(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-06
(54)【発明の名称】画素内補償及び酸化物駆動トランジスタを有する電子ディスプレイ
(51)【国際特許分類】
G09G 3/3233 20160101AFI20230130BHJP
G09G 3/20 20060101ALI20230130BHJP
G09F 9/30 20060101ALI20230130BHJP
H10K 50/00 20230101ALI20230130BHJP
H10K 59/00 20230101ALI20230130BHJP
H05B 33/02 20060101ALI20230130BHJP
H01L 29/786 20060101ALI20230130BHJP
H01L 21/8234 20060101ALI20230130BHJP
H01L 27/088 20060101ALI20230130BHJP
H01L 21/822 20060101ALI20230130BHJP
【FI】
G09G3/3233
G09G3/20 624B
G09F9/30 338
H05B33/14 A
H01L27/32
H05B33/02
H01L29/78 618B
H01L29/78 617N
H01L27/06 102A
H01L27/088 331E
H01L27/088 B
H01L27/04 C
G09G3/20 611H
G09G3/20 680S
G09G3/20 680T
G09G3/20 670L
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022533435
(86)(22)【出願日】2020-10-27
(85)【翻訳文提出日】2022-06-03
(86)【国際出願番号】 US2020057574
(87)【国際公開番号】W WO2021133461
(87)【国際公開日】2021-07-01
(32)【優先日】2020-10-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503260918
【氏名又は名称】アップル インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Apple Inc.
【住所又は居所原語表記】One Apple Park Way,Cupertino, California 95014, U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100121979
【氏名又は名称】岩崎 吉信
(72)【発明者】
【氏名】リン チン-ウェイ
(72)【発明者】
【氏名】小野 晋也
(72)【発明者】
【氏名】ホアン ユン イェン
【テーマコード(参考)】
3K107
5C080
5C094
5C380
5F038
5F048
5F110
【Fターム(参考)】
3K107AA01
3K107BB01
3K107CC41
3K107DD90
3K107EE04
3K107HH05
5C080AA06
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5C080DD05
5C080DD06
5C080DD12
5C080DD27
5C080FF11
5C080HH09
5C080JJ02
5C080JJ03
5C080JJ04
5C080JJ06
5C080KK02
5C080KK07
5C094AA02
5C094AA38
5C094BA03
5C094BA27
5C094DA11
5C094FA02
5C094FB14
5C094HA08
5C380AA01
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5C380AB28
5C380AC08
5C380AC11
5C380BA08
5C380BA28
5C380BA39
5C380BD11
5C380CB01
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5C380CB17
5C380CC06
5C380CC26
5C380CC33
5C380CC39
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5C380CD011
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5C380CD017
5C380DA41
5C380DA42
5F038AC05
5F038AC09
5F038EZ01
5F048AC01
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5F048BB02
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5F110GG13
5F110NN03
5F110NN44
5F110NN73
5F110NN78
(57)【要約】
表示画素が、有機発光ダイオード、1つ以上の発光トランジスタ、駆動トランジスタ、ゲート設定トランジスタ、データローディングトランジスタ、及び初期化トランジスタを含んでもよい。駆動トランジスタを酸化物半導体トランジスタとして実装して閾値電圧ヒステリシスを軽減して、高リフレッシュレートでの最初のフレーム応答を改善し、低リフレッシュレートでの望ましくない輝度ジャンプを減少させ、画像固着を減少させ得る。また、ゲート設定トランジスタを酸化物半導体トランジスタとして実装して、駆動トランジスタのゲート端子におけるリークを減少させ得る。また、初期化トランジスタを、共有発光信号を使用して制御できるように酸化物半導体トランジスタとして実装して、ルーティングの複雑さを減少させ得る。画素内の残りのトランジスタは、p型シリコントランジスタとして実装されてもよい。このように構成された表示画素は、画素内閾値電圧補償及びオンバイアスストレスフェーズをサポートして、ヒステリシスを更に軽減することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アノード端子及びカソード端子を有する有機発光ダイオードと、
前記有機発光ダイオードと直列に結合された酸化物半導体駆動トランジスタであって、ゲート端子、ドレイン端子、及びソース端子を含む、酸化物半導体駆動トランジスタと、
前記酸化物半導体駆動トランジスタの前記ゲート端子に結合された第1の端子、及び前記有機発光ダイオードの前記アノード端子に結合された第2の端子を有する、蓄積コンデンサと、
を備える表示画素。
【請求項2】
前記酸化物半導体駆動トランジスタの前記ドレイン端子と前記ゲート端子にわたって結合された酸化物半導体ゲート電圧設定トランジスタを更に備える、
請求項1に記載の表示画素。
【請求項3】
初期化電圧が提供される初期化ラインと、
前記初期化ラインと前記有機発光ダイオードの前記アノード端子との間に結合された酸化物半導体初期化トランジスタと、
を更に備える、請求項1に記載の表示画素。
【請求項4】
初期化電圧が提供される初期化ラインと、
前記初期化ラインと前記有機発光ダイオードの前記アノード端子との間に結合された酸化物半導体初期化トランジスタと、
を更に備える、請求項2に記載の表示画素。
【請求項5】
前記酸化物半導体駆動トランジスタと前記有機発光ダイオードの前記アノード端子との間に直列に結合されたp型シリコン発光トランジスタを更に備える、
請求項4に記載の表示画素。
【請求項6】
前記p型シリコン発光トランジスタ及び前記酸化物半導体初期化トランジスタが、発光制御回路によって生成された発光制御信号を受信するように構成されている、請求項5に記載の表示画素。
【請求項7】
正の電源ラインと、
前記正電源ラインと前記酸化物半導体駆動トランジスタとの間に直列に結合された追加のp型シリコン発光トランジスタと、
を更に備える、請求項5に記載の表示画素。
【請求項8】
データラインと、
前記データラインと前記酸化物半導体駆動トランジスタの前記ソース端子との間に結合されたp型シリコンデータローディングトランジスタと、
を更に備える、請求項7に記載の表示画素。
【請求項9】
前記酸化物半導体ゲート電圧設定トランジスタに第1の走査信号を提供するように構成された第1の走査ラインと、
前記p型シリコンデータローディングトランジスタに第2の走査信号を提供するように構成された第2の走査ラインと、
を更に備える、請求項8に記載の表示画素。
【請求項10】
前記蓄積コンデンサが、前記酸化物半導体駆動トランジスタの上方に積層されており、前記酸化物半導体駆動トランジスタのシールドを提供する、請求項1に記載の表示画素。
【請求項11】
前記酸化物半導体駆動トランジスタが、
活性酸化物半導体材料と、
前記活性酸化物半導体材料の上方に形成されたトップゲート導体と、
前記活性酸化物半導体材料の下方に形成され、前記酸化物半導体駆動トランジスタの前記ゲート端子又は前記ソース端子のうち選択された1つに結合されたボトムゲート導体と、
を含む、請求項1に記載の表示画素。
【請求項12】
シリコントランジスタと、
前記シリコントランジスタの上方に形成された酸化物半導体トランジスタと、
前記酸化物半導体トランジスタの上方に積層された蓄積コンデンサであって、前記酸化物半導体トランジスタを少なくとも部分的にシールドすることによって、画素クロストークを減少させ、水素が前記酸化物半導体トランジスタのチャネル内に浸透するのを防止するように構成されている、蓄積コンデンサと、
を備える、ディスプレイ。
【請求項13】
前記蓄積コンデンサが、前記酸化物半導体トランジスタのゲート端子に直接接続された第1の端子及び、前記シリコントランジスタのドレイン端子に直接接続された第2の端子を有する、請求項12に記載のディスプレイ。
【請求項14】
前記酸化物半導体トランジスタがボトムゲート導体を有し、前記シリコントランジスタがトップゲート導体を有し、前記酸化物半導体トランジスタの前記ボトムゲート導体及び前記シリコントランジスタの前記トップゲート導体が同じ導電層から形成されている、請求項12に記載のディスプレイ。
【請求項15】
前記酸化物半導体トランジスタが、
第1のゲート導体と、
前記酸化物半導体トランジスタのゲート端子又はソース端子のうち選択された1つに結合された第2のゲート導体と、
を含む、請求項12に記載のディスプレイ。
【請求項16】
前記酸化物半導体トランジスタが、前記蓄積コンデンサのボトムプレートとして構成されたゲート導体を有する、請求項12に記載のディスプレイ。
【請求項17】
前記蓄積コンデンサが前記酸化物半導体トランジスタの前記ゲート導体を覆っているトッププレートを有し、前記蓄積コンデンサの前記トッププレートが、前記酸化物半導体トランジスタに電気的シールド及び光学的シールドを提供する、請求項12に記載のディスプレイ。
【請求項18】
アノード端子及びカソード端子を有する発光ダイオードと、
第1の層に形成された酸化物半導体材料を有し、第1のゲート導体を有する第1の酸化物半導体トランジスタであって、前記発光ダイオードの前記アノード端子に結合された駆動トランジスタを含む、第1の酸化物半導体トランジスタと、
前記第1の層とは異なる第2の層に形成された半導体材料を有し、第2のゲート導体を有する第2の酸化物半導体トランジスタと、
を備える、ディスプレイ。
【請求項19】
前記第1のゲート導体及び前記第2のゲート導体が同じゲート層に形成されている、請求項18に記載のディスプレイ。
【請求項20】
前記第1の酸化物半導体トランジスタの前記半導体材料の下方に形成された第1のゲート金属と、
