(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-03
(54)【発明の名称】タンドスピロン医薬組成物及びその製造方法と使用
(51)【国際特許分類】
A61K 31/506 20060101AFI20230127BHJP
A61K 9/22 20060101ALI20230127BHJP
A61K 9/46 20060101ALI20230127BHJP
A61K 47/10 20170101ALI20230127BHJP
A61K 47/04 20060101ALI20230127BHJP
A61K 47/38 20060101ALI20230127BHJP
A61P 25/22 20060101ALI20230127BHJP
A61P 25/24 20060101ALI20230127BHJP
【FI】
A61K31/506
A61K9/22
A61K9/46
A61K47/10
A61K47/04
A61K47/38
A61P25/22
A61P25/24
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022531069
(86)(22)【出願日】2020-12-03
(85)【翻訳文提出日】2022-05-26
(86)【国際出願番号】 CN2020133624
(87)【国際公開番号】W WO2021129340
(87)【国際公開日】2021-07-01
(31)【優先権主張番号】201911356537.0
(32)【優先日】2019-12-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520002243
【氏名又は名称】シーチュアン クレジット ファーマシューティカル カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100166729
【氏名又は名称】武田 幸子
(72)【発明者】
【氏名】リュウ カン
(72)【発明者】
【氏名】シー カイロン
(72)【発明者】
【氏名】スン ヤン
(72)【発明者】
【氏名】ゾン タイリー
(72)【発明者】
【氏名】シエ ペン
(72)【発明者】
【氏名】チェン ゴンチェン
(72)【発明者】
【氏名】チェン ガン
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA37
4C076AA38
4C076AA48
4C076BB01
4C076CC01
4C076DD25V
4C076DD41C
4C076EE16
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4C076FF04
4C076FF05
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4C076FF31
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4C076GG04
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4C076GG14
4C086AA01
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4C086AA10
4C086BC50
4C086GA07
4C086GA12
4C086GA14
4C086MA03
4C086MA05
4C086MA35
4C086MA52
4C086NA12
4C086ZA12
4C086ZC41
(57)【要約】
タンドスピロン医薬組成物及びその製造方法と使用である。タンドスピロン医薬組成物は、医薬品有効成分、骨格材料、充填剤、漂白助剤、潤滑剤、及び任意のバインダーを含む。医薬品有効成分は、タンドスピロン、その薬学的に許容される塩、或いは、タンドスピロン又はその薬学的に許容される塩の溶媒合物であり、骨格材料は、ポリエチレンオキシドWSR 303、ポリエチレンオキシドWSR 1105、ポリエチレンオキシドWSR 301、ポリエチレンオキシドWSR 205、ポリエチレンオキシドN-80から選択される1種又は複数種の組み合わせを含み、漂白助剤は、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウムから選択される1種又は複数種の組み合わせである。タンドスピロン医薬組成物は、医薬品の胃での滞留時間を延ばす。医薬品が十分に放出・吸収され、その生物学的利用能が大幅に向上した。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医薬品有効成分、骨格材料、充填剤、漂白助剤、潤滑剤、及び任意のバインダーを含む医薬組成物であって、前記医薬品有効成分は、タンドスピロン、その薬学的に許容される塩、或いは、タンドスピロン又はその薬学的に許容される塩の溶媒合物であり、
前記骨格材料は、ポリエチレンオキシドWSR 303、ポリエチレンオキシドWSR 1105、ポリエチレンオキシドWSR 301、ポリエチレンオキシドWSR 205、ポリエチレンオキシドN-80から選択される1種又は複数種の組み合わせを含み、
