(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-03
(54)【発明の名称】装飾箔、装飾箔の製造方法およびターゲット基板の装飾方法
(51)【国際特許分類】
B44C 1/17 20060101AFI20230127BHJP
B32B 27/00 20060101ALI20230127BHJP
B32B 33/00 20060101ALI20230127BHJP
B44C 1/165 20060101ALI20230127BHJP
【FI】
B44C1/17
B32B27/00 Z
B32B33/00
B44C1/165 K
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022533060
(86)(22)【出願日】2020-11-20
(85)【翻訳文提出日】2022-07-27
(86)【国際出願番号】 EP2020082896
(87)【国際公開番号】W WO2021110439
(87)【国際公開日】2021-06-10
(31)【優先権主張番号】102019132787.3
(32)【優先日】2019-12-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507370644
【氏名又は名称】レオンハード クルツ シュティフトゥング ウント コー. カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ラッシュ ローマン
【テーマコード(参考)】
3B005
4F100
【Fターム(参考)】
3B005EB01
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(57)【要約】
本発明は、装飾箔、装飾箔の製造方法、ならびにターゲット基板の装飾方法を備える。装飾箔、特に積層箔、コールドスタンピング箔またはホットスタンピング箔は、キャリアフィルム(42)および全面ワニス層(41)を備え、キャリアフィルム(42)は、3.0μm~10.0μmの範囲の厚さを有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャリアフィルム(42)と全面ワニス層(41)とを備える装飾箔(40)、特に積層箔、コールドスタンピング箔またはホットスタンピング箔であって、
前記キャリアフィルム(42)は、3.0μm~10.0μmの範囲の厚さを有する、ことを特徴とする装飾箔。
【請求項2】
前記全面ワニス層(41)は、1.0μm~2.5μm、特に1.0μm~1.7μmの範囲の厚さを有することを特徴とする、請求項1に記載の装飾箔。
【請求項3】
前記全面ワニス層の厚さに対するキャリアフィルムの厚さの比は、1.8:1~7.0:1、好ましくは2.5:1~5.8:1の範囲にあり、
前記キャリアフィルム(42)は、3μm以上7μm以下の範囲の厚さを有し、および/または前記全面ワニス層の厚さに対する前記キャリアフィルムの厚さの比は、4.1:1~10.0:1、好ましくは4.4:1~8.3:1の範囲にあり、前記キャリアフィルム(42)は、7μm以上10μm以下の範囲の厚さを有することを特徴とする、請求項1または2に記載の装飾箔。
【請求項4】
前記キャリアフィルム(42)は、PET、PMMA、PC、PE、PVC、PS、ABS、PU、PBS、PLA、PANおよび/またはガラスから選択される材料または材料の組み合わせを含むことを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載の装飾箔。
【請求項5】
前記装飾箔(40)は、5%~70%、特に10%~40%の範囲の、250nm~400nmの波長範囲のUV放射線に対する透過率を有することを特徴とする、請求項1~4のいずれか1項に記載の装飾箔。
【請求項6】
前記引剥がし力は、-0.5cN以上0.5cN以下の範囲内で、その略平均の力の振幅の変動を有することを特徴とする、請求項1~5のいずれか1項に記載の装飾箔。
【請求項7】
前記全面ワニス層(41)は、少なくとも1つの表面上に少なくとも1つのカラー層を有し、前記少なくとも1つのカラー層の少なくとも1つのカラー層と前記全面ワニス層(41)との間の接着力は、少なくとも25cN、好ましくは少なくとも30cNであることを特徴とする、請求項1~6のいずれか1項に記載の装飾箔。
【請求項8】
前記全面ワニス層(41)は、連続固体表面の装飾の場合には99.5%以上、好ましくは100%の被覆力を有し、10%のハーフトーン領域の装飾の場合には99.5%以上、好ましくは100%の装飾または点知覚を有することを特徴とする、請求項1~7のいずれか1項に記載の装飾箔。
【請求項9】
前記全面ワニス層(41)は、少なくとも1つの分離層(43)および/または少なくとも1つの保護ワニス層(44)および/または少なくとも1つの装飾層(45)および/または少なくとも1つのプライマー層(46)および/または少なくとも1つの接着剤層(47)および/または少なくとも1つのカラー層を有することを特徴とする、請求項1~8のいずれか1項に記載の装飾箔。
【請求項10】
前記少なくとも1つの分離層(43)の少なくとも1つの分離層(43)は、ワックス、シリコーン、ポリウレタンおよび/またはポリマー、好ましくはアクリレートコポリマー、ポリエステルコポリマー、ポリスチレンコポリマー、ポリカーボネートコポリマーから選択される材料または材料の組み合わせを含むことを特徴とする、請求項9に記載の装飾箔。
【請求項11】
前記少なくとも1つの分離層(43)の少なくとも1つの分離層(43)は、0.01μm~0.50μm、好ましくは0.10μm~0.30μmの範囲の厚さを有することを特徴とする、請求項9または10に記載の装飾箔。
【請求項12】
前記少なくとも1つの分離層(43)の少なくとも1つの分離層(43)は、透明および/または半透明および/または不透明に形成され、および/または着色および/または少なくとも部分的に着色され、および/または結晶透明であることを特徴とする、請求項9~11のいずれか1項に記載の装飾箔。
【請求項13】
前記少なくとも1つの保護ワニス層(44)の少なくとも1つの保護ワニス層(44)は、ポリマー、特にアクリレートコポリマー、ポリエステルコポリマー、ポリスチレンコポリマー、ポリカーボネートコポリマーおよび/またはSMAコポリマーから選択される材料または材料の組み合わせを含むことを特徴とする、請求項9~12のいずれか1項に記載の装飾箔。
【請求項14】
前記全面ワニス層(41)のポリマー、特にアクリレートコポリマー、ポリエステルコポリマー、ポリスチレンコポリマー、ポリカーボネートコポリマーおよび/またはSMAコポリマーまたはそれらの組み合わせは、1000g/mol~100000g/mol、好ましくは3000g/mol~35000g/molの範囲のモル質量を有することを特徴とする、請求項10~13のいずれか1項に記載の装飾箔。
【請求項15】
前記少なくとも1つの保護ワニス層(44)の少なくとも1つの保護ワニス層(44)は、0.5μm~3μm、特に0.8μm~1.3μmの範囲の厚さを有することを特徴とする、請求項9~14のいずれか1項に記載の装飾箔。
【請求項16】
前記少なくとも1つの保護ワニス層(44)の少なくとも1つの保護ワニス層(44)は、透明および/または半透明および/または不透明に形成され、および/または着色および/または少なくとも部分的に着色され、および/または結晶透明であることを特徴とする、請求項9~15のいずれか1項に記載の装飾箔。
【請求項17】
前記キャリアフィルム(42)から前記全面ワニス層(41)を引裂く力は、2cN~8cNの範囲にあることを特徴とする、請求項1~16のいずれか1項に記載の装飾箔。
【請求項18】
前記少なくとも1つの装飾層(45)の少なくとも1つの装飾層(45)は、光学可変効果を発生させる少なくとも1つの層を有することを特徴とする、請求項9~17のいずれか1項に記載の装飾箔。
【請求項19】
前記少なくとも1つの装飾層(45)の少なくとも1つの装飾層(45)は、少なくとも1つの複製ワニス層の少なくとも1つの複製ワニス層に成形された表面構造を有する少なくとも1つの複製ワニス層を有し、前記表面構造は、特に、回折表面構造、屈折表面構造、レンズ構造、艶消し構造および/またはブレーズド格子から選択されることを特徴とする、請求項9~18のいずれか1項に記載の装飾箔。
【請求項20】
前記少なくとも1つの装飾層(45)の少なくとも1つの装飾層(45)は、少なくとも1つの反射層、特に、第1の情報項目の形態でパターン形成された少なくとも1つの反射層を有することを特徴とする、請求項9~19のいずれか1項に記載の装飾箔。
【請求項21】
前記少なくとも1つの装飾層(45)の少なくとも1つの装飾層(45)は、視野角に依存した色ずれ効果を生成する少なくとも1つの薄膜層素子を有することを特徴とする、請求項9~20のいずれか1項に記載の装飾箔。
【請求項22】
前記少なくとも1つの装飾層(45)の少なくとも1つの装飾層(45)は、第2の情報項目の形態でパターン形成された少なくとも1つのカラー層を有することを特徴とする、請求項9~21のいずれか1項に記載の装飾箔。
【請求項23】
前記少なくとも1つの装飾層(45)の少なくとも1つの装飾層(45)は、少なくとも1つの金属層および/または少なくとも1つの誘電体層を備えることを特徴とする、請求項9~22のいずれか1項に記載の装飾箔。
【請求項24】
前記少なくとも1つの装飾層(45)の少なくとも1つの装飾層(45)は、8nm~500nm、好ましくは8nm~60nm、特に好ましくは10nm~30nmの範囲の厚さを有することを特徴とする、請求項9~23のいずれか1項に記載の装飾箔。
【請求項25】
前記少なくとも1つの金属層の少なくとも1つの金属層は、アルミニウム、銀、金、銅、ニッケル、クロムおよび/またはこれらの金属の少なくとも2つを含む合金から選択される材料または材料の組合せを含むことを特徴とする、請求項23または24に記載の装飾箔。
【請求項26】
前記少なくとも1つの誘電体層の少なくとも1つの誘電体層は、金属酸化物、ポリマー、ワニスおよび/またはHRI材料、特にMgO、TiO
n、Al
2O
3、ZnO、ZnSおよび/またはSiO
nから選択される材料または材料の組合せを含み、変数nは、好ましくは0以上3以下の範囲にあることを特徴とする、請求項23~25のいずれか1項に記載の装飾箔。
【請求項27】
前記少なくとも1つのプライマー層(46)の少なくとも1つのプライマー層(46)は、0.1μm~2μm、特に好ましくは0.2μm~0.8μmの範囲の厚さを有することを特徴とする、請求項9~26のいずれか1項に記載の装飾箔。
【請求項28】
前記少なくとも1つのプライマー層(46)の少なくとも1つのプライマー層(46)は、透明および/または半透明および/または不透明に形成され、および/または着色および/または少なくとも部分的に着色され、および/または結晶透明であることを特徴とする請求項9~27のいずれか1項に記載の装飾箔。
【請求項29】
前記少なくとも1つの接着剤層(47)の少なくとも1つの接着剤層(47)は、前記全面ワニス層(41)の少なくとも1つの第1の領域(21)を少なくとも部分的にまたは全面にわたって覆うことを特徴とする、請求項9~28のいずれか1項に記載の装飾箔。
【請求項30】
