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特表2023-504821エレメンを含む医薬組成物、その調製方法、及びその使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-07
(54)【発明の名称】エレメンを含む医薬組成物、その調製方法、及びその使用
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/015 20060101AFI20230131BHJP
   A61K 9/14 20060101ALI20230131BHJP
   A61K 47/44 20170101ALI20230131BHJP
   A61K 47/42 20170101ALI20230131BHJP
   A61K 9/19 20060101ALI20230131BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20230131BHJP
   A61K 47/10 20170101ALI20230131BHJP
   A61K 47/02 20060101ALI20230131BHJP
   A61K 47/12 20060101ALI20230131BHJP
   A61K 47/14 20170101ALI20230131BHJP
   A61K 47/06 20060101ALI20230131BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20230131BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20230131BHJP
   A61P 35/04 20060101ALI20230131BHJP
   A61K 9/12 20060101ALI20230131BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20230131BHJP
   A61K 9/10 20060101ALI20230131BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20230131BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20230131BHJP
   A61K 31/337 20060101ALI20230131BHJP
   A61K 31/7068 20060101ALI20230131BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20230131BHJP
   A61K 47/18 20170101ALI20230131BHJP
   A61K 47/36 20060101ALI20230131BHJP
   A61K 47/04 20060101ALI20230131BHJP
   A61K 31/437 20060101ALI20230131BHJP
【FI】
A61K31/015
A61K9/14
A61K47/44
A61K47/42
A61K9/19
A61K47/26
A61K47/10
A61K47/02
A61K47/12
A61K47/14
A61K47/06
A61P35/00
A61P35/02
A61P35/04
A61K9/12
A61K9/08
A61K9/10
A61K45/00
A61P43/00 121
A61K31/337
A61K31/7068
A61K39/395 T
A61K47/18
A61K47/36
A61K47/04
A61K31/437
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022533393
(86)(22)【出願日】2020-12-02
(85)【翻訳文提出日】2022-06-02
(86)【国際出願番号】 CN2020133470
(87)【国際公開番号】W WO2021110073
(87)【国際公開日】2021-06-10
(31)【優先権主張番号】201911217202.0
(32)【優先日】2019-12-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】522220485
【氏名又は名称】四川弘合生物科技有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】▲ゴン▼濤
(72)【発明者】
【氏名】柯瀟
(72)【発明者】
【氏名】鄭強
(72)【発明者】
【氏名】葉亮
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C085
4C086
4C206
【Fターム(参考)】
4C076AA11
4C076AA22
4C076AA24
4C076AA29
4C076AA36
4C076BB11
4C076BB13
4C076BB15
4C076BB16
4C076BB17
4C076BB21
4C076BB27
4C076BB29
4C076BB30
4C076BB31
4C076DD23Z
4C076DD24S
4C076DD26Z
4C076DD30Z
4C076DD35
4C076DD37S
4C076DD38
4C076DD38D
4C076DD41R
4C076DD41Z
4C076DD43Z
4C076DD45R
4C076DD48
4C076DD48R
4C076DD49R
4C076DD51
4C076DD52
4C076DD60
4C076DD60S
4C076DD67
4C076DD67D
4C076EE30
4C076EE41
4C076EE52
4C076EE53
4C076FF33
4C076FF34
4C076GG06
4C084AA19
4C084MA12
4C084MA13
4C084MA16
4C084MA17
4C084MA21
4C084MA23
4C084MA41
4C084MA43
4C084MA44
4C084MA55
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4C084MA66
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4C084NA05
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4C086MA16
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4C086MA21
4C086MA23
4C086MA41
4C086MA43
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4C086MA66
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4C086ZB26
4C086ZB27
4C086ZC75
4C206AA01
4C206AA02
4C206BA03
4C206BA04
4C206KA01
4C206MA03
4C206MA05
4C206MA32
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4C206MA36
4C206MA37
4C206MA41
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4C206MA63
4C206MA64
4C206MA75
4C206MA76
4C206MA78
4C206MA83
4C206MA85
4C206MA86
4C206NA05
4C206NA14
4C206ZB26
4C206ZB27
4C206ZC75
(57)【要約】
本出願は、エレメンとタンパク質担体と注射用油とを含み、安全性及び安定性が改善された医薬組成物に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレメンと、注射用油と、タンパク質担体とを含む医薬組成物。
【請求項2】
前記医薬組成物が粒子の形態であり、
前記粒子の粒子径が180nm未満であり、好ましくは50~180nmである、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
前記粒子の粒子径が70~170nmである、請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
前記粒子の粒子径が70~150nmである、請求項3に記載の医薬組成物。
【請求項5】
前記エレメンが、α-エレメン、β-エレメン、γ-エレメン及びδ-エレメンのうちの1つ以上から選択される、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項6】
前記エレメンがβ-エレメンである、請求項5に記載の医薬組成物。
【請求項7】
前記タンパク質担体がアルブミンであり、
前記アルブミンが、ヒト血清アルブミン及びウシ血清アルブミンの一方又は両方から選択される、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項8】
前記タンパク質担体がヒト血清アルブミンである、請求項7に記載の医薬組成物。
【請求項9】
前記エレメンに対する前記アルブミン担体の重量比が0.5~20である、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項10】
前記エレメンに対する前記アルブミン担体の重量比が0.5~10である、請求項9に記載の医薬組成物。
【請求項11】
前記注射用油と前記エレメンとの重量比が0.35~10である、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項12】
前記注射用油と前記エレメンとの重量比が0.5~10である、請求項11に記載の医薬組成物。
【請求項13】
前記注射用油が、大豆油、ベニバナ油、綿実油、コーン油、ヒマワリ油、落花生油、オリーブ油、ゴマ油、カメリア油、中鎖及び長鎖脂肪グリセリド又は中鎖トリグリセリドのうちの1つ以上である、請求項1~12のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項14】
凍結乾燥保護剤をさらに含む、請求項1~13のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項15】
前記凍結乾燥保護剤が、グルコース、スクロース、マルトース、ラクトース、マンノース、トレハロース、グリシン及びデキストランのうちの1つ以上から選択される、請求項14に記載の医薬組成物。
【請求項16】
前記凍結乾燥保護剤がトレハロース又はスクロースである、請求項15に記載の医薬組成物。
【請求項17】
前記医薬組成物の溶液の体積に対する前記凍結乾燥保護剤の重量比が、3:100~20:100g/mLである、請求項14~16に記載の医薬組成物。
【請求項18】
等浸透圧調整剤、酸化防止剤、防腐剤及びpH調整剤のうちの1つ以上をさらに含む、請求項1~16のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項19】
前記等浸透圧調整剤が、グリセリン、ソルビトール、マンニトール又はグルコースのうちの1つ以上である、請求項18に記載の医薬組成物。
【請求項20】
前記pH調整剤が、水酸化ナトリウム、クエン酸ナトリウム、クエン酸、リン酸、酢酸又は塩酸のうちの1つ以上である、請求項18に記載の医薬組成物。
【請求項21】
前記防腐剤が、ヒドロキシベンゼンアルキルエステル、安息香酸、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸、酢酸クロルヘキシジン、臭化ベンザルコニウムのうちの1つ以上から選択される、請求項18に記載の医薬組成物。
【請求項22】
前記酸化防止剤が、亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、アスコルビン酸、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,6-ジ-tert-ブチル化ヒドロキシトルエン及びビタミンEのうちの1つ以上から選択される、請求項18に記載の医薬組成物。
【請求項23】
医薬組成物の調製プロセス中に有機溶媒が含まれない、請求項1~22のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項24】
前記医薬組成物が粒子の形態で調製されており、
前記粒子の粒子径が180nm未満である、請求項23に記載の医薬組成物。
【請求項25】
前記粒子の粒子径が70~150nmである、請求項24に記載の医薬組成物。
【請求項26】
前記医薬組成物において、
前記エレメンに対する前記大豆油の重量比が約0.35~3であり、
前記エレメンに対する前記ヒト血清アルブミンの重量比が約0.5~20である、請求項23~25のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項27】
前記医薬組成物において、
前記エレメンに対する前記大豆油の重量比が約0.5~3であり、
前記エレメンに対する前記ヒト血清アルブミンの重量比が約0.5~2.5である、請求項26に記載の医薬組成物。
【請求項28】
前記医薬組成物において、
前記エレメンに対する前記大豆油の重量比が約0.35~1.5、好ましくは0.35~0.75であり、
前記エレメンに対する前記ヒト血清アルブミンの重量比が約1.5~10である、請求項26に記載の医薬組成物。
【請求項29】
前記医薬組成物において、
前記エレメンに対する前記大豆油の重量比が約0.5であり、
前記エレメンに対する前記ヒト血清アルブミンの重量比が約1.5である、請求項28に記載の医薬組成物。
【請求項30】
前記医薬組成物において、
前記エレメンに対する前記大豆油の重量比が約0.75であり、
前記エレメンに対する前記ヒト血清アルブミンの重量比が約5である、請求項28に記載の医薬組成物。
【請求項31】
前記医薬組成物において、
前記エレメンに対する前記大豆油の重量比が約1.5であり、
前記エレメンに対する前記ヒト血清アルブミンの重量比が約3~5である、請求項28に記載の医薬組成物。
【請求項32】
医薬組成物の調製プロセス中に有機溶媒が含まれる、請求項1~22のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項33】
前記有機溶媒が、クロロホルム、ジクロロメタン、ターシャリーブタノール、イソプロパノール、酢酸エチル、エタノール、テトラヒドロフラン、ジオキサン、アセトニトリル、アセトン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、及びメチルピロリドンのうちの1つ以上から選択される、請求項32に記載の医薬組成物。
【請求項34】
前記有機溶媒がジクロロメタンとエタノールとの混合溶媒である、請求項33に記載の医薬組成物。
【請求項35】
エタノールに対するジクロロメタンの体積比が1:1~8である、請求項34に記載の医薬組成物。
【請求項36】
エタノールに対するジクロロメタンの体積比が1:4である、請求項35に記載の医薬組成物。
【請求項37】
前記粒子の粒子径が70~150nmである、請求項33~36のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項38】
前記医薬組成物において、
前記エレメンに対する前記大豆油の重量比が約2.4~10であり、
前記エレメンに対する前記ヒト血清アルブミンの重量比が約0.5~10である、請求項37に記載の医薬組成物。
【請求項39】
前記医薬組成物において、
前記エレメンに対する前記大豆油の重量比が約2.4であり、
前記エレメンに対する前記ヒト血清アルブミンの重量比が約3である、請求項38に記載の医薬組成物。
【請求項40】
以下の工程を含む、請求項1~39のいずれか1項に記載の医薬組成物を調製する方法:
(1)エレメンと注射用油とを均一に混合し、有機溶媒を任意で加えて、前記エレメン及び前記注射用油の溶液を得る;タンパク質担体を水に溶解してタンパク質担体溶液を得る工程、
(2)工程(1)で得られた2つの溶液を混合して乳化物を形成する工程、
(3)工程(2)の前記乳化物を高圧下で均質化し、任意で前記乳化物を減圧下で蒸発させて有機溶媒を除去し、ナノ粒子溶液を得る工程。
【請求項41】
前記有機溶媒を工程(1)で使用し、好ましくは前記エレメンを前記有機溶媒に溶解後に前記注射用油と混合する、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記注射用油が大豆油であり、
前記アルブミン担体がヒト血清アルブミンであり、
前記エレメンに対する前記大豆油の重量比が約2.4~10であり、
前記エレメンに対する前記ヒト血清アルブミンの重量比が約0.5~10である、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
得られたタンパク質担体ナノ粒子の溶液を凍結乾燥する工程をさらに含む、請求項40に記載の方法。
【請求項44】
工程(2)において、混合のために剪断又は超音波方法を使用し、
工程(3)において、均質化のために高圧均質化又はマイクロジェット均質化方法を使用する、請求項40に記載の方法。
【請求項45】
癌の予防又は処置のための医薬の調製における、請求項1~39のいずれか1項に記載の医薬組成物の、使用。
【請求項46】
癌が、副腎皮質癌、突発性骨髄化生、エイズ関連癌、肛門癌、虫垂癌、星細胞腫、基底細胞癌、胆管癌、膀胱癌、骨腫瘍、神経膠腫、上衣腫、乏突起膠腫、髄膜腫、頭蓋咽頭腫、血管芽腫、芽細胞腫、神経外胚葉腫瘍、視経路及び視床下部神経膠腫及び神経膠芽腫、乳癌、気管支腺腫、カルチノイド腫瘍、中枢神経系リンパ腫、子宮頸癌、結腸癌、大腸癌、慢性骨髄増殖性疾患、子宮内膜癌、上衣腫、食道癌(esophagus cancer)、ユーイングファミリー腫瘍、眼癌、胆嚢癌、消化管カルチノイド腫瘍、消化管間質腫瘍、胚細胞腫瘍、妊娠性絨毛腫瘍、頭頸部癌、肝臓癌、咽頭癌、白血病、口唇及び口腔癌、肺癌、リンパ腫、髄芽腫、メラノーマ、中皮腫、転移性頸部扁平上皮細胞癌腫、多発性内分泌腫瘍症候群、骨髄異形成症候群、骨髄異形成/骨髄増殖性疾患、鼻孔及び副鼻腔の癌腫、鼻咽頭癌、神経芽腫、神経内分泌癌、口腔咽頭癌、脳腫瘍、骨転移癌、胃癌、腸癌、食道癌(esophageal cancer)、卵巣癌、膵臓癌、乳癌、皮膚癌、副甲状腺癌、陰茎癌、腹膜癌、咽頭癌、褐色細胞腫、松果体芽腫及びテント状原始神経外肺葉性腫瘍、下垂体腫瘍、胸膜肺芽腫、リンパ腫、中枢神経系原発リンパ腫、肺リンパ脈管筋腫症、直腸癌、腎臓癌、腎盂癌及び尿管癌、横紋筋肉腫、唾液腺癌、皮膚癌、小腸癌、扁平上皮細胞癌腫、精巣癌、咽喉癌、胸腺腫及び胸腺癌、甲状腺癌、尿道癌、又は、膣癌である、請求項45に記載の使用。
【請求項47】
前記癌が、肺癌、肝臓癌、食道癌、鼻咽頭癌、脳腫瘍、骨転移癌、胃癌、腸癌、子宮癌、子宮頚癌、胚細胞腫瘍、子宮内膜癌、妊娠性絨毛腫瘍、乳癌、皮膚癌、リンパ腫、白血病、又は、悪性メラノーマである、請求項46に記載の使用。
【請求項48】
前記癌が脳腫瘍であり、好ましくは、神経膠腫、脳幹神経膠腫、小脳もしくは大脳星細胞腫、悪性神経膠腫、上衣腫、乏突起膠腫、髄膜腫、頭蓋咽頭腫、血管芽腫、髄芽腫、視経路及び視床下部神経膠腫又は膠芽腫である、請求項47に記載の使用。
【請求項49】
前記小脳又は大脳星細胞腫が、繊維細胞星細胞腫又はびまん性星細胞腫又は退形成性(悪性)星細胞腫である、請求項48に記載の使用。
【請求項50】
処置を必要とする対象に、請求項1~37のいずれか1項に記載の医薬組成物の治療有効量を投与することを含む、ヒト疾患を処置する方法。
【請求項51】
前記医薬組成物を、非経口、吸入、腹腔内、膀胱内、筋肉内、静脈内、気管内、皮下、眼内、髄腔内、経皮、直腸又は膣によって投与する、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記投与が静脈内である、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
請求項1~39のいずれか1項に記載の医薬組成物を含む、医薬製剤。
【請求項54】
前記医薬製剤が、静脈内投与用医薬製剤、非経口投与用医薬製剤、胃腸内投与用医薬製剤、呼吸器投与用医薬製剤、膣内投与用医薬製剤、又は、他の適切な医薬製剤であり、
前記呼吸器投与用医薬製剤がエアロゾルである、請求項53に記載の医薬製剤。
【請求項55】
前記医薬製剤が固体製剤、液体製剤又は気体製剤である、請求項53に記載の医薬製剤。
【請求項56】
前記液体製剤が、エレメン及び薬学的に許容し得る担体を含む注射用液体製剤であり、
前記薬学的に許容し得る担体が、アルブミン及び大豆油を含む、請求項53に記載の医薬製剤。
【請求項57】
前記医薬製剤が顆粒製剤であり、
前記顆粒製剤の粒子径が70~150nmであり、
前記組成物において、エレメンに対するアルブミンの重量比が0.5~20であり、エレメンに対する注射用油の重量比が0.35~10である、請求項55に記載の医薬製剤。
【請求項58】
前記液体製剤が、滅菌凍結乾燥粉末から再構成された安定な水性懸濁液である、請求項55に記載の医薬製剤。
【請求項59】
抗癌剤を含む他の薬物をさらに含む、請求項53に記載の医薬製剤。
【請求項60】
前記抗癌剤が、テモゾロミド、パクリタキセル、ドセタキセル、タキサン、ゲムシタビン、抗VEGF薬物又はPD-1抗体薬物を含む、請求項59に記載の医薬製剤。
【請求項61】
