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特表2023-504361関心領域およびサーマルバジェットに基づく光検出および測距(LIDAR)デバイスのためのパルスエネルギー計画
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-03
(54)【発明の名称】関心領域およびサーマルバジェットに基づく光検出および測距(LIDAR)デバイスのためのパルスエネルギー計画
(51)【国際特許分類】
   G01S 7/484 20060101AFI20230127BHJP
   G01S 17/931 20200101ALI20230127BHJP
【FI】
G01S7/484
G01S17/931
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022529053
(86)(22)【出願日】2020-12-01
(85)【翻訳文提出日】2022-06-28
(86)【国際出願番号】 US2020062729
(87)【国際公開番号】W WO2021113255
(87)【国際公開日】2021-06-10
(31)【優先権主張番号】62/943,650
(32)【優先日】2019-12-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/838,581
(32)【優先日】2020-04-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
2.ZIGBEE
(71)【出願人】
【識別番号】317015065
【氏名又は名称】ウェイモ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100126480
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 睦
(72)【発明者】
【氏名】ドロズ,ピエール-イヴ
(72)【発明者】
【氏名】オナル,ケイナー
(72)【発明者】
【氏名】エルガス,サイモン
(72)【発明者】
【氏名】タッツォーリ,アウグスト
【テーマコード(参考)】
5J084
【Fターム(参考)】
5J084AA04
5J084AA05
5J084AC02
5J084AD01
5J084BA03
5J084BA04
5J084BA12
5J084BA35
5J084BA36
5J084BA40
5J084BA49
5J084BA50
5J084BB01
5J084BB28
5J084CA03
5J084CA70
5J084EA18
5J084EA22
(57)【要約】
例示的な実施形態は、関心領域およびサーマルバジェットに基づく光検出および測距(LIDAR)デバイスのためのパルスエネルギー計画に関する。LIDARデバイスの例は、環境へ、複数の異なる放射方向に光パルスを放射するように構成された複数の光エミッタを含む。LIDARデバイスはまた、複数の光エミッタに電力を供給するように構成された回路を含む。さらに、LIDARデバイスは、複数の光エミッタによって放射された光パルスの反射を検出するように構成された複数の検出器を含む。加えて、LIDARデバイスは、(i)環境内の1つ以上の関心領域、およびサーマルバジェットに基づいてパルスエネルギー計画を決定し、(ii)パルスエネルギー計画に基づいて回路を制御するように構成されたコントローラを含む。パルスエネルギー計画は、複数の光エミッタの各光エミッタによって放射される各光パルスのパルスエネルギーレベルを指定する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光検出および測距(LIDAR)デバイスであって、
前記LIDARデバイスの環境へ、複数の異なる放射方向に光パルスを放射するように構成された複数の光エミッタと、
前記複数の光エミッタに電力を供給するように構成された回路と、
複数の検出器であって、前記複数の検出器の各検出器は、前記複数の光エミッタのうちの対応する光エミッタによって放射され、前記LIDARデバイスの前記環境から受信される光パルスの反射を検出するように構成された、複数の検出器と、
コントローラと、を備え、前記コントローラは、(i)前記LIDARデバイスの前記環境内の1つ以上の関心領域、およびサーマルバジェットに基づいてパルスエネルギー計画を決定することであって、前記パルスエネルギー計画は、前記複数の光エミッタの各光エミッタによって放射される各光パルスのパルスエネルギーレベルを指定することと、(ii)前記パルスエネルギー計画に基づいて前記回路を制御することと、を行うように構成されている、LIDARデバイス。
【請求項2】
前記パルスエネルギー計画は、少なくとも第1のパルスエネルギーレベルおよび第2のパルスエネルギーレベルの中から各光パルスのパルスエネルギーレベルを指定し、前記第2のパルスエネルギーレベルは前記第1のパルスエネルギーレベルよりも高い、請求項1に記載のLIDARデバイス。
【請求項3】
前記コントローラは、前記1つ以上の関心領域の少なくとも一部分をカバーする方向の範囲を決定するようにさらに構成され、前記パルスエネルギー計画は、前記方向の範囲内の放射方向に放射される少なくともいくつかの光パルスについて前記第2のパルスエネルギーレベルを指定し、前記パルスエネルギー計画は、他の光パルスについて前記第1のパルスエネルギーレベルを指定する、請求項2に記載のLIDARデバイス。
【請求項4】
前記方向の範囲は、方位角の範囲のまたは仰角の範囲のうちの少なくとも1つを包含する、請求項3に記載のLIDARデバイス。
【請求項5】
前記回路は複数のパルサー回路を含み、各パルサー回路は、それぞれの、前記複数の光エミッタのうちの1つ以上の光エミッタのセットに電力を供給するように構成されている、請求項2に記載のLIDARデバイス。
【請求項6】
前記複数のパルサー回路の各パルサー回路は、前記コントローラからの制御信号に応答して第1のモードまたは第2のモードのうちの1つで動作するように構成され、前記第1のモードで動作する各パルサー回路は、前記第1のパルスエネルギーレベルのパルスエネルギーで光パルスを放射するように、前記各パルサー回路の前記1つ以上の光エミッタのセットの個々の光エミッタに電力を供給し、前記第2のモードで動作する各パルサー回路は、前記第2のパルスエネルギーレベルのパルスエネルギーで光パルスを放射するように、前記各パルサー回路の前記1つ以上の光エミッタのセットの個々の光エミッタに電力を供給する、請求項5に記載のLIDARデバイス。
【請求項7】
各パルサー回路は、前記各パルサー回路の前記1つ以上の光エミッタのセットに結合された1つ以上のコンデンサのセットを含み、充電期間中に前記各パルサー回路の前記1つ以上のコンデンサのセットの各コンデンサを充電し、次いで、放電期間中に、前記各パルサー回路の前記1つ以上の光エミッタのセットの対応する光エミッタを介して各充電されたコンデンサを放電するように構成されており、所与のパルサー回路の前記充電期間は、前記所与のパルサー回路が前記第2のモードで動作するとき、より長く、結果として、前記所与のパルサー回路が前記第1のモードで動作するときよりも、前記所与のパルサー回路の前記1つ以上のコンデンサのセットにより多くのエネルギーが格納される、請求項6に記載のLIDARデバイス。
【請求項8】
前記複数の光エミッタおよび前記複数の検出器を回転軸を中心に回転させることによって、角度のある範囲にわたって前記LIDARデバイスの指向方向を走査するように構成されたアクチュエータをさらに備え、前記角度のある範囲は、回転軸を中心とした方位角のある範囲を含む、請求項1に記載のLIDARデバイス。
【請求項9】
前記軸を中心とした前記方位角のある範囲は前記軸を中心とした1回転に対応する、請求項8に記載のLIDARデバイス。
【請求項10】
前記LIDARデバイスの前記指向方向は、前記軸を中心とした前記1回転の間、前記回転軸に対して一定の仰角を保つ、請求項9に記載のLIDARデバイス。
【請求項11】
前記複数の異なる放射方向は、前記指向方向より上の1つ以上の放射方向、前記指向方向より下の1つ以上の放射方向、前記指向方向の左側の1つ以上の放射方向、および前記指向方向の右側の1つ以上の放射方向を含む、請求項10に記載のLIDARデバイス。
【請求項12】
光学系はテレセントリックレンズを含み、前記LIDARデバイスの指向方向は前記テレセントリックレンズの光軸に対応する、請求項1に記載のLIDARデバイス。
【請求項13】
前記コントローラは、前記LIDARデバイスの前記環境内の温度に基づいて前記サーマルバジェットを決定するようにさらに構成されている、請求項1に記載のLIDARデバイス。
【請求項14】
前記環境内の前記温度が閾値周囲温度よりも低いとき、前記サーマルバジェットは増加され、前記増加されたサーマルバジェットを利用することで、前記光エミッタが加熱されて一定の光エミッタ温度が維持されている、請求項13に記載のLIDARデバイス。
【請求項15】
前記コントローラは、前記LIDARデバイスの前記環境の雲量、または前記LIDARデバイスの熱電ヒーターもしくは熱電クーラーの状態に基づいて前記サーマルバジェットを決定するようにさらに構成されている、請求項13に記載のLIDARデバイス。
【請求項16】
前記コントローラは、前記LIDARデバイスの指向方向が、角度のある範囲外にあるとき、前記複数の検出器のうちの少なくとも1つにバイアスをかけるのを停止するようにさらに構成されている、請求項1に記載のLIDARデバイス。
【請求項17】
前記コントローラは、マップデータに基づいて前記1つ以上の関心領域を決定するようにさらに構成されている、請求項1に記載のLIDARデバイス。
【請求項18】
前記コントローラは、前記LIDARデバイスの補助センサからのデータに基づいて前記1つ以上の関心領域を決定するようにさらに構成されている、請求項1に記載のLIDARデバイス。
【請求項19】
前記コントローラは、前記光エミッタの1つ以上の効率性に基づいて前記サーマルバジェットを決定するようにさらに構成されている、請求項1に記載のLIDARデバイス。
【請求項20】
前記コントローラは、前記LIDARデバイスに関連付けられた車両に対する地平線の場所に基づいて前記1つ以上の関心領域を決定するようにさらに構成されている、請求項1に記載のLIDARデバイス。
【請求項21】
前記コントローラは、気象状況に基づいて前記1つ以上の関心領域を決定するようにさらに構成されている、請求項1に記載のLIDARデバイス。
【請求項22】
前記コントローラは、前記LIDARデバイスに関連付けられた車両の1つ以上の運転状況に基づいて前記1つ以上の関心領域を決定するようにさらに構成されている、請求項1に記載のLIDARデバイス。
【請求項23】
前記運転状況は、前記車両が走行している道路のタイプ、交通信号、交通状況、矢印信号が無い状態での右左折の発生、過去の運転データ、車両フリート内の他の車両からのデータ、または工事ゾーンの場所を含む、請求項22に記載のLIDARデバイス。
【請求項24】
前記コントローラは、時刻に基づいて前記1つ以上の関心領域を決定するようにさらに構成されている、請求項1に記載のLIDARデバイス。
【請求項25】
方法であって、
光検出および測距(LIDAR)デバイスのコントローラを使用して、前記LIDARデバイスの環境内の1つ以上の関心領域、およびサーマルバジェットに基づいてパルスエネルギー計画を決定することと、
前記コントローラによって、複数の光エミッタに電力を供給するように構成された前記LIDARデバイスの回路を、前記パルスエネルギー計画に従って制御することと、
前記複数の光エミッタの各光エミッタから、前記LIDARデバイスの前記環境へ、前記LIDARデバイスに対して複数の異なる放射方向に光パルスを放射することであって、前記複数の光エミッタの各光エミッタによって放射される各光パルスのパルスエネルギーレベルは、前記パルスエネルギー計画によって指定されることと、
各検出器が前記複数の光エミッタのうちの光エミッタに対応する、前記LIDARデバイスの複数の検出器によって、前記対応する光エミッタによって放射され、前記LIDARデバイスの前記環境から受信される前記光パルスの反射を検出することと、を含む、方法。
【請求項26】
前記LIDARデバイスのアクチュエータによって、角度のある範囲にわたって前記LIDARデバイスの指向方向を走査することをさらに含み、
前記LIDARデバイスの前記回路を制御することは、前記アクチュエータによって前記角度のある範囲にわたって前記LIDARデバイスの前記指向方向を走査するとき、前記LIDARデバイスの前記回路を制御することを含み、
前記LIDARデバイスに対する前記異なる放射方向は、前記LIDARデバイスの前記指向方向に対する異なる放射方向を含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
命令が格納された非一時的なコンピュータ可読媒体であって、前記命令は、プロセッサによって実行されると、
光検出および測距(LIDAR)デバイスの環境内の1つ以上の関心領域、およびサーマルバジェットに基づいてパルスエネルギー計画を決定することと、
複数の光エミッタに電力を供給するように構成された前記LIDARデバイスの回路を、前記パルスエネルギー計画に従って制御することと、
前記複数の光エミッタの各光エミッタに、前記LIDARデバイスの前記環境へ、前記LIDARデバイスに対して複数の異なる放射方向に光パルスを放射させることであって、前記複数の光エミッタの各光エミッタによって放射される各光パルスのパルスエネルギーレベルは、前記パルスエネルギー計画によって指定されることと、