前記少なくとも1つの接着剤層(47)の少なくとも1つの接着剤層(47)は、前記全面ワニス層(41)の少なくとも1つの第2の領域(22)を覆わず、特に、前記少なくとも1つの第2の領域(22)の少なくとも1つの第2の領域(22)は、前記少なくとも1つの第1の領域(21)の少なくとも1つの第1の領域(21)と重ならない、または少なくとも部分的にまたは全面にわたって重なることを特徴とする、請求項9~29のいずれか1項に記載の装飾箔。
【請求項31】
前記少なくとも1つの第1の領域(21)の少なくとも1つの第1の領域(21)および/または前記少なくとも1つの第2の領域(22)の少なくとも1つの第2の領域(22)は、以下のデザインエレメントの少なくとも1つ、または以下のデザインエレメントの組み合わせを備え、前記デザインエレメントとして、英数字、文字、シンボル、マイクロプリント、画像、写真、ロゴ、ポートレート、ピクトグラム、パターン、特にエンドレスパターン、グリッド、特に周期的グリッド、振幅変調グリッド、ドットグリッド、ライングリッド、モチーフが挙げられることを特徴とする、請求項29または30に記載の装飾箔。
【請求項32】
前記少なくとも1つの接着剤層(47)の少なくとも1つの接着剤層(47)は、熱接着剤および/または熱可塑性接着剤および/または低温接着剤および/または放射線硬化接着剤、特に、電磁放射線および/または電子ビーム放射線によって、および/またはUV放射線によって硬化することができる接着剤、および/または酸化硬化接着剤および/または低マイグレーション接着剤から形成されることを特徴とする、請求項9~31のいずれか1項に記載の装飾箔。
【請求項33】
特に請求項1~32のいずれか1項に記載の装飾箔の製造方法であって、
前記製造方法は、特に以下の順番で実施される以下のステップであって、
a)キャリアフィルム(42)を設けるステップであって、前記キャリアフィルム(42)が3.0μm~10.0μmの範囲の厚さを有するステップと、
b)前記全面ワニス層(41)を前記キャリアフィルム(42)の少なくとも1つの表面の少なくとも1つの領域に塗布するステップであって、前記装飾箔(40)が形成されるステップと、を備えることを特徴とする、製造方法。
【請求項34】
ステップb)における前記全面ワニス層(41)は、1.0μm~2.5μm、好ましくは1.0μm~1.7μmの範囲の厚さを有することを特徴とする、請求項33に記載の製造方法。
【請求項35】
前記全面ワニス層(41)の厚さに対する前記キャリアフィルム(42)の厚さの比は、1.8:1~7.0:1、好ましくは2.5:1~5.8:1の範囲にあり、前記キャリアフィルム(42)は、3μm以上7μm以下の範囲の厚さを有し、および/または前記全面ワニスの厚さに対する前記キャリアフィルム(42)の厚さの比は、4.1:1~10.0:1、好ましくは4.4:1~8.3:1の範囲にあり、前記キャリアフィルム(42)は、7μm以上10μm以下の範囲の厚さを有することを特徴とする、請求項33または34に記載の製造方法。
【請求項36】
ステップb)における前記全面ワニス層(41)は、少なくとも1つの分離層(43)および/または少なくとも1つの保護ワニス層(44)および/または少なくとも1つの装飾層(45)および/または少なくとも1つのプライマー層(46)および/または少なくとも1つの接着剤層(47)および/または少なくとも1つのカラー層を有することを特徴とする、請求項33~35のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項37】
ステップb)において、前記少なくとも1つの分離層(43)の少なくとも1つの分離層(43)および/または前記少なくとも1つの保護ワニス層(44)の少なくとも1つの保護ワニス層(44)および/または前記少なくとも1つの装飾層(45)の少なくとも1つの装飾層(45)および/または前記少なくとも1つのプライマー層(46)の少なくとも1つのプライマー層(46)および/または前記少なくとも1つの接着剤層(47)の少なくとも1つの接着剤層(47)および/または前記少なくとも1つのカラー層の少なくとも1つのカラー層は、グラビア印刷および/またはスクリーン印刷および/またはレリーフ印刷および/またはパッド印刷および/またはインクジェット印刷および/またはオフセット印刷および/またはフレキソ印刷および/または鋳造技術によって塗布されることを特徴とする、請求項33~36のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項38】
ステップb)において、前記少なくとも1つの接着剤層(47)は、熱接着剤、熱可塑性接着剤、低温接着剤、放射線硬化接着剤、特に、電磁放射線および/または電子ビーム放射線によって、および/またはUV放射線によって硬化することができる接着剤、または酸化硬化接着剤および/または低マイグレーション接着剤として塗布されることを特徴とする、請求項33~37のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項39】
ステップb)は、
c)前記少なくとも1つの接着剤層(47)の少なくとも1つの接着剤層(47)が少なくとも部分的にまたは全面にわたって前記全面ワニス層(41)の少なくとも1つの第1の領域(21)を覆うように、および/または前記全面ワニス層(41)の第2の領域(22)を覆わないように、特に、前記少なくとも1つの第2の領域(22)の少なくとも1つの第2の領域(22)が前記少なくとも1つの第1の領域(21)の少なくとも1つの第1の領域(21)と重ならない、または少なくとも部分的にまたは全面にわたって重なるように、前記少なくとも1つの接着剤層(47)の少なくとも1つの接着剤層(47)を塗布するステップc)、をさらに備え、および/またはステップb)の後に前記ステップc)がさらに実施されることを特徴とする、請求項33~38のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項40】
前記少なくとも1つの第1領域(21)の少なくとも1つの第1領域(21)および/または前記少なくとも1つの第2の領域(22)の少なくとも1つの第2の領域(22)は、以下のデザインエレメントの少なくとも1つ、または以下のデザインエレメントの組合せを備え、前記デザインエレメントとして、英数字、文字、シンボル、マイクロプリント、画像、写真、ロゴ、ポートレート、ピクトグラム、パターン、特にエンドレスパターン、グリッド、特に周期的グリッド、振幅変調グリッド、ドットグリッド、ライングリッド、モチーフが挙げられることを特徴とする、請求項39に記載の製造方法。
【請求項41】
ターゲット基板の装飾方法であって、前記装飾方法は、特に以下の順序で実施される以下のステップであって、
d)請求項1~32のいずれかに1項に記載の装飾箔(40)を設けるステップと、
e)ターゲット基板(10)を設けるステップと、
f)前記装飾箔(40)を前記ターゲット基板(10)に塗布するステップと、を備えることを特徴とする、装飾方法。
【請求項42】
ステップf)の前に、
g)前記少なくとも1つの接着剤層(47)の少なくとも1つの接着剤層(47)が少なくとも部分的にまたは全面にわたって、前記全面ワニス層(41)の少なくとも1つの第1の領域(21)を覆うように、および/または前記全面ワニス層(41)の少なくとも1つの第2の領域(22)を覆わないように、特に、前記少なくとも1つの第2の領域(22)の少なくとも1つの第2の領域(22)が前記少なくとも1つの第1の領域(21)の少なくとも1つの第1の領域(21)と重ならない、または少なくとも部分的にまたは全面にわたって重なるように、前記少なくとも1つの接着剤層(47)を前記装飾箔(40)に塗布するステップ、および/または前記少なくとも1つの接着剤層(47)の少なくとも1つの接着剤層(47)が少なくとも部分的にまたは全面にわたって前記ターゲット基板(10)の少なくとも1つの第3領域(23)を覆う、および/または前記ターゲット基板(10)の少なくとも1つの第4領域(24)を覆わないように、特に、前記少なくとも1つの第4領域(24)の少なくとも1つの第4領域(24)が前記少なくとも1つの第3領域の少なくとも1つの第3領域(23)に重ならないまたは少なくとも部分的または全面にわたって重なるように、少なくとも1つの接着剤層(47)を前記ターゲット基板(10)に塗布するステップg)を実施することを特徴とする、請求項41に記載の装飾方法。
【請求項43】
前記少なくとも1つの第1および/または第3の領域(21、23)の少なくとも1つの第1および/または第3の領域(21、23)、および/または前記少なくとも1つの第2および/または第4の領域(22、24)の少なくとも1つの第2および/または第4の領域(22、24)は、以下のデザインエレメントの少なくとも1つ、または前記以下のデザインエレメントの組み合わせを備え、前記デザインエレメントとして、英数字、文字、シンボル、マイクロプリント、画像、写真、ロゴ、ポートレート、ピクトグラム、パターン、特にエンドレスパターン、グリッド、特に周期的グリッド、振幅変調グリッド、ドットグリッド、ライングリッド、モチーフが挙げれることを特徴とする、請求項42に記載の装飾方法。
【請求項44】
ステップg)における前記少なくとも1つの接着剤層(47)の少なくとも1つの接着剤層(47)は、熱接着剤、熱可塑性接着剤、低温接着剤、放射線硬化接着剤、特に、電磁放射線および/または電子ビーム放射線によって、および/またはUV放射線によって硬化することができる接着剤、および/または酸化硬化接着剤および/または低マイグレーション接着剤から形成されることを特徴とする、請求項42または43に記載の装飾方法。
【請求項45】
ステップg)において、前記少なくとも1つの接着剤層(47)の少なくとも1つの接着剤層(47)は、グラビア印刷および/またはスクリーン印刷および/またはレリーフ印刷および/またはパッド印刷および/またはインクジェット印刷および/またはオフセット印刷および/またはフレキソ印刷および/または鋳造技術によって塗布されることを特徴とする、請求項42~44のいずれか1項に記載の装飾方法。
【請求項46】
前記少なくとも1つの第1および/または第3の領域(21、23)の少なくとも1つの第1および/または第3の領域(21、23)は、前記全面ワニス層(41)によって装飾されていること、および/または前記少なくとも1つの第2および/または第4の領域(22、24)の少なくとも1つの第2および/または第4の領域(22、24)は、前記全面ワニス層(41)によって装飾されていないことを特徴とする、請求項42~45のいずれか1項に記載の装飾方法。
【請求項47】
前記少なくとも1つの接着剤層(47)の少なくとも1つの接着剤層(47)によって少なくとも部分的にまたは全面にわたって覆われる、前記少なくとも1つの第1および/または第3の領域(21、23)の少なくとも1つの第1および/または第3の領域(21、23)は、前記全面ワニス層(41)によって装飾されることを特徴とする、請求項42~46のいずれか1項に記載の装飾方法。
【請求項48】
前記少なくとも1つのカラー層は、ステップf)の後に前記全面ワニス層(41)の少なくとも1つの表面に塗布され、その結果、前記少なくとも1つのカラー層の少なくとも1つのカラー層と前記全面ワニス層(41)との間の接着力は、少なくとも25cN、好ましくは少なくとも30cNであることを特徴とする、請求項41~47のいずれか1項に記載の装飾方法。
