(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-03
(54)【発明の名称】中枢神経系ウイルス感染及び腫瘍のためのT細胞ベースの免疫療法
(51)【国際特許分類】
A61K 45/06 20060101AFI20230127BHJP
A61K 38/04 20060101ALI20230127BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20230127BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20230127BHJP
A61P 25/28 20060101ALI20230127BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20230127BHJP
A61P 33/00 20060101ALI20230127BHJP
A61P 31/12 20060101ALI20230127BHJP
A61P 31/10 20060101ALI20230127BHJP
A61P 31/04 20060101ALI20230127BHJP
A61P 31/00 20060101ALI20230127BHJP
C07K 7/08 20060101ALI20230127BHJP
C07K 16/28 20060101ALI20230127BHJP
C07K 14/035 20060101ALI20230127BHJP
C07K 14/045 20060101ALI20230127BHJP
C07K 14/05 20060101ALI20230127BHJP
C07K 14/11 20060101ALI20230127BHJP
C07K 16/30 20060101ALI20230127BHJP
C12N 15/09 20060101ALN20230127BHJP
【FI】
A61K45/06 ZNA
A61K38/04
A61K39/395 U
A61P25/00 101
A61P25/00
A61P25/28
A61P35/00
A61P33/00
A61P31/12
A61P31/10
A61P31/04
A61P31/00
C07K7/08
C07K16/28
C07K14/035
C07K14/045
C07K14/05
C07K14/11
C07K16/30
C12N15/09 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022533327
(86)(22)【出願日】2020-12-04
(85)【翻訳文提出日】2022-07-26
(86)【国際出願番号】 US2020063211
(87)【国際公開番号】W WO2021113574
(87)【国際公開日】2021-06-10
(32)【優先日】2019-12-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】593152720
【氏名又は名称】イェール ユニバーシティー
【氏名又は名称原語表記】Yale University
【住所又は居所原語表記】2 Whitney Avenue, New Haven, CT 06510, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】弁理士法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】イワサキ,アキコ
【テーマコード(参考)】
4C084
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4C084AA02
4C084AA20
4C084BA01
4C084BA08
4C084BA18
4C084BA23
4C084MA02
4C084NA14
4C084ZA01
4C084ZA02
4C084ZA15
4C084ZB26
4C084ZB32
4C084ZB33
4C084ZB35
4C084ZB38
4C085AA14
4C085BB11
4C085EE03
4H045AA11
4H045AA30
4H045BA10
4H045BA16
4H045BA17
4H045BA20
4H045CA01
4H045CA03
4H045CA40
4H045DA75
4H045DA86
4H045EA20
(57)【要約】
本開示は、脳、脊髄、又は中枢神経系の疾患又は障害を処置又は予防するための組成物及び方法に関する。CD4 T細胞免疫応答を誘導する免疫原性組成物によって、血液脳関門の透過性が誘導され、脳、脊髄、又は中枢神経系への治療用抗体又は薬剤のアクセスが可能になることが本明細書中に記載されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
それを必要とする対象において脳、中枢神経系、又は脊髄の疾患又は障害を処置又は予防するための方法であって、
a)免疫原性薬剤を投与して免疫応答を誘導し、それにより、前記対象において血液脳関門(BBB)の透過性を誘導すること;及び
b)前記疾患又は障害の処置のための少なくとも1つの治療用薬剤を投与することを含む方法。
【請求項2】
免疫原性薬剤が、CD4 T細胞免疫応答を誘導するための抗原性タンパク質又はペプチドである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
免疫原性薬剤が抗原性MHCクラスIIペプチドを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
免疫原性薬剤が、配列番号5から配列番号90からなる群より選択されるペプチドを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
少なくとも1つの治療用薬剤が免疫チェックポイントタンパク質の阻害剤を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
免疫チェックポイントタンパク質が、PD-1、PDL-1 CTLA-4、LAG-3、TIM-3、TIGIT、及びCEACAM1からなる群より選択される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
阻害剤が、イピリムマブ、ニボルマブ、ペンブロリズマブ、ピジリズマブ、アテゾリズマブ、BMS-986016、BMS-936559、MPDL3280A、MDX1105-01、MEDI4736、TSR-022、CM-24、及びMK-3475からなる群より選択される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
疾患又は障害が、ウイルス感染、細菌感染、真菌感染、原虫感染、プリオン感染、及び蠕虫感染からなる群より選択される病原体媒介性感染を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
方法によって、感染に関連付けられる炎症が処置又は予防される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
方法によって、脳炎、髄膜炎、髄膜脳炎、硬膜外膿瘍、硬膜下膿瘍、脳膿瘍、及び進行性多巣性白質脳症(PML)からなる群より選択される感染に関連付けられる状態が処置又は予防される、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
方法によってがんが処置又は予防される、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
治療用薬剤が、腫瘍特異的又は腫瘍に関連付けられる抗原に特異的に結合する抗体又は抗体フラグメントを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
それを必要とする対象において脳、中枢神経系、又は脊髄の疾患又は障害を処置又は予防するための組成物であって:
a)前記対象においてCD-4 T細胞免疫応答を誘導し、それによりBBBの透過性を誘導する抗原性タンパク質又はペプチド;及び
b)前記疾患又は障害の処置のための少なくとも1つの治療用薬剤を含む組成物。
【請求項14】
抗原性タンパク質又はペプチドが、抗原性MHCクラスIIペプチドを含む、請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
抗原性タンパク質又はペプチドが、配列番号5から配列番号90からなる群より選択される、請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
少なくとも1つの治療用薬剤が、免疫チェックポイントタンパク質の阻害剤を含む、請求項14に記載の組成物。
【請求項17】
免疫チェックポイントタンパク質が、PD-1、PDL-1 CTLA-4、LAG-3、TIM-3、TIGIT、及びCEACAM1からなる群より選択される、請求項16に記載の組成物。
【請求項18】
阻害剤が、イピリムマブ、ニボルマブ、ペンブロリズマブ、ピジリズマブ、アテゾリズマブ、BMS-986016、BMS-936559、MPDL3280A、MDX1105-01、MEDI4736、TSR-022、CM-24、及びMK-3475からなる群より選択される、請求項16に記載の組成物。
【請求項19】
治療用薬剤が、疾患又は障害に関連付けられる抗原に結合する抗体又は抗体フラグメントを含む、請求項14に記載の組成物。
【請求項20】
疾患又は障害が、ウイルス感染、細菌感染、真菌感染、原虫感染、プリオン感染、蠕虫感染、脳炎、髄膜炎、髄膜脳炎、硬膜外膿瘍、硬膜下膿瘍、脳膿瘍、進行性多発性白質脳症(PML)、及びがんからなる群より選択される、請求項14に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
【0002】
本願は、2019年12月5日に出願された米国仮特許出願第62/943,930号の優先権を主張し、その内容は参照によりその全体において本明細書中に組み込まれる。
【0003】
連邦政府が出資する研究又は開発に関する声明
【0004】
本発明は、国立衛生研究所(NIH)により授与されたAI054359、AI062428、AI064705、AI054359、AI127429、及びF30CA239444の下での政府支援により行われた。政府は本発明において一定の権利を有する。
【0005】
発明の背景
【0006】
水疱性口内炎ウイルス(VSV)は、狂犬病ウイルスと密接に関連する、ネガティブセンスRNA神経向性ウイルスである。マウスモデルにおいて、VSV曝露の経路は、病態形成、宿主応答、及びその後の臨床所見に影響する(Cuevas et al., 2017, Nat Microbiol, 2:17078)。例えば、静脈内(i.v)VSV感染は、野生型マウス系統により十分に許容され、頑強な記憶応答を生成する(Iijima and Iwasaki, 2016, Nature, 533:552-556)。対照的に、高用量の鼻腔内(i.n)VSV送達は、脳へのウイルス拡散に導く。VSVは鼻上皮における嗅覚ニューロンに感染し(Lundh et al., 1987, Neuropathol Appl Neurobiol, 13:11-122)、中枢神経系(CNS)に入り、軸索に沿って嗅球に移動する(Reiss et al., 1998, Ann N Y Acad Sci, 855:751-761)。以前の試験によって、マウスのi.n.VSV感染がしばしば、血液脳関門(BBB)の破壊に導くことが示されている(Iijima and Iwasaki, 2016, Nature, 533:552-556;Bi et al., 1995, J Virol, 69:6466-6472)。ワクチン接種戦略において、BBB透過性の調節が、抗体又は防御免疫細胞によって、CNSにおけるウイルス耐性を媒介させることを可能にするために決定的である。
【0007】
したがって、当技術分野において、中枢神経系の感染を処置及び予防するための組成物ならびに方法についての必要性がある。本発明は、当技術分野におけるこの満たされていない必要性に対処する。
【0008】
発明の概要
【0009】
一部の実施形態において、本発明は、それを必要とする対象において脳、中枢神経系、又は脊髄の疾患あるいは障害を処置又は予防するための方法であって、a)免疫原性薬剤を投与して免疫応答を誘導し、それにより対象において血液脳関門(BBB)の透過性を誘導すること;及びb)疾患又は障害の処置のための少なくとも1つの治療用薬剤を投与することを含む、方法に関する。
【0010】
一部の実施形態において、免疫原性薬剤は、CD4 T細胞免疫応答を誘導する抗原性タンパク質又はペプチドである。一部の実施形態において、免疫原性薬剤は、抗原性MHCクラスIIペプチドを含む。一部の実施形態において、免疫原性薬剤は、配列番号5から配列番号90からなる群より選択されるペプチドを含む。
【0011】
一部の実施形態において、少なくとも1つの治療用薬剤は、免疫チェックポイントタンパク質の阻害剤を含む。一部の実施形態において、免疫チェックポイントタンパク質は、PD-1、PDL-1 CTLA-4、LAG-3、TIM-3、TIGIT、又はCEACAM1である。一部の実施形態において、阻害剤は、イピリムマブ、ニボルマブ、ペンブロリズマブ、ピジリズマブ、アテゾリズマブ、BMS-986016、BMS-936559、MPDL3280A、MDX1105-01、MEDI4736、TSR-022、CM-24、又はMK-3475である。
【0012】
一部の実施形態において、疾患又は障害は、ウイルス感染、細菌感染、真菌感染、原虫感染、プリオン感染、及び蠕虫感染からなる群より選択される病原体媒介性感染を含む。
【0013】
一部の実施形態において、この方法によって、感染に関連する炎症が処置又は予防される。
【0014】
一部の実施形態において、この方法によって、脳炎、髄膜炎、髄膜脳炎、硬膜外膿瘍、硬膜下膿瘍、脳膿瘍、及び進行性多巣性白質脳症(PML)からなる群より選択される感染関連状態が処置又は予防される。
【0015】
一部の実施形態において、この方法によって、がんが処置又は予防される。一部の実施形態において、治療用薬剤は、腫瘍特異的抗原又は腫瘍関連抗原に特異的に結合する抗体又は抗体フラグメントを含む。
【0016】
一部の実施形態において、本発明は、それを必要とする対象において脳、中枢神経系、又は脊髄の疾患あるいは障害を処置又は予防するための組成物であって、a)対象においてCD-4 T細胞免疫応答を誘導し、それによりBBBの透過性を誘導する抗原性タンパク質又はペプチド;及びb)疾患又は障害の処置のための少なくとも1つの治療用薬剤を含む、組成物に関する。
【0017】
一部の実施形態において、抗原性タンパク質又はペプチドは抗原性MHCクラスIIペプチドを含む。一部の実施形態において、抗原性タンパク質又はペプチドは、配列番号5から配列番号90からなる群より選択される。
【0018】
一部の実施形態において、少なくとも1つの治療用薬剤は、免疫チェックポイントタンパク質の阻害剤を含む。一部の実施形態において、免疫チェックポイントタンパク質は、PD-1、PDL-1 CTLA-4、LAG-3、TIM-3、TIGIT、又はCEACAM1である。一部の実施形態において、阻害剤は、イピリムマブ、ニボルマブ、ペンブロリズマブ、ピジリズマブ、アテゾリズマブ、BMS-986016、BMS-936559、MPDL3280A、MDX1105-01、MEDI4736、TSR-022、CM-24、又はMK-3475である。
【0019】
一部の実施形態において、治療用薬剤は、疾患又は障害に関連付けられる抗原に結合する抗体又は抗体フラグメントを含む。一部の実施形態において、疾患又は障害は、ウイルス感染、細菌感染、真菌感染、原虫感染、プリオン感染、蠕虫感染、脳炎、髄膜炎、髄膜脳炎、硬膜外膿瘍、硬膜下膿瘍、脳膿瘍、進行性多巣性白質脳症(PML)、又はがんである。
【図面の簡単な説明】
【0020】
本発明の実施形態の以下の詳細な説明は、添付の図面と併せて読んだ場合により良く理解されるであろう。本発明は、図面中に示される実施形態の正確な配置及び手段に限定されないことを理解すべきである。
【
図1A-D】
図1は、
図1Aから
図1Gを含み、鼻腔内免疫化が、性器HSV-2チャレンジに続くB細胞依存的なニューロン保護を与えることを実証する実験の結果を描写する一組の画像である。
図1Aから
図1D:C57/BL6マウスを、鼻腔内(i.n .;n=12)、腹腔内(i.p.;n=5)、又は膣内(ivag;n=11)経路を介してTK
-HSV-2(10
5プラーク形成単位(p.f.u.))で免疫化した。5から6週間後、これらのマウス及びナイーブマウス(n=4)を致死用量のWT HSV-2(10
4p.f.u.)でチャレンジした。死亡率(
図1A)、臨床スコア(
図1B)、及び膣洗浄液中のウイルス力価(
図1C)を、チャレンジ後の示した日に測定した。
図1D:チャレンジ後の6日目に、DRG及び脊髄を含む組織ホモジネート中のウイルス力価を測定した。
図1Eから
図1G:BALB/cマウス(n=10)又はB細胞欠損J
HDマウス(n=6)をTK
-HSV-2(5×10
4p.f.u.)で鼻腔内に免疫化した。6週間後、これらのマウス及びナイーブマウス(n=4)を致死的なWT HSV-2(10
5p.f.u.)でチャレンジした。死亡率(
図1E)及び臨床スコア(
図1F)を測定した。
図1G:チャレンジ後の6日目に、DRG及び脊髄を含む組織ホモジネート中のウイルス力価をプラークアッセイにより測定した。データは平均値±s.e.mである。
*P<0.05;
**P<0.01;
***P<0.001;
****P<0.0001(両側の対応のないスチューデントのt検定)。
【
図1E-G】
図1は、
図1Aから
図1Gを含み、鼻腔内免疫化が、性器HSV-2チャレンジに続くB細胞依存的なニューロン保護を与えることを実証する実験の結果を描写する一組の画像である。
図1Aから
図1D:C57/BL6マウスを、鼻腔内(i.n .;n=12)、腹腔内(i.p.;n=5)、又は膣内(ivag;n=11)経路を介してTK
-HSV-2(10
5プラーク形成単位(p.f.u.))で免疫化した。5から6週間後、これらのマウス及びナイーブマウス(n=4)を致死用量のWT HSV-2(10
4p.f.u.)でチャレンジした。死亡率(
図1A)、臨床スコア(
図1B)、及び膣洗浄液中のウイルス力価(
図1C)を、チャレンジ後の示した日に測定した。
図1D:チャレンジ後の6日目に、DRG及び脊髄を含む組織ホモジネート中のウイルス力価を測定した。
図1Eから
図1G:BALB/cマウス(n=10)又はB細胞欠損J
HDマウス(n=6)をTK
-HSV-2(5×10
4p.f.u.)で鼻腔内に免疫化した。6週間後、これらのマウス及びナイーブマウス(n=4)を致死的なWT HSV-2(10
5p.f.u.)でチャレンジした。死亡率(
図1E)及び臨床スコア(
図1F)を測定した。
図1G:チャレンジ後の6日目に、DRG及び脊髄を含む組織ホモジネート中のウイルス力価をプラークアッセイにより測定した。データは平均値±s.e.mである。
*P<0.05;
**P<0.01;
***P<0.001;
****P<0.0001(両側の対応のないスチューデントのt検定)。
【
図2A-D】
図2は、
図2Aから
図2Gを含み、FcRn媒介性の輸送ではなく、CD4 T細胞に対する抗体媒介性の神経保護を実証する実験の結果を描写する一組の画像である。
図2A及び
図2B:C57/BL6(WT)マウス(n=4)及びFcRn
-/-(n=10)マウスをTK
-HSV-2(10
5p.f.u.)で鼻腔内に免疫化し、6週間後に致死用量(10
4p.f.u.)のWT HSV-2でチャレンジした。死亡率(
図2A)及び臨床スコア(
図2B)を測定した。
図2C及び
図2D:μMTマウスを鼻腔内にTK
-HSV-2(10
5p.f.u.)で免疫化した。5から6週間後、ナイーブマウス(n=3)、免疫血清を静脈内に受けたナイーブマウス(n=4)、μMTマウス(n=23)、及び免疫血清を静脈内に受けたμMTマウス(n=10)を致死用量のWT HSV-2でチャレンジし、死亡率(
図2C)及び臨床スコア(
図2D)を評価した。TK
-HSV-2(マウスあたり200μl)で以前に4週間免疫化されたマウスから調製された免疫血清を、チャレンジ前の3時間、ならびにチャレンジ後の3日目及び6日目に注射した。
図2E&
図2F:TK
-HSV-2(10
5p.f.u.)で以前に6週間、鼻腔内に免疫化されたWT C57/BL6マウス(n=5)及びIFN-γR
-/-マウス(n=8)を、致死用量のWT HSV-2でチャレンジし、死亡率(
図2E)及び臨床スコア(
図2F)を評価した。CD4 T細胞の枯渇(n=4)又はIFN-γの中和(n=5)を、それぞれ抗CD4(GK1.5)又は抗IFN-γ(XMG1.2)の静脈内注射によるチャレンジの前後の-4、-1、2、及び4日目に実施した。
図2G:チャレンジ後の6日目に、DRG及び脊髄を含む組織ホモジネート中でのウイルス力価をプラークアッセイにより測定した(
図2E)。データは平均値±s.e.mである。
*P<0.05;
**P<0.01(両側の対応のないスチューデントのt検定)。
【
図2E-F】
図2は、
図2Aから
図2Gを含み、FcRn媒介性の輸送ではなく、CD4 T細胞に対する抗体媒介性の神経保護を実証する実験の結果を描写する一組の画像である。
図2A及び
図2B:C57/BL6(WT)マウス(n=4)及びFcRn
-/-(n=10)マウスをTK
-HSV-2(10
5p.f.u.)で鼻腔内に免疫化し、6週間後に致死用量(10
4p.f.u.)のWT HSV-2でチャレンジした。死亡率(
図2A)及び臨床スコア(
図2B)を測定した。
図2C及び
図2D:μMTマウスを鼻腔内にTK
-HSV-2(10
5p.f.u.)で免疫化した。5から6週間後、ナイーブマウス(n=3)、免疫血清を静脈内に受けたナイーブマウス(n=4)、μMTマウス(n=23)、及び免疫血清を静脈内に受けたμMTマウス(n=10)を致死用量のWT HSV-2でチャレンジし、死亡率(
図2C)及び臨床スコア(
図2D)を評価した。TK
-HSV-2(マウスあたり200μl)で以前に4週間免疫化されたマウスから調製された免疫血清を、チャレンジ前の3時間、ならびにチャレンジ後の3日目及び6日目に注射した。
図2E&
図2F:TK
-HSV-2(10
5p.f.u.)で以前に6週間、鼻腔内に免疫化されたWT C57/BL6マウス(n=5)及びIFN-γR
-/-マウス(n=8)を、致死用量のWT HSV-2でチャレンジし、死亡率(
図2E)及び臨床スコア(
図2F)を評価した。CD4 T細胞の枯渇(n=4)又はIFN-γの中和(n=5)を、それぞれ抗CD4(GK1.5)又は抗IFN-γ(XMG1.2)の静脈内注射によるチャレンジの前後の-4、-1、2、及び4日目に実施した。
図2G:チャレンジ後の6日目に、DRG及び脊髄を含む組織ホモジネート中でのウイルス力価をプラークアッセイにより測定した(
図2E)。データは平均値±s.e.mである。
*P<0.05;
**P<0.01(両側の対応のないスチューデントのt検定)。
【
図2G】
図2は、
図2Aから
図2Gを含み、FcRn媒介性の輸送ではなく、CD4 T細胞に対する抗体媒介性の神経保護を実証する実験の結果を描写する一組の画像である。
図2A及び
図2B:C57/BL6(WT)マウス(n=4)及びFcRn
-/-(n=10)マウスをTK
-HSV-2(10
5p.f.u.)で鼻腔内に免疫化し、6週間後に致死用量(10
4p.f.u.)のWT HSV-2でチャレンジした。死亡率(
図2A)及び臨床スコア(
図2B)を測定した。
図2C及び
図2D:μMTマウスを鼻腔内にTK
-HSV-2(10
5p.f.u.)で免疫化した。5から6週間後、ナイーブマウス(n=3)、免疫血清を静脈内に受けたナイーブマウス(n=4)、μMTマウス(n=23)、及び免疫血清を静脈内に受けたμMTマウス(n=10)を致死用量のWT HSV-2でチャレンジし、死亡率(
図2C)及び臨床スコア(
図2D)を評価した。TK
-HSV-2(マウスあたり200μl)で以前に4週間免疫化されたマウスから調製された免疫血清を、チャレンジ前の3時間、ならびにチャレンジ後の3日目及び6日目に注射した。
図2E&
図2F:TK
-HSV-2(10
5p.f.u.)で以前に6週間、鼻腔内に免疫化されたWT C57/BL6マウス(n=5)及びIFN-γR
-/-マウス(n=8)を、致死用量のWT HSV-2でチャレンジし、死亡率(
図2E)及び臨床スコア(
図2F)を評価した。CD4 T細胞の枯渇(n=4)又はIFN-γの中和(n=5)を、それぞれ抗CD4(GK1.5)又は抗IFN-γ(XMG1.2)の静脈内注射によるチャレンジの前後の-4、-1、2、及び4日目に実施した。
図2G:チャレンジ後の6日目に、DRG及び脊髄を含む組織ホモジネート中でのウイルス力価をプラークアッセイにより測定した(
図2E)。データは平均値±s.e.mである。
*P<0.05;
**P<0.01(両側の対応のないスチューデントのt検定)。
【
図3A-B】
図3は、
図3Aから
図3Dを含み、CD4
+T細胞の記憶が、神経組織への抗体アクセスのために要求されることを実証する実験の結果を描写する一組の画像である。TK
-HSV-2(10
5p.f.u.)で6週間前に鼻腔内に免疫化されたナイーブWTマウス又はWT及びμMTマウスを、致死用量のWT HSV-2で膣内にチャレンジした。チャレンジ後の6日目に、広範囲の灌流後、DRG及び脊髄の組織ホモジネート中のHSV-2特異的(
図3A、
図3C)及び全Ig(
図3B、
図3D)レベルをELISAにより分析した。CD4 T細胞を枯渇させるために、CD4特異的抗体をチャレンジの前後の-4、-1、2、及び4日目に注射した。データは平均値±s.e.mである。
*P<0.05;
**P<0.01;
***P<0.001(両側の対応のないスチューデントのt検定)。
【
図3C-D】
図3は、
図3Aから
図3Dを含み、CD4
+T細胞の記憶が、神経組織への抗体アクセスのために要求されることを実証する実験の結果を描写する一組の画像である。TK
-HSV-2(10
5p.f.u.)で6週間前に鼻腔内に免疫化されたナイーブWTマウス又はWT及びμMTマウスを、致死用量のWT HSV-2で膣内にチャレンジした。チャレンジ後の6日目に、広範囲の灌流後、DRG及び脊髄の組織ホモジネート中のHSV-2特異的(
図3A、
図3C)及び全Ig(
図3B、
図3D)レベルをELISAにより分析した。CD4 T細胞を枯渇させるために、CD4特異的抗体をチャレンジの前後の-4、-1、2、及び4日目に注射した。データは平均値±s.e.mである。
*P<0.05;
**P<0.01;
***P<0.001(両側の対応のないスチューデントのt検定)。
【
図4A】
図4は、
図4Aから
図4Fを含み、神経組織への抗体アクセスのために要求されるメモリーCD4
+T細胞のα4-インテグリン依存的な動員を実証する実験の結果を描写する一組の画像である。TK
-HSV-2で6週間前に鼻腔内に免疫化されたWTマウスを、致死用量のWT HSV-2でチャレンジした。α4-インテグリンの中和を、抗α4インテグリン(CD 49d)抗体の静脈内注射によるチャレンジ後の2及び4日目に実施した。
図4A:チャレンジ後の6日目に、広範囲の灌流後、DRG及び脊髄中のHSV-2特異的IFN-γ
+CD4
+T細胞をフローサイトメトリーにより検出した。
図4B:DRG及び脊髄中のCD45
hi白血球の50,000個の細胞の間でのIFN-γ分泌CD4 T細胞の数を描写している。データは平均値±s.e.mである。
*P<0.05;
**P<0.01;
***P<0.001(両側の対応のないスチューデントのt検定)。
図4C:DRGの凍結切片を、CD4、VCAM-1、又はCD31に対する抗体で染色した。核を4’,6-ジアミジノ-2-フェニルインドール(DAPI)染色(青色)により描写する。画像を、×10又は×40対物レンズを使用してキャプチャした。スケールバー、100μm。矢印は、DRGの実質中のVCAM-1
+細胞を示す。データは、少なくとも3つの同様の実験を代表している。DRG(
図4D)及び脊髄(
図4E)中のHSV-2特異的抗体をELISAにより分析した。データは平均値±s.e.mである。*P<0.05(両側の対応のあるスチューデントのt検定)。組織ホモジネート中のアルブミンレベルをELISAにより分析した(
図4F)。CD4 T細胞の枯渇又はIFN-γの中和を、それぞれ抗CD4(GK1.5)又は抗IFN-γ(XMG1.2)の静脈内注射によるチャレンジの前後の-4、-1、2、及び4日目に実施した。データは平均値±s.e.mである。
*P<0.05;
**P<0.01;
***P<0.001(両側の対応のあるスチューデントのt検定)。
【
図4B】
図4は、
図4Aから
図4Fを含み、神経組織への抗体アクセスのために要求されるメモリーCD4
+T細胞のα4-インテグリン依存的な動員を実証する実験の結果を描写する一組の画像である。TK
-HSV-2で6週間前に鼻腔内に免疫化されたWTマウスを、致死用量のWT HSV-2でチャレンジした。α4-インテグリンの中和を、抗α4インテグリン(CD 49d)抗体の静脈内注射によるチャレンジ後の2及び4日目に実施した。
図4A:チャレンジ後の6日目に、広範囲の灌流後、DRG及び脊髄中のHSV-2特異的IFN-γ
+CD4
+T細胞をフローサイトメトリーにより検出した。
図4B:DRG及び脊髄中のCD45
hi白血球の50,000個の細胞の間でのIFN-γ分泌CD4 T細胞の数を描写している。データは平均値±s.e.mである。
*P<0.05;
**P<0.01;
***P<0.001(両側の対応のないスチューデントのt検定)。
図4C:DRGの凍結切片を、CD4、VCAM-1、又はCD31に対する抗体で染色した。核を4’,6-ジアミジノ-2-フェニルインドール(DAPI)染色(青色)により描写する。画像を、×10又は×40対物レンズを使用してキャプチャした。スケールバー、100μm。矢印は、DRGの実質中のVCAM-1
+細胞を示す。データは、少なくとも3つの同様の実験を代表している。DRG(
図4D)及び脊髄(
図4E)中のHSV-2特異的抗体をELISAにより分析した。データは平均値±s.e.mである。*P<0.05(両側の対応のあるスチューデントのt検定)。組織ホモジネート中のアルブミンレベルをELISAにより分析した(
図4F)。CD4 T細胞の枯渇又はIFN-γの中和を、それぞれ抗CD4(GK1.5)又は抗IFN-γ(XMG1.2)の静脈内注射によるチャレンジの前後の-4、-1、2、及び4日目に実施した。データは平均値±s.e.mである。
*P<0.05;
**P<0.01;
***P<0.001(両側の対応のあるスチューデントのt検定)。
【
図4C】
図4は、
図4Aから
図4Fを含み、神経組織への抗体アクセスのために要求されるメモリーCD4
+T細胞のα4-インテグリン依存的な動員を実証する実験の結果を描写する一組の画像である。TK
-HSV-2で6週間前に鼻腔内に免疫化されたWTマウスを、致死用量のWT HSV-2でチャレンジした。α4-インテグリンの中和を、抗α4インテグリン(CD 49d)抗体の静脈内注射によるチャレンジ後の2及び4日目に実施した。
図4A:チャレンジ後の6日目に、広範囲の灌流後、DRG及び脊髄中のHSV-2特異的IFN-γ
+CD4
+T細胞をフローサイトメトリーにより検出した。
図4B:DRG及び脊髄中のCD45
hi白血球の50,000個の細胞の間でのIFN-γ分泌CD4 T細胞の数を描写している。データは平均値±s.e.mである。
*P<0.05;
**P<0.01;
***P<0.001(両側の対応のないスチューデントのt検定)。
図4C:DRGの凍結切片を、CD4、VCAM-1、又はCD31に対する抗体で染色した。核を4’,6-ジアミジノ-2-フェニルインドール(DAPI)染色(青色)により描写する。画像を、×10又は×40対物レンズを使用してキャプチャした。スケールバー、100μm。矢印は、DRGの実質中のVCAM-1
+細胞を示す。データは、少なくとも3つの同様の実験を代表している。DRG(
図4D)及び脊髄(
図4E)中のHSV-2特異的抗体をELISAにより分析した。データは平均値±s.e.mである。*P<0.05(両側の対応のあるスチューデントのt検定)。組織ホモジネート中のアルブミンレベルをELISAにより分析した(
図4F)。CD4 T細胞の枯渇又はIFN-γの中和を、それぞれ抗CD4(GK1.5)又は抗IFN-γ(XMG1.2)の静脈内注射によるチャレンジの前後の-4、-1、2、及び4日目に実施した。データは平均値±s.e.mである。
