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特表2023-504730N-(3-(5-(ピリミジン-4-イル)チアゾール-4-イル)フェニル)スルホンアミド化合物及びBRAF阻害剤としてのそれらの使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-06
(54)【発明の名称】N-(3-(5-(ピリミジン-4-イル)チアゾール-4-イル)フェニル)スルホンアミド化合物及びBRAF阻害剤としてのそれらの使用
(51)【国際特許分類】
   C07D 417/04 20060101AFI20230130BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20230130BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20230130BHJP
   C07D 417/14 20060101ALI20230130BHJP
   A61K 31/5377 20060101ALI20230130BHJP
   A61K 31/506 20060101ALI20230130BHJP
【FI】
C07D417/04
A61P43/00 111
A61P35/00
C07D417/14 CSP
A61K31/5377
A61K31/506
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022533575
(86)(22)【出願日】2020-12-05
(85)【翻訳文提出日】2022-06-21
(86)【国際出願番号】 EP2020084778
(87)【国際公開番号】W WO2021110997
(87)【国際公開日】2021-06-10
(31)【優先権主張番号】19306579.4
(32)【優先日】2019-12-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BRIJ
(71)【出願人】
【識別番号】507002516
【氏名又は名称】アンセルム(アンスティチュート・ナシオナル・ドゥ・ラ・サンテ・エ・ドゥ・ラ・ルシェルシュ・メディカル)
(71)【出願人】
【識別番号】506316557
【氏名又は名称】サントル ナショナル ドゥ ラ ルシェルシュ シアンティフィック
(71)【出願人】
【識別番号】515011944
【氏名又は名称】ウニヴェルシテ・ドゥ・モンペリエ
(71)【出願人】
【識別番号】518064994
【氏名又は名称】アンスティテュ・レジオナル・デュ・カンセール・ドゥ・モンペリエ
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ジル・ラベス
(72)【発明者】
【氏名】メラニー・シュナイダー
(72)【発明者】
【氏名】ミュリエル・ジュラン
(72)【発明者】
【氏名】ジャン-フワンソワ・アレクサンドル・ギシュ
(72)【発明者】
【氏名】マルタン・コーエン-ゴンサード
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアム・ブルゲ
(72)【発明者】
【氏名】パトリック・バラゲ
【テーマコード(参考)】
4C063
4C086
【Fターム(参考)】
4C063AA01
4C063AA03
4C063BB01
4C063CC62
4C063DD02
4C063DD03
4C063DD10
4C063DD29
4C063EE01
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086BC82
4C086GA07
4C086GA09
4C086GA10
4C086GA14
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZB26
4C086ZC20
(57)【要約】
本発明は、タンパク質キナーゼ、より具体的にはBRAF又はその突然変異形態の阻害剤として有用であるN-(3-(5-(ピリミジン-4-イル)チアゾール-4-イル)フェニルスルホンアミド化合物、そのような化合物を含む医薬組成物、及びがん等の調節解除されたタンパク質キナーゼ活性に関連する疾患の処置又は予防におけるそのような化合物の使用に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iの化合物:
【化1】
薬学的に許容されるその塩又は溶媒和物
[式中、
Xは、ハロゲンであり、
R1は、C1~C6-アルキル、アミノ-C1~C6-アルキル、ピペリジニル、モルホリニル、ピペラジニル、ピロリジニル及びアゼチジニルからなる群から選択され、前記アミノ-C1~C6-アルキル、ピペリジニル、モルホリニル、ピペラジニル、ピロリジニル及びアゼチジニルは、炭素原子を経由してチアゾール環と連結しており、C1~C6-アルキル、C3~C6-シクロアルキル又はC1~C4-アルキルオキシカルボニルによって場合により置換されており、
R2は、C1~C6-アルキル、ハロゲン及びNHR5からなる群から選択され、ここで、R5は、H、-C(O)-C1~C6-アルキル、-C(O)-C1~C6-アルケニル及び-C(O)-C1~C6-アルキニルからなる群から選択され、
R3は、H、C1~C6-アルキル及びハロゲンからなる群から選択され、
R4は、C1~C6-アルキル及びジハロゲノアリールからなる群から選択され、
但し、R2、R3及びR4のうちの1つがC1~C6-アルキルである場合又はR3がHである場合、R1はC1~C6-アルキルではないことを条件とする]。
【請求項2】
Xが、フルオロである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
R2が、NHR5であり、ここで、R5が、H、-C(O)Me、-C(O)-CH=CH2及び-C(O)-C≡CHからなる群から選択される、請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項4】
R3が、H又はクロロである、請求項1から3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項5】
R4が、C1~C6-アルキル及び2,5-ジハロゲノフェニルからなる群から選択される、請求項1から4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項6】
式II:
【化2】
を有する、請求項1から5のいずれか一項に記載の化合物、薬学的に許容されるその塩又は溶媒和物
[式中、
R1、R2及びR3は、請求項1に規定の通りである]。
【請求項7】
式III:
【化3】
を有する、請求項1から5のいずれか一項に記載の化合物、薬学的に許容されるその塩又は溶媒和物
[式中、
R1、R3及びR5は、請求項1に規定の通りである]。
【請求項8】
式IV:
【化4】
を有する、請求項1から5のいずれか一項に記載の化合物、薬学的に許容されるその塩又は溶媒和物
[式中、
R1及びR5は、請求項1に規定の通りである]。
【請求項9】
式V:
【化5】
を有する、請求項1から5のいずれか一項に記載の化合物、薬学的に許容されるその塩又は溶媒和物
[式中、
R1及びR5は、請求項1に規定の通りである]。
【請求項10】
N-{3-[5-(2-アミノピリミジン-4-イル)-2-モルホリン-3-イル-チアゾール-4-イル]-2-フルオロフェニル}-2,5-ジフルオロベンゼンスルホンアミド;
N-{3-[5-(2-アミノピリミジン-4-イル)-2-(1-シクロプロピルピペリジン-4-イル)-チアゾール-4-イル]-2-フルオロフェニル}-2,5-ジフルオロベンゼンスルホンアミド;
N-{3-[5-(2-アミノピリミジン-4-イル)-2-ピペリジン-3-イル-チアゾール-4-イル]-2-フルオロフェニル}-2,5-ジフルオロベンゼンスルホンアミド;
N-{3-[2-(3-アミノプロピル)-5-(2-アミノピリミジン-4-イル)-チアゾール-4-イル]-2-フルオロフェニル}-2,5-ジフルオロベンゼンスルホンアミドトリフルオロアセテート、
N-(4-{2-(1-シクロプロピルピペリジン-4-イル)-4-[3-(2,5-ジフルオロベンゼンスルホニルアミノ)-2-フルオロフェニル]-チアゾール-5-イル}-ピリミジン-2-イル)-アセトアミド;
N-(4-{4-[3-(2,5-ジフルオロベンゼンスルホニルアミノ)-2-フルオロフェニル]-2-ピペリジン-3-イル-チアゾール-5-イル}-ピリミジン-2-イル)-アセトアミドトリフルオロアセテート、
N-(4-{4-[3-(2,5-ジフルオロベンゼンスルホニルアミノ)-2-フルオロフェニル]-2-モルホリン-3-イル-チアゾール-5-イル}-ピリミジン-2-イル)-アセトアミド;
N-(4-{2-(3-アミノプロピル)-4-[3-(2,5-ジフルオロベンゼンスルホニルアミノ)-2-フルオロフェニル]-チアゾール-5-イル}-ピリミジン-2-イル)-アセトアミド;
N-(4-{4-[3-(2,5-ジフルオロベンゼンスルホニルアミノ)-2-フルオロフェニル]-2-モルホリン-3-イル-チアゾール-5-イル}-ピリミジン-2-イル)-アクリルアミドトリフルオロアセテート、
N-(4-{2-(3-アミノプロピル)-4-[3-(2,5-ジフルオロベンゼンスルホニルアミノ)-2-フルオロフェニル]-チアゾール-5-イル}-ピリミジン-2-イル)-アクリルアミドトリフルオロアセテート、
3-{5-(2-アクリロイルアミノピリミジン-4-イル)-4-[3-(2,5-ジフルオロベンゼンスルホニルアミノ)-2-フルオロフェニル]-チアゾール-2-イル}-ピペリジン-1-カルボン酸tert-ブチルエステル、
ブタン-2-スルホン酸{3-[5-(2-アミノピリミジン-4-イル)-2-ピペリジン-4-イル-チアゾール-4-イル]-2-フルオロフェニル}-アミド
N-{3-[5-(2-アミノピリミジン-4-イル)-2-モルホリン-3-イル-チアゾール-4-イル]-5-クロロ-2-フルオロフェニル}-2,5-ジフルオロベンゼンスルホンアミド;
N-{3-[5-(2-アミノピリミジン-4-イル)-2-tert-ブチル-チアゾール-4-イル]-5-クロロ-2-フルオロフェニル}-2,5-ジフルオロベンゼンスルホンアミド;
N-{3-[5-(2-アミノピリミジン-4-イル)-2-アゼチジン-2-イル-チアゾール-4-イル]-2-フルオロフェニル}-2,5-ジフルオロベンゼンスルホンアミド;
N-{3-[5-(2-アミノピリミジン-4-イル)-2-ピロリジン-2-イル-チアゾール-4-イル]-2-フルオロフェニル}-2,5-ジフルオロベンゼンスルホンアミド;
N-{3-[5-(2-アミノピリミジン-4-イル)-2-ピペリジン-2-イル-チアゾール-4-イル]-2-フルオロフェニル}-2,5-ジフルオロベンゼンスルホンアミド;
N-{3-[5-(2-アミノピリミジン-4-イル)-2-ピペラジン-2-イル-チアゾール-4-イル]-2-フルオロフェニル}-2,5-ジフルオロベンゼンスルホンアミド;
N-{3-[5-(2-アミノピリミジン-4-イル)-2-(6,6-ジメチルモルホリン-3-イル)チアゾール-4-イル]-2-フルオロフェニル}-2,5-ジフルオロベンゼンスルホンアミド;及び
N-{3-[5-(2-アミノピリミジン-4-イル)-2-(4-シクロプロピルピペラジン-2-イル)チアゾール-4-イル]-2-フルオロフェニル}-2,5-ジフルオロベンゼンスルホンアミド
からなる群から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一項に記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩若しくは溶媒和物と、少なくとも1つの薬学的に許容される添加剤とを含む医薬組成物。
【請求項12】
ヒト又は動物における治療的処置において使用するための、請求項1から10のいずれか一項に記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩若しくは溶媒和物。
【請求項13】
調節解除されたタンパク質キナーゼ活性に関連する疾患又は障害を処置する又は予防する際に使用するための、請求項1から10のいずれか一項に記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩若しくは溶媒和物。
【請求項14】
前記タンパク質キナーゼが、B-RAF又はその突然変異形態である、請求項13に記載の使用のための化合物。
【請求項15】
がんを処置する又は予防する際に使用するための、請求項1から10のいずれか一項に記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩若しくは溶媒和物。
【請求項16】
前記がんが、黒色腫、肺がん、結腸直腸がん、消化管間質がん及び膵臓がんからなる群から選択される、請求項15に記載の使用のための化合物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タンパク質キナーゼ、より具体的にはBRAF又はその突然変異形態の阻害剤として有用であるN-(3-(5-(ピリミジン-4-イル)チアゾール-4-イル)フェニルスルホンアミド化合物、そのような化合物を含む医薬組成物、及びがん等の調節解除されたタンパク質キナーゼ活性に関連する疾患の処置又は予防におけるそのような化合物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
タンパク質キナーゼは、多種多様な細胞プロセスの調節及び細胞機能に対する制御を維持することにおいて中心的役割を果たす、タンパク質の大きなファミリーを表す。タンパク質キナーゼは、チロシンキナーゼ及びセリン/トレオニンキナーゼを含む。良性及び悪性増殖性障害並びに免疫及び神経系の不適切な活性化から生じる疾患を含む多くの疾患において、調節解除されたタンパク質キナーゼ活性が観察されている。
【0003】
BRAFは、触媒能があるセリン/トレオニンタンパク質キナーゼ(2つの偽キナーゼKSR1及びKSR2もRAFファミリーに含まれる)のRapidly Accelerated Fibrosarcoma (RAF)ファミリーの3つのアイソフォームの1つ(CRAF及びARAFとともに)である。BRAFは、RAS/RAF/MEK/ERKシグナル伝達カスケードにおいて不可欠な役割を果たし、これはマイトジェン活性化タンパク質キナーゼ(MAPK)経路としても公知であり、細胞増殖及び生存に関与する(M. J. Robinsonら、Curr. Opin. Cell Biol.、1997、9、180~186)。活性RAFホモ二量体又はヘテロ二量体の形成を刺激する、RAS結合によるコンフォメーション変化の誘導後、RAFはそのリン酸化状態を変化させ、これによりMEK(MEK1及びMEK2)を活性化させるそのキナーゼ活性が誘発され、これが今度は、下流のERK(ERK1及びERK2)をリン酸化する。RAF及びMEKキナーゼとは対照的に、ERKは、幅広い基質特異性を有し、何百もの異なるタンパク質をリン酸化することができる(R. Roskoski、Pharmacol. Res.、2015、100、1~23)。RASは、ヒトがんのおよそ30%において突然変異しているため、阻害剤の開発は長期間にわたって調査中であるが、有意な成功はない(R. Roskoski、Pharmacol. Res.、2018、135、239~258)。加えて、BRAFの発癌性活性化は、MAPK経路を構成的に且つRAS非依存的に誘導し、増殖の増大及び最終的には腫瘍形成を伴う下流のシグナル伝達の制御不能な増幅につながる(H. Daviesら、Nature、2002、417、949~954)。ヒトがんに関連するBRAF遺伝子の多くの突然変異(30超)が同定されてきた(P.T.C. Wanら、Cell、2004、116、855~867)。これらは、有毛細胞白血病のおよそ100%(B. Faliniら、Blood、2016、128、1918~1927)、黒色腫の50%、甲状腺癌の45%、結腸癌の10%及び卵巣癌の8%(M. Pulici、ChemMedChem、2015、10、276~295)に関与する。検出されたBRAF突然変異している症例のおよそ90%を占める最も一般的な突然変異は、キナーゼドメインの活性化セグメント内に位置して不活性コンフォメーションを不安定化する600位におけるバリンのグルタミン酸による置きかえ(簡潔にV600E)である。この突然変異は、野生型(WT)BRAFと比較して約500倍に増大した構成的キナーゼ活性につながる。その上、WTとは対照的に、BRAF-V600Eは、単量体としてシグナル伝達しており、ERKネガティブフィードバック機構に対して非感受性である(C.A. Pratilas、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、2009、106、4519~4524)。したがって、例えばBRAF-V600E等のBRAFの突然変異形態を阻害することは、がん処置のための有望な戦略である。
【0004】
ベムラフェニブ(vermurafenib)(P.B. Chapmanら、New Engl. J. Med.、2011、364、2507~2516)、ソラフェニブ(P.T.C. Wanら、Cell、2004、116、855~867)及びダブラフェニブ(G.T. Gibneyら、Expert. Opin. Drug. Metab. Toxicol.、2013、9、893~899)等のBRAF阻害剤が、MAPKシグナル伝達経路をブロックし、BRAF突然変異体V600Eを発現している細胞における腫瘍細胞成長を減少させるために開発されてきた。BRAF-V600Eの選択的標的化は、転移性黒色腫の処置のための立証された治療戦略であり、薬物ベムラフェニブ及びダブラフェニブは、後期黒色腫の処置のためにそれぞれ2011年及び2013年に米国食品医薬品局(FDA)によって承認されている(G. Kimら、Clin. Cancer Res.、2014、20、4994~5000; A.D. Ballantyneら、Drugs、2013、76、1367~1376; A.M. Menziesら、Clin. Cancer Res.、2014、20、2035~2043)。両方の薬物が、BRAF-V600E突然変異体黒色腫患者の応答率及び全生存の改善を示すが、残念なことに、急速に獲得される抵抗性により、ほとんどの患者が1年以内に再発する(W. Zhang、Curr. Opin. Pharmacol、2015、23、68~73)。
【0005】
ダブラフェニブは、BRAF-V600Eの強力且つ選択的な阻害剤であるが、そのバイオアベイラビリティは幾分急速に(5時間の半減期で)減少することが分かっており、これは、シトクロムP450(CYP)を経由するそれ自体の代謝の誘導による可能性が高い。ダブラフェニブ代謝は、CYP3A4及びCYP2C8によって媒介される。故に、ダブラフェニブは、CYP2C8及び/又はCYP3A4の強い阻害剤との薬物-薬物相互作用の対象であると考えられている。CYP3A4及びCYP2B6 mRNA誘導は、ダブラフェニブの、核内受容体プレグナンX受容体(PXR)及び/又は構成的アンドロスタン受容体(CAR)との相互作用を指し示している(C.L. Dentonら、J. Clin. Pharmacol、2013、53、955~961; D.A. Bershasら、Drug Metab. Dispos、2013、41、2215~2224; S.K. Lawrenceら、Drug Metab. Dispos、2014、42、1180~1190; D. Ouellet、J. Clin. Pharmacol.、2014、54、696~706; J. Gil,ら、Cell Biol. Toxicol、2019; A. Puszkielら、Clin. Pharmacokinetics、2019、58、451~467)。
【0006】
NRサブファミリーIに属するプレグナンX受容体(PXR)は、異物代謝のためのマスター調節因子として、稀な傑出した役割を果たす。これは、外来物質に対する生物の防御を司り、したがって解毒の主な調節因子であり、非常に多様な特徴(組成、形状及びサイズに関する)を持つ広範囲のリガンド(内因性代謝産物、薬物及び異物)に対するセンサーとして作用する。残念なことに、PXRとの望ましくない薬物結合が、多くの有害作用を引き起こしている。PXRは、レチノイドX受容体α(RXRα)とヘテロ二量体を形成し、その後、PXR応答エレメントと結合する。臨床使用における多くの薬物にとっての主な代謝酵素の1つであるシトクロムP450酵素CYP3A4の主な転写誘導因子として、これは、薬物分解を誘導するための中心的存在として作用し、望ましくない薬物-薬物相互作用を潜在的に引き起こしうる(T.M. Willsonら、Nature Rev. Drug Discov.、2002、1、259~266)。急速な代謝は、多くの薬物について効能を減少させるが、活性代謝産物を持つ薬物は、代謝時に薬効及び/又は毒性の増大を見せることができる。望ましくない薬物-薬物相互作用も代謝の問題である。同じ酵素を介して代謝経路を共有する2つの薬物が同じ結合部位を求めて競合する場合、より高い効力を持つものが優勢であり、競合薬の代謝は減少する。これが今度は、血清レベルが上昇しうることから、代謝されていない化合物の毒性効果に対するリスクの増大につながりうる。PXRは、多くの異なる腫瘍(乳房、結腸、前立腺及び卵巣)においても広く発現され、多剤抵抗性の発生及びがん細胞の攻撃性の増強の両方に関与することが示されている(A. Geickら、J. Biol. Chem.、2001、276、14581~14587)。ますます多くの薬物が、がんにおいて臨床的に試験されており、時に幾分限られた成功もあるが、それらのいくつかはPXRの直接リガンドとなることができ、それにより、それら自体の代謝又は共投与された薬物の代謝を誘導することも最近示された。PXRは、CYP450酵素を介する分解経路の活性化を同時に回避するためにその活性化が回避される必要がある、不要且つ有害な二次標的として分類される。したがって、PXRとの限られた相互作用が、その一次標的との薬物の効率的な結合に加えて要求される。したがって、薬物の改良は、安定性、バイオアベイラビリティ等の他の重要な特徴を乱さないが、PXR結合を防止する、化学変化を伴う微調整を含む。
【0007】
BRAF阻害剤の例は、特許出願US2009/0298815A1、US2011/0306625A1、WO2011/161216A1、WO2012/113774A1及びWO2012/125981A2において開示されているが、PXRとの結合の非存在は実証されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】US2009/0298815A1
【特許文献2】US2011/0306625A1
【特許文献3】WO2011/161216A1
【特許文献4】WO2012/113774A1
【特許文献5】WO2012/125981A2
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】M. J. Robinsonら、Curr. Opin. Cell Biol.、1997、9、180~186
【非特許文献2】R. Roskoski、Pharmacol. Res.、2015、100、1~23
【非特許文献3】R. Roskoski、Pharmacol. Res.、2018、135、239~258
【非特許文献4】H. Daviesら、Nature、2002、417、949~954
【非特許文献5】P.T.C. Wanら、Cell、2004、116、855~867
【非特許文献6】B. Faliniら、Blood、2016、128、1918~1927
【非特許文献7】M. Pulici、ChemMedChem、2015、10、276~295
【非特許文献8】C.A. Pratilas、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、2009、106、4519~4524
【非特許文献9】P.B. Chapmanら、New Engl. J. Med.、2011、364、2507~2516
【非特許文献10】G.T. Gibneyら、Expert. Opin. Drug. Metab. Toxicol.、2013、9、893~899