前記抗VEGF薬物が、アバスチン、ラニビズマブ、アフリベルセプト又はコンベルセプトを含む、請求項60に記載の医薬製剤。
【請求項62】
前記PD-1抗体薬物が、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、トリパリマブ、シンチリマブ、セミプリマブ、アテゾリズマブ、アベルマブ又はデュルバルマブを含む、請求項56に記載の医薬製剤。
【請求項63】
請求項1~39のいずれか1項に記載の医薬組成物又は請求項53~62のいずれか1項に記載の医薬製剤を含む、密封容器。
【請求項64】
単回投与容器又は複数回投与容器である、請求項63に記載の密封容器。
【請求項65】
前記医薬組成物が液体組成物又は乾燥固体組成物である、請求項63に記載の密封容器。
【請求項66】
前記医薬組成物が凍結乾燥されている、請求項63に記載の密封容器。
【請求項67】
前記医薬組成物が滅菌されている、請求項63に記載の密封容器。
【請求項68】
プレフィルドシリンジである、請求項63に記載の密封容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は医薬製剤の分野に関し、特に、エレメンを含む医薬組成物並びにその調製方法及び使用に関する。
【背景技術】
【0002】
エレメンは、Curcuma Wenyujin Y.H. Chen et C.ling及びCymbopoqon citratus ((DC.)Stapt等の植物から抽出された揮発性油性化合物である。本化合物は、淡黄色又は黄色の透明な液体であり、刺激性のフェンネル臭を有する。現在、エレメンはα-エレメン、β-エレメン、δ-エレメン及びγ-エレメンを含む混合物として臨床的に使用されており、悪性胸水、肺癌、消化管腫瘍及び他の表在性腫瘍に広く使用されている。市販されているエレメン及びその製剤には、クレモフォールEL及び他の賦形剤を含み、強い刺激性があるため、市販されている薬物の使用後に、重篤な静脈炎、発熱、局所疼痛、アレルギー反応又は軽度の消化管反応、並びに発熱及び他の副作用を多くの患者が伴い得る。実際の臨床投薬処理では、静脈炎の発生率が高く、その再発率が高いため、静脈内注入の速度を厳密にコントロールし、点滴時間を長くする必要がある。
【0003】
エレメンは水にほとんど不溶であり、特に石油エーテル、ジエチルエーテル等の有機溶媒に強い脂溶性を有する。エレメンの分子式はC1524であり、炭化水素のみから成る。そのユニークな化学的構造及び物理化学的性質のために、医薬製剤の調製には大きな困難及び障害がある。エレメンの溶解度を増加させるために、注射液へのエレメンの調製の間に、市販されている薬物処方においてクレモフォールEL及び他の賦形剤を加え、重篤な溶血及び大きな刺激の問題を生じた。さらに、パクリタキセルアルブミンナノ製剤の市販品は臨床的副作用を解決するための新しい形態の医薬製剤を提供するが、エレメンの物理化学的性質(これは室温で油性である)のために、エレメンをアルブミン製剤に処方することは極めて困難である。したがって、現在、対応する研究又は開発は存在しない。
【発明の概要】
【0004】
本出願は、ヒト体内に投与される医薬組成物の1以上の副作用を効果的に低減することができる、エレメン、注射用油及びタンパク質担体を含む医薬組成物を提供する。
【0005】
本出願の1つ以上の実施形態において、医薬組成物において使用されるタンパク質担体はタンパク質を含み、任意の適当なタンパク質を使用してもよい。適当なタンパク質の例には、アルブミン、免疫グロブリン(IgAを含むがこれに限定されない)、リポタンパク質、アポリポタンパク質B、α-酸性糖タンパク質、β-2-マクログロブリン、チログロブリン、トランスフェリンタンパク質、フィブロネクチン、第VII因子、第VIII因子、第IX因子、第X因子及び類似体が含まれるが、これに限定されるわけではない。タンパク質担体は、天然であっても合成であってもよい。いくつかの実施形態において、タンパク質担体は、カゼイン、α-ラクトアルブミン及びβ-ラクトグロブリン等の非血液タンパク質である。いくつかの実施形態において、タンパク質担体は、ヒト血清アルブミン(HSA)、牛血清アルブミン等のアルブミンを含む。ヒト血清アルブミンは、585アミノ酸から構成される高溶解性グロブリンであるMr65Kである。HSAは血漿において最も豊富なタンパク質であり、ヒト血漿におけるコロイド浸透圧の70~80%を構成する。
【0006】
本出願の1つ以上の実施形態において、医薬組成物において使用される「注射用油」はオレイン酸エチル、安息香酸ベンジル、中鎖トリグリセリド(MCT)及び植物油を含み、これらの中で、植物油は、大豆油、ベニバナ油、綿実油、コーン油、ヒマワリ油、落花生油及びオリーブ油のうちの1つ以上から選択される。本出願の1つ以上の実施形態において、注射用油は大豆油である。
【0007】
本出願の1つ以上の実施形態において、医薬組成物は粒子に処方されてもよく、当該粒子の粒子径は180nm未満(例えば、約70~170nm、好ましくは約70~150nm)である。
【0008】
本出願の1つ以上の実施形態において、組成物は任意の形態(例えば、球形又は非球形)のナノ粒子を含み、いくつかの実施形態において、粒子の平均直径又は中間直径(intermediate diameter)は約180nm以下である。いくつかの実施形態において、粒子の平均直径又は中間直径は約50nm~約180nmである。いくつかの実施形態において、粒子の平均直径又は中間直径は約60nm~約180nmである。いくつかの実施形態において、粒子の平均直径又は中間直径は約70nm~約170nmである。いくつかの実施形態において、粒子の平均直径又は中間直径は約70nm~約-170nmである。いくつかの実施形態において、粒子の平均直径又は中間直径は約70~約150nmである。いくつかの実施形態において、粒子の平均直径又は中間直径は約60nm、70nm、80nm、90nm、100nm、110nm、120nm、130nm、140nm又は150nmである。いくつかの実施態様において、粒子は滅菌され、濾過可能である。
【0009】
本出願の1つ以上の実施形態において、医薬組成物中のエレメンは、α-エレメン、β-エレメン、γ-エレメン及びδ-エレメンのうちの1つ以上から選択される。本出願の1つ以上の実施形態において、医薬組成物中のエレメンはβ-エレメンである。
【0010】
本出願の1つ以上の実施形態において、医薬組成物におけるアルブミン担体、エレメン及び注射用油の比率は、原材料(feed)の重量比である。
【0011】
本出願の1つ以上の実施形態において、医薬組成物における、エレメンに対するタンパク質担体の重量比は0.520であり;例えば、0.5~10である。
【0012】
本出願の1つ以上の実施形態において、医薬組成物における、エレメンに対する注射用油の重量比は0.3510であり;例えば、0.5~10である。
【0013】
本出願の1つ以上の実施形態において、医薬組成物はさらに、凍結乾燥保護剤を含む。凍結乾燥保護剤は、グルコース、スクロース、マルトース、ラクトース、マンノース、トレハロース、グリシン及びデキストラン、好ましくはトレハロース又はスクロースの1つ以上から選択される。1つ以上の実施形態において、医薬組成物の溶液の体積に対する凍結乾燥保護剤の重量比は3:100~20:100g/mLであり、好ましくは5:100~10:100g/mLである。
【0014】
本出願の1つ以上の実施形態において、医薬組成物は、等浸透圧調整剤、酸化防止剤、防腐剤、及びpH調整剤のうちの1つ以上をさらに含む。等浸透圧調整剤は、グリセロール、ソルビトール、マンニトール又はグルコースのうちの1つ以上である。pH調整剤は、水酸化ナトリウム、クエン酸ナトリウム、クエン酸、リン酸、酢酸又は塩酸のうちの1つ以上である。防腐剤は、ヒドロキシベンゼンアルキルエステル、安息香酸、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸、酢酸クロルヘキシジン、臭化ベンザルコニウムのうちの1つ以上である。酸化防止剤は、亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、アスコルビン酸、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,6-ジ-tert-ブチル化ヒドロキシトルエン及びビタミンEのうちの1つ以上である。
【0015】
本出願の1つ以上の実施形態において、医薬組成物の調製プロセス中に有機溶媒が使用されない医薬組成物も提供される。
【0016】
本出願の1つ以上の実施形態において、医薬組成物は、粒子に処方されてもよく、当該粒子の粒子径は180nm未満(例えば、約70~150nm)である。
【0017】
本出願の1つ以上の実施形態では、医薬組成物において、エレメンに対する大豆油の重量比は約0.35~3であり、エレメンに対するヒト血清アルブミンの重量比は約0.5~20である。好ましくは、エレメンに対する大豆油の重量比は約0.5~3であり、エレメンに対するヒト血清アルブミンの重量比は約0.5~2.5である。または、医薬組成物において、エレメンに対する大豆油の重量比は約0.35~1.5であり、エレメンに対するヒト血清アルブミンの重量比は約1.5~10である。
【0018】
本出願の1つ以上の実施形態において、エレメンに対する大豆油の重量比は約0.5であり、エレメンに対するヒト血清アルブミンの重量比は約1.5である。
【0019】
本出願の1つ以上の実施形態において、エレメンに対する大豆油の重量比は約0.75であり、エレメンに対するヒト血清アルブミンの重量比は約5である。
【0020】
本出願の1つ以上の実施形態において、エレメンに対する大豆油の重量比は約1.5であり、エレメンに対するヒト血清アルブミンの重量比は約3~5である。
【0021】
本出願の1つ以上の実施形態において、調製プロセス中に有機溶媒が含まれる医薬組成物も提供する。有機溶媒は、クロロホルム、ジクロロメタン、ターシャリーブタノール、イソプロパノール、酢酸エチル、エタノール、テトラヒドロフラン、ジオキサン、アセトニトリル、アセトン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、及びメチルピロリドンのうちの1つ以上から選択される。ここで、脂溶性有機溶媒は、ジクロロメタンとエタノールとの混合溶媒である。
【0022】
ここで、エタノールに対するジクロロメタンの体積比は、1:1~8、好ましくは1:4である。
【0023】
医薬組成物は粒子に処方してもよく、粒子の粒子径は約70~150nmである。
【0024】
医薬組成物において、エレメンに対する大豆油の重量比は約2.4~10であり、エレメンに対するヒト血清アルブミンの重量比は約0.5~10である。好ましくは、医薬組成物において、エレメンに対する大豆油の重量比は約2.4であり、エレメンに対するヒト血清アルブミンの重量比は約3である。
【0025】
本出願の1つ以上の実施形態は、以下の工程を含む、本出願の医薬組成物を調製する方法を提供する:
(1)エレメンと注射用油を均一に混合し、有機溶媒を任意で加えて、エレメン及び注射用油の溶液を得る;タンパク質担体を水に溶解してタンパク質担体溶液を得る工程;
(2)工程(1)で得られた2つの溶液を混合して乳化物を形成する工程;
(3)工程(2)の乳化物を高圧下で均質化し、任意に乳化物を減圧下で蒸発させて有機溶媒を除去し、ナノ粒子溶液を得る工程。
【0026】
本出願の1つ以上の実施形態は、以下の工程を含む、本出願の医薬組成物を調製する方法を提供する:
(1)エレメン及び注射用油を均一に混合する工程;
(2)アルブミンを取得し、アルブミンを水に溶解する工程;
(3)両方を混合し、乳化物を形成する工程;
(4)工程(3)の乳化物を高圧下で均質化し、アルブミンナノ粒子の溶液を得る工程。
【0027】
本出願の1つ以上の実施形態において、工程(2)において、混合のために剪断又は超音波方法を使用し、工程(3)において、均質化のために高圧均質化又はマイクロジェット均質化方法を使用する。
【0028】
本出願の1つ以上の実施形態において、工程(3)は、ホモジナイザーのパイプラインを適切量のトレハロース水溶液で洗い流し、ホモジナイザー中に残存する均質化溶液を置換し、次いでホモジナイザーのパイプラインを適切量の超純水で洗い流して残存するトレハロース水溶液を置換し、トレハロース水溶液を均質化溶液と組み合わせ、均一に混合し、次いで濾過する工程をさらに含んでいてもよい。
【0029】
本出願の1つ以上の実施形態において、剪断は、ミキサーによって剪断することによって行ってもよい。
【0030】
本出願の1つ以上の実施形態において、ミキサーによる剪断速度は、5000rpm~10,000rpmである。
【0031】
本出願の1つ以上の実施形態において、ミキサーの剪断時間は1分~20分であり、好ましくは、例えば、2分~10分であり、又は、より好ましくは1分~10分である。
【0032】
本出願の1つ以上の実施形態において、剪断は、好ましくはミキサーを用いて複数回、好ましくは2回より多く行う。
【0033】
本出願の1つ以上の実施形態において、好ましくは第1の時間が5000rpmで1分間の剪断であり、第2の時間は10,000rpmで5分間の剪断である。
【0034】
本出願の1つ以上の実施形態において、高圧均質化の圧力は200~1,600barであり、好ましくは、例えば、250~1,550barである。
【0035】
本出願の1つ以上の実施形態において、高圧均質化の時間は1~10分であり、例えば、好ましくは2~10分であり、例えば、さらに好ましくは5~8分である。
【0036】
本出願の1つ以上の実施形態において、高圧均質化は好ましくは複数回、好ましくは、例えば、2回より多く行う。
【0037】
本出願の1つ以上の実施形態において、マイクロジェット均質化の圧力は20,000psiである。
【0038】
本出願の1つ以上の実施形態において、マイクロジェット均質化の時間は30分である。
【0039】
本出願の1つ以上の実施形態は、調製プロセスにおいて有機溶媒を使用する、本出願の医薬組成物を調製する方法をさらに提供する。
【0040】
本出願の1つ以上の実施形態において、本出願の医薬組成物を調製する方法は、以下の工程を含む:
(1)油溶性有機溶媒にエレメン及び注射用油を溶解する工程;
(2)アルブミンを取得し、アルブミンを水に溶解する工程;
(3)工程(1)及び(2)で得られた2つの溶液を混合して乳化物を形成する工程;
(4)工程(3)における乳化物を均質化する工程;
(5)工程(4)の乳化物を減圧下で蒸発させて有機溶媒を除去し、アルブミンナノ粒子の溶液を得る工程。
【0041】
本出願の1つ以上の実施形態において、工程(1)における有機溶媒は、クロロホルム、ジクロロメタン、ターシャリーブタノール、イソプロパノール、酢酸エチル、エタノール、テトラヒドロフラン、ジオキサン、アセトニトリル、アセトン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、メチルピロリドンのうちの1つ以上から選択され、例えば、ジクロロメタンとエタノールとの混合溶媒であり、混合溶媒におけるジクロロメタンに対するエタノールの体積比は、1:1~8であり、例えば、1:4である。
【0042】
本出願の1つ以上の実施形態において、工程(3)において、混合のために剪断又は超音波方法を使用することができ、工程(4)において、均質化のために高圧均質化又はマイクロジェット均質化方法を使用することができる。
【0043】
本出願の1つ以上の実施形態において、剪断は、ミキサーによって剪断することによって行ってもよい。
【0044】
本出願の1つ以上の実施形態において、ミキサーによる剪断速度は、5000rpm~10,000rpmである。
【0045】
本出願の1つ以上の実施形態において、ミキサーの剪断時間が1分~20分であり、例えば、2~10分である。
【0046】
本出願の1つ以上の実施形態において、剪断は、好ましくはミキサーを用いて複数回、好ましくは2回より多く行う。
【0047】
本出願の1つ以上の実施形態において、好ましくは第1の時間が5,000rpmで1分間の剪断であり、第2の時間は10,000rpmで5分間の剪断である。
【0048】
本出願の1つ以上の実施形態において、高圧均質化の圧力は200~1,600barであり、例えば、250~1,550barである。
【0049】
本出願の1つ以上の実施形態において、高圧均質化の時間は1~10分であり、例えば、2~10分であり、例えば、さらに好ましくは5~8分である。
【0050】
本出願の1つ以上の実施形態において、高圧均質化は好ましくは複数回、例えば、2回より多く行う。
【0051】
本出願の1つ以上の実施形態において、マイクロジェット均質化の圧力は20,000psiである。
【0052】
本出願の1つ以上の実施形態において、マイクロジェット均質化の時間は30分である。
【0053】
本出願の1つ以上の実施形態において、本出願の医薬組成物を調製する方法は、得られたアルブミンナノ粒子の溶液を凍結乾燥する工程をさらに含む。
【0054】
本出願の1つ以上の実施形態は、癌の予防又は処置のための医薬における本出願の医薬組成物の使用をさらに提供する。
【0055】
本出願の1つ以上の実施形態において、本出願が関与する癌には、副腎皮質癌、突発性骨髄化生、エイズ関連癌、肛門癌、虫垂癌、星細胞腫、基底細胞癌、胆管癌、膀胱癌、骨腫瘍、神経膠腫、上衣腫、乏突起膠腫、髄膜腫、頭蓋咽頭腫、血管芽腫、芽細胞腫、神経外胚葉腫瘍、視経路及び視床下部神経膠腫及び神経膠芽腫、気管支腺腫、カルチノイド腫瘍、中枢神経系リンパ腫、子宮頸癌、結腸癌、大腸癌、慢性骨髄増殖性疾患、子宮内膜癌、上衣腫、ユーイングファミリー腫瘍、眼癌、胆嚢癌、胃癌、消化管カルチノイド腫瘍、消化管間質腫瘍、胚細胞腫瘍、妊娠性絨毛腫瘍、頭頸部癌、肝臓癌、咽頭癌、白血病、口唇及び口腔癌、肺癌、リンパ腫、髄芽腫、メラノーマ、中皮腫、転移性頸部扁平上皮細胞癌腫、多発性内分泌腫瘍症候群、骨髄異形成症候群、骨髄異形成/骨髄増殖性疾患、鼻孔及び副鼻腔の癌腫、神経芽腫、神経内分泌癌、口腔咽頭癌、鼻咽頭癌、脳腫瘍、骨転移癌、腸癌、食道癌(esophageal cancer)、卵巣癌、膵臓癌、皮膚癌、副甲状腺癌、陰茎癌、腹膜癌、咽頭癌、褐色細胞腫、松果体芽腫及びテント状原始神経外肺葉性腫瘍、下垂体腫瘍、胸膜肺芽腫、リンパ腫、中枢神経系原発リンパ腫、肺リンパ脈管筋腫症(pulmonary lymphangiomyomatosis)、直腸癌、腎臓癌、腎盂癌及び尿管癌、横紋筋肉腫、唾液腺癌、小腸癌、扁平上皮細胞癌腫、精巣癌、咽喉癌、胸腺腫及び胸腺癌、甲状腺癌、尿道癌、膣癌が含まれる。
【0056】
本出願の1つ以上の実施形態において、本出願に関与する癌には、肺癌、肝臓癌、食道癌、鼻咽頭癌、脳腫瘍、骨転移癌、胃癌、腸癌、子宮癌、子宮頚癌、胚細胞腫瘍、子宮内膜癌、妊娠性絨毛腫瘍、乳癌、皮膚癌、リンパ腫、白血病、悪性メラノーマが含まれる。
【0057】
本出願の1つ以上の実施形態において、脳腫瘍は、神経膠腫、脳幹神経膠腫、小脳又は大脳星細胞腫、悪性神経膠腫、上衣腫、乏突起膠腫、髄膜腫、頭蓋咽頭腫、血管芽腫、髄芽腫、視経路及び視床下部神経膠腫又は膠芽腫を含む。小脳又は大脳星細胞腫は、繊維細胞星細胞腫又はびまん性星細胞腫又は退形成性(悪性)星細胞腫である。
【0058】
本出願の1つ以上の実施形態において、本出願の医薬組成物は、肺癌、肝臓癌、食道癌、鼻咽頭癌、脳腫瘍、骨転移及び他の悪性腫瘍のための放射線治療と化学治療との併用において使用して、治癒効果を増強し、放射線治療及び化学治療の毒性及び副作用を低減してもよく、そしてまた、介入的、腔内化学療法並びに癌性の胸膜及び腹水の処置のために使用してもよい。
【0059】
本出願の1つ以上の実施形態において、本出願の化合物は、抗癌剤等の他の薬物と併用して使用してもよい。ここで、抗癌剤は、テモゾロミド、パクリタキセル、ドセタキセル、タキサン、ゲムシタビン、抗VEGF薬物、PD-1抗体薬物を含む。ここで、抗VEGF薬物は、アバスチン、ラニビズマブ、アフリベリセプター又はコンベレプトを含む。PD-1抗体薬物は、ニボルマブ、ペンブロリズマブ、トリパリマブ、シンチリマブ、セミプリマブ、アテゾリズマブ、アベルマブ又はデュルバルマブを含む。
【0060】
本出願の1つ以上の実施形態において、本出願の医薬組成物の治療有効量の投与を含む、ヒト疾患の処置のための方法を提供する。医薬組成物は、非経口、吸入、腹腔内、膀胱内、筋肉内、静脈内、気管内、皮下、眼内、髄腔内、経皮、直腸又は膣によって投与する。
【0061】
本出願の1つ以上の実施形態において、本出願の医薬組成物は、静脈内投与に適した医薬製剤、非経口投与用の医薬製剤、胃腸内投与用医薬製剤、エアロゾル、膣内投与用医薬製剤、又は、他の適当な医薬製剤に処方してもよい。医薬製剤は、固体製剤、液体製剤又は気体製剤である。
【0062】
本出願の1つ以上の実施形態において、本出願の医薬組成物はエレメン及び薬学的に許容し得る担体を含む注射用液体製剤として使用してもよい。薬学的に許容し得る担体はアルブミン担体及び注射用油を含む。組成物が粒子に処方されてもよく、粒子の粒子径は70~150nmである。組成物において、エレメンに対するアルブミン担体の重量比率は約0.5~20であり、注射用油及びエレメンの重量比は約0.35~10である。
【0063】
本出願の1つ以上の実施形態において、本出願の液体製剤は、滅菌凍結乾燥粉末から再構成された(reconstitute)安定な水性懸濁液であってもよい。
【0064】
本出願の1つ以上の実施形態は、本出願の医薬組成物を含む、単回投与容器又は複数回投与容器であってもよい、密封容器を提供する。密封容器はプレフィルドシリンジであってもよい。医薬組成物は液体組成物又は乾燥組成物である。医薬組成物は凍結乾燥及び滅菌されている。
【0065】
