(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-06
(54)【発明の名称】センサレスモータを始動させるためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
H02P 6/182 20160101AFI20230130BHJP
B64D 27/24 20060101ALI20230130BHJP
B64C 39/02 20060101ALI20230130BHJP
B64C 11/00 20060101ALI20230130BHJP
【FI】
H02P6/182
B64D27/24
B64C39/02
B64C11/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022534167
(86)(22)【出願日】2020-12-07
(85)【翻訳文提出日】2022-07-25
(86)【国際出願番号】 US2020063611
(87)【国際公開番号】W WO2021118928
(87)【国際公開日】2021-06-17
(32)【優先日】2019-12-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517211229
【氏名又は名称】エアロバイロメント,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】AeroVironment,Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】特許業務法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】ヒブス,バート,ディーン
【テーマコード(参考)】
5H560
【Fターム(参考)】
5H560AA10
5H560DB13
5H560DC06
5H560HB03
(57)【要約】
システム、デバイスおよび方法は、無人航空機(UAV)と、UAVの少なくとも1のセンサレスモータであって、巻線のセットおよびロータを含むセンサレスモータと、少なくとも1のセンサレスモータに接続された少なくとも1のプロペラと、少なくとも1のセンサレスモータと通信するマイクロコントローラとのためのものであり、マイクロコントローラは、少なくとも1のプロペラの回転速度を測定し、少なくとも1のプロペラの回転方向を測定し、少なくとも1のプロペラを停止させるための出力を提供し、少なくとも1のプロペラを始動させるための出力を提供するように構成されている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無人航空機(UAV)と、
前記UAVの少なくとも1のセンサレスモータであって、巻線のセットおよびロータを含むセンサレスモータと、
前記少なくとも1のセンサレスモータに接続された少なくとも1のプロペラと、
前記少なくとも1のセンサレスモータと通信するマイクロコントローラであって、
前記少なくとも1のプロペラの回転速度を測定し、
前記少なくとも1のプロペラの回転方向を測定し、
測定した回転速度が所望の回転速度でない場合および測定した回転方向が所望の回転方向でない場合のうちの少なくとも一方であるときに、前記少なくとも1のプロペラを停止させるための出力を提供し、
前記少なくとも1のプロペラが停止されている場合に、所望の回転速度および所望の回転方向で、前記少なくとも1のプロペラを始動させるための出力を提供するように構成されたマイクロコントローラと
を備えることを特徴とするシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のシステムにおいて、
測定した回転速度が、前記少なくとも1のセンサレスモータによって生成された逆起電力(EMF)の測定周波数に基づくものであることを特徴とするシステム。
【請求項3】
請求項2に記載のシステムにおいて、
逆起電力の測定周波数が、前記少なくとも1のセンサレスモータがオンになる前に測定されたものであることを特徴とするシステム。
【請求項4】
請求項2に記載のシステムにおいて、
逆起電力の測定周波数が、前記少なくとも1のプロペラの回転速度に比例することを特徴とするシステム。
【請求項5】
請求項2に記載のシステムにおいて、
前記少なくとも1のプロペラを停止させることが、逆起電力の測定周波数と同じ周波数の電流で前記少なくとも1のセンサレスモータに通電することをさらに含むことを特徴とするシステム。
【請求項6】
請求項1に記載のシステムにおいて、
前記マイクロコントローラがさらに、
測定した回転速度が所望の回転速度でありかつ測定した回転方向が所望の回転方向である場合に、前記少なくとも1のプロペラの回転を継続するための出力を提供するように構成されていることを特徴とするシステム。
【請求項7】
請求項1に記載のシステムにおいて、
UAVの翼パネルであって、前記少なくとも1のセンサレスモータが取り付けられた翼パネルと、
少なくとも1の着陸ポッドであって、前記翼パネルを支持する少なくとも1の着陸ポッドとをさらに含むことを特徴とするシステム。
【請求項8】
請求項1に記載のシステムにおいて、
前記UAVが、高空域長期滞空航空機であることを特徴とするシステム。
【請求項9】
請求項1に記載のシステムにおいて、
前記少なくとも1のセンサレスモータが、ブラシレスACモータであることを特徴とするシステム。
【請求項10】
少なくとも1のプロペラに接続された少なくとも1のセンサレスモータと通信するマイクロコントローラによって、前記少なくとも1のプロペラの回転速度を測定するステップと、
前記マイクロコントローラによって、前記少なくとも1のプロペラの回転方向を測定するステップと、
測定した回転速度が所望の回転速度でない場合および測定した回転方向が所望の回転方向でない場合のうちの少なくとも一方であるときに、前記マイクロコントローラによって、前記少なくとも1のプロペラを停止させるための出力を提供するステップと、
