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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-03
(54)【発明の名称】低温装置の圧力の安定化
(51)【国際特許分類】
   A61B 18/02 20060101AFI20230127BHJP
【FI】
A61B18/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022529413
(86)(22)【出願日】2020-11-24
(85)【翻訳文提出日】2022-07-19
(86)【国際出願番号】 US2020061992
(87)【国際公開番号】W WO2021113120
(87)【国際公開日】2021-06-10
(31)【優先権主張番号】62/943,017
(32)【優先日】2019-12-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522159820
【氏名又は名称】パシラ クライオテック インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100137969
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 憲昭
(74)【代理人】
【識別番号】100104824
【弁理士】
【氏名又は名称】穐場 仁
(74)【代理人】
【識別番号】100121463
【弁理士】
【氏名又は名称】矢口 哲也
(72)【発明者】
【氏名】ヨハンソン,エリック セオドア
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160JJ01
4C160JJ03
4C160JJ07
4C160MM32
(57)【要約】
低温装置内部の圧力を安定化させるための方法は、クライオセラピー処置サイクル中に、低温装置のニードルプローブを通る冷却剤の予想される平均質量流量に対応する流量値を受信すること、流量値に基づき、低温装置に関連し、冷却剤を加熱するように構成されているヒータに印加される、処置サイクルの標的ヒータ電力を決定すること、処置サイクルの入力を受信すること、入力に応答してニードルプローブに向け、ある期間にわたり冷却剤を流れさせること、及び冷却剤を加熱し、低温装置内部の圧力を安定化させるために処置サイクル中に、標的ヒータ電力をヒータに印加すること、を含む。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
クライオセラピー処置中に、低温装置内部の圧力を安定化させるための方法であって、前記方法が、
クライオセラピー処置サイクル中に、前記低温装置の第1のニードルプローブを通る冷却剤の予想される平均質量流量に対応する第1の流量値を受信することと、
前記第1の流量値に基づいて、第1の処置サイクルの、前記低温装置に関連し、前記冷却剤を加熱するように構成されているヒータに印加される、第1の標的ヒータ電力を決定することと、
前記第1の処置サイクルの入力を受信することと、
前記入力に応答して前記第1のニードルプローブに向け、ある期間にわたり前記冷却剤を流させることと、
前記ヒータに前記冷却剤を加熱させ、前記第1の処置サイクル中又は前記第1の処置サイクル後に前記低温装置内部の圧力を安定化させるように、前記第1の処置サイクル中に、前記ヒータに前記第1の標的ヒータ電力を印加することと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記第1の標的ヒータ電力は、前記第1の処置サイクルの冷却段階中の圧力の平均変化率が所定の範囲内に留まるように定義される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の流量値が、前記第1のニードルプローブから前記低温装置のプロセッサで受信される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記ヒータが、前記低温装置に関連する冷却剤カートリッジに連結される、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記低温装置がハンドピース部を備え、前記冷却剤カートリッジ及び前記第1のニードルプローブが前記ハンドピース部に直接連結され、冷却剤経路が前記冷却剤カートリッジと前記第1のニードルプローブとの間に延在する、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の標的ヒータ電力を印加するために必要な標的デューティーサイクルを決定すること
をさらに含み、
前記第1の標的ヒータ電力を印加することにより、前記標的デューティーサイクルの間前記ヒータが働く、
請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記標的デューティーサイクルが、等式:デューティーサイクル=P標的×(Rヒータ/Vヒータ )の出力に基づき決定され、式中、P標的は前記第1の標的ヒータ電力であり、Rヒータは前記ヒータの抵抗であり、Vヒータは前記ヒータの電圧である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
ヒータのリアルタイム値を推定するために、前記ヒータに連結された電源の電圧を監視することをさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記第1の標的ヒータ電力を印加することが、前記ヒータに印加された電流又は電圧の量を調整することを含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記第1の処置サイクル中に、前記低温装置の圧力センサからの圧力データを受信することと、
受信した前記圧力データに基づき、前記第1の処置サイクルの冷却段階中の圧力の平均変化率を計算することと、
圧力の前記平均変化率に基づく調整値により前記第1の標的ヒータ電力を上方又は下方に調整することで少なくとも部分的に計算される、第2の処置サイクルの第2の標的ヒータ電力を計算することと、
をさらに含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
圧力の前記平均変化率が負であって、所定の範囲を超えると判断することであって、前記第2の標的ヒータ電力が、前記調整値により前記第1の標的ヒータ電力を上方に調整することで少なくとも部分的に計算される、ことをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
圧力の前記平均変化率が正であって、所定の範囲を超えると判断することであって、前記第2の標的ヒータ電力が、前記調整値により前記第1の標的ヒータ電力を下方に調整することで少なくとも部分的に計算される、ことをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記調整値が圧力の前記平均変化率の大きさに基づいて決定される、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
圧力の前記平均変化率が、閾値の大きさよりも大きいと判断することと、
前記判断に基づき、前記低温装置に関する問題を示す通知を生成することと、
をさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
圧力の前記平均変化率が負であり、前記通知が、圧力の前記平均変化率に基づいて、前記問題を冷却剤源の減少として特定する、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
圧力の前記平均変化率が正であり、前記通知が、圧力の前記平均変化率に基づいて、前記問題を冷却剤経路の遮断又は妨害として特定する、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記第1の処置サイクルの冷却サイクル前に、前記低温装置の第1の圧力を決定することと、
第2の処置サイクルの冷却サイクル前に、前記低温装置の第2の圧力を決定することと、
前記第2の圧力が前記第1の圧力よりも低いときに、前記第1の標的ヒータ電力を上方に調整すること、又は
前記第2の圧力が前記第1の圧力よりも高いときに、前記第1の標的ヒータ電力を下方に調整すること、
により少なくとも部分的に計算される、第2の処置サイクルの第2の標的ヒータ電力を計算することと、
をさらに含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記第1のニードルプローブを第2のニードルプローブと交換することと、
クライオセラピー処置サイクルの冷却段階中に、前記第2のニードルプローブを通る冷却剤の予想される平均質量流量に対応する、第2の流量値を受信することと、
前記第2の流量値に基づき、前記第2のニードルプローブを用いて実施される処置サイクルの、前記ヒータにより印加される新規標的ヒータ電力を決定することと、
をさらに含む、請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記第1の処置サイクルが冷却段階及び回復段階を含み、前記第1の標的ヒータ電力が、前記冷却段階中に印加される、請求項1~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
低温装置であって、
加圧された冷却剤を含む冷却剤源と、
1つ以上の針を含むニードルプローブに向けて前記冷却剤を方向付けるように構成された冷却剤経路であって、前記冷却剤が前記1つ以上の針を介して、標的組織にクライオセラピーを送達するように構成されている、冷却剤経路と、
ヒータと、
プロセッサであって、
