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特表2023-504702インプラント挿入ツールのための取り外し可能な傾斜ガイドおよび関連する外科的方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-06
(54)【発明の名称】インプラント挿入ツールのための取り外し可能な傾斜ガイドおよび関連する外科的方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/90 20060101AFI20230130BHJP
【FI】
A61B17/90
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022533516
(86)(22)【出願日】2020-12-04
(85)【翻訳文提出日】2022-06-20
(86)【国際出願番号】 EP2020084686
(87)【国際公開番号】W WO2021110941
(87)【国際公開日】2021-06-10
(31)【優先権主張番号】16/702,833
(32)【優先日】2019-12-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516312682
【氏名又は名称】デピュイ・アイルランド・アンリミテッド・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】DEPUY IRELAND UNLIMITED COMPANY
【住所又は居所原語表記】Loughbeg Industrial Estate, Ringaskiddy, County Cork, Ireland
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ベック・クリントン・エイ
(72)【発明者】
【氏名】ぺドル・ダロン・ジー
(72)【発明者】
【氏名】アンダーソン・ジェームズ・エイ
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160LL12
4C160LL26
(57)【要約】
外科手術中にインプラント挿入ツールで使用するための傾斜ガイド(10)は、一体型本体を含み、一体型本体は、インプラント挿入ツールの装着面に結合されるように構成されたクリップ(12)と、クリップから延びる細長いライザー(14)と、細長いライザーから遠位端部(40)まで延びる細長いインジケータ(16)とを有する。そのような設計は、組み立て後に容易かつ迅速に調整することができる安価かつ軽量の傾斜ガイドを可能にする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外科手術中にインプラント挿入ツールで使用するための傾斜ガイドであって、前記傾斜ガイドは一体型本体を含み、前記一体型本体は、
前記インプラント挿入ツールの装着面に結合されるように構成されたクリップであって、内部容積、及び前記内部容積を通って延びる仮想ツール軸線を画定する、クリップと、
前記仮想ツール軸線から離れる方向に前記クリップから第1の関節部まで延びる細長いライザーと、
前記細長いライザーの前記第1の関節部から遠位端部まで延びる細長いインジケータであって、前記細長いインジケータと前記仮想ツール軸線とで指示角度を規定する、細長いインジケータと、を備える、傾斜ガイド。
【請求項2】
前記一体型本体が、成形ポリマー本体を含む、請求項1に記載の傾斜ガイド。
【請求項3】
前記一体型本体が、ポリフェニルスルホン(PPSU)で形成されている、請求項2に記載の傾斜ガイド。
【請求項4】
前記一体型本体が、金属材料で形成されている、請求項1に記載の傾斜ガイド。
【請求項5】
前記クリップが、前記細長いライザーから離れる方向に第1の端部まで延びる第1の湾曲アームと、前記細長いライザーから離れる方向に第2の端部まで延びる第2の湾曲アームとを備え、前記第1の湾曲アーム及び前記第2の湾曲アームが協働して、前記内部容積を画定し、前記第1の端部及び前記第2の端部が協働して、前記内部容積へのアクセスを提供するスロットを画定する、請求項1に記載の傾斜ガイド。
【請求項6】
前記第1の湾曲アームの前記第1の端部の第1の丸みを帯びたレッジと、前記第2の湾曲アームの前記第2の端部の第2の丸みを帯びたレッジとを更に備え、前記第1の丸みを帯びたレッジ及び前記第2の丸みを帯びたレッジのそれぞれが、前記スロットから離れる方向に湾曲している、請求項5に記載の傾斜ガイド。
【請求項7】
前記第1の湾曲アームの前記第1の端部及び前記第2の湾曲アームの前記第2の端部のそれぞれが、面取りされた縁部を有し、前記面取りされた縁部が、前記インプラント挿入ツールに係合するように、及び前記インプラント挿入ツールと係合したときに前記スロットをこじ開けるように構成されている、請求項5に記載の傾斜ガイド。
【請求項8】
前記第1の湾曲アーム及び前記第2の湾曲アームが、前記インプラント挿入ツールの円筒形装着面に係合するように構成された平凹状の内面を画定する、請求項5に記載の傾斜ガイド。
【請求項9】
前記第1の湾曲アーム及び前記第2の湾曲アームが、前記インプラント挿入ツールの円錐台装着面に係合するように構成されたテーパ状の凹状内面を画定する、請求項5に記載の傾斜ガイド。
【請求項10】
前記クリップが、前記クリップが前記装着面に結合されている間、前記インプラント挿入ツールの前記装着面に向かい合う内面を備え、前記内面が3つの接触点を含み、前記3つの接触点のそれぞれが、前記インプラント挿入ツールの前記装着面に係合するように構成されている、請求項1に記載の傾斜ガイド。
【請求項11】
前記クリップが、前記クリップの内面から前記仮想ツール軸線に向かって前記内部容積内に内向きに延びる第1の歯及び第2の歯を備え、前記第1の歯及び前記第2の歯が、前記装着面のそれぞれの溝部に係合するように構成されている、請求項1に記載の傾斜ガイド。
【請求項12】
前記装着面が、前記仮想ツール軸線に平行な複数の隆起部を備え、各対の隆起部が、溝部によって分離されている、請求項11に記載の傾斜ガイド。
