(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-03
(54)【発明の名称】ヘテロ環化合物およびこれを含む有機発光素子
(51)【国際特許分類】
C07D 221/10 20060101AFI20230127BHJP
C07D 401/04 20060101ALI20230127BHJP
C07D 401/10 20060101ALI20230127BHJP
C07D 401/14 20060101ALI20230127BHJP
C07D 471/04 20060101ALI20230127BHJP
C07F 9/60 20060101ALI20230127BHJP
【FI】
C07D221/10
C07D401/04 CSP
C07D401/10
C07D401/14
C07D471/04 112T
C07F9/60
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022532051
(86)(22)【出願日】2020-11-16
(85)【翻訳文提出日】2022-05-30
(86)【国際出願番号】 KR2020016064
(87)【国際公開番号】W WO2021112444
(87)【国際公開日】2021-06-10
(31)【優先権主張番号】10-2019-0158377
(32)【優先日】2019-12-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513298491
【氏名又は名称】エルティー・マテリアルズ・カンパニー・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】LT Materials Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】113-19, Dangha-Ro, Namsa-Myeon, Cheoin-Gu, Yongin-si, Gyeonggi-do 17118, korea
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】弁理士法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】イ,ギ-ベク
(72)【発明者】
【氏名】パク,ソン-ジョン
(72)【発明者】
【氏名】チョン,ウォン-ジャン
(72)【発明者】
【氏名】キム,ドン-ジュン
【テーマコード(参考)】
4C063
4C065
4H050
【Fターム(参考)】
4C063AA01
4C063AA03
4C063BB01
4C063BB06
4C063CC17
4C063CC29
4C063CC43
4C063DD08
4C063DD12
4C063DD17
4C065AA04
4C065AA19
4C065BB09
4C065CC09
4C065DD02
4C065EE02
4C065HH06
4C065JJ01
4C065KK01
4C065LL01
4C065PP03
4H050AA01
4H050AA03
4H050AB92
(57)【要約】
本出願は、有機発光素子の寿命、効率、電気化学的安定性および熱的安定性を大きく向上させることができるヘテロ環化合物、および前記ヘテロ環化合物が有機物層に含まれている有機発光素子を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式1で表されるヘテロ環化合物:
【化25】
前記式1において、
L1は、直接結合;置換もしくは非置換の炭素数6~60のアリーレン基;または置換もしくは非置換の炭素数2~60のヘテロアリーレン基であり、
R1は、置換もしくは非置換の炭素数6~60のアリール基;置換もしくは非置換の炭素数2~60のヘテロアリール基;または置換もしくは非置換のホスフィンオキシド基であり、
X1~X3は、それぞれ独立して、水素;重水素;またはシアノ基であるか、または互いに隣接する基は、互いに結合して置換もしくは非置換のC6~C60の芳香族炭化水素環または置換もしくは非置換のC2~C60のヘテロ環を形成し、
m、n、およびlは、それぞれ独立して1~5の整数であり、
m、n、およびlがそれぞれ2以上である場合、括弧内の置換基は互いに同一または異なる。
【請求項2】
前記「置換もしくは非置換」とは、炭素数1~60の直鎖または分岐鎖のアルキル基;炭素数2~60の直鎖または分岐鎖のアルケニル基;炭素数2~60の直鎖または分岐鎖のアルキニル基;炭素数3~60の単環または多環のシクロアルキル基;炭素数2~60の単環または多環のヘテロシクロアルキル基;炭素数6~60の単環または多環のアリール基;炭素数2~60の単環または多環のヘテロアリール基;シリル基;ホスフィンオキシド基;およびアミン基からなる群から選択される1以上の置換基で置換もしくは非置換であるか、または前記例示置換基から選択される2以上の置換基が連結された置換基で置換もしくは非置換であることを意味するものである、請求項1に記載のヘテロ環化合物。
【請求項3】
前記式1は、下記式2~6のいずれかで表されるものである、請求項1に記載のヘテロ環化合物:
【化26】
【化27】
【化28】
【化29】
【化30】
前記式2~6において、各置換基の定義は、前記式1における定義と同じである。
【請求項4】
前記R1は、置換もしくは非置換のフェニル基;置換もしくは非置換のビフェニル基;置換もしくは非置換のナフチル基;置換もしくは非置換のアントラセン基;下記式A1で表される基;下記式A2で表される基;または置換もしくは非置換のホスフィンオキシド基である、請求項1に記載のヘテロ環化合物:
【化31】
【化32】
前記式A1およびA2において、
L2およびL3は、それぞれ独立して、直接結合;または置換もしくは非置換の炭素数6~60のアリーレン基であり、
X11~X13は、それぞれ独立して、NまたはCHであり、X11~X13のうちの少なくとも1つはNであり、
R2~R4は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;重水素;または置換もしくは非置換の炭素数6~60のアリール基であり、
*は、L1と結合する位置を意味する。
【請求項5】
前記式1は、下記化合物のいずれかで表されるものである、請求項1に記載のヘテロ環化合物:
【化33】
【請求項6】
第1の電極;第2の電極;および前記第1の電極と前記第2の電極との間に備えられる1層以上の有機物層を含む有機発光素子であって、前記有機物層のうち1層以上は、請求項1~5のいずれか一項に記載のヘテロ環化合物を含む有機発光素子。
【請求項7】
前記有機物層は、電子輸送層を含み、前記電子輸送層は、前記ヘテロ環化合物を含む、請求項6に記載の有機発光素子。
【請求項8】
前記有機物層は、1層以上の正孔ブロッキング層を含み、前記正孔ブロッキング層は、前記ヘテロ環化合物を含む、請求項6に記載の有機発光素子。
【請求項9】
前記有機発光素子は、前記第1の電極上に備えられ、第1発光層を含む第1スタック;該第1スタック上に備えられる電荷生成層;該電荷生成層上に備えられ、第2発光層を含む第2スタックおよび前記第2スタック上に備えられる前記第2の電極を含む、請求項6に記載の有機発光素子。
【請求項10】
前記電荷生成層は、前記ヘテロ環化合物を含む、請求項9に記載の有機発光素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2019年12月02日付にて韓国特許庁に提出された韓国特許出願第10-2019-0158377号の出願日の利益を主張し、その内容の全ては本明細書に含まれる。
本明細書は、ヘテロ環化合物およびこれを含む有機発光素子に関する。
【背景技術】
【0002】
有機電界発光素子は、自発光型表示素子の一種であって、視野角が広く、コントラストに優れるだけでなく、応答速度が速いという利点がある。
有機発光素子は、2つの電極間に有機薄膜を配置させた構造を有する。このような構造の有機発光素子に電圧が印加されると、2つの電極から注入された電子と正孔が有機薄膜で結合して対をなした後、消滅しながら光を発する。前記有機薄膜は、必要に応じて単層または多層から構成されることができる。
【0003】
有機薄膜の材料は、必要に応じて発光機能を有することができる。例えば、有機薄膜の材料としては、それ自体が単独で発光層を構成できる化合物が使用されてもよく、またはホスト-ドーパント系発光層のホストまたはドーパントの役割を果たす化合物が使用されてもよい。その他にも、有機薄膜の材料として、正孔注入、正孔輸送、電子ブロック、正孔ブロック、電子輸送、電子注入などの役割を果たす化合物が使用されてもよい。
有機発光素子の性能、寿命または効率を向上させるために、有機薄膜の材料の開発が求められ続けている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本明細書は、ヘテロ環化合物およびこれを含む有機発光素子を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本出願の一実施態様は、下記式1で表されるヘテロ環化合物を提供する。
