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特表2023-504734制御性T細胞(Treg)組成物及び神経変性疾患を治療するための方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-06
(54)【発明の名称】制御性T細胞(Treg)組成物及び神経変性疾患を治療するための方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 35/17 20150101AFI20230130BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20230130BHJP
   A61P 37/06 20060101ALI20230130BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20230130BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20230130BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20230130BHJP
   A61P 25/14 20060101ALI20230130BHJP
   A61P 25/16 20060101ALI20230130BHJP
   A61P 21/00 20060101ALI20230130BHJP
   A61P 37/02 20060101ALI20230130BHJP
   A61P 1/04 20060101ALI20230130BHJP
   A61P 17/06 20060101ALI20230130BHJP
   A61P 17/04 20060101ALI20230130BHJP
   A61P 17/14 20060101ALI20230130BHJP
   A61P 21/04 20060101ALI20230130BHJP
   A61P 19/02 20060101ALI20230130BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20230130BHJP
   A61P 13/12 20060101ALI20230130BHJP
   A61P 1/16 20060101ALI20230130BHJP
   A61P 7/06 20060101ALI20230130BHJP
   A61P 27/02 20060101ALI20230130BHJP
   A61P 1/18 20060101ALI20230130BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20230130BHJP
   A61P 9/04 20060101ALI20230130BHJP
   A61P 9/10 20060101ALI20230130BHJP
   A61P 25/02 20060101ALI20230130BHJP
   A61P 25/08 20060101ALI20230130BHJP
   A61P 9/14 20060101ALI20230130BHJP
   A61K 9/10 20060101ALI20230130BHJP
   A61K 47/02 20060101ALI20230130BHJP
   A61K 47/42 20170101ALI20230130BHJP
   C12N 5/0783 20100101ALI20230130BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20230130BHJP
   C07K 16/28 20060101ALN20230130BHJP
   C12N 15/13 20060101ALN20230130BHJP
【FI】
A61K35/17 Z
A61P43/00 111
A61P37/06
A61P29/00
A61P25/00
A61P25/28
A61P25/14
A61P25/16
A61P21/00
A61P37/02
A61P1/04
A61P17/06
A61P17/04
A61P17/14
A61P21/04
A61P19/02
A61P29/00 101
A61P3/10
A61P13/12
A61P1/16
A61P7/06
A61P27/02
A61P1/18
A61P9/00
A61P9/04
A61P9/10
A61P9/10 101
A61P25/02 101
A61P25/08
A61P9/14
A61K9/10
A61K47/02
A61K47/42
C12N5/0783
C12N5/10
C07K16/28
C12N15/13
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022534147
(86)(22)【出願日】2020-12-04
(85)【翻訳文提出日】2022-08-01
(86)【国際出願番号】 US2020063378
(87)【国際公開番号】W WO2021113685
(87)【国際公開日】2021-06-10
(31)【優先権主張番号】62/944,346
(32)【優先日】2019-12-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518045694
【氏名又は名称】ザ メソディスト ホスピタル
(74)【代理人】
【識別番号】100097456
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 徹
(72)【発明者】
【氏名】スタンレー ハーシュ アペル
(72)【発明者】
【氏名】ジェイソン ロバート ソンホフ
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド ロバート ビアーズ
(72)【発明者】
【氏名】アーロン ドリュー ゾーメ
【テーマコード(参考)】
4B065
4C076
4C087
4H045
【Fターム(参考)】
4B065AA94X
4B065AB01
4B065AC14
4B065AC20
4B065BA01
4B065CA44
4B065CA46
4C076AA22
4C076BB13
4C076CC07
4C076DD23
4C076DD23D
4C076EE41
4C076FF11
4C087AA01
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4C087BB37
4C087BB64
4C087BB65
4C087CA04
4C087CA12
4C087MA21
4C087NA20
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4C087ZA02
4C087ZA06
4C087ZA15
4C087ZA16
4C087ZA22
4C087ZA33
4C087ZA36
4C087ZA37
4C087ZA44
4C087ZA45
4C087ZA55
4C087ZA66
4C087ZA68
4C087ZA75
4C087ZA81
4C087ZA89
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4C087ZA96
4C087ZB07
4C087ZB08
4C087ZB11
4C087ZB13
4C087ZB15
4C087ZC35
4C087ZC41
4H045AA11
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA10
4H045CA40
4H045DA76
4H045EA65
4H045FA74
(57)【要約】
開示されるのは、頑健、高純度、かつ機能的なT制御性細胞(Treg)の大規模な集団を生産するための改良された方法である。また、増殖させたTreg集団、凍結保存されたTreg集団、並びに、例えば、ヒトの神経変性障害の1つ以上の症状の治療、予防、及び/又は改善などの1種以上の哺乳動物の疾患を治療するための、方法及び製剤化された組成物におけるこれらの細胞の使用も開示される。特に、本明細書で提供される組成物及び方法は、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、アルツハイマー病、並びに他の神経疾患及び障害の1つ以上の症状の治療及び改善において臨床で使用される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
凍結保存された制御性T細胞(Treg)の治療用集団を製造する方法であって:
a. Tregを含有していると思われる細胞試料由来のTregを濃縮して、ベースラインTreg細胞集団を製造する工程;
b.該ベースラインTreg細胞集団を増殖させて、増殖させたTreg細胞集団を製造する工程であって、該ベースラインTreg細胞集団が、工程(b)の開始前に凍結保存されない、前記工程;及び
c.該増殖させたTreg細胞集団を凍結保存して、凍結保存されたTregの治療用集団を製造する工程
を含む、前記方法。
【請求項2】
前記増殖させたTreg細胞集団及び解凍後のかつ追加の増殖を行わない前記凍結保存されたTregの治療用集団が、炎症細胞による炎症促進性サイトカイン産生によって測定される該炎症細胞を抑制する能力を示し、
該炎症細胞が、ヒトドナー由来であるか又は人工多能性幹細胞から作られたマクロファージ又は単球である、
請求項1記載の方法。
【請求項3】
解凍後のかつ追加の増殖を行わない前記凍結保存されたTregの治療用集団の炎症細胞を抑制する前記能力が、前記増殖させたTreg細胞集団のそれの少なくとも70%である、請求項2記載の方法。
【請求項4】
炎症細胞を抑制する前記能力が、該炎症細胞によるIL-6、TNFα、IL1β、IL8、及び/又はインターフェロン-γ産生によって測定される、請求項2又は3記載の方法。
【請求項5】
炎症細胞を抑制する前記能力が、該炎症細胞によるIL-6産生によって測定される、請求項4記載の方法。
【請求項6】
解凍後のかつ追加の増殖を行わない前記凍結保存されたTregの治療用集団が、抑制機能を示し、
該抑制機能が、レスポンダーT細胞の増殖の抑制によって決定して、前記ベースラインTreg細胞集団のそれよりも大きい、
請求項1~5のいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
解凍後のかつ追加の増殖を行わない前記凍結保存されたTregの治療用集団の前記抑制機能が、レスポンダーT細胞の増殖の抑制によって決定して、前記ベースラインTreg細胞集団の該抑制機能よりも少なくとも25%、少なくとも50%、少なくとも75%、少なくとも100%、少なくとも150%、又は少なくとも300%大きい、請求項6記載の方法。
【請求項8】
解凍後のかつ追加の増殖を行わない前記凍結保存されたTregの治療用集団が、抑制機能を示し、
該抑制機能が、レスポンダーT細胞の増殖の抑制によって決定して、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、又は少なくとも95%である、
請求項1~7のいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
解凍後のかつ追加の増殖を行わない前記凍結保存されたTregの治療用集団の前記抑制機能が、凍結保存前の前記増殖させたTreg細胞集団の該抑制機能の少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、又は少なくとも95%である、請求項1~8のいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
前記レスポンダーT細胞の増殖が、フローサイトメトリー又はチミジン取り込みによって決定される、請求項6~9のいずれか1項記載の方法。
【請求項11】
解凍後のかつ追加の増殖を行わない前記凍結保存されたTregの治療用集団の生存率が、トリパンブルー染色によって決定して、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、又は少なくとも95%である、請求項1~10のいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
解凍後のかつ追加の増殖を行わない前記凍結保存されたTregの治療用集団の生存率が、トリパンブルー染色によって決定して、前記増殖させたTreg細胞集団が工程(c)において凍結保存される前の該増殖させたTreg細胞集団の生存率の少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、又は少なくとも95%である、請求項1~11のいずれか1項記載の方法。
【請求項13】
前記凍結保存されたTregの治療用集団が、FoxP3+ Tregを含み、
FoxP3+ Tregの割合が、前記ベースラインTreg細胞集団中のTregのうちのFoxP3+ Tregの割合と比較して増加している、
請求項1~12のいずれか1項記載の方法。
【請求項14】
前記凍結保存されたTregの治療用集団が、フローサイトメトリーによって決定して、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、又は少なくとも80%、又は少なくとも90%のFoxP3+ Tregを含む、請求項1~13のいずれか1項記載の方法。
【請求項15】
前記凍結保存されたTregの治療用集団が、FoxP3発現Tregを含み、
FoxP3の発現が、該Tregにおいて、前記ベースラインTreg細胞集団中のTregにおけるFoxP3の発現と比較して増加している、
請求項1~14のいずれか1項記載の方法。
【請求項16】
前記凍結保存されたTregの治療用集団が、フローサイトメトリーによって決定して、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、又は少なくとも95%のCD4+CD25+細胞を含む、請求項1~15のいずれか1項記載の方法。
【請求項17】
前記凍結保存されたTregの治療用集団が、フローサイトメトリーによって決定して、20%未満のCD8+細胞を含む、請求項1~16のいずれか1項記載の方法。
【請求項18】
前記凍結保存されたTregの治療用集団が、フローサイトメトリーによって決定して、少なくとも70%、少なくとも80%、又は少なくとも90%のCD4+CD25highCD127low Tregを含む、請求項1~17のいずれか1項記載の方法。
【請求項19】
前記細胞試料が、白血球アフェレーシス細胞試料である、請求項1~18のいずれか1項記載の方法。
【請求項20】
前記細胞試料をドナーから白血球アフェレーシスによって得ることをさらに含む、請求項1~19のいずれか1項記載の方法。
【請求項21】
前記細胞試料が、前記濃縮工程(a)を実施する前に1晩保管されたり凍結されたりしない、請求項1~20のいずれか1項記載の方法。
【請求項22】
前記細胞試料を、濃縮工程(a)の開始前30分以内に得る、請求項1~21のいずれか1項記載の方法。
【請求項23】
工程(a)が、CD8+/CD19+細胞を枯渇させ、次いでCD25+細胞に関して濃縮することを含む、請求項1~22のいずれか1項記載の方法。
【請求項24】
工程(b)が、工程(a)の後30分以内に実施される、請求項1~23のいずれか1項記載の方法。
【請求項25】
工程(b)が、抗CD3抗体及び抗CD28抗体で被覆されたビーズを含む培養培地中で前記Tregを培養することを含む、請求項1~24のいずれか1項記載の方法。
【請求項26】
前記培養することの開始から約24時間以内に、前記ビーズが、前記培養培地に初めて添加される、請求項25記載の方法。
【請求項27】
抗CD3抗体及び抗CD28抗体で被覆されたビーズが前記培養培地に初めて添加されてから約14日後に、抗CD3抗体及び抗CD28抗体で被覆されたビーズが、該培養培地に添加される、請求項25又は26記載の方法。
【請求項28】
工程(b)が、前記培養することの開始から約6日以内に、前記培養培地にIL-2を添加することをさらに含む、請求項1~26のいずれか1項記載の方法。
【請求項29】
工程(b)が、IL-2が前記培養培地に初めて添加された後に約2~3日毎に、該培養培地にIL-2を補充することをさらに含む、請求項28記載の方法。
【請求項30】
工程(b)が、前記培養することの開始から約24時間以内に、前記培養培地にラパマイシンを添加することをさらに含む、請求項1~29のいずれか1項記載の方法。
【請求項31】
工程(b)が、前記ラパマイシンが前記培養培地に初めて添加された後に2~3日毎に、該培養培地にラパマイシンを補充することをさらに含む、請求項30記載の方法。
【請求項32】
前記凍結保存する工程(c)が、工程(b)における前記培養培地へのIL-2の添加又は補充の少なくとも6日後に実施される、請求項28~31のいずれか1項記載の方法。
【請求項33】
前記凍結保存する工程(c)が、前記培養する工程(b)の開始の約8~25日後に実施される、請求項1~32のいずれか1項記載の方法。
【請求項34】
工程(c)が、DMSOを含む凍結保護剤中で前記Tregを凍結保存することを含む、請求項1~33のいずれか1項記載の方法。
【請求項35】
前記凍結保存工程(c)が、以下の増分:4℃まで1℃/分、-40℃まで25℃/分、-12℃まで10℃/分、-40℃まで1℃/分、及び-80℃~-90℃まで10℃/分で、前記Tregの集団の温度を変化させることを含む、請求項1~34のいずれか1項記載の方法。
【請求項36】
前記凍結保存されたTregの治療用集団が、少なくとも5千万細胞/mLのTreg密度で凍結される、請求項1~35のいずれか1項記載の方法。
【請求項37】
前記凍結保存されたTregの治療用集団が、1~1.5mLの総体積で凍結される、請求項1~36のいずれか1項記載の方法。
【請求項38】
約1週間、1か月、約3か月、約6か月、約9か月、約12か月、約18か月、又は約24か月にわたる凍結保存後に、前記凍結保存されたTregの治療用集団を解凍することをさらに含む、請求項1~37のいずれか1項記載の方法。
【請求項39】
前記細胞試料が、ヒトドナー由来である、請求項1~38のいずれか1項記載の方法。
【請求項40】
前記ヒトドナーが、健康なドナーである、請求項39記載の方法。
【請求項41】
前記ヒトドナーが、神経変性障害と診断されているか又は神経変性障害であることが疑われている、請求項39記載の方法。
【請求項42】
前記神経変性障害が、筋萎縮性側索硬化症、アルツハイマー病、パーキンソン病、又は前頭側頭型認知症である、請求項41記載の方法。
【請求項43】
請求項1~42のいずれか1項記載の方法であって、前記Tregの集団が、凍結保存する工程(c)の前の該方法の任意の時点で遺伝子操作を受けている、前記方法。
【請求項44】
工程(b)が、自動化されている、請求項1~43のいずれか1項記載の方法。
【請求項45】
工程(b)が、バイオリアクター内で行われる、請求項1~44のいずれか1項記載の方法。
【請求項46】
工程(b)が、G-REX培養システム内で行われる、請求項1~45のいずれか1項記載の方法。
【請求項47】
閉鎖系で行われる、請求項1~46のいずれか1項記載の方法。
【請求項48】
前記凍結保存されたTregの治療用集団を解凍すること、及びさらなる増殖を行わずに、該集団を医薬として許容し得る担体を含む医薬組成物中に入れて、Treg医薬組成物を製造することをさらに含む、請求項1~47のいずれか1項記載の方法。
【請求項49】
前記Treg医薬組成物が、生理食塩水及び5%ヒト血清アルブミンを含む、請求項48記載の方法。
【請求項50】
前記Treg医薬組成物をヒト対象へ投与することをさらに含む、請求項48又は49記載の方法。
【請求項51】
前記医薬組成物中の前記Tregが、前記ヒト対象にとって自己由来のものである、請求項48~50のいずれか1項記載の方法。
【請求項52】
前記ヒト対象が、神経変性障害と診断されているか又は神経変性障害であると疑われている、請求項50又は51記載の方法。
【請求項53】
前記神経変性障害が、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、アルツハイマー病、パーキンソン病、又は前頭側頭型認知症である、請求項52記載の方法。
【請求項54】
請求項1~53のいずれか1項記載の方法によって製造された、凍結保存されたTregの治療用集団。
【請求項55】
解凍後のかつさらなる増殖を行わない請求項54記載の凍結保存されたTregの治療用集団、及び医薬として許容し得る担体、を含む医薬組成物。
【請求項56】
炎症細胞による炎症促進性サイトカイン産生によって測定される、該炎症細胞を抑制する能力を示すエクスビボで増殖させたTreg細胞集団であって、該炎症細胞が、ヒトドナー由来であるか又は人工多能性幹細胞から作られたマクロファージ又は単球である、前記エクスビボで増殖させたTreg細胞集団。
【請求項57】
炎症細胞を抑制する前記能力が、該炎症細胞によるIL-6、TNFα、IL1β、IL8、及び/又はインターフェロン-γ産生によって測定される、請求項56記載のエクスビボで増殖させたTreg細胞集団。
【請求項58】
炎症細胞を抑制する前記能力が、該炎症細胞によるIL-6産生によって測定される、請求項57記載のエクスビボで増殖させたTreg細胞集団。
【請求項59】
前記Treg細胞集団が、ALSのヒト対象にとって自己由来のものである、請求項56~58のいずれか1項記載のエクスビボで増殖させたTreg細胞集団。
【請求項60】
前記Treg細胞集団が、ALSのヒト対象由来の細胞試料から増殖させたものである、請求項56~58のいずれか1項記載のエクスビボで増殖させたTreg細胞集団。
【請求項61】
請求項56~60のいずれか1項記載のエクスビボで増殖させたTreg細胞集団、及び医薬として許容し得る担体、を含む医薬組成物。
【請求項62】
解凍後にかつ追加の増殖を行わずに、炎症細胞による炎症促進性サイトカイン産生によって測定される、該炎症細胞を抑制する能力を示す凍結保存されたエクスビボで増殖させたTregの治療用集団であって、
該炎症細胞が、ヒトドナー由来であるか又は人工多能性幹細胞から作られたマクロファージ又は単球である、
前記エクスビボで増殖させたTregの治療用集団。
【請求項63】
請求項62記載の凍結保存されたエクスビボで増殖させたTregの治療用集団であって、
増殖後かつ追加の増殖を行わない該凍結保存されたエクスビボで増殖させたTregの治療用集団の炎症細胞を抑制する前記能力が、凍結保存前の該エクスビボで増殖させたTregのそれの少なくとも70%である、
前記凍結保存されたエクスビボで増殖させたTregの治療用集団。
【請求項64】
炎症細胞を抑制する前記能力が、該炎症細胞によるIL-6、TNFα、IL1β、IL8、及び/又はインターフェロン-γ産生によって測定される、請求項62又は63記載の凍結保存されたエクスビボで増殖させたTregの治療用集団。
【請求項65】
炎症細胞を抑制する前記能力が、該炎症細胞によるIL-6産生によって測定される、請求項64記載の凍結保存されたエクスビボで増殖させたTregの治療用集団。
【請求項66】
解凍後にかつ追加の増殖を行わずに、フローサイトメトリー又はチミジン取り込みによるレスポンダーT細胞の増殖の抑制によって決定して、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、又は少なくとも95%である抑制機能を示す、請求項62~65のいずれか1項記載の凍結保存されたエクスビボで増殖させたTregの治療用集団。
【請求項67】
解凍後にかつ追加の増殖を行わずに、フローサイトメトリー又はチミジン取り込みによるレスポンダーT細胞の増殖の抑制によって決定して、凍結保存前の前記エクスビボで増殖させたTregの前記抑制機能の少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、又は少なくとも95%である抑制機能を示す、請求項62~66のいずれか1項記載の凍結保存されたエクスビボで増殖させたTregの治療用集団。
【請求項68】
解凍後にかつ追加の増殖を行わずに、トリパンブルー染色によって決定して、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、又は少なくとも95%の生存率を示す、請求項62~67のいずれか1項記載の凍結保存されたエクスビボで増殖させたTregの治療用集団。
【請求項69】
解凍後にかつ追加の増殖を行わずに、トリパンブルー染色によって決定して、凍結保存前の前記Tregの生存率の少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、又は少なくとも95%である生存率を示す、請求項62~68のいずれか1項記載の凍結保存されたエクスビボで増殖させたTregの治療用集団。
【請求項70】
解凍後にかつ追加の増殖を行わずに、フローサイトメトリーによって決定して、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、又は少なくとも80%、又は少なくとも90%のFoxP3+ Tregを含む、請求項62~69のいずれか1項記載の凍結保存されたエクスビボで増殖させたTregの治療用集団。
【請求項71】
解凍後にかつ追加の増殖を行わずに、フローサイトメトリーによって決定して、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、又は少なくとも95%のCD4+CD25+細胞を含む、請求項62~70のいずれか1項記載の凍結保存されたエクスビボで増殖させたTregの治療用集団。
【請求項72】
解凍後にかつ追加の増殖を行わずに、フローサイトメトリーによって決定して、20%未満のCD8+細胞を含む、請求項62~71のいずれか1項記載の凍結保存されたエクスビボで増殖させたTregの治療用集団。
【請求項73】
解凍後にかつ追加の増殖を行わずに、フローサイトメトリーによって決定して、少なくとも70%、少なくとも80%、又は少なくとも90%のCD4+CD25highCD127low Tregを含む、請求項62~72のいずれか1項記載の凍結保存されたエクスビボで増殖させたTregの治療用集団。
【請求項74】
前記エクスビボで増殖させたTregが、ALSのヒト対象にとって自己由来のものである、請求項62~73のいずれか1項記載の凍結保存されたエクスビボで増殖させたTregの治療用集団。
【請求項75】
前記エクスビボで増殖させたTregが、ALSのヒト対象由来の細胞試料から増殖させたものである、請求項62~73のいずれか1項記載の凍結保存されたエクスビボで増殖させたTregの治療用集団。
【請求項76】
解凍後のかつさらなる増殖を行わない請求項64~73のいずれか1項記載の凍結保存されたTregの治療用集団、及び医薬として許容し得る担体、を含む医薬組成物。
【請求項77】
炎症細胞による炎症促進性サイトカイン産生によって測定される、該炎症細胞を抑制する能力を示すエクスビボで増殖させたTreg細胞集団であって、
該炎症細胞が、ヒトドナー由来であるか又は人工多能性幹細胞から作られたマクロファージ又は単球であり、
該エクスビボで増殖させたTreg細胞集団が、ベースラインTregから増殖させたものであり、かつ
該エクスビボで増殖させたTreg細胞集団において:
a)表12及び/又は表13に記載される1種以上の機能障害性ベースラインシグネチャー遺伝子産物の発現が、ベースラインTregにおける該1種以上の遺伝子産物の発現と比較して低下しているか;
b)表14に記載される1種以上の機能障害性ベースラインシグネチャー遺伝子産物の発現が、ベースラインTregにおける該1種以上の遺伝子産物の発現と比較して低下しているか;
c)表15に記載される1種以上のTreg関連シグネチャー遺伝子産物の発現が、ベースラインTregにおける該1種以上の遺伝子産物の発現と比較して増加しているか;
d)表16に記載される1種以上のミトコンドリアシグネチャー遺伝子産物の発現が、ベースラインTregにおける該1種以上の遺伝子産物の発現と比較して増加しているか;
e)表17に記載される1種以上の細胞増殖シグネチャー遺伝子産物の発現が、ベースラインTregにおける該1種以上の遺伝子産物の発現と比較して増加しているか;又は
f)表18に記載される1種以上の最高タンパク質発現シグネチャー遺伝子産物の発現が、ベースラインTregにおける該1種以上の遺伝子産物の発現と比較して増加している、
前記エクスビボで増殖させたTreg細胞集団。
【請求項78】
炎症細胞を抑制する前記能力が、該炎症細胞によるIL-6、TNFα、IL1β、IL8、及び/又はインターフェロン-γ産生によって測定される、請求項77記載のエクスビボで増殖させたTreg細胞集団。
【請求項79】
炎症細胞を抑制する前記能力が、該炎症細胞によるIL-6産生によって測定される、請求項78記載のエクスビボで増殖させたTreg細胞集団。
【請求項80】
請求項77~79のいずれか1項記載のエクスビボで増殖させたTreg細胞集団であって、
該エクスビボで増殖させたTreg細胞集団において、以下の遺伝子産物:ADAM10、AIMP1、AIMP2、ARG2、BCL2L1、BSG、CD2、CD28、CD38、CD74、CD84、CTLA4、FAS、FOXP3、GCLC、HAT1、HLA-DQA1、HLA-DQB1、HLA-DRA、HLA-DRB1、HPGD、ICOS、IL1RN、IRF4、KPNA2、LGALS1、LGMN、PCNA、POFUT1、SATB1、SELPLG、STAT1、TFRC、及びTNFRSF18のうちの1種以上の発現が、ベースラインTregにおける該1種以上の遺伝子産物の発現と比較して増加している、前記エクスビボで増殖させたTreg細胞集団。
【請求項81】
請求項77~80のいずれか1項記載のエクスビボで増殖させたTreg細胞集団であって、該エクスビボで増殖させたTreg細胞集団において、以下の遺伝子産物:ACAA2、ACADM、ACADVL、ACOT7、ACSL1、ACSL4、ACSL5、AGK、AGMAT、AK4、ARG2、ARL2、AUH、BCL2L1、BDH1、BNIP1、CDK1、CHDH、CIAPIN1、CISD2、COX17、CPOX、CPT1A、CPT2、CYB5B、DAP3、DHRS2、DNM1L、DUT、DYNLL1、ECI1、FDXR、FEN1、FKBP8、GK、GRSF1、HTRA2、L2HGDH、LACTB2、LRPPRC、MAIP1、MAOA、MPST、MRPL1、MRPL12、MRPL13、MRPL14、MRPL17、MRPL22、MRPL37、MRPL39、MRPL4、MRPL43、MRPL44、MRPL46、MRPL48、MRPS11、MRPS14、MRPS2、MRPS27、MRPS31、MRPS35、MRPS9、MTHFD2、MTX1、MYCBP、NDUFA8、NUDT1、OAT、PITRM1、PLSCR3、PMPCA、PPIF、PTRH2、PYCR2、REXO2、RMND1、SFXN2、SLC25A10、SLC25A19、SLC25A4、TIGAR、TIMM13、TIMM23、TMEM14C、TOMM22、TOMM34、TOMM40、及びTSTのうちの1種以上の発現が、ベースラインTregにおける該1種以上の遺伝子産物の発現と比較して増加している、前記エクスビボで増殖させたTreg細胞集団。
【請求項82】
請求項77~81のいずれか1項記載のエクスビボで増殖させたTreg細胞集団であって、該エクスビボで増殖させたTreg細胞集団において、以下の遺伝子産物:ARL2、ARL3、BCCIP、CCDC124、CDK1、CDK2、CDK5、CDK6、CUL4B、DCTN3、FEN1、HELLS、LIG1、MAD2L1、MAEA、MCM2、MCM2、MCM3、MCM4、MCM5、MCM6、MCM7、MCMBP、NUDC、PCNA、POLD1、POLD2、RALB、RBM38、RFC2、RFC3、RFC4、RFC5、RNASEH2A、RNASEH2B、及びSMC2のうちの1種以上の発現が、ベースラインTregにおける該1種以上の遺伝子産物の発現と比較して増加している、前記エクスビボで増殖させたTreg細胞集団。
【請求項83】
請求項77~82のいずれか1項記載のエクスビボで増殖させたTreg細胞集団であって、該エクスビボで増殖させたTreg細胞集団において、以下の遺伝子産物:ACAA2、ACADM、ACADVL、ACOT7、BSG、CACYBP、CD74、CDK1、CPOX、DUT、ECI1、ENO3、FEN1、FKBP3、HIST1H2BJ、HLA-DQA1、HLA-DRA、HLA-DRB1、LGALS1、LGALS3、MCM5、MCM6、MCM7、MTHFD1、NAMPT、NME1、NQO1、PCNA、RAB1A、RALB、SLC25A4、STAT1、STMN1、STMN2、TUBA1B、TUBB4A、TUBB8、TXN、TXNRD1、及びWARSのうちの1種以上の発現が、ベースラインTregにおける該1種以上の遺伝子産物の発現と比較して増加している、前記エクスビボで増殖させたTreg細胞集団。
【請求項84】
請求項77~83のいずれか1項記載のエクスビボで増殖させたTreg細胞集団であって、該エクスビボで増殖させたTreg細胞集団において、表12及び/又は表13に記載される1種以上の機能障害性ベースラインシグネチャー遺伝子産物の発現が、ベースラインTregにおける該1種以上の遺伝子産物の発現と比較して低下している、前記エクスビボで増殖させたTreg細胞集団。
【請求項85】
炎症細胞による炎症促進性サイトカイン産生によって測定される、該炎症細胞を抑制する能力を示すエクスビボで増殖させたTreg細胞集団であって、
該炎症細胞が、ヒトドナー由来であるか又は人工多能性幹細胞から作られたマクロファージ又は単球であり、
該エクスビボで増殖させたTreg細胞集団が、ベースラインTregから増殖させたものであり、かつ
該エクスビボで増殖させたTreg細胞集団において:表14に記載される1種以上のTreg関連シグネチャー遺伝子産物の発現が、ベースラインTregにおける該1種以上の遺伝子産物の発現と比較して増加している、
前記エクスビボで増殖させたTreg細胞集団。
【請求項86】
請求項85記載のエクスビボで増殖させたTreg細胞集団であって、
該エクスビボで増殖させたTreg細胞集団において、表12及び/又は表13に記載される1種以上の機能障害性ベースラインシグネチャー遺伝子産物の発現が、ベースラインTregにおける該1種以上の遺伝子産物の発現と比較して低下している、
前記エクスビボで増殖させたTreg細胞集団。
【請求項87】
抑制機能を示す、請求項85又は86記載のエクスビボで増殖させたTreg細胞集団であって、
該抑制機能が、フローサイトメトリー又はチミジン取り込みによるレスポンダーT細胞の増殖の抑制によって決定して、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、又は少なくとも95%である、
前記エクスビボで増殖させたTreg細胞集団。
【請求項88】
抑制機能を示す、請求項85~87のいずれか1項記載のエクスビボで増殖させたTreg細胞集団であって、
該抑制機能が、フローサイトメトリー又はチミジン取り込みによるレスポンダーT細胞の増殖の抑制によって決定して、ベースラインTregのそれの少なくとも50%、少なくとも75%、少なくとも100%、又は少なくとも150%である、
前記エクスビボで増殖させたTreg細胞集団。
【請求項89】
前記エクスビボで増殖させたTregが、ALSのヒト対象にとって自己由来のものである、請求項77~88のいずれか1項記載のエクスビボで増殖させたTreg細胞集団。
【請求項90】
前記エクスビボで増殖させたTregが、ALSのヒト対象由来の細胞試料から増殖させたものである、請求項77~88のいずれか1項記載のエクスビボで増殖させたTreg細胞集団。
【請求項91】
前記1種以上の遺伝子産物の発現が、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約6倍、少なくとも約7倍、少なくとも約8倍、少なくとも約9倍、又は少なくとも約10倍のlog2変化だけ変化する、請求項77~90のいずれか1項記載のエクスビボで増殖させたTreg細胞集団。
【請求項92】
発現が、シングルショットプロテオミクス解析によって決定される、請求項77~91のいずれか1項記載のエクスビボで増殖させたTreg細胞集団。
【請求項93】
解凍後のかつさらなる増殖を行わない請求項77~88又は91もしくは92のいずれか1項記載のエクスビボで増殖させたTreg細胞集団、及び医薬として許容し得る担体、を含む医薬組成物。
【請求項94】
エクスビボで増殖させたTregの治療用集団を含む凍結保存された組成物であって、
解凍後のかつさらなる増殖を行わないTregの治療用集団における表12~表18に記載される遺伝子産物のうちの1種以上の発現が、凍結保存前の該エクスビボで増殖させたTregにおける該1種以上の遺伝子産物の発現と実質的に同じである、
前記凍結保存された組成物。
【請求項95】
前記1種以上の遺伝子産物が、表19には記載されていない、請求項94記載の凍結保存された組成物。
【請求項96】
前記1種以上の遺伝子産物が、機能障害性のTreg表現型に関連する遺伝子産物、メチル化又はエピジェネティクス関連遺伝子産物、ミトコンドリア関連遺伝子産物、又は細胞周期、細胞分裂、DNA複製、もしくはDNA修復に関連する遺伝子産物である、請求項94又は95記載の凍結保存された組成物。
【請求項97】
前記1種以上の遺伝子産物が、Treg細胞の増殖、健康、同定、及び/又は機構に重要であることが知られているものである、請求項94~96のいずれか1項記載の凍結保存された組成物。
【請求項98】
前記エクスビボで増殖させたTregの治療用集団が、解凍後にかつ追加の増殖を行わずに、炎症細胞による炎症促進性サイトカイン産生によって測定される、該炎症細胞を抑制する能力を示し、
該炎症細胞が、ヒトドナー由来であるか又は人工多能性幹細胞から作られたマクロファージ又は単球である、
請求項94~97のいずれか1項記載の凍結保存された組成物。
【請求項99】
前記エクスビボで増殖させたTregの炎症細胞を抑制する前記能力が、増殖後かつ追加の増殖を行わずに、凍結保存前の該エクスビボで増殖させたTregのそれの少なくとも70%である、請求項98記載の凍結保存された組成物。
【請求項100】
前記エクスビボで増殖させたTregの炎症細胞を抑制する前記能力が、該炎症細胞によるIL-6、TNFα、IL1β、IL8、及び/又はインターフェロン-γ産生によって測定される、請求項98又は99記載の凍結保存された組成物。
【請求項101】
炎症細胞を抑制する前記能力が、該炎症細胞によるIL-6産生によって測定される、請求項100記載の凍結保存された組成物。
【請求項102】
前記エクスビボで増殖させたTregの治療用集団が、解凍後にかつ追加の増殖を行わずに、フローサイトメトリー又はチミジン取り込みによるレスポンダーT細胞の増殖の抑制によって決定して、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、又は少なくとも95%である抑制機能を示す、請求項94~101のいずれか1項記載の凍結保存された組成物。
【請求項103】
前記エクスビボで増殖させたTregの治療用集団が、解凍後にかつ追加の増殖を行わずに、フローサイトメトリー又はチミジン取り込みによるレスポンダーT細胞の増殖の抑制によって決定して、凍結保存前の該エクスビボで増殖させたTregの抑制機能の少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、又は少なくとも95%である抑制機能を示す、請求項94~102のいずれか1項記載の凍結保存された組成物。
【請求項104】
前記エクスビボで増殖させたTregの治療用集団が、解凍後にかつ追加の増殖を行わずに、トリパンブルー染色によって決定して、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、又は少なくとも95%の生存率を示す、請求項94~103のいずれか1項記載の凍結保存された組成物。
【請求項105】
前記エクスビボで増殖させたTregの治療用集団が、解凍後にかつ追加の増殖を行わずに、トリパンブルー染色によって決定して、凍結保存前の該Tregの生存率の少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、又は少なくとも95%である生存率を示す、請求項94~104のいずれか1項記載の凍結保存された組成物。
【請求項106】
前記エクスビボで増殖させたTregの治療用集団が、解凍後にかつ追加の増殖を行わずに、フローサイトメトリーによって決定して、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、又は少なくとも80%、又は少なくとも90%のFoxP3+ Tregを含む、請求項94~105のいずれか1項記載の凍結保存された組成物。
【請求項107】
前記エクスビボで増殖させたTregの治療用集団が、解凍後にかつ追加の増殖を行わずに、フローサイトメトリーによって決定して、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、又は少なくとも95%のCD4+CD25+細胞を含む、請求項94~106のいずれか1項記載の凍結保存された組成物。
【請求項108】
前記エクスビボで増殖させたTregの治療用集団が、解凍後にかつ追加の増殖を行わずに、フローサイトメトリーによって決定して、20%未満のCD8+細胞を含む、請求項94~107のいずれか1項記載の凍結保存された組成物。
【請求項109】
前記エクスビボで増殖させたTregの治療用集団が、解凍後にかつ追加の増殖を行わずに、フローサイトメトリーによって決定して、少なくとも70%、少なくとも80%、又は少なくとも90%のCD4+CD25highCD127low Tregを含む、請求項94~108のいずれか1項記載の凍結保存された組成物。
【請求項110】
前記エクスビボで増殖させたTregが、ALSのヒト対象にとって自己由来のものである、請求項94~109のいずれか1項記載の凍結保存された組成物。
【請求項111】
前記エクスビボで増殖させたTregが、ALSのヒト対象由来の細胞試料から増殖させたものである、請求項94~109のいずれか1項記載の凍結保存された組成物。
【請求項112】
遺伝子産物発現が、シングルショットプロテオミクス解析によって決定される、請求項94~111のいずれか1項記載の凍結保存された組成物。
【請求項113】
解凍後のかつさらなる増殖を行わない請求項94~106又は109~112のいずれか1項記載のエクスビボで増殖させたTregの治療用集団を含む凍結保存された組成物、及び医薬として許容し得る担体、を含む医薬組成物。
【請求項114】
Treg機能障害に関連する障害を治療する方法であって、
該治療を必要とする対象に、Tregの治療用集団を含む医薬組成物を投与することを含み、
該Tregが、エクスビボで増殖されかつ凍結保存されており、かつ
該Tregが、該投与することの前にさらに増殖されない、
前記方法。
【請求項115】
Treg欠乏に関連する障害を治療する方法であって:
該治療を必要とする対象に、Tregの治療用集団を含む医薬組成物を投与することを含み、
該Tregが、エクスビボで増殖されかつ凍結保存されており、かつ
該Tregが、該投与することの前にさらに増殖されない、
前記方法。
【請求項116】
免疫系の過剰活性化に関連する障害を治療する方法であって:
該治療を必要とする対象に、Tregの治療用集団を含む医薬組成物を投与することを含み、
該Tregが、エクスビボで増殖されかつ凍結保存されており、かつ
該Tregが、該投与することの前にさらに増殖されない、
前記方法。
【請求項117】
T細胞応答によって推進される炎症状態を治療する方法であって:
該治療を必要とする対象に、Tregの治療用集団を含む医薬組成物を投与することを含み、
該Tregが、エクスビボで増殖されかつ凍結保存されており、かつ
該Tregが、該投与することの前にさらに増殖されない、
前記方法。
【請求項118】
骨髄系細胞応答によって推進される炎症状態を治療する方法であって:
該治療を必要とする対象に、Tregの治療用集団を含む医薬組成物を投与することを含み、
該Tregが、エクスビボで増殖されかつ凍結保存されており、かつ
該Tregが、該投与することの前にさらに増殖されない、
前記方法。
【請求項119】
前記骨髄系細胞が、単球、マクロファージ、又はミクログリアである、請求項118記載の方法。
【請求項120】
それを必要としている対象において神経変性障害を治療する方法であって:
該対象にTregの治療用集団を含む医薬組成物を投与することを含み、
該Tregが、エクスビボで増殖されかつ凍結保存されており、
該Tregが、該投与することの前にさらに増殖されない、
前記方法。
【請求項121】
前記神経変性疾患が、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、アルツハイマー病、パーキンソン病、前頭側頭型認知症、又はハンチントン病である、請求項120記載の方法。
【請求項122】
それを必要としている対象において自己免疫障害を治療する方法であって:
該対象にTregの治療用集団を含む医薬組成物を投与することを含み、
該Tregが、エクスビボで増殖されかつ凍結保存されており、かつ
該Tregが、該投与することの前にさらに増殖されない、
前記方法。
【請求項123】
前記自己免疫障害が、多発性筋炎、潰瘍性大腸炎、炎症性腸疾患、クローン病、セリアック病、全身性硬化症(強皮症)、多発性硬化症(MS)、関節リウマチ(RA)、I型糖尿病、乾癬、皮膚筋炎、全身性エリテマトーデス、皮膚ループス、重症筋無力症、自己免疫性腎症、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性血球減少、自己免疫性脳炎、自己免疫性肝炎、自己免疫性ブドウ膜炎、脱毛症、甲状腺炎、又は天疱瘡である、請求項122記載の方法。
【請求項124】
それを必要としている対象において移植片対宿主病を治療する方法であって:
該対象にTregの治療用集団を含む医薬組成物を投与することを含み、
該Tregが、エクスビボで増殖されかつ凍結保存されており、かつ
該Tregが、該投与することの前にさらに増殖されない、
前記方法。
【請求項125】
前記対象が、骨髄移植、腎移植、又は肝移植を受けている、請求項124記載の方法。
【請求項126】
それを必要としている対象において膵島移植片の生存を向上させる方法であって:
膵島移植術を、該対象にTregの治療用集団を含む医薬組成物を投与することと組み合わせることを含み、
該Tregが、エクスビボで増殖されかつ凍結保存されており、かつ
該Tregが、該投与することの前にさらに増殖されない、
前記方法。
【請求項127】
それを必要としている対象において心臓の炎症を治療する方法であって:
該対象にTregの治療用集団を含む医薬組成物を投与することを含み、
該Tregが、エクスビボで増殖されかつ凍結保存されており、かつ
該Tregが、該投与することの前にさらに増殖されない、
前記方法。
【請求項128】
前記心臓の炎症が、アテローム性動脈硬化症、心筋梗塞、虚血性心筋症、又は心不全と関連する、請求項127記載の方法。
【請求項129】
それを必要としている対象において神経炎症を治療する方法であって:
該対象にTregの治療用集団を含む医薬組成物を投与することを含み、
該Tregが、エクスビボで増殖されかつ凍結保存されており、かつ
該Tregが、該投与することの前にさらに増殖されない、
前記方法。
【請求項130】
前記神経炎症が、卒中、急性散在性脳脊髄炎、急性視神経炎、急性炎症性脱髄性多発神経根筋障害、慢性炎症性脱髄性多発神経根筋障害、ギラン・バレー症候群、横断性脊髄炎、視神経脊髄炎、てんかん、外傷性脳損傷、脊髄損傷、脳炎、中枢神経系血管炎、神経サルコイドーシス、自己免疫性もしくは感染後脳炎、又は慢性髄膜炎と関連する、請求項129記載の方法。
【請求項131】
それを必要としている対象においてTreg症を治療する方法であって:
該対象にTregの治療用集団を含む医薬組成物を投与することを含み、
該Tregが、エクスビボで増殖されかつ凍結保存されており、かつ
該Tregが、該投与することの前にさらに増殖されない、
前記方法。
【請求項132】
前記Treg症が、FOXP3、CD25、細胞傷害性Tリンパ球関連抗原4(CTLA4)、LPS反応性ベージュ様アンカータンパク質(LRBA)、又はBTBドメイン及びCNCホモログ2(BACH2)遺伝子機能喪失型変異、又はシグナル伝達兼転写活性化因子3(STAT3)機能獲得型変異によって引き起こされる、請求項131記載の方法。
【請求項133】
前記Tregが、前記対象にとって自己由来のものである、請求項112~132のいずれか1項記載の方法。
【請求項134】
前記Tregが、前記対象にとって同種異系のものである、請求項112~132のいずれか1項記載の方法。
【請求項135】
前記医薬組成物が、請求項55記載の医薬組成物である、請求項112~134のいずれか1項記載の方法。
【請求項136】
前記医薬組成物が、請求項61記載の医薬組成物である、請求項112~134のいずれか1項記載の方法。
【請求項137】
前記医薬組成物が、請求項76記載の医薬組成物である、請求項112~134のいずれか1項記載の方法。
【請求項138】
前記医薬組成物が、請求項93記載の医薬組成物である、請求項112~134のいずれか1項記載の方法。
【請求項139】
前記医薬組成物が、請求項113記載の医薬組成物である、請求項112~134のいずれか1項記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願への相互参照)
本出願は、引用によりその全体が本明細書中に組み込まれている2019年12月5日に出願された米国仮特許出願第62/944,346号の利益を主張する。
【0002】
(1.分野)
本開示は、医薬品、分子生物学の分野に関し、特に、哺乳動物の神経変性疾患の治療における使用に適した医薬品の生産に関する。特に、本開示は、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、アルツハイマー病、及び他の神経性の疾患又は機能障害、並びに炎症性及び自己免疫の疾患又は機能障害などの疾患の治療に有用な、頑健、高純度、かつ機能的なT制御性細胞を生産するための改良方法を提供する。
【背景技術】
【0003】
(2.背景)
増殖させた自己由来のCD4+CD25highFOXP3+ T制御性細胞(Treg)の臨床的生産では、これらの療法を使用することによって利益を得る可能性がある患者に対する該療法の可用性を妨げる物流上及び費用関連の難題がいくつか存在する。現行のTreg生産条件は、複雑かつ非常に骨が折れる活性化及び増殖プロトコールを必要とする。さらなる難題として、必要な用量となるまでTregを増殖させるのに必要とされる時間、並びに細胞の生存率、完全性、及び機能を維持する増殖後の最終の凍結保存された生成物の製剤化が挙げられる。これらの難題にもかかわらず、自己由来Treg療法は、移植片対宿主病(GvHD)、並びに1型糖尿病及びクローン病を含むいくつかの自己免疫疾患に対する第1相臨床試験において現在試験中である。多くの免疫抑制薬の有効性が、それらのTregを刺激する能力次第で決まるという事実によって、Treg活性を増加させることの治療的価値が支持される。Treg療法は、それが、オフターゲットな作用を制限し、従って、有効性を向上させかつ有害作用を最小化し得るために、免疫抑制性の薬物よりも有利であり得る。従って、高純度かつ機能的なTregの頑健な製造のための生産プロセスの開発は、Treg療法の将来の応用に極めて重要である。
【発明の概要】
【0004】
(3.概要)
Treg養子細胞療法は、多様な障害の患者を治療するのに非常に有望である。しかしながら、そのような療法の潜在能力を発揮するための難題は、高い純度、生存率、及び抑制能を示し、蓄えることができ、かつ患者へすぐ投与できる多数のTregを効率的かつ迅速に製造することができることである。本明細書で示される方法は、模範的な生存率及び純度及び効力を示すエクスビボで増殖させたTreg細胞集団を製造する方法を提供することによってこの難題に対処する。注目すべきことに、本明細書で示される方法は、解凍後にかつさらなる増殖を行わずに、凍結保存前の該増殖させたTregの所望の純度、生存率、及び効力特性を維持する凍結保存された増殖させたTregの治療用集団ももたらす。従って、本明細書で示される方法は、棚から取り出してすぐに使える治療用物質として利用され得る強力なエクスビボで増殖させたTreg細胞集団を製造できることを提供する。
【0005】
本明細書で示される方法は、ユニークなエクスビボで増殖させたTreg細胞集団をもたらす。本明細書において記載され製造されるTregは、高い生存率及び純度を示し、かつTレスポンダー細胞を抑制する能力及び炎症細胞、例えば、マクロファージの活性を抑制する驚くべき能力の双方を特徴とする強力な抑制活性を示す。本明細書で実証されるように、炎症細胞、例えば、マクロファージ活性を阻害する能力は、健康なドナー又は疾患、例えば、ALSのドナーのいずれかから得られた新たに単離された増殖させていないTregでは存在しない。従って、本明細書で示されるエクスビボで増殖させたTregは、新たに単離されたTregとは別個のものであり、実際には、「スーパーサプレッサー」Tregとして特性が記述されている。さらに、本明細書でも実証されるように、本明細書に記載されるTreg細胞集団は、ユニークな遺伝子産物シグネチャーを示す。
【0006】
従って、エクスビボで増殖させたTreg細胞集団、そのようなTreg細胞集団を含む医薬組成物、凍結保存されたエクスビボ増殖治療用Treg集団、及び解凍後のかつさらなる増殖を行わないそのような凍結保存されたTregを含む医薬組成物も本明細書で示される。
【0007】
また、例えば、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、アルツハイマー病、パーキンソン病、及び前頭側頭型認知症などの神経変性障害の治療を含む、本明細書で製造され記載されるTreg細胞集団を利用する治療の方法も本明細書で示される。
【0008】
一態様において、本明細書で提供されるのは、凍結保存された制御性T細胞(Treg)の治療用集団を製造する方法であって、(1)Tregを含有していると思われる細胞試料由来のTregを濃縮して、ベースラインTreg細胞集団を製造する工程;(2)該ベースラインTreg細胞集団を増殖させて、増殖させたTreg細胞集団を製造する工程であって、該ベースラインTreg細胞集団が、工程(b)の開始前に凍結保存されない、前記工程;及び(3)該増殖させたTreg細胞集団を凍結保存して、凍結保存されたTregの治療用集団を製造する工程を含む、前記方法である。この文脈において、「ベースライン」又は「ベースラインTreg細胞集団という用語は、患者試料から濃縮されているが、まだ増殖させていないTregの集団を意味する。いくつかの実施態様において、前記増殖させたTreg細胞集団及び前記凍結保存されたTregの治療用集団は、解凍後にかつ追加の増殖を行わずに、炎症細胞による炎症促進性サイトカイン産生によって測定される該炎症細胞を抑制する能力を示し、該炎症細胞は、ヒトドナー由来であるか又は人工多能性幹細胞から作られたマクロファージ又は単球である。いくつかの実施態様において、解凍後のかつ追加の増殖を行わない前記凍結保存されたTregの治療用集団の炎症細胞を抑制する前記能力は、前記増殖させたTreg細胞集団のそれの少なくとも70%である。
【0009】
いくつかの実施態様において、炎症細胞を抑制する前記能力は、該炎症細胞によるIL-6、TNFα、IL1β、IL8、及び/又はインターフェロン-γ産生によって測定される。いくつかの実施態様において、炎症細胞を抑制する前記能力は、該炎症細胞によるIL-6産生によって測定される。いくつかの実施態様において、前記凍結保存されたTregの治療用集団は、解凍後にかつ追加の増殖を行わずに、抑制機能を示し、該抑制機能は、レスポンダーT細胞の増殖の抑制によって決定して、前記ベースラインTreg細胞集団のそれよりも大きい。いくつかの実施態様において、解凍後のかつ追加の増殖を行わない前記凍結保存されたTregの治療用集団の前記抑制機能は、レスポンダーT細胞の増殖の抑制によって決定して、前記ベースラインTreg細胞集団の前記抑制機能よりも少なくとも25%、少なくとも50%、少なくとも75%、少なくとも100%、少なくとも150%、又は少なくとも300%大きい。いくつかの実施態様において、前記凍結保存されたTregの治療用集団は、解凍後にかつ追加の増殖を行わずに、抑制機能を示し、該抑制機能は、レスポンダーT細胞の増殖の抑制によって決定して、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、又は少なくとも95%である。いくつかの実施態様において、解凍後のかつ追加の増殖を行わない前記凍結保存されたTregの治療用集団の前記抑制機能は、凍結保存前の前記増殖させたTreg細胞集団の該抑制機能の少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、又は少なくとも95%である。いくつかの実施態様において、前記レスポンダーT細胞の増殖は、フローサイトメトリー又はチミジン取り込みによって決定される。
【0010】
いくつかの実施態様において、解凍後のかつ追加の増殖を行わない前記凍結保存されたTregの治療用集団の生存率は、トリパンブルー染色によって決定して、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、又は少なくとも95%である。いくつかの実施態様において、解凍後のかつ追加の増殖を行わない前記凍結保存されたTregの治療用集団の生存率は、トリパンブルー染色によって決定して、前記増殖させたTreg細胞集団が工程(c)において凍結保存される前の該増殖させたTreg細胞集団の生存率の少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、又は少なくとも95%である。
【0011】
いくつかの実施態様において、前記凍結保存されたTregの治療用集団は、FoxP3+ Tregを含み、FoxP3+ Tregの割合が、前記ベースラインTreg細胞集団中のTregのうちのFoxP3+ Tregの割合と比較して増加している。いくつかの実施態様において、前記凍結保存されたTregの治療用集団は、フローサイトメトリーによって決定して、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、又は少なくとも80%、又は少なくとも90%のFoxP3+ Tregを含む。いくつかの実施態様において、前記凍結保存されたTregの治療用集団は、FoxP3発現Tregを含み、FoxP3の発現が、該Tregにおいて、前記ベースラインTreg細胞集団中のTregにおけるFoxP3の発現と比較して増加している。
【0012】
いくつかの実施態様において、前記凍結保存されたTregの治療用集団は、フローサイトメトリーによって決定して、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、又は少なくとも95%のCD4+CD25+細胞を含む。いくつかの実施態様において、前記凍結保存されたTregの治療用集団は、フローサイトメトリーによって決定して、20%未満のCD8+細胞を含む。いくつかの実施態様において、前記凍結保存されたTregの治療用集団は、フローサイトメトリーによって決定して、少なくとも70%、少なくとも80%、又は少なくとも90%のCD4+CD25highCD127low Tregを含む。
【0013】
いくつかの実施態様において、前記細胞試料は、白血球アフェレーシス細胞試料である。いくつかの実施態様において、前記方法は、前記細胞試料をドナーから白血球アフェレーシスによって得ることをさらに含む。いくつかの実施態様において、前記細胞試料は、前記濃縮工程(a)を実施する前に1晩保管されたり凍結されたりしない。いくつかの実施態様において、前記細胞試料を、濃縮工程(a)の開始前30分以内に得る。いくつかの実施態様において、工程(a)は、CD8+/CD19+細胞を枯渇させ、次いでCD25+細胞に関して濃縮することを含む。いくつかの実施態様において、工程(b)は、工程(a)の後30分以内に実施される。
【0014】
いくつかの実施態様において、工程(b)は、抗CD3抗体及び抗CD28抗体で被覆されたビーズを含む培養培地中で前記Tregを培養することを含む。いくつかの実施態様において、前記培養することの開始から約24時間以内に、前記ビーズが、前記培養培地に初めて添加される。いくつかの実施態様において、抗CD3抗体及び抗CD28抗体で被覆されたビーズが前記培養培地に初めて添加されてから約14日後に、抗CD3抗体及び抗CD28抗体で被覆されたビーズが、前記培養培地に添加される。
【0015】
いくつかの実施態様において、工程(b)は、前記培養することの開始から約6日以内に、前記培養培地にIL-2を添加することをさらに含む。いくつかの実施態様において、工程(b)は、IL-2が前記培養培地に初めて添加された後に約2~3日毎に、該培養培地にIL-2を補充することをさらに含む。
【0016】
いくつかの実施態様において、工程(b)は、前記培養することの開始から約24時間以内に、前記培養培地にラパマイシンを添加することをさらに含む。いくつかの実施態様において、工程(b)は、前記ラパマイシンが前記培養培地に初めて添加された後に2~3日毎に、該培養培地にラパマイシンを補充することをさらに含む。
【0017】
いくつかの実施態様において、前記凍結保存する工程(c)は、工程(b)における前記培養培地へのIL-2の添加又は補充の少なくとも6日後に実施される。いくつかの実施態様において、前記凍結保存する工程(c)は、前記培養する工程(b)の開始の約8~25日後に実施される。
【0018】
いくつかの実施態様において、工程(c)は、DMSOを含む凍結保護剤中で前記Tregを凍結保存することを含む。いくつかの実施態様において、前記凍結保存工程(c)は、以下の増分:4℃まで1℃/分、-40℃まで25℃/分、-12℃まで10℃/分、-40℃まで1℃/分、及び-80℃~-90℃まで10℃/分で、前記Tregの集団の温度を変化させることを含む。いくつかの実施態様において、前記凍結保存されたTregの治療用集団は、少なくとも5千万細胞/mLのTreg密度で凍結される。いくつかの実施態様において、前記凍結保存されたTregの治療用集団は、1~1.5mLの総体積で凍結される。いくつかの実施態様において、前記方法は、約1週間、1か月、約3か月、約6か月、約9か月、約12か月、約18か月、又は約24か月にわたる凍結保存後に、前記凍結保存されたTregの治療用集団を解凍することをさらに含む。
【0019】
いくつかの実施態様において、前記細胞試料は、ヒトドナー由来である。いくつかの実施態様において、前記ヒトドナーは、健康なドナーである。別の実施態様において、前記ヒトドナーは、神経変性障害と診断されているか又は神経変性障害であることが疑われている。いくつかの実施態様において、前記神経変性障害は、筋萎縮性側索硬化症、アルツハイマー病、パーキンソン病、又は前頭側頭型認知症である。
【0020】
いくつかの実施態様において、前記Tregの集団は、凍結保存する工程(c)の前の前記方法の任意の時点で、遺伝子操作(genetic engineering)を受けている。
【0021】
いくつかの実施態様において、工程(b)は、自動化されている。いくつかの実施態様において、工程(b)は、バイオリアクター内で行われる。いくつかの実施態様において、いくつかの実施態様において、工程(b)は、G-REX培養システム内で行われる。いくつかの実施態様において、前記方法は、閉鎖系で行われる。
【0022】
いくつかの実施態様において、前記方法は、前期凍結保存されたTregの治療用集団を解凍し、かつさらなる増殖を行わずに、該集団を医薬として許容し得る担体を含む医薬組成物中に入れて、Treg医薬組成物を製造することをさらに含む。いくつかの実施態様において、前記Treg医薬組成物は、生理食塩水及び5%ヒト血清アルブミンを含む。
【0023】
いくつかの実施態様において、前記方法は、前記Treg医薬組成物をヒト対象へ投与することをさらに含む。いくつかの実施態様において、前記医薬組成物中の前記Tregは、前記ヒト対象にとって自己由来のものである。いくつかの実施態様において、前記ヒト対象が、神経変性障害と診断されているか又は神経変性障害であると疑われている。いくつかの実施態様において、前記神経変性障害は、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、アルツハイマー病、パーキンソン病、又は前頭側頭型認知症である。
【0024】
別の態様において、本明細書で提供されるのは、本明細書で提供される方法によって製造された凍結保存されたTregの治療用集団である。
【0025】
別の態様において、本明細書で提供されるのは、解凍後のかつさらなる増殖を行わない本明細書で提供される方法によって製造された凍結保存されたTregの治療用集団、及び医薬として許容し得る担体、を含む医薬組成物である。
【0026】
別の態様において、本明細書で提供されるのは、炎症細胞による炎症促進性サイトカイン産生によって測定される、該炎症細胞を抑制する能力を示すエクスビボで増殖させたTreg細胞集団であって、該炎症細胞が、ヒトドナー由来であるか又は人工多能性幹細胞から作られたマクロファージ又は単球である、前記エクスビボで増殖させたTreg細胞集団である。いくつかの実施態様において、炎症細胞を抑制する前記能力は、該炎症細胞によるIL-6、TNFα、IL1β、IL8、及び/又はインターフェロン-γ産生によって測定される。いくつかの実施態様において、炎症細胞を抑制する前記能力は、該炎症細胞によるIL-6産生によって測定される。いくつかの実施態様において、前記Treg細胞集団は、ALSのヒト対象にとって自己由来のものである。いくつかの実施態様において、前記Treg細胞集団は、ALSのヒト対象由来の細胞試料から増殖させたものである。
【0027】
別の態様において、本明細書で提供されるのは、本明細書で提供されるエクスビボで増殖させたTreg細胞集団及び医薬として許容し得る担体、を含む医薬組成物である。
【0028】
別の態様において、本明細書で提供されるのは、解凍後にかつ追加の増殖を行わずに、炎症細胞による炎症促進性サイトカイン産生によって測定される、該炎症細胞を抑制する能力を示す、凍結保存されたエクスビボで増殖させたTregの治療用集団であって、該炎症細胞が、ヒトドナー由来であるか又は人工多能性幹細胞から作られたマクロファージ又は単球である、前記凍結保存されたエクスビボで増殖させたTregの治療用集団である。いくつかの実施態様において、増殖後のかつ追加の増殖を行わない前記凍結保存されたエクスビボで増殖させたTregの治療用集団の炎症細胞を抑制する前記能力は、凍結保存前の該エクスビボで増殖させたTregのそれの少なくとも70%である。いくつかの実施態様において、炎症細胞を抑制する前記能力は、該炎症細胞によるIL-6、TNFα、IL1β、IL8、及び/又はインターフェロン-γ産生によって測定される。いくつかの実施態様において、炎症細胞を抑制する前記能力は、該炎症細胞によるIL-6産生によって測定される。
【0029】
いくつかの実施態様において、前記凍結保存されたエクスビボで増殖させたTregの治療用集団は、解凍後にかつ追加の増殖を行わずに、フローサイトメトリー又はチミジン取り込みによるレスポンダーT細胞の増殖の抑制によって決定して、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、又は少なくとも95%である抑制機能を示す。いくつかの実施態様において、前記凍結保存されたエクスビボで増殖させたTregの治療用集団は、解凍後にかつ追加の増殖を行わずに、フローサイトメトリー又はチミジン取り込みによるレスポンダーT細胞の増殖の抑制によって決定して、凍結保存前の前記エクスビボで増殖させたTregの前記抑制機能の少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、又は少なくとも95%である抑制機能を示す。いくつかの実施態様において、前記凍結保存されたエクスビボで増殖させたTregの治療用集団は、解凍後にかつ追加の増殖を行わずに、トリパンブルー染色によって決定して少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、又は少なくとも95%の生存率を示す。いくつかの実施態様において、前記凍結保存されたエクスビボで増殖させたTregの治療用集団は、解凍後にかつ追加の増殖を行わずに、トリパンブルー染色によって決定して、凍結保存前の前記Tregの生存率の少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、又は少なくとも95%である生存率を示す。
【0030】
いくつかの実施態様において、前記凍結保存されたエクスビボで増殖させたTregの治療用集団は、解凍後にかつ追加の増殖を行わずに、フローサイトメトリーによって決定して、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、又は少なくとも80%、又は少なくとも90%のFoxP3+ Tregを含む。いくつかの実施態様において、前記凍結保存されたエクスビボで増殖させたTregの治療用集団は、解凍後にかつ追加の増殖を行わずに、フローサイトメトリーによって決定して、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、又は少なくとも95%のCD4+CD25+細胞を含む。いくつかの実施態様において、前記凍結保存されたエクスビボで増殖させたTregの治療用集団は、解凍後にかつ追加の増殖を行わずに、フローサイトメトリーによって決定して、20%未満のCD8+細胞を含む。いくつかの実施態様において、前記凍結保存されたエクスビボで増殖させたTregの治療用集団は、解凍後にかつ追加の増殖を行わずに、フローサイトメトリーによって決定して、少なくとも70%、少なくとも80%、又は少なくとも90%のCD4+CD25highCD127low Tregを含む。いくつかの実施態様において、前記エクスビボで増殖させたTregは、ALSのヒト対象にとって自己由来のものである。いくつかの実施態様において、前記エクスビボで増殖させたTregは、ALSのヒト対象由来の細胞試料から増殖させたものである。
【0031】
別の態様において、本明細書で提供されるのは、解凍後のかつさらなる増殖を行わない本明細書で提供される凍結保存されたTregの治療用集団、及び医薬として許容し得る担体、を含む医薬組成物である。
【0032】
別の態様において、本明細書で提供されるのは、炎症細胞による炎症促進性サイトカイン産生によって測定される、該炎症細胞を抑制する能力を示すエクスビボで増殖させたTreg細胞集団であって、該炎症細胞が、ヒトドナー由来であるか又は人工多能性幹細胞から作られたマクロファージ又は単球であり、該エクスビボで増殖させたTreg細胞集団が、ベースラインTregから増殖させたものであり、かつ該エクスビボで増殖させたTreg細胞集団において:(a)表12及び/又は表13に記載される1種以上の機能障害性ベースラインシグネチャー遺伝子産物の発現が、ベースラインTregにおける該1種以上の遺伝子産物の発現と比較して低下しているか;(b)表14に記載される1種以上の機能障害性ベースラインシグネチャー遺伝子産物の発現が、ベースラインTregにおける該1種以上の遺伝子産物の発現と比較して低下しているか;(c)表15に記載される1種以上のTreg関連シグネチャー遺伝子産物の発現が、ベースラインTregにおける該1種以上の遺伝子産物の発現と比較して増加しているか;(d)表16に記載される1種以上のミトコンドリアシグネチャー遺伝子産物の発現が、ベースラインTregにおける該1種以上の遺伝子産物の発現と比較して増加しているか;(e)表17に記載される1種以上の細胞増殖シグネチャー遺伝子産物の発現が、ベースラインTregにおける該1種以上の遺伝子産物の発現と比較して増加しているか;又は(f)表18に記載される1種以上の最高タンパク質発現シグネチャー遺伝子産物の発現が、ベースラインTregにおける該1種以上の遺伝子産物の発現と比較して増加している、前記エクスビボで増殖させたTreg細胞集団である。
【0033】
いくつかの実施態様において、炎症細胞を抑制する前記能力は、該炎症細胞によるIL-6、TNFα、IL1β、IL8、及び/又はインターフェロン-γ産生によって測定される。いくつかの実施態様において、炎症細胞を抑制する前記能力は、該炎症細胞によるIL-6産生によって測定される。
【0034】
いくつかの実施態様において、前記エクスビボで増殖させたTreg細胞集団における、以下の遺伝子産物:ADAM10、AIMP1、AIMP2、ARG2、BCL2L1、BSG、CD2、CD28、CD38、CD74、CD84、CTLA4、FAS、FOXP3、GCLC、HAT1、HLA-DQA1、HLA-DQB1、HLA-DRA、HLA-DRB1、HPGD、ICOS、IL1RN、IRF4、KPNA2、LGALS1、LGMN、PCNA、POFUT1、SATB1、SELPLG、STAT1、TFRC、及びTNFRSF18のうちの1種以上の発現が、ベースラインTregにおける該1種以上の遺伝子産物の発現と比較して増加している。
【0035】
いくつかの実施態様において、前記エクスビボで増殖させたTreg細胞集団における、以下の遺伝子産物:ACAA2、ACADM、ACADVL、ACOT7、ACSL1、ACSL4、ACSL5、AGK、AGMAT、AK4、ARG2、ARL2、AUH、BCL2L1、BDH1、BNIP1、CDK1、CHDH、CIAPIN1、CISD2、COX17、CPOX、CPT1A、CPT2、CYB5B、DAP3、DHRS2、DNM1L、DUT、DYNLL1、ECI1、FDXR、FEN1、FKBP8、GK、GRSF1、HTRA2、L2HGDH、LACTB2、LRPPRC、MAIP1、MAOA、MPST、MRPL1、MRPL12、MRPL13、MRPL14、MRPL17、MRPL22、MRPL37、MRPL39、MRPL4、MRPL43、MRPL44、MRPL46、MRPL48、MRPS11、MRPS14、MRPS2、MRPS27、MRPS31、MRPS35、MRPS9、MTHFD2、MTX1、MYCBP、NDUFA8、NUDT1、OAT、PITRM1、PLSCR3、PMPCA、PPIF、PTRH2、PYCR2、REXO2、RMND1、SFXN2、SLC25A10、SLC25A19、SLC25A4、TIGAR、TIMM13、TIMM23、TMEM14C、TOMM22、TOMM34、TOMM40、及びTSTのうちの1種以上の発現が、ベースラインTregにおける該1種以上の遺伝子産物の発現と比較して増加している。
