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特表2023-504745モータ寿命を延長するための電気モータ構成要素のサブミクロン半径方向アライメントおよび気流管理の技法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-06
(54)【発明の名称】モータ寿命を延長するための電気モータ構成要素のサブミクロン半径方向アライメントおよび気流管理の技法
(51)【国際特許分類】
   H02K 15/02 20060101AFI20230130BHJP
   H02K 15/14 20060101ALI20230130BHJP
   H02K 7/14 20060101ALI20230130BHJP
   F04D 29/58 20060101ALI20230130BHJP
   F04D 29/00 20060101ALI20230130BHJP
【FI】
H02K15/02 A
H02K15/14 Z
H02K7/14 Z
F04D29/58 P
F04D29/00 B
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022534205
(86)(22)【出願日】2020-12-04
(85)【翻訳文提出日】2022-07-28
(86)【国際出願番号】 US2020063361
(87)【国際公開番号】W WO2021113671
(87)【国際公開日】2021-06-10
(31)【優先権主張番号】62/944,068
(32)【優先日】2019-12-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510053422
【氏名又は名称】シャークニンジャ オペレーティング エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】アイニ,レーザ
【テーマコード(参考)】
3H130
5H607
5H615
【Fターム(参考)】
3H130AA13
3H130AB26
3H130AB52
3H130AC01
3H130BA33G
3H130BA33H
3H130DA02Z
3H130DB01Z
3H130DD03Z
3H130EA07C
3H130EA07G
3H130EA07H
5H607AA12
5H607BB01
5H607BB14
5H607CC05
5H607FF01
5H615AA01
5H615BB01
5H615BB14
5H615PP01
5H615PP02
5H615SS10
5H615SS18
5H615SS19
5H615SS20
5H615TT26
5H615TT33
(57)【要約】
本開示は概して、サブミクロンの端から端までの偏差を有するロータボアを有するモータを達成するための、互いに対するモータ構成要素の半径方向アライメントのための技法を対象とする。一実施形態において、モータ構成要素、より具体的にハウジングセクションおよびステータアセンブリなどのモータ構成要素の各々によって画定された開口/貫通穴の間に挿入することができる、ロータボアアライメントツールが本明細書に開示されている。ロータボアアライメントツールは、延長した位置に選択的に移行されて、モータを形成する、いわゆる「スタック」内にモータ構成要素の各々を固定的に連結する前に、モータ構成要素の各々を半径方向に整列させることができる、拡張可能な部材を含む。モータ構成要素が一緒に連結されると、結果としてもたらされるモータは、例えば好ましくは10ミクロン未満、より好ましくは5ミクロン以下のサブミクロン偏差を含む、端から端まで延長するロータシャフトを含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気モータであって、
ロータアセンブリの第一の端を受容し、かつそれに連結するための第一のロータレセプタクルを画定する第一のハウジング部分と、
前記ロータアセンブリの第二の端を受容し、かつそれに連結するための第二のロータレセプタクルを画定する第二のハウジング部分であって、前記第一および第二のハウジング部分が、一緒に連結するように、かつ前記ロータアセンブリを受容するためにロータボアを集合的に提供するように構成される、第二のハウジング部分と、
前記ロータボア内に配置されたロータアセンブリであって、前記ロータアセンブリが、シャフトと、前記シャフトに沿って同心に連結された少なくとも第一のベアリングとを備え、前記第一のベアリングが、前記第一のハウジング部分の前記第一のロータレセプタクル内、または前記第二のハウジング部分の前記第二のロータレセプタクル内に配置されていて、かつ前記シャフトおよび第一のベアリングが、10ミクロン未満の端から端までのオフセット偏差を有して前記第一および第二のハウジング部分によって集合的に提供された前記ロータボアに基づいて、互いに半径方向に整列している、ロータアセンブリと、を備える、電気モータ。
【請求項2】
前記第一および第二のハウジング部分の各々が、それぞれ第一および第二の相互係止部分に基づいて互いに連結し、かつ前記第一および第二の相互係止部分が、少なくとも50ミクロンのオフセットアライメント公差を有し、これによって前記第一および第二のハウジング部分が一緒に、摺動可能に連結し、かつ互いに対して少なくとも50ミクロンの半径方向変位を可能にする、請求項1に記載の電気モータ。
【請求項3】
前記ロータボアが、前記第一および第二の相互係止部分の前記オフセットアライメント公差によって一緒に連結されている、かつ半径方向に変位されている前記第一および第二のハウジング部分に基づいて、10ミクロン未満の前記端から端までのオフセット偏差を含む、請求項2に記載の電気モータ。
【請求項4】
前記第一および第二のハウジング部分が、接着剤を使用して互いに連結する、請求項1に記載の電気モータ。
【請求項5】
前記第一および第二のハウジング部分が、係止装置に基づいて互いに連結する、請求項1に記載の電気モータ。
【請求項6】
前記係止装置が、セルフタッピングねじを備える、請求項5に記載の電気モータ。
【請求項7】
前記係止装置が、金属ボルトを備える、請求項5に記載の電気モータ。
【請求項8】
前記第一のハウジング部分と第二のハウジング部分の間に配置された、かつ前記ロータボアの少なくとも一部分を画定するステータアセンブリをさらに備える、請求項1に記載の電気モータ。
【請求項9】
前記第二のハウジング部分に連結するように構成された第三のハウジング部分をさらに備え、前記第三のハウジング部分が、前記電気モータの中に空気を連通するために開口を画定する、請求項1に記載の電気モータ。
【請求項10】
前記第三のハウジング部分が、前記第三のハウジング部分によって少なくとも部分的に画定されたインペラ風損チャンバと流体連通する少なくとも一つの圧力調整弁を含む、請求項9に記載の電気モータ。
【請求項11】
前記インペラ風損チャンバ内に配置されたインペラの表面と気密シールを形成するために前記開口に隣接して配置された第一のシール装置をさらに備える、請求項10に記載の電気モータ。
【請求項12】
前記第一のシール装置が少なくとも一つの環状突出部を含み、かつ第三のハウジング部分が、前記気密シールを形成するために、前記少なくとも一つの環状突出部を受容するように少なくとも一つの溝を画定する、請求項11に記載の電気モータ。
【請求項13】
前記第一のシール装置が、発泡体、ポリテトラフルオロエチレン、ゴム、および/またはナイロンを含む材料から形成される、請求項11に記載の電気モータ。
【請求項14】
電気モータの複数のハウジング部分によって集合的に提供されたボアの半径方向アライメントのためのロータボアアライメント装置であって、
シャフトであって、前記シャフトに沿って事前定義された場所に配置された少なくとも一つの延長可能部材を前記シャフトが有し、前記少なくとも一つの延長可能部材が、引っ込めた位置付けから延長した位置付けへと選択的に移行し、前記引っ込めた位置付けが、前記少なくとも一つの延長可能部材を前記シャフトから第一の距離D1に半径方向に延長させ、かつ前記延長した位置付けが、前記少なくとも一つの延長可能部材を前記シャフトから第二の距離D2に半径方向に延長させ、前記第二の距離D2が前記第一の距離D1よりも大きい、シャフトを備え、
前記シャフトが、前記ボアの中へと、事前定義された位置へと摺動可能に連結するように構成されていて、前記事前定義された位置が前記少なくとも一つの延長可能部材を前記電気モータの少なくとも第一のモータ構成要素と整列し、これによって前記少なくとも一つの延長可能部材の前記延長した位置付けへの移行が、前記第一のモータ構成要素と前記電気モータの第二のモータ構成要素との半径方向の整列を引き起こすように構成されている、ロータボアアライメント装置。
【請求項15】
