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特表2023-504741患者内の流体レベルの管理及び関連のデバイス、システム、及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-06
(54)【発明の名称】患者内の流体レベルの管理及び関連のデバイス、システム、及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/142 20060101AFI20230130BHJP
   G16H 20/00 20180101ALI20230130BHJP
【FI】
A61M5/142 530
G16H20/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022534178
(86)(22)【出願日】2020-12-04
(85)【翻訳文提出日】2022-08-04
(86)【国際出願番号】 US2020063487
(87)【国際公開番号】W WO2021113771
(87)【国際公開日】2021-06-10
(31)【優先権主張番号】62/945,058
(32)【優先日】2019-12-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520452529
【氏名又は名称】リプリーヴ カーディオヴァスキュラ― インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100162824
【弁理士】
【氏名又は名称】石崎 亮
(72)【発明者】
【氏名】テスタニ ジェフリー
(72)【発明者】
【氏名】レヴィン ハワード アール
(72)【発明者】
【氏名】ディロン ジム
(72)【発明者】
【氏名】ハルパート アンドリュー
【テーマコード(参考)】
4C066
5L099
【Fターム(参考)】
4C066AA09
4C066BB01
4C066CC01
4C066DD11
4C066FF04
4C066QQ22
4C066QQ32
4C066QQ61
4C066QQ82
5L099AA00
(57)【要約】
流体療法を患者に送出するためのデバイス、システム、及び方法を本明細書に開示する。例示的方法は、患者から排尿速度を取得する段階と、排尿速度が期間内に予め決められた閾値よりも高くなるまで増加するように投与速度が期間にわたって増大される利尿薬を患者まである投与速度で提供させる段階と、水和流体を患者まである水和速度で提供させる段階とを備えることができる。水和速度は、患者からの正味流体損失量を推進させるように排尿速度に基づいて設定することができる。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体療法システムであって、
患者からの排尿を測定するように構成された尿測定デバイスと、
利尿薬を前記患者に提供するように構成されたポンプと、
1又は2以上のプロセッサと、
前記1又は2以上のプロセッサによって実行された時に、
前記尿測定デバイスから排尿速度を取得する段階、及び
蓄積利尿薬投与容積が120分よりも長くない期間にわたって増加されるような投与速度で前記患者に前記ポンプを通じて前記利尿薬が提供される段階であって、該期間の終了が、前記排尿速度が予め決められた閾値よりも高いことに少なくとも部分的に基づいている、前記利尿薬が提供される段階、
を備える動作を前記流体療法システムに実行させる命令を有する有形非一時的コンピュータ可読媒体と、
を備えることを特徴とする流体療法システム。
【請求項2】
前記動作は、前記利尿薬が提供される段階の後に、該利尿薬の前記投与速度を現在投与速度の予め決められた百分率であるように設定する段階を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の流体療法システム。
【請求項3】
前記動作は、
前記排尿速度が前記予め決められた閾値よりも高いことを判断する段階と、
前記判断の後に、前記利尿薬の前記投与速度を、前記排尿速度が前記予め決められた閾値よりも高いとの判断時点で送出された該利尿薬の全量の予め決められた百分率であるように設定する段階と、
を更に備える、
ことを特徴とする請求項1に記載の流体療法システム。
【請求項4】
前記動作は、
事前設定期間にわたって測定された平均排尿速度が前記予め決められた閾値よりも高いことを判断する段階と、
前記判断に応答して、前記利尿薬の前記投与速度を予め決められた百分率だけ低減する段階と、
を更に備える、
ことを特徴とする請求項1に記載の流体療法システム。
【請求項5】
前記予め決められた閾値は、第1の予め決められた閾値であり、前記動作は、
(i)第1の事前設定期間にわたって測定された平均排尿速度が、前記第1の予め決められた閾値よりも高いこと、
(ii)第2の事前設定期間にわたって測定された前記排尿速度が、予め決められた増加率よりも高い速度で増加していること、
(iii)前記投与速度が第2の予め決められた閾値よりも高いこと、
である条件セットのうちの1又は2以上が成立することを判断する段階と、
前記条件セットのうちの1又は2以上が成立するとの判断に応答して、前記利尿薬の前記投与速度を予め決められた百分率だけ低減する段階と、
を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の流体療法システム。
【請求項6】
前記第1の予め決められた閾値は、少なくとも500mL/hrであり、前記予め決められた増加率は、少なくとも30mL/hr2であり、前記第2の予め決められた閾値は、少なくとも5mg/hrであることを特徴とする請求項5に記載の流体療法システム。
【請求項7】
前記利尿薬が提供される段階は、前記投与速度が前記期間にわたって少なくとも200%だけ増加するように該利尿薬が提供される段階を備えることを特徴とする請求項1に記載の流体療法システム。
【請求項8】
前記利尿薬が提供される段階は、前記投与速度を指数関数方式で反復的に増大する段階を備えることを特徴とする請求項1に記載の流体療法システム。
【請求項9】
前記動作は、
事前設定期間にわたって測定された平均排尿速度が前記予め決められた閾値よりも低いことを判断する段階と、
前記判断に応答して、前記利尿薬の前記投与速度を指数関数方式で反復的に増大する段階と、
を更に備える、
ことを特徴とする請求項1に記載の流体療法システム。
【請求項10】
前記ポンプは、第1のポンプであり、前記システムが、水和流体と作用可能に結合されて該水和流体を前記患者に提供するように構成された第2のポンプを更に備え、前記動作は、
前記排尿速度よりも高くない水和速度で前記患者に前記第2のポンプを通じて前記水和流体が提供される段階、
を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の流体療法システム。
【請求項11】
前記水和流体は、(i)予め決められた期間が経過すること又は(ii)予め決められた量の水和流体が注入されることのうちの少なくとも一方が起こるまで前記水和速度が前記排尿速度の予め決められた百分率に実質的に適合するか又はそれ以内であるように前記患者に提供されることを特徴とする請求項10に記載の流体療法システム。
【請求項12】
前記水和速度は、
前記排尿速度が第1の閾値よりも低い場合に、前記水和速度が第1の速度に設定され、かつ
前記排尿速度が前記第1の閾値よりも高い場合に、前記水和速度が、(i)前記第1の速度と異なり、かつ(ii)該第1の速度と該第1の閾値よりも高い排尿速度の予め決められた百分率との和に等しい第2の速度に設定される、
ように前記排尿速度に基づいている、
ことを特徴とする請求項10に記載の流体療法システム。
【請求項13】
前記第1の閾値は、200mL/hrよりも高くなく、前記第2の閾値は、450mL/hrよりも高くなく、前記予め決められた百分率は、25~75%の範囲内であることを特徴とする請求項12に記載の流体療法システム。
【請求項14】
前記水和速度は、前記排尿速度が増加するにつれて該水和速度と該排尿速度の間の差が増加し、それによって前記患者からの正味流体損失を誘導するように設定されることを特徴とする請求項10に記載の流体療法システム。
【請求項15】
前記正味流体損失量は、少なくとも200mL/hrであることを特徴とする請求項14に記載の流体療法システム。
【請求項16】
患者に流体療法を提供するためのコンソールであって、
1又は2以上のプロセッサを有し、かつ
患者からの排尿を測定するように構成された尿測定デバイス、
利尿薬を前記患者に提供するように構成された第1のポンプ、
水和流体を前記患者に提供するように構成された第2のポンプ、
と通信するコントローラと、
前記1又は2以上のプロセッサによって実行された時に、
前記尿測定デバイスから排尿速度を取得する段階、
蓄積利尿薬投与容積が期間にわたって増大されるような投与速度で前記患者まで前記第1のポンプを通じて前記利尿薬が提供される段階、及び
前記排尿速度よりも高くない水和速度で前記患者まで前記第2のポンプを通じて前記水和流体を提供させ、それによって該患者からの正味流体損失を促進する段階、
を備える動作を流体療法システムに実行させる命令を有する有形非一時的コンピュータ可読媒体と、
を備えることを特徴とするコンソール。
【請求項17】
前記動作は、前記利尿薬が提供される段階の後に、該利尿薬の前記投与速度を現在投与速度の予め決められた百分率であるように設定する段階を更に備えることを特徴とする請求項16に記載のコンソール。
【請求項18】
前記動作は、
事前設定期間にわたって測定された平均排尿速度が予め決められた閾値よりも高いことを判断する段階と、
前記判断に応答して前記利尿薬の前記投与速度を予め決められた百分率だけ低減する段階と、
を更に備える、
ことを特徴とする請求項16に記載のコンソール。
【請求項19】
前記動作は、
事前設定期間にわたって測定された平均排尿速度が予め決められた閾値よりも低いことを判断する段階と、
前記判断に応答して前記利尿薬の前記投与速度を増大する段階と、
を更に備える、
ことを特徴とする請求項16に記載のコンソール。
【請求項20】
前記水和流体は、(i)予め決められた期間が経過すること又は(ii)予め決められた量の水和流体が注入されることのうちの少なくとも一方が起こるまで前記水和速度が前記排尿速度の予め決められた百分率に実質的に適合するか又はそれ以内であるように前記患者に提供されることを特徴とする請求項16に記載のコンソール。
【請求項21】
前記水和速度は、前記排尿速度が増加するにつれて該水和速度と該排尿速度の間の差が増加し、それによって前記患者からの正味流体損失を誘導するように設定されることを特徴とする請求項16に記載のコンソール。
【請求項22】
前記水和速度は、
前記排尿速度が第1の閾値よりも低い場合に、前記水和速度が、第1の速度に設定され、かつ
前記排尿速度が前記第1の閾値よりも高い場合に、前記水和速度が、前記第1の速度よりも高い第2の速度に設定される、
ように前記排尿速度に基づいている、
ことを特徴とする請求項16に記載のコンソール。
【請求項23】
前記利尿薬が提供される段階は、前記投与速度が指数関数方式で反復的に増大されるように該利尿薬が提供される段階を備えることを特徴とする請求項16に記載のコンソール。
【請求項24】
患者からの正味流体損失を促進する流体治療方法であって、
患者から排尿速度を取得する段階と、
ある投与速度で前記患者に利尿薬が提供される段階であって、蓄積利尿薬投与容積がある期間にわたって増大され、それにより前記排尿速度が該期間内で予め決められた閾値よりも高くなるように増加する、前記利尿薬が提供される段階と、
前記排尿速度が前記予め決められた閾値よりも高くなるように増加した後に、前記利尿薬の前記投与速度を現在投与速度の予め決められた百分率であるように設定する段階と、
ある水和速度で水和流体が前記患者に提供される段階と、
を備えることを特徴とする流体治療方法。
【請求項25】
前記利尿薬の前記投与速度を設定する段階は、該利尿薬の該投与速度を、前記患者に送出された該利尿薬の全量の前記予め決められた百分率であるように設定する段階を備えることを特徴とする請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記利尿薬が提供される段階は、前記投与速度が指数関数方式で反復的に増大されるように該利尿薬が提供される段階を備えることを特徴とする請求項24に記載の方法。
【請求項27】
事前設定期間にわたって測定された平均排尿速度が前記予め決められた閾値よりも低いことを判断する段階と、
前記判断に応答して前記利尿薬の前記投与速度を指数関数方式で反復的に増大する段階と、
を更に備えることを特徴とする請求項24に記載の方法。
【請求項28】
前記水和流体は、(i)予め決められた期間が経過すること又は(ii)予め決められた量の水和流体が注入されることのうちの少なくとも一方が起こるまで前記水和速度が前記排尿速度の予め決められた百分率に実質的に適合するか又はそれ以内であるように前記患者に提供されることを特徴とする請求項24に記載の方法。
【請求項29】
前記水和速度は、
前記排尿速度が第1の閾値よりも低い場合に、前記水和速度が、第1の速度に設定され、かつ
前記排尿速度が前記第1の閾値よりも高い場合に、前記水和速度が、前記第1の速度と該第1の閾値よりも高い排尿速度の予め決められた百分率との和に等しい第2の速度に設定される、
ように前記排尿速度に基づいている、
ことを特徴とする請求項24に記載の方法。
【請求項30】
前記水和速度は、前記排尿速度が増加するにつれて該水和速度と該排尿速度の間の差が増加し、それによって前記患者からの正味流体損失を誘導するように設定されることを特徴とする請求項24に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
〔関連出願への相互参照〕
本出願は、引用によって本明細書にその開示のその全体が組み込まれている2019年12月6日出願の米国仮特許出願第62/945、058号に対する優先権を主張するものである。
【0002】
本発明の開示は、患者流体レベルを管理するための及び特定の実施形態では心不全を有する患者に対して流体過負荷病態を治療するための方法、デバイス、システム、及びアルゴリズムに関する。
【背景技術】
【0003】
ヒトでの生理系は、摂取された流体と排泄される流体の間の均衡を自然に維持しようと努めている。流体の不均衡がある時に、患者は、過剰な量の流体が保持される流体過負荷を患う場合がある。患者は、急性非代償性心不全(ADHF)、慢性心不全(CHF)、又は体内の流体過負荷を回避するのに不十分な流体が排泄される他の病態に起因する流体過負荷病態にある場合がある。流体過負荷にある患者は、息切れ(呼吸困難と呼ばれる)、水腫、高血圧、及び流体過負荷の症状である他の望ましくない医療病態を患う場合がある。
【0004】
流体過負荷を治療するために、患者は、典型的には、尿生成を誘導する及び/又は高める利尿薬を用いて治療される。尿を生成して排泄することは、体内の流体及びナトリウムの量を低減し、すなわち、流体過負荷病態を治療するのに使用することができる。利尿薬は、錠剤として経口的に又はIV(静脈)注射として与えることができる。IV利尿薬は、典型的には、経口利尿薬がもはや有効ではない又は吸収することができない時に使用される。「利尿薬」に言及する場合、著者は、主としてIV利尿薬を指している。一般的なループ利尿薬は、腎臓内のヘンレのループの上行脚で作用する利尿薬である。ループ利尿薬の例は、ブメタニド(Bumex(登録商標))、エタクリン酸(Edecrin(登録商標))、フロセミド(Lasix(登録商標))、トルセミド(Demadex(登録商標))を含む。
【0005】
尿生成に対する利尿薬の短期効果は、治療の早期ステージで高い投与量を投与するほど十分に予想可能ではない。例えば、1人の患者は、所与の投与量の利尿薬に対して予想されるものよりも遙かに少ない尿を生成する場合があり、一方で同じ投与量を投与された別の患者は、過剰な量の尿を生成する場合がある。これは、患者における低血圧症(低血圧)及び重要臓器損傷の懸念を高める。その結果、どの患者がある一定の投与量の利尿薬に対して全く又は過度に少量の尿しか排泄しないことによって応答することになり、かつどの患者が過剰な量の尿を排泄することによって応答することになるかを予想することは困難である。
【0006】
同じ投与量の利尿薬に応答する実質的に異なる応答及び治療結果に対する可能性は、個々の患者に対する安全で正しい利尿薬投与が患者の臨床徴候及び症状をある期間にわたってモニタすることを必要とするような医師に対する不確実性を生じる。これらの不確実性の理由で、医師は、最初に控えめな(低)利尿薬投与量を処方し、投与量を増加するか否かを考慮する前に数時間待つ場合がある。控えめな低投与量手法は、低利尿薬投与量で開始し、患者の排尿が閾値レベル、例えば、速度に達するまで投与量をゆっくりかつ区分的に増大する。利尿薬投与量をゆっくりと増大することは、血液量減少及び他の望ましくない病態に至る可能性がある過剰排尿を引き起こすことを回避する。
【0007】
ADHF及びCHFでの流体過負荷を治療するための現在の標準的な慣例は、患者内の流体過負荷病態を緩和するために治療時間を長引かせることができる控えめな低投与量手法を使用する。一般的に、医師は、利尿薬投与量を6から12時間間隔で増大する。これらの長い間隔は、多くの場合に、患者が新しい投与量レベルの利尿薬に反応し、新しいレベルの利尿薬によって誘導される速度で尿を生成することを可能にするのに必要とされる。各間隔の終了時に、医師は、患者に望ましいレベルの尿を生成させるために利尿薬投与量が変更される、例えば、増大されるべきであるかを決定する。これらの間隔は、長さが典型的に数時間であるので、それは、安全で有効な利尿薬の投与量レベルを決定するのに6時間、12時間、1日、又はそれよりも長く掛かる場合がある。例えば、以前にループ利尿薬療法を受けたことがない患者では、20から40mgの初期IVフロセミド投与量が妥当である。規制指針によって推奨されている最大利尿薬投与量は、40から80mgのフロセミド等量IVボーラスである。その後に、投与量は、排尿に従ってフロセミドの80から100mgの最大静脈注射投与量まで漸増することができる。利尿薬に対して何らかの耐性を発現した患者では、投与量を高める必要がある。
【0008】
流体過負荷を低減するためのこの保守的な手法の一態様は、医師が、望ましい排尿速度を達成するために安全で有効な利尿薬投与量を決定して投与する間に、流体過負荷に関連付けられた患者の症状を長引かせる場合があることである。この遅延の1つの欠点は、流体過負荷病態に内在する臨床状態が、長引く流体過負荷病態に起因して悪化する場合があることである。例えば、排尿が、有意な流体損失を引き起こして患者の流体過負荷病態を緩和する望ましいレベルに達する前に、多くの時間又は日数の遅延が発生する可能性がある。別の欠点は、患者が高価である数日(例えば、4~5日)にわたって入院加療されることである。これに加えて、流体過負荷を低減するための従来の治療を受けた後でさえも、患者の約23%は、30日以内に流体過負荷のために再入院する。その結果、利尿薬を用いて患者に排尿を増大させるのに必要な時間を短縮し、かつ流体過負荷病態を低減するのに十分な尿を患者により急速に排出させるという長期にわたる切実な必要性が存在する。
【0009】
流体過負荷病態を治療するために利尿薬を使用することによる別の懸念は、患者の尿流れが高い流量に達する時にもたらされる。高い尿流量は、流体過負荷病態を迅速に低減するのに有益であるが、高い尿流量は、血管系内の血液の容積を過度に低減し、並びに電解質の排泄を増大するというリスクがある。電解質の急激な除去は、電解質不均衡(例えば、カリウムの損失)に至る場合があり、これは、患者の臨床状態を更に悪化する可能性がある。多くの場合に血液量減少及び低カリウム血症と呼ばれるIV利尿薬のこれらのリスク及び副作用は、公知の不要なリスクであり、まだ満足されていない臨床的必要性が、この必要かつ一般的に使用される療法中に存在する。
【0010】
例えば、1日当たり2.5リットルを超えるような過剰尿流れは、血液量減少、低カリウム血症、及び他の望ましくない医療病態に至る場合がある。利尿薬を使用することよるような従来の流体過負荷治療によって引き起こされる過剰尿流れのリスクは、尿流れが誘導される速度を制限することによって従来的に軽減される。尿流量を制限することは、患者内の流体過負荷病態を低減するのに必要とされる期間を増大する傾向がある。
【0011】
これらの欠点を回避するために、ある一定の利尿薬の認可投与量は、血管内血液容積が過度に低くなることに関連付けられた血液量減少、低カリウム血症、及び他のそのような望ましくない医療病態のリスクを少なくとも部分的に回避する又は低減するために制限されてきた。例えば、以前にループ利尿薬に露出されたことがない(利尿薬投薬のない)患者では、フロセミド利尿薬は、毎時20ミリグラム(mg/hr)の初期投与量で静脈内(IV)投与されることが推奨され、かつ6から12時間毎にのみ増大することができる。経口利尿薬を日常的に服用する心不全患者では、初期投与量及び段階的投与量増加は、有意な量だけ調節する必要があり、これは、療法の漸増を更に複雑にする。
【0012】
従来手法では、投与量レベルは、ある一定の排尿レベルに達した状態で増大されないものとされている。他の一般的に処方される利尿薬、例えば、ブメタニド及びトルセミドなどのループ利尿薬、ヒドロクロロチアジド及びメトラゾンなどのチアジド利尿薬、スピロノラクトンなどのカリウム保持性利尿薬、及びアセタゾラミドなどの炭酸脱水酵素阻害薬は、同様に過剰尿流量及びこれらの薬剤の起こり得る副作用を防止するための規制投与限度量を有すると考えられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
心不全患者での入院の主目的は、余剰流体を除去することである。しかし、米国では、入院中の心不全患者の過半数に関して合計流体損失は、5ポンド(2.3キログラム)よりも少なく、この損失は、一般的に流体過負荷病態からの有効な緩和を達成しない。従って、従来の流体管理技術を改善して患者からのより大きい正味流体損失をより短い時間フレーム内で達成するという必要性が残っている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の技術の実施形態は、例えば、安全な利尿薬投与、高い利尿薬効率、及び少なくとも軽度の利尿薬耐性を貴重な病院リソース及び患者の快適さを維持しながら可能にする少なくとも部分的に自動的なシステムを作り出すことによって患者の流体管理における進歩の改善の必要性に対処する。本明細書に説明するように、本発明の技術の実施形態の臨床試験は、各々に効果及び/又は速度の改善が伴って急速なうっ血解除、過剰流体の除去、ナトリウム排泄の増加を引き起こした。例えば、流体過負荷を治療するための従来のシステム及び方法が数日間よりも長い(例えば、4~5日間の)入院加療を必要としたのに対して、本発明の技術の実施形態は、流体過負荷病態を1~2日以内で診断及び/又は緩和することができる。
【0015】
本発明の技術は、流体過負荷患者、例えば、ADHF、CHF、又は流体過負荷を達成する他の病態を患う患者内の流体レベルを低減する方法、デバイス、システム、及びアルゴリズムに関するものである。一部の実施形態では、例示的方法は、フェーズI、II、及びIIIを含む複数のフェーズを有する利尿薬治療レジメンを含む。フェーズIは、患者独特の適切な利尿薬投与量を決定する段階を含むことができ、この段階は、反復して行うことができる。例えば、一部の実施形態では、フェーズIの最初の反復回中に、初期利尿薬投与量は、場合によって自動的に患者に送出される。投与量は、フェーズI中に、例えば、区分的に段階的になどで漸進的に増加するステップで及び/又は指数関数方式で増加される。例えば、投与量は、2分から3分置きに段階的に増大することができる。投与量は、患者が望ましい排尿レベル又は排尿速度に達するまで又は上側閾値に達するまで増大することができる。患者に提供される最初の利尿薬投与量は、治療の開始時のものであり、その後の投与量は、排尿が閾値よりも低くなるまで低下すること及び/又は閾値範囲外にあることに応答するものとすることができる。閾値は、患者に与えられる利尿薬の最大(例えば、全)量、利尿薬が患者に与えられる時の最大速度、又は1時間のようなフェーズIに対する最長期間を定めることができる。
【0016】
フェーズIIは任意的であり、患者がフェーズI中に与えられた利尿薬投与量に反応することを待つことができる。排尿がフェーズI中に望ましいレベルに達した後に、フェーズIIは、長い期間(例えば、少なくとも1時間、少なくとも2時間、4時間、8時間、12時間、24時間、又は36時間)にわたって一定の維持投与量レベルで患者に利尿薬を送出する段階を含むことができる。維持投与量レベルは、望ましい排出レベルよりも高い排尿がもたらされたフェーズIでの利尿薬投与量に基づいて計算される。
【0017】