前記漂白助剤は、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウムから選択される1種又は複数種の組み合わせであり、好ましくは、前記漂白助剤は、炭酸ナトリウム及び/又は炭酸水素ナトリウムから選択されることを特徴とするタンドスピロン医薬組成物。
【請求項2】
前記タンドスピロン又はその薬学的に許容される塩の溶媒合物は、その水合物の形態であることを特徴とする請求項1に記載のタンドスピロン医薬組成物。
【請求項3】
前記タンドスピロン医薬組成物における医薬品有効成分の含有量は1~15%であり、
好ましくは、前記タンドスピロン医薬組成物における医薬品有効成分の含有量は2.5~10%であり、骨格材料の含有量は5~75%であり、漂白助剤の含有量は1~20%であり、
好ましくは、前記タンドスピロン医薬組成物は、下記の重量%の成分を含み、
医薬品有効成分 1~15%
骨格材料 5~75%
バインダー 0~20%
充填剤 15~80%
漂白助剤 1~20%
潤滑剤 0.5~5%
好ましくは、前記タンドスピロン医薬組成物は、下記の重量%の成分を含み、
医薬品有効成分 2.5~10%
骨格材料 15~65%
バインダー 0~10%
充填剤 25~75%
漂白助剤 2~10%
潤滑剤 1~3%
好ましくは、前記タンドスピロン医薬組成物は、下記の重量%の成分を含む、
医薬品有効成分 3.3~6.7%
骨格材料 15~61.7%
バインダー 0~5%
充填剤 25~71.5%
漂白助剤 2.5~6.7%
潤滑剤 1~3%
ことを特徴とする請求項1に記載のタンドスピロン医薬組成物。
【請求項4】
前記薬学的に許容される塩は、塩酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、シュウ酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、クエン酸塩、メタンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、硝酸塩であり、好ましくは、塩酸塩又はクエン酸塩であり、更に好ましくは、クエン酸塩であることを特徴とする据請求項1~3のいずれか1項に記載のタンドスピロン医薬組成物。
【請求項5】
前記骨格材料は更に任意に、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、酢酸セルロース、クロスポビドン、クロスカルメロースナトリウムの1種又は複数種の組み合わせを含み、
好ましくは、前記ヒドロキシプロピルメチルセルロースは、HPMC E4M、HPMC E10M、HPMC K4M、HPMC K15M、HPMC K100Mから選択される1種又は複数種の組み合わせであり、
好ましくは、前記ヒドロキシプロピルメチルセルロースは、HPMC K4M、HPMC K15M、HPMC K100Mから選択される1種又は複数種の組み合わせであり、
好ましくは、前記骨格材料は、ポリエチレンオキシドWSR 303、ポリエチレンオキシドWSR 1105、ポリエチレンオキシドWSR 301、ポリエチレンオキシドWSR 205、ポリエチレンオキシドN-80、HPMC K4M、HPMC K15M、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、クロスポビドンから選択される1種又は複数種の組み合わせであり、
好ましくは、前記バインダーは、ポリエチレンピロリドン、ゼラチン、キサンタンガム、デキストリン、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロースから選択される1種又は複数種の組み合わせであり、
好ましくは、前記バインダーは、ポリエチレンピロリドン及び/又はポリビニルアルコールから選択され、
好ましくは、前記充填剤は、乳糖、蔗糖、微結晶セルロース、アルファー化澱粉、マンニトール、ソルビトール、キシリトール、グルコース、硫酸カルシウム、リン酸水素カルシウム、リン酸カルシウム、塩化カルシウム、塩化アルミニウム、塩化ナトリウム、酸化カルシウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウムから選択される1種又は複数種の組み合わせであり、
好ましくは、前記充填剤は、微結晶セルロースから選択され、
好ましくは、前記潤滑剤は、タルク粉末、微粉末シリカゲル、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸フマル酸ナトリウム、ラウリル硫酸マグネシウム、ラウリル硫酸ナトリウム、硬化植物油から選択される1種又は複数種の組み合わせであり、
好ましくは、前記潤滑剤は、ステアリン酸マグネシウムから選択されることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載のタンドスピロン医薬組成物。
【請求項6】
前記タンドスピロン医薬組成物は、下記の重量%の成分を含み、
