(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-03
(54)【発明の名称】不浸透性材料を有する電気接続装置
(51)【国際特許分類】
H05K 5/00 20060101AFI20230127BHJP
H05K 5/06 20060101ALI20230127BHJP
【FI】
H05K5/00 B
H05K5/06 E
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022532120
(86)(22)【出願日】2020-12-02
(85)【翻訳文提出日】2022-07-19
(86)【国際出願番号】 FR2020052255
(87)【国際公開番号】W WO2021111079
(87)【国際公開日】2021-06-10
(32)【優先日】2019-12-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511110625
【氏名又は名称】ジェイテクト ユーロップ
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ダラクア クレモン
【テーマコード(参考)】
4E360
【Fターム(参考)】
4E360AB31
4E360AB34
4E360BD05
4E360CA01
4E360EA03
(57)【要約】
【解決手段】2つの電気ユニットを接続する接続装置(1’)であって、
第1の電気ユニットに連結され、絶縁シース(6’)によって囲まれた導電性コア(5’)を含む電線(4’)と、
第2の電気ユニットに連結され、導電性コア(5’)の剥離端(51’)に固定された導電性タブ(3’)とが中に配置されたケース(2’)を含み、、電線(4’)及び導電性タブ(3’)のすべてが、ケース(2’)を満たし、絶縁シース(6’)に接着された封止材料(7’)に浸漬され、装置(1’)は、絶縁シース(6’)を部分的に被覆する中間エンベロープ(8’)を含み、そのため、絶縁シース(6’)は、縮小された部分(62’)でのみ封止材料(7’)と接触し、中間エンベロープ(8’)は、封止材料(7’)及び/又は絶縁シース(6’)と摺接している。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
密封状態で、第1の電気ユニットと第2の電気ユニットとを電気的に接続するように適応した接続装置(1’)であって、前記接続装置(1’)は、内部空間(21’)を定義する接続ケース(2’)を含み、
前記内部空間(21’)には、
前記第1の電気ユニットに連結されるように適応し、導電性コア(5’)を含み、前記導電性コア(5’)は、当該導電性コア(5’)の剥離端(51’)まで絶縁シース(6’)によって囲まれた少なくとも1つの電線(4’)と、
前記第2の電気ユニットに連結され、導電性タブと前記導電性コアとの間に電気的接触を作るように、前記導電性コア(5’)の前記剥離端(51’) に機械的に固定されるように適応した前記導電性タブ(3’)とが配置され、
前記導電性タブ(3’)、前記剥離端(51’)及び前記絶縁シース(6’)は、前記接続ケース(2’)の前記内部空間(21’)を満たし、前記導電性タブ(3’)と前記剥離端(51’)との間の電気的接続の封止を確実にする封止材料(7’)に浸漬され、前記封止材料(7’)は 前記絶縁シース(6’)及び前記接続ケース(2’)に接着され、
前記接続装置(1’)は、前記絶縁シース(6’)を部分的に被覆する中間エンベロープ(8’)を含み、そのため、前記絶縁シース(6’)は、前記絶縁シース(6’)の縮小された部分(62’)でのみ前記封止材料(7’)と接触し、前記絶縁シース(6’)は、前記封止材料(7’)及び/又は前記絶縁シース(6’)と摺接することを特徴とする接続装置。
【請求項2】
請求項1に記載の接続装置(1’)であって、
前記封止材料(7’)は前記中間エンベロープ(8’)に接着され、前記中間エンベロープ(8’)は、前記絶縁シース(6’)に摺動可能に取り付けられている接続装置。
