(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-06
(54)【発明の名称】光源と、センサによる光の検出に基づいてセンサを移動させる手段とを有する医療撮像装置を備える医療システム
(51)【国際特許分類】
A61B 1/045 20060101AFI20230130BHJP
A61B 1/018 20060101ALI20230130BHJP
A61B 1/00 20060101ALI20230130BHJP
【FI】
A61B1/045 618
A61B1/018 515
A61B1/00 552
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022532757
(86)(22)【出願日】2020-12-02
(85)【翻訳文提出日】2022-06-24
(86)【国際出願番号】 US2020062911
(87)【国際公開番号】W WO2021113375
(87)【国際公開日】2021-06-10
(32)【優先日】2019-12-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506192652
【氏名又は名称】ボストン サイエンティフィック サイムド,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BOSTON SCIENTIFIC SCIMED,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】フラナガン、アイデン
(72)【発明者】
【氏名】クラーク、ブライアン
【テーマコード(参考)】
4C161
【Fターム(参考)】
4C161AA01
4C161BB04
4C161CC06
4C161DD03
4C161FF43
4C161GG15
4C161HH24
4C161HH51
4C161LL02
4C161WW02
4C161WW13
(57)【要約】
標的部位の画像を取得することによって、画像に基づいて標的部位の位置が判定されるように構成されている撮像装置を有する医療装置(110)を含む医療システム(100)を開示する。医療装置は、標的部位の位置へ光を方向付けるように構成されている光源を含み、医療システムは、プロセッサ(104)と、プロセッサによって実行されたときに、センサによる標的部位での光の検出に基づいて標的部位の位置に向かって医療器具(140)のセンサを移動させる命令を格納する非一時的コンピュータ可読媒体とを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
標的部位の画像を取得する撮像装置であって、前記標的部位の位置が前記画像に基づいて判断される、前記撮像装置と、
前記標的部位の前記位置へ光を方向付けるように構成されている光源と、
を含む医療装置と、
プロセッサと、非一時的コンピュータ可読媒体であって、前記プロセッサによって実行されたときに、前記プロセッサが、医療器具のセンサによる前記標的部位における前記光の検出に基づき前記標的部位の前記位置に向かって前記センサを移動させる命令を格納する、非一時的コンピュータ可読媒体と、
を備える、医療システム。
【請求項2】
前記センサによる前記標的部位における前記光の検出に基づき、前記センサは前記標的部位の前記位置に向かい前記撮像装置に対して相対移動可能である、請求項1に記載の医療システム。
【請求項3】
前記非一時的コンピュータ可読媒体に格納されている前記命令は、
前記プロセッサに、
前記標的部位に対する前記撮像装置の位置の変化を検出することと、
前記撮像装置に対する前記標的部位の前記位置を判定することと、
前記標的部位の前記位置に前記光を再方向付けすることと、
を行わせる、請求項1または2に記載の医療システム。
【請求項4】
前記プロセッサは、前記撮像装置によって定期的に取得される画像に基づいて前記標的部位に対する前記撮像装置の位置の変化を検出するように構成され、
前記プロセッサは、前記標的部位の前記位置を前記標的部位の元の位置と比較して位置の変化度を判定するように構成されている、
請求項3に記載の医療システム。
【請求項5】
前記プロセッサは、前記位置の変化度が、予めプログラムされた閾値を超えるか否かを判定するように構成されている、請求項4に記載の医療システム。
【請求項6】
前記光源は、レーザービームを生成する源を含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の医療システム。
【請求項7】
前記撮像装置は、カメラを含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の医療システム。
【請求項8】
医療器具をさらに備えており、前記センサは、光検出器、フォトダイオード、および電荷結合素子(CCD)のうちの少なくとも1つを含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の医療システム。
【請求項9】
前記センサは、前記標的部位における前記光の検出に応答してフォトダイオード信号を生成するように構成されている、請求項1~8のいずれか1項に記載の医療システム。
【請求項10】
前記センサによって生成される前記フォトダイオード信号の強さは、前記センサが前記光から第1距離に位置するときに、より大きい強度を含み、前記センサが前記光から第2距離に位置するときに、より小さい強度を含み、
前記第1距離は前記第2距離よりも小さい、請求項9に記載の医療システム。
【請求項11】
前記医療装置は、前記光源によって生成される前記光を前記標的部位の前記位置に向かって反射するように構成されている鏡を含む、請求項1~10のいずれか1項に記載の医療システム。
【請求項12】
前記鏡は、前記プロセッサが前記標的部位に対する前記撮像装置の位置変化の検出に応答して前記標的部位の前記位置に向けて前記光を再方向付けするために移動するように構成されている、請求項11に記載の医療システム。
