(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-03
(54)【発明の名称】容器を断熱するための栓、および冷却方法
(51)【国際特許分類】
B65D 51/24 20060101AFI20230127BHJP
B65D 51/16 20060101ALI20230127BHJP
B65D 81/18 20060101ALI20230127BHJP
A61L 2/10 20060101ALI20230127BHJP
【FI】
B65D51/24
B65D51/16
B65D81/18 B
B65D81/18 D
A61L2/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022533603
(86)(22)【出願日】2020-11-24
(85)【翻訳文提出日】2022-06-03
(86)【国際出願番号】 EP2020083216
(87)【国際公開番号】W WO2021110480
(87)【国際公開日】2021-06-10
(32)【優先日】2019-12-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】517322156
【氏名又は名称】アシンプトート リミテッド
【氏名又は名称原語表記】ASYMPTOTE LTD
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100154922
【氏名又は名称】崔 允辰
(74)【代理人】
【識別番号】100207158
【氏名又は名称】田中 研二
(72)【発明者】
【氏名】スティーヴン・ラム
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー・クリーシー
(72)【発明者】
【氏名】デイヴィッド・モロニー
(72)【発明者】
【氏名】ジョージ・モリス
(72)【発明者】
【氏名】ピーター・キルブライド
(72)【発明者】
【氏名】ジュリー・メネゲウ
【テーマコード(参考)】
3E067
3E084
4C058
【Fターム(参考)】
3E067AB83
3E067AC01
3E067BA01A
3E067BC03A
3E067EA17
3E067EA32
3E067EB17
3E067FA01
3E067FC01
3E067GA02
3E067GA11
3E067GC03
3E084AA02
3E084AA12
3E084AB10
3E084BA01
3E084CA01
3E084DA01
3E084DB11
3E084DC03
3E084FD01
3E084GB12
3E084HA03
3E084HB06
3E084HD01
3E084KA06
3E084LA14
3E084LB02
4C058AA25
4C058BB06
4C058KK02
4C058KK22
(57)【要約】
本明細書で開示されているのは、容器内部を周囲環境から断熱するための栓の形態でのデバイスであり、栓は、複数の断熱区分と、赤外線放射を反射するための1つまたは複数の遮蔽体とを備える。開示されているのは、凍結保存された試料を保持するための輸送システムを準備する方法であって、凍結保存された試料を、真空フラスコなどの容器の中に装填するステップと、容器内部を周囲環境から断熱するために栓を容器に取り付けるステップとを含む方法、および、凍結保存された試料を所望の温度に保持するための真空フラスコなどの容器を冷却するための方法であって、液体窒素などの極低温流体を容器に注ぐことで容器内部を冷却するステップと、冷却が少なくとも部分的に行われると、極低温流体を容器から空にするステップとを含む方法である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器の内部を周囲環境から断熱するための栓であって、
複数の断熱区分と、
赤外線放射を反射するための1つまたは複数の遮蔽体と
を備える栓。
【請求項2】
赤外線放射を反射するための前記1つまたは複数の遮蔽体は、前記複数の断熱区分のうちの隣接するもの同士の間に配置される、請求項1に記載の栓。
【請求項3】
前記栓は第1の部分と第2の部分とをさらに備え、前記栓が前記容器に取り付けられるとき、前記第1の部分は前記容器に挿入されるように配置される、請求項1または2に記載の栓。
【請求項4】
前記栓が前記容器に取り付けられるとき、前記第2の部分と、前記容器の壁の端または内部との間で圧縮されるように配置される1つまたは複数のシールをさらに備える、請求項3に記載の栓。
【請求項5】
前記栓は、前記第2の部分を前記容器の壁に備え付けるように配置される留め具をさらに備える、請求項3または4に記載の栓。
【請求項6】
前記栓は、前記複数の断熱区分と前記1つまたは複数の遮蔽体とを通過する通気通路をさらに備え、前記通気通路は、1つまたは複数の弁と、前記通気通路の経路における空所とを任意選択で備え、前記空所は、前記通気通路における空気の温度が使用中に摂氏0度になるように構成される前記通気通路の領域に位置付けられる、請求項1から5のいずれか一項に記載の栓。
【請求項7】
前記栓は1つまたは複数の室をさらに備え、前記室の各々は、前記複数の断熱区分のうちの少なくとも1つと、赤外線放射を反射するための前記1つまたは複数の遮蔽体のうちの少なくとも1つとを収容する、請求項1から6のいずれか一項に記載の栓。
【請求項8】
前記1つまたは複数の室の各々は、底と、側壁とを備えて空所を作り出し、前記複数の断熱区分のうちの少なくとも2つと、赤外線放射を反射するための前記1つまたは複数の遮蔽体のうちの少なくとも1つとは、前記空所の中に位置付けられる、請求項7に記載の栓。
【請求項9】
前記栓は少なくとも1つのスペーサをさらに備え、各々のスペーサは、前記空所の各々における隣接する断熱区分同士の間に位置付けられ、赤外線放射を反射するための前記1つまたは複数の遮蔽体は、前記複数の断熱区分のうちの少なくとも1つの上面および/または底面に位置付けられる、請求項8に記載の栓。
【請求項10】
前記栓は、使用中に前記容器の内側に殺菌を提供するのに十分な出力の紫外線光源をさらに備える、請求項1から9のいずれか一項に記載の栓。
【請求項11】
凍結保存された試料を保持するための輸送システムであって、
サーマルマスを備える容器と、
請求項1から10のいずれか一項において特許請求されるような栓と
を備える輸送システム。
【請求項12】
前記容器は、少なくとも1つのセンサと、少なくとも1つの制御装置とを備える、請求項11に記載の輸送システム。
【請求項13】
前記栓は、少なくとも1つのセンサと、少なくとも1つの制御装置とを備える、請求項12に記載の輸送システム。
【請求項14】
前記栓はコネクタを備え、前記容器は、前記コネクタへの連結を介して前記栓と電気連通している、請求項13に記載の輸送システム。
【請求項15】
前記栓および前記容器のうちの少なくとも一方が、前記センサのうちの少なくとも1つから来る情報を無線で送信するように構成される送受信機を備える、請求項13または14に記載の輸送システム。
【請求項16】
凍結保存された試料を保持するための輸送システムを準備する方法であって、
凍結保存された試料を、真空フラスコなどの容器の中に装填するステップと、
容器内部を周囲環境から断熱するために、請求項1から10のいずれか一項において特許請求されるような栓を前記容器に取り付けるステップと
を含む方法。
【請求項17】
前記容器内部を所望の温度へと冷却するステップをさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記容器内部を前記所望の温度へと冷却するステップは、熱を前記容器の前記内部から除去するために、熱エンジンを前記容器に取り付けるステップを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記容器を冷却するステップは、液体窒素などの極低温流体を前記容器へ注ぐステップと、続いて前記極低温流体を前記容器から空にするステップとを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記容器内部を冷却するステップは、前記容器の中の金属または金属ブロックなどのサーマルマスを、前記所望の温度まで冷却するステップを含む、請求項17、18または19のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、容器装置の内部を周囲環境から断熱するための栓デバイスと、このような容器を冷却する方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
新規の細胞療法および遺伝療法が様々な癌を成功裏に治療している。これらの療法に対する世界的な需要がある。しばしば、患者は、細胞産生の現場とは異なる国におり、これは、組織および細胞などの生体物質が、保管および輸送され得るように、(例えば、-120℃未満の温度で)しばしば極低温で冷凍されることを意味する。細胞が冷蔵されたときには治療に適するように十分な長さ生存しないため、極低温凍結が使用される。生体物質は、運搬の間、極低温で維持されなければならない。
【0003】
そのため、細胞試料を極低温で運搬することが必要である。細胞試料を極低温で運搬する既存の方法は、「ドライシッパ」を使用する。ドライシッパは、ゼオライト材料を含む真空断熱された保管器(または「デュワー」)である。ゼオライト材料は、ドライシッパ内で運搬される細胞試料に冷却源を提供する液体窒素(-196℃)を吸収する。ゼオライトによる液体窒素の吸収は、液体窒素が器からこぼれたり跳ねたりするのを防止する。ドライシッパは、窒素がゼオライトから常に蒸発するため、多くの日数にわたって-196℃の一定の温度を維持する。ドライシッパは、周囲温度まで温まる前に、4~10日間の極低温スタンバイ時間を典型的には提供する。
【0004】