【請求項49】
ステップf)後の前記全面ワニス層(41)は、連続固体表面の装飾の場合には、99.5%以上、好ましくは100%の被覆力を有し、10%ハーフトーン領域の装飾の場合には、99.5%以上、好ましくは100%の装飾または点知覚を有することを特徴とする、請求項41~48のいずれか1項に記載の装飾方法。
【請求項50】
ステップf)の後、
前記キャリアフィルム(42)を前記全面ワニス層(41)から剥離するステップをsらに実施し、
前記キャリアフィルム(42)と前記全面ワニス層(41)との間の剥離角度が0°~120°、好ましくは0°~90°の範囲にあることを特徴とする、請求項41~49のいずれか1項に記載の装飾方法。
【請求項51】
ステップf)においておよび/またはステップf)の後に、
h)少なくとも1つの圧力スタンプおよび/または少なくとも1つの圧力ローラで前記装飾箔(40)を押圧するステップh)がさらに実施されることを特徴とする、請求項41~50のいずれか1項に記載の装飾方法。
【請求項52】
ステップh)における前記少なくとも1つの圧力スタンプの少なくとも1つの圧力スタンプおよび/または前記少なくとも1つの圧力ローラの少なくとも1つの圧力スローラは、加熱平面および/または成形スタンプおよび/または加熱ローラとして設計され、これにより、前記少なくとも1つの接着剤層(47)の少なくとも1つの接着剤層(47)は、少なくとも部分的におよび/または前記少なくとも1つの第1および/または第3の領域(21、23)の少なくとも1つの第1および/または第3の領域(21、23)において活性化され、前記装飾箔(40)を前記ターゲット基板(10)に接合する、請求項51に記載の装飾方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装飾箔、特に積層箔、ホットスタンピング箔および/またはコールドスタンピング箔、装飾箔の製造方法、ならびに装飾箔によるターゲット基板の装飾方法に関する。
【背景技術】
【0002】
全面ワニス層を例えばパスポート、クレジットカードまたは紙幣のようなセキュリティドキュメントに塗布するために、装飾箔を使用することが知られている。特に、これには積層箔、ホットスタンピング箔および/またはコールドスタンピング箔が使用される。このプロセスでは、装飾箔の全面ワニス層がターゲット基板に転写され、次いで、装飾箔のキャリアフィルムが分離される。装飾箔の全面ワニス層をキャリアフィルムからターゲット基材上にこのように転写する場合、全面ワニス層は、転写される全面ワニス層の部分領域を画定する境界線に沿って引裂かれる。この部分領域は、特に、全面ワニス層をターゲット基板に接合する、ターゲット基板に塗布された接着剤層によって画定され得る。塗布された接着剤層は、特に部分的にのみ塗布され、例えばパターン化されて設計され得る。理想的には、装飾箔は接着剤層の外縁で裂ける。しかしながら、それは、装飾箔の構造および組成に応じて、例えば、接着剤層の外縁から離れた全面ワニス層の不明確な引裂きをもたらす可能性あり、その結果、粗末な装飾をもたらす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、改善された装飾箔、装飾箔を製造するための改善された方法、ならびにターゲット基板を装飾するための改善された方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この目的は、キャリアフィルムと全面ワニス層とを備え、キャリアフィルムが3.0μm~10.0μmの範囲の厚さを有する、装飾箔、特に積層箔、コールドスタンピング箔またはホットスタンピング箔によって達成される。
【0005】
この目的は、装飾箔の製造方法によってさらに達成され、この方法は、以下のステップを備え、これらのステップは、特に以下の順序で実施される。
a)3.0μm~10.0μmの範囲の厚さを有するキャリアフィルムを設けるステップ。
b)全面ワニス層をキャリアフィルムの少なくとも1つの表面の少なくとも1つの領域に塗布するステップであって、装飾箔が形成されるステップ。
【0006】
少なくとも1つの領域の少なくとも1つの部分領域は、好ましくは、キャリアフィルムの少なくとも1つの表面の少なくとも1つの表面上に配置され、キャリアフィルムの少なくとも1つの表面の少なくとも1つの表面を少なくとも部分的に覆う。
【0007】
さらに、この目的は、ターゲット基板の装飾方法によって達成され、この方法は、以下のステップを備え、このステップは、特に以下の順序で実施される。
d)装飾箔を設けるステップ。
e)ターゲット基板を設けるステップ。
f)装飾箔をターゲット基板の少なくとも1つの表面の少なくとも1つの領域に塗布するステップ。
【0008】
少なくとも1つの領域の少なくとも1つの部分領域は、好ましくは、ターゲット基板の少なくとも1つの表面の少なくとも1つの表面上に配置され、ターゲット基板の少なくとも1つの表面の少なくとも1つの表面を少なくとも部分的に覆う。
【0009】
驚くべきことに、本発明により、従来の装飾箔と比較して、改善された被覆力および装飾のより綺麗なスタンピングが達成されることが、試験において示された。それは、減少したキャリアフィルム厚さのためクラック力および引裂き力が減少し、そしてこれらがターゲット基板の高品質装飾に決定的であるからである。キャリアフィルムが全面ワニス層から剥離されると、キャリアフィルムは曲げられ、その結果、特に装飾箔の断面全体にわたって応力が生じる。キャリアフィルムの厚さが減少することにより、これらの応力を減少させることができ、結果として生じるクラック力および引裂き力も同様に減少する。
【0010】
さらに、引裂き力の力振幅の変動が著しく減少し、これは、分離挙動をさらに改善し、綺麗な装飾を促進する。
【0011】
さらに、3.0μm~10.0μmの範囲のキャリアフィルムの厚さを有する装飾箔によって、プラスチック廃棄物の量は、従来の装飾箔と比較して減少する。
【0012】
さらに、この利点は、より長い箔ウェブを一定の箔ロール直径で巻き取ることができるという結果をもたらす。これは、特に、物流および輸送の点で有利である。
【0013】
本発明の有利な実施例は従属請求項に記載されている。
【0014】
特に、全面ワニス層は、1.0μm~2.5μm、特に1.0μm~1.7μmの範囲の厚さを有する。このような層厚の場合、全面ワニス層は、接着剤層の外縁部によって画定される所定の縁部で特に良好に破断することが示されている。したがって、ターゲット基板上の装飾箔の綺麗な装飾を達成することができる。
【0015】
全面ワニス層の厚さに対するキャリアフィルムの厚さの比は、好ましくは、1.8:1~7.0:1、好ましくは2.5:1~5.8:1の範囲にあり、キャリアフィルムは、3μm以上7μm以下の範囲の厚さを有し、および/または全ワニス層の厚さに対するキャリアフィルムの厚さの比は、4.1:1~10.0:1、好ましくは4.4:1~8.3:1の範囲にあり、キャリアフィルムは、7μm以上10μm以下の範囲の厚さを有する。このような比は、全面ワニス層からのキャリアフィルムの良好な分離挙動を促進する。これは、このような比では、キャリアフィルムが全面ワニス層から剥離されるときに、従来の装飾箔の場合よりも小さい応力が生じるからである。
これは、装飾の品質も改善する。
【0016】
全面ワニス層の厚さに対するキャリアフィルムの厚さの規定比を有する装飾箔を用いると、特に、規定範囲外の全面ワニス層の厚さに対するキャリアフィルムの厚さの比を有する装飾箔に比べて、スタンピング品質およびスタンピング性能が大幅に向上することが示されている。
【0017】
特に、キャリアフィルムは、PET、PMMA、PC、PE、PVC、PS、ABS、PU、PBS、PLA、PANおよび/またはガラスから選択される材料または材料の組み合わせを含む。
【0018】
特に、全層ワニス層は、少なくとも1つの分離層および/または少なくとも1つの保護ワニス層および/または少なくとも1つの装飾層および/または少なくとも1つのプライマー層および/または少なくとも1つの接着剤層および/または少なくとも1つのカラー層を有する。
【0019】
少なくとも1つの分離層の少なくとも1つの分離層は、好ましくは、ワックス、シリコーン、ポリウレタンおよび/またはポリマー、好ましくはアクリレートコポリマー、ポリエステルコポリマー、ポリスチレンコポリマー、ポリカーボネートコポリマーから選択される材料または材料の組み合わせを含む。
【0020】
引裂き力は、2つの層を互いに分離するために加えられる力を示し、第1の層を第2の層から引き剥がすための力と第1の層と第2の層との間の接着力との間に正相関がある。
【0021】
印刷の直後および印刷の1日後に、室温で以下の接着テープ試験によって、少なくとも1つのカラー層の少なくとも1つのカラー層の、ターゲット基板に転写された装飾箔の全面ワニス層の少なくとも1つの領域への接着を測定した。全面ワニス層が塗布され、全面ワニス層の少なくとも1つの領域上に少なくとも1つのカラー層が印刷されたターゲット基板の形態の試験片を、ZwickRoell GmbH & Co.KGのZ005タイプの材料試験機内に配置した。幅19mmの長さ13~16cmの4104タイプのテサブランド接着テープのストリップを、接着テープの約5cm~7cmが基板の縁部を越えて突出するように、試験片上に貼り付けた。次に、接着テープを親指で3~4回押圧し、最後に、90°の剥離角度で500mm/分の速度で試験片から剥離し、このプロセスにおいて、少なくとも1つのカラー層の少なくとも1つのカラー層を全面ワニス層から分離するのに必要な力を測定した。試験は、印刷インクの90%が試験片上に残ったとき、または試験片自体が引き裂かれたときに合格したとみなされた。
【0022】
従来の印刷インク、特にUV硬化印刷インク、UV硬化ワニス、ハイブリッドインクまたはハイブリッドワニスおよび/または酸化硬化印刷インクおよび/または上記低マイグレーションインク(LMI)を用いた全面ワニス層上への印刷は、転写プライに非常に良好に接着し、その結果、試験は非常に良好に合格したと評価することができた。
【0023】
全面ワニス層は、好ましくは、少なくとも1つの表面上に少なくとも1つのカラー層を有し、少なくとも1つのカラー層の少なくとも1つのカラー層と全面ワニス層との間の接着力は、少なくとも25cN、好ましくは少なくとも30cNである。
【0024】
少なくとも1つの分離層の少なくとも1つの分離層は、好ましくは、0.01μm~0.50μm、好ましくは0.10μm~0.30μmの範囲の厚さを有する。分離層のこの比較的薄い厚さは、キャリアフィルムからの全面ワニス層の鋭い縁部および綺麗な分離を可能にする。ここで達成可能な精度およびここで達成可能な解像度は、少なくとも1つの接着剤層の少なくとも1つの接着剤層を、そこから著しく逸脱することなく、好ましくはターゲット基板に部分的に塗布されたレイアウトに比較的正確に対応することができ、その結果、従来の印刷インクからなる可能性のある現在の印刷レイアウトに対する箔レイアウトの高い位置合わせ精度が達成可能である。
【0025】
レジスタもしくは位置合わせ、またはレジスタ精度もしくは位置合わせ精度とは、好ましくは、2つ以上のエレメントおよび/または層の位置精度を意味する。
【0026】
レジスタ精度は、可能な限り低い所定の許容範囲内にあるべきである。同時に、いくつかのエレメント、層、互いに対する部分領域の位置合わせ精度は、プロセスの信頼性を高めるために重要な特徴である。
