(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-06
(54)【発明の名称】使い捨てカップ用の蓋部材
(51)【国際特許分類】
B65D 47/06 20060101AFI20230130BHJP
【FI】
B65D47/06 110
B65D47/06 BRH
B65D47/06 ZAB
B65D47/06 BSF
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022532804
(86)(22)【出願日】2020-04-09
(85)【翻訳文提出日】2022-06-01
(86)【国際出願番号】 RU2020000172
(87)【国際公開番号】W WO2021206579
(87)【国際公開日】2021-10-14
(32)【優先日】2020-04-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】RU
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522039326
【氏名又は名称】フォーペット エス.アー.エール.エル.
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ラストルグエフ、ドミトリー セルゲービチ
(72)【発明者】
【氏名】ニキテンコ、セルゲイ セルゲービチ
(72)【発明者】
【氏名】ツィルクレフ、ミハイル バレレビチ
【テーマコード(参考)】
3E084
【Fターム(参考)】
3E084AA02
3E084AA12
3E084AB01
3E084BA01
3E084CA01
3E084CB02
3E084CC03
3E084DA01
3E084DB13
3E084DC03
3E084FC07
3E084GA08
3E084GB12
3E084LA02
3E084LB02
3E084LB09
3E084LD01
(57)【要約】
本発明は、飲用容器を閉じるための手段に関し、より詳細には、熱い飲料及び冷たい飲料用の使い捨てカップ用の蓋部材に関する。技術的成果は、未使用及び/又はリサイクルされた(ポリエチレンテレフタレート廃棄物から得られる)ポリエチレンテレフタレート発泡体に基づいて、製造が簡単で、熱い飲料及び冷たい飲料の密封に使用することができる使い捨てカップ用の蓋部材を考案することにある。本発明の本質は、使い捨てカップ用の蓋部材が、カップの縁に固定するためのリムと液体供給用の開口部とを有する本体からなり、前記蓋部材は、100kg/m3~900kg/m3の密度と、0.5dL/g~1.0dL/gの固有粘度とを有するポリエチレンテレフタレート発泡体で作られていることにある。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
使い捨てカップ用の蓋部材であって、
前記カップの縁に固定するためのリムと液体供給のための開口部とを有する本体を含み、
100kg/m
3~900kg/m
3の密度及び0.5dl/g~1.0dl/gの固有粘度を有する発泡ポリエチレンテレフタレートから作られている、蓋部材。
【請求項2】
流体供給用の前記開口部がノッチの形態で作られている、請求項1に記載の蓋部材。
【請求項3】
発泡ポリエチレンテレフタレートの厚さが、100μm~1000μmの範囲である、請求項1に記載の蓋部材。
【請求項4】
発泡ポリエチレンテレフタレートとして、発泡性の再生ポリエチレンテレフタレートが用いられている、請求項1に記載の蓋部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲用容器を閉じる手段に関し、より具体的には、熱い飲料及び冷たい飲料用の使い捨てカップ用の蓋部材に関する。
【背景技術】
【0002】
同様の解決策は、1935年6月4日付けの米国特許第2003657号明細書、1976年2月17日付けの米国特許第3938695号明細書、1980年5月13日付けの米国特許第4202459号明細書、1984年1月31日付けの米国特許第4428498号明細書に開示されている。蓋の主な技術的アプローチは、リムを有する製品を得ることである。環状溝は、蓋のフランジとカップの縁との間に形成され、これにより、蓋がカップ本体の縁部と確実に係合し、液体の漏れ及び/又はこぼれを防止することができ、穴又は穴用のノッチは、蓋部材に形成される。