前記第2の酸化物半導体トランジスタの前記半導体材料の下方に形成された第2のゲート金属であって、前記第1のゲート金属及び前記第2のゲート金属が同じゲート金属層に形成されている、第2のゲート金属と、
を更に備える、請求項18に記載のディスプレイ。
【請求項21】
前記アノード端子と前記第1のゲート導体との間に形成された、ただ1つの平坦化層を更に備える、請求項18に記載のディスプレイ。
【請求項22】
前記第1の層が前記第2の層の上方又は下方にある、請求項18に記載のディスプレイ。
【請求項23】
前記第1のゲート導体と同じゲート層に形成された第1の端子を有する蓄積コンデンサを更に備える、
請求項18に記載のディスプレイ。
【請求項24】
前記蓄積コンデンサが、前記第1の端子の上方の金属層に形成された第2の端子を有する、請求項23に記載のディスプレイ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
これは全般的に、ディスプレイを伴う電子デバイスに関し、より詳細には、有機発光ダイオードディスプレイなどのディスプレイに対するディスプレイドライバ回路に関する。
(関連出願の相互参照)
本出願は、2020年10月20日に出願された米国特許出願第17/075,587号、及び2019年12月23日に出願された米国仮特許出願第62/953,054号に対する優先権を主張するものであり、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
電子デバイスは、多くの場合、ディスプレイを含む。例えば、セルラー電話機及びポータブルコンピュータは、ユーザに情報を提示するためのディスプレイを含む。
【0003】
有機発光ダイオードディスプレイなどのディスプレイは、発光ダイオードによる表示画素のアレイを有する。このタイプのディスプレイでは、各表示画素は、発光ダイオードと、発光ダイオードを発光させるための信号の印加を制御する薄膜トランジスタとを含む。
【0004】
有機発光ダイオード表示画素は、アクセス薄膜トランジスタを介してデータラインに接続された駆動薄膜トランジスタを含む。アクセストランジスタは、対応する走査ラインを介して走査信号を受信するゲート端子を有し得る。走査信号をアサートしてアクセストランジスタをオンにすることによって、データライン上の画像データを表示画素内にロードすることができる。表示画素は、有機発光ダイオードに電流を供給して発光させる電流源トランジスタを更に含む。
【0005】
有機発光ダイオード表示画素内のトランジスタは、プロセス、電圧、及び温度(PVT)の変動の影響を受けることがある。このような変動に起因して、異なる表示画素間でトランジスタ閾値電圧に変動することがある。トランジスタ閾値電圧の変動の結果、表示画素が生成する光の量が、所望の画像にマッチしない可能性がある。本明細書に記載される実施形態はこうした背景から生まれたものである。
【発明の概要】
【0006】
電子デバイスが、表示画素のアレイを有するディスプレイを含んでもよい。表示画素は、有機発光ダイオード表示画素であってもよい。各表示画素は、発光する有機発光ダイオード(OLED)と、OLEDと直列に結合された駆動トランジスタと、駆動トランジスタ及びOLEDと直列に結合された第1及び第2の発光トランジスタと、駆動トランジスタのゲート端子とドレイン端子との間に結合されたゲート電圧設定トランジスタと、駆動トランジスタのゲート端子及びOLEDのアノード端子にわたって結合された単一の蓄積コンデンサと、駆動トランジスタのソース端子とデータラインとの間に結合されたデータローディングトランジスタと、OLEDのアノード端子に結合された初期化トランジスタと、を備えてもよい。
【0007】
駆動トランジスタ、ゲート電圧設定トランジスタ、及び初期化トランジスタは、酸化物半導体トランジスタとして実装されてもよく、対して、発光トランジスタ及びデータローディングトランジスタは、p型シリコントランジスタ(例えば、PMOS LTPS薄膜トランジスタ)として実装されてもよい。駆動トランジスタを酸化物半導体トランジスタとして実装することにより、駆動トランジスタ閾値電圧ヒステリシスが軽減されて、高リフレッシュレートでの最初のフレーム応答が改善され、低リフレッシュレートでの望ましくない輝度ジャンプが減少し、画像固着が減少する。ゲート電圧設定トランジスタを酸化物半導体トランジスタとして実装することにより、駆動トランジスタのゲート端子でのリークが減少する。初期化トランジスタを酸化物半導体トランジスタとして実装することにより、初期化トランジスタと、発光トランジスタのうち少なくとも1つとを共有発光信号によって制御して、ルーティングの複雑さを減少させることができる。更に、2つのタイプの薄膜トランジスタのみ(例えば、酸化物半導体トランジスタ及びp型シリコントランジスタのみ)を有することにより、リソグラフィマスクの総数が減少し、よって製造コストを最小限に抑えるのに役立つ。
【0008】
通常動作中、表示画素が初期化フェーズを経てもよく、このフェーズでは初期化トランジスタがオンになり、OLEDのアノード端子をリセットする。初期化フェーズの後に1回以上のオンバイアスストレスフェーズが続いてもよく、このフェーズでは、データローディングトランジスタがアクティブ化されて、データ電圧を少なくとも部分的に駆動トランジスタにロードする。任意選択のオンバイアスストレスフェーズは、駆動トランジスタヒステリシスを更に軽減させて、最初のフレーム応答を改善するのに役立ち得る。オンバイアスストレスフェーズの後に、閾値電圧サンプリング及びデータローディングのフェーズが続き、次に発光フェーズが続いてもよい。発光フェーズの間、OLEDを流れる電流は、画素内の閾値電圧相殺により、駆動トランジスタ閾値電圧とは無関係となる。
【0009】
酸化物半導体駆動トランジスタなどの酸化物半導体トランジスタは、シリコントランジスタの上方に形成されてもよい。蓄積コンデンサが酸化物半導体駆動トランジスタの上方に積層されており、蓄積コンデンサのトッププレートが酸化物半導体駆動トランジスタのゲート導体を少なくとも部分的に覆うようになっていてもよい。このような構成では、蓄積コンデンサが、画素クロストークを減少させる電気的シールドを提供しながら、迷光が酸化物半導体駆動トランジスタの動作に影響を与えるのを防ぐ光学的シールドもまた提供する。所望であれば、酸化物半導体トランジスタのうちいずれか1つ以上は、トップゲート導体及びボトムゲート導体を有するデュアル/ダブルゲート構成を有してもよい。ボトムゲート導体は、追加の光シールドとして機能してもよく、任意選択として、その酸化物半導体トランジスタのソース端子又はゲート端子に結合されていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】一実施形態による、ディスプレイを有する例示的な電子デバイスの図である。
【
図2】一実施形態による、有機発光ダイオード表示画素のアレイを有する有機発光ダイオードディスプレイなどの、例示的なディスプレイの図である。
【
図3A】一実施形態による、酸化物半導体駆動トランジスタを有する例示的な表示画素の回路図である。
【
図3B】一実施形態による、
図3Aに示す表示画素を動作させる1つの好適な方法を例示するタイミング図である。
【
図3C】一実施形態による、
図3Aに示すタイプの表示画素のアレイを駆動するゲートドライバ回路の例示的な配置を示す図である。
【
図3D】一実施形態による、
図3Aに示す表示画素を動作させる様々な好適な方法を例示するタイミング図である。
【
図3E】一実施形態による、
図3Aに示す表示画素を動作させる様々な好適な方法を例示するタイミング図である。
【
図3F】一実施形態による、
図3Aに示す表示画素を動作させる様々な好適な方法を例示するタイミング図である。
【
図4A】一実施形態による、酸化物半導体駆動トランジスタ及びシリコン初期化トランジスタを有する例示的な表示画素の回路図である。
【
図4B】一実施形態による、
図4Aに示す表示画素を動作させる1つの好適な方法を例示するタイミング図である。
【
図5A】一実施形態による、共通発光信号によって制御される発光トランジスタ及び初期化トランジスタを有する、例示的な表示画素の回路図である。
【
図5B】一実施形態による、
図5Aに示す表示画素を動作させる1つの好適な方法を例示するタイミング図である
【
図6】一実施形態による、共通発光信号によって制御される発光トランジスタ及び、シリコン初期化トランジスタを有する例示的な表示画素の回路図である。
【
図7A】一実施形態による、1行につき2つの専用発光信号を使用して制御される例示的な表示画素の回路図である。
【
図7B】一実施形態による、
図7Aに示す表示画素を動作させる1つの好適な方法を例示するタイミング図である
【
図8A】一実施形態による、蓄積コンデンサに結合された酸化物半導体駆動トランジスタを有する表示画素の一部分の回路図である。
【
図8B】一実施形態による、
図8Aの表示画素の1つの好適な配置の側断面図である。
【
図8C】一実施形態による、蓄積コンデンサが酸化物半導体駆動トランジスタに重ねて積層されている、
図8Aの表示画素の別の好適な配置の断面側面図である。
【
図8D】一実施形態による、酸化物半導体駆動トランジスタのボトムゲート端子がソース端子にどのように接続され得るかを示す上面レイアウト図である。
【
図8E】一実施形態による、酸化物半導体駆動トランジスタのボトムゲート端子がトップゲート端子にどのように接続され得るかを示す上面レイアウト図である。
【
図9】一実施形態による、2つの酸化物半導体トランジスタがディスプレイ積層体内の異なる層に形成されている、
図3Aの表示画素の一部分を示す側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
有機発光ダイオードディスプレイ(OLED)を備えてもよいタイプの例示的な電子デバイスを
図1に示す。
図1に示すように、電子デバイス10は、制御回路11を有してもよい。制御回路11は、デバイス10の動作をサポートする、記憶及び処理の回路を含んでもよい。記憶及び処理の回路は、ハードディスクドライブ記憶装置、不揮発性メモリ(例えば、ソリッドステートドライブを形成するように構成されたフラッシュメモリ、又は他の電気的にプログラム可能な読み出し専用メモリ)、揮発性メモリ(例えば、静的又は動的なランダムアクセスメモリ)などの記憶装置を含んでもよい。制御回路11内の処理回路は、デバイス10の動作を制御するために使用されてもよい。処理回路は、1つ以上のマイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、デジタル信号プロセッサ、ベースバンドプロセッサ、電力管理ユニット、音声コーデックチップ、特定用途向け集積回路、プログラマブル集積回路などに基づいてもよい。
【0012】
入出力デバイス12などのデバイス10内の入出力回路を使用して、データをデバイス10へ供給することを可能にしてもよく、データをデバイス10から外部デバイスへ提供することを可能にしてもよい。入出力デバイス12としては、ボタン、ジョイスティック、クリックホイール、スクロールホイール、タッチパッド、キーパッド、キーボード、マイクロフォン、スピーカ、トーン発生器、振動器、カメラ、センサ、発光ダイオード及び他の状態表示器、データポートなどが挙げられる。ユーザは、入出力デバイス12を通じてコマンドを供給することによってデバイス10の動作を制御することができ、入出力デバイス12の出力リソースを使用してデバイス10から状態情報及び他の出力を受信してもよい。
