IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アンスティチュ オスピタロ−ウニヴェルシテール ドゥ シルルジ ミニ−アンヴァシヴ ギデ パー リマージュの特許一覧

特表2023-504534内視鏡器具を作動させるための電動作動モジュール
<>
  • 特表-内視鏡器具を作動させるための電動作動モジュール 図1
  • 特表-内視鏡器具を作動させるための電動作動モジュール 図2
  • 特表-内視鏡器具を作動させるための電動作動モジュール 図3
  • 特表-内視鏡器具を作動させるための電動作動モジュール 図4
  • 特表-内視鏡器具を作動させるための電動作動モジュール 図5
  • 特表-内視鏡器具を作動させるための電動作動モジュール 図6
  • 特表-内視鏡器具を作動させるための電動作動モジュール 図7
  • 特表-内視鏡器具を作動させるための電動作動モジュール 図8
  • 特表-内視鏡器具を作動させるための電動作動モジュール 図9
  • 特表-内視鏡器具を作動させるための電動作動モジュール 図10
  • 特表-内視鏡器具を作動させるための電動作動モジュール 図11
  • 特表-内視鏡器具を作動させるための電動作動モジュール 図12
  • 特表-内視鏡器具を作動させるための電動作動モジュール 図13
  • 特表-内視鏡器具を作動させるための電動作動モジュール 図14
  • 特表-内視鏡器具を作動させるための電動作動モジュール 図15
  • 特表-内視鏡器具を作動させるための電動作動モジュール 図16
  • 特表-内視鏡器具を作動させるための電動作動モジュール 図17
  • 特表-内視鏡器具を作動させるための電動作動モジュール 図18
  • 特表-内視鏡器具を作動させるための電動作動モジュール 図19
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-03
(54)【発明の名称】内視鏡器具を作動させるための電動作動モジュール
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/018 20060101AFI20230127BHJP
【FI】
A61B1/018 512
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022533173
(86)(22)【出願日】2020-12-02
(85)【翻訳文提出日】2022-08-01
(86)【国際出願番号】 FR2020052253
(87)【国際公開番号】W WO2021111078
(87)【国際公開日】2021-06-10
(31)【優先権主張番号】1913678
(32)【優先日】2019-12-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517280247
【氏名又は名称】アンスティチュ オスピタロ-ウニヴェルシテール ドゥ シルルジ ミニ-アンヴァシヴ ギデ パー リマージュ
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】セラ-トレント,アルベルト
(72)【発明者】
【氏名】レグナー,アンドラス
(72)【発明者】
【氏名】スケルトン,ユージン
(72)【発明者】
【氏名】ライト,アンソニー
【テーマコード(参考)】
4C161
【Fターム(参考)】
4C161DD03
4C161HH22
4C161HH27
(57)【要約】
本発明は、内視鏡器具を作動させるための電動作動モジュールを開示する。当該電動作動モジュールは、内視鏡のハンドグリップの尺骨‐手掌把持ゾーンに取り付けることができる取り付けプレートから構成されており、当該取り付けプレートは、尺骨‐手掌支承面を有し、当該尺骨‐手掌支承面は、当該尺骨‐手掌支承面の平面に垂直な方向に対して90°±25°の角度を形成する方向に延びるヒールまで延びており、当該ヒールは、内視鏡器具の運動を制御する制御信号を送る電気機械センサを備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内視鏡器具用の電動作動モジュールにおいて、
内視鏡のハンドグリップの尺骨‐手掌把持ゾーンに取り付けることができる取り付けプレート(100)から構成されており、
前記取り付けプレート(100)は、尺骨‐手掌支承面(111)を有し、
前記尺骨‐手掌支承面(111)は、当該尺骨‐手掌支承面(111)の平面に垂直な方向に対して90°±25°の角度を形成する方向に延びるヒール(112)まで延びており、
前記ヒール(112)は、内視鏡器具の運動を制御する制御信号を送る電気機械センサ(114)を備えることを特徴とする、電動作動モジュール。
【請求項2】
前記中央尺骨‐手掌支承面(111)は、前記器具との接続のための糸状要素の電動機構を備える電動駆動ブロック(120)まで反対側に延びており、
その下端部は、前記器具との接続が確実となるように、内視鏡の可撓性ロッド(1)内へと開口しており、
前記取り付けプレートは、可撓性内視鏡の前記ハンドグリップとの接続手段をさらに有することを特徴とする、請求項1に記載の内視鏡器具用の電動作動モジュール。
【請求項3】
可撓性内視鏡の前記ハンドグリップとの前記接続手段は、前記内視鏡の前記可撓性ロッド(1)の作業チャネル内に挿入することができるエンドピース(271)からなることを特徴とする、請求項2に記載の内視鏡器具用の電動作動モジュール。
【請求項4】
前記電動駆動ブロック(120)は、前記エンドピース(271)の下方に配置されたモータ(190)を備えることを特徴とする、請求項2に記載の内視鏡器具用の電動作動モジュール。
【請求項5】
前記ヒール(112)は、厚さ3ミリメートル未満の突出部(112)により形成されており、
前記突出部(112)は、その端部に、センサ(114)を有し、
前記センサ(114)の作動面は、前記ハンドグリップの長手方向軸に対して90°±20°の角度を形成する母線により定められていることを特徴とする、請求項1に記載の内視鏡器具用の電動作動モジュール。
【請求項6】
前記尺骨‐手掌把持ゾーンの下部に、前記器具との接続のための糸状要素(160)の電動機構を備える駆動ブロック(120)をさらに備え、
その下端部は、前記器具との接続が提供されるように、前記内視鏡の前記可撓性ロッド(1)内へと開口していることを特徴とする、請求項1に記載の内視鏡器具用の電動作動モジュール。
【請求項7】