フェーズIIIは任意的であり、フェーズIIと同時に進行することができる。フェーズIII中に、利尿薬は投与が続けられ、患者(例えば、フェーズIに反応して閾値尿レベルを上回って生成している患者)内の正味流体レベルを患者の中に水和流体又は水和溶液(例えば、生理食塩水)を注入することによって急速に低減することができる。フェーズIII中に患者の中に注入される水和流体は、(i)比較的低い尿速度中の排尿に釣り合うように自動的に調節すること、(ii)ある範囲のより高い尿速度中に水和流体を排尿よりも少なく(例えば、少なくとも排尿の10%、20%、30%、40%、又は50%に)低減するように自動的に調節すること、及び/又は(iii)排尿が上側尿閾値を超えている間に実質的に一定の水和流体速度(例えば、最大水和流体速度の10%から20%の範囲)に維持するように自動的に調節することができる。フェーズIII中に、フェーズIを再開し、利尿薬の再漸増を開始する(例えば、指数関数方式で)ことによって利尿薬の維持投与量を調節することができる。フェーズIは、それが最後に停止された場所で続行すること、又はフェーズIを初期開始点から繰り返すことによって再開することができる。
【0018】
上述した利尿薬レジメンと同時に、患者に与えられる水和溶液の量又は速度を排尿の量又は速度に関連付けることができる。例えば、患者に送出される水和溶液の量又は速度は、より高い排尿レベルでは排尿の量又は速度よりも低くすることができる。水和液注入の速度は、特定の期間(例えば、療法の最初の1時間)にわたる及び/又は閾値容積量に対する(例えば、少なくとも250ミリリットル(ml)の尿が生成される)排尿速度に一致するように調節することができる。水和溶液注入の速度は、尿速度が閾値高尿速度を超えている間に一定速度に留まることができる。
【0019】
フェーズII及びIIIの維持利尿薬投与量は、フェーズI中に与えられた利尿薬の最大投与量の100%から10%の範囲などにある百分率(例えば、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%のような)に基づいて計算することができる。最大連続維持投与量の百分率低減は、フェーズI中に到達され、望ましい排出レベルよりも高い排尿がもたらされた利尿薬投与(量又は速度)と、フェーズIでの上側閾値の最大利尿薬量又は最大利尿薬速度との比とすることができる。
【0020】
フェーズIで排尿が望ましい排出量に達する前に上側閾値(例えば、患者に送出される利尿薬の全量)に達した場合に、患者は、利尿薬耐性を有すると診断することができ、異なる利尿薬又は異なる治療を患者に与えることができる。そのような治療は、腎臓がより多くの尿を生成することを可能にするための限外濾過及び/又は人工ポンプ(例えば、静脈ポンプ)の使用を含むことができる。排尿がフェーズIIIで予め決められた期間にわたって下側尿閾値を下回って低下した場合に、レジメンは、フェーズIを繰り返してより多くの排尿を誘導し、より有効な利尿薬投与量レベル(例えば、より高い利尿薬投与量)を識別することができる。
【0021】
フェーズIは、排尿(例えば、速度又は量)がフェーズI、II、又はIII中に排尿閾値よりも低くなるまで低下した場合に再開することができる。フェーズIは、最後に停止された場所から続行される場合に、フェーズIの前の反復回の終了時に与えられた利尿薬投与速度で再開することができる。フェーズIの各反復回の終了時に、フェーズIの全ての反復回中に与えられた利尿薬の全量に基づいて維持利尿薬投与量を計算することができる。
【0022】
フェーズIとフェーズIIIは、独立した治療として適用することができる。例えば、オペレータ(例えば、医師、保健医療専門家、看護師のような)は、従来方式で初期利尿薬投与量を決定し、その後に、レジメンのフェーズIII部分を用いて患者を治療することができる。同様に、オペレータは、レジメンのフェーズI部分を用いて望ましい排尿速度を達成するのに有効な利尿薬投与量を迅速に決定し、その後に、利尿薬の維持投与量を調節しないこと又は水和流体を患者の中に注入しないことを選択することができ、又はフェーズIIIで提案したものとは異なる利尿薬投与と排尿と水和流体溶液注入の間の関係を選択することができる。更に、フェーズIIは任意的であるので、フェーズIの直後に開始することができる。
【0023】
本発明の技術は、流体過負荷を患う患者を治療する方法を含むことができ、患者の排尿を増大するために患者に利尿薬を例えば自動的に投与する段階と、利尿薬の投与中に患者による排尿を決定する段階と、水和流体を患者の中に注入する段階と、患者内で望ましい正味流体損失を達成するように患者の中に注入される水和流体の速度を自動的に調節する段階とを含むことができる。一部の実施形態では、本方法は、排尿と望ましい正味流体損失の間の差に基づく水和流体の速度の自動調節を含むことができる。水和流体速度の自動調節は、排尿の現在の速度増大に基づいて、排尿が第1の閾値排出量、例えば、現在排尿速度よりも高いことに応答して水和流体の速度増大が低減されるように計算することができる。これに加えて又はこれに代えて、水和流体速度の自動調節は、現在排尿速度が第1の閾値排出量に達するまで現在排尿速度の10%以内の速度まで水和流体速度を増大する段階を含むことができる。第1の閾値排出量は、200ml/hrから240ml/hr内にある排尿速度又は等価排尿容積とすることができる。水和流体注入の速度は、現在排尿速度が第2の閾値を上回っている、500ml/hrを上回っている、700ml/hrを上回っている、又は1020ml/hrを上回っている間に水和流体に対する最大限度値に制限することができる。
【0024】
一部の実施形態では、本方法は、水和流体注入の速度を水和流体に対する最大限度値に制限する段階、排尿が最大閾値排尿速度を超えている間に水和流体注入速度を最大限度値に維持する段階、正味流体損失がそれに対する望ましい量に達した時に治療を終了する段階、患者に投与される利尿薬を排尿に基づいて自動的に調節する段階、投与中の利尿薬の速度を排尿が最小排尿速度である望ましい最小尿値に達するまで増大する段階、及び/又は排尿が望ましい最小尿値に達するまで5分又はそれ未満、例えば、2分から3分の間隔で利尿薬レベルを増大させることによって利尿薬を自動的に調節する段階を含むことができる。一部の実施形態では、例えば、利尿薬投与量の決定フェーズ又はランプ中の利尿薬レベルの各増大は、直前の増大よりも大きい増大とすることができる。
【0025】
一部の実施形態では、本方法は、排尿が望ましい最低の尿容積又は尿速度に達することに応答して低い利尿薬投与速度を決定する段階を含むことができる。低い利尿薬投与速度は、排尿が望ましい最低の尿容積又は尿速度に達した時の利尿薬投与速度よりも低い。利尿薬は、少なくとも1時間の期間、例えば、2時間、3時間、又は4時間の期間にわたって低い速度で投与することができる。この低い利尿薬投与速度は、測定尿速度が望ましい閾値よりも低くなるまで降下するか又はある期間、例えば、1時間が経過するまで利尿薬注入速度を非常に低い速度まで低減する段階を含むことができる。次いで、尿速度が望ましい閾値まで降下するのに必要とされる時間に基づいて利尿薬投与速度を計算するか、又は非常に低い注入量の期間が完了した時に排尿が閾値よりも高いままに留まる場合は予め決められた百分率(25%のような)だけ低減することができる。
【0026】
一部の実施形態では、正味流体容積除去を管理又は最適化するための及び/又は除去される尿の質を高めるための治療又は自動レジメンの方法は、初期個人化利尿薬投与量決定フェーズを含み、それに流体低減フェーズが続く。利尿薬投与量決定フェーズの処理中に、その後のフェーズに使用すべき利尿薬投与量を確立するために及び/又は患者が利尿薬耐性を有するか否かを評価するために、予め決められた期間以内に増大するレベルで投与される利尿薬に対する患者の尿反応が評価される。流体低減フェーズ中に、例えば、血管内容積を維持するために、及び/又は正味容積除去を最適化するために塩分及び水分の保持機構を停止するために尿生成の一部分を水和流体で置換ながら利尿薬が確立利尿薬投与量で注入される。流体療法を通して排尿が連続モニタされる。利尿薬投与量は、排尿速度に基づいて調節することができる。例えば、非常に低い排尿(例えば、前15分間にわたる平均で25ml/hrよりも低い)は、機器の機能不良又は不適正な設定を示す場合があり、ユーザに警告を与えることができる。別の例として、低い排尿(例えば、低い排尿は、前3時間にわたる平均で325ml/hr未満として定めるか、又は負債が前3時間にわたる150ml超である積分負債関数によって定めることができる)は、より高い利尿薬投与量を許容することができ、利尿薬投与量を再確立することができることを示すことができる。例えば、ユーザは、利尿薬投与量決定フェーズに再度入るか、又は投与量を手動で増大するかを選択することができる。別の例として、高い排尿(例えば、前3時間にわたる平均で625ml/hr超)は、過度に多くの利尿薬が注入されていることを示す場合があり、注入利尿薬をある期間にわたって低減する(例えば、50分間にわたって0~0.4ml/hrまで低減するか又は排尿が525ml/hrを下回って降下するまで低減する)ことができ、新しい利尿薬投与量を確立することができる。例えば、新しい投与量は、この期間中に排尿がどれほど急激に減少したかに基づく前の投与量の分率とするか又は投与量決定フェーズに再入することによって確立することができる。更に、水和流体は、排尿に基づいて流体低減フェーズ全体を通して注入することができる。
【0027】
本発明の技術は、水和流体を患者の中にポンピングするように構成された水和流体ポンプと、利尿薬を患者の中にポンピングするように構成された利尿薬ポンプと、患者の排尿を測定するように構成された測定デバイスと、患者の排尿の量又は速度を決定し、アルゴリズムによって決定された投与速度で利尿薬を送出するように利尿薬ポンプを制御することによって利尿薬を患者に自動的に注射し、水和流体ポンプを制御することによって水和流体を患者の中に自動的に注入し、患者の中に注入される水和流体の速度又は量を患者内で望ましいレベル又は速度の正味流体損失又は正味ナトリウム損失を達成するように自動的に調節するように構成されたアルゴリズムを実行するコンピュータとを備える流体管理システムとして具現化することができる。
【0028】
アルゴリズムは、排尿と望ましい正味流体変化の間の差に基づいて水和流体速度の自動調節を決定するように、及び/又は水和流体注入速度を水和流体に対する最大限度値に制限するように、及び/又は排尿が最大閾値排尿速度を超えている間に水和流体注入速度を最大限度値に維持するように、及び/又は正味流体損失がそれに対する望ましい量に達した時に利尿薬の投与を停止するように構成することができる。これに加えて又はこれに代えて、コンピュータアルゴリズムは、患者に投与される利尿薬を排尿に基づいて自動的に調節するように構成することができる。利尿薬の自動調節は、排尿が最小排尿速度のような望ましい最小尿値に達するまで投与中の利尿薬の速度を増大する段階を含むことができる。利尿薬の調節は、排尿が望ましい最小尿値に達するまで利尿薬のレベルを5分又はそれよりも短い間隔で自動的に増大する段階を含むことができ、利尿薬レベルのこれらの増大のうちの少なくとも1つは、直前の増大よりも大きい増大である。利尿薬レベルの増大の各々は、直前の増大よりも大きい。利尿薬の自動調節は、排尿が望ましい最小尿値又は最小尿速度に達することに応答して、排尿が望ましい最小尿値又は最小尿速度に達した時に投与された利尿薬の値よりも低いか又はそれに基づくものである利尿薬投与に対する低い速度を計算する段階と、利尿薬を低い速度で少なくとも1時間の期間にわたって投与する段階とを含むことができる。
【0029】
本発明の開示の技術の特徴、態様、及び利点は、以下の図面に関連してより良く理解することができると考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本発明の技術の実施形態により排尿をモニタし、患者内への流体の注入を制御するように構成された患者水和システムの概略図である。
図2A】本発明の技術の実施形態により治療レジメン中に流体管理システムによって分注される利尿薬投与量のタイムラインを示すグラフ表現の図である。
図2B図2Aの治療レジメン中に流体管理システムによって分注される利尿薬によって達成される尿流量のタイムラインを示すグラフ表現の図である。
図3】本発明の技術の実施形態により排尿と水和流体注入と正味流体損失の間の関係を示すグラフ表現の図である。
図4A】本発明の技術の実施形態により利尿薬投与量決定フェーズ中に利尿薬投与量を制御するための流れ図である。
図4B】本発明の技術の実施形態により利尿薬投与速度と送出された全利尿薬量の間の関係を示すグラフ表現の図である。
図5】本発明の技術の実施形態により連続注入フェーズ又は流体低減フェーズの流れ図である。
図6】本発明の技術の実施形態により利尿薬投与速度及び対応する排尿速度のグラフ表現の図である。
図7】本発明の技術の実施形態により利尿薬投与速度の下方漸減又は減少を示す流れ図である。
図8】本発明の技術の実施形態により利尿薬投与速度を下方漸減する又は低減する段階のグラフ表現の図である。
図9】本発明の技術の実施形態により排尿速度と水和流体注入速度と正味流体均衡の間の関係のグラフ表現の図である。
図10】本発明の技術の実施形態により患者からの正味流体損失を引き起こす方法の流れ図である。
図11】本発明の技術の実施形態により患者からの正味流体損失を引き起こす方法の流れ図である。
【0031】
図面に示す特徴は例示目的のためのものであること、及び異なる及び/又は追加の特徴及びその配置を含む変動が可能であることを当業者は理解するであろう。
【発明を実施するための形態】
【0032】
I.流体レベルを管理するためのデバイス、システム、及び関連の方法の概要
患者流体レベルを管理することに関するデバイス、システム、及び関連の方法を本明細書に開示する。現在の流体管理システムと比較して本発明の技術の実施形態は、流体管理治療の効果、安全性、及び品質を改善すること、病院内のリソース管理を改善すること、患者が利尿薬耐性を有するか否かを迅速に評価すること、及び/又は利尿薬効率を高めることができる。利尿薬効率は、静脈内注入された1ミリグラムの利尿薬当たりに所与の時間にわたって取得された尿及び/又は排泄ナトリウムの量として定めることができる。本発明の技術の1つの予想される結果は、ナトリウム及び/又は塩化物を含有する水和流体の静脈内注入によって利尿薬効率を高めることができることである。流体療法の目標は、塩分(例えば、ナトリウム及び塩化物)及び流体の正味除去であるので、上述のことは直観に反する。本明細書に説明するように、本発明の技術の実施形態は、流体及びナトリウムの正味除去量を増大することができ、同時に水和速度と尿排泄又は排尿の両方の速度も増加させ、一部の実施形態では尿排泄速度を水和液注入速度よりも増大する。本発明の技術の実施形態が利尿薬投与量を増大するのに反して行う利尿薬効率の増大は、流体過負荷病態の治療をより効率的な方式(例えば、より短い時間フレーム、より高い正味流体損失、及び/又はより高い正味ナトリウム損失)で可能にするので、臨床的に適正で有益な療法である。更に、本発明の技術の実施形態は、利尿薬効率を増大させ、同時に例えば正味流体損失を設定流体損失限度値(例えば、少なくとも50ml/hr、100ml/hr、150ml/hr、又は200ml/hr)を上回ったまま自動的に維持することによって低血圧を防止する。本明細書の他の箇所で説明するように、正味流体損失は、排尿速度に対して又はより具体的には排尿速度がいくつかの異なる閾値よりも高いか又は下回るかに基づいて利尿薬投与速度及び/又は水和液注入速度を調節することによって制御することができる。
【0033】
図1は、尿回収及びモニタシステム12(「尿システム12」)と自動利尿薬注入システム14(「利尿薬システム14」)とを含む患者流体管理システム10を示している。一部の実施形態では、流体管理システム10は、自動水和流体注入システム16(「水和液システム16」)を更に含むことができる。尿システム12、利尿薬システム14、及び水和液システム16は、利尿薬システム14及び水和液システム16それぞれに対する配管ライン(例えば、静脈内(IV)ライン)15、23により、かつ尿システム12に対するカテーテルライン32(例えば、フォーリーカテーテル、テキサンコンドームカテーテル、ピュアウィックカテーテルのような)によって患者Pに接続することができる。流体管理システム10は、1又は2以上のポンプ又は電気モータアクチュエータ22、26と、コンピュータ(例えば、コントローラ又はマイクロプロセッサ)19と、ユーザ入力デバイス40(例えば、キーパッド)及びユーザ出力デバイス42(例えば、ディスプレイ)とを含み、尿システム12、利尿薬システム14、及び/又は水和液システム16と通信するコンソール18を含むことができる。コントローラは、電子プログラム可能メモリを含み、様々なセンサ(例えば、尿モニタ、水和液モニタ、重量計、流量計、光センサ、流体レベルメータ、超音波流体計、ポンプ速度又はアクチュエータ移動のフィードバックセンサ、圧力センサ、血圧センサ、空気検出器のような)及び/又はユーザインタフェースから入力を受け入れる。コントローラは、例えば、水和流体及び利尿薬を注入して患者の安全で有効な利尿を容易にするようにアクチュエータを自動的に制御するように構成される。
【0034】
利尿薬システム14は、利尿薬20の供給源を含む又はそれと流体連通している。利尿薬20は、各々を流体溶液(例えば、生理食塩水と利尿薬又は他の薬剤との混合物)の一部とすることができるブメタニド(Bumex(登録商標))、エタクリン酸(Edecrin(登録商標))、フロセミド(Lasix(登録商標))、トルセミド(Demadex(登録商標))、及び/又は当業技術で公知の他の利尿薬を含むことができる。利尿薬20は、患者の適切な末梢静脈の中に挿入された個別のIVチューブを用いて患者の中に注入することができ、注入の前に水和流体に添加することができる。
【0035】
一部の実施形態では、利尿薬20は、シリンジバレル(図示せず)又は他の容器(例えば、バッグ)に含有され、IVニードルを通して静脈内注射することができる。利尿薬システム14は、第1のシリンジ又は容器が使用済みになった場合に利尿薬20の供給を第2(又は第3)のシリンジ又は容器によって継続することができるように(例えば、実質的な中断なく)各々が使用に向けて利用可能な利尿薬20の複数のシリンジ又は容器を含むことができる。一例として、利尿薬システム14は、各々、利尿薬20が充填された独自のシリンジに流体結合された2つの独立したシリンジポンプが使用に向けて利用可能であるように設計することができる。そのようなシリンジは、薬剤師又は他の医療従事者しか充填することができず、従って、即座に(例えば、数時間以内に)交換することができないことに注意されたい。第1のシリンジが空であることを利尿薬システム14が検出した時に、利尿薬20を第2のシリンジから分注するように利尿薬供給を始める(例えば、自動又は手動で始める)ことができる。一部の実施形態では、この供給は、この時点では使用済み第1のシリンジに流体結合された第1のシリンジポンプを停止する段階と、第2のシリンジに流体結合された第2のシリンジポンプを始動する段階とを必要とする場合がある。これに加えて又はこれに代えて、単一ポンプしか利用されない場合に、第1のシリンジと第2のシリンジの間で切り換える段階は、ポンプが第2のシリンジからの供給を受けるように1又は2以上の弁を操作する段階を含むことができる。第2のシリンジに手動又は自動で切り換えた後に、第1のシリンジを新しい満杯のシリンジと交換しなければならないことをオペレータに通知するためにオペレータにアラートを出すことができる。
【0036】
これに加えて又はこれに代えて、利尿薬システム14は、利尿薬20がほぼ空になる時(例えば、1時間で空になる)を予想し、ユーザにアラートを出すことができ、及び/又は第2のシリンジに自動的に切り換えることができ、又は手動で第2のシリンジに切り換えることを確認するためにユーザに尋ねることができる。一部の実施形態では、例えば、法規制上の配慮から、利尿薬システム14がユーザの確認なく大量の利尿薬20を自動的に注入しないことを保証するために手動で切り換えることを必要とすることができる。これに加えて又はこれに代えて、1つのシリンジポンプのみを有するようにシステムを設計することができ、システムは、第1のシリンジが空になることを見越してオペレータにアラートを出すことができ、オペレータは、第1のほぼ空のシリンジを取り外して第2の満杯のシリンジと交換し、ポンプを再開して利尿薬の分注を続けることができるようにシリンジポンプを一時的に停止することができる。
【0037】
第2(又は第3、第4のような)のシリンジ又はより一般的には予備品を有することにより、利尿薬20を投与する段階は、流体療法セッション全体を通して中断なく進行することができる。本明細書の他の箇所で説明するように、中断の欠如は、本発明の開示の実施形態を参照して説明する流体療法が非常に有効であり、不要な遅延を抑制又は防止することを保証することを助けることができる。より具体的には、療法の中断は、それが短期間にしか及ばない場合であっても、排尿速度を降下させる可能性及び/又は利尿薬ランプ(本明細書の他の箇所で説明する)を再実施することを必要とする場合がある。利尿薬20の予備供給源、並びに本明細書に説明する(例えば、水和流体供給源、尿回収などに関して)他の冗長策を利用する本発明の技術の実施形態は、そのような中断を上述のようにして回避し、より有効な療法を可能にすることができる。
【0038】
ポンプ22は、蠕動ポンプ、シリンジポンプ、計量ポンプ、又はIV治療薬の制御可能な注射に適する別のデバイスとすることができる。シリンジポンプを含むそのような実施形態では、ポンプ22は、コンピュータ19が注射器の移動をもたらして利尿薬20を供給源から患者に移送するようにコンピュータ19と作動可能に結合された機械的注射器を含むことができる。アクチュエータは、IV送出配管を通して液体を患者に向けて推進するように構成された回転モータ、リニアモータ、又は一連の電気作動ソレノイドによる電気モータ制御下にある機械的アクチュエータとすることができる。ポンプ22又はアクチュエータは、制御式連続速度で及び/又は規則的な期間を置いてIVライン23を通して患者の中に送出される制御式ボーラスで利尿薬20を送出する。ポンプ22又はアクチュエータは、実行可能命令又はコンソール内に組み込まれたソフトウエアアルゴリズムを有することができるコンピュータ19によって制御される。コンピュータ19又は関連のアルゴリズムは、利尿薬20に関する望ましい投与量を達成するための利尿薬20及び/又は関連の溶液のポンピング速度を決定するように構成される。コンピュータ19は、例えば、オペレータによって処方されてコンピュータ19によって管理される治療レジメンに基づいて利尿薬20の投与量を送出するようにポンプ22又はアクチュエータを制御する。コンピュータ19の制御論理部は、プログラム時間プロファイル、ユーザ入力、及び/又は様々なセンサからの入力に基づいて利尿薬の注入を制御するソフトウエア又はコンピュータ19内に埋め込まれたファームウエアとすることができる。
【0039】
利尿薬システム14は、再使用可能なモータ、アクチュエータ、及び制御電子機器、及びこれらに接続可能な1又は2以上の再使用可能又は使い捨て可能な部品を含むことができる。再使用可能又は使い捨て可能な部品は、医薬剤(例えば、医薬品又は利尿薬)の容器又はリザーバ(例えば、プラスチックシリンジ、プラスチックバッグのような)、IV配管セット、IVニードルを含むことができる。一部の実施形態では、本明細書に説明する再使用可能及び使い捨て可能な部品は、係合及び切断することが比較的簡単な取り付けスキームを用いて、例えば、一段階手順(例えば、スナップ接続)で取り付けられる。
【0040】
一部の実施形態では、利尿薬システム14は、1又は2以上のシリンジポンプを含むことができる。これらのシリンジポンプの各々は、それ自体へのニードル、配管、及び他の付属品の取り付けを可能にするように設計することができ、シャフトに装着されてリザーバから液体を押し出すプランジャを含むことができる。リザーバは、プランジャがシリンジポンプから液体を押し出す(すなわち、吐出する)ことができるように一端にポートを有するチューブ状構造体とすることができる。シリンジポンプは、患者への液体の送出を制御するためにプランジャを機械的に駆動するアクチュエータに結合することができる。このリニアアクチュエータは、例えば、医薬剤リザーバを通してプランジャを駆動する親ネジを回転させるためのナットを含むことができる。シリンジポンプには、コントローラにフィードバック信号を供給するのに必要されるプランジャ位置センサ、気泡検出器、及び他の埋め込み電子機器を装備することができる。一部の実施形態では、薬剤を患者に投与するためのシリンジポンプは、ハウジングと、親ネジと、摺動ブロックアセンブリとを含む。摺動ブロックアセンブリは、親ネジに係合し、そこから切断することができるネジ山付き部分と、シリンジの迅速な係合及び切断のためのラッチ係止機構とを含むことができ、それによって空のシリンジと満杯なシリンジとの迅速な交換を可能にする。一部の実施形態では、患者に利尿薬を投与するためのシリンジポンプはハウジングを含む。ハウジングの中に、モータと、それと作動可能に接続されたギヤボックスと、このモータの回転を感知するための手段(例えば、回転速度計又は光学符号器)と、このモータの作動を制御し、患者に送出される利尿薬の量をモニタするように機能するコントローラ(例えば、マイクロコントローラ)と、ポンプアセンブリとが存在することができる。一部の場合に、プランジャは、シリコーンゴム又はウレタンのような弾性材料から製造された流体接触面を含む。一部の場合に、再使用可能部品は、親ネジをリザーバから後退させた時に親ネジを受け入れるための空き空間を形成する。