*P<0.05;
**P<0.01;
***P<0.001(両側の対応のあるスチューデントのt検定)。
【
図4D-F】
図4は、
図4Aから
図4Fを含み、神経組織への抗体アクセスのために要求されるメモリーCD4
+T細胞のα4-インテグリン依存的な動員を実証する実験の結果を描写する一組の画像である。TK
-HSV-2で6週間前に鼻腔内に免疫化されたWTマウスを、致死用量のWT HSV-2でチャレンジした。α4-インテグリンの中和を、抗α4インテグリン(CD 49d)抗体の静脈内注射によるチャレンジ後の2及び4日目に実施した。
図4A:チャレンジ後の6日目に、広範囲の灌流後、DRG及び脊髄中のHSV-2特異的IFN-γ
+CD4
+T細胞をフローサイトメトリーにより検出した。
図4B:DRG及び脊髄中のCD45
hi白血球の50,000個の細胞の間でのIFN-γ分泌CD4 T細胞の数を描写している。データは平均値±s.e.mである。
*P<0.05;
**P<0.01;
***P<0.001(両側の対応のないスチューデントのt検定)。
図4C:DRGの凍結切片を、CD4、VCAM-1、又はCD31に対する抗体で染色した。核を4’,6-ジアミジノ-2-フェニルインドール(DAPI)染色(青色)により描写する。画像を、×10又は×40対物レンズを使用してキャプチャした。スケールバー、100μm。矢印は、DRGの実質中のVCAM-1
+細胞を示す。データは、少なくとも3つの同様の実験を代表している。DRG(
図4D)及び脊髄(
図4E)中のHSV-2特異的抗体をELISAにより分析した。データは平均値±s.e.mである。*P<0.05(両側の対応のあるスチューデントのt検定)。組織ホモジネート中のアルブミンレベルをELISAにより分析した(
図4F)。CD4 T細胞の枯渇又はIFN-γの中和を、それぞれ抗CD4(GK1.5)又は抗IFN-γ(XMG1.2)の静脈内注射によるチャレンジの前後の-4、-1、2、及び4日目に実施した。データは平均値±s.e.mである。
*P<0.05;
**P<0.01;
***P<0.001(両側の対応のあるスチューデントのt検定)。
【
図5A-B】
図5は、
図5Aから
図5Hを含み、TRMの非存在において、B細胞が、性器HSV-2チャレンジに対する宿主の保護のために要求されることを実証する実験の結果を描写する一組の画像である。
図5A:C57BL/6マウス及びμMTマウスをTK
-HSV-2で膣内又は鼻腔内に免疫化した。5週間後、膣組織切片をCD4
+細胞(赤色)及びMHCクラスII
+細胞(緑色)で染色した。青色ラベルは、DAPI(青色)での核染色を描写する。画像を、×10又は×40対物レンズを使用してキャプチャした。スケールバー、100μm。データは、3つの同様の実験を表している。
図5Bから
図D:BALB/cマウス及びJ
HDマウスをTK
-HSV-2(10
5p.f.u.)で鼻腔内又は膣内に免疫化した。6週間後、膣(
図5B)、脾臓(
図5C)、及び末梢血(
図5D)中の全CD4
+T細胞及びHSV-2特異的IFN-γ
+CD4
+T細胞の数をフローサイトメトリーにより分析した。CD4
+CD90.2
+細胞の間のIFN-γ
+細胞のパーセンテージ及び総数を示す。データは平均値±s.e.mである。
*P<0.05;
**P<0.001;
***P<0.001(両側の対応のないスチューデントのt検定)。
図5E:C57/BL6マウスを膣内(ナイーブ→D7)又は鼻腔内(WT/i.n.→D0)にTK
-HSV-2ウイルスで免疫化した。示した時間点(D7:免疫化後7日;WT/i.n.→D0:免疫化後6週間)で、膣組織、DRG、及び脊髄中の全ウイルスゲノムDNAを定量的PCRにより測定した。
図5F-
図5H:膣内に免疫化されたC57BL/6(WT)マウス、μMTマウス、及びHEL-BCR Tgマウス(左のパートナー)をナイーブWTマウス(右のパートナー)と外科的に結合した。パラビオーシス3週間後に、ナイーブパートナーを致死用量のWT HSV-2で膣内にチャレンジした。ウイルスチャレンジ後の死亡率(
図5E)、臨床スコア(
図5F)、及び膣洗浄液中のウイルス力価(
図5G)を描写した。
【
図5C-E】
図5は、
図5Aから
図5Hを含み、TRMの非存在において、B細胞が、性器HSV-2チャレンジに対する宿主の保護のために要求されることを実証する実験の結果を描写する一組の画像である。
図5A:C57BL/6マウス及びμMTマウスをTK
-HSV-2で膣内又は鼻腔内に免疫化した。5週間後、膣組織切片をCD4
+細胞(赤色)及びMHCクラスII
+細胞(緑色)で染色した。青色ラベルは、DAPI(青色)での核染色を描写する。画像を、×10又は×40対物レンズを使用してキャプチャした。スケールバー、100μm。データは、3つの同様の実験を表している。
図5Bから
図D:BALB/cマウス及びJ
HDマウスをTK
-HSV-2(10
5p.f.u.)で鼻腔内又は膣内に免疫化した。6週間後、膣(
図5B)、脾臓(
図5C)、及び末梢血(
図5D)中の全CD4
+T細胞及びHSV-2特異的IFN-γ
+CD4
+T細胞の数をフローサイトメトリーにより分析した。CD4
+CD90.2
+細胞の間のIFN-γ
+細胞のパーセンテージ及び総数を示す。データは平均値±s.e.mである。
*P<0.05;
**P<0.001;
***P<0.001(両側の対応のないスチューデントのt検定)。
図5E:C57/BL6マウスを膣内(ナイーブ→D7)又は鼻腔内(WT/i.n.→D0)にTK
-HSV-2ウイルスで免疫化した。示した時間点(D7:免疫化後7日;WT/i.n.→D0:免疫化後6週間)で、膣組織、DRG、及び脊髄中の全ウイルスゲノムDNAを定量的PCRにより測定した。
図5F-
図5H:膣内に免疫化されたC57BL/6(WT)マウス、μMTマウス、及びHEL-BCR Tgマウス(左のパートナー)をナイーブWTマウス(右のパートナー)と外科的に結合した。パラビオーシス3週間後に、ナイーブパートナーを致死用量のWT HSV-2で膣内にチャレンジした。ウイルスチャレンジ後の死亡率(
図5E)、臨床スコア(
図5F)、及び膣洗浄液中のウイルス力価(
図5G)を描写した。
【
図5F-H】
図5は、
図5Aから
図5Hを含み、TRMの非存在において、B細胞が、性器HSV-2チャレンジに対する宿主の保護のために要求されることを実証する実験の結果を描写する一組の画像である。
図5A:C57BL/6マウス及びμMTマウスをTK
-HSV-2で膣内又は鼻腔内に免疫化した。5週間後、膣組織切片をCD4
+細胞(赤色)及びMHCクラスII
+細胞(緑色)で染色した。青色ラベルは、DAPI(青色)での核染色を描写する。画像を、×10又は×40対物レンズを使用してキャプチャした。スケールバー、100μm。データは、3つの同様の実験を表している。
図5Bから
図D:BALB/cマウス及びJ
HDマウスをTK
-HSV-2(10
5p.f.u.)で鼻腔内又は膣内に免疫化した。6週間後、膣(
図5B)、脾臓(
図5C)、及び末梢血(
図5D)中の全CD4
+T細胞及びHSV-2特異的IFN-γ
+CD4
+T細胞の数をフローサイトメトリーにより分析した。CD4
+CD90.2
+細胞の間のIFN-γ
+細胞のパーセンテージ及び総数を示す。データは平均値±s.e.mである。
*P<0.05;
**P<0.001;
***P<0.001(両側の対応のないスチューデントのt検定)。
図5E:C57/BL6マウスを膣内(ナイーブ→D7)又は鼻腔内(WT/i.n.→D0)にTK
-HSV-2ウイルスで免疫化した。示した時間点(D7:免疫化後7日;WT/i.n.→D0:免疫化後6週間)で、膣組織、DRG、及び脊髄中の全ウイルスゲノムDNAを定量的PCRにより測定した。
図5F-
図5H:膣内に免疫化されたC57BL/6(WT)マウス、μMTマウス、及びHEL-BCR Tgマウス(左のパートナー)をナイーブWTマウス(右のパートナー)と外科的に結合した。パラビオーシス3週間後に、ナイーブパートナーを致死用量のWT HSV-2で膣内にチャレンジした。ウイルスチャレンジ後の死亡率(
図5E)、臨床スコア(
図5F)、及び膣洗浄液中のウイルス力価(
図5G)を描写した。
【
図6】
図6は、
図6A及び
図6Bを含み、粘膜TK
-HSV-2免疫化によって、腹腔内免疫化と比較し、より高いレベルのウイルス特異的IgG2b及びIgG2cが生成されることを実証する実験の結果を描写する一組の画像である。WTマウスを、膣内、腹腔内、又は鼻腔内経路を介してTK
-HSV-2(マウスあたり10
5p.f.u.)で免疫化した。6週間後、これらのマウスを致死用量のWT HSV-2で膣内にチャレンジした。チャレンジ後の示した日に、血清中のHSV-2特異的Ig(
図6A)及び全Ig(
図6B)をELISAにより分析した。データは平均値±s.e.mである。*P<0.05(マン・ホイットニーU検定)。
【
図7】
図7は、
図7A及び
図7Bを含み、IFN-γを用いたDRGへの抗体アクセスの増強を実証する実験の結果を描写する一組の画像である。6週間前にTK
-HSV-2(マウスあたり10
5p.f.u.)で鼻腔内に免疫化されたWTマウスを、致死用量のWT HSV-2で膣内にチャレンジした。チャレンジ後の6日目に、広範囲の灌流後、DRGホモジネート中のHSV-2特異的(
図7A)及び全Ig(
図7B)をELISAにより分析した。CD4 T細胞の枯渇又はIFN-γの中和を、それぞれ抗CD4(GK1.5)又は抗IFN-γ(XMG1.2)の静脈内注射によるチャレンジの前後の-4、-1、2、及び4日目に実施した。データは平均値±s.e.mである。
*P<0.05;
**P<0.001(両側の対応のないスチューデントのt検定)。
【
図8A-B】
図8は、
図8Aから
図8Dを含み、IFN-γの中和を研究する実験の結果を描写する一組の画像であり、α4-インテグリン又はCD4 T細胞の枯渇が循環免疫グロブリンレベルに対する影響を有さないことを実証している。
図8A及び
図8B:6~8週間前にTK
-HSV-2で鼻腔内に免疫化されたWTマウスを、致死用量のWT HSV-2でチャレンジした。CD4 T細胞の枯渇又はIFN-γの中和を、それぞれ抗CD4(GK1.5)又は抗IFN-γ(XMG1.2)の静脈内注射によるチャレンジの前後の-4、-1、2、及び4日目に実施した。示した時間点で、血液中のHSV-2特異的Ig(n=4)(
図8A)及び血液中の全Ig(n=4)(
図8B)を測定した。
図8C及び
図8D:6週間前にTK
-HSV-2で鼻腔内に免疫化されたWTマウスを、致死用量のWT HSV-2でチャレンジした。α4-インテグリンの中和を、抗α4-インテグリン/CD49b抗体の静脈内注射によるチャレンジ後の2及び4日目に実施した。6日後、血液中のHSV-2特異的抗体(
図8C)及び全抗体(
図8D)を測定した。データは、3つの同様の実験を代表している。
【
図8C-D】
図8は、
図8Aから
図8Dを含み、IFN-γの中和を研究する実験の結果を描写する一組の画像であり、α4-インテグリン又はCD4 T細胞の枯渇が循環免疫グロブリンレベルに対する影響を有さないことを実証している。
図8A及び
図8B:6~8週間前にTK
-HSV-2で鼻腔内に免疫化されたWTマウスを、致死用量のWT HSV-2でチャレンジした。CD4 T細胞の枯渇又はIFN-γの中和を、それぞれ抗CD4(GK1.5)又は抗IFN-γ(XMG1.2)の静脈内注射によるチャレンジの前後の-4、-1、2、及び4日目に実施した。示した時間点で、血液中のHSV-2特異的Ig(n=4)(
図8A)及び血液中の全Ig(n=4)(
図8B)を測定した。
図8C及び
図8D:6週間前にTK
-HSV-2で鼻腔内に免疫化されたWTマウスを、致死用量のWT HSV-2でチャレンジした。α4-インテグリンの中和を、抗α4-インテグリン/CD49b抗体の静脈内注射によるチャレンジ後の2及び4日目に実施した。6日後、血液中のHSV-2特異的抗体(
図8C)及び全抗体(
図8D)を測定した。データは、3つの同様の実験を代表している。
【
図9A-B】
図9は、
図9Aから
図9Dを含み、無関係な免疫化によって、神経組織の全抗体レベルを増加させることができなかったことを実証する実験の結果を描写する一組の画像である。
図9A:C57BL/6マウスを、亜致死用量のインフルエンザA/PR8ウイルス(マウスあたり10p.f.u.)で鼻腔内に免疫化した。3週間後、HI-Flu/PR8を負荷した脾臓細胞(CD45.1
+)との共培養に続く脾臓及び神経組織(DRG及び脊髄)(CD45.2
+)中のFlu特異的IFN-γ
+CD4
+T細胞をフローサイトメトリーにより分析した。コントロールとして、ワクチン接種の6週間後に、TK
-HSV-2で鼻腔内に免疫化されたマウスの脾臓から単離されたリンパ球を共培養のために使用した。(
***P<0.001;両側の対応のないスチューデントのt検定)。
図9Bから
図9D:C57BL/6マウスを亜致死用量のインフルエンザA/PR8ウイルス(マウスあたり10p.f.u.)で免疫化した。4週間後、これらのマウスを致死用量のWT HSV-2(マウスあたり10
4p.f.u.)で膣内にチャレンジした。チャレンジ後の6日目に、DRG(
図9B)、脊髄(
図9C)、及び血液(
図9D)のライセート中の全抗体をELISAにより測定した。
【
図9C-D】
図9は、
図9Aから
図9Dを含み、無関係な免疫化によって、神経組織の全抗体レベルを増加させることができなかったことを実証する実験の結果を描写する一組の画像である。
図9A:C57BL/6マウスを、亜致死用量のインフルエンザA/PR8ウイルス(マウスあたり10p.f.u.)で鼻腔内に免疫化した。3週間後、HI-Flu/PR8を負荷した脾臓細胞(CD45.1
+)との共培養に続く脾臓及び神経組織(DRG及び脊髄)(CD45.2
+)中のFlu特異的IFN-γ
+CD4
+T細胞をフローサイトメトリーにより分析した。コントロールとして、ワクチン接種の6週間後に、TK
-HSV-2で鼻腔内に免疫化されたマウスの脾臓から単離されたリンパ球を共培養のために使用した。(
***P<0.001;両側の対応のないスチューデントのt検定)。
図9Bから
図9D:C57BL/6マウスを亜致死用量のインフルエンザA/PR8ウイルス(マウスあたり10p.f.u.)で免疫化した。4週間後、これらのマウスを致死用量のWT HSV-2(マウスあたり10
4p.f.u.)で膣内にチャレンジした。チャレンジ後の6日目に、DRG(
図9B)、脊髄(
図9C)、及び血液(
図9D)のライセート中の全抗体をELISAにより測定した。
【
図10A】
図10は、
図10A及び
図10Bを含み、免疫化されたマウスのDRG及び脊髄に動員された大半のCD4 T細胞が、神経組織の実質において局在化していることを実証する実験の結果を描写する一組の画像である。
図10A:C57BL/6マウスをTK
-HSV-2で鼻腔内に免疫化した。6週間前に、免疫化されたマウスのチャレンジ後の6日目に、神経組織切片(DRG及び脊髄)をCD4
+細胞及びVCAM-1
+細胞又はCD31
+細胞(赤色又は緑色)について染色した。青色ラベルは、DAPI(青色)での核染色を描写する。画像を、×10又は×40対物レンズを使用してキャプチャした。スケールバー、100μm。
図10B:C57BL/6マウスをTK
-HSV-2で鼻腔内に免疫化した。6週間後、マウスをWT HSV-2で膣内にチャレンジし、神経組織を6日後に採取した。DRG及び脊髄を、CD4
+細胞(赤色)及びMHCクラスII
+細胞、CD11b
+細胞又はLy6G
+細胞(緑色)について染色した。青色ラベルは、DAPI(青色)での核染色を描写する。画像を、×10又は×40対物レンズを使用してキャプチャした。スケールバー、100μm。データは、少なくとも3つの同様の実験を代表している。
【
図10B】
図10は、
図10A及び
図10Bを含み、免疫化されたマウスのDRG及び脊髄に動員された大半のCD4 T細胞が、神経組織の実質において局在化していることを実証する実験の結果を描写する一組の画像である。
図10A:C57BL/6マウスをTK
-HSV-2で鼻腔内に免疫化した。6週間前に、免疫化されたマウスのチャレンジ後の6日目に、神経組織切片(DRG及び脊髄)をCD4
+細胞及びVCAM-1
+細胞又はCD31
+細胞(赤色又は緑色)について染色した。青色ラベルは、DAPI(青色)での核染色を描写する。画像を、×10又は×40対物レンズを使用してキャプチャした。スケールバー、100μm。
図10B:C57BL/6マウスをTK
-HSV-2で鼻腔内に免疫化した。6週間後、マウスをWT HSV-2で膣内にチャレンジし、神経組織を6日後に採取した。DRG及び脊髄を、CD4
+細胞(赤色)及びMHCクラスII
+細胞、CD11b
+細胞又はLy6G
+細胞(緑色)について染色した。青色ラベルは、DAPI(青色)での核染色を描写する。画像を、×10又は×40対物レンズを使用してキャプチャした。スケールバー、100μm。データは、少なくとも3つの同様の実験を代表している。
【
図11A】
図11は、
図11A及び
図11Bを含み、血管内染色によって、神経組織の実質におけるCD4 T細胞の局在化が明らかになることを実証する実験の結果を描写する一組の画像である。
図11A及び
図11B:6週間前にTK
-HSV-2で鼻腔内に免疫化されたC57BL/6マウスに、致死的なWT HSV-2でチャレンジした。チャレンジ後の6日目に、Alexa Fluor 700コンジュゲート抗CD90.2抗体(マウスあたり3μg)を、免疫化されたマウス中に静脈内(尾静脈)注射した。5分後、これらのマウスを、血管外リンパ球に対する血管内リンパ球の蛍光活性化セルソーティング分析のために殺した。データは、少なくとも2つの同様の実験を代表している。
【
図11B】
図11は、
図11A及び
図11Bを含み、血管内染色によって、神経組織の実質におけるCD4 T細胞の局在化が明らかになることを実証する実験の結果を描写する一組の画像である。
図11A及び
図11B:6週間前にTK
-HSV-2で鼻腔内に免疫化されたC57BL/6マウスに、致死的なWT HSV-2でチャレンジした。チャレンジ後の6日目に、Alexa Fluor 700コンジュゲート抗CD90.2抗体(マウスあたり3μg)を、免疫化されたマウス中に静脈内(尾静脈)注射した。5分後、これらのマウスを、血管外リンパ球に対する血管内リンパ球の蛍光活性化セルソーティング分析のために殺した。データは、少なくとも2つの同様の実験を代表している。
【
図12A-B】
図12は、
図12Aから
図12Cを含み、組換えIFN-γを使用した膣組織における増加した上皮及び血管透過性を実証する実験の結果を描写する一組の画像である。
図12A:TK
-HSV-2(10
5p.f.u.)で6週間前に鼻腔内に免疫化されたWTマウスを、組換えマウスIFN-γ(マウスあたり10μg)(n=3)又はPBS(n=3)を膣内に注射した。示した時間点で、膣洗浄液中のHSV-2特異的Ig(
図12A)及び全Ig(
図12B)をELISAにより測定した。
図12C:rIFN-γ処理後の2日目に、膣組織切片をVCAM-1
+細胞(赤色)又はCD4
+細胞(緑色)及びCD31
+細胞(緑色)について染色した。青色ラベルは、DAPI(青色)での核染色を描写する。画像を、×10又は×40対物レンズを使用してキャプチャした。スケールバー、100μm。データは、少なくとも3つの同様の実験を代表している。
【
図12C】
図12は、
図12Aから
図12Cを含み、組換えIFN-γを使用した膣組織における増加した上皮及び血管透過性を実証する実験の結果を描写する一組の画像である。
図12A:TK
-HSV-2(10
5p.f.u.)で6週間前に鼻腔内に免疫化されたWTマウスを、組換えマウスIFN-γ(マウスあたり10μg)(n=3)又はPBS(n=3)を膣内に注射した。示した時間点で、膣洗浄液中のHSV-2特異的Ig(
図12A)及び全Ig(
図12B)をELISAにより測定した。
図12C:rIFN-γ処理後の2日目に、膣組織切片をVCAM-1
+細胞(赤色)又はCD4
+細胞(緑色)及びCD31
+細胞(緑色)について染色した。青色ラベルは、DAPI(青色)での核染色を描写する。画像を、×10又は×40対物レンズを使用してキャプチャした。スケールバー、100μm。データは、少なくとも3つの同様の実験を代表している。
【
図13A】
図13は、
図13A及び
図13Bを含み、DRG及び脊髄における血管透過性が、WT HSV-2チャレンジに続いて増強されることを実証する実験の結果を描写する一組の画像である。
図13A:C57BL/6マウスをTK
-HSV-2で鼻腔内に免疫化した。6週間前に免疫化されたマウスのチャレンジ後の6日目に、神経組織切片(DRG及び脊髄)をCD4
+細胞(赤色)及びマウスアルブミン(緑色)について染色した。青色ラベルは、DAPI(青色)での核染色を描写する。
図13B:C57BL/6マウスをTK
-HSV-2で鼻腔内に免疫化した。6週間後、これらのマウスを致死的なWT HSV-2でチャレンジした。チャレンジ後の6日目に、Oregonグリーン488コンジュゲートデキストラン(70kDa)(5mg ml-1、マウスあたり200μl)を、鼻腔内に免疫化されたマウス中に静脈内注射した。45分後、これらのマウスを免疫組織化学的分析のために殺した。GM、灰白質;WM、白質。データは、3つの同様の実験を代表している。
【
図13B-1】
図13は、
図13A及び
図13Bを含み、DRG及び脊髄における血管透過性が、WT HSV-2チャレンジに続いて増強されることを実証する実験の結果を描写する一組の画像である。
図13A:C57BL/6マウスをTK
-HSV-2で鼻腔内に免疫化した。6週間前に免疫化されたマウスのチャレンジ後の6日目に、神経組織切片(DRG及び脊髄)をCD4
+細胞(赤色)及びマウスアルブミン(緑色)について染色した。青色ラベルは、DAPI(青色)での核染色を描写する。
図13B:C57BL/6マウスをTK
-HSV-2で鼻腔内に免疫化した。6週間後、これらのマウスを致死的なWT HSV-2でチャレンジした。チャレンジ後の6日目に、Oregonグリーン488コンジュゲートデキストラン(70kDa)(5mg ml-1、マウスあたり200μl)を、鼻腔内に免疫化されたマウス中に静脈内注射した。45分後、これらのマウスを免疫組織化学的分析のために殺した。GM、灰白質;WM、白質。データは、3つの同様の実験を代表している。
【
図13B-2】
図13は、
図13A及び
図13Bを含み、DRG及び脊髄における血管透過性が、WT HSV-2チャレンジに続いて増強されることを実証する実験の結果を描写する一組の画像である。
図13A:C57BL/6マウスをTK
-HSV-2で鼻腔内に免疫化した。6週間前に免疫化されたマウスのチャレンジ後の6日目に、神経組織切片(DRG及び脊髄)をCD4
+細胞(赤色)及びマウスアルブミン(緑色)について染色した。青色ラベルは、DAPI(青色)での核染色を描写する。
図13B:C57BL/6マウスをTK
-HSV-2で鼻腔内に免疫化した。6週間後、これらのマウスを致死的なWT HSV-2でチャレンジした。チャレンジ後の6日目に、Oregonグリーン488コンジュゲートデキストラン(70kDa)(5mg ml-1、マウスあたり200μl)を、鼻腔内に免疫化されたマウス中に静脈内注射した。45分後、これらのマウスを免疫組織化学的分析のために殺した。GM、灰白質;WM、白質。データは、3つの同様の実験を代表している。
【
図14A】
図14は、
図14Aから
図14Dを含み、VSV免疫化及びチャレンジに続く脳における抗体レベル及び血管透過性における増加のためのメモリーCD4
+T細胞の必要性を実証する実験の結果を描写する一組の画像である。
図14A:C57BL/6マウスをWTVSV(マウスあたり2×10
6p.f.u.)で静脈内に免疫化した。5週間後、これらのマウスをWT VSV(マウスあたり1×10
7p.f.u.)で鼻腔内にチャレンジした。チャレンジ後の6日目に、HI-VSVを負荷した脾臓細胞(CD45.1
+)又はHIHSV-2を負荷した脾臓細胞との共培養に続く、脾臓中でのVSV特異的IFN-γ
+CD4
+T細胞(CD45.2
+)を、フローサイトメトリーにより分析した。データは平均値±s.e.mである。
*P<0.05;
**P<0.001(両側の対応のないスチューデントのt検定)。
図14B及び
図14C:VSV免疫化の5週間後に、これらのマウスをWT VSV(マウスあたり1×10
7p.f.u.)で鼻腔内にチャレンジした。チャレンジ後の6日目に、脳のライセート(
図14B)及び血清(
図14C)中のVSV特異的抗体及び全抗体をELISAにより測定した。CD4 T細胞の枯渇を、抗CD4(GK1.5)の静脈内注射によるチャレンジの前後の-4、-1、2、及び4日目に実施した。
図14D:組織ホモジネート中のアルブミンレベルをELISAにより分析した。データは平均値±s.e.mである。
*P<0.05;
*P<0.01;
***P<0.001(マン・ホイットニーU検定)。
【
図14B】
図14は、
図14Aから
図14Dを含み、VSV免疫化及びチャレンジに続く脳における抗体レベル及び血管透過性における増加のためのメモリーCD4
+T細胞の必要性を実証する実験の結果を描写する一組の画像である。
図14A:C57BL/6マウスをWTVSV(マウスあたり2×10
6p.f.u.)で静脈内に免疫化した。5週間後、これらのマウスをWT VSV(マウスあたり1×10
7p.f.u.)で鼻腔内にチャレンジした。チャレンジ後の6日目に、HI-VSVを負荷した脾臓細胞(CD45.1
+)又はHIHSV-2を負荷した脾臓細胞との共培養に続く、脾臓中でのVSV特異的IFN-γ
+CD4
+T細胞(CD45.2
+)を、フローサイトメトリーにより分析した。データは平均値±s.e.mである。
*P<0.05;
**P<0.001(両側の対応のないスチューデントのt検定)。
図14B及び
図14C:VSV免疫化の5週間後に、これらのマウスをWT VSV(マウスあたり1×10
7p.f.u.)で鼻腔内にチャレンジした。チャレンジ後の6日目に、脳のライセート(
図14B)及び血清(
図14C)中のVSV特異的抗体及び全抗体をELISAにより測定した。CD4 T細胞の枯渇を、抗CD4(GK1.5)の静脈内注射によるチャレンジの前後の-4、-1、2、及び4日目に実施した。
図14D:組織ホモジネート中のアルブミンレベルをELISAにより分析した。データは平均値±s.e.mである。
*P<0.05;
*P<0.01;
***P<0.001(マン・ホイットニーU検定)。
【
図14C】
図14は、
図14Aから
図14Dを含み、VSV免疫化及びチャレンジに続く脳における抗体レベル及び血管透過性における増加のためのメモリーCD4
+T細胞の必要性を実証する実験の結果を描写する一組の画像である。
図14A:C57BL/6マウスをWTVSV(マウスあたり2×10
6p.f.u.)で静脈内に免疫化した。5週間後、これらのマウスをWT VSV(マウスあたり1×10
7p.f.u.)で鼻腔内にチャレンジした。チャレンジ後の6日目に、HI-VSVを負荷した脾臓細胞(CD45.1
+)又はHIHSV-2を負荷した脾臓細胞との共培養に続く、脾臓中でのVSV特異的IFN-γ
+CD4
+T細胞(CD45.2
+)を、フローサイトメトリーにより分析した。データは平均値±s.e.mである。
*P<0.05;
**P<0.001(両側の対応のないスチューデントのt検定)。
図14B及び
図14C:VSV免疫化の5週間後に、これらのマウスをWT VSV(マウスあたり1×10
7p.f.u.)で鼻腔内にチャレンジした。チャレンジ後の6日目に、脳のライセート(
図14B)及び血清(
図14C)中のVSV特異的抗体及び全抗体をELISAにより測定した。CD4 T細胞の枯渇を、抗CD4(GK1.5)の静脈内注射によるチャレンジの前後の-4、-1、2、及び4日目に実施した。
図14D:組織ホモジネート中のアルブミンレベルをELISAにより分析した。データは平均値±s.e.mである。
*P<0.05;
*P<0.01;
***P<0.001(マン・ホイットニーU検定)。
【
図14D】
図14は、
図14Aから
図14Dを含み、VSV免疫化及びチャレンジに続く脳における抗体レベル及び血管透過性における増加のためのメモリーCD4
+T細胞の必要性を実証する実験の結果を描写する一組の画像である。
図14A:C57BL/6マウスをWTVSV(マウスあたり2×10
6p.f.u.)で静脈内に免疫化した。5週間後、これらのマウスをWT VSV(マウスあたり1×10
7p.f.u.)で鼻腔内にチャレンジした。チャレンジ後の6日目に、HI-VSVを負荷した脾臓細胞(CD45.1
+)又はHIHSV-2を負荷した脾臓細胞との共培養に続く、脾臓中でのVSV特異的IFN-γ
+CD4
+T細胞(CD45.2
+)を、フローサイトメトリーにより分析した。データは平均値±s.e.mである。
*P<0.05;
**P<0.001(両側の対応のないスチューデントのt検定)。
図14B及び
図14C:VSV免疫化の5週間後に、これらのマウスをWT VSV(マウスあたり1×10
7p.f.u.)で鼻腔内にチャレンジした。チャレンジ後の6日目に、脳のライセート(
図14B)及び血清(
図14C)中のVSV特異的抗体及び全抗体をELISAにより測定した。CD4 T細胞の枯渇を、抗CD4(GK1.5)の静脈内注射によるチャレンジの前後の-4、-1、2、及び4日目に実施した。
図14D:組織ホモジネート中のアルブミンレベルをELISAにより分析した。データは平均値±s.e.mである。
*P<0.05;
*P<0.01;
***P<0.001(マン・ホイットニーU検定)。
【
図15A】
図15は、
図15Aから
図15Hを含み、VSV免疫化により誘導された一過性のBBB透過性によって、CNSにおける効率的なウイルス制御が可能になることを実証する例示的な実験結果を描写する。C57BL/6マウスをVSV(2×10
6プラーク形成単位(p.f.u.))で皮下に免疫化した。5から6週間後、これらのマウス(VSV免疫化)及びナイーブマウス(非免疫化)(n=2-9)を致死用量のVSV(10
7p.f.u.)でチャレンジした。
図15Aは、VSV鼻腔内チャレンジ後1、2、3、4、6、及び10日目にqRT-PCRにより決定された嗅球、大脳、及び小脳におけるウイルスRNAコピーを実証するデータを描写する。結果をRNA相対発現として表現し、HPRTにより標準化する。血清アルブミン(
図15B)、死亡率(
図15C)、脳組織中の全IgG(
図15D)、及びVSV特異的IgG(
図15E)は、チャレンジ後の示した日に測定した。
図15Fから
図15Hについて、AID sIgM DKOマウスをVSV(2×10
6プラーク形成単位(p.f.u.))で皮下に免疫化した。5から6週間後、これらのマウス(AIDsIgGM Imm)及びナイーブマウス(AIDsIgGM N.Imm)(n=6-10)を致死用量のVSV(10
7p.f.u.)でチャレンジした。
図15Fは、チャレンジ後20日間にわたりモニターされた死亡率を描写する。BC57BL/6マウスVSV免疫化(WT Imm.)及び非免疫化マウス(WT N.Imm)を実験コントロールとして使用した。5から6週間後、VSV免疫化又は非免疫化マウスに、5μg/500ul/マウスのVSV mAb又はVSV免疫血清を、鼻腔内VSVチャレンジの前後の-1、1、及び3日目に腹腔内に注射した。IgG2aアイソタイプコントロール抗体をコントロールとして使用した。
図15Gは、VSV鼻腔内チャレンジ後の6日目にqRT-PCRにより決定された、嗅球、大脳、及び小脳におけるウイルスRNAコピーを描写する。フローサイトメトリーを、VSV免疫化(それぞれWT Imm.及びAIDsIgGM Imm)された及び免疫化されていない(WT N.Imm.)C57BL/6又はAID sIgM DKOからの脳から単離された白血球で実施した。VSV免疫化(WT VSV初代)マウスではなく、未感染の野生型(WT NI)及びC57BL/6初代VSV感染マウスをコントロールとして使用した。サイトカイン検出のために、脳白血球を、ブレフェルジンAの存在においてPMA及びイオノマイシンを用いてインビトロで10~12時間にわたり再刺激した。
図15Hは、CD4
+T細胞の間でのIFNγの頻度を描写する。
【
図15B-F】
図15は、
図15Aから
図15Hを含み、VSV免疫化により誘導された一過性のBBB透過性によって、CNSにおける効率的なウイルス制御が可能になることを実証する例示的な実験結果を描写する。C57BL/6マウスをVSV(2×10
6プラーク形成単位(p.f.u.))で皮下に免疫化した。5から6週間後、これらのマウス(VSV免疫化)及びナイーブマウス(非免疫化)(n=2-9)を致死用量のVSV(10
