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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-06
(54)【発明の名称】医療用送達装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/12 20060101AFI20230130BHJP
   A61M 25/10 20130101ALI20230130BHJP
【FI】
A61B17/12
A61M25/10 512
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022532759
(86)(22)【出願日】2020-11-24
(85)【翻訳文提出日】2022-07-27
(86)【国際出願番号】 US2020062041
(87)【国際公開番号】W WO2021113125
(87)【国際公開日】2021-06-10
(31)【優先権主張番号】62/942,925
(32)【優先日】2019-12-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506192652
【氏名又は名称】ボストン サイエンティフィック サイムド,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BOSTON SCIENTIFIC SCIMED,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】スミス、アマンダ
(72)【発明者】
【氏名】マギュー、ジェニファー
(72)【発明者】
【氏名】ライデッカー、ローレン
(72)【発明者】
【氏名】ピック、アンドリュー
【テーマコード(参考)】
4C160
4C267
【Fターム(参考)】
4C160DD01
4C160DD54
4C160DD66
4C160MM32
4C267AA06
4C267AA61
4C267BB28
4C267CC07
(57)【要約】
医療装置は、近位端、遠位端、及び近位端から遠位端まで延びる少なくとも一つの管腔を有するシースと、シースの遠位端に位置し、膨張構成及び収縮構成を有するバルーンと、を備える。バルーンは、バルーンの外面の半径方向内側に少なくとも一つの空間を画定し、少なくとも一つの空間は、材料を保持するように構成され、収縮構成から膨張構成へのバルーンの移行により、少なくとも一つの空間から体内の標的部位へ材料が送達される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
近位端、遠位端、及び前記近位端から前記遠位端まで延びる少なくとも一つの管腔を有するシースと、
前記シースの前記遠位端にあり、膨張構成及び収縮構成を有するバルーンと、を備える医療装置であって、
前記バルーンは、前記バルーンの外面の半径方向内側に少なくとも一つの空間を画定し、前記少なくとも一つの空間は、材料を保持するように構成され、
前記収縮構成から前記膨張構成への前記バルーンの移行により、前記少なくとも一つの空間から体内の標的部位へ前記材料が送達される、医療装置。
【請求項2】
前記少なくとも一つの管腔は、シース管腔を含み、前記医療装置は、流体収容装置に取り付けられるように構成され、前記流体収容装置からの流体は、前記収縮構成から前記膨張構成に前記バルーンを移行させるために前記シース管腔に供給されるように構成される、請求項1に記載の医療装置。
【請求項3】
前記バルーンは、少なくとも前記収縮構成において折り目を含み、前記少なくとも一つの空間は、前記折り目によって少なくとも部分的に画定され、各折り目の少なくとも一つの境界線は、前記膨張構成において減少して、前記少なくとも一つの空間を外部環境に対して露出させる、請求項1または2に記載の医療装置。
【請求項4】
前記バルーンは、前記収縮構成において前記材料の外側コーティングを含まない、請求項1~3のいずれか一項に記載の医療装置。
【請求項5】
前記少なくとも一つの空間は、前記バルーンの外面から前記バルーンの中心長手方向軸線に向かって延びるチャネルを含み、各チャネルは、前記バルーンの外面に開口部を含む、請求項1または2に記載の医療装置。
【請求項6】
前記材料は、前記収縮構成において前記チャネル内に配置され、各開口部は、前記収縮構成において外部環境から閉じられて前記材料を保持し、前記収縮構成から前記膨張構成への移行により、前記材料が前記開口部を通って各チャネルから放出される、請求項5に記載の医療装置。
【請求項7】
前記少なくとも一つの管腔は、前記バルーンの外壁及び前記バルーンの内壁によって画定された送達管腔を含み、前記少なくとも一つの空間は、前記バルーンの外面から前記バルーンの中心長手方向軸線に向かって延びるチャネルを含み、各チャネルは、前記バルーンの外面に開口部を含み、前記チャネル及び前記開口部は、前記送達管腔に流体結合されている、請求項1または2に記載の医療装置。
【請求項8】
前記送達管腔の近位端は、前記材料を収容する装置に取り付けられるように構成され、前記材料は、第二の管腔及び前記開口部を介して標的部位に送達されるように構成され、前記送達管腔は、前記少なくとも一つの管腔からの他の任意の管腔から流体的に分離されている、請求項7に記載の医療装置。
【請求項9】
前記少なくとも一つの管腔は、前記バルーンの外壁及び前記バルーンの内壁によって画定された送達管腔をさらに含み、前記少なくとも一つの空間は、前記外壁の各開口部から延びるとともに、前記送達管腔に流体結合されたチャネルを含み、前記送達管腔は、前記シース管腔から流体的に分離されている、請求項2に記載の医療装置。
【請求項10】
前記少なくとも一つの空間は、前記バルーンの内壁と外壁との間に配置されたバルーン管腔を含み、前記バルーンは、前記バルーン管腔に流体結合された前記バルーンの前記外壁の複数の開口部を含む、請求項2に記載の医療装置。
【請求項11】
前記収縮構成から前記膨張構成への前記バルーンの移行により、前記複数の開口部が開かれる、請求項10に記載の医療装置。
【請求項12】
前記バルーン管腔及び前記シース管腔は、前記内壁によって分離され、前記内壁は、開口部を含み、前記収縮構成から前記膨張構成への前記バルーンの移行により、前記内壁の前記開口部が開かれて、前記シース管腔が前記バルーン管腔に流体結合される、請求項10に記載の医療装置。
【請求項13】
前記材料は、前記バルーン管腔内に配置されるように構成され、前記収縮構成から前記膨張構成への前記バルーンの移行により、前記流体が前記内壁の前記開口部を通って流れ、前記材料と混合され、前記バルーン管腔から前記標的部位へ前記材料を送達する、請求項12に記載の医療装置。