【0041】
一部の実施形態では、患者の最適及び/又は有効な利尿に2又は3以上の医薬剤の組合せを必要とする場合がある。これを行うために、一部の実施形態では、使い捨て可能部品は、補助流体薬剤を含むための第2のリザーバと、第2のリザーバから出るように補助流体薬剤を駆動するための第2のプランジャと、第2のプランジャに取り付けられた第2の親ネジと、第2の親ネジを変位させるように作動可能であり、それによって再使用可能部品と使い捨て可能部品とが取り付けられた時に駆動構成要素と結合される第2のナットとを更に含むことができる。一部の実施形態では、流体薬剤が送出されるようにデバイスを制御する段階は、第1のプランジャと第2のプランジャの両方を同時に駆動する(例えば、同じ速度又は異なる速度で)段階を含む。他の事例では、流体薬剤が送出されるようにデバイスを制御する段階は、第1のプランジャと第2のプランジャとを独立に駆動する(例えば、連続的及び/又は断続的に)段階を含む。
【0042】
一部の実施形態では、ポンプは、シリンジポンプ又は蠕動ポンプとすることができる。これら2タイプのポンプの設計は機械的に異なるが、両方は、適切な静脈を通る患者の血流の中に液体溶液を注射するための液体(すなわち、最適な利尿薬又は利尿薬と電解質と他の活性及び不活性の成分との組合せを含有する溶液)の正確な制御式の推進のためのコンピュータ制御電気作動機械デバイスと考えることができる。
【0043】
蠕動ポンプを含む実施形態では、利尿薬含有液体溶液は、プラスチック配管への取付具を有するプラスチックバッグとすることができる使い捨て可能容器内で供給することができ、再使用可能部品は、プラスチック配管に係合して電子コントローラからの正確な制御下でバッグから患者の中に流体を推進することができる蠕動ポンプとすることができる。そのような実施形態では、再使用可能構成要素は、配管又はリニア蠕動ポンプに周期的に係合して連続的に配管に係合、それを圧縮、及び解除し、それによって流体ボーラスを患者に向けて前方に推進する圧縮ローラを有するローラポンプとすることができる電気モータ作動アクチュエータを組み込むことができる。
【0044】
図1に示すように、利尿薬20は、容器(例えば、バッグ)内に保存することができる。容器は、予め決められた濃度の利尿薬を有する溶液(例えば、生理食塩水)を含むことができる。利尿薬の濃度は、ユーザ入力デバイス40などを通してコンピュータ19に入力することができ、ユーザ入力デバイス40は、そのような容器上にあり、それによって利尿薬のタイプ及び濃度を示すバーコードを読み取るスキャナを含むことができる。これに代えて、容器とコンソール18の間の結合は、この結合が予め決められた濃度の利尿薬を保存することをコンピュータ19が知っているある一定の容器しか受け入れないように構成することができる。
【0045】
一部の実施形態では、水和液システム16は、生理食塩水溶液(利尿薬と混合される上述したものと同じ生理食塩水溶液であってもなくてもよい)を含む生理食塩水バッグのような流体供給源24、コンソール18に任意的に装着されてIVライン15を受け入れることができる水和流体注入ポンプ26(例えば、蠕動ポンプ)を含む又はこれらに接続可能である。IVライン15は、流体供給源24と、患者の静脈内への挿入のための静脈内(I.V.)ニードル28とに結合されるか又は接続可能である。供給源24から患者の中に流れ込む水和流体の量又は速度は、ポンプ26の下流にある流量センサ、容積センサ、又は他のセンサにより、又は注入ポンプ26のポンピング速度又は回転数によって測定することができる。この量又は速度は、例えば、アルゴリズム又はコンピュータ19の中に入力することができる。本明細書の他の箇所で説明するように、水和流体のポンピング速度は、排尿、及び排尿と水和流体注入の間の電子的に格納された関係に少なくとも部分的に基づいてコンピュータ19又は関連のアルゴリズムが加減することができる。コンピュータ19は、供給源24内の水和流体の量又は変化を例えば供給源24を計量する重量計38からの入力を用いてモニタすることができる。水和流体の量又は水和流体の変化率は、流体レベルモニタ、液位センサ、光センサ、点滴カウンタ、流量測定センサ、などのような他の手段によって測定することができる。
【0046】
一部の実施形態では、水和液システム16は、例えば、水和流体の供給が療法セッション全体を通して中断なく続くことができることを保証するために、複数の(例えば、冗長的な)流体供給源24を含むことができる。そのような実施形態の例として第1の供給源容器が空又はほぼ空であることをシステム又はコンピュータ19が検出した(例えば、容器重量、流量の低減などを測定することにより)時に、第1の供給源からの流れを停止して第2の供給源からの流れを開始することができる。例えば、第1の弁(例えば、流体供給配管の外面に塗布されたピンチ弁)を閉じ、第2の容器からの流れを可能にする第2の弁を開くことによって供給を第1の供給源から第2の供給源に切り換えることができる。次いで、第1の供給源容器を新しい満杯の容器と交換しなければならないことをオペレータに通知するアラートをオペレータに出すことができる。これに加えて又はこれに代えて、水和液システム16は、流体供給源がほぼ空になる時(例えば、15分以内に空になること)を予想すること、ユーザにアラートを出すこと、及び/又は第2の流体供給源に自動的に切り換えることができる。一部の実施形態では、例えば、法規制上の配慮から、水和液システム14がユーザの確認なく水和流体を自動的に注入しないことを保証するために手動で切り換えることを必要とする場合がある。第2(又は第3、第4のような)の水和流体供給源又はより一般的には予備品を有することにより、水和流体を注入する段階は、流体療法セッション全体を通して中断なく進行することができる。本明細書の他の箇所で説明するように、中断の欠如は、例えば、流体過負荷病態を可能な限り迅速かつ安全に緩和することによって本流体療法が非常に有効であることを保証することを助けることができる。言い換えれば、療法の中断は、それが短期間にしか及ばない場合であっても、排尿速度を降下させる可能性及び/又は利尿薬ランプ(本明細書の他の箇所で説明する)を再実施することを必要とする場合がある。利尿薬20の予備供給源、並びに本明細書に説明する(例えば、利尿薬、尿回収などに関して)他の冗長策を利用する本発明の技術の実施形態は、そのような中断を回避し、それによってより有効な療法を可能にすることができる。
【0047】
尿システム12は、患者の膀胱内への配置のための使い捨て可能カテーテル30(例えば、フォーリーカテーテル)と、それを尿回収デバイス(例えば、使い捨て可能バッグ)34に接続する使い捨て可能配管32とを含む又はこれらに接続可能である。バッグ34内に回収される尿の量は、コンピュータ19と通信する重量計36又は他の尿流れ量デバイスによってモニタすることができる。例えば、尿流れの量又は速度は、尿測定デバイス、流体レベルモニタ、液位センサ、光センサ、点滴カウンタ、又は流量測定センサなどによって決定することができる。回収される尿の量又は速度は、コンピュータ19が実時間でモニタするか又は計算することができる。同様に、流体又は利尿薬20の量を例えば重量計38によって測定し、コンピュータ19がモニタすることができる。これに代えて、重量計36、38は、患者による排尿及び患者への流体流入の組合せ変化を測定する単一重量計とすることができる。排尿と流体流入との組合せ変化は、患者による正味流体変化を示している。
【0048】
一部の実施形態では、尿システム12は、満杯の回収デバイスに起因して流体療法を停止又は中断する必要はないことを保証するために複数の(例えば、冗長的な)独立した尿回収デバイス34を含むことができる。そのような実施形態の例として第1の尿回収デバイスが満杯であることをシステム又はコンピュータ19が検出した(例えば、回収デバイスの重量を感知すること、流量センサを用いて合計回収容積を計算することなどにより)時に、患者からの尿流れを第2の回収デバイスに経路変更することができる。次いで、第1の尿回収デバイスを空にするようにオペレータに案内するための及びシステム内の第1の尿回収デバイスの交換を示すためのアラートをオペレータに出すことができる。一部の実施形態では、患者からつながる尿排出配管は、各々が利用可能な尿回収デバイスのうちの1つを達成する2つの可撓性配管ラインに接続することができる(例えば、「Y字」継ぎ合わせ要素を通して)。各回収デバイスへの流れは、ピンチ弁を用いて制御することができ、ピンチ弁は、配管を外側から圧縮し、従って、ピンチ弁が開放された時に配管を通る流れを許す。第1のピンチ弁が開き、第2が閉じている場合に、尿流れは、第2の回収デバイスではなく第1の回収デバイスに誘導される。第1の回収デバイスが満杯であることがコンピュータ19によって検出された時に、第1のピンチ弁を閉じることができ、第2のピンチ弁を開くことができ、それによって尿流れは、第2の回収デバイスに切り換えられ、第1の回収器をオフラインにして取り外すことを可能にする。
【0049】
一部の実施形態では、流体管理システム10は、米国マサチューセッツ州ミルフォード所在のReprieve Cardiovascular、Inc.が開発して臨床試験されたReprieve Cardiovascular(登録商標)システムに相応又は類似したものである。
【0050】
コンピュータ19は、プロセッサと、プログラム命令、患者流体管理システム10に関する設定、及びコンピュータ19が収集及び計算したデータを格納するように構成された有形の非一時的メモリとを含むことができる。データは、患者に関する処置履歴データ、例えば、患者に送出された利尿薬投与量、排尿の容積又は速度、患者の中に注入された水和流体の量、利尿薬の注入中の様々な時点での患者の体重又はその変化、患者の腎機能指標(例えば、推定糸球体濾過速度(eGFR))、及び/又は患者流体管理システム10を用いて患者を治療するのにかかった時間を含むことができる。
【0051】
上述のように、コンソール18及び/又はコンピュータ19は、キーパッドのようなユーザ入力デバイス40と、コンピュータディスプレイのようなユーザ出力デバイス42とを有することができる。ユーザは、望ましい流体均衡レベル、望ましい排尿レベル、流入均衡レベル又は排尿レベルのレジメン継続時間、利尿薬のタイプ、並びに利尿薬の最小及び最大の投与量のような治療セッションのある一定のパラメータを入力するのに使用することができる入力デバイス40を通してコンピュータ19とやり取りすることができる。他の入力は、患者に関するもの(例えば、性別、体重、ドライウエイト、年齢、目標流体除去容積、腎機能のような)とすることができる。これらの入力は、コンピュータ19に格納されたテーブル又は他のデータから最大利尿薬投与量、最大連続利尿薬投与量、及び最低の望ましい尿速度のようなある一定のパラメータを参照するためにコンピュータ19によって使用することができる。コンピュータ19は、オペレータが選択してコンピュータ設定の中にプログラムするための初期及び最大の利尿薬レベルの推奨レベルを表示することができる。別の入力は、摂取流体又は他の注射医薬剤のような治療セッション中に利尿薬20以外の手段を通して患者が受け入れる流体の量とすることができる。例えば、入力デバイス44は、利尿薬のためのポンプ22又は利尿薬の供給源20などから患者の中に注射される利尿薬の量を示す入力を受け入れるように構成することができる。
【0052】
図2A及び図2Bは、例示的治療法のグラフ表現であり、図2Aは、ある期間にわたって分注される利尿薬投与速度58(例えば、1時間当たりの利尿薬質量)を示しており、図2Bは、対応する排尿速度62(例えば、1時間当たりの尿容積)を示している。本発明の技術の実施形態により、図2A及び図2Bに示し、説明する治療法は、患者が予め決められた期間以内に望ましい排尿速度に到達してそれを維持することを可能にすることができる。図2A図2Bの両方を互いに参照すると、利尿薬投与量58と尿流量62とが、フェーズI又は「利尿薬投与量決定フェーズ」と呼ぶ初期期間と、フェーズII又は「連続利尿薬投与フェーズ」と呼ぶ続く期間と、フェーズIIIと呼ぶ最終期間とを含む約6時間の期間にわたるグラフ表現上に示されている。図2Aに示すように、フェーズIは、約1時間であり、フェーズIIは、約3時間であり、フェーズIIIは、約2時間である。他の実施形態では、これらの時間は異なり、図2Aに示す時間幅よりも長いか又は短いことが可能である。例えば、フェーズIIIは、療法セッションの大部分を含むことができ、従って、1~36時間とすることができる。
【0053】
フェーズIでは、閾値レベル56の又はそれよりも高い尿を患者に生成させるのに有効で安全な利尿薬投与の速度及び/又は投与量が、例えば、可能な限り短い時間内に決定される。例えば、30分、60分、90分、又は120分未満内に排尿速度62を急増させるために、利尿薬投与速度58を閾値尿速度レベル又は別の尿速度レベルに又はそれよりも高く維持するために後に適用される投与速度よりも意図的に有意に高めることができる。すなわち、フェーズIで投与される最大利尿薬投与速度58は、閾値レベル56(フェーズIIに示す)よりも高い排尿速度62を生成するのに必要とされる予想利尿薬投与速度58よりも意図的に高く(100%高く、200%高く、300%高く、400%高く、500%高く、600%高く、又は100~600%内で高く)することができる。
【0054】
フェーズI中に、利尿薬投与速度58は、コンソール(例えば、図1のコンソール18)のユーザ入力デバイス42を通して投与量を入力するオペレータが処方することができる初期投与量60に設定することができる。初期投与速度60は非ゼロ値であり、少なくとも50mg/hr、75mg/hr、100mg/hr、125mg/hr、150mg/hr、又は50~150mg/hrの範囲(又はこれらの間のいずれかの値)にすることができる。一部の実施形態では、初期投与速度60は、システムが決定し、デフォルト初期投与速度として設定するか又は患者に独特の他の入力データ(例えば、患者の体重、余剰流体重量、又は他のパラメータ)を基づくことができる。オペレータは、最大許容利尿薬投与量(最大全利尿薬量及び/又は最大利尿薬投与速度)59、最小56及び/又は最大78の望ましい排尿(全排尿量及び/又は全排尿速度)、及び/又はフェーズI、II、及びIIIに対する期間のような治療レジメンの他のパラメータを入力することができる。初期利尿薬投与量60は、控えめで患者に尿を生成させるのに必要とされるものよりも低いように選択することができる。一部の患者に関しては、初期投与速度は、閾値56よりも高くなるまで排尿速度を容易にするほど十分なものとすることができる。
【0055】
コンピュータ又はコントローラ(例えば、図1のコンピュータ19)は、排尿速度62をモニタし、追跡することができる。排尿速度のモニタは、初期の低利尿薬投与速度60が患者に与えられる前又は与えられた時に開始することができる。排尿速度は、実時間で、又は30秒置き、1分置き、又は複数分置きのような規則的な期間でモニタ又は計算することができる。一部の実施形態では、初期排尿は、最低の望ましい排尿速度56よりも低いことが予想される。初期排尿速度が最低の望ましい排尿速度56よりも高い場合に、オペレータは、最低の望ましい排尿速度を高めるか又は投与される利尿薬の量及び/又は速度を変更することを考慮することができる。一部の実施形態では、コンピュータは、排尿速度が望ましい最小尿速度56になるか又はそれよりも高くなるまでフェーズI中の利尿薬の投与速度を自動的に増大する。利尿薬投与速度は、コンピュータが利尿薬ポンプ(例えば、図1の利尿薬ポンプ22)の作動を調節することによって自動的に増大することができる。コンピュータは、投与速度を指数関数方式で増大するように、又は投与速度を線形速度で増大するように、又はコンピュータを実行する投与量を増大するための別のアルゴリズムに基づいて投与速度増大を決定するようにプログラムすることができる。コンピュータ又はそれによって利用されるアルゴリズムは、利尿薬投与速度が、オペレータによって入力された又はコンピュータに格納された最大利尿薬投与速度59よりも高くならないように制限することができる。一部の実施形態では、利尿薬投与速度は、フェーズIの初期投与速度60からピーク利尿薬投与速度64まで段階的に、各段階が前の段階に加えられた増加量を例えば少なくとも50%又は100%(又はこれらの間の値)だけ増大する(例えば、2倍にする)ように増加される。そのような実施形態では、投与速度の増加率(すなわち、利尿薬投与量の勾配)は、最大投与量64に達するまで各段階で連続的に増加することが可能である。フェーズIの終点66は、事前設定期間とすること、ピーク利尿薬投与速度64に達する時点に基づいて決定すること、又はピーク利尿薬投与速度64に達した後のある一定の期間(例えば、少なくとも2分、5分、10分、又は2~10分の範囲)とすることができる。
【0056】
利尿薬投与速度58は、フェーズI中に設定間隔の後(例えば、2分、3分、4分、又は5分置き)に連続的に増大することができ、各投与量増加は前の増加よりも高い。一部の実施形態では、この増加は指数関数的であり、及び/又は15分置きに利尿薬投与速度の倍増を達成することができる。アルゴリズムは、f(x)が指数関数であり、aが定数であり、bが正の実数であり、xが指数である時にf(x)=a**xによって定められる指数曲線に一連の段階的増加を当て嵌めることによって導出することができる。a、b、及びxに対する値は、実験によって及び/又は医師が決定することができ、各患者に特化して合わせることができる。a、b、及びxに対する値は、コンピュータに格納されたアルゴリズム内に設定することができる。これに加えて又はこれに代えて、そのような値は、患者独特の入力(例えば、患者の体重、余剰流体重量、経口利尿薬の自宅投与量、又は他のパラメータ)を基づくことができる。
【0057】
フェーズI中に利尿薬投与速度58を増大する時に、コンピュータは、尿速度62をモニタする。コンピュータは、それを実行する利尿薬投与速度増大のためのアルゴリズムに従って利尿薬投与速度58を自動的に増大することができる。利尿薬投与速度の増加は、排尿速度62が望ましい最小尿速度56に達するか又はそれよりも高くなるまで続くことが可能である。排尿速度62が最低の望ましい排尿速度56に達したとコンピュータが決定すると、利尿薬投与速度58は、それ以上増加されず、従って、ピーク利尿薬投与速度64に対応する。一部の実施形態では、コンピュータは、排尿が最低の望ましい排尿速度56に達したか否かに関わらず、利尿薬投与速度58が最大利尿薬投与速度59よりも高いことを防止するようにプログラムすることができる。
【0058】
一部の患者では、排尿速度62は、急激に増加し、時に比較的高い利尿薬投与速度64に起因して望ましい最小尿速度を有意に超える場合がある。本明細書の他の箇所で議論するように、高い排尿速度を有する患者は、排尿速度が過度に高い場合に、水和流体の注入と利尿薬投与量の任意的な下方の漸増とを同時に必要とする場合があり、これらの両方をコンピュータアルゴリズムが制御することができる。
【0059】
フェーズIは、排尿速度が望ましい最小尿速度に達する前にこのフェーズに対する指定期間66が過ぎた場合に終了することも可能である。最大利尿薬投与速度59に達した後の5分、10分、15分、又は30分(又はこれらの間の別の値)以下のような期間66を最大利尿薬投与速度59に基づいて決定することができる。フェーズIは、1時間、45~90分、又は30~120分の範囲とすることができる。フェーズIの期間が過ぎた場合に、コンピュータは、(i)望ましい尿速度よりも低いことを示すことができる最大利尿薬投与速度59に達したことではなく時間に起因してフェーズIが終了したこと、(ii)患者が利尿薬耐性を有すること、(iii)患者に異なる利尿薬を与えてフェーズIを再開することができること、及び/又は(iv)患者に限外濾過又は静脈ポンピングのような代わりの流体低減治療を提供すべきであることを示すアラートを発生する(例えば、図1のユーザ出力デバイス42から)ことができる。排尿を生成するために利尿薬を投与する現在の方法と比較して本発明の技術の実施形態は、排尿速度をより急速なペースで増加させ、それによって急速なうっ血解除、急速な症状(例えば、呼吸困難)緩和、流体除去量の増加、ナトリウム排泄の増加、及び/又はより短い期間での重量低減を可能にすることができる。上述のように、従来技術は、多くの場合に排尿に対するより高い制御を維持しようとして控えめな手法を採用し、利尿薬投与速度をゆっくりと増大する。しかし、そうすることによって数時間又は数日間の遅延をもたらし、それによって根底にある流体過負荷病態を更に悪化させる場合がある。これらの従来技術とは異なり、本発明の技術の比較的急速なペースは、利尿薬投与速度、従って、尿生成の急速な増加が患者の血管外空間内の流体の容積を僅か数時間以内に低減して流体を血管内空間の中に引き戻すことができるので、流体過負荷又は肺水腫を患う患者に対してより短い時間フレーム内で有益とすることができる。更に、本明細書の他の箇所で詳細に説明するように、一部の実施形態では、急速な利尿薬ランプは、適正な腎臓機能を維持するほど十分な量の血管内容積も維持しながら正味流体損失を最適化するための対応する水和流体注入と対にすることができる。
【0060】
図2A及び図2Bの参照を続けると、本発明のレジメン又は方法は、ピーク利尿薬投与速度64に達した又はフェーズIの期間66が過ぎた後にフェーズIIに自動的に移行することができる。フェーズIIは、流体療法の終点まで続行することができ、利尿薬投与速度58を少なくとも2時間、3時間、4時間、8時間、12時間、24時間、36時間、又は他の設定間隔のような長い期間71にわたって一定の速度又は投与量レベルに維持するように構成することができる。一部の実施形態では、フェーズIIは、患者の身体が利尿薬投与速度58に適応し、フェーズIIの期間を通して(i)望ましい最小排尿速度56の又はそれよりも高い排尿速度、及び/又は(ii)特定内に維持される排尿速度を生成することを可能にすることを目的としたものである。
【0061】
フェーズII中に、利尿薬投与速度58は、フェーズIIの全て又は殆ど中に一定に留まることができる連続投与量レベル(例えば、維持投与速度)70に設定することができる。維持投与速度70は、フェーズI中に達したピーク投与速度64と同じ、又はピーク投与速度64の90%、80%、70%、60%、50%、40%、30%、20%、10%、又は90%から10%の範囲のようなピーク投与速度64の予め決められた比率とすることができる。一部の実施形態では、利尿薬維持投与量70は、フェーズIで望ましい最小尿速度56又はフェーズI中に必要とされる利尿薬の全量に達するのに必要とされる投与速度に対応する利尿薬投与量レベル72に基づいて設定される。例えば、一部の実施形態では、利尿薬維持投与速度70は、フェーズIで送出された全投与量又は蓄積投与量(例えば、質量又は容積に関する)の値の百分率(例えば、15%、20%、30%、40%、50%、又は15~50%の範囲)である値を有する。例えば、フェーズIで送出される利尿薬の全投与量が100mgである場合に、利尿薬維持投与速度70は20mg/hrとすることができる。これに加えて又はこれに代えて、フェーズIIがフェーズIの時間満了に起因して始まる実施形態では、利尿薬維持投与速度70を最大速度に制限する(例えば、40mg/hr、35mg/hr、30mg/hr以下に)ことができる。フェーズIIで与えられる維持投与速度70は、オペレータが選択し、コンピュータの中に入力することができる。一部の実施形態では、最大利尿薬維持投与速度72をコンピュータ内でテーブル内などに格納することができる。
【0062】
本発明のレジメン又は方法は、フェーズIIの終点でフェーズIIIに自動的に移行することができる。フェーズIIIは、治療レジメンが完了するまで続行することができ、この完了は、患者から除去される正味流体が予め決められた容積又は重量(例えば、自動的に又はオペレータによって決定されたもの)に達した時、又は予め決められた期間(例えば、1日間、2日間、又は3日間)が過ぎた時に発生することが可能である。正味流体除去量は、患者によって排泄された流体の量(排尿に対応することが可能である)と患者によって摂取された流体の量の間の差を意味する。
【0063】