7p.f.u.)でチャレンジした。
図15Aは、VSV鼻腔内チャレンジ後1、2、3、4、6、及び10日目にqRT-PCRにより決定された嗅球、大脳、及び小脳におけるウイルスRNAコピーを実証するデータを描写する。結果をRNA相対発現として表現し、HPRTにより標準化する。血清アルブミン(
図15B)、死亡率(
図15C)、脳組織中の全IgG(
図15D)、及びVSV特異的IgG(
図15E)は、チャレンジ後の示した日に測定した。
図15Fから
図15Hについて、AID sIgM DKOマウスをVSV(2×10
6プラーク形成単位(p.f.u.))で皮下に免疫化した。5から6週間後、これらのマウス(AIDsIgGM Imm)及びナイーブマウス(AIDsIgGM N.Imm)(n=6-10)を致死用量のVSV(10
7p.f.u.)でチャレンジした。
図15Fは、チャレンジ後20日間にわたりモニターされた死亡率を描写する。BC57BL/6マウスVSV免疫化(WT Imm.)及び非免疫化マウス(WT N.Imm)を実験コントロールとして使用した。5から6週間後、VSV免疫化又は非免疫化マウスに、5μg/500ul/マウスのVSV mAb又はVSV免疫血清を、鼻腔内VSVチャレンジの前後の-1、1、及び3日目に腹腔内に注射した。IgG2aアイソタイプコントロール抗体をコントロールとして使用した。
図15Gは、VSV鼻腔内チャレンジ後の6日目にqRT-PCRにより決定された、嗅球、大脳、及び小脳におけるウイルスRNAコピーを描写する。フローサイトメトリーを、VSV免疫化(それぞれWT Imm.及びAIDsIgGM Imm)された及び免疫化されていない(WT N.Imm.)C57BL/6又はAID sIgM DKOからの脳から単離された白血球で実施した。VSV免疫化(WT VSV初代)マウスではなく、未感染の野生型(WT NI)及びC57BL/6初代VSV感染マウスをコントロールとして使用した。サイトカイン検出のために、脳白血球を、ブレフェルジンAの存在においてPMA及びイオノマイシンを用いてインビトロで10~12時間にわたり再刺激した。
図15Hは、CD4
+T細胞の間でのIFNγの頻度を描写する。
【
図15G-H】
図15は、
図15Aから
図15Hを含み、VSV免疫化により誘導された一過性のBBB透過性によって、CNSにおける効率的なウイルス制御が可能になることを実証する例示的な実験結果を描写する。C57BL/6マウスをVSV(2×10
6プラーク形成単位(p.f.u.))で皮下に免疫化した。5から6週間後、これらのマウス(VSV免疫化)及びナイーブマウス(非免疫化)(n=2-9)を致死用量のVSV(10
7p.f.u.)でチャレンジした。
図15Aは、VSV鼻腔内チャレンジ後1、2、3、4、6、及び10日目にqRT-PCRにより決定された嗅球、大脳、及び小脳におけるウイルスRNAコピーを実証するデータを描写する。結果をRNA相対発現として表現し、HPRTにより標準化する。血清アルブミン(
図15B)、死亡率(
図15C)、脳組織中の全IgG(
図15D)、及びVSV特異的IgG(
図15E)は、チャレンジ後の示した日に測定した。
図15Fから
図15Hについて、AID sIgM DKOマウスをVSV(2×10
6プラーク形成単位(p.f.u.))で皮下に免疫化した。5から6週間後、これらのマウス(AIDsIgGM Imm)及びナイーブマウス(AIDsIgGM N.Imm)(n=6-10)を致死用量のVSV(10
7p.f.u.)でチャレンジした。
図15Fは、チャレンジ後20日間にわたりモニターされた死亡率を描写する。BC57BL/6マウスVSV免疫化(WT Imm.)及び非免疫化マウス(WT N.Imm)を実験コントロールとして使用した。5から6週間後、VSV免疫化又は非免疫化マウスに、5μg/500ul/マウスのVSV mAb又はVSV免疫血清を、鼻腔内VSVチャレンジの前後の-1、1、及び3日目に腹腔内に注射した。IgG2aアイソタイプコントロール抗体をコントロールとして使用した。
図15Gは、VSV鼻腔内チャレンジ後の6日目にqRT-PCRにより決定された、嗅球、大脳、及び小脳におけるウイルスRNAコピーを描写する。フローサイトメトリーを、VSV免疫化(それぞれWT Imm.及びAIDsIgGM Imm)された及び免疫化されていない(WT N.Imm.)C57BL/6又はAID sIgM DKOからの脳から単離された白血球で実施した。VSV免疫化(WT VSV初代)マウスではなく、未感染の野生型(WT NI)及びC57BL/6初代VSV感染マウスをコントロールとして使用した。サイトカイン検出のために、脳白血球を、ブレフェルジンAの存在においてPMA及びイオノマイシンを用いてインビトロで10~12時間にわたり再刺激した。
図15Hは、CD4
+T細胞の間でのIFNγの頻度を描写する。
【
図16A-B】
図16は、
図16Aから
図16Fを含み、局所的なTCR特異的HSV-2抗原性ペプチド送達によってBBBが開き、CNSへの効率的な抗体流入が可能になることを実証する例示的な実験データを描写する。
図16A-
図16F:WTマウスはTK
-HSV-2(2×10
6p.f.u.)で皮下に免疫化された、又はgDTII特異的DsRedトランスジェニックドナーマウスからのHSV-2特異的CD4 T細胞(10
6細胞/マウス/i.v.)の養子移入を受けた。一次HSV-2感染後5から6週間に、又は細胞移入後の24時間後に、これらのマウスに1用量のgDTII、RVG-gDTII、又はRVG-OVAペプチド(10μl中の100μg/マウス、各々の鼻孔に5 μl)を鼻腔内に接種した。
図16Aは、HVS-2免疫化又は養子移入プロトコルの概略図を描写する。ペプチド投与後の4日目に、TK免疫化マウスに488コンジュゲートデキストランを注射(眼窩後部)した。1時間後、脳を採取し、免疫組織化学分析を記載されているように実施した。
図16Bにおいて、デキストラン注射後の脳組織の凍結切片を、CD31に対する抗体で染色した。核をDAPI染色により描写する。TK免疫化マウス又はCD4 T細胞養子移入レシピエントマウスのペプチド処置の4日後の脳組織における血清アルブミン(
図16C)及び全IgG(
図16D)の定量化。TK免疫化マウスに、ペプチド投与後の3、4、及び5日目にヤギ抗マウスIgGを腹腔内に注射した。6日目に、マウスに血管染色用のQtracker565をi.v.注射し、2時間後に脳を採取し、分析した。
図16Eは、ロバ抗ヤギIgGで染色された嗅球の凍結切片を示す。核をDAPI染色により描写する。フローサイトメトリーを、TK免疫化マウス又はCD4 T細胞養子移入レシピエントマウスからの、脳から単離された白血球で実施した。サイトカイン検出のために、HSV-2免疫化マウスの脳組織からの細胞懸濁液を、HSV-2抗原(細胞あたり0.5pfu相当)で10~12時間にわたり負荷されたナイーブ脾細胞(CD45.1
+ CD45.2
+)を用いて、5μg/mlブレフェルジンAの存在において刺激した。非特異的刺激のために、gDTIIが移入されたレシピエントマウスから単離された脳細胞を、ブレフェルジンA X1の存在において4時間にわたりPMA及びイオノマイシンとインキュベートした。
図16Fは、ペプチド投与後4日の脳組織におけるCD45
hi白血球の間でのIFN-γ分泌CD 4T細胞の数に対応する。下のパネルは、gDTII-DsRedが移入されたレシピエントマウスからの脳組織の例示的な凍結切片を描写する。切片をCD31に対する抗体で染色した。核をDAPI染色により描写する。
【
図16C-E】
図16は、
図16Aから
図16Fを含み、局所的なTCR特異的HSV-2抗原性ペプチド送達によってBBBが開き、CNSへの効率的な抗体流入が可能になることを実証する例示的な実験データを描写する。
図16A-
図16F:WTマウスはTK
-HSV-2(2×10
6p.f.u.)で皮下に免疫化された、又はgDTII特異的DsRedトランスジェニックドナーマウスからのHSV-2特異的CD4 T細胞(10
6細胞/マウス/i.v.)の養子移入を受けた。一次HSV-2感染後5から6週間に、又は細胞移入後の24時間後に、これらのマウスに1用量のgDTII、RVG-gDTII、又はRVG-OVAペプチド(10μl中の100μg/マウス、各々の鼻孔に5 μl)を鼻腔内に接種した。
図16Aは、HVS-2免疫化又は養子移入プロトコルの概略図を描写する。ペプチド投与後の4日目に、TK免疫化マウスに488コンジュゲートデキストランを注射(眼窩後部)した。1時間後、脳を採取し、免疫組織化学分析を記載されているように実施した。
図16Bにおいて、デキストラン注射後の脳組織の凍結切片を、CD31に対する抗体で染色した。核をDAPI染色により描写する。TK免疫化マウス又はCD4 T細胞養子移入レシピエントマウスのペプチド処置の4日後の脳組織における血清アルブミン(
図16C)及び全IgG(
図16D)の定量化。TK免疫化マウスに、ペプチド投与後の3、4、及び5日目にヤギ抗マウスIgGを腹腔内に注射した。6日目に、マウスに血管染色用のQtracker565をi.v.注射し、2時間後に脳を採取し、分析した。
図16Eは、ロバ抗ヤギIgGで染色された嗅球の凍結切片を示す。核をDAPI染色により描写する。フローサイトメトリーを、TK免疫化マウス又はCD4 T細胞養子移入レシピエントマウスからの、脳から単離された白血球で実施した。サイトカイン検出のために、HSV-2免疫化マウスの脳組織からの細胞懸濁液を、HSV-2抗原(細胞あたり0.5pfu相当)で10~12時間にわたり負荷されたナイーブ脾細胞(CD45.1
+ CD45.2
+)を用いて、5μg/mlブレフェルジンAの存在において刺激した。非特異的刺激のために、gDTIIが移入されたレシピエントマウスから単離された脳細胞を、ブレフェルジンA X1の存在において4時間にわたりPMA及びイオノマイシンとインキュベートした。
図16Fは、ペプチド投与後4日の脳組織におけるCD45
hi白血球の間でのIFN-γ分泌CD 4T細胞の数に対応する。下のパネルは、gDTII-DsRedが移入されたレシピエントマウスからの脳組織の例示的な凍結切片を描写する。切片をCD31に対する抗体で染色した。核をDAPI染色により描写する。
【
図16F】
図16は、
図16Aから
図16Fを含み、局所的なTCR特異的HSV-2抗原性ペプチド送達によってBBBが開き、CNSへの効率的な抗体流入が可能になることを実証する例示的な実験データを描写する。
図16A-
図16F:WTマウスはTK
-HSV-2(2×10
6p.f.u.)で皮下に免疫化された、又はgDTII特異的DsRedトランスジェニックドナーマウスからのHSV-2特異的CD4 T細胞(10
6細胞/マウス/i.v.)の養子移入を受けた。一次HSV-2感染後5から6週間に、又は細胞移入後の24時間後に、これらのマウスに1用量のgDTII、RVG-gDTII、又はRVG-OVAペプチド(10μl中の100μg/マウス、各々の鼻孔に5 μl)を鼻腔内に接種した。
図16Aは、HVS-2免疫化又は養子移入プロトコルの概略図を描写する。ペプチド投与後の4日目に、TK免疫化マウスに488コンジュゲートデキストランを注射(眼窩後部)した。1時間後、脳を採取し、免疫組織化学分析を記載されているように実施した。
図16Bにおいて、デキストラン注射後の脳組織の凍結切片を、CD31に対する抗体で染色した。核をDAPI染色により描写する。TK免疫化マウス又はCD4 T細胞養子移入レシピエントマウスのペプチド処置の4日後の脳組織における血清アルブミン(
図16C)及び全IgG(
図16D)の定量化。TK免疫化マウスに、ペプチド投与後の3、4、及び5日目にヤギ抗マウスIgGを腹腔内に注射した。6日目に、マウスに血管染色用のQtracker565をi.v.注射し、2時間後に脳を採取し、分析した。
図16Eは、ロバ抗ヤギIgGで染色された嗅球の凍結切片を示す。核をDAPI染色により描写する。フローサイトメトリーを、TK免疫化マウス又はCD4 T細胞養子移入レシピエントマウスからの、脳から単離された白血球で実施した。サイトカイン検出のために、HSV-2免疫化マウスの脳組織からの細胞懸濁液を、HSV-2抗原(細胞あたり0.5pfu相当)で10~12時間にわたり負荷されたナイーブ脾細胞(CD45.1
+ CD45.2
+)を用いて、5μg/mlブレフェルジンAの存在において刺激した。非特異的刺激のために、gDTIIが移入されたレシピエントマウスから単離された脳細胞を、ブレフェルジンA X1の存在において4時間にわたりPMA及びイオノマイシンとインキュベートした。
図16Fは、ペプチド投与後4日の脳組織におけるCD45
hi白血球の間でのIFN-γ分泌CD 4T細胞の数に対応する。下のパネルは、gDTII-DsRedが移入されたレシピエントマウスからの脳組織の例示的な凍結切片を描写する。切片をCD31に対する抗体で染色した。核をDAPI染色により描写する。
【
図17】
図17は、
図17Aから
図17Cを含み、局所的なTCR特異的ウイルス抗原性ペプチド送達によって、異種抗ウイルス応答が増強されることを実証する例示的な実験データを描写する。WTマウスを10
4又は10
5p.f.uのWT-HSV-2で鼻腔内に感染させた。未感染マウスをコントロールとして使用した。HSV-2感染マウスの体重増加(
図17A)及び死亡率(
図17B)を感染後20日間にわたりモニターした。WTマウスをTK
-HSV-2(2×10
6p.f.u.)で皮下に免疫化した。5から6週間後、これらのマウスを1用量のgDTII又はRVG-OVAペプチド(10μl中の100μg/マウス、各々の鼻孔に5μl)で鼻腔内に接種した。ペプチド投与後の6日目に、HSV免疫化マウス及びナイーブマウス(非免疫化)を致死用量のWT-HSV(10
5p.f.u.)でチャレンジした。一次HSV-2感染後5から6週間に、これらのマウスに、1用量のgDTII、RVG-gDTII、又はRVG-OVAペプチド(10μl中の100μg/マウス、各々の鼻孔に5μl)を鼻腔内に接種した。ペプチド投与後の1、3、及び5日目に、マウスに5ug/500ul/マウスのVSV mAbを腹腔内に注射し、7日目での鼻腔内チャレンジが続いた。死亡率をチャレンジ後の示した日に測定した(
図17C)。
【
図18A-B】
図18は、
図18Aから
図18Eを含み、鼻腔内抗原性ペプチド送達によって、強力な抗腫瘍応答のためのT細胞免疫療法を増強することができることを実証する例示的な実験データを描写する。
図18A及び
図18B:マウスをTK
-HSVで免疫化し、2ヶ月後にGL261-Luc腫瘍を移植した。マウスに、腫瘍移植後の6日目にOVA又はgDTIIペプチドを鼻腔内に与えた。鼻腔内ペプチド刺激後の4及び6日目に、マウスをαPD1又はアイソタイプ抗体で処置し、腫瘍成長(
図18A)及び生存をモニターした(
図18B)。
図18Cから
図18E:マウスをTK
-HSVで免疫化し、OVA又はgDTIIペプチドを与えた。刺激後の4日目に、マウスに蛍光分子をIV注射し、血管からの色素血管外漏出を測定した。
図18Dは、IMAGEJを使用した、
図18Cからの画像(代表的な画像)の平均蛍光単位の定量化を描写する。
図18Eは、蛍光マーカーの血管外漏出を測定するために取得された、同様の最大強度を伴う代表的な血管を描写する。強度を脈管構造からの断面で取得し、血管構造の隣の相対的な色素を測定した。
【
図18C-E】
図18は、
図18Aから
図18Eを含み、鼻腔内抗原性ペプチド送達によって、強力な抗腫瘍応答のためのT細胞免疫療法を増強することができることを実証する例示的な実験データを描写する。
図18A及び
図18B:マウスをTK
-HSVで免疫化し、2ヶ月後にGL261-Luc腫瘍を移植した。マウスに、腫瘍移植後の6日目にOVA又はgDTIIペプチドを鼻腔内に与えた。鼻腔内ペプチド刺激後の4及び6日目に、マウスをαPD1又はアイソタイプ抗体で処置し、腫瘍成長(
図18A)及び生存をモニターした(
図18B)。
図18Cから
図18E:マウスをTK
-HSVで免疫化し、OVA又はgDTIIペプチドを与えた。刺激後の4日目に、マウスに蛍光分子をIV注射し、血管からの色素血管外漏出を測定した。
図18Dは、IMAGEJを使用した、
図18Cからの画像(代表的な画像)の平均蛍光単位の定量化を描写する。
図18Eは、蛍光マーカーの血管外漏出を測定するために取得された、同様の最大強度を伴う代表的な血管を描写する。強度を脈管構造からの断面で取得し、血管構造の隣の相対的な色素を測定した。
【
図19】
図19は、MHCクラスIIペプチドの鼻腔内送達によってBBBが開かれることを実証するデータを描写する。
【0021】
詳細な説明
【0022】
本発明は、中枢神経系における又は脳組織における疾患又は障害を処置する組成物及び方法を提供する。例えば、一部の実施形態において、本発明は、中枢神経系の感染を処置するための組成物及び方法を提供する。一部の実施形態において、本発明は、脳腫瘍を処置するための組成物及び方法を提供する。本発明は、血液脳関門(BBB)の透過性を誘導し、治療用薬剤がBBBを通過することを可能にする、対象において、CD4 T細胞応答、例えば、メモリーCD4 T細胞応答を誘導するための組成物及び方法に関する。
【0023】
一実施形態では、本発明は、(1)CD4 T細胞応答を誘導する免疫原性薬剤(例、免疫原性ペプチド)及び(2)疾患又は障害の処置のための治療用薬剤を含む、疾患又は障害を処置するための組成物を提供する。一部の実施形態において、免疫原性薬剤は抗原性タンパク質又はペプチドである。一部の実施形態において、抗原性ペプチドは、治療用薬剤が向けられる疾患又は障害の抗原である。一部の実施形態において、抗原性ペプチドは、治療用薬剤が向けられる疾患又は障害とは異なる疾患又は障害の抗原である。
【0024】
一実施形態において、組成物は、病原性感染を処置するために有用であり、そこで組成物は、(1)CD4 T細胞免疫応答を誘導する免疫原性薬剤(例、抗原性ペプチド)及び(2)治療用薬剤、病原体の抗原に向けられた抗体又は抗体フラグメントを含む。
【0025】
一実施形態において、組成物は、脳組織におけるがんを処置するために有用であり、そこで組成物は、(1)CD4 T細胞免疫応答を誘導する免疫原性薬剤(例、抗原性ペプチド)及び(2)脳組織におけるがんに関連付けられる抗原に向けられた治療用抗体又は抗体フラグメントを含む。
【0026】
一実施形態において、本発明は、(1)対象に免疫原性薬剤を投与し、CD4 T細胞免疫応答を誘導すること、及び(2)対象に疾患又は障害の処置のための治療用薬剤を投与することを含む、対象において疾患又は障害を処置する方法を提供する。この方法は、脳又は脊髄における疾患又は障害を処置又は予防するために使用されうる。この方法は、脳又は脊髄の任意の疾患又は障害(病原性感染、がん、及び神経変性疾患、例えばアルツハイマー病などを含むが、これらに限定されない)を処置又は予防するために使用されうる。
【0027】
一実施形態において、本発明は、(1)CD4 T細胞免疫応答を誘導する免疫原性薬剤(例、抗原性ペプチド)及び(2)治療用薬剤、病原体の抗原に向けられた抗体又は抗体フラグメントを投与することを含む、対象において病原性感染を処置する方法を提供する。この方法は、任意の病原性感染(ウイルス感染、細菌感染、真菌感染、寄生虫感染、蠕虫感染、原虫感染、プリオン感染などを含むが、これらに限定されない)を処置又は予防するために使用されうる。
【0028】
一実施形態において、本発明は、(1)CD4 T細胞免疫応答を誘導する免疫原性薬剤(例、抗原性ペプチド)及び(2)免疫チェックポイントタンパク質又は経路の阻害剤を投与することを含む、対象において病原性感染を処置する方法を提供する。一実施形態において、チェックポイント阻害剤は、1つ以上の免疫応答チェックポイントタンパク質に対して標的化される抗体又は抗体フラグメントである。例えば、一実施形態において、第2の薬剤は、PD-1、PDL-1 CTLA-4、LAG-3、TIM-3、CEACAM1、TIGITなどに特異的に結合する抗体又は抗体フラグメントである。
【0029】
一実施形態において、本発明は、(1)CD4 T細胞免疫応答を誘導する免疫原性薬剤(例、抗原性ペプチド)及び(2)腫瘍に関連付けられる抗原に向けられた治療用抗体又は抗体フラグメントを投与することを含む、対象においてがんを処置する方法を提供する。
【0030】
一実施形態において、本発明は、(1)CD4 T細胞免疫応答を誘導する免疫原性薬剤(例、抗原性ペプチド)及び(2)免疫チェックポイントタンパク質又は経路の阻害剤を投与することを含む、対象においてがんを処置する方法を提供する。一実施形態において、チェックポイント阻害剤は、1つ以上の免疫応答チェックポイントタンパク質に対して標的化された抗体又は抗体フラグメントである。例えば、一実施形態において、第2の薬剤は、PD-1、PDL-1 CTLA-4、LAG-3、TIM-3、CEACAM1、TIGITなどに特異的に結合する抗体又は抗体フラグメントである。
【0031】
定義
【0032】
他に定義されない限り、本明細書中で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野における通常の技術の1つにより一般に理解されるのと同じ意味を有する。
【0033】
本明細書中で使用される場合、以下の用語の各々は、この節においてそれに関連付けられる意味を有する。
【0034】
冠詞「a」及び「an」は、本明細書中では、冠詞の文法的な対象物の1つ以上(即ち、少なくとも1つ)を指すために使用される。例として、「要素(an element)」は、1つの要素又は1つよりも多い要素を意味する。
【0035】
測定可能な値、例えば量、時間的な持続時間などを指す場合に本明細書中で使用される「約」は、特定された値からの±20%、±10%、±5%、±1%、又は±0.1%の変動を包含することを意味し、そのような変動は開示された方法を実施するために適する。
【0036】
用語「抗体」は、本明細書中で使用される場合、免疫グロブリン分子を指し、それは抗原と特異的に結合する。抗体は、天然供給源から又は組換え供給源から由来するインタクトな免疫グロブリンでありうるし、インタクトな免疫グロブリンの免疫反応性部分でありうる。抗体は典型的には、免疫グロブリン分子の四量体である。本発明における抗体は、例えば、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、Fv、Fab、及びF(ab)2、ならびに一本鎖抗体及びヒト化抗体を含む多様な形態において存在しうる(Harlow et al., 1999, In: Using Antibodies: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press, NY;Harlow et al., 1989, In: Antibodies: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor, New York;Houston et al., 1988, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85:5879-5883;Bird et al., 1988, Science 242:423-426)。
【0037】
用語「抗体フラグメント」は、インタクトな抗体の一部を指し、インタクトな抗体の抗原決定可変領域を指す。抗体フラグメントの例は、Fab、Fab’、F(ab’)2及びFvフラグメント、線状抗体、scFv抗体、ならびに抗体フラグメントから形成される多特異性抗体を含むが、これらに限定されない。
【0038】
「抗体重鎖」は、本明細書中で使用する場合、それらの天然に生じる立体構造において全ての抗体分子中に存在する2つの型のポリペプチド鎖のより大きい方を指す。
【0039】
「抗体軽鎖」は、本明細書中で使用する場合、それらの天然に生じる立体構造において全ての抗体分子中に存在する2つの型のポリペプチド鎖のより小さい方を指す。κ及びλ軽鎖は、2つの主要な抗体軽鎖アイソタイプを指す。
【0040】
本明細書中で使用する用語「合成抗体」は、組換えDNA技術を使用して生成される抗体、例えば、バクテリオファージにより発現される抗体などを意味する。この用語はまた、抗体をコードするDNA分子の合成(このDNA分子は抗体タンパク質、又は抗体を指定するアミノ酸配列を発現する)により生成される抗体を意味すると解釈すべきであり、ここで、DNA又はアミノ酸配列は、当技術分野において利用可能であり、周知である合成DNA又はアミノ酸配列技術を使用して得られる。この用語はまた、抗体をコードするRNA分子の合成により生成されている抗体を意味すると解釈すべきである。RNA分子は、抗体タンパク質、又は抗体を特定するアミノ酸配列を発現し、ここで、RNAは、DNAの転写(合成又はクローン化)又は他の技術により得られており、それは当技術分野において利用可能であり、周知である。
【0041】
本明細書中で使用する用語「抗原」又は「Ag」は、適応免疫応答を引き起こす分子として定義される。この免疫応答は、抗体産生、又は特定の免疫原性コンピテント細胞の活性化のいずれか、あるいは両方を含みうる。当業者は、実質的に全てのタンパク質又はペプチドを含む、任意の高分子が抗原としての役割を果たすことができることを理解するであろう。さらに、抗原は、組換えの又はゲノムのDNA又はRNAから由来しうる。当業者は、任意のDNA又はRNAが、適応免疫応答を誘発するタンパク質をコードするヌクレオチド配列又は部分ヌクレオチド配列を含み、従って、その用語が本明細書中で使用されるような「抗原」をコードすることを理解するであろう。さらに、当業者は、抗原が、もっぱら遺伝子の全長ヌクレオチド配列によりコードされることを必要としないことを理解するであろう。本発明が、1を上回る遺伝子の部分的ヌクレオチド配列の使用を含むが、それに限定されないこと、及びこれらのヌクレオチド配列が種々の組み合わせにおいて配置されて所望の免疫応答を誘発することは容易に明らかである。さらに、当業者は、抗原が「遺伝子」によりコード化される必要が全くないことを理解するであろう。抗原を合成して生成することができる、又は生物学的サンプルから由来することができることは容易に明らかである。そのような生物学的サンプルは、組織サンプル、腫瘍サンプル、細胞、又は生物学的液体を含むが、それらに限定されない。
【0042】
本明細書中で使用する用語「アジュバント」は、抗原特異的な適応免疫応答を増強するための任意の分子として定義される。
【0043】
「疾患」は、動物が恒常性を維持することができず、疾患が寛解されない場合、次に動物の健康が増悪し続ける動物の健康の状態である。対照的に、動物における「障害」は、動物が恒常性を維持することができる健康の状態であるが、しかし、動物の健康の状態は、それが障害の非存在においてありうるよりも好ましくない。未処置で放置されても、障害が動物の健康の状態におけるさらなる減少を必ずしも起こさない。
【0044】
本明細書中で使用する「有効量」は、治療的又は予防的な利益を提供する量を意味する。
【0045】
「コードする」は、ポリヌクレオチド、例えば遺伝子、cDNA、又はmRNAなどの中のヌクレオチドの特定の配列の固有の特性を指し、ヌクレオチドの定義された配列(即ち、rRNA、tRNA、及びmRNA)又はアミノ酸の定義された配列のいずれか及びそれから生じる生物学的特性を有する生物学的過程における他のポリマー及び高分子の合成のためのテンプレートとしての役割を果たす。このように、遺伝子は、その遺伝子に対応するmRNAの転写及び翻訳が、細胞又は他の生物学的システムにおいてタンパク質を産生する場合に、タンパク質をコードする。コード鎖(mRNA配列と同一であり、通常は配列リストにおいて提供されているヌクレオチド配列)及び非コード鎖(遺伝子又はcDNAの転写のためのテンプレートとして使用される)の両方を、その遺伝子又はcDNAのタンパク質又は他の産物をコードするとして言及することができる。
【0046】
「発現ベクター」は、発現されるヌクレオチド配列に作動可能に連結された発現制御配列を含む組換えポリヌクレオチドを含むベクターを指す。発現ベクターは、発現のための十分なシス作用エレメントを含む;発現のための他のエレメントは、宿主細胞により、又はインビトロ発現システムにおいて供給されることができる。発現ベクターは、当技術分野において公知の全ての発現ベクター、例えばコスミド、プラスミド(例、ネイキッド又はリポソーム中に含まれる)RNA、及び組換えポリヌクレオチドを組み込んだウイルス(例、レンチウイルス、レトロウイルス、アデノウイルス、及びアデノ随伴ウイルス)などを含む。
【0047】
「免疫原」は、免疫応答を生成するために身体中に導入された任意の物質を指す。その物質は、物理的な分子、例えばタンパク質などであることができる、あるいはベクター、例えばDNA、mRNA、又はウイルスなどによりコードされることができる。
【0048】
用語「免疫反応」により、本明細書中で使用する場合、免疫細胞を刺激及び/又は活性化することの検出可能な結果を意味する。
【0049】
「免疫応答」は、この用語が本明細書中で使用される場合、T細胞、B細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、及び/又は抗原提示細胞(APC)のいずれかにおいてエフェクター機能の活性化及び/又は起動をもたらす過程を意味する。したがって、免疫応答は、当業者により理解されうるように、ヘルパーT細胞の任意の検出可能な抗原特異的な又は同種の活性化、又は細胞傷害性T細胞応答、抗体の産生、アレルギー反応のT細胞媒介性活性化、マクロファージ浸潤などを含むが、それらに限定されない。
【0050】
用語「免疫細胞」は、この用語が本明細書中で使用される場合、免疫応答の開始において関与する任意の細胞を意味する。そのような細胞は、T細胞、B細胞、NK細胞、抗原提示細胞(例、樹状細胞及びマクロファージ)、単球、好中球、好酸球、好塩基球などを含むが、これらに限定されない。
【0051】
「単離された」は、自然の状態から変化又は除去されたことを意味する。例えば、生きている動物において自然に存在する核酸又はペプチドは「単離」されていないが、しかし、その自然の状態の共存物質から部分的又は完全に分離された同じ核酸又はペプチドは「単離」されている。単離された核酸又はタンパク質は、実質的に精製された形態において存在することができ、又は非天然環境、例えば、宿主細胞などにおいて存在することができる。
【0052】
本発明の文脈において、一般に生じるヌクレオシド(N-グリコシド連結を介してリボース糖又はデオキシリボース糖に結合された核酸塩基)についての以下の略語が使用される。「A」はアデノシンを指し、「C」はシチジンを指し、「G」はグアノシンを指し、「T」はチミジンを指し、及び「U」はウリジンを指す。
【0053】
他に特定されない限り、「アミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列」は、互いの縮重バージョンであり、同じアミノ酸配列をコードする全てのヌクレオチド配列を含む。語句タンパク質又はRNAをコードするヌクレオチド配列はまた、タンパク質をコードするヌクレオチド配列が一部のバージョンにおいてイントロンを含みうる程度まで、イントロンを含みうる。
【0054】
用語「調節する」により、本明細書中で使用する場合、処置又は化合物の非存在における対象での応答のレベルと比較し、ならびに/あるいは他は同一であるが、しかし、未処置の対象での応答のレベルと比較し、対象での応答のレベルにおける検出可能な増加又は減少を媒介することを意味する。この用語は、天然シグナル又は応答を撹乱及び/又はに影響し、それにより対象において有益な治療応答を媒介することを包含する。
【0055】
用語「患者」、「対象」、「個体」などは、本明細書中では互換的に使用され、インビトロ又はインサイチュを問わず、本明細書中に記載する方法に適している任意の動物、又はその細胞を指す。一部の非限定的な実施形態において、患者、対象、又は個人はヒトである。
【0056】
本明細書中で使用する用語「ポリヌクレオチド」は、ヌクレオチドの鎖として定義する。さらに、核酸はヌクレオチドのポリマーである。このように、本明細書中で使用する核酸及びポリヌクレオチドは互換的である。当業者は、核酸がポリヌクレオチドであって、それを単量体「ヌクレオチド」に加水分解することができるという一般的な知識を有する。単量体ヌクレオチドは、ヌクレオシドに加水分解することができる。本明細書中で使用する場合、ポリヌクレオチドは、当技術分野において利用可能な任意の手段(組換え手段、即ち、通常のクローニング技術及びPCR(商標)などを使用した、ならびに合成手段による組換えライブラリー又は細胞ゲノムからの核酸配列のクローニングを含むが、それに限定されない)により得られる全ての核酸配列を含むが、それらに限定されない。
