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特表2023-504599トロカール用シールリング保護シート、エンドシール組立体及びトロカール
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-06
(54)【発明の名称】トロカール用シールリング保護シート、エンドシール組立体及びトロカール
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/34 20060101AFI20230130BHJP
【FI】
A61B17/34
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022528705
(86)(22)【出願日】2020-11-09
(85)【翻訳文提出日】2022-05-17
(86)【国際出願番号】 CN2020127613
(87)【国際公開番号】W WO2021109804
(87)【国際公開日】2021-06-10
(31)【優先権主張番号】201911235334.6
(32)【優先日】2019-12-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511051616
【氏名又は名称】チョウ,シン
【氏名又は名称原語表記】ZHOU,Xing
【住所又は居所原語表記】A601,Guangzhou International Business Incubator,Guangzhou Science Park,Guangzhou,Guangdong 510663,China
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】チョウ,シン
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160FF46
(57)【要約】
本発明のトロカール用シールリング保護シートは、位置決めスカート、支持シート及び曲面保護シートを含む。支持シートは上端が位置決めスカートの内側に接続され、下端が曲面保護シートの上端に接続される。曲面保護シートには、曲面保護シートの側面に設けられる弱化溝又は曲面保護シートの裏面に設けられる弱化模様である弱化領域が設けられる。弱化溝又は弱化模様と、曲面保護シートの底辺との間に易変形領域が形成される。手術器具の抜去時、易変形領域に優先的に変形運動が生じ、それによって、曲面保護シートの下端が手術器具の凸段又は凹溝に引っかかることが効果的に回避され、手術器具抜去時の抵抗が低減される。本発明のトロカール用シールリング保護シートを含むトロカールにより、手術中にロート型シールリングが手術器具によって破られることがないように良好なシール性を保証できるとともに、運動時の抵抗も低減でき、特に手術器具抜去時の運動抵抗を低減でき、手術器具運動時の滑らかさが効果的に保証される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トロカール用シールリング保護シート(2)であって、
位置決めスカート(201)、支持シート(202)、及び曲面保護シート(203)を含み、
A.前記位置決めスカート(201)は、位置決め孔(201-1)が設けられたシート状構造であり、前記位置決めスカート(201)の内側が前記支持シート(202)の上端に接続されており、
B.前記支持シート(202)は、シート状構造であり、前記支持シート(202)の上端が前記位置決めスカート(201)の内側に接続されており、前記支持シート(202)の下端が前記曲面保護シート(203)の上端に接続されており、
C.前記曲面保護シート(203)には、弱化領域(203-1)が設けられている、
トロカール用シールリング保護シート。
【請求項2】
前記弱化領域(203-1)は、曲面保護シート(203)の右側(203-2)に設けられている弱化溝(203-11)である、
請求項1に記載のトロカール用シールリング保護シート。
【請求項3】
前記弱化溝(203-11)は、前記曲面保護シート(203)の右側(203-2)の中部に位置し、
前記弱化溝(203-11)は、交差状態となる上辺線(203-11-1)と下辺線(203-11-2)とを含み、
前記下辺線(203-11-2)と前記曲面保護シート(203)の底辺との間の夾角αは、90°以下である、
請求項2に記載のトロカール用シールリング保護シート。
【請求項4】
前記弱化領域(203-1)は、曲面保護シート(203)の裏面に設けられている弱化模様(203-12)である、
請求項1に記載のトロカール用シールリング保護シート。
【請求項5】
前記弱化模様(203-12)は、ストリップ状の凹溝構造である、
