(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-06
(54)【発明の名称】腫瘍治療のための二重特異性融合タンパク質
(51)【国際特許分類】
C07K 16/28 20060101AFI20230130BHJP
C07K 16/46 20060101ALI20230130BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20230130BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20230130BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20230130BHJP
A61K 31/337 20060101ALI20230130BHJP
A61K 31/7068 20060101ALI20230130BHJP
A61K 31/513 20060101ALI20230130BHJP
A61K 33/24 20190101ALI20230130BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20230130BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20230130BHJP
C12N 15/13 20060101ALN20230130BHJP
C07D 305/14 20060101ALN20230130BHJP
C07H 19/067 20060101ALN20230130BHJP
C07D 239/553 20060101ALN20230130BHJP
C07H 19/073 20060101ALN20230130BHJP
【FI】
C07K16/28 ZNA
C07K16/46
A61P35/00
A61K39/395 E
A61K39/395 T
A61P43/00 121
A61K31/337
A61K31/7068
A61K31/513
A61K33/24
A61K9/08
A61P35/02
C12N15/13
C07D305/14
C07H19/067
C07D239/553 A
C07H19/073
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022532762
(86)(22)【出願日】2020-12-03
(85)【翻訳文提出日】2022-06-01
(86)【国際出願番号】 CN2020133665
(87)【国際公開番号】W WO2021110106
(87)【国際公開日】2021-06-10
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2019/123066
(32)【優先日】2019-12-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2020/127556
(32)【優先日】2020-11-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518320030
【氏名又は名称】江蘇康寧杰瑞生物制薬有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シュー ティン
(72)【発明者】
【氏名】グォ カンピン
(72)【発明者】
【氏名】シュー ジュンファン
(72)【発明者】
【氏名】ワン ピーリン
(72)【発明者】
【氏名】ジン ユーハオ
【テーマコード(参考)】
4C057
4C076
4C085
4C086
4H045
【Fターム(参考)】
4C057BB02
4C057CC03
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4C057LL17
4C057LL18
4C057LL19
4C076AA11
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4C086EA17
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4C086MA66
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4C086ZC75
4H045AA10
4H045AA11
4H045CA40
4H045DA76
4H045EA20
4H045FA74
(57)【要約】
本発明は、二量体を必要とする被験者の腫瘍治療のための医薬調製における二量体の使用、及び各々が抗体Fcサブユニットを含む、二つのポリペプチド鎖から形成される二量体に関するものである。前記二量体は、二つ以上の免疫グロブリン単一可変ドメイン(ISVD)を含み、ISVDの少なくとも一つは、PD-L1に対して特異的であり、ISVDの少なくとも一つは、CTLA4に対して特異的である。本発明はさらに、免疫チェックポイント阻害薬に治療抵抗性を示す被験者における腫瘍の治療方法も提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
腫瘍を治療するための医薬の調製における二量体の使用であって、以下:前記二量体は2つのポリペプチド鎖によって形成され、前記2つのポリペプチド鎖の各々は抗体Fcサブユニットを含み、前記二量体は2以上の免疫グロブリン単一可変ドメイン(ISVD)を含み、前記ISVDの少なくとも1つはPD-L1に対して特異であり、前記ISVDの少なくとも1つはCTLA4に対して特異であることを特徴とする、使用。
【請求項2】
前記2つのポリペプチド鎖の少なくとも1つが、PD-L1に特異的なISVD及びCTLA4に特異的なISVDの両方を含む、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
前記2つのポリペプチド鎖の各々が、PD-L1に特異的なISVDとCTLA4に特異的なISVDの両方を含む、請求項1~2のいずれか一項に記載の使用。
【請求項4】
前記2つのポリペプチド鎖の一方または両方について、PD-L1に特異的な前記ISVDが、任意にリンカーを介して、CTLA4に特異的な前記ISVDに融合される、請求項1~3のいずれか一項に記載の使用。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載の使用であって、前記2つのポリペプチド鎖のうちの1つまたは両方について:
PD-L1に特異的な前記ISVDは、任意にリンカーを介して、CTLA4に特異的な前記ISVDに融合され;そしてCTLA4に特異的な前記ISVDは、任意にリンカーを介して、前記抗体Fcサブユニットに融合される、使用。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載の使用であって、前記2つのポリペプチド鎖のうちの1つまたは両方について:
PD-L1に特異的な前記ISVDのC末端は、任意にリンカーを介して、CTLA4に特異的な前記ISVDのN末端に融合され;及び
CTLA4に特異的な前記ISVDのC末端は、任意にリンカーを介して、前記抗体FcサブユニットのN末端に融合される、使用。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載の使用であって、前記2つのポリペプチド鎖のうちの1つまたは両方について:
PD-L1に特異的な前記ISVDは、CTLA4に特異的な前記ISVDに、任意選択でリンカーを介して融合され、
及び
PD-L1に特異的な前記ISVDは、任意にリンカーを介して、前記抗体Fcサブユニットに融合される、使用。
【請求項8】
請求項7に記載の使用であって、前記2つのポリペプチド鎖の一方または両方について:CTLA4に特異的な前記ISVDのC末端は、任意にリンカーを介して、PD-L1に特異的な前記ISVDのN末端に融合され;及び
PD-L1に特異的な前記ISVDのC末端は、任意にリンカーを介して、前記抗体FcサブユニットのN末端に融合される、使用。
【請求項9】
前記抗体Fcサブユニットが、IgG Fcサブユニットに由来する、請求項1~8のいずれか一項に記載の使用。
【請求項10】
前記IgGがヒトIgG1である、請求項9に記載の使用。
【請求項11】
前記抗体Fcサブユニットが、配列番号35、38及び39のいずれか一項に記載のアミノ酸配列を含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の使用。
【請求項12】
PD-L1に特異的な前記ISVDが、ヒトPD-L1N末端IgVドメインに結合することができる、請求項1~11のいずれか一項に記載の使用。
【請求項13】
PD-L1に特異的な前記ISVDが、ヒトPD-L1N末端IgVドメインの残基154、Y56、E58、Q66及び/またはR113に結合することができ、前記ヒトPD-L1 N末端IgVドメインが配列番号64に記載のアミノ酸配列を含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の使用。
【請求項14】
PD-L1に特異的な前記ISVDが、ヒトPD-L1N末端IgVドメインの残基D61、N63、V68、M115、S117、Y123及び/またはR125にさらに結合することができ、ここで、前記ヒトPD-L1N末端IgVドメインが配列番号64に記載のアミノ酸配列を含む、請求項13に記載の使用。
【請求項15】
PD-L1に特異的な前記ISVDが、ヒトPD-L1N末端IgVドメインの立体配座エピトープに結合することができ、前記立体配座エピトープが、前記ヒトPD-L1N末端IgVドメインの残基154、Y56、E58、Q66及びR113を含み、前記ヒトPD-L1N末端IgVドメインが、配列番号64に記載のアミノ酸配列を含む、請求項1~14のいずれか一項に記載の使用。
【請求項16】
PD-L1に特異的な前記ISVDが、ヒトPD-L1N末端IgVドメインの立体配座エピトープに結合することができ、前記立体配座エピトープが、前記ヒトPD-L1N末端IgVドメインの残基154、Y56、E58、Q66、R113、D61、N63、V68、Ml15、S117、Y123及びR125を含み、前記ヒトPD-L1N末端IgVドメインが、配列番号64に記載のアミノ酸配列を含む、請求項1~15のいずれか一項に記載の使用。
【請求項17】
PD-L1に特異的な前記ISVDが、PD-L1のPD1への結合を遮断することができる、請求項1~16のいずれか一項に記載の使用。
【請求項18】
PD-L1に特異的な前記ISVDが、PD-L1のCD80への結合を遮断することができる、請求項1~17のいずれか一項に記載の使用。
【請求項19】
PD-L1交差に特異的な前記ISVDが、参照抗PD-L1抗体とPD-L1との結合について競合し、前記参照抗PD-L1抗体が、配列番号:1に記載のアミノ酸配列を含む重鎖CDR3を含む、請求項1~18のいずれか一項に記載の使用。
【請求項20】
前記参照抗PD-L1抗体が、配列番号5及び9のいずれか1つに記載のアミノ酸配列を含む重鎖CDR 3を含む、請求項19に記載の使用。
【請求項21】
前記参照抗PD-L1抗体が、配列番号2に記載のアミノ酸配列を含む重鎖CDR1を含む、請求項19~20のいずれか一項に記載の使用。
【請求項22】
前記参照抗PD-L1抗体が、配列番号3及び7のいずれか1つに記載のアミノ酸配列を含む重鎖CDR1を含む、請求項19~21のいずれか一項に記載の使用。
【請求項23】
前記参照抗PD-L1抗体が、配列番号4、8及び11のいずれか1つに記載のアミノ酸配列を含む重鎖CDR2を含む、請求項19~22のいずれか一項に記載の使用。
【請求項24】
前記参照抗PD-L1抗体がPD-L1に特異的なISVDである、請求項19~23のいずれか一項に記載の使用。
【請求項25】
前記参照抗PD-L1抗体が、配列番号6、10、12、13、14及び15のいずれか1つに記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインを含む、請求項19~24のいずれか一項に記載の使用。
【請求項26】
前記参照抗PD-L1抗体が、配列番号6に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインを含む、請求項19~25のいずれか一項に記載の使用。
【請求項27】
PD-L1に特異的な前記ISVDが、配列番号1に記載のアミノ酸配列を含む重鎖CDR 3を含む、請求項1~26のいずれか一項に記載の使用。
【請求項28】
PD-L1に特異的な前記ISVDが、配列番号5及び9のいずれか1つに記載のアミノ酸配列を含む重鎖CDR 3を含む、請求項1~27のいずれか一項に記載の使用。
【請求項29】
PD-L1に特異的な前記ISVDが、配列番号2に記載のアミノ酸配列を含む重鎖CDR 1を含む、請求項1~28のいずれか一項に記載の使用。
【請求項30】
PD-L1に特異的な前記ISVDが、配列番号3及び7のいずれか1つに記載のアミノ酸配列を含む重鎖CDR1を含む、請求項1~29のいずれか一項に記載の使用。
【請求項31】
PD-L1に特異的な前記ISVDが、配列番号4、8及び11のいずれか1つに記載のアミノ酸配列を含む重鎖CDR2を含む、請求項1~30のいずれか一項に記載の使用。
【請求項32】
PD-L1に特異的な前記ISVDが、配列番号6、10、12、13、14及び15のいずれか1つに記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインを含む、請求項1~31のいずれか一項に記載の使用。
【請求項33】
PD-L1に特異的な前記ISVDが、配列番号6に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインを含む、請求項1~32のいずれか一項に記載の使用。
【請求項34】
CTLA4に特異的な前記ISVDが、ヒトCTLA4に特異的に結合することができる、請求項1~33のいずれか一項に記載の使用。
【請求項35】
CTLA4に特異的な前記ISVDが、CTLA4のCD80への結合を遮断することができる、請求項1~34のいずれか一項に記載の使用。
【請求項36】
CTLA4に特異的な前記ISVDが、CTLA4のCD86への結合を遮断することができる、請求項1~35のいずれか一項に記載の使用。
【請求項37】
CTLA4に特異的な前記ISVDが、CTLA4と参照抗CTLA4抗体との結合について交差競合し、前記参照抗CTLA4抗体が、配列番号19に記載のアミノ酸配列を含む重鎖CDR3を含む、請求項1~36のいずれか一項に記載の使用。
【請求項38】
前記参照抗CTLA4抗体が、配列番号17に記載のアミノ酸配列を含む重鎖CDR1を含む、請求項37に記載の使用。
【請求項39】
前記参照抗CTLA4抗体が、配列番号16に記載のアミノ酸配列を含む重鎖CDR2を含む、請求項37~38のいずれか一項に記載の使用。
【請求項40】
前記参照抗CTLA4抗体が、配列番号18、21及び23のいずれか1つに記載のアミノ酸配列を含む重鎖CDR2を含む、請求項37~39のいずれか一項に記載の使用。
【請求項41】
前記参照抗CTLA4抗体が、CTLA4に特異的なISVDである、請求項37~40のいずれか一項に記載の使用。
【請求項42】
前記参照抗CTLA4抗体が、配列番号20、22、及び24~32のいずれか一つに記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインを含む、請求項37~41のいずれか一項に記載の使用。
【請求項43】
前記参照抗CTLA4抗体が、配列番号20に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインを含む、請求項37~42のいずれか一項に記載の使用。
【請求項44】
CTLA4に特異的な前記ISVDが、配列番号19に記載のアミノ酸配列を含む重鎖CDR3を含む、請求項1~43のいずれか一項に記載の使用。
【請求項45】
CTLA4に特異的な前記ISVDが、配列番号17に記載のアミノ酸配列を含む重鎖CDR1を含む、請求項1~44のいずれか一項に記載の使用。
【請求項46】
CTLA4に特異的な前記ISVDが、配列番号16に記載のアミノ酸配列を含む重鎖CDR2を含む、請求項1~45のいずれか一項に記載の使用。
【請求項47】
CTLA4に特異的な前記ISVDが、配列番号18、21及び23のいずれか1つに記載のアミノ酸配列を含む重鎖CDR2を含む、請求項1~46のいずれか一項に記載の使用。
【請求項48】
CTLA4に特異的な前記ISVDが、配列番号20、22、及び24~32のいずれか1つに記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインを含む、請求項1~47のいずれか一項に記載の使用。
【請求項49】
CTLA4に特異的な前記ISVDが、配列番号20に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインを含む、請求項1~48のいずれか一項に記載の使用。
【請求項50】
前記二量体がホモ二量体である、請求項1~49のいずれか一項に記載の使用。
【請求項51】
前記リンカーが、配列番号33~34のいずれか1つに記載のアミノ酸配列を含む、請求項4~50のいずれか一項に記載の使用。
【請求項52】
前記2つのポリペプチド鎖の一方または両方が、配列番号40~43、46、48、及び50のいずれか1つに記載のアミノ酸配列を含む、請求項1~51のいずれか一項に記載の使用。
【請求項53】
前記二つのポリペプチド鎖の一方または両方が、配列番号40に記載のアミノ酸配列を含む、請求項1~52のいずれか一項に記載の使用。
【請求項54】
前記二量体がPD-L1のPD-1への結合を遮断することができる、請求項1~53のいずれか一項に記載の使用。
【請求項55】
前記二量体がPD-L1のCD80への結合を遮断することができる、請求項1~54のいずれか一項に記載の使用。
【請求項56】
前記二量体がCTLA4のCD80への結合を遮断することができる、請求項1~55のいずれか一項に記載の使用。
【請求項57】
前記二量体がCTLA4のCD86への結合を遮断することができる、請求項1~56のいずれか一項に記載の使用。
【請求項58】
前記腫瘍が、NSCLC、黒色腫、食道扁平上皮癌 (ESCC) 、NPC及び乳癌からなる群より選択される、請求項1~57のいずれか一項に記載の使用。
【請求項59】
前記腫瘍が、食道扁平上皮癌(ESCC) 及び鼻咽頭癌 (NPC) からなる群より選択される、請求項1~58のいずれか一項に記載の使用。
【請求項60】
前記腫瘍を患っている被験者が免疫チェックポイント阻害剤を投与されている、請求項1~59のいずれか一項に記載の使用。
【請求項61】
前記被験者が、前記免疫チェックポイント阻害剤に対して実質的に応答しなかった、請求項60に記載の使用。
【請求項62】
前記免疫チェックポイント阻害剤が、以下からなる群より選択される、請求項60~61のいずれか一項に記載の使用。
【請求項63】
前記被験者が化学療法、化学放射線療法、CTL細胞療法、EGFRチロシンキナーゼ阻害剤(TKI) 、及び/または血管新生阻害剤を投与されている、請求項60~62のいずれか一項に記載の使用。
【請求項64】
前記化学療法が、第一選択化学療法及び/または第二選択化学療法を含む、請求項63に記載の使用。
【請求項65】
前記第二選択化学療法がパクリタキセル、ドセタキセル、カペシタビン及び/または5-FUを含む、請求項64に記載の使用。
【請求項66】
前記腫瘍が、局所進行期または転移性黒色腫、非ケラチン化局所進行性再発性または転移性NPC、転移性NSCLC、扁平上皮及び非扁平上皮NSCLC、再発性または転移性ESCC及びトリプルネガティブ乳癌(TNBC) からなる群より選択される、請求項1~65のいずれかに記載の使用。
【請求項67】
前記腫瘍が、EGFR突然変異またはALK融合を伴わない進行NSCLC、EGFRエクソン20挿入突然変異を伴うNSCLC、PD-L 1発現陽性のNPC、及び局所進行性の手術不能または転移性TNBCからなる群より選択される、請求項1~66のいずれかに記載の使用。
【請求項68】
前記二量体が化学療法剤と組み合わせて投与される、請求項1~67のいずれか一項に記載の使用。
【請求項69】
前記化学療法剤が白金ダブレット及び/またはパクリタキセルを含む、請求項68に記載の使用。
【請求項70】
前記化学療法剤が、シスプラチン、ゲムシタビン及び/またはナブパクリタキセルを含む、請求項68~69のいずれか一項に記載の使用。
【請求項71】
それを必要とする被験者中の腫瘍を治療する方法であって、請求項1~70のいずれか一項に記載の有効量の二量体を該被験者に投与することを含む方法。
【請求項72】
前記腫瘍が、NSCLC、黒色腫、食道扁平上皮癌 (ESCC) 、NPC及び乳癌からなる群より選択される、請求項71に記載の使用。
【請求項73】
前記腫瘍が、食道扁平上皮癌(ESCC) 及び鼻咽頭癌 (NPC) からなる群より選択される、請求項71~72のいずれか一項に記載の使用。
【請求項74】
前記被験者が免疫チェックポイント阻害剤を投与されている、請求項71~73のいずれか一項に記載の使用。
【請求項75】
前記被験者が、前記免疫チェックポイント阻害剤に対して実質的に応答しなかった、請求項74に記載の使用。
【請求項76】
前記免疫チェックポイント阻害剤が、以下からなる群より選択される、請求項74~75のいずれか一項に記載の使用。
【請求項77】
前記被験者が化学療法、化学放射線療法、CTL細胞療法、EGFRチロシンキナーゼ阻害剤(TKI) 、及び/または血管新生阻害剤を投与されている、請求項71~76のいずれか一項に記載の使用。
【請求項78】
前記化学療法が、第一選択化学療法及び/または第二選択化学療法を含む、請求項77に記載の使用。
【請求項79】
前記第二選択化学療法がパクリタキセル、ドセタキセル、カペシタビン及び/または5-FUを含む、請求項78に記載の使用。
【請求項80】
前記腫瘍が、局所進行期または転移性黒色腫、非ケラチン化局所進行性再発性または転移性NPC、転移性NSCLC、扁平上皮及び非扁平上皮NSCLC、再発性または転移性ESCC及びトリプルネガティブ乳癌(TNBC) からなる群より選択される、請求項71~79のいずれか一項に記載の使用。
【請求項81】
前記腫瘍が、EGFR突然変異またはALK融合を伴わない進行NSCLC、EGFRエクソン20挿入突然変異を伴うNSCLC、PD-L 71発現陽性のNPC、及び局所進行性の手術不能または転移性TNBCからなる群より選択される、請求項1~80のいずれかに記載の使用。
【請求項82】
前記二量体が化学療法剤と組み合わせて投与される、請求項71~81のいずれか一項に記載の使用。
【請求項83】
前記化学療法剤が白金ダブレット及び/またはパクリタキセルを含む、請求項82に記載の使用。
【請求項84】
前記化学療法剤が、シスプラチン、ゲムシタビン及び/またはナブパクリタキセルを含む、請求項82~83のいずれか一項に記載の使用。
【請求項85】
前記二量体の有効量が1 mg/kg~5 mg/kgの用量である、請求項71~84のいずれか一項に記載の方法。
【請求項86】
前記用量が1 mg/kg~3 mg/kgである、請求項85に記載の方法。
【請求項87】
前記用量が3 mg/kg~5 mg/kgである、請求項85に記載の方法。
