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特表2023-504684フィラメントの白色度の測定及び/又は染色性の試験方法及び装置
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  • 特表-フィラメントの白色度の測定及び/又は染色性の試験方法及び装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-06
(54)【発明の名称】フィラメントの白色度の測定及び/又は染色性の試験方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   D06H 3/08 20060101AFI20230130BHJP
   D03D 35/00 20060101ALI20230130BHJP
   G01N 33/36 20060101ALI20230130BHJP
   D03D 15/225 20210101ALI20230130BHJP
   D06P 3/62 20060101ALI20230130BHJP
【FI】
D06H3/08
D03D35/00
G01N33/36 B
D03D15/225
D06P3/62
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022533246
(86)(22)【出願日】2020-12-01
(85)【翻訳文提出日】2022-08-02
(86)【国際出願番号】 EP2020084049
(87)【国際公開番号】W WO2021110643
(87)【国際公開日】2021-06-10
(31)【優先権主張番号】19212907.0
(32)【優先日】2019-12-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507127314
【氏名又は名称】レンチング アクチエンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】クルツベック、エーリヒ
(72)【発明者】
【氏名】ラムザウアー、クリストフ
(72)【発明者】
【氏名】アンターベルガー、クリスタ
(72)【発明者】
【氏名】オスタシェフスキー、ドミニク
(72)【発明者】
【氏名】シュレンプ、クリストフ
【テーマコード(参考)】
3B154
4H157
4L048
4L050
【Fターム(参考)】
3B154AA12
3B154AB02
3B154AB03
3B154AB20
3B154BA08
3B154BA17
3B154BA53
3B154BB12
3B154BD01
3B154BE02
3B154CA22
3B154DA13
4H157AA02
4H157BA04
4H157DA01
4H157DA33
4L048AA13
4L048AB06
4L048AB11
4L048AC01
4L048CA00
4L048DA01
4L050AA21
(57)【要約】
本発明は、フィラメントの白色度測定及び/又は染色性調節のための方法及び装置に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
セルロース系の糸/フィラメント糸(特にリヨセル系フィラメント糸)の白色度及び/又は明度を測定する方法であって、
評価対象の糸/フィラメント糸から織物サンプル片を製造し、ここで、前記評価対象の糸/フィラメント糸は横糸として使用され、
前記白色度は、前記織物サンプル片の優勢な緯糸が強調されている側(dominant weft-accentuated side)で決定され、及び/又は、前記織物サンプル片を染色した後の、前記糸/フィラメント糸の前記明度は、前記織物サンプル片の優勢な緯糸が強調されている側で決定されることを特徴とする、
前記方法。
【請求項2】
経糸(warp yarn)として、タイターが60~160dtexであるリヨセルフィラメント糸又は合成繊維が使用される、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記織物試験片の製造後に、白色度をまず測定し、前記試験片を染色した後に明度を測定する、請求項1又は請求項2に記載の方法。
【請求項4】
異なる糸/フィラメント糸を連続プロセスで逐次加工して織物試験片とし、これらに対し、白色度の測定及び染色後の明度の測定を連続的に行う、請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