フェーズIII中に、コンピュータは、例えば、(i)排尿速度62を望ましい範囲77内に維持するように、(ii)排尿速度62を望ましい最小尿速度56を上回って維持するように、及び/又は(iii)排尿速度62を最大排尿速度78を下回って維持するように利尿薬投与速度76を調節することができる。望ましい範囲77は、フェーズII中の平均排尿速度の80%から120%の範囲のようにフェーズII中の平均排尿速度に基づいて自動的に計算することができる。望ましい範囲77は、例えば、この範囲の下端が475ml/hrであり、上端が575ml/hrである525ml/hrを中心とする範囲とすることができる。これに代えて、望ましい範囲又は望ましい最小及び最大の排尿速度は、オペレータがコンピュータの中に入力したパラメータとすることができ、又はコンピュータに格納されたものとすることができる。フェーズIIIに対する利尿薬投与速度は、フェーズIIとフェーズIIIとが類似の方式で作動するようにフェーズIIに対する連続投与速度70と同じ投与速度に保つことができる。更に、排尿レベル62が望ましい最小排尿レベル(フェーズIと同じレベルであっても又はなくてもよい)よりも低くなるまで低下した場合に、コンピュータは、例えば、より最適な利尿薬維持投与速度を決定するために、フェーズIを自動的に再開するか又はフェーズIを再開することを示唆するアラート又はレポートをコンピュータ自体から発することができる。例えば、尿速度が3時間の期間にわたって325ml/hrを下回って低下した場合に、コンピュータはフェーズIを再開することができる。同様に、排尿速度が325ml/hrよりも低い場所と325ml/hrよりも高い場所との間を繰り返し行き来し、それによって正味流体低減量が実効的に過度に低い場合に、コンピュータはフェーズIを再開することができる。正味流体低減量が過度に低いか否かを決定するために、ソフトウエアは、3時間のような所与の期間にわたって325ml/hrを下回り、かつ現在排尿速度よりも高い面積として定められる「負債」値を計算することができる。例えば、排尿速度が1時間にわたって300ml/hrであった場合に、「負債」は25ml(325から300を差し引いたもの)であると考えられる。「負債」が設定時間量にわたって設定値を超えた、例えば、3時間にわたって150mlの負債であった場合に、コンピュータは、フェーズIを自動的に再開するか又はフェーズIを再開することを示唆するアラート又はレポートをユーザ出力デバイス42から発することができる。
【0064】
フェーズIII中に排尿速度が高閾値レベルを超えた場合に、コンピュータは、利尿薬投与量を現在投与速度の20%、35%、55%、75%、又はそれよりも多くなどだけ自動的に低減することができる。利尿薬投与速度を低減した後の1時間のような予め決められた期間の後に排尿速度が過度に高く留まる、例えば、閾値レベルを上回ったままに留まる場合に、コンピュータは、利尿薬の注入をある一定の期間にわたって自動的に停止するか又は下方漸減することができる。例えば、排尿速度が1時間にわたって625ml/hrを超えた場合に、コンピュータは、定められた期間(例えば、50分から1時間)にわたって利尿薬の注入を自動的に停止するか又は利尿薬投与速度を最小投与速度まで低減することができる。利尿薬投与速度の低減に応答して排尿速度が設定閾値よりも低くなるまで降下した場合に、コンピュータは、前の連続投与速度のある百分率で連続利尿薬注入を続行することができる。この低減は、排尿速度が閾値レベルよりも低くなるまで降下した時に経過した利尿薬投与速度停止継続時間を基づくことができる。定められた期間が経過し、排尿速度が閾値レベルを上回ったままに留まる場合に、連続投与速度は、注射の停止の前の連続投与速度から25パーセントの低減のような定められた量だけ低減した速度で続行することができる。
【0065】
利尿薬投与速度を制御するのに加えて、コンピュータは、水和流体供給源24から患者内への水和流体の注入を制御するためのプログラムを実行することができる。コンピュータは、患者内で望ましい正味流体低減を達成するためのアルゴリズムに基づいて注入ポンプ(例えば、図1の注入ポンプ26)を制御することによって水和流体の注入を制御することができる。
【0066】
図3は、本発明の技術の実施形態により排尿と水和流体注入と正味流体損失の間の関係を示すグラフ表現の図である。言い換えれば、図3は、本発明の技術の実施形態が、患者内で正味流体変化率84を達成するために排尿速度82に基づいて水和流体注入速度80をどのように自動的に制御するかに関する例示的な表現を示している。水和流体注入速度80の制御は、フェーズI、II、及び/又はIII中に利尿薬投与量の制御と同時に実施することができる。
【0067】
排尿速度82は、最初にフェーズI中に増加し、それによって正味流体低減速度の増加がもたらされることが予想される。一部の実施形態では、水和流体注入速度80は、予め決められた容積(例えば、少なくとも150ml、200ml、250ml、300ml、400ml、500ml、又は150~500mlの範囲)が測定されるまで、又は特定の期間(例えば、少なくとも60分)が経過するまで排尿速度82と一致することが可能である。一部の実施形態では、正味流体低減速度84は、水和流体が患者の中に注入されるまで排尿速度82に実質的に等しい場合がある。コンピュータは、正味流体低減速度84が閾値最小値86よりも低くなるまで低下したか、又は排尿速度82が閾値排尿速度88を超えた場合又は時に水和流体を追加されると決定することができる。これらの閾値は、医師がユーザ入力デバイス40の中に入力するか又はコンピュータに格納された(デフォルトとして)とすることができる。これらの閾値は、図3に示すように同時に発生する必要はないが、関連しており、従って、ほぼ同時に起こる可能性が高い。これに代えて、コンピュータは、フェーズI又は利尿薬投与量決定フェーズを実施する(例えば、再実施する)時を含む利尿薬を注入し始める時とほぼ同じ時点で水和流体を注入することができる。閾値86、88の一方又は両方に達すると、コンピュータは、水和流体を流体供給源(例えば、図1の流体供給源24)から患者の中にポンピングする注入ポンプ(例えば、図1の水和液注入ポンプ26)を作動させることによって水和流体80の注入を自動的に開始することができる。水和流体80の注入の速度は、コンピュータが、例えば、現在排尿速度と望ましい正味流体均衡速度90の間の差に基づいて計算又は決定することができる。例えば、望ましい正味流体低減速度が200(ml/hr)であり、排尿速度が400ml/hrである場合に、コンピュータは、水和流体の注入を200ml/hrの速度に自動的に制御することができる。
【0068】
コンピュータは、一定であるか、又は特定の範囲の間であるか、又は閾値よりも低い(すなわち、それよりも負である)正味流体均衡速度84のような望ましい正味流体低減速度84を維持するように照射野の注入速度80を調節することができる。初期のフェーズ又は期間85中に、水和流体は、1時間が経過するか又は予め決められた量(例えば、少なくとも500ml)の水和流体が注入されるかのいずれかの事象が先に発生するまで注入することができる。初期フェーズ85中に、コンピュータは、排尿82の増加率を水和流体注入80の増加率と一致させることができる。水和流体を排尿の増加率と同じ増加率で増大することにより、血管系の中にかなりの量の水和流体が注入される。水和流体は、尿中の典型的なナトリウム及び塩化物の各々の濃度と比較して相対的に高い濃度のナトリウム及び/又は塩化物を含み、従って、水和流体を血管系の中に注入することにより、患者が尿を排泄している場合であっても血中のナトリウム及び/又は塩化物のレベルが増大する。同様に、水和流体は、尿からのカリウムの放出よりも高い速度で血液にカリウムを追加することができる。そうすることにより、初期期間85は、血中のナトリウム、塩化物、及び/又はカリウムのレベルを人工的に増大させることを可能にし、これは、治療中に血液容積が比較的低いレベルまで降下した場合の患者内のナトリウム、塩化物、及び/又はカリウムの枯渇に対する安全手段を与える。
【0069】
初期期間85の後に、コンピュータは、水和流体速度80を排尿速度82の現在の速度増大96よりも低い率94(例えば、現在の速度増大96の約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、又は10%~95%の範囲)で増大することができる。これに代えて、コンピュータは、超えると水和流体速度80を更に増加させない第1の閾値92(例えば、400ml/hr、420ml/hr、440ml/hr、又は400~440ml/hrの範囲)を排尿速度82が超えることに応答して水和流体に関する増加率94を低減することができる。排尿速度82が第1の閾値92を超えた場合又は超えている間に、コンピュータは、水和流体80の増加率94を排尿82の現在増加率96よりも有意に低い場所まで更に低減することができる。例えば、排尿速度82が第1の閾値92を上回っている間には、排尿速度82の更に別の増加率96は、その2分の1又は4分の1から4分の3の範囲の増加率でしか増加させない水和流体注入速度80の更に別の増加率94によって釣り合わせられることになる。同時に、正味流体低減84の減少率102は、水和流体のより低い増加率と比較して高い排尿の増加率に起因して増大する。本明細書の他の箇所で説明するように、水和流体速度(又は水和流体速度の増加率)を排尿速度よりも低く調節する(例えば、増減する)ことにより、患者の体内の塩分の正味流体除去、並びに正味流体損失を達成することができる。
【0070】
排尿速度82が増加し続けて第2の閾値98(例えば、少なくとも500ml/hr、1020ml/hr、又は500~1020ml/hrの範囲)を超えた場合に、コンピュータは、水和流体速度80の更に別の増加を自動的に中止することができる。排尿速度82が第2の閾値98を上回っている間には、コンピュータは、排尿速度82の更に別の増加に関わらず、水和流体速度80を一定の速度100(例えば、200ml/hr)に維持することができる。更に、正味流体低減速度84の増加は、望ましい全正味流体低減量に達するのに必要とされる期間を短縮するという利点を有する。正味流体低減の率104は、排尿速度82の増加と一定の水和流体速度80とに起因して増大する。
【0071】
超えると水和流体を更に増加させない最大排尿に対する閾値98を設定することは、患者内の過剰ナトリウムレベルを回避したいことに部分的に基づいている。尿中のナトリウム濃度は、治療を通して患者の生理学的状態が変化する時に変化する可能性があるが、水和流体として使用されることが予想される生理食塩水溶液のナトリウム濃度よりも低い(約半分)。高い水和流体注入速度では、患者に対する正味ナトリウム増加が、1時間又はそれよりも多い治療の途中で過剰になる場合がある。患者に追加されるナトリウムを低減するために、水和流体速度80に上限値100が適用される。この限度値は、閾値最大排尿速度98を設定することによって間接的に課すことができ、この閾値98を尿速度が超えて増加した時に水和流体速度80は増加させない。
【0072】
上述のように、コンピュータは、閾値92及び/又は98などよりも高いと、利尿薬投与量を低減することによって高い排尿速度を低減する機能を自動的にもたらすことができる。利尿薬投与速度は、これまで流体低減治療には不適切と考えられていた投与量レベルまで増大することができる。本発明の技術の実施形態は、(i)排尿速度82が閾値92、98よりも高いのに応じた利尿薬投与量の自動低減、及び/又は(ii)患者の血管系内への水和流体の直接注入に起因してこれらの高いレベルで利尿薬を投与することができる。水和流体の注入は、患者内の血液容積が、高い利尿薬投与量に起因して過度に低くなることになるリスクを低減する。従って、図2Aを参照して説明した利尿薬投与量レベル64、70、76は、従来適切と見なされて認可されていた最大投与量レベルよりも有意に高くすることができる。
【0073】
コンピュータは、デフォルト流体均衡速度及び最大正味流体損失のような治療に対するある一定の限度値を格納することができる。デフォルト正味流体均衡速度は、負の220ml/hr又は150ml/hrから260ml/hrの範囲とすることができる。最大正味流体損失限度値は、5リットル(5,000ml)とすることができ、この点でコンピュータはレポート又は警報を発し、利尿薬を注射する段階を少なくとも一時的に停止することができる。オペレータは、1リットルの増分などでより高い最大正味流体損失限度値を入力することによって警報に応答することができる。より高い最大正味流体損失限度値に応答して、コンピュータは、フェーズIIIを続行することができる。
【0074】
本発明の技術の実施形態を利用した臨床研究は、一貫して患者内の流体容積を従来の標準治療よりも速く低減した。この患者集団の従来の研究では、標準治療を受けている患者の47%しか4リットルから5リットルの流体容積を除去するという目標を達成することができず、この達成に一般的に5日間の入院加療を要した。比較すると、本発明の技術の実施形態は、4リットルから5リットルの流体容積を24時間又はそれ未満で除去するという結果がもたらされている。この研究からの尿中ナトリウムデータは、本発明の技術の実施形態が、流体容積の正味減少に加えて患者から高ナトリウム尿を通して有意な量の塩分も除去することを裏付けている。従来の標準治療を患う患者の尿は、実質的に低張尿(例えば、60~70mmolのナトリウム)しか除去しない。本発明の技術の実施形態によって達成されるより多くの塩分の除去は、放出後に流体を再蓄積する患者動向をそれほどもたらさず、再入院加療率の有意な低減を達成することができる。
【0075】
排尿に基づいて利尿薬及び水和流体の送出を自動化するのに加えて、本発明の技術の実施形態は、正味流体容積除去を最適化し、医師が標準治療と比較して治療の早期により高い投与量又は投与速度を使用することを可能にすることによって望ましい正味流体低減を達成するのに必要とされる時間を短縮し、過剰利尿、脱水、又は血管内枯渇のような有害事象のリスクを回避又は低減し、患者が利尿薬耐性を有するか否かを迅速に評価し、治療データ記録を提供することができる。本発明の技術の実施形態は、1日当たり2リットルの流体を経口又はIV注入で導入することに基づいて1日当たり3.4リットルの正味流体容積除去を達成する少なくとも225ml/hrの平均正味流体低減速度(放出尿の平均速度から導入水和流体の平均速度を差し引いたもの)を達成することを目指す。ナトリウムを置換しながらのこの流体除去速度は、入院日数(LOS)の短縮を可能にし、更にうっ血解除の改善を可能にすることができる。
【0076】
これらの目的を達成するために、本発明の技術の実施形態は、適切な連続利尿薬注入速度を決定するための短い利尿薬投与量決定フェーズを有し、これは、その後に、排尿を連続モニタし、それを用いて利尿薬注入速度が適切であり続けているか否かを評価し、従って利尿薬注入速度を調節する流体低減フェーズで使用される。同時に、アルゴリズムは、除去されるナトリウム及び流体の一部分を置換するための水和流体の注入を制御する。水和流体の注入速度は、少なくとも部分的に尿速度の関数である。
【0077】
図4Aは、利尿薬投与量決定フェーズ(処理部分402)中に利尿薬の注入速度を制御する方法400を示している。方法400は、本明細書の他の箇所で説明するアルゴリズムの一部とすることができる。利尿薬投与量決定フェーズは、図2を参照して説明した利尿薬投与量決定フェーズに全て又は一部が対応することが可能である。利尿薬投与量決定フェーズは、流体管理療法の冒頭に対応すること、又は条件セットのうちの1又は2以上が満足された(例えば、排尿が閾値よりも低くなるまで降下した)時にトリガすることが可能である。利尿薬投与量決定フェーズの開始は、例えば、ユーザが、利尿薬投与速度が過度に低いか又は排尿が過度に低いと考え、利尿薬投与量を再評価したいと望む場合にユーザが手動でトリガすることができる。この点に関して患者に内在する生理学的状態は、入院加療の流体療法の途中に多くの場合に変化し、従って、患者に望ましい排尿速度を生み出させるのに必要とされる利尿薬投与量を利尿薬投与量決定フェーズを繰り返すことによって調節することが必要な場合がある。
【0078】
図4Aに示すように、利尿薬投与量決定フェーズは、利尿薬投与速度を設定する(処理部分404)ことによって始めることができる。初期利尿薬投与速度は、比較的低く(例えば、60mg/hr、80mg/hr、100mg/hr、120mg/hr、又は60~120mg/hrの範囲以下に)設定すること、及び/又は患者独特の因子(例えば、性別、年齢、体重、治療歴のような)に基づいて設定することができる。利尿薬投与速度が与えられると、システム(例えば、図1の流体管理システム10、利尿薬システム14、及び/又はこれらのいずれかのサブシステム)は、尿速度が予め決められた閾値を上回っているか否かを検査することができる(処理部分406)。予め決められた閾値は、200ml/hr、300ml/hr、400ml/hr、450ml/hr、500ml/hr、525ml/hr、550ml/hr、又は200~550ml/hrの範囲とすることができる。尿速度が予め決められた閾値を上回っていない場合に、システムは、予め決められた時間量(例えば、ランプ時間)が経過したか否かを検査することができる(処理部分408)。ランプ時間は、40分、50分、60分、70分、又は80分、又は40~80分の範囲以下とすることができる。尿速度が予め決められた閾値よりも高いことなくランプ時間が経過した場合に、システムは、区分時間後(例えば、2分置き、3分置き、4分置きに、又は他の設定間隔で)に繰り返し利尿薬投与速度を調節することができる。調節利尿薬投与速度は、排尿速度が予め決められた閾値よりも高いか又はランプ時間が経過するかのいずれかまで線形又は指数関数方式で増大することができる。所与の分数tにわたる利尿薬投与速度は、A、B、及びCが一定の値である時にA*(2^(t*B))+Cという計算式を用いて計算することができる。一部の実施形態では、指数関数的増加は、適切な投与速度を安全に見出す速度を最適化することができ、それに対してより緩慢な増加(例えば、線形増加)は、適切な投与速度を求めるように機能することができるが、より長い時間を消費する場合がある。一部の実施形態では、ある一定の期間に(例えば、5分置き、10分置き、15分置き、20分置きに、又は5~20分内で)利尿薬投与速度が倍増するように、各増分段階は、直前の段階よりも高い。そうすることにより、システムは、尿速度を効率的で急速な方式で増大することを可能にし、それは、患者から余剰流体を可能な限り早急に除去すること、及び/又は患者がある病態を有する(例えば、利尿薬耐性を有する)か否かを可能な限り早急に識別することを可能にする。一部の実施形態では、利尿薬をランプ時間にわたって最大投薬量(例えば、フロセミドでは200mg)に制限することができる。この点に関して、システムは、保健医療規制内であり、かつ安全に送出することができる利尿薬投与量しか与えないように構成することができる。
【0079】
高い利尿薬投与量に応答して尿速度が予め決められた閾値よりも高い場合に、調節投与速度(例えば、その後の連続注入フェーズに対する初期速度)の値は、この時点で患者に送出された全投与量の値の予め決められた百分率(例えば、10%、15%、20%、25%、30%、又は10~30%の範囲)に設定される(処理部分412)。例えば、送出された全投与量が100mgであり、予め決められた百分率が20%であった場合に、調節投与速度は、20mg/hrにすることができる。同様に、尿速度が予め決められた閾値よりも高い前にランプ時間が経過した場合に、投与速度の値は、この時点で患者に送出された全投与量の値の予め決められた百分率であるように設定することができる(処理部分414)。この百分率は、注入されている特定の利尿薬の薬物動態学的特性を基づくことができる。例えば、利尿薬がフロセミドである場合に、この分率を20%にすることができ、50mgのフロセミドが60分以内に注入される場合に、計算連続利尿薬投与速度を10mg/hrにすることができる。この概念に対しては、図4Bを参照してより詳細に説明する。利尿薬投与速度を送出された全投与量のある百分率まで、及び/又は直前の投与速度又は前5~10分にわたる平均投与速度よりも低い場所まで急速に低減することにより、尿速度は、その増加率を低減するが(例えば、ゼロ勾配に近づくように)、排尿自体を実際に低減することなくそうすることを可能にすることができる。これに加えて又はこれに代えて、そのような利尿薬投与量の減少は、尿速度を予め決められた速度に及び/又は予め決められた範囲に維持することを可能にすることができる。
【0080】
処理部分412によって投与速度が設定されると、システムは、予め決められた持続時間(例えば、5分、10分、15分)にわたる平均尿速度が予め決められた閾値よりも高いか否かを決定することができる(処理部分416)。処理部分416は、他の作動フェーズに進行するのに尿速度が十分に高いことの追加の検証として機能することができる。例えば、尿速度がしばらくの間予め決められた閾値を超えてピークに達したが、この予め決められた閾値を安定して超えることがなかった場合に、処理部分416は、警報を与える及び/又はシステムがその後の作動フェーズに進行することを防止することが考えられる。平均尿速度が予め決められた閾値を超えた場合に、システムは、連続注入フェーズ(例えば、図5を参照して説明する)のような別の作動フェーズに進行することができる。平均尿速度が予め決められた閾値よりも高くなかった場合に、利尿薬投与速度を直前の速度に設定し(処理部分418)、次いで、処理部分406に戻り、例えば、尿速度を増大するために利尿薬投与速度を再漸増させることができる。
【0081】
利尿薬投与量決定フェーズは、現在のシステム及び方法と比較して利尿薬投与速度を急速に高い投与速度までランプさせることを可能にし、それによって最小閾値よりも高くなるまで患者の尿速度を急速に増大することを可能にする。利尿薬投与量を急速にはランプさせず、ゆっくりと増加させて安全側にそらす(過剰利尿を回避するために)現在のシステム及び方法とは異なり、本発明の技術の実施形態は、例えば、予め決められた排尿に達した後に利尿薬投与速度を自動的に低減する及び/又は水和流体注入を制御するこれらの実施形態の機能によって利尿又は関連の問題のリスクを軽減することができるので、利尿薬投与速度を比較的急速にランプさせることができる。そうすることにより、本発明の技術の実施形態は、患者によって十分な量の血管内容積が維持されることを保証するために正味流体損失限度値(例えば、100ml/hr)も設定しながら、患者からの正味流体損失を効率的にもたらすことができる。この正味流体損失限度値は、心不全患者で排尿速度が高いレベルに近づく時に多くの場合に見受けられる心拍出量及び腎灌流れの降下を抑制する。
【0082】
図4Bは、本発明の技術の実施形態により利尿薬投与速度460と送出された全利尿薬量470の間の関係を示すグラフ表現450である。図4Bに示して説明する概念は、利尿薬投与量決定フェーズ、利尿薬ランプ、及び関連の特徴に関する本発明の技術の他の態様に当て嵌めることができる。図4Bに示すように、利尿薬投与速度460は、約75mg/hrの初期速度から約447mg/hrの最終速度まで60分の間隔以内にランプさせることができる。従って、利尿薬投与速度460は、この期間にわたって約500%だけ増大することができる。同じく示すように、利尿薬投与速度460は、約20分の間隔以内に実効的に倍増することができる。
【0083】
送出された全利尿薬量470(mg)は、現時点までに送出された利尿薬の蓄積量に対応する。上述のように(例えば、図4Aを参照して)、送出された全利尿薬量470の値を用いて、患者の排尿速度が予め決められた閾値に達した後の利尿薬に対する値又は設定値を決定することができる。例えば、排尿速度が予め決められた閾値(400ml/hr、450ml/hr、500ml/hr、525ml/hr、550ml/hr、又は400~550ml/hrの範囲)に達すると、利尿薬投与速度の値を現時点の送出された全利尿薬量470の値のある百分率(例えば、20%)に設定することができる。図4Bに示すように、利尿薬投与速度設定値480は、送出された全利尿薬量470の値の20%に対応する。図4Bに示す値は、フロセミド利尿薬に使用することができることに注意されたい。他の利尿薬の使用は、異なる投与速度を必要とする可能性があるが、本明細書に説明したものと類似の基本原理が適用されると考えられる。
【0084】
II.利尿薬投与速度の再ランプ又は急速増加