前記少なくとも一つの延長可能部材が、複数の延長可能部材であり、かつ前記ボアが、前記複数のハウジング部分の少なくとも第一および第二のハウジング部分と、それらの間に配置されたステータアセンブリとによって集合的に画定されていて、かつ前記事前定義された位置が、前記複数の延長可能部材のうちの第一、第二、第三の延長可能部材を、それぞれ前記第一のハウジング部分、前記ステータアセンブリ、および前記第二のハウジング部分と整列、かつこれらを係合させるように構成されていて、これによって前記延長した位置付けへの前記複数の延長可能部材の移行が、前記第一のハウジング部分、前記ステータアセンブリ、および前記第二のハウジング部分によって集合的に提供された前記ボアの半径方向アライメントを引き起こす、請求項14に記載のロータボアアライメント装置。
【請求項16】
前記ボアが、10ミクロン未満の端から端までのオフセット偏差を有する、請求項15に記載のロータボアアライメント装置。
【請求項17】
前記シャフトの端に配置されたフランジをさらに備え、前記フランジが前記シャフトの長手方向軸に対して実質的に横断方向に延長し、かつ前記フランジが、前記第一または第二のハウジング部分の側壁を係合するように、かつ前記ボアの中への前記シャフトのさらなる挿入を防止するように構成されていて、前記フランジが、前記シャフトが前記ボア内の前記事前定義された位置へと摺動可能に挿入される時に、前記側壁を係合するように構成されている、請求項14に記載のロータボアアライメント装置。
【請求項18】
前記少なくとも一つの延長可能部材が、環状リングを備え、前記環状リングが、直径を増大させるように、かつ前記少なくとも一つの延長可能部材が前記延長した位置付けに移行するのに応答して、前記シャフトから半径方向外向きに延長するように構成されている、請求項14に記載のロータボアアライメント装置。
【請求項19】
前記ロータボアアライメント装置が、締付力を導入するように構成されていて、前記締付力が前記ボアと実質的に平行に延長し、また前記複数のハウジング部分を互いに向かって変位させ、かつ前記複数のハウジング部分の互いに対する角度および軸方向のシフトを防止する、請求項14に記載のロータボアアライメント装置。
【請求項20】
前記シャフト上に配置されて、前記少なくとも一つの延長可能部材を摺動可能に係合および係脱するスリーブをさらに備え、前記スリーブが、前記スリーブの直線移動に基づいて、前記少なくとも一つの延長可能部材を選択的に変位させるように、少なくとも一つのV溝を画定する、請求項14に記載のロータボアアライメント装置。
【請求項21】
前記シャフトの空洞内に螺刻されたボルトをさらに備え、前記螺刻されたボルトが回転し、かつ前記スリーブを変位させる、請求項20に記載のロータボアアライメント装置。
【請求項22】
前記スリーブが、前記少なくとも一つの延長可能部材を前記シャフトから離れて変位させるように、かつ前記延長可能部材を延長した位置付けに移行するように構成されている、請求項20に記載のロータボアアライメント装置。
【請求項23】
前記スリーブが、前記少なくとも一つの延長可能部材から引き離されて、前記少なくとも一つの延長可能部材が前記引っ込めた位置付けに移行することを可能にするように構成されている、請求項20に記載のロータボアアライメント装置。
【請求項24】
前記少なくとも一つの延長可能部材が直径を増大させて、前記延長した位置付けに移行された時に、前記第二の距離D2に延長することと、前記引っ込めた位置付けに移行して戻る時に前記第一の距離D1に戻るように引っ込めることとを可能にする弾性を有する材料を前記少なくとも一つの延長可能部材が含む、請求項14に記載のロータボアアライメント装置。
【請求項25】
前記少なくとも一つの延長可能部材が、ニトリルブタジエンゴム(NBR)、カルボキシル化ニトリルブタジエンゴム(XNBR)、および/またはフルオロエラストマーを含む、請求項14に記載のロータボアアライメント装置。
【請求項26】
電気モータとともに使用するディフューザであって、
ロータアセンブリのシャフトがそれを通して延長することを可能にする開口部を画定する円筒状本体と、
前記円筒状本体から半径方向に延長する複数の湾曲した排気フィンと、を備える、ディフューザ。
【請求項27】
前記複数の湾曲した排気フィンによって前記円筒状本体に連結されたリムをさらに備える、請求項26に記載のディフューザ。
【請求項28】
前記複数の湾曲した排気フィンが各々、前記リムを前記円筒状本体に連結する、前記円筒状本体の反対側の遠位端を含む、請求項27に記載のディフューザ。
【請求項29】
前記複数の湾曲した排気フィンが各々、空気へと曝露される前記円筒状本体の反対側の遠位端を含む、請求項26に記載のディフューザ。
【請求項30】
前記複数の湾曲した排気フィンが各々、空気に完全に曝露される前記円筒状本体の反対側の遠位端を含む、請求項26に記載のディフューザ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年12月5日に出願された米国仮出願番号第62/944,068号の利益を主張するものであり、これは参照によりその全体が本明細書に組み込まれている。
【0002】
本明細書は概して、電気モータに関し、具体的にモータ構成要素のサブミクロン半径方向アライメントのための技法と、気流を偏向して、巻線およびロータアセンブリなどのコアモータ構成要素を冷却するための一つ以上のエアジェットを生成する電気モータで使用するディフューザ装置とに関する。
【背景技術】
【0003】
電気モータは、幅広い消費者および産業用途で使用されている。多種多様な電気モータが利用可能であり、また電気モータは、二つの大まかなモータタイプ、すなわちブラシ付きモータとブラシレスモータとのうちの一つに分類される傾向がある。
【0004】
例えば、ブラシ付きDCモータは、その構造の外側に永久磁石を有し、回るアーマチュアを内側に有する。外側で動かない永久磁石は、ステータと呼ばれる。回転し、電磁石を包含するアーマチュアは、ロータと呼ばれる。ブラシ付きDCモータにおいて、電流がアーマチュアに流れた時、ロータは180度回る。回転を持続させるために、電磁石の極を反転させる必要がある。ロータが回転すると、ブラシはステータと接触し、磁場を反転し、ロータが360度完全に回ることを可能にする。
【0005】
一方で、ブラシレスDCモータはブラシを包含せず、DC電流を使用する。ブラシレスDCモータは、本質的に内側が裏返しにされていて、電磁場を裏返しするブラシの必要性が排除される。ブラシレスDCモータにおいて、例えば永久磁石はロータ上にあり、電磁石はステータ上にある。次いで、回路は、ステータ内の電磁石を荷電して、ロータを360度完全に回転させることができる。
【0006】
いずれの場合も、電気モータ内のロータの半径方向アライメントは、モータの性能および信頼性に著しい影響を与える。例えば、ロータシャフトの角度および/または半径方向のずれは、モータの公称電力/トルクに著しい影響を与え、音響ノイズ(例えば、振動を介して)を導入し、例えば関連付けられたロータシャフトに沿った不均等な負荷に基づいて、早期の構成要素故障に最終的につながる可能性がある。
【0007】
本明細書に含まれる図面は、本明細書の教示の物品、方法、および設備の様々な実施例を例示するためのものであり、教示されるものの範囲をいかなるやり方でも制限することを意図しない。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本開示の一実施形態による例示的な電気モータを示す。
図2図2は、本開示の一実施形態による、図1の電気モータの底面図を示す。
図3図3は、本開示の一実施形態による、部分的に分解した図1の電気モータを示す。
図4図4は、一実施形態による、図1の電気モータの断面図を示す。
図5図5は、一実施形態による、半径方向アライメント製造段階中の図1の電気モータの別の断面図を示す。
図6図6は、一実施形態による、製造の半径方向アライメント段階を行った後の、図1の電気モータの別の断面図を示す。
図7図7は、本開示の一実施形態による、ロータアセンブリのステップ特徴部に基づいて、関連付けられたファン/インペラに連結された、かつ半径方向に整列されたロータアセンブリを示す。
図8図8は、本開示の一実施形態による、電気モータのロータボアの中への挿入前の図7のロータアセンブリを示す。
図9図9は、一実施形態による、電気モータのロータボアの中への挿入後の図7のロータアセンブリを示す。
図10A図10Aは、一実施形態による例示的なロックナットを示す。
図10B図10Bは、一実施形態による、図1の電気モータの別の断面図を示す。
図11図11は、本開示と一致する電気モータ内での使用に好適なディフューザの斜視図を示す。
図12図12は、一実施形態による、図11のディフューザの側面図を示す。
図13図13は、一実施形態による、図11のディフューザの底面図を示す。
図14図14は、本開示と一致する電気モータ内で使用する例示的なシュラウドを示す。
図15図15は、一実施形態による、図14の例示的なシュラウドの断面図を示す。
図16図16は、本開示と一致する電気モータ内での使用に好適なディフューザの別の例の斜視図を示す。
図17図17は、図16のディフューザの側面図を示す。
図18図18は、図16のディフューザの別の斜視図を示す。
図19図19は、本開示と一致する電気モータ内で使用する別の例示的なシュラウドを示す。
図20図20は、一実施形態による、図19の例示的なシュラウドの断面図を示す。
図21図21は、一実施形態による、図1の電気モータの断面図を示す。