クライオセラピー処置サイクル中の前記低温装置の第1のニードルプローブを通る冷却剤の予想される平均質量流量に対応する第1の流量値を受信し、
前記第1の流量値に基づいて、第1の処置サイクルの、前記低温装置に関連し、前記冷却剤を加熱するように構成されているヒータに印加される、第1の標的ヒータ電力を決定し、
前記第1の処置サイクルの入力を受信し、
前記入力に応答して前記第1のニードルプローブに向け、ある期間にわたり前記冷却剤を流させ、
前記冷却剤を加熱し、かつ前記第1の処置サイクル中又は前記第1の処置サイクル後に、前記低温装置内部の圧力を安定化させるように、前記第1の処置サイクル中に前記ヒータに前記第1の標的ヒータ電力を印加する、
ように構成されている、プロセッサと、
を備える、低温装置。
【請求項21】
前記第1の標的ヒータ電力が、前記第1の処置サイクルの冷却サイクル中の圧力の平均変化率が予め定義した範囲内に留まるように定義される、請求項20に記載の低温装置。
【請求項22】
前記プロセッサが、
前記第1の処置サイクル中に、前記低温装置の圧力センサからの圧力データを受信し、
受信した前記圧力データに基づき、前記第1の処置サイクルの冷却段階中の圧力の平均変化率を計算し、かつ
圧力の前記平均変化率に基づく調整値により前記第1の標的ヒータ電力を上方又は下方に調整することで少なくとも部分的に計算される、第2の処置サイクルの第2の標的ヒータ電力を計算する
ようにさらに構成されている、請求項20又は21に記載の低温装置。
【請求項23】
前記プロセッサが、圧力の前記平均変化率が負であると判断するようにさらに構成されており、前記第2の標的ヒータ電力が、前記調整値により前記第1の標的ヒータ電力を上方に調整することで少なくとも部分的に計算される、請求項22に記載の低温装置。
【請求項24】
前記プロセッサが、圧力の前記平均変化率が正であると判断するようにさらに構成されており、前記第2の標的ヒータ電力が、前記調整値により前記第1の標的ヒータ電力を下方に調整することで少なくとも部分的に計算される、請求項22に記載の低温装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願データの相互参照)
[0001]本出願は、2019年12月3日に出願された米国仮出願番号第62/943,017号の利益を主張するものであり、その全開示は、あらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に組み入れられる。
【0002】
[0002]疼痛を処置するため、治療目的で神経を含む組織を冷却させるための装置、システム及び方法。
【背景技術】
【0003】
[0003]本開示は一般にはクライオセラピー向けの医療機器、システム及び方法に関する。より詳細には、本開示は、標的組織を、変性、阻害、構造の変更、又はそれ以外の場合では作用させ、その挙動又は組成に所望の変化を得るように患者の標的組織を極低温で冷却することに関する。神経組織の極低温冷却は、とりわけ疼痛(例えば、後頭部及びその他の場所の神経痛、神経腫、変形性関節症の疼痛)、痙攣及び関節の硬直を含む様々な適応症を処置するのに有効であることが見出されている。例えば、神経組織の冷却は、これらの症状を引き起こす契機となる神経を変性又は阻害することが見出されている。極低温冷却は、例えば皮膚(例えば、線、しわ又はセルライトによる陥没部)又は他の周囲組織における望ましくない及び/又は不体裁である影響を阻害することで、美容的条件に対処するためにも使用されてきた。
【0004】
[0004]上記観点から、ニードルプローブを備えた低温装置は、様々な適応症を処置するために標的組織を治療的に冷却する一方法として登場してきた。こうした装置のニードルプローブは、標的組織に隣接している患者の皮膚へと典型的には挿入される。いくつかの低温装置は、装置のニードルプローブの針の開口部を介して標的組織へといずれかが挿入され得る冷却剤を含み、この結果、標的組織は冷却剤により直接冷却される。他の極低温プローブは、閉鎖されたニードル先端部を含み得る。この場合、(例えば、冷却剤の流れにより)針は冷却され、冷却された針に隣接している標的組織はこうすることで伝導により冷却され得る。極低温プローブは、精密さ、簡便さ及び信頼性を有し、標的組織に、又は標的組織の周囲の、患者内部の極低温ゾーンを生成するという点で有効であることが証明されている。極低温ゾーンは、極低温プローブの1つ以上の針により冷却される、ある体積の組織であり得る(例えば、針の遠位部分の近く又は周囲のある体積の組織)。例えば極低温ゾーンは、体積内部の組織を凍結させるように冷却される、ある体積の組織であり得る(例えば、極低温プローブの針の周囲に形成され得る極低温ゾーンは、約0℃(又は他の適切な温度)の等温線により定義され得る)。
【発明の概要】
【0005】
[0005]本開示は、改良された医療機器、システム及び方法に関する。本明細書に記載される多くの装置及びシステムは、低温装置を使用するクライオセラピーに有益である。
【0006】
[0006]いくつかの実施形態では、方法は第1の流量値を受信することを含むことができ、第1の流量値は、クライオセラピー処置サイクル中、低温装置の第1のニードルプローブを通る冷却剤の予想される平均質量流量に対応する。この方法は、第1の流量値に基づいて、第1の処置サイクルの、低温装置に関連するヒータに印加される第1の標的ヒータ電力を決定することをさらに含み得る。この方法は、第1の処置サイクルの入力を受信することをさらに含み得る。この方法は、入力に応答して第1のニードルプローブに向け、ある期間にわたり冷却剤を流れさせること、及び冷却剤を加熱し、第1の処置サイクル中又は第1の処置サイクル後(又はいくつかの実施形態では第1の処置サイクル前)に低温装置内部の圧力を安定化させるように、第1の処置サイクル中に第1の標的ヒータ電力を印加すること、を含み得る。かかる方法は、例えば、クライオセラピー処置中に、低温装置内部の圧力を安定化させるために使用され得る。
【0007】
[0007]いくつかの実施形態では、第1の標的ヒータ電力は、第1の処置サイクルの冷却段階中の圧力の平均変化率が所定の範囲内に留まるように定義される。いくつかの実施形態では、第1の流量値は第1のニードルプローブから低温装置のプロセッサで受信される。
【0008】
[0008]いくつかの実施形態では、ヒータは低温装置に関連する冷却剤カートリッジに連結される。いくつかの実施形態では、低温装置はハンドピース部を含み、冷却剤カートリッジ及び第1のニードルプローブはハンドピース部に直接連結され得る。
【0009】
[0009]いくつかの実施形態では、この方法は、第1の標的ヒータ電力を印加するのに必要な標的デューティーサイクル(又はパルス幅変調率(pulse width modulation percentage、PWM%)を決定することを含み得る。これらの実施形態では、第1の標的ヒータ電力を印加することは、標的デューティーサイクルの間、ヒータを働かせることを含み得る。いくつかの実施形態では、標的デューティーサイクルは、等式:デューティーサイクル=P標的×(Rヒータ/Vヒータ )の出力に基づき決定される。この等式中、P標的は第1の標的ヒータ電力であり、Rヒータはヒータの抵抗であり、Vヒータはヒータの電圧である。いくつかの実施形態では、この方法はVヒータのリアルタイム値を推定するために、ヒータに連結された電源の電圧を監視することを含む。
【0010】
[0010]いくつかの実施形態では、第1の標的ヒータ電力を印加することは、ヒータに印加された電流又は電圧の量を調整することを含む。
【0011】
[0011]いくつかの実施形態では、この方法は、第1の処置サイクル中の、低温装置の圧力センサからの圧力データを受信することと、受信した圧力データに基づき、第1の処置サイクルの冷却段階中の圧力の平均変化率を計算することと、圧力の平均変化率に基づく調整値により第1の標的ヒータ電力を上方又は下方に調整することで少なくとも部分的に計算される、第2の処置サイクルの第2の標的ヒータ電力を計算することと、を含む。いくつかの実施形態では、この方法は、圧力の平均変化率が負であって、所定の範囲を超えると判断することを含み得、第2の標的ヒータ電力は、調整値により第1の標的ヒータ電力を上方に調整することで少なくとも部分的に計算される。いくつかの実施形態では、この方法は、圧力の平均変化率が正であって、所定の範囲を超えると判断することを含み得、第2の標的ヒータ電力は、調整値により第1の標的ヒータ電力を下方に調整することで少なくとも部分的に計算される。いくつかの実施形態では、調整値は圧力の平均変化率の大きさに基づいて決定される。
【0012】
[0012]いくつかの実施形態では、この方法は圧力の平均変化率が閾値の大きさよりも大きいと判断することを含み得る。この方法は、判断に基づき、低温装置に関する問題を示す通知を生成することをさらに含み得る。いくつかの実施形態では、圧力の平均変化率は負であると判断されることができ、通知は、圧力の平均変化率に基づいて、問題を冷却剤源の減少として特定することができる。いくつかの実施形態では、圧力の平均変化率は正であるとされることができ、通知は、圧力の平均変化率に基づいて、問題を冷却剤経路の遮断又は妨害として特定することができる。
【0013】
[0013]いくつかの実施形態では、この方法は、第1の処置サイクルの冷却サイクル前に低温装置の第1の圧力を決定すること、第2の処置サイクルの冷却サイクル前に低温装置の第2の圧力を決定すること、第2の処置サイクルの第2の標的ヒータ電力を計算することを含み得る。いくつかの実施形態では、第2の標的ヒータ電力は、第2の圧力が第1の圧力よりも低い場合に第1の標的ヒータ電力を上方に調整すること、又は第2の圧力が第1の圧力よりも大きい場合に第1の標的ヒータ電力を下方に調整すること、で少なくとも部分的に計算される。
【0014】