【請求項88】
前記二量体が2週間に1回または3週間に1回投与される、請求項71~87のいずれか一項に記載の方法。
【請求項89】
前記二量体が静脈内投与によって投与される、請求項71~88のいずれか一項に記載の方法。
【請求項90】
腫瘍を治療するための医薬の調製における、請求項68~70のいずれか一項に記載の化学療法剤と組み合わせた、請求項1~70のいずれか一項に記載の二量体の使用。
【請求項91】
前記腫瘍が、固形腫瘍及び血液腫瘍からなる群より選択される、請求項90に記載の使用。
【請求項92】
前記腫瘍がNSCLC及び/または乳癌を含む、請求項90~91のいずれか一項に記載の使用。
【請求項93】
前記腫瘍を患っている被験者がEGFRチロシンキナーゼ阻害剤 (TKI) を投与されている、請求項90~92のいずれか一項に記載の使用。
【請求項94】
前記腫瘍が、扁平上皮及び非扁平上皮NSCLCならびにトリプルネガティブ乳癌 (TNBC) からなる群より選択される、請求項90~93のいずれか一項に記載の使用。
【請求項95】
前記腫瘍が、EGFRエクソン20挿入突然変異及び局所的に進行した手術不能または転移性TNBCを有するNSCLCからなる群より選択される、請求項90~94のいずれか一項に記載の使用。
【請求項96】
前記二量体が、週に4回、週に2回、週に1回、2週に1回、3週に1回、4週に1回、5週に1回、6週に1回、8週に1回、または12週に1回の投与頻度で投与される、請求項90~95のいずれか一項に記載の使用。
【請求項97】
前記白金系薬剤が、週に4回、週に2回、週に1回、2週に1回、3週に1回、4週に1回、5週に1回、6週に1回、8週に1回または12週に1回の投与頻度で投与される、請求項90~96のいずれか一項に記載の使用。
【請求項98】
前記二量体が、静脈内、筋肉内、皮下、局所、経口、経皮、腹腔内、眼窩内、埋め込み、吸入、髄腔内、脳室内、または鼻腔内に投与される、請求項90~97のいずれか一項に記載の使用。
【請求項99】
前記化学療法剤が、静脈内、筋肉内、皮下、局所、経口、経皮、腹腔内、眼窩内、埋め込み、吸入、髄腔内、脳室内、または鼻腔内に投与される、請求項90~98のいずれか一項に記載の使用。
【請求項100】
前記二量体が、0.01 mg/kg~100 mg/kgの用量で投与される、請求項90~99のいずれか一項に記載の使用。
【請求項101】
前記化学療法剤が0.01 mg/kg~100 mg/kgの用量で投与される、請求項90~100のいずれか一項に記載の使用。
【請求項102】
請求項1~70のいずれか一項に記載の有効量の前記二量体と、請求項68~70のいずれか一項に記載の前記化学療法剤とを含むキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二量体を必要とする被験者の腫瘍治療のための医薬調製における二量体の使用、及び各々が抗体Fcサブユニットを含む、二つのポリペプチド鎖から形成される二量体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
PD1/PD-L1相互作用の遮断により、腫瘍特異的T細胞免疫の増強が期待され、ひいては免疫系による腫瘍細胞の除去につながると考えられる。プログラム細胞死リガンド‐1(PD‐L1)は、抗原提示細胞及び多くのヒト腫瘍細胞に発現し、PD‐1への結合時にT細胞活性化及びサイトカイン分泌をダウンレギュレートすることが示されている。
【0003】
同様に、細胞傷害性Tリンパ球抗原4(CTLA4)のような免疫調節分子の廃止は、腫瘍退縮を誘導し、免疫系の操作により患者の生存を延長する新しい、有望な戦略として期待されている。抗CTLA4抗体(イピリムマブなど)も腫瘍の治療のために開発され、市販されている。
【0004】
最近では、PD1/PD‐L1抗体とCTLA4抗体を別々に静脈内投与する併用療法の報告が示された。しかしながら、これらの併用療法には多くの欠点がある。例えば、患者にとって不便さや痛みが増し、複数の薬剤の製造及び特性把握が困難になるなどの問題がある。さらに、最適とはいえない有効性及び安全性の問題も報告されている。従って、腫瘍の治療のための新たな有望な薬剤、特に様々な標的に同時に作用することができる薬剤に対する未だ満たされていない医学的ニーズが存在する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示は、二つのポリペプチド鎖モノマーの各々が抗体Fcサブユニットを含む、二つのポリペプチド鎖モノマーを含む、それを必要とする被験者の腫瘍を治療するための医薬調製における二量体の使用を提供する。前記二量体は、二つ以上の免疫グロブリン単一可変ドメイン(ISVDs)を含み、ISVDsの少なくとも一つはPD-L1に特異的であり、ISVDsの少なくとも一つはCTLA4に特異的である。本開示はまた、それを必要とする被験者における腫瘍を治療するための方法を提供し、前記方法は、免疫チェックポイント阻害薬の治療に対して抵抗性を示す前記被験者に対し、有効量の二量体を被験者に投与することを含む。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一形態では、本開示は、それを必要とする被験者の腫瘍を治療するための医薬の調製における二量体の使用を提供し、前記二量体は、二つのポリペプチド鎖によって形成される二量体であり、前記二つのポリペプチド鎖の各々は、抗体Fcサブユニットを含み、前記二量体は、二つ以上の免疫グロブリン単一可変ドメイン(ISVDs)を含み、前記ISVDの少なくとも一つは、PD-L1に対して特異的であり、前記ISVDの少なくとも一つは、CTLA4に対して特異的である。
【0007】
いくつかの実施形態では、前記二つのポリペプチド鎖の少なくとも一つは、PD-L1に特異的なISVD及びCTLA4に特異的なISVDの両方を含む。
【0008】
いくつかの実施形態では、前記二つのポリペプチド鎖の各々は、PD-L1に特異的なISVD及びCTLA4に特異的なISVDの両方を含む。
【0009】
いくつかの実施形態では、前記二つのポリペプチド鎖の一方又は両方について、PD-L1に特異的な前記ISVDは、任意にリンカーを介して、CTLA4に特異的な前記ISVDに融合される。
【0010】
いくつかの実施形態では、前記二つのポリペプチド鎖の一方又は両方について:PD-L1に特異的な前記ISVDは、任意にリンカーを介して、CTLA4に特異的な前記ISVDに融合され;及びCTLA4に特異的な前記ISVDは、任意にリンカーを介して、前記抗体Fcサブユニットに融合される。
【0011】
いくつかの実施形態では、前記二つのポリペプチド鎖の一方又は両方について:PD-L1に特異的な前記ISVDのC末端は、任意にリンカーを介して、CTLA4に特異的な前記ISVDのN末端に融合され;及びCTLA4に特異的な前記ISVDのC末端は、前記抗体FcサブユニットのN末端に、任意にリンカーを介して融合される。
【0012】
いくつかの実施形態では、前記二つのポリペプチド鎖の一方又は両方について:PD-L1に特異的な前記ISVDは、任意にリンカーを介して、CTLA4に特異的な前記ISVDに融合され;及びPD-L1に特異的な前記ISVDは、任意にリンカーを介して、前記抗体Fcサブユニットに融合される。
【0013】
CTLA4に特異的な前記ISVDのC末端は、任意にリンカーを介して、PD-L1に特異的な前記ISVDのN末端に融合され;及びPD-L1に特異的な前記ISVDのC端は、任意にリンカーを介して、前記抗体FcサブユニットのN端に融合される。
【0014】
いくつかの実施形態では、前記抗体Fcサブユニットは、IgG Fcサブユニットに由来する。
【0015】
いくつかの実施形態では、前記IgGはヒトIgG1である。
【0016】
いくつかの実施形態では、前記抗体Fcサブユニットは、配列番号35、38及び39のいずれか一つに記載のアミノ酸配列を含む。
【0017】
いくつかの実施形態では、PD-L1に特異的な前記ISVDは、ヒトPD-L1N末端IgVドメインに結合し得る。
【0018】
いくつかの実施形態では、PD-L1に特異的な前記ISVDは、ヒトPD-L1N末端IgVドメインの残基154、Y56、E58、Q66及び/又はR113に結合することができ、前記ヒトPD-L1N末端IgVドメインは、配列番号64に記載のアミノ配列を含む。
【0019】
いくつかの実施形態では、PD-L1に特異的な前記ISVDは、ヒトPD-L1N末端IgVドメインの残基D61、N63、V68、M115、S117、Y123及び/又はR125にさらに結合することができ、前記ヒトPD-L1N末端IgVドメインは、配列番号64に記載のアミノ配列を含む。
【0020】
いくつかの実施形態では、PD-L1に特異的な前記ISVDは、ヒトPD-L1N末端IgVドメインの立体配座エピトープに結合することができ、ここで、前記立体配座エピトープは、前記ヒトPD-L1N末端IgVドメインの残基154、Y56、E58、Q66及びR113を含み、前記ヒトPD-L1N末端IgVドメインは、配列番号64に記載のアミノ配列を含む。
【0021】
いくつかの実施形態では、PD-L1に特異的な前記ISVDは、ヒトPD-L1N末端IgVドメインの立体配座エピトープに結合することができ、ここで、前記立体配座エピトープは、前記ヒトPDL1N末端IgVドメインの残基154、Y56、E58、Q66、R113、D61、N63、V68、Ml15、S117、Y123及びR125を含み、前記ヒトPD-L1N末端IgVドメインは、配列番号64に記載のアミノ配列を含む。
【0022】
いくつかの実施形態では、PD-L1に特異的な前記ISVDは、PD-L1のPD1への結合を遮断することができる。
【0023】
いくつかの実施形態では、PD-L1に特異的な前記ISVDは、PD-L1のCD80への結合を遮断することができる。
【0024】
いくつかの実施形態では、PD-L1に特異的な前記ISVDは、参照抗PD-Ll抗体とPD-L1との結合について競合し、前記参照抗PD-Ll抗体は、配列番号1に記載のアミノ酸配列からなる重鎖CDR3を含む。
【0025】
いくつかの実施形態では、前記参照抗PD-Ll抗体は、配列番号5及び9のいずれか一つに記載のアミノ酸配列からなる重鎖CDR3を含む。
【0026】
いくつかの実施形態では、前記参照抗PD-Ll抗体は、配列番号2に記載のアミノ酸配列からなる重鎖CDR1を含む。
【0027】
いくつかの実施形態では、前記参照抗PD-Ll抗体は、配列番号3及び7のいずれか一つに記載のアミノ酸配列からなる重鎖CDR1を含む。
【0028】
いくつかの実施形態では、前記参照抗PD-Ll抗体は、配列番号4、8及び11のいずれか一つに記載のアミノ酸配列からなる重鎖CDR2を含む。
【0029】
いくつかの実施形態では、前記参照抗PD-Ll抗体は、PD-L1に対して特異的なISVDである。
【0030】
いくつかの実施形態では、前記参照抗PD-Ll抗体は、配列番号6、10、12、13、14及び15のいずれか一つに記載のアミノ酸配列からなる重鎖可変ドメインを含む。
【0031】
いくつかの実施形態では、前記参照抗PD-Ll抗体は、配列番号6に記載のアミノ酸配列からなる重鎖可変ドメインを含む。
【0032】
いくつかの実施形態において、PD-L1に特異的な前記ISVDは、配列番号1に記載のアミノ酸配列からなる重鎖を含む。
【0033】
いくつかの実施形態では、PD-L1に特異的な前記ISVDは、配列番号5及び9のいずれか一つに記載のアミノ酸配列からなる重鎖を含む。
【0034】
いくつかの実施形態において、PD-L1に特異的な前記ISVDは、配列番号2に記載のアミノ酸配列からなる重鎖を含む。
【0035】
いくつかの実施形態では、PD-L1に特異的な前記ISVDは、配列番号3及び7のいずれか一つに記載のアミノ酸配列からなる重鎖を含む。
【0036】
いくつかの実施形態では、PD-L1に特異的な前記ISVDは、配列番号4、8及び11のいずれか一つに記載のアミノ酸配列からなる重鎖を含む。
【0037】
いくつかの実施形態では、PD-L1に特異的な前記ISVDは、配列番号6、10、12、13、14及び15のいずれか一つに記載のアミノ酸配列からなる重鎖可変ドメインを含む。
【0038】
いくつかの実施形態では、PD-L1に特異的な前記ISVDは、配列番号6に記載のアミノ酸配列からなる重鎖可変ドメインを含む。
【0039】
いくつかの実施形態では、CTLA4に特異的な前記ISVDは、ヒトCTLA4に特異的に結合し得る。
【0040】
いくつかの実施形態では、CTLA4に特異的な前記ISVDは、CTLA4のCD80への結合を遮断することができる。
【0041】
いくつかの実施形態では、CTLA4に特異的な前記ISVDは、CTLA4のCD86への結合を遮断することができる。
【0042】
いくつかの実施形態では、CTLA4に特異的な前記ISVDは、参照抗CTLA4抗体とCTLA4との結合について交差競合するが、前記参照抗CTLA4抗体は、配列番号19に記載のアミノ酸配列からなる重鎖CDR3を含む。
【0043】
いくつかの実施形態では、参照抗CTLA4抗体は、配列番号17に記載のアミノ酸配列からなる重鎖CDR1を含む。
【0044】
いくつかの実施形態では、前記参照抗CTLA4抗体は、配列番号16に記載のアミノ酸配列からなる重鎖CDR2を含む。
【0045】
いくつかの実施形態では、前記参照抗CTLA4抗体は、配列番号18、21及び23のいずれか一つに記載のアミノ酸配列からなる重鎖CDR2を含む。
【0046】
いくつかの実施形態では、前記参照抗CTLA4抗体は、CTLA4に特異的なISVDである。
【0047】
いくつかの実施形態では、前記参照抗CTLA4抗体は、配列番号20、22及び24~32のいずれか一つに記載のアミノ酸配列からなる重鎖可変ドメインを含む。
【0048】
いくつかの実施形態では、前記参照抗CTLA4抗体は、配列番号20に記載のアミノ酸配列からなる重鎖可変ドメインを含む。
【0049】
いくつかの実施形態では、CTLA4に特異的な前記ISVDは、配列番号19に記載のアミノ酸配列を含む。
【0050】
いくつかの実施形態では、CTLA4に特異的な前記ISVDは、配列番号17に記載のアミノ酸配列を含む。
【0051】
いくつかの実施形態では、CTLA4に特異的な前記ISVDは、配列番号16に記載のアミノ酸配列を含む。
【0052】
いくつかの実施形態では、CTLA4に特異的な前記ISVDは、配列番号18、21及び23のいずれか一つに記載のアミノ酸配列を含む。
【0053】
いくつかの実施形態では、CTLA4に特異的な前記ISVDは、配列番号20、22及び24~32のいずれか一つに記載のアミノ酸配列からなる重鎖可変ドメインを含む。
【0054】
いくつかの実施形態では、CTLA4に特異的な前記ISVDは、配列番号20に記載のアミノ酸配列からなる重鎖可変ドメインを含む。
【0055】
いくつかの実施形態では、前記二量体は、ホモ二量体である。
【0056】
いくつかの実施形態では、前記リンカーは、配列番号33~34のいずれか一つに記載のアミノ酸配列を含む。
【0057】
いくつかの実施態様では、前記二つのポリペプチド鎖の一方又は両方は、配列番号40~43、46、48及び50のいずれか一つに記載のアミノ酸配列を含む。
【0058】
いくつかの実施形態では、前記二つのポリペプチド鎖の一方又は両方は、配列番号40に記載のアミノ酸配列を含む。
【0059】
いくつかの実施形態では、前記二量体は、PD-L1のPD-1への結合を遮断することができる。
【0060】
いくつかの実施形態では、前記二量体は、PD-L1のCD80への結合を遮断することができる。
【0061】
いくつかの実施形態では、前記二量体は、CTLA4のCD80への結合を遮断することができる。
【0062】
いくつかの実施形態では、前記二量体は、CTLA4のCD86への結合を遮断することができる。
【0063】
いくつかの実施形態では、前記腫瘍は、NSCLC、黒色腫、食道扁平上皮癌 (ESCC) 、NPC及び乳癌からなる群から選択される。
【0064】
いくつかの実施形態では、前記腫瘍は、食道扁平上皮癌 (ESCC) 及び鼻咽頭癌 (NPC) からなる群から選択される。
【0065】
いくつかの実施形態では、前記被験者は、免疫チェックポイント阻害薬を投与される。
【0066】
いくつかの実施形態では、前記被験者は、前記免疫チェックポイント阻害薬に実質的に応答しなかった。
【0067】
いくつかの実施形態では、前記免疫チェックポイント阻害薬は、以下からなる群より選択される。PD-L1阻害剤、PD-1阻害剤及びCTLA4阻害剤。
【0068】
いくつかの実施形態では、前記被験者は、化学療法、化学放射線療法、CTL細胞療法、EGFRチロシンキナーゼ阻害薬 (TKIs) 、及び/又は血管新生阻害薬を投与される。
【0069】
いくつかの実施形態では、前記化学療法は、一次化学療法及び/又は二次化学療法を含む。
【0070】
いくつかの実施形態では、前記二次化学療法は、パクリタキセル、ドセタキセル、カペシタビン及び/又は5-FUを含む。
【0071】
いくつかの実施形態では、前記腫瘍は、局所進行期又は転移性黒色腫、非ケラチン化局所進行再発又は転移性NPC、転移性NSCLC、扁平上皮及び非扁平上皮NSCLC、再発又は転移性ESCC及びトリプルネガティブ乳癌 (TNBC) からなる群から選択される。
【0072】
いくつかの実施形態では、前記腫瘍は、EGFR突然変異又はALK融合を伴わない進行NSCLC、EGFRエクソン20挿入突然変異を伴うNSCLC、PD-L1発現陽性のNPC、及び局所進行性の手術不能又は転移性TNBCからなる群より選択される。
【0073】
いくつかの実施形態では、前記二量体は、化学療法剤と組み合わせて投与される。
【0074】
いくつかの実施形態では、前記化学療法剤は、プラチナ製剤及び/又はパクリタキセルを含む。
【0075】
いくつかの実施形態では、前記化学療法剤は、シスプラチン、ゲムシタビン及び/又はナブパクリタキセルを含む。
【0076】
別の態様では、本開示は、それを必要とする被検体の腫瘍を治療する方法であって、前記被検体に本開示の二量体の有効量を投与することを含む、方法を提供する。
【0077】
いくつかの実施形態では、前記腫瘍は、NSCLC、黒色腫、食道扁平上皮癌 (ESCC) 、NPC及び乳癌からなる群より選択される。
【0078】
いくつかの実施形態では、前記腫瘍は、食道扁平上皮癌 (ESCC) 及び鼻咽頭癌 (NPC) からなる群から選択される。
【0079】
いくつかの実施形態では、前記被験者は、免疫チェックポイント阻害薬を投与される。
【0080】
いくつかの実施形態では、前記被験者は、前記免疫チェックポイント阻害薬に実質的に応答しなかった。
【0081】
いくつかの実施形態では、前記免疫チェックポイント阻害薬は、以下からなる群より選択される。PD-L1阻害剤、PD-1阻害剤及びCTLA4阻害剤。
【0082】
いくつかの実施形態では、前記被験者は、化学療法、化学放射線療法、CTL細胞療法、EGFRチロシンキナーゼ阻害薬 (TKIs) 、及び/又は血管新生阻害薬を投与される。
【0083】
いくつかの実施形態では、前記化学療法は、一次化学療法及び/又は二次化学療法を含む。
【0084】
いくつかの実施形態では、前記二次化学療法は、パクリタキセル、ドセタキセル、カペシタビン及び/又は5-FUを含む。
【0085】
いくつかの実施形態では、前記腫瘍は、EGFR突然変異又はALK融合を伴わない進行NSCLC、EGFRエクソン20挿入突然変異を伴うNSCLC、PD-L1発現陽性のNPC、及び局所進行性の手術不能又は転移性TNBCからなる群より選択される。
【0086】
いくつかの実施形態では、前記二量体は、化学療法剤と組み合わせて投与される。
【0087】
いくつかの実施形態では、前記化学療法剤は、プラチナ製剤及び/又はパクリタキセルを含む。
【0088】
いくつかの実施形態では、前記化学療法剤は、シスプラチン、ゲムシタビン及び/又はプラチナ製剤を含む。
【0089】
いくつかの実施形態では、前記二量体の前記用量は、1 mg/kg~5 mg/kgである。
【0090】
いくつかの実施形態では、前記二量体の前記用量は、1 mg/kg~3 mg/kgである。
【0091】
いくつかの実施形態では、前記二量体の前記用量は、3 mg/kg~5 mg/kgである。
【0092】
いくつかの実施形態では、前記二量体は、2週間に1回又は3週間に1回投与される。
【0093】
いくつかの実施形態では、前記二量体は、静脈内投与によって投与される。
【0094】
別の態様では、本開示は、本開示の二量体を、それを必要とする被験者の腫瘍を治療するための医薬の調製において、本開示のプラチナ薬剤と組み合わせて使用することを提供する。
【0095】
いくつかの実施形態では、前記腫瘍は、固形腫瘍及び血液腫瘍からなる群より選択される。
【0096】
いくつかの実施形態では、前記腫瘍は、NSCLC及び/又は乳癌を含む。
【0097】
いくつかの実施形態では、前記被験者は、EGFRチロシンキナーゼ阻害薬 (TKIs) を投与される。
【0098】
いくつかの実施形態では、前記腫瘍は、扁平上皮NSCLC及び非扁平上皮NSCLC並びにトリプルネガティブ乳癌 (TNBC) からなる群より選択される。
【0099】
いくつかの実施形態では、前記腫瘍は、EGFRエクソン20挿入突然変異及び局所進行性の手術不能又は転移性TNBCを有するNSCLCからなる群より選択される。
【0100】
いくつかの実施形態では、前記二量体は、週に4回、週に2回、週に1回、2週に1回、3週に1回、4週に1回、5週に1回、6週に1回、8週に1回、又は12週に1回の投与頻度で投与される。
【0101】
いくつかの実施形態では、前記プラチナ薬剤は、週に4回、週に2回、週に1回、2週に1回、3週に1回、4週に1回、5週に1回、6週に1回、8週に1回、又は12週に1回の投与頻度で投与される。
【0102】
いくつかの実施形態では、前記二量体は、静脈内、筋肉内、皮下、局所、経口、経皮、腹腔内、眼窩内、埋め込み、吸入、髄腔内、脳室内、又は鼻腔内に投与される。
【0103】
いくつかの実施形態では、前記プラチナ薬剤は、静脈内、筋肉内、皮下、局所、経口、経皮、腹腔内、眼窩内、埋め込み、吸入、髄腔内、脳室内、又は鼻腔内に投与される。
【0104】
いくつかの実施形態では、前記二量体は、0.01 mg/kg~100 mg/kgの用量で投与される。
【0105】
いくつかの実施形態では、前記化学療法剤は、0.01 mg/kg~100 mg/kgの用量で投与される。
【0106】
別の態様では、本開示は、本開示の化学療法剤と組み合わせた本開示の二量体を含むキットを提供する。
【0107】
本開示のさらなる態様及び利点は、以下の詳細な説明から当業者に容易に明らかになるであろう。ここでは、本開示の例示的な実施形態のみが示され、説明される。理解されるように、本開示は、他の異なる実施形態が可能であり、そのいくつかの詳細は、全て開示から逸脱することなく、様々な明白な点で修正可能である。従って、図面及び説明は、本質的に例示的であり、限定的ではないとみなされるべきである。
【発明の効果】
【0108】
本明細書に記載されているすべての刊行物、特許、及び特許出願は、それぞれの個々の刊行物、特許、又は特許出願が、参照によって組み込まれるように具体的かつ個別に指示された場合と同じ程度に、参照によって本明細書に組み込まれる。
【図面の簡単な説明】
【0109】