【請求項13】
前記クリップが、前記細長いライザーから離れる方向に第1の端部まで延びる第1の湾曲アームと、前記細長いライザーから離れる方向に第2の端部まで延びる第2の湾曲アームとを備え、前記第1の湾曲アーム及び前記第2の湾曲アームが協働して、前記内部容積を画定し、前記第1の端部及び前記第2の端部が協働して、前記内部容積へのアクセスを提供するスロットを画定し、前記第1の歯が、前記第1の湾曲アームの前記第1の端部にあり、前記第2の歯が、前記第2の湾曲アームの前記第2の端部にある、請求項11に記載の傾斜ガイド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、整形外科用の手術器具に関し、より具体的には、寛骨臼カップコンポーネントの試用及び設置に使用される手術器具に関する。
【背景技術】
【0002】
関節形成術は、病変した生体関節及び/又は損傷した生体関節を人工関節に置換する、周知の外科手術である。例えば、股関節形成術では、患者の自然の股関節の臼状関節を部分的又は全体的に人工股関節で置換する。典型的な人工股関節は、寛骨臼カップコンポーネント及び大腿骨頭コンポーネントを含んでいる。寛骨臼カップコンポーネントは、概して、患者の寛骨臼に係合するように構成された外側シェルと、このシェルに結合され、大腿骨頭と係合するように構成された内側ベアリング又はライナーとを備えている。大腿骨頭コンポーネントと、寛骨臼コンポーネントの内側ライナーとは、自然の股関節に近い臼状関節を形成する。
【0003】
自然関節の人工股関節による置換を容易にするために、整形外科医は、例えば、リーマー、ドリルガイド、ドリル、ポジショナー、挿入ツール、及び/又は他の手術器具などの様々な整形外科用手術器具を使用することができる。寛骨臼コンポーネントは、典型的には、寛骨臼プロテーゼコンポーネント挿入器を用いて患者の寛骨臼に挿入される。患者の骨の解剖学的構造に対して寛骨臼プロテーゼコンポーネントがうまく位置合わせされないと、時間が経つにつれて、及び人工股関節の使用につれて、コンポーネントの緩み及び/又は転位が生じ得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
一態様によれば、外科手術中にインプラント挿入ツールで使用するための傾斜ガイドは、一体型本体を含み、一体型本体は、インプラント挿入ツールの装着面に結合されるように構成されたクリップと、クリップから第1の関節部まで延びる細長いライザーと、細長いライザーの第1の関節部から遠位端部まで延びる細長いインジケータとを有する。クリップは、内部容積と、内部容積を通って延びる仮想ツール軸線とを画定する。細長いライザーは、仮想ツール軸線から離れる方向にクリップから第1の端部まで延びる。細長いインジケータと仮想ツール軸線とで指示角度を規定する。
【0005】
一実施形態では、一体型本体は、成形ポリマー本体である。一体型本体は、ポリフェニルスルホン(polyphenylsulfone、PPSU)で形成されていてもよい。別の実施形態では、一体型本体は、金属材料で形成されていてもよい。
【0006】
一実施形態では、クリップは、細長いライザーから離れる方向に第1の端部まで延びる第1の湾曲アームと、細長いライザーから離れる方向に第2の端部まで延びる第2の湾曲アームとを備える。第1の湾曲アーム及び第2の湾曲アームは協働して、内部容積を画定する。第1の端部及び第2の端部は協働して、内部容積へのアクセスを提供するスロットを画定する。
【0007】
一実施形態では、第1の丸みを帯びたレッジが、第1の湾曲アームの第1の端部に含まれ、第2の丸みを帯びたレッジが、第2の湾曲アームの第2の端部に含まれている。第1の丸みを帯びたレッジ及び第2の丸みを帯びたレッジのそれぞれは、スロットから離れる方向に湾曲している。
【0008】
一実施形態では、第1の湾曲アームの第1の端部及び第2の湾曲アームの第2の端部のそれぞれは、面取りされた縁部を有する。面取りされた縁部は、インプラント挿入ツールに係合するように、及びインプラント挿入ツールと係合したときにスロットをこじ開けるように構成されている。
【0009】
一実施形態では、第1の湾曲アーム及び第2の湾曲アームは、インプラント挿入ツールの円筒形装着面に係合するように構成された平凹状の内面を画定することができる。別の実施形態では、第1の湾曲アーム及び第2の湾曲アームは、インプラント挿入ツールの円錐台装着面に係合するように構成されたテーパ状の凹状内面を画定することができる。
【0010】
一実施形態では、クリップは、クリップが装着面に結合されている間、インプラント挿入ツールの装着面に向かい合う内面を備える。内面は3つの接触点を含み、3つの接触点のそれぞれは、インプラント挿入ツールの装着面に係合するように構成されている。
【0011】
一実施形態では、クリップは、クリップの内面から仮想ツール軸線に向かって内部容積内に内向きに延びる第1の歯及び第2の歯を備える。第1の歯及び第2の歯は、装着面のそれぞれの溝部に係合するように構成されている。装着面は、仮想ツール軸線に平行な複数の隆起部を備えることができる。各対の隆起部は、溝部によって分離されている。
【0012】
一実施形態では、クリップは、細長いライザーから離れる方向に第1の端部まで延びる第1の湾曲アームと、細長いライザーから離れる方向に第2の端部まで延びる第2の湾曲アームとを備える。第1の湾曲アーム及び第2の湾曲アームは協働して、内部容積を画定する。第1の端部及び第2の端部は協働して、内部容積へのアクセスを提供するスロットを画定する。第1の歯は、第1の湾曲アームの第1の端部にあり、第2の歯は、第2の湾曲アームの第2の端部にある。
【0013】
別の態様によれば、患者の股関節の外科的に準備された寛骨臼に対して整形外科手術を行う方法は、インプラント挿入ツールの一部分を傾斜ガイドのクリップ内のスロットに通すことによって、インプラント挿入ツールとは別体である傾斜ガイドをインプラント挿入ツールに取り付けることと、傾斜ガイドの取り付けに応答して、インプラント挿入ツールの遠位端部を患者の股関節の外科的に準備された寛骨臼に挿入することと、インプラント挿入ツールの遠位端部が外科的に準備された寛骨臼に挿入されている間に、傾斜ガイドの細長いインジケータを使用してインプラント挿入ツールの傾斜角度を測定することと、を含む。