前記LIDARデバイスの複数の検出器の各検出器から、前記複数の光エミッタによって放射され、前記LIDARデバイスの前記環境から受信される前記光パルスの検出された反射に対応する信号を受信することであって、前記複数の検出器の各検出器は、前記複数の光エミッタのうちの光エミッタに対応することと、を含む方法を実行する、非一時的なコンピュータ可読媒体。
【請求項28】
前記方法は、前記LIDARデバイスのアクチュエータに、角度のある範囲にわたって前記LIDARデバイスの指向方向を走査させることをさらに含み、
前記LIDARデバイスの前記回路を制御することは、前記アクチュエータによって前記角度のある範囲にわたって前記LIDARデバイスの前記指向方向を走査するとき、前記LIDARデバイスの前記回路を制御することを含み、
前記LIDARデバイスに対する前記異なる放射方向は、前記LIDARデバイスの前記指向方向に対する異なる放射方向を含む、請求項27に記載の非一時的なコンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年12月4日に出願された米国仮特許出願第62/943,650号および2020年4月2日に出願された米国実用特許出願第16/838,581号に基づく優先権を主張し、それぞれの内容が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
本明細書に別段の指示がない限り、本項に記載の題材は、本出願の特許請求の範囲に対する先行技術ではなく、本項に含めることよって先行技術であると認められるものではない。
【0003】
光検出および測距(LIDAR)デバイスは、シーンを走査しながら環境特徴までの距離を求めることでデータを収集することができ、収集されたデータは、環境内の反射面を示す「点群」に組み合わせることができる。点群の個々の点は、例えば、レーザパルスを送信し、環境におけるオブジェクトから反射された戻りパルスがあればそれを検出し、その後、パルスの送信とその反射パルスの受信との間の時間遅延に従ってオブジェクトまでの距離を測定することによって求めることができる。その結果、例えば、環境における反射性特徴の位置を示す点の三次元マップを生成することができる。
【発明の概要】
【0004】
本開示は、関心領域およびサーマルバジェットに基づくLIDARデバイスのためのパルスエネルギー計画に関する。LIDARデバイスが(例えば、点群を生成するために)環境を走査するとき、LIDARデバイスは過剰な熱を生成する可能性がある(例えば、LIDARデバイスの光エミッタの非効率性から)。過剰な熱が発生しすぎると、そのような熱がLIDARデバイスの構成要素に悪影響を与える可能性がある。LIDARデバイスの潜在的な劣化を防ぐために、LIDARデバイスの光エミッタに提供される電力はパルスエネルギー計画に従って割り当てられ得、それによって、生成される過剰な熱の量を制限することができる。光エミッタに提供される電力量を割り当てる1つの方法は、LIDARデバイスを取り巻く環境内の関心領域を識別し、LIDARデバイスがそれらの関心領域を走査しているときに光エミッタにより大きな電力を提供することである。
【0005】
一態様では、LIDARデバイスが提供される。LIDARデバイスは、LIDARデバイスの環境へ、複数の異なる放射方向に光パルスを放射するように構成された複数の光エミッタを含む。LIDARデバイスはまた、複数の光エミッタに電力を供給するように構成された回路を含む。さらに、LIDARデバイスは複数の検出器を含む。複数の検出器の各検出器は、複数の光エミッタのうちの対応する光エミッタによって放射され、LIDARデバイスの環境から受信される光パルスの反射を検出するように構成されている。さらに、LIDARデバイスは、(i)LIDARデバイスの環境内の1つ以上の関心領域、およびサーマルバジェットに基づいてパルスエネルギー計画を決定するように構成されたコントローラを含む。パルスエネルギー計画は、複数の光エミッタの各光エミッタによって放射される各光パルスのパルスエネルギーレベルを指定し、(ii)パルスエネルギー計画に基づいて回路を制御する。
【0006】
別の態様では、方法が提供される。この方法は、光検出および測距(LIDAR)デバイスのコントローラを使用して、LIDARデバイスの環境内の1つ以上の関心領域、およびサーマルバジェットに基づいてパルスエネルギー計画を決定することを含む。この方法はまた、コントローラによって、複数の光エミッタに電力を供給するように構成されたLIDARデバイスの回路を、パルスエネルギー計画に従って制御することを含む。さらに、この方法は、複数の光エミッタの各光エミッタから、LIDARデバイスの環境へ、LIDARデバイスに対して複数の異なる放射方向に光パルスを放射することを含む。複数の光エミッタの各光エミッタによって放射される各光パルスのパルスエネルギーレベルはパルスエネルギー計画によって指定される。さらに、この方法は、各検出器が複数の光エミッタのうちの光エミッタに対応する、LIDARデバイスの複数の検出器によって、対応する光エミッタによって放射され、LIDARデバイスの環境から受信される光パルスの反射を検出することを含む。
【0007】
追加の態様では、命令が格納されている非一時的なコンピュータ可読媒体が提供される。命令は、プロセッサによって実行されると、方法を実行する。この方法は、光検出および測距(LIDAR)デバイスの環境内の1つ以上の関心領域、およびサーマルバジェットに基づいてパルスエネルギー計画を決定することを含む。この方法はまた、複数の光エミッタに電力を供給するように構成されたLIDARデバイスの回路をパルスエネルギー計画に従って制御することを含む。さらに、この方法は、複数の光エミッタの各光エミッタに、LIDARデバイスの環境へ、LIDARデバイスに対して複数の異なる放射方向に光パルスを放射させることを含む。複数の光エミッタの各光エミッタによって放射される各光パルスのパルスエネルギーレベルはパルスエネルギー計画によって指定される。さらに、この方法は、LIDARデバイスの複数の検出器の各検出器から、複数の光エミッタによって放射され、LIDARデバイスの環境から受信される光パルスの検出された反射に対応する信号を受信することを含む。複数の検出器の各検出器は、複数の光エミッタのうちの光エミッタに対応する。
【0008】
これらのおよび他の態様、利点、および代替物は、当業者には、以下の詳細な説明を添付の図面を適宜参照して読み取ることにより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】例示的な実施形態による、車両を図解する機能ブロック図である。
図2A】例示的な実施形態による、車両の物理的構成の図示である。
図2B】例示的な実施形態による、車両の物理的構成の図である。
図2C】例示的な実施形態による、車両の物理的構成の図示である。
図2D】例示的な実施形態による、車両の物理的構成の図示である。
図2E】例示的な実施形態による、車両の物理的構成の図示である。
図3】例示的な実施形態による、自律車両に関連する様々なコンピューティングシステム間の無線通信の概念図である。
図4A】例示的な実施形態による、LIDARデバイスの動作の例を示す。
図4B】例示的な実施形態による、LIDARデバイスの走査レンジの例を示す。
図5A】例示的な実施形態による、パルスエネルギー計画の概略図である。
図5B】例示的な実施形態による、パルスエネルギー計画のグラフである。
図5C】例示的な実施形態による、4つのパルスエネルギー計画の概略図である。
図6A】例示的な実施形態による、LIDARデバイスの図である。
図6B】例示的な実施形態による、パルスエネルギー計画の概略図である。
図6C】例示的な実施形態による、パルスエネルギー計画のグラフである。
図7】例示的な実施形態による方法のフローチャート例解図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
例示的な方法およびシステムが本明細書で企図されている。本明細書において記載された任意の例示的な実施形態または特徴は、必ずしも他の実施形態または特徴よりも好ましいまたは有利であると解釈されるものではない。本明細書において記載された例示的な実施形態は、限定的であることを意味するものではない。開示されるシステムおよび方法の特定の態様は、多種多様な異なる構成で配置し、組み合わせることができ、これらの構成のすべてが、本明細書において企図されることは容易に理解されよう。
【0011】
さらに、図面に示される特定の配置は、限定するものと見なされるべきではない。他の実施形態は、所与の図に示される各要素をより多く、またはより少なく含むことができることを理解されたい。さらに、例解される要素のうちのいくつかは、組み合わせることができるか、または省略することができる。なおさらに、例示的な実施形態は、例解されていない要素を含み得る。
【0012】
本明細書では、「送信機」、「エミッタ」、および「光エミッタ」という用語は、文脈に基づいて交換可能に使用され得る。同様に、「受信機」および「検出器」という用語も、文脈に基づいて交換可能に使用され得る。
【0013】
I.概要
例示的な実施形態では、LIDARデバイスは1つ以上の送信機(例えば、レーザダイオード)および1つ以上の受信機(例えば、光検出器)を含み得る。例えば、LIDARデバイスの例は、レーザ送信機のアレイおよび対応する光検出器のアレイを含み得る。そのようなアレイは、シーン内のオブジェクトを照らし、シーン内のオブジェクトからの反射光を受信して、LIDARデバイスに対して特定の角度視野の点群を生成するために使用できるデータを収集し得る。さらに、増強された視野(例えば、完全な360°視野)で点群を生成するために、送信機のアレイおよび対応する受信機のアレイは、所定の時間および/または増強された視野内の所定の位置で光を送受信することができる。例えば、LIDARは、光が360°の視野の周りの複数の方向で同時に送受信されるように、送信機のアレイおよび対応する受信機のアレイを垂直軸の周りに配置し得る。別の例として、LIDARを中心軸を中心に回転させて、複数のデータセットを送受信してもよい。データを使用して点群が形成され得、点群を合成して増強された視野が生成され得る。一部の実施形態では、送信機のアレイ/対応する受信機のアレイは均一な密度を有さない場合がある。例えば、アレイの中央部分は、アレイの周辺と比較して、送信機/受信機の密度が高い可能性がある。これにより、視野の点群の特定の部分の解像度を高めることができる(例えば、点群の中央領域は点群の周辺領域よりも高い密度を有し得る)。高められた解像度は、周囲のシーンの関心領域に対応している可能性がある。例えば、自律モードで動作している車両では、車両の上方または下方のオブジェクトと比較して、車両の前方のオブジェクトへの関心が高い可能性がある。別の例として、所定の地図上の特定の仰角(例えば、地平線沿い)もしくは特定の場所(例えば、横断歩道を含む街角付近)、または乗用車に対して特定の場所にあるオブジェクトへの関心が高い可能性がある。マップは、例えば、二次元または三次元のマップであり得る。
【0014】
送信機は、事前に定められた送信電力を使用して、環境内のオブジェクトを照らし得る。環境内の電磁損失のために、そのような送信電力は、最大距離にあるオブジェクトの観測のみを可能にする可能性がある。例えば、大気中の光線の発散および/または減衰のために、送信された光線は、LIDARデバイスから最大距離より離れているオブジェクトから反射された場合、対応する受信機によって検出されるのに十分な電力を持たない可能性がある。したがって、事前定義された送信電力は、LIDARデバイスの望ましい検出可能レンジに基づいて選択され得る。追加でまたは代わりに、事前に定められた送信電力は、LIDARデバイス内の熱的制約(例えば、送信機によって生成される熱量がLIDARデバイス自体を劣化させないように)および/または他の制約に基づいて選択できる。
【0015】
しかし、特定の関心領域ではレンジを拡大することが望ましい可能性がある。例えば、自律モードで動作する車両は、事前に定められた送信電力によって定められた最大距離の向こうにオブジェクトが存在し得る特定の関心領域を示すマップデータまたは他のタイプのデータにアクセスできる。追加でまたは代わりに、LIDARデバイスが軸を中心に回転する場合、レンジの拡大が望まれる特定の関心領域が存在する可能性がある(例えば、車両の背後の領域ではなく、車両の前方または側方の領域が照らされるように送信機のアレイが方向付けられているとき)。このような関心領域の場合、送信機の電力は、事前に定められた送信電力よりも高くなるように変調され、それによって、これらの領域でのLIDARデバイスのレンジが拡大される。このような送信電力変調は、LIDARデバイスの方位角向きに基づいて実行され得る(例えば、中心軸を中心に0°~60°では送信電力が増強され、60°~360°では送信電力は事前に定められた送信電力に等しい)。追加でまたは代わりに、このような送信電力変調は、送信機のアレイ内の送信機ごとに実行され得る。例えば、LIDARデバイスまたは地面に対してより仰角が高い角度でオブジェクトを照らすために使用される送信機は増強された送信電力を有し得、一方、残りの送信機は事前に定められた送信電力を使用し得る。追加でまたは代わりに、そのような送信電力変調は、一貫してもしくは可変の時間において、または、他のセンサデータ(例えば、日射強度などの周囲光強度を測定するように構成された光センサ)、マップデータなどの他のデータ(例えば、二次元または三次元のマップデータ)、季節、日付、および/または時刻(例えば、春、休日、または正午)に関連するデータ、場所および/またはイベントに関連するデータ(例えば、長い直線を有する高速道路の区間、および/またはコンサートやスポーツイベントの終わり)、他のフリート車両からのデータ、リモートサーバからのデータ、過去データ(例えば、特定の場所において人々/動物の横断が過去に頻繁に起こっている時刻または年)、LIDARデバイス内の冷却デバイスに関連するデータ(例えば、LIDARデバイスの熱電クーラーによって実行される冷却の程度に関連するデータ)などに基づいて動的に実行され得る。したがって、特定の関心領域について増強された送信電力を使用することで、追加の機械部品を必要とせずに、ステアリング可能な長距離LIDARデバイスを模倣することができる。