個々の試験片が、不織経糸部分によって結合されている、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
白色度及び明度の測定後に、前記サンプル片はロール状に巻き取られる、請求項4又は請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記染色が直接染料を用いて行われる、請求項1~請求項6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
糸/フィラメント糸(特にリヨセルフィラメント糸)の白色度及び/又は明度を測定する装置であって、
評価対象の糸/フィラメント糸を織物試験片に加工する織機と、
前記織物試験片に基づいて糸/フィラメント糸の白色度を測定するユニット及び/又は明度を測定するユニットと、
を備える前記装置。
【請求項9】
糸/フィラメント糸を織機に導入するための自動ヤーンフィーダーを備える、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記明度を測定するユニットが、染色フーラード(dyeing foulard)、定着用蒸気ユニット、洗浄機、及び乾燥機をさらに備える、請求項8又は請求項9に記載の装置。
【請求項11】
複数の試験片を装置内を通じて連続的にガイドするユニットをさらに備える、請求項8~請求項10のいずれか1項に記載の装置。
【請求項12】
織機、白色度測定ユニット、及び明度決定ユニットからのデータの自動取得するシステムをさらに備える、請求項8~請求項11のいずれか1項に記載の装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、糸(yarns)及びフィラメント(filaments)の白色度測定及び/又は染色調節(staining control)用の方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
[技術水準]
(特にセルロース系の)糸及びフィラメントは、大規模に生産され、繊維産業のみならず技術分野など多くの分野で使用されている。このようなフィラメントの例としては、溶媒(通常は水とN-メチルモルホリン-N-オキシド(NMNO)との混合物)中のセルロースの組成物からリヨセルプロセスによって製造されるフィラメントが挙げられる。製造されたフィラメントの品質管理については、機械的特性値に加えて、白色度(whiteness)及び染色性(dyeability)が重要である。
【0003】
ステープルファイバー糸(staple fiber yarns)、フィラメント糸(filament yarns)(モノフィラメント及びマルチフィラメント糸)等の糸(以下、糸/フィラメント糸と称する)(特にリヨセルフィラメント糸)の製造において、製造した糸/フィラメント糸は紡糸工程後にボビンに巻き取られ、必要に応じて任意の後処理後に、更なる使用に供することができるようにされる。生産速度が速いため、リヨセル工場では1日に数千個のボビンが生産され、所望の特性を得るための後処理検査に送られることがある。特に白色度及び染色性の管理については、できるだけ正確で再現性のある結果を得る必要がある。同時に、これらの測定のための労力(労働投入量及び装置のスペース要件)は可能な限り少なくする必要があり、好ましくは基本的に自動化されたプロセスを実現することが望まれている。
【0004】
現在、糸/フィラメント糸、特にリヨセルフィラメント糸の白色度測定及び/又は染色(染色性)調節のために、試験サンプルを編んで(ニットチューブ)、それを白色度測定及び/又は染色調節に使用することが可能である。このような方法は、WO 99/40428 A1、US 2009/190132 A1、EP1006225 A2、及びWehlow A. et al, Prufverfahren der Textil- und Bekleidungstechnik, Springer, 2000, Chapter 8.1, pages 727 to 776、及びAbdel-Fattah M Seyam et al, Fibers and Polymers, The Korean Fiber Society, Heidelberg, Volume 13, No 6, August 1, 2012に開示されている。これらはまだ大部分が手作業による判定であるため、「人」の影響因子による結果のばらつきが避けられない。特に、編んだサンプルは、測定中に異なる機械的負荷(例えば、サンプルの伸縮)により測定値を改ざんする傾向があるため、これらのチェックの結果に誤りがあることが示されている。また、このようなサンプルを標準的な材料と比較することは困難である。さらに、それぞれのニッティングヘッドは、テストするフィラメントのタイターに適合させる必要がある。このため、ニッティングヘッドの交換が必要でダウンタイムが発生し、自動化及び多数のサンプルの連続テストも不可能である。また、ニットマシンは比較的故障しやすいため、これもダウンタイムの原因になる。また、サンプルを保管するためのスペースも比較的大きい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