本発明の新規な特徴は、添付の特許請求の範囲に特に記載されている。本発明の特徴及び利点のより良い理解は、本発明の原理が採用される例示的な実施形態を記載する以下の詳細な説明、及び添付の図面(本明細書中の 「図」 及び 「図」 もまた)を参照することによって得られる。
【0110】
【
図2】固形腫瘍患者を対象とした第I相試験における有効性の概要を2に示す。
【
図3】本開示の二量体を用いたベースラインからの標的病変の変化を示
【発明を実施するための形態】
【0111】
本明細書では、本発明の様々な実施形態が示され、説明されてきたが、そのような実施形態が単なる例として提供されることは当業者には明らかであろう。本発明から逸脱することなく、当業者には多数の変形、変更、及び置換が生じ得る。本明細書に記載される本発明の実施形態に対する種々の代替物が使用され得ることを理解されたい。
【0112】
本明細書中で使用される用語「相同性」、「相同」又は「配列同一性」は、一般に、二つ以上のポリヌクレオチド配列間又は二つ以上のポリペプチド配列間の配列類似性又は相互交換性を指す。二つの異なるアミノ酸配列間の配列同一性、類似性又は相同性を決定するためにプログラム(例:エンボス針又はBestFit)を使用する場合、デフォルト設定を使用してもよく、又はblosum 45又はblosum 80などの適切なスコアリングマトリックスを選択して同一性、類似性又は相同性スコアを最適化してもよい。いくつかの実施形態では、相同であるポリヌクレオチドは、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ参照配列と少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、及び100%の配列同一性を有するものである。相同であるポリペプチドは、比較可能な長さの配列が最適に整列される場合、互いに少なくとも80%、少なくとも90%、又は少なくとも95%、又は少なくとも97%、又は少なくとも98%、又は少なくとも99%の配列同一性を有し得る。
【0113】
用語「パーセント(%)配列同一性」は、本明細書で同定されたポリペプチド配列の文脈において使用される場合、一般に、配列を整列させ、任意に、最大パーセント配列同一性を達成するためにギャップを導入し、かつ配列同一性の一部として保存的置換を考慮しない後に、第2の参照ポリペプチド配列又はその一部のアミノ酸残基又はヌクレオチドと同一であるクエリー配列中のアミノ酸残基又はヌクレオチドのパーセンテージを指す。パーセントアミノ酸/ヌクレオチド配列同一性を決定する目的のためのアラインメントは、例えば、BLAST、BLAST-2、ALIGN、NEEDLE又はMegalign (DNASTAR) ソフトウェアのような公的に入手可能なコンピュータソフトウェアを用いて、当業者の範囲内の様々な方法で達成することができる。当業者は、比較される配列の全長にわたって最大のアラインメントを達成するために必要な任意のアルゴリズムを含めて、アラインメントを測定するための適切なパラメータを決定することができる。
【0114】
パーセント同一性は、規定されたポリペプチド/ポリヌクレオチド配列全体の長さにわたって測定することができ、又はより短い長さにわたって、例えば、より大きな規定されたポリペプチド/ポリヌクレオチド配列から採取された断片の長さにわたって測定することができる。表、図又は配列リストにおいて、本明細書に示される配列によってサポートされる任意の断片長は、パーセンテージ同一性が測定され得る長さを記述するために使用され得ることが理解される。
【0115】
本明細書中で使用される用語「二重特異性抗体」は、一般に、単一の抗原上又は二つの異なる抗原上のいずれかの二つの異なるエピトープに結合する能力を有する抗体を指す。
【0116】
本明細書中で使用される用語「PD-L1」は、一般に、プログラムされたデスリガンド1タンパク質、その機能的バリアント及び/又はその機能的断片を指す。PD-L1は、分化抗原群274 (CD274) 又はB 7ホモログ1 (B7-H1) としても知られており、 (ヒトにおける) CD274遺伝子によってコードされるタンパク質である。PD-L1は、その受容体であるプログラム細胞死タンパク質1 (PD-1) に結合し、活性化T細胞、B細胞及びマクロファージに発現する (Ishida et al., 1992 EMBO J, 11:3887-3395; Okazaki et al., Autoimmune dilated cardiomyopathy in PD-1 receptor-deficient mice)。Science.2001;291年:(319-22) 。PD-L1及びPD-1の複合体化は、T細胞増殖及びIL-2及びIFN-γのサイトカイン産生を阻害することによって免疫抑制効果を発揮する(Freeman et al., Engagement of PD-1 immunoinhibitory receptor by a novel B7 family member leads to negative regulation of lymphocyte activation, J. Exp.Med.2000、 192:1027-1034; Carter et al., PD-1:PD-L inhibitory pathway affects both CD4(+) and CD8(+) T cells and is overcome by IL-2。Eur.J. ImmunoL 2002、 32:634-643) 。例えば、用語「PD-L1」は、NCBI受託番号Q9NZQ7に対して少なくとも約85%のアミノ酸配列同一性を有し、PD1に特異的に結合するポリペプチド又はその断片を含み得る。用語「PD-L1」は、全PD-L1リガンド、可溶性PD-L1リガンド、及び第2の部分、例えばタンパク質ドメインに共有結合されたPD-L1リガンドの機能的に活性な部分を含む融合タンパク質を含む。また、PD-L1の定義には、天然に存在するPD-L1とはアミノ酸配列が異なるが、受容体PD1に特異的に結合する能力を保持する変異体も含まれる。さらに、PD-L1の定義には、PD1の生物学的活性を増強する変異体も含まれる。PD-L1配列は当技術分野で公知であり、例えばGenBank Accession Number 29126で提供される。本明細書で使用される用語「PD-L1」は、ヒトPD-L1(hPD-L1)、hPD-L1の変異体、アイソフォーム、及び種相同体、並びにhPD-L1と少なくとも一つの共通エピトープを有する類似体を含む。例えば、用語「PD-L1」は、他の哺乳類、例えば、ラット、マウス、ウサギ、非ヒト霊長類、ブタ、又はウシなどの他の種由来のPD-L1も含む。完全なhPD-Ll配列は、GenBank Accession No.29126に記載されている。
【0117】
本明細書で使用される用語「ヒトPD-L1のN末端IgVドメイン」は、一般に、そのN末端に位置するヒトPD-L1の細胞外ドメインを指す。用語「ヒトPD-L1のN末端IgVドメイン」はまた、該ドメイン内のエピトープを指すこともある。ヒトPD-L1タンパク質 (シグナルペプチドを含む) のN末端IgVドメインは、配列番号64に記載のアミノ酸配列を含み得る。
【0118】
本明細書で使用される用語「CTLA4」は、一般に、細胞傷害性T-リンパ球関連タンパク質4、その機能的変異体及び/又はその機能的断片を指す。CTLA4はCD28ファミリーに属する免疫抑制受容体である。CTLA4はインビボでT細胞 (CD4+及びCD8+細胞) のみに発現し、 二つのリガンド、 CD80及びCD86 (「B7-1」 、 「B7-2」 とも呼ばれる)に結合する。例えば、用語「CTLA4」は、NCBI受託番号AAL07473.1と少なくとも約85%のアミノ酸配列同一性を有し、CD80及び/又はCD86に特異的に結合するポリペプチド又はその断片を含み得る。用語「CTLA4」は、全CTLA4受容体、その細胞外ドメイン、及び第2の部分、例えばタンパク質ドメインに共有結合されたCTLA4の機能的に活性な部分を含む融合タンパク質を含む。CTLA4の定義には、天然に存在するCTLA4とはアミノ酸配列が異なるが、リガンドCD80及び/又はCD86に特異的に結合する能力を保持する変異体も含まれる。CTLA4配列は当技術分野で公知であり、例えばGenBank Accession Number 1493で提供される。本明細書で使用される用語「CTLA4」は、ヒトCTLA4(hCTLA4)、hCTLA4の変異体、アイソフォーム、及び種相同体、並びにhCTLA4と少なくとも一つの共通エピトープを有する類似体を含む。例えば、用語「CTLA4」は、他の哺乳動物、例えば、ラット、マウス、ウサギ、非ヒト霊長類、ブタ、又はウシからのCTLA4も含む。完全なhCTLA4配列は、GenBank Accession No.1493に記載されている。
【0119】
本明細書で使用される用語「抗体Fcサブユニット」は、一般に、抗体Fcドメインの構成要素を指す。例えば、抗体Fcドメインは二つ以上のメンバーによって形成され得、各メンバーは一つのFcサブユニットと考えられ得る。本明細書で使用される用語「Fcドメイン」は、一般に、抗体重鎖のFc部分又はFc断片を指す。例えば、それは、免疫グロブリン重鎖定常領域のカルボキシル末端部分、又はFc受容体に結合し得るそのアナログもしくは部分を指すこともある。公知のように、各免疫グロブリン重鎖定常領域は、4つ又は5つのドメインを含む。ドメインは、以下のように順次命名される。CH1-ヒンジ-CH2-CH3(-CH4) 。CH4は、ヒンジ領域をもたないIgMに存在する。本開示において有用なFcドメイン又はFcサブユニットは、CH3ドメインを含み得る。例えば、Fcドメイン又はFcサブユニットは、CH2ドメインとCH3ドメインとを含み得る。いくつかの実施形態では、Fcドメイン又はFcサブユニットは、免疫グロブリンヒンジ領域も含み得る。例えば、Fcドメイン又はFcサブユニットは、N末端からC末端まで、CH2ドメイン及びCH3ドメインを含むか、又はこれらから構成されてもよい。別の例では、Fcドメイン又はFcサブユニットは、N末端からC末端まで、免疫グロブリンヒンジ領域、CH2ドメイン及びCH 3ドメインを含むか、又はこれらから構成されてもよい。Fcドメイン又はFcサブユニット内のアミノ酸残基の位置は、「Kabat, E. A. et al, (1991) Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th ed., NIH Publication No. 91-3242」に従って決定することができる。
【0120】
本明細書で使用される用語「Fcドメイン」は、一般に、天然配列Fc領域及び変異型Fc領域を含む、免疫グロブリン重鎖のC末端領域を指す。免疫グロブリン重鎖のFc領域の境界は変化し得るが、ヒトIgG重鎖Fc領域は、通常、Cys226の位置のアミノ酸残基から、又はPro 230からそのカルボキシル末端まで伸長するように定義される。Fc領域のC末端リジン (EUナンバリングシステムに従った残基447) は、例えば、抗体の生産又は精製中に、又は抗体の重鎖をコードする核酸を組換え的に操作することによって除去することができる。従って、完全な抗体の組成物は、すべてのK 447残基が除去された抗体集団、K447残基が除去されていない抗体集団、及びK447残基を伴う抗体と伴わない抗体の混合物を有する抗体集団を含み得る。本発明の抗体において使用するための適当な天然配列Fc領域には、ヒトIgG 1、IgG2 (IgG2A、 IgG2B)、IgG3及びIgG 4が含まれる。
【0121】
本明細書で特に指示されない限り、免疫グロブリン鎖における残基の番号付けは、Kabat et al.、Sequences of Proteins of Immunological Interest、Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, Md.におけるEU指数の番号付けである。(1991).「EU index as in Kabat」 は、ヒトIgG1EU抗体の残基番号を指す。
【0122】
本明細書で使用される用語「二量体」は、一般に、二つの、通常は非共有結合的に結合した単量体単位によって形成される高分子複合体を指す。各モノマー単位は、ポリペプチド鎖又はポリヌクレオチドなどの高分子であり得る。本明細書で使用される用語「ホモ二量体」は、一般に、二つの実質的に同一のポリペプチド鎖のような、二つの実質的に同一のモノマーから構成されるか、又は二つの実質的に同一のモノマーによって形成される二量体を指す。場合によっては、ホモ二量体の二つの単量体は、一つ以上の領域又は位置で異なることがあるが、このような違いは単量体の機能又は構造に有意な変化を引き起こさない。例えば、当業者は、二つのモノマー間の差が、本開示において考慮される生物学的特性の文脈において、生物学的及び/又は統計学的有意性をほとんど又は全く有さないと考えるであろう。前記二つのモノマー間の構造/組成の差は、例えば、約50%未満、約40%未満、約30%未満、約20%未満、約10%未満、約5%未満、又はそれそれ以下であってもよい。
【0123】
本明細書で使用される用語「融合」又は「融合」は、一般に、二つのポリペプチド間の共有結合を指す。ポリペプチドは、典型的には、ペプチド結合を介して、直接相互に、又はアミノ酸リンカーを介して結合される。任意に、ペプチドは、当業者に公知の非ペプチド共有結合を介して結合され得る。
【0124】
本明細書で使用される用語「融合タンパク質」は、一般に、異種ポリペプチド(すなわち、前者のポリペプチド又はそのドメインに関連しないポリペプチド)のアミノ酸配列に直接又は間接的に(例えば、リンカーを介して)融合したポリペプチドのアミノ酸配列を含むか、又はそのようなアミノ酸配列からなるポリペプチドを指す。
【0125】
本明細書で使用される用語「免疫グロブリン単一可変ドメイン(ISVD)」は、一般に、抗原結合ドメイン又はVHHドメイン又はVH又はVLドメインなどの断片をそれぞれ指す。用語「抗原結合分子」又は「抗原結合タンパク質」は互換的に使用され、用語「ナノボディ」も含まれる。免疫グロブリンの単一可変ドメインは、さらに、軽鎖可変ドメイン配列(例えばVL配列)、又は重鎖可変ドメイン配列(例えば、VH配列)である。より具体的には、それらは、従来の4鎖抗体に由来する重鎖可変ドメイン配列、又は重鎖抗体に由来する重鎖可変ドメイン配列であり得る。従って、免疫グロブリンの単一可変ドメインは、ドメイン抗体、又はドメイン抗体としての使用に適した免疫グロブリン配列、単一ドメイン抗体、単一ドメイン抗体、又は単一ドメイン抗体としての使用に適した免疫グロブリン配列、 「dAb」 、又はdAbとしての使用に適した免疫グロブリン配列、又はVHH配列を含むがこれらに限定されないナノボディであり得る。免疫グロブリン単一可変ドメインは、完全にヒト化された、さもなければ配列最適化された、又はキメラ免疫グロブリン配列を含む。免疫グロブリン単一可変ドメイン及び免疫グロブリン単一可変ドメインの構造は、限定されるものではないが、当技術分野及び本明細書において 「フレームワーク領域1」 又は 「FR1」 と呼ばれる4つのフレームワーク領域又は 「FR」 から構成されると考えることができる。「フレームワーク領域2」 又は 「FR2」 として;「フレームワーク領域3」 又は 「FR3」 として;「フレームワーク領域4」 又は 「FR4」 とする。どのフレームワーク領域が、当技術分野において 「相補性決定領域1」 又は 「CDR1」 と呼ばれる3つの相補的決定領域又は 「CDR」 によって中断されるか;「相補性決定領域2」 又は 「CDR2」 として;「相補性決定領域3」 又は 「CDR3」 とした。
【0126】
本明細書で使用される用語「ヒト化された」は、一般に、非ヒト抗体のCDRドメイン外のアミノ酸の一部、大部分又は全てが、ヒト免疫グロブリンに由来する対応するアミノ酸で置き換えられた抗体又はその断片を指す。例えば、抗体のヒト化形態では、CDRドメイン外のアミノ酸の一部、大部分又は全てが、ヒト免疫グロブリン由来のアミノ酸で置換されているが、一つ以上のCDR領域内のアミノ酸の一部、大部分又は全ては変化していない。アミノ酸の少量の付加、欠失、挿入、置換又は修飾は、抗体がその特異的抗原/エピトープに結合する能力を妨げない限り、許容される。ヒト化抗体は、元の抗体と同様の抗原特異性を保持し得る。
【0127】
本明細書で使用される用語「エピトープ」又は「抗原決定基」は、一般に、抗体が結合する抗原上の部位を指す。エピトープは、隣接したアミノ酸 (直鎖エピトープ) から形成されることもあれば、隣接していないアミノ酸がタンパク質の三次折畳みによって並置されて形成される (立体配座エピトープ) こともある。隣接するアミノ酸から形成されたエピトープは、典型的には、変性溶媒に曝露されると保持され、一方、三次折畳みによって形成されたエピトープは、典型的には、変性溶媒による処理で失われる。エピトープは、典型的には、少なくとも3個の、より一般的には、少なくとも5個又は8~10個のアミノ酸を独特の空間的立体配座で含む。エピトープの空間的立体配座を決定する方法は、例えば、X線結晶学及び2次元核磁気共鳴を含む。例えば、Epitope Mapping Protocols in Methods in Molecular Biology、Vol.66、Glenn E.Morris、Ed(1996) を参照されたい。
【0128】
本明細書で使用される用語「立体配座エピトープ」は、一般に、タンパク質の三次折畳みによって並置される抗原(PD-L1抗原など)の非隣接アミノ酸残基を指す。これらの不連続なアミノ酸残基は、ポリペプチド鎖が折りたたまれて天然のタンパク質を形成するときに、表面で一緒になることがある。立体配座エピトープは、限定されるものではないが、機能エピトープを含む。
【0129】
本明細書中で使用される用語「機能性エピトープ」とは、一般に、抗体の結合にエネルギー的に寄与する、すなわち、「エネルギーエピトープ」を形成する抗原のアミノ酸残基をいう。抗原のエネルギー的に寄与する残基のアラニンへのいずれか一つの突然変異は、抗体の結合を破壊し、その結果、抗体の相対KD比 (KD突然変異体/KD野生型) は、例えば、3倍以上、4倍以上、6倍以上、10倍以上、20倍以上、30倍以上、40倍以上、50倍以上、60倍以上、70倍以上、80倍以上、90倍以上、100倍以上、150倍以上、200倍以上、又はそれ以上となり得る。
【0130】
本明細書で使用される用語「細胞外ドメイン」は、一般に、細胞オルガネラ及び/又は細胞の外膜から突出するタンパク質(例えば、受容体などの膜タンパク質)の一部を指す。ポリペプチド鎖が二重層を何度か通過すると、細胞外ドメインは膜に絡み合ったループからなる。細胞外ドメインは特定のリガンドを認識し、それに応答しうる。
【0131】
本明細書で使用される用語「ティンカー」は、一般に、二つのポリペプチド配列を連結又は連結する、例えば二つのポリペプチドドメインを連結する合成アミノ酸配列を指す。リンカーは、ペプチド結合を介して二つのアミノ酸配列を連結することができる。いくつかの実施形態では、本開示のリンカーは、生物学的に活性な部分を第2の部分に線形配列で連結する。例えば、ペプチドリンカーは、セリン及びグリシン配列又はAla-Ala-Alaの反復を含むものなど、非免疫原性かつ柔軟であり得る。二量体の特定の構築物に依存して、ペプチドリンカーは、例えば、3~30 (少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも、少なくとも11、少なくとも、少なくとも、少なくとも、少なくとも、少なくとも、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも、少なくとも10、少なくとも21、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも、少なくとも15、少なくとも25、少なくとも16、少なくとも、少なくとも28、少なくとも19、少なくとも20、少なくとも、少なくとも22、少なくとも23、少なくとも24、少なくとも、少なくとも26、少なくとも27、少なくとも、少なくとも29、少なくとも30)アミノ酸残基を含み得る。
【0132】
本明細書で使用される用語「N-末端」(terminal)は、「N-末端」(terminus)と互換的に用いられ、一般にポリペプチド鎖のアミノ末端/末端(terminus/end)を指す。
【0133】
本明細書中で使用される用語「C-末端」(terminal)は、「C-末端」(terminus)と互換的に用いられ、一般にポリペプチド鎖のカルボキシル末端/末端(terminus/end)を指す。
【0134】
本明細書で使用される用語「腫瘍」は、一般的に、臨床的に測定可能な程度の腫瘍の成長又は転移を指す。腫瘍には固形腫瘍、血液腫瘍、リンパ腫などがある。例えば、腫瘍は、肺癌 (非小細胞肺癌など) 、乳癌 (トリプルネガティブ乳癌など) 、腎臓癌 (腎細胞癌など) 、黒色腫、子宮頸癌、子宮癌、膵臓癌、腹膜癌、卵巣癌、及び結腸癌から選択され得る。腫瘍は進行性又は転移性の腫瘍である。腫瘍は、NSCLC、黒色腫、食道扁平上皮癌 (ESCC) 、NPC、及び乳癌(例えば、トリプルネガティブ乳がん (TNBC))からなる群より選択され得る。
【0135】
本明細書で使用される用語「被験者」は、一般に、ネコ、イヌ、ウマ、ブタ、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ウサギ、マウス、ラット、又はサルを含むが、これらに限定されない、ヒト又は非ヒト動物を指す。いくつかの実施形態では、被験者は、ヒトである。いくつかの実施形態では、被験者は、免疫チェックポイント阻害薬の治療に対して耐性である。
【0136】
本明細書で使用される用語「約」は、一般に、当該技術分野における通常の公差の範囲内にある変化を指し、一般に±10%以内、例えば、記載された値の9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、0.1%、0.05%、又は0.01%以内を指す。文脈から明らかでない限り、本明細書に提供されるすべての数値は、aboutという用語によって修正される。
【0137】
本明細書で使用される用語「併用」 、 「併用」又は「共投与する」は、一般に、一つの薬剤(例えば二量体)が別の薬剤(例えば、免疫チェックポイント阻害薬)と共に投与されることを指す。一つの薬剤の投与は、一つの単一処方として、又は二つの別個の処方(例えば、一つは二量体用であり、もう一つは免疫チェックポイント阻害薬用である)として行うことができる。同時投与は、いずれかの順序で同時又は順次であり得る。
【0138】
本明細書で使用される用語「処置する」は、一般に、治療効果を有し、少なくとも部分的に、生物における異常な状態を緩和するか又は排除することを指す。用語「治療する」は、薬剤を投与される患者の群における薬剤を投与されない対照群と比較して薬剤状態の症状を改善することを指す。治療の効果は、細胞表現型の変化の変化又は非変化、細胞増殖の変化又は非変化、腫瘍サイズの変化又は非変化、腫瘍サイズの変化又は非変化、進行性疾患の変化又は非変化、安定疾患の変化又は非変化、疾患制御率の変化又は非変化、部分応答の変化又は非変化を測定することによってモニターすることができる。用語「治療する」又は「治療する」は、必ずしも完全治癒を指すするものではない。病気の望ましくない症状を少しでも軽減したり、病気の進行を遅らせたりすることが治療とみなされる。さらに、治療には、患者の全体的な健康感又は外見を悪化させる行為が含まれることもある。