【請求項13】
前記鏡は、2つの軸に沿って前記光を反射するように構成されているマイクロミラー(MEMsミラー)を含む、請求項11または12に記載の医療システム。
【請求項14】
前記鏡は、前記医療装置の前記光源に隣接して配置される、請求項11~13のいずれか1項に記載の医療システム。
【請求項15】
前記プロセッサは、前記標的部位の前記位置を示す、前記撮像装置によって取得された画像に沿った視覚的識別子を生成するように構成されている、請求項1~14のいずれか1項に記載の医療システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療装置追跡システム、装置、および関連方法に関する。より詳細には、本発明は、医療装置の位置決めを容易にするために内視鏡的処置中に患者内の1つ以上の標的部位の位置を特定するための、システム、装置、および関連方法に関する。
【背景技術】
【0002】
技術的な発展により、医療システム、装置および方法の使用者に、複雑さを増す処置を患者に対して行うことが可能になってきている。他の外科処置の中でもとりわけ、内視鏡検査法等の低侵襲手術の分野における1つの課題は、患者の体内の標的部位(総胆管に開口している膨大部等)の挿管に関連している。医療装置を患者内の標的部位に正確に配置することは、標的部位の可視化の欠如および標的部位に対する医療装置の位置決めについての制御の欠如によって難しくなる。患者の標的治療部位への内視鏡の位置決めに安定性を付与する際の医療装置の欠点は、処置を長引かせたり、その有効性を制限したり、医療装置の不整合もしくは不安定性によって患者に傷を負わせたりする可能性がある。これらの困難性またはその他関連問題の1つ以上に対処する装置および方法が必要である。
【発明の概要】
【0003】
本発明は、標的識別ロジックを含む医療システムを用いて標的治療部位に医療装置を位置決めするためのシステム、装置、および方法に関する。本明細書で開示される各態様は、他の開示態様のいずれかに関連して記載される1つ以上の特徴を含み得る。
【0004】
一実施例によると、医療システムは、標的部位の画像を取得するように構成されている撮像装置を有する医療装置を含む。標的部位の位置は、画像に基づいて判定される。医療装置は、さらに、標的部位の位置へ光を方向付けるように構成されている光源と、プロセッサと、プロセッサによって実行されたときに、プロセッサに、センサによる標的部位での光の検出に基づいて標的部位の位置に向かって医療器具のセンサを移動させる命令を格納する非一時的コンピュータ可読媒体とを含む。
【0005】
本明細書に記載される医療システムのいずれも、以下の特徴の任意の1つを有し得る。センサは、センサによる標的部位での光の検出に基づいて標的部位の位置に向かって撮像装置に対して移動可能である。非一時的コンピュータ可読媒体に格納されている命令は、プロセッサに、標的部位に対する撮像装置の位置の変化を検出することと、撮像装置に対する標的部位の位置を判定することと、および標的部位の位置に光を再方向付けすることと、を行わせる。プロセッサは、撮像装置によって定期的に取得される画像に基づいて標的部位に対する撮像装置の位置の変化を検出するように構成されている。プロセッサは、標的部位の位置を標的部位の元の位置と比較して位置の変化度を判定するように構成されている。プロセッサは、位置の変化度が、予めプログラムされた閾値を超えたか否かを判定するように構成されている。光源は、レーザービームを生成する源を含む。撮像装置は、カメラを含む。医療システムは、医療器具を含み得、センサは、光検出器、フォトダイオード、および電荷結合素子(CCD:charged coupled device)のうちの少なくとも1つを含む。センサは、標的部位での光の検出に応答してフォトダイオード信号を生成するように構成されている。センサによって生成されるフォトダイオード信号の強さは、センサが光から第1距離のところに位置してときに、より大きい強度を含み、光から第2距離のところに位置しているときに、より小さい強度を含む。第1距離は第2距離よりも小さい。医療装置は、光源によって生成される光を標的部位の位置に向かって反射するように構成されている鏡を含む。鏡は、プロセッサによる標的部位に対する撮像装置の位置変化の検出に応答して標的部位の位置に向けて光を再方向付けするために移動するように構成されている。鏡は、2つの軸に沿って光を反射するように構成されているマイクロミラー(MEMsミラー)を含む。鏡は、医療装置の光源に隣接して配置される。プロセッサは、標的部位の位置を示す、撮像装置によって取得された画像に沿った視覚的識別子を生成するように構成されている。
【0006】
別の実施例によると、医療システムは、標的部位の画像を取得するように構成されている撮像装置と、標的部位へ光を方向付けるように構成されている光源とを含む医療装置を含む。医療システムは、医療装置に対して移動可能な医療器具を含む。医療器具は、標的部位で光を検出するように構成されているセンサを含む。医療器具は、センサによる標的部位での光の検出に応答して標的部位に向かって移動可能である。
【0007】
本明細書に記載される医療システムのいずれも、以下の特徴の任意の1つを有し得る。医療システムは、撮像装置によって取得された画像に基づいて標的部位に対する医療装置の移動を検出するように構成されているプロセッサを含み得る。光源は、検出された医療装置の移動に基づいて光を再方向付けするように構成されている。医療装置は内視鏡または十二指腸内視鏡であり、医療器具はカテーテルである。
【0008】
別の実施例によると、標的部位に向かって医療器具を移動させる方法は、撮像装置を用いて標的部位の画像を取得することを含む。標的部位の第1位置は、画像に基づいて判定される。方法は、光源によって第1位置に光を伝送することと、医療器具のセンサによって第1位置において入射する光を検出することと、センサによる第1位置における入射光の検出に基づいて、標的部位に向かって医療器具を移動させることと、を含む。
【0009】