本出願の1つ以上の実施形態において、本明細書に記載されるナノ製剤又はナノ粒子は、乾燥製剤(例えば、凍結乾燥組成物)の形態で存在してもよく、又は、生体適合性媒体中に懸濁されてもよい。適当な生体適合性媒体には、水、水性緩衝媒体、生理食塩水、緩衝生理食塩水、任意で緩衝アミノ酸溶液、任意で緩衝タンパク質溶液、任意で緩衝糖溶液、任意で緩衝ビタミン溶液、任意で緩衝合成ポリマー溶液、脂質含有乳化物等が含まれるが、これらに限定されない。
【0066】
特に明記しない限り、本明細書で使用される「個体(individual)」は、霊長類、ヒト、ウシ、ウマ、ネコ、イヌ又はげっ歯類を含むがこれらに限定されない哺乳動物である。
【0067】
本明細書で使用される場合、「処置(treatment)」は、臨床結果を含む、有益又は所望の結果を得る方法である。本発明の目的のために、有益又は所望の臨床結果は以下のいずれか1つ以上を含むが、これらに限定されない:疾患から生じる1つ以上の症状を減少させること、疾患の重症度を減少させること、疾患を安定化させること(例えば、疾患の悪化を予防若しくは遅延させること)、疾患の蔓延(例えば、転移)を予防若しくは遅延させること、疾患の発生若しくは再発を予防若しくは遅延させること、疾患の進行を予防若しくは遅延させること、疾患の状態を改善すること、疾患の寛解を提供すること(部分的若しくは全体的であるかにかかわらず)、疾患を処置するために必要な1つ以上の他の薬物の投与量を減少させること、疾患の進行を遅延させること、生活の質を増加させること、及び/又は生存を延長すること。いくつかの実施形態において、処置前の同じ対象における対応する症状と比較して、又は、組成物を投与されていない他の対象における対応する症状と比較して、組成物は、癌に関連する1つ以上の症状の重症度を、約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%又は100%のいずれかに少なくとも低下させる。「処置」には、癌の病理学的結果の緩和も含まれる。本発明の方法は、これらの治療的態様のいずれか1つ以上を意図する。
【0068】
本明細書で使用される場合、「薬学的に許容し得る(pharmaceutically acceptable)」又は「薬学的に適合し得る(pharmaceutically compatible)」は、生物学的ではない物質又はさもなければ望ましくないものではない物質を意味し、例えば、いかなる重大な望ましくない生物学的影響が生じず、又は、組成物に含まれる任意の他の成分と有害な態様で相互作用することなく、患者に投与される医薬組成物に組み込まれてもよい。薬学的に許容し得る担体又は賦形剤は、好ましくは、毒性学及び製造試験に必要とされる基準を満たす。
【0069】
本明細書における値又はパラメータの「約(about)」への言及は、値又はパラメータ自体を指す実施形態を含む(及び記載する)。例えば、「約X」を示す記載には、「X」の記載が含まれる。
【0070】
本発明の医薬組成物には、種々の適当な製剤が存在する。以下の製剤及び方法は、例示的なものにすぎず、限定的なものではない。
【0071】
経口投与用製剤は、(a)液体溶液、例えば、水、生理食塩水又はオレンジジュース等の希釈剤に溶解された有効量の有効成分、(b)固体又は顆粒形態の所定量の有効成分をそれぞれ含む、カプセル、サシェ剤又は錠剤、(c)適切な液体中の懸濁液、及び、(d)適当な乳化物から作製してもよい。錠剤形態は、ラクトース、マンニトール、トウモロコシデンプン、ジャガイモデンプン、微結晶セルロース、アラビアゴム、ゼラチン、コロイド状二酸化ケイ素、クロスカルメロースナトリウム、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸及び他の賦形剤、着色剤、希釈剤、緩衝剤、湿潤剤、防腐剤、風味剤及び薬理学的に適合し得る賦形剤のうちの1つ以上を含んでいてもよい。薬味(通常はスクロース及びアラビアゴム又はトラガカント)中の有効成分を含んでいてもよい薬用ドロップ(lozenge)形態、及び、有効成分に加えて、不活性マトリクス(例えば、ゼラチン及びグリセリン)又はスクロース、アラビアゴム、乳化物、ゲル中の有効成分を含むトローチは、当技術分野で公知である賦形剤も含む。
【0072】
非経口投与用製剤物には、酸化防止剤、緩衝剤、静菌剤、及び、目的のレシピエントの血液に製剤を等張にするための溶質を含んでいてもよい水溶性及び非水溶性である等張性の滅菌注射液、並びに、懸濁剤、可溶化剤、増粘剤、安定剤及び保存剤を含んでいてもよい水溶性及び非水溶性である滅菌懸濁液が含まれる。製剤は単回投与又は複数回投与用の密封容器(例えば、アンプル及びバイアル)中に存在してもよい。また、使用の直前に凍結乾燥(freeze-drying, lyophilizing)の条件で保存してもよく、注射のために、滅菌液体賦形剤(例えば、水)の追加のみを必要とする。即時注射溶液及び懸濁液は、上述のいくつかの種類の滅菌粉末、顆粒及び錠剤から調製してもよい。
【0073】
エアロゾルは本発明の医薬組成物を含む。医薬組成物は、酸化防止剤、緩衝剤、静菌剤及び溶質を含んでいてもよい水溶性及び非水溶性である等張性滅菌溶液、並びに、懸濁剤、可溶化剤、増粘剤、安定化剤及び防腐剤を含んでいてもよい水溶性及び非水溶性である等張性の滅菌懸濁液を含む。医薬組成物は、エアロゾル製剤として、単独で、又は、吸入投与用である他の適当な成分と併用して調製してもよい。これらのエアロゾル製剤は、ジフルオロメタン、プロパン、窒素等の加圧された許容可能な(pressurized acceptable)噴射剤中に配置してもよい。それらはまた、例えばネブライザー又はアトマイザーにおいて、薬物の非圧力製剤として処方してもよい。
【0074】
他の適当な製剤も考えられ、例えば、座薬は、乳化基剤又は水溶性基剤等の種々の基剤を使用することによって調製してもよい。膣内投与用製剤は、有効成分に加えて、当技術分野で公知の適当な担体を含むペッサリー、タンポン、クリーム、ゲル、ペースト、フォーム又はスプレー製剤として提供してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0075】
図1】β-エレメンアルブミンナノ粒子の水和直径分布を示す。
図2】β-エレメンアルブミンナノ粒子の電位ダイアグラムを示す。
図3】β-エレメンアルブミンナノ粒子の透過型電子顕微鏡画像を示す。
図4】再構成後の種々の凍結乾燥サンプルの粒子径の安定性調査を示す。
図5】保存後の種々の凍結乾燥サンプルの含有量安定性調査を示す。
図6】各群の腫瘍保持マウスの生存率を示す。
図7】溶血実験の結果を示す。
図8】U87R1マウスにおける同所性腫瘍モデルの腫瘍増殖曲線を示す。
図9】U87R1マウスにおける同所性腫瘍モデルの生存曲線を示す。
【発明を実施するための形態】
【0076】
以下の実施形態は本発明のさらなる例示であり、本発明の範囲を限定するものではない。本発明は、本実施例に関連して以下にさらに詳細に記載される。しかし、当業者は、本発明がこれらの実施例及び使用される調製方法に限定されないことを理解すべきである。さらに、当業者は、本発明の説明に従って、同等の置換、組み合わせ、改良、又は改変を本発明に行い得る。しかしながら、これらは全て本発明の範囲に含まれる。
【0077】
本発明に関与する大豆油は、大豆油(SIO、注射グレード、Lot19C4520/Lot18C4816)に由来する。本発明に関与するヒト血清アルブミン(HSA)は、ヒト血清アルブミン(20%、Baxter、LotA1U133A)又は(20%、Grifols、LotALAFD03042)に由来する。
【0078】
一般的に使用されている、本発明の検出方法としては、粒子径、粒子径分布、含有量測定、溶血試験等があり、その詳細は以下のとおりである。
【0079】
(粒子径及び粒子径分布)
粒子径分析器(MALVERN ZETASIZER NANO ZS90)で粒子径及び粒子径分布を決定した。25μLのサンプルを採取し、1mLの超純水を加えて検出用に希釈した。検出角度90°、分散媒:水、温度25℃。
【0080】
粒子径は粒子径分析器によって測定されたZ平均値(サンプルの平均粒子径)であり、粒子径分布は粒子径分析器によって測定されたPDI値であった。
【0081】
(含有量の決定)
含有量は、HPLC(中国薬局方2015年版の第4部の一般規則0512)によって決定した。
【0082】
クロマトグラフィーカラムはCHIRALPAK(登録商標)IG(4.6×150mm、5μm)であった。移動相はアセトニトリル-水(55:45)であり、流速は1.0mL/分であった。注入量は20μL、カラム温度は30℃、検出波長は210nmであった。
【0083】
参照物質の溶液(0.2mg/mL)の調製(外部標準法):約10mgのβ-エレメン参照物質を、少量のアセトニトリルを加えた50mLメスフラスコに精密に秤量し、アセトニトリルを加えて溶解し、体積スケール(volume scale)まで希釈し、よく振盪させて参照物質の溶液を得た。
【0084】
試験溶液の調製:本製品の1瓶から蓋を外し、製品を正確に秤量し(m)、適切な量の水を加え(水に対するAPIの割合を20mg:1mLにするため)、正確に秤量し(m)、振盪によって再構成させた。約500mgの再構成した溶液(約10mgのAPIに相当)を正確に秤量し(m)、50mLのメスフラスコに入れた。最初に約1.5mLの水を加え、次いでアセトニトリルを全量(full range)の80%までゆっくり加え、10分間超音波処理し、冷却した。再度アセトニトリルを加えて体積スケールまで希釈し、混合物をよく振盪させ、孔径0.45μmのナイロンフィルターで濾過して試験溶液を得た。再構成した溶液を使用した後、バイアルを水洗し、乾燥し、空のバイアルを正確に秤量した(m)。
【0085】
20μLを正確に測定し、液体クロマトグラフに注入し、クロマトグラムを記録した。試験サンプル中のβ-エレメン(C1524)の含有量は、外部標準法に従ってピーク面積により計算した。
【0086】
計算式は
【0087】
【数1】
【0088】
であった。式中、A:試験溶液中のAPIピーク面積、A:参照物質のピーク面積、C:参照物質の濃度、である。
【0089】
(溶血値の決定方法)
血液細胞懸濁液の調製:数ミリリットルの血液をウサギから採取し(雄ニュージーランドウサギ、実験室で適当な1週間の飼育、体重2.5kg~3kg、血液を心臓から採取した)、ビーカーに入れ、血液をガラス棒又は竹棒で撹拌してフィブリノーゲンを除去し、除細動血液を得た。0.9%塩化ナトリウム溶液を約10回加え、均一に混合し、1,500rpm/分で15分間遠心分離した。上清を捨て、沈殿した赤血球を上記方法に従って0.9%塩化ナトリウム溶液で上清が赤くならなくなるまで2~3回洗浄した。得られた赤血球を、後の使用のために、0.9%塩化ナトリウム溶液を含む2%血球懸濁液中に調製した。
【0090】
サンプル調製:サンプル含有量に応じて、適量を採取し、生理食塩水で連続希釈し、1mg/mLのサンプル(実際の含有量)を得た。
【0091】
反応観察:各薬物を以下のように加え、混合後、直ちに37℃の水浴に入れてインキュベートし、3時間後に溶血を観察した。
【0092】
薬物群:2.5mLの2%血球懸濁液、2.2mLの生理食塩水、及び0.3mLの薬物を試験管に連続的に加えた。
【0093】
陽性群:2.5mLの2%血球懸濁液及び2.5mLの蒸留水を試験管に連続的に加えた。
【0094】
陰性群:2.5mLの2%血球懸濁液及び2.5mLの生理食塩水を試験管に連続的に加えた。
【0095】
OD値の決定:100μLの上清を96ウェルプレートにピペットで移し、540nmの波長でOD値を測定した。
【0096】
溶血値の算出方法:(サンプルのOD値-陰性群のOD値)/(陽性群のOD値-陰性群のOD値)。
【0097】
<試験例1>
β-エレメンアルブミンナノ粒子の調製は、以下の工程を含んでいた:(1)200mgのエレメン及び600mgの大豆油を秤量し、2mLのジクロロメタンに溶解して油相を得た。(2)650mgのヒト血清アルブミンを注射用水に溶解し、質量体積百分率(g/mL)が3.6%のヒト血清アルブミン水溶液、すなわち水相を得た。(3)水浴超音波の処置下で、油相を水相に滴下し、プローブによって8分間(250W)超音波処理して、一次乳化物を生成した。(4)得られた一次乳化物を高圧ホモジナイザーに移し、高圧均質化した。均質化圧力は1300barであり、均質化は9回行った。回転式蒸発により均質化した系から有機溶媒を除去し、0.22μmの微小孔膜を濾過及び滅菌に使用し、エレメンアルブミンナノ粒子水溶液を得て、注射用水を用いて計量体積を10mg/mLに調整した。(5)得られたエレメンアルブミンナノ粒子に、3%スクロースを添加し、凍結乾燥した。凍結乾燥パラメータは、-45℃で5時間予備凍結し;真空ポンプを始動し、真空度を約10Paに保ち、温度プログラミングし、-40℃で4時間乾燥し、-30℃で10時間乾燥し、次いで、それぞれ-20℃、-10℃、0℃、5℃および10℃で4時間乾燥した。上記で調製した凍結乾燥サンプルを純水中で再構成し、ナノ粒子の粒子径、電位、及び微細な形態を、以下の方法で調べた。
【0098】
測定前に、Malvern粒子径分析器を30分間予熱し、50μLのエレメンアルブミンナノ粒子の水溶液を採り、水で1mLに希釈し、わずかに振盪した(気泡を避けるため)。その後、Malvern Nano-ZS90粒子径皿又は電位皿に入れて、粒子径及びゼータ電位を測定した。測定温度は25℃であり、平衡時間は120秒であり、他の項目は、装置のデフォルト値に保たれた。データは、Malvern V2.2ワークステーションによって収集及び処理された。得られたエレメンアルブミンナノ粒子の粒子径ダイアグラム及びゼータ電位を、図1及び図2に示した。図1及び図2に示すように、エレメンアルブミンナノ粒子の粒子径は約110nmであり、PDIは0.127であり、電位は約-18mVであった。
【0099】
エレメンアルブミンナノ粒子の水溶液をピペットで吸引し、銅メッシュ上に滴下した。自然蒸発後、同様に、銅メッシュ上に1%リンタングステン酸溶液を滴下し、自然蒸発させ、数滴の純水を吸引し、銅メッシュの表面を注意深く洗浄した。蒸発後、図3に示すように、透過型電子顕微鏡で形態を観察した。ナノ粒子は、球形で規則的な形状であり、粒子径が比較的均一であり、粒子径は約100nmであった。
【0100】
<試験例2>
試験例1の方法に従って、エレメンアルブミンナノ粒子を調製した。ここで、注射用油は、それぞれ、大豆油、トウモロコシ油、つばき油、及び中鎖トリグリセリド(MCT)の量と同量を用いて、種々の注射用油を原料として使用してエレメンアルブミンナノ粒子を調製した。調製したナノ粒子の粒子径は、レーザー粒子径分析器により決定した。凍結乾燥後、凍結乾燥前後の各群の調剤品の薬物含有量をそれぞれ決定し、凍結乾燥中の薬物損失速度を計算した。
【0101】
大豆油を含まないエレメンアルブミンナノ粒子の調製は、以下の工程を含んでいた:(1)200mgのエレメンを秤量し、2mLのジクロロメタンに溶解して、油相を得た。(2)650mgのヒト血清アルブミンを注射用水に溶解し、質量体積百分率(g/mL)が3.6%のヒト血清アルブミン水溶液、すなわち水相を得た。(3)水浴超音波の処置下で、油相を水相に滴下し、プローブによって8分間(250W)超音波処理して、一次乳化物を生成した。(4)得られた一次乳化物を高圧ホモジナイザーに移し、高圧均質化した。均質化圧力は1300barであり、均質化は9回行った。回転式蒸発により均質化した系から有機溶媒を除去し、0.22μmの微小孔膜を濾過及び滅菌に使用し、エレメンアルブミンナノ粒子水溶液を得た。注射用水を用いて、計量体積を10mg/mLに調整した。(5)得られたエレメンアルブミンナノ粒子に、3%スクロースを添加し、試験例1の凍結乾燥パラメータに従って、凍結乾燥した。凍結乾燥前後の調剤品の特定の体積の薬物含有量をそれぞれ決定し、凍結乾燥中の薬物損失率を計算した。
【0102】
さらに、上記の方法に従って、3%スクロースの凍結乾燥保護剤を含まない大豆油、トウモロコシ油、つばき油、及び中鎖トリグリセリドの群を調製し、凍結乾燥前後の調剤品のそれぞれの特定の体積の薬物含有量をそれぞれ決定し、凍結乾燥中の薬物損失率を算出した。その結果を表1に示す。
【0103】
【表1】
【0104】
実験は、注射用油を用いずに調製されたナノ粒子と比較して、注射用油をエレメンと混合することによって調製されたアルブミンナノ粒子の凍結乾燥損失率が、様々な度合いで減少したことを示す。
【0105】
<試験例3>
試験例1の方法に従って、大豆油の量を調整し、5:1、1:1、1:3、1:5、1:10、1:20のβ-エレメン/大豆油の質量比に従って、注射用油を用いずに供給することにより、エレメンアルブミンナノ粒子を調製した。
【0106】
調製したナノ粒子の粒子径は、レーザー粒子径分析器により決定した。3%スクロースを添加し、凍結乾燥した後、凍結乾燥したサンプルを室温乾燥機に入れた。サンプルを定期的に取り出し、再構成して、30日以内の凍結乾燥サンプルの粒子径及び主薬物含有量の変化を、決定した。具体的な検出パラメータは、以下であった:機器モデル:MALVERN ZETASIZER NANO ZS90、検出角度:90°;検出モード:自動;検出時間:3;検出タイプ:ナノ粒子;決定するサンプルの屈折率:1.340;分散媒:水;温度:25℃;粘度:0.8872cp;分散媒の屈折率:1.330;平衡時間:120s;粒子径皿の型:DTS0012。
【0107】
結果を、図4及び図5に示した。調製工程中の大豆油を含まない調剤品の粒子径は、凍結乾燥後、200nmを超えていた。保存時間の延長と共に、再構成後のサンプルの粒子径は徐々に増加する傾向を示し、薬物含有量は減少する傾向を示した。調剤品中の大豆油の比率を徐々に増加させると、再構成後の凍結乾燥サンプルの粒子径は、すべて200nm未満であった。粒子径の安定性は、より良好であり、主薬物含有量の安定性も徐々に向上した。ここで、大豆油/エレメンの質量比が、1~10の範囲内にある場合、調製されたナノ粒子の凍結サンプルは、室温で30日以内に凝集現象を有さなかった。粒子径は100~150nmであり、PDIは0.3未満であり、β-エレメンの主薬物の含有量は、ほとんど変化しなかった。エレメンの量が1部であり、大豆油の量が1部未満である場合、調製されたナノ粒子は、優れた十分な安定性を示さなかった。
【0108】
<試験例4>
マウス脳神経膠腫に対するエレメンアルブミンナノ粒子の治療効果を調べるための実験方法は、以下の通りであった。
【0109】
腫瘍モデリング:対数期の発育の良いC6細胞をトリプシンで消化し、遠心分離し、上部の廃液を廃棄した。細胞をPBSで洗浄し、遠心分離し、上部の廃液を廃棄した。細胞をPBSに再懸濁して、最終のC6細胞濃度を約1×10細胞/5μLにした。健康な雄の昆明マウス(28~30g)を、適正量の4%抱水クロラールを腹腔内注射することによって麻酔した。頭頂部の毛を剃った後、消毒のために75%エタノールを塗布し、無菌の眼科用はさみで頭の矢状正中線に沿って小さな切開を行い、10%過酸化水素で湿らせた綿棒で組織膜を迅速に除去し、頭蓋骨を分離し、PBSで湿らせた綿棒で過酸化水素を洗い流した。マウスの頭部を、脳定位装置上に固定し、右に1.8mm、ブレグマの後ろに0.6mmの位置を見つけ、出血を避けるために深すぎないように、2mLシリンジのニードルを用いて、見つけた点に小さな穴を開けた。1×10細胞/5μLの密度の5μLの上記C6細胞を、マイクロインジェクションニードルで吸引した。ニードルを4mm挿入し、小さな穴の垂直方向に沿って1mm引き抜き、細胞のための空間を残し、細胞懸濁液を脳にゆっくり注入した。小さな穴の位置に5分間とどめた後、マイクロニードルを取り出した。創傷を外科用糸で縫合し、最後に縫合した表面を、二重抗体で湿らせた綿棒で塗抹した。
【0110】
腫瘍接種後10日目に、腫瘍保有マウスを、各群12匹のマウスを用いて、標準的な生理食塩水群(NS)、商業的に入手可能なエレメンリポソーム(Lip、Dalian Jingang、承認番号:Guoyaozhunzi H10960114)、試験例1で調製したエレメンアルブミンナノ粒子(NPs)に分けた。投与量は、2日に1回、合計4回、30mg/kgであった。各マウスの生存時間を記録し、生存曲線を作成した。
【0111】
生存の調査結果を図6に示した。実験の結果は、エレメンアルブミンナノ粒子を投与したC6神経膠腫保有マウスが、より長い生存を示すことを明らかにした。標準的な生理食塩水群の平均生存は21日であり、エレメンリポソーム群の平均生存は28日であり、エレメンアルブミンナノ粒子群の平均生存は41日であった。したがって、実験で調製されたエレメンアルブミンナノ粒子は、C6保有神経膠腫マウスの生存を延長する効果を有する。
【0112】
<試験例5>
溶血実験:
ニュージーランドウサギ(雄、1週間試験室適応飼育、体重2.5kg~3kg)を、各群2匹を用いて、商業的に入手可能なエレメン注射(Ailineng、CSPC Yuanda Pharmaceutical Co., Ltd.、バッチ番号17050302)及び試験例1で調製したエレメンアルブミンナノ粒子(NPs)の2群に分け、投与量を50mg/kgとした。2つの調剤品を、それぞれブドウ糖液を用いて6mg/mLの濃度の薬液に調製し、次いで、ウサギに静脈内注射によって投与した。
【0113】
投与後10~15分以内に、約1mLの静脈血を耳静脈から採取し、ヘパリンナトリウムでコーティングした遠心管に入れ、3500r/分で15分間遠心分離し、上清を採取して色を観察した。
【0114】
得られた血漿の色を、図7に示した。結果は、エレメンアルブミンナノ粒子を投与したニュージーランドウサギは溶血を示さず、ほとんど刺激がなく、安全性が高いことが示された。
【0115】
<試験例6>
(1.1)実験サンプルの調製