【請求項3】
請求項1に記載の接続装置(1’)であって、
前記中間エンベロープ(8’)は、前記絶縁シース(6’)に接着され、前記封止材料(7’)と摺接している接続装置。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の接続装置(1’)であって、
前記中間エンベロープ(8’)及び前記絶縁シース(6’)は、それぞれ異なる材料から作製されている接続装置。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の接続装置(1’)であって、
前記中間エンベロープ(8’)は、前記封止材料(7)よりも熱膨張係数が低い材料で作製されている接続装置。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載の接続装置(1’)であって、
前記中間エンベロープ(8’)は、発泡状材料で形成されている接続装置。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載の接続装置(1’)であって、
前記電線(4’)は、前記接続ケース(2)の側壁(23’)に形成されたオリフィス(231’) を通って前記内部空間(21’)に入り、前記導電性コア(5’)、前記絶縁シース(6’)、及び前記中間エンベロープ(8’)は、前記オリフィス(231’)を通って前記側壁(23’)を通過する接続装置。
【請求項8】
請求項7に記載の接続装置(1’)であって、
前記中間エンベロープ(8’)は、前記接続ケース(2’)の前記側壁(23’)から延びる単一の部分のみからなる接続装置。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか1項に記載の接続装置(1’)であって、
前記電線(4’)の前記導電性コア(5’)は、少なくとも2つの別個の銅ストランドによって形成される接続装置。
【請求項10】
自動車の制御システムであって、前記制御システムは、
少なくとも1つのアクチュエータ又はセンサ、例えばステアリングアシストモータ又はトルクセンサと、
前記少なくとも1つのアクチュエータ又はセンサを操縦するように構成された電子ボードと、
前記請求項1~9のいずれか1項に記載の接続装置(1’)とを備え、
前記導電性タブ(3’)は前記電子ボードに電気的に連結され、前記電線(4’)は前記少なくとも1つのアクチュエータ又はセンサに電気的に連結される制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2つの電気ユニットを電気的に封止接続するように設計された電気接続装置に関する。
【0002】
本発明は、このような接続装置を含む自動車にも関する。
【背景技術】
【0003】
自動車は一般に、運転者がそれを操縦するために必要とされる労力を軽減するために、パワーステアリングシステムを装備している。
【0004】
このパワーステアリングシステムは通常、密閉ケースの内側に配置された電子ボードによって操縦される自動車のエンジンルーム内に配置された電動アシストモータを含む。
【0005】
このアシストモータとこの電子ボードとの間に配置され、これら2つの要素間の電気的接続を行う接続装置を使用することが知られている。
【0006】
また、このような接続装置を使用して、自動車の電子ボードと後者のワイヤハーネスとの間を電気的に接続し、前記電子ボードに前記自動車の様々な機能アセンブリを接続することも知られている。
【0007】
さらに、これらの接続装置はアシストモータと電子ボードとの間、又は電子ボードと車両のハーネスとの間で行われる電気接続の封止を保証するように適応し、それにより、自動車のエンジンルーム内の外部液体又はガスの存在による前記電気接続を妨害しない。
【0008】
例えば、欧州特許出願公開第2500986号明細書には、アシストモータに連結された電線と、電子ボードに連結された電気コネクタとが配置されたケースを含む接続装置が記載されている。
【0009】