図5は、本発明の技術の実施形態により連続利尿薬送出フェーズ又は別のフェーズ(例えば、流体低減フェーズ)の流れ図500である。本明細書の他の箇所で説明するように、連続送出フェーズ502は、利尿薬投与量決定フェーズの後、又はより具体的には排尿速度が既に予め決められた閾値よりも高い後に行うことができる。連続注入フェーズは、流体低減フェーズと同時に行うことができ、この間に水和流体が排尿速度よりも低い速度で注入され、それによって正味流体損失が引き起こされる。連続送出フェーズ中に、尿速度が予想レベルにあり、利尿薬投与量に応じることを保証するために、尿速度が、定期的(例えば、1分置き)に検査及び/又は取得される(処理部分504)。この検査の一部としてシステムは、前の持続時間(例えば、前の10分、15分、20分)にわたる平均排尿が第1の閾値量(例えば、20ml、25ml、30ml、40ml)よりも高いか否かを決定することができる(処理部分506)。平均排尿が第1の閾値よりも高くなかった場合に、非常に低い尿速度及びフォーリーカテーテルの閉塞又は他の機器の機能不良のリスクをユーザに通知するアラートメッセージを与える(例えば、図1のユーザ出力デバイス42上に表示する)ことができる(処理部分508)。その後に、尿速度が低いか否か(処理部分510)及び/又は利尿薬投与量のランプ(例えば、再ランプ)が確実にされているか否かを決定するために、平均尿速度を条件セットと対比して検査することができる。条件セットのうちのいずれか1つが満足され、従って、排尿が低いと決定された場合に、システムは、利尿薬投与量をランプ又は再ランプさせる段階に進んで最小閾値よりも高い尿速度を確立する(例えば、利尿薬投与量決定フェーズに戻ることにより)又は再確立することができる。尿速度が低くなかった場合に、システムは、尿速度を連続モニタするためにループ作動させることができる。
【0085】
条件セットは、(i)平均尿速度が予め決められた期間(例えば、2時間、2.5時間、3時間、又は2~3時間の範囲)にわたって予め決められた閾値速度(例えば、250ml/hr、300ml/hr、325ml/hr、350ml/hr、400ml/hr、又は250~400ml/hrの範囲)よりも低いか否か、又は(ii)このある一定の期間にわたって予め決められた量(例えば、100ml、125ml、150ml、175ml、又は100~175ml/hrの範囲)よりも高い負債が蓄積したか否かを決定する段階を含むことができる。「負債」は、プロット図上で排尿速度と設定速度(例えば、325ml/hr)の間の面積として定めることができ、基本的にどれほどの高さの排尿速度がどれほど長く設定速度を下回ったかを表している。負債は、関係するカウンタがリセットされない限り蓄積することができる。例えば、患者が3時間にわたって300ml/hrの一定の速度で尿を放出した場合に、負債は、325ml/hrの設定速度では75mlになる。排尿速度が低いほど、負債は大きい。排尿速度が設定速度を上回って増大した場合に、負債は蓄積されないが、負債が蓄積されてから予め決められた時間量(例えば、3時間)が過ぎるまで引き続き考えられている。そのような方式で負債を計算することにより、本発明の技術の実施形態は、負債計算を利用しない場合よりも迅速に低排尿速度に応答することを可能にする。
【0086】
条件セットのうちのいずれか1つが満足され、従って、平均尿速度が過度に低い場合に、再ランプ又は利尿薬投与量決定フェーズが実施されることになることを確認するようにユーザに見出すことができる(処理部分514)。法規制が、再ランプを始める前にユーザの確認を患うことを必要とすることができる。ユーザが再ランプに合意しない場合に、条件セットに対するカウンタをリセットすることができる。すなわち、蓄積された負債と、尿速度が予め決められた閾値を下回っているか否かを計算するのに使用される期間とをゼロにリセットすることができる。ユーザが再ランプに合意した場合に、前の利尿薬投与速度で、例えば、前のランプが完了した場所でランプを開始することができる(処理部分518)。そのような実施形態では、利尿薬投与速度は、前のランプでの最終速度で始まり、全経過増量時間が、前の全経過増量時間に積算される。この概念に対しては、図6を参照してより詳細に示して以下に説明する。ランプを開始した後に、システムは、尿速度が予め決められた閾値(400ml/hr、450ml/hr、500ml/hr、525ml/hr、550ml/hr、又は400~550ml/hrの範囲)を上回っているか否か、又は予め決められた量の時間(例えば、増量時間)が経過したか否かを決定する(処理部分520)。この決定が否であった場合に、システムは、本明細書の他の箇所で説明するように区分時間の後に利尿薬投与速度を調節することができる(処理部分524)。尿速度が予め決められた閾値を上回っている場合に、利尿薬投与速度を現時点で患者に送出された全投与量の予め決められた百分率(例えば、10%、15%、20%、25%、30%、又は10~30%の範囲)に設定することができる(処理部分522)。その後に、条件セットに対するカウンタがリセットされ(処理部分516)、システムは、処理部分504に復帰することができる。
【0087】
一部の実施形態では、ユーザは、機器に関して検査し、連続利尿薬投与速度を手動で調節するか又は利尿薬投与量決定フェーズへの再入をトリガすることができる。再入が手動でトリガされた場合に、患者は、法規制当局によって許可された最も高い連続投与量とすることができる最大で60分の全経過増量時間を受けることができる。従って、全経過増量時間が55分よりも長い場合に、ランプに再入する利点が殆どない場合がある。そのような実施形態では、3時間平均排尿速度がリセットされ、尿負債が0に設定され、アルゴリズムは処理部分504に戻る。しかし、全経過増量時間が55分よりも短いか又はそれに等しい場合に、ランプの再開を確認するようにユーザに見出すことができる(処理部分514)。
【0088】
図6は、本発明の技術の実施形態により利尿薬投与速度605及び対応する排尿速度610のグラフ表現600である。グラフ表現600は、図5を参照して説明した実施形態を一般的に例示している。最初に、尿速度610が、この事例では約525ml/hrである予め決められた閾値に達するまで利尿薬投与速度605が増加又はランプされる。予め決められた閾値に達すると、利尿薬投与速度605のランプが中止し(例えば、時点620では)、利尿薬投与速度605が、現時点までに患者に送出された全投与量の予め決められた百分率(例えば、10%、15%、20%、25%、30%、又は10~30%の範囲)に設定される。図6に図示の実施形態では、利尿薬投与速度605のランプは、50mgの利尿薬が送出された後の時点620で完了し、その後に、利尿薬投与速度605は、10mg/hr又は現時点までに注入された全利尿薬量の20%に設定される。次いで、例えば、尿速度が降下すること及び/又は法規制限度量が満足されることに応答してシステムが投与速度605を調節するまで10mg/hrの連続速度での低い利尿薬投与速度605を設けることができる。
【0089】
線624で示すように、尿速度610は、線626で示すより低い尿速度まで減少する場合がある。尿速度610のこの降下は、利尿薬に対する患者の反応又は他の病態の変化に起因するものである場合がある。線624の後の尿速度は、この段階では525ml/hrの予め決められた閾値よりも低いが、利尿薬投与速度を即座に調節しない場合がある。即座に調節する代わりに、本明細書の他の箇所で説明する(例えば、図5を参照して)ように、利尿薬投与速度605は、(i)尿速度が予め決められた期間(例えば、2時間、2.5時間、又は3時間)にわたって別の予め決められた閾値(例えば、第2の予め決められた閾値)(例えば、250ml/hr、300ml/hr、325ml/hr、350ml/hr、400ml/hr、又は250~400ml/hr)を下回ったか、又は(ii)第2のある一定の期間にわたって予め決められた量(例えば、100ml、125ml、150ml、175ml)よりも多い負債が蓄積した後にしか調節することができない。利尿薬投与量の再ランプを開始するのに、第1の予め決められた閾値よりも低い瞬間的な降下ではなく尿速度のこれらの時間重み付き平均測定値を使用することにより、例えば、尿速度610の降下がフォーリーカテーテルの閉塞、一時的なセンサ不良、又は他の関連の短期処置にだけに起因する時に不要な再ランプを防止することができる。時点628では、システムは、平均尿速度が第2の予め決められた閾値を3時間にわたって下回ったと決定する。その結果、利尿薬投与速度605の再ランプが開始され、投与速度は、前のランプが中止された速度(時点630に示す)、この事例では約180mg/hrに設定される。次いで、利尿薬投与速度605が、本明細書の他の箇所で説明する(例えば、図2A図4を参照して)ものと同じ条件に従ってランプされる。一部の実施形態では、再ランプに対する初期の利尿薬投与速度605を前のランプが中止された時の速度よりも低い(例えば、10%、20%、30%、又は10~30%下回る)速度に設定することができる。排尿速度が予め決められた閾値に達すると、利尿薬投与速度605のランプは中止し(すなわち、時点632では)、利尿薬投与速度605は、現時点までに特性に送出された全利尿薬投与量のある百分率、この事例では20%に設定される。図6に図示の実施形態では、利尿薬投与速度605のランプは、第2のランプによって50mgの利尿薬が送出された後又は合計で100mgの利尿薬(すなわち、第2のランプからの50mg及び時点620で終了した前のランプ中に患者に既に送出された50mg)の後に時点632で完了し、その後に、利尿薬投与速度605は、20mg/hr又は現時点までに注入された全利尿薬量の20%に設定される。次いで、システムが投与速度605を調節するまで20mg/hrの連続速度での低い利尿薬投与速度605を設けることができる。
【0090】
III.利尿薬投与速度の下方漸減又は減少
図7は、本発明の技術の実施形態により利尿薬投与速度の下方漸減を示す流れ図700である。患者からの流体除去は、多くの場合に、利尿薬投与量に対する高い反応を達成する可能性がある生理学的変化に至る場合がある。そのような事例では、尿速度は、臨床的に望ましいものよりも高く留まる場合があり、この高い尿速度は、長期間にわたって治療されないまま放置されると、電解質の損失及び/又は低血圧を達成する場合がある。更に、そのような事例では、患者に利尿薬を提供する段階を単純に中止すると、流体療法を不要に再開しなければならなくなり、従って、余剰流体の正味量を除去するのに必要とされる全体の時間が延びる可能性が考えられるので、そのように中止しない方が望ましい場合もある。そのような問題を軽減するために、本発明の技術の実施形態は、利尿薬投与量をゼロに設定することなく下方漸減(すなわち、低減)するための技術を含むことができる。
【0091】
図7に示すように、流れ図700は、本明細書の他の箇所で説明するように患者に利尿薬をある投与速度で提供する(処理部分702)ことによって始まる。次いで、システムは、条件セットの各々が満足されるか否かを決定し、満足される場合に利尿薬投与量を下方漸減する。条件セットは、平均尿速度が第1の期間(例えば、2時間、3時間、4時間、又は2~4時間の範囲)にわたって予め決められた速度よりも高いか否かを決定する段階を含むことができる(処理部分704)。予め決められた速度は、水和流体が患者に注入されているか否かに基づくことができる。水和流体が患者に注入されている場合に、予め決められた速度は、900ml/hr、950ml/hr、1025ml/h、1100ml/hr、又は900~1100ml/hrの範囲とすることができる。水和流体が患者に注入されていない場合に、予め決められた速度は、400ml/hr、450ml/hr、525ml/hr、600ml/hr、又は400~600ml/hrの範囲とすることができる。条件セットは、尿速度の平均増加率(例えば、正の勾配)が第2の期間(例えば、1時間、2時間、3時間、又は1~3時間の範囲)にわたって予め決められた変化率(例えば、30ml/hr2、40ml/hr2、50ml/hr2、60ml/hr2、70ml/hr2、又は30~70ml/hr2の範囲)よりも高いか否かを決定する段階を更に含むことができる(処理部分706)。条件セットは、利尿薬投与速度が予め決められた投与速度(例えば、8mg/hr、10mg/hr、12mg/hr、又は8~12mg/hrの範囲)よりも高いか否かを決定する段階を更に含むことができる(処理部分708)。一部の実施形態では、条件セットのうちのいずれも満足されない場合に、システムは、利尿薬投与量を下方漸減することにはならず、処理部分702に戻ることになる。条件セットの各々が満足される場合に、システムは、利尿薬投与速度を予め決められた値だけ低減する段階に進行することになる。一部の実施形態では、システムは、3つの条件のうちの2つが満足される場合に処理部分710によって利尿薬投与量を低減する段階に進行することができる。
【0092】
一部の実施形態では、条件セットのうちの全て又は大部分が満足されることを必要とすることにより、システムは、利尿薬投与速度を不要に低減することを回避し、それによって尿速度が高いままに留まり、流体療法が不要に中断されることを防止することを可能にする。例えば、他の技術が、尿速度が予め決められた閾値を殆ど上回らない時に流体療法を中断して利尿薬投与速度を低減することができるのに対して本発明の技術の実施形態は、尿速度が高く、それと共に増加している時にしか投与速度を低減する(処理部分710により)ことをしない場合がある。言い換えれば、そのような技術は、尿速度が一時的に高い(例えば、予め決められた速度よりも高い)が、下方に傾向していて最終的に予め決められた速度よりも低い時に利尿薬投与速度を不要に低減することを防止することができる。そうすることにより、本発明の技術の実施形態は、過剰利尿又は過度の流体損失、及び/又は電解質損失を防止又は抑制し、更に、追加の医薬剤に対する患者の不要な露出を制限することができる。これに加えて又はこれに代えて、利尿薬投与を中止するのではなく利尿薬投与速度を下方漸減することは、流体療法を完全に再開する必要なく続けることができる(より低い尿速度ではではあるが)ことで有益とすることができる。これに加えて又はこれに代えて、利尿薬の過剰投与(例えば、投与量決定フェーズ中に利尿薬をランプさせる時の)という潜在的な危険を軽減し、利尿薬に対する患者の過剰露出を制限することにより、下方漸減技術を有するという追加の法規制上の利点がある場合がある。
【0093】
条件セットが満足された場合に、システムは、第3の期間(例えば、2時間、3時間、4時間、又は2~4時間の範囲)にわたって予め決められた百分率(例えば、20%、25%、30%、又は20~30%の範囲)だけ利尿薬投与速度を低減することができる。利尿薬投与量を低減した後に、システムは、第3の期間が経過したか否かを検査し(処理部分712)、経過した場合に、条件セットに関するカウンタをリセットする(処理部分714)。そのような実施形態では、利尿薬投与速度は、下方漸減レベルに留まること、又は療法のその後の作動フェーズに基づいて調節することができる。第3の期間が経過していない場合に、システムは、平均尿速度が下方漸減閾値よりも高いか否かを決定することができる(処理部分720)。下方漸減閾値は、処理部分704では使用される予め決められた速度を基づくことができる。例えば、下方漸減閾値は、予め決められた速度よりも100ml/hr低くすることができる。そのような実施形態では、下方漸減閾値は、水和流体が注入されている時に800ml/hr、850ml/hr、925ml/h、1000ml/hr、又は800~1000ml/hrの範囲とし、水和流体が注入されていない時に300ml/hr、350ml/hr、425ml/hr、500ml/hr、又は300~500ml/hrの範囲とすることができる。平均尿速度が下方漸減閾値よりも低い場合に、現時点での持続時間に基づいて利尿薬投与速度を調節する(例えば、増大する)ことができる。一部の実施形態では、処理部分710によって利尿薬投与速度を低減する予め決められた百分率は、経過した第3の期間の分率だけ低減される。例えば、予め決められた百分率が25%であったと仮定し、利尿薬投与速度が、下方漸減が始まった後90分(すなわち、180分の第3の期間の半分)で下方漸減閾値よりも低くなるまで降下した場合に、利尿薬投与速度は、予め決められた百分率の半分のみ又は12.5%であるように増加されると考えられる。利尿薬投与量が処理部分720によって調節された後に、システムは、上述のように条件セットに関するカウンタをリセットすることができる(処理部分714)。
【0094】
図8は、本発明の技術の実施形態により利尿薬投与速度805を下方漸減する段階のグラフ表現800である。グラフ表現800は、図7を参照して説明した実施形態を一般的に例示している。図8に示すように、利尿薬投与速度805は、最初に約20mg/hrの速度で定常的であり、尿速度810は、50ml/hr2よりも高い率で増加する。約時点820では、排尿は1025ml/hrよりも高い。時点822では、図7を参照して説明した条件セットの各々が満足される。すなわち、(i)平均尿速度810が3時間の第1の期間にわたって1025ml/hrの予め決められた速度よりも大きくなく、(ii)尿速度の平均変化率が50ml/hr2の予め決められた変化率よりも大きくなく、(iii)利尿薬投与速度が10mg/hrの予め決められた投与速度よりも高い。従って、時点822での利尿薬投与速度は、ある期間にわたって、この事例では3時間にわたって20mg/hrから15mg/hrまで予め決められた百分率、この事例では25%だけ低減される。
【0095】
利尿薬投与速度805を低減する段階は、部分824によって示すように尿速度を降下させる。排尿が時点826では925ml/hrの下方漸減閾値に達すると、利尿薬投与速度が増加される。下方漸減閾値には下方漸減事象の後1時間(すなわち、3時間の期間の1/3)で達したので、その後に、利尿薬投与速度は、元の25%の1/3(33%)の低減に、又は20mg/hrの元の利尿薬投与速度よりも8.3%低く設定される。従って、利尿薬投与速度は、約18.3mg/hrに設定される。時点828は、下方漸減事象から3時間の持続時間に対応し、従って、この時点で下方漸減検査が再度入れられる。言い換えれば、下方漸減の特徴は、下方漸減事象が発生した後にある期間、この事例では3時間にわたって無効にされる。
【0096】
図9は、本発明の技術の実施形態により排尿速度905と水和流体注入速度910と正味流体均衡915の間の関係のグラフ表現900である。本明細書の他の箇所で説明するように、本発明の技術の実施形態は、患者に提供される利尿薬の投与速度を利尿薬投与量決定フェーズ中に比較的高速に、例えば、指数関数方式で増大する(本明細書の他の箇所で説明するように)ことによって患者の尿速度905を急速に増大することを可能にする。同時に、水和流体を利尿薬投与速度に等しいか又はそれよりも低い速度で注入し、それによって経時的な正味流体均衡を可能にすることができる。例えば、利尿薬投与量決定フェーズ中の水和流体注入は、患者の排尿反応を「急速に活発化」するために行うことができる。一部の実施形態では、初期の水和流体注入は、患者に利尿薬に対してより急速に反応させることができ、従って、理論はさておき、初期の水和流体は、血管内枯渇を抑制し、更に、心拍出量及び腎灌流の降下を抑制するために注入することができる。本明細書の他の箇所で説明するように、一部の実施形態では、アルゴリズムは、初期の排尿量(例えば、少なくとも初期の150ml、200ml、250ml、300ml、400ml、500ml、又は150~500mlの範囲)か、又は最初の期間(例えば、最初の1時間、2時間、又は3時間)かのいずれかに先に到達する間に水和流体注入速度を排尿速度に実質的に適合する(例えば、少なくとも90%又は100%)ように制御することができる。初期の水和流体注入に対する必要性は、その後の作動フェーズでの水和流体注入ではどうしても必要になる可能性がある流体レベルの塩分濃度を低減することよりも利尿薬に対するより活発な患者反応を得ようとする思いによって決定することができることに注意されたい。例えば、流体低減フェーズ又は連続注入フェーズ中の水和流体注入は、例えば、安全な血圧及びナトリウムレベルを維持することによって安全リスクも回避しながら、正味流体低減を最適化するために行うことができる。すなわち、水和流体を注入する目的は、過度に多くのナトリウムを加えて戻すこと及び/又は低血圧状態を達成する可能性を何らかの形で高めてしまうことを回避しながら正味流体低減量を最大に高めることである。
【0097】
図9に示すように、尿速度は、第1の領域(I)、第2の領域(II)、第3の領域(III)、第4の領域(IV)を含む様々な領域に分類することができ、各その後の領域は、より高い排尿速度905に対応する。第1の領域(I)は、第1の閾値(例えば、175ml/hr、225ml/hr、275ml/hr、又は175~275ml/hrの範囲)よりも低い尿速度に対応することができ、第2の領域(II)は、第1の閾値と第2の閾値(例えば、375ml/hr、425ml/hr、500ml/hr、又は375~500ml/hrの範囲)の間の尿速度に対応することができ、第3の領域(III)は、第2の閾値と第3の閾値(例えば、975ml/hr、1025ml/hr、1100ml/hr、又は975~1100ml/hrの範囲)の間の尿速度に対応することができ、第4の領域(IV)は、第3の閾値よりも高い尿速度に対応することが可能である。図9に示すように、尿速度905が増加すると、水和速度910もほぼ増加するが、尿速度905よりも低い速度で増加する。そうすることにより、正味流体均衡915は減少し(すなわち、より大きく負になり)、正味流体損失は増加する。排尿速度は、アルゴリズムが変化に迅速に応答することができるように治療全体を通して連続的に計算される。例えば、尿の容積速度変化を示す流量、重量、容積、及び/又は他の特性を1分置きに測定することができ、排尿速度905を前の期間(例えば、5分間、10分間、20分間、又は5~20分間の範囲)に基づいて1分置きに計算することができる。どれほどの量の水和流体を注入されるかを評価する段階を1分置きに行うことができる。
【0098】
図9に示すように、尿速度905が、第1の閾値よりも低い第1の領域(I)内の時に、静脈を加圧状態及び開放状態に保持するために水和流体注入速度910をゼロ又は最小量(例えば、10ml/hr)(開放静脈保持(KVO)速度と呼ぶ)にすることができる。第1の領域内では排尿は低いので、再水和は、それほど又は全く必要ではない。同様に、全体的な目的は、正味流体低減量を最大に高めることであるので、尿速度905が第1の領域(I)内の時に水和流体の注入を提供しない場合がある。上述のように、一部の実施形態では、水和流体注入速度910は、第1の期間にわたって又は最小量の水和流体が注入されるまで尿速度905に一致することが可能である。
【0099】
尿速度905が第2の領域(II)内の時に、腎臓が十分な流体及び塩分に関していることを保証するために及び低血圧状態を抑制するために、第2の領域(II)内(すなわち、第1の閾値と第2の閾値の間)での尿容積の実質的に全て(例えば、少なくとも90%又は100%)が水和流体で置換される。
【0100】
尿速度905が第3の領域(III)内の時に、第1の閾値と第2の閾値の間である第2の領域(II)での尿容積の実質的に全て(例えば、少なくとも90%又は100%)を水和流体で置換することができ、第3の領域(III)での及び第2の閾値よりも高い尿容積のうちの40%、45%、50%、又は40~50%の範囲が置換される。第2の閾値よりも高い尿速度の一部分しか置換されないことにより、正味流体均衡、並びに塩分濃度を低減することができる。尿は、約154mmol/Lである血液又は通常生理食塩水のナトリウム濃度よりも低いナトリウム濃度を有する。従って、尿を等しい量の水和流体で置換することによって高いか又は望ましくないナトリウムレベルがもたらされる場合がある。一部の実施形態では、生理食塩水又は水和流体を尿速度の50%よりも高い速度で供給することにより、患者が放出するものよりも多いナトリウムを患者に与えるリスクを高める場合がある。従って、水和流体速度を50%に制限することにより、高ナトリウム尿を有する患者が流体及びナトリウムのより早い正味低減を享受することも可能にしながら低ナトリウム尿を有する患者を保護することができる。第3の領域(III)内の排尿速度は、腎臓が良好に機能しており、低血圧状態になく、従って、低い水和流体速度が十分に受け入れ可能であることの表示として機能することができる。
【0101】
尿速度905が第4の領域(IV)内の時に、第1の閾値と第2の閾値の間である第2の領域(II)での尿容積の実質的に全て(例えば、少なくとも90%又は100%)を水和流体で置換することができ、第2の閾値と第3の閾値の間である第3の領域(III)での尿容積のうちの40%、45%、50%、又は40~50%の範囲を置換することができ、第3の閾値よりも高い第4の領域(IV)での尿容積のうちのいずれも置換されない。そうすることにより、正味流体均衡を更に低減することができる。
【0102】
これまでは、従来の療法を用いて24時間以内に過度の流体量(例えば、5Lよりも多い)を除去することは危険であり、低血圧を達成する可能性があると考えられていた。しかし、本発明の技術の実施形態は、比較的高い尿速度(例えば、第3又は第4の領域の範囲の尿速度)であっても、1日当たり少なくとも5Lの過剰流体量を除去する(例えば、50%を置換する水和流体を注入することにより)ことを腎不全のリスクを僅かしか又は全く伴わずに安全に行うことができることを示している。
【0103】