タンドスピロンクエン酸塩 1~15%
骨格材料 5~75%
バインダー 0~20%
充填剤 15~80%
漂白助剤 1~20%
潤滑剤 0.5~5%
好ましくは、前記タンドスピロン医薬組成物は、下記の重量%の成分を含み、
タンドスピロンクエン酸塩 2.5~10%
骨格材料 15~65%
バインダー 0~10%
充填剤 25~75%
漂白助剤 2~10%
潤滑剤 1~3%
好ましくは、前記タンドスピロン医薬組成物は、下記の重量%の成分を含み、
タンドスピロンクエン酸塩 3.3~6.7%
骨格材料 15~61.7%
バインダー 0~5%
充填剤 25~71.5%
漂白助剤 2.5~6.7%
潤滑剤 1~3%
好ましくは、前記タンドスピロン医薬組成物は、下記の重量%の成分を含み、
タンドスピロンクエン酸塩 1~15%
骨格材料 5~75%
バインダー 0~20%
微結晶セルロース 15~80%
炭酸水素ナトリウム又は炭酸ナトリウム 1~20%
ステアリン酸マグネシウム 0.5~5%
好ましくは、前記タンドスピロン医薬組成物は、下記の重量%の成分を含み、
タンドスピロンクエン酸塩 2.5~10%
骨格材料 15~65%
バインダー 0~10%
微結晶セルロース 25~75%
炭酸水素ナトリウム又は炭酸ナトリウム 2~10%
ステアリン酸マグネシウム 1~3%
好ましくは、前記タンドスピロン医薬組成物は、下記の重量%の成分を含む、
タンドスピロンクエン酸塩 3.3~6.7%
骨格材料 15~61.7%
バインダー 0~5%
微結晶セルロース 25~71.5%
炭酸水素ナトリウム又は炭酸ナトリウム 2.5~6.7%
ステアリン酸マグネシウム 1~3%
ことを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載のタンドスピロン医薬組成物。
【請求項7】
前記タンドスピロン医薬組成物の剤形は、錠剤、丸剤、又はカプセル剤から選択され、好ましくは、錠剤であることを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載のタンドスピロン医薬組成物。
【請求項8】
a.各成分をそれぞれ篩にかけ、医薬品有効成分、骨格材料、バインダー、及び充填剤を取って、均一に混合する工程と、
b.漂白助剤、潤滑剤を加えて均一に混合し、混合粉末にして、医薬組成物を得る工程と、
を用いる製造方法であって、好ましくは、工程bで製造された混合粉末を打錠して、錠剤を得、好ましくは、前記打錠の方法は、粉末直接打錠であり、
或いは、
a.医薬品有効成分、骨格材料、バインダー、及び充填剤をそれぞれ篩にかけ、均一に混合し、水を加えて軟質材とし、ウェット粒子を乾燥し、整粒して篩にかけて、乾燥粒子を得る工程と、
b.漂白助剤及び潤滑剤をそれぞれ篩にかけ、工程aで製造された粒子と均一に混合して、医薬組成物を得る工程と、
を用いる製造方法であって、好ましくは、工程bで製造された粒子を打錠して、錠剤を得ることを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載のタンドスピロン医薬組成物の製造方法。
【請求項9】
a.各成分をそれぞれ20~60メッシュの篩にかけ、医薬品有効成分、骨格材料、バインダー、及び充填剤を取って、10~30分間混合する工程と、
b.更に、漂白助剤、潤滑剤をこの順に加えて、3~10分間混合して、混合粉末にして、医薬組成物を得る工程と、
を用いる製造方法であって、好ましくは、16.4mm×7.9mmのパンチを用いて工程bで製造された混合粉末を打錠して、錠剤を得、好ましくは、前記打錠の方法は粉末直接打錠であり、
或いは、
a.医薬品有効成分、骨格材料、バインダー、及び充填剤をそれぞれ20~60メッシュの篩にかけ、5~30分間混合して、水を加えて軟質材とし、ウェット粒子を35~70℃、20~50cfmの条件で5~30分間乾燥し、整粒して20~60メッシュの篩にかけ、乾燥粒子を得る工程と、
b.漂白助剤及び潤滑剤をそれぞれ20~60メッシュの篩にかけ、工程aで製造された乾燥粒子と3~10分間混合して、医薬組成物を得る工程と、
を用いる製造方法であって、好ましくは、16.4mm×7.9mmのパンチを用いて工程bで製造された粒子を打錠して、錠剤を得ることを特徴とする請求項8に記載のタンドスピロン医薬組成物の製造方法。
【請求項10】
中枢神経系疾患及び/又は眼疾患の治療薬を製造するための、請求項1~7のいずれか1項に記載のタンドスピロン医薬組成物の使用であって、好ましくは、前記中枢神経系疾患は、不安障害、うつ病、不眠症、統合失調症、加齢性記憶障害、神経衰弱、アルツハイマー病を含み、好ましくは、前記眼疾患は、緑内障、糖尿病性網膜症、加齢黄斑変性症、網膜浮腫を含む、使用。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