【0139】
本明細書で使用される用語「特異的に結合する」又は「特異的である」は、一般に、標的と抗体との間の結合などの測定可能かつ再現可能な相互作用を指し、これは、生物学的分子を含む分子の不均一な集団の存在下における標的の存在を決定する。例えば、標的(エピトープであり得る)に特異的に結合する抗体は、他の標的に結合するよりも高い親和性、結合力、より容易に、及び/又はより長い持続時間で、この標的に結合する抗体である。一つの実施形態では、非関連標的への抗体の結合の程度は、例えばラジオイムノアッセイ(RIA)によって測定されるように、標的への抗体の結合の約10%未満である。特定の実施形態では、標的に特異的に結合する抗体は、<1x10-6M、<1x10-7M、<1x10-8M、<1x10-9M、又は<lx10-10Mの解離定数(KD)を有する。特定の実施形態では、抗体は、異なる種由来のタンパク質の間で保存されているタンパク質上のエピトープに特異的に結合する。別の実施形態では、特異的結合は排他的結合を含むことができるが、排他的結合を必要としない。
【0140】
本明細書で使用される用語「抗体」は、一般に、免疫グロブリン又はその断片又は誘導体を指し、インビトロ又はインビボで産生されるかどうかにかかわらず、抗原結合部位を含む任意のポリペプチドを含む。この用語は、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、単一特異的抗体、ポリ特異的抗体、非特異的抗体、ヒト化抗体、一本鎖抗体、キメラ抗体、合成抗体、組換え抗体、ハイブリッド抗体、変異抗体、及び移植抗体を含むが、これらに限定されない。本開示の目的では、「無傷の抗体」のように、用語「抗体」は、他に修飾されない限り、抗原結合機能、すなわち、例えば、CTLA-4、又はPD-L1と特異的に結合する能力を保持するFab、F(ab')2、Fv、scFv、Fd、dAbなどの抗体断片も含む。典型的には、そのような断片は抗原結合ドメインを含む。
【0141】
基本4鎖抗体ユニットは、二つの同一の軽鎖(L)及び二つの同一の重鎖(H)からなるヘテロ四量体糖タンパク質である。IgM抗体は5個の塩基性ヘテロ四量体ユニットとJ鎖と呼ばれる追加ポリペプチドからなり、10個の抗原結合部位を含み、IgA抗体は2~5個の塩基性4鎖ユニットからなり、これらは重合してJ鎖と結合して多価集合体を形成する。IgGの場合、4-鎖単位は一般に約15万ダルトンである。各L鎖は一つの共有ジスルフィド結合によってH鎖に結合しているが、二つのH鎖はH鎖のアイソタイプに応じて一つ以上のジスルフィド結合によって互いに結合している。また、H鎖とL鎖はそれぞれ鎖内ジスルフィド結合(SS)を規則正しい間隔で持っている。H鎖はN末端に可変ドメイン(VH)を持ち、α鎖とγ鎖はそれぞれ3つの定常ドメイン(CH)を持ち、μとεは4つのCHドメインを持つ。L鎖はN末端に可変ドメイン(VL)を持ち、もう一方の末端には定常ドメイン(CH)を持つ。VLはVHと整列し、CLは重鎖の第1の定常ドメイン (CHI) と整列する。特定のアミノ酸残基は、軽鎖可変ドメインと重鎖可変ドメインとの間の界面を形成すると考えられている。VHとVLが対になることで一つの抗原結合部位が形成される。異なるクラスの抗体の構造と性質については、例えば、Basic and Clinical Immunology, 8th Edition, Daniel P. Sties, Abba I. Terr and Tristram G. Parsolw (eds), Appleton & Lange, Norwalk, Conn., 1994, page 71 and Chapter 6を参照されたい。脊椎動物種のL鎖は、定常ドメインのアミノ酸配列に基づいて、カッパとラムダとよばれる二つの明確に区別されるタイプのうちの一つに分類される。重鎖 (CH) の定常ドメインのアミノ酸配列に依存して、免疫グロブリンは異なるクラス又はアイソタイプに割り当てられる。免疫グロブリンは5つのクラスに分類される。IgA、IgD、IgE、IgG及びIgMは、それぞれα、δ、ε、γ及びμと呼ばれる重鎖を有する。y及びaクラスは、CH配列及び機能における比較的小さな差異に基づいてさらにサブクラスに分類され、例えば、ヒトは以下のサブクラス:IgGl、IgG2A、IgG2B、IgG3、IgG4、IgA1及びIgK1を発現する。
【0142】
本明細書で使用される用語「ポリペプチド鎖」は、一般に、二つ以上の共有結合ペプチドを含む高分子を指す。ポリペプチド鎖内のペプチドは、ペプチド結合を介して互いに連結されていてもよい。各ポリペプチド鎖は、一つのN末端又はアミノ末端及び一つのC末端又はカルボキシ末端を含み得る。
【0143】
本明細書中で使用される用語「CD80」は、一般に、B7.1としても知られるCD28/CTLA4に対するリガンド、その機能性バリアント及び/又はその機能的断片を指す。CD80は、通常、プロ抗原提示細胞(APC)の表面に発現される。例えば、用語「CD80」は、NCBI受託番号P33681に対して少なくとも約85%のアミノ酸配列同一性を有し、かつCTLA4に特異的に結合するポリペプチド又はその断片を含み得る。CD80の定義には、天然に存在するCD80とはアミノ酸配列が異なるが、CTLA4に特異的に結合する能力を保持する変異体も含まれる。CD80の定義にさらに含まれるのは、CTLA4の生物活性を増強する変異体である。CD80配列は当技術分野で公知であり、例えばGenBank Accession Number P33681で提供される。本明細書で使用される用語「CD80」は、ヒトCD80(hCD80)、hCD80の変異体、アイソフォーム、及び種相同体、並びにhCD80と少なくとも一つの共通エピトープを有する類似体を含む。例えば、用語「CD80」は、他の哺乳類、例えば、ラット、マウス、ウサギ、非ヒト霊長類、ブタ、又はウシなどの他の種由来のCD80も含む。完全なhCD80配列は、GenBank Accession No.P 33681に記載されている。
【0144】
本明細書で使用される用語「CD86」は、一般に、B7.2としても知られるCD28/CTLA4に対するリガンド、その機能性バリアント及び/又はその機能的断片を指す。CD86は、通常、プロ抗原提示細胞(APC)の表面に発現される。例えば、用語「CD86」は、NCBI受託番号P42081に対して少なくとも約85%のアミノ酸配列同一性を有し、かつCTLA4に特異的に結合するポリペプチド又はその断片を含み得る。CD86の定義には、天然に存在するCD86とはアミノ酸配列が異なるが、CTLA4に特異的に結合する能力を保持する変異体も含まれる。CD86の定義にさらに含まれるのは、CTLA4の生物活性を増強する変異体である。CD86配列は当技術分野で公知であり、例えばGenBank Accession Number U04343で提供される。本明細書で使用される用語「CD86」は、ヒトCD86(hCD86)、hCD86の変異体、アイソフォーム、及び種相同体、並びにhCD86と少なくとも一つの共通エピトープを有する類似体を含む。例えば、用語「CD86」は、他の哺乳類、例えば、ラット、マウス、ウサギ、非ヒト霊長類、ブタ、又はウシなどの他の種由来のCD86も含む。完全なhCD86配列は、GenBank Accession No.U 04343の下に見出される。
【0145】
本明細書で使用される用語「PD1」は、一般に、CD279としても知られるプログラム細胞死-1受容体、その機能的変異体及び/又はその機能的断片を指す。PD1は一般に、T細胞、B細胞、ナチュラルキラーT細胞、活性化単球及び樹状細胞(DC)上に発現される。PD1は、そのリガンドPD-L1及びPD-L 2に結合し得る。例えば、用語「PD1」は、NCBI受託番号P42081に対して少なくとも約85%のアミノ酸配列同一性を有し、PD-L1に特異的に結合するポリペプチド又はその断片を含み得る。PD1の定義には、天然に存在するPD1とはアミノ酸配列が異なるが、PD-L1に特異的に結合する能力を保持する変異体も含まれる。PD1の定義にさらに含まれるのは、PD-L1の生物活性を増強する変異体である。PD1配列は当該技術分野で公知であり、例えばGenBank Accession Number Q15116.3で提供される。本明細書で使用される用語「PD1」は、ヒトPD1(hPD1)、hPD1の変異体、アイソフォーム、及び種相同体、並びにhPD1と少なくとも一つの共通エピトープを有する類似体を含む。例えば、用語「PD1」は、他の種、例えば、ラット、マウス、ウサギ、非ヒト霊長類、ブタ、又はウシからのPD1も含む。完全なhPDl配列は、GenBank Accession No.Q 151163に記載されている。
【0146】
本明細書で使用される用語「遮断」は、一般に、分子とその特異的結合パートナーとの間、例えばリガンドとその特異的受容体との間の結合活性の阻害又は減少を指す。
【0147】
本明細書で使用される用語「遮断抗体」及び「拮抗抗体」は、互換的に用いられ、一般に、それが結合する抗原の生物学的活性を阻害又は低下させる抗体を指す。いくつかの実施形態では、遮断抗体又は拮抗抗体は、抗原の生物学的活性を実質的に又は完全に阻害する。本開示のPD-L1特異的ISVD又はCTLA4特異的ISVDは、遮断性又は拮抗性ISVDであり得る。例えば、本開示のPD-L1特異的ISVDは、PD-L1とその受容体PD-1との間の相互作用、従って、T細胞による機能不全状態から抗原刺激への機能的応答を回復させるために、PD-1を介するシグナル伝達を遮断することができる。本開示のCTLA4特異的ISVDは、T細胞による機能不全状態から抗原刺激への機能的応答を回復させるために、CTLA4とCD 80/CD 86との間の相互作用、ひいてはCTLA4を介するシグナル伝達を遮断することができる。
【0148】
本明細書で使用される用語「結合のための交差競合体」、「交差競合」、「交差遮断」、「交差阻止」及び「交差阻害」は、互換的に用いられ、一般に、本発明の別の抗体(例えば、本開示のPD-L1特異的ISVD又はCTLA4特異的ISVD)の標的/抗原(例:それぞれPD-L1又はCTLA4)へのアロステリック調節を介して、直接的又は間接的に結合を妨害する抗体又はその断片の能力を指す。抗体又はその断片が、標的への別のものの結合を妨害することができる程度、従って、それが本発明に従って交差ブロック又は交差競合すると言えるかどうかは、競合結合アッセイを用いて決定することができる。一つの特に適切な定量的交差競合アッセイは、標識された(例えば、His標識、ビオチン化又は放射性標識)抗体又はその断片と、標的へのそれらの結合に関して、もう一方の抗体又はその断片との間の競合を測定するために、FACSベース又はAlphaScreenベースのアプローチを使用する。一般に、交差競合抗体又はその断片は、例えば、アッセイ中及び第二の抗体又はその断片の存在下で、本発明による免疫グロブリン単一可変ドメイン又はポリペプチドの記録された置換が、所定の量で存在する、試験されるべき潜在的に交差遮断抗体又はその断片による最大理論的置換(例えば、交差遮断する必要があるコールド(例えばラベルなし)抗体又はその断片による置換)の100% (例えば、FACSベースの競合アッセイ)までであるように、交差競合アッセイにおいて標的に結合するものである。好ましくは、交差競合抗体又はその断片は、10%~100%、例えば50%~100%の間の記録された置換を有する。
【0149】
本明細書で使用される用語「実質的に減少した」又は「実質的に異なる」は、一般に、当業者が、前記値(例えば、KD値)によって測定される生物学的特性の文脈において、二つの値の間の差が統計的に有意であると考えるような、二つの数値(一般に、ある分子に関連するものと参照/比較対象分子に関連するもの)の間の十分に高い程度の差を意味する。前記二つの値の間の差は、例えば、参照/比較対象分子についての値の関数として、約10%より大きい、約20%より大きい、約30%より大きい、約40%より大きい、及び/又は約50%より大きい。
【0150】
本明細書で使用される用語「実質的に類似した」又は「実質的に同一の」は、一般に、二つの数値(例えば、一つは本開示の分子に関連し、もう一つは参照/コンパレータ分子に関連する)の間の十分に高い程度の類似性を意味し、そのため、当業者は、二つの値の間の差が、前記値によって測定される生物学的特性の文脈内で、生物学的及び/又は統計学的有意性をほとんど又は全く有さないと考えるであろう(例えば、KD値)。前記二つの値の差は、例えば、基準/比較器値の関数として、約50%未満、約40%未満、約30%未満、約20%未満、及び/又は約10%未満である。
【0151】
本明細書中で使用される用語、抗体の「可変領域」又は「可変ドメイン」は、一般に、抗体の重鎖又は軽鎖のアミノ末端ドメインを指す。重鎖及び軽鎖の可変ドメインは、それぞれ 「VH」 及び 「VL」 と称され得る。これらのドメインは一般に抗体の最も可変的な部分であり (同じクラスの他の抗体と比較して) 、抗原結合部位を含む。
【0152】
本明細書で使用される用語「可変」は、一般に、可変ドメインの特定のセグメントが抗体間で配列において広範に異なるという事実を指す。Vドメインは抗原結合を仲介し、特定の抗原に対する特定の抗体の特異性を規定する。しかし、可変性は可変領域の全スパンにわたって均一に分布していない。その代わりに、それは軽鎖及び重鎖可変ドメインの両方において、超可変領域 (CDR又はHVR) と呼ばれる3つのセグメントに集中している。可変ドメインのより高度に保存された部分は、フレームワーク領域 (FR) と呼ばれる。天然の重鎖及び軽鎖の可変ドメインはそれぞれ4つのFR領域を含み、大部分はβシート構造をとり、3つのCDRによって連結され、βシート構造を連結し、場合によってはβシート構造の一部を形成するループを形成する。各鎖中のCDRは、FR領域によって近接して一緒に保持され、他の鎖からのCDRと共に、抗体の抗原結合部位の形成に寄与する (Kabat et al.、 Sequences of Immunological Interest、 Fifth Edition、National Institute of Health、Bethesda、Md.(1991))を参照)定常ドメインは、抗体の抗原への結合に直接関与しないが、抗体依存性細胞毒性における抗体の関与のような種々のエフェクター機能を示す。
【0153】
本明細書で使用される用語「CDR」、「HVR」又は「HV」は、一般に、配列において超可変である及び/又は構造的に定義されたループを形成する抗体可変ドメインの領域を指す。一般に、抗体は6つのCDRを含む;VH (HCDR1、HCDR2、HCDR3)に3個、VL(LCDR1、LCDR2、LCDR3)に3個であった。本開示のISVDは、3つのCDR(例えば、VH、HCDR1、HCDR2及びHCDR3において)のみで構成されてもよい。天然抗体では、 HCDR3とLCDR3は6つのCDRの中で最も多様性を示し、特にHCDR3は抗体に細かい特異性を与えるのにユニークな役割を果たすと信じられている。例えば、Xu et al, Immunity 13:37-45 (2000); Johnson and Wu, in Methods in Molecular Biology 248:1-25 (Lo, ed., Human Press, Totowa, N .I, 2003)を参照。実際、重鎖のみからなる天然のラクダ抗体は、軽鎖がない場合には機能的で安定である。例えば、Hamers-Casterman et al., Nature 363:446-448 (1993); Sheriff et al, Nature Struct.Biol.3:733-736 (1996)を参照。
【0154】
多くのCDR描写が使用されており、本明細書に包含される。Kabat相補性決定領域 (CDR) は配列可変性に基づいており、最も一般的に使用されている (Kabat et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th Ed.Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, Md.におけるEU指数の番号付けである。(1991))を参照)Chothia refers instead to the location of the structural loops(Chothia and Lesk, J. Mol.Biol.196:901-917 (1987)).AbM CDRは、Kabat HVRとChothia構造ループとの間の妥協を表し、Oxford MolecularのAbM抗体モデリングソフトウェアによって使用される。
【0155】
「接触」 CDRは、入手可能な複雑な結晶構造の解析に基づいている。これらのCDRのそれぞれからの残基を表1に示す。
【表1】
【0156】
CDRは以下のように「拡張CDR」を含み得る。VLでは24-36又は24-34(LCDR1) 、46-56又は50-56(LCDR2)及び89-97又は89-96 (LCDR3)、VHでは26-35(HCDR1)、50-65又は49-65(HCDR2)及び93-102、94-102又は95-102(HCDR3)であった。可変ドメイン残基は、これらの定義の各々について、Kabat et al.、前掲に従って番号付けされる。
【0157】
表現「Kabatにおけるような可変ドメイン残基-番号付け」又は「Kabatにおけるようなアミノ酸-位置番号付け」及びそれらの変形は、一般に、Kabatら、上記における二量体/ポリペプチド鎖のコンパイルの重鎖可変ドメイン又は軽鎖可変ドメインに使用される番号付けシステムを指す。残基のKabat番号付けは、「標準的な」Kabat番号付けされた配列とポリペプチドの配列の相同性の領域で整列させることによって、所与のポリペプチドについて決定することができる。
【0158】
「フレームワーク」又は「FR」残基は、本明細書で定義されるCDR残基以外の可変ドメイン残基である。「ヒトコンセンサスフレームワーク」又は「アクセプターヒューマンフレームワーク」は、ヒト免疫グロブリンVL又はVHフレームワーク配列の選択において最も一般的に生じるアミノ酸残基を表すフレームワークである。一般に、ヒト免疫グロブリンVL又はVH配列の選択は、可変ドメイン配列のサブグループからである。一般に、配列のサブグループは、KKabat et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th Ed.におけるサブグループである。Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, Md.におけるEU指数の番号付けである。(1991).例としては、VLについて、サブグループは、Kabatら、supraのように、サブグループκI、κII、κIII又はκIVであってよい。さらに、VHについては、サブグループは、Kabatら、supraにおけるように、サブグループI、サブグループII、又はサブグループIIIであってもよい。あるいは、ヒトコンセンサス・フレームワークは、ドナー・フレームワーク配列を種々のヒト・フレームワーク配列のコレクションと整列させることによって、ドナー・フレームワークに対するその相同性に基づいて、ヒト・フレームワーク残基が選択される場合のような、特定の残基が上記から誘導され得る。ヒト免疫グロブリンフレームワーク又はヒトコンセンサスフレームワークに「由来する」受容体ヒトフレームワークは、その同一のアミノ酸配列を含むことができ、又は既存のアミノ酸配列変化をを含み得る。いくつかの実施形態では、既存のアミノ酸変化の数は、10以下、9以下、8以下、7以下、6以下、5以下、4以下、3以下、又は2以下である。
【0159】
化学療法、放射線療法、手術、ホルモン療法及び/又は生物学的療法/免疫療法、特に特定の腫瘍を有する患者の治療のための標準的な治療レジメンなどの一つ以上の従来の治療法(例えば腫瘍治療)を記載するために一般的に使用される用語「実質的に応答性でない」は、前記治療方法は、臨床において患者を治癒するのに十分ではなく、例えば、患者は依然として治療に感受性であり得るため、これらの患者はさらなる有効な治療を必要とする。この用語は、副作用、再発又は抵抗性などの治療に応答する状況を記述するためにも使用される。いくつかの実施形態では、「実質的に反応しない」とは、患者が腫瘍の治療のための標準療法に対して不応性、不耐性、又は拒否していることを意味し、患者は免疫チェックポイント阻害薬による治療にもかかわらず疾患の進行の客観的証拠を示す可能性があることを含む。
【0160】
本開示では、特定の配列番号に記載されるアミノ酸配列又はヌクレオチド配列は、実質的に同一の機能/特性を有する相同体又はその変種も含む。例えば、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又はそれ以上の配列同一性を有する配列;及び/又は一つ以上(例えば、1-10、1-9、1-8、1-7、1-6、1-5、1-4、1-3、1-2などの少数)のアミノ酸又はヌクレオチドの付加、欠失又は置換を有する変異体。
【0161】
二量体
【0162】
一つの態様では、本開示は、それを必要とする被験者における腫瘍を治療するための薬剤の調製における二量体の使用を提供し、前記二量体は、二つのポリペプチド鎖によって形成され、前記二つのポリペプチド鎖の各々は抗体Fcサブユニットを含み、前記二量体は、二つ以上の免疫グロブリン単一可変ドメイン(ISVD)を含み、前記ISVDの少なくとも一つは、PD-L1に対して特異的であり、前記ISVDの少なくとも一つは、CTLA4に対して特異的である。
【0163】
別の態様では、本開示は、有効量の二量体を前記被験者に投与することを含む、それを必要とする被験者における腫瘍を治療する方法を提供する。
【0164】
いくつかの実施形態では、二量体は、二つのポリペプチド鎖によって形成され得、二つのポリペプチド鎖の各々は抗体Fcサブユニットを含む。例えば、二量体は、各ポリペプチド鎖が抗体Fcサブユニットを含む二つのポリfペプチド鎖から構成されてもよく、一方のポリペプチド鎖の抗体Fcサブユニットが他方のポリペプチド鎖の抗体Fcサブユニットと会合して二量体を形成してもよい。一例として、二量体の二つのポリペプチド鎖は、互いに融合して(例えば、ペプチドリンカーを介して、又はペプチド結合によって)一つの単一のポリペプチド鎖となることはない。
【0165】
二量体は、二つ以上の免疫グロブリン単一可変ドメイン(ISVD)を含み得る。例えば、二量体の一つのポリペプチド鎖は二つ以上のISVDを含むことができ、二量体の他のポリペプチド鎖はいずれのISVDも含まない。別の例では、二つのポリペプチド鎖の各々は、一つ又は複数のISVDを含み得る。さらに別の例では、二つのポリペプチド鎖の各々は、二つ以上のISVDから構成されてもよい。
【0166】
ISVDの少なくとも一つはPD-L1に特異的であってもよく、ISVDの少なくとも一つはCTLA4に特異的であってもよい。例えば、二量体の一つのポリペプチド鎖は、PD-L1に特異的な一つ以上のISVD、及びCTLA4に特異的な一つ以上のISVDを含むことができ、二量体の他のポリペプチド鎖は、いずれのISVDも含まない。別の例では、二量体の一つのポリペプチド鎖はPD-L1に特異的な一つ以上のISVDを含み得、二量体の他のポリペプチド鎖はCTLA4に特異的な一つ以上のISVDを含み得る。別の例では、二量体の一つのポリペプチド鎖は、PD-L1に特異的な一つ以上のISVD、及びCTLA4に特異的な一つ以上のISVDを含み得、二量体の他のポリペプチド鎖は、PD-L1に特異的な一つ以上のISVD、及び/又はCTLA4に特異的な一つ以上のISVDを含み得る。