【化1】
前記式1において、
L1は、直接結合;置換もしくは非置換の炭素数6~60のアリーレン基;または置換もしくは非置換の炭素数2~60のヘテロアリーレン基であり、
R1は、置換もしくは非置換の炭素数6~60のアリール基;置換もしくは非置換の炭素数2~60のヘテロアリール基;または置換もしくは非置換のホスフィンオキシド基であり、
X1~X3は、それぞれ独立して、水素;重水素;またはシアノ基であるか、または互いに隣接する基は互いに結合し、置換もしくは非置換のC6~C60の芳香族炭化水素環または置換もしくは非置換のC2~C60のヘテロ環を形成し、
m、n、およびlはそれぞれ独立して、1~5の整数であり、
m、n、およびlが、それぞれ2以上の場合、括弧内の置換基は互いに同一または異なる。
【0007】
また、本出願の一実施態様において、第1の電極;第2の電極;および前記第1の電極と第2の電極との間に備えられた1層以上の有機物層を含む有機発光素子であって、前記有機物層中の1層以上は、前記式1で表されるヘテロ環化合物を含むものである有機発光素子を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本明細書に記載のヘテロ環化合物は、有機発光素子の有機物層の材料として使用することができる。前記ヘテロ環化合物は、有機発光素子において正孔注入材料、正孔輸送材料、発光材料、電子輸送材料、電子注入材料などの役割をすることができる。特に、前記ヘテロ環化合物が、有機発光素子の電子輸送層材料、正孔ブロッキング層材料または電荷生成層材料として使用することができる。
具体的には、前記式1で表されるヘテロ環化合物を有機物層に使用する場合、素子の駆動電圧を下げ、光効率を向上させ、素子の寿命特性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本出願の一実施態様による有機発光素子の積層構造を概略的に示す図である。
【
図2】本出願の一実施態様による有機発光素子の積層構造を概略的に示す図である。
【
図3】本出願の一実施態様による有機発光素子の積層構造を概略的に示す図である。
【
図4】本出願の一実施態様による有機発光素子の積層構造を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本明細書についてより詳細に説明する。本明細書において、「化学式または化合物構造に置換基が表示されていない場合」は、炭素原子に水素原子が結合されたことを意味する。ただし、重水素(2H、Deuterium)は、水素の同位元素であるので、一部の水素原子は重水素であってもよい。
【0011】
本出願の一実施態様において、「化学式または化合物の構造において置換基が示されていない場合」は、置換基として位置可能な位置全部が水素または重水素であることを意味することができる。すなわち、重水素の場合、水素の同位元素であって、一部の水素原子は同位元素である重水素であってもよく、この場合、重水素の含有量は0%~100%であってもよい。
【0012】
本出願の一実施態様において、「化学式または化合物の構造において置換基が示されていない場合」において、重水素の含有量が0%、水素の含有量が100%などと重水素を明確に排除しない場合には、水素と重水素は化合物において混在して使用されることができる。すなわち、「置換基Xは、水素である」と表現されている場合には、水素の含有量が100%、重水素の含有量が0%などと重水素を排除しないものであって、水素と重水素が混在している状態を意味することができる。
【0013】
本出願の一実施態様において、重水素は水素の同位元素(isotope)のうちの一つであって、陽子(proton)1個と中性子(neutron)1個からなる重陽子(deuteron)を原子核(nucleus)として有する元素であり、水素―2と表すことができ、元素記号はDまたは2Hとも書くことができる。
【0014】
本出願の一実施態様において、同位元素は原子番号(atomic number、Z)は同じであるが、質量数(mass number、A)が異なる原子を意味する同位元素は同数の陽子(proton)を有するが、中性子(neutron)の数が異なる元素としても解釈することができる。
【0015】
本出願の一実施態様において、特定の置換基の含有量T%の意味は、基本となる化合物が有し得る置換基の合計数をT1と定義し、そのうち、特定の置換基の個数をT2と定義する場合、T2/T1×100=T%として定義することができる。
すなわち、一例において、
【化2】
で表されるフェニル基において、重水素の含有量20%というのは、フェニル基が有し得る置換基の合計数は5(式中T1)個であり、そのうちの重水素の個数が1(式中、T2)である場合、20%で表示されることができる。すなわち、フェニル基において重水素の含有量20%であるというのは、下記構造式で表されることができる。
【化3】
【0016】
また、本出願の一実施態様において、「重水素の含有量が0%であるフェニル基」の場合、重水素原子を含まない、すなわち、水素原子5個を有するフェニル基を意味することができる。
【0017】
本明細書において、ある部分がある構成要素を「含む」としたとき、これは、特に相反する記載がない限り、他の構成要素を除外するものではなく、他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。
【0018】
前記「置換」という用語は、化合物の炭素原子に結合した水素原子が他の置換基に変わることを意味し、置換される位置は、水素原子の置換される位置、すなわち置換基が置換可能な位置であれば限定ぜず、2以上置換される場合、2以上の置換基は、互いに同一であるか、異なっていてもよい。
【0019】
本明細書において、「置換もしくは非置換」とは、炭素数1~60の直鎖または分岐鎖のアルキル基;炭素数2~60の直鎖または分岐鎖のアルケニル基;炭素数2~60の直鎖または分岐鎖のアルキニル基;炭素数3~60の単環または多環のシクロアルキル基;炭素数2~60の単環または多環のヘテロシクロアルキル基;炭素数6~60の単環または多環のアリール基;炭素数2~60の単環または多環のヘテロアリール基;シリル基;ホスフィンオキシド基;およびアミン基からなる群から選択される1以上の置換基で置換もしくは非置換であるか、または前記例示された置換基の中から選択される2以上の置換基が連結された置換基で置換もしくは非置換であることを意味する。
【0020】
より具体的には、本明細書において、「置換もしくは非置換」とは、炭素数6~60の単環または多環のアリール基;または炭素数2~60の単環または多環のヘテロアリール基からなる群から選択される1以上の置換基で置換もしくは非置換されたことを意味することができる。
【0021】
本明細書において、前記ハロゲンは、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素であってもよい。
【0022】
本明細書において、前記アルキル基は、炭素数1~60の直鎖または分岐鎖を含み、他の置換基によってさらに置換されてもよい。前記アルキル基の炭素数は1~60、具体的には1~40、より具体的には1~20であってもよい。具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、n-プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、sec-ブチル基、1-メチル-ブチル基、1-エチル-ブチル基、ペンチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert-ペンチル基、ヘキシル基、n-ヘキシル基、1-メチルペンチル基、2-メチルペンチル基、4-メチル-2-ペンチル基、3,3-ジメチルブチル基、2-エチルブチル基、ヘプチル基、n-ヘプチル基、1-メチルヘキシル基、シクロペンチルメチル基、シクロヘキシルメチル基、オクチル基、n-オクチル基、tert-オクチル基、1-メチルヘプチル基、2-エチルヘキシル基、2-プロピルペンチル基、n-ノニル基、2,2-ジメチルヘプチル基、1-エチル-プロピル基、1,1-ジメチル-プロピル基、イソヘキシル基、2-メチルペンチル基、4-メチルヘキシル基、5-メチルヘキシル基などがあるが、これらのみに限定されるものではない。
【0023】
本明細書において、前記アルケニル基は、炭素数2~60の直鎖または分岐鎖を含み、他の置換基によってさらに置換されてもよい。前記アルケニル基の炭素数は2~60、具体的には2~40、より具体的には2~20であってもよい。
【0024】