本明細書に記載される医療システムを使用する方法のいずれも、以下の工程および/または要素の任意の1つを有し得る。方法は、標的部位内での医療装置の移動の検出に応答して標的部位の第2位置を判定するために撮像装置を用いて標的部位の画像を取得することと、光源からの光を第2位置に再方向付けすることと、センサによる第2位置での光の検出に基づいて標的部位に向かって医療器具を移動させることと、を含む。
【0010】
上記一般的な説明および以下の詳細な説明の両方は、例示的かつ説明的なものにすぎず、特許請求されるように、本発明を限定するものではない。
この明細書に組み込まれてその一部を構成する添付の図面は、本開示の例示的な態様を例示し、説明とあわせて、本発明の原理を説明するのに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の態様に係る、例示的な医療システムを示す概略図。
【
図2】本発明の態様に係る、
図1の医療システムの医療装置を示す部分斜視図。
【
図3】本発明の態様に係る、
図1の医療システムの医療器具を示す部分斜視図。
【
図4】本発明の態様に係る、患者の標的部位に配置された
図1の医療システムを示す概略図。
【
図5A】本発明の態様に係る、患者の標的部位の位置特定を含む画像。
【
図5B】本発明の態様に係る、光ビームを用いた
図5Aの標的部位のマーキングを含む画像。
【
図5C】本発明の態様に係る、医療システムの移動時の、光ビームを用いた標的部位のマーキングを含む画像。
【
図6】本発明の態様に係る、
図1の医療システムを用いて標的部位の位置を特定する例示的な方法を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施形態は、体内の標的部位において1つ以上の器具または医療装置の位置を特定したり、追跡したり、操縦したりするシステム、装置および方法を含む。ここで、本発明の態様を詳細に参照するが、その例が添付の図面において示されている。可能な限り、複数の図面に亘って、同一または同様の部分を参照するために同一または同様の参照符号が使用される。「遠位」という用語は、装置を患者内に導入するときに使用者から最も遠い部分を指す。対照的に、「近位」という用語は、装置を患者内に配置するときに使用者に最も近い部分を指す。本明細書で使用される場合、用語「備える」、「備えている」、またはそれらの他の変形は、非排他的包含をカバーすることが意図されており、それにより、要素のリストを備える処理、方法、物品、または装置には、必ずしもそれらの要素だけが含まれるのではなく、明示的にリストされていない、またはそのような処理、方法、物品、または装置に固有ではない他の要素が含まれ得る。「例示的」という用語は、「理想」ではなく「例」の意味で使用される。本明細書で使用される場合、「約」、「実質的に」、および「ほぼ」という用語は、記載された値の+/-10%以内の値の範囲を示す。
【0013】
本発明の実施形態は、例えば、標的識別ロジックを有する医療システム等の医療システムを用いて、標的部位の位置を特定するために使用され得る。例えば、いくつかの実施形態は、撮像装置および光源を医療装置と組み合わせて、標的部位の位置を特定する。撮像装置は、標的部位の画像を取得し得、光源は、画像に基づいた標的部位の位置特定に応答して標的部位へ光を方向付け得る。医療システムの標的識別ロジックは、医療装置の移動を検出し、応答して医療装置に対する標的部位の調整された位置を判定して、それによって光源からの光を標的部位の位置に向けて再方向付けし得る。
【0014】
本発明の実施形態は、様々な医療処置を行ったり、大腸(結腸)、小腸、盲腸、食道、胃腸管の任意の他の部分および/または任意の他の適切な患者の生体構造(総称して、本明細書では「標的治療部位」という)を治療したりするための、装置および方法に関する。本明細書で説明される様々な実施形態は、単回使用または使い捨ての医療装置を含む。ここで、上記で説明し、かつ添付の図面に例示する本発明の実施例を詳細に参照する。可能な限り、図面を通して、同一または同様な部分を参照するために同一の参照符号が使用される。
【0015】
図1は、本発明の実施形態にかかる、例示的な医療システム100の概略図を示す。医療システム100は、画像処理装置102と、医療装置110と、医療器具140とを含む。画像処理装置102は、ケーブル118を介して、医療装置110に対して通信可能に接続され得る。他の実施形態においては、画像処理装置102が医療装置110と無線通信され得る。実施形態において、画像処理装置102は、データを受信および監視すること、1つ以上の特徴(例えば、標的部位)の画像を正確に表示すること、および/または本明細書で説明される他の情報を処理することを可能にする複数のハードウェアコンポーネントを組み込んでいるコンピュータシステムである。画像処理装置102のハードウェアコンポーネントは、少なくとも1つのプロセッサ104と、少なくとも1つのメモリ106とを含み得る。
【0016】
画像処理装置102のプロセッサ104は、機械可読命令を実行することが可能な任意の計算装置を含み得、該命令は、例えば、画像処理装置102のメモリ106等の非一時的コンピュータ可読媒体に格納され得る。例として、プロセッサ104は、プログラムを実行するために必要な計算および論理演算を行うように動作可能な、コントローラ、集積回路、マイクロチップ、コンピュータ、および/または任意の他のコンピュータ処理ユニットを含み得る。本明細書でより詳細に説明するように、プロセッサ104は、例えば、メモリ106に格納されている標的識別ロジック108等の命令に従って1つ以上の演算を行うように構成されている。
【0017】
