(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-07
(54)【発明の名称】組織の電気刺激
(51)【国際特許分類】
A61N 1/36 20060101AFI20230131BHJP
【FI】
A61N1/36
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022515584
(86)(22)【出願日】2020-09-10
(85)【翻訳文提出日】2022-03-16
(86)【国際出願番号】 IL2020050995
(87)【国際公開番号】W WO2021048854
(87)【国際公開日】2021-03-18
(32)【優先日】2019-09-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】522090006
【氏名又は名称】エスキュア アドバンスド メディカル デバイシーズ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】ベン イェシャ,イツハク
(72)【発明者】
【氏名】ナホム,ツヴィ
【テーマコード(参考)】
4C053
【Fターム(参考)】
4C053JJ02
4C053JJ03
4C053JJ05
4C053JJ06
4C053JJ21
(57)【要約】
神経群を刺激するための方法である。この方法は、被験者の皮膚と接触して、少なくとも1つの電極を配置することと、少なくとも1つの電極を通って、被験者に電気信号を適用することであって、電気信号は、一連のパルスを含む、適用することと、次の信号パラメータ:(i)パルスの各々の持続時間、(ii)パルスの各ペア間の時間間隔、および(iii)パルスの各々のエネルギー値、のうちの少なくとも1つを、電気信号の1秒当たりのパルス数を所定の、1秒当たりの最小パルス数より上に維持し、かつ1パルス当たりのエネルギー値を所定の最小エネルギー値より上に維持しながら、連続的にランダムに変化させることと、を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置であって、
被験者の皮膚と接触して配置されるように構成された少なくとも1つの電極を備える電気刺激装置と、
前記少なくとも1つの電極を通って、前記被験者に適用するための電気信号を提供するように構成された信号発生器であって、前記電気信号は、一連のパルスを含む、信号発生器と、
次の信号パラメータ:
(i)前記パルスの各々の持続時間、
(ii)パルスの各ペア間の時間間隔、および
(iii)前記パルスの各々のエネルギー値、
のうちの少なくとも1つを、前記電気信号の1秒当たりのパルス数を所定の、1秒当たりの最小パルス数より上に維持し、かつ1パルス当たりの前記エネルギー値を所定の最小エネルギー値より上に維持しながら、連続的にランダムに変化させるように構成された制御プロセッサと、を備える、装置。
【請求項2】
前記パルスの各々の前記持続時間は、所定の持続時間範囲内にある、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記電気信号は、実質的に等しい数の正極性パルスおよび負極性パルスを含む、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記電気信号によって前記被験者に送達される総電荷は、実質的にゼロに等しい、請求項1~3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記所定の、1秒当たりの最小パルス数は、100であり、前記所定の最小エネルギー値は、0.005マイクロジュールであり、前記持続時間は、0.05ミリ秒~0.25ミリ秒である、請求項1~4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記所定の、1秒当たりの最小パルス数は、150であり、前記所定の最小エネルギー値は、1マイクロジュールであり、前記持続時間は、0.5ミリ秒~1ミリ秒である、請求項1~5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記1秒当たりの最小パルス数は、250であり、前記最小エネルギー値は、0.5マイクロジュールであり、前記持続時間範囲は、0.25ミリ秒~0.5ミリ秒である、請求項1~6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記所定の最小エネルギー値は、2マイクロジュールであり、前記持続時間は、1ミリ秒~2.5ミリ秒である、請求項1~7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記所定の最小エネルギー値は、10マイクロジュールであり、前記持続時間は、2.5ミリ秒~10ミリ秒である、請求項1~8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記制御プロセッサは、前記信号パラメータのすべてを連続的にランダムに変化させるように構成されている、請求項1~9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記一連のパルスは、個別のパルスを含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
前記信号は、正弦、方形、および三角形からなる群から選択される波形を有する、請求項1~11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
前記制御プロセッサは、前記信号パラメータのパターンを、所定の時間持続時間内に1回だけ繰り返すように構成されている、請求項1~12のいずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
前記所定の時間持続時間は、0.2秒である、請求項13のいずれか一項に記載の装置。
【請求項15】
前記電気信号は、確率論的AC信号である、請求項1~14のいずれか一項に記載の装置。
【請求項16】
前記少なくとも1つの電極は、少なくとも2つの電極を含む、請求項1~15のいずれか一項に記載の装置。
【請求項17】
前記少なくとも1つの電極は、前記被験者の無傷の皮膚と接触して配置される、請求項1~16のいずれか一項に記載の装置。
【請求項18】
前記少なくとも1つの電極は、前記皮膚の創傷の近くに、前記被験者の皮膚と接触して配置される、請求項1~17のいずれか一項に記載の装置。
【請求項19】
前記少なくとも1つの電極は、少なくとも2つの電極を含み、前記少なくとも2つの電極は、前記皮膚の創傷の2つの対向する側に配置されるように構成されている、請求項1~18のいずれか一項に記載の装置。
【請求項20】
前記少なくとも1つの電極は、酸素化障害を患っている部位で前記被験者の皮膚と接触して配置される、請求項1~19のいずれか一項に記載の装置。
【請求項21】
前記少なくとも1つの電極は、脊髄につながる求心性軸索の上流に配置される、請求項1~20のいずれか一項に記載の装置。
【請求項22】
神経群を刺激するための方法であって、前記方法は、
被験者の皮膚と接触して、少なくとも1つの電極を配置することと、
前記少なくとも1つの電極を通って、前記被験者に電気信号を適用することであって、前記電気信号は、一連のパルスを含む、適用することと、
次の信号パラメータ:
(i)前記パルスの各々の持続時間、
(ii)パルスの各ペア間の時間間隔、および
(iii)前記パルスの各々のエネルギー値、
のうちの少なくとも1つを、前記電気信号の1秒当たりのパルス数を所定の、1秒当たりの最小パルス数より上に維持し、かつ1パルス当たりの前記エネルギー値を所定の最小エネルギー値より上に維持しながら、連続的にランダムに変化させることと、を含む、方法。
【請求項23】
前記パルスの各々の前記持続時間は、所定の持続時間範囲内にある、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記電気信号は、実質的に等しい数の正極性パルスおよび負極性パルスを含む、請求項22または23に記載の方法。
【請求項25】
前記電気信号によって前記被験者に送達される総電荷は、実質的にゼロに等しい、請求項22~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記所定の、1秒当たりの最小パルス数は、100であり、前記所定の最小エネルギー値は、0.005マイクロジュールであり、前記持続時間は、0.05ミリ秒~0.25ミリ秒である、請求項22~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記所定の、1秒当たりの最小パルス数は、150であり、前記所定の最小エネルギー値は、1マイクロジュールであり、前記持続時間は、0.5ミリ秒~1ミリ秒である、請求項22~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記1秒当たりの最小パルス数は、250であり、前記最小エネルギー値は、0.5マイクロジュールであり、前記持続時間範囲は、0.25ミリ秒~0.5ミリ秒である、請求項22~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記所定の最小エネルギー値は、2マイクロジュールであり、前記持続時間は、1ミリ秒~2.5ミリ秒である、請求項22~28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記所定の最小エネルギー値は、10マイクロジュールであり、前記持続時間は、2.5ミリ秒~10ミリ秒である、請求項22~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記信号パラメータのすべてを連続的にランダムに変化させることを含む、請求項22~30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記一連のパルスは、個別のパルスを含む、請求項22~31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記信号は、正弦、方形、および三角形からなる群から選択される波形を有する、請求項22~32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
前記信号パラメータのパターンを、所定の時間持続時間内に1回だけ繰り返すことを含む、請求項22~33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記所定の時間持続時間は、0.2秒である、請求項34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
前記電気信号は、確率論的AC信号である、請求項22~35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
前記少なくとも1つの電極は、少なくとも2つの電極を含む、請求項22~36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
前記少なくとも1つの電極は、前記被験者の無傷の皮膚と接触して配置される、請求項22~37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
前記少なくとも1つの電極は、前記皮膚の創傷の近くに、前記被験者の皮膚と接触して配置される、請求項22~38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
前記少なくとも1つの電極は、少なくとも2つの電極を含み、前記少なくとも2つの電極は、前記皮膚の創傷の2つの対向する側に配置されるように構成されている、請求項22~39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