【0027】
位置的に正確な位置決めは、特にマーキングによって、特に感覚的に、好ましくは光学的に検出可能な位置合わせマークまたはレジスタマークによって達成される。これらのマーキング、特に位置合わせマークまたはレジスタマークは、好ましくは、特定の個別のエレメントまたは領域または層を表すか、または、好ましくは、それら自体が位置決めされるエレメントまたは領域または層の一部である。
【0028】
この鋭い縁部の部分的な分離の間、分離層の厚さが小さいため、非常に小さく非常に少ない、いわゆるフレークしか形成されず、したがって装飾箔の全面ワニス層の小さい層残留物が形成される。これは、後続のプロセスステップにおいて破壊的であり得および/またはコーティングされたターゲット基板の光学的外観を破壊し得る。分離層の厚さが比較的薄いため、人間の目の分解能よりも低い分解能が達成可能である。
【0029】
特に、少なくとも1つの分離層の少なくとも1つの分離層は、透明および/または半透明および/または不透明に形成され、および/または着色されおよび/または少なくとも部分的に着色され、および/または結晶透明であると有利である。
【0030】
少なくとも1つの保護ワニス層の少なくとも1つの保護ワニス層は、好ましくは、ポリマー、特にアクリレートコポリマー、ポリエステルコポリマー、ポリスチレンコポリマー、ポリカーボネートコポリマーおよび/またはSMAコポリマー(SMA=無水スチレンマレイン酸)から選択される材料または材料の組み合わせを含む。
【0031】
高い被覆力を達成するために、全面ワニス層の層が、長鎖、特に高分子量のポリマーを含むと特に有利である。しかしながら、綺麗なスタンピングを達成するために、全面ワニス層の層は、短鎖、特に低分子量のポリマーを含むと有利である。2つの利点を互いに組み合わせるために、特に、全ワニス層のポリマー、特にアクリレートコポリマー、ポリエステルコポリマー、ポリカーボネートコポリマー、ポリスチレンコポリマーおよび/またはSMAコポリマーおよび/またはそれらの組み合わせは、1000g/mol~100000g/mol、好ましくは3000g/mol~35000g/molの範囲のモル質量を有する。
【0032】
被覆力は、連続固体表面で装飾されたターゲット基板における欠陥数の尺度である。したがって、100%の被覆力の場合、装飾されたターゲット基板上のこの固体表面の内側に欠陥または穴は生じない。欠損は顕微鏡的に見えることができるため、人間の目によって、または巨視的に解明することができず、したがって、人間の目によって解明することができる。低い均一な引裂き力は、装飾の高い被覆力を可能にする。
【0033】
少なくとも1つの保護ワニス層の少なくとも1つの保護ワニス層は、好ましくは、0.5μm~3μm、特に0.8μm~1.3μmの範囲の厚さを有する。
【0034】
保護ワニス層は、特に、ターゲット基材上の全面ワニス層の機械的および/または化学的応力に対する保護を提供する。
【0035】
少なくとも1つの保護ワニス層の少なくとも1つの保護ワニス層は、好ましくは、透明および/または半透明および/または不透明に形成され、および/または着色および/または少なくとも部分的に着色され、および/または結晶透明である。
【0036】
特に、少なくとも1つの装飾層の少なくとも1つの装飾層は、少なくとも1つの金属層および/または少なくとも1つの誘電体層を備える。
【0037】
少なくとも1つの装飾層の少なくとも1つの装飾層は、好ましくは8nm~500nm、好ましくは8nm~60nm、特に好ましくは10nm~30nmの範囲の厚さを有する。特に好ましくは、UV接着剤が低温接着剤として使用される場合、金属層の形態の装飾層の場合でも装飾箔の所望の高いUV透過性を達成するために、金属層は、8nm~60nmの範囲、好ましくは10nm~30nmの範囲の層厚を有する。したがって、UV照射に対する高い透過性と組み合わせた金属層の良好な視認性および装飾効果が達成される(OD=光学密度、約1.2)。
【0038】
UV接着剤の十分な硬化を達成するために、特に、装飾箔は、250nm~400nmの波長範囲のUV放射線に対して5%~70%、特に10%~40%の透過率を有する。ターゲット基板上のUV照射下で架橋する接着剤に基づく低温接着剤の特に迅速かつ特に十分な硬化が可能になり、その結果、ターゲット基板への全面ワニス層の接着がさらに改善される。これは、照射量が十分多い場合にのみ、UV照射下で架橋し、完全に硬化し、高い接着力を達成する接着剤であり、その結果、ターゲット基板からターゲット基板に転写された全面ワニス層領域の分離が確実に防止されるからである。ここで、装飾箔のUV透過率の決定因子は、存在する全ての層の中で最も低いUV透過率を有する装飾箔の層である。
【0039】
特に、少なくとも1つの金属層の少なくとも1つの金属層は、アルミニウム、銀、金、銅、ニッケル、クロム、および/またはこれらの金属のうちの少なくとも2つを含む合金から選択される材料または材料の組み合わせを含む。
【0040】
少なくとも1つの誘電体層の少なくとも1つの誘電体層は、好ましくは、金属酸化物、ポリマー、ワニス、および/またはHRI材料(HRI=高屈折率)、特にMgO、TiOn、Al2O3、ZnO、ZnS、および/またはSiOnから選択される材料または材料の組合せを含む。変数nは、好ましくは、0以上3以下の範囲にある。
【0041】
特に、少なくとも1つの装飾層の少なくとも1つの装飾層もHRI材料(HRI=高屈折率)から形成される。HRI材料は、特に、UV領域のスペクトルの少なくとも部分領域に対して放射線を透過させることができ、CdSe、CeTe、Ge、HfO2、PbTe、Si、Te、TiCl、またはZnTeなどである。
【0042】
装飾層は、光学可変効果を発生させるための回折および/または屈折レリーフ構造および/または3次元効果または深さ効果を発生させるためのマクロ構造を有する場合に価値があることが証明されている。特に透明ワニス層または複製ワニス層に形成される回折および/または屈折レリーフ構造によって、ホログラム、視野角に依存する運動学効果を有する3次元表現などの視野角に依存して、異なる光学効果、いわゆる光学可変効果を達成することができる。
【0043】
レリーフ構造の可視性を改善するために、これらは、通常、比較的高い反射率から非常に高い反射率を有し、特に金属酸化物からなる、強く反射する金属層および/または誘電体HRI層(HRI=屈折率)に隣接して配置される。そのような高い反射層は、好ましくは、表面全体にわたって形成されるか、またはパターン化される。
【0044】
したがって、特に、少なくとも1つの装飾層の少なくとも1つの装飾層は、特に、回折表面構造、反射表面構造、レンズ構造、艶消し構造、および/またはブレーズド格子から選択される、少なくとも1つの複製ワニス層の少なくとも1つの複製ワニス層に成形された表面構造を有する少なくとも1つの複製ワニス層を有する。
【0045】
特に、少なくとも1つの装飾層の少なくとも1つの装飾層は、光学可変効果を発生させる少なくとも1つの層を有することがさらに可能である。
【0046】
少なくとも1つの装飾層の少なくとも1つの装飾層は、好ましくは、少なくとも1つの反射層、特に、第1の情報項目の形態でパターン形成された少なくとも1つの反射層を有する。
【0047】
好ましくは、少なくとも1つの装飾層の少なくとも1つの装飾層は、第2の情報項目の形態でパターン形成された少なくとも1つのカラー層を有することも可能である。
【0048】
特に、少なくとも1つの装飾層の少なくとも1つの装飾層は、視野角に依存するカラーシフト効果を発生させるための少なくとも1つの薄膜層エレメントを有する。
【0049】
さらに、好ましくは、光学可変顔料、発光物質、磁性または導電性物質を有する少なくとも1つの装飾層、着色ワニス層、視野角に依存する干渉色効果を有する薄膜スタック、液晶層、または金属層、誘電体層などを備える上記の層の組み合わせの少なくとも1つの装飾層は、少なくとも1つの装飾層の少なくとも1つの装飾層として設計される。
【0050】
好ましくは、少なくとも1つのプライマー層の少なくとも1つのプライマー層は、0.1μm~2μm、好ましくは0.2μm~0.8μmの範囲の厚さを有する。
【0051】
特に、少なくとも1つのプライマー層の少なくとも1つのプライマー層は、透明および/または半透明および/または不透明に形成され、および/または着色および/または少なくとも部分的に着色され、および/または結晶透明である。特に、少なくとも1つのプライマー層の少なくとも1つのプライマー層が少なくとも部分的に着色または着色されて形成される場合、ターゲット基板に対するコントラストが増加し、特に高品質の光学印象または効果が達成される。
【0052】
さらに好ましくは、少なくとも1つのプライマー層の少なくとも1つのプライマー層は、100nm~200nm、好ましくは120nm~160nmの範囲の表面粗さを有する。表面粗さは、とりわけ、堆積方法およびプライマー層の配合物によって決定される。プライマー層のより小さい表面粗さ、しかし驚くべきことに、より大きい表面粗さは、低温接着剤と転写プライまたは全面ワニス層との間で達成可能な接着の減少をもたらすことが確立されている。プライマー層の表面粗さは、干渉顕微鏡を用いて測定した。
【0053】
さらに、例えば、全面ワニス層は、それらの化学的および/または物理的特性に関して異なるいくつかのプライマー層を備えることが可能であり、その結果、隣接する層への最適な接着が形成される。したがって、例えば、一方では、少なくとも1つの装飾層の少なくとも1つの装飾層に対する最適な接着を達成し、他方では、少なくとも1つの接着剤層少なくとも1つの接着剤層に対する最適な接着を達成することが可能である。
【0054】
特に、転写層と基板との間の接着テープ強度の接着(接着テープ試験、上記参照)が達成され、従来の乾燥低温接着剤を使用した場合、接着テープ試験は、数分後にすでに合格したと評価することができ、UV接着剤を使用した場合、接着テープ試験は、UV光の照射直後に合格したと評価することができた。転写層の90%以上がターゲット基板上に残った。
【0055】
特に、少なくとも1つの接着剤層の少なくとも1つの接着剤層は、全面ワニス層の少なくとも1つの第1の領域を少なくとも部分的にまたは全面にわたって覆う。
【0056】
少なくとも1つの接着剤層の少なくとも1つの接着剤層は、好ましくは、全面ワニス層の少なくとも1つの第2の領域を覆わず、特に、少なくとも1つの第2の領域の少なくとも1つの第2の領域は、少なくとも1つの第1の領域の少なくとも1つの第1の領域と重ならず、または少なくとも部分的にまたは全面にわたって重ならない。
【0057】
少なくとも1つの第1の領域の少なくとも1つの第1の領域および/または少なくとも1つの第2の領域の少なくとも1つの第2の領域は、好ましくは、以下のデザインエレメントの少なくとも1つまたは以下のデザインエレメントの組合せを備える。デザインエレメントとして、英数字、文字、シンボル、マイクロプリント、画像、写真、ロゴ、ポートレート、ピクトグラム、パターン、特にエンドレスパターン、グリッド、特に周期的グリッド、振幅変調グリッド、ドットグリッド、ライングリッド、モチーフが挙げられる。
【0058】