【非特許文献11】G. Kimら、Clin. Cancer Res.、2014、20、4994~5000
【非特許文献12】A.D. Ballantyneら、Drugs、2013、76、1367~1376
【非特許文献13】A.M. Menziesら、Clin. Cancer Res.、2014、20、2035~2043
【非特許文献14】W. Zhang、Curr. Opin. Pharmacol、2015、23、68~73
【非特許文献15】C.L. Dentonら、J. Clin. Pharmacol、2013、53、955~961
【非特許文献16】D.A. Bershasら、Drug Metab. Dispos、2013、41、2215~2224
【非特許文献17】S.K. Lawrenceら、Drug Metab. Dispos、2014、42、1180~1190
【非特許文献18】D. Ouellet、J. Clin. Pharmacol.、2014、54、696~706
【非特許文献19】J. Gil,ら、Cell Biol. Toxicol、2019
【非特許文献20】A. Puszkielら、Clin. Pharmacokinetics、2019、58、451~467
【非特許文献21】T.M. Willsonら、Nature Rev. Drug Discov.、2002、1、259~266
【非特許文献22】A. Geickら、J. Biol. Chem.、2001、276、14581~14587
【非特許文献23】Remington's Pharmaceutical Sciencesの最新版
【非特許文献24】Remington's Pharmaceutical Sciences、第21版、2011
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
故に、タンパク質キナーゼ阻害剤として活性であるがPXRを活性化させない化合物が依然として必要である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、療法において抗がん剤として有用である、後述する式Iの化合物を開発することに今回成功した。
【0012】
これらの化合物は、PXRを活性化させることなく、タンパク質キナーゼ、特にセリン/トレオニンキナーゼ、より特定すればBRAF又はその突然変異体を阻害するという利点を有する。
【0013】
したがって、本発明は、一般式Iの化合物、それらの薬学的に許容される塩又はその溶媒和物、及びそのような化合物又はそのような化合物を含む組成物の、タンパク質キナーゼ、特にセリン/トレオニンキナーゼ、より特定すればBRAF又はその突然変異体の阻害剤としての使用方法に関する。
【0014】
一般的な態様では、本発明は、一般式Iの化合物:
【0015】
【化1】
【0016】
薬学的に許容されるその塩又は溶媒和物
[式中、
Xは、ハロゲンであり、
R1は、C1~C6-アルキル、アミノ-C1~C6-アルキル、ピペリジニル、モルホリニル、ピペラジニル、ピロリジニル及びアゼチジニルからなる群から選択され、前記アミノ-C1~C6-アルキル、ピペリジニル、モルホリニル、ピペラジニル、ピロリジニル及びアゼチジニルは、炭素原子を経由してチアゾール環と連結しており、C1~C6-アルキル、C3~C6-シクロアルキル又はC1~C4-アルキルオキシカルボニルによって場合により置換されており、
R2は、C1~C6-アルキル、ハロゲン及びNHR5からなる群から選択され、ここで、R5は、H、-C(O)-C1~C6-アルキル、-C(O)-C1~C6-アルケニル及び-C(O)-C1~C6-アルキニルからなる群から選択され、
R3は、H、C1~C6-アルキル及びハロゲンからなる群から選択され、
R4は、C1~C6-アルキル及びジハロゲノアリールからなる群から選択され、
但し、R2、R3及びR4のうちの1つがC1~C6-アルキルである場合又はR3がHである場合、R1はC1~C6-アルキルではないことを条件とする]
を提供する。
【0017】
別の態様では、本発明は、本発明に従う少なくとも1つの化合物又は薬学的に許容されるその塩若しくは溶媒和物と、少なくとも1つの薬学的に許容される担体、賦形剤、添加剤及び/又はアジュバントとを含む医薬組成物を提供する。
【0018】
本発明は更に、調節解除されたタンパク質キナーゼ活性に関連する疾患を処置する又は予防する際に使用するための、式Iの化合物又はそれらの薬学的に許容される塩若しくはその溶媒和物に関する。
【発明を実施するための形態】
【0019】
上記で詳述した通り、本発明は、式Iの化合物、及びそれらの薬学的に許容される塩又は溶媒和物に関する。
【0020】
式Iの好ましい化合物又は薬学的に許容されるその塩若しくは溶媒和物は、X、R1、R2、R3及びR4の1つ又は複数が、次の通りに定義されるものである:
Xは、ハロゲンであり;特に、Xは、クロロ又はフルオロであり;より特定すれば、Xは、フルオロであり、
R1は、C1~C6-アルキル、アミノ-C1~C6-アルキル、ピペリジニル、モルホリニル、ピペラジニル、ピロリジニル及びアゼチジニルからなる群から選択され、前記アミノ-C1~C6-アルキル、ピペリジニル、モルホリニル、ピペラジニル、ピロリジニル及びアゼチジニルは、炭素原子を経由してチアゾール環と連結しており、C1~C6-アルキル、C3~C6-シクロアルキル又はC1~C4-アルキルオキシカルボニルによって場合により置換されており;特に、R1は、C1~C4-アルキル、アミノ-C1~C4-アルキル、ピペリジニル、モルホリニル、ピペラジニル、ピロリジニル及びアゼチジニルからなる群から選択され、前記アミノ-C1~C4-アルキル、ピペリジニル、モルホリニル、ピペラジニル、ピロリジニル及びアゼチジニルは、炭素原子を経由してチアゾール環と連結しており、C1~C4-アルキル、C3~C6-シクロアルキル又はC1~C4-アルキルオキシカルボニルによって場合により置換されており;より特定すれば、R1は、C2~C4-アルキル、アミノ-C1~C3-アルキル、ピペリジン-4-イル、ピペリジン-3-イル、モルホリン-3-イル、モルホリン-2-イル、ピペラジン-2-イル、ピロリジン-3-イル、ピロリジン-2-イル、アゼチジン-3-イル及びアゼチジン-2-イルからなる群から選択され、前記アミノ-C1~C3-アルキル、ピペリジン-4-イル、ピペリジン-3-イル、モルホリン-3-イル、モルホリン-2-イル、ピペラジン-2-イル、ピロリジン-3-イル、ピロリジン-2-イル、アゼチジン-3-イル及びアゼチジン-2-イルは、C1~C4-アルキル、C3~C6-シクロアルキル又はC1~C4-アルキルオキシカルボニルによって場合により置換されており;より一層特定すれば、R1は、tert-ブチル、3-アミノプロピル、ピペリジン-4-イル、ピペリジン-3-イル、モルホリン-3-イル、ピペラジン-2-イル、ピロリジン-2-イル及びアゼチジン-2-イルからなる群から選択され、前記3-アミノプロピル、ピペリジン-4-イル、ピペリジン-3-イル、モルホリン-3-イル、ピペラジン-2-イル、ピロリジン-2-イル及びアゼチジン-2-イルは、C3~C6-シクロアルキル又はC1~C4-アルキルオキシカルボニルによって場合によりN-置換されており;更に一層特定すれば、R1は、tert-ブチル、3-アミノプロピル、ピペリジン-4-イル、ピペリジン-3-イル、モルホリン-3-イル、ピペラジン-2-イル、ピロリジン-2-イル及びアゼチジン-2-イルからなる群から選択され、前記ピペリジン-4-イル及びピペリジン-3-イルは、シクロプロピル又はtert-ブチルオキシカルボニルによって場合によりN-置換されており;例えば、R1は、tert-ブチル、3-アミノプロピル、ピペリジン-4-イル、ピペリジン-3-イル、モルホリン-3-イル、ピペラジン-2-イル、ピロリジン-2-イル及びアゼチジン-2-イルからなる群から選択され、前記3-アミノプロピル、ピペリジン-4-イル、ピペリジン-3-イル、モルホリン-3-イル、ピペラジン-2-イル、ピロリジン-2-イル及びアゼチジン-2-イルは、C3~C6-シクロアルキル若しくはC1~C4-アルキルオキシカルボニルによって場合によりN-置換されているか又はC1~C4-アルキルによってC-置換されており;別の例において、R1は、tert-ブチル、3-アミノプロピル、ピペリジン-4-イル、ピペリジン-3-イル、モルホリン-3-イル、ピペラジン-2-イル、ピロリジン-2-イル及びアゼチジン-2-イルからなる群から選択され、前記ピペリジン-4-イル、ピペリジン-3-イル及びピペラジン-2-イルは、シクロプロピル又はtert-ブチルオキシカルボニルによって場合によりN-置換されており、前記モルホリン-3-イルは、メチルによってC-二置換されており;
R2は、C1~C6-アルキル、ハロゲン及びNHR5からなる群から選択され、ここで、R5は、H、-C(O)-C1~C6-アルキル、-C(O)-C1~C6-アルケニル及び-C(O)-C1~C6-アルキニルからなる群から選択され;特に、R2は、C1~C4-アルキル、フルオロ、クロロ及びNHR5からなる群から選択され、ここで、R5は、H、-C(O)-C1~C6-アルキル、-C(O)-C1~C6-アルケニル及び-C(O)-C1~C6-アルキニルからなる群から選択され;より特定すれば、R2は、NHR5であり、ここで、R5は、H、-C(O)-C1~C6-アルキル、-C(O)-C1~C6-アルケニル及び-C(O)-C1~C6-アルキニルからなる群から選択され;より一層特定すれば、R2は、NHR5であり、ここで、R5は、H、-C(O)-C1~C4-アルキル、-C(O)-C1~C4-アルケニル及び-C(O)-C1~C4-アルキニルからなる群から選択され;更に一層特定すれば、R2は、NHR5であり、ここで、R5は、H、-C(O)-C1~C2-アルキル、-C(O)-CH=CH2及び-C(O)-C≡CHからなる群から選択され;更に一層特定すれば、R2は、NHR5であり、ここで、R5は、H、-C(O)Me及び-C(O)-CH=CH2からなる群から選択され;
R3は、H、C1~C6-アルキル及びハロゲンからなる群から選択され;特に、R3は、H、C1~C4-アルキル及びハロゲンからなる群から選択され;より特定すれば、R3は、H、C1~C2-アルキル、フルオロ及びクロロからなる群から選択され;より一層特定すれば、R3は、H又はクロロであり;
R4は、C1~C6-アルキル及びジハロゲノアリールからなる群から選択され;特に、R4は、C1~C6-アルキル及びジハロゲノフェニルからなる群から選択され;より特定すれば、R4は、C1~C6-アルキル及び2,5-ジハロゲノフェニルからなる群から選択され;より一層特定すれば、R4は、C2~C6-アルキル、2,5-ジフルオロフェニル及び2,5-ジクロロフェニルからなる群から選択され;更に一層特定すれば、R4は、C2~C4-アルキル又は2,5-ジフルオロフェニルであり;例えば、R4は、C4~C6-アルキル及び2,5-ジハロゲノフェニルからなる群から選択され;別の例において、R4は、C4-アルキル及び2,5-ジハロゲノフェニルからなる群から選択され;別の例において、R4は、sec-ブチル及び2,5-ジフルオロフェニルからなる群から選択される。
【0021】
一実施形態では、式Iの化合物は、Xが、フルオロである化合物である。
【0022】
一実施形態では、式Iの化合物は、R2が、NHR5であり、ここで、R5が、上記で定義された通りである化合物である。
【0023】
一実施形態では、式Iの化合物は、R2が、NHR5であり、ここで、R5が、Hである化合物である。
【0024】
一実施形態では、式Iの化合物は、R2が、NHR5であり、ここで、R5が、H、-C(O)Me、-C(O)-CH=CH2及び-C(O)-C≡CHからなる群から選択される、特に、R5が、H、-C(O)Me及び-C(O)-CH=CH2からなる群から選択される、より特定すれば、R5が、H又は-C(O)Meである化合物である。
【0025】
一実施形態では、式Iの化合物は、R3が、H又はクロロである化合物である。
【0026】
一実施形態では、式Iの化合物は、R3が、Hである化合物である。
【0027】
一実施形態では、式Iの化合物は、R3が、クロロである化合物である。
【0028】
一実施形態では、式Iの化合物は、R4が、C1~C6-アルキル及び2,5-ジハロゲノフェニルからなる群から選択される、特に、R4が、C2~C6-アルキル及び2,5-ジフルオロフェニルからなる群から選択される、より特定すれば、R4が、C2~C4-アルキル及び2,5-ジフルオロフェニルからなる群から選択される;更に一層特定すれば、R4が、C4-アルキル又は2,5-ジフルオロフェニルである化合物である。
【0029】
一実施形態では、式Iの化合物は、R4が、C1~C2-アルキル、C4~C6-アルキル及び2,5-ジハロゲノフェニルからなる群から選択される、特に、R4が、C4~C5-アルキル及び2,5-ジフルオロフェニルからなる群から選択される、より特定すれば、R4が、C4-アルキル及び2,5-ジフルオロフェニルからなる群から選択される;更に一層特定すれば、R4が、sec-ブチル又は2,5-ジフルオロフェニルである化合物である。
【0030】
一実施形態では、式Iの化合物は、R4が、C1~C6-アルキルである、特に、R4が、C2~C6-アルキルである、より特定すれば、R4が、C2~C4-アルキルである、更に一層特定すれば、R4が、C4-アルキルである化合物である。
【0031】
一実施形態では、式Iの化合物は、R4が、C1~C2-アルキル及びC4~C6-アルキルからなる群から選択される、特に、R4が、C4~C6-アルキルである、より特定すれば、R4が、C4~C5-アルキルである、更に一層特定すれば、R4が、C4-アルキルである、より一層特定すれば、R4が、sec-ブチルである化合物である。
【0032】
一実施形態では、式Iの化合物は、R4が、2,5-ジハロゲノフェニルである、特に、R4が、2,5-ジフルオロフェニルである化合物である。
【0033】
一実施形態では、式Iの化合物は、式IIの化合物:
【0034】
【化2】
【0035】
又は薬学的に許容されるその塩若しくは溶媒和物
[式中、
R1、R2及びR3は、式I及びその実施形態のいずれかに関して上記で定義された通りである]
である。
【0036】
式IIの好ましい化合物又は薬学的に許容されるその塩若しくは溶媒和物は、R1、R2及びR3の1つ又は複数が、次の通りに定義されるものである:
R1は、C1~C6-アルキル、アミノ-C1~C6-アルキル、ピペリジニル、モルホリニル、ピペラジニル、ピロリジニル及びアゼチジニルからなる群から選択され、前記アミノ-C1~C6-アルキル、ピペリジニル、モルホリニル、ピペラジニル、ピロリジニル及びアゼチジニルは、炭素原子を経由してチアゾール環と連結しており、C1~C6-アルキル、C3~C6-シクロアルキル又はC1~C4-アルキルオキシカルボニルによって場合により置換されており;特に、R1は、C1~C4-アルキル、アミノ-C1~C4-アルキル、ピペリジニル、モルホリニル、ピペラジニル、ピロリジニル及びアゼチジニルからなる群から選択され、前記アミノ-C1~C4-アルキル、ピペリジニル、モルホリニル、ピペラジニル、ピロリジニル及びアゼチジニルは、炭素原子を経由してチアゾール環と連結しており、C1~C4-アルキル、C3~C6-シクロアルキル又はC1~C4-アルキルオキシカルボニルによって場合により置換されており;より特定すれば、R1は、C2~C4-アルキル、アミノ-C1~C3-アルキル、ピペリジン-4-イル、ピペリジン-3-イル、モルホリン-3-イル、モルホリン-2-イル、ピペラジン-2-イル、ピロリジン-3-イル、ピロリジン-2-イル、アゼチジン-3-イル及びアゼチジン-2-イルからなる群から選択され、前記アミノ-C1~C3-アルキル、ピペリジン-4-イル、ピペリジン-3-イル、モルホリン-3-イル、モルホリン-2-イル、ピペラジン-2-イル、ピロリジン-3-イル、ピロリジン-2-イル、アゼチジン-3-イル及びアゼチジン-2-イルは、C1~C4-アルキル、C3~C6-シクロアルキル又はC1~C4-アルキルオキシカルボニルによって場合により置換されており;より一層特定すれば、R1は、tert-ブチル、3-アミノプロピル、ピペリジン-4-イル、ピペリジン-3-イル、モルホリン-3-イル、ピペラジン-2-イル、ピロリジン-2-イル及びアゼチジン-2-イルからなる群から選択され、前記3-アミノプロピル、ピペリジン-4-イル、ピペリジン-3-イル、モルホリン-3-イル、ピペラジン-2-イル、ピロリジン-2-イル及びアゼチジン-2-イルは、C3~C6-シクロアルキル又はC1~C4-アルキルオキシカルボニルによって場合によりN-置換されており;更に一層特定すれば、R1は、tert-ブチル、3-アミノプロピル、ピペリジン-4-イル、ピペリジン-3-イル、モルホリン-3-イル、ピペラジン-2-イル、ピロリジン-2-イル及びアゼチジン-2-イルからなる群から選択され、前記ピペリジン-4-イル及びピペリジン-3-イルは、シクロプロピル又はtert-ブチルオキシカルボニルによって場合によりN-置換されており;例えば、R1は、tert-ブチル、3-アミノプロピル、ピペリジン-4-イル、ピペリジン-3-イル、モルホリン-3-イル、ピペラジン-2-イル、ピロリジン-2-イル及びアゼチジン-2-イルからなる群から選択され、前記3-アミノプロピル、ピペリジン-4-イル、ピペリジン-3-イル、モルホリン-3-イル、ピペラジン-2-イル、ピロリジン-2-イル及びアゼチジン-2-イルは、C3~C6-シクロアルキル若しくはC1~C4-アルキルオキシカルボニルによって場合によりN-置換されているか又はC1~C4-アルキルによってC-置換されており;別の例において、R1は、tert-ブチル、3-アミノプロピル、ピペリジン-4-イル、ピペリジン-3-イル、モルホリン-3-イル、ピペラジン-2-イル、ピロリジン-2-イル及びアゼチジン-2-イルからなる群から選択され、前記ピペリジン-4-イル、ピペリジン-3-イル及びピペラジン-2-イルは、シクロプロピル又はtert-ブチルオキシカルボニルによって場合によりN-置換されており、前記モルホリン-3-イルは、メチルによってC-二置換されており;
R2は、C1~C6-アルキル又はNHR5であり、ここで、R5は、H、-C(O)-C1~C6-アルキル、-C(O)-C1~C6-アルケニル及び-C(O)-C1~C6-アルキニルからなる群から選択され;特に、R2は、C1~C4-アルキル又はNHR5であり、ここで、R5は、H、-C(O)-C1~C6-アルキル、-C(O)-C1~C6-アルケニル及び-C(O)-C1~C6-アルキニルからなる群から選択され;より特定すれば、R2は、NHR5であり、ここで、R5は、H、-C(O)-C1~C6-アルキル、-C(O)-C1~C6-アルケニル及び-C(O)-C1~C6-アルキニルからなる群から選択され;より一層特定すれば、R2は、NHR5であり、ここで、R5は、H、-C(O)-C1~C4-アルキル、-C(O)-C1~C4-アルケニル及び-C(O)-C1~C4-アルキニルからなる群から選択され;更に一層特定すれば、R2は、NHR5であり、ここで、R5は、H、-C(O)-C1~C2-アルキル、-C(O)-CH=CH2及び-C(O)-C≡CHからなる群から選択され;更に一層特定すれば、R2は、NHR5であり、ここで、R5は、H、-C(O)Me及び-C(O)-CH=CH2からなる群から選択され;
R3は、H又はハロゲンであり;好ましくは、R3は、H、フルオロ又はクロロであり;より好ましくは、R3は、H又はクロロである。
【0037】
一実施形態では、式Iの化合物は、式IIIの化合物:
【0038】
【化3】
【0039】
又は薬学的に許容されるその塩若しくは溶媒和物
[式中、
R1、R3及びR5は、式I及びその実施形態のいずれかに関して上記で定義された通りである]
である。
【0040】
式IIIの好ましい化合物又は薬学的に許容されるその塩若しくは溶媒和物は、R1、R3及びR5の1つ又は複数が、次の通りに定義されるものである:
R1は、C1~C6-アルキル、アミノ-C1~C6-アルキル、ピペリジニル、モルホリニル、ピペラジニル、ピロリジニル及びアゼチジニルからなる群から選択され、前記アミノ-C1~C6-アルキル、ピペリジニル、モルホリニル、ピペラジニル、ピロリジニル及びアゼチジニルは、炭素原子を経由してチアゾール環と連結しており、C1~C6-アルキル、C3~C6-シクロアルキル又はC1~C4-アルキルオキシカルボニルによって場合により置換されており;特に、R1は、C1~C4-アルキル、アミノ-C1~C4-アルキル、ピペリジニル、モルホリニル、ピペラジニル、ピロリジニル及びアゼチジニルからなる群から選択され、前記アミノ-C1~C4-アルキル、ピペリジニル、モルホリニル、ピペラジニル、ピロリジニル及びアゼチジニルは、炭素原子を経由してチアゾール環と連結しており、C1~C4-アルキル、C3~C6-シクロアルキル又はC1~C4-アルキルオキシカルボニルによって場合により置換されており;より特定すれば、R1は、C2~C4-アルキル、アミノ-C1~C3-アルキル、ピペリジン-4-イル、ピペリジン-3-イル、モルホリン-3-イル、モルホリン-2-イル、ピペラジン-2-イル、ピロリジン-3-イル、ピロリジン-2-イル、アゼチジン-3-イル及びアゼチジン-2-イルからなる群から選択され、前記アミノ-C1~C3-アルキル、ピペリジン-4-イル、ピペリジン-3-イル、モルホリン-3-イル、モルホリン-2-イル、ピペラジン-2-イル、ピロリジン-3-イル、ピロリジン-2-イル、アゼチジン-3-イル及びアゼチジン-2-イルは、C1~C4-アルキル、C3~C6-シクロアルキル又はC1~C4-アルキルオキシカルボニルによって場合により置換されており;より一層特定すれば、R1は、tert-ブチル、3-アミノプロピル、ピペリジン-4-イル、ピペリジン-3-イル、モルホリン-3-イル、ピペラジン-2-イル、ピロリジン-2-イル及びアゼチジン-2-イルからなる群から選択され、前記3-アミノプロピル、ピペリジン-4-イル、ピペリジン-3-イル、モルホリン-3-イル、ピペラジン-2-イル、ピロリジン-2-イル及びアゼチジン-2-イルは、C3~C6-シクロアルキル又はC1~C4-アルキルオキシカルボニルによって場合によりN-置換されており;更に一層特定すれば、R1は、tert-ブチル、3-アミノプロピル、ピペリジン-4-イル、ピペリジン-3-イル、モルホリン-3-イル、ピペラジン-2-イル、ピロリジン-2-イル及びアゼチジン-2-イルからなる群から選択され、前記ピペリジン-4-イル及びピペリジン-3-イルは、シクロプロピル又はtert-ブチルオキシカルボニルによって場合によりN-置換されており;例えば、R1は、tert-ブチル、3-アミノプロピル、ピペリジン-4-イル、ピペリジン-3-イル、モルホリン-3-イル、ピペラジン-2-イル、ピロリジン-2-イル及びアゼチジン-2-イルからなる群から選択され、前記3-アミノプロピル、ピペリジン-4-イル、ピペリジン-3-イル、モルホリン-3-イル、ピペラジン-2-イル、ピロリジン-2-イル及びアゼチジン-2-イルは、C3~C6-シクロアルキル若しくはC1~C4-アルキルオキシカルボニルによって場合によりN-置換されているか又はC1~C4-アルキルによってC-置換されており;別の例において、R1は、tert-ブチル、3-アミノプロピル、ピペリジン-4-イル、ピペリジン-3-イル、モルホリン-3-イル、ピペラジン-2-イル、ピロリジン-2-イル及びアゼチジン-2-イルからなる群から選択され、前記ピペリジン-4-イル、ピペリジン-3-イル及びピペラジン-2-イルは、シクロプロピル又はtert-ブチルオキシカルボニルによって場合によりN-置換されており、前記モルホリン-3-イルは、メチルによってC-二置換されており;
R5は、H、-C(O)-C1~C6-アルキル及び-C(O)-C1~C6-アルケニルからなる群から選択され;特に、R5は、H、-C(O)-C1~C4-アルキル及び-C(O)-C1~C4-アルケニルからなる群から選択され;より特定すれば、R5は、H、-C(O)-C1~C2-アルキル及び-C(O)-CH=CH2からなる群から選択され;更に一層特定すれば、R5は、H、-C(O)Me及び-C(O)-CH=CH2からなる群から選択され;
R3は、H又はハロゲンであり;特に、R3は、H、フルオロ又はクロロであり;より特定すれば、R3は、H又はクロロである。