【請求項14】
前記バルーンの前記外壁の前記複数の開口部は、穿孔された膜によって前記収縮構成において密封されている、請求項10~13のいずれか一項に記載の医療装置。
【請求項15】
前記少なくとも一つの管腔は、前記シース管腔の周りに配置された外側管腔をさらに含み、前記外側管腔は、前記シースの近位端から延びて前記バルーンの近位で終端し、前記シースの外壁は、前記バルーンに隣接するとともに前記外側管腔に流体結合されたシース開口部を含む、請求項3~14のいずれか一項に記載の医療装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は一般に、内視鏡医療装置及び関連する使用方法に関する。より具体的には、いくつかの実施形態では、本開示は、標的部位へのアクセス及び標的部位への材料の分配に関連する内視鏡医療ツール及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特定の医療処置では、出血を停止または最小限に抑える、及び/または体内に治療材料を供給する必要がある場合がある。例えば、内視鏡的医療処置は、例えば食道、胃、または腸における消化管内の出血組織の止血を必要とする場合がある。
【0003】
内視鏡処置中に、ユーザは内視鏡のシースを患者の体管腔に挿入する。ユーザは、内視鏡のハンドルを使用して処置中に内視鏡を制御する。例えばハンドルのポートを介してツールが内視鏡の作業チャネルを通過し、内視鏡の遠位端近くの処置部位で治療を提供する。処置部位はオペレータから離れた位置にある。
【0004】
遠隔部位で止血を行うため、及び/または自然の組織治癒を促進するため、内視鏡の作業チャネルに挿入された装置によって、止血剤、再生剤、または組織接着剤が送達されてもよい。薬剤/接着剤の送達は、例えば機械的システムを介して行うことができる。しかしながら、そのようなシステムは、薬剤送達についての所望の速度または薬剤の所望の投与量を達成できない場合があり、その結果、薬剤の一貫性のない投与がもたらされる可能性や、薬剤が消化管の深部の治療部位に到達しない可能性が生じていた。現在の開示は、これらの問題の一つまたは複数、または当技術分野の他の問題を解決することができる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
一態様によれば、医療装置は、近位端、遠位端、及び近位端から遠位端まで延びる少なくとも一つの管腔を有するシースと、シースの遠位端にあり、膨張構成及び収縮構成を有するバルーンと、を備える。バルーンは、バルーンの外面の半径方向内側に少なくとも一つの空間を画定し、少なくとも一つの空間は、材料を保持するように構成され、収縮構成から膨張構成へのバルーンの移行により、少なくとも一つの空間から体内の標的部位へ材料が送達される。
【0006】
少なくとも一つの管腔は、シース管腔を含んでもよく、医療装置は、流体収容装置に取り付けられるように構成されてもよく、流体収容装置からの流体は、収縮構成から膨張構成にバルーンを移行させるためにシース管腔に供給されるように構成されてもよい。
【0007】
少なくとも一つの管腔は、バルーンの外壁及びバルーンの内壁によって画定された送達管腔を含んでもよく、少なくとも一つの空間は、外壁の各開口部から延びるとともに、送達管腔に流体結合されたチャネルを含んでもよく、送達管腔は、シース管腔から流体的に分離されていてもよい。
【0008】
少なくとも一つの空間は、バルーンの内壁と外壁との間に配置されたバルーン管腔を含んでもよく、バルーンは、バルーン管腔に流体結合されたバルーンの外壁の複数の開口部を含んでもよい。
【0009】
収縮構成から膨張構成へのバルーンの移行により、複数の開口部が開かれてもよい。
バルーン管腔及びシース管腔は、内壁によって分離されてもよく、内壁は、開口部を含んでもよく、収縮構成から膨張構成へのバルーンの移行により、内壁の開口部が開かれて、シース管腔がバルーン管腔に流体結合されてもよい。
【0010】
材料は、バルーン管腔内に配置されるように構成されてもよく、収縮構成から膨張構成へのバルーンの移行により、流体が内壁の開口部を通って流れ、材料と混合され、バルーン管腔から標的部位へ材料を送達してもよい。
【0011】
バルーンの外壁の複数の開口部は、穿孔された膜によって収縮構成において密封されていてもよい。
バルーンは、少なくとも収縮構成において折り目を含んでもよく、少なくとも一つの空間は、折り目によって少なくとも部分的に画定されてもよく、各折り目の少なくとも一つの境界線は、膨張構成において減少して、少なくとも一つの空間を外部環境に対して露出させてもよい。
【0012】
少なくとも一つの管腔は、シース管腔の周りに配置された外側管腔を含んでもよく、外側管腔は、シースの近位端から延びてバルーンの近位で終端してもよく、シースの外壁は、バルーンに隣接するとともに外側管腔に流体結合されたシース開口部を含んでもよい。
【0013】
バルーンは、収縮構成において材料の外側コーティングを含まなくてもよい。
少なくとも一つの空間は、バルーンの外面からバルーンの中心長手方向軸線に向かって延びるチャネルを含んでもよく、各チャネルは、バルーンの外面に開口部を含んでもよい。
【0014】
材料は、収縮構成においてチャネル内に配置されてもよく、各開口部は、収縮構成において外部環境から閉じられて材料を保持してもよく、収縮構成から膨張構成への移行により、材料が開口部を通って各チャネルから放出されてもよい。
【0015】
少なくとも一つの管腔は、バルーンの外壁及びバルーンの内壁によって画定された送達管腔を含んでもよく、少なくとも一つの空間は、バルーンの外面からバルーンの中心長手方向軸線に向かって延びるチャネルを含んでもよく、各チャネルは、バルーンの外面に開口部を含んでもよく、チャネル及び開口部は、送達管腔に流体結合されていてもよい。
【0016】
送達管腔の近位端は、材料を収容する装置に取り付けられるように構成されてもよく、材料は、第二の管腔及び開口部を介して標的部位に送達されるように構成されてもよく、送達管腔は、少なくとも一つの管腔からの他の任意の管腔から流体的に分離されていてもよい。
【0017】
別の態様によれば、医療装置は、近位端、遠位端、及び近位端から遠位端まで延びる少なくとも一つの管腔を有するシースと、シースの遠位端にあり、膨張構成及び収縮構成を有するバルーンと、バルーン上に配置されたパッチと、を備え、バルーンに面するパッチの第二の表面の反対側のパッチの第一の表面上に材料が提供され、材料は、標的部位に送達されるように構成される。
【0018】