【0057】
本明細書中で使用する場合、用語「ペプチド」、「ポリペプチド」、及び「タンパク質」は互換的に使用され、ペプチド結合により共有結合的に連結されたアミノ酸残基で構成される化合物を指す。タンパク質又はペプチドは少なくとも2つのアミノ酸を含まなくてはならず、タンパク質の又はペプチドの配列を含むことができるアミノ酸の最大数は限定されない。ポリペプチドは、ペプチド結合により互いに結合された2つ又はそれ以上のアミノ酸を含む任意のペプチド又はタンパク質を含む。本明細書中で使用する場合、この用語は、短鎖(例えば、当技術分野において一般にペプチド、オリゴペプチド、及びオリゴマーとしても言及される)及び長鎖(当技術分野において一般的にタンパク質として言及される)の両方を指し、そのうち、多くの型がある。「ポリペプチド」は、例えば、とりわけ、生物学的に活性なフラグメント、実質的に相同なポリペプチド、オリゴペプチド、ホモ二量体、ヘテロ二量体、ポリペプチドの変異体、修飾ポリペプチド、誘導体、類似体、融合タンパク質を含む。ポリペプチドは、天然ペプチド、組換えペプチド、合成ペプチド、又はそれらの組み合わせを含む。
【0058】
用語「特異的に結合する」により、抗体に関して本明細書中で使用する場合、特定の抗原を認識するが、しかし、サンプル中の他の分子を実質的に認識しない又は結合しない抗体を意味する。例えば、1つの種からの抗原に特異的に結合する抗体はまた、1つ以上の他の種からのその抗原に結合しうる。しかし、そのような種間反応性それ自体によって、特異的としての抗体の分類は変わらない。別の例において、抗原に特異的に結合する抗体はまた、抗原の異なる対立遺伝子形態に結合しうる。しかし、そのような交差反応性それ自体によって、特異的としての抗体の分類は変わらない。一部の例において、用語「特異的結合」又は「特異的に結合する」は、抗体、タンパク質、又はペプチドと第2の化学種との相互作用への参照において使用することができ、相互作用が化学種上の特定の構造(例、抗原決定基又はエピトープ)の存在に依存的であることを意味する;例えば、抗体は、一般的に、タンパク質よりむしろ、特定のタンパク質構造を認識して結合する。抗体がエピトープ「A」について特異的である場合、標識「A」及び抗体を含む反応において、エピトープA(又は遊離の非標識A)を含む分子の存在によって、抗体に結合された標識Aの量が低下しうる。
【0059】
本明細書中で使用する用語「治療的」は、処置及び/又は予防を意味する。治療効果は、疾患又は障害状態の少なくとも1つの徴候又は症状の抑制、減少、緩解、又は根絶により得られる。
【0060】
用語「治療有効量」は、研究者、獣医、医師、又は他の臨床医により求められている組織、システム、又は対象の生物学的又は医学的応答を誘発する対象化合物の量を指す。用語「治療有効量」は、投与された場合、処置されている障害又は疾患の徴候又は症状の1つ以上の発生を予防する、又はある程度まで軽減するために十分である化合物の量を含む。治療有効量は、処置される対象の化合物、疾患及びその重症度、ならびに年齢、体重などに依存して変動しうる。
【0061】
疾患を「処置する」ことは、この用語を本明細書中で使用する場合、対象により経験される疾患又は障害の少なくとも1つの徴候又は症状の頻度又は重症度を低下させることを意味する。
【0062】
本明細書中で使用する用語「トランスフェクトされた」又は「形質転換された」又は「形質導入された」は、外因性核酸が宿主細胞中に移入又は導入される過程を指す。「トランスフェクトされた」又は「形質転換された」又は「形質導入された」細胞は、外因性核酸でトランスフェクト、形質転換、又は形質導入されている細胞である。この細胞は、初代の対象細胞及びその後代を含む。
【0063】
「ベクター」は、単離された核酸を含み、単離された核酸を細胞の内部に送達するために使用することができる物質の組成物である。多数のベクターが当技術分野において公知であり、線状ポリヌクレオチド、イオン性又は両親媒性化合物に関連付けられるポリヌクレオチド、プラスミド、及びウイルスを含むが、これらに限定されない。このように、用語「ベクター」は、自律的に複製するプラスミド又はウイルスを含む。この用語はまた、細胞中への核酸の移入を促進する非プラスミド及び非ウイルス化合物、例えば、ポリリジン化合物、リポソームなどを含むと解釈すべきである。ウイルスベクターの例は、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター、レトロウイルスベクターなどを含むが、これらに限定されない。
【0064】
範囲:本開示を通して、本発明の種々の態様を範囲形式において提示することができる。範囲形式における記載は、単に便宜及び簡潔のためであり、本発明の範囲に対する柔軟性のない限定として解釈すべきではないことを理解すべきである。したがって、範囲の説明は、全ての可能な部分範囲ならびにその範囲内の個々の数値を具体的に開示していると考えるべきである。例えば、範囲、例えば1から6などの記載は、部分範囲、例えば1から3、1から4、1から5、2から4、2から6、3から6など、ならびにその範囲内の個々の数、例えば、1、2、2.7、3、4、5、5.3、及び6を具体的に開示していると考えるべきである。これは、範囲の幅に関係なく適用される。
【0065】
記載
【0066】
本発明は、それを必要とする対象での免疫特権組織における疾患又は障害を処置するための組成物及び方法を提供する。本発明は、メモリーCD4 T細胞が、免疫特権組織への抗体アクセスを可能にするために要求されるという発見に部分的に基づいている。例えば、本明細書中では、抗体及びCD4 T細胞の両方が、遠位部位での免疫化後に宿主を保護するために要求されることが実証されている。メモリーCD4 T細胞が免疫特権組織に遊走し、インターフェロン-γを分泌し、及び血管透過性の局所的増加を媒介し、抗体アクセスを可能にすることが示されている。この結果によって、感染を制限するのに役立つ、感染の末梢部位へ抗体を動員する際での、以前には価値が認められていなかったCD4 T細胞の役割が明らかになる。
【0067】
本発明は、第1の薬剤及び第2の薬剤を含む、疾患又は障害を処置又は予防するための組成物を提供する。一実施形態において、第1の薬剤は、対象において免疫応答を誘導する。例えば、一実施形態において、第1の薬剤は、メモリーCD4 T細胞の活性化及び産生を誘導する。一部の実施形態において、第1の薬剤は、免疫応答を誘導する免疫原性組成物(例、ワクチン)である。一実施形態において、第2の薬剤は、疾患又は障害に向けられた治療用薬剤である。例えば、一実施形態において、第2の薬剤は、疾患又は障害に関連付けられる抗原に特異的に結合する抗体又は抗体フラグメントである。第1の薬剤により誘導されたメモリーCD4 T細胞は、第2の薬剤が免疫特権組織にアクセスすることを可能にする。
【0068】
本発明は、それを必要とする対象において免疫特権組織の疾患又は障害を処置又は予防するための方法を提供する。
【0069】
一実施形態において、この方法は、対象に第1の薬剤及び第2の薬剤を投与することを含む。一実施形態において、第1の薬剤は、対象において免疫応答を誘導する。例えば、一実施形態において、第1の薬剤は、メモリーCD4 T細胞の活性化及び産生を誘導する。一部の実施形態において、第1の薬剤は、免疫応答を誘導する免疫原性組成物(例、ワクチン)である。一実施形態において、第2の薬剤は、疾患又は障害に向けられた治療用薬剤である。例えば、一実施形態において、第2の薬剤は、疾患又は障害に関連付けられる抗原に特異的に結合する抗体又は抗体フラグメントである。一実施形態において、この方法は、対象において免疫応答を誘導するワクチンを投与すること;及び疾患又は障害に関連付けられる抗原に結合する治療用抗体又は抗体フラグメントを投与することを含む。
【0070】
一実施形態において、本発明の組成物及び方法を使用し、任意の免疫特権組織(脳、脊髄、末梢神経系、精巣、眼、胎盤、肝臓、膵臓などを含むが、これらに限定されない)において疾患又は障害を処置又は予防してもよい。
【0071】
一実施形態において、本発明の組成物及び方法を使用し、任意の病原性感染(ウイルス感染、細菌感染、真菌感染、寄生虫感染、蠕虫感染などを含むが、これらに限定されない)を処置又は予防してもよい。
【0072】
一実施形態において、本発明の組成物及び方法を使用し、がんを処置又は予防してもよい。
【0073】
一実施形態において、本発明の組成物及び方法を使用し、神経学的障害(アルツハイマー病を含むが、これに限定されない)を処置又は予防してもよい。
【0074】
組成物
【0075】
本発明は、第1の薬剤及び少なくとも1つの追加の薬剤を含む、疾患又は障害を処置又は予防するための組成物を提供する。一実施形態において、第1の薬剤は、対象において免疫応答を誘導する。一部の実施形態において、第1の薬剤は、免疫応答を誘導する免疫原性薬剤(例、抗原性ペプチド)である。
【0076】
一実施形態において、少なくとも1つの追加の薬剤は、チェックポイント阻害剤である。一実施形態において、少なくとも1つの追加の薬剤は、1つ以上の免疫応答チェックポイントタンパク質に対して標的化された抗体又は抗体フラグメントである。例えば、一実施形態において、第2の薬剤は、PD-1、PDL-1 CTLA-4、LAG-3、TIM-3、CEACAM1、TIGITなどに特異的に結合する抗体又は抗体フラグメントである。
【0077】
一実施形態において、少なくとも1つの追加の薬剤は、疾患又は障害の処置のための治療用薬剤である。一実施形態において、少なくとも1つの追加の薬剤は、疾患又は障害に関連付けられる抗原に対して標的化された抗体又は抗体フラグメントである。例えば、一実施形態において、第2の薬剤は、抗原に特異的に結合する抗体又は抗体フラグメントである。
【0078】
免疫原性薬剤
【0079】
一実施形態において、本発明の組成物は、免疫原性薬剤を含む。一部の実施形態において、免疫原性薬剤は、抗原特異的免疫応答を誘導するペプチド、核酸分子、細胞などを含む。例えば、一実施形態において、免疫原性薬剤は抗原を含む。一部の実施形態において、薬剤は、処置されている疾患又は障害に関連付けられる。一部の実施形態において、抗原は、処置されている病原性感染に関連付けられる。一部の実施形態において、抗原は、腫瘍特異的抗原又は腫瘍関連抗原である。
【0080】
一部の実施形態において、免疫原性薬剤はワクチンである。免疫原性薬剤がワクチンとして有用であるためには、免疫原性薬剤は、細胞、組織、又は哺乳動物(例、ヒト)において抗原に対する免疫応答を誘導しなければならない。一部の実施形態において、ワクチンは、哺乳動物において防御免疫応答を誘導する。一実施形態において、ワクチンは、哺乳動物においてメモリーCD4 T細胞の活性化及び産生を誘導する。本明細書中で使用する場合、「免疫原性薬剤」は、抗原(例、ペプチド又はポリペプチド)、抗原をコードする核酸(例、抗原発現ベクター)、及び抗原又は細胞成分を発現又は提示する細胞を含みうる。一部の実施形態において、免疫原性薬剤は、不活化病原体、弱毒化病原体、温度感受性病原体などであり、それらは病原体特異的免疫応答を誘導するために使用することができる。
【0081】
一部の実施形態において、抗原は、ウイルス抗原(インフルエンザウイルス、ジカウイルス、エボラウイルス、日本脳炎ウイルス、ムンプスウイルス、麻疹ウイルス、狂犬病ウイルス、水痘帯状疱疹、エプスタインバーウイルス(HHV-4)、サイトメガロウイルス、単純ヘルペスウイルス1(HSV-1)及び単純ヘルペスウイルス2(HSV-2)、ヒト免疫不全ウイルス-1(HIV-1)、JCウイルス、アルボウイルス(arborviruses)、エンテロウイルス、及びウェストナイルウイルス、デングウイルス、ポリオウイルス、及び水痘帯状疱疹ウイルスの抗原を含むが、これらに限定されない)を含む。一部の実施形態において、抗原は、細菌抗原(ストレプトコッカス・ニューモニアエ、ナイセリア・メニンギティディス(Neisseria meningitides)、ストレプトコッカス・アガラクチア、及び大腸菌の抗原を含むが、これらに限定されない)を含む。一部の実施形態において、抗原は、真菌又は原虫の抗原(カンジダ症、アスペルギルス症、クリプトコッカス症、及びトキソプラズマ・ゴンディの抗原を含むが、これらに限定されない)を含む。
【0082】
一部の実施形態において、抗原は、腫瘍特異的抗原又は腫瘍関連抗原を含み、以下を含むが、これらに限定されない:分化抗原、例えばMART-1/MelanA(MART-1)、gp100(Pmel 17)、チロシナーゼ、TRP-1、TRP-2など、及び腫瘍特異的多系統抗原、例えばMAGE-1、MAGE-3、BAGE、GAGE-1、GAGE-2、p15など;過剰発現された胚性抗原、例えばCEAなど、及び他のがん生殖系列関連腫瘍抗原(イントロン領域又は非コード領域中でしばしば見出されるペプチド、例えばNY-ESO1、MAGE-Cファミリーなどを含む)、及び内因性レトロエレメントから由来する抗原、過剰発現されたがん遺伝子及び変異した腫瘍抑制遺伝子、例えばp53、Ras、HER-2/neuなど;染色体転座から起因する固有の腫瘍抗原;例えばBCR-ABL、E2A-PRL、H4-RET、IGH-IGK、MYL-RARなど;及びウイルス抗原、例えばエプスタインバーウイルス抗原、インフルエンザウイルス抗原、CMVウイルス抗原、水疱性口内炎ウイルス(VSV)抗原、及びヒトパピローマウイルス(HPV)抗原など。他の大きなタンパク質ベースの抗原は、TSP-180、MAGE-4、MAGE-5、MAGE-6、RAGE、NY-ESO、p185erbB2、p180erbB-3、c-met、nm-23H1、PSA、TAG-72、CA 19-9、CA 72-4、CAM 17.1、NuMa、K-ras、ベータ-カテニン、CDK4、Mum-1、p 15、p 16、43-9F、5T4、791Tgp72、アルファ-フェトプロテイン、ベータ-HCG、BCA225、BTAA、CA 125、CA 15-3\CA 27.29\BCAA、CA 195、CA 242、CA-50、CAM43、CD68\P1、CO-029、FGF-5、G250、Ga733\EpCAM、HTgp-175、M344、MA-50、MG7-Ag、MOV18、NB/70K、NY-CO-1、RCAS1、SDCCAG16、TA-90\Mac-2結合タンパク質\シクロフィリンC関連タンパク質、TAAL6、TAG72、TLP、Aim2、Art-4、EphA2、EZH2、Fosl1、PTH-rP、Sox11、Whsc2、YKL-40、及びTPSを含む。
【0083】
一部の実施形態において、免疫原性薬剤はMHCクラスII抗原性ペプチドである。MHCクラスIIペプチドは、MHCクラスII分子上にロードされる抗原性ペプチドであって、複合体全体が細胞膜表面に移動し、そこでペプチド特異的CD4 T細胞(ヘルパーT細胞)がそれを認識することができる。MHCクラスII分子は、HLA-DP、HLA-DM、HLA-DOA、HLA-DOB、HLA-DQ、HLA-DR、HLA-DPA1、HLA-DPB1、HLA-DQA1、HLA-DQB1、HLA-DRA、HLA-DRB1及びサブセット(-A1-B1から-B3から-B5を含む)を含むが、これらに限定されない。
【表1】
【0084】
一部の実施形態において、抗原は、神経学的障害に関連付けられる抗原を含む。神経障害に関連付けられる例示的な抗原は、Aβ、タウ、BACE1、α-シヌクレイン、ハンチンチン、TAR-DNA結合タンパク質43kDA、スーパーオキシドジスムターゼ1、プリオンタンパク質、及びそれらのフラグメントの種々の単量体及び凝集形態を含むが、これらに限定されない。
【0085】
一部の実施形態において、免疫原性薬剤は、病原体、腫瘍、又は神経学的障害に関連付けられる全長タンパク質を含む。例えば、一実施形態において、免疫原性薬剤は、全長破傷風トキソイド(TT)タンパク質を含む。
【0086】
本発明の抗原性ペプチド又はタンパク質は、化学的方法を使用して作製されうる。例えば、ペプチドは、固相技術(Roberge J Y et al (1995) Science 269: 202-204)により合成され、樹脂から切断され、分取高速液体クロマトグラフィーにより精製することができる。自動合成は、例えば、製造業者により提供された説明書に従って、ABI 431 Aペプチドシンセサイザー(Perkin Elmer)を使用して達成されうる。
【0087】
本発明はまた、本明細書中に開示されるタンパク質又はペプチドと実質的な相同性を有する任意の形態のタンパク質又はペプチドを含むと解釈すべきである。一部の実施形態において、「実質的に相同」であるペプチドは、親タンパク質又はペプチドのアミノ酸配列と約50%相同、約70%相同、約80%相同、約90%相同、約95%相同、又は約99%相同である。
【0088】
抗原性ペプチド又はタンパク質は、あるいは、組換え手段により、又はより長いポリペプチドからの切断により作製されうる。ペプチドの組成はアミノ酸分析又は配列決定により確認されうる。
【0089】
本発明による抗原性ペプチド又はタンパク質の変異体は、(i)アミノ酸残基の1つ以上が保存又は非保存アミノ酸残基で置換されており、そのような置換されたアミノ酸残基が、遺伝子コードによりコードされているものである又はされていないものである変異体、(ii)1つ以上の修飾アミノ酸残基、例えば、置換基の付着により修飾される残基がある変異体、(iii)ペプチドが本発明のペプチドの代替スプライス変異体である変異体、(iv)ペプチドのフラグメント、ならびに/あるいは(v)ペプチドが別のペプチド、例えばリーダー配列もしくは分泌配列又は精製(例えば、Hisタグ)のために又は検出(例、Sv5ペプチドタグ)のために用いられる配列などと融合されている変異体でありうる。フラグメントは、本来の配列のタンパク質分解切断(多部位タンパク質分解を含む)を介して生成されたペプチドを含む。変異体は、翻訳後に、又は化学的に修飾されうる。そのような変異体は、本明細書中の教示から当業者の範囲内にあると見なされる。
【0090】
当技術分野において公知であるように、2つのペプチド間の「類似性」は、1つのポリペプチドのアミノ酸配列及びその保存されたアミノ酸置換を、第2のポリペプチドの配列と比較することにより決定する。変異体は、本来の配列とは異なり、例えば、目的のセグメントあたりの残基の40%未満において、目的のセグメントあたりの残基の25%未満において、目的のセグメントあたりの残基の10%未満において、又は目的のセグメントあたりの数残基において本来の配列とは異なり、同時に本来の配列と十分に相同であり、本来の配列の機能性を保存するペプチド配列を含むように定義される。本発明は、本来のアミノ酸配列と少なくとも60%、65%、70%、72%、74%、76%、78%、80%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%類似又は同一であるアミノ酸配列を含む。2つのペプチドの間での同一性の程度は、当業者には広く公知であるコンピュータアルゴリズム及び方法を使用して決定する。一部の実施形態において、2つのアミノ酸配列の間での同一性を、BLASTPアルゴリズムを使用することにより決定する[BLAST Manual, Altschul, S., et al., NCBI NLM NIH Bethesda, Md. 20894, Altschul, S., et al., J. Mol. Biol. 215: 403-410 (1990)]。
【0091】
本発明の抗原性ペプチド又はタンパク質は、翻訳後に修飾することができる。例えば、本発明の範囲内に入る翻訳後修飾は、シグナルペプチド切断、グリコシル化、アセチル化、イソプレニル化、タンパク質分解、ミリストイル化、タンパク質フォールディング及びタンパク質分解プロセシングなどを含む。一部の修飾又はプロセシング事象は、追加的な生物学的機構の導入を要求する。例えば、プロセシング事象、例えばシグナルペプチド切断及びコアグリコシル化などは、イヌのミクロソーム膜又はゼノパス卵抽出物(米国特許第6,103,489号)を標準的な翻訳反応に加えることにより調べられる。本発明の抗原性ペプチド又はタンパク質は、従来の方法、例えばReedijkら(The EMBO Journal 11(4):1365, 1992)において記載されている方法などを使用してリン酸化されうる。
【0092】
本発明の抗原性ペプチド又はタンパク質は、翻訳後修飾により、又は翻訳の間に非天然アミノ酸を導入することにより形成される非天然アミノ酸を含みうる。多様なアプローチが、タンパク質翻訳の間に非天然アミノ酸を導入するために利用可能である。
【0093】
本発明の抗原性ペプチド又はタンパク質は、融合タンパク質を調製するために、他の分子、例えばタンパク質などとコンジュゲートされうる。これは、結果として得られる融合タンパク質が、CD4 T細胞免疫応答を誘導する機能性を保持しているという条件で、例えば、N末端又はC末端融合タンパク質の合成により達成されうる。
【0094】
本発明のペプチドの環状誘導体が、また、本発明の一部である。環化によって、ペプチドは他の分子との会合のためにより好ましい立体構造をとることが可能になりうる。環化は、当技術分野において公知の技術を使用して達成されうる。例えば、ジスルフィド結合が、遊離スルフヒドリル基を有する2つの適切に間隔が置かれた成分の間に形成されうる、又はアミド結合が、1つの成分のアミノ基と別の成分のカルボキシル基の間に形成されうる。環化はまた、Ulysse, L., et al., J. Am. Chem. Soc. 1995, 117, 8466-8467により記載されているように、アゾベンゼン含有アミノ酸を使用して達成されうる。結合を形成する成分は、アミノ酸の側鎖、非アミノ酸成分、又はその2つの組み合わせでありうる。本発明の実施形態において、環状ペプチドは、正しい位置においてベータターンを含みうる。ベータターンは、アミノ酸Pro-Glyを正しい位置に加えることにより、本発明のペプチド中に導入されうる。
【0095】
上に記載するように、ペプチド結合連結を含む環状ペプチドよりも柔軟である環状ペプチドを産生することが望ましいであろう。より柔軟なペプチドは、ペプチドの左右の位置にシステインを導入し、2つのシステインの間にジスルフィド架橋を形成することにより調製されうる。2つのシステインは、ベータシート及びターンを変形させないように配置されている。このペプチドは、ジスルフィド連結の長さ及びベータシート部分におけるより小さな数の水素結合の結果として、より柔軟である。環状ペプチドの相対的な柔軟性は、分子動力学シミュレーションにより決定することができる。
【0096】
本発明はまた、標的タンパク質に融合された、又はその中に組み込まれた抗原性ペプチド、ならびに/あるいはキメラタンパク質を所望の細胞成分又は細胞型もしくは組織に向けることが可能な標的化ドメインに関する。キメラタンパク質はまた、追加のアミノ酸配列又はドメインを含みうる。キメラタンパク質は、種々の成分が異なる供給源からであるという意味において組換えであり、そのようなものとして、自然において一緒に見出されない(即ち、異種である)。
【0097】
一実施形態では、標的化ドメインは、膜貫通ドメイン、膜結合ドメイン、又はタンパク質が、例えば、小胞と又は核と会合するように向ける配列でありうる。一実施形態において、標的化ドメインは、ペプチドを特定の細胞型又は組織に標的化することができる。例えば、標的化ドメインは、細胞表面リガンド又は標的組織の細胞表面抗原に対する抗体でありうる。標的化ドメインは、本発明のペプチドを細胞成分に標的化しうる。
【0098】
本発明の抗原性ペプチドは、従来の技術により合成されうる。例えば、ペプチド又はキメラタンパク質は、固相ペプチド合成を使用した化学合成により合成されうる。これらの方法は、固相又は液相のいずれかの合成方法を用いる(例えば、固相合成技術については、J. M. Stewart, and J. D. Young, Solid Phase Peptide Synthesis, 2nd Ed., Pierce Chemical Co., Rockford Ill. (1984)及びG. Barany and R. B. Merrifield, The Peptides: Analysis Synthesis, Biology editors E. Gross and J. Meienhofer Vol. 2 Academic Press, New York, 1980, pp. 3-254;ならびに、古典的な溶液合成については、M Bodansky, Principles of Peptide Synthesis, Springer-Verlag, Berlin 1984、及びE. Gross and J. Meienhofer, Eds., The Peptides: Analysis, Synthesis, Biology, Vol 1を参照のこと)。例として、本発明のペプチドは、N-フルオレニルメトキシ-カルボニル-O-ベンジル-L-ホスホスレオニン誘導体としてのホスホスレオニンの直接的な組み込みを伴う9-フルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc)固相化学を使用して合成されうる。
【0099】
他の分子とコンジュゲートされた本発明のペプチド又はキメラタンパク質を含むN末端又はC末端融合タンパク質は、組換え技術を通じて、ペプチド又はキメラタンパク質のN末端又はC末端、及び所望の生物学的機能を伴う、選択されたタンパク質又は選択可能なマーカーの配列を融合することにより調製されうる。結果としての融合タンパク質は、本明細書中に記載するように、選択されたタンパク質又はマーカータンパク質に融合された抗原性ペプチド又はタンパク質を含む。融合タンパク質を調製するために使用されうるタンパク質の例は、免疫グロブリン、グルタチオン-S-トランスフェラーゼ(GST)、血球凝集素(HA)、及び切断型mycを含む。
【0100】
本発明のペプチドは、生物学的発現システムを使用して開発されうる。これらのシステムの使用によって、ランダムペプチド配列の大きなライブラリーの産生及び特定のタンパク質に結合するペプチド配列についてのこれらのライブラリーのスクリーニングが可能になる。ライブラリーは、ランダムペプチド配列をコードする合成DNAを、適切な発現ベクター中にクローン化することにより産生されうる(Christian et al 1992, J. Mol. Biol. 227:711;Devlin et al, 1990 Science 249:404;Cwirla et al 1990, Proc. Natl. Acad, Sci. USA, 87:6378を参照のこと)。ライブラリーはまた、重複するペプチドの同時合成により構築されうる(米国特許第4,708,871号を参照のこと)。
【0101】
本発明のペプチド及びキメラタンパク質は、無機酸、例えば塩酸、硫酸、臭化水素酸、リン酸など、又は有機酸、例えばギ酸、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、乳酸、ピルビン酸、シュウ酸、コハク酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、サリチル酸、ベネゼンスルホン酸、及びトルエンスルホン酸などと反応することにより医薬的塩に変換されうる。
【0102】
一実施形態において、本発明は、抗原性ペプチド又はタンパク質、あるいはその生物学的に機能的なフラグメントをコードする単離された核酸を含む組成物を提供する。
【0103】
抗原性タンパク質又はペプチドをコードする、単離された核酸配列は、当技術分野において公知の多くの組換え方法のいずれかを使用して、例えば、標準的な技術を使用して、この遺伝子を発現する細胞からライブラリーをスクリーニングすることにより、同遺伝子を含むことが公知であるベクターから遺伝子を得ることにより、又は同遺伝子を含む細胞や組織から直接的に単離することにより得ることができる。あるいは、目的の遺伝子は、クローン化するよりもむしろ、合成的に産生することができる。
【0104】
単離された核酸は、任意の型の核酸(DNA及びRNAを含むが、これらに限定されない)を含みうる。例えば、一実施形態において、組成物は、単離されたDNA分子(例えば、抗原性タンパク質又はペプチド、あるいはその機能的フラグメントをコードする単離されたcDNA分子を含む)を含む。一実施形態において、組成物は、抗原性タンパク質又はペプチド、あるいはその機能的フラグメントをコードする単離されたRNA分子を含む。
【0105】
本発明の核酸分子は、血清中での又は細胞培養用の増殖培地中での安定性を改善するように改変することができる。改変を加えて、安定性、機能性、及び/又は特異性を増強し、本発明の核酸分子の免疫刺激特性を最小化することができる。例えば、安定性を増強するために、3’残基は、分解に対して安定化されうるが、例えば、それらは、それらが、プリンヌクレオチド、特にアデノシンヌクレオチド又はグアノシンヌクレオチドからなるように選択されうる。あるいは、修飾された類似体によるピリミジンヌクレオチドの置換、例えば、2’-デオキシチミジンによるウリジンの置換は許容され、分子の機能に影響しない。
【0106】
本発明の一実施形態において、核酸分子は、少なくとも1つの修飾ヌクレオチド類似体を含みうる。例えば、末端は、修飾ヌクレオチド類似体を組み込むことにより安定化されうる。
【0107】
ヌクレオチド類似体の非限定的な例は、糖及び/又は骨格修飾リボヌクレオチドを含む(即ち、リン酸糖骨格への修飾を含む)。例えば、天然RNAのホスホジエステル連結は、窒素又は硫黄のヘテロ原子のうちの少なくとも1つを含むように修飾されうる。一部の骨格修飾リボヌクレオチドにおいて、隣接するリボヌクレオチドに接続するホスホエステル基は、例えば、ホスホチオエート基の修飾基により置き換えられている。一部の糖修飾リボヌクレオチドにおいて、2’OH基は、H、OR、R、ハロ、SH、SR、NH2、NHR、NR2、又はONより選択される基により置き換えられ、ここで、RはC1-C6アルキル、アルケニル、又はアルキニルであり、ハロはF、Cl、Br、又はIである。
【0108】
修飾の他の例は、天然核酸塩基の代わりに少なくとも1つの非天然核酸塩基を含む、核酸塩基修飾リボヌクレオチド、即ち、リボヌクレオチドである。塩基は、アデノシンデアミナーゼの活性を遮断するように修飾されうる。例示的な修飾核酸塩基は、5位で修飾されたウリジン及び/又はシチジン、例えば、5-(2-アミノ)プロピルウリジン、5-ブロモウリジン;8位で修飾されたアデノシン及び/又はグアノシン、例えば、8-ブロモグアノシン;デアザヌクレオチド、例えば、7-デアザ-アデノシン;O-及びN-アルキル化ヌクレオチド、例えば、N6-メチルアデノシンを含み、これらに限定されないが、適切である。上の修飾を組み合わせてもよいことに注意すべきである。
【0109】
一部の実施形態において、核酸分子は、以下の化学修飾の少なくとも1つを含む:1つ以上のヌクレオチドの2’-H、2’-O-メチル、又は2’-OH修飾。特定の実施形態において、本発明の核酸分子は、ヌクレアーゼに対する増強された耐性を有することができる。増加したヌクレアーゼ耐性のために、核酸分子は、例えば、2’修飾リボース単位及び/又はホスホロチオエート連結を含むことができる。例えば、2’ヒドロキシル基(OH)は、多数の異なる「オキシ」又は「デオキシ」置換基で修飾又は置き換えることができる。増加したヌクレアーゼ耐性のために、本発明の核酸分子は、2’-O-メチル、2’-フッ素、2’-O-メトキシエチル、2’-O-アミノプロピル、2’-アミノ、及び/又はホスホロチオエート連結を含むことができる。ロックド核酸(LNA)、エチレン核酸(ENA)、例えば、2’-4’-エチレン架橋核酸、及び特定の核酸塩基修飾、例えば2-アミノ-A、2-チオ(例、2-チオ-U)、Gクランプ修飾の包含によって、また、標的への結合親和性が増加する。
【0110】
一実施形態において、核酸分子は、2’修飾ヌクレオチド、例えば、2’-デオキシ、2’-デオキシ-2’-フルオロ、2’-O-メチル、2’-O-メトキシエチル(2’-O-MOE)、2’-O-アミノプロピル(2’-O-AP)、2’-O-ジメチルアミノエチル(2’-O-DMAOE)、2’-O-ジメチルアミノプロピル(2’-O-DMAP)、2’-O-ジメチルアミノエチルオキシエチル(2’-O-DMAEOE)、又は2’-O-N-メチルアセトアミド(2’-O-NMA)を含む。一実施形態において、核酸分子は、少なくとも1つの2’-O-メチル修飾ヌクレオチドを含み、一部の実施形態において、核酸分子のヌクレオチドの全てが、2’-O-メチル修飾を含む。
【0111】