タンドスピロンは、日本住友製薬株式会社により開発された新規の抗不安薬であって、1996年に日本で販売が承認され、2004年から中国市場へ進出し、中国の抗不安分野での応用が幅広くなってきている。タンドスピロンは、脳内の5-HT1A受容体に選択的に作用し、作用部位は、感情中枢の海馬、扁桃体などの大脳辺縁系に集中するとともに、5-HT神経の縫線核まで影響を及ぼし、シナプス前5-HT1A受容体を活性化することで、ニューロンの放電を抑制し、5-HTの合成を低減すると同時に、シナプス後の5-HT1A受容体にも部分的な興奮作用を有することによって、シナプスの5-HT機能への総合的調節を実現し、抗不安作用を奏する。長期間に亘る使用では、同時に抗うつ作用も奏する。従来の鎮静催眠薬と比べて、タンドスピロンは、抗不安作用に特化し、副作用が比較的少なく、鎮静催眠作用が弱く、筋肉弛緩作用がなく、依存性及び服薬停止後の禁断症状がなく、長期使用後に体内で蓄積しないなどの優位点を有し、抗不安分野での幅広い応用が見込まれている。
【0002】
現在、臨床上で、タンドスピロンは、そのクエン酸塩の形で、普通の錠剤及びカプセル剤として販売され、投与量が1日3回で、1回につき10mgである。しかし、1日3回の投与レジメンには、例えば、血中濃度の変動が大きく、患者の服薬コンプライアンスが悪いといった多くの問題がある。特に年配の患者や同時に複数種の医薬品を服用中の患者では、服薬コンプライアンスの問題が特に顕著である。なお、精神疾患の患者は普遍的に「病気を恥じる気持ち」という共通の問題があり、多くの患者に様々な悪影響を与え、そのなかで最も顕著なのは、服薬コンプライアンスの悪さであり、これによって医薬品の治療効果が理想とは程遠い。1日1回投与の徐放性製剤の開発は、医薬品の血液中でのピーク濃度を低下させるだけでなく、投与量に関わる副作用を軽減又は回避でき、また、医薬品の血漿中での有效濃度を延ばすことで医薬品の治療効果を向上させる。同時に、1日1回の投では、服薬の便利さが増し、患者の服薬コンプライアンスを効果的に改善し、患者の病気を恥じる気持ちを和らげることができる。
【0003】
胃内容排出及び腸の移動の影響を受けて、普通の徐放性製剤は、ヒト上部消化管(胃、十二指腸)での滞留時間が比較的短かく、一部の医薬品がまだ完全に放出又は吸収されないまま下部消化管まで移動し、最適な吸収部位を逃したことによって、一部の医薬品が無駄になり、医薬品の治療効果に影響を及ぼしている。
【0004】
特許CN1899287Aには、タンドスピロンクエン酸塩の徐放性医薬組成物が開示され、具体的には、用いられたホスト材料がヒドロキシプロピルメチルセルロースK4Mである徐放錠であって、その作用により、投与回数が1日3回から1日2回となり、投与回数が減少し、服薬が便利であることが開示されている。しかし、1日2回の投与方法では、依然として患者の服薬コンプライアンスの問題をうまく解決できていない。
【0005】
特許出願CN106619481Aには、一定の割合のタンドスピロンクエン酸塩と、親水性ゲル材料と、ろう質材料とを含み、適量の充填剤及び潤滑剤を加えたタンドスピロンクエン酸塩の徐放性製剤、及びその製造方法開示されている。この徐放性製剤は、24時間の徐放を維持する作用を有する。しかし、本発明者らがその薬物動態学について更に研究したところ、この徐放性製剤の生物学的利用能がまだ十分に理想的ではなく、医薬品の治療効果に影響を及ぼしていることを見出した。
【発明の概要】
【0006】
発明の開示
本発明は、タンドスピロン医薬組成物を提供して、投与回数が多く、患者の服薬コンプライアンスが悪く、血中濃度の変動が大きく、医薬品の副作用が大きく、生物学的利用能が低いなどの問題を解決することを目的とする。
【0007】
このことに鑑み、本発明は、医薬品有効成分、骨格材料、充填剤、漂白助剤、潤滑剤、及び任意のバインダーを含む医薬組成物であって、前記医薬品有効成分は、タンドスピロン、その薬学的に許容される塩、或いは、タンドスピロン又はその薬学的に許容される塩の溶媒合物であり、
前記骨格材料は、ポリエチレンオキシドWSR 303、ポリエチレンオキシドWSR 1105、ポリエチレンオキシドWSR 301、ポリエチレンオキシドWSR 205、ポリエチレンオキシドN-80から選択される1種又は複数種の組み合わせを含み、
前記漂白助剤は、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウムから選択される1種又は複数種の組み合わせであり、好ましくは、前記漂白助剤は、炭酸ナトリウム及び/又は炭酸水素ナトリウムから選択されることを特徴とするタンドスピロン医薬組成物を提供する。
【0008】
好ましくは、前記医薬品有効成分は、タンドスピロン又はその薬学的に許容される塩であり、
好ましくは、前記タンドスピロン又はその薬学的に許容される塩の溶媒合物は、その水合物の形態である。
【0009】
好ましくは、前記タンドスピロン医薬組成物における医薬品有効成分の含有量は1~15%であり、
好ましくは、前記タンドスピロン医薬組成物における医薬品有効成分の含有量は2.5~10%であり、骨格材料の含有量は5~75%であり、漂白助剤の含有量は1~20%であり、好ましくは、前記タンドスピロン医薬組成物は、下記の重量%の成分を含み、
医薬品有効成分 1~15%
骨格材料 5~75%
バインダー 0~20%
充填剤 15~80%
漂白助剤 1~20%
潤滑剤 0.5~5%