よって、本発明の根本的な目的は、従来技術の欠点を克服して、フィラメント糸(特に、リヨセルフィラメント)における白色度及び/又は染色調節(好ましくはその両方)を可能とする方法及び装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
[本発明の概要]
したがって、本発明は請求項1に記載の方法、及び請求項8に記載の装置を提供する。好ましい実施形態は従属クレーム及び以下の説明に示されている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、本発明のプロセスフロー、又は本発明に係る装置の概略を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
予期せぬことに、編物サンプル(knitted samples)の代わりに織物サンプル(woven samples)を使用することで、従来技術の欠点を克服可能であることが示された。以下では、まず、特許請求の範囲に記載された方法に関して本発明を詳細に説明する。しかし、以下の説明は、請求項の装置に関しても適用されることは、当業者には明らかであろう。
【0009】
評価する糸/フィラメント糸について、本発明は、1つのタイプの糸には限定されない。フィラメント糸、すなわち、モノフィラメント糸及びマルチフィラメント糸の両方を試験することができ、また、ステープルファイバー糸等の他のタイプの糸も試験することができる。簡略化のために、これらの異なるタイプは、以下、糸/フィラメント糸という用語で言及される。
【0010】
既に述べたように、糸/フィラメント糸は、好ましくはリヨセル糸/フィラメント糸である。しかし、他のセルロース系の糸/フィラメント糸も使用することができる。ビスコースプロセス、キュプラプロセス、又はイオン性液体からの再生によって得られるセルロース系の糸/フィラメント糸も特に好適である。
【0011】
本発明によれば、白色度及び/又は染色調節(staining control)のためには織物サンプルを使用することが不可欠である。織物サンプルを使用することにより、特にここに関連する特性の制御は、先行技術における編物サンプルの低い機械的強度に起因して生じる測定の変動及び不規則性に悩まされることがない。同時に、織物サンプルを製造するために使用される装置(好ましくはリボン織機)は、編み機よりも故障の影響を受けにくいので、単位時間当たりにより多くの糸/フィラメント糸のボビンを試験することが可能である。
【0012】
織物サンプル(例えば長方形の布の形状であってもよい)の製造において、試験される糸/フィラメント糸は、好ましくは緯糸として使用される。正確に定義された力価及び既知の白色度を有する標準フィラメント糸は、好ましくは、経糸(warp threads)として使用される。これらの経糸は、リヨセル糸/フィラメント糸であり得るが、他の材料の経糸を使用することも可能であり、実施形態においてはさらに好ましい。例えば、他の天然糸又は合成糸が好適である。合成糸の例としては、一貫した標準化された品質で容易に商業的に入手可能なポリエステル糸が挙げられる。このような経糸を使用することにより、これらの材料の高い強度に起因して、織物サンプルの強度を再び高めることができ、織物サンプルを使用する利点が(編物サンプルと比較して)さらに増大する。経糸はモノフィラメントでもマルチフィラメントでもよく、他のあらゆる種類の糸や撚り糸も適している。このようなリボン織機は、緯糸のタイターに関係なく同じ品質の織物を製造できるので(例えば、評価すべきフィラメントのタイターを考慮して、サンプルの製造中に自動的に行うことができる緯糸の数の調整によって)、異なるタイプの糸/フィラメント糸(タイター)にそのようなリボン織機を特別に適合させる必要もない。つまり、異なる種類のフィラメント糸から、設備的に大きな手間をかけずにサンプルを製造することができる(試験するフィラメント糸のタイターに応じてニッティングヘッドを交換する必要があるのとは異なり、変換作業が不要である)。
