(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-03
(54)【発明の名称】全身保護服の折り畳み
(51)【国際特許分類】
A41D 13/12 20060101AFI20230127BHJP
【FI】
A41D13/12 190
A41D13/12 109
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022533113
(86)(22)【出願日】2020-12-04
(85)【翻訳文提出日】2022-06-02
(86)【国際出願番号】 US2020063212
(87)【国際公開番号】W WO2021113575
(87)【国際公開日】2021-06-10
(32)【優先日】2019-12-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518263531
【氏名又は名称】オーアンドエム ハリヤード インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001379
【氏名又は名称】弁理士法人大島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ミタニ、ナミタ・エー
(72)【発明者】
【氏名】リン、ブライアン・イー
(72)【発明者】
【氏名】イスラエル、サミュエル・ジー
【テーマコード(参考)】
3B011
【Fターム(参考)】
3B011AA02
3B011AB06
3B011AC22
3B011AC24
(57)【要約】
本発明は、保護服から形成された折り畳み式物品、及び、保護服を折り畳んで着用のために衣服を準備する方法であり、着衣を容易にするために衣服のスリーブ開口を露出させることを特徴とする。保護服は折り畳み式物品に折り畳まれており、この折り畳み式物品は、衣服の内面を把持することにより、衣服の着用中に着用者が衣服の外面に接触しないように構成されている。このようにして、衣服の着用中に、防護服の無菌性を維持することができる。保護服は、フード及びバイザをさらに含んでもよく、保護服から形成された折り畳み式物品は、バイザと同じ大きさ及び形状を有することができる。
【選択図】
図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
折り畳み式の物品であって、
本体部と、2つのスリーブ部とを含む衣服であって、前記衣服は、内面と外面とを有し、前記各スリーブ部は、前記衣服の前記内面に設けられたスリーブ開口部で前記本体部に結合され、前記衣服は、バイザを備えたフードをさらに含む、該衣服を含み、
前記衣服は、前記衣服の着用を容易にするために前記スリーブ開口部が露出し、かつ前記衣服の前記外面が露出しないような形態で折り畳まれる、物品。
【請求項2】
請求項1に記載の物品であって、
前記バイザは、所定の長さ及び所定の幅を有し、
前記物品は、前記バイザの前記長さ及び前記幅に相当する形状及びサイズを有する、物品。
【請求項3】
請求項2に記載の物品であって、
前記各スリーブ開口部は、前記バイザの前記幅に沿って延びる軸線に対して平行に延びている、物品。
【請求項4】
請求項1に記載の物品であって、
前記各スリーブ部は、上側スリーブ部分と下側スリーブ部分とを有し、
前記各スリーブ部の前記上側スリーブ部分は、前記バイザの上側に折り畳まれる、物品。
【請求項5】
請求項4に記載の物品であって、
前記各スリーブ部の前記下側スリーブ部分は、前記各スリーブ部の前記上側スリーブ部分の内側に折り畳まれる、物品。
【請求項6】
衣服を折り畳む方法であって、
本体部と、第1のスリーブ部と、第2のスリーブ部とを含む衣服であって、前記衣服は、内面と外面とを有し、前記第1のスリーブ部は、前記衣服の前記内面に設けられた第1のスリーブ開口部で前記本体部に結合され、前記第2のスリーブ部は、前記衣服の前記内面に設けられた第2のスリーブ開口部で前記本体部に結合され、前記各スリーブ部は、上側スリーブ部分と下側スリーブ部分とを有する、該衣服を提供するステップと、
前記衣服を裏返して、前記衣服の前記内面を露出させるステップと、
前記第1のスリーブ部の前記下側スリーブ部分及び前記第2のスリーブ部の前記下側スリーブ部分の各々を前記衣服の前記外面に接触するように、前記第1のスリーブ部の前記下側スリーブ部分を前記第1のスリーブ部の前記上側スリーブ部分の内側に押し込み、前記第2のスリーブ部の前記下側スリーブ部分を前記第2のスリーブ部の上側スリーブ部分内に押し込む、ステップと、