[0014]いくつかの実施形態では、この方法は、第1のニードルプローブを第2のニードルプローブと交換すること、クライオセラピー処置サイクル中に第2のニードルプローブを通り、冷却剤の予想される平均質量流量に対応する第2の流量値を受信すること、第2の流量値に基づき、第2のニードルプローブを用いて実施される処置サイクルの、ヒータにより印加される新規標的ヒータ電力を決定すること、を含み得る。
【0015】
[0015]いくつかの実施形態では、第1の処置サイクルは冷却段階及び回復段階を含む。いくつかの実施形態では、第1の標的ヒータ電力は冷却段階中に印加される。
【0016】
[0016]低温装置は、本明細書に記載される方法を実施するために記載される。いくつかの実施形態では、低温装置は、加圧された冷却剤を含む冷却剤源、冷却剤を1つ以上の針を含むニードルプローブに向けて方向付けるように構成された冷却剤経路を含んでもよく、冷却剤は、1つ以上の針、ヒータ及びプロセッサを介して標的組織にクライオセラピーを送達するように構成されている。いくつかの実施形態では、プロセッサは、クライオセラピー処置サイクル中の低温装置の第1のニードルプローブを通る冷却剤の予想される平均質量流量に対応する第1の流量値を受信し、第1の流量値に基づいて、低温装置に関連し、冷却剤を加熱するように構成されているヒータに印加される第1の処置サイクルの第1の標的ヒータ電力を決定し、第1の処置サイクルの入力を受信し、入力に応答して第1のニードルプローブに向け、ある期間にわたり冷却剤を流させ、冷却剤を加熱し、かつ第1の処置サイクル中又は第1の処置サイクル後に、低温装置内部の圧力を安定化させるように、第1の処置サイクル中にヒータに第1の標的ヒータ電力を印加するように構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1A】冷却剤カートリッジ及びニードルプローブを保持するためのカートリッジホルダを含む、低温装置の例示的な実施形態を示す。
図1B】冷却剤カートリッジ及びニードルプローブを保持するためのカートリッジホルダを含む、低温装置の例示的な実施形態を示す。
図2A】例示的なニードルプローブを示す。
図2B】ニードルプローブのPCBAの近位部分を受容する、ハンドピース部のPCBAのポートの例示的な実施形態を示す。
図2C】ニードルプローブのPCBAの近位部分を受容する、ハンドピース部のPCBAのポートの例示的な実施形態を示す。
図3A】単一の処置サイクル中の低温装置に関連する圧力及び温度を反映する例示的なグラフを示し、この場合、ヒータは冷却剤カートリッジの外側を加熱し、冷却剤カートリッジの外部で、相対的に一定の温度を維持する。
図3B図3Aに示された処置サイクル後に生じた、処置サイクル中の低温装置内部の圧力及び温度を反映する例示的なグラフを示す。
図4】冷却剤経路を介してニードルプローブに連結された例示的な冷却剤カートリッジの簡略断面概略図を示す。
図5】低温装置の例示的な高レベルの系統図を示す。
図6】処置サイクルの冷却段階中に、圧力損失の量を相殺するように特に意図された標的ヒータ電力を印加することで冷却剤の圧力を安定化させる方法に対応する、例示的な圧力/温度グラフを示す。
図7】冷却段階中の圧力を安定化させるためのリアルタイムでの圧力監視及び補正の方法に対応する、例示的な圧力/温度グラフを示す。
図8】低温装置の問題を示す処置サイクルを含む、複数の処置サイクルの例示的な圧力/温度グラフを示す。
図9】使用中の低温装置の簡略概略図を示す。
図10】低温装置内部の圧力を安定化させるための例示的な方法を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[0029]本開示は、クライオセラピーを患者に送達させるために使用され得る低温装置の特徴を記載する。いくつかの実施形態では、記載された低温装置は、皮下にクライオセラピーを送達するための針を含み、様々な症状を処置するために特定の組織を標的とすることができる。例えば、低温装置は疼痛、痙攣、又はこの治療により改善されるであろう他のそのような症状を処置するために末梢神経へとクライオセラピーを送達するため、末梢神経近くに挿入されるように構成されている針を備え得る。疼痛又は痙攣の軽減のためのクライオセラピーの使用についてのさらなる情報は、2008年11月14日に出願された米国特許第8,298,216号、2014年3月18日に出願された米国特許第9,610,112号、2017年3月13日に出願された米国特許第10,085,789号、及び2018年9月14日に出願された米国特許出願公開番号第20190038459号に見出すことができ、これらの全開示は、あらゆる目的のためにそれらの全体が参照により本明細書に組み入れられる。低温装置は、例えば、その全開示があらゆる目的のためにそれらの全体が参照により本明細書に組み入れられる、2016年3月14日に出願された米国特許第10,470,813号に記載されるように、神経腫の破壊又は防止などの予防的な処置のためにも使用され得る。
【0019】
[0030]図1A図1Bは、冷却剤カートリッジ130及びニードルプローブ110を保持するためのカートリッジホルダ140を含む、低温装置100の例示的な実施形態を示す。図示された例示的な実施形態に示されるように、低温装置100は、操作者の手で把持及び操作されるのに適切である、自己完結型ハンドピースであり得る。他の実施形態では、低温装置は物理的に分離された構成要素を含み得る。例えば、低温装置は、ニードルプローブを含むハンドピース、及びハンドピースから分離される冷却剤カートリッジを含み得る。いくつかの実施形態では、低温装置100は、ハンドピース部のハウジングに連結され得る別個のプローブハウジング内部に配設されたニードルプローブ110を備えた、複数部(例えば、2部)ハウジングを有し得る。他の実施形態では、ニードルプローブ110は別個のハウジング内部に配設されなくてもよく、低温装置100のハウジングへと直接挿入されるように構成され得る。一例として、これらの実施形態のうち少なくとも一部の低温装置100は単一のハウジングを有し得る。
【0020】
[0031]いくつかの実施形態では、冷却剤カートリッジ130は冷却剤(例えば、亜酸化窒素、フロン系冷媒、及び/又は二酸化炭素)で充填される使い捨てカートリッジであり得る。冷却剤カートリッジ130は加圧され、その結果、内部の冷却剤が相対的に高圧で維持され得る。いくつかの実施形態では、低温装置100は、冷却剤カートリッジ130にアクセスするための(例えば、カートリッジを交換するため)カートリッジドア120を含み得る。カートリッジドア120は、カートリッジホルダ140が冷却剤カートリッジ130を受容するのを可能とするための開放位置から、低温装置100のハウジング内部に冷却剤カートリッジ130を固定するための閉鎖位置へと移動するように構成され得る。例えば、図1A図1Bに示されるように、カートリッジドア120は、旋回点125の周囲で旋回し、冷却剤カートリッジ130にアクセス可能であるように構成され得る。この例では、ユーザは、図1Aに示されるようにカートリッジドア120を開け(例えば、ユーザが、冷却剤カートリッジ130が空であると気がついた場合)、カートリッジホルダ140から冷却剤カートリッジ130を取り外し、カートリッジホルダ140へと新規冷却剤カートリッジ130を挿入し、かつ図1Bに示されるようにカートリッジドア120を閉鎖することができる。
【0021】
[0032]いくつかの実施形態では、低温装置100を使用したクライオセラピーは、別々の処置サイクルで実施され得る。例えば、低温装置100のプロセッサは、(例えば、供給弁を操作することにより)冷却剤流を制御するように構成され得る。プロセッサは、処置指示に応答して処置サイクルを提供するように構成され得る。処置サイクルは、冷却段階(ここでは、冷却剤は針へと流れる)及び回復段階(ここでは、冷却剤は針に流れない)を含み得る。例えば、処置サイクルは、20~65秒の冷却段階の持続期間、その後10~60秒の持続期間の回復段階を含み得る。別の例として、33~60秒の持続期間の冷却段階、その後15~45秒の持続期間の回復段階を含む処置サイクルにとって特に有利であり得る。冷却段階中、冷却剤流が針に流れると、針の周囲(例えば、針の遠位端部)の組織に極低温ゾーンが形成され得る。極低温ゾーンは、組織の凍結された「アイスボール」を含むように、例えば、0℃の等温線(例えば、冷却ゾーン)により画定され得る。いくつかの実施形態では、冷却剤を針ルーメン内部で気化させ(Joule-Thomson効果を高めることによる)、極低温ゾーンを作り出すことができる。回復段階中、針が基準温度まで温まるように冷却剤流を停止する。処置サイクルについてのさらなる情報は、2018年9月14日に出願された米国特許出願公開番号第20190038459号に見出すことができ、これはあらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に組み入れられる。
【0022】
[0033]いくつかの実施形態では、低温装置100は皮膚加温器を含む。これは、例えば皮膚への付帯的損害を低減させるために皮膚を温めるための加熱要素であり得る。皮膚加温器は、所定の加熱持続期間の処置サイクル前、又は処置サイクル中に作動され得る。例えば、皮膚加温器は、処置サイクル前の特定の持続期間の予熱期間にわたり作動され得る。皮膚加温器を備えた低温装置についてのさらなる情報は、2016年3月14日に出願された米国特許第10,470,813号に見出すことができ、これはあらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に組み入れられる。
【0023】