既存のドライシッパは、衛生上および安全上の難しさを、ドライシッパを取り扱う宅配業者、航空会社、および診療所にもたらす。例えば、ゼオライトからの液体窒素の一定の蒸発は、蒸発した窒素が酸素を周囲環境から押し退けるため、使用者を窒息させる危険性を提起する。窒息の危険は、ドライシッパが注意深く保管および運搬されなければならいことを意味する。生物学的試料は、運搬の間に汚染物のないままとされなければならない。しかしながら、生物学的試料は、バクテリア、ウイルス、菌類、および他の微生物で汚染される可能性がある他に、同じ輸送デバイスにおいて以前に運搬された生物学的試料からのDNA、RNA、および細胞片で汚染される可能性があるという危険性がある。生物学的試料は、冷却媒体(例えば、ドライアイスもしくは液体窒素)の汚染によって、または、周囲環境からの汚染によって、汚染される可能性もある。汚染の危険性を最小限にするために、既存のドライシッパは、周囲温度までしばしば温められ、使用するごとに洗浄される。洗浄は、水、エタノール、メタノール、もしくは洗浄剤などの液体洗浄品、過酸化水素などの気体洗浄薬、またはそれらの方法の組合せで、ドライシッパの表面を覆うことを伴う可能性がある。
【0005】
凍結保存された生物学的試料のための輸送容器が国際公開第2018/115833号に記載されており、国際公開第2018/115833号は、その全体において、本明細書で参照により組み込まれている。国際公開第2018/115833号に記載されている輸送容器の1つの実施は、1つまたは複数の凍結保存された試料を少なくとも部分的に収容、保持、または包囲するように成形されるサーマルマスを備える。サーマルマスは、輸送容器の空所の中の温度変化(上昇)の速さを遅くするために使用される。熱交換器が輸送容器の空所の中に位置付けられる。熱交換器は、輸送容器の蓋に位置付けられるスターリングクライオクーラに備え付けられる。スターリングクライオクーラは、熱を空所から除去するために使用される。輸送容器は、冷却を空所に提供するための第1の状態と、空所への熱伝達を弱めるための第2の状態とにおいて動作可能である重力熱ダイオードを備える。重力熱ダイオードの使用は、ダイオード(延いては、輸送容器)が、最上限と最下限との間で温度勾配を維持するために直立位置で維持される必要があることを意味する。この理由のため、輸送容器の蓋には、輸送容器が直立位置で維持されることを確保するための傾きセンサが備えられ得る。
【0006】
しかしながら、運搬の間、輸送容器が横へ倒れる、または、上下逆さまの位置で運搬されることは珍しいことではない。これは、国際公開第2018/115833号に記載されている輸送容器において使用される熱ダイオードの効果を低下させ、これは、極低温が運搬の間に維持されず、生物学的試料の喪失をもたらす危険があることを意味する。例えば、輸送容器が横になっているとき、冷却源(それまで容器の基部の近くに位置付けられていた)は、輸送容器の側壁に沿って(つまり、輸送容器の上部において周囲の領域の近くに)位置付けられるように移る。これは、冷却源によって提供される冷却効果を低下させる。また、スターリングクライオクーラが国際公開第2018/115833号に記載されている輸送容器の一部である場合、スターリングクライオクーラも、生物学的試料が輸送されるときに運搬される。スターリングクライオクーラを輸送することは、コストの増加をもたらす。また、一部の診療所は、輸送容器内の極低温を維持するためにスターリングクライオクーラをスイッチオンするための要件を認めることができない。スターリングクライオクーラがスイッチオンされない場合、容器は、生物学的試料が使用される前に周囲温度まで温まる可能性があり、これは試料の喪失をもたらす。
【0007】
上記で説明されているように、国際公開第2018/115833号に記載されている輸送容器のサーマルマスは、輸送容器の空所の中の温度上昇の速さを遅くするために使用される。サーマルマスは、その大きな特定の熱容量を考慮すると、周囲温度から極低温まで冷却されるのに長い時間を取る。そのため、輸送容器が洗浄のために周囲温度まで温められた後、長い動作不能時間の期間(その間に、輸送容器が冷却される)がある。この動作不能時間の間、輸送容器は生物学的試料を運搬するために使用されない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、先に列記された既存のシステム、および関連する方法の欠点に対処する、凍結保存された試料を保持するためであって、具体的には運搬するための向上した手法を提供する必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
発明の概要は、発明を実施するための形態でより詳細に記載されている概念を紹介している。これは、特許請求されている主題の本質的な特徴を特定するために使用されるべきではなく、特許請求されている主題の範囲を限定するために使用されるべきでもない。
【0011】
本明細書に記載されている容器は、1つまたは複数の凍結保存された試料を保持するためのものであり得る。本明細書で使用されているように、1つまたは複数の凍結保存された試料を保持することは、1つもしくは複数の凍結保存された試料を運搬すること、および/または、1つもしくは複数の凍結保存された試料を保管することを含み得る。別の言い方をすれば、容器は、容器が移動しているか静止しているかに拘わらず、1つまたは複数の凍結保存された試料を保持するためのものであり得る。
【0012】
このような容器は、極低温で保管または運搬される品物を挿入および除去するための出入り口を有する必要がある。本発明では、その出入り口は、極低温保管装置を形成するために、特許請求されているような容器の開口を閉じるための栓によって利用可能とされる。
【0013】
本発明は、特許請求されているような冷却方法にも及ぶ。本明細書に一緒に言及されているかどうかに拘わらず、本明細書に記載されている特許請求の範囲の態様または特徴は、すべて本発明の一部を形成しており、本発明の範囲を広げることなく別々に特許請求されてもよい。
【0014】
特定の実施形態が、例だけを用いて、添付の図面を参照して、以下において記載されている。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】栓が取り付けられていない状態での、凍結保存された試料を保持するためであって、具体的には運搬するための容器の概略的な断面図である。
【
図2】容器を周囲環境から断熱するための栓の概略的な断面図である。
【
図3】
図1の栓が取り付けられている状態での、凍結保存された試料を保持するためであって、具体的には運搬するための容器の概略的な断面図である。
【
図4】
図2に示された栓の代替の栓の概略的な断面図である。
【
図5】
図2に示された栓の代替の栓の概略的な断面図である。
【
図6】
図5に示された栓の、容器に備え付けられた一部分の拡大図である。
【
図8A】
図5に示された栓の上部分の斜視図である。
【
図8B】
図5に示された栓の一部分の拡大図である。
【
図9】凍結保存された試料を保持するためであって、具体的には運搬するための容器を冷却する方法の流れ図である。
【
図10】凍結保存された試料を保持するためであって、具体的には運搬するための輸送システムを準備する方法の流れ図である。
【
図11】凍結保存された試料を保持するためであって、具体的には運搬するための容器を殺菌するための装置の概略図である。
【
図12】凍結保存された試料を保持するためであって、具体的には運搬するための容器を殺菌するための代替の装置の概略図である。
【
図13】凍結保存された試料を保持するためであって、具体的には運搬するための容器を殺菌する方法の流れ図である。
【
図14】凍結保存された試料を保持するためであって、具体的には運搬するための輸送システムを準備する追加の方法の流れ図である。
【
図15】
図2に示されている栓を備える輸送システムの時間に伴う温度変化を示すグラフである。
【
図16】凍結保存された試料を保持するためであって、具体的には運搬するための容器を殺菌するための代替の装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本開示の実施が、運搬または保管の間に極低温で維持される凍結保存された試料を保持することを特に参照して、以下において説明されている。しかしながら、本明細書で開示されているデバイスおよび方法が、物質を他の温度(つまり、極低温ではない温度)で保持することにも適用可能であることは、理解されるものである。
【0017】
図1は、凍結保存された試料を保持するためであって、具体的には運搬するための容器を示している。
図1に示されているように、容器10は壁12と、基部14とを備える。壁12および基部14は、容器10の中身に断熱を提供するために真空断熱されている。壁12と基部14とは、容器10の中に空所16(つまり、容器10の内部)を定める。
【0018】
任意選択で、紫外線を用いる殺菌(
図11および
図13に関連して後で記載されているように)を容易にするために、空所の内部(つまり、空所16と接触している壁12および/または基部14の一部分)は、容器10を殺菌するために使用される紫外線の波長に対して反射性である材料(例えば、100nmから300nmの間の波長であって、好ましくは275nmの波長を有する紫外線に対して反射性である材料)から形成され得る。壁12および/または基部14は、例えばガラス繊維またはステンレス鋼といった所望の熱要件を満たすのに適する材料を含み得る。空所16の内部(つまり、空所16と接触している壁12および/または基部14の一部分)は、UV殺菌を支援するために薄い反射層で被覆されてもよい。
【0019】
図1に示されている容器10に戻って、サーマルマス18が容器10の空所16の中に位置決めされている。サーマルマス18は、凍結保存された試料を受け入れるための開口(図示されていない)を備える。凍結保存された試料は、(例えば、-120℃未満の温度で)極低温で冷凍される生体物質の試料である。容器10は、試料がその極低温で冷凍された状態で維持されるように、容器10の中の極低温を維持するために、(例えば、-120℃未満の温度まで)冷却される。
【0020】
サーマルマス18は、大きな特定の熱容量を伴う材料(アルミニウムなど)から形成され、これは、サーマルマス18が温度の変化に対して耐性があることを意味する。サーマルマス18は、例えばアルミニウム、ナイロンなどのポリマ、または水/氷といった、重量および/または体積に対して大きなサーマルマスの割合を伴う材料から形成され得る。
【0021】
これは、容器10自体が冷却された後にサーマルマス18が長時間にわたって冷たいままであることを意味する。そのため、サーマルマス18は、空所16の中の温度の増加の速さを低下させるように作用し、開口の中に受け入れられた凍結保存された試料に受動的な冷却を提供する。