【0036】
いくつかの実施態様において、前記エクスビボで増殖させたTreg細胞集団における、以下の遺伝子産物:ARL2、ARL3、BCCIP、CCDC124、CDK1、CDK2、CDK5、CDK6、CUL4B、DCTN3、FEN1、HELLS、LIG1、MAD2L1、MAEA、MCM2、MCM2、MCM3、MCM4、MCM5、MCM6、MCM7、MCMBP、NUDC、PCNA、POLD1、POLD2、RALB、RBM38、RFC2、RFC3、RFC4、RFC5、RNASEH2A、RNASEH2B、及びSMC2のうちの1種以上の発現が、ベースラインTregにおける該1種以上の遺伝子産物の発現と比較して増加している。
【0037】
いくつかの実施態様において、前記エクスビボで増殖させたTreg細胞集団における、以下の遺伝子産物:ACAA2、ACADM、ACADVL、ACOT7、BSG、CACYBP、CD74、CDK1、CPOX、DUT、ECI1、ENO3、FEN1、FKBP3、HIST1H2BJ、HLA-DQA1、HLA-DRA、HLA-DRB1、LGALS1、LGALS3、MCM5、MCM6、MCM7、MTHFD1、NAMPT、NME1、NQO1、PCNA、RAB1A、RALB、SLC25A4、STAT1、STMN1、STMN2、TUBA1B、TUBB4A、TUBB8、TXN、TXNRD1、及びWARSのうちの1種以上の発現が、ベースラインTregにおける該1種以上の遺伝子産物の発現と比較して増加している。
【0038】
いくつかの実施態様において、前記エクスビボで増殖させたTreg細胞集団における、表12及び/又は表13に記載される1種以上の機能障害性ベースラインシグネチャー遺伝子産物の発現が、ベースラインTregにおける該1種以上の遺伝子産物の発現と比較して低下している。
【0039】
別の態様において、本明細書で提供されるのは、炎症細胞による炎症促進性サイトカイン産生によって測定される、該炎症細胞を抑制する能力を示すエクスビボで増殖させたTreg細胞集団であって、該炎症細胞が、ヒトドナー由来であるか又は人工多能性幹細胞から作られたマクロファージ又は単球であり、該エクスビボで増殖させたTreg細胞集団が、ベースラインTregから増殖させたものであり、かつ該エクスビボで増殖させたTreg細胞集団において、表14に記載される1種以上のTreg関連シグネチャー遺伝子産物の発現が、ベースラインTregにおける該1種以上の遺伝子産物の発現と比較して増加している、前記エクスビボで増殖させたTreg細胞集団である。いくつかの実施態様において、前記エクスビボで増殖させたTreg細胞集団における、表12及び/又は表13に記載される1種以上の機能障害性ベースラインシグネチャー遺伝子産物の発現が、ベースラインTregにおける該1種以上の遺伝子産物の発現と比較して低下している。
【0040】
いくつかの実施態様において、前記エクスビボで増殖させたTreg細胞集団は、抑制機能を示し、該抑制機能は、フローサイトメトリー又はチミジン取り込みによるレスポンダーT細胞の増殖の抑制によって決定して、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、又は少なくとも95%である。いくつかの実施態様において、前記エクスビボで増殖させたTreg細胞集団は、抑制機能を示し、該抑制機能は、フローサイトメトリー又はチミジン取り込みによるレスポンダーT細胞の増殖の抑制によって決定して、ベースラインTregのそれの少なくとも50%、少なくとも75%、少なくとも100%、又は少なくとも150%である。いくつかの実施態様において、前記エクスビボで増殖させたTregは、ALSのヒト対象にとって自己由来のものである。いくつかの実施態様において、前記エクスビボで増殖させたTregは、ALSのヒト対象由来の細胞試料から増殖させたものである。
【0041】
いくつかの実施態様において、前記1種以上の遺伝子産物の発現は、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約6倍、少なくとも約7倍、少なくとも約8倍、少なくとも約9倍、又は少なくとも約10倍のlog2変化だけ変化する。いくつかの実施態様において、発現は、シングルショットプロテオミクス解析によって決定される。
【0042】
別の態様において、本明細書で提供されるのは、解凍後のかつさらなる増殖を行わない本明細書で提供されるエクスビボで増殖させたTreg細胞集団、及び医薬として許容し得る担体、を含む医薬組成物である。
【0043】
別の態様において、本明細書で提供されるのは、エクスビボで増殖させたTregの治療用集団を含む凍結保存された組成物であって、解凍後のかつさらなる増殖を行わないTregの治療用集団における表12~表18に記載される遺伝子産物のうちの1種以上の発現が、凍結保存前の該エクスビボで増殖させたTregにおける該1種以上の遺伝子産物の発現と実質的に同じである、前記組成物である。いくつかの実施態様において、前記1種以上の遺伝子産物は、表19には記載されていない。いくつかの実施態様において、前記1種以上の遺伝子産物は、機能障害性のTreg表現型に関連する遺伝子産物、メチル化又はエピジェネティクス関連遺伝子産物、ミトコンドリア関連遺伝子産物、又は細胞周期、細胞分裂、DNA複製、もしくはDNA修復に関連する遺伝子産物である。いくつかの実施態様において、前記1種以上の遺伝子産物は、Treg細胞の増殖、健康、同定、及び/又は機構に重要であることが知られている。いくつかの実施態様において、前記エクスビボで増殖させたTregの治療用集団は、解凍後にかつ追加の増殖を行わずに、炎症細胞による炎症促進性サイトカイン産生によって測定される、該炎症細胞を抑制する能力を示し、該炎症細胞は、ヒトドナー由来であるか又は人工多能性幹細胞から作られたマクロファージ又は単球である。
【0044】
いくつかの実施態様において、増殖後のかつ追加の増殖を行わない前記エクスビボで増殖させたTregの炎症細胞を抑制する能力は、凍結保存前の該エクスビボで増殖させたTregのそれの少なくとも70%である。いくつかの実施態様において、前記エクスビボで増殖させたTregの炎症細胞を抑制する能力は、該炎症細胞によるIL-6、TNFα、IL1β、IL8、及び/又はインターフェロン-γ産生によって測定される。いくつかの実施態様において、炎症細胞を抑制する前記能力は、該炎症細胞によるIL-6産生によって測定される。
【0045】
いくつかの実施態様において、前記エクスビボで増殖させたTregの治療用集団は、解凍後にかつ追加の増殖を行わずに、フローサイトメトリー又はチミジン取り込みによるレスポンダーT細胞の増殖の抑制によって決定して、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、又は少なくとも95%である抑制機能を示す。いくつかの実施態様において、前記エクスビボで増殖させたTregの治療用集団は、解凍後にかつ追加の増殖を行わずに、フローサイトメトリー又はチミジン取り込みによるレスポンダーT細胞の増殖の抑制によって決定して、凍結保存前の前記エクスビボで増殖させたTregの前記抑制機能の少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、又は少なくとも95%である抑制機能を示す。いくつかの実施態様において、前記エクスビボで増殖させたTregの治療用集団は、解凍後にかつ追加の増殖を行わずに、トリパンブルー染色によって決定して、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、又は少なくとも95%の生存率を示す。
【0046】
いくつかの実施態様において、前記エクスビボで増殖させたTregの治療用集団は、解凍後にかつ追加の増殖を行わずに、トリパンブルー染色によって決定して、凍結保存前の前記Tregの生存率の少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、又は少なくとも95%である生存率を示す。
【0047】
いくつかの実施態様において、前記エクスビボで増殖させたTregの治療用集団は、解凍後にかつ追加の増殖を行わずに、フローサイトメトリーによって決定して、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、又は少なくとも80%、又は少なくとも90%のFoxP3+ Tregを含む。いくつかの実施態様において、前記エクスビボで増殖させたTregの治療用集団は、解凍後にかつ追加の増殖を行わずに、フローサイトメトリーによって決定して、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、又は少なくとも95%のCD4+CD25+細胞を含む。いくつかの実施態様において、前記エクスビボで増殖させたTregの治療用集団は、解凍後にかつ追加の増殖を行わずに、フローサイトメトリーによって決定して、20%未満のCD8+細胞を含む。いくつかの実施態様において、前記エクスビボで増殖させたTregの治療用集団は、解凍後にかつ追加の増殖を行わずに、フローサイトメトリーによって決定して、少なくとも70%、少なくとも80%、又は少なくとも90%のCD4+CD25highCD127low Tregを含む。いくつかの実施態様において、前記エクスビボで増殖させたTregは、ALSのヒト対象にとって自己由来のものである。いくつかの実施態様において、前記エクスビボで増殖させたTregは、ALSのヒト対象由来の細胞試料から増殖させたものである。いくつかの実施態様において、遺伝子産物発現は、シングルショットプロテオミクス解析によって決定される。
【0048】
別の態様において、本明細書で提供されるのは、解凍後のかつさらなる増殖を行わない本明細書で提供されるエクスビボで増殖させたTregの治療用集団を含む前記凍結保存された組成物、及び医薬として許容し得る担体を含む医薬組成物である。
【0049】
別の態様において、本明細書で提供されるのは、Treg機能障害に関連する障害を治療する方法であって:該治療を必要とする対象に、Tregの治療用集団を含む医薬組成物を投与することを含み、該Tregが、エクスビボで増殖されかつ凍結保存されており、かつ該Tregが、該投与することの前にさらに増殖されない、前記方法である。
【0050】
別の態様において、本明細書で提供されるのは、Treg欠乏に関連する障害を治療する方法であって:該治療を必要とする対象に、Tregの治療用集団を含む医薬組成物を投与することを含み、該Tregが、エクスビボで増殖されかつ凍結保存されており、かつ該Tregが、該投与することの前にさらに増殖されない、前記方法である。
【0051】
別の態様において、本明細書で提供されるのは、免疫系の過剰活性化に関連する障害を治療する方法であって:該治療を必要とする対象に、Tregの治療用集団を含む医薬組成物を投与することを含み、該Tregが、エクスビボで増殖されかつ凍結保存されており、かつ該Tregが、該投与することの前にさらに増殖されない、前記方法である。
【0052】
別の態様において、本明細書で提供されるのは、T細胞応答によって推進される炎症状態を治療する方法であって:該治療を必要とする対象に、Tregの治療用集団を含む医薬組成物を投与することを含み、該Tregが、エクスビボで増殖されかつ凍結保存されており、かつ該Tregが、該投与することの前にさらに増殖されない、前記方法である。
【0053】
別の態様において、本明細書で提供されるのは、骨髄系細胞応答によって推進される炎症状態を治療する方法であって:該治療を必要とする対象に、Tregの治療用集団を含む医薬組成物を投与することを含み、該Tregが、エクスビボで増殖されかつ凍結保存されており、かつ該Tregが、該投与することの前にさらに増殖されない、前記方法である。いくつかの実施態様において、前記骨髄系細胞は、単球、マクロファージ、又はミクログリアである。
【0054】
別の態様において、本明細書で提供されるのは、それを必要としている対象において神経変性障害を治療する方法であって:該対象にTregの治療用集団を含む医薬組成物を投与することを含み、該Tregが、エクスビボで増殖されかつ凍結保存されており、かつ該Tregが、該投与することの前にさらに増殖されない、前記方法である。いくつかの実施態様において、前記神経変性疾患は、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、アルツハイマー病、パーキンソン病、前頭側頭型認知症、又はハンチントン病である。
【0055】
別の態様において、本明細書で提供されるのは、それを必要としている対象において自己免疫障害を治療する方法であって:該対象にTregの治療用集団を含む医薬組成物を投与することを含み、該Tregが、エクスビボで増殖されかつ凍結保存されており、かつ該Tregが、該投与することの前にさらに増殖されない、前記方法である。いくつかの実施態様において、前記自己免疫障害は、多発性筋炎、潰瘍性大腸炎、炎症性腸疾患、クローン病、セリアック病、全身性硬化症(強皮症)、多発性硬化症(MS)、関節リウマチ(RA)、I型糖尿病、乾癬、皮膚筋炎(dermatomyosititis)、全身性エリテマトーデス、皮膚ループス、重症筋無力症、自己免疫性腎症、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性血球減少、自己免疫性脳炎、自己免疫性肝炎、自己免疫性ブドウ膜炎、脱毛症、甲状腺炎、又は天疱瘡である。
【0056】
別の態様において、本明細書で提供されるのは、それを必要としている対象において移植片対宿主病を治療する方法であって:該対象にTregの治療用集団を含む医薬組成物を投与することを含み、該Tregが、エクスビボで増殖されかつ凍結保存されており、かつ該Tregが、該投与することの前にさらに増殖されない、前記方法である。いくつかの実施態様において、前記対象は、骨髄移植、腎移植、又は肝移植を受けている。
【0057】
別の態様において、本明細書で提供されるのは、それを必要としている対象において膵島移植片の生存を向上させる方法であって:膵島移植術を、該対象にTregの治療用集団を含む医薬組成物を投与することと組み合わせることを含み、該Tregが、エクスビボで増殖されかつ凍結保存されており、かつ該Tregが、該投与することの前にさらに増殖されない、前記方法である。
【0058】
別の態様において、本明細書で提供されるのは、それを必要としている対象において心臓の炎症を治療する方法であって:該対象にTregの治療用集団を含む医薬組成物を投与することを含み、該Tregが、エクスビボで増殖されかつ凍結保存されており、かつ該Tregが、該投与することの前にさらに増殖されない、前記方法である。いくつかの実施態様において、前記心臓の炎症は、アテローム性動脈硬化症、心筋梗塞、虚血性心筋症、又は心不全と関連する。
【0059】
別の態様において、本明細書で提供されるのは、それを必要としている対象において神経炎症を治療する方法であって:該対象にTregの治療用集団を含む医薬組成物を投与することを含み、該Tregが、エクスビボで増殖されかつ凍結保存されており、かつ該Tregが、該投与することの前にさらに増殖されない、前記方法である。いくつかの実施態様において、前記神経炎症は、卒中、急性散在性脳脊髄炎、急性視神経炎、急性炎症性脱髄性多発神経根筋障害、慢性炎症性脱髄性多発神経根筋障害、ギラン・バレー症候群、横断性脊髄炎、視神経脊髄炎、てんかん、外傷性脳損傷、脊髄損傷、脳炎、中枢神経系血管炎、神経サルコイドーシス、自己免疫性もしくは感染後脳炎、又は慢性髄膜炎と関連する。
【0060】
別の態様において、本明細書で提供されるのは、それを必要としている対象においてTreg症(Tregopathy)を治療する方法であって:該対象にTregの治療用集団を含む医薬組成物を投与することを含み、該Tregが、エクスビボで増殖されかつ凍結保存されており、かつ該Tregが、該投与することの前にさらに増殖されない、前記方法である。いくつかの実施態様において、前記Treg症は、FOXP3、CD25、細胞傷害性Tリンパ球関連抗原4(CTLA4)、LPS反応性ベージュ様アンカータンパク質(LRBA)、又はBTBドメイン及びCNCホモログ2(BACH2)遺伝子機能喪失型変異、又はシグナル伝達兼転写活性化因子3(STAT3)機能獲得型変異によって引き起こされる。
【0061】
本明細書で提供される治療の方法のいくつかの実施態様において、前記Tregは、前記対象にとって自己由来のものである。本明細書で提供される治療の方法の別の実施態様において、前記Tregは、前記対象にとって同種異系のものである。
【0062】
本明細書で提供される治療の方法のいくつかの実施態様において、前記組成物は、本明細書で提供される医薬組成物である。
【0063】
本発明の原理の理解を促すために、ここで、図面に示される実施態様又は実施例に言及し、それを説明するために具体的な言いまわが用いられる。しかしながら、それによって、本発明の範囲の限定が意図されないことが理解されるものとする。本発明が関連する分野における通常の知識を有する者の頭に通常浮かぶであろうような、記載される実施態様における任意の改変及びさらなる改良、並びに本明細書に記載される本発明の原理の任意のさらなる応用が予測される。
【図面の簡単な説明】
【0064】
(4.図面の簡単な説明)
図1図1A図1D:Treg百分率及び抑制機能が、Treg注入の各期の期間内に増加した。矢印及び縦の点線は、Treg注入を表す。1回目のTreg注入が、第0週に実施され、その後、2週間毎に合計で4回の注入が実施された。5回目のTreg注入が、各参加者で、それぞれ、第48週、第27週、及び第33週に実施され、その後、4週間毎に合計で4回の注入が実施された。(図1A-参加者#1、図1B-参加者#2、及び図1C-参加者#3)全CD4+細胞集団のうちのCD4+CD25+FOXP3+ Tregの百分率が示される。Treg百分率は、ベースライン(各参加者で、それぞれ、第-4.6週、第-3.0週、及び第-4.9週)、1回目及び5回目のTreg注入の日、各Treg注入の翌日、注入の各期の期間内の2週間毎、及び各期の1か月後の時点で示される。参加者#3で4回目のTreg注入(第6週)の翌日に集められたデータポイントは、フロー染色の誤りのために決定されなかった。(図1D-参加者#1、図1E-参加者#2、及び図1F-参加者#3)。Tregの抑制機能を、Treg百分率と同じ日に示す。
【0065】
図2図2A図2F:疾患の進行が、Treg注入の各期の期間内に減速し、増加したTregの抑制機能と相関していた。矢印及び縦の点線は、Treg注入を表す。(図2A-参加者#1、図2B-参加者#2、及び図2C-参加者#3)臨床的進行が、ALSFRS-R(白色の点)及びAALS(黒色の点)によって図示される。Treg注入の各期の期間内の臨床的進行線が、疾患の初期段階(1)及びその後の段階(2)について横のパネル内に拡大されている。(図2D-参加者#1、図2E-参加者#2、及び図2F-参加者#3)AALSの変化とTregの抑制機能との相関が示される(参加者#1;ρ=-0.60、p=0.003、参加者#2;ρ=-0.71、p=0.0026、及び参加者#3;ρ=-0.54、p=0.016)。線は、線形回帰分析によって決定される最良あてはめを表す。データは、スピアマンの相関によって分析され、0.05未満のp値を、有意であるとみなした。
【0066】
図3図3A図3F:最大吸気圧が、Treg注入の間安定化した。矢印及び縦の点線は、Treg注入を表す。(図3A-参加者#1、図3B-参加者#2、及び図3C-参加者#3)努力性肺活量(FVC)測定値を、予測値に対する%として表す。測定値は、ベースライン(各参加者で、それぞれ、第-4.6週、第-3.0週、及び第-4.9週)、各Treg注入の直前、注入の各期の期間内の2週間毎、及び各期の1か月後の時点で示される。中実の灰色の線は、注入の各期の期間内の点を接続している。(図3D-参加者#1、図3E-参加者#2、及び図3F-参加者#3)。最大吸気圧(MIP)の測定値を、cm H2Oで示す。MIPは、FVC測定値と同じ時点で示される。MIP値は、参加者#1については5回目のTreg注入の直前で、参加者#3については注入の第2期の1か月後に、誤りのために決定されなかった。
【0067】
図4図4A図4Fは、アルツハイマー病における抑制性T細胞の免疫表現型を示す。図4A:CD4及びCD8抑制性T細胞を同定するゲーティング戦略;リンパ球は、前方/側方散乱ゲーティングによって線引きされた。CD3を用いて、既に選択された生存リンパ球の中のT細胞を同定した。CD4 T細胞及びCD8 T細胞を、CD4抗原又はCD8抗原をユニークに発現しているものとして同定した。Tregは、CD25及びFOXP3を共発現しているCD4 T細胞として定義される。次いで、CD25及びFoxP3の発現を、CD8 T細胞上で決定した。図4B:CD4+FOXP3+ CD25high T細胞の百分率(全CD4に占める%)は、HC、MCI、及びアルツハイマー群の間で変わらなかった。図4C:CD4+FOXP3+ CD25high細胞集団におけるFoxP3平均蛍光強度は、3群間で同程度であった。図4D)CD4+FOXP3+ CD25high細胞集団におけるCD25平均蛍光強度は、アルツハイマー認知症段階で減少した。図4E及び図4F)CD8+CD25high及びCD8+FOXP+抑制性T細胞の百分率(全CD8に占める%)は、HCと比較して、MCI患者で増加していた。CD8+CD25+ T細胞集団は、MCI及びアルツハイマーの間で有意に異なっている。p値は、*p<0.05及び**p<0.01である。
【0068】
図5図5A及び図5Bは、Tresp増殖に対するTregの抑制機能を示す。CD4+CD25high Tregを、CD4+CD25neg Trespと共培養し、増殖を3H-チミジン取り込みによって決定した。図5A:年齢とTresp増殖に対するTregの抑制活性(1:1の比率)との間に相関は認められなかった。図5B:MCI対HCでの1:1及び2:1のTresp:Treg比でのTresp増殖に対するTregの抑制(%)は、同程度であった。1:1及び2:1のTresp:Treg比の双方でのアルツハイマー病におけるTresp増殖に対するTregの抑制は、MCI及びHCの双方と比較して減少していた。p値は、*p<0.05、**p<0.01、及び***p<0.001である。
【0069】
図6図6A図6Cは、エクスビボ増殖後のTregの免疫表現型及び抑制機能を示す。図6A:第2の群の個々人において、ベースライン(base)におけるTresp増殖に対するCD4+CD25high Tregの抑制(%)(1:1の比率)は、HC(n=10)と比較して、アルツハイマー患者(n=10)において損なわれていた。10日間のエクスビボ増殖後、Tresp増殖に対する増殖させた(exp)Tregの抑制機能の増大が、全ての群で認められた。CD4+CD25highTreg集団におけるCD25(図6B)及びFoxP3(図6C)のMFIは、エクスビボ増殖後に上昇した。p値は、*p<0.05、**p<0.01、及び***p<0.001である。
【0070】
図7図7A図7Eは、iPSC由来炎症促進性マクロファージに対するTregの抑制を示す。ベースライン及びエクスビボで増殖させたCD4+CD25high Tregを、iPSC由来炎症促進性マクロファージ(M1)に加え、炎症促進性サイトカインの相対変化(M1のみに対する%)を測定した。図7A及び図7B:ベースラインにおいて、マクロファージIL6転写産物発現の減少の傾向が、ベースラインHC Tregとの共培養後に認められたが、この傾向は、IL-6タンパク質レベルからは認められなかった。増殖させたHC、MCI及びアルツハイマー病のTregは、M1- IL6転写産物及びタンパク質発現を抑制した。図7C及び図7D:M1とのベースラインTregの共培養が、TNFα転写産物及びタンパク質レベルを抑制しなかったことを示す。M1-TNFα転写産物及びタンパク質発現の減少が、3群全てにおいて増殖させたTregとの共培養後に認められた。図7E:ベースラインTregは、IL1B転写産物レベルを減弱させなかった。アルツハイマー病、MCI、及びHCの増殖させたTregは、M1由来のIL1B転写産物を抑制する能力の強化を示した。*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001(それらの対応するベースラインTreg-M1共培養との比較);##p<0.01、###p<0.001(M1-単独培養との比較)。
【0071】
図8図8A及び図8Bは、Tregにおける免疫調節性遺伝子の転写産物発現プロファイルを示す。抗炎症サイトカイン(TGF-β、IL-4、IL-10、IL-13)、CD25(図8A)及び近接又は接触介在性免疫調節マーカー(Granzyme (GZM) A、CD39、PDL1、PDL2、CTLA4、CD73、GZMB、PD1)(図8B)の発現プロファイルを、HC(n=10)、MCI(n=10)、及びアルツハイマー患者(n=10)の増殖させたTreg及びベースラインTregにおいて評価した。データは、β-アクチンを用いて規格化したときのqPCR分析から得た。IL-13、CD25、及び近接又は接触介在性免疫調節マーカー(PD1、GZMB、及びCD73)の転写産物レベルは、エクスビボ増殖後に上方制御されていた。p値は、*p<0.05、**p<0.01、及び***p<0.001(それらの対応するベースラインTregとの比較)であった。
【0072】
図9図9A図9Hは、Tregにおける免疫調節性遺伝子のタンパク質発現を示す。フローサイトメーターを用いて、免疫調節性遺伝子(CD73、PD1、IL-13、及びGZMB)のタンパク質発現を、アルツハイマー患者(n=5)及びHC(n=5)のベースライン及び対応するエクスビボで増殖させたTregにおいて分析した。CD73+(図9A)、PD1+(図9B)、及びIL13+(図9C)Tregの百分率(全CD4+CD25high Tregに占める%)の増加が、アルツハイマー患者及びHCの双方においてエクスビボ増殖後に認められた。増殖後のGZMB+Tregの百分率の変化(図9D)は、統計的に有意ではなかった。CD73(図9E)、PD1(図9F)、及びGZMB(図9H)の平均蛍光強度(MFI)が、増殖させたTregにおいて増加した。増殖後のTregにおけるIL13 MFI(図9G)の増加は、統計的に有意ではなかった。p値は、*p<0.05、**p<0.01、及び***p<0.001である;
【0073】
図10図10A及び図10Bは、エクスビボで増殖させたTregの抑制性の機構を示す。アルツハイマー患者(n=4)(図10A)及びHC(n=4)(図10B)の増殖させたTregを、炎症促進性マクロファージ(M1)と共培養し、IL-6タンパク質の相対的倍数変化(M1のみに対する%)を、IL-13もしくはCD25中和抗体(IL-13 NA及びIL-25 NA)又はトランズウェルの存在下でアッセイした。トランズウェルを用いることによる直接的な細胞同士の接触の非存在が、エクスビボで増殖させたTregの抑制機能を妨害した。p値は、**p<0.01である;
【0074】
図11図11A及び図11Bは、フローサイトメトリーによって決定されるCD4+細胞の集団におけるCD4+CD25high(図11A)又はCD4+CD25highCD127low(図11B)細胞の百分率によって測定される増殖させたTreg及び新たに単離されたTregの純度を示す。N=3、**は、0.01以下のp値を示す。
【0075】
図12図12A及び図12Bは、フローサイトメトリーによって測定された増殖させたTreg及び新たに単離されたTregにおけるCD25タンパク質(図12A)及びCD127タンパク質(図12B)の発現を示す。N=3、**は、0.05以下のp値を示す。
【0076】
図13図12A及び図12Bは、それぞれ、増殖させたTreg及び新たに単離されたTregの粒度(granularity)及びサイズを示す。これらのデータは、増殖させたTregが、新たに単離されたものよりも大きいこと、及び増殖させたTregが、新たに単離されたものよりも高い粒度を有することを示す。
【0077】
図14図14:筋萎縮性側索硬化症(ALS)の患者用のTreg単離及び増殖のプロセスのプロセスフロー図。
【0078】
図15図15:GE Healthcare-Biosafe CS-490.1キット(PeriCell)の組み立て。
【0079】
図16図16:GE Healthcare Biosafe CS-900.2キット。
【0080】
図17図17:CliniMACS配管セットLS(162-01)。
【0081】
図18図18:CliniMACS(登録商標)Plus装置。
【0082】
図19図19:12種のTregの集団の増殖曲線。
【0083】
図20図20は、凍結保存されたTreg生成物の生存率を示す。グラフは、3件のバリデーションランの結果を示す。
【0084】
図21図21は、FDAバリデーションランからの最終Treg生成物の純度を示す。グラフは、3件のバリデーションランの結果を示す。
【0085】
図22図22は、凍結保存されたTreg生成物の効力を示す。グラフは、3件のバリデーションランの結果を示す。欠けているバーは、データを集めることができなかったことを示す。
【0086】
図23図23は、第2a相臨床試験からの最終Treg生成物の生存率を示す。バーの組は、theから順に、対象番号701-115、701-114、701-103、702-206、702-205、702-204、702-203、702-202、及び702-201の結果を示す。
【0087】
図24図24は、第2a相臨床試験からの最終Treg生成物の純度を示す。バーの組は、theから順に、対象番号701-115、701-114、701-103、702-206、702-205、702-204、702-203、702-202、及び702-201の結果を示す。
【0088】
図25図25は、第2a相臨床試験からの最終Treg生成物の効力を示す。グラフは、theから順に、対象番号701-115、701-114、701-103、702-206、702-205、702-204、702-203、702-202、及び702-201の結果を示す。
【0089】
図26図26は、インビトロにおける新たに単離されたTregによる炎症促進性マクロファージの抑制の欠如を示す。列挙されている条件は、強いM1(左のバーの群)及び弱いM1(右のバーの群)の実験についてグラフに左から右に示されている。
【0090】
図27図27は、インビトロでの増殖させた/凍結保存されたTregによる炎症促進性マクロファージの抑制を示す。数値は、無Treg対照と比較した百分率での低下を示す;*は、0.05以下のp値を示し、**は、0.01以下のp値を示し、***は、0.001以下のp値を示す。
【0091】
図28図28は、ALSベースラインTreg、解凍後の凍結保存されたALS患者由来のTregの治療用集団、及び増殖後であるが凍結保存前のTregのプロテオミクス分析の結果のヒートマップを示す。
【0092】
図29図29は、実施例10で採用される方法の略図を示す。
【0093】
図30図30は、T細胞におけるGFP-mRNAのヌクレオフェクションを示す。
【0094】
図31図31A図31Cは、T細胞における安定なmRNA転写産物の生物情報学的分析及びインビトロバリデーションを示す。
【0095】
図32図32A及び図32Bは、非形質導入T細胞及びCAR形質導入T細胞におけるhTERT発現を用いることで増加した細胞数及びテロメア長を示す。図32Aのバー及び図32Bの点は、左から右に第0日、第1日、及び第2日の結果を3群のそれぞれの範囲に示す。
【0096】
図33図33A及び図33Bは、T制御性細胞(Treg)におけるGFP及びX-mRNAのヌクレオフェクションを示す。
【0097】
図34図34は、実施例10に記載される改良養子T細胞移植のためのmRNA療法の概要を示す。
【0098】
図35図35は、バイオリアクター内でTregの治療用集団を製造する例示的なプロセスのフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0099】
(5.例示的な実施態様)
発明の例示的な実施態様が、以下の文書に含まれる。明確性のために、実際の実施の全ての特徴が、本明細書に記載されるわけではない。勿論、任意のそのような実際の実施態様の開発において、ある実施と別の実施とでは異なるものである、システム関連及び事業関連の制約への適合などの開発者の特定の目的を達成するには、多数の実施に特異的な決定がなされなければならないことが認識されるであろう。さらに、そのような開発への取り組みは、複雑かつ/又は時間がかかるものであり得るが、本件開示の利益を受ける当業者にとってルーチンの仕事であろうことが認識されるであろう。
【0100】
一実施態様において、本明細書で提供されるのは、凍結保存された制御性T細胞(Treg)の治療用集団を製造する方法であって、
(a)Tregを含有していると思われる白血球アフェレーシス試料由来のTregを濃縮して、ベースラインTreg細胞集団を製造する工程;
(b)該ベースラインTreg細胞集団を増殖させて、増殖させたTreg細胞集団を製造する工程であって、該ベースラインTreg細胞集団が、工程(b)の開始前に凍結保存されない、前記工程;及び
(c)該増殖させたTreg細胞集団を凍結保存して、凍結保存されたTregの治療用集団を製造する工程を含み、
該濃縮する工程が、該白血球アフェレーシス試料を得てから約30~90分以内に開始され、かつ
該増殖工程が、該濃縮工程の完了から約30~90分以内に開始される、
前記方法である。
【0101】
一実施態様において、本明細書で提供されるのは、凍結保存された制御性T細胞(Treg)の治療用集団を製造する方法であって、
(a)Tregを含有していると思われる白血球アフェレーシス試料由来のTregを濃縮して、ベースラインTreg細胞集団を製造する工程;
(b)該ベースラインTreg細胞集団を増殖させて、増殖させたTreg細胞集団を製造する工程であって、該ベースラインTreg細胞集団が、工程(b)の開始前に凍結保存されない、前記工程;及び
(c)該増殖させたTreg細胞集団を凍結保存して、凍結保存されたTregの治療用集団を製造する工程を含み、
該濃縮する工程が、該白血球アフェレーシス試料を得てから約30~90分以内に開始され、
該増殖工程が、該濃縮工程の完了から約30~90分以内に開始され、かつ
該凍結保存工程が、約15~25日の増殖の後に開始される、
前記方法である。
【0102】
一実施態様において、本明細書で提供されるのは、凍結保存された制御性T細胞(Treg)の治療用集団を製造する方法であって、
(a)Tregを含有していると思われる白血球アフェレーシス試料由来のTregを濃縮して、ベースラインTreg細胞集団を製造する工程;
(b)該ベースラインTreg細胞集団を増殖させて、増殖させたTreg細胞集団を製造する工程であって、該ベースラインTreg細胞集団が、工程(b)の開始前に凍結保存されない、前記工程;及び
(c)該増殖させたTreg細胞集団を凍結保存して、凍結保存されたTregの治療用集団を製造する工程を含み、
該濃縮する工程が、該白血球アフェレーシス試料を得てから約30~90分以内に開始され、かつ
該増殖工程が、
(i)該濃縮工程の完了から約30~90分以内に開始され、
(ii)抗CD3抗体及び抗CD28抗体で被覆されたビーズを含む培養培地中で前記Tregを培養することを含み、かつ
(iii)2~3日毎の該培養培地への増殖剤の添加を含む、
前記方法である。
【0103】
一実施態様において、本明細書で提供されるのは、凍結保存された制御性T細胞(Treg)の治療用集団を製造する方法であって、
(a)Tregを含有していると思われる白血球アフェレーシス試料由来のTregを濃縮して、ベースラインTreg細胞集団を製造する工程;
(b)該ベースラインTreg細胞集団を増殖させて、増殖させたTreg細胞集団を製造する工程であって、該ベースラインTreg細胞集団が、工程(b)の開始前に凍結保存されない、前記工程;及び
(c)該増殖させたTreg細胞集団を凍結保存して、凍結保存されたTregの治療用集団を製造する工程を含み、
該濃縮する工程が、該白血球アフェレーシス試料を得てから約30~90分以内に開始され、かつ
該増殖工程が、
(i)該濃縮工程の完了から約30~90分以内に開始され、
(ii)培養を開始してから24時間以内に、抗CD3抗体及び抗CD28抗体で被覆されたビーズを、細胞培養培地に添加することを含み、かつ
(iii)2~3日毎の該培養培地への増殖剤の添加を含む、
前記方法である。
【0104】
一実施態様において、本明細書で提供されるのは、凍結保存された制御性T細胞(Treg)の治療用集団を製造する方法であって、
(a)Tregを含有していると思われる白血球アフェレーシス試料由来のTregを濃縮して、ベースラインTreg細胞集団を製造する工程;
(b)該ベースラインTreg細胞集団を増殖させて、増殖させたTreg細胞集団を製造する工程であって、該ベースラインTreg細胞集団が、工程(b)の開始前に凍結保存されない、前記工程;及び
(c)該増殖させたTreg細胞集団を凍結保存して、凍結保存されたTregの治療用集団を製造する工程を含み、
該濃縮する工程が、該白血球アフェレーシス試料を得てから約30~90分以内に開始され、かつ
該増殖工程が、
(i)該濃縮工程の完了から約30~90分以内に開始され、
(ii)培養を開始してから約24時間以内に、抗CD3抗体及び抗CD28抗体で被覆されたビーズを、細胞培養培地に添加することを含み、かつ
(iii)該培養を開始してから約6日以内に開始される、2~3日毎の該培養培地への増殖剤の添加を含む、
前記方法である。
【0105】
一実施態様において、本明細書で提供されるのは、凍結保存された制御性T細胞(Treg)の治療用集団を製造する方法であって、
(a)Tregを含有していると思われる白血球アフェレーシス試料由来のTregを濃縮して、ベースラインTreg細胞集団を製造する工程;
(b)該ベースラインTreg細胞集団を増殖させて、増殖させたTreg細胞集団を製造する工程であって、該ベースラインTreg細胞集団が、工程(b)の開始前に凍結保存されない、前記工程;及び
(c)該増殖させたTreg細胞集団を凍結保存して、凍結保存されたTregの治療用集団を製造する工程を含み、
該濃縮する工程が、該白血球アフェレーシス試料を得てから約30~90分以内に開始され、かつ
該増殖工程が、
(i)該濃縮工程の完了から約30~90分以内に開始され、
(ii)培養を開始してから約24時間以内に、抗CD3抗体及び抗CD28抗体で被覆されたビーズを、細胞培養培地に添加することを含み、かつ
(iii)該培養を開始してから約6日以内に開始される、2~3日毎の該培養培地への増殖剤の添加を含む、
前記方法である。
【0106】
一実施態様において、本明細書で提供されるのは、凍結保存された制御性T細胞(Treg)の治療用集団を製造する方法であって、
(a)Tregを含有していると思われる白血球アフェレーシス試料由来のTregを濃縮して、ベースラインTreg細胞集団を製造する工程;
(b)該ベースラインTreg細胞集団を増殖させて、増殖させたTreg細胞集団を製造する工程であって、該ベースラインTreg細胞集団が、工程(b)の開始前に凍結保存されない、前記工程;及び
(c)該増殖させたTreg細胞集団を凍結保存して、凍結保存されたTregの治療用集団を製造する工程を含み、
該濃縮する工程が、該白血球アフェレーシス試料を得てから約30~90分以内に開始され、かつ
該増殖工程が、
(i)該濃縮工程の完了から約30~90分以内に開始され、
(ii)培養を開始してから約24時間以内に、抗CD3抗体及び抗CD28抗体で被覆されたビーズを、細胞培養培地に添加することを含み、かつ
(iii)該培養を開始してから約6日以内に開始される、2~3日毎の該培養培地へのIL-2の添加を含む、
前記方法である。
【0107】
一実施態様において、本明細書で提供されるのは、凍結保存された制御性T細胞(Treg)の治療用集団を製造する方法であって、
(a)Tregを含有していると思われる白血球アフェレーシス試料由来のTregを濃縮して、ベースラインTreg細胞集団を製造する工程;
(b)該ベースラインTreg細胞集団を増殖させて、増殖させたTreg細胞集団を製造する工程であって、該ベースラインTreg細胞集団が、工程(b)の開始前に凍結保存されない、前記工程;及び
(c)該増殖させたTreg細胞集団を凍結保存して、凍結保存されたTregの治療用集団を製造する工程を含み、
該濃縮する工程が、該白血球アフェレーシス試料を得てから約30~90分以内に開始され、かつ
該増殖工程が、
(i)該濃縮工程の完了から約30~90分以内に開始され、
(ii)培養を開始してから約24時間以内に、抗CD3抗体及び抗CD28抗体で被覆されたビーズを、細胞培養培地に添加することを含み、
(iii)該培養を開始してから約6日以内に開始される、2~3日毎の該培養培地への増殖剤の添加を含み、かつ
(iv)前記培養することの開始から約24時間以内に開始して、2~3日毎にラパマイシンを該培養培地に添加することを含む、
前記方法である。
【0108】
一実施態様において、本明細書で提供されるのは、凍結保存された制御性T細胞(Treg)の治療用集団を製造する方法であって、
(a)Tregを含有していると思われる白血球アフェレーシス試料由来のTregを濃縮して、ベースラインTreg細胞集団を製造する工程;
(b)該ベースラインTreg細胞集団を増殖させて、増殖させたTreg細胞集団を製造する工程であって、該ベースラインTreg細胞集団が、工程(b)の開始前に凍結保存されない、前記工程;及び
(c)該増殖させたTreg細胞集団を凍結保存して、凍結保存されたTregの治療用集団を製造する工程を含み、
該濃縮する工程が、該白血球アフェレーシス試料を得てから約30~90分以内に開始され、
該増殖工程が、
(i)該濃縮工程の完了から約30~90分以内に開始され、
(ii)培養を開始してから約24時間以内に、抗CD3抗体及び抗CD28抗体で被覆されたビーズを、前記細胞培養培地に添加することを含み、
(iii)該培養を開始してから約6日以内に開始される、2~3日毎の該培養培地への増殖剤の添加を含み、かつ
(iv)前記培養することの開始から約24時間以内に開始して、2~3日毎にラパマイシンを該培養培地に添加することを含み、かつ
該凍結保存工程が、約15~25日の増殖の後に開始される、
前記方法である。
【0109】
例示的な生産プロセスの詳細な全体像を、図14に示す。臨床的療法用にTregを単離する場合、CD8/CD19枯渇工程及びそれに続くCD25濃縮工程が、一般に採用され、Tregの生存及び増殖を支持するIL-2及びTreg集団を安定化するラパマイシンの存在下でのエクスビボ増殖が後に続く。この単離及び増殖戦略は、炎症促進性集団(すなわち、細胞傷害性CDS+T細胞及びTエフェクター細胞)の量を減少させ、最終のTreg生成物の純度を高める。このTregの頑健な生産は、白血球アフェレーシス及びエクスビボ分離によって単離することができる循環Tregの数が少ないことによって制限される。従って、十分な数のTregを得てより長い期間患者を治療するためには、大規模なエクスビボ増殖が必須である。機能的に損なわれたTreg、例えば、自己由来のALS由来Tregの増殖は、さらにより困難である。
【0110】
ルー・ゲーリック病としても知られる筋萎縮性側索硬化症は、上位及び下位運動ニューロンの容赦ない変性を特徴とする急速進行性の致命的な神経変性疾患である。増加する証拠によって、免疫系の調節不全が、ALS疾患の進行を早めることがあることが示されている。特に、Tregが、ALSの患者において減少しており、より顕著な減少が、より急速な疾患の進行と関連している。Tregは、神経炎症反応を抑制するCD4+CD25hi hFOXP3+細胞からなるT-リンパ球の亜集団である。この仕事は、Treg組成物をALSなどの神経障害の患者のための療法として特定した初めてのものである。ALSの治療としての自己由来のTregの養子移入の安全性及び治療的可能性が、下記実施例1に記載した第1相臨床試験で実証されている(セクション8.1を参照されたい)。より多数のALS患者が1年間にわたる月1回のTregの投与で治療されることとなる第2相試験を完了するために、少なくとも20億個の各試験参加者由来のTregの生産が、投薬需要を満たすのに必要とされる。類似の需要が、承認される治療レジメンに必要とされるであろう。
【0111】
さらに、本明細書で示されるように、アルツハイマー病患者の治療としての自己由来のTregの養子移入は、大きな有望性を示すが、アルツハイマー病患者から得られるTregも、機能的に損なわれている。セクション8.2を参照されたい。従って、治療での使用のための自己由来のアルツハイマー病由来Tregの増殖は、ALS由来のTregと類似の難題に直面している。
【0112】
本明細書に記載されるTreg生産プロセスは、表現型の特徴及び機能性を維持しつつ、頑健なTreg増殖及び凍結保存の難題を克服する。現行のTreg生産プロトコールは、複雑かつ非常に骨が折れるものであり、生産費用をつり上げ、多数の患者、例えば、ALS又はアルツハイマー病などの神経変性疾患の患者のための療法として持続不可能なものとしている。本明細書に記載される方法は、生産プロセス、例えば、cGMP生産プロセスの最適化を通じて低い費用で生産の難題に対処する。さらに、本明細書に記載される方法は、Tregが凍結保存されかつさらなる増殖を行わずに解凍された場合であっても維持される優れた抑制機能を有する強化されたTreg生成物を製造し、ここで、該Tregは、患者に注入で戻された場合に、より効果があるものであり得る。
【0113】
例えば、本明細書に記載される改良Treg生産プロセスは、ALSにおける疾患の進行を強力に減速する療法の開発の前進に重要である。これは、該改良Treg生産プロセスが、現行の及び将来のALSの臨床試験のため及び治療的ALSレジメンのためのプラットフォームを提供し、連続する用量で延長された治療期間にわたるALS由来の自己由来のTregの効果的な凍結保存を可能とし、機能的に優れたTreg生成物を生み出し、かつ、場合によっては、疾患、例えば、ALS及びアルツハイマー病などの神経変性疾患、1型糖尿病及び関節リウマチなどの自己免疫疾患、並びに骨髄移植後の移植片対宿主病(GVHD)などのGVHDの治療に使用し得る「既製の免疫特権Treg療法(off-the-shelf immune- privileged Treg therapy)」であるためである。
【0114】
制御性T細胞(Treg)は、末梢循環におけるCD4+T細胞の5~10%を占める。その機能障害は、筋萎縮性側索硬化症(ALS)の急速な進行の一因となる。ALSの患者から単離されたTregの抑制機能は、インターロイキン(IL)-2及びラパマイシンとのエクスビボ増殖後に正常化する。従って、増殖させた機能的Tregは、進行の速度を減速し得る有望なALSの治療となる。しかしながら、該Treg集団の進行中の疾患過程に対する特別の感受性及び提案される治療の自己由来の性質が、潜在的には数千の患者におけるALSと戦うことができるであろうTreg療法の開発に著しい難題をもたらしている。ALS患者のための実用的なTreg生産プロセスは、患者にTreg単離のために頻回の白血球アフェレーシス処置を受けさせることを回避するのに十分な数の高度に抑制性のTregを生じさせる増殖段階を必要とする。最適化されたTreg用量の頻回の注入が、ALSが進行するにつれて生じる進行性の神経炎症性環境を継続的に抑制するのに必要とされるであろう。各注入の前に各ALS患者由来のTregを増殖させることは非実用的であると思われるために、凍結保存プロセスの開発は、細胞生産の患者1名あたりの費用及び潜在的には数千のALSの患者のためのTreg療法を開発するのに必要とされるであろう人手を削減するのに極めて重要である。本明細書に記載されるTreg生産プロセスは、治療レジメンにおけるそれらの応用のため、例えば、例えば、ALS及びアルツハイマー病などの神経変性障害、1型糖尿病及び関節リウマチなどの自己免疫障害、及び骨髄移植後のものなどの移植片対宿主病(GVHD)などの障害を治療する方法におけるそれらの応用のため、並びにALS患者及び場合によってはアルツハイマー病などの他の神経変性疾患の将来の臨床試験におけるそれらの応用のために、多数の高度に抑制性のTregを製造し凍結保存するのに最適化されている。最適化されたTreg療法は、増殖段階及び注入の回数を最小化し、これによって、該療法が、より費用効率が高く持続可能なものとなる。
【0115】
さらなる例示的な実施態様は、以下のとおりである;
1. 凍結保存された制御性T細胞(Treg)の治療用集団を製造する方法であって:
(a)Tregを含有していると思われる細胞試料由来のTregを濃縮して、Treg濃縮細胞集団(ベースラインTreg細胞集団)を製造する工程;
(b)該Treg濃縮細胞集団を増殖させて、増殖させたTreg細胞集団を製造する工程であって、該Treg濃縮細胞集団が、工程(b)の開始前に凍結保存されない、前記工程;及び
(c)該増殖させたTreg細胞集団を凍結保存して、凍結保存されたTregの治療用集団を製造する工程
を含む、前記方法。
2.工程(a)が、CD25+細胞に関して濃縮することを含む、実施態様1記載の方法。
3.工程(a)が、CD8+/CD19+細胞を枯渇させることを含む、実施態様1又は2記載の方法。
4.工程(a)が、CD8+/CD19+細胞を枯渇させ、次いでCD25+細胞に関して濃縮することを含む、実施態様1記載の方法。
5.工程(b)が、工程(a)の後30分以内に実施される、実施態様1~4のいずれか1つに記載の方法。
6.工程(b)が、少なくとも1種の増殖剤を含む培養培地中で前記Tregを培養することを含む、実施態様1~5のいずれか1つに記載の方法。
7.前記増殖剤が、CD3活性化剤である、実施態様6記載の方法。
8.前記CD3活性化剤が、抗CD3抗体である、実施態様7記載の方法。
9.前記CD3活性化剤が、前記培養することの開始から約24時間以内に前記培養培地に初めて添加される、実施態様7又は8記載の方法。
10.前記CD3活性化剤が前記培養培地に初めて添加されてから約14日後に、該CD3活性化剤が、該培養培地に再度添加される、実施態様9記載の方法。
11.前記増殖剤が、CD28活性化剤である、実施態様6記載の方法。
12.前記CD28活性化剤が、抗CD28抗体である、実施態様11記載の方法。
13.前記CD28活性化剤が、前記培養することの開始から約24時間以内に前記培養培地に初めて添加される、実施態様11又は12記載の方法。
14.前記CD28活性化剤が前記培養培地に初めて添加されてから約14日後に、該CD28活性化剤が、該培養培地に再度添加される、実施態様13記載の方法。
15.工程(b)が、CD3活性化剤を含む培養培地中で培養することをさらに含む、実施態様11~14のいずれか1つに記載の方法。
16.前記CD3活性化剤が、抗CD3抗体である、実施態様15記載の方法。
17.前記CD3活性化剤が、前記培養することの開始から約24時間以内に前記培養培地に初めて添加される、実施態様15又は16記載の方法。
18.前記CD3活性化剤が前記培養培地に初めて添加されてから約14日後に、該CD3活性化剤が、該培養培地に再度添加される、実施態様17記載の方法。
19.工程(b)が、4:1のビーズ:細胞比で存在するビーズを含む培養培地中で前記Tregを培養することを含み、該ビーズが、抗CD3抗体及び抗CD28抗体で被覆されている、実施態様6記載の方法。
20.前記培養することの開始から約24時間以内に、前記ビーズが、前記培養培地に初めて添加される、実施態様19記載の方法。
21.抗CD3抗体及び抗CD28抗体で被覆されたビーズが前記培養培地に初めて添加されてから約14日後に、抗CD3抗体及び抗CD28抗体で被覆されたビーズが、該培養培地に添加される、実施態様19又は20記載の方法。
22.前記ビーズが、1:1のビーズ:細胞比で前記培養培地に添加される、実施態様21記載の方法。
23.前記増殖剤が、IL-2である、実施態様6記載の方法。
24.前記IL-2が、500IU/mlの濃度で前記培養培地中に存在する、実施態様23記載の方法。
25.前記培養することの開始から約6日以内に、前記IL-2が、前記培養培地に初めて添加される、実施態様23又は24記載の方法。
26.工程(b)が、IL-2が前記培養培地に初めて添加された後に約2~3日毎に前記培養培地にIL-2を補充することをさらに含む、実施態様25記載の方法。
27.工程(b)が、CD3活性化剤を含む培養培地中で培養することをさらに含む、実施態様23~26のいずれか1つに記載の方法。
28.前記CD3活性化剤が、抗CD3抗体である、実施態様27記載の方法。
29.工程(b)が、CD28活性化剤を含む培養培地中で培養することをさらに含む、実施態様23~26のいずれか1つに記載の方法。
30.前記CD28活性化剤が、抗CD28抗体である、実施態様29記載の方法。
31.工程(b)が、CD3活性化剤を含む培養培地中で培養することをさらに含む、実施態様29又は30記載の方法。
32.前記CD3活性化剤が、抗CD3抗体である、実施態様31記載の方法。
33.工程(b)が、
前記培養することの開始から約24時間以内に、抗CD3抗体及び抗CD28抗体で被覆されたビーズを、前記培養培地に、4:1のビーズ:細胞比で添加すること;
前記培養することの開始から約6日以内に、該培養培地に前記IL-2を添加すること;及び
該IL-2が、該培養培地に初めて添加された後に2~3日毎に前記培養培地にIL-2を補充すること
を含む、実施態様23又は24記載の方法。
34.工程(b)が、抗CD3抗体及び抗CD28抗体で被覆されたビーズを、1:1のビーズ:細胞比で添加することをさらに含み、
該添加することが、抗CD3抗体及び抗CD28抗体で被覆されたビーズが前記培養培地に初めて添加されてから約14日後に行われる、
実施態様33記載の方法。
35.工程(b)が、哺乳類ラパマイシン標的タンパク質(mTor)阻害剤を含む培養培地中で培養することを含む、実施態様1~34のいずれか1つに記載の方法。
36.前記mTor阻害剤が、ラパマイシンである、実施態様35記載の方法。
37.前記培養することの開始から約24時間以内に、前記ラパマイシンが、前記培養培地に初めて添加される、実施態様36記載の方法。
38.前記ラパマイシンが前記培養培地に初めて添加された後に2~3日毎に、該培養培地にラパマイシンを補充することをさらに含む、実施態様36又は37記載の方法。
39.前記凍結保存する工程(c)が、工程(b)における前記培養培地へのIL-2の添加の少なくとも6日後に実施される、実施態様23~38のいずれか1つに記載の方法。
40.前記凍結保存する工程(c)が、前記培養する工程(b)の開始の約12~25日後に実施される、実施態様1-39のいずれか1つ記載の方法。
41.工程(c)が、DMSOを含む凍結保護剤中で前記Tregを凍結保存することを含む、実施態様1-40のいずれか1つ記載の方法。
42.前記凍結保護剤が、10% DMSOを含む、実施態様41記載の方法。
43.前記凍結保存工程(c)が、以下の増分:4℃まで1℃/分、-40℃まで25℃/分、-12℃まで10℃/分、-40℃まで1℃/分、及び-80℃~-90℃まで10℃/分で、前記Tregの集団の温度を変化させることを含む、実施態様1~42のいずれか1つに記載の方法。
44.前記凍結保存されたTregの治療用集団が、液体窒素蒸気相中で保管される、実施態様1~43のいずれか1つに記載の方法。
45.前記凍結保存されたTregの治療用集団が、少なくとも5千万細胞.mLのTreg密度で凍結される、実施態様1~44のいずれか1つに記載の方法。
46.前記凍結保存されたTregの治療用集団が、1mlあたり、該Tregの予定されるレシピエントの体重1kgあたり1×106細胞の濃度で凍結される、実施態様1~45のいずれか1つに記載の方法。
47.前記凍結保存されたTregの治療用集団が、単一のクライオバイアル内で凍結保存される、実施態様1~46のいずれか1つに記載の方法。
48.前記凍結保存されたTregの治療用集団が、1mlあたり、該Tregの予定されるレシピエントの体重1kgあたり1×106細胞の濃度で凍結される、実施態様1~47のいずれか1つに記載の方法。
49.前記凍結保存されたTregの治療用集団が、1~1.5mLの総体積で凍結される、実施態様1~48のいずれか1つに記載の方法。
50.約1週間、1か月、約3か月、約6か月、約9か月、約12か月、18か月、又は約24か月にわたる凍結保存後に、前記Tregの集団を解凍することをさらに含む、実施態様1~49のいずれか1つに記載の方法。
51.前記凍結保存されたTregの治療用集団が、0.9%塩化ナトリウム及び約5%ヒト血清アルブミンを含む50mLの溶液中で解凍される、実施態様50記載の方法。
52.前記Tregの治療用集団が、1mlあたり、該Tregの予定されるレシピエントの体重1kgあたり1×106個のTregが入った単一のクライオバイアル内で凍結保存されたものであり、かつ0.9%塩化ナトリウム及び約5%ヒト血清アルブミンを含有する50mLの溶液中で解凍される、実施態様50記載の方法。
53.前記単一のクライオバイアル内の前記Tregの治療用集団が、1~1.5mLの体積で入っている、実施態様52記載の方法。
54.前記細胞試料をドナーから白血球アフェレーシスによって得ることをさらに含む、実施態様1~53のいずれか1つに記載の方法。
55.前記細胞試料が、前記濃縮工程(a)を実施する前に1晩保管されたり凍結されたりしない、実施態様1~54のいずれか1つに記載の方法。
56.前記細胞試料が、前記濃縮する工程(a)の前30分以内に得られたものである、実施態様1-55のいずれか1つに記載の方法。
57.前記細胞試料が、ヒトドナー由来である、実施態様1~56のいずれか1つに記載の方法。
58.前記ヒトドナーが、健康なドナーである、実施態様57記載の方法。
59.前記ヒトドナーが、Treg機能障害に関連する障害であると診断されているか又はそうであると疑われている、実施態様57記載の方法。
60.前記ヒトドナーが、Treg欠乏に関連する障害であると診断されているか又はそうであると疑われている、実施態様57記載の方法。
61.前記ヒトドナーが、神経変性障害であると診断されているか又はそうであると疑われている、実施態様57記載の方法。
62.前記神経変性障害が、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、又は前頭側頭型認知症である、実施態様57記載の方法。
63.前記細胞試料が、自己免疫疾患であると診断されているか又はそうであると疑われているドナー由来である、実施態様57記載の方法。
64.前記自己免疫疾患が、全身性硬化症(強皮症)、多発性筋炎(polymyosititis)、潰瘍性大腸炎、炎症性腸疾患、クローン病、セリアック病、多発性硬化症(MS)、関節リウマチ(RA)、I型糖尿病、乾癬、皮膚筋炎(dermatomyostitis)、全身性エリテマトーデス、皮膚ループス、重症筋無力症、自己免疫性腎症、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性血球減少、自己免疫性肝炎、自己免疫性ブドウ膜炎(autoimmune uveititis)、脱毛症、甲状腺炎、又は天疱瘡(pemhigus)である、実施態様63記載の方法。
65.前記ヒトドナーが、心不全又は虚血性心筋症と診断されているか又はそうであると疑われている、実施態様57記載の方法。
66.前記Tregの集団が、凍結保存する工程(c)の前の該方法の任意の時点で、遺伝子操作を受けている、実施態様1~63のいずれか1つに記載の方法。
67.前記遺伝子操作が、前記Treg中への導入遺伝子(transgene)の導入を含む、実施態様66記載の方法。
68.前記遺伝子操作が、前記Treg中へのmRNAの導入を含む、実施態様66記載の方法。
69.前記遺伝子操作が、CRISPR-Cas9による遺伝子編集を含む、実施態様66記載の方法。
70.前記遺伝子操作が、siRNA又はアンチセンスオリゴヌクレオチドによる遺伝子発現の低減を含む、実施態様66記載の方法。
71.工程(b)が、自動化されている、実施態様1~65のいずれか1つに記載の方法。
72.工程(b)が、バイオリアクター内で行われる、実施態様1~71のいずれか1つに記載の方法。
73.工程(b)が、G-REX培養システム内で行われる、実施態様1~71のいずれか1つに記載の方法。
74.閉鎖系で行われる、実施態様1~73のいずれか1つに記載の方法。
75.前記Treg濃縮細胞集団が、機能障害Tregを含む、実施態様1記載の方法。
76.前記凍結保存されたTregの治療用集団が、フローサイトメトリーによって決定して、前記Treg濃縮細胞集団におけるCD4+CD25high Tregの割合と比較して、増加した割合のCD4+CD25high Tregを含む、実施態様1~75のいずれか1つに記載の方法。
77.前記凍結保存されたTregの治療用集団が、フローサイトメトリーによって決定して、前記Treg濃縮細胞集団におけるCD4+CD25highCD127low Tregの割合と比較して、増加した割合のCD4+CD25highCD127low Tregを含む、実施態様1~76のいずれか1つに記載の方法。
78.前記凍結保存されたTregの治療用集団が、CD25+ Tregを含み、
前記TregにおけるCD25の発現が、フローサイトメトリーによって決定して、前記Treg濃縮細胞集団における前記TregにおけるCD25の発現と比較して増加している、実施態様1~76のいずれか1つに記載の方法。
79.前記CD25の発現が、フローサイトメトリーで、少なくとも約10倍、少なくとも約20倍、又は少なくとも約30倍増加している、実施態様78記載の方法。
80.前記凍結保存されたTregの集団が、CD127+ Tregを含み、
前記TregにおけるCD127の発現が、フローサイトメトリーによって決定して、該Treg濃縮細胞集団における前記TregにおけるCD127の発現と比較して3倍を超えて増加していない、
実施態様1~79のいずれか1つに記載の方法。
81.前記CD127の発現が、フローサイトメトリーによって決定して、前記Treg濃縮細胞集団における前記TregにおけるCD127の発現と比較して増加していない、実施態様1~80のいずれか1つに記載の方法。
82.前記凍結保存されたTregの治療用集団中の該Tregの粒度が、フローサイトメトリーによって決定して、前記Treg濃縮細胞集団における前記Tregの粒度と比較して増加している、実施態様1~81のいずれか1つに記載の方法。
83.前記Tregの粒度が、少なくとも約1.5倍、少なくとも約2倍、又は少なくとも約2.5倍増加する、実施態様82記載の方法。
84.前記凍結保存されたTregの治療用集団中の該Tregのサイズが、フローサイトメトリーによって決定して、前記Treg濃縮細胞集団における前記Tregのサイズと比較して増加している、実施態様1~83のいずれか1つに記載の方法。
85.前記Tregのサイズが、少なくとも約1.2倍、少なくとも約1.5倍、又は少なくとも約2倍増加している、実施態様84記載の方法。
86.前記凍結保存されたTregの治療用集団中の該Tregが、CTLA4発現Tregを含み、
CTLA4の発現が、該Tregにおいて、前記Treg濃縮細胞集団中の前記TregにおけるCTLA4の発現と比較して増加している、
実施態様1~85のいずれか1つに記載の方法。
87.前記凍結保存されたTregの治療用集団が、CTLA4+ Tregを含み、
CTLA4+ Tregの割合が、前記Treg濃縮細胞集団中の前記TregにおけるCTLA4+ Tregの割合と比較して増加している、
実施態様1~86のいずれか1つに記載の方法。
88.前記凍結保存されたTregの治療用集団が、フローサイトメトリーによって決定して、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、又は少なくとも50%のCTLA4+ Tregを含む、実施態様1~87のいずれか1つに記載の方法。
89.前記凍結保存されたTregの治療用集団が、FoxP3+ Tregを含み、
FoxP3+ Tregの割合が、前記Treg濃縮細胞集団中の前記TregにおけるFoxP3+ Tregの割合と比較して増加している、
実施態様1~88のいずれか1つに記載の方法。
90.前記凍結保存されたTregの治療用集団が、フローサイトメトリーによって決定して、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、又は少なくとも80%、又は少なくとも90%のFoxP3+ Tregを含む、実施態様1~89のいずれか1つに記載の方法。
91.前記凍結保存されたTregの治療用集団中の該Tregが、FoxP3発現Tregを含み、
FoxP3の発現が、該Tregにおいて、前記Treg濃縮細胞集団中の前記TregにおけるFoxP3の発現と比較して増加している、
実施態様1~90のいずれか1つに記載の方法。
92.前記凍結保存されたTregの治療用集団が、フローサイトメトリーによって決定して、前記Treg濃縮細胞集団において少なくとも70%、少なくとも80%、又は少なくとも90%のCD4+CD25highCD127low Tregを含む、実施態様1~91のいずれか1つに記載の方法。
93.前記凍結保存されたTregの治療用集団が、フローサイトメトリーによって決定して、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、又は少なくとも95%のCD4+CD25+細胞を含む、実施態様1~92のいずれか1つに記載の方法。
94.前記凍結保存されたTregの集団が、フローサイトメトリーによって決定される20%未満のCD8+細胞を含む、実施態様93記載の方法。
95.前記凍結保存されたTregの治療用集団の生存率が、該凍結保存された治療用集団の解凍後に行われるトリパンブルー染色によって決定して、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、又は少なくとも95%である、実施態様1~94のいずれか1つに記載の方法。
96.前記凍結保存されたTregの治療用集団の生存率が、該凍結保存された治療用集団の解凍後に行われるトリパンブルー染色によって決定して、前記増殖させたTreg細胞集団が工程(c)において凍結保存される前の該増殖させたTreg細胞集団の生存率の少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、又は少なくとも95%である、実施態様1~95のいずれか1つに記載の方法。
97.前記凍結保存されたTregの集団の前記抑制機能が、前記治療用集団の解凍後に行われるフローサイトメトリーによって決定して、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、又は少なくとも95%である、実施態様1~96のいずれか1つに記載の方法。
98.前記凍結保存されたTregの集団が、工程(b)の前に測定して、Treg抑制アッセイによって測定して、前記濃縮Treg細胞集団の抑制機能を超える抑制機能を示す、実施態様1~97のいずれか1つに記載の方法。
99.前記凍結保存されたTregの治療用集団の解凍後にフローサイトメトリーによって決定される該治療用集団の前記抑制機能が、フローサイトメトリーによって決定される該Tregが工程(c)において凍結保存される前の前記増殖させたTreg細胞集団の該抑制機能の少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、又は少なくとも95%である、実施態様1~98のいずれか1つに記載の方法。
100.前記凍結保存されたTregの治療用集団が、解凍後に、炎症細胞によるIL-6産生のよって測定される該炎症細胞を抑制する能力を示し、
該炎症細胞が、ヒトドナー由来であるか又は人工多能性幹細胞から作られたマクロファージ又は単球である、
実施態様1~99のいずれか1つに記載の方法。
101.実施態様1~100のいずれか1つに記載の方法によって製造された凍結保存されたTregの治療用集団を含む組成物。
102.Tregの治療用集団を含む凍結保存された組成物であって、
解凍してすぐの、該Tregの治療用集団が、追加の増殖を必要とすることなくより大きい50%の抑制機能を示す、前記組成物。
103.エクスビボで増殖させたTregの治療用集団を含む凍結保存された組成物であって、
解凍してすぐの、該Tregの治療用集団が、追加の増殖を必要とすることなく、50%を超える抑制機能を示す、前記組成物。
104.前記Tregの治療用集団の前記抑制機能が、該凍結保存された組成物の解凍後に行われるフローサイトメトリー又はチミジン取り込みによるレスポンダーT細胞の増殖の抑制によって決定して、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、又は少なくとも95%である、実施態様102又は103記載の凍結保存された組成物。
105.前記凍結保存された組成物の解凍後の前記Tregの治療用集団の前記抑制機能が、フローサイトメトリー又はチミジン取り込みによるレスポンダーT細胞の増殖の抑制によって決定して、凍結保存を受ける前の該Tregの該抑制機能の少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、又は少なくとも95%である、実施態様102~104のいずれか1つ記載の凍結保存された組成物。
106.解凍してすぐの、前記Tregの治療用集団が、トリパンブルー染色によって決定して、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、又は少なくとも95%の生存率を示す、実施態様102~105のいずれか1つ記載の組成物。
107.解凍してすぐの、前記Tregの治療用集団が、トリパンブルー染色によって決定して、凍結保存を受ける前の該Tregの生存率の少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、又は少なくとも95%である生存率を示す、実施態様102~106のいずれか1つ記載の組成物。
108.約1か月、約3か月、約6か月、約9か月、約12か月、約18か月、又は約24か月にわたり凍結保存されている、実施態様102~107のいずれか1つ記載の凍結保存された組成物。
109.前記Tregの治療用集団が、フローサイトメトリーによって決定して、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、又は少なくとも95%のCD4+CD25+細胞を含む、実施態様102~108のいずれか1つ記載の凍結保存された組成物。
110.前記Tregの治療用集団が、フローサイトメトリーによって決定して、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、又は少なくとも95%のCD4+CD25high細胞を含む、実施態様102~109のいずれか1つ記載の凍結保存された組成物。
111.前記Tregの治療用集団が、フローサイトメトリーによって決定して、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、又は少なくとも95%のCD4+CD25highCD127low細胞を含む、実施態様102~110のいずれか1つ記載の凍結保存された組成物。
112.前記Tregの治療用集団が、フローサイトメトリーによって決定して、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、又は少なくとも50%のCTLA4+ Tregを含む、実施態様102~111のいずれか1つ記載の凍結保存された組成物。
113.前記Tregの治療用集団が、フローサイトメトリーによって決定して、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、又は少なくとも95%のFoxP3+細胞を含む、実施態様102~112のいずれか1つ記載の凍結保存された組成物。
114.前記Tregの治療用集団が、フローサイトメトリーによって決定して、20%未満のCD8+細胞を含む、実施態様102~113のいずれか1つ記載の凍結保存された組成物。
115.解凍してすぐの、表12~表18に記載される遺伝子産物のうちの1種以上の発現が、前記Tregの治療用集団において、凍結保存前の該Tregにおける該1種以上の遺伝子産物の発現と実質的に同じである、実施態様102~114のいずれか1つ記載の凍結保存された組成物。
116.解凍してすぐの、表12及び/又は表13に記載される1種以上の遺伝子産物の発現が、増殖前のベースラインTregにおける該1種以上の遺伝子産物の発現と比較して低下している、実施態様103~114のいずれか1つ記載の凍結保存された組成物。
117.解凍してすぐの、表14に記載される1種以上の遺伝子産物の発現が、増殖前のベースラインTregにおける該1種以上の遺伝子産物の発現と比較して増加している、実施態様103~114のいずれか1つ記載の凍結保存された組成物。
118.解凍してすぐの、表15に記載される1種以上の遺伝子産物の発現が、増殖前のベースラインTregにおける該1種以上の遺伝子産物の発現と比較して増加している、実施態様103~114のいずれか1つ記載の凍結保存された組成物。
119.以下の遺伝子産物:ADAM10、AIMP1、AIMP2、ARG2、BCL2L1、BSG、CD2、CD28、CD38、CD74、CD84、CTLA4、FAS、FOXP3、GCLC、HAT1、HLA-DQA1、HLA-DQB1、HLA-DRA、HLA-DRB1、HPGD、ICOS、IL1RN、IRF4、KPNA2、LGALS1、LGMN、PCNA、POFUT1、SATB1、SELPLG、STAT1、TFRC、TNFRSF18のうちの1種以上の発現が、前記Tregの治療用集団において、増殖前のベースラインTregにおける該1種以上の遺伝子産物の発現と比較して増加している、実施態様118記載の凍結保存された組成物。
