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特表2023-504588染色体異常を検出するための高分解能スペクトル染色体バンディング法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-03
(54)【発明の名称】染色体異常を検出するための高分解能スペクトル染色体バンディング法
(51)【国際特許分類】
   C12Q 1/6883 20180101AFI20230127BHJP
   C12Q 1/6813 20180101ALI20230127BHJP
   C12Q 1/6811 20180101ALI20230127BHJP
   C12N 15/11 20060101ALN20230127BHJP
【FI】
C12Q1/6883 Z
C12Q1/6813 Z
C12Q1/6811 Z
C12N15/11 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022560173
(86)(22)【出願日】2020-12-08
(85)【翻訳文提出日】2022-08-05
(86)【国際出願番号】 US2020063786
(87)【国際公開番号】W WO2021119002
(87)【国際公開日】2021-06-17
(31)【優先権主張番号】62/945,850
(32)【優先日】2019-12-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522228355
【氏名又は名称】クロマティッド,インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100138210
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 達則
(72)【発明者】
【氏名】エリン クロス
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー トンプキンズ
(72)【発明者】
【氏名】スティーブン ヒューズ
【テーマコード(参考)】
4B063
【Fターム(参考)】
4B063QA00
4B063QA13
4B063QA19
4B063QQ08
4B063QQ42
4B063QR32
4B063QR56
4B063QS34
4B063QX02
(57)【要約】
異なる色のプローブで一本鎖染色分体を標識することによって染色体の構造変異を検出するための方法が開示される。標識プローブのハイブリダイゼーションパターンにより、構造変異の高分解能検出を可能にするスペクトルプロファイルが生成され、良性の構造変異と有害な構造変異との区別を容易にする。さらに、スペクトルプロファイルは、染色体セグメントの1つより多くの再配列が生じ得る複雑な構造変異に関する情報を提供する。スペクトルプロファイルを使用してデータテーブルを生成することができ、それにノード分析を適用して、目的とする構造特徴を特定することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
染色体の少なくとも1つの構造変異を検出するための方法であって、
a)前記染色体から一対の一本鎖姉妹染色分体を生成するステップであって、各姉妹染色分体が1つ以上の標的DNA配列を含む、生成するステップと、
b)一方または両方の一本鎖姉妹染色分体を2つ以上のオリゴヌクレオチドプローブと接触させるステップであって、前記プローブの各々が一本鎖であり、固有であり、かつ標的DNA配列の少なくとも一部分に相補的であり、前記プローブの各々が少なくとも1つの標識を含み、前記標的DNA配列に相補的な前記プローブのうちの少なくとも2つが異なる色の標識を含み、これにより、一方または両方の一本鎖姉妹染色分体のスペクトルプロファイルが、一方または両方の一本鎖姉妹染色分体に対する前記少なくとも2つのプローブのハイブリダイゼーションパターンによって生成されるようになる、接触させるステップと、
c)一方または両方の一本鎖姉妹染色分体の前記スペクトルプロファイルを検出するステップと、
d)ステップ(c)の前記スペクトルプロファイルを、対照を表す参照スペクトルプロファイルと比較するステップと、
e)ステップ(c)のいずれかまたは両方のスペクトルプロファイルと前記参照スペクトルプロファイルとの間の少なくとも1つのスペクトル差に基づいて、前記少なくとも1つの構造変異の存在を決定するステップと、を含む、方法。
【請求項2】
ステップ(c)の前記スペクトルプロファイルが一方の一本鎖姉妹染色分体のものであり、前記参照スペクトルプロファイルが他方の一本鎖姉妹染色分体のものである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記構造変異が、前記染色体のセグメントのコピー数の変化、前記染色体のコピー数の変化、逆位、転座、姉妹染色分体組換え、小核形成、クロモスリプシス事象、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記構造変異が、前記染色体のセグメントのコピー数の変化であり、前記変化が、増幅、欠失、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記プローブが25~75ヌクレオチド長である、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記プローブが30~50ヌクレオチド長である、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記プローブが37~43ヌクレオチド長である、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記プローブ上の前記標識が、前記プローブの5’末端でコンジュゲートされた蛍光色素である、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
各一本鎖姉妹染色分体上の前記標的DNA配列に相補的な前記プローブが、少なくとも2つの異なる色の標識を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
各一本鎖姉妹染色分体上の前記標的DNA配列に相補的な前記プローブが、少なくとも3つの異なる色の標識を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
各一本鎖姉妹染色分体上の前記標的DNA配列に相補的な前記プローブが、少なくとも4つの異なる色の標識を含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
各一本鎖姉妹染色分体上の前記標的DNA配列に相補的な前記プローブが、少なくとも5つの異なる色の標識を含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
各一本鎖姉妹染色分体上の前記標的DNA配列に相補的な前記プローブが、少なくとも6つの異なる色の標識を含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
各一本鎖姉妹染色分体上の前記標的DNA配列に相補的な前記プローブが、少なくとも7つの異なる色の標識を含む、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
各一本鎖姉妹染色分体上の前記標的DNA配列に相補的な前記プローブが、少なくとも8つの異なる色の標識を含む、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
各一本鎖姉妹染色分体上の前記標的DNA配列に相補的な前記プローブが、少なくとも9つの異なる色の標識を含む、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
各一本鎖姉妹染色分体上の前記標的DNA配列に相補的な前記プローブが、少なくとも10個の異なる色の標識を含む、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記少なくとも1つの標識が、可視光スペクトルで検出可能な標識、赤外光スペクトルで検出可能な標識、紫外線光スペクトルで検出可能な標識、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記少なくとも1つの標識が、前記プローブの末端上の標識、前記プローブの側面上の標識、前記プローブの本体上の1つ以上の標識、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項1~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記少なくとも1つの標識が、前記プローブの糖またはアミダイト官能基上の本体標識である、請求項1~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記スペクトルプロファイルの前記検出が、狭帯域フィルターの使用およびソフトウェアによるスペクトル情報の処理を含む、請求項1~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記スペクトルプロファイルの前記検出が、前記スペクトルプロファイルの1つ以上のスペクトル領域を特異的に除外する、請求項1~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
ステップ(e)が、人工知能の助けを借りて行われる、請求項1~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
染色体の少なくとも1つの構造変異を検出するための方法であって、
a)前記染色体から一対の一本鎖姉妹染色分体を生成するステップであって、各姉妹染色分体が1つ以上の標的DNA配列を含む、生成するステップと、
b)ステップa)の後、一方または両方の一本鎖姉妹染色分体を染色剤と接触させるステップと、
c)ステップa)の後、一方または両方の一本鎖姉妹染色分体を2つ以上のオリゴヌクレオチドプローブと接触させるステップであって、前記プローブの各々が一本鎖であり、固有であり、かつ標的DNA配列の少なくとも一部分に相補的であり、前記プローブの各々が少なくとも1つの標識を含み、前記標的DNA配列に相補的な前記プローブのうちの少なくとも2つが異なる色の標識を含み、これにより、一方または両方の一本鎖姉妹染色分体のスペクトルプロファイルが、一方または両方の一本鎖姉妹染色分体に対する前記少なくとも2つのプローブのハイブリダイゼーションパターンによって生成されるようになる、接触させるステップと、
d)一方または両方の一本鎖姉妹染色分体の前記スペクトルプロファイルを検出するステップと、
e)一方または両方の一本鎖姉妹染色分体の染色パターンを検出するステップと、
f)ステップ(d)のいずれかまたは両方のスペクトルプロファイルを、対照を表す参照スペクトルプロファイルと比較し、さらに、ステップ(e)のいずれかまたは両方の染色パターンを、対照を表す参照染色パターンと比較するステップと、
g)ステップ(d)のいずれかまたは両方のスペクトルプロファイルと前記参照スペクトルプロファイルとの間の少なくとも1つのスペクトル差に基づいて、さらに、ステップ(e)のいずれかまたは両方の染色パターンと前記参照染色パターンとの間の少なくとも1つの染色差に基づいて、前記少なくとも1つの構造変異の存在を決定するステップと、を含む、方法。
【請求項25】
ステップ(d)の前記スペクトルプロファイルが一方の一本鎖姉妹染色分体のものであり、前記参照スペクトルプロファイルが他方の一本鎖姉妹染色分体のものである、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
ステップ(e)の前記染色パターンが一方の一本鎖姉妹染色分体のものであり、前記参照染色パターンが他方の一本鎖姉妹染色分体のものである、請求項24または25に記載の方法。
【請求項27】
前記構造変異が、前記染色体のセグメントのコピー数の変化、前記染色体のコピー数の変化、挿入、欠失、逆位、平衡転座、不平衡転座、姉妹染色分体組換え、小核形成、クロモスリプシス事象、遺伝物質の喪失または獲得、1つ以上の全染色体の喪失または獲得、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項24~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記構造変異が、前記染色体のセグメントのコピー数の変化であり、前記変化が、増幅、欠失、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記プローブが25~75ヌクレオチド長である、請求項24~28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記プローブが30~50ヌクレオチド長である、請求項24~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記プローブが37~43ヌクレオチド長である、請求項24~30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記プローブ上の前記標識が、前記プローブの5’末端でコンジュゲートされた蛍光色素である、請求項24~31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
各一本鎖姉妹染色分体上の前記標的DNA配列に相補的な前記プローブが、少なくとも2つの異なる色の標識を含む、請求項24~32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
各一本鎖姉妹染色分体上の前記標的DNA配列に相補的な前記プローブが、少なくとも3つの異なる色の標識を含む、請求項24~33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
各一本鎖姉妹染色分体上の前記標的DNA配列に相補的な前記プローブが、少なくとも4つの異なる色の標識を含む、請求項24~34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
各一本鎖姉妹染色分体上の前記標的DNA配列に相補的な前記プローブが、少なくとも5つの異なる色の標識を含む、請求項24~35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
各一本鎖姉妹染色分体上の前記標的DNA配列に相補的な前記プローブが、少なくとも6つの異なる色の標識を含む、請求項24~36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
各一本鎖姉妹染色分体上の前記標的DNA配列に相補的な前記プローブが、少なくとも7つの異なる色の標識を含む、請求項24~37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
各一本鎖姉妹染色分体上の前記標的DNA配列に相補的な前記プローブが、少なくとも8つの異なる色の標識を含む、請求項24~38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
各一本鎖姉妹染色分体上の前記標的DNA配列に相補的な前記プローブが、少なくとも9つの異なる色の標識を含む、請求項24~39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
各一本鎖姉妹染色分体上の前記標的DNA配列に相補的な前記プローブが、少なくとも10個の異なる色の標識を含む、請求項24~40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
前記染色剤が、DAPI、ヘキスト33258、およびアクチノマイシンDからなる群から選択される、請求項24~41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
前記少なくとも1つの標識が、可視光スペクトルで検出可能な標識、赤外光スペクトルで検出可能な標識、紫外線光スペクトルで検出可能な標識、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項24~42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
前記少なくとも1つの標識が、前記プローブの末端上の標識、前記プローブの側面上の標識、前記プローブの本体における標識、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項24~43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
前記少なくとも1つの標識が、前記プローブの糖またはアミダイト官能基上の本体標識である、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記スペクトルプロファイルの前記検出が、狭帯域フィルターの使用およびソフトウェアによるスペクトル情報の処理を含む、請求項24~45のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
前記スペクトルプロファイルの前記検出が、前記スペクトルプロファイルの1つ以上のスペクトル領域を特異的に除外する、請求項24~46のいずれか一項に記載の方法。
【請求項48】
ステップ(e)が、人工知能の助けを借りて行われる、請求項24~47のいずれか一項に記載の方法。
【請求項49】
染色体の少なくとも1つの構造変異を検出するための方法であって、
a)前記染色体から一対の一本鎖姉妹染色分体を生成するステップであって、各姉妹染色分体が1つ以上の標的DNA配列を含む、生成するステップと、
b)ステップa)の後、一本鎖姉妹染色分体を、標的DNA配列ではない前記一本鎖姉妹染色分体上の反復配列に相補的なオリゴヌクレオチドマーカーと接触させるステップであって、前記マーカーの各々が少なくとも1つの標識を含む、接触させるステップと、
c)ステップa)の後、一方または両方の一本鎖姉妹染色分体を2つ以上のオリゴヌクレオチドプローブと接触させるステップであって、前記プローブの各々が一本鎖であり、固有であり、かつ標的DNA配列の少なくとも一部分に相補的であり、前記プローブの各々が少なくとも1つの標識を含み、前記標的DNA配列に相補的な前記プローブのうちの少なくとも2つが異なる色の標識を含み、これにより、一方または両方の一本鎖姉妹染色分体のスペクトルプロファイルが、一方または両方の一本鎖姉妹染色分体に対する前記少なくとも2つのプローブのハイブリダイゼーションパターンによって生成されるようになる、接触させるステップと、
d)一方または両方の一本鎖姉妹染色分体の前記スペクトルプロファイルを検出するステップと、
e)一方または両方の一本鎖姉妹染色分体の前記マーカーハイブリダイゼーションパターンを検出するステップと、
f)ステップ(d)の前記スペクトルプロファイルを、対照を表す参照スペクトルプロファイルと比較し、さらに、ステップ(e)の前記マーカーハイブリダイゼーションパターンを、対照を表す参照マーカーハイブリダイゼーションパターンと比較するステップと、
g)ステップ(d)のいずれかまたは両方のスペクトルプロファイルと前記参照スペクトルプロファイルとの間の少なくとも1つのスペクトル差に基づいて、さらに、ステップ(e)のいずれかまたは両方のマーカーハイブリダイゼーションパターンと前記参照マーカーハイブリダイゼーションパターンとの間の少なくとも1つのマーカーハイブリダイゼーションパターン差に基づいて、前記少なくとも1つの構造変異の存在を決定するステップと、を含む、方法。
【請求項50】
ステップ(d)の前記スペクトルプロファイルが一方の一本鎖姉妹染色分体のものであり、前記参照スペクトルプロファイルが他方の一本鎖姉妹染色分体のものである、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
ステップ(e)の前記マーカーハイブリダイゼーションパターンが一方の一本鎖姉妹染色分体のものであり、前記参照マーカーハイブリダイゼーションパターンが他方の一本鎖姉妹染色分体のものである、請求項49または50に記載の方法。
【請求項52】
前記構造変異が、前記染色体のセグメントのコピー数の変化、前記染色体のコピー数の変化、逆位、転座、姉妹染色分体組換え、小核形成、クロモスリプシス事象、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項49~51のいずれか一項に記載の方法。
【請求項53】
前記構造変異が、前記染色体のセグメントのコピー数の変化であり、前記変化が、増幅、欠失、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項49~52のいずれか一項に記載の方法。
【請求項54】
前記プローブが25~75ヌクレオチド長である、請求項49~53のいずれか一項に記載の方法。
【請求項55】
前記プローブが30~50ヌクレオチド長である、請求項49~54のいずれか一項に記載の方法。
【請求項56】
前記プローブが37~43ヌクレオチド長である、請求項49~55のいずれか一項に記載の方法。
【請求項57】
前記プローブ上の前記標識が、前記プローブの5’末端でコンジュゲートされた蛍光色素である、請求項49~56のいずれか一項に記載の方法。
【請求項58】
各一本鎖姉妹染色分体上の前記標的DNA配列に相補的な前記プローブが、少なくとも2つの異なる色の標識を含む、請求項49~57のいずれか一項に記載の方法。
【請求項59】
各一本鎖姉妹染色分体上の前記標的DNA配列に相補的な前記プローブが、少なくとも3つの異なる色の標識を含む、請求項49~58のいずれか一項に記載の方法。
【請求項60】
各一本鎖姉妹染色分体上の前記標的DNA配列に相補的な前記プローブが、少なくとも4つの異なる色の標識を含む、請求項49~59のいずれか一項に記載の方法。
【請求項61】
各一本鎖姉妹染色分体上の前記標的DNA配列に相補的な前記プローブが、少なくとも5つの異なる色の標識を含む、請求項49~60のいずれか一項に記載の方法。
【請求項62】
各一本鎖姉妹染色分体上の前記標的DNA配列に相補的な前記プローブが、少なくとも6つの異なる色の標識を含む、請求項49~61のいずれか一項に記載の方法。
【請求項63】