【0013】
入出力デバイス12は、ディスプレイ14などの1つ以上のディスプレイを含んでもよい。ディスプレイ14は、ユーザからのタッチ入力を取り入れるためのタッチセンサを含むタッチスクリーンディスプレイであってもよく、又はディスプレイ14はタッチ感応性でなくてもよい。ディスプレイ14のタッチセンサは、静電容量式タッチセンサ電極のアレイ、音響タッチセンサ構造体、抵抗膜式タッチ構成要素、力ベースのタッチセンサ構造体、光ベースのタッチセンサ、又は他の好適なタッチセンサの配置に基づくものであってもよい。
【0014】
制御回路11は、オペレーティングシステムコード及びアプリケーションなどのソフトウェアをデバイス10上で実行するために使用されてもよい。デバイス10の動作中に、制御回路11上で実行中のソフトウェアが、入出力デバイス内のディスプレイ14に画像を表示してもよい。
【0015】
図2は、一実施形態による、有機発光ダイオード表示画素22のアレイを有する有機発光ダイオードディスプレイ14などの、例示的なディスプレイの図である。
図2に示すように、ディスプレイ14は、基板24などの1つ以上の層を有してもよい。基板24などの層は、平面ガラス層などの材料の平面矩形層から形成されてもよい。ディスプレイ14は、ユーザに画像を表示する表示画素22のアレイを有してもよい。表示画素22のアレイは、基板24上に表示画素構造体からなる行及び列で形成されていてもよい。これらの構造体は、ポリシリコン薄膜トランジスタ、酸化物半導体薄膜トランジスタなどの薄膜トランジスタを含んでもよい。表示画素22のアレイ内には、どのような好適な数の行及び列が存在してもよい(例えば、10以上、100以上、又は1000以上)。
【0016】
ディスプレイドライバ集積回路16などのディスプレイドライバ回路が、はんだ又は導電性接着剤を使用して、基板24上の金属トレースなどの導電性経路に結合されていてもよい。ディスプレイドライバ集積回路16(タイミングコントローラチップと称されることもある)は、経路25を通じてシステム制御回路と通信するための通信回路を含んでもよい。経路25は、フレキシブルプリント回路上にトレース又は他のケーブルで形成されていてもよい。システム制御回路は、ディスプレイ14が使用されている、セルラー電話機、コンピュータ、テレビ、セットトップボックス、メディアプレーヤ、ポータブル電子デバイス、又は他の電子機器などの電子デバイス内のメインロジックボード上に配置されてもよい。動作中、システム制御回路は、ディスプレイ14上に表示される画像に関する情報を、経路25を介してディスプレイドライバ集積回路16に供給してもよい。表示画素22上に画像を表示するために、ディスプレイドライバ集積回路16は、クロック信号及び他の制御信号を、行ドライバ回路18及び列ドライバ回路20などのディスプレイドライバ回路に供給してもよい。行ドライバ回路18及び/又は列ドライバ回路20は、基板24上の1つ以上の集積回路及び/又は1つ以上の薄膜トランジスタ回路から形成されてもよい。
【0017】
行ドライバ回路18は、ディスプレイ14の左右の端部、ディスプレイ14のただ1つの端部、又は、ディスプレイ14の他の場所に配置されてもよい。動作中、行ドライバ回路18は、水平ライン28(しばしば、行ライン、「走査」ライン、及び/又は「発光」ラインと称される)に行制御信号を提供してもよい。したがって、行ドライバ回路18は、走査ラインドライバ回路又は発光ラインドライバ回路と称されることがある。行ドライバ回路18はまた、所望であれば、他の行制御信号を提供するために使用されてもよい。
【0018】
列ドライバ回路20は、ディスプレイドライバ集積回路16からのデータ信号Dを、複数の対応する垂直ライン26上に供給するために使用されてもよい。列ドライバ回路20は、データラインドライバ回路又はソースドライバ回路と称されることがある。垂直ライン26は、データラインと称されることがある。補償動作中、列ドライバ回路20は、任意選択として、垂直ライン26などの経路を使用して、基準電圧、初期化信号、又は他の好適なバイアス電圧信号を供給してもよい。プログラミング動作中、ライン26を使用して表示データが表示画素22内にロードされる。
【0019】
各データライン26は、表示画素22のそれぞれの列に関連付けられている。水平信号ライン28の組が、ディスプレイ14にわたって水平に走る。電源経路及び他のラインもまた、画素22に信号を供給してもよい。水平信号ライン28の各組は、表示画素22のそれぞれの行に関連付けられている。各行内の水平信号ラインの数は、水平信号ラインによって個別に制御される表示画素22内のトランジスタの数によって決定されてもよい。様々な数の制御ライン、データライン、電源ライン、走査ライン、発光ライン、基準電圧ライン、初期化ラインなどによって、様々な構成の表示画素を動作させてもよい。
【0020】
行ドライバ回路18が、ディスプレイ14の行ライン28上で制御信号をアサートしてもよい。例えば、ドライバ回路18は、ディスプレイドライバ集積回路16からクロック信号及び他の制御信号を受信してもよく、受信信号に応じて、表示画素22の各行に制御信号をアサートしてもよい。表示画素22の行は、順次処理されて、画像データの各フレームについての処理が、例えば、表示画素のアレイの最上部から開始し、アレイの最下部で終了してもよい。行の走査ラインがアサートされている間、回路16によって列ドライバ回路20に提供された制御信号及びデータ信号は、関連するデータ信号Dを多重化解除してデータライン26へ駆動するように回路20に指示して、行内の表示画素がデータラインD上に出現する表示データでプログラムされるようにする。次いで、表示画素は、ロードされた表示データを表示することができる。
【0021】
実際には、表示画素22内のトランジスタは、プロセス、電圧、及び温度(PVT)の変動の影響を受けることがある。そのような変動に起因して、異なる表示画素22間でトランジスタ閾値電圧の変動することがあり、その結果、画素22は、所望の画像とマッチしない量の光を生成する可能性がある。
図3は、「画素内」閾値電圧補償をサポートするように動作可能な、ディスプレイ14内の例示的な有機発光ダイオード表示画素22の回路図である(例えば、外部の電流感知動作を使用せずに、一切の閾値電圧依存性を内部的に相殺するように構成された画素)。
図3に示すように、表示画素22は、OLED304などの有機発光ダイオード、コンデンサCst1などの蓄積コンデンサ、トランジスタTdriveなどの駆動トランジスタ、駆動トランジスタのゲート(G)端子とドレイン(D)端子とにわたって結合されたトランジスタTgdなどのゲート電圧設定トランジスタ、トランジスタTem1などの第1の発光トランジスタ、トランジスタTem2など第2の発光トランジスタ、トランジスタTdataなどのデータローディングトランジスタ、及びトランジスタTiniなどの初期化トランジスタを含んでもよい。
【0022】
画素22は更に、正の電源電圧VDDELが供給される正電源端子300と、接地電源電圧VSSELが供給される接地電源端子302とに結合されていてもよい。正電源電圧VDDELは、3V、4V、5V、6V、7V、2~8V、又はどのような好適な正電源電圧レベルであってもよい。接地電源電圧VSSELは、0V、+1V、-1V、-2V、-3V、-4V、-5V、-6V、-7V、又はどのような好適な接地電圧レベル若しくは負電源電圧レベルであってもよい。駆動トランジスタTdrive、発光トランジスタTem1及びTem2、ならびにダイオード304は、電源ライン300と302との間で直列に結合されていてもよい。駆動トランジスタTdriveは、ドレイン端子(ノード1とラベル付けされている)、ゲート端子(ノード2とラベル付けされている)、及び、ソース端子(ノード3とラベル付けされている)を有してもよい。
図3Aの例では、第1の発光トランジスタTem1は、電源端子300とノード1との間に結合されていてもよく、対して、第2の発光トランジスタTem2は、ノード3とダイオード304のアノード端子との間に結合されていてもよい。トランジスタの「ソース」端子及び「ドレイン」端子は、時には互換的に使用することができ、したがって、「ソース-ドレイン」端子と称されることもある。
【0023】
第1の発光トランジスタTem1は、発光ライン312’を介して発光信号EM(n+1)を受信するように構成されたゲート端子を有し、対して、第2の発光トランジスタTem2は、発光ライン312を介して発光信号EM(n)を受信するように構成されたゲート端子を有する。表記「(n)」は、対応する信号が、表示画素のその行に関連するゲートドライバを使用して生成されることを示し、対して、表記「(n+1)」は、対応する信号が、表示画素アレイ内の後続の行に関連するゲートドライバを使用して生成されることを示す。発光電流が駆動トランジスタを通ってダイオード304に流れるためには、発光トランジスタTem1及びTem2の両方が同時にオンである必要がある。駆動トランジスタTdriveの状態は、端子300からダイオード304を通って端子302に流れる電流の量を制御し、したがって、表示画素22のダイオード304から発せられる光の量を制御する。有機発光ダイオード304は、関連する寄生容量COLED(図示せず)を有することがある。
【0024】
蓄積コンデンサCst1は、ノード2に結合された第1の端子と、ダイオード304のアノード端子に結合された第2の端子とを有してもよい。コンデンサCst1を使用して発光フェーズ全体を通して電荷を保持することによって、画素22にロードされた画像データを少なくとも部分的に画素22に記憶することができる。
【0025】
トランジスタTgdは、ノード1に結合されたドレイン端子と、走査制御信号SCAN1(n)を第1の走査ライン314-1を介して受信するように構成されたゲート端子と、ノード2に結合されたソース端子と、を有してもよい。信号SCAN1(n)をアサートして(例えば、ハイに駆動するか、一時的にハイパルスに引き上げる)n型トランジスタTgdをオンにして、トランジスタTdriveのドレイン端子とゲート端子とを短絡させ得る。ゲート端子とドレイン端子とが短絡されるトランジスタ構成は、「ダイオード接続」と称されることがある。したがって、ゲート設定トランジスタTgdは、ダイオード接続トランジスタと称されることがある。
【0026】
データローディングトランジスタTdataは、データライン310に結合されたソース端子と、第2の走査ライン314-2を介して走査制御信号SCAN2(n)を受信するように構成されたゲート端子と、ノード3に結合されたドレイン端子と、を有してもよい。このような構成では、信号SCAN2(n)をアサートして(例えば、ローに駆動するか、一時的にローパルスに引き下げる)トランジスタTdataをオンにして、それにより、データライン310からのデータ信号をノード3にロードすることができる。
【0027】
初期化トランジスタTiniは、ダイオード304のアノード端子に結合されたドレイン端子、発光ライン312を介して発光信号EM(n)を受信するように構成されたゲート端子、及び初期化ライン308に結合されたソース端子を有してもよい。初期化ライン308は、初期化電圧Vini(例えば、-1V、-2V、-3V、-4V、-5V、-6V、又は他の好適な電圧などの負電圧)を供給して、ダイオード304が使用されていないときにダイオード304をオフにするための補助に使用されてもよい。このような構成では、発光信号EM(n)をハイに駆動するか一時的にハイパルスに引き上げてトランジスタTiniをオンにして、アノード端子を初期化電圧Viniに設定することができる。