前記衣服の前記本体部の遠位端部を、前記衣服の前記本体部の近位端部に向けて、第1の本体部折り畳み線に沿って折り畳むステップと、
前記衣服の前記本体部を1回以上折り返して、少なくとも1つのS字状に折り畳まれた部分を形成するステップと、
前記第1のスリーブ部の前記上側スリーブ部分を第1の上側スリーブ折り畳み線に沿って前記衣服の前記本体部の上側に折り畳んで前記第1のスリーブ開口部を露出させ、前記第2のスリーブ部の前記上側スリーブ部分を第2の上側スリーブ折り畳み線に沿って前記衣服の前記本体部の上側に折り畳んで前記第2のスリーブ開口部を露出させるステップと、を含む、方法。
【請求項7】
請求項6に記載の方法であって、
前記衣服は、バイザを備えたフードをさらに含み、
前記フードは、前記衣服の前記本体部の前記近位端部から延びており、
当該方法は、前記フード及び前記バイザが前記衣服の前記本体部の上側に配置されるように、フード折り畳み線に沿って前記フードを折り畳むステップをさらに含む、方法。
【請求項8】
請求項7に記載の方法であって、
前記衣服は、前記バイザが前記衣服の前記本体部の上側に露出するように折り畳まれる、方法。
【請求項9】
請求項8に記載の方法であって、
前記第1のスリーブ部の前記上側スリーブ部分は、前記第1のスリーブ部の前記上側スリーブ部分が前記バイザの上側に配置されるように、前記第1の上側スリーブ折り畳み線に沿って折り畳まれる、方法。
【請求項10】
請求項7に記載の方法であって、
前記第1のスリーブ部の前記上側スリーブ部分は、前記第1のスリーブ部の前記上側スリーブ部分が前記バイザの上側に配置されるように、前記第1の上側スリーブ折り畳み線に沿って折り畳まれる、方法。
【請求項11】
請求項6に記載の方法であって、
前記第1の上側スリーブ折り畳み線は、前記第1のスリーブ開口部と一致し、
前記第2の上側スリーブ折り畳み線は、前記第2のスリーブ開口部と一致する、方法。
【請求項12】
請求項6に記載の方法であって、
前記各スリーブ部の前記下側スリーブ部分がカフを含み、
当該方法は、
前記第1のスリーブ部の前記カフを第1の下側スリーブ折り畳み線に沿って前記第1のスリーブ部の前記上側スリーブ部分に向けて折り畳み、前記第2のスリーブ部の前記カフを第2の下側スリーブ折り畳み線に沿って前記第2のスリーブ部の前記上側スリーブ部分に向けて折り畳むステップをさらに含む、方法。
【請求項13】
請求項6に記載の方法であって、
前記第1のスリーブ部の前記下側スリーブ部分と、前記第2のスリーブ部の前記下側スリーブ部分とが互いに重ね合わされる、方法。
【請求項14】
請求項6に記載の方法であって、
前記衣服の前記本体部は、前側パネルと、第1の後側パネルと、第2の後側パネルとを含み、
前記第1の後側パネル及び前記第2の後側パネルは、前記各スリーブ部の前記下側スリーブ部分を押し込むステップが実施されるときに分離される、方法。
【請求項15】
着用のために保護服を準備する方法であって、
本体部と、第1のスリーブ部と、第2のスリーブ部とを含む衣服であって、前記衣服は、内面と外面とを有し、前記第1のスリーブ部は、前記衣服の前記内面に設けられた第1のスリーブ開口部で前記本体部に結合され、前記第2のスリーブ部は、前記衣服の前記内面に設けられた第2のスリーブ開口部で前記本体部に結合され、前記各スリーブ部は、上側スリーブ部分と下側スリーブ部分とを有する、該衣服を提供するステップと、
着用者が前記衣服の前記外面に触れることなく前記衣服の前記内面を把持することができるように前記衣服を折り畳むステップと、を含み、
前記衣服は、前記着用者が前記衣服の前記本体部にアクセスする前に、前記着用者が、前記衣服の前記内面の前記第1のスリーブ開口部及び前記第2のスリーブ開口部に腕を挿入することができるような形態で折り畳まれる、方法。
【請求項16】
請求項15に記載の方法であって、
前記衣服を折り畳む前記ステップは、前記第1のスリーブ部の前記下側スリーブ部分及び前記第2のスリーブ部の前記下側スリーブ部分が前記衣服の前記外面と接触するように、前記各スリーブ部の前記上側スリーブ部分の内側に前記各スリーブ部の前記下側スリーブ部分を押し込むステップを含む、方法。
【請求項17】
請求項16に記載の方法であって、
前記第1のスリーブ部の前記下側スリーブ部分と、前記第2のスリーブ部の前記下側スリーブ部分とが互いに重ね合わされる、方法。
【請求項18】