これらの電線はそれぞれ、導電性コアを取り囲む絶縁シースを有し、この導電性コアはいくつかの銅ストランドで形成され、電気コネクタに溶接又は圧着された剥離端を有し、したがって、アシストモータと電子ボードとの間に電気的接続を形成する。
【0010】
また、ケース内部には封止樹脂が充填されており、電線や電気コネクタを埋め込み、電気接続部の封止性を確保している。
【0011】
しかし、一旦この封止樹脂が固化すると、電線の絶縁シースと一体となり、封止樹脂のいかなる機械的変形も絶縁シースの変形を引き起こす。
【0012】
特に、封止樹脂は著しい温度変動にさらされると、(温度上昇の場合に)膨張するか、又は(温度低下の場合に)収縮する傾向があり、その結果、電線の絶縁シースが変形する。
【0013】
この変形により、導電性コアは電線の絶縁シースに対して相対的に変位する。導電性コアが絶縁シースの内側を滑り、絶縁シースから交替に抽出され、次いで、その中で押し戻される。
【0014】
この現象は「ポンピング現象」と呼ばれる。
【0015】
絶縁シースに対する導電性コアの相対的な移動は特に、これらの導電性コアとこれらの絶縁シースとの間の位置ずれが起こった場合に、導電性コアを構成する銅ストランドのねじれという結果をもたらし、経時的に、接続装置を介して接続される2つの電気ユニット間の電気的接続の破裂をもたらすことがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】欧州特許出願公開第2500986号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明は、2つの電気ユニット間の良好な電気的接続を保証することを可能にする装置を提供することによって、後者が多数の温度変動にさらされた後でも、この欠点の全部または一部を解決することを目的とする。
【0018】
本発明の別の目的は、設計及び製造において単純かつ安価なままである接続装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
この目的のために、本発明は、密封状態で、第1の電気ユニットと第2の電気ユニットとを電気的に接続するように適応した接続装置を提供し、前記接続装置は内部空間を定義する接続ケースを含み、内部空間には、
前記第1の電気ユニットに連結されるように適応し、導電性コアを含み、前記導電性コアは、当該導電性コアの剥離端まで絶縁シースによって囲まれた少なくとも1つの電線と、
前記第2の電気ユニットに連結され、導電性タブと前記導電性コアとの間に電気的接触を作るように、前記導電性コアの前記剥離端に機械的に固定されるように適応した前記導電性タブとが配置され、
前記導電性タブ、前記剥離端及び前記絶縁シースは、前記接続ケースの前記内部空間を満たし、前記導電性タブと前記剥離端との間の電気的接続を封止する封止材料に浸漬され、前記封止材料は 前記絶縁シース及び前記接続ケースに接着され、
前記接続装置は、前記絶縁シースを部分的に被覆する中間エンベロープを含み、そのため、前記絶縁シースは、前記絶縁シースの縮小された部分でのみ前記封止材料と接触し、前記絶縁シースは、前記封止材料及び/又は前記絶縁シースと摺接(摺動接触)することを特徴とする。
【0020】
このような接続装置は、この導電性タブを電線の導電性コアの剥離端に接触させることにより、電線に連結された第1の電気ユニットと、導電性タブに連結された第2の電気ユニットとを電気的に接続することを可能にする。
【0021】
導電性タブ、剥離端及び絶縁シースが埋め込まれた封止材料の存在により、この接続の封止を確実にすることが可能となる。
【0022】
本発明は、封止材料と絶縁シースとの接触面を小さくし、ポンピング現象を低減するように、電線の封止材料と絶縁シースとの間に、中間エンベロープにより形成されるインタフェースを配置することを提案する。
【0023】
しかし、第1の電気ユニットと第2の電気ユニットとの電気的接続の封止を確実にするためには、封止材料が電線の絶縁シースと接触したままであっても、接触面が縮小されていることが必要であることに留意されたい。
【0024】