請求項4に記載のトロカール用シールリング保護シート。
【請求項6】
前記弱化模様(203-12)と前記曲面保護シート(203)の底辺との間の夾角βは、10°~170°の範囲内に属する、
請求項4に記載のトロカール用シールリング保護シート。
【請求項7】
前記弱化模様(203-12)の深さhは、前記曲面保護シート(203)の厚さdよりも小さい、
請求項4に記載のトロカール用シールリング保護シート。
【請求項8】
前記曲面保護シート(203)と前記支持シート(202)との間の夾角は、90°以上である、
請求項1に記載のトロカール用シールリング保護シート。
【請求項9】
前記トロカール用シールリング保護シート(2)は、4つ又は4つ以上の前記トロカール用シールリング保護シート(2)を交互に積層して配置することで、ロート型保護シート組立体(21)を構成するように、形成されている、
請求項1に記載のトロカール用シールリング保護シート。
【請求項10】
前記トロカール用シールリング保護シート(2)は、8つの前記トロカール用シールリング保護シート(2)を45°ごとに交互に積層して配置することで、ロート型保護シート組立体(21)を構成するように、形成されている、
請求項9に記載のトロカール用シールリング保護シート。
【請求項11】
前記位置決めスカート(201)は、前記支持シート(202)に垂直である、
請求項1に記載のトロカール用シールリング保護シート。
【請求項12】
エンドシール組立体(20)であって、請求項1に記載のトロカール用シールリング保護シート(2)を含む、エンドシール組立体。
【請求項13】
前記エンドシール組立体(20)は、上押板(1)、保護シート(2)、波形シールリング(3)、位置決め座(4)、ロート状シールリング(5)、及び下押板(6)を含み、
隣接する2つの前記保護シート(2)が常に、曲面保護シート(203)の右側(203-2)がそれに隣接する保護シート(2)の曲面保護シート(203)の左側(203-3)を押え、かつ、前記曲面保護シート(203)の右側(203-2)が常に上層に位置し、前記曲面保護シート(203)の左側(203-3)が常に下層に位置する状態となるように、8つの前記保護シート(2)は、前記位置決め孔(201-1)によって、前記上押板(1)の位置決め柱(1-1)に交互に積層されて配置されるように取り付けられて、環状のロート型保護シート組立体(21)を構成し、
前記波形シールリング(3)の位置決め孔(3-1)が上押板(1)の位置決め柱(1-1)に嵌められ、前記環状のロート型保護シート組立体(21)が波形シールリング(3)と上押板(1)との間に取り付けられ、
前記位置決め座(4)に上位置決め孔(4-1)及び下位置決め孔(4-2)が設けられ、前記上押板(1)の位置決め柱(1-1)が前記位置決め座(4)の上位置決め孔(4-1)内に嵌合され、前記上押板(1)と前記位置決め座(4)との間に前記保護シート(2)及び前記波形シールリング(3)が順に取り付けられ、
前記ロート型シールリング(5)に位置決め孔(5-1)が設けられ、前記下押板(6)に位置決め柱(6-1)が設けられ、前記下押板(6)の位置決め柱(6-1)が前記ロート型シールリング(5)の位置決め孔(5-1)を通って前記位置決め座(4)の下位置決め孔(4-2)内に嵌合され、前記下押板(6)と前記位置決め座(4)との間に前記ロート状シールリング(5)が取り付けられている、
請求項12に記載のエンドシール組立体。
【請求項14】
トロカール(29)であって、請求項1に記載のトロカール用シールリング保護シート(2)を含む、トロカール。
【請求項15】
前記トロカール(29)は、請求項10に記載のエンドシール組立体(20)を含む、
請求項14に記載のトロカール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外科手術器具に関し、特に、腹腔鏡手術に使用されるトロカールのシールリング保護シート、エンドシール組立体及びトロカールに関する。
【背景技術】
【0002】
腹腔鏡手術は、益々広く適用されてきている。医原性感染を避けるために、腹腔鏡手術に使用される使い捨てトロカール(Trocar)の使用量も大きくなりつつある。手術器具の頻繁な出し入れにおいて、トロカールの動的シール性を保証することは、手術を円滑に進行させるための鍵となる。そして、手術の際に、様々な形状の手術器具が使用されるため、トロカールは、様々な形状の手術器具に適合でき、器具の出し入れが容易であることも求められている。また、器具運動の滑らかさを保証するために、器具の出し入れには低抵抗の維持が必要とされる。
【0003】