【0041】
一実施形態では、式Iの化合物は、式IVの化合物:
【0042】
【化4】
【0043】
又は薬学的に許容されるその塩若しくは溶媒和物
[式中、
R1及びR5は、式I及びその実施形態のいずれかに関して上記で定義された通りである]
である。
【0044】
式IVの好ましい化合物又は薬学的に許容されるその塩若しくは溶媒和物は、R1及びR5の1つ又は複数が、次の通りに定義されるものである:
R1は、アミノ-C1~C6-アルキル、ピペリジニル、モルホリニル、ピペラジニル、ピロリジニル及びアゼチジニルからなる群から選択され、前記アミノ-C1~C6-アルキル、ピペリジニル、モルホリニル、ピペラジニル、ピロリジニル及びアゼチジニルは、炭素原子を経由してチアゾール環と連結しており、C1~C6-アルキル、C3~C6-シクロアルキル又はC1~C4-アルキルオキシカルボニルによって場合により置換されており;特に、R1は、アミノ-C1~C4-アルキル、ピペリジニル、モルホリニル、ピペラジニル、ピロリジニル及びアゼチジニルからなる群から選択され、前記アミノ-C1~C4-アルキル、ピペリジニル、モルホリニル、ピペラジニル、ピロリジニル及びアゼチジニルは、炭素原子を経由してチアゾール環と連結しており、C1~C4-アルキル、C3~C6-シクロアルキル又はC1~C4-アルキルオキシカルボニルによって場合により置換されており;より特定すれば、R1は、アミノ-C1~C3-アルキル、ピペリジン-4-イル、ピペリジン-3-イル、モルホリン-3-イル、モルホリン-2-イル、ピペラジン-2-イル、ピロリジン-3-イル、ピロリジン-2-イル、アゼチジン-3-イル及びアゼチジン-2-イルからなる群から選択され、前記アミノ-C1~C3-アルキル、ピペリジン-4-イル、ピペリジン-3-イル、モルホリン-3-イル、モルホリン-2-イル、ピペラジン-2-イル、ピロリジン-3-イル、ピロリジン-2-イル、アゼチジン-3-イル及びアゼチジン-2-イルは、C1~C4-アルキル、C3~C6-シクロアルキル又はC1~C4-アルキルオキシカルボニルによって場合により置換されており;より一層特定すれば、R1は、3-アミノプロピル、ピペリジン-4-イル、ピペリジン-3-イル、モルホリン-3-イル、ピペラジン-2-イル、ピロリジン-2-イル及びアゼチジン-2-イルからなる群から選択され、前記3-アミノプロピル、ピペリジン-4-イル、ピペリジン-3-イル、モルホリン-3-イル、ピペラジン-2-イル、ピロリジン-2-イル及びアゼチジン-2-イルは、C3~C6-シクロアルキル又はC1~C4-アルキルオキシカルボニルによって場合によりN-置換されており;更に一層特定すれば、R1は、3-アミノプロピル、ピペリジン-4-イル、ピペリジン-3-イル、モルホリン-3-イル、ピペラジン-2-イル、ピロリジン-2-イル及びアゼチジン-2-イルからなる群から選択され、前記ピペリジン-4-イル及びピペリジン-3-イルは、シクロプロピル又はtert-ブチルオキシカルボニルによって場合によりN-置換されており;例えば、R1は、3-アミノプロピル、ピペリジン-4-イル、ピペリジン-3-イル、モルホリン-3-イル、ピペラジン-2-イル、ピロリジン-2-イル及びアゼチジン-2-イルからなる群から選択され、前記3-アミノプロピル、ピペリジン-4-イル、ピペリジン-3-イル、モルホリン-3-イル、ピペラジン-2-イル、ピロリジン-2-イル及びアゼチジン-2-イルは、C3~C6-シクロアルキル若しくはC1~C4-アルキルオキシカルボニルによって場合によりN-置換されているか又はC1~C4-アルキルによってC-置換されており;別の例において、R1は、3-アミノプロピル、ピペリジン-4-イル、ピペリジン-3-イル、モルホリン-3-イル、ピペラジン-2-イル、ピロリジン-2-イル及びアゼチジン-2-イルからなる群から選択され、前記ピペリジン-4-イル、ピペリジン-3-イル及びピペラジン-2-イルは、シクロプロピル又はtert-ブチルオキシカルボニルによって場合によりN-置換されており、前記モルホリン-3-イルは、メチルによってC-二置換されており;
R5は、H、-C(O)-C1~C6-アルキル及び-C(O)-C1~C6-アルケニルからなる群から選択され;特に、R5は、H、-C(O)-C1~C4-アルキル、-C(O)-C1~C4-アルケニルからなる群から選択され;より特定すれば、R5は、H、-C(O)Me及び-C(O)-CH=CH2からなる群から選択される。
【0045】
一実施形態では、式Iの化合物は、式Vの化合物:
【0046】
【化5】
【0047】
又は薬学的に許容されるその塩若しくは溶媒和物
[式中、
R1及びR5は、式I及びその実施形態のいずれかに関して上記で定義された通りである]
である。
【0048】
式Vの好ましい化合物又は薬学的に許容されるその塩若しくは溶媒和物は、R1及びR5の1つ又は複数が、次の通りに定義されるものである:
R1は、C1~C6-アルキル及びモルホリニルからなる群から選択され、前記モルホリニルは、炭素原子を経由してチアゾール環と連結しており、C1~C6-アルキル、C3~C6-シクロアルキル又はC1~C4-アルキルオキシカルボニルによって場合により置換されており;特に、R1は、C1~C4-アルキル及びモルホリニルからなる群から選択され、前記モルホリニルは、炭素原子を経由してチアゾール環と連結しており、C1~C4-アルキル、C3~C6-シクロアルキル又はC1~C4-アルキルオキシカルボニルによって場合により置換されており;より特定すれば、R1は、C1~C4-アルキル、モルホリン-3-イル及びモルホリン-2-イルからなる群から選択され、前記モルホリン-3-イル及びモルホリン-2-イルは、C1~C4-アルキル、C3~C6-シクロアルキル又はC1~C4-アルキルオキシカルボニルによって場合により置換されており;より一層特定すれば、R1は、C1~C4-アルキル及びモルホリン-3-イルからなる群から選択され、前記モルホリン-3-イルは、C3~C6-シクロアルキル又はC1~C4-アルキルオキシカルボニルによって場合によりN-置換されており;更に一層特定すれば、R1は、tert-ブチル又はモルホリン-3-イルであり;
R5は、Hである。
【0049】
一実施形態では、式Iの化合物は、式VIの化合物:
【0050】
【化6】
【0051】
又は薬学的に許容されるその塩若しくは溶媒和物
[式中、
R1、R3及びR4は、式I及びその実施形態のいずれかに関して上記で定義された通りである]
である。
【0052】
本発明の特に好ましい化合物は、この後のTable 1(表1)に収載されている化合物である:
【0053】
【表1A】
【0054】
【表1B】
【0055】
【表1C】
【0056】
【表1D】
【0057】
【表1E】
【0058】
本発明の化合物は、当業者によって公知の反応を用いる様々な手法によって調製されうる。実施例の項において記述される通りの反応スキームは、例として、様々な可能なアプローチを例証する。
【0059】
本発明の化合物は、実際に、タンパク質キナーゼ、特にセリン/トレオニンキナーゼ、より特定すればBRAF又はその突然変異体の、モジュレーター、特に阻害剤である。それらは、PXRを活性化させないという利点を更に有する。故に、本発明は、本発明の化合物又は薬学的に許容されるその塩若しくは溶媒和物の、タンパク質キナーゼ、特にセリン/トレオニンキナーゼ、より特定すればBRAF又はその突然変異体の阻害剤としての使用も提供する。
【0060】
したがって、特に好ましい実施形態では、本発明は、式I若しくはその下位式のいずれかの化合物、特に上記のTable 1(表1)の化合物、又は薬学的に許容されるその塩若しくは溶媒和物の、タンパク質キナーゼ、特にセリン/トレオニンキナーゼ、より特定すればBRAF又はその突然変異体のモジュレーター、特に阻害剤としての使用に関する。
【0061】
適用
本発明者らは、本発明に従う式I若しくはその下位式のいずれかの化合物、又は薬学的に許容されるその塩若しくは溶媒和物が、プレグナンX受容体(PXR)を活性化させることなく、タンパク質キナーゼ、特にセリン/トレオニンキナーゼ、より特定すればBRAF又はその突然変異体を、モジュレートする、特に阻害する能力を有することを実証した。
【0062】
本発明の化合物又は薬学的に許容されるその塩若しくは溶媒和物は、したがって、異常な又は調節解除されたタンパク質キナーゼ活性に関連する疾患又は障害の処置又は予防において有用である。言い換えると、本発明の化合物又は薬学的に許容されるその塩若しくは溶媒和物は、したがって、タンパク質キナーゼシグナル伝達によって媒介される疾患又は障害の処置又は予防において有用である。
【0063】
故に、本発明は、調節解除されたタンパク質キナーゼ活性に関連する疾患又は障害を処置する又は予防する際に使用するための、本発明の化合物又は薬学的に許容されるその塩若しくは溶媒和物にも関する。
【0064】
一実施形態では、本発明は、調節解除されたタンパク質キナーゼ活性に関連する疾患又は障害を処置する又は予防する際に使用するための、本発明の化合物又は薬学的に許容されるその塩若しくは溶媒和物に関し、ここで、タンパク質キナーゼは、チロシンキナーゼ、セリン/トレオニンキナーゼ及び二重特異性を持つキナーゼから選択され、特に、タンパク質キナーゼは、RAFファミリー、EGFRファミリー、ALK、MEK、FGFR1、FGFR2、FGFR3、FGFR4、FLT3、IGF1R、c-Met、JAKファミリー、PDGFRα及びβ、RET、AXL、c-KIT、TrkA、TrkB、TrkC、ROS1、BTK並びにSykから選択され、より特定すれば、タンパク質キナーゼは、A-RAF、B-RAF及びC-RAFから選択され、更に一層特定すれば、タンパク質キナーゼは、B-RAF又はその突然変異形態であり、より一層特定すれば、タンパク質キナーゼは、B-RAF又はその突然変異形態であり、ここで、突然変異形態は、R461I、I462S、G463E、G463V、G465A、G465E、G465V、G468A、G468E、N580S、E585K、D593V、F594L、G595R、L596V、T598I、V599D、V599E、V599K、V599R、V600E及びA727V、特にV599E及びV600Eから選択され、より特定すれば、V599Eである。
【0065】
本発明の意義の範囲内で、調節解除されたタンパク質キナーゼ活性に関連する疾患は、がん、特に、黒色腫、肺がん、結腸直腸がん、消化管間質がん及び膵臓がんからなる群から選択されるがんを含むがこれらに限定されない。
【0066】
故に、がんを処置する又は予防する際に使用するための、本発明の化合物又は薬学的に許容されるその塩若しくは溶媒和物が提供される。特に、黒色腫、肺がん、結腸直腸がん、消化管間質がん及び膵臓がんからなる群から選択されるがんを処置する又は予防する際に使用するための、本発明の化合物又は薬学的に許容されるその塩若しくは溶媒和物が提供される。より特定すれば(particulary)、黒色腫、肺がん、結腸直腸がん及び消化管間質がんからなる群から選択されるがんを処置する又は予防する際に使用するための、本発明の化合物又は薬学的に許容されるその塩若しくは溶媒和物が提供される。
【0067】
一実施形態では、黒色腫、特に転移性黒色腫を処置する又は予防する際に使用するための、本発明の化合物又は薬学的に許容されるその塩若しくは溶媒和物が提供される。
【0068】
一実施形態では、肺がん、特に、小細胞肺癌(SCLC)、非小細胞肺癌(NSCLC)及び肺腺癌を処置する又は予防する際に使用するための、本発明の化合物又は薬学的に許容されるその塩若しくは溶媒和物が提供される。
【0069】
一実施形態では、結腸直腸がんを処置する又は予防する際に使用するための、本発明の化合物又は薬学的に許容されるその塩若しくは溶媒和物が提供される。
【0070】
一実施形態では、消化管間質がんを処置する又は予防する際に使用するための、本発明の化合物又は薬学的に許容されるその塩若しくは溶媒和物が提供される。
【0071】
一実施形態では、膵臓がん、特に膵臓神経内分泌がんを処置する又は予防する際に使用するための、本発明の化合物又は薬学的に許容されるその塩若しくは溶媒和物が提供される。
【0072】
言い換えると、本発明は、調節解除されたタンパク質キナーゼ活性に関連する疾患又は障害を処置する又は予防する方法であって、治療有効量の本発明の化合物又は薬学的に許容されるその塩若しくは溶媒和物の、それを必要とする患者への投与を含む方法にも関する。好ましくは、患者は、温血動物、より好ましくはヒトである。調節解除されたタンパク質キナーゼ活性に関連する疾患又は障害は、好ましくは、上記で定義されたものである。
【0073】
本発明は、がんを処置する又は予防する方法であって、治療有効量の本発明の化合物又は薬学的に許容されるその塩若しくは溶媒和物の、それを必要とする患者への投与を含む方法にも関する。好ましくは、患者は、温血動物、より好ましくはヒトである。特に、本発明は、黒色腫、肺がん、結腸直腸がん、消化管間質がん及び膵臓がんからなる群から選択されるがんを処置する又は予防する方法であって、治療有効量の本発明の化合物又は薬学的に許容されるその塩若しくは溶媒和物の、それを必要とする患者への投与を含む方法に関する。
【0074】
本発明は更に、調節解除されたタンパク質キナーゼ活性に関連する疾患又は障害を処置する又は予防する際に使用するための、医薬の製造のための本発明の化合物又は薬学的に許容されるその塩若しくは溶媒和物の使用を提供する。好ましくは、患者は、温血動物、より好ましくはヒトである。調節解除されたタンパク質キナーゼ活性に関連する疾患又は障害は、好ましくは、上記で定義されたものである。
【0075】
本発明は更に、がんを処置する又は予防する際に使用するための、医薬の製造のための本発明の化合物又は薬学的に許容されるその塩若しくは溶媒和物の使用を提供する。好ましくは、患者は、温血動物、より好ましくはヒトである。特に、本発明は更に、黒色腫、肺がん、結腸直腸がん、消化管間質がん及び膵臓がんからなる群から選択されるがんを処置する又は予防する際に使用するための、医薬の製造のための本発明の化合物又は薬学的に許容されるその塩若しくは溶媒和物の使用を提供する。
【0076】
本発明の更なる特色によれば、そのような処置を必要とする患者において、タンパク質キナーゼ、特にセリン/トレオニンキナーゼ、より特定すればBRAF又はその突然変異体を、モジュレートする、特に阻害する際に使用するための、本発明の化合物又は薬学的に許容されるその塩若しくは溶媒和物が提供され、前記患者に、有効量の本発明の化合物又は薬学的に許容されるその塩若しくは溶媒和物を投与する工程を含む。言い換えると、本発明は、そのような処置を必要とする患者において、タンパク質キナーゼ、特にセリン/トレオニンキナーゼ、より特定すればBRAF又はその突然変異体を、モジュレートする、特に阻害するための方法であって、前記患者に、有効量の本発明の化合物又は薬学的に許容されるその塩若しくは溶媒和物を投与する工程を含む方法も提供する。好ましくは、患者は、温血動物、より一層好ましくはヒトである。
【0077】
本発明によれば、本発明の化合物は、医薬製剤として、治療有効量で、許容される投与モードのいずれかによって、好ましくは静脈内又は経口ルートによって、投与されうる。
【0078】
治療有効量範囲は、典型的には、処置される疾患の重症度、対象の年齢及び相対的健康、化合物の効力、投与のルート及び形態、投与が向けられる徴候、並びに関与する医師の優先傾向及び経験等の多数の要因に応じて、1日に体重1kg当たり0.1から50000μgまで、好ましくは1日に体重1kg当たり1000から40000μgまでである。そのような疾患を処置する当業者は、個人的知識を頼りに、所与のがんのための本発明の抗新生物剤の治療有効量を解明することができるであろう。
【0079】
一実施形態によれば、本発明の化合物、それらの薬学的に(pharmaceutical)許容される塩又は溶媒和物は、組合せ療法の一部として投与されうる。故に、活性原料としての本発明の化合物、薬学的に許容されるその塩若しくは溶媒和物に加えて、追加の治療剤及び/又は活性原料を含有する、組成物及び医薬の共投与を含む実施形態が、本発明の範囲内に含まれる。そのような複数の薬物レジメンは、多くの場合で組合せ療法と称され、調節解除されたタンパク質キナーゼ活性に関連する任意の疾患又は障害、特に上記で定義されたものの処置又は予防において使用されうる。
【0080】
故に、本発明の処置の方法及び医薬組成物は、本発明の化合物又はそれらの薬学的に許容される塩若しくはその溶媒和物を単剤療法の形態で用いることができるが、前記方法及び組成物は、式Iの1つ又は複数の化合物又はそれらの薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物が1つ又は複数の他の治療剤と組み合わせて共投与される多重療法の形態で使用されることも可能である。追加の治療剤は、他の抗がん剤、鎮痛薬、抗鬱薬又は抗炎症剤を含むがこれらに限定されない。
【0081】
本発明は、本発明の化合物又は薬学的に許容されるその塩若しくは溶媒和物と、少なくとも1つの薬学的に許容される添加剤とを含む医薬組成物も提供する。上記で指し示されている通り、本発明は、活性原料としての本発明の化合物、薬学的に許容されるその塩又は溶媒和物に加えて、追加の治療剤及び/又は活性原料を含有する医薬組成物も網羅する。
【0082】
本発明は、ヒト又は動物における治療的処置において使用するための、本発明の化合物又は薬学的に許容されるその塩若しくは溶媒和物も提供する。
【0083】
本発明の別の目的は、活性原料として、少なくとも1つの本発明の化合物又は薬学的に許容されるその塩若しくは溶媒和物を含む医薬である。
【0084】
概して、薬学的使用のために、本発明の化合物は、少なくとも1つの本発明の化合物及び少なくとも1つの薬学的に許容される添加剤、並びに場合により1つ又は複数の更なる薬学的活性化合物を含む医薬調製物として製剤化されうる。
【0085】
非限定的な例を活用して、そのような製剤は、経口投与(例えば、錠剤、カプセル剤として、又は摂取可能な液剤として)に、非経口投与(静脈内、筋肉内若しくは皮下注射又は静脈内注入によって等)に、局所投与(眼を含む)、脳内投与、舌下投与、エアロゾル投与に、吸入による、皮膚パッチ剤による、移植片による、坐剤による投与等に、好適な形態であってよい。そのような好適な投与形態-投与の方式に応じて、固体、半固体又は液体であってよい-並びに、その調製において使用するための方法並びに担体、賦形剤及び添加剤は、当業者には明らかとなるであろうし、Remington's Pharmaceutical Sciencesの最新版を参照する。
【0086】
例えば、本発明の化合物又は本発明の化合物を含む医薬組成物は、即時、遅延、調節、持続、パルス又は制御放出適用のための、香味又は着色剤を含有しうる、錠剤、コーティング錠剤、丸剤、カプセル剤、軟ゼラチンカプセル剤、経口散剤、顆粒剤、オビュール剤、エリキシル剤、液剤又は懸濁剤の形態で経口的に投与されうる。
【0087】
錠剤は、微結晶性セルロース、ラクトース、クエン酸ナトリウム、炭酸カルシウム、第二リン酸カルシウム及びグリシン等の添加剤、デンプン(好ましくは、トウモロコシ、バレイショ又はタピオカデンプン)、デンプングリコール酸ナトリウム、クロスカルメロースナトリウム及びある特定の複合ケイ酸塩等の崩壊剤、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、スクロース、ゼラチン及びアカシア等の結合剤、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、ベヘン酸グリセリル等の滑沢剤を含有しうる。同様の種類の固体組成物は、硬ゼラチンカプセル剤において充填剤として用いることも可能である。これに関して好ましい添加剤は、ラクトース、サッカロース、ソルビトール、マンニトール、バレイショデンプン、コーンスターチ、アミロペクチン、セルロース誘導体又はゼラチンを含む。硬ゼラチンカプセル剤は、本発明の化合物の顆粒剤を含有しうる。
【0088】
軟ゼラチンカプセル剤は、本発明の化合物、植物油、ワックス、脂肪、又は軟ゼラチンカプセル剤のための他の好適なビヒクルを含有するカプセル剤を用いて調製されうる。例として、許容されるビヒクルは、長鎖トリグリセリド植物油(例えばコーン油)等の油脂性ビヒクルであることができる。
【0089】
水の添加による水性懸濁剤の調製に好適な分散性の粉末及び顆粒剤は、活性原料を、分散剤、湿潤剤及び懸濁化剤並びに1つ又は複数の保存剤との混合物で含有しうる。追加の添加剤、例えば甘味、香味及び着色剤が存在してもよい。これらの組成物は、アスコルビン酸等の酸化防止剤の添加によって保存されうる。
【0090】
経口投与のための液体剤形は、水又は油脂性ビヒクル等の当技術分野において一般的に使用される不活性希釈剤を含有する、薬学的に許容される液剤、乳剤、懸濁剤、シロップ剤及びエリキシル剤を含みうる。液体剤形は、使用前の水又は他の好適なビヒクルによる構成用の乾燥製品として提示されうる。そのような組成物は、湿潤剤、乳化及び懸濁化剤等のアジュバント、2-ヒドロキシプロピル-ベータ-シクロデキストリン、スルホブチルエーテル-ベータ-シクロデキストリン(cylodextrin)等の錯化剤、並びに甘味、香味、着香剤、着色物質又は染料に水、エタノール、プロピレングリコール及びグリセリン等の賦形剤を加えたもの、並びにそれらの組合せを含むこともできる。これらの組成物は、ブチル化ヒドロキシアニソール又はアルファ-トコフェロール等の酸化防止剤の添加によって保存されうる。
【0091】
本発明の化合物の微細化された粉末は、例えば微粉化によって又は当技術分野において公知のプロセスによって調製されうる。本発明の化合物を、湿式ミリング等の公知のミリング手順を使用して製粉して、錠剤形成に及び他の製剤種類に適切な粒径を取得することができる。
【0092】
本発明の化合物が非経口的に投与される場合、そのような投与の例は、作用物質を、静脈内に、動脈内に、腹腔内に、くも膜下腔内に、脳室内に、尿道内に、胸骨内に、頭蓋内に、筋肉内に若しくは皮下に;及び/又は注入技術を使用することによって投与することの1つ又は複数を含む。
【0093】
本発明の化合物は、容易に(ready)入手可能な又はデポー型製剤を用いる非経口ルートを介して投与されうる。
【0094】
容易に入手可能な製剤の非経口投与のための医薬組成物は、非毒性の非経口的に許容される賦形剤又は溶媒中の滅菌注射用水性又は油脂性(oleagenous)溶液又は懸濁液の形態であってよく、懸濁化、安定化、分散、湿潤及び/又は錯化剤、例を挙げると、シクロデキストリン、例えば2-ヒドロキシプロピル-ベータ-シクロデキストリン、スルホブチルエーテル-ベータ-シクロデキストリン等の配合剤を含有しうる。
【0095】
非経口投与のためのデポー型製剤は、生体適合性及び生分解性ポリマー(例えば、ポリ(β-カプロラクトン)、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(グリコール酸)、ポリ[(乳酸)-co-(グリコール酸)…]、ポリ(乳酸)…)、非生分解性ポリマー(例えば、エチレン酢酸ビニルコポリマー、ポリウレタン、ポリエステル(アミド)、ポリ塩化ビニル…)水性及び非水性ビヒクル(例えば、水、ゴマ油、綿実油、大豆油、ヒマシ油、アーモンド油、油性エステル、エチルアルコール又は分画植物油、プロピレングリコール、DMSO、THF、2-ピロリドン、N-メチルピロリジノン、N-ビニルピロリジノン…)を含むがこれらに限定されない、薬学的に許容される添加剤を用いる従来の技術によって調製されうる。
【0096】
代替として、活性原料は、好適なビヒクルによる構成用の粉末、結晶性又はフリーズドライされた固体等の乾燥形態であってよい。滅菌条件下での好適な非経口製剤の調製は、当業者に周知である標準的な薬学技術によって容易に遂行される。
【0097】