【0167】
PD-L1に特異的な一つ以上のISVDは、同一であっても異なっていてもよい。CTLA4に特異的な一つ以上のISVDは、同一であっても異なっていてもよい。
【0168】
場合によっては、PD-L1に特異的なISVDは、いかなる抗体軽鎖CDRも含まない。場合によっては、PD-L1に特異的なISVDは、いかなる抗体軽鎖可変領域も含まない。場合によっては、PD-L1に特異的なISVDは、いかなる抗体軽鎖又はその断片も含まない。場合によっては、PD-L1に特異的なISVDは、少なくとも重鎖CDR3を含む。場合によっては、PD-L1に特異的なISVDは、重鎖CDR1を含む。場合によっては、PD-L1に特異的なISVDは、重鎖CDR2を含む。場合によっては、PD-L1に特異的なISVDは、重鎖可変領域を含む。場合によっては、PD-L1に特異的なISVDは、抗PD-L1VHHである。PD-L1に特異的なISVDはヒト化され得る。
【0169】
場合によっては、CTLA4に特異的なISVDは、いかなる抗体軽鎖CDRも含まない。場合によっては、CTLA4に特異的なISVDは、いかなる抗体軽鎖可変領域も含まない。場合によっては、CTLA4に特異的なISVDは、いかなる抗体軽鎖又はその断片も含まない。場合によっては、CTLA4に特異的なISVDは、少なくとも重鎖CDR3を含む。場合によっては、CTLA4に特異的なISVDは、重鎖CDR1を含む。場合によっては、CTLA4に特異的なISVDは、重鎖CDR2を含む。場合によっては、CTLA4に特異的なISVDは、重鎖可変領域を含む。場合によっては、CTLA4に特異的なISVDは抗CTLA4VHHである。CTLA4に特異的なISVDはヒト化され得る。
【0170】
場合によっては、二つのポリペプチド鎖の少なくとも一つは、PD-L1に特異的なISVDと、CTLA4に特異的なISVDとの両方を含み得る。例えば、二つのポリペプチド鎖のうちの一つは、PD-L1に特異的な一つ以上のISVDと、CTLA4に特異的な一つ以上のISVDとを含み得る。別の例では、二つのポリペプチド鎖の各々は、PD-L1に特異的な一つ以上のISVD、及びCTLA4に特異的な一つ以上のISVDを含み得る。
【0171】
二つのポリペプチド鎖の一方又は両方について、PD-L1に特異的なISVDは、場合によりリンカーを介して、CTLA4に特異的なISVDに融合されてもよい。例えば、二つのポリペプチド鎖の一方又は両方において、PD-L1に特異的な一つ以上のISVD、及びCTLA4に特異的な一つ以上のISVDがあり得る。1本のポリペプチド鎖中にPD-L1に特異的な二つ以上のISVDが存在する場合、それらは互いに融合されてもよく(例えば、直接又はペプチドリンカーを介して)、それらの一つ以上はさらに、CTLA4に特異的な一つ以上のISVDに融合されてもよい。CTLA4に特異的な二つ以上のISVDが単一のポリペプチド鎖に存在する場合、それらは互いに融合されてもよく(例えば、直接又はペプチドリンカーを介して)、それらの一つ以上はさらにPD-L1に特異的な一つ以上のISVDに融合されてもよい。一つ以上のリンカー(例えば、ペプチドリンカー)は、任意の二つのISVDの間、例えば、PD-L1に特異的な二つのISVDの間、CTLA4に特異的な二つのISVDの間、又はPD-L1に特異的な一つのISVDとCTLA4に特異的な一つのISVDの間に存在し得る。
【0172】
二つのポリペプチド鎖の一方又は両方について、PD-L1に特異的なISVDは、任意にリンカーを介して、CTLA4に特異的なISVDに融合されてもよく;及びCTLA4に特異的なISVDは、今度は任意にリンカーを介して、抗体Fcサブユニットに融合されてもよい。例えば、単一のポリペプチド鎖において、PD-L1に特異的なISVDは、CTLA4に特異的なISVDに直接(例えば、フレーム内)又はリンカーを介して融合されてもよく、CTLA4に特異的なISVDは、抗体Fcサブユニットに直接(例えば、フレーム内)又はリンカーを介して融合されてもよい。一つのポリペプチド鎖にPD-L1に特異的な二つ以上のISVD及び/又はCTLA4に特異的な一つ以上のISVDが存在する場合、PD-L1に特異的なISVD及びCTLA4に特異的なISVDは、任意の順序で互いに直接又はリンカーを介して融合されてもよく、CTLA4に特異的な少なくとも一つのISVDは、抗体Fcサブユニットに直接 (例えば、フレーム内) 又はリンカーを介して融合されてもよい。例えば、二つのポリペプチド鎖の一方又は両方について、PD-L1に特異的なISVDのC末端は、CTLA4に特異的なISVDのN末端に、任意にリンカーを介して融合されてよく;及びCTLA4に特異的なISVDのC末端は、抗体FcサブユニットのN末端に、任意にリンカーを介して融合されてもよい。例えば、単一のポリペプチド鎖において、PD-L1に特異的なISVDのうちの一つのC末端を、CTLA4に特異的なISVDのうちの一つのN末端に、直接(例えば、フレーム内)又はリンカーを介して融合されてもよく、CTLA4に特異的なISVDのうちの一つのC末端を、抗体FcサブユニットのN末端に、直接 (例えば、フレーム内) 又はリンカーを介して融合されてもよい。一例では、一つのポリペプチド鎖中にPD-L1に特異的な一つ以上のISVD及び/又はCTLA4に特異的な一つ以上のISVDが存在する場合、PD-L1に特異的なISVD及びCTLA4に特異的なISVDは、任意の順序に従って、直接又はリンカーを介して互いに融合されてもよいが、PD-L1に特異的な少なくとも一つのISVDのC末端は、直接 (例えば、フレーム中で) 又はリンカーを介して、CTLA4に特異的な少なくとも一つのISVDのN末端に融合されてもよく、及びCTLA4に特異的な少なくとも一つのISVDのC末端は、直接 (例えば、フレーム中で) 又はリンカーを介して、抗体FcサブユニットのN末端に融合されてもよい。
【0173】
二つのポリペプチド鎖の一方又は両方について、CTLA4に特異的なISVDは、任意にリンカーを介して、PD-L1に特異的なISVDに融合されてもよく;及びPD-L1に特異的なISVDは、次いで、任意にリンカーを介して、抗体Fcサブユニットに融合されてもよい。例えば、単一のポリペプチド鎖において、CTLA4に特異的なISVDは、PD-L1に特異的なISVDに直接(例えば、フレーム内)又はリンカーを介して融合されてもよく、PD-L1に特異的なISVDは、抗体Fcサブユニットに直接 (例えば、フレーム内) 又はリンカーを介して融合されてもよい。一つのポリペプチド鎖にPD-L1に特異的なISVDが二つ以上、及び/又はCTLA4に特異的なISVDが二つ以上存在する場合、PD-L1に特異的なISVDとCTLA4に特異的なISVDとは、任意の順序で直接又はリンカーを介して互いに融合されてもよく、PD-L1に特異的な少なくとも一つのISVDは、抗体Fcサブユニットに直接 (例えば、フレーム内) 又はリンカーを介して融合されてもよい。例えば、二つのポリペプチド鎖の一方又は両方について、CTLA4に特異的なISVDのC末端は、PD-L1に特異的なISVDのN末端に、任意にリンカーを介して融合されてもよく;及びPD-L1に特異的なISVDのC末端は、抗体FcサブユニットのN末端に、任意にリンカーを介して融合されてもよい。例えば、単一のポリペプチド鎖において、CTLA4に特異的なISVDのうちの一つのC末端は、PD-L1に特異的なISVDのうちの一つのN末端に、直接的に(例えば、フレーム内で)又はリンカーを介して融合されてもよく、PD-L1に特異的なISVDのうちの一つのC末端は、抗体FcサブユニットのN末端に、直接的に(例えば、フレーム内で)又はリンカーを介して融合されてもよい。
【0174】
一例では、一つのポリペプチド鎖中にPD-L1に特異的な一つ以上のISVD及び/又はCTLA4に特異的な一つ以上のISVDが存在する場合、PD-L1に特異的なISVD及びCTLA4に特異的なISVDは、任意の順序に従って、直接又はリンカーを介して互いに融合されてもよいが、CTLA4に特異的な少なくとも一つのISVDのC末端は、直接 (例えば、フレーム中で) 又はリンカーを介して、PD-L1に特異的な少なくとも一つのISVDのN末端に融合されてもよく、PD-L1に特異的な少なくとも一つのISVDのC末端は、直接 (例えば、フレーム中で) 又はリンカーを介して、抗体FcサブユニットのN末端に融合されてもよい。
【0175】
本出願において使用されるリンカー(例えばペプチドリンカー) (例えば、本出願の二量体によって構成されるような)は、例えばペプチド結合を介して二つのポリペプチド配列を連結又は連結する合成アミノ酸配列であってもよい。例えば、ペプチドリンカーは、1~10個のアミノ酸(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10以上のアミノ酸)、1~15個のアミノ酸(例えば、1~10、11、12、13、14又は15アミノ酸)、1~20個のアミノ酸(例えば、1~15、16、17、18、19又は20アミノ酸)、1~30個以上のアミノ酸(例えば、1-20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30又はそれ以上のアミノ酸)を含み得る。例えば、ペプチドリンカーは、配列番号33-34のいずれか一つに記載のアミノ酸配列を含み得る。例えば、ペプチドリンカーは、配列番号33に記載のアミノ酸配列を含み得る。
【0176】
抗体Fcサブユニットは、IgG Fcサブユニットに由来するものであってもよい。例えば、IgGは、IgG1、IgG2、IgG3及びIgG4からなる群から選択され得る。いくつかの実施形態では、IgGはヒトIgG1であり、IgG FcサブユニットはヒトIgG1 Fcサブユニットである。いくつかの実施形態では、Fcサブユニットは、配列番号35、38及び39のいずれか一つに記載のアミノ酸配列と少なくとも80% (例えば、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は少なくとも100%) の同一性を有するアミノ酸配列を含む。例えば、Fcサブユニットは、配列番号35、38及び39のいずれかに記載されているアミノ酸配列において、一つ以上(例:1-2、1-3、1-4、1-5、1-6、1-7、1-8、1-9、1-10又はそれ以上)のアミノ酸欠失、挿入及び/又は置換を有するアミノ酸配列を含み得る。例えば、Fcサブユニットは、配列番号38及び39のいずれかに記載されているアミノ酸配列において、一つ以上(例:1-2、1-3、1-4、1-5、1-6、1-7、1-8、1-9、1-10又はそれ以上)のアミノ酸欠失、挿入及び/又は置換を有するアミノ酸配列を含み得る。
【0177】
いくつかの実施形態では、Fcサブユニットは、IgG Fcサブユニットの変異体 (例えば、ヒトIgG1 Fcサブユニットの変異体) であってもよい。例えば、変異体は、ADCC又はCDC活性を増強又は減少させる一つ以上のアミノ酸突然変異を含み得る。別の例として、変異体は、FcRn結合活性及び/又は変異体を含む分子の半減期に影響を及ぼす一つ以上のアミノ酸突然変異を含み得る。さらに別の例として、変異体は、二つ以上のFcサブユニット (又はFcモノマー) 間の相互作用(例,関連)に影響を及ぼす、及び/又はFcヘテロダイマー形成の効率を増加又は減少させる一つ以上のアミノ酸突然変異を含み得、例えば、変異体は、それぞれが参照により本明細書に組み込まれるCN 102558355 A、CN 103388013 A、CN 105820251 A、又はCN 106883297 Aに記載されるような一つ以上のアミノ酸置換を含み得る。
【0178】
PD-L1に特異的なISVDは、ヒトPD-L1に特異的に結合してもよい。例えば、PD-L1に特異的なISVDは、ヒトPD-L1の細胞外ドメイン内のエピトープに特異的に結合し得る。このようなエピトープは、例えば、Gang Hao et al.、J.Molによって示されるように、当該技術分野において公知である。 Recognit. 2015; 28: 269-276, Zhang et al., Oncotarget.2017 Oct; 08 (52): 90215-90224, and Zhang et al., Cell Discov.2017 Mar 7; 3:17004.
【0179】
例えば、PD-L1に特異的なISVDは、ヒトPD-L1のN末端IgVドメインに結合し得る。ヒトPD-L1 (シグナルペプチドを含む) のN末端IgVドメインは、配列番号64に記載のアミノ酸配列を含み得る。本開示では、PD-L1に特異的なISVDは、ヒトPD-L1N末端IgVドメインの残基154、Y56、E58、Q66及び/又はR113に結合し得る。特定の実施形態では、PD-L1に特異的なISVDは、ヒトPD-L1N末端IgVドメイン(例えば、配列番号64のアミノ酸残基154、Y56、E58、Q66及び/又はR 113)の残基154、Y56、E58、Q66及びR113に結合し得る。PD-L1に特異的なISVDは、ヒトPD-L1N末端IgVドメイン(例えば、配列番号64のアミノ酸残基D61、N63、V68、M115、S117、Y123及び/又はR125)の残基D61、N63、V68、M115、S117、Y123及び/又はR 125にさらに結合し得る。場合によっては、PD-L1に特異的なISVDは、ヒトPD-L1N末端IgVドメインのアミノ酸残基154、Y56、E58、Q66、R113、D61、N63、V68、M115、S117、Y123及び/又はR125(例えば、配列番号64のアミノ酸残基154、Y56、E58、Q66、R113、D61、N63、V68、M115、S117、Y123及び/又はR125)に結合し得る。場合によっては、PD-L1に特異的なISVDは、ヒトPD-L1N末端IgVドメインの立体配座エピトープに結合することができ、立体配座エピトープは、ヒトPD-L1N末端IgVドメインの残基154、Y56、E58、Q66及び/又はR113 (例えば、配列番号64のアミノ酸残基154、Y56、E58、Q66及び/又はR113) を含み得る。場合によっては、PD-L1に特異的なISVDは、ヒトPD-L1N末端IgVドメインの立体配座エピトープに結合することができ、立体配座エピトープは、ヒトPD-L1N末端IgVドメインのアミノ残基154、Y56、E58、Q66、R113、D61、N63、V 68、M115、S117、Y123及び/又はR125(例えば、配列番号64のアミノ酸残基154、Y56、E58、Q66、R113、D61、N63、V68、M115、S117、Y123及び/又はR125)を含み得る。
【0180】
本開示のPD-L1に特異的なISVD (例えば、PD-L1 ISVD-9及びそのヒト化変異体)は、ヒトPD-L1のN末端IgVドメインに結合する。PD-L1 ISVD-9を例にとると、PD-L1 ISVD-9の残基Phe 101 (配列番号6) ヒトPD-L1N末端IgVドメインのTyr 56と相互作用し、ヒトPD-L1N末端IgVドメインのTyr 56がAlaで置換された場合、PD-L1 ISVD-9とPD-L1の間の結合親和性は200倍以上低下した。ヒトPD‐L 1 N末端IgVドメインのIle 54をAlaで置換すると、 PD‐L 1 ISVD‐9とPD‐L 1の間の結合親和性は約40倍低下した。PD-L1 ISVD-9の残基Asp 99 (配列番号6) ヒトPD-L1N末端IgVドメインのA rgil 3と相互作用し、ヒトPD-L1N末端IgVドメインのA rgl 3をAlaで置換すると、PD-L1 ISVD-9とPD-L1との結合親和性が約90倍低下した。PD-L1 ISVD-9の残基Seri 00 (配列番号6) ヒトPD-L1N末端IgVドメインのGlu 58と相互作用し、ヒトPD-L1N末端IgVドメインのGlu 58をAlaで置換すると、PD-L1 ISVD-9とPD-L1との間の結合親和性は約25倍低下した。PD-L1 ISVD-9の残基Thrl 05 (配列番号6) ヒトPD-L1N末端IgVドメインのGln 66と相互作用し、ヒトPD-L1N末端IgVドメインのGln 66をAlaで置換すると、PD-L1 ISVD-9とPD-L1の結合親和性は約82倍低下した。さらに、ヒトPD-L1N末端IgVドメインの残基D61、N63、V68、M115、S117、Y123及びR125は、PD-L1 ISVD-9とヒトPD-L1との間の相互作用に関与している可能性があり、これらの残基をAlaで置換すると、結合親和性が約2~10倍低下した。これらの結果を以下の表2に要約する。
【表2】
【0181】
PD-L1に特異的なISVDは、PD-L1のPD1への結合を遮断することができる。場合によっては、PD-L1に特異的なISVDは、PD-L1のCD80への結合を遮断することができる。
【0182】
PD-L1に特異的なISVDは、PD-L1への結合について、対照抗PD-L1抗体と交差競合することができる。
【0183】
参照抗PD-L1抗体は、重鎖CDR3を含み得る。重鎖CDR3は、DSFX1X2PTCX3X4X5X6SSGAFQY(配列番号1)に記載のアミノ酸配列を含み得、X1はE又はGであってもよく;X2はD又はYであってもよく;X3はT又はPであってもよく;X4はL又はGであってもよく;X5はV又はPであってもよく;及びX6は、T又はAであってもよい。 場合によっては、参照抗PD-L1抗体は、配列番号5及び9のいずれか一つに記載のアミノ酸配列からなる重鎖CDR3を含み得る。参照抗PD-L1抗体はまた、重鎖CDR1を含み得る。重鎖CDR1は、GX1X2X3X4X5RCMA(配列番号2)に記載のアミノ酸配列を含み得、X1はK又はNであってもよい;X2はM又はIであってもよく;X3はS又はIであってもよく;X4はS又はRであってもよく;X5はR又はVであってもよい。例えば、参照抗PD-L1抗体は配列番号3及び7のいずれか一つに記載のアミノ酸配列からなる重鎖CDR1を含み得る。場合によっては、参照抗PD-L1抗体は、重鎖CDR2を含み得る。重鎖CDR2は、配列番号4、8及び11のいずれか一つに記載のアミノ酸配列を含み得る。場合によっては、参照抗PD-Ll抗体は、抗PD-Ll VHHなど、PD-L1に特異的なISVDである。参照抗PD-L1抗体は、重鎖可変ドメインを含み得る。参照抗PD-L1抗体は、配列番号6、10、12、13、14及び15のいずれか一つに記載のアミノ酸配列からなる重鎖可変ドメインを含み得る。例えば、重鎖可変ドメインは、配列番号6に記載のアミノ酸配列を含み得る。
【0184】
本開示では、PD-L1に特異的なISVD (例えば、本開示の二量体に含まれるような)は、重鎖CDR3を含み得る。重鎖CDR3は、DSFX1X2PTCX3X4X5X6SSGAFQY(配列番号1)に記載のアミノ酸配列を含み得、X1はE又はGであってもよく;X2はD又はYであってもよく;X3はT又はPであってもよく;X4はL又はGであってもよく;X5はV又はPであってもよく;及びX6は、T又はAであってもよい。 例えば、PD-L1に特異的なISVDは、配列番号5及び9のいずれか一つに記載のアミノ酸配列からなる重鎖CDR3を含み得る。
【0185】
例えば、PD-L1に特異的なISVDは、配列番号5及び9のいずれの一つに記載のアミノ酸配列と少なくとも80% (例えば、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は少なくとも100%) の同一性を有するアミノ酸配列からなる重鎖CDR3を含み得る。場合によっては、重鎖CDR3は、配列番号5及び9のいずれか一つに記載の配列において、一つ以上 (例えば、1-2、1-3、1-4、1-5、1-6、1-7、1-8、1-9、1-10、又はそれ以上) のアミノ酸欠失、挿入及び/又は置換を有するアミノ酸配列を含み得る。
【0186】
本開示では、PD-L1に特異的なISVD (例えば、本開示の二量体に含まれるような)は、重鎖CDR1も含み得る。重鎖CDR1は、GX1X2X3X4X5RCMA(配列番号2)に記載のアミノ酸配列を含み得、X1はK又はNであってもよい;X2はM又はIであってもよく;X3はS又はIであってもよく;X4はS又はRであってもよく;X5はR又はVであってもよい。例えば、PD-L1に特異的なISVDは、配列番号3及び7のいずれかに記載のアミノ酸配列からなる重鎖CDR1を含み得る。
【0187】
例えば、PD-L1に特異的なISVDは、配列番号3及び7のいずれか一つに記載のアミノ酸配列と少なくとも80% (例えば、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は少なくとも100%) の同一性を有するアミノ酸配列からなる重鎖CDR1を含み得る。場合によっては、重鎖CDR1は、配列番号3及び7のいずれか一つに記載の配列において、一つ以上 (例えば、1-2、1-3、1-4、1-5、1-6、1-7、1-8、1-9、1-10、又はそれ以上) のアミノ酸欠失、挿入及び/又は置換を有するアミノ酸配列を含み得る。
【0188】
本開示では、PD-L1に特異的なISVD (例えば、本開示の二量体に含まれるような)は、重鎖CDR2をさらに含み得る。重鎖CDR2は、任意の適切なアミノ酸配列を含み得る。場合によっては、PD-L1に特異的なISVDは、配列番号4、8及び11のいずれか一つに記載のアミノ酸配列からなる重鎖CDR2を含み得る。
【0189】
例えば、PD-L1に特異的なISVDは、配列番号4、8及び11のいずれか一つに記載のアミノ酸配列と少なくとも80% (例えば、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は少なくとも100%) の同一性を有するアミノ酸配列からなる重鎖CDR2を含み得る。場合によっては、重鎖CDR2は、配列番号4、8、及び11のいずれか一つに記載の配列において、一つ以上 (例えば、1-2、1-3、1-4、1-5、1-6、1-7、1-8、1-9、1-10、又はそれ以上) のアミノ酸欠失、挿入、及び/又は置換を有するアミノ酸配列を含み得る。
【0190】
例えば、PD-L1に特異的なISVDは、配列番号5に記載のアミノ酸配列を含むCDR3、 配列番号4に記載のアミノ酸配列を含むCDR2 及び配列番号3に記載のアミノ酸配列からなるCDR1を含み得る。
【0191】
本開示では、PD-L1に特異的なISVD(本開示の二量体に含まれる)は、重鎖可変ドメインを含み得る。PD-L1に特異的なISVDは、配列番号6、10、12、13、14及び15のいずれか一つに記載のアミノ酸配列からなる重鎖可変ドメインを含み得る。例えば、重鎖可変ドメインは、配列番号6に記載のアミノ酸配列を含み得る。
【0192】
例えば、PD-L1に特異的なISVDは、配列番号6、10、12、13、14及び15のいずれか一つに記載のアミノ酸配列と少なくとも80% (例えば、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は少なくとも100%) 同一性を有するアミノ酸配列からなる重鎖可変ドメインを含み得る。場合によっては、PD-L1に特異的なISVDは、配列番号6、10、12、13、14及び15のいずれか一つに記載の配列において、一つ以上 (例えば、1-2、1-3、1-4、1-5、1-6、1-7、1-8、1-9、1-10又はそれ以上) のアミノ酸欠失、挿入及び/又は置換を有するアミノ酸配列からなる重鎖可変ドメインを含み得る。