〔サンプル1〕
3.33gのβ-エレメン及び8gの大豆油を秤量し、混合して油相を得た。50mL(10g)の20%ヒト血清アルブミンを測定し、適正量の超純水を加えて均一に希釈し、計量体積を333mLに調整し、質量体積百分率(g/mL)が3%のヒト血清アルブミン水溶液、すなわち水相を得た。水相を油相に注ぎ、ミキサー(FLUKO、FA30/30F)を用いて10,000rpmで10分間剪断し、一次乳化物を形成した。得られた一次乳化物を、マイクロジェットホモジナイザー(Microfluidizer、M-110-EH)に移し、20,000psiの均質化圧力で30分間均質化した。得られた乳化物を、0.45μm及び0.22μmのPVDFプレートフィルターで濾過し、計量体積を調整し、3%(g/mL)のスクロースを凍結乾燥保護剤として添加した。凍結乾燥保護剤を添加した均質な溶液を凍結乾燥し、凍結乾燥後、凍結乾燥粉末を滅菌した超純水で再構成した。粒子径分析器により検出された粒子径は、175.97nmであり、PDIは0.188であった。
【0116】
〔サンプル2〕
3.33gのβ-エレメン及び8gの大豆油を秤量し、有機溶媒に溶解し、混合して油相を得た。有機溶媒は、26.67mLのジクロロメタンと6.67mLの無水エタノールとの混合溶媒であった。50mL(10g)の20%ヒト血清アルブミンを測定し、適正量の超純水を加えて均一に希釈し、計量体積を333mLに調整し、質量体積百分率(g/mL)が3%のヒト血清アルブミン水溶液、すなわち水相を得た。水相溶液を油相に注ぎ、ミキサー(FLUKO、FA30/30F)を用いて10,000rpmで10分間剪断し、一次乳化物を形成した。得られた一次乳化物を、マイクロジェットホモジナイザー(Microfluidizer、M-110-EH)に移し、20,000psiの均質化圧力で30分間高圧均質化した。均質化後、薄膜エバポレーター(Shanghai DEA)によって、有機溶媒含有乳化物から有機溶媒を除去し、パラメータは、温度30℃、真空度4000pa、液体供給速度100rpm、スクレーパ速度50rpmであった。得られた乳化物を、0.45μm及び0.22μmのPVDFプレートフィルターで濾過し、計量体積を調整し、3%(g/mL)のスクロースを凍結乾燥保護剤として添加した。凍結乾燥保護剤を添加した均質な溶液を凍結乾燥し、凍結乾燥後、凍結乾燥粉末を滅菌した超純水で再構成した。粒子径分析器で検出した粒子径は、78.34nmであり、PDIは0.207であった。
【0117】
〔サンプル3(エレメン注射(商品名:Ailineng))〕
CSPC Yuanda (Dalian) Pharmaceutical Co., Ltd.、バッチ番号:19061502;粒子径分析器で検出した粒子径は14.74nmであり、PDI:0.035であった。
【0118】
(1.2)エレメンアルブミンナノ粒子のPK及びマウス脳組織分布
昆明マウス(雄、SPFグレード、体重20~25g)を実験に使用した。投与量は、50mg/kgであり、尾静脈を通して投与した。脳組織サンプルを、異なる期間で収集し、脳組織中の薬物含有量の検出のために、時を違えず、-20℃で保存した。3つのサンプルについて合計45匹のマウスが存在し、各時点で各投薬形態について3匹の昆明マウスが存在した。投与後5分、15分、30分、1時間、及び2時間に、採血のため眼球を摘出し、脳組織を採取して、脳組織中の薬物含有量を検出した。GC-MSを使用して、昆明マウスの血漿及び脳組織の生物学的サンプル中のβ-エレメンを、定量的に分析した。脳組織における半減期及び脳組織曝露量に関する試験結果を、表2に示した。
【0119】
【表2】
【0120】
<試験例7>
〔サンプル4の調製及び安定性調査〕
1gのβ-エレメン及び3gの大豆油を秤量し、混合して油相を得た。15mL(3g)の20%ヒト血清アルブミンを測定し、85mLの超純水を加えて均一に希釈し、質量体積百分率(g/mL)が3%のヒト血清アルブミン水溶液、すなわち水相を得た。水相溶液を油相に注ぎ、ミキサーを用いて5000rpmで1分間、及び10,000rpmで5分間剪断し、一次乳化物を形成した。得られた一次乳化物を、高圧ホモジナイザーに移し、250~300barの均質化圧力で2分間、及び1350~1400barで9分間、高圧均質化した。均質化後、約50mLのメスシリンダーを用いて、均質な溶液の総体積を測定し、5gのトレハロースを添加し、よく振盪して溶解させ、0.45μmの微小孔膜を用いて濾過し、エレメンアルブミンナノ粒子の溶液を得た。粒子径分析器で検出した粒子径は、141.0nmであり、PDIは0.162であった。トレハロースを添加した均質な溶液を凍結乾燥し、凍結乾燥後、凍結乾燥粉末を滅菌した超純水で再構成した。粒子径分析器で検出した粒子径は、144.07nmであり、PDIは0.123であった。凍結乾燥前後のエレメン含有量の損失率は、1.27%であった。
【0121】
〔サンプル5の調製及び安定性調査〕
4gのβ-エレメン及び2gの大豆油を秤量し、混合して油相を得た。30mL(6g)の20%ヒト血清アルブミンを測定し、170mLの超純水を添加して均一に希釈し、質量体積百分率(g/mL)が3%のヒト血清アルブミン水溶液、すなわち水相を得た。水相溶液を油相に注ぎ、ミキサーを用いて5000rpmで1分間、及び10,000rpmで10分間剪断し、一次乳化物を形成した。得られた一次乳化物を高圧ホモジナイザーに移し、250~300barの均質化圧力で2分間、1350~1400barで24分間高圧均質化した。均質化後、メスシリンダーを用いて150mLの均質な溶液を測定し、15gのトレハロースを添加し、よく振盪して溶解させ、0.45μmの微小孔膜で濾過して、エレメンアルブミンナノ粒子の溶液を得た。粒子径分析器により検出された粒子径は、132.4nmであり、PDIは0.133であった。トレハロースを添加した均質な溶液を凍結乾燥し、凍結乾燥後、凍結乾燥粉末を滅菌した超純水で再構成した。粒子径分析器で検出した粒子径は、123.68nmであり、PDIは0.144であった。凍結乾燥後のエレメン含有量の損失率は、1.58%であった。
【0122】
〔サンプル6の調製及び安定性調査〕
1gのβ-エレメン及び2gの卵黄レシチンを秤量し、50mLの超純水を添加し、ミキサーを用いて5000rpmで1分間、及び10,000rpmで5分間剪断した。その後、ボトル壁に付着した凝固した脂肪を、液体にかき集め、明らかな未分散のリン脂質が見つからなくなるまで、再び15,000rpmで3分間剪断し、一次乳化物を得た。一次乳化物を高圧ホモジナイザーに移し、250~300barの均質化圧力で2分間、及び1300~1350barで12分間、高圧均質化した。均質化後、均質な溶液を、0.45μmのフィルター膜を用いて濾過し、濾過した均質な溶液に、50mLの2% HSA溶液(1gのHSAを含む)を添加し、280barで1サイクル均質化した。均質な溶液を外に出し、メスシリンダーを用いて、40mLを測り、4gのトレハロースを添加し、よく振盪して溶解させ、0.45μmの微小孔膜で濾過して、アルブミンナノ粒子溶液を得た。粒子径分析器で検出した粒子径は、150.86nmであり、PDIは0.114であった。トレハロースを添加した均質な溶液を凍結乾燥し、凍結乾燥後、凍結乾燥粉末を滅菌した超純水で再構成した。粒子径分析器で検出した粒子径は、181.56nmであり、PDIは0.251であった。凍結乾燥後のエレメン含有量の損失率は、16.47%であった。
【0123】
〔サンプル7の調製及び安定性調査〕
1gのβ-エレメン、2gの卵黄レシチン、及び0.5gのTPGSを秤量し、50mLの超純水を添加し、ミキサーを用いて、5000rpmで1分間、及び10,000rpmで5分間剪断した。その後、ボトル壁に付着した凝固した脂肪を、液体にかき集め、明らかな未分散のリン脂質が見つからなくなるまで、再び15,000rpmで3分間剪断し、一次乳化物を得た。一次乳化物を高圧ホモジナイザーに移し、250~300barの均質化圧力で2分間、及び1300~1350barで12分間、高圧均質化した。均質化後、0.22μmのフィルター膜で溶液を濾過し、濾過した均質な溶液に、50mLの2% HSA溶液(1gのHSAを含む)を添加し、140barで1サイクル均質化した。均質な溶液を外に出し、メスシリンダーを用いて40mLを測り、4gのトレハロースを添加し、よく振盪して溶解させ、0.45μmの微小孔膜で濾過して、アルブミンナノ粒子溶液を得た。粒子径分析器で検出した粒子径は、93.11nmであり、PDIは0.131であった。トレハロースを添加した均質な溶液を凍結乾燥し、凍結乾燥後、凍結乾燥粉末を滅菌した超純水で再構成した。粒子径分析器で検出した粒子径は、811.70nmであり、PDIは0.313であった。凍結乾燥後のエレメン含有量の損失率は、82.64%であった。
【0124】
[実施例1]
200mgのβ-エレメン及び600mgの大豆油を秤量し、2mLの有機溶媒に溶解し、渦によって混合して油相を得た。有機溶媒は、ジクロロメタン、若しくは酢酸エチル又はジクロロメタンとエタノールとの混合物である。650mgのヒト血清アルブミンを採り、18mLの注射用水に溶解し、質量体積百分率(g/mL)が3.6%のヒト血清アルブミン水溶液、すなわち水相を得た。水浴超音波の処置下で、油相を水相に滴下し、プローブによって8分間(250W)超音波処理して、一次乳化物を生成した。得られた一次乳化物を高圧ホモジナイザーに移し、高圧均質化し、均質化圧力は1000barであり、均質化回数は16回であった。均質化後、回転式蒸発により有機溶媒を除去し、0.22μmの微小孔膜を濾過及び滅菌に使用し、エレメンアルブミンナノ粒子水溶液を得た。
【0125】
【表3】
【0126】
実験結果は、β-エレメン及び大豆油が、調製工程の間、有機溶媒に溶解されるか否かを問わず、適当な粒子径のβ-エレメンアルブミン調剤品が調製されることを示した。種々の有機溶媒のうち、ジクロロメタン又はジクロロメタンとエタノールとの混合溶媒によって調製されたナノ粒子は、より小さい粒子径を有した。
【0127】
[実施例2]
200mgのβ-エレメン及び600mgの大豆油を秤量し、ジクロロメタン及びエタノールの混合溶媒(ジクロロメタン:エタノール=4:1、2mL)に溶解し、渦により混合して、2mLの体積の油相を得た。650mgのヒト血清アルブミンを採り、注射用水に溶解し、質量体積百分率3.6%(g/mL)のヒト血清アルブミン水溶液を得て、次いで、100mgのポリエチレングリコール-12-ヒドロキシステアリン酸を添加し、水相を得た。水浴超音波の処置下で、油相を水相に滴下し、プローブによって8分間(250W)超音波処理して、一次乳化物を生成した。得られた一次乳化物を高圧ホモジナイザーに移し、高圧均質化し、均質化圧力は1000barであり、均質化回数は16回であった。均質化後、有機溶媒を回転式蒸発によって除去し、0.22μmの微小孔膜を濾過及び滅菌に使用し、エレメンアルブミンナノ粒子水溶液を得た。測定された粒子径は116.4nmであり、PDIは0.118であった。
【0128】
[実施例3]
200mgのβ-エレメン及び400mgの媒体及び長鎖脂肪グリセリドを秤量し、ジクロロメタン及びエタノールの混合溶媒(ジクロロメタン:エタノール=4:1、2mL)に溶解し、渦によって混合して、2mLの体積の油相を得た。900mgのヒト血清アルブミンを採り、18mLの注射用水に溶解し、質量体積百分率(g/mL)が5.0%のヒト血清アルブミン水溶液、すなわち水相を得た。水浴超音波の処置下で、油相を水相に滴下し、プローブによって8分間(250W)超音波処理して、一次乳化物を生成した。得られた一次乳化物を高圧ホモジナイザーに移し、高圧均質化し、均質化圧力は1000barであり、ホモジナイズ回数は16回であった。均質化後、有機溶媒を、回転式蒸発によって除去し、0.22μmの微小孔膜を濾過及び滅菌に使用し、エレメンアルブミンナノ粒子水溶液を得た。測定した粒子径は105.3nmであり、PDIは0.116であった。
【0129】
[実施例4]
800mgのβ-エレメン及び2400mgのゴマ油を秤量し、ジクロロメタン及びエタノールの混合溶媒(ジクロロメタン:エタノール=4:1、10mL)に溶解し、渦によって混合して油相を得た。4000mgのヒト血清アルブミンを採り、100mLの注射用水に溶解し、質量体積百分率(g/mL)が4%のヒト血清アルブミン水溶液、すなわち水相を得た。油相を水相に滴下し、組織つぶし器を10,000rpmで使用して、10分間剪断し、一次乳化物を調製した。得られた一次乳化物を高圧ホモジナイザーに移し、高圧均質化し、均質化圧力は1000barであり、均質化回数は20回であった。均質化後、有機溶媒を回転式蒸発によって除去し、0.22μmの微小孔膜を濾過及び滅菌に使用し、エレメンアルブミンナノ粒子水溶液を得た。測定した粒子径は121.3nmであり、PDIは0.133であった。
【0130】
[実施例5]
800mgのβ-エレメン及び2400mgのオリーブ油を秤量し、ジクロロメタン/エタノール混合溶媒(ジクロロメタン:エタノール=4:1、5mL)に連続的に添加し、渦によって混合して油相を得た。4000mgのヒト血清アルブミンを採り、注射用水に溶解し、質量体積百分率(g/mL)が4%のヒト血清アルブミン水溶液を得て、水相を得た。油相を水相に滴下し、組織つぶし器を12000rpmで使用し、10分間剪断して、一次乳化物を調製した。得られた一次乳化物を高圧ホモジナイザーに移し、高圧均質化し、均質化圧力は1400barであり、均質化回数は20回であった。回転式蒸発によって均質化した系から有機溶媒を除去した。回転式蒸発させた薬液を濾過し、0.22μmの微小孔膜を通して滅菌し、エレメンアルブミンナノ粒子水溶液を得た。3%スクロースを添加し、凍結乾燥し、凍結乾燥後に蓋をし、4℃で保存した。凍結乾燥サンプルを採り、注射用水で再構成した。測定した粒子径は112.6nmであり、PDIは0.101であった。
【0131】
[実施例6]
200mgのβ-エレメン及び600mgの大豆油を秤量し、ジクロロメタン及びエタノールの混合溶媒(ジクロロメタン:エタノール=4:1、10mL)に溶解し、渦によって混合して油相を得た。4000mgのヒト血清アルブミンを注射用水に溶解し、質量体積百分率(g/mL)が10%のヒト血清アルブミン水溶液、すなわち水相を得た。水浴超音波の処置下で、油相を水相に滴下し、プローブによって8分間(250W)超音波処理して、一次乳化物を生成した。得られた一次乳化物を高圧ホモジナイザーに移し、高圧均質化し、均質化圧力は1000barであり、均質化回数は16回であった。均質化後、有機溶媒を回転式蒸発によって除去し、0.22μmの微小孔膜を濾過及び滅菌に使用し、エレメンアルブミンナノ粒子水溶液を得た。測定した粒子径は140.3nmであり、PDIは0.164であった。
【0132】
[実施例7]
200mgのβ-エレメン及び1000mgの大豆油を秤量し、ジクロロメタン及びエタノールの混合溶媒(ジクロロメタン:エタノール=4:1、5mL)に溶解し、渦によって混合して油相を得た。650mgのヒト血清アルブミンを採り、注射用水に溶解し、質量体積百分率(g/mL)が3.6%のヒト血清アルブミン水溶液、すなわち水相を得た。水浴超音波の処置下で、油相を水相に滴下し、プローブによって8分間(250W)超音波処理して、一次乳化物を生成した。得られた一次乳化物を高圧ホモジナイザーに移し、高圧均質化し、均質化圧力は1000barであり、均質化回数は16回であった。均質化後、有機溶媒を回転式蒸発によって除去し、0.22μmの微小孔膜を濾過及び滅菌に使用し、エレメンアルブミンナノ粒子水溶液を得た。測定した粒子径は125.3nmであり、PDIは0.148であった。
【0133】
[実施例8]
800mgのβ-エレメン及び2400mgの大豆油を秤量し、ジクロロメタン及びエタノールの混合溶媒(ジクロロメタン:エタノール=4:1、10mL)に溶解し、渦によって混合して油相を得た。4000mgのヒト血清アルブミンを注射用水に溶解し、質量体積百分率(g/mL)が4%のヒト血清アルブミン水溶液、すなわち水相を得た。油相を水相に滴下し、組織つぶし器を10000rpmで使用して、10分間剪断し、一次乳化物を調製した。得られた一次乳化物を高圧ホモジナイザーに移し、高圧均質化し、均質化圧力は1000barであり、均質化回数は20回であった。均質化後、有機溶媒を回転式蒸発によって除去し、0.22μmの微小孔膜を濾過及び滅菌に使用し、エレメンアルブミンナノ粒子水溶液を得た。測定した粒子径は119.3nmであり、PDIは0.143であった。調製したナノ粒子溶液を採り、10mg/mLの薬物濃度に構成し、適正量の凍結乾燥保護剤を添加し、凍結乾燥保護剤の量を3%(g/mL)とし、凍結乾燥した。凍結乾燥後、注射用水を加えて再構成し、粒子径を決定した。結果を以下の表に示す。
【0134】
【表4】
【0135】
実験結果は、エレメンアルブミンナノ粒子の凍結乾燥工程の間、様々な凍結乾燥保護剤を添加して、緩い構造及び均一なテクスチャーを有する凍結乾燥粉末を得たことを示した。凍結乾燥粉末は、水を添加することによって再構成することができ、再構成後の粒子径が200nmを超えなかった。凍結乾燥保護剤としてスクロースを用いて凍結乾燥することによってサンプルを再構成して得られたナノ粒子は、最小の粒子径を有していた。
【0136】
[実施例9]
500mgのβ-エレメン及び1200mgの媒体及び長鎖脂肪グリセリドを秤量し、ジクロロメタン及びエタノールの混合溶媒(ジクロロメタン:エタノール=4:1、5mL)に溶解し、渦により混合して油相を得た。1500mgのヒト血清アルブミンを採り、50mLの注射用水に溶解し、質量体積百分率(g/mL)が3%のヒト血清アルブミン水溶液を得て、水相を得た。油相を水相に滴下し、プローブによって8分間(250W)超音波処理して、一次乳化物を生成した。得られた一次乳化物を高圧ホモジナイザーに移し、高圧均質化し、均質化圧力は1400barであり、均質化回数は10回であった。均質化後、有機溶媒を回転式蒸発によって除去し、0.22μmの微小孔膜を濾過及び滅菌に使用し、濾液を希釈し、15mg/mLの薬物濃度に構成した。そこに、3%スクロースを添加し、凍結乾燥し、蓋をして、4℃で保存した。凍結乾燥したサンプルを採り、注射用水で再構成し、粒子径を決定した。測定した粒子径は103.5nmであり、PDIは0.123であった。
【0137】
[実施例10]
800mgのβ-エレメン及び2400mgのゴマ油を秤量し、ジクロロメタン/イソプロパノール混合溶媒(ジクロロメタン:イソプロパノール=4:1、5mL)に連続的に添加し、渦によって混合して油相を得た。4000mgのヒト血清アルブミンを注射用水に溶解し、質量体積百分率(g/mL)が4%のヒト血清アルブミン水溶液を得て、水相を得た。油相を水相に滴下し、組織つぶし器を10,000rpmで使用し、10分間剪断して、一次乳化物を調製した。得られた一次乳化物を高圧ホモジナイザーに移して、高圧均質化した。均質化圧力は1000barであり、均質化回数は20回であった。回転式蒸発によって、均質化した系から有機溶媒を除去した。回転式蒸発させた薬液を濾過し、0.22μmの微小孔膜を通して滅菌し、エレメンアルブミンナノ粒子の水溶液を得た。水溶液を希釈し、10mg/mLの薬物濃度に構成した。3%スクロースを添加して凍結乾燥し、凍結乾燥後に蓋をして、4℃で保存した。凍結乾燥したサンプルを採り、注射用水で再構成した。測定した粒子径は115.2nmであり、PDIは0.102であった。
【0138】
[実施例11]
800mgのβ-エレメン及び2400mgのオリーブ油を秤量し、ジクロロメタン/ターシャリーブタノール混合溶媒(ジクロロメタン:ターシャリーブタノール=4:1、5mL)に連続的に添加し、渦によって混合して油相を得た。4000mgのヒト血清アルブミンを注射用水に溶解し、質量体積百分率(g/mL)が4%のヒト血清アルブミン水溶液を得て、水相を得た。油相を水相に滴下し、組織つぶし器を10,000rpmで使用して、10分間剪断し、一次乳化物を調製した。得られた一次乳化物を高圧ホモジナイザーに移し、高圧均質化した。均質化圧力は1000barであり、均質化回数は20回であった。回転式蒸発によって、均質化した系から有機溶媒を除去した。回転式蒸発させた薬液を濾過し、0.22μmの微小孔膜を通して滅菌し、エレメンアルブミンナノ粒子水溶液を得た。水溶液を希釈し、10mg/mLの薬物濃度に構成した。3%スクロースを添加して凍結乾燥し、凍結乾燥後に蓋をし、4℃で保存した。凍結乾燥したサンプルを採り、注射用水で再構成した。測定した粒子径は109.6nmであり、PDIは0.113であった。
【0139】
[実施例12]
800mgのβ-エレメン及び2400mgのゴマ油を秤量し、ジクロロメタン/テトラヒドロフラン混合溶媒(ジクロロメタン:テトラヒドロフラン=4:1、5mL)に連続的に添加し、渦によって混合して、5mLの体積の油相を得た。4000mgのヒト血清アルブミンを採り、注射用水に溶解し、質量体積百分率(g/mL)が4%のヒト血清アルブミン水溶液を得て、水相を得た。油相を水相に滴下し、組織つぶし器を10,000rpmで使用して10分間剪断し、一次乳化物を調製した。得られた一次乳化物を高圧ホモジナイザーに移し、高圧均質化した。均質化圧力は1000barであり、均質化回数は20回であった。回転式蒸発によって、均質化した系から有機溶媒を除去した。回転式蒸発させた薬液を濾過し、0.22μmの微小孔膜を通して滅菌し、エレメンアルブミンナノ粒子の水溶液を得た。3%トレハロースを添加して凍結乾燥し、凍結乾燥後、蓋をし、4℃で保存した。凍結乾燥したサンプルを採り、注射用水で再構成した。測定した粒子径は112.6nmであり、PDIは0.101であった。
【0140】
[実施例13]