請求項15に記載の方法であって、
前記衣服は、バイザと、前記バイザをヘッドウェアの一部に取り付けるように構成されたクリップとを有するフードをさらに含み、
前記衣服を折り畳む前記ステップは、前記着用者が腕を前記スリーブ開口部に挿入した後に、前記着用者が、前記衣服の前記外面に触れることなく、前記バイザの前記クリップにアクセスすることができるように、前記衣服を折り畳むステップを含む、方法。
【請求項19】
請求項18に記載の方法であって、
前記第1のスリーブ部の前記上側スリーブ部分は、第1の上側スリーブ折り畳み線に沿って折り畳まれ、
前記第2のスリーブ部の前記上側スリーブ部分は、第2の上側スリーブ折り畳み線に沿って折り畳まれ、
前記第1のスリーブ部の前記上側スリーブ部分及び前記第2のスリーブ部の前記上側スリーブ部分は、前記バイザの上側に配置される、方法。
【請求項20】
請求項19に記載の方法であって、
前記第1の上側スリーブ折り畳み線は、前記第1のスリーブ開口部と一致し、
前記第2の上側スリーブ折り畳み線は、前記第2のスリーブ開口部と一致する、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本出願は、2019年12月4日出願の「全身保護服の折り畳み(Total Protection Gown Fold)」と題する米国仮出願第62/943、315号に基づく優先権を主張するものである。上記出願の開示内容は、参照により本明細書中に援用される。
【0002】
(技術分野)
本発明の主題は、概して、無菌着用のための個人用保護服を折り畳む方法に関する。
【背景技術】
【0003】
外科医及び他の医療提供者は、手術室内の無菌状態の確保、着用者の保護、及び、換気や冷却の面での着用者にとって快適な環境の創出のために、手術中、特に、膝、股関節、肩の関節形成術や再置換術などの整形外科的全関節置換術中に、手術着またはサージカルガウンと、フードと、空気冷却または換気システムとの組み合わせをしばしば装着する。このような全身防護服は、サージカルガウンと、視野バイザを備えたフードと、任意選択で、ファンやバッテリーを有する換気システム。全身防護服及びフードは、使用時に、ユーザがサージカルガウンを無菌着用できるような態様で提供することが非常に重要である。サージカルガウンが、着用中にユーザの手を滅菌状態に保つことができるように折り畳まれていない場合、または、着用中にサージカルガウンの袖がユーザの腰より下に落ちるように折り畳まれている場合、そのサージカルガウンは、手術に許容できる程度の滅菌状態にあるとは見なされない。加えて、サージカルガウンの着用中にサージカルガウン全体が床に落下した場合、そのサージカルガウンは、手術に許容できる程度の滅菌状態にあるとは見なされない。サージカルガウンの着用中に上記のシナリオのいずれかが発生した場合、ユーザは、そのサージカルガウンを廃棄し、滅菌済みの新しい全身防護服を使用して着用プロセスを最初からやり直さなければならない。この場合、ユーザの、手術の準備に遅れが生じる。
【0004】
加えて、全身保護服は、保護バイザが一体化されたフードを備える。保護バイザは、該バイザを全身保護服またはフード内で装着されたヘルメットに接続するためのプラスチッククリップを含む。全身防護服及びフード全体は滅菌されているが、ヘルメットは滅菌されていない。そのため、ユーザは、全身保護服及びフードの無菌性を損なうことなく、バイザをヘルメットに接続することが非常に重要である。
【0005】
さらに、全身保護服が、その着用中にユーザがスリーブ開口部を見つけることを困難になるような態様で折り畳まれているか、またはユーザに提供される場合、全身保護服を着用するプロセスはより困難になり、着用中に全身保護服の無菌性を損なう上記のシナリオが発生する頻度が増加する可能性がある。
【0006】
このため、衣服、例えばサージカルガウン及びフードを備えた保護服を、その無菌性を損なうことなく折り畳む方法が求められている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の目的及び利点は、その一部が以下の説明に記載されており、または以下の説明から明らかであり、または本発明の実施により学ぶことができるであろう。
【0008】
本発明は、本体部と、衣服を含む折り畳み式の物品に関する。衣服は、本体部と、2つのスリーブ部とを含む。衣服は、内面と外面とを有する。衣服は、バイザを備えたフードをさらに含む。衣服は、衣服の着用を容易にするためにスリーブ開口部が露出し、かつ衣服の外面が露出しないような形態で折り畳まれる。
