(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-06
(54)【発明の名称】ヒトMECP2遺伝子を発現するように設計されたトランスジーンカセット
(51)【国際特許分類】
C12N 15/864 20060101AFI20230130BHJP
C12N 15/12 20060101ALI20230130BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20230130BHJP
A61K 48/00 20060101ALI20230130BHJP
A61K 35/76 20150101ALI20230130BHJP
A61K 38/17 20060101ALN20230130BHJP
A61K 31/7088 20060101ALN20230130BHJP
【FI】
C12N15/864 100Z
C12N15/12 ZNA
A61P25/00
A61K48/00
A61K35/76
A61K38/17
A61K31/7088
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022534148
(86)(22)【出願日】2020-12-04
(85)【翻訳文提出日】2022-08-02
(86)【国際出願番号】 US2020063300
(87)【国際公開番号】W WO2021113634
(87)【国際公開日】2021-06-10
(32)【優先日】2020-07-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-12-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-04-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-12-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508152917
【氏名又は名称】ザ ボード オブ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティー オブ テキサス システム
(74)【代理人】
【識別番号】230104019
【氏名又は名称】大野 聖二
(74)【代理人】
【識別番号】100149076
【氏名又は名称】梅田 慎介
(74)【代理人】
【識別番号】100173185
【氏名又は名称】森田 裕
(74)【代理人】
【識別番号】100162503
【氏名又は名称】今野 智介
(74)【代理人】
【識別番号】100144794
【氏名又は名称】大木 信人
(74)【代理人】
【識別番号】100204582
【氏名又は名称】大栗 由美
(72)【発明者】
【氏名】グレイ,スティーヴン,ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】シネット,サラ
【テーマコード(参考)】
4C084
4C086
4C087
【Fターム(参考)】
4C084AA13
4C084CA18
4C084DC50
4C084MA52
4C084MA55
4C084MA56
4C084MA58
4C084MA59
4C084MA60
4C084MA65
4C084MA66
4C084NA13
4C084NA14
4C084ZA02
4C086AA01
4C086AA02
4C086EA16
4C086MA02
4C086MA05
4C086MA52
4C086MA55
4C086MA56
4C086MA58
4C086MA59
4C086MA60
4C086MA65
4C086MA66
4C086NA13
4C086NA14
4C086ZA02
4C087AA01
4C087AA02
4C087BC83
4C087CA12
4C087MA52
4C087MA55
4C087MA56
4C087MA58
4C087MA59
4C087MA60
4C087MA65
4C087MA66
4C087NA13
4C087NA14
4C087ZA02
(57)【要約】
本開示は、レット症候群を含むMeCP2の喪失および/または機能不全に関連する疾患および遺伝障害の処置のための方法および組成物を提供する。本開示の方法および組成物は、MeCP2ポリペプチドをコードする核酸配列を含むトランスジーン核酸分子を含むrAAVベクターおよびrAAVウイルスベクターを含む。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
5’から3’の方向に、
a)第1のAAV ITR配列、
b)プロモーター配列、
c)MeCP2由来ポリペプチドをコードする核酸配列を含むトランスジーン核酸分子であって、前記MeCP2由来ポリペプチドがミニMeCP2ポリペプチドである、トランスジーン核酸分子、
d)制御配列、および
e)第2のAAV ITR配列
を含むrAAVベクター。
【請求項2】
前記ミニMeCP2ポリペプチドが、配列番号1で表されるアミノ酸配列を含む、請求項1に記載のrAAVベクター。
【請求項3】
MeCP2由来ポリペプチドをコードする前記核酸配列が、配列番号3で表される核酸配列を含む、請求項1または2に記載のrAAVベクター。
【請求項4】
前記第1のAAV ITR配列が、配列番号18で表される核酸配列を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載のrAAVベクター。
【請求項5】
前記第2のAAV ITR配列が、配列番号20で表される核酸配列を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載のrAAVベクター。
【請求項6】
前記プロモーター配列がMeP426プロモーター配列を含む、請求項1から5のいずれか一項に記載のrAAVベクター。
【請求項7】
前記MeP426プロモーター配列が、配列番号22で表される核酸配列を含む、請求項6に記載のrAAVベクター。
【請求項8】
前記制御配列が1つまたは複数のmiRNA結合部位を含む、請求項1から7のいずれか一項に記載のrAAVベクター。
【請求項9】
前記1つまたは複数のmiRNA結合部位がmiR-9-5p miRNA結合部位、miR-26b-5p miRNA結合部位、miR-23a-3p miRNA結合部位、miR-218-5p miRNA結合部位、miR-27a-3p miRNA結合部位、let-7e-5p miRNA結合部位、miR-98-5p miRNA結合部位、let-7d-5p miRNA結合部位、let-7g-5p miRNA結合部位、miR-218-5p miRNA結合部位、またはこれらの任意の組合せを含む、請求項8に記載のrAAVベクター。
【請求項10】
前記制御配列が、配列番号7、8、9、10、11、および12で表される核酸配列のうち1つまたは複数を含む、請求項1から9のいずれか一項に記載のrAAVベクター。
【請求項11】
前記制御配列が、配列番号7、8、9、10、11、および12で表される核酸配列を含む、請求項1から10のいずれか一項に記載のrAAVベクター。
【請求項12】
前記制御配列が、配列番号13で表される核酸配列を含む、請求項1から11のいずれか一項に記載のrAAVベクター。
【請求項13】
前記制御配列が、配列番号14で表される核酸配列を含む、請求項1から12のいずれか一項に記載のrAAVベクター。
【請求項14】
前記制御配列が、配列番号15で表される核酸配列を含む、請求項1から13のいずれか一項に記載のrAAVベクター。
【請求項15】
前記制御配列が、配列番号16で表される核酸配列を含む、請求項1から14のいずれか一項に記載のrAAVベクター。
【請求項16】
前記制御配列が、5’から3’の方向に、
i)配列番号15で表される核酸配列、
ii)配列番号13で表される核酸配列、および
iii)配列番号16で表される核酸配列
を含む、請求項1から15のいずれか一項に記載のrAAVベクター。
【請求項17】
前記制御配列が、配列番号17で表される核酸配列を含む、請求項1から16のいずれか一項に記載のrAAVベクター。
【請求項18】
5’から3’の方向に、
a)配列番号18で表される核酸配列を含む第1のAAV ITR配列、
b)配列番号22で表される核酸配列を含むMeP426プロモーター配列を含むプロモーター配列、
c)MeCP2ポリペプチドおよび/またはMeCP2由来ポリペプチドをコードする核酸配列を含むトランスジーン核酸分子であって、前記MeCP2ポリペプチドおよび/またはMeCP2由来ポリペプチドが配列番号1で表されるアミノ酸配列を含む、トランスジーン核酸分子、
d)配列番号13で表される核酸配列を含む制御配列、および
e)配列番号20で表される核酸配列を含む第2のAAV ITR配列
を含む、rAAVベクター。
【請求項19】
5’から3’の方向に、
a)配列番号18で表される核酸配列を含む第1のAAV ITR配列、
b)配列番号22で表される核酸配列を含むMeP426プロモーター配列を含むプロモーター配列、
c)MeCP2ポリペプチドおよび/またはMeCP2由来ポリペプチドをコードする核酸配列を含むトランスジーン核酸分子であって、前記MeCP2ポリペプチドおよび/またはMeCP2由来ポリペプチドが配列番号1で表されるアミノ酸配列を含む、トランスジーン核酸分子、
d)配列番号17で表される核酸配列を含む制御配列、および
e)配列番号20で表される核酸配列を含む第2のAAV ITR配列
を含む、rAAVベクター。
【請求項20】
a)請求項1から19のいずれか一項に記載のrAAVベクター、および
b)AAVカプシドタンパク質
を含む、rAAVウイルスベクター。
【請求項21】
前記AAVカプシドタンパク質が、AAV1カプシドタンパク質、AAV2カプシドタンパク質、AAV4カプシドタンパク質、AAV5カプシドタンパク質、AAV6カプシドタンパク質、AAV7カプシドタンパク質、AAV8カプシドタンパク質、AAV9カプシドタンパク質、AAV10カプシドタンパク質、AAV11カプシドタンパク質、AAV12カプシドタンパク質、AAV13カプシドタンパク質、AAVPHP.Bカプシドタンパク質、AAVrh74カプシドタンパク質、またはAAVrh.10カプシドタンパク質である、請求項20に記載のrAAVウイルスベクター。
【請求項22】
前記AAVカプシドタンパク質がAAV9カプシドタンパク質である、請求項21に記載のrAAVウイルスベクター。
【請求項23】
前記AAVカプシドタンパク質がAAVPHP.Bカプシドタンパク質である、請求項21に記載のrAAVウイルスベクター。
【請求項24】
a)請求項20から23のいずれか一項に記載のrAAVウイルスベクター、ならびに
b)少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤および/または添加物
を含む、医薬組成物。
【請求項25】
MECP2遺伝子が関与する疾患および/または障害を有する対象を処置するための方法であって、少なくとも1つの治療有効量の請求項20から23のいずれか一項に記載のrAAVウイルスベクターまたは請求項24に記載の医薬組成物を前記対象に投与するステップを含む、方法。
【請求項26】
MECP2遺伝子が関与する前記疾患および/または障害がレット症候群である、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記rAAVウイルスベクターまたは前記医薬組成物が、約10
5~約10
20ウイルスベクター粒子の範囲の用量で前記対象に投与される、請求項25または26に記載の方法。
【請求項28】
前記rAAVウイルスベクターまたは前記医薬組成物が、約10
5~約10
15ウイルスベクター粒子の範囲の用量で前記対象に投与される、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記rAAVウイルスベクターまたは前記医薬組成物が、静脈内、髄腔内、脳内、心室内、鼻内、気管内、耳内、眼内または眼周囲、経口、経直腸、経粘膜、吸入、経皮、非経口、皮下、皮内、筋肉内、脳槽内、神経内、胸膜内、局所、リンパ節内、脳槽内、または神経内で前記対象に投与される、請求項25から28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記rAAVウイルスベクターまたは医薬組成物が髄腔内投与される、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記rAAVウイルスベクターまたは医薬組成物が頭蓋内投与される、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
それを必要とする対象におけるMECP2遺伝子が関与する疾患および/または障害の処置における使用のための、請求項20から23のいずれか一項に記載のrAAVウイルスベクターまたは請求項24に記載の医薬組成物。
【請求項33】
MECP2遺伝子が関与する疾患および/または障害がレット症候群である、請求項32に記載の使用。
【請求項34】
前記rAAVウイルスベクターまたは前記医薬組成物が、約10
11~約10
18ウイルスベクター粒子の範囲の用量で前記対象に投与するためのものである、請求項32または33に記載の使用。
【請求項35】
前記rAAVウイルスベクターまたは前記医薬組成物が、約10
5~約10
20ウイルスベクター粒子の範囲の用量で前記対象に投与するためのものである、請求項34に記載の使用。
【請求項36】
前記rAAVウイルスベクターまたは前記医薬組成物が、静脈内、髄腔内、脳内、心室内、鼻内、気管内、耳内、眼内または眼周囲、経口、経直腸、経粘膜、吸入、経皮、非経口、皮下、皮内、筋肉内、脳槽内、神経内、胸膜内、局所、リンパ節内、脳槽内、または神経内で前記対象に投与するためのものである、請求項32から35のいずれか一項に記載の使用。
【請求項37】
前記rAAVウイルスベクターまたは医薬組成物が髄腔内投与のためのものである、請求項36に記載の使用。
【請求項38】
前記rAAVウイルスベクターまたは医薬組成物が頭蓋内投与のためのものである、請求項36に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、2019年12月5日出願の米国仮特許出願第62/944,209号、2019年12月11日出願の米国仮特許出願第62/946,696号、2020年4月10日出願の米国仮特許出願第63/008,159号、および2020年7月2日出願の米国仮特許出願第63/047,596号の優先権を主張する。上述の特許出願のそれぞれの内容は、あらゆる目的のため参照により全体として本明細書に組み込まれる。
【0002】
配列表の参照による組み込み
本出願はEFS-Webを介してASCIIフォーマットで提出され、参照により全体として本明細書に組み込まれる配列表を含む。前記ASCIIコピーは2020年12月4日に作成され、「TAYS-003_SeqList.txt」と命名され、大きさ約18.6KBである。
【背景技術】
【0003】
レット症候群は、正常の脳機能、特にシナプスの維持に関与する多くの遺伝子の発現を制御するタンパク質(MeCP2)をコードする遺伝子であるX連鎖MECP2の変異によって惹起される。レット症候群の罹患率は12歳未満の女児において9000分の1である一方、一般の集団における罹患率は3万分の1と推定されている。発症の月齢は約6~18か月である。短期間は正常な発達が起こるが、続いて言語および意図的な手の使用の喪失、固定的な手の動作、ならびに歩行異常が起こる。さらなる特徴には、頭の成長の減速、発作、自閉症の兆候、および呼吸異常が含まれる。MECP2遺伝子の導入が、X連鎖神経発達障害であるレット症候群(RTT)をモデルするMeCP2-/yノックアウト(KO)マウスの生存を延長することが示されている。しかし、MeCP2の有害な過発現を制御することは、RTTの安全かつ有効な遺伝子療法アプローチに向かう重要で満たされていない障害として残っている。レット症候群の遺伝子療法処置のための当技術における組成物および方法が必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、5’から3’の方向に、a)第1のAAV ITR配列、b)プロモーター配列、c)トランスジーン核酸分子、d)制御配列、およびe)第2のAAV ITR配列を含むrAAVベクターを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
トランスジーン核酸分子はMeCP2由来ポリペプチドをコードする核酸配列を含んでよく、ここでMeCP2由来ポリペプチドはミニMeCP2ポリペプチドである。ミニMeCP2ポリペプチドは配列番号1で表されるアミノ酸配列を含み得る。MeCP2ポリペプチドおよび/またはMeCP2由来ポリペプチドをコードする核酸配列は、配列番号3で表される核酸配列を含み得る。MeCP2ポリペプチドおよび/またはMeCP2由来ポリペプチドをコードする核酸配列は、配列番号28で表される核酸配列を含み得る。
【0006】
第1のAAV ITR配列は、配列番号18で表される核酸配列を含み得る。第2のAAV ITR配列は、配列番号20で表される核酸配列を含み得る。
【0007】
プロモーター配列は、MeP426プロモーター配列を含み得る。MeP426プロモーター配列は、配列番号22で表される核酸配列を含み得る。
【0008】
制御配列は、1つまたは複数のmiRNA結合部位を含み得る。miRNA結合部位は、miR-9-5p miRNA結合部位、miR-26b-5p miRNA結合部位、miR-23a-3p miRNA結合部位、miR-218-5p miRNA結合部位、miR-27a-3p miRNA結合部位、let-7e-5p miRNA結合部位、miR-98-5p miRNA結合部位、let-7d-5p miRNA結合部位、let-7g-5p miRNA結合部位、miR-218-5p miRNA結合部位、またはこれらの任意の組合せを含み得る。
【0009】
制御配列は、配列番号7、8、9、10、11、および12で表される核酸配列のうち1つまたは複数を含み得る。制御配列は、配列番号7、8、9、10、11、および12で表される核酸配列のそれぞれを含み得る。制御配列は、配列番号13で表される核酸配列を含み得る。制御配列は、配列番号14で表される核酸配列を含み得る。制御配列は、配列番号15で表される核酸配列を含み得る。制御配列は、配列番号16で表される核酸配列を含み得る。制御配列は、5’から3’の方向に、i)配列番号15で表される核酸配列、ii)配列番号13で表される核酸配列、およびiii)配列番号16で表される核酸配列を含み得る。制御配列は、配列番号17で表される核酸配列を含み得る。
【0010】
本開示は、5’から3’の方向に、a)配列番号18で表される核酸配列を含む第1のAAV ITR配列、b)配列番号22で表される核酸配列を含むMeP426プロモーター配列を含むプロモーター配列、c)MeCP2ポリペプチドおよび/またはMeCP2由来ポリペプチドをコードする核酸配列を含むトランスジーン核酸分子であって、MeCP2ポリペプチドおよび/またはMeCP2由来ポリペプチドが配列番号1で表されるアミノ酸配列を含む、トランスジーン核酸分子、d)配列番号13で表される核酸配列を含む制御配列、およびe)配列番号20で表される核酸配列を含む第2のAAV ITR配列を含むrAAVベクターを提供する。
【0011】
本開示は、5’から3’の方向に、a)配列番号18で表される核酸配列を含む第1のAAV ITR配列、b)配列番号22で表される核酸配列を含むMeP426プロモーター配列を含むプロモーター配列、c)MeCP2ポリペプチドおよび/またはMeCP2由来ポリペプチドをコードする核酸配列を含むトランスジーン核酸分子であって、MeCP2ポリペプチドおよび/またはMeCP2由来ポリペプチドが配列番号1で表されるアミノ酸配列を含む、トランスジーン核酸分子、d)配列番号17で表される核酸配列を含む制御配列、およびe)配列番号20で表される核酸配列を含む第2のAAV ITR配列を含むrAAVベクターを提供する。
【0012】
本開示は、a)本明細書に記載したrAAVベクターのいずれか1つおよびb)AAVカプシドタンパク質を含むrAAVウイルスベクターを提供する。AAVカプシドタンパク質は、AAV1カプシドタンパク質、AAV2カプシドタンパク質、AAV4カプシドタンパク質、AAV5カプシドタンパク質、AAV6カプシドタンパク質、AAV7カプシドタンパク質、AAV8カプシドタンパク質、AAV9カプシドタンパク質、AAV10カプシドタンパク質、AAV11カプシドタンパク質、AAV12カプシドタンパク質、AAV13カプシドタンパク質、AAVPHP.Bカプシドタンパク質、AAVrh74カプシドタンパク質、またはAAVrh.10カプシドタンパク質であってよい。AAVカプシドタンパク質はAAV9カプシドタンパク質であってよい。AAVカプシドタンパク質はAAVPHP.Bカプシドタンパク質であってよい。
【0013】
本開示は、本明細書に記載した任意のrAAVウイルスベクターならびに少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤および/または添加物を含む医薬組成物を提供する。
【0014】
本開示は、MECP2遺伝子が関与する疾患および/または障害を有する対象を処置するための方法であって、少なくとも1つの治療有効量の本明細書に記載した任意のrAAVウイルスベクターまたは本明細書に記載した任意の医薬組成物を対象に投与するステップを含む方法を提供する。rAAVウイルスベクターまたは医薬組成物は、約105~約1020ウイルスベクター粒子の範囲の用量で対象に投与することができる。rAAVウイルスベクターまたは医薬組成物は、約105~約1015ウイルスベクター粒子の範囲の用量で対象に投与することができる。rAAVウイルスベクターまたは医薬組成物は、静脈内、髄腔内、脳内、心室内、鼻内、気管内、耳内、眼内または眼周囲、経口、経直腸、経粘膜、吸入、経皮、非経口、皮下、皮内、筋肉内、脳槽内(intracisternally)、神経内(intranervally)、胸膜内、局所、リンパ節内、脳槽内、または神経内(intranerve)で、対象に投与することができる。rAAVウイルスベクターまたは医薬組成物は、髄腔内に投与することができる。rAAVウイルスベクターまたは医薬組成物は、頭蓋内に投与することができる。
【0015】
本開示は、それを必要とする対象におけるMECP2遺伝子が関与する疾患および/または障害の処置における使用のための、本明細書に記載した任意のrAAVウイルスベクターまたは本明細書に記載した任意の医薬組成物を提供する。rAAVウイルスベクターまたは医薬組成物は、約1011~約1018ウイルスベクター粒子の範囲の用量で、対象に投与するためのものであってよい。rAAVウイルスベクターまたは医薬組成物は、約105~約1020ウイルスベクター粒子の範囲の用量で、対象に投与するためのものであってよい。rAAVウイルスベクターまたは医薬組成物は、静脈内、髄腔内、脳内、心室内、鼻内、気管内、耳内、眼内または眼周囲、経口、経直腸、経粘膜、吸入、経皮、非経口、皮下、皮内、筋肉内、脳槽内、神経内、胸膜内、局所、リンパ節内、脳槽内、または神経内で対象に投与するためであってよい。rAAVウイルスベクターまたは医薬組成物は、髄腔内投与のためであってよい。rAAVウイルスベクターまたは医薬組成物は、頭蓋内投与のためであってよい。
【0016】
MECP2遺伝子が関与する疾患および/または障害は、レット症候群であってよい。
【0017】
上記の任意の態様、または本明細書に記載した他の任意の態様は、他の任意の態様と組み合わせることができる。
【0018】
他に定義しない限り、本明細書で用いる全ての技術用語および科学用語は、本開示が属する技術における当業者によって共通に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書では、単数形は文脈によって他が明確に指示されない限り、複数形を含み、たとえば用語「1つの」および「その」は単数または複数であると理解され、用語「または」は包括的であると理解される。例として、「1つの要素」は1つまたは複数の要素を意味する。明細書全体にわたって、用語「含む(comprising)」または「含む(comprisesまたはcomprising)」等の変形は、記述した要素、整数、もしくはステップ、または要素、整数、もしくはステップの群を意味するが、他の任意の要素、整数、もしくはステップ、または要素、整数、もしくはステップの群を排除しないことが理解されよう。「約」は、記述した値の10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、0.1%、0.05%、または0.01%以内と理解することができる。文脈から他が明確でない限り、本明細書で提供する全ての数値は、用語「約」によって修飾される。
【0019】
本明細書に記載した方法および材料と同様または等価の方法および材料は、本開示の実施または試験に用いることができるが、好適な方法および材料を以下に記載する。本明細書で述べる全ての出版物、特許出願、特許、およびその他の参考文献は、参照により全体として組み込まれる。本明細書で引用する参考文献は、特許を請求する発明の先行技術であると認めてはいない。矛盾する場合には、定義を含む本明細書が優先する。さらに、材料、方法、および実施例は説明のためのみであり、限定的であることを意図していない。本開示のその他の特徴および利点は、以下の詳細な説明および特許請求の範囲から明らかになる。
【0020】
上記のおよびさらなる特徴は、添付した図面と併せて取り上げた場合に、以下の詳細な説明からより明確に理解される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1A】ミニMECP2ベクターが野生型(WT)マウスにおいて副反応を惹起することを示す図である。
図1Aは、急性毒性研究におけるAAV9/ミニMECP2処置の後のマウスの平均クラスピングスコアの増加を示す表である。ミニMeCP2の過発現は、異常なクラスピングスコアの顕著な増大を惹起した。1群あたりn=5~6匹のマウス。食塩水とウイルス処理;および注射前と注射後:#p<0.05。
図1Bは、PHP.B/ミニMECP2(1×10
12vg/マウス、ICM)による処置の3日後に観察された重篤な後肢のクラスピングを示す写真である。健康なマウスでは、後肢は外側に伸長する。
図1Cは、AAV9/およびPHP.B/ミニMECP2による処置の後のマウスにおける総計表現型重症度スコアの変化を示すグラフである。AAV9/とPHP.B/ミニMECP2の両方は、注射後2週以内で総計表現型重症度スコアを有意に増加させる(p<0.05)。
図1A~
図1Cは、UNC-Chapel Hillで飼育し、処置したマウスについてのデータを示している。本出願における他の全てのマウスは、UTSWで試験した。
図1Aおよび
図1Cは、平均±SEMである。
【
図1B】ミニMECP2ベクターが野生型(WT)マウスにおいて副反応を惹起することを示す図である。
図1Aは、急性毒性研究におけるAAV9/ミニMECP2処置の後のマウスの平均クラスピングスコアの増加を示す表である。ミニMeCP2の過発現は、異常なクラスピングスコアの顕著な増大を惹起した。1群あたりn=5~6匹のマウス。食塩水とウイルス処理;および注射前と注射後:#p<0.05。
図1Bは、PHP.B/ミニMECP2(1×10
12vg/マウス、ICM)による処置の3日後に観察された重篤な後肢のクラスピングを示す写真である。健康なマウスでは、後肢は外側に伸長する。
図1Cは、AAV9/およびPHP.B/ミニMECP2による処置の後のマウスにおける総計表現型重症度スコアの変化を示すグラフである。AAV9/とPHP.B/ミニMECP2の両方は、注射後2週以内で総計表現型重症度スコアを有意に増加させる(p<0.05)。
図1A~
図1Cは、UNC-Chapel Hillで飼育し、処置したマウスについてのデータを示している。本出願における他の全てのマウスは、UTSWで試験した。
図1Aおよび
図1Cは、平均±SEMである。
【
図1C】ミニMECP2ベクターが野生型(WT)マウスにおいて副反応を惹起することを示す図である。
図1Aは、急性毒性研究におけるAAV9/ミニMECP2処置の後のマウスの平均クラスピングスコアの増加を示す表である。ミニMeCP2の過発現は、異常なクラスピングスコアの顕著な増大を惹起した。1群あたりn=5~6匹のマウス。食塩水とウイルス処理;および注射前と注射後:#p<0.05。
図1Bは、PHP.B/ミニMECP2(1×10
12vg/マウス、ICM)による処置の3日後に観察された重篤な後肢のクラスピングを示す写真である。健康なマウスでは、後肢は外側に伸長する。
図1Cは、AAV9/およびPHP.B/ミニMECP2による処置の後のマウスにおける総計表現型重症度スコアの変化を示すグラフである。AAV9/とPHP.B/ミニMECP2の両方は、注射後2週以内で総計表現型重症度スコアを有意に増加させる(p<0.05)。
図1A~
図1Cは、UNC-Chapel Hillで飼育し、処置したマウスについてのデータを示している。本出願における他の全てのマウスは、UTSWで試験した。
図1Aおよび
図1Cは、平均±SEMである。
【
図2A】知的障害を媒介する遺伝子の3’UTRの精選されたリストにわたって頻繁に出現する標的をランク付けするために用いられるマイクロアレイ発現データを示す図である。
図2Aは、451個のmiRNA標的の出現率を示すグラフである。多くのmiRNA標的が、3’UTRの精選されたリストにわたって頻繁に出現する。
図2Bは、2491個のヒト標的および1831個のマウス標的の中で、451個の標的がマウスとヒトの両方の3’UTRデータセットにわたって同一のアノテーションを有していたことを示すプロットである。散布図は、
図2Aに示したものと同じデータを示す。標的パネル設計のために、両方の種について検討した3’UTR配列の半分以上においてアノテートした標的を優先した(影を付けた区域)。影を付けた区域の中で、黒いデータ点は、切除したCC、小脳、および/または延髄の組織における中程度~高いレベルで発現したmiRNAに対応する標的を示す(シグナル強度>500)。四角のデータ点は、想定されるMeCP2応答性miRNA(let-7e-5p
*、miR-98-5p、miR-26b-5p、let-7d-5p、let-7g-5p、miR-23a-3p)ならびにMeCP2(-)およびMeCP2(+)処置群のデータを併せて統合した場合に頚髄で増加した(データは示していない)2つの追加的なmiRNA(#で示すmiR-9-5pおよびmiR-27a-3p)の標的を示す。たとえばMeCP2(-)群には、食塩水で処置したKOマウスおよびAAV9/EGFPで処理したKOマウスの両方が含まれる。明確にするため、影を付けた区域のみにノーテーション(黒色および四角のデータ点)を限定した。miRAREを多数の遺伝子治療用途により広く適用可能にする目的のため、miR-218-5pの標的を新たなパネル設計(「miRARE」、他の箇所では「Reg2」と注記)に含ませた
‡。miR-218-5pの発現は、本発明者らのHTSデータではMeCP2応答性であるようには思われなかった。
図2Cは、ミニMECP2-miRAREウイルスゲノムカセットの概略図である。黒の点線および白の実線は、RDH1pAの部分であるmiRNA標的を示す。灰色の実線は、RDH1pAに挿入されたmiRARE標的を示す。ITRは逆転ターミナルリピート、scは変異した自己相補性ITR配列である。