【0013】
このようなリボン織機へのフィラメント糸の導入は、(典型的にはボビンからの)各新しいフィラメント糸の始端を先に供給されたフィラメント糸の終端に自動的に接続するか、又は新しいフィラメント糸の始端を自動装置により織針に直接係合し、続いて固定する市販の糸供給装置の使用により可能なので、異なるボビンからの糸/フィラメント糸のサンプル試料(例えば約6×10cmの織物サンプル)は、したがって連続的に製造することが可能である。個々の織物サンプル片の間にフィラメント糸の連結をもたらす織物針の一時停止などを適切に制御することにより、個々の織物サンプルの区別が容易になる。この織物構造は、さらに、試験される試料サンプルのそれぞれの始点又は終点の間の接続を形成するので、依然として行われる白色度及び/又は染色性の制御に関して、連続的かつ自動的な工程制御も可能であり続ける。
【0014】
既に説明したように、適切な糸、好ましくはモノフィラメント又はマルチフィラメント糸を経糸として使用することができる。これは、例えばサイジングを設けることによって、又は油で調製することによって、製織のために準備することができる。特に、撚った、交錯させた、又は火炎処理した(flamed)糸/フィラメントの使用が適している。60~160dtex、好ましくは80~120dtexのタイターを有するこれら全ての変種の糸/フィラメント糸が特に好適である。これらの経糸は、同じ織り方(製織条件)であれば、ここで関連し、決定すべき特性には無視できる程度の影響しか与えない。試験する糸/フィラメント糸を緯糸として使用し、織物サンプル片が緯糸の影響を受ける側を支配するようにし、その上で関連する測定を行うことができる。緯糸密度を調整することで、異なるタイターの糸/フィラメント糸を処理し、同等の織物サンプルを作成することも可能です。一般的に、特に布の強度値と測定面としての緯糸密度を十分に高くするために、より細かいタイターでは緯糸密度を高くする。評価する糸/フィラメント糸のタイターと緯糸密度の例示的な組み合わせは、以下の通りである。(タイター緯糸/緯糸密度)40dtex/26本/cm、500dtex/10本/cm(経糸25本/cm、アトラス織3/1の経糸ビームを使用した場合)。
【0015】
このようにして、例えば10~500dtexの異なるタイター(緯糸の太さ)の糸/フィラメント糸を、その後の白度測定及び/又は染色性調節のための布地サンプルに問題なく加工できることが示されている。
【0016】
このように、織物サンプルを用いることで、先行技術で遭遇したいくつかの欠点を克服することが既に可能である。例えば、市販のテープ織機及びヤーンフィーダーによって自動的かつ連続的な試料作製が可能であるため、ボビンから試料を作製することができる。また、これらのシステムは、編機よりも故障しにくく、編物サンプルの製造中に必要に応じて(フィラメント糸の太さの異なるボビンを制御するために)ニッティングヘッドを交換する必要によるダウンタイムがなくなる。同時に、織物サンプルの場合、リンク又は自動化された直接糸/フィラメント糸追加により、例えばこの目的のために手動でリンク/接続を作成する必要なく、さらなる連続評価が簡素化される。編物サンプルの製造と比較して、織物サンプルの製造はまた高速であり、可能なボビンスループットを増加させることができる。さらに、織物サンプルは機械的な影響を受けにくいので、白色度及び/又は染色性の測定に誤差/偏差が生じにくくなる。さらに、経糸に特性の分かっている糸/フィラメントを使用することで、理論的には織物サンプルの内部標準とみなすことができ、その後の評価で適宜使用することができる。
【0017】
上記のように調製されたサンプルは、その後、個別かつ手動で、好ましくは自動かつ連続的に、更なる評価に供することができる。
【0018】
本発明に従って実施される評価の1つは、白色度の判定である。既に上述したように、この判定は、支配的な緯糸側で行われる。このため、使用する経糸の影響は測定に無関係である。白色度の判定に必要な条件及び装置は、当業者に公知である。測定装置は、公知の市販のものを使用することができる。
【0019】