前記駆動ブロックは、前記器具の運動の非常停止を制御する側部作動ボタン(124)を有することを特徴とする、請求項6に記載の内視鏡器具用の電動作動モジュール。
【請求項8】
ユーザの手指の尺骨‐手掌把持ゾーンの上方に位置する吸引および洗浄制御ボタン(20、30)を有するハンドグリップ(1)を備え、
前記ハンドグリップ(1)は、器具の通過のための作業チャネルを有する可撓性ロッド(2)まで延びており、
その運動は、電気インターフェースにより制御される、可撓性内視鏡において、
前記インターフェース(100)は、尺骨‐手掌支承面(111)を有し、
前記尺骨‐手掌支承面(111)は、当該尺骨‐手掌支承面(111)の平面に垂直な方向に対して90°±25°の角度を形成する方向に延びるヒール(112)まで延びており、
前記ヒールは、内視鏡器具の運動を制御する制御信号を送る電気機械センサ(114)を備え、
前記インターフェース(100)の他方の端部は、駆動ブロック(120)によって形成されていることを特徴とする、可撓性内視鏡。
【請求項9】
前記ヒール(112)は、厚さ3ミリメートル未満の突出部(112)により形成されており、
前記突出部(112)は、その端部に、センサ(114)を有し、
前記センサ(114)の作動面は、前記ハンドグリップの長手方向軸に対して90°±20°の角度を形成する母線により定められていることを特徴とする、請求項8に記載の可撓性内視鏡。
【請求項10】
前記センサ(114)は、ホイールにより作動する回転センサであり、
前記ホイールの軸は、前記ハンドグリップの長手方向軸に平行な長手方向軸に対して0°~±70°の角度を形成していることを特徴とする、請求項9に記載の可撓性内視鏡。
【請求項11】
前記尺骨‐手掌把持ゾーンの下部に、前記器具との接続のための糸状要素(160)の電動機構を備える駆動ブロック(120)をさらに備え、
その下端部は、前記器具との接続が提供されるように、前記内視鏡の前記可撓性ロッド(1)内へと開口していることを特徴とする、請求項8に記載の可撓性内視鏡。
【請求項12】
前記駆動ブロック(120)は、前記尺骨‐手掌把持ゾーンの下部の表面に対して、突出部を形成しており、
当該突出部は、前記器具の運動の作動制御部を構成している前記延在部がある前記尺骨‐手掌把持ゾーンに対して、反対側にあることを特徴とする、請求項8に記載の可撓性内視鏡。
【請求項13】
前記駆動ブロックは、前記器具の運動の非常停止を制御する側部作動ボタン(124)を有することを特徴とする、請求項12に記載の可撓性内視鏡。
【請求項14】
前記制御インターフェース(100)は、前記器具を所定の長さだけ移動させるための長さセレクタをさらに備えることを特徴とする、請求項8に記載の可撓性内視鏡。
【請求項15】
前記制御インターフェースは、前記器具の末梢部を結合するための手段(131)をさらに備えることを特徴とする、請求項8に記載の可撓性内視鏡。
【請求項16】
前記インターフェースと前記駆動ブロックとをまとめた、前記ハンドグリップの取り外し式サブアセンブリの形態である電動作動モジュール(100)を備えることを特徴とする、請求項8に記載の可撓性内視鏡。
【請求項17】
前記センサ(114)は、前記尺骨‐手掌把持ゾーンに対向する50mm未満の相互作用面を有することを特徴とする、請求項8に記載の可撓性内視鏡。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
[発明の分野]
本発明は、可撓性(軟性)内視鏡の分野に関する。より詳細には、本発明は、出て行く(outgoing)可撓性内視鏡内の可撓性内視鏡ツールの並進運動を制御するためのシステムに関する。可撓性内視鏡は、制御ボタンを有するハンドグリップを備える。当該制御ボタンにより、内視鏡ロッドの可撓性端部を、種々の方向に移動させることができる。ユーザは、左手でハンドグリップを保持し、さまざまな調節ボタンを左手の手指により操作する間、可撓性ロッドの挿入エリアを右手により案内することができる。
【0002】
初期には、可撓性内視鏡は、診断のために、特に、空腔のin vivoイメージングのために、主に使用されていた。しかしながら、可撓性内視鏡を治療において使用することは数十年来、発展しており、追加の顕微外科器具を実装している。当該追加の顕微外科器具は、当該内視鏡上に存在する、あるいは、当該内視鏡の外側に取り付けられた作業チャネルを通じて、挿入される。これらの付属器具は概して、能動(活動)先端部を作動および/または移動させて位置決めするための、少なくとも1つの機構を有する。
【0003】
可撓性内視鏡を治療において使用する間、ユーザは、遠位器具の挿入、すなわち前進および後退を、概して右手により作動および制御する必要がある。内視鏡ロッドに沿って運動が伝わるにつれ、当該内視鏡ロッドの挿入エリアは、ユーザの手によってはもはや案内されなくなり、カメラの位置が変化し、その結果、ターゲットが視界から消えてしまう。
【0004】
これらの事柄が協同して起こることによって、作業の流れの継続が妨げられ、結果として処置時間が長くなってしまうことがしばしばある。この問題を解決するのに、主要な操作者が、使われていない自分の手を可撓性内視鏡ハンドグリップ上の可撓性ツールを手動で制御するために使用する間に、内視鏡ロッドを保持するため、第2の操作者/助手がしばしば必要となる。
【0005】
これには、作業の中断を完全に回避することなく、操作者と助手との間の良好なコミュニケーションおよび協調を達成するため、学習のサイクルが必要となる。所望の運動の角度、位置、時機および手順を特定することが、しばしば困難であるからである。したがって、これらの困難を克服するために、可撓性内視鏡用のさまざまな自動ツール制御装置が提案されている。
【0006】
[従来技術]
助手を利用することなく、器具の運動の制御を容易にするために、運動が電動化され、かつ、ハンドグリップが運動制御部を有するソリューションが、従来技術において提案されている。
【0007】
従来技術において、国際特許出願WO2015/029041が知られている。当該出願には、手の手掌と係合可能な手掌インターフェースと、上記手の手背に拘束力を加えるように弾性変形可能な拘束具と、上記手の1または複数の手指と係合可能な手指インターフェースと、が記載されている。
【0008】
上記文献の提案するソリューション(解決手段)は、
a)制御ユニットの筐体に取り付けられた枢動支持体(軸支部)上に装着され、手の手掌と係合可能な第1のインターフェース;
b)上記第1のインターフェースに枢動可能に取り付けられ、上記手の手掌が上記第1のインターフェースと係合したときに上記手の手背に拘束力を加えるように弾性変形可能な要素を有する拘束具;および、