前記少なくとも1のプロペラが停止されている場合に、前記マイクロコントローラによって、所望の回転速度および所望の回転方向で、前記少なくとも1のプロペラを始動させるための出力を提供するステップとを備えることを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項10に記載の方法において、
測定した回転速度が所望の回転速度でありかつ測定した回転方向が所望の回転方向である場合に、前記マイクロコントローラによって、前記少なくとも1のプロペラの回転を継続するための出力を提供するステップをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項10に記載の方法において、
測定した回転速度が、少なくとも1のセンサレスモータによって生成された逆起電力(EMF)の測定周波数に基づくものであることを特徴とする方法。
【請求項13】
少なくとも1のプロペラに接続された少なくとも1のセンサレスモータと通信するマイクロコントローラによって、前記少なくとも1のセンサレスモータが非通電である間に、前記少なくとも1のプロペラの回転速度を測定するステップと、
前記マイクロコントローラによって、測定した回転速度が予め設定された閾値を超えるか否かを判定するステップと、
前記マイクロコントローラによって、前記少なくとも1のセンサレスモータが非通電である間に、前記少なくとも1のプロペラの回転方向を測定するステップと、
前記マイクロコントローラによって、測定した回転方向が所望の回転方向であるか否かを判定するステップと、
前記マイクロコントローラによって、センサレスモータを所望の回転速度および所望の回転方向にするように、前記少なくとも1のセンサレスモータに出力を提供するステップとを備えることを特徴とする方法。
【請求項14】
請求項13に記載の方法において、
前記出力が、測定した回転速度に周波数が一致するAC電力で前記少なくとも1のセンサレスモータに通電することを含むことを特徴とする方法。
【請求項15】
請求項13に記載の方法において、
回転速度および回転方向を測定することが、さらに、前記マイクロコントローラによって、前記少なくとも1のセンサレスモータが非通電である間に、前記少なくとも1のセンサレスモータのロータの回転により前記少なくとも1のセンサレスモータの巻線によって生じる電圧を測定することを含むことを特徴とする方法。
【請求項16】
請求項13に記載の方法において、
前記出力を提供することが、さらに、
測定した回転方向が所望の回転方向でない場合、前記マイクロコントローラによって、前記少なくとも1のセンサレスモータの回転を停止させること、
前記マイクロコントローラによって、所望の回転方向で前記少なくとも1のセンサレスモータの回転を開始させること、並びに、
前記マイクロコントローラによって、前記少なくとも1のセンサレスモータの回転速度を所望の回転速度に増加させることを含むことを特徴とする方法。
【請求項17】
請求項13に記載の方法において、
前記出力を提供することが、さらに、
測定した回転方向が所望の回転方向である場合、前記マイクロコントローラによって、前記少なくとも1のセンサレスモータの回転速度を所望の回転速度に調整することを含むことを特徴とする方法。
【請求項18】
請求項13に記載の方法において、
測定した回転速度が、前記少なくとも1のセンサレスモータによって生成された逆起電力(EMF)の測定周波数に基づくものであることを特徴とする方法。
【請求項19】
請求項13に記載の方法において、
予め設定された閾値を下回る測定された回転速度により、前記少なくとも1のセンサレスモータの安全な動作が可能になることを特徴とする方法。
【請求項20】
請求項13に記載の方法において、
前記回転方向が、時計回りおよび反時計回りのうちの少なくとも一方であることを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
実施形態は、概して無人航空機(UAV)に関し、より詳細には、UAVのモータに関する。
【0002】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年12月9日に出願された米国仮特許出願第62/945,813号の優先権および利益を主張するものであり、その内容はあらゆる目的のために引用により本明細書に援用されるものとする。
【背景技術】
【0003】
高空域長期滞空航空機などの無人航空機(UAV)は、制御された持続的な飛行が可能な軽量の飛行機である。UAVは、双方向通信のために、地上のオペレータと関連付けられる場合がある。
【発明の概要】
【0004】
実施形態は、回転速度および方向が不明の無人航空機(UAV)のセンサレスモータを始動させるためのシステムを含むことができる。一実施形態では、UAVが、高空域長期滞空太陽電池式航空機である。このシステムは、無人航空機(UAV)と、UAVの少なくとも1のセンサレスモータであって、巻線のセットおよびロータを含むセンサレスモータと、少なくとも1のセンサレスモータに接続された少なくとも1のプロペラと、少なくとも1のセンサレスモータと通信するマイクロコントローラとを含むことができ、マイクロコントローラは、少なくとも1のプロペラの回転速度を測定し、少なくとも1のプロペラの回転方向を測定し、測定した回転速度が所望の回転速度でない場合および測定した回転方向が所望の回転方向でない場合のうちの少なくとも一方であるときに、少なくとも1のプロペラを停止させるための出力を提供し、少なくとも1のプロペラが停止されている場合に、所望の回転速度および所望の回転方向で、少なくとも1のプロペラを始動させるための出力を提供するように構成することができる。
【0005】
追加のシステムの実施形態では、測定した回転速度が、少なくとも1のセンサレスモータによって生成された逆起電力(EMF)の測定周波数に基づくものであってもよい。追加のシステムの実施形態では、逆起電力の測定周波数が、少なくとも1のセンサレスモータがオンになる前に測定されたものであってもよい。追加のシステムの実施形態では、逆起電力の測定周波数が、少なくとも1のプロペラの回転速度に比例し得る。追加のシステムの実施形態では、少なくとも1のプロペラを停止させることが、逆起電力の測定周波数と同じ周波数の電流で少なくとも1のセンサレスモータに通電することをさらに含むことができる。追加のシステムの実施形態では、マイクロコントローラがさらに、測定した回転速度が所望の回転速度でありかつ測定した回転方向が所望の回転方向である場合に、少なくとも1のプロペラの回転を継続するための出力を提供するように構成され得る。