[0034]図2Aは例示的なニードルプローブ110を示す。いくつかの実施形態では、図示されたニードルプローブ110は外部ハウジング(図示せず)を有し得る。いくつかの実施形態では、ニードルプローブ110は、標的組織(例えば、神経組織)に隣接している患者の皮膚への穿刺に適した1つ以上の針115を含み得る。例えば、図2Aに示されるように、ニードルプローブ110は3つの針115を含み得る。ニードルプローブ110の針のそれぞれは、中に配設された針ルーメンを有し得る(図示せず)。いくつかの実施形態では、針115はいずれかの遠位開口部を有さない、閉鎖された先端を有し得る。この結果、針115の遠位端部からの冷却剤の排出が不可能となる。これらの実施形態では、針115自体は冷却され、これにより隣接している標的組織が伝導によって冷却される。例えば、針は冷却剤が中に流れる針ルーメンを有し得るが、これにより針は冷却される。他の実施形態では、針115は開放された先端を有し得る。この場合、標的組織は、冷却剤を標的組織内部又は標的組織に隣接して患者へと注入することにより、冷却される。いくつかの実施形態では、ニードルプローブ110は、プローブ受け口170に固定されるように構成されている、プローブ延長部119を含み得る。ニードルプローブがプローブ受け口170に固定されると、プローブ延長部119は低温装置の近位端部に向かって近位に延長する(図示目的のため、近位方法及び遠位方向は図1Aに指示されている)。図2Aを参照すると、プローブ延長部119は、中に配設されたプローブルーメンを有することができ(図示せず)、プローブルーメンは近位端部から遠位端部まで延長する。ニードルプローブがプローブ受け口に固定されると、プローブルーメンは、冷却剤を針に送達させるために、プローブ受け口170に向かって、冷却剤カートリッジ130から延在する冷却剤経路に流体的に連結され得る。プローブルーメンは、低温装置の遠位端部で針115の針ルーメンに連結されることができ、その結果、冷却剤はプローブルーメンを通過して針ルーメンへと入ることが可能となり得る(例えば、針先端を冷却するため)。いくつかの実施形態では、冷却剤は、針を冷却させた後に(例えば、近位に)排出され得る。いくつかの実施形態では、冷却剤は連続的かつ順次針ルーメンへと流され、(例えば、1回以上の処置サイクル中に)ニードルルーメンから排出され得る。
【0024】
[0035]いくつかの実施形態では、低温装置100は、処置を実施している操作者を支援するための、第1のプロセッサ(例えば、ハンドピース内部でニードルプローブ110から離れて位置する)を含むスマート装置であり得る。いくつかの実施形態では、ニードルプローブ110はスマートプローブであり得る。これらの実施形態では、ニードルプローブ110はプリント回路基板アセンブリ(printed circuit board assembly、PCBA)を含み得る。図2Aに示されるように、PCBAは第2のプロセッサ118aを含み得る。いくつかの実施形態では、PCBAもまたメモリ構成要素を含み得る。PCBAは、ニードルプローブ110を低温装置100(例えば、ハンドピース部)の残りの部分に電気的に連結する、1つ以上のコネクタ118b(例えば、カードエッジコネクタ)をさらに含み得る。例えば、ニードルプローブがプローブ受け口170により受容されると、PCBA118の一部(コネクタ118bを含む)は、ハンドピース部のポートで受容され得る。
【0025】
[0036]図2B図2Cは、ニードルプローブ110のPCBA118の近位部分を受容する、ハンドピース部のPCBA175のポート178の例示的な実施形態を示す。図2B図2Cの例示的な実施形態に示されるように、PCBA118のコネクタ118bは、ハンドピース部のPCBA175のポート178の開口部へと摺動するように構成され得る。
【0026】
[0037]ニードルプローブ110のPCBA118がハンドピース部のPCBA175に接続されると、ニードルプローブ110は、(例えば、第2のプロセッサ118aを介して)ハンドピース部へと情報を送信及び/又はハンドピース部から受信可能となり得る。いくつかの実施形態では、ニードルプローブ110は、とりわけ、ニードルプローブの対応するプローブ型を特定可能であるプローブ記述子を(例えば、第1のプロセッサへと)送信可能である。例えば、プローブ記述子は針の本数(例えば、単一ニードルプローブ、3本のニードルプローブ、5本のニードルプローブ)、針の長さ、針の構成(例えば、長方形配列、正方形配列、楕円形、円形、三角形、逆ピラミッド形状などの三次元形状)、ニードルプローブを通る冷却剤の平均質量流量、低温装置100の皮膚加温器が作動する間の予熱持続期間、冷却剤がニードルプローブ110へと送達される間の冷却段階持続期間、ニードルプローブ110へのさらなる冷却剤の送達を防止するように、弁が遮断される間の回復段階の持続期間、又はニードルプローブ110の操作のために指定され得る任意の他の適切な特徴若しくはパラメータを特定可能である。プローブ記述子及びその中に含まれ得る特定の種類のパラメータについて、以下にさらに説明する。スマート低温装置及びスマートチップについてのさらなる情報は、2018年11月20日に出願された米国特許第10,130,409号に見出すことができ、これはあらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に組み入れられる。
【0027】
[0038]図3Aは、単一の処置サイクル中の低温装置100に関連する圧力及び温度を反映する例示的な圧力/温度曲線を示し、この場合、ヒータは冷却剤カートリッジ130の外側を加熱し、冷却剤カートリッジ130の外側にて、相対的に一定の温度を維持する。図3Aを参照すると、処置サイクルは冷却段階310で開始することができ、その後回復段階320を続けることができる。図3AのTProbeと記載された線は、ニードルプローブ110での温度を指す。Pressureと記載された線は、低温装置100内部の冷却剤の圧力を指す。この圧力は、例えば冷却剤が流れる供給弁の上流又は下流の、1つ以上の圧力センサにより測定され得る。TCrtg(Ext)と記載された線は、例えば、冷却剤カートリッジ130の近く又はこれに隣接して位置決めされた1つ以上の温度センサにより測定され得るように、冷却剤カートリッジ130の外側の温度を示す。図示されるように、ニードルプローブ110の温度は、ニードルプローブ110のルーメンへと流れる冷却剤の量が増加するにつれ、冷却段階310中に強制的に低下する。図3A(及び本開示内での温度/圧力曲線を示している後続の図)では、TProbe及びTCrtg(Ext)の線は、「温度(℃)」軸を参照して読み取られなければならず、Pressureの線は「圧力(psia)」軸を参照して読み取られなければならない。いくつかの実施形態では、冷却剤カートリッジ130内部の冷却剤は基準圧力値であるように加圧され得る。例えば、図3Aに示されるように、基準圧力値は、約910ポンド/平行インチ絶対圧力(pounds per square inch absolute、psia)であり得る。冷却剤は冷却段階310中に加圧された冷却剤カートリッジ130から放出され、かつ冷却剤経路に沿って流されるにつれ、冷却剤カートリッジ130内部の冷却剤の減少は、冷却剤カートリッジ130内部の圧力を基準圧力に対して低下させ得る。付け加えると、この圧力低下は、温度低下にも付随する場合がある。この温度降下は、生じる冷却剤の相変化に起因し得る。冷却剤は、ほぼ液相を維持するように、冷却剤カートリッジ130内部で加圧され得る。冷却剤が冷却剤カートリッジ130から放出され、結果として圧力が低下するにつれて、一定の量の液状冷却剤は液体から気体への相変化(例えば、液状のNOが圧力の低下に起因して沸騰し、気体状のNOへと気化する)を受ける可能性がある。これは、周囲からの熱を取り出し、最終的に残りの液状冷却剤を冷却させる吸熱的相変化である。処置サイクル中の圧力の低下は、図3Aの例ではPressure線により示されている。図3Aのカギ括弧312-1により示されているように、処置サイクルの冷却段階310が開始すると、冷却剤が冷却剤カートリッジ130から放出されるときに(例えば、供給弁が開放されるときに)、圧力は最初に約10psiaだけ降下する。図3Aに示される例では、圧力は、約20psia降下しながら、残りの冷却段階中に降下し続ける。圧力のこうした継続的な降下は、カギ括弧312-2により示される。結果、全体で約30psia(10psia+20psia)の圧力降下となる。
【0028】
[0039]冷却剤カートリッジ130の冷却剤の圧力は、冷却剤の圧力がニードルプローブ110への冷却剤の流量に影響するという点で重要であり得る。大幅な圧力低下は、処置サイクル中にニードルプローブ110の針へと送達される冷却剤の量、及び/又はニードルプローブ110の針内部で気化される冷却剤の量の減少をもたらす可能性があり、最終的には、結果として生じる冷却に起因して、極低温ゾーンの特徴に影響する。圧力低下は、例えば最適の体積よりも小さい極低温ゾーンの形成をもたらす可能性がある。
【0029】
[0040]いくつかの実施形態では、低温装置100は、冷却剤の圧力を増加させるために、冷却剤カートリッジ130内部の冷却剤の温度を能動的に増加させることができ、その結果、圧力のいくらかの減少を補償する。いくつかの実施形態では、低温装置100は、冷却剤の温度を能動的に増加させるためのヒータを含み得る。冷却剤の温度を上昇させることで、冷却剤の圧力を上昇させる。正確な量での圧力増加は、そのそれぞれの液相-気相転移曲線に特徴付けられ得る冷却剤固有の特性に基づいている(例えば、NOについては、周知のNOの液相-気相転移曲線による)。例えば、以下に説明されるように、1つ以上のヒータは、冷却剤カートリッジ130に熱を印加するために、冷却剤カートリッジ130の外側に沿って配置され得る。図3Aは、低温装置100の全使用期間にわたり(例えば、複数の処置サイクル間にわたり)冷却剤カートリッジ130の外側を、相対的に一定の温度に維持するように、冷却剤カートリッジ130へと相対的に少量の熱を印加することで、圧力を増加させる1つのアプローチを示す。図示されるこの例では、TCrtg(Ext)の線は、冷却剤カートリッジ130の外側の温度が、冷却段階又は回復段階のどちらが生じているかに関係なく、例えば相対的に一定のデューティーサイクルでヒータのON又はOFFを切り替えることで約30℃に維持されることを示す。デューティーサイクル(又はパルス幅変調パーセント(PWM%))は、ヒータがONに切り替えられている(又は閾値電力よりも大きい電力がヒータに印加される場合)間のある期間の比又は割合として表され得る。例えば、デューティーサイクルは、等式:デューティーサイクル=PW/T×100%で定義されることができ、式中、PWはパルス幅(例えば、ヒータがONに切り替えられている間の時間)、TはON/OFFサイクル全体の期間である。