図22A図22Aは、本開示と一致する電気モータ内で使用する別の例示的なシュラウドを示す。
図22B図22Bは、一実施形態による、図22Aのシュラウドの断面を示す。
図22C図22Cは、一実施形態による、図22Aのシュラウドでの使用に好適なシール挿入装置を示す。
図23A図23Aは、本開示と一致する別の例示的な電気モータを示す。
図23B図23Bは、図23Aの電気モータの側面図を示す。
図23C図23Cは、本開示の一実施形態による、線C-Cに沿って取られた、図23Bの電気モータの断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
上述の通り、電気モータ内のロータシャフトの半径方向アライメントは、モータの性能および信頼性に著しい影響を与える。ブラシレスDC(BLDC)モータなどの電気モータは、スタック配設内に一緒に挟まれた複数の部分/セグメントから形成されることができる。例えば、一部の電気モータは、その間に配置されたステータアセンブリと一緒に連結するハウジング部分を含む。ハウジング部分およびステータアセンブリは各々、ロータボアを集合的に提供するように整列する開口/貫通穴を含むことができる。しかしながら、モータの各構成要素が一緒に連結されると、様々な量の偏差が導入される。この偏差は、各構成要素が追加的なずれを導入するのにつれて、結果としてもたらされるボアが最大150ミクロン以上の端から端までの偏差を有するように、最終的に組み合わされる。理想的に、結果としてもたらされるボアは、端から端までの偏差が0ミクロンである(例えば完全に同心である)が、こうした0ミクロンの偏差は、実際には達成困難である。これは、モータの構成要素における固有の製造上の偏差と、単純にこうした偏差を識別し、補償することができない製造プロセスとに起因する。各連続的なモータ構成要素によって導入された微小偏差は、最終的に組み合わされ、ロータシャフトの実質的に半径方向のずれをもたらす可能性がある。
【0010】
ロータボアに沿ったこうした端から端までの偏差は、ロータシャフトの不均等な負荷を比例的に導入し、また例えばロータアセンブリの摩耗および発生した熱に起因して、モータの動作寿命を著しく低減するだけでなく、振動に起因する音響ノイズを導入する傾向がある。
【0011】
それ故に、本開示は概して、サブミクロンの端から端までの偏差、例えば50ミクロン未満、および好ましくは10ミクロン未満の端から端までの偏差を有するロータボアを有する電気モータを達成するための、互いに対するモータ構成要素の半径方向アライメントのための技法を対象とする。より詳細に、複数のモータ構成要素の間に、より具体的にハウジングセクションおよびステータアセンブリなどのモータ構成要素の各々によって画定された開口/貫通穴の間に挿入されることができるロータボアアライメントツールが本明細書に開示されている。ロータボアアライメントツールは、延長した位置に選択的に移行されて、モータを形成する、いわゆる「スタック」内にモータ構成要素の各々を固定的に連結する前に、モータ構成要素の各々を半径方向に整列させることができる、拡張可能な部材を含む。モータ構成要素が、例えば接着剤および/またはねじを介して、一緒に固定的に連結されると、結果としてもたらされるモータは、例えば好ましくは10ミクロン未満、より好ましくは5ミクロン以下のサブミクロン偏差を含む、端から端まで延長するロータシャフトを含む。
【0012】
一実施形態において、電気モータは、ロータアセンブリの第一の端を受容し、かつロータアセンブリの第一の端に連結するための第一のロータレセプタクルを画定する第一のハウジング部分を含む。電気モータは、ロータアセンブリの第二の端を受容し、かつロータアセンブリの第二の端に連結するための第二のロータレセプタクルを画定する第二のハウジング部分をさらに含み、第一のハウジング部分および第二のハウジング部分は、一緒に連結するように、かつロータアセンブリを受容するためにロータボアを集合的に提供するように構成されている。ロータアセンブリは、ロータボア内に配置されていて、ロータアセンブリは、シャフトと、シャフトに沿って同心に連結された第一のベアリングおよび第二のベアリングとを備える。第一のベアリングは、第一のハウジング部分の第一のロータレセプタクル内に配置されることができ、また第二のベアリングは、第二のハウジング部分の第二のロータレセプタクル内に配置されることができる。シャフトならびに関連付けられた第一のベアリングおよび第二のベアリングは、好ましくは10ミクロン未満、より好ましくは5ミクロン以下の端から端までのオフセット偏差を有する第一のハウジング部分および第二のハウジング部分によって集合的に提供されたロータボアに基づいて、互いに半径方向に整列していることが好ましい。
【0013】
図を参照すると、図1図4は、本開示の一実施形態と一致するモータ100を図示する。モータ100は、好ましくは電気モータとして、より好ましくはブラシレスDC(BLDC)モータとして構成されている。本開示がBLDCモータの具体的な参照とともに様々な態様および特徴を図示し、記述していることに留意されたい。しかしながら、本開示は、この点に限定されず、また本開示は、例えばブラシ付きモータなどの他の電気モータタイプにも軽微な修正を用いて、等しく適用可能である。
【0014】
モータ100は、集合的に102として示された、かつ個別にそれぞれ第一、第二、第三のハウジング部分102-1、102-2、102-3として示されたハウジングを含む(図3を参照)。従って、ハウジング102は本明細書において、多部品または多部分ハウジングとも呼ばれる場合がある。ハウジング102は、例えばプラスチック、金属、または任意の他の好適に剛直な材料から形成されてもよい。ハウジング102の各部分は、比較的に高い耐熱性および引っ張り強さを有する熱可塑性物質を含むことが好ましい。例えば、ハウジング102は、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)から形成されていることが好ましい。
【0015】
図3を具体的に参照すると、ハウジング部分102-1~102-3の各々は、製造中にそれらが一緒に結合された時に、各々の開口/貫通穴が概して整列するように、長手方向軸150に沿って互いに半径方向に整列するように構成されている。以下でさらに考察する通り、ハウジング部分102-1~102-3の各々は、後続の半径方向のアライメント(例えば、本開示と一致する延長可能なマンドレルを介した)および取り付け/固定段階の前に、比較的に粗い調整を可能にするように、比較的に大きい製造公差を含むことができる。
【0016】
続いて、第一のハウジング部分102-1は、複数の嵌合突出部を有する基部を含み、そこから嵌合突出部が長手方向軸150に沿って延長する。嵌合突出部は、第二のハウジング部分102-2の対応する嵌合セクションと相互係止するように構成されている。それ故に、第一のハウジング部分および第二のハウジング部分は、嵌合突出部を介して一緒に連結するように構成されてもよく、これは本明細書において、相互係止嵌合部分または単に相互係止部分とも呼ばれる場合がある。
【0017】
嵌合突出部は、最大50ミクロン以上、より好ましくは100~150ミクロンのオフセットアライメント公差を含むことが好ましい。オフセットアライメント公差は、以下でさらに詳細に考察する通り、第一および第二のハウジング部分102-1、102-2の、互いに対する半径方向の変位を可能にする。
【0018】
加えて、嵌合突出部はまた、第一および第二のハウジング部分102-1、102-2の角度アライメントを維持するようにも構成されていることが好ましい。この角度アライメントは、以下でさらに考察する通り、第一および第二のハウジング部分102-1、102-2を互いに向かって変位させ、かつ製造中に延長可能なマンドレル/部材を介して一緒に挟む、長手方向軸150に沿った圧縮力(または締付力)を供給することによって維持されることができる。
【0019】
続いて、第一のハウジング部分102-1は、第一のロータレセプタクル104-1をさらに画定し、また第二のハウジング部分102-2は、前述のそれぞれの開口/貫通穴に少なくとも部分的に基づいて、第二のロータレセプタクル104-2をさらに画定する。第一および第二のハウジング部分102-1、102-2はさらに、ステータアセンブリ(例えばステータアセンブリ111)を受容し、かつ関連付けられたロータアセンブリ(例えばロータアセンブリ106)と整列させるために、ステータ空洞105(本明細書において単に空洞とも呼ばれる場合がある)を画定する。
【0020】
より詳細に、ステータアセンブリ111のステータ構成要素の各々は、長手方向軸150に沿って半径方向に整列されていて、また挟まれた/スタック構成で一緒に連結するように構成されている。図3に示す通り、ステータアセンブリ111のステータ構成要素は、第一の巻線ライナー110-1を含み、続いてステータスタック112および第二の巻線ライナー110-2を含む。ステータスタック112は、複数の積層を備えることができる。例えば、ステータスタック112は、互いに半径方向に整列した複数の鉄積層を備えることができる。
【0021】