120.解凍してすぐの、表16に記載される1種以上の遺伝子産物の発現が、増殖前のベースラインTregにおける該1種以上の遺伝子産物の発現と比較して増加している、実施態様103~114のいずれか1つ記載の凍結保存された組成物。
121.以下の遺伝子産物:CAA2、ACADM、ACADVL、ACOT7、ACSL1、ACSL4、ACSL5、AGK、AGMAT、AK4、ARG2、ARL2、AUH、BCL2L1、BDH1、BNIP1、CDK1、CHDH、CIAPIN1、CISD2、COX17、CPOX、CPT1A、CPT2、CYB5B、DAP3、DHRS2、DNM1L、DUT、DYNLL1、ECI1、FDXR、FEN1、FKBP8、GK、GRSF1、HTRA2、L2HGDH、LACTB2、LRPPRC、MAIP1、MAOA、MPST、MRPL1、MRPL12、MRPL13、MRPL14、MRPL17、MRPL22、MRPL37、MRPL39、MRPL4、MRPL43、MRPL44、MRPL46、MRPL48、MRPS11、MRPS14、MRPS2、MRPS27、MRPS31、MRPS35、MRPS9、MTHFD2、MTX1、MYCBP、NDUFA8、NUDT1、OAT、PITRM1、PLSCR3、PMPCA、PPIF、PTRH2、PYCR2、REXO2、RMND1、SFXN2、SLC25A10、SLC25A19、SLC25A4、TIGAR、TIMM13、TIMM23、TMEM14C、TOMM22、TOMM34、TOMM40、及びTSTのうちの1種以上の発現が、前記Tregの治療用集団において、増殖前のベースラインTregにおける該1種以上の遺伝子産物の発現と比較して増加している、実施態様120記載の凍結保存された組成物。
122.解凍してすぐの、表17に記載される1種以上の遺伝子産物の発現が、増殖前のベースラインTregにおける該1種以上の遺伝子産物の発現と比較して増加している、実施態様103~114のいずれか1つ記載の凍結保存された組成物。
123.以下の遺伝子産物:ARL2、ARL3、BCCIP、CCDC124、CDK1、CDK2、CDK5、CDK6、CUL4B、DCTN3、FEN1、HELLS、LIG1、MAD2L1、MAEA、MCM2、MCM2、MCM3、MCM4、MCM5、MCM6、MCM7、MCMBP、NUDC、PCNA、POLD1、POLD2、RALB、RBM38、RFC2、RFC3、RFC4、RFC5、RNASEH2A、RNASEH2B、及びSMC2のうちの1種以上の発現が、前記Tregの治療用集団において、増殖前のベースラインTregにおける該1種以上の遺伝子産物の発現と比較して増加している、実施態様122記載の凍結保存された組成物。
124.解凍してすぐの、表18に記載される1種以上の遺伝子産物の発現が、増殖前のベースラインTregにおける該1種以上の遺伝子産物の発現と比較して増加している、実施態様103~114のいずれか1つ記載の凍結保存された組成物。
125.以下の遺伝子産物:ACAA2、ACADM、ACADVL、ACOT7、BSG、CACYBP、CD74、CDK1、CPOX、DUT、ECI1、ENO3、FEN1、FKBP3、HIST1H2BJ、HLA-DQA1、HLA-DRA、HLA-DRB1、LGALS1、LGALS3、MCM5、MCM6、MCM7、MTHFD1、NAMPT、NME1、NQO1、PCNA、RAB1A、RALB、SLC25A4、STAT1、STMN1、STMN2、TUBA1B、TUBB4A、TUBB8、TXN、TXNRD1、及びWARSのうちの1種以上の発現が、前記Tregの治療用集団において、増殖前のベースラインTregにおける該1種以上の遺伝子産物の発現と比較して増加している、実施態様124記載の凍結保存された組成物。
126.前記発現が、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約6倍、少なくとも約7倍、少なくとも約8倍、少なくとも約9倍、又は少なくとも約10倍変化する、実施態様116~125のいずれか1つ記載の凍結保存された組成物。
127.発現が、シングルショットプロテオミクス解析によって決定される、実施態様115~126のいずれか1つ記載の凍結保存された組成物。
128.解凍してすぐの、表6~表11に記載される遺伝子産物のうちの1種以上の発現が、前記Tregの治療用集団において、凍結保存前の該Tregにおける該1種以上の遺伝子産物の発現と実質的に同じである、エクスビボで増殖させたTregの治療用集団を含む凍結保存された組成物。
129.解凍してすぐの、表12及び/又は表13に記載される1種以上の遺伝子産物の発現が、増殖前のベースラインTregにおける該1種以上の遺伝子産物の発現と比較して低下している、エクスビボで増殖させたTregの治療用集団を含む凍結保存された組成物。
130.解凍してすぐの、表14に記載される1種以上の遺伝子産物の発現が、増殖前のベースラインTregにおける該1種以上の遺伝子産物の発現と比較して増加している、エクスビボで増殖させたTregの治療用集団を含む凍結保存された組成物。
131.解凍してすぐの、表15に記載される1種以上の遺伝子産物の発現が、増殖前のベースラインTregにおける該1種以上の遺伝子産物の発現と比較して増加している、エクスビボで増殖させたTregの治療用集団を含む凍結保存された組成物。
132.以下の遺伝子産物:ADAM10、AIMP1、AIMP2、ARG2、BCL2L1、BSG、CD2、CD28、CD38、CD74、CD84、CTLA4、FAS、FOXP3、GCLC、HAT1、HLA-DQA1、HLA-DQB1、HLA-DRA、HLA-DRB1、HPGD、ICOS、IL1RN、IRF4、KPNA2、LGALS1、LGMN、PCNA、POFUT1、SATB1、SELPLG、STAT1、TFRC、TNFRSF18のうちの1種以上の発現が、前記エクスビボで増殖させたTregの治療用集団において、増殖前のベースラインTregにおける該1種以上の遺伝子産物の発現と比較して増加している、実施態様131記載の凍結保存された組成物。
133.解凍してすぐの、表16に記載される1種以上の遺伝子産物の発現が、増殖前のベースラインTregにおける該1種以上の遺伝子産物の発現と比較して増加している、エクスビボで増殖させたTregの治療用集団を含む凍結保存された組成物。
134.以下の遺伝子産物:CAA2、ACADM、ACADVL、ACOT7、ACSL1、ACSL4、ACSL5、AGK、AGMAT、AK4、ARG2、ARL2、AUH、BCL2L1、BDH1、BNIP1、CDK1、CHDH、CIAPIN1、CISD2、COX17、CPOX、CPT1A、CPT2、CYB5B、DAP3、DHRS2、DNM1L、DUT、DYNLL1、ECI1、FDXR、FEN1、FKBP8、GK、GRSF1、HTRA2、L2HGDH、LACTB2、LRPPRC、MAIP1、MAOA、MPST、MRPL1、MRPL12、MRPL13、MRPL14、MRPL17、MRPL22、MRPL37、MRPL39、MRPL4、MRPL43、MRPL44、MRPL46、MRPL48、MRPS11、MRPS14、MRPS2、MRPS27、MRPS31、MRPS35、MRPS9、MTHFD2、MTX1、MYCBP、NDUFA8、NUDT1、OAT、PITRM1、PLSCR3、PMPCA、PPIF、PTRH2、PYCR2、REXO2、RMND1、SFXN2、SLC25A10、SLC25A19、SLC25A4、TIGAR、TIMM13、TIMM23、TMEM14C、TOMM22、TOMM34、TOMM40、及びTSTのうちの1種以上の発現が、前記Tregの治療用集団において、増殖前のベースラインTregにおける該1種以上の遺伝子産物の発現と比較して増加している、実施態様133記載の凍結保存された組成物。
135.解凍してすぐの、表17に記載される1種以上の遺伝子産物の発現が、増殖前のベースラインTregにおける該1種以上の遺伝子産物の発現と比較して増加している、エクスビボで増殖させたTregの治療用集団を含む凍結保存された組成物。
136.以下の遺伝子産物:ARL2、ARL3、BCCIP、CCDC124、CDK1、CDK2、CDK5、CDK6、CUL4B、DCTN3、FEN1、HELLS、LIG1、MAD2L1、MAEA、MCM2、MCM2、MCM3、MCM4、MCM5、MCM6、MCM7、MCMBP、NUDC、PCNA、POLD1、POLD2、RALB、RBM38、RFC2、RFC3、RFC4、RFC5、RNASEH2A、RNASEH2B、及びSMC2のうちの1種以上の発現が、前記Tregの治療用集団において、増殖前のベースラインTregにおける該1種以上の遺伝子産物の発現と比較して増加している、実施態様135記載の凍結保存された組成物。
137.解凍してすぐの、表18に記載される1種以上の遺伝子産物の発現が、増殖前のベースラインTregにおける該1種以上の遺伝子産物の発現と比較して増加している、エクスビボで増殖させたTregの治療用集団を含む凍結保存された組成物。
138.以下の遺伝子産物:ACAA2、ACADM、ACADVL、ACOT7、BSG、CACYBP、CD74、CDK1、CPOX、DUT、ECI1、ENO3、FEN1、FKBP3、HIST1H2BJ、HLA-DQA1、HLA-DRA、HLA-DRB1、LGALS1、LGALS3、MCM5、MCM6、MCM7、MTHFD1、NAMPT、NME1、NQO1、PCNA、RAB1A、RALB、SLC25A4、STAT1、STMN1、STMN2、TUBA1B、TUBB4A、TUBB8、TXN、TXNRD1、及びWARSのうちの1種以上の発現が、前記Tregの治療用集団において、増殖前のベースラインTregにおける該1種以上の遺伝子産物の発現と比較して増加している、実施態様137記載の凍結保存された組成物。
前記発現が、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約6倍、少なくとも約7倍、少なくとも約8倍、少なくとも約9倍、又は少なくとも約10倍変化する、実施態様129~137のいずれか1つ記載の凍結保存された組成物。
139.発現が、シングルショットプロテオミクス解析によって決定される、実施態様128~136のいずれか1つ記載の凍結保存された組成物。
140.前記凍結保存されたTregの治療用集団が、解凍後に、該炎症細胞によるIL-6産生によって測定して、炎症細胞を抑制する能力を示し、
該炎症細胞が、ヒトドナー由来であるか又は人工多能性幹細胞から作られたマクロファージ又は単球である、
実施態様102~140のいずれか1つ記載の凍結保存された組成物。
141.DMSOを含む、実施態様102~140のいずれか1つ記載の凍結保存された組成物。
142.10% DMSOを含む、実施態様141記載の凍結保存された組成物。
143.前記Tregの治療用集団が、1mlあたり該Treg集団の予定されるレシピエントの体重1kgあたり1×106個の細胞の濃度で存在する、実施態様102~142のいずれか1つ記載の凍結保存された組成物。
144.前記Tregの治療用集団が、該Treg集団の予定されるレシピエントにとって自己由来のものである、実施態様143記載の凍結保存された組成物。
145.単一のクライオバイアルに入れられている、実施態様102~144のいずれか1つ記載の凍結保存された組成物。
146.総体積が、1~1.5mLである、実施態様102~145のいずれか1つ記載の凍結保存された組成物。
147.((1×106細胞)×((患者の体重(kg))+(0.3)×(患者の体重(kg)))/mL)の濃度で提供される、実施態様102~146のいずれか1つ記載の凍結保存された組成物。
148.前記凍結保存された組成物が、合計1.2mLで存在する、実施態様147記載の凍結保存された組成物。
149.Treg機能障害に関連する障害を治療する方法であって:
該治療を必要とする対象に、Tregの治療用集団を投与することを含み、
該Tregが、エクスビボで増殖されかつ凍結保存されており、かつ
該Tregが、該投与することの前にさらに増殖されない、前記方法。
150.Treg欠乏に関連する障害を治療する方法であって:
該治療を必要とする対象に、Tregの治療用集団を投与することを含み、
該Tregが、エクスビボで増殖されかつ凍結保存されており、かつ
該Tregが、該投与することの前にさらに増殖されない、前記方法。
151.免疫系の過剰刺激に関連する障害を治療する方法であって:
該治療を必要とする対象に、Tregの治療用集団を投与することを含み、
該Tregが、エクスビボで増殖されかつ凍結保存されており、かつ
該Tregが、該投与することの前にさらに増殖されない、前記方法。
152.T細胞応答によって推進される炎症状態を治療する方法であって:
該治療を必要とする対象に、Tregの治療用集団を投与することを含み、
該Tregが、エクスビボで増殖されかつ凍結保存されており、かつ
該Tregが、該投与することの前にさらに増殖されない、前記方法。
153.それを必要としている対象において神経変性障害を治療する方法であって:
該対象に、Tregの治療用集団を投与することを含み、
該Tregが、エクスビボで増殖されかつ凍結保存されており、かつ
該Tregが、該投与することの前にさらに増殖されない、前記方法。
154.前記神経変性疾患が、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、アルツハイマー病、パーキンソン病、前頭側頭型認知症、又はハンチントン病である、実施態様153記載の方法。
155.それを必要としている対象において自己免疫障害を治療する方法であって:
該対象に、Tregの治療用集団を投与することを含み、
該Tregが、エクスビボで増殖されかつ凍結保存されており、かつ
該Tregが、該投与することの前にさらに増殖されない、前記方法。
156.前記自己免疫障害が、多発性筋炎(polymyosititis)、潰瘍性大腸炎、炎症性腸疾患、クローン病、セリアック病、多発性硬化症(MS)、関節リウマチ(RA)、I型糖尿病、乾癬、皮膚筋炎(dermatomyostitis)、全身性エリテマトーデス、皮膚ループス、重症筋無力症、自己免疫性腎症、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性血球減少、自己免疫性肝炎、自己免疫性ブドウ膜炎(autoimmune uveititis)、脱毛症、甲状腺炎、又は天疱瘡(pemhigus)である、実施態様155記載の方法。
157.それを必要としている対象において移植片対宿主病を治療する方法であって:
該対象に、Tregの治療用集団を投与することを含み、
該Tregが、エクスビボで増殖されかつ凍結保存されており、かつ
該Tregが、該投与することの前にさらに増殖されない、前記方法。
158.前記対象が、骨髄移植、腎移植、又は肝移植を受けている、実施態様157記載の方法。
159.それを必要としている対象において膵島移植片の生存を向上させる方法であって:
膵島移植術と、該対象にTregの治療用集団を投与することを組み合わせることを含み、
該Tregが、エクスビボで増殖されかつ凍結保存されており、かつ
該Tregが、該投与することの前にさらに増殖されない、前記方法。
160.それを必要としている対象において心臓の炎症を治療する方法であって:
該対象に、Tregの治療用集団を投与することを含み、
該Tregが、エクスビボで増殖されかつ凍結保存されており、かつ
該Tregが、該投与することの前にさらに増殖されない、前記方法。
161.前記心臓の炎症が、アテローム性動脈硬化症、心筋梗塞、虚血性心筋症、又は心不全と関連する、実施態様160記載の方法。
それを必要としている対象において神経炎症を治療する方法であって:
該対象に、Tregの治療用集団を投与することを含み、
該Tregが、エクスビボで増殖されかつ凍結保存されており、かつ
該Tregが、該投与することの前にさらに増殖されない、前記方法。
162.前記神経炎症が、卒中、急性播種性脳炎、急性視神経炎、横断性脊髄炎、視神経脊髄炎、てんかん、外傷性脳損傷、脊髄損傷、脳炎(encephalititis)、又は髄膜炎と関連する、対象が、卒中を起こしたことがある、実施態様161記載の方法。
163.それを必要としている対象においてTreg症を治療する方法であって:
該対象に、Tregの治療用集団を投与することを含み、
該Tregが、エクスビボで増殖されかつ凍結保存されており、かつ
該Tregが、該投与することの前にさらに増殖されない、前記方法。
164.前記Treg症が、FOXP3、CD25、細胞傷害性Tリンパ球関連抗原4(CTLA4)、LPS反応性ベージュ様アンカータンパク質(LRBA)、又はBTBドメイン及びCNCホモログ2(BACH2)遺伝子機能喪失型変異、又はシグナル伝達兼転写活性化因子3(STAT3)機能獲得型変異によって引き起こされる、実施態様163記載の方法。
165.前記Tregが、前記対象にとって自己由来のものである、実施態様149~164のいずれか1つに記載の方法。
166.前記Tregが、前記対象にとって同種異系のものである、実施態様149~164のいずれか1つに記載の方法。
167.前記Tregの治療用集団が、0.9%塩化ナトリウム及び5%ヒト血清アルブミンを含む水溶液で前記対象に投与される、実施態様149~167のいずれか1つに記載の方法。
168.それを必要としている対象において神経変性障害を治療する方法であって:
該対象にTregの治療用集団を含む医薬組成物を投与することを含み、
該医薬組成物が、解凍されかつ該対象への投与に適した水溶液中に懸濁された実施態様102~148のいずれか1つ記載の凍結保存された組成物を含む、前記方法。
169.前記神経変性疾患が、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、アルツハイマー病、又はパーキンソン病である、実施態様168記載の方法。
170.前記水溶液が、0.9%塩化ナトリウム及び5%ヒト血清アルブミンを含む、実施態様168又は169記載の方法。
171.前記Tregの治療用集団が、解凍から6時間以内に投与される、実施態様168~170のいずれか1つに記載の方法。
172.前記対象の体重1kgあたり約1×106個のTregが投与される、実施態様138~171のいずれか1つに記載の方法。
173.少なくとも2か月にわたり1か月あたり前記対象の体重1kgあたり約1×106個のTregが、投与される、実施態様138~172のいずれか1つに記載の方法。
174.1か月目及び2か月目の間は1か月あたり前記対象の体重1kgあたり約1×106個のTregが、投与され、かつ少なくとも3か月目及び4か月目の間は1か月あたり該対象の体重1kgあたり約2×106個のTregが、投与される、実施態様138~171のいずれか1つに記載の方法。
175.1か月目及び2か月目の間は1か月あたり前記対象の体重1kgあたり約1×106個の細胞が、投与され、
3か月目及び4か月目の間は1か月あたり該対象の体重1kgあたり約2×106個の細胞が、投与され、かつ
少なくとも5か月目及び6か月目の間は1か月あたり該対象の体重1kgあたり約3×106~約1×109個の細胞が、投与される、
実施態様138~171のいずれか1つに記載の方法。
176.前記Tregが、静脈内投与される、実施態様138~175のいずれか1つに記載の方法。
177.前記対象が、IL-2をさらに投与される、実施態様138~176のいずれか1つに記載の方法。
178.前記対象が、2×105IU/m2のIL-2を投与される、実施態様177記載の方法。
179.前記IL-2が、1週間に3回投与される、実施態様177又は178記載の方法。
180.前記IL-2が、皮下投与される、実施態様177~179のいずれか1つに記載の方法。
181.前記IL-2が、初めてのTreg注入前に少なくとも2週間、少なくとも3週間、又は少なくとも4週間投与される、実施態様177~180のいずれか1つに記載の方法。
182.血液中の前記Tregの抑制機能の増加をもたらす、実施態様138~181のいずれか1つに記載の方法。
183.ベースラインから第24週までの血液中の前記Tregの抑制機能の増加をもたらす、実施態様182記載の方法。
184.血液中のTregの数の増加をもたらす、実施態様138~182のいずれか1つに記載の方法。
185.ベースラインから第24週までの血液中のTregの数の増加をもたらす、実施態様184記載の方法。
186.前記対象が、ヒトである、実施態様138~185のいずれか1つに記載の方法。
【0116】
(6.例示的な定義)
本開示に従って、ポリヌクレオチド、核酸セグメント、及び核酸配列などとしては、天然起源から得られるか、化学的に合成されるか、修飾されるか、もしくは別のやり方で調製されるか、又は人の手によって全部又は一部が合成されるかのいずれかである、DNA(ゲノムDNA又はゲノム外(extragenomic)DNAを含みこれらに限定されない)、遺伝子、ペプチド核酸(PNA)、RNA(rRNA、mRNA、及びtRNAを含むが、これらに限定されない)、ヌクレオシド、及び適当な核酸セグメントが挙げられるが、これらに限定されない。
【0117】
別途定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する分野における通常の知識を有する者により通常理解されるものと同じ意味を有する。以下の文献は、当業者に、本発明で用いられる用語のうちの多くのものの一般的な定義を提供する:「生化学及び分子生物学辞典(Dictionary of Biochemistry and Molecular Biology)」、(第2版) J. Stenesh (編)、Wiley-Interscience (1989);「微生物学及び分子生物学の辞典(Dictionary of Microbiology and Molecular Biology)」(第3版)、P. Singleton及びD. Sainsbury(編)、Wiley-Interscience (2007);「チェンバーズ科学及び技術辞典(Chambers Dictionary of Science and Technology)」(第2版)、P. Walker (編)、Chambers (2007); 「遺伝学用語集(Glossary of Genetics)」(第5版)、R. Riegerら(編)、Springer-Verlag (1991);及び「ハーパーコリンズ生物学辞典 (The HarperCollins Dictionary of Biology)」、W.G. Hale and I P. Margham、(編)、HarperCollins (1991)。
【0118】
本明細書に記載されるものと類似の又は等価な任意の方法及び組成物を、本発明の実施及び試験において使用することができるが、好適な方法及び組成物が、本明細書に記載される。本発明の目的のために、以下の用語を、明確性及び参照の容易さのために以下で定義する:
【0119】
長年の特許法の慣習により、「a」及び「an」という単語は、本出願の全体及び特許請求の範囲において用いられる場合、「1つ以上」を意味する。
【0120】
本明細書で使用される「およそ/約(about)」及び「約(approximately)」という用語は、交換可能であり、一般に、所与の数字の周囲の数の範囲及び記載された数の範囲内の全ての数を指すよう理解されるべきである(例えば、「約5~15」は、特に断りのない限り「約5~約15」を意味する)。さらに、本明細書における全ての数値範囲は、該範囲内の各整数(whole integer)を含むよう理解されるべきである。
【0121】
「生体適合性の(biocompatible)」は、生細胞にさらされた場合に、該細胞の生活周期(living cycle)の変化、該細胞の増殖速度の変化、又は細胞傷害性効果などの、該細胞における望ましくない作用を引き起こすことなく、該細胞の適切な細胞活性を支持するであろう材料を指す。
【0122】
「生物学的機能的等価物(biologically-functional equivalent)」という用語は、本技術分野においてよく理解されており、本明細書で詳細にさらに定義される。従って、本明細書で提供されるヌクレオチド配列のうちの1つ以上と同一又は機能的に等価なヌクレオチドの約85%~約90%;又はより好ましくは、約91%~約95%;又はさらにより好ましくは、約96%~約99%を有する配列が、本出願に記載される方法及び組成物の実施に有用であると特に想定される。
【0123】
本明細書で使用される、「生体模倣の(biomimetic)」は、合成された材料が、人体に天然に存在し、かつ体によって拒絶されない(例えば、人体において有害な反応を引き起こさない)物質に似ていることを意味するものとする。
【0124】
本明細書で使用される、「バッファー(buffer)」という用語は、1種以上の組成物又はその水溶液であって、酸又はアルカリが、該バッファーを含む該溶液又は組成物に添加されたときにpHの変動に抵抗する、前記組成物又はその水溶液を含む。pH変化に対するこの抵抗性は、そのような溶液の緩衝性に起因し、該組成物中に含まれる1種以上の特定の化合物の機能であり得る。従って、緩衝活性を示す溶液又は他の組成物は、バッファー又はバッファー溶液と呼ばれる。バッファーは、一般に、溶液又は組成物のpHを維持する無制限の能力を有することはなく;むしろ、これらは、通常、ある範囲、例えば、約5~7のpHの範囲内で、pHを維持することができる。
【0125】
本明細書で使用される、「担体(carrier)」という用語は、適切な動物への投与のための医薬として許容し得る任意の溶媒、分散媒、被覆、希釈剤、バッファー、等張化剤、溶液、懸濁液、コロイド、不活性物質、もしくは同様なもの、又はそれらの組合せを含むことが意図される。一般に、化学的物質(chemical compound)、特に、化学療法剤のための1種以上の送達ビヒクルの使用は、医薬分野における通常の知識を有する者に周知である。任意の慣用の媒体又は薬剤剤は、活性成分と不適合でない限りは、診断用、予防用、及び治療用組成物におけるその使用が想定される。1種以上の補完の活性成分も、開示される化学療法組成物のうちの1つ以上の中に組み込まれてもよく、又はそれに付随して投与されてもよい。
【0126】
本明細書で使用される、「DNAセグメント(DNA segment)」という用語は、特定の種の全ゲノムDNAを含まずに単離されたDNA分子を指す。従って、本明細書で開示される組成物のうちの1つを用いて生体試料から得られるDNAセグメントは、それらの入手元の特定の種の全ゲノムDNAから分けて単離されているか又はそれを含まぬように精製された1つ以上のDNAセグメントを指す。「DNAセグメント」という用語に含まれるのは、DNAセグメント及びそのようなセグメントのより小さな断片、並びに例えば、プラスミド、コスミド、ファージ、及びウイルスなどを含む組換え型ベクターである。
【0127】
本明細書で使用される「有効量(effective amount)」という用語は、疾患又は状態を治療又は改善することができるか、又はそうでなければ意図する治療効果を生じさせることができる量を指す。
【0128】
本明細書で使用される「例えば(for example)」又は「例えば(e.g.)」という用語は、限定を意図することなく単に一例として用いられており、本明細書に明示的に挙げられている項目のみに言及しているものとして解釈されるべきではない。
【0129】
本明細書で使用される、「異種(heterologous)」配列は、ポリヌクレオチド又はポリペプチド配列などの所定の参照配列との関連で定義される。例えば、構造遺伝子配列に関して、異種プロモーターは、天然では参照される構造遺伝子に隣接して見られないが、実験室での操作によって配置されているプロモーターと定義される。同様に、異種遺伝子又は核酸セグメントは、天然では参照されるプロモーター及び/又はエンハンサーエレメントに隣接してみられない遺伝子又はセグメントと定義される。
【0130】
本明細書で使用される、「相同の(homologous)」は、ポリヌクレオチドに言及する場合、異なる起源に由来するにもかかわらず同一の本質的なヌクレオチド配列を有する配列を意味する。典型的には、相同核酸配列は、1つ以上の実質的に類似のゲノム配列を有するごく近縁の遺伝子又は生物にから誘導される。対照的に、「類似(analogous)」ポリヌクレオチドは、異なる種又は生物由来のポリヌクレオチドと同じ機能を共有するが、類似の機能を達成するか又は類似の生物活性を有する1種以上のタンパク質又はポリペプチドをコードするかなり異なった一次ヌクレオチド配列を有していてもよいものである。類似ポリヌクレオチドは、多くの場合、ごく近縁の関係にはない(例えば、遺伝学的に又は系統学的にのいずれかで)2以上の生物から誘導され得る。
【0131】
本明細書で使用される、「相同性(homology)」という用語は、2つ以上のポリヌクレオチド又はポリペプチド配列間のある程度の相補性を指す。第1の核酸又はアミノ酸配列が、第2の核酸又はアミノ酸配列と全く同じ一次配列を有する場合、「同一性(identity)」という用語が、「相同性」という用語の代わりとなり得る。配列相同性及び配列同一性は、当技術分野において公知のアルゴリズム及びコンピュータープログラムを用いて2つ以上の配列を分析することによって決定することができる。そのような方法を用いて、所与の配列が、別の選択された配列と同一又は相同のであるか否かを評価してもよい。
【0132】
「同一(identical)」又はパーセント「同一性(identity)」という用語は、2つ以上の核酸又はポリペプチド配列の文脈において、以下に記載される配列比較アルゴリズム(又は当業者が利用可能な他のアルゴリズム)のうちの1つを用いて又は目視での検査によって測定して、一致が最高となるよう比較され整列された場合に、同一であるか又は指定された同一であるアミノ酸残基又はヌクレオチドの百分率を有する2つ以上の配列又は部分配列を指す。
【0133】
本明細書で使用される、「移植可能な(implantable)」又は「移植に適した(suitable for implantation)」は、宿主の体内に挿入するのに外科的に適切なこと、例えば、生体適合性、又は所望の設計及び物理的性質を有することを意味する。
【0134】
本明細書で使用される、「治療を必要とする(in need of treatment)」という句は、医師又は獣医師などの介護者によってなされる、患者が、治療を必要とする(又は、1つ以上の様式で治療から利益を得るであろう)という判断を指す。そのような判断は、介護者の専門知識の範囲である種々の因子に基づいて成され得、かつ本明細書で記載したものなどの1種以上の化合物又は医薬組成物によって治療可能な疾患状態の結果として患者が病気であるという知識を含み得る。
【0135】
「単離された(isolated)」又は「生物学的に純粋な(biologically pure)」という句は、天然状態で見つかる材料に通常伴う成分を実質的に又は本質的に含まない材料を指す。
【0136】
本明細書で使用される、「キット(kit)」という用語を用いて、本発明のアッセイ方法のうちの1つ以上を実施する少なくとも1組の試薬、成分、又は医薬として製剤化された組成物を含む携帯型の組み込み筐体の変形形態を説明してもよい。任意に、そのようなキットは、例えば、検査室又は臨床応用などの入れられている試薬の使用のための説明書の1つ以上のセットを含み得る。
【0137】
「連結(link)」又は「連結(join)」は、限定するものではないが、組換え融合、共有結合、ジスルフィド結合、イオン性結合、水素結合、及び静電結合(electrostatic bonding)などを含む、1つ以上のタンパク質、ペプチド、核酸、又はポリヌクレオチドを機能的に接続(connecting)するための当技術分野において公知の任意の方法を指す。
【0138】
目的に適用される本明細書で使用される「天然に存在する(naturally-occurring)」という用語は、目的を、天然に見出すことができるという事実を指す。例えば、天然の起源から単離することができかつ実験室で人の手によって意図的に修飾されていない生物(ウイルスを含む)内に存在するポリペプチド又はポリヌクレオチド配列は、天然に存在する。本明細書で使用される場合、古典的遺伝学により選択的に交配される可能性のある齧歯動物の実験室系統は、天然に存在する動物とみなされる。
【0139】
本明細書で使用される、「核酸(nucleic acid)」という用語は:ポリデオキシリボヌクレオチド(2-デオキシ-D-リボースを含有)、ポリリボヌクレオチド(D-リボースを含有)、及びプリン又はピリミジン塩基又は修飾されたプリン又はピリミジン塩基(塩基脱落部位を含む)のN-グリコシドである任意の他の種類のポリヌクレオチドのうちの1種以上を含む。本明細書で使用される、「核酸」という用語は、通常、サブユニット間のホスホジエステル結合によるが、場合によっては、ホスホロチオエート、メチルホスホネートなどによって共有結合的に結合したリボヌクレオシド又はデオキシリボヌクレオシドのポリマーも含む。「核酸」は、一本鎖及び二本鎖DNA並びに一本鎖及び二本鎖RNAを含む。例示的な核酸としては、限定するものではないが、gDNA;hnRNA;mRNA;rRNA、tRNA、マイクロRNA(miRNA)、低分子干渉RNA(siRNA)、低分子核小体RNA(snORNA)、低分子核内RNA(snRNA)、及び低分子一過性RNA(small temporal RNA)(stRNA)など、並びにそれらの任意の組み合わせが挙げられる。
【0140】
本明細書で使用される、「作動可能に連結された(operably linked)」及び「作動的に連結された(operatively linked)」という用語は、コード領域が近接しかつ正しいリーディングフレームに入るように連結された核酸配列の合一を指す。そのような配列は、通常、近接しているか又は実質的に近接している。しかしながら、エンハンサーは、一般に、プロモーターから数キロベース離れている場合に機能し、かつイントロンの配列が、変動する長さのものであり得るために、一部のポリヌクレオチド要素は、作動可能であるが近接させずに連結し得る。
【0141】
本明細書で使用される、「患者(patient)」(互換的に「宿主(host)」又は「対象(subject)」とも呼ばれる)という用語は、本明細書で開示される医薬組成物のうちの1つ以上を受けることができる任意の宿主を指す。好ましくは、対象は、任意の動物種(及び、好ましくはヒトなどの哺乳動物の種)を意味することが意図される、脊椎動物である。ある実施態様において、「患者」は、限定するものではないが、任意の哺乳動物の宿主などの任意の動物宿主を指す。好ましくは、本用語は、任意の哺乳動物宿主を指し、後者は、これらに限定されないが、ヒト及び非ヒト霊長類、ウシ、イヌ、ヤギ(caprine)、(cavine)、カラス、(epine)、ウマ、ネコ、ヤギ(hircine)、ウサギ(lapine)、野ウサギ(leporine)、オオカミ、マウス、ヒツジ、ブタ、カエル、ラシーヌ(racine)、キツネなどが挙げられ、家畜、動物学的標本、エキゾチックアニマル、並びに伴侶動物、愛玩動物、及び獣医師の世話を受ける任意の動物を含む。患者は、該患者が免疫応答を生じることにより本ワクチンの接種に応答することができる任意の年齢の者とすることができる。特定の実施態様において、哺乳動物の患者は、好ましくは、ヒトである。
【0142】
「医薬として許容し得る」という句は、好ましくは、哺乳動物に投与された場合、特に、ヒトに投与された場合にアレルギー性又は類似の有害反応を生じさせない分子実体及び組成物を指す。
【0143】
本明細書で使用される、「医薬として許容し得る塩」は、好ましくは、親化合物の所望の生物活性を維持しており、かつ望まれない毒性学的作用を何ら加えない塩を指す。そのような塩の例としては、限定するものではないが、無機酸(例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、硝酸など)と形成される酸付加塩;及び、限定するものではないが、酢酸、シュウ酸、酒石酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、グルコン酸、クエン酸、リンゴ酸、アスコルビン酸、安息香酸、タンニン酸、パモ酸(embonic)酸、アルギン酸、ナフトエ酸、ポリグルタミン酸、ナフタレンスルホン酸、ナフタレンジスルホン酸、ポリガラクツロン酸などの有機酸と形成される塩;亜鉛、カルシウム、ビスマス、バリウム、マグネシウム、アルミニウム、銅、コバルト、ニッケル、カドミウムなどの多価金属カチオンとの塩;A/A’-ジベンジルエチレンジアミン又はエチレンジアミンから形成される有機カチオンと形成される塩;並びにそれらの組合せが挙げられる。
【0144】
本明細書で使用される、「プラスミド」又は「ベクター」という用語は、遺伝子材料(すなわち、核酸)で構成される遺伝子構築体を指す。通常、プラスミド又はベクターは、細菌宿主細胞、例えば、大腸菌(Escherichia coli)内で機能する複製起点、及び該プラスミドを含む細菌宿主細胞を検出するための選択マーカーを含有する。本発明のプラスミド及びベクターは、挿入されたコード配列が適当な発現細胞内で転写され翻訳されることができるように配置された本明細書に記載される1種以上の遺伝子要素を含み得る。加えて、前記プラスミド又はベクターは、1種以上の天然の及び/又は人工起源からから得られる又はそれから誘導されるセグメントなどの、1種以上の核酸セグメント、遺伝子、プロモーター、エンハンサー、アクチベーター、マルチクローニング領域(multiple cloning region)、又はそれらの任意の組み合わせを含み得る。
【0145】
本明細書で使用される、「ポリマー」は、重合によって形成されかつ反復構造単位を含む化学的な化合物又は化合物の混合物を意味する。ポリマーは、複数の形態及び組成又は組成の組合せで構築されてもよい。
【0146】
本明細書で使用される、「ポリペプチド」という用語は、単一の「ポリペプチド」も複数の「ポリペプチド」も包含することが意図され、2つ以上のアミノ酸の任意の鎖(複数可)を含む。従って、本明細書で使用される、「ペプチド」、「ジペプチド」、「トリペプチド」、「タンパク質」、「酵素」、「アミノ酸鎖」、及び「近接アミノ酸配列」を含むが、これらに限定されない用語は全て、「ポリペプチド」の定義に包含され、「ポリペプチド」という用語を、これらの用語のいずれかの代わりに、又はそれと互換的に使用することができる。該用語は、例えば、これらに限定されないが、グリコシル化、アセチル化、リン酸化、アミド化、誘導体化、タンパク質切断、翻訳後プロセシング、又は1種以上の非天然アミノ酸を含めることによる修飾などの1種以上の翻訳後修飾を受けているポリペプチドをさらに含む。ポリヌクレオチド及びポリペプチド構造のための慣用の命名法が、本技術分野に存在する。
【0147】
例えば、1文字及び3文字の略語:アラニン(A;Ala)、アルギニン(R;Arg)、アスパラギン(N;Asn)、アスパラギン酸(D;Asp)、システイン(C;Cys)、グルタミン(Q;Gin)、グルタミン酸(E;Glu)、グリシン(G;Gly)、ヒスチジン(H;His)、イソロイシン(I;lie)、ロイシン(L;Leu)、メチオニン(M;Met)、フェニルアラニン(F;Phe)、プロリン(P;Pro)、セリン(S;Ser)、スレオニン(T;Thr)、トリプトファン(W;Trp)、チロシン(Y;Tyr)、バリン(V;Vai)、及びリジン(K;Lys)が、アミノ酸を記述するのに広く採用されている。本明細書に記載されるアミノ酸残基は、「l」異性体形態であることが好ましい。しかしながら、ポリペプチドの所望の性質が維持されるのであれば、「d」異性体形態の残基を、任意のl-アミノ酸残基の代わりに用いてもよい。
【0148】
本明細書で使用される、本明細書で使用される「予防する(prevent)」、「予防すること(preventing)」、「予防(prevention)」、「抑制する(suppress)」、「抑制すること(suppressing)」、及び「抑制(suppression)」という用語は、疾患状態の臨床症状の発現の前に、該疾患状態の任意の症状、態様、又は特徴を予防するために単独で又は医薬組成物中に含有させてのいずれかで化合物を投与することを指す。医学的に有用であるとみなされるのに、そのような予防すること及び抑制することが、完全である必要はない。
【0149】
「タンパク質」は、本明細書で「ペプチド」及び「ポリペプチド」と互換的に使用され、合成的に、組換えで、又はインビトロで製造されるペプチド及びポリペプチド、並びに核酸配列が宿主動物又はヒト対象に投与された後にインビボで発現されるペプチド及びポリペプチドの双方を含む。「ポリペプチド」という用語は、好ましくは、長さが約2~約20アミノ酸残基の短いペプチドのもの、長さが約10~約100アミノ酸残基のオリゴペプチドのもの、及び長さが約100アミノ酸残基以上を含むより長いポリペプチドのものなどの任意のアミノ酸鎖長を指すことが意図される。さらに、該用語は、酵素、すなわち、少なくとも1つのアミノ酸ポリマーを含む機能性生体分子を含むことも意図される。また、本発明のポリペプチド及びタンパク質は、翻訳後修飾されるか又は翻訳後修飾されているポリペプチド及びタンパク質も含み、骨格アミノ酸鎖に付加した任意の糖又は他の誘導体又はコンジュゲートを含む。
【0150】
本明細書で使用される「精製された」は、多くの他の化合物又は物質(entity)から分離されたことを意味する。化合物又は物質は、部分的に精製されてていてもよく、実質的に精製されていてもよく、又は純粋であってもよい。化合物又は物質は、それが、実質的にすべての他の化合物又は物質から取り出されている場合、すなわち、それが、好ましくは、少なくとも約90%、より好ましくは、少なくとも約91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は99%超の純度である場合に純粋であるとみなされる。部分的に又は実質的に精製された化合物又は物質は、それと共に該化合物又は物質が天然にみつかる材料、例えば、細胞タンパク質及び/又は核酸などの細胞物質の少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、又は少なくとも80%から取り出され得る。
【0151】
「組換え型」という用語は、材料(例えば、ポリヌクレオチド又はポリペプチド)が、ヒトの介入によって人工的又は合成的に(非天然的に)変化させられていることを示す。この変化は、その天然の環境すなわち天然状態の中の又はそこから取り出された該材料に対して実施し得る。具体的には、例えば、プロモーター配列は、人の手によって操作された核酸セグメントの発現によって製造された場合に、「組換え型」である。例えば、「組換え型核酸」は、例えば、クローニング、DNAシャフリング、又は他の処置の間に、又は化学的又は他の変異誘発によって、核酸を組み替えることによって作られるものであり;「組換え型ポリペプチド」又は「組換え型タンパク質」は、組換え型核酸の発現によって製造されるポリペプチド又はタンパク質であり;「組換え型ウイルス」、例えば、組換え型AAVウイルスは、組換え型核酸の発現によって製造される。
【0152】
本明細書で使用される「調節エレメント」という用語は、転写を調節する核酸配列の領域(複数可)を指す。例示的な調節エレメントとしては、エンハンサー、転写後エレメント、転写制御配列、及び同様なものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0153】
「RNAセグメント」という用語は、特定の種の全細胞RNA(total cellular RNA)を含まずに単離されたRNA分子を指す。従って、RNAセグメントは、他のRNAから単離されているか他のRNAを含まぬように精製されている1つ以上のRNAセグメント(天然又は合成起源のいずれか)を指すことができる。「RNAセグメント」という用語に含まれるのは、RNAセグメント及びそのようなセグメントのより小さな断片である。
【0154】
「配列番号:Xに本質的に記載されている配列」という用語は、配列番号:Xの一部に実質的に相当する配列を意味し、かつ配列番号:Xのヌクレオチド(又はアミノ酸)と同一ではないか、又はそれの生物学的機能的等価物である比較的少ないヌクレオチド(又はポリペプチド配列の場合にはアミノ酸)を有する。「生物学的機能的等価物」という用語は、本技術分野においてよく理解されており、本明細書でさらに詳細に定義される。従って、本明細書で提供されるヌクレオチド配列のうちの1つ以上と同一又は機能的に等価であるヌクレオチドの約85%~約90%;又はより好ましくは、約91%~約95%;又はさらにより好ましくは、約96%~約99%;を有する配列が、本発明の実践に有用であると特に想定される。
【0155】
本発明における使用のための核酸に適した標準的なハイブリダイゼーション条件としては、例えば、50%ホルムアミド、5×デンハート液、5×SSC、25mMリン酸ナトリウム、0.1% SDS、及び100pg/mLの変性サケ精子DNA中、42℃で16時間のハイブリダイゼーション、及びそれに続く所望の量バックグラウンドシグナルを除去するための60℃の0.l×SSC、0.1% SDS溶液での1時間の連続的な洗浄が挙げられる。本発明のためのより低いストリンジェンシーのハイブリダイゼーション条件としては、例えば、35%ホルムアミド、5×デンハート液、5×SSC、25mMリン酸ナトリウム、0.1% SDS、及び100pg/mL変性サケ精子DNA又は大腸菌(E. coli)DNA中、42℃で16時間のハイブリダイゼーション、及びそれに続く55℃の0.8×SSC、0.1% SDSでの連続的な洗浄が挙げられる。当業者は、そのようなハイブリダイゼーション条件を、特定の応用のための所望のレベルのストリンジェンシーを得るように容易に調整することができることを認識しているであろう。
【0156】
本明細書で使用される、「構造遺伝子(structural gene)」という用語は、一般に、発現されて、コードされているペプチド、ポリペプチド、タンパク質、リボザイム、触媒RNA分子、又はアンチセンス分子を生じさせる、遺伝子などのポリヌクレオチドを記述することが意図される。
【0157】
本明細書で使用される「対象(subject)」という用語は、本発明による組成物での治療を提供することができる霊長類などの哺乳動物を含む生物を記述する。開示される治療の方法から利益を得ることができる哺乳動物の種としては、類人猿;チンパンジー;オランウータン;ヒト;サル;イヌ及びネコなどの飼育動物;ウマ、ウシ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、及びニワトリなどの家畜;並びにマウス、ラット、モルモット、及びハムスターなどの他の動物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0158】
アミノ酸配列又は核酸配列のいずれかを規定するのに用いられる場合、「実質的に相補的な(substantially complementary)」という用語は、特定の対象配列、例えば、オリゴヌクレオチド配列が、選択された配列の全て又は一部に実質的に相補的であり、従って、選択された配列をコードするmRNAの一部に特異的に結合するであろうことを意味する。従って、通常、配列は、mRNA「標的」配列に高度に相補的であり、配列の相補的な部分の全体で約1以下、約2以下、約3以下、約4以下、約5以下、約6以下、約7以下、約8以下、約9以下、又は約10以下などの塩基ミスマッチを有することとなる。多くの場合、配列が、オリゴヌクレオチドが特異的に結合する配列に完全に一致する、すなわち、それと完全に相補的であり、従って、相補的な区間に沿ってゼロミスマッチを有することが望ましいであろう。従って、高度に相補的な配列は、通常、mRNAの標的配列領域にかなり特異的に結合するものであり、従って、標的mRNA配列のポリペプチド産物への翻訳を減少させかつ/又はさらには阻害するのに非常に効率的である。
【0159】
実質的に相補的な核酸配列は、該核酸が特異的に結合する対応する核酸標的配列に約80パーセントを超超えて相補的(又は「%完全一致(% exact-match)」)であるものであり、より好ましくは、該核酸が特異的に結合する対応する標的配列に約85パーセント超相補的なものである。ある態様において、上述のように、本発明の実践における使用のためのさらにより実質的に相補的な核酸配列があることが望ましく、そのような場合、該核酸配列は、該核酸が特異的に結合する対応する標的配列に約90パーセント超相補的なものであり、ある実施態様においては、該核酸が特異的に結合する対応する標的配列に約95パーセント超相補的であってもよく、さらには、設計された核酸が特異的に結合する標的配列の全て又は一部に最大で約96%、約97%、約98%、約99%、さらには約100%(各数値を含む)の完全一致で相補的なものであってもよい。
【0160】
開示された核酸配列のいずれかのパーセント類似性又はパーセント相補的なは、例えば、ウィスコンシン大学遺伝学コンピューターグループ(the University of Wisconsin Genetics Computer Group; UWGCG)から入手可能なGAPコンピュータープログラム、バージョン6.0を用いて配列情報を比較することによって決定され得る。GAPプログラムは、Needleman及びWunsch(1970)のアラインメント法を利用する。簡単に述べると、GAPプログラムは、2つの配列のうちの短い方のシンボルの総数で除した、類似の整列されたシンボル(すなわち、ヌクレオチド又はアミノ酸)の数として類似性を定義する。GAPプログラムに好適なデフォルトパラメーターは:(1)ヌクレオチド用の単項比較マトリックス(unary comparison matrix)(一致に対して1の値、非一致に対して0の値を含むもの)、及びGribskov及びBurgess(1986)の重み付き比較マトリックス、(2)各ギャップに3.0のペナルティー、及び各ギャップ内の各シンボルに追加の0.10のペナルティー;及び(3)エンドギャップにペナルティーなしを含む。
【0161】
本明細書で使用される、成分の量に関連する「実質的に含まない(substantially free)」又は「本質的に含まない(essentially free)」という用語は、好ましくは、約10重量パーセント未満、好ましくは、5重量パーセント未満、及びより好ましくは、約1重量パーセント未満の化合物を含有する組成を指す。好適な実施態様において、これらの用語は、約0.5重量パーセント未満、約0.1重量パーセント未満、又は約0.01重量パーセント未満を指す。
【0162】
本明細書で使用される、「構造遺伝子(structural gene)」という用語は、一般に、発現されて、コードされているペプチド、ポリペプチド、タンパク質、リボザイム、触媒RNA分子、又はアンチセンス分子を生じさせる、遺伝子などのポリヌクレオチドを記述することが意図される。
【0163】
本明細書で使用される「対象(subject)」という用語は、本発明による組成物での治療を提供することができる霊長類などの哺乳動物を含む生物を記述する。開示される治療の方法から利益を得ることができ哺乳動物の種としては、ヒト、類人猿;チンパンジー;サル、及びオランウータンなどの非ヒト霊長類、イヌ及びネコを含む飼育動物、並びにウマ、ウシ、ブタ、ヒツジ、及びヤギなどの家畜、又は限定するものではないが、マウス、ラット、モルモット、ウサギ、ハムスターなどの他の哺乳動物の種が挙げられるが、これらに限定されない。
【0164】
本明細書で使用される「に実質的に相当する(substantially corresponds to)」、「実質的に相同の(substantially homologous)」、又は「実質的な同一性(substantial identity)」という用語は、選択された核酸配列又は選択されたアミノ酸配列が、選択された参照核酸又はアミノ酸配列と比較して少なくとも約70又は約75パーセントの配列同一性を有する、核酸又はアミノ酸配列の特徴を意味する。より典型的には、該選択された配列及び該参照配列は、少なくとも約76、77、78、79、80、81、82、83、84、又はさらには85パーセントの配列同一性を有するものであり、より好ましくは、少なくとも約86、87、88、89、90、91、92、93、94、又は95パーセントの配列同一性を有するものである。さらにより好ましくは、高度に相同の配列は、多くの場合、選択された配列とそれが比較される参照配列との間で少なくとも約96、97、98、又は99パーセントを超える配列同一性を共有する。
【0165】
本明細書で使用される、「合成の(synthetic)」は、該材料が、ヒトや動物起源のものではないことを意味するものとする。
【0166】
「ターゲティング部位(targeting moiety)」は、粒子による特定の部位のターゲティングを容易にする任意の因子であり得る。例えば、ターゲティング部位は、化学的ターゲティング部位、物理的ターゲティング部位、幾何学的ターゲティング部位、又はそれらの組合せであり得る。化学的ターゲティング部位は、該粒子の表面上の化学的な基又は分子であり得;物理的ターゲティング部位は、該粒子の特定の物理的性質、例えば、表面のそのようなもの又は疎水性などであり得;幾何学的ターゲティング部位は、該粒子のサイズ及び形状を含む。さらに、化学的ターゲティング部位は、標的とされる部位上の特定の受容体に結合するデンドリマー、抗体、アプタマー(チオアプタマーであってもよい)、リガンド、抗体、又は生体分子であってもよい。物理的ターゲティング部位は、表面電荷であってもよい。この電荷は、特定の洗浄などの化学的処理を用いることによって前記粒子の作製の間に導入され得る。例えば、多孔質シリカ又は酸化されたケイ素表面の水への浸漬は、該表面上の負電荷の獲得に繋がり得る。また、表面電荷は、粒子の表面上の追加の層又はポリマー鎖などの化学的な鎖によっても提供され得る。例えば、ポリエチレングリコール鎖は、表面の負電荷の源となり得る。ポリエチレングリコール鎖は、当業者に公知の方法を用いて表面に被覆され得るか又は共有結合的にカップリングされ得る。
【0167】
「治療的に実用的な期間(therapeutically-practical period)」という用語は、1種以上の活性薬剤が治療的に有効となるために必要な期間を意味する。「治療的に有効な」という用語は、1つ以上の症状の重症度及び/又は頻度の減少、1つ以上の症状及び/又は根底にある原因の除去、症状及び/又はその根底にある原因の発生の予防、並びに損傷の改善(improvement)又は改善(remediation)を指す。
【0168】
「治療薬剤(therapeutic agent)」は、対象の標的とされる部位において所望の生物学的作用を生じさせ得る任意の生理学的又は薬理学的に活性な物質であり得る。治療薬剤は、天然に存在するものであっても、合成法又は組換え法で製造されたものであってもよい、化学療法剤、免疫抑制剤、サイトカイン、細胞傷害性剤、核酸分解性化合物、放射性同位元素、受容体、及びプロドラッグ活性化酵素、又はそれらの組合せであり得る。ビンカアルカロイド(例えば、ビンブラスチン及びビンクリスチン)、アントラサイクリン(例えば、ドキソルビシン及びダウノルビシン)、RNA転写阻害剤(例えば、アクチノマイシン-D)、並びに微小管安定化薬(例えば、パクリタキセル)などの古典的な多剤耐性によって影響を受ける薬物は、治療薬剤としての特別な有用性を有し得る。また、サイトカインも、治療薬剤として使用し得る。そのようなサイトカインの例は、リンホカイン、モノカイン、及び従来型のポリペプチドホルモンである。抗神経変性剤は、好適な治療薬剤であり得る。そのような薬剤及び他の治療薬剤のより詳細な説明については、当業者は、米国医師用卓上参考書(the Physician’s Desk Reference)及びHardman及びLimbirdの文献(2001)を含むが、これらに限定されない、任意の数の指導マニュアルを参照する。
【0169】
本明細書で使用される、「転写因子認識部位(transcription factor recognition site)」及び「転写因子結合部位(transcription factor binding site)」は、直接的なタンパク質-DNA結合の形態をとることが多い、1つ以上の転写因子の配列特異的な相互作用のための部位であるとして特定されたポリヌクレオチド配列又は配列モチーフを指す。通常、転写因子結合部位は、DNAフットプリント法、ゲル移動度シフトアッセイなどによって特定することができ、かつ/又は公知のコンセンサス配列モチーフに基づいて又は当業者に公知の別の方法によって予測することができる。
【0170】
「転写制御因子(transcriptional regulatory element)」は、単独で又は1つ以上の他の核酸配列と組み合わせて転写を活性化するポリヌクレオチド配列を指す。転写制御因子は、例えば、1つ以上のプロモーター、1つ以上の応答エレメント、1つ以上の負の調節エレメント、及び/又は1つ以上のエンハンサーを含むことができる。
【0171】
「転写ユニット」は、少なくとも第1のcA作用性プロモーター配列に作動可能に連結されかつ任意に構造遺伝子配列の効率的な転写に必要な1つ以上の他のcA-作用性核酸配列作動可能に連結された第1の構造遺伝子、及びプロモーター及び/又はエンハンサーエレメントの制御下で作動可能に配置された構造遺伝子配列の適切な組織特異的な発達転写に必要とされ得る第1の遠位調節エレメントを少なくとも含み、かつ効率的な転写及び翻訳に必要な任意の追加のcA配列(例えば、ポリアデニル化部位、mRNA安定性制御配列など)を含むポリヌクレオチド配列を指す。
【0172】
本明細書で使用される、「形質転換(transformation)」という用語は、一般に、外来性のポリヌクレオチド配列(例えば、ウイルスベクター、プラスミド、又は組換え型DNAもしくはRNA分子)を、該外来性のポリヌクレオチドが、その中で、少なくとも第1の染色体中に組み込まれるか、又は形質転換された宿主細胞内で自律複製することができる宿主細胞又はプロトプラスト中に導入するプロセスを記述することが意図される。トランスフェクション、電気穿孔法、及び「裸の(naked)」核酸取り込みは全て、宿主細胞を1つ以上のポリヌクレオチドで形質転換するのに用いられる技術の例を表す。
【0173】
本明細書で使用される、「形質転換細胞(transformed cell)」という用語は、その細胞への1つ以上の外来性のポリヌクレオチドの導入によってその核酸コンプリメント(nucleic acid complement)が変化している、宿主細胞を意味することが意図される。
【0174】
本明細書で使用される「を治療すること(treating)」又は「の治療(treatment of)」は、任意の種類の内科的な又は外科的な管理を対象に提供することを指す。治療することは、治療薬剤を含む組成物を対象に投与することを含むことができるが、これらに限定されない。「治療すること」は、疾患、障害、もしくは状態、又は疾患、障害、又は状態の1つ以上の症状又は顕在化を治癒させること、逆転させること、軽減させること、その重症度を低下させること、その進行を阻害すること、又はその可能性を低下させることなどの目的のための対象への本発明の化合物又は組成物の任意の投与や適用を含む。ある態様において、本発明の組成物は、予防的に、すなわち、そのような予防法が正当化される前記状態の任意の症状又は顕在化の発生の前に投与されてもよい。通常、そのような場合には、対象は、家族歴、病歴、又は後にそのような疾患又は障害を発症する傾向を示している1種以上の診断的もしくは予後的試験の完結のいずれかの結果として、そのような疾患又は障害を発症する「リスクがある」と診断されている者であろう。
【0175】
本明細書で使用される「ベクター(vector)」という用語は、宿主細胞内で複製することができかつ/又はそれに別の核酸セグメントを、該取り付けられたセグメントの複製をもたらすために作動的に連結することができる核酸分子(典型的には、DNAからなる)を指す。プラスミド、コスミド、又はウイルスは、例示的なベクターである。
【0176】
ある実施態様において、ハイブリダイゼーションアッセイにおいて所与の標的配列の存在を決定するにあたり標識されたポリヌクレオチドプローブを採用する場合など、本発明の1種以上の核酸セグメントを、適切な検出可能なマーカー(すなわち、「標識」)と組み合わせて採用することが有利であろう。限定するものではないが、適当なアッセイにおいて検出されることができる、例えばアビジン/ビオチンなどの蛍光、放射活性、酵素、又は他のリガンドなどの、オリゴヌクレオチドプローブを標識するための、多様な適切な指標化合物及び組成物が、当技術分野において公知である。特定の実施態様において、放射活性又は他の環境的に望ましくない試薬の代わりに、ウレアーゼ、アルカリホスファターゼ、又はペルオキシダーゼなどの、1種以上の蛍光標識又は酵素タグを採用してもよい。酵素タグの場合には、1つ以上の相補的な又は実質的に相補的な核酸配列を含有する試料との特異的ハイブリダイゼーションを特定するためにヒトの眼で、又はシンチグラフィー、蛍光定量法、分光光度法などの分析方法によって見ることができる、試料を検出するための方法を提供するのに採用することができる比色分析用、発色性、又は蛍光発生性の指標基質が公知である。2つ以上の標識されたプローブが、同時又は順次のいずれかで検出されるいわゆる「多重(multiplexing)」アッセイの場合には、第1の検出特性又はパラメーター(例えば、発光及び/又は励起スペクトルの最大)を有する第1の標識で第1のオリゴヌクレオチドプローブを標識することが望ましいであろう。これはまた、第2のオリゴヌクレオチドプローブを、前記第1の標識とは異なる(すなわち、別個の又は見分けられる)第2の検出特性又はパラメーターを有する第2の標識で標識した。特に、遺伝子の増幅/検出プロトコールの文脈での多重アッセイの使用は、分子遺伝学技術における通常の知識を有する者に周知である。
【0177】
(6.1 増殖させたTregの治療用集団を製造する方法)
本明細書で提供されるのは、特に、神経変性疾患、自己免疫疾患、及び炎症性要素を有する他の疾患を治療することに関連する使用のための、増殖させたTreg細胞集団、凍結保存されたTregの治療用集団、及び解凍されてさらなる増殖を行わずに医薬組成物中に入れられている凍結保存された増殖させたTregを含む医薬組成物の製造のための方法である。いくつかの実施態様において、前記方法は、体外での患者のTregの増殖及び操作を伴う。
【0178】
本明細書で提供されるTregの治療用集団の製造のための方法は、病理学的疾患又は状態の患者を治療するのに有用であり得る。また、本明細書で提供されるのは、本明細書に記載される方法によって製造されるTregの治療用集団及びその医薬組成物である。
【0179】
いくつかの実施態様において本明細書で提供される方法によって製造されるTregの治療用集団は、臨床応用に有利な性質を有する。例えば、一実施態様において、本明細書で提供される方法によって製造されるTregの治療用集団は、生存率、純度、又は効力の低下を伴わずに凍結保存され得る。例えば、一実施態様において、本明細書で提供される方法によって製造されるエクスビボで増殖させたTregの治療用集団は、凍結保存され得、解凍され得、かつさらなる増殖を行わずに、凍結保存前の該増殖させたTregと比較しての生存率、純度、及び効力の維持を示し得る。別の実施態様において、本明細書に記載される方法によって製造されるTregの治療用集団は、ドナー試料から濃縮されたTregよりも高い抑制性能を有するか又は健康なドナーのTregに匹敵するTregを含む。さらに別の実施態様において、本明細書に記載される方法によって製造されるTregの治療用集団は、ドナー試料から濃縮されたTregには存在しない抑制性能を有するか、又は健康なドナーのTregに匹敵するTregを含む。従って、いくつかの実施態様において、本明細書で提供されるTregの治療用集団を製造する方法は、当技術分野において公知の方法と比較して改良された方法である。
【0180】
いくつかの実施態様において、前記Tregの治療用集団を製造する方法は、(1)対象から得た細胞集団をTregに関して濃縮する工程;(2)Tregに関して濃縮された前記細胞集団のエクスビボ増殖工程、及び/又は(3)該増殖させたTregの凍結保存工程を含む。Tregを含む細胞の集団は、生体試料、例えば、末梢血試料又は胸腺組織から濃縮され得る。
【0181】
(6.1.1. Treg濃縮)
いくつかの実施態様において、本明細書で提供されるTregの治療用集団を製造する方法は、生物学的ドナー試料、例えば、末梢血試料又は胸腺組織由来のTregを濃縮する工程を含む。いくつかの実施態様において、前記Tregの治療用集団は、Tregを含有していると思われる血清試料から得られる。いくつかの実施態様において、前記Tregの治療用集団は、白血球アフェレーシスによってドナーから得られるTregを含有していると思われる細胞試料から得られる。いくつかの実施態様において、前記Tregの治療用集団は、Tregを含有していると思われる生体試料から得られる。
【0182】
いくつかの実施態様において、前記Tregの治療用集団は、ドナー対象、特に、ヒトドナー対象由来の生体試料から濃縮される。生体試料は、Tregを含有していると思われる、Tregを含有している可能性のある、又はTregを含有していることが知られている任意の試料とすることができる。そのような生体試料は、対象から直接採取されてもよく、又は分離、例えば、選択もしくは濃縮、遠心分離、洗浄、及び/又はインキュベーションなどの1つ以上の処理工程の結果として得られる試料であってもよい。生体試料としては、血液、血漿、血清、脳脊髄液、滑液などの体液、組織及び器官の試料(それら由来の処理された試料を含む)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0183】
いくつかの態様において、前記試料は、血液もしくは血液由来の試料であるか、又はアフェレーシス又は白血球アフェレーシス生成物であるかもしくはそれから誘導されたものである。例示的な試料としては、全血、末梢血単核細胞(PBMC)、白血球、骨髄、及び胸腺が挙げられる。
【0184】
いくつかの実施態様において、前記生体試料は、血液由来の試料、例えば、全血、血清、又は血漿から誘導される試料である。いくつかの実施態様において、前記生体試料は、末梢血単核細胞であるか、又はそれを含む。いくつかの実施態様において、前記生体試料は、末梢血又は血清試料である。いくつかの実施態様において、前記生体試料は、リンパ節試料である。
【0185】
いくつかの実施態様において、前記ドナー対象は、ヒト対象である。いくつかの実施態様において、前記ヒトドナーは、健康なドナーである。
【0186】
いくつかの実施態様において、前記ドナー対象は、Treg機能障害に関連する障害であると診断されているか又はそうであると疑われている。いくつかの実施態様において、前記ドナー対象は、Treg欠乏に関連する障害であると診断されているか又はそうであると疑われている。いくつかの実施態様において、前記ドナー対象は、T細胞応答によって推進される状態である診断されているか又はそうであると疑われている。
【0187】
いくつかの実施態様において、前記ドナー対象は、神経変性疾患であると診断されているか又はそうであると疑われている。いくつかの実施態様において、前記ドナー対象は、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症、ハンチントン病、又は前頭側頭型認知症であると診断されているか又はそうであると疑われている。
【0188】
いくつかの実施態様において、前記ドナー対象は、免疫系の下方制御による利益を受けるであろう障害であると診断されているか又はそうであると疑われている。
【0189】
いくつかの実施態様において、前記ドナー対象は、自己免疫疾患であると診断されているか又はそうであると疑われている。該自己免疫疾患は、例えば、全身性硬化症(強皮症)、多発性筋炎、潰瘍性大腸炎、炎症性腸疾患、クローン病、セリアック病、多発性硬化症(MS)、関節リウマチ(RA)、I型糖尿病、乾癬、皮膚筋炎、全身性エリテマトーデス、皮膚ループス、重症筋無力症、自己免疫性腎症、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性血球減少、自己免疫性肝炎、自己免疫性ブドウ膜炎、脱毛症、甲状腺炎、又は天疱瘡(pemhigus)であり得る。
【0190】
いくつかの実施態様において、前記ドナー対象は、心不全又は虚血性心筋症と診断されているか又はそうであると疑われている。いくつかの実施態様において、前記ドナー対象は、例えば、臓器移植(腎移植又は肝移植など)を受けた後の、又は幹細胞移植(造血幹細胞移植など)を受けた後の移植片対宿主病であると診断されているか又はそうであると疑われている。
【0191】
いくつかの実施態様において、前記ドナー対象は、神経炎症であると診断されているか又はそうであると疑われている。神経炎症は、例えば、卒中、急性播種性脳炎、急性視神経炎、横断性脊髄炎、視神経脊髄炎、てんかん、外傷性脳損傷、脊髄損傷、脳炎、中枢神経系(CNS)血管炎、神経サルコイドーシス、自己免疫性もしくは感染後脳炎、又は慢性髄膜炎と関連していることがある。
【0192】
いくつかの実施態様において、前記ドナー対象は、慢性炎症性脱髄性多発神経根筋障害(CIDP)であると診断されているか又はそうであると疑われている。いくつかの実施態様において、前記ドナー対象は、急性炎症性脱髄性多発性ニューロパチー(AIDP)であると診断されているか又はそうであると疑われている。いくつかの実施態様において、前記ドナー対象は、ギラン・バレー症候群症候群(GBS)であると診断されているか又はそうであると疑われている。
【0193】
いくつかの実施態様において、前記ドナー対象は、心臓の炎症、例えば、心筋梗塞、虚血性心筋症、心不全に伴う心臓の炎症であると診断されているか又はそうであると疑われている。
【0194】
いくつかの実施態様において、前記ドナー対象は、卒中を患ったことがある。
【0195】
いくつかの実施態様において、前記ドナー対象は、がん、例えば、血液がんであると診断されているか又はそうであると疑われている。
【0196】
いくつかの実施態様において、前記ドナー対象は、喘息であると診断されているか又はそうであると疑われている。
【0197】
いくつかの実施態様において、前記ドナー対象は、湿疹であると診断されているか又はそうであると疑われている。
【0198】
いくつかの実施態様において、前記ドナー対象は、免疫系の過剰活性化に関連する障害であると診断されているか又はそうであると疑われている。
【0199】
いくつかの実施態様において、前記ドナー対象は、Treg症であると診断されているか又はそうであると疑われている。該Treg症は、FOXP3、CD25、細胞傷害性Tリンパ球関連抗原4(CTLA4)、LPS反応性ベージュ様アンカータンパク質(LRBA)、又はBTBドメイン及びCNCホモログ2(BACH2)遺伝子機能喪失型変異、又はシグナル伝達兼転写活性化因子3(STAT3)機能獲得型変異によって引き起こされ得る。
【0200】
そのような生物学的ドナー試料由来のTregを含有していると思われている、含有している可能性のある、又は含有することが知られている細胞の集団を得る方法は、当技術分野において公知である。例えば、リンパ球は、白血球アフェレーシスによって末梢血試料から得ることができよう。いくつかの実施態様において、Tregは、リンパ球の集団から濃縮される。いくつかの実施態様において、度重なる末梢血試料が、Tregを製造するためにドナーからとられる。いくつかの実施態様において、末梢血試料が2回以上、ドナーからとられる。いくつかの実施態様において、不十分なTregが、ドナー試料から、25日間増殖させた後に得られ、後続の試料がとられる。いくつかの実施態様において、前記ドナー試料は、濃縮プロセスの期間内に、減容(例えば、セクション8.5.3に記載の方法などの本明細書に記載される方法による減容)を受ける。
【0201】
いくつかの実施態様において、2名以上のドナー由来の生体試料(例えば、白血球アフェレーシス試料)が、濃縮プロセス前にプールされ、同種異系のTregの集団が作製される。いくつかの実施態様において、生体試料(例えば、2、3、4、又は5名のドナー由来の白血球アフェレーシス試料)が、プールされる。
【0202】
Tregは、当技術分野において公知であるか又は本明細書に記載される任意の方法(例えば、セクション8に記載の方法)によって生体試料から濃縮され得る。いくつかの実施態様において、Tregは、磁気ビーズ分離(例えば、CliniMACS配管セットLS(162-01)又はCliniMACS(登録商標)Plus装置)、蛍光細胞選別、及び使い捨ての閉鎖カートリッジベースの細胞選別機を用いて試料から濃縮される。
【0203】
1つ以上のマーカーを発現している細胞に関する濃縮とは、細胞の集団におけるそのような細胞の数又は百分率を増加させることを指すが、必ずしも、該マーカーを発現していない細胞の完全な非存在をもたらすものではない。1つ以上のマーカーを発現している細胞の枯渇は、細胞の集団におけるそのような細胞の数又は百分率を低減させることを指すが、必ずしも、そのようなマーカー(単数)又はマーカー(複数)を発現している全ての細胞の完全な除去をもたらすものではない。
【0204】
いくつかの実施態様において、濃縮は、1つ以上のマーカー(例えば、Treg細胞表面マーカー)を発現している細胞の親和性又は免疫親和性ベースの分離の工程を含む。そのような分離工程は、該1つ以上のマーカーを発現している細胞が維持される陽性選択に基づくもの、及び/又は1つ以上のマーカーを発現していない細胞が維持される陰性選択(枯渇)に基づくものとすることができる。
【0205】
分離は、1つ以上のマーカー(例えば、Treg細胞表面マーカー)の発現(例えば、陽性もしくは陰性発現)又は発現レベル(例えば、高もしくは低発現)に基づくものであってもよい。この文脈において、「高発現(high expression)」及び「低発現(low expression)」は、一般に、細胞の集団全体と比較してのものである。いくつかの実施態様において、細胞の分離は、CD8発現に基づくものであってもよい。いくつかの実施態様において、細胞の分離は、CD19発現に基づくものであってもよい。いくつかの実施態様において、細胞の分離は、高いCD25発現に基づくものであってもよい。
【0206】