指し示した通り、本発明の化合物は、鼻腔内に又は吸入によって投与することができ、好都合なことに、乾燥粉末吸入器の形態で、又は、加圧コンテナ、ポンプ、スプレー若しくはネブライザーからのエアロゾルスプレー提示物として、好適な噴射剤、例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン(例えばIneos Fluor社製)、二酸化炭素若しくは他の好適なガスを使用して、送達される。加圧エアロゾルの事例において、投薬量単位は、計量された量を送達するための弁を設けることによって決定されうる。加圧コンテナ、ポンプ、スプレー又はネブライザーは、活性化合物の溶液又は懸濁液を含有しうる。吸入器又は注入器において使用するためのカプセル及びカートリッジ(例えば、ゼラチン製)は、化合物とラクトース又はデンプン等の好適な散剤基剤との混合粉体を含有するように製剤化されうる。吸入投与に好適な及び/又は適応している組成物では、式(I)の化合物又は塩は、粒径低減形態であることが好ましく、より好ましくは、サイズ低減形態は、微粉化によって取得される又は取得可能である。サイズ低減された(例えば微粉化された)化合物又は塩又は溶媒和物の好ましい粒径は、約0.5から約50ミクロンのD50値によって定義される(例えばレーザー回折を使用して測定される)。
【0098】
代替として、本発明の化合物は、坐剤若しくはペッサリーの形態で投与されうるか、又はゲル剤、ヒドロゲル剤、ローション剤、液剤、クリーム剤、軟膏剤若しくは撒布剤の形態で局所的に塗布されうる。本発明の化合物は、例えば、皮膚パッチ剤の使用によって真皮に又は経皮的に投与することもできる。化合物は、経肺又は経直腸ルートによって投与することもできる。化合物は、経眼ルートによって投与することもできる。眼への使用では、化合物は、等張のpH調整した滅菌生理食塩水中の微粉化懸濁液として、又は、好ましくは、等張のpH調整した滅菌生理食塩水中の溶液として、場合により塩化ベンジルアルコニウム等の保存剤と組み合わせて、製剤化されうる。代替として、化合物は、ワセリン等の軟膏剤中で製剤化されうる。
【0099】
皮膚への局所適用では、本発明の作用物質は、例えば、下記:鉱油、流動ワセリン、白色ワセリン、プロピレングリコール、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン化合物、乳化ワックス及び水の1つ又は複数との混合物に懸濁された又は溶解された活性化合物を含有する好適な軟膏剤として製剤化されうる。代替として、作用物質は、例えば、下記:鉱油、ソルビタンモノステアレート、ポリエチレングリコール、流動パラフィン、ポリソルベート60、セチルエステルワックス、セテアリルアルコール、2-オクチルドデカノール、ベンジルアルコール及び水の1つ又は複数の混合物に懸濁された又は溶解された、好適なローション剤又はクリーム剤として製剤化されうる。
【0100】
定義
以下の定義及び説明は、明細書及び特許請求の範囲の両方を含む本出願全体を通して使用される用語についてのものである。
【0101】
別段の記載がない限り、本明細書における本発明の化合物への任意の言及は、化合物それ自体並びにそれらの薬学的に許容される塩及び溶媒和物を意味する。
【0102】
本発明の化合物について記述する場合、使用される用語は、別段の指示がない限り、下記の定義に従って解釈されるべきである。
【0103】
用語「非置換」は、本明細書において使用される場合、ラジカル(radical)、基又は残基が置換基を担持しないことを意味する。用語「置換」は、ラジカル、基又は残基が1つ又は複数の置換基を担持することを意味する。用語「N-置換」は、1つ又は複数の置換基が、ラジカル、基又は残基のN原子に担持されていることを意味する。
【0104】
用語「ハロ」又は「ハロゲン」は、周期表の第17族の原子(ハロゲン類)を指し、特に、フッ素(F)、塩素(Cl)、臭素(Br)及びヨウ素(I)原子を含む。好ましいハロ基は、フルオロ(F)及びクロロ(Cl)であり、フルオロが特に好ましい。
【0105】
用語「アルキル」は、それ自体が又は別の置換基の一部として、式CnH2n+1のヒドロカルビル基[式中、nは、1以上の数字である]を指す。アルキル基は、故に、1個又は複数の炭素原子を含んでよく、概して、本発明に従って、1から12個まで、より好ましくは1から8個までの炭素原子、更に一層好ましくは1から6個までの炭素原子を含んでよい。アルキル基は、本発明の意味の範囲内で、直鎖状又は分枝鎖状であってよい。アルキル基の例は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、ペンチル、sec-ペンチル、イソペンチル、ヘキシル及びイソヘキシルを含むがこれらに限定されない。
【0106】
用語「アルケニル」は、それ自体が又は別の置換基の一部として、少なくとも1つの二重炭素-炭素結合を含むヒドロカルビル基を指す。アルケニル基は、故に、2個以上の炭素原子を含んでよく、概して、本発明に従って、2から12個まで、より好ましくは2から8個までの炭素原子、更に一層好ましくは2から6個までの炭素原子を含んでよい。
【0107】
用語「アルキニル」は、それ自体が又は別の置換基の一部として、少なくとも1つの三重炭素-炭素結合を含むヒドロカルビル基を指す。アルキニル基は、故に、2個以上の炭素原子を含んでよく、概して、本発明に従って、2から12個まで、より好ましくは2から8個までの炭素原子、更に一層好ましくは2から6個までの炭素原子を含んでよい。
【0108】
用語「アルコキシ」は、それ自体が又は別の置換基の一部として、-O-アルキル基を指し、ここで、アルキルは、上記で定義された通りである。アルコキシ基の例は、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、sec-ブトキシ、イソブトキシ、tert-ブトキシ、ペントキシ、sec-ペントキシ及びイソペントキシを含むがこれらに限定されない。
【0109】
用語「アミノアルキル」は、それ自体が又は別の置換基の一部として、-アルキル-NH2基を指し、ここで、アルキルは、上記で定義された通りである。
【0110】
用語「アルキルオキシカルボニル」は、それ自体が又は別の置換基の一部として、-C(O)-O-アルキル基を指し、ここで、アルキルは、上記で定義された通りである。
【0111】
用語「ハロアルキル」又は「ハロゲノアルキル」は、単独で又は組み合わせて、上記で定義された通りの意味を有するアルキル基を指し、ここで、1個又は複数の水素は、上記で定義された通りのハロゲンで置きかえられている。そのようなハロアルキル基の非限定的な例は、クロロメチル、1-ブロモエチル、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、1,1,1-トリフルオロエチル等を含む。
【0112】
用語「シクロアルキル」は、本明細書において使用される場合、一価飽和又は不飽和単環式又は二環式ヒドロカルビル基である。シクロアルキル基は、3個以上の炭素原子を環中に含んでよく、概して、本発明に従って、3から10個まで、より好ましくは3から8個までの炭素原子、更に一層好ましくは3から6個までの炭素原子を含んでよい。シクロアルキル基の例は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル及びシクロヘプチルを含むがこれらに限定されない。
【0113】
用語「ヘテロ原子」は、本明細書において使用される場合、炭素でも水素でもない任意の原子を指す。そのようなヘテロ原子の非限定的な例は、窒素、酸素、硫黄及びリンを含む。本発明に従う好ましいヘテロ原子は、窒素、酸素及び硫黄である。
【0114】
用語「ヘテロシクリル」、「ヘテロシクロアルキル」又は「ヘテロシクロ」は、本明細書において使用される場合、それ自体が又は別の基の一部として、少なくとも1個の炭素原子含有環中に少なくとも1個のヘテロ原子を有する非芳香族、完全飽和又は部分不飽和環式基(例えば、3から7員単環式、7から11員二環式、又は合計3から10個の環原子を含有する)を指す。ヘテロ原子を含有するヘテロ環式基の各環は、窒素、酸素及び/又は硫黄原子から選択される1、2、3又は4個のヘテロ原子を有してよく、ここで、窒素及び硫黄ヘテロ原子は、場合により酸化されてよく、窒素ヘテロ原子は場合により四級化されてよい。ヘテロ環式基は、原子価が許す場合、環又は環系の任意のヘテロ原子又は炭素原子で結合していてよい。ヘテロシクリル基の例は、アジリジニル、アゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、アゼパニル、ピペラジニル、モルホリニルを含むがこれらに限定されない。本発明に従う好ましいヘテロシクリル基は、アゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル及びモルホリニルである。
【0115】
用語「アリール」は、本明細書において使用される場合、単環(すなわち、フェニル)又は互いに縮合した複数の芳香族環(例えば、ナフチル)を有する、典型的には5から12個、好ましくは6から10個の原子を含有する、多価不飽和芳香族ヒドロカルビル基を指し、ここで、少なくとも1個の環は、芳香族である。アリール基の例は、フェニル、ビフェニル、1-ナフチル(又はナフタレン-1-イル)、2-ナフチル(又はナフタレン-2-イル)、アントラセニル、インダニル、インデニル、1,2,3,4-テトラヒドロナフチルを含むがこれらに限定されない。本発明に従う好ましいアリール基は、フェニルである。
【0116】
用語「ヘテロアリール」は、本明細書において使用される場合、それ自体が又は別の基の一部として、互いに縮合した1から2個の環を含有する、典型的には5から6個の原子を含有する5から12個の炭素原子芳香族環又は環系を指すがこれに限定されず、そのうちの少なくとも1つは芳香族であり、これらの環の1個又は複数中の1個又は複数の炭素原子は、酸素、窒素及び/又は硫黄原子によって置きかえられており、ここで、窒素及び硫黄ヘテロ原子は場合により酸化されてよく、窒素ヘテロ原子は場合により四級化されてよい。ヘテロアリール基の例は、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、トリアジニル、キノリニル、キノキサリニル、キナゾリニル、フラニル、ベンゾフラニル、ピロリル、インドリル、チオフェニル、ベンゾチオフェニル、イミダゾリル、ベンズイミダゾリル、ピラゾリル、インダゾリル、オキサゾリル、ベンゾオキサゾリル、イソオキサゾリル、ベンズイソオキサゾリル、チアゾリル、並びにベンゾチアゾリル、トリアゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、ジオキサゾリル、ジチアゾリル及びテトラゾリルを含むがこれらに限定されない。本発明に従う好ましいヘテロアリール基は、チアゾリルである。
【0117】
用語「ハロアリール」又は「ハロゲノアリール」は、単独で又は組み合わせて、上記で定義された通りの意味を有するアリール基を指し、ここで、1個又は複数の水素は、上記で定義された通りのハロゲンで置きかえられている。
【0118】
塩基性官能基を含有する本発明の化合物は、薬学的に許容される塩の形態であってよい。1つ又は複数の塩基性官能基を含有する本発明の化合物の薬学的に許容される塩は、特に、その酸付加塩を含む。好適な酸付加塩は、非毒性塩を形成する酸から形成される。例は、酢酸塩、アジピン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、べシル酸塩、重炭酸塩/炭酸塩、重硫酸塩/硫酸塩、ホウ酸塩、カンシル酸塩、桂皮酸塩、クエン酸塩、シクラミン酸塩、エジシル酸塩、エシル酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルセプト酸塩、グルコン酸塩、グロクロン酸塩、六フッ化リン酸塩、ヒベンズ酸塩、塩酸塩/塩化物、臭化水素酸塩/臭化物、ヨウ化水素酸塩/ヨウ化物、イセチオン酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メシル酸塩、メチル硫酸塩、ナフチル酸塩、2-ナプシル酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オロチン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、リン酸塩/リン酸水素塩/リン酸二水素塩、ピログルタミン酸塩、糖酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、タンニン酸塩、酒石酸塩、トシル酸塩、トリフルオロ酢酸塩及びキシナホ酸塩(xinofoate)を含む。
【0119】
式I及び下位式の化合物の薬学的に許容される塩は、例えば、次の通りに調製されうる:
(i)式I又はその下位式のいずれかの化合物を、所望の酸と反応させる、或いは
(ii)式I又はその下位式のいずれかの化合物の1つの塩を、適切な酸との反応によって又は好適なイオン交換カラムを活用して、別の塩に変換する。
【0120】
すべてのこれらの反応は、典型的には溶液中で行われる。塩は、溶液から沈殿され濾過によって収集されうるか、又は溶媒の蒸発によって回収されうる。塩におけるイオン化の程度は、完全なイオン化からほぼ非イオン化まで変動しうる。
【0121】
用語「溶媒和物」は、本明細書において、本発明の化合物と、1つ又は複数の薬学的に許容される溶媒分子、例えば、エタノールとを含む分子錯体を記述するために使用される。用語「水和物」は、前記溶媒が水である場合に用いられる。
【0122】
本発明の化合物は、すべての多形体及びその晶癖、プロドラッグ及びその異性体(光学、幾何及び互変異性異性体を含む)並びに本発明の同位体標識化合物を含む、上記で定義されている通りの本発明の化合物を含む。
【0123】
加えて、概して、本発明の化合物の塩に関しては、薬学的に許容される塩が好ましいが、本発明は、その最も広い意味において、薬学的に許容されない塩も含み、これは例えば本発明の化合物の単離及び/又は精製において使用されうることに留意すべきである。例えば、光学活性酸又は塩基と形成される塩を使用して、本発明の化合物の光学活性異性体の分離を容易にすることができるジアステレオ異性体塩を形成することができる。
【0124】
用語「患者」は、医学的ケアを待っている若しくは受けている又は医学的手順の目的である若しくは目的となる、温血動物、より好ましくはヒトを指す。
【0125】
用語「ヒト」は、両方の性及び任意の発達段階(すなわち、新生児、乳児、若年、青年、成人)の対象を指す。一実施形態では、ヒトは、青年又は成人、好ましくは成人である。
【0126】
用語「処置する」、「処置すること」及び「処置」は、本明細書において使用される場合、状態若しくは疾患及び/又はその付随する症状を軽減する又は抑止することを含むことが意図される。
【0127】
用語「治療有効量」(又はより端的に「有効量」又は「好適な用量」)は、本明細書において使用される場合、それが投与される個体において所望の治療又は予防効果を実現するために十分である、活性剤又は活性原料の量を意味する。
【0128】
用語「投与」又はその異形体(例えば、「投与すること」)は、活性剤又は活性原料を、単独で又は薬学的に許容される組成物の一部として、状態、症状又は疾患が処置されるべき患者に提供することを意味する。
【0129】
「薬学的に許容される」は、医薬組成物の原料が互いに適合性であり、その患者にとって有害ではないことを意味する。
【0130】
用語「添加剤」は、本明細書において使用される場合、医薬組成物又は医薬において活性剤又は活性原料と共に製剤化される物質を意味する。治療的使用のための許容される添加剤は、薬学分野において周知であり、例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences、第21版、2011において記述される。添加剤の選択は、意図されている投与ルート及び標準的な医薬実務に関して選択されうる。添加剤は、そのレシピエントにとって有害ではないという意味で許容されるものでなくてはならない。少なくとも1つの薬学的に許容される添加剤は、例えば、結合剤、賦形剤、担体、滑沢剤、崩壊剤、湿潤剤、分散剤、懸濁化剤等であってよい。
【0131】
用語「がん」は、本明細書において使用される場合、調節されていない若しくは異常調節された細胞成長又は細胞死を特徴とする対象における生理学的状態を指す。用語「がん」は、悪性であるか良性であるかにかかわらず、固形腫瘍及び血液由来の腫瘍を含む。
【0132】
がんの例は、以下を含むがこれらに限定されない:
腺房腺癌、腺房癌、肢端黒子型黒色腫、日光角化症、腺癌、腺様嚢胞癌、腺扁平上皮癌、付属器癌、副腎静止腫瘍、副腎皮質癌、アルドステロン分泌性癌、胞巣状軟部肉腫、無色素性黒色腫、エナメル芽細胞甲状腺癌(ameloblastic thyroid carcinoma)、血管肉腫、アポクリン腺癌、アスキン腫瘍、星状細胞腫、基底細胞癌、類基底細胞癌、基底有棘細胞癌、胆道がん、骨がん、骨髄がん、ブドウ状肉腫、脳腫瘍、乳がん、気管支肺胞上皮癌、気管支原性腺癌、気管支原性癌、悪性多形性腺腫、子宮頸がん、緑色腫、胆管細胞癌、軟骨肉腫、絨毛癌、脈絡叢癌、淡明細胞腺癌、結腸がん、結腸直腸がん、コメド癌、コルチゾール産生癌、円柱細胞癌、脱分化型脂肪肉腫、前立腺導管腺癌、導管癌、非浸潤性乳管癌、十二指腸がん、エクリン腺癌、胎生期癌、子宮内膜癌、子宮内膜間質癌、類上皮肉腫、食道がん、ユーイング肉腫、外向発育癌、線維芽細胞性肉腫、線維癌、線維性層板状癌、線維肉腫、濾胞性甲状腺癌、胆嚢がん、胃腺癌、消化管間質がん、巨細胞癌、巨細胞肉腫、骨巨細胞腫、神経膠腫、膠芽細胞腫又は多形性膠芽腫、顆粒膜細胞癌、頭頸部がん、血管腫、血管肉腫、肝芽腫、肝細胞癌、ヒュルトレ細胞癌、回腸がん、浸潤性小葉癌、炎症性乳癌、腺管内癌、表皮内癌、空腸がん、カポジ肉腫、クルケンベルグ腫瘍、クルチツキー細胞癌、クッパー細胞肉腫、大細胞癌、喉頭がん、悪性黒子型黒色腫、脂肪肉腫、肝臓がん、小葉癌、非浸潤性小葉癌、肺がん、リンパ上皮腫、リンパ上皮腫、リンパ肉腫、悪性黒色腫、髄様癌、髄様甲状腺癌、髄芽腫、髄膜癌、メルケル細胞癌、微小乳頭癌、混合細胞肉腫、粘液性癌、粘表皮癌、粘膜黒色腫、粘液型脂肪肉腫、粘液肉腫、上咽頭癌、腎芽腫、神経芽腫、結節型黒色腫、非淡明細胞型腎臓がん(non-clear cell renal cancer)、非小細胞肺がん、えんばく細胞癌、眼黒色腫、口腔がん、類骨癌、骨肉腫、卵巣がん、ページェット癌、膵臓がん、膵芽腫、乳頭腺癌、乳頭癌、甲状腺乳頭癌、骨盤がん、膨大部周囲癌、葉状腫瘍、下垂体がん、多形性脂肪肉腫、胸膜肺芽腫、原発性骨内癌、前立腺がん、直腸がん、腎細胞癌、網膜芽腫、横紋筋肉腫、円形細胞脂肪肉腫、瘢痕がん、住血吸虫膀胱がん、シュナイダー癌、皮脂腺癌、印環細胞癌、皮膚がん、小細胞肺がん、小細胞骨肉腫、軟部組織肉
腫、紡錘細胞癌、紡錘細胞肉腫、扁平上皮細胞癌、胃がん、表在拡大型黒色腫、滑膜肉腫、毛細管拡張性肉腫、終末管癌(terminal duct carcinoma)、精巣がん、甲状腺がん、移行細胞癌、管状腺癌、腫瘍形成性黒色腫、未分化癌、尿膜管腺癌、膀胱がん、子宮がん、子宮体癌、ブドウ膜黒色腫、膣(aginal)がん、疣贅性(cerrucous)癌、絨毛性癌、高分化型脂肪肉腫、ウィルムス腫瘍又は卵黄嚢腫瘍。本発明に従う好ましいがんは、黒色腫、肺がん、結腸直腸がん、消化管間質がん及び膵臓がんである。
【0133】
用語「抗がん剤」、「抗がん薬」、「化学療法剤」又は「細胞毒性剤」は、本明細書において使用される場合、がんを処置する又は予防するために使用され、1回又は複数のサイクルのレジメンで、単独で又は1つ若しくは複数の作用物質と組み合わせて数日から数週間の期間にわたって投与される化学剤を指す。そのような作用物質は、がん細胞等の高い増殖率を持つ細胞にとって毒性である。
【0134】
本発明は、下記の実施例を参照してよりよく理解されるであろう。これらの実施例は、本発明の具体的な実施形態を代表するように意図されており、本発明の範囲を限定するものとして意図されていない。
【実施例
【0135】
略語
本発明の文脈において、下記の略語及び実験式が使用される:
Boc:tert-ブチルオキシカルボニル
C18カラム:逆相C18カラム
℃:摂氏度
g:グラム
h:時間
HATU:ヘキサフルオロホスフェートアザベンゾトリアゾールテトラメチルウロニウム
HPLC:高速液体クロマトグラフィー
LC/MS:液体クロマトグラフィー/質量分析
M:リットル当たりのモル数
mg:ミリグラム
MH+:擬分子イオン(質量分析における陽イオンモード)
MHz:メガヘルツ
μL:マイクロリットル
mL:ミリリットル
mmol:ミリモル
mol:モル
NMR:核磁気共鳴
【0136】
本発明の他の特色、特性及び利点は、この後の記述及び実施例からより明確に現れるであろう。
実施例の合成に使用した機器及び分析方法
マイクロ波照射:
装置:Synergy社ソフトウェアを用いるCEM社ディスカバー。
方法:10又は30mLの密封管、出力50W、高撹拌、及び照射時間15又は30分。
フラッシュクロマトグラフィー:
装置:自動収集器及びUV検出(2つの波長)付きBiotage社SP。
順相カラム:Sigma-Aldrich社40~63μmのシリカゲルを詰めた10、30又は100gのBiotage社外部ドライロードカートリッジキット。
逆相カラム:30、120gのBiotage社SNAPカートリッジ、KP-C18-HS。
液体クロマトグラフィー:
装置:オートサンプラー付きWaters社アライアンス2695 HPLCシステム及びWaters社2996ダイオードアレイ検出器。
分析方法:
カラム:Macherey-Nagel社Nucleoshell RP18プラス(5μm、4mm×100mm)。
カラム温度:40℃。
溶媒:A(H2O 99.9%、H2CO2 0.1%);B(CH3CN 99.9%、H2CO2 0.1%)。
流速:1mL/分。
勾配(A/B v/v):90/10(t=0分)、90/10(t=1分)、0/100(t=7分)、0/100(t=10分)。
検出:210~400nm範囲。
質量分析計:
装置:Waters社マイクロマスZQ(単一四重極)。
質量検出方法:エレクトロスプレー陽モード(ESI+)、質量範囲:50~800uma。
NMR分析計:
装置:Brukers社400MHz。
方法:DMSO-d6中、内部基準としてのDMSO-d5、パーツ・パー・ミリオン(ppm)で表現される化学シフト、次の通りに表現されるシグナル:s=一重線、d=二重線、t=三重線、q=四重線(quadruplet)、sept=七重線(septuplet)、dd=二重二重線、dt=二重三重線、m=多重線又は大一重線(large singlet)、br=広域、H=プロトンを使用して実施される、1H NMRスペクトル。
【0137】
(実施例1)
N-{3-[5-(2-アミノピリミジン-4-イル)-2-モルホリン-3-イル-チアゾール-4-イル]-2-フルオロフェニル}-2,5-ジフルオロベンゼンスルホンアミド
【0138】
【化7】
【0139】
工程1:3-アミノ-2-フルオロ安息香酸メチルエステル
【0140】
【化8】
【0141】
5.00g(32.2mmol)の3-アミノ-2-フルオロ安息香酸を、アルゴン下、50mLの無水メタノールに溶解する。2.47mL(33.8mmol)の塩化チオニルを0℃でゆっくりと添加し、次いで、反応物を4時間にわたって還流させる(refuxed)。溶液を室温に冷却する。溶媒を減圧下で除去する。反応混合物を重炭酸ナトリウムの飽和溶液でクエンチし、酢酸エチルで3回抽出する。合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過する。濾液を減圧下で濃縮し、粗生成物を、ジクロロメタン/メタノール混合物を溶離液として使用する100gのシリカゲルカラムに通すフラッシュクロマトグラフィーによって精製する。5.03gの表題化合物が取得される。
収率:92%。
MH+: 170.3.
【0142】
工程2:3-(2,5-ジフルオロベンゼンスルホニルアミノ)-2-フルオロ安息香酸メチルエステル
【0143】
【化9】
【0144】
50mLの無水ピリジン中の5.03g(29.7mmol)の3-アミノ-2-フルオロ安息香酸メチルエステル(前の工程で記述したもの)の溶液に、アルゴン下、4.8mL(35.7mmol)の2,5-ジフルオロベンゼンスルホニルクロリドを0℃で添加する。混合物を、0℃で20分間にわたって、次いで室温で終夜撹拌する。完全変換後、反応(reactional)混合物を減圧下で濃縮し、ジクロロメタンに溶解し、塩酸0.5Nで4回及びブラインで1回洗浄する。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過する。濾液を減圧下で濃縮し、粗生成物を、ジクロロメタン/メタノール混合物を溶離液として使用する100gのシリカゲルカラム上でのフラッシュクロマトグラフィーによって精製する。8.14gの表題化合物が取得される。
収率:80%.
MH+: 346.5.