パッチは、バルーンに対するパッチの位置を維持するように構成され得るパッチの第二の表面上の接着剤を含んでもよく、流体は、少なくとも一つの管腔を介してバルーンに供給されて、バルーンを膨張構成に膨張させるように構成されてもよく、流体は、パッチとバルーンとの間の接着剤の接着力に打ち勝つようにバルーンの温度を変化させるように構成されてもよい。
【0019】
少なくとも一つの管腔は、収縮構成から膨張構成にバルーンを膨張させるための第一の流体を受け入れるように構成されたシース管腔と、シース管腔の周りに配置された外側管腔と、を備えてもよく、外側管腔は、シースの近位端から延びてバルーンの近位で終端してもよく、シースの外面は、外側管腔に流体結合された開口部を含んでもよく、第二の流体は、パッチとバルーンとの間の接着剤の接着力に打ち勝つように開口部を介してパッチの第二の表面に送達されるように構成されてもよい。
【0020】
さらに別の態様によれば、医療処置を実行する方法は、体内の標的部位に隣接してシースを配置する工程と、シースのシース管腔に流体を供給して、シースの遠位端において収縮構成から膨張構成にバルーンを移行させる工程と、バルーンの外面の半径方向内側の少なくとも一つの空間から、バルーンが収縮構成から膨張構成に移行するときに、材料をバルーンから標的部位に供給する工程と、シース管腔から流体を引き抜いて、膨張構成から収縮構成にバルーンを折りたたむ工程と、を備える。
【0021】
当該方法は、シース管腔の周りの外側管腔を介して第二の流体を標的部位に送達する工程をさらに備えてもよく、第二の流体は、材料が標的部位に接着するように材料を活性化するように構成される。
【0022】
本明細書に組み込まれ、その一部を構成する添付の図面は、様々な例示的な実施形態を示し、説明とともに、開示された実施形態の原理を説明するのに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】一実施形態による、医療システムの斜視図である。
図2A】一実施形態による、図1の医療システムの医療ツールの遠位端の斜視図である。
図2B図2Aの線2-2に沿った断面図である。
図3A】一実施形態による、図1の医療システムの別の医療ツールの遠位端の斜視図である。
図3B図3Aの線3-3に沿った断面図である。
図4A】別の実施形態による、図1の医療システムの医療ツールの遠位端の斜視図である。
図4B】別の実施形態による、図1の医療システムの医療ツールの遠位端の斜視図である。
図4C】別の実施形態による、図1の医療システムの医療ツールの遠位端の斜視図である。
図5A】別の実施形態による、図1の医療システムの医療ツールの遠位端の斜視図である。
図5B】別の実施形態による、図1の医療システムの医療ツールの遠位端の斜視図である。
図6A】別の実施形態による、図1の医療システムの医療ツールの遠位端の斜視図である。
図6B】別の実施形態による、図1の医療システムの医療ツールの遠位端の斜視図である。
図7A】さらに別の実施形態による、図1の医療システムの医療ツールの遠位端の斜視図である。
図7B】さらに別の実施形態による、図1の医療システムの医療ツールの遠位端の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本開示は、内視鏡的に材料を分配するために使用され得る例示的な医療システムを参照して説明される。しかしながら、この特定の手順への言及は、便宜のためにのみ提供されており、開示を制限することを意図するものではないことに留意されたい。当業者は、開示された装置及び適用方法の根底にある概念が、医学的または他の任意の適切な処置で利用され得ることを認識するであろう。本開示は、以下の説明及び添付の図面を参照して理解することができ、ここで同様の要素は、同じ参照番号で参照される。
【0025】
説明を容易にするために、「遠位(distal)」という用語は、システムを患者に導入するときにユーザから最も遠い部分を指す。対照的に、「近位(proximal)」という用語は、システムを患者に導入するときにユーザに最も近い部分を指す。本明細書で使用される場合、「含む(comprises、comprising)」という用語、またはそれらの他の任意の変形は、要素のリストを含むプロセス、方法、物品、または装置が必ずしもそれらの要素のみを含む必要はなく、明示的にリスト化されていない他の要素、またはそのようなプロセス、方法、物品、または装置に固有の他の要素を含み得るように、非排他的な包含をカバーすることを意図している。「例示的(exemplary)」という用語は、「理想的(ideal)」ではなく「例(example)」の意味で使用される。本開示では、例えば「約(about)」、「実質的に(substantially)」、「一般に(generally)」、及び「ほぼ(approximately)」等の相対的な用語は、記載された値または特性の±10%の変動の可能性を示すために使用される。
【0026】
図1を参照すると、一実施形態による医療システム10が示されている。医療システム10は、可撓性シャフト20(例えば、カテーテル)と、可撓性シャフト20の近位端に接続されたハンドル40と、を含む。ハンドル40、または医療システム10を作動または制御するための他の装置、及び医療システム10に関連した任意のツールまたは装置は、第一及び第二の作動装置42、43を含む。装置42、43は、可撓性シャフト20及び/または可撓性シャフト20の遠位端の関節ジョイントの多方向への関節運動を制御する。装置42、43は、例えば、それらの軸の周りを回転して作動要素(図示せず)を押したり引いたりする回転可能なノブであってもよい。医療処置に適したケーブルまたはワイヤ(例えば、医療グレードのプラスチックまたは金属)等の作動要素は、内視鏡10の近位端から遠位に延び、その動きを制御するために可撓性シャフト20に接続される。代替的に、または追加的に、ユーザは、ハンドル40とは独立して作動要素を操作することができる。作動要素の遠位端は、可撓性シャフト20を通って延び、可撓性シャフト20の関節ジョイント及び/または遠位先端で終端する。例えば、一つまたは複数の作動要素が関節ジョイントに接続されてもよく、作動要素の作動により、可撓性シャフト20の関節ジョイントまたは遠位端が多方向に移動されるように制御されてもよい。
【0027】