【0006】
追加のシステムの実施形態は、UAVの翼パネルであって、少なくとも1のセンサレスモータが取り付けられた翼パネルと、少なくとも1の着陸ポッドであって、翼パネルを支持する少なくとも1の着陸ポッドとをさらに含むことができる。追加のシステムの実施形態では、UAVが、高空域長期滞空航空機であってよい。追加のシステムの実施形態では、少なくとも1のセンサレスモータが、ブラシレスACモータであってもよい。
【0007】
方法の実施形態は、少なくとも1のプロペラに接続された少なくとも1のセンサレスモータと通信するマイクロコントローラによって、少なくとも1のプロペラの回転速度を測定するステップと、マイクロコントローラによって、少なくとも1のプロペラの回転方向を測定するステップと、測定した回転速度が所望の回転速度でない場合および測定した回転方向が所望の回転方向でない場合のうちの少なくとも一方であるときに、マイクロコントローラによって、少なくとも1のプロペラを停止させるための出力を提供するステップと、少なくとも1のプロペラが所望の回転速度および所望の回転方向で停止されている場合に、マイクロコントローラによって、少なくとも1のプロペラを始動させるための出力を提供するステップとを含むことができる。
【0008】
追加の方法の実施形態は、測定した回転速度が所望の回転速度でありかつ測定した回転方向が所望の回転方向である場合に、マイクロコントローラによって、少なくとも1のプロペラの回転を継続するための出力を提供するステップをさらに含むことができる。追加の方法の実施形態では、測定した回転速度が、少なくとも1のセンサレスモータによって生成された逆起電力(EMF)の測定周波数に基づくものである。
【0009】
別の方法の実施形態は、少なくとも1のプロペラに接続された少なくとも1のセンサレスモータと通信するマイクロコントローラによって、少なくとも1のセンサレスモータが非通電である間に、少なくとも1のプロペラの回転速度を測定するステップと、マイクロコントローラによって、測定した回転速度が予め設定された閾値を超えるか否かを判定するステップと、マイクロコントローラによって、少なくとも1のセンサレスモータが非通電である間に、少なくとも1のプロペラの回転方向を測定するステップと、マイクロコントローラによって、測定した回転方向が所望の回転方向であるか否かを判定するステップと、マイクロコントローラによって、センサレスモータを所望の回転速度および所望の回転方向にするように、少なくとも1のセンサレスモータに出力を提供するステップとを含むことができる。
【0010】
追加の方法の実施形態では、出力が、測定した回転速度に周波数が一致するAC電力で少なくとも1のセンサレスモータに通電することを含む。追加の方法の実施形態では、回転速度および回転方向を測定することが、さらに、マイクロコントローラによって、少なくとも1のセンサレスモータが非通電である間に、少なくとも1のセンサレスモータのロータの回転により少なくとも1のセンサレスモータの巻線によって生じる電圧を測定することを含む。追加の方法の実施形態では、出力を提供することが、さらに、測定した回転方向が所望の回転方向でない場合、マイクロコントローラによって、少なくとも1のセンサレスモータの回転を停止させること、マイクロコントローラによって、所望の回転方向で少なくとも1のセンサレスモータの回転を開始させること、並びに、マイクロコントローラによって、少なくとも1のセンサレスモータの回転速度を所望の回転速度に増加させることを含む。
【0011】
追加の方法の実施形態では、出力を提供することが、さらに、測定した回転方向が所望の回転方向である場合、マイクロコントローラによって、少なくとも1のセンサレスモータの回転速度を所望の回転速度に調整することを含む。追加の方法の実施形態では、測定した回転速度が、少なくとも1のセンサレスモータによって生成された逆起電力(EMF)の測定周波数に基づくものである。追加の方法の実施形態では、予め設定された閾値を下回る測定された回転速度により、少なくとも1のセンサレスモータの安全な動作が可能になる。追加の方法の実施形態では、回転方向が、時計回りおよび反時計回りのうちの少なくとも一方である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図中の構成要素は、必ずしも縮尺通りではなく、その代わりに、本発明の原理を説明することに重点が置かれている。同様の符号は、様々な図面を通して対応する部分を指している。実施形態は、例示として説明されるものであり、添付の図面の形態に限定されるものではない。
【
図1】
図1は、一実施形態に係る、回転速度および方向が未知の無人航空機のセンサレスモータを始動させるためのシステムを示している。
【
図2】
図2は、
図1のセンサレスモータの斜視分解図を示している。
【
図3】
図3は、プロペラに結合された
図2のセンサレスモータを示している。
【
図4】
図4は、回転速度および方向が未知の
図1の無人航空機のセンサレスモータを始動させるためのプロセスのフローチャートを示している。
【
図5】
図5は、コンピューティングデバイスの実施形態の例示的な最上階層の機能ブロック図を示している。
【
図6】
図6は、システムおよびプロセスの一実施形態を実行するためのコンピューティングシステムの上位階層のブロック図およびプロセスを示している。
【
図7】
図7は、一実施形態を実行することができる例示的なシステムのブロック図およびプロセスを示している。
【
図8】