【0016】
しかし、LIDARデバイスの熱制限が依然として影響を与える可能性がある。したがって、関心領域間で分配可能なサーマルバジェットが存在し得、つまり、事前に定められた送信電力を超える送信電力は、LIDARデバイスにおいて悪影響を与えることなく、周囲の環境の限られた関心領域のためにのみ使用可能である。したがって、サーマルバジェットは、関心領域間で、および様々な関心領域の望ましいレンジ間で分割され得る。
【0017】
さらに、一部の実施形態では、増強された送信電力から利益を得ることができる関心領域は、気象状況(例えば、雪の場合、増強された送信電力は、LIDARデバイスの真正面の領域の領域であり得る)または地形(例えば、LIDARデバイスが坂を登っているまたは下っている場合、送信機のアレイ内の、高い仰角または低い仰角に方向付けられた送信機は、増強された送信電力の恩恵を受ける可能性がある)に基づいて定められ得る。
【0018】
II.例示的なシステム
以下の説明および添付図面は、様々な例示的な実施形態の特徴を明らかにする。提供される実施形態は例としてのものであり、限定することを意図するものではない。したがって、図面の寸法は必ずしも縮尺通りではない。
【0019】
ここで、本開示の範囲内の例示的なシステムをより詳細に説明する。例示的なシステムは、自動車に実装され得るか、または自動車の形態をとり得る。しかしながら、例示的なシステムはまた、乗用車、トラック、オートバイ、バス、ボート、飛行機、ヘリコプター、芝刈り機、ブルドーザー、ボート、スノーモービル、航空機、レクリエーション車両、遊園地車両、農機具、建設機械、トラム、ゴルフカート、電車、トロリー、ロボットデバイスなどの、他の車両に実装され得るか、または他の車両の形態をとり得る。他の車両も同様に可能である。さらに、いくつかの実施形態では、例示的なシステムは、車両を含まない場合がある。
【0020】
ここで図を参照すると、図1は、自律モードで完全にまたは部分的に動作するように構成され得る、例示的な車両100を示す機能ブロック図である。より具体的には、車両100は、コンピューティングシステムから制御命令を受信することを通して、人間の相互作用なしに自律モードで動作し得る。自律モードでの動作の一部として、車両100は、センサを使用して、周囲環境のオブジェクトを検出し、可能であれば識別して、安全なナビゲーションを可能にし得る。いくつかの実施形態では、車両100は、運転者が車両100の動作を制御することを可能にするサブシステムも含み得る。
【0021】
図1に示されるように、車両100は、推進システム102、センサシステム104、制御システム106、1つ以上の周辺機器108、電源110、コンピュータシステム112(コンピューティングシステムとも称され得る)、データストレージ114、およびユーザインターフェース116などの様々なサブシステムを含み得る。他の例では、車両100は、各々が多数の要素を含み得る、サブシステムをより多くまたはより少なく含み得る。車両100のサブシステムおよび構成要素は、様々な方法で相互接続され得る。加えて、本明細書で説明する車両100の機能は、追加の機能的または物理的構成要素に分割するか、または実施形態内でより少ない機能的もしくは物理的構成要素に組み合わせることができる。例えば、制御システム106およびコンピュータシステム112は、様々な動作に従って車両100を操作する単一のシステムに組み合わされ得る。
【0022】
推進システム102は、車両100に動力付き運動を提供するように動作可能な1つ以上の構成要素を含み得、他の可能な構成要素の中でも特に、エンジン/モータ118、エネルギー源119、トランスミッション120、および車輪/タイヤ121を含み得る。例えば、エンジン/モータ118は、エネルギー源119を機械的エネルギーに変換するように構成され得、他の可能な選択肢の中でも特に、内燃エンジン、電気モータ、蒸気エンジン、またはスターリングエンジンのうちの1つまたはそれらの組み合わせに対応し得る。例えば、いくつかの実施形態では、推進システム102は、ガソリンエンジンおよび電気モータなどの多数の種類のエンジンおよび/またはモータを含み得る。
【0023】
エネルギー源119は、完全にまたは部分的に、車両100の1つ以上のシステム(例えば、エンジン/モータ118)に動力を供給し得るエネルギー源を表す。例えば、エネルギー源119は、ガソリン、ディーゼル、他の石油系燃料、プロパン、他の圧縮ガス系燃料、エタノール、ソーラパネル、電池、および/または他の電力源に対応することができる。いくつかの実施形態では、エネルギー源119は、燃料タンク、電池、コンデンサ、および/またはフライホイールの組み合わせを含み得る。
【0024】
トランスミッション120は、エンジン/モータ118からの機械動力を、車輪/タイヤ121および/または車両100の他の可能なシステムに伝達し得る。したがって、トランスミッション120は、他の可能な構成要素の中でも特に、ギアボックス、クラッチ、ディファレンシャル、および駆動シャフトを含み得る。駆動シャフトは、1つ以上の車輪/タイヤ121に接続する車軸を含み得る。
【0025】
車両100の車輪/タイヤ121は、例示的な実施形態内で様々な構成を有し得る。例えば、車両100は、他の可能な構成の中でも特に、一輪車、自転車/オートバイ、三輪車、または乗用車/トラック四輪車の形式で存在し得る。したがって、車輪/タイヤ121は、様々な方法で車両100に接続することができ、金属およびゴムなどの異なる材料で存在することができる。
【0026】
センサシステム104は、他の可能なセンサの中でも特に、GPS122、慣性計測装置(IMU)124、レーダ126、レーザ距離計/LIDAR128、カメラ130、ステアリングセンサ123、およびスロットル/ブレーキセンサ125などの様々なタイプのセンサを含むことができる。いくつかの実施形態では、センサシステム104は、車両100の内部システムをモニタするように構成されたセンサ(例えば、Oモニタ、燃料計、エンジンオイル温度、ブレーキ摩耗)も含み得る。
【0027】
GPS122は、地球に対する車両100の位置に関する情報を提供するように動作可能なトランシーバを含み得る。IMU124は、1つ以上の加速度計および/またはジャイロスコープを使用する構成を有し得、慣性加速度に基づいて車両100の位置および配向の変化を感知し得る。例えば、IMU124は、車両100が静止しているかまたは動いている間に車両100のピッチおよび偏揺れを検出することができる。
【0028】
レーダ126は、オブジェクトの速さおよび進行方向を含めて、無線信号を使用して、車両100のローカル環境内のオブジェクトを感知するように構成された1つ以上のシステムに相当し得る。したがって、レーダ126は、無線信号を送受信するように構成されたアンテナを含み得る。いくつかの実施形態では、レーダ126は、車両100の周囲環境の測定値を得るように構成された取り付け可能なレーダシステムに対応し得る。
【0029】
レーザ距離計/LIDAR128は、他のシステム構成要素の中でも特に、1つ以上のレーザ源、レーザスキャナ、および1つ以上の検出器を含み得、コヒーレントモード(例えば、ヘテロダイン検出を使用)またはインコヒーレント検出モードで動作し得る。一部の実施形態では、レーザ距離計/LIDAR128の1つ以上の検出器は1つ以上の光検出器を含み得る。このような光検出器は、特に高感度検出器(例えば、アバランシェフォトダイオード(APD))であり得る。一部の例では、そのような光検出器は単一光子を検出可能であってもよい(例えば、SPAD)。さらに、そのような光検出器は(例えば、SiPMのような)アレイ状に(例えば、直列の電気接続を介して)配置することができる。一部の例では、1つ以上の光検出器はガイガーモードで動作するデバイスであり、LIDARはそのようなガイガーモード動作のために設計されたサブ構成要素を含む。
【0030】
カメラ130は、車両100の環境の画像をキャプチャするように構成された1つ以上のデバイス(例えば、スチルカメラまたはビデオカメラ)を含み得る。
【0031】
ステアリングセンサ123は、車両100のステアリング角度を感知し得、これは、ステアリングホイールの角度を測定すること、またはステアリングホイールの角度を表す電気信号を測定することを含み得る。いくつかの実施形態では、ステアリングセンサ123は、車両100の前方軸に対する車輪の角度を検出するなど、車両100の車輪の角度を測定し得る。ステアリングセンサ123はまた、ステアリングホイールの角度、ステアリングホイールの角度を表す電気信号、および車両100の車輪の角度の組み合わせ(またはサブセット)を測定するように構成され得る。
【0032】
スロットル/ブレーキセンサ125は、車両100のスロットル位置またはブレーキ位置のいずれかの位置を検出し得る。例えば、スロットル/ブレーキセンサ125は、アクセルペダル(スロットル)およびブレーキペダルの両方の角度を測定し得、または、例えば、アクセルペダル(スロットル)の角度および/もしくはブレーキペダルの角度を表すことができる電気信号を測定し得る。スロットル/ブレーキセンサ125はまた、エンジン/モータ118(例えば、バタフライバルブまたはキャブレタ)にエネルギー源119の変調を提供する物理的機構の一部を含み得る、車両100のスロットルボディの角度を測定し得る。加えて、スロットル/ブレーキセンサ125は、車両100のロータにかかる1つ以上のブレーキパッドの圧力、またはアクセルペダル(スロットル)およびブレーキペダルの角度、アクセルペダル(スロットル)およびブレーキペダルの角度を表す電気信号、スロットルボディの角度、ならびに少なくとも1つのブレーキパッドが車両100のロータに加える圧力の組み合わせ(またはサブセット)、を測定し得る。他の実施形態では、スロットル/ブレーキセンサ125は、スロットルまたはブレーキペダルなどの車両のペダルに加えられた圧力を測定するように構成され得る。
【0033】
制御システム106は、ステアリングユニット132、スロットル134、ブレーキユニット136、センサ融合アルゴリズム138、コンピュータビジョンシステム140、ナビゲーション/経路探索システム142、および障害物回避システム144など、車両100をナビゲートすることを支援するように構成された構成要素を含み得る。より具体的には、ステアリングユニット132は、車両100の進行方向を調整するように動作可能であり得、スロットル134は、エンジン/モータ118の動作速度を制御して、車両100の加速を制御し得る。ブレーキユニット136は、車両100を減速することができ、これは、摩擦を使用して車輪/タイヤ121を減速することを伴い得る。いくつかの実施形態では、ブレーキユニット136は、車両100の1つ以上のシステムによるその後の使用のために、車輪/タイヤ121の運動エネルギーを電流に変換し得る。
【0034】
センサフュージョンアルゴリズム138は、カルマンフィルタ、ベイジアンネットワーク、またはセンサシステム104からのデータを処理することができる他のアルゴリズムを含み得る。いくつかの実施形態では、センサ融合アルゴリズム138は、個々のオブジェクトおよび/もしくは特徴の評価、特定の状況の評価、ならびに/または所与の状況内の可能性のある影響の評価など、着信センサデータに基づくアセスメントを提供し得る。
【0035】
コンピュータビジョンシステム140は、オブジェクト、環境オブジェクト(例えば、交通信号、車道境界など)、および障害物を決定しようとする際に画像を処理し、分析するように動作可能なハードウェアおよびソフトウェアを含み得る。したがって、コンピュータビジョンシステム140は、オブジェクト認識、Structure From Motion(SFM)、ビデオ追跡、および、例えば、オブジェクトを認識し、環境をマッピングし、オブジェクトを追跡し、オブジェクトのスピードを推定するためなどにコンピュータビジョンで使用される他のアルゴリズムを使用し得る。
【0036】
ナビゲーション/経路探索システム142は、車両100の運転経路を決定することができ、これは、動作中にナビゲーションを動的に調整することを含み得る。したがって、ナビゲーション/経路探索システム142は、数ある情報源の中でも特に、センサ融合アルゴリズム138、GPS122、および地図からのデータを使用して、車両100をナビゲートし得る。障害物回避システム144は、センサデータに基づいて障害となり得るものを評価し、車両100のシステムに障害となり得るものを回避させるかまたは別の方法で切り抜けさせ得る。
【0037】
図1に示されるように、車両100はまた、無線通信システム146、タッチスクリーン148、マイクロフォン150、および/またはスピーカ152などの周辺機器108を含み得る。周辺機器108は、ユーザがユーザインターフェース116と相互作用するための制御装置または他の要素を提供し得る。例えば、タッチスクリーン148は、車両100のユーザに情報を提供し得る。ユーザインターフェース116はまた、タッチスクリーン148を介してユーザからの入力を受け入れ得る。周辺機器108はまた、車両100が、他の車両のデバイスなどのデバイスと通信することを可能にし得る。
【0038】