第一および第二の巻線ライナー110-1、110-2は、巻線108がハウジング102内のロータアセンブリ106を中心として配列されるように、ステータ空洞105内のステータスタック112に対して事前定義された位置にて、巻線108を受容し、かつ保持するように構成されている。巻線108は、例えば銅または他の好適な材料を含むことができる。それ故に、ステータ構成要素は一緒に連結し、またステータ空洞105内に配置された半径方向に整列したステータアセンブリを集合的に提供する。
【0022】
図3に示す通り、ロータアセンブリは、106で集合的に示され、また106-1~106-4で個別には示されている。ロータアセンブリ106は、シャフト106-4と、シャフト106-4に同心に連結された複数の構成要素とを備える。具体的に、ロータアセンブリ106は、第一のベアリング106-1と、第二のベアリング106-2と、磁石106-3とを含み、各々がシャフト106-4に同軸かつ同心に連結されている。
【0023】
第一のベアリング106-1は、シャフト106-4の第一の端に配置されていて、また第一のロータレセプタクル104-1の中へと少なくとも部分的に挿入される。この目的のために、第一のベアリング106-1は、第一のロータレセプタクルの直径と実質的に同一である直径にサイズ設定/寸法設定されて、軸方向の遊び/傾斜なしに「ぴったり合う」ことを確実にする場合がある。
【0024】
第二のベアリング106-2は、シャフト106-4の第二の端に隣接して配置されている。第二のベアリング106-2は、第二のロータレセプタクル104-2の中に少なくとも部分的に挿入される。第二のベアリング106-2はまた、軸方向の遊びなしに第二のロータレセプタクル104-2の中に連結するように、サイズ設定/寸法設定される。
【0025】
磁石106-3は、シャフト106-4の回転が磁石106-3の回転を引き起こすように、例えば接着剤または他の取り付けアプローチを介して、シャフト106-4の中間点で固定的に連結されていることが好ましい。
【0026】
さらに示す通り、第二の巻線ライナー110-2には、ディフューザ114、ファン(またはインペラ)116、ハブ118、および第三のハウジング部分102-3が続く。第三のハウジング部分102-2はまた、シュラウドとも呼ばれる場合がある。
【0027】
図4を参照すると、および図3を追加的に参照すると、モータ100の断面図は、モータ100の構成要素が半径方向に整列され、かつ一緒に固定的に連結された後を示す。示す通り、シャフトボア(本明細書において単にボアとも呼ぶ)は、長手方向軸150に沿って整列するモータ100の各構成要素の開口/貫通穴によって集合的に形成され、ボアは端から端までの最大公称オフセット偏差を有する。
【0028】
モータボアの文脈における端から端までのオフセット偏差は本明細書において概して、半径方向/同心に整列した各穴/開口間の半径方向偏差の最大量を指す。例えば、第一のハウジング部分102-1と第二のハウジング部分102-2の開口/貫通穴間の50ミクロンの半径方向偏差/変位は、例えば他のモータ構成要素がより大きいずれ量を有しないと仮定して、少なくとも50ミクロンの端から端までのオフセット偏差を導入する。
【0029】
図4の例示的なボアは、好ましくは10~50ミクロン、10ミクロン+-5ミクロン、より好ましくは5ミクロン以下の端から端までのオフセット偏差を有する。本開示の態様および特徴は、ボアに対する端から端までのオフセット偏差がより小さいほど、モータ100の潜在的な動作寿命がより長いことを認識する。別の言い方をすると、モータ100のボアが本質的にゼロ偏差の開口部/ボア、例えば完全に同心のボアに近いほど、モータ100の理論的な寿命は、その長さに沿って均等な負荷を有するロータアセンブリ106のシャフト106-4に基づいて、より長い。同様に、シャフト106-4を、モータのボア内で同心に、例えば角度ずれなしで配置させることが望ましい。このアライメントはまた一般的に、モータのハウジング102に対するシャフト106-4の垂直アライメントとも呼ばれる。
【0030】
いずれにしても、本開示の一態様は、モータ100のボアに対してサブミクロンの端から端までのオフセット偏差を達成して、最大モータ寿命を延長し、またロータシャフトのずれによって生じるモータ構成要素の摩耗およびモータ音響を低減するか、またはそうでなければ軽減する。
【0031】
図5および図6は、電気モータのボアに対する前述のサブミクロンのオフセット偏差を達成するための一つの例示的なアプローチを実証する。示す通り、ロータアセンブリ106をモータ100のボアの中に挿入する前に、延長可能なマンドレル124を、引っ込めた位置付け/位置にして、延長可能マンドレル124がその中に挿入される。延長可能マンドレル124はまた、本明細書においてロータボアアライメント装置とも呼ばれる場合がある。延長可能なマンドレル124は、その全長に沿って実質的に均一な直径と、関連付けられたロータボアの長さ以上の全体的な長さとを有する細長いシャフトを有して形成されてもよい。延長可能マンドレル124のシャフトの直径は、全長に沿って+-10ミクロン以内にとどまることが好ましく、5ミクロン以下であることがより好ましい。
【0032】
示す通り、延長可能マンドレル124は、複数の延長可能部材、すなわち第一、第二、第三の延長可能部材(それぞれ126-1、126-2、126-3)を含む。延長可能マンドレル124は、所望の構成に依存して、より多くの延長可能マンドレル、またはより少ない延長可能マンドレルを含んでもよい。好ましくは、延長可能マンドレル124は、少なくとも一つの延長可能マンドレルを含む。
【0033】
各延長可能部材は、延長可能マンドレル124のシャフトに沿って所定の位置にて配置されている。示す通り、第1、第2、および第3の延長可能部材126-1、126-2、126-3の各々は、延長可能マンドレル124のシャフトに沿って異なる場所に配置されている。各延長可能部材の場所は好ましくは、モータ100の構成要素(複数可)と整列するように事前定義されていて、またより好ましくは、少なくとも第一のハウジング部分102-1、第二のハウジング部分102-2、およびステータアセンブリ111と整列するように事前定義されている。
【0034】
例えば、また図5に示す通り、延長可能マンドレル124は好ましくは、モータ100のボアの中に挿入されるように、かつモータ100の外面を係合する延長可能マンドレル124のフランジ128によってさらなる挿入を防止するように構成されている。従って、以下でより詳細に考察する通り、第一、第二、第三の延長可能部材126-1、126-2、126-3の各々は、延長可能マンドレル124がモータ100のボア内に配置される時、各延長可能部材をモータ100の標的構成要素と整列させる場所にて、延長可能マンドレル124に沿って所定の場所に配置されてもよい。
【0035】
延長可能マンドレル124は、作動部材(または配設)130およびスリーブ132をさらに含む。スリーブ132は、延長可能マンドレル124の長手方向軸に沿って直線的な様態で移動する摺動可能なセクションを含む。スリーブ132は、V字形状の溝134を形成する角度付きの面を画定することが好ましい。各V字形状の溝は、延長可能マンドレル124のシャフトを中心として半径方向に延長することが好ましい。各延長可能部材126-1~126-3は、関連付けられたV字形状の溝内に配置されている。次に、スリーブ132は、摺動可能に各V字形状の溝の幅を増大して、図5に示す通り、延長可能部材126-1~126-3が半径方向にシャフトから第一の距離D1まで延長するように、延長可能部材を引っ込めた位置付けに移行することを可能にする。第一の距離D1は、モータ100のボアの中への延長可能マンドレル124の摺動可能な挿入を可能にするように構成されてもよい。
【0036】
一方で、スリーブ132は次に、例えば延長可能マンドレル124のシャフトに沿った直線的な移動を介して、各V字形状の溝の幅を摺動可能に減少させてもよく、結果として、延長可能部材を「つまんで」変位させて、延長した位置/位置付けに移行させ、延長可能部材の変位は、延長可能部材に全体的な直径の増大を引き起こし、延長可能マンドレル124のシャフトから第二の距離D2へと半径方向外向きに延長させる。第一の距離D1は、好ましくは0~100ミクロン、より好ましくは10ミクロン未満あることが好ましい。好ましい一実施例において、引っ込めた位置付けにある延長可能部材を有する延長可能マンドレル124の全体的な直径はその後、約9.25mmであることが好ましい。第二の距離D2は、好ましくは500~800ミクロン、より好ましくは500+-100ミクロンあることが好ましい。好ましい一実施例において、延長した位置付けにある延長可能部材を有する延長可能マンドレル124の全体的な直径はその後、約9.7~10.0mmであることが好ましい。この好ましい実施例において、延長可能マンドレル124の外径は、延長可能マンドレル124の全長に沿って均一な様態で増大/減少し、これによって延長可能部材は、引っ込めた位置付けから延長した位置付けに移行する時、延長可能マンドレル124のシャフトから互いの+-5ミクロン以内の距離で延長し、その逆も可能である。