図8は、本明細書に開示のシステムおよびプロセスの一実施形態を実行するためのクラウドコンピューティング環境を示している。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1を参照すると、回転速度および方向が未知の無人航空機(UAV)のセンサレスモータ110を始動させるためのシステム100が示されている。UAVは、機内パイロットのいない航空機であり、自律的または遠隔的に飛行することができる。UAVに搭載されたセンサレスモータは、ドライバモジュールとモータとの間の相互接続を少なくすること等により、UAVモータシステムの複雑さを低減することができる。一実施形態では、UAV101が、高空域長期滞空航空機である。一実施形態では、UAV101が、1または複数のモータ110、例えば、1~40のモータを有し、100フィート~400フィートの翼幅を有することができる。一実施形態では、UAV101が、約260フィートの翼幅を有することができ、翼の表面を覆う太陽電池アレイによって駆動される複数のモータ、10個の電気モータに結合された複数のプロペラ140によって推進することができ、それによりゼロエミッションを実現することができる。UAV101は、海抜約65,000フィートの高度で雲の上を飛行し、着陸せずに最大数ヶ月間の連続的な長期ミッションを行うように設計されている。
【0014】
UAV101は、高高度で最適に機能し、着陸に頼ることなく、かなりの期間の持続的な飛行が可能である。一実施形態では、UAV101が、約3,000ポンドの重量を有することができる。
【0015】
図2に関して、少なくとも1のモータ110は、UAV101を推進させるためにUAV101に結合されている。一実施形態では、モータ110が、アウトランナー構成のブラシレスACモータである。別の実施形態では、モータ110が、改良された電機子116の周りのY構成の巻線114と電気的に接続されたインランナーロータ112を含む従来の構成のブラシレスACモータである。モータ110は、モータを囲んで保護するために、鋼または他の高強度材料で形成されたケーシング118を有することができる。
【0016】
ステータ120は、ロータ112の外周の周りに配置され、ステータ120は、ステータ120の磁場を封じ込めるための背鉄を有する。ステータ120は、ネオジムやプラセオジムなどの永久磁石122や、電磁石を含む任意の適切な磁石で形成することができる。ロータ112は、誘導されるリング電流を低減し、モータ110の効率を高めるために、ケイ素鋼などの積層された電気鋼の層から構築された電機子116を有することができ、各鋼層間に酸化膜が配置されている。他の電機子材料として、鉄またはアモルファス鋼を含むことができる。
【0017】
一実施形態では、モータ110が、鉄の歯の周りに巻かれた巻線114を有するように構成されている。さらに、モータ110の外側には、約-80℃に下がるまでモータ110に付いたままの磁石の層が存在し得る。これは、UAV101が夜間や高高度において-80℃に近い温度で飛行することが多いため、有利である。
【0018】
一部のモータは、エネルギーが熱の形で無駄になるヒステリシス損失および渦電流損失を回避するために、鉄を含まない場合がある。一実施形態では、モータ110が、Hiperco(登録商標)などのパーメンジュール(鉄とコバルトが同量のコバルト-鉄軟磁性合金)を組み込むことができる。パーメンジュールは、ヒステリシス損失および渦電流損失が非常に小さく、多くの場合、鉄を含まないモータよりも優れた性能を発揮する。さらに、鉄には、(1)巻線を機械的に支え、(2)インダクタンスを提供し、よって外部インダクタを必要とすることはなく、(3)モータから熱を逃がす手段を与え、(4)非常に薄いエアギャップを提供するため、磁場を形成するために必要な磁性材料が遥かに少なくて済み、(5)磁場が銅を通過すると、銅で多くのエネルギー損失が発生するが、そのような銅から磁場を避けることができるといった、鉄を含まないモータにはない非常に重要な性質がある。
【0019】
モータの巻線114にかかる電圧は、モータのロータ112を強制的に回転させる。しかしながら、モータの磁界を通るロータ112の動きは、発電機の動作に類似しており、その結果、モータは印加電圧を受けるだけでなく、それ自体の電圧も発生する。この電圧は、逆起電力(EMF)であり、モータの回転速度110に比例する。より具体的には、モータの巻線114が磁界の内側で回転しているため、磁界が逆起電力を誘発する。この逆起電力は、最初に、モータ110を回転させている印加電圧に対して作用し、モータ110のコイルを流れる電流を減少させる。逆起電力は、モータのロータ112の速度と位置を測定するために使用することができ、よって、そのような測定を行うためのセンサは不要である。一実施形態では、センサレスACモータ110が、後述するマイクロコントローラ150などのマイクロコントローラを用いて制御される。
【0020】
ブラシレスACモータ110は、ダイナモやタービンに見られるような発電機に類似しているため、モータドライバによって駆動されると、電磁力も発生し始める。発生した電磁力は、モータドライバによって生成された順方向電圧に逆らって作用するが、重要なことに、その力の周波数がロータ112の速度に直接関連しており、マイクロコントローラ150によって測定することができる。このため、この逆EMF周波数の測定を使用することによって、モータ110の速度を測定し、測定した速度を、マイクロコントローラが達成しようとしている速度と比較することが可能である。
【0021】
センサレスACモータ110は、ロータ112に固定された永久磁石122を有することができ、モータ110の縁の周りに電磁石が取り付けられている。モータ110が速度を上げると、モータ110はステータ巻線114に起電力を生成し始める。逆起電力によって生成される周波数は、モータ110の速度に正比例する。このため、センサレスモータのマイクロコントローラ150は、この周波数を読み取り、モータの速度を割り出し、それに応じて駆動パターンを調整することができる。
【0022】
一実施形態では、ステータ巻線114に供給されるACが、巻線114に通電して回転磁束を発生させる。この磁束は、ステータ120とロータ112との間のエアギャップに磁場を発生させ、ロータバーを流れる電流を生成する電圧を誘導する。ロータ回路が短絡し、ロータ導体に電流が流れることもある。回転磁束と電流の作用により、モータ110を始動させるためのトルクを発生させる力が生成される。