500mgのβ-エレメン及び1200mgの大豆油を秤量し、イソプロパノール(5mL)に連続的に添加し、渦によって混合して油相を得た。1500mgのウシ血清アルブミンを採り、注射用水に溶解して、質量体積百分率(g/mL)が3%のウシ血清アルブミン水溶液を得て、水相を得た。油相を水相に滴下し、プローブによって8分間(250W)超音波処理して、一次乳化物を生成した。得られた一次乳化物を高圧ホモジナイザーに移し、高圧均質化した。均質化圧力は1400barであり、均質化回数は10回であった。回転式蒸発によって、均質化した系から有機溶媒を除去した。回転式蒸発させた薬液を濾過し、0.22μmの微小孔膜を通して滅菌した。濾液を希釈し、10mg/mLの薬物濃度に構成した。3%スクロースを添加して凍結乾燥し、凍結乾燥後に蓋をし、4℃で保存した。凍結乾燥したサンプルを注射用水で再構成した。測定した粒子径は128.1nmであり、PDIは0.132であった。
【0141】
[実施例14]
500mgのβ-エレメン及び1200mgの大豆油を秤量し、ターシャリーブタノール(5mL)に連続的に添加し、渦によって混合して油相を得た。1500mgのウシ血清アルブミンを採り、注射用水に溶解し、質量体積百分率(g/mL)が3%のウシ血清アルブミン水溶液を得て、水相を得た。油相を水相に滴下し、プローブによって8分間(250W)超音波処理して、一次乳化物を生成した。得られた一次乳化物を高圧ホモジナイザーに移し、高圧均質化した。均質化圧力は1400barであり、均質化回数は10回であった。均質化後、回転式蒸発によって有機溶媒を除去した。回転式蒸発させた薬液を濾過し、0.22μmの微小孔膜を通して滅菌した。濾液を希釈し、5mg/mLの薬物濃度に構成した。3%スクロースを添加して凍結乾燥し、凍結乾燥後に蓋をし、4℃で保存した。凍結乾燥したサンプルを採り、注射用水で再構成した。測定した粒子径は116.8nmであり、PDIは0.113であった。
【0142】
[実施例15]
500mgのβ-エレメン及び1200mgのゴマ油を秤量し、ジクロロメタン/イソプロパノール混合溶媒(ジクロロメタン:イソプロパノール=4:1、5mL)に連続的に添加し、渦によって混合して油相を得た。1500mgのウシ血清アルブミンを注射用水に溶解し、質量体積百分率(g/mL)が3%のウシ血清アルブミン水溶液を得て、水相を得た。油相を水相に滴下し、プローブによって8分間(250W)超音波処理して、一次乳化物を生成した。得られた一次乳化物を高圧ホモジナイザーに移し、高圧均質化した。均質化圧力は1400barであり、均質化回数は10回であった。均質化後、回転式蒸発によって有機溶媒を除去した。回転式蒸発させた薬液を濾過し、0.22μmの微小孔膜を通して滅菌した。濾液を希釈し、1mg/mLの薬物濃度に構成した。3%スクロースを添加して凍結乾燥し、凍結乾燥後に蓋をし、4℃で保存した。凍結乾燥したサンプルを採り、注射用水で再構成した。測定した粒子径は121.8nmであり、PDIは0.111であった。
【0143】
[実施例16]
500mgのβ-エレメン及び1200mgの大豆油を秤量し、ジクロロメタン/ターシャリーブタノール混合溶媒(ジクロロメタン:ターシャリーブタノール=4:1、5mL)に連続的に添加し、渦によって混合して油相を得た。1500mgのウシ血清アルブミンを注射用水に溶解し、質量体積百分率(g/mL)が3%のウシ血清アルブミン水溶液を得て、水相を得た。油相を水相に滴下し、プローブによって8分間(250W)超音波処理して、一次乳化物を生成した。得られた一次乳化物を高圧ホモジナイザーに移し、高圧均質化した。均質化圧力は1400barであり、均質化回数は10回であった。均質化後、回転式蒸発によって有機溶媒を除去した。回転式蒸発させた薬液を濾過し、0.22μmの微小孔膜を通して滅菌した。濾液を希釈し、10mg/mLの薬物濃度に構成した。3%スクロースを添加して凍結乾燥し、凍結乾燥後に蓋をし、4℃で保存した。凍結乾燥したサンプルを採り、注射用水で再構成した。測定した粒子径は121.1nmであり、PDIは0.109であった。
【0144】
[実施例17]
500mgのβ-エレメン及び1200mgのオリーブ油を秤量し、ジクロロメタン/エタノール混合溶媒(ジクロロメタン:エタノール=4:1、5mL)に連続的に添加し、渦によって混合して油相を得た。1500mgのウシ血清アルブミンを注射用水に溶解し、質量体積百分率(g/mL)が3%のウシ血清アルブミン水溶液を得て、水相を得た。油相を水相に滴下し、プローブによって8分間(250W)超音波処理して、一次乳化物を生成した。得られた一次乳化物を高圧ホモジナイザーに移し、高圧均質化した。均質化圧力は1400barであり、均質化回数は10回であった。回転式蒸発によって、均質化した系から有機溶媒を除去した。回転式蒸発させた薬液を濾過し、0.22μmの微小孔膜を通して滅菌した。濾液を希釈し、12mg/mLの薬物濃度に構成した。3%スクロースを添加して凍結乾燥し、凍結乾燥後に蓋をし、4℃で保存した。凍結乾燥したサンプルを採り、注射用水で再構成した。測定した粒子径は109.7nmであり、PDIは0.105であった。
【0145】
[実施例18]
500mgのβ-エレメン及び1200mgの大豆油を秤量し、ジクロロメタン/テトラヒドロフラン混合溶媒(ジクロロメタン:テトラヒドロフラン=4:1、5mL)に連続的に添加し、渦によって混合して油相を得た。1500mgのウシ血清アルブミンを注射用水に溶解し、質量体積百分率(g/mL)が3%のウシ血清アルブミン水溶液を得て、水相を得た。油相を水相に滴下し、プローブによって8分間(250W)超音波処理して、一次乳化物を生成した。得られた一次乳化物を高圧ホモジナイザーに移し、高圧均質化した。均質化圧力は1400barであり、均質化回数は10回であった。回転式蒸発によって、均質化した系から有機溶媒を除去した。回転式蒸発させた薬液を濾過し、0.22μmの微小孔膜を通して滅菌した。濾液を希釈し、10mg/mLの薬物濃度に構成した。3%スクロースを添加して凍結乾燥し、凍結乾燥後に蓋をし、4℃で保存した。凍結乾燥したサンプルを採り、注射用水で再構成した。測定した粒子径は112.7nmであり、PDIは0.112であった。
【0146】
[実施例19]
200mgのエレメン及び600mgの大豆油を秤量し、ジクロロメタン及びエタノールの混合溶媒(ジクロロメタン:エタノール=4:1、2mL)に溶解し、渦によって混合して油相を得た。650mgのヒト血清アルブミンを18mLの0.5%塩化ナトリウム溶液に溶解し、質量体積百分率(g/mL)が3.6%のヒト血清アルブミン溶液を得た。水浴超音波の処置下で、油相を水相に滴下し、プローブによって8分間(250W)超音波処理して、一次乳化物を生成した。得られた一次乳化物を高圧ホモジナイザーに移し、高圧均質化した。均質化圧力は1000barであり、均質化回数は16回であった。回転式蒸発により、均質化した系から有機溶媒を除去し、0.22μmの微小孔膜を濾過及び滅菌に使用し、エレメンアルブミンナノ粒子水溶液を得た。測定した粒子径は126.1nmであり、PDIは0.122であった。
【0147】
[実施例20]
500mgのβ-エレメン及び1500mgの大豆油を秤量し、5mLのジクロロメタン/エタノール(ジクロロメタン:エタノール=8:1)混合溶媒に溶解して、油相を得た。2500mgのヒト血清アルブミンを秤量し、45mLの水に溶解して、水相を得た。超音波の処置下で、二相を均一に混合し、得られた溶液を高圧ホモジナイザーに移して、400~500barで4~6回、及び1300~1400barで8~10回高圧均質化した。均質化後、回転式蒸発により有機溶媒を除去し、微小孔膜を濾過及び滅菌に使用し、調剤品中の気泡をしばらく静置して除去し、エレメンアルブミンナノ粒子の溶液を得た。ナノ粒子の測定した粒子径は99.4nmであり、PDIは0.096であった。得られたエレメンアルブミンナノ粒子の溶液を、10mg/mLの濃度に調整し、3%スクロースを添加し、凍結乾燥し、超純水を添加することにより再構成した。粒子径は101.6nmであると測定され、PDIは0.113であった。
【0148】
[実施例21]
対応するβ-エレメン、大豆油、MCT(中鎖トリグリセリド)、及び界面活性剤(HS-15、すなわちマクロゴール15-ヒドロキシステアリン酸;Tween 80;Poloxamer P188)を、表5に記載された成分量に従って秤量し、混合して油相を得た。20%ヒト血清アルブミン(表5に示すように質量換算された)を採り、超純水を加えて、総体積が50mLになるように希釈し、均一に混合し、ヒト血清アルブミン水溶液、すなわち水相を得た。適正量の界面活性剤を水相溶液に添加し、水相溶液を油相に注ぎ、ミキサー(IKA、T25)を用いて5,000rpmで1分間、及び10,000rpmで5分間剪断して、一次乳化物を形成した。得られた一次乳化物を高圧ホモジナイザー(ATS、AH-1500)に移し、250~300barの均質化圧力で2分間、及び1450~1550barで6分間高圧均質化した。均質化後、均質な溶液の総体積をメスシリンダーで測定し、10%(g/mL)のトレハロースを添加し、よく振盪して溶解させ、0.45μmの微小孔膜を用いて濾過し、エレメンアルブミンナノ粒子の溶液を得た。粒子径及びPDIを検出し、溶血値を決定した。具体的な結果を、表5に示す。
【0149】
【表5】
【0150】
[実施例22]
表6に記載された成分量に従って、β-エレメン及び大豆油を秤量し、均一に混合し、油相を得た。ヒト血清アルブミン(表6に示されるように質量換算された)を測定し、超純水を添加することによって、総体積が50mLになるように希釈し、均一に混合して、ヒト血清アルブミン水溶液、すなわち水相を得た。水相を油相に注ぎ、ミキサー(IKA、T25)を用いて、5,000rpmで1分間、及び10,000rpmで5分間剪断して、一次乳化物を形成した。得られた一次乳化物を高圧ホモジナイザー(ATS、AH-1500)に移し、250~300barの均質化圧力で2分間、及び1450~1550barで6分間、高圧均質化した。均質化後、均質な溶液の総体積をメスシリンダーで測定し、トレハロースを10%(g/mL)の質量/体積比で添加し、よく振盪して溶解させ、0.45μmの微小孔膜を用いて濾過して、エレメンアルブミンナノ粒子の溶液を得た。粒子径及びPDIを検出し、溶血値を決定した。具体的な結果を、表6に示す。
【0151】
【表6】
【0152】
[実施例23]
3.33gのβ-エレメン及び8gの大豆油を秤量し、混合して油相を得た。50mL(10g)の20%ヒト血清アルブミン(HSA)を測定し、適正量の超純水を添加して均一に希釈し、質量体積百分率(g/mL)が3%のヒト血清アルブミン水溶液、すなわち水相を得た。水相溶液を油相に注ぎ、ミキサー(FLUKO、FA30/30F)を用いて10,000rpmで10分間剪断し、一次乳化物を形成した。得られた一次乳化物を、マイクロジェットホモジナイザー(Microfluidizer、M-110-EH)に移し、20,000psiの均質化圧力で30分間均質化した。均質化した溶液を、0.45μm及び0.22μmのPVDFプレートフィルターで濾過し、計量体積を調整し、表7に対応する種々の凍結乾燥保護剤(g/mL)をそれぞれ添加した。凍結乾燥保護剤を添加した均質な溶液を凍結乾燥し、凍結乾燥後、凍結乾燥粉末を滅菌した超純水で再構成した。粒子径、PDI、及び溶血値を検出した。具体的な結果を、表7に示す。
【0153】
【表7】
【0154】
[実施例24]
3.33gのβ-エレメン及び8gの大豆油を秤量し、有機溶媒に溶解し、混合して油相を得た。有機溶媒は、26.67mLのジクロロメタン及び6.67mLの無水エタノールの混合溶媒であった。50mL(10g)の20%ヒト血清アルブミン(HSA)を測定し、適正量の超純水を添加して均一に希釈し、質量体積百分率(g/mL)が3%のヒト血清アルブミン水溶液、すなわち水相を得た。水相溶液を油相に注ぎ、ミキサー(FLUKO、FA30/30F)を用いて10,000rpmで10分間剪断し、一次乳化物を形成した。得られた一次乳化物をマイクロジェットホモジナイザー(Microfluidizer、M-110-EH)に移し、20,000psiの均質化圧力で30分間、高圧均質化した。均質化後、薄膜エバポレーターにより、有機溶媒含有乳化物から有機溶媒を除去し、パラメータは、温度30℃、真空度4000pa、液体供給速度100rpm、スクレーパ速度50rpmであった。得られた乳化物を、0.45μm及び0.22μmのPVDFプレートフィルターで濾過し、計量体積を調整し、10%(g/mL)のトレハロースを凍結乾燥保護剤として添加した。凍結乾燥保護剤を添加した均質な溶液を凍結乾燥し、凍結乾燥後、凍結乾燥粉末を滅菌した超純水で再構成した。検出された粒子径は76.28であり、PDIは0.254であり、溶血値は16.3であった。
【0155】
[実施例25]
表8に記載された成分量に従って、β-エレメン及び大豆油を秤量し、有機溶媒を1mLのエタノール及び4mLのジクロロメタンの混合溶媒として、有機溶媒に溶解し、混合して油相を得た。適正量の20%ヒト血清アルブミン(HSA)(表8に示されるように質量換算された)を測定し、超純水、すなわち水相を添加することにより、総体積が50mLになるように希釈した。水相溶液を油相に注ぎ、ミキサー(IKA、T25)を用いて5,000rpmで1分間、及び10,000rpmで5分間剪断して、一次乳化物を形成した。得られた一次乳化物を高圧ホモジナイザー(ATS、AH-1500)に移し、250~300barの均質化圧力で2分間、及び1450~1550barで6分間、高圧均質化した。回転式蒸発器を用いて、35℃、150rpm、及び30mbarの真空で有機溶媒を除去した。完了後、均質な溶液の総体積をメスシリンダーで測定し、トレハロースを10%(g/mL)の質量/体積比で添加し、よく振盪して溶解させ、0.45μmの微小孔膜で濾過して、エレメンアルブミンナノ粒子の溶液を得た。
【0156】
【表8】
【0157】
調製したサンプルを30℃のオーブンに入れ、0時間、24時間、及び48時間でサンプリングして、粒子径、PDI、及びβ-エレメン含有量を決定した。測定結果を、表9に示す。
【0158】
【表9】
【0159】
[実施例26]
表10に記載された成分量に従って、β-エレメン及び大豆油を秤量し、油相を得た。適正量の20%ヒト血清アルブミン(HSA)(表10に示されるように質量換算した)を測定し、超純水、すなわち水相を添加することにより、総体積が50mLになるように希釈した。水相溶液を油相に注ぎ、ミキサー(IKA、T25)を用いて、5,000rpmで1分間、及び10,000rpmで5分間剪断して、一次乳化物を形成した。得られた一次乳化物を高圧ホモジナイザー(ATS、AH-1500)に移し、250~300barの均質化圧力で2分間、及び1350~1450barで6分間、高圧均質化した。完了後、メスシリンダーで均質な溶液の総体積を測定し、表10に示される(g/mL)の質量/体積比でトレハロースを添加し、よく振盪して溶解させ、0.45μmの微小孔膜で濾過して、エレメンアルブミンナノ粒子溶液を得た。
【0160】
【表10】
【0161】
調製したサンプルを30℃のオーブンに入れ、0時間、24時間、及び48時間でサンプリングして、粒子径、PDI、及びβ-エレメン含有量を決定した。測定結果を、表11に示す。
【0162】
【表11】
【0163】
[実施例27]
2gのβ-エレメン及び1.5gの大豆油を秤量し、混合して油相を得た。45mL(9g)の20%ヒト血清アルブミン、すなわち水相を測定した。水相溶液を油相に注ぎ、ミキサー(IKA、T25)を用いて、5,000rpmで1分間、及び10,000rpmで5分間剪断して、一次乳化物を形成した。得られた一次乳化物を高圧ホモジナイザー(ATS、AH-1500)に移し、250~300barの均質化圧力で2分間、及び1450~1550barで6分間、高圧均質化し、均質な溶液を回収した。ホモジナイザーのパイプラインを、トレハロースの水溶液(25mLの水+10gのトレハロース)で流して、ホモジナイザー中に残存する均質な溶液を置換し、次いで、ホモジナイザーのパイプラインを、30mLの超純水を流して、トレハロースの残存水溶液を置換した。トレハロース水溶液を均質な溶液と合わせて、混合し、0.22μmの滅菌フィルター膜を通して濾過した。粒子径分析器で検出した粒子径は106.4nmであり、PDIは0.08であった。
【0164】
[実施例28]
【0165】
【表12】
【0166】
β-エレメン及び大豆油を表13に示すように秤量し、混合して油相を得た。20%ヒト血清アルブミン(50mL、10g)、すなわち水相を測定した。水相溶液を油相に注ぎ、ミキサー(IKA、T25)を用いて、5,000rpmで1分間、及び10,000rpmで5分間剪断して、一次乳化物を形成した。得られた溶液を高圧ホモジナイザー(ATS、AH-1500)に移し、250~300barの均質化圧力で2分間、及び1550~1550barで6分間、高圧均質化した。10gのトレハロースを秤量し、純水を添加することによって、50mLに溶解した(サンプル番号5は、15gのトレハロースを添加し、純水を添加することによって105mLに溶解した)。ホモジナイザーのパイプラインをトレハロース水溶液で流し、ホモジナイザーに残存する均質な溶液を置換し、残存する均質な溶液を均質な溶液と合わせ、混合し、0.45μmの滅菌濾過膜を通して濾過した。各サンプルを溶血値について試験した。サンプルをEP管に分け、30℃のサーモタンクに保存し、サンプルを0時間、24時間、及び48時間で採取し、粒子径、PDI、及びβ-エレメン含有量を決定した。結果を、表14に示した。
【0167】
【表13】
【0168】
[実施例29]
2gのβ-エレメン及び1.5gの大豆油を秤量し、混合して油相を得た。50mL(10g)の20%ヒト血清アルブミン、すなわち水相を測定した。水相溶液を油相に注ぎ、ミキサー(IKA、T25)を用いて、5,000rpmで1分間、及び10,000rpmで5分間剪断して、一次乳化物を形成した。そして、5mLの注射用水を用いて剪断ヘッドを洗浄し、一次乳化物と合わせた。得られた溶液を高圧ホモジナイザー(ATS、AH-1500)に移し、250~300barの均質化圧力で2分間、及び1500~1550barで6分間、高圧均質化し、均質な溶液を回収した。ホモジナイザーのパイプラインを、22.5mLのトレハロース水溶液で流し、ホモジナイザー中に残存している均質な溶液を置換した。次いで、ホモジナイザーのパイプラインを22.5mLの超純水で流し、残存するトレハロース水溶液を置換した。トレハロース溶液を均質な溶液と合わせ、混合し、0.22μmの滅菌濾過膜を通して濾過した。サンプルをEP管に分け、2~8℃の冷蔵庫に保存した。それぞれ0日目及び2ヶ月目にサンプリングして、粒子径及びPDIを検出した。結果を、表12に示す。
【0169】
【表14】
【0170】
[実施例30]薬効試験
〔サンプルの調製〕
4.5gのβ-エレメン及び10.8gの大豆油を秤量し、混合して油相を得た。4mLのエタノール及び16mLのジクロロメタンを測定し、均一に混合して有機相Aを得た。有機相に油相を加え、計量体積を36mLに調整し、有機相Bを得た。
【0171】
13.5gのヒト血清アルブミンを秤量し、405mLの純水に加え、撹拌して溶解させた。有機相Bを水相に加え、高速剪断機を用いて、ギアAで2分間、次いで、ギアBで1分間撹拌して、一次乳化物Aを得た。一次乳化物Aを3分割し、細胞粉砕器により、250wで8分間処理して、一次乳化物Bを得た。一次乳化物Bを高圧ホモジナイザーに加え、まず200barで3サイクル、次に1300barで5サイクルにて、アルブミンナノ粒子を得た。上記ナノ粒子を、減圧下にて37℃で1時間濃縮し、12.30gの3%スクロースを添加し、0.22μmで濾過し、凍結乾燥した。粒子径は81.03nmであり、PDIは0.174であった。
【0172】
〔実験方法〕
ヒト由来脳腫瘍異種移植マウスモデルの構築:50匹のヌードマウスを、2.5%イソフルランを用いて麻酔し、ヌードマウスの頭蓋に小さな穴(<0.5mm)を開け、発光レポーター遺伝子を発現する細胞(5×10 U87MGR1 ヒト神経膠腫細胞)を、左額部(2.5mm側方及び0.5mm前方のブレグマ、深さ2.5mm)に注入した。
【0173】
in vivoにおける生物発光イメージング解析法:ヌードマウスに、D-ルシフェリン溶液(120mg/kg)を単回皮下注射した。フルオレセインの注射の10分後、1~5分の暴露時間の間、動物の明るい画像を暗い多彩の照明で撮った(Glucの生物発光イメージングのために、セレンテラジン(20mg/kg、総体積150μL)の単回静脈注射を与えた)。腫瘍内ルシフェラーゼ活性は、照明なしで5分間にわたって、CCDカメラを用いて光子カウントを記録することによって得た。画像強度は、Perkin Elmer’s Living image software 4.3.1を使用して定量的に分析した。
【0174】
注射の1週間後、ヌードマウスにおける腫瘍体積を評価するために、in vivoにおける生物発光イメージングを行い、ヌードマウスの腫瘍体積を評価した。類似した腫瘍体積を有する32匹のヌードマウスを選択し、無作為に8匹(雌雄半数)/群に分け、投与量を3週間、3回/週、尾静脈注射により投与した:
1)モデル群(コントロール)(PBSにより調製した0.1% DMSO)、n=8;
2)50mg/kg テモゾロミド(TMZ),n=8;
3)50mg/kg Ailineng(ELE mic)、n=8;
4)50mg/kg(Alb)、n=8;
腫瘍体積は、毎週測定した。
【0175】
実験の間、動物の健康状態をモニターするために、動物を毎週体重測定した。
【0176】
