
図2の自己相関制御回路206)に対応する。遅延適応ループ1000を用いると、ループは1UIの総遅延にロックする。
【0040】
図11は、幾つかの例におけるVCDL1100(例えば、
図2、
図4、及び
図8~
図10のVCDL)の概略図である。図示のように、VCDL1100は、正の入力ノード(V
inp)及び負の入力ノード(V
inn)を含む。VCDL1100は、図示の配置において、抵抗器(R3~R6)及びバラクター(C5~C8)も含む。また、
図11では、正の出力ノード(V
outp)、負の出力ノード(V
outn)、及び制御入力(V
ctrl)ノードが表される。幾つかの例において、VCDLの構成要素又は構成要素の配置は、VCDL1100について表されるものとは異なる。
【0041】
図12は、幾つかの例における電流モード論理(CML)XNORゲート1200(例えば、
図4及び
図8~
図10の自己相関器)の概略図である。図示のように、XNORゲート1200は、正の供給電圧(V
DD)、接地ノード、Aノード、
入力ノード、Bノード、
ノード、Yノード、及び
ノードを含む。CML XNORゲート1200はまた、図示の構成における抵抗器(R7及びR8)及び種々のトランジスタ(Q1~Q6)を含む。幾つかの例において、自己相関器のための構成要素又は構成要素の配置は、CML XNORゲート1200のために表されるものとは異なる。
【0042】
図13は、幾つかの例におけるトランスコンダクタンス(G
m)段1300(例えば、
図4、
図8、及び
図9のトランスコンダクタンス段)の概略図である。図示のように、トランスコンダクタンス段1300は、正の電源電位(V
DD)、接地ノード、正の入力ノード(V
inp)、負入力ノード(V
inn)、及び出力電流(I
out)ノードを含む。トランスコンダクタンス段1300はまた、図示の配置における種々のトランジスタ(M1~M4)を含む。幾つかの例において、トランスコンダクタンス段のための構成要素又は構成要素の配置は、トランスコンダクタンス段1300のために表されるものとは異なる。
【0043】
提案された遅延適応ループトポロジーでは、自己相関関数が用いられる。ランダムデータストリームの自己相関関数は、時間シフトがゼロから増加するにつれて単調に減少し、時間シフトが1UIに達し、それを超えるとゼロになる。幾つかの例において、入力データ及びその遅延バージョンを入力として有するXNOR(又はXOR)ゲートが、この自己相関関数を生成するために用いられ、このXNORゲートの周りの制御ループが、自己相関関数をゼロに駆動する一方で、遅延を1UIに向かって駆動する。ISIが存在する場合、自己相関関数は、1UIの時間シフトを超える非ゼロテールを有し得る。したがって、1UIにロックする代わりに、自己相関関数を(0の代わりに)0.5に強いることによって、0.5UIにロックすることがよりロバストである。これらの0.5UI遅延要素は、1UI遅延を生成するためにカスケード接続され得る。提案される遅延適応ループトポロジーにより、較正された遅延は、システム内のクロックを必要とせずにランダムデータのために作成される(そして、電圧及び温度変動にもかかわらず遅延を維持する)。提案される遅延適応ループトポロジーは、クロックレスDFE、クロックレスFFE、ロック検出器の損失、及び様々なデータレートにわたる他のそのような応用例のための適応遅延線の設計を可能にする。提案される遅延適応ループトポロジーではクロックは用いられず、この解決策は僅かな遅延を生成するために一般化され得る。また、この解決策は、電圧及び温度の変動にもかかわらず所望の遅延への自動適応が可能であるように、種々のデータ速度にわたってスケーラブルである。
【0044】
幾つかの例において、或る装置(例えば、クロックレスDFE、クロックレスFFE、ロック損失検出器、又は異なるデータレートに適応する他のそのような回路を備える線形中継器又はリドライバに対応する、集積回路、チップ、又は回路)が、ランダムデータに適応するように構成されるクロックレス遅延適応ループを含む。この装置は、クロックレス遅延適応ループに結合される回路(例えば、クロックレスDFE、クロックレスFFE、ロック損失検出器、又は異なるデータレートに適応する他のそのような回路)を含む。クロックレス遅延適応ループは、カスケード接続遅延線(例えば、