【
図2B】知的障害を媒介する遺伝子の3’UTRの精選されたリストにわたって頻繁に出現する標的をランク付けするために用いられるマイクロアレイ発現データを示す図である。
図2Aは、451個のmiRNA標的の出現率を示すグラフである。多くのmiRNA標的が、3’UTRの精選されたリストにわたって頻繁に出現する。
図2Bは、2491個のヒト標的および1831個のマウス標的の中で、451個の標的がマウスとヒトの両方の3’UTRデータセットにわたって同一のアノテーションを有していたことを示すプロットである。散布図は、
図2Aに示したものと同じデータを示す。標的パネル設計のために、両方の種について検討した3’UTR配列の半分以上においてアノテートした標的を優先した(影を付けた区域)。影を付けた区域の中で、黒いデータ点は、切除したCC、小脳、および/または延髄の組織における中程度~高いレベルで発現したmiRNAに対応する標的を示す(シグナル強度>500)。四角のデータ点は、想定されるMeCP2応答性miRNA(let-7e-5p
*、miR-98-5p、miR-26b-5p、let-7d-5p、let-7g-5p、miR-23a-3p)ならびにMeCP2(-)およびMeCP2(+)処置群のデータを併せて統合した場合に頚髄で増加した(データは示していない)2つの追加的なmiRNA(#で示すmiR-9-5pおよびmiR-27a-3p)の標的を示す。たとえばMeCP2(-)群には、食塩水で処置したKOマウスおよびAAV9/EGFPで処理したKOマウスの両方が含まれる。明確にするため、影を付けた区域のみにノーテーション(黒色および四角のデータ点)を限定した。miRAREを多数の遺伝子治療用途により広く適用可能にする目的のため、miR-218-5pの標的を新たなパネル設計(「miRARE」、他の箇所では「Reg2」と注記)に含ませた
‡。miR-218-5pの発現は、本発明者らのHTSデータではMeCP2応答性であるようには思われなかった。
図2Cは、ミニMECP2-miRAREウイルスゲノムカセットの概略図である。黒の点線および白の実線は、RDH1pAの部分であるmiRNA標的を示す。灰色の実線は、RDH1pAに挿入されたmiRARE標的を示す。ITRは逆転ターミナルリピート、scは変異した自己相補性ITR配列である。
【
図2C】知的障害を媒介する遺伝子の3’UTRの精選されたリストにわたって頻繁に出現する標的をランク付けするために用いられるマイクロアレイ発現データを示す図である。
図2Aは、451個のmiRNA標的の出現率を示すグラフである。多くのmiRNA標的が、3’UTRの精選されたリストにわたって頻繁に出現する。
図2Bは、2491個のヒト標的および1831個のマウス標的の中で、451個の標的がマウスとヒトの両方の3’UTRデータセットにわたって同一のアノテーションを有していたことを示すプロットである。散布図は、
図2Aに示したものと同じデータを示す。標的パネル設計のために、両方の種について検討した3’UTR配列の半分以上においてアノテートした標的を優先した(影を付けた区域)。影を付けた区域の中で、黒いデータ点は、切除したCC、小脳、および/または延髄の組織における中程度~高いレベルで発現したmiRNAに対応する標的を示す(シグナル強度>500)。四角のデータ点は、想定されるMeCP2応答性miRNA(let-7e-5p
*、miR-98-5p、miR-26b-5p、let-7d-5p、let-7g-5p、miR-23a-3p)ならびにMeCP2(-)およびMeCP2(+)処置群のデータを併せて統合した場合に頚髄で増加した(データは示していない)2つの追加的なmiRNA(#で示すmiR-9-5pおよびmiR-27a-3p)の標的を示す。たとえばMeCP2(-)群には、食塩水で処置したKOマウスおよびAAV9/EGFPで処理したKOマウスの両方が含まれる。明確にするため、影を付けた区域のみにノーテーション(黒色および四角のデータ点)を限定した。miRAREを多数の遺伝子治療用途により広く適用可能にする目的のため、miR-218-5pの標的を新たなパネル設計(「miRARE」、他の箇所では「Reg2」と注記)に含ませた
‡。miR-218-5pの発現は、本発明者らのHTSデータではMeCP2応答性であるようには思われなかった。
図2Cは、ミニMECP2-miRAREウイルスゲノムカセットの概略図である。黒の点線および白の実線は、RDH1pAの部分であるmiRNA標的を示す。灰色の実線は、RDH1pAに挿入されたmiRARE標的を示す。ITRは逆転ターミナルリピート、scは変異した自己相補性ITR配列である。
【
図3A】AAV9/ミニMECP2-miRAREが若年のWTにおけるIT投与後によく忍容されることを示す図である。この原稿を通して、全ての処置は4~5週齢の間に投与した。
図3Aは、AAV9/ミニMECP2で処置したWTマウス(1×10
12vg/マウス)が、15週齢で開始して食塩水で処置したWTマウスより有意に低い体重を有していた(p<0.05)ことを示すグラフである。食塩水とAAV9/ミニMECP2-miRAREで処置したWTマウス(1×10
12vg/マウス)の間では有意差は観察されなかった。同じ説明が
図3Bにも適用される。
図3Bは、AAV9/MECP2およびAAV9/ミニMECP2で処置したWTマウスが、食塩水で処置したマウスで観察されたものに対して有意に高い平均総計行動重症度スコアを有していた(6~30週齢および7~27週齢のそれぞれでp<0.05)ことを示すグラフである。AAV9/ミニMECP2-miRAREで処置したWTマウスは、それぞれ11~19週齢および9~20週齢の大部分の時点で、AAV9/MECP2およびAAV9/ミニMECP2で処置したマウスに対して有意に低い平均総計重症度スコアを有していた。食塩水およびAAV9/ミニMECP2-miRAREで処置したWTマウス(1×10
12vg/マウス)の間では有意差は観察されなかった。
図3Cは、AAV9/ミニMECP2-miRAREで処置した大部分のWTマウスでは重篤なクラスピング異常が発現しなかった(n=2/9匹のマウス)ことを示すグラフである。
図3Dは、AAV9/ミニMECP2-miRAREで処置したWTマウスでは重篤な歩行異常が発現しなかった(n=0/9匹のマウス)ことを示すグラフである。
図3Cおよび
図3Dにおいて、重篤な異常歩行および重篤なクラスピングはそれぞれ、0~2のスケールで2とスコア付けている。全てのベクターは、1×10
12vg/マウスで投与した。歩行またはクラスピングの重篤なスコアが発現する前、早期に安楽死させたマウスは、
図3Cおよび
図3Dから除外した。Kaplan-Meierプロットについて有意性を評価するために用いることができるGehan-Breslow-Wilcoxon検定を用いて、
*p<0.05。AAV9/ミニMECP2-miRAREで処置したWTマウスが重篤な歩行異常を発現する時点が存在しないので、
図3Dについての平均発症週齢の一方向ANOVAは勧められない。
図3Eは、AAV9/ミニMECP2-miRAREで処置したWTマウスについて、早期の死亡が観察されなかったことを示している。明確にするため、MiRARE群はオフセットしている。菱形は、虐待に関連する傷害(食塩水処置)および脱落(prolapse)(AAV9/ミニMECP2処置)についての獣医の要望による安楽死を示す。脱落は、AAV9/ミニMECP2で処置したWTマウス(それぞれ1×10
11~1×10
12vg)の8~17%で観察された。AAV9/MECP2で処置した4匹のマウスは8週齢で解剖し、したがって生存プロットから除外した。
図3Aおよび
図3Bのデータは平均±SEMである。単純にするため、食塩水処置と高用量処置のWTマウスの統計的差のみを解析した。
*p<0.05。
【
図3B】AAV9/ミニMECP2-miRAREが若年のWTにおけるIT投与後によく忍容されることを示す図である。この原稿を通して、全ての処置は4~5週齢の間に投与した。
図3Aは、AAV9/ミニMECP2で処置したWTマウス(1×10
12vg/マウス)が、15週齢で開始して食塩水で処置したWTマウスより有意に低い体重を有していた(p<0.05)ことを示すグラフである。食塩水とAAV9/ミニMECP2-miRAREで処置したWTマウス(1×10
12vg/マウス)の間では有意差は観察されなかった。同じ説明が
図3Bにも適用される。
図3Bは、AAV9/MECP2およびAAV9/ミニMECP2で処置したWTマウスが、食塩水で処置したマウスで観察されたものに対して有意に高い平均総計行動重症度スコアを有していた(6~30週齢および7~27週齢のそれぞれでp<0.05)ことを示すグラフである。AAV9/ミニMECP2-miRAREで処置したWTマウスは、それぞれ11~19週齢および9~20週齢の大部分の時点で、AAV9/MECP2およびAAV9/ミニMECP2で処置したマウスに対して有意に低い平均総計重症度スコアを有していた。食塩水およびAAV9/ミニMECP2-miRAREで処置したWTマウス(1×10
12vg/マウス)の間では有意差は観察されなかった。
図3Cは、AAV9/ミニMECP2-miRAREで処置した大部分のWTマウスでは重篤なクラスピング異常が発現しなかった(n=2/9匹のマウス)ことを示すグラフである。
図3Dは、AAV9/ミニMECP2-miRAREで処置したWTマウスでは重篤な歩行異常が発現しなかった(n=0/9匹のマウス)ことを示すグラフである。
図3Cおよび
図3Dにおいて、重篤な異常歩行および重篤なクラスピングはそれぞれ、0~2のスケールで2とスコア付けている。全てのベクターは、1×10
12vg/マウスで投与した。歩行またはクラスピングの重篤なスコアが発現する前、早期に安楽死させたマウスは、
図3Cおよび
図3Dから除外した。Kaplan-Meierプロットについて有意性を評価するために用いることができるGehan-Breslow-Wilcoxon検定を用いて、
*p<0.05。AAV9/ミニMECP2-miRAREで処置したWTマウスが重篤な歩行異常を発現する時点が存在しないので、
図3Dについての平均発症週齢の一方向ANOVAは勧められない。
図3Eは、AAV9/ミニMECP2-miRAREで処置したWTマウスについて、早期の死亡が観察されなかったことを示している。明確にするため、MiRARE群はオフセットしている。菱形は、虐待に関連する傷害(食塩水処置)および脱落(AAV9/ミニMECP2処置)についての獣医の要望による安楽死を示す。脱落は、AAV9/ミニMECP2で処置したWTマウス(それぞれ1×10
11~1×10
12vg)の8~17%で観察された。AAV9/MECP2で処置した4匹のマウスは8週齢で解剖し、したがって生存プロットから除外した。
図3Aおよび
図3Bのデータは平均±SEMである。単純にするため、食塩水処置と高用量処置のWTマウスの統計的差のみを解析した。
*p<0.05。
【
図3C】AAV9/ミニMECP2-miRAREが若年のWTにおけるIT投与後によく忍容されることを示す図である。この原稿を通して、全ての処置は4~5週齢の間に投与した。
図3Aは、AAV9/ミニMECP2で処置したWTマウス(1×10
12vg/マウス)が、15週齢で開始して食塩水で処置したWTマウスより有意に低い体重を有していた(p<0.05)ことを示すグラフである。食塩水とAAV9/ミニMECP2-miRAREで処置したWTマウス(1×10
12vg/マウス)の間では有意差は観察されなかった。同じ説明が
図3Bにも適用される。
図3Bは、AAV9/MECP2およびAAV9/ミニMECP2で処置したWTマウスが、食塩水で処置したマウスで観察されたものに対して有意に高い平均総計行動重症度スコアを有していた(6~30週齢および7~27週齢のそれぞれでp<0.05)ことを示すグラフである。AAV9/ミニMECP2-miRAREで処置したWTマウスは、それぞれ11~19週齢および9~20週齢の大部分の時点で、AAV9/MECP2およびAAV9/ミニMECP2で処置したマウスに対して有意に低い平均総計重症度スコアを有していた。食塩水およびAAV9/ミニMECP2-miRAREで処置したWTマウス(1×10
12vg/マウス)の間では有意差は観察されなかった。
図3Cは、AAV9/ミニMECP2-miRAREで処置した大部分のWTマウスでは重篤なクラスピング異常が発現しなかった(n=2/9匹のマウス)ことを示すグラフである。
図3Dは、AAV9/ミニMECP2-miRAREで処置したWTマウスでは重篤な歩行異常が発現しなかった(n=0/9匹のマウス)ことを示すグラフである。
図3Cおよび
図3Dにおいて、重篤な異常歩行および重篤なクラスピングはそれぞれ、0~2のスケールで2とスコア付けている。全てのベクターは、1×10
12vg/マウスで投与した。歩行またはクラスピングの重篤なスコアが発現する前、早期に安楽死させたマウスは、
図3Cおよび
図3Dから除外した。Kaplan-Meierプロットについて有意性を評価するために用いることができるGehan-Breslow-Wilcoxon検定を用いて、
*p<0.05。AAV9/ミニMECP2-miRAREで処置したWTマウスが重篤な歩行異常を発現する時点が存在しないので、
図3Dについての平均発症週齢の一方向ANOVAは勧められない。
図3Eは、AAV9/ミニMECP2-miRAREで処置したWTマウスについて、早期の死亡が観察されなかったことを示している。明確にするため、MiRARE群はオフセットしている。菱形は、虐待に関連する傷害(食塩水処置)および脱落(AAV9/ミニMECP2処置)についての獣医の要望による安楽死を示す。脱落は、AAV9/ミニMECP2で処置したWTマウス(それぞれ1×10
11~1×10
12vg)の8~17%で観察された。AAV9/MECP2で処置した4匹のマウスは8週齢で解剖し、したがって生存プロットから除外した。
図3Aおよび
図3Bのデータは平均±SEMである。単純にするため、食塩水処置と高用量処置のWTマウスの統計的差のみを解析した。
*p<0.05。
【
図3D】AAV9/ミニMECP2-miRAREが若年のWTにおけるIT投与後によく忍容されることを示す図である。この原稿を通して、全ての処置は4~5週齢の間に投与した。
図3Aは、AAV9/ミニMECP2で処置したWTマウス(1×10
12vg/マウス)が、15週齢で開始して食塩水で処置したWTマウスより有意に低い体重を有していた(p<0.05)ことを示すグラフである。食塩水とAAV9/ミニMECP2-miRAREで処置したWTマウス(1×10
12vg/マウス)の間では有意差は観察されなかった。同じ説明が
図3Bにも適用される。
図3Bは、AAV9/MECP2およびAAV9/ミニMECP2で処置したWTマウスが、食塩水で処置したマウスで観察されたものに対して有意に高い平均総計行動重症度スコアを有していた(6~30週齢および7~27週齢のそれぞれでp<0.05)ことを示すグラフである。AAV9/ミニMECP2-miRAREで処置したWTマウスは、それぞれ11~19週齢および9~20週齢の大部分の時点で、AAV9/MECP2およびAAV9/ミニMECP2で処置したマウスに対して有意に低い平均総計重症度スコアを有していた。食塩水およびAAV9/ミニMECP2-miRAREで処置したWTマウス(1×10
12vg/マウス)の間では有意差は観察されなかった。
図3Cは、AAV9/ミニMECP2-miRAREで処置した大部分のWTマウスでは重篤なクラスピング異常が発現しなかった(n=2/9匹のマウス)ことを示すグラフである。
図3Dは、AAV9/ミニMECP2-miRAREで処置したWTマウスでは重篤な歩行異常が発現しなかった(n=0/9匹のマウス)ことを示すグラフである。
図3Cおよび
図3Dにおいて、重篤な異常歩行および重篤なクラスピングはそれぞれ、0~2のスケールで2とスコア付けている。全てのベクターは、1×10
12vg/マウスで投与した。歩行またはクラスピングの重篤なスコアが発現する前、早期に安楽死させたマウスは、
図3Cおよび
図3Dから除外した。Kaplan-Meierプロットについて有意性を評価するために用いることができるGehan-Breslow-Wilcoxon検定を用いて、
*p<0.05。AAV9/ミニMECP2-miRAREで処置したWTマウスが重篤な歩行異常を発現する時点が存在しないので、
図3Dについての平均発症週齢の一方向ANOVAは勧められない。
図3Eは、AAV9/ミニMECP2-miRAREで処置したWTマウスについて、早期の死亡が観察されなかったことを示している。明確にするため、MiRARE群はオフセットしている。菱形は、虐待に関連する傷害(食塩水処置)および脱落(AAV9/ミニMECP2処置)についての獣医の要望による安楽死を示す。脱落は、AAV9/ミニMECP2で処置したWTマウス(それぞれ1×10
11~1×10
12vg)の8~17%で観察された。AAV9/MECP2で処置した4匹のマウスは8週齢で解剖し、したがって生存プロットから除外した。
図3Aおよび
図3Bのデータは平均±SEMである。単純にするため、食塩水処置と高用量処置のWTマウスの統計的差のみを解析した。
*p<0.05。
【
図3E】AAV9/ミニMECP2-miRAREが若年のWTにおけるIT投与後によく忍容されることを示す図である。この原稿を通して、全ての処置は4~5週齢の間に投与した。
図3Aは、AAV9/ミニMECP2で処置したWTマウス(1×10
12vg/マウス)が、15週齢で開始して食塩水で処置したWTマウスより有意に低い体重を有していた(p<0.05)ことを示すグラフである。食塩水とAAV9/ミニMECP2-miRAREで処置したWTマウス(1×10
12vg/マウス)の間では有意差は観察されなかった。同じ説明が
図3Bにも適用される。
図3Bは、AAV9/MECP2およびAAV9/ミニMECP2で処置したWTマウスが、食塩水で処置したマウスで観察されたものに対して有意に高い平均総計行動重症度スコアを有していた(6~30週齢および7~27週齢のそれぞれでp<0.05)ことを示すグラフである。AAV9/ミニMECP2-miRAREで処置したWTマウスは、それぞれ11~19週齢および9~20週齢の大部分の時点で、AAV9/MECP2およびAAV9/ミニMECP2で処置したマウスに対して有意に低い平均総計重症度スコアを有していた。食塩水およびAAV9/ミニMECP2-miRAREで処置したWTマウス(1×10
12vg/マウス)の間では有意差は観察されなかった。
図3Cは、AAV9/ミニMECP2-miRAREで処置した大部分のWTマウスでは重篤なクラスピング異常が発現しなかった(n=2/9匹のマウス)ことを示すグラフである。
図3Dは、AAV9/ミニMECP2-miRAREで処置したWTマウスでは重篤な歩行異常が発現しなかった(n=0/9匹のマウス)ことを示すグラフである。
図3Cおよび
図3Dにおいて、重篤な異常歩行および重篤なクラスピングはそれぞれ、0~2のスケールで2とスコア付けている。全てのベクターは、1×10
12vg/マウスで投与した。歩行またはクラスピングの重篤なスコアが発現する前、早期に安楽死させたマウスは、
図3Cおよび
図3Dから除外した。Kaplan-Meierプロットについて有意性を評価するために用いることができるGehan-Breslow-Wilcoxon検定を用いて、
*p<0.05。AAV9/ミニMECP2-miRAREで処置したWTマウスが重篤な歩行異常を発現する時点が存在しないので、
図3Dについての平均発症週齢の一方向ANOVAは勧められない。
図3Eは、AAV9/ミニMECP2-miRAREで処置したWTマウスについて、早期の死亡が観察されなかったことを示している。明確にするため、MiRARE群はオフセットしている。菱形は、虐待に関連する傷害(食塩水処置)および脱落(AAV9/ミニMECP2処置)についての獣医の要望による安楽死を示す。脱落は、AAV9/ミニMECP2で処置したWTマウス(それぞれ1×10
11~1×10
12vg)の8~17%で観察された。AAV9/MECP2で処置した4匹のマウスは8週齢で解剖し、したがって生存プロットから除外した。
図3Aおよび
図3Bのデータは平均±SEMである。単純にするため、食塩水処置と高用量処置のWTマウスの統計的差のみを解析した。
*p<0.05。
【
図4A】AAV9/ミニMECP2-miRAREがKOマウスの生存を延長することを示す図である。
図4Aは、本開示のMECP2組成物によって処置したマウスの生存のグラフである。菱形は、主として重篤な尾の病変または尾の自己切断のために獣医によって要望された安楽死を示す。食塩水処置およびAAV9/ミニMECP2-miRARE処置されたKOマウスのメディアン生存は9.6週および15.0週である(Gehan-Breslow-Wilcoxon検定でp<0.02)。
図9に示す低用量と比較されたい。
図4Bは、いずれの処置もKO体重に有意に影響しなかったことを示すグラフである。
図4Bにおける1群あたりのnは、WT,0vg(20);KO,0vg(18);KO,1×10
12vg AAV9/MECP2(12);KO,1×10
12vg AAV9/ミニMECP2(12);およびKO,1×10
12vg AAV9/ミニMECP2-miRARE(12)である。
図4Aおよび
図4Bは、これらのマウスを並行して処置した際に、同じWT対照データが
図3に出現することを示す。
図4Cは、食塩水、AAV9/MECP2、AAV9/ミニMECP2、およびAAV9/ミニMECP2-miRAREで処置したマウスの間で、重篤な歩行(スコア=2)を達成する頻度が28%、50%、33%、および17%であったことを示すプロットである。マウスあたり1×10
12vgを投与した。黒色のバーは、重篤なクラスピングの発症の平均週齢を示す。各データ点は1匹のマウスを表す。マウスの割合(サブセット対全体群)を、各処置群について列記している。重篤な歩行を発現したAAV9/ミニMECP2-miRARE処置マウス(12匹中n=2)は、他の群の4~5週後にそうなった。この遅延は顕著に異なるが、確定的な結論を導くにはデータ点の数が少なすぎる。
図3Dと
図4Cは同じ種類のデータを示すが、
図4Cは異なるフォーマットでプロットしている。一般に、Kaplan-Meierプロットは発症週齢のデータを視覚的に伝達するには最も明確な方法である(
図3D参照)が、これらのプロットは、正常な歩行を保持した全てのマウスがX軸で特定した全期間、生存するという直感的な仮定に役立つ。この仮定はWTマウスについては真である(
図3D)が、KOマウスについてはそうではない(
図4C)。重要なことに、AAV9/ミニMECP2-miRARE処置KOマウスは、生存が延長したにも関わらず、重篤な歩行が発現したのは僅かであった。
図4Dは、高用量(1×10
12vg/マウス)のAAV9/ミニMECP2-miRAREがKOマウスで初期運動神経の改善の傾向(食塩水に対して、トライアル1、1日目)を生じることを示すグラフである。AAV9/ミニMECP2-miRAREはトライアルにわたって運動学習を改善しなかった。食塩水処置WT、食塩水処置KO、およびAAV9/ミニMECP2-miRARE処置KO群について、n=30、29、および9である。
図4Eは、処置群にわたって病変が観察されたことを示すグラフである。群のサイズが小さいので、miRAREがウイルス処置マウスの間で病変のリスクを低下させるか否かは明らかでない。(
図4B~4D)データは平均±SEMである。
【
図4B】AAV9/ミニMECP2-miRAREがKOマウスの生存を延長することを示す図である。
図4Aは、本開示のMECP2組成物によって処置したマウスの生存のグラフである。菱形は、主として重篤な尾の病変または尾の自己切断のために獣医によって要望された安楽死を示す。食塩水処置およびAAV9/ミニMECP2-miRARE処置されたKOマウスのメディアン生存は9.6週および15.0週である(Gehan-Breslow-Wilcoxon検定でp<0.02)。
図9に示す低用量と比較されたい。
図4Bは、いずれの処置もKO体重に有意に影響しなかったことを示すグラフである。
図4Bにおける1群あたりのnは、WT,0vg(20);KO,0vg(18);KO,1×10
12vg AAV9/MECP2(12);KO,1×10
12vg AAV9/ミニMECP2(12);およびKO,1×10
12vg AAV9/ミニMECP2-miRARE(12)である。
図4Aおよび
図4Bは、これらのマウスを並行して処置した際に、同じWT対照データが
図3に出現することを示す。
図4Cは、食塩水、AAV9/MECP2、AAV9/ミニMECP2、およびAAV9/ミニMECP2-miRAREで処置したマウスの間で、重篤な歩行(スコア=2)を達成する頻度が28%、50%、33%、および17%であったことを示すプロットである。マウスあたり1×10
12vgを投与した。黒色のバーは、重篤なクラスピングの発症の平均週齢を示す。各データ点は1匹のマウスを表す。マウスの割合(サブセット対全体群)を、各処置群について列記している。重篤な歩行を発現したAAV9/ミニMECP2-miRARE処置マウス(12匹中n=2)は、他の群の4~5週後にそうなった。この遅延は顕著に異なるが、確定的な結論を導くにはデータ点の数が少なすぎる。
図3Dと
図4Cは同じ種類のデータを示すが、
図4Cは異なるフォーマットでプロットしている。一般に、Kaplan-Meierプロットは発症週齢のデータを視覚的に伝達するには最も明確な方法である(
図3D参照)が、これらのプロットは、正常な歩行を保持した全てのマウスがX軸で特定した全期間、生存するという直感的な仮定に役立つ。この仮定はWTマウスについては真である(
図3D)が、KOマウスについてはそうではない(
図4C)。重要なことに、AAV9/ミニMECP2-miRARE処置KOマウスは、生存が延長したにも関わらず、重篤な歩行が発現したのは僅かであった。
図4Dは、高用量(1×10
12vg/マウス)のAAV9/ミニMECP2-miRAREがKOマウスで初期運動神経の改善の傾向(食塩水に対して、トライアル1、1日目)を生じることを示すグラフである。AAV9/ミニMECP2-miRAREはトライアルにわたって運動学習を改善しなかった。食塩水処置WT、食塩水処置KO、およびAAV9/ミニMECP2-miRARE処置KO群について、n=30、29、および9である。
図4Eは、処置群にわたって病変が観察されたことを示すグラフである。群のサイズが小さいので、miRAREがウイルス処置マウスの間で病変のリスクを低下させるか否かは明らかでない。(
図4B~4D)データは平均±SEMである。
【
図4C】AAV9/ミニMECP2-miRAREがKOマウスの生存を延長することを示す図である。
図4Aは、本開示のMECP2組成物によって処置したマウスの生存のグラフである。菱形は、主として重篤な尾の病変または尾の自己切断のために獣医によって要望された安楽死を示す。食塩水処置およびAAV9/ミニMECP2-miRARE処置されたKOマウスのメディアン生存は9.6週および15.0週である(Gehan-Breslow-Wilcoxon検定でp<0.02)。
図9に示す低用量と比較されたい。
図4Bは、いずれの処置もKO体重に有意に影響しなかったことを示すグラフである。
図4Bにおける1群あたりのnは、WT,0vg(20);KO,0vg(18);KO,1×10
12vg AAV9/MECP2(12);KO,1×10
12vg AAV9/ミニMECP2(12);およびKO,1×10
12vg AAV9/ミニMECP2-miRARE(12)である。
図4Aおよび
図4Bは、これらのマウスを並行して処置した際に、同じWT対照データが
図3に出現することを示す。
図4Cは、食塩水、AAV9/MECP2、AAV9/ミニMECP2、およびAAV9/ミニMECP2-miRAREで処置したマウスの間で、重篤な歩行(スコア=2)を達成する頻度が28%、50%、33%、および17%であったことを示すプロットである。マウスあたり1×10
12vgを投与した。黒色のバーは、重篤なクラスピングの発症の平均週齢を示す。各データ点は1匹のマウスを表す。マウスの割合(サブセット対全体群)を、各処置群について列記している。重篤な歩行を発現したAAV9/ミニMECP2-miRARE処置マウス(12匹中n=2)は、他の群の4~5週後にそうなった。この遅延は顕著に異なるが、確定的な結論を導くにはデータ点の数が少なすぎる。
図3Dと
図4Cは同じ種類のデータを示すが、
図4Cは異なるフォーマットでプロットしている。一般に、Kaplan-Meierプロットは発症週齢のデータを視覚的に伝達するには最も明確な方法である(
図3D参照)が、これらのプロットは、正常な歩行を保持した全てのマウスがX軸で特定した全期間、生存するという直感的な仮定に役立つ。この仮定はWTマウスについては真である(
図3D)が、KOマウスについてはそうではない(
図4C)。重要なことに、AAV9/ミニMECP2-miRARE処置KOマウスは、生存が延長したにも関わらず、重篤な歩行が発現したのは僅かであった。
図4Dは、高用量(1×10
12vg/マウス)のAAV9/ミニMECP2-miRAREがKOマウスで初期運動神経の改善の傾向(食塩水に対して、トライアル1、1日目)を生じることを示すグラフである。AAV9/ミニMECP2-miRAREはトライアルにわたって運動学習を改善しなかった。食塩水処置WT、食塩水処置KO、およびAAV9/ミニMECP2-miRARE処置KO群について、n=30、29、および9である。
図4Eは、処置群にわたって病変が観察されたことを示すグラフである。群のサイズが小さいので、miRAREがウイルス処置マウスの間で病変のリスクを低下させるか否かは明らかでない。(
図4B~4D)データは平均±SEMである。
【
図4D】AAV9/ミニMECP2-miRAREがKOマウスの生存を延長することを示す図である。
図4Aは、本開示のMECP2組成物によって処置したマウスの生存のグラフである。菱形は、主として重篤な尾の病変または尾の自己切断のために獣医によって要望された安楽死を示す。食塩水処置およびAAV9/ミニMECP2-miRARE処置されたKOマウスのメディアン生存は9.6週および15.0週である(Gehan-Breslow-Wilcoxon検定でp<0.02)。
図9に示す低用量と比較されたい。
図4Bは、いずれの処置もKO体重に有意に影響しなかったことを示すグラフである。
図4Bにおける1群あたりのnは、WT,0vg(20);KO,0vg(18);KO,1×10
12vg AAV9/MECP2(12);KO,1×10
12vg AAV9/ミニMECP2(12);およびKO,1×10
12vg AAV9/ミニMECP2-miRARE(12)である。
図4Aおよび
図4Bは、これらのマウスを並行して処置した際に、同じWT対照データが
図3に出現することを示す。
図4Cは、食塩水、AAV9/MECP2、AAV9/ミニMECP2、およびAAV9/ミニMECP2-miRAREで処置したマウスの間で、重篤な歩行(スコア=2)を達成する頻度が28%、50%、33%、および17%であったことを示すプロットである。マウスあたり1×10
12vgを投与した。黒色のバーは、重篤なクラスピングの発症の平均週齢を示す。各データ点は1匹のマウスを表す。マウスの割合(サブセット対全体群)を、各処置群について列記している。重篤な歩行を発現したAAV9/ミニMECP2-miRARE処置マウス(12匹中n=2)は、他の群の4~5週後にそうなった。この遅延は顕著に異なるが、確定的な結論を導くにはデータ点の数が少なすぎる。
図3Dと
図4Cは同じ種類のデータを示すが、