【0009】
特定の一実施形態では、バイザは、所定の長さ及び所定の幅を有し、折り畳み式の物品は、バイザの長さ及び幅に相当する形状及びサイズを有する。さらに、各スリーブ開口部は、バイザの幅に沿って延びる軸線に対して平行に延びている。
【0010】
別の実施形態では、各スリーブ部は、上側スリーブ部分と下側スリーブ部分とを有し、各スリーブ部の上側スリーブ部分は、バイザの上側に折り畳まれる。さらに、各スリーブ部の下側スリーブ部分は、各スリーブ部の上側スリーブ部分の内側に折り畳まれる。
【0011】
本発明は、さらに、衣服を折り畳む方法に関する。本方法は、本体部と、第1のスリーブ部と、第2のスリーブ部とを含む衣服であって、衣服は、内面と外面とを有し、第1のスリーブ部は、衣服の内面に設けられた第1のスリーブ開口部で本体部に結合され、第2のスリーブ部は、衣服の内面に設けられた第2のスリーブ開口部で本体部に結合され、各スリーブ部は、上側スリーブ部分と下側スリーブ部分とを有する、該衣服を提供するステップと、衣服を裏返して、衣服の内面を露出させるステップと、第1のスリーブ部の下側スリーブ部分及び第2のスリーブの下側スリーブ部分の各々を衣服の外面に接触するように、第1のスリーブ部の下側スリーブ部分を第1のスリーブの上側スリーブ部分の内側に押し込み、第2のスリーブの下側スリーブ部分を第2のスリーブの上側スリーブ部分内に押し込む、ステップと、衣服の本体部の遠位端部を、衣服の本体部の近位端部に向けて、第1の本体部折り畳み線に沿って折り畳むステップと、衣服の本体部を1回以上折り返して、少なくとも1つのS字状に折り畳まれた部分を形成するステップと、第1のスリーブ部の上側スリーブ部分を第1の上側スリーブ折り畳み線に沿って衣服の本体部の上側に折り畳んで第1のスリーブ開口部を露出させ、第2のスリーブ部の上側スリーブ部分を第2の上側スリーブ折り畳み線に沿って衣服の本体部の上側に折り畳んで第2のスリーブ開口部を露出させるステップと、を含む。
【0012】
特定の一実施形態では、衣服は、バイザを備えたフードをさらに含み、フードは、衣服の本体部の近位端部から延びており、本方法は、フード及びバイザが衣服の本体部の上側に配置されるように、フード折り畳み線に沿ってフードを折り畳むステップをさらに含む。さらに、衣服は、バイザが衣服の本体部の上側に露出するように折り畳まれる。さらに、第1のスリーブ部の上側スリーブ部分は、第1のスリーブ部の上側スリーブ部分がバイザの上側に配置されるように、第1の上側スリーブ折り畳み線に沿って折り畳まれる。
【0013】
別の実施形態では、第1の上側スリーブ折り畳み線は、第1のスリーブ開口部と一致し、第2の上側スリーブ折り畳み線は、第2のスリーブ開口部と一致する。
【0014】
別の実施形態では、各スリーブ部の下側スリーブ部分がカフを含み、本方法は、第1のスリーブ部のカフを第1の下側スリーブ折り畳み線に沿って第1のスリーブ部の上側スリーブ部分に向けて折り畳み、第2のスリーブ部のカフを第2の下側スリーブ折り畳み線に沿って第2のスリーブ部の上側スリーブ部分に向けて折り畳むステップをさらに含む。
【0015】
別の実施形態では、第1のスリーブ部の下側スリーブ部分と、第2のスリーブ部の下側スリーブ部分とが互いに重ね合わされる。
【0016】
別の実施形態では、衣服の本体部は、前側パネルと、第1の後側パネルと、第2の後側パネルとを含み、第1の後側パネル及び第2の後側パネルは、各スリーブ部の下側スリーブ部分を押し込むステップが実施されるときに分離される。
【0017】
本発明は、さらに、着用のために保護服を準備する方法に関する。本方法は、本体部と、第1のスリーブ部と、第2のスリーブ部とを含む衣服であって、衣服は、内面と外面とを有し、第1のスリーブ部は、衣服の内面に設けられた第1のスリーブ開口部で本体部に結合され、第2のスリーブ部は、衣服の内面に設けられた第2のスリーブ開口部で本体部に結合され、各スリーブ部は、上側スリーブ部分と下側スリーブ部分とを有する、該衣服を提供するステップと、着用者が衣服の外面に触れることなく衣服の内面を把持することができるように衣服を折り畳むステップと、を含み、衣服は、着用者が衣服の本体部にアクセスする前に、着用者が、衣服の内面の第1のスリーブ開口部及び第2のスリーブ開口部に腕を挿入することができるような形態で折り畳まれる。
【0018】