【0145】
工程3:N-{3-[2-(2-クロロピリミジン-4-イル)-アセチル]-2-フルオロ-フェニル}-2,5-ジフルオロベンゼン-スルホンアミド
【0146】
【化10】
【0147】
40mLの無水テトラヒドロフラン中の4g(11.6mmol)の3-(2,5-ジフルオロベンゼンスルホニルアミノ)-2-フルオロ安息香酸メチルエステル(前の工程で記述したもの)の溶液に、アルゴン下、40.5mL(40.5mmol)のリチウムビス(トリメチルシリル)アミドの溶液(テトラヒドロフラン中1M)を-15℃でゆっくりと添加する。反応物を-15℃で20分間にわたって撹拌し、次いで、浴温を-20から-15℃の間に保ちながら、10mLの無水テトラヒドロフラン中の1.79g(13.8mmol)の2-クロロ-4-メチルピリミジンの溶液をゆっくりと添加する。反応物をこの温度でもう30分間にわたって撹拌し、次いで、15mLの塩化アンモニウムの飽和溶液を-15℃でゆっくりと、続いて、200mLの水を添加する。溶液を分離し、有機層を水で3回洗浄する。合わせた水性層を塩酸1NでpH6~7に酸性化し、酢酸エチルで3回抽出する。すべての有機層を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過する。濾液を減圧下で濃縮し、粗生成物を、ジクロロメタン/メタノール混合物を溶離液として使用する100gのシリカゲルカラム上でのフラッシュクロマトグラフィーによって精製する。4.26gの表題化合物が黄色固体として取得される。
収率:83%。
MH+: 442.6.
【0148】
工程4:3-{5-(2-クロロピリミジン-4-イル)-4-[3-(2,5-ジフルオロベンゼンスルホニルアミノ)-2-フルオロフェニル]-チアゾール-2-イル}-モルホリン-4-カルボン酸tert-ブチルエステル
【0149】
【化11】
【0150】
400mg(0.91mmol)のN-{3-[2-(2-クロロピリミジン-4-イル)-アセチル]-2-フルオロ-フェニル}-2,5-ジフルオロベンゼンスルホンアミド(前の工程で記述したもの)を、4mLの無水N,N'-ジメチルアセトアミドに、アルゴン下、室温で溶解し、次いで、161mg(0.91mmol)のN-ブロモスクシンイミドを添加し、混合物を室温で30分間にわたって撹拌する。222mg(0.91mmol)の3-チオカルバモイルモルホリン-4-カルボン酸tert-ブチルエステルをアルゴン下で添加し、反応混合物を80℃で30分間にわたって加熱する。溶液を室温に冷却し、酢酸エチルで希釈する。有機層を水で2回及びブラインで1回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で蒸発させる。粗生成物を、酢酸エチル/ヘキサン混合物を溶離液として使用する30gのシリカゲルカラム上でのフラッシュクロマトグラフィーによって精製する。348mgの表題化合物が取得される。
収率:58%。
MH+: 668.8; 670.8.
【0151】
工程5:3-{5-(2-アミノピリミジン-4-イル)-4-[3-(2,5-ジフルオロベンゼンスルホニルアミノ)-2-フルオロフェニル]-チアゾール-2-イル}-モルホリン-4-カルボン酸tert-ブチルエステル
【0152】
【化12】
【0153】
348mg(0.52mmol)の3-{5-(2-クロロピリミジン-4-イル)-4-[3-(2,5-ジフルオロベンゼンスルホニルアミノ)-2-フルオロフェニル]-チアゾール-2-イル}-モルホリン-4-カルボン酸tert-ブチルエステル(前の工程で記述したもの)を、4mLの水酸化アンモニウム28%の溶液に溶解し、溶液を、マイクロ波照射下、90℃で1時間にわたって加熱する。混合物を100mLの塩化アンモニウムの飽和溶液中で希釈し、酢酸エチルで3回抽出する。合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で蒸発させる。粗生成物を、ジクロロメタン/メタノール混合物を溶離液として使用する10gのシリカゲルカラム上でのフラッシュクロマトグラフィーによって精製する。193mgの表題化合物が黄色固体として取得される。
収率:57%。
MH+: 649.8.
【0154】
工程6:N-{3-[5-(2-アミノピリミジン-4-イル)-2-モルホリン-3-イル-チアゾール-4-イル]-2-フルオロフェニル}-2,5-ジフルオロベンゼンスルホンアミド
【0155】
【化13】
【0156】
50mg(0.077mmol)の3-{5-(2-アミノピリミジン-4-イル)-4-[3-(2,5-ジフルオロベンゼンスルホニルアミノ)-2-フルオロフェニル]-チアゾール-2-イル}-モルホリン-4-カルボン酸tert-ブチルエステル(前の工程で記述したもの)を1mLのジクロロメタンに溶解し、次いで、0.5mLのトリフルオロ酢酸を添加する。溶液を室温で1時間にわたって撹拌する。次いで、溶媒を除去し、酢酸エチルを添加し、溶液を重炭酸ナトリウムの飽和溶液で3回洗浄する。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で蒸発させる。粗生成物を、ジクロロメタン/メタノール混合物を溶離液として使用する10gのシリカゲルカラム上でのフラッシュクロマトグラフィー、続いて、水/メタノール混合物を溶離液として使用する30gのC18カラム上での別のフラッシュクロマトグラフィーによって精製する。20mgの表題化合物が取得される。
収率: 50%.
MH+: 549.7.
1H NMR (DMSO-d6, 400 MHz): δ 10.63 (br s, 1H); 7.98 (d, J=5.2 Hz, 1H); 7.58-7.34 (m, 4H); 7.32-7.16 (m, 2H); 6.74 (s, 2H); 5.88 (d, J=5.1 Hz, 1H); 4.18-4.08 (m, 1H); 3.96-3.87 (m, 1H); 3.76-3.68 (m, 1H); 3.54-3.40 (m, 2H); 2.94-2.84 (m, 2H).
【0157】
(実施例2)
N-{3-[5-(2-アミノピリミジン-4-イル)-2-(1-シクロプロピルピペリジン-4-イル)-チアゾール-4-イル]-2-フルオロフェニル}-2,5-ジフルオロベンゼンスルホンアミド
【0158】
【化14】
【0159】
工程1:1-シクロプロピルピペリジン-4-カルボキサミド
【0160】
【化15】
【0161】
500mg(3.90mmol)のピペリジン-4-カルボキサミドを40mLのメタノールに溶解し、次いで、1.18mL(5.85mmol)の(1-エトキシシクロプロポキシ)トリメチルシラン、続いて、0.67mL(11.7mmol)の酢酸及び394mg(6.24mmol)のシアノ水素化ホウ素ナトリウムを添加する。溶液を、室温で10分間にわたって及び60℃で終夜撹拌する。反応混合物を室温に冷却し(cold)、溶媒を除去し、混合物を、ジクロロメタン/メタノール混合物を溶離液として使用する30gのシリカゲルカラム上でのフラッシュクロマトグラフィーによって直接精製する。937mgの表題化合物が白色固体として取得される。
収率:100%。
MH+: 169.2.
【0162】
工程2:1-シクロプロピルピペリジン-4-カルボチオアミド
【0163】
【化16】
【0164】
656mg(3.90mmol)の1-シクロプロピルピペリジン-4-カルボキサミド(前の工程で記述したもの)を15mLのテトラヒドロフランに溶解し、次いで、1.36g(3.35mmol)のローソン試薬を添加し、混合物を60℃で5時間にわたって撹拌する。もう0.7g(1.73mmol)のローソン試薬を添加し、混合物を60℃で終夜撹拌する。反応混合物を室温で冷却し、溶媒を減圧下で除去する。酢酸エチルを添加し、溶液を重炭酸ナトリウムの飽和溶液で3回洗浄する。合わせた水性層を酢酸エチルで3回抽出する。合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で蒸発させる。粗生成物を、ジクロロメタン/メタノール混合物を溶離液として使用する30gのシリカゲルカラム上でのフラッシュクロマトグラフィーによって精製する。608mgの表題化合物が黄色がかった固体として取得される。
収率:85%。
MH+: 185.2.
【0165】
工程3:N-{3-[5-(2-クロロピリミジン-4-イル)-2-(1-シクロプロピルピペリジン-4-イル)-チアゾール-4-イル]-2-フルオロフェニル}-2,5-ジフルオロベンゼンスルホンアミド
【0166】
【化17】
【0167】
化合物は、500mg(1.13mmol)のN-{3-[2-(2-クロロピリミジン-4-イル)-アセチル]-2-フルオロ-フェニル}-2,5-ジフルオロベンゼンスルホンアミド(実施例1工程3において記述したもの)、5mLの無水N,N'-ジメチルアセトアミド、201mg(1.13mmol)のN-ブロモスクシンイミド、及び3-チオカルバモイルモルホリン-4-カルボン酸tert-ブチルエステルの代わりに208mg(1.13mmol)の1-シクロプロピルピペリジン-4-カルボチオアミドを使用し、実施例1工程4において記述されている手順によって取得される。142mgの表題化合物が褐色固体として取得される。
収率:21%。
MH+: 606.8; 608.8.
【0168】
工程4:N-{3-[5-(2-アミノピリミジン-4-イル)-2-(1-シクロプロピルピペリジン-4-イル)-チアゾール-4-イル]-2-フルオロフェニル}-2,5-ジフルオロベンゼンスルホンアミド
【0169】
【化18】
【0170】
142mg(0.23mmol)のN-{3-[5-(2-クロロピリミジン-4-イル)-2-(1-シクロプロピルピペリジン-4-イル)-チアゾール-4-イル]-2-フルオロフェニル}-2,5-ジフルオロベンゼンスルホンアミド(前の工程で記述したもの)を3mLの水酸化アンモニウム28%の溶液に溶解し、溶液を、マイクロ波照射下、90℃で1時間にわたって加熱する。混合物を100mLの塩化アンモニウムの飽和溶液中で希釈し、酢酸エチルで3回抽出する。合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で蒸発させる。粗生成物を、ジクロロメタン/メタノール混合物を溶離液として使用する10gのシリカゲルカラム上でのフラッシュクロマトグラフィー、続いて、水/メタノール混合物を溶離液として用いる30gのC18カラム上での別のフラッシュクロマトグラフィーによって精製する。38mgの表題化合物が黄色固体として取得される。
収率: 27%.
MH+: 587.8.
1H NMR (DMSO-d6, 400 MHz): δ 10.65 (br s, 1H); 7.98 (d, J=5.2 Hz, 1H); 7.61-7.36 (m, 4H); 7.33-7.18 (m, 2H); 6.75 (s, 2H); 5.88 (d, J=5.1 Hz, 1H); 3.10-2.95 (m, 2H); 2.43-2.30 (m, 2H); 2.10-1.98 (m, 2H); 1.75-1.56 (m, 3H); 0.48-0.40 (m, 2H); 0.38-0.28 (m, 2H).
【0171】
(実施例3)
N-{3-[5-(2-アミノピリミジン-4-イル)-2-ピペリジン-3-イル-チアゾール-4-イル]-2-フルオロフェニル}-2,5-ジフルオロベンゼンスルホンアミド
【0172】
【化19】
【0173】
工程1:3-{5-(2-クロロピリミジン-4-イル)-4-[3-(2,5-ジフルオロベンゼンスルホニルアミノ)-2-フルオロフェニル]-チアゾール-2-イル}-ピペリジン-1-カルボン酸tert-ブチルエステル
【0174】
【化20】
【0175】
化合物は、3-チオカルバモイルモルホリン-4-カルボン酸tert-ブチルエステルの代わりに222mg(0.91mmol)の3-チオカルバモイルピペリジン-1-カルボン酸tert-ブチルエステルを使用し、実施例1工程4において記述されている手順によって取得される。377mgの表題化合物が黄色固体として取得される。
収率:62%。
MH+: 666.8; 670.8.
【0176】
工程2:3-{5-(2-アミノピリミジン-4-イル)-4-[3-(2,5-ジフルオロベンゼンスルホニルアミノ)-2-フルオロフェニル]-チアゾール-2-イル}-ピペリジン-1-カルボン酸tert-ブチルエステル
【0177】
【化21】
【0178】
化合物は、377mg(0.57mmol)の3-{5-(2-クロロピリミジン-4-イル)-4-[3-(2,5-ジフルオロベンゼンスルホニルアミノ)-2-フルオロフェニル]-チアゾール-2-イル}-ピペリジン-1-カルボン酸tert-ブチルエステル(前の工程で記述したもの)を使用し、実施例1工程5において記述されている手順によって取得される。259mgの表題化合物が黄色固体として取得される。
収率:71%。
MH+: 647.9.
【0179】
工程3:N-{3-[5-(2-アミノピリミジン-4-イル)-2-ピペリジン-3-イル-チアゾール-4-イル]-2-フルオロフェニル}-2,5-ジフルオロベンゼンスルホンアミド
【0180】
【化22】
【0181】
化合物は、50mg(0.077mmol)の3-{5-(2-アミノピリミジン-4-イル)-4-[3-(2,5-ジフルオロベンゼンスルホニルアミノ)-2-フルオロフェニル]-チアゾール-2-イル}-ピペリジン-1-カルボン酸tert-ブチルエステル(前の工程で記述したもの)を使用し、実施例1工程6において記述されている手順によって取得される。6mgの表題化合物が取得される。
収率: 15%.
MH+: 547.7.
1H NMR (DMSO-d6, 400 MHz): δ 8.65 (br s, 1H); 8.02 (d, J=5.2 Hz, 1H); 7.50-7.40 (m, 1H); 7.39-7.21 (m, 4H); 7.01-6.89 (m, 1H); 6.72 (s, 2H); 6.07 (d, J=5.0 Hz, 1H); 3.65-3.55 (m, 2H); 3.26-3.19 (m, 1H); 3.19-3.08 (m, 1H); 2.96-2.83 (m, 1H); 2.26-2.15 (m, 1H); 1.92-1.69 (m, 3H).
【0182】
(実施例4)
N-{3-[2-(3-アミノプロピル)-5-(2-アミノピリミジン-4-イル)-チアゾール-4-イル]-2-フルオロフェニル}-2,5-ジフルオロベンゼンスルホンアミドトリフルオロアセテート
【0183】
【化23】
【0184】
工程1:(3-{5-(2-クロロピリミジン-4-イル)-4-[3-(2,5-ジフルオロベンゼンスルホニルアミノ)-2-フルオロフェニル]-チアゾール-2-イル}-プロピル)-カルバミン酸tert-ブチルエステル
【0185】
【化24】
【0186】
化合物は、3-チオカルバモイルモルホリン-4-カルボン酸tert-ブチルエステルの代わりに197mg(0.90mmol)の(3-チオカルバモイルプロピル)-カルバミン酸tert-ブチルエステルを使用し、実施例1工程4において記述されている手順によって取得される。299mgの表題化合物が取得される。
収率:52%。
MH+: 640.8; 642.8.
【0187】
工程2:(3-{5-(2-アミノピリミジン-4-イル)-4-[3-(2,5-ジフルオロベンゼンスルホニルアミノ)-2-フルオロフェニル]-チアゾール-2-イル}-プロピル)-カルバミン酸tert-ブチルエステル
【0188】
【化25】
【0189】
化合物は、299mg(1.24mmol)の(3-{5-(2-クロロピリミジン-4-イル)-4-[3-(2,5-ジフルオロベンゼンスルホニルアミノ)-2-フルオロフェニル]-チアゾール-2-イル}-プロピル)-カルバミン酸tertブチルエステル(前の工程で記述したもの)を使用し、実施例1工程5において記述されている手順によって取得される。222mgの表題化合物が橙色固体として取得される。
収率:76%。
MH+: 621.8.
【0190】
工程3:N-{3-[2-(3-アミノプロピル)-5-(2-アミノピリミジン-4-イル)-チアゾール-4-イル]-2-フルオロフェニル}-2,5-ジフルオロベンゼンスルホンアミドトリフルオロアセテート
【0191】
【化26】
【0192】
10mg(0.016mmol)の(3-{5-(2-アミノピリミジン-4-イル)-4-[3-(2,5-ジフルオロベンゼンスルホニルアミノ)-2-フルオロフェニル]-チアゾール-2-イル}-プロピル)-カルバミン酸tert-ブチルエステル(前の工程で記述したもの)を1mLのジクロロメタンに溶解し、0.5mLのトリフルオロ酢酸を添加する。溶液を室温で1時間にわたって撹拌し、溶媒を除去する。残留物をジエチルエーテルで3回粉砕し、真空下で終夜乾燥させる。8.3mgの表題化合物が取得される。
収率: 100%.
MH+: 521.7 (遊離塩基).
1H NMR (DMSO-d6, 400 MHz): δ 10.75 (s, 1H); 8.00 (d, J=5.2 Hz, 1H); 7.80-7.63 (br s, 3H); 7.62-7.24 (m, 8H); 6.77 (s, 2H); 5.86 (d, J=5.1 Hz, 1H); 3.09 (t, J=7.4 Hz, 2H); 2.02 (m, 2H); 1.09 (t, J=7.0 Hz, 2H).
【0193】
(実施例5)
N-(4-{2-(1-シクロプロピルピペリジン-4-イル)-4-[3-(2,5-ジフルオロベンゼンスルホニル-アミノ)-2-フルオロフェニル]-チアゾール-5-イル}-ピリミジン-2-イル)-アセトアミド
【0194】
【化27】
【0195】
30mg(0.051mmol)のN-{3-[5-(2-クロロピリミジン-4-イル)-2-(1-シクロプロピルピペリジン-4-イル)-チアゾール-4-イル]-2-フルオロフェニル}-2,5-ジフルオロベンゼンスルホンアミド(実施例2工程4において記述したもの)を、アルゴン下、1mLの無水ピリジンに溶解する。次いで、5.8μL(0.061mmol)の無水酢酸を添加し、溶液を室温で1時間にわたって撹拌する。溶媒を減圧下で除去し、酢酸エチルを添加し、溶液を塩化アンモニウムの溶液で3回洗浄する。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で蒸発させる。粗生成物を、ジクロロメタン/メタノール混合物を溶離液として使用する10gのシリカゲルカラム上でのフラッシュクロマトグラフィーによって精製する。14mgの表題化合物が黄色固体として取得される。
収率: 91%.
MH+: 629.8.
1H NMR (DMSO-d6, 400 MHz): δ 8.04 (d, J=5.2 Hz, 1H); 7.88-7.70 (m, 5H); 7.66-7.57 (m, 1H); 7.54 (t, J=8.1 Hz, 1H); 6.77 (s, 2H); 6.16 (d, J=5.3 Hz, 1H); 3.11-2.97 (m, 2H); 2.40-2.27 (m, 2H); 2.14-2.04 (m, 2H); 1.95 (s, 3H); 1.76-1.56 (m, 3H); 0.48-0.38 (m, 2H); 0.36-0.26 (m, 2H).
【0196】
(実施例6)
N-(4-{4-[3-(2,5-ジフルオロベンゼンスルホニルアミノ)-2-フルオロフェニル]-2-ピペリジン-3-イル-チアゾール-5-イル}-ピリミジン-2-イル)-アセトアミドトリフルオロアセテート
【0197】
【化28】
【0198】
工程1:3-{5-(2-アセチルアミノピリミジン-4-イル)-4-[3-(2,5-ジフルオロベンゼンスルホニルアミノ)-2-フルオロフェニル]-チアゾール-2-イル}-ピペリジン-1-カルボン酸tert-ブチルエステル
【0199】
【化29】
【0200】
30mg(0.046mmol)の3-{5-(2-アミノピリミジン-4-イル)-4-[3-(2,5-ジフルオロベンゼンスルホニルアミノ)-2-フルオロフェニル]-チアゾール-2-イル}-ピペリジン-1-カルボン酸tert-ブチルエステル(実施例3工程2において記述したもの)を、アルゴン下、1mLの無水ピリジンに溶解する。次いで、5.3μL(0.055mmol)の無水酢酸を添加し、溶液を室温で1時間にわたって撹拌する。溶媒を減圧下で除去し、酢酸エチルを添加し、溶液を塩化アンモニウムの溶液で3回洗浄する。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で蒸発させる。36mgの粗生成物が取得され、更に精製することなく次の工程において直接使用する。
収率:100%。
MH+: 689.7.
【0201】
工程2:N-(4-{4-[3-(2,5-ジフルオロベンゼンスルホニルアミノ)-2-フルオロフェニル]-2-ピペリジン-3-イル-チアゾール-5-イル}-ピリミジン-2-イル)-アセトアミドトリフルオロアセテート
【0202】
【化30】
【0203】
21mg(0.030mmol)の3-{5-(2-アセチルアミノピリミジン-4-イル)-4-[3-(2,5-ジフルオロベンゼンスルホニルアミノ)-2-フルオロフェニル]-チアゾール-2-イル}-ピペリジン-1-カルボン酸tert-ブチルエステル(前の工程で記述したもの)を1mLのジクロロメタンに溶解し、0.5mLのトリフルオロ酢酸を添加する。溶液を室温で1時間にわたって撹拌する。溶媒を減圧下で除去する。残留物をジエチルエーテルで3回粉砕し、真空下で終夜乾燥させる。14.5mgの表題化合物が取得される。
収率: 80%.
MH+: 589.7 (遊離塩基).
1H NMR (DMSO-d6, 400 MHz): δ 8.85-8.70 (m, 1H); 8.63-8.47 (m, 1H); 8.07 (d, J=5.2 Hz, 1H); 7.88-7.70 (m, 5H); 7.67-7.52 (m, 2H); 6.81 (s, 2H); 6.18 (d, J=5.0 Hz, 1H); 3.73-3.62 (m, 2H); 3.03-2.87 (m, 1H); 2.30-2.20 (m, 1H); 1.95 (s, 3H); 1.99-1.88 (m, 1H); 1.88-1.69 (m, 3H).
【0204】
(実施例7)
N-(4-{4-[3-(2,5-ジフルオロベンゼンスルホニルアミノ)-2-フルオロフェニル]-2-モルホリン-3-イル-チアゾール-5-イル}-ピリミジン-2-イル)-アセトアミド
【0205】
【化31】
【0206】
工程1:3-{5-(2-アセチルアミノピリミジン-4-イル)-4-[3-(2,5-ジフルオロベンゼンスルホニルアミノ)-2-フルオロフェニル]-チアゾール-2-イル}-モルホリン-4-カルボン酸tert-ブチルエステル
【0207】
【化32】
【0208】
化合物は、30mg(0.046mmol)の3-{5-(2-アミノピリミジン-4-イル)-4-[3-(2,5-ジフルオロベンゼンスルホニルアミノ)-2-フルオロフェニル]-チアゾール-2-イル}-モルホリン-4-カルボン酸tert-ブチルエステル(実施例1工程5において記述したもの)及び5.3μL(0.055mmol)の無水酢酸を使用し、実施例6工程1において記述されている手順によって取得される。39mgの粗生成物が取得され、更に精製することなく次の工程において直接使用する。
収率:100%。
MH+: 691.7.
【0209】
工程2:N-(4-{4-[3-(2,5-ジフルオロベンゼンスルホニルアミノ)-2-フルオロフェニル]-2-モルホリン-3-イル-チアゾール-5-イル}-ピリミジン-2-イル)-アセトアミド
【0210】
【化33】
【0211】
32mg(0.046mmol)の3-{5-(2-アセチルアミノピリミジン-4-イル)-4-[3-(2,5-ジフルオロベンゼンスルホニルアミノ)-2-フルオロフェニル]-チアゾール-2-イル}-モルホリン-4-カルボン酸tert-ブチルエステル(前の工程で記述したもの)を1mLのジクロロメタンに溶解し、0.5mLのトリフルオロ酢酸を添加する。溶液を室温で1時間にわたって撹拌する。溶媒を減圧下で除去し、残留物を、ジクロロメタン/メタノール混合物を溶離液として用いて10gのシリカゲルカラム上で直接精製する。8.0mgの表題化合物が取得される。
収率: 30%.