中間エンベープは、封止材料、絶縁シース、又はこれらの2つの要素と摺接しており、前記絶縁シースは、前記中間エンベロープに沿って前記封止材料にもはや機械的に結合されていない。
【0025】
したがって、封止材料の膨張又は収縮は、この封止材料とこの絶縁シースとの間に存在する縮小された接触面のレベルでのみ、電線の絶縁シースの変形をもたらす。
【0026】
このようにして、封止材料の熱膨張又は収縮によって生じる、電線の絶縁シースと導電性コアとの間の相対移動はかなり減少し、この導電性コアのねじれ又は破裂の危険が回避される。
【0027】
本発明に係る接続ケースは、電線の絶縁シースを封入する中間エンベロープの存在のおかげで、温度の強い変動があっても、第1の電気ユニットと第2の電気ユニットとの電気的接続の良好な品質を保証する。
【0028】
第1の実施形態では、封止材料が中間エンベロープに接着され、前記中間エンベロープは絶縁シースに摺動可能に取り付けられる。
【0029】
この特徴は例えば、絶縁シース及び中間エンベロープのための材料の特定の選択によって、またはこれらの要素のうちの少なくとも1つの表面処理によって達成され得る。
【0030】
次いで、中間エンベロープは封止材料に固定され、それに機械的に結合され、したがって、封止材料の膨張又は収縮はこの中間エンベロープの変形をもたらすが、これらの変形はこれら2つの要素間の摺接の結果、絶縁シースに伝達されない。
【0031】
絶縁シースと中間エンベロープとの間の機械的摩擦の強度は非常に低く、この絶縁シースはこの中間エンベロープに沿って何ら変形を経ず、中間エンベロープは変形することなく絶縁シース上を摺動する。
【0032】
したがって、絶縁シースは、封止材料の膨張又は収縮に続いて、中間エンベロープに沿って変形しない。
【0033】
第2の実施形態では、中間エンベロープが絶縁シースに接着され、封止材料と摺接している。
【0034】
中間エンベロープは封止材料に接着されていないので、温度が上昇又は降下した場合に封止材料が膨張又は収縮した場合に変形せず、したがって、電線の絶縁シースは中間エンベロープに沿ったいかなる変形に対しても保護される。
【0035】
また、中間エンベロープは、絶縁シースにも封止材料にも接着されず、かつこれら2つの要素のいずれにも機械的に結合されないようにすることも可能である。
【0036】
また、このような接続装置が自動車のパワーステアリングシステム内で使用される場合(本発明の好ましいが非限定的な使用範囲)、第1の電気ユニットはアシストモータ又はトルクセンサに対応し、第2の電気ユニットは前記アシストモータ又は前記トルクセンサを操縦するように適応した電子ボードに対応してもよく、したがって、本発明に係る接続装置は、この電子ボードを前記アシストモータ又はトルクセンサに密封状態で電気的に接続することを可能にすることに留意されたい。
【0037】
より一般的には、第1の電気ユニットが自動車の電気ハーネスに対応し、第2の電気ユニットが、そのような自動車の様々なアクチュエータによって電力供給されるか、又はそれらと通信することができる電子ボードに対応してもよい。
【0038】
第3の実施形態では、中間エンベロープが絶縁シースにも封止材料にも接着されず、前記絶縁シースと封止材料の両方と摺接している。
【0039】
一実施形態では、中間エンベロープ及び絶縁シースがそれぞれ異なる材料から作製される。
【0040】
1つの可能性によれば、中間エンベロープは、封止材料よりも低い熱膨張係数を有する材料で作製されている。
【0041】
中間エンベロープを絶縁シースに接着する場合、この中間エンベロープを製造するために熱膨張係数の低い材料を選択することは、温度変動時にこの中間エンベロープが経る変形をできるだけ小さくするために実に有利である。この中間エンベロープに絶縁シースが接触していることにより、絶縁シースが経る変形を小さくできる。
【0042】