【0193】
本開示では、PD-L1に特異的なISVDは、配列番号6、10、12、13、14、及び15のいずれか一つに記載のアミノ酸配列を含み得る。例えば、PD-L1に特異的なISVD (本開示の二量体に含まれる) は、配列番号6に記載のアミノ酸配列を含み得る。例えば、PD-L1に特異的なISVDは、配列番号6、10、12、13、14、及び15のいずれか一つに記載のアミノ酸配列と少なくとも80% (例えば、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は少なくとも100%) の同一性を有するアミノ酸配列を含み得る。場合によっては、PD-L1に特異的なISVDは、配列番号6、10、12、13、14、及び15のいずれか一つに記載の配列において、一つ以上 (例えば、1-2、1-3、1-4、1-5、1-6、1-7、1-8、1-9、1-10、又はそれ以上) のアミノ酸欠失、挿入、及び/又は置換を有するアミノ酸配列を含み得る。
【0194】
場合によっては、PD-L1に特異的なISVDは、重鎖可変ドメイン (VH又はVHH) を含むか、又はそれらから構成される。
【0195】
例えば、PD-L1に特異的なISVDは、PD-L1 ISVD-9、PD-L1 ISVD-6、PD-L1 ISVD-m 3、PD-L1 ISVD-4、PD-L1 ISVD-11及びPD-L1 ISVD-13から選択され得る。他の例として、PD-L1に特異的なISVDは、PD-L1 ISVD-9から選択され得る。
【0196】
CTLA4に特異的なISVDは、ヒトCTLA4に特異的に結合し得る。例えば、CTLA4に特異的なISVDは、ヒトCTLA4の細胞外ドメインのエピトープに特異的に結合し得るものであってもよく、かかるエピトープは、CN107400166Aに記載のもの、Udupi A. Ramagopal, et. al., PNAS 2017 May, 114 (21) に記載のもの等を含み得る。
【0197】
CTLA4に特異的なISVDは、CTLA4のCD 80への結合を遮断することができる。場合によっては、CTLA4に特異的なISVDは、CTLA4のCD 86への結合を遮断することができる。場合によっては、CTLA4に特異的なISVDはヒト化され得る。
【0198】
CTLA4に特異的なISVDは、参照抗CTLA4抗体とCTLA4への結合について交差競合することができる。
【0199】
参照抗CTLA4抗体は、重鎖CDR3を含み得る。重鎖CDR3は、配列番号19に記載のアミノ酸配列を含み得る。参照抗CTLA4抗体はまた、重鎖CDR1を含み得る。重鎖CDR1は、配列番号17に記載のアミノ酸配列を含み得る。場合によっては、参照抗CTLA4抗体は、重鎖CDR2を含み得る。重鎖CDR2はAIX1X2GGGSTYYADSVKG(配列番号16)に記載のアミノ酸配列を含み得、X1はY又はSであってよく;X2はI又はLであってよい。 例えば、重鎖CDR2は、配列番号18、21及び23のいずれか一つに記載のアミノ酸配列を含み得る。場合によっては、参照抗CTLA4抗体は、抗CTLA4 VHHなど、CTLA4に特異的なISVDである。参照抗CTLA4抗体は、重鎖可変ドメインを含み得る。参照抗CTLA4抗体は、配列番号20、22、及び24~32のいずれか一つに記載のアミノ酸配列からなる重鎖可変ドメインを含み得る。例えば、重鎖可変ドメインは、配列番号20に記載のアミノ酸配列を含み得る。
【0200】
本開示では、CTLA4に特異的なISVD (例えば、本開示の二量体に含まれるような)は、重鎖CDR3を含み得る。重鎖CDR3は、配列番号19に記載のアミノ酸配列を含み得る。
【0201】
場合によっては、CTLA4に特異的なISVDは、配列番号19に記載のアミノ酸配列と少なくとも80% (例えば、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は少なくとも100%)の同一性を有するアミノ酸配列からなる重鎖CDR3を含み得る。場合によっては、重鎖CDR3は、配列番号19に記載の配列において一つ以上 (例えば、1-2、1-3、1-4、1-5、1-6、1-7、1-8、1-9、1-10、又はそれ以上) のアミノ酸欠失、挿入、及び/又は置換を有するアミノ酸配列を含み得る。
【0202】
本開示では、 CTLA4に特異的なISVD (例えば、本開示の二量体に含まれるような) は、重鎖CDR1を含み得る。重鎖CDR1は、配列番号17に記載のアミノ酸配列を含み得る。
【0203】
場合によっては、CTLA4に特異的なISVDは、配列番号17に記載のアミノ酸配列と少なくとも80% (例えば、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は少なくとも100%)の同一性を有するアミノ酸配列からなる重鎖CDR1を含み得る。場合によっては、重鎖CDR1は、配列番号17に記載の配列において、一つ以上 (例えば、1-2、1-3、1-4、1-5、1-6、1-7、1-8、1-9、1-10、又はそれ以上) のアミノ酸欠失、挿入、及び/又は置換を有するアミノ酸配列を含み得る。
【0204】
本開示では、CTLA4に特異的なISVD (例えば、本開示の二量体に含まれるような)は、重鎖CDR2をさらに含み得る。重鎖CDR2は、AIX1X2GGGSTYYADSVKG (配列番号16)に記載されるようなアミノ酸配列を含み得、 X1はY又はSであり得る;X2はI又はLであり得る。場合によっては、CTLA4に特異的なISVDは、配列番号18、21及び23のいずれか一つに記載のアミノ酸配列からなる重鎖CDR2を含み得る。
【0205】
例えば、CTLA4に特異的なISVDは、配列番号18、21及び23のいずれか一つに記載のアミノ酸配列と少なくとも80% (例えば、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は少なくとも100%) の同一性を有するアミノ酸配列からなる重鎖CDR2を含み得る。場合によっては、重鎖CDR2は、配列番号18、21、及び23のいずれか一つに記載の配列において、一つ以上 (例えば、1-2、1-3、1-4、1-5、1-6、1-7、1-8、1-9、1-10、又はそれ以上) のアミノ酸欠失、挿入、及び/又は置換を有するアミノ酸配列を含み得る。
【0206】
例えば、PD-L1に特異的なISVDは、配列番号19に記載のアミノ酸配列を含むCDR3、 配列番号18に記載のアミノ酸配列を含むCDR2 及び配列番号17に記載のアミノ酸配列からなるCDR1を含み得る。
【0207】
本開示では、CTLA4に特異的なISVD (本開示の二量体に含まれる) は、重鎖可変ドメインを含み得る。CTLA4に特異的なISVDは、配列番号20、22、及び24~32のいずれか一つに記載のアミノ酸配列からなる重鎖可変ドメインを含み得る。例えば、重鎖可変ドメインは、配列番号20に記載のアミノ酸配列を含み得る。
【0208】
例えば、CTLA4に特異的なISVDは、配列番号20、22、及び24~32のいずれか一つに記載のアミノ酸配列と少なくとも80% (例えば、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は少なくとも100%) の同一性を有するアミノ酸配列からなる重鎖可変ドメインを含み得る。場合によっては、CTLA4に特異的なISVDは、配列番号20、22、及び24~32のいずれか一つに記載の配列において、一つ以上 (例えば、1-2、1-3、1-4、1-5、1-6、1-7、1-8、1-9、1-10、又はそれ以上) のアミノ酸欠失、挿入、及び/又は置換を有するアミノ酸配列からなる重鎖可変ドメインを含み得る。
【0209】
本開示では、CTLA4に特異的なISVDは、配列番号20、22、及び24~32のいずれか一つに記載のアミノ酸配列を含み得る。例えば、 CTLA4に特異的なISVD (本開示の二量体に含まれる) は、配列番号20に記載のアミノ酸配列を含み得る。
【0210】
例えば、CTLA4に特異的なISVDは、配列番号20、22、及び24~32のいずれか一つに記載のアミノ酸配列と少なくとも80% (例えば、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は少なくとも100%) の同一性を有するアミノ酸配列を含み得る。場合によっては、CTLA4に特異的なISVDは、配列番号20、22、及び24~32のいずれか一つに記載の配列において、一つ以上 (例えば1-2、1-3、1-4、1-5、1-6、1-7、1-8、1-9、1-10、又はそれ以上) のアミノ酸欠失、挿入、及び/又は置換を有するアミノ酸配列を含み得る。
【0211】
場合によっては、CTLA4に特異的なISVDは、重鎖可変ドメイン (VH又はVHH) を含むか、又はそれらから構成される。
【0212】
例えば、CTLA4に特異的なISVDは、CTLA4 ISVD-34、CTLA4 ISVD-C 1、CTLA4 ISVD-13、CTLA4 ISVD-26、CTLA4 ISVD-27、CTLA4 ISVD-28、CTLA4 ISVD-29、CTLA4 ISVD-30、CTLA4 ISVD-31、CTLA4 ISVD-32、及びCTLA4 ISVD-33から選択選択され得る。
【0213】
例えば、本出願の二量体は、二つのポリペプチド鎖を含み得るか、又は二つのポリペプチド鎖からなり得る。二つのポリペプチド鎖のアミノ酸配列は同一であっても異なっていてもよい。場合によっては、本開示の二量体はホモ二量体であってもよい。
【0214】
本開示では、二量体の二つのポリペプチド鎖の一方又は両方が、請求項40~43、46、48及び50のいずれか一項に記載のアミノ酸配列を含み得る。例えば、二量体の二つのポリペプチド鎖の一方又は両方は、配列番号40に記載のアミノ酸配列を含み得る。
【0215】
具体例では、二量体の二つのポリペプチド鎖の一方又は両方は、配列番号40~43、46、48及び50のいずれか一つに記載のアミノ酸配列と少なくとも80% (例えば、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は少なくとも100%) 同一性を有するアミノ酸配列を含み得る。場合によっては、二量体の二つのポリペプチド鎖の一方又は両方は、配列番号:40-43、46、48及び50のいずれか一つに記載の配列において、一つ以上 (例えば、1-2、1-3、1-4、1-5、1-6、1-7、1-8、1-9、1-10又はそれ以上) のアミノ酸欠失、挿入及び/又は置換を有するアミノ酸配列を含み得る。
【0216】
一例として、PD-L1に特異的なISVDは、CTLA4に特異的なISVDのN末端アミノ酸に(直接的又は間接的に、例えばペプチドリンカーなどのリンカーを介して)融合して二特異性結合部分を形成してもよい。次いで、このような二特異的結合部分の一つを、本開示の一つのFcサブユニットのN末端アミノ酸に(直接的又は間接的に、例えばペプチドリンカーなどのリンカーを介して)融合させて、二量体の一つのポリペプチド鎖を提供してよい。次いで、別のそのような二特異的結合部分を、本開示の別のFcサブユニットのN末端アミノ酸に(直接的又は間接的に、例えばペプチドリンカーなどのリンカーを介して)融合させて、二量体の他のポリペプチド鎖を提供してもよい。2本のポリペプチド鎖の二つのFcサブユニットは互いに(例えば、非共有結合相互作用及び/又はジスルフィド結合又は他の共有結合を介して、場合によっては、そのような共有結合はペプチド結合ではない)結合して二量体を形成してもよい。二つの生体特異的結合部分は同一であっても異なっていてもよい。二つのFcサブユニットは同一であっても異なっていてもよい。
【0217】
いくつかの実施形態では、二量体は、二つの同一のポリペプチド鎖を含み、各ポリペプチド鎖は、Fcサブユニットの一つに融合された二特異的結合部分の一つを含み、二つのFcサブユニットが互いに結合してタンパク質性ホモ二量体を形成する、タンパク質性ホモ二量体である。二つのFcサブユニットは、非共有相互作用及び/又はジスルフィド結合又は他の共有結合を介して互いに結合してもよく、場合によっては、そのような共有結合はペプチド結合ではない。
【0218】
図lA-lBは、本開示の二量体の例を提供し、1は、PD-L1に特異的なISVDを示し、2は、CTLA4に特異的なISVDを示し、3は、Fcサブユニットを含むFcドメインを示し、及び4は、二特異的結合部分を示す。
【0219】
本開示の二量体は、CTLA4への結合についてCD80及び/又はCD86と競合することができる。例えば、CTLA4発現細胞株、例えばCTLA4発現HEK293細胞株を用いたインビトロの実験で競合を検討することができる。別の例として、競合は、競合ELISAアッセイのようなELISAエッセイにおいて検査され得る。
【0220】
本開示の二量体は、PD-L1への結合についてPD1及び/又はCD80と競合することができる。例えば、PD-L1発現細胞株、例えばPD-L1発現A375細胞株を用いたインビトロの実験で競合を検討することができる。別の例として、競合は、競合ELISAアッセイのようなELISAエッセイにおいて検査され得る。
【0221】
本開示の二量体は、PD-L1のPD-1への結合を遮断することができる。場合によっては、本開示の二量体は、PD-L1のCD80への結合を遮断することができる。場合によっては、本開示の二量体は、CTLA4のCD80への結合を遮断することができる。場合によっては、本開示の二量体は、CTLA4のCD86への結合を遮断することができる。
【0222】
本開示の二量体は、約lx10-6M以下、例えば約lx10-7M以下、約lx10-8M以下、約0.5x10-8M以下、約lx10-9M以下、約lx10-10M以下、又はそれ以下の値のKDでCTLA4に結合し得る。
【0223】
本開示の二量体は、約lx10-6M以下、例えば、約lx10-7M以下、約lx10-8M以下、約0.5x10-8M以下、約lx10-9M以下、約lx10-10M以下、又はそれ以下の値でPD-L1に結合し得る。
【0224】
本開示の二量体は、免疫細胞(例えば、PBMC細胞)による免疫調節物質(例えば、IL-2)の分泌を刺激することができる。
【0225】
例えば、本開示の二量体は、aPDL1.9-aCTLA4.34- Fc, aPDL1.9-L-aCTLA4.34-Fc, aCTLA4.34-aPDLl.9- から選択することができる。 Fc、aCTLA4.34-L-aPDLl.9-Fc、aPDL1.6- aCTLA4.34-Fc, aPDLl.m3-aCTLA4.34-Fc 及び aPDL1.9-aCTLA4.13-Fc から選択され得る。
【0226】
例えば、本開示の二量体は、CTLA4に特異的なISVD及びPDL1に特異的なISVDを含み得る。PD-L1に特異的なISVDは、配列番号5に記載のアミノ酸配列を含むCDR3、配列番号4に記載のアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号3に記載のアミノ酸配列を含むCDR1を含み得る。また、CTLA4に特異的なISVDは、配列番号19に記載のアミノ酸配列を含むCDR3、配列番号18に記載のアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号17に記載のアミノ酸配列を含むCDR1を含み得る。また、本開示の二量体は、配列番号6に記載のアミノ酸配列を含むPD-L1に特異的なISVDと、配列番号20に記載のアミノ酸配列を含むCLTA4に特異的なISVDとを含み得る。例えば、本開示の二量体は、配列番号40のアミノ酸配列を含み得る。
【0227】
また、本開示の二量体は、KN046と命名することができる。
【0228】
使用方法
【0229】
本開示では、二量体を必要とする被験者の腫瘍を治療するための医薬の調製における二量体の使用を提供する。本開示はさらに、有効量の二量体を前記被験者に投与することを含む、それを必要とする被験者における腫瘍を治療する方法を提供する。
【0230】
いくつかの実施形態では、被験者は、現在一つ以上の利用可能な治療法で腫瘍の治療を受けたが、それに実質的に応答していない場合がある。用語「実質的に応答しない」とは、一つ以上の現在利用可能な治療(例えば、化学療法、放射線療法、化学放射線療法、CTL細胞療法、EGFRチロシンキナーゼ阻害薬(TKIs)療法、血管新生阻害薬療法、手術、ホルモン療法及び/又は生物学的療法/免疫療法、免疫チェックポイント阻害薬療法、特に特定の腫瘍に対する標準的な治療レジメン)を受けているか又はそれで治療されている患者が、患者を治療するのに臨床的に適切でないか、又は患者がもはや治療からいかなる有益な効果も受けておらず、そのためこれらの患者は追加の有効な治療を必要としている状態であり得る。
【0231】
いくつかの実施形態では、治療は、NSCLC、黒色腫、食道扁平上皮癌(ESCC)、NPC又は乳癌(例えば、トリプルネガティブ乳がん(TNBC))に対するそれらの治療を含み得る。
【0232】
本開示において、前記腫瘍は、NSCLC、黒色腫、食道扁平上皮癌(ESCC)、NPC又は乳癌からなる群から選択され得る。
【0233】
例えば、前記腫瘍は、食道扁平上皮癌(ESCC)及び鼻咽頭癌(NPC)からなる群より選択され得る。
【0234】
例えば、前記腫瘍は、局所進行期又は転移性黒色腫、非ケラチン化局所進行性再発性又は転移性NPC、転移性NSCLC、扁平上皮及び非扁平上皮NSCLC、再発性又は転移性ESCC、及びトリプルネガティブ乳癌(TNBC)からなる群より選択され得る。
【0235】
例えば、前記腫瘍は、EGFR突然変異又はALK融合を伴わない進行NSCLC、EGFRエクソン20挿入突然変異を伴うNSCLC、PD-L1発現陽性のNPC、及び局所進行性の手術不能又は転移性TNBCからなる群より選択され得る。
【0236】
いくつかの実施形態では、被験者は、免疫チェックポイント阻害薬と共に投与されていてもよい。例えば、二量体は、免疫チェックポイント阻害薬の投与後、約1分、2分、5分、10分、20分、30分、45分、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、12時間、18時間、1日、2日、3日、1週間、2週間、3週間、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、1年、2年、3年又はそれ以上投与してもよい。
【0237】
いくつかの実施形態では、被験者は、前記免疫チェックポイント阻害薬に実質的に応答しないことがある。いくつかの実施形態では、免疫チェックポイント阻害薬は、以下からなる群から選択され得る。PD-L1阻害剤、PD-1阻害剤及びCTLA4阻害剤。
【0238】
免疫チェックポイント阻害薬に実質的に応答しない被験者は、以前に免疫チェックポイント阻害薬に応答した可能性があるが、免疫チェックポイント阻害薬に対して応答性が低下した可能性があるか、又は被験者が免疫チェックポイント阻害薬に応答したことがない可能性がある。免疫チェックポイント阻害薬に対する不十分な応答は、免疫チェックポイント阻害薬の標準用量に続いて改善することが期待される状態の局面が改善されないこと、及び/又は標準用量を超える用量が投与された場合にのみ改善が生じることを意味する。いくつかの実施形態では、免疫チェックポイント阻害薬に実質的に応答しない被験者は、標準用量を少なくとも2週間、少なくとも3週間、少なくとも4週間、少なくとも6週間、又は少なくとも12週間投与された後に、免疫チェックポイント阻害薬に対する不十分な応答を経験したか、又は経験している可能性がある。「標準」用量は、医療専門家によって決定され、被験者の年齢、体重、健康な病歴、疾患の重症度、投与の頻度などに依存し得る。
【0239】
本開示において、前記被験者は、化学療法、化学放射線療法、CTL細胞療法、EGFRチロシンキナーゼ阻害薬(TKI)、及び/又は血管新生阻害薬を投与されていてもよい。
【0240】
本開示では、前記化学療法は、化学剤による前記腫瘍に対する任意の治療を意味し得る。当該化学物質には腫瘍細胞を殺傷し、腫瘍を縮小させ、がんの徴候や症状を緩和する作用がある。例えば、前記化学療法は、一次化学療法及び/又は二次化学療法を含み得る。本開示では、前記一次化学療法は、癌の所定のタイプ及び病期の初期治療のために医療機関によって一般に受け入れられている一つ又は複数の化学療法レジメンを指す場合がある。例えば、前記一次化学療法は、プラチナベースの化学療法を含み得る。いくつかの実施形態では、前記プラチナベースの一次化学療法は、プラチナ(P)化合物(シスプラチン又はカルボプラチン)による化学療法を含み得る。
【0241】
本開示では、前記二次化学療法は、一次化学療法が十分に機能しない場合に試みられるものを指し得る。例えば、前記二次化学療法は、パクリタキセル、ドセタキセル、カペシタビン及び/又は5-FUを含み得る。
【0242】
本開示では、前記化学放射線療法(CRT、CRTx、CT-RT)は、化学療法と放射線療法とを組み合わせた治療を意味し得る。
【0243】
本開示では、前記CTL細胞療法は、細胞傷害性Tリンパ球療法を意味し得る。
【0244】
本開示では、前記EGFRチロシンキナーゼ阻害薬は、上皮成長因子受容体(EGFR)と呼ばれるタンパク質の活性を遮断する物質を意味し得る。前記EGFRチロシンキナーゼ阻害薬は、受容体の表面に向けられたモノクローナル抗体及び/又は受容体の細胞内ドメインに向けられたチロシンキナーゼ阻害薬を含み得る。
【0245】
本開示では、前記血管新生阻害薬は、新しい血管の成長(血管新生)を阻害する物質を意味し得る。
【0246】
いくつかの実施形態では、薬剤又は二量体は、静脈内、筋肉内、皮下、局所的、経口的、経皮的、腹腔内、眼窩内、埋め込み、吸入、髄腔内、脳室内、又は鼻腔内に投与され得る。有効量の薬剤を疾患の予防又は治療のために投与され得る。薬剤の適切な用量は、治療すべき疾患のタイプ、薬剤のタイプ、疾患の重症度及び経過、個人の臨床状態、被験者の病歴及び治療に対する反応、並びに主治医の裁量に基づいて決定され得る。例えば、適切な投与量は、約0.1mg又は1mg/kg/日~約500mg/kg/日(約0.1mg/kg~約0.3mg/kg、約0.1mg/kg~約1mg/kg、約0.1mg/kg~約3mg/kg、約0.1mg/kg~約5mg/kg、約0.1mg/kg~約10mg/kg、約1mg/kg~約5mg/kg、約3mg/kg~約5mg/kg、約1mg/kg~約3mg/kg、約1mg/kg~約500mg/kg又は約1mg/kg~約150mg/kgなど)であり得る;時には、投与量がさらに高くなり得る。
【0247】
いくつかの実施形態では、薬剤又は二量体は、2週間に1回又は3週間に1回投与され得る。
【0248】
薬剤は、任意の便利な経路、例えば、注入又はボーラス注射によって、上皮又は粘膜皮膚内張り(例えば、口腔粘膜、直腸及び腸粘膜など)を介した吸収によって投与されてもよく、他の生物学的活性剤とともに投与されてもよい。投与は全身的に行うことも局所的に行う場合もある。いくつかの実施形態では、薬剤は静脈内投与され得る。
【0249】