特定の一実施形態では、衣服を折り畳む上記ステップは、第1のスリーブ部の下側スリーブ部分及び第2のスリーブ部の下側スリーブ部分が衣服の外面と接触するように、各スリーブ部の上側スリーブ部分の内側に各スリーブ部の下側スリーブ部分を押し込むステップを含む。さらに、第1のスリーブ部の下側スリーブ部分と、第2のスリーブ部の下側スリーブ部分とが互いに重ね合わされる。
【0019】
別の実施形態では、衣服は、バイザと、バイザをヘッドウェアの一部に取り付けるように構成されたクリップとを有するフードをさらに含み、衣服を折り畳む上記ステップは、着用者が腕をスリーブ開口部に挿入した後に、着用者が、衣服の外面に触れることなく、バイザのクリップにアクセスすることができるように、衣服を折り畳むステップを含む。さらに、第1のスリーブ部の上側スリーブ部分は、第1の上側スリーブ折り畳み線に沿って折り畳まれ、第2のスリーブ部の上側スリーブ部分は、第2の上側スリーブ折り畳み線に沿って折り畳まれ、第1のスリーブ部の上側スリーブ部分及び第2のスリーブ部の上側スリーブ部分は、バイザの上側に配置される。さらに、第1の上側スリーブ折り畳み線は、第1のスリーブ開口部と一致し、第2の上側スリーブ折り畳み線は、第2のスリーブ開口部と一致する。
【0020】
本発明の上記及び他の特徴、態様、及び利点は、以下の説明及び添付された特許請求の範囲を参照することによって、より良く理解できるであろう。添付図面は、本明細書に組み込まれてその一部を構成し、本発明の実施形態を図示し、本明細書と共に本発明の原理を説明する役割を果たす。
【図面の簡単な説明】
【0021】
当業者を対象にした本発明の完全かつ実現可能な開示(ベストモードを含む)が、添付図面を参照して、本明細書に説明されている。
【0022】
【
図1A】
図1Aは、本発明の特定の一実施形態による全身保護服の正面図を示す。
【
図2】
図2は、本開示の全身保護服を折り畳む方法のステップ1を実施した後の
図1Aの全身保護服を示す。
【
図3】
図3は、本開示の全身保護服を折り畳む方法のステップ2を実施した後の
図1Aの全身保護服を示す。
【
図5】
図5は、本開示の全身保護服を折り畳む方法のステップ3を実施した後の
図1Aの全身保護服を示す。
【
図6】
図6は、本開示の全身保護服を折り畳む方法のステップ4及びステップ5を実施した後の
図1Aの全身保護服を示す。
【
図7】
図7は、本開示の全身保護服を折り畳む方法のステップ6及びステップ7を実施した後の
図1Aの全身保護服を示す。
【
図8】
図8は、本開示の全身保護服を折り畳む方法のステップ8を実施した後の
図1Aの全身保護服を示す。
【
図9】
図9は、本開示の全身保護服を折り畳む方法のステップ9の実施中及び実施後の
図1Aの全身保護服を示す。
【
図10】
図10は、本開示の全身保護服を折り畳む方法のステップ9の実施後、及びステップ10の実施中の
図1Aの全身保護服を示す。
【
図11】
図11は、本開示の全身保護服を折り畳む方法のステップ10の実施後、及びステップ11の実施中の
図1Aの全身保護服を示す。
【
図12】
図12は、本開示の全身保護服を折り畳む方法のステップ11の完了後の、折り畳み式物品100の上面図を示す。
【
図13】
図13は、本発明の一実施形態による全身保護服を折り畳む方法を説明するためのフロー図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の様々な実施形態及びその1以上の実施例について詳細に説明する。各実施例は、本発明を説明するために提示されたものであり、本発明を限定するものではない。実際、本発明において、本発明の範囲及び趣旨から逸脱することなく、本発明の様々な変更形態及び変形形態が可能であることは、当業者にとって明らかであろう。例えば、或る実施形態の一部として例示または説明された特徴を、別の実施形態と共に用いて、さらなる別の実施形態を創出することもできる。したがって、本発明は、添付された特許請求の範囲及びその均等物の範囲に含まれる限り、そのような変更形態及び変形形態を包含することを意図している。
【0024】