【0014】
一実施形態では、方法は、傾斜ガイドを取り付けることに続いて、インプラント挿入ツールの本体によって画定されたツール軸線を中心に傾斜ガイドを回転させることを更に含み得る。傾斜ガイドを回転させることに続いて、傾斜角度を測定することができる。
【0015】
一実施形態では、傾斜ガイドを取り付けることは、クリップの歯をインプラント挿入ツールの装着面の第1の溝部と係合させることを含み、傾斜ガイドを回転させることは、クリップの歯を装着面の第1の溝部から第2の溝部に移動させることを含む。装着面は、ツール軸線に平行な複数の隆起部を備え、各対の隆起部は、溝部によって分離されている。
【0016】
別の実施形態では、方法は、傾斜ガイドを取り付けることに続いて、インプラント挿入ツールのツール軸線に沿った方向に傾斜ガイドを摺動させることを更に含み、これにより、クリップの内面がインプラント挿入ツールの円錐台装着面と係合する。
【0017】
一実施形態では、傾斜ガイドを取り付けることは、クリップの各端部の一対の丸みを帯びたレッジを押圧することを含む。
【0018】
一実施形態では、方法は、傾斜角度を測定することに続いて、インプラント挿入ツールの一部分をクリップ内のスロットの外に通過させることによって、傾斜ガイドを取り外すことを更に含む。傾斜ガイドを取り外すことは、クリップの各端部の一対の丸みを帯びたレッジを引っ張ることを含み得る。
【図面の簡単な説明】
【0019】
詳細な説明は、具体的には、以下の図面を参照する。
図1】インプラント挿入ツールで使用するための位置合わせガイドの斜視図である。
図2】位置合わせガイドがインプラント挿入ツールの近くに位置付けられて、インプラント挿入ツールに取り付けられるプロセスにあるところを示す、図1の位置合わせガイド及びインプラント挿入ツールの側面図である。
図3】位置合わせガイドがインプラント挿入ツールにクリップ留めされている又は取り付けられているところを示す、図1図2の位置合わせガイド及びインプラント挿入ツールの側面図である。
図4】インプラント挿入ツールの軸線を中心に位置合わせガイドを回転させているところを示す、図1図3の位置合わせガイド及びインプラント挿入ツールの側面図である。
図5】位置合わせガイドがインプラント挿入ツール上にロックされているところを示す、図1図4の位置合わせガイド及びインプラント挿入ツールの側面図である。
図6】インプラント挿入ツールで使用するための位置合わせガイドの別の例示的な実施形態の斜視図である。
図7】位置合わせガイドがインプラント挿入ツールの近くに位置付けられて、インプラント挿入ツールに取り付けられるプロセスにあるところを示す、図6の位置合わせガイド及びインプラント挿入ツールの側面図である。
図8】位置合わせガイドがインプラント挿入ツール上にロックされているところを示す、図6図7の位置合わせガイド及びインプラント挿入ツールの側面図である。
図9】インプラント挿入ツール用の位置合わせガイドの別の例示的な実施形態の斜視図である。
図10】位置合わせガイドがインプラント挿入ツールの近くに位置付けられて、インプラント挿入ツールに取り付けられるプロセスにあるところを示す、図9の位置合わせガイド及びインプラント挿入ツールの側面図である。
図11】位置合わせガイドがインプラント挿入ツール上にロックされているところを示す、図9図10の位置合わせガイド及びインプラント挿入ツールの側面図である。
図12】インプラント挿入ツールの軸線を中心に位置合わせガイドを回転させているところを示す、図9図11の位置合わせガイド及びインプラント挿入ツールの側面図である。
図13図1図12の位置合わせガイド及びインプラント挿入ツールを使用することによって、寛骨臼カップコンポーネントを患者の股関節の寛骨臼に設置しているところを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本開示の概念は、様々な修正形態及び代替的形態にしやすいが、その特定の例示的な実施形態を例として図面に示し、本明細書において詳細に説明する。ただし、本開示の概念を、開示される特定の形態に限定することは意図するところではなく、その逆に、本発明の趣旨及び範囲に含まれるすべての改変物、均等物、及び代替物を網羅することがその意図するところである点が理解されるべきである。
【0021】
前側、後側、内側、外側、上側、下側等々などの、解剖学的構造の参照を表す用語は、本開示の全体を通じて、本明細書に述べられる整形外科用インプラント及び患者の自然の解剖学的構造の両方について使用される場合がある。このような用語は、解剖学の研究及び整形外科学の分野のいずれにおいても十分に理解された意味を有する。本明細書及び特許請求の範囲におけるかかる解剖学的基準用語の使用は、特に断らないかぎり、それらの広く理解された意味と一致するものとする。
【0022】
ここで図1図5を参照すると、整形外科手術中に、患者の寛骨臼に寛骨臼カップコンポーネントを挿入するためのインプラント挿入ツール44で使用するための位置合わせガイド10が示されている。以下でより詳細に説明するように、位置合わせガイド10は、インプラント挿入ツール44で組み立てられるように構成されており、位置合わせガイド10の径方向角度は、組み立て後に、整形外科医又は介護者が望むように調整することができる。更に後述するように、位置合わせガイド10は、真っ直ぐな及び湾曲したインプラント挿入ツールを含む、様々な異なるタイプの挿入ツールで使用することができる。したがって、位置合わせガイド10は、外科医の選好に適応可能でありながら、使いやすさを改善し、手術時間を短縮することができる。加えて、いくつかの実施形態では、位置合わせガイド10は、軽量材料から低コストで構成され得る。本開示の概念は、整形外科股関節手術で使用するためのインプラント挿入ツールに関して本明細書に記載されているが、本開示の概念は、特に横方向の位置合わせが必要とされる他の手術で、他のタイプの位置合わせガイドの設計に利用され得ることを理解されたい。