具体例としては、ビニル基、1-プロフェニル基、イソプロフェニル基、1-ブテニル基、2-ブテニル基、3-ブテニル基、1-ペンテニル基、2-ペンテニル基、3-ペンテニル基、3-メチル-1-ブテニル基、1,3-ブタジエニル基、アリル基、1-フェニルビニル-1-イル基、2-フェニルビニル-1-イル基、2,2-ジフェニルビニル-1-イル基、2-フェニル-2-(ナフチル-1-イル)ビニル-1-イル基、2,2-ビス(ジフェニル-1-イル)ビニル-1-イル基、スチルベニル基、スチレニル基などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0025】
本明細書において、前記アルキニル基は、炭素数2~60の直鎖または分岐鎖を含み、他の置換基によってさらに置換されてもよい。前記アルキニル基の炭素数は2~60、具体的には2~40、より具体的には2~20であってもよい。
【0026】
本明細書において、アルコキシ基は、直鎖、分岐鎖または環状鎖であってもよい。アルコキシ基の炭素数は特に限定されないが、炭素数1~20であることが好ましい。具体的には、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシ、n-ブトキシ、イソブトキシ、tert-ブトキシ、sec-ブトキシ、n-ペンチルオキシ、ネオペンチルオキシ、イソペンチルオキシ、n-ヘキシルオキシ、3,3-ジメチルブチルオキシ、2-エチルブチルオキシ、n-オクチルオキシ、n-ノニルオキシ、n-デシルオキシ、ベンジルオキシ、p-メチルベンジルオキシなどであってもよいが、これらに限定されるものではない。
【0027】
本明細書において、前記シクロアルキル基は、炭素数3~60の単環または多環を含み、他の置換基によってさらに置換されてもよい。ここで、多環とは、シクロアルキル基が他の環基と直接結合または縮合した基を意味する。ここで、他の環基とは、シクロアルキル基であってもよいが、他の種類の環基、例えばヘテロシクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基などであってもよい。前記シクロアルキル基の炭素数は3~60、具体的には3~40、より具体的には5~20であってもよい。具体的には、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、3-メチルシクロペンチル基、2,3-ジメチルシクロペンチル基、シクロヘキシル基、3-メチルシクロヘキシル基、4-メチルシクロヘキシル基、2,3-ジメチルシクロヘキシル基、3,4,5-トリメチルシクロヘキシル基、4-tert-ブチルシクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0028】
本明細書において、前記ヘテロシクロアルキル基は、ヘテロ原子としてO、S、Se、NまたはSiを含み、炭素数2~60の単環または多環を含み、他の置換基によってさらに置換されてもよい。ここで、多環とは、ヘテロシクロアルキル基が他の環基と直接結合または縮合した基を意味する。ここで、他の環基とは、ヘテロシクロアルキル基であってもよいが、他の種類の環基、例えば、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基などであってもよい。前記ヘテロシクロアルキル基の炭素数は2~60、具体的には2~40、より具体的には3~20であってもよい。
【0029】
本明細書において、前記アリール基は、炭素数6~60の単環または多環を含み、他の置換基によってさらに置換されてもよい。ここで、多環とは、アリール基が他の環基と直接結合または縮合した基を意味する。ここで、他の環基とは、アリール基であってもよいが、他の種類の環基、例えば、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、ヘテロアリール基などであってもよい。前記アリール基は、スピロ基を含む。前記アリール基の炭素数は6~60、具体的には6~40、より具体的には6~25であってもよい。前記アリール基の具体例としては、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、ナフチル基、アントリル基、クリセニル基、フェナントレニル基、ペリレニル基、フルオランテニル基、トリフェニレニル基、フェナレニル基、ピレニル基、テトラセニル基、ペンタセニル基、フルオレニル基、インデニル基、アセナフチレニル基、ベンゾフルオレニル基、スピロビフルオレニル基、2,3-ジヒドロ-1H-インデニル基、これらの縮合環基などが挙げられるが、これらのみに限定されるものではない。
【0030】
本明細書において、ホスフィンオキシド基は-P(=O)R101R102で表され、R101およびR102は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;重水素;ハロゲン基;アルキル基;アルケニル基;アルコキシ基;シクロアルキル基;アリール基;およびヘテロ環基のうちの少なくとも1つからなる置換基であってもよい。前記ホスフィンオキシド基は、具体的にはジフェニルホスフィンオキシド基、ジナフチルホスフィンオキシドなどがあるが、これらに限定されるものではない。
【0031】
本明細書において、シリル基は、Siを含み、前記Si原子がラジカルとして直接結合している置換基であり、-SiR104R105R106で表され、R104~R106は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;重水素;ハロゲン基;アルキル基;アルケニル基;アルコキシ基;シクロアルキル基;アリール基;およびヘテロ環基のうちの少なくとも1つからなる置換基であってもよい。シリル基の具体例としては、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、t-ブチルジメチルシリル基、ビニルジメチルシリル基、プロピルジメチルシリル基、トリフェニルシリル基、ジフェニルシリル基、フェニルシリル基などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0032】
本明細書において、前記フルオレニル基は、置換されていてもよく、隣接する置換基が互いに結合して環を形成してもよい。
【0033】
本明細書において、前記スピロ基は、スピロ構造を含む基であって、炭素数15~60であってもよい。例えば、前記スピロ基は、フルオレニル基に2,3-ジヒドロ-1H-インデン基またはシクロヘキサン基がスピロ結合した構造を含むことができる。具体的には、下記のスピロ基は、下記構造式の基のいずれかを含むことができる。
【化4】
【0034】
本明細書において、前記ヘテロアリール基は、ヘテロ原子として、S、O、Se、NまたはSiを含み、炭素数2~60の単環または多環を含み、他の置換基によってさらに置換されてもよい。ここで、前記多環とは、ヘテロアリール基が他の環基と直接結合または縮合した基を意味する。ここで、他の環基とは、ヘテロアリール基であってもよいが、他の種類の環基、例えば、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、アリール基などであってもよい。前記ヘテロアリール基の炭素数は2~60、具体的には2~40、より具体的には3~25であってもよい。前記ヘテロアリール基の具体例としては、ピリジル基、ピロリル基、ピリミジル基、ピリダジニル基、フラニル基、チオフェン基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、オキサゾリル基、イソオキサゾリル基、チアゾリル基、イソチアゾリル基、トリアゾリル基、フラザニル基、オキサジアゾリル基、チアジアゾリル基、ジチアゾリル基、テトラゾリル基、ピラニル基、チオピラニル基、ジアジニル基、オキサジニル基、チアジニル基、ジオキシニル基、トリアジニル基、テトラジニル基、キノリル基、イソキノリル基、キナゾリニル基、イソキナゾリニル基、キノゾリリル基、ナフチリジル基、アクリジニル基、フェナントリジニル基、イミダゾピリジニル基、ジアザナフタレニル基、トリアザインデン基、インドリル基、インドリジニル基、ベンゾチアゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンズイミダゾリル基、ベンゾチオフェン基、ベンゾフラン基、ジベンゾチオフェン基、ジベンゾフラン基、カルバゾリル基、ベンゾカルバゾリル基、ジベンゾカルバゾリル基、フェナジニル基、ジベンゾシロール基、スピロビ(ジベンゾシロール)、ジヒドロフェナジニル基、フェノキサジニル基、フェナントリジル基、イミダゾピリジニル基、チエニル基、インドロ[2,3-a]カルバゾリル基、インドロ[2,3-b]カルバゾリル基、インドリニル基、10,11-ジヒドロ-ジベンゾ[b,f]アゼピン基、9,10-ジヒドロアクリジニル基、フェナントラジニル基、フェノチアチアジニル基、フタラジニル基、ナフチリジニル基、フェナントロリニル基、ベンゾ[c][1,2,5]チアジアゾリル基、5,10-ジヒドロジベンゾ[b,e][1,4]アザシリニル、ピラゾロ[1,5-c]キナゾリニル基、ピリド[1,2-b]インダゾリル基、ピリド[1,2-a]イミダゾ[1,2-e]インドリニル基、5,11-ジヒドロインデノ[1,2-b]カルバゾリル基などが挙げられるが、これらのみに限定されるものではない。