【0037】
各延長可能部材126-1~126-3は好ましくは、全体的な直径の前述の増大を可能にする弾性を有する材料を含み、それ故に延長によって、延長可能部材126-1~126-3の各々が、関連付けられたV溝によって結果として変位されている第二の距離D2に延長することを可能にする。同様に、延長可能部材126-1~126-3の材料の弾性は、延長可能部材が元の状態に戻り、全体的な直径を、例えばV溝の増大および幅に基づいて、第一の距離D1に減少することを可能にすることが好ましい。好適な弾性および剛性を有する一部のこうした例示的な材料としては、例えばニトリルブタジエンゴム(NBR)、カルボキシル化ニトリルブタジエンゴム(XNBR)、および/またはフルオロエラストマー(例えば、VITON(商標))が挙げられる。延長可能マンドレル124の全体的な直径を拡張するための他のアプローチは、本開示の範囲内であり、また提供された実施例は制限することを意図するものではないことに留意されたい。
【0038】
続いて、延長可能部材126-1~126-3の作動は、作動部材130の回転に基づいて起こることができる。図5に示す通り、作動部材130は、その回転に応答してスリーブ132の直線的な変位/移動を引き起こす、螺刻されたねじ/シャフトである。それ故に、作動部材130およびスリーブ132はまた、空気圧および油圧であってもよいだけでなく、ラックとピニオン配設であってもよく、ラックとピニオン配設は、作動部材130の回転運動をスリーブ132の直線運動に変換するように構成されている。
【0039】
それ故に、延長可能マンドレル124がモータ100のボアの中に挿入される時、延長可能マンドレル124は、例えば第一のハウジング部分102-1の側壁に底付けしているフランジ128に基づいて、事前定義された位置(またはアライメント位置)に到達する。事前定義された位置にて、第一の延長可能部材126-1は第一のハウジング部分102-1と整列することが好ましく、第二の延長可能部材126-2はステータアセンブリ111と整列することが好ましく、第三の延長可能部材126-3は第二のハウジング部分102-2と整列することが好ましい。
【0040】
次に、第一、第二、第三の延長可能部材126-1~126-3は、例えば作動部材130に固定的に連結し、かつその回転を引き起こす油圧構成要素(図示せず)に基づいて、延長した位置に移行されてもよい。これに応答して、スリーブ132は次に、例えば対応する各V溝の幅を低減することによって、延長可能部材を摺動可能に係合し、延長可能部材を摺動可能に変位する。
【0041】
これに応答して、第一、第二、第三の延長可能部材126-1~126-3は直径を増大させ、第二の距離D2に半径方向に延長する。第一、第二、第三の延長可能部材126-1~126-3の各々は、作動部材130に基づいて、実質的に同じ割合および距離で、同期した様態で延長することが好ましい。いずれにしても、第一、第二、第三の延長可能部材126-1~126-3が延長した位置に移行すると次に、延長可能マンドレル124のシャフトに対して、かつより重要なことにモータ100のボアに対して実質的に横断の方向に沿って力が加えられる。これに応答して、第一のハウジング部分102-1、ステータアセンブリ111、および第二のハウジング部分102-2の各々は、整列された第一、第二、第三の延長可能部材126-1、126-2、126-3が延長した位置に移行されることによって伝達される実質的に横断方向の力によって半径方向に変位する。
【0042】
特に、前述の半径方向変位は、第一および第二のハウジング部分102-1、102-2によって集合的に提供されたオフセットアライメント公差120(図4および図5を参照)によって少なくとも部分的に達成される。具体的に、第一および第二のハウジング部分102-1、102-2が一緒に連結することを可能にする相互係止セクションは、例えばオフセットアライメント公差120を提供するために、50~100ミクロンほどの事前定義された量の半径方向変位を可能にするように製造されることができる。それ故に、延長可能マンドレル124が延長した位置付けに移行する時、オフセットアライメント公差120は、第一および第二のハウジング部分102-1、102-2が、モータ100のボアに対して実質的に横断方向に延長する方向に沿って変位されることを可能にする。こうした変位の結果は、第一および第二のハウジング部分102-1、102-2の半径方向アライメントであり、このアライメントは、それらの間に集合的に形成されたボアのサブミクロンの半径方向アライメントを達成する(例えば、図6を参照)。
【0043】
特に、延長可能マンドレル124の延長可能部材は、第一および第二のハウジング部分102-1、102-2を互いに向かって変位させる圧縮/締付力も導入することができ、これによって第一および第二のハウジング部分102-1、102-2の相互係止部分が、例えばそれらの間に形成されたギャップなしに互いに直接連結することを確実にすることによって、モータ100のボアの角度アライメントが達成される。
【0044】
第一および第二のハウジング部分102-1、102-2が延長可能マンドレル124によって前述のサブミクロンの半径方向アライメントにされた後、第一および第二のハウジング部分102-1、102-2は、接着剤および/または係止装置を介して互いに固定的に連結されてもよい。例えば、接着剤は、第一のハウジング部分102-1と第二のハウジング部分102-2の間の界面を形成する表面上に配置されてもよい。別の方法として、または接着剤に加えて、ボルト(例えば、金属ボルト/ロッド)またはねじが、第一および第二のハウジング部分102-1、102-2を通して挿入されてもよい。ねじを利用するシナリオにおいて、ねじは、ハウジング部分を貫通するためのセルフタッピングヘッドを随意に含むことができる。
【0045】
第一および第二のハウジング部分102-1、102-2を互いに固定的に連結した後、延長可能マンドレル124は、例えば作動部材130の回転に基づいて、引っ込めた位置付けに戻るように移行されてもよい。延長可能マンドレル124は次に、モータ100のボアから抜き出されてもよい。
【0046】
図7に示す通り、ロータアセンブリ106のシャフト106-4は、少なくとも第一および第二のステップ特徴部134-1、134-2を含む複数のステップ(または肩部)特徴部を含むことができる。第一のステップ特徴部134-1は、シャフト106-4の端が、インペラ116の開口/貫通穴の中に挿入され、第一のステップ134-1に対して「底付けする」ことを可能にする。それ故に、第一のステップ特徴部134-1は、ファンが前述のシャフト106-4との垂直アライメントを達成することを可能にする機械的停止部として動作することができる。
【0047】
第二のステップ特徴部134-2は、モータ100内の対応する溝を係合するように、かつモータ100のボアの中へのさらなる挿入を防止するように構成された突出部を含む。例えば、図8および図9に示す通り、ロータアセンブリ106は、モータ100のボアの中に挿入される。次に、第二のステップ特徴部134-2は、第二のハウジング部分102-2の溝136を係合し、これは、ロータアセンブリ106のさらなる挿入を防止するために機械的停止部として機能する。それ故に、ロータアセンブリ106の第二のステップ特徴部134-2および第二のハウジング部分102-2の溝136は、ロータアセンブリ106が、好ましくは単に底付けすることによって、モータ100のボア内の事前定義された位置に挿入されることを確実にする。それ故に、ロータアセンブリ106の垂直アライメント、およびモータ100のボア内の事前定義された場所への挿入は、ロータアセンブリ106の第一および第二のステップ特徴部134-1、134-2によって提供された機械的停止部によって達成されることができる。
【0048】
図10Bに示す通り、ベアリングの予負荷は、本開示と一致するばね式ベアリングスリーブを介して達成されてもよい。示す通り、モータ100のボア、より具体的に第一のベアリングレセプタクル104-1は、ベアリングスリーブ138によって少なくとも部分的に提供されている。ベアリングスリーブ138は、ロータアセンブリ106の第一のベアリング106-1の少なくとも一部分を受容する直径を含む。
【0049】
次に、図10Aにより明確に示す通りの係止キャップ140は、例えば係止キャップ140の螺刻された部分およびベアリングスリーブ138の対応する螺刻されたスロットに基づいて、半径方向および軸方向に整列した位置付けでベアリングスリーブ138に連結する。係止キャップ140は、ロータアセンブリ106およびモータ100のボアに対して実質的に横断方向に延長する環状ディスクを提供する。示す通り、波形座金などのばね装置142が、第一のハウジング部分102-1の側壁と、係止キャップ140の環状ディスクを画定する表面との間に配置される。さらに示す通り、第一のハウジング部分102-1、より具体的に、その側壁は、ばね装置142を係止キャップ140と整列して受容および保持するための閉じ込め凹部を画定する。
【0050】