さらに、一つまたは複数の電気ケーブル(図示せず)が内視鏡10の近位端から可撓性シャフト20の遠位端まで延びてもよく、撮像装置、照明装置、及び/または可撓性シャフト20の遠位端にある他の電気装置に電気制御を提供することができ、処理及び/またはディスプレイ上への表示のために、可撓性シャフト20の遠位端から近位に画像信号を伝達することができる。ハンドル40はまた、患者に対してツール、流体、または他の材料を導入及び/または除去するためのポート44、46を含んでもよい。ポート44は、ツールを導入するために使用することができる。ポート46は、流体の導入、吸引、及び/または電子部品の配線のための臍(umbilicus)に接続されてもよい。例えば、図1に示すように、ポート44は、可撓性シャフト20の近位端から遠位端まで延びる管腔22に接続されている。ポート44は、医療装置の可撓性シース120(例えば、カテーテル)等の医療装置を受け入れることができる。
【0028】
図1に示すように、シース120は、シース120の近位端から遠位端まで、それを通って延びる管腔122を含んでもよい。シース120は、作動装置140の遠位端を組み込むか、またはそれに取り付けられてもよい。作動装置140は、第一の開口部123aを有する第一のチャネル123と、第二の開口部124aを有する第二のチャネル124と、を有するY字型部材である。本明細書で説明されるように、第一及び第二のチャネル123、124は、管腔122と連絡されていてもよく、シース120の遠位端でバルーン130を膨張または収縮させるために使用することができる。例えば、第一のチャネル123を、流体Fを有する収容装置(図示せず)に取り付け、流体F(例えば、図2Aの矢印によって示される)を第一のチャネル123に供給することでバルーン130を膨張させることができ、また、第二のチャネル124を容器に取り付けることで流体Fをバルーン130から収容装置に引き抜き、それによってバルーン130を収縮させることができる。なお、作動装置140は二つのチャネルに限定されないことが理解されよう。例えば、本明細書で説明するように、追加のチャネルを作動装置140に含めて、追加の流体及び/または材料をシース120の遠位端に提供してもよい。さらなる例として、作動装置140は、選択的に流体を含む材料を管腔122に導入し、または管腔122から除去するための単一のチャネルのみを含んでもよい。
【0029】
図1図2A、及び図3Aを参照すると、カテーテル20は、複数の管腔、例えば、第一の管腔22、第二の管腔(説明を容易にするために、第二の管腔は示されていないが、図1に示すようにカテーテル20の近位端から開口部24aまで延びる)、及びカテーテル20の近位端から開口部26aまで延びる第三の管腔26を含む。一例によれば、第一の管腔22は、本明細書でより詳細に説明されるように、医療装置のシース120を受け入れるように構成される。第一の管腔22は、ハンドル40から延び、カテーテル20の遠位端面28の第一の開口部22aで終端する。第二の管腔及び第三の管腔26は、追加のツールを受け入れることができ、及び/または吸引/真空、流体の分配、撮像、照明等のために使用することができる。例えば、第二の管腔及び第三の管腔26の遠位開口部24a、26aは、カテーテル20の遠位端面28で開いていてもよい。一例によれば、流体は、ハンドル40から第二の管腔及び第三の管腔26のそれぞれに沿って移動した後、開口部24a、26aの一方または両方を通って排出されてもよい。あるいは、開口部24a、26aの一方または両方を通して破片が吸引/バキュームされてもよく、及び/または電気ファイバが第二の管腔及び第三の管腔26の一方または両方に配置されて、開口部24a、26aに配置されたカメラ等の撮像部材、または発光ダイオード(LED)等の照明部材に取り付けられてもよい。これらの構成要素は開口部24a、26aに固定されてもよく、または標的部位Tの追加の照明及び/または撮像を提供するために、遠位端面28から延長されてもよい。説明を容易にするために、カテーテル20は図1図2A、及び図3Aのみに示されている。しかしながら、本明細書に記載の任意の医療ツールが、カテーテル20の管腔22を通過することによって標的部位Tにアクセスし得ることが理解されよう。
【0030】
図1を引き続き参照すると、シース120は、カテーテル20の第一の管腔22内に延びる。シース120は柔軟性があり、第一の管腔22の内径よりも小さい外径を有し、それにより、シース120が第一の管腔22内で、第一の管腔22に沿って摺動することを可能にする。シース120は、最遠位端に膨張可能なバルーン130を含む。バルーン130は、膨張流体、例えば生理食塩水等の液体、またはCO等の気体を使用して、開いた膨張位置と閉じた収縮位置との間で作動可能である。本明細書で説明するように、バルーン130は、標的部位Tに隣接してカテーテル20の最遠位端の遠位で膨張することができ、それにより、止血剤または再生剤等の材料を標的部位Tに供給することができる。
【0031】
図2Aは、体管腔Lにおいて標的部位Tに隣接して配置されたカテーテル20を示している。シース120は、例えばシース120の近位端を押すことによって第一の管腔22に沿って前進され、カテーテル20の遠位端面28からバルーン130を露出させる。例えば、ユーザは、バルーン130をハンドル40のポート44に挿入し、シース120を押すことによって、バルーン130を管腔22に沿って前進させることができる。この動きにより、バルーン130が第一の開口部22aから露出される。本明細書に記載されるように、開口部24a、26aは、バルーン130の位置決めを支援し得る照明及び/または撮像要素を含んでもよい。
【0032】
図2A及び図2Bに示すように、標的部位Tは、管腔L内に突出している。上記のように、カテーテル20は、ハンドル40からカテーテル20の遠位端まで延びる作動要素、例えばケーブルを含んでもよい。これらのケーブルを引っ張ると、必要に応じてカテーテル20の端部が曲げられて、バルーン130を標的部位Tに隣接して適切に配置することができる。代替的に、または追加的に、ガイドワイヤ(図示せず)を標的部位Tに隣接して前進させてもよい。シース120は中央管腔(図示せず)を含んでもよく、ガイドワイヤに沿って前進されてもよい。
【0033】
図2Aを引き続き参照すると、バルーン130は収縮構成にあり、カテーテル20の遠位端面28の遠位で標的部位Tに隣接して存在している。シース120は遠位先端132を含み、バルーン130は遠位先端132の近位に配置されている。図2Bを参照すると、図2Aの線2-2に沿った断面は、バルーン130が折りたたまれた本体134を有することを示している。本明細書で説明されるように、バルーン130は、管腔122を介してバルーン130に流体Fを供給することによって、収縮構成から膨張する。
【0034】