【0023】
例示的な位置合わせガイド10は、単一の成形ポリマー片から形成された一体型本体を有する。例えば、位置合わせガイド10は、ポリフェニルスルホン(PPSU)などのスルホンポリマーで形成されてもよい。追加的に又は代替的に、いくつかの実施形態では、位置合わせガイド10は、任意の弾性ポリマー材料で形成されてもよい。あるいは、他の実施形態では、位置合わせガイド10は、金属材料で形成されていてもよい。
【0024】
位置合わせガイド10は、クリップ12、ライザー14、及び細長いインジケータ16を備える。クリップ12は、内部容積22を画定する一対の湾曲アーム18、20、並びに内部容積22を通って延びる仮想軸線24を含む。アーム18、20は、アーム18の遠位端部28からアーム20の遠位端部30まで延びる内面26を含む。端部28、30は、それらの間に、そこを通って内部容積22にアクセス可能であるスロット32を画定する。
【0025】
更に後述するように、位置合わせガイド10がインプラント挿入ツール44に結合されるとき、インプラント挿入ツール44の一部分は、スロット32を通過して内部容積22内に入り、アーム18、20の内面26は、インプラント挿入ツール44の対応する装着面に接触するか、又は係合する。対応するアーム18、20の各端部28、30は、対応する面取りされた縁部34、36を含む。スロット32は、挿入ツール44の本体と比較して寸法が小さいため、面取りされた縁部34、36がインプラント挿入ツール44の本体と係合するときに、アーム18、20は離れるように付勢され、これによりスロット32の幅が広がって、図2及び図3に示されるように、インプラント挿入ツール44が内部容積22内まで通過することが可能となる。
【0026】
位置合わせガイド10のライザー14は、軸線24に垂直なクリップ12から離れる方向に、くの字に曲がった関節部38に向かって延びる。例示的なライザー14は、クリップ12から垂直に延びる支柱として具体化されているが、ライザー14は別の形状を有してもよく、及び/又は他の実施形態では軸線24から離れる方向に別の角度で延びてもよいことを理解されたい。更に、いくつかの実施形態では、ライザー14は、例えば、突起部、ギザギザ、又は他の把持強化特徴を含むことによって、外科医の把持面を提供するように適合されてもよい。
【0027】
インジケータ16は、ライザー14のくの字に曲がった関節部38から遠位端部40まで延びる。例示的なインジケータ16は、支柱として具体化されていが、ライザー14と同様に、他の実施形態では、インジケータ16は他の形状であり得る。インジケータ16と軸線24とで指示角度42を規定する。例示的な指示角度42は35度と規定されているが、他の実施形態では、指示角度42は40度又は別の角度であってもよい。いくつかの実施形態では、指示角度42の大きさは、クリップ12に成形されてもよく、又は別様にラベル又はテキストを介して位置合わせガイド10上に視覚的に示されてもよい。更に後述するように、外科医は、寛骨臼カップを患者の股関節に設置するときに、インジケータ16を使用して寛骨臼カップの傾斜角を視覚的に測定及び確認することができる。外科医は、所望の指示角度42に基づいて複数の位置合わせガイド10の中から選択することができる。
【0028】
特定の指示角度42は、所望の外科的アプローチ、寛骨臼カップの所望の最終傾斜角度、手術台との関係における患者の股関節の位置合わせ、及び/又は他の要因に基づいて選択されてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、患者の股関節の角度、寛骨臼カップの所望の最終傾斜角度、及び指示角度42は、合計して90度(すなわち、手術室に対して垂直)になる場合がある。一例として、後方からの外科的アプローチの場合、患者の位置合わせ角度は10度であり得、寛骨臼カップの所望の最終傾斜角度は45度であり得、指示角度42は35度であり得るので、寛骨臼カップが45度に適切に位置合わせされると、インジケータ16は手術室に対して実質的に垂直となる。別の例として、前方からの外科的アプローチの場合、患者の位置合わせ角度は5度であり得、寛骨臼カップの所望の最終傾斜角度は45度であり得、指示角度42は40度であり得る。当然ながら、他の角度が使用されてもよい。
【0029】
ここで図2図5を参照すると、使用中、位置合わせガイド10は、上述のようにインプラント挿入ツール44に取り付けることができる。例示的なインプラント挿入ツール44は、細長い金属製本体46を有し、金属製本体46は、その近位端部にンパクトヘッド48を有し、その遠位端部に取付機構50を有している。本体46は、取付機構50からインパクトヘッド48まで延びる仮想ツール軸線52を画定する。インプラント挿入ツール44は、真っ直ぐな本体46を有してもよく、又は図10図12に示されるツールと同様に、いくつかの実施形態では、本体46は、例えば患者の解剖学的構造を回避するために、湾曲していてもよい。
【0030】
インプラント挿入ツール44のインパクトヘッド48は、本体46に形成された金属製の打撃プレートとして例示的に具体化されている。しかしながら、打撃プレートは、本体46に溶接された、又は別の方法で固定された、別個のコンポーネントとして具体化され得ることを理解されたい。使用中、外科医は、組み立てられたインプラント挿入ツール44を、本体46を介して保持し、外科用マレット、ハンマー、又は他の打ち込みツール(impaction tool)を用いてインパクトヘッド48を打ち、患者の外科的に準備された寛骨臼表面74に寛骨臼カップコンポーネント70を打ち込む(図13参照)。
【0031】
本体46は、本体46の一部上に形成された装着面54を含む。例示的な装着面54は、円錐台として具体化されている。しかしながら、他の実施形態では、装着面54は、円筒形であってもよく、又は別の形状を有してもよい。本体46は、装着面54に隣接する取付部分56を更に含む。例示的な実施形態では、取付部分56は、少なくとも1つの寸法において装着面54よりも狭い。例えば、例示的な取付部分56は、互いに対向して取付部分56の幅を縮小する平坦側部58、60を含む。