好ましくは、前記タンドスピロン医薬組成物は、下記の重量%の成分を含み、
医薬品有効成分 2.5~10%
骨格材料 15~65%
バインダー 0~10%
充填剤 25~75%
漂白助剤 2~10%
潤滑剤 1~3%
好ましくは、前記タンドスピロン医薬組成物は、下記の重量%の成分を含む。
医薬品有効成分 3.3~6.7%
骨格材料 15~61.7%
バインダー 0~5%
充填剤 25~71.5%
漂白助剤 2.5~6.7%
潤滑剤 1~3%
好ましくは、前記薬学的に許容される塩は、塩酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、シュウ酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、クエン酸塩、メタンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、硝酸塩であり、好ましくは、塩酸塩又はクエン酸塩であり、更に好ましくは、クエン酸塩である。
【0010】
好ましくは、前記骨格材料は更に任意に、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、メチルセルロース(MC)、エチルセルロース(EC)、酢酸セルロース(CA)、クロスポビドン、クロスカルメロースナトリウムから選択される1種又は複数種の組み合わせを含み、
好ましくは、前記ヒドロキシプロピルメチルセルロースは、HPMC E4M、HPMC E10M、HPMC K4M、HPMC K15M、HPMC K100Mから選択される1種又は複数種の組み合わせであり、
好ましくは、前記ヒドロキシプロピルメチルセルロースは、HPMC K4M、HPMC K15M、HPMC K100Mから選択される1種又は複数種の組み合わせであり、
好ましくは、前記骨格材料は、ポリエチレンオキシドWSR 303、ポリエチレンオキシドWSR 1105、ポリエチレンオキシドWSR 301、ポリエチレンオキシドWSR 205、ポリエチレンオキシドN-80、HPMC K4M、HPMC K15M、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、クロスポビドンから選択される1種又は複数種の組み合わせであり、
好ましくは、前記バインダーは、ポリエチレンピロリドン、ゼラチン、キサンタンガム、デキストリン、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロースから選択される1種又は複数種の組み合わせであり、
好ましくは、前記バインダーは、ポリエチレンピロリドン及び/又はポリビニルアルコールから選択される。
【0011】
好ましくは、前記充填剤は、乳糖、蔗糖、微結晶セルロース、アルファー化澱粉、マンニトール、ソルビトール、キシリトール、グルコース、硫酸カルシウム、リン酸水素カルシウム、リン酸カルシウム、塩化カルシウム、塩化アルミニウム、塩化ナトリウム、酸化カルシウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウムから選択される1種又は複数種の組み合わせであり、好ましくは、微結晶セルロースである。
【0012】
好ましくは、前記潤滑剤は、タルク粉末、微粉末シリカゲル、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸フマル酸ナトリウム、ラウリル硫酸マグネシウム、ラウリル硫酸ナトリウム、硬化植物油から選択される1種又は複数種の組み合わせであり、好ましくは、ステアリン酸マグネシウムである。
【0013】
好ましくは、前記タンドスピロン医薬組成物は、下記の重量%の成分を含み、
タンドスピロンクエン酸塩 1~15%
骨格材料 5~75%
バインダー 0~20%
充填剤 15~80%
漂白助剤 1~20%
潤滑剤 0.5~5%
好ましくは、前記タンドスピロン医薬組成物は、下記の重量%の成分を含み、
タンドスピロンクエン酸塩 2.5~10%
骨格材料 15~65%
バインダー 0~10%
充填剤 25~75%
漂白助剤 2~10%
潤滑剤 1~3%
好ましくは、前記タンドスピロン医薬組成物は、下記の重量%の成分を含む。
タンドスピロンクエン酸塩 3.3~6.7%
骨格材料 15~61.7%
バインダー 0~5%
充填剤 25~71.5%
漂白助剤 2.5~6.7%
潤滑剤 1~3%
【0014】
好ましくは、前記タンドスピロン医薬組成物は、下記の重量%の成分を含み、
タンドスピロンクエン酸塩 1~15%
骨格材料 5~75%
バインダー 0~20%
微結晶セルロース 15~80%
炭酸水素ナトリウム又は炭酸ナトリウム 1~20%
ステアリン酸マグネシウム 0.5~5%
好ましくは、前記タンドスピロン医薬組成物は、下記の重量%の成分を含み、
タンドスピロンクエン酸塩 2.5~10%
骨格材料 15~65%
バインダー 0~10%
微結晶セルロース 25~75%
炭酸水素ナトリウム又は炭酸ナトリウム 2~10%
ステアリン酸マグネシウム 1~3%
好ましくは、前記タンドスピロン医薬組成物は、下記の重量%の成分を含む。