無線通信システム146は、1つ以上のデバイスと直接または通信ネットワークを介して無線で通信し得る。例えば、無線通信システム146は、CDMA(code-division multiple access)、EVDO(evolution-data optimized)、GSM(global system for mobile communications)/GPRS(general packet radio service)などの3Gセルラー通信、または4GのWiMAX(worldwide interoperability for microwave access)もしくはLTE(long-term evolution)、もしくは5Gなどのセルラー通信を使用する可能性がある。あるいは、無線通信システム146は、WiFi(登録商標)または他の可能な接続を使用して無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)と通信し得る。無線通信システム146はまた、例えば、赤外線リンク、Bluetooth、またはZigBeeを使用してデバイスと直接通信し得る。様々な車両通信システムなどの他の無線プロトコルが、本開示の文脈内で可能である。例えば、無線通信システム146は、車両および/または道路沿いの給油所間の公共および/または私的データ通信を含み得る1つ以上の専用狭域通信(DSRC)デバイスを含み得る。
【0039】
車両100は、構成要素に電力を供給するための電源110を含み得る。電源110は、いくつかの実施形態では、再充電可能なリチウムイオンまたは鉛蓄電池を含み得る。例えば、電源110は、電力を提供するように構成された1つ以上の電池を含み得る。車両100はまた、他の種類の電源を使用し得る。例示的な実施形態では、電源110とエネルギー源119とが、統合されて単一のエネルギー源になり得る。
【0040】
車両100は、本明細書に記載の動作などの動作を行うためのコンピュータシステム112も含み得る。したがって、コンピュータシステム112は、データストレージ114などの非一時的なコンピュータ可読媒体に格納された命令115を実行するように動作可能な少なくとも1つのプロセッサ113(少なくとも1つのマイクロプロセッサが含まれ得る)を含み得る。いくつかの実施形態では、コンピュータシステム112は、車両100の個々の構成要素またはサブシステムを分散方式で制御するように機能し得る複数のコンピューティングデバイスを表し得る。
【0041】
いくつかの実施形態では、データストレージ114は、図1に関連して上述したものを含めて、車両100の様々な機能を実行するための、プロセッサ113によって実行可能な命令115(例えば、プログラム論理)を含み得る。データストレージ114は、推進システム102、センサシステム104、制御システム106、および周辺機器108のうちの1つ以上にデータを送信する、それからデータを受信する、それと相互作用する、かつ/またはそれを制御するための命令を含む追加の命令も含み得る。
【0042】
命令115に加えて、データストレージ114は、他の情報の中でもとりわけ、道路地図、経路情報などのデータを格納し得る。そのような情報は、自律モード、半自律モード、および/または手動モードでの車両100の動作中に、車両100およびコンピュータシステム112によって使用され得る。
【0043】
車両100は、車両100のユーザに情報を提供するか、または車両100のユーザから入力を受信するためのユーザインターフェース116を含み得る。ユーザインターフェース116は、タッチスクリーン148上に表示され得るコンテンツおよび/もしくはインタラクティブ画像のレイアウトを制御することができるか、または制御を可能にし得る。さらに、ユーザインターフェース116は、無線通信システム146、タッチスクリーン148、マイクロフォン150、およびスピーカ152などの周辺機器108のセット内の1つ以上の入力/出力デバイスを含むことができる。
【0044】
コンピュータシステム112は、様々なサブシステム(例えば、推進システム102、センサシステム104、および制御システム106)ならびにユーザインターフェース116から受信した入力に基づいて、車両100の機能を制御し得る。例えば、コンピュータシステム112は、推進システム102および制御システム106によって生成された出力を推定するために、センサシステム104からの入力を利用し得る。実施形態に応じて、コンピュータシステム112は、車両100およびそのサブシステムの多くの態様を監視するように動作可能であり得る。いくつかの実施形態では、コンピュータシステム112は、センサシステム104から受信した信号に基づいて、車両100の一部またはすべての機能を無効にし得る。
【0045】
車両100の構成要素は、それらのそれぞれのシステム内またはシステム外の他の構成要素と相互接続して機能するように構成され得る。例えば、例示的な実施形態では、カメラ130は、自律モードで動作している車両100の環境の状態に関する情報を表すことができる複数の画像をキャプチャすることができる。環境の状態には、車両が動作している道路のパラメータが含まれ得る。例えば、コンピュータビジョンシステム140は、道路の複数の画像に基づいて、傾斜(勾配)または他の特徴を認識することができ得る。加えて、GPS122とコンピュータビジョンシステム140によって認識された特徴との組み合わせは、特定の道路パラメータを決定するために、データストレージ114に格納された地図データとともに使用され得る。さらに、レーダ126がまた、車両の周囲に関する情報を提供し得る。
【0046】
言い換えると、様々なセンサ(入力指標センサおよび出力指標センサと呼ぶことができる)とコンピュータシステム112との組み合わせが相互作用して、車両を制御するために提供される入力の指標または車両の周囲の指標を提供することができる。
【0047】
いくつかの実施形態では、コンピュータシステム112は、無線システム以外のシステムによって提供されるデータに基づいて、様々なオブジェクトに関する判定を行い得る。例えば、車両100は、車両の視野内のオブジェクトを感知するように構成されたレーザまたは他の光学センサを有し得る。コンピュータシステム112は、様々なセンサからの出力を使用して、車両の視野内のオブジェクトに関する情報を判断し得、様々なオブジェクトまでの距離および方向の情報を判断し得る。コンピュータシステム112はまた、様々なセンサからの出力に基づいて、オブジェクトが望ましいか望ましくないかを判定し得る。
【0048】
図1は、車両100の様々な構成要素(すなわち、無線通信システム146、コンピュータシステム112、データストレージ114、およびユーザインターフェース116)を車両100に統合されているものとして示しているが、これらの構成要素のうちの1つ以上は、車両100とは別個に取り付けられるかまたは関連付けることができる。例えば、データストレージ114は、部分的または完全に、車両100とは別個に存在することが可能である。したがって、車両100は、別個にまたはともに位置し得るデバイス要素の形態で提供され得る。車両100を構成するデバイス要素は、有線および/または無線方式でともに通信可能に結合され得る。
【0049】
図2A図2Eは、図1を参照して車両100に関連して説明された機能の一部またはすべてを含み得る例示的な車両200を示す。車両200は、例証の目的で、バンとして図2A図2Eに示されているが、本開示は、そのように限定されるものではない。例えば、車両200は、トラック、乗用車、セミトレーラートラック、オートバイ、ゴルフカート、オフロード車両、または農業用車両などを表し得る。
【0050】
車両例200は、センサユニット202、第1のLIDARユニット204、第2のLIDARユニット206、第1のレーダユニット208、第2のレーダユニット210、第1のLIDAR/レーダユニット212、第2のLIDAR/レーダユニット214、ならびに、レーダユニット、LIDARユニット、レーザ距離計ユニット、および/または他のタイプの1つ以上のセンサが車両200上で位置し得る2つの追加の場所216、218を含む。第1のLIDAR/レーダユニット212および第2のLIDAR/レーダユニット214の各々はLIDARユニット、レーダユニット、またはその両方の形態をとり得る。
【0051】
さらに、例示的な車両200は、図1の車両100に関連して説明された構成要素のいずれかを含むことができる。第1および第2のレーダユニット208、210ならびに/または第1および第2のLIDARユニット204、206は、障害となり得るものがあるか周囲環境を能動的に走査することができ、車両100のレーダ126および/またはレーザ距離計/LIDAR128と同様のものであり得る。
【0052】
センサユニット202は、車両200の上部に取り付けられ、車両200の周辺環境に関する情報を検出し、情報の指標を出力するように構成された1つ以上のセンサを含む。例えば、センサユニット202は、カメラ、レーダ、LIDAR、距離計、慣性センサ、湿度センサ、および音響センサの任意の組み合わせを含み得る。センサユニット202は、センサユニット202内の1つ以上のセンサの向きを調整するように動作可能であり得る1つ以上の可動マウントを含み得る。一実施形態では、可動マウントは、車両200の周囲の各方向から情報を得るようにセンサを走査することができる回転プラットフォームを含み得る。別の実施形態では、センサユニット202の可動マウントは、特定の角度および/または方位角および/または仰角の範囲内で走査するように移動可能であり得る。センサユニット202は、乗用車のルーフ上に取り付けられ得るが、他の取り付け場所も可能である。
【0053】
追加的に、センサユニット202のセンサは、異なる場所に分散され得、1つの場所に併置されなくてもよい。いくつかの考えられ得るセンサタイプおよび取り付け場所には、2つの追加の場所216、218が含まれる。さらに、センサユニット202の各センサは、センサユニット202の他のセンサとは独立して移動または走査されるように構成され得る。
【0054】
例示的な構成では、1つ以上のレーダスキャナ(例えば、第1および第2のレーダユニット208、210)が、電波反射オブジェクトがあるか、車両200の背面付近の環境を能動的に走査するように、車両200の後部付近に位置し得る。同様に、第1のLIDAR/レーダユニット212および第2のLIDAR/レーダユニット214が、車両200の正面付近の環境を能動的に走査するように、車両200の前部付近に取り付けられ得る。レーダスキャナは、例えば、車両200の他の特徴によって塞がれることなく、車両200の前進路を含む領域を照らすのに好適な場所に位置付けられ得る。例えば、レーダスキャナは、フロントバンパ、フロントヘッドライト、カウル、および/またはボンネットなどに埋め込まれ、かつ/またはその中かその近くに取り付けられ得る。また、1つ以上の追加のレーダ走査デバイスが、リアバンパ、サイドパネル、ロッカーパネル、および/または車台などに、またはその近くにこのようなデバイスを含むことなどによって、電波反射オブジェクトがあるか、車両200の側部および/または後部を能動的に走査するように位置し得る。
【0055】
図2A図2Eには示されていないが、車両200は、無線通信システムを含み得る。無線通信システムは、車両200の外部または内部のデバイスと通信するように構成され得る無線送信機および無線受信機を含み得る。具体的には、無線通信システムは、例えば、車両通信システムまたは道路給油所において、他の車両および/またはコンピューティングデバイスと通信するように構成されたトランシーバを含み得る。このような車両通信システムの例には、DSRC、無線周波数識別(RFID)、およびインテリジェントトランスポートシステム向けに提案された他の通信規格が含まれる。
【0056】
車両200は、場合によっては、センサユニット202の内側の場所にカメラを含み得る。カメラは、車両200の環境の複数の画像をキャプチャするように構成されている、スチルカメラ、ビデオカメラなどの感光性機器であり得る。この目的のために、カメラは、可視光を検出するように構成され得、追加的または代替的に、赤外光または紫外光などのスペクトルの他の部分からの光を検出するように構成され得る。カメラは、二次元検出器であり得、任意選択で、三次元空間の感度範囲を有し得る。いくつかの実施形態では、カメラは、例えば、カメラから環境内のいくつかの点までの距離を示す二次元画像を生成するように構成された範囲検出器を含み得る。この目的のために、カメラは、1つ以上の範囲検出技法を使用し得る。例えば、カメラは、構造化光技法を使用することによって範囲情報を提供することができ、この構造化光技法では、車両200が、格子またはチェッカーボードパターンなどの所定の光パターンで環境内のオブジェクトを照らし、カメラを使用して、環境周囲からの所定の光パターンの反射を検出する。反射光パターンの歪みに基づいて、車両200は、オブジェクト上の点までの距離を決定し得る。所定の光パターンは、赤外光、またはそのような測定に好適な他の波長の放射線で構成され得る。いくつかの例では、カメラは、車両200のフロントガラスの内側に取り付けられ得る。具体的には、カメラは、車両200の向きに対して前方視から画像をキャプチャするように位置付けられ得る。カメラの他の取り付け場所および視野角も使用され得、車両200の内部または外部のいずれであってもよい。また、カメラは、調整可能な視野を提供するように動作可能な関連する光学素子を有し得る。さらにまた、カメラは、パン/チルト機構を介してなど、カメラの指向角を変えるように、可動マウントを用いて車両200に取り付けられ得る。
【0057】
車両200は、これら示されたものに加えて、またはその代わりに1つ以上の他の構成要素を含み得る。追加の構成要素は、電気的または機械的機能を含み得る。
【0058】
車両200の制御システムは、複数の可能な制御戦略の中から制御戦略に従って車両200を制御するように構成され得る。制御システムは、車両200に結合されたセンサ(車両200上または車両外)から情報を受信し、その情報に基づいて制御戦略(および関連する運転挙動)を修正し、修正された制御戦略に従って車両200を制御するように構成され得る。制御システムは、センサから受信した情報をモニタし、運転状態を継続的に評価するようにさらに構成され得、また、運転状態の変化に基づいて、制御戦略および運転挙動を修正するように構成され得る。