MH+: 591.7.
1H NMR (DMSO-d6, 400 MHz): δ 8.05 (d, J=5.2 Hz, 1H); 7.85-7.71 (m, 4H); 7.66-7.57 (m, 1H); 7.54 (t, J=8.0 Hz, 1H); 6.76 (s, 2H); 6.17 (d, J=5.0 Hz, 1H); 4.21-4.14 (m, 1H); 4.00-3.92 (m, 1H); 3.77-3.69 (m, 1H); 3.57-3.44 (m, 3H); 2.96-2.83 (m, 2H); 1.94 (s, 3H).
【0212】
(実施例8)
N-(4-{2-(3-アミノプロピル)-4-[3-(2,5-ジフルオロベンゼンスルホニルアミノ)-2-フルオロフェニル]-チアゾール-5-イル}-ピリミジン-2-イル)-アセトアミド
【0213】
【化34】
【0214】
工程1:(3-{5-(2-アセチルアミノピリミジン-4-イル)-4-[3-(2,5-ジフルオロベンゼンスルホニルアミノ)-2-フルオロフェニル]-チアゾール-2-イル}-プロピル)-カルバミン酸tert-ブチルエステル
【0215】
【化35】
【0216】
化合物は、30mg(0.048mmol)の(3-{5-(2-アミノピリミジン-4-イル)-4-[3-(2,5-ジフルオロベンゼンスルホニルアミノ)-2-フルオロフェニル]-チアゾール-2-イル}-プロピル)-カルバミン酸tert-ブチルエステル(実施例4工程2において記述したもの)及び5.5μL(0.058mmol)の無水酢酸を使用し、実施例6工程1において記述されている手順によって取得される。32mgの粗生成物が取得され、更に精製することなく次の工程において直接使用する。
収率:100%。
MH+: 663.7.
【0217】
工程2:N-(4-{2-(3-アミノプロピル)-4-[3-(2,5-ジフルオロベンゼンスルホニルアミノ)-2-フルオロフェニル]-チアゾール-5-イル}-ピリミジン-2-イル)-アセトアミド
【0218】
【化36】
【0219】
32mg(0.048mmol)の(3-{5-(2-アセチルアミノピリミジン-4-イル)-4-[3-(2,5-ジフルオロベンゼンスルホニルアミノ)-2-フルオロフェニル]-チアゾール-2-イル}-プロピル)-カルバミン酸tert-ブチルエステル(前の工程で記述したもの)を1mLのジクロロメタンに溶解し、0.5mLのトリフルオロ酢酸を添加する。溶液を室温で1時間にわたって撹拌する。溶媒を減圧下で除去し、残留物を、ジクロロメタン/メタノール/水酸化アンモニウム0.5%混合物を溶離液として使用する10gのシリカゲルカラム上で直接精製する。11.0mgの表題化合物が取得される。
収率: 40%.
MH+: 563.7.
1H NMR (DMSO-d6, 400 MHz): δ 10.75 (s, 1H); 7.98 (d, J=5.2 Hz, 1H); 7.957.85 (br s, 1H); 7.64-7.21 (m, 5H); 6.75 (s, 2H); 5.85 (d, J=5.2 Hz, 1H); 3.16-3.08 (m, 2H); 2.99 (t, J=7.6 Hz, 2H); 1.91-1.79 (m, 2H); 1.79 (s, 3H).
【0220】
(実施例9)
N-(4-{4-[3-(2,5-ジフルオロベンゼンスルホニルアミノ)-2-フルオロ-フェニル]-2-モルホリン-3-イル-チアゾール-5-イル}-ピリミジン-2-イル)-アクリルアミドトリフルオロアセテート
【0221】
【化37】
【0222】
工程1:3-{5-(2-アクリロイルアミノピリミジン-4-イル)-4-[3-(2,5-ジフルオロベンゼンスルホニルアミノ)-2-フルオロフェニル]-チアゾール-2-イル}-モルホリン-4-カルボン酸tert-ブチルエステル
【0223】
【化38】
【0224】
15mg(0.023mmol)の3-{5-(2-アミノピリミジン-4-イル)-4-[3-(2,5-ジフルオロベンゼンスルホニルアミノ)-2-フルオロフェニル]-チアゾール-2-イル}-モルホリン-4-カルボン酸tert-ブチルエステル(実施例1工程5において記述したもの)を、アルゴン下、1mLの無水ジクロロメタンに溶解し、次いで、3.8μL(0.028mmol)のトリエチルアミン及び2.2μL(0.023mmol)の塩化アクリロイルを添加する。溶液を室温で1時間にわたって撹拌する。溶媒を減圧下で除去し、酢酸エチルを添加し、溶液を水で3回及びブラインで1回洗浄する。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で蒸発させる。粗生成物を、水/メタノール混合物を溶離液として使用する30gのC18カラム上でのフラッシュクロマトグラフィーによって精製する。7mgの表題化合物が取得される。
収率:44%。
MH+: 703.8.
【0225】
工程2:N-(4-{4-[3-(2,5-ジフルオロベンゼンスルホニルアミノ)-2-フルオロ-フェニル]-2-モルホリン-3-イル-チアゾール-5-イル}-ピリミジン-2-イル)-アクリルアミドトリフルオロアセテート
【0226】
【化39】
【0227】
7mg(0.010mmol)の3-{5-(2-アクリロイルアミノピリミジン-4-イル)-4-[3-(2,5-ジフルオロベンゼンスルホニルアミノ)-2-フルオロフェニル]-チアゾール-2-イル}-モルホリン-4-カルボン酸tert-ブチルエステル(前の工程で記述したもの)を3mLのジクロロメタンに溶解し、1mLのトリフルオロ酢酸を添加する。溶液を室温で1時間にわたって撹拌する。溶媒を減圧下で除去する。残留物をジエチルエーテルで3回粉砕し、真空下で終夜乾燥させる。2.2mgの表題化合物が淡黄色固体として取得される。
収率:36%。
MH+: 603.7.
【0228】
(実施例10)
N-(4-{2-(3-アミノプロピル)-4-[3-(2,5-ジフルオロベンゼンスルホニルアミノ)-2-フルオロフェニル]-チアゾール-5-イル}-ピリミジン-2-イル)-アクリルアミドトリフルオロアセテート
【0229】
【化40】
【0230】
工程1:(3-{5-(2-アクリロイルアミノピリミジン-4-イル)-4-[3-(2,5-ジフルオロベンゼンスルホニルアミノ)-2-フルオロフェニル]-チアゾール-2-イル}-プロピル)-カルバミン酸tert-ブチルエステル
【0231】
【化41】
【0232】
27mg(0.043mmol)の(3-{5-(2-アミノピリミジン-4-イル)-4-[3-(2,5-ジフルオロベンゼンスルホニルアミノ)-2-フルオロフェニル]-チアゾール-2-イル}-プロピル)-カルバミン酸tert-ブチルエステル(実施例4工程2において記述したもの)を、アルゴン下、1mLの無水ジクロロメタンに溶解し、次いで、6.7μL(0.048mmol)のトリエチルアミン及び3.9μL(0.048mmol)の塩化アクリロイルを0℃で添加する。溶液を、0℃で10分間にわたって及び室温で1時間にわたって撹拌する。溶媒を減圧下で除去し、酢酸エチルを添加し、溶液を水で3回及びブラインで1回洗浄する。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で蒸発させる。粗生成物を、水/メタノール混合物を溶離液として使用する30gのC18カラム上でのフラッシュクロマトグラフィーによって精製する。19mgの表題化合物が取得される。
収率:66%。
MH+: 675.9.
【0233】
工程2:N-(4-{2-(3-アミノプロピル)-4-[3-(2,5-ジフルオロ-ベンゼンスルホニルアミノ)-2-フルオロフェニル]-チアゾール-5-イル}-ピリミジン-2-イル)-アクリルアミドトリフルオロアセテート
【0234】
【化42】
【0235】
12mg(0.018mmol)の(3-{5-(2-アクリロイルアミノピリミジン-4-イル)-4-[3-(2,5-ジフルオロベンゼンスルホニルアミノ)-2-フルオロフェニル]-チアゾール-2-イル}-プロピル)-カルバミン酸tert-ブチルエステル(前の工程で記述したもの)を3mLのジクロロメタンに溶解し、1mLのトリフルオロ酢酸を添加する。溶液を室温で1時間にわたって撹拌する。溶媒を減圧下で除去する。残留物をジエチルエーテルで3回粉砕し、真空下で終夜乾燥させる。8.3mgの表題化合物が淡黄色固体として取得される。
収率:83%。
MH+: 575.8.
【0236】
(実施例11)
3-{5-(2-アクリロイルアミノピリミジン-4-イル)-4-[3-(2,5-ジフルオロ-ベンゼンスルホニルアミノ)-2-フルオロフェニル]-チアゾール-2-イル}-ピペリジン-1-カルボン酸tert-ブチルエステル
【0237】
【化43】
【0238】
30mg(0.046mmol)の3-{5-(2-アミノピリミジン-4-イル)-4-[3-(2,5-ジフルオロベンゼンスルホニルアミノ)-2-フルオロフェニル]-チアゾール-2-イル}-ピペリジン-1-カルボン酸tert-ブチルエステル(実施例3工程2において記述したもの)を、アルゴン下、1mLの無水ジクロロメタンに溶解し、次いで、7.7μL(0.055mmol)のトリエチルアミン及び7.5μL(0.093mmol)の塩化アクリロイルを添加する。溶液を室温で1時間にわたって撹拌する。溶媒を減圧下で除去し、酢酸エチルを添加し、溶液を水で3回及びブラインで1回洗浄する。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で蒸発させる。粗生成物を、水/メタノール混合物を溶離液として使用する30gのC18カラム上でのフラッシュクロマトグラフィーによって精製する。5mgの表題化合物が取得される。
収率:13%。
MH+: 701.8.
【0239】
(実施例12)
ブタン-2-スルホン酸{3-[5-(2-アミノピリミジン-4-イル)-2-ピペリジン-4-イル-チアゾール-4-イル]-2-フルオロフェニル}-アミド
【0240】
【化44】
【0241】
工程1:3-(ブタン-2-スルホニルアミノ)-2-フルオロ安息香酸メチルエステル
【0242】
【化45】
【0243】
15mLの無水ピリジン中の1.49g(8.81mmol)の3-アミノ-2-フルオロ安息香酸メチルエステル(実施例1工程1において記述したもの)の溶液に、アルゴン下、1.65gmL(10.6mmol)のブタン-2-スルホニルクロリドを0℃で添加する。混合物を、0℃で20分間にわたって、次いで室温で終夜撹拌する。混合物を減圧下で濃縮し、酢酸エチルに溶解し、重炭酸ナトリウムの飽和溶液で3回及びブラインで1回洗浄する。次いで、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過する。濾液を減圧下で濃縮し、粗生成物を、ジクロロメタン/メタノール混合物を溶離液として使用する30gのシリカゲルカラム上でのフラッシュクロマトグラフィー、続いて、水/アセトニトリル混合物を溶離液として使用する120gのC18カラム上での別のフラッシュクロマトグラフィーによって精製する。750mgの表題化合物が取得される。
収率:30%。
MH+: 290.3.
【0244】
工程2:ブタン-2-スルホン酸{3-[2-(2-クロロピリミジン-4-イル)-アセチル]-2-フルオロフェニル}-アミド
【0245】
【化46】
【0246】
7mLの無水テトラヒドロフラン中の750mg(2.59mmol)の3-(ブタン-2-スルホニルアミノ)-2-フルオロ安息香酸メチルエステル(前の工程で記述したもの)の溶液に、アルゴン下、9mL(9mmol)のリチウムビス(トリメチルシリル)アミドの溶液(テトラヒドロフラン中1M)を、-15℃でゆっくりと添加する。混合物を-15℃で20分間にわたって撹拌し、次いで、浴温を-20から-15℃の間に保ちながら、2mLの無水テトラヒドロフラン中の400mg(3.11mmol)の2-クロロ-4-メチルピリミジンの溶液をゆっくりと添加する。反応物を-15℃で30分間にわたって撹拌し、次いで、5mLの塩化アンモニウムの飽和溶液を-15℃でゆっくりと、続いて、100mLの酢酸エチル及び100mLの水を添加する。溶液を分離し、有機層を水で2回洗浄する。合わせた水性層を塩酸1NでpH6~7に酸性化し、酢酸エチルで3回抽出する。合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過する。濾液を減圧下で濃縮し、粗生成物を、ジクロロメタン/メタノール混合物を溶離液として使用する30gのシリカゲルカラム上でのフラッシュクロマトグラフィーによって精製する。882mgの表題化合物が暗橙色油として取得される。
収率:88%。
MH+: 386.3; 388.3.
【0247】
工程3:4-[4-[3-(ブタン-2-スルホニルアミノ)-2-フルオロフェニル]-5-(2-クロロピリミジン4-イル)-チアゾール-2-イル]-ピペリジン-1-カルボン酸tert-ブチルエステル
【0248】
【化47】
【0249】
100mg(0.26mmol)のブタン-2-スルホン酸{3-[2-(2-クロロピリミジン-4-イル)-アセチル]-2-フルオロフェニル}-アミド(前の工程で記述したもの)を、2mLの無水N,N'-ジメチルアセトアミドに、アルゴン下、室温で溶解し、次いで、46mg(0.26mmol)のN-ブロモスクシンイミドを添加し、混合物を室温で30分間にわたって撹拌する。63mg(0.26mmol)の4-チオカルバモイルピペリジン-1-カルボン酸tert-ブチルエステルをアルゴン下で添加し、反応混合物を80℃で30分間にわたって加熱する。溶液を室温に冷却し、酢酸エチルで希釈する。溶液を水で3回及びブラインで1回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で蒸発させる。粗生成物を、酢酸エチル/ヘキサン混合物を溶離液として使用する10gのシリカゲルカラム上でのフラッシュクロマトグラフィーによって精製する。80mgの表題化合物が取得される。
収率:50%。
MH+: 610.5; 612.5.
【0250】
工程4:4-{5-(2-アミノピリミジン-4-イル)-4-[3-(ブタン-2-スルホニルアミノ)-2-フルオロフェニル]-チアゾール-2-イル}-ピペリジン-1-カルボン酸tert-ブチルエステル
【0251】
【化48】
【0252】
80mg(0.13mmol)の4-[4-[3-(ブタン-2-スルホニルアミノ)-2-フルオロフェニル]-5-(2-クロロピリミジン-4-イル)-チアゾール-2-イル]-ピペリジン-1-カルボン酸tert-ブチルエステル(前の工程で記述したもの)を、3mLの水酸化アンモニウム28%の溶液に溶解し、溶液を、マイクロ波照射下、90℃で1時間にわたって加熱する。混合物を50mLの塩化アンモニウムの飽和溶液中で希釈し、酢酸エチルで3回抽出する。合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で蒸発させる。粗生成物を、ジクロロメタン/メタノール混合物を溶離液として使用する10gのシリカゲルカラム上でのフラッシュクロマトグラフィーによって精製する。63mgの表題化合物が黄色固体として取得される。
収率:81%。
MH+: 591.4.
【0253】
工程5:ブタン-2-スルホン酸{3-[5-(2-アミノピリミジン-4-イル)-2-ピペリジン-4-イル-チアゾール-4-イル]-2-フルオロフェニル}-アミド
【0254】
【化49】
【0255】
63mg(0.11mmol)の4-{5-(2-アミノピリミジン-4-イル)-4-[3-(ブタン-2-スルホニルアミノ)-2-フルオロフェニル]-チアゾール-2-イル}-ピペリジン-1-カルボン酸tert-ブチルエステル(前の工程で記述したもの)を1mLのジクロロメタンに溶解し、0.5mLのトリフルオロ酢酸を添加する。溶液を室温で1時間にわたって撹拌する。次いで、溶媒を除去し、酢酸エチルを添加し、溶液を重炭酸ナトリウムの飽和溶液で3回洗浄する。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で蒸発させる。粗生成物を、ジクロロメタン/メタノール混合物を溶離液として使用する10gのシリカゲルカラム上でのフラッシュクロマトグラフィー、続いて、水/メタノール混合物を溶離液として使用する30gのC18カラム上での別のフラッシュクロマトグラフィーよって精製する。13mgの表題化合物が取得される。
収率: 26%.
MH+: 491.4.
1H NMR (DMSO-d6, 400 MHz): δ 8.05 (d, J=5.2 Hz, 1H); 7.59-7.49 (m, 1H); 7.30-7.20 (m, 2H); 6.75 (s, 2H); 6.09 (d, J=5.2 Hz, 1H); 3.20-3.12 (m, 1H); 3.12-3.02 (m, 2H); 3.74-3.63 (m, 2H); 2.10-1.99 (m, 2H); 1.97-1.84 (m, 1H); 1.73-1.59 (m, 2H); 1.49-1.32 (m, 1H); 1.20 (d, J=6.8 Hz, 3H); 0.88 (t, J=7.4 Hz, 3H).
【0256】
(実施例13)
N-{3-[5-(2-アミノピリミジン-4-イル)-2-モルホリン-3-イル-チアゾール-4-イル]-5-クロロ-2-フルオロフェニル}-2,5-ジフルオロベンゼンスルホンアミド
【0257】
【化50】
【0258】
工程1:3-アミノ-5-クロロ-2-フルオロ安息香酸メチルエステル
【0259】
【化51】
【0260】
500mg(2.64mmol)の3-アミノ-5-クロロ-2-フルオロ安息香酸を、アルゴン下、5mLの無水メタノールに溶解する。202μL(2.77mmol)の塩化チオニルを0℃でゆっくりと添加し、次いで、反応物を3時間にわたって還流させる。溶液を室温に冷却する。溶媒を減圧下で除去する。反応混合物を重炭酸ナトリウムの飽和溶液によりクエンチし、酢酸エチルで3回抽出する。合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過する。濾液を減圧下で濃縮し、粗生成物を更に精製することなく次の工程において直接使用する。432mgの表題化合物が黄色固体として取得される。
収率:80%。
【0261】
工程2:5-クロロ-3-(2,5-ジフルオロベンゼンスルホニルアミノ)-2-フルオロ安息香酸メチルエステル
【0262】
【化52】
【0263】
5mLの無水ピリジン中の432mg(2.12mmol)の3-アミノ-5-クロロ-2-フルオロ安息香酸メチルエステル(前の工程で記述したもの)の溶液に、アルゴン下、342μL(2.55mmol)の2,5-ジフルオロベンゼンスルホニルクロリドを0℃で添加する。混合物を、0℃で20分間にわたって、次いで、室温で終夜撹拌する。混合物を減圧下で濃縮し、ジクロロメタンに溶解し、塩酸0.5Nで4回及びブラインで1回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過する。濾液を減圧下で濃縮し、粗生成物を、ジクロロメタン/メタノール混合物を溶離液として使用する30gのシリカゲルカラム上でのフラッシュクロマトグラフィーによって精製する。438mgの表題化合物が黄色固体として取得される。
収率:55%。
MH+: 380.4; 382.5.
【0264】
工程3:N-{5-クロロ-3-[2-(2-クロロピリミジン-4-イル)-アセチル]-2-フルオロフェニル}-2,5-ジフルオロベンゼンスルホンアミド
【0265】
【化53】
【0266】
4mLの無水テトラヒドロフラン中の438mg(1.16mmol)の5-クロロ-3-(2,5-ジフルオロベンゼンスルホニルアミノ)-2-フルオロ安息香酸メチルエステル(前の工程で記述したもの)の溶液に、アルゴン下、4mL(4mmol)のリチウムビス(トリメチルシリル)アミドの溶液(テトラヒドロフラン中1M)を、-15℃でゆっくりと添加する。反応物を-15℃で20分間にわたって撹拌し、次いで、浴温を-20℃から-15℃の間に保ちながら、1mLの無水テトラヒドロフラン中の178mg(1.38mmol)の2-クロロ-4メチルピリミジンの溶液をゆっくりと添加する。反応物をこの温度でもう30分間にわたって撹拌し、1.5mLの塩化アンモニウムの飽和溶液を15℃でゆっくりと、続いて、10mLの酢酸エチル及び10mLの水を添加する。溶液を分離し、有機層を水で3回洗浄する。合わせた水性層を塩酸1NでpH6~7に酸性化し、酢酸エチルで3回抽出する。合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過する。濾液を減圧下で濃縮し、粗生成物を、ジクロロメタン/メタノール混合物を溶離液として使用する30gのシリカゲルカラム上でのフラッシュクロマトグラフィーによって精製する。415mgの表題化合物が橙色固体として取得される。
収率:76%。
MH+: 476.4; 478.4; 480.5.
【0267】
工程4:3-[4-[5-クロロ-3-(2,5-ジフルオロベンゼンスルホニルアミノ)-2-フルオロフェニル]-5-(2-クロロピリミジン-4-イル)-チアゾール-2-イル]-モルホリン-4-カルボン酸tert-ブチルエステル
【0268】
【化54】
【0269】
200mg(0.42mmol)のN-{5-クロロ-3-[2-(2-クロロピリミジン-4-イル)-アセチル]-2-フルオロフェニル}-2,5-ジフルオロベンゼンスルホンアミド(前の工程で記述したもの)を、2mLの無水N,N'-ジメチルアセトアミドに、アルゴン下、室温で溶解し、次いで、75mg(0.42mmol)のN-ブロモスクシンイミドを添加し、混合物を室温で30分間にわたって撹拌する。103mg(0.42mmol)の3-チオカルバモイルモルホリン-4-カルボン酸tert-ブチルエステルをアルゴン下で添加し、反応混合物を80℃で30分間にわたって加熱する。溶液を室温に冷却し、酢酸エチルで希釈し、次いで、水で2回及びブラインで1回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で蒸発させる。粗生成物を、酢酸エチル/ヘキサン混合物を溶離液として使用する10gのシリカゲルカラム上でのフラッシュクロマトグラフィーによって精製する。140mgの表題化合物が取得される。
収率:47%。
MH+: 702.8; 704.8; 706.8.
【0270】
工程5:3-{5-(2-アミノピリミジン-4-イル)-4-[5-クロロ-3-(2,5-ジフルオロベンゼンスルホニルアミノ)-2-フルオロフェニル]-チアゾール-2-イル}-モルホリン-4-カルボン酸tert-ブチルエステル
【0271】
【化55】
【0272】
140mg(0.20mmol)の3-[4-[5-クロロ-3-(2,5-ジフルオロベンゼンスルホニルアミノ)-2-フルオロフェニル]-5-(2-クロロピリミジン-4-イル)-チアゾール-2-イル]-モルホリン-4-カルボン酸tert-ブチルエステル(前の工程で記述したもの)を、2mLの水酸化アンモニウム28%の溶液に溶解し、溶液を、マイクロ波照射下、90℃で1時間にわたって加熱する。混合物を50mLの塩化アンモニウムの飽和溶液中で希釈し、酢酸エチルで3回抽出する。合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で蒸発させる。粗生成物を更に精製することなく次の工程において直接使用する(92mgの褐色固体)。
収率:68%。
MH+: 683.8; 685.8.