c)上記第1のインターフェースに枢動可能に取り付けられ、上記手の1または複数の手指と係合可能な第2のインターフェース、
を備える。
【0009】
また、欧州特許EP2106735が知られている。当該特許には、片手で持ち運ぶよう構成された内視鏡が記載されており、当該内視鏡は、
・長軸方向に延在し、先端部分および基端部分を含み、かつ本体内に挿入されるよう構成された、挿入部分;ならびに、
・前記挿入部分の基端部分に同軸的に接続され、上記長軸方向に延在し、かつ操作者により保持および操作されるように構成された、操作部分、
を備え、
・前記挿入部分は、曲がるように構成された曲がり部分を備える。
【0010】
上記操作部分は、
・上記長軸方向に延在し、操作者により把持されるよう構成された、第1の把持部分;
・上記長軸方向において上記第1の把持部分に対して基端部分側に配置され、基端部分を備える、曲がり操作部分本体;
・幅方向に延在し、支持部分の回転により上記長軸方向に沿って移動するように構成されており、操作者の親指および当該親指以外の手指のうちの少なくとも1つは、作動手指配置部分上に配置することができる;ならびに、
・上記曲がり操作部分本体の上記基端部分に接続され、かつ無線通信を行うように構成された、無線ユニット、
を備える。
【0011】
[従来技術の欠点]
従来技術に係るソリューションの第1の欠点は、制御部材およびそれらの構成の人間工学(的設計)に関する。当該人間工学は、標準的な可撓性内視鏡のハンドグリップに適合するものではない。したがって、それらは、臨床医にとってかなりの学習時間を伴う。いくつかのソリューションでは、ユーザが親指と中指または薬指とを組み合わせてそれらのノブを操作する必要がある。これにより、吸引バルブまたは洗浄バルブの同時作動が妨げられてしまう。
【0012】
第2の欠点は、これらのソリューションでは、ハンドグリップを完全に再設計すること、および、既存の内視鏡と新しい内視鏡とを交換することが必要である、という事実にある。
【0013】
国際特許出願WO2017025969には、2つの回転ノブを介して変形可能なロッドを有する可撓性内視鏡に取り付け可能な制御ユニットが記載されている。上記制御ユニットは、当該制御ユニットの筐体に取り付けられた旋回支持体上に取り付けられた第1のインターフェースを含むユーザインターフェースを備える。上記第1のインターフェースは、手の手掌と係合可能である。上記制御ユニットは、上記ユーザインターフェースを介して操作可能な駆動ユニットをさらに備える。上記駆動ユニットは、上記2つの回転ノブを係合させるための第1の駆動機構を備える。これにより、上記第1のインターフェースを介してユーザが内視鏡シャフトの反りを制御できるようになっている。
【0014】
[本発明が提供するソリューション]
本発明は、2つの実施形態において、従来技術の欠点を回避することを目的とする。当該2つの実施形態とは、市販の内視鏡ハンドグリップのアップグレードを可能にする付属品を形成する別個のモジュールの形態、および、かかる制御モジュールを本来的に有する内視鏡ハンドグリップの形態である。両実施形態において、本発明は、内視鏡のハンドグリップの尺骨‐手掌把持ゾーンに取り付けることができる取り付けプレートから構成されており、当該取り付けプレートは、尺骨‐手掌支承面を有し、当該尺骨‐手掌支承面は、当該尺骨‐手掌支承面の平面に垂直な方向に対して90°±25°の角度を形成する方向に延びるヒールまで延びており、当該ヒールは、内視鏡器具の運動を制御する制御信号を送る電気機械センサを備える。
【0015】
本願の趣旨の範囲内において、「取り付けプレート」という語は、平坦であるか、または、内視鏡のハンドグリップの尺骨‐手掌把持ゾーンの表面に対して後面が適合できるように変形した、厚さ2ミリメートル未満の薄いブレード(扁平部)を意味する。
【0016】
「内視鏡のハンドグリップの尺骨‐手掌把持ゾーン」という語は、ハンドグリップの2つの横向き前端部の間に延在する当該ハンドグリップの半チューブ状側面を意味するものと理解される。手掌は、略チューブ形状の当該ハンドグリップを取り囲む。親指は、一方の側に延在し、手指(人差し指、中指、薬指、および場合によっては小指)は、尺骨‐手掌把持ゾーンの他方の側に適合する。
【0017】
より詳細には、本発明は、内視鏡器具用の電動作動モジュールに関し、当該内視鏡器具用の電動作動モジュールは、内視鏡のハンドグリップの尺骨‐手掌把持ゾーンに取り付けることができる取り付けプレートから構成されており、当該取り付けプレートは、尺骨‐手掌支承面を有し、当該尺骨‐手掌支承面は、当該尺骨‐手掌支承面の平面に垂直な方向に対して90°±25°の角度を形成する方向に延びるヒールまで延びており、当該ヒールは、内視鏡器具の運動を制御する制御信号を送る電気機械センサを備えることを特徴とする。
【0018】
有利には、当該中央尺骨‐手掌把持面は、当該器具との接続のための糸状要素の電動機構を備える電動駆動ブロックまで反対側に延びており、その下端部は、当該器具の遠位との接続が確実となるように、当該可撓性ロッド内へと開口しており、当該取り付けプレートは、可撓性内視鏡の当該ハンドグリップとの接続手段をさらに有する。
【0019】
有利には、可撓性内視鏡の当該ハンドグリップとの当該接続手段は、内視鏡ロッドの作業チャネル内に挿入することができるエンドピースからなる。
【0020】
好ましい変形形態によれば、当該取り付けプレートは、結合する内視鏡の当該作業チャネルの入口を有する、当該エンドピースの下方に配置されたモータを備える電動駆動ブロックを備える。
【0021】
有利には、当該ヒールは、厚さ3ミリメートル未満の突出部により形成されており、当該突出部は、その端部に、センサを有し、当該センサの作動面は、当該ハンドグリップの長手方向軸に対して90°±20°の角度を形成する母線により定められている。
【0022】
特定の実施形態によれば、当該駆動ブロックは、当該器具との接続のための糸状要素の電動機構を備え、その下端部は、遠位の当該器具との接続が提供されるように、当該内視鏡の当該可撓性ロッド内へと開口している。
【0023】
一変形形態によれば、当該駆動ユニットは、当該器具の運動の非常停止を制御する側部作動ボタンを有する。
【0024】
また、本発明は、ユーザの手指の尺骨‐手掌把持ゾーンの上方に位置する吸引および洗浄制御ボタンを有するハンドグリップを備え、当該ハンドグリップは、器具の通過のための作業チャネルを有する可撓性ロッドまで延びており、その運動は、電気インターフェースにより制御される、可撓性内視鏡に関する。当該可撓性内視鏡は、当該インターフェースが、尺骨‐手掌支承面を有し、当該尺骨‐手掌支承面は、当該尺骨‐手掌支承面の平面に垂直な方向に対して90°±25°の角度を形成する方向に延びるヒールまで延びており、当該ヒールが、内視鏡器具の運動を制御する制御信号を送る電気機械センサを備えることを特徴とする。