従って、いくつかの実施態様において、Tregの濃縮は、あるマーカー(例えば、Treg細胞表面マーカー)に特異的に結合する抗体又は結合パートナーとのインキュベーション、並びに、一般に、それに続く洗浄工程及び該抗体又は結合パートナーに結合している細胞の該抗体又は結合パートナーに結合していない細胞からの分離を含み得る。
【0207】
いくつかの実施態様において、前記抗体又は結合パートナーは、球又はビーズ、例えば、ナノ粒子、マイクロビーズ、ナノビーズ(アガロース、磁気ビーズ、又は常磁性ビーズなど)などの固体の支持体又はマトリックスに結合している。いくつかの実施態様において、前記球又はビーズをカラム内に充填してイムノアフィニティークロマトグラフィーを実施することができる。いくつかの実施態様において、前記抗体又は結合パートナーは、検出できるように標識化される。いくつかの実施態様において、前記抗体又は結合パートナーは、ナノ粒子又は常磁性ビーズなどの小型の磁気的に反応性の粒子又は微粒子に取り付けられる。そのようなビーズは公知であり、市販されている(例えば、Dynabeads(登録商標)(Life Technology、Carlsbad、CA)、MACS(登録商標)ビーズ(Miltenyi Biotec、San Diego、CA)、又はStreptamer(登録商標)ビーズ試薬(IBA、ドイツ))。そのような粒子又は微粒子は、濃縮されるべき細胞の集団とインキュベーションされ、次いで、磁場の中に入れられ得る。これにより、磁石に引き寄せられており非結合の細胞から分離されている抗体又は結合パートナーを介して粒子又は微粒子に付着した細胞がもたらされる。この方法は、磁石に付着した細胞の維持(陽性選択)又は磁石に引き寄せられた細胞の除去(陰性選択)を可能とする。
【0208】
いくつかの実施態様において、本明細書で提供されるTregの治療用集団を製造する方法は、濃縮工程の期間内に陽性及び陰性選択の双方を含む。
【0209】
いくつかの実施態様において、前記生体試料は、前記濃縮する工程の開始から約25~35分、約35~45分、約45~60分、約60~75分、約75~90分、約90~120分、約120~150分、約150~180分、約2~3時間、約3~4時間、約4~5時間、又は約5~6時間以内に得られる。いくつかの実施態様において、前記試料は、前記濃縮する工程の開始から約30分以内に得られる。いくつかの実施態様において、前記生体試料は、1晩保管(例えば、4℃で保管)されない。
【0210】
いくつかの実施態様において、ヒト試料由来のTregの濃縮は、該試料からCD8+細胞を枯渇させることを含む。いくつかの実施態様において、ヒト試料由来のTregの濃縮は、試料からCD19+細胞を枯渇させることを含む。いくつかの実施態様において、生体試料由来のTregの濃縮は、該試料からCD8+細胞及びCD19+細胞を枯渇させることを含む。いくつかの実施態様において、生体試料由来のTregの濃縮は、前記細胞集団をCD25high細胞に関して濃縮することを含む。いくつかの実施態様において、生体試料由来のTregの濃縮は、該試料からのCD8+細胞及びCD19+細胞の枯渇、及び前記細胞集団をCD25high細胞に関して濃縮することを含む。
【0211】
いくつかの実施態様において、前記Tregに関して濃縮された細胞の集団は、フローサイトメトリーによって決定される濃縮前の該Treg中のCD4+CD25high Tregの割合と比較して増加した割合のCD4+CD25high Tregを含む。具体的な実施態様において、CD4+CD25high Tregの割合は、約2倍~約4倍、約4倍~約6倍、約6倍~約8倍、約8倍~約10倍、約10倍~約15倍、約15倍~約20倍、約20倍~約25倍、約25倍~約30倍、約30倍~約35倍、約35倍~約40倍、約40倍~約45倍、約45倍~約50倍増加している。
【0212】
いくつかの実施態様において、前記Tregに関して濃縮された細胞の集団は、フローサイトメトリーによって決定される濃縮前の該Treg中のCD4+CD25highCD127low Tregの割合と比較して増加した割合の CD4+CD25highCD127low Tregを含む。具体的な実施態様において、CD4+CD25highCD127low Tregの割合は、約2倍~約4倍、約4倍~約6倍、約6倍~約8倍、約8倍~約10倍、約10倍~約15倍、約15倍~約20倍、約20倍~約25倍、約25倍~約30倍、約30倍~約35倍、約35倍~約40倍、約40倍~約45倍、約45倍~約50倍増加している。
【0213】
いくつかの実施態様において、前記Tregに関して濃縮された細胞の集団は、CD25+ Tregを含み、ここで、フローサイトメトリーによって決定される、該TregにおけるCD25の発現は、濃縮前の該TregにおけるCD25の発現と比較して増加している。具体的な実施態様において、前記CD25の発現は、少なくとも約5倍、少なくとも約10倍、少なくとも約15倍、少なくとも約20倍、少なくとも約25倍、少なくとも約30倍、少なくとも約35倍、少なくとも約40倍、少なくとも約45倍、又は少なくとも約50倍増加している。
【0214】
いくつかの実施態様において、前記Tregに関して濃縮された細胞の集団は、CD127+ Tregを含み、ここで、フローサイトメトリーによって決定される、該TregにおけるCD127の発現は、濃縮前の該TregにおけるCD127の発現と比較して増加している。具体的な実施態様において、前記CD127の発現は、少なくとも約1.5倍、少なくとも約2倍、少なくとも約2.5倍、又は少なくとも約3倍増加している。
【0215】
いくつかの実施態様において、フローサイトメトリーによって決定される、前記濃縮されたTregの集団中のTregの粒度は、濃縮前の該Tregの粒度と比較して増加している。具体的な実施態様において、前記Tregの粒度は、少なくとも約1.5倍、少なくとも約2倍、少なくとも約2.5倍、又は少なくとも約3倍増加している。
【0216】
いくつかの実施態様において、フローサイトメトリーによって決定される、前記濃縮されたTregの集団中のTregのサイズは、濃縮前の該Tregのサイズと比較して増加している。具体的な実施態様において、前記Tregのサイズは、少なくとも約1.2倍、少なくとも約1.5倍、又は少なくとも約2倍増加している。
【0217】
(6.1.2. エクスビボでTregを増殖させる方法)
別の態様において、本明細書で提供される方法は、生体試料から濃縮された前記Tregの治療用集団を増殖させる工程を含む。このTregの治療用集団の増殖は、培地中で、例えば、無血清培地(例えば、TexMACS培地)中で生体試料から濃縮された細胞を培養することを含み得る。いくつかの実施態様において、生体試料から濃縮された前記細胞は、約37℃及び約5% CO2で培養される。いくつかの実施態様において、生体試料から濃縮された前記細胞は、適正製造規範(good manufacturing practice; GMP)条件下で培養される。いくつかの実施態様において、前記生体試料から濃縮された細胞は、閉鎖系で培養され得る。
【0218】
いくつかの実施態様において、前記Tregの治療用集団の増殖は、生体試料からの濃縮から25~35分以内、20~40分以内、15~45分以内、又は10~50分以内に開始される。いくつかの実施態様において、前記Tregの治療用集団の増殖は、生体試料からの濃縮から約30分以内に開始される。
【0219】
Tregは、1種以上の増殖剤の存在下で前記細胞を培養することによってエクスビボで増殖させ得る。いくつかの実施態様において、前記増殖剤は、IL-2である。前記培養培地中のIL-2の適切な濃度は、本技術分野において通常の知識を有する者によって決定することができる。いくつかの実施態様において、前記細胞培養培地中のIL-2の濃度は、約5~10IU/mL、約10~20IU/mL、約20~30IU/mL、約30~40IU/mL、約40~50IU/mL、約50~100IU/mL、約100~200IU/mL、約200~300IU/mL、約300~400IU/mL、約400~500IU/mL、約500~600IU/mL、約600~700IU/mL、約700~800IU/mL、約800~900IU/mL、約900~1000IU/mL、約1000~1500IU/mL、約1500~2000IU/mL、約2000~2500IU/mL、約2500~3000IU/mL、約3000~3500IU/mL、約3500~4000IU/mL、約4000~4500IU/mL、約4500~5000IU/mL、約5000~6000IU/mL、約6000~7000IU/mL、約7000~8000IU/mL、約8000~9000IU/mL、又は約9000~10,000IU/mLである。具体的な実施態様において、前記細胞培養培地中のIL-2の濃度は、500IU/mLである。
【0220】
いくつかの実施態様において、前記増殖剤は、CD3を活性化し、例えば、該増殖剤は、抗CD3抗体である。いくつかの実施態様において、前記増殖剤は、CD28を活性化し、例えば、該増殖剤は、抗CD28抗体である。
【0221】
いくつかの実施態様において、前記増殖剤は、可溶性抗CD3抗体である。特定の実施態様において、前記抗CD3抗体は、OKT3である。いくつかの実施態様において、前記培養培地中の可溶性抗CD3抗体の濃度は、約0.1~0.2ng/mL、約0.2~0.3ng/mL、約0.3~0.4ng/mL、約0.4~0.5ng/mL、約0.5~1ng/mL、約1~5ng/mL、約5~10ng/mL、約10~15ng/mL、約15~20ng/mL、約20~25ng/mL、約25~30ng/mL、約30~35ng/mL、約35~40ng/mL、約40~45ng/mL、約45~50ng/mL、約50~60ng/mL、約60~70ng/mL、約70~80ng/mL、約80~90ng/mL、又は約90~100ng/mLである。
【0222】
いくつかの実施態様において、前記増殖剤は、可溶性抗CD28抗体である。抗CD28抗体の非限定的な例としては、NA/LE(例えば、BD Pharmingen)、IM1376(例えば、Beckman Coulter)、又は15E8(例えば、Miltenyi Biotec)が挙げられる。いくつかの実施態様において、前記培養培地中の可溶性抗CD28抗体の濃度は、約1~2ng/mL、約2~3ng/mL、約3~4ng/mL、約4~5ng/mL、約5~10ng/mL、約10~15ng/mL、約15~20ng/mL、約20~25ng/mL、約25~30ng/mL、約30~35ng/mL、約35~40ng/mL、約40~45ng/mL、約45~50ng/mL、約50~60ng/mL、約60~70ng/mL、約70~80ng/mL、約80~90ng/mL、約90~100ng/mL、約100~200ng/mL、約200~300ng/mL、約300~400ng/mL、約400~500ng/mL、500~600ng/mL、600~700ng/mL、約700~800ng/mL、約800~900ng/mL、又は約900~1000ng/mLである。
【0223】
いくつかの実施態様において、抗CD3抗体及び抗CD28抗体の双方が、前記細胞培養培地中に存在する。いくつかの実施態様において、前記抗CD3抗体及び該抗CD28抗体は、固体表面に取り付けられている。いくつかの実施態様において、該抗CD3抗体及び該抗CD28抗体は、ビーズに取り付けられている。いくつかの実施態様において、CD28抗体、抗ビオチン抗体及びCD3-ビオチンを載せたビーズ(例えば、3.5μmの粒子)が、前記細胞培養培地中に存在する。そのようなそのようなビーズは、商業的に入手できる(例えば、MACS GMP ExpAct Tregキット、DYNABEADS(登録商標) M-450 CD3/CD28 T Cell Expander)。具体的な実施態様において、前記ビーズ上の抗CD3抗体と抗CD28抗体との比は、約100:1、90:1、80:1、70:1、60:1、50:1、40:1、30:1、20:1、10:1、9:1、8:1、7:1、6:1、5:1、4:1、3:1、2:1、1:1、1:2、1:3、1:4、1:5、1:6、1:7、1:8、1:9、1:10、1:20、1:30、1:40、1:50、1:60、1:70、1:80、1:90、又は1:100である。いくつかの実施態様において、前記Tregの集団は、IL-2並びにCD28抗体、抗ビオチン抗体、及びCD3-ビオチンを載せたビーズ双方の存在下で培養される。いくつかの実施態様において、前記抗CD3及び抗CD28抗体で被覆されたビーズは、培養を開始してから約4~5日以内に前記培養物に初めて添加される。いくつかの実施態様において、前記抗CD3及び抗CD28抗体で被覆されたビーズは、前記抗CD3及び抗CD28抗体で被覆されたビーズが前記培養培地に初めて添加されてから約14日後に、前記培養培地に再度添加される。具体的な実施態様において、前記培養物中のビーズと細胞との比は、10:1、9:1、8:1、7:1、6:1、5:1、4:1、3:1、2:1、又は1:1である。
【0224】
前記増殖剤(複数可)は、1、2、3、4、又は5日毎に前記培養培地に添加され得る。具体的な実施態様において、前記増殖剤は、2~3日毎に前記培養培地に添加される。別の具体的な実施態様において、前記増殖剤は、第6日、第8日、及び第11日に前記培養培地に添加され、ここで、第0日は、前記生体試料を前記対象から得る日である。いくつかの具体的な実施態様において、前記増殖剤は、第13日に前記培養培地に添加されず、ここで、第0日は、前記生体試料を前記対象から得る日である。
【0225】
いくつかの実施態様において、前記1種以上の増殖剤は、培養を開始してから約16~18時間以内、18~24時間以内、24~36時間以内、36~48時間以内、約24時間以内、約24時間以内、約3日以内、約4日以内、約5日以内、約6日以内、又は約7日以内に前記培養物に初めて添加される。いくつかの実施態様において、前記1種以上の増殖剤は、培養を開始してから約4~5日以内に前記培養物に初めて添加される。いくつかの実施態様において、前記1種以上の増殖剤は、前記増殖剤が前記培養培地に初めて添加されてから約14日後に、前記培養培地に再度添加される。
【0226】
増殖剤を、所与の日に前記培養物に添加しない場合、その日は、「休薬日」とみなされる。いくつかの実施態様において、前記Tregの治療用集団が回収される日の前日は、増殖剤は投与されない。いくつかの実施態様において、前記Tregの治療用集団が回収される日の前2日間、3日間、4日間、5日間、又は6日間は、増殖剤は投与されない。
【0227】
いくつかの実施態様において、哺乳類ラパマイシン標的タンパク質(mTor)を阻害する1種以上の薬剤の存在下で細胞を培養することによって、前記Tregの治療用集団をエクスビボで増殖させ得る。いくつかの実施態様において、前記mTor阻害剤は、ラパマイシンである。いくつかの実施態様において、前記mTor阻害剤は、ラパマイシンの類似体(「ラパログ(rapalog)」、例えば、テムシロリムス、エベロリムス、又はリダフォロリムス)である。いくつかの実施態様において、前記mTor阻害剤は、ICSN3250、OSU-53、又はAZD8055である。いくつかの実施態様において、前記細胞培養培地中のラパマイシンの濃度は、約1~20nmol/L、約20~30nmol/L、約30~40nmol/L、約40~50nmol/L、約50~60nmol/L、約60~70nmol/L、約70~80nmol/L、約80~90nmol/L、約90~100nmol/L、約100~150nmol/L、約150~200nmol/L、約200~250nmol/L、約250~300nmol/L、約300~350nmol/L、約350~400nmol/L、約400~450nmol/L、約450~500nmol/L、約500~600nmol/L、約600~700nmol/L、約700~800nmol/L、約800~900nmo/L、又は約900~1000nmol/Lである。いくつかの実施態様において、前記細胞培養培地中のラパマイシンの濃度は、約100nmol/Lである。
【0228】
いくつかの実施態様において、前記mTor阻害剤は、培養を開始してから約16~18時間以内、18~24時間以内、24~36時間以内、36~48時間以内、約2日、約3日、約4日、約5日、約6日、又は約7日以内に、前記培養物に初めて添加される。いくつかの実施態様において、前記mTor阻害剤は、約2~3日毎に前記培養培地に添加される。
【0229】
前記Tregの治療用集団は、これらを適切な期間培養することによって増殖させ得る。治療的応用に十分に増殖したTregの治療用集団をもたらす増殖に必要とされる時間は、本技術分野において通常の知識を有する者によって、例えば、フローサイトメトリーを用いてCD4+CD25+細胞の割合をモニタリングすることによって容易に決定され得る。
【0230】
例えば、いくつかの実施態様において、十分に増殖したTregの治療用集団は、フローサイトメトリーによって決定して、70%超のCD4+CD25+細胞を含有する細胞の集団である。いくつかの実施態様において、十分に増殖したTregの治療用集団は、フローサイトメトリーによって決定して、該Tregの治療用集団の予定されるレシピエントの体重1kgあたり約1×106~約2×106、約2×106~約3×106、約3×106~約4×106、約4×106~約5×106、約5×106~約6×106、約6×106~約7×106、約7×106~約8×106、約8×106~約9×106、約9×106~約1×107、約1×107~約2×107、約2×107~約3×107、約3×107~約4×107、約4×107~約5×107、約5×107~約6×107、約6×107~約7×107、約7×107~約8×107、約8×107~約9×107、約9×107~約1×108、約1×108~約2×108、約2×108~約3×108、約3×108~約4×108、約4×108~約5×108、約5×108~約6×108、約6×108~約7×108、約7×108~約8×108、約8×108~約9×108、約9×108~約1×109個のCD4+CD25+細胞を含有する集団である。いくつかの実施態様において、十分に増殖したTregの治療用集団は、フローサイトメトリーによって決定して、該Tregの治療用集団の予定されるレシピエントの体重1kgあたり1×106個のCD4+CD25+細胞(+/-10%)を含有する集団である。いくつかの実施態様において、十分に増殖したTregの治療用集団は、フローサイトメトリーによって決定して、約70%の又は約70%を超えるCD4+CD25+細胞を含有し、かつ該Tregの治療用集団の予定されるレシピエントの体重1kgあたり1×106個のCD4+CD25+細胞(+/-10%)を含有する細胞の集団である。
【0231】
前記Tregの治療用集団の予定されるレシピエントは、Tregを濃縮した生体試料のドナーと同一の対象であってもよい。
【0232】
CD4+CD25+細胞の数は、毎日、又は2、3、4、又は5日毎に決定され得る。前記培養物が、第15日(ここで、第0日は、前記生体試料を前記対象から得る日である)に十分に増殖したTregの治療用集団を含有しない場合、該細胞を、1種以上の増殖剤で再活性化してもよい。前記培養物が、第15日(ここで、第0日は、前記生体試料を前記対象から得る日である)に十分に増殖したTregの治療用集団を含有している場合、該細胞を回収してもよい。
【0233】
いくつかの実施態様において、約6~30日間、約10~30日間、約15~25日間、又は約18~22日間培養することによって、Tregの治療用集団を増殖させる。いくつかの実施態様において、約15、16、18、18、19、20、21、22、23、24、又は25日間培養することによって、Tregの治療用集団を増殖させる。ある実施態様、例えば、自動化、部分的な自動化、又は少なくとも1つの自動化工程を含む実施態様において、約6~15日間、約8~15日間、約8~12日間、又は約6、7、8、9、10、11、もしくは12日間培養することによって、Tregの治療用集団を増殖させる。
【0234】
培養で増殖させている細胞の生存率を、当技術分野において公知の任意の方法を用いて決定し得る。例えば、培養で増殖させている細胞の生存率は、トリパンブルー排除を用いて決定され得る。トリパンブルーは、インタクトな膜を有する細胞(生細胞)によって排除されるが、膜の完全性が損なわれている細胞(非生細胞)によって取り込まれる色素である。従って、生細胞が、光学顕微鏡下で透明に見え、その一方で、非生細胞は、青色に見える。等量のトリパンブルー及び細胞懸濁液が混合され、計数される。生存率は、トリパンブルーを排除した細胞の百分率として表される。いくつかの実施態様において、Tregの治療用集団は、トリパンブルー排除によって決定して、約60%、65%、又は70%の生細胞を含む。いくつかの実施態様において、Tregの治療用集団は、トリパンブルー排除によって決定して、約70%超の生細胞を含む。例えば、ある実施態様において、Tregの治療用集団は、トリパンブルー排除によって決定して、約75%、80%、85%、90%、95%、又は95%超の生細胞を含む。いくつかの実施態様において、培養で増殖させている細胞の生存率は、2~3日毎に決定される。いくつかの実施態様において、培養で増殖させている細胞の生存率は、毎日又は2、3、4、もしくは5日毎に決定される。
【0235】
いくつかの実施態様において、前記細胞は、インキュベーション又は培養の間に存在する薬剤を除去するためかつ/又は培養培地に1種以上の追加の薬剤を補充するために、培養の間に1回以上洗浄される。いくつかの実施態様において、前記細胞は、前記増殖剤を減少させる又は除去するためにインキュベーション又は培養の間に洗浄される。前記培養培地を、およそ2、3、4、5、6、又は7日毎、例えば、2~3日毎に置き換えてもよい。いくつかの実施態様において、前記培養培地の一部のみ(例えば、前記培養培地の約50%)が、置き換えられる。別の実施態様において、前記培養培地全体が置き換えられる。いくつかの実施態様において、前記細胞培養物は、培養培地の交換の期間内に遠心分離されない。いくつかの実施態様において、前記細胞培養物は、回収の期間内に遠心分離されない。
【0236】
前記Tregの治療用集団は、当技術分野において公知の任意の手段で、例えば、遠心分離によって回収し得る。いくつかの実施態様において、前記Tregの治療用集団は、第15日に回収され、ここで、第0日は、前記生体試料を前記対象から得る日である。いくつかの実施態様において、前記Tregの治療用集団は、第19日に回収され、ここで、第0日は、前記生体試料を前記対象から得る日である。いくつかの実施態様において、前記Tregの治療用集団は、第20日に回収され、ここで、第0日は、前記生体試料を前記対象から得る日である。いくつかの実施態様において、前記Tregの治療用集団は、第25日に回収され、ここで、第0日は、前記生体試料を前記対象から得る日である。いくつかの実施態様において、前記Tregの治療用集団は、第16日、第17日、又は第18日に回収され、ここで、第0日は、前記生体試料を前記対象から得る日である。いくつかの実施態様において、前記Tregの治療用集団は、第21日、第22日、第23日、又は第24日に回収され、ここで、第0日は、前記生体試料を前記対象から得る日である。
【0237】
いくつかの態様において、前記Tregの集団は、凍結保存前の前記方法の任意の時点で、遺伝子操作を受けている。いくつかの実施態様において、前記Tregの集団は、凍結保存前の任意の時点で2回以上遺伝子操作を受けている。いくつかの実施態様において、前記操作は、前記Treg中への導入遺伝子の導入又は前記Treg中へのmRNAの導入を含み得る。いくつかの実施態様において、前記遺伝子操作は、CRISPR-Cas9による遺伝子編集も含む。いくつかの実施態様において、前記遺伝子操作は、siRNA又はアンチセンスオリゴヌクレオチドによる遺伝子発現の低減を含む。いくつかの実施態様において、前記遺伝子操作は、同種異系状況での本明細書で提供されるTregの治療用集団の使用を可能にし得る。いくつかの実施態様において、前記遺伝子操作は、前記Treg中へキメラ抗原受容体(CAR)を導入する。
【0238】
(6.2 Tregを凍結保存し解凍する方法)
別の態様において、本明細書で提供されるのは、本明細書に記載される特徴を有する凍結保存されたTregの集団である。凍結保存されたTregの治療用集団は、本明細書に記載される方法によって製造され得る。解凍されておりかつ対象、例えば、ヒト対象への投与に適した製剤中に存在する、凍結保存されたTregの治療用集団を含む医薬組成物も本明細書で開示される。ある実施態様において、前記製剤は、医薬として許容し得る担体、例えば、生理食塩水を含む。ある実施態様において、前記製剤は、ヒト血清アルブミンを含む。別の実施態様において、前記製剤は、生理食塩水及びヒト血清アルブミンを含む。
【0239】
いくつかの実施態様において、Tregの治療用集団は、増殖後に凍結保存される。該Tregの治療用集団は、当技術分野において公知の任意の適当な培地中で凍結保存されてもよい。凍結保存に適した培地の例としては、例えば、CryoStor(登録商標)CS10が挙げられる。いくつかの実施態様において、Tregの治療用集団は、凍結保護剤を含む組成物中、例えば、DMSOを含む組成物(例えば、10% DMSO)中で凍結される。いくつかの実施態様において、前記Tregの治療用集団は、グリセロールを含む中で凍結される。いくつかの実施態様において、前記凍結保護剤は、DMSO及び/又はグリセロールであるか、又はDMSO及び/又はグリセロールを含む。
【0240】
いくつかの実施態様において、Tregの治療用集団は、およそ-200℃~-190℃、およそ-180~-140℃、又はおよそ-90~-70℃で保管され得る。いくつかの実施態様において、Tregの治療用集団は、およそ-196℃で保管され得る。いくつかの実施態様において、Tregの治療用集団は、およそ-80℃で保管され得る。いくつかの実施態様において、Tregの治療用集団は、液体窒素蒸気相中で保管され得る。いくつかの実施態様において、Tregの治療用集団は、凍結二酸化炭素(ドライアイス)上で保管され得る。
【0241】
別の態様において、凍結保存されたTregの治療用集団は、第1の温度で、ある期間、例えば、長期間、例えば、約1か月、約3か月、約6か月、約9か月、約12か月、約18か月、又は約24か月保管され、それに続き、第2の温度で、より短い期間(例えば、約6時間、約12時間、約24時間、約36時間、又は約48時間)保管され得る。別の態様において、凍結保存されたTregの治療用集団は、第1の温度である期間、例えば、約6時間、約12時間、約24時間、約36時間、又は約48時間保管され、それに続き、第2の温度でより長い期間、例えば、約1か月、約3か月、約6か月、約9か月、約12か月、約18か月、又は約24か月保管され得る。いくつかの実施態様において、前記第1の温度は、前記第2の温度よりも低い。いくつかの実施態様において、前記第1の温度は、およそ-200℃~-190℃、およそ-180~-140℃、およそ-90~-70℃、およそ-196℃、又はおよそ-80℃である。いくつかの実施態様において、前記第2の温度は、およそ-80℃又はおよそ-20℃である。
【0242】
いくつかの実施態様において、Tregの治療用集団は、およそ-196℃で、約1か月、約3か月、約6か月、約9か月、約12か月、約18か月、又は約24か月保管され、それに続き、凍結二酸化炭素上で約6時間、約12時間、約24時間、約36時間、又は約48時間保管される。いくつかの実施態様において、Tregの治療用集団は、液体窒素蒸気相中で約1か月、約3か月、約6か月、約9か月、約12か月、約18か月、又は約24か月保管され、それに続き、凍結二酸化炭素上で約6時間、約12時間、約24時間、約36時間、又は約48時間保管される。
【0243】
いくつかの実施態様において、前記Tregの治療用集団は、高いTreg密度で凍結保存される。具体的な実施態様において、前記Tregの治療用集団は、該Tregの予定されるレシピエントの体重1kgあたり1×106個の細胞(+/-10%)の濃度で凍結保存される。前記Tregの予定されるレシピエントは、Tregを含有する始めの生体試料を得た対象(前記ドナー)と同一の個体であっても異なる個体であってもよい。いくつかの実施態様において、前記凍結保存されたTregの治療用集団は、1mlあたり1千万、少なくとも2千万、少なくとも25 百万、少なくとも3千万、少なくとも3千5百万、少なくとも4千万、少なくとも4千5百万、少なくとも5千万、少なくとも5千5百万、少なくとも6千万、少なくとも6千5百万、少なくとも7千万、少なくとも7千5百万、少なくとも8千万、少なくとも8千5百万、少なくとも9千万、少なくとも9千5百万、又は少なくとも1億個の細胞の密度で保管される。
【0244】
いくつかの実施態様において、前記Tregの治療用集団は、クライオバイアル中で凍結保存される。いくつかの実施態様において、前記Tregの治療用集団は、約0.5mL~1mL、約1mL~1.5mL、又は約1.5mL~2mL、約2~5mL、約5~10mL、又は約15~20mLの体積で、クライオバイアル中で凍結される。いくつかの実施態様において、前記Tregの治療用集団は、約1.0mL、約1.1mL、約1.2mL、約1.3mL、約1.4mL、約1.5mL、約1.6mL、約1.7mL、約1.8mL、約1.8mL、約1.9mL、又は約2.0mLの体積で、クライオバイアル中で凍結される。
【0245】
いくつかの実施態様において、前記Tregの治療用集団は、凍結保存バッグ、例えば、ガス透過性バッグ中で凍結される。いくつかの実施態様において、前記Tregの治療用集団は、約1~2mL、約2~5mL、約5~10mL、約10~15mL、又は約15~20mLの体積で凍結保存バッグ中で凍結される。いくつかの実施態様において、前記Tregの治療用集団は、約1mL、約2mL、約5mL、約10mL、又は約20mLの体積で、凍結保存バッグ中で凍結される。
【0246】
いくつかの実施態様において、凍結保存は、以下の増分:4℃まで1℃/分、-40℃まで25℃/分、-12℃まで10℃/分、-40℃まで1℃/分、及び-80℃~-90℃まで10℃/分で、前記Tregの治療用集団の温度を低下させることを含む。
【0247】
前記凍結保存されたTregの治療用集団は、例えば、凍結保存から約1日、約2日、約3日、約4日、約5日、約6日、約1週間、約1~2週間、約2~4週間、約1か月、約1~2か月、約2~3か月、約3~6か月、約6~9か月、約9~12か月、約12~15か月、約15~18か月、約18~24か月、約1~2年、約2~3年、約3~4年、又は約4~5年後に解凍され得る。いくつかの実施態様において、前記凍結保存されたTregの治療用集団は、例えば、凍結保存から約1週間、1か月、約3か月、約6か月、約9か月、約12か月、又は約18か月後に解凍され得る。
【0248】
いくつかの実施態様において、前記凍結保存されたTregの治療用集団は、例えば、トリパンブルー排除によって決定して、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%又は95%超の該Tregの生存率をもたらす方法を用いて解凍される。
【0249】
いくつかの実施態様において、前記凍結保存されたTregの治療用集団は、解凍され、0.9%塩化ナトリウムを含む溶液中に希釈される。いくつかの実施態様において、前記凍結保存されたTregの治療用集団は、解凍され、0.9%塩化ナトリウム及び約5%ヒト血清アルブミンを含む溶液中に希釈される。いくつかの実施態様において、前記凍結保存されたTregの治療用集団は、解凍され、溶液中に希釈され、ここで、得られた溶液は、0.9%塩化ナトリウムを含む。いくつかの実施態様において、前記凍結保存されたTregの治療用集団は、解凍され、溶液中に希釈され、ここで、得られた溶液は、0.9%塩化ナトリウム及び約5%ヒト血清アルブミンを含む。ある実施態様において、前記凍結保存されたTregの治療用集団は、解凍され、かつさらなる増殖を行わずに、本明細書に記載される溶液中に入れられる。
【0250】
いくつかの実施態様において、前記凍結保存されたTregの治療用集団は、解凍され、0.9%塩化ナトリウム及び約5%ヒト血清アルブミンを含む50mLの溶液中に希釈される。いくつかの実施態様において、前記凍結保存されたTregの治療用集団は、解凍され、溶液中に希釈され、ここで、得られた溶液は、0.9%塩化ナトリウム及び約5%ヒト血清アルブミンを含む50mLの溶液である。ある実施態様において、前記凍結保存されたTregの治療用集団は、解凍され、かつさらなる増殖を行わずに、本明細書に記載される溶液中に入れられる。
【0251】
いくつかの実施態様において、前記凍結保存されたTregの治療用集団が入ったクライオバイアルが1つ解凍され、0.9%塩化ナトリウム及び約5%ヒト血清アルブミンを含む50mLの溶液中に入れられる。いくつかの実施態様において、前記凍結保存されたTregの治療用集団が入ったクライオバイアルが1つ解凍され、溶液中に入れられ、ここで、得られる溶液は、0.9%塩化ナトリウム及び約5%ヒト血清アルブミンを含む50mLの溶液である。ある実施態様において、前記凍結保存されたTregの治療用集団は、解凍され、かつさらなる増殖を行わずに、本明細書に記載される溶液中に入れられる。
【0252】
【0253】
いくつかの実施態様において、前記凍結保存されたTregの治療用集団は、自動解凍システム(例えば、COOK regentecの解凍システム)を用いて解凍される。いくつかの実施態様において、前記凍結保存されたTregの治療用集団は、急速解凍される。いくつかの実施態様において、前記凍結保存されたTregの治療用集団は、制御された速度で解凍される。例示的な解凍プロトコールは、下記のセクション8.6に記載される。いくつかの実施態様において、前記凍結保存されたTregの治療用集団は、水浴中で解凍される。いくつかの実施態様において、前記凍結保存されたTregの治療用集団は、室温で解凍される。
【0254】
いくつかの実施態様において、前記Tregの治療用集団は、解凍から約2~10時間以内、約4~8時間以内、又は約5~7時間以内に対象に投与される。いくつかの実施態様において、前記Tregの治療用集団は、解凍から約30分、又は約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、もしくは12時間以内に対象に投与される。具体的な実施態様において、前記Tregの治療用集団は、解凍から約6時間以内に対象に投与される。
【0255】
いくつかの実施態様において、前記凍結保存されたTregの治療用集団は、解凍され、さらに希釈することなく患者に投与される。いくつかの実施態様において、前記凍結保存されたTregの治療用集団は、解凍され、さらに希釈したりさらに増殖させたりすることなく患者に投与される。いくつかの実施態様において、前記凍結保存されたTregの治療用集団は、解凍され、さらに希釈することなく、生理食塩水と組み合わせて患者に投与される。いくつかの実施態様において、前記凍結保存されたTregの治療用集団は、解凍され、さらに希釈したりさらに増殖させたりすることなく、生理食塩水と組み合わせて患者に投与される。いくつかの実施態様において、前記解凍された凍結保存されたTregの治療用集団及び生理食塩水が、並行して静脈内へ投与される。
【0256】
いくつかの実施態様において、解凍と対象への投与との間に、前記Tregの治療用集団のさらなる増殖は、必要とされない。いくつかの実施態様において、解凍と対象への投与との間に前記Tregの治療用集団のさらなる増殖は行われない。
【0257】
(6.2.1.自動化)
いくつかの実施態様において、Tregの治療用集団を製造する方法を、閉鎖系で実施することができる。前記方法は、いくつかの実施態様において、自動化された又は部分的に自動化された様式で実施される。例えば、本明細書に記載されるTregの治療用集団を製造する方法(例えば、本明細書のセクション6.1、8.3、又は8.5に記載される方法)を、バイオリアクター内で行ってもよい。いくつかの実施態様において、前記方法は、G-REX(登録商標)培養システム内で実施される。図34は、バイオリアクター内でTregの治療用集団を製造する例示的なプロセスを示す。
【0258】
いくつかの実施態様において、前記Tregの治療用集団を製造する方法の工程のうちのいずれか1つ以上を、閉鎖系で又はGMP条件下で実施することができる。いくつかの実施態様において、前記工程のうちの1つ以上又は全て(例えば、濃縮及び/又は増殖)が、統合された又は自給式のシステム内のシステム、装置、又は器機を用いてかつ/又は自動化された又はプログラム可能な方式で実施される。いくつかの態様において、前記システム又は器機は、該システム又は器機と通信を行うコンピューター及び/又はコンピュータープログラムを含み、これは、ユーザーが、前記工程をプログラムし、制御し、その結果を評価し、かつ/又はそのさまざまな態様を調節することを可能とする。
【0259】
いくつかの実施態様において、前記Tregの治療用集団を製造する方法は、該Tregを増殖させる工程を含む。いくつかの実施態様において、前記増殖工程は、自動化されている。いくつかの実施態様では、前記Tregを、6、7、8、9、10、11、又は12日間増殖させる。一実施態様では、前記Tregを、8日間増殖させる。別の実施態様では、前記Tregを、13、14、又は15日間増殖させる。別の実施態様では、前記Tregを、15日間増殖させる。
【0260】
いくつかの実施態様において、前記Tregの治療用集団を製造する方法は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10日毎に増殖剤(IL-2、CD3活性化剤、及び/又はCD28活性化剤など)を投与することを含む。いくつかの実施態様において、前記増殖剤(IL-2、CD3活性化剤、及び/又はCD28活性化剤など)は、前記培養を開始してから24時間以内に初めて投与される。いくつかの実施態様において、前記増殖剤(IL-2、CD3活性化剤、及び/又はCD28活性化剤など)は、毎日投与される。いくつかの実施態様において、前記Tregの治療用集団を製造する方法は、前記培養培地を1、2、3、4、5、6、又は7日毎に交換することを含む。いくつかの実施態様において、ある代謝産物(例えば、ラクタクテ(lactacte))のレベルが、所定の閾値に到達したときに、前記培地が交換されてもよい。いくつかの実施態様において、前記培地は、前記Tregの治療用集団の増殖速度に基づいて変わる。
【0261】
いくつかの実施態様において、前記培養物中の細胞の濃度は、第8日に決定される。いくつかの実施態様において、前記培養物中の細胞の濃度は、第15日に決定される。いくつかの実施態様において、前記システムは、前記増殖工程の始めから終わりまで閉鎖系のままである。
【0262】
(6.3組成物)
本明細書で提供されるのは、対象への投与に適したTregの治療用集団を含む組成物である。いくつかの実施態様において、本明細書で提供されるのは、本明細書に記載される特徴を有するTregの治療用集団を含む凍結保存された組成物である。Tregの治療用集団、例えば、凍結保存されたTregの治療用集団は、本明細書に記載される方法によって製造され得る。解凍されておりかつ対象、例えば、ヒト対象への投与に適した製剤中に存在する凍結保存されたTregの治療用集団を含む医薬組成物も本明細書で開示される。
【0263】
いくつかの実施態様において、本明細書で提供されるTregの治療用集団は、トリパンブルー排除によって決定して、約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%又は95%超の生細胞を含む。いくつかの実施態様において、本明細書で提供されるTregの治療用集団は、約70%超の生細胞を含む。
【0264】
いくつかの実施態様において、本明細書で提供されるTregの治療用集団は、約1×106~約2×106、約2×106~約3×106、約3×106~約4×106、約4×106~約5×106、約5×106~約6×106、約6×106~約7×106、約7×106~約8×106、約8×106~約9×106、約9×106~約1×107、約1×107~約2×107、約2×107~約3×107、約3×107~約4×107、約4×107~約5×107、約5×107~約6×107、約6×107~約7×107、約7×107~約8×107、約8×107~約9×107、約9×107~約1×108、約1×108~約2×108、約2×108~約3×108、約3×108~約4×108、約4×108~約5×108、約5×108~約6×108、約6×108~約7×108、約7×108~約8×108、約8×108~約9×108、約9×108~約1×109個のCD4+CD25+細胞を含む。
【0265】
いくつかの実施態様において、本明細書で提供されるTregの治療用集団は、1mlあたり約1×106~約2×106、約2×106~約3×106、約3×106~約4×106、約4×106~約5×106、約5×106~約6×106、約6×106~約7×106、約7×106~約8×106、約8×106~約9×106、約9×106~約1×107、約1×107~約2×107、約2×107~約3×107、約3×107~約4×107、約4×107~約5×107、約5×107~約6×107、約6×107~約7×107、約7×107~約8×107、約8×107~約9×107、約9×107~約1×108、約1×108~約2×108、約2×108~約3×108、約3×108~約4×108、約4×108~約5×108、約5×108~約6×108、約6×108~約7×108、約7×108~約8×108、約8×108~約9×108、約9×108~約1×109個のCD4+CD25+細胞を含む
【0266】
いくつかの実施態様において、本明細書で提供されるTregの治療用集団は、フローサイトメトリーによって決定して、予定されるレシピエント対象の体重1kgあたり約1×106~約2×106、約2×106~約3×106、約3×106~約4×106、約4×106~約5×106、約5×106~約6×106、約6×106~約7×106、約7×106~約8×106、約8×106~約9×106、約9×106~約1×107、約1×107~約2×107、約2×107~約3×107、約3×107~約4×107、約4×107~約5×107、約5×107~約6×107、約6×107~約7×107、約7×107~約8×107、約8×107~約9×107、約9×107~約1×108、約1×108~約2×108、約2×108~約3×108、約3×108~約4×108、約4×108~約5×108、約5×108~約6×108、約6×108~約7×108、約7×108~約8×108、約8×108~約9×108、約9×108~約1×109個のCD4+CD25+細胞を含む。いくつかの実施態様において、本明細書で提供されるTregの治療用集団は、フローサイトメトリーによって決定して、対象の体重1kgあたり1×106個のCD4+CD25+細胞(+/-10%)を含む。いくつかの実施態様において、本明細書で提供されるTregの治療用集団は、約70%の又は約70%超のCD4+CD25+細胞を含み、フローサイトメトリーによって決定して、対象の体重1kgあたり1×106個のCD4+CD25+細胞(+/-10%)を含有する。該対象は、Tregを濃縮した生体試料のドナーと同一の対象であってもよい。
【0267】
本明細書で提供される凍結保存されたTregの治療用集団は、フローサイトメトリーによって決定して、対応するベースラインTreg細胞集団中のCD4+CD25high Tregの割合と比較して増加した割合のCD4+CD25high Tregを含み得る。いくつかの実施態様において、凍結保存されたTregの治療用集団は、フローサイトメトリーによって決定して、前記ベースラインTreg細胞集団中のCD4+CD25highCD127low Tregの割合と比較して増加した割合のCD4+CD25highCD127low Tregを含む。いくつかの実施態様において、本明細書で提供されるTregの治療用集団は、フローサイトメトリーによって決定して、前記ベースラインTreg細胞集団中のCD4+CD25high Tregの割合と比較して増加した割合のCD4+CD25high Tregを含み得る。いくつかの実施態様において、増殖させたTregの治療用集団は、フローサイトメトリーによって決定して、前記ベースラインTreg細胞集団中のCD4+CD25highCD127low Tregの割合と比較して増加した割合のCD4+CD25highCD127low Tregを含む。この文脈において、「high」及び「low」は、集団全体と比較した細胞の亜集団におけるマーカー(例えば、CD25又はCD127)の発現レベルを意味する。
【0268】
いくつかの実施態様において、前記凍結保存されたTregの治療用集団は、CD25+ Tregを含み、ここで、該TregにおけるCD25の発現は、フローサイトメトリーによって決定して、前記ベースラインTreg細胞集団中の前記TregにおけるCD25の発現と比較して増加している。該CD25の発現は、フローサイトメトリーによって決定して、少なくとも約5倍、少なくとも約10倍、少なくとも約15倍、少なくとも約20倍、少なくとも約25倍、少なくとも約30倍、少なくとも約35倍、少なくとも約40倍、少なくとも約45倍、又は少なくとも約50倍増加している。
【0269】
いくつかの実施態様において、前記凍結保存されたTregの集団は、CD127+ Tregを含み、ここで、該TregにおけるCD127の発現は、フローサイトメトリーによって決定して、前記ベースラインTreg細胞集団中の前記TregにおけるCD127の発現と比較して3倍を超えて増加していない。いくつかの実施態様において、前記CD127の発現は、フローサイトメトリーによって決定して、前記Treg濃縮細胞集団における該TregにおけるCD127の発現と比較して増加していない。
【0270】
いくつかの実施態様において、前記凍結保存されたTregの治療用集団は、フローサイトメトリーによって決定して、前記ベースラインTreg細胞集団中に少なくとも70%、少なくとも80%、又は少なくとも90%のCD4+CD25highCD127low Tregを含む。いくつかの実施態様において、前記凍結保存されたTregの治療用集団は、フローサイトメトリーによって決定して、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、又は少なくとも95%のCD4+CD25+細胞を含む。いくつかの実施態様において、本明細書で提供されるTregの治療用集団を含む組成物は、フローサイトメトリーによって決定して、20%未満のCD8+細胞を含み、かつ対象の体重1kgあたり1×106個のCD4+CD25+細胞(+/-10%)を含む。いくつかの実施態様において、本明細書で提供されるTregの治療用集団を含む組成物は、フローサイトメトリーによって決定して、20%未満のCD8+細胞を含み、約70%の又は約70%超のCD4+CD25+細胞を含み、かつ対象の体重1kgあたり1×106個のCD4+CD25+細胞(+/-10%)を含む。
【0271】
いくつかの実施態様において、前記凍結保存されたTregの治療用集団中の該Tregの粒度は、フローサイトメトリーによって決定して、前記Treg濃縮細胞集団における該Tregの粒度と比較して増加している。いくつかの実施態様において、前記Tregの粒度は、少なくとも約1.5倍、少なくとも約2倍、又は少なくとも約2.5倍増加している。
【0272】
いくつかの実施態様において、前記凍結保存されたTregの治療用集団中の該Tregのサイズは、フローサイトメトリーによって決定して、前記ベースラインTreg細胞集団中の前記Tregのサイズと比較して増加している。いくつかの実施態様において、前記Tregのサイズは、少なくとも約1.2倍、少なくとも約1.5倍、又は少なくとも約2倍増加している。
【0273】
いくつかの実施態様において、前記凍結保存されたTregの治療用集団は、CTLA4+ Tregを含み、ここで、CTLA4+ Tregの割合は、前記ベースラインTreg細胞集団におけるCTLA4+ Tregの割合と比較して増加している。いくつかの実施態様において、増殖させたTregの治療用集団は、CTLA4+ Tregを含み、ここで、CTLA4+ Tregの割合は、前記ベースラインTreg細胞集団におけるCTLA4+ Tregの割合と比較して増加している。いくつかの実施態様において、前記凍結保存されたTregの治療用集団は、フローサイトメトリーによって決定して、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、又は少なくとも90%のCTLA4+ Tregを含む。
【0274】
いくつかの実施態様において、前記凍結保存されたTregの治療用集団は、FoxP3+ Tregを含み、ここで、FoxP3+ Tregの割合は、前記ベースラインTreg細胞集団におけるFoxP3+ Tregの割合と比較して増加している。いくつかの実施態様において、増殖させたTregの治療用集団は、FoxP3+ Tregを含み、ここで、FoxP3+ Tregの割合は、前記ベースラインTreg細胞集団におけるFoxP3+ Tregの割合と比較して増加している。いくつかの実施態様において、前記凍結保存されたTregの治療用集団は、フローサイトメトリーによって決定して、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、又は少なくとも80%、又は少なくとも90%のFoxP3+ Tregを含む。
【0275】
いくつかの実施態様において、前記凍結保存されたTregの治療用集団中の該Tregは、FoxP3発現Tregを含み、ここで、FoxP3の発現は、該Tregにおいて、増殖前の前記ベースラインTreg細胞集団中のTregにおけるFoxP3の発現と比較して増加している。いくつかの実施態様において、本明細書で提供されるTregの治療用集団、又はTregの治療用集団を含む凍結保存された組成物は、高レベルのFoxP3を発現し、ここで、FOXP3遺伝子の前記1種以上の調節エレメント(例えば、プロモーター又はエンハンサー)は、脱メチル化されている。いくつかの実施態様において、FOXP3内のTreg特異的脱メチル化領域(TSDR)が、脱メチル化されている。いくつかの実施態様において、FOXP3脱メチル化に関連する1種以上の遺伝子産物(例えば、下記の表14~表19に記載される1種以上の遺伝子産物)の発現が、前記Tregの治療用集団において又は増殖後の前記凍結保存されたTregの治療用集団において増加している。いくつかの実施態様において、FOXP3メチル化に関連する1種以上の遺伝子産物(例えば、下記表12に記載される1種以上の遺伝子産物)は、前記Tregの治療用集団において又は増殖後の前記凍結保存されたTregの治療用集団において減少している。
【0276】
いくつかの実施態様において、凍結保存されたTregの集団は、高レベルのグルココルチコイド誘導性腫瘍壊死因子受容体(GITR)を発現する。
【0277】
いくつかの実施態様において、フローサイトメトリーによって決定して、凍結保存されたTregの集団は、20%未満のCD8+細胞を含む。
【0278】
いくつかの実施態様において、前記凍結保存されたTregの治療用集団の生存率は、該凍結保存された治療用集団の解凍後に行われるトリパンブルー染色によって決定して、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、又は少なくとも95%である。いくつかの実施態様において、前記凍結保存されたTregの治療用集団の生存率は、該凍結保存された治療用集団の解凍後に行われるトリパンブルー染色によって決定して、増殖させたTreg細胞集団が凍結保存される前の該増殖させたTreg細胞集団の生存率の少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、又は少なくとも95%である。いくつかの実施態様において、前記Tregの治療用集団を凍結保存する前に行われるトリパンブルー染色によって決定される該Tregの治療用集団の生存率は、増殖前の前記濃縮Treg細胞集団の生存率と比較して上昇している。
【0279】
いくつかの実施態様において、前記凍結保存されたTregの集団の前記抑制機能は、前記治療用集団の解凍後に行われるフローサイトメトリー又はチミジン取り込みによるレスポンダーT細胞の増殖の抑制によって決定して、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、又は少なくとも95%である。Tregの抑制機能は、例えば、フローサイトメトリー又はチミジン取り込みによってCFSE陽性レスポンダーT細胞の増殖を測定することにより評価され得る。CFSEは、前記レスポンダーT細胞集団中のみに存在する細胞内マーカーである。レスポンダーT細胞は、一般に、CD4+CD25- T細胞として特性が記述され、CD4+CD25+制御性T細胞単離キット(Miltenyi Biotec)を用いて単離され得る。例えば、試料を、CD4+CD25+制御性T細胞を含有する陽性選択細胞画分と前記レスポンダーT細胞集団を含有する非標識のCD4+CD25-細胞流出液とに分割し得る。
【0280】
いくつかの実施態様において、前記凍結保存されたTregの集団は、フローサイトメトリー又はチミジン取り込みによってレスポンダーT細胞の増殖の抑制として増殖前に測定して、前記濃縮Treg細胞集団の抑制機能を超える抑制機能を示す。いくつかの実施態様において、前記凍結保存されたTregの治療用集団の解凍後に行われるフローサイトメトリー又はチミジン取り込みによるレスポンダーT細胞の増殖の抑制によって決定される該治療用集団の前記抑制機能は、フローサイトメトリーによって決定されるTregが凍結保存される前の前記増殖させたTreg細胞集団の該抑制機能の少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、又は少なくとも95%である。いくつかの実施態様において、前記Tregの治療用集団を凍結保存する前に行われるフローサイトメトリー又はチミジン取り込みによるレスポンダーT細胞の増殖の抑制によって決定される該Tregの治療用集団の抑制機能は、増殖前の前記濃縮Treg細胞集団の抑制機能と比較して増加している。
【0281】
いくつかの実施態様において、前記凍結保存されたTregの治療用集団は、炎症性細胞(例えば、ヒトドナー由来であるか又は人工多能性幹細胞から作られたマクロファージ又は単球)によるIL-6産生によって測定して、炎症細胞を抑制する能力を示す。いくつかの実施態様において、前記凍結保存されたTregの治療用集団は、骨髄系細胞(例えば、マクロファージ、単球、又はミクログリア)の機能を抑制する能力を示す。いくつかの実施態様において、前記凍結保存されたTregの治療用集団は、炎症性サイトカイン(例えば、IL-1β、IL-6、IL-8、TNFα、又はINFγ)の放出を抑制する能力を示す。
【0282】
いくつかの実施態様において、前記増殖させたTregの治療用集団は、炎症性細胞(例えば、ヒトドナー由来であるか又は人工多能性幹細胞から作られたマクロファージ又は単球)によるIL-6産生によって測定して、炎症細胞を抑制する能力を示す。いくつかの実施態様において、前記増殖させたTregの治療用集団は、骨髄系細胞(例えば、マクロファージ、単球、又はミクログリア)の機能を抑制する能力を示す。いくつかの実施態様において、前記増殖させたTregの治療用集団は、炎症性サイトカイン(例えば、IL-1β、IL-6、IL-8、TNFα、又はINFγ)の放出を抑制する能力を示す。
【0283】
具体的な実施態様において、前記凍結保存されたTregの集団は、増殖前の前記Tregの治療用集団と比較して向上した、マクロファージからの炎症性サイトカイン(例えば、IL-1β、IL-6、IL-8、TNFα、又はINFγ)の分泌を抑制する能力を示す。別の具体的な実施態様において、前記凍結保存されたTregの集団は、増殖前の前記Tregの治療用集団と比較して向上した、単球からの炎症性サイトカイン(例えば、IL-1β、IL-6、IL-8、TNFα、又はINFγ)の分泌を抑制する能力を示す。別の具体的な実施態様において、前記凍結保存されたTregの集団は、増殖前の前記Tregの治療用集団と比較して向上した、ミクログリアからの炎症性サイトカイン(例えば、IL-1β、IL-6、IL-8、TNFα、又はINFγ)の分泌を抑制する能力を示す。
【0284】
具体的な実施態様において、凍結保存前の前記増殖させたTregの集団は、増殖前の前記Tregの治療用集団と比較して向上した、マクロファージからの炎症性サイトカイン(例えば、IL-1β、IL-6、IL-8、TNFα、又はINFγ)の分泌を抑制する能力を示す。別の具体的な実施態様において、凍結保存前の前記増殖させたTregの集団は、増殖前の前記Tregの治療用集団と比較して向上した、単球からの炎症性サイトカイン(例えば、IL-1β、IL-6、IL-8、TNFα、又はINFγ)の分泌を抑制する能力を示す。別の具体的な実施態様において、凍結保存前の前記増殖させたTregの集団は、増殖前の前記Tregの治療用集団と比較して向上した、ミクログリアからの炎症性サイトカイン(例えば、IL-1β、IL-6、IL-8、TNFα、又はINFγ)の分泌を抑制する能力を示す。
【0285】
いくつかの実施態様において、前記凍結保存されたTregの集団は、本明細書に記載される方法、例えば、後述のセクション8.6に記載の方法に従って解凍される。
【0286】
(6.3.1.遺伝子産物発現プロファイル)
前記Tregの治療用集団及び本明細書で提供されるTregの治療用集団を含む凍結保存された組成物は、それらの遺伝子産物発現プロファイルを特徴とし得る。例えば、本明細書で提供されるTregの治療用集団を含む凍結保存された組成物の遺伝子産物発現プロファイルを、ベースラインでの該Tregと比較してもよい。この文脈において、「ベースライン」又は「ベースラインTreg細胞集団」という用語は、患者試料から濃縮されているが、まだ増殖させていないTregの集団を意味する。いくつかの実施態様において、前記遺伝子産物発現プロファイルは、Tregの治療用集団を含む凍結保存された組成物において、ベースラインでの該Tregと比較して実質的に同じである。本明細書に記載されるこの遺伝子産物発現の文脈において、2つの値は、それらの差が統計的に有意でない(すなわち、p>0.05)場合かつ/又は該2つの値の間の倍数差(fold-difference)の二進対数(binary log)が、約2倍未満(増加又は低減)である場合に実質的に同じであるとみなされる。
【0287】
遺伝子産物発現の変化は、「~倍の増加」もしくは「~倍の減少」として、又は倍数変化の二進対数(又は「log2」)として表示され得る。いくつかの実施態様において、遺伝子産物発現は、少なくとも約4倍増加している。いくつかの実施態様において、遺伝子産物発現は、約5~10倍、約10~15倍、約15~20倍、約20~25倍、約25~30倍、約30~35倍、約35~40倍、約40~45倍、約45~50倍、約50~60倍、約60~70倍、約70~80倍、約80~90倍、約90~100倍、又は少なくとも約100倍増加している。いくつかの実施態様において、遺伝子産物発現は、少なくとも約4倍減少している。いくつかの実施態様において、遺伝子産物発現は、約5~10倍、約10~15倍、約15~20倍、約20~25倍、約25~30倍、約30~35倍、約35~40倍、約40~45倍、約45~50倍、約50~60倍、約60~70倍、約70~80倍、約80~90倍、約90~100倍、又は少なくとも約100倍増加している。
【0288】
いくつかの実施態様において、表18に記載される1種以上の遺伝子産物の発現レベルは、本明細書で提供されるTregの治療用集団又はTregの治療用集団を含む凍結保存された組成物中に検出可能である(すなわち、シングルショットプロテオミクスなどの利用される方法の検出のレベルを超える)。いくつかの実施態様において、表18に記載される少なくとも2個、少なくとも5個、少なくとも10個、少なくとも15個、少なくとも20個、少なくとも25個、少なくとも30個、少なくとも35個、又は少なくとも40個の遺伝子産物の発現レベルが、本明細書で提供されるTregの治療用集団又はTregの治療用集団を含む凍結保存された組成物中で検出可能であり得る(すなわち、シングルショットプロテオミクスなどの利用される方法の検出のレベルを超える)。いくつかの実施態様において、表18に記載される全ての遺伝子産物の発現レベルが、本明細書で提供されるTregの治療用集団又はTregの治療用集団を含む凍結保存された組成物中で検出可能である(すなわち、シングルショットプロテオミクスなどの利用される方法の検出のレベルを超える)。
【0289】
いくつかの実施態様において、表18に記載される1種以上の遺伝子産物の発現レベルは、本明細書で提供されるTregの治療用集団又はTregの治療用集団を含む凍結保存された組成物における不偏プロテオミクス分析(unbiased proteomics analysis)(例えば、シングルショットプロテオミクス)によって決定して、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、又は150種の最も高度に発現される遺伝子産物に含まれる。いくつかの実施態様において、表18に記載される少なくとも2個、少なくとも5個、少なくとも10個、少なくとも15個、少なくとも20個、少なくとも25個、少なくとも30個、少なくとも35個、又は少なくとも40個の遺伝子産物の発現レベルは、本明細書で提供されるTregの治療用集団又はTregの治療用集団を含む凍結保存された組成物における不偏プロテオミクス分析(例えば、シングルショットプロテオミクス)によって決定して、前記50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、又は150種の最も高度に発現される遺伝子産物に含まれる。いくつかの実施態様において、表18に記載される全ての遺伝子産物の発現レベルは、本明細書で提供されるTregの治療用集団又はTregの治療用集団を含む凍結保存された組成物における不偏プロテオミクス分析(例えば、シングルショットプロテオミクス)によって決定して、前記50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、又は150種の最も高度に発現される遺伝子産物に含まれる。
【0290】
遺伝子産物発現のレベルは、遺伝子産物発現を測定するのに利用されている方法の検出限界を超えることも下回ることもある。いくつかの実施態様において、表12~表19のいずれかに記載される遺伝子産物の発現レベルは、本明細書で提供されるTregの治療用集団又はTregの治療用集団を含む凍結保存された組成物中で、検出不能である(すなわち、シングルショットプロテオミクスなどの利用される方法の検出のレベルを下回る)こともある。いくつかの実施態様において、表12~表19のいずれかに記載される少なくとも2、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも35、少なくとも40、少なくとも45、少なくとも50、少なくとも55、少なくとも60、少なくとも65、少なくとも70、少なくとも75、少なくとも80、少なくとも85、少なくとも90、少なくとも95、少なくとも100、少なくとも110、少なくとも120、少なくとも130、少なくとも140、少なくとも150、少なくとも160、少なくとも170、少なくとも180、少なくとも190、少なくとも200、少なくとも210、少なくとも220、少なくとも230、少なくとも240、少なくとも250、少なくとも260、少なくとも270、少なくとも280、少なくとも290、少なくとも300、少なくとも310、少なくとも320、少なくとも330、少なくとも340、少なくとも350、少なくとも360、少なくとも370、少なくとも380、少なくとも390、又は少なくとも400種の遺伝子産物の発現レベルが、本明細書で提供されるTregの治療用集団又はTregの治療用集団を含む凍結保存された組成物中で検出不能である(すなわち、シングルショットプロテオミクスなどの利用される方法の検出のレベルを下回る)こともある。いくつかの実施態様において、表12~表19のいずれか1つに記載される全ての遺伝子産物の発現レベルが、本明細書で提供されるTregの治療用集団又はTregの治療用集団を含む凍結保存された組成物中で検出不能である(すなわち、シングルショットプロテオミクスなどの利用される方法の検出のレベルを下回る)こともある。
【0291】
いくつかの実施態様において、表12~表19のいずれかに記載される遺伝子産物の発現レベルが、本明細書で提供されるTregの治療用集団又はTregの治療用集団を含む凍結保存された組成物中で検出可能であり得る(すなわち、シングルショットプロテオミクスなどの利用される方法の検出のレベルを超え得る)。いくつかの実施態様において、表12~表19のいずれかに記載される少なくとも2、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも35、少なくとも40、少なくとも45、少なくとも50、少なくとも55、少なくとも60、少なくとも65、少なくとも70、少なくとも75、少なくとも80、少なくとも85、少なくとも90、少なくとも95、少なくとも100、少なくとも110、少なくとも120、少なくとも130、少なくとも140、少なくとも150、少なくとも160、少なくとも170、少なくとも180、少なくとも190、少なくとも200、少なくとも210、少なくとも220、少なくとも230、少なくとも240、少なくとも250、少なくとも260、少なくとも270、少なくとも280、少なくとも290、少なくとも300、少なくとも310、少なくとも320、少なくとも330、少なくとも340、少なくとも350、少なくとも360、少なくとも370、少なくとも380、少なくとも390、又は少なくとも400種の遺伝子産物の発現レベルが、本明細書で提供されるTregの治療用集団又はTregの治療用集団を含む凍結保存された組成物中で検出可能であり得る(すなわち、シングルショットプロテオミクスなどの利用される方法の検出のレベルを超え得る)。いくつかの実施態様において、表12~表19のいずれか1つに記載される全ての遺伝子産物の発現レベルが、本明細書で提供されるTregの治療用集団又はTregの治療用集団を含む凍結保存された組成物中で検出可能であり得る(すなわち、シングルショットプロテオミクスなどの利用される方法の検出のレベルを超え得る)。
【0292】
いくつかの実施態様において、表12~表19のいずれかに記載される遺伝子産物の発現レベルは、濃縮、増殖、又は凍結保存してすぐのTregの治療用集団中で検出可能又は検出不能となり得る。いくつかの実施態様において、表12~表19のいずれかに記載される少なくとも2、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも35、少なくとも40、少なくとも45、少なくとも50、少なくとも55、少なくとも60、少なくとも65、少なくとも70、少なくとも75、少なくとも80、少なくとも85、少なくとも90、少なくとも95、少なくとも100、少なくとも110、少なくとも120、少なくとも130、少なくとも140、少なくとも150、少なくとも160、少なくとも170、少なくとも180、少なくとも190、少なくとも200、少なくとも210、少なくとも220、少なくとも230、少なくとも240、少なくとも250、少なくとも260、少なくとも270、少なくとも280、少なくとも290、少なくとも300、少なくとも310、少なくとも320、少なくとも330、少なくとも340、少なくとも350、少なくとも360、少なくとも370、少なくとも380、少なくとも390、又は少なくとも400種の遺伝子産物の発現レベルは、濃縮、増殖、又は凍結保存してすぐのTregの治療用集団中で検出可能又は検出不能となり得る。いくつかの実施態様において、表12~表19のいずれか1つに記載される全ての遺伝子産物の発現レベルは、濃縮、増殖、又は凍結保存してすぐのTregの治療用集団中で検出可能又は検出不能となり得る。
【0293】
遺伝子産物発現は、当技術分野において公知の任意の方法、例えば、定量的リアルタイムPCR、Fluidigm(商標) Chipアッセイ、RNAシークエンシング、又はプロテオミクス分析(例えば、シングルショットプロテオミクス)によって決定され得る。
【0294】
いくつかの実施態様において、表12及び/又は表13に記載される遺伝子産物のうちの1種以上の発現は、前記増殖後のTregにおいて、前記ベースラインでのTregと比較して減少している。いくつかの実施態様において、表12及び表13に記載される遺伝子産物のうちの少なくとも2、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも35、少なくとも40、少なくとも45、少なくとも50、少なくとも55、少なくとも60、少なくとも65、少なくとも70、少なくとも75、少なくとも80、少なくとも85、又は少なくとも90の発現は、前記増殖後のTregにおいて、前記ベースラインでのTregと比較して減少している。いくつかの実施態様において、表12及び表13に記載される全ての遺伝子産物の発現は、前記増殖後のTregにおいて、前記ベースラインでのTregと比較して減少している。
【0295】
いくつかの実施態様において、表12に記載される遺伝子産物のうちの1種以上の発現は、前記増殖後のTregにおいて、前記ベースラインでのTregと比較して減少している。いくつかの実施態様において、表12に記載される少なくとも2、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも35、少なくとも40、少なくとも45、少なくとも50、少なくとも55、少なくとも60、少なくとも65、少なくとも70、少なくとも75、又は少なくとも80種の遺伝子産物の発現は、前記増殖後のTregにおいて、前記ベースラインでのTregと比較して減少している。いくつかの実施態様において、表12に記載される全ての遺伝子産物の発現は、前記増殖後のTregにおいて、前記ベースラインでのTregと比較して減少している。
【0296】
いくつかの実施態様において、表13に記載される遺伝子産物のうちの1種以上の発現は、前記増殖後のTregにおいて、前記ベースラインでのTregと比較して減少している。いくつかの実施態様において、表13に記載される少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、又は少なくとも8種の遺伝子産物の発現は、前記増殖後のTregにおいて、前記ベースラインでのTregと比較して減少している。いくつかの実施態様において、表13に記載される全ての遺伝子産物の発現は、前記増殖後のTregにおいて、前記ベースラインでのTregと比較して減少している。
【0297】
いくつかの実施態様において、表12及び/又は表13に記載され、表19には記載されていない遺伝子産物のうちの1種以上の発現は、前記増殖後のTregにおいて、前記ベースラインでのTregと比較して減少している。いくつかの実施態様において、表12及び表13に記載され、表19には記載されていない遺伝子産物のうちの少なくとも2、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも35、少なくとも40、少なくとも45、少なくとも50、少なくとも55、少なくとも60、少なくとも65、少なくとも70、少なくとも75、少なくとも80、少なくとも85、又は少なくとも90の発現は、前記増殖後のTregにおいて、前記ベースラインでのTregと比較して減少している。いくつかの実施態様において、表12及び表13に記載され、表19には記載されていない遺伝子産物全ての発現は、前記増殖後のTregにおいて、前記ベースラインでのTregと比較して減少している。
【0298】
いくつかの実施態様において、表12に記載され、表19には記載されていない遺伝子産物のうちの1種以上の発現は、前記増殖後のTregにおいて、前記ベースラインでのTregと比較して減少している。いくつかの実施態様において、表12に記載され、表19には記載されていない少なくとも2、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも35、少なくとも40、少なくとも45、少なくとも50、少なくとも55、少なくとも60、少なくとも65、少なくとも70、少なくとも75、又は少なくとも80種の遺伝子産物の発現は、前記増殖後のTregにおいて、前記ベースラインでのTregと比較して減少している。いくつかの実施態様において、表12に記載され、表19には記載されていない全ての遺伝子産物の発現は、前記増殖後のTregにおいて、前記ベースラインでのTregと比較して減少している。
【0299】
いくつかの実施態様において、表13に記載され表19には記載されていない、遺伝子産物のうちの1種以上の発現は、前記増殖後のTregにおいて、前記ベースラインでのTregと比較して減少している。いくつかの実施態様において、表13に記載され、表19には記載されていない遺伝子産物のうちの少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、又は少なくとも8種の発現は、前記増殖後のTregにおいて、前記ベースラインでのTregと比較して減少している。いくつかの実施態様において、表13に記載され、表19には記載されていない全ての遺伝子産物の発現は、前記増殖後のTregにおいて、前記ベースラインでのTregと比較して減少している。
【0300】
いくつかの実施態様において、解凍してすぐの前記凍結保存されたTregの治療用集団における表12及び/又は表13に記載され表19には記載されていない遺伝子産物のうちの1種以上の発現は、ベースラインでの該Tregにおける該1種以上の遺伝子産物の発現と実質的に同じである。いくつかの実施態様において、解凍してすぐの前記凍結保存されたTregの治療用集団における表12及び/又は表13に記載され表19には記載されていない少なくとも2、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも35、少なくとも40、少なくとも45、少なくとも50、少なくとも55、少なくとも60、少なくとも65、少なくとも70、少なくとも75、少なくとも80、少なくとも85、又は少なくとも90種の遺伝子産物の発現は、ベースラインでの該Tregにおける該1種以上の遺伝子産物の発現と実質的に同じである。いくつかの実施態様において、解凍してすぐの前記凍結保存されたTregの治療用集団における表12及び表13に記載され表19には記載されていない全ての遺伝子産物の発現は、ベースラインでの該Tregにおける該1種以上の遺伝子産物の発現と実質的に同じである。