特に、封止材料の熱膨張係数よりも低い熱膨張係数を有する材料を選択することにより、封止材料がこの絶縁シースに直接接着される技術水準の接続装置と比較して、絶縁シースが受ける変形を二重に減らすことが可能になる。封止材料が中間エンベロープの存在により、もはや絶縁シースと接触しないだけでなく、この中間エンベロープが、封止材料と比較して、より小さく膨張(又は収縮)する。
【0043】
1つの特徴によれば、中間エンベロープは、発泡状材料から形成される。
【0044】
別の特徴によれば、中間エンベロープは、熱収縮性スリーブによって形成される。
【0045】
この方法で、絶縁シース上の中間エンベロープの組立は大幅に簡素化されるが、これは、そのとき前記中間エンベロープを前記絶縁シースの周囲に遊びをもって配置すればよいからである。中間エンベロープを加熱することで、それは、その熱収縮性のために、前記絶縁シースと接触するまで自動的に後退する。
【0046】
一実施形態では、前記電線が前記接続ケースの側壁に形成されたオリフィスを通って前記内部空間に入り、前記導電性コア、前記絶縁シース、及び前記中間エンベロープは、前記オリフィスを通って前記側壁を通過する。
【0047】
したがって、この実施形態では絶縁シースが接続ケースとは決して直接接触せず、接続ケースが変形した場合(例えば、温度変動が生じた場合の封止材料の膨張又は収縮の影響下)に、絶縁シースはこの変形によって影響を受けない。したがって、接続ケースの変形は、この導電性コアのねじれを引き起こす可能性がある,絶縁シースと電線の導電性コアとの間のいかなる相対運動も引き起こさない。
【0048】
1つの特徴によれば、導電性コア、電気シース及び中間エンベロープは、接続ケースの底部に平行な長手方向に延在する。
【0049】
もちろん、第1の電気ユニット及び第2の電気ユニットに対する接続ケースの配置に特に応じて、他の実施形態も可能である。
【0050】
1つの可能性によれば、中間エンベロープは、接続ケースの側壁から延びる単一の部分のみからなる。
【0051】
それから、封止材料が絶縁シースに接着される縮小された接触面は、導電性コアの剥離端の近くに位置する。
【0052】
また、この接触面は、電気的接続の良好な封止を保証するために必要な最小限に縮小されることが有利である。
【0053】
同様に、中間エンベロープは、側壁から測定してできるだけ長い長さを有することが有利である。
【0054】
また、この特徴は、導電性コアのねじれの危険性、及び第1の電気ユニットと第2の電気ユニットとの間の電気的接続の品質の劣化の危険性をかなり低減することを保証することを可能にする。
【0055】
1つの可能性によれば、中間エンベロープは、絶縁シースよりも大きい厚さを有する。
【0056】
1つの特徴によれば、タブは接続ケース及び電線の導電性コアに固定され、前記接続タブは溶接又は圧着によって前記導電性コアに留められる。
【0057】
この場合、導電性コアは、導電性タブを介して接続ケースに固定される。
【0058】
一実施形態では、電線の導電性コアが少なくとも2つの別個の銅ストランドによって形成される。
【0059】
この場合、電線は「マルチストランド」タイプのものであり、特に、電線のコアを構成するストランドの組(「ストランデッドワイヤ」とも呼ばれる)が小さい断面(例えば、0.5mm2未満)を有する場合、ポンピング現象に特に敏感である。ポンピング現象の強度を制限するために、絶縁シースが封止材料に接着されるレベルで、縮小された接触面のサイズを可能な限り小さくすることが有利である。
【0060】
本発明はまた、自動車制御システムにも関し、前記制御システムは、
少なくとも1つのアクチュエータ又はセンサ、例えばステアリングアシストモータと、
前記少なくとも1つのアクチュエータ又はセンサを操縦するように構成された電子ボードと、
請求項1~9のいずれか1項に記載の接続装置とを備え、
前記導電性タブは前記電子ボードに電気的に連結され、前記電線は前記少なくとも1つのアクチュエータ又はセンサに電気的に連結される。
【0061】
少なくとも1つのアクチュエータがステアリングアシストモータ(又はトルクセンサ)に対応する場合、本発明に係る制御システムは、自動車のステアリングアシストシステムに対応する。
【図面の簡単な説明】
【0062】