従来技術において、汎用の径方向シールリングはロート型シールリングである。長時間の手術中にシールリングが手術器具によって破られて漏洩することがないように、ロート型シールリングの上部にシールリング保護シートが取り付けられることは一般的であり、これにより、器具はトロカールを出入りする時に、保護シートの表面に沿って内向きに運動して径方向シールリングを通過することになる。シールリング保護シートの設計によって、シール性を維持しつつ、シールリングの厚さを極力減らすことができ、それによって、シールリングが器具の出入りに及ぼす抵抗は低減される。しかし、シールリング保護シート自体は、器具の出入りに運動抵抗を増やすことがある。特に、7字状鉗子、又は凸段や凹溝付きの手術器具のような異形な手術器具の場合、従来技術の保護シートは凸段又は凹溝に引っかかり、手術器具の挿入又は抜去時に、大きな抵抗がもたらされる。
【0004】
従って、従来のシールリング保護シートを改善し、シールリングに充分な保護性を提供するとともに、保護シートが器具の出入りに及ぼす運動抵抗をさらに低減する必要がある。
【発明の概要】
【0005】
本発明のトロカール用シールリング保護シートは、弱化領域という特別な設計によって、手術器具がトロカールに入れられる時、積層している保護シートはシールリングを保護することができ、手術器具が取り出される時、弱化領域の設計によって、保護シートの下端は、手術器具が取り出される過程において非常に引きやすく、めくりやすくなる。それによって、保護シートが手術器具の凸段又は凹溝に引っかかることが効果的に回避され、手術器具抜去時の運動抵抗が効果的に低減される。
【0006】
本発明は、位置決めスカート201、支持シート202及び曲面保護シート203を含むトロカール用シールリング保護シート2であって、A.前記位置決めスカート201は、位置決め孔201-1が設けられるシート状構造であり、前記位置決めスカート201の内側が前記支持シート202の上端に接続され、B.前記支持シート202は、上端が前記位置決めスカート201の内側に接続され、下端が前記曲面保護シート203の上端に接続されるシート状構造であり、C.前記曲面保護シート203には弱化領域203-1が設けられることを特徴とする、トロカール用シールリング保護シートである。
【0007】
前記弱化領域203-1によって、前記曲面保護シート203の下端に易変形領域20-3が形成され得、手術器具の抜去時、前記易変形領域20-3に優先的に変形運動が生じ、それによって、前記曲面保護シート203の下端が手術器具の凸段又は凹溝に引っかかることが効果的に回避され、手術器具抜去時の抵抗が低減される。
【0008】
前記弱化領域203-1は、曲面保護シート203の右側203-2に設けられる弱化溝203-11である。当然ながら、前記弱化溝203-11は、前記曲面保護シート203の左側に設けられてもよい。実際の応用において、前記弱化溝203-11の方向に応じて前記易変形領域20-3を上部に配置して、前記トロカール用シールリング保護シート2を交互に積層すればよい。
【0009】
前記弱化溝203-11は、前記曲面保護シート203の右側203-2の中部に位置し、交差状態となる上辺線203-11-1と下辺線203-11-2を含み、前記下辺線203-11-2と前記曲面保護シート203の底辺との間の夾角α≦90°である。
【0010】
前記下辺線203-11-2と前記曲面保護シート203の底辺との間の領域は前記易変形領域20-3として形成される。
【0011】
前記弱化溝203-11は、一般的に、前記曲面保護シート203の右側203-2の中部に位置し、好ましくは、前記右側203-2の高さの1/3から2/3の範囲に位置する。この高さで、シールリングに対する前記曲面保護シート203の保護作用を保証できるとともに、前記易変形領域20-3の変形力を十分に小さくすることができる。前記夾角α≦90°とすることで、前記易変形領域20-3の右側に略三角形の領域が形成され、外力の作用下において、三角形領域の先端角領域が力を受けると非常に容易に跳ね上げられて変形するため、手術器具が前記トロカール用シールリング保護シート2を速やかに越えて前記トロカール29から出ることができるように保証されている。
【0012】
前記弱化領域203-1は、前記曲面保護シート203の裏面に設けられる弱化模様203-12である。
【0013】
前記弱化模様203-12と前記曲面保護シート203の底辺との間の領域は前記易変形領域20-3として形成される。手術器具が取り出される時、最初に前記弱化模様203-12が力を受けて変形し、さらに前記易変形領域20-3がそれに連動して変形するため、手術器具は低抵抗で前記トロカール29から出ることができる。
【0014】
前記弱化模様203-12は、ストリップ状の凹溝構造であるが、波形の凹溝、又は複数の平行なストリップ状凹溝構造等他の様々な具体的な構造であってもよい。ここで出願人は一々例示しないが、それらはいずれも本願の保護範囲から逸脱するものではない。