各一本鎖姉妹染色分体上の前記標的DNA配列に相補的な前記プローブが、少なくとも7つの異なる色の標識を含む、請求項49~62のいずれか一項に記載の方法。
【請求項64】
各一本鎖姉妹染色分体上の前記標的DNA配列に相補的な前記プローブが、少なくとも8つの異なる色の標識を含む、請求項49~63のいずれか一項に記載の方法。
【請求項65】
各一本鎖姉妹染色分体上の前記標的DNA配列に相補的な前記プローブが、少なくとも9つの異なる色の標識を含む、請求項49~64のいずれか一項に記載の方法。
【請求項66】
各一本鎖姉妹染色分体上の前記標的DNA配列に相補的な前記プローブが、少なくとも10個の異なる色の標識を含む、請求項49~65のいずれか一項に記載の方法。
【請求項67】
前記少なくとも1つの標識が、可視光スペクトルで検出可能な標識、赤外光スペクトルで検出可能な標識、紫外線光スペクトルで検出可能な標識、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項49~66のいずれか一項に記載の方法。
【請求項68】
前記少なくとも1つの標識が、前記プローブの末端上の標識、前記プローブの側面上の標識、前記プローブの本体における標識、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項49~67のいずれか一項に記載の方法。
【請求項69】
前記少なくとも1つの標識が、前記プローブの糖またはアミダイト官能基上の本体標識である、請求項68に記載の方法。
【請求項70】
前記スペクトルプロファイルの前記検出が、狭帯域フィルターの使用およびソフトウェアによるスペクトル情報の処理を含む、請求項49~69のいずれか一項に記載の方法。
【請求項71】
前記スペクトルプロファイルの前記検出が、前記スペクトルプロファイルの1つ以上のスペクトル領域を特異的に除外する、請求項49~70のいずれか一項に記載の方法。
【請求項72】
ステップ(e)が、人工知能の助けを借りて行われる、請求項49~71のいずれか一項に記載の方法。
【請求項73】
染色体の少なくとも1つの構造変異を検出するためのコンピュータ実装方法であって、
a)前記染色体から一対の一本鎖姉妹染色分体を生成するステップであって、各姉妹染色分体が1つ以上の標的DNA配列を含む、生成するステップと、
b)一方または両方の一本鎖姉妹染色分体を2つ以上のオリゴヌクレオチドプローブと接触させるステップであって、前記プローブの各々が一本鎖であり、固有であり、かつ標的DNA配列の少なくとも一部分に相補的であり、前記プローブの各々が少なくとも1つの標識を含み、前記標的DNA配列に相補的な前記プローブのうちの少なくとも2つが異なる色の標識を含み、これにより、一方または両方の一本鎖姉妹染色分体のスペクトルプロファイルが、一方または両方の一本鎖姉妹染色分体に対する前記少なくとも2つのプローブのハイブリダイゼーションパターンによって生成されるようになる、接触させるステップと、
c)一方または両方の一本鎖姉妹染色分体の前記スペクトルプロファイルを検出するステップと、
d)ステップ(c)の前記スペクトルプロファイルを、対照を表す参照スペクトルプロファイルと比較するステップと、
e)ステップ(c)のいずれかまたは両方のスペクトルプロファイルと前記参照スペクトルプロファイルとの間の少なくとも1つのスペクトル差に基づいて、前記少なくとも1つの構造変異の存在を決定するステップであって、ステップ(d)およびステップ(e)がコンピュータシステムで計算される、決定するステップと、を含む、コンピュータ実装方法。
【請求項74】
コンピュータによって読み取り可能なプログラム記憶装置であって、
a)染色体から一対の一本鎖姉妹染色分体を生成するステップであって、各姉妹染色分体が1つ以上の標的DNA配列を含む、生成するステップと、
b)一方または両方の一本鎖姉妹染色分体を2つ以上のオリゴヌクレオチドプローブと接触させるステップであって、前記プローブの各々が一本鎖であり、固有であり、かつ標的DNA配列の少なくとも一部分に相補的であり、前記プローブの各々が少なくとも1つの標識を含み、前記標的DNA配列に相補的な前記プローブのうちの少なくとも2つが異なる色の標識を含み、これにより、一方または両方の一本鎖姉妹染色分体のスペクトルプロファイルが、一方または両方の一本鎖姉妹染色分体に対する前記少なくとも2つのプローブのハイブリダイゼーションパターンによって生成されるようになる、接触させるステップと、
c)一方または両方の一本鎖姉妹染色分体の前記スペクトルプロファイルを検出するステップと、
d)ステップ(c)の前記スペクトルプロファイルを、対照を表す参照スペクトルプロファイルと比較するステップと、
e)ステップ(c)のいずれかまたは両方のスペクトルプロファイルと前記参照スペクトルプロファイルとの間の少なくとも1つのスペクトル差に基づいて、前記少なくとも1つの構造変異の存在を決定するステップと、を含む、前記染色体の少なくとも1つの構造変異を検出するための方法において、ステップ(d)およびステップ(e)を行うための前記コンピュータによって実行可能な命令のプログラムを明白に具体化する、プログラム記憶装置。
【請求項75】
染色体の少なくとも1つの構造変異を検出するための方法であって、
a)前記染色体から一対の一本鎖姉妹染色分体を生成するステップであって、姉妹染色分体が1つ以上の標的DNA配列を含む、生成するステップと、
b)一本鎖姉妹染色分体を2つ以上のオリゴヌクレオチドプローブと接触させるステップであって、前記プローブの各々が一本鎖であり、固有であり、かつ標的DNA配列の少なくとも一部分に相補的であり、前記プローブの各々が少なくとも1つの標識を含み、前記プローブのうちの少なくとも2つが異なる色の標識を含み、これにより、前記一本鎖姉妹染色分体のスペクトルプロファイルが、前記一本鎖姉妹染色分体に対する前記少なくとも2つのプローブのハイブリダイゼーションパターンによって生成されるようになる、接触させるステップと、
c)前記一本鎖姉妹染色分体の前記スペクトルプロファイルを検出するステップと、
d)ステップ(c)の前記スペクトルプロファイルを、対照を表す参照スペクトルプロファイルと比較するステップと、
e)ステップ(c)の前記スペクトルプロファイルと前記参照スペクトルプロファイルとの間の少なくとも1つのスペクトル差に基づいて、前記少なくとも1つの構造変異の存在を決定するステップと、を含む、方法。
【請求項76】
参照スペクトルプロファイルが他方の一本鎖姉妹染色分体のものである、請求項75に記載の方法。
【請求項77】
前記構造変異が、前記染色体のセグメントのコピー数の変化、前記染色体のコピー数の変化、逆位、転座、姉妹染色分体組換え、小核形成、クロモスリプシス事象、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項75または76に記載の方法。
【請求項78】
前記構造変異が、前記染色体のセグメントのコピー数の変化であり、前記変化が、増幅、欠失、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項75~77のいずれか一項に記載の方法。
【請求項79】
前記プローブが25~75ヌクレオチド長である、請求項75~78のいずれか一項に記載の方法。
【請求項80】
前記プローブが30~50ヌクレオチド長である、請求項75~79のいずれか一項に記載の方法。
【請求項81】
前記プローブが37~43ヌクレオチド長である、請求項75~80のいずれか一項に記載の方法。
【請求項82】
前記プローブ上の前記標識が、前記プローブの5’末端でコンジュゲートされた蛍光色素である、請求項75~81のいずれか一項に記載の方法。
【請求項83】
各一本鎖姉妹染色分体上の前記標的DNA配列に相補的な前記プローブが、少なくとも2つの異なる色の標識を含む、請求項75~82のいずれか一項に記載の方法。
【請求項84】
各一本鎖姉妹染色分体上の前記標的DNA配列に相補的な前記プローブが、少なくとも3つの異なる色の標識を含む、請求項76~83のいずれか一項に記載の方法。
【請求項85】
各一本鎖姉妹染色分体上の前記標的DNA配列に相補的な前記プローブが、少なくとも4つの異なる色の標識を含む、請求項76~84のいずれか一項に記載の方法。
【請求項86】
各一本鎖姉妹染色分体上の前記標的DNA配列に相補的な前記プローブが、少なくとも5つの異なる色の標識を含む、請求項76~85のいずれか一項に記載の方法。
【請求項87】
各一本鎖姉妹染色分体上の前記標的DNA配列に相補的な前記プローブが、少なくとも6つの異なる色の標識を含む、請求項76~86のいずれか一項に記載の方法。
【請求項88】
各一本鎖姉妹染色分体上の前記標的DNA配列に相補的な前記プローブが、少なくとも7つの異なる色の標識を含む、請求項76~87のいずれか一項に記載の方法。
【請求項89】
各一本鎖姉妹染色分体上の前記標的DNA配列に相補的な前記プローブが、少なくとも8つの異なる色の標識を含む、請求項76~88のいずれか一項に記載の方法。
【請求項90】
各一本鎖姉妹染色分体上の前記標的DNA配列に相補的な前記プローブが、少なくとも9つの異なる色の標識を含む、請求項76~89のいずれか一項に記載の方法。
【請求項91】
各一本鎖姉妹染色分体上の前記標的DNA配列に相補的な前記プローブが、少なくとも10個の異なる色の標識を含む、請求項76~90のいずれか一項に記載の方法。
【請求項92】
ステップ(d)およびステップ(e)がコンピュータシステムで計算される、請求項76~91のいずれか一項に記載の方法。
【請求項93】
前記少なくとも1つの標識が、可視光スペクトルで検出可能な標識、赤外光スペクトルで検出可能な標識、紫外線光スペクトルで検出可能な標識、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項76~92のいずれか一項に記載の方法。
【請求項94】
前記少なくとも1つの標識が、前記プローブの末端上の標識、前記プローブの側面上の標識、前記プローブの本体における標識、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項76~93のいずれか一項に記載の方法。
【請求項95】
前記少なくとも1つの標識が、前記プローブの糖またはアミダイト官能基上の本体標識である、請求項94に記載の方法。
【請求項96】
前記スペクトルプロファイルの前記検出が、狭帯域フィルターの使用およびソフトウェアによるスペクトル情報の処理を含む、請求項76~95のいずれか一項に記載の方法。
【請求項97】
前記スペクトルプロファイルの前記検出が、前記スペクトルプロファイルの1つ以上のスペクトル領域を特異的に除外する、請求項76~96のいずれか一項に記載の方法。
【請求項98】
ステップ(e)が、人工知能の助けを借りて行われる、請求項76~97のいずれか一項に記載の方法。
【請求項99】
ステップa)の後、前記一本鎖姉妹染色分体を染色剤と接触させることと、前記姉妹染色分体の前記染色パターンを検出することと、前記染色パターンを、対照を表す参照染色パターンと比較することと、前記姉妹染色分体の前記染色パターンと前記参照染色パターンとの間の前記少なくとも1つの染色差に部分的に基づいて、前記少なくとも1つの構造変異の存在を決定することと、をさらに含む、請求項76~98のいずれか一項に記載の方法。
【請求項100】
ステップa)の後、前記一本鎖姉妹染色分体を、標的DNA配列ではない前記一本鎖姉妹染色分体上の反復配列に相補的なオリゴヌクレオチドマーカーと接触させることであって、前記マーカーの各々が少なくとも1つの標識を含む、接触させることと、前記姉妹染色分体の前記マーカーハイブリダイゼーションパターンを検出することと、前記マーカーハイブリダイゼーションパターンを、対照を表す参照マーカーハイブリダイゼーションパターンと比較することと、前記姉妹染色分体の前記マーカーハイブリダイゼーションパターンと前記参照マーカーハイブリダイゼーションパターンとの間の前記少なくとも1つのマーカーハイブリダイゼーションパターン差に部分的に基づいて、前記少なくとも1つの構造変異の存在を決定することと、をさらに含む、請求項76~99のいずれか一項に記載の方法。
【請求項101】
前記参照スペクトルプロファイルが前記少なくとも1つの構造変異を欠く、請求項1、24、49、73、74、75、99、および100のいずれか一項に記載の方法。
【請求項102】
前記参照スペクトルプロファイルが前記少なくとも1つの構造変異を含む、請求項1、24、49、73、74、75、99、および100のいずれか一項に記載の方法。
【請求項103】
前記参照スペクトルプロファイルが標識プローブの意図的な分布を含む、請求項1、24、49、73、74、75、99、および100のいずれか一項に記載の方法。
【請求項104】
前記参照染色パターンが前記少なくとも1つの構造変異を欠く、請求項24または99に記載の方法。
【請求項105】
前記参照染色パターンが前記少なくとも1つの構造変異を含む、請求項24または99に記載の方法。
【請求項106】
前記参照マーカーハイブリダイゼーションパターンが前記少なくとも1つの構造変異を欠く、請求項49または100に記載の方法。
【請求項107】
前記参照マーカーハイブリダイゼーションパターンが前記少なくとも1つの構造変異を含む、請求項49または100に記載の方法。
【請求項108】
前記参照マーカーハイブリダイゼーションパターンが標識プローブの意図的な分布を含む、請求項49または100に記載の方法。
【請求項109】
対象DNA鎖の1つ以上の構造特徴を特定する方法であって、プロセッサに実装された前記方法が、
a)前記対象DNA鎖の塩基対の少なくとも1つの配列を表すスペクトルプロファイルを受信することであって、前記スペクトルプロファイルが前記対象DNA鎖の前記塩基配列に対応する周波数データを含み、前記周波数データが少なくとも2つの色チャネルを含む、受信することと、
b)前記スペクトルプロファイルを前記対象DNA鎖のデータテーブルに変換することであって、前記データテーブルが前記塩基配列の前記少なくとも2つの色チャネルの位置データおよび強度データを含む、変換することと、
c)前記対象DNA鎖の前記データテーブルを、対応する対照DNA鎖の正常特徴および/または異常特徴を表す1つ以上の特徴ノードを含む参照特徴ルックアップテーブルと比較して、前記対象DNA鎖の1つ以上の正常特徴および/または異常特徴を特定することであって、前記1つ以上の特徴ノードの各々が、開始塩基から始まり末端塩基で終わる前記対照DNA鎖の塩基部分配列を表す色バンドによって定義される、特定することと、を含む、方法。
【請求項110】
前記スペクトルプロファイルの前記受信が、
a)染色体から一対の一本鎖姉妹染色分体を生成することであって、前記対象DNA鎖が一本鎖姉妹染色分体の少なくとも一部分から構成され、前記対象DNA鎖が1つ以上の標的DNA配列を含む、生成することと、
b)一方または両方の一本鎖姉妹染色分体を2つ以上のオリゴヌクレオチドプローブと接触させることであって、前記プローブの各々が一本鎖であり、固有であり、かつ標的DNA配列の少なくとも一部分に相補的であり、前記プローブの各々が少なくとも1つの標識を含み、前記標的DNA配列に相補的な前記プローブのうちの少なくとも2つが前記少なくとも2つの色チャネルに対応する異なる色の標識を含み、これにより、一方または両方の一本鎖姉妹染色分体のスペクトルプロファイルが、一方または両方の一本鎖姉妹染色分体に対する前記少なくとも2つのプローブのハイブリダイゼーションパターンによって生成されるようになり、それにより、対象DNA鎖上に塩基配列のスペクトルプロファイルを生成する、接触させることと、
c)前記対象DNA鎖の前記塩基配列の前記スペクトルプロファイルを検出することと、を含む、請求項109に記載の方法。
【請求項111】
前記スペクトルプロファイルの変換が、前記スペクトルプロファイルを複数の領域にセグメント化することを含み、前記領域の各々が前記少なくとも2つの色チャネルのうちの1つに対応する色を有する、請求項109または110に記載の方法。
【請求項112】
前記領域の各々が位置パラメータおよびサイズパラメータによって定義される、請求項111に記載の方法。
【請求項113】
前記変換が機械学習/AIアルゴリズムによって行われる、請求項109~112のいずれか一項に記載の方法。
【請求項114】
各特徴ノードが、遺伝的要素、構造変異、またはそれらの組み合わせの少なくとも一部分を表す、請求項109~113のいずれか一項に記載の方法。
【請求項115】
前記遺伝的要素が、タンパク質コード領域、転写に影響を及ぼす領域、翻訳に影響を及ぼす領域、翻訳後修飾に影響を及ぼす領域、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項114に記載の方法。
【請求項116】
前記遺伝的要素が、エクソン、イントロン、5’非翻訳領域、3’非翻訳領域、プロモーター、エンハンサー、サイレンサー、オペレーター、ターミネーター、ポリAテール、逆方向末端反復配列、mRNA安定性要素、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項114に記載の方法。
【請求項117】
前記構造変異が、前記染色体のセグメントのコピー数の変化、前記染色体のコピー数の変化、逆位、転座、姉妹染色分体組換え、小核形成、クロモスリプシス事象、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項114に記載の方法。
【請求項118】
前記比較が複数の特徴ルックアップテーブルの各々に対して行われる、請求項109~117のいずれか一項に記載の方法。
【請求項119】
前記複数の特徴ルックアップテーブルの各々が目的とする異なる遺伝的要素に対応する、請求項118に記載の方法。
【請求項120】
前記比較が機械学習/AIアルゴリズムによって行われる、請求項109~119のいずれか一項に記載の方法。
【請求項121】
対象DNA鎖を表すデータを処理する方法であって、プロセッサに実装された前記方法が、
a)対象DNA鎖の塩基の少なくとも1つの配列を表すスペクトルプロファイルを受信することであって、前記スペクトルプロファイルが前記対象DNA鎖の前記塩基配列に対応する周波数データを含み、前記周波数データが少なくとも2つの色チャネルを含む、受信することと、
b)前記スペクトルプロファイルを前記対象DNA鎖のデータテーブルに変換することであって、前記データテーブルが前記塩基配列の前記少なくとも2つの色チャネルの位置データおよび強度データを含む、変換することと、
c)前記データテーブルをメモリに格納することと、を含む、方法。
【請求項122】
前記対象DNA鎖を表す前記データテーブルを、対応する対照DNA鎖の正常特徴および/または異常特徴を表す1つ以上の特徴ノードを含む参照特徴ルックアップテーブルと比較して、前記対象DNA鎖の1つ以上の正常特徴および/または異常特徴を特定することであって、前記1つ以上の特徴ノードの各々が、色バンドおよび開始塩基から始まり末端塩基で終わる塩基部分配列によって定義される、特定することによって、前記対象DNA鎖の1つ以上の正常特徴および/または異常特徴を決定することをさらに含む、請求項121に記載の方法。
【請求項123】
前記対象DNA鎖の塩基レベルデータを前記データテーブルにマージすることをさらに含む、請求項121または122に記載の方法。
【請求項124】
対照DNA鎖の正常特徴および/または異常特徴を表す1つ以上の特徴ノードを定義することをさらに含み、前記1つ以上の特徴ノードの各々が、色バンドおよび開始塩基から始まり末端塩基で終わる塩基部分配列によって画定される、請求項121~123のいずれか一項に記載の方法。
【請求項125】
前記1つ以上の特徴ノードが訓練された機械学習アルゴリズムによって定義される、請求項124に記載の方法。
【請求項126】
複数の対照DNA鎖の各々を受信および変換するステップと、複数の結果として得られたデータテーブルを前記メモリに格納するステップと、を行うことさらに含む、請求項124に記載の方法。
【請求項127】
前記複数の対照DNA鎖が同じゲノム領域に起源し、異なる患者の試料から得られる、請求項126に記載の方法。
【請求項128】
前記1つ以上の定義された特徴ノードの特定の特徴ノードに関するクエリを受信することと、前記複数の結果として得られたデータテーブルを使用して前記クエリを処理することと、をさらに含む、請求項126に記載の方法。
【請求項129】
染色体外DNA(ECDNA)の染色体源を特定するための方法であって、
a)細胞由来の前記ECDNAを2つ以上のオリゴヌクレオチドプローブと接触させるステップであって、前記プローブの各々が一本鎖であり、固有であり、かつ前記ECDNAの少なくとも一部分に相補的であり、前記プローブの各々が少なくとも1つの標識を含む、接触させるステップと、
b)同じ細胞由来の少なくとも1つの染色体または染色体の少なくとも1つの一本鎖姉妹染色分体をステップ(a)の同じプローブと接触させるステップと、
c)前記ECDNAのスペクトルプロファイルを検出し、前記少なくとも1つの染色体または染色体の前記少なくとも1つの一本鎖姉妹染色分体のスペクトルプロファイルを検出するステップと、
d)ステップ(c)の前記スペクトルプロファイルを比較するステップと、
e)前記ECDNAの前記スペクトルプロファイルと、前記少なくとも1つの染色体または染色体の前記少なくとも1つの一本鎖姉妹染色分体の前記スペクトルプロファイルとの間の少なくとも1つの類似性に基づいて、前記少なくとも1つの染色体または染色体の前記少なくとも1つの一本鎖姉妹染色分体が前記ECDNAのDNA源であると特定するステップと、を含む、方法。
【請求項130】
ステップd)の前記比較に基づいて、前記ECDNAのDNAが起源した前記少なくとも1つの染色体または染色体の前記少なくとも1つの一本鎖姉妹染色分体上の位置を特定することをさらに含む、請求項129に記載の方法。
【請求項131】
前記少なくとも1つの染色体または染色体の前記少なくとも1つの一本鎖姉妹染色分体からのECDNAの起源が、前記位置でのDNAの増幅によってもたらされたものである、請求項130に記載の方法。
【請求項132】
少なくとも1つのがん遺伝子が前記ECDNA上で特定される、請求項130に記載の方法。
【請求項133】
前記ECDNAが、エピソームDNAおよびベクター組み込みDNAからなる群から選択される、請求項129に記載の方法。
【請求項134】