【0022】
図2は、
図1に示されている容器10の内部を周囲環境から断熱するための栓20を示している。
図2に示されている栓20は、栓20の一部分が容器10の空所16の中に嵌まるように寸法決定されている。栓20は下方部分22と、上方部分24とを備える。下方部分22は、
図3に示されているように、容器の壁12によって定められる空所16の中に嵌まるように配置される。
図2に戻って、上方部分24は、栓20が(
図3に示されているように)容器10に取り付けられるとき、上方部分が壁12の上部に当接し、空所16の上部において開口を覆うように、空所16の幅より大きい幅を有し、それによって容器10の内部を周囲環境から断熱する。
【0023】
図2および
図3を参照すると、栓20は、複数の断熱区分26と、赤外線放射を反射するための少なくとも1つの反射遮蔽体28とを備える。例えば、
図2に示された栓20の下方部分22は、13個の反射遮蔽体28を伴う14個の断熱区分26を備える。一例において、栓20は、少なくとも20個の断熱区分26と、反射遮蔽体28とを備えてもよい。栓20によって提供される断熱は、断熱区分26および/または反射遮蔽体28の数の増加に伴って増加することができる。
【0024】
各々の反射遮蔽体28は、断熱区分26と反射遮蔽体28とが交互の層で提供されるように、2つの断熱区分26の間に配置される。つまり、断熱区分26と反射遮蔽体28とは、栓20の長手方向軸に沿って交互の層で提供され、ここで長手方向軸は、栓20が容器10に取り付けられる方向、および/または、栓20が容器10から取り外される方向と一列とされる。
図2に示された栓20における一番上の断熱区分26は、栓20の上方部分24に備え付けられている。
【0025】
断熱区分26は、発泡体などの断熱材料(つまり、小さい熱伝導率および小さいサーマルマスを伴う材料)から形成され得る。断熱区分26のうちの1つまたは複数は、独立気泡発泡体、エアロゲル、および/または、真空もしくは部分真空の1つもしくは複数の空洞を備えてもよい。断熱区分26は、周囲環境から空所16への熱伝達を遅くするために、容器10の空所16と周囲環境との間に断熱を提供する。
【0026】
反射遮蔽体28は、金属ホイルなど、赤外線放射を反射する材料(つまり、高い反射性を伴う材料)から形成される。反射遮蔽体28は、周囲環境からの赤外線放射が空所16を加熱するのを防止するために、周囲環境からの赤外線放射を反射する。
【0027】
栓20は、(
図3に示されているように)栓20の上方部分24を容器10の壁12に備え付けるための留め具30をさらに備える。留め具30は、栓20の上方部分24に据え付けられている。栓20が容器10に取り付けられた後(つまり、下方部分22が空所16の中に取り付けられた後)、留め具30が締め付けられる。留め具30は、栓20の上方部分24と容器10の壁12との間の境界面におけるシールを締め付ける。留め具30を締め付けることで、周囲環境と空所16の内部との間での空気の流れを防止し、これは、周囲空気によって提供される対流加熱が低減されることを意味する。
【0028】
栓20は上シール32をさらに備える(
図2において最もよく示されている)。上シール32は、
図2に示されているように、栓20の上方部分24の下側に位置決めされている。そのため、上シール32は、
図3に示されているように、栓20が空所16の中に取り付けられるとき、栓20の上方部分24と壁12の上部との間で圧縮される。上シール32も、周囲環境と空所16の内部との間での空気の流れを防止することで、周囲空気によって提供される対流加熱を低減する。
【0029】
栓20は、栓20の下方部分22の周辺の周りに位置付けられる柔軟シール34も備える。備え付けの容易性のために、柔軟シール34が反射遮蔽体28に据え付けられ得る。代替または追加で、柔軟シール34は、例えば断熱区分26の外周の周りで、断熱区分26と一体であり得る、または、断熱区分26に据え付けられる。
【0030】
柔軟シール34は、劣化なしで極低温に耐えることができる弾性材料から形成される。柔軟シール34のための適切な材料はゴムである。柔軟シール34は、壁12に当接するように構成され、耐摩耗性の材料から形成される面と、柔軟シール34のコンプライアンス性/圧縮性を提供するように構成される、壁12と反対の側の面における、より柔らかいかまたはバネ状の部品とを備え得る。
【0031】
栓20が容器10に取り付けられていないとき(つまり、
図2に示されているようなとき)、栓20の下方部分22と柔軟シール34との全幅は空所16の幅(つまり、容器10の壁12同士の間の隙間)を超える。これは、栓20が容器10に取り付けられているとき(つまり、
図3に示されているようなとき)、柔軟シール34は、栓20の下方部分22と容器10の壁12との間で圧縮され、それによって栓20の下方部分22と容器10の壁12との間の隙間を封止する。
【0032】
栓20が容器10から取り外されるとき、柔軟シール34はそのもとの形に戻る。
【0033】
栓20が容器10に取り付けられているとき(つまり、
図3に示されているようなとき)、圧縮された柔軟シール34は、空気が、栓20の下方部分22と容器10の壁12との間の隙間を通じて、容器10の空所16の内部と周囲環境との間で流れるのを防止する。これは、柔軟シール34が周囲空気によって提供される対流加熱を低減することを意味する。
【0034】
上記で述べられているように、留め具30、上シール32、および柔軟シール34の各々は、栓20と容器の壁12との間で、対流する空気の流れからの過熱を防止する。これらの構成要素の各々は、容器10が横になっているとき、または上下逆さまになっているとき、空所16における試料の加熱を防止する。これらの構成要素の各々は、容器10の上部(つまり、基部14と反対の容器の端)を通じての熱伝達を防止することで、容器10が横になっているとき、または上下逆さまになっているとき、空所16の中に冷たい空気を保持するように作用もする。そのため、サーマルマス18は、容器10が正しく上を向いているときだけでなく、容器10が横になっているとき、または上下逆さまになっているときであっても効果的である。
【0035】
栓20は通気通路36をさらに備える。通気通路36は、栓20の下方部分22を通過しており、(
図3に示されているように)栓20が容器10に取り付けられるとき、空所16の内部へと開口している。通気通路36は、栓20の上方部分24も通過し、周囲環境へと開口している(
図2および
図3に示されているように)。これは、通気通路36が空所16の内部と周囲環境との間で少量の空気を通過させることを意味する。
【0036】
図2に示されているように、通気通路36は、栓20の下方部分22の全体を通じて鉛直に延び、栓20の上方部分24の一部を通じて鉛直に延びている。次に、通気通路36は、栓20の上方部分24における鉛直の延在から、周囲環境に露出される栓20の上方部分24の側面への間で、水平に延びている。
【0037】
通気通路36は、空所16におけるサーマルマス18の膨張から生じる、容器10の過剰な加圧を回避するために、空気を空所16から逃がすことができる。説明すると、空所16におけるサーマルマス18が加熱するとき(これは、容器10の運搬または保管の間に超過時間に起こる)、サーマルマス18は膨張する。サーマルマス18の膨張は空所16における空気を押し退け、これは、空気が通気通路36を介して逃がされない場合、空所16における空気の圧力が増加することを意味する。
【0038】
通気通路36は、容器10の過剰な加圧を回避するために、栓20が容器10に取り付けられるときに空所16から空気を逃がすこともできる。説明すると、空気が栓20を通じて逃げることが許容されない場合、栓20を容器10に取り付ける行為は空所16の中の空気の圧力を増加させることになる。そのため、通気通路36を通じて空気を逃がすことで、この圧力の増加を防止する。これは、空所16における加圧された空気によって栓20に加えられる力に抗するために、栓20を容器10へと挿入するときに使用者が追加的な力を加える必要がないため、栓20を容器10に、より容易に取り付けることができることを意味する。
【0039】
同様に、通気通路36は、空所16の中の真空の発生を回避するために、栓20が容器10から取り外されるときに空所16への空気の進入を許容する。説明すると、空気の進入が栓20を通じて許容されない場合、栓20を容器10から取り外す行為は、空所16の中の空気の圧力を低下させることになる(それによって、真空を発生させる)。そのため、通気通路36を通じた空気の進入を許容することで、このような真空の発生を防止する。これは、空所16における真空によって栓20に加えられる力に抗するために、栓20を容器10から取り外すときに使用者が追加的な力を加える必要がないため、栓20を容器10から、より容易に取り外すことができることを意味する。
【0040】
通気通路36の断面は、通気通路36を通じた空気流を、(例えば、
図4に関連してより詳細に説明されているように、霜/氷によって)妨げられることなく可能にするだけの大きさであるが、通気通路36を介した空所16への空気進入による対流加熱が僅かとなるように十分に細くなるように選択される。例えば、通気通路36は、6mm以下の直径を伴う円形の断面を有し得る。通気通路36の直径を制限することは、空所16への空気進入による対流加熱を制限する。代替または追加で、通気通路36は、ジグザグ、蛇行、または曲がりくねった形で形成されてもよい。これは、通気通路36の経路長を増加させることで対流加熱を制限する。
【0041】
任意選択で、通気通路36は、通気通路36における対流を低下させる一方で、栓20が取り外し/挿入されるときに空気の出入りを許容する1つまたは複数の弁(
図2または
図3には示されていない)を備える。弁は、霜/氷の蓄積を防止するために、通気通路36の中の水分を制御するのを助けてもよい。
【0042】
図5は、
図1に示されている容器10の内部を周囲環境から断熱するための栓50を示している。
図5に示されている栓50は、栓50の一部分が容器10の空所16の中に嵌まるように寸法決定されている。栓50は下方部分と、上方部分とを備える。下方部分は、容器の壁12によって定められる空所16の中に嵌まるように配置される。上方部分は、栓50が(