【0028】
図3Aの例では、ゲート設定トランジスタTgd、駆動トランジスタTdrive、及び初期化トランジスタTiniは、酸化物半導体トランジスタ(例えば、インジウムガリウム亜鉛酸化物すなわちIGZO又はインジム錫亜鉛酸化物すなわちITZOなどの酸化物半導体から形成されたn型チャネルを有するトランジスタ)を使用して実装されてもよく、対して、残りのトランジスタTem1、Tem2、及びTdataは、シリコンなどの半導体(例えば、LTPS又は低温ポリシリコンと称されることのある、低温プロセスを使用して堆積されたポリシリコンチャネル)から形成された薄膜トランジスタ(TFT)であってもよい。画素22内の酸化物半導体トランジスタは、それらのトランジスタを取り囲むサークルで示されている。酸化物半導体トランジスタは、シリコントランジスタよりも比較的低いリークを呈し、トランジスタTgdを酸化物半導体トランジスタとして実装することは、トランジスタTdriveのゲート端子での電流リークを防止するために役立ち得、フリッカを減少させるために役立つ。
【0029】
一実施形態によれば、駆動トランジスタTdriveを酸化物半導体トランジスタとして実装することは、高リフレッシュレート動作(例えば、少なくとも60Hz、少なくとも120Hz、少なくとも240Hzなどのリフレッシュレートで動作するディスプレイなど)で最初のフレーム応答を改善するために役立ち得、低リフレッシュレート動作(例えば、1Hz、2Hz、1~10Hz未満、30Hz未満、60Hz未満、又は他の低レートのリフレッシュレートで動作するディスプレイなど)で望ましくない輝度ジャンプを減少させ、画像固着(すなわち、現在の画像が新しい画像への変化に抗う現象)を減少させるために役立ち得る。
【0030】
上述したように、各表示画素を流れる発光電流の量は、駆動トランジスタ閾値電圧に依存する。駆動トランジスタ閾値電圧はまた、駆動トランジスタのゲートソース間電圧Vgsの現在値に応じて変動し得る。例えば、駆動トランジスタ閾値電圧は、Vgsがローからハイに上昇しているときには第1の平均レベルを呈し得るが、Vgsがハイからローに低下しているときには第1の平均レベルとは異なる第2の平均レベルを呈し得るので、異なった電流電圧(I-V)特性曲線が生じる。この、実際のVgs値への閾値電圧の依存は、トランジスタ「ヒステリシス」と称されることがあり、考慮が払われない場合には、このヒステリシスは表示画素の性能に悪影響を及ぼす可能性がある。
【0031】
トランジスタTdriveの閾値電圧はヒステリシスに影響されることがあるため、駆動トランジスタをトップゲート酸化物半導体トランジスタとして形成することは、ヒステリシスを減少させるのに役立ち得る(例えば、トップゲートIGZOトランジスタに影響する閾値電圧ヒステリシスは、シリコントランジスタよりも低い)。そのようなシナリオでは、製造ステップを簡素化するために役立つように、酸化物半導体トランジスタTdrive、Tgd、及びTiniの全てをトップゲート酸化物トランジスタとして形成することが望ましいことがある。酸化物半導体トランジスタは、温度変化に対してシリコントランジスタと比較して高い電流感度を呈するので、酸化物半導体駆動トランジスタを有する
図3Aに示すタイプの画素22は、ディスプレイ全体にわたって十分に制御されているか管理可能な温度プロファイルと共に電子デバイスに使用すべきである。
【0032】
更に、トランジスタTiniを酸化物半導体トランジスタとして実装することにより、トランジスタTem2及びTiniを同じ信号EM(n)によって制御することが可能になる。その理由は、EM(n)をローに駆動するとTem2をオンにする一方でTiniをオフにすることになり、逆も同様だからである。信号EM(n)を共有すると、形成すべき行制御ラインが少なくなり、それによってルーティングの複雑さが減少する。n型酸化物半導体トランジスタのみ、及びp型シリコントランジスタのみを使用して画素22を形成することによって、相補のn型シリコントランジスタを形成する必要がなくなり、これは、画素22を製造するために必要なマスクの数を劇的に減少し、コストを削減させるために役立ち得る。
【0033】
図2の行ドライバ回路18などのディスプレイドライバ回路からの制御信号は、行制御ライン312、312’、314-1、及び314-2などの制御端子に供給される。画素22の酸化物半導体トランジスタ(例えば、トランジスタTdrive、Tgd、及びTini)は、nチャネル型デバイスであり、それぞれのゲート制御電圧をアサートすなわちハイに駆動するとオンになる「アクティブハイ」デバイスである。対照的に、画素22のpチャネル型シリコントランジスタ(例えば、トランジスタTem1、Tem2、及びTdata)は、それぞれのゲート制御電圧をアサートすなわちローに駆動するとオンになる、「アクティブロー」デバイスである。
【0034】
図3Aに関連して示され説明される画素構造は、単なる例示であり、本実施形態の範囲を限定することを意図するものではない。所望される場合、いくつか代替配置を挙げると、トランジスタTem1、Tem2、及びTdataのうちいずれか1つ以上は、n型シリコントランジスタ又は酸化物半導体トランジスタとして実装されてもよく、トランジスタTdrive、Tgd、及びTiniのうちいずれか1つ以上は、n型又はp型シリコントランジスタとして実装されてもよく、画素22は1つ以上の追加のコンデンサを含んでもよく、画素22は6つより多くのTFT又は6つより少ないTFTを含んでもよく、画素22は2つより多くの、又は、2つより少ない走査制御ラインによって制御されてもよく、画素22は2つより多くの、又は、2つより少ない発光制御ラインによって制御されてもよい。
【0035】
通常のデータリフレッシュ期間中、表示画素22は、少なくとも4つの異なるタイプのフェーズ、すなわち、(1)初期化/リセットフェーズ、(2)オンバイアスストレスフェーズ、(3)閾値電圧サンプリング及びデータ書き込みのフェーズ、(4)発光フェーズで動作させてもよいが、必ずしもこの順序でなくてもよい。
図3Bは、所与の画素行(n)のデータリフレッシュ期間中に画素22を表示するために印加され得る、関連性のある信号波形を示すタイミング図である。
【0036】
時刻t1の前は、発光信号EM(n)及びEM(n+1)の両方がローであり、それによって発光トランジスタTem1及びTem2の両方がオンになるので、画素22は発光フェーズにある。時刻t1で、信号EM(n)がハイに駆動され、それによりトランジスタTem2がオフになり、一時的に発光を停止する。また、EM(n)をハイに駆動すると、トランジスタTiniがオンになって、ダイオード304のアノード端子に初期化電圧Viniがロードされる(すなわち、アノード端子がViniに設定される)。したがって、時刻t1~t2の期間は、「初期化」フェーズ又は「アノードリセット」フェーズと称されることもある。アノードリセット期間中、信号SCAN1(n)もまた、1行時間より短い間(<1H)だけ、ハイパルスに引き上げられ、トランジスタTgdがオンになる。トランジスタTgdをアクティブ化すると、トランジスタTem1はオンのままなので、ノード2がVDDELにまで引き上げられる。このように動作させることによって、初期化フェーズが終了するまでに、蓄積コンデンサCst1の両端の電圧は所定の電圧差(VDDEL-Vini)にリセットされる。
【0037】
ある一定の状況では、駆動トランジスタ閾値電圧Vthは、ディスプレイ14が黒色画像から白色画像に遷移するとき、又はある階調から別の階調に遷移するときなどにシフトする可能性がある。この駆動トランジスタのVthのシフト(本明細書では、薄膜トランジスタ「ヒステリシス」と称されることもある)は、輝度を低下させる可能性があるので、「最初のフレームの減光」としても知られる。例えば、黒色フレームに関する、駆動トランジスタのVgsの関数としての飽和電流Idsの波形は、白色フレームに関する、駆動トランジスタのVgsの関数としての目標Idsの波形からわずかにオフセットすることがある。オンバイアスストレスを実行しない場合は、サンプリングされるVthは黒色フレームに対応し、したがって、目標Idsの波形は、非常に大きなマージンを伴って逸脱する。オンバイアスストレスを実行することにより、サンプリングされるVthはVdataに対応し、したがって、目標Idsの曲線に、もっと近づく。したがって、Vthのサンプリング前にオンバイアスストレスフェーズを行って、駆動トランジスタのVgsになんらかのデータ信号でバイアスをかけることは、ヒステリシスを軽減し、最初のフレーム応答を改善するために役立ち得る。よって、オンバイアスストレスフェーズとは、非発光フェーズ中に(例えば、データローディングトランジスタ又は初期化トランジスタをオンにすることなどによって)駆動トランジスタに好適なバイアス電圧を直接印加する動作として定義され得る。時刻t3で、信号SCAN2(n)がローに駆動され、それによりトランジスタTdataがオンになって、いくつかの非ゼロデータ値(例えば、表示画素アレイ内の行(n-2)及び(n-1)などのいくつかの先行する行のために意図されたデータ)がノード3にロードされる。t4~t5間の実際のデータプログラミング期間の前に駆動トランジスタのソース端子を事前バイアスすることは、Vthヒステリシスを軽減し、最初のフレームの減光を防止するために役立ち得る。
【0038】
時刻t4で、信号SCAN1(n)がハイパルスに引き上げられ、それによりトランジスタTgdがオンになる。信号SCAN2(n)は、この期間中は低いままなので、トランジスタTdataは、行nのために意図された実際のデータ信号を対応する画素22にロードし、そのためノード3の電圧がVdataに等しくなる。駆動トランジスタは現在、ダイオード接続構成にある(Tgdがオンになっていて、ゲート端子とドレイン端子を短絡しているため)ので、駆動トランジスタはゲート電圧を(Vdata+Vth)に引き下げる。ここでVthは、駆動トランジスタ閾値電圧を表す。この時点で、コンデンサCst1の両端の電圧は、(Vdata+Vth-Vini)に設定される。このように動作させることによって、駆動トランジスタ閾値電圧Vthが正常にサンプリングされ、蓄積コンデンサCst1上にVdataが正常にプログラム/書き込みされている。したがって、t4~t5の期間は、Vthサンプリング及びデータプログラミングのフェーズと称され得る。時刻t5で、信号SCAN1(n)がローに駆動されてトランジスタTgdをオフにし、信号SCAN2(n)がハイに駆動されてトランジスタTdataをオフにし、それによってVthサンプリング及びデータ書き込みのフェーズを終了する。
【0039】
時刻t6では、信号EM(n)及びEM(n+1)の両方がローであり、それによってトランジスタTem1及びTem1がオンになり、したがって発光フェーズが開始する。発光期間中、ノード3は、VDDELまで引き上げられ得る。したがって、その結果のトランジスタTdriveのゲートソース間電圧Vgsは、蓄積コンデンサCst1によってサンプリングされるように(Vdata+Vth-Vini)のなんらかの関数となる。最終的な発光電流はVgs-Vthに比例するため、(Vgs-Vth)が(Vdata+Vth-Vini-Vth)と等しくなり、Vthが相殺されるので、発光電流はVthと無関係になる。駆動トランジスタ閾値電圧が内部サンプリングされて相殺される、このタイプの動作スキームは、画素内閾値電圧補償と称されることがある。
【0040】