【0301】
いくつかの実施態様において、解凍してすぐの前記凍結保存されたTregの治療用集団における表12に記載され表19には記載されていない遺伝子産物のうちの1種以上の発現は、ベースラインでの該Tregにおける該1種以上の遺伝子産物の発現と実質的に同じである。いくつかの実施態様において、解凍してすぐの前記凍結保存されたTregの治療用集団における表12に記載され表19には記載されていない少なくとも2、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも35、少なくとも40、少なくとも45、少なくとも50、少なくとも55、少なくとも60、少なくとも65、少なくとも70、少なくとも75、又は少なくとも80種の遺伝子産物の発現は、ベースラインでの該Tregにおける該1種以上の遺伝子産物の発現と実質的に同じである。いくつかの実施態様において、解凍してすぐの前記凍結保存されたTregの治療用集団における表12に記載され表19には記載されていない全ての遺伝子産物の発現は、ベースラインでの該Tregにおける該1種以上の遺伝子産物の発現と実質的に同じである。
【0302】
いくつかの実施態様において、解凍してすぐの前記凍結保存されたTregの治療用集団における表13に記載され表19には記載されていない遺伝子産物のうちの1種以上の発現は、ベースラインでの該Tregにおける該1種以上の遺伝子産物の発現と実質的に同じである。いくつかの実施態様において、解凍してすぐの前記凍結保存されたTregの治療用集団における表13に記載され表19には記載されていない少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、又は少なくとも8種の遺伝子産物の発現は、ベースラインでの該Tregにおける該1種以上の遺伝子産物の発現と実質的に同じである。いくつかの実施態様において、解凍してすぐの前記凍結保存されたTregの治療用集団における表13に記載され、表19には記載されていない全ての遺伝子産物の発現は、ベースラインでの該Tregにおける該1種以上の遺伝子産物の発現と実質的に同じである。
【0303】
いくつかの実施態様において、解凍してすぐの前記凍結保存されたTregの治療用集団における表12及び/又は表13に記載され表19には記載されていない遺伝子産物のうちの1種以上の発現は、増殖後の該Tregにおける該1種以上の遺伝子産物の発現と実質的に同じである。いくつかの実施態様において、解凍してすぐの前記凍結保存されたTregの治療用集団における表12及び/又は表13に記載され表19には記載されていない少なくとも2、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも35、少なくとも40、少なくとも45、少なくとも50、少なくとも55、少なくとも60、少なくとも65、少なくとも70、少なくとも75、少なくとも80、少なくとも85、又は少なくとも90種の遺伝子産物の発現は、増殖後の該Tregにおける該1種以上の遺伝子産物の発現と実質的に同じである。いくつかの実施態様において、解凍してすぐの前記凍結保存されたTregの治療用集団における表12及び/又は表13に記載され表19には記載されていない全ての遺伝子産物の発現は、増殖後の該Tregにおける該1種以上の遺伝子産物の発現と実質的に同じである。
【0304】
いくつかの実施態様において、解凍してすぐの前記凍結保存されたTregの治療用集団における表12に記載され表19には記載されていない遺伝子産物のうちの1種以上の発現は、増殖後の該Tregにおける該1種以上の遺伝子産物の発現と実質的に同じである。いくつかの実施態様において、解凍してすぐの前記凍結保存されたTregの治療用集団における表12に記載され表19には記載されていない少なくとも2、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも35、少なくとも40、少なくとも45、少なくとも50、少なくとも55、少なくとも60、少なくとも65、少なくとも70、少なくとも75、又は少なくとも80種の遺伝子産物の発現は、増殖後の該Tregにおける該1種以上の遺伝子産物の発現と実質的に同じである。いくつかの実施態様において、解凍してすぐの前記凍結保存されたTregの治療用集団における表12に記載され表19には記載されていない全ての遺伝子産物の発現は、増殖後の該Tregにおける該1種以上の遺伝子産物の発現と実質的に同じである。
【0305】
いくつかの実施態様において、解凍してすぐの前記凍結保存されたTregの治療用集団における表13に記載され表19には記載されていない遺伝子産物のうちの1種以上の発現は、増殖後の該Tregにおける該1種以上の遺伝子産物の発現と実質的に同じである。いくつかの実施態様において、解凍してすぐの前記凍結保存されたTregの治療用集団における表13に記載され表19には記載されていない少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、又は少なくとも8種の遺伝子産物の発現は、増殖後の該Tregにおける該1種以上の遺伝子産物の発現と実質的に同じである。いくつかの実施態様において、解凍してすぐの前記凍結保存されたTregの治療用集団における表13に記載され、表19には記載されていない全ての遺伝子産物の発現は、増殖後の該Tregにおける該1種以上の遺伝子産物の発現と実質的に同じである。
【0306】
いくつかの実施態様において、増殖後の前記Tregにおける表14~表18に記載される遺伝子産物のうちの1種以上の発現は、ベースラインでの該Tregと比較して増加している。いくつかの実施態様において、増殖後の前記Tregにおける表14~表18に記載される少なくとも2、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも35、少なくとも40、少なくとも45、少なくとも50、少なくとも55、少なくとも60、少なくとも65、少なくとも70、少なくとも75、少なくとも80、少なくとも85、少なくとも90、少なくとも95、少なくとも100、少なくとも110、少なくとも120、少なくとも130、少なくとも140、少なくとも150、少なくとも160、少なくとも170、少なくとも180、少なくとも190、少なくとも200、少なくとも210、少なくとも220、少なくとも230、少なくとも240、少なくとも250、少なくとも260、少なくとも270、少なくとも280、少なくとも290、少なくとも300、少なくとも310、少なくとも320、少なくとも330、少なくとも340、少なくとも350、少なくとも360、少なくとも370、少なくとも380、少なくとも390、又は少なくとも400種の遺伝子産物の発現は、ベースラインでの該Tregと比較して増加している。いくつかの実施態様において、表14~表18に記載される全ての遺伝子産物の発現は、増殖後の前記Tregにおける、ベースラインでの該Tregと比較して増加している。
【0307】
いくつかの実施態様において、増殖後の前記Tregにおける表14に記載される遺伝子産物のうちの1種以上の発現は、ベースラインでの該Tregと比較して増加している。いくつかの実施態様において、増殖後の前記Tregにおける表14に記載される少なくとも2、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも35、少なくとも40、少なくとも45、少なくとも50、少なくとも55、少なくとも60、少なくとも65、少なくとも70、少なくとも75、少なくとも80、少なくとも85、少なくとも90、少なくとも95、少なくとも100、少なくとも110、少なくとも120、少なくとも130、少なくとも140、少なくとも150、少なくとも160、少なくとも170、少なくとも180、少なくとも190、少なくとも200、少なくとも210、少なくとも220、少なくとも230、少なくとも240、少なくとも250、少なくとも260、少なくとも270、少なくとも280、少なくとも290、少なくとも300、少なくとも310、少なくとも320、少なくとも330、少なくとも340、少なくとも350、少なくとも360、少なくとも370、又は少なくとも380種の遺伝子産物の発現は、ベースラインでの該Tregと比較して増加している。いくつかの実施態様において、増殖後の前記Tregにおける表14に記載される全ての遺伝子産物の発現は、ベースラインでの該Tregと比較して増加している。
【0308】
いくつかの実施態様において、表15に記載される増殖後の前記Tregにおける表15に記載される遺伝子産物のうちの1種以上の発現は、ベースラインでの該Tregと比較して増加している。いくつかの実施態様において、増殖後の前記Tregにおける少なくとも2、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25、又は少なくとも30遺伝子産物の発現は、ベースラインでの該Tregと比較して増加している。いくつかの実施態様において、増殖後の前記Tregにおける表15に記載される全ての遺伝子産物の発現は、ベースラインでの該Tregと比較して増加している。
【0309】
いくつかの実施態様において、増殖後の前記Tregにおける表16に記載される遺伝子産物のうちの1種以上の発現は、ベースラインでの該Tregと比較して増加している。いくつかの実施態様において、増殖後の前記Tregにおける表16に記載される少なくとも2、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも35、少なくとも40、少なくとも45、少なくとも50、少なくとも55、少なくとも60、少なくとも65、少なくとも70、少なくとも75、少なくとも80、又は少なくとも85遺伝子産物の発現は、ベースラインでの該Tregと比較して増加している。いくつかの実施態様において、増殖後の前記Tregにおける表16に記載される全ての遺伝子産物の発現は、ベースラインでの該Tregと比較して増加している。
【0310】
いくつかの実施態様において、増殖後の前記Tregにおける表17に記載される遺伝子産物のうちの1種以上の発現は、ベースラインでの該Tregと比較して増加している。いくつかの実施態様において、増殖後の前記Tregにおける表17に記載される少なくとも2、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25、又は少なくとも30遺伝子産物の発現は、ベースラインでの該Tregと比較して増加している。いくつかの実施態様において、増殖後の前記Tregにおける表17に記載される全ての遺伝子産物の発現は、ベースラインでの該Tregと比較して増加している。
【0311】
いくつかの実施態様において、増殖後の前記Tregにおける表18に記載される遺伝子産物のうちの1種以上の発現は、ベースラインでの該Tregと比較して増加している。いくつかの実施態様において、増殖後の前記Tregにおける表18に記載される少なくとも2、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、又は少なくとも35種の遺伝子産物の発現は、ベースラインでの該Tregと比較して増加している。いくつかの実施態様において、増殖後の前記Tregにおける表18に記載される全ての遺伝子産物の発現は、ベースラインでの該Tregと比較して増加している。
【0312】
いくつかの実施態様において、増殖後の前記Tregにおける表14~表18に記載され表19には記載されていない遺伝子産物のうちの1種以上の発現は、ベースラインでの該Tregと比較して増加している。いくつかの実施態様において、増殖後の前記Tregにおける表14~表18に記載され表19には記載されていない少なくとも2、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも35、少なくとも40、少なくとも45、少なくとも50、少なくとも55、少なくとも60、少なくとも65、少なくとも70、少なくとも75、少なくとも80、少なくとも85、少なくとも90、少なくとも95、少なくとも100、少なくとも110、少なくとも120、少なくとも130、少なくとも140、少なくとも150、少なくとも160、少なくとも170、少なくとも180、少なくとも190、少なくとも200、少なくとも210、少なくとも220、少なくとも230、少なくとも240、少なくとも250、少なくとも260、少なくとも270、少なくとも280、少なくとも290、少なくとも300、少なくとも310、少なくとも320、少なくとも330、少なくとも340、少なくとも350、少なくとも360、少なくとも370、少なくとも380、少なくとも390、又は少なくとも400種の遺伝子産物の発現は、ベースラインでの該Tregと比較して増加している。いくつかの実施態様において、増殖後の前記Tregにおける表14~表18に記載され表19には記載されていない全ての遺伝子産物の発現は、ベースラインでの該Tregと比較して増加している。
【0313】
いくつかの実施態様において、増殖後の前記Tregにおける表14に記載され表19には記載されていない遺伝子産物のうちの1種以上の発現は、ベースラインでの該Tregと比較して増加している。いくつかの実施態様において、増殖後の前記Tregにおける表14に記載され表19には記載されていない少なくとも2、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも35、少なくとも40、少なくとも45、少なくとも50、少なくとも55、少なくとも60、少なくとも65、少なくとも70、少なくとも75、少なくとも80、少なくとも85、少なくとも90、少なくとも95、少なくとも100、少なくとも110、少なくとも120、少なくとも130、少なくとも140、少なくとも150、少なくとも160、少なくとも170、少なくとも180、少なくとも190、少なくとも200、少なくとも210、少なくとも220、少なくとも230、少なくとも240、少なくとも250、少なくとも260、少なくとも270、少なくとも280、少なくとも290、少なくとも300、少なくとも310、少なくとも320、少なくとも330、少なくとも340、少なくとも350、少なくとも360、少なくとも370、少なくとも380、少なくとも390、又は少なくとも400種の遺伝子産物の発現は、ベースラインでの該Tregと比較して増加している。いくつかの実施態様において、増殖後の前記Tregにおける表14に記載され表19には記載されていない全ての遺伝子産物の発現は、ベースラインでの該Tregと比較して増加している。
【0314】
いくつかの実施態様において、増殖後の前記Tregにおける表15に記載され表19には記載されていない遺伝子産物のうちの1種以上の発現は、ベースラインでの該Tregと比較して増加している。いくつかの実施態様において、増殖後の前記Tregにおける表15に記載され表19には記載されていない少なくとも2、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25、又は少なくとも30種の遺伝子産物の発現は、ベースラインでの該Tregと比較して増加している。いくつかの実施態様において、増殖後の前記Tregにおける表15に記載され表19には記載されていない全ての遺伝子産物の発現は、ベースラインでの該Tregと比較して増加している。
【0315】
いくつかの実施態様において、増殖後の前記Tregにおける表16に記載され表19には記載されていない遺伝子産物のうちの1種以上の発現は、ベースラインでの該Tregと比較して増加している。いくつかの実施態様において、増殖後の前記Tregにおける表16に記載され表19には記載されていない少なくとも2、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも35、少なくとも40、少なくとも45、少なくとも50、少なくとも55、少なくとも60、少なくとも65、少なくとも70、少なくとも75、少なくとも80、又は少なくとも85種の遺伝子産物の発現は、ベースラインでの該Tregと比較して増加している。いくつかの実施態様において、増殖後の前記Tregにおける表16に記載され表19には記載されていない全ての遺伝子産物の発現は、ベースラインでの該Tregと比較して増加している。
【0316】
いくつかの実施態様において、増殖後の前記Tregにおける表17に記載され表19には記載されていない遺伝子産物のうちの1種以上の発現は、ベースラインでの該Tregと比較して増加している。いくつかの実施態様において、増殖後の前記Tregにおける表17に記載され表19には記載されていない少なくとも2、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25、又は少なくとも30種の遺伝子産物の発現は、ベースラインでの該Tregと比較して増加している。いくつかの実施態様において、増殖後の前記Tregにおける表17に記載され表19には記載されていない全ての遺伝子産物の発現は、ベースラインでの該Tregと比較して増加している。
【0317】
いくつかの実施態様において、増殖後の前記Tregにおける表18に記載され表19には記載されていない遺伝子産物のうちの1種以上の発現は、ベースラインでの該Tregと比較して増加している。いくつかの実施態様において、増殖後の前記Tregにおける表18に記載され表19には記載されていない少なくとも2、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、又は少なくとも35種の産物の発現は、ベースラインでの該Tregと比較して増加している。いくつかの実施態様において、増殖後の前記Tregにおける表18に記載され表19には記載されていない全ての遺伝子産物の発現は、ベースラインでの該Tregと比較して増加している。
【0318】
いくつかの実施態様において、解凍してすぐの前記凍結保存されたTregの治療用集団における表14~表18に記載され表19には記載されていない遺伝子産物のうちの1種以上の発現は、ベースラインでの該Tregにおける該1種以上の遺伝子産物の発現と実質的に同じである。いくつかの実施態様において、解凍してすぐの前記凍結保存されたTregの治療用集団における表14~表18に記載され表19には記載されていない少なくとも2、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも35、少なくとも40、少なくとも45、少なくとも50、少なくとも55、少なくとも60、少なくとも65、少なくとも70、少なくとも75、少なくとも80、少なくとも85、少なくとも90、少なくとも95、少なくとも100、少なくとも110、少なくとも120、少なくとも130、少なくとも140、少なくとも150、少なくとも160、少なくとも170、少なくとも180、少なくとも190、少なくとも200、少なくとも210、少なくとも220、少なくとも230、少なくとも240、少なくとも250、少なくとも260、少なくとも270、少なくとも280、少なくとも290、少なくとも300、少なくとも310、少なくとも320、少なくとも330、少なくとも340、少なくとも350、少なくとも360、少なくとも370、少なくとも380、少なくとも390、又は少なくとも400種の遺伝子産物の発現は、ベースラインでの該Tregにおける該1種以上の遺伝子産物の発現と実質的に同じである。いくつかの実施態様において、解凍してすぐの前記凍結保存されたTregの治療用集団における表14~表18に記載され表19には記載されていない全ての遺伝子産物の発現は、ベースラインでの該Tregにおける該1種以上の遺伝子産物の発現と実質的に同じである。
【0319】
いくつかの実施態様において、解凍してすぐの前記凍結保存されたTregの治療用集団における表14に記載され表19には記載されていない遺伝子産物のうちの1種以上の発現は、ベースラインでの該Tregにおける該1種以上の遺伝子産物の発現と実質的に同じである。いくつかの実施態様において、解凍してすぐの前記凍結保存されたTregの治療用集団における表14に記載され表19には記載されていない少なくとも2、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも35、少なくとも40、少なくとも45、少なくとも50、少なくとも55、少なくとも60、少なくとも65、少なくとも70、少なくとも75、少なくとも80、少なくとも85、少なくとも90、少なくとも95、少なくとも100、少なくとも110、少なくとも120、少なくとも130、少なくとも140、少なくとも150、少なくとも160、少なくとも170、少なくとも180、少なくとも190、少なくとも200、少なくとも210、少なくとも220、少なくとも230、少なくとも240、少なくとも250、少なくとも260、少なくとも270、少なくとも280、少なくとも290、少なくとも300、少なくとも310、少なくとも320、少なくとも330、少なくとも340、少なくとも350、少なくとも360、少なくとも370、少なくとも380、少なくとも390、又は少なくとも400種の遺伝子産物の発現は、ベースラインでの該Tregにおける該1種以上の遺伝子産物の発現と実質的に同じである。いくつかの実施態様において、解凍してすぐの前記凍結保存されたTregの治療用集団における表14に記載され表19には記載されていない全ての遺伝子産物の発現は、ベースラインでの該Tregにおける該1種以上の遺伝子産物の発現と実質的に同じである。
【0320】
いくつかの実施態様において、解凍してすぐの前記凍結保存されたTregの治療用集団における表15に記載され表19には記載されていない遺伝子産物のうちの1種以上の発現は、ベースラインでの該Tregにおける該1種以上の遺伝子産物の発現と実質的に同じである。いくつかの実施態様において、解凍してすぐの前記凍結保存されたTregの治療用集団における表15に記載され表19には記載されていない少なくとも2、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25、又は少なくとも30種の遺伝子産物の発現は、ベースラインでの該Tregにおける該1種以上の遺伝子産物の発現と実質的に同じである。いくつかの実施態様において、解凍してすぐの前記凍結保存されたTregの治療用集団における表15に記載され表19には記載されていない全ての遺伝子産物の発現は、ベースラインでの該Tregにおける該1種以上の遺伝子産物の発現と実質的に同じである。
【0321】
いくつかの実施態様において、解凍してすぐの前記凍結保存されたTregの治療用集団における表16に記載され表19には記載されていない遺伝子産物のうちの1種以上の発現は、ベースラインでの該Tregにおける該1種以上の遺伝子産物の発現と実質的に同じである。いくつかの実施態様において、解凍してすぐの前記凍結保存されたTregの治療用集団における表16に記載され表19には記載されていない少なくとも2、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも35、少なくとも40、少なくとも45、少なくとも50、少なくとも55、少なくとも60、少なくとも65、少なくとも70、少なくとも75、少なくとも80、又は少なくとも85種の遺伝子産物の発現は、ベースラインでの該Tregにおける該1種以上の遺伝子産物の発現と実質的に同じである。いくつかの実施態様において、解凍してすぐの前記凍結保存されたTregの治療用集団における表16に記載され表19には記載されていない全ての遺伝子産物の発現は、ベースラインでの該Tregにおける該1種以上の遺伝子産物の発現と実質的に同じである。
【0322】
いくつかの実施態様において、解凍してすぐの前記凍結保存されたTregの治療用集団における表17に記載され表19には記載されていない遺伝子産物のうちの1種以上の発現は、ベースラインでの該Tregにおける該1種以上の遺伝子産物の発現と実質的に同じである。いくつかの実施態様において、解凍してすぐの前記凍結保存されたTregの治療用集団における表17に記載され表19には記載されていない少なくとも2、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25、又は少なくとも30種の遺伝子産物の発現は、ベースラインでの該Tregにおける該1種以上の遺伝子産物の発現と実質的に同じである。いくつかの実施態様において、解凍してすぐの前記凍結保存されたTregの治療用集団における表17に記載され表19には記載されていない全ての遺伝子産物の発現は、ベースラインでの該Tregにおける該1種以上の遺伝子産物の発現と実質的に同じである。
【0323】
いくつかの実施態様において、解凍してすぐの前記凍結保存されたTregの治療用集団における表18に記載され表19には記載されていない遺伝子産物のうちの1種以上の発現は、ベースラインでの該Tregにおける該1種以上の遺伝子産物の発現と実質的に同じである。いくつかの実施態様において、解凍してすぐの前記凍結保存されたTregの治療用集団における表18に記載され表19には記載されていない少なくとも2、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、又は少なくとも35種の遺伝子産物の発現は、ベースラインでの該Tregにおける該1種以上の遺伝子産物の発現と実質的に同じである。いくつかの実施態様において、解凍してすぐの前記凍結保存されたTregの治療用集団における表18に記載され表19には記載されていない全ての遺伝子産物の発現は、ベースラインでの該Tregにおける該1種以上の遺伝子産物の発現と実質的に同じである。
【0324】
いくつかの実施態様において、解凍してすぐの前記凍結保存されたTregの治療用集団における表14~表18に記載され表19には記載されていない遺伝子産物のうちの1種以上の発現は、増殖後の該Tregにおける該1種以上の遺伝子の発現と実質的に同じである。いくつかの実施態様において、解凍してすぐの前記凍結保存されたTregの治療用集団における表14~表18に記載され表19には記載されていない少なくとも2、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも35、少なくとも40、少なくとも45、少なくとも50、少なくとも55、少なくとも60、少なくとも65、少なくとも70、少なくとも75、少なくとも80、少なくとも85、少なくとも90、少なくとも95、少なくとも100、少なくとも110、少なくとも120、少なくとも130、少なくとも140、少なくとも150、少なくとも160、少なくとも170、少なくとも180、少なくとも190、少なくとも200、少なくとも210、少なくとも220、少なくとも230、少なくとも240、少なくとも250、少なくとも260、少なくとも270、少なくとも280、少なくとも290、少なくとも300、少なくとも310、少なくとも320、少なくとも330、少なくとも340、少なくとも350、少なくとも360、少なくとも370、少なくとも380、少なくとも390、又は少なくとも400種の遺伝子産物の発現は、増殖後の該Tregにおける該1種以上の遺伝子の発現と実質的に同じである。いくつかの実施態様において、解凍してすぐの前記凍結保存されたTregの治療用集団における表14~表18に記載され表19には記載されていない遺伝子産物の全ての発現は、増殖後の該Tregにおける該1種以上の遺伝子の発現と実質的に同じである。
【0325】
いくつかの実施態様において、解凍してすぐの前記凍結保存されたTregの治療用集団における表14に記載され表19には記載されていない遺伝子産物のうちの1種以上の発現は、増殖後の該Tregにおける該1種以上の遺伝子の発現と実質的に同じである。いくつかの実施態様において、解凍してすぐの前記凍結保存されたTregの治療用集団における表14に記載され表19には記載されていない少なくとも2、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも35、少なくとも40、少なくとも45、少なくとも50、少なくとも55、少なくとも60、少なくとも65、少なくとも70、少なくとも75、少なくとも80、少なくとも85、少なくとも90、少なくとも95、少なくとも100、少なくとも110、少なくとも120、少なくとも130、少なくとも140、少なくとも150、少なくとも160、少なくとも170、少なくとも180、少なくとも190、少なくとも200、少なくとも210、少なくとも220、少なくとも230、少なくとも240、少なくとも250、少なくとも260、少なくとも270、少なくとも280、少なくとも290、少なくとも300、少なくとも310、少なくとも320、少なくとも330、少なくとも340、少なくとも350、少なくとも360、少なくとも370、少なくとも380、少なくとも390、又は少なくとも400種の遺伝子産物の発現は、増殖後の該Tregにおける該1種以上の遺伝子の発現と実質的に同じである。いくつかの実施態様において、解凍してすぐの前記凍結保存されたTregの治療用集団における表14に記載され表19には記載されていない遺伝子産物の全ての発現は、増殖後の該Tregにおける該1種以上の遺伝子の発現と実質的に同じである。
【0326】
いくつかの実施態様において、解凍してすぐの前記凍結保存されたTregの治療用集団における表15に記載され表19には記載されていない遺伝子産物のうちの1種以上の発現は、増殖後の該Tregにおける該1種以上の遺伝子の発現と実質的に同じである。いくつかの実施態様において、解凍してすぐの前記凍結保存されたTregの治療用集団における表15に記載され表19には記載されていない少なくとも2、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25、又は少なくとも30種の遺伝子産物の発現は、増殖後の該Tregにおける該1種以上の遺伝子の発現と実質的に同じである。いくつかの実施態様において、解凍してすぐの前記凍結保存されたTregの治療用集団における表15に記載され表19には記載されていない遺伝子産物の全ての発現は、増殖後の該Tregにおける該1種以上の遺伝子の発現と実質的に同じである。
【0327】
いくつかの実施態様において、解凍してすぐの前記凍結保存されたTregの治療用集団における表16に記載され表19には記載されていない遺伝子産物のうちの1種以上の発現は、増殖後の該Tregにおける該1種以上の遺伝子の発現と実質的に同じである。いくつかの実施態様において、解凍してすぐの前記凍結保存されたTregの治療用集団における表16に記載され表19には記載されていない少なくとも2、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも35、少なくとも40、少なくとも45、少なくとも50、少なくとも55、少なくとも60、少なくとも65、少なくとも70、少なくとも75、少なくとも80、又は少なくとも85種の遺伝子産物の発現は、増殖後の該Tregにおける該1種以上の遺伝子の発現と実質的に同じである。いくつかの実施態様において、解凍してすぐの前記凍結保存されたTregの治療用集団における表16に記載され表19には記載されていない遺伝子産物の全ての発現は、増殖後の該Tregにおける該1種以上の遺伝子の発現と実質的に同じである。
【0328】
いくつかの実施態様において、解凍してすぐの前記凍結保存されたTregの治療用集団における表17に記載され表19には記載されていない遺伝子産物のうちの1種以上の発現は、増殖後の該Tregにおける該1種以上の遺伝子の発現と実質的に同じである。いくつかの実施態様において、解凍してすぐの前記凍結保存されたTregの治療用集団における表17に記載され表19には記載されていない少なくとも2、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25、又は少なくとも30種の遺伝子産物の発現は、増殖後の該Tregにおける該1種以上の遺伝子の発現と実質的に同じである。いくつかの実施態様において、解凍してすぐの前記凍結保存されたTregの治療用集団における表17に記載され表19には記載されていない遺伝子産物の全ての発現は、増殖後の該Tregにおける該1種以上の遺伝子の発現と実質的に同じである。
【0329】
いくつかの実施態様において、解凍してすぐの前記凍結保存されたTregの治療用集団における表18に記載され表19には記載されていない遺伝子産物のうちの1種以上の発現は、増殖後の該Tregにおける該1種以上の遺伝子の発現と実質的に同じである。いくつかの実施態様において、解凍してすぐの前記凍結保存されたTregの治療用集団における表18に記載され表19には記載されていない少なくとも2、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、又は少なくとも35種の遺伝子産物の発現は、増殖後の該Tregにおける該1種以上の遺伝子の発現と実質的に同じである。いくつかの実施態様において、解凍してすぐの前記凍結保存されたTregの治療用集団における表18に記載され表19には記載されていない遺伝子産物の全ての発現は、増殖後の該Tregにおける該1種以上の遺伝子の発現と実質的に同じである。
【0330】
いくつかの実施態様において、表12及び/又は表13に記載される1種以上の遺伝子産物は、凍結保存されたTregにおいて、ベースラインでのTregと比較して少なくとも約4倍、約5~10倍、約10~15倍、約15~20倍、約20~25倍、約25~30倍、約30~35倍、約35~40倍、約40~45倍、約45~50倍、約50~60倍、約60~70倍、約70~80倍、約80~90倍、約90~100倍、又は少なくとも約100倍減少している。いくつかの実施態様において、表12及び/又は表13に記載される1種以上の遺伝子産物は、凍結保存されたTregにおいて、ベースラインでのTregと比較して少なくとも約4倍、約5~10倍、約10~15倍、約15~20倍、約20~25倍、約25~30倍、約30~35倍、約35~40倍、約40~45倍、約45~50倍、約50~60倍、約60~70倍、約70~80倍、約80~90倍、約90~100倍、又は少なくとも約100倍減少しているが、該1種以上の遺伝子産物は、凍結保存されたTregと増殖後であるが凍結保存前のTregとの間で実質的に同等である。
【0331】
いくつかの実施態様において、表12に記載される1種以上の遺伝子産物は、凍結保存されたTregにおいて、ベースラインでのTregと比較して少なくとも約4倍、約5~10倍、約10~15倍、約15~20倍、約20~25倍、約25~30倍、約30~35倍、約35~40倍、約40~45倍、約45~50倍、約50~60倍、約60~70倍、約70~80倍、約80~90倍、約90~100倍、又は少なくとも約100倍減少している。いくつかの実施態様において、表12に記載される1種以上の遺伝子産物は、凍結保存されたTregにおいて、ベースラインでのTregと比較して少なくとも約4倍、約5~10倍、約10~15倍、約15~20倍、約20~25倍、約25~30倍、約30~35倍、約35~40倍、約40~45倍、約45~50倍、約50~60倍、約60~70倍、約70~80倍、約80~90倍、約90~100倍、又は少なくとも約100倍減少しているが、該1種以上の遺伝子産物は、凍結保存されたTregと増殖後であるが凍結保存前のTregとの間で実質的に同等である。
【0332】
いくつかの実施態様において、表13に記載される1種以上の遺伝子産物は、凍結保存されたTregにおいて、ベースラインでのTregと比較して少なくとも約4倍、約5~10倍、約10~15倍、約15~20倍、約20~25倍、約25~30倍、約30~35倍、約35~40倍、約40~45倍、約45~50倍、約50~60倍、約60~70倍、約70~80倍、約80~90倍、約90~100倍、又は少なくとも約100倍減少している。いくつかの実施態様において、表13に記載される1種以上の遺伝子産物は、凍結保存されたTregにおいて、ベースラインでのTregと比較して少なくとも約4倍、約5~10倍、約10~15倍、約15~20倍、約20~25倍、約25~30倍、約30~35倍、約35~40倍、約40~45倍、約45~50倍、約50~60倍、約60~70倍、約70~80倍、約80~90倍、約90~100倍、又は少なくとも約100倍減少しているが、該1種以上の遺伝子産物は、凍結保存されたTregと増殖後であるが凍結保存前のTregとの間で実質的に同等である。
【0333】
いくつかの実施態様において、表14~表18に記載される1種以上の遺伝子産物は、凍結保存されたTregにおいて、ベースラインでのTregと比較して少なくとも約4倍、約5~10倍、約10~15倍、約15~20倍、約20~25倍、約25~30倍、約30~35倍、約35~40倍、約40~45倍、約45~50倍、約50~60倍、約60~70倍、約70~80倍、約80~90倍、約90~100倍、又は少なくとも約100倍増加している。いくつかの実施態様において、表14~表18に記載される1種以上の遺伝子産物は、凍結保存されたTregにおいて、ベースラインでのTregと比較して少なくとも約4倍、約5~10倍、約10~15倍、約15~20倍、約20~25倍、約25~30倍、約30~35倍、約35~40倍、約40~45倍、約45~50倍、約50~60倍、約60~70倍、約70~80倍、約80~90倍、約90~100倍、又は少なくとも約100倍増加しているが、該1種以上の遺伝子産物は、凍結保存されたTregと増殖後であるが凍結保存前のTregとの間で実質的に同等である。
【0334】
いくつかの実施態様において、表14に記載される1種以上の遺伝子産物は、凍結保存されたTregにおいて、ベースラインでのTregと比較して少なくとも約4倍、約5~10倍、約10~15倍、約15~20倍、約20~25倍、約25~30倍、約30~35倍、約35~40倍、約40~45倍、約45~50倍、約50~60倍、約60~70倍、約70~80倍、約80~90倍、約90~100倍、又は少なくとも約100倍増加している。いくつかの実施態様において、表14に記載される1種以上の遺伝子産物は、凍結保存されたTregにおいて、ベースラインでのTregと比較して少なくとも約4倍、約5~10倍、約10~15倍、約15~20倍、約20~25倍、約25~30倍、約30~35倍、約35~40倍、約40~45倍、約45~50倍、約50~60倍、約60~70倍、約70~80倍、約80~90倍、約90~100倍、又は少なくとも約100倍増加しているが、該1種以上の遺伝子産物は、凍結保存されたTregと増殖後であるが凍結保存前のTregとの間で実質的に同等である。
【0335】
いくつかの実施態様において、表15に記載される1種以上の遺伝子産物は、凍結保存されたTregにおいて、ベースラインでのTregと比較して少なくとも約4倍、約5~10倍、約10~15倍、約15~20倍、約20~25倍、約25~30倍、約30~35倍、約35~40倍、約40~45倍、約45~50倍、約50~60倍、約60~70倍、約70~80倍、約80~90倍、約90~100倍、又は少なくとも約100倍増加している。いくつかの実施態様において、表15に記載される1種以上の遺伝子産物は、凍結保存されたTregにおいて、ベースラインでのTregと比較して少なくとも約4倍、約5~10倍、約10~15倍、約15~20倍、約20~25倍、約25~30倍、約30~35倍、約35~40倍、約40~45倍、約45~50倍、約50~60倍、約60~70倍、約70~80倍、約80~90倍、約90~100倍、又は少なくとも約100倍増加しているが、該1種以上の遺伝子産物は、凍結保存されたTregと増殖後であるが凍結保存前のTregとの間で実質的に同等である。
【0336】
いくつかの実施態様において、表16に記載される1種以上の遺伝子産物は、凍結保存されたTregにおいて、ベースラインでのTregと比較して少なくとも約4倍、約5~10倍、約10~15倍、約15~20倍、約20~25倍、約25~30倍、約30~35倍、約35~40倍、約40~45倍、約45~50倍、約50~60倍、約60~70倍、約70~80倍、約80~90倍、約90~100倍、又は少なくとも約100倍増加している。いくつかの実施態様において、表16に記載される1種以上の遺伝子産物は、凍結保存されたTregにおいて、ベースラインでのTregと比較して少なくとも約4倍、約5~10倍、約10~15倍、約15~20倍、約20~25倍、約25~30倍、約30~35倍、約35~40倍、約40~45倍、約45~50倍、約50~60倍、約60~70倍、約70~80倍、約80~90倍、約90~100倍、又は少なくとも約100倍増加しているが、該1種以上の遺伝子産物は、凍結保存されたTregと増殖後であるが凍結保存前のTregとの間で実質的に同等である。
【0337】
いくつかの実施態様において、表17に記載される1種以上の遺伝子産物は、凍結保存されたTregにおいて、ベースラインでのTregと比較して少なくとも約4倍、約5~10倍、約10~15倍、約15~20倍、約20~25倍、約25~30倍、約30~35倍、約35~40倍、約40~45倍、約45~50倍、約50~60倍、約60~70倍、約70~80倍、約80~90倍、約90~100倍、又は少なくとも約100倍増加している。いくつかの実施態様において、表17に記載される1種以上の遺伝子産物は、凍結保存されたTregにおいて、ベースラインでのTregと比較して少なくとも約4倍、約5~10倍、約10~15倍、約15~20倍、約20~25倍、約25~30倍、約30~35倍、約35~40倍、約40~45倍、約45~50倍、約50~60倍、約60~70倍、約70~80倍、約80~90倍、約90~100倍、又は少なくとも約100倍増加しているが、該1種以上の遺伝子産物は、凍結保存されたTregと増殖後であるが凍結保存前のTregとの間で実質的に同等である。
【0338】
いくつかの実施態様において、表18に記載される1種以上の遺伝子産物は、凍結保存されたTregにおいて、ベースラインでのTregと比較して少なくとも約4倍、約5~10倍、約10~15倍、約15~20倍、約20~25倍、約25~30倍、約30~35倍、約35~40倍、約40~45倍、約45~50倍、約50~60倍、約60~70倍、約70~80倍、約80~90倍、約90~100倍、又は少なくとも約100倍増加している。いくつかの実施態様において、表18に記載される1種以上の遺伝子産物は、凍結保存されたTregにおいて、ベースラインでのTregと比較して少なくとも約4倍、約5~10倍、約10~15倍、約15~20倍、約20~25倍、約25~30倍、約30~35倍、約35~40倍、約40~45倍、約45~50倍、約50~60倍、約60~70倍、約70~80倍、約80~90倍、約90~100倍、又は少なくとも約100倍増加しているが、該1種以上の遺伝子産物は、凍結保存されたTregと増殖後であるが凍結保存前のTregとの間で実質的に同等である。
【0339】
いくつかの実施態様において、増殖後の前記Tregにおける機能障害性のTreg表現型に関連する1種以上の遺伝子産物(例えば、表12に記載される遺伝子産物のうちの1種以上)の発現は、ベースラインでの該Tregと比較して減少している。機能障害性のTreg表現型としては、例えば、カルシウム動態の調節不全、5-ヒドロキシメチルシトシン(5hmC)-DNAに対するMECP2結合能の喪失、MECP2の発現又は活性の調節不全、及びMECP2の調節、リン酸化、又は結合能の喪失が挙げられる。いくつかの実施態様において、増殖後の前記Tregにおける少なくとも2、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも35、少なくとも40、少なくとも45、少なくとも50、少なくとも55、少なくとも60、少なくとも65、少なくとも70、少なくとも75、少なくとも80、少なくとも85、少なくとも90、少なくとも95、少なくとも100、少なくとも110、少なくとも120、少なくとも130、少なくとも140、少なくとも150、少なくとも160、少なくとも170、少なくとも180、少なくとも190、少なくとも200、少なくとも210、少なくとも220、少なくとも230、少なくとも240、少なくとも250、少なくとも260、少なくとも270、少なくとも280、少なくとも290、少なくとも300、少なくとも310、少なくとも320、少なくとも330、少なくとも340、少なくとも350、少なくとも360、少なくとも370、少なくとも380、少なくとも390、又は少なくとも400種の機能障害性のTreg表現型に関連する遺伝子産物(例えば、表12に記載される遺伝子産物のうちの1種以上)の発現は、ベースラインでの該Tregと比較して減少している。
【0340】
いくつかの実施態様において、前記凍結保存されたTregの組成物における機能障害性のTreg表現型に関連する1種以上の遺伝子産物(例えば、表12に記載される遺伝子産物のうちの1種以上)の発現は、凍結保存前の前記増殖させたTregの集団と比較して実質的に同じである。機能障害性のTreg表現型としては、例えば、カルシウム動態の調節不全、5hmC-DNAに対するMECP2結合能の喪失、MECP2の発現又は活性の調節不全、及びMECP2の調節、リン酸化、又は結合能の喪失が挙げられる。いくつかの実施態様において、前記凍結保存されたTregの組成物における少なくとも2、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも35、少なくとも40、少なくとも45、少なくとも50、少なくとも55、少なくとも60、少なくとも65、少なくとも70、少なくとも75、少なくとも80、少なくとも85、少なくとも90、少なくとも95、少なくとも100、少なくとも110、少なくとも120、少なくとも130、少なくとも140、少なくとも150、少なくとも160、少なくとも170、少なくとも180、少なくとも190、少なくとも200、少なくとも210、少なくとも220、少なくとも230、少なくとも240、少なくとも250、少なくとも260、少なくとも270、少なくとも280、少なくとも290、少なくとも300、少なくとも310、少なくとも320、少なくとも330、少なくとも340、少なくとも350、少なくとも360、少なくとも370、少なくとも380、少なくとも390、又は少なくとも400機能障害性のTreg表現型に関連する遺伝子産物(例えば、表12に記載される遺伝子産物のうちの1種以上)の発現は、凍結保存前の前記増殖させたTregの集団と比較して実質的に同じである。
【0341】
いくつかの実施態様において、増殖後の前記Tregにおける表19には記載されていない機能障害性のTreg表現型に関連する1種以上の遺伝子産物(例えば、表12に記載される遺伝子産物のうちの1種以上)の発現は、ベースラインでの該Tregと比較して減少している。機能障害性のTreg表現型としては、例えば、カルシウム動態の調節不全、5hmC-DNAに対するMECP2結合能の喪失、MECP2の発現又は活性の調節不全、及びMECP2の調節、リン酸化、又は結合能の喪失が挙げられる。いくつかの実施態様において、増殖後の前記Tregにおける少なくとも2、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも35、少なくとも40、少なくとも45、少なくとも50、少なくとも55、少なくとも60、少なくとも65、少なくとも70、少なくとも75、少なくとも80、少なくとも85、少なくとも90、少なくとも95、少なくとも100、少なくとも110、少なくとも120、少なくとも130、少なくとも140、少なくとも150、少なくとも160、少なくとも170、少なくとも180、少なくとも190、少なくとも200、少なくとも210、少なくとも220、少なくとも230、少なくとも240、少なくとも250、少なくとも260、少なくとも270、少なくとも280、少なくとも290、少なくとも300、少なくとも310、少なくとも320、少なくとも330、少なくとも340、少なくとも350、少なくとも360、少なくとも370、少なくとも380、少なくとも390、又は少なくとも400種の表19には記載されていない機能障害性のTreg表現型に関連する遺伝子産物(例えば、表12に記載される遺伝子産物のうちの1種以上)の発現は、ベースラインでの該Tregと比較して減少している。
【0342】
いくつかの実施態様において、前記凍結保存されたTregの組成物における表19には記載されていない機能障害性のTreg表現型に関連する1種以上の遺伝子産物(例えば、表12に記載される遺伝子産物のうちの1種以上)の発現は、凍結保存前の前記増殖させたTregの集団と比較して実質的に同じである。機能障害性のTreg表現型としては、例えば、カルシウム動態の調節不全、5hmC-DNAに対するMECP2結合能の喪失、MECP2の発現又は活性の調節不全、及びMECP2の調節、リン酸化、又は結合能の喪失が挙げられる。いくつかの実施態様において、前記凍結保存されたTregの組成物における少なくとも2、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも35、少なくとも40、少なくとも45、少なくとも50、少なくとも55、少なくとも60、少なくとも65、少なくとも70、少なくとも75、少なくとも80、少なくとも85、少なくとも90、少なくとも95、少なくとも100、少なくとも110、少なくとも120、少なくとも130、少なくとも140、少なくとも150、少なくとも160、少なくとも170、少なくとも180、少なくとも190、少なくとも200、少なくとも210、少なくとも220、少なくとも230、少なくとも240、少なくとも250、少なくとも260、少なくとも270、少なくとも280、少なくとも290、少なくとも300、少なくとも310、少なくとも320、少なくとも330、少なくとも340、少なくとも350、少なくとも360、少なくとも370、少なくとも380、少なくとも390、又は少なくとも400種の表19には記載されていない機能障害性のTreg表現型に関連する遺伝子産物(例えば、表12に記載される遺伝子産物のうちの1種以上)の発現は、凍結保存前の前記増殖させたTregの集団と比較して実質的に同じである。
【0343】
いくつかの実施態様において、増殖後の前記Tregにおける1種以上のメチル化又はエピジェネティクス関連遺伝子産物(例えば、表13に記載される遺伝子産物のうちの1種以上)の発現は、ベースラインでの該Tregと比較して減少している。いくつかの実施態様において、増殖後の前記Tregにおける少なくとも2、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも35、少なくとも40、少なくとも45、少なくとも50、少なくとも55、少なくとも60、少なくとも65、少なくとも70、少なくとも75、少なくとも80、少なくとも85、少なくとも90、少なくとも95、少なくとも100、少なくとも110、少なくとも120、少なくとも130、少なくとも140、少なくとも150、少なくとも160、少なくとも170、少なくとも180、少なくとも190、少なくとも200、少なくとも210、少なくとも220、少なくとも230、少なくとも240、少なくとも250、少なくとも260、少なくとも270、少なくとも280、少なくとも290、少なくとも300、少なくとも310、少なくとも320、少なくとも330、少なくとも340、少なくとも350、少なくとも360、少なくとも370、少なくとも380、少なくとも390、又は少なくとも400種のメチル化又はエピジェネティクス関連遺伝子産物(例えば、表13に記載される遺伝子産物のうちの1種以上)の発現は、ベースラインでの該Tregと比較して減少している。
【0344】
いくつかの実施態様において、前記凍結保存されたTregの組成物における1種以上のメチル化又はエピジェネティクス関連遺伝子産物(例えば、表13に記載される遺伝子産物のうちの1種以上)の発現は、凍結保存前の前記増殖させたTregの集団と比較して実質的に同じである。いくつかの実施態様において、前記凍結保存されたTregの組成物における少なくとも2、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも35、少なくとも40、少なくとも45、少なくとも50、少なくとも55、少なくとも60、少なくとも65、少なくとも70、少なくとも75、少なくとも80、少なくとも85、少なくとも90、少なくとも95、少なくとも100、少なくとも110、少なくとも120、少なくとも130、少なくとも140、少なくとも150、少なくとも160、少なくとも170、少なくとも180、少なくとも190、少なくとも200、少なくとも210、少なくとも220、少なくとも230、少なくとも240、少なくとも250、少なくとも260、少なくとも270、少なくとも280、少なくとも290、少なくとも300、少なくとも310、少なくとも320、少なくとも330、少なくとも340、少なくとも350、少なくとも360、少なくとも370、少なくとも380、少なくとも390、又は少なくとも400種のメチル化又はエピジェネティクス関連遺伝子産物(例えば、表13に記載される遺伝子産物のうちの1種以上)の発現は、凍結保存前の前記増殖させたTregの集団と比較して実質的に同じである。
【0345】
いくつかの実施態様において、増殖後の前記Tregにおける表19には記載されていない1種以上のメチル化又はエピジェネティクス関連遺伝子産物(例えば、表13に記載される遺伝子産物のうちの1種以上)の発現は、ベースラインでの該Tregと比較して減少している。いくつかの実施態様において、増殖後の前記Tregにおける少なくとも2、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも35、少なくとも40、少なくとも45、少なくとも50、少なくとも55、少なくとも60、少なくとも65、少なくとも70、少なくとも75、少なくとも80、少なくとも85、少なくとも90、少なくとも95、少なくとも100、少なくとも110、少なくとも120、少なくとも130、少なくとも140、少なくとも150、少なくとも160、少なくとも170、少なくとも180、少なくとも190、少なくとも200、少なくとも210、少なくとも220、少なくとも230、少なくとも240、少なくとも250、少なくとも260、少なくとも270、少なくとも280、少なくとも290、少なくとも300、少なくとも310、少なくとも320、少なくとも330、少なくとも340、少なくとも350、少なくとも360、少なくとも370、少なくとも380、少なくとも390、又は少なくとも400種の表19には記載されていないメチル化又はエピジェネティクス関連遺伝子産物(例えば、表13に記載される遺伝子産物のうちの1種以上)の発現は、ベースラインでの該Tregと比較して減少している。
【0346】
いくつかの実施態様において、前記凍結保存されたTregの組成物における表19には記載されていない1種以上のメチル化又はエピジェネティクス関連遺伝子産物(例えば、表13に記載される遺伝子産物のうちの1種以上)の発現は、凍結保存前の前記増殖させたTregの集団と比較して実質的に同じである。いくつかの実施態様において、前記凍結保存されたTregの組成物における少なくとも2、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも35、少なくとも40、少なくとも45、少なくとも50、少なくとも55、少なくとも60、少なくとも65、少なくとも70、少なくとも75、少なくとも80、少なくとも85、少なくとも90、少なくとも95、少なくとも100、少なくとも110、少なくとも120、少なくとも130、少なくとも140、少なくとも150、少なくとも160、少なくとも170、少なくとも180、少なくとも190、少なくとも200、少なくとも210、少なくとも220、少なくとも230、少なくとも240、少なくとも250、少なくとも260、少なくとも270、少なくとも280、少なくとも290、少なくとも300、少なくとも310、少なくとも320、少なくとも330、少なくとも340、少なくとも350、少なくとも360、少なくとも370、少なくとも380、少なくとも390、又は少なくとも400種の表19には記載されていないメチル化又はエピジェネティクス関連遺伝子産物(例えば、表13に記載される遺伝子産物のうちの1種以上)の発現は、凍結保存前の前記増殖させたTregの集団と比較して実質的に同じである。
【0347】
いくつかの実施態様において、凍結保存されたTregの組成物におけるTreg細胞の増殖、健康、同定、及び/又は機構に重要であることが知られている1種以上の遺伝子産物(例えば、表15に記載される遺伝子産物のうちの1種以上)の発現は、ベースラインでの該Tregにおける該1種以上の遺伝子産物の発現と比較して増加している。いくつかの実施態様において、凍結保存されたTregの組成物における少なくとも2、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも35、少なくとも40、少なくとも45、少なくとも50、少なくとも55、少なくとも60、少なくとも65、少なくとも70、少なくとも75、少なくとも80、少なくとも85、少なくとも90、少なくとも95、少なくとも100、少なくとも110、少なくとも120、少なくとも130、少なくとも140、少なくとも150、少なくとも160、少なくとも170、少なくとも180、少なくとも190、少なくとも200、少なくとも210、少なくとも220、少なくとも230、少なくとも240、少なくとも250、少なくとも260、少なくとも270、少なくとも280、少なくとも290、少なくとも300、少なくとも310、少なくとも320、少なくとも330、少なくとも340、少なくとも350、少なくとも360、少なくとも370、少なくとも380、少なくとも390、又は少なくとも400種のTreg細胞の増殖、健康、同定、及び/又は機構に重要であることが知られている遺伝子産物(例えば、表15に記載される遺伝子産物のうちの1種以上)の発現は、ベースラインでの該Tregにおける該1種以上の遺伝子産物の発現と比較して増加している。
【0348】
いくつかの実施態様において、前記凍結保存されたTregの組成物におけるTreg細胞の増殖、健康、同定、及び/又は機構に重要であることが知られている1種以上の遺伝子産物(例えば、表15に記載される遺伝子産物のうちの1種以上)の発現は、凍結保存前の前記増殖させたTregの集団と比較して実質的に同じである。いくつかの実施態様において、前記凍結保存されたTregの組成物における少なくとも2、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも35、少なくとも40、少なくとも45、少なくとも50、少なくとも55、少なくとも60、少なくとも65、少なくとも70、少なくとも75、少なくとも80、少なくとも85、少なくとも90、少なくとも95、少なくとも100、少なくとも110、少なくとも120、少なくとも130、少なくとも140、少なくとも150、少なくとも160、少なくとも170、少なくとも180、少なくとも190、少なくとも200、少なくとも210、少なくとも220、少なくとも230、少なくとも240、少なくとも250、少なくとも260、少なくとも270、少なくとも280、少なくとも290、少なくとも300、少なくとも310、少なくとも320、少なくとも330、少なくとも340、少なくとも350、少なくとも360、少なくとも370、少なくとも380、少なくとも390、又は少なくとも400種のTreg細胞の増殖、健康、同定、及び/又は機構に重要であることが知られている遺伝子産物(例えば、表15に記載される遺伝子産物のうちの1種以上)の発現は、凍結保存前の前記増殖させたTregの集団と比較して実質的に同じである。
【0349】
いくつかの実施態様において、凍結保存されたTregの組成物における表19には記載されていないTreg細胞の増殖、健康、同定、及び/又は機構に重要であることが知られている1種以上の遺伝子産物(例えば、表15に記載される遺伝子産物のうちの1種以上)の発現は、ベースラインでの該Tregにおける該1種以上の遺伝子産物の発現と比較して増加している。いくつかの実施態様において、凍結保存されたTregの組成物における少なくとも2、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも35、少なくとも40、少なくとも45、少なくとも50、少なくとも55、少なくとも60、少なくとも65、少なくとも70、少なくとも75、少なくとも80、少なくとも85、少なくとも90、少なくとも95、少なくとも100、少なくとも110、少なくとも120、少なくとも130、少なくとも140、少なくとも150、少なくとも160、少なくとも170、少なくとも180、少なくとも190、少なくとも200、少なくとも210、少なくとも220、少なくとも230、少なくとも240、少なくとも250、少なくとも260、少なくとも270、少なくとも280、少なくとも290、少なくとも300、少なくとも310、少なくとも320、少なくとも330、少なくとも340、少なくとも350、少なくとも360、少なくとも370、少なくとも380、少なくとも390、又は少なくとも400種の表19には記載されていないTreg細胞の増殖、健康、同定、及び/又は機構に重要であることが知られている遺伝子産物(例えば、表15に記載される遺伝子産物のうちの1種以上)の発現は、ベースラインでの該Tregにおける該1種以上の遺伝子産物の発現と比較して増加している。
【0350】
いくつかの実施態様において、前記凍結保存されたTregの組成物における表19には記載されていないTreg細胞の増殖、健康、同定、及び/又は機構に重要であることが知られている1種以上の遺伝子産物(例えば、表15に記載される遺伝子産物のうちの1種以上)の発現は、凍結保存前の前記増殖させたTregの集団と比較して実質的に同じである。いくつかの実施態様において、前記凍結保存されたTregの組成物における少なくとも2、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも35、少なくとも40、少なくとも45、少なくとも50、少なくとも55、少なくとも60、少なくとも65、少なくとも70、少なくとも75、少なくとも80、少なくとも85、少なくとも90、少なくとも95、少なくとも100、少なくとも110、少なくとも120、少なくとも130、少なくとも140、少なくとも150、少なくとも160、少なくとも170、少なくとも180、少なくとも190、少なくとも200、少なくとも210、少なくとも220、少なくとも230、少なくとも240、少なくとも250、少なくとも260、少なくとも270、少なくとも280、少なくとも290、少なくとも300、少なくとも310、少なくとも320、少なくとも330、少なくとも340、少なくとも350、少なくとも360、少なくとも370、少なくとも380、少なくとも390、又は少なくとも400種の表19には記載されていないTreg細胞の増殖、健康、同定、及び/又は機構に重要であることが知られている遺伝子産物(例えば、表15に記載される遺伝子産物のうちの1種以上)の発現は、凍結保存前の前記増殖させたTregの集団と比較して実質的に同じである。
【0351】
いくつかの実施態様において、凍結保存されたTregの組成物におけるTreg細胞の増殖、健康、同定、及び/又は機構に重要であることが知られている1種以上の遺伝子産物(例えば、表15に記載される遺伝子産物のうちの1種以上)の発現は、ベースラインでの該Tregにおける該1種以上の遺伝子産物の発現と比較して増加しており、かつ該凍結保存されたTregの組成物における該1種以上の同じ遺伝子産物の発現は、凍結保存前の前記増殖させたTregの集団と比較して実質的に同じである。いくつかの実施態様において、凍結保存されたTregの組成物における少なくとも2、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも35、少なくとも40、少なくとも45、少なくとも50、少なくとも55、少なくとも60、少なくとも65、少なくとも70、少なくとも75、少なくとも80、少なくとも85、少なくとも90、少なくとも95、少なくとも100、少なくとも110、少なくとも120、少なくとも130、少なくとも140、少なくとも150、少なくとも160、少なくとも170、少なくとも180、少なくとも190、少なくとも200、少なくとも210、少なくとも220、少なくとも230、少なくとも240、少なくとも250、少なくとも260、少なくとも270、少なくとも280、少なくとも290、少なくとも300、少なくとも310、少なくとも320、少なくとも330、少なくとも340、少なくとも350、少なくとも360、少なくとも370、少なくとも380、少なくとも390、又は少なくとも400種のTreg細胞の増殖、健康、同定、及び/又は機構に重要であることが知られている遺伝子産物(例えば、表15に記載される遺伝子産物のうちの1種以上)の発現は、ベースラインでの該Tregにおける該1種以上の遺伝子産物の発現と比較して増加しており、かつ該凍結保存されたTregの組成物における該1種以上の同じ遺伝子産物の発現は、凍結保存前の前記増殖させたTregの集団と比較して実質的に同じである。
【0352】
いくつかの実施態様において、凍結保存されたTregの組成物における表19には記載されていないTreg細胞の増殖、健康、同定、及び/又は機構に重要であることが知られている1種以上の遺伝子産物(例えば、表15に記載される遺伝子産物のうちの1種以上)の発現は、ベースラインでの該Tregにおける該1種以上の遺伝子産物の発現と比較して増加しており、かつ該凍結保存されたTregの組成物における該1種以上の同じ遺伝子産物の発現は、凍結保存前の前記増殖させたTregの集団と比較して実質的に同じである。いくつかの実施態様において、凍結保存されたTregの組成物における少なくとも2、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも35、少なくとも40、少なくとも45、少なくとも50、少なくとも55、少なくとも60、少なくとも65、少なくとも70、少なくとも75、少なくとも80、少なくとも85、少なくとも90、少なくとも95、少なくとも100、少なくとも110、少なくとも120、少なくとも130、少なくとも140、少なくとも150、少なくとも160、少なくとも170、少なくとも180、少なくとも190、少なくとも200、少なくとも210、少なくとも220、少なくとも230、少なくとも240、少なくとも250、少なくとも260、少なくとも270、少なくとも280、少なくとも290、少なくとも300、少なくとも310、少なくとも320、少なくとも330、少なくとも340、少なくとも350、少なくとも360、少なくとも370、少なくとも380、少なくとも390、又は少なくとも400種の表19には記載されていないTreg細胞の増殖、健康、同定、及び/又は機構に重要であることが知られている遺伝子産物(例えば、表15に記載される遺伝子産物のうちの1種以上)の発現は、ベースラインでの該Tregにおける該1種以上の遺伝子産物の発現と比較して増加しており、かつ該凍結保存されたTregの組成物における該1種以上の同じ遺伝子産物の発現は、凍結保存前の前記増殖させたTregの集団と比較して実質的に同じである。
【0353】
いくつかの実施態様において、凍結保存されたTregの組成物における1種以上のミトコンドリア関連遺伝子産物(例えば、表16に記載される遺伝子産物のうちの1種以上)の発現は、ベースラインでの該Tregにおける該1種以上の遺伝子産物の発現と比較して増加している。いくつかの実施態様において、凍結保存されたTregの組成物における少なくとも2、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも35、少なくとも40、少なくとも45、少なくとも50、少なくとも55、少なくとも60、少なくとも65、少なくとも70、少なくとも75、少なくとも80、少なくとも85、少なくとも90、少なくとも95、少なくとも100、少なくとも110、少なくとも120、少なくとも130、少なくとも140、少なくとも150、少なくとも160、少なくとも170、少なくとも180、少なくとも190、少なくとも200、少なくとも210、少なくとも220、少なくとも230、少なくとも240、少なくとも250、少なくとも260、少なくとも270、少なくとも280、少なくとも290、少なくとも300、少なくとも310、少なくとも320、少なくとも330、少なくとも340、少なくとも350、少なくとも360、少なくとも370、少なくとも380、少なくとも390、又は少なくとも400種のミトコンドリア関連遺伝子産物(例えば、表16に記載される遺伝子産物のうちの1種以上)の発現は、ベースラインでの該Tregにおける該1種以上の遺伝子産物の発現と比較して増加している。いくつかの実施態様において、前記凍結保存されたTregの組成物における1種以上のミトコンドリア関連遺伝子産物(例えば、表16に記載される遺伝子産物のうちの1種以上)の発現は、凍結保存前の前記増殖させたTregの集団と比較して実質的に同じである。いくつかの実施態様において、前記凍結保存されたTregの組成物における少なくとも2、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも35、少なくとも40、少なくとも45、少なくとも50、少なくとも55、少なくとも60、少なくとも65、少なくとも70、少なくとも75、少なくとも80、少なくとも85、少なくとも90、少なくとも95、少なくとも100、少なくとも110、少なくとも120、少なくとも130、少なくとも140、少なくとも150、少なくとも160、少なくとも170、少なくとも180、少なくとも190、少なくとも200、少なくとも210、少なくとも220、少なくとも230、少なくとも240、少なくとも250、少なくとも260、少なくとも270、少なくとも280、少なくとも290、少なくとも300、少なくとも310、少なくとも320、少なくとも330、少なくとも340、少なくとも350、少なくとも360、少なくとも370、少なくとも380、少なくとも390、又は少なくとも400種のミトコンドリア関連遺伝子産物(例えば、表16に記載される遺伝子産物のうちの1種以上)の発現は、凍結保存前の前記増殖させたTregの集団と比較して実質的に同じである。
【0354】
いくつかの実施態様において、凍結保存されたTregの組成物における表19には記載されていない1種以上のミトコンドリア関連遺伝子産物(例えば、表16に記載される遺伝子産物のうちの1種以上)の発現は、ベースラインでの該Tregにおける該1種以上の遺伝子産物の発現と比較して増加している。いくつかの実施態様において、凍結保存されたTregの組成物における少なくとも2、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも35、少なくとも40、少なくとも45、少なくとも50、少なくとも55、少なくとも60、少なくとも65、少なくとも70、少なくとも75、少なくとも80、少なくとも85、少なくとも90、少なくとも95、少なくとも100、少なくとも110、少なくとも120、少なくとも130、少なくとも140、少なくとも150、少なくとも160、少なくとも170、少なくとも180、少なくとも190、少なくとも200、少なくとも210、少なくとも220、少なくとも230、少なくとも240、少なくとも250、少なくとも260、少なくとも270、少なくとも280、少なくとも290、少なくとも300、少なくとも310、少なくとも320、少なくとも330、少なくとも340、少なくとも350、少なくとも360、少なくとも370、少なくとも380、少なくとも390、又は少なくとも400種の表19には記載されていないミトコンドリア関連遺伝子産物(例えば、表16に記載される遺伝子産物のうちの1種以上)の発現は、ベースラインでの該Tregにおける該1種以上の遺伝子産物の発現と比較して増加している。いくつかの実施態様において、前記凍結保存されたTregの組成物における表19には記載されていない1種以上のミトコンドリア関連遺伝子産物(例えば、表16に記載される遺伝子産物のうちの1種以上)の発現は、凍結保存前の前記増殖させたTregの集団と比較して実質的に同じである。いくつかの実施態様において、前記凍結保存されたTregの組成物における少なくとも2、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも35、少なくとも40、少なくとも45、少なくとも50、少なくとも55、少なくとも60、少なくとも65、少なくとも70、少なくとも75、少なくとも80、少なくとも85、少なくとも90、少なくとも95、少なくとも100、少なくとも110、少なくとも120、少なくとも130、少なくとも140、少なくとも150、少なくとも160、少なくとも170、少なくとも180、少なくとも190、少なくとも200、少なくとも210、少なくとも220、少なくとも230、少なくとも240、少なくとも250、少なくとも260、少なくとも270、少なくとも280、少なくとも290、少なくとも300、少なくとも310、少なくとも320、少なくとも330、少なくとも340、少なくとも350、少なくとも360、少なくとも370、少なくとも380、少なくとも390、又は少なくとも400種の表19には記載されていないミトコンドリア関連遺伝子産物(例えば、表16に記載される遺伝子産物のうちの1種以上)の発現は、凍結保存前の前記増殖させたTregの集団と比較して実質的に同じである。
【0355】