前記少なくとも1つの電極は、酸素化障害を患っている部位で前記被験者の皮膚と接触して配置される、請求項22~40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
前記少なくとも1つの電極は、脊髄につながる求心性軸索の上流に配置される、請求項22~41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
非一時的なコンピュータ可読記憶媒体を含むコンピュータプログラム製品であって、前記非一時的なコンピュータ可読記憶媒体が、それによって具現化されるプログラム命令を有し、前記プログラム命令が、
信号発生器を操作して、被験者に適用するための、一連のパルスを含む電気信号を、前記被験者の皮膚と接触している少なくとも1つの電極を介して提供し、
次の信号パラメータ:
(i)前記パルスの各々の持続時間、
(ii)パルスの各ペア間の時間間隔、および
(iii)前記パルスの各々のエネルギー値、
のうちの少なくとも1つを、前記電気信号の1秒当たりのパルス数を所定の、1秒当たりの最小パルス数より上に維持し、かつ1パルス当たりの前記エネルギー値を所定の最小エネルギー値より上に維持しながら、連続的にランダムに変化させるために、少なくとも1つのハードウェアプロセッサによって実行可能である、コンピュータプログラム製品。
【請求項44】
前記パルスの各々の前記持続時間は、所定の持続時間範囲内にある、請求項43に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項45】
前記電気信号は、実質的に等しい数の正極性パルスおよび負極性パルスを含む、請求項43または44に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項46】
前記電気信号によって前記被験者に送達される総電荷は、実質的にゼロに等しい、請求項43~45のいずれか一項に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項47】
前記所定の、1秒当たりの最小パルス数は、100であり、前記所定の最小エネルギー値は、0.005マイクロジュールであり、前記持続時間は、0.05ミリ秒~0.25ミリ秒である、請求項43~46のいずれか一項に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項48】
前記所定の、1秒当たりの最小パルス数は、150であり、前記所定の最小エネルギー値は、1マイクロジュールであり、前記持続時間は、0.5ミリ秒~1ミリ秒である、請求項43~47のいずれか一項に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項49】
前記1秒当たりの最小パルス数は、250であり、前記最小エネルギー値は、0.5マイクロジュールであり、前記持続時間範囲は、0.25ミリ秒~0.5ミリ秒である、請求項43~48のいずれか一項に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項50】
前記所定の最小エネルギー値は、4マイクロジュールであり、前記持続時間は、1ミリ秒~2.5ミリ秒である、請求項43~49のいずれか一項に記載の装置。
【請求項51】
前記所定の最小エネルギー値は、2マイクロジュールであり、前記持続時間は、1ミリ秒~2.5ミリ秒である、請求項43~50のいずれか一項に記載の装置。
【請求項52】
前記プログラム命令は、前記信号パラメータのすべてを連続的にランダムに変化させるように実行可能である、請求項43~51のいずれか一項に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項53】
前記一連のパルスは、個別のパルスを含む、請求項43~52のいずれか一項に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項54】
前記信号は、正弦、方形、および三角形からなる群から選択される波形を有する、請求項43~53のいずれか一項に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項55】
前記プログラム命令は、前記信号パラメータのパターンを、所定の時間持続時間内に1回だけ繰り返すように実行可能である、請求項43~54のいずれか一項に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項56】
前記所定の時間持続時間は、0.2秒である、請求項55に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項57】
前記電気信号は、確率論的AC信号である、請求項43~56のいずれか一項に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項58】
前記少なくとも1つの電極は、少なくとも2つの電極を含む、請求項43~57のいずれか一項に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項59】
前記少なくとも1つの電極は、前記被験者の無傷の皮膚と接触して配置される、請求項43~58のいずれか一項に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項60】
前記少なくとも1つの電極は、前記皮膚の創傷の近くに、前記被験者の皮膚と接触して配置される、請求項43~59のいずれか一項に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項61】
前記少なくとも1つの電極は、少なくとも2つの電極を含み、前記少なくとも2つの電極は、前記皮膚の創傷の2つの対向する側に配置されるように構成されている、請求項43~60のいずれか一項に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項62】
前記少なくとも1つの電極は、酸素化障害を患っている部位で前記被験者の皮膚と接触して配置される、請求項43~61のいずれか一項に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項63】
前記少なくとも1つの電極は、脊髄につながる求心性軸索の上流に配置される、請求項43~62のいずれか一項に記載のコンピュータプログラム製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
この出願は、2019年9月11日に出願された米国仮特許出願第62/898,602号に対する優先権を主張し、その全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明のいくつかの用途は、概して、医療機器に関連し、より具体的には、組織の電気刺激のための装置および方法に関連する。
【背景技術】
【0003】
慢性創傷は、予測可能な時間内に、かつほとんどの創傷が治癒する手法では、治癒しない創傷である。創傷は、創傷の測定値が1週間当たり約10%、または1ヶ月当たり約50%減少しないときに慢性と見なされる。
【0004】
創傷治癒プロセスは、高度に組織化された一連のメカニズムであり、多数の細胞および生物学的カスケードが関与している。傷害メカニズムの皮膚電池および電流は、慢性創傷へのそれらの影響について関心のあるトピックになっている。
【0005】
電気刺激療法は、電気化学的創傷プロセスに影響を与えることにより、創傷治癒を支援する。無傷の皮膚は、経上皮電位を有し、皮膚表面は、塩化物イオンからの負電荷を含み、真皮は、ナトリウムイオンを介して正電荷を維持する。潰瘍および創傷は、経上皮電位の異常、および恐らく創傷治癒を助長させる可能性のある神経活動のために、創傷全体の皮膚で測定される激しい電気的活動につながる。慢性創傷は、電流を失い、したがって、治癒が低下する。電気刺激療法は、電流を再導入し、治癒プロセスを支援する。
【0006】
関連技術の前述の例およびそれに関連する制限は、例示的であり、排他的ではないことが意図されている。関連技術の他の制限は、本明細書を読み、図を検討すれば、当業者には明らかになるであろう。
【発明の概要】
【0007】
以下の実施形態およびその態様は、範囲を限定するものではなく、例示的かつ例証的であることを意味するシステム、ツール、および方法と併せて説明され、図示される。
【0008】
本発明のいくつかの用途によれば、被験者に電気刺激療法を適用するための装置および方法が開示されている。
【0009】
通常、被験者の皮膚と接触して配置されるように構成された少なくとも1つの電極を備える電気刺激装置と、少なくとも1つの電極を通って、被験者に適用するための電気信号を提供するように構成された信号発生器と、制御プロセッサと、を備える、装置が提供される。任意選択的に、必ずしもそうであるとは限らないが、信号発生器は、自動の非ユーザ制御可能な手法で、電気信号を提供するように構成されている。
【0010】
したがって、一実施形態では、被験者の皮膚と接触して配置されるように構成された少なくとも1つの電極を備える電気刺激装置と、少なくとも1つの電極を通って、被験者に適用するための電気信号を提供するように構成された信号発生器であって、電気信号は、一連のパルスを含む、信号発生器と、次の信号パラメータ:(i)パルスの各々の持続時間、(ii)パルスの各ペア間の時間間隔、および(iii)パルスの各々のエネルギー値、のうちの少なくとも1つを、電気信号の1秒当たりのパルス数を所定の、1秒当たりの最小パルス数より上に維持し、かつ1パルス当たりのエネルギー値を所定の最小エネルギー値より上に維持しながら、連続的にランダムに変化させるように構成された制御プロセッサと、を備える、装置が提供される。
【0011】
一実施形態では、神経群を刺激するための方法であって、この方法は、被験者の皮膚と接触して、少なくとも1つの電極を配置することと、少なくとも1つの電極を通って、被験者に電気信号を適用することであって、電気信号は、一連のパルスを含む、適用することと、次の信号パラメータ:(i)パルスの各々の持続時間、(ii)パルスの各ペア間の時間間隔、および(iii)パルスの各々のエネルギー値、のうちの少なくとも1つを、電気信号の1秒当たりのパルス数を所定の、1秒当たりの最小パルス数より上に維持し、かつ1パルス当たりのエネルギー値を所定の最小エネルギー値より上に維持しながら、連続的にランダムに変化させることと、を含む、方法も提供される。
【0012】
一実施形態では、非一時的なコンピュータ可読記憶媒体を含むコンピュータプログラム製品であって、非一時的なコンピュータ可読記憶媒体が、それによって具現化されるプログラム命令を有し、プログラム命令は、信号発生器を操作して、被験者に適用するための、一連のパルスを含む電気信号を、被験者の皮膚と接触している少なくとも1つの電極を介して提供し、次の信号パラメータ:(i)パルスの各々の持続時間、(ii)パルスの各ペア間の時間間隔、および(iii)パルスの各々のエネルギー値、のうちの少なくとも1つを、電気信号の1秒当たりのパルス数を所定の、1秒当たりの最小パルス数より上に維持し、かつ1パルス当たりのエネルギー値を所定の最小エネルギー値より上に維持しながら、連続的にランダムに変化させるために、少なくとも1つのハードウェアプロセッサによって実行可能である、コンピュータプログラム製品がさらに提供される。
【0013】
いくつかの実施形態では、パルスの各々の持続時間は、所定の持続時間範囲内にある。
【0014】
いくつかの実施形態では、等しい数の正極性パルスおよび負極性パルスを含む。
【0015】
いくつかの実施形態では、電気信号によって被験者に送達される総電荷は、ゼロに等しい。
【0016】