【0032】
使用中、位置合わせガイド10は、寛骨臼カップコンポーネント70を患者の外科的に準備された寛骨臼84に埋め込むために、インプラント挿入ツール44で外科医が使用することができる(図13参照)。図3に示すように、位置合わせガイド10は、取付部分56においてインプラント挿入ツール44に結合する、取り付ける、又は別の方法でクリップ留めすることができる。そうするために、外科医又は他のユーザーは、位置合わせガイド10のクリップ12を取付部分56と接触させた後、位置合わせガイド10をインプラント挿入ツール44に向かって下向き方向62に押圧する。例示的に、位置合わせガイド10がインプラント挿入ツール44に接触すると、面取りされた縁部34、36が取付部分56の平坦側部58、60と係合し、取付部56が内部容積22に入ることができるようにスロット32をこじ開ける。外科医は、内面26がインプラント挿入ツール44に接触するまで、位置合わせガイド10を方向62にインプラント挿入ツール44上に摺動させることができる。インプラント挿入ツール44と接触した後、クリップ12はツール軸線52を取り囲む。
【0033】
いくつかの実施形態では、図4に示すように、外科医又は他のユーザーは、ツール軸線52を中心に位置合わせガイド10を回転させてもよい。装着面54及び内面26は比較的滑らかであるため、位置合わせガイド10は、ツール軸線52を中心に任意の角度64まで自由に回転することができる。外科医は、個々の選好に基づいて、患者の解剖学的構造に適応させるように、又は他の理由で、角度を選択することができる。
【0034】
図5に示すように、適切な回転角度を選択した後、外科医又は他のユーザーは、位置合わせガイド10を装着面54に向かって方向66に押圧するか、又は摺動させる。位置合わせガイド10が装着面54上に移動すると、位置合わせガイド10のテーパ状の内面26は、インプラント挿入ツール44の円錐台装着面54に対して係合する。例示的な実施形態では、内面26は、内面26の3つの接触点68において装着面54に接触するように形成される。接触点68は、例えば、内面26から突出する突起部、タブ、隆起部、又は他の特徴部によって形成されてもよい。当然のことながら、他の実施形態では、追加の接触点68を使用することができる。
【0035】
係合すると、位置合わせガイド10は、装着面54上の適所に摩擦ロックを確立する。適所にロックされた後、位置合わせガイド10は、位置合わせガイド10とインプラント挿入ツール44との間の摩擦力に起因して、外科医によって選択された回転角度64に留まる。外科医は、位置合わせガイド10を方向66と反対の方向に移動させることによって、位置合わせガイド10をロック解除してもよく、これにより、外科医は、位置合わせガイド10の回転角度を調整することができる。図2図5ではテーパ嵌合を確立して示されているが、他の実施形態では、位置合わせガイド10は、任意の好適な締まり嵌めを使用してインプラント挿入ツール44上にクリップ留めされてもよいことが理解されよう。例えば、締まり嵌めを使用してインプラント挿入ツール44に取り付ける位置合わせガイド10の例示的な実施形態は、図6図12に関連して以下に示される。
【0036】
ここで図6図8を参照すると、整形外科手術中に患者の寛骨臼に寛骨臼カップコンポーネントを挿入するためのインプラント挿入ツールで使用するための位置合わせガイド100が示されている。位置合わせガイド10と同様に、例示的な位置合わせガイド100は、単一の成形ポリマー片から形成された一体型本体を有する。例えば、位置合わせガイド100は、ポリフェニルスルホン(PPSU)などのスルホンポリマーで形成されてもよい。追加的に又は代替的に、いくつかの実施形態では、位置合わせガイド100は、任意の弾性ポリマー材料で形成されてもよい。あるいは、別の実施形態では、位置合わせガイド100は、金属材料で形成されていてもよい。
【0037】
また、位置合わせガイド10と同様に、位置合わせガイド100は、クリップ12、ライザー14、及び細長いインジケータ16を備える。クリップ12は、内部容積22を画定する一対の湾曲アーム18、20、並びに内部容積22を通って延びる仮想軸線24を含む。アーム18、20は、アーム18の遠位端部28からアーム20の遠位端部30まで延びる内面26を含む。端部28、30は、それらの間に、内部容積22にアクセス可能であるスロット32を画定する。内面26は、更に後述するように、挿入ツール144の円筒形装着面154に係合する平凹曲線を形成する。
【0038】
更に後述するように、位置合わせガイド100がインプラント挿入ツール144に結合されるとき、インプラント挿入ツール144の装着面154は、スロット32を通過して内部容積22内に入り、アーム18、20の内面26は、装着面154に接触するか、又は係合する。例示的なアーム18、20は、それぞれの端部28、30に丸みを帯びたレッジ102、104を更に備える。レッジ102、104は、スロット32から離れる方向に湾曲しており、位置合わせガイド10の面取りされた縁部34、36と同様に、位置合わせガイド100の取り付け又は取り外しを容易にすることが可能であり得る。例えば、丸みを帯びたレッジ102、104がインプラント挿入ツール144の本体に係合するときに、アーム18、20は離れるように付勢され、これによりスロット32の幅が広がって、図7及び図8に示されるように、インプラント挿入ツール144が内部容積22内まで通過することが可能となる。更に、外科医は、位置合わせガイド100の取り付け又は取り外しをそれぞれ容易にするために、レッジ102、104を押圧する又は引っ張ることができる。例示的なクリップ12は、アーム18とアーム20との間に、アーム18、20が分離することを可能にする逃し開口部106を備えている。
【0039】