本発明に従って実施される別の評価は、糸/フィラメント糸の染色性(staining)調節である。この目的のために、織物サンプルは、標準化された方法によって染色され、その後、色値が決定される。このプロセスでは、布は通常、まず染色フーラード(dyeing foulard)で染料を塗布し、その後、例えば蒸し器で固定し、洗浄し、乾燥させる。好適な染料は、特にソロフェニルブルー(solophenyl blue)等の直接染料である。測定結果の評価と比較可能性に関して不可欠なのは、当業者に知られている一定の染色条件と、個々の工程(染色、定着、洗浄、乾燥等)の間の条件である。連続的に実行できる本発明に係る方法は、編物ニットサンプルを用いた非連続的な染色性調節と比較して、染色性調節における化学物質の使用を最小限に抑えることが可能である。
【0020】
染色工程終了後、明度(color value)の判定を行う。この場合も、布地の支配的な緯糸側で行われるので、経糸の判定結果に対する影響は再び無視できる。この目的のために必要な条件及び装置も当業者には公知である。公知の市販の測定装置も使用することができる。
【0021】
本発明によれば、請求項1に記載の方法は、糸/フィラメント糸の白色度が、織物サンプル片の支配的な緯糸が強調されている側の白色度度測定ステーションにおいて決定され、及び/又は糸/フィラメント糸の明度が、織物サンプル片の支配的な緯糸が強調されている側の織物サンプル片の染色後に決定されるように設計されている。
【0022】
本発明によれば、白色度の決定及び明度の決定の両方が、好ましくはこの順序で実施される。既に上述した個々の織物サンプル片の間の接続により、これらは順に、白色度の決定及び明度の決定の個々のステップを連続的かつ自動的にガイドされることができる。
【0023】
明度の決定後、サンプルを貯蔵することができる。この目的のために、例えば、好ましくはまだ接続されている個々のサンプルを有するロールが得られるように、それらを巻き取ることができる。このようなロールは、保管に必要なスペースが大きく、また手作業も多くなるため、編物サンプルを使用する場合よりもさらに有利であり、簡単かつ低いスペースで保管することができる。
【0024】
織物サンプル片の製造と、白色度の決定並びに染色性及び明度の決定とは、一方では異なる時間を要するので、実施形態によっては、サンプル片は上記ステップの間に一時的に保管される。サンプル片を織ること並びに白色度の決定及び明度測定と比較して、染色ステップには通常より高い時間要件が必要であるため、織物サンプル片の中間貯蔵(特に染色ステップの前)が多くの実施形態において有用である。連続プロセスでは、このような中間貯蔵は、個々の織物サンプル片の間のリンク(例えば、連続して試験されるボビンから由来する2本のフィラメント糸のフィラメント糸端とフィラメント糸始端の間のリンク)の長さを調節することによっても達成することが可能である。このようにして、ほぼ自動化された連続的なプロセスを実現することができる。このプロセスでは、相互に接続された織物サンプル片は、適切な搬送システムによってプロセスの個々のステップに連続的に供給される。
【0025】
したがって、図1を参照すると、本発明に係る方法は、以下のステップを含み得る。
(1)フィラメント製造から(すなわち、例えば巻取り機から)来るフィラメント糸を有するボビンは、自動ヤーンフィーダー(1)に次々と導入される。新しいフィラメントの始まり(新しいボビンから)は、これによって織機に導入され、それによって前のボビンのフィラメントの終わりに自動的にリンクさせることができる。あるいは、任意の糸/フィラメントを新鮮なまま直接挿入することもできる([0012]も参照)。
(2)十分な長さのフィラメント糸をボビンから引き出し、織機(2)(例えばリボン織機)でサンプル片を織る。テストするフィラメント糸は、緯糸として使用される。
(3)十分に大きなサンプル片(例えば幅約10cm、長さ6cm)が織られ、フィラメント糸の十分に長い端部がさらに引き抜かれた後(次のボビンのフィラメント糸と連結し得るように、また、例えば個々の後続のステップ間の貯蔵部(store)(3)での任意の中間貯蔵時間を制御/可能にするために)、ボビンを梱包、貯蔵、さらに使用可能にするためにフィラメント糸が切断される。
(4)織物サンプル片は、ここで白色度測定(4)に供され、その後、任意に中間貯蔵が更なる貯蔵装置(5)において再び行われてもよい。
(5)次に、サンプルは(例えば染色フーラード(6)中)で染色され、その後、染色を固定するための蒸気処理(7)、洗浄段階(8)及び乾燥(9)が行われる。オプションとして、その後の明度測定(11)の前に、サンプルを保管装置(10)に再び保管することができる。
(6)以上のようなステップを経た後、試験片を巻取機(12)で巻き取り、例えばロール状にして保管することができる。
【0026】