図2Bにさらに示すように、本体134は、収縮構成において隣接する折り目135の間にポケットまたは空間136を生成する折り目135を含む。ポケット136は、本明細書で説明されるように、標的部位Tに供給される材料、例えば止血剤または再生剤を含む。バルーン130は、コンプライアント(compliant)であっても非コンプライアント(non-compliant)であってもよく、任意の数の折り目135を含んでもよい。各折り目135は、隣接する折り目135の一部を覆って、ポケット136を生成することができる。他の実施形態では、隣接する折り目135は互いに重ならない。各折り目135はまた、折り目135の一部とならないようにバルーン130の外面の一部の半径方向外側に位置して、ポケット136を形成している。いくつかの例では、折り目135は、バルーン130の半径方向において最も外側の部分であり、例えば、いくつかの例では、折り目135及び/またはバルーン130の最も外側の表面を覆うものはない。折り目135は、薬剤用のポケット136を生成することができ、バルーン130の円周の周りに完全に延びてもよいが、いくつかの実施形態では、折り目135は、バルーン130の一部にのみ存在してもよく、例えば折り目135は、治療のために組織の所望の領域を標的とするため、バルーン130の円周の周りに部分的にのみ延びてもよい。いくつかの実施形態では、異なる薬剤がバルーン130の異なる部分の周りの異なる折り目135内に配置されてもよい。例えば、いくつかの折り目135は不活性剤を含んでもよく、他の折り目135は触媒を含んでもよく、バルーン130が拡張され、不活性剤と触媒が接触すると、触媒が不活性剤を活性化してもよい。代替的に、または追加的に、様々な薬剤は他の薬剤に長期間さらされると、分解するか、または効果が失われる場合がある。異なる折り目135に異なる薬剤を配置することは、これらの薬剤の寿命を改善し、標的部位Tに配置された後の薬剤の有効性を改善することができる。
【0035】
図3A及び(図3Aの線3-3に沿ったバルーン130の断面を示す)図3Bを参照すると、バルーン130は膨張位置で示されている。一例によれば、バルーン130は、作動機構140を介してシース120の管腔122に流体F、例えば気体または液体を供給することによって膨張させることができる。例えば、第一または第二のチャネル123、124のうちの一つは、流体Fを貯蔵する収容装置に接続されてもよい。流体Fは、管腔122に沿って移動し、バルーン130を満たし、バルーン130を膨張させることができる。膨張または拡張された位置では、バルーン130の本体134は円筒形または丸みを帯びた形状をなし、本体134の折り目135及び対応するポケット136(図2Aを参照)は部分的にまたは完全に消失し、材料を標的部位Tに露出させる(図3A及び図3Bを参照)。膨張中及び膨張時、ポケット136内の折り目135の下にある材料が放出される。図3Aに示すように、バルーン130は標的部位Tに接近または隣接し、材料が標的部位Tに移送されることを可能にする。材料が標的部位Tに移送された後、バルーン130は収縮される。
【0036】
次に、バルーン130の動作について説明する。
カテーテル20は、患者の自然な開口部または切開を通して体内に挿入される。カテーテル20は、体管腔に沿って標的部位Tに前進される。カテーテル20が標的部位Tに隣接して配置されると、シース120がポート44に挿入されて、第一の管腔22に沿って前進される。シース120は、処置の開始前、例えばカテーテル20を体内に挿入する前にポート44に挿入されてもよく、カテーテル20と同時に標的部位Tに前進されてもよいことが理解される。
【0037】
カテーテル20及びシース120を標的部位Tに隣接して配置した後、シース120の近位端を操作して、シース120を第一の管腔22に沿ってカテーテル20に対して遠位方向に移動させる。シース120を遠位方向に移動させることにより、バルーン130がカテーテル20の遠位端に向かって押しやられ、遠位端面28の第一の開口部22aから外に出て、それにより、バルーン130が標的部位Tに隣接して配置される。
【0038】
バルーン130が第一の管腔22の外側で標的部位Tに隣接して配置された後、バルーン130は膨張される。一例によれば、バルーン130を膨張させることには、第一または第二のチャネル123、124のうちの一つを流体収容装置に取り付け、流体Fを管腔122に供給することが含まれる。流体Fは、シース120の管腔122に沿ってバルーン130まで移送される。バルーン130が流体Fで満たされると、バルーン130の本体134が膨張または拡張し、折り目135のポケット136内の材料が放出される。本体134のさらなる膨張または拡張により、本体134が標的部位Tに向かって、標的部位Tに対して押しつけられて、さらに、本体134の折り目135を滑らかにして、材料を標的部位Tに向かって押し出す。材料を標的部位Tに移送するのに十分な、例えば約10分以下、または約1分以下の期間、流体Fはバルーン130内に留まることができる。この期間は、バルーン130の材料及び/または流体F、標的部位Tとの相互作用、及び/または医療処置を行う医師の好みに依存し得る。さらに、標的部位Tの開口部がいつ閉じられるかにより、この期間は変更され得る。一例によれば、バルーン130を標的部位Tに隣接させ、材料に圧力を加えることにより、出血/切断を密封するか、または標的部位Tの裂け目または開口部を閉じることができる。
【0039】
材料が標的部位Tに十分に移送されるか、または標的部位Tが他の方法で処理されると、バルーン130は、流体Fを除去することによって収縮される。例えば、流体Fを除去するため、第一または第二のチャネル123、124の他方が流体収容装置に取り付けられ、ユーザによって操作されるシリンジまたはポンプ、または流体収容装置に関連した電動ポンプを介して、バルーン130からシース120の管腔に沿って、流体収容装置に流体が移動される。バルーン130から流体Fを除去すると、バルーン130はそれ自体で折りたたまれ、例えばシース120を近位に移動させてバルーン130をカテーテル20の管腔22内に移動させることによって、バルーン130を身体から除去することができる。代替的に、または追加的に、バルーン130をガイドワイヤに沿って移動させて、バルーン130を身体から除去してもよい。
【0040】