位置合わせガイド100のライザー14は、クリップ12及び軸線24から離れる方向に、くの字に曲がった関節部38に向かって延びる。例示的なライザー14は、外科医の把持面を提供するために、ライザー14の表面に形成された一群の突起部又は隆起部108を含む。例示的なライザー14は、中空に形成される。しかしながら、他の実施形態では、ライザー14は、中実又は他の形状であり得ることを理解されたい。例えば、いくつかの実施形態では、ライザー14は、位置合わせガイド10のライザー14と同様に、クリップ12からくの字に曲がった関節部38まで延びるロッドとして具体化されてもよい。
【0040】
インジケータ16は、ライザー14のくの字に曲がった関節部38から遠位端部40まで延びる。例示的なインジケータ16は、中空に形成されるが、ライザー14と同様に、他の実施形態では、インジケータ16は中実又は他の形状に成形されてもよい。インジケータ16と軸線24とで指示角度42を規定する。例示的な指示角度42は35度と規定されているが、他の実施形態では、指示角度42は、40度又は別の角度であってもよい。いくつかの実施形態では、指示角度42の大きさは、クリップ12に成形されてもよく、又は別様にラベル又はテキストを介して位置合わせガイド100上に視覚的に示されてもよい。更に後述するように、外科医は、寛骨臼カップを患者の股関節に設置するときに、インジケータ16を使用して寛骨臼カップの傾斜角を視覚的に測定及び確認することができる。外科医は、所望の指示角度42に基づいて複数の位置合わせガイド10の中から選択することができる。外科医は、位置合わせガイド10に関連して上述したように、特定の指示角度42を選択することができる。
【0041】
ここで図7図8を参照すると、使用中、位置合わせガイド100は、上述のようにインプラント挿入ツール144に取り付けることができる。図2図5のインプラント挿入ツールと同様に、例示的なインプラント挿入ツール144は、細長い金属製本体146を有し、金属製本体146は、その近位端部にインパクトヘッド148を有し、その遠位端部に取付機構150を有している。本体146は、取付機構150からインパクトヘッド148まで延びる仮想ツール軸線152を画定する。インプラント挿入ツール144は、真っ直ぐな本体146を有してもよく、又は図10図12に示されるツールと同様に、いくつかの実施形態では、本体146は、例えば患者の解剖学的構造を回避するために、湾曲していてもよい。本体146は、本体146の一部分に形成された装着面154を含む。例示的な装着面154は、円筒形である。
【0042】
インプラント挿入ツール144のインパクトヘッド148は、本体146に形成された金属製の打撃プレートとして例示的に具体化されている。しかしながら、打撃プレートは、本体146に溶接された、又は別の方法で固定された、別個のコンポーネントとして具体化され得ることを理解されたい。使用中、外科医は、組み立てられたインプラント挿入ツール144を、本体146を介して保持し、外科用マレット、ハンマー、又はその他の打ち込みツールを用いてインパクトヘッド148を打ち、患者の外科的に準備された寛骨臼表面74に寛骨臼カップコンポーネント70を打ち込む(図13参照)。
【0043】
使用中、位置合わせガイド100は、寛骨臼カップコンポーネント70を患者の外科的に準備された寛骨臼84に埋め込むために、インプラント挿入ツール144で外科医が使用することができる(図13参照)。図8に示すように、位置合わせガイド100は、装着面154においてインプラント挿入ツール144に結合する、取り付ける、又は別の方法でクリップ留めすることができる。そうするために、外科医又は他のユーザーは、位置合わせガイド100のクリップ12を装着面154と接触させた後、位置合わせガイド100をインプラント挿入ツール144に向かって下向き方向62に押圧する。例示的に、位置合わせガイド100がインプラント挿入ツール144に接触すると、丸みを帯びたレッジ102、104が円筒形装着面154と係合し、装着面154が内部容積22に入ることができるようにスロット32をこじ開ける。外科医は、内面26がインプラント挿入ツール144に接触するまで、位置合わせガイド100を方向62にインプラント挿入ツール144上に摺動させることができる。内面26がインプラント挿入ツール144に接触した後、クリップ12はツール軸線152を取り囲む。装着面154に取り付けられると、位置合わせガイド100は、装着面154上の適所に締まり嵌めロックを確立する。
【0044】
図4に示す位置合わせガイド10と同様に、位置合わせガイド100をインプラント挿入ツール144に取り付けた後、いくつかの実施形態では、外科医は、ツール軸線152を中心に位置合わせガイド100を回転させることができる。装着面154及び内面26は比較的滑らかであるため、位置合わせガイド100は、ツール軸線52を中心に任意の角度64まで自由に回転することができる。外科医は、個々の選好に基づいて、患者の解剖学的構造に適応させるように、又は他の理由で、角度を選択することができる。追加的又は代替的に、いくつかの実施形態では、外科医は、位置合わせガイド100を取り外し、位置合わせガイド100をツール軸線52の周りで所望の角度64に再配置し、次いで、上述のように、位置合わせガイド100を所望の角度64で再度取り付けることができる。
【0045】
ここで図9図12を参照すると、整形外科手術中に患者の寛骨臼に寛骨臼カップコンポーネントを挿入するためのインプラント挿入ツールで使用するための位置合わせガイド200の別の実施形態が示されている。位置合わせガイド10、100と同様に、例示的な位置合わせガイド200は、単一の成形ポリマー片から形成された一体型本体を有する。例えば、位置合わせガイド200は、ポリフェニルスルホン(PPSU)などのスルホンポリマーで形成されてもよい。追加的に又は代替的に、いくつかの実施形態では、位置合わせガイド200は、任意の弾性ポリマー材料で形成されてもよい。あるいは、他の実施形態では、位置合わせガイド200は、金属材料で形成されていてもよい。
【0046】