【0059】
図3は、例示的な実施形態による、自律車両に関連する様々なコンピューティングシステム間の無線通信の概念図である。特に、無線通信は、ネットワーク304を介して、リモートコンピューティングシステム302と車両200との間で発生し得る。無線通信は、サーバコンピューティングシステム306とリモートコンピューティングシステム302との間、またサーバコンピューティングシステム306と車両200との間でも発生し得る。
【0060】
車両200は、場所間で乗客またはオブジェクトを輸送することができる様々な種類の車両に対応することができ、上で考察される車両のうちの任意の1つ以上の形態をとり得る。場合によっては、車両200は、制御システムがセンサ測定値を使用して目的地間で車両200を安全にナビゲートすることを可能にする自律モードで動作し得る。自律モードで動作しているとき、車両200は、乗客の有無にかかわらずナビゲートし得る。その結果、車両200は、所望の目的地間で乗客を拾い、降ろし得る。
【0061】
リモートコンピューティングシステム302は、本明細書に記載されるものを含むがこれに限定されない、リモートアシスタンス技法に関係する任意の種類のデバイスを表し得る。例の中で、リモートコンピューティングシステム302は、(i)車両200に関係する情報を受信し、(ii)インターフェースを提供し、それを通して、次に人間のオペレータが情報に気付き、情報に関係する応答を入力することができ、(iii)応答を車両200に、または他のデバイスに送信する、ように構成された任意の種類のデバイスを表し得る。リモートコンピューティングシステム302は、ワークステーション、デスクトップコンピュータ、ラップトップ、タブレット、携帯電話(例えば、スマートフォン)、および/またはサーバなどの、様々な形態をとり得る。いくつかの例では、リモートコンピューティングシステム302は、ネットワーク構成でともに動作する多数のコンピューティングデバイスを含み得る。
【0062】
リモートコンピューティングシステム302は、車両200のサブシステムおよび構成要素と同様または同一の1つ以上のサブシステムおよび構成要素を含み得る。最低でも、リモートコンピューティングシステム302は、本明細書で説明される様々な動作を行うように構成されたプロセッサを含み得る。いくつかの実施形態では、リモートコンピューティングシステム302は、タッチスクリーンおよびスピーカなどの入力/出力デバイスを含むユーザインターフェースも含み得る。他の例も、同様に可能である。
【0063】
ネットワーク304は、リモートコンピューティングシステム302と車両200との間の無線通信を可能にするインフラストラクチャを表す。ネットワーク304はまた、サーバコンピューティングシステム306とリモートコンピューティングシステム302との間、またサーバコンピューティングシステム306と車両200との間の無線通信を可能にする。
【0064】
リモートコンピューティングシステム302の位置は、例の範囲内で変わり得る。例えば、リモートコンピューティングシステム302は、ネットワーク304を介した無線通信を有する車両200から遠隔位置にあり得る。別の例では、リモートコンピューティングシステム302は、車両200とは別個であるが、人間のオペレータが車両200の乗客または運転者と相互作用することができる、車両200内のコンピューティングデバイスに対応し得る。いくつかの例では、リモートコンピューティングシステム302は、車両200の乗客によって操作可能なタッチスクリーンを備えるコンピューティングデバイスであってもよい。
【0065】
いくつかの実施形態では、リモートコンピューティングシステム302によって行われる、本明細書で説明される動作は、追加的または代替的に、車両200によって(すなわち、車両200の任意のシステムまたはサブシステムによって)行われ得る。言い換えれば、車両200は、車両の運転者または乗客が相互作用することができるリモートアシスタンス機構を提供するように構成され得る。
【0066】
サーバコンピューティングシステム306は、ネットワーク304を介してリモートコンピューティングシステム302および車両200と(または、場合によっては、リモートコンピューティングシステム302および/もしくは車両200と直接)無線通信するように構成され得る。サーバコンピューティングシステム306は、車両200およびそのリモートアシスタンスに関する情報を受信し、格納し、判断し、かつ/または送信するように構成された任意のコンピューティングデバイスを表し得る。このように、サーバコンピューティングシステム306は、リモートコンピューティングシステム302および/または車両200によって行われるものとして本明細書で説明される任意の動作またはそのような動作の部分を行うように構成され得る。リモートアシスタンスに関連する無線通信の一部の実施形態では、サーバコンピューティングシステム306を利用することができるが、他の実施形態では利用することができない。
【0067】
サーバコンピューティングシステム306は、本明細書に記載の様々な動作を行うように構成されたプロセッサ、ならびにリモートコンピューティングシステム302および車両200から情報を受信し、それらに情報を提供するための無線通信インターフェースなどの、リモートコンピューティングシステム302および/または車両200のサブシステムおよび構成要素と同様または同一の1つ以上のサブシステムおよび構成要素を含み得る。
【0068】
上記の様々なシステムは、様々な動作を行い得る。ここで、これらの動作および関連する特徴について説明する。
【0069】
上の考察に沿えば、コンピューティングシステム(例えば、リモートコンピューティングシステム302、サーバコンピューティングシステム306、または車両200にローカルなコンピューティングシステム)は、カメラを使用して自律車両の環境の画像をキャプチャするように動作することができる。一般に、少なくとも1つのコンピューティングシステムが画像を分析して、可能であれば自律車両を制御することができる。
【0070】
いくつかの実施形態では、自律動作を容易にするために、車両(例えば、車両200)は、車両が動作する環境内のオブジェクトを表すデータ(本明細書では「環境データ」とも称される)を様々な方法で受信し得る。車両のセンサシステムは、環境のオブジェクトを表す環境データを提供し得る。例えば、車両は、カメラ、レーダユニット、レーザ距離計、マイクロフォン、無線ユニット、および他のセンサを含む様々なセンサを有し得る。これらのセンサの各々は、各それぞれのセンサが受信する情報に関する環境データを車両内のプロセッサに伝達し得る。
【0071】
一例では、カメラが、静止画像および/またはビデオをキャプチャするように構成され得る。いくつかの実施形態では、車両は、異なる向きに位置付けられた2つ以上のカメラを有する場合がある。また、いくつかの実施形態では、カメラは、異なる方向で画像および/またはビデオをキャプチャするために移動することができる場合がある。カメラは、車両の処理システムによる後の処理のために、キャプチャされた画像およびビデオをメモリに格納するように構成され得る。キャプチャされた画像および/またはビデオは、環境データである場合がある。さらに、カメラは、本明細書で説明されるような画像センサを含み得る。
【0072】
別の例では、レーダユニットが、車両の近くの様々なオブジェクトによって反射される電磁信号を送信し、次いでオブジェクトから反射する電磁信号をキャプチャするように構成され得る。キャプチャされた反射電磁信号は、レーダシステム(または処理システム)が電磁信号を反射したオブジェクトについて様々な判定を行うことを可能にし得る。例えば、様々な反射オブジェクトまでの距離および位置が判定され得る。いくつかの実施形態では、車両は、異なる向きに2つ以上のレーダを有し得る。レーダシステムは、車両の処理システムによる後の処理のために、キャプチャされた情報をメモリに格納するように構成され得る。レーダシステムによってキャプチャされた情報は、環境データである場合がある。
【0073】
別の例では、レーザ距離計が、車両近くの対象オブジェクトによって反射される電磁信号(例えば、気体もしくはダイオードレーザ、または他の可能な光源からのものなどの赤外光)を送信するように構成され得る。レーザ距離計は、反射された電磁(例えば、レーザ)信号をキャプチャすることが可能であり得る。キャプチャされた反射電磁信号は、測距システム(または処理システム)が様々なオブジェクトまでの距離を判定することを可能にし得る。レーザ距離計はまた、対象オブジェクトの速度またはスピードを判定することができ、それを環境データとして格納することができる。
【0074】
加えて、一例では、マイクロフォンが、車両の周囲の環境のオーディオをキャプチャするように構成され得る。マイクロフォンでキャプチャされた音は、緊急車両のサイレンや他の車両の音を含み得る。例えば、マイクロフォンは、救急車、消防自動車、警察車両のサイレンの音をキャプチャし得る。処理システムは、キャプチャされたオーディオ信号が緊急車両を示していることを識別することができ得る。別の例では、マイクロフォンは、オートバイからの排気など、別の車両の排気の音をキャプチャし得る。処理システムは、キャプチャされたオーディオ信号がオートバイを示していることを識別することができ得る。マイクロフォンによってキャプチャされたデータは、環境データの一部分を形成し得る。
【0075】
さらに別の例では、無線ユニットが、Bluetooth信号、802.11信号、および/または他の無線技術信号の形態をとり得る電磁信号を送信するように構成され得る。第1の電磁放射信号は、無線ユニットに位置する1つ以上のアンテナを介して送信され得る。さらに、第1の電磁放射信号は、多くの異なる無線信号モードのうちの1つで送信され得る。しかしながら、いくつかの実施形態では、自律車両の近くに位置するデバイスからの応答を要求する信号モードで第1の電磁放射信号を送信することが望ましい。処理システムは、無線ユニットに返信された応答に基づいて近くのデバイスを検出し、この伝達された情報を環境データの一部分として使用し得る。
【0076】
いくつかの実施形態では、処理システムは、車両の環境をさらに判定するために、様々なセンサからの情報を組み合わせることが可能であり得る。例えば、処理システムは、レーダ情報およびキャプチャされた画像の両方からのデータを組み合わせて、別の車両または歩行者が自律車両の前にいるかどうかを判定し得る。他の実施形態では、センサデータの他の組み合わせを処理システムが使用して、環境についての判定を行い得る。
【0077】
自律モードで動作している間、車両はほとんど、またはまったく人間の入力なしでその動作を制御し得る。例えば、人間のオペレータが住所を車両に入力した場合、車両は、人間からのさらなる入力なしに(例えば、人間がブレーキ/アクセルペダルを操縦したり触れたりする必要がなく)、指定された目的地まで運転することができ得る。さらに、車両が自律的に動作している間、センサシステムは環境データを受信していてもよい。車両の処理システムは、様々なセンサから受信した環境データに基づいて車両の制御を変更し得る。いくつかの例では、車両は、様々なセンサからの環境データに応答して、車両の速度を変え得る。車両は、障害物を回避し、交通法に従うなどのために速度を変更し得る。車両の処理システムが車両の近くのオブジェクトを識別すると、車両は速度を変更するか、または別の方法で動きを変えることが可能であり得る。
【0078】
車両がオブジェクトを検出したがオブジェクトの検出に十分自信がない場合、車両は、人間のオペレータ(またはより強力なコンピュータ)に、(i)オブジェクトが実際に環境内に存在するかどうかを確認する(例えば、実際に一時停止標識があるか、または実際に一時停止標識がないか)、(ii)オブジェクトについての車両の識別が正しいかどうかを確認する、(iii)識別が正しくなかった場合、識別を修正する、および/または(iv)自律車両に対して補足的な命令を提供する(または現在の命令を修正する)などの、1つ以上のリモートアシスタンスタスクを行うよう要求することができる。リモートアシスタンスタスクにはまた、人間のオペレータが車両の動作を制御するための命令を提供する(例えば、人間のオペレータが、オブジェクトは一時停止標識であると判断した場合、一時停止標識で停止するよう車両に命令する)ことが含まれ得るが、場合によっては、オブジェクトの識別に関する人間のオペレータのフィードバックに基づいて、車両自体が自らの動作を制御することがある。
【0079】
これを容易にするために、車両は、環境のオブジェクトを表す環境データを分析して、閾値を下回る検出信頼度を有する少なくとも1つのオブジェクトを決定し得る。車両のプロセッサは、様々なセンサからの環境データに基づいて環境の様々なオブジェクトを検出するように構成され得る。例えば、一実施形態では、プロセッサは、車両が認識するのに重要であり得るオブジェクトを検出するように構成され得る。このようなオブジェクトには、歩行者、道路標識、他の車両、他の車両のインジケータ信号、およびキャプチャされた環境データで検出された他の様々なオブジェクトが含まれ得る。
【0080】
検出信頼度は、決定されたオブジェクトが環境内で正しく識別されている、または環境内に存在している可能性を示し得る。例えば、プロセッサは、受信した環境データにおける画像データ内のオブジェクトのオブジェクト検出を行い、少なくとも1つのオブジェクトが閾値を超える検出信頼度を有すると識別することができないことに基づいて、そのオブジェクトが閾値を下回る検出信頼度を有すると判定し得る。オブジェクトのオブジェクト検出またはオブジェクト認識の結果が決定的でない場合、検出信頼度が低いか、または設定閾値を下回っていることがある。
【0081】