【0035】
本明細書において、前記アミン基は、モノアルキルアミン基;モノアリールアミン基;モノヘテロアリールアミン基;-NH2;ジアルキルアミン基;ジアリールアミン基;ジヘテロアリールアミン基;アルキルアリールアミン基;アルキルヘテロアリールアミン基;およびアリールヘテロアリールアミン基からなる群より選択されてもよく、炭素数は特に限定されないが、1~30であることが好ましい。前記アミン基の具体例としては、メチルアミン基、ジメチルアミン基、エチルアミン基、ジエチルアミン基、フェニルアミン基、ナフチルアミン基、ビフェニルアミン基、ジビフェニルアミン基、アントラセニルアミン基、9-メチル-アントラセニルアミン基、ジフェニルアミン基、フェニルナフチルアミン基、ジトリルアミン基、フェニルトリルアミン基、トリフェニルアミン基、ビフェニルナフチルアミン基、フェニルビフェニルアミン基、ビフェニルフルオレニルアミン基、フェニルトリフェニレニルアミン基、ビフェニルトリフェニレニルアミン基などがあるが、これらのみに限定されるものではない。
【0036】
本明細書において、アリーレン基は、アリール基に結合位置が2つあるもの、すなわち2価の基を意味する。これらはそれぞれ2価の基であることを除けば、前述したアリール基の説明が適用可能である。また、ヘテロアリーレン基は、ヘテロアリール基に結合位置が2つあるもの、すなわち2価の基を意味する。これらはそれぞれ2価の基であることを除けば、前述したヘテロアリール基の説明が適用可能である。
【0037】
本明細書において、「隣接する」基は、当該置換基が置換された原子と直接結合された原子に置換された置換基、当該置換基と立体構造的に最も近く位置した置換基、または当該置換基が置換された原子に置換された他の置換基を意味することができる。例えば、ベンゼン環においてオルト(ortho)位に置換された2つの置換基および脂肪族環において同一炭素に置換された2つの置換基は、互いに「隣接する」基として解釈されることができる。
【0038】
本明細書において、「エネルギー準位」とは、エネルギーの大きさを意味する。したがって、エネルギー準位は、当該エネルギー値の絶対値を意味するものと解釈される。例えば、エネルギー準位が低いまたは深いとは、真空準位からマイナス方向に絶対値が大きくなることを意味する。
【0039】
本明細書において、HOMO(highest occupied molecular orbital)とは、電子が結合に参加できる領域で最もエネルギーの高い領域にある分子軌道関数(最高占有分子軌道)を意味し、LUMO(lowest unoccupied molecular orbital)とは、電子が反結合領域のうち最もエネルギーの低い領域にある分子軌道関数(最低非占有分子軌道)を意味し、HOMOエネルギー準位とは真空準位からHOMOまでの距離を意味する。また、LUMOエネルギー準位とは、真空準位からLUMOまでの距離を意味する。
【0040】
本明細書において、バンドギャップ(bandgap)とは、HOMOとLUMOのエネルギー準位差、すなわちHOMO-LUMOギャップ(Gap)を意味する。
【0041】
本出願の一実施態様において、下記式1で表されるヘテロ環化合物を提供する。
【化5】
前記式1において、L1は、直接結合;置換もしくは非置換の炭素数6~60のアリーレン基;または置換もしくは非置換の炭素数2~60のヘテロアリーレン基であり、
R1は、置換もしくは非置換の炭素数6~60のアリール基;置換もしくは非置換の炭素数2~60のヘテロアリール基;または置換もしくは非置換のホスフィンオキシド基であり、
X1~X3は、それぞれ独立して、水素;重水素;またはシアノ基であるか、または互いに隣接する基は互いに結合し、置換もしくは非置換のC6~C60の芳香族炭化水素環または置換もしくは非置換のC2~C60のヘテロ環を形成し、
m、n、およびlはそれぞれ独立して1~5の整数であり、m、n、およびlがそれぞれ2以上である場合、括弧内の置換基は互いに同一または異なる。
【0042】
前記式1で表されるヘテロ環化合物は、フェナントリジン(phenanthridine)骨格に特定の置換基を用いてバンドギャップ(band gap)およびT1値を調節することができる。
【0043】
また、前記ヘテロ環化合物が正孔(hole)特性が強化された置換基を有する場合、特定の条件下で電子を受け取って励起された状態の化合物を安定化させることができる。このように化合物のヘテロ環骨格部位の励起状態が形成されると、励起されたヘテロ環骨格部位が異なる反応をする前に正孔(hole)特性が強化された置換基で励起されたエネルギーが安定した状態で移動され、比較的安定した化合物は、化合物の分解や破壊が起こらず、電子を効率的に伝達することができる。
【0044】
したがって、前記式1で表されるヘテロ環化合物を有機発光素子の有機物層材料として用いる場合、優れた効率および寿命の素子を具現することができる。ここで、T1値は、三重項状態(Triple state)のエネルギー準位値を意味する。
【0045】
本出願の一実施態様において、前記式1は、下記式2~式6のいずれかで表されるものであるヘテロ環化合物を提供する。
【化6】
【化7】
【化8】
【化9】
【化10】
前記式2~式6において、各置換基の定義は、前記式1における定義と同じである。
【0046】
本出願の一実施態様において、前記L1は、直接結合;置換もしくは非置換の炭素数6~60のアリーレン基;または置換もしくは非置換の炭素数2~60のヘテロアリーレン基であってもよい。
【0047】
また他の一実施態様において、前記L1は、直接結合;置換もしくは非置換の炭素数6~40のアリーレン基;または置換もしくは非置換の炭素数2~40のヘテロアリーレン基であってもよい。
【0048】
また他の一実施態様において、前記L1は、直接結合;置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリーレン基;または置換もしくは非置換の炭素数2~20のヘテロアリーレン基であってもよい。
【0049】
また他の一実施態様において、前記L1は、直接結合;置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリーレン基;または置換もしくは非置換の炭素数2~20のヘテロアリーレン基であってもよい。
【0050】
本明細書の一実施態様において、前記L1は、直接結合;または置換もしくは非置換の炭素数6~60のアリーレン基である。
【0051】
本明細書の一実施態様において、前記L1は、直接結合;または置換もしくは非置換の炭素数6~40のアリーレン基である。
【0052】
本明細書の一実施態様において、前記L1は、直接結合;または置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリーレン基である。
【0053】
本明細書の一実施態様において、前記L1は、直接結合;または置換もしくは非置換のフェニレン基;置換もしくは非置換のビフェニレン基;置換もしくは非置換のナフチレン基;または置換もしくは非置換のアントラセン基である。
【0054】
本明細書の一実施態様において、前記L1は、直接結合;フェニレン基;ビフェニレン基;ナフチレン基;またはアントラセン基である。
【0055】
本明細書の一実施態様において、前記L1は、直接結合である。
【0056】
本明細書の一実施態様において、前記L1は、置換もしくは非置換の炭素数6~60のアリーレン基である。
【0057】
本明細書の一実施態様において、前記L1は、置換もしくは非置換の炭素数6~40のアリーレン基である。
【0058】
本明細書の一実施態様において、前記L1は、置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリーレン基である。
【0059】
本明細書の一実施態様において、前記L1は、置換もしくは非置換のフェニレン基;ビフェニレン基;ナフチレン基;またはアントラセン基である。
【0060】
また他の一実施態様において、前記L1は、フェニレン基;ビフェニレン基;ナフチレン基;またはアントラセン基である。
【0061】
また他の一実施態様において、前記L1は、フェニレン基である。
【0062】
また他の一実施態様において、前記L1は、ビフェニレン基である。
【0063】
また他の一実施態様において、前記L1は、ナフチレン基である。
【0064】
また他の一実施態様において、前記L1は、アントラセン基である。
【0065】
本明細書の一実施態様において、前記R1は、置換もしくは非置換の炭素数6~60のアリール基;置換もしくは非置換の炭素数2~60のヘテロアリール基;または置換もしくは非置換のホスフィンオキシド基であってもよい。
【0066】