次に、ばね装置142は、ロータアセンブリ106の長手方向軸およびモータ100のボアと実質的に平行に、かつモータ100から実質的に離れる方向に沿って延長する軸に沿ってばね付勢力を提供する。それ故に、このばね付勢力は、第一のベアリング106-1に予負荷を導入するために、ベアリングスリーブ138を「引っ張る(または引き離す)」。
【0051】
ベアリングスリーブ138は、熱膨張係数が、第一のハウジング部分102-1を形成する材料の熱膨張係数よりも小さい材料を含むことができる。それ故に、例えばモータ100の動作中に生成された熱に基づいて、第一のハウジング部分102-1の膨張が、第一のベアリング106-1のずれを引き起こすことなく、モータ100のボアと実質的に平行な方向に発生する可能性がある。代わりに、ベアリングスリーブ138は、第一のベアリング106-1に対して圧力/力を維持するが、これは一般的に、ロータアセンブリ106を係止キャップ140に向かって「引っ張る」力として理解されることができる。しかしながら、ロータアセンブリ106は、半径方向に整列したままであり、また例えば第二のハウジング部分102-2の溝136を係合する第二のステップ特徴部134-2に基づいて、モータ100のボア内に固定される。
【0052】
図11図13は、図3のディフューザ114の一実施形態を単独で示す。示す通り、ディフューザ114は、ロータアセンブリ106のシャフトが長手方向軸150に沿ってそれを通して延長することを可能にする、開口部/開口146を画定する円筒状本体144を含む(図1および図3を参照)。ディフューザ114は、円筒状本体144と同心に配置された、かつそれを囲むバンド148(またはリム)をさらに備える。バンド148は、長手方向軸150と実質的に平行に延長する側壁を含む。バンド148は、円筒状本体144の第一の端152-1に隣接して配置されている。
【0053】
ディフューザ114は、円筒状本体144から半径方向に延長する複数のフィン154をさらに画定する。複数のフィン154はまた本明細書において、湾曲した排気フィンまたは排気フィンとも呼ばれる場合がある。こうしたフィンは、図11図13に示す通りの湾曲したプロファイルを必ずしも含まなくてもよく、また所望の構成に依存して他の形状およびプロファイルを含むことができる。
【0054】
複数のフィン154の各フィンは、長手方向軸150に対して実質的に横断する方向に沿って円筒状本体144の第一の端152-1から延長する第一の部分に基づいて、円筒状本体144をバンド148に隣接させ、また第二の部分156は、バンド148から延長し、かつ円筒状本体144の第二の端152-2に隣接する位置へとテーパ状になる。それ故に、バンド148は、湾曲した排気フィンを部分的にのみ包含/包囲し、これによって排気フィンの各々のテーパ付きセクション(例えば、156で概して示される)は、空気に曝露され、かつ排気のためのブレード様(または翼)構造を形成する。
【0055】
図13に示す通り、複数のフィン154は、概して158で示された複数の空気偏向チャネルをさらに画定する。図13に示す通り、ディフューザ114は、こうした空気偏向チャネル158のうちの少なくとも三つを画定する。空気偏向チャネル158は、長手方向軸150と実質的に横断方向に延長するエアジェットを生成するように構成されていて、これによって、生成されたエアジェットは、モータ100内の巻線108および/またはロータアセンブリ106を横切って冷却を誘発する(図1および図4を参照)。これは有利なことに、モータ100内のコア構成要素のための冷却を導入し、また動作寿命を延長することができ、熱膨張を制限することができ、かつ冷却されていないモータ構成と比較して、より長い期間にわたってモータ100が公称電力を維持することを可能にすることができる。
【0056】
図14図15は、図3の第三のハウジング部分102-3を単独で示す。第三のハウジング部分102-3はまた、シュラウドとも呼ばれる場合がある。示す通り、第三のハウジング部分102-3の一端は、ハウジング102(図10B)内に空気を受容するための開口199を画定する。
【0057】
図16図18は、図1図4のモータ100および/または図23Aのモータ100’での使用に好適な別の例示的な実施形態のディフューザ214を集合的に示す。ディフューザ214は、モータ内にエアジェットを生成するために、上記で考察したディフューザ114のものと同様に構成することができ、その記述は簡潔のために繰り返さない。
【0058】
しかしながら、また図16図18に示す通り、ディフューザ214は外側リム/バンド148を含まない(図11を参照)。本開示は、ディフューザの周りのリム/バンド148を省略することが、以下でより詳細に考察する通り、関連付けられたフィンの表面に沿った本流を横切る気流の形成、例えば渦形成の可能性、およびモータのハウジング内の望ましくない空気再循環の可能性を低減することによって、ディフューザ214の空気力学的性能を向上させることを明らかにした。
【0059】
示す通り、ディフューザ214は、ロータアセンブリ106のシャフトが長手方向軸150に沿ってそれを通して延長することを可能にする、開口部/開口246を画定する円筒状本体244を含む(図3を参照)。円筒状本体244はまた本明細書において、ディフューザ本体または単に本体とも呼ばれる場合がある。
【0060】
ディフューザ214は、円筒状本体244から半径方向に延長する複数のフィン254をさらに画定し、これによって複数のフィン254は、開口部246を通して延在する時、ロータアセンブリ106に対して実質的に横断方向に延長する。複数のフィン254を、円筒状本体244の直径の周りに均一に分配することができ、また各フィン間の均一な距離を含むことが好ましい。フィン254はまた本明細書において、湾曲した排気フィンまたは単に湾曲したフィンと呼ばれる場合がある。
【0061】
複数のフィン254は、単一のモノリシック材料片としての円筒状本体244で形成されていることが好ましい。例えば、円筒状本体244およびフィン254は、複合材料および/または熱硬化性プラスチックの単一片から形成されてもよい。しかしながら、本開示は、必ずしもこの点について限定されるものではなく、また円筒状本体244およびフィン254は、同じ材料または異なる材料を含む別個の部品として形成されてもよい。
【0062】
図16および図17に示す通り、複数のフィン254の各フィンは、湾曲したプロファイルを含み、また円筒状本体244から全体的な長さL1まで半径方向に延長することが好ましい。全体的な長さL1は、好ましくは4~6mm、より好ましくは少なくとも5mmの距離である。一つの例示的な構成において、全体的な長さL1は、円筒状本体244の半径R1の10%~50%の長さである。
【0063】
複数のフィン254の各フィンは、第一の端272-1から第二の端272-2に延長する上面および底面270-1、270-2を含む。上面および底面270-1、270-2は、互いに反対向きに配置されていて、また円筒状本体244の第一の端を画定する上面252に対して所定の角度(θ)で延長する(図17を参照)。所定の角度(θ)は、好ましくは25~50度、より好ましくは30~35度の角度である。
【0064】
複数のフィン254の各フィンは、第一の端272-1から第二の端272-1に、H2の全体的な高さまで延長することが好ましい。全体的な高さH2は、13~16mmであることが好ましい。一つの例示的な構成において、全体的な高さH2は、円筒状本体244の全体的な高さH1と等しいか、またはそれよりも大きい高さである。好ましくは、全体的な高さH1は、9~10mmである。
【0065】
図17に示す通り、複数のフィン254の各フィンは、円筒状本体244の第一の端を画定する上面252と実質的に同一平面上の遠位表面を有する第一の端272-1を含むことが好ましい。複数のフィン254の各フィンは、円筒状本体244の第二の端を画定する底面257を超えて延長する第二の端272-2をさらに含むことが好ましい。
【0066】
複数のフィン254の各フィンの第一の端272-1から第二の端272-2までの幅W1(図16)は、一方の端または両端にてテーパを提供するように変化することが好ましい。複数のフィン254の各フィンの幅W1は、例えば1~2mmの長さであることができる。複数のフィン254の各フィンのそれぞれの全長に沿った幅W1は、各フィンが円筒状本体244から延長する全体的な長さL1の最大10~25%(0.1~0.25)の長さであることがより好ましい。それ故に、長さL1に対する各フィンの幅W1の比は、0.2:1.0~0.25:1.0とすることができるものの、他の比も本開示の範囲内である。従って、複数のフィン254の各フィンは、動作中に空気を変位させ、かつ空気をモータの中に拡散させるためのブレード様構造を提供することができる。
【0067】
上述の通り、図16図18に示すディフューザ214は、リム/バンド148を含まないリムなしの構成を含む(図11を参照)。それ故に、複数のフィン254の各フィンは、隣接するリム構造に連結しない円筒状本体244に対して遠位の部分を含むことができる。別の言い方をすると、複数のフィン254の各フィンは、円筒状本体244に近接する各フィンの領域に沿って円筒状本体244に連結し、これによって円筒状本体244に対して遠位の、各フィンの遠位端は完全に/全体的に(例えば空気に)曝露されることが好ましい。図17に示す通り、これは、表面259によって提供された遠位端を含むことができ、これは、第一および第二の表面270-1、270-2に対して実質的に横断方向に延長し、かつそれらに隣接し、空気に(完全に)曝露される。