特定の実施形態では、治療を必要とする領域に本開示の薬剤を局所的に投与することが望ましい場合がある。これは、限定されるものではないが、例えば、局所注入、局所適用、注射、カテーテル、坐薬、又はインプラントによって達成されてよく、前記インプラントは、膜を含む多孔性、非多孔性、又はゲル状の材料である。好ましくは、本開示の薬剤を投与する場合、タンパク質が吸着しない材料を使用するように注意する必要がある。
【0250】
薬剤及び/又は免疫チェックポイント阻害薬は、同じ投与経路で投与してもよいし、異なる投与経路で投与してもよい。
【0251】
本発明の薬剤は、必要とする被験者の腫瘍を治療することができる。腫瘍には固形腫瘍、血液腫瘍、リンパ腫などがある。腫瘍は進行性又は転移性の腫瘍である。いくつかの実施形態では、腫瘍は、NSCLC、黒色腫、食道扁平上皮癌(ESCC)、NPC又は乳癌(例えば、トリプルネガティブ乳がん(TNBC))からなる群より選択され得る。
【0252】
場合によっては、腫瘍が免疫チェックポイント阻害薬(例えば、PD-1拮抗薬及び/又はPD-L1拮抗薬)による治療に反応しないことがある。例えば、PD-1拮抗薬及び/又はPD-L1拮抗薬による処置は、腫瘍進行又は腫瘍増殖の実質的又は観察可能な遅延又は阻害をもたらさない。場合によっては、本開示の二量体/組成物/免疫複合体を投与する前に、腫瘍をPD-1拮抗薬及び/又はPD-L1拮抗薬で治療していない場合もある。PD-1拮抗薬は、PD-1遮断抗体であり得る。PD-L1拮抗薬は、PD-L1遮断抗体であり得る。
【0253】
腫瘍又は腫瘍細胞は、被験者の体内、例えば、ヒト内又は非ヒト動物(例えば哺乳類)内の腫瘍又は腫瘍細胞であり得る。場合によっては、腫瘍/腫瘍が切除不能なこともある。一部の症例では、腫瘍/腫瘍が転移性(転移性固形腫瘍など)である場合がある。一部の症例では、腫瘍/腫瘍が標準治療に抵抗性及び/又は不耐容である可能性がある。例えば、腫瘍は、治療開始時に抵抗性であるか、又は治療中に抵抗性になる腫瘍を意味する抵抗性腫瘍である場合がある。
【0254】
本開示では、前記転移性とは、腫瘍が被験者の体内の最初の部位又は原発部位から異なる部位又は二次的部位に拡がっている状態を指す。
【0255】
本開示では、前記再発とは、治療後及び/又は腫瘍が検出されなかった期間の後に腫瘍が発見された状態を指す。再発腫瘍は、最初に発生した場所と同じ場所にある場合もあれば、被験者の体内の別の場所にある場合もある。
【0256】
本開示では、前記突然変異は、ゲノムのヌクレオチド配列の変化を指す。例えば、該突然変異は、遺伝子(たとえばエキソン)のヌクレオチド及び/又は成分の欠失、挿入及び/又は置換を含み得る。
【0257】
本開示では、前記二量体は、化学療法剤と組み合わせて投与される。
【0258】
本開示では、前記化学療法剤は、化学療法が可能な任意の薬剤であり得る。例えば、前記化学療法剤は、プラチナ製剤及び/又はパクリタキセルを含み得る。例えば、前記化学療法剤は、シスプラチン、ゲムシタビン及び/又はナブパクリタキセルを含み得る。
【0259】
例えば、前記腫瘍は、再発性又は転移性のESCCを含み得、その被験者は、6ヵ月以内にCRTによる治療を受けておらず、その後、シスプラチン、パクリタキセル及び放射線からなる緩和的CRTを受けたものである。
【0260】
例えば、当該腫瘍はEGFR突然変異又はALK融合を伴わない進行NSCLCを含み得、これはプラチナベースの一次化学療法で進行したが、いずれのPD-(L)1免疫チェックポイント阻害薬でも治療されなかった。
【0261】
例えば、前記腫瘍は、EGFRチロシンキナーゼ阻害薬(TKI)の治療で無効であったEGFRエクソン20の挿入変異を有するNSCLCを含み得る。
【0262】
例えば、前記腫瘍は、NPCを含み得、その被験者は、前記一次化学療法、前記二次化学療法及び/又は抗PD-1剤の治療で無効であった。
【0263】
組み合わせ
【0264】
別の態様では、本開示は、それを必要とする被験者における腫瘍を治療するための薬剤の調製において、本開示の化学療法剤と組み合わせた本開示の二量体の使用を提供する。
【0265】
別の態様では、本開示は、それを必要とする被験者における腫瘍の治療に使用するために、本開示の化学療法剤と組み合わせた本開示の二量体を提供する。
【0266】
別の態様では、本開示は、それを必要とする被験者における腫瘍を治療する方法を提供し、本開示の二量体を本開示の化学療法剤と組み合わせて投与することを含む。
【0267】
本開示において、前記腫瘍は、固形腫瘍及び血液腫瘍からなる群より選択され得る。例えば、前記腫瘍は、NSCLC及び乳癌からなる群より選択され得る。
【0268】
例えば、当該腫瘍は、扁平上皮NSCLC及び非扁平上皮NSCLC並びにトリプルネガティブ乳癌(TNBC)からなる群より選択され得る。例えば、前記腫瘍は、EGFRエクソン20挿入突然変異及び局所進行手術不能又は転移性TNBCを有するNSCLCからなる群より選択され得る。
【0269】
本開示では、前記被検体は、EGFRチロシンキナーゼ阻害薬(TKI)を投与され得る。
【0270】
本開示では、前記二量体は、週に4回、週に2回、週に1回、2週間に1回、3週間に1回、4週間に1回、5週間に1回、6週間に1回、8週間に1回、又は12週間に1回の投与頻度で投与され得る。例えば、前記二量体は、2週間に1回の投与頻度で投与され得る。
【0271】
本開示では、前記化学療法剤は、週に4回、週に2回、週に1回、2週に1回、3週に1回、4週に1回、5週に1回、6週に1回、8週に1回、又は12週に1回の投与頻度で投与され得る。
【0272】
本開示では、前記二量体は、静脈内、筋肉内、皮下、局所、経口、経皮、腹腔内、眼窩内、埋め込み、吸入、髄腔内、脳室内、又は鼻腔内に投与され得る。
【0273】
本開示では、前記化学療法剤は、静脈内、筋肉内、皮下、局所、経口、経皮、腹腔内、眼窩内、埋め込み、吸入、髄腔内、脳室内、又は鼻腔内投与され得る。
【0274】
本開示では、前記二量体は、0.01mg/kg~100mg/kgの用量で投与され得る。例えば、前記二量体は、約1mg/kg~約5mg/kg、約3mg/kg~約5mg/kg、又は約1mg/kg~約3mg/kgの用量で投与され得る。
【0275】
本開示では、前記化学療法剤は、0.01mg/kg~LOOmg/kgの用量で投与され得る。例えば、前記プラチナ薬剤は、約1mg/kg~約5mg/kg、約3mg/kg~約5mg/kg、又は約1mg/kg~約3mg/kgの用量で投与することができる。
【0276】
いくつかの実施形態では、前記二量体は、プラチナ製剤と組み合わせて投与され得る。例えば、前記腫瘍は、EGFRチロシンキナーゼ阻害薬(TKI)の治療で無効であったEGFRエクソン20の挿入変異を有するNSCLCを含み得る。
【0277】
いくつかの実施形態では、前記二量体は、パクリタキセル、例えば、ナブパクリタキセルと組み合わせて投与され得る。例えば、前記腫瘍は、その対象が未治療である転移性トリプルネガティブ乳癌(mTNBC)を含み得る。例えば、前記腫瘍は、局所的に進行した手術不能又は転移性TNBCを含み得る。
【0278】
別の態様では、本開示は、本開示の化学療法剤と組み合わせた本開示の二量体を含むキットを提供する。
【0279】
実施例
【0280】
以下の実施例は、当業者に本発明の製造方法及び使用方法の完全な開示及び説明を提供するために記載されており、発明者がその発明とみなすものの範囲を制限することを意図するものではなく、また、以下の実験が行われた全て又は唯一の実験であることを示すことを意図するものでもない。使用する数値(例えば、量、温度等。)の正確性を確保するための努力がなされてきたが、いくつかの実験誤差や偏差を考慮に入れるべきである。特に明記しない限り、部品は重量部であり、分子量は重量平均分子量であり、温度は摂氏であり、圧力は大気圧又は大気圧に近い。標準的な略語が使用されてもく、例えば、bp、塩基対;kb、キロベース;pl、ピコリットル;s又はsec、秒;min、分;h又はhr、時間;aa、アミノ酸;nt、ヌクレオチド;i.m、筋肉内;i.p、腹膜下;s.c、皮下などと記載される。
【0281】
腫瘍患者を対象とした第I相試験
【0282】
本試験は、進行性固形腫瘍及びリンパ腫患者を対象に、二量体の安全性、忍容性、薬物動態及び抗腫瘍活性を評価するための第I相/第II相非盲検多施設用量漸増拡大試験である。16人の参加者が推定登録された。適格基準:
【0283】
インフォームドコンセントに署名し、研究に必要なすべての手続きを行う意思と能力があること。
【0284】
組織学的検査又は細胞学的検査により確定された固形腫瘍。対象は、進行期又は転移性の固形腫瘍(切除不能)で、最後の抗腫瘍治療後に進行が見られた患者、標準治療が利用できないか拒否された患者、又は標準治療に耐えられない難治性の固形腫瘍患者で、化学療法、標的治療などを含む標準治療が禁忌の患者である。
【0285】
研究用量/コホート拡大相における特定の腫瘍タイプ:
黒色腫:組織学的検査により確認された局所進行期又は転移性黒色腫(切除不能);一次化学療法又は一次標的療法(例えば、化学療法、TSA-CTL細胞療法、免疫チェックポイント阻害薬療法)が失敗した;
鼻咽頭癌:組織学的に確認された非角化局所進行再発・転移性鼻咽頭癌で、一次治療又は一次治療以上のプラチナ製剤を含む化学療法(例:プラチナ製剤含有化学放射線療法、プラチナ製剤含有化学放射線療法+補助化学療法)が無効であったもの。
NSCLC:一次治療(化学療法、血管新生阻害薬、免疫チェックポイント阻害薬による治療)が無効であったもの。
【0286】
第Ia相:1、3及び5mg/kg(mg/kg)を2週間ごとに静脈内(IV)注入。第Ib相:静脈内(IV)注入、1、3又は3、5mg/kg(mg/kg)を2週間ごとに、第Ib相の用量を第la相の結果に基づいて決定する。又は、300、500mg/kg(mg/kg)を3週間ごとに投与する。
【0287】
第la相では、主要評価項目は用量制限毒性(DLT)を示す参加者数である。第Ib相試験では、主要評価項目として、RECIST1.1又はルガノ2014判定基準に基づく奏効率(ORR)及び奏効期間(DoR)が設定される。副次的評価項目は、投与後に発現した有害事象(TEAE)、有害事象、PKパラメータ(AUCO-t、Cmax、CL、Tl/2、Ctroughを含むがこれに限定されない)等である。
【0288】
投与期間は病勢進行又は忍容できない毒性が発現するまで継続する。フォローアップ中、被験者の疾患活動性と安全性をモニターする。
【0289】
図2は、免疫チェックポイント阻害薬による治療に失敗した患者の結果を示している。ORRは12.5%、DCRは63%である。5mg/kgQ2Wのコホート(N=8)では、ORRは12.5%、DCRは75%である。進行性疾患(PD)はNSCLC、NPC又はメラノーマの16人の患者中14人では生じなかった。
【0290】
単一の薬剤は許容可能な安全性プロファイルを有する。
【0291】
例2 食道扁平上皮癌におけるKN046+同時化学放射線療法の予備的有効性と安全性
【0292】
背景 食道扁平上皮癌(ESCC)の管理には根治的又は姑息的化学放射線療法が用いられている。免疫チェックポイント阻害薬は転移性IV期患者の転帰を改善した。ここでは、このアプローチ(ChiCTR2000031544)の安全性と有効性を明らかにするために、同時化学放射線療法(CRT)へのPD‐L1/CTLA‐4二重特異性抗体であるKN046の追加について報告する。
【0293】
目的及び方法 6か月以内にCRTによる治療を受けていない、再発又は転移ESCCの適格患者(Pts)をリクルートし、シスプラチン(75mg/m2IVQ3W、4から6サイクル)、パクリタキセル(135から175mg/m2IVQ3W、4から6サイクル)及び放射線(施設標準に従い、研究者の裁量で30~40Gy)よりなる緩和CRTを行った。1、3及び5mg/kgのKN046を放射線療法(RT)完了後7~14日以内に化学療法と同時に追加し、続いてKN046Q2W維持療法を行った。用量制限毒性(DLT)は、KN046の最初の治療サイクルに対し評価した。抗腫瘍活性は、最初の年は6週間ごと、その後は12週間ごとにRECIST1.1に従って評価した。
【0294】
結果 2020年6月30日の時点で、18人の被験者が登録され、KN046治療を受けた(1mg/kg、3例;3mg/kg、n=11;5mg/kg、4例)。KN046暴露の中央値は11.5週であった。DLTは報告されなかった。グレート3のKN046関連有害事象は3例(16.7%)に認められた(グレード3の肺炎1例はステロイドと抗生物質Txにより回復し、グレード3の大腸炎1例は抗生物質Tx単独により回復し、グレード3の大腸炎1例はステロイドと抗生物質Txにより回復した)。3mg/kg群では、有効性評価対象9例中5例(55.6%)に客観的奏効が認められ、病勢コントロール率は100%であった;8/9(88.9%)の患者はKN046治療開始後に更なる腫瘍縮小を経験した。
【0295】
結論 CRTへのKN046の添加は、忍容性が良く、再発又は転移ESCCで有望な効果シグナルを示した。このパイロット試験により、予後不良疾患におけるKN046とCRTの併用という新しい治療法のさらなる検討が可能となった。
【0296】
例3 転移性非小細胞肺癌(NSCLC)患者を対象としたKN046の第II相試験
【0297】
背景:KN046はPD‐1とのPD‐L1相互作用及びCD80/CD86とのCTLA‐4相互作用を遮断する新規二重特異性抗体である。この多重コホート、単群第II相試験は、転移性非小細胞肺癌(NSCLC)患者におけるKN046の予備的安全性と有効性を評価する。
【0298】
試験方法:適格患者(pts)は、EGFR変異又はALK融合のない進行NSCLCで、プラチナベースの一次化学療法で進行したが、PD‐(L)1免疫チェックポイント阻害薬で治療されなかった。全例にKN0463mg/kg(コホートA)又は5mg/kg(コホートB)Q2Wを8週間ごとに静脈内投与し、有効性はRECIST1.1に基づき治験責任医師により評価され、安全性及び忍容性はNCI-CTCAEv5.0により評価された。
【0299】
結果:2020年7月27日現在、コホートAに30例、コホートBに33例が登録。年齢中央値59歳、男性/女性51/12例、PS0/19/54例、扁平上皮非小細胞/非扁平上皮非小細胞肺癌23/40例、Grade3以上の有害事象は21例(33.3%)、治療関連のSAE16例(25.4%)、irAE34例(54.0%)、グレート3以上のirAE11例(17.5%)認められた。10%以上に認められた有害事象は、i輸液関連反応(16、25.4%)、貧血(14、22.2%)、発疹(13、20.6%)、高血糖(12、19.0%)、肝機能異常(10、15.9%)、甲状腺機能低下症(10、15.9%)、アラニンアミノトランスフェラーゼ増加(8、12.7%)、無力症(8、12.7%)、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ増加(7、11.1%)、そう痒症(7、11.1%)等であった。安全性プロファイルは二つのコホート間で同等であった。
【0300】
カットオフ日の時点で、24例(37.5%)が治験薬の投与を継続し、39例(60.9%)が病勢進行(n=27)、AE(n=7)、服薬遵守不良(n=4)及び1例の死亡により治験薬の投与を中止した。薬物曝露期間の中央値は14週間(2から56週間)であった。ORRとDCRは56人の評価可能な患者で10.7%と71.4%であったPFSの中央値は3.7(2.9、7.3)、6と12か月PFS率(95%CI)は、36.6%(23.0、50.4)と18.3%(6.2、35.5)であり、6と12か月OS率(95%CI)は、86.9%(74.2、93.6)及び60.7%(36.0、78.4)であった。扁平上皮NSCLC患者では、PFS中央値は7.3(3.7、ネブラスカ州(アメリカ合衆国))、9ヵ月PFS割合(95%CI)は46.6%(19.0、70.3)、6ヵ月及び12ヵ月OS割合(95%CI)は88.2%(60.2、96.9)及び52.9%(13.2、81.9)であった。
【0301】
結論:二重特異性抗体KN046は良好な忍容性を示し、進行NSCLCの二次療法として有効であった。KN046は、扁平上皮癌において、PFSとOSに有望な効果を示した。
【0302】
臨床試験情報:NCT03838848
【0303】
実施例4 画期的治療薬指定申請(BTDR)に関する助言
【0304】
本書は、当部署が画期的治療指定(BTD)の申請が適切かどうか、現時点では初歩的すぎる可能性や、現在はBTD基準を満たしていない可能性があるかなどについて見解を述べる際の根拠として用いられる。
【0305】
1. 適応症が重篤で生命を脅かすかどうかに関連する情報を提供する。製品の適応症と対象疾患について、簡潔に記載する。
【0306】
KN 046とプラチナ製剤の併用は、EGFRエクソン20の挿入変異を有するNSCLCの治療に適用される。
【0307】
2.薬剤の概要、薬剤の作用機序(既知の場合)、既存の治療との関連性を簡潔に記述する。
【0308】
KN046は、PD1/PD-L1及びCTLA-4経路を遮断するPD-L1/CTLA-4二重特異性抗体である。
【0309】
3. 利用可能な治療法があれば、その概要を記述する。
【0310】
EGFRmut NSCLCの約0.5%-4%はエクソン20挿入を有する。承認されたEGFRチロシンキナーゼ阻害薬(TKI)は無効であり、客観的奏効率(ORR)は16.1%である。
【0311】
TKIを伴う又は伴わない化学療法では、ORRは27.5%である。利用可能な治療法によるPFSは約5ヵ月、OSは約16ヵ月である。NSCLCのこの亜型には新しい治療法が必要である。
【表3】
【0312】
4.試験デザイン、試験エンドポイント、治療群、登録された被験者数など、予備的な臨床的証拠*に関する情報を提供する。
【0313】
KN046-202試験(NCT0405453l)は、扁平上皮及び非扁平上皮NSCLCに対する一次治療として、プラチナ製剤を併用したKN046の有効性と安全性を評価する非盲検並行群間第II相試験である。非EGFR感作性変異を有するNSCLCの登録が許可された。
【0314】
2020年9月3日の時点で、EGFRエクソン20挿入変異を有する9例が登録され、KN046とカルボプラチン及びペメトレキセドとの併用により治療された。奏効率55.5%(5/9、95%信頼区間21.2%-86.3%)、病勢コントロール率88.9%(8/9)であった(
図3)。
【0315】
例えば、腫瘍学/血液学分野の製品については、予備的な臨床的証拠として、奏効率、奏効期間、前治療の程度などが挙げられる。
【0316】
実施例5 画期的治療薬指定申請(BTDR)に関する助言
【0317】
本書は、当部署が画期的治療指定(BTD)の申請が適切かどうか、現時点では初歩的すぎる可能性や、現在はBTD基準を満たしていない可能性があるかなどについて見解を述べる際の根拠として用いられる。
【0318】
1.適応症が重篤で生命を脅かすかどうかに関連する情報を提供する。製品の適応症と対象疾患について、簡潔に記載する。
【0319】
本剤の効能・効果は、PD-L1発現陽性の鼻咽頭癌(NPC)である。
【0320】
2.薬剤の概要、薬剤の作用機序(既知の場合)、既存の治療との関連性を簡潔に記述する。
【0321】
KN046は、PD1/PD-L1及びCTLA-4経路を遮断するPD-L1/CTLA-4二重特異性抗体である。
【0322】
3.利用可能な治療法があれば、その概要を記述する。
【0323】
プラチナ製剤 (例、シスプラチン/ゲムシタビン) は標準的な一次治療であり、無増悪生存期間 (PFS) 中央値は7ヵ月、全生存期間 (OS) 中央値は29.1ヵ月である。二次治療には、パクリタキセル、ドセタキセル、カペシタビン又は5-FU、及びメトトレキサートが含まれ、OS中央値は12ヵ月未満である。二次治療及び晩期治療における本薬及びニボルマブの有効性に関する予備データは、12ヵ月時点のOS率がそれぞれ63%及び62%であることを示した。
【0324】
4.試験デザイン、試験のエンドポイント、治療群、登録された被験者数など、予備的な臨床的証拠に関する情報を提供する。
【0325】
KN046-CHN-001は、進行固形腫瘍患者を対象とした第Ia/Ib相用量漸増拡大試験である。本試験には合計59人のNPC患者が登録された。全ての患者は少なくとも一次全身療法に失敗し、24人(40.7%)の患者は以前の二次全身療法に失敗し、25人(42.4%)の患者は抗PD‐1剤に失敗した。
【0326】
抗PD‐1ナイーブ集団において、29名の患者が有効性評価可能であり、24.1%(7/29)の応答率が観察された。29人の患者の中で、20人の患者はPD-L1発現陽性(SP263分析を用い、免疫細胞で>10%のPD-L1発現として規定)であり、反応率は30%であった。
【0327】
追跡期間中央値13ヵ月、最小追跡期間5.2ヵ月で、全生存率は達成されなかった。抗PD‐1未処置及び抗PD‐1前処置集団における12か月OS率は、それぞれ71.5%(95%CI50.1%-85%)及び74.3%(95%CI47%-89%)であった。
【0328】
例えば、腫瘍学/血液学分野の製品については、予備的な臨床的証拠として、奏効率、奏効期間、前治療の程度などが挙げられる。
【0329】
実施例6 転移性トリプルネガティブ乳癌(mTNBC)におけるNab-パクリタキセルと併用したKN046(抗PD-Ll/CTLA-4二重特異性抗体)の予備的安全性、忍容性及び有効性の結果
【0330】
背景:
【0331】
トリプルネガティブ乳癌(TNBC)は、浸潤性乳癌の他のサブタイプと比較した場合、予後が最も悪い。PD-L1陽性TNBC患者を対象としたIMpassionl-1試験及びKeynote-355試験では、一次化学療法に抗PD-L薬剤を併用することで臨床転帰の改善が示された。
【0332】
KN046はPD‐L1及びCTLA‐4経路を遮断する新規二重特異性抗体である。ここでは、mTNBC患者(pts)におけるナブパクリタキセルと併用したKN046の進行中の第II相試験の中間結果を報告した。
【0333】
試験方法:
【0334】
本試験では、未治療の局所進行性手術不能又は転移性TNBC患者を登録した。適格患者には、ナブパクリタキセル+KN046の2用量(DL1:KN0463mg/kgQ2W又はDL2:KN0465mg/kgQ2W)。腫瘍反応はレシスト1.1によりQ8Wで評価した。PD‐L1発現はSP142アッセイを用いて測定した。
【0335】
結果:
【0336】
2020年10月29日の時点で、27例の患者がDL1(n=16)とDL2(n=11)に登録された。病勢進行(n=8)、死亡(n=1)、有害事象(n=3)及びその他の理由(n=3)により、12例が試験継続、15例が投与中止となった。患者はKN046とnab-パクリタキセルの併用療法に良好な忍容性を示した。死亡に至ったKN046投与に関連する有害事象(TRAE)は認められなかった。有害事象は27例(100%)に認められ、グレート3以上は13例(48.1%)であった。11例(40.7%)が免疫関連有害事象(irAE)を経験し、そのうち2例はグレード3の免疫介在性肝障害を1例、1例はグレード3の発疹を経験した。本併用療法の主な有害事象(20%以上)は、AST増加(48%)、ALT増加(48%)、発熱(33%)、好中球数減少(30%)、貧血(26%)、発疹(26%)、白血球数減少(26%)であった。グレード3以上の有害事象(15%以上)は、好中球数減少(26%)、白血球数減少(22%)、AST増加(15%)であった。