図3Aの例は、隣接する行からの発光信号を再利用することを含む(例えば、信号EM(n+1)を行nで借りて使用する)。
図3Cは、
図3Aに示すタイプの表示画素のアレイを駆動するためのゲートドライバ回路の例示的な配置を示す図である。
図3Cに示すように、各行は、その行専用のSCAN1(SC1)及びSCAN2(SC2)ドライバ回路を有してもよい。ただし、EMドライバ回路は、隣接する列間で共有されてもよい。
図3Cの例では、EM(n+1)ドライバ回路がn番目の行と(n+1)番目の行の両方を制御してもよく、EM(n+2)ドライバ回路が(n+1)番目の行と(n+2)番目の行の両方を駆動してもよく、EM(n+3)ドライバ回路が(n+2)番目の行と(n+3)番目の行の両方にルーティングされていてもよく、以下同様である。この、ずらした共有のパターンを使用して表示画素アレイを駆動することは、ディスプレイの縁幅を減少させるために役立ち得る。
【0041】
図3Aに関連して上述したように、酸化物半導体トランジスタとして駆動トランジスタを実装することは、望ましくないヒステリシスがあれば、それを軽減するために役立ち得る。
図3Bに示すオンバイアスストレス(OBS)フェーズは、残りのヒステリシスがあれば、それを更に抑制するために役立ち得る。ヒステリシスが、酸化物半導体駆動トランジスタの使用によって既に許容可能なレベルで管理されているシナリオでは、全体的なリフレッシュ動作の速度を改善し、電力消費を減少させるために役立つように、オンバイアスストレスフェーズはスキップされてもよい。
図3Dは、
図3Aに示すタイプの画素22を動作させるための別の好適な方法を例示するタイミング図である。
図3Aとは対照的に、
図3Dの動作は、オンバイアスストレスフェーズを含まない。
【0042】
時刻t1の前は、発光信号EM(n)及びEM(n+1)の両方がローであり、それによって発光トランジスタTem1及びTem2の両方がオンになるので、画素22は発光フェーズにある。時刻t1で、信号EM(n)がハイに駆動され、それによりトランジスタTem2がオフになり、一時的に発光を停止する。また、信号EM(n)をハイに駆動すると、トランジスタTiniがオンになって、ダイオード304のアノード端子に初期化電圧Viniがロードされる(すなわち、アノード端子がViniに設定される)。したがって、時刻t1~t2の期間は、「初期化」フェーズ又は「アノードリセット」フェーズと称されることもある。アノードリセット期間中、信号SCAN1(n)もまたハイに引き上げられ、これによりトランジスタTgdがオンになる。
【0043】
時刻t3で、信号SCAN2(n)がローパルスに引き下げられ、それにより、トランジスタTdataがオンになって、ノード3に所望のデータ値がロードされる。この時間中は信号SCAN1(n)がハイのままであるために、駆動トランジスタはダイオード接続構成に留まるので、データ信号Vdata及び駆動トランジスタ閾値電圧Vthの両方が、蓄積コンデンサCst1にサンプリングされる。時刻t4で、信号SCAN1(n)がローに駆動されてトランジスタTgdがオフになり、一方で信号SCAN2(n)は、ハイに駆動されてトランジスタTdataがオフになり、それによってVthサンプリング及びデータプログラミングのフェーズが終了する。時刻t5では、信号EM(n)及びEM(n+1)の両方がローであり、発光フェーズが開始する。
図3Dの例では、信号SCAN1(n)は、初期化フェーズの開始からデータプログラミングフェーズの終了まで(すなわち、時刻t1から時刻t4まで)、ハイに維持される。
【0044】
図3Eは、データリフレッシュ期間中に画素22を動作させるための別の好適な方法を例示するタイミング図である。
図3Bに示される動作と同様に、
図3Eに例示される動作もまた、オンバイアスストレスフェーズを含むが、異なった走査ラインの挙動を使用して実装される。時刻t1の前は、信号EM(n)及びEM(n+1)の両方がローなので、発光トランジスタTem1及びTem2の両方が発光フェーズ中でオンである。時刻t1で、信号EM(n)がハイに駆動され、それによりトランジスタTem2がオフになり、一時的に発光を停止する。また、EM(n)をハイに駆動すると、トランジスタTiniがオンになって、ダイオード304のアノード端子に初期化電圧Viniがロードされる(すなわち、アノード端子がViniに設定される)。したがって、時刻t1~t2の期間は、「初期化」フェーズ又は「アノードリセット」フェーズと称されることもある。アノードリセット期間中に、信号SCAN1(n)もまた、ハイパルスに引き上げられ、それによってトランジスタTgdがオンになる。トランジスタTgdをアクティブ化すると、トランジスタTem1はオンのままなので、ノード2がVDDELにまで引き上げられる。
【0045】
時刻t3で、信号SCAN2(n)はローパルスに引き下げられ、それによりトランジスタTdataがオンになり、いくつかの非ゼロデータ値(例えば、ディスプレイ画素アレイ内の少なくともいくつかの先行の行を意図したデータ信号)がノード3にロードされる。t4~t5間の実際のデータプログラミング期間の前に駆動トランジスタのソース端子を事前バイアスすることは、Vthヒステリシスを軽減し、最初のフレーム応答を改善するために役立ち得る。このオンバイアスストレス(OBS)フェーズは、時刻t3でのSCAN2(n)パルスの開始から、信号SCAN1(n)が時刻t4でハイに駆動されるまで続いてもよい。
【0046】
時刻t4で信号SCAN1(n)はハイパルスに引き上げられ、それによりトランジスタTgdがオンになる。時刻t5で、走査制御信号SCAN2(n)がローパルスに引き下げられて、Vthサンプリング及びデータ書き込みのフェーズが実行される。時刻t5~t6で信号SCAN2(n)がローである間、トランジスタTdataはオンになって、行nのために意図された実際のデータ信号を対応する画素22にロードし、そのため、ノード3の電圧がVdataに等しくなる。駆動トランジスタはダイオード接続構成にある(Tgdがオンになっていて、ゲート端子とドレイン端子を短絡しているため)ので、駆動トランジスタはゲート電圧を(Vdata+Vth)に引き下げる。ここでVthは駆動トランジスタ閾値電圧を表す。この時点で、コンデンサCst1の両端の電圧は(Vdata+Vth-Vini)に設定され、画素内Vth補償から準備される。時刻t7では、信号EM(n)及びEM(n+1)の両方がローであり、発光フェーズが開始する。
【0047】
図3Fは、
図3Aに示すタイプの画素22を動作させるための更に別の好適な様式を例示するタイミング図である。
図3Fの動作は、
図3Eに関連して示され説明されたものに類似するが、オンバイアスストレスフェーズの直後にVthサンプリング及びデータプログラミングのフェーズが続く。これは、SCAN2(n)の2番目のローパルスを信号SCAN1(n)の立ち上がりエッジ(例えば、時刻t*など)に揃えることによって実現されてもよい。
【0048】
図4Aは、表示画素22の別の好適な配置を示す回路図である。
図4Aの画素構造は、
図3Aに関連して示され説明されたものに類似するが、初期化トランジスタは、代わりにp型シリコントランジスタを使用して実装される。
図4Aに示すように、トランジスタTini’などの初期化トランジスタは、pチャネル型シリコントランジスタである。初期化トランジスタTini’は、発光フェーズ中はオンにすべきではないので、初期化トランジスタTini’は信号EM(n)によっては制御できないが、代わりに、信号EMB(n)として示される、信号EM(n)の反転バージョンを使用して制御する。このような構成では、トランジスタTem2及びTini’は、同時にはオンにならない(例えば、トランジスタTem2がオンのときは、トランジスタTini’はオフであり、逆もまた同様である)。画素22の残りの構成要素及び接続は、
図3Aに関連して既に説明したものと類似しており、繰り返して詳細に説明する必要はない。
【0049】
図4Bは、
図4Aに示す表示画素を動作させる1つの好適な方法を例示するタイミング図である。
図4Bの波形は、
図4Aに関連して示され説明されたものと類似するが、追加の信号EMB(n)を有する。
図4Bに示すように、信号EMB(n)は、信号EM(n)の反転バージョンである。このような構成では、初期化期間の開始から、時刻t’の発光フェーズの前に信号EMB(n)がハイに駆動されるまで、トランジスタTinit’は、ロー信号EMB(n)によってオンにされる。初期化/アノードリセットフェーズ、OBSフェーズ、及びVthサンプリング及びデータプログラミングのフェーズは、
図3Bに関連して上述した方法で実行されてもよく、繰り返して詳細に説明する必要はない。
【0050】
図5Aは、少なくとも2つの初期化トランジスタを有する表示画素22の更に別の好適な実装を示す回路図である。
図5Aに示すように、画素22は、電源端子300と302との間に直列に結合されたトランジスタTem1、トランジスタTdrive、トランジスタTem2、及びダイオード304を含んでもよい。蓄積コンデンサCst1が、ノード2とダイオード304のアノード端子との間に結合されていてもよい。走査ライン314-1上の信号SCAN1(n)によって制御されるトランジスタTgdが、ノード1とノード2にわたって結合されていてもよい。走査ライン314-2上の信号SCAN2(n)によって制御されるトランジスタTdataが、ノード3に結合されていてもよい。画素22は、ダイオード304のアノード端子に結合された第1の初期化トランジスタTini1を含んでもよい。
図5Aの例では、トランジスタTgd、Tdrive、及びTini1が全て酸化物半導体トランジスタとして実装されて(サークルで囲まれたトランジスタを参照)、残りのトランジスタが全てp型シリコントランジスタとして実装されてもよい。ただし、この構成は単なる例示である。一般に、
図5Aの画素22のどの部分でも、酸化物半導体トランジスタ及び/又はn型/p型シリコントランジスタとして実装されてもよい。
【0051】
図5Aの例では、トランジスタTem1、Tem2、及びTini1は全て、発光信号EM(n)を受信するように構成されたゲート端子を有する。このようにして信号EM(n)を3つのトランジスタで共有することによって、行nに別の発光信号を有する必要がなくなる。ところが、このような配置では、信号EM(n)がハイに駆動されている非発光フェーズの間、トランジスタTem1はノード1をVDDELに引き上げることができない。その結果、画素22に、電源端子300とノード1との間に結合された第2の初期化トランジスタTin2が提供されてもよい。第2の初期化トランジスタTin2は、画素内のそれ以外のシリコントランジスタのようなp型シリコントランジスタであってもよく、直前の画素行からルーティング経路314-2’を介してルーティングされる信号SCAN2(n-1)によって制御されてもよい。信号SCAN2(n-1)は、初期化/アノードリセットフェーズ中にノード1をVDDELに設定するために役立つように、非発光フェーズの間はローパルスに引き下げておくことができる。
図5Aの画素22を動作させるためのそのような1つの方法を、
図5Bのタイミング図に示す。
【0052】