【0068】
それ故に、空気はその後、第一および/または第二の表面270-1、270-2に沿って、各フィンの第一の端272-1から第二の端272-2まで延長する第一の方向に流れてもよく、また第一の方向に対して横断方向である第二の方向にも流れてもよく、例えばリム148を画定する表面によって妨害/邪魔されることなく、円筒状本体244から離れるように半径方向外向きに空気が流れることを可能にする(図11を参照)。これは有利なことに、モータのハウジング内で再循環/停滞する空気の全体的な量を低減することができる渦形成を最小化するか、またはそうでなければ低減することによって、空気力学的性能を向上させる場合がある。
【0069】
図19図20は、本開示の態様と一致する、例示的な第三のハウジング部分102-3’を示す。第三のハウジング部分102-3’は、図1のモータ100および/または図23Aのモータ100’とともに、第三のハウジング部分102-3/2302-3として利用されることができる。第三のハウジング部分102-3’はまた本明細書において、シュラウドとも呼ばれる場合がある。
【0070】
第三のハウジング部分102-3’は、内側空洞1904を画定するドーム形状のプロファイルを含むことが好ましい。第三のハウジング部分102-3’は、他の形状/プロファイルを含むことができ、また図19図20に示す実施例は限定することを意図しない。
【0071】
第三のハウジング部分102-3’は、内側空洞1904と連通する端にて開口1906をさらに画定する。開口1906は、モータに連結された時、開口199を提供することができることに留意されたい(図10Bを参照)。第三のハウジング部分102-3’は、第一、第二、第三のステップ特徴部1902-1、1902-2、1902-3としてそれぞれ示された、複数の肩部/ステップ特徴部をさらに提供することが好ましい。図19図20に示すステップ特徴部の具体的な数は、限定することを意図せず、また望ましい構成に依存して、より多い、またはより少ないステップ特徴部を利用してもよい。
【0072】
以下でより詳細に考察する通り、一つ以上のこうしたステップ特徴部は、第三のハウジング部分102-3、ロータアセンブリ106、およびファン/インペラ116の間に形成されたギャップを介してモータ100に空気が出入りするのを阻止するために、一つ以上のシーラント装置(本明細書においてシール装置とも呼ばれる)の挿入を可能にする機械的停止部として利用されてもよい。
【0073】
図22Aは、内側側壁2256によって画定された空洞2204を含む例示的な第三のハウジング部分2202-3の断面図を示す。空洞2204は、第三のハウジング部分2202-3がモータに連結されている時に、インペラ風損チャンバを少なくとも部分的に画定してもよい。例示的な第三のハウジング部分2202-3は、例えば図1およびz23Aのモータ100および/またはモータ100’内で利用されてもよい。
【0074】
さらに示す通り、内側側壁2256は、空洞2204の中に延長する複数のリブレット/突出部2258を画定する。複数のリブレット2258のリブレット/突出部の各々は、互いに対して実質的に平行に延長し、かつ好ましくは空洞2204の内径全体に沿ってらせんパターンを形成する。
【0075】
第三のハウジング部分2102-3がモータに連結されている時、複数のリブレット2258は、モータの長手方向軸、例えばモータ100の長手方向軸150(図4を参照)と実質的に平行に延長する方向に沿って空気を案内するように角度が付けられていることが好ましい。それ故に、複数のリブレット2258はまた、モータ100内のインペラ圧縮チャンバの少なくとも一部分を画定することができる。複数のリブレット2258は、第三のハウジング部分2202-3と同じ材料(ABSプラスチックなど)、または異なる材料(ポリフェニレンサルファイド(PPS)もしくは鋼など)から形成されることができる。
【0076】
図22Aに、および図22Bの部分分解図にさらに示す通り、第三のハウジング部分2202-3は、第一のシールインサート2262を含むことができる。第一のシールインサート2262は、発泡体材料などの変形可能な材料から形成されていることが好ましいものの、第一のシールインサート2262のための他の材料(ゴムなど)も本開示の範囲内である。例えば、第一のシールインサート2262は、ポリテトラフルオロエチレン、ゴム、および/またはナイロンを含んでもよい。
【0077】
第一のシールインサート2262は、本体から半径方向に延長する複数の環状リング/突出部2280を含むことが好ましい。突出部2280はまた、本明細書においてOリングとも呼ばれる場合がある。複数の環状リング2280は、図22Aに示す通り第三のハウジング部分2202-3によって画定された、対応する溝2278の中に延長するように構成されていることが好ましい。こうした溝の一つの例は、図21の断面図で溝2178としてより明瞭に示されている。
【0078】
別の方法として、第一のシールインサート2262は、環状リング/突出部2280を必ずしも含まないリングとして実装されてもよい。例えば、また図22Cに示す通り、第一のシールインサート2262’は、実質的に滑らかな外面を含むことができる。第一のシールインサート2262’は、例えば第三のハウジング部分2202-3が溝2278を含まない時に、利用されてもよい。
【0079】
いずれにしても、次に第一のシールインサート2262’は有利なことに、例えば開口2206を画定する表面に隣接して第三のハウジング部分2202-3の遠位端/リップ(図22Aを参照)にて軸方向シール2244を提供してもよく、および/または環状突出部2280(図22Bを参照)に基づいて半径方向シールを提供してもよい。
【0080】
図23A図23Bを参照すると、別の例示的なモータ100’が本開示の態様に従って示されている。モータ100’は、モータ100のものと実質的に同様に構成されてもよく、その教示は等しく適用可能であり、簡潔のために繰り返さない。特に、モータ100’はまた、例えば上述の通りの延長可能マンドレル124を利用する、関連付けられたロータアセンブリのためのサブミクロンの半径方向アライメントを含むことができる。
【0081】
しかしながら、また示す通り、モータ100’は、集合的に2302として示された、かつ個別にそれぞれ第一、第二、第三のハウジング部分2302-1、2302-2、2302-3として示されたハウジングを含み、それらは一つ以上の圧力調整弁2390を含む。
【0082】
一つ以上の圧力調整弁2390は、第三のハウジング部分2302-3に沿って配置されていることが好ましく、またインペラ風損/圧縮チャンバ2392に近接する第三のハウジング部分2302-3の場所に配置されていることがより好ましい(図23Cを参照)。
【0083】
一つ以上の圧力調整弁2390の各圧力調整弁は、第三のハウジング部分2302-3から離れるように延長するノズルを含むことができる。各ノズルは、図23A図23Cに示す通り、第三のハウジング部分2303-3から半径方向に延長することが好ましい。各ノズルは、示す通り、関連付けられたホース/チューブとの摩擦嵌めを可能にするために返しが付いたプロファイルを含むことができるものの、他のノズルプロファイルも本開示の範囲内である。
【0084】
図23Cは、本開示の一実施形態による、図23Bの線C-Cに沿って取られたモータ100’の断面図を示す。
【0085】
示す通り、一つ以上の圧力調整弁2390の各弁は、第三のハウジング部分2303-3から延長する、かつ入口を画定する第一の端を含む。入口は、弁アクチュエータ2391と流体的に連通する。弁アクチュエータ2391は、例えば通路2394内の空気圧力が所定の閾値を下回って低下することに基づいて、通路2394を入口と選択的に流体的に連結する。所定の閾値は、インペラ風損チャンバ2392内の圧力を標的圧力に維持するように選択されてもよい。例えば、標的圧力は、ほぼ大気圧+-10PSIであってもよく、従って弁アクチュエータ2391は、通路2394内の空気圧力が、例えば第一の所定の圧力値である-15PSIを下回って低下することに基づいて開くように構成されてもよい。
【0086】
特に、モータ100’の遠位端(例えば、開口2399に隣接する)に配置されている通路2394は、インペラ風損チャンバ2392に対して、インペラ2316の肩部2398に沿って圧力差を導入することを可能にする。従って、弁アクチュエータ2391は、肩部2398に沿って圧力差を誘導し、これによってその近位の空気圧力は、インペラ風損チャンバ2392内の空気圧力よりも大きいように構成される場合がある。こうした一つの例示的な差異は、インペラ2316の肩部2398に近接した空気圧力を含み、インペラ風損チャンバ2392内の空気圧力よりも少なくとも0.1~0.2%高い。