いくつかの実施態様において、凍結保存されたTregの組成物における1種以上のミトコンドリア関連遺伝子産物(例えば、表16に記載される遺伝子産物のうちの1種以上)の発現は、ベースラインでの該Tregにおける該1種以上の遺伝子産物の発現と比較して増加しており、かつ該凍結保存されたTregの組成物における該1種以上の同じ遺伝子産物の発現は、凍結保存前の前記増殖させたTregの集団と比較して実質的に同じである。いくつかの実施態様において、凍結保存されたTregの組成物における少なくとも2、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも35、少なくとも40、少なくとも45、少なくとも50、少なくとも55、少なくとも60、少なくとも65、少なくとも70、少なくとも75、少なくとも80、少なくとも85、少なくとも90、少なくとも95、少なくとも100、少なくとも110、少なくとも120、少なくとも130、少なくとも140、少なくとも150、少なくとも160、少なくとも170、少なくとも180、少なくとも190、少なくとも200、少なくとも210、少なくとも220、少なくとも230、少なくとも240、少なくとも250、少なくとも260、少なくとも270、少なくとも280、少なくとも290、少なくとも300、少なくとも310、少なくとも320、少なくとも330、少なくとも340、少なくとも350、少なくとも360、少なくとも370、少なくとも380、少なくとも390、又は少なくとも400種のミトコンドリア関連遺伝子産物(例えば、表16に記載される遺伝子産物のうちの1種以上)の発現は、ベースラインでの該Tregにおける該1種以上の遺伝子産物の発現と比較して増加しており、かつ該凍結保存されたTregの組成物における該1種以上の同じ遺伝子産物の発現は、凍結保存前の前記増殖させたTregの集団と比較して実質的に同じである。
【0356】
いくつかの実施態様において、凍結保存されたTregの組成物における表19には記載されていない1種以上のミトコンドリア関連遺伝子産物(例えば、表16に記載される遺伝子産物のうちの1種以上)の発現は、ベースラインでの該Tregにおける該1種以上の遺伝子産物の発現と比較して増加しており、かつ該凍結保存されたTregの組成物における該1種以上の同じ遺伝子産物の発現は、凍結保存前の前記増殖させたTregの集団と比較して実質的に同じである。いくつかの実施態様において、凍結保存されたTregの組成物における少なくとも2、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも35、少なくとも40、少なくとも45、少なくとも50、少なくとも55、少なくとも60、少なくとも65、少なくとも70、少なくとも75、少なくとも80、少なくとも85、少なくとも90、少なくとも95、少なくとも100、少なくとも110、少なくとも120、少なくとも130、少なくとも140、少なくとも150、少なくとも160、少なくとも170、少なくとも180、少なくとも190、少なくとも200、少なくとも210、少なくとも220、少なくとも230、少なくとも240、少なくとも250、少なくとも260、少なくとも270、少なくとも280、少なくとも290、少なくとも300、少なくとも310、少なくとも320、少なくとも330、少なくとも340、少なくとも350、少なくとも360、少なくとも370、少なくとも380、少なくとも390、又は少なくとも400種の表19には記載されていないミトコンドリア関連遺伝子産物(例えば、表16に記載される遺伝子産物のうちの1種以上)の発現は、ベースラインでの該Tregにおける該1種以上の遺伝子産物の発現と比較して増加しており、かつ該凍結保存されたTregの組成物における該1種以上の同じ遺伝子産物の発現は、凍結保存前の前記増殖させたTregの集団と比較して実質的に同じである。
【0357】
いくつかの実施態様において、凍結保存されたTregの組成物における細胞周期(特に、細胞周期の進行)、細胞分裂、DNA複製、又はDNA修復に関連する1種以上の遺伝子産物(例えば、表17に記載される遺伝子産物のうちの1種以上)の発現は、ベースラインでの該Tregにおける該1種以上の遺伝子産物の発現と比較して増加している。いくつかの実施態様において、凍結保存されたTregの組成物における少なくとも2、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも35、少なくとも40、少なくとも45、少なくとも50、少なくとも55、少なくとも60、少なくとも65、少なくとも70、少なくとも75、少なくとも80、少なくとも85、少なくとも90、少なくとも95、少なくとも100、少なくとも110、少なくとも120、少なくとも130、少なくとも140、少なくとも150、少なくとも160、少なくとも170、少なくとも180、少なくとも190、少なくとも200、少なくとも210、少なくとも220、少なくとも230、少なくとも240、少なくとも250、少なくとも260、少なくとも270、少なくとも280、少なくとも290、少なくとも300、少なくとも310、少なくとも320、少なくとも330、少なくとも340、少なくとも350、少なくとも360、少なくとも370、少なくとも380、少なくとも390、又は少なくとも400種の細胞周期(特に、細胞周期の進行)、細胞分裂、DNA複製、又はDNA修復に関連する遺伝子産物(例えば、表17に記載される遺伝子産物のうちの1種以上)の発現は、ベースラインでの該Tregにおける該1種以上の遺伝子産物の発現と比較して増加している。
【0358】
いくつかの実施態様において、前記凍結保存されたTregの組成物における細胞周期(特に、細胞周期の進行)、細胞分裂、DNA複製、又はDNA修復に関連する1種以上の遺伝子産物(例えば、表17に記載される遺伝子産物のうちの1種以上)の発現は、凍結保存前の前記増殖させたTregの集団と比較して実質的に同じである。いくつかの実施態様において、前記凍結保存されたTregの組成物における少なくとも2、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも35、少なくとも40、少なくとも45、少なくとも50、少なくとも55、少なくとも60、少なくとも65、少なくとも70、少なくとも75、少なくとも80、少なくとも85、少なくとも90、少なくとも95、少なくとも100、少なくとも110、少なくとも120、少なくとも130、少なくとも140、少なくとも150、少なくとも160、少なくとも170、少なくとも180、少なくとも190、少なくとも200、少なくとも210、少なくとも220、少なくとも230、少なくとも240、少なくとも250、少なくとも260、少なくとも270、少なくとも280、少なくとも290、少なくとも300、少なくとも310、少なくとも320、少なくとも330、少なくとも340、少なくとも350、少なくとも360、少なくとも370、少なくとも380、少なくとも390、又は少なくとも400種の細胞周期(特に、細胞周期の進行)、細胞分裂、DNA複製、又はDNA修復に関連する遺伝子産物(例えば、表17に記載される遺伝子産物のうちの1種以上)の発現は、凍結保存前の前記増殖させたTregの集団と比較して実質的に同じである。
【0359】
いくつかの実施態様において、凍結保存されたTregの組成物における表19には記載されていない細胞周期(特に、細胞周期の進行)、細胞分裂、DNA複製、又はDNA修復に関連する1種以上の遺伝子産物(例えば、表17に記載される遺伝子産物のうちの1種以上)の発現は、ベースラインでの該Tregにおける該1種以上の遺伝子産物の発現と比較して増加している。いくつかの実施態様において、凍結保存されたTregの組成物における少なくとも2、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも35、少なくとも40、少なくとも45、少なくとも50、少なくとも55、少なくとも60、少なくとも65、少なくとも70、少なくとも75、少なくとも80、少なくとも85、少なくとも90、少なくとも95、少なくとも100、少なくとも110、少なくとも120、少なくとも130、少なくとも140、少なくとも150、少なくとも160、少なくとも170、少なくとも180、少なくとも190、少なくとも200、少なくとも210、少なくとも220、少なくとも230、少なくとも240、少なくとも250、少なくとも260、少なくとも270、少なくとも280、少なくとも290、少なくとも300、少なくとも310、少なくとも320、少なくとも330、少なくとも340、少なくとも350、少なくとも360、少なくとも370、少なくとも380、少なくとも390、又は少なくとも400種の表19には記載されていない細胞周期(特に、細胞周期の進行)、細胞分裂、DNA複製、又はDNA修復に関連する遺伝子産物(例えば、表17に記載される遺伝子産物のうちの1種以上)の発現は、ベースラインでの該Tregにおける該1種以上の遺伝子産物の発現と比較して増加している。いくつかの実施態様において、前記凍結保存されたTregの組成物における表19には記載されていない細胞周期(特に、細胞周期の進行)、細胞分裂、DNA複製、又はDNA修復に関連する1種以上の遺伝子産物(例えば、表17に記載される遺伝子産物のうちの1種以上)の発現は、凍結保存前の前記増殖させたTregの集団と比較して実質的に同じである。いくつかの実施態様において、前記凍結保存されたTregの組成物における少なくとも2、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも35、少なくとも40、少なくとも45、少なくとも50、少なくとも55、少なくとも60、少なくとも65、少なくとも70、少なくとも75、少なくとも80、少なくとも85、少なくとも90、少なくとも95、少なくとも100、少なくとも110、少なくとも120、少なくとも130、少なくとも140、少なくとも150、少なくとも160、少なくとも170、少なくとも180、少なくとも190、少なくとも200、少なくとも210、少なくとも220、少なくとも230、少なくとも240、少なくとも250、少なくとも260、少なくとも270、少なくとも280、少なくとも290、少なくとも300、少なくとも310、少なくとも320、少なくとも330、少なくとも340、少なくとも350、少なくとも360、少なくとも370、少なくとも380、少なくとも390、又は少なくとも400種の表19には記載されていない細胞周期(特に、細胞周期の進行)、細胞分裂、DNA複製、又はDNA修復に関連する遺伝子産物(例えば、表17に記載される遺伝子産物のうちの1種以上)の発現は、凍結保存前の前記増殖させたTregの集団と比較して実質的に同じである。
【0360】
いくつかの実施態様において、凍結保存されたTregの組成物における細胞周期(特に、細胞周期の進行)、細胞分裂、DNA複製、又はDNA修復に関連する1種以上の遺伝子産物(例えば、表17に記載される遺伝子産物のうちの1種以上)の発現は、ベースラインでの該Tregにおける該1種以上の遺伝子産物の発現と比較して増加しており、かつ該凍結保存されたTregの組成物における該1種以上の同じ遺伝子産物の発現は、凍結保存前の前記増殖させたTregの集団と比較して実質的に同じである。いくつかの実施態様において、凍結保存されたTregの組成物における少なくとも2、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも35、少なくとも40、少なくとも45、少なくとも50、少なくとも55、少なくとも60、少なくとも65、少なくとも70、少なくとも75、少なくとも80、少なくとも85、少なくとも90、少なくとも95、少なくとも100、少なくとも110、少なくとも120、少なくとも130、少なくとも140、少なくとも150、少なくとも160、少なくとも170、少なくとも180、少なくとも190、少なくとも200、少なくとも210、少なくとも220、少なくとも230、少なくとも240、少なくとも250、少なくとも260、少なくとも270、少なくとも280、少なくとも290、少なくとも300、少なくとも310、少なくとも320、少なくとも330、少なくとも340、少なくとも350、少なくとも360、少なくとも370、少なくとも380、少なくとも390、又は少なくとも400種の細胞周期(特に、細胞周期の進行)、細胞分裂、DNA複製、又はDNA修復に関連する遺伝子産物(例えば、表17に記載される遺伝子産物のうちの1種以上)の発現は、ベースラインでの該Tregにおける該1種以上の遺伝子産物の発現と比較して増加しており、かつ該凍結保存されたTregの組成物における該1種以上の同じ遺伝子産物の発現は、凍結保存前の前記増殖させたTregの集団と比較して実質的に同じである。
【0361】
いくつかの実施態様において、凍結保存されたTregの組成物における表19には記載されていない細胞周期(特に、細胞周期の進行)、細胞分裂、DNA複製、又はDNA修復に関連する1種以上の遺伝子産物(例えば、表17に記載される遺伝子産物のうちの1種以上)の発現は、ベースラインでの該Tregにおける該1種以上の遺伝子産物の発現と比較して増加しており、かつ該凍結保存されたTregの組成物における該1種以上の同じ遺伝子産物の発現は、凍結保存前の前記増殖させたTregの集団と比較して実質的に同じである。いくつかの実施態様において、凍結保存されたTregの組成物における少なくとも2、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも35、少なくとも40、少なくとも45、少なくとも50、少なくとも55、少なくとも60、少なくとも65、少なくとも70、少なくとも75、少なくとも80、少なくとも85、少なくとも90、少なくとも95、少なくとも100、少なくとも110、少なくとも120、少なくとも130、少なくとも140、少なくとも150、少なくとも160、少なくとも170、少なくとも180、少なくとも190、少なくとも200、少なくとも210、少なくとも220、少なくとも230、少なくとも240、少なくとも250、少なくとも260、少なくとも270、少なくとも280、少なくとも290、少なくとも300、少なくとも310、少なくとも320、少なくとも330、少なくとも340、少なくとも350、少なくとも360、少なくとも370、少なくとも380、少なくとも390、又は少なくとも400種の表19には記載されていない細胞周期(特に、細胞周期の進行)、細胞分裂、DNA複製、又はDNA修復に関連する遺伝子産物(例えば、表17に記載される遺伝子産物のうちの1種以上)の発現は、ベースラインでの該Tregにおける該1種以上の遺伝子産物の発現と比較して増加しており、かつ該凍結保存されたTregの組成物における該1種以上の同じ遺伝子産物の発現は、凍結保存前の前記増殖させたTregの集団と比較して実質的に同じである。
【0362】
(6.3.2.医薬組成物)
いくつかの実施態様において、本明細書で提供される組成物は、Tregの治療用集団及び担体、賦形剤、又は希釈剤を含む医薬組成物である。いくつかの実施態様において、本明細書で提供される組成物は、有効量のTregの治療用集団及び担体、賦形剤、又は希釈剤を含む医薬組成物である。
【0363】
前記担体、賦形剤、又は希釈剤は、当技術分野において公知の任意の医薬として許容し得る担体、賦形剤、又は希釈剤であってよい。医薬として許容し得る担体の例としては、無毒性の固体、半固体、又は液体充填剤、希釈剤、カプセル化材、製剤化補助剤もしくは担体が挙げられる。いくつかの実施態様において、本明細書で提供されるTregの治療用集団を含む組成物は、医薬として許容し得る担体をさらに含む。医薬として許容し得る担体は、薬剤投与と両立可能な全ての溶媒、分散媒、被覆剤、抗細菌及び抗真菌剤、等張及び吸収遅延化剤などを含むことができる。そのような担体又は希釈剤の例としては、水、生理食塩水、リンゲル液、ブドウ糖溶液、及び5%ヒト血清アルブミンが挙げられるが、これらに限定されない。リポソーム及び固定油などの非水性ビヒクルも用いられ得る。いくつかの実施態様において、前記医薬組成物は、無菌のバッファー中に懸濁されたTregの治療用集団を含む。
【0364】
いくつかの実施態様において、本明細書で提供される医薬組成物は、0.1%v/v以下、0.2%v/v以下、0.3%v/v以下、0.4%v/v以下、0.5%v/v以下、0.6%v/v以下、0.7%v/v以下、0.8%v/v以下、0.9%v/v以下、1%v/v以下、1.1%v/v以下、1.2%v/v以下、1.3%v/v以下、1.4%v/v以下、又は1.5%v/v以下のDMSOを含む。
【0365】
いくつかの実施態様において、本明細書で提供されるTregの治療用集団を含む組成物は、夾雑物を含まない。いくつかの実施態様において、本明細書で提供されるTregの治療用集団を含む組成物は、対象、例えば、ヒト対象への投与、例えば、治療的投与に適するように十分なに低いレベルの夾雑物を含む。夾雑物としては、例えば、細菌、真菌、マイコプラズマ、エンドトキシン、又は前記増殖培養物由来の残留ビーズが挙げられる。いくつかの実施態様において、本明細書で提供されるTregの治療用集団を含む組成物は、約5EU/kg未満のエンドトキシンを含む。いくつかの実施態様において、本明細書で提供されるTregの治療用集団を含む組成物は、3×106細胞あたり約100個又はそれ未満のビーズを含む。
【0366】
いくつかの実施態様において、本明細書で提供されるTregの治療用集団を含む組成物は、無菌のものである。いくつかの実施態様において、前記細胞の単離又は濃縮は、例えば、間違い、利用者が手で触れること、及び/又は汚染を最小化するために閉鎖環境又は無菌の環境で実施される。いくつかの実施態様において、無菌性は、例えば、無菌の濾過膜を通す濾過によって容易に達成され得る。
【0367】
(6.4治療の方法)
本明細書で提供されるのは、それを必要としている対象に有効量の本明細書に記載される増殖させたTregの集団を投与することを含む治療の方法である。例えば、本明細書で提供されるのは、それを必要としている対象に本明細書に記載される、例えば、本明細書で示される方法によって製造される有効量のエクスビボで増殖させたTregの集団を投与することを含む治療の方法である。
【0368】
本明細書で提供されるのは、それを必要としている対象に有効量の本明細書に記載される増殖させたTregの集団を投与することを含む治療の方法であって、該集団が、凍結保存されている、前記方法である。例えば、本明細書で提供されるのは、それを必要としている対象に有効量の本明細書に記載される、例えば、本明細書で示される方法によって製造されるエクスビボで増殖させたTregの集団を投与することを含む治療の方法であって、該集団が、凍結保存されている、前記方法である。
【0369】
本明細書で提供されるのは、それを必要としている対象に有効量の本明細書に記載される増殖させたTregの集団を投与することを含む治療の方法であって、該集団が、凍結保存されており、該凍結保存された集団が、解凍され、さらなる増殖を行わずに該対象に投与される、前記方法である。例えば、本明細書で提供されるのは、それを必要としている対象に有効量の本明細書に記載される、例えば、本明細書で示される方法によって製造されるエクスビボで増殖させたTregの集団を投与することを含む治療の方法であって、該集団が、凍結保存されており、該凍結保存された集団が、解凍され、さらなる増殖を行わずに該対象に投与される、前記方法である。
【0370】
本明細書で提供されるのは、それを必要としている対象に有効量のTregの治療用集団を含む凍結保存された組成物を投与することを含む治療の方法である。いくつかの実施態様において、本明細書で提供されるのは、それを必要としている対象に有効量のTregの治療用集団を含む凍結保存された組成物を投与することを含む、それを必要としている対象において神経変性障害を治療するための方法である。ある実施態様において、前記凍結保存された集団は、解凍され、さらなる増殖を行わずに前記対象に投与される。
【0371】
いくつかの実施態様において、前記対象は、Treg機能障害に関連する障害であると診断されているか又はそうであると疑われている。いくつかの実施態様において、前記対象は、Treg欠乏に関連する障害であると診断されているか又はそうであると疑われている。いくつかの実施態様において、前記対象は、T細胞応答によって推進される状態である診断されているか又はそうであると疑われている。
【0372】
いくつかの実施態様において、前記対象は、神経変性疾患であると診断されているか又はそうであると疑われている。いくつかの実施態様において、前記対象は、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症、ハンチントン病、パーキンソン病、又は前頭側頭型認知症であると診断されているか又はそうであると疑われている。
【0373】
いくつかの実施態様において、前記対象は、免疫系の下方制御による利益を受けるであろう障害であると診断されているか又はそうであると疑われている。
【0374】
いくつかの実施態様において、前記対象は、自己免疫疾患であると診断されているか又はそうであると疑われている。該自己免疫疾患は、例えば、全身性硬化症(強皮症)、多発性筋炎、潰瘍性大腸炎、炎症性腸疾患、クローン病、セリアック病、多発性硬化症(MS)、関節リウマチ(RA)、I型糖尿病、乾癬、皮膚筋炎、全身性エリテマトーデス、皮膚ループス、重症筋無力症、自己免疫性腎症、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性血球減少、自己免疫性肝炎、自己免疫性ブドウ膜炎、脱毛症、甲状腺炎、又は天疱瘡であり得る。
【0375】
いくつかの実施態様において、前記対象は、心不全又は虚血性心筋症と診断されているか又はそうであると疑われている。いくつかの実施態様において、前記対象は、例えば、臓器移植(腎移植又は肝移植など)を受けた後又は幹細胞移植(造血幹細胞移植など)を受けた後の移植片対宿主病であると診断されているか又はそうであると疑われている。
【0376】
いくつかの実施態様において、前記対象は、神経炎症であると診断されているか又はそうであると疑われている。神経炎症は、例えば、卒中、急性散在性脳脊髄炎(ADEM)、急性視神経炎、横断性脊髄炎、視神経脊髄炎(NMO)、てんかん、外傷性脳損傷、脊髄損傷、脳炎、中枢神経系(CNS)血管炎、神経サルコイドーシス、自己免疫性もしくは感染後脳炎、又は慢性髄膜炎と関連していることがある。
【0377】
いくつかの実施態様において、前記対象は、心臓の炎症、例えば、アテローム性動脈硬化症、心筋梗塞、虚血性心筋症、心不全に関連する心臓の炎症があると診断されているか又はそうであると疑われている。
【0378】
いくつかの実施態様において、前記対象は、慢性炎症性脱髄性多発神経根筋障害(CIDP)であると診断されているか又はそうであると疑われている。いくつかの実施態様において、前記対象は、急性炎症性脱髄性多発性ニューロパチー(AIDP)であると診断されているか又はそうであると疑われている。いくつかの実施態様において、前記対象は、ギラン・バレー症候群症候群(GBS)であると診断されているか又はそうであると疑われている。
【0379】
いくつかの実施態様において、前記対象は、卒中を患ったことがある。
【0380】
いくつかの実施態様において、前記対象は、がん、例えば、血液がんであると診断されているか又はそうであると疑われている。
【0381】
いくつかの実施態様において、前記対象は、喘息であると診断されているか又はそうであると疑われている。
【0382】
いくつかの実施態様において、前記対象は、湿疹であると診断されているか又はそうであると疑われている。
【0383】
いくつかの実施態様において、前記対象は、免疫系の過剰活性化に関連する障害であると診断されているか又はそうであると疑われている。
【0384】
いくつかの実施態様において、前記対象は、Treg症であると診断されているか又はそうであると疑われている。該Treg症は、FOXP3、CD25、細胞傷害性Tリンパ球関連抗原4(CTLA4)、LPS反応性ベージュ様アンカータンパク質(LRBA)、又はBTBドメイン及びCNCホモログ2(BACH2)遺伝子機能喪失型変異、又はシグナル伝達兼転写活性化因子3(STAT3)機能獲得型変異によって引き起こされ得る。
【0385】
いくつかの実施態様において、前記対象の体重1kgあたり約1×106~約2×106、約2×106~約3×106、約3×106~約4×106、約4×106~約5×106、約5×106~約6×106、約6×106~約7×106、約7×106~約8×106、約8×106~約9×106、約9×106~約1×107、約1×107~約2×107、約2×107~約3×107、約3×107~約4×107、約4×107~約5×107、約5×107~約6×107、約6×107~約7×107、約7×107~約8×107、約8×107~約9×107、約9×107~約1×108、約1×108~約2×108、約2×108~約3×108、約3×108~約4×108、約4×108~約5×108、約5×108~約6×108、約6×108~約7×108、約7×108~約8×108、約8×108~約9×108、約9×108~約1×109個のCD4+CD25+細胞が、投与される。いくつかの実施態様において、前記対象の体重1kgあたり1×106個のCD4+CD25+細胞(+/-10%)が投与される。
【0386】
いくつかの実施態様において、約1×106~約2×106、約2×106~約3×106、約3×106~約4×106、約4×106~約5×106、約5×106~約6×106、約6×106~約7×106、約7×106~約8×106、約8×106~約9×106、約9×106~約1×107、約1×107~約2×107、約2×107~約3×107、約3×107~約4×107、約4×107~約5×107、約5×107~約6×107、約6×107~約7×107、約7×107~約8×107、約8×107~約9×107、約9×107~約1×108、約1×108~約2×108、約2×108~約3×108、約3×108~約4×108、約4×108~約5×108、約5×108~約6×108、約6×108~約7×108、約7×108~約8×108、約8×108~約9×108、約9×108~約1×109個のCD4+CD25+細胞が、患者に投与される。
【0387】
いくつかの実施態様において、約1×106~約2×106、約2×106~約3×106、約3×106~約4×106、約4×106~約5×106、約5×106~約6×106、約6×106~約7×106、約7×106~約8×106、約8×106~約9×106、約9×106~約1×107、約1×107~約2×107、約2×107~約3×107、約3×107~約4×107、約4×107~約5×107、約5×107~約6×107、約6×107~約7×107、約7×107~約8×107、約8×107~約9×107、約9×107~約1×108、約1×108~約2×108、約2×108~約3×108、約3×108~約4×108、約4×108~約5×108、約5×108~約6×108、約6×108~約7×108、約7×108~約8×108、約8×108~約9×108、約9×108~約1×109個のCD4+CD25+細胞が、一回の注入で患者に投与される。
【0388】
いくつかの実施態様において、Tregの治療用集団を含む凍結保存された組成物は、Tregの治療用集団を含む前記凍結保存された組成物を解凍してから約30分、約1時間、約2~3時間、約3~4時間、約4~5時間、約5~6、約6~7時間、約7~8時間、約8~9時間、又は約9~10時間以内に投与される。前記Tregの治療用集団を含む凍結保存された組成物は、解凍と投与との間約2℃~約8℃で(例えば、約4度で)保管され得る。
【0389】
いくつかの実施態様において、Tregの治療用集団又はTregの治療用集団を含む組成物の用量が1回、対象に投与される。いくつかの実施態様において、Tregの治療用集団又はTregの治療用集団を含む組成物が、1回よりも多く(more than once)投与される。いくつかの実施態様において、Tregの治療用集団又はTregの治療用集団を含む組成物が、2回以上(two or more times)投与される。いくつかの実施態様において、Tregの治療用集団又はTregの治療用集団を含む組成物が、1~2週、2~3週、3~4週、4~5週、5~6週、6~7週、7~8週、8~9週、9~10週、10~11週、11~12週毎、1~2か月、2~3か月、3~4か月、4~5か月、5~6か月、6~7か月、7~8か月、8~9か月、9~10か月、10~11か月、11~12か月、13~14か月、14~15か月、15~16か月、16~17か月、17~18か月、18~19か月、19~20か月、20~21か月、21~22か月、22~23か月、23~24か月毎、1~2年、2~3年、3~4年、又は4~5年毎に投与される。
【0390】
いくつかの実施態様において、前記対象の体重1kgあたり約1×106個のTregが、1回目投与で投与され、投与されるTregの数は、2回目、3回目、及び後続の投与で増量される。いくつかの実施態様において、前記対象の体重1kgあたり約1×106個のTregが、最初の2回の投与で投与され、投与されるTregの数は、その後投与1回おきに(例えば、4回目、6回目、8回目、及び10回目の投与で)増量される。従って、例えば、1か月あたり前記対象の体重1kgあたり約1×106個のTregが、1か月目及び2か月目に投与され得、1か月あたり該対象の体重1kgあたり約2×106個のTregが、3か月目及び4か月目に投与され得、かつ/又は1か月あたり該対象の体重1kgあたり約3×106個の細胞が、5か月目及び6か月目に投与される。
【0391】
いくつかの実施態様において、本明細書で提供される治療の方法は、自己由来のTregの治療用集団又は自己由来のTregの治療用集団を含む組成物を、前記対象に投与することを含む。別の実施態様において、対象において神経変性障害を治療する方法は、同種異系Tregの治療用集団又は同種異系Tregの治療用集団を含む組成物を、該対象に投与することを含む。
【0392】
(6.4.1. 追加の療法)
いくつかの実施態様において、いくつかの実施態様において、本明細書に記載される治療の方法に従って治療される対象は、1種以上の追加の療法をさらに受ける。
【0393】
いくつかの実施態様において、対象は、IL-2をさらに投与される。IL-2の用量は、約0.5~1×105IU/m2、約1~1.5×105IU/m2、約1.5~2×105IU/m2、約2~2.5×105IU/m2、約2.5~3×105IU/m2、約3~3.5×105IU/m2、約3.5~4×105IU/m2、約4~4.5×105IU/m2、約4.5~5×105IU/m2、約5~6×105IU/m2、約6~7×105IU/m2、約7~8×105IU/m2、約8~9×105IU/m2、約9~10×105IU/m2、約10~15×105IU/m2、約15~20×105IU/m2、約20~25×105IU/m2、約25~30×105IU/m2、約30~35×105IU/m2、約35~40×105IU/m2、約40~45×105IU/m2、約45~50×105IU/m2、約50~60×105IU/m2、約60~70×105IU/m2、約70~80×105IU/m2、約80~90×105IU/m2、又は約90~100×105IU/m2であり得る。具体的な実施態様において、対象には、2×105IU/m2のIL-2が投与される。
【0394】
IL-2は、1か月に1回、2回、又はそれを超える回数投与され得る。いくつかの実施態様において、IL-2は、1か月に3回投与される。
【0395】
いくつかの実施態様において、IL-2は、皮下投与される。
【0396】
前記IL-2は、前記初めてのTreg注入の少なくとも2週間、少なくとも3週間、又は少なくとも4週間前に投与され得る。
【0397】
いくつかの実施態様において、本明細書に記載される方法に従って治療される対象は、アルツハイマー病の治療のための1種以上の追加の療法を受ける。アルツハイマー病の治療のための追加の療法としては、アセチルコリンエステラーゼ阻害剤(例えば、ドネペジル(Aricept(登録商標))、ガランタミン(Razadyne(登録商標))、又はリバスチグミン(Exelon(登録商標)))又はNMDA受容体アンタゴニスト(例えば、メマンチン(Akatinol(登録商標)、Axura(登録商標)、Ebixa(登録商標)/Abixa(登録商標)、Memox(登録商標)、及びNamenda(登録商標))が挙げられる。また、追加の療法としては、抗炎症剤(例えば、イブプロフェン、インドメタシン、及びスリンダク硫化物)などの非ステロイド性抗炎症薬(NSAID))、3-アミノピリダジンの誘導体などのニューロン死関連タンパク質キナーゼ(DAPK)阻害剤、シクロオキシゲナーゼ(COX-1及び-2)阻害剤、又はビタミンC及びEなどの抗酸化剤も挙げられる。
【0398】
いくつかの実施態様において、本明細書に記載される方法に従って治療される対象は、ALSの治療のための1種以上の追加の療法を受ける。ALSの治療のための追加の療法としては、リルゾール(Rilutek(登録商標))又はリルゾール(Rilutek(登録商標))が挙げられる。
【0399】
いくつかの実施態様において、前記Tregの治療用集団又はTregの治療用組成物を含む組成物は、静脈内注入によって対象に投与される。
【0400】
(6.4.2.治療効果を決定する方法)
いくつかの実施態様において、本明細書で提供される治療の方法は、血液中のTregの抑制機能のベースラインからの増加をもたらす。いくつかの実施態様において、本明細書で提供される治療の方法は、ベースラインから第4週、第8週、第16週、第24週、第30週、又は第36週までの、血液中のTregの抑制機能の増加をもたらす。いくつかの実施態様において、本明細書で提供される治療の方法は、ベースラインから第24週までの、血液中のTregの抑制機能の増加をもたらす。いくつかの実施態様において、本明細書で提供される治療の方法は、血液中のTreg数のベースラインからの増加をもたらす。いくつかの実施態様において、本明細書で提供される治療の方法は、ベースラインから第4週、第8週、第16週、第24週、第30週、又は第36週までの、血液中のTreg数の増加をもたらす。いくつかの実施態様において、本明細書で提供される治療の方法は、ベースラインから第24週までの、血液中のTreg数の増加をもたらす。
【0401】
本明細書で提供される治療の方法の効果は、臨床症状及び治療されるべき疾患の症状をモニタリングすることによって評価され得る。
【0402】
いくつかの実施態様において、本明細書で提供される治療の方法は、ベースラインと比較して、Appel ALSスコアの変化をもたらす。該Appel ALSスコアは、能力障害又は機能変化の総合的な進行を測定する。いくつかの実施態様において、Appel ALSスコアは、本明細書で提供される方法に従って治療される対象においてベースラインと比較して低下し、症状の改善を示している。別の実施態様において、Appel ALSスコアは、本明細書で提供される方法に従って治療される対象において、ベースラインと比較して変化しないままである。
【0403】
いくつかの実施態様において、本明細書で提供される治療の方法は、ベースラインと比較して、筋萎縮性側索硬化症機能評価スケール-改訂版(the Amyotrophic Lateral Sclerosis Functional Rating Scale-revised; ALSFRS-R)スコアの変化をもたらす。該ALSFRS-Rスコアは、能力障害又は機能変化の進行を評価する。いくつかの実施態様において、ALSFRS-R スコアは、本明細書で提供される方法に従って治療される対象においてベースラインと比較して増加し、症状の改善を示す。別の実施態様において、Appel ALSFRS-Rスコアは、本明細書で提供される方法に従って治療される対象において、ベースラインと比較して変化しないままである。
【0404】
いくつかの実施態様において、本明細書で提供される治療の方法は、ベースラインと比較して、努力性肺活量(FVC;呼息に伴い用いられる筋肉の強度)の変化をもたらし、ここで、最も高い数値が、最も強い測定値である。いくつかの実施態様において、FVCは、本明細書で提供される方法に従って治療される対象においてベースラインと比較して増加する。別の実施態様において、FVCは、本明細書で提供される方法に従って治療される対象において、ベースラインと比較して変化しないままである。
【0405】
いくつかの実施態様において、本明細書で提供される治療の方法は、比較して、最大吸気圧(MIP;吸息に伴い用いられる筋肉の強度)の変化をもたらし、ここで、最も高い数値が、最も強い測定値である。いくつかの実施態様において、MIPは、本明細書で提供される方法に従って治療される対象においてベースラインと比較して増加する。別の実施態様において、MIPは、本明細書で提供される方法に従って治療される対象において、ベースラインと比較して変化しないままである。
【0406】
いくつかの実施態様において、本明細書で提供される治療の方法は、ベースラインと比較して、神経精神症状評価質問表(Neuropsychiatric Inventory Questionnaire; NPI-Q)の変化をもたらす。NPI-Qは、報告される各症状についての症状の重症度及び窮迫の格付け、及び個々の領域のスコアの和を反映する総計の重症度及び窮迫スコアを提供する。いくつかの実施態様において、NPI-Qスコアは、本明細書で提供される方法に従って治療される対象においてベースラインと比較して低下する。別の実施態様において、NPI-Qスコアは、本明細書で提供される方法に従って治療される対象において、ベースラインと比較して変化しないままである。
【0407】
いくつかの実施態様において、本明細書で提供される治療の方法は、ベースラインと比較して、GI症状、アナフィラキシー、又は発作の頻度の低減をもたらす。
【0408】
いくつかの実施態様において、本明細書で提供される治療の方法は、ベースラインと比較して、CSFアミロイド及び/又はCSFタウタンパク質(CSF-タウ)の変化の変化をもたらす。いくつかの実施態様において、CSFアミロイド及び/又はCSFタウタンパク質のレベルは、本明細書で提供される方法に従って治療される対象においてベースラインと比較して低下する。別の実施態様において、CSFアミロイド及び/又はCSFタウタンパク質のレベルは、本明細書で提供される方法に従って治療される対象において、ベースラインと比較して変化しないままである。
【0409】
いくつかの実施態様において、本明細書で提供される治療の方法は、ベースラインと比較して、臨床的認知症尺度(Clinical Dementia Rating; CDR)の変化をもたらす。CDRは、記憶、見当識、判断及び問題解決、地域社会活動、家庭及び趣味、並びに身の回りの世話を評価し、次いで、0-障害なしから3-重篤な障害までの範囲で全体的な格付けを行う。いくつかの実施態様において、CDRは、本明細書において提供される方法に従って治療される対象において、ベースラインと比較して低下する。別の実施態様において、CDRは、本明細書で提供される方法に従って治療される対象において、ベースラインと比較して変化しないままである。
【0410】
いくつかの実施態様において、本明細書で提供される治療の方法は、ベースラインと比較して、アルツハイマー病評価尺度(Alzheimer's Disease Assessment Scale; ADAS)-cog13スコアの変化をもたらす。ADAS-cogは、認識能力を試験し、85の上限(劣った能力)及びゼロの下限(最高の能力)を有する。いくつかの実施態様において、前記ADAS-cog13スコアは、本明細書で提供される方法に従って治療される対象においてベースラインと比較して低下する。別の実施態様において、前記ADAS-cog13スコアは、本明細書で提供される方法に従って治療される対象において変化しないままである。
【0411】
本明細書に記載される治療の方法の有効性は、本明細書に記載される方法に従う治療の開始後約20週、約24週、約28週、約32週、約36週、約40週、約44週、約48週、約52週、約56週、約60週、約64週、約68週、約72週、約76週、約80週、約84週、約88週、約92週、約96週、約100週、約2~3か月、3~4か月、4~5か月、5~6か月、6~7か月、7~8か月、8~9か月、約9~10か月、約10~11か月、約11~12か月、約12~18か月、約18~24か月、約1~2年、約2~3年、約3~4年、約4~5年、約5~6年、約6~7年、約7~8年、約8~9年、又は約9~10年の時点で評価され得る。
【0412】
(6.5 キット)
本明細書で提供されるのは、本明細書で提供されるTregの治療用組成物又はTregの治療用集団を含む組成物を含むキットである。
【0413】
いくつかの実施態様において、本明細書で提供されるキットは、使用説明書、追加の試薬(例えば、該組成物の希釈用の滅菌水もしくは生理食塩水)、もしくは生体試料の採取、生体試料の処理用のチューブ、容器、もしくはシリンジなどの部品、及び/又は試料中の1種以上の表面マーカーの量を定量化するための試薬(例えば、抗体などの検出試薬)を含む。
【0414】
いくつかの実施態様において、前記キットは、本明細書において提供される方法における使用のためのTregの治療用集団又はTregの治療用集団を含む組成物が入った1つ以上の容器が入っている。前記組成物を収容する1つ以上の容器は、単回使用バイアルであっても、複数回使用バイアルであってもよい。いくつかの実施態様において、前記生成物又はキットは、適当な希釈剤を含む第2の容器をさらに含んでいてもよい。いくつかの実施態様において、前記キットには、本明細書で提供されるTregの治療用集団又はTregの治療用集団を含む組成物の使用(例えば、希釈及び/又は投与)のための説明書が入っている。
【0415】
(7. 生物学的機能等価体(Biological Functional Equivalent))
修飾及び変更を、核酸の構造に、又はそれを含むベクターに対して、並びにmRNA、ポリペプチド、又はそれらによってコードされる治療薬剤に対して行ってもよく、それでもなお所望の特徴を有する1種以上の治療薬剤を含有する機能し得る系が得られる。上で言及したように、多くの場合、特定のポリヌクレオチド配列内に1つ以上の変異を導入することが望まれる。ある状況では、結果として生じるコードされているポリペプチド配列が、この変異によって変化し、別の場合には、ポリペプチドの配列は、コードしているポリヌクレオチドにおける1つ以上の変異によって変化しない。
【0416】
ポリペプチドのアミノ酸配列を変化させて等価な又はさらには改良された第二世代分子を生じさせることが望ましい場合、アミノ酸の変化は、コードしているDNA配列のコドンのうちの1つ以上を、下記のコドン表に従って変化させることによって達成され得る。
【0417】
例えば、あるアミノ酸を、例えば、基質分子上の抗体又は結合部位の抗原結合性領域などの構造との相互作用的結合能の認識できる喪失を伴うことなく、タンパク質構造内の他のアミノ酸の代わりに用い得る。タンパク質の生物学的機能活性を規定するのは、該タンパク質の相互作用的能力及び性質であるために、あるアミノ酸配列置換を、タンパク質配列及び、勿論、その基礎となるDNAコード配列中に行うことができ、それでもやはり、似た性質を有するタンパク質を得ることができる。従って、本発明者らによって、開示される組成物のペプチド配列又は該ペプチドをコードする対応するDNA配列において、それらの生物学的有用性又は活性の認識できる喪失を伴うことなく、さまざまな変更を行い得ることが想定される。
(コドン表)
【表1】
【0418】
そのような変更を行うにあたり、アミノ酸の疎水性親水性指標が、考慮され得る。タンパク質に対し相互作用的生物学的機能を付与する際の疎水性親水性アミノ酸指標の重要性は、本技術分野において一般的に理解されている(Kyte及びDoolittleの文献、1982、引用により本明細書に組み込む)。アミノ酸の相対的な疎水性親水性の性質が、結果としてのタンパク質の二次構造に寄与し、次に、他の分子、例えば、酵素、基質、受容体、DNA、抗体、抗原などとの該タンパク質の相互作用を規定することが受け入れられている。各アミノ酸は、その疎水性及び電荷特性に基づいて疎水性親水性指標が割り当てられている(Kyte及びDoolittleの文献、1982)。これらの値は:イソロイシン(+4.5);バリン(+4.2);ロイシン(+3.8);フェニルアラニン(+2.8);システイン/シスチン(+2.5);メチオニン(+1.9);アラニン(+1.8);グリシン(-0.4);スレオニン(-0.7);セリン(-0.8);トリプトファン(-0.9);チロシン(-1.3);プロリン(-1.6);ヒスチジン(-3.2);グルタミン酸(-3.5);グルタミン(-3.5);アスパラギン酸(-3.5);アスパラギン(-3.5);リジン(-3.9);及びアルギニン(-4.5)である。
【0419】
あるアミノ酸を、類似の疎水性親水性指標又はスコアを有する他のアミノ酸で置換し得ること、及びそれでもなお類似の生物活性を有するタンパク質をもたらすこと、すなわち、それでもなお生物学的機能的に等価であるタンパク質が得られることが当技術分野において公知である。そのような変更を行うに際し、疎水性親水性指標が+2以内のアミノ酸同士の置換が好ましく、+1以内のものが、特に好ましいく、+0.5以内のものが、さらにより特に好ましい。また、本技術分野において、似たアミノ酸同士の置換を、親水性に基づいて効果的に行うことができることも理解される。米国特許第4,554,101号(特に、それに対する明示された引用によりその全体が本明細書に組み込まれる)には、その隣接アミノ酸の親水性によって支配されるタンパク質の最大局所平均親水性(the greatest local average hydrophilicity)が、該タンパク質の生物学的性質と相関していることが記載されている。
【0420】
米国特許第4,554,101号に詳細に記されているように、以下の親水性値が、アミノ酸残基に割り当てられている:アルギニン(+3.0);リジン(+3.0);アスパラギン酸(+3.0+1);グルタミン酸(+3.0+1);セリン(+0.3);アスパラギン(+0.2);グルタミン(+0.2);
【0421】
グリシン(0);スレオニン(-0.4);プロリン(-0.5±1);アラニン(-0.5);ヒスチジン(-0.5);システイン(-1.0);メチオニン(-1.3);バリン(-1.5);ロイシン(-1.8);イソロイシン(-1.8);チロシン(-2.3);フェニルアラニン(-2.5);トリプトファン(-3.4)。あるアミノ酸を、類似の親水性値を有する別のアミノ酸の代わりに用いることができ、それでもなお、生物学的に等価な、特に、免疫学的に等価なタンパク質を得ることができることが理解される。そのような変更において、親水性値が±2以内のアミノ酸同士の置換が、好ましく、±1以内のものが、特に好ましく、+0.5以内のものが、さらにより特に好ましい。
【0422】
従って、上で概要を説明したように、アミノ酸置換は、一般に、アミノ酸側鎖置換基の相対的な類似性、例えば、それらの疎水性、親水性、電荷、サイズなどに基づくものである。前述の特性のうちの1つ以上を考察に入れた例示的な置換は、当業者に周知であり、アルギニン及びリジン;グルタミン酸及びアスパラギン酸;セリン及びスレオニン;グルタミン及びアスパラギン;並びにバリン、ロイシン及びイソロイシンが挙げられる。
【0423】
至る所で用いられるセクションの見出しは、構成上の目的のみのためのものであり、記載される主題を限定するものとして解釈されるべきではない。本出願で引用される全ての文書又は文書の部分(特許、特許出願、記事、書籍、及び学術論文を含むが、これらに限定されない)は、それらに対する明示された引用によりその全体が本明細書に明示的に組み込まれる。組み込まれた文献及び類似の資料のうちの1つ以上が、本出願での用語の定義を否定するように該用語を定義する場合には、本出願が優先される。
【実施例
【0424】
(8. 実施例)
本セクションに記載される実施例は、発明の例示的な実施態様を示すために提供される。これらの実施例に開示される技術が、本発明の実践においてよく機能することが分かった技術を表しており、従って、その実践のための好適な形態を構成するとみなすことができることが当業者によって認識されるべきである。しかしながら、当業者は、本開示を踏まえて、開示されている特定の実施態様において多くの変更を行うことができ、それでもなお、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく同様な又は類似の結果を得ることができることを認めるべきである。
【0425】
(8.1 実施例1: ALSにおける増殖させた自己由来制御性Tリンパ球の注入: 第1相ファースト・イン・ヒューマン試験)
Tregは、レスポンダーTリンパ球の増殖及びミクログリアの活性化を抑制する。ALS患者において、Tregマスター転写因子であるFOXP3の発現は、急速に進行中の患者において減少しており、後にTregの抑制機能の障害を伴う。FOXP3発現及びTregの抑制機能は、疾患の進行の程度及び速度と相関している。インターロイキン(IL)-2及びラパマイシンの存在下エクスビボで増殖させると、Tregの抑制機能が回復する。これらのデータは全て、増殖させた自己由来のTregの注入が、ALS患者において、インビボでのTregの抑制機能を向上させかつ疾患の進行速度を減速させるであろうことを示唆した。
【0426】
これらの仮説を試験するために、ファースト・イン・ヒューマンの第1相試験が行われ、疾患の初期段階及びその後の段階の期間内のALS患者への増殖させた自己由来のTregの注入が、安全かつ容認できるものであるかどうかが決定された。注入されたTregの抑制機能を安定化し、かつ場合によっては、それを強化しようとして、参加者に、IL-2が併用投与された。Tregの注入は、全参加者において安全でありかつ良好な耐容性を示した。Treg数及び抑制機能は、各注入の後に増加した。注入は、疾患の初期段階及びその後の段階の期間内の進行速度を低下させ、Tregの抑制機能は、Appel ALSスケールによる疾患の進行の減速と相関していた。加えて、Treg注入の間、最大吸気圧の呼吸器測定値も、特に、2名の参加者で安定化した。第1相の結果は、増殖させた自己由来Tregの注入の安全性及び可能性のある利益を示し、従って、ALS患者においてこれらの組成物を採用する臨床試験にさらに拍車をかけた。ALS患者へのTreg注入の安全性を試験するこの第1相臨床試験の結果を、以下でさらに説明する。
【0427】
(8.1.1. 要約)
(8.1.1.1 目的)
疾患の初期段階及びその後の段階の期間内の、増殖させた制御性Tリンパ球(Treg)のALS患者への自己由来の注入が、安全でありかつ容認できるかどうかを決定すること。
【0428】
(8.1.1.2 方法)
ALSの家族歴がない3名のALS患者を、疾患発症の部位の違い及び進行の速度に基づいて選択した。参加者は、白血球アフェレーシスを受け、それに続き、Tregが単離され、エクスビボで増殖させた。Treg(1×106細胞/kg)を、疾患の初期段階(2か月かけて4回の投与)及びその後の段階(4か月かけて4回の投与)で静脈内投与した。併用のインターロイキン(IL)-2(2×105IU/m2/注射)を、全試験期間にわたり毎週3回皮下投与した。参加者は、有害作用及び疾患の進行速度の変化に関して入念にモニタリングされた。Treg数及び抑制機能を、Treg注入の各期の期間内の中及びその後にアッセイした。
【0429】
(8.1.1.3 結果)
全参加者において、Tregの注入は、安全でありかつ良好な耐容性を示した。Treg数及び抑制機能は、各注入の後に増加した。注入は、疾患の初期段階及びその後の段階の期間内の進行速度を低下させた。スピアマンの相関分析によって、各参加者について、増加したTregの抑制機能が、Appel ALSスケールによる疾患の進行の減速と相関していたことが示された:参加者#1;ρ(ロー)=-0.60、p=0.003、参加者#2;ρ=-0.71、p=0.0026、及び参加者#3;ρ=-0.54、p=0.016。最大吸気圧測定値も、Treg注入の間、特に、2名の参加者で安定化した。
【0430】
(8.1.1.4 結論)
これらの結果は、増殖させた自己由来Tregの注入の安全性及び可能性のある利益を示し、ALS患者におけるさらなる臨床試験を正当化した。Tregの抑制機能と疾患の進行との相関は、Tregの抑制機能を臨床状態の指標として用いることの有意性を際立たせている。
【0431】
(8.1.1.5エビデンスの区分)
この試験は、クラスIVのエビデンスを提供する。これは、対照を用いない第1相の治験である。
【0432】
(8.1.2. 序文)
CD4+CD25+FOXP3+制御性Tリンパ球(Treg)は、免疫抑制性でありかつ自己抗原に対する寛容性を維持しており、その機能障害が、自己免疫障害の発症における中心的役割を果たす、Tリンパ球の亜集団である(引例1~4)。ALSのマウスでは、Tregの注入は、疾患の進行を減速させ、生存時間を延長し、かつTregは、レスポンダーTリンパ球の増殖及びミクログリアの活性化を抑制する(引例5、6)。ALS患者において、Tregマスター転写因子であるFOXP3の発現は、急速に進行中の患者において減少しており(引例7)、後にTregの抑制機能の障害を伴い;FOXP3発現及びTregの抑制機能は、疾患の進行の程度及び速度と相関している(引例8)。インターロイキン(IL)-2及びラパマイシンの存在下エクスビボで増殖させると、Tregの抑制機能が回復する(引例8、9)。これらのデータは、増殖させた自己由来のTregの注入が、ALS患者において、インビボでのTregの抑制機能を向上させかつ疾患の進行速度を減速させるであろうことを示唆する。これらの仮説を試験するために、疾患の初期段階及びその後の段階の期間内のALS患者への増殖させた自己由来のTregの注入が、安全でありかつ容認できるかどうかを決定するために、ファースト・イン・ヒューマンの第1相試験が開始された。注入されたTregの抑制機能を安定化し、かつ場合によっては、それを強化しようとして、参加者に、IL-2が併用投与された。さらに、エクスビボでのTregの抑制機能と参加者の臨床状態との関係が調査された。
【0433】
(8.1.3. 方法)
(8.1.3.1 試験での主要な問題)
増殖させた自己由来のTregの注入が、疾患の初期段階及びその後の段階の期間内のALS患者において安全でありかつ容認できるものであるか?この試験は、対照を用いない第1相の治験であり、増殖させた自己由来のTregの注入が、疾患の初期段階及びその後の段階の期間内に安全でありかつ容認できるものであることのクラスIVのエビデンスを提供する。
【0434】
(8.1.3.2 標準プロトコールの承認、登録、及び患者の同意)
食品医薬品局(the Food and Drug Administration)及びヒューストン・メソジスト病院(Houston Methodist Hospital)の施設内審査委員会(Institutional Review Board)による承認を、試験開始前に得た。書面によるインフォームドコンセントを、登録の前に得た。この試験は、clinicaltrials.gov上で登録された(NCT03241784)。
【0435】
(8.1.3.3 試験設計及び参加者選択基準)
この試験は、ヒューストン・メソジスト神経研究所(Houston Methodist Neurological Institute)で行われた。ALSの家族歴がなく症状の発生の部位及び疾患の進行速度が異なる患者を、ヒューストン・メソジスト病院のMDA/ALSA ALSクリニックから採用した。それぞれ、腕部、延髄、及び脚部で発症したALSの3名の参加者が、治験(表1)に登録された。参加者は、2016年1月から2018年2月の間に採用され、治療され、追跡された。
【0436】
参加者は、皮下IL-2注射を併用して、合計で8回の増殖させた自己由来のTregの注入を受けた。4回のTreg注入が、疾患の初期段階で2週間毎に投与され、それに、その後の段階で4週間毎に投与される4回のTreg注入が続いた。各Treg用量は、1×106個の細胞/kgであった。Treg用量は、実験的に決定されたが、1型糖尿病の患者において安全でありかつ容認できるものであることが示されているものの範囲内で選択された(引例4)。IL-2は、初めてのTreg注入の翌日に開始して2×105IU/m2/注射の用量で週に3回皮下投与され、試験期間の全期間にわたり続けられた。
【0437】
(8.1.3.4 増殖させた自己由来のTregの注入)
白血球アフェレーシスを、初めてのTreg注入の1か月前に行った。Tregを単離し、M.D. アンダーソンがんセンター(M.D. Anderson Cancer Center)の適正製造規範に則した施設で既に述べたプロトコールに従ってエクスビボで増殖させた(引例8、9)。各Tregの注入は、末梢ラインを通じて静脈内投与され、参加者は、注入後の4時間にわたり、すべての注入に関連する有害な反応に関して入念にモニタリングされた。
【0438】
(8.1.3.5 臨床評価)
改訂版ALS機能評価スケール(ALSFRS-R)、Appel ALS評定尺度(AALS)(引例10)、及び最大吸気圧(MIP)測定を、各Treg注入の直前、注入の各期の期間内の2週間毎、及び各期の後月1回で行った。努力性肺活量(FVC)を、各評価時にAALSの構成要素としてモニタリングした。参加者は、各接触時に有害事象について質問を受けた。
【0439】
(8.1.3.6末梢血におけるTreg百分率及び抑制機能を評価すること)
末梢血を、初めてのTreg注入の1か月前、各注入の直前、各注入の翌日、注入の各期の期間内の2週間毎、及び各期の後月1回で採取した。全CD4+集団のうちのCD4+CD25+FOXP3+ Tregの百分率を、フローサイトメトリーによって評価した(引例8)。自己由来のレスポンダーTリンパ球の増殖に対するTregの抑制機能を、[3H]-チミジン取り込みによって評価した(引例8)。
【0440】
(8.1.3.7 統計学的解析)
AALSの変化とTregの抑制機能との相関を、GraphPad Prism 7ソフトウェアを用いてスピアマンの相関によって決定し、スピアマンのロー(ρ)によって表した。0.05未満の両側p値を、有意であるとみなした。1回目~5回目のTreg注入の期間内に収集されたデータを、1回目の注入の日の値と比較した。5回目のTreg注入後に収集されたデータを、5回目の注入の日の値と比較した。
【0441】
(8.1.3.8 データの入手可能性)
臨床評価並びにTreg百分率及び抑制機能の結果などの本文書に公表されていない個々の匿名化された参加者のデータは、適格の治験責任医師からの要求によって共有されるものとする。
【0442】
(8.1.4. 結果)
(8.1.4.1 安全性)
注入に関連する有害事象や安全性研究室(safety labs)での臨床的に有意な変化やEKGの所見は、観察されなかった。全ての参加者は、注入の各期の期間内の線維束形成の頻度、強度、及び分布の劇的な増加を認めた。線維束形成は、各Treg注入後数分から数日以内に認められ、注入の各期の完了後数日から1か月超まで持続した。参加者#1は、第2週から第6週までに脚部に増加した筋痙攣、第17週と第23週に2回の転倒、及び第10週に咽頭炎のエピソードを経験した。参加者#2は、第9週に経皮的内視鏡的胃瘻管の設置を受けた。該参加者は、第19週に誤嚥性肺炎を発症し、IL-2注射が、第23週まで一時的に中断された。該参加者の進行性の嚥下障害及び誤嚥性肺炎のエピソードは、恐らく、延髄ALSが原因のものであった。参加者#2は、第50週に進行性疾患を原因としてこの試験から脱落し、ホスピスケアに入れられた。該参加者は、ALSに続発性の呼吸不全のために第51週に死亡した。参加者#3は、第24週と第29週の間に、2回の胃腸感染症を疑われ、1回上気道感染症を発症した。該参加者は、第48週から軽度の労作時の呼吸困難を報告した。
【0443】
(8.1.4.2 注入の期間内に増加したTreg百分率及び抑制機能)
全ての参加者において、Treg百分率(図1A図1C)及び抑制機能(図1D図1F)が、注入の第1期の期間内に増加し、注入の各期の合間に低下し、第2期の期間内に再び増加した。
【0444】
(8.1.4.3 機能低下の減速と相関する強化されたTregの抑制機能)
全ての参加者において、ALSFRS-R及びAALSの低下の速度は、注入の第1期の期間内の2か月間減速した、注入の各期の合間に加速し、第2期の期間内の4か月間にわたり再び減速した(図2A図2C)。スピアマンの相関は、各参加者について、増加したTregの抑制機能が、AALSによる疾患の進行の減速と相関していたことを示した(図2D図2F;参加者#1においてρ=-0.60、p=0.003;参加者#2においてρ=-0.71、p=0.0026;及び参加者#3においてρ=-0.54、p=0.016)。Tregの抑制機能の増加が大きいほど、次の臨床評価時のAALSの低下が小さい。
【0445】
(8.1.4.4 注入の期間内に安定化される最大吸気圧)
全ての参加者において、FVCは、Treg注入の期間内及び各期の合間で比較的不変のままであった(図3A図3C)。参加者#1及び#3において、MIPは、注入の第1期の期間内で安定しており、各期の合間に悪化した。MIPは、第2期の期間内で再び安定化した。参加者#2は、登録前に非侵襲性の換気での治療を受けており、治療は試験の全期間にわたり続けられた。参加者#2のMIPは低かったが、注入の各期の期間内及び各期の合間で比較的安定なのままであった(図3D図3F)。
【0446】
(8.1.5. 解説)
3名のALS患者に、疾患の初期段階及びその後の段階で、皮下IL-2注射を併用して自己由来の増殖させたTregを注入した。また、Tregを疾患の後の段階で注入して、該注入が、安全なままであったかどうか及び投薬間隔を増加させることによって、疾患の進行に対する有益な作用を延長することができたかどうかを決定した。疾患の負荷によらず、Treg注入は、安全でありかつ良好な耐容性を示した。Tregの抑制機能は、AALSの変化と相関しており;Tregの抑制機能の改善が大きいほど、臨床的進行の速度が遅かった。この相関は、Tregの抑制機能の臨床状態の有意義な指標としての価値を支持している。加えて、Treg注入は、呼吸器の機能に有害な影響を及ぼさず、非侵襲性の換気で治療中ではない2名の参加者のMIPの低下を安定化するように見えた。
【0447】
事前のパイロット研究において、5名のALSの患者において1年間皮下投与された低用量IL-2は、安全でありかつ容認できるものであったが、臨床的経過を変化させたり内在性のTreg数を増加させたりするように見えず、恐らく、IL-2に対する内在性のTreg応答性(endogenous Treg responsiveness)が損なわれていることに関連していると思われる(未公表の結果)。今回の試験では、低用量IL-2の皮下注射が、注入された増殖させたTregを安定化するために投与された。全参加者における注入の期間内に、IL-2が注入されたTregの増殖及び機能を強化することができたであろういくつかのデータポイントが観察された。しかしながら、Treg百分率及び抑制機能、並びに臨床状態が悪化した場合、IL-2は、各期の合間において重要な価値を持つものではなかった。
【0448】
全ての参加者に共通していたのは、線維束形成の知覚可能な増加であった。線維束形成の急速な発症は、おそらく異所性の軸索発火の免疫調節によって媒介される下位運動ニューロンにおける末梢作用を示唆している。以前のIL-2単独パイロット試験において、線維束形成の増加は、認められず、注入されたTregが、この試験での線維束形成を直接的又は間接的に引き起こしていたことを示唆していた。また、全ての参加者に共通していたのは、試験の間の感染症;参加者#1の咽頭炎、参加者#2の誤嚥性肺炎、及び参加者#3の胃腸感染症及び上気道感染症の発生であった。Treg及びIL-2での治療に伴う感染症リスクの増加の可能性については、懸念があり、より多くのALS患者でのさらなる研究を必要とする。
【0449】
この試験は、盲検及びプラセボ対照を欠いているものの、疾患の進行の減速が、疾患の初期段階での初期注入及び疾患のその後の段階でのそれに続く4度の月1回の注入の期間内に観察された。2週間毎の初期注入の期間内にALSFRS-Rを参加者に実施することは、プラセボ効果の可能性を強める。しかしながら、AALSの安定化は、皮下IL-2注射(未公表の結果)や同種異系の造血幹細胞の注入(引例11)の過去の試験において認められていない。さらに、臨床状態と相関していた増加したTregの抑制機能及び認められるMIPの安定化は、プラセボ効果に影響を受けているようではなかった。臨床的進行速度の増加が、注入の各期の合間に観察されたが、進行が、Treg注入の中断に関連していたか又は自然に起こっていたであろうかは不明であった。より関係があるのは、後続のTreg注入が、疾患の負荷及び進行速度が増加している疾患のその後の段階で有益であったという観察である。循環している機能的Tregは、末梢炎症促進性単球/マクロファージ及びレスポンダーTリンパ球を抑制することによって、及びCNSに入って活性化されたミクログリアを抑制することによって、疾患の進行を減速させ得る。Tregの末梢及び中枢作用を明確にすることは、さらなる調査の対象に値する。
【0450】
この試験の結果は、より多くのALS患者における種々の用量のTregの臨床的な有効性、安全性、及び認容性を試験するより長い期間にわたる第2相無作為化プラセボ対照治験の必要性を支持する。この将来の試験の目的は、規則的な間隔で注入されるTregの最適化された用量が、進行の減速を延長し、かつTreg注入の中止に関連するより急速な進行を最小化するかどうかを決定することである。
【0451】
上述のように、第1相試験で用いられるTreg用量は、例えば、注入1回あたり平均の個々の用量が7千万~1億個の細胞となる1×106/kg/注入であった(下記セクション8.1を参照されたい)。8回の用量が、各患者に投与され、各用量は、25日間のエクスビボ増殖を伴うそれ自体の生産活動を必要とし、これは、患者1名あたりの労力及び費用を極端に増加させた。また、長期の増殖時間は、患者、例えば、ALSの患者に最適ではないであろう抑制能が低下したTreg生成物をもたらす。成功した生産プロセスであれば、多数の高度に機能的なTregをより短い増殖時間で製造するであろう。1回の白血球アフェレーシスへの患者の曝露から、1回の増殖活動を伴って、より高用量のTregをより長い期間必要とするより大規模な第11/111相試験に供給を行うのに十分な数のTregが、製造されるべきである。同様に、1つの患者試料から、例えば、単回の白血球アフェレーシスから、1回の増殖活動を伴って、十分な数のTregが、全治療レジメン用の、例えば、ALSもしくはアルツハイマー病などの神経変性疾患、1型糖尿病もしくは関節リウマチなどの自己免疫疾患、又は骨髄移植後の移植片対宿主病(GVHD)などのGVHDの治療のための全治療レジメン用に製造されるべきである。
【0452】
これらの目的を達成するために、Treg増殖のいくつかの態様が、最適化されており、凍結保存された、例えば、cGMP条件下で凍結保存された莫大な数の高度に機能的なTregを生じさせるより制御された生産プラットフォームが、開発されている(下記セクション8.3、8.5、及び8.6を参照されたい)。凍結保存されたTregを、患者が居る場所に送ることができ、そこで、それを解凍し、制御された条件下種々の用量及び頻度で患者に注入することができる。本生産プロセスのための例示的な標準的な操作手順が、以下に提供される。例えば、セクション8.3、8.5、及び8.6を参照されたい。
【0453】
第2相試験を今年開始することが計画されており、これは、Treg療法が、ALS患者におけるTregの機能を改善するかどうかを評価するものである。治験の期間内で、Tregの月1回注入及びさらに高用量のTreg注入の安全性が、1年にわたり決定されるものとする。
(8.1.6. 引例)
【表2】
表1: 参加者の特徴
【表3】
【0454】
(8.2 実施例2: エクスビボ増殖によってアルツハイマー病における制御性T細胞の機能障害を回復させる)
アルツハイマー病患者におけるTregの役割がよく理解されていないために、末梢血集団及びTregの機能を、疾患の経過の間に評価した。Tregが、臨床的アルツハイマー認知症段階で抑制活性の不全を示すことが分かり、これは、末梢及び脳の双方で炎症促進性状態に向けて免疫系の反応をシフトさせることができる。さらに、Tregのエクスビボ増殖がホメオスタシスを回復させる可能性を、以下に示されるように評価した。
【0455】
(8.2.1. 材料及び方法)
(8.2.1.1 患者の採用及びアルツハイマーと規定された集団)
患者は、米国国立老化研究所-アルツハイマー病協会(NIA-AA)の2011年ガイドライン(2011 guidelines from the National Institute on Aging-Alzheimer's Association (NIA-AA))(Albertらの文献、2011; Jackらの文献、2011; McKhannらの文献、2011)による、「神経変性バイオマーカーを組み入れたMCI(mild cognitive impairment; 軽度認知障害)及び高可能性アルツハイマー認知症の研究基準(research criteria for MCI (mild cognitive impairment) and probable Alzheimer dementia, incorporating neurodegeneration biomarkers)」(陽電子放出断層撮影(PET)での側頭頭頂葉皮質での18-フルオロデオキシグルコース(FDG)取り込みの減少;及び/又は核磁気共鳴画像法での内側側頭葉及び内側頭頂葉皮質における不釣合な萎縮)を満たしていた。書面によるインフォームドコンセントを、ヒューストン・メソジスト研究所の施設内審査委員会(IRB)からの倫理承認後にヘルシンキ宣言に従って、全ての患者及び年齢をマッチさせた健常者対照(HC)から得た。認知症重症度のステージ分類は、臨床認知症評定尺度(Clinical Dementia Rating Scale; CDR)評価装置(Morrisの文献、1993;O'Bryantらの文献、2008)に基づくものとした。0.5の総合CDRスコアを有する参加者は、軽度認知障害(MCI)として分類され(n: 42、M/F: 18/24、平均年齢:71.4)、CDR≧1の患者は、アルツハイマー認知症であるとみなされた[n:46(24名がCDR1並びに22名がCDR2及び3)、M/F:20/26、平均年齢:70.0]。登録された健常者対照は、0のCDRを有していることが要求された(n:41、M/F:17/24、平均年齢:69.3)。
【0456】
(8.2.1.2 フローサイトメトリー)
マルチカラーフローサイトメトリーを用いて、Tregの免疫表現型を評価した。以下の分子に対する抗体は:CD3 BV650 (BD Biosciences)、CD8 BV450 (BD Biosciences)、CD4 APC-H7 (BD Biosciences)、CD25 PerCPCy5.5 (BD Biosciences)、CD73 eFluor 450 (eBioscience(商標))、PD-1 BV 650 (Biolegend)によって提供された。死細胞を、LIVE/DEAD(登録商標) Fixable Blue Dead Cell Stain Kit (Life Technology)によって染色した。細胞内染色のために、FoxP3/Transcription Factor Staining Buffer Set (eBioscience)を用いて、細胞を固定し、透過処理し、次いでFoxP3 Alexa Fluor 488 (eBioscience)、IL13-PE (eBioscience)、及びGranzyme B APC (Biolegend)で染色した。適切なアイソタイプ対照を用いて、象限(quadrant)を設定し、バックグラウンド染色を評価した。細胞を、LSRII フローサイトメーターをBD FACSDIVAソフトウェアと共に用いて分析した。
【0457】
(8.2.1.3 免疫細胞の単離)
単核の免疫細胞を、Lymphoprep (Stemcell)密度勾配遠心分離を用いて参加者の末梢血から単離した。CD4+CD25+制御性T細胞単離キット(Miltenyi Biotec)を製造業者の説明書に従って用いて、Treg及びレスポンダーT細胞(Tresp)を単離した。純度を高めるために、CD4+CD25+制御性T細胞を含有する陽性選択細胞画分を、MSカラムに2回通した。非標識のCD4+CD25細胞流出液を、Tresp集団として集めた。
【0458】
(8.2.1.4 Tresp増殖に対するTreg抑制アッセイ)
単離されたTrespを、1ウェルあたり50,000個の細胞の密度で96ウェルプレート中に入れ、それに続き、1:1及び2:1(Tresp:Treg)の比率で対応するTregの共培養を少なくとも三連で行った。CD3/CD28 T細胞刺激試薬(Miltenyi Biotec)を、共培養物に添加した。5日間の培養後、細胞に、トリチウム標識チミジン(1Ci/ウェル; Amersham Life Sciences)を18時間適用した。細胞を回収し、チミジン取り込みを、ガス作動式プレートリーダー(Packard Instruments)を用いて測定した。増殖のパーセント抑制率を、以下の式:抑制百分率=100-[(Tregの存在下で増殖するTrespの1分あたりのカウント/Tregの非存在下で増殖するTrespの1分あたりのカウント)×100]を用いて計算した。
【0459】
(8.2.1.5 IPS由来炎症促進性マクロファージに対する抑制アッセイ)