少なくとも1つの染色体または染色体の少なくとも1つの一本鎖姉妹染色分体上の少なくとも1つの標的領域が標的濃縮のために特定され、少なくとも1つの染色体または染色体の少なくとも1つの一本鎖姉妹染色分体が標的濃縮プローブと接触する、請求項1~72、75~108、および129~133のいずれか一項に記載の方法。
【請求項135】
前記スペクトルプロファイルの前記比較が、同じ染色体または同じ一本鎖姉妹染色分体上の少なくとも1つのバンドの少なくとも1つの他のバンド上でのブリージングのスペクトル分析を含む、請求項1~72、75~108、および129~134のいずれか一項に記載の方法。
【請求項136】
少なくとも1つの染色体または染色体の少なくとも1つの一本鎖姉妹染色分体の2つ以上のオリゴヌクレオチドプローブとの前記接触が、少なくとも1つの染色体または染色体の少なくとも1つの一本鎖姉妹染色分体を含む試料を膨潤性ヒドロゲルに包埋することと、前記試料を前記ヒドロゲルに化学的に結合させることと、を含み、さらに、前記ヒドロゲルが膨潤して、x軸、y軸、およびz軸にわたって空間分解能を増加させる、請求項1~72、75~108、および129~135のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本特許出願は、参照により全体が本明細書に組み込まれる、2019年12月9日に出願された同時係属米国仮特許出願第62/945,850号の利益を主張する。
【0002】
本開示は、概して、染色体の構造変異の検出に関し、より具体的には、転座、増幅、欠失、および逆位を含むが、これに限定されない、有害である可能性のある構造変異の検出のための染色体特異的コンビナトリアル標識に関する。
【背景技術】
【0003】
指向性ゲノムハイブリダイゼーション(dGH)は、分裂中期の一本鎖染色体のゲノムの構造をマッピングするための単一細胞法である。dGH技法は、以前に可能であった範囲よりも広い範囲のゲノム構造バリアントの検出を容易にすることができる。
【0004】
染色体がdGH用に調製される1つの様式は、CO-FISH技法である。1990年代に開発されたCO-FISHは、蛍光プローブが両方ではなくいずれかの染色分体上の部位を特異的に標的とすることを可能にする。S.M.Baileyらの「Strand-Specific Fluorescence in situ Hybridization:The CO-FISH Family」(Cytogenet.Genome Res.107:11-14(2004))では、染色体構成が鎖特異的FISH(蛍光性または蛍光インサイツハイブリダイゼーション)[CO-FISH:染色体配向-FISH]を使用して研究されており、これは分裂中期(有糸分裂)染色体のDNAからの新たに複製された鎖の除去を伴い、これにより、1つの一本鎖標的DNAが各有糸分裂染色分体中に存在するようになり、そこでは各染色分体の塩基配列が他方の塩基配列の相補体である。これは、新たな染色分体中に存在する新たに複製された二重らせんの各々が親DNA鎖1本と新たに合成された鎖1本を含むため、達成可能であり、複製中に感光性にされたため、この新たに合成された鎖が除去される。
【0005】
構造バリアントは、「正常」ゲノムと比較したゲノムのセグメントの配列または順序の変化として広範に定義される。単純なバリアントには、不平衡転座、平衡転座、相同転座、逆位、重複、挿入、および欠失の単一発生が含まれる。複雑なバリアントには、単一細胞中の複数の単純なバリアント、ゲノム物質の喪失または獲得、染色体全体の喪失または獲得、およびクロモスリプシスといわれるより一般的なDNA損傷と組み合わせられた単純なバリアントが含まれる。ゲノム、同じ生物の個々の細胞、細胞培養物、または細胞バッチに出現する異なる構造バリアントとして定義されるバリアントの異種性は、単純なまたは複雑な構造バリアントに関与する可能性がある。分裂細胞が構造バリアントを自発的に発生させたときに構造バリアントのモザイクが生じ、バリアントを含まない離親およびバリアントを含む娘の両方が増殖し続ける。
【0006】
構造バリアントは、一塩基多型(SNiP)または短い挿入および欠失(INDEL)などの塩基レベルの変化と区別される。構造バリアントは、複数の二本鎖切断の末端が誤って再結合されるか、または誤って修復されたときに生じる。再配列を有する細胞のその後の生殖能力に応じて、結果として生じる構造バリアントの影響は、単一細胞に限定される可能性があるか、生物の組織のサブセットに影響を及ぼす可能性があるか、またはそれが胚細胞で生じた場合、遺伝し、生物の系統に影響を及ぼす場合がある。
【0007】
DNA二本鎖切断(DSB)が生じたときはいつでも、染色体構造バリアントをもたらすDNA誤修復の可能性が存在する。DSBは、複製および転写などの正常な細胞代謝過程中に内因的に生じる可能性がある。DSBが、能動的に代謝する細胞において1細胞周期当たり約50/細胞の速度で自然に生じると推定されており、修復は、複製中にも複製非依存的経路によっても生じる。二本鎖切断は、放射線曝露によって、ある特定の薬剤での化学療法などの医学的介入によって、または遺伝子編集過程中にのいずれかで自発的な速度を超える外因性因子によって誘導された場合に特に懸念される。ほとんどのDSBは、細胞周期を通して動作する非相同末端結合(NHEJ)によって修復される。このプロセスでは、切断された末端が検出され、プロセシングされ、一緒に元通りに連結される。これは、以前に存在した塩基対配列が必ずしも高忠実度で修復されないため、「エラーを起こしやすい」プロセスである。それにもかかわらず、この再結合プロセス(復元)は、染色体の線状連続性を修復し、構造的異常をもたらさない。しかしながら、2つ以上のDSBが十分に近い空間的および時間的近接性で生じた場合、1つの切断対の切断された末端が、他方の2つの緩い端部とともに、別の切断対の末端と誤って再結合し、この交換から構造的異常がもたらされる場合がある。例には、平衡転座および不平衡転座、逆位、または欠失が挙げられる。相同指向性修復(HDR)と称されることもある相同組換え(HR)を伴うDSB修復プロセスも存在する。相同指向性修復(HDR)は、同一の相同配列の利用可能性が利用可能になり、かつ近接しているときに、複製後に生じる。HDR経路は、HDRに必要なrad51タンパク質のレベルが非常に低いかまたは存在しないG1細胞またはG0細胞では動作しない。しかしながら、遺伝子編集プロセス(CRISPRシステムなど)の一部として、編集される配列が標的とされ、HDRを使用して所望の配列を挿入するために1つ以上のDSBが導入される。そのため、DSBが導入されたときはいつでも、自発的または他のDSB間で誤って再結合して構造的異常をもたらす可能性が常に存在する。構造バリアントは、それらがコピー数変動をもたらし、かつ遺伝子の機能に有意に影響を及ぼす可能性があるため、多数のヒト疾患と大いに関連している。遺伝的変異に対する構造バリアントの寄与は、SNiPまたはINDELよりも10~30倍高いと推定されている。したがって、染色体異常を検出し、良性の遺伝的変異を有害な遺伝的異常と区別するために、構造バリアントを検出するための方法が必要とされている。
【0008】
これらの構造バリアントは、それらがどのように形成されても、無害である可能性があるか、遺伝毒性を示さないか、細胞機能に悪影響を及ぼす可能性があるか、ゲノム不安定性を引き起こす可能性があるか、細胞を死滅させるか、または遺伝毒性産物を形成する可能性がある。無害ではない構造バリアントは、細胞に悪影響を及ぼし、がん遺伝子の形成、遺伝子の不活化またはノックアウト、調節要素の破壊、ヘテロ接合性の喪失、遺伝子またはプロモーターの重複、および必要な代謝経路を破壊するか、または不活性代謝経路を活性化する他の機構を介して疾患に寄与する。構造変異が先天性である場合、それがいずれの明らかな病理ももたらさなくても、誤整列によって引き起こされる減数分裂乗換えの誤りは、罹患した個体の子孫に遺伝的異常をもたらす可能性がある。典型的なメンデル様式では、両親から遺伝した劣性構造バリアントは、いずれの親でも活動性ではない疾患を子供に引き起こす可能性がある。X連鎖構造変異は、XY対のY染色体が代償性正常遺伝子を有しないため、男性の子孫に選択的に影響を及ぼす。
【0009】
DSB誤修復に起因する個々の細胞における非再発性SV、ならびに個々のゲノム中に存在するSVおよび個々の細胞におけるそれらの表現(異種性/モザイク現象)の両方の検出および特定は、臨床的に意義があり、広範囲のヒト疾患および状態にわたって重要である。細胞死および患者のDNAに対するリスクの両方の可能性のため、誤修復および結果として生じる構造バリアントが測定されなければならない。次世代シークエンシングおよびサンガーシークエンシングは、このデータをショートおよびロングリード全ゲノムシークエンシングおよび分析により提供することを試みているが、単一の方法としては不十分である。構造バリアントを検出するために、アレイベースの検出/比較ゲノムハイブリダイゼーション(アレイcGH)および配列ベースのコンピュータ分析の2つのタイプのアプローチが一般的に用いられている。これらは各々、SV検出アルゴリズムによりいくつかの誤修復産物を測定することができ、交差検証所見と合わせて使用されたときにより効果的である可能性がある。これらの技法が、DNA塩基の配列を測定し、単一細胞における遺伝子、プロモーター、または大きなDNAセグメントの関係または構造を測定しないため、それらは、生物情報再構築によってゲノム構造の仮説を立てるためにのみ使用することができる。既知の構造バリアントの標的測定の場合、配列ベースの方法が十分である可能性があるが、配列ベースの方法を用いた構造変異の新規測定が多数の偽陽性結果および偽陰性結果をもたらすことが示されており、この技法を概して非実用的なものにする。
【発明の概要】
【0010】
したがって、染色体構造バリアントの高分解能検出のための高感度法を提供することが本開示の目的である。本開示の追加の目的、利点、および新規特徴は、以下の説明に部分的に記載されており、部分的に以下の説明と同時に当業者に明らかになるか、または開示される方法の実践によって習得され得る。開示される方法の目的および利点は、添付の特許請求の範囲で特に指摘される手段および組み合わせを用いて実現および達成され得る。
【0011】
以下の番号付けされた段落[0012]~[00147]は、本明細書に開示される本発明の技術的特徴の広範な組み合わせの記述を含む。
【0012】
1. 染色体の少なくとも1つの構造変異を検出するための方法であって、
a)染色体から一対の一本鎖姉妹染色分体を生成するステップであって、各姉妹染色分体が1つ以上の標的DNA配列を含む、生成するステップと、
b)一方または両方の一本鎖姉妹染色分体を2つ以上のオリゴヌクレオチドプローブと接触させるステップであって、プローブの各々が一本鎖であり、固有であり、かつ標的DNA配列の少なくとも一部分に相補的であり、プローブの各々が少なくとも1つの標識を含み、標的DNA配列に相補的なプローブのうちの少なくとも2つが異なる色の標識を含み、これにより、一方または両方の一本鎖姉妹染色分体のスペクトルプロファイルが、一方または両方の一本鎖姉妹染色分体に対する少なくとも2つのプローブのハイブリダイゼーションパターンによって生成されるようになる、接触させるステップと、
c)一方または両方の一本鎖姉妹染色分体のスペクトルプロファイルを検出するステップと、
d)ステップ(c)のスペクトルプロファイルを、対照を表す参照スペクトルプロファイルと比較するステップと、
e)ステップ(c)のいずれかまたは両方のスペクトルプロファイルと参照スペクトルプロファイルとの間の少なくとも1つのスペクトル差に基づいて、少なくとも1つの構造変異の存在を決定するステップと、を含む、方法。
【0013】
2. ステップ(c)のスペクトルプロファイルが一方の一本鎖姉妹染色分体のものであり、参照スペクトルプロファイルが他方の一本鎖姉妹染色分体のものである、態様1に記載の方法。
【0014】
3. 構造変異が、染色体のセグメントのコピー数の変化、染色体のコピー数の変化、逆位、転座、姉妹染色分体組換え、小核形成、クロモスリプシス事象、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、態様1または2に記載の方法。
【0015】
4. 構造変異が、染色体のセグメントのコピー数の変化であり、変化が、増幅、欠失、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、態様1~3のいずれか1つに記載の方法。
【0016】
5. プローブが25~75ヌクレオチド長である、態様1~4のいずれか1つに記載の方法。
【0017】
6. プローブが30~50ヌクレオチド長である、態様1~5のいずれか1つに記載の方法。
【0018】
7. プローブが37~43ヌクレオチド長である、態様1~6のいずれか1つに記載の方法。
【0019】
8. プローブ上の標識が、プローブの5’末端でコンジュゲートされた蛍光色素である、態様1~7のいずれか1つに記載の方法。
【0020】
9. 各一本鎖姉妹染色分体上の標的DNA配列に相補的なプローブが、少なくとも2つの異なる色の標識を含む、態様1~8のいずれか1つに記載の方法。
【0021】
10. 各一本鎖姉妹染色分体上の標的DNA配列に相補的なプローブが、少なくとも3つの異なる色の標識を含む、態様1~9のいずれか1つに記載の方法。
【0022】
11. 各一本鎖姉妹染色分体上の標的DNA配列に相補的なプローブが、少なくとも4つの異なる色の標識を含む、態様1~10のいずれか1つに記載の方法。
【0023】
12. 各一本鎖姉妹染色分体上の標的DNA配列に相補的なプローブが、少なくとも5つの異なる色の標識を含む、態様1~11のいずれか1つに記載の方法。
【0024】
13. 各一本鎖姉妹染色分体上の標的DNA配列に相補的なプローブが、少なくとも6つの異なる色の標識を含む、態様1~12のいずれか1つに記載の方法。
【0025】
14. 各一本鎖姉妹染色分体上の標的DNA配列に相補的なプローブが、少なくとも7つの異なる色の標識を含む、態様1~13のいずれか1つに記載の方法。
【0026】
15. 各一本鎖姉妹染色分体上の標的DNA配列に相補的なプローブが、少なくとも8つの異なる色の標識を含む、態様1~14のいずれか1つに記載の方法。
【0027】
16. 各一本鎖姉妹染色分体上の標的DNA配列に相補的なプローブが、少なくとも9つの異なる色の標識を含む、態様1~15のいずれか1つに記載の方法。
【0028】
17. 各一本鎖姉妹染色分体上の標的DNA配列に相補的なプローブが、少なくとも10個の異なる色の標識を含む、態様1~16のいずれか1つに記載の方法。
【0029】
18. 少なくとも1つの標識が、可視光スペクトルで検出可能な標識、赤外光スペクトルで検出可能な標識、紫外線光スペクトルで検出可能な標識、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、態様1~17のいずれか1つに記載の方法。
【0030】
19. 少なくとも1つの標識が、プローブの末端上の標識、プローブの側面上の標識、プローブの本体上の1つ以上の標識、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、態様1~18のいずれか1つに記載の方法。
【0031】
20. 少なくとも1つの標識が、プローブの糖またはアミダイト官能基上の本体標識である、態様1~19のいずれか1つに記載の方法。
【0032】
21. スペクトルプロファイルの検出が、狭帯域フィルターの使用およびソフトウェアによるスペクトル情報の処理を含む、態様1~20のいずれか1つに記載の方法。
【0033】
22. スペクトルプロファイルの検出が、スペクトルプロファイルの1つ以上のスペクトル領域を特異的に除外する、態様1~21のいずれか1つに記載の方法。
【0034】
23. ステップ(e)が、人工知能の助けを借りて行われる、態様1~22のいずれか1つに記載の方法。
【0035】
24. 染色体の少なくとも1つの構造変異を検出するための方法であって、
a)染色体から一対の一本鎖姉妹染色分体を生成するステップであって、各姉妹染色分体が1つ以上の標的DNA配列を含む、生成するステップと、
b)ステップa)の後、一方または両方の一本鎖姉妹染色分体を染色剤と接触させるステップと、
c)ステップa)の後、一方または両方の一本鎖姉妹染色分体を2つ以上のオリゴヌクレオチドプローブと接触させるステップであって、プローブの各々が一本鎖であり、固有であり、かつ標的DNA配列の少なくとも一部分に相補的であり、プローブの各々が少なくとも1つの標識を含み、標的DNA配列に相補的なプローブのうちの少なくとも2つが異なる色の標識を含み、これにより、一方または両方の一本鎖姉妹染色分体のスペクトルプロファイルが、一方または両方の一本鎖姉妹染色分体に対する少なくとも2つのプローブのハイブリダイゼーションパターンによって生成されるようになる、接触させるステップと、
d)一方または両方の一本鎖姉妹染色分体のスペクトルプロファイルを検出するステップと、
e)一方または両方の一本鎖姉妹染色分体の染色パターンを検出するステップと、
f)ステップ(d)のいずれかまたは両方のスペクトルプロファイルを、対照を表す参照スペクトルプロファイルと比較し、さらに、ステップ(e)のいずれかまたは両方の染色パターンを、対照を表す参照染色パターンと比較するステップと、
g)ステップ(d)のいずれかまたは両方のスペクトルプロファイルと参照スペクトルプロファイルとの間の少なくとも1つのスペクトル差に基づいて、さらに、ステップ(e)のいずれかまたは両方の染色パターンと参照染色パターンとの間の少なくとも1つの染色差に基づいて、少なくとも1つの構造変異の存在を決定するステップと、を含む、方法。
【0036】
25. ステップ(d)のスペクトルプロファイルが一方の一本鎖姉妹染色分体のものであり、参照スペクトルプロファイルが他方の一本鎖姉妹染色分体のものである、態様24に記載の方法。
【0037】
26. ステップ(e)の染色パターンが一方の一本鎖姉妹染色分体のものであり、参照染色パターンが他方の一本鎖姉妹染色分体のものである、態様24または25に記載の方法。
【0038】
27. 構造変異が、染色体のセグメントのコピー数の変化、染色体のコピー数の変化、挿入、欠失、逆位、平衡転座、不平衡転座、姉妹染色分体組換え、小核形成、クロモスリプシス事象、遺伝物質の喪失または獲得、1つ以上の全染色体の喪失または獲得、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、態様24~26のいずれか1つに記載の方法。
【0039】
28. 構造変異が、染色体のセグメントのコピー数の変化であり、変化が、増幅、欠失、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、態様27に記載の方法。
【0040】
29. プローブが25~75ヌクレオチド長である、態様24~28のいずれか1つに記載の方法。
【0041】
30. プローブが30~50ヌクレオチド長である、態様24~29のいずれか1つに記載の方法。
【0042】
31. プローブが37~43ヌクレオチド長である、態様24~30のいずれか1つに記載の方法。
【0043】
32. プローブ上の標識が、プローブの5’末端でコンジュゲートされた蛍光色素である、態様24~31のいずれか1つに記載の方法。
【0044】
33. 各一本鎖姉妹染色分体上の標的DNA配列に相補的なプローブが、少なくとも2つの異なる色の標識を含む、態様24~32のいずれか1つに記載の方法。
【0045】
34. 各一本鎖姉妹染色分体上の標的DNA配列に相補的なプローブが、少なくとも3つの異なる色の標識を含む、態様24~33のいずれか1つに記載の方法。
【0046】
35. 各一本鎖姉妹染色分体上の標的DNA配列に相補的なプローブが、少なくとも4つの異なる色の標識を含む、態様24~34のいずれか1つに記載の方法。
【0047】
36. 各一本鎖姉妹染色分体上の標的DNA配列に相補的なプローブが、少なくとも5つの異なる色の標識を含む、態様24~35のいずれか1つに記載の方法。
【0048】
37. 各一本鎖姉妹染色分体上の標的DNA配列に相補的なプローブが、少なくとも6つの異なる色の標識を含む、態様24~36のいずれか1つに記載の方法。
【0049】
38. 各一本鎖姉妹染色分体上の標的DNA配列に相補的なプローブが、少なくとも7つの異なる色の標識を含む、態様24~37のいずれか1つに記載の方法。
【0050】
39. 各一本鎖姉妹染色分体上の標的DNA配列に相補的なプローブが、少なくとも8つの異なる色の標識を含む、態様24~38のいずれか1つに記載の方法。
【0051】
40. 各一本鎖姉妹染色分体上の標的DNA配列に相補的なプローブが、少なくとも9つの異なる色の標識を含む、態様24~39のいずれか1つに記載の方法。
【0052】
41. 各一本鎖姉妹染色分体上の標的DNA配列に相補的なプローブが、少なくとも10個の異なる色の標識を含む、態様24~40のいずれか1つに記載の方法。
【0053】
42. 染色剤が、DAPI、ヘキスト33258、およびアクチノマイシンDからなる群から選択される、24~41のいずれか1つに記載の方法。
【0054】
43. 少なくとも1つの標識が、可視光スペクトルで検出可能な標識、赤外光スペクトルで検出可能な標識、紫外線光スペクトルで検出可能な標識、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、態様24~42のいずれか1つに記載の方法。
【0055】
44. 少なくとも1つの標識が、プローブの末端上の標識、プローブの側面上の標識、プローブの本体における標識、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、態様24~43のいずれか1つに記載の方法。
【0056】
45. 少なくとも1つの標識が、プローブの糖またはアミダイト官能基上の本体標識である、態様44に記載の方法。
【0057】
46. スペクトルプロファイルの検出が、狭帯域フィルターの使用およびソフトウェアによるスペクトル情報の処理を含む、態様24~45のいずれか1つに記載の方法。
【0058】
47. スペクトルプロファイルの検出が、スペクトルプロファイルの1つ以上のスペクトル領域を特異的に除外する、態様24~46のいずれか1つに記載の方法。
【0059】
48. ステップ(e)が、人工知能の助けを借りて行われる、態様24~47のいずれか1つに記載の方法。
【0060】
49. 染色体の少なくとも1つの構造変異を検出するための方法であって、
a)染色体から一対の一本鎖姉妹染色分体を生成するステップであって、各姉妹染色分体が1つ以上の標的DNA配列を含む、生成するステップと、