投与の2週間後に投与を中断し、その後3週間観察した。各群のマウスの生存及び腫瘍体積を、Graphpadソフトウェアを用いて記録し、カプラン・マイヤープロットを作成した。マウス同所性腫瘍モデルの腫瘍増殖曲線を、図8に示す(腫瘍保有ヌードマウスを、Alb調剤品を用いて、3回/週×2週間(n=8、雌雄半数)処置した;テモゾロミド(TMZ)と比較して、p<0.01)。マウス同所性腫瘍モデルの生存曲線を、図9に示す(腫瘍保有ヌードマウスを、Albを用いて、3回/週×2週間(n=8、雌雄半数)処置した;テモゾロミド(TMZ)と比較して、p<0.01)。
【0177】
[実施例31]安全性試験
〔サンプルの調製〕
エレメン注射(商品名:Ailineng)):CSPC Yuanda(Dalian) Pharmaceutical Co., Ltd.、バッチ番号:17050302)
β-エレメンミセル調剤品:
17.08gのRH40を秤量し、60℃で加熱して溶解させた。2mLのβ-エレメンを加え、60℃で5分間加熱撹拌した。14.40gのプロピレングリコール及び38.72gの純水を秤量し、混合した後、60℃で10分間加熱した。β-エレメンを含むRH40溶液に、プロピレングリコール水溶液を加え、水浴中で、60℃で30分間撹拌し、β-エレメンミセルを得た。上記ミセルを0.22μmで濾過し、5mL/調剤品に分けた。
【0178】
β-エレメンアルブミン調剤品:
2.5001gのβ-エレメン及び6.001gの大豆油を秤量し、後の使用のために混合した。2mLのエタノール及び8mLのジクロロメタンを測定し、後の使用のために均一に混合した。油相の体積を、後の使用のために有機相によって12mLに調整した。
【0179】
4.5015gのヒト血清アルブミンを秤量し、135mLの純水に加え、撹拌して溶解させた。有機相を水相に加え、高速剪断機を用いて、ギアAで2分間、次いでギアBで0.5分間撹拌して、一次乳化物Aを得た。一次乳化物Aを3分割し、細胞粉砕器によって、250Wで8分間処理して、一次乳化物Bを得た。一次乳化物Bを高圧ホモジナイザーに加え、まず200barで3サイクル、次に1300~1400barで5サイクルにて、アルブミンナノ粒子を得た。上記ナノ粒子を、減圧下において、37℃で1時間濃縮し、1.20gのスクロースを添加し、0.22μmで濾過し、凍結乾燥した。
【0180】
〔溶液の調製〕
標準的な生理食塩水を用いて、3つの調剤品を6mg/mLに調製した。
【0181】
Ailineng:7.5mLの20mg/mLの商業的に入手可能なAilinenを採り、17.5mLの標準的な生理食塩水を用いて、25mLの6mg/mLサンプル溶液に希釈した。
【0182】
β-エレメンミセル調剤品:5.91mLの25.41mg/mLのβ-エレメンミセル調剤品を採り、19.09mLの標準的な生理食塩水を用いて、25mLの6mg/mLサンプル溶液に希釈した。
【0183】
β-エレメンアルブミン調剤品:12個のβ-エレメンミセル調剤品を採り、それぞれに2.01mLの標準的な生理食塩水を加えた後、混合し、24mLの6mg/mLサンプル溶液を得た。
【0184】
〔試験方法〕
雄のKMマウス(20~25g/マウス)を、体重に基づいて、各群7匹のマウスを用いて無作為に13群に分けた。マウスを、体重による所定の投与量に基づいて、グループ分けした。各サンプルの投与量は、100mg/kg、130mg/kg、170mg/kg、及び220mg/kgに設定し、別のブランク群を設定した。マウスを、尾静脈を通して注射し、投与後の投与部位、投与後の反応、及び投与後の死亡状態を観察した。試験結果を表15に示す。
【0185】
【表15】
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【手続補正書】
【提出日】2022-06-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は医薬製剤の分野に関し、特に、エレメンを含む医薬組成物並びにその調製方法及び使用に関する。
【背景技術】
【0002】
エレメンは、Curcuma Wenyujin Y.H. Chen et C.ling及びCymbopoqon citratus ((DC.)Stapt等の植物から抽出された揮発性油性化合物である。本化合物は、淡黄色又は黄色の透明な液体であり、刺激性のフェンネル臭を有する。現在、エレメンはα-エレメン、β-エレメン、δ-エレメン及びγ-エレメンを含む混合物として臨床的に使用されており、悪性胸水、肺癌、消化管腫瘍及び他の表在性腫瘍に広く使用されている。市販されているエレメン及びその製剤には、クレモフォールEL及び他の賦形剤を含み、強い刺激性があるため、市販されている薬物の使用後に、重篤な静脈炎、発熱、局所疼痛、アレルギー反応又は軽度の消化管反応、並びに発熱及び他の副作用を多くの患者が伴い得る。実際の臨床投薬処理では、静脈炎の発生率が高く、その再発率が高いため、静脈内注入の速度を厳密にコントロールし、点滴時間を長くする必要がある。
【0003】
エレメンは水にほとんど不溶であり、特に石油エーテル、ジエチルエーテル等の有機溶媒に強い脂溶性を有する。エレメンの分子式はC1524であり、炭化水素のみから成る。そのユニークな化学的構造及び物理化学的性質のために、医薬製剤の調製には大きな困難及び障害がある。エレメンの溶解度を増加させるために、注射液へのエレメンの調製の間に、市販されている薬物処方においてクレモフォールEL及び他の賦形剤を加え、重篤な溶血及び大きな刺激の問題を生じた。さらに、パクリタキセルアルブミンナノ製剤の市販品は臨床的副作用を解決するための新しい形態の医薬製剤を提供するが、エレメンの物理化学的性質(これは室温で油性である)のために、エレメンをアルブミン製剤に処方することは極めて困難である。したがって、現在、対応する研究又は開発は存在しない。
【発明の概要】
【0004】
本出願は、ヒト体内に投与される医薬組成物の1以上の副作用を効果的に低減することができる、エレメン、注射用油及びタンパク質担体を含む医薬組成物を提供する。
【0005】
本出願の1つ以上の実施形態において、医薬組成物において使用されるタンパク質担体はタンパク質を含み、任意の適当なタンパク質を使用してもよい。適当なタンパク質の例には、アルブミン、免疫グロブリン(IgAを含むがこれに限定されない)、リポタンパク質、アポリポタンパク質B、α-酸性糖タンパク質、β-2-マクログロブリン、チログロブリン、トランスフェリンタンパク質、フィブロネクチン、第VII因子、第VIII因子、第IX因子、第X因子及び類似体が含まれるが、これに限定されるわけではない。タンパク質担体は、天然であっても合成であってもよい。いくつかの実施形態において、タンパク質担体は、カゼイン、α-ラクトアルブミン及びβ-ラクトグロブリン等の非血液タンパク質である。いくつかの実施形態において、タンパク質担体は、ヒト血清アルブミン(HSA)、牛血清アルブミン等のアルブミンを含む。ヒト血清アルブミンは、585アミノ酸から構成される高溶解性グロブリンであるMr65Kである。HSAは血漿において最も豊富なタンパク質であり、ヒト血漿におけるコロイド浸透圧の70~80%を構成する。
【0006】
本出願の1つ以上の実施形態において、医薬組成物において使用される「注射用油」はオレイン酸エチル、安息香酸ベンジル、中鎖トリグリセリド(MCT)及び植物油を含み、これらの中で、植物油は、大豆油、ベニバナ油、綿実油、コーン油、ヒマワリ油、落花生油及びオリーブ油のうちの1つ以上から選択される。本出願の1つ以上の実施形態において、注射用油は大豆油である。
【0007】
本出願の1つ以上の実施形態において、医薬組成物は粒子に処方されてもよく、当該粒子の粒子径は180nm未満(例えば、約70~170nm、好ましくは約70~150nm)である。
【0008】
本出願の1つ以上の実施形態において、組成物は任意の形態(例えば、球形又は非球形)のナノ粒子を含み、いくつかの実施形態において、粒子の平均直径又は中間直径(intermediate diameter)は約180nm以下である。いくつかの実施形態において、粒子の平均直径又は中間直径は約50nm~約180nmである。いくつかの実施形態において、粒子の平均直径又は中間直径は約60nm~約180nmである。いくつかの実施形態において、粒子の平均直径又は中間直径は約70nm~約170nmである。いくつかの実施形態において、粒子の平均直径又は中間直径は約70nm~約-170nmである。いくつかの実施形態において、粒子の平均直径又は中間直径は約70~約150nmである。いくつかの実施形態において、粒子の平均直径又は中間直径は約60nm、70nm、80nm、90nm、100nm、110nm、120nm、130nm、140nm又は150nmである。いくつかの実施態様において、粒子は滅菌され、濾過可能である。
【0009】
本出願の1つ以上の実施形態において、医薬組成物中のエレメンは、α-エレメン、β-エレメン、γ-エレメン及びδ-エレメンのうちの1つ以上から選択される。本出願の1つ以上の実施形態において、医薬組成物中のエレメンはβ-エレメンである。
【0010】
本出願の1つ以上の実施形態において、医薬組成物におけるアルブミン担体、エレメン及び注射用油の比率は、原材料(feed)の重量比である。
【0011】
本出願の1つ以上の実施形態において、医薬組成物における、エレメンに対するタンパク質担体の重量比は0.520であり;例えば、0.5~10である。
【0012】
本出願の1つ以上の実施形態において、医薬組成物における、エレメンに対する注射用油の重量比は0.3510であり;例えば、0.5~10である。
【0013】
本出願の1つ以上の実施形態において、医薬組成物はさらに、凍結乾燥保護剤を含む。凍結乾燥保護剤は、グルコース、スクロース、マルトース、ラクトース、マンノース、トレハロース、グリシン及びデキストラン、好ましくはトレハロース又はスクロースの1つ以上から選択される。1つ以上の実施形態において、医薬組成物の溶液の体積に対する凍結乾燥保護剤の重量比は3:100~20:100g/mLであり、好ましくは5:100~10:100g/mLである。
【0014】
本出願の1つ以上の実施形態において、医薬組成物は、等浸透圧調整剤、酸化防止剤、防腐剤、及びpH調整剤のうちの1つ以上をさらに含む。等浸透圧調整剤は、グリセロール、ソルビトール、マンニトール又はグルコースのうちの1つ以上である。pH調整剤は、水酸化ナトリウム、クエン酸ナトリウム、クエン酸、リン酸、酢酸又は塩酸のうちの1つ以上である。防腐剤は、ヒドロキシベンゼンアルキルエステル、安息香酸、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸、酢酸クロルヘキシジン、臭化ベンザルコニウムのうちの1つ以上である。酸化防止剤は、亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、アスコルビン酸、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,6-ジ-tert-ブチル化ヒドロキシトルエン及びビタミンEのうちの1つ以上である。
【0015】
本出願の1つ以上の実施形態において、医薬組成物の調製プロセス中に有機溶媒が使用されない医薬組成物も提供される。
【0016】
本出願の1つ以上の実施形態において、医薬組成物は、粒子に処方されてもよく、当該粒子の粒子径は180nm未満(例えば、約70~150nm)である。
【0017】
本出願の1つ以上の実施形態では、医薬組成物において、エレメンに対する大豆油の重量比は約0.35~3であり、エレメンに対するヒト血清アルブミンの重量比は約0.5~20である。好ましくは、エレメンに対する大豆油の重量比は約0.5~3であり、エレメンに対するヒト血清アルブミンの重量比は約0.5~2.5である。または、医薬組成物において、エレメンに対する大豆油の重量比は約0.35~1.5であり、エレメンに対するヒト血清アルブミンの重量比は約1.5~10である。
【0018】
本出願の1つ以上の実施形態において、エレメンに対する大豆油の重量比は約0.5であり、エレメンに対するヒト血清アルブミンの重量比は約1.5である。
【0019】
本出願の1つ以上の実施形態において、エレメンに対する大豆油の重量比は約0.75であり、エレメンに対するヒト血清アルブミンの重量比は約5である。
【0020】
本出願の1つ以上の実施形態において、エレメンに対する大豆油の重量比は約1.5であり、エレメンに対するヒト血清アルブミンの重量比は約3~5である。
【0021】
本出願の1つ以上の実施形態において、調製プロセス中に有機溶媒が含まれる医薬組成物も提供する。有機溶媒は、クロロホルム、ジクロロメタン、ターシャリーブタノール、イソプロパノール、酢酸エチル、エタノール、テトラヒドロフラン、ジオキサン、アセトニトリル、アセトン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、及びメチルピロリドンのうちの1つ以上から選択される。ここで、脂溶性有機溶媒は、ジクロロメタンとエタノールとの混合溶媒である。
【0022】
ここで、エタノールに対するジクロロメタンの体積比は、1:1~8、好ましくは1:4である。
【0023】
医薬組成物は粒子に処方してもよく、粒子の粒子径は約70~150nmである。
【0024】
医薬組成物において、エレメンに対する大豆油の重量比は約2.4~10であり、エレメンに対するヒト血清アルブミンの重量比は約0.5~10である。好ましくは、医薬組成物において、エレメンに対する大豆油の重量比は約2.4であり、エレメンに対するヒト血清アルブミンの重量比は約3である。
【0025】
本出願の1つ以上の実施形態は、以下の工程を含む、本出願の医薬組成物を調製する方法を提供する:
(1)エレメンと注射用油を均一に混合し、有機溶媒を任意で加えて、エレメン及び注射用油の溶液を得る;タンパク質担体を水に溶解してタンパク質担体溶液を得る工程;
(2)工程(1)で得られた2つの溶液を混合して乳化物を形成する工程;
(3)工程(2)の乳化物を高圧下で均質化し、任意に乳化物を減圧下で蒸発させて有機溶媒を除去し、ナノ粒子溶液を得る工程。
【0026】
本出願の1つ以上の実施形態は、以下の工程を含む、本出願の医薬組成物を調製する方法を提供する:
(1)エレメン及び注射用油を均一に混合する工程;
(2)アルブミンを取得し、アルブミンを水に溶解する工程;
(3)両方を混合し、乳化物を形成する工程;
(4)工程(3)の乳化物を高圧下で均質化し、アルブミンナノ粒子の溶液を得る工程。
【0027】
本出願の1つ以上の実施形態において、工程(2)において、混合のために剪断又は超音波方法を使用し、工程(3)において、均質化のために高圧均質化又はマイクロジェット均質化方法を使用する。
【0028】
本出願の1つ以上の実施形態において、工程(3)は、ホモジナイザーのパイプラインを適切量のトレハロース水溶液で洗い流し、ホモジナイザー中に残存する均質化溶液を置換し、次いでホモジナイザーのパイプラインを適切量の超純水で洗い流して残存するトレハロース水溶液を置換し、トレハロース水溶液を均質化溶液と組み合わせ、均一に混合し、次いで濾過する工程をさらに含んでいてもよい。
【0029】
本出願の1つ以上の実施形態において、剪断は、ミキサーによって剪断することによって行ってもよい。
【0030】
本出願の1つ以上の実施形態において、ミキサーによる剪断速度は、5000rpm~10,000rpmである。
【0031】
本出願の1つ以上の実施形態において、ミキサーの剪断時間は1分~20分であり、好ましくは、例えば、2分~10分であり、又は、より好ましくは1分~10分である。
【0032】
本出願の1つ以上の実施形態において、剪断は、好ましくはミキサーを用いて複数回、好ましくは2回より多く行う。
【0033】
本出願の1つ以上の実施形態において、好ましくは第1の時間が5000rpmで1分間の剪断であり、第2の時間は10,000rpmで5分間の剪断である。
【0034】
本出願の1つ以上の実施形態において、高圧均質化の圧力は200~1,600barであり、好ましくは、例えば、250~1,550barである。
【0035】
本出願の1つ以上の実施形態において、高圧均質化の時間は1~10分であり、例えば、好ましくは2~10分であり、例えば、さらに好ましくは5~8分である。
【0036】
本出願の1つ以上の実施形態において、高圧均質化は好ましくは複数回、好ましくは、例えば、2回より多く行う。
【0037】
本出願の1つ以上の実施形態において、マイクロジェット均質化の圧力は20,000psiである。
【0038】
本出願の1つ以上の実施形態において、マイクロジェット均質化の時間は30分である。
【0039】
本出願の1つ以上の実施形態は、調製プロセスにおいて有機溶媒を使用する、本出願の医薬組成物を調製する方法をさらに提供する。
【0040】
本出願の1つ以上の実施形態において、本出願の医薬組成物を調製する方法は、以下の工程を含む:
(1)油溶性有機溶媒にエレメン及び注射用油を溶解する工程;
(2)アルブミンを取得し、アルブミンを水に溶解する工程;
(3)工程(1)及び(2)で得られた2つの溶液を混合して乳化物を形成する工程;
(4)工程(3)における乳化物を均質化する工程;
(5)工程(4)の乳化物を減圧下で蒸発させて有機溶媒を除去し、アルブミンナノ粒子の溶液を得る工程。
【0041】
本出願の1つ以上の実施形態において、工程(1)における有機溶媒は、クロロホルム、ジクロロメタン、ターシャリーブタノール、イソプロパノール、酢酸エチル、エタノール、テトラヒドロフラン、ジオキサン、アセトニトリル、アセトン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、メチルピロリドンのうちの1つ以上から選択され、例えば、ジクロロメタンとエタノールとの混合溶媒であり、混合溶媒におけるジクロロメタンに対するエタノールの体積比は、1:1~8であり、例えば、1:4である。
【0042】
本出願の1つ以上の実施形態において、工程(3)において、混合のために剪断又は超音波方法を使用することができ、工程(4)において、均質化のために高圧均質化又はマイクロジェット均質化方法を使用することができる。
【0043】
本出願の1つ以上の実施形態において、剪断は、ミキサーによって剪断することによって行ってもよい。
【0044】
本出願の1つ以上の実施形態において、ミキサーによる剪断速度は、5000rpm~10,000rpmである。
【0045】
本出願の1つ以上の実施形態において、ミキサーの剪断時間が1分~20分であり、例えば、2~10分である。
【0046】
本出願の1つ以上の実施形態において、剪断は、好ましくはミキサーを用いて複数回、好ましくは2回より多く行う。
【0047】
本出願の1つ以上の実施形態において、好ましくは第1の時間が5,000rpmで1分間の剪断であり、第2の時間は10,000rpmで5分間の剪断である。
【0048】
本出願の1つ以上の実施形態において、高圧均質化の圧力は200~1,600barであり、例えば、250~1,550barである。
【0049】
本出願の1つ以上の実施形態において、高圧均質化の時間は1~10分であり、例えば、2~10分であり、例えば、さらに好ましくは5~8分である。
【0050】
本出願の1つ以上の実施形態において、高圧均質化は好ましくは複数回、例えば、2回より多く行う。
【0051】
本出願の1つ以上の実施形態において、マイクロジェット均質化の圧力は20,000psiである。
【0052】
本出願の1つ以上の実施形態において、マイクロジェット均質化の時間は30分である。
【0053】
本出願の1つ以上の実施形態において、本出願の医薬組成物を調製する方法は、得られたアルブミンナノ粒子の溶液を凍結乾燥する工程をさらに含む。
【0054】
本出願の1つ以上の実施形態は、癌の予防又は処置のための医薬における本出願の医薬組成物の使用をさらに提供する。
【0055】
本出願の1つ以上の実施形態において、本出願が関与する癌には、副腎皮質癌、突発性骨髄化生、エイズ関連癌、肛門癌、虫垂癌、星細胞腫、基底細胞癌、胆管癌、膀胱癌、骨腫瘍、神経膠腫、上衣腫、乏突起膠腫、髄膜腫、頭蓋咽頭腫、血管芽腫、芽細胞腫、神経外胚葉腫瘍、視経路及び視床下部神経膠腫及び神経膠芽腫、気管支腺腫、カルチノイド腫瘍、中枢神経系リンパ腫、子宮頸癌、結腸癌、大腸癌、慢性骨髄増殖性疾患、子宮内膜癌、上衣腫、ユーイングファミリー腫瘍、眼癌、胆嚢癌、胃癌、消化管カルチノイド腫瘍、消化管間質腫瘍、胚細胞腫瘍、妊娠性絨毛腫瘍、頭頸部癌、肝臓癌、咽頭癌、白血病、口唇及び口腔癌、肺癌、リンパ腫、髄芽腫、メラノーマ、中皮腫、転移性頸部扁平上皮細胞癌腫、多発性内分泌腫瘍症候群、骨髄異形成症候群、骨髄異形成/骨髄増殖性疾患、鼻孔及び副鼻腔の癌腫、神経芽腫、神経内分泌癌、口腔咽頭癌、鼻咽頭癌、脳腫瘍、骨転移癌、腸癌、食道癌(esophageal cancer)、卵巣癌、膵臓癌、皮膚癌、副甲状腺癌、陰茎癌、腹膜癌、咽頭癌、褐色細胞腫、松果体芽腫及びテント状原始神経外肺葉性腫瘍、下垂体腫瘍、胸膜肺芽腫、リンパ腫、中枢神経系原発リンパ腫、肺リンパ脈管筋腫症(pulmonary lymphangiomyomatosis)、直腸癌、腎臓癌、腎盂癌及び尿管癌、横紋筋肉腫、唾液腺癌、小腸癌、扁平上皮細胞癌腫、精巣癌、咽喉癌、胸腺腫及び胸腺癌、甲状腺癌、尿道癌、膣癌が含まれる。
【0056】
本出願の1つ以上の実施形態において、本出願に関与する癌には、肺癌、肝臓癌、食道癌、鼻咽頭癌、脳腫瘍、骨転移癌、胃癌、腸癌、子宮癌、子宮頚癌、胚細胞腫瘍、子宮内膜癌、妊娠性絨毛腫瘍、乳癌、皮膚癌、リンパ腫、白血病、悪性メラノーマが含まれる。
【0057】
本出願の1つ以上の実施形態において、脳腫瘍は、神経膠腫、脳幹神経膠腫、小脳又は大脳星細胞腫、悪性神経膠腫、上衣腫、乏突起膠腫、髄膜腫、頭蓋咽頭腫、血管芽腫、髄芽腫、視経路及び視床下部神経膠腫又は膠芽腫を含む。小脳又は大脳星細胞腫は、繊維細胞星細胞腫又はびまん性星細胞腫又は退形成性(悪性)星細胞腫である。