人工多能性幹細胞(iPSC)からの成熟した単球細胞の作製のためのプロトコールは、成熟した単球を段階的にヒト多能性細胞から分化させる5つの連続する工程からなる(Yanagimachiらの文献、2013)。成熟した単球を、7日間のGM-CSF(50ng/mL)、1時間のリポ多糖(0.1ng/mL)及びインターフェロン-γ(0.2ng/mL)での処理によって、炎症促進性マクロファージに極性化させた。これらのiPSC由来マクロファージは、炎症促進性のIL-6、TNFα、及びIL-1Bサイトカインを強く産生した。患者及び健常者対照由来のTregを、活性化されたマクロファージと短期間(4時間)及びより長い期間(24時間)共培養した。培養した培地を集めて、ELISAによってサイトカインタンパク質レベルを評価した。次いで、細胞を培養物から集め、メッセンジャーRNAを、サイトカイン転写産物の調査のために単離した。共培養物中でのIL-13及びCD25の封鎖(blockade)のために、R&D Systemsの抗ヒトIL-13 Ab(MAB2131)及び抗ヒトCD25 Ab(MAB223)を用いた。ファルコンインサートシステム(falcon insert system)(Life Science)を利用して、共培養物中でのTreg集団とマクロファージ集団との直接接触を妨げた。
【0460】
(8.2.1.6 RNA精製、RT-PCR分析)
トリゾール試薬及び、それに続きDirect-zol RNA MiniPrep Kit (Zymo Research)を用いて、メッセンジャーRNAを、患者の免疫細胞集団及びインビトロ細胞実験から抽出した。定量的PCR実験を、SYBR Greenを用いるOne-Step RT-PCRキットを用いて行い、Bio-Rad iQ5 Multicolor Real-Time PCR Detection Systemsで分析した。この試験のためのプライマーは、BioRadから購入し、各メッセンジャーRNAの相対発現レベルを、β-アクチンに対する規格化を行うΔΔCt法を用いて対照試料と比較して計算した。
【0461】
(8.2.1.7 エクスビボTreg増殖)
ビーズで選択されたCD4+CD25highTリンパ球を、100nMのラパマイシン(Miltenyi Biotec)、500IU/mL IL-2、及び4:1のビーズ対細胞比のDynabeads(商標)Human Treg Expander (Gibco(商標))を含有する培地中に1×106細胞/mLの濃度で懸濁させた。ラパマイシン及びIL-2を含有する新鮮な培地を、2~3日毎に細胞に添加した。10日間の培養の後に、細胞を回収し洗浄した。増殖させたTregの数及びその抑制機能を、アッセイした。
【0462】
(8.2.1.8 統計学的解析)
5%の有意水準で80%の検出力を達成してアルツハイマー病の様々な段階の間のTregの特徴及び機能の差を検出するための最小サンプルサイズを計算した。治験責任医師は、アウトカム評価の間、群の素性を知らされなかった。比較を、対応のある又は独立のスチューデントt検定(2群の場合)又は一元配置分散分析(3群以上の場合)を用いて行った。相関を、線形回帰を用いて決定した。データを、平均±SEMとして表し、0.05未満のp値を、有意であるとみなした。
【0463】
(8.2.2. 結果)
以下に述べるように、この試験は、アルツハイマー病の経過の全期間にわたる免疫表現型及びTregの抑制活性の有意な変化を文書で証明した。
【0464】
また、アルツハイマー病において初めて、患者のTregのエクスビボ増殖の可能性を評価した。エクスビボ増殖後に、Tregの免疫調節能は、細胞接触介在性機構によって患者及び健常者対照の双方において実質的に強化された。この増殖させたTregは、細胞表面に20倍高いレベルのCD25タンパク質を発現した。
【0465】
また、このエクスビボで増殖させたTregの抑制活性を調査した。増殖後、TregのTresp増殖を抑制する能力は、患者及び健常者対照の双方において有意に増加した。興味深いことに、増殖後の進行アルツハイマー病患者由来のTregの免疫表現型及び抑制活性は、健常者対照のものと同等であった。さらに、新たに単離されたTregは、活性化されたマクロファージに対する作用を示さなかったが、エクスビボで増殖させたTregは、炎症促進性マクロファージ由来のサイトカイン産生に対して実質的に強化された抑制活性を示した。
【0466】
ここに示されるデータは、Tregのエクスビボ増殖が、アルツハイマー病の前記段階でその免疫表現型及び抑制機能を回復させることを示している。これらの結果は、アルツハイマー病患者における増殖させたTregの自己由来移植の理論的根拠を提供する。
【0467】
(8.2.2.1 アルツハイマー病における抑制性T細胞の免疫表現型)
20名のアルツハイマー患者、18名のMCI、及び27名のHCから得た単回の血液試料を、フローサイトメトリーによって調査した。今回の試験では、アルツハイマー群の患者のおよそ半数が、中程度から重篤な認知症(CDR 2R及び3)であった。既存の確立された表現型(CD4+FoxP3+CD25high)によるTregの同定を可能にするゲーティング戦略(図4A)を適用した。CD4+FOXP3+CD25high Tregの百分率は、HC、MCI、及びアルツハイマー群の間で異ならなかった(図4B)。
【0468】
FoxP3 in CD4+FoxP3+CD25high Tregの平均蛍光強度(MFI)は、3群の間で同程度であったが(図4C)、CD25 MFIの低下が、HC群と比較してアルツハイマー群で確認された(図4D)。CD8抑制性T細胞の評価において、CD8+CD25high細胞及びCD8+FOXP+細胞の百分率は、健常者対照と比較してMCIで増加しており、アルツハイマー認知症段階でベースラインレベルに戻っていた(図4E及び図4F)。
【0469】
(8.2.2.2 アルツハイマー病における対応するTrespに対するTregの損なわれた抑制機能)
CD4+CD25highTregを、CD25発現に基づいて全血から陽性選択した。Treg及びTrespを、種々の数のTregを同じ数のTrespに対して用いて共培養した。初めに、Tregの抑制機能に対する年齢及び性別の効果を評価した。男女間でTregの抑制機能に差はなかった。Treg抑制活性と対象の年齢との間に相関は見られなかった(図5A)。MCI(n=29)におけるTreg抑制活性は、Tresp:Treg比が1:1及び2:1の双方でHC(n=27)と同程度であった(1:1の比率:HC=52.8%±4.36、MCI=47.68%±4.40、p=0.933;2:1の比率、HC=46.55%±3.88、MCI=39.71%±3.84、p=0.890)。アルツハイマー病患者(n=23)におけるTregの抑制機能は、HC(1:1の比率:アルツハイマー病=27.45%±4.11、アルツハイマー病対HC p=0.0001;2:1の比率 アルツハイマー病=23.3%±4.96、アルツハイマー対HC p=0.0018)及びMCI(1:1の比率:アルツハイマー病対MCI:p=0.0034、2:1の比率:p=0.0357)の双方と比較して減少した(図5B)。
【0470】
エクスビボ増殖後の強化された免疫表現型及びTresp増殖に対するTregの抑制活性。別の実験において、患者及び対照の別個のより少ない集団を登録した(10名のアルツハイマー患者、10名のMCI、及び10名のHC)。CD4+CD25high Tregを、血液から単離し、1:1の比率でのTresp増殖に対するTregの抑制機能をアッセイした。始めの知見(図5B)と類似して、MCI Tregの抑制機能(43.45%±5.20)は、HC(47.89%±4.23)(p=0.983)と同程度であったが、アルツハイマー病におけるTregの抑制機能(25.27%±4.81)は、HC(p=0.0130)と比較して減少していた(図6A)。同一の個人由来のTregを、IL-2、ラパマイシン、及びCD3/CD28ビーズの存在下で10日間エクスビボで増殖させた。HC、MCI、及びアルツハイマー病群から単離されたTregの増殖速度は、異ならなかった。全ての群において、それらそれぞれのベースライン(base)Tregと比較して、Tresp増殖に対するエクスビボで増殖させた(exp)Tregの抑制機能の強化が認められた(exp-HC=87.7%±4.82、exp対base-HC p=0.0001、exp-MCI=76.6%±4.61、exp対base-MCI p=0.0002、exp-アルツハイマー=87.98%±4.97、exp対base-アルツハイマーp<0.0001)。興味深いことに、ベースラインTregとは対照的に、増殖させたTregの抑制活性は、患者及び健常者対照の間で同程度となった(図6A)。また、ベースライン及び増殖させたTregの免疫表現型を、フローサイトメトリーによってアッセイした。増殖後、CD25のMFIは、3群全てでかなり(約20倍)増加した(図6B)。また、増殖させたTregにおけるFoxP3のMFIも上昇した(約1.5~2倍)(図6C)。増殖させたTregでのCD25及びFoxP3のMFIは、患者と対照との間で同程度であった。エクスビボ増殖後のiPSC由来炎症促進性マクロファージに対するTregの増幅された抑制。CD4+CD25highTregを、炎症促進性のiPSC由来マクロファージ(M1)と共培養し、IL-6、TNFα、及びIL-1B転写産物の相対変化(4時間後)並びに上清中のタンパク質レベル(24時間後)をアッセイした。
【0471】
ベースライン(B)において、HC由来のTregは、マクロファージIL-6転写産物発現を非有意に(p=0.071)ではあるが25%減弱させた(図7A)。
【0472】
MCI又はアルツハイマー患者のベースラインTregは、M1由来のIL-6転写産物やタンパク質に対する抑制を示さなかった(図7A及び図7B)。これらの同じ対象由来のTregを、エクスビボで10日間増殖させ、次いで、炎症促進性マクロファージと共培養した。M1由来のIL-6転写産物及びタンパク質発現レベルの減少が、全ての群で増殖させたTregとの共培養後に認められた(図7A及び図7B)。ベースラインTregのM1との共培養は、TNFα転写産物及びタンパク質レベルを減弱させなかった。アルツハイマー病、MCI、及びHCの増殖させたTregは、対応するベースラインTregと比較して、M1由来のTNFα転写産物及びタンパク質を抑制する能力の強化を示した(図7C及び図7D)。IL6及びTNFαの知見と類似して、ベースラインTregは、IL1B転写産物レベルを変化させなかったが、増殖させたTregは、3群全てにおいてM1由来のIL1B転写産物を抑制する能力の強化を示した(図7E)。しかしながら、IL1Bタンパク質の評価において、タンパク質の値は、低すぎて確実な測定を行うことができなかった。
【0473】
(8.2.2.3 増殖させたTregにおいて上方制御された免疫調節性遺伝子発現)
メッセンジャーRNAを、10名のHC、10名のMCI、及び10名のAD対象のTregから、ベースライン及びそれぞれの増殖後に抽出した。TGFβ、IL-10、IL-4、及びIL-13、CD25を含む、Tregから放出されることが知られている免疫抑制性サイトカイン、並びに細胞同士の近接又は接触を必要とする免疫調節マーカー(PD1、CTLA4、Granzyme (GZM) A&B、PDL1、PDL2、CD39、及びCD73)の転写産物レベルを、定量的PCRによって調査した。ベースラインにおいて、IL-4、IL-10、及びIL-13転写産物発現レベルが減少する傾向が、アルツハイマー病群で認められた。TGFβ発現レベルは、ベースラインにおいてはアルツハイマー、MCI、及びHCの間で同程度であったが、増殖後には、発現レベルは、全ての群で下方制御された。増殖後に変化しなかったIL-4及びIL-10とは対照的に、IL-13及びCD25転写産物は、増殖させたTregにおいて上方制御された(図8A)。TregにおけるPD1、PDL1、PDL2、CTLA4、CD39、CD73、及びGranzyme A&Bの発現レベルは、ベースラインにおいてHC、MCI、及びADの間で同程度であった。エクスビボ増殖後にCD39、PDL1、PDL2、及びCTLA4転写産物の変化はなかったが、増殖させたTregにおいては、PD1、GZMB、及びCD73転写産物の上方制御が、全ての群で観察された。Granzyme A発現レベルは、増殖させたTregにおいて下方制御された(図8B)。
【0474】
増殖後に転写産物レベルが上方制御された遺伝子のタンパク質発現を、5名のアルツハイマー患者及び5名のHCにおいて、フローサイトメトリーを用いてさらに分析した。より高い百分率のCD73+(図9A)、PD1+(図9B)、及びIL-13+ Treg(図9C)(全CD4+CD25high T細胞に占める%)が、アルツハイマー患者及びHCの双方においてエクスビボ増殖後に観察された。増加した頻度に加えて、CD73(図9E)及びPD1(図9F)MFIの著しい強化が、増殖させたTregで認められた。ベースラインTregと増殖させたTregとの間のGZMB+ Treg亜集団の百分率の差は、異ならなかった(図9D)が、GZMB MFIは、増殖後にかなり増幅された(図9H)。
【0475】
(8.2.2.4 接触介在性機構によるエクスビボで増殖させたTregの免疫調節作用)
エクスビボで増殖させたTregにおいて上方制御される免疫調節性遺伝子を、強化されたTregの抑制機能のための有望な候補としてさらに精査した。これらの遺伝子産物の直接的な作用を試験するために、増殖させたTregを、炎症促進性マクロファージと共培養し、M1由来のIL-6タンパク質産生に対するTregの抑制機能の変化を、中和抗IL-13、抗CD25の存在下で、又はトランズウェルを用いて細胞同士の接触を回避して測定した。このアッセイは、合計でアルツハイマー4名及びHC4名の増殖させたTregを用いて繰り返された。増殖させたアルツハイマー病及びHCのTregは、M1由来のIL-6タンパク質を、それぞれ、44%及び46%減弱させた(図10A及び図10B)。共培養物へのCD25又はIL-13中和抗体の添加は、増殖させたTregのIL-6タンパク質産生を抑制する能力に影響を及ぼさなかった。しかしながら、増殖させたTregを、トランズウェル内に入れた場合、その抑制機能は、アルツハイマー病群及びHC群の双方において抑制された。増殖させたTregから放出される可溶性因子は依然として、トランズウェルを通過することができたために、これらのデータは、増殖させたTregが、その抑制機能を炎症促進性マクロファージに対して行使するために細胞同士の接触を必要としたことを示唆した。
【0476】
(8.2.3. 引例)
Albert, M.S.らの文献、2011年。「アルツハイマー病を原因とする軽度認知障害の診断:アルツハイマー病の診断ガイドラインに関するアメリカ国立老化研究所-アルツハイマー病協会ワークグループからの勧告(The diagnosis of mild cognitive impairment due to Alzheimer's disease: recommendations from the National Institute on Aging-Alzheimer's Association workgroups on diagnostic guidelines for Alzheimer's disease)」。Alzheimers Dement. 7, 270-9。
【0477】
Jack, C.R., Jr.らの文献、2011年。「アルツハイマー病の診断ガイドラインに関するアメリカ国立老化研究所-アルツハイマー病協会ワークグループからの勧告の紹介(Introduction to the recommendations from the National Institute on Aging-Alzheimer's Association workgroups on diagnostic guidelines for Alzheimer's disease)」。Alzheimers Dement. 7, 257-62。
【0478】
McKhann, G.M.らの文献、2011年。アルツハイマー病を原因とする認知症の診断:「アルツハイマー病の診断ガイドラインに関するアメリカ国立老化研究所-アルツハイマー病協会ワークグループからの勧告(The diagnosis of dementia due to Alzheimer's disease: recommendations from the National Institute on Aging-Alzheimer's Association workgroups on diagnostic guidelines for Alzheimer's disease)」。Alzheimers Dement. 7, 263-9。
【0479】
Morris, J.C.の文献、1993年。「臨床的認知症尺度(CDR):現行バージョン及びスコア付けのルール(The Clinical Dementia Rating (CDR): current version and scoring rules)」。Neurology. 43, 2412-4。
【0480】
O'Bryant, S.E.らの文献、2008年。「臨床認知症評定尺度ボックススコアの合計を用いる認知症のステージ分類:テキサス州 アルツハイマー病研究コンソーシアム試験(Staging dementia using Clinical Dementia Rating Scale Sum of Boxes scores: a Texas Alzheimer's research consortium study)」。Arch Neurol. 65, 1091-5。
【0481】
Yanagimachi, M.D.らの文献、2013年。「血清及びフィーダー細胞不含条件下でのヒト多能性幹細胞からの機能的 モノcyチック症状 細胞の頑健かつ高度に効率的な分化(Robust and highly-efficient differentiation of functional monocytic cells from human pluripotent stem cells under serum- and feeder cell-free conditions)」。PLoS One. 8, e59243。
【0482】
(8.3 実施例3: 改良されたTreg生産プロトコールの詳細)
増殖させたTregを用いる治療は、上述の実施例1及び2に記載されているように、多様な障害、例えば、ALS及びアルツハイマー病などの神経変性障害に有望な治療である。しかしながら、技術的な難題が、Treg療法の広い応用を依然として妨げている。本出願に記載される、凍結保存された治療用Treg細胞集団を含む、エクスビボで増殖させたTreg細胞集団を製造するための方法は、これらの難題に対処する。
【0483】
以下は、改良されたTreg生産プロトコールの実施態様を説明する代表的な工程のリストである。該例示的なプロトコールは、増殖後のTregの治療用集団の凍結保存を可能とし、従って、短納期で、投与前にさらなる増殖を必要としない大量のTregを提供する。代表的なTreg生産プロトコールのより詳細なまとめが、図14で提供される。図14の記載で言及されるように、改良されたTreg生産方法を用いて、ALS患者由来のTregを増殖させてもよい。本明細書で示されるTregの製造方法は、別の障害、例えば、別の神経変性障害対象由来又は健康なドナー対象由来の細胞試料などの、別の出発材料由来のTregを増殖させるのにも適用し得ると理解されるべきである。
1)新鮮な白血球アフェレーシス生成物を、第0日での単離後直ちに用いる。これが、4℃で1晩保管されることはない。
2)CD25+細胞を単離する白血球アフェレーシス後のユニークな4工程プロセス-減容、その後の精製、その後のCD8+/CD19+枯渇、及び最後のCD25+濃縮。
3)新たに単離されたCD25+細胞を、培養培地中に直ちに入れる。それは、はじめに凍結保存されない。
4)IL-2が、第6日、第8日、及び第11日に2~3日毎に投与される。細胞が増殖の期間内に廃棄されることはなく、従って、スケールは、かなり大きくなり、大容量の培地を必要とする。
5)培地変更の期間内に、第1日、第4日、及び第6日に、培地の半分が除去され、補充される。これらの培地変更の期間内に除去された細胞は、培養フラスコに戻されない。
6)細胞は、稀に例外はあるもののプロセスの全体にわたる培地変更の期間内に遠心分離されない。細胞は、該細胞を凍結媒体中に再懸濁させクライオバイアル中に移すために、凍結保存の当日にのみ遠心分離される。
7)細胞を、第11日ではなく第13日に休ませる(休息日の期間内にIL-2は投与されない)。
8)凍結保存を、プロセスの終了時に行う。これは、増殖プロセスが、臨床プロトコールに従い1年間患者を治療するのに必要な量にいつ到達するかに応じて第15日から第25日のいずれかとすることができる。
9)凍結保存を、細胞回収及びビーズ除去の直後に大規模に手作業で行う。CryoStor(登録商標)(CS10)凍結媒体を、4℃で添加し、細胞を、10分以内にクライオバイアルに移す。各クライオバイアルは、臨床プロトコールに従い解凍され、患者に戻され投与されるであろう1回分の用量となる。
10)クライオバイアルを、最適化された凍結プロトコールに従い速度制御フリーザ(Controlled Rate Freezer)内で直ちに凍結し、次いで、長期保存のために液体窒素蒸気に移す。細胞の安定性は、最長で18か月の長期保存で検証されている。
【0484】
(8.4 実施例4: フローサイトメトリーによる増殖させたTregの表現型)
図11A及び図11Bは、フローサイトメトリーによって決定されるCD4+細胞の集団中のCD4+CD25high(図11A)細胞又はCD4+CD25highCD127low(図11B)細胞の百分率によって測定される増殖させたTreg及び新たに単離されたTregの純度を示す。これらのデータは、増殖させたTregが、新たに単離されたTregよりも純粋であることを示す。N=3、**は、0.01以下のp値を示す。
【0485】
図12A及び図12Bは、フローサイトメトリーによって測定された、増殖させたTreg及び新たに単離されたTregにおけるCD25タンパク質(図12A)及びCD127タンパク質(図12B)の発現を示す。これらのデータは、CD25発現が、新たに単離されたTregと比較して、増殖させたTregにおいて約30倍増加しているが、CD127タンパク質発現は、新たに単離されたTregと比較して、増殖させたTregにおいて非有意に(約2倍)増加していることを示す。N=3、**は、0.05以下のp値を示す。
【0486】
図13A及び図13Bは、それぞれ、増殖させたTreg及び新たに単離されたTregの粒度及びサイズを示す。これらのデータは、増殖させたTregが、新たに単離されたそれよりも大きく、増殖させたTregが、新たに単離されたそれよりも高い粒度を有することを示す。
【0487】
(8.5 実施例5: ALS患者の白血球アフェレーシス生成物由来の制御性T細胞の単離及び増殖のための例示的なプロトコール)
本明細書で示されるのは、ALS患者の白血球アフェレーシス生成物からの制御性T細胞(Treg)の単離及び増殖のための例示的な説明書及び工程である。このプロトコールは、非ALS対象、例えば、健康な対象、例えば、同種異系Treg治療の一部として、又は種々の障害、例えば、種々の神経変性障害を示す患者由来の白血球アフェレーシス生成物の単離及び増殖にも適用され得る。
【0488】
プロセスフロー図を、図14に示す。
【0489】
(8.5.1. 手順)
処理の前に、Deconquat(Veliek Associates Inc.)、それに続き、70%エタノールを用いて生物学的安全キャビネット(BSC)表面及び設備を除染し、70%のイソプロピルアルコール(IPA)で全ての作業面を清浄化する。
【0490】
細胞培養及び回収パラメーター:
・低速成長増殖:推定細胞数<2×109細胞での25日間の細胞培養物-2回目の白血球アフェレーシスが、必要とされることもある。
・通常の増殖:推定細胞数≧2×109細胞での25日間の細胞培養物。
・高速成長増殖:≦15日間の細胞培養において推定細胞数≧2×109細胞。
・全ての細胞培養増殖は、バイアルへの滅菌封入及び凍結保存の前に70%超の生存率で70%のCD4+CD25+細胞純度を維持すべきである。
【0491】
(8.5.2. 工程01: 患者の白血球アフェレーシス生成物の受け取り)
白血球アフェレーシス生成物を揺動回転装置(rockers rotators)上で室温で穏やかに混合する。
【0492】
重要な注意:白血球アフェレーシス生成物は、24時間以内に処理されなければならない。
【0493】
重要な注意:白血球アフェレーシス生成物バッグの余分な配管を密閉してはならない。この余分な配管は、以下の工程におけるSepax Tubingセットへ無菌接続するために必要となる。
【0494】
白血球アフェレーシス生成物の総体積が、100mLから840mLであることを確認する。
【0495】
注意:白血球アフェレーシス生成物が、100mL未満である場合、1%のHSAを含む等体積のCliniMACSバッファーを添加する。
【0496】
QC: QC試験用の以下の試料を入手する。
・細胞数及び生存率の決定:0.75~1.0mL(Sysmex及び手動トリパンブルー排除法)
・細胞フロー分析:CDマーカー-3mL
・無菌性(14日間の好気性及び嫌気性の培養):長期培養瓶のそれぞれに0.5mLの白血球アフェレーシス生成物を播種する
【0497】
(8.5.3. 工程02: GE Healthcare/Biosafe Sepax 2 RMをPeriCellプロトコール及びCS490.1キットと用いる白血球アフェレーシス生成物の減容)
(8.5.3.1 作業バッファーの調製-CliniMACSバッファー1%v/v HSA)
BSCの内部で入手可能な以下の物品を手に入れる:
FLEXBUMIN 25%、アルブミン(ヒト)、米国薬局方-100mLバッグ
CliniMACS EDTA/PBSバッファー(1Lバッグ)
60mL及び140mLのシリンジ並びに18G針
サンプリング部位結合器
【0498】
サンプリング部位結合器を、FLEXBUMIN 25%、アルブミン(ヒト)、米国薬局方-100mLのバッグに挿入する。
【0499】
シリンジを用いて、FLEXBUMIN 25%、アルブミン(ヒト)、米国薬局方-100mLのうちの40mLを吸い出し、960mLのCliniMACS EDTA/PBSバッファーに添加する(1L)。バッグの上下を3~5回逆にすることによってよく混合する。
【0500】
(8.5.3.2 出発材料の準備-GE Healthcare-Biosafe CS-490.1キット(PeriCell))
(8.5.3.2.1 出発材料の細胞密度及びインプット体積)
PeriCellインプット体積は、100mL~840mLである。
【0501】
白血球アフェレーシス生成物の細胞密度は、≦44×106細胞/mLとすべきである。
【0502】
高細胞密度の白血球アフェレーシス生成物の場合、CliniMACSバッファー1% HSAで細胞密度を≦44×106細胞/mlに調整する。
【0503】
(8.5.3.2.2 GE Healthcare-Biosafe CS-490.1キット(PeriCell)の組み立て)
説明のために図15を参照する。
【0504】
注意:PeriCellプロトコールでの使用の場合。(A)赤色ローラークランプ。(B)600mLの移送バッグ用の雌のルアー。(C)出発白血球アフェレーシス生成物に対するインラインバブルトラップでのスパイク。(D)圧力センサーライン。
【0505】
CS 490.1キットブリスターパックを、出発白血球アフェレーシス生成物バッグと一緒にBSC内に入れる。
【0506】
赤色ローラークランプ(A)を閉じる。
【0507】
600mL移送パックバッグを青色二方コック(B)で配管部分の雌のルアーにスパイクする。その後、移送パックバッグを取り付けた配管部分を、主CS 490.1キットに接続する(上の図を参照されたい)。移送パックバッグにラベル:PeriCell後生成物を取り付ける。
【0508】
白血球アフェレーシスバッグの利用可能なポート1つを、青色二方コックから伸びた使用されていないスパイク(バブルトラップを含む)でスパイクすることによって、白血球アフェレーシス生成物バッグを、キットに取りつける(C)。
【0509】
組み立てたCS490.1キット及びキットトレー(Tyvekカバーを含む)を、Sepax 2 RM Cell Processing装置に移動させる。
【0510】
(8.5.3.3 PeriCellプロトコール選択)
Sepax 2 RMをオンに切り替え、バッチ記録で用いられる装置番号を記録し、メインメニュー(Main Menu)から、PBSCアプリケーション(PBSC Applications)、次いで、PeriCellを選択する。
【0511】
パラメーター変更(Change Parameters)の選択肢を開く。
【0512】
以下のパラメーターを入力及び/又は確認する。
・生成物のインプット体積:白血球アフェレーシス生成物の体積を入力。
・注意:最低及び最高インプット体積は、100mL~840mLである。
・生成物の最終体積:120mLを入力。
・注意:白血球アフェレーシス生成物の細胞濃度は、44百万細胞/mL未満とすべきである。
・注意:最低及び最高アウトプット体積は、30mL~600mLである。
・洗浄サイクル:デフォルト値は、2である。
・一時停止バッグ切換え(Pause Switch Bag):デフォルト値は、OFFである。デフォルト値のままとする。
【0513】
入力が確認されたら、プロトコール選択肢(Protocol Options)メニューから追跡IDの設定(Configure Trace ID)の選択肢を選択する。
【0514】
注意:これは、初めて機械がPeriCellプロトコールで用いられる時にのみ実施する必要があり、その後は、年一回のPMの後にのみ再設定する必要がある。
【0515】
提供ID、オペレーター、及びキットIDを入力。
【0516】
トレーサビリティ項目選択が選択されたら、戻る矢印を押してプロトコール選択肢メニューに戻る。
【0517】
組み立てたCS 490.1キットをSepax 2装置に載せ、スクリーン上の指示に従う。
【0518】
分離チャンバーを前記チャンバー内に入れ、完全に設置し、チャンバーカバーを閉じる。
【0519】
生成物バッグを適切なフック/支持体に吊るす。
【0520】
全ての二方コックを「T」の位置にして、二方コック及び回転ピンを据え付ける。
【0521】
圧力センサーライン(D)を接続する。
【0522】
全てのラインに、ねじれや折れ曲がりがないことを確認する。
【0523】
プロトコール選択肢メニューから手順の開始(Start Procedure)の選択肢を選択する。
【0524】
提供ID及びオペレーターの頭文字を入力する。
【0525】
キットID:バーコード読み取り装置を用いて、使用中のキットのTyvekカバー上のバーコードからキットIDを入力する。
【0526】
入力(Input)、終了(Done)、継続(Continue)を押し、キットが有効化されるのを待つ。
【0527】
キットの有効化が成功した後に、スクリーンのプロンプトに従い赤色ローラークランプを開く。
【0528】
手順の開始ボタンを押して、プロトコールを開始させる。
【0529】
プロトコールが完了したら、処理の終了メッセージが、スクリーン上に現れる。
【0530】
スクリーンのプロンプトに従い、指示通りに行動して使い捨てのキットを取り外す。
【0531】
バッグ及び圧力センサーラインを取り外す。
【0532】
細胞ライン及び廃棄ラインを取り外し、全てのクランプを閉じる。
【0533】
ヒートシールして最終生成物バッグを取り出し、該バッグをBSCに移す。
【0534】
注意:配管キットから取りはずされる前に、全ての容器にラベルがつけられていることを確認すること。
【0535】
キットを取り外し、それを適切な廃棄容器内に捨てる。
【0536】
(8.5.3.4 PeriCell後の細胞数及び生存率の決定)
QC試験のために1.0mLのPeriCell後生成物を得る。
【0537】
細胞数及び生存率の決定:0.75~1.0mL(Sysmex及びマニュアルトリパンブルー排除法)。
【0538】
(8.5.4. 工程03: GE Healthcare-Biosafe Sepax 2 RM NeatCellプロトコール及びCS900.2キットを用いる白血球アフェレーシス生成物精製)
(8.5.4.1 作業バッファーの調製-CliniMACSバッファー1%v/v HAS)
1LのCliniMACS EDTA/PBSバッファー(1L)から、40mLのバッファーを取り出し、40mLのFLEXBUMIN 25%、アルブミン(ヒト)、米国薬局方-100mLバッグ(HSA)を添加する。
【0539】
前後に3~5回揺することによってバッグをよく混合する。
【0540】
(8.5.4.2 出発材料及びNeatCellプロトコール情報)
NeatCellプロトコールは、CS-900.2キットと共に用いられ、30~120mLの出発材料を処理するように設計されている。生成物の最終体積は、45mLの固定体積である。
【0541】
注意:NeatCellプロトコールは、120mLの最大インプット体積のみを受け入れるものであるが、これは、最大で130mLの出発材料を取り出し処理するものである。高細胞密度試料の場合には、以下の工程に従い密度を調節する。
【0542】
NeatCellの仕様:最大体積:120mL。最大細胞密度:160×106細胞/mL。
【0543】
(8.5.4.3 GE Healthcare Biosafe CS-900.2キットの組み立て)
説明のために図16を参照する。
【0544】
CS-900.2キットブリスターパックを、出発材料細胞生成物バッグと共にBSC内に入れる。
【0545】
BSCの中で、出発材料細胞生成物バッグへの接続のためにキットを開け準備する。
【0546】
注意:全てのキット構成部分確認するため、及びキットの準備に関する指示についてオペレーターマニュアルを参照すること。
【0547】
REDクランプ(A)を除いてキットの全てのクランプを閉じる。
【0548】
100mLのFicoll Paque Premiumを、(クランプを開けた後に)微生物フィルターポートを通してキットの密度勾配媒体/廃棄バッグに添加し、次いで、ライン(B)を密閉する。
【0549】
1Lバッグ作業バッファーであるCliniMACSバッファー1%v/v HSAを得る。
【0550】
作業バッファーバッグをキットの赤色二方コック(C)に接続されたYコネクタースパイクラインを用いてスパイクすることによって、それをCS-900.2キットに接続する。
【0551】
未使用のYコネクターライン(D)を密閉する。
【0552】
PeriCell後の生成物バッグを、SOP EQ:3及びNeatCellプロトコールに従いバルブチャンバーの上流のキットにスパイクする(E)。
【0553】
(8.5.4.4 NeatCellプロトコール選択)
Sepax 2 RMをオンに切り替え、NeatCellプロトコールをロードする。
【0554】
予め保管されたNeatCellプロトコールパラメーター-すなわち、初期体積、FP体積などが、正しいことを確認する。注意:パラメーターを変更するには、オペレーターマニュアル(OM-1773)を参照。
【0555】
組み立てたキットをSepax 2 RMに取り付け、Sepax 2 RMプロトコールマニュアル内及び装置のディスプレイ上の全ての工程に従うことによって自動処置を開始させる。
【0556】
自動処置の最後に、プロトコール内で及びディスプレイ上で指示されている工程に従い、キットをバイオハザード廃棄物に入れて処分する。
【0557】
少なくとも6インチのラインを残して、残りのCliniMACSバッファー1% HSAバッグを密閉する。
【0558】
NeatCell後の生成物が入った移送バッグを密閉する(F)。
【0559】
キットを取り外し、バイオハザード廃棄容器内に廃棄する。
【0560】
(8.5.4.5 NeatCell後の細胞数及び生存率の決定)
移送パック容器を、前後に5~6回反転させることによって穏やかに完全に混合する。
【0561】
QC-5mLのシリンジを移送パック容器に取りつけ、細胞数及び生存率の決定のために0.5mLを吸い出す。
【0562】
(8.5.5. 工程04: CD8+及びCD19+細胞の枯渇(CliniMACS))
(8.5.5.1 作業バッファーの調製-CliniMACSバッファー1% HSA(Prepare 2×1Lバッグ)
BSC下で、試料部位結合器をFLEXBUMIN 25%、アルブミン(ヒト)、米国薬局方-100mLバッグ(HSA)に挿入する。
【0563】
1LのCliniMACS EDTA/PBSバッファー(1L)から、40mLのバッファーを取り出し、40mLのFLEXBUMIN 25%、アルブミン(ヒト)、米国薬局方-100mLバッグ(HSA)を添加する。
【0564】
前後に3~5回揺することによってバッグをよく混合する。
【0565】
(8.5.5.2 枯渇のためのCD8+及びCD19+マイクロビーズでの細胞の標識化)
通常スケールでの調製:
・1バイアルのCliniMACS CD8試薬(7.5mL)が、最高で40×109(40,000×106)個の白血球細胞のうちの最高で4×109(4,000×106)個のCD8+陽性細胞を標識するのに十分である。
・1バイアルのCliniMACS CD19試薬(7.5mL)が、最高で40×109(40,000×106)個の白血球細胞のうちの最高で5×109個のCD19陽性細胞を標識するのに十分である。
【0566】
最適な組み合わせ標識化は、87.5mLの試料体積と、1バイアルのCliniMACS CD8試薬及び1バイアルのCliniMACS CD19試薬の全体積を必要とする。
【0567】
以下の情報が、細胞及びマイクロビーズ溶液混合物を調製するのに必要とされる:NeatCell後の細胞数及び情報を入手する。
【0568】
細胞/マイクロビーズ溶液混合物を、以下のように調製する:
・必要とされる体積の作業バッファーを、NeatCell後生成物に添加して、87.5mLを得る。
・5ccのシリンジ及び針を用いて、CD8(7.5mL)及びCD19(7.5mL)マイクロビーズのバイアル全体を、細胞懸濁液に添加する。
-1バイアルのCliniMACS CD8試薬:7.5mL
-1バイアルのCliniMACS CD19試薬:7.5mL
合計:15.0mL
・溶液混合物総体積:
細胞生成物+作業バッファー+CD8/CD19マイクロビーズ
合計:102.5mL
【0569】
バッグ容器を前後に3~4回反転させることによって、細胞及びマイクロビーズ懸濁液を穏やかに混合する。30分間室温でオービタルシェーカー上25rpmでインキュベートする。
【0570】
(8.5.5.3 作業バッファーであるCliniMACSバッファー1% HASでの標識された細胞生成物の洗浄)
インキュベーション後、作業バッファーであるCliniMACSバッファー1% HSAを600mLの最終体積まで添加して、細胞を洗浄する。
・移送パック容器容積:102.5ml
・CliniMACSバッファー1% HSA:497.5ml
合計:600mL
【0571】
作業バッファーを添加した後に、移送バッグをクランプして、処理及び遠心分離の間の内容物の漏出を回避する。
【0572】
BSCの外で、TCDを用いて空の1000mL移送パック容器を無菌溶着させる。
【0573】
細胞生成物バッグ容器の重量を測定する。
【0574】
遠心機のバランスをとるために、等しい重量のバッグを入れる。
【0575】
細胞生成物を遠心して、ペレットを得る。遠心分離条件:時間:10分、速度:300g、温度:室温(18~25℃)、中程度のブレーキ。
【0576】
遠心分離後、血漿絞り出し機(plasma expresser)を用いて、上清をできる限り多く除去する。
【0577】
上清廃棄バッグ容器を密閉し処分する。
【0578】
細胞及びマイクロビーズが入った生成物移送パック容器を用いて次の工程を続ける。
【0579】
(8.5.5.4 CD8及びCD19枯渇のための細胞の調製)
下記の工程に従い、細胞を、1% HSAを含有するCliniMACS PBS/EDTAバッファー中に再懸濁させる。注意:細胞密度は、4×108(400×106)細胞/mLを超えるべきではない。
【0580】
以下の計算を行い、充填用の細胞懸濁液を調製する。
・目標細胞密度:<400×106細胞/mL
・枯渇の目標体積(mL):100mL
注意:細胞を作業バッファーであるCliniMACS EDTA/PBSバッファー1% HSA中に希釈する。
【0581】
シリンジを用いて、100mLのCliniMACS PBS/EDTAバッファー-1% HSAを添加して、細胞ペレットを再懸濁させる。
【0582】
前後に5~6回反転させることによって、細胞懸濁液を穏やかに混合する。
【0583】
細胞懸濁液は、CliniMACS配管セット内に入れる用意ができている。
(8.5.5.5 CD8及びCD19枯渇のためのCliniMACS配管セットLS(162-01)の取り付け)
(表2: 参照表)
【表4】
*枯渇2.1パラメーター:細胞密度:20~400×106/ml、標識細胞の百分率:1~99%、試料充填体積:40~350mL。
【0584】
CliniMACS配管セットLS(162-01)の説明については、図17を参照されたい。
【0585】
細胞画分からのCD8+/CD19+の枯渇は、CliniMACS(登録商標)Plus装置を、1% HSA中CliniMACS PBS/EDTAバッファー、CliniMACS配管セットLS、及びソフトウェアシーケンスDEPLETION 2.1と組み合わせて用いる自動細胞分離によって行われる。枯渇させた画分(CD8+/CD19+を含まない細胞)を、細胞回収バッグ(配管セットと共に提供されてはいない)内に集める。説明については図18を参照されたい。
【0586】
重要な注意:600mLの移送バッグに「細胞回収バッグ-陽性画分」のラベルを付ける。移送バッグを、ルアーコネクター(図18に示される参照図の14番)に溶着させる。バッグラインが、流れが阻害されずに自由であることを確かめること。
【0587】
CliniMACS(登録商標)Plus装置をオンに切り替える、DEPLETION 2.1を選択する。
【0588】
「ENT」を押すことによって選択を確認し、配管セットを選択する。
【0589】
選択された配管セットの受注番号を入力する。
【0590】
注意:受注番号(参照番号)は、生成物のラベルに記載されている。
【0591】
注意:細胞数が、最低濃度よりも少ない場合には、20×106細胞/mLをインプットする。
【0592】
標識された細胞の百分率については、40%を入力する。
【0593】
CliniMACS配管セットへの充填の準備ができている試料の総体積。100mLを入力。
【0594】
注意:装置のスクリーンが、1200mLの標的細胞のアウトプットを示している場合、2つ目の600mLの移送バッグを、デージーチェーン方式で前もって接続された細胞回収バッグに接続する。
【0595】
CliniMACS Plus装置のスクリーン上に与えられる指示に従い、ルアー/スパイクインターコネクターを用いて、適切なバッグを配管セットに接続する。ルアー/スパイクインターコネクターのスライドクランプが、開いていることを確認する。
【0596】
1Lを超えるバッファーが必要とされる場合、血漿移送セットを2つの結合器と共に用いて2つのバッファーバッグを接続する。配管セットへの接続にはバッファーバッグのうちの一方の第2のポートを用いる。
【0597】
配管セットの取り付けについては装置のスクリーン上の指示に従い、自動分離プログラムを開始させる。
【0598】
運転が完了すると、CliniMACSは、「最終処理(Final Handling)」画面を表示する。
【0599】
分離が完了した後に、
【0600】
処理コードを記録する:
【0601】
細胞懸濁液バッグを穏やかに混合する。
【0602】
(8.5.5.6 QC-CD8/CD19枯渇後)
5mLのシリンジを、枯渇後細胞回収バッグに取りつけて、QC試験のために5.0mLの細胞生成物を吸い出す:
・細胞数及び生存率の決定:0.75~1.0mL(マニュアルトリパンブルー排除法)。
・細胞フロー分析:CDマーカー-2mL。
【0603】
(8.5.6. 工程05: CD25+Tregの陽性選択(CliniMACS))
(8.5.6.1 作業バッファーであるCliniMACSバッファー1% HSAの調製(2×1Lバッグを調製))
BSCの内部で入手可能な以下の物品を手に入れる:
・2×FLEXBUMIN 25%、アルブミン(ヒト)、米国薬局方-100mLバッグ
・2×CliniMACS EDTA/PBSバッファー(1Lバッグ)
・2×60mL/140mLシリンジ
・2×16/18G針
・2×試料部位結合器。
【0604】
試料部位結合器を、FLEXBUMIN 25%、アルブミン(ヒト)、米国薬局方-100mLバッグ(HSA)に挿入する。
【0605】
1LのCliniMACS EDTA/PBSバッファー(1L)から、40mLのバッファーを取り出し、40mLのFLEXBUMIN 25%、アルブミン(ヒト)、米国薬局方-100mLバッグ(HSA)を添加する。
【0606】
前後に3~5回揺することによってバッグをよく混合する。
【0607】
これらの工程を繰り返し、作業バッファーであるCliniMACSバッファー1% HSAの追加のバッグを調製する。後の使用のために、これらを、BSC内に取っておく。
【0608】
(8.5.6.2 細胞生成物を、作業バッファーであるCliniMACSバッファー1% HASで洗浄する)
工程04のCD8/CD19枯渇後細胞生成物を得る。以下の工程に従って、CD25標識化の前に細胞を洗浄する。
【0609】
作業バッファーであるCliniMACSバッファー1% HSAを、600mLの最終体積まで添加して、細胞を洗浄する。
【0610】
作業バッファーを添加した後に、細胞移送バッグをクランプして、処理及び遠心分離の間の漏出を回避する。
【0611】
TCDを用いて、細胞生成物バッグに同じサイズの空の移送バッグを無菌溶着させる。
【0612】
生成物バッグ及び空のバッグの重量を測定する。
【0613】
Bio16遠心機内にバッグを上に向けて入れる。遠心機内の重量のバランスをとるために、等体積のバッグを入れる。
【0614】
遠心分離して、細胞ペレットを得る。遠心分離条件:時間:10分、速度:300g、温度:室温(18~25℃)、中程度のブレーキ。
【0615】
遠心分離後、血漿絞り出し機を用いて、上清をできる限り多く除去する。
【0616】
前後に5~6回揺することによって、細胞を穏やかに混合する。
【0617】
上清が入った移送バッグを密閉し処分する。
【0618】
次の工程のために細胞ペレットを取っておく。
【0619】
(8.5.6.3 濃縮のためのCD25での細胞の標識化 CD25マイクロビーズの仕様)
1バイアルのCliniMACS CD25試薬(7.5mL)が、最高で40×109個の総白血球細胞のうちの最高で0.6×109(600×106)個のCD25陽性細胞を標識するのに十分である。
【0620】
最適な標識化は、190mLの試料体積と、1バイアルのCliniMACS CD25の全体積を必要とする。体積調整のために作業バッファーCliniMACS 1% HSAを用いる。
【0621】
細胞/CD25溶液混合物を以下のように調製する:
・必要とされる体積の作業バッファーを細胞ペレットに添加する。
-作業バッファーであるCliniMACSバッファー1% HSA:190ml
・シリンジを用いて、3.75mLのCD25マイクロビーズを添加する。
-CliniMACS CD25試薬:3.75mL
合計:193.75mL
【0622】
移送パック容器を前後に3~4回反転させることによって、細胞/ビーズ懸濁液を穏やかに混合する。オービタルシェーカー上25rpmで室温で30分間インキュベーションする。
【0623】
(8.5.6.4 作業バッファーであるCliniMACSバッファー1% HASでの細胞生成物の洗浄)
作業バッファーであるCliniMACSバッファー1% HSAを、600mLの最終体積まで添加して、細胞を洗浄する。
・細胞/CD25懸濁液:193.75mL
・CliniMACSバッファー1% HSA:406.3mL
合計:600mL
【0624】
作業バッファーを添加した後に、細胞移送バッグをクランプして、処理及び遠心分離の間の漏出を回避する。
【0625】
TCDを用いて、1000mL移送バッグを、細胞生成物バッグに無菌溶着させる。
【0626】
生成物バッグ及び空のバッグの重量を測定する。
【0627】
バッグを、Bio16遠心機内に上に向けて入れる。遠心機内の重量のバランスをとるために等体積のバッグを入れる。
【0628】
遠心分離して、ペレットを得る。遠心分離条件:時間:10分、速度:300g、温度:室温(18~25℃)、中程度のブレーキ。
【0629】
遠心分離後、血漿絞り出し機を用いて上清をできる限り多く除去する。
【0630】
細胞ペレットを穏やかに破壊する。
【0631】
上清が入った廃棄物移送バッグを密閉し、該バッグを処理が完了するまで保持する。
【0632】
(8.5.6.5 CD25濃縮用の細胞生成物の調製)
以下の工程に従って、1% HSAを含有するCliniMACS PBS/EDTAバッファー中に細胞を再懸濁させる。注意:細胞密度規格:≦4×108(400×106)細胞/mL。
【0633】
CD25+濃縮生成物規格:細胞密度:<400×106細胞/mL、CD25+濃縮用の懸濁液体積(mL):100mL。
【0634】
CliniMACS PBS/EDTAバッファー-1% HSAを、最終体積100mLまで細胞生成物に添加する。
【0635】
前後に5~6回反転させることによって、細胞懸濁液を穏やかに混合し均質化させる。
【0636】
細胞懸濁液生成物は、CliniMACSカラムに充填される準備ができている。
【0637】
(8.5.6.6 CD25濃縮のためのCliniMACS配管セットLS(162-01)の取り付け)
製造業者のCliniMACS配管セット(200-073-205 REF 162-01)取り付けのためのSOPを参照する。実例については図17を参照されたい。
表3: 参照表
【表5】
【0638】
細胞画分からのCD25+の濃縮は、CliniMACS(登録商標)Plus装置を1% HSA中CliniMACS PBS/EDTAバッファー、CliniMACS配管セットLS、及びソフトウェアシーケンスENRICHMENT 3.2と組み合わせて用いる自動細胞分離によって行われる。濃縮された画分を、細胞回収バッグ(配管セットと共に提供されてはいない)中に集める。実例については図18を参照されたい。
【0639】
重要な注意:600mLの移送バッグに「細胞回収バッグ:CD25+濃縮済」のラベルを付ける。移送バッグをルアーコネクター(図18の参照図面の14番)に溶着させる。バッグラインの流れが阻害されずに自由であることを確認すること。
【0640】
CliniMACS(登録商標)Plus装置をオンに切り替え、ENRICHMENT 3.2を選択する。
【0641】
「ENT」を押すことによって選択を確認し、配管セットを選択する。
【0642】
選択された配管セットの受注番号を入力する。
【0643】
注意:受注番号(参照番号)は、製品のラベルに記載されている。
【0644】
CliniMACS Plus装置のスクリーンに表示される指示に従い、ルアー/スパイクインターコネクターを用いて、適切なバッグを配管セットに接続する。ルアー/スパイクインターコネクターのスライドクランプが、開いていることを確認する。
【0645】
1Lを超えるバッファーが必要とされる場合、血漿移送セットを2つの結合器と共に用いて2つのバッファーバッグを接続する。配管セットへの接続にはバッファーバッグのうちの一方の第2のポートを用いる。
【0646】
配管セットの取り付けについては装置のスクリーン上の指示に従い、自動分離プログラムを開始させる。
【0647】
運転が完了すると、CliniMACSは、「最終処理」画面を表示する。
【0648】
分離が完了した後に、処理コードを記録する。
【0649】
(8.5.6.7 QC-CD25濃縮後)
回収バッグ:CD25+濃縮済を前後に5~6回反転させることによって、細胞懸濁液を穏やかに完全に混合する。
【0650】
5mLのシリンジを細胞回収バッグに取りつけ、5.0mLの試料を吸い出す。
・細胞数及び生存率の決定:0.75~1.0mL(手動トリパンブルー排除及びSysmex)。
・細胞フロー分析:CDマーカー-3mL。
・無菌性(14日間の好気性培養及び嫌気性培養):0.5mLの細胞懸濁液を長期培養瓶のそれぞれの中に播種する。
【0651】
(8.5.7. 第0日-CD25+濃縮白血球アフェレーシス生成物からのTreg細胞増殖の開始:培養培地の調製)
BSCの内部で入手可能な以下の物品を手に入れる:
・ヒトAB血清、米国薬局方-100mL瓶。
・TexMACS培地-0.1um濾過済。
・60mL/140mLシリンジ
・16/18G針
・試料部位結合器
・QAで予め印刷されたラベル:TexMACS_CM
【0652】
無菌のメディアボトル中に1LのTexMACS_CMを調製する。
・TexMACS培地:950mL
・ヒトAB血清、米国薬局方:50mL
・合計:1000mL
【0653】
前後に3~5回揺することによってよく混合する。
【0654】
予め印刷されたQAにより発行されたラベルTexMACS_CMが取り付けられる。
【0655】
(8.5.7.1 第0日-CD25+濃縮白血球アフェレーシス生成物からのTreg増殖の開始)
BSCの内部に140mLのシリンジ、無菌の250mLのコニカル遠心分離管、及び細胞生成物バッグ(CD25+濃縮細胞)を準備する。
【0656】
140mLのシリンジを用いて、バッグから該シリンジにCD25+濃縮細胞を慎重に吸い出す。
【0657】
慎重に、細胞懸濁液を250mLのコニカルチューブ中に注入する。
【0658】
チューブを遠心し、細胞ペレットを得る。遠心条件:時間:10分、速度:300g、室温(18~25℃)、中程度のブレーキ。
【0659】
遠心後、上清を慎重にデカンテーションする。
【0660】
200mLのTexMACS培地+5%ヒトAB血清で細胞ペレットを洗浄する。
【0661】
チューブを遠心して、細胞ペレットを得る。遠心条件:時間:10分、速度:300g、室温(18~25℃)、中程度のブレーキ。
【0662】
遠心後、上清を慎重にデカンテーションする。
【0663】
必要とされる体積のTexMACS_CMを、細胞ペレットに添加する。下記の計算を参照。
【0664】
細胞数の結果をCD25濃縮後生成物から得る。
【0665】
細胞培養密度を0.8~1.0×106細胞/mLで算出する。
【0666】
細胞ペレットが分散されるまで上下にピペッティングすることによって、細胞ペレットをCM中に穏やかに再懸濁させる。
【0667】
細胞懸濁液をフラスコ内に移す。
【0668】
フラスコを、95%空気及び5% CO2の加湿された混合物中37℃で16~18時間インキュベーションする。
【0669】
(8.5.8. エクスビボ増殖における処理前の考察事項-培地交換、ラパマイシン製剤、IL-2 製剤、刺激、及び活性化)
(8.5.8.1 培地交換)
各培地変更後に、細胞濃度が、0.5×106細胞/mLから1.2×106細胞/mLの間であることを確認する。
【0670】
MACS GMP ExpAct Treg Kit(CD3/CD28ビーズ)については、細胞濃度が、0.5~0.7×106細胞/mLであることを確認する。活性化が、第1日に実施され、再刺激が、第15日に実施される。
【0671】
5%ヒトAB血清を添加したTexMACS GMP完全培地を調製する。
【0672】
使用前に、添加したTexMACS GMP培地を室温まであらかじめ温める。
【0673】
使用前にあらかじめ遺伝子組換えヒトインターロイキン2(rh IL-2)500IU/ulの作業ストックを調製する。
【0674】
使用前にあらかじめラパマイシン0.0001mg/μLの作業ストックを調製する。
【0675】
冷蔵又は冷凍された溶液及び試薬は全て、使用の少なくとも30分前に室温に到達させなければならない(使用されるまで2~8℃に保たれるT細胞活性化試薬及び抗体は除く)。
【0676】
(8.5.8.2 細胞数及び生存率の決定)
細胞生存率及び増殖の速度の評価のために、細胞を計数し結果を記録する。
【0677】
細胞数を、小数第一位(すなわち、1.2×106細胞/mL)まで記録する。
【0678】
MF-001及びMF-002と名付けられる、細胞生存率及び総細胞数をトリパンブルー排除法及びSysmexの自動計数器を用いて算出する。
【0679】
(8.5.8.3 細胞培養培地除去)
フラスコを、直立させて少なくとも20分間動かさずに静置し、その後、BSCに移し、総培地体積の50%を除去する。
【0680】
細胞生存率が、90%超である場合、細胞培養培地を交換することによって細胞を増殖させて、0.5×106細胞/mL~1.2×106細胞/mLを得る。
【0681】
細胞懸濁液に渦を巻かせて細胞培養物を穏やかに混合する。細胞クラスターが検出される場合には、単細胞懸濁液が得られるまでピペッティングする。
【0682】
(8.5.8.4 作業バッファーであるTexMACS/5%ヒトAB血清の調剤)
50mLのヒトAB血清を、950mLのTexMACS培地に添加する。
【0683】
(8.5.8.5 作業ストック-ラパマイシン(0.0001mg/μL)の調剤)
ストック溶液は、アセチルニトリル中に1mg/mLの濃度で希釈されて手に入る。
【0684】
ラパマイシン分子量(MW)=914.17g/mol(1000g/mol)。
【0685】
1mLのストック溶液を9mLの培養培地中に希釈することによって1:10の希釈物を作製する。
【0686】
終濃度100nmol/Lのラパマイシンを得るために、1□Lの作業ストックを、1mLの培養培地に添加する(1:1000)。(例えば:1000μl(1mL)のラパマイシンを1Lの培養培地中に添加する)。
【0687】
1.5mLチューブ中に1.2mLの一定分量のラパマイシンを作製する。ラベルを取りつけ、-20℃で保管する。
【0688】
(8.5.8.6 rhIL-2(ストック濃度:500IU/ul)の調製)
注意:rhIL-2の終濃度を、培養培地中500IU/mlに調節する。
【0689】
各患者に対して新たな0.2%酢酸の調製。
【0690】
49.9mLの水(米国薬局方グレード)+0.1mLの酢酸
【0691】
製造業者の説明書に従い凍結乾燥されたrhIL2を再構成する。
【0692】
rhIL-2凍結乾燥生成物を、200μlの0.2%酢酸中に250μg/mlの終濃度として再構成する。
【0693】
目標作業ストック濃度:500IU/μl
【0694】
再構成後、rhIL-2を元の容器内に無菌条件下2℃~8℃で4週間保管する。
【0695】
(8.5.9. 工程06: 第1日-MACS GMP ExpAct TregビーズでのTreg(CD25+)の刺激@4:1)
細胞をTexMACS_CM+ラパマイシン中で増殖させる。
【0696】
MACS GMP ExpAct Treg Kit (CD3/CD28ビーズ)の添加@4:1。
【0697】
(8.5.9.1 第1日-培養物の検査)
Deconquat及びそれに続き70%エタノールでBSC、作業面、及び設備の汚染を除去する。
【0698】
インキュベーターから培養フラスコを回収し、各フラスコを、完全性(割れ/漏れがないこと)及び濁りがないこと(汚染の可能性)について目視で検査する。完全性の喪失又は濁りの場合には、フラスコ番号及び問題を記録し、フラスコを隔離し、さらなる指示を求めてPIに直ちに連絡をとる。
【0699】
(8.5.9.2 第1日-培地交換(TexMACS培地+5%ヒトAB血清+ラパマイシン)及び刺激のためのMACS ExpAct Tregビーズの添加(4:1))
無菌の瓶の中に細胞をまとめてプールする。
【0700】
細胞数及び生存率評価のために0.2mLの試料を取り出す。
【0701】
細胞懸濁液の体積を調整して、細胞密度0.5~0.7×106細胞/mlを得る。
【0702】
TexMACS_CM(5%ヒト血清AB)を調製する。
【0703】
ラパマイシン(100nmol/L)を調製する。
【0704】
刺激のための MACS GMP ExpAct Tregビーズの量を算出する(4:1)。
【0705】
注意:MACs GMP ExpActキットには、CD28抗体、抗ビオチン抗体、及びCD3-ビオチンをあらかじめ載せた3.5μmの粒子が入っている。各バイアルには、1×109個のExpAct Tregビーズ(2×105/μL)が入っている。MACS GMP ExpAct Tregビーズ及びTreg細胞は、初回刺激のために4:1のビーズ対細胞比とすべきである。
【0706】
ラパマイシンの体積を算出する(100nmol/L)。
【0707】
必要とされる体積のラパマイシンを、細胞培養物に添加する。
【0708】
前記の数のMACS GMP ExpAct Tregビーズを、細胞培養物に添加し、よく混合する。
【0709】
(8.5.9.3 第1日-増殖及びインキュベーション)
細胞懸濁液をフラスコ中に等分する。
【0710】
フラスコを37℃/CO2インキュベーターに移す。
【0711】
(8.5.10. 工程07: 第4日-TexMACS_CM+ラパマイシン補充のみ)
(8.5.10.1 TexMACS_CM+ラパマイシンとの培地の交換)
Deconquat及びそれに続き70%エタノールで、BSC、作業面、及び設備の汚染を除去する。
【0712】
インキュベーターから培養フラスコを回収し、完全性(割れ/漏れがないこと)及び濁りがないこと(汚染の可能性)に関して各フラスコを目視で検査する。完全性の喪失又は濁りの場合には、フラスコ番号及び問題を記録し、フラスコを隔離し、さらなる指示を求めてPIに直ちに連絡をとる。
【0713】
(8.5.10.2 第4日-培地交換(TexMACS培地+5%ヒトAB血清+ラパマイシン))
フラスコを、直立してさせて少なくとも20分間静置し、その後、約2/3体積の培地を取り出す。
【0714】
残りの細胞を、無菌の瓶の中にまとめてプールする。
【0715】
細胞数及び生存率評価のために0.2mLを取り出す。
【0716】
総細胞数を算出する。
【0717】
細胞懸濁液の体積を調整して、細胞密度0.5~1.2×106細胞/mLを得る。
【0718】
TexMACS_CM(5%ヒト血清AB)を調製する。注意:2~8℃で保管した場合、調製の14日後に期限切れとする。
【0719】
ラパマイシン(100nmol/L)を調製し、ラパマイシン(100nmol/L)の体積を算出する。
【0720】
必要とされる体積のラパマイシンを、細胞培養物プールに添加する。
【0721】
(8.5.10.3 第4日-増殖及びインキュベーション)
細胞懸濁液をフラスコ中に等分する。
【0722】
フラスコを37℃/CO2インキュベーターに移す。
【0723】
(8.5.11. 工程08: 第6日-TexMACS_CM+ラパマイシン+IL-2補充)
細胞培養培地をTexMACS_CM+ラパマイシン+IL-2と交換する。
【0724】
Deconquat及びそれに続き70%エタノールで、BSC、作業面、及び設備の汚染を除去する。
【0725】
(8.5.11.1 第6日-培養物の検査)
インキュベーターから培養フラスコを回収し、完全性(割れ/漏れがないこと)及び濁りがないこと(汚染の可能性)に関して各フラスコを目視で検査する。完全性の喪失又は濁りの場合には、フラスコ番号及び問題を記録し、フラスコを隔離し、さらなる指示を求めてPIに直ちに連絡をとる。
【0726】
(8.5.11.2 第6日-TexMACS_CM+ラパマイシン+IL-2での培地交換)
フラスコを、直立してさせて少なくとも20分間静置し、次いで、培地の約50%を取り出す。
【0727】
残りの細胞を、無菌の瓶の中にまとめてプールする。
【0728】
細胞数及び生存率評価のために0.2mLを取り出す。
【0729】
総細胞数を算出する。
【0730】
細胞懸濁液の体積を調整して、細胞密度0.8~1.2×106細胞/mLを得る。
【0731】
TexMACS_CM(5%ヒト血清AB)を調製する。注意:2~8℃で保管した場合、調製の14日後に期限切れとする。
【0732】
ラパマイシン(100nmol/L)を調製する。
【0733】
ラパマイシン(100nmol/L)の体積を算出する。
【0734】
必要とされる体積のラパマイシンを、細胞培養物に添加する。
【0735】
IL-2(500IU/mL)を調製する:IL-2(500IU/ml)の体積を算出する。必要とされる体積のIL-2を、細胞培養物に添加する。
【0736】
(8.5.11.3 第6日-増殖及びインキュベーション)
細胞懸濁液をフラスコ中に等分する。
【0737】
フラスコを37℃/CO2インキュベーターに移す。
【0738】
(8.5.12. 工程09: 第8日-TexMACS_CM+ラパマイシン+IL-2補充)
細胞をTexMACS_CM+ラパマイシン+IL-2中で増殖させる。
【0739】
(8.5.12.1 第8日-培養物の検査)
Deconquat及びそれに続き70%エタノールで、BSC、作業面、及び設備の汚染を除去する。
【0740】
インキュベーターから培養フラスコを回収し、完全性(割れ/漏れがないこと)及び濁りがないこと(汚染の可能性)に関して各フラスコを目視で検査する。完全性の喪失又は濁りの場合には、フラスコ番号及び問題を記録し、フラスコを隔離し、さらなる指示を求めてPIに直ちに連絡をとる。
【0741】
(8.5.12.2 第8日-培地交換(TexMACS培地+5%ヒトAB血清+ラパマイシン+IL-2)
フラスコを、直立してさせて少なくとも20分間静置し、次いで、培地の約50%を取り出す。
【0742】
細胞を、無菌の瓶の中にまとめてプールする。
【0743】
細胞数及び生存率評価のために0.2mLを取り出す。
【0744】
総細胞数を算出する。
【0745】
細胞懸濁液の体積を調整して、細胞密度0.8~1.2×106細胞/mLを得る。
【0746】
TexMACS_CM(5%ヒト血清AB)を調製する。注意:2~8℃で保管した場合、調製の14日後に期限切れとする。
【0747】
ラパマイシン(100nmol/L)を調製し、ラパマイシン(100nmol/L)の体積を算出する。必要とされる体積のラパマイシンを、細胞培養物に添加する。
【0748】
IL-2(500IU/mL)を調製し、IL-2(500IU/ml)の体積を算出する。必要とされる体積のIL-2を、細胞培養物に添加する。
【0749】
(8.5.12.3 第8日-増殖及びインキュベーション)
細胞懸濁液をフラスコ中に等分する。
【0750】
フラスコを37℃/CO2インキュベーターに移す。
【0751】
(8.5.13. 工程10: 第11日-TexMACS_CM+ラパマイシン+IL-2補充)
細胞をTexMACS_CM+ラパマイシン+IL-2補充中で増殖させる。
【0752】
(8.5.13.1 第11日-培養物の検査)
Deconquat及びそれに続き70%エタノールで、BSC、作業面、及び設備の汚染を除去する。
【0753】
インキュベーターから培養フラスコを回収し、完全性(割れ/漏れがないこと)及び濁りがないこと(汚染の可能性)に関して各フラスコを目視で検査する。完全性の喪失又は濁りの場合には、フラスコ番号及び問題を記録し、フラスコを隔離し、さらなる指示を求めてPIに直ちに連絡をとる。
【0754】
(8.5.13.2 第11日-培地交換(TexMACS_CM+ラパマイシン+IL-2))
フラスコを、直立してさせて少なくとも20分間静置し、次いで、培地の約50%を取り出す。
【0755】
細胞を、無菌の瓶の中にまとめてプールする。
【0756】
細胞数及び生存率評価のために0.2mLを取り出す。
【0757】
総細胞数を算出する。
【0758】
細胞懸濁液の体積を調整して、細胞密度0.8~1.2×106細胞/mLを得る。
【0759】
TexMACS_CM(5%ヒト血清AB)を調製する。注意:2~8℃で保管した場合、調製の14日後に期限切れとする。
【0760】
ラパマイシン(100nmol/L)を調製する。ラパマイシン(100nmol/L)の体積を算出する。必要とされる体積のラパマイシンを、細胞培養物に添加する。
【0761】
IL-2(500IU/mL)を調製する。IL-2(500IU/ml)の体積を算出する。必要とされる体積のIL-2を、細胞培養物に添加する。
【0762】
(8.5.13.3 第11日-増殖及びインキュベーション)
細胞懸濁液をフラスコ中に等分する。
【0763】
フラスコを37℃/CO2インキュベーターに移す。
【0764】
(1.1 工程11: 第13日-TexMACS_CM+ラパマイシン補充のみ)
細胞をTexMACS_CM+ラパマイシン中で増殖させる。
【0765】
(8.5.13.4 第13日-培養物の検査)
Deconquat及びそれに続き70%エタノールで、BSC、作業面、及び設備の汚染を除去する。
【0766】
インキュベーターから培養フラスコを回収し、完全性(割れ/漏れがないこと)及び濁りがないこと(汚染の可能性)に関して各フラスコを目視で検査する。完全性の喪失又は濁りの場合には、フラスコ番号及び問題を記録し、フラスコを隔離し、さらなる指示を求めてPIに直ちに連絡をとる。
【0767】
(8.5.13.5 第13日-培地交換(TexMACS培地+5%ヒトAB血清+ラパマイシン))
フラスコを、直立してさせて少なくとも20分間静置し、次いで、培地の約50%を取り出す。注意:培地を処分しないこと。
【0768】
細胞数及び生存率評価のために、0.2mLの上清を取り出す。
【0769】
残りの細胞を、無菌の瓶の中にまとめてプールする。
【0770】
細胞数及び生存率評価のために0.2mLの試料を取り出す。
【0771】
総細胞数を算出する。
【0772】
細胞懸濁液の体積を調整して、細胞密度0.8~1.2×106細胞/mLを得る。
【0773】
TexMACS_CM(5%ヒト血清AB)を調製する。注意:2~8℃で保管した場合、調製の14日後に期限切れとする。
【0774】
ラパマイシン(100nmol/L)を調製し、ラパマイシン(100nmol/L)の体積を算出する。
【0775】
必要とされる体積のラパマイシンを、細胞培養物に添加する。
【0776】
(8.5.13.6 第13日-増殖及びインキュベーション)
細胞懸濁液をフラスコ中に等分する。
【0777】
フラスコを37℃/CO2インキュベーターに移す。
【0778】
(8.5.14. 工程12: 第15日-MACS GMP ExpAct Tregビーズ及びCM補充+IL-2供給でのTregの再活性化(必要とされる場合))
(8.5.14.1 第15日-培養物の検査)
Deconquat及びそれに続き70%エタノールで、BSC、作業面、及び設備の汚染を除去する。
【0779】
インキュベーターから培養フラスコを回収し、完全性(割れ/漏れがないこと)及び濁りがないこと(汚染の可能性)に関して各フラスコを目視で検査する。完全性の喪失又は濁りの場合には、フラスコ番号及び問題を記録し、フラスコを隔離し、さらなる指示を求めてPIに直ちに連絡をとる。
【0780】
(8.5.14.2 第15日-培地交換(TexMACS培地+5%ヒトAB血清+ラパマイシン+IL-2))
フラスコを、直立してさせて少なくとも20分間静置し、次いで、培地の約50%を取り出す。遠心分離して、細胞ペレットを得る。
【0781】
残りの細胞を、無菌の瓶の中にまとめてプールする。
【0782】
細胞数及び生存率評価のために0.2mLの試料を取り出す。
【0783】
総細胞数を算出する。
【0784】
細胞密度を、0.5~0.7×106細胞/mLに調節する。
【0785】
TexMACS_CM(5%ヒト血清AB)を調製する。注意:2~8℃で保管した場合、調製の14日後に期限切れとする。
【0786】
ラパマイシン(100nmol/L)を調製する。ラパマイシン(100nmol/L)の体積を算出する。
【0787】
算出された体積を細胞培養物プールに添加する。
【0788】
IL-2(500IU/mL)を調製する。IL-2(500IU/ml)の体積を算出する。算出された体積を細胞培養液プールに添加する;
【0789】
刺激のためのMACS GMP ExpAct Tregビーズの量を算出する(1:1);
【0790】
注意:MACs GMP ExpAct Kitには、CD28抗体、抗ビオチン抗体、及びCD3-ビオチンをあらかじめ載せた3.5μmの粒子が入っている。各バイアルには、1×109個のExpAct Tregビーズ(2×105/μL)が入っている。MACS GMP ExpAct Tregビーズ及びTreg細胞は、第二の刺激のために1:1のビーズ対細胞比とすべきである。
【0791】
必要とされる量のMACS GMP ExpAct Tregビーズを、細胞培養物体積に添加し、よく混合する。
【0792】
(8.5.14.3 第15日-増殖及びインキュベーション)
細胞懸濁液をフラスコ中に等分する。
【0793】
QC:
・1)細胞数及び生存率の決定:0.75~1.0mL(マニュアルトリパンブルー排除法)
・2)細胞フロー分析:CDマーカー-2mL
・3)無菌性(14日間の好気性培養及び嫌気性培養):0.5mLの細胞懸濁液を、FP無菌性(FP sterility)のための長期培養瓶のそれぞれの中に播種する。
【0794】
フラスコを37℃/CO2インキュベーターに移す。
【0795】
(8.5.15 工程13: 第18日-完全培地補充及びIL 2供給(必要とされる場合))
細胞を、TexMACS_CM+ラパマイシン+IL-2中で増殖させる。
【0796】
(8.5.15.1 第18日-培養物の検査)
Deconquat及びそれに続き70%エタノールで、BSC、作業面、及び設備の汚染を除去する。
【0797】
インキュベーターから培養フラスコを回収し、完全性(割れ/漏れがないこと)及び濁りがないこと(汚染の可能性)に関して各フラスコを目視で検査する。完全性の喪失又は濁りの場合には、フラスコ番号及び問題を記録し、フラスコを隔離し、さらなる指示を求めてPIに直ちに連絡をとる。
【0798】
(8.5.15.2 第18日-培地交換(TexMACS培地+5%ヒトAB血清+ラパマイシン+IL-2)
フラスコを、直立してさせて少なくとも20分間静置し、次いで、培地の約50%を取り出す。遠心分離して、細胞ペレットを得る。
【0799】
フラスコ内の残りの細胞を、無菌の瓶の中にまとめてプールする。
【0800】
細胞数及び生存率評価のために0.2mLの試料を取り出す。
【0801】
総細胞数を算出する。
【0802】
細胞懸濁液の体積を調整して、細胞密度0.8~1.2×106細胞/mLを得る。
【0803】
TexMACS_CM(5%ヒト血清AB)を調製する。注意:2~8℃で保管した場合、調製の14日後に期限切れとする。
【0804】
ラパマイシン(100nmol/L)を調製する。ラパマイシン(100nmol/L)の体積を算出する。算出された体積を細胞培養液プールに添加する。
【0805】