少なくとも1つの接着剤層の少なくとも1つの接着剤層は、好ましくは、熱接着剤および/または熱可塑性接着剤および/または低温接着剤および/または放射線硬化接着剤、特に、電磁放射線および/または電子ビーム放射線によって、および/またはUV放射線によって硬化することができる接着剤、および/または酸化硬化接着剤および/または低マイグレーション接着剤(LMI接着剤、LMI=低マイグレーションインク)から形成されることも可能である。
【0059】
最新技術で既に述べたように、全面ワニス層は、理想的には、少なくとも1つの接着剤層の少なくとも1つの接着剤層の外縁、特に送り方向の前縁で引裂かれる。全面ワニス層にクラックを発生させるために必要な力をクラック力という。少なくとも1つの接着剤層の少なくとも1つの接着剤層の送り方向の後縁で全面ワニス層を引裂くために加えなければならない力は、引裂き力と呼ばれる。
【0060】
全面ワニス層が所定の点で引裂かれまたは破壊された後、所望の表面積の装飾は、キャリアフィルムから全面ワニス層を分離ことによって行われる。このために必要とされる力は、引離し力と呼ばれる。したがって、引離し力は、全面ワニス層をキャリアフィルムから分離するために、またはこれと同様に、キャリアフィルムを少なくとも1つの接着剤層の少なくとも1つの接着剤層に接着する全面ワニス層から分離するために必要な力である。装飾されるべき全表面積または領域にわたる低く均一な引き離し力は、高い被覆力および綺麗なスタンピングを可能にする。
【0061】
結果として、特に、全面ワニス層をキャリアフィルムから引裂くための力は、2cN~8cNの範囲にある。
【0062】
一般に、引離し力は平均して一定であるが、全面ワニス層の層構造の不規則性は、引離し力の変動につながる可能性がある。引離し力の大きさにおけるこれらの変動を可能な限り小さく保つことが必要であり、その結果、均一な引離し力が存在し、高い被覆力を達成することができると言うことができる。この理由のために、特に、引離し力は、-0.5cN以上0.5cN以下の範囲で、その略平均の力の大きさの変動を有する場合が有益である。
【0063】
さらに、装飾の品質を低い均一な引離し力によって改善することができる。ここでは、点知覚についても言及する。点知覚は、好ましくは、個々に塗布された接着剤ドットのためのピンポイント箔装飾の指標である。これに関連して、ピンポイントとは、装飾が接着剤ドット全体を覆い、接着剤ドットを越えて突出しないことを意味する。その結果、全面ワニス層は、好ましくは、連続固体表面の装飾の場合には、99.5%以上、好ましくは100%の被覆力を有し、10%のハーフトーン領域の装飾の場合には、99.5%以上、好ましくは100%の装飾または点知覚を有する。10%ハーフトーン領域の場合、ターゲット基板の任意の表面積の10%が接着剤ドットで覆われるように、ターゲット基板の任意の表面積に接着剤ドットが設けられる。接着剤ドットは、好ましくは、等距離に配置され、パターン化され、格子状にされ、および/または互いに間隔を置いて配置される。
【0064】
装飾箔の製造方法については、特に、全面ワニス層の厚さに対するキャリアフィルムの厚さの比が1.8:1~7.0:1、好ましくは2.5:1~5.8:1の範囲にあり、キャリアフィルムが3μm以上7μm以下の範囲の厚さを有し、および/または全面ワニスの厚さに対するキャリアフィルムの厚さの比が4.1:1~10.0:1、好ましくは4.4:1~8.3:1の範囲にあり、キャリアフィルムが7μm以上10μm以下の範囲の厚さを有する。
【0065】
さらに、好ましくは、ステップb)における全面ワニス層は、1.0μm~2.5μm、好ましくは1.0μm~1.7μmの範囲の厚さを有することが可能である。
【0066】
さらに、ステップb)における全面ワニス層は、好ましくは、少なくとも1つの分離層および/または少なくとも1つの保護ワニス層および/または少なくとも1つの装飾層および/または少なくとも1つのプライマー層および/または少なくとも1つの接着剤層および/または少なくとも1つのカラー層を有する。
【0067】
ステップb)において、少なくとも1つの分離層の少なくとも1つの分離層および/または少なくとも1つの保護ワニス層の少なくとも1つの保護ワニス層および/または少なくとも1つの装飾層の少なくとも1つの装飾層および/または少なくとも1つのプライマー層の少なくとも1つのプライマー層および/または少なくとも1つの接着剤層の少なくとも1つの接着剤層および/または少なくとも1つのカラー層の少なくとも1つのカラー層は、好ましくは、グラビア印刷および/またはスクリーン印刷および/またはレリーフ印刷および/またはパッド印刷および/またはインクジェット印刷および/またはオフセット印刷および/またはフレキソ印刷および/または鋳造技術によって塗布される。
【0068】
さらに、ステップb)において、少なくとも1つの接着剤層は、好ましくは、熱接着剤、熱可塑性接着剤、低温接着剤、放射線硬化接着剤、特に、電磁放射線および/または電子ビーム放射線によって、および/またはUV放射線によって硬化することができる接着剤、または酸化硬化接着剤および/または低マイグレーション接着剤として塗布される。
【0069】
特に、ステップb)は、以下のステップをさらに備えることが可能であり、および/またはステップb)の後に、以下のステップをさらに実施することが可能である。
c)少なくとも1つの接着剤層の少なくとも1つの接着剤層が全面ワニス層の少なくとも第1の領域を少なくとも部分的にまたは全面にわたって覆うように、および/または全面ワニス層の第2の領域を覆わないように、少なくとも1つの接着剤層の少なくとも1つの接着剤層を塗布するステップであって、特に、少なくとも1つの第2の領域のうちの少なくとも1つの第2の領域が、少なくとも1つの第1の領域のうちの少なくとも1つの第1の領域と重ならないか、または少なくとも部分的にまたは全面にわたって重ならないステップ。
【0070】
例えば、接着剤層で覆われていない領域は、装飾箔によって装飾されない。したがって、例えば、ネガティブフォントおよび/またはネガティブパターンを生成することができる。
【0071】
特に、少なくとも1つの第1の領域の少なくとも1つの第1の領域および/または少なくとも1つの第2の領域の少なくとも1つの第2の領域は、以下のデザインエレメントの少なくとも1つ、または以下のデザインエレメントの組合せを備える。デザインエレメントとして、英数字、文字、シンボル、マイクロプリント、画像、写真、ロゴ、ポートレート、ピクトグラム、パターン、特にエンドレスパターン、グリッド、特に周期的グリッド、振幅変調グリッド、ドットグリッド、ライングリッド、モチーフが挙げれられる。
【0072】
ターゲット基板を装飾するための方法に関して、方法は、好ましくは、特に以下の順序で実施される以下のステップを備える。
d)装飾箔を設けるステップ。
e)ターゲット基板を設けるステップ。
f)装飾箔をターゲット基板に塗布するステップ。
【0073】
さらに、特に、以下のステップがステップf)の前に実施される。
g)少なくとも1つの接着剤層の少なくとも1つの接着剤層が全面ワニス層の少なくとも1つの第1の領域を少なくとも部分的にまたは全面にわたって覆うように、および/または全面ワニス層の第2の領域を覆わないように、少なくとも1つの接着剤層を装飾箔に塗布するステップであって、特に、少なくとも1つの第2の領域の少なくとも1つの第2の領域が少なくとも1つの第1の領域の少なくとも1つの第1の領域と重ならず、または少なくとも部分的にまたは全面にわたって重なるステップ、および/または少なくとも1つの接着剤層の少なくとも1つの接着剤層がターゲット基板の少なくとも1つの第3の領域を少なくとも部分的にまたは全面にわたって覆うように、および/またはターゲット基板の少なくとも1つの第4の領域を覆わないように、少なくとも1つの接着剤層をターゲット基板に塗布するステップであって、特に、少なくとも1つの第4の領域の少なくとも1つの第4の領域が少なくとも1つの第3の領域の少なくとも1つの第3の領域と重ならず、または少なくとも部分的にまたは全面にわたって重なるステップ。
【0074】
第1および第2の領域は、好ましくは、全面ワニス層が広がる平面内に配置される。特に、広がった平面は、全面ワニス層の少なくとも1つの表面を備える。第3および第4の領域は、好ましくは、ターゲット基板が広がる平面内に配置される。特に、広がった平面は、ターゲット基板の少なくとも1つの表面を備える。
【0075】
第1および第2の領域は、好ましくは、互いに隣り合って配置され、互いに隣り合って離間され、部分的に互いに重なり、および/または全面にわたって互いに重なることができる。さらに、特に、第3および第4の領域は、互いに隣り合って配置され、互いに隣り合って離間され、部分的に互いに重なり、および/または全面にわたって互いに重なる。
【0076】
さらに、少なくとも1つの第1および/または第3の領域の少なくとも1つの第1および/または第3の領域、および/または少なくとも1つの第2および/または第4の領域の少なくとも1つの第2および/または第4の領域は、以下のデザインエレメントの少なくとも1つ、または以下のデザインエレメントの組み合わせを備える。デザインエレメントとして、英数字、文字、シンボル、マイクロプリント、画像、写真、ロゴ、ポートレート、ピクトグラム、パターン、特にエンドレスパターン、グリッド、特に周期的グリッド、振幅変調グリッド、ドットグリッド、ライングリッド、モチーフが挙げられる。
【0077】
ステップg)における少なくとも1つの接着剤層の少なくとも1つの接着剤層は、好ましくは、熱接着剤、熱可塑性接着剤、低温接着剤、放射線硬化接着剤、特に、電磁放射線および/または電子ビーム放射線によって、および/またはUV放射線によって硬化することができる接着剤、および/または酸化硬化接着剤および/または低マイグレーション接着剤から形成される。
【0078】
ステップg)において、少なくとも1つの接着剤層の少なくとも1つの接着剤層は、好ましくは、グラビア印刷および/またはスクリーン印刷および/またはレリーフ印刷および/またはパッド印刷および/またはインクジェット印刷および/またはオフセット印刷および/またはフレキソ印刷および/または鋳造技術によって塗布される。
【0079】
特に、少なくとも1つの第1および/または第3の領域の少なくとも1つの第1および/または第3の領域が全面ワニス層によって装飾されること、および/または少なくとも1つの第2および/または第4の領域の少なくとも1つの第2および/または第4の領域が全面ワニス層によって装飾されないことが可能である。
【0080】
さらに、少なくとも1つの第1および/または第3の領域の少なくとも1つの第1および/または第3の領域は、好ましくは、少なくとも1つの接着剤層の少なくとも1つの接着剤層によって少なくとも部分的にまたは全面にわたって覆われ、全面ワニス層によって装飾されることが可能である。
【0081】
有利には、ステップf)の後に、少なくとも1つのカラー層を全面ワニス層の少なくとも1つの表面に塗布することが可能であり、その結果、少なくとも1つのカラー層の少なくとも1つのカラー層と全面ワニス層との間の接着力は、少なくとも25cN、好ましくは少なくとも30cNである。
【0082】
ステップf)の後の全面ワニス層は、好ましくは、連続固体表面の装飾の場合には99.5%以上、好ましくは100%の被覆力を有し、10%のハーフトーン領域の装飾の場合には99.5%以上、好ましくは100%の装飾または点知覚を有する。
【0083】
さらに、特に、以下のステップがステップf)の後にさらに実施される。