画像処理装置102のメモリ106は、例えば、標的識別論理108等の機械可読命令を内部に格納する非一時的コンピュータ可読媒体である。以下にさらに詳細に説明するように、標的識別ロジック108は、医療器具140が標的部位またはその付近で1つ以上の処置を実施するために、ロックオン(lock onto)して進むべき標的部位の位置を医療装置110に追跡させる実行可能命令を含み得る。医療システム100の演算を支援する様々なプログラミングアルゴリズムおよびデータが全体的または部分的にメモリ106に存在する。メモリ106は、例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、フラッシュメモリ、ハードドライブ、および/または機械可読命令を格納することが可能な任意の装置等、データおよびアルゴリズムを格納するのに適した任意のタイプのコンピュータ可読媒体を含み得る。メモリ106は、以下に限定されるものではないが、医療システム100の1つ以上の構成要素(例えば、医療装置110、医療器具140等)からの画像データ109などの1つ以上のデータセットを含み得る。
【0018】
引き続き
図1を参照すると、医療装置110は、例えば医療器具140等、患者に対する医療システム100の1つ以上の構成要素の位置決めを容易にするように構成され得る。実施形態において、医療装置110は、任意の種類の内視鏡であり、ハンドル112、駆動機構114、少なくとも1つのポート116、およびシャフト120を含み得る。医療装置110のハンドル112は、医療システム100の1つ以上の他の構成要素のルーメンと連通する1つ以上のルーメン(図示せず)を有し得る。ハンドル112は、さらに、ハンドル112の1つ以上のルーメンの中に開口している少なくとも1つのポート116を含む。本明細書でさらに詳細に説明するように、少なくとも1つのポート116は、例えば医療システム100の医療器具140等、該ポート116を通って1つ以上の器具を受容するようなサイズおよび形状にされている。
【0019】
医療装置110のシャフト120は、標的治療部位まで患者の蛇行性生体構造の中に、および/または生体構造の中を通って挿入されたときに選択的に屈曲したり、回転したり、捻転したりするように、十分な弾力性のあるチューブを含み得る。シャフト120は、例えば、器具(例えば、医療器具140)を受容するための作業用ルーメンを含む、該シャフト120を貫通して延びている1つ以上のルーメン(図示せず)を有し得る。他の実施形態において、シャフト120は、1つ以上の遠位部分/器具(例えば、関節ジョイントおよび起子を含む)を駆動させるための1本以上の制御ワイヤを受容するための制御ワイヤルーメン、流体を送達するための流体ルーメン、照明アセンブリ(図示せず)の少なくとも一部を受容するための照明ルーメン、および/または撮像アセンブリ(図示せず)の少なくとも一部を受容するための撮像ルーメン等の、追加のルーメンを含み得る。
【0020】
引き続き
図1を参照すると、医療装置110は、さらに、シャフト120の遠位端に先端部122を含み得る。いくつかの実施形態において、先端部122はシャフト120の遠位端に装着され得るが、他の実施形態では、先端部122はシャフト120と一体をなし得る。例えば、先端部122は、内部にシャフト120の遠位端を受容するように構成されているキャップを含み得る。先端部122は、シャフト120の1つ以上のルーメンと連通している1つ以上の開口部を含み得る。例えば、先端部122は、医療器具140がシャフト120の作業用ルーメンから出得る作業用開口部124を含み得る。他の実施形態において、シャフト120の先端部122は、例えば、内部を通過して流体がシャフト120の流体ルーメンから放出され得る流体開口部もしくはノズル、内部を通過して光が放射され得る照明開口部/窓、および/または画像を生成するために撮像装置によって使用される光を受容するための撮像開口部/窓等、内部に追加の開口部および/またはより少ない開口部を含み得る。
【0021】
医療装置110の駆動機構114はハンドル112上に配置され、1つ以上のつまみ、ボタン、レバー、スイッチ、および/または他の適切なアクチュエータを含み得る。駆動機構114は、シャフト120の偏向(例えば、制御ワイヤの駆動により)、流体の送達、照明の放射、および/または様々な撮像機能のうちの少なくとも1つを制御するように構成されている。本明細書でより詳細に説明するように、いくつかの実施形態において、医療装置110は、先端部122で医療装置110の起子126を駆動させるための1本以上の制御ワイヤを含む(
図2~
図3を参照)。したがって、医療装置110の使用者は、駆動機構114を操作して、1本以上の制御ワイヤに対して引く力および押す力のうちの少なくとも一方を付与して、起子126の姿勢を制御して、起子126に隣接する器具(例えば、医療器具140)の姿勢を制御する。
【0022】
引き続き
図1を参照すると、医療システム100の医療器具140は、近位端と遠位端144との間に長尺体142を有する、カテーテルを含む。ハンドル141は、長尺体142の近位端にある。医療器具の長尺体142は、医療器具140が医療装置110の作業用ルーメンの中に挿入されるときに屈曲したり、回転したり、捻転したりするように、可撓性を有する。医療器具140のハンドル141は、長尺体142を移動、回転および屈曲させるように構成され得る。さらに、ハンドル141は、医療器具140の長尺体142の中を通って1つ以上の器具を受容するようなサイズにされている、1つ以上のポート(図示せず)を画定し得る。医療装置110は、少なくとも1つのポート116を経由して、シャフト120の中を通って、作業用ルーメンを経由して先端部122の作業用開口部124まで医療器具140を受容するように構成されている。この場合、以下さらに詳細に説明するように、医療器具140は、作業用開口部124から遠位側に、先端部122の周囲の環境(例えば、患者の標的治療部位等)の中にまで延び得る。医療器具140の遠位端144は、シャフト120の作業用ルーメンの中を通って長尺体142が並進することに応答して作業用開口部124から遠位側に延び得る。他の実施形態では、医療器具140が、ガイドワイヤ、切開または把持鉗子、生検装置、スネアループ、注射針、切開刃、はさみ、引き込み可能なバスケット、回収装置、アブレーションカテーテルおよび/または電気生理(エレクトロフィジオロジー)カテーテルのうちの少なくともいずれか一方、ステント留置装置、外科医用縫合装置、バルーンカテーテル、レーザー放射装置、撮像装置、および/または任意の別の適切な器具を含むがこれだけに限定されない、本明細書で示し、および説明されるもの以外の様々な他の装置を含み得る。