【0025】
有利には、当該ヒールは、厚さ3ミリメートル未満の突出部により形成されており、当該突出部は、その端部に、センサを有し、当該センサの作動面は、当該ハンドグリップの長手方向軸に対して90°±20°の角度を形成する母線により定められている。
【0026】
有利には、当該センサは、ホイールにより作動する回転センサであり、当該ホイールの軸は、当該ハンドグリップの長手方向軸に平行な長手方向軸に対して0°~±70°の角度を形成している。
【0027】
有利には、当該取り付けプレートは、当該尺骨‐手掌把持ゾーンの下部に、当該器具との接続のための糸状要素の電動機構を備える駆動ブロックをさらに備え、その下端部は、遠位の当該器具との接続が提供されるように、当該内視鏡の当該可撓性ロッド内へと開口している。
【0028】
好ましくは、当該駆動ブロックは、当該尺骨‐手掌把持ゾーンの下部の表面に対して、突出部を形成しており、当該突出部は、作動制御部を構成している前記延在部がある前記尺骨‐手掌把持ゾーンに対して、反対側にある。
【0029】
有利には、当該制御インターフェースは、当該器具を所定の長さだけ移動させるための長さセレクタをさらに備える。
【0030】
好ましくは、当該制御インターフェースは、当該器具の末梢部を結合するための手段をさらに備える。
【0031】
一変形形態によれば、当該内視鏡は、当該インターフェースと当該駆動ブロックとをまとめた、当該ハンドグリップの取り外し式サブアセンブリの形態である電動作動モジュールを備える。
【0032】
別の変形形態によれば、当該センサは、当該尺骨‐手掌把持ゾーンに対向する50mm未満の相互作用面を有する。
【0033】
[非限定的な実施形態の詳細な説明]
添付の図面を参照しつつ、非限定的な実施例により、本発明を以下に説明する。
【0034】
図1図1は、従来技術に係る内視鏡ハンドグリップを示す分解部分斜視図である;
図2図2は、本発明に係る内視鏡ハンドグリップの3/4正面図である;
図3図3は、本発明に係る内視鏡ハンドグリップの3/4正面図を示す;
図4図4は、本発明に係る第2の内視鏡ハンドグリップ変形形態の3/4正面図である;
図5図5は、本発明に係る制御モジュールの第1の変形形態の3/4正面図を示す;
図6図6は、本発明に係る制御モジュールの第2の変形形態の3/4正面図を示す;
図7図7は、本発明に係る第3の内視鏡ハンドグリップ変形形態の3/4正面図である;
図8図8は、本発明に係る第3の内視鏡ハンドグリップ変形形態の3/4正面図である;
図9図9は、本発明に係るモジュールの第2の変形形態の3/4正面図である;
図10図10は、本発明に係るモジュールのこの第2の変形形態の内部機構の図である;
図11図11は、本発明に係るモジュールのこの第2の変形形態の縦断面図である;
図12図12は、本発明に係るモジュールのこの第2の変形形態の底面図である;
図13図13は、内視鏡の作業チャネルと接続するエンドピースの斜視図である;
図14図14は、本発明に係る取り付けプレートの第1の構成の斜視図である;
図15図15は、本発明に係る取り付けプレートの第2の構成の斜視図である;
図16図16は、本発明に係る取り付けプレートの第3の構成の斜視図である;
図17図17は、本発明に係る取り付けプレートの第4の構成の斜視図である;
図18図18は、本発明に係る取り付けプレートの第5の構成の斜視図である;
図19図19は、本発明に係る取り付けプレートの第6の構成の斜視図である。
【0035】
[本発明の全般的な文脈:従来技術に係る「標準的な」内視鏡ハンドグリップ]
図1は、既知の内視鏡の一例を示す。この内視鏡は、ハンドグリップ(1)を備える。このハンドグリップから、探索対象の空腔内に導入される先端または操作端(3)を端に有する可撓性チューブ(2)が延在する。当該先端または操作端(3)の向きは、曲がり可能なスリーブ(4)によって制御することができる。このスリーブは、内視鏡のハンドグリップ(1)上に設けられたノブまたはボタン(5、6、7)の手動による作動に従って、被制御状態にて引っ張られるワイヤによって制御される。このレバー制御部分により、内視鏡の全ての機能を医師が制御できる。曲げ(空間的向き付け)レバー(5、6、7)が曲がりケーブルを方向付け、挿入チューブの先端部における曲がり部分を制御することにより、二次元的な向き付けが可能になる。ロッキング機構(ブレーキ)により、曲がり可能部分を所望の位置に固定することができる。
【0036】
光は、基端部(9)が光コネクタに結合された光ファイバ(8)によって伝えられる。接続ブロック(11)は、吸気口(10)をさらに備える。
【0037】
空気コネクタ(12)は、先端部(3)における吹込または吸引を制御するように、真空ポンプまたは可逆的空気ポンプに接続するよう意図されたものである。また、テクニカルブロック(11)は、電気コネクタ(13)と、安全コード用の接続支持体(14)と、給水部(15)と、を備える。
【0038】
ハンドグリップ(1)は、スリーブ(17)まで延びるシース(16)により、チューブ(2)に接続されている。ハンドグリップは、使い捨てバルブ(19)が取り付けられた作業チャネル開口部(18)を有する。
【0039】
ハンドグリップは、洗浄チャネルを制御するピストン(20)と、ハンドグリップ(1)と先端部(3)との間に延在する2つのチューブを介して吸引または吹込を制御するピストン(30)と、を備える。一方は、空気および水を上記先端部に運び、他方は、生検または吸引を行う。吸引の適用は、ハンドグリップ上に設けられたピストン(30)により、調節される。このピストンは、溶接接合によって、近接するダクトに接合されている。ピストン(20、30)は、環状基部(32)によって、ハンドグリップの本体に結合されている。
【0040】
ピストン(30)は、吸引チャネルを挿入チューブ内の作業チャネルに接続する。ピストンボタン(31)を押すことによって、作業チャネルの吸引を行うことができる。空気/水ピストン(20)は、ピストン、および吸引ピストン(30)と同様である。ただし、ツーウェイ(two-way)ボタンを有するピストンが、デュアルチャネル装置において使用されている点を除く。このデュアルチャネル装置によって、空気または水を先端部にあるレンズに運び、洗浄または送気を行って視覚(ビジョン)を改善することができる。2つのピストン(20、30)は、使用時に交換するために、あるいは清浄にするために、取り外すことができる。