別の例によるバルーン230が図4A図4Cに示されている。図示されていないが、バルーン230は、本明細書で説明されるように、カテーテル及び/またはガイドワイヤを使用して体内に導入されてもよい。バルーン230は、シース120の遠位先端232の近位にあり、本明細書に記載の治療材料または再生材料等の材料が事前に装填された可撓性チャネル234を含む。チャネル234は、バルーン230の本体224の外面224aによって側面が境界付けられている。各チャネル234の半径方向内側部分は、シース120の外面(またはシース120の外面に固定されたバルーン130の表面)によって境界付けられている。各チャネル234の半径方向外側部分は、チャネル開口部234aを画定する。図4Aに示すように、バルーン230が収縮方向にあるとき、バルーン230の本体224の一部は、チャネル234のそれぞれのチャネル開口部234aと重なり、チャネル234からの材料のいくらかの脱落は起こり得るが、概してチャネル234へ材料を収容する。図4Bに示すように、管腔222を介して流体Fをバルーン230に供給することによってバルーン230が収縮構成から膨張されるにつれて、チャネル開口部234aを覆う本体224の一部がチャネル開口部234aから離れて移動し、チャネル開口部234aが開かれる(体管腔に露出する)。これは、矢印Rによって示されるように、材料がチャネル234からチャネル開口部234aを介して標的部位Tに流れることを可能にする。例えば、流体Fは、例えばその遠位端で管腔222に沿って管腔222の開口部160に供給されてもよく、開口部160を介してバルーン230に供給されて、それにより、バルーン230を膨張させてもよい。チャネル開口部234aは、他の任意の構造、例えばバルーン230が十分に膨張したときに破裂し得るバルーン230の有孔壁によって、収縮構成で閉じていてもよいことが理解されよう。穿孔または他の同様の閉鎖機構を同様に使用して、本明細書に記載の開口部を選択的に閉じることができる。
【0041】
図4Cは、材料がチャネル234から完全に、またはほぼ完全に排出された状態における、完全に膨張した構成のバルーン230を示している。一例によれば、チャネル234のそれぞれを画定する外面224aは、完全に膨張した構成にあるときは互いに隣接していてもよく、それにより、チャネル234のそれぞれから最大量の材料が排出されることを助けることができる。バルーン230は、図4B及び図4Cにおいて標的組織Tには接触していない。しかしながら、バルーン230が標的組織Tに接触して標的組織Tを押しつけ得ることが理解されよう。
【0042】
一実施形態によれば、チャネル234は概して円筒形であり、シース120の長手方向軸線を横切って(少なくとも膨張した場合)、場合によってはシース120の長手方向軸線にほぼ垂直となる長手方向軸線を有する。しかしながら、チャネル234の配向及び形状はそれらに限定されず、チャネル234は、任意の配向、例えば長手方向軸線に対して角度を付けられていてもよく、材料を貯蔵し、材料を標的部位Tに移送するために十分な任意の形状、例えば円錐形、柱状、または立方体であってもよい。さらに、チャネル234の数及び/または配置は制限されない。例えば、チャネル234は、バルーン230に沿って等間隔に、または無作為に間隔を空けて配置されてもよい。いくつかの例では、本明細書で説明するように、管腔222とは別に、シース120の管腔に沿って追加の硬化剤をチャネル234に供給してもよい。他の例では、いくつかのチャネル234が第一の薬剤を含み、他のチャネル234が第二の薬剤、例えば硬化剤を含んでもよい。
【0043】
次に、バルーン230の動作について説明する。バルーン230は体内に挿入されて、本明細書に記載の任意の方法で標的部位Tに前進される。バルーン230が標的部位Tに隣接して配置されると、バルーン230は、例えば管腔222に沿って管腔222の開口部に流体Fを供給すること等、本明細書に記載の任意の方法で膨張される。開口部160はバルーン230と流体連絡しているため、バルーン230が膨張し始めることにより、本体224が移動されてチャネル開口部234aのブロックが解除される。チャネル開口部234aが開くように覆われると、チャネル234に貯蔵された材料が標的部位Tに露出される。材料は、チャネル234に向かって拡張するバルーン230の圧力によって、チャネル開口部234aを介してチャネル234から押し出されてもよい。バルーン230が膨張し続けると、材料は排出され続ける。バルーン130が完全に膨張されると、チャネル234のそれぞれを画定する表面224aは互いに接触してもよく、それにより、材料がチャネル234から排出されることを助けることができる。材料が標的部位Tを十分にコーティングした後、バルーン230は収縮されて、本明細書に記載の任意の方法で身体から除去することができる。
【0044】
別の実施形態によるバルーン330が図5A及び図5Bに示されている。図示されていないが、バルーン330は、本明細書で説明されるように、カテーテル及び/またはガイドワイヤを使用して体内に導入されてもよい。バルーン330は、シース320の遠位先端332の近位に位置する。シース320は、第一の管腔322及び第二の管腔324を含み、これらはそれぞれ、シース320の近位端からバルーン330まで延びる。第一の管腔322は、本明細書に記載されるように、流体収容装置から流体Fを受け取り、本明細書に記載されるように、バルーン330を膨張させる。本明細書に記載されるように、第一の管腔322はまた、バルーン330の収縮のために使用される。第二の管腔324は、バルーン管腔334に接続され、材料及び/または他の流体、例えば試薬、接着剤、空気、及び/または水を受け取り、バルーン330の外面の開口部334aを介して標的部位Tに供給する。開口部334aは、バルーン管腔334を介して第二の管腔324に流体接続されている。図5A及び図5Bに示すように、バルーン管腔334は、バルーン330の外壁334b及びバルーン330の内壁322aによって画定され、内壁322aを介して管腔322から流体的に分離されている。したがって、バルーン管腔334は、流体Fを受け取るバルーン330の内部を完全に取り囲む、環状かつリング状の空間または空洞とすることができる。他の実施形態では、バルーン管腔334は、バルーン330の内部を部分的にのみ取り囲んでいてもよい。
【0045】
一例によれば、材料は第二の管腔324に事前に装填されていてもよく、バルーン330が膨張するときに、バルーン330への圧力に起因して、外壁334bの開口部334aから外に出てもよい。追加的に、または代替的に、流体を第二の管腔324に沿って供給して、材料を強制的に開口部334aに通し、及び/または材料と混合することによって、混合物を開口部334aから押し出してもよい。別の例によれば、例えばシリンジまたは他の適用装置を使用して材料を第二の管腔324に供給することによって、バルーン330が膨張した後、材料が第二の管腔324に供給されてもよい。さらに、溶媒または他の材料が、バルーン管腔334に事前に装填された薬剤の送達の前、後、または最中に、第二の管腔324を介して標的部位Tに供給されてもよい。溶媒は、標的部位Tに供給される材料の薬剤、接着剤等を活性化することができる。あるいは、本明細書に記載されるように、溶媒は、異なる管腔を使用して標的部位Tに供給されてもよい。