図2のカスケード接続遅延線205、又は
図4及び
図8~10のVCDL)と、カスケード接続遅延線に結合される自己相関制御回路(例えば、
図2の自己相関制御回路206)とを含み、自己相関制御回路の出力が、カスケード接続遅延線のための制御信号(例えば、V
ctrl、V
ctrl1、V
ctrl2)を生成するために用いられる。
【0045】
幾つかの例において、カスケード接続された遅延線が、VCDL(例えば、
図4及び
図8~
図10のVCDL)を含み、自己相関制御回路は、XNORゲート(例えば、
図4及び
図8~
図10のXNORゲート)を含む。幾つかの例において、自己相関制御回路はまた、自己相関制御回路の出力に結合されるトランスコンダクタンス段(例えば、
図4、
図8、及び
図9のトランスコンダクタンス段)を含む。幾つかの例において、自己相関制御回路はまた、トランスコンダクタンス段の出力に結合される第1のプレートと、接地ノードに結合される第2のプレートとを備えるキャパシタ(例えば、
図4、
図8、及び
図9のキャパシタ)を含み、トランスコンダクタンス段の出力は制御信号であり、制御信号はクロックレス遅延適応ループを1UIの遅延値にロックする。幾つかの例において、自己相関制御回路は、自己相関制御回路の出力に結合されるデジタル状態機械(例えば、
図10のデジタル状態機械1008)も含む。幾つかの例において、自己相関制御回路は、デジタル状態機械の出力に結合されるDAC(例えば、
図10のDAC1014)を含み、ここで、DACの出力は制御信号であり、制御信号はクロックレス遅延適応ループを1UIの遅延値にロックする。
【0046】
幾つかの例において、カスケード接続された遅延線は、直列の第1の遅延線(例えば、
図4のVCDL402)及び第2の遅延線(例えば、
図4のVCDL404)を含み、第1及び第2の遅延線の各々が制御入力ノードを含み、自己相関制御回路の出力は、第1及び第2の遅延線のそれぞれの制御入力ノードに入力される制御信号(例えば、
図4のV
ctrl)を生成するために用いられる。
【0047】
幾つかの例において、カスケード接続された遅延線は、直列の第1の遅延線(例えば、
図8のVCDL802)及び第2の遅延線(例えば、
図8のVCDL804)を含み、第1及び第2の遅延線の各々が制御入力ノードを含み、自己相関制御回路は、第1の遅延線に関連する第1の自己相関器(例えば、
図8のXNORゲート806)を含み、第1の自己相関器の出力が、第1の遅延線の制御入力ノードに入力される制御信号(例えば、
図8のV
ctrl1)を生成するために用いられる。幾つかの例において、自己相関制御回路はまた、第2の遅延線に関連する第2の自己相関器(例えば、
図8のXNORゲート816)を含み、第2の自己相関器の出力が、第2の遅延線の制御入力ノードに入力される制御信号(例えば、
図8のV
ctrl2)を生成するために用いられる。
【0048】
幾つかの例において、カスケード接続された遅延線は、直列の第1の遅延線(例えば、
図9のVCDL902)及び第2の遅延線(例えば、
図9のVCDL904)を含み、第1及び第2の遅延線の各々が制御入力ノードを含み、自己相関制御回路は、第1の遅延線に関連する第1の自己相関器(例えば、
図9のXNORゲート906)を含む。幾つかの例において、自己相関制御回路はまた、第2の遅延線に関連する第2の自己相関器(例えば、
図9のXNORゲート916)を含み、第1及び第2の自己相関器の平均出力が、第1及び第2の遅延線の制御入力ノードに入力される制御信号(例えば、
図9のV
ctrl)を生成するために用いられる。
【0049】
幾つかの例において、クロックレスDFE(例えば、
図2におけるクロックDFE200)が、入力信号(例えば、
図2におけるV
in)及び帰還信号(例えば、
図2における帰還信号216)を組み合わせることによって出力信号(例えば、
図2におけるV
out)を提供するように構成される、加算回路(例えば、