図4Cは異なるフォーマットでプロットしている。一般に、Kaplan-Meierプロットは発症週齢のデータを視覚的に伝達するには最も明確な方法である(
図3D参照)が、これらのプロットは、正常な歩行を保持した全てのマウスがX軸で特定した全期間、生存するという直感的な仮定に役立つ。この仮定はWTマウスについては真である(
図3D)が、KOマウスについてはそうではない(
図4C)。重要なことに、AAV9/ミニMECP2-miRARE処置KOマウスは、生存が延長したにも関わらず、重篤な歩行が発現したのは僅かであった。
図4Dは、高用量(1×10
12vg/マウス)のAAV9/ミニMECP2-miRAREがKOマウスで初期運動神経の改善の傾向(食塩水に対して、トライアル1、1日目)を生じることを示すグラフである。AAV9/ミニMECP2-miRAREはトライアルにわたって運動学習を改善しなかった。食塩水処置WT、食塩水処置KO、およびAAV9/ミニMECP2-miRARE処置KO群について、n=30、29、および9である。
図4Eは、処置群にわたって病変が観察されたことを示すグラフである。群のサイズが小さいので、miRAREがウイルス処置マウスの間で病変のリスクを低下させるか否かは明らかでない。(
図4B~4D)データは平均±SEMである。
【
図4E】AAV9/ミニMECP2-miRAREがKOマウスの生存を延長することを示す図である。
図4Aは、本開示のMECP2組成物によって処置したマウスの生存のグラフである。菱形は、主として重篤な尾の病変または尾の自己切断のために獣医によって要望された安楽死を示す。食塩水処置およびAAV9/ミニMECP2-miRARE処置されたKOマウスのメディアン生存は9.6週および15.0週である(Gehan-Breslow-Wilcoxon検定でp<0.02)。
図9に示す低用量と比較されたい。
図4Bは、いずれの処置もKO体重に有意に影響しなかったことを示すグラフである。
図4Bにおける1群あたりのnは、WT,0vg(20);KO,0vg(18);KO,1×10
12vg AAV9/MECP2(12);KO,1×10
12vg AAV9/ミニMECP2(12);およびKO,1×10
12vg AAV9/ミニMECP2-miRARE(12)である。
図4Aおよび
図4Bは、これらのマウスを並行して処置した際に、同じWT対照データが
図3に出現することを示す。
図4Cは、食塩水、AAV9/MECP2、AAV9/ミニMECP2、およびAAV9/ミニMECP2-miRAREで処置したマウスの間で、重篤な歩行(スコア=2)を達成する頻度が28%、50%、33%、および17%であったことを示すプロットである。マウスあたり1×10
12vgを投与した。黒色のバーは、重篤なクラスピングの発症の平均週齢を示す。各データ点は1匹のマウスを表す。マウスの割合(サブセット対全体群)を、各処置群について列記している。重篤な歩行を発現したAAV9/ミニMECP2-miRARE処置マウス(12匹中n=2)は、他の群の4~5週後にそうなった。この遅延は顕著に異なるが、確定的な結論を導くにはデータ点の数が少なすぎる。
図3Dと
図4Cは同じ種類のデータを示すが、
図4Cは異なるフォーマットでプロットしている。一般に、Kaplan-Meierプロットは発症週齢のデータを視覚的に伝達するには最も明確な方法である(
図3D参照)が、これらのプロットは、正常な歩行を保持した全てのマウスがX軸で特定した全期間、生存するという直感的な仮定に役立つ。この仮定はWTマウスについては真である(
図3D)が、KOマウスについてはそうではない(
図4C)。重要なことに、AAV9/ミニMECP2-miRARE処置KOマウスは、生存が延長したにも関わらず、重篤な歩行が発現したのは僅かであった。
図4Dは、高用量(1×10
12vg/マウス)のAAV9/ミニMECP2-miRAREがKOマウスで初期運動神経の改善の傾向(食塩水に対して、トライアル1、1日目)を生じることを示すグラフである。AAV9/ミニMECP2-miRAREはトライアルにわたって運動学習を改善しなかった。食塩水処置WT、食塩水処置KO、およびAAV9/ミニMECP2-miRARE処置KO群について、n=30、29、および9である。
図4Eは、処置群にわたって病変が観察されたことを示すグラフである。群のサイズが小さいので、miRAREがウイルス処置マウスの間で病変のリスクを低下させるか否かは明らかでない。(
図4B~4D)データは平均±SEMである。
【
図5】ランダムに選択した10個のヒト3’UTRが僅かのmiRNA標的しか共通に有しないことを示すグラフである。3’UTRを、ACTB(ベータ-アクチン)、ATF1(活性化転写因子1)、DAD1(細胞死に対するデフェンダー1)、DARS(アスパルチル-tRNAシンセターゼ)、GAPDH(グリセルアルデヒド-3-ホスフェートデヒドロゲナーゼ)、HSPA4(ヒートショックタンパク質ファミリーA(Hsp70)メンバー4)、MRPL9(ミトコンドリアルリボソーマルプロテインL9)、POLRIC(RNAポリメラーゼIおよびIIIサブユニットC)、PRKAG1(プロテインキナーゼAMP活性化非触媒性サブユニットガンマ1)、RPL5(リボソーマルプロテインL5)について検討した。
【
図6A】3’UTRの対の間で共有される標的の数を示す図である。
図6Aおよび
図6Bは、ランダムに選択したヒト遺伝子(
図6A)および精選したヒト遺伝子のリスト(
図6B)について示された、共有された標的の数を示す表である。
図6Aにおいて、3’UTRアンサンブル転写長さは224bp~2382bpの範囲である。
図6Bにおいて、精選した遺伝子のリストについての3’UTRは、共通した多くのmiRNA標的を有している。3’UTRアンサンブル転写長さは1960bp~8794bpの範囲である。
【
図6B】3’UTRの対の間で共有される標的の数を示す図である。
図6Aおよび
図6Bは、ランダムに選択したヒト遺伝子(
図6A)および精選したヒト遺伝子のリスト(
図6B)について示された、共有された標的の数を示す表である。
図6Aにおいて、3’UTRアンサンブル転写長さは224bp~2382bpの範囲である。
図6Bにおいて、精選した遺伝子のリストについての3’UTRは、共通した多くのmiRNA標的を有している。3’UTRアンサンブル転写長さは1960bp~8794bpの範囲である。
【
図7A】共有されたアノテートされた標的が、知的障害を媒介する遺伝子の3’UTRの間でより密に充填されていることを示す表である。(
図6Aおよび
図6B)共有された標的の数(
図6A~
図6Bを参照)を、カラムのヘッダーに列挙した遺伝子についての3’UTRアンサンブル転写物の長さで割って100倍することにより、UTR配列の100bp長さあたりの共有された標的の数を得た。個別のシードマッチによって多数の特有のmiRNAを同様または同一のシード配列に結合することができれば、100bpの配列の中に22個までの標的を収容することが可能である。ヒト配列のみを解析した。
【
図7B】共有されたアノテートされた標的が、知的障害を媒介する遺伝子の3’UTRの間でより密に充填されていることを示す表である。(
図6Aおよび
図6B)共有された標的の数(
図6A~
図6Bを参照)を、カラムのヘッダーに列挙した遺伝子についての3’UTRアンサンブル転写物の長さで割って100倍することにより、UTR配列の100bp長さあたりの共有された標的の数を得た。個別のシードマッチによって多数の特有のmiRNAを同様または同一のシード配列に結合することができれば、100bpの配列の中に22個までの標的を収容することが可能である。ヒト配列のみを解析した。
【
図8A】miRAREが処置されたWTマウスにおけるミニMECP2介在副反応に対して保護することを示す図である。
図8Aは、1×10
11vg/マウスのPHP.B/ミニMECP2が処置されたWTマウスにおいて体重減少を惹起することを示すグラフである(
*p≦0.05)。対照的に、PHP.B/EGFPおよびPHP.B/ミニMECP2-miRAREはよく忍容された。
図8Bは、PHP.B/ミニMECP2が処置されたWTマウスにおいて重症度スコアを増加させることを示すグラフである(
*p≦0.05)。対照的に、PHP.B/EGFPおよびPHP.B/ミニMECP2-miRAREはよく忍容された。同じ説明が、
図8Aおよび
図8Bに適用される。4匹のPHP.B/ミニMECP2処置マウスおよび3匹のPHP.B/ミニMECP2-miRARE処置マウスを、注射後3~4週で免疫蛍光解析のために還流した。
図8Cは、23週齢(研究の終了)まで生存したPHP.B/EGFP処置マウスのいずれも、重篤な異常歩行(スコア=2)を発現しなかったことを示すグラフである。比較のため、PHP.B/ミニMECP2処置マウスの78%およびPHP.B/ミニMECP2-miRARE処置マウスの33%が重篤な異常歩行を発現した。
図8Dは、PHP.B/EGFP処置マウスのいずれも、研究の終了までに重篤なクラスピング(スコア=2)を発現しなかったことを示すグラフである。miRAREは、ウイルス処置WTマウスの中で重篤なクラスピングの発症の頻度を低下させ、発症の週齢を遅延させ得る。(
図8Aおよび
図8B)データは平均±SEMである。同じ説明が
図8A~
図8Dに適用される。しかし、注射後3~4週で還流したマウスは
図8C~
図8Dから除外した。
図8Cおよび
図8Dにおいて、Kaplan-Meierプロットについて有意性を評価するために用いることができるGehan-Breslow-Wilcoxon検定を用いて、
*p<0.05。
【
図8B】miRAREが処置されたWTマウスにおけるミニMECP2介在副反応に対して保護することを示す図である。
図8Aは、1×10
11vg/マウスのPHP.B/ミニMECP2が処置されたWTマウスにおいて体重減少を惹起することを示すグラフである(
*p≦0.05)。対照的に、PHP.B/EGFPおよびPHP.B/ミニMECP2-miRAREはよく忍容された。
図8Bは、PHP.B/ミニMECP2が処置されたWTマウスにおいて重症度スコアを増加させることを示すグラフである(
*p≦0.05)。対照的に、PHP.B/EGFPおよびPHP.B/ミニMECP2-miRAREはよく忍容された。同じ説明が、
図8Aおよび
図8Bに適用される。4匹のPHP.B/ミニMECP2処置マウスおよび3匹のPHP.B/ミニMECP2-miRARE処置マウスを、注射後3~4週で免疫蛍光解析のために還流した。
図8Cは、23週齢(研究の終了)まで生存したPHP.B/EGFP処置マウスのいずれも、重篤な異常歩行(スコア=2)を発現しなかったことを示すグラフである。比較のため、PHP.B/ミニMECP2処置マウスの78%およびPHP.B/ミニMECP2-miRARE処置マウスの33%が重篤な異常歩行を発現した。
図8Dは、PHP.B/EGFP処置マウスのいずれも、研究の終了までに重篤なクラスピング(スコア=2)を発現しなかったことを示すグラフである。miRAREは、ウイルス処置WTマウスの中で重篤なクラスピングの発症の頻度を低下させ、発症の週齢を遅延させ得る。(
図8Aおよび
図8B)データは平均±SEMである。同じ説明が
図8A~
図8Dに適用される。しかし、注射後3~4週で還流したマウスは
図8C~
図8Dから除外した。
図8Cおよび
図8Dにおいて、Kaplan-Meierプロットについて有意性を評価するために用いることができるGehan-Breslow-Wilcoxon検定を用いて、
*p<0.05。
【
図8C】miRAREが処置されたWTマウスにおけるミニMECP2介在副反応に対して保護することを示す図である。
図8Aは、1×10
11vg/マウスのPHP.B/ミニMECP2が処置されたWTマウスにおいて体重減少を惹起することを示すグラフである(
*p≦0.05)。対照的に、PHP.B/EGFPおよびPHP.B/ミニMECP2-miRAREはよく忍容された。
図8Bは、PHP.B/ミニMECP2が処置されたWTマウスにおいて重症度スコアを増加させることを示すグラフである(
*p≦0.05)。対照的に、PHP.B/EGFPおよびPHP.B/ミニMECP2-miRAREはよく忍容された。同じ説明が、
図8Aおよび
図8Bに適用される。4匹のPHP.B/ミニMECP2処置マウスおよび3匹のPHP.B/ミニMECP2-miRARE処置マウスを、注射後3~4週で免疫蛍光解析のために還流した。
図8Cは、23週齢(研究の終了)まで生存したPHP.B/EGFP処置マウスのいずれも、重篤な異常歩行(スコア=2)を発現しなかったことを示すグラフである。比較のため、PHP.B/ミニMECP2処置マウスの78%およびPHP.B/ミニMECP2-miRARE処置マウスの33%が重篤な異常歩行を発現した。
図8Dは、PHP.B/EGFP処置マウスのいずれも、研究の終了までに重篤なクラスピング(スコア=2)を発現しなかったことを示すグラフである。miRAREは、ウイルス処置WTマウスの中で重篤なクラスピングの発症の頻度を低下させ、発症の週齢を遅延させ得る。(
図8Aおよび
図8B)データは平均±SEMである。同じ説明が
図8A~
図8Dに適用される。しかし、注射後3~4週で還流したマウスは
図8C~
図8Dから除外した。
図8Cおよび
図8Dにおいて、Kaplan-Meierプロットについて有意性を評価するために用いることができるGehan-Breslow-Wilcoxon検定を用いて、
*p<0.05。
【
図8D】miRAREが処置されたWTマウスにおけるミニMECP2介在副反応に対して保護することを示す図である。
図8Aは、1×10
11vg/マウスのPHP.B/ミニMECP2が処置されたWTマウスにおいて体重減少を惹起することを示すグラフである(
*p≦0.05)。対照的に、PHP.B/EGFPおよびPHP.B/ミニMECP2-miRAREはよく忍容された。
図8Bは、PHP.B/ミニMECP2が処置されたWTマウスにおいて重症度スコアを増加させることを示すグラフである(
*p≦0.05)。対照的に、PHP.B/EGFPおよびPHP.B/ミニMECP2-miRAREはよく忍容された。同じ説明が、
図8Aおよび
図8Bに適用される。4匹のPHP.B/ミニMECP2処置マウスおよび3匹のPHP.B/ミニMECP2-miRARE処置マウスを、注射後3~4週で免疫蛍光解析のために還流した。
図8Cは、23週齢(研究の終了)まで生存したPHP.B/EGFP処置マウスのいずれも、重篤な異常歩行(スコア=2)を発現しなかったことを示すグラフである。比較のため、PHP.B/ミニMECP2処置マウスの78%およびPHP.B/ミニMECP2-miRARE処置マウスの33%が重篤な異常歩行を発現した。
図8Dは、PHP.B/EGFP処置マウスのいずれも、研究の終了までに重篤なクラスピング(スコア=2)を発現しなかったことを示すグラフである。miRAREは、ウイルス処置WTマウスの中で重篤なクラスピングの発症の頻度を低下させ、発症の週齢を遅延させ得る。(
図8Aおよび
図8B)データは平均±SEMである。同じ説明が
図8A~
図8Dに適用される。しかし、注射後3~4週で還流したマウスは
図8C~
図8Dから除外した。
図8Cおよび
図8Dにおいて、Kaplan-Meierプロットについて有意性を評価するために用いることができるGehan-Breslow-Wilcoxon検定を用いて、
*p<0.05。
【
図9】1×10
11vg/マウスでは、髄腔内処置のいずれも、KOの生存の延長において有効でなかったことを示すグラフである。菱形は、獣医の要望による安楽死を示す。同じ食塩水処置対照群は、
図3~
図4に現れている。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本開示はとりわけ、MeCP2および/またはMeCP2由来のポリペプチドをコードする核酸配列を含むトランスジーン核酸分子を含む単離されたポリヌクレオチド、組み換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)ベクター、ならびにrAAVウイルスベクターを提供する。本開示はまた、これらの単離されたポリヌクレオチド、rAAVベクター、およびrAAVウイルスベクターを製造する方法、ならびにMECP2遺伝子の喪失および/または機能不全に付随する疾患を含む疾患または障害を処置または防止するためにトランスジーンを送達するためのそれらの使用を提供する。
【0023】
RTT遺伝子療法およびその他の用量感受性遺伝子療法に関連するトランスジーンの過発現の可能性を最小化するために、高スループットのプロファイリングおよびゲノムマイニングに根ざす、リスクによって推進されるウイルスゲノム設計戦略を用いて、コンパクトな合成miRNA標的パネル(miR-応答性自己制御性エレメント、「miRARE」)を合理的に開発した。ミニMECP2遺伝子発現カセットへのmiRAREの挿入により、効率を犠牲にすることなく、ミニMECP2遺伝子の導入の安全性が大きく改善される。重要なことに、このビルトイン制御システムは追加の外因性薬物の適用を何ら必要とせず、miRNAはトランスジーンカセットから発現しない。
【0024】
AAV9媒介遺伝子導入の効率を改善する1つの戦略は、AAV9カプシドと自己相補性(sc)ウイルスゲノムとを対にすることである。一本鎖AAV(ssAAV)と比較して、自己相補性AAV(scAAV)はより小さなウイルスゲノムのパッケージ容量(約2.2kb)を有しているが、宿主細胞中において速度を制限する第2鎖合成をバイパスする能力を有しているので、より効率的な形質導入が可能になる。約1.5kbのMECP2遺伝子がウイルスゲノムカセット中に含まれる5’および3’の制御エレメントの大きさを制限するので、scAAVのパッケージ容量の低減は、MECP2ウイルスゲノムの設計を導くために重要である。治療用のミニMECP2遺伝子(約0.5kb)によって、新規な制御エレメントを挿入してRTT遺伝子療法の治療インデックスを改善するためのさらなるスペースがscウイルスゲノムの中に解放される。
【0025】
AAV9/MECP2およびミニMECP2遺伝子療法は、KOマウスの生存を延長することが示されている。新生児期に投与されたKOマウスでは、顕著な副反応は少なく、生存および行動における恩恵が実現されている。しかし、ヒトへの変換のためにより関連性が高い4~5週齢でマウスを処置した場合には、生存の恩恵には顕著な副反応(死亡を含む)および明確な行動の救済の欠如が伴っていた。さらに、この明確な行動の救済の欠如(AAV9媒介遺伝子導入に関連する)は、若年期に処置されたKOマウスとT158M MeCP2発現RTTマウスの両方にわたって観察された。AAV9/EGFP(AAV9/MECP2ではなく)の高いCSF内の用量はWTマウスでよく忍容されるので、これらの用量依存性副反応はMeCP2の過発現に直接よっていることが最も考えられる。数年間の候補MECP2ベクターの反復された完全な要因評価の後で、この分野は今でも、16年前に遡るMeCP2の過発現の研究から予測される同じジレンマと闘っている。MeCP2をコードする高用量のベクターは有害である可能性があり、低用量では効果がない可能性がある。明らかに、この持続するジレンマは、安全性を犠牲にすることなく効率を可能にする革新的なウイルスゲノム設計戦略を正当化する。
【0026】
本明細書では、ウイルスゲノムの3’非翻訳領域(UTR)にmiRNA標的を挿入することによって、遺伝子の過発現に関連する毒性を防止するための組成物および方法が提供される。内因性miRNAはウイルスゲノムにコードされたメッセンジャーRNA(mRNA)中の標的と塩基対を形成し、究極的にはRNA干渉(RNAi)によってタンパク質の発現レベルを低下させることができる。CNS等の系の中でMECP2等の外因性遺伝子を条件付きで制御するmiRNA標的パネルが提供される。これらの標的パネルは、遺伝子およびミニMECP2等の発現カセットの有害な過発現を和らげる一方、十分なトランスジーン発現を可能にして、MECP2またはミニMECP2対照ベクター等の対照ベクターの治療効果と同様またはこれより大きい治療効果を発揮させることができる。遺伝子および発現カセットの発現(たとえばミニMeCP2の発現)を制御するために、高スループットのプロファイリングおよびゲノムマイニングに根ざす、リスクによって推進されるウイルスゲノム設計戦略を用いて、新規なmiRNA標的パネル(miR-応答性自己制御エレメント、または「miRARE」と命名)を開発した。遺伝子の過発現(たとえばMeCP2の過発現)に関与する負のトランスジーン制御のフィードバック機構。本明細書に記載したデータは、miRAREが若年マウスの脳脊髄液内(CSF内)注射の後の効率を犠牲にすることなく、scAAV9/ミニMECP2遺伝子療法の安全性を改善することを示している。
【0027】
本明細書で使用される用語「アデノ随伴ウイルス」または「AAV」は、この名称に付随し、パルボウイルス(Parvoviridae)ファミリーのデペンドパルボウイルス(Dependoparvovirus)属に属するウイルスのクラスのメンバーを指す。アデノ随伴ウイルスは、細胞中で増殖する一本鎖DNAウイルスであり、その中である種の機能が共感染するヘルパーウイルスによって提供される。AAVに関する一般的な情報および総説は、たとえばCarter,1989,Handbook of Parvoviruses,1巻,169~228頁およびBerns,1990,Virology,1743~1764頁,Raven Press(New York)に見出すことができる。種々の血清型が、遺伝子レベルであっても、構造的および機能的両方に極めて密接に関連していることがよく知られているので、これらの総説に記載された同じ原理が総説の発行日以後に特徴解析されたさらなるAAVの血清型に適用可能であることが、完全に期待される(たとえばBlacklowe,1988,Parvoviruses and Human Disease,J.R.Pattison編,165~174頁、およびRose,Comprehensive Virology 3:1~61頁(1974)を参照)。たとえば、全てのAAV血清型は同種rep遺伝子によって媒介される極めて類似した複製特性を明らかに呈し、全てが、AAV2で発現されるもののような3つの関連するカプシドタンパク質を有している。ゲノムの長さに沿った血清型の間の広範な交叉ハイブリダイゼーションおよび「逆転ターミナルリピート配列」(ITR)に対応する末端における類似の自己アニール性セグメントの存在を明らかにするヘテロデュプレックス解析によって、関連性の程度がさらに示唆されている。類似した感染性パターンも、各血清型における複製機能が同様の規制制御の下にあることを示唆している。このウイルスの多数の血清型が遺伝子送達に適していることが知られており、全ての既知の血清型が種々の組織型の細胞に感染することができる。連続的に番号付けされた少なくとも11個のAAV血清型が当技術で知られている。本明細書で開示した方法において有用な非限定的な例示的血清型には、11個の血清型、たとえばAAV2、AAV8、AAV9、またはバリアント血清型、たとえばAAV-DJおよびAAV PHP.Bのいずれかが含まれる。AAV粒子は、3つの主要なウイルスタンパク質、即ちVP1、VP2、およびVP3を含むか、実質的にそれらからなるか、またはそれらからなる。一部の態様では、AAVは、血清型AAV1、AAV2、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、AAV12、AAV13、AAVPHP.B、AAVrh74、またはAAVrh.10を指す。
【0028】
例示的なアデノ随伴ウイルスおよび組み換えアデノ随伴ウイルスには、それだけに限らないが、全ての血清型(たとえばAAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、AAV12、AAV13、AAVPHP.B、AAVrh74、およびAAVrh.10)が含まれる。例示的なアデノ随伴ウイルスおよび組み換えアデノ随伴ウイルスには、それだけに限らないが、自己相補性AAV(scAAV)および1つの血清型のゲノムと別の血清型のカプシドとを含むAAVハイブリッド(たとえばAAV2/5、AAV-DJ、およびAAV-DJ8)が含まれる。例示的なアデノ随伴ウイルスおよび組み換えアデノ随伴ウイルスには、それだけに限らないが、rAAV-LK03、AAV-KP-1(Kerunら.JCI Insight,2019;4(22):e131610に詳細に記載)およびAAV-NP59(Paulkら.Molecular Therapy,2018;26(1):289~303頁に詳細に記載)が含まれる。
【0029】
AAVの構造および機能
AAVは複製欠損性のパルボウイルスであり、その一本鎖DNAゲノムは約4.7kbの長さで、2つの145ヌクレオチド逆転ターミナルリピート(ITR)を含む。AAVには多数の血清型が存在する。AAV血清型のゲノムのヌクレオチド配列は既知である。たとえば、AAV-1の完全ゲノムはGenBank受託番号NC_002077で提供され、AAV-2の完全ゲノムはGenBank受託番号NC_001401およびSrivastavaら,J.Virol.,45:555~564頁(1983)で提供され、AAV-3の完全ゲノムはGenBank受託番号NC_l829で提供され、AAV-4の完全ゲノムはGenBank受託番号NC_001829で提供され、AAV-5ゲノムはGenBank受託番号AF085716で提供され、AAV-6の完全ゲノムはGenBank受託番号NC_001862で提供され、AAV-7およびAAV-8のゲノムの少なくとも一部はそれぞれGenBank受託番号AX753246およびAX753249で提供され、AAV-9のゲノムはGaoら,J.Virol.,78:6381~6388頁(2004)で提供され、AAV-10のゲノムはMol.Ther.,13(1):67~76頁(2006)で提供され、AAV-11のゲノムはVirology,330(2):375~383頁(2004)で提供されている。AAV rh.74ゲノムの配列は米国特許第9,434,928号で提供されている。米国特許第9,434,928号は、カプシドタンパク質および自己相補性ゲノムの配列も提供している。一態様では、AAVゲノムは自己相補性ゲノムである。ウイルスDNA複製(rep)、カプシド封入/パッケージング、および宿主細胞染色体の一体化を指示するシス作用性配列は、AAV ITRの中に含まれている。3つのAAVプロモーター(それらの相対的なマップ位置によってp5、p19、およびp40と命名)は、repおよびcap遺伝子をコードする2つのAAV内部オープンリーディングフレームの発現を推進する。単一のAAVイントロンの(ヌクレオチド2107および2227における)差別的スプライシングと一体になった2つのrepプロモーター(p5およびp19)は、rep遺伝子からの4つのrepタンパク質(rep78、rep68、rep52、およびrep40)の産生をもたらす。repタンパク質は、究極的にはウイルスゲノムの複製に関与する多種の酵素特性を有している。
【0030】
cap遺伝子はp40プロモーターから発現され、3つのカプシドタンパク質、即ちVP1、VP2、およびVP3をコードする。選択的なスプライシングおよび非コンセンサス翻訳開始部位が、この3つの関連するカプシドタンパク質の産生に関与している。より具体的には、VP1、VP2、およびVP3タンパク質のそれぞれがそれから翻訳される単一のmRNAが転写された後で、このmRNAは2つの異なる様式でスプライシングされ得る。長いイントロンまたは短いイントロンが切除され、mRNAの2つのプール、即ち2.3kbと2.6kbの長さのmRNAプールの形成がもたらされる。長いイントロンが好ましいことが多く、したがって2.3kbの長さのmRNAは主要なスプライスバリアントと称され得る。この形態はVP1タンパク質の合成がそれから始まる第1のAUGコドンを欠き、VP1タンパク質合成の全体のレベルの低下をもたらす。主要なスプライスバリアントに残る第1のAUGコドンは、VP3タンパク質の開始コドンである。しかし、同じオープンリーディングフレーム中のそのコドンの上流には、最適のKozak(翻訳開始)コンテクストによって囲まれたACG配列(スレオニンをコードする)が存在する。これはVP2タンパク質の合成の低いレベルに寄与する。VP2タンパク質は実際上、それぞれが参照により本明細書に組み込まれるBecerra SPら,(1985年12月).“Direct mapping of adeno-associated virus capsid proteins B and C: a possible ACG initiation codon”.Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America.82(23):7919~23頁;Cassinotti Pら,(1988年11月).“Organization of the adeno-associated virus (AAV) capsid gene: mapping of a minor spliced mRNA coding for virus capsid protein 1”.Virology.167(1):176~84頁;Muralidhar Sら,(1994年1月).“Site-directed mutagenesis of adeno-associated virus type 2 structural protein initiation codons: effects on regulation of synthesis and biological activity”.Journal of Virology.68(1):170~6頁;およびTrempe JP,Carter BJ(1988年9月).“Alternate mRNA splicing is required for synthesis of adeno-associated virus VP1 capsid protein”.Journal of Virology.62(9):3356~63頁に記載されているように、VP1と同じく、VP3タンパク質にN末端残基が付加されたものである。単一のコンセンサスポリA部位は、AAVゲノムのマップ位置95に位置している。AAVのライフサイクルおよび遺伝的特徴は、Muzyczka,Current Topics in Microbiology and Immunology,158:97~129頁(1992)に概説されている。
【0031】
それぞれのVP1タンパク質は、VP1部分、VP2部分、およびVP3部分を含む。VP1部分は、VP1タンパク質に特有のVP1タンパク質のN末端部分である。VP2部分は、VP2タンパク質のN末端部分にも見出される、VP1タンパク質の中に存在するアミノ酸配列である。VP3部分とVP3タンパク質は同じ配列を有する。VP3部分は、VP1タンパク質とVP2タンパク質に共有されるVP1タンパク質のC末端部分である。
【0032】
VP3タンパク質は、不連続の可変表面領域I~IX(VR-I~IX)にさらに分割することができる。可変表面領域(VR)のそれぞれは、その内容が参照により本明細書に組み込まれるDiMattaら,“Structural Insight into the Unique Properties of Adeno-Associated Virus Serotype 9”J.Virol.,Vol.86(12):6947~6958頁,2012年6月に記載されているように、単独でまたは他のVRのそれぞれの特定のアミノ酸配列との組合せで、特有の感染表現型(たとえば低下した抗原性、改善された形質導入および/または他のAAV血清型と比較した組織特異的向性)を特定の血清型に付与することができる特定のアミノ酸配列を含み得る。