本発明の他の特徴及び利点は、添付の図面を参照してなされる非限定的な実施例の以下の詳細な説明を読むことによって明らかになるであろう。
【
図1】
図1は、技術水準の接続装置の概略図である。
【
図2】
図2は、技術水準の接続装置の要素の機械的リンケージの概略図である。
【
図4】
図4は、ポンピング効果の影響の概略図であり、
【
図5】
図5は、本発明に係る接続装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0063】
図1は技術水準の接続装置1を示し、この接続装置1は、底部22と2つの側壁23とによって画定される内部空間21を有する接続ケース2を含む。
【0064】
この内部空間21には、導電性タブ3及び電線4が配置されており、導電性タブ3はオリフィス221を通って底部22を通過し、電線4はオリフィス231を通って側壁23の一方を通過する。
【0065】
電線4は、数本の銅ストランド(図示せず)からなり、電気絶縁性の材料から作製された絶縁シース6によって囲まれた導電性コア5で形成され、そのため、この導電性コア5は、接続ケースの内部空間21に配置され、かつ絶縁シース6の外側に位置する剥離端51と、絶縁シース内であって接続ケースの内部空間21の外側に位置する一端52とを有する。
【0066】
この剥離端51は、導電性タブ3の第1端部31とも接触している。
【0067】
例えば、剥離端51は、第1端部31に圧着又は溶接される。
【0068】
剥離端51を第1端部31に接触させることにより、接続装置1は、接続ケース2の内部空間21の外側に位置する導電性コア5の一端52と、同じく接続ケース2の内部空間21の外側に位置する導電性タブ3の第2端部32との間の電気的接続を可能にする。
【0069】
第1の電気ユニット(図示せず)に一端52を、第2の電気ユニット(図示せず)に第2端部32を連結することにより、接続装置1は、この第1の電気ユニットとこの第2の電気ユニットとを電気的に接続することを可能にする。
【0070】
例えば、第1の電気ユニットは、自動車のアシストシステムで使用される電気アシストモータ又はトルクセンサで構成され、第2の電気ユニットは、この同じ電気アシストモータ又はトルクセンサを操縦するように適応する電子ボードで構成されてもよい。
【0071】
また、接続ケース2の内部空間21には、少なくとも部分的に封止材料7が充填されており、この内部空間21に配置された導電性タブ3、剥離端51及び絶縁シース6の部分が封止材料7に完全に浸漬されるようになっている。
【0072】
特に、剥離端51及び第1端部31は、封止材料7によって覆われている。
【0073】
例えば、封止材料7は、樹脂系材料であってもよい。
【0074】
封止材料7の役割は、一端52と第2端部32との電気的接続の封止を保証することである。
【0075】
この封止を保証するために、接続装置1の種々の要素は互いに一体化され、機械的に一緒に連結されている。
【0076】
図2は、互いに固定され留められた2つの要素間の接触面を太線で示す。
【0077】
特に、導電性タブ3は、接続ケース2内に直接オーバーモールドされ、従って、底部22(参照される301である接触面のレベルで)と、この同じ底部23を有する材料から形成された支持体221(接触面302のレベルで)とに留められる。
【0078】
同様に、導電性コア5は例えば、圧着又は溶接によって、接触面501のレベルで導電性タブ3に留められる。
【0079】
最後に、封止材料7は、底部22、支持体221、及び側壁23(接触面701のレベルで)、ならびに絶縁シース6(接触面601のレベルで)に接着することによって留められる。
【0080】
しかしながら、導電性コア5は絶縁シース6に留められていないことに留意されたい。
【0081】
これらの様々な要素は互いに固定され、それらのうちの1つの任意の変位又は変形は、それが留められる他の要素の変位及び/又は変形を引き起こし得る。
【0082】
これらの様々な要素の間の機械的連結は、このように接続装置1の封止を保証することを可能にするが、