【0023】
オルタネータロータ112は、鉄心の周囲に包まれたワイヤコイルを含むことができる。一実施形態では、導体スロットを特定の形状およびサイズにプレス加工することを補助するために、ロータ112の磁気コンポーネントが鋼の積層から作られる。電流がワイヤコイルを流れると、磁場が鉄心の周りに作られる(一般に界磁電流と呼ばれる)。磁界電流の強さは、磁界のパワーレベルを制御する。
【0024】
ステータ120は、界磁磁石として作用し、電機子116と相互作用して運動を生成するか、またはステータ120は、電機子116として作用して、ロータ112上の移動界磁コイルからその影響を受けることができる。
【0025】
図3に示すように、少なくとも1のモータ110は、UAV101のプロペラ140に結合される。プロペラ140およびモータ110は、翼パネル107に一体化され、翼パネルは、着陸ポッド113によって支持され得る。モータ110およびプロペラ140の他の取り付け構成も可能であり、企図されている。一般に、例えばUAV101が地上にあり、風がUAV101の前方または後方から吹いている場合、プロペラ140は、望ましくない方向に、かつ/または閾値を超える回転速度で回転している可能性がある。例えば、プロペラ140は、時計回りの方向が望まれる場合に、時計回りではなく反時計回りに回転している場合がある。プロペラ140が閾値を超える回転速度で回転していたり、間違った方向で回転していたりすることによって、UAV101が始動することができない場合がある。そのため、UAV101の前方または後方から接近する風により、プロペラ140が風車状態にあっても、モータ110を始動することができることが望ましい。
【0026】
典型的には、ロータ112を停止させて、ロータ112を定位置にロックするために、巻線114(
図2を参照)およびモータ110にDC電力を供給することができる。マイクロコントローラ150は、その後、モータ110がセンサレス動作に十分な速度になるまで、モータ110の速度をゆっくりと上げることができる。UAV101が地上にあるときにUAV101の前方または後方からの風が十分に強い場合、UAV101のプロペラ140は、十分な速度およびトルクを提供して、巻線114上のDC電流がロータ112を停止するのを防ぐことができる。
【0027】
一実施形態では、ロータ112の回転に起因して巻線114によって生成される電圧を、モータ110がオンになる前に測定することができる。より具体的には、巻線114は通電されておらず、モータ110にはスイッチングノイズが存在しない。このため、非常に遅い回転速度によって生じる非常に低い電圧を測定することができ、モータ110の回転速度もマイクロコントローラ150によって測定することができる。一実施形態では、モータ110が、回転速度と同じ周波数で、適切な位相で、DCの代わりにACで通電される。例えば、マイクロコントローラ150が周波数を読み取り、ACが、モータ110をその周波数にロックし、モータ110を停止させ、その後、モータ110が正しい方向で速度を上げ、モータ110の速度を割り出し、それに応じて駆動パターンを調整することができる。また、マイクロコントローラ150は、出力148を介して、プロペラ140に対して、回転しないように、または適切な方向に回転するように信号を送信することができる。これにより、UAV101が失速したり、プロペラ140を閾値を超える回転速度で回転させたり、誤った方向に回転させたりするのを防止することができる。
【0028】
図4に示すように、フローチャート200は、回転速度および方向が未知のセンサレスモータ110を始動させるためのプロセスを示している。本方法200は、マイクロコントローラによって、非通電のセンサレスモータのロータ速度および方向を測定するステップを含む(ステップ202)。非通電のセンサレスモータは、モータがオンにされる前の
図2および
図3のセンサレスモータ110であってもよい。次に、本方法200は、非通電のモータ110のロータ速度および方向が測定されるときに、マイクロコントローラによって、ロータ方向が所望の方向であるか否か、およびロータ速度が安全なセンサレス動作を可能にする予め設定された閾値にあるか否かを判定するステップを含むことができる(ステップ204)。モータ110が所望のロータ速度および方向で動作している場合には、モータ110は停止することなく回転を継続することができる(ステップ206)。モータ110が所望のロータ速度および方向で動作していない場合には、マイクロコントローラ150は、モータ110の初期回転速度に周波数が一致するAC電力でモータ110に通電し、それによってセンサレスモータおよび少なくとも1のプロペラを所望の動作速度および方向にすることができる(ステップ208)。
【0029】
図5は、コンピューティングデバイスの実施形態400の最上階層の機能ブロック図の一例を示している。例示的な動作環境は、中央処理装置(CPU)などのプロセッサ424、アドレス指定可能なメモリ427、外部デバイスインターフェース426、例えば、任意選択的なUSBポートおよび関連する処理、および/またはイーサネットポートおよび関連する処理、および任意選択的なユーザインターフェース429、例えば、ステータスライトのアレイおよび1または複数のトグルスイッチ、および/またはディスプレイ、および/またはキーボードおよび/またはポインタ-マウスシステムおよび/またはタッチスクリーンを含むマイクロコントローラ150などのコンピューティングデバイス420として示されている。任意選択的には、アドレス指定可能なメモリが、磁気ハードディスクドライブおよびフロッピーディスクドライブ、光ディスクドライブ、磁気カセット、テープドライブ、フラッシュメモリカード、デジタルビデオディスク(DVD)、ベルヌーイカートリッジ、RAM、ROM、スマートカードなど、マイクロコントローラ420によってアクセス可能なデータを格納できる任意のタイプのコンピュータ可読媒体を含むことができる。実際に、LAN、WANまたはインターネットなどのネットワークへの接続ポートまたはネットワーク上のノードを含む、コンピュータ可読命令およびデータを格納または送信するための任意の媒体を採用することができる。これらの要素は、データバス428を介して互いに通信することができる。いくつかの実施形態では、ウェブブラウザ423およびアプリケーション422のサポート等を行うオペレーティングシステム425を介して、プロセッサ424は、通信チャネルを確立するプロセスのステップおよび上述した実施形態に係る処理のステップを実行するように構成されるものであってもよい。