【0033】
AAVは、たとえば遺伝子療法において外来のDNAを細胞に送達するためのベクターとしてこれを魅力的なものにする固有の特徴を有している。培養における細胞のAAV感染は細胞変性を起こさず、ヒトおよびその他の動物の天然の感染は症状がなく無症候性である。さらに、AAVは多くの哺乳動物細胞に感染してin vivoで多くの異なる組織を標的とすることを可能にする。さらに、AAVは分裂している細胞および分裂していない細胞にゆっくりと形質導入し、実質的にこれらの細胞の生涯にわたって転写活性の核エピソーム(染色体外エレメント)として持続することができる。AAVのプロウイルスゲノムはクローン化されたDNAとしてプラスミド中に挿入され、それにより組み換えゲノムの構築が実行可能になる。さらに、AAVの複製とゲノムのカプシド封入を指示するシグナルがAAVゲノムのITRの中に含まれているので、ゲノムの内部の約4.3kbの一部または全部(複製および構造のカプシドタンパク質、rep-capをコードする)を外来のDNAで置き換えて、AAVベクターを生成することができる。repおよびcapのタンパク質はトランスで提供され得る。AAVの別の顕著な特徴は、これが極めて安定で元気なウイルスであることである。これはアデノウイルスを不活化するために用いられる条件(56~65℃で数時間)に容易に耐え、AAVの低温保存の問題を重要でなくしている。AAVは凍結乾燥することさえできる。最後に、AAVに感染した細胞は重複感染に抵抗しない。
【0034】
多くの研究が筋肉における長期(1.5年超)の組み換えAAV媒介タンパク質発現を実証している。Clarkら,Hum Gene Ther,8:659~669頁(1997);Kesslerら,Proc Nat. Acad Sc.USA,93:14082~14087頁(1996);およびXiaoら,J Virol,70:8098~8108頁(1996)を参照されたい。Chaoら,Mol Ther,2:619~623頁(2000)およびChaoら,Mol Ther,4:217~222頁(2001)も参照されたい。さらに、筋肉は高度に血管新生しているので、Herzogら,Proc Natl Acad Sci USA,94:5804~5809頁(1997)およびMurphyら,Proc Natl Acad Sci USA,94:13921~13926頁(1997)に記載されているように、組み換えAAV形質導入によって、筋肉内注射の後の全身循環におけるトランスジーン産生物の出現がもたらされた。さらに、Lewisら,J Virol,76:8769~8775頁(2002)は、骨格筋筋線維が抗体の正しいグリコシル化、フォールディング、および分泌のために必要な細胞性因子を有していることを実証し、筋肉が分泌されたタンパク質治療剤を安定的に発現することができることを示した。本発明の組み換えAAV(rAAV)ゲノムは、治療用タンパク質をコードする核酸分子(たとえばGAT1)および核酸分子の側にある1つまたは複数のAAV ITRを含むか、実質的にそれらからなるか、またはそれからなる。偽型rAAVの産生は、たとえばWO2001083692に開示されている。その他の型のrAAVバリアント、たとえばカプシド変異を有するrAAVも意図されている。たとえばMarsicら,Molecular Therapy,22(11):1900~1909頁(2014)を参照されたい。種々のAAV血清型のゲノムのヌクレオチド配列は、当技術で既知である。
【0035】
トランスジーン配列を含む単離されたポリヌクレオチド
本開示は、少なくとも1つのトランスジーン核酸分子を含む単離されたポリヌクレオチドを提供する。
【0036】
一部の態様では、トランスジーン核酸分子は、MeCP2ポリペプチドおよび/もしくはMeCP2由来ポリペプチドをコードする核酸配列またはその少なくとも1つの断片を含み得る。一部の態様では、トランスジーン核酸分子は、MeCP2ポリペプチドおよび/またはMeCP2由来ポリペプチドの生物学的等価物をコードする核酸配列を含み得る。MeCP2由来ポリペプチドは、機能に絶対的に必須のドメインのみを含むように、野生型MeCP2ポリペプチドに基づいて具体的に設計されたポリペプチドであってよい。このように、MeCP2由来ポリペプチドは内因性の野生型MeCP2ポリペプチドより小さなものにすることができ、とりわけ、in vivoでの発現および固有の大きさの拘束のあるベクター(それだけに限らないがAAVベクター等)に効率的にパッケージされる能力の増大がもたらされる。
【0037】
一部の態様では、MeCP2由来ポリペプチドは、これ以降「ミニMeCP2」ポリペプチドと称するヒトMeCP2アイソフォーム由来ミニMeCP2ポリペプチドであってよい。
【0038】
一部の態様では、ミニMeCP2ポリペプチドは、配列番号1または配列番号2で表されるアミノ酸配列と少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%(またはその間の任意のパーセンテージ)同一のアミノ酸配列またはその断片を含むか、実質的にそれらからなるか、またはそれらからなる。一部の態様では、ミニMeCP2ポリペプチドは、配列番号1で表されるアミノ酸配列の少なくとも一部と少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%(またはその間の任意のパーセンテージ)同一のアミノ酸配列またはその断片を含むか、実質的にそれらからなるか、またはそれらからなる。
【0039】
一部の態様では、ミニMeCP2ポリペプチドをコードする核酸配列は、配列番号3、配列番号4、または配列番号28で表される核酸配列と少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%(またはその間の任意のパーセンテージ)同一の核酸配列を含むか、実質的にそれらからなるか、またはそれらからなる。一部の態様では、ミニMeCP2ポリペプチドをコードする核酸配列は、配列番号3で表される核酸配列と少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%(またはその間の任意のパーセンテージ)同一の核酸配列を含むか、実質的にそれらからなるか、またはそれらからなる。一部の態様では、ミニMeCP2ポリペプチドをコードする核酸配列は、配列番号28で表される核酸配列と少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%(またはその間の任意のパーセンテージ)同一の核酸配列を含むか、実質的にそれらからなるか、またはそれらからなる。
【0040】
一部の態様では、MeCP2ポリペプチドおよび/またはMeCP2由来ポリペプチドをコードする核酸配列は、MeCP2ポリペプチドおよび/またはMeCP2由来ポリペプチドをコードするコドン最適化された核酸配列であってよい。MeCP2ポリペプチドをコードするコドン最適化された核酸配列は、MeCP2ポリペプチドをコードする野生型ヒト核酸配列と65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%(またはその間の任意のパーセンテージ)を超えず同一の核酸配列を含むか、実質的にそれらからなるか、またはそれらからなってよい。本明細書で使用する場合、「MeCP2ポリペプチドをコードする野生型ヒト核酸配列」は、ヒトゲノムにおけるMECP2ポリペプチドをコードする核酸配列を指す。
【0041】
一部の態様では、MeCP2ポリペプチドおよび/またはMeCP2由来ポリペプチドをコードするコドン最適化された核酸配列は、ドナースプライス部位を含まなくてよい。一部の態様では、MeCP2ポリペプチドおよび/またはMeCP2由来ポリペプチドをコードするコドン最適化された核酸配列は、約1個、または約2個、または約3個、または約4個、または約5個、または約6個、または約7個、または約8個、または約9個、または約10個を超えないドナースプライス部位を含んでよい。一部の態様では、MeCP2ポリペプチドおよび/またはMeCP2由来ポリペプチドをコードするコドン最適化された核酸配列は、MeCP2ポリペプチドおよび/またはMeCP2由来ポリペプチドをコードする野生型ヒト核酸配列と比較して、少なくとも1個、または少なくとも2個、または少なくとも3個、または少なくとも4個、または少なくとも5個、または少なくとも6個、または少なくとも7個、または少なくとも8個、または少なくとも9個、または少なくとも10個少ないドナースプライス部位を含む。理論に縛られることは望まないが、曖昧なスプライシングが防止されるので、コドン最適化された核酸配列におけるドナースプライス部位の除去によって、in vivoにおけるMeCP2ポリペプチドおよび/またはMeCP2由来ポリペプチドの発現を予想外かつ予測外に増加させることができる。さらに、曖昧なスプライシングは様々な対象の間で変動することがあり、ドナースプライス部位を含むMeCP2ポリペプチドおよび/またはMeCP2由来ポリペプチドの発現レベルは様々な対象の間で予測外に変動することがあることを意味している。
【0042】
一部の態様では、MeCP2ポリペプチドおよび/またはMeCP2由来ポリペプチドをコードするコドン最適化された核酸配列は、MeCP2ポリペプチドをコードする野生型ヒト核酸配列のGC含量と異なるGC含量を有し得る。一部の態様では、MeCP2ポリペプチドおよび/またはMeCP2由来ポリペプチドをコードするコドン最適化された核酸配列のGC含量は、MeCP2ポリペプチドをコードする野生型ヒト核酸配列と比較して、核酸配列全体にわたってより均一に分布している。理論に縛られることは望まないが、核酸配列全体にわたってGC含量をより均一に分布させることによって、コドン最適化された核酸配列は転写物の長さにわたってより均一な融解温度(「Tm」)を呈する。核酸配列の転写および/または翻訳はポリメラーゼおよび/またはリボソームの停滞をあまり伴わずに起こるので、融解温度の均一性は、予期しないことに、ヒト対象におけるコドン最適化された核酸の発現の増大をもたらす。
【0043】
一部の態様では、MeCP2ポリペプチドおよび/またはMeCP2由来ポリペプチドをコードするコドン最適化された核酸配列は、MeCP2ポリペプチドをコードする野生型またはコドン最適化されていない核酸配列に対して、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも50%、少なくとも75%、少なくとも100%、少なくとも200%、少なくとも300%、少なくとも500%、または少なくとも1000%増大したヒト対象における発現を呈する。
【0044】
一部の態様では、MeCP2ポリペプチドおよび/またはMeCP2由来ポリペプチドは、タンパク質タグをさらに含み得る。理論に縛られることは望まないが、タンパク質タグを含ませることによって、外因性MeCP2ポリペプチドの検出および/または可視化が可能になる。当業者には認識されるように、タンパク質タグの非限定的な例には、Mycタグ、ポリヒスチジンタグ、FLAGタグ、HAタグ、SBPタグ、または当技術で既知の任意の他のタグが含まれる。非限定的な例では、MeCP2ポリペプチドおよび/またはMeCP2由来ポリペプチドは、Mycタグをさらに含み得る。一部の態様では、Mycタグは、配列番号5で表されるアミノ酸配列と少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%(またはその間の任意のパーセンテージ)同一のアミノ酸配列を含むか、実質的にそれらからなるか、またはそれらからなる。
【0045】
したがって、一部の態様では、MeCP2ポリペプチドおよび/またはMeCP2由来ポリペプチドをコードする核酸配列は、mycタグをコードする核酸配列をさらに含み得る。一部の態様では、mycタグをコードする核酸配列は、配列番号6で表される核酸配列と少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%(またはその間の任意のパーセンテージ)同一の核酸配列を含むか、実質的にそれらからなるか、またはそれらからなる。
【0046】
制御配列をコードする単離されたポリヌクレオチド
本開示は、少なくとも1つの制御配列を含む単離されたポリヌクレオチドを提供する。
【0047】
一部の態様では、制御配列は、少なくとも1つのmiRNA結合部位を含むか、実質的にそれからなるか、またはそれからなってよい。「miRNA結合部位」は、目的のmiRNAのポリヌクレオチドへのアニーリングおよび引き続くトランスジーンの下方制御を確実にするために十分なmiRNAの配列への相補性を有するポリヌクレオチド配列である。
【0048】
一部の態様では、miRNA結合部位は、表1に示す配列番号7、8、9、10、11、および12のいずれか1つで表される核酸配列と少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%(またはその間の任意のパーセンテージ)同一の核酸配列を含むか、実質的にそれらからなるか、またはそれらからなる。
【0049】
【0050】
一部の態様では、制御配列は、少なくとも2個、または少なくとも3個、または少なくとも4個、または少なくとも5個、または少なくとも6個、または少なくとも7個、または少なくとも8個、または少なくとも9個、または少なくとも10個のmiRNA結合部位を含むか、実質的にそれらからなるか、またはそれらからなり得る。一部の態様では、制御配列は、配列番号7、8、9、10、11、および12で表されるmiRNA結合部位のそれぞれを含むか、それらからなるか、または実質的にそれらからなり得る。したがって、一部の態様では、制御配列は、配列番号7、配列番号8,配列番号9、配列番号10、配列番号11、および配列番号12のうち1つもしくは複数、またはそれらの任意の組合せを含み得る。一部の態様では、制御配列は、配列番号7、配列番号8,配列番号9、配列番号10、配列番号11、および配列番号12のそれぞれを含み得る。
【0051】
一部の態様では、miRNA結合部位は、フランキング配列に隣接して位置してよい。フランキング配列は、miRNA結合部位の前(5’)、miRNA結合部位の後(3’)、またはmiRNA結合部位の前および後の両方で生じ得る。フランキング配列は約5~約35ヌクレオチドまたは約9~約29ヌクレオチドを含み得る。
【0052】
本明細書では、「Reg2配列」または「Reg2パネル」と称する制御配列が提供される。一部の態様では、Reg2配列は、let-7-5p miRNA(またはmiR-98-5p)、miR-218-5p、miR-9-5p、miR-26-5p、miR-23-3p、miR-27-3p、または本明細書に記載したmiRNAと類似のシード配列を有するその他のmiRNAに結合することが予測される6個の結合部位を含み得る。
【0053】
一部の態様では、Reg2配列は、配列番号13で表される核酸配列と少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%(またはその間の任意のパーセンテージ)同一の核酸配列を含むか、実質的にそれらからなるか、またはそれらからなる。配列番号13を以下に示し、配列番号7~12のmiRNA結合部位に下線を付している。下線を付していない配列番号13の部分はフランキング配列である。
CTGTTCTAGCCCCCAAAGAGTTTTCTGTGCTTGCTTTTGAAACTTGAAGTCTTGAAAACCAAAGACATAGATGTGAAAATTTTAGGCAGTGTAAGCTGATAGCACAAGTTCTGGCGACTCACAATTATGCTGTGAATTTTACAAAAAGAAGCAGTAATCTACCTCAGCCGATAAC(配列番号13)
【0054】
一部の態様では、Reg2配列は、配列番号7、8、9、10、11、および12のうち1つもしくは複数またはそれらの任意の組合せを含む核酸配列を含むか、実質的にそれらからなるか、またはそれらからなる。一部の態様では、フランキング配列は配列番号8に示す配列に限定されず大きく変動してよく、特に制限されない。したがって、一実施形態では、Reg2配列は、その配列が特に限定されない約9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、またはそれ以上の側面ヌクレオチドによって分離された(即ちそれぞれの結合部位の前(5’)および後(3’)で生じる)配列番号7~12のうち1つまたは複数を有するポリペプチドを含む。一部の態様では、Reg2配列は、配列番号15、16、17、18、19、および20のうちいずれか1つで表される核酸配列と少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%(またはその間の任意のパーセンテージ)同一の核酸配列を含むか、実質的にそれらからなるか、またはそれらからなる。一実施形態では、Reg2配列は、配列番号8で示されるフランキング配列(即ち、上に示す下線を付していないポリヌクレオチド)と少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%(またはその間の任意のパーセンテージ)同一の核酸配列を含むか、実質的にそれらからなるか、またはそれらからなる。
【0055】
一部の態様では、制御配列はRDH1pAエレメントを含むか、実質的にそれからなるか、またはそれからなる。RDH1pAエレメントは、高度に保存されたMECP2末梢ポリアデニル化シグナルの110bpならびにMECP2の3’UTRに内因性であることが予測されまたは示された3つの追加的なmiRNA標的、即ちmiR-19、miR-22、およびmiR-132のための部位を含む上流のmiRNA結合パネルを含む合成の3’UTRである。一部の態様では、RDH1pAエレメント配列は、配列番号14で表される核酸配列と少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%(またはその間の任意のパーセンテージ)同一の核酸配列を含むか、実質的にそれらからなるか、またはそれらからなる。
【0056】
一部の態様では、配列番号14のRDH1pAエレメントは、2つの構成成分、即ち以下「RDH1pA miRNA結合部位配列」と称する第1の成分、および本明細書で「MECP2下流ポリA(pA)配列」と称する第2の成分に分離することができる。
【0057】
一部の態様では、RDH1pA miRNA結合部位配列は、配列番号15で表される核酸配列と少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%(またはその間の任意のパーセンテージ)同一の核酸配列を含むか、実質的にそれらからなるか、またはそれらからなる。
【0058】
一部の態様では、MECP2下流ポリA(pA)配列は、配列番号16で表される核酸配列と少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%(またはその間の任意のパーセンテージ)同一の核酸配列を含むか、実質的にそれらからなるか、またはそれらからなる。
【0059】
一部の態様では、制御配列はReg2配列とRDH1pAエレメントの両方を含み得る。一部の態様では、Reg2配列は、RDH1pAエレメントの第1の成分(RDH1pA miRNA結合部位配列)とRDH1pAの第2の成分(MECP2下流ポリA(pA)配列)との間に位置し得る。Reg2配列は、RDH1pAエレメントの成分の一方または両方に直接隣接してよく、またはRDH1pAエレメントの成分の一方または両方から約2~10ヌクレオチドだけ離れていてもよい。
【0060】
したがって、制御配列は、5’から3’の方向に、配列番号15、続いて配列番号13、続いて配列番号16を含み得る。そのような制御配列は、配列番号17で表される核酸配列と少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%(またはその間の任意のパーセンテージ)同一の核酸配列を含むか、実質的にそれらからなるか、またはそれらからなってよい。
【0061】
AAVベクター
一部の態様では、本明細書に記載した少なくとも1つのトランスジーン核酸分子を含む単離されたポリヌクレオチドは、組み換えAAV(rAAV)ベクターであり得る。
【0062】
本明細書で使用される場合、用語「ベクター」は、元のままのレプリコンを含むか、実質的にそれからなるか、またはそれからなる核酸であって、それによりベクターが、細胞内に入れられた場合に、たとえばトランスフェクション、感染、または形質転換のプロセスによって複製される、核酸を指す。いったん細胞内に入れば、ベクターは染色体外(エピソーマル)エレメントとして複製され、または宿主細胞の染色体内に統合され得ることが当技術で理解されている。ベクターには、レトロウイルス、アデノウイルス、ヘルペスウイルス、バキュロウイルス、改変されたバキュロウイルス、パポバウイルス、またはその他に改変された天然産生のウイルスから誘導される核酸が含まれ得る。核酸を送達するための例示的な非ウイルスベクターには、裸のDNA、単独もしくはカチオン性ポリマーと組み合わせたカチオン性脂質とのDNAの複合体、アニオン性およびカチオン性のリポソーム、DNA-タンパク質複合体、ならびに不均一なポリリジン、定義された長さのオリゴペプチド、およびポリエチレンイミン等のカチオン性ポリマーと縮合し、ある場合にはリポソームに含まれるDNAを含むか、実質的にそれからなるか、またはそれからなる粒子、ならびにウイルスおよびポリリジン-DNAを含むか、実質的にそれからなるか、またはそれからなる三元複合体の使用が含まれる。
【0063】
一般的な組み換え手法に関しては、プロモーターとその中にポリヌクレオチドを作動可能に連結することができるクローニング部位との両方を含むベクターは、当技術で周知である。そのようなベクターはin vitroまたはin vivoでRNAを転写することができ、Agilent Technologies社(Santa Clara,Calif)およびPromega Biotech社(Madison,Wis.)等の供給元から市販されている。発現および/またはin vitroでの転写を最適化するため、クローニングされたトランスジーンの5’および/または3’の翻訳されない部分を除去、付加、または変化させて、余分で潜在的で不適切な代替の翻訳開始コドンまたは転写もしくは翻訳のレベルにおいて発現に干渉しまたはこれを低減させ得る他の配列を排除することが必要であろう。あるいは、発現を増強するために、コンセンサスリボソーム結合部位を開始コドンの5’のすぐ傍に挿入することができる。
【0064】
本明細書で使用される「rAAVベクター」は、1つまたは複数のトランスジーン核酸分子および1つまたは複数のAAV逆転ターミナルリピート配列(ITR)を含むか、実質的にそれからなるか、またはそれからなるベクターを指す。そのようなAAVベクターは、宿主細胞中に存在する場合に、たとえば宿主細胞のトランスフェクションによってrepおよびcapの遺伝子産物の機能を提供する感染性ウイルス粒子の中に、複製しパッケージすることができる。一部の態様では、AAVベクターは、プロモーター、少なくとも1つのタンパク質もしくはRNAをコードし得る少なくとも1つの核酸、および/または感染性AAV粒子の中にパッケージされた側面ITRの中のエンハンサーおよび/またはターミネーターを含む。カプシド封入された核酸部分は、AAVベクターゲノムと称し得る。rAAVベクターを含むプラスミドは、製造目的のためのエレメント、たとえば抗生剤耐性遺伝子、複製起点の配列、その他を含んでもよいが、これらはカプシド封入されず、したがってAAV粒子の一部を形成しない。
【0065】
一部の態様では、rAAVベクターは、少なくとも1つのトランスジーン核酸分子を含み得る。一部の態様では、rAAVベクターは、少なくとも1つの制御配列を含み得る。一部の態様では、rAAVベクターは、少なくとも1つのAAV逆転ターミナル(ITR)配列を含み得る。一部の態様では、rAAVベクターは、少なくとも1つのプロモーター配列を含み得る。一部の態様では、rAAVベクターは、少なくとも1つのエンハンサー配列を含み得る。一部の態様では、rAAVベクターは、少なくとも1つのポリA配列を含み得る。
【0066】
一部の態様では、rAAVベクターは、第1のAAV ITR配列、プロモーター配列、トランスジーン核酸分子、制御配列、および第2のAAV ITR配列を含み得る。一部の態様では、rAAVベクターは、5’から3’の方向に、第1のAAV ITR配列、プロモーター配列、トランスジーン核酸分子、制御配列、および第2のAAV ITR配列を含み得る。
【0067】
一部の態様では、rAAVベクターは、2つ以上のトランスジーン核酸分子を含み得る。一部の態様では、rAAVベクターは、少なくとも2つのトランスジーン核酸分子を含み得て、それによりrAAVベクターは第1のトランスジーン核酸分子および少なくとも第2のトランスジーン核酸分子を含む。一部の態様では、第1および少なくとも第2のトランスジーン核酸分子は、同じ核酸配列を含み得る。一部の態様では、第1および少なくとも第2のトランスジーン核酸分子は、異なる核酸配列を含み得る。一部の態様では、第1および少なくとも第2のトランスジーン核酸配列は、互いに隣接し得る。
【0068】
一部の態様では、rAAVベクターは、2つ以上のプロモーター配列を含み得る。一部の態様では、rAAVベクターは、少なくとも2つのプロモーター配列を含み得て、それによりrAAVベクターは第1のプロモーター配列および少なくとも第2のプロモーター配列を含む。一部の態様では、第1および少なくとも第2のプロモーター配列は、同じ配列を含み得る。一部の態様では、第1および少なくとも第2のプロモーター配列は、異なる配列を含み得る。一部の態様では、第1および少なくとも第2のプロモーター配列は、互いに隣接し得る。rAAVベクターが第1のトランスジーン核酸分子および少なくとも第2のトランスジーン核酸分子も含む一部の態様では、第1のプロモーターは第1のトランスジーン核酸分子の上流(5’)に位置してよく、少なくとも第2のプロモーターは第1のトランスジーン核酸分子と少なくとも第2のトランスジーン核酸分子との間に位置してよく、それにより少なくとも第2のプロモーターは第1のトランスジーン核酸分子の下流(3’)かつ少なくとも第2のトランスジーン核酸分子の上流(5’)に位置する。
【0069】
先行するrAAVベクターのいずれも、少なくとも1つのエンハンサーをさらに含み得る。少なくとも1つのエンハンサーは、rAAVベクターのいずれの場所に位置してもよい。一部の態様では、少なくとも1つのエンハンサーは、プロモーターのすぐ上流(5’)に位置し得る。即ち、rAAVベクターは、5’から3’の方向に、第1のAAV ITR配列、エンハンサー、プロモーター配列、トランスジーン核酸分子、制御配列、および第2のAAV ITR配列を含み得る。一部の態様では、少なくとも1つのエンハンサーは、プロモーターのすぐ下流(3’)に位置し得る。即ち、rAAVベクターは、5’から3’の方向に、第1のAAV ITR配列、プロモーター配列、エンハンサー、トランスジーン核酸分子、制御配列、および第2のAAV ITR配列を含み得る。一部の態様では、少なくとも1つのエンハンサーは、トランスジーン核酸分子のすぐ下流に位置し得る。即ち、rAAVベクターは、5’から3’の方向に、第1のAAV ITR配列、プロモーター配列、トランスジーン核酸分子、エンハンサー、制御配列、および第2のAAV ITR配列を含み得る。
【0070】
AAV ITR配列
一部の態様では、AAV ITR配列は、当技術で既知の任意のAAV ITR配列を含み得る。一部の態様では、AAV ITR配列は、AAV1 ITR配列、AAV2 ITR配列、AAV4 ITR配列、AAV5 ITR配列、AAV6 ITR配列、AAV7 ITR配列、AAV8 ITR配列、AAV9 ITR配列、AAV10 ITR配列、AAV11 ITR配列、AAV12 ITR配列、AAV13 ITR配列、AAVrh74 ITR配列、またはAAVrh.10 ITR配列であってよい。
【0071】
即ち、一部の態様では、AAV ITR配列は、AAV1 ITR配列、AAV2 ITR配列、AAV4 ITR配列、AAV5 ITR配列、AAV6 ITR配列、AAV7 ITR配列、AAV8 ITR配列、AAV9 ITR配列、AAV10 ITR配列、AAV11 ITR配列、AAV12 ITR配列、AAV13 ITR配列、AAVrh74 ITR配列、またはAAVrh.10 ITR配列を含むか、実質的にそれらからなるか、またはそれらからなってよい。
【0072】
一部の態様では、AAV ITR配列は、配列番号18、19、または30で表される核酸配列と少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%(またはその間の任意のパーセンテージ)同一の核酸配列を含むか、実質的にそれらからなるか、またはそれらからなってよい。
【0073】
一部の態様では、AAV ITRは、配列番号20または21で表される核酸配列と少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%(またはその間の任意のパーセンテージ)同一の核酸配列を含むか、実質的にそれらからなるか、またはそれらからなってよい。
【0074】
一部の態様では、第1のAAV ITR配列は、配列番号18と少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%(またはその間の任意のパーセンテージ)同一の核酸配列を含むか、実質的にそれらからなるか、またはそれらからなってよく、第2のAAV ITR配列は、配列番号20と少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%(またはその間の任意のパーセンテージ)同一の核酸配列を含むか、実質的にそれらからなるか、またはそれらからなってよい。
【0075】
一部の態様では、第1のAAV ITR配列は、配列番号19と少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%(またはその間の任意のパーセンテージ)同一の核酸配列を含むか、実質的にそれらからなるか、またはそれらからなってよく、第2のAAV ITR配列は、配列番号21と少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%(またはその間の任意のパーセンテージ)同一の核酸配列を含むか、実質的にそれらからなるか、またはそれらからなってよい。
【0076】
一部の態様では、第1のAAV ITR配列は、配列番号18と少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%(またはその間の任意のパーセンテージ)同一の核酸配列を含むか、実質的にそれらからなるか、またはそれらからなってよく、第2のAAV ITR配列は、配列番号21と少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%(またはその間の任意のパーセンテージ)同一の核酸配列を含むか、実質的にそれらからなるか、またはそれらからなってよい。
【0077】
一部の態様では、第1のAAV ITR配列は、配列番号19と少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%(またはその間の任意のパーセンテージ)同一の核酸配列を含むか、実質的にそれらからなるか、またはそれらからなってよく、第2のAAV ITR配列は、配列番号20と少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%(またはその間の任意のパーセンテージ)同一の核酸配列を含むか、実質的にそれらからなるか、またはそれらからなってよい。