【0058】
本出願の1つ以上の実施形態において、本出願の医薬組成物は、肺癌、肝臓癌、食道癌、鼻咽頭癌、脳腫瘍、骨転移及び他の悪性腫瘍のための放射線治療と化学治療との併用において使用して、治癒効果を増強し、放射線治療及び化学治療の毒性及び副作用を低減してもよく、そしてまた、介入的、腔内化学療法並びに癌性の胸膜及び腹水の処置のために使用してもよい。
【0059】
本出願の1つ以上の実施形態において、本出願の化合物は、抗癌剤等の他の薬物と併用して使用してもよい。ここで、抗癌剤は、テモゾロミド、パクリタキセル、ドセタキセル、タキサン、ゲムシタビン、抗VEGF薬物、PD-1抗体薬物を含む。ここで、抗VEGF薬物は、アバスチン、ラニビズマブ、アフリベリセプター又はコンベレプトを含む。PD-1抗体薬物は、ニボルマブ、ペンブロリズマブ、トリパリマブ、シンチリマブ、セミプリマブ、アテゾリズマブ、アベルマブ又はデュルバルマブを含む。
【0060】
本出願の1つ以上の実施形態において、本出願の医薬組成物の治療有効量の投与を含む、ヒト疾患の処置のための方法を提供する。医薬組成物は、非経口、吸入、腹腔内、膀胱内、筋肉内、静脈内、気管内、皮下、眼内、髄腔内、経皮、直腸又は膣によって投与する。
【0061】
本出願の1つ以上の実施形態において、本出願の医薬組成物は、静脈内投与に適した医薬製剤、非経口投与用の医薬製剤、胃腸内投与用医薬製剤、エアロゾル、膣内投与用医薬製剤、又は、他の適当な医薬製剤に処方してもよい。医薬製剤は、固体製剤、液体製剤又は気体製剤である。
【0062】
本出願の1つ以上の実施形態において、本出願の医薬組成物はエレメン及び薬学的に許容し得る担体を含む注射用液体製剤として使用してもよい。薬学的に許容し得る担体はアルブミン担体及び注射用油を含む。組成物が粒子に処方されてもよく、粒子の粒子径は70~150nmである。組成物において、エレメンに対するアルブミン担体の重量比率は約0.5~20であり、注射用油及びエレメンの重量比は約0.35~10である。
【0063】
本出願の1つ以上の実施形態において、本出願の液体製剤は、滅菌凍結乾燥粉末から再構成された(reconstitute)安定な水性懸濁液であってもよい。
【0064】
本出願の1つ以上の実施形態は、本出願の医薬組成物を含む、単回投与容器又は複数回投与容器であってもよい、密封容器を提供する。密封容器はプレフィルドシリンジであってもよい。医薬組成物は液体組成物又は乾燥組成物である。医薬組成物は凍結乾燥及び滅菌されている。
【0065】
本出願の1つ以上の実施形態において、本明細書に記載されるナノ製剤又はナノ粒子は、乾燥製剤(例えば、凍結乾燥組成物)の形態で存在してもよく、又は、生体適合性媒体中に懸濁されてもよい。適当な生体適合性媒体には、水、水性緩衝媒体、生理食塩水、緩衝生理食塩水、任意で緩衝アミノ酸溶液、任意で緩衝タンパク質溶液、任意で緩衝糖溶液、任意で緩衝ビタミン溶液、任意で緩衝合成ポリマー溶液、脂質含有乳化物等が含まれるが、これらに限定されない。
【0066】
特に明記しない限り、本明細書で使用される「個体(individual)」は、霊長類、ヒト、ウシ、ウマ、ネコ、イヌ又はげっ歯類を含むがこれらに限定されない哺乳動物である。
【0067】
本明細書で使用される場合、「処置(treatment)」は、臨床結果を含む、有益又は所望の結果を得る方法である。本発明の目的のために、有益又は所望の臨床結果は以下のいずれか1つ以上を含むが、これらに限定されない:疾患から生じる1つ以上の症状を減少させること、疾患の重症度を減少させること、疾患を安定化させること(例えば、疾患の悪化を予防若しくは遅延させること)、疾患の蔓延(例えば、転移)を予防若しくは遅延させること、疾患の発生若しくは再発を予防若しくは遅延させること、疾患の進行を予防若しくは遅延させること、疾患の状態を改善すること、疾患の寛解を提供すること(部分的若しくは全体的であるかにかかわらず)、疾患を処置するために必要な1つ以上の他の薬物の投与量を減少させること、疾患の進行を遅延させること、生活の質を増加させること、及び/又は生存を延長すること。いくつかの実施形態において、処置前の同じ対象における対応する症状と比較して、又は、組成物を投与されていない他の対象における対応する症状と比較して、組成物は、癌に関連する1つ以上の症状の重症度を、約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%又は100%のいずれかに少なくとも低下させる。「処置」には、癌の病理学的結果の緩和も含まれる。本発明の方法は、これらの治療的態様のいずれか1つ以上を意図する。
【0068】
本明細書で使用される場合、「薬学的に許容し得る(pharmaceutically acceptable)」又は「薬学的に適合し得る(pharmaceutically compatible)」は、生物学的ではない物質又はさもなければ望ましくないものではない物質を意味し、例えば、いかなる重大な望ましくない生物学的影響が生じず、又は、組成物に含まれる任意の他の成分と有害な態様で相互作用することなく、患者に投与される医薬組成物に組み込まれてもよい。薬学的に許容し得る担体又は賦形剤は、好ましくは、毒性学及び製造試験に必要とされる基準を満たす。
【0069】
本明細書における値又はパラメータの「約(about)」への言及は、値又はパラメータ自体を指す実施形態を含む(及び記載する)。例えば、「約X」を示す記載には、「X」の記載が含まれる。
【0070】
本発明の医薬組成物には、種々の適当な製剤が存在する。以下の製剤及び方法は、例示的なものにすぎず、限定的なものではない。
【0071】
経口投与用製剤は、(a)液体溶液、例えば、水、生理食塩水又はオレンジジュース等の希釈剤に溶解された有効量の有効成分、(b)固体又は顆粒形態の所定量の有効成分をそれぞれ含む、カプセル、サシェ剤又は錠剤、(c)適切な液体中の懸濁液、及び、(d)適当な乳化物から作製してもよい。錠剤形態は、ラクトース、マンニトール、トウモロコシデンプン、ジャガイモデンプン、微結晶セルロース、アラビアゴム、ゼラチン、コロイド状二酸化ケイ素、クロスカルメロースナトリウム、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸及び他の賦形剤、着色剤、希釈剤、緩衝剤、湿潤剤、防腐剤、風味剤及び薬理学的に適合し得る賦形剤のうちの1つ以上を含んでいてもよい。薬味(通常はスクロース及びアラビアゴム又はトラガカント)中の有効成分を含んでいてもよい薬用ドロップ(lozenge)形態、及び、有効成分に加えて、不活性マトリクス(例えば、ゼラチン及びグリセリン)又はスクロース、アラビアゴム、乳化物、ゲル中の有効成分を含むトローチは、当技術分野で公知である賦形剤も含む。
【0072】
非経口投与用製剤物には、酸化防止剤、緩衝剤、静菌剤、及び、目的のレシピエントの血液に製剤を等張にするための溶質を含んでいてもよい水溶性及び非水溶性である等張性の滅菌注射液、並びに、懸濁剤、可溶化剤、増粘剤、安定剤及び保存剤を含んでいてもよい水溶性及び非水溶性である滅菌懸濁液が含まれる。製剤は単回投与又は複数回投与用の密封容器(例えば、アンプル及びバイアル)中に存在してもよい。また、使用の直前に凍結乾燥(freeze-drying, lyophilizing)の条件で保存してもよく、注射のために、滅菌液体賦形剤(例えば、水)の追加のみを必要とする。即時注射溶液及び懸濁液は、上述のいくつかの種類の滅菌粉末、顆粒及び錠剤から調製してもよい。
【0073】
エアロゾルは本発明の医薬組成物を含む。医薬組成物は、酸化防止剤、緩衝剤、静菌剤及び溶質を含んでいてもよい水溶性及び非水溶性である等張性滅菌溶液、並びに、懸濁剤、可溶化剤、増粘剤、安定化剤及び防腐剤を含んでいてもよい水溶性及び非水溶性である等張性の滅菌懸濁液を含む。医薬組成物は、エアロゾル製剤として、単独で、又は、吸入投与用である他の適当な成分と併用して調製してもよい。これらのエアロゾル製剤は、ジフルオロメタン、プロパン、窒素等の加圧された許容可能な(pressurized acceptable)噴射剤中に配置してもよい。それらはまた、例えばネブライザー又はアトマイザーにおいて、薬物の非圧力製剤として処方してもよい。
【0074】
他の適当な製剤も考えられ、例えば、座薬は、乳化基剤又は水溶性基剤等の種々の基剤を使用することによって調製してもよい。膣内投与用製剤は、有効成分に加えて、当技術分野で公知の適当な担体を含むペッサリー、タンポン、クリーム、ゲル、ペースト、フォーム又はスプレー製剤として提供してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0075】
図1】β-エレメンアルブミンナノ粒子の水和直径分布を示す。
図2】β-エレメンアルブミンナノ粒子の電位ダイアグラムを示す。
図3】β-エレメンアルブミンナノ粒子の透過型電子顕微鏡画像を示す。
図4】再構成後の種々の凍結乾燥サンプルの粒子径の安定性調査を示す。
図5】保存後の種々の凍結乾燥サンプルの含有量安定性調査を示す。
図6】各群の腫瘍保持マウスの生存率を示す。
図7】溶血実験の結果を示す。
図8】U87R1マウスにおける同所性腫瘍モデルの腫瘍増殖曲線を示す。
図9】U87R1マウスにおける同所性腫瘍モデルの生存曲線を示す。
【発明を実施するための形態】
【0076】
以下の実施形態は本発明のさらなる例示であり、本発明の範囲を限定するものではない。本発明は、本実施例に関連して以下にさらに詳細に記載される。しかし、当業者は、本発明がこれらの実施例及び使用される調製方法に限定されないことを理解すべきである。さらに、当業者は、本発明の説明に従って、同等の置換、組み合わせ、改良、又は改変を本発明に行い得る。しかしながら、これらは全て本発明の範囲に含まれる。
【0077】
本発明に関与する大豆油は、大豆油(SIO、注射グレード、Lot19C4520/Lot18C4816)に由来する。本発明に関与するヒト血清アルブミン(HSA)は、ヒト血清アルブミン(20%、Baxter、LotA1U133A)又は(20%、Grifols、LotALAFD03042)に由来する。
【0078】
一般的に使用されている、本発明の検出方法としては、粒子径、粒子径分布、含有量測定、溶血試験等があり、その詳細は以下のとおりである。
【0079】
(粒子径及び粒子径分布)
粒子径分析器(MALVERN ZETASIZER NANO ZS90)で粒子径及び粒子径分布を決定した。25μLのサンプルを採取し、1mLの超純水を加えて検出用に希釈した。検出角度90°、分散媒:水、温度25℃。
【0080】
粒子径は粒子径分析器によって測定されたZ平均値(サンプルの平均粒子径)であり、粒子径分布は粒子径分析器によって測定されたPDI値であった。
【0081】
(含有量の決定)
含有量は、HPLC(中国薬局方2015年版の第4部の一般規則0512)によって決定した。
【0082】
クロマトグラフィーカラムはCHIRALPAK(登録商標)IG(4.6×150mm、5μm)であった。移動相はアセトニトリル-水(55:45)であり、流速は1.0mL/分であった。注入量は20μL、カラム温度は30℃、検出波長は210nmであった。
【0083】
参照物質の溶液(0.2mg/mL)の調製(外部標準法):約10mgのβ-エレメン参照物質を、少量のアセトニトリルを加えた50mLメスフラスコに精密に秤量し、アセトニトリルを加えて溶解し、体積スケール(volume scale)まで希釈し、よく振盪させて参照物質の溶液を得た。
【0084】
試験溶液の調製:本製品の1瓶から蓋を外し、製品を正確に秤量し(m)、適切な量の水を加え(水に対するAPIの割合を20mg:1mLにするため)、正確に秤量し(m)、振盪によって再構成させた。約500mgの再構成した溶液(約10mgのAPIに相当)を正確に秤量し(m)、50mLのメスフラスコに入れた。最初に約1.5mLの水を加え、次いでアセトニトリルを全量(full range)の80%までゆっくり加え、10分間超音波処理し、冷却した。再度アセトニトリルを加えて体積スケールまで希釈し、混合物をよく振盪させ、孔径0.45μmのナイロンフィルターで濾過して試験溶液を得た。再構成した溶液を使用した後、バイアルを水洗し、乾燥し、空のバイアルを正確に秤量した(m)。
【0085】
20μLを正確に測定し、液体クロマトグラフに注入し、クロマトグラムを記録した。試験サンプル中のβ-エレメン(C1524)の含有量は、外部標準法に従ってピーク面積により計算した。
【0086】
計算式は
【0087】
【数1】
【0088】
であった。式中、A:試験溶液中のAPIピーク面積、A:参照物質のピーク面積、C:参照物質の濃度、である。
【0089】
(溶血値の決定方法)
血液細胞懸濁液の調製:数ミリリットルの血液をウサギから採取し(雄ニュージーランドウサギ、実験室で適当な1週間の飼育、体重2.5kg~3kg、血液を心臓から採取した)、ビーカーに入れ、血液をガラス棒又は竹棒で撹拌してフィブリノーゲンを除去し、除細動血液を得た。0.9%塩化ナトリウム溶液を約10回加え、均一に混合し、1,500rpm/分で15分間遠心分離した。上清を捨て、沈殿した赤血球を上記方法に従って0.9%塩化ナトリウム溶液で上清が赤くならなくなるまで2~3回洗浄した。得られた赤血球を、後の使用のために、0.9%塩化ナトリウム溶液を含む2%血球懸濁液中に調製した。
【0090】
サンプル調製:サンプル含有量に応じて、適量を採取し、生理食塩水で連続希釈し、1mg/mLのサンプル(実際の含有量)を得た。
【0091】
反応観察:各薬物を以下のように加え、混合後、直ちに37℃の水浴に入れてインキュベートし、3時間後に溶血を観察した。
【0092】
薬物群:2.5mLの2%血球懸濁液、2.2mLの生理食塩水、及び0.3mLの薬物を試験管に連続的に加えた。
【0093】
陽性群:2.5mLの2%血球懸濁液及び2.5mLの蒸留水を試験管に連続的に加えた。
【0094】
陰性群:2.5mLの2%血球懸濁液及び2.5mLの生理食塩水を試験管に連続的に加えた。
【0095】
OD値の決定:100μLの上清を96ウェルプレートにピペットで移し、540nmの波長でOD値を測定した。
【0096】
溶血値の算出方法:(サンプルのOD値-陰性群のOD値)/(陽性群のOD値-陰性群のOD値)。
【0097】
<試験例1>
β-エレメンアルブミンナノ粒子の調製は、以下の工程を含んでいた:(1)200mgのエレメン及び600mgの大豆油を秤量し、2mLのジクロロメタンに溶解して油相を得た。(2)650mgのヒト血清アルブミンを注射用水に溶解し、質量体積百分率(g/mL)が3.6%のヒト血清アルブミン水溶液、すなわち水相を得た。(3)水浴超音波の処置下で、油相を水相に滴下し、プローブによって8分間(250W)超音波処理して、一次乳化物を生成した。(4)得られた一次乳化物を高圧ホモジナイザーに移し、高圧均質化した。均質化圧力は1300barであり、均質化は9回行った。回転式蒸発により均質化した系から有機溶媒を除去し、0.22μmの微小孔膜を濾過及び滅菌に使用し、エレメンアルブミンナノ粒子水溶液を得て、注射用水を用いて計量体積を10mg/mLに調整した。(5)得られたエレメンアルブミンナノ粒子に、3%スクロースを添加し、凍結乾燥した。凍結乾燥パラメータは、-45℃で5時間予備凍結し;真空ポンプを始動し、真空度を約10Paに保ち、温度プログラミングし、-40℃で4時間乾燥し、-30℃で10時間乾燥し、次いで、それぞれ-20℃、-10℃、0℃、5℃および10℃で4時間乾燥した。上記で調製した凍結乾燥サンプルを純水中で再構成し、ナノ粒子の粒子径、電位、及び微細な形態を、以下の方法で調べた。
【0098】
測定前に、Malvern粒子径分析器を30分間予熱し、50μLのエレメンアルブミンナノ粒子の水溶液を採り、水で1mLに希釈し、わずかに振盪した(気泡を避けるため)。その後、Malvern Nano-ZS90粒子径皿又は電位皿に入れて、粒子径及びゼータ電位を測定した。測定温度は25℃であり、平衡時間は120秒であり、他の項目は、装置のデフォルト値に保たれた。データは、Malvern V2.2ワークステーションによって収集及び処理された。得られたエレメンアルブミンナノ粒子の粒子径ダイアグラム及びゼータ電位を、図1及び図2に示した。図1及び図2に示すように、エレメンアルブミンナノ粒子の粒子径は約110nmであり、PDIは0.127であり、電位は約-18mVであった。
【0099】
エレメンアルブミンナノ粒子の水溶液をピペットで吸引し、銅メッシュ上に滴下した。自然蒸発後、同様に、銅メッシュ上に1%リンタングステン酸溶液を滴下し、自然蒸発させ、数滴の純水を吸引し、銅メッシュの表面を注意深く洗浄した。蒸発後、図3に示すように、透過型電子顕微鏡で形態を観察した。ナノ粒子は、球形で規則的な形状であり、粒子径が比較的均一であり、粒子径は約100nmであった。
【0100】
<試験例2>
試験例1の方法に従って、エレメンアルブミンナノ粒子を調製した。ここで、注射用油は、それぞれ、大豆油、トウモロコシ油、つばき油、及び中鎖トリグリセリド(MCT)の量と同量を用いて、種々の注射用油を原料として使用してエレメンアルブミンナノ粒子を調製した。調製したナノ粒子の粒子径は、レーザー粒子径分析器により決定した。凍結乾燥後、凍結乾燥前後の各群の調剤品の薬物含有量をそれぞれ決定し、凍結乾燥中の薬物損失速度を計算した。
【0101】
大豆油を含まないエレメンアルブミンナノ粒子の調製は、以下の工程を含んでいた:(1)200mgのエレメンを秤量し、2mLのジクロロメタンに溶解して、油相を得た。(2)650mgのヒト血清アルブミンを注射用水に溶解し、質量体積百分率(g/mL)が3.6%のヒト血清アルブミン水溶液、すなわち水相を得た。(3)水浴超音波の処置下で、油相を水相に滴下し、プローブによって8分間(250W)超音波処理して、一次乳化物を生成した。(4)得られた一次乳化物を高圧ホモジナイザーに移し、高圧均質化した。均質化圧力は1300barであり、均質化は9回行った。回転式蒸発により均質化した系から有機溶媒を除去し、0.22μmの微小孔膜を濾過及び滅菌に使用し、エレメンアルブミンナノ粒子水溶液を得た。注射用水を用いて、計量体積を10mg/mLに調整した。(5)得られたエレメンアルブミンナノ粒子に、3%スクロースを添加し、試験例1の凍結乾燥パラメータに従って、凍結乾燥した。凍結乾燥前後の調剤品の特定の体積の薬物含有量をそれぞれ決定し、凍結乾燥中の薬物損失率を計算した。
【0102】
さらに、上記の方法に従って、3%スクロースの凍結乾燥保護剤を含まない大豆油、トウモロコシ油、つばき油、及び中鎖トリグリセリドの群を調製し、凍結乾燥前後の調剤品のそれぞれの特定の体積の薬物含有量をそれぞれ決定し、凍結乾燥中の薬物損失率を算出した。その結果を表1に示す。
【0103】
【表1】
【0104】
実験は、注射用油を用いずに調製されたナノ粒子と比較して、注射用油をエレメンと混合することによって調製されたアルブミンナノ粒子の凍結乾燥損失率が、様々な度合いで減少したことを示す。
【0105】
<試験例3>
試験例1の方法に従って、大豆油の量を調整し、5:1、1:1、1:3、1:5、1:10、1:20のβ-エレメン/大豆油の質量比に従って、注射用油を用いずに供給することにより、エレメンアルブミンナノ粒子を調製した。
【0106】
調製したナノ粒子の粒子径は、レーザー粒子径分析器により決定した。3%スクロースを添加し、凍結乾燥した後、凍結乾燥したサンプルを室温乾燥機に入れた。サンプルを定期的に取り出し、再構成して、30日以内の凍結乾燥サンプルの粒子径及び主薬物含有量の変化を、決定した。具体的な検出パラメータは、以下であった:機器モデル:MALVERN ZETASIZER NANO ZS90、検出角度:90°;検出モード:自動;検出時間:3;検出タイプ:ナノ粒子;決定するサンプルの屈折率:1.340;分散媒:水;温度:25℃;粘度:0.8872cp;分散媒の屈折率:1.330;平衡時間:120s;粒子径皿の型:DTS0012。
【0107】
結果を、図4及び図5に示した。調製工程中の大豆油を含まない調剤品の粒子径は、凍結乾燥後、200nmを超えていた。保存時間の延長と共に、再構成後のサンプルの粒子径は徐々に増加する傾向を示し、薬物含有量は減少する傾向を示した。調剤品中の大豆油の比率を徐々に増加させると、再構成後の凍結乾燥サンプルの粒子径は、すべて200nm未満であった。粒子径の安定性は、より良好であり、主薬物含有量の安定性も徐々に向上した。ここで、大豆油/エレメンの質量比が、1~10の範囲内にある場合、調製されたナノ粒子の凍結サンプルは、室温で30日以内に凝集現象を有さなかった。粒子径は100~150nmであり、PDIは0.3未満であり、β-エレメンの主薬物の含有量は、ほとんど変化しなかった。エレメンの量が1部であり、大豆油の量が1部未満である場合、調製されたナノ粒子は、優れた十分な安定性を示さなかった。
【0108】
<試験例4>
マウス脳神経膠腫に対するエレメンアルブミンナノ粒子の治療効果を調べるための実験方法は、以下の通りであった。
【0109】
腫瘍モデリング:対数期の発育の良いC6細胞をトリプシンで消化し、遠心分離し、上部の廃液を廃棄した。細胞をPBSで洗浄し、遠心分離し、上部の廃液を廃棄した。細胞をPBSに再懸濁して、最終のC6細胞濃度を約1×10細胞/5μLにした。健康な雄の昆明マウス(28~30g)を、適正量の4%抱水クロラールを腹腔内注射することによって麻酔した。頭頂部の毛を剃った後、消毒のために75%エタノールを塗布し、無菌の眼科用はさみで頭の矢状正中線に沿って小さな切開を行い、10%過酸化水素で湿らせた綿棒で組織膜を迅速に除去し、頭蓋骨を分離し、PBSで湿らせた綿棒で過酸化水素を洗い流した。マウスの頭部を、脳定位装置上に固定し、右に1.8mm、ブレグマの後ろに0.6mmの位置を見つけ、出血を避けるために深すぎないように、2mLシリンジのニードルを用いて、見つけた点に小さな穴を開けた。1×10細胞/5μLの密度の5μLの上記C6細胞を、マイクロインジェクションニードルで吸引した。ニードルを4mm挿入し、小さな穴の垂直方向に沿って1mm引き抜き、細胞のための空間を残し、細胞懸濁液を脳にゆっくり注入した。小さな穴の位置に5分間とどめた後、マイクロニードルを取り出した。創傷を外科用糸で縫合し、最後に縫合した表面を、二重抗体で湿らせた綿棒で塗抹した。