【0041】
[制御インターフェースの詳細な説明]
図2以降に示す本発明に係るハンドグリップは、例えば検体、電気凝固、縫合、切開等の、先端部における処置を実行するために内視鏡チューブ(2)内に導入される内視鏡器具の電動制御の追加機能により、「標準的な」ハンドグリップとは異なるものとなっている。この電動制御は、操作者が内視鏡器具を押したり引いたりする必要なく、当該内視鏡器具を内視鏡チューブ(2)内において前方または後方に移動させるよう意図されたものである。この電動制御は、内視鏡器具の端部における可能な作動、例えば、当該内視鏡器具の先端部に設けられたクランプの開閉に関するものではない。
【0042】
目的は、(i)一方の手でハンドグリップ(1)を保持する操作者が、通常の制御を適用し続けられるようにすること、および、(ii)(一般には、導入領域において内視鏡チューブ(2)を案内するために使用される)もう一方の手を使用する必要なく、また、複雑な協調が必要となる第2の操作者の補助によることなく、作業位置への内視鏡器具の移動を、手動の介入なしに制御できるようにすること、である。当該内視鏡器具の移動とは、内視鏡器具の能動(活動)部分が介入対象のゾーンに到達することができるよう、チューブの中央に対応する軌道に沿って、内視鏡チューブ内を前後に進むというものである。これは、内視鏡チューブ(2)に対する運動である。
【0043】
これを行うために、ハンドグリップ(1)は、制御インターフェース(100)を備える。当該制御インターフェース(100)は、尺骨‐手掌把持ゾーン(101)において、ハンドグリップ(2)上に配置されている。当該尺骨‐手掌把持ゾーン(101)は、洗浄チャネルを制御するピストン(20)と、吸引または吹込を制御するピストン(30)との直下に位置する。このゾーン(101)は、人差し指、中指、薬指および小指のうちの少なくとも2本または3本の手指の掌側部分(パッド)を支持できるよう、略平坦となっている。
【0044】
図2および図3に示すモジュールは、中央尺骨‐手掌支持部分(111)を有する、約1mmの薄い取り付けプレート(110)から構成されている。当該中央尺骨‐手掌支持部分(111)は、ハンドグリップ(2)の尺骨‐手掌把持ゾーン(101)上に重ね合わせられており、当該ハンドグリップの側面にわたって延びている。この中央部分(111)は、延在部(112)まで一方の側に延びている。当該延在部(112)は、実質的に横断する面(113)内に延びている。本願の趣旨の範囲内において、「実質的に横断する面」とは、ハンドグリップ(2)の長手方向軸(200)に対して、+45°~-45°の方向に延びる表面を意味する。
【0045】
この延在部(112)の幅は、中央ゾーン(111)の幅に対応する初めの幅から、作動面を備えるセンサ(114)を支承する端部におけるより小さな幅まで、減少する。上記の実施例では、当該センサは、球形ゾーン形態の歯付きホイールにより形成された作動面を有する回転電気機械センサ(114)である。そのため、当該センサは、人差し指を他の通常のハンドグリップコマンドのために利用可能な状態に保ったまま、手指(例えば、中指または薬指)の掌側部分(パッド)により作動できるようになっている。
【0046】
取り付けプレート(100)の他方の端部は、電動ブロック(120)により形成されている。電動ブロック(120)の長手方向軸(122)は、ハンドグリップ(2)の長手方向軸(200)に対して、±30°(上下の傾き)~90°(ハンドグリップ(2)の長手方向軸(200)に垂直な向き)の角度で傾いている。
【0047】
この電動ブロック(120)は、内視鏡器具の並進要素の通過のためのポート(121)を通じて、当該ブロック(120)の両側に中央チャネル開口部を有する。これにより、内視鏡チューブ(1)内における当該並進要素の移動、および、当該内視鏡器具による処置のための当該並進要素の先端における位置決めが確実になる。この目的のために、当該ブロック(120)は、電気モータまたは電磁アクチュエータを備え、当該電気モータまたは電磁アクチュエータは、センサ(114)により電子制御回路を介して制御される。これは、側部コネクタ内に係合された再充電可能な電気バッテリ(123)により、動力供給される。反対側の壁上において、当該ブロック(120)は、非常停止ボタン(124)を有する。
【0048】
図2に示す実施形態では、延在部(112)は、その端部(116)において上方に湾曲しており、当該端部(116)は、センサ(114)を支承している。さらに、取り付けプレートには、標準的なハンドグリップ(2)の周囲に取り付けるためのカラー(117)が設けられている。
【0049】
図3に示す変形形態では、非常停止ボタン(124)は、電動ユニット(120)の前面上に配置されている。取り付けプレート(110)は、横方向に延びる延在部(111)を有し、一方の端部(116)は、半球形ボタンにより操作可能なセンサ(114)を支承するよう、上方に角度付けられている。
【0050】
[付属モジュール形式の実施形態]
当該インターフェースは、ハンドグリップ(2)内に組み込まれてもよいか、または、既存のハンドグリップ(2)上に取り付け可能な付属品の形態で製造されてもよい。図5および図6は、前述のものと同一の技術的特性を有する、かかる付属品の図を示す。
【0051】
電動ブロック(120)は、例えば図7に示すような自動式穿刺装置(140)、あるいは、図8に示すような鋏または生検針を制御するための機構(150)等の内視鏡器具の末梢部(周縁部)を受け入れるためのアダプタまで、横方向に延びている。
【0052】
このアダプタは、付属支持体(131)を備える関節式アーム(130)により、または機械的コネクタ(135)により、構成されている。
【0053】
[付属モジュールの代替実施形態]
図9および図10は、既存の内視鏡ハンドグリップに設けるよう意図された付属品を構成する自律モジュールの代替実施形態を示す。前述の技術的特性は、この変形形態内に存在している。
【0054】
電動ブロック(120)には、糸状要素(160)の表面に接触する駆動ローラ(180)により当該糸状要素(160)を駆動し、直径方向の反対側の位置に接触する加圧ローラ(181)により良好な接着を確実にする機構が組み込まれている。この加圧ローラ(181)は、可動キャリッジ(182)によって支持された軸の周りを、自由に回転する。当該可動キャリッジ(182)は、糸状要素(160)の導入軸に垂直な向きを有するばね(183)により、駆動ローラ(180)の方向に押し戻される。これは、スリーブ(171)で保護された電線(170)により、動力供給される。