いくつかの実施形態では、所定の、1秒当たりの最小パルス数は、100であり、所定の最小エネルギー値は、0.005マイクロジュールであり、持続時間は、0.05ミリ秒~0.25ミリ秒である。
【0017】
いくつかの実施形態では、所定の、1秒当たりの最小パルス数は、150であり、所定の最小エネルギー値は、1マイクロジュールであり、持続時間は、0.5ミリ秒~1ミリ秒である。
【0018】
いくつかの実施形態では、1秒当たりの最小パルス数は、250であり、最小エネルギー値は、0.5マイクロジュールであり、持続時間範囲は、0.25ミリ秒~0.5ミリ秒である。
【0019】
いくつかの実施形態では、所定の最小エネルギー値は、2マイクロジュールであり、該持続時間は、1ミリ秒~2.5ミリ秒である。
【0020】
いくつかの実施形態では、所定の最小エネルギー値は、10マイクロジュールであり、該持続時間は、2.5ミリ秒~10ミリ秒である。
【0021】
いくつかの実施形態では、信号パラメータのすべてが、連続的にランダムに変化されている。
【0022】
いくつかの実施形態では、一連のパルスは、個別のパルスを含む。
【0023】
いくつかの実施形態では、信号は、正弦、方形、および三角形からなる群から選択される波形を有する。
【0024】
いくつかの実施形態では、信号パラメータのパターンは、所定の時間持続時間内に1回だけ繰り返される。いくつかの実施形態では、所定の時間持続時間は、0.2秒である。
【0025】
信号発生器によって生成され、被験者に適用される電気信号は、一連のパルス(列)によって、またはピークによって特徴付けられる連続波形によって特徴付けられる。通常、パルス/ピークは、信号の適用中に、制御プロセッサによってランダムに変化させられる少なくとも1つ(例えば、少なくとも2つ)のパラメータによって特徴付けられる。追加的に、制御プロセッサは、変化するパルス/ピークパラメータにもかかわらず、信号によって、所定のエネルギー量が被験者に適用されるように信号を提供するように構成されている。
【0026】
いくつかの用途では、少なくとも2つのパルス/ピークパラメータは、パルス/ピーク持続時間と、パルス/ピークエネルギーレベルとを含み、これらは、信号の適用中に、制御プロセッサによって、各々、互いから独立して(および信号によって被験者に適用されるエネルギー量から独立して)ランダムに変化させられる。パルス/ピークパラメータは、互いから独立してランダムに変化するが、1つのパラメータの変化が、1つ以上の他のパラメータに影響を及ぼし得ることに留意されたい。例えば、パルス/ピークの持続時間を増やすと、パルス/ピークによって適用されるエネルギーレベルが上がる可能性がある。さらに、追加のパルス/ピークパラメータ(例えば、ボルト/ワット振幅、および周波数)もまた、制御プロセッサによってランダムに変化させられ得ることに留意されたい。追加的に、または代替的に、電気信号がパルス信号である場合、制御プロセッサは、パルス、特に同一のパルスが、信号の適用中に、ランダムな間隔で適用されるように、パルス間の間隔をランダムに変化させるように構成される。
【0027】
いくつかの用途では、信号発生器は、少なくとも1つの波形またはパルス列を発生させるように構成されている。例えば、信号発生器は、少なくとも第1および第2の波形またはプラス列を発生させるように構成されている。波形は、任意の既知の種類の波形、例えば、正弦波、方形波、三角波、および/もしくは鋸歯状波、または任意の他の種類の波形を含み得る。第1および第2の波形またはプラス列は、各々、1秒当たりに適用される一連の最小数の正および負のパルス/ピークによって特徴付けられている(通常、異なる数の最小パルス/ピークを有する第1および第2の波形またはプラス列)。追加的に、各波形のパルス/ピークは、最小および最大マイクロジュール範囲を有する、変化するエネルギーレベルと、最小および最大パルス/ピーク持続時間範囲を有する、変化するパルス/ピーク持続時間とによって特徴付けられている。さらに追加的に、波形またはプラス列によって適用される平均エネルギーは、第1および第2の波形またはプラス列間で変化する。
【0028】
制御プロセッサは、波形またはプラス列の各々内および波形またはプラス列の間で、一連のパルス/ピークをランダムに混合して、ランダムに混合された一連のパルス/ピークを提供するように構成され、その結果、少なくとも1つの電極を通って、被験者に適用される電気信号は、変化に富み、かつランダムなエネルギーレベルおよび持続時間を有するパルス/ピークを含む。いくつかの用途では、パルス/ピークは、電気刺激装置の少なくとも1つの電極によって、被験者に、ランダムな間隔で追加的に適用される。
【0029】
制御プロセッサは、正極性を有するパルス/ピークの後に負極性を有するパルス/ピークが続くように(逆の場合も同様)、一連の正極性および負極性のパルス/ピークを混合するようにさらに構成されており、それにより、電荷のバランスを取り、電荷の蓄積を減らすことによって、装置の安全性を確保する。
【0030】
任意選択的に、必ずしもそうであるとは限らないが、信号がパルス信号であるとき、制御プロセッサは、負および正のパルス間に、ランダムかつ変わる間隔(時間ギャップ)が存在するようにパルスを混合するように構成される。負および正のパルス間の時間ギャップの間、通常、各パルスが孤立した電気的イベントであるように電流フローがない。他の用途では、パルス間に均一な間隔が存在する。追加的に、いくつかの用途では、電気信号は、間隔のない連続信号として適用される。
【0031】
いくつかの用途では、制御プロセッサは、信号の持続時間の所定のサブセット中に適用された一連のパルス/ピークのパラメータパターン(例えば、パルス/ピークのエネルギーレベルおよび持続時間の組み合わせ)が、同じサブセット内で繰り返されないように、一連のパルス/ピークを混合するように構成されており、それにより、信号の変化にさらに寄与する。例えば、パラメータパターンは、0.2秒の所定のサブセット時間枠内で繰り返されない。しかしながら、パルス/ピークパラメータのランダムな組み合わせにもかかわらず、信号によって、所定のエネルギー量が被験者に適用される。
【0032】
いくつかの用途では、電気信号は、少なくとも1日10分間、通常は1日2~3回、20~30分間の治療療法セッションのために被験者に適用される。いくつかの用途では、少なくとも1つの電極は、被験者の身体のどこでも無傷の皮膚と接触して配置される。いくつかの用途では、電気刺激療法は、慢性創傷を患っている被験者に適用される。任意選択的に、必ずしもそうであるとは限らないが、被験者が慢性創傷を患っている場合、電極は創傷の近くに配置される。代替的に、被験者が慢性創傷を患っている場合、電極は、創傷から離れて、例えば、創傷から100cmを超えて配置される。
【0033】
本発明のいくつかの用途によれば、装置によって適用される電気刺激療法は、慢性創傷治癒および/または身体内の血行再建および酸素かん流を支援する。追加的に、または代替的に、本発明のいくつかの用途に従って装置によって適用される電気刺激療法は、肉芽組織の成長および上皮化を助長させる。
【0034】
本発明者らによって、本明細書に説明される特徴を有するランダムかつ変化する電気信号を適用することが、他の既知の電気療法刺激手順と比較して、高められた創傷治癒、血管形成、および血行再建を促進すると仮定されている。本発明者らは、本明細書で特徴付けられる、変化に富む混合電気信号を適用することにより、適用された電気刺激に身体が適応することを防ぎ、それにより、より優れた創傷治癒および血行再建パラメータを達成すると仮定している。追加的に、または代替的に、本発明者らによって、本明細書で特徴付けられる、変化に富む混合電気信号の適用により、異なる深さレベルでの異なる神経群の刺激を促進し、それにより、高められた創傷治癒および血行再建パラメータを達成すると仮定されている。
【0035】
追加的に、または代替的に、本発明者らによって、本明細書で特徴付けられるようなランダムかつ変化する電気信号の適用が、特に無髄のグループC求心性線維の刺激において役割を果たすと仮定されている。本発明のいくつかの用途によれば、グループC求心性線維神経に適用される、変化に富む電気信号は、CNSへの傷害の存在を信号で示し、したがって、遠心性神経における「修復」命令の送達を活性化し、それにより、高められた創傷治癒および血行再建パラメータを達成する。
【0036】
したがって、本発明のいくつかの用途によれば、被験者の皮膚と接触して配置されるように構成された少なくとも1つの電極を含む電気刺激装置と、少なくとも1つの電極を通って、被験者に適用するための電気信号を提供するように構成された信号発生器であって、電気信号は、波の一連のパルスまたはピークによって特徴付けられている、信号発生器と、(i)信号の適用中に、パルスまたはピークパラメータのうちの少なくとも1つのパラメータをランダムに変化させ、(ii)ランダムに変化したパルスまたはピークパラメータから独立して、信号によって、所定のエネルギー量が被験者に適用されるように信号を提供するように構成された制御プロセッサと、を含む、装置が提供される。
【0037】
いくつかの用途では、制御プロセッサは、少なくとも2つのパルス/ピークパラメータをランダムに変化させるように構成されている。
【0038】
いくつかの用途では、制御プロセッサは、複数のパルス/ピークパラメータをランダムに変化させるように構成されている。
【0039】
いくつかの用途では、制御プロセッサは、複数の組み合わせのパルス/ピークパラメータをランダムに変化させるように構成されている。
【0040】
いくつかの用途では、制御プロセッサは、パルス/ピークパラメータを、互いから独立してランダムに変化させるように構成されている。
【0041】
いくつかの用途では、少なくとも1つのパルス/ピークパラメータは、パルス/ピーク持続時間範囲を含み、制御プロセッサは、信号中に、パルス/ピークの持続時間範囲をランダムに変化させるように構成されている。
【0042】
いくつかの用途では、パルス/ピーク持続時間は、少なくとも2つの異なるパルス/ピーク持続時間を含み、第1のパルス/ピーク持続時間は、第1の最小および最大持続時間範囲を有し、第2のパルス/ピーク持続時間は、異なる第2の最小および最大持続時間範囲を有する。
【0043】
いくつかの用途では、少なくとも2つのパルス/ピークパラメータのうちの1つは、パルス/ピークのエネルギー範囲レベルを含み、制御プロセッサは、信号中に、パルス/ピークのエネルギー範囲レベルをランダムに変化させるように構成されている。
【0044】
いくつかの用途では、変化するエネルギーレベルパラメータは、少なくとも2つの異なるエネルギーレベルを含み、第1のエネルギーレベルは、第1の最小および最大マイクロジュール範囲を有し、第2のエネルギーレベルは、異なる第2の最小および最大マイクロジュール範囲を有する。
【0045】
いくつかの用途では、第1のエネルギーレベルは、第1の平均最小および最大マイクロジュール範囲を有する第1の平均エネルギーを有し、第2のエネルギーレベルは、第2の平均最小および最大マイクロジュール範囲を有する第2の平均エネルギーを有する。
【0046】
いくつかの用途では、信号中に適用される一連のパルス/ピークのパラメータパターンは、信号内の所定の時間枠サブセット内で繰り返されない。
【0047】
いくつかの用途では、パラメータパターンは、0.2秒の所定の時間枠サブセットで繰り返されない。
【0048】
いくつかの用途では、変化するエネルギーレベルパラメータは、少なくとも2つの異なるエネルギーレベルを含み、第1のエネルギーレベルは、第1の最小および最大マイクロジュール範囲を有し、第2のエネルギーレベルは、異なる第2の最小および最大マイクロジュール範囲を有する。
【0049】
いくつかの用途では、第1のエネルギーレベルは、第1の平均最小および最大マイクロジュール範囲を有する第1の平均エネルギーを有し、第2のエネルギーレベルは、第2の平均最小および最大マイクロジュール範囲を有する第2の平均エネルギーを有する。