図3に示すように、温度変化によって生じる「ポンピング」現象の出現を促進する欠点を有する。
【0083】
図3aは基準構成における接続装置1を表し、この接続装置1は基準温度にさらされる。絶縁シース6の一端部61が次いで、基準位置PRに配置され、側壁23は基準位置PR’に配置される。
【0084】
図3bは、同じ接続装置1が基準温度よりも高い温度にさらされたときの接続装置1を示す。
【0085】
この温度上昇の間に、接続装置1の全ての要素は熱膨張を経験し、その強度は、それら各要素を作製するための材料の熱膨張係数に依存する。これらの要素のうちの1つの熱膨張係数が高いほど、温度上昇に続いて、この1つは、より著しい変形を経験することになる。
【0086】
しかしながら、通常の温度及び圧力範囲では、封止材料7は通常、導電性コア5(しばしば銅からなる)及び絶縁シース6の熱膨張係数よりもはるかに大きい熱膨張係数を有する。
【0087】
その結果、温度上昇は封止材料7の強い変形を引き起こすが、導電性コア5及び絶縁シース6の変形はしばしば無視できるほど弱い。
【0088】
これにより、
図3bから分かるように、温度上昇に続いて、封止材料が大幅に膨張した。この膨張の効果の下で、接続ケース2が変形し、側壁23が今度は膨張位置PD’に位置する。
【0089】
また、封止材料7が絶縁シース6に留められていると、この封止材料7の膨張により、この絶縁シース6の変位が生じ、その端部61が膨張位置PDに位置する。したがって、温度上昇は、導電性コア5に対する絶縁シース6の側壁23の方向の変位DDによって反映される。
【0090】
同様に、
図3cは、同じ接続装置1が基準温度よりも低い温度にさらされた場合の接続装置1を示す。
【0091】
この温度降下に続いて、封止材料は強く収縮し、この収縮の影響下で、接続ケース2は変形し、側壁23は収縮位置PC'に位置する。
【0092】
封止材料7の収縮はまた、絶縁シース6の変位を引き起こし、その端部61はここでは収縮位置PCに位置する。温度の低下は、したがって、導電性コア5に対する導電性タブ3の方向の絶縁シース6の変位DCをもたらした。
【0093】
したがって、接続装置1に著しい温度変化(例えば、摂氏数十度程度)を与えることが、導電性コア5に対する絶縁シースの相対的な動きをもたらし、この導電性コア5が交替にアウトプットされ、次いで、この絶縁シース6に再び入る。
【0094】
導電性コア5と絶縁シース6との間に位置ずれがある場合(例えば、電線4及び/又は接続装置1の製造及び組立における不確実性及び不正確さに関連する)、導電性コアに対する絶縁シース6のこの往復運動は、
図4によって示されるように、導電性コア5を構成するストランドのねじれを引き起こし得る。
【0095】
実際、この位置ずれのために、温度の低下(封止材料7の収縮をもたらす)に続いて、導電性コア5を絶縁シース6内に導入することが困難になる場合がある。すなわち、したがって、導電性コア5を構成するストランドが、絶縁シース6の端部61にぶつかって「つぶされ」て、著しい変形を経験する可能性がある。
【0096】
例えば、
図4において、導電性コア5は絶縁シースの端部61にぶつかって位置し、後者の外部に位置する部分53において強い変形を経験し、絶縁シース6の内側に位置する部分54において、より低い強度の変形を経験する。
【0097】
ポンピング現象に続く導電性コア5のこれらの変形は、経時的に、それを構成する物質の疲労又は破壊を引き起こし、接続装置1によってなされる電気的接続の質の(部分的又は全体的な)劣化をもたらす。
【0098】
図5は、本発明の特定の実施形態に係る接続装置1’を表し、次の温度変化に続いて受ける導電性コア5の損傷を制限することを可能にする。
【0099】
この接続装置1’は接続装置1(したがって、接続ケース2’’、導電性タブ3’’、導電性コア5’、及び絶縁シース6’などを有する)と同一であるが、この接続装置1に加えて、中間エンベロープ8’を含む。
【0100】
この中間エンベロープ8’は絶縁シース6’の周囲に摺動可能に取り付けられ、封止材料7’に接着される。したがって、これはこの同じ絶縁シース6’と封止材料7’との間のインタフェースを構成する。