【0023】
ここで
図2を参照すると、医療器具140が作業用開口部124から省略されて、シャフト120の先端部122が描かれている。先端部122は、作業用開口部124に隣接して配置されてシャフト120の作業用ルーメン内に部分的に配置されている起子126を含む。起子126は、本明細書では不駆動姿勢で図示および説明されており、ハンドル112の駆動機構114の駆動により、起子126は、駆動姿勢(
図3を参照)に延伸され得る。以下さらに詳細に説明するように、起子126は、駆動位置にあるときに、作業用開口部124から外側にシャフト120の作業用ルーメンの中を通って受容される器具(例えば、医療器具140)を位置決めするように構成されている。
【0024】
医療装置110の先端部122は、さらに、光源128と、撮像装置130と、シャフト120の作業用開口部124に隣接して配置されているレーザー132とを含む。実施形態において、医療装置110の光源128は、シャフト120の先端部122から外方に向かって光を方向付け、それによって、例えば、医療装置110が位置し得る患者の標的治療部位等の、先端部122の周囲の環境を照射するように構成されるとともにそのように動作可能である(
図5A~
図5Cを参照)。光源128は、例えば、発光ダイオード(LED)または同様なもの等の発光体を含み得る。医療装置110の撮像装置130は、先端部122の周囲の環境(例えば、患者の標的治療部位等)の画像を取得するように構成されるとともにそのように動作可能である(
図5A~
図5Cを参照)。いくつかの実施形態において、撮像装置130は、高解像度撮像が可能なカメラを含み得る。他の実施形態では、医療装置110が、別個の撮像装置がシャフト120の中を通って医療装置110によって受容されるように、先端部122上の撮像装置130を完全に省き得る。
【0025】
引き続き
図2を参照すると、医療装置110のレーザー132は、シャフト120の先端部122から外方に向かって光/レーザービームを生成するように構成されるとともにそのように動作可能である。いくつかの実施形態において、レーザー132は、さらに、光/レーザービームを所定の位置に選択的に方向付け、それによって予め定められた位置を光/レーザービームでマークするように構成されている。レーザー132によって生成される光/レーザービームは、光源128および医療システム100の任意の他の構成要素の少なくともいずれか一方によって放射される光に対して独立して操縦可能にし得る。以下にさらに説明するように、患者の体内の標的部位は、処置における医療システム100の使用中に、標的部位の位置を追跡するために、レーザー132からの光/レーザービームでマークされ得る(
図5A~
図5Cを参照)。
【0026】
いくつかの実施形態において、医療装置110は、さらに、シャフト120の先端部122に沿っておよび隣接してのうちの少なくともいずれか一方で配置される鏡を含み得る。医療装置110の鏡は、レーザー132に隣接して配置されることによって、鏡がレーザー132によって放射される光のビームと一致するように一体構造を形成し得る。実施形態において、医療装置110の鏡は、レーザー132によって生成される光/レーザービームを標的部位の所定の位置に向けて選択的に反射する。医療装置110の鏡は、レーザー132およびシャフト120の先端部122のうちの少なくともいずれか一方に対して移動したり、枢動したり、並進したり、回転したりして、それによって光/レーザービームを標的部位の所定の位置に再方向付けする。実施形態において、鏡は、2つの軸(例えば、座標軸のx-y方向)に沿って、および約32度までの範囲に及ぶ光学走査角のうちの少なくともいずれか一方で、光/レーザービームを反射するように構成されているマイクロミラー(MEMSミラー)を含む。以下さらに詳細に説明するように、標的部位の所定の位置は、医療装置110の撮像装置128によって取得される画像(例えば、画像データ109)に基づいて判定され得る。
【0027】
図3に示すように、医療器具140は、起子126が医療器具140の長尺体142に係合された状態で、シャフト120の先端部122から外方に向かって延びて描かれている。起子126が駆動姿勢にあるときに、起子126の前面が医療器具140の長尺体142に係合し、それによって遠位端144が作業用開口部124から側方に外方に偏向する。いくつかの実施形態において、起子126の前面は、医療器具140の長尺体142の偏向および屈曲の両方または一方を容易にする湾曲を有する。起子126は、本発明の範囲から逸脱することなく、本明細書で図示および説明されるもの以外の様々な形状、サイズ、および/または構成を含み得る。
【0028】
医療器具140は、さらに、遠位端144に隣接して長尺体142に沿って配置されるセンサ146を含む。実施形態において、センサ146は、医療器具140の遠位向き面および最遠位面の両方または一方に設置され得る。医療器具140のセンサ146は、医療器具140の遠位端144および/または遠位端144に近接して存在する、1つ以上の物体、性質、特性、および/または特徴を検出するように構成されている。例として、いくつかの実施形態において、センサ146は、医療装置110の光源128によって生成される光等の光を検出するように構成され得る。他の実施形態では、センサ146は、医療装置110のレーザー132によって生成される光/レーザービーム、例えば、光/レーザービーム132が入射する標的部位上の地点を検出するように構成され得る。センサ146は、光検出器、フォトダイオード、電荷結合素子(CCD)、および様々な他の適切な検出器のうちの少なくとも1つを含み得る。
【0029】