本明細書中で議論される核酸薬剤は、他に未修飾のRNA及びDNA、ならびに、例えば、有効性を改善するために修飾されているRNA及びDNA、ならびにヌクレオシド代替物のポリマーを含む。未修飾RNAは、核酸の成分、すなわち、糖、塩基、及びリン酸部分が、自然において生じるものと、例えば、ヒトの身体において自然に生じるのと同じ又は本質的に同じである分子を指す。当技術分野では、修飾RNAとして、稀な又は異常な、しかし、天然のRNAが言及されてきた。例えば、Limbachら(Nucleic Acids Res., 1994, 22:2183-2196)を参照のこと。そのような稀な又は異常なRNAは、しばしば修飾RNAと呼ばれ、典型的には、転写後修飾の結果であり、本明細書中で使用される用語「非修飾RNA」内にある。修飾RNAは、本明細書中で使用する場合、核酸の1つ以上の成分、すなわち、糖、塩基、及びリン酸部分が、自然において生じるものとは異なる、例えば、ヒトの身体において生じるのとは異なる分子を指す。それらは「修飾RNA」として言及される一方で、それらは、もちろん、修飾のため、厳密に言えばRNAではない分子を含みうる。ヌクレオシド代替物は、リボホスフェート骨格が非リボホスフェート構築物(それによって、ハイブリダイゼーションがリボホスフェート骨格で見られるもの、例えば、リボホスフェート骨格の非荷電模倣物と実質的に類似するように、塩基が正しい空間的関係において提示されることが可能になる)で置き換えられている分子である。
【0112】
本発明の核酸の修飾は、リン酸基、糖基、骨格、N末端、C末端、又は核酸塩基の1つ以上に存在しうる。
【0113】
本発明はまた、本発明の単離された核酸が挿入されるベクターを含む。当技術分野では、本発明において有用である、適したベクターが豊富である。
【0114】
一部の実施形態において、抗原性タンパク質又はペプチドをコードする天然又は合成核酸の発現は、典型的には、抗原性タンパク質もしくはペプチド又はその一部をコードする核酸をプロモーターに作動可能に連結し、構築物を発現ベクター中に組み込むことにより達成される。使用されるベクターは、複製のために、及び、場合により、真核細胞中への組み込みのために適している。典型的なベクターは、転写及び翻訳ターミネーター、開始配列、ならびに所望の核酸配列の発現の調節のために有用なプロモーターを含む。
【0115】
本発明のベクターはまた、標準的な遺伝子送達プロトコルを使用し、核酸免疫化及び遺伝子治療のために使用されうる。遺伝子送達のための方法は当技術分野において公知である。例えば、参照によりそれらの全体において本明細書中に組み込まれる、米国特許第5,399,346号、第5,580,859号、第5,589,466号を参照のこと。別の実施形態において、本発明は、遺伝子治療ベクターを提供する。
【0116】
本発明の単離された核酸は、多数の型のベクター中にクローン化することができる。例えば、核酸は、ベクター(プラスミド、ファージミド、ファージ誘導体、動物ウイルス、及びコスミドを含むが、これらに限定されない)中にクローン化することができる。特定の目的のベクターは、発現ベクター、複製ベクター、プローブ生成ベクター、及び配列決定ベクターを含む。
【0117】
さらに、ベクターは、ウイルスベクターの形態において細胞に提供されうる。ウイルスベクター技術は当技術分野において周知であり、例えば、Sambrookら(2012, Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory, New York)、ならびに他のウイルス学及び分子生物学のマニュアルにおいて記載されている。ウイルスは、ベクターとして有用であり、レトロウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、ヘルペスウイルス、及びレンチウイルスを含むが、これらに限定されない。一般的に、適したベクターは、少なくとも1つの生物において機能的な複製の起点、プロモーター配列、便利な制限エンドヌクレアーゼ部位、及び1つ以上の選択可能なマーカー(例、WO 01/96584;WO 01/29058;及び米国特許第6,326,193号)を含む。
【0118】
多くのウイルスベースのシステムが、哺乳動物細胞中への遺伝子移入のために開発されてきた。例えば、レトロウイルスは、遺伝子送達システムのための便利なプラットフォームを提供する。選択された遺伝子は、当技術分野において公知の技術を使用し、ベクター中に挿入し、レトロウイルス粒子中にパッケージ化することができる。組換えウイルスを次に単離し、インビボ又はエクスビボのいずれかで対象の細胞に送達することができる。多数のレトロウイルスシステムが当技術分野において公知である。一部の実施形態において、アデノウイルスベクターが使用される。多数のアデノウイルスベクターが当技術分野において公知である。一実施形態において、レンチウイルスベクターが使用される。
【0119】
例えば、レトロウイルス、例えばレンチウイルスなどから由来するベクターは、長期的な遺伝子移入を達成するための適したツールである。なぜなら、それらによって、導入遺伝子の長期的で安定した組込み及び娘細胞におけるその伝播が可能になるためである。レンチウイルスベクターは、それらが、非増殖細胞、例えば肝細胞などを形質導入できるという点で、腫瘍レトロウイルス、例えばマウス白血病ウイルスなどから由来するベクターを上回る追加の利点を有する。それらはまた、低い免疫原性の追加の利点を有する。一実施形態において、組成物は、アデノ随伴ウイルス(AAV)から由来するベクターを含む。アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターは、種々の障害の処置のための強力な遺伝子送達ツールになっている。AAVベクターは、それらを遺伝子治療のために理想的に適したものにする多数の特色を持つ(病原性の欠如、最小限の免疫原性、ならびに安定的な及び効率的な様式において有糸分裂後の細胞を形質導入する能力を含む)。AAVベクター内に含まれる特定の遺伝子の発現は、AAV血清型、プロモーター、及び送達方法の適切な組み合わせを選ぶことにより、1つ以上の型の細胞に特異的に標的化することができる。
【0120】
特定の実施形態において、ベクターはまた、プラスミドベクターでトランスフェクトされた、又は本発明により産生されたウイルスで感染された細胞におけるその転写、翻訳、及び/又は発現を可能にする様式において導入遺伝子に作動可能に連結される従来の制御要素を含む。本明細書中で使用する場合、「作動可能に連結された」配列は、目的の遺伝子に隣接する発現制御配列及び目的の遺伝子を制御するためにトランスにおいて又は離れて作用する発現制御配列の両方を含む。発現制御配列は、適切な転写開始配列、終結配列、プロモーター配列、及びエンハンサー配列;効率的なRNAプロセッシングシグナル、例えばスプライシングシグナル及びポリアデニル化(polyA)シグナルなど;細胞質mRNAを安定化する配列;翻訳効率を増強する配列(即ち、コザックコンセンサス配列);タンパク質の安定性を増強する配列;ならびに、所望の場合、コード化された産物の分泌を増強する配列を含む。多数の発現制御配列(天然の、構成的な、誘導性及び/又は組織特異的であるプロモーターを含む)が当技術分野において公知であり、利用されうる。
【0121】
追加的なプロモーターエレメント(例、エンハンサー)によって、転写開始の頻度が調節される。典型的には、これらは開始部位の30~110bp上流領域において位置するが、多数のプロモーターが開始部位の下流にも機能的エレメントを含むことが最近示されている。プロモーターエレメントの間での間隔は頻繁に柔軟であり、プロモーター機能が、エレメントが互いに反転又は移動した場合に維持される。チミジンキナーゼ(tk)プロモーターにおいて、プロモーターエレメント間の間隔を、活性が低下し始める前に、50bp離れるまで増加させることができる。プロモーターに依存して、個々のエレメントが協同的又は非依存的のいずれかで機能し、転写を活性化することができるように見える。
【0122】
適したプロモーターの1つの例は、最初期サイトメガロウイルス(CMV)プロモーター配列である。このプロモーター配列は、それに作動可能に連結された任意のポリヌクレオチド配列の高レベルの発現を駆動することが可能な強い構成的プロモーター配列である。適したプロモーターの別の例は、伸長成長因子-1α(EF-1α)である。しかし、他の構成的プロモーター配列(サルウイルス40(SV40)初期プロモーター、マウス乳腺腫瘍ウイルス(MMTV)、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)長い末端反復(LTR)プロモーター、MoMuLVプロモーター、トリ白血病ウイルスプロモーター、エプスタインバーウイルス最初期プロモーター、ラウス肉腫ウイルスプロモーター、ならびにヒト遺伝子プロモーター、例えば、限定されないが、アクチンプロモーター、ミオシンプロモーター、ヘモグロビンプロモーター、及びクレアチンキナーゼプロモーターを含むが、これらに限定されない)がまた、使用されうる。さらに、本発明は、構成的プロモーターの使用に限定されるべきではない。誘導性プロモーターがまた、本発明の一部として企図される。誘導性プロモーターの使用によって、そのような発現が望まれる場合に、それが作動可能に連結されているポリヌクレオチド配列の発現をオンにする、又は発現が望まれない場合に、発現をオフにすることが可能な分子スイッチが提供される。誘導性プロモーターの例は、メタロチオネイン(metallothionine)プロモーター、グルココルチコイドプロモーター、プロゲステロンプロモーター、及びテトラサイクリンプロモーターを含むが、これらに限定されない。
【0123】
ベクター上に見出されるエンハンサー配列によって、また、そこに含まれる遺伝子の発現が調節される。典型的には、エンハンサーはタンパク質因子と結合し、遺伝子の転写を増強する。エンハンサーは、それが調節する遺伝子の上流又は下流に位置しうる。エンハンサーはまた、組織特異的であり、特定の細胞又は組織型における転写を増強しうる。一実施形態において、本発明のベクターは、ベクター内に存在する遺伝子の転写をブーストするための1つ以上のエンハンサーを含む。
【0124】
抗原性タンパク質又はペプチドの発現を評価するために、細胞中に導入される発現ベクターはまた、選択可能なマーカー遺伝子もしくはレポーター遺伝子のいずれか、又はその両方を含み、ウイルスベクターを通じてトランスフェクト又は感染することが求められる細胞の集団からの発現細胞の同定及び選択を容易にすることができる。他の態様において、選択可能なマーカーは、別々のDNA片上に担持され、同時トランスフェクション手順において使用されうる。選択可能なマーカー及びレポーター遺伝子の両方は、宿主細胞中での発現を可能にする適切な調節配列と隣接させてもよい。有用な選択可能なマーカーは、例えば、抗生物質耐性遺伝子、例えばneoなどを含む。
【0125】
レポーター遺伝子は、潜在的にトランスフェクトされた細胞を同定するため、及び調節配列の機能性を評価するために使用される。一般的に、レポーター遺伝子は、レシピエントの生物又は組織中に存在しない、あるいは発現されない、及びその発現がある程度簡単に検出可能な特性、例えば、酵素活性により顕在化されるポリペプチドをコードする遺伝子である。レポーター遺伝子の発現は、DNAがレシピエント細胞中に導入された後の適した時間にアッセイされる。適したレポーター遺伝子は、ルシフェラーゼ、ベータ-ガラクトシダーゼ、クロランフェニコールアセチルトランスフェラーゼ、分泌型アルカリホスファターゼ、又は緑色蛍光タンパク質遺伝子をコードする遺伝子を含みうる(例、Ui-Tei et al., 2000 FEBS Letters 479: 79-82)。適した発現システムは周知であり、公知の技術を使用して調製してもよく、又は商業的に得てもよい。一般的に、レポーター遺伝子の最も高いレベルの発現を示す最小の5’隣接領域を伴うコンストラクトがプロモーターとして同定される。そのようなプロモーター領域は、レポーター遺伝子に連結され、プロモーター駆動型転写を調節する能力について薬剤を評価するために使用されうる。
【0126】
遺伝子を細胞中に導入及び発現する方法は、当技術分野において公知である。発現ベクターの文脈において、ベクターは、当技術分野における任意の方法により、宿主細胞、例えば、哺乳動物、細菌、酵母、又は昆虫の細胞中に容易に導入することができる。例えば、発現ベクターは、物理的、化学的、又は生物学的な手段により宿主細胞中に移入させることができる。
【0127】
ポリヌクレオチドを宿主細胞中に導入するための物理的方法は、リン酸カルシウム沈殿、リポフェクション、微粒子銃、マイクロインジェクション、エレクトロポレーションなどを含む。ベクター及び/又は外因性核酸を含む細胞を産生するための方法は、当技術分野において周知である。例えば、Sambrookら(2012, Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory, New York)を参照のこと。一実施形態において、宿主細胞中へのポリヌクレオチドの導入の方法は、リン酸カルシウムトランスフェクションである。
【0128】
宿主細胞中へ目的のポリヌクレオチドを導入するための生物学的方法は、DNA及びRNAベクターの使用を含む。ウイルスベクター、特にレトロウイルスベクターは、哺乳動物、例えば、ヒトの細胞中に遺伝子を挿入するために最も広く使用されている方法になっている。他のウイルスベクターは、レンチウイルス、ポックスウイルス、単純ヘルペスウイルスI、アデノウイルス及びアデノ随伴ウイルスなどから由来することができる。例えば、米国特許第5,350,674号及び第5,585,362号を参照のこと。
【0129】
ポリヌクレオチドを宿主細胞中に導入するための化学的手段は、コロイド分散系、例えば高分子複合体、ナノカプセル、ミクロスフェア、ビーズなど、及び脂質ベース系(水中油型エマルジョン、ミセル、混合ミセル、及びリポソームを含む)が含まれる。インビトロ及びインビボでの送達ビヒクルとしての使用のための例示的なコロイド系は、リポソーム(例、人工膜小胞)である。
【0130】
非ウイルス送達システムが利用される場合において、例示的な送達ビヒクルはリポソームである。脂質製剤の使用が、宿主細胞中への核酸の導入(インビトロ、エクスビボ、又はインビボ)のために企図されている。別の態様において、核酸は脂質と会合されうる。脂質と会合される核酸は、リポソームの水性内部においてカプセル化され、リポソームの脂質二重層内に散在し、リポソーム及びオリゴヌクレオチドの両方に会合される連結分子を介してリポソームに付着され、リポソーム中に捕捉され、リポソームと複合体化され、脂質を含む溶液中に分散され、脂質と混合され、脂質と組み合わされ、脂質中に懸濁液として含まれ、ミセルと含まれる又は複合体化され、あるいは脂質と会合される。脂質、脂質/DNA、又は脂質/発現ベクターに関連付けられる組成物は、溶液中の任意の特定の構造に限定されない。例えば、それらは、ミセルとして、又は「崩壊した」構造を伴う二層構造において存在しうる。それらはまた、単に溶液中に散在されて、恐らくは、サイズ又は形状において均一でない凝集体を形成しうる。脂質は、天然又は合成脂質でありうる脂肪性物質である。例えば、脂質は、細胞質中に自然に生じる脂肪性液滴ならびに長鎖脂肪族炭化水素及びそれらの誘導体、例えば脂肪酸、アルコール、アミン、アミノアルコール、及びアルデヒドなどを含む化合物のクラスを含む。
【0131】
使用のために適した脂質は、商業的供給源から得ることができる。例えば、ジミリスチルホスファチジルコリン(「DMPC」)は、ミズーリ州セントルイスのSigmaから得ることができる;ジセチルホスフェート(「DCP」)は、K & K Laboratories(ニューヨーク州プレインビュー)から得ることができる;コレステロール(「Choi」)はCalbiochem-Behringから得ることができる;ジミリスチルホスファチジルグリセロール(「DMPG」)及び他の脂質は、Avanti Polar Lipids, Inc.(アラバマ州バーミンガム)から得ることができる。クロロホルム又はクロロホルム/メタノール中の脂質のストック溶液は、約-20℃で保存することができる。クロロホルムは、唯一の溶媒として使用される。なぜなら、それはメタノールよりも容易に蒸発するためである。「リポソーム」は、囲まれた脂質二重層又は凝集体の生成により形成される多様な単一及び多層脂質ビヒクルを包含する総称である。リポソームは、リン脂質二重層膜及び内部水性媒質を伴う小胞構造を有するものとして特徴付けることができる。多層リポソームは、水性媒質により分離された複数の脂質層を有する。それらは、リン脂質が過剰の水溶液中に懸濁される場合に自発的に形成される。脂質成分は、閉じた構造の形成の前に自己再配列を受けて、脂質二重層の間に水及び溶解した溶質を封入する(Ghosh et al., 1991 Glycobiology 5: 505-10)。しかし、通常の小胞構造とは異なる溶液中の構造を有する組成物も包含される。例えば、脂質はミセル構造をとりうる、又は脂質分子の不均一な凝集体として単に存在しうる。また、リポフェクタミン-核酸複合体も企図される。
【0132】
外因性核酸を宿主細胞中に導入するために使用される方法に関係なく、宿主細胞における組換えDNA配列の存在を確認するために、多様なアッセイを実施してもよい。そのようなアッセイは、例えば、当業者に周知の「分子生物学的」アッセイ、例えばサザンブロッティング及びノーザンブロッティング、RT-PCR及びPCRなど;「生化学的」アッセイ、例えば、特定のペプチドの存在又は非存在を、例えば、免疫学的手段(ELISA及びウエスタンブロット)により、又は本発明の範囲内に入る薬剤を同定するための本明細書中に記載するアッセイにより検出することなどを含む。
【0133】
一実施形態において、本発明は、抗原性タンパク質又はペプチド、あるいは抗原性タンパク質又はペプチドをコードする核酸分子を含む送達ビヒクルを提供する。例示的な送達ビヒクルは、ミクロスフェア、マイクロ粒子、ナノ粒子、ポリマーソーム、リポソーム、及びミセルを含むが、これらに限定されない。例えば、特定の実施形態において、送達ビヒクルは、抗原性タンパク質又はペプチド、あるいは抗原性タンパク質又はペプチドをコードする核酸分子がロードされる。特定の実施形態において、送達ビヒクルは、そのロードされたカーゴの制御放出、遅延放出、又は連続放出を提供する。特定の実施形態において、送達ビヒクルは、送達ビヒクルを処置部位に標的化する標的化部分を含む。
【0134】
特定の実施形態において、免疫原性薬剤は、本明細書中に記載する任意の抗原の全部又は一部、あるいはその免疫学的に機能的同等物を含む、又はコードする。他の実施形態において、免疫原性薬剤は、追加的な免疫刺激薬剤又はそのような薬剤をコードする核酸を含む混合物中にある。免疫刺激薬剤は、追加的な抗原、免疫調節剤、抗原提示細胞又はアジュバントを含むが、これらに限定されない。他の実施形態において、1つ以上の追加的な薬剤は、任意の組み合わせにおいて、抗原又は免疫刺激薬剤に共有結合的に結合されている。一部の実施形態において、免疫原性薬剤は、HLAアンカーモチーフアミノ酸にコンジュゲートされる、又はそれを含む。一部の例において、本発明の免疫原性薬剤を使用し、対象において抗原特異的免疫応答(メモリーCD4 T細胞の産生を含む)を誘導することができる。
【0135】
本発明のワクチンは、ペプチド、核酸、及び/又は細胞成分のその組成において変動しうる。非限定的な例において、抗原はまた、アジュバントと製剤化されうる。無論、本明細書中に記載する種々の組成物は、追加的な成分をさらに含みうることが理解されるであろう。例えば、1つ以上のワクチン成分は、脂質又はリポソーム中に含まれうる。別の非限定的な例において、ワクチンは、1つ以上のアジュバントを含みうる。本発明のワクチン、及びその種々の成分は、本明細書中に開示される任意の方法により、又は本開示に照らして当業者に公知であるように調製及び/又は投与されうる。
【0136】
例示的なアジュバントは、PAMP、DAMP、アルファ-インターフェロン、ガンマ-インターフェロン、血小板由来成長因子(PDGF)、TNFα、TNFβ、GM-CSF、表皮成長因子(EGF)、皮膚T細胞誘引ケモカイン(CTACK)、上皮胸腺発現ケモカイン(TECK)、粘膜関連上皮ケモカイン(MEC)、IL-12、IL-15、MHC、CD80、CD86(欠失されたシグナル配列を有し、場合により、IgEからのペプチドシグナルを含むIL-15を含む)が含まれるが、これらに限定されない。有用なアジュバントでありうる他の遺伝子は、以下をコードする遺伝子を含む:MCP-I、MIP-Ia、MIP-Ip、IL-8、RANTES、L-セレクチン、P-セレクチン、E-セレクチン、CD34、GlyCAM-1、MadCAM-1、LFA-I、VLA-I、Mac-1、pl50.95、PECAM、ICAM-I、ICAM-2、ICAM-3、CD2、LFA-3、M-CSF、G-CSF、IL-4、変異形態のIL-18、CD40、CD40L、血管成長因子、線維芽細胞成長因子、IL-7、神経成長因子、血管内皮成長因子、Fas、TNF受容体、Fit、Apo-1、p55、WSL-I、DR3、TRAMP、Apo-3、AIR、LARD、NGRF、DR4、DR5、KILLER、TRAIL-R2、TRICK2、DR6、カスパーゼICE、Fos、c-jun、Sp-I、Ap-I、Ap-2、p38、p65Rel、MyD88、IRAK、TRAF6、IkB、不活性NIK、SAP K、SAP-I、JNK、インターフェロン応答遺伝子、NFkB、Bax、TRAIL、TRAILrec、TRAILrecDRC5、TRAIL-R3、TRAIL-R4、RANK、RANK LIGAND、Ox40、Ox40 LIGAND、NKG2D、MICA、MICB、NKG2A、NKG2B、NKG2C、NKG2E、NKG2F、TAP 1、TAP2、抗CTLA4-sc、抗LAG3-Ig、抗TIM3-Ig、及びそれらの機能的フラグメント。
【0137】
一実施形態において、本発明のペプチドワクチンは、アジュバント物質と混合されたペプチド、及びAPCと一緒に導入されるペプチドを含むが、これらに限定されない。後者の型のワクチンのために使用される最も一般の細胞は、骨髄及び末梢血由来の樹状細胞である。なぜなら、これらの細胞は、T細胞の活性化を助ける共刺激分子を発現するためである。WO00/06723は、腫瘍関連抗原性ペプチドを提示するAPCを含む細胞ワクチン組成物を開示している。ペプチドを提示することは、ペプチドをコードするポリヌクレオチド(例、DNA、RNAなど)をAPCにロードする、又はペプチド自体をAPCにロードすることにより達成することができる。
【0138】
免疫原性薬剤によって、動物中への接種時に抗病原体免疫応答が誘導される場合、この免疫原性薬剤は抗病原体免疫誘導効果を有すると判定される。病原体特異的免疫応答は、ペプチドに対する宿主の免疫系の応答をインビボ又はインビトロで観察することにより検出することができる。
【0139】
例えば、細胞傷害性Tリンパ球の誘導を検出するための方法は周知である。生きた身体に侵入する外来物質は、APCの作用によりT細胞及びB細胞に提示される。APCにより提示された抗原に抗原特異的な様式で応答するT細胞は、抗原による刺激に起因して細胞傷害性T細胞(また、細胞傷害性Tリンパ球又はCTLと呼ばれる)に分化する。これらの抗原刺激された細胞は次に増殖する。この過程は、本明細書中でT細胞の「活性化」と呼ばれる。従って、本発明の特定のペプチド又はペプチドの組み合わせによるCTL誘導は、APCによりペプチドをT細胞に提示し、CTLの誘導を検出することにより評価することができる。さらに、APCは、CD4+T細胞、CD8+T細胞、マクロファージ、好酸球、及びNK細胞を活性化する効果を有する。
【0140】
樹状細胞(DC)をAPCとして使用してCTLの誘導作用を評価するための方法は、当技術分野において周知である。DCは、APCの間で最も強いCTL誘導作用を有する代表的なAPCである。この方法において、ペプチド又はペプチドの組み合わせを、最初にDCと接触させ、次にこのDCをT細胞と接触させる。DCとの接触後に目的の細胞に対して細胞傷害性効果を有するT細胞の検出は、ペプチド又はペプチドの組み合わせが細胞傷害性T細胞を誘導する活性を有することを示す。さらに、誘導された免疫応答はまた、固定化ペプチド又はペプチドの組み合わせを保有する抗原提示細胞の存在において、抗IFN-γ抗体を使用した視覚化、例えばELISPOTアッセイなどにより、CTLにより産生及び放出されるIFN-γを測定することにより調べることができる。
【0141】
DCとは別に、末梢血単核細胞(PBMC)がまた、APCとして使用されうる。CTLの誘導は、GM-CSF及びIL-4の存在においてPBMCを培養することにより増強されることが報告されている。同様に、CTLはキーホールリンペットヘモシアニン(KLH)及びIL-7の存在においてPBMCを培養することにより誘導されることが示されている。
【0142】
病原体特異的な免疫応答の誘導は、特定の病原体に対する抗体産生の誘導を観察することによりさらに確認することができる。一実施形態において、病原体特異的な免疫応答の誘導は、メモリーCD4 T細胞の活性化及び産生を観察することによりさらに確認することができる。
【0143】
治療用薬剤
【0144】
一実施形態において、組成物は治療用薬剤を含む。一部の実施形態において、治療用薬剤は、ペプチド、核酸分子、小分子、抗体などを含む。一部の実施形態において、治療用薬剤は、脳又は脊髄の疾患又は感染の処置のためである。例えば、一部の実施形態において、治療用薬剤は、病原体又は病原体の抗原に結合する抗体又は抗体フラグメントを含む。一部の実施形態において、治療用薬剤は、腫瘍特異的抗原又は腫瘍関連抗原に結合する抗体又は抗体フラグメントを含む。一部の実施形態において、治療用薬剤は、神経疾患に関連付けられる抗原に結合する抗体又は抗体フラグメントを含む。
【0145】
一実施形態において、治療的薬剤は、チェックポイント阻害剤を含む。一部の実施形態において、抗原及び免疫チェックポイント抗体の組み合わせによって、抗原を単独で含む免疫原性組成物よりも効率的に免疫系が誘導される。このより効率的な免疫応答によって、任意の疾患、特にがん、又は病原体、例えばウイルスなどにより起こされる疾患の処置及び/又は予防における増加した有効性が提供される。一実施形態において、チェックポイント阻害剤は、PD-1、PDL-1 CTLA-4、LAG-3、TIM-3、TIGIT、及びCEACAM1の少なくとも1つを阻害する。本発明の組成物及び方法において使用することができる例示的なチェックポイント阻害剤は、イピリムマブ、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、ピジリズマブ、アテゾリズマブ、BMS-986016、BMS-936559、MPDL3280A、MDX1105-01、MEDI4736、TSR-022、CM-24、及びMK-3475を含むが、これらに限定されない。
【0146】
一実施形態において、治療用薬剤は治療用抗体又は抗体フラグメントを含む。治療用抗体又は抗体フラグメントは、病原体に結合する、病原体の死滅を誘導する、病原性感染を低下させる、又は病原性感染の拡大を防止する、当技術分野において公知の任意の抗体を含む。治療用抗体又は抗体フラグメントは、腫瘍細胞に結合する、腫瘍細胞の死滅を誘導する、又は腫瘍細胞の増殖もしくは転移を防止する、当技術分野において公知の任意の抗体を含む。一部の実施形態において、治療用薬剤は、抗体又は抗体フラグメントを発現するように改変されたT細胞(例、キメラ抗原受容体T細胞、二重特異性T細胞結合抗体、及び他の形態)を含む。一実施形態において、治療用薬剤は抗体-薬物コンジュゲートを含む。
【0147】
一部の実施形態において、治療用抗体又は抗体フラグメントは、免疫原性薬剤の同じ抗原に結合する。一部の実施形態において、治療用抗体又は抗体フラグメントが結合する抗原は、免疫原性薬剤の抗原とは異なる。一部の実施形態において、治療用薬剤が結合する抗原及び免疫原性薬剤の抗原は、各々が、同じ疾患、障害、又は感染に関連付けられる。
【0148】
抗体を作製及び使用する方法は、当技術分野において周知である。例えば、本発明において有用なポリクローナル抗体は、当技術分野において周知の標準的な免疫学的技術に従ってウサギを免疫化することにより生成される(例、Harlow et al., 1988, In: Antibodies, A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor, NYを参照のこと)。そのような技術は、別のタンパク質の一部、例えばマルトース結合タンパク質又はグルタチオン(GSH)タグポリペプチド部分、ならびに/あるいは目的の抗原性タンパク質が免疫原性になるような部分(例、キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)とコンジュゲートされた目的の抗原)及びそれぞれの抗原性タンパク質アミノ酸残基を含む部分などを含むキメラタンパク質を用いて動物を免疫化することを含む。キメラタンパク質は、マーカータンパク質をコードする適切な核酸を、この目的のために適したプラスミドベクター(例えば、限定しないが、pMAL-2又はpCMXなど)中にクローン化することにより産生される。
【0149】
しかし、本発明は、これらの抗体又は抗原のこれらの部分を含む方法及び組成物にもっぱら限定されるとして解釈すべきではない。むしろ、本発明は、その用語が本明細書中の他で定義されているように、抗原、又はその一部に対する他の抗体を含むと解釈すべきである。さらに、本発明は、とりわけ、目的の特定の抗原に結合する抗体を包含すると解釈すべきであり、それらは、ウエスタンブロットで、酵素結合イムノアッセイにおける溶液中で、蛍光活性化細胞選別(FACS)アッセイにおいて、磁気活性化(magenetic-actived)細胞選別(MACS)アッセイにおいて、及び、例えば、抗原性タンパク質の少なくとも一部をコードする核酸で一過性にトランスフェクトされた細胞の免疫蛍光顕微鏡法において存在する抗原に結合することができる。
【0150】
当業者は、本明細書中で提供される開示に基づいて、抗体が抗原の任意の部分と特異的に結合することができ、全長タンパク質を使用してそれについて特異的な抗体を生成することができることを理解するであろう。しかし、本発明は、免疫原として全長タンパク質を使用することに限定されない。むしろ、本発明は、タンパク質の免疫原性部分を使用して、特定の抗原と特異的に結合する抗体を産生することを含む。すなわち、本発明は、抗原の免疫原性部分、又は抗原決定基を使用して動物を免疫化することを含む。
【0151】
一度、目的の特定の抗原の配列及びタンパク質の種々の保存及び非保存ドメインの局在の詳細な分析を備えれば、当業者は、本明細書中で提供される開示に基づいて、当技術分野において周知の、又は開発される方法を使用して抗原の種々の部分について特異的な抗体をどのようにして得るかを理解するであろう。
【0152】
当業者は、本明細書中で提供される開示に基づいて、本発明が、単一の抗原性エピトープを認識する単一の抗体の使用を含むが、しかし、本発明が、単一の抗体の使用に限定されないことを理解するであろう。代わりに、本発明は、抗体が同じ又は異なる抗原性タンパク質エピトープに向けられうる少なくとも1つの抗体の使用を包含する。
【0153】
ポリクローナル抗体の生成は、標準的な抗体産生方法、例えば、 Harlowら(1988, In: Antibodies, A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor, NY)において記載されている抗体産生方法などを使用し、所望の動物に抗原を接種し、そこから抗原に特異的に結合する抗体を単離することにより達成される。
【0154】
タンパク質又はペプチドの全長又はペプチドフラグメントに対して向けられたモノクローナル抗体は、任意の周知のモノクローナル抗体調製手順、例えばHarlowら(1988, In: Antibodies, A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor, NY)において及びTuszynskiら(1988, Blood, 72:109-115)において記載されているモノクローナル抗体調製手順などを使用して調製されうる。所望のペプチドの量はまた、化学合成技術を使用して合成されうる。あるいは、所望のペプチドをコードするDNAをクローン化し、大量のペプチドの生成のために適した細胞において適切なプロモーター配列から発現させてもよい。ペプチドに対して向けられたモノクローナル抗体は、本明細書中で参照される標準的な手順を使用してペプチドで免疫化されたマウスから生成される。
【0155】