図3の図示と同様に)容器10に取り付けられるとき、上方部分が壁12の上部に当接し、空所16の上部において開口を覆うように、空所16の幅より大きい幅を有し、それによって容器10の内部を周囲環境から断熱する。
【0043】
図5~
図8Bを参照すると、栓50は複数の室52を備える。各々の室は、
図5および
図8Bによって最もよく示されているように、底と、側壁と、開口した上部とを有し、空所(例えば、バケツの形である)を作り出しており、空所は、スペーサ55によって分離された複数の断熱区分54を収容している。
図5および
図8Bに示されている例によれば、各々の室52は3つの断熱区分54と、2つのスペーサ55とを備え、スペーサ55は、隣接する断熱区分54同士の間に位置付けられている。しかしながら、より多くの、またはより少ない断熱区分54およびスペーサ55が検討されている(例えば、1つのスペーサ55を伴う2つの断熱区分54を用いること、3つのスペーサ55を伴う4つの断熱区分を用いることなど)。別の言い方をすれば、各々の室52は、断熱区分54およびスペーサ55の代替の層を備える。室52同士は互いの上に積み重ねられている。
図5および
図7によって示されているように、栓50は、4つの室を積み重ねた構成において備える。しかしながら、より多くの室、またはより少ない室が使用されてもよい(例えば、2つ、3つ、または5つ以上)。
【0044】
つまり、各々の室52は、栓50の長手方向軸に沿って断熱区分54とスペーサ55との交互の層を備え、ここで長手方向軸は、栓50が容器10に取り付けられる方向、および/または、栓50が容器10から取り外される方向と一列とされる。また、反射遮蔽体56(図示されていない)が、断熱区分54の各々の上面および底面に配置されてもよい。この方法では、栓50は、赤外線放射遮蔽体の数を効果的に2倍にする(例えば、2つの断熱区分54と1つのスペーサ55とを伴う栓は、4つの反射遮蔽体56を備える)。
図5、
図6、および
図8Aに示されている栓50における上断熱区分54'は、最も上の室52の上面に備え付けられ、栓50の蓋58の中に位置付けられる。
【0045】
図5、
図6、および
図8Bが示しているように、断熱区分54はスペーサ55より厚い(つまり、より大きい高さを有する)。実施形態によれば、断熱区分54は75~10mmの間の厚さを有するが、スペーサは75~1mmの間の厚さを有する。1つの図示の例では、断熱区分54はおおよそ25mmの厚さであるが、スペーサ55はおおよそ1mmの厚さである。代替の実施形態では、スペーサ55と断熱要素54とが同じ厚さを有し得る、または、スペーサ55が断熱要素54より厚くなり得ることに留意されたい。また、スペーサ55および/または断熱要素54の厚さは、栓50の長さに沿って変化してもよい。一例では、断熱要素54の厚さは、蓋58から最も遠くに離れている断熱要素54について最小値となるように、栓50の長さに沿って低下する。
【0046】
図5でさらに示されているように、少なくとも1つの棒材57が複数の室52の中を貫いて(延いては、対応する断熱区分54、スペーサ55、および反射遮蔽体56を貫いて)位置付けられている。棒材57は、複数の室52(延いては、対応する断熱区分54、スペーサ55、および反射遮蔽体56)が一緒に固定されることを確保するために、室52の各々に構造的な支持を提供する。棒材は、室52を積み重ねられた構成で保つのに十分な強度を提供する任意の適切な材料から作られ得る(例えば、ポリマなどから作られる)。好ましくは、棒材は細く、熱伝導率の小さい材料から作られる。代替で、棒材57は省略されてもよく、積み重ねられた室同士は他の手段(例えば、接着)を通じて互いに固定されてもよい。
【0047】
室は、発泡体などの断熱材料(つまり、小さい熱伝導率および小さいサーマルマスを伴う材料)から形成され得る。断熱区分54のうちの1つまたは複数は、独立気泡発泡体、エアロゲル、および/または、真空もしくは部分真空の1つもしくは複数の空洞を備えてもよい。好ましい実施形態では、容器は、低密度スタイロフォームなど、容易に機械加工可能である断熱材料から形成される。
【0048】
断熱区分54は、発泡体などの断熱材料(つまり、小さい熱伝導率および小さいサーマルマスを伴う材料)から形成され得る。断熱区分54のうちの1つまたは複数は、独立気泡発泡体、エアロゲル、および/または、真空もしくは部分真空の1つもしくは複数の空洞を備えてもよい。断熱区分54は、周囲環境から空所16への熱伝達を遅くするために、容器10の空所16と周囲環境との間に断熱を提供する。同様に、スペーサ55も、発泡体などの断熱材料(つまり、小さい熱伝導率および小さいサーマルマスを伴う材料)から作られ得る。スペーサ55のうちの1つまたは複数は、独立気泡発泡体、エアロゲル、および/または、真空もしくは部分真空の1つもしくは複数の空洞を備えてもよい。
【0049】
反射遮蔽体56は、金属ホイルなど、赤外線放射を反射する材料(つまり、高い反射性を伴う材料)から形成される。反射遮蔽体56は、周囲環境からの赤外線放射が空所16を加熱するのを防止するために、周囲環境からの赤外線放射を反射する。
【0050】
栓50は、(
図7に示されているように)栓50の蓋58を容器10の壁12に備え付けるための留め具53をさらに備える。留め具53は、蓋58に、または蓋58の一部に据え付けられる。栓50が容器10に取り付けられた後、留め具53が締め付けられる。留め具53は、栓50の上方部分と容器10の壁12との間の境界面におけるシールを締め付ける。留め具53を締め付けることで、周囲環境と空所16の内部との間での空気の流れを防止し、これは、周囲空気によって提供される対流加熱が低減されることを意味する。
【0051】
栓50は上シール32をさらに備える(
図5~
図7において最もよく示されている)。上シール32は、
図6および
図7に示されているように、栓50の蓋58の下側に位置決めされている。そのため、上シール32は、栓50が空所16の中に取り付けられるとき、栓50の上方部分24と壁12の上部との間で圧縮される。上シール32も、周囲環境と空所16の内部との間での空気の流れを防止することで、周囲空気によって提供される対流加熱を低減する。
【0052】
図11を参照して後でより詳細に記載されているように、栓20、40、50は紫外線光源を任意選択で備え得る(
図2、
図4、または
図5に示されていない)。
【0053】
上記で述べられているように、栓20、40、50は、
図1に示されている容器10に取り付けられる。一緒になって、容器10と栓20、40、50とが輸送システム38を形成する。そのため、輸送システム38は、サーマルマス18を備える真空断熱された容器10と、容器10の内部を周囲環境から断熱するための栓20、40、50とを備える。
【0054】
上記で述べられているように、サーマルマス18は、空所16の中の温度の増加の速さを低下させるように作用し、開口の中に受け入れられた凍結保存された試料に受動的な冷却を提供する。結果として、容器10は、サーマルマス18によって提供される受動的な冷却のおかげで、液体窒素の使用を必要とせずに、凍結保存された試料を保持することができ、具体的には運搬することができる。液体窒素が容器10で使用されない場合、輸送システム38は、蒸発した液体窒素の通気を提供する必要がない。これは、栓(
図2、
図4、および
図5に示されている栓20、40、50など)が、容器10の内部を周囲環境から断熱するために使用できることを意味している。
【0055】
栓20、40、50は、周囲環境から容器10の空所16への熱伝達を防止するために、容器10の内部を断熱する。栓20、40、50によって提供される断熱は、輸送システム38が、横になって位置決めされるとき、または上下逆さまに位置決めされるときであっても、凍結保存された試料を極低温で維持することができることを意味する。つまり、栓20、40、50は、容器10の上部(つまり、基部14と反対の容器の端)を通じての熱伝達を防止することで、輸送システム38が横になっているとき、または上下逆さまになっているとき、容器10の空所16の中に冷たい空気を保持するように作用する。
【0056】
図4は、
図2に示された栓20の代替の栓40を示している。栓40は、
図2に示された栓20の構成要素のすべてを備えており、それら構成要素は、
図2において使用されているのと同じ参照符号を用いて特定される。栓40は、
図2に示されている栓20と同じ方法で、
図1に示されている容器10に取り付けられ得る。
図2の栓20の構成要素に加えて、
図4に示された栓40は、通気通路36の経路に室42を備える。
【0057】
室42は、栓40の下方部分22を貫いて延びる通気通路36の一部分の上部の方に位置付けられている。室42は、断熱区分26および反射遮蔽体28の一部に孔を作ることで形成されている。
【0058】
参照の容易性のために、通気通路36は、
図4では、下方部44と上方部46との2つの区域で示されている。通気通路36の下方部44は、室42と空所16との間に延びている(栓20が容器10に取り付けられているとき)。通気通路36の上方部46は、室42と周囲環境との間に延びている。
【0059】
空気が、栓の下方部分22における通気通路36の下方部44を通り、断熱区分26および反射遮蔽体28における孔によって形成された室42へと流れる。次に、空気は室42から通気通路の上方部46を通じて周囲環境へと流れる。
【0060】
室42は、霜/氷の蓄積を受けやすい通気通路36の経路における場所に形成される。霜/氷は、通気通路36における空気がおおよそ0℃である位置で、通気通路36内に蓄積する。霜/氷の形成は、通気通路36の特定のゾーンにおいて起こる。室42は、霜/氷が堆積するゾーンに(つまり、通気通路36における空気の温度が0℃になる通気通路36の部分に)形成される。そのため、室42は、通気通路36における空気の温度が0℃を上回る通気通路36の上方部46と連通している上側の範囲と、通気通路36における空気の温度が0℃を下回る通気通路36の下方部44と連通している下側の範囲とを有する。空気の温度がおおよそ0℃である通気通路36の部分は、容器内部が極低温まで冷却されたとき、栓40の下方部分22にある。使用中、周囲温度は典型的には5℃から30℃の範囲にあり得る。使用中、空所16の中の栓20の端は、典型的には、-196℃~-120℃の範囲の温度であり得る。このような温度範囲の中で、温度が使用中におおよそ0℃である通気通路36における領域は比較的細く、室42は、この領域と一致するように位置付けられ得る。