図2における加算回路208)を含む。クロックレスDFEはまた、出力信号を受信し、帰還信号を提供するように構成されるDFE帰還経路(例えば、
図2におけるDFE帰還経路203)を含み、DFE帰還経路は、ランダムデータに適応するように構成される遅延適応ループ(例えば、
図2、
図4、及び
図8~
図10の遅延適応ループのいずれか)を含む。遅延適応ループは、データ入力ノードと、データ出力ノードと、制御入力ノードとを備えるVCDL(例えば、
図4及び
図8~
図10のVCDL)を含む。遅延適応ループはまた、データ入力ノード及びデータ出力ノードに結合される自己相関器(例えば、
図4及び
図8~
図10のXNORゲート)を含み、自己相関器の出力が、制御入力ノードに入力される制御信号生成するために用いられる。遅延適応ループは、VCDLに直列のDFEタップ回路(例えば、
図1を参照)も含む。
【0050】
幾つかの例において、自己相関器はXNORゲートであり、遅延適応ループは、自己相関器の出力に結合されるトランスコンダクタンス段(例えば、
図4、
図8、及び
図9のトランスコンダクタンス段)も含む。幾つかの例において、遅延適応ループは、トランスコンダクタンス段の出力に結合される第1のプレートと、接地ノードに結合される第2のプレートとを備えるキャパシタ(例えば、
図4、
図8、及び
図9のキャパシタ)を含み、トランスコンダクタンス段の出力は制御信号であり、制御信号は遅延線を1UIの遅延値にロックする。幾つかの例において、クロックレス遅延適応ループは、自己相関器の出力に結合されるデジタル状態機械(例えば、
図10のデジタル状態機械1008)を含む。幾つかの例において、クロックレス遅延適応ループは、デジタル状態機械の出力に結合されるDAC(例えば、
図10のDAC1014)を含み、DACの出力が制御信号であり、制御信号は遅延線を1UIの遅延値にロックする。
【0051】
幾つかの例において、遅延適応ループは、VCDLに対応する単一のVCDLを含む。他の例において、VCDLは第1のVCDL(例えば、
図8におけるVCDL802)であり、遅延適応ループは、第1のVCDLに直列の第2のVCDL(例えば、
図8におけるVCDL804)を含み、第1及び第2のVCDLの各々が制御入力ノードを有し、自己相関器は、第1のVCDLに関連する第1の自己相関器(例えば、
図8におけるXNORゲート806)であり、第1の自己相関器の出力が、第1のVCDLの制御入力ノードへの制御信号入力(例えば、
図8におけるV
ctrl1)を生成するために用いられる。このような例では、遅延適応ループは、第2のVCDLに関連する第2の自己相関器(例えば、
図8のXNORゲート816)も含み、第2の自己相関器の出力が、第2のVCDLの制御入力ノードへの制御信号入力(例えば、
図8のV
ctrl2)を生成するために用いられる。
【0052】
幾つかの例では、VCDLは第1のVCDL(例えば、
図9におけるVCDL902)であり、遅延適応ループは、第1のVCDLに直列の第2のVCDL(例えば、
図9におけるVCDL904)を含み、第1のVCDL及び第2のVCDLの各々が制御入力ノードを有し、自己相関器は、第1のVCDLに関連する第1の自己相関器(例えば、
図9におけるXNORゲート906)である。このような例では、クロックレス遅延適応ループはまた、第2のVCDLに関連する第2の自己相関器(例えば、
図9のXNORゲート916)を含み、第1及び第2の自己相関器の平均出力が、第1及び第2のVCDLの制御入力ノードに入力される制御信号(例えば、
図9のV
ctrl)を生成するために用いられる。
【0053】
本明細書では、「結合する」という語は、間接的又は直接的な有線又は無線接続のいずれかを意味する。そのため、第1のデバイスが第2のデバイスに結合する場合、その接続は、直接的接続を介するもの、又は他のデバイス及び接続を介した間接的接続を介するものであり得る。「~に基づく」という記載は、「少なくとも部分的に基づく」ことを意味し、そのため、XがYに基づく場合、XはY及び任意の数の他の要因の関数であり得る。
【0054】
本発明の特許請求の範囲内で、説明した例示の実施例に改変が成され得、他の実施例が可能である。
【国際調査報告】