【0046】
次に、バルーン330の動作を図5A及び図5Bを参照して説明する。バルーン330は、体内に挿入されて、本明細書に記載の任意の方法で標的部位Tに前進される。バルーン330が標的部位Tに隣接して配置されると、バルーン330は、例えば流体収容装置から第一の管腔322に流体Fを供給してバルーン330を膨張させること等、本明細書に記載の任意の方法で膨張される。一例によれば、バルーン管腔334には、材料が事前に装填されている。バルーン330が膨張すると、第一の管腔322の内壁322aがバルーン管腔334内の材料を押して、開口部334aを通して標的部位Tに材料を供給する。バルーン330が十分に膨張され、標的部位Tに隣接して配置されると、材料は矢印Rによって示されるように開口部334aを出て、標的部位Tをコーティングする。一例によれば、シリンジまたは他の同様の装置がシース320の近位端に取り付けられて、材料が開口部334aから分配された後、第二の管腔324を介して標的部位Tに溶媒を供給することができる。
【0047】
あるいは、流体Fは最初に、流体収容装置から第一の管腔322に供給される。バルーン330が適切に配置され、十分に膨張されると、材料が第二の管腔324及び開口部334aを介して標的部位Tに供給される。例えば、シリンジまたは同様の装置が第二の管腔324の近位端に取り付けられ、材料がシリンジから第二の管腔324に分配されて、標的部位Tに供給される。一例によれば、第二の材料、例えば流体または溶媒は、材料が第二の管腔324に供給された後、例えばシリンジまたは同様の装置を介して第二の管腔324に供給される。第二の材料は、最初に提供された材料を第二の管腔324に沿って標的部位Tに移動させるのに適切であってもよく、及び/または、例えば材料を活性化するように追加の治療特性を提供するものであってもよい。材料が標的部位Tに供給された後、バルーン330は、本明細書に記載の任意の方法で標的部位Tから引き抜かれる。
【0048】
次に、別の例によるバルーン430について、図6A及び図6Bを参照して説明する。バルーン430は、本明細書に記載のバルーンのいずれかに類似しており、例えばバルーン430は、シース420の遠位端432の近位に取り付けられて、シース420の近位端からバルーン430まで延びる管腔422を含む。バルーン430は、本明細書で説明されるように、パッチ440を支持し得る外壁434をさらに含む。他に記載されたバルーンのいずれかについての他の任意の特徴が、バルーン430に組み込まれてもよい。
【0049】
パッチ440は、パッチ440が図6Aに示されるような低プロファイルから図6Bに示されるような拡大されたプロファイルに拡張することを可能にする材料、例えば多糖類、生分解性ポリウレタン、ポリ(エチレンオキシド)(PEO)、ポリ(エチレングリコール)(PEG)等から形成することができる。パッチ440の外面は、材料、例えば接着剤、試薬等を含んでもよく、治療的または再生的治療を提供するために標的部位Tに適用され、または標的部位Tに付着するように構成される。一例によれば、パッチ440の内面(外壁434に面する表面)はまた、挿入中にパッチ440をバルーン430に固定するための接着剤を含んでもよい。本明細書で説明するように、パッチ440が標的部位Tに取り付けられた後、パッチ440をバルーン430から除去することができる。いくつかの実施形態では、パッチ440上またはパッチ440内の他の材料の特性を変化させることなく、流体がシャフト20によって供給されて、パッチ440とバルーン430との間の接着剤を溶解させることができる。単一のパッチ440が示されているが、バルーン430は、治療の必要性に応じて複数のパッチを支持し得ることが理解されるであろう。さらに、パッチ440はバルーン430の全体に外接していてもよいが、パッチの他の実施形態は、バルーン430の一部にのみ外接していてもよい。
【0050】
本明細書に記載されるように、バルーン430は、流体収容装置から管腔422を介してバルーン430に流体Fを供給することによって、図6Aの収縮構成から図6Bの膨張構成に膨張または拡張される。バルーン430が膨張すると、パッチ440も同様に拡張され、標的部位Tに押しつけられてもよい。パッチ440が標的部位Tに隣接して適切に配置されると、パッチ440は標的部位Tに接着することができる。例えば、高周波(RF)電極は、パッチ440の外面上の材料を加熱して、接着剤を硬化させることができる。代替的に、または追加的に、バルーン430を膨張させるためにバルーン430に供給される流体Fは、パッチ440の外面上の材料を加熱し、接着剤を硬化させるのに十分な温度を有していてもよい。材料が硬化し、パッチ440が標的部位Tに接着された後、バルーン430は収縮する。
【0051】
別の例によれば、バルーン430とパッチ440との間の接着力は、挿入中にバルーン430に対するパッチ440の位置を維持することができ、この接着力には、パッチ440が標的部位Tに取り付けられた後に打ち勝つことができる。例えば、冷却流体(一例では、冷却流体は流体Fであり得る)を管腔422に供給して、バルーン430の外面434を冷却し、パッチ440の内面を冷却して、それにより、バルーン430とパッチ440との間の接着力を低下させることができる。代替的に、または追加的に、シース420を中心長手方向軸線の周りで回転させて、バルーン430をパッチ440に対して回転させ、バルーン430とパッチ440との間の接着力に打ち勝つようにしてもよい。さらに別の例では、バルーン430とパッチ440との間の接着剤を分解するために、薬剤がバルーン430及びパッチ440の開口部から供給されてもよい。本明細書に記載の例によれば、薬剤は、外面434の開口部に事前に装填されていてもよく、及び/または別個の管腔を介して供給されてもよい。
【0052】
次に、バルーン430の動作について説明する。バルーン430は、体内に挿入されて、本明細書に記載の任意の方法で標的部位Tに前進される。バルーン430が標的部位Tに隣接して配置されると、バルーン430は、例えば流体収容装置から管腔422に流体Fを供給してバルーン430を膨張させること等、本明細書に記載の任意の方法で膨張される。バルーン430が膨張されると、外壁434はパッチ440を押し、パッチ440をバルーン430の中心長手方向軸線から外側に拡張させる。バルーン430が十分に膨張し、標的部位Tに隣接して配置されると、外壁434は、パッチ440を標的部位Tに押しつけるか、標的部位Tに対して付勢する。一例によれば、標的部位Tに面するパッチ440の表面上の接着剤は、パッチ440が標的部位Tに接触すると、パッチ440が標的部位Tに接着されるように既に活性化されていてもよい。あるいは、パッチ440上の接着剤は、標的部位Tに対するパッチ440の位置を維持するために活性化または硬化される必要があってもよい。この例では、RF送信機が例えば管腔422に沿ってバルーン430内に前進されることによって、標的部位Tに隣接して配置されてもよい。RF送信機が適切に配置されると、例えばRF送信機に電流を印加することによってRF送信機が作動され、それによって熱を発生させて、接着剤を活性化または硬化させる。あるいは、バルーン430を膨張または拡張させるために使用される流体Fは、パッチ440上の接着剤を活性化し、それにより、接着剤を硬化させてパッチ440を標的部位Tに接着させることができる。