キャリアフィルムを全面ワニス層から剥離するステップであって、キャリアフィルムと全面ワニス層との間の剥離角度が、0°~120°、好ましくは0°~90°の範囲にあるステップ。
【0084】
特に、ステップf)および/またはステップf)の後に、以下のステップをさらに実施することが可能である。
h)少なくとも1つの圧力スタンプおよび/または少なくとも1つの圧力ローラで装飾箔を押圧するステップ。
【0085】
さらに、ステップh)における少なくとも1つの圧力スタンプの少なくとも1つの圧力スタンプおよび/または少なくとも1つの圧力ローラの少なくとも1つの圧力ローラは、好ましくは、加熱平面および/または成形スタンプおよび/または加熱ローラとして設計され、これは、少なくとも1つの接着剤層の少なくとも1つの接着剤層を少なくとも部分的に、および/または少なくとも1つの第1および/または第3の領域の少なくとも1つの第1および/または第3の領域において活性化し、装飾箔をターゲット基板に接合する。
【0086】
以下、本発明を添付の図面を利用したいくつかの実施例を参照して、例として説明する。したがって、示された実施例は、限定的なものとして理解されるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【
図3】
図3は、少なくとも1つの接着剤層が塗布されたターゲット基板の断面図である。
【
図4】
図4は、装飾されたターゲット基板の断面図である。
【
図5】
図5は、装飾されたターゲット基板の別の断面図である。
【
図7】
図7は、ターゲット基板の装飾方法の概略図である。
【
図8】
図8は、ターゲット基板の装飾方法の概略図である。
【
図9a】
図9aは、5.7μmのキャリアフィルム厚を有する装飾箔についての引裂き力測定を示す。
【
図9b】
図9bは、12μmのキャリアフィルム厚を有する装飾箔についての引裂き力測定を示す。
【
図10a】
図10aは、5.7μmのキャリアフィルム厚を有する装飾箔の装飾された10%ハーフトーン領域を示す。
【
図10b】
図10bは、12μmのキャリアフィルム厚を有する装飾箔の装飾された10%ハーフトーン領域を示す。
【
図11a】
図11aは、5.7μmのキャリアフィルム厚を有する装飾箔の概略図であり、中性繊維が引き込まれている。
【
図11b】
図11bは、12μmのキャリアフィルム厚を有する装飾箔の概略図であり、中性繊維が引き込まれている。
【発明を実施するための形態】
【0088】
図1は、装飾箔40、特に積層箔、コールドスタンピング箔またはホットスタンピング箔の断面図を示す。装飾箔40は、キャリアフィルム42および全面ワニス層41を備え、キャリアフィルムは、3.0μm~10.0μmの範囲の厚さを有する。
【0089】
特に、全面ワニス層41は、1.0μm~2.5μm、特に1.0μm~1.7μmの範囲の厚さを有することが可能である。
【0090】
この実施形態の変形例では、全面ワニス層41は、分離層43、保護ワニス層44、装飾層45およびプライマー層46を備える。代替の実施形態の変形例では、全面ワニス層41は、好ましくは、少なくとも1つの分離層43および/または少なくとも1つの保護ワニス層44および/または少なくとも1つの装飾層45および/または少なくとも1つのプライマー層46および/または少なくとも1つの接着剤層47および/または少なくとも1つのカラー層を有する。
【0091】
全面ワニス層の厚さに対するキャリアフィルムの厚さの比は、好ましくは、1.8:1~7.0:1、好ましくは2.5:1~5.8:1の範囲にあり、キャリアフィルム42は、3μm以上7μm以下の範囲の厚さを有し、および/またはキャリアフィルムの厚さに対する全面ワニス層の厚さの比は、4.1:1~10.0:1、好ましくは4.4:1~8.3:1の範囲にあり、キャリアフィルム42は、7μm以上10μm以下の範囲の厚さを有する。
【0092】
特に、装飾箔40は、有利には、250nm~400nmの波長範囲の放射線に対して5%~70%、特に10%~40%の透過率を有する。
【0093】
キャリアフィルム42は、好ましくは、PET、PMMA、PC、PE、PVC、PS、ABS、PU、PBS、PLA、PANおよび/またはガラスから選択される材料または材料の組み合わせを含む。
【0094】
少なくとも1つの分離層43の少なくとも1つの分離層43は、好ましくは、0.01μm~0.50μm、好ましくは0.10μm~0.30μmの範囲の厚さを有する。
【0095】
少なくとも1つの分離層43の少なくとも1つの分離層43は、好ましくは、ワックス、シリコーン、ポリウレタンおよび/またはポリマー、好ましくはアクリレートコポリマー、ポリエステルコポリマー、ポリカーボネートコポリマー、ポリスチレンコポリマーから選択される材料または材料の組み合わせを含む。
【0096】
少なくとも一つの分離層43の分離層43は、好ましくは、透明および/または半透明、および/または不透明に形成され、および/または着色および/または少なくとも部分的に着色され、および/または結晶透明である。
【0097】
保護ワニス層44は、特に、装飾層45を機械的および/または化学的応力から保護するのに役立つ任意の層である。保護ワニス層44は、特に、ニトロセルロースおよびアクリレートポリマー、ポリエステルコポリマー、ポリカーボネートコポリマー、ポリスチレンコポリマーおよび/またはSMAコポリマーをベースとするワニス層である。
【0098】
少なくとも1つの保護ワニス層44の少なくとも1つの保護ワニス層44は、好ましくは、0.5μm~3μm、特に0.8μm~1.3μmの範囲の厚さを有する。
【0099】
少なくとも1つの保護ワニス層44の少なくとも1つの保護ワニス層44は、好ましくは、透明および/または半透明および/または不透明に形成され、および/または着色および/または少なくとも部分的に着色され、および/または結晶透明である。
【0100】
少なくとも1つの保護ワニス層44の少なくとも1つの保護ワニス層44は、好ましくは、ポリマー、特にアクリレートコポリマー、ポリエステルコポリマー、ポリスチレンコポリマー、ポリカーボネートコポリマーおよび/またはSMAコポリマーから選択される材料または材料の組み合わせを含むことが可能である。
【0101】
全面ワニス層41のポリマー、特にアクリレートコポリマーおよび/またはSMAコポリマー、ポリエステルコポリマー、ポリカーボネートコポリマー、ポリスチレンコポリマーまたはそれらの組み合わせは、好ましくは、1000g/mol~100000g/mol、好ましくは3000g/mol~35000g/molの範囲のモル質量を有する。
【0102】
少なくとも1つの装飾層45の少なくとも1つの装飾層45は、少なくとも1つの金属層および/または少なくとも1つの誘電体層を備える。
【0103】
さらに、少なくとも1つの金属層の少なくとも1つの金属層は、アルミニウム、銀、金、銅、ニッケル、クロム、および/またはこれらの金属のうちの少なくとも2つを含む合金から選択される材料または材料の組み合わせを含む。
【0104】
好ましくは、少なくとも1つの誘電体層の少なくとも1つの誘電体層は、金属酸化物、ポリマー、ワニスおよび/またはHRI材料、特にMgO、TiOn、Al2O3、ZnO、ZnSおよび/またはSiOnから選択される材料または材料の組合せを含むことが可能であり、変数nは、好ましくは、0以上3以下の範囲にある。
【0105】
少なくとも1つの装飾層45の少なくとも1つの装飾層45は、好ましくは、8nm~500nm、好ましくは8nm~60nm、特に好ましくは10nm~30nmの範囲の厚さを有する。特に、少なくとも1つの金属層の少なくとも1つの金属層は、8nm~60nm、好ましくは10nm~30nmの範囲の厚さを有する。この層の厚さは、少なくとも1つの金属層の少なくとも1つの金属層について、UV放射線に対する高いレベルの透過率が達成されることを保証する。これは、特に、電磁放射線によって硬化させることができる低温接着剤および/または接着剤、特に好ましくはUV放射によって硬化させることができる接着剤が使用される場合に有益である。その理由は、UV放射を放出する光源のUV放射が特に少なくとも1つの金属層の少なくとも1つの金属層に浸透し、したがって、その下に位置するUV接着剤を硬化させることができることを保証することができるからである。同時に、少なくとも1つの金属層の少なくとも1つの金属層の良好な視認性および装飾効果が達成される。
【0106】
特に、少なくとも1つの装飾層45の少なくとも1つの装飾層45は、光学的に変化する効果を発生させる少なくとも1つの層を有することが可能である。これにより、装飾箔40の特に高品質な光学特性が達成され得る。さらに、これらは、好ましくは偽造防止であるセキュリティエレメントであることが可能である。
【0107】
さらに、少なくとも1つの装飾層45の少なくとも1つの装飾層45は、好ましくは、少なくとも1つの複製ワニス層の少なくとも1つの複製ワニス層に成形された表面構造を有する少なくとも1つの複製ワニス層を有し、表面構造は、特に、回折表面構造、屈折表面構造、レンズ構造、艶消し構造、および/またはブレーズド格子から選択される。
【0108】
特に、少なくとも1つの装飾層45の少なくとも1つの装飾層45は、少なくとも1つの反射層を有し、特に、第1の情報項目の形態でパターン形成された少なくとも1つの反射層を有する場合に有利である。
【0109】
少なくとも1つの装飾層45の少なくとも1つの装飾層45は、さらに好ましくは、第2の情報項目の形態でパターン形成された少なくとも1つのカラー層を有する。
【0110】
特に、少なくとも1つの装飾層45の少なくとも1つの装飾層45について、視野角に依存する色ずれ効果を発生させるための少なくとも1つの薄膜層エレメントを有することが可能である。
【0111】
さらに、特に、少なくとも1つのプライマー層46の少なくとも1つのプライマー層46は、0.1μm~2μm、特に好ましくは0.2μm~0.8μmの範囲の厚さを有する。
【0112】
少なくとも1つのプライマー層46の少なくとも1つのプライマー層46は、好ましくは、透明および/または半透明および/または不透明に形成され、および/または着色および/または少なくとも部分的に着色され、および/または結晶透明であることが可能である。特に、少なくとも1つのプライマー層46の少なくとも1つのプライマー層46が少なくとも部分的に着色および/または着色される場合、ターゲット基板10に対するコントラストが増加し、これにより特に高品質の光学的印象または効果が達成されるという利点が得られる。
【0113】
少なくとも1つのプライマー層46の少なくとも1つのプライマー層46は、好ましくは、100nm~200nm、好ましくは120nm~160nmの範囲の表面粗さを有する。
【0114】
さらに、例えば、全面ワニス層41は、それらの化学的および/または物理的特性に関して異なるいくつかのプライマー層46を備えることが可能であり、その結果、隣接する層への最適な接着が形成される。したがって、例えば、一方では、少なくとも1つの装飾層45の少なくとも1つの装飾層45に対する最適な接着を達成し、他方では、少なくとも1つの接着剤層47の少なくとも1つの接着剤層47に対する最適な接着を達成することが可能である。
【0115】
装飾箔40は、接着剤層47が第1の領域21の全面ワニス層41の表面を覆い、第2の領域22でそれを覆わないことを除いて、
図1に示されたものと同じ構造で
図2に示されている。