本明細書中に記載する手順を使用して得られたモノクローナル抗体をコードする核酸は、当技術分野において利用可能であり、例えば、Wrightら(1992, Critical Rev. Immunol. 12:125-168)、及びその中で引用されている参考文献において記載されている技術を使用してクローン化及び配列決定されうる。さらに、本発明の抗体は、例えば、Wright らにおいて、及びその中で引用されている参考文献において、ならびにGuら(1997, Thrombosis and Hematocyst 77:755-759)において記載されている技術、及び当技術分野において周知の、又は開発される抗体をヒト化する他の方法を使用して「ヒト化」されうる。
【0156】
本発明はまた、目的の抗原のエピトープと特異的に反応するヒト化抗体の使用を含む。本発明のヒト化抗体は、ヒトフレームワークを有し、目的の抗原と特異的に反応する抗体、典型的にはマウス抗体からの1つ以上の相補性決定領域(CDR)を有する。本発明において使用される抗体がヒト化される場合、この抗体は、Queenら(米国特許第6,180,370号)、Wrightら(上記)において、及びその中で引用されている参考文献において、又はGuら(1997, Thrombosis and Hematocyst 77(4):755-759)において記載されているように生成されうる。Queenらにおいて開示されている方法は、アクセプターヒトフレームワーク領域をコードするDNAセグメントに付着された、所望の抗原、例えば目的の抗原上のエピトープなどに結合することが可能なドナー免疫グロブリンからの重鎖及び軽鎖相補性決定領域(CDR)をコードする組換えDNAセグメントを発現することにより産生されるヒト化免疫グロブリンを設計することに部分的に向けられる。一般的に言えば、Queenの特許における発明は、実質的に任意のヒト化免疫グロブリンの設計に向かって適用性を有する。Queenは、DNAセグメントが、典型的には、天然に関連付けられる又は異種のプロモーター領域を含む、ヒト化免疫グロブリンコード配列に作動可能に連結された発現制御DNA配列を含みうると説明している。発現制御配列は、真核生物宿主細胞を形質転換又はトランスフェクトすることが可能なベクター中の真核生物プロモーターシステムでありうる、あるいは発現制御配列は、原核生物宿主細胞を形質転換又はトランスフェクトすることが可能なベクター中の原核生物プロモーターシステムでありうる。一度、ベクターが適切な宿主中に組み込まれると、この宿主は、導入されたヌクレオチド配列の高レベルの発現のために適した条件下で維持され、所望の場合、ヒト化軽鎖、重鎖、軽鎖/重鎖二量体又はインタクトな抗体、結合フラグメント、あるいは他の免疫グロブリン形態の収集及び精製が続きうる(Beychok, Cells of Immunoglobulin Synthesis, Academic Press, New York, (1979)、それは参照により本明細書中に組み込まれる)。
【0157】
本発明はまた、本明細書中に記載する抗体の機能的等価物を含む。機能的等価物は、抗体の結合特性と同等の結合特性を有し、例えば、ハイブリダイズした及び一本鎖の抗体、ならびにそれらのフラグメントを含む。そのような機能的等価物を産生する方法は、PCT出願WO93/21319及びPCT出願WO89/09622において開示されている。
【0158】
機能的等価物は、抗体の可変領域又は超可変領域のアミノ酸配列と実質的に同じアミノ酸配列を伴うポリペプチドを含む。「実質的に同じ」アミノ酸配列は、Pearson and Lipman, 1988 Proc. Nat’l. Acad. Sci. USA 85: 2444-2448に従ってFASTA検索方法により決定されるように、別のアミノ酸配列と少なくとも70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、又は少なくとも99%(又は70と99の間の任意の整数)の相同性を伴う配列として本明細書中で定義される。キメラ又は他のハイブリッド抗体は、実質的に又は排他的にヒト抗体定常領域から由来する定常領域、及び各々の安定ハイブリドーマからのモノクローナル抗体の可変領域の配列から実質的又は排他的に由来する可変領域を有する。
【0159】
単鎖抗体(scFv)又はFvフラグメントは、相互接続リンカーを伴う又は伴わずに、軽鎖の可変領域に連結された抗体の重鎖の可変領域からなるポリペプチドである。このように、Fvは抗体結合部位を含む。
【0160】
本発明の抗体の機能的等価物は、抗体全体の結合特性と同じ又は実質的に同じ結合特性を有する抗体のフラグメントをさらに含む。そのようなフラグメントは、1つ又は両方のFabフラグメント又はF(ab’)2フラグメントを含みうる。抗体フラグメントは、抗体全体の全ての6つの相補性決定領域を含むが、そのような領域の全てよりも少ない、例えば3、4、又は5つの相補性決定領域などを含むフラグメントも機能的である。機能的等価物は、IgG免疫グロブリンクラス及びそのサブクラスのメンバーであるが、しかし、以下の免疫グロブリンクラスの任意の1つでありえ、又はそれと組み合わせてもよい:IgM、IgA、IgD、又はIgE、及びそれらのサブクラス。種々のサブクラス、例えばIgGサブクラスなどの重鎖は、異なるエフェクター機能について関与し、したがって、所望の重鎖定常領域を選ぶことにより、所望のエフェクター機能を伴うハイブリッド抗体が産生される。例示的な定常領域は、ガンマ1(IgG1)、ガンマ2(IgG2)、ガンマ3(IgG3)、及びガンマ4(IgG4)である。軽鎖定常領域はカッパ型又はラムダ型であることができる。
【0161】
本発明の免疫グロブリンは、一価、二価、又は多価であることができる。一価免疫グロブリンは、ジスルフィド架橋を通じてハイブリッド軽鎖と会合されたハイブリッド重鎖で形成された二量体(HL)である。二価免疫グロブリンは、少なくとも1つのジスルフィド架橋を通じて会合された2つの二量体で形成された四量体(H2L2)である。
【0162】
方法
【0163】
本発明は、脳、中枢神経系、又は脊髄の感染又は疾患又は障害を処置又は予防するための方法を提供する。本発明の治療用化合物又は組成物は、疾患又は障害に苦しむ、あるいは発生するリスクがある(又は感受性である)対象に予防的又は治療的に投与されうる。そのような対象は、標準的な臨床方法を使用して特定されうる。本発明の文脈において、予防的投与は、感染が予防される、又は代わりに、その進行が遅延されるように、明白な臨床症状の発現の前に生じる。医学の分野の文脈において、用語「予防する」は、疾患又は障害からの死亡又は罹患の負担を低下させる任意の活動を包含する。予防は、一次、二次、三次予防レベルで生じうる。一次予防によって疾患の発生が回避される一方で、二次及び三次レベルの予防は、感染の進行及び症状の出現を予防し、ならびに機能を回復させ、疾患又は障害関連の合併症を低下させることにより、既に確立された疾患の負の影響を低下させることを目的とした活動を包含する。
【0164】
一実施形態において、この方法は、本明細書中の他で記載されているように、免疫原性薬剤(例、抗原性タンパク質又はペプチド)を含む組成物を対象に投与することを含む。一実施形態において、組成物はアジュバントを含む。アジュバントは、免疫学的活性を有するペプチドと一緒に(又は連続的に)投与された場合に、ペプチド又はペプチドの組み合わせに対する免疫応答を増強する化合物を指す。適したアジュバントの例は、コレラ毒素、サルモネラ毒素、ミョウバンなどを含むが、これらに限定されない。さらに、本発明のワクチンは、医薬的に許容可能な担体と適切に組み合わせてもよい。そのような担体の例は、滅菌水、生理食塩水、リン酸緩衝液、培養液などである。さらに、ワクチンは、必要な場合、安定剤、懸濁剤、防腐剤、界面活性剤などを含みうる。ワクチンは全身的に又は局所的に投与される。ワクチン投与は、単一投与により実施されうる、又は複数回投与により増強されうる。
【0165】
一実施形態において、本発明の抗原性タンパク質又はペプチドをエクスビボ方法において使用し、本発明の細胞(例、ペプチド負荷抗原提示細胞又はペプチド特異的IFNγ分泌CD4+T細胞)を生成する。一実施形態において、疾患又は障害は、例えば、本発明の細胞を投与することにより処置又は予防されうる。例えば、処置又は予防を受けている対象のPBMCを収集し、抗原又は抗原をコードする核酸とエクスビボで接触させる。ペプチド負荷抗原提示細胞又はペプチド特異的IFNγ分泌CD4+T細胞の誘導に続いて、この細胞は対象に投与されうる。この細胞は、ペプチド又はペプチドの組み合わせをコードするベクターを、エクスビボでそれらの中に導入することにより誘導することができる。インビトロで誘導された細胞は、投与の前にクローン化することができる。標的細胞を損傷させる高い活性を有する細胞をクローン化して増殖させることにより、細胞免疫療法をより効果的に実施することができる。さらに、この様式において単離された本発明の細胞は、細胞が由来する個体に対するだけでなく、しかし、また、他の個体における同様の型の疾患に対する細胞免疫療法のために使用されうる。
【0166】
一実施形態において、この方法は、本明細書中の他で記載されているように、対象に免疫チェックポイント阻害剤を投与することを含む。例えば、一実施形態において、この方法は、免疫チェックポイントタンパク質に結合する抗体又は抗体フラグメントを投与することを含む。
【0167】
一実施形態において、この方法は、本明細書中の他で記載されているように、対象に治療用薬剤を投与することを含む。例えば、一実施形態において、この方法は、抗原に結合する治療用抗体又は抗体フラグメントを投与することを含む。
【0168】
異なる薬剤が、任意の順番において及び任意の適した間隔で対象に投与されうる。例えば、一部の実施形態において、2つ又はそれ以上の免疫原性薬剤、免疫チェックポイント阻害剤、及び治療用薬剤が、同時に又はほぼ同時に投与される。一部の実施形態において、この方法は薬剤の時差投与を含み、そこでは、免疫原性薬剤が投与され、免疫チェックポイント阻害剤及び治療用薬剤の少なくとも1つが、後のある時間点で投与される。一部の実施形態において、この方法は薬剤の時差投与を含み、そこでは、免疫チェックポイント阻害剤及び治療用薬剤の少なくとも1つが投与され、免疫原性薬剤が、後のある時間点で投与される。所望の治療効果を産生する、任意の適した投与の間隔が使用されうる。
【0169】
本発明の方法は、脳、CNS、又は脊髄の任意の病原性感染を処置するために使用されうる。例えば、この方法を使用し、ウイルス、真菌、原虫、寄生虫、節足動物、プリオン、マイコバクテリウム、又は細菌(1つ以上の抗生物質に対する耐性を発生させた細菌を含む)により起こされる感染を処置又は予防してもよい。本方法により処置又は予防される例示的なウイルス感染は、ジカウイルス、エボラウイルス、日本脳炎ウイルス、ムンプスウイルス、麻疹ウイルス、狂犬病ウイルス、水痘帯状疱疹、エプスタインバーウイルス(HHV-4)、サイトメガロウイルス、単純ヘルペスウイルス1(HSV-1)及び単純ヘルペスウイルス2(HSV-2)、ヒト免疫不全ウイルス1(HIV-1)、JCウイルス、アルボウイルス(arborvirus)、エンテロウイルス、及びウェストナイルウイルス、デングウイルス、ポリオウイルス、及び水痘帯状疱疹ウイルスにより引き起こされる感染を含むが、これらに限定されない。本発明の方法により処置又は予防される例示的な細菌感染は、ストレプトコッカス・ニューモニエ、髄膜炎菌、ストレプトコッカス・アガラクチア、及び大腸菌により引き起こされる感染を含むが、これらに限定されない。本発明の方法により処置又は予防される例示的な真菌又は原虫感染は、カンジダ症、アスペルギルス症、クリプトコッカス症、及びトキソプラズマ・ゴンディにより引き起こされる感染を含むが、これらに限定されない。
【0170】
一部の実施形態において、本発明は、脳、CNS、又は脊髄の感染に関連付けられる疾患又は障害(髄膜炎、脳炎、髄膜脳炎、硬膜外膿瘍、硬膜下膿瘍、脳膿瘍、及び進行性多巣性白質脳症(PML)を含むが、これらに限定されない)を処置又は予防するための方法を提供する。
【0171】
本発明の方法を使用してがんを処置又は予防してもよい。この方法を使用して脳、CNS、又は脊髄における腫瘍の成長、増殖、又は転移を低下させてもよい。本発明により処置又は予防されるがんの例示的な形態は、神経膠腫、髄膜腫、聴神経腫、星状細胞腫、脊索腫、CNSリンパ腫、頭蓋咽頭腫、脳幹神経膠腫、上衣腫、混合神経膠腫、視神経膠腫、上衣腫、髄芽腫、髄膜腫、転移性脳腫瘍、乏突起神経膠腫、下垂体腫瘍、原始神経外胚葉腫瘍、神経鞘腫、毛様細胞性星細胞腫、松果体腫瘍、ラブドイド(rhaboid)腫瘍、脊髄がん、脊髄腫瘍、及び小児脳腫瘍を含むが、これらに限定されない。
【0172】
本発明の方法を使用して神経学的障害を処置又は予防してもよい。本発明により処置又は予防される例示的な神経学的障害は、アルツハイマー病、パーキンソン病、タウオパチー、前頭側頭型認知症、ハンチントン病、プリオン病、及びCNSの遺伝的疾患(ハーラー症候群を含むが、これに限定されない)を含むが、これらに限定されない。
【0173】
本発明の処置及び予防方法を使用し、必要としている任意の対象において脳、CNS、又は脊髄の疾患又は障害を処置又は予防してもよい。例えば、一部の実施形態において、対象は、ヒト及び他の霊長類ならびに哺乳動物(商業的に関連する哺乳動物、例えば非ヒト霊長類、ウシ、ブタ、ウマ、ヒツジ、ネコ、イヌ、ラット、及びマウスなどを含む)を含むが、これらに限定されない。
【0174】
一実施形態において、本発明は、(1)対象に免疫原性薬剤(例、抗原性ペプチド)を投与してCD4 T細胞免疫応答を誘導すること、及び(2)対象に、疾患又は障害の処置のための治療用薬剤を投与することを含む、対象において疾患又は障害を処置する方法を提供する。この方法を使用して脳又は脊髄における疾患又は障害を処置又は予防してもよい。この方法を使用して、脳又は脊髄の任意の疾患又は障害(病原性感染、がん、及び神経変性疾患、例えばアルツハイマー病などを含むが、これらに限定されない)を処置又は予防してもよい。
【0175】
一実施形態において、本発明は、(1)CD4 T細胞免疫応答を誘導する免疫原性薬剤(例、抗原性ペプチド)及び(2)治療用薬剤、病原体の抗原に向けられた抗体又は抗体フラグメントを投与することを含む、対象において病原性感染を処置する方法を提供する。この方法を使用して、任意の病原性感染(ウイルス感染、細菌感染、真菌感染、寄生虫感染、蠕虫感染、原虫感染、プリオン感染などを含むが、これらに限定されない)を処置又は予防してもよい。
【0176】
一実施形態において、本発明は、(1)CD4 T細胞免疫応答を誘導する免疫原性薬剤(例、抗原性ペプチド)及び(2)免疫チェックポイントタンパク質又は経路の阻害剤を投与することを含む、対象において病原性感染を処置する方法を提供する。一実施形態において、チェックポイント阻害剤は、1つ以上の免疫応答チェックポイントタンパク質に対して標的化された抗体又は抗体フラグメントである。例えば、一実施形態において、第2の薬剤は、PD-1、PDL-1 CTLA-4、LAG-3、TIM-3、CEACAM1、TIGITなどに特異的に結合する抗体又は抗体フラグメントである。
【0177】
一実施形態において、本発明は、(1)CD4 T細胞免疫応答を誘導する免疫原性薬剤(例、抗原ペプチド)及び(2)腫瘍に関連付けられる抗原に向けられた治療用抗体又は抗体フラグメントを投与することを含む、対象においてがんを処置する方法を提供する。
【0178】
一実施形態において、本発明は、(1)CD4 T細胞免疫応答を誘導する免疫原性薬剤(例、抗原性ペプチド)及び(2)免疫チェックポイントタンパク質又は経路の阻害剤を投与することを含む、対象においてがんを処置する方法を提供する。一実施形態において、チェックポイント阻害剤は、1つ以上の免疫応答チェックポイントタンパク質に対して標的化された抗体又は抗体フラグメントである。例えば、一実施形態において、第2の薬剤は、PD-1、PDL-1 CTLA-4、LAG-3、TIM-3、CEACAM1、TIGITなどに特異的に結合する抗体又は抗体フラグメントである。
【0179】
一態様において、本発明は、本明細書中に記載する1つ以上の組成物又は薬剤を、疾患又は障害を有する対象に投与することを含む方法を提供する。例えば、一実施形態において、この方法は、本明細書中に記載する1つ以上の組成物又は薬剤を、脳又は脊髄において疾患又は障害を有する対象に投与することを含む。
【0180】
一実施形態において、対象は、病原性感染、例えばウイルス感染、細菌感染、真菌感染、寄生虫感染、蠕虫感染、原虫感染、プリオン感染などを有する。一実施形態において、この方法は、(1)CD4 T細胞免疫応答を誘導する免疫原性薬剤(例、抗原性ペプチド)及び(2)治療用薬剤、病原体の抗原に向けられた抗体又は抗体フラグメントを対象に投与することを含む。一実施形態において、この方法は、(1)CD4 T細胞免疫応答を誘導する免疫原性薬剤(例、抗原性ペプチド)及び(2)免疫チェックポイントタンパク質又は経路の阻害剤を投与することを含む。一実施形態において、免疫原性薬剤は、配列番号5~90の1つのアミノ酸配列を含む抗原性ペプチドを含む。一実施形態において、チェックポイント阻害剤は、1つ以上の免疫応答チェックポイントタンパク質に対して標的化された抗体又は抗体フラグメントである。例えば、一実施形態において、第2の薬剤は、PD-1、PDL-1 CTLA-4、LAG-3、TIM-3、CEACAM1、TIGITなどに特異的に結合する抗体又は抗体フラグメントである。
【0181】
一実施形態において、対象は、神経学的障害、例えばアルツハイマー病、パーキンソン病、タウオパチー、前頭側頭型認知症、ハンチントン病、プリオン病、及びCNSの遺伝的疾患(ハーラー症候群を含むが、これに限定されない)などを有する。一実施形態において、この方法は、(1)対象に免疫原性薬剤(例、抗原性ペプチド)を投与してCD4 T細胞免疫応答を誘導すること、及び(2)対象に、疾患又は障害の処置のための治療用薬剤を投与することを含む。一実施形態において、免疫原性薬剤は、配列番号5~90の1つのアミノ酸配列を含む抗原性ペプチドを含む。
【0182】
一実施形態において、対象は、がん又はがん性腫瘍(神経膠腫、髄膜腫、聴神経腫、星状細胞腫、脊索腫、CNSリンパ腫、頭蓋咽頭腫、脳幹神経膠腫、上衣腫、混合神経膠腫、視神経膠腫、上衣腫、髄質芽細胞腫、髄膜腫、転移性脳腫瘍、乏突起神経膠腫、下垂体腫瘍、原始神経外胚葉腫瘍、神経鞘腫、若年性毛様細胞性星状細胞腫、松果体腫瘍、ラブドイド(rhaboid)腫瘍、脊髄がん、脊髄腫瘍、及び小児脳腫瘍を含むが、これらに限定されない)を有する。一実施形態において、この方法は、(1)CD4 T細胞免疫応答を誘導する免疫原性薬剤(例、抗原性ペプチド)、及び(2)治療用薬剤、腫瘍に関連付けられる抗原に向けられた抗体又は抗体フラグメントを対象に投与することを含む。一実施形態において、この方法は、(1)CD4 T細胞免疫応答を誘導する免疫原性薬剤(例、抗原性ペプチド)、及び(2)免疫チェックポイントタンパク質又は経路の阻害剤を投与することを含む。一実施形態において、免疫原性薬剤は、配列番号5~90の1つのアミノ酸配列を含む抗原性ペプチドを含む。一実施形態において、チェックポイント阻害剤は、1つ以上の免疫応答チェックポイントタンパク質に対して標的化された抗体又は抗体フラグメントである。例えば、一実施形態において、第2の薬剤は、PD-1、PDL-1 CTLA-4、LAG-3、TIM-3、CEACAM1、TIGITなどに特異的に結合する抗体又は抗体フラグメントである。
【0183】
一部の実施形態において、この方法は、追加的な治療用薬剤(抗生物質、抗ウイルス剤、抗真菌剤、及び抗炎症剤を含むが、これらに限定されない)をさらに投与することを含む。一実施形態において、抗生物質は、アモキシシリン、アンピシリン、クロキサシリン、ジクロキサシリン、ナフシリン、オキサシリン、ペニシリンG、ペニシリンV、ピペラシリン、セファドロキシル(セファドロキシル)、セファレキシン(セファレキシン)、セファロチン(セファロチン)、セファピリン(セファピリン)、セファゾリン(セファゾリン)、セフラジン(セフラジン)、セフセファクロル、セフォテタン、セフォキシチン、セフプロジル(セフプロキシル)、セフロキシム、セフジニル、セフィキシム、セフォタキシム、セフポドキシム、セフチゾキシム、セフトリアキソン、セフタジジム、セフェピメ、セフトビプロール、セフタロリン、アズトレオナム、イミペネム、シラスタチン、ドリペネム、メロペネム、エルタペネム、アジスロマイシン、エリスロマイシン、クラリスロマイシン、ジリスロマイシン、ロキシスロマイシン、クリンダマイシン、リンコマイシン、アミカシン、ゲンタマイシン、トブラマイシン、シプロフロキサシン、レボフロキサシン、モキシフロキサシン、トリメトプリム-スルファメトキサゾール、ドキシサイクリン、テトラサイクリン、バンコマイシン、テイコプラニン、テラバンシン、及びリネゾリドより選択される。本発明の方法で使用することができる例示的な抗ウイルス剤は、アバカビル、アシクロビル、アシクロビル、アデフォビル、アマンタジン、アンプレナビル、アンプリゲン、アルビドール、アタザナビル、アトリプラ、バラビル、シドフォビル、コンビビル、ドルテグラビル、ダルナビル、デラビルジン、ジダノシン、ドコサノール、エドクスジン、エファビレンツ、エムトリシタビン、エンフビルチド、エンテカビル、エコリーバー、ファムシクロビル、フォミビルセン、フォサンプレナビル、フォスカルネット、フォスフォネット、ガンシクロビル、イバシタビン、イムノビル、イドクスウリジン、イミキモド、インジナビル、イノシン、インターフェロンIII型、インターフェロンII型、インターフェロンI型、インターフェロン、ラミブジン、ロピナビル、ロビリド、マラビロック、モロキシジン、メチサゾン、ネルフィナビル、ネビラピン、ネクサビル、ニタゾキサニド、ノビル、ペグインターフェロンアルファ-2a、ペンシクロビル、ペラミビル、プレコナリル、ポドフィロチルピラミジン、ラルテグラビル、リバビリン、リマンタジン、リトナビル、ピラミジン、サキナビル、ソフォスブビル、スタブジン、テラプレビル、テノフォビル、テノフォビルジソプロキシル、ティプラナビル、トリフルリジン、トリジビル、トロマンタジン、トルバダ、バラシクロビル、バルガンシクロビル、ビクリビロック、ビダラビン、ビラミジン、ザルシタビン、ザナミビル、及びジドブジンを含むが、これらに限定されない。抗炎症剤の非限定的な例は、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)、ステロイド性抗炎症薬、ベータアゴニスト、抗コリン剤、及びメチルキサンチンを含む。NSAIDの例は、アスピリン、イブプロフェン、セレコキシブ、ジクロフェナク、エトドラク、フェノプロフェン、インドメタシン、ケトララック、オキサプロジン、ナブメントン、スリンダック、トルメンチン、ロフェコキシブ、ナプロキセン、ケトプロフェン、ナブメトン、ジクロフェナク&ミソプロストール、イブプロフェン、ケトロラク、バルデコキシブ、メロキシカム、フルルビプロフェン、及びピロキシカムを含むが、これらに限定されない。そのようなNSAIDは、シクロオキシゲナーゼ酵素(例、COX-1及び/又はCOX-2)を阻害することにより機能する。ステロイド性抗炎症薬の例は、糖質コルチコイド、デキサメタゾン、コルチゾン、ヒドロコルチゾン、プレドニゾン、プレドニゾロン、トリアムシノロン、アズルフィジン、及びエイコサノイド、例えばプロスタグランジン、トロンボキサン、及びロイコトリエンなどを含むが、これらに限定されない。
【0184】
一部の実施形態において、この方法は、追加的な抗がん治療モダリティ(化学療法、放射線、外科手術、ホルモン治療、又はそれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない)をさらに投与することを含む。
【0185】
医薬品
【0186】
本発明の治療的及び予防的方法は、このように、医薬組成物の使用を包含する。本発明を実行するために有用な医薬組成物は、有効量の治療用薬剤を送達するために投与されうる。投与される正確な投与量は、多数の要因(投与されている治療用薬剤、処置されている動物の種類及び疾患状態の種類、動物の年齢、及び投与の経路を含むが、これらに限定されない)に依存して変動しうる。
【0187】
化合物は、1日に数回の頻度で動物に投与されうる、又はより少ない頻度で、例えば1日1回、1週間に1回、2週間に1回、1ヶ月に1回、あるいはより少ない頻度で、例えば数ヶ月に1回又はさらに1年に1回もしくはそれ以下などで投与されうる。投与の頻度は、当業者には容易に明らかであり、任意の数の要因、例えば、限定しないが、処置されている疾患の種類及び重症度、動物の種類及び年齢などに依存するであろう。本明細書中に記載する医薬組成物の製剤は、薬理学の分野において公知である、又は今後開発される任意の方法により調製されうる。一般的に、そのような調製方法は、活性成分を担体あるいは1つ以上の他の付属成分と会合させ、次に、必要である又は望ましい場合、産物を所望の単一又は複数用量単位中に成形又は包装する工程を含む。
【0188】
本明細書中で提供する医薬組成物の説明は、ヒトへの倫理的投与のために適した医薬組成物に主に向けられているが、そのような組成物が一般的に、全ての種類の動物への投与のために適していることが当業者により理解されるであろう。組成物を種々の動物への投与のために適するようにするための、ヒトへの投与のために適した医薬組成物の改変は十分に理解されており、通常の知識を有する獣医薬理学者は、もしある場合、単なる通常の実験でそのような改変を設計及び実施することができる。本発明の医薬組成物の投与が企図される対象は、ヒト及び他の霊長類、哺乳動物(商業的に関連する哺乳動物、例えば非ヒト霊長類、ウシ、ブタ、ウマ、ヒツジ、ネコ、及びイヌなどを含む)を含むが、これらに限定されない。
【0189】
本発明の方法において有用である医薬組成物は、眼、経口、直腸、膣、非経口、局所、肺、鼻腔内、口腔内、又は別の投与の経路のために適した製剤中で調製、包装、又は販売されうる。他の企図される製剤は、投影されたナノ粒子、リポソーム調製物、活性成分を含むリシールされた赤血球、及び免疫学的に基づく製剤が含まれる。
【0190】
本発明の医薬組成物は、単一の単位用量として、又は複数の単一の単位用量として、大量に調製、包装、又は販売されうる。本明細書中で使用する場合、「単位用量」は、所定量の活性成分を含む、別々の量の医薬組成物である。活性成分の量は、一般的に、対象に投与される活性成分の投与量、又はそのような投与量の便利な割合、例えば、そのような投与量の半分又は3分の1に等しい。
【0191】
本発明の医薬組成物中の活性成分、医薬的に許容可能な担体、及び任意の追加的な成分の相対量は、処置される対象の同一性、サイズ、及び状態に依存して、さらに組成物が投与される経路に依存して変動しうる。例として、組成物は、0.1%から100%(w/w)の活性成分を含みうる。
【0192】
活性成分に加えて、本発明の医薬組成物は、1つ以上の追加的な医薬活性剤をさらに含みうる。線維症の処置において有用な他の活性薬剤は、抗炎症剤(コルチコステロイドを含む)、及び免疫抑制剤を含む。
【0193】
本発明の医薬組成物の調節放出製剤又は持続放出製剤は、従来の技術を使用して作製されうる。
【0194】
本明細書中で使用する場合、医薬組成物の「非経口投与」は、対象の組織の物理的破損及び組織中の破損を通じた医薬組成物の投与により特徴付けられる任意の投与の経路を含む。非経口投与は、このように、組成物の注射による、外科的切開を通じた組成物の適用による、組織貫通性の非外科的創傷を通じた組成物の適用による、など、医薬組成物の投与を含むが、これらに限定されない。特に、非経口投与は、眼内、硝子体内、皮下、腹腔内、筋肉内、胸骨内注射、腫瘍内、及び腎臓透析注入技術を含むが、これらに限定されないことが企図されている。
【0195】
非経口投与のために適した医薬組成物の製剤は、医薬的に許容可能な担体、例えば滅菌水又は滅菌等張食塩水などと組み合わされた活性成分を含む。そのような製剤は、ボーラス投与のために又は連続投与のために適した形態において調製、包装、又は販売されうる。注射可能な製剤は、単位投薬形態中で、例えばアンプル中又は保存剤を含む複数用量容器中などで調製、包装、又は販売されうる。非経口投与用の製剤には、懸濁液、溶液、油性又は水性溶媒中のエマルジョン、ペースト、及び移植可能な持続放出又は生分解性の製剤を含むが、これらに限定されない。そのような製剤は、1つ以上の追加的な成分(懸濁剤、安定剤、又は分散剤を含むが、これらに限定されない)をさらに含みうる。非経口投与用の製剤の一実施形態において、活性成分は、再構成された組成物の非経口投与の前に、適した溶媒(例、滅菌パイロジェンフリー水)での再構成のための乾燥(即ち、粉末又は顆粒)形態において提供される。
【0196】
医薬組成物は、無菌の注射可能な水性又は油性の懸濁液又は溶液の形態において調製、包装、又は販売されうる。この懸濁液又は溶液は、公知の技術に従って製剤化されえて、活性成分に加えて、追加的な成分、例えば本明細書中に記載する分散剤、湿潤剤、又は懸濁剤などを含みうる。そのような無菌の注射可能な製剤は、非毒性の非経口的に許容可能な希釈剤又は溶媒、例えば水又は1,3ブタンジオールなどを使用して調製されうる。他の許容可能な希釈剤及び溶媒は、リンゲル溶液、等張塩化ナトリウム溶液、及び固定油、例えば合成モノグリセリド又はジグリセリドなどを含むが、これらに限定されない。有用である他の非経口的に投与可能な製剤は、微結晶形態において、リポソーム調製物において、又は生分解性ポリマー系の成分として活性成分を含む製剤を含む。持続放出又は移植用の組成物は、医薬的に許容可能なポリマー又は疎水性材料、例えばエマルジョン、イオン交換樹脂、難溶性ポリマー、又は難溶性塩などを含みうる。
【0197】
本発明の医薬組成物は、頬腔を介した肺投与のために適した製剤中で調製、包装、又は販売されうる。そのような製剤は、活性成分を含み、約0.5から約7ナノメートル、又は約1から約6ナノメートルの範囲中の直径を有する乾燥粒子を含みうる。そのような組成物は、便利には、噴射剤の流れを、粉末を分散させるために向けることができる乾燥粉末リザーバーを含む装置を使用して、あるいは自走式溶媒/粉末分散容器、例えばシールされた容器中の低沸点噴射剤中に溶解又は懸濁された活性物質を含む装置などを使用した投与のための乾燥粉末の形態中にある。一実施形態において、そのような粉末は、粒子の少なくとも98重量%が0.5ナノメートルを上回る直径を有し、粒子数の少なくとも95%が7ナノメートルを下回る直径を有する粒子を含む。一実施形態において、粒子の少なくとも95重量%が1ナノメートルを上回る直径を有し、粒子数の少なくとも90%が6ナノメートルを下回る直径を有する。一部の例において、乾燥粉末組成物は、固体微粉末希釈剤、例えば糖などを含み、単位用量形態において便利に提供される。
【0198】
低沸点噴射剤は、一般的に、大気圧で65°Fを下回る沸点を有する液体噴射剤を含む。一般的に、噴射剤は組成物の50から99.9%(w/w)を構成しうるが、活性成分は組成物の0.1から20%(w/w)を構成しうる。噴射剤は、追加的な成分、例えば液体非イオン性もしくは固体アニオン性界面活性剤又は固体希釈剤(一部の例において、活性成分を含む粒子と同じオーダーの粒子サイズを有する)などをさらに含みうる。
【0199】
肺送達用に製剤化された本発明の医薬組成物はまた、溶液又は懸濁液の液滴の形態において活性成分を提供しうる。そのような製剤は、活性成分を含む、場合により、無菌の水性又は希釈アルコール溶液又は懸濁液として調製、包装、又は販売することができ、任意の噴霧又は微粒化装置を使用して便利に投与されうる。そのような製剤は、1つ以上の追加的な成分(香味剤、例えばサッカリンナトリウムなど、揮発性油、緩衝剤、界面活性剤、又は保存剤、例えばメチルヒドロキシ安息香酸などを含むが、これらに限定されない)をさらに含みうる。一実施形態において、この投与の経路により提供される液滴は、約0.1から約200ナノメートルの範囲中の平均直径を有する。
【0200】
肺送達用に有用であるとして本明細書中に記載されている製剤はまた、本発明の医薬組成物の鼻腔内送達用に有用である。
【0201】
鼻腔内投与用に適した別の製剤は、活性成分を含み、約0.2から500マイクロメートルの平均粒子を有する粗い粉末である。そのような製剤は、嗅ぎタバコが取られる様式において、即ち、鼻孔の近くに保持された粉末の容器から鼻腔経路を通じた迅速な吸入により投与される。
【0202】
経鼻投与用に適した製剤は、例えば、約0.1%(w/w)という少量から100%(w/w)という多量までの活性成分を含み、本明細書中に記載する追加成分の1つ以上をさらに含みうる。
【0203】