【0053】
パッチ440が標的部位Tに取り付けられると、バルーン430は標的部位Tから除去される。第一の例によれば、バルーン430は、本明細書に記載されるように、バルーン430から流体Fを除去することによって収縮される。あるいは、ユーザは、最初にシース420を回転させ、それにより、バルーン430を回転させて、パッチ440をバルーン430から解放することができる。例えば、パッチ440が、標的部位Tへの挿入中にバルーン430に対する位置を維持するために接着剤を使用する場合、シース420を回転させることにより、バルーン430とパッチ440との間の接着力に打ち勝つのに十分な力が生成され得る。代替的に、または追加的に、試薬がシース420の近位端からバルーン430に供給されてもよい。試薬は、バルーン430とパッチ440との間の接着力に対抗するために、外壁434の外面に供給されてもよい。パッチ440がバルーン430から取り外された後、バルーン430は収縮し、カテーテル、例えば図1に示されるカテーテル20内に引き抜かれて、身体から取り除くことができる。
【0054】
別の例によるバルーン530について、図7A及び図7Bを参照して説明する。バルーン530は、本明細書に記載のバルーンのいずれかに類似しており、例えばバルーン530は、シース520の遠位先端532の近位に取り付けられて、シース520の近位端からバルーン530まで延びる管腔522を含む。バルーン530の内壁536aは、バルーン530の外壁の第二の開口部534bに流体結合された複数の第一の開口部534aを含む。バルーン管腔534は、バルーン530の内壁536a及び外壁536bによって画定され、内壁536aの開口部534a及び外壁536bの開口部534bに流体結合されている。シース管腔524は、シース520の近位端から延びて、バルーン530の近位で終端する。シース管腔524は、シース520の外壁にある複数の第三の開口部524aと連絡しており、これについては、本明細書でより詳細に説明する。
【0055】
本明細書に記載されるように、流体Fは管腔522に沿って、シース520の近位端からバルーン530に供給されて、バルーン530を膨張または拡張させる。一例によれば、流体Fは約3~5の酸性pHレベル、または約4のpHを有する溶媒を含んでもよい。流体Fがバルーン530に供給されると、バルーン530は図7Bに示されるように、隣接する標的部位Tを膨張または拡張させる。本明細書に記載の治療材料等の材料は、粉末または粘性流体の形態でバルーン管腔534内に配置(事前装填)されてもよい。バルーン530が膨張または拡張されると、流体Fは、管腔522から開口部534aを通って管腔534に入り、材料と混合されてもよい。この混合物は、開口部534bを介して標的部位Tに供給される。いくつかの実施形態において、追加の材料または流体、例えば硬化剤がシース管腔524に供給されてもよく、開口部524aを介してシース管腔524から標的部位に供給されてもよい。その硬化剤または他の流体は、標的部位Tへの材料の送達の前、最中、または後に供給されてもよい。
【0056】
次に、バルーン530の動作について説明する。バルーン530は、体内に挿入されて、本明細書に記載の任意の方法で標的部位Tに前進される。バルーン530が標的部位Tに隣接して配置されると、バルーン530は例えば、流体収容装置から管腔522に流体Fを供給してバルーン530を膨張させること等、本明細書に記載の任意の方法で膨張される。バルーン530が膨張されると、バルーン530の外面が標的部位Tに接近及び/または隣接する。膨張中、または膨張直後に、流体Fは、管腔522からバルーン530内を通過して、開口部534aを介してバルーン管腔534内に入る。流体Fは、バルーン管腔534内に配置された材料と混合され、材料の粘度を低下させ、及び/または材料及び流体Fを含む溶液に材料を溶解させる。続いて、材料及び流体の溶液は、開口部534bを介して標的部位Tに供給される。あるいは、圧力が流体Fによってバルーン管腔534内の材料に加えられ、材料をバルーン管腔534から開口部534bを介して標的部位Tに押し出してもよい。
【0057】
管腔522からの流体F及びバルーン管腔534からの材料を含む混合物が標的部位Tをコーティングした後、第二の材料、例えば活性化流体が、シース520の近位端からシース管腔524に供給されてもよい。第二の材料または第二の流体は、シース管腔524に沿って移動し、開口部524aを介して標的部位Tに供給されてもよい。バルーン530は、開口部524aから第二の材料を供給する前、最中、または後に収縮し得ることが理解されよう。例えば、第二の材料または第二の流体は、バルーン530の近位端の形状、例えばバルーン530の傾斜面によって標的部位Tに誘導されてもよい。第二の流体が標的部位Tに供給された後、バルーン530は、本明細書に記載の任意の方法で収縮され、身体から除去される。
【0058】
当業者には、本開示の範囲から逸脱することなく、開示された装置に対して様々な修正及び変形を行い得ることが明らかとなるであろう。例えば、任意の材料または流体は、管腔に含まれるか、または他の方法でバルーンに供給され、及び/またはバルーンから供給されて適用装置から標的位置に排出されてもよく、治療効果を有する材料を含むがこれに限定されない。追加的に、または代替的に、別段の指定がない限り、本明細書に記載の医療装置は、医療用途での使用に適した任意の金属、合金、プラスチック、セラミック、またはそれらの任意の組み合わせで形成することができる。本開示の他の実施形態は、本明細書、及び本明細書に開示される本発明の実施を考慮することにより、当業者に明らかとなるであろう。本明細書及び実施例は例示としてのみ考慮され、本発明の真の範囲及び精神は、以下の特許請求の範囲によって示されることが意図されている。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
【国際調査報告】