【0337】
PFSの中央値は7.33(4.04、ネブラスカ州(アメリカ合衆国))か月であり、12か月PFS率は38.3%であった(95%CI19.7~74.6%)。OS中央値には到達せず、12か月OS率は80%(95%CI61.4~100%)であった。
【0338】
PD-L1陽性(IC PD-L1≧1%)又はPD-L1状態不明(PD-L1<1%)の患者では、PFS中央値は7.36カ月(95% CI 7.36, NE)、12カ月PFS率は49.4%(95% CI 20.6~100%)であった。12か月OS率は90.9%(95%CI75.1~100%)であった。
【0339】
結論:KN046とnab-パクリタキセルの併用療法は、PD‐L1陽性TNBCにおいて、忍容性が高く、良好な臨床的有効性を示した。予備的な全生存データは有望である。
【0340】
臨床試験情報:NCT03872791
【0341】
本明細書では、本発明の好ましい実施形態が示され、説明されてきたが、そのような実施形態が例としてのみ提供されることは当業者には明らかであろう。本発明は、明細書中で提供される具体例によって限定されることは意図されない。上述の明細書を参照して本発明を説明したが、本明細書の実施形態の説明及び図示は、限定的な意味で解釈されることを意図していない。ここで、本発明から逸脱することなく、当業者には多数の変形、変更、及び置換が生じる。さらに、本発明のすべての態様は、種々の条件及び変数に依存する本明細書に記載された特定の描写、構成又は相対的比率に限定されないことが理解されるものとする。本明細書に記載される本発明の実施形態に対する種々の代替物が、本発明の実施において使用され得ることを理解されたい。従って、本発明は、そのような代替物、修正物、変形物又は均等物も包含するものと考えられる。以下の特許請求の範囲は、本発明の範囲を定義し、これらの特許請求の範囲内の方法及び構造並びにそれらの均等物がそれによってカバーされることが意図される。
【配列表】
【手続補正書】
【提出日】2022-08-30
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
腫瘍を治療するための医薬の調製における二量体であって、
以下:前記二量体は2つのポリペプチド鎖によって形成され、前記2つのポリペプチド鎖の各々は抗体Fcサブユニットを含み、前記二量体は2以上の免疫グロブリン単一可変ドメイン(ISVD)を含み、前記ISVDの少なくとも1つはPD-L1に対して特異であり、前記ISVDの少なくとも1つはCTLA4に対して特異であることを特徴とする、
二量体。
【請求項2】
前記2つのポリペプチド鎖の少なくとも1つが、PD-L1に特異的なISVD及びCTLA4に特異的なISVDの両方を含む、請求項1に記載の二量体。
【請求項3】
前記2つのポリペプチド鎖の各々が、PD-L1に特異的なISVDとCTLA4に特異的なISVDの両方を含む、請求項1又は2に記載の二量体。
【請求項4】
前記2つのポリペプチド鎖の一方または両方について、PD-L1に特異的な前記ISVDが、任意にリンカーを介して、CTLA4に特異的な前記ISVDに融合される、請求項1~3のいずれか一項に記載の二量体。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載の二量体であって、前記2つのポリペプチド鎖のうちの1つまたは両方について:PD-L1に特異的な前記ISVDは、任意にリンカーを介して、CTLA4に特異的な前記ISVDに融合され;そしてCTLA4に特異的な前記ISVDは、任意にリンカーを介して、前記抗体Fcサブユニットに融合される、二量体。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載の二量体であって、前記2つのポリペプチド鎖のうちの1つまたは両方について:PD-L1に特異的な前記ISVDのC末端は、任意にリンカーを介して、CTLA4に特異的な前記ISVDのN末端に融合され;及びCTLA4に特異的な前記ISVDのC末端は、任意にリンカーを介して、前記抗体FcサブユニットのN末端に融合される、二量体。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載の二量体であって、前記2つのポリペプチド鎖のうちの1つまたは両方について:PD-L1に特異的な前記ISVDは、CTLA4に特異的な前記ISVDに、任意選択でリンカーを介して融合され、及びPD-L1に特異的な前記ISVDは、任意にリンカーを介して、前記抗体Fcサブユニットに融合される、二量体。
【請求項8】
請求項7に記載の二量体であって、前記2つのポリペプチド鎖の一方または両方について:CTLA4に特異的な前記ISVDのC末端は、任意にリンカーを介して、PD-L1に特異的な前記ISVDのN末端に融合され;及びPD-L1に特異的な前記ISVDのC末端は、任意にリンカーを介して、前記抗体FcサブユニットのN末端に融合される、二量体。
【請求項9】
前記抗体Fcサブユニットが、IgG Fcサブユニットに由来する、請求項1~8のいずれか一項に記載の二量体。
【請求項10】
前記IgGがヒトIgG1である、請求項9に記載の二量体。
【請求項11】
前記抗体Fcサブユニットが、配列番号35、38及び39のいずれか一項に記載のアミノ酸配列を含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の二量体。
【請求項12】
PD-L1に特異的な前記ISVDが、ヒトPD-L1N末端IgVドメインに結合することができる、請求項1~11のいずれか一項に記載の二量体。
【請求項13】
PD-L1に特異的な前記ISVDが、ヒトPD-L1N末端IgVドメインの残基154、Y56、E58、Q66及び/またはR113に結合することができ、前記ヒトPD-L1N末端IgVドメインが配列番号64に記載のアミノ酸配列を含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の二量体。
【請求項14】
PD-L1に特異的な前記ISVDが、ヒトPD-L1N末端IgVドメインの残基D61、N63、V68、M115、S117、Y123及び/またはR125にさらに結合することができ、ここで、前記ヒトPD-L1N末端IgVドメインが配列番号64に記載のアミノ酸配列を含む、請求項13に記載の二量体。
【請求項15】
PD-L1に特異的な前記ISVDが、ヒトPD-L1N末端IgVドメインの立体配座エピトープに結合することができ、前記立体配座エピトープが、前記ヒトPD-L1N末端IgVドメインの残基154、Y56、E58、Q66及びR113を含み、前記ヒトPD-L1N末端IgVドメインが、配列番号64に記載のアミノ酸配列を含む、請求項1~14のいずれか一項に記載の二量体。
【請求項16】
PD-L1に特異的な前記ISVDが、ヒトPD-L1N末端IgVドメインの立体配座エピトープに結合することができ、前記立体配座エピトープが、前記ヒトPD-L1N末端IgVドメインの残基154、Y56、E58、Q66、R113、D61、N63、V68、Ml15、S117、Y123及びR125を含み、前記ヒトPD-L1N末端IgVドメインが、配列番号64に記載のアミノ酸配列を含む、請求項1~15のいずれか一項に記載の二量体。
【請求項17】
PD-L1に特異的な前記ISVDが、PD-L1のPD1への結合を遮断することができる、請求項1~16のいずれか一項に記載の二量体。
【請求項18】
PD-L1に特異的な前記ISVDが、PD-L1のCD80への結合を遮断することができる、請求項1~17のいずれか一項に記載の二量体。
【請求項19】
PD-L1交差に特異的な前記ISVDが、参照抗PD-L1抗体とPD-L1との結合について競合し、前記参照抗PD-L1抗体が、配列番号:1に記載のアミノ酸配列を含む重鎖CDR3を含む、請求項1~18のいずれか一項に記載の二量体。
【請求項20】
前記参照抗PD-L1抗体が、配列番号5及び9のいずれか1つに記載のアミノ酸配列を含む重鎖CDR3を含む、請求項19に記載の二量体。
【請求項21】
前記参照抗PD-L1抗体が、配列番号2に記載のアミノ酸配列を含む重鎖CDR1を含む、請求項19又は20に記載の二量体。
【請求項22】
前記参照抗PD-L1抗体が、配列番号3及び7のいずれか1つに記載のアミノ酸配列を含む重鎖CDR1を含む、請求項19~21のいずれか一項に記載の二量体。
【請求項23】
前記参照抗PD-L1抗体が、配列番号4、8及び11のいずれか1つに記載のアミノ酸配列を含む重鎖CDR2を含む、請求項19~22のいずれか一項に記載の二量体。
【請求項24】
前記参照抗PD-L1抗体がPD-L1に特異的なISVDである、請求項19~23のいずれか一項に記載の二量体。
【請求項25】
前記参照抗PD-L1抗体が、配列番号6、10、12、13、14及び15のいずれか1つに記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインを含む、請求項19~24のいずれか一項に記載の二量体。
【請求項26】
前記参照抗PD-L1抗体が、配列番号6に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインを含む、請求項19~25のいずれか一項に記載の二量体。
【請求項27】
PD-L1に特異的な前記ISVDが、配列番号1に記載のアミノ酸配列を含む重鎖CDR3を含む、請求項1~26のいずれか一項に記載の二量体。
【請求項28】
PD-L1に特異的な前記ISVDが、配列番号5及び9のいずれか1つに記載のアミノ酸配列を含む重鎖CDR3を含む、請求項1~27のいずれか一項に記載の二量体。
【請求項29】
PD-L1に特異的な前記ISVDが、配列番号2に記載のアミノ酸配列を含む重鎖CDR1を含む、請求項1~28のいずれか一項に記載の二量体。
【請求項30】
PD-L1に特異的な前記ISVDが、配列番号3及び7のいずれか1つに記載のアミノ酸配列を含む重鎖CDR1を含む、請求項1~29のいずれか一項に記載の二量体。
【請求項31】
PD-L1に特異的な前記ISVDが、配列番号4、8及び11のいずれか1つに記載のアミノ酸配列を含む重鎖CDR2を含む、請求項1~30のいずれか一項に記載の二量体。
【請求項32】
PD-L1に特異的な前記ISVDが、配列番号6、10、12、13、14及び15のいずれか1つに記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインを含む、請求項1~31のいずれか一項に記載の二量体。
【請求項33】
PD-L1に特異的な前記ISVDが、配列番号6に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインを含む、請求項1~32のいずれか一項に記載の二量体。
【請求項34】
CTLA4に特異的な前記ISVDが、ヒトCTLA4に特異的に結合することができる、請求項1~33のいずれか一項に記載の二量体。
【請求項35】
CTLA4に特異的な前記ISVDが、CTLA4のCD80への結合を遮断することができる、請求項1~34のいずれか一項に記載の二量体。
【請求項36】
CTLA4に特異的な前記ISVDが、CTLA4のCD86への結合を遮断することができる、請求項1~35のいずれか一項に記載の二量体。
【請求項37】
CTLA4に特異的な前記ISVDが、CTLA4と参照抗CTLA4抗体との結合について交差競合し、前記参照抗CTLA4抗体が、配列番号19に記載のアミノ酸配列を含む重鎖CDR3を含む、請求項1~36のいずれか一項に記載の二量体。
【請求項38】
前記参照抗CTLA4抗体が、配列番号17に記載のアミノ酸配列を含む重鎖CDR1を含む、請求項37に記載の二量体。
【請求項39】
前記参照抗CTLA4抗体が、配列番号16に記載のアミノ酸配列を含む重鎖CDR2を含む、請求項37又は38に記載の二量体。
【請求項40】
前記参照抗CTLA4抗体が、配列番号18、21及び23のいずれか1つに記載のアミノ酸配列を含む重鎖CDR2を含む、請求項37~39のいずれか一項に記載の二量体。
【請求項41】
前記参照抗CTLA4抗体が、CTLA4に特異的なISVDである、請求項37~40のいずれか一項に記載の二量体。
【請求項42】
前記参照抗CTLA4抗体が、配列番号20、22、及び24~32のいずれか一つに記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインを含む、請求項37~41のいずれか一項に記載の二量体。
【請求項43】
前記参照抗CTLA4抗体が、配列番号20に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインを含む、請求項37~42のいずれか一項に記載の二量体。
【請求項44】
CTLA4に特異的な前記ISVDが、配列番号19に記載のアミノ酸配列を含む重鎖CDR3を含む、請求項1~43のいずれか一項に記載の二量体。
【請求項45】
CTLA4に特異的な前記ISVDが、配列番号17に記載のアミノ酸配列を含む重鎖CDR1を含む、請求項1~44のいずれか一項に記載の二量体。
【請求項46】
CTLA4に特異的な前記ISVDが、配列番号16に記載のアミノ酸配列を含む重鎖CDR2を含む、請求項1~45のいずれか一項に記載の二量体。
【請求項47】
CTLA4に特異的な前記ISVDが、配列番号18、21及び23のいずれか1つに記載のアミノ酸配列を含む重鎖CDR2を含む、請求項1~46のいずれか一項に記載の二量体。
【請求項48】
CTLA4に特異的な前記ISVDが、配列番号20、22、及び24~32のいずれか1つに記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインを含む、請求項1~47のいずれか一項に記載の二量体。
【請求項49】
CTLA4に特異的な前記ISVDが、配列番号20に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインを含む、請求項1~48のいずれか一項に記載の二量体。
【請求項50】
前記二量体がホモ二量体である、請求項1~49のいずれか一項に記載の二量体。
【請求項51】
前記リンカーが、配列番号33又は34に記載のアミノ酸配列を含む、請求項4~50のいずれか一項に記載の二量体。
【請求項52】
前記2つのポリペプチド鎖の一方または両方が、配列番号40~43、46、48、及び50のいずれか1つに記載のアミノ酸配列を含む、請求項1~51のいずれか一項に記載の二量体。
【請求項53】
前記二つのポリペプチド鎖の一方または両方が、配列番号40に記載のアミノ酸配列を含む、請求項1~52のいずれか一項に記載の二量体。
【請求項54】
前記二量体がPD-L1のPD-1への結合を遮断することができる、請求項1~53のいずれか一項に記載の二量体。
【請求項55】
前記二量体がPD-L1のCD80への結合を遮断することができる、請求項1~54のいずれか一項に記載の二量体。
【請求項56】
前記二量体がCTLA4のCD80への結合を遮断することができる、請求項1~55のいずれか一項に記載の二量体。
【請求項57】
前記二量体がCTLA4のCD86への結合を遮断することができる、請求項1~56のいずれか一項に記載の二量体。
【請求項58】
前記腫瘍が、NSCLC、黒色腫、食道扁平上皮癌(ESCC)、NPC及び乳癌からなる群より選択される、請求項1~57のいずれか一項に記載の二量体。
【請求項59】
前記腫瘍が、食道扁平上皮癌(ESCC)及び鼻咽頭癌(NPC)からなる群より選択される、請求項1~58のいずれか一項に記載の二量体。
【請求項60】
前記腫瘍を患っている被験者が免疫チェックポイント阻害剤を投与されている、請求項1~59のいずれか一項に記載の二量体。
【請求項61】
前記被験者が、前記免疫チェックポイント阻害剤に対して実質的に応答しなかった、請求項60に記載の二量体。
【請求項62】
前記免疫チェックポイント阻害剤が、以下からなる群より選択される、請求項60又は61に記載の二量体。
【請求項63】
前記被験者が化学療法、化学放射線療法、CTL細胞療法、EGFRチロシンキナーゼ阻害剤(TKI)、及び/または血管新生阻害剤を投与されている、請求項60~62のいずれか一項に記載の二量体。
【請求項64】
前記化学療法が、第一選択化学療法及び/または第二選択化学療法を含む、請求項63に記載の二量体。
【請求項65】
前記第二選択化学療法がパクリタキセル、ドセタキセル、カペシタビン及び/または5-FUを含む、請求項64に記載の二量体。
【請求項66】
前記腫瘍が、局所進行期または転移性黒色腫、非ケラチン化局所進行性再発性または転移性NPC、転移性NSCLC、扁平上皮及び非扁平上皮NSCLC、再発性または転移性ESCC及びトリプルネガティブ乳癌(TNBC)からなる群より選択される、請求項1~65のいずれかに記載の二量体。
【請求項67】
前記腫瘍が、EGFR突然変異またはALK融合を伴わない進行NSCLC、EGFRエクソン20挿入突然変異を伴うNSCLC、PD-L1発現陽性のNPC、及び局所進行性の手術不能または転移性TNBCからなる群より選択される、請求項1~66のいずれかに記載の二量体。
【請求項68】
前記二量体が化学療法剤と組み合わせて投与される、請求項1~67のいずれか一項に記載の二量体。
【請求項69】
前記化学療法剤が白金ダブレット及び/またはパクリタキセルを含む、請求項68に記載の二量体。
【請求項70】
前記化学療法剤が、シスプラチン、ゲムシタビン及び/またはナブパクリタキセルを含む、請求項68又は69に記載の二量体。
【請求項71】
それを必要とする被験者中の腫瘍を治療する方法であって、請求項1~70のいずれか一項に記載の有効量の二量体を該被験者に投与することを含む二量体。
【請求項72】
前記腫瘍が、NSCLC、黒色腫、食道扁平上皮癌(ESCC)、NPC及び乳癌からなる群より選択される、請求項71に記載の二量体。
【請求項73】
前記腫瘍が、食道扁平上皮癌(ESCC)及び鼻咽頭癌(NPC)からなる群より選択される、請求項71又は72に記載の二量体。
【請求項74】
前記被験者が免疫チェックポイント阻害剤を投与されている、請求項71~73のいずれか一項に記載の二量体。
【請求項75】
前記被験者が、前記免疫チェックポイント阻害剤に対して実質的に応答しなかった、請求項74に記載の二量体。
【請求項76】
前記免疫チェックポイント阻害剤が、以下からなる群より選択される、請求項74又は75に記載の二量体。
【請求項77】
前記被験者が化学療法、化学放射線療法、CTL細胞療法、EGFRチロシンキナーゼ阻害剤(TKI)、及び/または血管新生阻害剤を投与されている、請求項71~76のいずれか一項に記載の二量体。
【請求項78】
前記化学療法が、第一選択化学療法及び/または第二選択化学療法を含む、請求項77に記載の二量体。
【請求項79】
前記第二選択化学療法がパクリタキセル、ドセタキセル、カペシタビン及び/または5-FUを含む、請求項78に記載の二量体。
【請求項80】
前記腫瘍が、局所進行期または転移性黒色腫、非ケラチン化局所進行性再発性または転移性NPC、転移性NSCLC、扁平上皮及び非扁平上皮NSCLC、再発性または転移性ESCC及びトリプルネガティブ乳癌(TNBC)からなる群より選択される、請求項71~79のいずれか一項に記載の二量体。
【請求項81】
前記腫瘍が、EGFR突然変異またはALK融合を伴わない進行NSCLC、EGFRエクソン20挿入突然変異を伴うNSCLC、PD-L71発現陽性のNPC、及び局所進行性の手術不能または転移性TNBCからなる群より選択される、請求項1~80のいずれかに記載の二量体。
【請求項82】
前記二量体が化学療法剤と組み合わせて投与される、請求項71~81のいずれか一項に記載の二量体。
【請求項83】
前記化学療法剤が白金ダブレット及び/またはパクリタキセルを含む、請求項82に記載の二量体。
【請求項84】
前記化学療法剤が、シスプラチン、ゲムシタビン及び/またはナブパクリタキセルを含む、請求項82又は83に記載の二量体。
【請求項85】
前記二量体の有効量が1mg/kg~5mg/kgの用量である、請求項71~84のいずれか一項に記載の二量体。
【請求項86】
前記用量が1mg/kg~3mg/kgである、請求項85に記載の二量体。
【請求項87】
前記用量が3mg/kg~5mg/kgである、請求項85に記載の二量体。
【請求項88】
2週間に1回または3週間に1回投与される、請求項71~87のいずれか一項に記載の二量体。
【請求項89】
静脈内投与によって投与される、請求項71~88のいずれか一項に記載の二量体。
【請求項90】
腫瘍の治療に使用するための、請求項68~70のいずれか一項に記載の化学療法剤と組み合わせた、請求項1~70のいずれか一項に記載の二量体。
【請求項91】
前記腫瘍が、固形腫瘍及び血液腫瘍からなる群より選択される、請求項90に記載の化学療法剤と組み合わせた二量体。
【請求項92】
前記腫瘍がNSCLC及び/または乳癌を含む、請求項90又は91に記載の化学療法剤と組み合わせた二量体。
【請求項93】
前記腫瘍を患っている被験者がEGFRチロシンキナーゼ阻害剤(TKI)を投与されている、請求項90~92のいずれか一項に記載の化学療法剤と組み合わせた二量体。
【請求項94】
前記腫瘍が、扁平上皮及び非扁平上皮NSCLCならびにトリプルネガティブ乳癌(TNBC)からなる群より選択される、請求項90~93のいずれか一項に記載の化学療法剤と組み合わせた二量体。
【請求項95】
前記腫瘍が、EGFRエクソン20挿入突然変異及び局所的に進行した手術不能または転移性TNBCを有するNSCLCからなる群より選択される、請求項90~94のいずれか一項に記載の化学療法剤と組み合わせた二量体。
【請求項96】
週に4回、週に2回、週に1回、2週に1回、3週に1回、4週に1回、5週に1回、6週に1回、8週に1回、または12週に1回の投与頻度で投与される、請求項90~95のいずれか一項に記載の化学療法剤と組み合わせた二量体。
【請求項97】
前記白金系薬剤が、週に4回、週に2回、週に1回、2週に1回、3週に1回、4週に1回、5週に1回、6週に1回、8週に1回または12週に1回の投与頻度で投与される、請求項90~96のいずれか一項に記載の化学療法剤と組み合わせた二量体。
【請求項98】
静脈内、筋肉内、皮下、局所、経口、経皮、腹腔内、眼窩内、埋め込み、吸入、髄腔内、脳室内、または鼻腔内に投与される、請求項90~97のいずれか一項に記載の化学療法剤と組み合わせた二量体。
【請求項99】
前記化学療法剤が、静脈内、筋肉内、皮下、局所、経口、経皮、腹腔内、眼窩内、埋め込み、吸入、髄腔内、脳室内、または鼻腔内に投与される、請求項90~98のいずれか一項に記載の化学療法剤と組み合わせた二量体。
【請求項100】
0.01mg/kg~100mg/kgの用量で投与される、請求項90~99のいずれか一項に記載の化学療法剤と組み合わせた二量体。
【請求項101】
前記化学療法剤が0.01mg/kg~100mg/kgの用量で投与される、請求項90~100のいずれか一項に記載の化学療法剤と組み合わせた二量体。
【請求項102】
請求項1~70のいずれか一項に記載の有効量の前記二量体と、請求項68~70のいずれか一項に記載の前記化学療法剤とを含むキット。
【国際調査報告】