本発明の医薬組成物は、頬側投与用に適した製剤中で調製、包装、又は販売されうる。そのような製剤は、例えば、従来の方法を使用して作製された錠剤又はトローチの形態でありうるが、例えば、0.1から20%(w/w)の活性成分でありうるが、このバランスは、経口溶解性又は分解性組成物及び、場合により、本明細書中に記載する追加成分の1つ以上を含む。あるいは、頬側投与用に適した製剤は、活性成分を含む粉末あるいはエアロゾル化又は噴霧化溶液又は懸濁液を含みうる。一実施形態において、そのような粉末化、エアロゾル化、又はエアロゾル化製剤は、分散された場合、約0.1から約200ナノメートルの範囲中の平均粒子又は液滴サイズを有し、本明細書中に記載する追加成分の1つ以上をさらに含みうる。
【0204】
本明細書中で使用する場合、「追加成分」は、以下の1つ以上を含むが、これらに限定されない:賦形剤;界面活性剤;分散剤;不活性希釈剤;造粒及び崩壊剤;結合剤;潤滑剤;甘味料;フレーバー剤;着色剤;保存剤;生理学的に分解可能な組成物、例えばゼラチンなど;水性溶媒及び溶剤;油性溶媒及び溶剤;懸濁剤;分散剤又は湿潤剤;乳化剤、デマルセント;緩衝剤;塩;増粘剤;充填剤;乳化剤;抗酸化剤;抗生物質;抗真菌剤;安定剤;及び医薬的に許容可能な高分子又は疎水性材料。本発明の医薬組成物中に含まれうる他の「追加成分」は、当技術分野において公知であり、例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences(1985, Genaro, ed., Mack Publishing Co., Easton, PA)において記載されており、それは、参照により本明細書中に組み込まれる。
【0205】
実験例
【0206】
本発明は、以下の実験例への参照によりさらに詳細に説明されている。これらの例は、例証だけの目的のために提供され、他に特定されない限り、限定することを意図しない。したがって、本発明は、以下の例に限定されるといかなる方法でも解釈すべきではなく、しかし、むしろ、本明細書中で提供する教示の結果として明らかになる任意の及び全てのバリエーションを包含すると解釈すべきである。
【0207】
さらなる説明を伴うことなく、当業者は、先行する説明及び以下の例証的な例を使用して、本発明を作製及び利用し、請求される方法を実行することができると考えられる。以下の実施例は、本開示の残りの部分を任意の方法において限定するものとして解釈すべきではない。
【0208】
実施例1:CD4 T細胞によって、免疫特権組織への抗体アクセスが提供される
【0209】
循環抗体は、大半の組織にアクセスし、侵入する病原体の監視及び排除を媒介することができる。免疫特権組織、例えば脳及び末梢神経系などは、それぞれ血液脳関門(Hawkins et al., 2005, Pharmacol. Rev. 57, 173-185)及び血液神経関門(Weerasuriya, A. et al., 2011, Methods Mol. Biol. 686, 149-173)により血漿中タンパク質から遮蔽される。しかし、循環抗体は、何らかの方法でこれらの組織へのアクセスを得て、それらの抗菌機能を媒介しなければならない。
【0210】
抗体が、構成的抗体輸送機構を欠く末梢組織に侵入する病原体に対してどのように保護するかは不明である。毛細血管内皮細胞、厚い基底膜、及び星状細胞の足突起の間でのタイトジャンクションからなる血液脳関門によって、脳への抗体の拡散が効果的にブロックされる一方で(Weerasuriya, A. et al., 2011, Methods Mol. Biol. 686, 149-173)、神経内膜血管内皮及び神経周囲からなる血液神経関門によって、末梢ニューロンへの抗体アクセスがブロックされる(Weerasuriya et al., 2011, Methods Mol Biol 686, 149-173)。そのような障壁は、自己反応性抗体によるアクセスを防止する際に重要である(Milligan, G. N. et al., J. Immunol. 160, 6093-6100)。同時に、特定の病原体は免疫特権部位内で標的化して複製することから、これらの組織への方向づけられた抗体送達を可能にするための宿主機構が存在しなければならない。
【0211】
これらの結果によって、IFN-γの局所移動及び分泌を通じた神経組織への抗体アクセスを制御する際でのCD4 T細胞の役割が実証されている。循環CD4メモリーT細胞によって、恐らくは局所抗原提示細胞により提示される同族の抗原性ペプチドの認識時に、IFN-γのそれらの分泌を通じた感染の部位への抗体送達が効果的に標的化される(Laidlaw, B. J. et al., 2014、Immunity 41, 633-645, Iijima、N. et al., 2008, J. Exp. Med. 205, 3041-3052)。これらの結果は、抗体応答のエフェクター段階でのCD4 T細胞の助けについての要求を示し、他のエフェクター細胞型、例えばCD8 T細胞などへの道を開く際でのCD4 T細胞の増大する評価を増加させる(Laidlaw, B. J. et al., 2014, Immunity 41, 633-645、Nakanishi, Y. et al., 2009, Nature 462, 510-513、Reboldi, A. et al., 2009, Nature Immunol. 10, 514-523)。実験データによって、神経組織における抗体アクセスのためのCD4 T細胞についての要求が、免疫特権部位により課される追加の制御層を反映していることが実証される。アクセス可能な組織において、炎症性白血球が遊走し、PAMPへの応答において、CD4 T細胞に非依存的に血管透過性を誘発するのに十分なサイトカイン、例えばTNF-γなどを分泌する。しかし、神経向性ウイルス感染後、感染したニューロンは、血管のタイトジャンクションを再構築する炎症性サイトカインの産生が不十分であると予想される。同時に、生来の白血球の動員は、HSV-1感染マウスの神経節における特定のケモカインのシャットダウンによりブロックされる(Stock, A. et al., 2014, J. Exp. Med. 211, 751-759)。興味深いことに、T細胞栄養性ケモカインCXCL9及びCXCL10の発現は、感染したマウスのDRGにおいて保存されており(Stock, A. et al., 2014, J. Exp. Med. 211, 751-759)、これはリンパ球によるアクセスが許されていることを示唆する。このように、神経組織において、ウイルス特異的CD4 T細胞の侵入は、血管透過性の誘導を通じて抗体を許すサイトカインを提供するために決定的である。
【0212】
結果は、抗体ベースのワクチン又は神経向性ウイルスに対する処置が、頑強な循環CD4 T細胞記憶応答を生成することから利益を得るであろうことを意味する。
【0213】
これらの実験において用いられた材料及び方法が、本明細書に記載されている。
【0214】
マウス
【0215】
6から8週齢の雌C57BL/6(CD45.2+)及びコンジェニックC57BL/6 B6.SJL-PtprcaPep3b/BoyJ(B6.Ly5.1)(CD45.1+)マウス、B6.129S2-IghtmICgn/J(μMT)マウス、抗HEL B細胞受容体(BCR)トランスジェニックC57BL/6-TgN(IghelMD4)(HELTg)マウス、CBy.PL(B6)-Thy1a/ScrJ(Thy1.1+BALB/c)マウス、及びB6.129X1-Fcgrttm1Dcr/DcrJ(FcRn-/-)マウスをNational Cancer Institute and Jackson Laboratoryから購入した。JHDマウス(BALB/cバックグラウンド上欠損したB細胞)をTaconic Animal Modelsから得た。
【0216】
ウイルス
【0217】
HSV-2株186syn-TK-及び186syn+を得た。これらのウイルスは、以前に記載されたように(Laidlaw, B. J. et al., 2014, Immunity 41, 633-645)、Vero細胞(ATCC CCL-81)上で増殖及び力価測定した。インフルエンザウイルスA/Puerto Rico/3/334(A/PR8:H1N1)及びWT/VSVは、以前に記載されたように増殖させた(Laidlaw, B. J. et al., 2014, Immunity 41, 633-645、Sasai, M., et al., 2010, Science 329, 1530-1534)。
【0218】
ウイルス感染
【0219】
Depo Provera(Pharmacia Upjohn、マウス1匹あたり2mg)で皮下注射された6から8週齢の雌マウスを、以前に記載されたように(Iijima, N. et al., 2014, Science 346, 93-98)、膣内、腹腔内、又は鼻腔内に105p.f.uのHSV-2(186syn- TK-)で免疫化した。二次チャレンジのために、免疫化されたマウスを、104p.f.u(ナイーブマウスについての100%致死用量)のWT HSV-2(186syn+)で膣内にチャレンジした。BALB/c及びJHDマウスの場合において、これらのマウスを5×104から105p.f.uのHSV-2で免疫化した。二次チャレンジのために、免疫化されたマウスを105p.f.u(ナイーブマウスについての100%致死用量)のWT HSV-2でチャレンジした。疾患の重症度は以下のようにスコア化した:0、徴候なし;1、わずかな性器の紅斑及び浮腫;2、中等度の性器の炎症;3、化膿性性器病変;4、後肢麻痺;5、瀕死前(Laidlaw, B. J. et al., 2014, Immunity 41, 633-645)。人道的な懸念のため、動物を、瀕死状態に達する前に安楽死させた。末梢組織においてウイルス力価を測定するために、膣組織、DRG、及び脊髄を1%アンホテリシンB(Sigma)を含む、ABC緩衝液(0.5mM MgCl26H2O、0.9mM CaCl22H2O、1%グルコース、5% HI FBS、及びペニシリン-ストレプトマイシン)中に回収した。その後、これらの組織を、溶解マトリックスD(MP Biomedicals)によりホモジナイズし、続いて遠心分離により清澄化した。ウイルス力価を、Vero細胞単層での組織サンプルの滴定により得た。組織ホモジネート中のタンパク質濃度を、DCタンパク質アッセイキット(Bio-Rad Laboratories)により測定した。C57BL/6マウスを、WT/VSV(マウスあたり2×106p.f.u.)で静脈内に、又はインフルエンザA/PR8(マウスあたり10p.f.u.)で鼻腔内に免疫化した。二次チャレンジのために、VSV免疫化マウスをWT/VSV(マウスあたり1×107p.f.u.)で鼻腔内に再感染させた。
【0220】
抗体
【0221】
抗CD90.2(30-H12)、抗CD90.1(OX-7)、抗CD45.2(104)、抗CD45.1(A20)、抗CD4(GK1.5、RM4-5、及びRM4-4)、抗CD19(6D5)、抗CD45R/B220(RA3-6B2)、抗MHCクラスII(I-A/I-E、M5/114.15.2)、抗CD69(H1.2F3)、抗CD44(IM7)、抗CD49d(R1-2)、抗NKp46(29A1.4)、及び抗IFN-γ(XMG1.2及びR4-6A2)をe-Bioscience又はBiolegendから購入した。
【0222】
末梢組織からの白血球の単離
【0223】
Depo-Proveraで処置された膣組織の生殖管を尿道及び子宮頸部から切除した。神経組織を収集前に、マウスを、経心臓灌流ならびに下大静脈及び大伏在静脈を通じた灌流を使用し、30mlを上回るPBSで広範囲に灌流した。DRG及び脊髄の隣接領域を、フローサイトメトリー用のPBS又は組織均質化用のABC緩衝液中に採取した。次に、PBS中の組織を0.5mg ml-1のDispase II(Roche)とともに、37℃で15分間にわたりインキュベートした。その後、膣組織を1mg ml-1のコラゲナーゼD(Roche)及び30μg ml-1のDNaseI(Sigma-Aldrich)を用いて、37℃で25分間にわたり消化した。結果として得られた細胞を、70μmフィルターを通じてろ過した(Iijima, N. et al., 2011, Proc. Natl Acad. Sci. USA 108, 284-289、Johnson, A. J. et al., 2008, J. Virol. 82, 9678-9688)。
【0224】
フローサイトメトリー
【0225】
脾臓、流入リンパ節(鼠径リンパ節及び腸骨リンパ節)、膣及び神経組織からの単一細胞懸濁液の調製が以前に記載された。マルチパラメータ分析をLSR IIフローサイトメーター(Becton Dickinson)で実施し、FlowJoソフトウェア(Tree Star)を使用して分析した。HSV-2特異的CD4+T細胞又はVSV特異的CD4+T細胞(CD45.1+又はCD45.2+)を検出するために、TK-HSV-2免疫化マウス又はVSV免疫化マウスの膣組織からの単一細胞懸濁液を、5μg ml-1のブレフェルジンAの存在において、熱不活化HSV-2抗原、熱不活化WT VSV、及び熱不活化インフルエンザウイルスA/PR8で負荷されたナイーブ脾細胞(CD45.1+CD45.2+)を用いて約12時間にわたり刺激した(Iijima, N. et al., 2014, Science 346, 93-98)。BALB/c及びJHDマウスにおいてHSV-2特異的CD4+T細胞を検出するために、TK-HSV-2免疫化マウスの膣組織からの単一細胞懸濁液(CD90.2+)を、熱不活化HSV-2抗原で負荷されたナイーブ脾細胞(CD90.1+)を用いて刺激した。
【0226】
中和/枯渇抗体を用いたインビボ処置
【0227】
C57BL/6マウス又はBALB/cマウスをTK-HSV-2ウイルスで免疫した。5から8週間後、これらのマウスに300μgの抗CD4(GK1.5;BioXCell)抗体又は抗IFN-γ(XMG1.2;BioXCell)抗体をHSV-2チャレンジ前後の-4、-1、2、及び4日目に静脈内(尾静脈)に注射した。CD4についてのインビボ枯渇を、脾臓からの細胞懸濁液の蛍光活性化セルソーティング分析により確認した。α4-インテグリンの中和のために、精製された抗マウスα4インテグリン/CD49d(PS/2;SouthernBiotech)を、チャレンジ後2及び4日目に300μgの抗体の尾静脈注射により与えた。
【0228】
パラバイオシス
【0229】
パラバイオシスを、わずかな改変を伴い、以前に記載されたように実施した(Iijima et al., 2014, Science, 346: 93-98)。ナイーブ又は免疫化されたC57BL/6マウス、HELTg及びμMTマウスを、ケタミン/キシラジンの混合物(それぞれ100mg/kg及び10mg/kg体重)で麻酔した。各々のマウスの対応する側面を剃毛した後、一致する皮膚切開を耳の後ろから腰まで実施し、Chromic Gut(4-0、Henry Schein)吸収性縫合糸で一緒に縫合し、次にこれらの領域を7mmステンレス鋼創傷クリップ(Roboz)でクリッピングした。
【0230】
血清及び組織ホモジネート中のウイルス特異的Ig及び全Igの測定
【0231】
96ウェルEIA/RIAプレートを、100μlのウイルス特異的Ig測定用の熱不活化精製HSV-2(100μlあたり104~105p.f.u.相当)もしくは熱不活化精製VSV(100μlあたり5×105p.f.u.相当)又は炭酸緩衝液(pH9.5)中での全Ig測定用のヤギ抗マウスIg(1:1,000;SouthernBiotech、1010-01)で充填し、次に4℃で一晩インキュベートする。翌日、これらのプレートをPBS-Tween20で洗浄し、PBS中の5%FBSで2時間にわたりブロックした。ABC緩衝液中の組織サンプル及び血清サンプルを次に、ウェル中にプレーティングし、周囲温度で少なくとも4時間にわたりインキュベートした。PBS-Tween20中での洗浄後、HRPコンジュゲート抗マウスIgG1、IgG3、IgM、IgA、IgG2a、IgG2b、又はIgG2c(SouthernBiotech)をウェルに1時間にわたり加えて、続いて洗浄し、TMB溶液(eBioscience)を加えた。反応を1N H2SO4で停止させ、吸光度を450nmで測定した。サンプル抗体価を、Ig標準(C57BL/6マウス免疫グロブリンパネル;SouthernBiotech)又はマウスIgG2a(HOPC-1;SouthernBiotech)を使用することにより定義した。
【0232】
アルブミンELISA
【0233】
広範囲の灌流後に調製された組織ホモジネート(DRG及び脊髄)を使用し、アルブミンELISA(Genway)を製造元の説明書に従って実施した。
【0234】
免疫蛍光染色
【0235】
厚さ8μmの凍結切片を切り、固定し、周囲温度で乾燥させた。これらの組織を、抗体(抗CD4(H129.19)、抗MHCクラスII(M5/114.15.2)、抗VCAM-1(429/MVCAM.A)、抗CD31(390及びMEC13.3)、抗Ly6G(1A8)、抗CD11b(M1/70)、及び抗マウスアルブミン(Goat pAb/Bethyl Laboratories)を用いて、以前に記載されたように染色した(Iijima, N. et al., 2014, Science 346, 93-98)。これらのスライドを洗浄し、DAPIでインキュベートし、Fluoromount-G(SouthernBiotech)でマウントした。それらを蛍光顕微鏡法(BX51;Olympus)により分析した。
【0236】
血管透過性アッセイ
【0237】
脊柱を、PBS中の200μlの5mg ml-1のOregon Green 488コンジュゲートデキストラン(70kDa、D7173、Thermo Fisher Scientific)の尾静脈注射45分後に、鼻腔内TK-HSV-2免疫化マウスから採取した。脊椎を次に、PBS中の4%パラホルムアルデヒドで一晩固定し、凍結切片(厚さ8μm)を免疫組織化学的分析のために切断した(Knowland, D. et al., 2014, Neuron 82, 603-617)。
【0238】
組織からのDNA単離
【0239】
C57BL/6マウスをTK-HSV-2で鼻腔内に免疫化した。6週間後、これらのマウスの膣組織、DRG、及び脊髄を10mg ml-1のプロテイナーゼK(Roche)中に溶解し、55℃で一晩DNAを単離した。これらのチューブを取り外した後、Tris pH8.0で平衡化されたフェノールを加えた。その後、上部水相をフェノール/クロロホルム(1:1)に加えた。この上部水相を酢酸ナトリウム、pH 6.0、及び100%エタノールで、室温で再懸濁した。振盪及び遠心分離後、単離されたDNAペレットの濃度を測定した。HSV-2 gD(フォワードプライマー:AGCGAGGATAACCTGGGATT(配列番号1);リバースプライマー:GGGATAAAGCGGGGTAACAT(配列番号2))に基づく末梢組織中のHSV-2ゲノムDNAのレベルを、精製されたウイルスDNAゲノムを標準として使用して、定量的PCRにより分析した。
【0240】
統計分析
【0241】
生存曲線を、ログランク検定を使用して分析した。他のデータについては、正規分布の連続変数比較によって、両側の対応のないスチューデントのt検定又は対応のあるスチューデントのt検定が、Prismソフトウェアを用いて使用された。2つのノンパラメトリックデータセットを比較するために、マン・ホイットニーのU検定が使用された。
【0242】
実験の結果をここに記載する。
【0243】
関門保護組織内の抗体媒介性保護の機構を研究するために、性器ヘルペス感染のマウスモデルを使用した。単純ヘルペスウイルス2型(HSV-2)は粘膜上皮を通じて宿主に侵入し、後根神経節(DRG)中の神経支配ニューロンに感染し、潜伏期を確立する(Koelle, D. M. et al., 2008, Annu. Rev. Med. 59, 381-395、Knipe, D. M. et al., 2008 Nature Rev. Microbiol. 6, 211-221)。チミジンキナーゼ遺伝子の欠失を伴う弱毒化HSV-2(TK
-HSV-2)による膣免疫化によって、組織に存在するメモリーT細胞(TRM)を確立することにより(Iijima, N. et al., 2014, Science 346, 93-98)、野生型(WT)HSV-2での性器チャレンジ後の致死性疾患からの完全な保護が提供される(Parr, M. B. et al., 1994, Lab. Invest. 70, 369-380)。膣内免疫化マウスにおいて、CD4 T細胞によるインターフェロン(IFN)γ分泌(しかし、抗体ではない)が防御のために要求される(Milligan, G. N. et al.,1998, J. Immunol. 160, 6093-6100、Parr, M. B. et al., 2000, Immunology 101, 126-131)。対照的に、同じウイルスでの遠位免疫化によってTRMは確立されず、部分的な防御だけが提供される(Iijima, N. et al., 2014, 2014, Science 346, 93-98)。それにもかかわらず、テストされた遠位免疫化経路の中で、TK
-HSV-2での鼻腔内免疫化によって、WT HSV-2での膣内チャレンジに対して最も頑強な防御が提供されたのに対し、腹腔内免疫化によって最小の防御が提供された(
図1Aから
図1D)(Sato, A. et al., 2014, J. Virol. 88, 13699-13708、Jones, C. A. et al., 2000, Virology 278, 137-150)。以前に示されたように(Iijima, N. et al., 2014, Science 346, 93-98)、鼻腔内(intransal)免疫化によって、同等の循環メモリーT細胞プールが生成されたにもかかわらず(
図5C、
図5D)、性器粘膜においてTRMが確立されなかった(
図5A、
図5B)。膣HSV-2チャレンジ後、TK
-HSV-2で鼻腔内に免疫化されたマウスは、膣粘膜内でウイルス複製を制御できなかったが(
図1C)、しかし、DRGの神経支配ニューロン中でウイルス複製が有意に低下していた(
図1D)。注目すべきことに、鼻腔内免疫化により付与された防御にはB細胞が要求されることが見出された。なぜなら、J
HDマウス(B細胞が欠損している)が鼻腔内免疫化により防御されなかったためである(
図1E―
図1G)。B細胞の非存在において、鼻腔内免疫化によって、DRG及び脊髄におけるウイルス複製は制御できなかった(
図1G)。
【0244】
TK
-HSV-2で鼻腔内に免疫化されたマウスにおいて、DRG又は脊髄における感染のエビデンスは見出されなかった(
図5E)。さらに、免疫化の鼻腔内経路は保護応答を付与することにおいて固有ではなかった。なぜなら、膣内に免疫化されたパートナーと循環を共有するパラバイオティックマウスはまた、TRMの非存在において、WT HSV-2での膣チャレンジから部分的に保護されたためである(Iijima, N. et al., 2014, Science 346, 93-98)(
図5F―
図5H)。免疫化されたパートナーにおけるB細胞が、ナイーブ結合マウスにおいて保護を付与するために要求されることが見いだされた。なぜなら、免疫化されたμMTマウスのパートナーは保護されなかったためである(
図5F―
図5H)。さらに、抗原特異的B細胞は、保護を付与するために要求された。なぜなら、B細胞が無関係なB細胞受容体を持っている膣内免疫化パートナー(鶏卵リゾチーム(HEL)に対する)が、結合したナイーブパートナーにおいて保護を付与することができなかったためである(
図5F―
図5H)。鼻腔内免疫化について観察されたように、免疫化されたパラバイオティックパートナーにより付与されたウイルス制御は、膣粘膜において観察されず(
図5H)、保護が神経支配ニューロンにおいて生じることを実証している。
【0245】
次に、免疫化の異なる経路に従った抗体による優れた防御のための基礎を研究した。TK
-HSV-2を用いた免疫化の膣内、鼻腔内、及び腹腔内経路は、同等の循環CD4 T細胞記憶応答をもたらす(Iijima, N. et al., 2014, Science 346, 93-98)。差は他のアイソタイプについて見られなかった一方で、免疫化の鼻腔内及び膣内経路は、より高いレベルの全身性HSV-2特異的免疫グロブリンG(IgG)2b及びIgG2c応答を生成する際に、腹腔内経路よりも優れていた(
図6)。これらの結果は、より高いレベルの循環ウイルス特異的IgG2b及びIgG2cが、膣HSV-2チャレンジに対する防御と相関していることを示した。
【0246】
次に、DRG及び脊髄への抗体アクセスがどのように媒介されるかを決定した。末梢神経組織は、血液神経関門を通じた抗体拡散から防御されているが、組織中への抗体の分泌が、感染組織内の内皮細胞上で発現されたIgGについての新生児Fc受容体(FcRn)による血清抗体の輸送を通じて生じることが公式に可能であった(Roopenian, D. C. et al.,2007, Nature Rev. Immunol. 7, 715-725)。しかし、TK
-HSV-2で鼻腔内に免疫化された、FcRnを欠損したマウスは、WT対応物と等しく膣HSV-2感染から保護されていることが見いだされた(
図2A及び
図2B)。このように、循環HSV-2特異的抗体は、FcRn非依存的な様式において局所ウイルス感染に続いて神経組織に何らかの方法で動員され、宿主の保護のために要求される。
【0247】
循環抗体が十分である場合、HSV-2特異的抗体単独の受動的移入によって宿主を保護できるはずである。しかし、HSV-2特異的抗体単独の静脈内注射によって、ナイーブマウスをHSV-2チャレンジに対して保護することはできないことが示されている(McDermott, M. R. et al., 1990, J. Gen. Virol. 71, 1497-1504、Morrison, L. A. et al., 2001 J. Virol. 75, 1195-1204)(
図2C及び
図2D)。対照的に、以前の試験(Morrison, L. A. et al., 2001, J. Virol. 75, 1195-1204)と一致して、TK
-HSV-2で鼻腔内に免疫化され、HSV-2特異的抗血清の全身投与が与えられたB細胞欠損μMTマウスが保護されたことが発見された(
図2C及び
図2D)。このように、これらの結果は、保護のために要求されると思われるのは、B細胞自体ではなく、非B細胞免疫細胞、恐らくは免疫化により誘導されるT細胞との協調における分泌抗体であることを実証する。この可能性をテストするために、以前に免疫化されたマウスからのCD4 T細胞が、膣内HSV-2チャレンジの直前に鼻腔内で枯渇された。この設定において、B細胞の分化及び抗体応答が、CD4 T細胞の助けの存在において6週間にわたり完全に生じることが可能になった。CD4 T細胞が急性に枯渇されたマウスは、HSV-2での感染に屈したのに対し(
図2E及び
図2F)、CD8 T細胞及びナチュラルキラー(NK)細胞の枯渇は効果を有さなかった(Sato, A. et al., 2014, J. Virol. 88, 13699-13708)。さらに、また、チャレンジ前のIFN-γの中和、又はIFN-γRにおける遺伝的欠損によって、鼻腔内に免疫化されたマウスは、膣内HSV-2チャレンジに対してより感受性となった(
図2E及び
図2F)。注目すべきことに、ウイルスチャレンジの直前に鼻腔内に免疫化されたマウスからのCD4 T細胞の枯渇によって、免疫化されたB細胞欠損μMTマウスと同様の程度まで、マウスのDRGにおけるウイルス制御を不可能にした(
図2G)。鼻腔内免疫化によって、DRGにおけるHSV-2からの完全に近い保護が、しかし、脊髄においては変動する保護が付与されることが観察された(
図1D及び
図2G)。HSV-2は、感覚ニューロン及び自律神経ニューロンを通じてDRG及び脊髄に差別的に播種することができるため(Ohashi, M. et al., 2011, J. Virol. 85, 3030-3032)、これらのデータによって、抗体媒介性の保護の有効性がウイルス侵入の経路に依存しうることが実証される。さらに、これらの結果は、循環抗体、CD4 T細胞、及びIFN-γがHSV-2に対する神経保護を集合的に媒介することを示す。
【0248】
抗体媒介性の防御が、膣内ではなく、神経支配ニューロンのレベルで生じることを前提とすると(
図1C及び
図5H)、CD4 T細胞はIFN-γの分泌を通じて組織実質への抗体の送達を制御すると仮定される。低レベルのウイルス特異的及び全抗体が、免疫化マウスにおける定常状態でDRG又は脊髄において(
図3;WT/鼻腔内→D0)、及び検出不可能なレベルの抗体が、HSV-2での急性感染6日後に、以前に免疫化されていないマウスにおけるこれらの組織中で検出された(
図3;WT/ナイーブ→D6)。しかし、6週間前にTK
-HSV-2で鼻腔内に免疫化されたマウスにおいて、抗体のレベルにおける増加が、DRG内及び脊髄において膣内HSV-2チャレンジの6日後に検出された(
図3;WT/鼻腔内→D6)。さらに、CD4 T細胞が、制限された組織、例えばDRGなどへのウイルス特異的抗体のアクセスのために要求された。なぜなら、CD4 T細胞の枯渇によって、この組織及び脊髄における抗体レベルが完全に消滅したためである(
図3D;WT/鼻腔内
+抗CD4→D6)。さらに、CD4 T細胞(
図3B、
図D)及びIFN-γ(
図7)についての同様の要求が、DRG中への全IgG2b及びIgG2cアイソタイプの拡散について見いだされ、送達機構によって抗体のウイルス特異性が識別されないことを実証している。神経組織とは対照的に、CD4の急性枯渇又はIFN-γ遮断は、一度、抗体応答が確立されれば、抗HSV-2又は全応答抗体の血清レベルに対する有意な影響を有さなかった(
図8A及び
図8B)。抗原特異的メモリーCD4 T細胞が神経組織への抗体アクセスを媒介するために要求されるか否かを決定するために、マウスを、異種ウイルス、インフルエンザAウイルスで鼻腔内にプライミングし、4週間後にHSV-2で膣内にチャレンジした。同族のメモリーCD4 T細胞を保有するマウスとは対照的に、膣内HSV-2チャレンジ後の神経組織への抗体アクセスは、(インフルエンザAウイルスに対して)無関係のメモリーCD4 T細胞を有するマウスにおいて観察されなかった(
図9)。これらのデータは、抗原特異的メモリーCD4 T細胞が神経組織への抗体アクセスのために要求されることを示す。
【0249】
メモリーCD4 T細胞がバリア保護組織に侵入し、IFN-γの局所分泌を通じて抗体アクセスを動員しうると仮定した。この考えを支持して、IFN-γを分泌するHSV-2特異的CD4 T細胞が、6週間前に鼻腔内免疫化を受けたマウスにおける性器HSV-2チャレンジのおよそ6日後にDRG及び脊髄に侵入したことが見いだされた(
図4A及び
図4B;WT/鼻腔内→D6)。CD11b、Ly6G、又はMHCIIを持つ生来の白血球における一部の増加が、チャレンジの6日後にDRG及び脊髄において観察された(
図10A)。IFN-γ分泌は、DRG内のメモリーCD4 T細胞集団に限定されていた(
図4A)。さらに、一次膣HSV-2感染の6日後でのDRG及び脊髄へのエフェクターCD4 T細胞の侵入は、それらの記憶の対応物よりもずっと効率が低く(
図4A及び
図4B;WT/ナイーブ→D6)、これらの神経組織中に移動するT細胞の内因性能力が、記憶の発生を伴って増強されることを実証している。
【0250】
α4β1(又はVLA4)とVCAM-1の相互作用は、血液脳関門を通過するT細胞の動員に寄与する(Man, S. et al., 2007, Brain Pathol. 17, 243-250)。HSV-2に対して生成されたメモリーCD4 T細胞は、インテグリンα4サブユニットであるCD49dを発現する(Iijima, N. et al., 2014, Science 346, 93-98)。神経組織中へのメモリーCD4 T細胞の侵入が、α4インテグリンに厳密に依存的であることが見いだされた。なぜなら、α4の抗体遮断によって、DRG及び脊髄中へのそれらの侵入が防止されたためである(
図4A及び
図4B)。α4β1、VCAM-1についてのリガンドの発現が、免疫チャレンジマウスにおけるDRG及び脊髄の内皮中で観察された(
図4C及び
図10B)。さらに、組織切片の分析によって、CD4 T細胞は、DRG及び脊髄の実質中、ならびにそれらの神経上膜及び髄膜内に見いだされるが、しかし、血管系内では見いだされないことが明らかになった(
図4C、
図10A、及び
図10B)。注目すべきことに、多くのCD4 T細胞が、DRG内のニューロンの細胞体に隣接して見いだされた。一部のVCAM-1染色が神経細胞体のサイトゾル中に見いだされた(矢印、
図4C)。加えて、CD90.2への抗体を用いた血管内染色(Anderson, K. G. et al., 2014. Nature Protocols 9, 209-222)によって、DRG及び脊髄中のCD4 T細胞の大多数が循環から隔絶されていることが明らかになった(