【0273】
工程6:N-{3-[5-(2-アミノピリミジン-4-イル)-2-モルホリン-3-イル-チアゾール-4-イル]-5-クロロ-2-フルオロフェニル}-2,5-ジフルオロベンゼンスルホンアミド
【0274】
【化56】
【0275】
92mg(0.13mmol)の3-{5-(2-アミノピリミジン-4-イル)-4-[5-クロロ-3-(2,5-ジフルオロベンゼンスルホニルアミノ)-2-フルオロフェニル]-チアゾール-2-イル}-モルホリン-4-カルボン酸tert-ブチルエステル(前の工程で記述したもの)を1mLのジクロロメタンに溶解し、0.5mLのトリフルオロ酢酸を添加する。溶液を室温で1時間にわたって撹拌する。次いで、溶媒を除去し、酢酸エチルを添加し、溶液を重炭酸ナトリウムの飽和溶液で3回洗浄する。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で蒸発させる。粗生成物を、ジクロロメタン/メタノール混合物を溶離液として使用する10gのシリカゲルカラム上でのフラッシュクロマトグラフィー、続いて、水/メタノール混合物を溶離液として使用する30gのC18カラム上での別のフラッシュクロマトグラフィーによって精製する。33mgの表題化合物が橙色がかった固体として取得される。
収率: 44%.
MH+: 583.7; 585.7.
1H NMR (DMSO-d6, 400 MHz): δ 8.07 (d, J=5.2 Hz, 1H); 7.55-7.34 (m, 4H); 7.18-7.04 (m, 1H); 6.77 (s, 2H); 6.07 (d, J=5.1 Hz, 1H); 4.41-4.29 (m, 1H); 4.05-3.95 (m, 1H); 3.82-3.73 (m, 1H); 3.60-3.47 (m, 2H); 3.04-2.89 (m, 2H).
【0276】
(実施例14)
N-{3-[5-(2-アミノピリミジン-4-イル)-2-tert-ブチル-チアゾール-4-イル]-5-クロロ-2-フルオロフェニル}-2,5-ジフルオロベンゼンスルホンアミド
【0277】
【化57】
【0278】
工程1:N-{3-[2-tert-ブチル-5-(2-クロロピリミジン-4-イル)-チアゾール-4-イル]-5-クロロ-2-フルオロフェニル}-2,5-ジフルオロベンゼンスルホンアミド
【0279】
【化58】
【0280】
100mg(0.21mmol)のN-{5-クロロ-3-[2-(2-クロロピリミジン-4-イル)-アセチル]-2-フルオロフェニル}-2,5-ジフルオロベンゼンスルホンアミド(実施例13工程3において記述したもの)を、1mLの無水N,N'-ジメチルアセトアミドに、アルゴン下、室温で溶解し、次いで、38mg(0.21mmol)のN-ブロモスクシンイミドを添加し、混合物を室温で30分間にわたって撹拌する。25mg(0.21mmol)の2,2-ジメチルチオプロピオンアミドをアルゴン下で添加し、反応混合物を80℃で30分間にわたって加熱する。溶液を室温に冷却し、酢酸エチルで希釈する。溶液を水で2回及びブラインで1回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で蒸発させる。粗生成物を、酢酸エチル/ヘキサン混合物を溶離液として使用する10gのシリカゲルカラム上でのフラッシュクロマトグラフィーによって精製する。70mgの表題化合物が取得される。
収率:61%。
MH+: 573.6; 575.6; 577.6.
【0281】
工程2:N-{3-[5-(2-アミノピリミジン-4-イル)-2-tert-ブチル-チアゾール-4-イル]-5-クロロ-2-フルオロフェニル}-2,5-ジフルオロベンゼンスルホンアミド
【0282】
【化59】
【0283】
70mg(0.12mmol)のN-{3-[2-tert-ブチル-5-(2-クロロピリミジン-4-イル)-チアゾール-4-イル]-5-クロロ-2-フルオロフェニル}-2,5-ジフルオロベンゼンスルホンアミド(前の工程で記述したもの)を、2mLの水酸化アンモニウム28%の溶液に溶解し、溶液を、マイクロ波照射下、90℃で1時間にわたって加熱する。混合物を50mLの塩化アンモニウムの飽和溶液中で希釈し、酢酸エチルで3回抽出する。合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で蒸発させる。粗生成物を、ジクロロメタン/メタノール混合物を溶離液として使用する10gのシリカゲルカラム上でのフラッシュクロマトグラフィー、続いて、水/アセトニトリル混合物を溶離液として用いる30gのC18カラム上での別のフラッシュクロマトグラフィーによって精製する。18mgの表題化合物が取得される。
収率: 26%.
MH+: 554.7; 556.7.
1H NMR (DMSO-d6, 400 MHz): δ 11.01 (br s, 1H); 8.04 (d, J=5.2 Hz, 1H); 7.63-7.37 (m, 5H); 6.76 (s, 2H); 5.99 (d, J=5.1 Hz, 1H); 1.40 (s, 9H).
【0284】
(実施例15)
N-{3-[5-(2-アミノピリミジン-4-イル)-2-アゼチジン-2-イル-チアゾール-4-イル]-2-フルオロフェニル}-2,5-ジフルオロベンゼンスルホンアミド
【0285】
【化60】
【0286】
工程1:2-{5-(2-クロロピリミジン-4-イル)-4-[3-(2,5-ジフルオロベンゼンスルホニルアミノ)-2-フルオロフェニル]-チアゾール-2-イル}-アゼチジン-1-カルボン酸tert-ブチルエステル
【0287】
【化61】
【0288】
200mg(0.46mmol)のN-{3-[2-(2-クロロピリミジン-4-イル)-アセチル]-2-フルオロフェニル}-2,5-ジフルオロベンゼンスルホンアミド(実施例1工程3において記述したもの)を、2mLの無水N,N'-ジメチルアセトアミドに、アルゴン下、室温で溶解し、次いで、80mg(0.46mmol)のN-ブロモスクシンイミドを添加し、混合物を室温で30分間にわたって撹拌する。98mg(0.46mmol)の2-チオカルバモイルアゼチジン-1-カルボン酸tert-ブチルエステルをアルゴン下で添加し、反応混合物を80℃で30分間にわたって加熱する。溶液を室温に冷却し、酢酸エチルで希釈する。有機層を水で2回及びブラインで1回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で蒸発させる。粗生成物を、酢酸エチル/ヘキサン混合物を溶離液として使用する10gのシリカゲルカラム上でのフラッシュクロマトグラフィーによって精製する。157mgの表題化合物が取得される。
収率:55%。
MH+: 638.8; 640.9.
【0289】
工程2:2-{5-(2-アミノピリミジン-4-イル)-4-[3-(2,5-ジフルオロベンゼンスルホニルアミノ)-2-フルオロフェニル]-チアゾール-2-イル}-アゼチジン-1-カルボン酸tert-ブチルエステル
【0290】
【化62】
【0291】
157mg(0.24mmol)の2-{5-(2-クロロピリミジン-4-イル)-4-[3-(2,5-ジフルオロベンゼンスルホニルアミノ)-2-フルオロフェニル]-チアゾール-2-イル}-アゼチジン-1-カルボン酸tert-ブチルエステル(前の工程で記述したもの)を、2mLの水酸化アンモニウム28%の溶液に溶解し、溶液を、マイクロ波照射下、90℃で1時間にわたって加熱する。混合物を50mLの塩化アンモニウムの飽和溶液中で希釈し、酢酸エチルで3回抽出する。合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で蒸発させる。粗生成物を更に精製することなく次の工程において直接使用する(152mg)。
MH+: 619.9.
【0292】
工程3:N-{3-[5-(2-アミノピリミジン-4-イル)-2-アゼチジン-2-イル-チアゾール-4-イル]-2-フルオロフェニル}-2,5-ジフルオロベンゼンスルホンアミド
【0293】
【化63】
【0294】
152mg(0.24mmol)の2-{5-(2-アミノピリミジン-4-イル)-4-[3-(2,5-ジフルオロベンゼンスルホニルアミノ)-2-フルオロフェニル]-チアゾール-2-イル}-アゼチジン-1-カルボン酸tert-ブチルエステル(前の工程で記述したもの)を1mLのジクロロメタンに溶解し、0.5mLのトリフルオロ酢酸を添加する。溶液を室温で1時間にわたって撹拌する。次いで、溶媒を除去し、酢酸エチルを添加し、溶液を重炭酸ナトリウムの飽和溶液で3回洗浄する。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で蒸発させる。粗生成物を、ジクロロメタン/メタノール混合物を溶離液として使用する10gのシリカゲルカラム上でのフラッシュクロマトグラフィー、続いて、水/メタノール混合物を溶離液として使用する30gのC18カラム上での別のフラッシュクロマトグラフィーによって精製する。24mgの表題化合物が黄色がかった固体として取得される。
収率: 2工程で19%.
MH+: 519.7.
1H NMR (DMSO-d6, 400 MHz): δ 8.00 (d, J=5.2 Hz, 1H); 7.52-7.30 (m, 4H); 7.10 (t, J=7.8 Hz, 1H); 7.06-6.97 (m, 1H); 6.72 (s, 2H); 5.98 (d, J=5.1 Hz, 1H); 5.20 (t, J=8.0 Hz, 1H); 3.76 (q, J=8.0 Hz, 1H); 3.41-3.31 (m, 1H); 2.71-2.61 (m, 1H); 2.46-2.35 (m, 1H).
【0295】
(実施例16)
N-{3-[5-(2-アミノピリミジン-4-イル)-2-ピロリジン-2-イル-チアゾール-4-イル]-2-フルオロフェニル}-2,5-ジフルオロベンゼンスルホンアミド
【0296】
【化64】
【0297】
工程1:2-{5-(2-クロロピリミジン-4-イル)-4-[3-(2,5-ジフルオロベンゼンスルホニルアミノ)-2-フルオロフェニル]-チアゾール-2-イル}-ピロリジン-1-カルボン酸tert-ブチルエステル
【0298】
【化65】
【0299】
191mg(0.43mmol)のN-{3-[2-(2-クロロピリミジン-4-イル)-アセチル]-2-フルオロ-フェニル}-2,5-ジフルオロベンゼンスルホンアミド(実施例1工程3において記述したもの)を、2mLの無水N,N'-ジメチルアセトアミドに、アルゴン下、室温で溶解し、次いで、77mg(0.43mmol)のN-ブロモスクシンイミドを添加し、混合物を室温で30分間にわたって撹拌する。100mg(0.43mmol)の2-チオカルバモイルピロリジン-1-カルボン酸tert-ブチルエステルをアルゴン下で添加し、反応混合物を80℃で30分間にわたって加熱する。溶液を室温に冷却し、酢酸エチルで希釈する。有機層を水で2回及びブラインで1回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で蒸発させる。粗生成物を、酢酸エチル/ヘキサン混合物を溶離液として使用する10gのシリカゲルカラム上でのフラッシュクロマトグラフィーによって精製する。205mgの表題化合物が取得される。
収率:72%。
MH+: 652.9; 654.9.
【0300】
工程2:2-{5-(2-アミノピリミジン-4-イル)-4-[3-(2,5-ジフルオロベンゼンスルホニルアミノ)-2-フルオロフェニル]-チアゾール-2-イル}-ピロリジン-1-カルボン酸tert-ブチルエステル
【0301】
【化66】
【0302】
205mg(0.31mmol)の2-{5-(2-クロロピリミジン-4-イル)-4-[3-(2,5-ジフルオロベンゼンスルホニルアミノ)-2-フルオロフェニル]-チアゾール-2-イル}-ピロリジン-1-カルボン酸tert-ブチルエステル(前の工程で記述したもの)を、2mLの水酸化アンモニウム28%の溶液に溶解し、溶液を、マイクロ波照射下、90℃で1時間にわたって加熱する。混合物を50mLの塩化アンモニウムの飽和溶液中で希釈し、酢酸エチルで3回抽出する。合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で蒸発させる。粗生成物を更に精製することなく次の工程において直接使用する(198mg)。
MH+: 633.9.
【0303】
工程3:N-{3-[5-(2-アミノピリミジン-4-イル)-2-ピロリジン-2-イル-チアゾール-4-イル]-2-フルオロフェニル}-2,5-ジフルオロベンゼンスルホンアミド
【0304】
【化67】
【0305】
198mg(0.31mmol)の2-{5-(2-アミノピリミジン-4-イル)-4-[3-(2,5-ジフルオロベンゼンスルホニルアミノ)-2-フルオロフェニル]-チアゾール-2-イル}-ピロリジン-1-カルボン酸tert-ブチルエステル(前の工程で記述したもの)を1mLのジクロロメタンに溶解し、0.5mLのトリフルオロ酢酸を添加する。溶液を室温で1時間にわたって撹拌する。次いで、溶媒を除去し、酢酸エチルを添加し、溶液を重炭酸ナトリウムの飽和溶液で3回洗浄する。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で蒸発させる。粗生成物を、ジクロロメタン/メタノール混合物を溶離液として使用する10gのシリカゲルカラム上でのフラッシュクロマトグラフィー、続いて、水/メタノール混合物を溶離液として使用する30gのC18カラム上での別のフラッシュクロマトグラフィーによって精製する。30mgの表題化合物が黄色がかった固体として取得される。
収率: 2工程で18%.
MH+: 533.7.
1H NMR (DMSO-d6, 400 MHz): δ 7.98 (d, J=5.2 Hz, 1H); 7.52-7.31 (m, 4H); 7.19-7.05 (m, 2H); 6.71 (s, 2H); 5.93 (d, J=5.1 Hz, 1H); 4.62-4.55 (m, 1H); 3.10-2.95 (m, 2H); 2.29-2.17 (m, 1H); 1.96-1.84 (m, 1H); 1.84-1.74 (m, 2H).
【0306】
(実施例17)
N-{3-[5-(2-アミノピリミジン-4-イル)-2-ピペリジン-2-イル-チアゾール-4-イル]-2-フルオロフェニル}-2,5-ジフルオロベンゼンスルホンアミド
【0307】
【化68】
【0308】
工程1:2-{5-(2-クロロピリミジン-4-イル)-4-[3-(2,5-ジフルオロ-ベンゼンスルホニルアミノ)-2-フルオロフェニル]-チアゾール-2-イル}-ピペリジン-1-カルボン酸tert-ブチルエステル
【0309】
【化69】
【0310】
180mg(0.41mmol)のN-{3-[2-(2-クロロピリミジン-4-イル)-アセチル]-2-フルオロ-フェニル}-2,5-ジフルオロベンゼンスルホンアミド(実施例1工程3において記述したもの)を、2mLの無水N,N'-ジメチルアセトアミドに、アルゴン下、室温で溶解し、次いで、72mg(0.41mmol)のN-ブロモスクシンイミドを添加し、混合物を室温で30分間にわたって撹拌する。100mg(0.41mmol)の2-チオカルバモイルピペリジン-1-カルボン酸tert-ブチルエステルをアルゴン下で添加し、反応混合物を80℃で30分間にわたって加熱する。溶液を室温に冷却し、酢酸エチルで希釈する。溶液を水で2回及びブラインで1回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で蒸発させる。粗生成物を、酢酸エチル/ヘキサン混合物を溶離液として使用する10gのシリカゲルカラム上でのフラッシュクロマトグラフィーによって精製する。169mgの表題化合物が取得される。
収率:62%。
MH+: 666.9; 668.9.
【0311】
工程2:2-{5-(2-アミノピリミジン-4-イル)-4-[3-(2,5-ジフルオロ-ベンゼンスルホニルアミノ)-2-フルオロフェニル]-チアゾール-2-イル}-ピペリジン-1-カルボン酸tert-ブチルエステル
【0312】
【化70】
【0313】
169mg(0.25mmol)の2-{5-(2-クロロピリミジン-4-イル)-4-[3-(2,5-ジフルオロ-ベンゼンスルホニルアミノ)-2-フルオロフェニル]-チアゾール-2-イル}-ピペリジン-1-カルボン酸tert-ブチルエステル(前の工程で記述したもの)を、2mLの水酸化アンモニウム28%の溶液に溶解し、溶液を、マイクロ波照射下、90℃で1時間にわたって加熱する。混合物を50mLの塩化アンモニウムの飽和溶液中で希釈し、酢酸エチルで3回抽出する。合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で蒸発させる。粗生成物を更に精製することなく次の工程において直接使用する(163mg)。
MH+: 648.0.
【0314】
工程3:N-{3-[5-(2-アミノピリミジン-4-イル)-2-ピペリジン-2-イル-チアゾール-4-イル]-2-フルオロフェニル}-2,5-ジフルオロベンゼンスルホンアミド
【0315】
【化71】
【0316】
163mg(0.25mmol)の2-{5-(2-アミノピリミジン-4-イル)-4-[3-(2,5-ジフルオロ-ベンゼンスルホニルアミノ)-2-フルオロフェニル]-チアゾール-2-イル}-ピペリジン-1-カルボン酸tert-ブチルエステル(前の工程で記述したもの)を1mLのジクロロメタンに溶解し、0.5mLのトリフルオロ酢酸を添加する。溶液を室温で1時間にわたって撹拌する。次いで、溶媒を除去し、酢酸エチルを添加し、溶液を重炭酸ナトリウムの飽和溶液で3回洗浄する。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で蒸発させる。粗生成物を、ジクロロメタン/メタノール混合物を溶離液として使用する10gのシリカゲルカラム上でのフラッシュクロマトグラフィー、続いて、水/メタノール混合物を溶離液として使用する30gのC18カラム上での別のフラッシュクロマトグラフィーによって精製する。62mgの表題化合物が黄色固体として取得される。
収率: 2工程で45%.
MH+: 547.8.
1H NMR (DMSO-d6, 400 MHz): δ 8.02 (d, J=5.2 Hz, 1H); 7.51-7.31 (m, 4H); 7.09 (t, J=7.8 Hz, 1H); 7.03-6.93 (m, 1H); 6.75 (s, 2H); 6.00 (d, J=5.1 Hz, 1H); 4.35-4.24 (m, 1H); 3.19-3.09 (m, 1H); 2.88-2.77 (m, 1H); 2.16-2.06 (m, 1H); 1.86-1.76 (m, 1H); 1.70-1.43 (m, 4H).
【0317】
(実施例18)
N-{3-[5-(2-アミノピリミジン-4-イル)-2-ピペラジン-2-イル-チアゾール-4-イル]-2-フルオロフェニル}-2,5-ジフルオロベンゼンスルホンアミド
【0318】
【化72】
【0319】
工程1:2-カルバモイルピペラジン-1,4-ジカルボン酸ジ-tert-ブチルエステル
【0320】
【化73】
【0321】
229mg(1.00mmol)の2-カルバモイルピペラジン-1-カルボン酸tert-ブチルエステルを、アルゴン下、3mLの無水テトラヒドロフランに溶解し、次いで、229mg(1.05mmol)の二炭酸ジ-tert-ブチルを添加し、混合物を室温で1時間にわたって撹拌する。次いで、溶液を酢酸エチルで希釈する。有機層を、重炭酸ナトリウムの飽和溶液で2回及びブラインで1回洗浄する。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で蒸発させる。粗生成物を、ジクロロメタン/メタノール混合物を溶離液として使用する10gのシリカゲルカラム上でのフラッシュクロマトグラフィーによって精製する。329mgの表題化合物が白色固体泡状物として取得される。
収率:定量的。
MH+: 330.6.
【0322】
工程2:2-チオカルバモイルピペラジン-1,4-ジカルボン酸ジ-tert-ブチルエステル
【0323】
【化74】
【0324】
360mg(1.09mmol)の2-カルバモイルピペラジン-1,4-ジカルボン酸ジ-tert-ブチルエステル(前の工程で記述したもの)を4mLのテトラヒドロフランに溶解し、次いで、380mg(0.94mmol)のローソン試薬を添加し、混合物を60℃で4時間にわたって撹拌する。反応混合物を室温に冷却し、溶媒を減圧下で除去する。残留物を重炭酸ナトリウムの飽和溶液でクエンチし、酢酸エチルで抽出する。合わせた有機物を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で蒸発させる。粗生成物を、ジクロロメタン/メタノール混合物を溶離液として使用する10gのシリカゲルカラム上でのフラッシュクロマトグラフィーによって精製する。261mgの表題化合物が白色固体として取得される。
収率:70%。
MH+: 346.7.
【0325】
工程3:2-{5-(2-クロロピリミジン-4-イル)-4-[3-(2,5-ジフルオロベンゼンスルホニルアミノ)-2-フルオロフェニル]-チアゾール-2-イル}-ピペラジン-1,4-ジカルボン酸ジ-tert-ブチルエステル
【0326】
【化75】
【0327】
191mg(0.43mmol)のN-{3-[2-(2-クロロピリミジン-4-イル)-アセチル]-2-フルオロ-フェニル}-2,5-ジフルオロベンゼンスルホンアミド(実施例1工程3において記述したもの)を、2mLの無水N,N'-ジメチルアセトアミドに、アルゴン下、室温で溶解し、次いで、78mg(0.43mmol)のN-ブロモスクシンイミドを添加し、混合物を室温で30分間にわたって撹拌する。150mg(0.43mmol)の2-チオカルバモイルピペラジン-1,4-ジカルボン酸ジ-tert-ブチルエステル(前の工程で記述したもの)をアルゴン下で添加し、反応混合物を80℃で30分間にわたって加熱する。溶液を室温に冷却し、酢酸エチルで希釈する。溶液を水で2回及びブラインで1回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で蒸発させる。粗生成物を、酢酸エチル/ヘキサン混合物を溶離液として使用する10gのシリカゲルカラム上でのフラッシュクロマトグラフィーによって精製する。132mgの表題化合物が白色固体として取得される。
収率:40%。
MH+: 768.0; 770.0.
【0328】
工程4:2-{5-(2-アミノピリミジン-4-イル)-4-[3-(2,5-ジフルオロベンゼンスルホニルアミノ)-2-フルオロフェニル]-チアゾール-2-イル}-ピペラジン-1,4-ジカルボン酸ジ-tert-ブチルエステル
【0329】
【化76】
【0330】
132mg(0.17mmol)の2-{5-(2-アミノピリミジン-4-イル)-4-[3-(2,5-ジフルオロベンゼンスルホニルアミノ)-2-フルオロフェニル]-チアゾール-2-イル}-ピペラジン-1,4-ジカルボン酸ジ-tert-ブチルエステル(前の工程で記述したもの)を、2mLの水酸化アンモニウム28%の溶液に溶解し、溶液を、マイクロ波照射下、90℃で1時間にわたって加熱する。混合物を50mLの塩化アンモニウムの飽和溶液中で希釈し、酢酸エチルで3回抽出する。合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で蒸発させる。粗生成物を更に精製することなく次の工程において直接使用する(122mg)。
MH+: 749.2.
【0331】
工程5:N-{3-[5-(2-アミノピリミジン-4-イル)-2-ピペラジン-2-イル-チアゾール-4-イル]-2-フルオロフェニル}-2,5-ジフルオロベンゼンスルホンアミド
【0332】
【化77】
【0333】
122mg(0.16mmol)の2-{5-(2-クロロピリミジン-4-イル)-4-[3-(2,5-ジフルオロベンゼンスルホニルアミノ)-2-フルオロフェニル]-チアゾール-2-イル}-ピペラジン-1,4-ジカルボン酸ジ-tert-ブチルエステル(前の工程で記述したもの)を1mLのジクロロメタンに溶解し、0.5mLのトリフルオロ酢酸を添加する。溶液を室温で1時間にわたって撹拌する。次いで、溶媒を除去し、酢酸エチルを添加し、溶液を重炭酸ナトリウムの飽和溶液で3回洗浄する。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で蒸発させる。粗生成物を、ジクロロメタン/メタノール混合物を溶離液として使用する10gのシリカゲルカラム上でのフラッシュクロマトグラフィー、続いて、水/メタノール混合物を溶離液として用いる30gのC18カラム上での別のフラッシュクロマトグラフィーによって精製する。14mgの表題化合物が黄色がかった固体として取得される。
収率: 2工程で16%.
MH+: 548.6.