また、位置合わせガイド10、100と同様に、位置合わせガイド200は、クリップ12、ライザー14、及び細長いインジケータ16を備える。クリップ12は、内部容積22を画定する一対の湾曲アーム18、20、並びに内部容積22を通って延びる仮想軸線24を含む。アーム18、20は、アーム18の遠位端部28からアーム20の遠位端部30まで延びる内面26を含む。端部28、30は、それらの間に、内部容積22にアクセス可能であるスロット32を画定する。内面26は、内部容積22内に突出する一対の歯又は他の突起202、204を含む。各歯202、204は、対応するアーム18、20のそれぞれの端部28、30に位置付けられている。
【0047】
ここで図10図12を参照すると、使用中、位置合わせガイド200は、インプラント挿入ツール244に取り付けることができる。挿入ツール44,144と同様に、例示的なインプラント挿入ツール244は、細長い金属製本体246を有し、金属製本体246は、その近位端部にインパクトヘッド248を有し、その遠位端部に取付機構250を有している。本体246は、取付機構250からインパクトヘッド248まで延びる仮想ツール軸線252を画定する。例示的に、挿入ツール244は、軟組織又は他の患者の解剖学的構造を回避するために使用され得る湾曲した本体246を有する。しかしながら、他の実施形態では、挿入ツール244は、図2図5及び図7図8の挿入ツールと同様に、真っ直ぐな本体246を有することができる。
【0048】
挿入ツール244の本体246は、本体246の一部分に形成された装着面254を含む。図10に最も良く示されているように、装着面254は概ね円筒形である。装着面254は、ツール軸線252に平行に延びる複数の隆起部又はステップ206を含む。各対の隆起部206は、溝部又は谷部208によって分離されている。
【0049】
使用中、図11に示すように、位置合わせガイド200は、装着面254においてインプラント挿入ツール244に結合する、取り付ける、又は別の方法でクリップ留めすることができる。そうするために、外科医又は他のユーザーは、位置合わせガイド200のクリップ12を装着面254と接触させた後、位置合わせガイド200をインプラント挿入ツール244に向かって下向き方向62に押圧する。外科医は、内面26がインプラント挿入ツール244に接触するまで、位置合わせガイド200を方向62にインプラント挿入ツール244上に摺動させることができる。インプラント挿入ツール244と接触すると、歯202、204は、装着面254のそれぞれの溝部208に係合する。歯202、204及び内面26の上部の接触点210(図9に示す)は、位置合わせガイド200を挿入ツール244に締まり嵌めでロックする。インプラント挿入ツール244に接触した後、位置合わせガイド200によって画定される軸線24は、図11に示されるように、ツール軸線252に平行である。
【0050】
いくつかの実施形態では、図12に示されるように、外科医は、位置合わせガイド200が挿入ツール244に取り付けられた後、軸線24を中心に位置合わせガイド200を回転させることができる。外科医が位置合わせガイド200を回転させると、歯202、204は、装着面254内のそれぞれの隆起部206及び溝部208に係合する。溝部208及び隆起部206は協働して、歯202、204をそれぞれの溝部208と係合して静止させ、位置合わせガイド200の回転を割出す戻り止めとして動作する。したがって、位置合わせガイド200は、装着面254の隆起部206及び溝部208の配置に基づいて、軸線24を中心に複数の所定の角度212のいずれかまで外科医が回転させることができる。外科医は、個々の選好に基づいて、患者の解剖学的構造に適応させるように、又は他の理由で、角度212を選択することができる。回転後、位置合わせガイド200は、歯202、204によって挿入ツール244にポジティブロックされたままとなる。
【0051】
ここで図13を参照すると、例示的な位置合わせガイド10及びインプラント挿入ツール44を使用して患者の股関節の寛骨臼に設置されている寛骨臼カップコンポーネントが示されている。しかしながら、それぞれの位置合わせガイド100、200及び挿入ツール144、244もまた、位置合わせガイド10及び挿入ツール44の代わりに使用され得ることを理解されたい。位置合わせガイド10及びインプラント挿入ツール44が上記のように組み立てられると、外科医は、寛骨臼カップコンポーネント70を挿入ツール44に固定する。例えば、いくつかの実施形態では、寛骨臼カップコンポーネント70は、取付機構50のねじ付き先端部にねじ込まれてもよい。
【0052】
その後、図13に示すように、外科医は、インプラント挿入ツール44を使用して、その略半球形状の骨係合面72が所望の向きで患者の外科的に準備された寛骨臼表面74に挿入されるように、寛骨臼カップコンポーネント70を位置決めする。外科医は、位置合わせガイド10のインジケータ16を使用して、寛骨臼カップコンポーネント70の傾斜を測定及び調整することができる。具体的には、外科医は、インジケータ16が垂直基準線76と平行になる(すなわち、真上を向く)まで、挿入ツール44の角度を調整することができる。垂直基準線76は、床、手術台、又は他の外部基準との関連で外科医によって視覚的に決定され得る。インジケータ16が垂直基準線76と平行となるようにインジケータ16を位置決めすることにより、寛骨臼カップコンポーネント70が(上述のような位置合わせガイド10の特定の指標角度42に基づいて)所定の傾斜角度で位置決めされることを確実にする。図のように、ライザー14は、インジケータ16をツール44から離して位置付けるので、例えば、インジケータ16を、外科医の手、患者の解剖学的構造、又はインジケータ16の視認性を不明瞭にし得る他の物体から離して位置付けることによって、インジケータ16の視認性を改善することができる。
【0053】
寛骨臼カップコンポーネント70をそのような方法で位置決めした後、外科医は、外科用マレット、ハンマー、又は他の打ち込みツールを用いてインプラント挿入ツール44のインパクトヘッド48を打ち、寛骨臼カップコンポーネント70が患者の外科的に準備された寛骨臼表面74内に完全に着座するまで、寛骨臼カップコンポーネント70を骨組織に打ち込む。