図11A、
図11B)。このように、神経組織に動員されたCD4 T細胞は、DRG及び脊髄の実質にアクセスする。注目すべきことに、CD4 T細胞動員のα4インテグリン遮断によって、DRG及び脊髄へのウイルス特異的抗体の減少したアクセスがもたらされ(
図4D及び
図4E)、ウイルス特異的抗体の血液レベル(
図8C)又は循環中の種々のアイソタイプの全抗体レベル(
図8D)に対する効果を伴わなかった。まとめると、これらのデータは、メモリーCD4 T細胞が神経組織に侵入し、IFN-γを分泌し、DRG及び脊髄への抗体アクセスを促進することを示す。
【0251】
CD4 T細胞により分泌されたIFN-γによって、どのようにして循環抗体が神経組織にアクセスできるようになりうるのか?IFN-γは内皮細胞に作用してタイトジャンクションを再構築し、透過性を増加させる(Capaldo, C. T. et al. 2014, Mol. Biol. Cell 25, 2710-2719)。膣内に注射された組換えIFN-γは、抗体が膣内腔にアクセスできるようにするのに十分であることが観察され、IFN-γが末梢組織中の血管透過性及び上皮透過性の両方を誘導し(
図12A)、内皮細胞上のVCAM-1発現を増強する(
図12B)ために十分であることを示唆している。CD4 T細胞及びIFN-γにより媒介された神経組織への抗体アクセスが、増加した血管透過性を通しているのか否かを評価するために、鼻腔内に免疫化されたマウスにおける性器HSV-2チャレンジ後の神経組織中への血中アルブミンの測定された放出が実証された。注目すべきことに、血管透過性が、ELISA及び免疫組織化学的分析による神経組織への血中アルブミンの漏出により測定されるように、CD4 T細胞及びIFN-γ依存的な様式においてDRG及び脊髄中で生じることが観察された(
図4F及び
図13A)。IgGと同様のサイズを有する、70kDaフルオレセインイソチオシアネート(FITC)-デキストランの静脈内注射を使用し、DRG及び脊髄へのCD4依存的な血管透過性が確認された(
図13B)。まとめると、この結果によって、CD4 T細胞が、IFN-γを分泌し、微小血管透過性を増強することにより、感染の部位への抗体送達を可能にするという概念が裏付けられる。この抗体送達の機構は宿主の免疫保護のために決定的である。なぜなら、CD4 T細胞の枯渇、神経組織中へのCD4 T細胞遊走の阻害、又はIFN-γの中和によって、免疫マウスが感染に感受性になるためである。
【0252】
知見がHSV-2を超えているか否かを決定するために、異なる神経向性ウイルスである水疱性口内炎ウイルス(VSV)(ラブドウイルス科のネガティブセンスRNAウイルス)に続く神経組織への抗体アクセスの決定を研究した。鼻腔内接種時に、VSVは鼻粘膜中の嗅覚ニューロンに感染し、嗅球を通ってCNSに侵入する(Reiss, C. S. et al., 1998, Ann. NY Acad. Sci. 855, 751-761)。対照的に、VSVでの静脈内感染は十分に許容され、頑強なT及びB細胞応答を生成する(
図14)(Thomsen, A. R. et al., 1997, Int. Immunol. 9, 1757-1766)。脳への抗体アクセスがメモリーCD4 T細胞を要求するか否かを決定するために、マウスをVSVで静脈内に免疫化した。5週間後、免疫化されたマウスを、VSVで鼻腔内にチャレンジした。VSV特異的抗体の侵入が、鼻腔内チャレンジ後の6日に脳においてモニターされた。HSV-2感染から得られたデータと一致して、脳への抗体アクセスのCD4 T細胞に対する著しい依存性が観察された(
図14B)。さらに、鼻腔内VSVチャレンジの直前でのマウスの抗α4抗体処置によって、また、循環中のVSV特異的抗体に影響を及ぼすことなく、脳への抗体アクセスが減少した(
図14C)。さらに、脳への血管透過性はα4インテグリンに依存的であると決定した。なぜなら、α4インテグリンの抗体遮断によって、脳への減少したアルブミン漏出がもたらされたためである(
図14D)。まとめると、これらの結果は、抗体アクセスのためのα4-インテグリン及びメモリーCD4 T細胞についての要件が、2つの異なる神経向性ウイルスHSV-2及びVSVに適用されることを示し、血液神経関門により保護されている免疫特権組織への抗体アクセスの一般的な機構を示唆する。
【0253】
実施例2:CNSウイルス感染及び腫瘍のためのT細胞ベースの免疫療法
【0254】
低い再生能力を伴う脳及び他の部位へのアクセスは、一般的に、タイトな血液―組織内皮層、例えば中枢神経系(CNS)へのアクセスを制限する血液脳関門(BBB)などにより限定される。これらの障壁は病原体の侵入を限定し、組織の完全性を保存するのに役立つ一方で、それらはまた、感染性物質又は腫瘍に対する保護抗体又は治療用分子のアクセスを妨げうる。神経向性ウイルス感染モデルを使用し、免疫応答媒介性の一過性のBBB透過性を使用することにより、防御抗体又は治療抗体のCNSへのアクセスを許可する実験を実施した。水疱性口内炎ウイルス(VSV)での一次全身感染は、致死的な鼻腔内VSVチャレンジ時に、CD4+T細胞由来IFNγ媒介性のBBBの一時的な開放に導き、CNSへの防御抗体の侵入を可能にした。ウイルス抗原性ペプチド単独の鼻腔内送達での局所ウイルスチャレンジを模倣することによって、IFNγ産生CD4+T細胞が効率的に動員され、一過性のBBB透過性、CNSへの防御抗体アクセス、及び異種ウイルスチャレンジに対する防御が誘発される。T細胞特異的免疫原性ペプチドの鼻腔内送達によって、神経膠芽腫のモデルにおける抗PD1抗体のCNSへの効率的なアクセスも可能になり、免疫療法の有効性が有意に増強された。本発明者らの結果は、免疫特権部位への抗原性ペプチドの局所送達によって、神経向性病原体、脳腫瘍、及び神経変性疾患に対する治療用分子又はモノクローナル抗体のアクセスを一時的に増加させることができることを示唆する。
【0255】
これらの実験において使用された材料及び方法をここで記載する。
【0256】
マウス
【0257】
4から8週齢の雌C57BL/6(CD45.2+)、コンジェニックC57BL/6 B6.SJL-PtprcaPep3b/BoyJ(B6.Ly5.1)(CD45.1+)、免疫グロブリン欠損活性化誘導アデノシンデアミナーゼ欠損(AID-/-)分泌型IgM欠損(sIgM-/-)ダブルノックアウト(DKO AID-/-sIgM-/-)マウス、及びgDTII特異的DsRed(HSV反応性TCR Tg)トランスジェニックマウスを国立がん研究所及びジャクソン研究所から購入した。全ての努力が動物の苦痛を最小限にするためになされた。同様の年齢のマウスを、親、体重、又はサイズに関する任意のバイアスを伴わずに、コントロール群及び処置群に無作為化した。
【0258】
ウイルス
【0259】
HSV-2株186syn-TK及びWT/VSVウイルス株を、Vero細胞(ATCC CCL-81)で増殖及び力価測定した。Vero細胞は、使用前にPCRにより分析されたように、マイコプラズマを含まなかった。
【0260】
ウイルス感染
【0261】
4から8週齢の雌マウスを、WT/VSV、2×106プラーク形成単位(PFU)、100μl/マウスで皮下に免疫化した。二次チャレンジのために、免疫化されたマウスをイソフルラン(プロピレングリセロール中の30%v/vイソフルランの混合物)で麻酔し、WT/VSV、107pfu/マウスを鼻腔内に接種した。C57/BL6マウスを、2×106pfu/100ul/マウスのTK-HSV-2で皮下に免疫化した。ウイルス感染を、生存率、体重減少、及び疾患徴候のモニタリングにより決定した。人道的な懸念に起因して、動物を瀕死状態に達する前に安楽死させた。生存曲線データは、実験の終了時での生存のパーセンテージとして示す。脳におけるウイルスRNAをqRT-PCRにより検出した。
【0262】
抗体
【0263】
抗CD45.2(104)、抗CD45.1(A20)、抗CD45(30-F11)、抗CD3ε(145-2C11)、抗CD4(GK1.5及びRM4-5)、抗-CD8α(53-6.7)をBD Biosciences、e-Bioscience、又はBioLegendから購入した。細胞内染色のために、抗IFNγ(XMG1.2及びR4-6A2)、抗TNFα(MP6-XT22)をBioLegendから購入した。Alexa-Fluor-488標識ヤギ抗マウスIgG(H+L)、Alexa-fluor 646ロバ抗ヤギIgG(H+L)、Qtracker 565 Vascular Labels、及びマウスIgG2a(02-6200)アイソタイプコントロールをInvitrogen(ThermoFischer Scientific)から購入した。抗VSV(IE9F9)モノクローナル抗体をKerafastから購入した。
【0264】
RNA単離及び定量的逆転写ポリメラーゼ連鎖反応
【0265】
ウイルス力価を測定するために、脳組織を1%ペニシリン-ストレプトマイシン(Sigma)を伴うDMEM(1ulのDMEM/0.2μgの組織)(Life Technologies、ニューヨーク州グランドアイランド)中に採取した。その後、これらの組織を、溶解マトリックスD(MP Biomedicals)によりホモジナイズし、続いて遠心分離により清澄化した。RNAを、TRIZOL試薬(Sigma-Aldrich)、続いてRNeasyミニキット(Qiagen)を使用し、製造業者の指示に従って単離した。混入DNAを、組換えDNaseI(Roche)を使用して除去し、cDNAを、製造業者の指示に従ってiScript cDNA合成キット(BioRad)を使用して生成した。定量的PCRを、SYBRグリーンベースの定量化(Qiagen)を使用して実施した。脳組織におけるVSV RNAの発現を、以下のプライマーのセットを使用した定量的逆転写PCR(RT-qPCR)により定量化した:VSV(F、ACGGCGTACTTCCAGATGG(配列番号3);R、CTCGGTTCAAGATCCAGGT(配列番号4))。標的遺伝子の発現を、ハウスキーピング遺伝子Hprtに対して標準化した。
【0266】
抗原性ペプチド処置
【0267】
TK-HSV-2感染から5週間後、又はHSV特異的CD4 T細胞養子移入後の24に、マウスをgDTIIペプチド(糖タンパク質D中に位置づけられるHSV-2 I-Ab制限エピトープ)又はRVG-gDTIIペプチド(gDTIIペプチドに関連付けられる狂犬病ウイルス糖タンパク質)で処置した。動物をイソフルランで簡単に麻酔し、製剤を鼻腔内に1回又は3回投与した(10μl中100μg/マウス、各々の鼻孔に5μl)。この用量をその後、15分間隔内で投与した。RVG-OVAペプチド(オボアルブミンに関連付けられる狂犬病ウイルス糖タンパク質)を同じ濃度及び用量でコントロールとして使用した。RVG-gDTペプチド(YTIWMPENPRPGTPCDIFTNSRGKRASNGGGGCCIPPNWHIPSIQDA;配列番号89)及びgDTペプチド(gD315-327、IPPNWHIPSIQDA;配列番号90)を全ての実験のための抗原性ペプチドとして使用した。
【0268】
神経組織からの白血球の単離
【0269】
感染マウスを麻酔し、滅菌氷冷PBSで心臓内に灌流した。脳組織を収集し、PBS中で回収し、ホモジナイズし、37℃で30分間にわたる1mg/mLコラゲナーゼD(Roche)及び30μg/mLDNaseI(Sigma-Aldrich)中でのコラゲナーゼ消化が続いた。結果として得られた細胞を、100μmフィルターを通じてろ過し、パーコール密度勾配遠心分離を使用してさらに単離した。細胞調製物を、70μmフィルターを通じて2回目のろ過をし、さらなる刺激及び分析のために洗浄及び収集した。
【0270】
リンパ球の刺激及びフローサイトメトリー
【0271】
神経組織からの細胞懸濁液の調製は、以前に記載された。脾臓細胞をホモジナイズし、70μmフィルターを通じてろ過し、洗浄し、ACK溶解緩衝液で(5mLのACK/脾臓で1分間にわたり)処理した。細胞を抗CD16/32抗体(2.4G2)で前処理し、Fc受容体をブロックし、表面抗体で染色した。細胞内サイトカインを染色し、HSV-2特異的CD4+T細胞又はVSV特異的CD4+T細胞(CD45.1+又はCD45.2+)を検出するために、TK-HSV-2免疫化マウス又はVSV免疫化マウスの脳組織からの単一細胞懸濁液を、5μg/mlのブレフェルジンAの存在において、HSV-2抗原(細胞あたり0.5pfu相当)で負荷されたナイーブ脾細胞(CD45.1+CD45.2+)で10~12時間にわたり刺激した。非特異的刺激のために、gDTII移入レシピエントマウスから単離された脳細胞を、ホルボール12-ミリステート13-アセテート(PMA)(20ng/mL)(Sigma-Aldrich)及びイオノマイシン(4μg/mL)(Merck Milipore、マサチューセッツ州ビレリカ)と、ブレフェルジンA X1(eBioscience、カリフォルニア州サンディエゴ)の存在において、37℃及び5%CO2で4時間にわたりインキュベートした。細胞を抗CD3(145-2C11)、抗CD4(GK1.5及びRM4-5)、及び抗CD8α(53-6.7)で30分間にわたり表面染色し、次にCytofix/Cytoperm固定/透過化キット(BD Biosciences)を製造業者の指示に従って使用して固定及び透過処理した。これらの細胞を抗IFNγ(XMG1.2)及び抗TNFαで1時間にわたり細胞内染色した。マルチパラメータ分析をLSRIIフローサイトメーター(Becton Dickinson)で行い、データを、FlowJoソフトウェア(Tree Star Inc.、オレゴン州アシュランド)を使用して分析した。
【0272】
抗VSVモノクローナル抗体でのインビボ処置及び受動的血清投与
【0273】
DKO AID-/-sIgM-/-マウスに、鼻腔内VSVチャレンジ前後の-1、1、及び3日目に、5ug/500ul/マウスのVSVmAbを腹腔内に注射した。IgG2aアイソタイプコントロール抗体をコントロールとして使用した。VSV免疫血清の取得のために、VSV免疫化マウスを感染後6日で出血させた。得られた血清をプールし、-80℃で保存した。非感染C57BL/6ドナーマウスから得られたナイーブ血清をコントロールとして使用した。トランスファー実験の前に、血清を56℃で30分間にわたり加熱した。受動的血清移入実験のために、VSV免疫血清又はナイーブ血清(500μl)を、VSVチャレンジの前後-1、1、及び3日目に、腹腔内経路によりC57BL/6レシピエントマウスに移入した。異種チャレンジのために、TK-HSV-2免疫化マウス又はgDTII移入マウスに、抗原性ペプチド処置後1、3、5日目に、5μg/500μl/マウスのVSVmAbを腹腔内に注射し、7日目での鼻腔内VSVチャレンジが続いた。
【0274】
HSV特異的gDTII CD4+T細胞の養子移入
【0275】
gDTII特異的-DsRedトランスジェニックマウスを安楽死させ、脾臓細胞をホモジナイズし、5mLのACK溶解緩衝液/脾臓中での1分間にわたる赤血球溶解が続いた。CD4+T細胞を、EasySep Mouse CD4+T細胞単離キット(STEMCELL Technologies)を製造業者の指示に従って使用し、脾臓から単離した。次に、単離されたCD4+T細胞を、106個細胞の濃度でC57BL/6レシピエントマウス中に静脈内(レトロオービタル)に移入させた。マウスをgDTII特異的細胞移入後の24時間に抗原性ペプチドで処置した。
【0276】
腫瘍注射
【0277】
マウスをHSV-TKで皮下(s.c.)に免疫化し、5週間後に線条体において50,000個の腫瘍細胞を頭蓋内に移植した。腫瘍移植の6日後に、マウスをgDTIIペプチド又はOVAペプチドで処置した。実験マウス及びコントロールマウスは、腫瘍移植後9日目及び11日目に抗PD1抗体又はアイソタイプ抗体(200ug/マウス)を受けた。マウスを生存についてモニターし、腫瘍を、16及び23日目にIVIS発光イメージングを使用してイメージングした。
【0278】
アルブミンElisa
【0279】
感染マウスを、100mg/kgのケタミン10%及び20mg/kgのキシラジン2%を使用し、ケタミン及びキシラジンの腹腔内注射により深く麻酔し、次に、滅菌氷冷リン酸緩衝生理食塩水(PBS)で経心的に灌流した。脳組織を、感染又はペプチド処置後の示した日に収集した。組織ホモジネートを1:500希釈し、アルブミンELISA(Genway)を製造業者の指示に従って実施した。
【0280】
組織ホモジネート中のウイルス特異的Ig及び全Igの測定
【0281】
動物をキシラジン/ケタミンで深く麻酔し、ウイルス感染又はペプチド処置後の示した日に氷冷PBSで経心的に灌流した。ウイルス特異的IgG測定のために、96ウェルEIA/RIAプレートを炭酸緩衝液(pH9.5)中の100μlの熱不活化精製VSV(100μlあたり5×105pfu相当)でコーティングし、次に4℃で一晩インキュベートした。翌日、これらのプレートをPBS-Tween20で洗浄し、PBS中の5%FBSで2時間ブロックした。脳組織サンプルを次に希釈し、プレーティングし、室温で少なくとも4時間にわたりインキュベートした。PBS-Tween20中での洗浄後、HRPコンジュゲート抗マウスIgG又はIgG2b(SouthernBiotech)をウェル中に1時間にわたり加え、洗浄及びTMB溶液(eBioscience)の添加が続いた。反応を1N H2SO4で停止させ、吸光度を450nmで測定した。サンプルのAb力価を、Ig標準(C57BL/6マウス免疫グロブリンパネル;SouthernBiotech)又はマウスIgG2b(HOPC-1;SouthernBiotech)を使用することにより定義した。全IgG測定のために、組織ホモジネートを段階希釈し、全IgG ELISA(Genway)を製造業者の指示に従って実施した。
【0282】
血管透過性アッセイ
【0283】
TK-HSV-2免疫化マウスに、PBS中の100μlの5mg/mlのOregon Green 488コンジュゲートデキストラン(70kDa、D7173、Thermo Fisher Scientific、マサチューセッツ州)を静脈内に注射(レトロオービタル)した。1時間後、脳組織を注意深く収集し、次にPBS中の4%パラホルムアルデヒドで一晩固定し、免疫組織化学的分析のために凍結切片(厚さ8μm)に切断した。
【0284】
免疫蛍光染色
【0285】
組織染色のために、脳組織の凍結切片を切り取り(厚さ8μm)、染色し、固定した。これらの組織を、Ab(抗CD4[H129.19]、抗MHCクラスII[M5/114.15.2]、抗VCAM-1[429/MVCAM.A]、抗CD31[390及びMEC13.3]、抗Ly6G[1A8]、抗CD11b[M1/70]、及び抗マウスアルブミン[ヤギpAb/BETHYL Laboratories Inc.TX])で染色した。染色したスライドを洗浄し、DAPIとインキュベートし、Fluoromount-G(SouthernBiotech)でマウントした。画像を、蛍光顕微鏡(BX51;オリンパス)の10×又は40×対物レンズを使用して取得した。
【0286】
統計分析
【0287】
生存曲線を、ログランク検定を使用して分析した。ウイルス力価を、二元配置分散分析(ANOVA)を使用して分析した。他のデータについては、正規分布の連続変数比較を両側スチューデントのt検定を使用して実施し、群間の有意性を計算した。全てのテストを、GraphPad Prismソフトウェアで実施した。2つのノンパラメトリックデータセットの比較のために、マン・ホイットニーのU検定を使用した。(*)p≦.05;(**)p≦.01;(***)p≦.001;(****)p≦.0001;有意ではない(ns)。全ての測定の値を平均値又は平均値±標準偏差として表す。マウス実験を3~18匹のマウスの群で実施した。各々の実験を通常、2又は3回繰り返した。
【0288】
これらの実験の結果をここで記載する。
【0289】
最初に、免疫化された動物における局所ウイルスチャレンジによって、脳BBB透過性が調節されるか否か、及びCNSウイルスクリアランスが、免疫細胞又はメディエーターのCNSアクセスの調節のための潜在的に関連する戦略であるか否かを評価した。野生型マウスを低い用量のVSVで皮下に感染させ、5週間後に致死用量のVSVで鼻腔内にチャレンジし、10日間の感染期間の間にウイルス量をモニターした。ウイルスRNAは両方の群の嗅球において検出された一方で、鼻腔内送達後に予測されるように、非免疫化マウスは有意により高いレベルを示した;低いウイルスRNAが、チャレンジされたマウスの大脳及び小脳において観察された(
図15A)。免疫化戦略、それに続く局所ウイルスチャレンジによって、BBB透過性における変化に導かれるか否かを調べるために、血清アルブミンを免疫化群及びコントロール群の脳において測定した。VSV免疫化マウスの鼻腔内再感染によって一過性のBBB透過性がもたらされた一方で、非免疫化マウスは進行性のBBB漏出を示した(
図15B)。脳における血管破壊は、免疫化マウスにおける鼻腔内チャレンジ2から6日後まで検出され、鼻腔内チャレンジ後の4日目にピークを伴ったが、しかし、動物が感染から回復するにつれて、BBBの完全性が回復された(
図15C)。対照的に、BBB透過性は、それらのウイルス量に従って、免疫化されていないマウスにおいて進行した;これらのマウスは、鼻腔内チャレンジ8から12日後の間にウイルス感染に屈した(
図15C)。理論により拘束されることを伴わず、全身性ウイルス免疫化によって、局所中枢神経系ウイルスチャレンジに対する保護がもたらされ、耐性が一過性のBBB透過性と相関していると結論付けられた。
【0290】
VSV免疫化マウスにおける鼻腔内チャレンジ時に観察された増強されたクリアランス及び低下したウイルス量は、耐性機構における可能な一過性のBBB透過性を示唆した。VSVワクチン接種マウスにおける一過性のBBB透過性によって、脳への防御抗体のアクセスを増加させることにより耐性が増強されるか否かを決定するために、神経組織における抗体侵入をVSVチャレンジの間に測定した。BBB透過性のタイミングと一致して、全IgGレベルにおける有意な増加が、4及び6日目に脳組織において検出されたが、しかし、チャレンジ後10日目では検出されなかった(
図15D)。したがって、増加したVSV特異的抗体はまた、免疫化されたマウスにおけるチャレンジ後2、4、及び6日目に検出された(
図15E)。VSV免疫化マウスにおけるIgG抗体のピークが4日目であった一方で、非免疫化マウスは、10日目に、増加したIgGレベルを示した;故に、両方の群において、浸潤抗体はBBB透過性のピークと相関していたが、しかし、非免疫化マウスにおける遅い増加は、保護を付与するために十分ではなかった(
図15C)。抗体レベルにおける増加がウイルスクリアランスのために必要か否かを直接的に検討するために、活性化誘導アデノシンデアミナーゼ欠損(AID-/-)及び分泌型IgM欠損(sIgM-/-)ダブルノックアウトマウス(AID sIgM DKO)をVSV免疫化チャレンジ戦略に供した。野生型マウスとは対照的に、AIDxsIgM DKO免疫化マウスは、感染9から12日後の間にVSV鼻腔内チャレンジに屈した(
図15F)。抗VSV抗体についての保護的役割と一致して、抗VSVモノクローナル抗体(mAb)の移入、又は抗VSV免疫血清は、アイソタイプコントロール抗体又はWT血清を受けているマウスと比較した場合、AIDxsIgM DKO免疫化マウスを防御した(
図15G)。これらのデータは、抗体が局所チャレンジ時のCNSにおけるVSVのウイルスクリアランスに必須であることを示唆する。
【0291】
性器ヘルペス感染のマウスモデルを使用し、ウイルス特異的メモリーCD4
+T細胞が後根神経節(DRG)及び脊髄に遊走し、インターフェロン(IFN)γを分泌し、それが次に、血管透過性における局所的増加を媒介し、ウイルス制御のための抗体アクセスを可能にすることが以前に実証された(Iijima and Iwasaki, 2016, Nature, 533:552-556)。脳組織への抗体アクセスがメモリーCD4 T細胞の局所動員と関連付けられるか否かを調べるために、T細胞集団を、VSV免疫化又は非免疫化マウスの感染後6日目に分析した。注目すべきことに、IFNγ産生CD4 T細胞は、VSV免疫化マウスにおいてだけ検出された(
図15H)。局所IFNγ産生CD4 Tはまた、AIDxsIgM DKO VSV免疫化マウスにおいて検出されたが、これらのマウスが下流のエフェクターである抗体媒介性の防御機構だけ欠いていたことをさらに示す(
図15H)。これらの結果は、VSV免疫化により付与される防御が、局所的に動員されたウイルス特異的IFNγ産生CD4 T細胞により媒介される可能性を裏付けている(
図14D)。
【0292】
防御抗体アクセスのためにBBBを一時的に開く感染/局所チャレンジベースのモデルを確立した後、CNSへの局所抗体送達の治療戦略が開発された。この戦略では、最初に、免疫療法プラットフォームとしてのウイルス抗原性ペプチドの局所的なi.n.送達に関連付けられる性器ヘルペス(HSV-2)のマウスモデルを使用した。2つの補完的な戦略が、HSV-2特異的メモリーCD4
+T細胞応答の開発のために使用された(
図16A)。マウスをHSV-TKで皮下(s.c.)に免疫化した、又はgDTII特異的DsRed(HSV反応性TCR Tg)トランスジェニックマウスからのHSV特異的CD4 T細胞の養子移入を受けさせた。HSV免疫化後の5週間又はHSV反応性TCR Tg T細胞移入後の24時間に、HSV免疫化マウスを1又は3用量のgDTIIペプチド、糖タンパク質D中に位置づけられるHSV-2I-Ab制限エピトープ、又はRVG-gDTIIペプチド(gDTIIペプチドに関連付けられるm狂犬病ウイルス糖タンパク質)で処置した。オボアルブミンペプチドに関連付けられる狂犬病ウイルス糖タンパク質(RVG-OVA)をコントロール免疫原として使用した。生ウイルスチャレンジを使用して観察されたものと同様に、免疫化されたマウスへのTCR特異的ウイルス抗原性ペプチドの鼻腔内送達によって、4日目のBBB透過性がもたらされ、それによって、CNSへの抗体アクセスが可能になった(
図16Bから
図16E)。加えて、抗原性ペプチドを用いた処置によって、それぞれRVG-gDTII又はgDTIIを鼻腔内に受けたマウスにおける脳へのIFNγ産生ポリクローナル及びgDTII TCRトランスジェニックCD4
+Tの動員が誘導された(
図16F)。理論に拘束されることを伴わず、TCR特異的ウイルス抗原性ペプチドの局所送達は、CNSウイルス感染を制御するための治療戦略として使用されうると結論付けられた。
【0293】
次に、IFNγ産生メモリーCD4
+T細胞によって、また、ウイルス抗原性ペプチドの鼻腔内送達後のBBB透過性及びCNSへの抗体アクセスにおける増加が調整されたか否かを評価した。gDTII特異的T細胞を、抗原性ペプチドを使用して養子移入及び刺激した。優先的なBBB透過性が、抗原性ペプチドを、養子移入されたCD4 T細胞と与えられた場合に見られ、コントロールペプチドが与えられた場合には見られなかった(
図16C)。
【0294】
次に、致死的な異種感染のための神経組織への局所抗原性ペプチド送達の治療戦略の有効性を評価した。マウスをTK
-HSV-2で免疫化し、免疫原性ペプチドを投与した。ペプチド投与後1、3、及び5日目に、マウスを5ug/500ul/マウスのVSV mAbを腹腔内に注射し、7日目の鼻腔内VSVチャレンジが続き、生存をモニターした。以前に免疫化され、抗原性ペプチドを受けたマウスは、異種VSVチャレンジに対して優先的な防御を示した(
図17C)。
【0295】
局所抗原性ペプチド送達により誘発される一過性BBB透過性を使用し、異種神経向性ウイルスに対する抗体の有効性を増加させることができるか否かを調べるために、HSV-2特異的ペプチド治療を致死的なVSV感染に対してテストした。
図16において記載されている実験と同様に、マウスをHSV-TKで皮下(s.c.)に免疫化する、又はナイーブHSV特異的CD4 T細胞の養子移入を受けさせた。HSV免疫化の5週間後又はHSV反応性TCR Tg T細胞移植の24時間後、HSV免疫化マウスをgDTIIペプチドで処置した。マウスは、HSV-2ペプチドの鼻腔内送達後のBBB開口の間に、VSVに対する中和モノクローナル抗体、又はアイソタイプコントロール抗体を3用量受け、及びその後に致死用量の鼻腔内VSVでチャレンジされた。モノクローナル抗VSV抗体によって、HSV-2鼻腔内ペプチドを受けたHSV-2免疫化マウスにおいてウイルス拡散及び致死性が防止された(
図17D及び
図17E)。これらの結果は、局所抗原性ペプチド送達を異種感染に対する防御のために自由に効果的に使用することができることを示唆する。
【0296】
最後に、一過性のBBB透過性を使用し、チェックポイント遮断免疫療法のために使用される抗体のCNSへのアクセスを増加させることができるか否かを評価した。HSV-2特異的ペプチド治療を膠芽腫のモデルにおいてテストした。マウスをHSV-TKで皮下(s.c.)に免疫化し、5週間後に50,000個の腫瘍細胞で頭蓋内に移植した。腫瘍移植の6日後に、マウスをgDTIIペプチド又はOVAペプチドで処置した。実験マウス及びコントロールマウスは、腫瘍移植後9及び11日目に抗PD1抗体又はアイソタイプ抗体を受けた。腫瘍サイズを、分散を正規化するために4日目に、その後に発光を使用して16及び23日目に測定した(
図18A)。抗PD1抗体処置は、抗原性ペプチド治療を受けなかったマウスにおける単剤療法としては効果的ではなかった(
図18B)。しかし、抗PD1治療によって、HSV-2免疫化及びHSV-2鼻腔内ペプチド刺激を伴うマウスにおいて、腫瘍成長が防止され、生存が有意に改善された(
図18B)。抗原性ペプチド戦略によって、BBBをバイパスすることにより中枢神経系における効果的な用量を増加させることにより、チェックポイント阻害剤治療を増幅する新規方法が提供される。
【0297】
まとめると、これらの結果は、抗原性ペプチドの使用によって、神経向性病原体及び脳腫瘍と戦うためのモノクローナル抗体又は薬物送達のための新たな治療プラットフォームに導かれうることを示唆する。
【0298】
実施例3:BBBを通じた薬物送達のためのCD4+T細胞治療
【0299】
脳転移は、処置するのが困難である。なぜなら、いずれの効果的な治療もBBBを通過できない、又は微小腫瘍環境中で十分な濃度に達することができないためである。脳転移は高い死亡率の前兆となり、2年での8.1%の生存率及び5年での2.4%の生存率を伴う。脳神経外科的切除及び放射線療法は、一部の患者にとって可能ではない又は持続可能ではない。
【0300】
患者又は腫瘍特異的ペプチドが、適応免疫応答を活性化するために開発されている。これによって、CNSへの薬物及び生物製剤の一時的で明確なアクセスが可能になる。この技術によって、CNSへの任意の薬物又は生物製剤の送達を可能にすることができる。
【0301】
CNS抗原特異的CD4+T細胞はBBB開口を媒介しうる。CD4+T細胞は、後毛細管静脈中の血管周囲腔に入り、ウイルス抗原を提示し、IFN-γの分泌を刺激する血管周囲抗原提示細胞(APC)により刺激される。IFN-γは血管ECに作用し、タイトジャンクションタンパク質を下方調節する。
【0302】
MHCクラスIIペプチドの鼻腔内送達は、BBBを開くように機能することができる(
図19)。ペプチドは嗅神経をたどってCNSに入り、CD4 T細胞を刺激する。CD4 T細胞はインターフェロンガンマを産生し、BBBを数日間にわたり開く。鼻腔内ペプチド(IN)によるT細胞の刺激によって、チェックポイント阻害剤の生物製剤が脳組織にアクセスし、腫瘍を処置することが可能になる。既存のCD4 T細胞を活用することができる。転移性神経膠芽腫モデルにおいて、生存が、IN及びチェックポイント阻害剤の生物製剤の同時投与により劇的に改善される。RVG-gDTペプチド(YTIWMPENPRPGTPCDIFTNSRGKRASNGGGGCCIPPNWHIPSIQDA;配列番号89)及びgDTペプチド(gD315-327、IPPNWHIPSIQDA;配列番号90)をこれらの実験のための抗原性ペプチドとして使用した。
【0303】
本明細書中で引用する各々の及びすべての特許、特許出願、及び刊行物の開示は、参照によりそれらの全体において本明細書中に組み込まれる。本発明は特定の実施形態への参照を伴って開示されてきた一方で、本発明の他の実施形態及びバリエーションが、本発明の真の精神及び範囲から逸脱することを伴わず、当技術分野における他の者により考案されうることは明らかである。添付の特許請求の範囲は、全てのそのような実施形態及び同等のバリエーションを含むと解釈されることを意図する。
【配列表】
【国際調査報告】