【0030】
図6は、本明細書に開示のシステムおよびプロセスの一実施形態を実行するのに有用なコンピュータシステムを含むコンピューティングシステムを示す上位階層のブロック
図600である。本システムの実施形態は、様々なコンピューティング環境で実行することができる。コンピュータシステムは、1または複数のプロセッサ602を含み、さらに、電子ディスプレイデバイス604(例えば、グラフィックス、テキストおよび他のデータを表示するためのもの)、メインメモリ606(例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM))、ストレージデバイス608、リムーバブルストレージデバイス610(例えば、リムーバブルストレージドライブ、リムーバブルメモリモジュール、磁気テープドライブ、光ディスクドライブ、コンピュータソフトウェアおよび/またはデータを格納したコンピュータ可読媒体など)、ユーザインターフェースデバイス611(例えば、キーボード、タッチスクリーン、キーパッド、ポインティングデバイス)、および通信インターフェース612(例えば、モデム、ネットワークインターフェース(イーサネットカードなど)、通信ポート、またはPCMCIAスロットおよびカード)を含むことができる。通信インターフェース612により、コンピュータシステムと外部デバイスとの間でソフトウェアおよびデータを転送することができる。システムは、前述したデバイス/モジュールが図示のように接続される通信インフラストラクチャ614(例えば、通信バス、クロスオーバーバーまたはネットワーク)をさらに含む。
【0031】
通信インターフェース614を介して転送される情報は、信号を伝送する通信リンク616を介して、通信インターフェース614により受信され得る電子信号、電磁信号、光学信号または他の信号などの信号の形態であってもよく、上記通信リンクは、ワイヤまたはケーブル、光ファイバ、電話回線、セルラ/携帯電話リンク、無線周波数(RF)リンクおよび/または他の通信チャネルを使用して実現されるものであってもよい。本明細書のブロック図および/またはフローチャートを示すコンピュータプログラム命令は、コンピュータ、プログラム可能なデータ処理装置または処理デバイスにロードされて、その上で実行される一連の操作をもたらし、コンピュータ実行プロセスを生成することができる。
【0032】
実施形態に係る方法、装置(システム)およびコンピュータプログラム製品のフローチャート図および/またはブロック図を参照して実施形態を説明してきた。そのような図面/図の各ブロックまたはそれらの組合せは、コンピュータプログラム命令によって実施することができる。コンピュータプログラム命令は、プロセッサに与えられると、プロセッサを介して実行される命令が、フローチャートおよび/またはブロック図で指定された機能/操作を実行するための手段を作成するように、マシンをもたらす。フローチャート/ブロック図の各ブロックは、実施形態を実現するハードウェアおよび/またはソフトウェアのモジュールまたは論理回路を表すことができる。代替的な実施態様では、ブロックで示される機能が、図面で示される順序から外れて、あるいは同時に発生するものであってもよい。
【0033】
コンピュータプログラム(すなわち、コンピュータ制御ロジック)は、メインメモリおよび/または二次メモリに格納される。コンピュータプログラムは、通信インターフェース612を介して受信することもできる。そのようなコンピュータプログラムは、実行されると、コンピュータシステムが本明細書で説明したような実施形態の特徴を実行することを可能にする。特に、コンピュータプログラムは、実行されると、プロセッサおよび/またはマルチコアプロセッサがコンピュータシステムの機能を実行することを可能にする。そのようなコンピュータプログラムは、コンピュータシステムのコントローラを担う。
【0034】
図7は、一実施形態を実施することができる例示的なシステム700のブロック図を示している。このシステム700は、1または複数のサーバコンピューティングシステム730に接続された、家庭用電子デバイスなどの1または複数のクライアントデバイス701を含む。サーバ730は、情報を伝送するためのバス702または他の通信機構と、情報を処理するためにバス702と結合されたプロセッサ(CPU)704とを含む。また、サーバ730は、プロセッサ704によって実行される命令および情報を記憶するために、バス702に結合された、ランダムアクセスメモリ(RAM)または他の動的ストレージデバイスなどのメインメモリ706を含む。メインメモリ706は、実行中に一時的な変数または他の中間情報またはプロセッサ704によって実行される命令を格納するために使用することもできる。サーバコンピュータシステム730は、プロセッサ704のための静的な情報および命令を記憶するために、バス702に結合されたリードオンリーメモリ(ROM)708または他の静的ストレージデバイスをさらに含む。情報および命令を記憶するために、磁気ディスクまたは光ディスクなどのストレージデバイス710が設けられ、バス702に結合されている。バス702は、例えば、ビデオメモリまたはメインメモリ706をアドレス指定するための32本のアドレスラインを含むことができる。また、バス702は、例えば、CPU704、メインメモリ706、ビデオメモリおよびストレージ710などの構成要素間でデータを転送するための32ビットデータバスも含むことができる。代替的には、個別のデータラインおよびアドレスラインの代わりに、多重データ/アドレスラインを使用することができる。