b)ステップa)の後、一本鎖姉妹染色分体を、標的DNA配列ではない一本鎖姉妹染色分体上の反復配列に相補的なオリゴヌクレオチドマーカーと接触させるステップであって、マーカーの各々が少なくとも1つの標識を含む、接触させるステップと、
c)ステップa)の後、一方または両方の一本鎖姉妹染色分体を2つ以上のオリゴヌクレオチドプローブと接触させるステップであって、プローブの各々が一本鎖であり、固有であり、かつ標的DNA配列の少なくとも一部分に相補的であり、プローブの各々が少なくとも1つの標識を含み、標的DNA配列に相補的なプローブのうちの少なくとも2つが異なる色の標識を含み、これにより、一方または両方の一本鎖姉妹染色分体のスペクトルプロファイルが、一方または両方の一本鎖姉妹染色分体に対する少なくとも2つのプローブのハイブリダイゼーションパターンによって生成されるようになる、接触させるステップと、
d)一方または両方の一本鎖姉妹染色分体のスペクトルプロファイルを検出するステップと、
e)一方または両方の一本鎖姉妹染色分体のマーカーハイブリダイゼーションパターンを検出するステップと、
f)ステップ(d)のスペクトルプロファイルを、対照を表す参照スペクトルプロファイルと比較し、さらに、ステップ(e)のマーカーハイブリダイゼーションパターンを、対照を表す参照マーカーハイブリダイゼーションパターンと比較するステップと、
g)ステップ(d)のいずれかまたは両方のスペクトルプロファイルと参照スペクトルプロファイルとの間の少なくとも1つのスペクトル差に基づいて、さらに、ステップ(e)のいずれかまたは両方のマーカーハイブリダイゼーションパターンと参照マーカーハイブリダイゼーションパターンとの間の少なくとも1つのマーカーハイブリダイゼーションパターン差に基づいて、少なくとも1つの構造変異の存在を決定するステップと、を含む、方法。
【0061】
50. ステップ(d)のスペクトルプロファイルが一方の一本鎖姉妹染色分体のものであり、参照スペクトルプロファイルが他方の一本鎖姉妹染色分体のものである、態様49に記載の方法。
【0062】
51. ステップ(e)のマーカーハイブリダイゼーションパターンが一方の一本鎖姉妹染色分体のものであり、参照マーカーハイブリダイゼーションパターンが他方の一本鎖姉妹染色分体のものである、態様49または50に記載の方法。
【0063】
52. 構造変異が、染色体のセグメントのコピー数の変化、染色体のコピー数の変化、逆位、転座、姉妹染色分体組換え、小核形成、クロモスリプシス事象、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、態様49~51のいずれか1つに記載の方法。
【0064】
53. 構造変異が、染色体のセグメントのコピー数の変化であり、変化が、増幅、欠失、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、態様49~52のいずれか1つに記載の方法。
【0065】
54. プローブが25~75ヌクレオチド長である、態様49~53のいずれか1つに記載の方法。
【0066】
55. プローブが30~50ヌクレオチド長である、態様49~54のいずれか1つに記載の方法。
【0067】
56. プローブが37~43ヌクレオチド長である、態様49~55のいずれか1つに記載の方法。
【0068】
57. プローブ上の標識が、プローブの5’末端でコンジュゲートされた蛍光色素である、態様49~56のいずれか1つに記載の方法。
【0069】
58. 各一本鎖姉妹染色分体上の標的DNA配列に相補的なプローブが、少なくとも2つの異なる色の標識を含む、態様49~57のいずれか1つに記載の方法。
【0070】
59. 各一本鎖姉妹染色分体上の標的DNA配列に相補的なプローブが、少なくとも3つの異なる色の標識を含む、態様49~58のいずれか1つに記載の方法。
【0071】
60. 各一本鎖姉妹染色分体上の標的DNA配列に相補的なプローブが、少なくとも4つの異なる色の標識を含む、態様49~59のいずれか1つに記載の方法。
【0072】
61. 各一本鎖姉妹染色分体上の標的DNA配列に相補的なプローブが、少なくとも5つの異なる色の標識を含む、態様49~60のいずれか1つに記載の方法。
【0073】
62. 各一本鎖姉妹染色分体上の標的DNA配列に相補的なプローブが、少なくとも6つの異なる色の標識を含む、態様49~61のいずれか1つに記載の方法。
【0074】
63. 各一本鎖姉妹染色分体上の標的DNA配列に相補的なプローブが、少なくとも7つの異なる色の標識を含む、態様49~62のいずれか1つに記載の方法。
【0075】
64. 各一本鎖姉妹染色分体上の標的DNA配列に相補的なプローブが、少なくとも8つの異なる色の標識を含む、態様49~63のいずれか1つに記載の方法。
【0076】
65. 各一本鎖姉妹染色分体上の標的DNA配列に相補的なプローブが、少なくとも9つの異なる色の標識を含む、態様49~64のいずれか1つに記載の方法。
【0077】
66. 各一本鎖姉妹染色分体上の標的DNA配列に相補的なプローブが、少なくとも10個の異なる色の標識を含む、態様49~65のいずれか1つに記載の方法。
【0078】
67. 少なくとも1つの標識が、可視光スペクトルで検出可能な標識、赤外光スペクトルで検出可能な標識、紫外線光スペクトルで検出可能な標識、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、態様49~66のいずれか1つに記載の方法。
【0079】
68. 少なくとも1つの標識が、プローブの末端上の標識、プローブの側面上の標識、プローブの本体における標識、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、態様49~67のいずれか1つに記載の方法。
【0080】
69. 少なくとも1つの標識が、プローブの糖またはアミダイト官能基上の本体標識である、態様68に記載の方法。
【0081】
70. スペクトルプロファイルの検出が、狭帯域フィルターの使用およびソフトウェアによるスペクトル情報の処理を含む、態様49~69のいずれか1つに記載の方法。
【0082】
71. スペクトルプロファイルの検出が、スペクトルプロファイルの1つ以上のスペクトル領域を特異的に除外する、態様49~70のいずれか1つに記載の方法。
【0083】
72. ステップ(e)が、人工知能の助けを借りて行われる、態様49~71のいずれか1つに記載の方法。
【0084】
73. 染色体の少なくとも1つの構造変異を検出するためのコンピュータ実装方法であって、
a)染色体から一対の一本鎖姉妹染色分体を生成するステップであって、各姉妹染色分体が1つ以上の標的DNA配列を含む、生成するステップと、
b)一方または両方の一本鎖姉妹染色分体を2つ以上のオリゴヌクレオチドプローブと接触させるステップであって、プローブの各々が一本鎖であり、固有であり、かつ標的DNA配列の少なくとも一部分に相補的であり、プローブの各々が少なくとも1つの標識を含み、標的DNA配列に相補的なプローブのうちの少なくとも2つが異なる色の標識を含み、これにより、一方または両方の一本鎖姉妹染色分体のスペクトルプロファイルが、一方または両方の一本鎖姉妹染色分体に対する少なくとも2つのプローブのハイブリダイゼーションパターンによって生成されるようになる、接触させるステップと、
c)一方または両方の一本鎖姉妹染色分体のスペクトルプロファイルを検出するステップと、
d)ステップ(c)のスペクトルプロファイルを、対照を表す参照スペクトルプロファイルと比較するステップと、
e)ステップ(c)のいずれかまたは両方のスペクトルプロファイルと参照スペクトルプロファイルとの間の少なくとも1つのスペクトル差に基づいて、少なくとも1つの構造変異の存在を決定するステップであって、ステップ(d)およびステップ(e)がコンピュータシステムで計算される、決定するステップと、を含む、コンピュータ実装方法。
【0085】
74. コンピュータによって読み取り可能なプログラム記憶装置であって、
a)染色体から一対の一本鎖姉妹染色分体を生成するステップであって、各姉妹染色分体が1つ以上の標的DNA配列を含む、生成するステップと、
b)一方または両方の一本鎖姉妹染色分体を2つ以上のオリゴヌクレオチドプローブと接触させるステップであって、プローブの各々が一本鎖であり、固有であり、かつ標的DNA配列の少なくとも一部分に相補的であり、プローブの各々が少なくとも1つの標識を含み、標的DNA配列に相補的なプローブのうちの少なくとも2つが異なる色の標識を含み、これにより、一方または両方の一本鎖姉妹染色分体のスペクトルプロファイルが、一方または両方の一本鎖姉妹染色分体に対する少なくとも2つのプローブのハイブリダイゼーションパターンによって生成されるようになる、接触させるステップと、
c)一方または両方の一本鎖姉妹染色分体のスペクトルプロファイルを検出するステップと、
d)ステップ(c)のスペクトルプロファイルを、対照を表す参照スペクトルプロファイルと比較するステップと、
e)ステップ(c)のいずれかまたは両方のスペクトルプロファイルと参照スペクトルプロファイルとの間の少なくとも1つのスペクトル差に基づいて、少なくとも1つの構造変異の存在を決定するステップと、を含む、染色体の少なくとも1つの構造変異を検出するための方法において、ステップ(d)およびステップ(e)を行うためのコンピュータによって実行可能な命令のプログラムを明白に具体化する、プログラム記憶装置。
【0086】
75. 染色体の少なくとも1つの構造変異を検出するための方法であって、
a)染色体から一対の一本鎖姉妹染色分体を生成するステップであって、姉妹染色分体が1つ以上の標的DNA配列を含む、生成するステップと、
b)一本鎖姉妹染色分体を2つ以上のオリゴヌクレオチドプローブと接触させるステップであって、プローブの各々が一本鎖であり、固有であり、かつ標的DNA配列の少なくとも一部分に相補的であり、プローブの各々が少なくとも1つの標識を含み、プローブのうちの少なくとも2つが異なる色の標識を含み、これにより、一本鎖姉妹染色分体のスペクトルプロファイルが、一本鎖姉妹染色分体に対する少なくとも2つのプローブのハイブリダイゼーションパターンによって生成されるようになる、接触させるステップと、
c)一本鎖姉妹染色分体のスペクトルプロファイルを検出するステップと、
d)ステップ(c)のスペクトルプロファイルを、対照を表す参照スペクトルプロファイルと比較するステップと、
e)ステップ(c)のスペクトルプロファイルと参照スペクトルプロファイルとの間の少なくとも1つのスペクトル差に基づいて、少なくとも1つの構造変異の存在を決定するステップと、を含む、方法。
【0087】
76. 参照スペクトルプロファイルが他方の一本鎖姉妹染色分体のものである、態様75に記載の方法。
【0088】
77. 構造変異が、染色体のセグメントのコピー数の変化、染色体のコピー数の変化、逆位、転座、姉妹染色分体組換え、小核形成、クロモスリプシス事象、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、態様75または76に記載の方法。
【0089】
78. 構造変異が、染色体のセグメントのコピー数の変化であり、変化が、増幅、欠失、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、態様75~77のいずれか1つに記載の方法。
【0090】
79. プローブが25~75ヌクレオチド長である、態様75~78のいずれか1つに記載の方法。
【0091】
80. プローブが30~50ヌクレオチド長である、態様75~79のいずれか1つに記載の方法。
【0092】
81. プローブが37~43ヌクレオチド長である、態様75~80のいずれか1つに記載の方法。
【0093】
82. プローブ上の標識が、プローブの5’末端でコンジュゲートされた蛍光色素である、態様75~81のいずれか1つに記載の方法。
【0094】
83. 各一本鎖姉妹染色分体上の標的DNA配列に相補的なプローブが、少なくとも2つの異なる色の標識を含む、態様75~82のいずれか1つに記載の方法。
【0095】
84. 各一本鎖姉妹染色分体上の標的DNA配列に相補的なプローブが、少なくとも3つの異なる色の標識を含む、態様76~83のいずれか1つに記載の方法。
【0096】
85. 各一本鎖姉妹染色分体上の標的DNA配列に相補的なプローブが、少なくとも4つの異なる色の標識を含む、態様76~84のいずれか1つに記載の方法。
【0097】
86. 各一本鎖姉妹染色分体上の標的DNA配列に相補的なプローブが、少なくとも5つの異なる色の標識を含む、態様76~85のいずれか1つに記載の方法。
【0098】
87. 各一本鎖姉妹染色分体上の標的DNA配列に相補的なプローブが、少なくとも6つの異なる色の標識を含む、態様76~86のいずれか1つに記載の方法。
【0099】
88. 各一本鎖姉妹染色分体上の標的DNA配列に相補的なプローブが、少なくとも7つの異なる色の標識を含む、態様76~87のいずれか1つに記載の方法。
【0100】
89. 各一本鎖姉妹染色分体上の標的DNA配列に相補的なプローブが、少なくとも8つの異なる色の標識を含む、態様76~88のいずれか1つに記載の方法。
【0101】
90. 各一本鎖姉妹染色分体上の標的DNA配列に相補的なプローブが、少なくとも9つの異なる色の標識を含む、態様76~89のいずれか1つに記載の方法。
【0102】
91. 各一本鎖姉妹染色分体上の標的DNA配列に相補的なプローブが、少なくとも10個の異なる色の標識を含む、態様76~90のいずれか1つに記載の方法。
【0103】
92. ステップ(d)およびステップ(e)がコンピュータシステムで計算される、態様76~91のいずれか1つに記載の方法。
【0104】
93. 少なくとも1つの標識が、可視光スペクトルで検出可能な標識、赤外光スペクトルで検出可能な標識、紫外線光スペクトルで検出可能な標識、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、態様76~92のいずれか1つに記載の方法。
【0105】
94. 少なくとも1つの標識が、プローブの末端上の標識、プローブの側面上の標識、プローブの本体における標識、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、態様76~93のいずれか1つに記載の方法。
【0106】
95. 少なくとも1つの標識が、プローブの糖またはアミダイト官能基上の本体標識である、態様94に記載の方法。
【0107】
96. スペクトルプロファイルの検出が、狭帯域フィルターの使用およびソフトウェアによるスペクトル情報の処理を含む、態様76~95のいずれか1つに記載の方法。
【0108】
97. スペクトルプロファイルの検出が、スペクトルプロファイルの1つ以上のスペクトル領域を特異的に除外する、態様76~96のいずれか1つに記載の方法。
【0109】
98. ステップ(e)が、人工知能の助けを借りて行われる、態様76~97のいずれか1つに記載の方法。
【0110】
99. ステップa)の後、一本鎖姉妹染色分体を染色剤と接触させることと、姉妹染色分体の染色パターンを検出することと、染色パターンを、対照を表す参照染色パターンと比較することと、姉妹染色分体の染色パターンと参照染色パターンとの間の少なくとも1つの染色差に部分的に基づいて、少なくとも1つの構造変異の存在を決定することと、をさらに含む、態様76~98のいずれか1つに記載の方法。
【0111】
100. ステップa)の後、一本鎖姉妹染色分体を、標的DNA配列ではない一本鎖姉妹染色分体上の反復配列に相補的なオリゴヌクレオチドマーカーと接触させることであって、マーカーの各々が少なくとも1つの標識を含む、接触させることと、姉妹染色分体のマーカーハイブリダイゼーションパターンを検出することと、マーカーハイブリダイゼーションパターンを、対照を表す参照マーカーハイブリダイゼーションパターンと比較することと、姉妹染色分体のマーカーハイブリダイゼーションパターンと参照マーカーハイブリダイゼーションパターンとの間の少なくとも1つのマーカーハイブリダイゼーションパターン差に部分的に基づいて、少なくとも1つの構造変異の存在を決定することと、をさらに含む、態様76~99のいずれか1つに記載の方法。
【0112】
101. 参照スペクトルプロファイルが少なくとも1つの構造変異を欠く、態様1、24、49、73、74、75、99、および100のいずれか1つに記載の方法。
【0113】
102. 参照スペクトルプロファイルが少なくとも1つの構造変異を含む、態様1、24、49、73、74、75、99、および100のいずれか1つに記載の方法。
【0114】
103. 参照スペクトルプロファイルが標識プローブの意図的な分布を含む、態様1、24、49、73、74、75、99、および100のいずれか1つに記載の方法。
【0115】
104. 参照染色パターンが少なくとも1つの構造変異を欠く、態様24または99に記載の方法。
【0116】
105. 参照染色パターンが少なくとも1つの構造変異を含む、態様24または99に記載の方法。
【0117】
106. 参照マーカーハイブリダイゼーションパターンが少なくとも1つの構造変異を欠く、態様49または100に記載の方法。
【0118】
107. 参照マーカーハイブリダイゼーションパターンが少なくとも1つの構造変異を含む、態様49または100に記載の方法。
【0119】
108. 参照マーカーハイブリダイゼーションパターンが標識プローブの意図的な分布を含む、態様49または100に記載の方法。
【0120】
109. 対象DNA鎖の1つ以上の構造特徴を特定する方法であって、プロセッサに実装された方法が、
a)対象DNA鎖の塩基対の少なくとも1つの配列を表すスペクトルプロファイルを受信することであって、スペクトルプロファイルが対象DNA鎖の塩基配列に対応する周波数データを含み、周波数データが少なくとも2つの色チャネルを含む、受信することと、
b)スペクトルプロファイルを対象DNA鎖のデータテーブルに変換することであって、データテーブルが塩基配列の少なくとも2つの色チャネルの位置データおよび強度データを含む、変換することと、
c)対象DNA鎖のデータテーブルを、対応する対照DNA鎖の正常特徴および/または異常特徴を表す1つ以上の特徴ノードを含む参照特徴ルックアップテーブルと比較して、対象DNA鎖の1つ以上の正常特徴および/または異常特徴を特定することであって、1つ以上の特徴ノードの各々が、開始塩基から始まり末端塩基で終わる対照DNA鎖の塩基部分配列を表す色バンドによって定義される、特定することと、を含む、方法。
【0121】
110. スペクトルプロファイルの受信が、
a)染色体から一対の一本鎖姉妹染色分体を生成することであって、対象DNA鎖が一本鎖姉妹染色分体の少なくとも一部分から構成され、対象DNA鎖が1つ以上の標的DNA配列を含む、生成することと、
b)一方または両方の一本鎖姉妹染色分体を2つ以上のオリゴヌクレオチドプローブと接触させることであって、プローブの各々が一本鎖であり、固有であり、かつ標的DNA配列の少なくとも一部分に相補的であり、プローブの各々が少なくとも1つの標識を含み、標的DNA配列に相補的なプローブのうちの少なくとも2つが少なくとも2つの色チャネルに対応する異なる色の標識を含み、これにより、一方または両方の一本鎖姉妹染色分体のスペクトルプロファイルが、一方または両方の一本鎖姉妹染色分体に対する少なくとも2つのプローブのハイブリダイゼーションパターンによって生成されるようになり、それにより、対象DNA鎖上に塩基配列のスペクトルプロファイルを生成する、接触させることと、
c)対象DNA鎖の塩基配列のスペクトルプロファイルを検出することと、を含む、態様109に記載の方法。
【0122】
111. スペクトルプロファイルの変換が、スペクトルプロファイルを複数の領域にセグメント化することを含み、領域の各々が少なくとも2つの色チャネルのうちの1つに対応する色を有する、態様109または110に記載の方法。
【0123】
112. 領域の各々が位置パラメータおよびサイズパラメータによって定義される、態様111に記載の方法。
【0124】
113. 変換が機械学習/AIアルゴリズムによって行われる、態様109~112のいずれか1つに記載の方法。
【0125】
114. 各特徴ノードが、遺伝的要素、構造変異、またはそれらの組み合わせの少なくとも一部分を表す、態様109~113のいずれか1つに記載の方法。
【0126】
115. 遺伝的要素が、タンパク質コード領域、転写に影響を及ぼす領域、翻訳に影響を及ぼす領域、翻訳後修飾に影響を及ぼす領域、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、態様114に記載の方法。
【0127】
116. 遺伝的要素が、エクソン、イントロン、5’非翻訳領域、3’非翻訳領域、プロモーター、エンハンサー、サイレンサー、オペレーター、ターミネーター、ポリAテール、逆方向末端反復配列、mRNA安定性要素、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、態様114に記載の方法。
【0128】
117. 変動が、染色体のセグメントのコピー数の変化、染色体のコピー数の変化、逆位、転座、姉妹染色分体組換え、小核形成、クロモスリプシス事象、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、態様114に記載の方法。
【0129】
118. 比較が複数の特徴ルックアップテーブルの各々に対して行われる、態様109~117のいずれか1つに記載の方法。
【0130】
119. 複数の特徴ルックアップテーブルの各々が目的とする異なる遺伝的要素に対応する、態様118に記載の方法。
【0131】
120. 比較が機械学習/AIアルゴリズムによって行われる、態様109~119のいずれか1つに記載の方法。
【0132】
121. 対象DNA鎖を表すデータを処理する方法であって、プロセッサに実装された方法が、
a)対象DNA鎖の塩基の少なくとも1つの配列を表すスペクトルプロファイルを受信することであって、スペクトルプロファイルが対象DNA鎖の塩基配列に対応する周波数データを含み、周波数データが少なくとも2つの色チャネルを含む、受信することと、
b)スペクトルプロファイルを対象DNA鎖のデータテーブルに変換することであって、データテーブルが塩基配列の少なくとも2つの色チャネルの位置データおよび強度データを含む、変換することと、
c)データテーブルをメモリに格納することと、を含む、方法。
【0133】
122.