実施形態において、センサ146は、光を電流に変換するように構成されている4分割フォトダイオードを含む。本明細書でより詳細に説明するように、実施形態において、センサ146は、レーザー132によって標的部位へ指向する光/レーザービームの検出に応答してその標的部位の所定の位置を特定する(
図5A~
図5Cを参照)。いくつかの実施形態において、センサ146は、センサ146に通信可能に接続されるファイバが遠位端144に隣接して配置された状態で、医療器具140のハンドル141に隣接して長尺体142の近位端に沿って配置され得る。この場合、医療器具140の遠位端144は、比較的小さい外形を有し得る。別の実施形態では、医療器具140は、別個の感知装置が、例えば、1本以上のガイドワイヤを介する等して、長尺体142の中を通って医療器具140によって受容されるように、遠位端144上のセンサ146を完全に省き得る。
【0030】
ここで
図6のフロー図と合わせて
図4~
図5Cを参照すると、標的部位の位置を特定してそこにアクセスするために医療システム100を使用する例示的な方法200が概略的に描かれている。
図4~
図6の描写および以下の付随する説明は、本明細書で説明される主題を特定の方法に制限することを意図するものではない。
【0031】
工程202で、
図4に示すように、医療システム100の医療装置110は、患者の身体10内に挿入される。医療装置100のシャフト120は、先端部122を患者の身体10の鼻または口(または他の適切な自然の身体開口部)に挿入することによって、患者10の消化管の中を通ってガイドされる。実施形態において、医療装置110は、食道12、胃16、および小腸18内を含め、標的治療部位に到達するまで、患者の身体10の胃腸管の中を通って挿入される。シャフト120の長さは、医療器具110の先端部122が患者の体10の内部にあるときに、医療装置110の近位端(ハンドル112を含む)が患者の身体10の外部になるように十分なものであり得る。本発明は、患者の身体10内の消化管での医療システム100の使用に関するが、本発明の特徴は、患者の身体10内の様々な他の部位(例えば、他の器官、組織等)で使用され得る。
【0032】
医療装置110のシャフト120は、医療システム100の医療器具140等、医療装置110内に配置されている器具が標的治療部位にアクセスすることができる位置に到達するまで、患者の身体10の中に延び得る。医療装置110を使用して胆膵系の要素にアクセスして視覚化する実施例では、この位置は、例えば、小腸18の十二指腸であり得る。このような実施例では、標的部位は、小腸18の十二指腸の一部に位置するファーター膨大部/乳頭22であり得る。ファーター膨大部/乳頭22は、膵管および総胆管20が小腸18の十二指腸に注ぐ開口部を形成し、肝管および胆嚢は総胆管20に注ぐ。
【0033】
引き続き
図4を参照すると、シャフト120の先端部122が標的部位(例えば、ファーター膨大部22)に近接して配置されると、医療システム100の医療器具140が医療装置110内に摺動可能に受容されることによって標的部位に近接して遠位端144を配置し得る。医療器具140のポート106の中、そしてシャフト120の中を通って先端部122への前進は、ハンドル142の駆動に応答して実施され得る。別の実施形態では、医療器具140は、工程202で患者の身体10にシャフト120を挿入する前に、医療装置110を通って受容され得る。
【0034】
いくつかの実施形態において、標的部位の位置に向かって作業用開口部124の位置決めを容易にするために、標的部位付近での先端部122の回転が望ましいことがある。例えば、医療器具140の遠位端144が起子126(
図3)によって作業用開口部124から外側に偏向されるときにファーター膨大部/乳頭22に到達することが望まれる。この場合、シャフト120の先端部122は、医療器具140が医療装置110から出得る作業用開口部124がファーター膨大部/乳頭22に向くようになるまで回転される。先端部122およびシャフト120のうちの少なくともいずれか一方の回転は、ハンドル112の駆動機構114を駆動することに応答して、および/またはハンドル112のすべてを回転させることによって実施され、先端部122の相対的な向きおよび位置のうちの少なくともいずれか一方の特定は、先端部122上の撮像装置130を駆動することに応答して実施される。
【0035】
工程204で、先端部122の作業用開口部124が標的部位に指向すると、光源128の駆動に応答して、標的部位の周囲の環境が照射され得る。別の実施形態では、光源128が、例えば、工程202で患者の身体10内に医療装置110が挿入される前および挿入された時のうちの少なくともいずれか一方等において、先端部122から外方に向かって光を方向付けるようにすでに駆動される。
【0036】
工程206で、標的部位が光源128によって照射されると、画像処理装置102のプロセッサ104が標的識別論理108を実行して、医療装置110の撮像装置130を駆動する。したがって、撮像装置130は、標的部位の画像を取得する。撮像装置130が標的部位(例えば、ファーター膨大部22)に指向すると、標的部位の位置の画像が医療装置110によって取得されて、画像データ109としてメモリ106に格納するために画像処理装置102に通信され得る。
【0037】
工程208において、
図5Aを参照すると、画像データ109が医療装置110から受信されて、メモリ106内に格納されると、画像処理装置102のプロセッサ104は、標的識別ロジック108を実行して、先端部122上の撮像装置130に対する標的部位(例えば、小腸18内のファーター膨大部22)の第1位置52Aを判定する。プロセッサ104は、標的識別論理108の機械可読命令を実行することに従い、撮像装置130によって取得された画像データ109を分析して、先端部122に対する標的部位の座標位置を判定する。代替的には、別の実施形態では、医療システム100の使用者が、例えば、画像処理装置102に通信可能に接続されているタッチスクリーンのユーザインターフェースディスプレイ(図示せず)等を介して、画像データ109に基づいて標的部位の第1位置52Aを手動で特定し得る。