本発明に係るプロセスでは、関連データ、すなわち特にボビン番号(タイター等のフィラメント又はフィラメント糸の製品情報)、製織パラメータ(緯糸の数、さらには経糸のタイプ及びタイター)、白色度測定の結果、染色性のパラメータ、明度決定の結果、サンプル変の製造日等は、関連情報を有するデータ記録が各評価ボビンについて利用できるように、好適プロセスによって自動的に保存されることが望ましい。これは、織機、染色フーラード等の動作パラメータを自動的に記録し、それに対応して測定結果を記録することによって行うことができる。このために必要なシステムは、当業者には既知である。このデータの全部又は一部は、サンプル片自体にラベルの形で固定することもできるので、サンプル片を直接識別することも可能である。ラベルは、サンプルに好適に取り付けられるか(接着、鋲止め等)、または、例えばバーコードとしてサンプルに直接印刷することができる。必要な装置等は、当業者に知られている。
【0027】
これにより、各ボビンの関連情報の完全なデータセットが生成され、サンプル片とボビンのユニークな識別による関連製品パラメータの保存が可能になる。
【0028】
本発明によれば、上述した方法に加えて、糸/フィラメント糸の連続的かつ好ましくは自動化された製造及び評価のための装置も提供される。この装置は、織物サンプル片を製造するための少なくとも1台の織機と、少なくとも1台のサンプル片の白色度を決定するためのユニット又はサンプル片を染色して明度を決定するためのユニットと、を備える。好ましくは、これらの装置は、装置を通して複数の任意に相互接続されたサンプル片の連続的かつ大部分自動的なガイドを可能にする適切な手段によって接続される。
【0029】
したがって、図1を参照すると、このような装置は、以下の構成要素を含み得る。
(A)自動ヤーンフィーダー(1)。これはボビンのフィラメント糸の始端を織機(2)に送り込み、この始端は任意に前のボビンのフィラメント糸の終端に自動的に連結される。段落[0012]に記載されているように、代替的な実施形態も可能である。この目的のために、次に、例えば、自動挿入機が使用される。評価すべき糸/フィラメント糸は、緯糸として織機に挿入され、織物サンプル片に加工される。
(B)織機の後に、貯蔵部(3)を設けることができる。次に白色度計(4)が設けられ、その後に再び任意の貯蔵部(5)が設けられる。
(C)次に、染色フーラード(6)が設けられ、染色を定着させるためのスチーマー(7)、洗浄機(8)及び乾燥機(9)が続くことができる。オプションとして、その後の明度決定用ユニット(11)の前に、新しい貯蔵ユニット(10)を設けることができる。
(D)最後に、複数の検体をコンパクトに収納する形を製造するユニット、例えば、検体を巻き取って収納しやすいロール状の保持検体とする巻取機(12)を設けてもよい。
【0030】
図1には示されていないが、装置を通してサンプル片を連続的に制御してガイドするための連続的かつ自動化されたプロセス制御に必要なユニットがある。しかしながら、そのような装置は、特にフィラメント糸製造及び織機、例えばローラー及びリールシステムの分野で当業者に知られている。
【0031】
したがって、本発明に係るプロセス及び本発明に係る装置は、糸/フィラメント糸サンプルを連続的かつ自動的に試験片へと加工し、染色後に白色度測定及び/又は明度決定に供することができるので、関連する糸/フィラメント糸データを再現性よく取得することができる。装置のスペース要件は、編物サンプル片を用いる方法と比較して低く、ボビンの処理能力も本発明によれば著しく高い(ニッティングヘッドの交換がなく、システム全体としてより堅牢で、織機の使用による故障の影響を受けにくい)。本発明に係る方法によって得られるデータは、測定/評価される糸/フィラメント糸に関してより低い誤差を受けるが、これは、織物サンプル片があまり伸長しないため、糸/フィラメント糸のタイターは、織物サンプル片の使用による白色度及び明度の決定に影響を与えないためである。また、予備サンプルの保管スペースも少なくて済むので、ここでもコスト削減が可能である。同様に、関連データを自動で連続記録することで、手作業で一括して測定した場合に発生する結果のばらつきを大幅に減らすことができる。
【0032】
さらに、織物試験片を連続的に染色することで、特に編物試験片を用いた不連続なプロセスに比べ、これらのステップにおける材料投入量及びエネルギー消費量を大幅に削減することができる。
【0033】
したがって、全体として、糸/フィラメント糸(特にリヨセルフィラメント糸)の関連データを収集するための大幅に改善されたシステムが提供される。

図1
【国際調査報告】