【0055】
駆動ローラ(180)は、モータ(190)により、ベベルギア(185)を介して作動される。このモータ(180)は、ユーザ制御部(114)を介して制御される。
【0056】
モータ(190)は、糸状要素(160)のスクロール(scrolling)軸に対して、実質的に長手方向に配置されており、空間的要件および重量分布を最適化するように、この軸に対して0°~±30°の角度を有する。
【0057】
モータ(190)は、電動ブロック(120)内において、インターフェース(195)の下方に配置されており、内視鏡の作業チャネルの入口に位置するようになっている。これは、ハンドグリップのバランス調整を良好にし、また、このモジュールを装着したハンドグリップの重心が高くなることを防ぐためである。
【0058】
軸(186)は、作動ボタン(124)に固定されたフレーム(187)上に形成された2つの弓形スロット(188、189)により、案内される。
【0059】
作動ボタン(124)の中間位置において、駆動ローラ(180)により、糸状要素(160)の移動が確実となる。糸状要素(160)は、自由ローラ(181)により、制御された力によって駆動ローラ(180)に向かって押し付けられる。
【0060】
作動ボタン(124)が糸状要素(160)のスクロール軸方向に押されると、モジュールをハンドグリップ上に装着したときの当該ハンドグリップの方向に、自由ローラ(181)に対する駆動ローラ(180)の押圧と共に角度レバーのギア(185)の分離が生じる。これにより、糸状要素(160)のスクロールが妨げられる。
【0061】
反対に、ハンドグリップと作動ボタン(124)の内面との間を滑る手指により作動ボタン(124)の湾曲部分に作用することで、作動ボタン(124)を反対方向に動かすと、駆動ローラ(180)は、自由ローラ(181)から離れるように移動し、その結果、糸状要素(160)が解放され、手動で動かせるようになる。
【0062】
この作動ボタン(124)の操作は、非常に直感的である。それは、ツール係合機構の即時的開閉を制御する:
-糸状要素(160)により移動されるツールの即時的係合/係脱;
-糸状要素(160)により移動されるツールの前進/後退に関する、即時停止による安全性;
-手動運転と自動運転との即時切替え。
ツールの手動操作によって、電動モジュールを取り外す必要なく、内視鏡の通常の使用方法に戻ることができる。
【0063】
[内視鏡の作業チャネルへの器具の取り付け(図11-13)]
ハンドグリップ上へのモジュールの取り付けには、カラーまたはクリップ等の取り付け要素が必要とされず、図13に示す円錐台形部品により達成される。この円錐台形部品は、作業チャネルと電動モジュールとの間のシールを保証するフランジ(270)を有する。当該フランジ(270)は、先細エンドピース(末端部)(271)まで延びている。電動ブロック(120)の先端部を延ばす長手方向エンドピース(271)を、「標準的な」内視鏡の作業チャネル内に導入することにより、糸状要素(160)の案内と、内視鏡ハンドグリップに対するモジュールのウェッジ(係合)との両方が保証される。略チューブ状リング(271)または先細リング(271)は、内視鏡ガイドに対してシース(170)を封止するシール(272)を有する。このシール(272)は、変形により係合し、作業チャネルの端部の周りでウェッジングする(係合する)ビードを備える(当該作業チャネルの端部もまた、ビードを備える)。
【0064】
円錐台形エンドピース(271)は、その基端部に、ディスク拡張部(270)を有する。当該ディスク拡張部(270)は、電動ユニット(120)の前面上に設けられた相補的な受けゾーン内に係合する。エンドピース(271)の基端部は、シール(195)が係合する円形空間を有する。このソリューションにより、案内(1)、モータ、および、電動ブロック(120)の上部分を構成する駆動機構から、作業チャネルを物理的に分離することが可能になる。1または複数の流体シールは、ロッド(1)内の流体の通過をシールする。
【0065】
[応用]
本発明は、複数の応用を有する。当該複数の応用は、特に、細胞学的および組織学的研究における、細針による超音波内視鏡誘導サンプリング(検体採取)(EUS‐FNA)に関する。超音波内視鏡検査(Endoscopic ultrasound:EUS)は、特に、体組織の細針吸引(fine needle aspiration:FNA)または細針生検(fine needle biopsy:FNB)と組み合わせたとき、消化器系における癌のステージを決定するための必須プロトコルとなっている。FNA生検は、FNA針と呼ばれる専用の針を用いて行われる。この手続きでは、生検部位が体壁の後ろに位置する当該体壁とEUS撮像装置が接触させられ、次に、EUS内視鏡の作業チャネルを通して、FNA針が前進させられる。体壁を通して、生検対象の部位(通常は、疑いのある病変)へと針が進められ、組織検体を回収するため、針の内端部に負圧がかけられる。次いで、EUSの対象領域(field)から針が取り出され、組織検体が回収され分析される。
【0066】
市販のFNA針は、互いに非常に類似している:それらは、作業チャネル(1)の基端部において、通常ルアーロックを介して係合されるよう意図されたものであり、シース内に収容された中空針を備える。FNA針基端部のハンドルは、以下を備える:
-シースの端部を(針の露出していない状態にて)穿通対象の体壁と接触させるために使用される、シースアジャスタ。いったん正しいシース位置が達成されると、当該シースアジャスタは、ハンドグリップ本体に固定することができる;
【0067】
-シースの先端部を越えて針をスライドおよび露出させ、生検部位に到達させるための針スライダ;
-ハンドグリップの本体に取り付けることのできる、針スライダの長手方向移動を制限するための安全リング。その結果、ユーザは、複数回の針挿入を容易に行うことができる;
【0068】
-ハンドルの基端部における、針の中空の内孔に負圧をかけるためのポート。
【0069】