IL-2(500IU/mL)を調製する。IL-2(500IU/ml)の体積を算出する。算出された体積を細胞培養液プールに添加する。
【0806】
(8.5.15.3 第18日-増殖及びインキュベーション)
細胞懸濁液を複数のフラスコ内に分割する。
【0807】
フラスコを37℃/CO2インキュベーターに移す。
【0808】
(8.5.16. 工程14: 第20日-完全培地補充及びIL 2供給(必要とされる場合))
細胞を、TexMACS_CM+ラパマイシン+IL-2中で増殖させる。
【0809】
(8.5.16.1 第20日-培養物の検査)
Deconquat及びそれに続き70%エタノールで、BSC、作業面、及び設備の汚染を除去する。
【0810】
インキュベーターから培養フラスコを回収し、完全性(割れ/漏れがないこと)及び濁りがないこと(汚染の可能性)に関して各フラスコを目視で検査する。完全性の喪失又は濁りの場合には、フラスコ番号及び問題を記録し、フラスコを隔離し、さらなる指示を求めてPIに直ちに連絡をとる。
【0811】
(8.5.16.2 第20日-培地交換(TexMACS培地+5%ヒトAB血清+ラパマイシン+IL-2))
フラスコを、直立してさせて少なくとも20分間静置し、次いで、培地の約50%を取り出す。
【0812】
遠心分離して、細胞ペレットを得る。
【0813】
フラスコ内の残りの細胞を、無菌の瓶の中にまとめてプールする。
【0814】
細胞数及び生存率評価のために0.2mLの試料を取り出す。
【0815】
総細胞数を算出する。
【0816】
細胞懸濁液の体積を調整して、細胞密度0.8~1.2×106細胞/mLを得る。
【0817】
TexMACS_CM(5%ヒト血清AB)を調製する。注意:2~8℃で保管した場合、調製の14日後に期限切れとする。
【0818】
ラパマイシン(100nmol/L)を調製する。ラパマイシン(100nmol/L)の体積を算出する。算出された体積を細胞培養液プールに添加する。
【0819】
IL-2(500IU/mL)を調製する。IL-2(500IU/ml)の体積を算出する。算出された体積を細胞培養液プールに添加する。
【0820】
(8.5.16.3 第20日-増殖及びインキュベーション)
細胞懸濁液をフラスコ中に等分する。
【0821】
フラスコを37℃/CO2インキュベーターに移す。
【0822】
(8.5.17. 工程15: 第22日:完全培地補充のみ(必要とされる場合))
(8.5.17.1 第22日-完全培地補充のみ)
細胞をTexMACS_CM+ラパマイシン中で増殖させる。
【0823】
(8.5.17.2 第22日-培養物の検査)
Deconquat及びそれに続き70%エタノールで、BSC、作業面、及び設備の汚染を除去する。
【0824】
インキュベーターから培養フラスコを回収し、完全性(割れ/漏れがないこと)及び濁りがないこと(汚染の可能性)に関して各フラスコを目視で検査する。完全性の喪失又は濁りの場合には、フラスコ番号及び問題を記録し、フラスコを隔離し、さらなる指示を求めてPIに直ちに連絡をとる。
【0825】
(8.5.17.3 第22日-培地交換(TexMACS培地+5%ヒトAB血清+ラパマイシン))
フラスコを、直立してさせて少なくとも20分間静置し、次いで、培地の約50%を取り出す。
【0826】
遠心分離して、細胞ペレットを得る。
【0827】
フラスコ内の残りの細胞を、無菌の瓶の中にまとめてプールする。
【0828】
細胞数及び生存率評価のために0.2mLの試料を取り出す。
【0829】
総細胞数を算出する。
【0830】
細胞懸濁液の体積を調整して、細胞密度0.8~1.2×106細胞/mLを得る。
【0831】
TexMACS_CM(5%ヒト血清AB)を調製する。注意:2~8℃で保管した場合、調製の14日後に期限切れとする。
【0832】
ラパマイシン(100nmol/L)を調製する。ラパマイシン(100nmol/L)の体積を算出する。算出された体積を細胞培養物プールに添加する。
【0833】
(8.5.17.4 第22日-増殖及びインキュベーション)
細胞懸濁液をフラスコ中に等分する。
【0834】
フラスコを37℃/CO2インキュベーターに移す。
【0835】
(8.5.18. 工程16: CliniMACSを用いる細胞回収及びMACS GMP活性化ビーズの除去)
(8.5.18.1 作業バッファーであるCliniMACSバッファー1% HSAの調製(2×1Lバッグの調製))
BSCの内部で入手可能な以下の物品を手に入れる:
・2×FLEXBUMIN 25%、アルブミン(ヒト)、米国薬局方-100mLバッグ
・2×CliniMACS EDTA/PBSバッファー(1Lバッグ)
・2×60mL/140mLシリンジ
・2×16/18G針
・2×試料部位結合器
【0836】
試料部位結合器を、FLEXBUMIN 25%、アルブミン(ヒト)、米国薬局方-100mLバッグ(HSA)に挿入する。
【0837】
1LのCliniMACS EDTA/PBSバッファー(1L)から、40mLのバッファーを取り出し、40mLのFLEXBUMIN 25%、アルブミン(ヒト)、米国薬局方-100mLバッグ(HSA)を添加する。
【0838】
前後に3~5回揺することによってバッグをよく混合する。
【0839】
これらの工程を繰り返し、作業バッファーであるCliniMACSバッファー1% HSAの追加のバッグを調製する。これを、後の使用のために、BSC内に取っておく。
【0840】
(8.5.18.2 細胞フラスコ検査)
インキュベーターから培養フラスコを回収し、完全性(割れ/漏れがないこと)及び濁りがないこと(汚染の可能性)に関して各フラスコを目視で検査する。完全性の喪失又は濁りの場合には、フラスコ番号及び問題を下記のコメントセクションに記録し、フラスコを隔離し、さらなる指示を求めてPIに直ちに連絡をとる。
【0841】
(8.5.18.3 ビーズ枯渇のための細胞生成物の洗浄及び調製)
以下の物品をBSC内に入れる:
・4~6本の無菌ボトル(1L)
・8×500mL無菌のコニカルチューブ及びアダプター
・2~4本のQC試料用の1.8mLクライオバイアル
・600mLの移送バッグ。
【0842】
BSC内に、4~12本の500mLの無菌のコニカル遠心分離管を準備する。次いで、これらの遠心分離管に細胞懸濁液を慎重かつ均等に分配する。
【0843】
管を遠心する-時間:10分/速度:300g/室温(18~25℃)/低ブレーキ。
【0844】
上清を無菌の廃棄容器内に穏やかにデカンテーションする。注意:細胞ペレットを失わないように気を付けること。
【0845】
残りの細胞懸濁液について上記工程を繰り返す。
【0846】
細胞ペレットが得られたら、20mLのCliniMACS PBS/EDTA(1% HSA)をコニカルチューブのそれぞれに添加する。細胞ペレットを、穏やかに上下にピペッティングすることによって完全に再懸濁させる。
【0847】
残りの細胞を1本のチューブにまとめてプールし、よく混合する。
【0848】
各チューブを20mLのCliniMACS PBS/EDTA(1% HSA)で洗浄する。洗浄量(the washing volume)をプールした細胞に加える。
【0849】
細胞試料のうちの0.2mLを細胞数及び生存率評価のために取り出す。
【0850】
総細胞数を算出する。
【0851】
総細胞+ビーズ数を算出する。
【0852】
細胞及びビーズ濃度を調節して、4×107(40×106)/mLを得る。注意:体積は、CliniMACS PBS/EDTAバッファー+1% HSAを用いて調節する。
【0853】
重要:上記工程に従い、細胞及びビーズを1% HSAを含有するCliniMACS PBS/EDTAバッファー中に4×107(40×106)細胞/mLの濃度で再懸濁させる。最終体積は、350mLを超えるべきではない。
【0854】
シリンジを用いて、細胞懸濁液を600mLの試料移送バッグに移送してから、CliniMACS配管セットLS(168-01)に接続する。
【0855】
QC:フロー分析:フロー分析用のQC試料を調製する:
・Treg CDマーカーパネル-10×106細胞
・ビーズ除去前試料-10×106細胞×3
【0856】
(8.5.18.4 CliniMACS枯渇配管セットLS(168-01)の取り付け)
CliniMACS配管セット(200-073-205 REF 162-01)の取り付けに関しては、製造業者のSOPを参照する。図解については図17を参照されたい。
【0857】
元の画分からのMACS GMP ExpAct Tregビーズの枯渇は、CliniMACS(登録商標)Plus装置を1% HSA中CliniMACS PBS/EDTAバッファー、CliniMACS配管セットLS、及びソフトウェアDEPLETION 2.1と組み合わせて用いる自動細胞分離によって行われる。枯渇させた画分(MACS GMP ExpAct Tregビーズを含まない細胞)を、細胞回収バッグ(配管セットには含まれていない)中に集める。図解については図18を参照されたい。
【0858】
重要な注意:600mL移送バッグに「細胞回収バッグ-陽性画分」とラベルを付ける。バッグが、流れが阻害されずに自由であることを確認すること。
【0859】
CliniMACS(登録商標)Plus装置をオンに切り替え、MACS GMP ExpAct Tregビーズの枯渇のためにDEPLETION 2.1を選択する。
【0860】
「ENT」を押すことによって選択を確認し、配管セットを選択する。選択された配管セットの受注番号を入力する。受注番号(参照番号)は、製品のラベルに記載されている。分離プログラムDEPLETION 2.1が、「段階的ローディング(staged loading)」プログラムであることに留意すること。このプログラムは、各試料用の分離シーケンスを調整し、必要とされるバッファー及びバッグ容積についての重要な情報を提供するために、以下のパラメーターについての質問を含む。
【0861】
WBC濃度(本出願においては:細胞数+MACS GMP ExpAct Tregビーズ数/mL)。注意:細胞数+MACS GMP ExpAct Tregビーズ数/mLが、最低濃度よりも低い場合、20×106細胞/mLを選択する。
【0862】
標識された細胞の百分率(本出願においては:総細胞(細胞+MACS GMP ExpAct Tregビーズ)のうちのMACS GMP ExpAct Tregビーズの百分率)-入力:45%。
【0863】
CliniMACS配管セットへのローディングの準備ができている試料の総体積。注意:装置のスクリーンが、1200mLの標的細胞のアウトプットを示している場合、第2の600mL移送バッグを、既に接続されている細胞回収バッグにデージーチェーン方式で接続する。
【0864】
CliniMACS Plus装置のスクリーンに表示される指示に従い、ルアー/スパイクインターコネクターを用いて、適切なバッグを配管セットに接続する。ルアー/スパイクインターコネクターのスライドクランプが、開いていることを確認する。
【0865】
1Lを超えるバッファーが必要とされる場合、血漿移送セットを2つの結合器と共に用いて2つのバッファーバッグを接続する。バッファーバッグのうちの一方の第2のポートを、配管セットへの接続のために用いる。
【0866】
配管セットの取り付けについては装置のスクリーン上の指示に従い、自動分離プログラムを開始させる。
【0867】
運転が完了すると、CliniMACSは、「最終処理」画面を表示する。
【0868】
分離が完了したら、処理コードを記録する。
【0869】
(8.5.18.5 最終の細胞生成物の調製)
細胞回収バッグをCliniMACS配管セットに接続しているルアーロックの上の配管をクランプ又はヒートシールする。弁No.9のすぐ下の配管に3つの気密シールを作製する。遠位のシールを慎重に切断して、配管セットから細胞回収バッグを切り離し、細胞をBSCに移す。
【0870】
シリンジを使用して、細胞懸濁液の体積を測定してから、細胞投与製剤用の250mLのコニカル遠心分離管に移送する。
【0871】
重要:細胞生成物を完全に再懸濁させる。
【0872】
細胞数及び生存率用に0.2±0.1mLを取り出す。
【0873】
総細胞数を算出する。
【0874】
QC:QC試料を細胞回収バッグ(陽性画分-標的細胞)から吸い出す。
フロー分析:ビーズ除去後の数-10×106細胞×3
・フロー分析:CDマーカーパネル-10×106細胞
・マイコプラズマ試験:0.2mL
【0875】
(8.5.19. 工程18: 無菌の充填/仕上げ及び凍結保存)
(8.5.19.1 細胞用量計算)
患者の体重からの細胞用量計算:
【0876】
患者の体重:____kg。
【0877】
目標用量:1.0×106生細胞/kg×患者の体重(kg)=目標用量106細胞。
【0878】
補償用量=目標用量の30% 106細胞。
【0879】
用量体積:1mL
【0880】
最終の用量処方(目標用量+補償用量)×106細胞/1mL/用量。
【0881】
(8.5.19.2 細胞投与製剤)
2本の250mL無菌コニカルチューブをBSC内に準備する。
【0882】
50mLの移送ピペットを用いて、細胞懸濁液を2本のコニカル遠心分離管の間で均一に等分する。
【0883】
遠心-時間:10分/速度:300g/室温(18~25℃)/中程度のブレーキ。
【0884】
遠心後、上清を廃棄容器内に慎重に取り出す。注意:処理が完了するまで培地を処分しないこと。
【0885】
5mLのCryoStor CS10(2~8℃)を細胞ペレットに添加する。穏やかに上下にピペッティングすることによって細胞ペレットを再懸濁させる。
【0886】
細胞懸濁液体積に、残りの体積のCryoStor CS10(2~8℃)を、細胞用量計算に合うように添加する。
【0887】
生細胞数を算出する。
【0888】
最終用量/バイアル計算:
総生細胞×106細胞÷最終の用量処方×106細胞=総用量体積ml÷1.2mL/バイアル=バイアルの数。
【0889】
(8.5.19.3 充填-仕上げ及び凍結保存)
重要: 充填-仕上げ処置を始める前に、速度制御フリーザ(Controlled Rate Freezer; CRF)を確実に前もって4℃に冷却すること:
・CRFチャンバーを、承認された消毒薬、次いで、70% IPAで清浄化する。
・クライオバイアルラック内に配置された、CS10が入った温度プローブをクライオバイアル内に挿入する。
・装置のSOPに従い、CRF開始(start up CRF)に進む。
・冷えたビーズバス(約4℃)を得て、BSC内に準備する。
(8.5.19.4 充填-仕上げパラメーター)
・総充填体積/バイアル:1.2ml
・バイアルの種類及びサイズ:CellSeal閉鎖系極低温バイアル(CellSeal Closed-System Cryogenic Vial)(2mL)
・バイアルの総数=総充填体積/1.2mL
【0890】
(8.5.19.5手順)
ラベルを付けたCellSeal極低温(2mL)バイアル(CellSeal Cryogenic)を、BSC内のラックに準備して入れる。
【0891】
ルアーロックポートをアルコールワイプで拭く。1分経過するまでポートを風乾させる。
【0892】
アダプターで3mLのシリンジに接続された30mLのシリンジを用いて、試料を吸い出す。
【0893】
小量の空気をシリンジ内にはじめに吸い出し、次いで、試料を吸い出すことが推奨される。この空気は、配管内の液柱を平らにするのに用いられ、また、これは、試料全体をバイアル内に押し込む際に役立つ。
【0894】
接続したら、試料をバイアル内に押し込む。
【0895】
フィルターの上の通気配管を密閉し、これを閉鎖系とする。清浄なはさみを用いて、追加の配管を切り離す。
【0896】
目視検査を行い、ラベルを確認する。
【0897】
冷却ラック内の最終生成物バイアルを、速度制御フリーザに運ぶ。
【0898】
バイアルをCRFの内部に入れ、ドアを閉める。
【0899】
以下のプロトコールを用いて細胞を凍結させる:
・4℃まで1℃/分
・-40℃まで25℃/分
・-12℃まで10℃/分
・-40℃まで1℃/分
・-90℃まで10℃/分。
【0900】
サイクルが終了したら、保管のためにバイアルを液体窒素(LN2)蒸気タンクに移送する。
【0901】
(8.5.19.6 充填/仕上げQC:)
下記の表4は、最終細胞生成物が満たさなければならない出荷基準(release criteria)を示す。一部の出荷基準、例えば、目視検査、生存率、エンドトキシンレベル、グラム染色、及び無菌性試験は、解凍後に決定され得る。一部の出荷基準、例えば、CD8+細胞のフロー分析、CD4+CD25+細胞のフロー分析、及び残留ビーズ試験は、解凍後又は凍結保存直前のいずれかで決定され得る。
表4 出荷基準
【表6】
【0902】
(8.6 実施例6: 凍結保存されたTregを解凍するための例示的プロトコール)
以下は、注入用の5% HSA生理食塩水中に凍結保存されたTregを解凍するための指示及び工程を提供する例示的プロトコールの説明である。このプロトコールは、本開示の範囲を限定することを意図しない。
【0903】
(8.6.1. 手順)
LN2保管庫から凍結保存されたTregのバイアルを取り出し、輸送容器内のドライアイス上に載せる。
【0904】
クライオバイアルをcGMP実験室に移送する。患者、クライオバイアル、及び最終生成物のラベル情報を確認する。
【0905】
BSC表面及び設備の汚染を、10分間Deconquat溶液を用いて除去する。10分後、無菌の70% IPAワイプで拭いて清浄にする。
【0906】
サンプリング部位結合器を、以下の物品:
1.FLEXBUMIN 25%、アルブミン(ヒト)、米国薬局方-100mLバッグ(HSA)
2.生理食塩水バッファー(250mLバッグ)-冷却(4℃)
3.2つの無菌移送パック(150mL)
の出口ポート内に挿入する。
【0907】
下記の工程に従い、無菌移送パック中に50mLの生理食塩水(+5% HSA)溶液を2つ調製する。
1.60mLのシリンジを用いて、40mLの生理食塩水バッファーを吸い出して、無菌移送パックのそれぞれに添加する。
2.20mLのシリンジを用いて、10mLのFLEXBUMIN 25%、アルブミン(ヒト)、米国薬局方を吸い出し、上記40mLの生理食塩水バッファーのそれぞれに添加する。
3.3~5回上下を逆にすることによってバッグを混合する。
4.QA発行生成物IDラベルをバッグの一方に添付する。他方のバッグを生理食塩水-5% HSAとしてラベルを付ける。
【0908】
以下の工程に従って、COOK Regentec解凍システムを用いて凍結保存されたTregのバイアルを解凍する。
1.付属のメインアダプターを解凍システムに接続し、通電する。
2.上/下(Up/Down)選択ボタンを押して、休息解凍(Rapid Thaw)速度を選択する。Enterを押す。
3.インジケーターリングが橙色に光り、次いで、準備ができると緑色に光る。
4.体積入力(Enter Volume)プロファイル(3番目の選択肢)が現れるまで、下選択ボタンを押す。
5.Up/Downボタンを用いて、1.2mLを入力する。Enterを押す。
6.バイアルを挿入する。上部を持って、バイアルを下に押し、装置が固定されるまで保持する。バイアルが正しい深さにあると、インジケーターは紫色に光る。
【0909】
解凍が、短い時間の分析の後すぐに開始される;進行は、ディスプレイ上に示される。解凍が完了すると、バイアルが出され、成功していれば、インジケーターリングが緑色に光る。不成功の場合には、インジケーターは橙色に光る。
【0910】
解凍サイクルが終了したら、バイアルをBSCに持っていく。下記の工程に従い、Tregを50mLの生理食塩水(+5% HSA)中に再懸濁させる。
1.清浄なはさみで通気チューブを切って開ける。回収ポートの底部の箔を取り外す。
2.回収ポートセプタムを、無菌のアルコールワイプで徹底的に拭く。風乾させてから、アクセスする。
3.生成物IDラベルが付いた試料移送パックバッグを得る。
4.3mLのシリンジを、サンプリング結合器を介してバッグに接続し、2mlの生理食塩水(+5% HSA)をシリンジ内に吸い出す。バッグからシリンジを分離する。
5.18Gの針をシリンジに取りつけ、回収ポートセプタムに穴をあけ、針をセプタム内に45~60oの角度で挿入する。
6.針がバイアルに入るにつれて、針の角度を徐々に増加させる。
7.Treg生成物全体を2mlの生理食塩水(+5% HSA)が入ったシリンジ内に吸い出す。
8.針をシリンジから慎重に取り外し、シャープスコンテナー内に処分する。
9.生成物IDラベルが付いた試料移送パックバッグ上の試料部位結合器にシリンジを再接続する。
10.細胞懸濁液を、移送パックバッグ中にゆっくりと注入する。注意:3~5回上下を逆にすることによってバッグを混合する。細胞懸濁液を吸い出してバッグに戻し入れること(3~5回繰り返す)によって、確実にシリンジから残りの細胞を洗い落とすこと。
11.Sysmex自動細胞カウンターでの細胞数用の0.25mLのTreg懸濁液を得る。
12.血球計算盤トリパンブルー手動細胞計数によって細胞生存率を評価する。
13.50mLの生理食塩水(+5% HSA)中の総生細胞を算出する:
細胞濃度×106/mL×細胞懸濁液体積=総細胞数×106細胞;
総細胞数×106細胞×生存率%=総生細胞×106細胞
14.Treg用量を算出する:
(必要用量細胞数×106細胞/総生細胞×106細胞)×50mL(初期懸濁液体積)=必要解凍細胞体積ml;
50mL-必要解凍細胞体積ml=除去されるべき過剰な体積
15.60mLのシリンジを用いて、試料からTreg懸濁液の過剰体積を除去する。注意:過剰体積は無菌の容器に移送する。処置が完了するまで処分しないこと。
16.等体積の生理食塩水(+5% HSA)を試料に添加して、最終体積を50mLとする。バッグの上下を3~5回逆にすることによって、細胞懸濁液を混合する。
17.細胞の計数をSysmexを用いて繰り返し、結果を記録する。
【0911】
(8.6.2. 出荷試験QC)
Sysmex細胞数:細胞計数のために0.25mlの試料を必要とする。
【0912】
生存率評価(手動血球計算盤及びTB):0.25mlの試料を必要とする。
【0913】
重要な注意:生存率評価のための細胞希釈物を作製するためには、常に+4℃の生理食塩水を使用すること。細胞とトリファンブルー(Tryphan blue)との比は:20μlのTreg細胞:4μlのTB(0.4%)とすべきである。
【0914】
エンドトキシン試験(臨床検査内):0.2mlの試料を必要とする。
【0915】
グラム染色(STAT試験-Memorial Herman Micro Laboratory):0.5mLの試料を必要とする。
【0916】
(8.6.3. 特別な考慮事項-プラセボ調製)
上記工程を行って、プラセボを調製する。
【0917】
Tregの代わりに1mlのCS10を添加して、プラセボ試料を調製する。
【0918】
無菌性(14日間の好気性培養及び嫌気性培養):長期培養瓶のそれぞれに0.5mLの最終生成物を播種する。
(8.6.4. 出荷基準:)
出荷基準を、表5に示す。
表5: 出荷基準
【表7】
【0919】
(8.7 実施例7: 増殖させたTreg細胞集団の特性評価)
本実施例は、本明細書に記載される方法によって製造される増殖させたTreg細胞集団の特性(例えば、生存率、純度、及び効力)を説明する。図19は、記載された方法を用いて試験された全ての試料についての増殖曲線(expansion curce)を示す。バリデーションラン#1~3は、第2相試験を開始する前に完了した。第2相試験に登録された各対象の増殖曲線の対象ID#を、列挙する。2名の対象は、増殖の失敗を経験した(#701-101及び#701-104)。これらの例でのTreg増殖失敗の機構は不明である。増殖速度にドナー依存のばらつきが存在する。ALSがこれらの対象のTreg増殖失敗の一因となっていたかどうかは不明である。成功した増殖全ての平均増殖曲線も示す。成功した増殖は全て、25日以内に第2相試験の目標用量である2000×106細胞に到達した。回収(第11日から第25日の間に行われた)時に集められたTregの平均数は、5090×106細胞であった。
【0920】
(8.7.1. バリデーションラン由来の増殖させたTreg細胞集団)
増殖させたTreg細胞集団を、本明細書に記載される方法、特に、上のセクション8.3及び8.5で記載したプロトコールに従い製造した。増殖させたTreg細胞集団を、本明細書に記載される方法、特に、セクション8.6で記載したプロトコールに従い凍結保存した。凍結保存されたTreg細胞集団を、約1週間後又は1、3、6、9、12、もしくは18か月の凍結保存後に、本明細書に記載される方法、特に、上記セクション8.5で記載したプロトコールに従い解凍した。解凍したTreg細胞集団を、本明細書に記載されるように、5%ヒト血清アルブミン(HSA)を含む合計で50mLの生理食塩水中に再懸濁し、4℃で保管した。これらの実験において、凍結保存されたTregの集団の3つの試料の特性が評価された。
【0921】
本明細書で示される方法で増殖させたTregは、典型的な抑制機能、生存率、及び純度を有するTregの集団を生じさせた。注目すべきことに、Treg細胞集団は、追加の増殖を行うことなく凍結保存及び解凍の後でさえ、Treg細胞集団が最長で18か月間(評価を行った最も遅い時点)凍結保存された後でさえ、この高い効力、生存率、純度、及び効力を維持した。
【0922】
(8.7.1.1 凍結保存されたTreg生成物の生存率)
細胞生存率を、トリパンブルー染色によって評価した。トリパンブルーは、インタクトな膜を有する細胞(生細胞)によって排除されるが、膜の完全性が損なわれている細胞(非生細胞)によって取り込まれる色素である。従って、生細胞は、光学顕微鏡下では透明に見えるが、非生細胞は、青色に見える。等量のトリパンブルー及び細胞懸濁液が混合され、計数される。生存率は、トリパンブルーを排除した細胞の百分率として表される。
【0923】
生存率を、新たなCD4+CD25+細胞を単離した直後(第0日)、増殖後の凍結保存直前(凍結前)、次いで、凍結保存された生成物を解凍した1時間後(解凍後)(凍結保存後1週間以内に完了させた)に決定した。次いで、凍結保存された生成物に対する安定性研究を、凍結保存後1か月、3か月、6か月、9か月、12か月、及び18か月の時点で行った。細胞生存率を、安定性試験と同じやり方で評価した。3件のバリデーションランの結果を、図20に示す。3件のバリデーションランの全てで、解凍及び再懸濁後の細胞生存率は、凍結保存18か月後でさえ≧70%の閾値を上回ったままであった。ベースライン、増殖後、及び凍結保存後の平均生存率については、表6を参照されたい。
表6: 生存率
【表8】
【0924】
(8.7.1.2 凍結保存されたTreg生成物の純度)
増殖させたTreg細胞集団の純度を、フローサイトメトリーによって評価した。CD4+CD25+細胞の百分率を、ベースライン、CD25+細胞濃縮/CD8+/CD19+枯渇工程後(第0日)、増殖後の凍結保存直前(凍結前)、及び解凍及び最終Treg生成物の調製後で決定した。また、安定性研究を、凍結保存後1か月、3か月、6か月、9か月、12か月、及び18か月の時点で完了した。3件のバリデーションランの結果を、図21に示す。第0日に、純度は、各バリデーションランそれぞれについて、68.75%、80.85%、及び79.56%であった。凍結保存直前に、純度は、それぞれ、99.97%、99.87%、99.30%に増加していた。解凍後の純度は、3件のバリデーションラン全てで99%超に維持されていた。また、安定性研究は、凍結保存で18か月の後でさえ98%超の純度の維持を示した。ベースライン、増殖後、及び凍結保存後の平均純度については、表7を参照されたい。
表7: 純度
【表9】
【0925】
(8.7.1.3 凍結保存されたTreg生成物の効力)
増殖させたTreg細胞集団の効力を、バリデーションランの期間内に決定した。増殖させたTreg細胞集団の抑制機能を、確立されたTreg抑制アッセイプロトコールに従い、それぞれのバリデーションランの同一の健康な対照ドナーから新たに単離されたTレスポンダー細胞(Tresp)の増殖によって評価した。
【0926】
簡単に述べると、カルボキシフルオレセインサクシニミジルエステル(CFSE)は、細胞増殖をモニタリングするのに有効な方法である。CFSEは、長寿命の細胞内分子を、蛍光色素であるカルボキシフルオレセインで共有結合的に標識する。CFSEを用いてフローサイトメトリー分析によって標識された細胞と非標識の細胞を区別することができるために、共培養実験において、非標識のTregとは分けて標識された標的細胞の増殖を分析することが可能である。CFSEは、インタクトな細胞膜を容易に通過する。細胞の内部に入ってしまえば、細胞内エステラーゼが、アセテート基を切断して、蛍光カルボキシフルオレセイン分子を生じさせる。サクシニミジルエステル基は、一級アミンと反応して、色素を細胞内タンパク質に架橋する。CD4+ CD25+細胞が、新たに単離された単核の細胞画分から選択される。磁場を10,000倍増幅する強磁性の球で構成されるカラムのマトリックスを用いて、選択が行われる。細胞が、磁気ビーズにコンジュゲートした抗体で染色され、カラム内部の高い磁気勾配によって分離される。次いで、新たに単離されたTreg及びレスポンダーT細胞が、規定された比率で、最適化されたポリクローナル刺激剤であるTreg Suppression Inspectorの存在下で共培養され、その一方で、増殖性の反応が、測定される。Treg Suppression Inspectorは、ビオチン化されたCD2、CD3、及びCD28抗体が載せられた抗ビオチンMACS iBead(商標)粒子ベースの、Treg抑制アッセイに最適化されたT細胞刺激試薬である。MACSiBead(商標)粒子でのレスポンダーT細胞(CD4+CD25-又はCD4+T細胞)の活性化は増殖に繋がるが、前記刺激剤の存在下でのTregは、活性化されない。レスポンダーT細胞、MACSiBead(商標)粒子、及びTregの共培養は、Tregによる抑制のために、レスポンダーT細胞の増殖の減少をもたらす。
【0927】
Tregの抑制機能が、凍結保存前後の増殖させたTreg細胞集団に対して決定された。比較のために、Tregの抑制機能、ベースラインTreg(単離されたばかり、濃縮/枯渇後であるが増殖前の第0日のTreg)に対しても決定された。
【0928】
45%未満の抑制性能を示す当技術分野において公知のALS患者から増殖させた、増殖Treg集団(例えば、Beersらの文献, JCI Insight. 2017;2(5): e89530を参照されたい)と比較すると、本明細書に記載される方法、特に、上のセクション8.3及び8.5で記載したプロトコールに従い製造される細胞は、80%を超える抑制性能を示した。この抑制性能は、Tregが、18か月まで凍結保存され、本明細書に記載される方法、特に、セクション8.6で記載したプロトコールに従い解凍された後でさえ、高い(65%超)ままであった。
【0929】
Trespを、カルボキシフルオレセインサクシニミジルエステル(CFSE)と共にプレインキュベーションし、1:1の比率(Treg:Tresp)の最終Treg生成物を伴い又は伴わずにインキュベーションした。Tregの抑制機能を、フローサイトメトリーによってアッセイし、それによって、総Tresp増殖の百分率を決定した。
【0930】
増殖前のベースライン(第0日)におけるTregの抑制機能は、各バリデーションランそれぞれについて僅か6.3%、8.8%、及び21.2%であった。増殖後であるが凍結保存直前(凍結前)には、Tregの抑制機能は、それぞれ、84.8%、93.4%、及び95.3%まで増加していた。Tregの抑制機能は、各バリデーションランにおいて解凍後に(following thawing)(解凍後(post-thaw))比較的維持されていた。安定性研究は、凍結保存後1か月、3か月、6か月、9か月、12か月、及び18か月の時点で完了した。3件のバリデーションランの結果を、図22に示す。ベースラインをかなり上回るTregの抑制機能の維持が、凍結保存で18か月までずっと示された(それぞれ、88.4%、93.3%、及び67.7%)。ベースライン、増殖後、及び凍結保存後の平均効力については、表8を参照されたい。
表8: 効力
【表10】
【0931】
(8.7.2. 第2a相臨床試験の増殖させたTreg細胞集団)
追加の9名の対象(ALSにおける自己由来のTregの生物活性、安全性、及び認容性を試験するための無作為化プラセボ対照第2a相治験登録された対象)由来の凍結保存されたTregの集団を、本明細書に記載される方法、特に、上のセクション8.3及び8.5で記載したプロトコールに従い製造し、本明細書に記載される方法、特に、上のセクション8.6で記載したプロトコールに従い解凍し、5%ヒト血清アルブミン(HSA)を含む合計で50mLの生理食塩水中に再懸濁させ、4℃で保管した。
【0932】
本明細書で示される方法で増殖させたTregは、典型的な抑制機能、生存率、及び純度を有するTregの集団を生じさせた。注目すべきことに、Treg細胞集団は、追加の増殖を行うことなく凍結保存及び解凍の後でさえ、Treg細胞集団が最長で18か月(評価を行った最も遅い時点)凍結保存された後でさえ、この高い効力、生存率、純度、及び効力を維持していた。さらに、凍結保存されたTregは、炎症促進性マクロファージを強力に抑制することができたが、新たに単離されたものはできなかった。
【0933】
(8.7.2.1 凍結保存されたTreg集団の生存率)
細胞生存率を、トリパンブルー染色によって評価した。生存率を、新鮮なCD4+CD25+細胞を単離した直後(第0日)、増殖後の凍結保存直前(凍結前)、次いで凍結保存された製品を解凍した1時間後(解凍後)に決定した。結果を、図23に示す。バーの組は、theから順に、対象番号701-115、701-114、701-103、702-206、702-205、702-204、702-203、702-202、及び702-201の結果を示す。検証された生産及び凍結保存/解凍プロセスは、全ての対象への注入用のための出荷基準を満たす≧70%の閾値をかなり上回る解凍後細胞生存率をもたらした。ベースライン、増殖後、及び凍結保存後の平均生存率については、表9を参照されたい。
表9: 第2相治験試料-生存率
【表11】
【0934】
(8.7.2.2 凍結保存されたTreg集団の純度)
CD4+CD25+細胞の百分率を、ベースライン、CD25+細胞濃縮工程後(第0日)、増殖後の凍結保存直前(凍結前)、及び解凍後(解凍後)に決定した。第2a相臨床試験に登録された9名の対象由来の増殖させたTreg集団の結果を、図24に示す。バーの組は、theから順に、対象番号701-115、701-114、701-103、702-206、702-205、702-204、702-203、702-202、及び702-201の結果を示す。本生産プロセスは、増殖後(凍結前)に98.92から99.98%の範囲の純度を有するTreg集団を生じさせた。さらに、Treg純度は、凍結保存及び解凍後(解凍後)に各対象で99%超に維持されていた。ベースライン、増殖後、及び凍結保存後の平均純度については、表10を参照されたい。
表10: 第2相治験試料-純度
【表12】
【0935】
(8.7.2.3 凍結保存されたTreg 集団の効力)
Trege集団の抑制機能を、確立されたTreg抑制アッセイSOPに従い、各それぞれのバリデーションランの同一の健康な対照ドナーから新たに単離されたTレスポンダー細胞(Tresp)の増殖に対する作用を測定することにより評価した。Tregの抑制機能は、増殖前の各患者由来の新たに単離されたTregに対しては決定されなかったが、全ての対象は進行が速い患者であり、ベースラインにおいて低いTregの抑制機能を有していることが期待された。Trespを、カルボキシフルオレセインサクシニミジルエステル(CFSE)と共にプレインキュベーションし、Treg集団を、1:1の比率(Treg:Tresp)で用いて又は用いずにインキュベーションした。Tregの抑制機能を、フローサイトメトリーによってアッセイし、それによって、総Tresp増殖の百分率を決定した。
【0936】
結果を、図25に示す。グラフは、theから順に、対象番号701-115、701-114、701-103、702-206、702-205、702-204、702-203、702-202、及び702-201の結果を示す。Tregの抑制機能は、増殖、凍結保存、及び解凍後で64.8%から97.6%(平均86.3%±10.9%)の範囲であった。注目すべきことに、本生産プロセスを利用した最終第2a相Treg生成物において認められるTregの抑制機能は、同じ技術(n=3、例えば、Beersらの文献、JCI Insight. 2017;2(5):e89530を参照されたい)によって測定される第1相の治験の生産プロセスを利用して認められるTregの抑制機能(範囲27.8%~44.2%;平均37.3%±8.5%)よりもかなり高かった。凍結保存後の平均効力については、表11を参照されたい。
表11: 第2相治験試料-効力
【表13】
【0937】
(8.7.3. エクスビボで増殖させたTreg細胞集団は、炎症促進性マクロファージを抑制する)
エクスビボで増殖させたTreg細胞集団を、3名のALSの患者から製造し、次いで、本明細書に記載される方法、特に、上記セクション8.3、8.5、及び8.6に記載したプロトコールに従い凍結保存し解凍した。解凍後にかつ追加の増殖を行わずに、Tregを、5%ヒト血清アルブミン(HSA)を含む合計で50mLの生理食塩水中に再懸濁させ、4℃で保管した。マクロファージを抑制する能力を、ELISAを用いてIL-6産生を測定することによって決定した。
【0938】
本実施例に示されるデータは、本明細書の方法、特に、上記セクション8.3、8.5、及び8.6に記載されるプロトコールによって製造されるTregの治療用集団は、良好な純度、生存率、及び効力を示すことを示している。効力は、例えば、炎症促進性マクロファージからのIL-6の分泌を抑制する能力によって示されるような炎症細胞活性を抑制する能力を含む。凍結保存及び解凍の後でありかつ凍結保存後に追加の増殖を行わない場合でさえ、この炎症性マクロファージを抑制する能力が見られた。逆に言えば、ALS患者又は健康な志願者から濃縮された新たに単離されたTregはいずれも、炎症促進性マクロファージを抑制することはできなかった。従って、この結果は、本明細書で示される方法を用いて製造されたTregが、対象(例えば、健康な対象又はALSなどの神経変性障害の対象)に天然に存在するTregとは実質的に異なることを示している。
【0939】
(8.7.3.1 新たに単離されたTregは、炎症促進性マクロファージを抑制しない)
ALS患者由来の新たに単離されたTreg(n=12)も健康な対照志願者(n=11)由来の新たに単離されたTregも、インビトロでのマクロファージIL-6産生によって測定される炎症促進性マクロファージを抑制しなかった。Tregが、活性化されたマクロファージを直接抑制するかどうかを決定するために、進行が遅い/速いALS患者及び健常者対照由来の新たに単離されたTregを、人工多能性幹細胞由来炎症促進性マクロファージ(iPSC-M1)と1:1及び2:1の比率で共培養した。マクロファージによるIL-6産生を、ELISAによって測定した。結果を、図26に示す(列挙されている条件は、左から右に強いM1(左のバーの群)及び弱いM1(右のバーの群)実験についてグラフに示されている)。データは、ALS患者由来のTregも健常者対照由来のTregも、ELISAによるiPSC-M1からのIL-6産生を抑制しなかったことを示した。このことは、強い及び弱いM1マクロファージの双方で観察された(強いM1は、弱いM1と比較して10倍高いLPS及びIFNγ濃度で刺激された)。
【0940】
(8.7.3.2 凍結保存されたTregの治療用集団は、炎症促進性マクロファージを抑制する)
本明細書で示される方法によって製造された凍結保存された治療用Treg集団は、解凍及び試験してすぐに、追加の増殖を行わずに、骨髄系細胞を劇的に抑制する能力を示す。このことは、本明細書に記載される凍結保存された治療用Treg集団に含まれる増殖させたTreg細胞集団が、ALS患者を含む患者の治療の利益を暗示していそうな主要な特徴を示すことを示している。結果を、図27に示す、これは、インビトロでのマクロファージIL-6産生によって測定される炎症促進性マクロファージの抑制を実証している。これは、ALS患者(n=3)及び健康なドナー(n=3)のいずれから新たに単離されたTregとも対照的である;前のセクションを参照されたい。数値は、無Treg対照と比較した百分率での低減を示す;*は、p値が0.05以下であることを示し、**は、p値が0.01以下であることを示し、***は、p値が、0.001以下であることを示す。注目すべきことに、M1マクロファージの炎症促進性状態が弱いほど、増殖させたTreg細胞集団の抑制活性は強い。
【0941】
(8.8 実施例8:新たに単離されたエクスビボ増殖させかつ凍結保存されたTreg細胞集団のプロテオミクスによる特性評価)
本明細書で示される結果、例えば、前の実施例で示される結果は、本明細書で示される方法によって製造されるTreg集団の例示的な純度、生存率、及び効力を示している。本実施例で示される実験は、ベースラインTreg、増殖させたTreg、及び解凍後の追加の増殖を行わない凍結保存されたTregの治療用集団のプロテオミクス解析を記載する。これらの実験の結果は、本明細書で示される方法によって製造されるTregが、優れた機能的特徴を示すだけでなく、双方の患者試料から製造されるTreg集団の間で注目すべきほど保存されているユニークな遺伝子産物シグネチャーも示す、ユニークなTreg集団を構成することをさらに示している(図28を参照されたい)。以下に述べるように、これらのシグネチャーは、ベースラインTreg遺伝子産物シグネチャーとは実質的に異なっており、増殖させたTregの健康状態及び効力を表している。驚くべきことに、凍結保存前後のTregを比較すると、これらのシグネチャーは実質的に変化していない。
【0942】
(8.8.1. 実験で分析された群)
ベースラインTreg-ALS患者(2回の独立したインプット/ランの患者205及び2回の独立したインプット/ランの患者206)に由来して得たベースラインレベルのTreg。
【0943】
増殖させたTreg-本明細書に記載される増殖、特に、上記セクション8.3、8.5、及び8.6に記載されるプロトコール後の同じの患者のTreg(2回の独立したインプット/ランの増殖させた患者205及び2回の独立したインプット/ランの増殖させた患者206)。
【0944】
凍結保存されたTregの治療用集団-保管品(2回の独立したインプット/ランの凍結/解凍後の増殖させた患者205のTreg及び2回の独立したインプット/ランの凍結/解凍後の増殖させた患者206のTreg)からの凍結/解凍サイクル(凍結保存次いで解凍及び追加の増殖を行わずに試験)後の同じ患者の増殖させたTreg。
【0945】
(8.8.2. プロテオミクスプロファイリング方法)
シングルショットプロテオミクス解析によるプロテオミクスプロファイリングを、Tregベースライン細胞、Treg増殖細胞、及びTreg増殖かつ解凍後細胞に対して行った。細胞ペレットを、RIPAバッファーによって溶解させた。各試料について、5μgのタンパク質上清を、NuPAGE LDS試料バッファー(Thermo、NP0007)と混合し、90℃で10分間煮沸した。タンパク質を、プレキャストNuPAGE Bis-Tris 10%タンパク質ゲル(Invitrogen、NP0301BOX)で分離した。染色のために、先ず、ゲルを、Destain I(40% MeOH、7% AcOH)で15分間固定し、クマシー(0.025% Brilliant Blue R-250、40% MeOH、7% AcOH)で5分間染色し、Destain Iバッファーで2回30分間脱染し、1晩水中に置いた。各試料について、4つのバンド領域を切り取った。バンドを、Destain II(40% MeOH、50mM NH4CO3)でさらに完全に脱染し、水中で平衡化させ、75% ACNで脱水し、50mMの重炭酸アンモニウム溶液中で1時間インキュベーションした。次いで、各バンドを粉砕し、22μlのトリプシン溶液(20μlの50mM重炭酸アンモニウム及び2μlの100ng/μlトリプシン(GenDepot: T9600)を用いて37℃で1晩消化した。次に、消化物を、20μlの2%ギ酸(Thermo、85178)を添加することにより酸性化した。ゲルからのペプチドを、350μlの100% ACNを添加することにより15分間抽出し、21,000rpmで5分間の遠心分離によって集めた。抽出したペプチドを、SpeedVac (Thermo Scientific SC210)内で乾燥させた。MS試験(MS run)のために、4バンド全てのペプチドを、20μlの5%メタノール+0.1% FA溶液中に再懸濁させ、まとめてプールし、Thermo Scientific(商標) EASY-nLC(商標) 1200液体クロマトグラフィーシステムでのオンライン分離を用いてExploris Orbitrap 480質量分析計(Thermo Fisher Scientific、San Jose、CA)で測定した。オンライン分離は、長さが20cm、内径が100μmのsub-2μm C18ビーズのパックドカラム(Reprosil-Pur Basic C18、カタログ番号r119.b9.0003、Dr. Maisch GmbH)を用いて1μgに対して行った。2~30%のB(100% ACN)からの直線的な逆相グラジエントを、90分間流した。
【0946】
生の質量分析データを、Proteome Discoverer (PDバージョン2.0.0.802; Thermo Fisher Scientific)で処理した。スペクトルを、350~10,000Daの質量範囲かつトリプシン/Pインシリコ消化かつ最高で2か所の切断ミス(missed cleavage)の範囲内でヒトRefSeqタンパク質データベース(RefProtDB on 2020-03-24からダウンロード)のペプチドにマッチさせた。質量誤差は、前駆体質量については20ppm、断片質量については0.02Daにセットした。以下の動的修飾(dynamic modification):アセチル(タンパク質N末端(N-term))、酸化(M)、カルバミドメチル(C)、DeStreak(C)、及び脱アミド化(NQ)。ペプチドスペクトルマッチ(PSM)を、Percolator (v2.05) (Kallらの文献、2007、PMID 17952086)で検証した。Percolatorの標的に厳密な及び緩和されたFDRレベル(the target strict and relaxed FDR levels)は、それぞれ、0.01及び0.05(1%及び5%)に設定した。PSMのラベルフリー定量化(label-free quantification)を、Proteome Discovererの面検出器モジュールを用いて行った。
【0947】
タンパク質推定及び定量化を、gpGrouper(v1.0.040)によって、共有ペプチドiBAQ面積分布を用いて行った(Saltzmanらの文献、2018 PMID 30093420)。結果として得られるタンパク質の値を、下流の分析のために中央値で規格化し、log変換しいた。統計学的な評価のために、欠損値補完を、正規分布N(μ-1.8σ、0.8σ)(式中、μ、σは、定量化した値の平均及び標準偏差である)をサンプリングすることによって採用した。群間の差を評価するために、モデレートt検定を、Rパッケージlimmaにおいて実施されるものとしてとして使用した(Ritchieらの文献、2015)。多重仮説検定修正を、Benjamini-Hochbergの手順(Benjamini及びHochbergの文献、1995)で行った。表現型相関のためのパスウェイ解析を、リアクトーム、京都遺伝子ゲノム百科事典(Kyoto Encyclopedia of Genes and Genome; KEGG)、及び遺伝子セット濃縮分析(Gene Set Enrichment Analysis; GSEA)を用いて調査した。
【0948】
(8.8.3. プロテオミクス試験の知見)
これらの実施例に示される結果は、エクスビボで増殖させたTregを製造する方法が、優れた特性、例えば、純度、生存率、及び効力特性を有する増殖させたTreg細胞集団をもたらすことを示している。本実施例において、質量分析による不偏シングルショットプロテオミクス解析によって、凍結保存の前後の増殖させたTreg細胞集団由来及びベースラインTreg(増殖前の新たに単離された濃縮されたTreg、ここでは、ALS患者の細胞試料由来)由来の遺伝子産物が特定された。以下の結果が得られた:
1.Treg増殖プロセス後に分解される(resolved)ベースラインTreg遺伝子産物シグネチャーが特定された。このシグネチャーは、ベースラインTregにおける、例えば、機能障害性のエピジェネティックな/メチル化機構を示唆する。メチル化遺伝子産物シグネチャーも、このベースラインシグネチャーの中で特定された。
2.増殖させたTregのユニークなプロテオミクス遺伝子産物シグネチャーが確認され、これは、本明細書で示される方法によって製造されるTreg細胞集団が、新規であること、及び増殖させたTreg細胞集団が、頑健で強力な集団となることを示している。重要なことに、このシグネチャーは、増殖プロセスを経た異なるALS患者のTregの間で、非常に保存されている。
3.増殖後の強化されたTreg遺伝子産物シグネチャーは、少なくとも以下のユニークな遺伝子産物シグネチャーによってさらに規定することができる:
a.Treg関連遺伝子産物シグネチャー。
b.ミトコンドリア遺伝子産物シグネチャー。
c.細胞増殖遺伝子産物シグネチャー(細胞分裂、細胞周期、及びDNA複製/修復)。
d.増殖プロセス後最高タンパク質発現遺伝子産物シグネチャー。
4.注目すべきことに、増殖させたTregシグネチャーは、解凍後にかつ追加の増殖を行わずに試験すると、凍結保存後に有意に変化しない。従って、治療的処置用の増殖させたTreg細胞集団のバッチの保管に利用される凍結/解凍サイクルは、Treg増殖シグネチャーを有意に変化させない。また、興味深いことに、本明細書で示されるように、本出願の方法によって製造されるTreg細胞集団は、その純度、生存率、及び抑制機能を、解凍後に、さらなる増殖を必要とすることなく維持する。
【0949】
これらの総合的な実験的知見の重要なプロテオミクスシグネチャーが、図28の実験に基づくヒートマップに図示されている。
【0950】
(8.8.4. 結果)
(8.8.4.1 機能障害性ベースラインTregは、増殖後に改善されるプロテオミクスシグネチャーを示す)
シングルショットプロテオミクスプロファイリングにより、ベースライン試料では増加していたが、その後、増殖プロセスの期間内に、顕著に減少したか又は失われた、確認された総計3,709個の遺伝子産物のうちの82個の遺伝子産物に位置するペプチド配列が特定された(表12;機能障害性ベースライン遺伝子製造シグネチャー)。シグネチャーの分析には、偽発見率に関する補正及び多重仮説検定後にp<0.05のp値を有しており、また、少なくとも4の倍数変化(log2 FC>2)も有していた遺伝子産物を含めた。これらの重要な遺伝子産物の集合の経路分析は、カルシウム動態の調節不全(p=0.0278)、5hmC-DNAに対するMECP2結合能の喪失(p=6.96e-6)、MECP2発現及び活性の調節不全(p=0.0166)、及びMECP2調節の喪失(p=0.0303)、リン酸化(p=0.037)、並びに結合能(p=0.0456)などの、機能障害性のTreg表現型を明らかにする。適切なMECP2の発現及び機能が、Tregの健康及び機能マーカーであるFOXP3の発現にきわめて重要であることが以前に示されている(PMID: 24958888)。
【0951】
さらに、このシグネチャーにおける複数の遺伝子産物も、ヒストンタンパク質及び修飾されて、エピジェネティックな変化、特に、転写に直接影響を及ぼすDNAのメチル化を可能にするDNAの巻き戻しの制御において役割を果たす他のタンパク質に位置づけられた。これらの機能障害性のエピジェネティック/メチル化関連遺伝子産物の発現は、ベースラインTregで観察されるものと比較して、増殖後の前記Tregの集団で減少している。表13(メチル化遺伝子産物シグネチャー)を参照されたい。
表12: ベースライン試料では増加していたが、その後、増殖プロセスの期間内に顕著に減少したか又は失われた遺伝子産物
【表14】
表13: ベースラインTregにおける機能障害性エピジェネティック/メチル化シグネチャー
【表15】
【0952】
(8.8.4.2 患者群全体に認められた、患者Tregの増殖後に増加した(enriched)プロテオミクスシグネチャー)
ベースラインTregと比較した増殖させたTregのプロテオミクス解析により、ベースライン患者Tregと比較して増殖させたTreg中で増加した、確認された総計3,709個の遺伝子産物のうちの391個のユニークな遺伝子産物に起源が位置づけられる(mapped back to)ペプチド配列が特定された(表14)。これらの遺伝子は、偽発見率に関する補正及び多重仮説検定後のp<0.05のp値を有していた一方で、少なくとも4の倍数変化(log2 FC>2)も有していた全ての有意な遺伝子産物のまとめである。
表14: ベースライン患者Tregと比較して増殖させたTregにおいて増加した遺伝子産物
【表16】
【0953】
(8.8.4.3 増殖後に強化されるTregプロテオミクスシグネチャー)
表現型分析は、増殖させたTreg遺伝子産物シグネチャーが、機能プロセスに関連する重要な経路、特に、Treg免疫シグネチャー、ミトコンドリア活性化及びエネルギー収支、並びに細胞分裂、細胞周期、及びDNA複製/修復などの細胞増殖において増加する経路由来の遺伝子産物を含むことを明らかにしている。また、プロテオミクスデータは、増殖後の患者Tregにみられる最高発現シグネチャーを示すように層別化されている。増殖させたTreg細胞集団のこれらの遺伝子産物シグネチャーのそれぞれを、以下に記載する。
【0954】
(8.8.4.3.1 Treg関連遺伝子産物シグネチャー)
プロテオミクス解析によって、増殖させたTreg細胞集団において増加している免疫学的経路に関与するいくつかの遺伝子産物が明らかとされており、ベースラインTregで認められる発現と比較したそれらの発現の増加によって証拠が示されている。この経路としては、例えば、適応免疫経路(p=0.00726)、自然免疫経路(p=0.09)、免疫系でのサイトカインシグナル伝達(p=0.0338)、MHCクラスII抗原提示(p=9.33e-13)、PD-1シグナル伝達(p=7.66e-11)、CD28ファミリーによる共刺激(p=9.12e-11)、セカンドメッセンジャー分子の生成(p=7.69e-13)、インターフェロンシグナル伝達(p=1.31e-7)、下流TCRシグナル伝達(p=1.31e-7)、並びに制御性Tリンパ球の発生のRUNX1及びFOXP3制御(p=1.05e-3)が挙げられる。表15(Treg関連遺伝子産物シグネチャー)に、その発現が、ベースラインTregと比較して増加している遺伝子産物を列挙しており、ここで、該遺伝子産物は、Treg細胞の増殖、健康、同定、及び/又は機構に重要であるとして文献に記載されている。
【0955】
表15に示されるように、このTreg関連遺伝子産物シグネチャーには、例えば:ADAM10、AIMP1、AIMP2、ARG2、BCL2L1、BSG、CD2、CD28、CD38、CD74、CD84、CTLA4、FAS、FOXP3、GCLC、HAT1、HLA-DQA1、HLA-DQB1、HLA-DRA、HLA-DRB1、HPGD、ICOS、IL1RN、IRF4、KPNA2、LGALS1、LGMN、PCNA、POFUT1、SATB1、SELPLG、STAT1、TFRC、及びTNFRSF18が含まれる。PMID:PubmedのID。
表15: Treg細胞の増殖、健康、同定、及び/又は機構に重要であるとして文献に記載されている、増殖させたTreg中の遺伝子産物
【表17】
【0956】
(8.8.4.3.2 ミトコンドリア遺伝子産物シグネチャー)
ミトコンドリアは、Tregの健康及び機能において大きな役割を果たす。プロテオミクス研究によって、その発現が、ベースラインTregにおいてみられるものと比較して増加している、エクスビボで増殖させたTreg細胞集団におけるミトコンドリア関連遺伝子の大型の増加した遺伝子産物シグネチャーが明らかにされている(p=2.96e-29)。表16を参照されたい。文献に、Treg機能におけるミトコンドリアの健康状態及びエネルギー収支の重要性が記載されており、ミトコンドリアの機能障害は、Treg機能障害を必然的に招く(例えば、PMID: 30320604)。現在、ミトコンドリア機能を標的とし回復させることが、機能障害Tregよみがえらせる方法として調査されている(PMID:30473188)。このミトコンドリア遺伝子産物シグネチャーは、例えば、ミトコンドリア複製(p=1.12e-14)及びミトコンドリアエネルギー代謝(p=1.83e-2)に関与する経路で高度に増加する。この遺伝子産物シグネチャーは、ミトコンドリアの活性化、機能、及び回復が、本明細書に記載されるTreg増殖プロセスの重要な産物であることを示している。
【0957】
表16に示されるように、このミトコンドリア遺伝子産物シグネチャーは、例えば:ACAA2、ACADM、ACADVL、ACOT7、ACSL1、ACSL4、ACSL5、AGK、AGMAT、AK4、ARG2、ARL2、AUH、BCL2L1、BDH1、BNIP1、CDK1、CHDH、CIAPIN1、CISD2、COX17、CPOX、CPT1A、CPT2、CYB5B、DAP3、DHRS2、DNM1L、DUT、DYNLL1、ECI1、FDXR、FEN1、FKBP8、GK、GRSF1、HTRA2、L2HGDH、LACTB2、LRPPRC、MAIP1、MAOA、MPST、MRPL1、MRPL12、MRPL13、MRPL14、MRPL17、MRPL22、MRPL37、MRPL39、MRPL4、MRPL43、MRPL44、MRPL46、MRPL48、MRPS11、MRPS14、MRPS2、MRPS27、MRPS31、MRPS35、MRPS9、MTHFD2、MTX1、MYCBP、NDUFA8、NUDT1、OAT、PITRM1、PLSCR3、PMPCA、PPIF、PTRH2、PYCR2、REXO2、RMND1、SFXN2、SLC25A10、SLC25A19、SLC25A4、TIGAR、TIMM13、TIMM23、TMEM14C、TOMM22、TOMM34、TOMM40、及びTSTを含む。
表16: 増加したミトコンドリア関連遺伝子産物のシグネチャー
【表18】
【0958】
(8.8.4.3.3 細胞増殖遺伝子産物シグネチャー(細胞分裂、細胞周期、及びDNA複製/修復)
本明細書で示されるTregを製造する方法は、急速に増殖するエクスビボで増殖させたTregをもたらす。プロテオミクス研究により、細胞増殖経路に関連するいくつかの遺伝子産物の発現が、ベースラインTregにおけるそれらの発現と比較して増加していることが明らかにされている。表17を参照されたい。これらの増加した遺伝子産物としては、例えば、細胞周期(p=0.0014)、細胞分裂(p=0.0478)、DNA複製(p=5.05e-13)、及びDNA修復(p=0.0496)経路に関連するものが挙げられる。
【0959】
表17に示されるように、この細胞増殖遺伝子産物シグネチャーには、例えば:ARL2、ARL3、BCCIP、CCDC124、CDK1、CDK2、CDK5、CDK6、CUL4B、DCTN3、FEN1、HELLS、LIG1、MAD2L1、MAEA、MCM2、MCM2、MCM3、MCM4、MCM5、MCM6、MCM7、MCMBP、NUDC、PCNA、POLD1、POLD2、RALB、RBM38、RFC2、RFC3、RFC4、RFC5、RNASEH2A、RNASEH2B、SMC2が含まれる。
表17: 細胞増殖遺伝子産物シグネチャー
【表19】
【0960】
(8.8.4.3.4 最高タンパク質発現遺伝子産物シグネチャー(増殖後))
次に、プロテオミクス研究から得られる遺伝子産物を、プロテオミクスアッセイにおけるタンパク質存在量の測定値である強度ベースの絶対的定量化(iBAQ)を用いて定量化された、本明細書で示される方法によって製造されるエクスビボで増殖させたTregにおいて認められる最高タンパク質発現に基づいて層別化した。研究から得られる発現された遺伝子産物の上位40種を、表18にまとめる。表18に示されるように、この最高タンパク質発現遺伝子産物シグネチャーの成員のそれぞれの発現は、ベースラインTregでみられる発現と比較して増加している。
【0961】
最高発現タンパク質シグネチャーを構成する遺伝子産物は、例えば:ACAA2、ACADM、ACADVL、ACOT7、BSG、CACYBP、CD74、CDK1、CPOX、DUT、ECI1、ENO3、FEN1、FKBP3、HIST1H2BJ、HLA-DQA1、HLA-DRA、HLA-DRB1、LGALS1、LGALS3、MCM5、MCM6、MCM7、MTHFD1、NAMPT、NME1、NQO1、PCNA、RAB1A、RALB、SLC25A4、STAT1、STMN1、STMN2、TUBA1B、TUBB4A、TUBB8、TXN、TXNRD1、及びWARSを含む。
表18: 最高タンパク質発現遺伝子産物シグネチャー
【表20】
【0962】
(8.8.4.4 増殖させたTregの凍結/解凍保管は、そのプロテオミクスシグネチャーを有意に変化させない)
驚くべきことに、凍結保存及び解凍の後でさえ、本明細書で示される方法によって製造され、凍結保存され、解凍されたエクスビボで増殖させたTregは、最小のプロテオミクス変化を示す。特に、増殖プロセス後のTreg保管に利用される凍結/解凍サイクルは、確認される総計3,709種の遺伝子産物のうちの29種の遺伝子産物のみに起源が位置づけられる最小のプロテオミクス変化を示す(表19)。凍結保存されたTregを、追加の増殖を行うことなく解凍後に評価したところ、凍結保存され次いで解凍されたTregが、解凍後の増殖を必要とすることなくその遺伝子産物シグネチャーを維持していたことが示された。
【0963】
経路分析は、生じている変化が、mRNAスプライシング(p=5e-15)、mRNA 3’-末端処理(p=4.91e-10)、RNAポリメラーゼII転写終結(p=1.04e-9)、及び成熟mRNAの細胞質への輸送(p=5.76e-9)などのmRNAプロセシングと関連する経路にかかわっていることを示唆している。
【0964】
本明細書に記載されるは患者Tregのエクスビボ-増殖プロセスの期間内に強化されるプロテオミクス遺伝子産物シグネチャーは、凍結/解凍サイクル後に有意に変化しない。興味深いことに、メチル化遺伝子産物シグネチャー(表13)、Treg関連遺伝子産物シグネチャー(表15)、ミトコンドリア遺伝子産物シグネチャー(表16)、又は細胞増殖遺伝子産物シグネチャー(表17)に属するものとして特定された遺伝子産物の大部分は、凍結保存の前後で実質的な変化を示さなかった。メチル化遺伝子産物シグネチャー(表13)に属するものとして特定された遺伝子産物の大部分は、増殖プロセスの期間内に失われた(すなわち、これらの遺伝子産物の発現は、ベースラインと比較して増殖させたTregにおいて減少した)。
表19: 極めて少ないプロテオミクス変化が、凍結保存及び解凍後に認められた
【表21】
【0965】
(8.9 実施例8: 代表的な自動Treg増殖プロトコール)
単離及び濃縮(例えば、CD25+濃縮/CD8+CD19+枯渇、例えば、CliniMACSによる)後に、CD25+濃縮細胞を、Quantum Cell Expansion System(Terumo BCT)でインキュベーションする。単離から1日(約16~24時間)後(第1日)に、CD25+細胞を、バイオリアクター内で4:1のビーズ-細胞比の抗CD3/抗CD28ビーズで活性化する。また、IL-2及びラパマイシンを、第1日に添加する。細胞を、Quantumバイオリアクター内で第2日から第7日まで増殖させる。細胞数及び生存率を、毎日決定する。また、培養培地中のグルコース及び乳酸レベルを毎日測定し、培地流速を、グルコース:乳酸比に基づいて調整する。第8日に、細胞増殖によって、必要とされる細胞の用量(通常、≧2×109細胞)を生じている場合には、細胞を回収し、ビーズ除去後に凍結保存する。細胞増殖プロセスが、用量に達していない場合には、細胞を、バイオリアクター内で1:1のビーズ-細胞比のCD3/CD28ビーズで再活性化する。増殖プロセスは、必要に応じて、バイオリアクター内で第9日から第15日まで続けてもよい。細胞数及び生存率を、毎日測定し、グルコース:乳酸比をモニタリングして、培地流速を調節する。細胞増殖プロセスが、必要とされる細胞の用量を生じさせたら(第9日から第15日までのいずれかの日に起こる)、細胞を、直ちに回収し、ビーズ除去後に凍結保存する。
【0966】
(8.10 実施例10: 改良された養子T細胞移植のためのmRNA療法)
患者自身のT細胞を得て、遺伝子改変して、該患者に戻して投与して、例えば、がん免疫療法プログラムの一部として患者の腫瘍を攻撃したり、移植片対宿主病の治療のために過増殖免疫系活性化を抑制したりしてもよい。
【0967】
アテローム性動脈硬化病変の進行は、マクロファージ及びT細胞の活性化に繋がる、プラーク内でのTh1反応をサイトカインが促進すること及び腫瘍壊死因子及びインターロイキン-1などの炎症促進性サイトカインの放出を必要とする。予備的な研究により、Treg枯渇がリンパ組織及びプラークにおいて観察されるマウスモデルによって示されるアテローム性動脈硬化症への養子T細胞療法の使用が支持されており、これは、Tregの重要な抗アテローム硬化性の役割を示している。
【0968】
本実施例で示される研究は、ヒトテロメラーゼ(hTERT)mRNAが、キメラ抗原受容体(CAR-T)療法の治療的利益を向上させるのに非常に有望であることを示す。これは、hTERT mRNAのトランスフェクションが、CAR-T細胞数及びテロメア長を増加させたためである。加えて、筋萎縮性側索硬化症に対処するために、別の治療用mRNAが、Treg中にhTERT mRNAと一緒に導入されている。治療用mRNAでトランスフェクションされたTregは、Treg活性に好適な増加した抑制機能を示す。また、最適なコドン配列を有するT細胞特異的mRNA転写産物も解析された。目的は、増殖及び機能を強化することによる免疫療法の改善のためのhTERTなどの、新規のコドン最適化されたRNAベースの試薬及び生体模倣ナノ粒子ベースの治療用mRNAの送達を開発することである。
【0969】
(8.10.1. 方法)
本実施例で採用される方法の略図を、図29に示す。
【0970】
(8.10.2. 結果)
図30は、T細胞におけるGFP-mRNAのヌクレオフェクションを示す。フローサイトメトリー分析によって、非HPLCグレードのmRNAと比較してHPLCグレードのGFP mRNAを用いて向上したトランスフェクション効率(上のパネル)及びT細胞生存率(下のパネル)が示されている。ヌクレオフェクションは、Lonza 4D-Nucleofectorシステムを用いて行われ、T細胞は、フロー分析前に24時間回復させた。
【0971】
図31A図31Cは、T細胞において安定なmRNA転写産物の生物情報学的分析及びインビトロバリデーションを示す。図31A:アクチノマイシンD処理後の種々の時点での安定な及び不安定な転写産物レベルのヒートマップ。図31B:生物情報学によって分析された安定な(GAPDH)及び不安定な転写産物(HIF-1A)の発現プロファイルを示すRNA追跡プロット。図31C:mRNA転写産物のインビトロバリデーションを示す。図31Cの上のパネルは、ヒストン転写産物(HIST1H2AB及びHIST1H2BG)並びにHIF1A(低酸素誘導因子1A)の減少した発現(上のパネル)を示すqRTPCR分析である。図31Cの下のパネルは、アクチノマイシンDによる転写ブロッキング後に、安定なGAPDH転写産物及びヒストンH2A転写産物発現が変化しなかったことを示すqRTPCR分析であり、生物情報学的分析の妥当性を示している。
【0972】
図32A及び図32Bは、非形質導入T細胞及びCAR形質導入T細胞におけるhTERT発現を用いて、増加した細胞数及びテロメア長を示す。神経芽腫及び神経外胚葉由来の新生物で発現される表面分子であるジシアロガングリオシドGD2に対するCARを、hTERT mRNAのトランスフェクションに検討した。これらは、28z又は4-1BBいずれかの共刺激シグナルを有する第2世代のCARである。図32A:生細胞の計数を、細胞カウンター内でトリパンブルーを用いて行った。トランスフェクションの24時間後に主要な細胞死があった。しかしながら、非CAR細胞及びGD2-CAR形質導入T細胞双方の細胞数は、対照と比較して、hTERT mRNAトランスフェクションの場合の48時間後で高かった。図32B:相対的テロメア長を、mmQPCRを用いて測定した。これは、テロメアシグナル(T)と単一コピー遺伝子シグナルテロメア(S)の比(T/S比)を決定する。hTERT mRNAでトランスフェクションさせた細胞は、非CAR形質導入及びCAR形質導入T細胞の双方において非トランスフェクション対照と比較して増加したテロメア長を示した。
【0973】
図33A及び図33Bは、T制御性細胞(Treg)におけるGFP及びX-mRNAのヌクレオフェクションを示す。図33A:T-regを、PBMCから選択的に単離し、mRNAでヌクレオフェクションさせた。qRT-PCRを、ヌクレオフェクションの24時間後に行った。結果は、非トランスフェクション対照及びGFPトランスフェクション対照と比較して、治療用X-mRNAでの約200倍の増加を示した。図33B:Treg抑制アッセイを行い、その機能を決定した、ここで、Tregを、種々の比率でエフェクターT細胞(Teff)と共培養した。mRNAでトランスフェクションさせたTregは、非トランスフェクション細胞と比較して、1:1の比率で増加した抑制機能を示した。
【0974】
(8.10.3. まとめ)
これらの研究は、mRNA(例えば、hTERT)が、CAR-T及びTreg細胞療法の治療的利益を向上させるのに非常に有望であることを示している。追加の目的は、hTERTなどの治療用mRNAの送達のための新規のコドン最適化されたRNAベースの試薬を開発して、CAR-T及びTreg細胞の増殖能を強化することによって免疫療法を改良することである。これは、他の体細胞療法に適用することができるアプローチである。本実施例で記載される改良養子T細胞移植のためのmRNA療法のまとめを、図34に示す。
【0975】
ここで示される結果は、非HPLCグレードのmRNAでの53%のトランスフェクション効率及びHPLCグレードのmRNAでの85%の効率を示し、HPLC mRNAを用いての優れた生存率を伴う。
【0976】
転写阻害後のT細胞mRNAの生物情報学的分析は、不安定な転写産物と比較して高度に安定な転写産物を示しており、これは、T細胞コドン最適性に関してさらに分析されるであろう。
【0977】
本明細書で示される結果は、対照と比較して、hTERT mRNAのトランスフェクションが、インビトロでのT細胞複製能を増加させ、ジシアロガングリオシド(GD2)に対するCAR-T細胞の細胞数を向上させる初めての前臨床エビデンスを表す。また、治療用mRNAが、Treg中に導入され、優れた治療用mRNAの発現及び細胞機能をもたらした。
(8.10.4. 引例)
【表22】
【0978】
(9. 参考)
以下の引例は、それらが本明細書に記載されるもの補足となる例示的な手順の又は他の詳細を提供するものである限り、それらへの明示された参照によってそれらの全体が本明細書に具体的に組み込まれる。
【0979】
本明細書に記載される実施例及び実施態様が、例示的な目的のみのためのものであること、及びそれらにかんがみてさまざまな改良又は変更が、当業者に対して示唆されるであろうし、本出願の趣旨及び範囲並びに添付の特許請求の範囲の範囲内に含まれるべきであることを理解すべきである。本明細書で引用される刊行物、特許出願、及び特許を含む全ての引例は、これによって、各引例が、個々にかつ具体的に、引用により組み込まれていると示され、かつ本明細書においてその全体が記載されているのと同じ程度まで、引用により組み込まれている。本明細書における値の範囲の記載は、本明細書で別途示されない限り、該範囲に該当するそれぞれの別個の値に個別に言及する方法の省略表現として役立つことが意図されるのみであり、それぞれの別個の値は、それが個別に本明細書に記載されているかのように明細書に組み込まれている。
【0980】
要素(単数)又は要素(複数)に関して「を含む(comprising)」、「を有する(having)」、「を含む(including)」又は「を含有する/が入った(containing)」などの用語を用いる本発明の任意の態様又は実施態様の本明細書における記載は、該要素(単数)又は要素(複数)「からなる(consists of)」、「から本質的になる(consists essentially of)」、又は「を実質的に含む(substantially comprises)」本発明の類似の態様又は実施態様への支持を提供することが意図される。特に断りのない限り又は文脈によって明確に否定されない限り(例えば、特定の要素を含むとされる本明細書に記載される組成物は、特に断りのない限り又は文脈によって明確に否定されない限り、該要素からなる組成物も記載しているものとして理解されるべきである)。
【0981】
本明細書で開示され特許請求される組成物及び方法は全て、本開示を踏まえて必要以上の実験を行うことなく作製したり実施したりすることができる。本発明の組成物及び方法を、好適な実施態様の点から記載してきたが、本発明の概念、趣旨、及び範囲から逸脱することなく、組成物及び方法に対して及び本明細書に記載される方法の工程又は一連の工程において変更を行い得ることが当業者には明らかであろう。より詳細には、化学的にかつ/又は生理学的に関連する特定の薬剤を、本明細書に記載される試薬の代わりに用い得る一方で、同一の又は類似の結果が達成されるであろうことが明らかとなるであろう。
図1
図2A-C】
図2D-F】
図3
図4A
図4B-D】
図4E-F】
図5
図6A
図6B-C】
図7A-B】
図7C-D】
図7E
図8
図9A-B】
図9C-D】
図9E-F】
図9G-H】
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31A-B】
図31C
図32
図33
図34
図35
【国際調査報告】