時刻t0の前は、発光信号EM(n)がローであり、それによって発光トランジスタTem1及びTem2の両方がオンになるので、画素22は発光フェーズにある。時刻t0で、信号EM(n)がハイに駆動されて、一時的に発光が停止する。時刻t1で、信号SCAN1(n)がハイに駆動されてトランジスタTgdがオンになり、一方で、信号SCAN2(n-1)はローパルスに引き下げられて、第2の初期化トランジスタTini2が一時的にアクティブになる。このようにトランジスタTgd及びTini2の両方をオンにすると、ノード1が正の電源電圧VDDELに設定されることによって、画素22が初期化される。この時間中、信号EM(n)もまたハイであり、それによって、第1の初期化トランジスタTini1がダイオード304のアノード端子に初期化電圧Viniをロードできるようになる(すなわち、アノード端子がViniに設定される)。
したがって、時刻t1~t2の期間は、「初期化」フェーズ又は「アノードリセット」フェーズと称されることもある。
【0053】
時刻t3で、信号SCAN2(n)はローパルスに引き下げられ、それによりトランジスタTdataがオンになって、ノード3に所望のデータ値D(n)がロードされる。この時間中は信号SCAN1(n)がハイのままであるために、駆動トランジスタはダイオード接続構成のままとなるので、データ信号Vdata及び駆動トランジスタ閾値電圧Vthの両方が、蓄積コンデンサCst1にサンプリングされる。時刻t4で、信号SCAN1(n)がローに駆動されてトランジスタTgdがオフになり、一方で信号SCAN2(n)は、ハイに駆動されてトランジスタTdataがオフになり、それによってVthサンプリング及びデータプログラミングのフェーズが終了する。時刻t5で、信号EM(n)がローに駆動されて、発光フェーズが開始する。
【0054】
図5Bの例では、初期化フェーズの直後にVthサンプリング及びデータプログラミングのフェーズが続く。これは単に例示であり、本実施形態の範囲を限定することを意図するものではない。必要に応じて、初期化フェーズとデータプログラミングフェーズとの間に1つ以上のOBSフェーズが挿入されてもよく、かつ/又はデータプログラミングフェーズと発光フェーズとの間に1つ以上のOBSフェーズが挿入されてもよい。
【0055】
図6は、表示画素22の更に別の好適な配置を示す回路図である。
図6の画素構造は、
図5Aに関連して示され説明されたものに類似するが、第1の初期化トランジスタTini’は、代わりにp型シリコントランジスタを使用して実装される。
図6に示すように、トランジスタTini’などの初期化トランジスタは、pチャネル型シリコントランジスタである。初期化トランジスタTini’は、発光フェーズ中にオンにすべきではないので、もはや初期化トランジスタTini’は信号EM(n)によって制御すべきではなく、代わりに、信号EMB(n)として示される信号EM(n)の反転バージョンを使用して制御する。このような構成では、トランジスタTem2及びTini’は、同時にはオンにならない(例えば、トランジスタTem2がオンのときは、トランジスタTini’はオフであり、逆もまた同様である)。画素22の残りの構成要素及び接続は、
図5Aに関連して既に説明したものに類似しており、本実施形態を不明瞭にしないために、繰り返して詳細に説明する必要はない。
図6の画素22の動作は、トランジスタTini1’を制御する追加の反転光信号EMB(n)を除いて、
図5Bに示したタイミング図と同一である。
【0056】
図7Aは、表示画素22の別の好適な配置を例示する。
図7Aの表示画素22は、第1の発光トランジスタTem1が発光ライン312’’で提供される第2の発光信号EM2(n)を受信するように構成されていることを除いて、
図3Aに示されるものに類似した画素構造を有する。言い換えれば、行nは、2つの専用の発光ライン312及び312’’を有する。画素22内の残りの構成要素及び接続は、
図3Aに関連して既に説明したものに類似しており、本実施形態を不明瞭にしないために、繰り返して詳細に説明する必要はない。
【0057】
図7Bは、一実施形態による、
図7Aに示す表示画素を動作させる1つの好適な方法を例示するタイミング図である。時刻t1の前は、発光信号EM1(n)及びEM2(n)の両方がローなので、トランジスタTem1及びTem2の両方がオンになり、発光電流がダイオード304を通ってトランジスタTdriveから流れることが可能になる。
【0058】
時刻t1~t2の間に、初期化/アノードリセットフェーズが起こる。時刻t1で、信号EM1(n)が10行期間(10H)の間、ハイに駆動されて第2の発光トランジスタTem2がオフになり、一方で、信号SCAN1(n)が2行期間(2H)の間、ハイに駆動されて、ゲート設定トランジスタTgdがオンになる。信号EM2(n)はローのままで、トランジスタTem1はオンのままであり、それによって、ノード2はVDDELまで引き上げられる。この時間中はまた、ハイのEM1(n)信号によってトランジスタTiniがオンになり、それによって、ダイオード304のアノード端子に初期化電圧Viniがロードされる。初期化/ARリセットフェーズは、時刻t2で4行期間(4H)の間、信号EM2(n)がハイに駆動されて、トランジスタTem1をディスエーブルにすると、終了する。
【0059】
時刻t3~t4の間に、オンバイアスストレス(OBS)フェーズが起こる。時刻t3で、信号SCAN2(n)がローパルスに引き下げられて、トランジスタTdataが一時的にアクティブになり、いくつかの非ゼロデータ値がノード3にロードされる。トランジスタTgdが現在オフ状態にあるため(すなわち、ノード2は以前の初期化されたVDDELレベルのままである)、Vth及びデータサンプリングはまだ起こらない。
図3Bに関連して上述したように、このようにして事前ストレスを実行することは、駆動トランジスタのVthヒステリシスを軽減し、最初のフレーム応答を改善するために役立ち得る。
【0060】
時刻t5~t6の間に、Vthサンプリング及びデータ書き込みのフェーズが起こる。時刻t5で、信号EM2(n)が4行期間(4H)の間、ハイに駆動され、かつ、信号SCAN1(n)がハイである間に、信号SCAN2(n)がローパルスに引き下げられる。このように動作させることによって、トランジスタTem1がオフになっている間(例えば、それによってノード1が電圧レベルを変更できる)、かつ、トランジスタTgdがオンになってトランジスタTdriveをダイオード接続構成にしている間(例えば、それによって、ノード1及びノード2の両方を[Vdata+Vth]にバイアスする)に、行nのために意図された所望のデータ信号がトランジスタTdataを使用してノード3にロードされ得る。したがって、時刻t6でのデータプログラミングフェーズの終わりに、Vdata及びVthの両方の値が蓄積コンデンサCst1にサンプリングされる。時刻t7で、信号EM1(n)及びEM2(n)の両方がローに駆動され、対応する量の発光電流がOLED304を通って流れることが可能になる。
【0061】
図8Aは、表示画素22の一部分のみを示す回路図である。
図8Aに示すように、画素22は少なくとも、OLED304、トランジスタTdrive(例えば、酸化物半導体トランジスタとして実装される駆動トランジスタ)、駆動トランジスタのゲート端子とOLED304のアノード端子とにわたって結合された蓄積コンデンサCst1、ならびに、駆動トランジスタ及びOLED304と直列に結合された発光トランジスタTem(例えば、p型シリコントランジスタとして実装されるトランジスタ)を含んでもよい。一般に、画素22は、(楕円で示すように)駆動トランジスタのゲート端子、駆動トランジスタのドレイン端子、駆動トランジスタのソース端子、及び/又はOLEDのアノード端子に結合された複数の追加のトランジスタを含んでもよい。一般に、蓄積コンデンサの第1の端子(すなわち、トランジスタTdriveのゲート端子に接続された端子)は、電流が実際にはトランジスタTdriveのゲート端子には流れることができないため、ハイインピーダンスノードと見なされてもよく、対して、蓄積コンデンサの第2の端子(すなわち、OLEDのアノード端子に接続された端子)は、発光電流の経路に沿って位置するため、ローインピーダンスノードと見なされてもよい。
【0062】
図8Bは、
図8Aの表示画素22の1つの好適な配置を示す側断面図である。
図8Bに示すように、画素22は、ポリイミド基板800などの基板、基板上に形成された1つ以上のバッファ層802、バッファ層802上に形成されたLTPS材料804などの活性シリコン材料、シリコン材料の上に形成された第1のゲート絶縁(GI1)層806、第1のゲート絶縁層806上に形成された第1のゲート導体(GE1)層808、第1のゲート導体層808の上に形成された第1の層間誘電体(ILD1)フィルム810、層810上に形成された第2のゲート導体(GE2)層812、第2のゲート導体層812上に形成された第2の層間誘電体(ILD2)フィルム814、層814上に形成されたIGZO材料816などの活性酸化物半導体材料、酸化物半導体(IGZO)材料816の上に形成された第2のゲート絶縁(GI2)層818、第2のゲート絶縁層818上に形成された酸化物ゲート(OxGE)層820、酸化物ゲート層820及び被覆層814の上に形成された第3の層間誘電体(Ox-ILD)フィルム822、を含んでもよい。
【0063】
図8Bの例では、少なくとも1つの平坦化層PLNが層822の上に形成されている。ただし、この配置は単に例示であり、本実施形態の範囲を限定することを意図するものではない。所望であれば、ディスプレイ積層体全体の中に少なくとも2つの平坦化層を実装してもよい。使用され得る、そのような二重平坦化層構成が、引用により全体が本明細書に組み込まれる、Onoら(2017年10月10日に出願された共有されている米国特許出願第15/729,330号)に詳細に記載されている。アノード端子は、1つ以上の平坦化層PLN上に形成されてもよい。画素画定層PDLが、アノード層の上に形成されてもよい。画素22は、発光層、カソード層、及びカプセル化層などの他の画素構造を含んでもよいが、それらは、本実施形態を不明瞭にしないために本明細書には図示及び説明されていない。
【0064】
図8Bの積層体の中で、酸化物半導体トランジスタTdriveは、シリコントランジスタTemの上方に形成される。駆動トランジスタTdriveはまた、層812を使用して形成されたボトムゲート光シールドを備えてもよい。特に、蓄積コンデンサCst1は、層808を使用して実装された第1の端子及び、層812を使用して実装された第2の端子を有する。トランジスタTdriveのトップゲート導体820は、点線の経路890-1及び890-2によって概略的に示されるように、蓄積コンデンサの第1の端子に結合される。蓄積コンデンサの第2の端子は、関連するソース-ドレイン接点ビアを介してトランジスタTem及びアノード端子に結合される。
【0065】
図8Bの配置では、トランジスタTdriveのゲート導体820と隣接する画素22’のアノード端子との間に大きな寄生容量Cxが存在し得る。この寄生容量は、隣接する画素間の望ましくないクロストークをもたらすことがある。こうして発生する画素クロストークは、ハイインピーダンスノードであるために雑音の影響を特に受けやすいトランジスタTdriveのゲート端子で、電圧を乱す可能性がある。したがって、酸化物半導体トランジスタTdriveのゲート端子における画素クロストークを軽減するための改善された方法を提供することが望ましいであろう。
【0066】
一実施形態によって、
図8Cは、蓄積コンデンサが酸化物半導体駆動トランジスタの上に積層されている断面を示す。