【0015】
前記弱化模様203-12と前記曲面保護シート203の底辺との間の夾角βは10°~170°の範囲内である。前記夾角βは、好ましくは30°~60°の範囲内である。
【0016】
前記弱化模様203-12の深さhは、前記曲面保護シート203の厚さdより小さくなる。前記弱化模様203-12の深さhが前記保護シートの厚さdより小さくなることによって、手術器具がトロカール100に入る時、前記保護シート30との接触面が滑らかな表面であることが保証され、保護シールリングが手術器具によって破られることがなく、手術器具の入りに余分な抵抗をもたらすこともない。
【0017】
前記曲面保護シート203と前記支持シート202との間の夾角≧90°であり、一般的には90°~170°の範囲内である。
【0018】
4つ又は4つ以上の前記トロカール用シールリング保護シート2が交互に積層するように分布することで、ロート型保護シート組立体21を構成できる。
【0019】
さらに、8つの前記トロカール用シールリング保護シート2が45°ごとに交互に積層するように分布することで、ロート型保護シート組立体21を構成できる。8つの前記トロカール用シールリング保護シート2が45°ごとに交互に積層するように分布することによって、前記ロート型シールリング5の上部に、対称に分布する貼合せ作用が良好なロート型構造が良好に形成され得る。このような構造では、手術器具が通る時、8つの前記シールリング保護シート2が交互に積層して形成されるロート型保護シート組立体21によって、手術器具とシールリング5との接触面積が可能な限り減少されるため、シール性が保証されるとともに、器具運動の摩擦抵抗も可能な限り低減される。このような8つの前記シールリング保護シート2から形成されるロート型保護シート組立体21は最適化された最適構造である。
【0020】
前記位置決めスカート201は、前記支持シート202に垂直である。垂直構造の設計によって、前記支持シート202は前記上押板1の内壁に貼り合わせて懸下できるようになり、取り付けと位置決めの効果がより高くなる。
【0021】
エンドシール組立体20は、前記トロカール用シールリング保護シート2を含む。
【0022】
前記エンドシール組立体20は、上押板1、保護シート2、波形シールリング3、位置決め座4、ロート状シールリング5及び下押板6を含み、隣接する2つの前記保護シート2が常に、曲面保護シート203の右側203-2がそれに隣接する保護シート2の曲面保護シート203の左側203-3を押さえ、前記曲面保護シート203の右側203-2が常に上層に位置し、前記曲面保護シート203の左側203-3が常に下層に位置する状態となるように、前記位置決め孔201-1によって8つの前記保護シート2が前記上押板1の位置決め柱1-1に取り付けられ、こうして交互に積層するように分布することで環状のロート型保護シート組立体21を構成し、前記波形シールリング3の位置決め孔3-1が上押板1の位置決め柱1-1に嵌められ、前記環状のロート型保護シート組立体21が波形シールリング3と上押板1との間に取り付けられ、前記位置決め座4に上位置決め孔4-1と下位置決め孔4-2が設けられ、前記上押板1の位置決め柱1-1が前記位置決め座4の上位置決め孔4-1内に嵌合され、前記上押板1と前記位置決め座4との間に前記保護シート2と前記波形シールリング3が順に取り付けられ、前記ロート型シールリング5に位置決め孔5-1が設けられ、前記下押板6に位置決め柱6-1が設けられ、前記下押板6の位置決め柱6-1が前記ロート型シールリング5の位置決め孔5-1を通って前記位置決め座4の下位置決め孔4-2内に嵌合され、前記下押板6と前記位置決め座4の間に前記ロート状シールリング5が取り付けられる。
【0023】
前記エンドシール組立体20は、前記環状のロート型保護シート組立体21を採用したため、手術中に前記ロート型シールリング5が手術器具によって破られることがないことが保証されるとともに、運動時の抵抗も低減され、手術器具運動の滑らかさが効果的に保証される。
【0024】
トロカール29であって、前記トロカール用シールリング保護シート2を含むことを特徴とするトロカールである。
【0025】
前記トロカール29は、前記エンドシール組立体20を含む。
【0026】
前記トロカール29はシース管100及び穿刺ロッド200を含む。前記シース管100はエンドカバー101及びスリーブ組立体102を含む。前記エンドシール組立体20は、前記エンドカバー101の上ケース101-1と下ケース101-2との間に嵌合される。
【0027】