概して言えば、本発明は、衣服の着用プロセス中に衣服の無菌性を維持するために、衣服を折り畳む方法に関する。本方法は、本体部と、第1のスリーブ部と、第2のスリーブ部とを含む衣服であって、衣服は、内面と外面とを有し、第1のスリーブ部は、衣服の内面に設けられた第1のスリーブ開口部で本体部に結合され、第2のスリーブ部は、衣服の内面に設けられた第2のスリーブ開口部で本体部に結合され、各スリーブ部は、上側スリーブ部分と下側スリーブ部分とを有する、該衣服を提供するステップと、衣服を裏返して、衣服の内面を露出させるステップと、第1のスリーブ部の下側スリーブ部分及び第2のスリーブの下側スリーブ部分の各々を衣服の外面に接触するように、第1のスリーブ部の下側スリーブ部分を第1のスリーブの上側スリーブ部分の内側に押し込み、第2のスリーブの下側スリーブ部分を第2のスリーブの上側スリーブ部分内に押し込む、ステップと、衣服の本体部の遠位端部を、衣服の本体部の近位端部に向けて、第1の本体部折り畳み線に沿って折り畳むステップと、衣服の本体部を1回以上折り返して、少なくとも1つのS字状に折り畳まれた部分を形成するステップと、第1のスリーブ部の上側スリーブ部分を第1の上側スリーブ折り畳み線に沿って衣服の本体部の上側に折り畳んで第1のスリーブ開口部を露出させ、第2のスリーブ部の上側スリーブ部分を第2の上側スリーブ折り畳み線に沿って衣服の本体部の上側に折り畳んで第2のスリーブ開口部を露出させるステップと、を含む。本発明は、さらに、着用のために保護服を準備する方法、及び、折り畳み式物品に関する。本発明者らは、本発明の衣服を折り畳むまたは準備する方法及び本発明の折り畳み式物品が、衣服の無菌状態を維持することを必要とする医療処置中の使用に重要な、衣服の無菌的な着用を可能にすることを見出した。さらに、本発明者らは、本発明の衣服を折り畳むまたは準備する方法及び本発明の折り畳み式物品が、着用プロセス中に、衣服の生地全体が床(すなわち、非滅菌表面)上に落下するのを防止することを見出した。
【0025】
本発明の方法の具体的な特徴は、
図1~
図13を参照することによって、より良く理解できるであろう。
【0026】
次に、
図1A及び
図1Bを参照すると、例示的な全身保護服101が示されている。全身保護服101は、整形外科手術、または、体液や骨片などからの保護が望まれる他の手術などの外科手術中に医療従事者が着用することができる前側部分158及び後側部分160を含む。全身保護服101の前側部分158は、全身保護服101の近位端部154と遠位端部156との間に画定された前側パネル102を含む。図示のように、全身保護服101の近位端部154は、バイザ180を備えたフード178を含む。フード178は、
図1A及び
図1Bに示すように、全身保護服101と一体化されている。全身保護服101はさらに、近位端部154に隣接する上側部分162と、遠位端部156に隣接する下側部分166と、上側部分162及び下側部分166間の中間部分164とを含む。全身保護服101はまた、第1のスリーブ部104と、第2のスリーブ部105とを含む。
図1A及び
図1Bに示すように、第1のスリーブ部104及び第2のスリーブ部105の各々は、上側スリーブ部分104a、105aと、下側スリーブ部分104b、105bと、カフ106、107とを有する。全身保護服101の後側は、第1の後側パネル120と第2の後側パネル122とを含む。第1の後側パネル120及び第2の後側パネル122は、着用者が着用した後に全身保護服101を固定するために使用することができる後側固定手段118によって解放可能に結合させることができる。フード178が全身保護服101と一体であるか、または全身保護服101とは別個であるかに応じて、後側固定手段118はフードの領域(
図1B参照)内まで延びていてもよい。後側固定手段118は、ジッパー、1以上のタイ(例えば、
図4A及び
図4Bに示すタイ210)、または、全身保護服101を着用者に固定するための任意の他の適切な締結手段であり得る。全身保護服101はさらに、外面110と内面112とを有する。内面112は、全身保護服101の着用者と接触するように構成され、外面110は、全身保護服101の着用者とは反対側を向くように構成される。例えば、外面110は、外科手術などの医療処置に使用するための無菌バリアを形成することができる。
【0027】
図13は、全身保護服101を折り畳んで、
図12に示すような最終的な折り畳み式物品100を形成する方法ステップの概要を示す。全身保護服101を折り畳む様々なステップを、
図2~
図11を参照して説明する。
【0028】
図2に示すように、全身保護服101を折り畳む方法のステップ1では、全身保護服101全体を裏返して、全身保護服101の内面112を露出させる。第1の後側パネル120及び第2の後側パネル122を側方に引き寄せて、前側部分158を露出させる。加えて、