【0035】
サーバ730は、バス702を介して、コンピュータユーザに情報を表示するディスプレイ712に結合され得る。英数字および他のキーを含む入力デバイス714は、情報およびコマンド選択をプロセッサ704に伝達するために、バス702に結合される。別のタイプまたはユーザ入力デバイスは、方向情報およびコマンド選択をプロセッサ704に伝達し、ディスプレイ712上のカーソルの動きを制御するための、マウス、トラックボールまたはカーソル方向キーなどのカーソル制御716を備える。
【0036】
一実施形態によれば、メインメモリ706に含まれる1または複数の命令の1または複数のシーケンスをプロセッサ704が実行することによって、機能が実行される。そのような命令は、ストレージデバイス710のような別のコンピュータ可読媒体からメインメモリ706に読み込まれるものであってもよい。メインメモリ706に含まれる命令のシーケンスの実行により、プロセッサ704は、本明細書に記載のプロセスステップを実行する。マルチプロセッシング構成の1または複数のプロセッサを用いて、メインメモリ706に含まれる命令のシーケンスを実行することも可能である。代替的な実施形態では、実施形態を実施するために、ソフトウェア命令の代わりに、またはソフトウェア命令と組み合わせて、ハードワイヤード回路を使用することができる。このため、実施形態は、ハードウェア回路およびソフトウェアの特定の組合せに限定されるものではない。
【0037】
「コンピュータプログラム媒体」、「コンピュータ使用可能媒体」、「コンピュータ可読媒体」および「コンピュータプログラム製品」という用語は、通常、メインメモリ、二次メモリ、リムーバブルストレージドライブ、ハードディスクドライブに搭載されたハードディスク、および信号などの媒体を指すために使用される。それらコンピュータプログラム製品は、コンピュータシステムにソフトウェアを提供するための手段である。コンピュータ可読媒体は、コンピュータシステムがデータ、命令、メッセージまたはメッセージパケットおよび他のコンピュータ可読情報をコンピュータ可読媒体から読み取ることを可能にする。コンピュータ可読媒体は、例えば、フロッピーディスク、ROM、フラッシュメモリ、ディスクドライブメモリ、CD-ROMおよび他の永久記憶装置などの不揮発性メモリを含むことができる。これは、例えば、データやコンピュータ命令などの情報をコンピュータシステム間で移動させるのに有用である。さらに、コンピュータ可読媒体は、コンピュータがコンピュータ可読情報を読み取ることを可能にする有線ネットワークまたは無線ネットワークを含むネットワークリンクおよび/またはネットワークインターフェースなどの一時的な状態の媒体におけるコンピュータ可読情報を含むことができる。コンピュータプログラム(コンピュータ制御ロジックともいう)は、メインメモリおよび/または二次メモリに格納される。コンピュータプログラムは、通信インターフェースを介して受信することもできる。そのようなコンピュータプログラムは、実行されると、本明細書で説明したような実施形態の特徴をコンピュータシステムが実行することを可能にする。特に、コンピュータプログラムは、実行されると、プロセッサマルチコアプロセッサがコンピュータシステムの機能を実行することを可能にする。このため、そのようなコンピュータプログラムは、コンピュータシステムのコントローラを担う。
【0038】
一般に、本明細書で使用される「コンピュータ可読媒体」という用語は、実行のためにプロセッサ704に命令を提供することに参加した任意の媒体を指す。このような媒体は、不揮発性媒体、揮発性媒体および伝送媒体を含むが、これらに限定されない多くの形態をとることができる。不揮発性媒体は、例えば、ストレージデバイス710のような光ディスクまたは磁気ディスクを含む。揮発性媒体は、メインメモリ706などの動的メモリを含む。伝送媒体は、バス702を構成する配線を含む、同軸ケーブル、銅線および光ファイバを含む。また、伝送媒体は、電波や赤外線データ通信中に生成される、音響波や光波の形態をとることもできる。
【0039】
コンピュータ可読媒体の一般的な形態としては、例えば、フロッピーディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、磁気テープ、または他の磁気媒体、CD-ROM、他の光学媒体、パンチカード、紙テープ、穴のパターンを有する他の物理媒体、RAM、PROM、EPROM、FLASH-EPROM、他のメモリチップまたはカートリッジ、後述する搬送波、またはコンピュータが読み取ることができる他の媒体が挙げられる。
【0040】
様々な形態のコンピュータ可読媒体が、実行のために1または複数の命令の1または複数のシーケンスをプロセッサ704に送ることに関与することができる。例えば、命令は、最初はリモートコンピュータの磁気ディスク上に保持されるものであってもよい。リモートコンピュータは、命令をその動的メモリにロードし、モデムを使用して電話回線を介して命令を送信することができる。サーバ730に対してローカルなモデムは、電話回線上のデータを受信し、赤外線送信機を使用してデータを赤外線信号に変換することができる。バス702に結合された赤外線検出器は、赤外線信号で運ばれたデータを受信し、そのデータをバス702上に置くことができる。バス702は、データをメインメモリ706に運び、そこからプロセッサ704が命令を取り出して実行する。メインメモリ706から受け取った命令は、任意選択的には、プロセッサ704による実行の前または後に、ストレージデバイス710に記憶されるようにしてもよい。
【0041】
サーバ730は、バス702に結合された通信インタフェース718も含む。通信インターフェース718は、現在一般にインターネット728と呼ばれているワールドワイドパケットデータ通信ネットワークに接続されているネットワークリンク720への双方向のデータ通信カップリングを提供する。インターネット728は、デジタルデータストリームを運ぶ電気信号、電磁信号または光信号を使用する。様々なネットワークを介した信号と、ネットワークリンク720上の信号と、サーバ730との間でデジタルデータを搬送する通信インターフェース718を介した信号は、情報を搬送する例示的な形態または搬送波である。