一部の実施形態では、正味流体損失限度値は、尿速度が入っている時点及び/又は領域での尿速度に基づいて設定することができ、正味流体損失限度値は、各その後の領域で増加する。例えば、正味流体損失限度値は、(i)第1の領域(I)では80ml/hr、90ml/hr、100ml/hr、又は80~100ml/hrの範囲とすることができ、(ii)第2の領域(II)では100ml/hr、130ml/hr、160ml/hr、又は100~160ml/hrの範囲とすることができ、(iii)第3の領域(III)では250ml/hr、400ml/hr、500ml/hr、又は250~500ml/hrの範囲とすることができ、(iv)第4の領域(IV)では500ml/hr、750ml/hr、900ml/hr、又は500~1000ml/hrの範囲とすることができる。
【0104】
IV.患者から正味流体損失を引き起こす方法
図10は、本発明の技術の実施形態により患者から正味流体損失を引き起こす方法1000の流れ図である。方法1000は、コンピュータ、コントローラにより、及び/又は実行可能有形非一時的コンピュータ可読媒体に実施することができる。例えば、方法1000は、コンソール又は関連のデバイスの一部である1又は2以上のプロセッサによって実行される実行可能命令に対応することが可能である。
【0105】
方法1000は、例えば、流量センサ、容積センサ、重量センサ、光センサ、又は流量を決定するための他のセンサから入力を受け入れることによって患者からの排尿速度を取得することができる(処理部分1002)。尿速度は、前の5分又は10分にわたって測定された平均速度とし、連続的に又は繰り返し(例えば、30秒置き、1分置き、2分置きなどに)更新することができる。
【0106】
方法1000は、利尿薬をある投与速度で患者に提供する段階(処理部分1004)を含むことができる。利尿薬は、フロセミド、ブメタニド、エタクリン酸、トルセミド、及び/又は当業技術で公知の他の利尿薬を含むことができ、生理食塩水又はそれと混合された他の水和流体を含む溶液の一部とすることができる。利尿薬は、本明細書の他の箇所で説明する(例えば、図2A図4Bを参照して)ように、利尿薬投与量決定フェーズの一部として患者に提供することができる。例えば、利尿薬は、初期投与量で供給し、次いで、急速に増大することができる。一部の実施形態では、利尿薬投与速度は、指数関数方式で及び/又は利尿薬投与速度又は全利尿薬量をある期間(例えば、10分、15分、20分、又は10~20分の範囲)以内に倍増する方式で増大することができる。
【0107】
方法1000は、水和流体を排尿速度よりも高くない水和速度で患者に提供する段階(処理部分1006)を含むことができる。水和流体は、生理食塩水又はナトリウムを有する他の流体を備えることができる。水和流体は、対応する尿速度に基づいて患者に提供することができる。例えば、本明細書の他の箇所で説明するように、水和流体速度は、尿速度がいくつかの異なる閾値(例えば、図9を参照して説明した第1の閾値、第2の閾値、及び第3の閾値)よりも高いか又は下回るかに基づいて決定することができ、尿速度と各閾値の間の差は、尿速度が増加する時に増加する。一部の実施形態では、水和流体は、患者に提供される尿の初期量(例えば、少なくとも初期の150ml、200ml、又は250ml)及び/又は初期期間(例えば、最初の1時間、2時間、又は3時間)にわたって尿速度に実質的に適合することが可能である。
【0108】
方法1000は、利尿薬の投与速度又は水和流体の水和速度のうちの少なくとも一方を調節し、それによって患者から正味流体損失を引き起こすことができる(処理部分1008)。この点に関して利尿薬投与速度と水和速度の間の差は、利尿薬投与速度を増大すること、利尿薬投与速度を水和流体に対して増大すること、及び/又は水和流体を低減することによって増大することができる。他の箇所で説明するように、利尿薬投与速度及び水和流体速度の一方又は両方を調節する段階は、最小流体損失限度値を更に必要としながら行うことができる。
【0109】
一部の実施形態では、利尿薬の投与速度を調節する段階は、利尿薬投与量をランプ又は再ランプさせる段階を含むことができる。再ランプが開始されるか否かを決定する段階は、条件セット(図5の処理部分510を参照して説明した条件セット)を基づくことができる。例えば、再ランプに対するトリガは、(i)平均尿速度が予め決められた期間(例えば、2時間、2.5時間、又は3時間)にわたって予め決められた閾値速度(例えば、250ml/hr、300ml/hr、325ml/hr、350ml/hr、又は400ml/hr)を下回ったか否か、及び/又は(ii)予め決められた量(例えば、100ml、125ml、150ml、175ml)よりも多い負債がある一定の期間にわたって蓄積したか否かを決定することを必要とする場合がある。上述のように、負債は、閾値(例えば、250ml/hr、275ml/hr、325ml/hr、又は250~325ml/hrの範囲)を下回り、かつ所与の期間にわたる現在尿速度よりも高い面積として定めることができる。これらの条件のうちの1つが満足された場合に、再ランプを開始することができる。
【0110】
再ランプは、利尿薬の初期ランプ(例えば、利尿薬投与量決定フェーズ中の)の後に尿速度が閾値よりも低くなるまで降下することに応答して行うことができる。例えば、図5及び図6を参照して上述したように、尿速度(例えば、平均尿速度)が条件セットに基づいて低いと決定された場合に、システムは、例えば、利尿薬投与速度を再ランプさせることを承認する確認を患者から受け入れた後に利尿薬投与速度を再ランプさせる段階を始めることができる。再ランプは、ある期間が経過するまで及び/又は患者の尿速度が予め決められた閾値よりも高く増大するまで利尿薬投与速度を急速に増大する点で利尿薬投与量決定フェーズと類似の方式を用いて実施することができる。例えば、そのような実施形態では、各利尿薬投与速度が直前の利尿薬投与速度よりも、例えば、少なくとも50%、75%、100%、又は50~100%の範囲だけ高くなるように、利尿薬投与量は、指数関数方式で区分的に増加される。そのような実施形態では、利尿薬投与速度は、特定のランプ又は利尿薬投与量決定フェーズを通して1回又は2回以上実効的に倍増することができる。当該期間が経過すること又は尿速度が予め決められた閾値よりも高くなるまで増大することに起因してランプが中止するような時点で、例えば、利尿薬投与量を現時点までに送出された全利尿薬量のある百分率であるように設定することにより、利尿薬投与速度を更に調節することができる。送出される利尿薬の全量は、再ランプ中に送出される量、及び適用可能な場合に行われたいずれかの前のランプ中に送出された量を含むことができる。
【0111】
本発明の技術の実施形態のランプ及び再ランプの特徴は、低血圧、並びに心拍出量及び腎灌流の降下のリスクを最小にするように安全な血管内容積レベルも維持しながら(例えば、水和流体を注入することにより)、患者の尿速度を可能な限り急速に増大すること可能にすることでユーザ及び一般的に流体療法に対して有益とすることができる。これに加えて又はこれに代えて、ランプ及び再ランプの特徴は、本発明の技術の実施形態の他の特徴との組合せで、患者、オペレータ、又はシステム自体が患者を治療し、過剰流体病態から迅速に解除することも可能にする。すなわち、本発明の技術の実施形態は、24時間よりも短い期間にわたって7.5Lよりも高い流体量を除去することを示している。更に、本発明の技術の実施形態は、患者の尿速度を比較的短い期間以内で急速に増大するように構成されるので、システムは、患者が特定の流体療法に適切に反応していないか否かを自動的に決定することができる。すなわち、本明細書に説明するようにランプ又は利尿薬投与量決定フェーズに従って利尿薬を提供した後に、患者の尿速度が予想した方式で増加しない場合に、患者が利尿薬耐性を有すること、又は更に別の検査を必要とする別の問題が存在することを示すことができる。従って、本発明の技術の実施形態は、利尿薬耐性のような問題を他の従来技術よりも短い期間以内に見出し、その後に治療又は対処することを可能にすることができる。
【0112】
図11は、本発明の技術の実施形態により患者から正味流体損失を引き起こす方法1100の流れ図である。方法1100は、コンピュータ、コントローラにより、及び/又は実行可能有形非一時的コンピュータ可読媒体に実施することができる。例えば、方法1100は、コンソール又は関連のデバイスの一部である1又は2以上のプロセッサによって実行される実行可能命令に対応することが可能である。方法1100は、図10を参照して説明した処理部分1002、1004、1006を含むことができる。
【0113】
方法1100は、例えば、尿速度が過度に高いか否かを決定するために、予め決められた条件セットのうちのいずれか1つが満足されるか否かを決定する段階(処理部分1108)を含むことができる。条件セットは、図7(例えば、処理部分704、706、708)及び図8を参照して説明したものに対応することが可能である。例えば、条件セットは、平均尿速度が第1の期間(例えば、2時間、3時間、4時間、又は2~4時間の範囲)にわたって予め決められた速度よりも高いか否かを決定する段階を含むことができる。予め決められた速度は、水和流体が患者に注入されているか否かに依存する場合がある。水和流体が患者に注入されている場合に、予め決められた速度は、900ml/hr、950ml/hr、1025ml/h、1100ml/hr、又は900~1100ml/hrの範囲とすることができる。水和流体が患者に注入されていない場合に、予め決められた速度は、400ml/hr、450ml/hr、525ml/hr、600ml/hr、又は400~600ml/hrの範囲とすることができる。条件セットは、尿速度の平均変化率(すなわち、勾配)が第2の期間(例えば、1時間、2時間、3時間、又は1~3時間の範囲)にわたって予め決められた変化率(例えば、30ml/hr2、40ml/hr2、50ml/hr2、60ml/hr2、70ml/hr2、又は30~70ml/hr2の範囲)よりも高いか否かを決定する段階を更に含むことができる。条件セットは、利尿薬投与速度が予め決められた投与速度(例えば、8mg/hr、10mg/hr、12mg/hr、又は8~12mg/hrの範囲)よりも高いか否かを決定する段階を更に含むことができる。
【0114】
方法1100は、条件セットのうちの少なくとも2つが満足された場合に、利尿薬の投与速度を予め決められた量だけ低減する段階を含むことができる。すなわち、(i)平均尿速度が第1の期間にわたって予め決められた速度よりも高いこと、(ii)尿速度の平均変化率が予め決められた変化率よりも高いこと、及び(iii)利尿薬投与速度が予め決められた投与速度よりも高いことという条件のうちの2つ又は3つが満足された場合に投与速度を低減することができる。一部の実施形態では、利尿薬の投与速度を予め決められた量だけ低減するために、条件セットの各々が満足されるべきである。条件セットのうちの全て又は大部分が満足されることを必要とすることにより、システムは、利尿薬投与速度を不要に低減することを回避し、それによって尿速度が高いままに留まることを可能にし、流体療法が不要に中断されることを防止する。例えば、他の技術は、単純に尿速度が高すぎる時に流体療法を中断して利尿薬投与速度を低減する可能性があるのに対して本発明の技術は、尿速度が高く、それと共に増加している時にのみ投与速度を低減することができる(処理部分1110により)。言い換えれば、そのような技術は、尿速度が一時的に高い(例えば、予め決められた速度よりも高い)が、下方に傾向していて最終的に予め決められた速度よりも低い時に利尿薬投与速度を不要に低減することを防止することができる。そうすることにより、本発明の技術の実施形態は、過剰利尿又は過度の流体損失及び/又は電解質損失を防止又は抑制し、更に、追加の利尿薬に対する患者の不要な露出を制限することができる。これに加えて又はこれに代えて、利尿薬投与を中止するのではなく利尿薬投与速度を下方漸減することは、完全な再開を必要とすることなく続けることができる(より低い尿速度ではではあるが)ことで有益である。これは、流体療法を中止し、それによって正味流体損失の増加を中断するのではなく、下方漸減事象中であっても正味流体均衡が増加し続けることを可能にする。これに加えて又はこれに代えて、利尿薬の過剰投与(例えば、投与量決定フェーズ中に利尿薬をランプさせる時の)という潜在的な危険を軽減し、利尿薬に対する患者の過剰露出を制限することにより、下方漸減技術を有するという追加の法規制上の利点があると考えられる。
【0115】
利尿薬の投与速度を予め決められた量だけ低減する段階は、図7(例えば、処理部分710、712、714、716、720)及び図8を参照して本明細書の他の箇所で説明する下方漸減技術に対応することが可能である。例えば、利尿薬の投与速度を低減する段階は、ある期間(例えば、2時間、3時間、4時間、又は2~4時間の範囲)にわたって予め決められた百分率(例えば、20%、25%、30%、又は20~30%の範囲)だけ利尿薬投与量を低減することができる。一部の実施形態では、利尿薬投与量を低減した後に当該期間が経過すると、条件セットに関するカウンタをリセットすることができる。そのような実施形態では、利尿薬投与量は、下方漸減レベルに留まるか、又は療法のその後の作動フェーズに基づいて調節することができる。第3の期間が経過しておらず、平均尿速度が下方漸減閾値よりも低くなるまで降下した場合に、利尿薬投与速度を現時点で経過した時間に基づいて調節する(例えば、増大する)ことができる。一部の実施形態では、利尿薬投与速度を低減する予め決められた百分率は、経過した期間の分率だけ低減される。例えば、25%の予め決められた百分率及び3時間の期間を仮定し、下方漸減が始まった後90分で利尿薬投与量が下方漸減閾値よりも低くなるまで降下した場合に、利尿薬投与量は、予め決められた百分率の半分又は12.5%まで増加されると考えられる。利尿薬投与量が処理部分1110によって調節された後に、上述のように条件セットに関するカウンタをリセットすることができる。
【0116】
V.実施例:利尿薬と水和流体とを用いた流体過負荷療法
以下の実施例は、本発明の技術の一部の態様を更に説明するために含めたものであり、本発明の範囲を限定するのに使用すべきものではない。
【0117】
本発明の技術の実施形態に関する臨床データは、米国ジョージア州トビリシ所在のTbilisi Heart and Vascular Centerで実施された患者試験から取得したものである。15人の患者が、利尿薬と水和流体とが本明細書に説明する方法に従ってReprieve Cardiovascular(登録商標)第2世代システムによって投与される流体療法を受けた(「治療群」)。下記で説明するように、これらの試験から取得されたデータは、もたらされた正味流体損失レベル及び正味ナトリウム損失レベルが、流体過負荷病態を治療するための従来法に優る有意な改善に対応し、一般的に、本発明の技術の実施形態が改善された利尿及び腎安全性を達成することを示している。
【0118】
下記の表1は、治療群内の各患者に関して療法期間にわたって測定した全排尿、正味流体損失(摂取流体を含まない)、正味流体損失(摂取流体を含む)、正味ナトリウム均衡、及び平均利尿薬(ラシックス)投与速度を示している。表1に示すように、治療群内の患者に関する平均正味流体損失(経口流体摂取を含まない)は、31時間の平均療法期間にわたってほぼ7リットル(L)であった。各患者に関して24時間期間にわたって正規化すると、平均正味流体損失は約5.4Lであった。正規化した24時間期間にわたって1.75Lの平均正味流体損失がもたらされた従来の流体療法治療を受けた(すなわち、置換水和流体を用いずに利尿薬が投与された)患者(「対照群」)と比較して、治療群は、正味流体損失の200%超の増加を示している。更に、治療群に関する平均療法期間は31時間であり、それに対して本文献内の標準治療療法に関する平均療法期間は、約5日間であった。従って、利尿薬と水和流体との組合せ流体治療は、従来の治療と比較して有意に多い正味流体損失及び短い全体療法時間を達成することができた。治療中に、治療群内の患者は、退院時に6.8キログラム(kg)の平均減量、及び30日後に5.7kgの平均減量を更に示している。30日間にわたって治療群内の患者のうちの誰もが療法中に失った体重を取り戻すことはなかった又は追加の治療のために再入院することはなかった。
【0119】
表1:治療群患者に関する臨床データ

【0120】
同じく表1に示すように、平均利尿薬投与速度は、ほぼ950mgの1日投与量に対応するほぼ40mg/hrであった。この利尿薬投与速度及び投与量は、従来の治療法に関する対応する投与速度及び投与量よりも有意に高く、従って、本発明の技術の実施形態の比較的高い治療効果に寄与した。
【0121】
同じく表1に示すように、治療群内の全ての患者に関する平均正味ナトリウム均衡は、療法期間にわたってほぼ800ミリモル(mmol)だけ減少した。24時間期間にわたって正規化すると、平均正味ナトリウム均衡及び正味ナトリウム均衡中央値は、それぞれ-14グラム(g)及び-15gであった。正規化した24時間期間にわたって-3.63gの正味ナトリウム均衡中央値を示す従来の治療法と比較すると、上述の値は、11g又は300%よりも高い改善に対応する。
【0122】
推定糸球体濾過速度(eGFR)は、腎臓機能及び腎臓疾患の病期の尺度であり、血中クレアチニン、並びに患者の年齢、身体サイズ、及び性別を含む患者因子に基づいている。治療群内の患者は、30日期間にわたって0.11mg/dL(デシリットル)の平均クレアチニン増大を示し、1.6eGFRという控えめな平均減少しか示さなかった。そのような控えめなeGFR変化は、特に正味流体損失の量及び速度を前提として患者が流体療法にほぼ十分に耐え、療法後の腎臓機能がほぼ治療前レベルに維持されたことを示している。
【0123】
治療群内の患者の血圧測定値は、患者によって流体療法が受け入れられたことの別の表示として機能する。例えば、患者の平均動脈圧(MAP)は、退院時に90.1mmHgから88.2mmHgまで、その後に30日後に87.2mmHgまで降下した。更に、患者の平均収縮期圧は、退院時に121mmHgから119mmHgまで、その後に30日後に117mmHgまで降下した。MAP及び収縮期圧でのそのような控えめな変化は、特に正味流体損失の量及び速度を前提として患者が流体療法にほぼ十分に耐えたことを示している。
【0124】
VI.本発明の技術の実施形態の例示的機能要件
ユーザインタフェース
表示
ソフトウエアは、尿モニタデバイスによって報告された尿生成速度を表示するものとする。
ソフトウエアは、(望ましい流体均衡)*(-1)+(尿緩衝範囲)として定められる正味ターゲットを表示するものとする(注意:デフォルトの望ましい流体均衡は-225であり、デフォルトの尿緩衝範囲は100であり、従って、デフォルトの正味ターゲットは325である)。
ソフトウエアは、前1時間にわたる全尿量(「直近1時間尿」)を表示するものとする。
ソフトウエアは、前2時間にわたる全尿量(「直近2時間尿」)を表示するものとする。
ソフトウエアは、前3時間にわたる全尿量(「直近3時間尿」)を表示するものとする。
ソフトウエアは、前3時間にわたって「正味ターゲット」を下回り、かつ「尿生成速度」よりも高い面積として定められる全「負債」を表示するものとする。尿生成速度は「正味ターゲット」よりも大きくなく、「負債」は追加又は除去されない。
ソフトウエアは、前1時間にわたる平均尿速度を表示するものとする。
ソフトウエアは、現在モードでの時間を表示するものとする。
ソフトウエアは、前のランプ中の全利尿薬投与量を表示するものとする。
ソフトウエアは、前のランプ中に尿モニタデバイスによって測定された全尿量を表示するものとする。
ソフトウエアは、前のランプが目標尿速度を超えた時間を表示するものとする(注意:デフォルトの目標尿速度は525ml/hrである)。
ソフトウエアは、療法開始時から注入された全利尿薬量を表示するものとする。
ソフトウエアは、前24時間中に注入された全利尿薬量を表示するものとする。
ソフトウエアは、現在利尿薬注入速度を表示するものとする。
ソフトウエアは、水和流体注入デバイスによって報告された療法開始時から注入された全生理食塩水量を表示するものとする。
ソフトウエアは、尿モニタデバイスによって報告された療法開始時から測定された全尿量を表示するものとする。
ソフトウエアは、全排尿と注入された全水和流体量との差に基づいて療法開始時から測定された正味流体均衡(「除去容積」)を表示するものとする。
ソフトウエアは、現在流体均衡ターゲットを表示するものとする。
ソフトウエアは、尿速度をプロットするものとし、15分間、1時間、及び/又は3時間のような1又は2以上の期間にわたる平均速度のような尿速度を表示することができる。
ソフトウエアは、尿速度と同じプロット図上に利尿薬注入速度をプロットするものとする。
ソフトウエアは、尿プロット図の時間尺度及びy軸を調節する機能をユーザに提供するものとする。
ソフトウエアは、利尿薬注入デバイス、尿モニタデバイス、及び/又は水和流体供給源が、コンピュータ制御システムを収容するコンソールに接続されることを示すものとする。
ソフトウエアは、利尿薬分注デバイス、例えば、利尿薬を分注するための注入シリンジが接続されることを示すものとする。
キー
ソフトウエアは、ユーザが療法を開始することを可能にするボタンを提供するものとする。
ソフトウエアは、ユーザが療法を停止することを可能にするボタンを提供するものとする。
ソフトウエアは、ユーザが注入を一時停止することを可能にするボタンを提供するものとする。
ソフトウエアは、ユーザがランプを停止して連続注入に進行することを可能にするボタンを提供するものとする。
ソフトウエアは、ユーザが利尿薬注入速度の手動制御を有効にすることを可能にするボタンを提供するものとする。
ソフトウエアは、ユーザが利尿薬ポンプ速度をミリリットル/hrで調節することを可能にする制御を提供するものとする。
ソフトウエアは、ユーザがエラーメッセージを確認することを可能にする手段を提供するものとする。
ソフトウエアは、ユーザがシリンジ注入システムに対するシリアルポートをリセットすることを可能にする手段を提供するものとする。
ソフトウエアは、コンピュータシステムを収容するコンソール上の1又は2以上のシリアルポートをユーザがリセットすることを可能にする手段を提供するものとし、ポートは、尿モニタデバイス、利尿薬分注デバイス、及び水和流体供給源又は水和流体分注デバイスのうちの1又は2以上に接続されることになる。
ソフトウエアは、ユーザがランプモードを開始することを可能にする手段を提供するものとする。
ソフトウエアは、ユーザがコンピュータシステムから事象記録をダウンロードすることを可能にする手段を提供するものとする。
設定
ソフトウエアは、ユーザが以下のパラメータを設定することを可能にするものとする。
尿緩衝範囲(ml/hr)-ターゲットとして使用される「望ましい流体均衡」*(-1)よりも高い速度
デフォルト値:100ml/hr
尿速度ターゲット(ml/hr)-ランプフェーズ中の尿速度ターゲット
デフォルト値:525ml/hr
負債閾値(ml/hr)-それよりも低い負債が計算される尿速度
デフォルト値:325ml/hr
モード制御
ランプモード:
ソフトウエアは、ユーザが利尿薬管理を開始する時に始まるランプモードを提供するものとする。
利尿薬注入の開始時にユーザによってファイル入力が選択されなかった場合に、利尿薬のIV注入は、0から対数基数2の曲線を辿り、60分を所与とした場合に200mgのフロセミドを注入するのに必要とされる最大速度まで指数関数方式でランプするものとする。
ユーザによってファイル入力が選択される場合に、IV注入は、指定のプロファイルを辿るものとする。
説明したIV注入は、以下のいずれかの時に停止するものとする:
a)ランプの開始時からターゲット尿速度に達することなく60分が経過した時。
又は
b)コンソールが測定する尿生成速度が、ユーザ調節可能ターゲット尿速度(デフォルトで525ml/h)よりも高いか又はそれに等しい時。この場合に、ソフトウエアは10分間待って排尿速度をモニタするものとする。この時間中に、ソフトウエアは、利尿薬ポンプ速度を現在送出投与量の20%に設定するものとする。排尿速度が525ml/hrを上回ったままに留まる場合に、ソフトウエアは連続注入モードに入るものとし、尿速度が525ml/hrを下回った場合に、ランプを少なくとも5分間続行するものとする。
又は
c)ユーザの要求に応じて。
ランプが完了すると、ソフトウエアは連続注入に入るものとする。
一時停止
ランプフェーズ中に、ユーザにIV注入を一時停止するオプションを提供するものとする。IV注入を続行するという要求時に、IV注入は、それが一時停止された時の速度で開始され、60分の完了までに残っている時間にわたって選択IV注入パターンを辿るものとする。
連続注入
ランプが完了すると、システムは、下式に基づく連続利尿薬IV注入速度で投与し続けるものとする:
注入速度(mg/hr)=0.2*(完了したランプの分数に対応するランプフェーズ中に注入された利尿薬のmgを単位とする全量)
前段階で計算された注入速度が4mg/hrよりも低かった場合に、注入速度は4mg/hrに設定されることになる。
連続注入モード中に、システムは、患者の排尿をモニタしてランプモード基準又は下方漸減モード基準が満足されたか否かを決定する。