図8Cに示すように、画素22は、ポリイミド基板800などの基板/キャリア、基板上に形成された1つ以上のバッファ層802、バッファ層802上に形成されたLTPS材料804などの活性シリコン材料、シリコン材料804の上に形成された第1のゲート絶縁(GI1)層806、第1のゲート絶縁層806上に形成された第1のゲート導体(GE1)層808、第1のゲート導体層808の上に形成された層間絶縁体(ILD)フィルム811、層811上に形成されたIGZO材料816などの活性酸化物半導体材料、酸化物半導体(IGZO)材料816の上に形成された第2のゲート絶縁(GI2)層818、第2のゲート絶縁層818の上に形成された酸化物ゲート(OxGE)層820、酸化物ゲート層820及び被覆層808の上に形成された第1の酸化物中間層誘電体(Ox-ILD1)フィルム822、層822上に形成された別のゲート導体(GE2)層823、ならびに、ゲート層823及び被覆層822の上に形成された第2の酸化物中間層誘電体(Ox-ILD2)フィルム825、を含んでもよい。層811は、酸化物バッファ層と称されることもある。
【0067】
図8Bの例では、少なくとも1つの平坦化層PLNが層825の上に形成されている。ただし、この配置は単に例示であり、本実施形態の範囲を限定することを意図するものではない。所望であれば、ディスプレイ積層体全体の中に少なくとも2つの平坦化層を実装してもよい。使用され得る、そのような二重平坦化層構成が、引用により全体が本明細書に組み込まれる、Onoら(2017年10月10日に出願された共有されている米国特許出願第15/729,330号)に詳細に記載されている。1つ以上の平坦化層PLN上に、アノード端子が形成されてもよい。画素画定層PDLが、アノード層の上に形成されてもよい。画素22は、発光層、カソード層、及びカプセル化層などの他の画素構造を含んでもよいが、それらは、本実施形態を不明瞭にしないために本明細書には図示及び説明されていない。
【0068】
図8Cの積層体の中で、酸化物半導体トランジスタTdriveは、シリコントランジスタTemの上方に形成される。駆動トランジスタTdriveはまた、層808を使用して形成されたボトムゲート構造を備えてもよい。所望であれば、ボトムゲート構造は、光シールドとして、かつ/又は、デュアル/ダブルゲート酸化物半導体トランジスタ内のアクティブボトムゲートとして機能してもよい。1つの好適な配置では、ボトムゲート導体は、駆動トランジスタの関連するソース端子に短絡されることができ(例えば、
図8Aの接続880-1など)、又は、駆動トランジスタの関連するゲート端子に接続されることができる(例えば、
図8Aの接続880-2など)。酸化物半導体駆動トランジスタのボトムゲート構造及びシリコントランジスタTemのトップゲート導体もまた、同じ導電層から(例えば、層808を使用して)形成されてもよい。
【0069】
図8Dは、酸化物半導体駆動トランジスタのボトムゲート端子がソース端子にどのように接続され得るかを示す上面レイアウト図である。
図8Dに示すように、トランジスタTdriveのソースは、点線の接続経路880-1によって示されるように、接点孔830及び832を形成することによってボトムゲート構造GE1に結合されてもよい。接点孔832は、接点孔830と同時に製造することができる。層834は、トランジスタTdriveのソース端子を表してもよい。層808は、トランジスタTdriveのボトムゲート層を表してもよい。層816は、酸化物半導体材料(例えば、IGZO、ITZOなど)を表してもよい。層840は、GE2層を表してもよく、この層は発光フェーズ中にトランジスタTdriveのソースに接続することができる。層820は、トランジスタTdriveのトップゲート導体を表してもよい。層842は、トランジスタTdriveのドレイン端子を表してもよい。層844は、トランジスタTdriveのゲート端子を表してもよい。
【0070】
図8Eは、酸化物半導体駆動トランジスタのボトムゲート端子がトップゲート端子にどのように接続され得るかを示す上面レイアウト図である。
図8Eに示すように、トランジスタTdriveのトップゲート構造は、点線の接続経路880-2によって示されるように、接点孔830及び832を形成することによってボトムゲート構造に結合されてもよい。接点孔832は、接点孔830と同時に製造することができる。層834は、トランジスタTdriveのソース端子を表してもよい。層808は、トランジスタTdriveのボトムゲート層を表してもよい。層816は、酸化物半導体材料(例えば、IGZO、ITZOなど)を表してもよい。層840は、GE2層を表してもよい。層820は、トランジスタTdriveのトップゲート導体を表してもよい。層842は、トランジスタTdriveのドレイン端子を表してもよい。層844は、トランジスタTdriveのゲート端子を表してもよい。
【0071】
図8Cに戻って参照すると、蓄積コンデンサCst1は、酸化物半導体トランジスタTdriveの上方に積層されていてもよい。このような構成では、ゲート層820は、トランジスタTdriveのゲート導体として、かつコンデンサCst1のボトムプレートとして、同時に機能する。最上部のゲート層823は、コンデンサCst1のトッププレートとして機能してもよい。コンデンサCst1の底部は、図式的に接続された経路892によって示されるように、画素22の対応するアノード端子に結合されてもよい。この配置では、酸化物半導体トランジスタTdriveのゲート導体は、最上部のトップゲート層823によって覆われてシールドされている。このことは、Tdriveのトップゲート導体820のフットプリントよりもシールド層840が広い、
図8D及び8Eにも示されている。結果として、隣接する画素との間の寄生容量は、コンデンサCst1のボトムプレートにのみ結合される。このボトムプレートは、ローインピーダンスノードであり、
図8Bの実施形態と比べると、画素クロストークの影響を比較的受けにくい。更に、ゲート層840は、上方のトランジスタTdriveからの追加の光シールドを提供することができ、これにより、アノード層のより柔軟なパターン形成を可能にすることができる。シールド840はまた、トランジスタTdriveのチャネルへの水素の浸透を防止又は軽減するために役立ち得る。1つの好適な実施形態では、上部コンデンサ電極840は、様々な積層された金属を含んでもよい。例として、上部コンデンサ電極は、チタン又はタングステン又は他の好適な水素遮断材料などの水素シールド材料を使用して形成されてもよく、これは、任意選択として、モリブデン、アルミニウム、銅、銀、又は他の比較的導電性の高い金属などの、比較的導電性の高い材料と組み合わせることもできる。
【0072】
言い換えれば、酸化物半導体トランジスタTdriveに重ねて直接コンデンサCst1を形成することは、(1)発生する可能性のある画素クロストーク問題を軽減するための酸化物ゲート導体の電気的シールド、(2)より柔軟性の高いアノード層パターン形成を可能にするための酸化物半導体トランジスタの光学的シールド、及び(3)酸化物半導体トランジスタのチャネル領域への水素浸透のシールド、という技術的利点を提供するために役立ち得る。
【0073】
図8B及び8Cに示されるディスプレイ積層体は、
図3~
図7に示される画素配列のいずれに適用されてもよい。一般に、表示画素22内の様々な酸化物半導体トランジスタはいずれも、
図8Cに示されるダブルゲート構造を有してもよく、それらのトランジスタのゲート導体は、任意選択として、
図8Cに示すように最上部のGE2層を使用してシールドされてもよい。表示画素22が2つ以上のコンデンサを含むシナリオでは、所望の電気的及び/又は光学的保護を提供するために、酸化物半導体トランジスタのうち1つ以上に重ねて、又はLTPSトランジスタのうち1つ以上に重ねて、どのような追加のコンデンサを積層してもよい。
【0074】
図9は、2つの酸化物半導体トランジスタがディスプレイ積層体内の異なる層に形成されている
図3Aの表示画素の一部分を示す側断面図である。
図9に示すように、第1の酸化物半導体トランジスタToxide1は、第1のゲート絶縁(GI1)層806上に直接形成された活性酸化物半導体層(816-1とラベル付けされている)を有してもよく、対して、第2の酸化物半導体トランジスタToxide2は、酸化物バッファ層811上に直接形成された活性酸化物半導体層(816-2とラベル付けされている)を有してもよい。言い換えれば、層816-1は、層816-2の上方に形成されてもよく、逆に、層816-2は、層816-1の下方に形成されてもよい。トランジスタToxide1とToxide2の酸化物層が異なる層に形成されていても、トランジスタToxide1のゲート820とトランジスタToxide2のゲート820は、同じ層に形成されてもよい。第2のゲート絶縁(GI2)層818は、ゲート層820の直下に形成されてもよい。第1の酸化物ILD層822が層820上に形成されてもよく、第2の酸化物ILD層825が層822上に形成されてもよい。トランジスタToxide1は、トランジスタToxide2のゲート絶縁体厚さよりも大きいか、それより小さいか、又はそれと等しい、ゲート絶縁体の厚さを有してもよい。
【0075】
1つの好適な配置では、Toxide1が駆動トランジスタTdriveを表してもよく、対して、Toxide2がゲート設定トランジスタTgd、初期化トランジスタTini、又は画素22の他の酸化物半導体トランジスタ(存在する場合)のいずれかを表してもよい。別の好適な配置では、Toxide2が駆動トランジスタTdriveを表してもよく、対して、Toxide1がゲート設定トランジスタTgd、初期化トランジスタTini、又は画素22の他の酸化物半導体トランジスタ(存在する場合)のいずれかを表してもよい。
図9の例では、蓄積コンデンサCstは、酸化物ゲート層820を使用して形成されたボトムプレート及び、ゲート金属層823を使用して形成されたトッププレートを有してもよい。
【0076】
図9の例は、ただ1つの平坦化層を示す。ただし、この配置は単に例示であり、本実施形態の範囲を限定することを意図するものではない。所望であれば、少なくとも2つの平坦化層をディスプレイ積層体全体に実装してもよい。使用され得る、そのような二重平坦化層構成が、引用により全体が本明細書に組み込まれる、Onoら(2017年10月10日に出願された共有されている米国特許出願第15/729,330号)に詳細に記載されている。更に、
図9の例は、酸化物半導体トランジスタToxide1及びToxide2に対して横方向に形成された蓄積コンデンサCst1を示す(例えば、OxGEを使用して形成された1つの電極及びGE2を使用して形成された別の電極を有するコンデンサCst1など)。この構成もまた、単なる例示である。所望であれば、蓄積コンデンサCst1は、強化された電気的、光学的、及び水素浸透のシールドを提供するために、
図8Bに示されるタイプの配置を使用して、Toxide1又はToxide2のいずれかに重ねて積層されていてもよい。
【0077】
一実施形態によれば、表示画素が提供され、表示画素は、アノード端子及びカソード端子を有する有機発光ダイオードと、有機発光ダイオードと直列に結合された酸化物半導体駆動トランジスタであって、ゲート端子、ドレイン端子、及びソース端子を有する、酸化物半導体駆動トランジスタと、酸化物半導体駆動トランジスタのゲート端子に結合された第1の端子及びその有機発光ダイオードのアノード端子に結合された第2の端子とを有する蓄積コンデンサと、を備える。
【0078】
別の実施形態によれば、表示画素は、酸化物半導体駆動トランジスタのドレイン端子とゲート端子にわたって結合された酸化物半導体ゲート電圧設定トランジスタを含む。
【0079】
別の実施形態によれば、表示画素は、初期化電圧が提供される初期化ラインと、初期化ラインと有機発光ダイオードのアノード端子との間に結合された酸化物半導体初期化トランジスタと、を備える。