【0078】
一部の態様では、第1のAAV ITR配列は、配列番号30と少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%(またはその間の任意のパーセンテージ)同一の核酸配列を含むか、実質的にそれらからなるか、またはそれらからなってよく、第2のAAV ITR配列は、配列番号20と少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%(またはその間の任意のパーセンテージ)同一の核酸配列を含むか、実質的にそれらからなるか、またはそれらからなってよい。
【0079】
一部の態様では、第1のAAV ITR配列は、配列番号30と少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%(またはその間の任意のパーセンテージ)同一の核酸配列を含むか、実質的にそれらからなるか、またはそれらからなってよく、第2のAAV ITR配列は、配列番号21と少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%(またはその間の任意のパーセンテージ)同一の核酸配列を含むか、実質的にそれらからなるか、またはそれらからなってよい。
【0080】
プロモーター配列およびエンハンサー
本明細書で使用される用語「プロモーター」および「プロモーター配列」は、遺伝子またはトランスジーン等のコーディング配列の転写の開始および速度が制御されるポリヌクレオチド配列の領域である調節配列を意味する。プロモーターは、たとえば構造的、誘起的、抑制的、または組織特異的であってよい。プロモーターは、RNAポリメラーゼおよび転写因子等の制御性のタンパク質および分子が結合し得る遺伝要素を含み得る。非限定的な例示的プロモーターには、ラウス肉腫ウイルス(RSV)LTRプロモーター(任意選択でRSVエンハンサーととともに)、サイトメガロウイルス(CMV)プロモーター、SV40プロモーター、ジヒドロフォレートリダクターゼプロモーター、β-アクチンプロモーター、ホスホグリセロールキナーゼ(PGK)プロモーター、U6プロモーター、H1プロモーター、遍在性ニワトリβ-アクチンハイブリッド(CBh)プロモーター、小核RNA(U1aまたはU1b)プロモーター、MECP2プロモーター、MeP426プロモーター、MeP426プロモーターのヒトバリアント、ミニマルMECP2プロモーター、VMD2プロモーター、mRhoプロモーター、またはEF1プロモーターが含まれる。
【0081】
本明細書で提供されるさらなる非限定的な例示的プロモーターには、それだけに限らないが、EFla、Ubc、ヒトβ-アクチン、CAG、TRE、Ac5、ポリヘドリン、CaMKIIa、Gal1、TEF1、GDS、ADH1、Ubi、およびα-1-アンチトリプシン(hAAT)が含まれる。mRNA転写の効率を増大または低減させるために、そのようなプロモーターのヌクレオチド配列を改変し得ることは、当技術で既知である。たとえばGaoら.(2018)Mol.Ther.:Nucleic Acids 12:135~145頁を参照されたい(RNAポリメラーゼIII転写を無効にし、RNAポリメラーゼII依存性mRNA転写を刺激するために、7SK、U6、およびH1プロモーターのTATAボックスを改変する)。遍在性または組織特異的な発現のために、合成由来のプロモーターを用いてもよい。さらに、そのいくつかを上で言及したウイルス由来プロモーター、たとえばCMV、HIV、アデノウイルス、およびAAVのプロモーターは、本明細書に記載した方法において有用であり得る。一部の態様では、転写効率を増大させるために、プロモーターは少なくとも1つのエンハンサーとともに用いられる。エンハンサーの非限定的な例には、間質性レチノイド結合タンパク質(IRBP)エンハンサー、RSVエンハンサー、またはCMVエンハンサーが含まれる。
【0082】
一部の態様では、プロモーター配列は、ラウス肉腫ウイルス(RSV)LTRプロモーター配列(任意選択でRSVエンハンサーとともに)、サイトメガロウイルス(CMV)プロモーター配列、SV40プロモーター配列、ジヒドロフォレートリダクターゼプロモーター配列、β-アクチンプロモーター配列、ホスホグリセロールキナーゼ(PGK)プロモーター配列、U6プロモーター配列、H1プロモーター配列、遍在性ニワトリβ-アクチンハイブリッド(CBh)プロモーター配列、小核RNA(U1aまたはU1b)プロモーター配列、MECP2プロモーター配列、MeP426プロモーター配列、ミニマルMECP2プロモーター配列、VMD2プロモーター配列、mRhoプロモーター配列、EF1プロモーター配列、EF1aプロモーター配列、Ubcプロモーター配列、ヒトβ-アクチンプロモーター配列、CAGプロモーター配列、TREプロモーター配列、Ac5プロモーター配列、ポリヘドリンプロモーター配列、CaMKIIaプロモーター配列、Gal1プロモーター配列、TEF1プロモーター配列、GDSプロモーター配列、ADH1プロモーター配列、Ubiプロモーター配列、MeP426プロモーター、またはα-1-アンチトリプシン(hAAT)プロモーター配列を含むか、実質的にそれらからなるか、またはそれらからなり得る。
【0083】
エンハンサーは、標的配列の発現を増大させる制御エレメントである。「プロモーター/エンハンサー」は、プロモーターとエンハンサーの両方の機能を提供することができる配列を含むポリヌクレオチドである。たとえば、レトロウイルスの長いターミナルリピートは、プロモーターとエンハンサーの両方の機能を含んでいる。エンハンサー/プロモーターは、「内因性」または「外因性」または「異種」であり得る。「内因性」エンハンサー/プロモーターは、ゲノム内の所与の遺伝子に天然に連結されたエンハンサー/プロモーターである。「外因性」または「異種」エンハンサー/プロモーターは、遺伝子操作(即ち分子生物学的手法)または合成手法の手段によって遺伝子に並置され、それによりその遺伝子の転写が連結されたエンハンサー/プロモーターによって指示される、エンハンサー/プロモーターである。本明細書で提供される方法、組成物、および構築物における使用のための連結されたエンハンサー/プロモーターの非限定的な例には、PDEプロモータープラスIRBPエンハンサー、またはCMVエンハンサープラスU1aプロモーターが含まれる。エンハンサーは遠方から、また内因性または異種のプロモーターの位置に対するそれらの配向とは関係なく、作動し得ることが当技術で理解されている。即ち、プロモーターから離れて作動するエンハンサーは、したがってベクター中のその位置またはプロモーターの位置に対するその配向とは関係なく、そのプロモーターに「作動可能に連結」されていることがさらに理解される。
【0084】
本開示を通して使用される場合、用語「作動可能に連結された」は、遺伝子が空間的に連結されたプロモーターの制御下にある遺伝子(即ちトランスジーン)の発現を指す。プロモーターは、その制御下にある遺伝子の5’(上流)または3’(下流)に位置し得る。プロモーターは、その制御下にある遺伝子の5’(上流)に位置し得る。プロモーターと遺伝子との間の距離は、プロモーターとそのプロモーターがそれから誘導された遺伝子内でプロモーターが制御する遺伝子との間の距離とほぼ同じであってよい。プロモーターと遺伝子との間の距離の変動は、プロモーター機能の損失なしに適応させることができる。
【0085】
一部の態様では、プロモーター配列は、MeP426プロモーター配列を含むか、実質的にそれからなるか、またはそれからなってよい。MeP426プロモーター配列は、配列番号22と少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%(またはその間の任意のパーセンテージ)同一の核酸配列を含むか、実質的にそれらからなるか、またはそれらからなってよい。
【0086】
一部の態様では、プロモーター配列は、JeTプロモーター配列を含むか、実質的にそれからなるか、またはそれからなってよい。Jetプロモーター配列は、配列番号23と少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%(またはその間の任意のパーセンテージ)同一の核酸配列を含むか、実質的にそれらからなるか、またはそれらからなってよい。
【0087】
一部の態様では、プロモーター配列は、MeP229プロモーター配列を含むか、実質的にそれからなるか、またはそれからなってよい。MeP229プロモーター配列は、配列番号24と少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%(またはその間の任意のパーセンテージ)同一の核酸配列を含むか、実質的にそれらからなるか、またはそれらからなってよい。
【0088】
一部の態様では、プロモーター配列は、CBhプロモーター配列を含むか、実質的にそれからなるか、またはそれからなってよい。CBhプロモーター配列は、配列番号25と少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%(またはその間の任意のパーセンテージ)同一の核酸配列を含むか、実質的にそれらからなるか、またはそれらからなってよい。
【0089】
トランスジーン核酸分子
トランスジーン核酸分子は、上の見出し「トランスジーン配列を含む単離されたポリヌクレオチド」の下に記載したトランスジーン核酸分子のいずれかを含むか、実質的にそれからなるか、またはそれからなる。
【0090】
一部の態様では、rAAVベクター中に存在するトランスジーン核酸分子は、同じrAAVベクター中にも存在するプロモーター配列の転写制御の下にあり得る。
【0091】
制御配列
制御は、上の見出し「制御配列をコードする単離されたポリヌクレオチド」の下に記載した配列のいずれかを含むか、実質的にそれからなるか、またはそれからなり得る。
【0092】
ポリA配列
一部の態様では、ポリアデニル化(ポリA)配列は、当技術で既知の任意のポリA配列を含み得る。ポリA配列の非限定的な例には、それだけに限らないが、MECP2ポリA配列、レチノールデヒドロゲナーゼ1(RDH1)ポリA配列、ウシ成長ホルモン(BGH)ポリA配列、SV40ポリA配列、SPA49ポリA配列、sNRP-TK65ポリA配列、sNRPポリA配列、またはTK65ポリA配列が含まれる。
【0093】
即ち、ポリA配列は、MeCP2ポリA配列、レチノールデヒドロゲナーゼ1(RDH1)ポリA配列、ウシ成長ホルモン(BGH)ポリA配列、SV40ポリA配列、SPA49ポリA配列、sNRP-TK65ポリA配列、sNRPポリA配列、またはTK65ポリA配列を含むか、実質的にそれらからなるか、またはそれらからなってよい。
【0094】
一部の態様では、MECP2ポリA配列は、配列番号16で表される配列のいずれかと少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%(またはその間の任意のパーセンテージ)同一の核酸配列を含むか、実質的にそれらからなるか、またはそれらからなってよい。
【0095】
一部の態様では、ポリA配列は、SV40pA配列を含むか、実質的にそれからなるか、またはそれからなってよい。一部の態様では、SV40pA配列は、配列番号26で表される配列のいずれかと少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%(またはその間の任意のパーセンテージ)同一の核酸配列を含むか、実質的にそれらからなるか、またはそれらからなってよい。
【0096】
一部の態様では、本開示のrAAVベクターは、配列番号27または配列番号29で表される配列のいずれかと少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%(またはその間の任意のパーセンテージ)同一の核酸配列を含むか、実質的にそれらからなるか、またはそれらからなってよい。
【0097】
細菌プラスミド
一部の態様では、本開示のrAAVベクターは、in vitroでのrAAVベクターの増殖を可能にするために細菌プラスミドの中に含ませてよい。即ち、本開示は、本明細書に記載したrAAVベクターのいずれかを含む細菌プラスミドを提供する。細菌プラスミドはさらに、複製の起点の配列を含み得る。細菌プラスミドはさらに、抗生剤耐性遺伝子を含み得る。細菌プラスミドはさらに、原核生物プロモーターを含み得る。
【0098】
複製の起点の配列
一部の態様では、複製の起点の配列は、当技術で既知の任意の複製の起点の配列を含むか、実質的にそれからなるか、またはそれからなってよい。複製の起点の配列は、細菌の複製の起点の配列であってよく、それにより前記細菌の複製の起点の配列を含むrAAVベクターが当技術で標準的な方法を用いることによって細菌内で産生され、増殖し、維持されることが可能になる。
【0099】
抗生剤耐性遺伝子
一部の態様では、本開示のrAAVベクターおよび/またはrAAVウイルスベクターは、抗生剤耐性遺伝子を含み得る。
【0100】
一部の態様では、抗生剤耐性遺伝子は、当技術で既知の任意の抗生剤耐性遺伝子を含むか、実質的にそれからなるか、またはそれからなってよい。当技術で既知の抗生剤耐性遺伝子の例には、それだけに限らないが、カナマイシン耐性遺伝子、スペクチノマイシン耐性遺伝子、ストレプトマイシン耐性遺伝子、アンピシリン耐性遺伝子、カルベニシリン耐性遺伝子、ブレオマイシン耐性遺伝子、エリスロマイシン耐性遺伝子、ポリミキシンB耐性遺伝子、テトラサイクリン耐性遺伝子、およびクロラムフェニコール耐性遺伝子が含まれる。
【0101】
AAVウイルスベクター
「ウイルスベクター」は、in vivo、ex vivo、またはin vitroで宿主細胞中に送達されるポリヌクレオチドを含む、組み換えで産生されたウイルスまたはウイルス粒子と定義される。ウイルスベクターの例には、レトロウイルスベクター、AAVベクター、レンチウイルスベクター、アデノウイルスベクター、アルファウイルスベクター等が含まれる。アルファウイルスベクター、たとえばSemliki Forestウイルス系ベクターおよびSindbisウイルス系ベクターも、遺伝子療法および免疫療法における使用のために開発されている。たとえばSchlesingerおよびDubensky(1999)Curr.Opin.Biotechnol.5:434~439頁およびYingら,(1999)Nat.Med.5(7):823~827頁を参照されたい。
【0102】
「AAVビリオン」または「AAVウイルス粒子」または「AAVウイルスベクター」または「rAAVウイルスベクター」または「AAVベクター粒子」または「AAV粒子」は、少なくとも1つのAAVカプシドタンパク質およびカプシド封入されたポリヌクレオチドrAAVベクターからなるウイルス粒子を指す。即ち、rAAVウイルスベクターの産生には必然的にrAAVベクターの産生が含まれ、したがってベクターはrAAVベクターの中に含まれる。
【0103】
本明細書で使用される場合、用語「ウイルスカプシド」または「カプシド」は、ウイルス粒子のタンパク質性シェルまたはコートを指す。カプシドは、ウイルスゲノムをカプシド封入し、保護し、輸送し、また宿主細胞中に放出するように機能する。カプシドは一般に、タンパク質(「カプシドタンパク質」)のオリゴマー性構造サブユニットからなっている。本明細書で使用される場合、用語「カプシド封入」は、ウイルスカプシド中に封入されることを意味する。AAVのウイルスカプシドは3つのウイルスカプシドタンパク質、即ちVP1、VP2、およびVP3の混合物からなっている。VP1、VP2、およびVP3の混合物は、そのそれぞれが参照により全体として本明細書に組み込まれるSonntag Fら,(2010年6月)“A viral assembly factor promotes AAV2 capsid formation in the nucleolus”.Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America.107(22):10220~5頁、およびRabinowitz JE,Samulski RJ(2000年12月).“Building a better vector: the manipulation of AAV virions”.Virology.278(2):301~8頁に記載されているように、1:1:10(VP1:VP2:VP3)または1:1:20(VP1:VP2:VP3)の比でT=1の20面体対称に配置された60個のモノマーを含む。
【0104】
本開示は、a)本明細書に記載したrAAVベクターのいずれか、およびb)AAVカプシドタンパク質を含むrAAVウイルスベクターを提供する。
【0105】
AAVカプシドタンパク質は、当技術で既知の任意のAAVカプシドタンパク質であってよい。AAVカプシドタンパク質は、AAV1カプシドタンパク質、AAV2カプシドタンパク質、AAV4カプシドタンパク質、AAV5カプシドタンパク質、AAV6カプシドタンパク質、AAV7カプシドタンパク質、AAV8カプシドタンパク質、AAV9カプシドタンパク質、AAV10カプシドタンパク質、AAV11カプシドタンパク質、AAV12カプシドタンパク質、AAV13カプシドタンパク質、AAVPHP.Bカプシドタンパク質、AAVrh74カプシドタンパク質、またはAAVrh.10カプシドタンパク質であってよい。
【0106】
代替のrAAVベクターおよびrAAVウイルスベクターの実施形態
1.5’から3’の方向に、
a)第1のAAV ITR配列、
b)プロモーター配列、
c)MeCP2ポリペプチドおよび/またはMeCP2由来ポリペプチドをコードする核酸配列を含むトランスジーン核酸分子、
d)制御配列、および
e)第2のAAV ITR配列
を含むrAAVベクター。
2.トランスジーン核酸分子が、MeCP2由来ポリペプチドをコードする核酸配列を含む、実施形態1に記載のrAAVベクター。
3.MeCP2由来ポリペプチドがミニMECP2ポリペプチドである、実施形態2に記載のベクター。
4.ミニMeCP2ポリペプチドが、配列番号1または配列番号2で表されるアミノ酸配列を含む、実施形態3に記載のベクター。
5.ミニMeCP2ポリペプチドが、配列番号1で表されるアミノ酸配列を含む、実施形態4に記載のベクター。
6.ミニMeCP2ポリペプチドが、配列番号2で表されるアミノ酸配列を含む、実施形態4に記載のベクター。
7.MeCP2ポリペプチドおよび/またはMeCP2由来ポリペプチドをコードする核酸配列が、配列番号3、配列番号4、または配列番号28で表される核酸配列を含む、先行する実施形態のいずれか一項に記載のrAAVベクター。
8.MeCP2ポリペプチドおよび/またはMeCP2由来ポリペプチドをコードする核酸配列が、配列番号3で表される核酸配列を含む、先行する実施形態のいずれか一項に記載のrAAVベクター。
9.MeCP2ポリペプチドおよび/またはMeCP2由来ポリペプチドをコードする核酸配列が、配列番号4で表される核酸配列を含む、先行する実施形態のいずれか一項に記載のrAAVベクター。
10.MeCP2ポリペプチドおよび/またはMeCP2由来ポリペプチドをコードする核酸配列が、配列番号28で表される核酸配列を含む、先行する実施形態のいずれか一項に記載のrAAVベクター。
11.第1のAAV ITR配列が、配列番号18で表される核酸配列を含む、先行する実施形態のいずれか一項に記載のrAAVベクター。
12.第1のAAV ITR配列が、配列番号19で表される核酸配列を含む、先行する実施形態のいずれか一項に記載のrAAVベクター。
13.第1のAAV ITR配列が、配列番号30で表される核酸配列を含む、先行する実施形態のいずれか一項に記載のrAAVベクター。
14.第2のAAV ITR配列が、配列番号20で表される核酸配列を含む、先行する実施形態のいずれか一項に記載のrAAVベクター。
15.第2のAAV ITR配列が、配列番号21で表される核酸配列を含む、先行する実施形態のいずれか一項に記載のrAAVベクター。
16.プロモーター配列がMeP426プロモーター配列を含む、先行する実施形態のいずれか一項に記載のrAAVベクター。
17.MeP426プロモーター配列が、配列番号22で表される核酸配列を含む、実施形態15に記載のrAAVベクター。
18.制御配列が1つまたは複数のmiRNA結合部位を含む、先行する実施形態のいずれか一項に記載のrAAVベクター。
19.1つまたは複数のmiRNA結合部位が、miR-9-5p miRNA結合部位、miR-26b-5p miRNA結合部位、miR-23a-3p miRNA結合部位、miR-218-5p miRNA結合部位、miR-27a-3p miRNA結合部位、let-7e-5p miRNA結合部位、miR-98-5p miRNA結合部位、let-7d-5p miRNA結合部位、let-7g-5p miRNA結合部位、miR-218-5p miRNA結合部位、またはこれらの任意の組合せを含む、実施形態17に記載のrAAVベクター。
20.制御配列が、配列番号7、8、9、10、11、および12で表される核酸配列のうち1つまたは複数を含む、先行する実施形態のいずれか一項に記載のrAAVベクター。
21.制御配列が、配列番号7、8、9、10、11、および12で表される核酸配列のうち2つ以上を含む、先行する実施形態のいずれか一項に記載のrAAVベクター。
22.制御配列が、配列番号7、8、9、10、11、および12で表される核酸配列のうち3つ以上を含む、先行する実施形態のいずれか一項に記載のrAAVベクター。
23.制御配列が、配列番号7、8、9、10、11、および12で表される核酸配列のうち4つ以上を含む、先行する実施形態のいずれか一項に記載のrAAVベクター。
24.制御配列が、配列番号7、8、9、10、11、および12で表される核酸配列のうち5つ以上を含む、先行する実施形態のいずれか一項に記載のrAAVベクター。
25.制御配列が、配列番号7、8、9、10、11、および12で表される核酸配列のそれぞれを含む、先行する実施形態のいずれか一項に記載のrAAVベクター。
26.制御配列が、配列番号13で表される核酸配列を含む、先行する実施形態のいずれか一項に記載のrAAVベクター。
27.制御配列が、配列番号14で表される核酸配列を含む、先行する実施形態のいずれか一項に記載のrAAVベクター。
28.制御配列が、配列番号15で表される核酸配列を含む、先行する実施形態のいずれか一項に記載のrAAVベクター。
29.制御配列が、配列番号16で表される核酸配列を含む、先行する実施形態のいずれか一項に記載のrAAVベクター。
30.制御配列が、5’から3’の方向に、
i)配列番号15で表される核酸配列、
ii)配列番号13で表される核酸配列、および
iii)配列番号16で表される核酸配列
を含む、先行する実施形態のいずれか一項に記載のrAAVベクター。
31.制御配列が、配列番号17で表される核酸配列を含む、先行する実施形態のいずれか一項に記載のrAAVベクター。
32.5’から3’の方向に、
a)配列番号18、配列番号19、または配列番号30で表される核酸配列を含む第1のAAV ITR配列、
b)配列番号22で表される核酸配列を含むMeP426プロモーター配列を含むプロモーター配列、
c)MeCP2ポリペプチドおよび/またはMeCP2由来ポリペプチドをコードする核酸配列を含むトランスジーン核酸分子であって、MeCP2ポリペプチドおよび/またはMeCP2由来ポリペプチドが配列番号1または配列番号2で表されるアミノ酸配列を含む、トランスジーン核酸分子、
d)配列番号17で表される核酸配列を含む制御配列、および
e)配列番号20または配列番号21で表される核酸配列を含む第2のAAV ITR配列
を含む、rAAVベクター。
33.5’から3’の方向に、
a)配列番号18で表される核酸配列を含む第1のAAV ITR配列、
b)配列番号22で表される核酸配列を含むMeP426プロモーター配列を含むプロモーター配列、
c)MeCP2ポリペプチドおよび/またはMeCP2由来ポリペプチドをコードする核酸配列を含むトランスジーン核酸分子であって、MeCP2ポリペプチドおよび/またはMeCP2由来ポリペプチドが配列番号1で表されるアミノ酸配列を含む、トランスジーン核酸分子、
d)配列番号17で表される核酸配列を含む制御配列、および
e)配列番号20で表される核酸配列を含む第2のAAV ITR配列
を含む、rAAVベクター。
34.5’から3’の方向に、
a)配列番号18で表される核酸配列を含む第1のAAV ITR配列、
b)配列番号22で表される核酸配列を含むMeP426プロモーター配列を含むプロモーター配列、
c)MeCP2ポリペプチドおよび/またはMeCP2由来ポリペプチドをコードする核酸配列を含むトランスジーン核酸分子であって、MeCP2ポリペプチドおよび/またはMeCP2由来ポリペプチドが配列番号1で表されるアミノ酸配列を含む、トランスジーン核酸分子、
d)配列番号17で表される核酸配列を含む制御配列、および
e)配列番号21で表される核酸配列を含む第2のAAV ITR配列
を含む、rAAVベクター。
35.5’から3’の方向に、
a)配列番号19で表される核酸配列を含む第1のAAV ITR配列、
b)配列番号22で表される核酸配列を含むMeP426プロモーター配列を含むプロモーター配列、
c)MeCP2ポリペプチドおよび/またはMeCP2由来ポリペプチドをコードする核酸配列を含むトランスジーン核酸分子であって、MeCP2ポリペプチドおよび/またはMeCP2由来ポリペプチドが配列番号1で表されるアミノ酸配列を含む、トランスジーン核酸分子、
d)配列番号17で表される核酸配列を含む制御配列、および
e)配列番号20で表される核酸配列を含む第2のAAV ITR配列
を含む、rAAVベクター。
36.5’から3’の方向に、
a)配列番号19で表される核酸配列を含む第1のAAV ITR配列、
b)配列番号22で表される核酸配列を含むMeP426プロモーター配列を含むプロモーター配列、
c)MeCP2ポリペプチドおよび/またはMeCP2由来ポリペプチドをコードする核酸配列を含むトランスジーン核酸分子であって、MeCP2ポリペプチドおよび/またはMeCP2由来ポリペプチドが配列番号1で表されるアミノ酸配列を含む、トランスジーン核酸分子、
d)配列番号17で表される核酸配列を含む制御配列、および
e)配列番号21で表される核酸配列を含む第2のAAV ITR配列
を含む、rAAVベクター。
37.5’から3’の方向に、
a)配列番号30で表される核酸配列を含む第1のAAV ITR配列、
b)配列番号22で表される核酸配列を含むMeP426プロモーター配列を含むプロモーター配列、
c)MeCP2ポリペプチドおよび/またはMeCP2由来ポリペプチドをコードする核酸配列を含むトランスジーン核酸分子であって、MeCP2ポリペプチドおよび/またはMeCP2由来ポリペプチドが配列番号1で表されるアミノ酸配列を含む、トランスジーン核酸分子、
d)配列番号17で表される核酸配列を含む制御配列、および
e)配列番号20で表される核酸配列を含む第2のAAV ITR配列
を含む、rAAVベクター。
38.5’から3’の方向に、
a)配列番号30で表される核酸配列を含む第1のAAV ITR配列、
b)配列番号22で表される核酸配列を含むMeP426プロモーター配列を含むプロモーター配列、
c)MeCP2ポリペプチドおよび/またはMeCP2由来ポリペプチドをコードする核酸配列を含むトランスジーン核酸分子であって、MeCP2ポリペプチドおよび/またはMeCP2由来ポリペプチドが配列番号1で表されるアミノ酸配列を含む、トランスジーン核酸分子、
d)配列番号17で表される核酸配列を含む制御配列、および
e)配列番号21で表される核酸配列を含む第2のAAV ITR配列
を含む、rAAVベクター。
39.5’から3’の方向に、
a)配列番号18、配列番号19、または配列番号30で表される核酸配列を含む第1のAAV ITR配列、
b)配列番号22で表される核酸配列を含むMeP426プロモーター配列を含むプロモーター配列、
c)MeCP2ポリペプチドおよび/またはMeCP2由来ポリペプチドをコードする核酸配列を含むトランスジーン核酸分子であって、MeCP2ポリペプチドおよび/またはMeCP2由来ポリペプチドが配列番号1または配列番号2で表されるアミノ酸配列を含む、トランスジーン核酸分子、
d)配列番号13で表される核酸配列を含む制御配列、および
e)配列番号20または配列番号21で表される核酸配列を含む第2のAAV ITR配列
を含む、rAAVベクター。
40.5’から3’の方向に、
a)配列番号18で表される核酸配列を含む第1のAAV ITR配列、
b)配列番号22で表される核酸配列を含むMeP426プロモーター配列を含むプロモーター配列、
c)MeCP2ポリペプチドおよび/またはMeCP2由来ポリペプチドをコードする核酸配列を含むトランスジーン核酸分子であって、MeCP2ポリペプチドおよび/またはMeCP2由来ポリペプチドが配列番号1で表されるアミノ酸配列を含む、トランスジーン核酸分子、
d)配列番号13で表される核酸配列を含む制御配列、および
e)配列番号20で表される核酸配列を含む第2のAAV ITR配列
を含む、rAAVベクター。
41.5’から3’の方向に、
a)配列番号18で表される核酸配列を含む第1のAAV ITR配列、
b)配列番号22で表される核酸配列を含むMeP426プロモーター配列を含むプロモーター配列、
c)MeCP2ポリペプチドおよび/またはMeCP2由来ポリペプチドをコードする核酸配列を含むトランスジーン核酸分子であって、MeCP2ポリペプチドおよび/またはMeCP2由来ポリペプチドが配列番号1で表されるアミノ酸配列を含む、トランスジーン核酸分子、
d)配列番号13で表される核酸配列を含む制御配列、および
e)配列番号21で表される核酸配列を含む第2のAAV ITR配列
を含む、rAAVベクター。
42.5’から3’の方向に、
a)配列番号19で表される核酸配列を含む第1のAAV ITR配列、
b)配列番号22で表される核酸配列を含むMeP426プロモーター配列を含むプロモーター配列、
c)MeCP2ポリペプチドおよび/またはMeCP2由来ポリペプチドをコードする核酸配列を含むトランスジーン核酸分子であって、MeCP2ポリペプチドおよび/またはMeCP2由来ポリペプチドが配列番号1で表されるアミノ酸配列を含む、トランスジーン核酸分子、
d)配列番号13で表される核酸配列を含む制御配列、および
e)配列番号20で表される核酸配列を含む第2のAAV ITR配列
を含む、rAAVベクター。
43.5’から3’の方向に、
a)配列番号19で表される核酸配列を含む第1のAAV ITR配列、
b)配列番号22で表される核酸配列を含むMeP426プロモーター配列を含むプロモーター配列、
c)MeCP2ポリペプチドおよび/またはMeCP2由来ポリペプチドをコードする核酸配列を含むトランスジーン核酸分子であって、MeCP2ポリペプチドおよび/またはMeCP2由来ポリペプチドが配列番号1で表されるアミノ酸配列を含む、トランスジーン核酸分子、
d)配列番号13で表される核酸配列を含む制御配列、および
e)配列番号21で表される核酸配列を含む第2のAAV ITR配列
を含む、rAAVベクター。
44.5’から3’の方向に、
a)配列番号30で表される核酸配列を含む第1のAAV ITR配列、
b)配列番号22で表される核酸配列を含むMeP426プロモーター配列を含むプロモーター配列、