【0087】
第一のシールインサート2262は、例えばインペラ2316を画定する表面を有する気密シールを提供し、モータ100’の外側からの空気の連通がインペラ2316の肩部2398の中に入るのを防止することが好ましい。従って、空気はその後、インペラ2316の肩部2398に沿って再循環することを実質的に防止され、その代わりにハウジング2302内のモータ100’の構成要素に向けられてもよい(図23Aを参照)。
【0088】
図23Cにさらに示す通り、ディフューザ2314は、図16および図17に関して上述の通り、リムなしの構成を含むことができる。これは、モータ100’を通る気流をさらに増加させてもよく、また空気再循環を最小化するか、または別の方法で空気再循環を低減してもよい。従って、モータ100’は次に、モータ100’内のステータアセンブリで生成された熱を除去することによって、増加した気流に基づいて、より高い全体的な効率を達成する場合がある。
【0089】
一態様によると、製造中に電気モータのセクションを整列させる方法が開示されている。方法は、第一のハウジング部分と第二のハウジング部分の間にステータアセンブリを連結して、それを通して延長するロータボアを集合的に提供することと、ロータボアの中に延長可能マンドレルを挿入することであって、延長可能マンドレルが、引っ込めた位置と延長した位置とを有し、引っ込めた位置が、ロータボアのための直径と実質的に等しいかまたはそれ未満の外径を延長可能マンドレルに提供して、ロータボアの中への挿入を可能にする、挿入することと、第一のハウジング部分、第二のハウジング部分、およびステータアセンブリを互いに対して半径方向に変位させるために、延長可能マンドレルを延長した位置に移行させることであって、これによってそれを通して延長するロータボアが50ミクロン未満、より好ましくは10ミクロン未満の端から端までの軸方向オフセット偏差を有する、移行させることと、ロータボア内で延長した位置に延長可能マンドレルを移行させることに続いて第一および第二のハウジング部分を互いに固定することであって、これによって、延長可能マンドレルがロータボアから取り外された後、ロータボアが端から端までの軸方向オフセット偏差を維持する、固定することとを含む。
【0090】
方法は、延長可能マンドレルをロータボアの中に挿入することをさらに含むことができ、延長可能マンドレルをロータボア内の事前定義された位置に挿入することをさらに含む。延長可能マンドレルを事前定義された位置に挿入することは、第一のハウジング部分または第二のハウジング部分の外部側壁に対して、延長可能マンドレルのフランジを底付けすることをさらに含むことができる。
【0091】
方法において、延長可能マンドレルを事前定義された位置に挿入することは、延長可能マンドレルの延長可能部材を第一のハウジング部分、ステータアセンブリ、および第二のハウジング部分の各々と整列させることをさらに含むことができる。方法において、延長可能マンドレルを延長した位置に移行することは、整列させた複数の延長可能部材に基づいて、第一のハウジング部分、ステータアセンブリ、および第二のハウジング部分の軸方向変位を引き起こすことが好ましい。本方法において、第一および第二のハウジング部分を互いに固定することは、接着剤を第一のハウジング部分と第二のハウジング部分の間の界面上に配置することをさらに含むことができる。方法において、第一および第二のハウジング部分を互いに固定することは、それらの間にねじを挿入することをさらに含むことができる。
【0092】
本開示の別の態様によると、電気モータが開示されている。電気モータは、ロータアセンブリの第一の端を受容し、かつこれに連結する第一のロータレセプタクルを画定する第一のハウジング部分と、ロータアセンブリの第二の端を受容し、かつこれに連結するための第二のロータレセプタクルを画定する第二のハウジング部分とであって、第一のハウジング部分および第二のハウジング部分が一緒に連結するように、かつロータアセンブリを受容するためにロータボアを集合的に提供するように構成された、第一のハウジング部分および第二のハウジング部分と、ロータボア内に配置されたロータアセンブリであって、シャフト、ならびにシャフトに沿って同心に連結された第一および第二のベアリングを備え、第一のベアリングが第一のハウジング部分のロータレセプタクル内に配置されていて、第二のベアリングが第二のハウジング部分のロータレセプタクル内に配置されている、ロータアセンブリとを備える。
【0093】
電気モータは、第一のロータレセプタクル内に配置されたスリーブであって、第一のベアリングの少なくとも一部分を受容するための開口を画定するスリーブと、半径方向にスリーブと整列し、かつ連結された係止キャップであって、ロータアセンブリに対して実質的に横断方向に延長する環状ディスクを提供する係止キャップと、第一のハウジング部分と環状ディスクの間に配置されたばねであって、ロータアセンブリと実質的に平行で、かつ第一のハウジング部分から離れる方向にばね力を提供し、ばね力が第一のベアリングを予負荷する、ばねとをさらに含むことができる。
【0094】
電気モータにおいて、第一のハウジング部分は、第一の熱膨張係数を有する第一の材料を含むことができ、またスリーブは、第二の熱膨張係数を有する第二の材料を含むことができ、第二の熱膨張係数は、第一の熱膨張係数よりも小さい。電気モータにおいて、第二のハウジング部分は、ロータボアに隣接する溝を含むことができ、溝は、ロータアセンブリのステップ特徴部を係合し、ロータアセンブリのさらなる挿入を防止する。電気モータにおいて、ばねはばね座金を備えることができ、また第一のハウジング部分の外部側壁によって画定された閉じ込め凹部内にばね座金が配置されていることが好ましい。
【0095】
本開示の一態様によると、電気モータが開示されている。電気モータは、ロータアセンブリの第一の端を受容し、かつこれに連結する第一のロータレセプタクルを画定する第一のハウジング部分と、ロータアセンブリの第二の端を受容し、かつこれに連結するための第二のロータレセプタクルを画定する第二のハウジング部分とであって、第一のハウジング部分および第二のハウジング部分が一緒に連結するように、かつロータアセンブリを受容するためにロータボアを集合的に提供するように構成された、第一のハウジング部分および第二のハウジング部分と、ロータボア内に配置されたロータアセンブリであって、シャフト、ならびにシャフトに沿って同心に連結された少なくとも第一のベアリングを備え、第一のベアリングが第一のハウジング部分の第一のロータレセプタクル内に、または第二のハウジング部分の第二のロータレセプタクル内に配置されていて、シャフトおよび第一のベアリングが、10ミクロン未満の端から端までのオフセット偏差を有する第一および第二のハウジング部分によって集合的に提供されたロータボアに基づいて互いに半径方向に整列されている、ロータアセンブリとを備える。
【0096】
本開示の別の態様によると、電気モータの複数のハウジング部分によって集合的に提供されたボアの半径方向アライメントのためのロータボアアライメント装置が開示されている。ロータボアアライメント装置は、シャフトを備え、シャフトは、シャフトに沿って事前定義された場所に配置された少なくとも一つの延長可能部材を有し、その少なくとも一つの延長可能部材を引っ込めた位置付けから延長した位置付けに選択的に移行し、引っ込めた位置付けは、少なくとも一つの延長可能部材をシャフトから第一の距離D1に半径方向に延長させ、また延長した位置付けは、少なくとも一つの延長可能部材を、シャフトから第二の距離D2に半径方向に延長させ、第二の距離D2は第一の距離D1よりも大きく、またシャフトは、ボアの中へと事前定義された位置まで摺動可能に連結するように構成されていて、事前定義された位置は、少なくとも一つの延長可能部材を少なくとも第一のモータ構成要素と整列するためのものであり、これによって延長した位置付けへの少なくとも一つの延長可能部材の移行が、電気モータの第一のモータ構成要素と第二のモータ構成要素との半径方向アライメントを引き起こす。
【0097】
本開示の一態様によると、電気モータとともに使用するディフューザが開示されている。ディフューザは、ロータアセンブリのシャフトがそれを通して延長することを可能にする開口部を画定する円筒状本体と、円筒状本体から半径方向に延長する複数の湾曲した排気フィンとを備える。
【0098】
本開示の原理は本明細書に記載されているが、本記述は例としてのみ記載されていて、本開示の範囲を限定するものではないことが当業者によって理解されるべきである。他の実施形態は、本明細書に示され、かつ記述された例示的な実施形態に加えて、本開示の範囲内で意図される。電気モータが、本明細書に包含された特徴のうちの任意の一つ以上を具体化してもよいことと、特徴が任意の特定の組み合わせまたは下位組み合わせで使用されてもよいこととは当業者によって理解されるであろう。当業者による修正および置換は、本開示の範囲内であると考えられ、これは特許請求の範囲を除き、限定されるべきではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22A
図22B
図22C
図23A
図23B
図23C
【国際調査報告】