1H NMR (DMSO-d6, 400 MHz): δ 8.00 (d, J=5.2 Hz, 1H); 7.51-7.42 (m, 1H); 7.34-7.20 (m, 3H); 6.92 (t, J=7.8 Hz, 1H); 6.71 (s, 2H); 6.69-6.62 (m, 1H); 6.05 (d, J=5.1 Hz, 1H); 4.27-4.18 (m, 1H); 3.47-3.36 (m, 1H); 3.12-3.00 (m, 2H); 2.99-2.77 (m, 3H).
【0334】
(実施例19)
N-{3-[5-(2-アミノピリミジン-4-イル)-2-(6,6-ジメチルモルホリン-3-イル)チアゾール-4-イル]-2-フルオロフェニル}-2,5-ジフルオロベンゼンスルホンアミド
【0335】
【化78】
【0336】
工程1:5-カルバモイル-2,2-ジメチルモルホリン-4-カルボン酸tert-ブチルエステル
【0337】
【化79】
【0338】
150mg(0.580mmol)の6,6-ジメチルモルホリン-3,4-ジカルボン酸4-tert-ブチルエステルを、アルゴン下、3mLの無水テトラヒドロフランに溶解し、次いで、200μL(1.16mmol)のN,N'-ジイソプロピルエチルアミン及び220mg(0.580mmol)のHATUを添加し、混合物を室温で15分間にわたって撹拌する。2.9mL(1.16mmol)のジオキサン中アンモニア0.4Mを添加し、混合物を室温で3時間にわたって撹拌する。次いで、溶液を酢酸エチルで希釈し、重炭酸ナトリウムの飽和溶液、続いて、NH4Clの飽和溶液で及び最後にブラインによって洗浄する。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で蒸発させる。粗生成物を、ジクロロメタン/メタノール混合物を溶離液として使用する10gのシリカゲルカラム上でのフラッシュクロマトグラフィーによって精製する。182mgの表題化合物が無色油として取得される。
収率:定量的。
MH+: 259.5.
【0339】
工程2:2,2-ジメチル-5-チオカルバモイルモルホリン-4-カルボン酸tert-ブチルエステル
【0340】
【化80】
【0341】
172mg(0.666mmol)の5-カルバモイル-2,2-ジメチルモルホリン-4-カルボン酸tert-ブチルエステル(前の工程で記述したもの)を、アルゴン下、3mLの無水テトラヒドロフランに溶解し、次いで、232mg(0.573mmol)のローソン試薬を添加し、混合物を60℃で2時間30分にわたって撹拌する。反応混合物を室温に冷却し、溶媒を減圧下で除去する。残留物を重炭酸ナトリウムの飽和溶液でクエンチし、酢酸エチルで抽出する。合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で蒸発させる。粗生成物を、a/ジクロロメタン/メタノール混合物を溶離液として、b/酢酸エチル/ヘキサン混合物を溶離液として、10gのシリカゲルカラム上での2つの連続したフラッシュクロマトグラフィーによって精製する。70mgの表題化合物が無色ゲルとして取得される。
収率:38%。
MH+: 275.5.
【0342】
工程3:5-{5-(2-クロロピリミジン-4-イル)-4-[3-(2,5-ジフルオロベンゼンスルホニル-アミノ)-2-フルオロフェニル]-チアゾール-2-イル}-2,2-ジメチルモルホリン-4-カルボン酸tert-ブチルエステル
【0343】
【化81】
【0344】
110mg(0.249mmol)のN-{3-[2-(2-クロロピリミジン-4-イル)-アセチル]-2-フルオロ-フェニル}-2,5-ジフルオロベンゼンスルホンアミド(実施例1、工程3において記述したもの)を、2mLの無水N,N'-ジメチルアセトアミドに、アルゴン下、室温で溶解し、次いで、44mg(0.247mmol)のN-ブロモスクシンイミドを添加し、混合物を室温で30分間にわたって撹拌する。68mg(0.248mmol)の2,2-ジメチル-5-チオカルバモイル-モルホリン-4-カルボン酸tert-ブチルエステル(前の工程で記述したもの)をアルゴン下で添加し、反応混合物を80℃で30分間にわたって加熱する。溶液を室温に冷却し、酢酸エチルで希釈する。溶液を、水/ブライン(1/1)の混合物で5回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で蒸発させる。粗生成物を、酢酸エチル/ヘキサン混合物を溶離液として使用する10gのシリカゲルカラム上でのフラッシュクロマトグラフィーによって精製する。98mgの表題化合物がオフホワイトの固体として取得される。
収率:26%。
MH+: 696.6; 698.6.
【0345】
工程4:5-{5-(2-アミノピリミジン-4-イル)-4-[3-(2,5-ジフルオロベンゼンスルホニル-アミノ)-2-フルオロフェニル]-チアゾール-2-イル}-2,2-ジメチルモルホリン-4-カルボン酸tert-ブチルエステル
【0346】
【化82】
【0347】
96mg(0.138mmol)の5-{5-(2-クロロピリミジン-4-イル)-4-[3-(2,5-ジフルオロ-ベンゼンスルホニルアミノ)-2-フルオロ-フェニル]-チアゾール-2-イル}-2,2-ジメチルモルホリン-4-カルボン酸tert-ブチルエステル(前の工程で記述したもの)を、1.5mLの水酸化アンモニウム28%の溶液に溶解し、次いで、マイクロ波照射下、90℃で1時間にわたって撹拌する。混合物を、水/ブライン(1/1)の混合物中で希釈し、酢酸エチルで3回抽出する。合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で蒸発させる。粗生成物を更に精製することなく次の工程において直接使用する(58mgの表題化合物、橙色固体)。
MH+: 677.7.
【0348】
工程5:N-{3-[5-(2-アミノピリミジン-4-イル)-2-(6,6-ジメチルモルホリン-3-イル)-チアゾール-4-イル]-2-フルオロフェニル}-2,5-ジフルオロベンゼンスルホンアミド
【0349】
【化83】
【0350】
58mg(0.160mmol)のN-{3-[5-(2-アミノピリミジン-4-イル)-2-(6,6-ジメチル-モルホリン-3-イル)-チアゾール-4-イル]-2-フルオロフェニル}-2,5-ジフルオロベンゼンスルホンアミド(前の工程で記述したもの)を1mLのジクロロメタンに溶解し、0.5mLのトリフルオロ酢酸を添加する。溶液を室温で1時間にわたって撹拌する。次いで、溶媒を除去し、残留物を重炭酸ナトリウムの飽和溶液と混合する。この水性混合物を、酢酸エチルを使用して3回抽出する。合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で蒸発させる。粗生成物を、ジクロロメタン/メタノール混合物を溶離液として使用する10gのシリカゲルカラム上でのフラッシュクロマトグラフィー、続いて、水/メタノール混合物を溶離液として用いる30gのC18カラム上での別のフラッシュクロマトグラフィーによって精製する。最後に、第3のカラム(10gのシリカ、酢酸エチル/ヘキサン)を実施する。10mgの表題化合物が黄色固体として取得される。
収率: 2工程で13%.
MH+: 577.6.
1H NMR (DMSO-d6, 400 MHz): δ 10.74 (br s, 1H); 7.99 (d, J=5.1 Hz, 1H); 7.67-7.00 (m, 6H); 6.74 (s, 2H); 5.88 (s, 1H); 4.06-3.98 (m, 1H); 3.80-3.73 (m, 1H); 3.66-3.57 (m, 1H); 2.74 (d, J=12.2 Hz, 1H); 2.69 (d, 1H); 1.25 (s, 3H); 1.14 (s, 3H).
【0351】
(実施例20)
N-{3-[5-(2-アミノピリミジン-4-イル)-2-(4-シクロプロピルピペラジン-2-イル)-チアゾール-4-イル]-2-フルオロフェニル}-2,5-ジフルオロベンゼンスルホンアミド
【0352】
【化84】
【0353】
工程1:4-シクロプロピルピペラジン-1,2-ジカルボン酸1-tert-ブチルエステル2-メチルエステル
【0354】
【化85】
【0355】
500mg(2.05mmol)のピペラジン-1,2-ジカルボン酸1-tert-ブチルエステル2-メチルエステルを、アルゴン下、35mLの無水メタノールに溶解する。617μL(3.07mmol)の(1-エトキシシクロプロポキシ)-トリメチルシラン、351μL(6.14mmol)の酢酸及び206mg(3.27mmol)のシアノ水素化ホウ素ナトリウムを添加し、混合物を60℃で16時間にわたって撹拌する。溶媒を減圧下で除去し、残留物を、ジクロロメタン/メタノール混合物を溶離液として使用する10gのシリカゲルカラム上でのフラッシュクロマトグラフィーによって直接精製する。精製された化合物を重炭酸ナトリウムの飽和溶液に溶解し、それを酢酸エチルで3回抽出することによって、残っている酢酸の痕跡を除去する。合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で蒸発させる。569mgの表題化合物が無色ゲルとして取得される。
収率:98%。
MH+: 285.6.
【0356】
工程2:4-シクロプロピルピペラジン-1,2-ジカルボン酸1-tert-ブチルエステル
【0357】
【化86】
【0358】
569mg(2.00mmol)の4-シクロプロピルピペラジン-1,2-ジカルボン酸1-tert-ブチルエステル2-メチルエステル(前の工程で記述したもの)を、12mLのメタノール/水(1/1)混合物に溶解する。105mg(4.4mmol)の水酸化リチウムを添加し、混合物を室温で16時間にわたって撹拌する。混合物を減圧下で濃縮し、水で希釈し、ジクロロメタンで3回抽出する。HCl 2Nを使用して水性層をpH2~3に酸性化し、次いで、塩化ナトリウムで飽和させ、酢酸エチルによって18回抽出する。粗生成物を更に精製することなく次の工程において直接使用する(492mgの表題化合物、無色ゲル)。
収率:91%。
MH+: 271.5.
【0359】
工程3:2-カルバモイル-4-シクロプロピルピペラジン-1-カルボン酸tert-ブチルエステル
【0360】
【化87】
【0361】
492mg(1.82mmol)の4-シクロプロピルピペラジン-1,2-ジカルボン酸1-tert-ブチルエステル(前の工程で記述したもの)を、アルゴン下、9mLの無水テトラヒドロフランに溶解し、次いで、629μL(3.64mmol)のN,N'-ジイソプロピルエチルアミン及び692mg(1.82mmol)のHATUを添加し、混合物を室温で20分間にわたって撹拌する。9.1mL(3.64mmol)のジオキサン中アンモニア0.4M溶液を添加し、混合物を室温で16時間にわたって撹拌する。次いで、溶液を重炭酸ナトリウムの飽和溶液で希釈し、酢酸エチルを使用して3回抽出する。合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で蒸発させる。粗生成物を、ジクロロメタン/メタノール混合物を溶離液として使用する30gのシリカゲルカラム上でのフラッシュクロマトグラフィーによって精製する。532mgの表題化合物が無色ゲルとして取得される。
収率:定量的。
MH+: 270.5.
【0362】
工程4:4-シクロプロピル-2-チオカルバモイルピペラジン-1-カルボン酸tert-ブチルエステル
【0363】
【化88】
【0364】
532mg(1.98mmol)の2-カルバモイル-4-シクロプロピルピペラジン-1-カルボン酸tert-ブチルエステル(前の工程で記述したもの)を、アルゴン下、7mLの無水テトラヒドロフランに溶解し、次いで、687mg(1.70mmol)のローソン試薬を添加し、混合物を60℃で16時間にわたって撹拌する。反応混合物を室温に冷却し、重炭酸ナトリウムの飽和溶液でクエンチし、酢酸エチルによって3回抽出する。合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で蒸発させる。粗生成物を、ジクロロメタン/メタノール混合物を溶離液として使用する30gのシリカゲルカラム上でのフラッシュクロマトグラフィーによって精製する。127mgの表題化合物が黄色油として取得される。
収率:24%。
MH+: 286.5.
【0365】
工程5:2-{5-(2-クロロピリミジン-4-イル)-4-[3-(2,5-ジフルオロベンゼンスルホニルアミノ)-2-フルオロフェニル]-チアゾール-2-イル}-4-シクロプロピルピペラジン-1-カルボン酸tert-ブチルエステル
【0366】
【化89】
【0367】
97mg(0.445mmol)のN-{3-[2-(2-クロロピリミジン-4-イル)-アセチル]-2-フルオロ-フェニル}-2,5-ジフルオロベンゼンスルホンアミド(実施例1、工程3において記述したもの)を、1mLの無水N,N'-ジメチルアセトアミドに、アルゴン下、室温で溶解し、次いで、79mg(0.445mmol)のN-ブロモスクシンイミドを添加し、混合物を室温で30分間にわたって撹拌する。127mg(0.445mmol)の4-シクロプロピル-2-チオカルバモイルピペラジン-1-カルボン酸tert-ブチルエステル(前の工程で記述したもの)をアルゴン下で添加し、反応混合物を80℃で30分間にわたって加熱する。溶液を室温に冷却し、酢酸エチルで希釈する。溶液を、水/ブライン(1/1)の混合物で5回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で蒸発させる。粗生成物を、酢酸エチル/ヘキサン混合物を溶離液として使用する10gのシリカゲルカラム上でのフラッシュクロマトグラフィーによって精製する。158mgの表題化合物が黄色ゲルとして取得される。
収率:50%。
MH+: 707.7; 709.7.
【0368】
工程6:2-{5-(2-アミノピリミジン-4-イル)-4-[3-(2,5-ジフルオロベンゼンスルホニル-アミノ)-2-フルオロフェニル]-チアゾール-2-イル}-4-シクロプロピルピペラジン-1-カルボン酸tert-ブチルエステル
【0369】
【化90】
【0370】
58mg(0.223mmol)の2-{5-(2-クロロピリミジン-4-イル)-4-[3-(2,5-ジフルオロ-ベンゼンスルホニルアミノ)-2-フルオロフェニル]-チアゾール-2-イル}-4-シクロプロピルピペラジン-1-カルボン酸tert-ブチルエステル(前の工程で記述したもの)を、5mLの水酸化アンモニウム28%の溶液に溶解し、溶液を、マイクロ波照射下、90℃で1時間20分にわたって加熱する。混合物を、水/ブライン(1/1)の混合物中で希釈し、酢酸エチルで3回抽出する。合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で蒸発させる。粗生成物を更に精製することなく次の工程において直接使用する(110mgの表題化合物、黄色ゲル)。
MH+: 688.7.
【0371】
工程7:N-{3-[5-(2-アミノピリミジン-4-イル)-2-(4-シクロプロピルピペラジン-2-イル)-チアゾール-4-イル]-2-フルオロフェニル}-2,5-ジフルオロベンゼンスルホンアミド
【0372】
【化91】
【0373】
110mg(0.160mmol)の2-{5-(2-アミノピリミジン-4-イル)-4-[3-(2,5-ジフルオロ-ベンゼンスルホニルアミノ)-2-フルオロフェニル]-チアゾール-2-イル}-4-シクロプロピルピペラジン-1-カルボン酸tert-ブチルエステル(前の工程で記述したもの)を3mLのジクロロメタンに溶解し、1.5mLのトリフルオロ酢酸を添加する。溶液を室温で1時間にわたって撹拌する。次いで、溶媒を除去し、残留物を重炭酸ナトリウムの飽和溶液でクエンチする。この水性混合物を、酢酸エチルによって3回抽出する。合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で蒸発させる。粗生成物を、ジクロロメタン/メタノール混合物を溶離液として使用する10gのシリカゲルカラム上でのフラッシュクロマトグラフィー、続いて、水/メタノール混合物を溶離液として用いる30gのC18カラム上での別のフラッシュクロマトグラフィーによって精製する。56mgの表題化合物が黄色固体として取得される。
収率: 2工程で43%.
MH+: 588.7.
1H NMR (DMSO-d6, 400 MHz): δ 7.99 (d, J=5.2 Hz, 1H); 7.55-7.35 (m, 4H); 7.27-7.17 (m, 2H); 6.73 (s, 2H); 5.90 (d, J=5.1 Hz, 1H); 4.10-4.03 (m, 1H); 3.11-3.04 (m, 1H); 2.97-2.89 (m, 1H); 2.82-2.70 (m, 2H); 2.44-2.30 (m, 2H); 1.72-1.63 (m, 1H); 0.47-0.27 (m, 4H).
【0374】
(実施例21)
BRAF結合アッセイ
BRAFに結合する化合物の能力を評価するために、Life technologies社のランタスクリーン生化学的キナーゼ結合アッセイを、製造業者の説明書に従って使用した。簡潔に述べると、160nLの100%DMSO中100×化合物溶液、3.84μLのキナーゼ緩衝液、8.0μLの2×BRAF/Eu抗GST混合物及び4.0μLの4×トレーサーを含有する白色384ウェルプレートを使用した。プレートを30秒間にわたって振とうし、室温で60分間にわたってインキュベートした。プレートリーダーを使用して、蛍光を読み取った。このアッセイでは、BRAF酵素を5nMの濃度で及びEu抗GST抗体を2nMの濃度で使用した。トレーサー178を20nMの濃度(20nMのKd)で使用した。キナーゼ緩衝液は、50mMのHEPES pH7.5、0.01%BRIJ-35、10mMのMgCl2、1mMのEGTAからなっていた。化合物IC50は、3倍連続希釈(10点滴定を二連で)で決定した。
【0375】
選択された化合物のBRAF結合(「BRAF IC50」)は、table 2(表2)において次の通りに報告される:
すべての試験化合物は、BRAFキナーゼに結合する能力を呈する。
【0376】
特に、「A」と指定される活性を有する化合物は、10nM未満のIC50値を提供した。「B」と指定される活性を有する化合物は、10nMから25nMの間のIC50値を提供した。「C」と指定される活性を有する化合物は、25nMから50nMの間のIC50値を提供した。「D」と指定される活性を有する化合物は、50nMから100nMの間のIC50値を提供した。「E」と指定される活性を有する化合物は、100nMよりも大きいIC50値を提供した。
【0377】
【表2】
【0378】
(実施例22)
BRAF V599E結合アッセイ
BRAF V599Eに結合する化合物の能力を評価するために、Life technologies社のランタスクリーン生化学的キナーゼ結合アッセイを、製造業者の説明書に従って使用した。簡潔に述べると、160nLの100%DMSO中100×化合物溶液、3.84μLのキナーゼ緩衝液、8.0μLの2×BRAF V599E/Eu抗GST混合物及び4.0μLの4×トレーサーを含有する白色384ウェルプレートを使用した。プレートを30秒間にわたって振とうし、室温で60分間にわたってインキュベートした。プレートリーダーを使用して、蛍光を読み取った。このアッセイでは、BRAF V599E酵素を5nMの濃度で及びEu抗GST抗体を2nMの濃度で使用した。トレーサー178を20nMの濃度(33nMのKd)で使用した。キナーゼ緩衝液は、50mMのHEPES pH7.5、0.01%BRIJ-35、10mMのMgCl2、1mMのEGTAからなっていた。化合物IC50は、3倍連続希釈(10点滴定を二連で)で決定した。
【0379】
選択された化合物のBRAF V599E結合(「BRAF V599E IC50」)は、table 3(表3)において次の通りに報告される:
すべての試験化合物は、BRAF V599Eキナーゼに結合する能力を呈する。
【0380】
特に、「A」と指定される活性を有する化合物は、10nM未満のIC50値を提供した。「B」と指定される活性を有する化合物は、10nMから25nMの間のIC50値を提供した。「C」と指定される活性を有する化合物は、25nMから50nMの間のIC50値を提供した。「D」と指定される活性を有する化合物は、50nMから100nMの間のIC50値を提供した。「E」と指定される活性を有する化合物は、100nMよりも大きいIC50値を提供した。
【0381】
【表3】
【0382】
(実施例23)
細胞株増殖アッセイ
これまでに記述されている通りの標準的なMTTアッセイ(Delfosseら、2012)を使用して、A375細胞増殖を評価した。
【0383】
簡潔に述べると、A375細胞を、96ウェル組織培養プレートにウェル当たり500個の細胞の密度で播種し、試験培養培地中で成長させた。播種の24時間後、試験化合物を添加した。細胞株を37℃で4日間にわたってインキュベートした。インキュベーション期間後、試験化合物を含有する培地を除去し、0.4mg/mLのMTTを含有する試験培養培地によって置きかえた。インキュベーション(4時間)後、生存細胞はMTTテトラゾリウム環を開裂して暗青色のホルマザン反応生成物となったのに対し、死細胞は無色のままであった。MTT含有培地を静かに除去し、DMSOを各ウェルに添加した。振とうした後、プレートを540nmの吸光度で読み取った。試験は、少なくとも3つの独立した実験において四連(quadriplicate)で実施した。データは、リガンドの非存在下で取得された最大活性の%として表現した。
【0384】
選択された化合物の細胞増殖(「BRAF V599E IC50」)は、table 4(表4)において参照化合物ダブラフェニブと比べて報告される。
【0385】
試験化合物のほとんどは、A375細胞増殖を阻害する能力を呈するが、そのレベルは、参照化合物と比較してほぼ同一又はやや低い。
【0386】
【表4】
【0387】
(実施例24)
PXRトランス活性化アッセイ
既に確立されたHG5LN GAL4-hPXRレポーター細胞株(Lemaireら、2007)を使用して、PXR活性を特徴付けた。手短に述べると、HG5LN細胞は、HeLa細胞におけるGAL4応答遺伝子(GAL4RE5-bGlob-Luc-SV-Neo)の組込みによって取得した(Seimandiら、2005)。HG5LN GAL4(DBD)-hPXR(LBD)細胞株は、HG5LN細胞にプラスミド[pSG5-GAL4(DBD)-hPXR(LBD)-puro]をトランスフェクトすることによって取得され、これは、hPXRのリガンド結合ドメイン(Met107-Ser434)に融合した酵母活性化因子GAL4のDNA結合ドメイン(Met1-Ser147)の発現を可能にし、ピューロマイシンに対する抵抗を付与する。
【0388】
HG5LN及びHG5LN GAL4-hPXR細胞を、ダルベッコ改変イーグル培地:フェノールレッド及び1g/Lのグルコースを含有し、5%ウシ胎児血清、100単位/mLのペニシリン、100μg/mLのストレプトマイシン及び1mg/mLのジェネティシン(geneticinin)を補充した栄養素混合物F-12(DMEM/F-12)中、5%CO2加湿雰囲気、37℃で培養した。HG5LN GAL4-hPXR細胞を、0.5μg/mLのピューロマイシンを補充した同じ培地中で培養した。
【0389】
トランス活性化実験のために、HG5LN及びHG5LN-PXRを、ダルベッコ改変イーグル培地:フェノールレッド及び1g/Lのグルコースを加えず、5%処理済みウシ胎児血清、100単位/mLのペニシリン、100μg/mLのストレプトマイシンを補充した栄養素混合物F-12(DMEM/F-12)(試験培地)中、96ウェル白色不透明組織培養プレート(Greiner社セルスター)にウェル当たり25,000個の細胞の密度で播種した。試験される化合物を24時間後に添加し、細胞を37℃で16時間にわたってインキュベートした。インキュベーション期間の終わりに、培養培地を、0.3mMのルシフェリンを含有する試験培地で置きかえた。ルシフェラーゼ活性は、インタクトな生細胞中、マイクロベータワラックルミノメーター(PerkinElmer社)を使用して2秒間にわたって測定した。試験は、少なくとも3つの独立した実験において四連で実施した。データは、リガンドの非存在下で(HG5LN細胞)又はSR12813 3μMを用いて(HG5LN PXR細胞)取得された最大活性の%として表現した。
【0390】
選択された化合物のPXRトランス活性化は、table 5(表5)において参照化合物ダブラフェニブと比べて報告される。
【0391】
ダブラフェニブの塩素化類似体(GL214)を除くすべての試験化合物は、参照化合物ダブラフェニブと比較して、レポーターアッセイにおけるPXRのはるかに低い活性化を呈する。
【0392】
【表5】
【国際調査報告】