タンドスピロンクエン酸塩 3.3~6.7%
骨格材料 15~61.7%
バインダー 0~5%
微結晶セルロース 25~71.5%
炭酸水素ナトリウム又は炭酸ナトリウム 2.5~6.7%
ステアリン酸マグネシウム 1~3%
【0015】
好ましくは、前記タンドスピロン医薬組成物の剤形は、錠剤、丸剤、又はカプセル剤から選択され、好ましくは、錠剤である。
【0016】
別の局面では、
a.各成分をそれぞれ篩にかけ、医薬品有効成分、骨格材料、バインダー、及び充填剤を取って、均一に混合する工程と、
b.更に漂白助剤、潤滑剤を加えて均一に混合し、混合粉末にして、医薬組成物を得る工程と、
を用いる製造方法であって、好ましくは、工程bで製造された混合粉末を打錠して、錠剤を得る上記タンドスピロン医薬組成物の製造方法を提供する。
【0017】
好ましくは、前記打錠の方法は粉末直接打錠である。或いは、
a.医薬品有効成分、骨格材料、バインダー、及び充填剤をそれぞれ篩にかけ、均一に混合し、水を加えて軟質材とし、ウェット粒子を乾燥し、整粒して篩にかけて、乾燥粒子を得る工程と、
b.漂白助剤及び潤滑剤をそれぞれ篩にかけ、工程aで得られた粒子と均一に混合して、医薬組成物を得る工程と、
を用いて、好ましくは、工程bで製造された粒子を打錠して、錠剤を得る。
【0018】
更には、
a.各成分をそれぞれ20~60メッシュの篩にかけ、医薬品有効成分、骨格材料、バインダー、及び充填剤を取って、10~30分間混合する工程と、
b.更に、漂白助剤、潤滑剤をこの順に加えて、3~10分間混合して、混合粉末にして、医薬組成物を得る工程と、
を用いて、好ましくは、16.4mm×7.9mmのパンチを用いて工程bで製造された混合粉末を打錠して、錠剤を得る。
【0019】
好ましくは、前記打錠の方法は粉末直接打錠である。
【0020】
或いは、
a.医薬品有効成分、骨格材料、バインダー、及び充填剤をそれぞれ20~60メッシュの篩にかけ、5~30分間混合して、水を加えて軟質材とし、ウェット粒子を35~70℃、20~50cfmの条件で5~30分間乾燥し、整粒して10~30メッシュの篩にかけ、乾燥粒子を得る工程と、
b.漂白助剤及び潤滑剤をそれぞれ20~60メッシュの篩にかけ、工程aで製造された乾燥粒子を3~10分間混合して、医薬組成物を得る工程と、
を用いて、好ましくは、16.4mm×7.9mmのパンチを用いて工程bで製造された粒子を打錠して、錠剤を得る。
【0021】
別の局面では、中枢神経系疾患及び眼疾患の治療薬を製造するための、上記タンドスピロン医薬組成物の使用を提供する。
【0022】
好ましくは、前記中枢神経系疾患は、不安障害、うつ病、不眠症、統合失調症、加齢性記憶障害、神経衰弱、アルツハイマー病を含み、
好ましくは、前記眼疾患は、緑内障、糖尿病性網膜症、加齢黄斑変性症、網膜浮腫などの疾患を含む。
【発明の効果】
【0023】
有利な技術的効果
本発明のタンドスピロン医薬組成物は、擬似胃液環境において、速やかに浮上し、浮上時間が5s以下であり、より好ましくは3s以下であり、更に好ましくは2s以下であり、浮遊持続時間が24時間超である。
【0024】
本発明のタンドスピロン医薬組成物は、医薬品の胃中での滞留時間を延ばしたことで、医薬品が十分に放出・吸収され、12時間以上の徐放作用が持続可能であり、生物学的利用能が高い。放出の均一性にすぐれ、バーストのリスクがなく、投与後に血中濃度の変動が小さく、副作用が小さく、安全性が高い。
【0025】
また、本発明のタンドスピロン医薬組成物は、比較的小さい初期体積を有することで、製品を飲み込みやすく、擬似胃液環境において速やかに直径約14mm又はそれ以上に膨潤することで、胃内容物に排出され難く、喫食の影響を受けないことを実現した。医薬品は放出完了後に、次第に溶解され、小さくなって幽門から排出され、医薬品がずっと胃中に滞留することを避けて、胃部への負担を軽減する。
【0026】
本発明のタンドスピロン医薬組成物は、1日に1回だけ服薬すればよく、服薬の便利さが向上し、患者の服薬コンプライアンスを大幅に増加する。
【0027】
本発明のタンドスピロン医薬組成物は、品質が安定し、長期間に亘る貯蔵・運送に適し、製造方法が簡単であり、特別な設備を必要とせず、製法の操縦性が高く、工業化の生産に向いている。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、発明を実施するための形態によって本発明について更に説明する。ここで述べられた発明を実施するための形態は本発明を説明・釈明するものに過ぎず、本発明を制限するものではない、と理解すべきである。
【0029】
実施例1~20
表1~3に示された成分及び配合に従ってタンドスピロン医薬組成物を製造した。
【0030】
【0031】
【0032】
【0033】
実施例1~7、9~12及び15~18について、その製造方法は下記のとおりである。
【0034】
a.ステアリン酸マグネシウムを60メッシュの篩にかけ、ステアリン酸マグネシウム以外の各成分をそれぞれ20メッシュの篩にかけ、タンドスピロンクエン酸塩、骨格材料、バインダー、及び充填剤を取って、15分間混合し、