【0030】
[0041]図3Aを参照すると、低温装置100は、冷却剤カートリッジ130の外側で相対的に一定の温度(例えば、30℃)を維持するよう試みることができる。相対的に一定で相対的に少量の熱は、使用期間の全体にわたって加えられる(例えば、一定で相対的に低いデューティーサイクルを使用することによる)。このアプローチは、冷却剤カートリッジ130の外側の温度が、内部冷却剤の温度を反映する場合に機能する。ただし、冷却剤カートリッジ130の外側に加えられた温度は、十分に速い時間内で冷却剤へと伝達されないため、結果として、冷却剤カートリッジ130の外側の温度は、内部冷却剤の温度の適切な推定値ではない。実験により裏付けられるように、冷却剤カートリッジ130の外側の加熱と内部の冷却剤の加熱との間には大きな遅れがある。それゆえに、相対的に少量の一定の熱を加えることで経時的に温度及び圧力が上昇する一方で、この上昇は相対的に遅い速度で生じる。図3Aに示されるように、この上昇速度は、冷却段階310中の冷却剤の放出により生じる温度及び圧力の低下に対抗するには十分ではない可能性がある。それゆえに、カギ括弧312-1に対応する最初の圧力降下に加え、カギ括弧312-2に対応する右下がりの圧力曲線で図示されるように、継続的な圧力降下が冷却段階310中に観察され得る。図3Aに示される継続的な降下は疑わしいものである可能性がある。この理由は、冷却段階310中の圧力のこうした継続的な変動は、冷却段階310にわたる冷却剤流量の変動につながり、結果として最適条件に及ばない極低温ゾーンの形成をもたらし得る。例えば、冷却剤流量は、圧力が継続的に低下するにつれ、冷却段階310中に継続的に減少し、結果として冷却段階310にわたる冷却レベルの低下がもたらされる。それゆえに、冷却段階310中に一定の圧力を維持する方法は、所望の特徴を有する(例えば、所望の体積及び温度プロファイルを有する)極低温ゾーンを形成するために、冷却段階310中に一定の冷却を実現することが望ましい場合がある。冷却段階310中の圧力を一定に維持するために使用され得る例示的な方法は、本明細書に記載される。
【0031】
[0042]さらには、いくつかの実施形態では、多くのクライオセラピー処置にとって、付帯的損害を最小限のものとしつつ(例えば、周囲の組織)、標的組織(例えば、神経)に最適量のクライオセラピーを適用するための複数の処置サイクルが必要となり得る。代替的又は追加的に、複数の処置サイクルは「処置ライン」を作成するためには有用であり得る。これは例えば、標的の神経の予想される位置に対してこれを横断する処置スポットのラインであり得る。処置ラインについてのさらなる情報は、2013年9月12日に出願された米国特許第9,295,512号に見出すことができ、この全開示は、あらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に組み入れられる。複数の処置サイクルにとってのさらなる要件は、第1の処置サイクル後、第2の処置サイクルを開始する前に、冷却剤圧力が基準圧力値に回復しなければならないということである。いくつかの実施形態では、この圧力回復は、冷却段階とは別個の回復段階中に生じ得る(例えば、図3Aの例を参照すると、回復段階320は、冷却段階310の直後に生じる)。圧力回復は、処置サイクルが繰り返される間の一貫した処置を確実なものとするためには必須である。上記にて説明されたように、圧力の変動は、処置サイクル中に形成する極低温ゾーンの特徴に影響し、第2の処置サイクルを基準圧力値とは異なる圧力値で開始することで、結果として、第1の処置サイクル中に生成された極低温ゾーンとは異なる極低温ゾーンが2の処置サイクル中に生成される。例えば、第2の処置サイクルは基準圧力値未満の圧力値で開始され得るが、この場合、流量は減少することになり、最終的に第1の処置サイクルに形成された極低温ゾーンよりも小さい極低温ゾーンがもたらされる。この一貫性の欠如により、場合によってはクライオセラピーが最適条件に及ばないものとなる可能性がある。サイクルが繰り返される間、適切な圧力回復が継続して存在しないことにより、問題が悪化する可能性がある。例えば、サイクル間に圧力が降下し続ける場合、各処置サイクルの極低温ゾーンはますます小さなものになる可能性がある。それゆえに、低温装置100は、回復段階320を使用し、内圧を基準圧力値にまで戻すように構成することができる。例えば、図3Aに示されるように、冷却剤流が冷却段階310の最後に停止されると、圧力は上昇を始め、回復段階320にわたり上昇し続ける。図3Aの例では、相対的に一定で少量の熱が加えられる場合(例えば、約30℃の温度に冷却剤カートリッジ130の外側を維持するのに十分な熱)、圧力のこうした上昇は、相対的に低い速度で生じ、300秒間を超える期間にわたって発生する。この圧力上昇は、冷却剤を介した熱拡散の速度により制約されるが、これは相対的に高温の領域と相対的に低温の領域との間の示差熱に依存している。全ての条件が同じ場合、より高い示差熱により、より速い熱拡散速度がもたらされる。図3Aの例では、冷却剤カートリッジ130の外側に印加される相対的に少量の熱により、示差熱は相対的に低くなり得る。次いでこれは、熱拡散速度が相対的に低下することにつながり、結果として温度(及びこれによる圧力)が相対的にゆっくりと上昇することになる。完全な圧力回復を可能とするためには、回復段階320は相対的に長い期間延長される必要がある。こうすることで、複数のサイクルが実施され得る速度に制限がかかる。
【0032】
[0043]図3Bは、図3Aに示される処置サイクル後に生じた、処置サイクル中の低温装置100内部の圧力及び温度を反映する例示的な圧力/温度曲線を示す。図3Aと同様に、図3Bは、使用期間の全体にわたり、相対的に一定で、相対的に少量の熱を印加することで(例えば、一定で相対的に低いデューティーサイクルを使用することで)、冷却剤カートリッジ130の外側で、相対的に一定の温度(例えば、30℃)を維持するように試みるアプローチを示す。図3Bは、上記のように、開始圧力が元々の基準圧力値に回復することができないという点で図3Aとは異なる。これは、約30℃に冷却剤カートリッジ130の外側の温度を維持するために加えた熱が、前のサイクルからの圧力損失を相殺するのに十分ではない可能性があることが理由である。圧力は、十分な時間を与えることで回復する(冷却剤の温度が、冷却剤カートリッジ130の外側の温度(例えば、30℃)に一致する場合)が、相対的に連続して迅速に生じる処置サイクルは十分な時間を許容しない場合がある。それゆえに、図3Bに示される処置サイクル中の流量は、最適条件に及ばないものとなる可能性がある。さらに、開始圧力が既に相対的に低いことから、冷却段階中の実際の圧力値と標的の圧力値との間の差は、次の処置サイクルの間さらに広がると予想される。これは、冷却剤の圧力が標的の圧力値に到達するためには、次の処置サイクルではさらに多くの熱が必要となることが理由である。
【0033】
[0044]図4は、冷却剤経路を介してニードルプローブ110に連結された例示的な冷却剤カートリッジ130の簡略断面概略図を示す。いくつかの実施形態では、ヒータは、冷却剤カートリッジ130内部の冷却剤を加熱するために、冷却剤カートリッジ130に連結され得る。図4に示される例では、ヒータ430は、冷却剤カートリッジ130に隣接して、又はこの近くに配設される。いくつかの実施形態では、1つ以上の温度センサ(例えば、温度センサ440及び442)は、冷却剤カートリッジ130内部の温度に近づけるように、冷却剤カートリッジ130の外側の温度を測定するために、冷却剤カートリッジ130に隣接して、又はこの近くに配設され得る。いくつかの実施形態では、供給弁405は、冷却剤の流れを制御するために冷却剤経路に沿って配設され得る。例えば、供給弁405は、開放位置と閉鎖位置との間で交互され、ニードルプローブ110に向かう下流の冷却剤流を防止することができる。いくつかの実施形態では、冷却剤流は、供給弁を開放位置と閉鎖位置との間の位置で開放することで調節され得る。いくつかの実施形態では、1つ以上の圧力センサ(例えば、上流圧力センサ410及び下流圧力センサ412)は、冷却剤経路に沿って配設され、冷却剤の圧力を監視することができる。図4の簡略概略図は、特定の場所に配設された特定の要素(例えば、ヒータ430、温度センサ440及び442、圧力センサ410及び412)の特定の構成及び数を示すが、本開示は、任意の数及び任意の構成のこれらの要素が、任意の適切な場所に配設可能であることを企図している。例えば、ヒータ430は、冷却剤カートリッジの近くに位置決めされるがこのすぐ隣に配置されない可能性がある。別の例としては、第2のヒータは冷却剤カートリッジ130に隣接して位置決めされ得る。別の例としては、低温装置100は、単一の圧力センサ(例えば、上流圧力センサ410)のみを含み得る。
【0034】