排尿が3時間にわたって625ml/hrを安定して上回り、前2時間にわたる尿速度の勾配により、排尿が3時間以内に625ml/hrよりも高いことになることが予想された場合に、ソフトウエアは、下方漸減モードに入るものとする。平均排尿が3時間にわたって尿緩衝範囲+正味ターゲット(デフォルトで325ml/hr)を下回った場合又は前3時間にわたって蓄積された負債が150mlを超えた場合に、ソフトウエアは、ランプモードに再入するものとする。負債は、尿速度が負債閾値(デフォルト値で325ml/hr)よりも低い時に負債閾値を下回り、かつ尿速度よりも高い面積として定められるものとする。ランプモードは、ランプフェーズでは現在注入速度に対応する分数の場所で続行するものとする(ランプ合計=注入速度/0.2)。
前15分間の排尿が25ml(100ml/hr)よりも少なかった場合に、ランプモードに入らないものとする。
現在注入速度が55分間又はそれよりも多いランプに対応する場合に、ランプモードに入らないものとする。
下方漸減
下方漸減モードが開始された場合に、ソフトウエアは、最大で50分にわたってポンプ速度を0.4ml/hrに設定するものとする。
尿速度が525ml/hrよりも低くなることなくこの50分が満了した場合に、ソフトウエアは、下方漸減の開始前の速度の75%(25%の速度低減)で連続注入を続行するものとする。
この50分中に排尿が525ml/hrよりも低くなるまで降下した場合に、ソフトウエアは、注入を次式のように計算された速度で続行するものとする。
新注入速度=前注入速度*(1-0.25*(525を下回って降下した尿速度の分数)/50)
再ランプ
ソフトウエアは、ユーザがランプモードを再開する手段を提供するものとする。
ランプは、再開した時に、少なくとも5分にわたって続くものとする。
ランプは、再開した時に、現在連続注入速度に対応するランプの分数の場所で再開を続けるものとする(例えば、ランプは、その終了が、現在設定されている連続注入速度を達成すると考えられるランプ中の分数の場所で再開しなければならない)。
ランプは、初期ランプから指数関数的ランプを続けるものとする。
尿生成速度がターゲット尿速度(525ml/hr)に達した時に、ソフトウエアは、全ランプのうちの現在分数に対応する連続注入速度に切り換えるものとする(すなわち、再ランプが25分の場所で開始され、10分にわたって実行された場合に、連続注入速度は、初期ランプを35分にわたって作動させた場合と同じ速度に設定されるものとする)。
ランプが再開された場合に、負債は0にリセットされるものとし、3時間平均尿速度タイマーがリセットされるものとする。
手動
ソフトウエアは、ユーザが利尿薬注入速度を設定することを可能にするモードを提供するものとする。
利尿薬注入設定の単位はml/hrとする。利尿薬注入設定の増分は0.1ml/hrとする。最小値は0.4ml/hrとする。最大値は4.0ml/hrとする。
ユーザは、手動モードにある間に制御アルゴリズムが作動することを有効及び無効にするオプションを有するものとする。
オフ:
ソフトウエアは、利尿薬管理が停止され、利尿薬分注デバイス、例えば、Gaseby(登録商標)注入シリンジが停止される「オフ」モードを提供するものとする。
ユーザが利尿薬管理を再始動した時に、制御は、「オフ」モードに入る前の場所で続行するものとする。
モニタ/保護機能
ソフトウエアは、利尿薬分注デバイス、例えば、Gaseby(登録商標)注入シリンジで警報があった場合にユーザに通知するものとする。
ソフトウエアは、利尿薬分注デバイス、例えば、Gaseby(登録商標)注入シリンジポンプが切り離された場合にユーザに通知するものとする。
ソフトウエアは、システムが実行モードにない場合にユーザに通知するものとする。
ソフトウエアは、前15分にわたる尿速度が有効にする限度値を下回った場合にユーザに通知するものとする。
利尿薬分注デバイス、例えば、Gaseby(登録商標)注入シリンジポンプが警報モードに入った時に、アプリケーションは、警報が手動で解決されるまで待ち、この解決に従ってポンプ注入速度を前の値及びモードに設定するものとする。アプリケーションが要求したものとは異なる利尿薬分注デバイス、例えば、Gaseby(登録商標)注入シリンジポンプの注入速度が検出された時に、アプリケーションは、ポンプを停止してユーザに通知するものとする。
アルゴリズムの水和流体制御構成要素に対する例示的ソフトウエアコードは以下の通りである:
Static void calcNetGain( float period_urine_delta )
{
float setting= 0.0;
float netGain_mlphr;
//float maxFluidLossRate;
//float excessUrineOutput; //urine output over and above the max loss rate, in ml/hr
float pMatchSetting;
//float urine_rate_exceeding_net_gain;
float percent_match_adjustment_to_target;
float fullMatchLimit, urine_rate_exceeding_full_match_limit;
float fullMatchRange ; //
float initalBalanceVolume;
//float kvo_setting;
float desired_fluid_loss_rate;
float fluid_match_rate;


netGain_mlphr = getUserSetting( DESIRED_BALANCE_SETTING );
pMatchSetting = getUserSetting( PERCENT_MATCH_SETTING );
fullMatchRange = getUserSetting( PCT100_MATCH_RANGE_SETTING );
initalBalanceVolume = getUserSetting( INITIAL_FLUID_MATCH_SETTING );
maxHourlyInfusion = getUserSetting( HOURLY_INFUSION_LIMIT_SETTING );

if ( netGain_mlphr >= 0 )
{
setting = ( float ) ( ( ( double ) netGain_mlphr * ( double ) FlowControlInterval ) / 3600.0 ); //convert from ml/hr to ml/s

if ( (pMatchSetting >= 0) && (pMatchSetting < 100)) //apply percent match if it's set and negative net gain is not
{
setting-= period_urine_delta * ( (100-pMatchSetting) / 100 );
}
fluid_match_rate = LightUrineRate + (setting)*3600.0/( double )FlowControlInterval;

if ( fluid_match_rate > maxHourlyInfusion)//if the current setting exceeds the current max hourly rate, clip it to the max hourly rate
{
desired_fluid_loss_rate = (-1.0)*(LightUrineRate - maxHourlyInfusion); //rate of fluid loss in ml/hr
setting = ((desired_fluid_loss_rate* ( double ) FlowControlInterval ) / 3600.0 ); //convert from ml/hr to ml/s
}

}
else if( (control_data.accumulated_urine_weight > initalBalanceVolume ) || ( GetRunModeTime() > 3600 ) ) //only use negative net gain if 500 ml volume reached or 60 minutes
{
fullMatchLimit = abs( netGain_mlphr ) + fullMatchRange; // calculate rate where percent match begins

if ( LightUrineRate > abs( netGain_mlphr ) ) //urine rate if above the max net gain
{

if ( LightUrineRate < fullMatchLimit ) //if in full match range, take off net gain, but nothing else
{
setting = ( float ) ( ( ( double ) ( netGain_mlphr ) * ( double ) FlowControlInterval ) / 3600.0 ); //convert from ml/hr to ml/s
}
else
{
urine_rate_exceeding_full_match_limit = LightUrineRate - fullMatchLimit; //calculate the amount of urine exceeding full match limit

percent_match_adjustment_to_target = urine_rate_exceeding_full_match_limit * ( (100-pMatchSetting) / 100 );

setting = ( float ) ( ( ( double ) ( netGain_mlphr - percent_match_adjustment_to_target ) * ( double ) FlowControlInterval ) / 3600.0 ); //convert from ml/hr to ml/s

}
fluid_match_rate = LightUrineRate + (setting)*3600.0/( double )FlowControlInterval; //setting is negative- calculate rate of replacement with current setting
if ( fluid_match_rate > maxHourlyInfusion)//if the current setting exceeds the current max hourly rate, clip it to the max hourly rate
{
desired_fluid_loss_rate = (-1.0)*(LightUrineRate - maxHourlyInfusion); //rate of fluid loss in ml/hr
setting = ((desired_fluid_loss_rate* ( double ) FlowControlInterval ) / 3600.0 ); //convert from ml/hr to ml/s

}
}
else
{
//if urine rate is below desired fluid balance, take the urine rate off of the target
setting = -( ( ( double ) LightUrineRate * ( double ) FlowControlInterval ) / 3600.0 ); //convert from ml/hr to ml/s

}
// increment get gain by the user setting for this interval

}
control_data.net_gain_target += setting;
} // end func calcNetGain()
【0125】
VII.結論
本発明の技術の内在する原理から逸脱することなく、上述の実施形態の詳細に変更を加えることができることは当業者に明らかであろう。一部の場合に、本発明の技術の実施形態の説明を不要に不明瞭にすることを回避するために公知の構造及び機能を詳細に示しておらず又は説明していない。本明細書で方法の段階を特定の順序で提示する場合があるが、代替実施形態は、これらの段階を異なる順序で実施することができる。同様に、特定の実施形態の関連で開示する本発明の技術のある一定の態様は、他の実施形態では組み合わせるか又は排除することができる。更に、本発明の技術のある一定の実施形態に関連付けられた利点をこれらの実施形態の関連で開示する場合があるが、他の実施形態もそのような利点を提供することができ、必ずしも全ての実施形態がそのような利点又は本明細書に開示して本発明の技術に収まる他の利点を提供する必要はない。従って、本発明の開示及び関連の技術は、本明細書に明示的に示さない又は説明しない他の実施形態を包含することができ、本発明は、添付の特許請求の範囲による場合を除いて限定されない。
【0126】
本発明の開示を通して「a」、「an」、及び「the」は、状況が明確に他を示さない限り、単数及び複数の指示物を含む。同様に、言葉「又は」が2又は3以上の項目から構成されるリストに関して他の項目を排除した単一項目のみを意味するように明示的に限定されない限り、そのようなリストでの「又は」の使用は、(a)リスト内のいずれか単一の項目、(b)リスト内の項目の全て、又は(c)リスト内の項目のあらゆる組合せを含むように解釈されるものとする。これに加えて、用語「備える」、「含む」、及び「有する」は、いずれかのより大きい個数の同じ特徴及び/又は追加のタイプの他の特徴が除外されないように少なくとも列挙する特徴を含むことを意味すると解釈しなければならない。
【0127】
本明細書での「一実施形態」、「実施形態」、「一部の実施形態」、又は類似の説明への参照は、当該実施形態に関して説明する特定の特徴、構造、作動、又は特性を本発明の技術の少なくとも1つの実施形態に含めることができることを意味する。すなわち、本明細書でのそのような語句又は説明の出現は、必ずしも全てが同じ実施形態を参照するとは限らない。更に、様々な特定の特徴、構造、作動、又は特性は、1又は2以上の実施形態であらゆる適切な方式で組み合わせることができる。
【0128】
他に示さない限り、本明細書及び特許請求で使用する濃度、剪断強度を表す全ての数字及び他の数値は、全ての事例で「約」という用語によって修飾されると理解されるものとする。従って、反意を示さない限り、本明細書及び特許請求の範囲で示す数値パラメータは、本発明の技術が得ることを求める望ましい性質に依存して異なる可能性がある近似値である。少なくとも、特許請求の範囲に対する均等論の適用を限定する意図ではなく、各数値パラメータは、少なくとも、公開する有効桁の数字を踏まえて通常の丸め技術を適用することによって解釈しなければならない。これに加えて、本明細書に開示する全ての範囲は、その中に包摂されるあらゆる全ての部分範囲を包含するように理解されるものとする。例えば、「1から10」の範囲は、最小値1と最大値10の間にある(かつこれらの値を含む)あらゆる全ての部分範囲、すなわち、1に等しいか又はそれよりも大きい最小値及び10に等しいか又はそれよりも小さい最大値、例えば、5.5から10を有するあらゆる全ての部分範囲を含む。
【0129】
上記に列挙した開示は、いずれかの請求項が当該請求項に明示的に列挙しているものよりも多い特徴を必要とするという意図を反映するものと解釈されないものとする。そういう意図ではなく、以下の特許請求の範囲が反映することは、本発明の態様が、上記で開示したいずれかの単一実施形態の全ての特徴よりも少ないものの組合せであることである。従って、本明細書に続く特許請求の範囲は、本明細書に明示的に組み込まれており、各請求項は、個別の実施形態として独立に成立する。本発明の開示は、独立請求項とその従属請求項との全ての組み替えを含む。
【0130】
本発明の技術は、例えば、下記に説明する様々な態様に従って例示される。本発明の技術の態様の様々な実施例を便宜上付番した実施例(1、2、3など)として説明する。これらは、例として提供しており、本発明の技術を限定しない。従属する実施例のうちのいずれも、あらゆる組合せで組み合わせてそれぞれの独立した実施例の中に入れることができることに注意されたい。他の実施例は、類似の方式で提示することができる。
【0131】
1.コンピュータコントローラを収容するコンソールと、患者の尿生成の速度又は容積を測定するための排尿デバイスと、水和流体を患者の中にポンピングするように構成された第1の注入ポンプと、利尿治療薬を患者の中にポンピングするように構成された第2の注入ポンプとを備え、コントローラが、排尿デバイスから排尿データを受け入れ、患者に第1の望ましい注入速度の水和流体を送出するように第1の注入ポンプを制御し、同時に利尿治療薬の投与量を漸進的に増大するように第2の注入ポンプを制御し、第1の望ましい注入速度よりも低く、尿生成の速度及び/又は容積に依存する水和流体の第2の望ましい注入速度を決定し、かつ第2の望ましい注入速度の水和流体を送出するように第1の注入ポンプを制御し、同時に実質的に一定の投与量の利尿治療薬を注入するように第2の注入ポンプを制御するように構成される患者から流体を除去するためのシステム。
2.コントローラが、利尿治療薬の投与量を周期的な段階で漸進的に増大するように更に構成され、各段階が、前の段階よりも大きい投与量増大である条項1のシステム。
3.コントローラが、利尿治療薬の投与量を線形数学関数に従って漸進的に増大するように更に構成される条項1又は2のシステム。
4.コントローラが、利尿治療薬の投与量を指数数学関数に従って漸進的に増大するように更に構成される条項1又は2のシステム。
5.数学関数が、1次の指数関数である条項4のシステム。
6.コントローラが、利尿治療薬の投与量を漸進的に増大するように第2の注入ポンプを制御しながら投与された利尿治療薬の全量に基づいて利尿治療薬の一定投与量を決定するように更に構成される先行条項のうちのいずれかのシステム。
7.コンピュータコントローラを収容するコンソールと、患者の尿生成の速度又は容積を測定するための排尿デバイスと、水和流体を患者の中にポンピングするように構成された第1の注入ポンプと、利尿治療薬を患者の中にポンピングするように構成された第2の注入ポンプとを備え、コントローラが、利尿薬を患者の中に注入するように第2の注入ポンプを制御し、塩化ナトリウムを含有する水和流体を患者の中にポンピングするように第1の注入ポンプを制御し、かつ患者による排尿をモニタするように構成され、第1の注入ポンプの制御が、患者による排尿の変化に応答して患者の中に注入される水和流体の速度を自動的に調節する段階を含む利尿薬及び水和流体を投与するように構成されたシステム。
8.水和流体の速度の自動調節が、排尿が第1の閾値を下回っている間に水和流体の速度を排尿に実質的に釣り合うように調節し、排尿が第1の閾値を上回っている間に排尿よりも低いように調節する段階を含む条項7のシステム。
9.第1の閾値が、350ml/から550ml/hr、375ml/から475ml/hr、400ml/から450ml/hr、又は425ml/hrの5%内のうちの少なくとも1つの範囲にある条項8のシステム。
10.水和流体の自動調節が、排尿が第1の閾値を上回っている間に水和流体を排尿の現在速度のある分率に設定する段階を含み、分率が、排尿の現在速度の70%から30%、60%から40%、又は45%から55%の範囲内である条項8又は9のシステム。
11.水和流体の速度の自動調節が、排尿が第2の閾値を超えている間に水和流体の速度を実質的に一定の水和流体速度に調節する段階を含む条項7から10のうちのいずれかのシステム。
12.第2の閾値が、800ml/hr、900ml/hr、1000ml/hr、1025ml/hr、1100ml/hr、又は1200ml/hrのうちの少なくとも1よりも高い条項10のシステム。
13.排尿が第3の閾値を下回っている間の少なくとも1つの期間中に患者内への利尿薬の注入の速度を自動的に調節する段階を更に含む条項7から12のうちのいずれかのシステム。
14.患者の排尿を増大するために患者に利尿薬を投与する段階と、利尿薬を投与しながら患者による排尿を決定する段階と、水和流体を患者の中に注入する段階と、患者内で望ましい正味流体損失を達成するように患者の中に注入される水和流体の速度を自動的に調節する段階とを備える流体過負荷を患う患者を治療する方法。
15.水和流体の速度の自動調節が、排尿と望ましい正味流体損失の間の差に基づいて計算される条項14の方法。
16.水和流体の速度の自動調節が、排尿の現在の速度増大に基づいて計算される条項14又は15の方法。
17.水和流体の速度の自動調節が、排尿が第1の閾値排出量よりも高いことに応答して水和流体の速度又は増加率を低減する条項14から16のうちのいずれかの方法。
18.第1の閾値排出量が、排尿の速度である条項16の方法。
19.水和流体の速度の自動調節が、現在排尿速度が第1の閾値排出量に達するまで水和流体の速度を現在排尿速度の10パーセント(10%)以内の速度まで増大する段階を含む条項14から18のうちのいずれかの方法。
20.第1の閾値排出量が、200ml/hrから240ml/hrの範囲の排尿速度である条項19の方法。
21.現在排尿速度が第2の閾値を上回っており、500ml/hrを上回っており、700ml/hrを上回っており、又は1020ml/hrを上回っている間に水和流体注入の速度を水和流体に対する最大限度値に制限する段階を更に備える条項14から20のうちのいずれかの方法。
22.正味流体損失が、5リットル、8リットル、又は10リットルのような正味流体損失に対する望ましい量に達した時に方法を停止する段階を更に備える条項14から21のうちのいずれかの方法。
23.患者に投与される利尿薬を排尿に基づいて自動的に調節する段階を更に備える条項14から22のうちのいずれかの方法。
24.利尿薬の自動調節が、排尿が望ましい最小尿値に達するまで投与中の利尿薬の速度を増大する段階を含む条項23の方法。
25.最小尿値が、最小排尿速度である条項24の方法。
26.利尿薬を調節する段階が、排尿が望ましい最小尿値に達するまで利尿薬のレベルを5分又はそれよりも短い間隔で自動的に増大する段階を含む条項23から25のうちのいずれかの方法。
27.利尿薬レベルの増大のうちの少なくとも1つが、直前の増大よりも大きい増大である条項26の方法。
28.利尿薬レベルの増大の各々が、直前の増大よりも大きい条項26又は27の方法。
29.利尿薬の自動調節が、排尿が望ましい最小尿値又は最小尿速度に達することに応答して、排尿が望ましい最小尿値又は最小尿速度に達した時に投与された利尿薬の値よりも低いか又はそれに基づく利尿薬に対する低い速度を計算する段階と、利尿薬を低い速度で少なくとも1時間の期間にわたって投与する段階とを含む条項14から28のうちのいずれかの方法。
30.水和流体を患者の中にポンピングするように構成された水和流体ポンプと、利尿薬を患者の中にポンピングするように構成された利尿薬ポンプと、患者の排尿を測定するように構成された測定デバイスと、患者の排尿の量又は速度を決定し、コンピュータによって決定された投与速度で利尿薬を送出するように利尿薬ポンプを制御することによって利尿薬を患者に自動的に注射し、水和流体ポンプを制御することによってある量又は速度の水和流体を患者の中に自動的に注入し、かつ患者の中に注入される水和流体の速度又は量を患者内で望ましい量又は速度の正味流体損失を達成するように自動的に調節するように構成されたコンピュータとを備える流体管理システム。
31.コンピュータが、排尿及び望ましい正味流体損失の各々の量又は速度間の差に基づいて水和流体の量又は速度の自動調節を決定するように構成される条項30の流体管理システム。
32.水和流体の速度の自動調節が、排尿の現在の速度増大に基づいて計算される条項30又は31の流体管理システム。
33.水和流体の速度の自動調節が、排尿が第1の閾値排出量よりも高いことに応答して水和流体の速度増大を低減する条項30から32のうちのいずれかの流体管理システム。
34.閾値排出量が、排尿の速度である条項30から33のうちのいずれかの流体管理システム。
35.水和流体の速度の自動調節が、現在排尿速度が第1の閾値排出量に達するまで水和流体の速度を現在排尿速度の10パーセント(10%)以内の速度まで増大する段階を含む条項30から34のうちのいずれかの流体管理システム。
36.第1の閾値排出量が、200ml/hrから240ml/hrの範囲の排尿速度である条項30から35のうちのいずれかの流体管理システム。
37.現在排尿速度が第2の閾値を上回っており、500ml/hrを上回っており、700ml/hrを上回っており、又は1020ml/hrを上回っている間に水和流体注入の速度を水和流体に対する最大限度値に制限する段階を更に備える条項30から36のうちのいずれかの流体管理システム。