c)MeCP2ポリペプチドおよび/またはMeCP2由来ポリペプチドをコードする核酸配列を含むトランスジーン核酸分子であって、MeCP2ポリペプチドおよび/またはMeCP2由来ポリペプチドが配列番号1で表されるアミノ酸配列を含む、トランスジーン核酸分子、
d)配列番号13で表される核酸配列を含む制御配列、および
e)配列番号20で表される核酸配列を含む第2のAAV ITR配列
を含む、rAAVベクター。
45.5’から3’の方向に、
a)配列番号30で表される核酸配列を含む第1のAAV ITR配列、
b)配列番号22で表される核酸配列を含むMeP426プロモーター配列を含むプロモーター配列、
c)MeCP2ポリペプチドおよび/またはMeCP2由来ポリペプチドをコードする核酸配列を含むトランスジーン核酸分子であって、MeCP2ポリペプチドおよび/またはMeCP2由来ポリペプチドが配列番号1で表されるアミノ酸配列を含む、トランスジーン核酸分子、
d)配列番号13で表される核酸配列を含む制御配列、および
e)配列番号21で表される核酸配列を含む第2のAAV ITR配列
を含む、rAAVベクター。
46.5’から3’の方向に、
a)配列番号18、配列番号19、または配列番号30で表される核酸配列を含む第1のAAV ITR配列、
b)配列番号22で表される核酸配列を含むMeP426プロモーター配列を含むプロモーター配列、
c)MeCP2ポリペプチドおよび/またはMeCP2由来ポリペプチドをコードする核酸配列を含むトランスジーン核酸分子であって、MeCP2ポリペプチドおよび/またはMeCP2由来ポリペプチドをコードする核酸配列が配列番号3、配列番号4、または配列番号28で表される核酸配列を含む、トランスジーン核酸分子、
d)配列番号17で表される核酸配列を含む制御配列、および
e)配列番号20または配列番号21で表される核酸配列を含む第2のAAV ITR配列
を含む、rAAVベクター。
47.5’から3’の方向に、
a)配列番号18で表される核酸配列を含む第1のAAV ITR配列、
b)配列番号22で表される核酸配列を含むMeP426プロモーター配列を含むプロモーター配列、
c)MeCP2ポリペプチドおよび/またはMeCP2由来ポリペプチドをコードする核酸配列を含むトランスジーン核酸分子であって、MeCP2ポリペプチドおよび/またはMeCP2由来ポリペプチドをコードする核酸配列が配列番号3の核酸配列を含む、トランスジーン核酸分子、
d)配列番号17で表される核酸配列を含む制御配列、および
e)配列番号20で表される核酸配列を含む第2のAAV ITR配列
を含む、rAAVベクター。
48.5’から3’の方向に、
a)配列番号18で表される核酸配列を含む第1のAAV ITR配列、
b)配列番号22で表される核酸配列を含むMeP426プロモーター配列を含むプロモーター配列、
c)MeCP2ポリペプチドおよび/またはMeCP2由来ポリペプチドをコードする核酸配列を含むトランスジーン核酸分子であって、MeCP2ポリペプチドおよび/またはMeCP2由来ポリペプチドをコードする核酸配列が配列番号3の核酸配列を含む、トランスジーン核酸分子、
d)配列番号17で表される核酸配列を含む制御配列、および
e)配列番号21で表される核酸配列を含む第2のAAV ITR配列
を含む、rAAVベクター。
49.5’から3’の方向に、
a)配列番号19で表される核酸配列を含む第1のAAV ITR配列、
b)配列番号22で表される核酸配列を含むMeP426プロモーター配列を含むプロモーター配列、
c)MeCP2ポリペプチドおよび/またはMeCP2由来ポリペプチドをコードする核酸配列を含むトランスジーン核酸分子であって、MeCP2ポリペプチドおよび/またはMeCP2由来ポリペプチドをコードする核酸配列が配列番号3の核酸配列を含む、トランスジーン核酸分子、
d)配列番号17で表される核酸配列を含む制御配列、および
e)配列番号20で表される核酸配列を含む第2のAAV ITR配列
を含む、rAAVベクター。
50.5’から3’の方向に、
a)配列番号19で表される核酸配列を含む第1のAAV ITR配列、
b)配列番号22で表される核酸配列を含むMeP426プロモーター配列を含むプロモーター配列、
c)MeCP2ポリペプチドおよび/またはMeCP2由来ポリペプチドをコードする核酸配列を含むトランスジーン核酸分子であって、MeCP2ポリペプチドおよび/またはMeCP2由来ポリペプチドをコードする核酸配列が配列番号3の核酸配列を含む、トランスジーン核酸分子、
d)配列番号17で表される核酸配列を含む制御配列、および
e)配列番号21で表される核酸配列を含む第2のAAV ITR配列
を含む、rAAVベクター。
51.5’から3’の方向に、
a)配列番号30で表される核酸配列を含む第1のAAV ITR配列、
b)配列番号22で表される核酸配列を含むMeP426プロモーター配列を含むプロモーター配列、
c)MeCP2ポリペプチドおよび/またはMeCP2由来ポリペプチドをコードする核酸配列を含むトランスジーン核酸分子であって、MeCP2ポリペプチドおよび/またはMeCP2由来ポリペプチドをコードする核酸配列が配列番号3の核酸配列を含む、トランスジーン核酸分子、
d)配列番号17で表される核酸配列を含む制御配列、および
e)配列番号20で表される核酸配列を含む第2のAAV ITR配列
を含む、rAAVベクター。
52.5’から3’の方向に、
a)配列番号30で表される核酸配列を含む第1のAAV ITR配列、
b)配列番号22で表される核酸配列を含むMeP426プロモーター配列を含むプロモーター配列、
c)MeCP2ポリペプチドおよび/またはMeCP2由来ポリペプチドをコードする核酸配列を含むトランスジーン核酸分子であって、MeCP2ポリペプチドおよび/またはMeCP2由来ポリペプチドをコードする核酸配列が配列番号3の核酸配列を含む、トランスジーン核酸分子、
d)配列番号17で表される核酸配列を含む制御配列、および
e)配列番号21で表される核酸配列を含む第2のAAV ITR配列
を含む、rAAVベクター。
53.5’から3’の方向に、
a)配列番号18、配列番号19、または配列番号30で表される核酸配列を含む第1のAAV ITR配列、
b)配列番号22で表される核酸配列を含むMeP426プロモーター配列を含むプロモーター配列、
c)MeCP2ポリペプチドおよび/またはMeCP2由来ポリペプチドをコードする核酸配列を含むトランスジーン核酸分子であって、MeCP2ポリペプチドおよび/またはMeCP2由来ポリペプチドをコードする核酸配列が配列番号3、配列番号4、または配列番号28で表される核酸配列を含む、トランスジーン核酸分子、
d)配列番号13で表される核酸配列を含む制御配列、および
e)配列番号20または配列番号21で表される核酸配列を含む第2のAAV ITR配列
を含む、rAAVベクター。
54.5’から3’の方向に、
a)配列番号18で表される核酸配列を含む第1のAAV ITR配列、
b)配列番号22で表される核酸配列を含むMeP426プロモーター配列を含むプロモーター配列、
c)MeCP2ポリペプチドおよび/またはMeCP2由来ポリペプチドをコードする核酸配列を含むトランスジーン核酸分子であって、MeCP2ポリペプチドおよび/またはMeCP2由来ポリペプチドをコードする核酸配列が配列番号3の核酸配列を含む、トランスジーン核酸分子、
d)配列番号13で表される核酸配列を含む制御配列、および
e)配列番号20で表される核酸配列を含む第2のAAV ITR配列
を含む、rAAVベクター。
55.5’から3’の方向に、
a)配列番号18で表される核酸配列を含む第1のAAV ITR配列、
b)配列番号22で表される核酸配列を含むMeP426プロモーター配列を含むプロモーター配列、
c)MeCP2ポリペプチドおよび/またはMeCP2由来ポリペプチドをコードする核酸配列を含むトランスジーン核酸分子であって、MeCP2ポリペプチドおよび/またはMeCP2由来ポリペプチドをコードする核酸配列が配列番号3の核酸配列を含む、トランスジーン核酸分子、
d)配列番号13で表される核酸配列を含む制御配列、および
e)配列番号21で表される核酸配列を含む第2のAAV ITR配列
を含む、rAAVベクター。
56.5’から3’の方向に、
a)配列番号19で表される核酸配列を含む第1のAAV ITR配列、
b)配列番号22で表される核酸配列を含むMeP426プロモーター配列を含むプロモーター配列、
c)MeCP2ポリペプチドおよび/またはMeCP2由来ポリペプチドをコードする核酸配列を含むトランスジーン核酸分子であって、MeCP2ポリペプチドおよび/またはMeCP2由来ポリペプチドをコードする核酸配列が配列番号3の核酸配列を含む、トランスジーン核酸分子、
d)配列番号13で表される核酸配列を含む制御配列、および
e)配列番号20で表される核酸配列を含む第2のAAV ITR配列
を含む、rAAVベクター。
57.5’から3’の方向に、
a)配列番号19で表される核酸配列を含む第1のAAV ITR配列、
b)配列番号22で表される核酸配列を含むMeP426プロモーター配列を含むプロモーター配列、
c)MeCP2ポリペプチドおよび/またはMeCP2由来ポリペプチドをコードする核酸配列を含むトランスジーン核酸分子であって、MeCP2ポリペプチドおよび/またはMeCP2由来ポリペプチドをコードする核酸配列が配列番号3の核酸配列を含む、トランスジーン核酸分子、
d)配列番号13で表される核酸配列を含む制御配列、および
e)配列番号21で表される核酸配列を含む第2のAAV ITR配列
を含む、rAAVベクター。
58.5’から3’の方向に、
a)配列番号30で表される核酸配列を含む第1のAAV ITR配列、
b)配列番号22で表される核酸配列を含むMeP426プロモーター配列を含むプロモーター配列、
c)MeCP2ポリペプチドおよび/またはMeCP2由来ポリペプチドをコードする核酸配列を含むトランスジーン核酸分子であって、MeCP2ポリペプチドおよび/またはMeCP2由来ポリペプチドをコードする核酸配列が配列番号3の核酸配列を含む、トランスジーン核酸分子、
d)配列番号13で表される核酸配列を含む制御配列、および
e)配列番号20で表される核酸配列を含む第2のAAV ITR配列
を含む、rAAVベクター。
59.5’から3’の方向に、
a)配列番号30で表される核酸配列を含む第1のAAV ITR配列、
b)配列番号22で表される核酸配列を含むMeP426プロモーター配列を含むプロモーター配列、
c)MeCP2ポリペプチドおよび/またはMeCP2由来ポリペプチドをコードする核酸配列を含むトランスジーン核酸分子であって、MeCP2ポリペプチドおよび/またはMeCP2由来ポリペプチドをコードする核酸配列が配列番号3の核酸配列を含む、トランスジーン核酸分子、
d)配列番号13で表される核酸配列を含む制御配列、および
e)配列番号21で表される核酸配列を含む第2のAAV ITR配列
を含む、rAAVベクター。
60.配列番号27の核酸配列を含む、先行する実施形態のいずれか一項に記載のrAAVベクター。
61.配列番号29の核酸配列を含む、先行する実施形態のいずれか一項に記載のrAAVベクター。
62.a)先行する実施形態のいずれか一項に記載のrAAVベクター、および
b)AAVカプシドタンパク質
を含む、rAAVウイルスベクター。
63.AAVカプシドタンパク質が、AAV1カプシドタンパク質、AAV2カプシドタンパク質、AAV4カプシドタンパク質、AAV5カプシドタンパク質、AAV6カプシドタンパク質、AAV7カプシドタンパク質、AAV8カプシドタンパク質、AAV9カプシドタンパク質、AAV10カプシドタンパク質、AAV11カプシドタンパク質、AAV12カプシドタンパク質、AAV13カプシドタンパク質、AAVPHP.Bカプシドタンパク質、AAVrh74カプシドタンパク質、またはAAVrh.10カプシドタンパク質である、実施形態62に記載のrAAVウイルスベクター。
64.AAVカプシドタンパク質がAAV1カプシドタンパク質である、実施形態62に記載のrAAVウイルスベクター。
65.AAVカプシドタンパク質がAAV2カプシドタンパク質である、実施形態62に記載のrAAVウイルスベクター。
66.AAVカプシドタンパク質がAAV3カプシドタンパク質である、実施形態62に記載のrAAVウイルスベクター。
67.AAVカプシドタンパク質がAAV4カプシドタンパク質である、実施形態62に記載のrAAVウイルスベクター。
68.AAVカプシドタンパク質がAAV5カプシドタンパク質である、実施形態62に記載のrAAVウイルスベクター。
69.AAVカプシドタンパク質がAAV6カプシドタンパク質である、実施形態62に記載のrAAVウイルスベクター。
70.AAVカプシドタンパク質がAAV7カプシドタンパク質である、実施形態62に記載のrAAVウイルスベクター。
71.AAVカプシドタンパク質がAAV8カプシドタンパク質である、実施形態62に記載のrAAVウイルスベクター。
72.AAVカプシドタンパク質がAAV9カプシドタンパク質である、実施形態62に記載のrAAVウイルスベクター。
73.AAVカプシドタンパク質がAAV10カプシドタンパク質である、実施形態62に記載のrAAVウイルスベクター。
74.AAVカプシドタンパク質がAAV11カプシドタンパク質である、実施形態62に記載のrAAVウイルスベクター。
75.AAVカプシドタンパク質がAAV12カプシドタンパク質である、実施形態62に記載のrAAVウイルスベクター。
76.AAVカプシドタンパク質がAAV13カプシドタンパク質である、実施形態62に記載のrAAVウイルスベクター。
77.AAVカプシドタンパク質がAAVPHP.Bカプシドタンパク質である、実施形態62に記載のrAAVウイルスベクター。
78.AAVカプシドタンパク質がAAVrh74カプシドタンパク質である、実施形態62に記載のrAAVウイルスベクター。
79.AAVカプシドタンパク質がAAVrh.10カプシドタンパク質である、実施形態62に記載のrAAVウイルスベクター。
80.1つまたは複数のmiRNA結合部位を含む制御配列を含む、rAAVベクター。
81.1つまたは複数のmiRNA結合部位が、miR-9-5p miRNA結合部位、miR-26b-5p miRNA結合部位、miR-23a-3p miRNA結合部位、miR-218-5p miRNA結合部位、miR-27a-3p miRNA結合部位、let-7e-5p miRNA結合部位、miR-98-5p miRNA結合部位、let-7d-5p miRNA結合部位、let-7g-5p miRNA結合部位、miR-218-5p miRNA結合部位、またはこれらの任意の組合せを含む、実施形態70に記載のrAAVベクター。
82.制御配列が、配列番号7、8、9、10、11、および12で表される核酸配列のうち1つまたは複数を含む、実施形態80または81に記載のrAAVベクター。
83.制御配列が、配列番号7、8、9、10、11、および12で表される核酸配列のうち2つ以上を含む、実施形態80から82のいずれか一項に記載のrAAVベクター。
84.制御配列が、配列番号7、8、9、10、11、および12で表される核酸配列のうち3つ以上を含む、実施形態80から83のいずれか一項に記載のrAAVベクター。
85.制御配列が、配列番号7、8、9、10、11、および12で表される核酸配列のうち4つ以上を含む、実施形態80から84のいずれか一項に記載のrAAVベクター。
86.制御配列が、配列番号7、8、9、10、11、および12で表される核酸配列のうち5つ以上を含む、実施形態80から85のいずれか一項に記載のrAAVベクター。
87.制御配列が、配列番号7、8、9、10、11、および12で表される核酸配列のそれぞれを含む、実施形態80から86のいずれか一項に記載のrAAVベクター。
88.制御配列が、配列番号13で表される核酸配列を含む、実施形態80から87のいずれか一項に記載のrAAVベクター。
89.制御配列が、配列番号14で表される核酸配列を含む、実施形態80から88のいずれか一項に記載のrAAVベクター。
90.制御配列が、配列番号15で表される核酸配列を含む、実施形態80から89のいずれか一項に記載のrAAVベクター。
91.制御配列が、配列番号16で表される核酸配列を含む、実施形態80から90のいずれか一項に記載のrAAVベクター。
92.制御配列が、5’から3’の方向に、
i)配列番号15で表される核酸配列、
ii)配列番号13で表される核酸配列、および
iii)配列番号16で表される核酸配列
を含む、実施形態80から91のいずれか一項に記載のrAAVベクター。
93.制御配列が、配列番号17で表される核酸配列を含む、実施形態80から92のいずれか一項に記載のrAAVベクター。
94.a)実施形態80から93のいずれか一項に記載のrAAVベクター、および
b)AAVカプシドタンパク質
を含む、rAAVウイルスベクター。
【0107】
組成物および医薬組成物
本開示は、本明細書に記載した単離されたポリヌクレオチド、rAAVベクター、および/またはrAAVウイルスベクターのいずれかを含む組成物を提供する。一部の態様では、組成物は医薬組成物であってよい。したがって、本開示は、本明細書に記載した単離されたポリヌクレオチド、rAAVベクター、および/またはrAAVウイルスベクターのいずれかを含む医薬組成物を提供する。
【0108】
医薬組成物は、本明細書に記載したように、薬理学の技術において既知のまたは開発された任意の方法によって製剤化することができ、その方法には、それだけに限らないが、活性成分(たとえばウイルス粒子または組み換えベクター)を賦形剤および/または添加物および/またはその他の補助的成分と接触させ、産生物を用量単位に分割または包装することが含まれる。本開示のウイルス粒子は、望ましい特徴、たとえば増大した安定性、増大した細胞トランスフェクション、持続したまたは遅延した放出、生体分布もしくは向性、コードされたタンパク質のin vivoでの調節されたまたは増進された翻訳、およびコードされたタンパク質のin vivoでの放出プロファイルを有して製剤化され得る。
【0109】
したがって、医薬組成物は、食塩水、脂質類、リポソーム、脂質ナノ粒子、ポリマー、リポプレックス、コアシェルナノ粒子、ペプチド、タンパク質、ウイルスベクターをトランスフェクトした細胞(たとえば対象への移植のための)、ナノ粒子模倣体、またはそれらの組合せをさらに含んでよい。一部の態様では、医薬組成物はナノ粒子として製剤化される。一部の態様では、ナノ粒子は自己アセンブルした核酸ナノ粒子である。
【0110】
本開示による医薬組成物は、単一の単位用量として、および/または複数の単一単位用量として、バルクで調製され、包装され、および/または販売され得る。活性成分の量は一般に、対象に投与される活性成分の投薬量に等しくおよび/またはそのような投薬量の都合の良い割合、たとえばそのような投薬量の半分または3分の1等である。本発明の製剤は、1つまたは複数の賦形剤および/または添加物を、それぞれともにウイルスベクターの安定性を増大し、ウイルスベクターによる細胞のトランスフェクションまたは形質導入を増大し、ウイルスベクターによってコードされたタンパク質の発現を増大し、および/またはウイルスベクターによってコードされたタンパク質の放出プロファイルを変更させる量で含み得る。一部の態様では、医薬組成物は、賦形剤および/または添加物を含む。賦形剤および/または添加物の非限定的な例には、溶媒、分散媒、希釈剤、またはその他の液体ビヒクル、分散または懸濁の助剤、界面活性剤、等張化剤、増粘剤または乳化剤、保存剤、またはそれらの組合せが含まれる。
【0111】
一部の態様では、医薬組成物は凍結保護剤を含む。用語「凍結保護剤」は、凍結中の物質に対する損傷を低減または排除することができる薬剤を指す。凍結保護剤の非限定的な例には、スクロース、トレハロース、ラクトース、グリセロール、デキストロース、ラフィノース、および/またはマンニトールが含まれる。
【0112】
本明細書で使用される場合、用語「薬学的に許容される担体」は、標準的な薬学的担体のいずれか、たとえばリン酸塩緩衝食塩溶液、水、およびエマルジョン、たとえば水中油もしくは油中水エマルジョン、ならびに種々の種類の湿潤剤を包含する。組成物は安定剤および保存剤を含んでもよい。担体、安定剤、およびアジュバントの例については、Martin(1975)Remington’s Pharm.Sci.,15版(Mack Publ.Co.,Easton)を参照されたい。
【0113】
一部の態様では、本開示の医薬組成物は、リン酸塩緩衝食塩水(PBS)、D-ソルビトール、またはそれらの任意の組合せを含んでよい。
【0114】
一部の態様では、医薬組成物はPBSを含んでよく、PBSは約100mM~約500mM、または約200mM~約400mM、または約300mM~約400mMの濃度で存在する。一部の態様では、塩化ナトリウムが約350mMの濃度で存在してよい。
【0115】
一部の態様では、医薬組成物はD-ソルビトールを含んでよく、D-ソルビトールは約1%~約10%、または約2.5%~約7.5%の濃度で存在する。一部の態様では、D-ソルビトールは約5%の濃度で存在してよい。
【0116】
即ち、本開示は、5%の濃度でD-ソルビトールを含む350mMのリン酸塩緩衝食塩溶液中に本開示のrAAVベクターおよび/またはrAAVウイルスベクターを含む医薬組成物を提供する。
【0117】
本開示の組成物を使用する方法
本開示は、開示した組成物または医薬組成物を用いる、たとえば細胞、組織、器官、動物、または対象に治療有効量の組成物または医薬組成物を投与する、または接触させる、当技術で既知のまたは本明細書に記載した細胞、組織、器官、動物、または対象における疾患または障害の処置のための開示した組成物または医薬組成物の使用を提供する。一実施形態では、対象は哺乳動物である。好ましくは、対象はヒトである。用語「対象」および「患者」は、本明細書では相互交換可能に用いられる。
【0118】
本開示は、治療有効量の本明細書で開示したrAAVベクター、rAAVウイルスベクター、組成物、および/または医薬組成物のいずれか1つを対象に投与することを含むか、実質的にそれからなるか、またはそれからなる、障害を防止または処置する方法を提供する。
【0119】
一部の態様では、疾患はMECP2遺伝子が関与する遺伝障害であり得る。MECP2遺伝子が関与する遺伝障害は、MECP2欠損症であり得る。
【0120】
MECP2遺伝子が関与する遺伝障害は、レット症候群であり得る。
【0121】
一部の態様では、疾患は対象のゲノムにおけるMECP2遺伝子の少なくとも1つのコピーの機能喪失によって特徴付けられる疾患であり得る。一部の態様では、疾患は対象のゲノムにおけるMECP2遺伝子の少なくとも1つのコピーの機能の低下によって特徴付けられる疾患であり得る。一部の態様では、疾患は対象のゲノムにおけるMECP2遺伝子の少なくとも1つのコピーにおける少なくとも1つの変異における少なくとも1つの変異によって特徴付けられる疾患であり得る。
【0122】
MECP2遺伝子における変異は、当技術で既知の任意の型の変異であってよい。変異の非限定的な例には、体細胞変異、単一ヌクレオチドバリアント(SNV)、ナンセンス変異、挿入、欠失、重複、フレームシフト変異、反復拡張、短い挿入および欠失(INDEL)、長いINDEL、選択的スプライシング、選択的スプライシングの産物、改変された翻訳の開始、改変された翻訳の開始の産物、プロテオーム切断、プロテオーム切断の産物が含まれる。
【0123】
一部の態様では、疾患は、疾患を有しない対照の対象と比較した、対象におけるMECP2遺伝子の発現の低下によって特徴付けられる疾患であり得る。一部の態様では、発現の低下は、少なくとも約10%、または少なくとも約20%、または少なくとも約30%、または少なくとも約40%、または少なくとも約50%、または少なくとも約60%、または少なくとも約70%、または少なくとも約80%、または少なくとも約90%、または少なくとも約95%、または少なくとも約99%、または少なくとも約100%であってよい。
【0124】
一部の態様では、疾患は、疾患を有しない対照の対象と比較した、対象におけるMeCP2の量の減少によって特徴付けられる疾患であり得る。一部の態様では、MeCP2の量の減少は、少なくとも約10%、または少なくとも約20%、または少なくとも約30%、または少なくとも約40%、または少なくとも約50%、または少なくとも約60%、または少なくとも約70%、または少なくとも約80%、または少なくとも約90%、または少なくとも約95%、または少なくとも約99%、または少なくとも約100%であってよい。
【0125】
一部の態様では、疾患は、疾患を有しない対照の対象と比較した、対象におけるMeCP2の活性の低下によって特徴付けられる疾患であり得る。一部の態様では、MeCP2の活性の低下は、少なくとも約10%、または少なくとも約20%、または少なくとも約30%、または少なくとも約40%、または少なくとも約50%、または少なくとも約60%、または少なくとも約70%、または少なくとも約80%、または少なくとも約90%、または少なくとも約95%、または少なくとも約99%、または少なくとも約100%であってよい。
【0126】
処置の方法は、レット症候群の1つまたは複数の症状を緩和することができる。一実施形態では、本明細書に記載した組成物の送達によって、症状が検出可能になる前にMECP2遺伝子の変異を有している対象に投与されれば、検出可能な症状の進行を防止しまたは遅延させることができる。したがって、処置は治療的または予防的であり得る。治療は、確立した症状または表現型の阻害または逆転を指す。治療は、症状または表現型の発症の遅延も意味し得る。予防は、既に明白な症状を呈していない対象における症状の進行を阻止または防止することを意味する。明白な症状を呈していない対象は、月齢18か月、12か月、または6か月以前に実施される適切な遺伝子検査によって、MECP2遺伝子の機能喪失変異を有すると若年期に特定することができる。
【0127】
レット症候群の症状には、たとえば脳の成長の遅延(小頭症)および身体の他の部分の成長の遅延、正常な動作および協調の喪失、コミュニケーション能力の喪失、異常な手の動作、通常でない眼の動き、呼吸困難(たとえば呼吸停止、異常に速い呼吸(過換気)、空気または唾液の強引な排出、および空気の飲み込み)、興奮性および号泣、認知障害、発作、脊柱側弯、不規則な拍動、睡眠障害、やせ、骨折しやすい脆い骨、通常冷たい小さな手足、咀嚼および嚥下の障害、腸機能の障害、ならびに歯ぎしりが含まれる。
【0128】
レット症候群のステージには、たとえば以下が含まれる。ステージIは初期の発症である(通常、月齢6~18か月で始まり、数か月または1年続くことがある)。ステージIIは急速な悪化である(年齢約1~4歳で始まる)。ステージIIIはプラトーである(通常、年齢2~10歳で始まり、何年も続くことがある)。ステージIVは後期の運動の悪化である(通常、10歳以後に始まり、数年または数十年続くことがある)。小児の頭または身体の他の部分の成長の遅延。本明細書に記載した組成物および方法は、レット症候群のいかなるステージでも患者を処置するために用いることができる。
【0129】
本開示の方法、組成物、医薬組成物、rAAVベクター、またはrAAVウイルスベクターを用いて処置すべき対象は、本明細書に記載した疾患および/または症状のいずれをも有し得る。
【0130】
一部の態様では、対象は年齢0.5歳未満、または年齢1歳未満、または年齢1.5歳未満、または年齢2歳未満、または年齢2.5歳未満、または年齢3歳未満、または年齢3.5歳未満、または年齢3.5歳未満、または年齢4歳未満、または年齢4.5歳未満、または年齢5歳未満、または年齢5.5歳未満、または年齢6歳未満、または年齢6.5歳未満、または年齢7歳未満、または年齢7.5歳未満、または年齢8歳未満、または年齢8.5歳未満、または年齢9歳未満、または年齢9.5歳未満、または年齢10歳未満であってよい。一部の態様では、対象は年齢11歳未満、年齢12歳未満、年齢13歳未満、年齢14歳未満、年齢15歳未満、年齢20歳未満、年齢30歳未満、年齢40歳未満、年齢50歳未満、年齢60歳未満、年齢70歳未満、年齢80歳未満、年齢90歳未満、年齢100歳未満、年齢110歳未満、または年齢120歳未満であってよい。一部の態様では、対象は年齢0.5歳未満であってよい。一部の態様では、対象は年齢4歳未満であってよい。一部の態様では、対象は年齢10歳未満であってよい。
【0131】
本明細書で開示した処置および防止の方法は、治療または防止のための患者を特定および選択するために適切な診断手法と組み合わせてよい。
【0132】
本開示は、宿主細胞を本明細書で開示したrAAVウイルスベクターのいずれか1つと接触させることを含む、宿主細胞中のタンパク質のレベルを増加させる方法を提供し、rAAVウイルスベクターは、タンパク質をコードするトランスジーン核酸分子を含む本明細書で開示したrAAVベクターのいずれか1つを含む。一部の態様では、タンパク質は治療用タンパク質である。一部の態様では、宿主細胞はin vitro、in vivo、またはex vivoである。一部の態様では、宿主細胞は対象由来である。一部の態様では、対象は正常な対象におけるタンパク質のレベルおよび/または機能と比較して低下したタンパク質のレベルおよび/または機能をもたらす障害に罹患している。
【0133】
一部の態様では、タンパク質のレベルは、宿主細胞中で約1×10-7ng、約3×10-7ng、約5×10-7ng、約7×10-7ng、約9×10-7ng、約1×10-6ng、約2×10-6ng、約3×10-6ng、約4×10-6ng、約6×10-6ng、約7×10-6ng、約8×10-6ng、約9×10-6ng、約10×10-6ng、約12×10-6ng、約14×10-6ng、約16×10-6ng、約18×10-6ng、約20×10-6ng、約25×10-6ng、約30×10-6ng、約35×10-6ng、約40×10-6ng、約45×10-6ng、約50×10-6ng、約55×10-6ng、約60×10-6ng、約65×10-6ng、約70×10-6ng、約75×10-6ng、約80×10-6ng、約85×10-6ng、約90×10-6ng、約95×10-6ng、約10×10-5ng、約20×10-5ng、約30×10-5ng、約40×10-5ng、約50×10-5ng、約60×10-5ng、約70×10-5ng、約80×10-5ng、または約90×10-5ngのレベルに増加している。
【0134】
本開示は、細胞を有効量の本明細書で開示したrAAVウイルスベクターのうちいずれか1つと接触させることを含む、対象における細胞に目的の遺伝子を導入する方法を提供し、rAAVウイルスベクターは目的の遺伝子を含む本明細書で開示したrAAVベクターのうちいずれか1つを含む。
【0135】
本開示の方法の一部の態様では、対象には、本開示のrAAVベクターまたはrAAVウイルスベクターを投与することに加えて、予防的免疫抑制処置レジメンを施行することもできる。一部の態様では、免疫抑制処置レジメンには、少なくとも1つの免疫抑制治療剤を投与することが含まれる。免疫抑制治療剤の非限定的な例には、それだけに限らないが、シロリムス(ラパマイシン)、アセトアミノフェン、ジフェンヒドラミン、IVメチルプレドニソロン、プレドニソン、またはそれらの任意の組合せが含まれる。免疫抑制治療剤は、rAAVベクターおよび/もしくはrAAVウイルスベクターの投与の日に先立って、rAAVベクターおよび/もしくはrAAVウイルスベクターの投与と同じ日に、またはrAAVベクターおよび/もしくはrAAVウイルスベクターの投与の後の任意の日に、投与してよい。
【0136】