【0038】
いくつかの実施形態において、プロセッサ104は、標的識別ロジック108を実行するときに、第1位置52Aに視覚的識別子(例えば、ハイライト、幾何学図形、矢印、および同様なもの)を生成し、それによって参照のために標的部位の第1位置52Aを視認可能に表示し得る。
図5Aに示すように、第1位置52Aの視覚的識別子は、画像データ109において標的部位を視認可能に表示するために、標的部位の画像に重ね合わせられる、四角(box)および「X」のうちの少なくともいずれか一方を含み得る。第1位置52Aの視覚的識別子は、画像処理装置102に通信可能に接続されているユーザインターフェースディスプレイ(図示せず)上に表示され得る。代替的には、別の実施形態では、医療システム100の使用者が、例えば、画像処理装置102に通信可能に接続されているタッチスクリーンのユーザインターフェースディスプレイ(図示せず)を介する等して、画像データ109に基づいて標的部位の第1位置52Aを手動で視覚的識別子によってマークし得る。この場合、プロセッサ104は、標的部位の後続画像で継続的に追跡するために、医療システム100の使用者による手動によるマークおよび識別子のうちの少なくともいずれか一方に従って、画像データ109を分析して標的部位の第1位置52Aを判定し得る。
【0039】
工程210において、
図5Bを参照すると、先端部122に対して標的部位の第1位置52Aが判定されると、画像処理装置102のプロセッサ104は、標的識別ロジック108を実行して、医療装置110のレーザー132を駆動することによって、光/レーザービーム134によって標的部位の第1位置52Aをマークする。プロセッサ104は、標的識別ロジック108の機械可読命令を実行することに従い、医療装置110の鏡を駆動して、レーザー132によって生成された光/レーザービーム134を反射して、光/レーザービーム132を標的部位の第1位置52Aに向かって再方向付けする。
【0040】
工程212において、引き続き
図5Bを参照すると、レーザー132の光/レーザービーム134が標的部位(例えば、ファーター膨大部22)の第1位置52Aに(例えば、鏡によって)方向付けられると、医療器具140は、センサ146による光/レーザービーム132の検出に応答して標的部位に向かって移動し得る。医療器具140のハンドル141は、長尺体142をシャフト120の作業用ルーメンの中を通って自動的に並進させて、遠位端144を標的部位に隣接して配置するように駆動する。したがって、医療器具110は、標的部位の第1位置52Aを追跡して、センサ146を用いて医療器具140を第1位置52Aにロックオンするとともに遠位端144を標的部位に向かって自律的に操縦させて、標的部位において、例えば、総胆管20の膨大部導管開口部22に挿管する等の1つ以上の処置を行うことを可能にする。
【0041】
センサ146が遠位端144に沿って配置されると、センサ146は、遠位端144に対して、標的部位への光/レーザービーム132の入射の検出に応答してフィードバックをするように構成されている。いくつかの実施形態において、センサ146は、センサ146によるフィードバックが医療器具140の使用者に送信されるフォトダイオード信号を含むように、光/レーザービーム134を電流に変換するように構成されているフォオダイオードを含む。センサ146によって生成されるフォトダイオード信号の強さは、光/レーザービーム134の入射点までのセンサ146の空間的(例えば、三次元の)近接性を示し得る。したがって、光/レーザービーム134が標的部位の第1位置52Aに方向付けられると、センサ146は相対的に近くに近接している光/レーザービーム132を検出するため、医療器具140の遠位端144と標的部位との間の距離が小さくなるにつれて、センサ146によって生成されるフォトダイオード信号の強さは増加し得る。
【0042】
センサ146は相対的に遠くに近接している光/レーザービーム132を検出するため、医療器具140の遠位端144と標的部位との間の距離が大きくなるにつれて、センサ146によって生成されるフォトダイオード信号の強さ(例えば、強度変化)は減少し得る。本明細書で説明する実施形態のセンサ146は、フォトダイオード信号の形態での光/レーザービーム132の検出に応答してフィードバックをするように構成されているフォトダイオードまたはCCDを含むが、様々な他の適切なセンサおよびフィードバック形態のうちの少なくともいずれか一方が、本発明の範囲を逸脱することなく、医療器具140のセンサによって生成される。
【0043】
いくつかの実施形態において、医療器具140は、上記で図示および説明した画像処理装置102のプロセッサ104およびメモリ106と同様なプロセッサおよびメモリを含み得る。この場合、医療器具140のプロセッサは、医療器具140のメモリに格納されている標的識別ロジックを実行するときに、センサ146によって光/レーザービーム134を追跡することによって、標的部位の第1位置52Aに対する医療器具140の自律的な操縦を実施し得る。別の実施形態では、医療器具140は、医療システム100の使用者によって、ユーザインターフェースディスプレイ(図示せず)を介して第1位置52Aに対する遠位端144の位置を目視で追跡することにより標的部位の第1位置52Aに手動で案内され得る。この場合、使用者は、光/レーザービーム132によって生成される視覚的識別子に向かって医療器具140の遠位端144を目視で案内し得る。単なる例示的な実施例として、医療器具140の遠位端144は、例えば、遠位端144の位置を示す、ユーザインターフェースディスプレイに重ね合わされる十字線等の視覚的識別子によって、ユーザインターフェースディスプレイ上に表示され得る。さらに、センサ146によって生成されるフィードバックは、ユーザインターフェースディスプレイに追加的におよび/または代替的に、標的部位の第1位置52Aに向かって医療器具140を手動で操縦するために利用され得る。