本明細書の一実施態様において、前記R1は、置換もしくは非置換の炭素数6~40のアリール基;置換もしくは非置換の炭素数2~40のヘテロアリール基;または置換もしくは非置換のホスフィンオキシド基であってもよい。
【0067】
本明細書の一実施態様において、前記R1は、置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリール基;置換もしくは非置換の炭素数2~20のヘテロアリール基;または置換もしくは非置換のホスフィンオキシド基であってもよい。
【0068】
本明細書の一実施態様において、前記R1は、置換もしくは非置換のフェニル基;置換もしくは非置換のビフェニル基;置換もしくは非置換のナフチル基;置換もしくは非置換のアントラセン基;置換もしくは非置換のピリジン基;置換もしくは非置換のピリミジン基;置換もしくは非置換のトリアジン基;置換もしくは非置換のフェナントリジン基;置換もしくは非置換のフェナントロリン基;または置換もしくは非置換のホスフィンオキシド基であってもよい。
【0069】
本明細書の一実施態様において、前記R1は、置換もしくは非置換のフェニル基;置換もしくは非置換のビフェニル基;置換もしくは非置換のナフチル基;置換もしくは非置換のアントラセン基;下記式A1で表される基;下記式A2で表される基;または置換もしくは非置換のホスフィンオキシド基であってもよい。
【化11】
【化12】
前記式A1およびA2において、
L2およびL3は、それぞれ独立して、直接結合;または置換もしくは非置換の炭素数6~60のアリーレン基であり、
X11~X13は、それぞれ独立して、NまたはCHであり、X11~X13のうちの少なくとも1つはNであり、
R2~R4は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;重水素;または置換もしくは非置換の炭素数6~60のアリール基であり、
*は、L1と結合する位置を意味する。
【0070】
本明細書の一実施態様において、前記L2およびL3は、それぞれ独立して、直接結合;または置換もしくは非置換の炭素数6~60のアリーレン基である。
【0071】
本明細書の一実施態様において、前記L2およびL3は、それぞれ独立して、直接結合;または置換もしくは非置換の炭素数6~40のアリーレン基である。
【0072】
本明細書の一実施態様において、前記L2およびL3は、それぞれ独立して、直接結合;または置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリーレン基である。
【0073】
本明細書の一実施態様において、前記L2およびL3は、それぞれ独立して、直接結合;置換もしくは非置換のフェニレン基;置換もしくは非置換のビフェニレン基;置換もしくは非置換のナフチレン基;または置換もしくは非置換のアントラセン基である。
【0074】
本明細書の一実施態様において、前記L2およびL3は、それぞれ独立して、直接結合;フェニレン基;ビフェニレン基;ナフチレン基;またはアントラセン基である。
【0075】
本明細書の一実施態様において、前記L2は、直接結合;フェニレン基;ビフェニレン基;ナフチレン基;またはアントラセン基である。
【0076】
本明細書の一実施態様において、前記L2は、直接結合である。
【0077】
本明細書の一実施態様において、前記L2は、フェニレン基である。
【0078】
本明細書の一実施態様において、前記L2は、ビフェニレン基である。
【0079】
本明細書の一実施態様において、前記L2は、ナフチレン基である。
【0080】
本明細書の一実施態様において、前記L2は、アントラセン基である。
【0081】
本明細書の一実施態様において、前記L3は、直接結合;フェニレン基;ビフェニレン基;ナフチレン基;またはアントラセン基である。
【0082】
本明細書の一実施態様において、前記L3は、直接結合である。
【0083】
本明細書の一実施態様において、前記L3は、フェニレン基である。
【0084】
本明細書の一実施態様において、前記L3は、ビフェニレン基である。
【0085】
本明細書の一実施態様において、前記L3は、ナフチレン基である。
【0086】
本明細書の一実施態様において、前記L3は、アントラセン基である。
【0087】
本明細書の一実施態様において、前記X11~X13は、それぞれ独立して、NまたはCHであり、X11~X13のうちの少なくとも1つはNである。
【0088】
本明細書の一実施態様において、前記X11はNであり、X12およびX13はCHである。
【0089】
本明細書の一実施態様において、前記X12はNであり、X11およびX13はCHである。
【0090】
本明細書の一実施態様において、前記X13はNであり、X11およびX12はCHである。
【0091】
本明細書の一実施態様において、前記X11およびX12はNであり、X13はCHである。
【0092】
本明細書の一実施態様において、前記X11およびX13はNであり、X12はCHである。
【0093】
本明細書の一実施態様において、前記X12およびX13はNであり、X11はCHである。
【0094】
本明細書の一実施態様において、前記X11~X13は、いずれもNである。
【0095】
本明細書の一実施態様において、前記R2~R4は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;重水素;または置換もしくは非置換の炭素数6~60のアリール基である。
【0096】
本明細書の一実施態様において、前記R2~R4は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;重水素;置換もしくは非置換のフェニル基;置換もしくは非置換のビフェニル基;置換もしくは非置換のナフチル基;または置換もしくは非置換のアントラセン基である。
【0097】
本明細書の一実施態様において、前記R2~R4は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;重水素;フェニル基またはカルバゾール基で置換もしくは非置換のフェニル基;置換もしくは非置換のビフェニル基;置換もしくは非置換のナフチル基;または置換もしくは非置換のアントラセン基である。
【0098】
本明細書の一実施態様において、前記R2~R4は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;重水素;フェニル基またはカルバゾール基で置換もしくは非置換のフェニル基;ビフェニル基;ナフチル基;またはアントラセン基である。
【0099】
本出願の一実施態様において、前記X1~X3は、それぞれ独立して、水素;重水素;またはシアノ基であるか、または互いに隣接する基は、互いに結合して、置換もしくは非置換のC6~C60の芳香族炭化水素環または置換もしくは非置換のC2~C60のヘテロ環を形成することができる。
【0100】
本出願の一実施態様において、X1は、水素;重水素;またはシアノ基であってもよい。
【0101】
本出願の一実施態様において、X1は水素である。
【0102】
本出願の一実施態様において、X1は重水素である。
【0103】
本出願の一実施態様において、X1はシアノ基である。
【0104】
本出願の一実施態様において、X2は水素;重水素;またはシアノ基であってもよい。
【0105】
本出願の一実施態様において、X2は水素である。
【0106】
本出願の一実施態様において、X2は重水素である。
【0107】
本出願の一実施態様において、X2はシアノ基である。
【0108】
本出願の一実施態様において、隣接するX2は、互いに結合して置換もしくは非置換C6~C60の芳香族炭化水素環を形成することができる。
【0109】
本出願の一実施態様において、隣接するX2は、互いに結合して置換もしくは非置換のC6~C40の芳香族炭化水素環を形成することができる。
【0110】
本出願の一実施態様において、隣接するX2は、互いに結合して置換もしくは非置換のC6~C20の芳香族炭化水素環を形成することができる。
【0111】
本出願の一実施態様において、隣接するX2は、互いに結合してC6~C20の芳香族炭化水素環を形成することができる。
【0112】
本出願の一実施態様において、隣接するX2は、互いに結合してベンゼン環を形成することができる。
【0113】
本出願の一実施態様において、X3は、水素;重水素;またはシアノ基であってもよい。
【0114】
本出願の一実施態様において、X3は水素である。
【0115】
本出願の一実施態様において、X3は重水素である。
【0116】
本出願の一実施態様において、X3はシアノ基である。
【0117】
本出願の一実施態様において、隣接するX3は、互いに結合して置換もしくは非置換のC6~C60の芳香族炭化水素環を形成することができる。
【0118】
本出願の一実施態様において、隣接するX3は、互いに結合して置換もしくは非置換のC6~C40の芳香族炭化水素環を形成することができる。
【0119】