診断または処置の「対象」は、細胞または哺乳動物等の動物、またはヒトである。対象は特定の種に限定されず、限定なしに類人猿、ネズミ、ラット、イヌ、またはウサギ種を含む、診断または処置の対象となる非ヒト動物、および感染または動物のモデルの対象となるもの、ならびにその他の家畜、スポーツ動物、またはペットを含む。一部の態様では、対象はヒトである。
【0137】
本明細書で使用される場合、対象における疾患の「処置すること」または「処置」は、(1)疾患を阻止しまたはその進行を阻むこと、または(2)疾患もしくは疾患の症状を改善しまたはその退行を惹起することを指す。当技術で理解されているように、「処置」は、臨床的結果を含む有益なまたは望ましい結果を得るためのアプローチである。本技術の目的のため、有益なまたは望ましい結果には、検出可能であってもなくても、1つまたは複数の、それだけに限らないが、1つまたは複数の症状の緩和または改善、状態(疾患を含む)の程度の逓減、状態(疾患を含む)の状況の安定化(即ち、悪化しないこと)、状態(疾患を含む)の遅延または遅らせること、状態(疾患を含む)の進行、改善、または軽減、状況および寛解(部分的であっても全面的であっても)が含まれ得る。
【0138】
本明細書で使用される場合、「防止すること」または疾患の「防止」は、疾患に罹患しやすい、または疾患の症状がまだ表れていない対象における発生から症状または疾患を防止することを指す。
【0139】
本明細書で使用される場合、用語「有効量」は、所望の効果を達成するために十分な量を意味することを意図している。治療または予防の用途に関しては、有効量は、問題の状態の種類および重症度、ならびに個別の対象の特徴、たとえば一般的健康状態、年齢、性別、体重、および医薬組成物に対する忍容性に依存することになる。遺伝子治療に関しては、有効量は、対象において欠如している遺伝子の部分的または完全な機能の回復をもたらすために十分な量であってよい。一部の態様では、rAAVウイルスベクターの有効量は、MeCP2ポリペプチドまたはMeCP2由来ポリペプチドが産生されるような対象における遺伝子の発現をもたらすために十分な量である。一部の態様では、有効量は、それを必要とする対象におけるガラクトースの代謝を増大させるために必要な量である。当業者であれば、これらのおよびその他の因子に応じて適切な量を決定することができよう。
【0140】
一部の態様では、有効量は、問題の用途の大きさおよび性質に依存することになる。これは標的の対象および使用する方法の性質および感受性に依存することにもなる。当業者であれば、これらのおよびその他の考慮に基づいて有効量を決定することができよう。有効量は、実施形態に応じた組成物の1つまたは複数の投与を含むか、実質的にそれらからなるか、またはそれらからなり得る。
【0141】
本明細書で使用される場合、用語「投与する」または「投与」は、ヒトまたは動物等の対象への物質の送達を意味することを意図している。投与は、処置の経過を通して1つの用量で、連続的に、または間欠的に、達成することができる。最も有効な投与の手段および投薬量を決定する方法は当業者には既知であり、治療に用いる組成物、治療の目的、ならびに処置される対象の年齢、健康状態、または性別によって変動することになる。単一または多回の投与は、処置する臨床医またはペットおよびその他の動物の場合には処置する獣医によって選択される用量レベルおよびパターンで行なってよい。
【0142】
最も有効な投与の手段および投薬量を決定する方法は当業者には既知であり、治療に用いる組成物、治療の目的、ならびに処置される対象によって変動することになる。単一または多回の投与は、処置する臨床医によって選択される用量レベルおよびパターンで行なってよい。投薬量は投与の経路に影響され得ることが注意される。好適な投薬処方および薬剤を投与する方法は当技術で既知である。そのような好適な投薬量の非限定的な例は、投与あたり109ベクターゲノムの低い量から1017ベクターゲノムの高い量までであってよい。
【0143】
本明細書に記載した方法の一部の態様では、対象に投与されるウイルス粒子(たとえばrAAVウイルスベクター)の数は、約109~約1017の範囲である。一部の態様では、約1010~約1012、約1011~約1013、約1011~約1012、約1011~約1014、約1012~約1016、約1013~約1016、約1014~約1015、約5×1011~約5×1012、または約1012~約1013個のウイルス粒子が対象に投与される。
【0144】
本明細書に記載した方法の一部の態様では、対象に投与されるウイルス粒子(たとえばrAAVウイルスベクター)の数は、少なくとも約1010、または少なくとも約1011、または少なくとも約1012、または少なくとも約1013、または少なくとも約1014、または少なくとも約1015、または少なくとも約1016、または少なくとも約1017個のウイルス粒子である。
【0145】
本明細書に記載した方法の一部の態様では、対象に投与されるウイルス粒子(たとえばrAAVウイルスベクター)の数は対象の年齢に依存し得る。非限定的な例では、7歳またはそれ以上の年齢の対象には約10×1014個のウイルス粒子を投与してよく、約4歳~約7歳の年齢の対象には約10×1014個のウイルス粒子を投与してよく、約3歳~約4歳の年齢の対象には約9×1014個のウイルス粒子を投与してよく、約2歳~約3歳の年齢の対象には約8.2×1014個のウイルス粒子を投与してよく、約1歳~約2歳の年齢の対象には約7.3×1014個のウイルス粒子を投与してよく、約0.5歳~約1歳の年齢の対象には約4×1014個のウイルス粒子を投与してよく、約0.5歳未満の年齢の対象には3×1014個のウイルス粒子を投与してよい。
【0146】
一部の態様では、組成物、医薬組成物中のウイルス粒子の量、または患者に投与されるウイルス粒子の量は、ウイルスゲノムを含むと予測されるウイルス粒子のパーセンテージに基づいて計算することができる。
【0147】
一部の態様では、本開示のrAAVウイルスベクターは、静脈内、髄腔内、脳内、心室内、鼻内、気管内、耳内、眼内または眼周囲、経口、経直腸、経粘膜、吸入、経皮、非経口、皮下、皮内、筋肉内、脳槽内、神経内、胸膜内、局所、リンパ内、脳槽内で対象に導入してよい。そのような導入は、動脈内、心臓内、脳室下、硬膜外、大脳内、脳室内、網膜下、硝子体内、関節内、腹腔内、子宮内、神経内、またはそれらの任意の組合せであってもよい。一部の態様では、ウイルス粒子は所望の標的組織に、たとえば非限定的な例として、肺、眼、またはCNSに送達される。一部の態様では、ウイルス粒子の送達は全身的である。脳槽内の投与経路には、脳室の脳脊髄液への薬物の直接投与が含まれる。これは、大槽への直接注射または永久的に位置したチューブによって実施し得る。一部の態様では、本開示のrAAVウイルスベクターは髄腔内に投与される。
【0148】
一部の態様では、本開示のrAAVウイルスベクターは、対象における遺伝子欠損を修復する。一部の態様では、成功裡に処理された細胞、組織、器官、または対象における修復された標的ポリヌクレオチドまたはポリペプチドの修復されていない標的ポリヌクレオチドまたはポリペプチドとの比は、少なくとも約1.5:1、約2:1、約3:1、約4:1、約5:1、約6:1、約7:1、約8:1、約9:1、約10:1、約20:1、約50:1、約100:1、約1000:1、約10,000:1、約100,000:1、または約1,000,000:1である。修復された標的ポリヌクレオチドまたはポリペプチドの量または比は、ウェスタンブロット、ノーザンブロット、サザンブロット、PCR、シーケンシング、マススペクトル、フローサイトメトリー、免疫組織化学、免疫蛍光、蛍光in situハイブリダイゼーション、次世代シーケンシング、イムノブロット、およびELISAを含むがそれらに限らない当技術で既知の任意の方法によって決定することができる。
【0149】
本開示のrAAVベクター、rAAVウイルスベクター、組成物、または医薬組成物の投与は、処置の経過を通して1つの用量で、連続的に、または間欠的に、達成することができる。一部の態様では、本開示のrAAVベクター、rAAVウイルスベクター、組成物、または医薬組成物は、注射、注入、または移植によって非経口的に投与される。
【0150】
一部の態様では、本開示のrAAVウイルスベクターは、脳および頸椎に増進された向性を示す。一部の態様では、本開示のrAAVウイルスベクターは、血液脳関門(BBB)を通過することができる。
【0151】
製造方法
本開示のrAAVウイルスベクターを産生するために種々のアプローチを用い得る。一部の態様では、ヘルパーウイルスまたはヘルパープラスミドおよび細胞株を用いることによって、パッケージングが達成される。ヘルパーウイルスまたはヘルパープラスミドは、ウイルスベクターの産生を容易にするエレメントおよび配列を含んでいる。別の態様では、ヘルパープラスミドはパッケージング細胞株のゲノムの中に安定に組み込まれ、それによりパッケージング細胞株はヘルパープラスミドによるさらなるトランスフェクションを必要としない。
【0152】
一部の態様では、細胞はパッケージング細胞株またはヘルパー細胞株である。一部の態様では、ヘルパー細胞株は真核細胞、たとえばHEK293細胞または293T細胞である。一部の態様では、ヘルパー細胞は酵母細胞または昆虫細胞である。
【0153】
一部の態様では、細胞はテトラサイクリンアクチベータータンパク質をコードする核酸、およびテトラサイクリンアクチベータータンパク質の発現を制御するプロモーターを含む。一部の態様では、テトラサイクリンアクチベータータンパク質の発現を制御するプロモーターは、構成的プロモーターである。一部の態様では、プロモーターはホスホグリセレートキナーゼプロモーター(PGK)またはCMVプロモーターである。
【0154】
ヘルパープラスミドはたとえば、複製能のあるAAVを産生せず、複製能のないAAVをパッケージングするためおよび複製能のないAAVをパッケージングすることができるビリオンタンパク質を高いタイターで産生するために必要なトランスオールビリオンタンパク質をコードする複製能のないウイルスゲノムから誘導された少なくとも1つのウイルスヘルパーDNA配列を含み得る。
【0155】
AAVをパッケージングするためのヘルパープラスミドは当技術で既知であり、たとえば参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2004/0235174A1号を参照されたい。そこで述べられているように、AAVヘルパープラスミドはヘルパーウイルスとしてDNA配列、非限定的な例としてそれぞれの元のプロモーターまたは異種プロモーターによって制御されるAd5遺伝子E2A、E4、およびVAを含み得る。AAVヘルパープラスミドは、所望の標的細胞のトランスフェクションの単純な検出を可能にするために、蛍光タンパク質等のマーカータンパク質の発現のための発現カセットをさらに含んでよい。
【0156】
本開示は、パッケージング細胞株を本明細書で開示したAAVヘルパープラスミドのいずれか1つおよび本明細書で開示したrAAVベクターのいずれか1つでトランスフェクトすることを含む、rAAVウイルスベクターを産生する方法を提供する。一部の態様では、AAVヘルパープラスミドとrAAVベクターはパッケージング細胞株に共トランスフェクトされる。一部の態様では、細胞株は哺乳動物細胞株、たとえばヒト胚性腎(HEK)293細胞株である。本開示は、本明細書で開示したrAAVベクターおよび/またはrAAVウイルスベクターのいずれか1つを含む細胞を提供する。
【0157】
本明細書で使用される場合、ウイルスまたはプラスミドに関連する用語「ヘルパー」は、本明細書に記載したrAAVベクターのいずれか1つの複製およびパッケージングのために必要なさらなる成分を提供するために用いられるウイルスまたはプラスミドを指す。ヘルパーウイルスによってコードされる成分は、ビリオンのアセンブリー、カプシド封入、ゲノムの複製、および/またはパッケージングのために必要な任意の遺伝子を含み得る。たとえば、ヘルパーウイルスまたはプラスミドは、ウイルスゲノムの複製のための必要な酵素をコードし得る。AAV構築物とともに用いるために好適なヘルパーウイルスおよびプラスミドの非限定的な例には、pHELP(プラスミド)、アデノウイルス(ウイルス)、またはヘルペスウイルス(ウイルス)が含まれる。一部の態様では、pHELPプラスミドはpHELPKプラスミドであってよく、この場合はアンピシリン発現カセットがカナマイシン発現カセットに交換される。
【0158】
本明細書で使用される場合、パッケージング細胞(またはヘルパー細胞)は、ウイルスベクターを産生するために用いられる細胞である。組み換えAAVウイルスベクターの産生には、トランスで提供されるRepおよびCapタンパク質、ならびにAAVの複製を助けるアデノウイルス由来の遺伝子配列が必要である。一部の態様では、パッケージング/ヘルパー細胞が、細胞のゲノムの中に安定に組み込まれるプラスミドを含む。他の態様では、パッケージング細胞は一過的にトランスフェクトされ得る。典型的には、パッケージング細胞は真核細胞、たとえば哺乳動物細胞または昆虫細胞である。
【0159】
キット
本明細書に記載した単離されたポリヌクレオチド、rAAVベクター、rAAVウイルスベクター、組成物、および/または医薬組成物は、治療、診断、または研究の用途におけるその使用を容易にするために、医薬用または診断用または研究用のキットにアセンブルしてよい。一部の態様では、本開示のキットは、本明細書に記載したように、単離されたポリヌクレオチド、rAAVベクター、rAAVウイルスベクター、組成物、医薬組成物、宿主細胞、単離された組織のいずれか1つを含む。
【0160】
一部の態様では、キットは使用説明書をさらに含む。具体的には、そのようなキットは、本明細書に記載した1つまたは複数の薬剤を、これらの薬剤の意図された用途および正しい使用を記載した説明書とともに含んでよい。一部の態様では、キットは、キットの1つもしくは複数の成分を混合し、および/または試料を単離し混合して対象に適用するための説明書を含んでよい。一部の態様では、キット中の薬剤は医薬製剤中にあり、特定の用途および薬剤の投与の方法に適した投薬量である。研究目的用のキットは、種々の実験を行なうために適切な濃度または量で成分を含み得る。
【0161】
キットは、本明細書に記載した方法の使用を容易にするように設計され、多くの形態を取ることができる。キットの成分のそれぞれは、適用できる場合には、液体形態(たとえば溶液中)または固体形態(たとえば乾燥粉末)で提供され得る。ある特定の例では、組成物のいくつかは、たとえば、キットとともに提供されてもよく提供されなくてもよい好適な溶媒または他の種(たとえば、水または細胞培養培地)によって再構成または他の方法で処理(たとえば活性形に)することができる。一部の態様では、組成物は保存溶液(たとえば凍結保存溶液)中で提供され得る。保存溶液の非限定的な例には、DMSO、パラホルムアルデヒド、およびCryoStor(登録商標)(Stem Cell Technologies社,Vancouver,Canada)が含まれる。一部の態様では、保存溶液はある量のメタロプロテアーゼ阻害剤を含む。
【0162】
一部の態様では、キットは、本明細書に記載した成分のいずれか1つまたは複数を、1つまたは複数の容器中に含む。即ち、一部の態様では、キットは、本明細書に記載した薬剤を収容する容器を含み得る。薬剤は液体、ゲル、または固体(粉末)の形態であってもよい。薬剤は無菌的に調製され、シリンジに包装され、冷蔵で出荷され得る。あるいは、保存のために薬剤をバイアルまたはその他の容器中に収容してもよい。第2の容器が無菌的に調製された他の薬剤を有してもよい。あるいは、キットは、事前に混合され、シリンジ、バイアル、チューブ、またはその他の容器中で出荷された活性薬剤を含んでよい。キットは、対象に薬剤を投与するために必要な部品、たとえばシリンジ、局所適用デバイス、またはIVニードルチューブおよびバッグの1つもしくは複数または全てを有してよい。
【0163】
さらなる定義
文脈によって他が指示されない限り、本明細書に記載した本発明の種々の特徴は任意の組合せで用いることができることが特に意図されている。さらに、本開示は、一部の態様で、本明細書で説明した任意の特徴または特徴の組合せを除外または削除してよいことも意図している。説明のため、複合体が成分A、B、およびCを含むと明細書で述べている場合には、A、B、もしくはCのいずれか、またはそれらの組合せを、単独でまたは任意の組合せで削除または放棄してよいことが特に意図されている。
【0164】
他に明示的に示さない限り、全ての特定した態様、実施形態、特徴、および用語は、引用した態様、実施形態、特徴、または用語と、その生物学的等価物の両方を含むことが意図されている。
【0165】
本技術の実施には、他に指示がない限り、当技術の技能の範囲内にある有機化学、薬理学、免疫学、分子生物学、微生物学、細胞生物学、および組み換えDNAの従来の手法が採用されることになる。たとえばSambrook,FritschおよびManiatis,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,第2版(1989);Current Protocols In Molecular Biology(F.M.Ausubelら編,(1987));the series Methods in Enzymology(Academic Press,Inc.):PCR 2:A Practical Approach(M.J.MacPherson,B.D.HamesおよびG.R.Taylor編(1995)),HarlowおよびLane編,(1988)Antibodies,a Laboratory Manual,およびAnimal Cell Culture(RI.Freshney編,(1987))を参照されたい。
【0166】
本明細書で使用される場合、用語「含む」は、組成物および方法が引用した要素を含むが、他を排除しないことを意味することを意図している。本明細書で使用される場合、移行句「実質的に~からなる」(および文法的変形)は、引用した材料またはステップ、および引用した実施形態の基礎的かつ新規な特徴に実質的に影響しない材料またはステップを包含すると解釈すべきである。即ち、本明細書で使用される用語「実質的に~からなる」は、「含む」と等価であると解釈するべきではない。「からなる」は、他の成分および本明細書で開示した組成物を投与するための実質的な方法ステップの微量を超える要素を排除することを意味する。これらの移行句のそれぞれによって定義される態様は、本開示の範囲内である。本明細書におけるそれぞれの例において、用語「含む」、「実質的に~からなる」、および「からなる」のいずれも、それらの元の意味を保持したままで他の2つの句によって置き換えることができる。本明細書に記載したいずれの単一の用語、単一の要素、単一の句、用語の群、または要素の群は、特許請求の範囲からそれぞれ具体的に除外され得る。
【0167】
全ての数値指定、たとえば範囲を含むpH、温度、時間、濃度、および分子量は、必要に応じて1.0または0.1の増分で、あるいは±15%、10%、5%、2%の変動で、(+)または(-)に変動する近似である。常に明示的に述べてはいないが、全ての数値指定には、用語「約」が先行していることを理解されたい。常に明示的に述べてはいないが、本明細書に記載した試薬は単に例示的なものであり、その等価物が当技術で既知であることも理解されたい。量または濃度その他の測定可能な値に言及する場合に本明細書で使用される用語「約」は、特定した量の20%、10%、5%、1%、0.5%、または0.1%でさえもの変動を包含することを意味している。
【0168】
用語「許容される」、「有効な」、または「十分な」は、本明細書で開示した任意の成分、範囲、用量形態、その他の選択を記載するために使用される場合には、前記の成分、範囲、用量形態、その他が開示した目的に適していることを意図している。
【0169】
また、本明細書で使用される場合、「および/または」は、関連する列挙した項目の1つまたは複数のあらゆる可能な組合せ、ならびに選択肢(「または」)で説明される場合には組合せの欠如を指し、包含する。
【0170】
具体的に引用しない限り、用語「宿主細胞」は、たとえば真菌細胞、酵母細胞、高等植物細胞、昆虫細胞、および哺乳動物細胞を含む真核生物宿主細胞を含む。真核生物宿主細胞の非限定的な例には、類人猿、ウシ、ブタ、ネズミ、ラット、鳥類、爬虫類、およびヒト、たとえばHEK293細胞および293T細胞が含まれる。
【0171】
本明細書で使用される用語「単離された」は、実質的に他の材料を含まない分子または生物製剤または細胞材料を指す。
【0172】
本明細書で使用される場合、用語「核酸配列」および「ポリヌクレオチド」は相互交換可能に使用され、リボヌクレオチドまたはデオキシリボヌクレオチドである任意の長さのヌクレオチドのポリマーの形態を指す。即ち、この用語には、それだけに限らないが、一本鎖、二本鎖、もしくは多数鎖のDNAもしくはRNA、ゲノムDNA、cDNA、DNA-RNAハイブリッド、あるいはプリンおよびピリミジン塩基またはその他の天然の、化学的もしくは生化学的に改変された、非天然の、または誘導されたヌクレオチド塩基を含むか、実質的にそれらからなるか、またはそれらからなるポリマーが含まれる。
【0173】
「遺伝子」は、特定のポリペプチドまたはタンパク質をコードすることができる少なくとも1つのオープンリーディングフレーム(ORF)を含むポリヌクレオチドを指す。「遺伝子産物」あるいは「遺伝子発現産物」は、遺伝子が転写され翻訳された際に生成するアミノ酸配列(たとえばペプチドまたはポリペプチド)を指す。
【0174】
本明細書で使用される場合、「発現」は、ポリヌクレオチドがmRNAに転写される2ステップのプロセスおよび/または転写されたmRNAが引き続いてペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質に翻訳されるプロセスを指す。ポリヌクレオチドがゲノムDNAから誘導される場合には、発現は真核細胞内におけるmRNAのスプライシングを含み得る。
【0175】
「転写の制御下」は当技術でよく理解されている用語であり、ポリヌクレオチド配列、通常DNA配列の転写が、転写の開始に寄与するか、または転写を促進するエレメントに作動可能に連結されていることに依存していることを示す。「作動可能に連結されている」は、ポリヌクレオチドが細胞中において機能することを可能にする様式で配置されていることを意図している。一態様では、プロモーターは下流配列に作動可能に連結されていてよい。
【0176】
用語「コードする」は、それがポリヌクレオチドおよび/または核酸配列に適用される場合には、その天然の状態において、または当業者には公知の方法によって操作された場合に、転写されてポリペプチドおよび/またはその断片のためのmRNAを産生することができるならば、ポリペプチドを「コードしている」と称されるポリヌクレオチドおよび/または核酸配列を指す。アンチセンス鎖はそのような核酸の相補体であり、コードする配列はそれから推測することができる。
【0177】
用語「タンパク質」、「ペプチド」、および「ポリペプチド」は相互交換可能に使用され、その最も広い意味においてアミノ酸、アミノ酸アナログ、またはペプチド模倣体の2つ以上のサブユニットの化合物を指す。サブユニットはペプチド結合で連結されていてよい。別の態様では、サブユニットは他の結合、たとえばエステル、エーテル、その他で連結されていてよい。タンパク質またはペプチドは少なくとも2つのアミノ酸を含まなくてはならず、タンパク質またはペプチドの配列を含むか、実質的にそれからなるか、またはそれからなるアミノ酸の最大の数には制限はない。本明細書で使用される場合、用語「アミノ酸」は、グリシンおよびDとLの両方の光学異性体、アミノ酸アナログ、およびペプチド模倣体を含む、天然および/または非天然、または合成のアミノ酸を指す。
【0178】
本明細書で使用される場合、用語「シグナルペプチド」または「シグナルポリペプチド」は、新たに合成された分泌性または膜のポリペプチドまたはタンパク質のN末端に通常存在するアミノ酸配列を意図している。これはポリペプチドを特定の細胞位置に、たとえば細胞膜を横切って、細胞膜の中に、または核の中に、指向するように作用する。一部の態様では、シグナルペプチドは局在化の後で除去される。シグナルペプチドの例は当技術で周知である。非限定的な例としては、米国特許第8,853,381号、第5,958,736号、および第8,795,965号に記載されたものがある。一部の態様では、シグナルペプチドはIDUAシグナルペプチドであってよい。
【0179】
用語「等価」または「生物学的等価」は、特定の分子、生物学的材料、または細胞材料に言及する場合には、相互交換可能に使用され、最小の相同性を有しながらそれでも所望の構造または機能性を維持している特定の分子、生物学的材料、または細胞材料を意図している。等価のポリペプチドの非限定的な例には、参照ポリペプチド(たとえば野生型ポリペプチド)と少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%の同一性、もしくは少なくとも約99%の同一性を有するポリペプチド、または参照ポリヌクレオチド(たとえば野生型ポリヌクレオチド)と少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%の同一性、少なくとも約97%の配列同一性、もしくは少なくとも約99%の配列同一性を有するポリヌクレオチドでコードされるポリペプチドが含まれる。
【0180】
「相同性」または「同一性」または「類似性」は、2つのペプチドの間、または2つの核酸分子の間の配列類似性を指す。同一性パーセントは、比較の目的でアラインさせたそれぞれの配列において位置を比較することによって決定することができる。比較した配列中のある位置が同じ塩基またはアミノ酸によって占有されている場合には、それらの分子はその位置において同一である。配列の間の同一性の程度は、それらの配列によって共有される一致した位置の数の関数である。「無関係な」または「非相同性」配列は、本開示の配列の1つと40%未満の同一性、25%未満の同一性を共有している。アラインメントおよび配列同一性パーセントは、前記核酸またはアミノ酸の配列をClustalW(https://genome.jp/tools-bin/clustalw/で入手可能)にインポートし、これを用いることによって、本明細書で提供した核酸またはアミノ酸の配列について決定することができる。たとえば、本明細書で見出したタンパク質配列アラインメントを実施するために用いたClustalWパラメーターは、Gonnet(タンパク質について)重みマトリックスを用いて生成した。一部の態様では、本明細書で見出した核酸配列を用いて核酸配列アラインメントを実施するために用いたClustalWパラメーターは、ClustalW(DNAについて)重みマトリックスを用いて生成される。
【0181】
本明細書で使用される場合、アミノ酸の改変は、アミノ酸の置換、アミノ酸の欠失、またはアミノ酸の挿入であってよい。アミノ酸の置換は、保存的アミノ酸置換または非保存的アミノ酸置換であってよい。保存的置き換え(保存的変異、保存的置換、または保存的変形とも呼ばれる)は、所与のアミノ酸を同様の生化学的特性(たとえば電荷、疎水性、または大きさ)を有する異なるアミノ酸に変更する、タンパク質中のアミノ酸の置き換えである。本明細書で使用される場合、「保存的変形」は、アミノ酸残基の、別の生物学的に同様の残基による置き換えを指す。保存的変形の例には、イソロイシン、バリン、ロイシン、もしくはメチオニン等の1つの疎水性残基の別の残基への置換、または1つの荷電したもしくは極性の残基の別の残基への置換、たとえばアルギニンのリジンへの、グルタミン酸のアスパラギン酸への、グルタミンのアスパラギンへの置換、その他が含まれる。保存的置換のその他の説明的な例には、アラニンからセリン、アスパラギンからグルタミンもしくはヒスチジン、アスパラギン酸からグルタミン酸、システインからセリン、グリシンからプロリン、ヒスチジンからアスパラギンもしくはグルタミン、リジンからアルギニン、グルタミン、もしくはグルタミン酸、フェニルアラニンからチロシン、セリンからスレオニン、スレオニンからセリン、トリプトファンからチロシン、チロシンからトリプトファンもしくはフェニルアラニン、その他の変更が含まれる。
【0182】
本明細書で開示したポリヌクレオチドは、遺伝子送達ビヒクルを用いて細胞または組織に送達することができる。本明細書で使用される「遺伝子送達」、「遺伝子導入」、「形質導入」等は、導入のために用いられる方法に関わらず、外因性ポリヌクレオチド(時には「トランスジーン」と称される)の宿主細胞への導入を指す用語である。そのような方法には、種々の周知の手法、たとえばベクター媒介遺伝子導入(たとえばウイルス感染/トランスフェクション、またはその他の種々のタンパク質系もしくは脂質系の遺伝子送達複合体による)、ならびに「裸の」ポリヌクレオチドの送達を容易にする手法(たとえばエレクトロポレーション、「遺伝子銃」送達、およびポリヌクレオチドの導入のために用いられる他の種々の手法)が含まれる。導入されたポリヌクレオチドは、安定的または過渡的に宿主細胞中に維持され得る。安定的な維持には、典型的には導入されたポリヌクレオチドが宿主細胞に適合する複製の起点を含むか、または宿主細胞のレプリコン、たとえば染色体外レプリコン(たとえばプラスミド)、または核もしくはミトコンドリアの染色体に統合されることが必要である。当技術において既知で本明細書に記載しているように、いくつかのベクターが遺伝子の哺乳動物細胞への導入を媒介することができることが知られている。
【0183】
「プラスミド」は、典型的には染色体DNAとは離れていて独立にこれを複製することができるDNA分子である。多くの例で、これは環状で二本鎖である。プラスミドは微生物の集団の中で水平的遺伝子導入のための機構を提供し、典型的には所与の環境状況の下で選択的な利点を提供する。プラスミドは競争的な環境的地位において天然産生の抗生物質に対する耐性を提供する遺伝子を運搬し、あるいは産生されたタンパク質が同様の状況の下で毒素として作用し得る。プラスミドベクターは染色体外環状DNA分子として存在することが多い一方、プラスミドベクターはランダムにまたは標的とされた様式で宿主染色体中に安定的に統合されるようにも設計され、そのような統合は環状プラスミドまたは宿主細胞への導入の前に線状化されたプラスミドを用いて達成できることが当技術で知られている。
【0184】
遺伝子操作で用いられる「プラスミド」は「プラスミドベクター」と呼ばれる。そのような使用のために多くのプラスミドが市販されている。複製されるべき遺伝子は、細胞を特定の抗生物質に対して耐性にする遺伝子を含むプラスミドのコピー、およびいくつかの一般に用いられる制限部位を含み、この位置におけるDNA断片の挿入を容易にする短い領域である多重クローニング部位(MCSまたはポリリンカー)の中に挿入される。プラスミドの別の主要な用途は、大量のタンパク質を作成することである。この場合には、目的の遺伝子を有するプラスミドを含む細菌または真核細胞が研究者によって増殖され、これらは、挿入された遺伝子から大量のタンパク質が産生されるように誘起することができる。
【0185】
遺伝子導入がアデノウイルス(Ad)またはアデノ随伴ウイルス(AAV)等のDNAウイルスベクターによって媒介される態様では、ベクター構築物は、ウイルスゲノムまたはその部分、およびトランスジーンを含むか、実質的にそれからなるか、またはそれからなるポリヌクレオチドを指す。
【0186】