本発明のトロカール用シールリング保護シートは、位置決めスカート201、支持シート202及び曲面保護シート203を含む。前記支持シート202は上端が前記位置決めスカート201の内側に接続され、下端が前記曲面保護シート203の上端に接続される。前記曲面保護シート203には、曲面保護シート203の側面に設けられる弱化溝203-11又は曲面保護シート203の裏面に設けられる弱化模様203-12である弱化領域203-1が設けられる。前記弱化溝203-11又は前記弱化模様203-12と、前記曲面保護シート203の底辺との間に前記易変形領域20-3が形成される。手術器具の抜去時、前記易変形領域20-3に優先的に変形運動が生じ、それによって、前記曲面保護シート203の下端が手術器具の凸段又は凹溝に引っかかることが効果的に回避され、手術器具抜去時の抵抗が低減される。本発明のトロカール用シールリング保護シートを含むトロカールは、手術中に前記ロート型シールリング5が手術器具によって破られることがないように良好なシール性を保証できるとともに、運動時の抵抗も低減でき、特に手術器具抜去時の運動抵抗を低減でき、手術器具運動時の滑らかさが効果的に保証される。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】弱化溝を含む本発明のトロカール用シールリング保護シートの斜視構造模式図である。
図2】本発明のトロカール用シールリング保護シートの正面図である。
図2-1】図2の上面図である。
図2-2】図2の下面図である。
図2-3】図2の側面図である。
図2-4】図2の側面図である。
図3】8つの本発明のトロカール用シールリング保護シートからなる保護シート組立体である。
図3-1】図3の分解立体図である。
図3-2】図3の下面図である。
図3-3】図3-2の分解立体図である。
図3-4】図3の正面図である。
図3-5】図3のA-A断面図である。
図4】本発明のエンドシール組立体の上面図である。
図4-1】図4の正面図である。
図4-2】図4-1の下面図である。
図4-3】図4-1の上面視における斜視構造模式図である。
図4-4】図4-1の下面視における斜視構造模式図である。
図4-5】図4のB-B断面図である。
図4-6】図4-1の上面視における分解立体図である。
図4-7】図4-1の下面視における分解立体図である。
図5図4を含む本発明のトロカールの構造模式図である。
図6】弱化溝を含む本発明のトロカール用シールリング保護シートの斜視構造模式図である。
図6-1】図6の背面視における斜視図である。
図7】本発明のトロカール用シールリング保護シートの正面図である。
図7-1】図7の上面図である。
図7-2】図7の下面図である。
図7-3】図7の側面図である。
図7-4】図7の側面図である。
図8】8つの本発明のトロカール用シールリング保護シートからなる保護シート組立体である。
図8-1】図8の分解立体図である。
図8-2】図8の下面図である。
図8-3】図8-2の分解立体図である。
図8-4】図8の正面図である。
図8-5】図8のC-C断面図である。
図9】本発明のエンドシール組立体の上面図である。
図9-1】図9の正面図である。
図9-2】図9-1の下面図である。
図9-3】図9-1の上面視における斜視構造模式図である。
図9-4】図9-1の下面視における斜視構造模式図である。
図9-5】図9のD-D断面図である。
図9-6】図9-1の上面視における分解立体図である。
図9-7】図9-1の下面視における分解立体図である。
図10図9を含む本発明のトロカールの構造模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
<実施例1 弱化溝を含む本発明のトロカール用シールリング保護シート>
図1図3-5を参照し、本実施例において、前記トロカール用シールリング保護シート2は、位置決めスカート201、支持シート202及び曲面保護シート203を含む。
【0030】
前記位置決めスカート201は、位置決め孔201-1が設けられるシート状構造である。前記位置決めスカート201の内側が前記支持シート202の上端に接続される。前記位置決めスカート201は、前記支持シート202に垂直である。
【0031】
前記支持シート202は、上端が前記位置決めスカート201の内側に接続され、下端が前記曲面保護シート203の上端に接続されるシート状構造である。
【0032】
前記曲面保護シート203には弱化領域203-1が設けられる。
【0033】
前記弱化領域203-1によって、前記曲面保護シート203の下端に易変形領域20-3が形成され得、手術器具の抜去時、前記易変形領域20-3に優先的に変形運動が生じ、それによって、前記曲面保護シート203の下端が手術器具の凸段又は凹溝に引っかかることが効果的に回避され、手術器具抜去時の抵抗が低減される。
【0034】