車両は、環境データのソースに応じて、様々な方法で環境のオブジェクトを検出し得る。いくつかの実施形態では、環境データは、カメラから来る、画像またはビデオデータであり得る。他の実施形態では、環境データはLIDARユニットから来る可能性がある。車両は、キャプチャされた画像またはビデオデータを分析して、画像またはビデオデータ内のオブジェクトを識別し得る。方法および装置は、環境のオブジェクトがあるかについて、画像および/またはビデオデータをモニタするように構成され得る。他の実施形態では、環境データは、レーダ、オーディオ、または他のデータであり得る。車両は、レーダ、オーディオ、または他のデータに基づいて環境のオブジェクトを識別するように構成され得る。
【0082】
いくつかの実施形態では、オブジェクトを検出するために車両が使用する技術は、既知のデータのセットに基づき得る。例えば、環境オブジェクトに関連するデータは、車両に位置するメモリに格納され得る。車両は、受信したデータを格納されたデータと比較して、オブジェクトを判定し得る。他の実施形態では、車両は、データの文脈に基づいてオブジェクトを判定するように構成され得る。例えば、工事に関連する街路標識は、概してオレンジ色を有し得る。したがって、車両は、道路脇近くに位置するオレンジ色のオブジェクトを、工事関連の街路標識として検出するように構成され得る。加えて、車両の処理システムは、キャプチャされたデータ内のオブジェクトを検出すると、それはまた各オブジェクトの信頼度を計算し得る。
【0083】
さらに、車両はまた、信頼度閾値を有し得る。信頼度閾値は、検出されるオブジェクトの種類に応じて異なり得る。例えば、別の車両のブレーキライトなど、車両からの迅速な応答アクションを要求し得るオブジェクトについては、信頼度閾値が低くなり得る。しかしながら、他の実施形態では、検出されたすべてのオブジェクトについて、信頼度閾値が同じであってもよい。検出されたオブジェクトに関連付けられた信頼度が信頼度閾値より高い場合、車両は、オブジェクトが正しく認識されたと想定し、その想定に基づいて車両の制御を応答的に調整し得る。
【0084】
検出されたオブジェクトに関連付けられた信頼度が信頼度閾値より低い場合、車両が取るアクションは変わり得る。いくつかの実施形態では、車両は、低い信頼度レベルにもかかわらず、検出されたオブジェクトが存在するかのように反応することがある。他の実施形態では、車両は、検出されたオブジェクトが存在しないかのように反応することがある。
【0085】
車両は、環境のオブジェクトを検出すると、特定の検出されたオブジェクトに関連付けられた信頼度も計算することができる。信頼度は、実施形態に応じて様々な方法で計算され得る。一例では、環境のオブジェクトを検出すると、車両は、環境データを既知のオブジェクトに関連する所定のデータと比較し得る。環境データと所定のデータとの一致が近いほど、信頼度はより高くなる。他の実施形態では、車両は、環境データの数学的分析を使用して、オブジェクトに関連付けられた信頼度を判定し得る。
【0086】
オブジェクトが閾値を下回る検出信頼度を有するとの判定に応答して、車両は、リモートコンピューティングシステムに、オブジェクトの識別とともにリモートアシスタンスの要求を送信し得る。上で考察されるように、リモートコンピューティングシステムは、様々な形態をとり得る。例えば、リモートコンピューティングシステムは、車両とは別個の車両内のコンピューティングデバイスであるが、それによって人間のオペレータが車両の乗客または運転者と相互作用することができる、リモートアシスタンス情報を表示するためのタッチスクリーンインターフェースなどであり得る。追加的または代替的に、別の例として、リモートコンピューティングシステムは、車両の近くではない場所に位置するリモートコンピュータ端末または他のデバイスであってもよい。
【0087】
リモートアシスタンスの要求は、画像データ、オーディオデータなどの、オブジェクトを含む環境データを含み得る。車両は、ネットワーク(例えば、ネットワーク304)上で、いくつかの実施形態では、サーバ(例えば、サーバコンピューティングシステム306)を介してリモートコンピューティングシステムに環境データを送信し得る。リモートコンピューティングシステムの人間のオペレータは、次に、要求に応答するための基礎として環境データを使用し得る。
【0088】
いくつかの実施形態では、オブジェクトが信頼度閾値を下回る信頼度を有するとして検出された場合、オブジェクトには予備識別が与えられ得、車両は、予備識別に応答して車両の動作を調整するように構成され得る。そのような動作の調整は、他の可能な調整の中でも特に、車両を停止する、車両を人間制御モードに切り替える、車両の速度(例えば、スピードおよび/または方向)を変更するという形態をとり得る。
【0089】
他の実施形態では、車両が閾値を満たす、または超える信頼度を有するオブジェクトを検出した場合でも、車両は検出されたオブジェクトに従って動作し得る(例えば、オブジェクトが一時停止標識として高い信頼度で識別された場合に停止する)が、車両が検出されたオブジェクトに従って動作するのと同時に(または後で)リモートアシスタンスを要求するように構成され得る。
【0090】
図4Aおよび図4Bは、例示的な実施形態によると、LIDARデバイス(例えば、図2A図2Eに示される第1のLIDARユニット204)を備えた車両(例えば、図2A図2Eに示される車両200)を示す。車両200は自動車として示されているが、上記したように、他のタイプの車両も可能である。さらに、車両200は自律モードで動作するように構成され得る車両として示されているが、本明細書に記載される実施形態は、自律的に動作するように構成されていない車両にも適用可能である。
【0091】
図4Aは、例えば、第1のLIDARユニット204が、1つ以上の光パルスを放射するとともに、車両200の環境内のオブジェクトからの反射光パルスを検出しながら、垂直軸232を中心として回転することによって、車両200の周りの環境を走査するように構成され得ることを示す。
【0092】
したがって、図示されるように、第1のLIDARユニット204は、第1のLIDARユニット204の指向方向に光を放射することができ、例えば図4Aでは、ページの右側への指向方向として図示されている。この構成により、第1のLIDARユニット204は、車両200に比較的近い環境の領域(例えば、レーンマーカー)、および車両からより遠い環境の領域(例えば、車両前方の道路標識)に向けて光を放射することができる。さらに、車両200は、軸232を中心に第1のLIDARユニット204(またはその1つ以上の構成要素)を回転させることで、第1のLIDARユニット204の指向方向を変更することができる。したがって、第1のLIDARユニット204(またはその1つ以上の構成要素)の1回転ごとに、第1のLIDARユニット204は車両200の周りの360°FOVを走査することができる。
【0093】
図4Bは、例示的な実施形態によると、車両200第1のLIDARユニット204の2つの異なる指向方向における第1のLIDARユニット204の走査レンジを示している。上記の議論に則して、本明細書の例示的な実装形態は、第1のLIDARユニット204の所与の指向方向について、第1のLIDARユニット204の様々な走査パラメータ(例えば、走査解像度、走査レンジ、走査リフレッシュレートなど)を動的に制御することを含み得る。例えば、第1の指向方向において、第1のLIDARユニット204は、比較的高い光強度を有する光パルスを放射するように構成され得る。結果として、放射された光パルスは、遠方のオブジェクト(すなわち、高い走査レンジ)から反射し、第1のLIDARユニット204によって検出されるのに十分に高い強度で第1のLIDARユニット204に反射して戻り得、それによって、第1のLIDARユニット204が遠方のオブジェクトを検出することを可能にする。これは図4Bにおいて輪郭404によって示されている。例えば、輪郭404の内側のオブジェクトは、適切な検出/識別に適した距離の範囲内にあり得る。
【0094】
別の例として、第1のLIDARユニット204が第2の指向方向に回転されるとき、第1のLIDARユニット204は、比較的低い光強度を有する光パルスを放射するように構成され得る。結果として、遠方のオブジェクトからの反射がより検出されにくくなる可能性があり、第1のLIDARユニット204の走査レンジが効果的に低減される。これは図4Bにおいて輪郭406によって示されている。図示されるように、輪郭406は、車両200からより短い距離延び得、したがって、第2の指向方向に放射されるより低い強度の光パルスを使用した適切な検出/識別に適した距離の範囲内にオブジェクトが存在する環境の領域を定め得る。なお、これらの輪郭は縮尺通りではなく、説明の便宜上、図示されているように描かれていることに留意されたい。
【0095】
図示されていないが、放射される光パルスのための他のタイプの変調方式も可能である。例えば、第2の指向方向(すなわち、輪郭406)に対して、第1の指向方向(すなわち、輪郭404)における第1のLIDARユニット204の異なるそれぞれのリフレッシュレートを適用するために、第1のLIDARユニット204は、軸232を中心とした第1のLIDARユニット204の1回転ごとに、および軸232を中心とした第1のLIDARユニット204の2回転ごとに第1の指向方向に1つの光パルスを放射することができる。このようにすることにより、例えば、第1の指向方向に第2の指向方向よりも高いリフレッシュレートを割り当てることができる。別の例として、異なるそれぞれの水平走査解像度を適用するために、第1のLIDARユニット204は、第1のLIDARユニット204が第1の指向方向に向けられているときには、第1のLIDARユニット204が第2の指向方向に向けられているときに適用されるパルスレート(例えば、1秒あたりのパルス数)とは異なるパルスレートで光パルスを放射するように構成され得る。
【0096】
一部の実施形態はLIDARデバイス520(例えば、図2A図4Bに示される第1のLIDARユニット204)を含み得る。LIDARデバイス520は車両500(例えば、図1に示される車両100または図2A図4Bに示される車両200などの自律型車両)に取り付けられ得る。例えば、車両500は、LIDARデバイス520を使用して周囲の環境を走査し、オブジェクトの検出および回避を実行することができる。そのようなLIDARデバイス520は、光エミッタのアレイおよび対応する検出器のアレイを含み得る。光エミッタは、LIDARデバイス520の周囲の環境に向けて光信号を放射し、検出器は、LIDARデバイス520の周囲の環境内のオブジェクトからの放射された光信号の反射を検出する。放射時間と検出時間との間の時間遅延に基づいて、環境内のオブジェクトまでの距離を求めることができる。環境内の複数のオブジェクトまでの距離を識別するために、LIDARデバイス520は、光エミッタおよび検出器を(例えば、方位角方向および/または仰角方向に)回転させるように構成された1つ以上のアクチュエータを含み得る。例えば、アクチュエータは、360°視野が観測されるように、光エミッタおよび検出器を方位角方向に回転させ得る。アクチュエータが光エミッタおよび検出器を回転させるに伴い、一連の光信号を放射および検出することによって、周囲環境の異なる領域までの距離が決定され得る。そのような距離は、周囲の環境を表す点群(例えば、三次元の点群)に統合され得る。点群は、LIDARデバイス520または別の車載コンピューティングデバイスによって、決定された距離から車内で生成され得る。追加でまたは代わりに、点群は、別個のコンピューティングデバイス(例えば、サーバデバイスなどのネットワーク化されたコンピューティングデバイス)を使用して、決定された距離から生成されてもよい。
【0097】
代替的実施形態では、光エミッタおよび検出器は、光エミッタおよび検出器を回転させることなく360°の視野を観測できるように(例えば、方位角方向において)配置され得る。そのような実施形態では、光エミッタおよび検出器を回転させるためのアクチュエータを使用せずに、LIDARデバイス520を使用して360°視野を観測することができる。
【0098】
代替的実施形態では、LIDARデバイス520は単一の光エミッタと、単一の光エミッタによって放射された光を検出するように構成された対応する検出器のアレイとを含み得ることを理解されたい。さらに他の実施形態では、LIDARデバイス520は、単一の検出器に対応する光エミッタのアレイを含み得る。単一の検出器は、光エミッタのアレイによって放射された光を検出するように構成され得る。さらに他の実施形態では、LIDARデバイス520は、単一の光エミッタと、単一の光エミッタによって放射された光を検出するように構成された対応する単一の検出器とを含み得る。そのような実施形態では、単一の光エミッタおよび対応する単一の検出器を回転させて(例えば、アクチュエータによって)、360°方位角視野が達成され得、かつ/または180°仰角視野を達成され得る。一部の実施形態では、回転ミラーを使用して、エミッタから放射された光および/または環境から受信された光の方向を変更することができる。
【0099】
車両500に取り付けられたLIDARデバイス520の例が図5Aに示されている。図示されるように、LIDARデバイス520は、方位角方向において360°視野をスイープすることができる。しかし、光エミッタおよび検出器の非効率性のため、光信号の飛行時間を使用して距離検出を実行するとき、いくらかの電力が無駄に消費される可能性がある。例えば、光エミッタがレーザダイオードを含む場合、そのようなレーザダイオードは非効率性のために過剰な熱を発生させる可能性がある。過剰な熱は、LIDARデバイス520構成要素の劣化を引き起こす可能性がある(例えば、LIDARデバイス520内の1つ以上の光学素子またはコンピューティングデバイスの溶融をもたらす可能性がある)。結果として、光信号を生成するために使用される電力の量を減らすことが有益であり得る。しかし、より低い入力パワーはより低い出力パワー(すなわち、出力光信号の光パワー)に対応する可能性がある。光信号の飛行中の減衰のために(例えば、周囲環境内のほこりまたは他の物質による)、LIDARデバイス520によって放射される光信号がより低い光パワーを有する場合、LIDARデバイス520がオブジェクトを検出できる有効距離がそれに応じて減少する可能性がある。したがって、LIDARデバイス520内で不要な加熱が生じるのを防ぐことと、LIDARデバイス520の有効検出可能レンジを最大化することとの間に最適化問題が存在し得る。