対象DNA鎖を表すデータテーブルを、対応する対照DNA鎖の正常特徴および/または異常特徴を表す1つ以上の特徴ノードを含む参照特徴ルックアップテーブルと比較して、対象DNA鎖の1つ以上の正常特徴および/または異常特徴を特定することであって、1つ以上の特徴ノードの各々が、色バンドおよび開始塩基から始まり末端塩基で終わる塩基部分配列によって定義される、特定することによって、対象DNA鎖の1つ以上の正常特徴および/または異常特徴を決定することをさらに含む、態様121に記載の方法。
【0134】
123. 対象DNA鎖の塩基レベルデータをデータテーブルにマージすることをさらに含む、態様121または122に記載の方法。
【0135】
124. 対照DNA鎖の正常特徴および/または異常特徴を表す1つ以上の特徴ノードを定義することをさらに含み、1つ以上の特徴ノードの各々が、色バンドおよび開始塩基から始まり末端塩基で終わる塩基部分配列によって画定される、態様121~123のいずれか1つに記載の方法。
【0136】
125. 1つ以上の特徴ノードが訓練された機械学習アルゴリズムによって定義される、態様124に記載の方法。
【0137】
126. 複数の対照DNA鎖の各々を受信および変換するステップと、複数の結果として得られたデータテーブルをメモリに格納するステップと、を行うことさらに含む、態様124に記載の方法。
【0138】
127. 複数の対照DNA鎖が同じゲノム領域に起源し、異なる患者の試料から得られる、態様126に記載の方法。
【0139】
128. 1つ以上の定義された特徴ノードの特定の特徴ノードに関するクエリを受信することと、複数の結果として得られたデータテーブルを使用してクエリを処理することと、をさらに含む、態様126に記載の方法。
【0140】
129. 染色体外DNA(ECDNA)の染色体源を特定するための方法であって、
a)細胞由来のECDNAを2つ以上のオリゴヌクレオチドプローブと接触させるステップであって、プローブの各々が一本鎖であり、固有であり、かつECDNAの少なくとも一部分に相補的であり、プローブの各々が少なくとも1つの標識を含む、接触させるステップと、
b)同じ細胞由来の少なくとも1つの染色体または染色体の少なくとも1つの一本鎖姉妹染色分体をステップ(a)の同じプローブと接触させるステップと、
c)ECDNAのスペクトルプロファイルを検出し、少なくとも1つの染色体または染色体の少なくとも1つの一本鎖姉妹染色分体のスペクトルプロファイルを検出するステップと、
d)ステップ(c)のスペクトルプロファイルを比較するステップと、
e)ECDNAのスペクトルプロファイルと、少なくとも1つの染色体または染色体の少なくとも1つの一本鎖姉妹染色分体のスペクトルプロファイルとの間の少なくとも1つの類似性に基づいて、少なくとも1つの染色体または染色体の少なくとも1つの一本鎖姉妹染色分体がECDNAのDNA源であると特定するステップと、を含む、方法。
【0141】
130. ステップd)の比較に基づいて、ECDNAのDNAが起源した少なくとも1つの染色体または染色体の少なくとも1つの一本鎖姉妹染色分体上の位置を特定することをさらに含む、態様129に記載の方法。
【0142】
131. 少なくとも1つの染色体または染色体の少なくとも1つの一本鎖姉妹染色分体からのECDNAの起源が、位置でのDNAの増幅によってもたらされたものである、態様130に記載の方法。
【0143】
132. 少なくとも1つのがん遺伝子がECDNA上で特定される、態様130に記載の方法。
【0144】
133. ECDNAが、エピソームDNAおよびベクター組み込みDNAからなる群から選択される、態様129に記載の方法。
【0145】
134. 少なくとも1つの染色体または染色体の少なくとも1つの一本鎖姉妹染色分体上の少なくとも1つの標的領域が標的濃縮のために特定され、少なくとも1つの染色体または染色体の少なくとも1つの一本鎖姉妹染色分体が標的濃縮プローブと接触する、態様1~72、75~108、および129~133のいずれか1つに記載の方法。
【0146】
135. スペクトルプロファイルの比較が、同じ染色体または同じ一本鎖姉妹染色分体上の少なくとも1つのバンドの少なくとも1つの他のバンド上でのブリージングのスペクトル分析を含む、態様1~72、75~108、および129~134のいずれか1つに記載の方法。
【0147】
136. 少なくとも1つの染色体または染色体の少なくとも1つの一本鎖姉妹染色分体の2つ以上のオリゴヌクレオチドプローブとの接触が、少なくとも1つの染色体または染色体の少なくとも1つの一本鎖姉妹染色分体を含む試料を膨潤性ヒドロゲルに包埋することと、試料をヒドロゲルに化学的に結合させることと、を含み、さらに、ヒドロゲルが膨潤して、x軸、y軸、およびz軸にわたって空間分解能を増加させる、態様1~72、75~108、および129~135のいずれか1つに記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0148】
図1-1】バンドdGHペイントとモノクロdGHペイントとを比較した染色体内再配列の例を説明する。1a:dGH用に調製し、多色バンドを有する染色体2 dGHペイントとハイブリダイズさせた、正常染色体2。1b:欠けていたバンドが特定された、欠失を有する染色体2。
図1-2】2a:dGH用に調製し、モノクロ染色体2 dGHペイントとハイブリダイズさせた、正常染色体2。2b:欠失を有する染色体2(領域は不明)。
図1-3】1c:余分なバンドを有する領域が特定された、増幅を有する染色体2。1d:バンドが正しい順序である(逆位ではない)ためSCRとして特定された、姉妹染色分体組み換え事象(1つの複製周期完全修復事象についてのみ可視)を有する染色体2。1e:バンドの逆転した順序により特定された、逆位事象を有する染色体2。
図1-4】2c:増幅を有する染色体2(増幅領域は不明)。2d:SCRまたは逆位事象のいずれかを有する染色体2(特異的バリアントは不明)。(SCRが見逃されている可能性があり、反対側の姉妹染色分体に見られるセグメントの配向が不明であるため、逆位としてフラグ付けされる。)2e:SCRまたは逆位事象のいずれかを有する染色体2(特異的バリアントは不明)。(逆位が見逃されている可能性があり、反対側の姉妹染色分体に見られるセグメントの配向が不明であるため、SCRとしてフラグ付けされる。)
図2-1】バンドdGHペイントとモノクロdGHペイントとを比較した染色体間再配列(2つの異なる染色体間の転座)の例を説明する。1a:dGH用に調製し、多色バンドを有する染色体2 dGHペイントとハイブリダイズさせた、正常染色体2。1b:正常染色体4(説明のために彩色していない)。
図2-2】2a:dGH用に調製し、モノクロ染色体2 dGHペイントとハイブリダイズさせた、正常染色体2。2b:正常染色体4(説明のために彩色していない)。
図2-3】1c:染色体2由来の材料(バンド1~11)が染色体4由来の材料(彩色なし)と融合した、誘導体染色体A(相互転座産物)。1d:染色体2由来の材料(バンド12~19)が染色体4由来の材料(彩色なし)と融合した、誘導体染色体B(他の相互転座産物)。
図2-4】2c:染色体2由来の材料が染色体4由来の材料(彩色なし)と融合した(融合座標は不明)、誘導体染色体A(相互転座産物)。2d:染色体2由来の材料が染色体4由来の材料(彩色なし)と融合した(融合座標は不明)、誘導体染色体B(他の相互転座産物)。
図3-1】染色体間対立遺伝子再配列(同じ染色体の2つの相同体間の転座)の例を説明する。バンドdGHペイントとモノクロdGHペイントとの比較。1a:dGH用に調製し、多色バンドを有する染色体2 dGHペイントとハイブリダイズさせた、正常染色体2相同体1。1b:dGH用に調製し、多色バンドを有する染色体2 dGHペイントとハイブリダイズさせた、正常染色体2相同体2。
図3-2】2a:dGH用に調製し、モノクロ染色体2 dGHペイントとハイブリダイズさせた、正常染色体2相同体1。2b:dGH用に調製し、モノクロ染色体2 dGHペイントとハイブリダイズさせた、正常染色体2相同体2。
図3-3】1c:同じ切断点(バンド11とバンド12との間)で染色体2相同体1由来の材料を染色体2相同体2由来の材料と交換した、誘導体染色体A(相同体間の相互転座産物)。各相同体上の全く同じ位置での2つのSCEの統計的確率は、対立遺伝子転座事象が、特に単一の位置で編集されている細胞(1相同体当たり2つのDSB)において、かなり可能性の高い対立遺伝子転座事象と比較して非常に可能性が低い。1d:同じ切断点(バンド11とバンド12との間)で染色体2相同体1由来の材料を染色体2相同体2由来の材料と交換した、誘導体染色体B(相同体間の相互転座産物)。各相同体上の全く同じ位置での2つのSCEの統計的確率は、対立遺伝子転座事象が、特に単一の位置で編集されている細胞(1相同体当たり2つのDSB)において、かなり可能性の高い対立遺伝子転座事象と比較して非常に可能性が低い。
図3-4】2c:不明の切断点で染色体2相同体1由来の材料を染色体2相同体2由来の材料と交換した、誘導体染色体A(相同体間の相互転座産物)。各相同体上の全く同じ位置での2つのSCEの統計的確率は、対立遺伝子転座事象が、特に単一の位置で編集されている細胞(1相同体当たり2つのDSB)において、かなり可能性の高い対立遺伝子転座事象と比較して非常に可能性が低いが、ゲノム座標特異性の欠如に起因してモノクロペイントでは確認することができない。2d:不明の切断点で染色体2相同体1由来の材料を染色体2相同体2由来の材料と交換した、誘導体染色体B(相同体間の相互転座産物)。各相同体上の全く同じ位置での2つのSCEの統計的確率は、対立遺伝子転座事象が、特に単一の位置で編集されている細胞(1相同体当たり2つのDSB)において、かなり可能性の高い対立遺伝子転座事象と比較して非常に可能性が低いが、ゲノム座標特異性の欠如に起因してモノクロペイントでは確認することができない。
図4-1】複雑な染色体再配列の例を説明する。最初の画像では、前立腺がん治療のために最近電離放射線に曝露された血液由来リンパ球細胞由来の両方の染色体2相同体を示す。複雑な構造変異が右の相同体上に存在し、これは、表1に記載のバンドdGHペイントとハイブリダイズさせた後に可視化することができる。画像の後に提供されるグラフィックは、モノクロdGHペイントと比較して多色バンディングdGHペイントを使用してこの複雑な再配列がどのように現れるかを説明する。
図4-2】1a:dGH用に調製し、多色バンドを有する染色体2 dGHペイントとハイブリダイズさせた、正常染色体2。
図4-3】1b:多色バンドを有する染色体2 dGHペイントとハイブリダイズさせた、複雑な構造再配列を有する染色体2。大きな挟動原体逆位が存在し、一方の切断点が2pのバンド1とバンド2との間に生じ、他方が2qの二分バンド18に生じる。2qのセントロメア近くに追加のより小さな偏動原体逆位が存在し、第1の切断点がバンド9とバンド10との間にあり、第2の切断点がバンド10とバンド11との間にある。小さな偏動原体逆位と同じ近位切断点を共有するバンド9とバンド11との間の大きな姉妹染色分体交換事象も存在し、バンドの順序で検証することができ、これは、依然として正しい番号順に現れるが、現在は一次ペイント(右の姉妹染色分体)の反対側の姉妹染色分体(左の姉妹染色分体)上にある。
図4-4】2a:dGH用に調製し、モノクロ染色体2 dGHペイントとハイブリダイズさせた、正常染色体2。
図4-5】2b:モノクロ染色体2 dGHペイントとハイブリダイズさせた、複雑な構造再配列を有する染色体2。セグメントの順序を提供するための着色バンドなしでは、再配列を座標で特定することも説明することもできない。実際には、染色体は小さな末端SCEまたは逆位(pアーム)および大きな逆位(qアーム)を有するように見え、存在する構造再配列の真の分類が誤って特定されていたであろう。
図5-1】SV検出のための標的プローブdGHアッセイの例を説明する。1a:dGH用に調製し、目的とする遺伝子座周辺の4つの標的プローブとハイブリダイズさせた、正常染色体2。
図5-2】1b:目的とする遺伝子座の一部分の欠失を有する染色体2(標的プローブ2によって覆われているゲノム座標にわたる)。
図5-3】1c:標的プローブ2および3が標的プローブ1および4の反対側の姉妹染色分体に見られ、プローブがテロメア側からセントロメア側に1、2、3、4の順序で維持された、姉妹染色分体組み換え事象を有する染色体2。
図5-4】1d:標的プローブ2および3が標的プローブ1および4の反対側の姉妹染色分体に見られ、プローブ2とプローブ3の順序が逆転している、逆位事象を有する染色体2。プローブは、テロメア側からセントロメア側に1、3、2、4の順序で現れる。
図6】dGH用に調製した放射線曝露血液由来リンパ球試料由来の再配列された細胞における、染色体1、2、および3を標識する単色dGHペイントの例の画像を説明する。
図7-1】画像Aおよび画像Bは、2つの別個の正常細胞分裂中期細胞由来の染色体2相同体対を示し、構造変異は存在しない(正常不死化ヒト線維芽細胞系統BJ-5ta)。
図7-2】画像Cおよび画像Dは、姉妹染色分体交換から生じた1つの相同体の構造変異を示す、2つの別個の分裂中期細胞(正常な不死化ヒト線維芽細胞株BJ-5ta)由来の染色体2相同体を示す(色の順序は維持されるが、シグナルが反対側の姉妹染色分体上に存在する)。
図8A-1】正常染色体2のハイブリダイゼーション、プローブ分布、および蛍光波長強度を示す。
図8A-2】正常染色体2のハイブリダイゼーション、プローブ分布、および蛍光波長強度を示す。
図8A-3】正常染色体2のハイブリダイゼーション、プローブ分布、および蛍光波長強度を示す。
図8B-1】染色体2で検出されたSCEのハイブリダイゼーション、プローブ分布、および蛍光波長強度を示す。
図8B-2】染色体2で検出されたSCEのハイブリダイゼーション、プローブ分布、および蛍光波長強度を示す。
図8B-3】染色体2で検出されたSCEのハイブリダイゼーション、プローブ分布、および蛍光波長強度を示す。
図9】染色体にハイブリダイズされた3つの別個のラダーアッセイを説明する。1つ目のラダーは、各シグナルに寄与するオリゴの数に対する検出限界を測定し、染色体2のpアーム上でおよそ20mb離間している(画像内でラダー1とラベル付けしている)。第2のラダー(染色体2q)は、固定量のオリゴが散布することができる標的サイズを評価し、同様に約20MB離間しており、同様に検出限界を測定する(画像内でラダー2とラベル付けしている)。第3のラダー(以下に見られる、染色体1qにハイブリダイズされたもの)は、プローブを互いに近接して、かつさらに離れて離間させており、任意の所与の分裂中期広がりにおける近接した2つのスポットの分解能の評価を可能にする(画像内でラダー3とラベル付けしている)。
【発明を実施するための形態】
【0149】
別途記載されない限り、技術用語は、従来の使用法に従って使用される。分子生物学における共通用語の定義は、Oxford University Press,1994(ISBN 0-19-854287-9)によって公開されたBenjamin Lewin,Genes V; Kendrew et al. (eds.)、Blackwell Science Ltd.,1994(ISBN 0-632-02182-9)によって公開されたThe Encyclopedia of Molecular Biology;Robert A.Meyers(ed.)、およびVCH Publishers,Inc.,1995(ISBN 1-56081-569-8)によって公開されたMolecular Biology and Biotechnology:a Comprehensive Desk Referenceで見つけることができる。別途説明されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、本開示が属する当該技術分野の当業者によって一般に理解される意味と同じ意味を有する。単数形用語「a」、「an」、および「the」は、別途文脈が明確に示さない限り、複数の指示対象を含む。「AまたはBを含む」とは、A、またはB、またはAおよびBを含むことを意味する。核酸またはポリペプチドに与えられるすべての塩基サイズまたはアミノ酸サイズ、およびすべての分子量または分子量値は、近似値であり、説明のために提供されることをさらに理解されたい。
【0150】
さらに、本明細書に提供される範囲がその範囲内の値のすべての省略表現であることが理解される。例えば、1~50の範囲が、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、27、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、または50(ならびに別途文脈が明確に指示しない限り、それらの分数)からなる群からの任意の数、数の組み合わせ、または部分範囲を含むことが理解される。別途指示されない限り、任意の濃度範囲、パーセンテージ範囲、比率範囲、または整数範囲が、列挙された範囲内の任意の整数の値を含み、適切な場合、それらの分数(例えば、整数の10分の1および100分の1など)も含むことを理解されたい。また、ポリマーサブユニット、サイズ、または厚さなどの任意の物理的特徴に関連する本明細書に列挙された任意の数の範囲が、別途指示されない限り、列挙された範囲内の任意の整数を含むことを理解されたい。本明細書で使用される場合、「約」または「から本質的になる」とは、別途指示されない限り、指示範囲、値、または構造の平均±20%を意味する。本明細書で使用される場合、「含む(include)」および「含む(comprise)」という用語は、制約がなく、同義で使用される。
【0151】
本明細書に記載のものと同様または同等の方法および材料を本開示の実施または試験に使用することができるが、好適な方法および材料が以下に記載される。本明細書で言及されるすべての刊行物、特許出願、特許、および他の参考文献は、参照によりそれらの全体が組み込まれる。矛盾する場合、用語の説明を含む本明細書が優先される。加えて、材料、方法、および例は、例証にすぎず、限定するようには意図されていない。
【0152】
本明細書で使用される場合、「バンド」とは、同様の光放射シグネチャ(例えば、同じ色のプローブ)で標識されたプローブとハイブリダイズさせた染色体領域を指す。
【0153】
本明細書で使用される場合、「ブリージング」とは、少なくとも1つの他のバンドと部分的に重複しているか、またはさもなければその上に部分的に現れる1つのバンドの光放射シグネチャを指す。
【0154】
本明細書で使用される場合、「色」とは、他の波長とは別個の異なるものとして検出することができる光放射の波長を指す。
【0155】
本明細書で使用される場合、「染色体セグメント」とは、ゲノム(例えば、ヒト染色体2のbp12900~14900)または既知の配列内容物(例えば、遺伝子または可動要素の配列)の開始座標および終了座標によって定義されるDNA領域を指す。染色体セグメントは、2塩基対ほど小さくても、全染色体ほど大きくてもよい。
【0156】
本明細書で使用される場合、「色チャネル」とは、可視光、赤外光、および紫外線光を含む光スペクトルの領域を指す。色チャネルは、本明細書に開示される方法を実施する個人に有用なように広い一組の波長または狭い一組の波長であると特定され得る。
【0157】
本明細書で使用される場合、「指向性ゲノムハイブリダイゼーション」または「dGH」とは、プローブハイブリダイゼーション法と組み合わせた試料調製法を指し、これにより、(1)DNA類似体(BrdU)が一複製周期にわたって能動的に分裂する細胞に提供され、新たに合成された娘鎖に選択的に組み込まれ、(2)細胞分裂中期広がりが調製され、(3)組み込まれた類似体が光分解的に標的とされて、新たに合成された鎖を酵素的に消化して分解するために選択的に使用されるDNAニックをもたらし、(4)一本鎖細胞分裂中期広がりが、細胞分裂中期染色体の1つの一本鎖姉妹染色分体のみが固有の標的部位(複数可)で標識されるように参照ゲノムのユニーク配列に対して設計された一方向性プローブでインサイツハイブリダイズされる。