【0042】
サーバ730の別の実施形態では、インタフェース718が、通信リンク720を介してネットワーク722に接続されている。例えば、通信インターフェース718は、統合サービスデジタルネットワーク(ISDN)カードまたは対応するタイプの電話回線へのデータ通信接続を提供するためのモデムであってもよく、ネットワークリンク720の一部を構成することができる。別の例として、通信インターフェース718は、互換性のあるLANへのデータ通信接続を提供するためのローカルエリアネットワーク(LAN)カードであってもよい。また、無線リンクも実装することができる。任意のそのような実装において、通信インターフェース718は、様々なタイプの情報を示すデジタルデータストリームを保持する電気信号、電磁信号または光学信号を送受信する。
【0043】
ネットワークリンク720は、典型的には、1または複数のネットワークを介して他のデータデバイスにデータ通信を提供する。例えば、ネットワークリンク720は、ローカルネットワーク722を介して、ホストコンピュータ724への接続、またはインターネットサービスプロバイダ(ISP)によって操作されるデータ機器への接続を提供することができる。ISPは、インターネット728を介してデータ通信サービスを提供する。ローカルネットワーク722およびインターネット728はともに、デジタルデータストリームを保持する電気信号、電磁信号または光学信号を使用する。様々なネットワークを介した信号と、ネットワークリンク720上の信号と、サーバ730との間でデジタルデータを搬送する通信インターフェース718を介した信号とは、情報を搬送する例示的な形態または搬送波である。
【0044】
サーバ730は、ネットワーク、ネットワークリンク720および通信インタフェース718を介して、電子メール、プログラムコードを含むメッセージおよびデータを送受信することができる。さらに、通信インターフェース718は、USB/チューナを含むことができ、ネットワークリンク720は、メッセージ、データおよびプログラムコードを別のソースから受信するために、サーバ730をケーブルプロバイダ、衛星プロバイダまたは他の地上伝送システムに接続するためのアンテナまたはケーブルであってもよい。
【0045】
本明細書に記載の実施形態の例示的な態様は、サーバ730を含むシステム700のような分散処理システムにおける論理演算として実装されるものであってもよい。実施形態の論理演算は、サーバ730で実行される一連のステップとして、また、システム700内の相互接続されたマシンモジュールとして実装されるものであってもよい。実装は、選択の問題であり、実施形態を実装するシステム700のパフォーマンスに依存し得る。そのため、実施形態の上記例示的な態様を構成する論理演算は、例えば、演算、ステップまたはモジュールと呼ばれる。
【0046】
上述したサーバ730と同様に、クライアントデバイス701は、プロセッサ、メモリ、ストレージデバイス、ディスプレイ、入力デバイスに加えて、サーバ730との通信のために、クライアントデバイスをインターネット728、ISPまたはLAN722に接続するための通信インターフェース(例えば、電子メールインターフェース)を含むことができる。
【0047】
システム700は、クライアントデバイス701と同様に動作するコンピュータ(例えば、パーソナルコンピュータ、コンピューティングノード)705をさらに含むことができ、ユーザは、1または複数のコンピュータ705を利用して、サーバ730内のデータを管理することができる。
【0048】
ここで
図8を参照すると、例示的なクラウドコンピューティング環境50が示されている。図示のように、クラウドコンピューティング環境50は、1または複数のクラウドコンピューティングノード10を備え、それらクラウドコンピューティングノードと、例えば、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)、スマートフォン、スマートウォッチ、セットトップボックス、ビデオゲームシステム、タブレット、モバイルコンピューティングデバイス、またはセルラ電話54A、デスクトップコンピュータ54B、ラップトップコンピュータ54C、および/または自動車コンピュータシステム54Nなど、クラウド消費者によって使用されるローカルコンピューティングデバイスが通信することができる。ノード10は、相互に通信することができる。それらは、本明細書で説明したようなプライベートクラウド、コミュニティクラウド、パブリッククラウドまたはハイブリッドクラウドなどの1または複数のネットワークまたはそれらの組合せで、物理的または仮想的にグループ化(図示省略)されるようにしてもよい。これにより、クラウドコンピューティング環境50は、インフラストラクチャ、プラットフォームおよび/またはソフトウェアを、クラウド消費者がローカルコンピューティングデバイス上のリソースを維持する必要のないサービスとして提供することができる。
図8に示すコンピューティングデバイス54A-Nのタイプは、例示のみを意図しており、コンピューティングノード10およびクラウドコンピューティング環境50は、任意のタイプのネットワークおよび/またはネットワークアドレス可能な接続を介して(例えば、ウェブブラウザを使用して)、任意のタイプのコンピュータ化されたデバイスと通信することができることを理解されたい。
【0049】
上記実施形態の特定の特徴および態様の様々な組合せおよび/または部分的組合せを行うことができ、それらも本発明の範囲内に入ることが企図されている。このため、開示の発明の様々なモードを形成するために、開示の実施形態の様々な特徴および態様を互いに組み合わせたり、互いに置き換えたりすることができることを理解されたい。さらに、本発明の範囲は、例によって本明細書に開示されているが、上述した特定の開示された実施形態によって限定されるべきではないことが意図される。
【国際調査報告】