【0044】
いくつかの場合において、医療システム100の医療装置110は、工程212で医療器具140が標的部位に向かって移動しているときに、処置中に標的部位に対して意図的におよび/または偶発的に移動し得る。このような移動は、処置中に医療装置110を安定して維持する難しさのために起こり得る。この場合、シャフト120の先端部122および医療器具140の遠位端144のうちの少なくともいずれか一方に対する標的部位(例えば、ファーター膨大部22)の位置は、標的部位と医療装置110との間の初期の対応位置に対して、変更されたり、変わったりし得る。したがって、工程206で医療システム100によって当初取得された画像データ109は、標的部位(例えば、ファーター膨大部22)の現位置を提供することにおいて、不正確さおよび欠点の両方または一方を含み得る。その結果、工程208で撮像処理装置102のプロセッサによって当初判定された通りに第1位置52Aに向かって医療器具140の遠位端144を継続して移動させることは、医療システム100の使用者が標的部位に適切にアクセスできなくする可能性がある。
【0045】
工程214において、
図5Cを参照すると、画像処理装置102のプロセッサ104による標的部位(例えば、ファーター膨大部22)に対する医療装置110の移動の検出に応答して、プロセッサ104は、標的識別ロジック108を実行して、撮像装置130を駆動して、標的部位の更新された画像データ109を取得し得る。いくつかの実施形態において、画像処理装置102のプロセッサ104は、標的識別ロジック108を実行するときに、工程206でメモリ106に格納された画像データ109と比較するために、撮像装置130を用いて画像を定期的に取得することによって、標的部位に対して医療装置110が移動したか、否かを判定する。したがって、標的部位に対する医療装置110の移動は、第1位置52Aと検出された標的部位の位置との間の位置の変化度が、予めプログラムされた閾値(例えば、ミリメートル、マイクロメートル、ナノメートル等)に等しいか、またはそれより大きいと判定することに基づく。
【0046】
この場合、第1位置52Aの記録された位置が、定期的に取得される画像を介して検出される標的部位の位置に対して変わっていると判定されると、画像処理システム102のプロセッサ104は、上記方法200の工程206、208、210および212を繰り返す。プロセッサ104は、標的識別論理108を実行して、工程206で標的部位の画像(例えば、画像データ109)を取得し、工程208で標的部位(例えば、ファーター膨大部22)の第2位置52Bを判定し、工程210で光/レーザービーム134によって第2位置52Bをマークする。方法200は、標的部位の新たな第2位置52Bに従って医療システム100を用いた標的部位の位置特定を容易にするために、上記で図示および説明したものとほぼ同様なこれらの工程を実施する。
【0047】
別の実施形態では、医療システム100の画像処理装置102は、メモリ106に格納されている標的識別論理108を動的に更新するために、リモートステーション(図示せず)に通信可能に接続され得る。例示的な実施例として、画像処理装置102は、例えば、有線接続および無線接続のうちの少なくともいずれか一方等を介して、リモートステーション(例えば、コンピュータサーバ)からニューラルネットワークデータを受信するように動作可能である。撮像処理装置102によって受信されるニューラルネットワークデータは、上記で図示および説明した画像データ109と同様に、複数の前の処置、装置、システム等から記録された補足画像データ109を含み得る。このような画像データは、複数の異なる患者からのもので、長期的に取得され、同一または同様な患者の生体構造のものである。補足画像データ109は、メモリ106内に格納されて、例えば、小腸18内のファーター膨大部22、総胆管20の膨大部導管開口部22等、1つ以上の標的部位の共通の物理的な性質および特性のうちの少なくともいずれか一方を人工的に判定したり識別したりするために、画像処理装置102のプロセッサ104によって利用される。
【0048】
実施形態において、画像処理装置102のプロセッサ104は、標的識別論理108の機械可読命令を実行するときに、標的部位(例えば、小腸18内のファーター膨大部22)の第1位置52Aを判定するために、医療装置110の撮像装置130によって取得された画像データ109を分析するときに補足画像データ109を参照し得る。したがって、補足画像データ109が、同様な標的部位のサイズ、形状、および/または構成の人工学習用追加データを画像処理装置102に提供することによって、処置中、医療装置110に対する標的部位の座標位置の判定を容易にし得る。
【0049】
上記装置、アセンブリ、および方法の各々は、標的部位の位置を検出、マークおよび追跡するために使用され得る。医療アセンブリを提供することによって、使用者は、処置中に画像処理装置内の人工知能ソフトウェアを使用して患者の組織と正確に相互作用し得るので、使用者が全体的な処置時間を短縮し、処置の効率を高め、患者の標的組織にアクセスするときに医療装置の移動および位置決めについての制御の欠如から生じる患者の身体への不必要な危害を避けることを可能にする。
【0050】
開示された装置および方法には、本発明の範囲を逸脱することなく、様々な修正および変更を行えることは当業者には明らかであろう。開示された装置が、例えば、プロセッサおよび非一時的コンピュータ可読媒体等、本明細書で説明されるものに従って処置中に1つ以上の演算を装置に行わせる複数のハードウェアコンポーネントを組み込んでいる、様々な適切なコンピュータシステムおよびコンピューティングユニットまたはコンピュータシステムもしくはコンピューティングユニットを含み得る。本開示の他の態様は、本明細書の考察および本明細書で開示された特徴の実施から当業者には明らかであろう。本明細書および実施例は、例示的なものとしてのみ考えられることが意図されている。
【国際調査報告】