【0050】
いくつかの用途では、制御プロセッサは、一連のパルスが信号中にパルス間にランダムな間隔で適用されるように、パルス間の間隔の持続時間をランダムに変化させるように構成されている。
【0051】
いくつかの用途では、ランダムな間隔は、少なくとも2つの異なる間隔持続時間を含む。
【0052】
いくつかの用途では、所定のエネルギー量は、15ボルトの最大エネルギーレベルを含む。
【0053】
いくつかの用途では、信号発生器は、自動の非ユーザ制御可能な信号として、電気信号を提供するように構成されている。
【0054】
いくつかの用途では、電気信号は、確率論的AC信号である。
【0055】
いくつかの用途では、少なくとも1つの電極は、少なくとも2つの電極を含む。
【0056】
いくつかの用途では、少なくとも1つの電極は、被験者の無傷の皮膚と接触して配置される。
【0057】
いくつかの用途では、少なくとも1つの電極は、皮膚の創傷の近くに、被験者の皮膚と接触して配置される。
【0058】
いくつかの用途では、少なくとも1つの電極は、少なくとも2つの電極を含み、少なくとも2つの電極は、皮膚の創傷の2つの対向する側に配置されるように構成されている。
【0059】
いくつかの用途では、少なくとも1つの電極は、酸素化障害を患っている部位で被験者の皮膚と接触して配置される。
【0060】
いくつかの用途では、少なくとも1つの電極は、脊髄につながる求心性軸索の上流に配置される。
【0061】
いくつかの用途では、ピークは、正弦波形、方形波形、または三角波形からなる群から選択される、変化する波形を含む。
【0062】
いくつかの用途では、一連のパルス/ピークは、正のパルス/ピークの後に負のパルス/ピークが続き、負のパルス/ピークの後に正のパルス/ピークが続く、一連のパルス/ピークを含む。
【0063】
したがって、本発明のいくつかの用途によれば、第1の組織深さで第1の神経群を刺激するための方法であって、この方法は、被験者の皮膚と接触して、少なくとも1つの電極を配置することと、少なくとも1つの電極を通って、被験者に電気信号を適用することであって、電気信号は、波の一連のパルスまたはピークによって特徴付けられている、適用することと、パルス/ピークの少なくとも1つのパラメータをランダムに変化させることと、ランダムに変化するパルス/ピークパラメータから独立して、被験者に電気信号を適用することによって、第1の所定量のエネルギーを適用し、それにより、第1の組織深さで第1の神経群を刺激することと、を含む、方法が提供される。
【0064】
いくつかの用途では、この方法は、ランダムに変化するパルス/ピークパラメータから独立して、信号の適用によって、被験者に第2の所定量のエネルギーを適用することと、第2の組織深さで第2の神経群を刺激することと、をさらに含み、第1の組織深さは、第2の組織深さと異なる。
【0065】
いくつかの用途では、この方法は、刺激される第1および第2の神経群をランダムに選択することをさらに含む。
【0066】
いくつかの用途では、この方法は、パルス間の間隔をランダムに変化させることをさらに含む。
【0067】
いくつかの用途では、この方法は、電気信号の時間枠サブセット中に適用される一連のパルス/ピークのパラメータパターンが、同じサブセット中に繰り返されないように、一連のパルス/ピークの適用を制御することをさらに含む。
【0068】
いくつかの用途では、少なくとも1つの電極を配置することは、少なくとも2つの電極を配置することを含む。
【0069】
いくつかの用途では、少なくとも1つの電極を配置することは、皮膚の創傷の対向する側に、少なくとも2つの電極を配置することを含む。
【0070】
いくつかの用途では、少なくとも1つの電極を配置することは、皮膚の創傷の近くに電極を配置することを含む。
【0071】
いくつかの用途では、少なくとも1つの電極を配置することは、創傷の最も外側の縁から少なくとも5cmに電極を配置することを含む。
【0072】
いくつかの用途では、この方法は、電気信号を適用することによって、被験者の皮膚の創傷の治癒を助長させることをさらに含む。
【0073】
いくつかの用途では、この方法は、電気信号を適用することによって、被験者の痛みを軽減することをさらに含む。
【0074】
いくつかの用途では、この方法は、電気信号を適用することによって、被験者の血行再建を増進させることをさらに含む。
【0075】
いくつかの用途では、この方法は、電気信号を適用することによって、被験者の皮膚の肉芽形成を増進させることをさらに含む。
【0076】
いくつかの用途では、この方法は、電気信号を適用することによって、被験者の酸素かん流を増加させることをさらに含む。
【0077】
いくつかの用途では、この方法は、皮膚の創傷の治癒時間を短縮することをさらに含む。
【0078】
いくつかの用途では、電気信号を適用することは、24時間以内に1~3回、10~30分間、電気信号を適用することを含む。
【0079】
いくつかの用途では、この方法は、自動の非ユーザ制御可能な手法で、電気信号を発生させることをさらに含む。
【0080】
したがって、本発明のいくつかの用途によれば、非一時的なコンピュータ可読記憶媒体を含むコンピュータプログラム製品であって、非一時的なコンピュータ可読記憶媒体は、それによって具現化されるプログラムコードを有し、プログラムコードは、被験者の皮膚と接触している少なくとも1つの電極を介して、ランダムに変化するパルス/ピークパラメータで適用される波の一連のパルスまたはピークによって特徴付けられる、自動の非ユーザ制御可能な電気信号を発生させ、ランダムに変化するパルス/ピークパラメータから独立して、信号を適用することにより、被験者に第1の所定量のエネルギーを適用し、第1の組織深さで第1の神経群を刺激するために、少なくとも1つのハードウェアプロセッサによって実行可能である、コンピュータプログラム製品が提供される。
【0081】
いくつかの用途では、コンピュータプログラム製品は、ランダムな間隔でパルスを適用することをさらに含む。
【0082】
したがって、本発明のいくつかの用途によれば、(i)0.5~13マイクロジュールのエネルギーレベル、(ii)0.25ミリ秒~0.5ミリ秒のパルス/ピーク持続時間、および(iii)1~4マイクロジュールの平均エネルギーを有する、一連の、1秒当たり少なくとも250の正の電流パルス/ピークおよび少なくとも250の負の電流パルス/ピークを含む、第1の一連の波のパルスまたはピーク、(i)0.005~7マイクロジュールのエネルギーレベル、(ii)0.05ミリ秒~0.25ミリ秒のパルス/ピーク持続時間、および(iii)0.02~1マイクロジュールの平均エネルギーを有する、一連の、1秒当たり少なくとも100の正の電流パルス/ピークおよび少なくとも100の負の電流パルス/ピークを含む、第2の一連の波のパルスまたはピークによって特徴付けられる電気信号を発生させるように構成された信号発生器と、信号発生器に電気的に結合され、かつ第1および第2の一連の波のパルスまたはピークの一連のパルス/ピークを混合するように構成された制御プロセッサと、被験者の皮膚と接触して配置されて、パルス/ピーク間のランダムな間隔で混合されたパルス/ピークを被験者に適用するように構成された少なくとも1つの電極を含む電気刺激装置と、を含む、装置が提供される。
【0083】
いくつかの用途では、信号発生器は、(i)1~20マイクロジュールのエネルギーレベル、(ii)0.5ミリ秒~1ミリ秒のパルス/ピーク持続時間、および(iii)2~10マイクロジュールの平均エネルギーを有する、一連の、1秒当たり少なくとも150の正の電流パルス/ピークおよび少なくとも150の負の電流パルス/ピーク/秒を含む、第3の一連の波のパルスまたはピークを発生させるようにさらに構成され、制御プロセッサは、第1、第2、および第3の一連の波のパルスまたはピークの一連のパルス/ピークを混合するように構成されている。
【0084】
いくつかの用途では、信号発生器は、(i)2~40マイクロジュールのエネルギーレベル、(ii)1ミリ秒~2.5ミリ秒のパルス/ピーク持続時間、および(iii)4~20マイクロジュールの平均エネルギーを有する、一連の、1秒当たり少なくとも30の正の電流パルス/ピークおよび少なくとも30の負の電流パルス/ピーク/秒を含む、第4の一連の波のパルスまたはピークを発生させるようにさらに構成され、制御プロセッサは、第1、第2、第3、および第4の一連の波のパルスまたはピークの一連のパルス/ピークを混合するように構成されている。
【0085】
いくつかの用途では、信号発生器は、(i)10~250マイクロジュールのエネルギーレベル、(ii)2.5ミリ秒~10ミリ秒のパルス/ピーク持続時間、および(iii)20~200マイクロジュールの平均エネルギーを有する、一連の、1秒当たり少なくとも0.5の正の電流パルス/ピークおよび少なくとも0.5の負の電流パルス/ピーク/秒を含む、第5の一連の波のパルスまたはピークを発生させるようにさらに構成され、制御プロセッサは、第1、第2、第3、第4、および第5の一連の波のパルスまたはピークの一連のパルス/ピークを混合するように構成されている。
【0086】
上記の例示的な態様および実施形態に加えて、さらなる態様および実施形態は、図を参照することによって、および以下の詳細な説明を検討することによって明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0087】
例示的な実施形態が、参照図に示されている。図に示されているコンポーネントおよび特徴の寸法は、概して、呈示の便宜および明確さのために選択されており、必ずしも縮尺どおりに示されていない。図は以下のとおりである。
【0088】
【
図1】本発明のいくつかの用途による、創傷の近くで被験者の皮膚に配置された電極を備える、電気刺激療法を適用するための装置の概略図である。
【
図2】本発明のいくつかの用途による、創傷から離れた被験者の皮膚に配置された電極を備える、電気刺激療法を適用するための装置の概略図である。
【
図3】本発明のいくつかの用途による、電気刺激療法の適用によって被験者を治療するための方法を示すフローチャートである。
【
図4-13】本発明のいくつかの用途による、被験者の治療前、治療中、および治療後の被験者における慢性創傷の例である。
【
図14】本発明のいくつかの用途による、被験者における酸素前融合を改善するために、被験者によって使用される様々な物品とともに使用するための、電気刺激療法を適用するための装置の構成概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0089】
本発明のいくつかの態様では、被験者に電気刺激療法を適用するための装置が提供される。任意選択的に、必ずしもそうであるとは限らないが、本発明のいくつかの用途に従って適用される電気刺激は、創傷治癒を加速および改善し、血行再建を増進させ、血流を助長させ、組織内の循環および酸素レベルを改善する。
【0090】
本発明のいくつかの態様によれば、被験者に適用される電気刺激は、パルス/ピークの動作パラメータ(例えば、エネルギーレベル、1秒当たりのパルス/ピーク数、波形、パルス/ピークパターン、および/またはパルス/ピーク持続時間)が、パルス/ピークの過程でランダムかつ連続的に変化する波のピークによって特徴付けられるパルス電流または波形の電気信号を含む。それにより、被験者に、ランダムに変わる電気信号を提供し、信号によって、(パルス/ピークパラメータが変化しているにもかかわらず)所定量電気エネルギーの総量が送達される。一般に、所定の正のエネルギー量が被験者に送達されるが、治療セッション中に被験者に適用される総電荷は実質的にゼロである。
【0091】