図1図2-4を参照し、本実施例において、前記弱化領域203-1は、曲面保護シート203の右側203-2に設けられる弱化溝203-11である。当然ながら、前記弱化溝203-11は、前記曲面保護シート203の左側に設けられてもよく、実際の応用において、前記弱化溝203-11の方向に応じて前記易変形領域20-3を上部に配置して、前記トロカール用シールリング保護シート2を交互に積層すればよい。
【0035】
前記弱化溝203-11は、前記曲面保護シート203の右側203-2の中部に位置し、交差状態となる上辺線203-11-1と下辺線203-11-2を含み、前記下辺線203-11-2と前記曲面保護シート203の底辺との間の夾角α≦90°である。
【0036】
前記下辺線203-11-2と前記曲面保護シート203の底辺との間の領域は前記易変形領域20-3として形成される。
【0037】
図5を参照し、前記弱化溝203-11は、一般的に、前記曲面保護シート203の右側203-2の中部に位置し、好ましくは、前記右側203-2の高さの1/3から2/3の範囲に位置し、この高さで、シールリングに対する前記曲面保護シート203の保護作用を保証できるとともに、前記易変形領域20-3の変形力を十分に小さくすることができる。前記夾角α≦90°とすることで、前記易変形領域20-3の右側に略三角形の領域が形成され、外力の作用下において、三角形領域の先端角領域が力を受けると非常に容易に跳ね上げられて変形するため、手術器具が前記トロカール用シールリング保護シート2を速やかに越えて前記トロカール29から出ることができるように保証されている。
【0038】
前記曲面保護シート203と前記支持シート202との間の夾角αは90°より大きくなり、本実施例において、前記夾角αは120°~170°の範囲内である。
【0039】
前記位置決めスカート201は、前記支持シート202に垂直である。垂直構造の設計によって、前記支持シート202は前記上押板1の内壁に貼り合わせて懸下できるようになり、取り付けと位置決めの効果がより高くなる。
【0040】
図3図3-5を参照する。本実施例において、8つの前記トロカール用シールリング保護シート2が45°ごとに交互に積層するように分布することで、ロート型保護シート組立体21を構成する。8つの前記トロカール用シールリング保護シート2が45°ごとに交互に積層するように分布することによって、前記ロート型シールリング5の上部に、対称に分布する貼合せ作用が良好なロート型構造が良好に形成され得る。このような構造では、手術器具が通る時、8つの前記シールリング保護シート2が交互に積層して形成されるロート型保護シート組立体21によって、手術器具とシールリング5との接触面積が可能な限り減少されるため、シール性が保証されるとともに、器具運動の摩擦抵抗も可能な限り低減される。このような8つの前記シールリング保護シート2から形成されるロート型保護シート組立体21は最適化された最適構造である。
【0041】
前記弱化溝203-11と前記曲面保護シート203の底辺との間に前記易変形領域20-3が形成される。手術器具の抜去時、前記易変形領域20-3に優先的に変形運動が生じ、それによって、前記曲面保護シート203の下端が手術器具の凸段又は凹溝に引っかかることが効果的に回避され、手術器具抜去時の抵抗が低減される。
<実施例2 弱化模様を含む本発明のトロカール用シールリング保護シート>
【0042】
図6図8-5を参照し、本実施例と実施例1の相違点は、本実施例において、前記弱化領域203-1は、前記曲面保護シート203の裏面に設けられる弱化模様203-12である点である。
【0043】
図6-1を参照し、前記弱化模様203-12と前記曲面保護シート203の底辺との間の領域は前記易変形領域20-3として形成される。手術器具が取り出される時、最初に前記弱化模様203-12が力を受けて変形し、さらに前記易変形領域20-3がそれに連動して変形するため、手術器具は低抵抗で前記トロカール29から出ることができる。
【0044】
本実施例において、前記弱化模様203-12は、ストリップ状の凹溝構造であるが、波形の凹溝、又は複数の平行なストリップ状凹溝構造等他の様々な具体的な構造であってもよい。ここで出願人は一々例示しないが、それらはいずれも本願の保護範囲から逸脱するものではない。
【0045】
図6-1を参照し、前記弱化模様203-12と前記曲面保護シート203の底辺との間の夾角βは10°~170°の範囲内である。前記夾角βは、好ましくは30°~60°の範囲内である
【0046】
前記弱化模様203-12の深さhは、前記曲面保護シート203の厚さdより小さくなる。前記弱化模様30-1の深さhが前記保護シートの厚さdより小さくなることによって、手術器具がトロカール100に入る時、前記保護シート30との接触面が滑らかな表面であることが保証され、保護シールリングが手術器具によって破られることがなく、手術器具の入りに余分な抵抗をもたらすこともない。