図2に示すように、フード178の材料は、バイザ180のクリップ182が外側に突き出るように、バイザ180の表面上に折り畳まれる。
【0029】
図3に示すように、ステップ2では、第1のスリーブ部104の下側スリーブ部分104bを、第1のスリーブ部104の上側スリーブ部分104aの内側に押し込み、第1のスリーブ部104をスリーブ折り畳み線190に沿って折り畳む。同様に、第2のスリーブ部105の下側スリーブ部分105bを、第2のスリーブ部105の上側スリーブ部分105aの内側に押し込み、第2のスリーブ部105をスリーブ折り畳み線190に沿って折り畳む。この構成では、各スリーブ部104、105のカフ106、107は、第1の後側パネル120と第2の後側パネル122との間に見え、全身保護服101の前側部分158上に載置される。
【0030】
次に、
図4A及び
図4Bに示すように、任意選択で、タイ210にタイカード(tie card)200を取り付ける。例えば、タイカード200は、タイ210が挿入されかつ固定される開口部202、204を有する。タイカード200は、板紙または任意の他の適切な材料から形成することができる。タイカード200は、
図4Aに示すような長方形の形状、または、全身保護服101を折り畳むためのガイドとしての役割を果たすことができる任意の他の適切な形状を有する。タイカード200は、全身保護服101の材料を傷つける可能性のある尖った角を排除するように、丸みを帯びた角206を有する。
【0031】
図5に示すように、ステップ3では、第1のスリーブ部104の下側スリーブ部分104bを、下側スリーブ折り畳み線191に沿って第1のスリーブ部104のスリーブ折り畳み線190に向けて折り畳み、第1のスリーブ部104の下側スリーブ部分104b及びカフ106を上側スリーブ部分104a上に載置させる。同様に、第2のスリーブ部105の下側スリーブ部分105bを、下側スリーブ折り畳み線191に沿ってスリーブ折り畳み線190に向けて折り畳み、第2のスリーブ部105の下側スリーブ部分105b及びカフ107を上側スリーブ部分105a上に載置させる。
【0032】
図6に示すステップ4では、第1の後側パネル120及あび第2の後側パネル122を全身保護服101の中心線に向けて折り畳み、第1の後側パネル120及び第2の後側パネル122の内面112を露出させる。加えて、ステップ5では、カフ106、107を含む下側スリーブ部分104b、105bを、全身保護服101の中心線に向けて折り畳み、下側スリーブ折り畳み線191に沿った折り畳みを実質的にほどく。第2のスリーブ部105のカフ107は、例えば、第1のスリーブ部104の下側スリーブ部分104bの上に重ねて配置される。あるいは、第1のスリーブ部104のカフ106は、例えば、第2のスリーブ部105の下側スリーブ部分105bの上に重ねて配置される。
図6に示すように、スリーブ部104、105のカフ106、107を互いに交差させたこのような構成により、着用者は、スリーブ部104、105に腕を通して、全身保護服101の中心線を越えて自然に腕を伸ばすことによって、全身保護服101をより容易に着用することができる。
【0033】
カフ106、107を含む下側スリーブ部分104b、105bは、
図6に想像線で示すように、それぞれ第1の後側パネル120及び第2の後側パネル122の下側に押し込むことができる。このような構成により、スリーブ部104の下側スリーブ部分104b及びカフ106は、全身保護服101内で完全に折り畳まれて、包囲される。
【0034】
図6に示すように、ステップ4を行った後、全身保護服101の内面112のみを露出させ、全身保護服101の外面110全体を包囲する。このような構成により、全身保護服101を滅菌するときに外面110の望ましくない露出を防止することができ、それによって、外面110の無菌性を維持することができる。
【0035】
次に、
図7に示すように、ステップ6では、全身保護服101を反転させて、全身保護服101及びバイザ180の前側部分158を上向きにし、第1の後側パネル120及び第2の後側パネル122を下向きにする。
【0036】
次に、ステップ7では、全身保護服101の遠位端部156及び下側部分166を、折り畳み線192に沿ってバイザ180及び近位端部154に向けて折り畳む。
【0037】
次に、
図8に示すステップ8では、全身保護服101の下側部分166を上向きに「S」字状に折り畳み、全身保護服101を折り畳み線194に沿って半分に折り畳む。
【0038】