[0045]いくつかの実施形態では、プローブ記述子は、クライオセラピー処置サイクル中、低温装置100の第1のニードルプローブ110を通る冷却剤の予想される平均質量流量に対応する第1の流量値を含む、第1のニードルプローブ110により送信され得る。低温装置100のプロセッサ(例えば、低温装置100のハンドピース部上に配置された第1のプロセッサ)は、この第1の流量値を受信可能である。いくつかの実施形態では、低温装置100のプロセッサは、特定の処置サイクル中にニードルプローブ110の針に流れる、冷却剤の量を決定するために第1の流量値を使用し得る。例えば、第1の流量値はnの予想される平均質量流量に対応し得る。この例では、特定の処置サイクルが20秒間の持続期間を有する冷却段階を含む場合、プロセッサは、20n単位の冷却剤が特定の処置サイクル中にニードルプローブ110の針に流されたと計算することができる。いくつかの実施形態では、それぞれ個々のニードルプローブ110は(例えば関連するプローブ記述子の一部として)、それらのそれぞれの流量値についての情報を含むことができ、低温装置100のプロセッサにその流量値を(例えば、そのプローブ記述子の一部として)送信することができる。例えば、第1のニードルプローブ110は第2のニードルプローブ110に置き換えられてもよい。あるいくつかの時点では(例えば、プローブ受け口170へと第2のニードルプローブ110を挿入した直後、処置サイクルを開始するための入力の受信後など)、第2のニードルプローブ110は、処理のためにそれ自体の流量値を低温装置100のプロセッサに送信することができる。いくつかの実施形態では、各ニードルプローブ110は、サイクルのタイミング送達に関連する所定のパラメータについての情報を含むプローブ記述子を有し得る。例えば、特定のニードルプローブ110についてのプローブ記述子は、予熱時間(例えば、上記のような皮膚への付帯的損害を低減するため、低温装置100の皮膚加温器が加熱され得る間)、冷却段階持続期間(例えば、弁が開放されたままとなる間)、回復段階持続期間(例えば、弁が閉鎖されている間)、及び/又は任意の他の適切なパラメータについての情報を含み得る。この例では、これらのパラメータのそれぞれは、ニードルプローブ110の特質に合わせて固有に調整され得る。例えば、5本のニードルプローブについての冷却段階の持続期間は、3本のニードルプローブについての冷却段階持続期間よりも短くなり得る。
【0035】
[0046]いくつかの実施形態では、ニードルプローブ110の流量値は、使用された冷却剤の量及び/又は冷却剤カートリッジ130に残存している量を計算するため、低温装置100のプロセッサにより使用され得る。低温装置100のプロセッサは、平均質量流量及び冷却剤を放出するための供給弁が開放された時間の量に基づきこれらの量を計算することができる。いくつかの実施形態では、流量値は針の寸法、針の本数、及び/又はニードルプローブ110に関連する他の適切なパラメータから導かれ得る。いくつかの実施形態では、流量値は試験を通じて経験的に決定され得る。例えば、特定のプローブ型は、それぞれのプローブ型についての平均流量値を決定するために試験され得る。別の例としては、それぞれの特定のニードルプローブ110は個別に試験され得る。個別に特記される流量値が決定され、特定のニードルプローブ110に割り当てることができる。この結果、特定のニードルプローブ110により送信されたプローブ記述子は、個別に特記される流量値を含む。こうした個別に特記される流量値は、(例えば、製造時の変動に起因してそれぞれのルーメンの寸法が変動することを理由として、単一型の2本の異なるニードルプローブであっても変動する流量を有し得るように)製造時に厳格な許容差を有することが実現不可能な場合に特に有用であり得る。
【0036】
[0047]図5は、低温装置100の例示的な高レベルの系統図を示す。図5は、PCBA175とインターフェース接続する他の要素と共に、低温装置100のPCBA175を示す。いくつかの実施形態では、図5を参照すると、穿孔要素540は、穿孔点を用いて冷却剤カートリッジ130を穿孔するための位置で、低温装置内部に収容され得る。冷却剤カートリッジ130が穿孔されると、内部の加圧された冷却剤は冷却剤経路に流体的に連結されることができ、穿孔要素540を通って延在する冷却剤経路を介して、冷却剤カートリッジ130からニードルプローブ110まで冷却剤流を制御可能である供給弁405に向かってニードルプローブ110を案内する。いくつかの実施形態では、低温装置100は、供給弁405からの上流の圧力を測定するための上流圧力センサ410と、供給弁405からの下流の圧力を測定するための下流圧力センサ412と、を含み得る。供給弁405は、任意の適切な手段により開放又は閉鎖され得る。例えば、ステッピングモータ407(例えば、マイクロコントローラユニット510を介して制御可能)は、開放位置と閉鎖位置の間に、又はそれらの間の位置に弁を移動させるために使用され得る。典型的には、供給弁405が処置サイクルの冷却段階中に完全に開放されると、上流の圧力は下流の圧力にほぼ等しい。それゆえに、低温装置100のいくつかの実施形態は上流圧力センサ410のみを含み得る。これは、冷却剤経路に流体的に連結されると(例えば、冷却剤カートリッジ130が穿孔点540により穿孔される後に)、冷却剤カートリッジ130内部の圧力を概算する。低温装置100の他の実施形態は、例えば、送達問題を診断するために(例えば、弁405が開放若しくは閉鎖できていないかどうかを判断するために、又は2つの圧力センサ410と412間に詰まりがあるかどうかを判断するために)、上流圧力センサ410及び下流圧力センサ412の両方を含み得る。
【0037】
[0048]図5を参照すると、いくつかの実施形態では、低温装置100を監視及び操作するために、低温装置100はマイクロコントローラユニット510を含み得る。いくつかの実施形態では、低温装置100は、プロセッサ515として1つ以上のプロセッサを含み得る。1つ以上のプロセッサ515は、PCBA175上に配設されたマイクロコントローラユニット510の一部であり得る。いくつかの実施形態では、プロセッサ515(又は任意の他の適切な回路)は、第1の処置サイクルの、低温装置100に関連するヒータ430に印加される第1の標的ヒータ電力を決定し得る。いくつかの実施形態では、標的ヒータ電力は、ヒータ430を介して熱を発生させるように構成されているヒータ電力値であり、冷却段階中、低温装置100内部の圧力を安定化させるように、処置サイクルの冷却段階中に生じる圧力損失/熱損失を相殺可能である。この圧力安定化もまた、冷却段階中に圧力が非常に低い値へと降下するのを防止することが可能であることから、冷却段階後の回復段階中の迅速な回復を可能とするために最適なものであり得る。低温装置100のプロセッサは、ヒータ430に関連する信号命令回路を送信し、冷却剤を加熱するためにヒータに第1の標的ヒータ電力を印加することができる。いくつかの実施形態では、プロセッサ515は、第1の流量値に基づいてこの第1の標的ヒータ電力を決定することができる。いくつかの実施形態では、上記のように、低温装置100は、第1のニードルプローブ110が使用中のときに、冷却剤カートリッジ130から放出されると予想される冷却剤の量を理論的に導くことができる。例えば、これは第1の流量値と相互に関連する平均質量流量(例えば、供給弁405が開放されている持続期間に基づき決定され得る)と、冷却剤流の持続期間とを乗算することで、放出された冷却剤の予想される量を計算することができる。放出された冷却剤の量が供給弁405で調節され得る(例えば、30%、50%だけ弁を開放するなど)場合には、計算値はこの調節を考慮して適切に重み付けされ得る。次いで低温装置100は放出された冷却剤の量を使用し、冷却剤放出による熱損失を補償するのに必要とされる標的エネルギー量を推定することができる。次いで、(例えば、標的エネルギー量を冷却段階にかかると予想される時間の量で割ることで)標的加熱電力を導くことができる。この導かれた加熱電力は、冷却段階中の圧力を安定化させ、かつ/又は回復段階中の圧力回復を可能とするように、ヒータ430に印加され、低温装置100内部の冷却剤の圧力を上昇させることができる。いくつかの実施形態では、標的加熱電力(又は必要とされる熱の量)は、代替的又は追加的には、経験的に導かれ得る。例えば、流量値は予想される冷却剤放出量、又は標的加熱電力(又は必要とされる熱の量)と相互に関連し得る。この例では、低温装置100のプロセッサは、標的加熱電力を決定するためにルックアップテーブルにアクセス可能である。又は代替的には、標的加熱電力を決定するために、経験的に導かれた数学的モデル又は関数を使用することができる。低温装置100は、1つ以上の温度センサ(例えば、サーミスタ)440及び442もまた含むことができる。これを使用し、カートリッジの外側の温度を測定することが可能である(例えば、図3A図3Bを参照すると、TCrtg(Ext)と記載された曲線に反映されている)。測定された温度に対応する温度信号は、マイクロコントローラユニット510に送信され得る。
【0038】
[0049]いくつかの実施形態では、低温装置100のプロセッサ515は、第1の処置サイクルの入力を受信可能である。例えばユーザは、入力信号を低温装置100のプロセッサ515と通信させる入力ボタンを作動させることができる。入力に応答して、低温装置100のプロセッサ515は、処置サイクルの冷却段階に対応するある期間にわたって(例えば、供給弁405を開放させることにより)、冷却剤を第1のニードルプローブ110に向けて流れさせることができる。
【0039】