用語「組織」は、生きているもしくは死亡した生命体の組織または生きているもしくは死亡した生命体から誘導されもしくはこれを模倣するように設計された任意の組織を指すために本明細書において使用される。組織は健康であっても、疾患を有していても、および/または遺伝的変異を有していてもよい。生物学的組織は、任意の単一の組織(たとえば相互に連結されていてもよい細胞の集合)または生命体の身体の器官もしくは部分もしくは領域を構成する組織の群を含み得る。組織は、均一な細胞材料を含むか、実質的にそれからなるか、またはそれからなってよく、またはたとえば肺組織、骨格組織、および/または筋肉組織を含み得る胸部を含む身体の領域において見出されるようなコンポジット構造であってもよい。例示的な組織には、それだけに限らないが、肝、肺、甲状腺、皮膚、膵、血管、膀胱、腎、脳、胆道系、十二指腸、腹部大動脈、腸骨静脈、心臓、および腸から誘導された組織が含まれ、それらの任意の組合せが含まれ得る。
実施例
【0187】
実施例1~5の材料および方法
動物:マウスには飼料および水を自由に摂取させ、12時間の明-暗サイクル下に飼育した。動物研究は、University of North Carolina(UNC) at Chapel Hill(
図1A~
図1C)およびUniversity of Texas Southwestern(UTSW)Medical Center(他の全ての図)のInstitutional Animal Care and Use Committeeによって承認されたプロトコルに従って実行した。全てのマウスはP28で離乳させた(Sinnett,S.E.ら,Mol Ther Methods Clin Dev,2017.5:106~115頁)。マウスは以下の例外を除き、バリア施設の中に収容し、そこで評価した。
図4Dのマウスは従来の施設で飼育し、収容し、評価した。
【0188】
ベクター
a)AAV9/CBH-EGFP:AAV9カプシドタンパク質ならびにニワトリβ-アクチンハイブリッド(CBh)プロモーターおよびそれに続くeGFPポリペプチドをコードする核酸を含むrAAVベクターを含むウイルスベクター。
b)AAV9/MeP426-hMECP2-myc-RDH1pA(以後、「AAV9/MECP2」と称する):AAV9カプシドタンパク質ならびに5’から3’の方向にMeP426プロモーター配列、ヒトMeCP2をコードする核酸配列、mycタグをコードする核酸配列、および配列番号14で表される核酸配列を含む制御配列を含むrAAVベクターを含むウイルスベクター。
c)AAV9-MeP426-ミニMECP2-myc-RDH1pA(今後、「AAV9/ミニMECP2」と称する):AAV9カプシドタンパク質ならびに5’から3’の方向にMeP426プロモーター配列、配列番号1のアミノ酸配列を含むミニMeCP2ポリペプチドをコードする核酸配列、mycタグをコードする核酸配列、および配列番号14で表される核酸配列を含む制御配列を含むrAAVベクターを含むウイルスベクター。
d)AAV9-MeP426-ミニMECP2-myc-miRARE-RDH1pA(今後、「AAV9/ミニMECP2-miRARE」と称する):AAV9カプシドタンパク質ならびに5’から3’の方向にMeP426プロモーター配列、配列番号1のアミノ酸配列を含むミニMeCP2ポリペプチドをコードする核酸配列、mycタグをコードする核酸配列、および配列番号17で表される核酸配列を含む制御配列を含むrAAVベクターを含むウイルスベクター。
e)PHP.B/ミニMECP2-myc:PHP.Bカプシドタンパク質ならびに5’から3’の方向にMeP426プロモーター配列、配列番号1のアミノ酸配列を含むミニMECP2-mycポリペプチドをコードする核酸配列、mycタグをコードする核酸配列、および配列番号14で表される核酸配列を含む制御配列を含むrAAVベクターを含むウイルスベクター。
f)PHP.B/ミニMECP2-myc-miRARE:PHP.Bカプシドタンパク質ならびに5’から3’の方向にMeP426プロモーター配列、配列番号1のアミノ酸配列を含むミニMECP2-mycポリペプチドをコードする核酸配列、mycタグをコードする核酸配列、および配列番号17で表される核酸配列を含む制御配列を含むrAAVベクターを含むウイルスベクター。
g)PHP.B/CBH-EGFPベクター:PHP.Bカプシドタンパク質ならびにニワトリβ-アクチンハイブリッド(CBh)プロモーターおよびそれに続くeGFPポリペプチドをコードする核酸を含むrAAVベクターを含むウイルスベクター。
【0189】
全てのベクターはUNC Vector Coreによって産生された(Clement,N.およびJ.C.Grieger.Mol Ther Methods Clin Dev,2016.3:16002頁)。
【0190】
上記のベクターの全ては自己相補性ゲノムを有しており、全て5%のD-ソルビトールを含む350mMのPBSの製剤緩衝液中で調製された。
【0191】
6標的のmiRAREパネルを、RDH1pAの2つのサブ成分の間に挿入した。これら2つのサブ成分は、miR-19、miR-22、およびmiR-132のための3標的のパネルならびに保存された末梢ポリアデニル化シグナルの110bpの断片である。
【化1】
【0192】
下線を付した配列は、それぞれmiR-9-5p、miR-26-5p、miR-23-3p、miR-218-5p、miR-27-3p、およびlet-7-5pのシードマッチを示す。下線を付していない部分はフランキング配列を表す。これらの標的および側面の配列は、いくつかの基準を満たす。(1)太字の変異はT1Aアンカーを創成するために導入した(Schirle,N.T.ら、Science,2014.346(6209):608~13頁)。(2)それぞれの下線を付した配列の間のスペーサーは、共同抑制のための所望の範囲内である(Grimson,A.ら、Mol Cell,2007.27(1):91~105頁;Saetrom,P.ら、Nucleic Acids Res,2007.35(7):2333~42頁)。(3)標的の大部分はT9AまたはT9Uを許容する(Lewis,B.P.ら,Cell,2005.120(1):15~20頁)。
【0193】
処置:4~5週齢のマウスについて、外科的脳槽内または経皮のIT注射(10μL)を実施した。以下の例外を除いて、当業者には公知の注射法を用いた。イソフルランによる吸入麻酔に先立って(アベルチンの腹腔内投与の代わりに)カルプロフェン(5mg/kg)およびリドカイン(5μL、2%溶液)を皮下投与した(Sinnett,S.E.ら,Mol Ther Methods Clin Dev,2017.5:106~115頁;Gray,S.J.ら,Curr Protoc Neurosci,2011.第4章:ユニット4 17頁)。IT注射は、処置について知らされていない人員によって実施した。
【0194】
RNAの精製:1群あたり3匹のマウスを、食塩水、1×1012vgのAAV9/MECP2、または1×1012vgのAAV9/EGFPで処置した。注射の2~3週後、致死量の腹腔内アベルチンでマウスを安楽死させ、頸部を切断した。頚髄、小脳、および髄質を迅速に切除し、ドライアイス上で凍結し、直ちに-80℃に移した。解凍し、溶解した組織からQiagen miRNeasy Miniキットを用いて全RNAを精製した。RNA試料は、スクリーニングのためにドライアイス上で出荷するまで-80で保存した。
【0195】
miRNAのプロファイリング:ブラインドされたRNA試料からLC SciencesによってプロファイリングされたマウスmiRNAをプロファイリングし(マイクロアレイパート番号MRA-1002、miRBaseバージョン21、1群1組織型あたりマウスn=3匹、スクリーニング反復2回)、統計解析を行なった。強度500未満を正規化シグナルと定義した。本明細書に記載した有意に増加したmiRNA発現レベルは、500を超える平均シグナル強度を有するものに限定する。
【0196】
バイオインフォーマティクス:本明細書で論じる内因性標的は、targetscan.orgに列挙されたアノテーションに基づいており、ここでは21個の3’UTRのエクセルファイルをダウンロードした(リリース7.2、2018年3月)(Agarwal,V.ら、Elife,2015.4)。単一の遺伝子について2つの3’UTR配列が利用可能な場合には、最も優勢な転写物を解析に選択した。たとえばMECP2について、RDH1pAの一部がそれから誘導される8kbの転写物を解析に用いた。ダウンロードしたファイルから得た標的を、頻度表を創成するために用いた単一のマスターファイルに併合した。これらのスコアはウイルスゲノムのコンテクストを説明しないので、一意的にアノテートされた全ての標的をそれらのコンテクスト++パーセンタイルスコアに関わらず考慮した。(Agarwal,V.ら,Elife,2015.4)。単一の転写物の中で2回以上出現した標的は、3’UTRあたりただ1回とカウントした。miRARE由来の6個の標的がMECP2について内因性ヒト3’UTRと一致する(miR-9-5、miR-26b-5p、miR23a-3p、miR-218-5p、miR-27a-3p、およびlet-7-5p/98-5p)。miRARE由来の5個の標的がMECP2について内因性マウス3’UTRと一致する(miR-26b-5p、miR-23a-3p、miR-218-5p、miR-27a-3p、およびlet-7-5p/98-5p)。
【0197】
毎週の体重測定および総計行動スコアリング:総計表現型重症度スケールを用いて、処置されたマウスにおける行動を評価した。これは以前に公開されたスケールに基づいている(Guy,J.ら,Science,2007.315(5815):1143~7頁)。この総計スケールには、異常な動作、異常な歩行、後肢のクラスピング、振戦、異常な呼吸、および異常な一般的所見についての6つのサブスケールが含まれる。後肢のクラスピングは、マウスを尾で吊り上げて後肢が浮かんだ状態になるようにして評価した。スコアは処置および遺伝型についてブラインドとしたが、目視評価によって遺伝型を推測することは可能であろう。マウスは注射前およびその後毎週、体重測定およびスコア付けを行なった。
【0198】
ロタロッド:マウスをColumbus Instruments社のRotamax-5によって試験した。ロタロッドは5分にわたって4~40rpmで加速した。マウスは、試験の間の間隔を15分として1日あたり4回、2日にわたって試験した。記録した潜在期間は、マウスがロタロッドから落ちた時間またはマウスが倒れずにロッドの周囲を1回旋回した時間のいずれかとした(マウスはその後でロタロッドから取り除いた)。これらの評価は、処置および遺伝型について知らされていないスコアラーによって行なわれた。
【0199】
生存:それぞれのマウスについて記録した死亡日は、以下の例外を除いて自然の死亡日であった。ピーク時の体重の少なくとも20%を失ったマウスは、以前公開された方法(Gadalla,K.K.E.ら,Mol Ther Methods Clin Dev,2017.5:180~190頁)に従って、またはUT Southwestern Animal Resource Centerの獣医スタッフの提言に従って安楽死させた。重篤な健康上の問題(合併症による脱落、壊死をもたらすか自己傷害に続く尾の病変)による早期の安楽死は、校閲前の生存曲線の中で指示している。
【0200】
免疫蛍光および共焦点解析:免疫蛍光解析技術は、以下の例外を除いて以前公開された方法に従って実施した(Sinnett,S.E.ら,Mol Ther Methods Clin Dev,2017.5:106~115頁)。抗原賦活化は実施しなかった。抗原賦活化はブロッキングおよび抗MeCP2一次抗体とのインキュベーションの前には必要であるが、ブロッキングおよび抗myc抗体とのインキュベーションの前には必要でない。免疫標識した切片は、Zeiss880共焦点顕微鏡により、Zenソフトウェアを用いて、UT SouthwesternのLive Cell Imaging Facilityでイメージングした。
【0201】
統計解析:有意性を判定するために用いたアルファレベルはp<0.05であった。miRNAマイクロアレイからの変換したシグナル強度の統計解析は、技術資料に記載された方法に従って実施した。群間の解析(たとえば群A対群B)を実施した。スクリーニング手法の制限のために、p-値は注意深く解析し、miRAREのために選択したmiRNA標的を正当化するために、スクリーニングとバイオインフォーマティクスの結果を併せた。Gehan-Breslow-Wilcoxon検定を用いて、GraphPad Prismによって生成したKaplan-Meierプロットにおける群の対の間の統計的有意性を計算した。他に注記した場合を除き、体重および行動のデータについてGraphPadを用いて二方向ANOVAおよびそれに続くTukeyのポストホック検定を行なった。
【実施例1】
【0202】
ミニMECP2ベクターはWTマウスにおいて副反応を惹起し得る。
AAV9/MeP426-hMECP2-myc-RDH1pA(これ以降AAV9/MECP2と称する)は、若年マウスへの脳槽内(ICM)投与の後、用量依存性の副反応(たとえば体重減少および四肢のクラスピングの異常)を惹起し得る。対照的に、AAV9/ミニMECP2の安全性に関してはあまり知られていない。ミニMECP2遺伝子導入による毒性を評価するため、WT若年マウスに1×10
12vgのAAV9/またはPHP.B/ミニMECP2を注射し(ICM)、行動を毎週スコア付けした。これらの用量は極めて高いが、目的は副反応を惹起せずにCNSにおいて広範囲のMeCP2タンパク質発現を可能にする処置を開発することであり、したがって高い用量が必要である。AAV9/ミニMECP2は、注射後2週以内に平均クラスピングスコアを増加させた(p<0.05、
図1A)。PHP.B/ミニMECP2は、注射後3日と早期に両側のクラスピングをもたらした(
図1B)。AAV9/とPHP.B/ミニMECP2の両方は、注射後2週以内に総計表現型重症度スコアを増加させた(p<0.05、
図1C)。内因性ミニMeCP2-EGFPを発現するトランスジェニックマウスは穏和なクラスピングを呈したが、急速に進行する重度の表現型が観察されたことは、毒性の過発現と一致し、したがってミニMECP2ウイルスゲノムのさらなる最適化が正当化された。
【実施例2】
【0203】
miRARE配列を設計するためのマイクロRNA(miRNA)発現解析
毒性のあるMECP2遺伝子療法によって上方制御されるmiRNAを同定するため、WTおよびKOマウスに、食塩水、AAV9/EGFP、またはAAV9/MECP2を4~5週齢で注射した(1×1012vg/マウス、ICM)。注射後2~3週で、注射部位近くで見出された3種の組織を切除した。組織型は頚髄(CC)、小脳、および髄質であった。これらの試料から全RNAを精製した。次いでマイクロアレイによって1900のマウスmiRNAの発現を定量した。このアプローチにより、より顆粒状の、細胞型に特異的なmiRNAを特定する可能性を差し控えながら、CNS中の関連性のあるMeCP2応答性miRNAの同定が可能になった。その発現レベルがMeCP2と相関して組織レベルで有意に増加したmiRNAを同定した。これらの変化がqRT-PCRによる二次的確認のためにはスケールにおいて小さすぎる(せいぜい1.5倍未満)ことに鑑みて、新規な制御パネルのためにmiRNA標的の選択を正当化する代替の二次的アプローチを用いた。
【0204】
二次的アプローチの必要性に鑑みて、マイクロアレイデータを新規なバイオインフォーマティクスアプローチと併せた。表現型において関連し、発達において同時に起こる神経発達障害を媒介する用量感受性のCNS遺伝子の3’UTRは、共通していくつかのmiRNA標的を有し得る(表2~表3)。そうであれば、一次的にはレット遺伝子療法を意図しているが、他の疾患にも関連し得る小型で多目的の標的パネルを設計することができる。アノテートされたmiRNA標的が11種の3’UTRの間で出現した回数を、知的障害を媒介する遺伝子の精選されたリストについて定量した(表2~表3、
図2A~
図2B)。本発明者らの3’UTRの精選されたリストにわたる見かけ上の標的の保存が極めて長いmRNA配列による人工産物であるかもしれないという懸念に対処するため、ヒト遺伝子のランダムな選択について同じ解析を行なった。(1)ランダムに選択した遺伝子についての3’UTRは、共通のmiRNA標的をほとんど有しなかったこと(
図5)、および(2)100bpの長さの3’UTR配列あたりの共有された標的の数は、本発明者らの精選された遺伝子の組よりもランダムに選択した遺伝子の組について少なかったこと(
図6A~6Bおよび
図7A~7B)が観察された。
【0205】
【0206】
表2に列挙した遺伝子における不活化変異は、知的障害ならびにその他の表現型、たとえば発作、常同症、異常発語、および/または異常な頭の大きさによって特徴付けられる神経発達障害を媒介することが示されている。発症の正確な年齢は機能喪失症候群にわたって変動するが、これらの症候群の多くは2歳までに明らかになる。逆進(reciprocal)(過発現に関連する)障害は全体としてまたは部分的に同じ遺伝子によって媒介され得る。ヒト染色体複製に伴う特定の表現型に対する特定の遺伝子の寄与は、常には知られていない。明らかにするため、必要以上のタンパク質発現を有する患者は、典型的にはこの表に示された遺伝子を包含するが、それらに限定されない、より大きな染色体領域にわたる複製を有している。したがって、表3にはこれらの遺伝子の可能な用量感受性を過小評価する単一遺伝子の複製マウスモデルが含まれている。遺伝子内の複製(これはタンパク質の切断を生じ得る)を記載する臨床的寸描は、この表では考慮していない。3’UTR配列はtargetscan.orgでアクセス可能である。ここで列挙したアンサンブル転写数を解析に用いた(Agarwal,V.ら,Elife,2015.4)。
【0207】
【0208】
11種の3’UTR(マウスおよびヒトのデータの組における)のうち大部分(6以上)にわたって出現するmiRNA標的を同定した後で、CSF内注射部位付近の組織において発現したmiRNAの標的を優先させるため、マイクロアレイデータを用いた(
図2A~2B)。次いでその発現レベルがMeCP2と相関して増加しているように見えるmiRNAについての標的を含むように、候補標的のリストを狭めた。最後に、多数の可能性のあるMeCP2感受性let-7-5p miRNAと塩基対を形成することが予測されるlet-7-5p結合部位を含ませることによって、DNA配列の長さを最小化しつつ制御ポテンシャルを最大化した。究極的に、この二方面からのアプローチによって175塩基対の6標的パネル(miRARE)が得られ、これをミニMECP2ウイルスゲノムに挿入した(
図2C)。自己相補性AAV9/MeP426-ミニMECP2-myc-miRARE-RDH1pAウイルスゲノムを今後AAV9/ミニMECP2-miRAREと称する。重要なことに、これらのmiRARE標的のそれぞれは、幼年期から若年期を通じてヒト脳組織で発現することが示されているmiRNAに結合することが予測される。さらに、6種の女性ヒト小脳miRNA(miR-9-5p、miR-26b-5p、miR-23a-3p、miR-218-5p、miR-27a-3p、およびlet-7e-5p)の相対的発現レベルは、miRNAプロファイルにおける相対的発現レベルを大まかに反映しており、miR-9-5pとmiR-23a-3pがそれぞれ高レベルおよび低レベルで発現される。
【実施例3】
【0209】
miRAREは処置されたWTマウスにおいてミニMECP2遺伝子導入の安全性を改善する。
若年マウスについて2つの処置パラダイム、即ち(1)ICM PHP.B媒介遺伝子導入(
図8を参照)および(2)髄腔内(IT)AAV9媒介遺伝子導入における制御されたミニMECP2遺伝子導入の安全性を解析した。
【0210】
PHP.Bを用いるICM実験は、高度に効率的な遺伝子導入についてのデータを提供し、miRAREのデータを
図1と結びつけ、これは制御されていないAAV9/とPHP.B/ミニMECP2ベクターとのICM投与を比較する。PHP.Bのデータの組を要約する。miRAREは、WT脳におけるミニMeCP2-mycタンパク質発現の強固な制御を提供し(miRAREは脳におけるミニMeCP2-mycタンパク質の発現を低下させる)、ウイルス処置WTマウスの体重損失を防止し(非制御ベクターおよび食塩水に対してp<0.05、
図8A)、ウイルス処置WTマウスの総計表現型スコアを正常化し(非制御ベクターに対してp<0.05、
図8B)、重篤な歩行の発症を遅延させ(非制御ベクターに対してp<0.05、
図8C)、ウイルス処置WTマウスにおける重篤な後肢のクラスピングの発生をほぼ完全に除去した(非制御ベクターに対してp<0.05、
図8D)。
【0211】
次に、miRAREの評価をヒトへの変換に関連する方法と合わせるため、髄腔内投与したAAV9のコンテクストの中でmiRAREを評価した。miRAREはいくつかの安全性の恩恵を提供した。具体的には、miRAREは、WTマウスにおいて試験した最大の用量で急性のミニMECP2媒介体重損失を防止した(1×10
12vg/マウス、
図3A)。AAV9/ミニMECP2処置WTマウスは、15週齢で開始して食塩水処置WTマウスより有意に低い体重を有していた(p<0.05)。食塩水処置とAAV9/ミニMECP2-miRARE処置のWTマウスの間で有意差は観察されなかった(1×10
12vg/マウス)。
【0212】
miRAREはWT総計表現型重症度スコアにおいてミニMECP2媒介悪化を減衰させた(
図3B)。AAV9/MECP2およびAAV9/ミニMECP2で処置されたWTマウスは、食塩水処置されたマウスで観察されたスコアに対して有意に高い平均総計行動重症度スコアを有していた(それぞれ6~30週齢および7~27週齢においてp<0.05)。AAV9/ミニMECP2-miRAREで処置したWTマウスは、それぞれ11~19週齢および9~20週齢のほとんどの時点で、AAV9/MECP2およびAAV9/ミニMECP2で処置したマウスに対して有意に低い平均総計重症度スコアを有していた。食塩水とAAV9/ミニMECP2-miRAREで処置したWTマウスとの間には、有意差は観察されなかった(1×10
12vg/マウス)。miRAREは、ミニMeCP2媒介重症後肢クラスピングの頻度を低減させることおよびミニMeCP2媒介重症異常歩行を防止することによって、総計重症度スコアにおけるミニMeCP2媒介悪化を減衰させた(
図3C~3D)。対照的に、AAV9/MECP2またはAAV9/ミニMECP2で処置したWTマウスの少なくとも半分は、重症異常歩行または重症後肢異常が進行した。
【0213】
AAV9/ミニMECP2-miRARE処置したWTマウスの間では、早期の死亡は観察されなかった。AAV9/ミニMECP2処置したWTマウスの間の獣医の要望による早期の安楽死は、脱落による合併症のためであった(
図3E)。最後に、AAV9/ミニMECP2-miRARE処置WTマウスの間では、尾の病変は観察されなかった(マウス21匹中0%)。対照的に、制御していないAAV9/ミニMECP2処置WTマウスの8~17%(1×10
11vgで処置した12匹のマウス中1匹、1×10
12vgで処置したマウス12匹中2匹)では病変が観察された。尾の病変は、1×10
11vgのAAV9/MECP2で処置したWTマウス12匹中1匹で観察された。これらの結果は、miRARE配列を用いて、MECP2のAAV媒介送達の有害な副反応を効果的に防止できることを実証している。
【実施例4】
【0214】
AAV9/ミニMECP2-miRAREは、MECP2 KOマウスの生存を延長する。
若年マウスにおけるAAV9ベクターのIT投与のコンテクストにおいて、制御していないミニMECP2遺伝子導入は、試験したいずれの用量においてもMECP2 KOの生存を延長することができなかった。しかし、制御されたミニMECP2遺伝子導入は、KOの生存を56%延長した(1×10
12vg/マウス、
図4A~4Eおよび
図9)。AAV9/MECP2で処置したKOマウスの生存の延長には見かけ上の傾向があるが、この延長は有意ではなかった(p=0.1)。AAV9/MECP2による生存の延長の強い傾向はあるが、WTマウスにおける研究により、この用量のこのベクターデザインには許容できない毒性が示された(
図3A~3E)。処置はKOの体重には影響しなかった。これらの結果は、miRARE配列を用いて、MECP2のAAV媒介送達の有害な副反応を効果的に防止できる一方、治療上の恩恵を提供し、かつKOマウスの生存を延長できることを実証している。
【実施例5】
【0215】
AAV9/ミニMECP2-miRAREは重度異常歩行の発症の週齢を遅延させる。
毎週の行動データを用いて、KOマウスにおける重度歩行異常(0~2のスケールでスコア2)の発症のおよその週齢を表にした。AAV9/ミニMECP2-miRAREは、重度歩行異常の発症のおよその週齢を4~5週、遅延させ(他の全ての群に対してp<0.05、一方向ANOVAおよびそれに続くTukeyのポストホック検定)、発生の頻度は同様または低かった(他の全てのKO群に対して、
図4A~4E)。
【0216】
加速ロタロッド試験において、AAV9/ミニMECP2-miRARE(1×1012vg/マウス)は、食塩水処理マウスの運動神経に対して150%改善されたKOマウスの初期運動神経の傾向を生じた(p>0.05)が、試験にわたる運動学習は改善しなかった。ロタロッド試験は、第2の動物施設に位置するマウスの別のコホートについて実施した。
【0217】
いくつかのAAV処置KOマウスでは有害事象が注目された。
【0218】
食塩水処置KOマウスを含めた全ての処置群にわたって、尾の病変が観察された(
図4E)。食塩水で処置したKOマウスの間の病変の頻度は11%(2/18)であった。1×10
11vgのAAV9/MECP2、AAV9/ミニMECP2、およびAAV9/ミニMECP2-miRAREで処置したマウスの間の病変の頻度は、それぞれ25%(3/12)、42%(5/12)、および17%(2/12)であった。1×10
12vgのAAV9/MECP2、AAV9/ミニMECP2、およびAAV9/ミニMECP2-miRAREで処置したKOマウスの病変の頻度は、それぞれ33%(4/12)、25%(3/12)、および17%(2/12)であった。群のサイズが小さいので、miRAREが病変のリスクを低下させるか否かを、自信をもって判定することはできない。AAV9/ミニMECP2処置KOマウスについての病変の頻度と用量との逆相関関係は、群サイズが小さいことまたはおそらく早期の死亡による人為的影響かも知れない。1×10
11または1×10
12vgのAAV9/ミニMECP2で処置したKOマウスについてのそれぞれのメディアン生存は、それぞれ10.4週および9.6週である(
図4Aおよび
図9)。
【0219】
実施例1~5のまとめ
実施例1~5に提示した結果は、WTマウスにおける制御されていないAAV9/ミニMECP2の用量依存性副反応を定量化した最初のものである。これらの副反応は、AAV9/MECP2について以前観察された副反応を反復するものであり、したがってウイルスゲノムに対するさらなる改善が正当化された。
【0220】
「miRARE」miRNA標的パネルを特徴とする制御されたミニMECP2ウイルスゲノムを設計するために、新規な標的パネル設計戦略を創成した。理論に縛られることは望まないが、形質導入された任意の細胞においてトランスジーンの過発現を阻止する安全弁を創成するために、内因性MeCP2応答性miRNAを利用して、MeCP2の過発現の事象においてミニMECP2トランスジーンを下方制御することが目的であった。miRAREは以下の基準に合致する。(1)標的の大部分は想定されるMeCP2応答性miRNAに結合することが予測される。(2)それぞれの標的は、知能障害を媒介する用量感受性遺伝子の精選されたリストからの7~11種の内因性ヒト3’UTRの中に出現する(したがって、他の用量感受性のCNS遺伝子療法用途にも有用である)。(3)標的は発達の段階にわたってヒトCNS組織中で発現するmiRNAに結合することが予測される。究極的には、この戦略は、2つの異なる処置モデルにおいて(制御されていない対照ベクターの有効性に対して)有効性を犠牲にすることなく、安全性が改善された制御されたウイルスゲノムの設計をもたらした。
【0221】
miRAREの設計戦略は、CNS遺伝子療法のコンテクスト内においてトランスジーンの発現を制御するための従来のアプローチの限界に対処することを追求している。発現を制御するための以前のアプローチには、細胞型特異性(たとえば神経プロモーター)を付与し、末梢発現を排除し(たとえば肝における発現を構成的に阻害するためのmiR-122標的パネル)、mRNAを不安定化し(全MeCP2レベルには応答しない様式で)、および外因性タンパク質を不安定化する(たとえば融合したデグロンドメイン)戦略が含まれている(Luoni,M.ら,Elife,2020.9;Qiao,C.ら,Gene Ther,2011.18(4):403~10頁;Geisler,A.ら,Gene Ther,2011.18(2):199~209頁;Gray,S.J.ら,Hum Gene Ther,2011.22(9):1143~53頁;Quintino,L.ら,Mol Ther Methods Clin Dev,2018.11:29~39頁)。しかしこれらの先行するアプローチは、僅かなゲノムコピーを受容するCNS細胞の外因性タンパク質発現レベルに対して数百個のベクターゲノムコピーを受容するCNS細胞における外因性タンパク質発現レベルを制限することを意図したものではない。さらに、従来の制御アプローチは、形質導入された細胞がWT内因性MeCP2またはミュータントMeCP2のいずれかを発現するMeCP2のモザイク現象に応じて発現を制御することを意図していない。形質導入された細胞にわたるベクターのコピー数および内因性WT MeCP2の発現におけるこの変動は、MeCP2の真にフィードバックを可能にする制御に対するニーズを創成している。生命体レベルでは、そのようなフィードバックループは、有効性を維持する一方で安全性を改善するはずである。究極的には、miRAREはKOマウスにおける有効性を犠牲にすることなく、WTマウスにおける過発現に関連する副反応を減衰させる。
【0222】
miRAREは、二次的介入を必要とせずに、(それぞれWTおよびKOマウスにおいて)髄腔内ミニMECP2遺伝子導入の安全性と有効性の両方を改善する(
図4A~4E)。miRAREベクターはWTマウスにおいてよく忍容されたので、このベクターは対立遺伝子特異的RTTモデルによく忍容されることが想定される。全体として、miRAREは、本発明者らの腰部髄腔内処置モデルにおいてこれらのWT行動副反応を大きく減衰させた一方、KO生存を改善した(
図4A~4E)。
【0223】
実施例1~5で提示した結果も、miRAREがレット症候群を超える実用的な用途を有し得ることを実証している。miRAREの配列はMeCP2の過発現の研究から集められた実験データの組合せを用い、またいくつかの発達制御された用量感受性の遺伝子の解析から得られた統合された知識も用いて設計した。即ち、miRAREを用いて、MiRAREの創成において解析した遺伝子を超える遺伝子を含む遺伝子導入のコンテクストにおけるその他の用量感受性遺伝子のフィードバック制御を提供することができる。本明細書に記載した標的パネル設計戦略は意図的な過剰摂取からの分子データの上に構築されているので、miRAREの設計戦略にはさらなる意義がある。リスクによって推進されるウイルスゲノムの改変によって、用量依存性のトランスジーン関連副反応がコードされた治療用産生物の中で解決され得るというユニークな利点を有する遺伝子療法の分野が提供される。
【配列表】
【国際調査報告】