【0047】
図8図8-5を参照し、本実施例において、8つの前記トロカール用シールリング保護シート2が45°ごとに交互に積層するように分布することで、ロート型保護シート組立体21を構成する。8つの前記トロカール用シールリング保護シート2が45°ごとに交互に積層するように分布することによって、前記ロート型シールリング5の上部に、対称に分布する貼合せ作用が良好なロート型構造が良好に形成され得る。このような構造では、手術器具が通る時、8つの前記シールリング保護シート2が交互に積層して形成されるロート型保護シート組立体21によって、手術器具とシールリング5との接触面積が可能な限り減少されるため、シール性が保証されるとともに、器具運動の摩擦抵抗も可能な限り低減される。このような8つの前記シールリング保護シート2から形成されるロート型保護シート組立体21は最適化された最適構造である。
【0048】
図10を参照し、前記弱化模様203-12は、前記曲面保護シート203の裏面に設けられる。このように、手術器具が入る時、前記曲面保護シート203の前面が積層して完全な保護面が形成されるため、前記シールリング5を、手術器具によって破られることからより良好に保護でき、使用中の安全性が非常に高い。
【0049】
実際の応用において、前記弱化溝203-11と前記弱化模様203-12は、手術器具が取り出される時の運動抵抗をさらに低減するように、共に前記トロカール用シールリング保護シート2に設けられてもよい。ここで出願人は更なる具体例を挙げて説明しないが、それらはいずれも本願の保護範囲から逸脱するものではない。
<実施例3 本発明のエンドシール組立体>
【0050】
図4図4-7を参照し、本発明のエンドシール組立体は、実施例1に記載のトロカール用シールリング保護シート2、及び前記トロカール用シールリング保護シート2からなる環状のロート型保護シート組立体21を含む。
【0051】
図4-6と図4-7を参照し、前記エンドシール組立体20は、上押板1、保護シート2、波形シールリング3、位置決め座4、ロート状シールリング5及び下押板6を含む。
【0052】
図3図3-5を参照し、隣接する2つの前記保護シート2が常に、曲面保護シート203の右側203-2がそれに隣接する保護シート2の曲面保護シート203の左側203-3を押さえ、前記曲面保護シート203の右側203-2が常に上層に位置し、前記曲面保護シート203の左側203-3が常に下層に位置する状態となるように、前記位置決め孔201-1によって8つの前記保護シート2が前記上押板1の位置決め柱1-1に取り付けられ、こうして交互に積層するように分布することで環状のロート型保護シート組立体21を構成する。
【0053】
図4図4-5を参照する。前記波形シールリング3の位置決め孔3-1が上押板1の位置決め柱1-1に嵌められ、前記環状のロート型保護シート組立体21が波形シールリング3と上押板1との間に取り付けられる。前記位置決め座4に上位置決め孔4-1と下位置決め孔4-2が設けられ、前記上押板1の位置決め柱1-1が前記位置決め座4の上位置決め孔4-1内に嵌合され、前記上押板1と前記位置決め座4との間に前記保護シート2と前記波形シールリング3が順に取り付けられる。前記ロート型シールリング5に位置決め孔5-1が設けられ、前記下押板6に位置決め柱6-1が設けられ、前記下押板6の位置決め柱6-1が前記ロート型シールリング5の位置決め孔5-1を通って前記位置決め座4の下位置決め孔4-2内に嵌合され、前記下押板6と前記位置決め座4の間に前記ロート状シールリング5が取り付けられる。
【0054】
図9図9-7を参照し、本発明のエンドシール組立体は、実施例2に記載のトロカール用シールリング保護シート2、及び前記トロカール用シールリング保護シート2からなる環状のロート型保護シート組立体21を含む。
【0055】
図9-6と図9-7を参照し、前記エンドシール組立体20は、上押板1、保護シート2、波形シールリング3、位置決め座4、ロート状シールリング5及び下押板6を含む。
【0056】
図3図3-5を参照し、隣接する2つの前記保護シート2が常に、曲面保護シート203の右側203-2がそれに隣接する保護シート2の曲面保護シート203の左側203-3を押さえ、前記曲面保護シート203の右側203-2が常に上層に位置し、前記曲面保護シート203の左側203-3が常に下層に位置する状態となるように、前記位置決め孔201-1によって8つの前記保護シート2が前記上押板1の位置決め柱1-1に取り付けられ、こうして交互に積層するように分布することで環状のロート型保護シート組立体21を構成する。
【0057】