【0158】
本明細書で使用される場合、「エピソーム」または「エピソームDNA」とは、細胞の細胞質内に存在し、かつ自己複製することができるDNAのセグメントを指す。
【0159】
本明細書で使用される場合、「染色体外DNA」または「EcDNA」とは、細胞の核の内側または外側のいずれかで染色体に見られる任意のDNAを指す。ある特定の態様では、ECDNAは有害である可能性があり、増幅されたがん遺伝子を持つ可能性がある。いくつかの態様では、有害なECDNAは、健常体細胞組織に見られるキロベースサイズの円形DNAよりも100~1,000倍大きい可能性がある。ある特定の態様では、ECDNAには、エピソームDNAおよびベクター組み込みDNAが含まれる。
【0160】
本明細書で使用される場合、「特徴ノード」および「ノード」は、オリゴヌクレオチド鎖またはポリヌクレオチド鎖上の任意の分析対象領域を表す、数値セットを含む数値を指すために互換的に使用される。ノードは、特定の遺伝子座、一連の遺伝子座、遺伝子、複数の遺伝子、バンド、または全染色体とすることができる。ノードは、分析中に異なるレベルの粒度を可能にするために、サイズを設定変更することができ、サイズを変化させることができる。非限定的な例として、ノードは、対象DNA鎖の正常特徴または異常特徴を表すことができる。また、非限定的な例として、ノードは、対照DNA鎖への標識プローブハイブリダイゼーションからのスペクトルプロファイルデータの数値を提供することができ、ここで、ノードは、対照DNA鎖の正常構造特徴または異常構造特徴のいずれかを表す。
【0161】
本明細書で使用される場合、「特徴ルックアップテーブル」とは、1つ以上の特徴ノードを表す数値の表を指す。
【0162】
本明細書で使用される場合、「プローブ」とは、ハイブリダイゼーション反応と組み合わせられると、標的に結合し、標的を検出するように、目的とする標的DNA配列に相補的であるように設計された標識オリゴヌクレオチドを指す。
【0163】
本明細書で使用される場合、「一本鎖染色分体」とは、DNA類似体(例えば、BrdU)が単回複製サイクルにわたって能動的に分裂する細胞に提供され、その後、新たに合成された娘鎖に選択的に組み込まれ、細胞分裂中期広がりが調製され、組み込まれた類似体が光分解的に標的されて、新たに合成された鎖を酵素的に消化して分解するために選択的に使用されるDNAニックをもたらし、結果として一本鎖産物がもたらされるプロセスの産物を指す。二本鎖DNA複合体の5’から3’鎖および3’から5’鎖を説明するためにワトソンおよびクリックという用語を使用する場合、未処理の細胞分裂中期染色体は、親ワトソン/娘クリックを有する1つの姉妹染色分体および娘ワトソン/親クリックを有する1つの姉妹染色分体を有する。上記の方法に従って調製された染色体では、一方の姉妹染色分体が親ワトソン鎖のみからなり、他方の姉妹染色分体が親クリック鎖のみからなる。
【0164】
本明細書で使用される場合、「姉妹染色分体交換」または「SCE」とは、正確に一致した同一のDNA鎖のエラーフリー交換(乗換え)を指す。姉妹染色分体交換は、構造バリアントではないが、切断部位に隣接する反復要素などの代替の鋳型鎖が構造バリアントをもたらす不等交換を引き起こす確率の増加により、ゲノム不安定性率の増加と関連する。
【0165】
本明細書で使用される場合、「姉妹染色分体組換え」または「SCR」とは、別名、遺伝子変換事象として知られている一方向性非乗換え事象をもたらす同一の姉妹染色分体を伴う相同組換えプロセスを指す。これは、二重ホリデイ接合部として知られている相同組換え中間体が非乗換えをもたらすような方法で分解されたときに生じると考えられている。SCRは、一本鎖DNA病変(対応する複製フォーク崩壊を伴う)および二本鎖切断の両方を分解する細胞によって用いられる場合がある。姉妹染色分体間の遺伝子変換は、通常、相互交換と関連しておらず、その理由からSCEとは区別される。
【0166】
本明細書で使用される場合、「スペクトルプロファイル」とは、1つ以上の波長での材料(複数可)の光強度の変動のグラフ表現を指す。
【0167】
本明細書で使用される場合、「構造特徴」とは、配列の正常特徴または異常特徴を含むオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチド内の塩基の配列の任意の態様を広範に指す。例えば、構造特徴には、タンパク質コード領域、転写に影響を及ぼす領域、翻訳に影響を及ぼす領域、翻訳後修飾に影響を及ぼす領域、およびそれらの任意の組み合わせから選択される遺伝的要素が含まれるが、これらに限定されない。さらなる非限定的な例として、構造特徴には、エクソン、イントロン、5’非翻訳領域、3’非翻訳領域、プロモーター、エンハンサー、サイレンサー、オペレーター、ターミネーター、ポリAテール、逆方向末端反復配列、mRNA安定性要素、およびそれらの任意の組み合わせから選択される遺伝的要素が含まれる。
【0168】
本明細書で使用される場合、「訓練された」または「訓練」とは、訓練データに基づいて訓練され、その後、追加データを処理するために使用することができるモデルの作成を指す。訓練に使用され得るモデルの種類には、人工ニューラルネットワーク、決定木、サポートベクターマシン、回帰分析、ベイジアンネットワーク、および遺伝的アルゴリズムが含まれるが、これらに限定されない。
【0169】
本明細書で使用される場合、「構造バリアント」または「染色体構造バリアント」または「SV」とは、セグメントサイズで50bp超のコピー数変化、構造変化、および含有量変化をもたらすゲノム改変を経験したDNA領域を指す。SVという用語は、一塩基バリアント/INDELとセグメントコピー数バリアントとの間の動作境界として使用される。これらの変化には、参照ゲノムと比較した、試験ゲノム中の欠失、新規配列挿入、可動要素挿入、タンデムおよび散在セグメント重複、逆位、切断および転座が含まれる。
【0170】
本明細書で使用される場合、「標的DNA」とは、参照ゲノム(例えば、ヒト染色体2のbp12900~14900)または検出される既知の配列内容物(例えば、遺伝子または可動要素の配列)の開始座標および終了座標によって定義されるDNA領域を指す。
【0171】
本明細書で使用される場合、「標的濃縮」とは、目的とする標的領域に対する任意の変化を追跡するためにバンディングに使用されるプローブに勝るその特定の領域に対する追加のプローブの利用を意味する。ある特定の態様では、目的とする標的領域は、バンドよりも小さい場合がある。ある特定の態様では、目的とする標的領域は、バンドの一部分に限定されていても、1つのバンド全体を覆っていても、2つ以上のバンドの一部分または全体にわたって広がっていてもよい。
【0172】
本明細書で使用される場合、「ベクター組み込みDNA」とは、DNA挿入の媒体としての役割を果たす任意のベクターを指す。これらは、人工染色体ベクター、ファージおよびファージミドベクター、シャトルベクター、ならびにコスミドベクターを含むが、これらに限定されない、細胞に導入されるクローニングベクター、発現ベクター、またはプラスミドベクターであり得る。
【0173】
異なる色のプローブを用いて一本鎖染色分体を標識することによって染色体の構造変異を検出するための方法が開示される。標識プローブのハイブリダイゼーションパターンにより、構造変異の高分解能検出を可能にするスペクトルプロファイルが生成され、良性の変動と有害な構造変異との区別を容易にする。さらに、スペクトルプロファイルは、染色体セグメントの1つより多くの再配列が生じ得る複雑な構造変異に関する情報を提供する。
【0174】
一本鎖クロマチドは、CO-FISH技法を含むが、これに限定されない当該技術分野で既知の任意の手段によって生成され得る。
【0175】
一本鎖クロマチドにハイブリダイズすることができるプローブは、任意の機能的長さのものであり得る。任意の特定の実施形態に限定されることなく、プローブは、10~100ヌクレオチド長、15~90ヌクレオチド長、25~75ヌクレオチド長、30~50ヌクレオチド長、37~43ヌクレオチド長、またはそれらの任意の組み合わせのものであり得る。
【0176】
ある特定の態様では、本明細書に開示される方法に用いられる標識プローブセットのプローブ数は、限定された数の染色体領域(例えば、1つ以上の染色体領域)上に遺伝子座特異的バンディングを提供する1つまたは1つより多くの染色体上の特定の染色体領域を対象とするより小さいプローブセットから、ゲノム全体にわたって染色体領域を標的とするプローブのアレイを提供するより大きいプローブセットに及び得る。
【0177】
ある特定の態様では、本明細書に開示される方法に用いられる標識プローブセットのプローブ数は、目的とする1つまたは1つより多くの遺伝子を対象とする小さいプローブセットから、研究対象の生物におけるすべての既知の遺伝子を標的とするより大きいプローブセットに及び得る。一態様では、プローブの標的は、ゲノム全体にわたって比較的均等に分散していてもよい。別の態様では、プローブの標的は、ゲノムのある特定の領域でより濃縮されていてもよく、ゲノムの他の領域でより分散していてもよい。
【0178】
ある特定の態様では、標識プローブセットは、疾患状態に影響を及ぼすか、またはそれを引き起こすことが知られているゲノム内の遺伝子座を標的とするように設計することができる。一態様では、プローブセットは、肺がんの発症または存在に関連することが知られている遺伝子を標的とするように設計することができる。同様に、プローブセットは、目的とする任意の疾患または状態に対する本明細書に開示される方法を用いて設計および利用することができる。
【0179】
ある特定の態様では、標識プローブセットは、特定の疾患の異なる状態と相関することが知られているゲノム内の遺伝子座を標的とするように設計することができる。一態様では、プローブセットは、例えば、神経変性疾患における疾患進行の状態を示すように設計することができる。
【0180】
ある特定の態様では、標識プローブセットは、遺伝的障害と相関することが知られているゲノム内の遺伝子座を標的とするように設計することができる。一態様では、プローブセットは、遺伝的障害の出生前診断ツールとして設計することができる。
【0181】
ある特定の態様では、標識プローブセットは、目的とする任意の疾患または健康状態の診断ツールを提供するためにゲノム内の遺伝子座を標的とするように設計することができる。ある特定の態様では、疾患または状態は、気道疾患、筋骨格障害、神経障害、皮膚疾患、胃腸管疾患、および様々な種類の癌から選択され得る。
【0182】
ある特定の態様では、標識プローブセットは、ゲノム内の特定のクラスの遺伝子を標的とするように設計することができる。一態様では、プローブは、異なる種類のキナーゼの遺伝子を標的とするように設計することができる。
【0183】
ある特定の態様では、標識プローブセットは、関心研究領域に焦点を合わせるように設計することができる。一態様では、プローブは、生物医科学におけるゲノムDNA配列に関連するほぼすべての仮説を検証するように設計することができる。
【0184】
ある特定の態様では、標識プローブセットは、1つ以上の染色体のセントロメアを挟むバンドを提供するように設計することができ、かかるプローブは、染色体の特定および列挙のための単一のプローブパネルまたは複数のプローブパネルとして機能することができる。ある特定の態様では、各染色体のセントロメアの両側のバンドは、pアームおよびqアームのさらなる分化のために異なる色で標識され得る。
【0185】
ある特定の態様では、標識プローブセットは、1つ以上の染色体のテロメア周辺領域および/またはテロメア領域を標的とするバンドを提供するように設計することができる。いくつかの態様では、プローブセットのpアームおよびqアーム末端バンドは、1つ以上の染色体のテロメア周辺領域および/またはテロメア領域を追跡するための別個のプローブパネルまたは複数のプローブパネルとして機能することができる。ある特定の態様では、1つ以上の染色体のテロメア周辺領域および/またはテロメア領域を対象とするプローブは、標的染色体の構造情報のみならず、標的染色体の特定のアームの構造情報も提供する。バンドに対するプローブのテロメア周辺領域および/またはテロメア領域への適用により、標的とされるテロメア周辺領域および/またはテロメア領域に関与する構造再配列事象の検出のための情報が提供される。
【0186】
いずれの個々のバンドも、遺伝子の一部またはすべてを覆う場合がある。また、いずれの特定の遺伝子も、1つまたは1つより多くのバンドのすべてまたは一部によって覆われる場合がある。
【0187】
ある特定の態様では、目的とする標的領域の特徴を検出するために目的とする標的領域に対するバンディングに使用されるプローブに勝る追加のプローブが利用される標的濃縮戦略が利用され得る。ある特定の態様では、目的とする標的領域は、バンドよりも小さい場合がある。ある特定の態様では、目的とする標的領域は、バンドの一部分に限定されていても、1つのバンド全体を覆っていても、2つ以上のバンドの一部分または全体にわたって広がっていてもよい。ある特定の態様では、標的濃縮に使用されるプローブは、標的濃縮プローブがハイブリダイズするバンドと同じまたは異なるフルオロフォアで標識することができる。同じフルオロフォアが標的濃縮プローブに使用される態様では、蛍光シグナルの強度は、そのチャネル内でブーストされる。異なるフルオロフォアが標的濃縮プローブで使用される態様では、コンビナトリアル蛍光シグナルが生成される。
【0188】
ある特定の態様では、標的濃縮のために設計されたオリゴヌクレオチドプローブは、バンディングペイントに使用されるプローブと同じまたは異なる設計パラメータを有する。同じ設計パラメータを使用することにより、競合ハイブリダイゼーションがもたらされる一方で、異なる設計パラメータを使用することにより、競合ハイブリダイゼーションと非競合ハイブリダイゼーションとの混合がもたらされる。標的濃縮により、検出限界が改善され、特定の染色体座を追跡する能力が改善される。
【0189】
任意の参照スペクトルプロファイルが研究対象の染色体のスペクトルプロファイルの比較の基準として使用され得る。参照スペクトルプロファイルは、既知の異常を有する染色体、正常とみなされる染色体、対応する姉妹染色分体、統計的に決定された正常プロファイル、正常プロファイルまたは異常プロファイルを有するとみなされる染色体の参照データを含むデータベース、またはそれらの任意の組み合わせのものであり得る。加えて、参照スペクトルプロファイル(より多くのプローブを有する領域では明るさが増し、より少ないプローブを有する領域では明るさが低下する)に関連する参照ゲノムまたは配列(すなわち、インシリコでのユニーク配列または反復配列にわたるプローブの密度パターン)に対して設計されたプローブの分布は、標的の予想スペクトルプロファイルの偏差が存在する場合、試験試料の構造変異を特定および説明するために使用され得る。
【0190】
本方法によって決定される構造変異は、染色体のセグメントのコピー数の変化、逆位、転座、切断、姉妹染色分体組み換え、小核形成、クロモスリプシスまたは断片化事象、またはそれらの任意の組み合わせを含むが、これらに限定されない、正常からの任意の種類の構造変異とすることができる。セグメントのコピー数の変化は、欠失、増幅、またはそれらの任意の組み合わせであり得る。
【0191】
標識プローブは、当該技術分野で既知の任意の手段によって標識され得る。プローブは、任意の数の異なる種類の標識を含むこともできる。プローブの組み合わせも任意の数の異なる種類の標識を有し得、プローブ間で標識が異なる。プローブ上の標識は、蛍光性であり得る。プローブ上の標識によって放射される光は、可視光スペクトル、赤外光スペクトル、紫外線光スペクトル、またはそれらの任意の組み合わせで検出可能であり得る。プローブから放射される光は、疑似色で検出され得るか、またはさもなければプローブによって放射される実際の光とは異なる色が割り当てられ得る。
【0192】
一実施形態では、ハイブリダイゼーションに使用されるプローブセットは、異なるプローブが異なる色で標識されているプローブを含む。プローブセットは、異なって標識されたプローブであり得、これらのプローブは、2つの異なる色(すなわち、第1の色の第1のプローブおよび第2の色の第2のプローブ)、3つの異なる色、4つの異なる色、5つの異なる色、6つの異なる色、7つの異なる色、8つの異なる色、9つの異なる色、10個の異なる色、11個の異なる色、12個の異なる色、13個の異なる色、14個の異なる色、15個の異なる色、16個の異なる色、17個の異なる色、18個の異なる色、19個の異なる色、20個の異なる色、21個の異なる色、22個の異なる色、23個の異なる色、24個の異なる色、25個の異なる色、26個の異なる色、27個の異なる色、28個の異なる色、29個の異なる色、30個の異なる色、または30個より多くの異なる色で別個に標識されている。
【0193】
ハイブリダイゼーションプローブ上の標識の位置は、標識の結合を支持することができるプローブ上の任意の位置であり得る。プローブは、プローブの末端で標識され得るか、プローブの側面で標識され得るか、プローブの本体に標識され得るか、またはその任意の組み合わせであり得る。プローブの本体上の標識は、プローブの糖またはアミダイトの官能基上にあり得る。
【0194】
プローブの検出は、当該技術分野で既知の任意の手段によって行われ得る。狭帯域フィルターを含むが、これに限定されない、プローブからの光シグナルをフィルタリングするために任意の手段が使用され得る。計算ソフトウェアを含むが、これに限定されない、プローブからの光シグナルを処理するために任意の手段を使用することができる。いくつかの実施形態では、プローブからの光シグネチャのある特定の部分のみが、染色体構造バリアントの分析に使用される。
【0195】
本明細書に開示される方法は、染色体異常を検出するための他の技法と組み合わせて実施され得る。一実施形態では、本明細書に開示される方法は、DAPI、ヘキスト33258、アクチノマイシンD、またはそれらの任意の組み合わせでの染色体の染色を含むが、これらに限定されない染色体染色技法と組み合わせて実施され得る。
【0196】
指向性ゲノムハイブリダイゼーション(dGH)は、誤修復率およびある特定の誤修復の同一性の両方を測定するために適用することができる技法である。この方法は、個々の細胞における細胞分裂中期染色体中の両方の新規SVを検出するために使用することができるか、または特定のゲノム遺伝子座を伴うSVを評価するために利用することができる。先の実施形態では、配向変化(逆位)、姉妹染色分体交換、および非乗換え姉妹染色分体組換え、ならびに平衡対立遺伝子転座の検出は、単一の方法を用いて単一細胞における同じシグナルパターン変化として可視化されるであろう。これらのSVは、標準の染色体ベースの細胞遺伝学的分析方法(不平衡および平衡非対立遺伝子転座、倍数性の変化、大きな逆位、大きな挿入、および大きな重複)で可視的なSVとともに、かつそれに加えて検出される。しかしながら、標的方法が用いられない限り、配向変化SV(高リスク)を、SCE事象およびSCR事象(低リスク)および2つの相同染色体間の平衡転座(比較的低リスク)から生じる一過性修復中間体と区別することは、多くの場合、不可能である。近年、さらなる種類の誤修復、ならびに発がんおよびゲノム不安定性へのそれらの相対的寄与が説明されており、さらに、切断点のより正確なマッピングおよびdGHによって検出されるSVに関与するゲノム領域の説明の明白な必要性を上回る、dGHを介して可視的な事象のより正確な分解能の必要性が説明されている。本明細書で論じられるSCE形成の分子機構に関する研究のほとんどが酵母における研究を伴い、哺乳動物に関する我々の知識よりもはるかにより進んでいる。我々は機構が同一であるとは主張しないが、プロセスが類似している限り、本出願に記載のアプローチは、かかる知識をさらに理解するのに役立つであろう。