【0101】
中間エンベロープ8’は絶縁シース6’に機械的に結合されないが、温度が変動した場合に、この中間エンベロープによって受ける変形の強度を制限するために、低い熱膨張係数、特に封止材料7’のそれよりも低く、絶縁シース6’’のそれと同様の熱膨張係数を有する材料をこの中間エンベロープ8’の製造のために選択することが有利かもしれない。
【0102】
この中間エンベロープ8’は、発泡状材料で作製することもできる。
【0103】
中間エンベロープ8’はオリフィス231’から延びる単一の部分で形成され、絶縁シース6’及び導電性コア5’は絶縁シース6’の端部61’の近傍まで接続ケース2’内に導入される。このようにして、絶縁シース6’は、端部61’の近くに位置する縮小された接触面62’を除いて、封止材料7’ともはや接触しない。
【0104】
この接触面62’は、技術水準の接続装置1の封止材料7と絶縁シース6との接触面601よりもはるかに小さいサイズである。
【0105】
中間エンベロープ8’は側壁23’を通過しているが、接続ケース2’には接着されていないことに留意されたい。
【0106】
中間エンベロープ8’の存在は、封止材料7’が接触面62’のレベルで絶縁シース6’に接着されたままであるので、接続装置1’のシール性を損なわない。
【0107】
一方、中間エンベロープ8’の存在は、温度が変動した場合に、ポンピング現象の強度を大幅に減少させることを可能にする。
【0108】
実際、封止材料7’が(前述のような)温度の上昇又は降下に続いてそれぞれ膨張又は収縮を経験するとき、中間エンベロープ8’は、封止材料7’に機械的に連結されているので、この膨張または収縮は中間エンベロープ8’に伝達される。したがって、中間エンベロープ8’に沿った封止材料7’の変形は中間エンベロープ8’の変形をもたらす。
【0109】
しかしながら、絶縁シース6’は中間エンベロープ8’に機械的に連結されていないので、封止材料7’の膨張又は収縮は絶縁シース6’に伝達されず、最終的には、先の
図1~4によって説明された接続装置の場合のように、導電性コア5’に対するこの絶縁シース6’の相対的な変位を引き起こさない。
【0110】
したがって、中間エンベロープ8’の存在は絶縁シース6’を封止材料7’から機械的に分離し、この絶縁シース6’を中間エンベロープ8’の全長にわたって封止材料7’の膨張又は収縮から保護することを可能にする。
【0111】
したがって、絶縁シース6’は収縮した接触面62’のレベルでのみ、封止材料7’の膨張又は収縮の影響を受ける。温度変動によって生じる導電性コア5’に対する絶縁シース6’の相対的な移動は、以前の接触面601のサイズと比較して、この縮小された接触面62’のサイズが小さいため、かなり小さい振幅を有する。
【0112】
したがって、絶縁シース6’の周囲に中間エンベロープ8’を付加することによって、繰り返される温度変化に続く導電性コア5’を構成するストランドのねじれ及び/又は破裂の危険性を制限することが可能となり、これにより、2つの電気ユニット間の接続装置1’によってなされる電気的接続の品質が劣化する危険性を低減できる。
【0113】
図示されていないが、中間エンベロープ8’が絶縁シース6’に接着され、封止材料7’と摺接する別の実施形態も考えられる。
【0114】
前述と同様に、中間エンベロープ8’の存在は、絶縁シース6’を封止材料7’から分離することを可能にし、したがって、いかなるポンピング効果も回避することができる。
【0115】
また、図示されない他の実施形態では、中間エンベロープ8’の他の形状及び位置が考慮されてもよいことに留意されたい。しかしながら、ポンピング現象の影響を制限するためには、絶縁シース6’と封止材料7’との間の残留接触面が小さく、導電性タブ3’の近くに位置することはなお必要である。
【0116】
例えば、非限定的な方法では、側壁23’から測定される中間エンベロープ8’の長さL’ができるだけ長いことを保証するかもしれない。
【国際調査報告】