本発明のいくつかの態様によれば、被験者の皮膚と接触して配置されるように構成された少なくとも1つの電極(例えば、2つの電極)を有する電気刺激装置を備える装置によって、電気刺激が適用される。この装置は、少なくとも1つの電極を通って、電気信号を提供するように構成された信号発生器をさらに備える。任意選択的に、必ずしもそうであるとは限らないが、自動的、かつ非ユーザ制御可能な手法で、電気信号を提供するように構成された信号発生器。いくつかの用途では、信号発生器は、電源を備えており、かつ少なくとも1つの一連のパルス/波形を発生させるように構成されている。通常、信号発生器は、第1および第2の一連のパルス/波形を発生させる。波形は、任意の既知の種類の波形、例えば、正弦波、方形波、三角波、および/もしくは鋸歯状波、またはそれらの組み合わせであり得る。この装置は、パルス/ピークをランダムに変化させて、被験者に、ランダムに変わる電気信号を提供するように構成された制御プロセッサをさらに備える。通常、本発明のいくつかの用途に従って適用される電流は、1秒当たりのパルス/ピークの数、持続時間、およびパルス/ピークエネルギーレベルなどのランダムに変化するパルス/ピークパラメータによって特徴付けられる。
【0092】
追加的に、パルス/ピークは通常、正極性および負極性のパルス/ピークの列として適用され、正極性のパルス/ピークの後に負極性のパルス/ピークが続く(または逆の場合も同様である)。
【0093】
任意選択的に、必ずしもそうであるとは限らないが、パルス電流の場合、負および正のパルス間に、ランダムかつ変わる間隔(時間ギャップ)が存在する。負および正のパルス/ピーク間の時間ギャップの間、各パルスが孤立した電気的イベントであるように電流フローがない。
【0094】
ここで、
図1を参照する。
図1は、本発明のいくつかの用途による、被験者に電気刺激療法を適用するための装置20の概略図である。装置20は通常、信号発生器8と、被験者の皮膚と接触して配置されるように構成された電極2および4を備える電気刺激装置と、制御プロセッサ9と、を備える。装置20が操作されると、電流が信号発生器8によって発生し、電極2および4を通って被験者に送られる。電流は通常、パルス/ピークの列を含む治療信号波形である。装置20は、増幅器(図示せず)、および/または電源(図示せず)などをさらに備え得る。制御プロセッサ9は、アナログ信号プロセッサまたはデジタル信号プロセッサであり得る。例えば、電気信号発生器8は、前置増幅器からの信号出力を生成するために、少なくとも1つのハードウェアプロセッサによって操作されるデジタル信号発生器である。例えば、増幅器は、電気信号発生器からの信号の電力を増加させる電子デバイスなどの電流制限デジタル電圧増幅器である。例えば、電源は、アルカリ電池、鉛酸蓄電池、充電式リチウムイオン電池、ニッケル水素電池などである。
【0095】
信号発生器8は通常、慢性創傷6の治癒を促進するために、被験者内の酸素かん流を改善するための治療を被験者に提供するための電気信号を発生させる。電気信号は、被験者の皮膚と接触して配置された電極2および4に送られて、被験者の身体のどこにでも治療信号波形電流を送達する。電極2および4は通常、被験者の無傷の皮膚と接触して配置されるように構成される。いくつかの用途では、
図1に示されるように、装置20は、被験者の皮膚と接触して配置された2つの電極2および4を備える。装置20は、2つよりも多い電極を備え得ることに留意されたい。装置20は通常、信号発生器8および制御プロセッサ9をさらに備える。
【0096】
任意選択的に、信号発生器8は、少なくとも1つの電極2および/または4を通って(任意選択で、電気リード線5を通って)被験者に適用するための自動の非ユーザ制御可能な電気信号を提供する。信号発生器8によって適用される電気信号は通常、信号の適用中に、ランダムに変化する少なくとも2つのパルス/ピークパラメータ(例えば、パルス/ピーク持続時間およびパルス/ピークエネルギーレベル)を有する一連のパルス/ピークによって特徴付けられる。本発明のいくつかの用途によれば、制御プロセッサ9は、(i)電気信号の適用中に、パルス/ピークパラメータの各々をランダムに変化させ、(ii)変化に富むパルス/ピークパラメータに関係なくかつそれから独立して、信号によって、所定の総量のエネルギーが被験者に適用されるように電気信号を提供するように構成される。通常、パルス/ピークパラメータは、信号の持続時間中、連続的にランダムに変化する。パルス/ピークパラメータは通常、互いから独立して変化する。
【0097】
電極2および4は、限定ではなく例示として、創傷6の近くに、特に創傷6の対向する側に位置付けられているものとして
図1に示されている。本発明のいくつかの用途によれば、電極2および4は、被験者の皮膚または被験者が着用する物品(本明細書の他の場所で説明される)のどこにでも配置できることに留意されたい。
【0098】
いくつかの用途では、制御プロセッサ9は、信号の持続時間の所定のサブセット中に適用された一連のパルス/ピークのパラメータパターン(例えば、パルス/ピークのエネルギーレベルおよび持続時間の組み合わせ)が、同じサブセット内で繰り返されないように、一連のパルス/ピークを混合するように構成されており、それにより、信号の変化にさらに寄与する。例えば、パラメータパターンは、0.2秒の所定のサブセット時間枠内で繰り返されない。しかしながら、パルス/ピークパラメータのランダムな組み合わせにもかかわらず、信号の適用によって、所定量のエネルギーが被験者に適用される。例えば、所定量のエネルギーは、15ボルトの最大電位レベルを含む。
【0099】
いくつかの用途では、信号発生器8は、少なくとも1つの波形またはパルス列を発生させるように構成されている。例えば、信号発生器8は、少なくとも第1および第2の波形またはパルス列を発生させるように構成されている。第1および第2の波形(またはプラス列)は、各々、1秒当たりに適用される一連の最小数の正および負のパルス/ピークによって特徴付けられている(通常、異なる数の最小パルス/ピークを有する第1および第2の波形)。追加的に、各波形のパルス/ピークは、最小および最大マイクロジュール範囲を有する、変化するエネルギーレベル、最小および最大パルス/ピーク持続時間範囲を有する、変化するパルス/ピーク持続時間によって特徴付けられている。さらに追加的に、波形によって適用される平均エネルギーは、第1および第2の波形間で変化する。
【0100】
例えば、第1の波形(またはプラス列)は、0.5~13マイクロジュールの範囲のエネルギーレベル、0.25ミリ秒~0.5ミリ秒のパルス/ピーク持続時間、および1~4マイクロジュールの平均エネルギーを有する、一連の、1秒当たり少なくとも250の正の電流パルス/ピークおよび少なくとも250の負の電流パルス/ピークによって特徴付けられている。第2の波形は、0.005~7マイクロジュールの範囲のエネルギーレベル、0.05ミリ秒~0.25ミリ秒のパルス/ピーク持続時間、および0.02~1マイクロジュールの平均エネルギーを有する、一連の、1秒当たり少なくとも100の正の電流パルス/ピークおよび少なくとも100の負の電流パルス/ピークによって特徴付けられている。
【0101】
いくつかの用途では、信号発生器は、異なる数の最小パルス/ピーク、ならびに最小および最大マイクロジュール範囲を有する、変化するエネルギーレベル、最小および最大パルス/ピーク持続時間範囲を有する、変化するパルス/ピーク持続時間、および平均エネルギーレベルを有するパルス/ピークを有することによって特徴付けられる追加の波形(またはプラス列)を発生させるように構成されている。
【0102】
例えば、信号発生器は、1~20マイクロジュールの範囲のエネルギーレベル、0.5ミリ秒~1ミリ秒のパルス/ピーク持続時間、および2~10マイクロジュールの平均エネルギーを有する、一連の、1秒当たり少なくとも150の正の電流パルス/ピークおよび少なくとも150の負の電流パルス/ピークによって特徴付けられる第3の波形(またはプラス列)を発生させる。
【0103】
追加的に、または代替的に、信号発生器は、2~40マイクロジュールの範囲のエネルギーレベル、1ミリ秒~2.5ミリ秒のパルス/ピーク持続時間、および4~20マイクロジュールの平均エネルギーを有する、一連の、1秒当たり少なくとも30の正の電流パルス/ピークおよび少なくとも30の負の電流パルス/ピークによって特徴付けられる第4の波形(またはプラス列)を発生させる。
【0104】
さらに追加的に、または代替的に、信号発生器は、10~250マイクロジュールの範囲のエネルギーレベル、2.5ミリ秒~10ミリ秒のパルス/ピーク持続時間、および20~200マイクロジュールの平均エネルギーを有する、一連の、1秒当たり少なくとも0.5の正の電流パルス/ピークおよび少なくとも0.5の負の電流パルス/ピークによって特徴付けられる第5の波形(またはプラス列)を発生させる。
【0105】
通常、制御プロセッサ9は、波形(またはプラス列)の各々内および波形(またはプラス列)の間で、一連のパルス/ピークをランダムに混合して、ランダムに混合された一連のパルス/ピークを提供するように構成され、その結果、少なくとも1つの電極を通って、被験者に適用される電気信号は、変化に富み、かつランダムなエネルギーレベルおよび持続時間を有するパルス/ピークを含む。追加的に、パルスは、電気刺激装置の少なくとも1つの電極によって、被験者に、ランダムな間隔で適用され得る。
【0106】
通常、ランダムに適用される電気信号およびパルス/ピークパラメータの様々な組み合わせにもかかわらず、信号によって、所定量のエネルギーが被験者に適用される。追加的に、制御プロセッサは、信号の所定の時間枠サブセット中に適用された一連のパルス/ピークのパラメータパターン(例えば、パルス/ピークのエネルギーレベルおよび持続時間)が、同じサブセット内で繰り返されないように、一連のパルス/ピークを混合するように構成されており、信号の変化にさらに寄与する。
【0107】
ここで、
図2を参照する。
図2は、本発明のいくつかの用途による、創傷6から離れた被験者の皮膚10に配置された電極2および4を備える、電気刺激療法を適用するための装置20の概略図である。
図1を参照して説明したように、信号発生器8は、2つ以上の電気リード線5に電気的に接続されている。例えば、電気リード線5は、患者の皮膚10に電気的に接続されている2つの電極2および4に電気的に接続されている。
【0108】
いくつかの用途では、電極2および4は、創傷の最も近い縁と最も近い電極との間の皮膚の表面に沿って測定して、創傷6の解剖学的部位から少なくとも5センチメートル離れて位置付けられている。例えば、足の創傷の治療は、創傷から45センチメートルの大腿部に接続された電極を用いて行われる。例えば、大腿部の創傷の治療は、皮膚表面に沿って創傷から110センチメートルのリストバンドに接続された電極を用いて行われる。例えば、ふくらはぎの創傷の治療は、創傷から20センチメートルの大腿部に接続された電極を用いて行われる。電極2および4は、身体のどこにでも、創傷6から離れた距離に配置することができる。例えば、電極は、リストストラップデバイス、ウエストベルト、腕時計、上腕ストラップデバイス、ヘッドストラップデバイス、眼鏡、衣類、衣類付属品などに配置することができる。例えば、手首または上腕のストラップデバイスでは、電極は、皮膚に最も近いストラップの面に、電極などの露出した電気接点を有するストラップに配置され、電気信号発生器は、ストラップ内に埋め込まれて配置される。例えば、眼鏡では、電極はアームに配置され、電極は耳の上方の皮膚に触れる面に置かれ、電気信号発生器はフレーム内にある。例えば、帽子では、電極は内部の帽子バンドに配置され、電気接点はこめかみに露出し、電気信号発生器は帽子フレーム内にある。別の例として、信号発生器8ならびに電極2および4は、ハンドルなどの運動器具、テレビコントローラなどの電子デバイス、ほうきの柄、モップの柄などの家庭用機器などに組み込むことができる。
【0109】
ここで、
図3を参照する。