【0116】
特に、少なくとも1つの接着剤層47の少なくとも1つの接着剤層47は、全面ワニス層41の少なくとも1つの第1の領域21を、少なくとも部分的に、または全面にわたって覆っている。
【0117】
さらに、少なくとも1つの接着剤層47の少なくとも1つの接着剤層47は、全面ワニス層41の少なくとも1つの第2の領域22を覆わず、特に、少なくとも1つの第2の領域22の少なくとも1つの第2の領域22は、少なくとも1つの第1の領域21の少なくとも1つの第1の領域21と重ならず、または少なくとも部分的にまたは全面にわたって重なる。
【0118】
特に、少なくとも1つの第1の領域21の少なくとも1つの第1の領域21および/または少なくとも1つの第2の領域22の少なくとも1つの第2の領域22は、以下のデザインエレメントの少なくとも1つ、または以下のデザインエレメントの組合せを備えることが可能である。デザインエレメントとして、英数字、文字、シンボル、マイクロプリント、画像、写真、ロゴ、ポートレート、ピクトグラム、パターン、特にエンドレスパターン、グリッド、特に周期的グリッド、振幅変調グリッド、ドットグリッド、ライングリッド、モチーフが挙げられる。したがって、観察者に特に高品質の印象を与える個別の設計の可能性を実現することができる。
【0119】
さらに、少なくとも1つの接着剤層47の少なくとも1つの接着剤層47は、好ましくは、熱接着剤および/または熱可塑性接着剤および/または低温接着剤および/または放射線硬化接着剤、特に、電磁放射線および/または電子ビーム放射線によって、および/またはUV放射線によって硬化することができる接着剤、および/または酸化硬化接着剤および/または低マイグレーション接着剤で形成される。これにより、装飾箔40は、例えば、低温接着剤および/またはUV放射線によって硬化することができる接着剤を使用する場合、コールドスタンピングによってターゲット基板10に塗布することができ、または、例えば、熱可塑性接着剤を使用する場合、熱可塑性接着剤を含む少なくとも1つの接着剤層47の少なくとも1つの接着剤層47を加熱された圧力スタンプおよび/または圧力ローラによって活性化することによって、ホットスタンピングによってターゲット基板に塗布することができる。
【0120】
ターゲット基板10の断面図が
図3に示されており、ターゲット基板10の表面は、第3の領域23では少なくとも1つの接着剤層47で覆われ、第4の領域24では覆われていない。特に、装飾箔40をターゲット基板10に塗布する前に、少なくとも1つの接着剤層47の少なくとも1つの接着剤層47は、少なくとも1つの第3の領域23の少なくとも1つの第3の領域23に堆積され、少なくとも1つの第4の領域24の第4の領域24には堆積されない。
【0121】
少なくとも1つの接着剤層47の少なくとも1つの接着剤層47は、全面にわたってターゲット基板10の少なくとも1つの表面を覆うことも可能である。
【0122】
この実施形態の変形例では、装飾されたターゲット基板の断面図が
図4に示されている。特に、少なくとも1つの接着剤層47の少なくとも1つの接着剤層47は、ターゲット基板10の表面を全面にわたって覆うようにターゲット基板10上に配置される。さらに、装飾されたターゲット基板は、装飾箔40の全面ワニス層41を備え、キャリア42は、装飾箔40からすでに剥離されている。キャリア42は、好ましくは、装飾箔40上に残るようにすることもできる。
【0123】
図示の実施形態では、分離層43もターゲット基板10に転写され、キャリアフィルム42上に残らないか、または部分的に残るだけである。より詳細には示されていない代替の実施形態では、分離層43は、剥離されたキャリアフィルム42上に残ることも可能であり、または分離層43のごくわずかな領域のみがターゲット基板10に転写されることも可能である。
【0124】
装飾されたターゲット基材の別の代替物の断面図を
図5に示す。ここで、少なくとも1つの第3の領域23の少なくとも1つの第3の領域23は、全面ワニス層41によって装飾され、少なくとも1つの第4の領域24の少なくとも1つの第4の領域24は、全面ワニス層41によって装飾されない。
【0125】
しかしながら、少なくとも1つの第1および/または第3の領域21、23の少なくとも1つの第1および/または第3の領域21、23は、全面ワニス層41によって装飾されること、および/または少なくとも1つの第2および/または第4の領域22、24の少なくとも1つの第2および/または第4の領域22、24は、全面ワニス層41によって装飾されないことも可能である。
【0126】
特に、全面ワニス層41は、少なくとも1つの表面上に少なくとも1つのカラー層を有し、少なくとも1つのカラー層の少なくとも1つのカラー層と全面ワニス層41との間の接着力は、少なくとも25cN、好ましくは少なくとも30cNである。
【0127】
装飾箔40の製造方法の概略図が
図6に示されており、この方法は、以下のステップを備え、これらのステップは、特に以下の順序で実施される。
a)キャリアフィルム42を設けるステップであって、キャリアフィルム42は、3.0μm~10.0μmの範囲の厚さを有するステップ。
b)全面ワニス層41をキャリアフィルム42の少なくとも1つの表面の少なくとも1つの領域に塗布するステップであって、装飾箔40が形成されるステップ。
【0128】
好ましくは、ステップb)における全面ワニス層41は、1.0μm~2.5μm、好ましくは1.0μm~1.7μmの範囲の厚さを有することが可能である。
【0129】
特に、ここで、全面ワニス層の厚さに対するキャリアフィルムの厚さの比は、1.8:1~7.0:1、好ましくは2.5:1~5.8:1の範囲にあり、キャリアフィルム42は、3μm以上7μm以下の範囲の厚さを有し、および/または全面ワニス層の厚さに対するキャリアフィルムの厚さの比は、4.1:1~10.0:1、好ましくは4.4:1~8.3:1の範囲にあり、キャリアフィルム42は、7μm以上10μm以下の範囲の厚さを有する。
【0130】
さらに、好ましくは、ステップb)における全面ワニス層は、少なくとも1つの分離層43および/または少なくとも1つの保護ワニス層44および/または少なくとも1つの装飾層45および/または少なくとも1つのプライマー層46および/または少なくとも1つの接着剤層47および/または少なくとも1つのカラー層を有する。
【0131】
特に、グラビア印刷および/またはスクリーン印刷および/またはレリーフ印刷および/またはパッド印刷および/またはインクジェット印刷および/またはオフセット印刷および/またはフレキソ印刷および/または鋳造技術によって、少なくとも1つの分離層43の少なくとも1つの分離層43および/または少なくとも1つの保護ワニス層44の少なくとも1つの保護ワニス層44および/または少なくとも1つの装飾層45の少なくとも1つの装飾層45および/または少なくとも1つのプライマー層の少なくとも1つのプライマー層46および/または少なくとも1つの接着剤層47の少なくとも1つの接着剤層47および/または少なくとも1つのカラー層の少なくとも1つのカラー層が塗布されることも可能である。
【0132】
ステップb)において、特に、少なくとも1つの接着剤層47は、熱接着剤、熱可塑性接着剤、低温接着剤、放射線硬化接着剤、特に、電磁放射線および/または電子ビーム放射線によって、および/またはUV放射線によって硬化することができる接着剤、または酸化硬化接着剤および/または低マイグレーション接着剤として塗布される。さらに、接着剤層47を全面ワニス層41の表面に少なくとも部分的に塗布することも可能である。
【0133】
特に、ステップb)は、以下のステップをさらに備えること、および/または、ステップb)の後に、以下のステップがさらに実施されることも可能である。
c) 少なくとも1つの接着剤層47の少なくとも1つの接着剤層47が全面にわたって少なくとも部分的にまたは全面にわたって全面ワニス層41の少なくとも1つの第1の領域21を覆い、および/または全面ワニス層41の第2の領域22を覆わない、特に、少なくとも1つの第2の領域22の少なくとも1つの第2の領域22が少なくとも1つの第1の領域21の少なくとも1つの第1の領域21と重ならない、または少なくとも部分的にまたは全面にわたって重なるように、少なくとも1つの接着剤層47の少なくとも1つの接着剤層47を塗布するステップ。
【0134】
特に、少なくとも1つの第1の領域21の少なくとも1つの第1の領域21および/または少なくとも1つの第2の領域22の少なくとも1つの第2の領域22は、以下のデザインエレメントの少なくとも1つ、または以下のデザインエレメントの組合せを備えることも可能である。デザインエレメントとして、英数字、文字、シンボル、マイクロプリント、画像、写真、ロゴ、ポートレート、ピクトグラム、パターン、特にエンドレスパターン、グリッド、特に周期的グリッド、振幅変調グリッド、ドットグリッド、ライングリッド、モチーフが挙げられる。
【0135】
ターゲット基板10の装飾方法は、
図7に概略的に示されており、この方法は、以下のステップを備え、これらのステップは、特に以下の順番で実施される。
d)装飾箔40を設けるステップ。
e)ターゲット基板10を設けるステップ。
f)装飾箔40をターゲット基板10に塗布するステップ。
【0136】
図8に概略的に示されるように、特に、以下のステップがステップf)の前に実施される。
g)少なくとも1つの接着剤層47の少なくとも1つの接着剤層47が全面ワニス層41の少なくとも1つの第1の領域21を少なくとも部分的にまたは全面にわたって覆うように、および/または全面ワニス層41の少なくとも1つの第2の領域22を覆わないように、特に、少なくとも1つの第2の領域22の少なくとも1つの第2の領域22が少なくとも1つの第1の領域21の少なくとも1つの第1の領域21と重ならない、または少なくとも部分的にまたは全面にわたって重なるように、少なくとも1つの接着剤層47を装飾箔40に塗布するステップ、および/または少なくとも1つの接着剤層47の少なくとも1つの接着剤層47がターゲット基板10の少なくとも1つの第3の領域23を少なくとも部分的にまたは全面にわたって覆うように、および/またはターゲット基板10の少なくとも1つの第4の領域23を覆わないように、特に、少なくとも1つの第4の領域24の少なくとも1つの第4の領域24が少なくとも1つの第3の領域23の少なくとも1つの第3の領域23と重ならない、または少なくとも部分的にまたは全面にわたって重なるように、少なくとも1つの接着剤層47をターゲット基板10に塗布するステップ。
【0137】
さらにまた、少なくとも1つの第1および/または第3の領域21、23の少なくとも1つの第1および/または第3の領域21、23、および/または少なくとも1つの第2および/または第4の領域22、24の少なくとも1つの第2および/または第4の領域22、24は、以下のデザインエレメントの少なくとも1つ、または以下のデザインエレメントの組み合わせを備える。デザインエレメントとして、英数字、文字、シンボル、マイクロプリント、画像、写真、ロゴ、ポートレート、ピクトグラム、パターン、特にエンドレスパターン、グリッド、特に周期的グリッド、振幅変調グリッド、ドットグリッド、ライングリッド、モチーフが挙げられる。
【0138】