[0050]図6は、処置サイクルの冷却段階中に圧力損失の量を相殺するように特に意図された標的ヒータ電力を印加することで、冷却剤の圧力を安定化させる方法に対応する、例示的な圧力/温度グラフを示す。図6は、プライミングサイクルと、それに続く冷却段階1~4を含む4つの処置サイクルを示す。図6に示されたアプローチを使用し、冷却剤を送達するときに冷却段階中の相対的に一定の圧力を維持することができる。以下にさらに詳細に記載されるように、このようなアプローチはいくつかの利点を有する。いくつかの実施形態では、低温装置100のプロセッサ515は、第1の処置サイクルの前に、又は第1の処置サイクル中に、又は第1の処置サイクルの後に冷却剤を加熱し、かつ低温装置内部の圧力を安定化させるように、第1のサイクル中にヒータに第1の標的ヒータ電力を印加させることができる。第1の標的ヒータ電力は、任意の適切な手段によりある期間(例えば、第1の処置サイクルの冷却段階中)にわたり印加され得る。いくつかの実施形態では、ヒータに関連する回路は、ヒータに供給された電圧又は電流を変化させることが可能である。他の実施形態では、ヒータに一定の電圧及び電流を供給することができるが、ある期間中にヒータにより最終的に印加されたヒータ電力は、ヒータのデューティーサイクルを変更することで変更され得る。これらの実施形態では、以下:デューティーサイクル=P標的×(Rヒータ/Vヒータ )であって、式中、P標的は第1の標的ヒータ電力であり、Rヒータはヒータの抵抗であり、Vヒータはヒータの電圧である、等式を使用し、標的ヒータ電力を印加するための適切なデューティーサイクルを決定することができる。圧力安定化は、処置サイクル中の冷却段階中の、所定の範囲内の圧力の平均変化率の維持(又は相対的に一定の圧力の維持)に関与し得る。図6を参照すると、相対的に一定のそれぞれの冷却段階中の圧力を保つため、標的ヒータ電力はカートリッジに印加される。図6の例のTCrtg(Ext)線で示されるように、カートリッジの外側を30℃の温度で一定に保つため、ヒータ電力はそれ以上印加されない。むしろこの例では、冷却段階中に推定される圧力損失を特に相殺するために、冷却段階中の冷却剤の温度を迅速に上昇させるように相対的に高いヒータ電力を印加することができる。例えば、推定される圧力損失を相殺するために、ヒータを冷却段階中にONに切り替えて、約23%のデューティーサイクルでヒータを操作されることができる。相対的に高いヒータ電力は、カートリッジの外側を一定の温度(例えば、約30℃)に維持するために他の場合に使用されるであろう、これによりも低いデューティーサイクルと比較すると、熱を冷却剤カートリッジ130内部の冷却剤にさらに迅速に伝達(かつそれにより冷却剤の圧力を上昇)することができる。
【0040】
[0051]冷却段階中に圧力損失を相殺するように特別に調整された標的ヒータ電力を印加することで、冷却剤圧力は、冷却段階中に冷却剤流を一貫したものとするのを可能とするために、冷却段階中に安定化され得る。図6の冷却段階1~4中の相対的に平坦な圧力線で示されるように、圧力は冷却段階中相対的に一定に保たれる。次いで冷却段階中のこうした一定の圧力により、冷却段階中の冷却エネルギーの一貫した印加が可能となり、最終的に最適な極低温ゾーンの形成をもたらす。
【0041】
[0052](冷却剤カートリッジ130の外側の温度を単純に一定に維持するような多くの従来のアプローチと比較すると)この調整されたアプローチの別の利点は、回復段階を短縮することであり、それによって従来よりも短い期間で複数の処置サイクルを実施可能となることである。回復段階の短縮は、圧力の連続降下が冷却段階中に生じないという事実に起因し得る。例えば、図3Aを参照すると(ヒータは、引用符と結合した(quote incorporate)130の外側で温度を一定に保つように働いている)、冷却段階開始時の最初の圧力降下後、圧力は冷却段階にわたり降下し続ける。対照的に、図6を参照すると(ヒータは、圧力損失を相殺するように特別に調整された相対的に高い標的ヒータ電力を印加する)、冷却段階開始時の最初の圧力降下後、圧力は残りの冷却段階中に安定化される。それゆえに、冷却段階の最後では、図6に示されたアプローチにおける全体の圧力降下は、その基準圧力値と比較すると、図3Aに示されたアプローチにおける全体の圧力降下よりも低い。より小さな圧力差(すなわち、冷却段階の最後の圧力と基準圧力値との間)は、全ての条件が同じ場合、圧力を基準圧力値に至らせるのに必要とされる時間が少ないことを意味する。追加的に、図6に示されたアプローチは、図3Aに示されたアプローチに対してよりも高いヒータ電力を印加し、それゆえに上で説明されるように、より速く熱を冷却剤へと伝達することが可能となる。それゆえに、圧力は、冷却剤をより迅速に加熱させるのに伴い、より高い速度で基準圧力値へと戻すことができる。
【0042】
[0053]図7は、冷却段階中の圧力を安定化させるためのリアルタイムでの圧力監視及び補正の方法に対応する、例示的な圧力/温度グラフを示す。冷却剤カートリッジ130内部の冷却剤の圧力を直接決定するために圧力測定を使用することで、正確なリアルタイム圧力を決定することができる。これは、冷却剤カートリッジ130の外側で行われる温度測定を使用する多くの従来のアプローチとは対照的である。それゆえに、圧力は、最初に決定された標的ヒータ電力を印加すると、予想される圧力値からの任意の偏差を調整するために、リアルタイムで監視かつ調整され得る。例えば、第1の標的ヒータ電力は、冷却段階中の圧力降下を相殺するために加えられる必要がある、ある量の熱に関する良好な理論的推定値であり得るが、現実世界の要因により、こうした推定は不正確なものとなり得る。例えば、製造偏差はヒータの抵抗(指定されたヒータ電力が印加されると、印加された熱量に偏差を引き起こす)、供給管の寸法(関連する流量値を使用して推定されるような予想される流量からの冷却剤流量に偏差を引き起こす)に変動をもたらし得る。これらの製造偏差のうちいくつかは、低温装置100の個別化された試験(例えば、各ニードルプローブを個別に試験し、次いで上記のようにニードルプローブについての個別の流量値を指定すること)で、及び/又は偏差を考慮するように較正ルーティンを実行することで軽減され得る。ただし、こうした試験及び/又は較正は常に実現可能ではなく、容易に試験又は較正されることのない要因が存在し得る。それゆえに、リアルタイムでの監視及び補正は有利なものであり得る。図7は、プライミングサイクル後に、冷却段階1中に圧力を安定化させようとする試みにおいて、第1の標的ヒータ電力が冷却段階1中に印加される例を示す。ただし、低温装置100は、例えば、冷却段階1中に連続して圧力が降下していることを示している冷却段階1中の負の傾きにより証明されるように、冷却段階1中に一定の平均圧力を維持するのに第1の標的ヒータ電力が不十分であると判断することができる。例えば、低温装置100のプロセッサ515は、冷却段階1中に低温装置の圧力センサから圧力データを受信可能であり、冷却段階1中に圧力の平均変化率を計算可能である。次の冷却段階(すなわち、冷却段階2)中に平均圧力が一定のままであるように圧力を安定化させようとする試みにおいて、低温装置100は、標的ヒータ電力を上方に調整することができる。プロセッサ515は、圧力の平均変化率が負であると判断することができ、冷却段階2について調整された標的ヒータ電力を計算することができる。この場合、調整された標的ヒータ電力は、冷却段階1中の圧力の平均変化率に基づく調整値で第1の標的ヒータ電力を上方に調整することで、少なくとも部分的に計算される。次いでプロセッサ515は、冷却段階2中に、ヒータ430に調整された標的ヒータ電力を印加させることができる(例えば、デューティーサイクルを増加させることで、ヒータ430に供給された電圧を増加させることでなど)。ヒータ電力のこうした上昇は、図7のTCrtg線により示される。これは、冷却段階2中の冷却剤カートリッジの外側周辺の温度における急激な上昇を示しており、これはヒータ電力の上昇を証明する。図7の冷却段階2中の相対的に平坦な圧力曲線で示されるように、ヒータ電力の上昇により、冷却段階2中、平均圧力を一定に留めることが可能となる。
【0043】
[0054]同様に、低温装置100は、正の圧力変化率に応じてヒータ電力を調整し得る。例えば図7の冷却段階3は圧力の正の変化を示す。これは、ヒータ電力が高すぎる可能性があることで引き起こされ得る。いくつかの実施形態では、低温装置100のプロセッサ515は、冷却段階3中の圧力の平均変化率が所定の範囲を超えて正であると判断し、次の冷却段階(すなわち、冷却段階4)の調整された標的ヒータ電力を計算することができる。この調整された標的ヒータ電力は、調整値により冷却段階3中に印加された標的ヒータ電力を下方に調整することで、例えば少なくとも部分的に計算され得る。調整値は、冷却段階3中に生じた圧力の平均変化率に基づき得る。次いでプロセッサ515は、冷却段階4中に調整された標的ヒータ電力をヒータ430に印加させる。これは、冷却段階4中の図7の相対的に平坦な圧力曲線で示されるように、冷却段階4中に、相対的に一定の平均圧力をもたらし得る。以下の表は、ヒータのデューティーサイクルを調整することで行われるような、図7に示された冷却段階のそれぞれの間に行われた例示的なヒータ電力調整を示す。
【表1】
【0044】
[0055]いくつかの実施形態では、調整値は圧力の平均変化率の大きさに基づいて決定され得る。例えば、相対的に高い調整値は、相対的に高い大きさに関して決定され得る。また、相対的に低い調整値は、相対的に低い大きさに関して決定され得る。いくつかの実施形態では、プロセッサ515はルックアップテーブルにアクセス可能である。又は代替的には、適切な調整値を決定するために経験的に導かれた数学的モデル又は関数を使用することができる。いくつかの実施形態では、送達中の圧力の傾きへのヒータ電力調整の影響は、各プローブ型について特徴付けられることができ、低温装置100は、ヒータ電力調整をこの特徴に基づかせる。これにより、任意のプローブ型及び測定された傾きに関して行われる適切な補正の推定を非常に正確なものとすることが可能となる。例えば、全ての条件が同じ場合、取り付けられたプローブが3本のニードルプローブであると示すプローブ記述子を受信する低温装置100は、第1の調整値を計算可能であるが、一方で取り付けられたプローブが5本のニードルプローブであると示すプローブ記述子を受信する低温装置100は、第1の調整値と異なる第2の調整値を計算可能である(例えば、5本のニードルプローブについてはより高い調整値が計算され得る。この理由は、圧力の望ましい変化の影響にとってより高いヒータ電力調整が必要とされ得るように、5本のニードルプローブはより高い平均質量流量を有し得るからである)。別の例としては、全ての条件が同じ場合、第1の調整値は90mmの針を備えた単一のニードルプローブについて計算され得、第2の調整値は9mmの針を備えた3本のニードルプローブについて計算され得る(例えば、より高い調整値は90mmの単一のニードルプローブについて計算され得る。この理由は、90mmの単一のニードルプローブが9mmの3本のニードルプローブよりも高い平均質量流量を有し得るからである)。他の実施形態では、低温装置100は、冷却段階中の圧力の平均変化率がいくつかの規定の閾値を超える場合には、粗調整(例えば、10%のデューティーサイクル増分)、及びこの規定の閾値よりも低い圧力の平均変化率については細かい増分(例えば、2%のデューティーサイクル増分)を適用することができる。こうしたアプローチは、追加の調整増分を有する複数の閾値(例えば、圧力が20%のデューティーサイクル増分で調整される、より高い閾値)に拡大可能である。