【0061】
つまり、室42は栓40の下方部分22に形成されている。明確には、室42は、栓の下方部分22に位置付けられており、栓40の上方部分24と接触している。
図4に示されているように、栓40の上方部分24は室42の1つの壁を形成する。
【0062】
室42は通気通路36より大きい断面積を有し、これは、室42において形成する霜/氷が通気通路36において妨害をもたらしにくいことを意味する。
【0063】
図9は、
図1に示されている容器10など、凍結保存された試料を保持するためであって、具体的には運搬するための容器を冷却する方法500の流れ図である。
【0064】
ステップ502において、極低温流体(この例では、液体窒素)が容器の空所へ注がれる。熱が、空所の中に位置付けられたサーマルマスから、空所における液体窒素へと伝達される。そのため、液体窒素は空所におけるサーマルマスを冷却する。任意選択で、液体窒素が空所へと注がれる前に、栓(
図2、
図4、および
図5に示された栓20、40、50など)が容器から取り外される。
【0065】
サーマルマスが窒素によって冷却された後(例えば、おおよそ0.5時間~1時間の期間の後)、ステップ504において液体窒素が空所から空にされる。
【0066】
液体窒素を空所へと注ぐことで、空所をあらかじめ冷却させることができる。空所をあらかじめ冷却することは、容器の内部を極低温まで冷却するために、代替の冷却の供給源(熱エンジンなど)が使用されることが要求される時間の長さを短くする。
【0067】
任意選択で、ステップ506において、ステップ502および504は、空所の中の温度をさらに低下させるために繰り返される。例えば、これらのステップは、サーマルマスが所望の温度まで冷却されなかった場合、繰り返されてもよい。つまり、ステップ506において、追加の液体窒素が、サーマルマスを冷却するために空所へと注がれ、続いて、時間の期間の後に空所から注ぎ出される。液体窒素を空所へと注ぎ、液体窒素を空所16から空にするさらなるサイクルが、空所が所望の温度へ冷却されるまで実行され得る。例えば、さらなるサイクルが、サーマルマスが極低温に冷却されるまで繰り返されてもよい。これらのサイクルを繰り返すことで、代替の冷却源が使用されることが要求される時間の長さをさらに短くする(または、排除さえする)。いくつかの例では、空所16の温度が、ステップ502および504の繰り返しなしで(つまり、ステップ506なしで)所望の温度に達するように、適切な量の極低温流体がステップ502において使用され得る。
【0068】
いくつかの例では、空所16の冷却は、クライオクーラ(例えば、スターリングクライオクーラ)などの熱エンジンを用いて、つまり、極低温流体の追加または除去なしで、達成され得る。別の言い方をすれば、ステップ502は、熱を空所16から除去するために、熱エンジンを容器10に取り付けるステップで置き換えられ得る。同様に、ステップ504は、熱エンジンを容器10から取り外すステップで置き換えられ得る。
【0069】
任意選択で、ステップ508において、栓(
図2、
図4、
図5に示されている栓20、40、50など)が、周囲環境から冷却されたサーマルマスへの熱伝達を防止するために、容器に取り付けられる。栓を容器に取り付けることは、容器の中での温度上昇の速さを遅くさせる。そのため、栓は、凍結保存された試料が容器の中に装填される準備ができるまで、容器に取り付けられ得る。
【0070】
図10は、
図3に示されている輸送システム38、または、
図4、
図5、および
図11の栓を実施する輸送システムなど、凍結保存された試料を保持するためであって、具体的には運搬するための輸送システムを準備する方法600の流れ図である。
【0071】
ステップ602では、凍結保存された試料を保持するためであって、具体的には運搬するための容器(
図1に示された容器10など)の空所が、極低温へ冷却される。例えば、容器内部は、熱エンジン(例えば、スターリングクライオクーラ)を用いて冷却され得る。代替で、容器内部は、
図9を参照して記載された方法500のステップを実行することで冷却されてもよい。
【0072】
ステップ604において、凍結保存された試料が容器の中に装填される。例えば、凍結保存された試料は、
図1の容器10のサーマルマス18における開口の中に配置され得る。
【0073】
任意選択で、ステップ606において、凍結保存された試料が適切な極低温で維持されるように、熱エンジン(この例では、スターリングクライオクーラ)が熱を空所から除去するために容器10に取り付けられる。スターリングクライオクーラは、凍結保存された試料が、異なる場所へ運搬されるまで、または、異なる場所で保管されるまで、容器10に据え付けられ得る。スターリングクライオクーラは、容器への凍結保存された試料の装填の間に起こる容器10内の温度上昇に抗するために、容器10に据え付けられてもよい。
【0074】
スターリングクライオクーラなどの熱エンジンが、凍結保存された試料を極低温で維持するために容器10に据え付けられる場合、熱エンジンは、凍結保存された試料を運搬または保管する前に、ステップ608において取り外される。
【0075】
ステップ610において、栓(
図2、
図4、
図5、および
図11に示されている栓20など)が、容器の内部を周囲環境から断熱するために、および、周囲環境から凍結保存された試料への熱伝達を防止するために、容器10に取り付けられる。栓を容器に取り付けることで輸送システム38を形成する。
【0076】
ステップ612において、凍結保存された試料を含む輸送システム38が、運搬または保管のために送られる。
【0077】
図11は、
図1に示されている容器10など、凍結保存された試料を保持するためであって、具体的には運搬するための容器を殺菌するための装置70を示している。
図11に示された容器10は、
図1に示された容器10の構成要素のすべて(つまり、壁12、基部14、空所16、およびサーマルマス18)を含む。装置70はカートリッジ72も備える。カートリッジ72は、カートリッジ72の一部分が容器10の開口端の中に嵌まるように配置されるが、カートリッジ72の別の一部分が、容器10の開口端において容器の壁12の端に当接するように配置されるような寸法とされている。
【0078】
カートリッジ72は、60Wの蛍光管電球などの紫外線光源74を備える。代替で、紫外線光源74は、単一のLED(例えば、5WのLED)、またはLEDの配列(例えば、3つの2WのLED)であり得る。紫外線光源74は、UVCの範囲における、または、UVBの範囲の下限における紫外線光を放つ。
【0079】
例えば、紫外線光源74は、100nmから300nmの間の波長での紫外線光を放つことができる。特定の例では、紫外線光源74は、295nmの波長を有する紫外線光を放つことができる。
【0080】
図11に示された装置では、紫外線光源74は、カートリッジ72に位置付けられる電池76によって電力供給される。紫外線光源74は、カートリッジ72が容器10の開口端へと挿入されるときにアクセス可能であるスイッチ78を用いて制御される。代替または追加で、電力供給ユニットは容器10に据え付けられてもよい。電力供給ユニットはコンセントに接続可能である。カートリッジ72は、容器10に据え付けられるとき、電力供給ユニットとの電気接続を形成することができる。この電気接続は、好ましくは、電気接続の形成および遮断を容易に実施させることができる、ポゴピンを介して、ケトルにおいて典型的には見出される接続を介して、または、任意の他の適切なコネクタを介して可能である。代替または追加で、カートリッジ72はコンセントに直接的に接続されてもよい。
【0081】
カートリッジ72を容器10に取り付けることで、容器10の空所16の内部を紫外線光で照射することができる。容器10の空所16を紫外線光で照射することで、空所16は殺菌される。容器10を殺菌することで、いくつかの汚染物からの生物学的試料の汚染を防止する。例えば、生物学的試料は、バクテリア、ウイルス、菌類、および他の微生物によって汚染されることから防止される他に、容器10内に以前に保持された生物学的試料からのDNA、RNA、および細胞片によって汚染されることから防止される。
【0082】
カートリッジ72は、空所16が殺菌されている間に周囲環境と空所16の内部との間の熱伝達を防止するかまたは遅くするために、1つまたは複数の断熱区分(
図11には示されていない)を含み得る。また、カートリッジ72は、容器10の壁12の端に当接するカートリッジ72の一部分の下側に位置付けられるシール80を備える。任意選択で、カートリッジ72は、容器内部が殺菌されている間に容器内部を周囲環境から断熱するために、
図2に示されている栓20(または、
図4および
図5に示されている栓40、50)の構成要素のうちのいくつかを備えてもよい。例えば、カートリッジ72は、
図2および
図4に示されている断熱区分26、反射遮蔽体28、留め具30、柔軟シール34、通気通路36、および室42、または、
図5に示されている室52、断熱区分54、スペーサ55、反射遮蔽体56、蓋58、柔軟シール34のうちの1つまたは複数を備えてもよい。さらなる例として、カートリッジ72は、
図2に示されている栓20(または、
図4および
図5に示されている栓40、50)と同じ構造を有してもよく、紫外線光源74(ならびに、任意選択で電池76およびスイッチ78)をさらに備えてもよい。代替で、カートリッジ72は、熱エンジンと一体的に結合または形成されてもよい。
【0083】
図12は、今述べたカートリッジ72の変形であるカートリッジ82の下側を示している。カートリッジ82は、カートリッジ72に関して先に記載されているのと同じ機能を実行するために、少なくとも1つの留め具88と、シール80と、少なくとも1つの紫外線光源86とを備える。しかしながら、この変形では、複数の紫外線光源86が、図示されているように、カートリッジ82の中心領域内に位置付けられている。描写されている特定の実施形態では、8個の紫外線光源86がカートリッジ82に組み込まれている。明確には、2個の紫外線光源86がおおよその中心の近くに位置付けられている一方で、他の6個の紫外線光源86が、周方向のパターン、または、カートリッジ82の周辺にさらに向かう径方向のパターンで位置付けられている。周方向または径方向に位置付けられた紫外線光源86は、使用中に光を容器10の中心に向けて方向付けるように、斜めにされてもよい。ある特定の例では、6個の紫外線光源86は、おおよそ30度の傾斜角度で内向きに斜めにされてもよく、これは、光の最適な焦点を容器10に提供する。