【0197】
DNA誤修復が細胞死につながるか、または患者にリスクをもたらす可能性があるため、誤修復率の測定およびSVの仮説なし新規特定の両方を行う新規の技法が不可欠である。本発明は、dGH法を、固有のdGHハイブリダイゼーションプローブ設計および固有の画像分析方法論と組み合わせて、顕著に増加した分解能を有するSVの特定および特徴付けを提供する。この特性付けには位置および配向データが含まれるため、これは、個々の細胞に対して誤修復(複数可)によって引き起こされる遺伝毒性のリスクを評価するための遺伝子、プロモーター、およびゲノム領域に関する公的に入手可能な生物情報データ、ならびに患者に診断を知らせるためのプロテオームおよびトランスクリプトームデータと組み合わせることができる。
【0198】
指向性ゲノムハイブリダイゼーション(dGH)は、参照(正常)ゲノムに対して構造バリアントを検出することができる新規方法として、または編集部位などの特定の標的領域での構造バリアントを評価する標的法としてのいずれかで行うことができる(図5)。これらの両方の実施形態では、dGH方法は、定性的であり、かつ個々の細胞における1つ以上の構造バリアントの普及または出現に関する決定的なデータを提供するように設計されている。標的実施形態を使用する場合、アッセイが標的のバイナリー試験として設計されているため、特定の標的の存在を推測することができる。しかしながら、この新規実施形態は、先行標的仮説なしにほぼすべてのSVを検出することができるが、バリアント(例えば、およそ7MbのC3のpアームの推定テロメア逆位)の大まかなアイデンティティーしか提供することができず、バリアントの再配列タイプ、配向、サイズ、位置、または配列に関する決定的なデータを提供することはできない。
【0199】
明バンドおよび暗バンドまたは多色バンドの分染による染色体バンディングは、正常核型を構造的に再配列された核型と区別するために広く用いられている技法である。バンドディング法には各々、その長所と短所がある。Gバンディング染色および逆転(またはDAPIを用いたRバンディング)染色およびクロモマイシン染色は、染色体の示差明暗バンディングをもたらすための最も広く使用されている技法であり、数値バリアント(全染色体または染色体の大部分の数の変動)、単純転座、およびいくつかの大きな逆位(バンドパターン破壊の程度による)を含む単純構造バリアントのサブセットの検出に適切である。これらは、迅速で費用効果の高いDNA染色法であり、臨床診断における核型決定の現在の業界標準である。それらは基本的な核型情報を提供するが、これらの技法は、より小さな数値バリアント(欠失および挿入)および小さな逆位の検出では有用性が非常に限定されており、多くの場合、これらを使用して複雑な再配列を説明することができない。それらは、一般関心領域を含む観察された光/暗バンド破壊を説明する以外に、いかなる遺伝子座特異的情報も提供しない。転座の場合、それらには、有意な盲点もある。Gバンディングで見られるように染色体バンディングパターンが交互の「…明-暗-明-暗…」配列で提示される場合、交換切断点位置の分解能は、交互のカラー配列例えば、「…R-G-B-Y…」で提示される同じパターンよりも本質的に劣るであろう。これらの染色ベースの方法は、第1の(明暗)状況に適用される転座切断点(Savage 1977)の局在化において「3バンド不確実性」の対象となる。加えて、これらの方法は、同じ遺伝子座または近くの遺伝子座における切断点を有する2つの相同染色体間の等価交換である平衡転座を検出せず、姉妹染色分体交換/姉妹染色分体組換え(遺伝子変換)事象も検出しない。
【0200】
各染色体(1正常細胞当たり各染色体の2コピー)が異なる色で標識されているため、SKYおよびMFISHなどの全染色体FISH彩色技法を使用して、観察された構造バリアントのより正確な説明を提供することができる。これらの技法は、どの染色体が観察された再配列に関与するかを特定するが、これらは、切断点座標を提供することができず、染色体のゲノムセグメントが再配列の産物として含まれているかまたは欠けていると特定することもできない。例えば、モノクロdGHペイントとほぼ同様に、欠失または増幅は、SKY、MFISH、または同様の方法により、特定の染色体の任意の特定の領域または遺伝子座に起因することができない。
【0201】
アッセイの分解能に限定される、特定の染色体のどのセグメントが再配列に関与するかの特定を含む、バンド特異的多色標識戦略(最もよく知られている方法はmBANDである)は、ある特定の複雑な事象のより分解された画像を提供することができる。mBANDアッセイの分解能は、任意の所与の領域におけるバンドサイズがどの程度控えめである(小さい)か、かつそれらの存在およびそれらの相対的順序の両方について試料がバンドを分解するのにどの程度好適であるか(例えば、染色体がどの程度長いか、かつどの程度伸長しているか)によって決定される。しかしながら、すべての他のFISHベースの技法と同様に、mBANDは、分解能がどれほど高くても、相同染色体、小さな逆位、または姉妹染色分体交換/姉妹染色分体組換え事象(遺伝子変換)間の平衡転座を検出することができない。さらに、これらのバンドは、DOP-PCRを介して針顕微解剖染色体の一部分を増幅および示差標識して、プローブの重複ライブラリを作成し、かつ各バンドの位置を推定するために高分解能Gバンディングおよび/または逆転DAPIバンディングに対して正常核型においてこれらのバンドを評価することによって作成される。したがって、各バンドの正確な開始座標および終了座標は不明であり、正常核型を有する分裂中期細胞の最高分解能Gバンディングとの比較によってのみ推測することができる。
【0202】
米国特許出願公開第2010/0304994号で言及される「オリゴ彩色」は、バンドが合成オリゴを用いて既知のゲノム座標に対して正確に設計され得るという点で、mBANDよりも優れている。各バンドの正確な開始と終了は、既知のゲノム座標であり、正常核型における明暗バンディングとの比較に基づく推定ではない。しかしながら、すべての他のFISHベースの技法と同様に、相同染色体、小さな逆位、または姉妹染色分体交換/姉妹染色分体組換え事象(遺伝子変換)間の平衡転座を検出することはできない。
【0203】
構造変異を検出するための本開示の方法は、モノクロdGHペイントから欠けている要素を提供し、特定のゲノム座標を提供し、真の逆位事象(ゲノムセグメントの再順序付けを含む)を姉妹染色分体交換事象(ゲノムセグメントの順序を変化させないが、モノクロdGHペイントを使用して逆位と区別することができない)と区別する。臨床医がこれらの2つの事象に関連するリスク(逆位が高リスクであり、SCEが低リスクである(本質的に正しい修復であり、ゲノムセグメントの順序またはコピー数を変化させないため))を理解することが重要である。姉妹染色分体交換に関連するヘロ接合性の喪失(遺伝子の1つの良好なコピーが不良なコピーで置き換えられ、疾患表現型をもたらす)のリスクがあるが、これは、リスクおよび患者転帰との関連で、真の逆位事象と区別されるべきである。DNA切断およびDNA切断修復に依存するCRISPR Cas9および他の遺伝子編集系は、正確なリスクプロファイルを必要とする。本開示の方法により、これらのSCE/SCRの「偽陽性」を潜在的に遺伝毒性の事象(逆位)と区別することが可能になる。ゲノムセグメントの順序が可視的であり、一次姉妹染色分体または反対側の姉妹染色分体のいずれか上のシグナルの配向も可視的である(概略図を参照のこと)。K-バンドは、必要とされる試料調製法のため、一技術として他の多色バンディング法とは区別され、これは、姉妹染色分体複合体から新たに合成されたDNA娘鎖の除去を伴い、染色分体特異的標識を可能にする一本鎖鋳型を提供する。
【0204】
遺伝子編集との関連で、ゲノムの操作および改変中に生成される構造バリアントの検出および特定は、患者の健康にとって優先事項である。単一細胞における高分解能での欠失、増幅、および転座とともに、修復均衡の重要な一部分として逆位および姉妹染色分体交換を測定する必要性は、1つの必要性として診断コミュニティーに広く認識されており、規制機関の間でも広く認識されている。本開示の方法は、配列決定によって見逃され、かつ他の示差バンディング法またはFISHベースのバンディング法を使用してアクセス不能な構造バリアントデータを提供することができる。前述の説明で概説されるように、オリゴプローブの一方向性と組み合わせたアッセイの試料調製成分は、他のバンディング技法によって検出不能な事象の評価を可能にし、重要な追加レベルの構造バリアントデータを提供する。酵素指向性遺伝子編集プロセスが細胞合成および修復機構をハイジャックして抑え込むため、それらは、別様に非常に複雑なプロセスに追加のレベルの複雑さを導入する。編集を確定するための配列決定アプローチ、ならびに意図されていない効果についてのゲノムの残りを評価するための配列決定アプローチは、多くの場合、データを生成するためにインタクトな標的配列の存在に依存する。しかしながら、標的配列の領域で切除および欠失が生じた場合、配列分析のための領域の増幅は不可能になる。また、プールされたDNAフォーマットでは、この情報は欠けており、これは、コピー数変動を含み、かつ遺伝毒性のリスクが増加した構造変異のスクリーニング時に懸念事項になる。複雑な構造バリアントを配列決定により評価することも非常に困難である。このようにして、最もゲノム的に不安定で危険な構造バリアントは、配列決定によって見逃される可能性が最も高い。細胞分裂中期広がりとの関連で、各細胞の全ゲノムは、いずれの増幅および配列分析も行うことなく構造変異の存在について測定および評価に利用可能である。新規再配列のみならず、目的とする標的への再配列も測定することができ、編集された細胞の集団が、懸念事項になり得る意図的でない自発的な安定した構造変異(がん駆動型融合遺伝子など)についてのみならず、経時的な所望の編集の安定性についても経時的に監視することができる。本開示の方法によって提供されるゲノム座標特異性を用いて、観察された構造バリアントをより深く塩基対特異的に調べるために配列決定を用いることができる。これらの2つの技法を合わせて使用して、編集されたゲノムのより正確な検出および特徴付けを可能にすることができる。
染色体外DNA(ECDNA)の分析
【0205】
細胞のDNAを含む生体試料は、試料を、一本鎖であり、固有であり、かつDNAの少なくとも一部分に相補的であるオリゴヌクレオチドプローブと接触させることを容易にするために調製される。ある特定の態様では、細胞DNAを含む生体試料は、ECDNAをさらに含む。ECDNAも染色体DNAもいずれも、同じ核酸配列および蛍光シグネチャを有するプローブとハイブリダイズすることができる。ECDNAおよび染色体DNAが同様に標識される態様では、ECDNAが染色体上のどこに起源するかの決定を行うことができる。
【0206】
調査対象の染色体のバンディングに使用されるオリゴヌクレオチドプローブは、ECDNAに見られるDNAの染色体源または起源を特異的に見つけるために選択することができる。ある特定の態様では、オリゴヌクレオチドプローブの染色体DNAへのハイブリダイゼーションパターンのスペクトル分析により、ECDNAにおけるDNAの染色体源の特定が可能になる。スペクトルシグネチャの比較、ある特定の態様では、染色体とECDNAとの間のスペクトルシグネチャの類似性の調査により、ECDNAに組み込まれるDNAの増幅領域源として特定の染色体DNAの特定がもたらされる。ある特定の態様では、プローブの染色体DNAへのハイブリダイゼーションから生じるバンディングパターンの分析により、研究対象の染色体における目的とする遺伝子および領域の特定がもたらされる。ある特定の態様では、複数のバンドがECDNAに組み込まれる原材料として特定されて、ECDNAに存在する配列をさらに特徴付ける場合、研究対象の染色体において関心対象として特定されたバンド(複数可)を使用して、特定のプローブまたはプローブのパネルの設計を知らせることができる。
【0207】
ECDNAの分析方法は、エピソームDNA、ベクター組み込みDNA、ならびに染色体に存在しない細胞内の任意の他のDNAに適用することができる。
【0208】
スペクトル分析
ある特定の態様では、スペクトル画像化および分析は、すべてのフルオロフォアに関する情報を1つの画像に捕捉する。いくつかの態様では、バンドが互いに近接しているため、隣接するバンドは互いにブリージングするように見える。ブリージングオーバーを追加のマーカーとして使用して、隣接するバンドからのブリードオーバーの存在およびブリードオーバーシグナルのバンドシグナルに対する比率に基づいて、バンド内の事象の局在性を改善することができる。
【0209】
指向性ゲノムハイブリダイゼーション(dGH)の拡大
ある特定の態様では、拡大顕微鏡法(Asano et al.(2018)Current Protocols in Cell Biology e56,Volume 80)をdGH試料に適用して、dGHの空間分解能を改善することができる。ある特定の態様では、拡大顕微鏡法は、試料を膨張性ヒドロゲルに包埋することと、その後、試料をヒドロゲルに化学的に結合させることを伴う。その後、試料を標識し、膨潤させ、画像化することができる。試料を膨潤させるプロセスは、空間(x、y、z)分解能を、拡大されていない試料の共焦点分解能または超分解能と同等のレベルに増加させる。したがって、事象、例えば、構造変異を局在化する能力の改善が達成される。
【0210】
ノード分析
対象DNA鎖の1つ以上の構造特徴を特定するための方法が本明細書に開示される。ある特定の態様では、かかる方法は、プロセッサに実装されている。一態様では、1つ以上の構造特徴を特定する方法は、対象DNA鎖の塩基対の少なくとも1つの配列を表すスペクトルプロファイルを受信することを含み、このスペクトルプロファイルは、対象DNA鎖の塩基の配列に対応する周波数データを含む。周波数データは、少なくとも2つの色チャネルに分割することができる。異なる態様では、位置データおよび強度データを含むが、これらに限定されない様々なデータが色チャネルに含まれる。スペクトルプロファイルは、位置データ、強度データ、ならびに少なくとも2つの色チャネルにおいて関心対象であると決定された他のデータを含むデータテーブルに変換することができる。対象DNA鎖についてこのように生成されたデータテーブルは、対応する対照DNA鎖の正常特徴および/または異常特徴を表す1つ以上の特徴ノードを含む参照特徴ルックアップテーブルと比較されて、対象DNA鎖の1つ以上の正常特徴および/または異常特徴を特定することができる。一態様では、特徴ノードは、開始塩基から始まり末端塩基で終わる対照DNA鎖の塩基部分配列を表す色バンドによって定義される。
【0211】
対象DNA配列のスペクトルプロファイル情報が対照または参照DNA配列との比較のために数値形式に変換されるノード分析は、本明細書に開示される指向性ゲノムハイブリダイゼーション法と併せて行うことができるか、または数値形式に変換可能なポリヌクレオチド配列データを提供する他の方法との関連で利用することができる。ある特定の態様では、参照または対照ルックアップテーブルは、単一の値表または複数の値表である。いくつかの態様では、異なる参照または対照ルックアップテーブルは、異なるゲノム領域に対応する値を提供する。ある特定の態様では、対象DNAからのルックアップテーブルの参照または対照ルックアップテーブルとの比較は、機械学習および/またはAIアルゴリズムによって行われる。対象DNA鎖からのスペクトルプロファイルデータの値は、対照または参照ルックアップテーブルの分析により特定のノードと関連している可能性がある。その後、一組のノードがノード分析により実行されて、関連する経路または影響された経路を見つけることができ、ここで、ノード間の関係は、以前に知られているものであるか、または分析によって決定されたものである。
【0212】
ある特定の態様では、対象DNA鎖からのスペクトルプロファイルデータは、後の比較および分析のためにメモリに格納されて、目的とする構造特徴を決定することができる。いくつかの態様では、スペクトルプロファイルデータは、関係データベース、グラフデータベース、ルックアップテーブル、または任意の他の生物情報データベース形式で格納することができる。
【0213】
いくつかの態様では、対象DNA鎖の目的とする特徴は、健常対照DNA鎖の特徴に対応する正常特徴として特徴付けることができる。いくつかの態様では、対象DNA鎖の目的とする特徴は、少なくとも1つの異常を表す参照DNA鎖の特徴に対応する異常特徴として特徴付けることができる。
【0214】
ある特定の態様では、スペクトルプロファイルデータは、空間的に並置されていないDNA領域から分析される。いくつかの態様では、スペクトルプロファイルデータは、空間的に近接したDNA領域に起源する。ある特定の態様では、スペクトルプロファイルデータは、プローブ配列、スペクトル、オリゴヌクレオチド密度、染色体、染色体アーム、バンドID、バンド配向、およびバンドカバレッジ(例えば、遺伝子領域)に基づいて一連のキーによってリンクされる。いくつかの態様では、ゲノム特徴は、バンド、バンドスペクトル、バンド配列、バンド配向、およびバンドに最も近いネイバーによって、またはプローブ、プローブスペクトル、プローブ配向、およびプローブに最も近いネイバーによって定義することができる。
【0215】
ある特定の態様では、特徴、染色体アーム、または染色体にわたる配列は、プローブ、バンド、または関心領域の5’末端から開始し、その後、3’末端に向かって連続して移動する各バンドのバンドスペクトル、サイズ、およびカバレッジを分析することによって定義することができる。いくつかの態様では、これらの特徴は、キーに変換され、これらは、データベースと比較されて、異常(aberration)または異常(abnormality)の位置および特徴を決定し、かつ拡大により、データベースのどのノードがそれらの異常(aberration)または異常(abnormality)に影響されているかを決定することができる。異常(aberration)または異常(abnormality)のいくつかの組み合わせは、特定の再配列事象を示し、例えば、異なる領域の同じスペクトルの余分なシグナルと組み合わせられた1つの領域内の切断されたバンドは、転座事象を示すであろう。
【0216】
スペクトルプロファイルデータは、グラフ理論、ノード分析、人工知能、機械学習(k近傍ネイバー、主成分分析などを含む)、およびニューラルネットワークを含むが、これらに限定されない任意の統計分析ツールを用いて分析またはメタ分析することができる。
【0217】
本明細書に開示される方法は、分析のために複数のタイプのデータをデータベースに組み込む方法と組み合わせることができる。ある特定の態様では、他のソースからのデータには、シーケンシング、ゲノミクス、トランスクリプトミクス、プロテオミクス、およびメタボロミクスが含まれるが、これらに限定されない。ある特定の態様では、逆位、姉妹染色分体交換、および他のdGH特異的データがシーケンシングデータに対して分析される。比較を、既知の公開されているシーケンシングデータに対して、または新規もしくは未公開のデータに対して行うことができる。
【0218】
いくつかの態様では、本明細書に開示される方法によって生成されたデータは、試料レベルおよびコホートまたは実験レベルの両方について、固有の反復する再配列および分析、メタ分析、またはノード分析を示す自動生成された表意文字を有する報告書に要約される。
【実施例
【0219】