【0045】
[0056]いくつかの実施形態では、標的ヒータ電力は、冷却段階前の圧力の値に基づいて調整され得る。例えば、特定の冷却段階前の圧力値が最適な基準圧力値未満であると判断される場合、低温装置100は、結果的に特定の冷却段階中に送達される標的ヒータ電力を上方に調整し得る。別の例としては、特定の冷却段階前の圧力値が最適な基準圧力値より高いと判断される場合、低温装置100は、結果的に特定の冷却段階中に送達される標的ヒータ電力を下方に調整し得る。こうした種類の監視及び調整は、複数の処置サイクル間にわたって悪化した可能性のある低下している基準レベルに対処可能なマクロレベルの安定化を提供するという点で望ましいものとなり得る。
【0046】
[0057]いくつかの実施形態では、標的ヒータ電力は、冷却段階前及び冷却段階後の圧力の値の比較に基づいて調整され得る。例えば、低温装置は、第1の処置サイクルの冷却サイクル直前に低温装置100の第1の圧力を決定することができ、その後の第2の処置サイクルの冷却サイクル直前に低温装置100の第2の圧力を決定することができる。この例では、次いで低温装置100は第2の処置サイクルの第2の標的ヒータ電力を計算する。この第2の標的ヒータ電力は、第1の圧力と第2の圧力の間で判断される差分に基づき、第1の標的ヒータ電力を上方又は下方に調整することで少なくとも部分的に計算される。例えば、第2の圧力が第1の圧力よりも低いと、標的ヒータ電力は上方に調整され得る。別の例として、第2の圧力が第1の圧力よりも高いと、標的ヒータ電力は下方に調整され得る。
【0047】
[0058]いくつかの実施形態では、低温装置100は、使用中の低温装置100の電源の電圧も監視し得る。いくつかの実施形態では、この電圧はヒータ430にわたる電圧についての推定値として機能することができ、したがってこれは、ヒータ430が指定の標的ヒータ電力を正確に送達していると保証するために使用され得る。例えば、図5を参照すると、低温装置100のマイクロコントローラユニット510は、バッテリ520の電圧(Vバッテリ)を示す、バッテリ520(例えば、リチウムイオンバッテリセル)からの信号を受信可能である。この例では、Vバッテリは、例えば上記のようなデューティーサイクルを計算するための等式、すなわちデューティーサイクル=P標的×(Rヒータ/Vヒータ )へと、Vヒータとして挿入され得る。バッテリ電圧は、例えばバッテリの残りの電荷量など、様々な要因により経時的に変化し得る。例えば、バッテリ電圧は、残りの電荷に応じて4.2V~3.2Vで変化し得る。バッテリ電圧における微小な変動であっても、Vヒータが二乗されるため、デューティーサイクルの計算では大きな影響を及ぼし得る。それゆえに、更新されたVヒータの推定値でデューティーサイクルを計算することで、適切なデューティーサイクルが使用され、これにより不正確なデューティーサイクル計算に起因する圧力の揺れが生じる可能性を減少させることができる。いくつかの実施形態では、低温装置100は代替的には、Vヒータを導くために使用され得る電源の電流を監視し得る。
【0048】
[0059]図8は、低温装置100の問題を示す処置サイクルを含む、複数の処置サイクルの例示的な圧力/温度グラフを示す。いくつかの実施形態では、低温装置100は、低温装置100に関する問題を指摘するための手段として圧力測定を使用し得る。いくつかの実施形態では、圧力の予想される平均変化率(又は圧力の予想される全体的な変化)よりも高い、圧力の平均変化率(又は圧力の全体的な変化)は、上記のようなヒータ電力を単に調整するよりも多くの動作を必要とし得る、低温装置100に関する問題を示し得る。例えば、圧力の変化が圧力の予想される変化を閾値の大きさだけ超える場合(又は圧力変化率が圧力の予想される変化率を超える場合)、低温装置100は、低温装置100に関する問題が存在していると判断し得る。図8を参照すると、例えば圧力の平均変化率(例えば、冷却段階中)が、閾値の大きさの比率を超えて負であるとき(例えば、冷却段階3中の大きな負の傾きにより示されるように)、低温装置100は、冷却剤カートリッジ130内部の冷却剤の量が決定的に減少され得ると判断され得る。閾値の大きさの比率を超えたこうした圧力変化率は、システムにおける冷却剤の欠如を反映したものであり、圧力を十分に増加することが可能である。追加的又は代替的に、低温装置100は、冷却段階に続く回復段階(例えば、図8を参照すると、冷却段階3後の回復段階)後の基準圧力値に圧力が回復しない場合には、同様の問題が存在している可能性があると判断し得る。別の例として、圧力の平均変化率が、圧力の変化の予想される速度と比較して閾値の大きさの比率を超えて正であるとき、低温装置100は、冷却剤の送達に関する問題が存在している(例えば、冷却剤経路の遮断又は妨害、供給弁405に関する問題)と判断し得る。これらの場合では、低温装置100のプロセッサ(例えば、プロセッサ515)はいくつかの実施形態では低温装置に関する問題を示しているという通知を生成し得る。いくつかの実施形態では、通知は、低温装置100がその可能性があると判断する特定の問題を確認し得る。いくつかの実施形態では、通知はディスプレイ装置(例えば、低温装置100に配設されたスクリーン、外部装置のスクリーンなど)に表示させることができる。
【0049】
[0060]図9は、使用中の低温装置100の簡略概略図を示す。図示されるように、ニードルプローブの針115は、針115の遠位部分が標的組織(例えば、神経組織)に隣接しているように患者の皮膚810へと、及びこれを超えて挿入され得る。いくつかの実施形態では、操作者は、組織係合面920が皮膚910と接触させられるときに、針115が非標的組織を超え、標的組織に隣接して遠位に延在するようにサイズ決めされるよう、ニードルプローブを選択可能である。いくつかの実施形態では、針115が位置決めされると、操作者は低温装置100への入力を提示(例えば、ボタンを作動させること、タッチスクリーン上のユーザインターフェース要素をタップすることによる)可能であり、コントローラに供給弁405を開放させ、これによって冷却剤は、冷却剤経路を介してカートリッジ130から針115のルーメンへと流れることが可能となる。針115は、針115の遠位部分が針115の近位部分よりも冷却されるように構成され得る。それゆえに、針115の遠位部分は、図9に示されるように、標的組織周囲に冷却ゾーンを生成可能である。
【0050】
[0061]図10は、低温装置内部の圧力を安定化させるための例示的な方法1000を示す。この方法は、工程1010では、第1の流量値を受信することを含むことができ、第1の流量値は、クライオセラピー処置サイクル中の、低温装置の第1のニードルプローブを通る冷却剤の予想される平均質量流量に対応する。工程1020では、この方法は、第1の流量値に基づいて、第1の処置サイクルの低温装置に関連し、冷却剤を加熱するように構成されているヒータに印加される第1の標的ヒータ電力を決定することを含み得る。工程1030では、この方法は第1の処置サイクルの入力を受信することを含み得る。工程1040では、この方法は、入力に応答して第1のニードルプローブに向け、ある期間にわたり冷却剤を流れさせることを含み得る。工程1050では、この方法は、第1の処置サイクル中、又は第1の処置サイクル後に、冷却剤を加熱し、かつ低温装置内部の圧力を安定化させるように、第1のサイクル中にヒータに第1の標的ヒータ電力を印加させることを含み得る。特定の実施形態は図10の方法の1つ以上の工程を繰り返すことができ、必要に応じて、適切な追加工程又は変更された工程を含み得る。例えば、上でさらに詳細に記載されるように、ヒータ電力は連続処置サイクルに関して調整されることができ、調整されたヒータ電力は、後続の第2の処置サイクル中に印加され得る(例えば、第1のヒータ電力が、所定の範囲未満で、第1の処置サイクルの冷却段階中の圧力の負の平均変化率をもたらすと判断される場合には、第1のヒータ電力を上方に調整することで、第2の標的ヒータ電力が第2の処置サイクルについては計算され得る)。本開示は、特定の順序で生じるものとして図10の方法の特定の工程を記載及び図示しているが、本開示は任意の適切な順序の、図10の方法の任意の適切な工程を企図している。さらには、本開示は、図10の方法の特定の工程を含む、低温装置内部の圧力を安定化させるための例示的な方法を記載及び図示しているが、本開示は、必要に応じて、図10の方法の工程の全て、いくつかを含み得る、又はこれらの工程を含み得ない任意の適切な工程を含む、低温装置内部の圧力を安定化させるための任意の適切な方法を企図している。さらに、本開示は、図10の方法の特定の工程を実行する特定の構成要素、装置又はシステムを記載及び図示しているが、本開示は、図10の方法の任意の適切な工程を実行する、任意の適切な構成要素、装置、又はシステムの任意の適切な組合せを企図している。
【0051】
[0062]例示的な実施形態は、理解を明確にするために一部詳細に記載されているが、例としていくつかの修正、変更及び適合が実施されてもよく、かつ/又はこれは当業者には明らかであろう。
図1A
図1B
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【国際調査報告】