図3は、本発明のいくつかの用途による、電気刺激療法の適用によって被験者を治療するための方法を示すフローチャートである。通常、電極を通って、電気刺激が被験者に適用されるように、少なくとも1つの電極が被験者の皮膚と接触して位置付けられる(202)。通常、電気刺激は、パルス/ピーク持続時間およびパルス/ピークエネルギーレベルなどのパルス/ピークパラメータを有するパルス/ピークの列によって特徴付けられる電気信号として被験者に適用される(204)。パルス/ピークパラメータを、信号適用の持続時間全体にわたって、互いから独立してランダムに変化させて、ランダムに変化するパルス/ピークパラメータによって特徴付けられる電気信号をもたらす(206)。いくつかの用途では、一連のパルス/ピークは、信号の持続時間の所定のサブセット中に適用された一連のパルス/ピークのパラメータパターン(例えば、パルス/ピークのエネルギーレベルおよび持続時間の組み合わせ)が、同じサブセット内で繰り返されないように混合され、それにより、信号の変化にさらに寄与する。例えば、パラメータパターンは、0.2秒の所定のサブセット時間枠内で繰り返されない。しかしながら、パルス/ピークパラメータのランダムな組み合わせにもかかわらず、信号の適用によって、所定量のエネルギーが被験者に適用される(208)。例えば、所定量のエネルギーは、15ボルトの最大エネルギーレベルを含む。
【0110】
いくつかの用途では、電気刺激療法(すなわち、電気信号)は、少なくとも1日10分間、通常は、20~30分間を1日2~3回、被験者に適用される。いくつかの用途では、電気刺激療法は、慢性創傷を患っている被験者に適用される。いくつかのそのような用途では、電極は、創傷の近くに、皮膚と接触して位置付けられる。追加的に、または代替的に、電極は、創傷から離れた皮膚と接触して位置付けられる。
【0111】
いくつかの用途では、電気刺激療法(すなわち、電気信号)適用プロトコル、例えば、治療の持続時間、治療の頻度、および治療間の時間間隔は、例えば、治療される創傷および組織の特徴に従って変化し得る。例えば、いくつかの用途では、電気刺激療法(すなわち、電気信号)は、少なくとも1日10分間、通常は、20~30分間を1日2~3回、被験者に適用される。いくつかの用途では、電気刺激療法は、慢性創傷を患っている被験者に適用される。いくつかのそのような用途では、電極は、創傷の近くに、皮膚と接触して位置付けられる。追加的に、または代替的に、電極は、創傷から離れた皮膚と接触して位置付けられる。
【0112】
本発明のいくつかの用途によれば、装置によって適用される電気刺激療法は、慢性創傷治癒および/または身体内の血行再建および酸素かん流を支援する。追加的に、または代替的に、本発明のいくつかの用途に従って装置によって適用される電気刺激療法は、肉芽組織の成長および上皮化を助長させる。
【0113】
定論では、創傷治癒が、この電気生理学的プロセスの、より低い抵抗などの短絡を引き起こし、電流が皮下皮膚層から創傷の外表面に逆流し、この電流から電界が発生し、電界は組織修復細胞を引き込むと述べられている。したがって、現在の科学理論では、このプロセスを、パラクリンシグナル伝達プロセスなどのローカルプロセスとして定義している。慢性創傷では、このプロセスが中断され、治癒が遅くなるかまたは停止して、創傷の治癒が妨げられる。この理論によれば、創傷治癒のための電気刺激は、創傷の治癒を刺激する人工電界を発生させる。
【0114】
さらに、慢性創傷に関して、本発明者らは、治癒に必要な肉芽形成および上皮化を助長させるために、創傷は健康なレベルの組織酸素化を必要とすると仮定している。しかしながら、慢性創傷の場合、創傷の発生は、神経損傷(例えば、ニューロンの樹状突起および軸索への損傷)だけでなく、創傷における酸素欠乏を引き起こす。この神経損傷は、時間とともに、シグナル伝達の障害を引き起こし、その結果、創傷治癒の障害につながる。電気刺激は、適切なシグナル変換を再度開始することによってこのサイクルを断ち切り、治癒プロセスの再開につながる。例えば、電気信号は、神経系の上方へ神経の分裂を報告するメッセージをシグナル伝達することによって、信号刺激治癒を開始する。被験者の身体のどこにでも電気信号を送達することは、特に慢性創傷の場合に、身体の創傷を治療するように被験者の脳にシグナル伝達する。
【0115】
本発明者らによって、本明細書に説明される特徴を有するランダムかつ変化する電気信号を適用することが、他の既知の電気療法刺激手順と比較して、高められた創傷治癒および血行再建を促進するとさらに仮定されている。本発明者らは、本明細書で特徴付けられる、変化に富む混合電気信号を適用することにより、適用された電気刺激に身体が適応することを防ぎ、それにより、より優れた創傷治癒および血行再建パラメータを達成すると仮定している。追加的に、または代替的に、本発明者らによって、本明細書で特徴付けられる、変化に富む混合電気信号の適用により、異なる深さレベルでの異なる神経群の刺激を促進し、それにより、高められた創傷治癒および血行再建パラメータを達成すると仮定されている。
【0116】
実験データ
以下に説明される実験は、本発明の用途に従って、かつ本明細書に説明される装置および技法を使用して、本発明者らによって行われた。実施例1および2を参照して以下に提示される実験は、本明細書に説明される装置および技法による電気信号の適用が、創傷治癒の加速および改善、ならびに組織酸素化の改善に使用できることを実証する。
【0117】
実施例1
一組の実験において、慢性創傷治癒に対する本明細書に説明されている装置および技法の効果を調べた。
【0118】
実施例1における方法
本発明の用途に従って、必要に応じて、別々にまたは組み合わせて使用することができる一連のプロトコルを以下に説明する。数値は、限定ではなく例示として提供されていることを理解されたい。通常、しかし、必ずしもそうであるとは限らないが、示されている各値は、示されている値の10%以内の値の範囲から選択された例である。同様に、特定のステップは、高レベルの特異性で説明されているが、当業者は、必要な変更を加えて、他のステップが行われ得ることを理解するであろう。
【0119】
本発明のいくつかの用途に従って、以下の方法が適用された:
被験者母集団の取得
本明細書に説明されている装置および技法で治療された患者の遡及的分析を行うために、IRBの承認(Clalit Health Services、テルアビブ、イスラエル)が受け取られた。
【0120】
被験者母集団には、合計34の糖尿病性足潰瘍または静脈性下腿潰瘍を呈した被験者(N=29)が含まれていた。試験に含まれるためには、患者は、医師によって評価されて、最低3ヶ月間存在し、かつ登録前の最低30日間は改善しなかった創傷がなければならなかった。試験に登録された患者は、装置の適切な使用法について指示を受け、各セッションで30分間、1日3回使用するように指示された。合計34の創傷が29人の患者に呈していた。創傷のうちの18は、男性の被験者にあり、創傷のうちの16は、女性の被験者にあった。22の創傷は、糖尿病性足潰瘍であり、12の創傷は、静脈性下腿潰瘍であった。登録された被験者の平均年齢は、77.2歳であった。呈示時の創傷の平均持続時間は、7.5ヶ月であった。呈示時の創傷の平均サイズは、4.08cm2(範囲0.15~21.02)であった。
【0121】
29人の被験者(および34の創傷)の情報は、次の表Aに示されているとおりである。
【表1】
【0122】
この試験は、非盲検の非ランダム化された第1相試験として実施された。
【0123】
被験者は、創傷閉鎖まで追跡された。または、創傷が完全に閉鎖しなかった場合、被験者は、16週間治療された。被験者は、治療期間中、毎週経過観察され、その時点で写真が撮影された。創傷の測定は、Image Jソフトウェア(NIH)を用いて行われた。
【0124】
刺激治療
本発明のいくつかの用途による装置は、ランダムに変化するパルス/ピークパラメータによって特徴付けられる電気信号を発生させる、特別に設計されたソフトウェアに基づくコンピュータ化された電気療法システムである。
【0125】
この装置は、家庭での使用を目的としている。これは、創傷の周りに配置される2つの電極を有する自己完結型ユニットである。装置は、各セッションで30分間、1日3回操作される。
【0126】
治療開始時に、ソフトウェアは、治療セッション中に達成される治療振幅を自動的に較正する。各治療セッションは、30分間続き、デバイスは、本明細書の他の場所で説明されているバランスのとれた低強度電流(最大電流密度;0.32mA/cm2 rms)を正味ゼロのDCで発生させる。
【0127】
実施例1で取得された結果
実施例1で説明した試験の全体的な結果を示す表Aを再び参照する。
【0128】
表Aに示すように、4週間で、登録時と比較して、創傷サイズが平均36.20%改善した。34の創傷のうち5つは、4週間で完全に治癒した(14.70%)。年齢、性別、創傷の種類、および創傷の持続時間は、結果に統計的影響を及ぼさなかった。
【0129】
12週間で、ベースラインと比較して、創傷サイズが平均74.92%改善した。4週目での改善と比較して、創傷サイズはさらに56.80%改善した。さらに12の創傷は、4週目から12週目までに完全に治癒した(35.30%)。合計で、12週目までに17の創傷が完全に治癒した(50%)。
【0130】
16週間で、さらに3つの創傷が完全に閉鎖した。残りの創傷の平均サイズは、1.82cm2で、開始から55%減少した。
【0131】
さらに6つの創傷が、20週目までに完全に治癒した(17.65)。
【0132】
34の創傷のうち23は、140日以内に完全に閉鎖した。このグループの完全な治癒までの平均時間は79日であった。糖尿病性足潰瘍グループには、14人の男性と9人の女性がいた。静脈性下腿潰瘍グループには、4人の男性と7人の女性がいた。試験結果に対する性別の影響に違いはなかった。
【0133】
試験中に、デバイスに関する有害事象または安全性の問題は報告されなかった。
【0134】
以下のチャートIは、本発明のいくつかの用途による装置および方法を用いた治療に応答して時間ベースで測定された総創傷面積を表している。
【化1】
【0135】
実施例2
一組の実験において、慢性創傷治癒および組織酸素化に対する本明細書に説明されている装置および技法の効果を調べた。
【0136】
実施例2における方法
被験者母集団の取得
この試験には、1人(37歳;TcPO2=64mmHg)を除いて、動脈循環が悪い(TcPO2=29.1mmHg±9.6)、8人の患者(2F;6M)、すべて高齢者(74.5±5.8歳)が含まれた。全員の下肢に潰瘍<<治癒されない>>があった(外傷後2例、褥瘡1例、第3度熱傷1例、静脈性2例、糖尿病性2例)。表面平均12.5cm2±9.8.、PushTool平均11.5±2.6pt。
【0137】
刺激治療
マイクロアンペア範囲の低強度電流、1日3回、各30分間、創傷の縁の近くで、健康な無傷の皮膚に配置された電極。すべての潰瘍は、ベストプラクティスに従って作られた包帯材を用いて治療された。変化に富む電気信号が、本明細書に説明されているように適用された。
【0138】
実施例2で取得された結果
創傷表面の減少率および肉芽形成および上皮化の改善を評価した(Push Tool3.0システムによって測定)。結果:3人の患者が40日までに完全な創傷閉鎖を達成した。他の原因による入院のために、2人の患者が試験から除かれた。一人の患者は、彼女が手順にうんざりしていたので中断した。2人の患者はまだ治療中である。1つ(実質的に変化なし)を除くすべてのケースで、創傷表面とPT値の統計的に有意な減少が観察された(それぞれ-49%および-4pt P<0.05)。平均治療時間は、35.1±17.5日であった。治療後のTcPO2は、29.1mmHg±9から49.5mmHg±6.7に増加した。
【0139】
ここで、本発明のいくつかの用途による、被験者の治療前、治療中、および治療後の被験者(表Aから選択される)における慢性創傷の例である