本出願の一実施態様において、隣接するX3は、互いに結合して置換もしくは非置換のC6~C20の芳香族炭化水素環を形成することができる。
【0120】
本出願の一実施態様において、隣接するX3は、互いに結合してC6~C20の芳香族炭化水素環を形成することができる。
【0121】
本出願の一実施態様において、隣接するX3は、互いに結合してベンゼン環を形成することができる。
【0122】
本出願の一実施態様において、X1~X3は水素である。
【0123】
本出願の一実施態様において、m、n、およびlはそれぞれ独立して、1~5の整数であり、m、n、およびlが2以上の場合、括弧内の置換基は、互いに同一または異なる。
【0124】
本出願の一実施態様において、mは1~5の整数である。
【0125】
本出願の一実施態様において、mは5である。
【0126】
本出願の一実施態様において、mは4である。
【0127】
本出願の一実施態様において、mは3である。
【0128】
本出願の一実施態様において、mは2である。
【0129】
本出願の一実施態様において、mは1である。
【0130】
本出願の一実施態様において、mが2以上である場合、括弧内の置換基は互いに互いに同一または異なる。
【0131】
本出願の一実施態様において、nは1~5の整数である。
【0132】
本出願の一実施態様において、nは5である。
【0133】
本出願の一実施態様において、nは4である。
【0134】
本出願の一実施態様において、nは3である。
【0135】
本出願の一実施態様において、nは2である。
【0136】
本出願の一実施態様において、nは1である。
【0137】
本出願の一実施態様において、nが2以上である場合、括弧内の置換基は互いに同一または異なる。
【0138】
本出願の一実施態様において、lは1~5の整数である。
【0139】
本出願の一実施態様において、lは5である。
【0140】
本出願の一実施態様において、lは4である。
【0141】
本出願の一実施態様において、lは3である。
【0142】
本出願の一実施態様において、lは2である。
【0143】
本出願の一実施態様において、lは1である。
【0144】
本出願の一実施態様において、lが2以上である場合、括弧内の置換基は互いに同一または異なる。
【0145】
本出願の一実施態様において、前記式1は、下記の化合物のいずれかで表されるものであるヘテロ環化合物を提供する。
【化13】
【0146】
また、前記式1の構造に多様な置換基を導入することにより、導入された置換基固有の特性を有する化合物を合成することができる。例えば、有機発光素子の製造時に用いられる正孔注入層物質、正孔輸送層物質、発光層物質、電子輸送層物質、および電荷生成層物質に主に用いられる置換基を、前記コア構造に導入することにより、各有機物層で要求される条件を満たす物質を合成することができる。
【0147】
また、前記式1の構造に多様な置換基を導入することにより、エネルギーバンドギャップを微細に調整可能にし、一方で、有機物の間における界面での特性を向上させ、物質の用途を多様にすることができる。
【0148】
一方、前記ヘテロ環化合物は、ガラス転移温度(Tg)が高くて熱的安定性に優れる。このような熱安定性の増加は、素子に駆動安定性を提供する重要な要因となる。
【0149】
本出願の一実施態様によるヘテロ環化合物は、多段階の化学反応で製造することができる。一部の中間体化合物を先に製造し、その中間体化合物から式1のヘテロ環化合物を製造することができる。より具体的には、本出願の一実施態様によるヘテロ環化合物は、後述する製造例に基づいて製造することができる。
【0150】
本出願の他の実施様態は、前記式1で表されるヘテロ環化合物を含む有機発光素子を提供する。前記「有機発光素子」は、「有機発光ダイオード」、「OLED(Organic Light Emitting Diodes)」、「OLED素子」、「有機電界発光素子」などの用語で表現されてもよい。
【0151】
本出願の一実施態様において、第1の電極;第2の電極;および前記第1の電極と第2の電極との間に備えられた1層以上の有機物層を含む有機発光素子であって、前記有機物層のうち1層以上は、前記式1で表されるヘテロ環化合物を含むものである有機発光素子を提供する。
【0152】
本出願の一実施態様において、前記第1の電極は陽極であってもよく、第2の電極は陰極であってもよい。
【0153】
本出願のまた他の一実施態様において、前記第1の電極は陰極であってもよく、第2の電極は陽極であってもよい。
【0154】
本出願の一実施態様において、前記有機発光素子は青色有機発光素子であってもよく、前記式1によるヘテロ環化合物は、前記青色有機発光素子の材料として使用されてもよい。
【0155】
本出願のまた他の一実施態様において、前記有機発光素子は、緑色有機発光素子であってもよく、前記式1によるヘテロ環化合物は、前記緑色有機発光素子の材料として使用されてもよい。
【0156】
本出願のまた他の一実施態様において、前記有機発光素子は赤色有機発光素子であってもよく、前記式1によるヘテロ環化合物は、前記赤色有機発光素子の材料として使用されてもよい。
【0157】
前記式1で表されるヘテロ環化合物についての具体的な内容は、前述のとおりである。
本出願の有機発光素子は、上述したヘテロ環化合物を用いて1層以上の有機物層を形成することを除けば、通常の有機発光素子の製造方法および材料によって製造されてもよい。
【0158】
前記ヘテロ環化合物は、有機発光素子の製造時、真空蒸着法のみならず、溶液塗布法によって有機物層に形成されてもよい。ここで、溶液塗布法とは、スピンコーティング、ディップコーティング、インクジェットプリンティング、スクリーンプリンティング、スプレー法、ロールコーティングなどを意味するが、これらのみに限定されるものではない。
【0159】
本出願における有機発光素子の有機物層は、単層構造からなることもできるが、2層以上の有機物層が積層された多層構造からなることができる。例えば、本発明の有機発光素子は、有機物層として正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層などを含む構造を有することができる。しかし、有機発光素子の構造はこれらに限定されず、より少ない数の有機物層を含むことができる。
【0160】
本出願における有機発光素子において、前記有機物層は、電子輸送層を含み、前記電子輸送層は前記ヘテロ環化合物を含むことができる。前記ヘテロ環化合物を電子輸送層に用いた場合、化合物の分解や破壊が起こらずに電子を効率よく伝達し、有機発光素子の駆動、効率、および寿命に優れる。
【0161】
また他の有機発光素子において、前記有機物層は、正孔ブロッキング層を含み、正孔ブロッキング層はヘテロ環化合物を含むことができる。前記ヘテロ環化合物を正孔ブロッキング層に用いた場合、有機発光素子の駆動、効率、および寿命に優れる。
【0162】
本発明の有機発光素子は、発光層、正孔注入層、正孔輸送層、電子注入層、電子輸送層、電子ブロッキング層および正孔ブロッキング層からなる群から選択される1層または2層以上をさらに含むことができる。
【0163】
図1~3において、本出願の一実施態様による有機発光素子の電極と有機物層との積層順を例示した。しかし、これらの図面によって本出願の範囲が限定されることを意図したものではなく、当技術分野で知られている有機発光素子の構造を本出願にも適用することができる。
【0164】
図1によれば、基板100上に陽極200、有機物層300、および陰極400が順次積層された有機発光素子が示されている。しかし、このような構造のみに限定されるものではなく、
図2に示すように、基板上に陰極、有機物層、および陽極が順次積層された有機発光素子を具現することもできる。
【0165】
図3は、有機物層が多層である場合を例示したものである。
図3に係る有機発光素子は、正孔注入層301、正孔輸送層302、発光層303、正孔ブロッキング層304、電子輸送層305、および電子注入層306を含む。しかし、このような積層構造によって本出願の範囲が限定されるものではなく、必要に応じて発光層を除いた残りの層を省略してもよく、必要な他の機能層をさらに追加してもよい。
【0166】
前記式1で表されるヘテロ環化合物を含む有機物層は、必要に応じて他の物質をさらに含んでもよい。
【0167】
また、本出願の一実施態様による有機発光素子は、第1の電極;該第1の電極上に備えられ、第1の発光層を含む第1スタック;該第1スタック上に備えられる電荷生成層;該電荷生成層上に備えられ、第2の発光層を含む第2スタック;および前記第2スタック上に備えられる第2の電極を含む。
【0168】
このとき、前記電荷生成層は、前記式1で表されるヘテロ環化合物を含むことができる。前記ヘテロ環化合物を電荷生成層に用いた場合、有機発光素子の駆動、効率、および寿命に優れる。
【0169】
また、前記第1スタックおよび第2スタックは、それぞれ独立して、上述した正孔注入層、正孔輸送層、正孔ブロッキング層、電子輸送層、電子注入層等を1以上さらに含んでもよい。