【0054】
次いで外科医は、寛骨臼カップコンポーネント70をインプラント挿入ツール44から解放する。例えば、外科医は、寛骨臼カップコンポーネント70の対応するねじ穴からツール44のねじ山を緩める(すなわち、ねじ戻す)方向にインプラント挿入ツール44を回転させることができる。
【0055】
寛骨臼カップコンポーネント70を解放した後、外科医は、挿入ツール44から位置合わせガイド10を取り外す。外科医は、位置合わせガイド10を挿入ツール44から離れる方向に(すなわち、図3の方向62とは逆向きに)引っ張り、挿入ツール44は、スロット32を通って内部容積22から出る。位置合わせガイド10を取り外すとき、外科医は、ライザー14を把持し、位置合わせガイド10を挿入ツール44から引き離すことができる。追加的に又は代替的に、利用可能な場合、外科医は、位置合わせガイド10の取り外しを支援するために、丸みを帯びたレッジ102、104のうちの1つ以上を引っ張ることができる。このようにして、外科医は片手を使用して、位置合わせガイド10を取り外すことができる。
【0056】
図面及び上記の説明において本開示を詳細に例証及び説明してきたが、このような例証及び説明は、その性質上、あくまで例示的なものであって限定的なものとは見なすべきではなく、あくまで例示的な実施形態を示して説明してきたにすぎず、本開示の趣旨に含まれるすべての変更及び改変は保護されることが望ましいことが理解される。
【0057】
本明細書に述べられる装置、システム、及び方法の様々な特徴に由来する本開示の複数の利点が存在する。本開示の装置、システム、及び方法の代替的実施形態は、記載される特徴のすべてを含まないことがあるが、そのような特徴の利点の少なくとも一部によって利するものである点に留意されたい。当業者であれば、本発明の特徴の1つ又は2つ以上を組み込んだ、本開示の趣旨及び範囲内にある装置、システム、及び方法について、独自の実現例を容易に考案し得る。
【0058】
〔実施の態様〕
(1) 外科手術中にインプラント挿入ツールで使用するための傾斜ガイドであって、前記傾斜ガイドは一体型本体を含み、前記一体型本体は、
前記インプラント挿入ツールの装着面に結合されるように構成されたクリップであって、内部容積、及び前記内部容積を通って延びる仮想ツール軸線を画定する、クリップと、
前記仮想ツール軸線から離れる方向に前記クリップから第1の関節部まで延びる細長いライザーと、
前記細長いライザーの前記第1の関節部から遠位端部まで延びる細長いインジケータであって、前記細長いインジケータと前記仮想ツール軸線とで指示角度を規定する、細長いインジケータと、を備える、傾斜ガイド。
(2) 前記一体型本体が、成形ポリマー本体を含む、実施態様1に記載の傾斜ガイド。
(3) 前記一体型本体が、ポリフェニルスルホン(PPSU)で形成されている、実施態様2に記載の傾斜ガイド。
(4) 前記一体型本体が、金属材料で形成されている、実施態様1に記載の傾斜ガイド。
(5) 前記クリップが、前記細長いライザーから離れる方向に第1の端部まで延びる第1の湾曲アームと、前記細長いライザーから離れる方向に第2の端部まで延びる第2の湾曲アームとを備え、前記第1の湾曲アーム及び前記第2の湾曲アームが協働して、前記内部容積を画定し、前記第1の端部及び前記第2の端部が協働して、前記内部容積へのアクセスを提供するスロットを画定する、実施態様1に記載の傾斜ガイド。
【0059】
(6) 前記第1の湾曲アームの前記第1の端部の第1の丸みを帯びたレッジと、前記第2の湾曲アームの前記第2の端部の第2の丸みを帯びたレッジとを更に備え、前記第1の丸みを帯びたレッジ及び前記第2の丸みを帯びたレッジのそれぞれが、前記スロットから離れる方向に湾曲している、実施態様5に記載の傾斜ガイド。
(7) 前記第1の湾曲アームの前記第1の端部及び前記第2の湾曲アームの前記第2の端部のそれぞれが、面取りされた縁部を有し、前記面取りされた縁部が、前記インプラント挿入ツールに係合するように、及び前記インプラント挿入ツールと係合したときに前記スロットをこじ開けるように構成されている、実施態様5に記載の傾斜ガイド。
(8) 前記第1の湾曲アーム及び前記第2の湾曲アームが、前記インプラント挿入ツールの円筒形装着面に係合するように構成された平凹状の内面を画定する、実施態様5に記載の傾斜ガイド。
(9) 前記第1の湾曲アーム及び前記第2の湾曲アームが、前記インプラント挿入ツールの円錐台装着面に係合するように構成されたテーパ状の凹状内面を画定する、実施態様5に記載の傾斜ガイド。
(10) 前記クリップが、前記クリップが前記装着面に結合されている間、前記インプラント挿入ツールの前記装着面に向かい合う内面を備え、前記内面が3つの接触点を含み、前記3つの接触点のそれぞれが、前記インプラント挿入ツールの前記装着面に係合するように構成されている、実施態様1に記載の傾斜ガイド。
【0060】
(11) 前記クリップが、前記クリップの内面から前記仮想ツール軸線に向かって前記内部容積内に内向きに延びる第1の歯及び第2の歯を備え、前記第1の歯及び前記第2の歯が、前記装着面のそれぞれの溝部に係合するように構成されている、実施態様1に記載の傾斜ガイド。
(12) 前記装着面が、前記仮想ツール軸線に平行な複数の隆起部を備え、各対の隆起部が、溝部によって分離されている、実施態様11に記載の傾斜ガイド。
(13) 前記クリップが、前記細長いライザーから離れる方向に第1の端部まで延びる第1の湾曲アームと、前記細長いライザーから離れる方向に第2の端部まで延びる第2の湾曲アームとを備え、前記第1の湾曲アーム及び前記第2の湾曲アームが協働して、前記内部容積を画定し、前記第1の端部及び前記第2の端部が協働して、前記内部容積へのアクセスを提供するスロットを画定し、前記第1の歯が、前記第1の湾曲アームの前記第1の端部にあり、前記第2の歯が、前記第2の湾曲アームの前記第2の端部にある、実施態様11に記載の傾斜ガイド。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
【国際調査報告】