【0080】
別の実施形態によれば、表示画素は、初期化電圧が提供される初期化ラインと、初期化ラインと有機発光ダイオードのアノード端子との間に結合された酸化物半導体初期化トランジスタと、を備える。
【0081】
別の実施形態によれば、表示画素は、酸化物半導体駆動トランジスタと有機発光ダイオードのアノード端子との間に直列に結合されたp型シリコン発光トランジスタを含む。
【0082】
別の実施形態によれば、p型シリコン発光トランジスタ及び酸化物半導体初期化トランジスタは、発光制御回路によって生成された発光制御信号を受信するように構成されている。
【0083】
別の実施形態によれば、表示画素は、正の電源ラインと、正の電源ラインと酸化物半導体駆動トランジスタとの間に直列に結合された追加のp型シリコン発光トランジスタと、を含む。
【0084】
別の実施形態によれば、表示画素は、データラインと、データラインと酸化物半導体駆動トランジスタの前記ソース端子との間に結合されたp型シリコンデータローディングトランジスタと、を含む。
【0085】
別の実施形態によれば、表示画素は、酸化物半導体ゲート電圧設定トランジスタに第1の走査信号を提供するように構成された第1の走査ラインと、p型シリコンデータローディングトランジスタに第2の走査信号を提供するように構成された第2の走査ラインと、を含む。
【0086】
別の実施形態によれば、蓄積コンデンサは、酸化物半導体駆動トランジスタの上方に積層されており、酸化物半導体駆動トランジスタにシールドを提供する。
【0087】
別の実施形態によれば、酸化物半導体駆動トランジスタは、活性酸化物半導体材料と、活性酸化物半導体材料の上方に形成されたトップゲート導体と、活性酸化物半導体材料の下方に形成され、酸化物半導体駆動トランジスタのゲート端子又はソース端子のうち選択された1つに結合されたボトムゲート導体と、を含む。
【0088】
一実施形態によれば、ディスプレイが提供され、このディスプレイは、シリコントランジスタと、シリコントランジスタの上方に形成された酸化物半導体トランジスタと、酸化物半導体トランジスタの上に積層された蓄積コンデンサであって、酸化物半導体トランジスタを少なくとも部分的にシールドすることによって、画素クロストークを減少させ、水素が酸化物半導体トランジスタのチャネル内に浸透するのを防ぐように構成されている、蓄積コンデンサと、を含む。
【0089】
別の実施形態によれば、蓄積コンデンサは、酸化物半導体トランジスタのゲート端子に直接接続された第1の端子及び、シリコントランジスタのドレイン端子に直接接続された第2の端子を有する。
【0090】
別の実施形態によれば、酸化物半導体トランジスタはボトムゲート導体を有し、シリコントランジスタはトップゲート導体を有し、酸化物半導体トランジスタのボトムゲート導体及びシリコントランジスタのトップゲート導体は、同じ導電層から形成される。
【0091】
別の実施形態によれば、酸化物半導体トランジスタは、第1のゲート導体と、酸化物半導体トランジスタのゲート端子又はソース端子のうち選択された1つに結合された第2のゲート導体と、を含む。
【0092】
別の実施形態によれば、酸化物半導体トランジスタは、蓄積コンデンサのボトムプレートとして構成されたゲート導体を有する。
【0093】
別の実施形態によれば、蓄積コンデンサは酸化物半導体トランジスタのゲート導体を覆っているトッププレートを有し、蓄積コンデンサのトッププレートは、酸化物半導体トランジスタに電気的シールド及び光学的シールドを提供する。
【0094】
一実施形態によれば、ディスプレイが提供され、このディスプレイは、アノード端子及びカソード端子を有する発光ダイオードと、第1の層に形成された酸化物半導体材料を有し、第1のゲート導体を有する第1の酸化物半導体トランジスタであって、発光ダイオードのアノード端子に結合された駆動トランジスタを含む、第1の酸化物半導体トランジスタと、第1の層とは異なる第2の層に形成された半導体材料を有する第2のゲート導体を有する、第2の酸化物半導体トランジスタと、を含む。
【0095】
別の実施形態によれば、第1のゲート導体及び第2のゲート導体は、同じゲート層に形成される。
【0096】
別の実施形態によれば、ディスプレイは、第1の酸化物半導体トランジスタの半導体材料の下方に形成された第1のゲート金属と、第2の酸化物半導体トランジスタの半導体材料の下方に形成された第2のゲート金属とを含み、第1のゲート金属及び第2のゲート金属は同じゲート金属層に形成される。
【0097】
別の実施形態によれば、ディスプレイは、アノード端子と第1のゲート導体との間に形成された、ただ1つの平坦化層を含む。
【0098】
別の実施形態によれば、第1の層は、第2の層の上方又は下方にある。
【0099】
別の実施形態によれば、ディスプレイは、第1のゲート導体と同じゲート層に形成された第1の端子を有する蓄積コンデンサを含む。
【0100】
別の実施形態によれば、蓄積コンデンサは、第1の端子の上方の金属層に形成された第2の端子を有する。
【0101】
前述は単なる例示であり、当業者は、記載された実施形態の範囲及び精神から逸脱することなく、様々な修正を行うことができる。前述の実施形態は、個別に実装されてもよいし、どのような組み合わせで実装されてもよい。
【手続補正書】
【提出日】2022-06-03
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アノード端子及びカソード端子を有する有機発光ダイオードと、
前記有機発光ダイオードと直列に結合された酸化物半導体駆動トランジスタであって、ゲート端子、ドレイン端子、及びソース端子を含む、酸化物半導体駆動トランジスタと、
前記酸化物半導体駆動トランジスタの前記ゲート端子に結合された第1の端子、及び前記有機発光ダイオードの前記アノード端子に結合された第2の端子を有する、蓄積コンデンサと、
を備える表示画素。
【請求項2】
前記酸化物半導体駆動トランジスタの前記ドレイン端子と前記ゲート端子にわたって結合された酸化物半導体ゲート電圧設定トランジスタを更に備える、
請求項1に記載の表示画素。
【請求項3】
初期化電圧が提供される初期化ラインと、
前記初期化ラインと前記有機発光ダイオードの前記アノード端子との間に結合された酸化物半導体初期化トランジスタと、
を更に備える、請求項1に記載の表示画素。
【請求項4】
初期化電圧が提供される初期化ラインと、
前記初期化ラインと前記有機発光ダイオードの前記アノード端子との間に結合された酸化物半導体初期化トランジスタと、
前記酸化物半導体駆動トランジスタと前記有機発光ダイオードの前記アノード端子との間に直列に結合されたp型シリコン発光トランジスタと、
を更に備える、請求項2に記載の表示画素。
【請求項5】
前記p型シリコン発光トランジスタ及び前記酸化物半導体初期化トランジスタが、発光制御回路によって生成された発光制御信号を受信するように構成されている、請求項4に記載の表示画素。
【請求項6】
正の電源ラインと、
前記正電源ラインと前記酸化物半導体駆動トランジスタとの間に直列に結合された追加のp型シリコン発光トランジスタと、
データラインと、
前記データラインと前記酸化物半導体駆動トランジスタの前記ソース端子との間に結合されたp型シリコンデータローディングトランジスタと、
前記酸化物半導体ゲート電圧設定トランジスタに第1の走査信号を提供するように構成された第1の走査ラインと、
前記p型シリコンデータローディングトランジスタに第2の走査信号を提供するように構成された第2の走査ラインと、
を更に備える、請求項4に記載の表示画素。
【請求項7】
前記蓄積コンデンサが、前記酸化物半導体駆動トランジスタの上方に積層されており、前記酸化物半導体駆動トランジスタのシールドを提供する、請求項1に記載の表示画素。
【請求項8】
前記酸化物半導体駆動トランジスタが、
活性酸化物半導体材料と、
前記活性酸化物半導体材料の上方に形成されたトップゲート導体と、
前記活性酸化物半導体材料の下方に形成され、前記酸化物半導体駆動トランジスタの前記ゲート端子又は前記ソース端子のうち選択された1つに結合されたボトムゲート導体と、
を含む、請求項1に記載の表示画素。
【請求項9】
シリコントランジスタと、
前記シリコントランジスタの上方に形成された酸化物半導体トランジスタと、
前記酸化物半導体トランジスタの上方に積層された蓄積コンデンサであって、前記酸化物半導体トランジスタを少なくとも部分的にシールドすることによって、画素クロストークを減少させ、水素が前記酸化物半導体トランジスタのチャネル内に浸透するのを防止するように構成されている、蓄積コンデンサと、
を備える、ディスプレイ。
【請求項10】
前記蓄積コンデンサが、前記酸化物半導体トランジスタのゲート端子に直接接続された第1の端子及び、前記シリコントランジスタのドレイン端子に直接接続された第2の端子を有する、請求項9に記載のディスプレイ。
【請求項11】
前記酸化物半導体トランジスタがボトムゲート導体を有し、前記シリコントランジスタがトップゲート導体を有し、前記酸化物半導体トランジスタの前記ボトムゲート導体及び前記シリコントランジスタの前記トップゲート導体が同じ導電層から形成されている、請求項9に記載のディスプレイ。
【請求項12】
前記酸化物半導体トランジスタが、
第1のゲート導体と、
前記酸化物半導体トランジスタのゲート端子又はソース端子のうち選択された1つに結合された第2のゲート導体と、
を含む、請求項9に記載のディスプレイ。
【請求項13】
前記酸化物半導体トランジスタが、前記蓄積コンデンサのボトムプレートとして構成されたゲート導体を有する、請求項9に記載のディスプレイ。
【請求項14】
前記蓄積コンデンサが前記酸化物半導体トランジスタの前記ゲート導体を覆っているトッププレートを有し、前記蓄積コンデンサの前記トッププレートが、前記酸化物半導体トランジスタに電気的シールド及び光学的シールドを提供する、請求項9に記載のディスプレイ。
【請求項15】
アノード端子及びカソード端子を有する発光ダイオードと、
第1の層に形成された酸化物半導体材料を有し、第1のゲート導体を有する第1の酸化物半導体トランジスタであって、前記発光ダイオードの前記アノード端子に結合された駆動トランジスタを含む、第1の酸化物半導体トランジスタと、
前記第1の層とは異なる第2の層に形成された半導体材料を有し、第2のゲート導体を有する第2の酸化物半導体トランジスタと、
を備える、ディスプレイ。
【請求項16】
前記第1のゲート導体及び前記第2のゲート導体が同じゲート層に形成されている、請求項15に記載のディスプレイ。
【請求項17】
前記第1の酸化物半導体トランジスタの前記半導体材料の下方に形成された第1のゲート金属と、
前記第2の酸化物半導体トランジスタの前記半導体材料の下方に形成された第2のゲート金属であって、前記第1のゲート金属及び前記第2のゲート金属が同じゲート金属層に形成されている、第2のゲート金属と、
を更に備える、請求項15に記載のディスプレイ。
【請求項18】
前記アノード端子と前記第1のゲート導体との間に形成された、ただ1つの平坦化層を更に備える、請求項15に記載のディスプレイ。
【請求項19】
前記第1の層が前記第2の層の上方又は下方にある、請求項15に記載のディスプレイ。
【請求項20】
前記第1のゲート導体と同じゲート層に形成された第1の端子を有する蓄積コンデンサを更に備え、
前記蓄積コンデンサが、前記第1の端子の上方の金属層に形成された第2の端子を有する、請求項15に記載のディスプレイ。
【国際調査報告】