b.漂白助剤を加えて、10分間混合し、更にステアリン酸マグネシウムを加えて、3分間混合し、混合粉末を得、
c.16.4mm×7.9mmのパンチを用いて工程bで製造された混合粉末を直接打錠して、錠剤を得た。
【0035】
実施例8、13~14及び19~20について、その製造方法は下記のとおりである。
【0036】
a.タンドスピロンクエン酸塩、骨格材料、バインダー、及び充填剤をそれぞれ20メッシュの篩にかけ、10分間混合し、水を加えて軟質材とし、ウェット粒子を50℃と35cfmの条件で15分間乾燥し、整粒して20メッシュの篩にかけ、乾燥粒子を得、
b.漂白助剤を20メッシュの篩にかけ、工程aで製造された乾燥粒子と5分間混合し、更にステアリン酸マグネシウム(60メッシュの篩にかけた)を加えて3分間混合し、混合粒子を得、
c.16.4mm×7.9mmのパンチを用いて工程bで製造された混合粒子を打錠して、錠剤を得た。
【0037】
比較例1(特許出願CN106619481Aの実施例1を参照)
原料配合:
タンドスピロンクエン酸塩 15g
HPMC K15M 30g
ステアリン酸 15g
澱粉 150g
タルク粉末 4g
PEG4000 6g
75%エタノール 適量
計1000錠製造した。
【0038】
製造方法:
ろう質材料を加熱溶融させ、タンドスピロンクエン酸塩を加えて、均一に撹拌混合し、冷却して固体とし、医薬品を含む固体をすりつぶして粉砕し、篩にかけ、親水性ゲル材料、充填剤、75%エタノールを加えて造粒し、乾燥し、篩にかけて整粒し、潤滑剤を加えた後均一に混合し、打錠して錠剤を得る。
【0039】
ろう質材料を加熱溶融させ、タンドスピロンクエン酸塩を加えて、均一に撹拌混合し、冷却して固体とし、医薬品を含む固体をすりつぶして粉砕し、篩にかけ、親水性ゲル材料、充填剤、75%エタノールを加えて造粒し、乾燥し、篩にかけて整粒し、潤滑剤を加えた後均一に混合し、打錠して錠剤を得る。
【0040】
試験1:タンドスピロン医薬組成物の浮遊性能試験
試験方法:
実施例1~20及び比較例1で製造された錠剤を、(37±0.5)℃、900mL 0.1mol/Lの塩酸溶液中に置いて、撹拌速度50r/minで、浮上時間及浮遊持続時間を観察した。具体的な結果を表4~5に示した。
【0041】
【0042】
【0043】
表4~5の結果から分かるように、本発明のタンドスピロン医薬組成物は、浮上時間が短く、浮上時間が5s以下であり、より好ましいものは3s以下であり、更に好ましいものは2s以下であった。本発明のタンドスピロン医薬組成物は、24時間の持続浮遊を達成できた。優れた浮遊性により、本発明のタンドスピロン医薬組成物製品は胃中で長い時間滞留でき、医薬品の胃部での放出が効果的に延長し、医薬品の吸収部位での吸収効果が増すことによって、医薬品の生物学的利用能が向上し、より良い医薬品の治療効果を実現できる。
【0044】
試験2:タンドスピロン医薬組成物の膨潤特性測定試験
試験方法:
実施例2、6、12で製造された製剤をそれぞれ、(37±0.5)℃、900mL 0.1mol/Lの塩酸溶液に入れて、5min、30min、2h、6h、12h、16h、18h、20h及び24hでの寸法を測定し、結果を表6に示した。
【0045】
【0046】
表6から分かるように、本発明のタンドスピロン医薬組成物は、擬似胃液環境において、製品寸法が速やかに膨潤し、最小直径が14mm以上に膨潤し、ヒト胃幽門直径の13mmを上回った。16時間放置後、製品最小直径は依然として13mm以上を維持した。本発明製品の膨潤特性により、タンドスピロン医薬組成物の胃中での滞留時間が延ばされ、医薬品の放出と吸収が増し、持久的で安定的な医薬品の放出という目的を達成することができる。また、本発明の医薬組成物は24時間後、製品は寸法が胃幽門直径よりも小さくなるまで溶解され、医薬品ビヒクルのスムーズな排出を保証した。
【0047】
試験3:タンドスピロン医薬組成物のインビトロ溶出度試験
中国薬典2015版第四部付録に記載の溶出率と放出率測定法の第一法(バスケット法)を用いて、実施例1~20のインビトロ溶出状況について考察した。900mL 0.1mol/Lの塩酸溶液を溶出媒体として、回転速度を50r/minに、温度を37±0.5℃に設置して、上記方法に準じて行い、15min、30min、1h、2h、4h、6h、8h、10h、12h、14h、16h、20hのそれぞれで溶液5mLを取って測定し、累積溶出率を算出した。具体的な結果を表7~8に示した。
【0048】
【0049】
【0050】
表7~8のインビトロ溶出結果から分かるように、実施例1~18のタンドスピロン医薬組成物は16h溶出度が80%以上に達し、持久的で安定的な医薬品の放出という目的を達成した上、医薬品の放出が安定して、バースト効果がなく、血中濃度の大幅な変動を避けた。
【0051】
試験4:タンドスピロン医薬組成物の安定性試験
(1)影響因子試験
考察条件は、強光照射(4500±500lx)、高温(60℃)、高湿(相対湿度92.5%、25℃)とした。本発明実施例6で製造された製剤を、上述した異なる考察条件でそれぞれ10日間置いて、5日目と10日目のそれぞれでサンプルを取って測定し、0日目の同じバッチのサンプルのデータと比較し、結果を表9に示した。