【0100】
本明細書では、サーマルバジェットを特定し、サーマルバジェットに基づいて光エミッタの励起電力を分配することによって、このような最適化問題に対処するための1つの技術が提示される。サーマルバジェットはLIDARデバイス520のコントローラによって決定されてもよい(例えば、LIDARデバイス520内で損傷効果が発生し始める前に光信号を生成するために使用できるエネルギーの最大量に基づいて)。サーマルバジェットに基づいて、コントローラはパルスエネルギー計画を決定し、光エミッタはパルスエネルギー計画に従って光信号を放射する。本明細書および特許請求の範囲で使用される「パルスエネルギー計画」という用語は、1つ以上の光エミッタを制御するために、任意の発射シーケンスまたは発射シーケンスの一部分でコントローラによって使用される電力、エネルギー、および/または関連する尺度を表し得る。例えば、「パルスエネルギー計画」は、LIDARデバイス内の単一の光エミッタを一度に発射するために使用される単一のコンデンサの充電時間および/または充電エネルギーという単純なものであってもよい。あるいは、「パルスエネルギー計画」の例は一連の波形を含み得、各波形は、単一の観測期間内で(例えば、周囲の環境に対するLIDARデバイスの単一の360°方位角回転内で)LIDARデバイスの光エミッタのアレイ内の対応する光エミッタを発射するのに使用されるエネルギーおよびタイミングに対応する。さらに、「パルスエネルギー計画」は、メモリ内に保存されて実行時に使用されてもよく、かつ/または、計算され、1つ以上の光エミッタを発射するために使用され、その後すぐに廃棄されてもよい。「パルスエネルギー計画」という用語は、本開示全体を通して説明されるように、可能な制御方式およびそれらの制御方式内の情報の広い範囲を取り込むものとして意図されていることを理解されたい。パルスエネルギー計画は、LIDARデバイス520を取り巻く環境内の1つ以上の関心領域を組み込み得る。例えば、(例えば、車両500の補助センサからの)以前の測定結果に基づいて、車両500を取り巻くシーンの特定の領域のみが、閾値距離よりもLIDARデバイス520から離れているオブジェクトを含むと決定され得る。これらの特定の領域は、識別された関心領域を構成し得る。したがって、LIDARデバイス520が関心領域外の領域を走査しているとき、LIDARデバイス520が関心領域を走査しているときよりも低いパルスエネルギーレベルが光エミッタのために使用されてもよい。
【0101】
関心領域は、(例えば、車両500の補助センサからの)以前の測定結果を使用することに加えて、または以前の測定結果を使用することに代えて、様々な方法で識別され得ることを理解されたい。一部の実施形態では、車両500の制御システムは1つ以上の関心領域の場所を示し得る。例えば、車両500が左折または車線変更をしている場合、そのような操作に対応するように関心領域が調整され得る(例えば、車両500の左側に追加の関心領域が割り当てられ得る)。同様に、車両500が前進ではなく後進している場合、関心領域の数および/または角度範囲が変化する可能性がある。
【0102】
説明を目的として、図5Aでは3つの関心領域510が存在する。LIDARデバイス520の光学系(例えば、光エミッタおよび検出器を含む)が、関心領域510以外の領域に光信号が放射されるように方位角方向において方向付けられている(例えば、LIDARデバイスの1つ以上アクチュエータ520によって)場合、パルスエネルギー計画は、光エミッタから光信号を放射するために第1のパルスエネルギーレベル512が使用されることを提供し得る。したがって、光学系が方位角方向において関心領域510外に方向付けられている場合、コントローラは、第1のパルスエネルギーレベル512を使用して光エミッタに光信号を放射させることができる(例えば、光信号を生成するために光エミッタによって使用される1つ以上のコンデンサを充電するために使用される充電時間、充電電圧、および/または充電電流を変調することによって)。加えて、LIDARデバイス520の光学系が、光信号が関心領域510に向かって放射されるように方位角方向において方向付けられている場合、パルスエネルギー計画は、光エミッタから光信号を放射するのに第2のパルスエネルギーレベル514が使用されることを提供し得る。したがって、光学系が方位角方向において関心領域510に向かって方向付けられている場合、コントローラは、第2のパルスエネルギーレベル514を使用して光エミッタに光信号を放射させることができる(例えば、光信号を生成するために光エミッタによって使用される1つ以上のコンデンサを充電するために使用される充電時間、充電電圧、および/または充電電流を変調することによって)。第2のパルスエネルギーレベル514は、第1のパルスエネルギーレベル512よりも高くてもよく、第1のパルスエネルギーレベル512よりも大きい有効レンジに対応し得る。一部の実施形態では、例えば、第2のパルスエネルギーレベル514は、光エミッタのデューティサイクルと組み合わされたとき、10.0ワット~15.0ワットの連続的光エミッタ電力に対応し得、第1のパルスエネルギーレベル512は、光エミッタのデューティサイクルと組み合わされたとき、2.0ワット~4.0ワットの連続的光エミッタ電力に対応し得る。
【0103】
図5AのLIDARデバイス520は車両500を中心として方位角方向に走査しているが、他の実施形態では、LIDARデバイスは仰角方向ならびに/または仰角方向および方位角方向の両方において同じように走査できることが理解されよう。さらに、図5Aに示される3つの関心領域510よりも多いまたは少ない可能性があり、関心領域510は、図5Aに示されるものとは異なる方位角に位置してもよく、かつ/または、関心領域510によって張られる角度範囲は図5Aに示されているものとは異なり得ることも理解されよう。
【0104】
図5Bは、図5AのLIDARデバイスの光学系の方位角に関してLIDARデバイスの光エミッタのパルスエネルギーレベルを示すグラフである。図5Aに示されるように、光エミッタは、パルスエネルギー計画に従って、方位角に関して交互に第1のパルスエネルギーレベル512および第2のパルスエネルギーレベル514になる。代替的実施形態では他の数のパルスエネルギーレベル、パルスエネルギーレベルの角度範囲、および/またはパルスエネルギーレベルの強度が存在し得、本明細書で企図されることが理解されよう。図5Aおよび図5Bはあくまで例として提供されているに過ぎない。さらに、本明細書では離散的な数のパルスエネルギーレベル(例えば、2つのパルスエネルギーレベル)が示されているが、パルスエネルギー計画ではパルスエネルギーレベルの連続体も使用され得ることが理解されよう。そのような連続体は、異なる関心領域について、LIDARデバイス520によって探査されるレンジを調整することにおいて精度を高めることを可能にし得る。
【0105】
一部の実施形態では、パルスエネルギー計画内のパルスエネルギーレベルは複数の仰角間で分配され得る。例えば、LIDARデバイス520のアクチュエータは、追加でまたは代わりに、複数の仰角がスイープされるように、LIDARデバイス520の光学系を仰角軸を中心として回転させるように構成され得る。仰角のある範囲は関心領域を構成し得、それにより、関心領域外の仰角よりも高いパルスエネルギーレベルを保証する。
【0106】
追加でまたは代わりに、LIDARデバイス520の光学系を仰角軸を中心として回転させるアクチュエータがなくても、LIDARデバイス520は、それ自体が様々な仰角方向に光信号を投射する光学系を含み得る。例えば、図6Aに示されるように、LIDARデバイス520は、複数の光エミッタ522および対応する複数の検出器524を含む光学系を含み得る。光エミッタ522は、共有レンズ526に向けて光信号528を放射するように構成され得る。図6Aでは共有レンズ526は単一のメニスカスレンズとして示されているが、他の共有レンズ構成も可能であることが理解されよう。例えば、一連の縦続接続されたレンズが使用されてもよい(例えば、テレセントリックシティが実現されるように編成された一連の縦続接続されたレンズ)。図示されるように、共有レンズ526は、複数の光エミッタ522によって放射された光信号528を異なる仰角に分配することができる。他の実施形態では、共有レンズ526は、追加でまたは代わりに、光信号528を異なる方位角に分配するように設計され得ることが理解されよう。
【0107】
各光エミッタ522は独立して制御可能であり得る(例えば、発射回路によって)。例えば、対応するコンデンサが充電され、次いで、光エミッタ522のうちの1つをわたって放電されることで、光エミッタ522が点灯され得る。異なる光エミッタ522に関連付けられたコンデンサは互いに独立して充電可能および/または放電可能であり得る。一部の実施形態では、光エミッタ522は、複数内のサブセットをなすように構成され得る。例えば、8つの光エミッタ522の配列がグループ化され、8つの光エミッタ522がまとめて制御されてもよい(例えば、LIDARデバイス520のコントローラによって制御される発射回路は、8つの光エミッタ522に同時に光を放射させることができる)。所与のグループ内の個々の光エミッタ522のそれぞれを独立して制御することができない場合でも、各グループは、他の各グループから独立して制御され得る。光エミッタ522を制御するための他の構成も可能であることが理解されよう。
【0108】
個々の光エミッタ522または光エミッタ522のサブセットを独立して制御することができる実施形態では、パルスエネルギー計画に従って、異なるパルスエネルギーを異なる光エミッタ522に供給することができる。例えば、図6Aの光エミッタ522の第1のサブセットは第1のパルスエネルギーレベルを受け取り得、図6Aの光エミッタ522の第2のサブセットは第2のパルスエネルギーレベルを受け取り得る。このようにして、異なる光エミッタ522によって照らされる周囲環境の異なる仰角領域は、異なるパルスエネルギーレベルを使用してサンプリングされ得る(例えば、異なる角度領域は、パルスエネルギーレベルに基づいて異なるレンジでサンプリングされ得る)。図6B(縮尺通りではない)に示されているように、例えば、仰角関心領域610が定められ得る。図面では90°以下として示されているが、仰角関心領域は、90°~120°、またはほぼ道路の地平線の場所、またはほぼ頭上の標識、信号、および/もしくは高架道路の場所など、他の方法で定められてもよい。他の実施形態では複数の仰角関心領域610が存在し得る(例えば、図5Aに示される複数の方位角関心領域510と同様)。図5Aと同様に、(例えば、図6Aに示されるように)関心領域610外の領域に向かって光信号528を放射するように方向付けられた光エミッタ522は、第1のパルスエネルギーレベル612を使用し得る。同じように、図5Aと同様に、(例えば、図6Aに示されるように)関心領域610に向けて光信号528を放射するように方向付けられた光エミッタ522は、第2のパルスエネルギーレベル614を使用し得る。例えば、第2のパルスエネルギーレベル614は第1のパルスエネルギーレベル612よりも大きくてもよい。したがって、第2のパルスエネルギーレベル614は第1のパルスエネルギーレベル612よりも大きい有効レンジに対応し得る。一部の実施形態では、第2のパルスエネルギーレベル614は、光エミッタ522のデューティサイクルと組み合わされたとき、10.0ワット~15.0ワットの連続的光エミッタ電力に対応し得、第1のパルスエネルギーレベル512は、光エミッタ522のデューティサイクルと組み合わされたとき、2.0ワット~4.0ワットの連続的光エミッタ電力に対応し得る。
【0109】
図6Cは、図6BのLIDARデバイス520の光学系の仰角に関してLIDARデバイス520の光エミッタのパルスエネルギーレベルを示すグラフである。図6Bに示されるように、光エミッタ522は、パルスエネルギー計画に従って、仰角に関して交互に第1のパルスエネルギーレベル612および第2のパルスエネルギーレベル614になる。代替的実施形態では他の数のパルスエネルギーレベル、パルスエネルギーレベルの角度範囲、および/またはパルスエネルギーレベルの強度が存在し得、本明細書で企図されることが理解されよう。図6Bおよび図6Cはあくまで例として提供されているに過ぎない。上記のように、本明細書では離散的な数のパルスエネルギーレベル(例えば、2つのパルスエネルギーレベル)が示されているが、パルスエネルギー計画ではパルスエネルギーレベルの連続体も使用され得ることが理解されよう。そのような連続体は、異なる関心領域に対してLIDARデバイス520によって探査されるレンジを調整することにおいて精度を高めることを可能にし得る。
【0110】
上記図面のパルスエネルギー計画を決定するために使用されるサーマルバジェットは様々なファクタに基づき得る。一部の実施形態では、サーマルバジェットは周囲温度、またはLIDARデバイス520内の光エミッタの効率性に基づくことができる。例えば、LIDARデバイス520の外部の温度がより低い場合、LIDARデバイス520の構成要素が望ましくない挙動を始める前に利用できる熱的余裕がより大きい可能性がある。したがって、サーマルバジェットはより大きくなり得、これは、より多くの関心領域、関心領域のうちの1つ以上についてより大きな角度範囲(方位角および/または仰角)、および/または関心領域内でより大きなパルスエネルギーレベルを可能にし得る。さらに、LIDARデバイス520の外部の温度がより低い場合、光エミッタの放射安定性を向上させるために、より大きなサーマルバジェットを利用することが有益であり得る。