図4図4-5及び図9図9-5を参照する。前記波形シールリング3の位置決め孔3-1が上押板1の位置決め柱1-1に嵌められ、前記環状のロート型保護シート組立体21が波形シールリング3と上押板1との間に取り付けられる。前記位置決め座4に上位置決め孔4-1と下位置決め孔4-2が設けられ、前記上押板1の位置決め柱1-1が前記位置決め座4の上位置決め孔4-1内に嵌合され、前記上押板1と前記位置決め座4との間に前記保護シート2と前記波形シールリング3が順に取り付けられる。前記ロート型シールリング5に位置決め孔5-1が設けられ、前記下押板6に位置決め柱6-1が設けられ、前記下押板6の位置決め柱6-1が前記ロート型シールリング5の位置決め孔5-1を通って前記位置決め座4の下位置決め孔4-2内に嵌合され、前記下押板6と前記位置決め座4の間に前記ロート状シールリング5が取り付けられる。
【0058】
前記エンドシール組立体20は、前記環状のロート型保護シート組立体21を採用したため、手術中に前記ロート型シールリング5が手術器具によって破られることがないことが保証されるとともに、運動時の抵抗も低減され、手術器具運動の滑らかさが効果的に保証され、特に、様々な異形の器具の挿入及び抜去に寄与する。
<実施例4 本発明のトロカール>
【0059】
図5図10を参照し、本実施例において、前記トロカール29は、実施例3に記載のエンドシール組立体20を含む。
【0060】
前記トロカール29はシース管100及び穿刺ロッド200を含む。前記シース管100はエンドカバー101及びスリーブ組立体102を含む。前記エンドシール組立体20は、前記エンドカバー101の上ケース101-1と下ケース101-2との間に嵌合される。
【0061】
用いられる穿刺ロッド200及びスリーブ組立体102の構造に関わらず、本実施例において前記トロカール29の核心は、前記トロカール29のエンドシール組立体20に、実施例1と実施例2に記載のトロカール用シールリング保護シート2が交互に積層することで構成する環状のロート型保護シート組立体21が用いられることである。
【0062】
前記トロカールのシールリング保護シート2の曲面保護シート203における前記弱化領域203-1の構造設計によって、手術中に前記ロート型シールリング5が手術器具によって破られることがないように良好なシール性を保証できるとともに、運動時の抵抗も低減でき、特に手術器具抜去時の運動抵抗を低減でき、手術器具運動時の滑らかさが効果的に保証される。
【0063】
なお、本明細書に開示、説明された構造の替わりに、他の効果が同じである構造を使用可能であり、また、本発明に挙げられた実施例は、本発明を実現する唯一の構造ではないことに注意されたい。本発明の好ましい実施例は、既に本明細書において挙げられ、説明されたが、これらの実施例が、例示として説明するためのものに過ぎないことは、当業者にとって明らかである。当業者であれば、本発明から逸脱することなく、様々な変更、改善及び置換を行うことができる。従って、本発明の保護範囲は、本発明の添付される特許請求の範囲の精神及び範囲によって限定されるものとする。
【符号の説明】
【0064】
図において
1:上押板、2:トロカール用シールリング保護シート、3:波形シールリング、4:位置決め座、5:ロート状シールリング、6:下押板、9:手術器具のチャネル、20:エンドシール組立体、21:保護シート組立体、29:トロカール。
トロカール用シールリング保護シートにおいて
201:位置決めスカート、202:支持シート、203:曲面保護シート、20-3:易変形領域。
201-1:位置決め孔。
203-1:弱化領域、203-2:曲面保護シートの右側、203-3:曲面保護シートの左側。
203-11:弱化溝、203-12:弱化模様。
203-11-1:上辺線、203-11-2:下辺線。
α:下辺線と曲面保護シートの底辺との間の夾角、β:弱化模様と曲面保護シートの底辺との間の夾角。
エンドシール組立体において
1-1:上押板の位置決め柱、3-1:波形シールリングの位置決め孔、4-1:位置決め座における上位置決め孔、4-2:位置決め座における下位置決め孔、5-1:ロート型シールリングにおける位置決め孔、6-1:下押板における位置決め柱。
トロカールにおいて
100:シース管、200:穿刺ロッド、101:エンドカバー、102:スリーブ組立体、101-1:上ケース、101-2:下ケース。
図1
【図
図2
図2-1】
図2-2】
図2-3】
図2-4】
図3
図3-1】
図3-2】
図3-3】
図3-4】
図3-5】
図4
図4-1】
図4-2】
図4-3】
図4-4】
図4-5】
図4-6】
図4-7】
図5
図6-1】
図7
図7-1】
図7-2】
図7-3】
図7-4】
図8
図8-1】
図8-2】
図8-3】
図8-4】
図8-5】
図9
図9-1】
図9-2】
図9-3】
図9-4】
図9-5】
図9-6】
図9-7】
図10
【国際調査報告】