【0003】
使い捨てカップ用のこれらのタイプの蓋の欠点は、以下の通りである。すなわち、
リサイクル中にポリマー(ポリスチレン及び/又はポリプロピレン)の特性が著しく劣化するため、現在使用されているポリマー材料から作られた蓋の再利用が制限されることと、
高温の液体と接触するポリスチレン製の蓋を使用時に有害物質を放出することと、
ポリプロピレンの軟化及び高い収縮率により、高温の液体と接触するポリプロピレン製の蓋の物理的及び機械的特性が劣化することと、
現在使用されているポリマーの高い熱伝達率が、高温の液体と共に使用した場合に、人間の唇組織の損傷又は火傷をもたらす可能性があることと、
ボール紙をベースにした蓋部材はポリエチレン層を含むため、リサイクルが困難で、通常は焼却されることと、
ポリマー(ポリスチレン及び/又はポリプロピレン)が使用されるため、又はリサイクルが困難なポリエチレン若しくは共重合ポリエチレンの層が含まれるため、使い捨てカップを閉じるのに利用される蓋の自然分解が長期間に及ぶことと、
蓋部材にボール紙を使用することが世界の森林資源の破壊につながること、である。
【発明の概要】
【0004】
本発明の目的は、既知の類似物の欠点を排除する使い捨てカップ用の新しい蓋部材(lid)を作製することである。技術的成果は、発泡一次及び/又は二次(ポリエチレンテレフタレート廃棄物から得られる)ポリエチレンテレフタレートに基づいて、製造が簡単で、熱い飲料及び冷たい飲料を密封する際の使用に適した使い捨てカップ用の蓋部材を作製することにある。この技術的成果は、全ての必要不可欠な要件によって達成される。
【0005】
本発明の本質は、使い捨てカップ用の蓋部材が、カップの縁に固定するためのリムと流体供給用の開口部とを有する本体を含み、蓋部材が、100kg/m3~900kg/m3の密度と、0.5dl/g~1.0dl/gの固有粘度とを有する発泡ポリエチレンテレフタレートで作られていることにある。同時に、液体供給のための開口部は、ノッチの形態で作られる。また、発泡ポリエチレンテレフタレートの厚さは、100ミクロン~1000ミクロンの範囲である。さらに、製造用の発泡ポリエチレンテレフタレートとして、発泡再生ポリエチレンテレフタレートが用いられる。
【0006】
本発明は、図表を用いて説明される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】発泡ポリエチレンテレフタレートをベースとした使い捨てカップ用の蓋部材を製造するための方法を模式的に示す。
【0008】
【
図2】発泡ポリエチレンテレフタレートの構造を示す。
【0009】
【
図3】使い捨てカップ用の蓋部材において選択される態様の1つを示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の使い捨てカップ用の蓋部材は、本体1と、蓋をカップの縁に固定するためのリム2と、流体供給用の開口部3とからなる。開口部3は、貫通している。さらに、使い捨てカップ用の蓋部材は、発泡ポリエチレンテレフタレート4で作られており、これは、荷重に耐え、カップの縁に必要な気密性を確保するのに十分な強度を保持する。
【0011】
本発明の使い捨てカップ用の蓋部材は、100kg/m3~900kg/m3の範囲の密度と、0.5dl/g(デシリットル/グラム)~1.0dl/gの範囲の発泡ポリエチレンテレフタレート4の層の固有粘度(intrinsic viscosity:IV)とを有する発泡ポリエチレンテレフタレート4で作られる。発泡ポリエチレンテレフタレート4の厚さは、100μm~1000μmの範囲で選択される。
【0012】
発泡ポリエチレンテレフタレート4としては、発泡再生ポリエチレンテレフタレートを用いることができる。発泡再生ポリエチレンテレフタレートは、数段階の処理後のポリエチレンテレフタレート(Polyethylene terephthalate:PET)廃棄物から得られる。その処理というのは、PET廃棄物の洗浄・浄化、ポリマーの種類及び色による破砕・分離、ポリエチレンテレフタレート溶融物の押出加工、液相でのポリエチレンテレフタレートの重縮合である。
【0013】