【0084】
図11の実施形態と同様に、カートリッジ82は、カートリッジ82の一部分が容器10の開口端の中に嵌まるように配置されるが、カートリッジ82の別の一部分が、容器10の開口端において容器の壁12の端に当接するように配置されるような寸法とされている。
【0085】
カートリッジ82は、LED(例えば、5WのLEDまたは2WのLED)などの紫外線光源86を備える。紫外線光源86は、UVCの範囲における、または、UVBの範囲の下限における紫外線光を放つ。
【0086】
例えば、紫外線光源86は、100nmから300nmの間の波長での紫外線光を放つことができる。特定の例では、紫外線光源86は、295nmの波長を有する紫外線光を放つことができる。
【0087】
図12に示された装置では、紫外線光源86は、カートリッジ82に位置付けられる電池によって電力供給される。代替または追加で、電力供給ユニットは容器10に据え付けられてもよい。電力供給ユニットはコンセントに接続可能である。カートリッジ82は、容器10に据え付けられるとき、コネクタ84を介して容器10との電気接続を形成することができる。この電気接続は、好ましくは、電気接続の形成および遮断を容易に実施させることができる、ポゴピンを介して、ケトルにおいて典型的には見出される接続を介して、または、任意の他の適切なコネクタを介して可能である。ある特定の例では、コネクタ84は、接地および電圧の接続と、カートリッジ82における電気構成要素と、容器10内の電気構成要素との間の双方向通信を可能にするシリアル通信インターフェース(例えば、RS232)とを備え、これは後でさらに検討される。
【0088】
カートリッジ82を容器10に取り付けることで、容器10の空所16の内部を紫外線光で照射することができる。容器10の空所16の内部を紫外線光で照射することで、空所16は殺菌される。容器10を殺菌することで、いくつかの汚染物からの生物学的試料の汚染を防止する。例えば、生物学的試料は、バクテリア、ウイルス、菌類、および他の微生物によって汚染されることから防止される他に、容器10内に以前に保持された生物学的試料からのDNA、RNA、および細胞片で汚染されることから防止される。
【0089】
カートリッジ82は、空所16が殺菌されている間に周囲環境と空所16の内部との間の熱伝達を防止するかまたは遅くするために、1つまたは複数の断熱区分(
図12には示されていない)を含み得る。また、カートリッジ82は、容器10の壁12の端に当接するカートリッジ82の一部分の下側に位置付けられるシール80を備える。任意選択で、カートリッジ82は、容器内部が殺菌されている間に容器内部を周囲環境から断熱するために、
図2に示されている栓20(または、
図4および
図5に示されている栓40、50)の構成要素のうちのいくつかを備えてもよい。例えば、カートリッジ82は、
図2および
図4に示されている断熱区分26、反射遮蔽体28、留め具30、柔軟シール34、通気通路36、および室42、または、
図5に示されている室52、断熱区分54、スペーサ55、反射遮蔽体56、蓋58、柔軟シール34のうちの1つまたは複数を備えてもよい。さらなる例として、カートリッジ82は、
図2に示されている栓20(または、
図4および
図5に示されている栓40、50)と同じ構造を有してもよく、紫外線光源86(および、任意選択で電池76)をさらに備えてもよい。代替で、カートリッジ82は、熱エンジンと一体的に結合または形成されてもよい。
【0090】
容器10に連結されると、カートリッジ72、82は容器10と電気連通している(例えば、コネクタ84を通じて)。実施形態では、容器10およびカートリッジ72、82の各々は、少なくとも1つの感知要素と、少なくとも1つの制御装置とを備える。非限定的な例として、容器は、温度を測定する感知要素(例えば、サーミスタ)と、光を測定する感知要素(例えば、カートリッジがどれだけの光を放ったかを測定するためのUVセンサ)とを備え、一方、カートリッジ72、82は、電圧、電流などを測定するための感知要素を備えてもよい。容器10およびカートリッジ72、82の各々における制御装置は、感知要素から来る信号を記録するための、および、処理装置によって行われた計算(例えば、感知された電圧および電流の出力に基づいて電力出力を導く)を記録するための少なくとも1つのメモリを備えてもよい。メモリユニットはそれぞれ、各々のカートリッジおよび各々の容器が個別に特定できるように、固有識別コードを保存してもよい。なおもさらには、容器10およびカートリッジ72、82の各々は、各々の場所が監視され得るように、GPSシステムを備えてもよい。
【0091】
容器10およびカートリッジ72、82の各々は、それぞれの制御装置のメモリに保存されている情報を無線で送信するための送受信機を備えてもよい。送受信機は、情報が遠隔で記録および監視できるように、情報を遠隔の場所に送信することができる。例として、中央監視ステーションが、容器10、サーマルマス18、および、容器10が受けたUV殺菌処置に関するリアルタイムの情報を所有するために、容器10およびカートリッジ72、82に保存されたGPS情報、および/または感知された情報、および/または計算された情報を受信することができる。
【0092】
空所16を周囲環境に対して断熱することで、容器10が殺菌され得る一方で、極低温が空所16において維持される。これは、紫外線光源74、86を用いた殺菌の後に容器10を冷却するという要件が軽減または排除さえされ得ることを意味する。
【0093】
殺菌の後に容器10を冷却するために必要とされる短縮した時間の長さは、続いての凍結保存された試料を保持すること、具体的には運搬することにおける使用のために容器10を準備するために要求される時間の長さをさらに短縮し、これは、運搬または保管の間における容器10の動作不能時間が短縮されることを意味する。
【0094】
また、紫外線光源は、容器10の内部を周囲環境から断熱するように作用する特徴(例えば、
図2、
図4、および
図5に示されている栓の特徴)を含み、そのため、空所16の内部は、凍結保存された試料が運搬または保管されている間に殺菌され得る。具体的には、容器10の内部を周囲環境から断熱するために使用される栓に紫外線光源を備えることは、容器10を殺菌するための別のデバイスを取り付けるために栓を取り外すという要件を排除することになる。容器10の内部を周囲環境から断熱するために使用される栓に紫外線光源を組み込むことは、容器10の内部が紫外線光で照射された後に容器10の殺菌が維持されるように、容器10を封止もする。
【0095】
凍結保存された試料が運搬または保管されている間に空所16の内部が殺菌される場合、凍結保存された試料は、紫外線光に対して不透明であるバイアルまたは入れ物の中で保たれ得る、または、さもなければ、凍結保存された試料は紫外線光源からの紫外線光から遮蔽され得る。凍結保存された試料を紫外線光から遮蔽することは、凍結保存された試料が紫外線放射によって損傷されないことを確保する。
【0096】
代替で、凍結保存された試料が殺菌を要求する試料(血液製品など)である場合、凍結保存された試料は、試料が空所16内で紫外線光に曝されるとき、空所16と同時に殺菌できる。
【0097】
図13は、
図1に示されている容器10など、凍結保存された試料を保持するためであって、具体的には運搬するための容器を殺菌する方法800の流れ図である。容器10は、
図3に示されている輸送システム38(または、
図4もしくは
図5の栓を備える輸送システム38)などの輸送システムの一部であり得る。輸送システムの容器10の内部は、栓(
図2に示されている栓20、
図4に示されている栓40、または
図5に示されている栓50など)を用いて周囲環境から断熱され得る、または、スターリングクライオクーラに結合され得る。方法800は、
図11に示されている装置70を用いて実行され得る。
【0098】
任意選択で、ステップ802において、栓またはクライオクーラが輸送システムを形成するために容器に取り付けられる場合、輸送システムは容器の内部を露出させるために開けられる。そのため、容器を開けることは、容器の開口端に取り付けられる栓、スターリングクライオクーラ、または任意の他のデバイスを除去することを含み得る。
【0099】
ステップ804において、紫外線光源を備えるカートリッジは、容器の開口端がカートリッジを用いて閉じられるように容器に取り付けられる。紫外線光源を備えるカートリッジを容器に取り付けることで、紫外線光源は容器の内部を照射するように配置される。
【0100】
ステップ806において、カートリッジにおける紫外線光源は、容器の内部が紫外線光で照射されるように作動させられる。
【0101】
ステップ808において、容器の内部は、容器の内部が殺菌されることを確実にするために、十分な長さの時間にわたって紫外線光で照射される。例えば、容器の内部は30~60分間にわたって紫外線光で照射され得る。
【0102】
ステップ810において、紫外線光源は作動停止させられ、カートリッジが容器から取り外される。
【0103】
任意選択で、ステップ812において、容器は、凍結保存された試料を保持するために、具体的には運搬するために準備される。例えば、容器は、
図10を参照して記載された方法600のステップを実行することで準備されてもよい。極低温が容器の空所において維持されている間に容器が殺菌され得るため、方法600のステップ602において容器を冷却するという要件は軽減または排除され得る。
【0104】
図14は、
図3に示されている輸送システム38(または、
図4または
図5の栓を含む輸送システム38)など、凍結保存された試料を保持するためであって、具体的には運搬するための輸送システムを準備する追加の方法900の流れ図である。輸送システムは、容器(
図1に示されている容器10など)と、栓(
図2に示されている栓20、
図4に示されている栓40、または