【0170】
前記電荷生成層は、N型電荷生成層であってもよく、前記電荷生成層は、式1で表されるヘテロ環化合物に加えて、当該技術分野で知られているドーパントをさらに含んでもよい。
【0171】
本出願の一実施態様による有機発光素子であって、2-スタックテンデム構造の有機発光素子を以下の
図4に概略的に示した。
【0172】
このとき、以下の
図4に示す第1電子ブロッキング層、第1正孔ブロッキング層、および第2正孔ブロッキング層などは、場合によって省略可能である。
【0173】
本出願の一実施態様による有機発光素子において、前記式1のヘテロ環化合物以外の材料を以下に例示するが、これらは例示のためのものに過ぎず、本出願の範囲を限定するためのものではなく、当技術分野で公知の材料に代替することができる。
【0174】
陽極材料としては、比較的仕事関数の大きい材料を用いることができ、透明導電性酸化物、金属または導電性高分子などを用いることができる。前記陽極材料の具体例としては、バナジウム、クロム、銅、亜鉛、金などの金属、またはこれらの合金;酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化インジウムスズ(ITO)、イソジウム酸化亜鉛(IZO)などの金属酸化物;ZnO:AlまたはSnO2:Sbなどの金属と酸化物の組み合わせ;ポリ(3-メチルチオフェン)、ポリ[3,4-(エチレン-1,2-ジオキシ)チオフェン](PEDOT)、ポリピロール、およびポリアニリンなどの導電性高分子などがあるが、これらのみに限定されるものではない。
【0175】
陰極材料としては、比較的仕事関数の低い材料を用いることができ、金属、金属酸化物または導電性高分子などを用いることができる。前記陰極材料の具体例としては、マグネシウム、カルシウム、ナトリウム、カリウム、チタニウム、インジウム、イットリウム、リチウム、ガドリニウム、アルミニウム、銀、錫、および鉛などの金属またはこれらの合金;LiF/AlまたはLiO2/Alなどの多層構造材料などがあるが、これらのみに限定されるものではない。
【0176】
正孔注入材料としては、公知の正孔注入材料を用いることもできるが、例えば、米国特許第4,356,429号に開示された銅フタロシアニン等のフタロシアニン化合物、または文献[Advanced Material,6,p.677(1994)]に記載されているスターバースト型アミン誘導体類、例えば、トリス(4-カルバゾイル-9-イルフェニル)アミン(TCTA)、4,4’,4”-トリ[フェニル(m-トリル)アミノ]トリフェニルアミン(m-MTDATA)、1,3,5-トリス[4-(3-メチルフェニルフェニルアミノ)フェニル]ベンゼン(m-MTDAPB)、可溶性導電性高分子であるポリアニリン/ドデシルベンゼンスルホン酸(Polyaniline/Dodecylbenzenesulfonic acid)またはポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(4-スチレンスルホネート)(Poly(3,4-ethylenedioxythiophene)/Poly(4-styrenesulfonate))、ポリアニリン/キャンパースルホン酸(Polyaniline/Camphor sulfonic acid)またはポリアニリン/ポリ(4-スチレンスルホネート)(Polyaniline/Poly(4-styrenesulfonate))などを用いることができる。
【0177】
正孔輸送材料としては、ピラゾリン誘導体、アリールアミン系誘導体、スチルベン誘導体、トリフェニルジアミン誘導体などを用いることができ、低分子または高分子材料を用いることもできる。
【0178】
電子輸送材料としては、オキサジアゾール誘導体、アントラキノジメタンおよびその誘導体、ベンゾキノンおよびその誘導体、ナフトキノンおよびその誘導体、アントラキノンおよびその誘導体、テトラシアノアントラキノジメタンおよびその誘導体、フルオレノン誘導体、ジフェニルジシアノエチレンおよびその誘導体、ジフェノキノン誘導体、8-ヒドロキシキノリンおよびその誘導体の金属錯体などを用いることができ、低分子物質だけでなく、高分子物質も用いることができる。
【0179】
電子注入材料としては、例えば、LiFが当業界で代表的に用いられるが、本出願がこれに限定されるものではない。
【0180】
発光材料としては、赤色、緑色または青色の発光材料を用いることができ、必要に応じて、2以上の発光材料を混合して使用することができる。このとき、2つ以上の発光材料を個別的な供給源として蒸着して使用するか、予備混合して1つの供給源として蒸着して使用することができる。また、発光材料としては、蛍光材料を用いることもできるが、燐光材料として用いることもできる。発光材料としては、単独として陽極と陰極からそれぞれ注入された正孔と電子を結合して発光させる材料が使用されてもよいが、ホスト材料とドーパント材料が共に発光に関与する材料が使用されてもよい。
【0181】
発光材料のホストを混合して用いる場合には、同一系列のホストを混合して使用してもよく、異なる系列のホストを混合して用いてもよい。例えば、n型ホスト材料またはp型ホスト材料のいずれか2種以上の材料を選択して発光層のホスト材料として使用することができる。
【0182】
本出願の一実施態様による有機発光素子は、使用される材料によって、前面発光型、後面発光型、または両面発光型であってもよい。
本出願の一実施態様によるヘテロ環化合物は、有機太陽電池、有機感光体、有機トランジスタなどをはじめとする有機電子素子においても、有機発光素子に適用されるのと類似の原理で作用できる。
【実施例】
【0183】
以下、実施例を通じて本明細書をより詳細に説明するが、これらは本出願を例示するためのものに過ぎず、本出願の範囲を限定するものではない。
【0184】
<実施例>
<製造例1>化合物1の製造
【化14】
【0185】
1)化合物1-1の製造
7-ブロモナフタレン-2アミン(7-Bromonaphthalen-2-amine)(A)(50g、0.225mol、1eq)、ベンズアルデヒド(Benzaldehyde)(B)(28.6g、0.27mol、1.2eq)、アセトフェン(Acetophenone)(C)(32.4g、0.27mol、1.2eq)、ヨウ素(Iodine)(2.85g、0.011mol、0.05eq)にテトラヒドロフラン(Tetrahydrofuran)(750ml)を入れ、80℃で10h攪拌した。水を入れて反応を終了させた後、塩化メチレン(Methylene chloride、MC)と水を用いて抽出した。その後、MgSO4で水分を除去した。シリカゲル(Silicagel)カラムで分離して化合物1-1(42g、45%)得た。
【0186】
2)化合物1-2の製造
化合物1-1(42g、0.102mol、1eq)、ビス(ピナコラート)ジボロン(bis(pinacolato)diboron)(39g、0.15mol、1.5eq)、酢酸カリウム(KOAc)(30g、0.30mol、3eq)、Pd(dppf)Cl2(7.5g、0.01mol、0.1eq)に1-4-ジオキサン(1,4-Dioxane)(420ml)を入れ、100℃で6時間攪拌した。水を入れて反応を終了させた後、塩化メチレン(Methylene chloride、MC)と水を用いて抽出した。その後、MgSO4で水分を除去した。シリカゲル(Silicagel)カラムで分離して化合物1-2(34g、72%)得た。
【0187】
3)化合物1の製造
化合物1-2(7g、0.015mol、1eq)、2-クロロ-4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン(2-chloro-4,6-diphenyl-1,3,5-triazine)(D)(4.3g、0.016mol、1.05eq)、K3PO4(6.5g、0.03mol、2eq)、Pd(PPh3)4(0.88g、0.0007mol、0.0.05eq)に1-4-ジオキサン(1,4-Dioxane)(140ml)、H2O(35ml)を入れて、100℃で6時間撹拌した。得られた固体をフィルター乾燥後、化合物1を(16.8g 、79%)得た。
【0188】
前記製造例1において、7-ブロモナフタレン-2アミン(7-Bromonaphhalen-2-アミン)(A)の代わりに下記の表1における中間体A、ベンズアルデヒド(Benzaldehyde)(B)の代わりに下記の表1における中間体B、アセトフェノン(Acetophenone)(C)の代わりに下記の表1における中間体C、2-クロロ-4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン(2-chloro-4,6-diphenyl-1,3,5-トリアジン)(D)の代わりに、下記の表1における中間体Dを用いて同じ方法で化合物を合成した。
【0189】
【0190】