図4A~13Dを参照する。実施例1を参照して説明し、表Aに記載したように、糖尿病性足潰瘍または静脈性下腿潰瘍を患っている被験者は、創傷を治癒するために、本発明の用途に従って治療された。
【0140】
図4A~4Dは、本発明のいくつかの用途による治療の開始前に、12ヶ月間、創傷を患っている84歳の女性被験者における静脈性下腿潰瘍の画像である。
図4A~Dは、追跡治療の前、治療中の創傷を示している。
【0141】
図4Aは、治療の適用前の時間0での創傷を示している。
【0142】
図4Bは、本発明のいくつかの用途による治療の始まりから5週間での創傷の部分的な治癒を示している。
【0143】
図4Cは、本発明のいくつかの用途による治療の始まりから7週間での創傷の追加の部分的な治癒を示している。
【0144】
図4Dは、本発明のいくつかの用途による治療の始まりから11週間での創傷の完全な閉鎖を示している。
図4Dは、4.8cm2から0.0cm2までの創傷の完全な閉鎖を示している。
【0145】
図5A~5Dは、本発明のいくつかの用途による治療の開始前に3ヶ月間、創傷を患っている68歳の女性被験者における糖尿病性足潰瘍の画像である。
図5A~Dは、追跡治療の前、治療中の創傷を示している。
【0146】
図5Aは、治療の適用前の時間0での創傷を示している。
【0147】
図5Bは、本発明のいくつかの用途による治療の始まりから4週間での創傷の部分的な治癒を示している。
【0148】
図5Cは、本発明のいくつかの用途による治療の始まりから8週間での創傷の追加の部分的な治癒を示している。
【0149】
図5Dは、本発明のいくつかの用途による治療の始まりから20週間での創傷の完全な閉鎖を示している。
図5Dは、1.05cm2から0.0cm2までの創傷の完全な閉鎖を示している。
【0150】
図6A~6Dは、本発明のいくつかの用途による治療の開始前に、4ヶ月間、創傷を患っている89歳の女性被験者における静脈性下腿潰瘍の画像である。
図6A~Dは、追跡治療の前、治療中の創傷を示している。
【0151】
図6Aは、治療の適用前の時間0での創傷を示している。
【0152】
図6Bは、本発明のいくつかの用途による治療の始まりから2週間での創傷の部分的な治癒を示している。
【0153】
図6Cは、本発明のいくつかの用途による治療の始まりから8週間での創傷の追加の部分的な治癒を示している。
【0154】
図6Dは、本発明のいくつかの用途による治療の始まりから15週間での創傷の完全な閉鎖を示している。
図6Dは、21.22cm2から0.0cm2までの創傷の完全な閉鎖を示している。
【0155】
図7A~7Dは、本発明のいくつかの用途による治療の開始前に、17ヶ月間、創傷を患っている92歳の女性被験者における静脈性下腿潰瘍の画像である。
図7A~Dは、追跡治療の前、治療中の創傷を示している。
【0156】
図7Aは、治療の適用前の時間0での創傷を示している。
【0157】
図7Bは、本発明のいくつかの用途による治療の始まりから3週間での創傷の部分的な治癒を示している。
【0158】
図7Cは、本発明のいくつかの用途による治療の始まりから8週間での創傷の追加の部分的な治癒を示している。
【0159】
図7Dは、本発明のいくつかの用途による治療の始まりから10週間での創傷の完全な閉鎖を示している。
図7Dは、14.67cm2から0.0cm2までの創傷の完全な閉鎖を示している。
【0160】
図8A~8Dは、本発明のいくつかの用途による治療の開始前に、12ヶ月間、創傷を患っている77歳の女性被験者における糖尿病性足潰瘍の画像である。
図8A-Dは、追跡治療の前、治療中の創傷を示している。
【0161】
図8Aは、本発明のいくつかの用途による、治療セッションの開始前の創傷を示している。
【0162】
図8Bは、本発明のいくつかの用途による、前の治療セッション後、および本発明のいくつかの用途による、治療を再開する前の創傷の部分的治癒を示している。
【0163】
図8Cは、本発明のいくつかの用途による治療の再開から6週間での創傷の部分的な治癒を示している。
【0164】
図8Dは、本発明のいくつかの用途による治療の再開から9週間での創傷の完全な閉鎖を示している。
図8Dは、1.23cm2から0.0cm2までの創傷の完全な閉鎖を示している。
【0165】
図9A~9Dは、本発明のいくつかの用途による治療の開始前に、12ヶ月間、創傷を患っている、
図8A~Dの77歳の女性被験者における追加の糖尿病性足潰瘍の画像である。
図9A-Dは、追跡治療の前、治療中の創傷を示している。
【0166】
図9Aは、本発明のいくつかの用途による、治療セッションの開始前の創傷を示している。
【0167】
図9Bは、本発明のいくつかの用途による、前の治療セッション後、および本発明のいくつかの用途による、治療を再開する前の創傷の部分的治癒を示している。
【0168】
図9Cは、本発明のいくつかの用途による治療の再開から6週間での創傷の部分的な治癒を示している。
【0169】
図9Dは、本発明のいくつかの用途による治療の再開から9週間での創傷の完全な閉鎖を示している。
図9Dは、0.47cm2から0.0cm2までの創傷の完全な閉鎖を示している。
【0170】
図10A~10Dは、本発明のいくつかの用途による治療の開始前に、3ヶ月間、創傷を患っている92歳の女性被験者における糖尿病性足潰瘍の画像である。
図10A~Dは、追跡治療の前、治療中の創傷を示している。
【0171】
図10Aは、治療の適用前の時間0での創傷を示している。
【0172】
図10Bは、本発明のいくつかの用途による治療の始まりから3週間での創傷の部分的な治癒を示している。
【0173】
図10Cは、本発明のいくつかの用途による治療の始まりから12週間での創傷の追加の部分的な治癒を示している。
【0174】
図10Dは、本発明のいくつかの用途による治療の始まりから16週間での創傷の完全な閉鎖を示している。
図10Dは、6.14cm2から0.0cm2までの創傷の完全な閉鎖を示している。
【0175】
図11A~11Dは、本発明のいくつかの用途による治療の開始前に、12ヶ月間、創傷を患っている86歳の男性被験者における糖尿病性足潰瘍の画像である。
図11A~Dは、追跡治療の前、治療中の創傷を示している。
【0176】
図11Aは、治療の適用前の時間0での創傷を示している。
【0177】
図11Bは、本発明のいくつかの用途による治療の始まりから4週間での創傷の部分的な治癒を示している。
【0178】
図11Cは、本発明のいくつかの用途による治療の始まりから12週間での創傷の追加の部分的な治癒を示している。
【0179】
図11Dは、本発明のいくつかの用途による治療の始まりから20週間でのさらなる創傷の完全な閉鎖を示している。
図11Dは、6.07cm2から0.96cm2までの創傷の閉鎖を示している(84%の閉鎖)。
【0180】
図12A~12Dは、本発明のいくつかの用途による治療の開始前に、12ヶ月間、創傷を患っている74歳の女性被験者における2つの糖尿病性足潰瘍の画像である。
図12A~Dは、追跡治療の前、治療中の創傷を示している。
【0181】
図12Aは、治療の適用前の時間0での創傷を示している。
【0182】
図12Bは、本発明のいくつかの用途による治療の始まりから5週間での創傷の部分的な治癒を示している。
【0183】
図12Cは、本発明のいくつかの用途による治療の始まりから10週間での創傷のうちの1つ(矢印で示されている)の完全な閉鎖と創傷のうちの1つの追加の部分的な治癒を示している。
【0184】
図12Dは、本発明のいくつかの用途による治療の始まりから18週間での両方の創傷(矢印で示されている)の完全な閉鎖を示している。
図12Dは、1.35cm2から0.0cm2、および1.01から0.0cm2の両方の創傷の完全な閉鎖を示している。
【0185】
図13A~13Dは、本発明のいくつかの用途による治療の開始前に、6ヶ月間、創傷を患っている63歳の男性被験者における糖尿病性足潰瘍の画像である。
図13A~Dは、追跡治療の前、治療中の創傷を示している。
【0186】
図13Aは、治療の適用前の時間0での創傷を示している。
【0187】
図13Bは、本発明のいくつかの用途による治療の始まりから2週間での創傷の部分的な治癒を示している。
【0188】
図13Cは、本発明のいくつかの用途による治療の始まりから5週間での創傷の追加の部分的な治癒を示している。
【0189】
図13Dは、本発明のいくつかの用途による治療の始まりから10週間での創傷の完全な閉鎖を示している。
図13Dは、1.05cm2から0.0cm2までの創傷の完全な閉鎖を示している。
【0190】
ここで、
図14を参照する。
図14は、本発明のいくつかの用途による、被験者における酸素前融合を改善するために、被験者によって使用される様々な物品とともに使用するための、電気刺激療法を適用するための装置の構成概略図である。以下は、着用可能および/または把持可能な物品などの電極アセンブリ物品上の、創傷から離れた電極の可能な配置の例である。例えば、電極は、衣類、衣類付属品、靴、リストバンドなどの着用可能な物品内に、創傷の遠位に配置される。
図14は、創傷治療のための電極および電気信号発生器を備える物品の概略図を示している。帽子、キャップなどのヘッドウェア物品700は、被験者のこめかみの皮膚に隣接する、ヘッドウェア物品700のヘッドバンドの内面にある電極704および708などの、ヘッドウェア物品700のヘッドバンド内に組み込まれた電極アセンブリを有し得る。アセンブリは、ヘッドウェア物品700構造に埋め込まれており、各電気リード線706の一端で電極704および708の両方に、かつ電気リード線706の他端で電気的に接続された電気信号発生器702に電気的に接続された電気リード線706を備える。ヘッドウェア物品700のヘッドバンドなどの固定要素が、電極704および708を、被験者の皮膚にしっかりと接続した状態に保つ。電気信号発生器702および電極アセンブリをヘッドウェア物品700に組み込むことの利点は、歩行などの他のタスクを行いながら患者が治療され得る点である。
【0191】
眼鏡フレーム710は、被験者の耳の後ろの皮膚に隣接する、各アームの端部の内面にある電極714および716などの、眼鏡フレーム710のアーム内に組み込まれた電極アセンブリを有し得る。アセンブリは、眼鏡フレーム710構造に埋め込まれており、各電気リード線718の一端で電極714および716の両方に、かつ電気リード線718の他端で電気的に接続された電気信号発生器712に電気的に接続された電気リード線718を備える。電気信号発生器712は、眼鏡フレーム710の1つのアーム内に埋め込まれ得る。眼鏡フレーム710のアームなどの固定要素が、電極714および716を、被験者の皮膚にしっかりと接続した状態に保つ。電気信号発生器712および電極アセンブリを眼鏡フレーム710に組み込むことの利点は、読書などの他のタスクを行いながら患者が治療され得る点である。
【0192】
腕時計720は、被験者の手首の皮膚に隣接する、手首の内面にある電極724および726などの、腕時計720のリストバンド内に組み込まれた電極アセンブリを有し得る。アセンブリは、リストバンドに埋め込まれており、各リード線の一端で電極724および726の両方に、かつリード線の他端で電気的に接続された電気信号発生器722に電気的に接続された電気リード線を備える。電気信号発生器722は、リストバンドまたは時計自体内に埋め込まれ得る。腕時計720のリストバンドなどの固定要素が、電極724および726を、被験者の皮膚にしっかりと接続した状態に保つ。電気信号発生器722および電極アセンブリを腕時計720に組み込むことの利点は、他のタスクを行いながら患者が治療され得る点である。
【0193】