図5に示されている栓など)とを備え得る。
【0105】
ステップ902において、凍結保存された試料が容器の中に装填される。例えば、凍結保存された試料は、容器10における開口の中に配置され得る。凍結保存された試料を容器の中に装填することは、凍結保存された試料を、紫外線光に対して不透明である入れ物の中に位置付けることを含み得る。
【0106】
ステップ904において、栓が、容器の内部を周囲環境から断熱するために、および、周囲環境から凍結保存された試料への熱伝達を防止するために、容器に取り付けられる。栓および/または容器の構成要素は紫外線光源を備えてもよい。栓を容器に取り付けることで輸送システムを形成する。
【0107】
ステップ906において、凍結保存された試料を含む輸送システムが、運搬または保管のために送られる。
【0108】
ステップ908において、容器を殺菌するために、容器の内部が紫外線光を用いて照射される。紫外線光は、100nmから300nmの間の波長を有し得る(例えば、約265~275nm)。容器の内部は、容器の内部を周囲環境から断熱するために使用される栓に位置付けられる紫外線光源を用いて殺菌され得る。代替または追加で、容器の壁および/または基部(または、
図1に示されている容器10のサーマルマス18など、容器のいくつかの他の構成要素)が、容器の内部を照射するために使用される紫外線光源を備えてもよい。そのため、紫外線光を用いて容器を殺菌することは、栓および/または容器の構成要素に位置付けられる紫外線光源を作動させることを含み得る。
【0109】
容器の内部は、30分間から60分間の間にわたって(例えば、容器が運搬または保管の間に一度殺菌されるだけである場合)、または、おおよそ10分間にわたって(例えば、容器が凍結保存された試料の運搬または保管の間に毎日殺菌される場合)、紫外線光で照射され得る。凍結保存された試料の運搬または保管の間に、毎日短い時間の期間にわたって容器を殺菌することは、試料が運搬または保管の間に汚染されないことを確実にすることができる。
【0110】
ステップ910において、殺菌サイクルが完了される。殺菌サイクルを完了することは、栓および/または容器の構成要素に位置付けられる紫外線光源を作動停止させることを含み得る。
【0111】
図15は、
図2に示されている栓を備える輸送システムの時間に伴う温度変化(下方の線)を、栓が所定位置にない輸送システムの時間に伴う温度変化(上方の線)との比較で示すグラフである。
【0112】
図2に示された栓を容器に取り付けることは、容器内部が極低温になっているより長い時間の期間を提供することが、
図16から見て取れる。極低温ゾーンが-200℃から-120℃の間にある。
図2に示されている栓を容器に取り付けることは、容器内部を8日間にわたって極低温で維持させることができ、栓のない容器は極低温を3日間しか提供しない。
【0113】
そのため、
図2に示されている栓を容器に取り付けることは、凍結保存された試料が極低温ゾーンの外側の温度に曝されることによって損傷されることなく、凍結保存された試料をより長い期間にわたって運搬および/または保管させることができる。凍結保存された試料を、より長い期間にわたって、保持させること、具体的には運搬させることは、凍結保存された試料が運搬され得る距離を増加させ、それによって、特定の供給源からの凍結保存された試料を用いて治療され得る患者の数を増加させる。
【0114】
本明細書に記載されているシステムおよび方法に対する変形または改良が、以下の段落において述べられている。
【0115】
図11および
図12に示されている装置70、82は、サーマルマス18を備える容器10の殺菌に関して記載されている。先に説明されているように、サーマルマス18は、容器10の空所16の中の温度上昇の速さを遅くすることで、容器10の中に保たれている試料に受動的な冷却を提供する。しかしながら、本明細書に記載されている方法および装置は、サーマルマスを備える容器の殺菌に限定されない。つまり、本明細書に記載されている方法および装置は、容器の中に保たれる試料が他の手段を用いて冷却される容器を殺菌するために使用されてもよい。具体的には、スターリングクライオクーラなどの熱エンジンが、容器の中に保たれる試料に冷却を提供するために使用される輸送システムを殺菌するために、紫外線光源が使用されてもよい。
【0116】
熱エンジン(スターリングクライオクーラなど)が極低温において試料を維持するために使用される輸送システムでは、スターリングクライオクーラは、容器に取り付けられ得る蓋に位置付けることができ、熱交換器が、蓋が容器に取り付けられるときに容器の空所の中に位置付けられるように、スターリングクライオクーラに備え付けられ得る。
【0117】
容器は、凍結保存された試料に冷却を提供する液体窒素(または他の作動流体)を備えてもよい。スターリングクライオクーラは熱を容器から除去し、これは、容器内の極低温を維持するために、液体窒素がその液体状態において維持されることを意味する。空所がスターリングクライオクーラによって冷却されている間に容器の空所が紫外線光で照射され得るように、1つまたは複数の紫外線光源が蓋の下側に位置付けられてもよい。代わりに(後でさらに記載されているように)、紫外線光源が容器の内部に位置付けられてもよい。
【0118】
1つまたは複数の紫外線光源を蓋の下側または容器の内部に位置付けることで、容器は、スターリングクライオクーラが動作している間に殺菌され得る。容器をUV光で殺菌することによって、容器内のすべての構成要素を汚染除去する。つまり、容器を殺菌することによって、容器自体の固体の構成要素と、作動流体として使用される液体窒素と、容器の空所の中の空気または他のガスとを殺菌する。これにより、熱エンジンを備える輸送システムの運搬または保管の間に、容器を殺菌させることができる。
【0119】
図11および
図12に関連して記載されている装置と同様に、凍結保存された試料は、紫外線光に対して不透明であるバイアルまたは入れ物の中で保たれ得る、または、さもなければ、紫外線光源からの紫外線光から遮蔽され得る。スターリングクライオクーラを備える輸送システムを準備する方法は、
図14に関連して記載されている方法900と実質的に同じであり得る。しかしながら、(
図14にステップ904において記載されているように)栓を容器に取り付ける代わりに、スターリングクライオクーラ(および、任意選択で紫外線光源)を備える蓋が容器に取り付けられる。
【0120】
図11に示されている装置70は、極低温での容器の殺菌に関して記載されている。しかしながら、
図11に示されている装置70が、容器の温度とは無関係に容器の殺菌を可能にすることは、理解されるものである。具体的には、
図11に示されている装置70は、室温にある容器を殺菌することができる。
【0121】
カートリッジ72は、容器10の開口端の中に嵌まるように配置される部分を有するとして上記で記載されている。しかしながら、紫外線光源を使用して容器の内部を照射するための他の配置が使用されてもよい。例えば、紫外線光源は、容器の上部に着座する蓋に位置付けられ得る。さらなる例として、光ファイバまたは光案内部が紫外線光を容器の内部に送信するために使用されてもよく、これは、容器内部を照射するために容器を蓋で覆うことが必要ではない可能性があることを意味する。
【0122】
追加の例として、紫外線光源は、容器の内側に置かれ得る別体のカートリッジに位置付けられ得る。代替で、先に記載されているように、紫外線光源は、
図2に示されている栓20、
図4に示されている栓40、または
図5に示されている栓などの栓に位置付けられてもよい。さらなる代替として、紫外線光源は、(上記で説明されているような)熱エンジンを備える蓋に位置付けられてもよく、それによって、容器の内部が極低温へと冷却されている間に、紫外線光を用いて容器を殺菌させることができる。
【0123】
追加または代替で、紫外線光源は、容器の主本体上、または中に設けられてもよく(例えば、壁上もしくは中、および/または、容器の基部上もしくは中に設けられてもよく)、または、
図1に示されている容器10のサーマルマス18など、容器の構成要素内に設けられてもよい。このような配置が
図16に示されており、
図16は、凍結保存された試料を保持するためであって、具体的には運搬するための容器を殺菌するための代替の装置100(つまり、
図11に示されている装置70の代替)を示している。しかしながら、本明細書に記載されている方法による、凍結保存された試料を保持するためであって、具体的には運搬するための容器を殺菌するための装置が、
図16に示されている装置100の紫外線光源104に加えて、
図11に示されている装置70の紫外線光源74を備えてもよいことは、留意されるべきである。
【0124】
図16に示されている装置100は、容器10の開口端を閉じるための栓102(または他の閉鎖部)を備える。紫外線光源104は、容器10の空所16の中に位置付けられるように、容器10の壁12の内側に位置付けられている。これは、紫外線光源104が容器10の内部を照射するために配置されていることを意味する。紫外線光源104は、容器10の壁12の中に位置付けられている電池106によって電力供給される。紫外線光源104は、容器10の壁12の外側に位置決めされているスイッチ108を用いて制御される。
【0125】
容器の主本体上、または中に、または容器の構成要素に紫外線光源を配置することによって、容器の内部が温められている間に容器の内部を殺菌させることができる。温まる過程の間の容器の殺菌は、周囲環境から空所の内部への熱伝達が蓋を通じて許されるように断熱を備えない蓋またはカートリッジに紫外線光源を位置付けることで、容易にされてもよい。
【0126】
紫外線光源が、容器の主本体上もしくは中に、または、容器の構成要素に位置付けられる場合、それに応じて、
図13に関連して記載されている殺菌方法800が適合されてもよい。明確には、方法は、別体のカートリッジが取り付けられるようにするために、栓または他のデバイスを容器から取り外す必要がない。これは、断熱の栓(
図16において概して栓102として示されている、
図2、
図4、および