液相でのポリエチレンテレフタレートの重縮合は、真空条件下の溶融相で凝縮するPETの固有の性質に基づく。この縮合により、固有粘度が上昇する。高効率の真空環境は、材料から有害な化学汚染物質を効果的に除去し、食品への100%安全な接触のために再生材料を使用することを可能にする。
【0014】
溶融PETがP:REACT(液体状態重縮合(Liquid State Polycondensation:LSP)リアクタ)の垂直部分に流入すると、体積内の対応する表面を形成するようにストランドが形成される。次いで、材料は水平ドラムに集められ、ゆっくりと前方に移動される。縮合プロセスは、ストランドの形成直後に始まり、PETがLSPリアクタを出るまで続く。
固有粘度の上昇は、LSPリアクタ内の溶融PETの滞留時間及び真空度によって制御されるため、所望のレベルに設定することができる。パラメータ設定により、制御ユニットは狭い公差範囲内で所定のIVレベルを維持することができる。
【0015】
不純物を除去する方法は、PETの液相で実施されるため、非常に効率的である。材料純度は、食品業界の規格によって設定されている限界を超えるだけでなく、浄化プロセスの間、ストランドから潤滑剤を効果的に除去する。
【0016】
固有粘度の上昇は、毎分約0.01dl/gで測定される。
LSPリアクタの連続運転は、繊維紡糸又は押出加工シートなどのハイエンド用途に適した狭いIV範囲の粒状物を提供する。
量産時の固有粘度の変動は、単純に除外される。潤滑剤又は食品との接触を意図していない物質などの汚染物質の分離は、非常に効果的な真空条件下で行われる。不純物の高い除去速度により、LSPリアクタが様々な用途で動作することができ、高い運転柔軟性を提供できる。
【0017】
LSPリアクタ(温度/表面積対体積比/高効率真空を含む)という機械で作り出された好ましい条件により、PET縮合プロセスを自由に開始することができる。これにより、毎分約0.01dl/gの固有粘度の上昇がもたらされる。反応時間がより速ければ、より速い結果及びより高い収益性につながる。
【0018】
使い捨てカップ用の蓋部材の製造方法は、以下の通りである。
窒素及び/又は二酸化炭素ガス又はそれらの混合物を用いた物理発泡の方法による押出加工中のポリエチレンテレフタレートのペレットから、発泡ポリエチレンテレフタレートのロールが得られる。
次に、熱成形機の巻出し部に発泡ポリエチレンテレフタレート4のロールを設置する。
次の段階では、熱成形機において、材料を軟化温度まで加熱し、次いで、好ましくは空気圧式真空熱成形の方法によって蓋部材を成形し、次の段階で、開口部3のノッチ又は穿孔を形成し、次いで、蓋部材自体を発泡ポリエチレンテレフタレート4から切り出し、その後の箱詰めのために積み重ねられる。
【0019】
特許の付与が請求される本発明は、以下のように使用される。
蓋部材は、任意の方法(自動、手動、複合式)で、熱い飲料又は冷たい飲料の入った使い捨てカップにかぶせられる。
【産業上の利用可能性】
【0020】
特許の付与が請求される本発明は、発泡ポリエチレンテレフタレートの主担体層を含む使い捨てカップ用の蓋部材の製造を可能にし、発泡ポリエチレンテレフタレートの主担体層を有する材料をベースにした使用済みパッケージを、破砕後に液相でポリエチレンテレフタレートを重縮合して、ポリエチレンテレフタレートの特性を一次原料に復元することにより、100%リサイクルすることを可能にする。
特許の付与が請求される本発明は、発泡ポリエチレンテレフタレートの主担体層を有する使い捨てカップ用の蓋部材を無制限にリサイクルすることを可能にする。
特許の付与が請求される本発明は、ポリスチレン及び/又はポリプロピレン、ボール紙及び/又は紙をベースとする使い捨てカップ用の同様の蓋部材よりも良好な物理的及び機械的特性を有する発泡ポリエチレンテレフタレート製の使い捨てカップ用の蓋部材を作成することを可能にする。
特許の付与が請求される本発明は、ポリスチレンと比較して高温の液体と接触しても有害物質を放出せず、ポリプロピレンと比較して高温の液体にさらされたときにその物理的及び機械的特性を変化させず、必要な発泡係数及びポリエチレンテレフタレートの固有粘度によって、コストがより安価になる。
したがって、特許の付与が請求される本発明は、製品の性能特性を改善する。
【国際調査報告】