38.コンピュータが、排尿が最大閾値排尿速度を超えている間に水和流体注入の速度を最大限度値に維持するように更に構成される条項37の流体管理システム。
39.正味流体損失が、5リットル、8リットル、又は10リットルのような正味流体損失に対する望ましい量に達した時に利尿薬を自動的に注射する段階を中止する段階を更に備える条項30から38のうちのいずれかの流体管理システム。
40.コンピュータが、流体損失が正味流体損失に対する望ましい量に達した時に利尿薬の投与を停止するように更に構成される条項30から39のうちのいずれかの流体管理システム。
41.コンピュータが、患者に投与される利尿薬を排尿に基づいて自動的に調節するように構成される条項30から40のうちのいずれかの流体管理システム。
42.利尿薬の自動調節が、排尿が望ましい最小尿値に達するまで投与中の利尿薬の速度を増大する段階を含む条項30から41のうちのいずれかの流体管理システム。
43.最小尿値が、最小排尿速度である条項30から42のうちのいずれかの流体管理システム。
44.利尿薬の調節が、排尿が望ましい最小尿値に達するまで利尿薬のレベルを5分又はそれよりも短い間隔で自動的に増大する段階を含む条項30から43のうちのいずれかの流体管理システム。
45.利尿薬レベルの増大のうちの少なくとも1つが、直前の増大よりも大きい増大である条項44の流体管理システム。
46.利尿薬レベルの増大の各々が、直前の増大よりも大きい条項44又は45の流体管理システム。
47.利尿薬の自動調節が、排尿が望ましい最小尿値又は最小尿速度に達することに応答して、排尿が望ましい最小尿値又は最小尿速度に達した時に投与された利尿薬の値よりも低いか又はそれに基づく利尿薬に対する低い速度を計算する段階と、利尿薬を低い速度で少なくとも1時間の期間にわたって投与する段階とを含む条項30から46のうちのいずれかの流体管理システム。
48.患者からの排尿速度を取得する段階と、利尿薬をある投与速度で患者に提供する段階と、水和流体を排尿よりも高くない水和速度で患者に提供する段階と、利尿薬の投与速度又は水和流体の水和速度のうちの少なくとも一方を調節し、それによって患者から正味流体損失を引き起こす段階とを備える流体療法を提供する方法。
49.利尿薬の投与速度を調節する段階が、(i)予め決められた期間が経過する、(ii)排尿速度が第1の予め決められた閾値よりも高く、(iii)供給された利尿薬の全量が第2の予め決められた閾値よりも高く、及び/又は(iv)投与速度が第3の予め決められた閾値よりも高くなるまで投与速度を増大する段階を備える先行条項のうちのいずれか1項の方法。
50.第1の予め決められた閾値が、少なくとも150ml/hr、200ml/hr、250ml/hr、300ml/hr、350ml/hr、400ml/hr、450ml/hr、500ml/hr、又は525ml/hrである条項49の方法。
51.第2の予め決められた閾値が、少なくとも100mg、150mg、200mg、又は250mgである条項49又は50のうちのいずれかの方法。
52.第3の予め決められた閾値が、少なくとも20mg/hr、30mg/hr、40mg/hr、又は50mg/hrである条項49から51のうちのいずれかの方法。
53.予め決められた期間が、少なくとも20分、30分、40分、又は60分である条項49から52のうちのいずれかの方法。
54.利尿薬を提供する段階が、投与量の各々が直前の投与量よりも高いように区分的に増加する投与量で利尿薬を提供する段階を備える先行条項のうちのいずれか1項の方法。
55.利尿薬を提供する段階が、投与速度が20分、15分、又は10分以内の期間内に倍増されるように繰り返すかつ増加する投与量で利尿薬を提供する段階を備える先行条項のうちのいずれか1項の方法。
56.利尿薬を提供する段階が、利尿薬の投与速度を指数関数方式で増大する段階を備える先行条項のうちのいずれか1項の方法。
57.利尿薬を提供する段階が、予め決められた期間が経過するか又は閾値尿速度よりも高いかの少なくとも一方が起こるまで連続的に増加する投与量で利尿薬を提供する段階を備える先行条項のうちのいずれか1項の方法。
58.利尿薬を提供する段階が、患者に提供される利尿薬の速度又は量が15分、20分、又は30分以内の設定間隔の後に前の投与速度と比較して少なくとも50%、100%、又は150%だけ増加するように投与速度を反復的に増大する段階を備える先行条項1のうちのいずれか1項の方法。
59.利尿薬を患者に提供する段階が、排尿速度が予め決められた閾値よりも高いように利尿薬の投与速度を増大する段階を備え、投与速度を調節する段階が、低減投与速度の値が患者に提供された利尿薬の全量の値のある百分率になるように投与速度を低減する段階を備える先行条項のうちのいずれか1項の方法。
60.利尿薬を提供する段階が、排尿速度が予め決められた閾値よりも高いように利尿薬を提供する段階を備え、方法が、利尿薬を提供した後に、排尿速度が予め決められた閾値よりも低いと決定する段階と、利尿薬速度を増大することの確認をユーザ又は患者に要求する段階とを更に備える先行条項のうちのいずれか1項の方法。
61.利尿薬速度を増大することの確認をユーザ又は患者から受け入れる段階と、確認を受け入れた後にしか投与速度を増加させない段階とを更に備える条項60.の方法。
62.投与速度を増大する段階が、排尿速度が予め決められた閾値よりも高くなるまで投与速度を増大する段階を備える条項61の方法。
63.利尿薬を提供する段階が、排尿速度が予め決められた閾値よりも高いように利尿薬を提供する段階を備え、方法が、利尿薬を提供した後に、少なくとも1時間である期間にわたる平均排尿速度が少なくとも300ml/hrである望ましい閾値よりも低いと決定する段階と、少なくとも排尿速度が予め決められた閾値よりも高くなるまで投与速度を増大する段階とを更に備える先行条項のうちのいずれか1項の方法。
64.水和流体を水和速度で患者に提供する段階が、少なくとも200ml又は250mlである第1の量の水和流体が少なくとも注入されるまで水和速度が排尿速度に実質的に適合するような水和速度を設ける段階を備える先行条項のうちのいずれか1項の方法。
65.水和流体を水和速度で患者に提供する段階が、少なくとも、60分である初期注入時間にわたって水和速度が排尿速度に実質的に適合するように水和速度を設ける段階を備える先行条項のうちのいずれか1項の方法。
66.利尿薬の投与速度又は水和流体の水和速度のうちの少なくとも一方を調節する段階が、利尿薬の投与速度を増大する段階と、水和流体の水和速度を増大する段階とを備え、水和速度を増大する段階が、水和流体の水和速度を排尿速度が第1の閾値を下回った場合に水和速度をゼロ又は20ml/hr未満に設定し、排尿速度が第2の閾値と第1の閾値の間である場合に水和速度を第2の閾値と第1の閾値の間である排尿速度の75%~125%に設定するように排尿速度に基づいて設定する段階を備える先行条項1のうちのいずれか1項の方法。
67.利尿薬の投与速度又は水和流体の水和速度のうちの少なくとも一方を調節する段階が、利尿薬の投与速度を増大する段階と、水和流体の水和速度を増大する段階とを備え、水和速度を増大する段階が、水和流体の水和速度を排尿速度が第1の閾値を下回った場合に、水和速度をゼロ又は20ml/hr未満に設定し、排尿速度が第2の閾値と第1の閾値の間である場合に、水和速度を第2の閾値と第1の閾値の間である排尿速度の100%又は75%~125%に等しい第1の速度に設定し、排尿速度が第3の閾値と第2の閾値の間である場合に、水和速度を(i)第1の速度と(ii)第3の閾値と第2の閾値の間である排尿速度の50%又は25%から75%との和に設定するように排尿速度に基づいて設定する段階を備える先行条項のうちのいずれか1項の方法。
68.利尿薬の投与速度又は水和流体の水和速度のうちの少なくとも一方を調節する段階が、利尿薬の投与速度を増大する段階と、水和流体の水和速度を増大する段階とを備え、水和速度を増大する段階が、水和流体の水和速度を排尿速度が第1の閾値を下回った場合に、水和速度をゼロ又は20ml/hr未満に設定し、排尿速度が第2の閾値と第1の閾値の間である場合に、水和速度を第2の閾値と第1の閾値の間である排尿速度の100%又は75%~125%に等しい第1の速度に設定し、排尿速度が第3の閾値と第2の閾値の間である場合に、水和速度を(i)第1の速度と(ii)第3の閾値と第2の閾値の間である排尿速度の50%又は25%から75%に等しい第2の速度との和に設定し、排尿速度が第3の閾値よりも高い場合に、水和速度を第1の速度と第2の速度との和に設定するように排尿速度に基づいて設定する段階を備える先行条項のうちのいずれか1項の方法。
69.第1の閾値が、100ml/hr、125ml/hr、150ml/hr、175ml/hr、200ml/hr、225ml/hr、又は250ml/hrよりも高くない先行条項のうちのいずれか1項の方法。
70.第2の閾値が、300ml/hr、325ml/hr、350ml/hr、375ml/hr、400ml/hr、425ml/hr、又は450ml/hrよりも高くない先行条項のうちのいずれか1項の方法。
71.第3の閾値が、800ml/hr、850ml/hr、900ml/hr、950ml/hr、1000ml/hr、1025ml/hr、又は1050ml/hrよりも高くない先行条項のうちのいずれか1項の方法。
72.排尿速度が、少なくとも500ml/hr、525ml/hr、550ml/hr、1000ml/hr、1025ml/hr、又は1050ml/hrである排尿閾値を少なくとも2時間、3時間、又は4時間である予め決められた期間にわたって上回った場合に、下方漸減アルゴリズムに基づいて利尿薬の投与速度を低減する段階を更に備える先行条項のうちのいずれか1項の方法。
73.排尿速度が、少なくとも500ml/hr、525ml/hr、550ml/hr、1000ml/hr、1025ml/hr、又は1050ml/hrである排尿閾値を少なくとも2時間、3時間、又は4時間である予め決められた期間にわたって上回った場合に、利尿薬の投与速度を少なくとも10%、25%、又は40%である百分率だけ低減する段階を更に備える先行条項のうちのいずれか1項の方法。
74.投与速度を低減する段階が、排尿速度が排尿閾値よりも少なくとも50ml、100ml、150ml、又は200ml低い下方漸減閾値に等しいか又はそれよりも低くなるまで利尿薬の投与速度を低減する段階を備える条項72又は73のうちのいずれか1項の方法。
75.投与速度のうちの少なくとも1つを調節する段階が、排尿速度が少なくとも500ml/hr、750ml/hr、又は1000ml/hrである予め決められた速度を少なくとも1時間、2時間、又は3時間である予め決められた期間にわたって超えること、排尿速度の変化率が少なくとも30ml/hr2、40ml/hr2、又は50ml/hr2である予め決められた率を少なくとも1時間、2時間、又は3時間である予め決められた期間にわたって超えること、利尿薬の投与速度が少なくとも5mg/hr、10mg/hr、又は15mg/hrである予め決められた速度よりも高いことを含む条件セットのうちのいずれか1つ、2つ、又は全てが満足された場合に下方漸減アルゴリズムに基づいて利尿薬の投与速度を低減する段階を備える先行条項のうちのいずれか1項の方法。
76.患者からの平均正味流体損失速度が、少なくとも50ml/hr、75ml/hr、100ml/hr、125ml/hr、150ml/hr、175ml/hr、又は200ml/hrである先行条項のうちのいずれか1項の方法。
77.1日にわたる患者からの平均正味流体損失量が、少なくとも3L、4L、又は5Lである先行条項のうちのいずれか1項の方法。
78.利尿薬を提供した後に排尿速度が望ましい閾値よりも低いと決定する段階と、排尿速度が望ましい閾値よりも低いと決定した後に、患者の血圧が第1の予め決められた閾値を下回っているか否か及び/又は患者の電解質レベルが第2の予め決められた閾値を下回っているか否かを決定する段階とを更に備える先行条項のうちのいずれか1項の方法。
79.利尿薬が、第1の利尿薬であり、方法が、第1の利尿薬を提供した後に排尿速度が望ましい閾値よりも低いと決定する段階と、第1の利尿薬とは異なる第2の利尿薬を患者に提供する段階とを更に備える先行条項のうちのいずれか1項の方法。
80.排尿速度を取得する段階が、光センサ、超音波センサ、又はサーミスタのうちの少なくとも1つに基づいて排尿を決定する段階を備える先行条項のうちのいずれか1項の方法。
81.利尿薬の投与速度又は水和流体の水和速度のうちの少なくとも一方を調節する段階が、患者からの尿の伝導率、カリウム濃度、及び/又はマグネシウム濃度に基づいている先行条項のうちのいずれか1項の方法。
82.水和流体を水和速度で患者に提供する段階が、患者の尿中塩分濃度を増大させ、利尿薬の投与速度又は水和流体の水和速度のうちの少なくとも一方を調節する段階が、患者の尿中塩分濃度を低減する先行条項のうちのいずれか1項の方法。
83.水和流体を水和速度で患者に提供する段階が、患者の塩分濃度を増大させ、利尿薬の投与速度又は水和流体の水和速度のうちの少なくとも一方を調節する段階が、患者の塩分濃度を低減する先行条項のうちのいずれか1項の方法。
84.患者が利尿薬耐性を有するか否かを決定する段階を更に備える先行条項のうちのいずれか1項の方法。
85.患者からの排尿速度を取得する段階と、利尿薬を排尿速度が予め決められた閾値よりも高いような投与速度で患者に提供する段階と、水和流体を排尿よりも高くない水和速度で患者に提供する段階と、予め決められた条件セットのうちのいずれか1つが満足されたか否かを決定する段階と、条件セットのうちの少なくとも1つが満足された場合に利尿薬の投与速度を予め決められた量だけ低減する段階とを備える流体療法を提供する方法。
86.予め決められた量が、少なくとも15%、20%、又は25%であり、又は10~40%の間である先行条項のうちのいずれか1項の方法。
87.利尿薬の投与速度を低減する段階が、利尿薬の投与速度を少なくとも1時間、2時間、又は3時間の予め決められた期間にわたって予め決められた量だけ低減する段階を備える先行条項のうちのいずれか1項の方法。
88.利尿薬の投与速度を低減した後に投与速度をアルゴリズムに基づいて設定する段階を更に備える先行条項のうちのいずれか1項の方法。
89.予め決められた条件セットのうちのいずれか1つが満足されたか否かを決定する段階が、排尿速度が少なくとも500ml/hr、750ml/hr、1000ml/hrである予め決められた速度を少なくとも1時間、2時間、又は3時間の予め決められた期間にわたって上回ったか否かを決定する段階を備える先行条項のうちのいずれか1項の方法。
90.予め決められた条件セットのうちのいずれか1つが満足されたか否かを決定する段階が、排尿速度の変化率が少なくとも30ml/hr2、40ml/hr2、又は50ml/hr2である予め決められた率を少なくとも1時間、2時間、又は3時間である予め決められた期間にわたって上回ったか否かを決定する段階を備える先行条項のうちのいずれか1項の方法。
91.予め決められた条件セットのうちのいずれか1つが満足されたか否かを決定する段階が、利尿薬の投与速度が少なくとも5mg/hr、10mg/hr、又は15mg/hrである予め決められた速度を上回ったか否かを決定する段階を備える先行条項のうちのいずれか1項の方法。
92.1又は2以上のプロセッサによって実行された時に本明細書の条項のうちのいずれか1項の方法を備える動作をコンピュータデバイスに実行させる命令を有する有形非一時的コンピュータ可読媒体。
93.患者からの排尿を測定するように構成された尿測定デバイスと、尿薬供給源に流体結合され、利尿薬を患者に提供するように構成されたポンプと、1又は2以上のプロセッサと、1又は2以上のプロセッサによって実行された時に流体療法システムに尿測定デバイスから排尿速度を取得する段階と、利尿薬を患者にポンプを通じて、投与容積を120分以下の期間にわたって増加させ、期間の終了が排尿速度が予め決められた閾値よりも高いことに少なくとも部分的に基づくような投与速度で提供する段階とを備える動作を実行させる命令を有する有形非一時的コンピュータ可読媒体とを備える流体療法システム。
94.動作が、利尿薬を提供した後に利尿薬の投与速度を現在投与速度の予め決められた百分率であるように設定する段階を更に備える本明細書の条項のうちのいずれか1項の流体療法システム。
95.動作が、排尿速度が予め決められた閾値よりも高いと決定する段階と、利尿薬の投与速度を排尿速度が予め決められた閾値よりも高いと決定した時点で送出された利尿薬の全量の予め決められた百分率であるように設定する段階とを更に備える本明細書の条項のうちのいずれか1項の流体療法システム。
96.動作が、事前設定期間にわたって測定された平均排尿速度が予め決められた閾値よりも高いと決定する段階と、決定に応答して利尿薬の投与速度を予め決められた百分率だけ低減する段階とを更に備える本明細書の条項のうちのいずれか1項の流体療法システム。
97.動作が、(i)第1の事前設定期間にわたって測定された平均排尿速度が第1の予め決められた閾値よりも高いこと、(ii)第2の事前設定期間にわたって測定される排尿速度が、予め決められた増加率よりも高い率で増加していること、(iii)投与速度が第2の予め決められた閾値よりも高いことという条件セットのうちの1又は2以上が存在すると決定する段階と、条件セットのうちの1又は2以上が存在すると決定することに応答して利尿薬の投与速度を予め決められた百分率だけ低減する段階とを更に備える本明細書の条項のうちのいずれか1項の流体療法システム。
98.第1の予め決められた閾値が、少なくとも500mL/hrであり、予め決められた増加率が、少なくとも30mL/hr2であり、第2の予め決められた閾値が、少なくとも5mg/hrである本明細書の条項のうちのいずれか1項の流体療法システム。
99.利尿薬が、投与速度が期間にわたって少なくとも200%だけ増加するように供給される本明細書の条項のうちのいずれか1項の流体療法システム。
100.利尿薬を提供する段階が、投与速度を指数関数方式で反復的に増大する段階を備える本明細書の条項のうちのいずれか1項の流体療法システム。
101.動作が、事前設定期間にわたって測定された平均排尿速度が予め決められた閾値を下回ったと決定する段階と、決定に応答して利尿薬の投与速度を指数関数方式で反復的に増大する段階とを更に備える本明細書の条項のうちのいずれか1項の流体療法システム。
102.ポンプが、第1のポンプであり、システムが、水和流体の供給源と作用可能に結合されて水和流体を患者に提供するように構成された第2のポンプを更に備え、動作が、水和流体を第2のポンプを通じて患者に排尿速度よりも高くない水和速度で提供する段階を更に備える本明細書の条項のうちのいずれか1項の流体療法システム。
103.水和流体が、(i)予め決められた期間が経過すること又は(ii)予め決められた量の水和流体が注入されることのうちの少なくとも一方が起こるまで水和速度が排尿速度の予め決められた百分率に実質的に適合するか又はそれ以内であるように患者に提供される本明細書の条項のうちのいずれか1項の流体療法システム。
104.水和速度が、排尿速度が第1の閾値を下回った場合に水和速度が第1の速度に設定され、排尿速度が第1の閾値よりも高い場合に、水和速度が、第1の速度と第1の閾値よりも高い排尿速度の予め決められた百分率との和に等しい第2の速度に設定されるように排尿速度に基づいている本明細書の条項のうちのいずれか1項の流体療法システム。
105.第1の閾値が、200mL/hrよりも高くなく、第2の閾値は450mL/hrよりも高くなく、予め決められた百分率が、25~75%の範囲内である本明細書の条項のうちのいずれか1項の流体療法システム。
106.水和速度が、排尿速度が増加する時に水和速度と排尿速度の間の差が増加し、それによって患者からの正味流体損失を誘導するように設定される本明細書の条項のうちのいずれか1項の流体療法システム。
107.正味流体損失が、少なくとも200mL/hrである本明細書の条項のうちのいずれか1項の流体療法システム。
108.1又は2以上のプロセッサを有し、患者からの排尿を測定するように構成された尿測定デバイス、利尿薬を患者に提供するように構成された第1のポンプ、水和流体を患者に提供するように構成された第2のポンプと通信しているコントローラと、1又は2以上のプロセッサによって実行された時に流体療法システムに尿測定デバイスから排尿速度を取得する段階と、利尿薬を患者に第1のポンプを通じて、投与容積をある期間にわたって増大するような投与速度で提供する段階と、水和流体を第2のポンプを通じて患者に排尿速度よりも高くない水和速度で提供し、それによって患者からの正味流体損失を促進する段階とを備える動作を実行させる命令を有する有形非一時的コンピュータ可読媒体とを備える患者に流体療法を提供するためのコンソール。
109.動作が、利尿薬を提供した後に利尿薬の投与速度を現在投与速度の予め決められた百分率であるように設定する段階を更に備える本明細書の条項のうちのいずれか1項のコンソール。
110.動作が、事前設定期間にわたって測定された平均排尿速度が予め決められた閾値よりも高いと決定する段階と、決定に応答して利尿薬の投与速度を予め決められた百分率だけ低減する段階と更に備える本明細書の条項のうちのいずれか1項のコンソール。
111.動作が、事前設定期間にわたって測定された平均排尿速度が予め決められた閾値を下回ったと決定する段階と、決定に応答して利尿薬の投与速度を増大する段階とを更に備える本明細書の条項のうちのいずれか1項のコンソール。
112.水和流体が、(i)予め決められた期間が経過すること又は(ii)予め決められた量の水和流体が注入されることのうちの少なくとも一方が起こるまで水和速度が排尿速度の予め決められた百分率に実質的に適合するか又はそれ以内であるように患者に提供される本明細書の条項のうちのいずれか1項のコンソール。
113.水和速度が、排尿速度が増加する時に水和速度と排尿速度の間の差が増加し、それによって患者からの正味流体損失を誘導するように設定される本明細書の条項のうちのいずれか1項のコンソール。
114.水和速度が、排尿速度が第1の閾値を下回った場合に水和速度が第1の速度に設定され、排尿速度が第1の閾値よりも高い場合に、水和速度が、第1の速度と第1の閾値よりも高い排尿速度の予め決められた百分率との和に等しい第2の速度に設定されるように排尿速度に基づいている本明細書の条項のうちのいずれか1項のコンソール。
115.利尿薬を提供する段階が、投与速度を指数関数方式で反復的に増大するように利尿薬を提供する段階を備える本明細書の条項のうちのいずれか1項のコンソール。
116.患者からの排尿速度を取得する段階と、排尿速度がある期間以内に予め決められた閾値よりも高くなるまで増加するように投与速度を期間にわたって増大する利尿薬をある投与速度で患者に提供する段階と、排尿速度が予め決められた閾値よりも高くなるまで増加した後に利尿薬の投与速度を現在投与速度の予め決められた百分率であるように設定する段階と、水和流体を患者にある水和速度で提供する段階とを備える患者からの正味流体損失を促進するための流体治療方法。
117.利尿薬の投与速度を設定する段階が、利尿薬の投与速度を患者に送出された利尿薬の全量の予め決められた百分率であるように設定する段階を備える本明細書の条項のうちのいずれか1項の方法。
118.利尿薬を提供する段階が、投与速度を指数関数方式で反復的に増大するように利尿薬を提供する段階を備える本明細書の条項のうちのいずれか1項の方法。
119.投与速度が、指数関数方式で60分以下にわたって繰り返し増加される本明細書の条項のうちのいずれか1項の方法
120.事前設定期間にわたって測定された平均排尿速度が予め決められた閾値を下回ったと決定する段階と、決定に応答して利尿薬の投与速度を指数関数方式で反復的に増大する段階とを更に備える本明細書の条項のうちのいずれか1項の方法。
121.水和流体が、(i)予め決められた期間が経過すること又は(ii)予め決められた量の水和流体が注入されることのうちの少なくとも一方が起こるまで水和速度が排尿速度の予め決められた百分率に実質的に適合するか又はそれ以内であるように患者に提供される本明細書の条項のうちのいずれか1項の方法。
122.水和速度が、排尿速度が第1の閾値を下回った場合に水和速度が第1の速度に設定され、排尿速度が第1の閾値よりも高い場合に、水和速度が、第1の速度と第1の閾値よりも高い排尿速度の予め決められた百分率との和に等しい第2の速度に設定されるように排尿速度に基づいている本明細書の条項のうちのいずれか1項の方法。
123.水和速度が、排尿速度が増加する時に水和速度と排尿速度の間の差が増加し、それによって患者からの正味流体損失を誘導するように設定される本明細書の条項のうちのいずれか1項の方法。
【符号の説明】
【0132】
10 患者流体管理システム
12 尿回収及びモニタシステム(尿システム)
14 自動利尿薬注入システム(利尿薬システム)
20 利尿薬供給源
P 患者
図1
図2A
図2B
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【国際調査報告】