図5に示されている栓など)が容器に取り付けられている間、または、熱エンジンが容器に備え付けられている間、容器内部が照射され得ることを意味する。結果として、方法は、容器の内部を紫外線光で照射するために、容器の主本体または容器の構成要素における紫外線光源を作動させるステップを含む。方法は、容器の内部が殺菌されることを確実にするために、容器の内部を十分な長さの時間にわたって紫外線光で照射することをさらに含む。容器内部が殺菌されると、紫外線光源は作動停止され得る。この方法で容器内部を殺菌することは、容器が(例えば、周囲温度から極低温へ)冷却される間、容器が(例えば、極低温から周囲温度へ)温められる間、または、容器が使用ごとの合間にある間(例えば、容器内部が周囲温度にある間)、容器内部が移送中(例えば、容器内部が極低温にある間)に殺菌できること意味する。
【0127】
任意選択で、
図11に示されている装置70および/または
図16に示されている装置100は、複数の紫外線光源を備え得る。紫外線光源は、装置の同じ構成要素(例えば、カートリッジに位置付けられる複数の紫外線光源)、または、装置の異なる構成要素(例えば、カートリッジに位置付けられる1つまたは複数の紫外線光源、および、容器の壁に位置付けられる1つまたは複数の紫外線光源)に位置付けられてもよい。
【0128】
複数の紫外線光源が装置において使用されるとき、各々の紫外線光源は、紫外線の波長の範囲が容器の殺菌の間に使用されるように、異なる波長の紫外線光を放ってもよい。
【0129】
複数の紫外線光源が装置において使用されるとき、異なる強さの紫外線光が容器の異なる部分に提供されるように、紫外線光源のうちの特定の一部分が作動されてもよい。例えば、紫外線光源は、容器の内部の一部だけが照射されるように制御され得る。容器内部の一部分を照射することによって、容器内部は、凍結保存された試料を照射することなく殺菌できる。いくつかの例では、空所を向く容器の他の表面に対して、空所を向く基部の一部分の殺菌を増やすために、複数の紫外線光源が配置され得る。
【0130】
任意選択で、複数の紫外線光源は、紫外線光を容器の内部へと送信する光ファイバまたは光案内部を備えてもよい。光ファイバまたは光案内部を用いて紫外線光を容器の内部へ送信することは、容器の内部に提供される熱を最小限にする。
【0131】
先に説明されているように、容器の内部は、容器の壁および/または基部からの紫外線光の反射によって照射されるように、紫外線光を反射するように配置され得る。追加または代替で、紫外線光源は、容器の内部の全体が紫外線光源のうちの1つまたは複数への直接的に見通せるように、装置の中に配置され得る。
【0132】
紫外線光源は、送電網への電気的接続によって、または、(
図11および
図12において示されている装置70、82、および
図16に示されている装置100におけるように)電池動作によって、電力供給され得る。
【0133】
任意選択で、装置において使用される紫外線光源は、自動タイマを使用して制御され得る。例えば、凍結保存された試料の運搬または保管の間に、容器の内部が1日あたり10分間にわたって照射されるように、紫外線光源は制御され得る。代替で、紫外線光源は手動で制御されてもよい(例えば、装置は、使用者に個々の紫外線光源をオンまたはオフさせることができる制御部を備えてもよい)。手動制御は、(
図11に示されている装置70、および、
図16に示されている装置100におけるように)スイッチを用いて容易にされ得る。さらなる代替として、紫外線光源は遠隔で制御可能であってもよく、これは、容器が遠隔から殺菌できることを意味する。紫外線光源の遠隔制御を可能とするために、装置は、遠隔デバイスからの照射制御命令を受信するように配置される無線送受信機を備えてもよい。
【0134】
任意選択で、紫外線光源からの全体の照射は、要件に応じて紫外線光源に供給される電力を調整することで調整できる。例えば、紫外線光源へ追加の電力を供給することは、各々の個別の紫外線光源によって提供される紫外線光の強さを増加させることができる。追加または代替で、より小さい大きさの電力が供給されるときに紫外線光源の一部分だけが作動させられる場合、追加の電力を紫外線光源に供給することによって追加の紫外線光源を作動させることができる。
【0135】
全体の照射の調整は手動調整であってもよい(例えば、装置は、提供される全体の照射を使用者に調整させることができる制御部を備えてもよい)。代替で、全体の照射の調整は自動調整であってもよい(例えば、装置は、紫外線光源によって提供される全体の照射を時間に伴って制御するタイマを備えてもよい)。
【0136】
紫外線光源からの全体の照射は、代替で、紫外線光源の照射時間(つまり、各々の紫外線光源がオンである時間の長さ)を調整することで調整されてもよい。紫外線光源の照射時間への調整は、手動の調整(例えば、装置は、使用者に照射時間を調整させることができる制御部を備え得る)、または、自動の調整(例えば、タイマを使用する)であり得る。さらなる代替として、紫外線光源によって提供される全体の照射は遠隔で制御可能であり得る。
【0137】
照射時間および/または電力を調整することの追加または代替として、紫外線光源によって提供される紫外線光の波長も調整可能であり得る。紫外線光源が自動的に制御される場合、紫外線光源の機能は遠隔で記録され得る。
【0138】
任意選択で、紫外線光源によって提供される照射は記録されてもよい。紫外線光源によって提供される照射を記録することは、容器が殺菌されたかどうかを操作者が検証することができるように、紫外線光源によって提供された殺菌の記録を提供する。紫外線光源によって提供された照射は、容器の中に配置された1つまたは複数の紫外線検出装置によって記録されてもよい。
【0139】
任意選択で、装置は、紫外線光源がオンであるときに警告音を提供する警報装置を備え得る。代替または追加で、装置は、紫外線光源がオンであるときに照らされる警告ランプを備えてもよい。
【0140】
任意選択で、紫外線光源は、輸送システムが照射サイクルの間に開けられる場合にオフになってもよい。輸送システムが開けられたときに紫外線光源をオフにするために、容器と栓または蓋との間の連結は、蓋、栓、またはカートリッジが容器に取り付けられるとき、紫外線光源と直列になっているスイッチが閉じられ、そのため、蓋、栓、またはカートリッジが容器から取り外されるときに回路が遮断されるように、配置される。代替として、紫外線光源がオンである間に使用者が輸送システムを開けることが防止されてもよい。例えば、容器に取り付けられた栓、蓋、またはカートリッジは、紫外線光源が作動させられている間に容器に係止されてもよい(例えば、自動的に係止されてもよい)。つまり、紫外線光源を制御するスイッチは、紫外線光源がオンである間に栓、蓋、またはカートリッジを容器に係止する係止機構を制御してもよい。
【0141】
任意選択で、紫外線光源は、輸送システムが照射サイクルの間に開けられた場合に使用者が紫外線光で照射されないように、輸送システム内に位置決めされる。例えば、電力供給ユニットが容器に据え付けられてもよい。電力供給ユニットはコンセントに接続可能である。カートリッジは、容器に据え付けられるとき、電力供給ユニットとの電気接続を形成することができる。この電気接続は、好ましくは、電気接続の形成および遮断を容易に実施させることができる、ポゴピンを介して、ケトルにおいて典型的には見出される接続を介して、または、任意の他の適切なコネクタを介して可能である。カートリッジが容器から取り外されるとき(つまり、持ち上げられるとき)、電気接続は、紫外線光が自動的にオフになるように遮断され得る。代替または追加で、光センサ(殺菌のために使用される紫外線光と異なる周波数の光を使用する)が、暗い環境においてのみ動作するように、紫外線光の制御を可能にしてもよい。
【0142】
任意選択で、装置は、蓋、栓、またはカートリッジが照射サイクルの間に容器から取り外されたかどうかを検出するように配置される検出装置を備える。容器か開けられたことを検出装置が検出した場合、検出装置は、紫外線光源が作動停止され得るように紫外線光源の制御装置に信号を送ってもよい。
【0143】
いくつかの例では、サーマルマスは容器に含まれなくてもよい。本明細書に記載されている栓は、このような例との使用に適している。
【0144】
いくつかの例では、容器内部を周囲環境から断熱するための栓は、断熱区分と、赤外線放射を反射するための1つまたは複数の遮蔽体とを備え得る。これらの例では、断熱区分は比較的厚くなり得る。例えば、断熱区分は、栓の長手方向の延在の大部分に沿って延びてもよい。
【0145】
赤外線断熱を反射するための1つまたは複数の遮蔽体は、例えば、使用中に断熱区分の上方で(つまり、断熱区分より容器の空所から遠くで)、断熱区分に隣接して配置され得る。赤外線放射が温度と共に増加する(温度に4の累乗で比例する)ため、1つまたは複数の遮蔽体を空所から遠くに位置付けること、つまり、典型的には温度がより高い場所に位置付けることは、赤外線放射の反射にとって最も重要なことであり得る。
【0146】
「1つ(a、an)」という単数形の用語は、「唯一」を意味するように理解されるべきではない。むしろ、それらは、他に述べられていない場合、「少なくとも1つ」または「1つまたは複数」を意味すると理解されるべきである。「備える」という言葉、および「備える」を含む派生語は、述べられた特徴の各々を含むが、1つまたは複数のさらなる特徴を含むことを排除しない。
【0147】
上記の実施が例としてのみ記載されており、記載された実施が、すべての点において、例示としてだけであり、制限的でないと見なされることである。記載されている実施の変形が本発明の範囲から逸脱することなく行われ得ることは、理解されるものである。記載されていないが添付の特許請求の範囲内にある多くの変形があることは、明らかとなる。
【符号の説明】
【0148】
10 容器
12 壁
14 基部
16 空所
18 サーマルマス
20 栓
22 下方部分
24 上方部分
26 断熱区分
28 反射遮蔽体
30 留め具
32 上シール
34 柔軟シール
36 通気通路
40 栓
42 室
44 下方部
46 上方部
50 栓
53 留め具
54 断熱区分、断熱要素
54' 上断熱区分
55 スペーサ
56 反射遮蔽体
57 棒材
58 蓋
70 装置
72 カートリッジ
74 紫外線光源
76 電池
78 スイッチ
80 シール
82 カートリッジ、装置
84 コネクタ
86 紫外線光源
88 留め具
100 装置
102 栓
104 紫外線光源
106 電池
108 スイッチ
【国際調査報告】