【0111】
一部の実施形態では、光エミッタは1つ以上のレーザ(例えば、レーザダイオード)を含み得る。レーザ出力(例えば、出力波長)は温度変動の影響を受けやすい可能性がある。したがって、一貫性を維持するために、動作全体を通して相当に一定のレーザ温度を維持することが望ましい可能性がある。動作中にレーザ温度を維持するための1つの技術は、熱電ヒーターおよび/またはクーラーを使用することである。しかし、追加でまたは代わりに、レーザによって生成された過剰なエネルギー(例えば、サーマルバジェットに対応し得る)がレーザを加熱するために使用されてもよい。したがって、より多くのサーマルバジェットを利用する(例えば、より長い持続時間、より高い電力で光エミッタを駆動する)こと、および/または、サーマルバジェットを増加させ、一定の光エミッタ温度を維持するように光エミッタを加熱することは有益である可能性がある。このようにしてサーマルバジェットを利用することで、特定の周囲温度条件(例えば、周囲温度が0℃未満の場合など、温度が低い場合)での熱電ヒーターの使用を補強および/または置き換えることができる。
【0112】
図5Cは、様々な環境条件(例えば、異なる周囲温度および雲量)に基づくパルスエネルギー計画532、534、536、538の例を示している。図5Cに示されるパルスエネルギー計画532、534、536、538はまた、LIDARデバイス520内で動作する熱電ヒーターおよび/または熱電クーラーの状態に基づくことができる。図5Cの第1のパルスエネルギー計画532に示されるように、および上記のように、周囲温度が低く(例えば、約-30℃)、曇っており、LIDARデバイス520の熱電ヒーターが最大熱設定になっている場合、LIDARデバイス520のすべての方位角について、LIDARデバイス520内の1つ以上の光エミッタ522を発射するのにより高い電圧V(例えば、約15ボルト~約20ボルト)が使用されてもよい。本明細書に記載されるように、このより高い発射電圧Vを使用することで、低い周囲温度にもかかわらず、光エミッタ522の動作温度を維持することによって光エミッタ522(例えば、レーザダイオード)の安定性を改善することができる。より高い発射電圧Vに加えて、またはその代わりに、第1のパルスエネルギー計画532内のすべての方位角について、光エミッタ522を発射するために使用されるコンデンサを充電するのにより長い充電時間が使用されてもよい。
【0113】
一方、第2、第3、および第4のパルスエネルギー計画534、536、538は、方位角のうちの全部または一部分について、より低い発射電圧V(例えば、約10ボルト~約15ボルト)を使用することができる。より低い発射電圧Vの使用は、周囲温度または雲量に基づく、より低いサーマルバジェットに従って行うことができる。例えば、第2のパルスエネルギー計画534は、約160°~約200°の方位角についてより低い発射電圧Vを使用し、約0°~約160°および約200°~約360°の方位角についてより高い発射電圧Vを使用してもよい。第2のパルスエネルギー計画534は、例えば、周囲温度が約+30℃であり、雲量が部分的であり、LIDARデバイス520の熱電クーラーが最大冷却設定であるときに使用することができる。別の例として、第3のパルスエネルギー計画536は、約135°~約225°の方位角についてより低い発射電圧Vを使用し、約0°~約135°および約225°~約360°の方位角についてより高い発射電圧Vを使用してもよい。第3のパルスエネルギー計画536は、例えば、周囲温度が約+35℃であり、雲量が部分的であり、LIDARデバイス520の熱電クーラーが最大冷却設定であるときに使用することができる。さらに別の例として、第4のパルスエネルギー計画538は、約45°~約315°の方位角についてより低い発射電圧Vを使用し、約0°~約45°および約315°~約360°の方位角についてより高い発射電圧Vを使用してもよい。第4のパルスエネルギー計画538は、例えば、例えば、周囲温度が約+45℃であり、晴れており、LIDARデバイス520の熱電クーラーが最大冷却設定であるときに使用することができる。
【0114】
上記のパルスエネルギー計画532、534、536、538は、車両100の正面の方位角領域(例えば、0°~45°および315°~360°の領域)について、より高い発射電圧を優先することができるが、これは例として示されているに過ぎない。他の実施形態では、発射電圧および/または関心領域の他の分配も可能であることが理解されよう。図5Cに列挙されている環境条件、および他の環境条件の場合、発射電圧および/または関心領域の他の分配が可能である。
【0115】
光学系の方位角および仰角向きに関してパルスエネルギーレベルを変調することに加えて、一部の実施形態では、光学系が関心領域外の方向に向けられているとき、検出器524(例えば、シリコン光電子増倍管(SiPMS)またはアバランシェフォトダイオード(APD))は、検出の実行をすべて停止するように、バイアスをかけるのを停止されてもよい。例えば、一部の用途では、LIDARデバイス520または関連付けられたコンピュータシステムが、環境の特定の領域(例えば、方位角で135°~225°)の三次元点群を生成する必要がない可能性がある。したがって、データ点が他の用途に使用されない場合、LIDARデバイス520は、LIDARデバイス520がそのような領域に向けて角度方向において方向付けられているときに検出器524を一時的に落とすことによって、追加の非効率性を回避することができる。
【0116】
図6Bを参照して上記したように、光エミッタ522および/または検出器524は、互いに周囲環境の異なる部分に向けて方向付けられ得る。したがって、光エミッタ522および/または検出器524は、各光エミッタ522/検出器524の組み合わせがわずかに異なる方位角向きおよび/または仰角向きを有するように、離間されてもよい。アレイ内の各光エミッタ522のパルスエネルギーレベルは、パルスエネルギー計画内で別々に定められてもよい。これにより、LIDARデバイス520内の異なる光エミッタ522を同時に異なるパルスエネルギーレベルで発射することが可能になり、それにより、関心領域を狙う精度を高めることができる。加えて、パルスエネルギー計画を決定する際に光エミッタ522のビーム発散(例えば、方位角および/または仰角における)も考慮され得る。
【0117】
III.例示的なプロセス
図7は、例示的な実施形態による、方法700のフローチャート図である。一部の実施形態では、LIDARデバイス(例えば、オブジェクトの検出および回避を実行するために自立型車両100で使用されるLIDARデバイス)によって図7の1つ以上のブロックが実行され得る。
【0118】
ブロック702において、方法700は、光検出および測距(LIDAR)デバイスのコントローラを使用して、LIDARデバイスの環境内の1つ以上の関心領域、およびサーマルバジェットに基づいてパルスエネルギー計画を決定することを含み得る。サーマルバジェットは、LIDARデバイスの環境内の温度および/または光エミッタの1つ以上の効率性に基づき得る。1つ以上の関心領域は、マップデータ(例えば、二次元および/または三次元マップデータ)、LIDARデバイスの補助センサからのデータ、LIDARデバイスに関連付けられた車両に対する地平線の場所、気象状況、時刻、および/またはLIDARデバイスに関連付けられた車両の運転状況に基づき得る。LIDARデバイスに関連付けられた車両の運転状況は、車両が走行している道路のタイプ(例えば、高速道路、住区内道路、幹線道路、砂利道など)、交通信号もしくは状況(例えば、黄信号または少ない、中程度、多い、渋滞など)、矢印信号が無い状態での左折もしくは右折の発生(例えば、車両が矢印信号が無い状態で左折しているもしくは左折しようとしている、または右折の際に譲っている場合)、過去の運転データ(例えば、所与のGPS位置の以前の交通データまたは以前の速度データ)、車両フリート内の他の車両からのデータ、および/または工事ゾーンの場所を含み得る。
【0119】
ブロック704において、方法700は、コントローラによって、複数の光エミッタに電力を供給するように構成されたLIDARデバイスの回路を、パルスエネルギー計画に従って制御することを含み得る。
【0120】
ブロック706において、方法700は、複数の光エミッタの各光エミッタから、LIDARデバイスの環境へ、LIDARデバイスに対して複数の異なる放射方向に光パルスを放射することを含み得る。複数の光エミッタの各光エミッタによって放射される各光パルスのパルスエネルギーレベルはパルスエネルギー計画によって指定されてもよい。
【0121】
ブロック708において、方法700は、各検出器が複数の光エミッタのうちの光エミッタに対応する、LIDARデバイスの複数の検出器によって、対応する光エミッタによって放射され、LIDARデバイスの環境から受信される光パルスの反射を検出することを含み得る。
【0122】
一部の実施形態では、方法700はまた、LIDARデバイスのアクチュエータによって、角度のある範囲にわたってLIDARデバイスの指向方向を走査することを含み得る。LIDARデバイスの回路を制御することには、アクチュエータによって角度のある範囲にわたってLIDARデバイスの指向方向を走査するとき、LIDARデバイスの回路を制御することを含み得る。さらに、LIDARデバイスに対する異なる放射方向は、LIDARデバイスの指向方向に対する異なる放射方向を含み得る。
【0123】
IV.結論
本開示は、本出願に記載の特定の実施形態に関して限定されるものではなく、特定の実施形態は、様々な態様の例解として意図される。当業者には明らかなことであるが、多くの変形および変更を本開示の趣旨および範囲から逸脱することなく行うことができる。本明細書において列挙される方法および装置に加えて、本開示の範囲内の機能的に同等の方法および装置は当業者には、これまでの説明から明らかであろう。このような変形および変更は、添付の特許請求の範囲内にあることが意図されている。
【0124】
上記の詳細な説明は、添付の図を参照して、開示されたシステム、デバイス、および方法の様々な特徴および機能を説明している。図では、特に文脈で記載しない限り、同様の記号は通常、同様の構成要素を指している。本明細書および図に記載の例示的な実施形態は、限定することを意図しているものではない。本明細書に提示される主題の範囲から逸脱することなく、他の実施形態を利用することができ、他の変更を行うことができる。本明細書で概して説明され、かつ図に例解されている、本開示の態様は、多種多様な異なる構成で配置、置換、組み合わせ、分離、および設計することができ、そのすべてが、本明細書において明示的に想定されていることが容易に理解されよう。
【0125】
図および本明細書で説明されるメッセージフロー図、シナリオ、およびフローチャートのいずれかまたはすべてに関して、各ステップ、ブロック、動作、および/または通信は、例示的な実施形態に従った情報の処理および/または情報の送信を表し得る。代替的な実施形態は、これらの例示的な実施形態の範囲内に含まれる。これらの代替的な実施形態では、例えば、ステップ、ブロック、送信、通信、要求、応答、および/またはメッセージとして記載される動作は、関わる機能性に応じて、実質的に同時または逆の順序を含む、図示または記載されるものとは異なる順序で実行され得る。さらに、それより多いまたは少ないブロックおよび/または動作を、本明細書において説明されるメッセージフロー図、シナリオ、およびフローチャートのいずれかで使用することができ、これらのメッセージフロー図、シナリオ、およびフローチャートは、部分的にまたは全体として相互に組み合わせることができる。
【0126】
情報の処理を表すステップ、ブロック、または動作は、本明細書に記載の方法または技術の特定の論理機能を果たすように構成され得る回路網に対応することができる。代替的または追加的に、情報の処理を表すステップまたはブロックは、モジュール、セグメント、またはプログラムコード(関連データを含む)の一部分に対応することができる。プログラムコードは、特定の論理演算または動作を方法または技術において実施するためのプロセッサにより実行可能な1つ以上の命令を含むことができる。プログラムコードおよび/または関連データは、RAM、ディスクドライブ、ソリッドステートドライブ、または別の記憶媒体を含む、記憶デバイスなど、任意の種類のコンピュータ可読媒体に格納され得る。
【0127】
さらに、1つ以上の情報送信を表すステップ、ブロック、または動作は、同じ物理デバイスにおけるソフトウェアモジュールおよび/またはハードウェアモジュール間の情報送信に対応することができる。しかしながら、他の情報送信は、様々な物理デバイスにおけるソフトウェアモジュールおよび/またはハードウェアモジュール間の情報送信であり得る。
【0128】
図に示す特定の配置は、限定としてみなされるべきではない。他の実施形態が、所与の図に示される各要素をそれより多く、またはそれより少なく含み得ることを理解されたい。さらに、示される要素のうちのいくつかを組み合わせることも、または省略することもできる。なおさらに、例示的な実施形態は、図に示されていない要素を含むことができる。
【0129】
様々な態様および実施形態が本明細書において開示されているが、当業者には、他の態様および実施形態が明らかとなるであろう。本明細書に開示される様々な態様および実施形態は、例証を目的とするものであり、限定することを意図するものではなく、真の範囲は、以下の特許請求の範囲によって示される。
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図6C
図7
【国際調査報告】