ステップg)における少なくとも1つの接着剤層47の少なくとも1つの接着剤層47は、好ましくは、熱接着剤、熱可塑性接着剤、低温接着剤、放射線硬化接着剤、特に、電磁放射線および/または電子ビーム放射線によって、および/またはUV放射線によって硬化することができる接着剤、および/または酸化硬化接着剤および/または低マイグレーション接着剤から形成される。
【0139】
さらに、特に、ステップg)において、少なくとも1つの接着剤層47の少なくとも1つの接着剤層47は、グラビア印刷および/またはスクリーン印刷および/またはレリーフ印刷および/またはパッド印刷および/またはインクジェット印刷および/またはオフセット印刷および/またはフレキソ印刷および/または鋳造技術によって塗布される。
【0140】
少なくとも1つの第1および/または第3の領域21、23の少なくとも1つの第1および/または第3の領域21、23は、少なくとも1つの接着剤層47の少なくとも1つの接着剤層47によって少なくとも部分的にまたは全面にわたって覆われ、全面ワニス層41によって装飾されることも可能である。
【0141】
さらに、有利には、ステップf)の後に、少なくとも1つのカラー層が全面ワニス層41の少なくとも1つの表面に塗布され、その結果、少なくとも1つのカラー層の少なくとも1つのカラー層と全面ワニス層41との間の接着力は、少なくとも25cN、好ましくは少なくとも30cNである。
【0142】
また、有利には、ステップf)後の全面ワニス層41は、連続固体表面の装飾の場合には99.5%以上、好ましくは100%の被覆力を有し、10%のハーフトーン領域の装飾の場合には99.5%以上、好ましくは100%の装飾または点知覚を有する。
【0143】
また、好ましくは、以下のステップをステップf)および/またはステップf)の後にさらに実施することも考えられる。
h)少なくとも1つの圧力スタンプおよび/または少なくとも1つの圧力ローラで装飾箔40を押圧するステップ。
【0144】
さらに、ステップh)において少なくとも1つの圧力スタンプの少なくとも1つの圧力スタンプおよび/または少なくとも1つの圧力ローラの少なくとも1つの圧力ローラは、好ましくは、加熱平面および/または成形スタンプおよび/または加熱ローラとして設計されることも可能である。これは、少なくとも部分的におよび/または少なくとも1つの第1および/または第3の領域21、23の少なくとも1つの第1および/または第3の領域21、23において少なくとも1つの接着剤層47の少なくとも1つの接着剤層47を活性化し、装飾箔40をターゲット基材10に接合する。
【0145】
特に、次のステップをステップf)の後にさらに実施することも可能である。
キャリアフィルム42を全面ワニス層41から剥離するステップであって、キャリアフィルム42と全面ワニス層41との間の剥離角度が、0°~120°、好ましくは0°~90°の範囲にあるステップ。
【0146】
キャリアフィルム42が全面ワニス層41から剥離されると、特に、少なくとも1つの接着剤層47の少なくとも1つの接着剤層47は、少なくとも1つの第1および/または第3の領域21、23の少なくとも1つの第1および/または第3の領域21、23に塗布され、この領域で装飾が行われる。装飾が指定された領域でのみ行われるためには、いわゆるクラック力を克服しなければならない。クラック力は、装飾箔40の全面ワニス層41における規定された局所的な破断が生じ、装飾される表面領域または装飾される領域の鋭い縁部の装飾が可能になるように、装飾される表面領域または装飾される領域への転写中に克服されなければならない力である。
【0147】
少なくとも1つの接着剤層47の少なくとも1つの接着剤層47の外縁部、特に送り方向の前縁部は、クラック縁部と呼ばれる。特に、全面ワニス層41は、このクラック縁部で正確にかつ規定された方法で破断し、その結果、少なくとも1つの第1および/または第3の領域21、23の少なくとも1つの第1および/または第3の領域21、23に塗布される少なくとも1つの接着剤層47の少なくとも1つの接着剤層47は、装飾を予め規定する。
【0148】
接着剤層47の送り方向の外側後縁部は、引裂き縁部と呼ばれる。特に、全面ワニス層41は、この引裂き縁部においても正確にかつ規定された方法で破断し、その結果、少なくとも1つの第1および/または第3の領域21、23の少なくとも1つの第1および/または第3の領域21、23に塗布される少なくとも1つの接着剤層47の少なくとも1つの接着剤層47は、装飾を予め規定する。
【0149】
全面ワニス層41のクラックが生じた後、全面ワニス層41をキャリアフィルム42から分離することによって、装飾すべき表面領域または装飾すべき領域の装飾が行われる。このために必要とされる力は、引裂き力と呼ばれ、一般に、全面ワニス層41が破断される必要がないので、クラック力よりも小さい。一般に、装飾すべき領域全体にわたる小さくて均一な引裂き力は、高い被覆力を保証し、装飾欠陥の数が低減されることは事実である。
【0150】
例として、5.7μmのキャリアフィルム42の厚さを有する本発明による装飾箔40(
図9a)および12μmのキャリアフィルム42の厚さを有する最新技術による装飾箔40(
図9b)の引裂き力の力曲線を
図9aおよび
図9bに示す。ここで、引裂き力は、mmでの距離にわたるcNで示される。試験された2つの装飾箔40は、キャリアフィルムの厚さが異なることを除いて、同一の層構造および同一の材料組成を有する。
【0151】
ZwickRoell GmbH & Co. KGのZ005タイプの材料試験機を使用して、測定値を記録した。剥離されるべきキャリアフィルム42は、両方の試験において、13.5mmの幅および41mmの長さを有する。キャリアフィルム42の分離は、長手方向に100mm/分の速度で行われる。
【0152】
5.7μmのキャリアフィルム厚を有する装飾箔40についての引剥がし力の平均は、約2.75cNであり(
図9a参照)、一方、12μmのキャリアフィルム厚を有する装飾箔40についての引き剥がし力の平均は、約4.5cNである(
図9b参照)。
【0153】
力振幅の変動とは、特に、その略平均の引裂き力の変動を意味し、5.7μmのキャリアフィルム厚を有する装飾箔40(
図9a)は、12μmのキャリアフィルム厚を有する装飾箔40(
図9b)よりも小さい。力振幅の変動は、絶対的に考えると、5.7μmのキャリアフィルム厚さを有する装飾箔40では±0.5cNよりも小さく、一方、12μmのキャリアフィルム厚さを有する装飾箔40の場合には、略平均で±1cNまでの力振幅の変動が生じる。
【0154】
全体として、5.7μmのキャリアフィルム厚を有する装飾箔40の場合の絶対引裂き力は、12μmのキャリアフィルム厚を有する装飾箔40の場合よりも小さく、その略平均の力振幅の変動は、12μmのキャリアフィルム厚を有する装飾箔40の場合よりも5.7μmのキャリアフィルム厚を有する装飾箔40の場合の方がはるかに小さいと言うことができる。キャリアフィルム42が3μm~10μmの範囲の厚さを有する装飾箔40では、引裂き力は、特に均一に振る舞い、それによって改善された装飾および改善された被覆力が得られる。
【0155】
さらなる一連の試験は、上記の利点を証明する。最初に、いくつかの類似のターゲット基板10が準備され、ここで、接着剤層47は、10%の表面被覆率を有するハーフトーン領域においてターゲット基板10に塗布され、すなわち、ターゲット基板10の表面領域の10%が接着剤ドットで覆われる。10%のハーフトーン領域は、100lpi(lpi=lines per inch) の分解能を有し、振幅変調され、45°のグリッドドットの角度を有する。
【0156】
ターゲット基板10当たりの最大接着剤ドットを決定するために、装飾箔40のないターゲット基板10を1200dpiの解像度でスキャナによってスキャンインし、接着剤ドットの数をカウントする。この画像形成は、接着剤画像とも呼ばれる。
【0157】
同じ手順が装飾されたターゲット基板10に対しても実施され、予めターゲット基板10は、5.7μm(A)のキャリアフィルム厚を有する装飾箔40で装飾され、ターゲット基板10は、12μm(B)のキャリアフィルム厚を有する装飾箔40で装飾され、キャリアフィルム42は、接着剤層47の硬化後に全面ワニス層41から分離される。
【0158】
このプロセスは、いくつかのターゲット基板10に対しても同様に実施される。ターゲット基板10において、接着剤層47は、フルトーン領域に、したがって100%の表面被覆率で塗布される。
【0159】
【0160】
10%グリッドでは、8240個の接着剤ドットの全てが5.7μmのキャリアフィルム厚を有する装飾箔40によって装飾されており、これも
図10aに示されている。
対照的に、
図10bにも示されるように、接着剤ドットの62%のみが12μmのキャリアフィルム厚を有する装飾箔40によって装飾される。したがって、5.7μmのキャリアフィルム厚を有する装飾箔40の場合、綺麗なスタンピングまたは高い点知覚があると言うことができるが、これは、接着剤ドットの100%が装飾され、したがって、全面ワニス層41がクラック縁部および/または引裂き縁部で最適に破断するためである。
【0161】
さらに、100%のフルトーン領域の被覆力は、5.7μmのキャリアフィルム厚を有する装飾箔40で達成され、99%のフルトーン領域の被覆力は、12μmのキャリアフィルム厚を有する装飾箔40で達成される。
【0162】
したがって、3μm~10μmの範囲のキャリアフィルム厚を有する装飾箔40に対して、綺麗なスタンピングおよび非常に高い被覆力の利点が得られる。
【0163】
説明のために、
図11aおよび11bがさらに言及され、それぞれの場合において、5.7μmのキャリアフィルム厚さを有する装飾箔40(
図11a)および12μmのキャリアフィルム厚さを有する装飾箔40(
図11b)のために、中性繊維50が引き込まれる。中性繊維50は、装飾箔40の幾何学的中心面または中心線に沿って延びている。中性繊維50は、撚られたときおよび/または曲げられたときにその長さが変化しない、すなわち、引張応力または圧力応力が中性繊維50に作用しない繊維である。また、中性繊維から全面ワニス層41までの距離xを示す。装飾箔40のキャリアフィルム厚さが小さいほど、距離xは小さくなる。収縮距離xと共に、曲げの結果としての全面ワニス層41の垂直応力も次いで減少する。3μm~10μmの範囲のキャリアフィルム厚を有する装飾箔40の場合の全面ワニス層41の低減された垂直応力は、全面ワニス層41における不確定および/またはランダムな局所的破壊がキャリアフィルムの剥離の前にすでに起こらないことを保証する。したがって、綺麗なスタンピングまたは非常に高い点知覚を達成することができる。
【0164】
特に、引剥がし力は、-0.5cN以上0.5cN以下の範囲で、その略平均の力振幅の変動を有する。
【0165】
さらに、全面ワニス層41は、好ましくは、連続固体表面の装飾の場合には99.5%以上、好ましくは100%の被覆力を有し、10%のハーフトーン領域の装飾の場合には99.5%以上、好ましくは100%の装飾または点知覚を有する。
【0166】
特に、全面ワニス層41をキャリアフィルム42から引裂くための力は、2cN~8cNの範囲にあることが可能である。
【符号の説明】
【0167】
10 ターゲット基板
21 第1の領域
22 第2の領域
23 第3の領域
24 第4の領域
40 装飾箔
41 全面ワニス層
42 キャリアフィルム
43 分離層
44 保護ワニス層
45 装飾層
46 プライマー層
47 接着剤層
50 中性繊維
x 距離
【国際調査報告】