肌着730は、被験者の上腕の皮膚に隣接する、袖の内面にある電極734および736などの、肌着730の袖内に組み込まれた電極アセンブリを有し得る。アセンブリは、袖に埋め込まれており、各リード線の一端で電極734および736の両方に、かつリード線の他端で電気的に接続された電気信号発生器732に電気的に接続された電気リード線を備える。電気信号発生器732は、肌着730の袖内に埋め込まれ得る。肌着730の袖などの固定要素が、電極734および736を、被験者の皮膚にしっかりと接続した状態に保つ。電気信号発生器732および電極アセンブリを肌着730に組み込むことの利点は、他のタスクを行いながら患者が治療され得る点である。
【0194】
バーベル740は、バーを保持する被験者の手の皮膚に隣接する、バーの外面にある電極744および746などの、バーベル740のバー内に組み込まれた電極アセンブリを有し得る。アセンブリは、バーに埋め込まれており、各リード線の一端で電極744および746の両方に、かつリード線の他端で電気的に接続された電気信号発生器742に電気的に接続された電気リード線を備える。電気信号発生器742は、バーベル740のバーまたは重り内に埋め込まれ得る。被験者の手などの固定要素が、電極744および746を、被験者の皮膚にしっかりと接続した状態に保つ。電気信号発生器および電極アセンブリをバーベル740に組み込むことの利点は、治療されながら患者がフィットネストレーニングを行い得る点である。
【0195】
ほうき750は、柄を保持する被験者の手の皮膚に隣接する、柄の外面にある電極754および756などの、ほうき750の柄内に組み込まれた電極アセンブリを有し得る。アセンブリは、柄に埋め込まれており、各リード線の一端で電極754および756の両方に、かつリード線の他端で電気的に接続された電気信号発生器752に電気的に接続された電気リード線を備える。電気信号発生器752は、ほうき750の柄内に埋め込まれ得る。被験者の手などの固定要素が、電極754および756を、被験者の皮膚にしっかりと接続した状態に保つ。電気信号発生器752および電極アセンブリをほうき750に組み込むことの利点は、掃除などの他のタスクを行いながら患者が治療され得る点である。
【0196】
任意選択的に、電極アセンブリは、医療用包帯、接着性包帯などに配置される。例えば、電極は、患者の皮膚に接着剤で接続されたパッチ電極であり、電気信号発生器は、パッチに統合されている。この例では、固定要素は、パッチの接着剤である。例えば、電気信号発生器および電極は、スポーツ傷害に使用されるような弾性包帯に統合される。弾性包帯は、接着性包帯の一端の電極が、皮膚に触れるように患者の関節に適用される。接着性包帯は、電気信号発生器とリード線を含む固定要素である。同様に、電気信号発生器、リード線、および電極は、ストラップ、ベルト、医療用包帯、ばね、弾性コード、弾性ウェビング、弾性包帯、接着性包帯、接着性パッチなどに組み込むことができる。任意選択的に、これらの物品は、衣類、下着類、衣類付属品などの着用可能な物品に組み込まれる。
【0197】
説明されている物品2つ以上の電極は、電極アセンブリの基板などの物品の基板によって接続されている。基板は、綿布、亜麻布などの剛性など、1x10-7Nm2を超える剛性を有し得る。基板は、2つ以上の電極要素を備えるパッチ電極、弾性包帯などの剛性など、10x10-7Nm2を超える剛性を有し得る。任意選択的に、基板は、ヘッドバンド、腕時計のリストストラップ、帽子のヘッドバンドなどの剛性など、100x10-7Nm2を超える剛性を有し得る。任意選択的に、基板は、バーベルのバー、ほうきの柄などの剛性など、1x10-4Nm2を超える剛性を有し得る。任意選択的に、基板は、1x10-9Nm2を超える剛性を有し得る。任意選択的に、基板は、1x10-9Nm2~1x109Nm2の剛性を有し得る。
【0198】
本発明のいくつかの用途は、システム、装置、方法、および/またはコンピュータプログラム製品であり得る。コンピュータプログラム製品は、プロセッサに本発明の態様を実行させるためのコンピュータ可読プログラム命令をその上に有するコンピュータ可読記憶媒体(または複数の媒体)を含み得る。
【0199】
コンピュータ可読記憶媒体は、命令実行デバイスによる使用のために命令を保持および記憶することができる有形デバイスであり得る。コンピュータ可読記憶媒体は、例えば、電子記憶装置、磁気記憶装置、光学記憶装置、電磁記憶装置、半導体記憶装置、または前述の任意の好適な組み合わせであってもよいが、これらに限定されない。コンピュータ可読記憶媒体のより具体的な例の非網羅的なリストには、以下が含まれる:ポータブルコンピュータディスケット、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み取り専用メモリ(ROM)、消去可能なプログラマブル読み取り専用メモリ(EPROMまたはフラッシュメモリ)、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)、ポータブルコンパクトディスク読み取り専用メモリ(CD-ROM)、デジタル多用途ディスク(DVD)、メモリスティック、フロッピーディスク、パンチカードまたは命令が記録された溝の隆起構造などの機械的にコード化されたデバイス、および前述の任意の好適な組み合わせ。本明細書で使用される際、コンピュータ可読記憶媒体は、それ自体が、電波もしくは他の自由に伝播する電磁波、導波管もしくは他の伝送媒体を介して伝播する電磁波(例えば、光ファイバケーブルを通過する光パルス)、またはワイヤを介して伝送される電気信号などの、一時的な信号であると解釈されるべきではない。
【0200】
本明細書で説明するコンピュータ可読プログラム命令は、コンピュータ可読記憶媒体からそれぞれのコンピューティング/処理デバイスに、またはネットワーク、例えば、インターネット、ローカルエリアネットワーク、ワイドエリアネットワーク、および/もしくはワイヤレスネットワークを介して、外部コンピュータもしくは外部記憶デバイスにダウンロードできる。ネットワークは、銅伝送ケーブル、光伝送ファイバ、無線伝送、ルータ、ファイアウォール、スイッチ、ゲートウェイコンピュータ、および/またはエッジサーバを含んでもよい。各コンピューティング/処理デバイス内のネットワークアダプタカードまたはネットワークインターフェースは、ネットワークからコンピュータ可読プログラム命令を受信し、それぞれのコンピューティング/処理デバイス内のコンピュータ可読記憶媒体に記憶するためにコンピュータ可読プログラム命令を転送する。
【0201】
本発明の動作を実行するためのコンピュータ可読プログラム命令は、アセンブラ命令、命令セットアーキテクチャ(ISA)命令、機械命令、機械依存命令、マイクロコード、ファームウェア命令、状態設定データ、またはJava、Smalltalk、C++などのオブジェクト指向プログラミング言語、および「C」プログラミング言語などの従来の手続き型プログラミング言語、もしくは同様のプログラミング言語を含む1つ以上のプログラミング言語の任意の組み合わせで記述されたソースコードもしくはオブジェクトコードのいずれかであってもよい。コンピュータ可読プログラム命令は、ユーザのコンピュータで、一部はユーザのコンピュータで、スタンドアロンのソフトウェアパッケージとして、一部はユーザのコンピュータおよび一部はリモートコンピュータで、または完全にリモートコンピュータもしくはサーバで、完全に実行され得る。後者のシナリオでは、リモートコンピュータは、ローカルエリアネットワーク(LAN)もしくはワイドエリアネットワーク(WAN)を含む任意のタイプのネットワークを介してユーザのコンピュータに接続することができ、または、接続は、外部コンピュータに(例えば、インターネットサービスプロバイダを使用してインターネット経由で)なされ得る。いくつかの実施形態では、例えば、プログラマブルロジック回路、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、またはプログラマブルロジックアレイ(PLA)を含む電子回路は、本発明の態様を実行するために、コンピュータ可読プログラム命令の状態情報を利用して電子回路をパーソナライズすることにより、コンピュータ可読プログラム命令を実行することができる。
【0202】
本発明の態様は、本発明の実施形態による方法、装置(システム)、およびコンピュータプログラム製品のフローチャート図および/またはブロック図を参照して本明細書で説明される。フローチャート図および/またはブロック図の各ブロック、ならびにフローチャート図および/またはブロック図のブロックの組み合わせは、コンピュータ可読プログラム命令によって実装できることが理解されよう。
【0203】
これらのコンピュータ可読プログラム命令は、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、または他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサに提供され得、命令がコンピュータまたは他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサを介して実行されるように機械を生成し、フローチャートおよび/またはブロック図の1つ以上のブロックで指定された機能/動作を実装するための手段を形成する。これらのコンピュータ可読プログラム命令はまた、コンピュータ、プログラマブルデータ処理装置、および/または他のデバイスが特定の手法で機能するように命令することができるコンピュータ可読記憶媒体内に記憶され得、命令をその中に記憶したコンピュータ可読記憶媒体が、フローチャートおよび/またはブロック図のブロックもしくは複数のブロックで指定された機能/動作の態様を実装する命令を含む製品を備えるようにする。
【0204】
コンピュータ可読プログラム命令はまた、コンピュータ、他のプログラマブルデータ処理装置、または他のデバイスにロードされ得、コンピュータ、他のプログラマブル装置または他のデバイス上で一連の動作ステップを実行させて、コンピュータ実装プロセスを生成することができ、コンピュータ、他のプログラマブル装置、または他のデバイス上で実行される命令が、フローチャートおよび/またはブロック図のブロックもしくは複数のブロックで指定された機能/動作を実装するようにする。
【0205】
図中のフローチャートおよびブロック図は、本発明の様々な実施形態によるシステム、方法、およびコンピュータプログラム製品の可能な実装のアーキテクチャ、機能、および動作を示している。これに関して、フローチャートまたはブロック図の各ブロックは、指定された論理機能を実装するための1つ以上の実行可能な命令を含む命令のモジュール、セグメント、または部分を表し得る。一部の代替実装では、ブロックに記載される機能が、図に記載される順序とは異なる順序で発生する場合がある。例えば、連続して示されている2つのブロックは、実際には、実質的に同時に実行される場合があり、またはそのブロックは、関与する機能に応じて逆の順序で実行される場合があってもよい。ブロック図および/またはフローチャート図の各ブロック、およびブロック図および/またはフローチャート図のブロックの組み合わせは、指定された機能または動作を実行するか、または専用ハードウェアとコンピュータ命令の組み合わせを実行する特定目的のハードウェアベースのシステムによって実装できることにも注意されたい。
【0206】
本発明の様々な実施形態の説明は、例示の目的で提示されたが、網羅的であること、または開示された実施形態に限定されることは意図されていない。説明された実施形態の範囲および趣旨から逸脱することなく、多くの修正および変形が当業者には明らかであろう。本明細書で使用される用語は、実施形態の原理、実際の応用、もしくは市場で見られる技術に対する技術的改善を最もよく説明するために、または当業者以外の人が本明細書で開示される実施形態を理解できるように選択されたものである。
【0207】
本発明は、特に図示され、上述されたものに限定されないことが当業者には理解されよう。むしろ、本発明の範囲は、上述された様々な特徴の組み合わせおよびサブ組み合わせの両方、ならびに前述の記載を読んだときに当業者が思いつく、先行技術にはないそれらの変形および修正を含む。
【国際調査報告】