FNA生検では、医師は通常、標的となる病変内の種々の場所に、生検針を手で複数回、前後に通す必要がある。生検針を通過させる動作は標準化されておらず、穿通深さおよび通過速度は、医師が制御する。通常、通過行程が長ければ、一般に通過行程がより短い場合よりも多くの検体(サンプル)が得られ、通過速度が遅ければ、一般に通過速度がより速い場合よりも多くの検体が得られる。標準化されていないサンプリングは、最適な収量に満たない収量、または再現性のない生検サンプリングの原因となり得るだろう。また、従来の方法は、検体収量の推定に劣るため、不十分なサンプリング(undersampling)および診断の失敗を招来し得る。これは、時間を浪費し、患者の治療を遅らせる可能性があり、また、追加の医療費を伴う。当該追加の医療費は、より標準化されたサンプリング方法により回避できるものである。同様の技術的課題は、特許DE10128336において言及されており、一方法が提案されている。細針吸引(FNA)生検により細胞検体を収集するこの方法は、サンプリング装置の細針を組織内に導入するものである。上記細針は、真空にさらされ、上記組織に対して移動するように設定される。次に、上記真空を解放し、上記細針を上記組織から引き抜く。
【0070】
本発明では、生検針サンプリングの制御を改善するツール制御インターフェースを有する装置、ならびに、より良好な再現性、計画立案および組織検体の推定を可能にする組織サンプリングの標準化が提供される。
【0071】
従来技術に係るハンドグリップでは、針スライダの作動には、内視鏡医が右手を内視鏡視野の軸上にとどめることが必要となる。そのため、内視鏡の制御が失われ、精度が低下してしまう。病変内の種々の場所に到達することが診断収量には極めて重要であるので、これは重大な制限である。したがって、一方の手をハンドグリップ上に、もう一方の手を内視鏡のロッド上に保った状態にて、ユーザがFNA針を操作できるシステムが望ましい。
【0072】
本発明に係る制御インターフェースは、有利には、ユーザが内視鏡のロッド上に右手を保った状態にてFNA針を制御するために使用することができる。制御インターフェースを操作することにより、シャフトおよび針の移動を制御することができる。
【0073】
好ましい実施形態では、針の挿入は、制御インターフェースを使用して右手により制御され、一次元駆動制御により、低速で、かつ正確な針の操作が可能になる。いったん針が所望の深さまで挿入されると、第2のブールサンプリング制御部(オン/オフ)を使用して、運動を繰り返すことができる:当該サンプリング制御部がいったん押されると、針が引き込み、同じ距離にて再挿入される。この特徴により、ユーザは、スコープ(通気技術)の位置を変化させながら、同様の深さにて複数の通過を行い、病変内の複数の部位に到達することができる。そして、駆動コントローラを使用して針を引き抜くことができ、内視鏡から当該針を抜き取ることができる。
【0074】
一変形形態によれば、制御インターフェース(100)は、ユーザが針の穿通深さを直接定めることができる長さセレクタをさらに備える。ユーザがサンプリング制御部を押すと、針は、長さセレクタにより設定された深さまで挿入され、デフォルト位置に戻される。
【0075】
一実施形態では、制御インターフェース(100)は、針を並進させるよう適合された少なくとも1つのリニアアクチュエータと一体となったFNA針とともに使用される。当該アクチュエータは、物理的にまたは無線により、制御インターフェースに接続されている。また、FNA針は、制御インターフェースとの物理的接続を介して、あるいは、バッテリと一体であることによって、電源に接続されている。
【0076】
別の実施形態では、制御インターフェースは、利用(入手)可能なFNA針に取りつけられ、かつ当該制御インターフェースに接続するように適合された「EUS装置」に接続されている。
【0077】
[「生検」への応用の概要]
1)本発明に係る内視鏡、または、本発明に係るモジュールが追加された標準的な内視鏡は、内視鏡器具の操作のために意図された2つの部分を備える。すなわち:ユーザ制御インターフェースおよび駆動ユニット。
【0078】
2)ユーザ制御インターフェースは、内視鏡のハンドグリップ(2)上において、吸引および洗浄ボタン(20、30)の直下に取り付けられている。ユーザ制御部(114)は、相対的に遅い移動の指令を適用するための第1の制御ボタン、および、任意選択的に、サンプリングボタンを備える。当該サンプリングボタンは、長さセレクタにより設定した所定の長さにて、一定回数の通過の間に生検針を連続的に前進および後退させる。
【0079】
3)駆動ユニットをサイト(sight)に取り付ける前に、針安全リングは、理想的には最大の長さまで、しっかりと締めるべきだろう。これにより、針は最大距離を移動し、中心重量点をスコープハンドグリップに近づけることができるようになる。
【0080】
4)駆動ユニットは、非スライド部分およびスライド部分の2つの部分からなる、リニアアクチュエータからなる。各部分は、生検針装置上に取り付けられた取り付け手段を含む。非スライド部分上の取り付け手段は、針装置の安全リングに取り付けられている。スライド部分上の取り付け手段は、生検装置のスライドハンドグリップに取り付けられている。
【0081】
5)また、駆動部は、レバー操作式安全機構を備える。それが無効になると、針装置の手動制御が可能になる。
【0082】
6)長さセレクタは、駆動ユニットのスライド部分上に位置する。長さセレクタは、生検針の通過距離を決定する。所望の長さは、針の通過前に定められる必要がある。
【0083】
7)生検検体を採取するために、内視鏡医は、駆動コントローラを使用して、または手動により、所望の場所の近くに針を前進させる。駆動ユニットのスライド部分上の長さセレクタには、所望の長さが設定されている。針は、駆動制御ボタンを介して、病変内へと進められる。必要に応じて、針が標的内の所望の場所に到達するまで、所望の針穿通長さを調節することが可能である。
【0084】
8)いったん、針が標的内にある状態となり、かつ、所望の穿通長さが選択されると、針の通過を複数回行うことができる。ユーザが検体ボタンを押すと、駆動ユニット内に収納されたリニアアクチュエータが作動する。リニアアクチュエータは、事前設定された時間のあいだ、複数のコネクタを互いに近づける。このリニアアクチュエータの動きによって、長さセレクタに基づき事前設定された距離まで、針は前進および後退する。
【0085】
9)一連の通過が完了すると、必要に応じて、ユーザは、手動で針を再位置決めし、所望の穿通長さを再調整することが可能である。工程8および工程9は、十分な検体が収集されるまで繰り返される。
【0086】
10)サンプリング手順の文書化‐ユーザは、各事前選択長さ、および、サンプリングボタンを押すことによりなされた対応する通過数を記録する。
【0087】
[「鉗子」への応用]
(例えば)鉗子およびコレット等の、一般的な内視鏡ツールには、ツールハンドグリップの手動開閉が必要となる(図8参照)。