前記製造例と同様の方法で化合物を製造し、その合成確認結果を下記の表2および表3に示す。下記表2は、1H NMR(CDCl3、200Mz)の測定値であり、下記の表3は、FD-質量分析計(FD-MS:Field desorption mass spectrometry)の測定値である。
【0191】
【0192】
【0193】
<実験例>
<実験例1>
(1)有機発光素子の製造
有機発光素子用ガラス(サムスンコーニング社製)から得られた透明電極インジウムチンオキサイド(ITO)薄膜をトリクロロエチレン、アセトン、エタノール、蒸留水を順次使用して各5分間超音波洗浄を行った後、イソプロパノールに入れて保管した後に使用した。次に、真空蒸着装置の基板フォルダにITO基板を設け、真空蒸着装置内のセルに、下記4,4’,4”-トリス(N,N-(2-ナフチル)-フェニルアミノ)トリフェニルアミン(4,4’,4”-tris(N,N-(2-naphthyl)-phenylamino)triphenyl amine:2-TNATA)を入れた。
【化15】
【0194】
次いで、チャンバ内の真空度が10
-6torrに到達するまで排気させた後、セルに電流を印加して2-TNATAを蒸発させて、ITO基板上に600Åの厚さの正孔注入層を蒸着した。真空蒸着装置内の他のセルに、下記のN,N’-ビス(α-ナフチル)-N、N’-ジフェニル-4,4’-ジアミン(N,N’-bis(α-ナフチル)-N,N’-ジフェニル-4,4’-ジアミン:NPB)を入れて、セルに電流を印加して蒸発させて、正孔注入層上に300Åの厚さの正孔輸送層を蒸着した。
【化16】
【0195】
このように正孔注入層および正孔輸送層を形成させた後、その上に、発光層として下記のような構造の青色発光材料を蒸着させた。具体的には、真空蒸着装置内の一方のセルに、青色発光ホスト材料であるH1を200Åの厚さに真空蒸着させ、その上に、青色発光ドーパント材料であるD1をホスト材料に対して5wt%真空蒸着させた。
【化17】
次いで、電子輸送層として下記構造式E1の化合物を300Åの厚さに蒸着した。
【化18】
【0196】
電子注入層としてフッ化リチウム(litium fluoride:LiF)を10Åの厚さに蒸着し、Al陰極を1,000Åの厚さにして、有機発光素子を製造した。一方、有機発光素子の製造に必要な全ての有機化合物は、材料毎にそれぞれ10
-6~10
-8torr下で真空昇華精製して、比較例1の有機発光素子を製造した。
また、前記比較例1の有機発光素子の製造方法において、電子輸送層形成時に用いたE1の代わりに下記表4に示される化合物、E2~E5を用いたことを除き、比較例1の有機発光素子の製造方法と同様の方法で実施例1~30および比較例2~5の有機発光素子を製造した。
【化19】
【0197】
(2)有機発光素子の駆動電圧、発光効率および色座標(CIE)
本発明により製造された有機発光素子は、青色有機発光素子であり、前記実施例1~30および比較例1~5の有機発光素子の駆動電圧、発光効率、色座標(CIE)、寿命を測定した結果は、表4のとおりである。
具体的には、前記実施例1~30および比較例1~5の有機発光素子について、マックサイエンス社のM7000でそれぞれ電界発光(EL)特性を測定し、その測定結果をもってマックサイエンス社製の寿命測定装置(M6000)により基準輝度が6,000cd/m2のとき、初期輝度対比95%になる時間である寿命T95(単位:h、時間)測定した。
【0198】
【0199】
前記表4の結果から分かるように、本発明の青色有機発光素子の電子輸送層材料を用いた有機発光素子は、比較例1~5に比べて駆動電圧が低く、発光効率および寿命が著しく改善された。このような結果の要因としては、適切な長さと強度および平坦な特性を有する化合物が電子輸送層として用いられた時、特定の条件下で電子を受けて励起状態の化合物が作られ、特に、化合物のヘテロ環骨格部位の励起状態が形成されると、励起されたヘテロ環骨格部位が別の反応をする前に励起されたエネルギーが安定した状態で移動されるはずであり、比較的安定した化合物は化合物の分解または破壊は起こらず、電子を効率的に伝達できるからであると判断される。参考までに、励起されたときに安定した状態を有するものは、アリール、アセン類化合物、または多員環ヘテロ化合物であると考えられる。したがって、本発明の化合物は、向上された電子輸送特性または改善された安定性を向上させ、駆動、効率、寿命のあらゆる面で優れていると判断される。
【0200】
<実験例2>
(1)有機発光素子の製造
有機発光素子用ガラス(サムスンコーニング社製)から得られた透明電極インジウムチンオキサイド(ITO)薄膜をトリクロロエチレン、アセトン、エタノール、蒸留水を順次に用いて、各5分間超音波洗浄を行った後、イソプロパノールに入れて保管した後に使用した。次に、真空蒸着装置の基板フォルダにITO基板を設け、真空蒸着装置内のセルに、下記4,4’,4”-トリス(N,N-(2-ナフチル)-フェニルアミノ)トリフェニルアミン(4,4’,4”-tris(N,N-(2-naphthyl)-phenylamino)triphenyl amine:2-TNATA)を入れた。
【化20】
次いで、チャンバ内の真空度が10
-6torrに到達するまで排気させた後、セルに電流を印加して2-TNATAを蒸発させて、ITO基板上に600Åの厚さの正孔注入層を蒸着した。真空蒸着装置内の他のセルに、下記N,N’-ビス(α-ナフチル)-N,N’-ジフェニル-4,4’-ジアミン(N,N’-bis(α-naphthyl)-N,N’-diphenyl-4,4’-diamine:NPB)を入れて、セルに電流を印加して蒸発させて、正孔注入層上に300Åの厚さの正孔輸送層を蒸着した。
【化21】
【0201】
このように正孔注入層および正孔輸送層を形成した後、その上に発光層として次のような構造の青色発光材料を蒸着させた。具体的には、真空蒸着装置内の一方のセルに青色発光ホスト材料であるH1を200Åの厚さに真空蒸着させ、その上に青色発光ドーパント材料であるD1をホスト材料に対して5wt%真空蒸着させた。
【化22】
【0202】
次いで、電子輸送層として、下記構造式E1の化合物を300Åの厚さに蒸着した。
【化23】
【0203】
電子注入層として、フッ化リチウム(lithium fluoride:LiF)を10Åの厚さに蒸着し、Al陰極を1,000Åの厚さにして、比較例6の有機発光素子を製造した。一方、有機発光素子の製造に必要な全ての有機化合物は、材料毎にそれぞれ10
-6~10
-8torr下で真空昇華精製して、比較例6の有機発光素子を製造した。
また、前記比較例6の有機発光素子の製造方法において、E1の化合物を300Åの厚さに蒸着して、電子輸送層を形成する代わりに、電子輸送層E1の厚さを250Å形成した後、前記電子輸送層上部に下記表5に示す化合物の厚さを50Åに正孔ブロッキング層を形成したことを除いては、前記比較例6の有機発光素子の製造方法と同様の方法で実施例31~60および比較例7~10の有機発光素子を製造した。
【化24】
【0204】
下記表5において、比較例6のE1は、電子輸送層E1の厚さが300Åの場合(別途の正孔ブロッキング層を形成しない)を意味する。
【0205】
(2)有機発光素子の駆動電圧、発光効率および色座標(CIE)
本発明により製造された有機発光素子は、青色有機発光素子であり、前記実施例31~60および比較例6~10の有機発光素子の駆動電圧、発光効率、色座標(CIE)、寿命を測定した結果は、下記表5のとおりであった。
具体的には、前記実施例31~60および比較例6~10の有機発光素子に対してマックサイエンス社のM7000でそれぞれ電界発光(EL)特性を測定し、その測定結果をもってマックサイエンス社製の寿命測定装備(M6000)により、基準輝度が6,000cd/m2のとき、初期輝度対比95%になる時間である寿命T95(単位:h、時間)測定した。
【0206】
【0207】
前記表5の結果から分かるように、本発明の青色有機発光素子の正孔ブロッキング層材料を用いた有機発光素子は、比較例6~10に比べて駆動電圧が低く、発光効率および寿命が著しく改善された。このような結果の要因は、正孔の場合、発光層で結合されずに、電子輸送層を通過して陰極に移動すると、OLED素子の効率および寿命が減少する現象が発生する。このような現象を防ぐために深いHOMOレベルを有する化合物を正孔ブロッキング層として用いると、発光層を通過して陰極に移動しようとする正孔が正孔ブロッキング層のエネルギー障壁に遮られる。それによって、正孔と電子がエキシトンを形成する確率が高くなり、発光層から光として放出される可能性が高くなって、本発明の化合物が駆動、効率、寿命のあらゆる面で優れることになったと判断される。
【符号の説明】
【0208】
100 ・・・基板
200 ・・・陽極
300 ・・・有機物層
301 ・・・正孔注入層
302 ・・・正孔輸送層
303 ・・・発光層
304 ・・・正孔ブロッキング層
305 ・・・電子輸送層
306 ・・・電子注入層
400 ・・・陰極
【国際調査報告】