次に、ステップ9では、
図9に示すように、全身保護服101の中間部分164を上向きに「S」字状に折り畳み、全身保護服101を折り畳み線196に沿って再び半分に折り畳む。
図9に示す折り畳み形態では、全身保護服101は、スリーブ部104の上側スリーブ部分104aが第1の側部から延び、スリーブ部105の上側スリーブ部分105aが第1の側部とは反対側の第2の側部から延び、フード178及びバイザ180が近位端部154から延びるように矩形状に折り畳まれ、折り畳まれた全身保護服101は、各スリーブ部104、105の幅とほぼ等しい幅Wを有する(
図9参照)。
【0039】
次に、ステップ10では、
図10に示すように、フード178を、バイザ180が上側に露出するように「S」字状に折り畳む。折り畳まれたフード178及びバイザ180は、
図11に示すように、フード178が、例えば、折り畳まれた全身保護服101の上側部分162上に直接載置されるように折り畳まれる。
【0040】
最後に、ステップ11では、
図11に示すように、第1のスリーブ部104の上側スリーブ部分104aを上側スリーブ折り畳み線199aに沿って全身保護服101の中心線に向けて折り畳んで、上側スリーブ部分104aをバイザ180上に折り畳み、第2のスリーブ部105の上側スリーブ部分105aを上側スリーブ折り畳み線199bに沿って全身保護服101の中心線に向けて折り畳んで、上側スリーブ部分105aをバイザ180上に折り畳むことによって、
図12に示す完成した折り畳み式物品100を形成することができる。上側スリーブ折り畳み線199aは、スリーブ部104が全身保護服101から延びる箇所でスリーブ開口部108と位置が一致し、これにより、着用者が腕の一方、例えば右腕をスリーブ部104内に挿入することができる。上側スリーブ折り畳み線199bは、スリーブ部105が全身保護服101から延びる箇所でスリーブ開口部109と位置が一致し、これにより、着用者が腕の一方、例えば左腕をスリーブ部105内に挿入することができる。
【0041】
完成した折り畳み式物品100は、
図12に示すように、バイザ180と略同一の寸法、大きさ、及び形状を有する。折り畳み式物品100は、バイザ180の幅及び長さと略同一の幅W2及び長さLを有する。例えば、幅W2は、約20.32cm~約45.72cm(約8インチ~約18インチ)の範囲、例えば、約25.4m~約38.1cm(約10インチ~約15インチ)の範囲、例えば、一実施形態では、約30.48cm(約12インチ)である。長さLは、約30.48cm~約60.96cm(約12インチ~約24インチ)の範囲、例えば、約40.64cm~約50.8cm(約16インチ~約20インチ)、例えば、一実施形態では、約45.72cm(約18インチ)である。さらに、折り畳み式物品100及びバイザ180の長さLは、近位端部154から遠位端部156まで概ね一定である全身保護服101の幅W1(
図1A及び
図1B参照)とほぼ等しくすることができる。
【0042】
結果として、この折り畳み式物品100は、全身保護服101のスリーブ開口部108を着用者に提示し、着用者が腕をスリーブ開口部108に挿入することによって、全身保護服101の他の部分に接触することなく、着用プロセスを開始することができる。そして、着用者の腕がスリーブ開口部108内に位置するとき、着用者はバイザ180のクリップ182を把持することができる。したがって、着用者は、全身保護服101の残りの部分を着用する前に、スリーブ部104の内面112を使用して、バイザ180のクリップ182をヘルメットまたは他のヘッドカバーに接続することができる。
図7~
図11に示すように、遠位端部156を近位端部154に向けて折り畳んで全身保護服101をコンパクトに折り畳むことにより、折り畳み式物品100の折りたたまれた形態は、着用プロセスの開始時に、全身保護服101の遠位端部156付近の生地全体が落下したり床に接触したりするのを防止することができる。さらに、折り畳み式物品100を形成する全身保護服101を折り畳む方法は、既に無菌状態の個人が、着用者が全身保護服101を着用するプロセスを支援することができる、支援された着用プロセスも可能にする。
【0043】
本明細書は、実施例を用いて、最良の実施の形態(ベストモード)を含む本発明の内容を開示し、かつ本発明を当業者が実施(任意の装置またはシステムの作製及び使用、並びに記載内容に組み入れられたあらゆる方法の実施を含む)することを可能にしている。
【国際調査報告】