以下の実施例は、本発明のいくつかの実施形態をより完全に説明するために提示される。しかしながら、それらは決して本発明の広範な範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。当業者であれば、本発明の趣旨から逸脱することなく、この発見の根底にある原理を容易に採用して、様々な化合物を設計することができる。
【0220】
実施例1
図6は、dGH用に調製した放射線曝露血液由来リンパ球試料由来の再配列された細胞における、染色体1、2、および3を標識する単色dGHペイントの例の画像を提供する。画像をASI走査顕微鏡システムで取得し、GenASIS細胞遺伝学ソフトウェアを使用してこれらの画像を見た。選択した分裂中期由来の染色体をそのソフトウェアでカリオグラムに編成し(全分裂中期広がりの原画像から染色体を垂直配向で表示し、それらを相同体対に編成する)、標識した染色体1、染色体2、および染色体3相同体対を分裂中期広がり原画像からトリミングして拡大した。全分裂中期広がりをトリミングして拡大したカリオグラムの下に提供した。この細胞には、彩色された染色体(染色体1、2、および3)を含む明らかな再配列が存在するが、シグナルスイッチが彩色されていない姉妹染色分体に対して観察される位置でのセグメント順序の参照なしでは、姉妹染色分体交換事象に対する真の構造バリアントの存在の確認は不可能であり、各染色体上で観察された事象のゲノム座標を決定することも不可能である。
【0221】
実施例2
BJ-5ta正常ヒト線維芽細胞株を使用した染色体2 dGH多色バンドパイロット実験。実験の説明:19個のユニーク配列オリゴプローブプールを、5つの異なるフルオロフォアを用いて交互の色パターンで標識した。各プローブプールは、染色体2の末端の最後のプローブプールを除いて、同じ数のオリゴを有し、これは、およそ1.6倍の量のオリゴを有した。染色体2にわたる利用可能なユニーク配列の分布に応じて、オリゴプールは、より長いまたはより短い一続きのDNAにわたって広がり、染色体2に固有の「フィンガープリントパターン」を作製した。各標識プールのbpでの開始から終了の位置(バンド)、各標識プールのbpでの総標的サイズ、1標識プール当たりのオリゴの数、およびDNAの標的領域にわたるフルオロフォアの密度分布について、表1を参照されたい。この表には、各発蛍光団の疑似色割り当ても含まれている(いくつかのフルオロフォア可視スペクトルの外側にあるため、かつ/またはオーバーレイで互いに視覚的に同様の色を有するため、各色チャネルに互いに別個のバンドの可視化を可能にする色を割り当てた。表内の色の順序および鋳型鎖割り当て(各姉妹染色分体に対応するワトソンおよびクリック)を描写している。「クリック」姉妹染色分体に割り当てられた色は青色であり、DAPI DNA染色の色を反映し、この実験ではプローブで標識されていないテロメア、テロメア周辺、およびセントロメア領域も同様である。バンドの色および鎖の割り当ては、正常分裂中期染色体2(dGH用に調製したもの)のゲノム座標を反映する。この予備実験では、バンドサイズは、900万~1500万塩基対(MB)の範囲であった。この実験では、分解能およびハイブリダイゼーションの質を確認するために、数個の対照プローブスポットを染色体8および染色体1の両方に含めた。この多色ペイントを伴う全ての実験に含まれる画像を白黒に変換しており、フルカラースペクトルを表およびバンドの出現の順序を使用して推測しなければならないことに留意されたい。
【表1】
【0222】
図7の画像Aおよび画像Bは、2つの別個の正常細胞分裂中期細胞由来の染色体2相同体対を示し、構造変異は存在しない(正常不死化ヒト線維芽細胞系統BJ-5ta)。画像をASI走査顕微鏡システムで取得し、GenASIS細胞遺伝学ソフトウェアを使用してこれらの画像を見た。選択した分裂中期由来の染色体をそのソフトウェアでカリオグラムに編成し(全分裂中期広がりの原画像から染色体を垂直配向で表示し、それらを相同体対に編成する)、標識した染色体2相同体対を分裂中期広がり原画像からトリミングして拡大した。
【0223】
加えて、異常シグナルパターンを示す2つの細胞(同じ細胞株を使用した同じ実験由来のもの)を画像化して分析した。図7の画像Cおよび画像Dは、姉妹染色分体交換から生じた1つの相同体の構造変異を示す、2つの別個の分裂中期細胞(正常な不死化ヒト線維芽細胞株BJ-5ta)由来の染色体2相同体を示す(色の順序は維持されるが、シグナルが反対側の姉妹染色分体上に存在する)。単色ペイントを使用する場合、テロメアプローブまたはテロメア周辺プローブが大きな逆位(誤複製)と姉妹染色分体交換(完全複製)事象とを区別するために必要であることに留意されたい。このタイプの事象の分類を、テロメア領域またはテロメア周辺領域に追加の姉妹染色分体組換え事象が存在する場合、単色ペイント+テロメア/テロメア周辺アプローチを使用して交絡させることができる。この新規実施形態は、構造再配列事象の検出および正確な分類の両方を可能にする。画像Cでは、右側の染色体2相同体は、SV二分バンド番号13の切断点でSCEを有し、右側の相同体は正常である。画像Dでは、左側の相同体は、バンド番号9とバンド番号10との間に生じる切断点でSCEを有し、右側の相同体は正常である。
【0224】
実施例3
前立腺がん治療のための電離放射線に最近曝露した血液由来リンパ球を使用した染色体2 dGH多色バンドパイロット実験。
【0225】
実施例1に記載のアッセイを使用して、色の順序が正常分裂中期染色体2のゲノム座標に対応するように交互の色パターンで標識した19個のユニーク配列オリゴプローブプール(各々、9MB~15MBに及ぶ)からなるdGHアッセイを、dGH用に調製した放射線曝露血液由来リンパ球試料に実行した。図4は、さもなければ特徴付けすることが不可能であろうと特定されたSVを有する分裂中期細胞由来の染色体2相同体対を示す。セントロメアの近くでより小さな偏動原体逆位(qアーム上の標識プールの大分部からの反対側の姉妹染色分体上の順不同のマゼンタプローブ)、およびより小さな偏動原体逆位に非常に接近してより大きな姉妹染色分体交換事象とともに、大きな挟動原体逆位が存在し(現在の細胞遺伝学的技法によって検出可能である可能性があるが、染色体の極めて遠位の末端で起こるバンド破壊の性質のため、見逃される可能性がある)、これらはすべて参照枠として交互の色を使用して説明することができる。色組み合わせオーバーレイ(図示)で可視化するのが困難な再配列は、各別個の色チャネル上の信号を見ることによって確認することができる。図4(2a、2b)に示されるように、この細胞がモノクロ染色体2 dGHペイントで標識されていた場合、この染色体は、小さな末端SCEまたは逆位(pアーム)および大きな逆位(qアーム)を有することを試み、存在する構造再配列の真の分類が見逃されていたであろうことに留意されたい。ハイブリダイズされた染色体対の画像を図4に示し、対応する表意文字を1aおよび1bとして示し、dGHモノクロペイントを描写する同じ表意文字を右側に示す。図4(1a)では、dGH用に調製し、多色バンドを有する染色体2 dGHペイントとハイブリダイズさせた、正常染色体2相同体を示す。図4(1b)では、複雑な構造再配列を有する同じ細胞由来の第2の染色体2相同体を示す。大きな挟動原体逆位が存在し、一方の切断点が2pのバンド1とバンド2との間に生じ、他方が2qの二分バンド18に生じる。2qのセントロメア近くに追加のより小さな偏動原体逆位が存在し、第1の切断点がバンド9とバンド10との間にあり、第2の切断点がバンド10とバンド11との間にある。小さな偏動原体逆位と同じ近位切断点を共有するバンド9とバンド11との間の大きな姉妹染色分体交換事象も存在し、バンドの順序で検証することができ、これは、依然として正しい番号順に現れるが、現在は一次ペイント(右の姉妹染色分体)の反対側の姉妹染色分体(左の姉妹染色分体)上にある。
【0226】
セグメントの順序を提供するための着色バンドなしでは、再配列を座標で特定することも説明することもできない。実際には、視覚的参照のために右側の概略図を使用して、染色体は小さな末端SCEまたは逆位(pアーム)および大きな逆位(qアーム)を有するように見え、存在する構造再配列の真の分類が誤って特定されていたであろう。
【0227】
実施例4
実施例2のアッセイ、細胞株、および画像化法を使用して、染色体2にわたるオリゴ密度分布とともに、各姉妹染色分体に沿ってスペクトル強度を測定し、プロットした。図8Aは、正常染色体2のハイブリダイゼーション、プローブ分布、および蛍光波長強度を示す。姉妹染色分体を「ワトソン」および「クリック」として描写している。両方の姉妹染色分体の色チャネルを測定した。姉妹染色分体クリックでは、示されたシグナル強度は、各チャネル上のバックグラウンドノイズを表し、実際のシグナル強度ピークはワトソンでみることができる。シグナル強度ピークは、オリゴ分布プロットおよび染色体画像オーバーレイの両方と一致する。染色体2の表意文字をゲノムの文脈で図8Aに提供する。図8Bは、染色体2で検出されたSCEのハイブリダイゼーション、プローブ分布、および蛍光波長強度を示す。姉妹染色分体を「ワトソン」および「クリック」として描写している。両方の姉妹染色分体の色チャネルを測定した。染色体2の表意文字をゲノムの文脈で図8Bに提供する。姉妹染色分体ワトソンおよびクリックでは、スペクトルプロファイル上のシグナルピークの有無は、各姉妹染色分体上の可視シグナルに垂直に対応する。SCEの切断点がバンド14を二分すると推定した(オレンジ色で示す)。シグナル強度ピークは、オリゴ分布プロットおよび染色体画像オーバーレイの両方と一致する。染色体2の表意文字をゲノムの文脈で図8Bに提供する。切断点領域IDを図8Bで推定した。
【0228】
実施例5
ラダー画像-序文:分裂中期広がり調製物における染色体凝縮(小型対長い)が細胞間および細胞調製物間で異なる。この材料変動を、dGHアッセイによってSV検出の分解能を決定する前の評価において説明しなければならない。例えば、より長く、より伸長したクロマチン構成では、近接して離間したプローブからのハイブリダイゼーションシグナルを別個のシグナルとして分解することができ、より小型の凝縮されたクロマチンでは、近接して離間したプローブからのハイブリダイゼーションシグナルは、単一の統合シグナルとして現れる。図9に示される分裂中期広がりでは、3つの別個のラダーアッセイを染色体にハイブリダイズした。1つ目のラダーは、各シグナルに寄与するオリゴの数に対する検出限界を測定し、染色体2のpアーム上でおよそ20mb離間している(画像内でラダー1とラベル付けしている)。第2のラダー(染色体2q)は、固定量のオリゴが散布することができる標的サイズを評価し、同様に約20MB離間しており、同様に検出限界を測定する(画像内でラダー2とラベル付けしている)。第3のラダー(以下に見られる、染色体1qにハイブリダイズされたもの)は、プローブを互いに近接して、かつさらに離れて離間させており、任意の所与の分裂中期広がりにおける近接した2つのスポットの分解能の評価を可能にする(画像内でラダー3とラベル付けしている)。これらのラダーをバンディングペイントからの逆DNA鎖に対して設計し、各広がりにおけるアッセイの分解能に対する内部対照として使用することができる。
【0229】
実施例6
単色バンディングdGHペイントおよび他の色での多色バンディングdGHペイントにおける脆弱部位に関連するAlu反復配列のプローブハイブリダイゼーションを含むアッセイを、dGH用に調製した分裂中期試料に実行することができる。Alu反復配列(参照ゲノムで特徴付けられ、マッピングされたもの)を、遺伝子調節に重要であることが知られている既知の脆弱部位および領域に強く関連している固有のバンディングパターンとして表示し、検出することができ、これにより、観察された既知のまたは新規再配列の近接性を既知の脆弱領域と比較することができるようになる。アッセイによって可視化された再配列した染色体に存在する構造バリアントがゲノムの既知の高リスク領域に関連するため、それらを使用して、表現型を遺伝子型に相関させることができる。
【0230】
実施例7
多色バンディングペイントを、目的とする標的を挟む領域に割り当てられた2つの特定の色バンドと組み合わせ、dGH用に調製した分裂中期試料に実行することができる。同じ視野で、目的とする標的を挟むこれらの2つの色を、特定の色チャネルの選択的分析により残りの染色体ペイントとは別個の特定の領域活性を示す細胞間標的プローブ「切断」アッセイとして間期細胞(核)に表示することができ、すべての細胞チェックポイントを通過しており、かつ分裂中期に入ることに成功した細胞とともに、細胞周期のG1期、S期、およびG2期の細胞の分析を可能にする。多くの場合、スライド調製時に分裂中期に存在する核よりも多くの間期核が試料中に存在し、存在するいずれの核も、分裂中期広がりと同時にプローブとハイブリダイズする。いくつかの種類のデータを、層状で、ゲノムの領域を別々に可視化するための特定の画像化法と合わせたときに、かつ分裂中期細胞および間期細胞の両方を含む試料においてそれらが互いに関連するため、単一のアッセイによって提供することができる。
【0231】
起源不明の大きな可視的ecDNAを有する実施例8Aのがん細胞株を、各ヒト染色体に対して固有の色を有するdGH全染色体ペイントとハイブリダイズさせることができる。増幅されてecDNAに含まれた染色体DNAは、起源染色体と同じ色(複数可)のシグナルを含む。特定された時点で、ecDNAにも存在する遺伝物質を含むことが知られている特定の染色体を、以前に特定された起源染色体に対応するバンディングペイント(複数可)との連続的なハイブリダイゼーションで実行することができる。標識ecDNAがバンディング染色体において特定のバンド色(複数可)に対応するため、領域またはDNA座標を特定することができる。座標を、ecDNAおよび対応する染色体の両方に出現する特定された起源領域に対する特定の標的プローブを用いてさらに精緻化することができ、ゲノムに対する潜在的に有害な変化を追跡および説明するために使用することができる。
【0232】
参照による組み込み
および変形に関する記述
本出願全体にわたるすべての参考文献、例えば、発行または付与された特許または等価物、特許出願刊行物、および特許以外の文献または他の原資料を含む特許文書は、各参照が本出願の本開示と少なくとも部分的に矛盾しない限り、参照により個別に組み込まれるかのように、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる(例えば、部分的に矛盾している参照は、参照の部分的に矛盾している部分を除いて、参照により組み込まれる)。
【0233】
本明細書で用いられている用語および表現は、限定するものではなく、説明するための用語として使用され、かかる用語および表現の使用において、図示および記載される特徴またはその一部分のいずれの等価物も除外する意図はないが、様々な修正が特許請求される本発明の範囲内で可能であることが認識される。したがって、本発明が、好ましい態様、例示的な態様、および任意選択的な特徴によって具体的に開示されているが、本明細書に開示される概念の修正および変形が当業者によって用いられてもよく、かかる修正および変形が添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲内であるとみなされることが理解されるべきである。本明細書に提供される特定の態様は、本発明の有用な態様の例であり、本発明を、本説明に記載の多種多様なデバイス、デバイス構成要素、方法、ステップを使用して実施されてもよいことが当業者には明らかであろう。当業者には明らかであろうように、本方法に有用な方法およびデバイスは、多数の任意選択的な組成物ならびに処理要素およびステップを含むことができる。
【0234】
本明細書に記載の全ての特許および刊行物は、本発明が属する当該技術分野における当業者の技能レベルを示すものである。本明細書に引用される参考文献は、それらの刊行日または出願日時点で当該技術分野の状況を示すために参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれ、必要に応じてこの情報を本明細書で用いて、先行技術にある特定の態様を除外することができることが意図される。例えば、組成物が特許請求される場合、実現可能な開示が本明細書に引用される参考文献に提供される化合物を含む、本出願人の発明よりも前に当該技術分野で既知であり、かつ利用可能な化合物が、本明細書で特許請求される組成物に含まれるようには意図されていないことが理解されるべきである。
【0235】
本明細書で使用される場合、「含む(comprising)」は、「含む(including)」、「含む(containing)」、または「を特徴とする」と同義であり、包括的であるか、または制約がなく、追加の列挙されていない要素または方法ステップを除外しない。本明細書で使用される場合、「からなる」は、特許請求の範囲の要素に明記されていないいずれの要素、ステップ、または成分も除外する。本明細書で使用される場合、「から本質的になる」は、特許請求の範囲の基本的および新規の特徴に実質的に影響を及ぼさない材料またはステップを除外しない。本明細書における各事例では、「含む(comprising)」、「から本質的になる」、および「からなる」という用語はいずれも、他の2つの用語のいずれかで置き換えられてもよい。本明細書に説明的に記載される本発明は、本明細書に具体的に開示されていない任意の要素(複数可)または制限(複数可)の不在下で好適に実施され得る。
【0236】
別途説明されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、開示される開示が属する当該技術分野の当業者によって一般に理解される意味と同じ意味を有する。単数形用語「a」、「an」、および「the」は、別途文脈が明確に示さない限り、複数の指示対象を含む。同様に、別途文脈が明確に示さない限り、「または」という言語は、「および」を含むよう意図されている。「含む(Comprising)」とは、「含む(including)」を意味し、それ故に、「AまたはBを含む(comprising)」は、「Aを含む(including)」または「Bを含む(including)」または「AおよびBを含む(including)」を意味する。本明細書に引用されるすべての参考文献は、参照により組み込まれる。
【0237】
当業者であれば、具体的に例示されているもの以外の出発材料、生体物質、試薬、合成法、精製法、分析法、アッセイ法、および生物学的方法を、過度の実験に頼ることなく本発明の実践で用いることができることを理解するであろう。いずれのかかる材料および方法のすべての当該技術分野で既知の機能的等価物は、本発明に含まれるよう意図されている。用いられている用語および表現は、限定するものではなく、説明するための用語として使用され、かかる用語および表現の使用において、図示および記載される特徴またはその一部分のいずれの等価物も除外する意図はないが、様々な修正が特許請求される本発明の範囲内で可能であることが認識される。したがって、本発明が、好ましい態様および任意選択的な特徴によって具体的に開示されているが、本明細書に開示される概念の修正および変形が当業者によって用いられてもよく、かかる修正および変形が添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲内であるとみなされることが理解されるべきである。
図1-1】
図1-2】
図1-3】
図1-4】
図2-1】
図2-2】
図2-3】
図2-4】
図3-1】
図3-2】
図3-3】
図3-4】
図4-1】
図4-2】
図4-3】
図4-4】
図4-5】
図5-1】
図5-2】
図5-3】
図5-4】
図6
図7-1】
図7-2】
図8A-1】
図8A-2】
図8A-3】
図8B-1】
図8B-2】
図8B-3】
図9
【国際調査報告】