【0052】
【0053】
表9に記載の試験結果から分かるように、本発明のタンドスピロン医薬組成物は、強光照射、高温及び高湿の条件下において、製品含有量と不純物総量のいずれにも明らかな変化がなく、本発明製品の安定性が良好であることを示した。
【0054】
(2)加速試験
本発明実施例6で製造された製剤を、ポリエチレンフィルム袋で包んで密封し、40℃±2℃、相対湿度75±5%の定温定湿インキュベーターに入れて、6ヶ月置いて、1、2、3、6ヶ月末でそれぞれサンプルを取って測定し、0ヶ月の結果と比較した。結果を表10に示した。
【0055】
【0056】
表10に記載の試験結果から分かるように、本発明のタンドスピロン医薬組成物は、6ヶ月内の加速試験条件下において、含有量に明らかな低下がなく、不純物総量に明らかな増加が見られず、品質基準を満たした。このように、本発明によるタンドスピロン医薬組成物は品質が安定し、長期間に亘る保存に適している。
【0057】
試験5:タンドスピロン医薬組成物の薬物動態学試験
(I)動物薬物動態学試験
試験サンプル:
(1)タンドスピロンクエン酸塩錠(市販製剤、メーカー:蘇州住友製薬有限公司、規格:10mg)
(2)タンドスピロンクエン酸塩徐放錠(比較例1)
(3)本発明製剤(実施例7)
試験方法及び試験結果:
6匹のオスのBeagleイヌを、体重で3組にランダムに分けて、三重周期、三重交差(3×3ラテン方格)デザインを採用し、各周期のそれぞれで、市販のタンドスピロンクエン酸塩錠10mg、比較例1のタンドスピロンクエン酸塩徐放錠30mg、本発明実施例7の製剤30mgを経口投与し、投与前に12h断食させた。比較例1のタンドスピロンクエン酸塩徐放錠及び本発明実施例7の製剤を投与したBeagleイヌに対して、毎回投与前、及び投与後0.5min、1h、2h、3h、4h、5h、6h、8h、10h、12h、14h、16h、20h、24h、30hで血液サンプルを採集し、市販のタンドスピロンクエン酸塩錠を投与したBeagleイヌに対して、毎回投与前、及び投与後5min、10min、20min、30min、40min、1h、1.5h、2h、2.5h、3h、4h、6h、8h、10h、12hで血液サンプルを採集した。
【0058】
LC-MS/MS法でBeagleイヌの血漿中タンドスピロンの濃度を測定して関連する薬物動態学パラメータを算出し、徐放性製剤のAUC0-∞と通常放出製剤の3倍AUCに生物学的等価性試験を行い、結果を表11に示した。
【0059】
【0060】
表11の結果から分かるように、市販のタンドスピロンクエン酸塩錠と比べて、本発明のタンドスピロン医薬組成物は、医薬品の最高血中濃度到達時間(Tmax)が効果的に延ばされ、ピーク濃度(Cmax)が低下し、タンドスピロンクエン酸塩を持久的に安定的に放出するという目的を達成した上で、医薬品の安全性を保証した。比較例1のタンドスピロンクエン酸塩徐放錠と比べて、本発明のタンドスピロン医薬組成物は生物学的利用能(AUC0-∞)が明らかに向上し、生物学的利用能が効果的に向上した。
【0061】
(II)ヒト薬物動態学試験
試験サンプル:
(1)タンドスピロンクエン酸塩錠(市販製剤、メーカー:蘇州住友製薬有限公司、規格:10mg)
(2)本発明製剤(実施例6)
(3)本発明製剤(実施例7)
試験方法及び試験結果:
無作為、開放、3つの製剤、2周期、連続投与、二重交差デザインを採用し、周期間の洗浄期間は4日間とした。各周期の1日目に、市販のタンドスピロンクエン酸塩錠を3回経口投与し、投与間隔は5hであり、1回につき10mg投与した。各周期の2日目に、本発明製剤30mgを投与した。各周期の1日目に、被験者に対して、初回投与前(0h)、及び投与後0.25h、0.5h、1h、1.5h、2h、5h、5.25h、5.5h、6h、6.5h、7h、8h、10h、10.25h、10.5h、11h、11.5h、12h、13h、16hのそれぞれで静脈血3mLを採集し、計21個の採血ポイントであった。
【0062】
各周期の2日目に、被験者に対して、投与前(0h)、及び投与後0.5h、1h、1.5h、2h、2.5h、3h、3.5h、4h、4.5h、5h、5.5h、6h、8h、10h、12h、14h、16h、24hのそれぞれで静脈血3mLを採集し、計19個の採血ポイントであった。関連する薬物動態学パラメータを算出し、結果を表12に示した。
【0063】
【0064】
表12の結果から分かるように、市販のタンドスピロンクエン酸塩錠と比べて、本発明のタンドスピロン医薬組成物は、医薬品の最高血中濃度到達時間(Tmax)が効果的に延ばされ、生物学的利用能(AUC0-24)が向上し、医薬品の持久的で安定的な放出という目的を達成した。
【0065】
以上、本発明の好適な実施形態について詳しく説明したが、本発明は上述した実施形態の詳細に限定されず、本発明の技術的思想の範囲内で、本発明の構成にいくつか簡単な変更を加えることが可能であり、これら簡単な変更はいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
【国際調査報告】