【0088】
ツールハンドグリップは、内視鏡医の監督下にある助手により通常、制御され、内視鏡医によっては直接、制御されない。しかしながら、正確な開閉の程度、および実行されるべき移動は、言葉で表現することが困難であり得るため、コミュニケーションが困難な場合がある。より効果的なコミュニケーションを達成するために、これには通常、経験豊富な助手、または、助手・内視鏡医間の長い学習過程が必要となる。コミュニケーションが良好な場合でも、伝達ミスの回避は依然として困難である。当該伝達ミスは、操作エラー、余分な操作時間、および安全上の問題を招来する可能性がある。1つのソリューションは、内視鏡医が自分自身のツールを制御できるよう、ユーザ制御インターフェースを介して、ツール開閉時の自動制御を提供することである。
【0089】
1)本発明の提案するソリューションは、開閉制御が必要でありかつ内視鏡のハンドグリップ付近にあるツールホルダに取り付けられた内視鏡器具の制御に、完全に適用される。
【0090】
2)それは、駆動ユニットの底部から延びるコネクタと、当該コネクタに接続するツールホルダと、からなる。
【0091】
3)ツールホルダは、2つの部分を有するリニアアクチュエータからなる。当該2つの部分とはすなわち、スライド部分および非スライド部分である。内視鏡ツールの少なくとも一部分は、ツールホルダ上に取り付けられる。
【0092】
4)開閉式内視鏡ツールは通常、スライド部分と、非スライド(非移動)部分と、からなる。装置のスライド部分は、ツールのスライド部分上に取り付けられている。一方、装置の非スライド部分は、ツールの非スライド部分上に取り付けられている。
【0093】
5)ツールの開閉は、スライド部分の位置/運動により制御される。当該スライド部分は、(本来の制御と同様に)ユーザ制御インターフェースを介して、またはフットペダルを介して、ユーザが制御することができる。
【0094】
[内視鏡器具の移動速度の調整]
一部の内視鏡手続きには、種々の速度制御が必要とされる。当該種々の速度制御には、正確な運動制御のためのゆるやかな速度、および、構造体の膜の穿通を可能にする急速な前進が含まれる。一変形形態によれば、本発明により、ユーザ制御インターフェース上に異なる2つの速度制御ボタンを設けることができるか、あるいは、インデックスされた(indexed)センサさえ設けることができる。当該異なる2つの速度制御ボタンにより、装置の速度のより価値ある制御ができるようになる。また、当該インデックス付きセンサにより、制御ボタン(114)を使用して、適切な速度を選択することができる。
【0095】
[モジュールの構成]
作動モジュールのヒール(112)の構成は、それが支承するセンサの性質に応じて、種々の形態をとり得る。非限定的な実施例として、6つの特定の構成を以下に提示する。
【0096】
図14は、本発明に係る取り付けプレートの第1の構成の斜視図である。ヒール(112)は、支承面(111)に実質的に垂直な方向に延びている。そして、ヒール(112)は、センサを支承する実質的に平行な(または、30°程度の角度にてわずかに傾斜した)表面(212)を形成するように、電動駆動ブロック(120)の方向に湾曲した領域を有する。当該センサは、例えばツールの前進または後退、およびその閉塞(blockage)を制御するように、右側から左側へ横方向に作動させ押すことのできるボタンを備える。
【0097】
図15は、本発明に係る取り付けプレートの第2の構成の斜視図である。当該第2の構成は、電動ブロックとは反対の方向に曲がりがある点を除き、先の構成と同様である。
【0098】
図16は、本発明に係る取り付けプレートの第3の構成の斜視図である。当該第3の構成では、第1の構成と同じ方向に曲がりがあり、表面(212)は、種々の方向に操作可能なホイールを支承している。当該ホイールは、「ジョイスティック」タイプであり、押し込むことで作動することができる。
【0099】
図17は、本発明に係る取り付けプレートの第4の構成の斜視図である。当該第4の構成では、第2のアクチュエータ(214)が、エンジンブロック(120)に接続された湾曲プレート(212)上に取り付けられている。
【0100】
図18は、本発明に係る取り付けプレートの第5の構成の斜視図である。当該第5の構成に係る取り付けプレートは、第1のセンサ(114)上に重ね合わせられた複数のセンサまたは複数のボタン(214)を支承する第2の湾曲プレート(212)を有する。この2つのセンサ(114)および(214)は、ずれて配置された平面内にある。
【0101】
図19は、本発明に係る取り付けプレートの第6の構成の斜視図である。当該第6の構成に係る取り付けプレートは、第1のセンサ(114)に対して長手方向にずれて配置された複数のセンサまたは複数のボタン(214)を支承する第2の湾曲プレート(212)を有する。この2つのセンサ(114)および(214)は、ずれて配置された平面内にある。
【図面の簡単な説明】
【0102】
図1】従来技術に係る内視鏡ハンドグリップを示す分解部分斜視図である。
図2】本発明に係る内視鏡ハンドグリップの3/4正面図である。
図3】本発明に係る内視鏡ハンドグリップの3/4正面図を示す。
図4】本発明に係る第2の内視鏡ハンドグリップ変形形態の3/4正面図である。
図5】本発明に係る制御モジュールの第1の変形形態の3/4正面図を示す。
図6】本発明に係る制御モジュールの第2の変形形態の3/4正面図を示す。
図7】本発明に係る第3の内視鏡ハンドグリップ変形形態の3/4正面図である。
図8】本発明に係る第3の内視鏡ハンドグリップ変形形態の3/4正面図である。
図9】本発明に係るモジュールの第2の変形形態の3/4正面図である。
図10】本発明に係るモジュールのこの第2の変形形態の内部機構の図である。
図11】本発明に係るモジュールのこの第2の変形形態の縦断面図である。
図12】本発明に係るモジュールのこの第2の変形形態の底面図である。
図13】内視鏡の作業チャネルと接続するエンドピースの斜視図である
図14】本発明に係る取り付けプレートの第1の構成の斜視図である。
図15】本発明に係る取り付けプレートの第2の構成の斜視図である。
図16】本発明に係る取り付けプレートの第3の構成の斜視図である。
図17】本発明に係る取り付けプレートの第4の構成の斜視図である。
図18】本発明に係る取り付けプレートの第5の構成の斜視図である。
図19】本発明に係る取り付けプレートの第6の構成の斜視図である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
【国際調査報告】