【0110】
腫瘍接種後10日目に、腫瘍保有マウスを、各群12匹のマウスを用いて、標準的な生理食塩水群(NS)、商業的に入手可能なエレメンリポソーム(Lip、Dalian Jingang、承認番号:Guoyaozhunzi H10960114)、試験例1で調製したエレメンアルブミンナノ粒子(NPs)に分けた。投与量は、2日に1回、合計4回、30mg/kgであった。各マウスの生存時間を記録し、生存曲線を作成した。
【0111】
生存の調査結果を図6に示した。実験の結果は、エレメンアルブミンナノ粒子を投与したC6神経膠腫保有マウスが、より長い生存を示すことを明らかにした。標準的な生理食塩水群の平均生存は21日であり、エレメンリポソーム群の平均生存は28日であり、エレメンアルブミンナノ粒子群の平均生存は41日であった。したがって、実験で調製されたエレメンアルブミンナノ粒子は、C6保有神経膠腫マウスの生存を延長する効果を有する。
【0112】
<試験例5>
溶血実験:
ニュージーランドウサギ(雄、1週間試験室適応飼育、体重2.5kg~3kg)を、各群2匹を用いて、商業的に入手可能なエレメン注射(Ailineng、CSPC Yuanda Pharmaceutical Co., Ltd.、バッチ番号17050302)及び試験例1で調製したエレメンアルブミンナノ粒子(NPs)の2群に分け、投与量を50mg/kgとした。2つの調剤品を、それぞれブドウ糖液を用いて6mg/mLの濃度の薬液に調製し、次いで、ウサギに静脈内注射によって投与した。
【0113】
投与後10~15分以内に、約1mLの静脈血を耳静脈から採取し、ヘパリンナトリウムでコーティングした遠心管に入れ、3500r/分で15分間遠心分離し、上清を採取して色を観察した。
【0114】
得られた血漿の色を、図7に示した。結果は、エレメンアルブミンナノ粒子を投与したニュージーランドウサギは溶血を示さず、ほとんど刺激がなく、安全性が高いことが示された。
【0115】
<試験例6>
(1.1)実験サンプルの調製
〔サンプル1〕
3.33gのβ-エレメン及び8gの大豆油を秤量し、混合して油相を得た。50mL(10g)の20%ヒト血清アルブミンを測定し、適正量の超純水を加えて均一に希釈し、計量体積を333mLに調整し、質量体積百分率(g/mL)が3%のヒト血清アルブミン水溶液、すなわち水相を得た。水相を油相に注ぎ、ミキサー(FLUKO、FA30/30F)を用いて10,000rpmで10分間剪断し、一次乳化物を形成した。得られた一次乳化物を、マイクロジェットホモジナイザー(Microfluidizer、M-110-EH)に移し、20,000psiの均質化圧力で30分間均質化した。得られた乳化物を、0.45μm及び0.22μmのPVDFプレートフィルターで濾過し、計量体積を調整し、3%(g/mL)のスクロースを凍結乾燥保護剤として添加した。凍結乾燥保護剤を添加した均質な溶液を凍結乾燥し、凍結乾燥後、凍結乾燥粉末を滅菌した超純水で再構成した。粒子径分析器により検出された粒子径は、175.97nmであり、PDIは0.188であった。
【0116】
〔サンプル2〕
3.33gのβ-エレメン及び8gの大豆油を秤量し、有機溶媒に溶解し、混合して油相を得た。有機溶媒は、26.67mLのジクロロメタンと6.67mLの無水エタノールとの混合溶媒であった。50mL(10g)の20%ヒト血清アルブミンを測定し、適正量の超純水を加えて均一に希釈し、計量体積を333mLに調整し、質量体積百分率(g/mL)が3%のヒト血清アルブミン水溶液、すなわち水相を得た。水相溶液を油相に注ぎ、ミキサー(FLUKO、FA30/30F)を用いて10,000rpmで10分間剪断し、一次乳化物を形成した。得られた一次乳化物を、マイクロジェットホモジナイザー(Microfluidizer、M-110-EH)に移し、20,000psiの均質化圧力で30分間高圧均質化した。均質化後、薄膜エバポレーター(Shanghai DEA)によって、有機溶媒含有乳化物から有機溶媒を除去し、パラメータは、温度30℃、真空度4000pa、液体供給速度100rpm、スクレーパ速度50rpmであった。得られた乳化物を、0.45μm及び0.22μmのPVDFプレートフィルターで濾過し、計量体積を調整し、3%(g/mL)のスクロースを凍結乾燥保護剤として添加した。凍結乾燥保護剤を添加した均質な溶液を凍結乾燥し、凍結乾燥後、凍結乾燥粉末を滅菌した超純水で再構成した。粒子径分析器で検出した粒子径は、78.34nmであり、PDIは0.207であった。
【0117】
〔サンプル3(エレメン注射(商品名:Ailineng))〕
CSPC Yuanda (Dalian) Pharmaceutical Co., Ltd.、バッチ番号:19061502;粒子径分析器で検出した粒子径は14.74nmであり、PDI:0.035であった。
【0118】
(1.2)エレメンアルブミンナノ粒子のPK及びマウス脳組織分布
昆明マウス(雄、SPFグレード、体重20~25g)を実験に使用した。投与量は、50mg/kgであり、尾静脈を通して投与した。脳組織サンプルを、異なる期間で収集し、脳組織中の薬物含有量の検出のために、時を違えず、-20℃で保存した。3つのサンプルについて合計45匹のマウスが存在し、各時点で各投薬形態について3匹の昆明マウスが存在した。投与後5分、15分、30分、1時間、及び2時間に、採血のため眼球を摘出し、脳組織を採取して、脳組織中の薬物含有量を検出した。GC-MSを使用して、昆明マウスの血漿及び脳組織の生物学的サンプル中のβ-エレメンを、定量的に分析した。脳組織における半減期及び脳組織曝露量に関する試験結果を、表2に示した。
【0119】
【表2】
【0120】
<試験例7>
〔サンプル4の調製及び安定性調査〕
1gのβ-エレメン及び3gの大豆油を秤量し、混合して油相を得た。15mL(3g)の20%ヒト血清アルブミンを測定し、85mLの超純水を加えて均一に希釈し、質量体積百分率(g/mL)が3%のヒト血清アルブミン水溶液、すなわち水相を得た。水相溶液を油相に注ぎ、ミキサーを用いて5000rpmで1分間、及び10,000rpmで5分間剪断し、一次乳化物を形成した。得られた一次乳化物を、高圧ホモジナイザーに移し、250~300barの均質化圧力で2分間、及び1350~1400barで9分間、高圧均質化した。均質化後、約50mLのメスシリンダーを用いて、均質な溶液の総体積を測定し、5gのトレハロースを添加し、よく振盪して溶解させ、0.45μmの微小孔膜を用いて濾過し、エレメンアルブミンナノ粒子の溶液を得た。粒子径分析器で検出した粒子径は、141.0nmであり、PDIは0.162であった。トレハロースを添加した均質な溶液を凍結乾燥し、凍結乾燥後、凍結乾燥粉末を滅菌した超純水で再構成した。粒子径分析器で検出した粒子径は、144.07nmであり、PDIは0.123であった。凍結乾燥前後のエレメン含有量の損失率は、1.27%であった。
【0121】
〔サンプル5の調製及び安定性調査〕
4gのβ-エレメン及び2gの大豆油を秤量し、混合して油相を得た。30mL(6g)の20%ヒト血清アルブミンを測定し、170mLの超純水を添加して均一に希釈し、質量体積百分率(g/mL)が3%のヒト血清アルブミン水溶液、すなわち水相を得た。水相溶液を油相に注ぎ、ミキサーを用いて5000rpmで1分間、及び10,000rpmで10分間剪断し、一次乳化物を形成した。得られた一次乳化物を高圧ホモジナイザーに移し、250~300barの均質化圧力で2分間、1350~1400barで24分間高圧均質化した。均質化後、メスシリンダーを用いて150mLの均質な溶液を測定し、15gのトレハロースを添加し、よく振盪して溶解させ、0.45μmの微小孔膜で濾過して、エレメンアルブミンナノ粒子の溶液を得た。粒子径分析器により検出された粒子径は、132.4nmであり、PDIは0.133であった。トレハロースを添加した均質な溶液を凍結乾燥し、凍結乾燥後、凍結乾燥粉末を滅菌した超純水で再構成した。粒子径分析器で検出した粒子径は、123.68nmであり、PDIは0.144であった。凍結乾燥後のエレメン含有量の損失率は、1.58%であった。
【0122】
〔サンプル6の調製及び安定性調査〕
1gのβ-エレメン及び2gの卵黄レシチンを秤量し、50mLの超純水を添加し、ミキサーを用いて5000rpmで1分間、及び10,000rpmで5分間剪断した。その後、ボトル壁に付着したレクチンを、液体にかき集め、明らかな未分散のレクチンが見つからなくなるまで、再び15,000rpmで3分間剪断し、一次乳化物を得た。一次乳化物を高圧ホモジナイザーに移し、250~300barの均質化圧力で2分間、及び1300~1350barで12分間、高圧均質化した。均質化後、均質な溶液を、0.45μmのフィルター膜を用いて濾過し、濾過した均質な溶液に、50mLの2% HSA溶液(1gのHSAを含む)を添加し、280barで1サイクル均質化した。均質な溶液を外に出し、メスシリンダーを用いて、40mLを測り、4gのトレハロースを添加し、よく振盪して溶解させ、0.45μmの微小孔膜で濾過して、アルブミンナノ粒子溶液を得た。粒子径分析器で検出した粒子径は、150.86nmであり、PDIは0.114であった。トレハロースを添加した均質な溶液を凍結乾燥し、凍結乾燥後、凍結乾燥粉末を滅菌した超純水で再構成した。粒子径分析器で検出した粒子径は、181.56nmであり、PDIは0.251であった。凍結乾燥後のエレメン含有量の損失率は、16.47%であった。
【0123】
〔サンプル7の調製及び安定性調査〕
1gのβ-エレメン、2gの卵黄レシチン、及び0.5gのTPGSを秤量し、50mLの超純水を添加し、ミキサーを用いて、5000rpmで1分間、及び10,000rpmで5分間剪断した。その後、ボトル壁に付着した凝固したレクチンを、液体にかき集め、明らかな未分散のレクチンが見つからなくなるまで、再び15,000rpmで3分間剪断し、一次乳化物を得た。一次乳化物を高圧ホモジナイザーに移し、250~300barの均質化圧力で2分間、及び1300~1350barで12分間、高圧均質化した。均質化後、0.22μmのフィルター膜で溶液を濾過し、濾過した均質な溶液に、50mLの2% HSA溶液(1gのHSAを含む)を添加し、140barで1サイクル均質化した。均質な溶液を外に出し、メスシリンダーを用いて40mLを測り、4gのトレハロースを添加し、よく振盪して溶解させ、0.45μmの微小孔膜で濾過して、アルブミンナノ粒子溶液を得た。粒子径分析器で検出した粒子径は、93.11nmであり、PDIは0.131であった。トレハロースを添加した均質な溶液を凍結乾燥し、凍結乾燥後、凍結乾燥粉末を滅菌した超純水で再構成した。粒子径分析器で検出した粒子径は、811.70nmであり、PDIは0.313であった。凍結乾燥後のエレメン含有量の損失率は、82.64%であった。
【0124】
[実施例1]
200mgのβ-エレメン及び600mgの大豆油を秤量し、2mLの有機溶媒に溶解し、渦によって混合して油相を得た。有機溶媒は、ジクロロメタン、若しくは酢酸エチル又はジクロロメタンとエタノールとの混合物である。650mgのヒト血清アルブミンを採り、18mLの注射用水に溶解し、質量体積百分率(g/mL)が3.6%のヒト血清アルブミン水溶液、すなわち水相を得た。水浴超音波の処置下で、油相を水相に滴下し、プローブによって8分間(250W)超音波処理して、一次乳化物を生成した。得られた一次乳化物を高圧ホモジナイザーに移し、高圧均質化し、均質化圧力は1000barであり、均質化回数は16回であった。均質化後、回転式蒸発により有機溶媒を除去し、0.22μmの微小孔膜を濾過及び滅菌に使用し、エレメンアルブミンナノ粒子水溶液を得た。
【0125】
【表3】
【0126】
実験結果は、β-エレメン及び大豆油が、調製工程の間、有機溶媒に溶解されるか否かを問わず、適当な粒子径のβ-エレメンアルブミン調剤品が調製されることを示した。種々の有機溶媒のうち、ジクロロメタン又はジクロロメタンとエタノールとの混合溶媒によって調製されたナノ粒子は、より小さい粒子径を有した。
【0127】
[実施例2]
200mgのβ-エレメン及び600mgの大豆油を秤量し、ジクロロメタン及びエタノールの混合溶媒(ジクロロメタン:エタノール=4:1、2mL)に溶解し、渦により混合して、2mLの体積の油相を得た。650mgのヒト血清アルブミンを採り、注射用水に溶解し、質量体積百分率3.6%(g/mL)のヒト血清アルブミン水溶液を得て、次いで、100mgのポリエチレングリコール-12-ヒドロキシステアリン酸を添加し、水相を得た。水浴超音波の処置下で、油相を水相に滴下し、プローブによって8分間(250W)超音波処理して、一次乳化物を生成した。得られた一次乳化物を高圧ホモジナイザーに移し、高圧均質化し、均質化圧力は1000barであり、均質化回数は16回であった。均質化後、有機溶媒を回転式蒸発によって除去し、0.22μmの微小孔膜を濾過及び滅菌に使用し、エレメンアルブミンナノ粒子水溶液を得た。測定された粒子径は116.4nmであり、PDIは0.118であった。
【0128】
[実施例3]
200mgのβ-エレメン及び400mgの媒体及び長鎖脂肪グリセリドを秤量し、ジクロロメタン及びエタノールの混合溶媒(ジクロロメタン:エタノール=4:1、2mL)に溶解し、渦によって混合して、2mLの体積の油相を得た。900mgのヒト血清アルブミンを採り、18mLの注射用水に溶解し、質量体積百分率(g/mL)が5.0%のヒト血清アルブミン水溶液、すなわち水相を得た。水浴超音波の処置下で、油相を水相に滴下し、プローブによって8分間(250W)超音波処理して、一次乳化物を生成した。得られた一次乳化物を高圧ホモジナイザーに移し、高圧均質化し、均質化圧力は1000barであり、ホモジナイズ回数は16回であった。均質化後、有機溶媒を、回転式蒸発によって除去し、0.22μmの微小孔膜を濾過及び滅菌に使用し、エレメンアルブミンナノ粒子水溶液を得た。測定した粒子径は105.3nmであり、PDIは0.116であった。
【0129】
[実施例4]
800mgのβ-エレメン及び2400mgのゴマ油を秤量し、ジクロロメタン及びエタノールの混合溶媒(ジクロロメタン:エタノール=4:1、10mL)に溶解し、渦によって混合して油相を得た。4000mgのヒト血清アルブミンを採り、100mLの注射用水に溶解し、質量体積百分率(g/mL)が4%のヒト血清アルブミン水溶液、すなわち水相を得た。油相を水相に滴下し、組織つぶし器を10,000rpmで使用して、10分間剪断し、一次乳化物を調製した。得られた一次乳化物を高圧ホモジナイザーに移し、高圧均質化し、均質化圧力は1000barであり、均質化回数は20回であった。均質化後、有機溶媒を回転式蒸発によって除去し、0.22μmの微小孔膜を濾過及び滅菌に使用し、エレメンアルブミンナノ粒子水溶液を得た。測定した粒子径は121.3nmであり、PDIは0.133であった。
【0130】
[実施例5]
800mgのβ-エレメン及び2400mgのオリーブ油を秤量し、ジクロロメタン/エタノール混合溶媒(ジクロロメタン:エタノール=4:1、5mL)に連続的に添加し、渦によって混合して油相を得た。4000mgのヒト血清アルブミンを採り、注射用水に溶解し、質量体積百分率(g/mL)が4%のヒト血清アルブミン水溶液を得て、水相を得た。油相を水相に滴下し、組織つぶし器を12000rpmで使用し、10分間剪断して、一次乳化物を調製した。得られた一次乳化物を高圧ホモジナイザーに移し、高圧均質化し、均質化圧力は1400barであり、均質化回数は20回であった。回転式蒸発によって均質化した系から有機溶媒を除去した。回転式蒸発させた薬液を濾過し、0.22μmの微小孔膜を通して滅菌し、エレメンアルブミンナノ粒子水溶液を得た。3%スクロースを添加し、凍結乾燥し、凍結乾燥後に蓋をし、4℃で保存した。凍結乾燥サンプルを採り、注射用水で再構成した。測定した粒子径は112.6nmであり、PDIは0.101であった。
【0131】
[実施例6]
200mgのβ-エレメン及び600mgの大豆油を秤量し、ジクロロメタン及びエタノールの混合溶媒(ジクロロメタン:エタノール=4:1、10mL)に溶解し、渦によって混合して油相を得た。4000mgのヒト血清アルブミンを注射用水に溶解し、質量体積百分率(g/mL)が10%のヒト血清アルブミン水溶液、すなわち水相を得た。水浴超音波の処置下で、油相を水相に滴下し、プローブによって8分間(250W)超音波処理して、一次乳化物を生成した。得られた一次乳化物を高圧ホモジナイザーに移し、高圧均質化し、均質化圧力は1000barであり、均質化回数は16回であった。均質化後、有機溶媒を回転式蒸発によって除去し、0.22μmの微小孔膜を濾過及び滅菌に使用し、エレメンアルブミンナノ粒子水溶液を得た。測定した粒子径は140.3nmであり、PDIは0.164であった。
【0132】
[実施例7]
200mgのβ-エレメン及び1000mgの大豆油を秤量し、ジクロロメタン及びエタノールの混合溶媒(ジクロロメタン:エタノール=4:1、5mL)に溶解し、渦によって混合して油相を得た。650mgのヒト血清アルブミンを採り、注射用水に溶解し、質量体積百分率(g/mL)が3.6%のヒト血清アルブミン水溶液、すなわち水相を得た。水浴超音波の処置下で、油相を水相に滴下し、プローブによって8分間(250W)超音波処理して、一次乳化物を生成した。得られた一次乳化物を高圧ホモジナイザーに移し、高圧均質化し、均質化圧力は1000barであり、均質化回数は16回であった。均質化後、有機溶媒を回転式蒸発によって除去し、0.22μmの微小孔膜を濾過及び滅菌に使用し、エレメンアルブミンナノ粒子水溶液を得た。測定した粒子径は125.3nmであり、PDIは0.148であった。
【0133】
[実施例8]
800mgのβ-エレメン及び2400mgの大豆油を秤量し、ジクロロメタン及びエタノールの混合溶媒(ジクロロメタン:エタノール=4:1、10mL)に溶解し、渦によって混合して油相を得た。4000mgのヒト血清アルブミンを注射用水に溶解し、質量体積百分率(g/mL)が4%のヒト血清アルブミン水溶液、すなわち水相を得た。油相を水相に滴下し、組織つぶし器を10000rpmで使用して、10分間剪断し、一次乳化物を調製した。得られた一次乳化物を高圧ホモジナイザーに移し、高圧均質化し、均質化圧力は1000barであり、均質化回数は20回であった。均質化後、有機溶媒を回転式蒸発によって除去し、0.22μmの微小孔膜を濾過及び滅菌に使用し、エレメンアルブミンナノ粒子水溶液を得た。測定した粒子径は119.3nmであり、PDIは0.143であった。調製したナノ粒子溶液を採り、10mg/mLの薬物濃度に構成し、適正量の凍結乾燥保護剤を添加し、凍結乾燥保護剤の量を3%(g/mL)とし、凍結乾燥した。凍結乾燥後、注射用水を加えて再構成し、粒子径を決定した。結果を以下の表に示す。
【0134】
【表4】
【0135】
実験結果は、エレメンアルブミンナノ粒子の凍結乾燥工程の間、様々な凍結乾燥保護剤を添加して、緩い構造及び均一なテクスチャーを有する凍結乾燥粉末を得たことを示した。凍結乾燥粉末は、水を添加することによって再構成することができ、再構成後の粒子径が200nmを超えなかった。凍結乾燥保護剤としてスクロースを用いて凍結乾燥することによってサンプルを再構成して得られたナノ粒子は、最小の粒子径を有していた。
【0136】
[実施例9]
500mgのβ-エレメン及び1200mgの媒体及び長鎖脂肪グリセリドを秤量し、ジクロロメタン及びエタノールの混合溶媒(ジクロロメタン:エタノール=4:1、5mL)に溶解し、渦により混合して油相を得た。1500mgのヒト血清アルブミンを採り、50mLの注射用水に溶解し、質量体積百分率(g/mL)が3%のヒト血清アルブミン水溶液を得て、水相を得た。油相を水相に滴下し、プローブによって8分間(250W)超音波処理して、一次乳化物を生成した。得られた一次乳化物を高圧ホモジナイザーに移し、高圧均質化し、均質化圧力は1400barであり、均質化回数は10回であった。均質化後、有機溶媒を回転式蒸発によって除去し、0.22μmの微小孔膜を濾過及び滅菌に使用し、濾液を希釈し、15mg/mLの薬物濃度に構成した。そこに、3%スクロースを添加し、凍結乾燥し、蓋をして、4℃で保存した。凍結乾燥したサンプルを採り、注射用水で再構成し、粒子径を決定した。測定した粒子径は103.5nmであり、PDIは0.123であった。
【0137】
[実施例10]
800mgのβ-エレメン及び2400mgのゴマ油を秤量し、ジクロロメタン/イソプロパノール混合溶媒(ジクロロメタン:イソプロパノール=4:1、5mL)に連続的に添加し、渦によって混合して油相を得た。4000mgのヒト血清アルブミンを注射用水に溶解し、質量体積百分率(g/mL)が4%のヒト血清アルブミン水溶液を得て、水相を得た。油相を水相に滴下し、組織つぶし器を10,000rpmで使用し、10分間剪断して、一次乳化物を調製した。得られた一次乳化物を高圧ホモジナイザーに移して、高圧均質化した。均質化圧力は1000barであり、均質化回数は20回であった。回転式蒸発によって、均質化した系から有機溶媒を除去した。回転式蒸発させた薬液を濾過し、0.22μmの微小孔膜を通して滅菌し、エレメンアルブミンナノ粒子の水溶液を得た。水溶液を希釈し、10mg/mLの薬物濃度に構成した。3%スクロースを添加して凍結乾燥し、凍結乾燥後に蓋をして、4℃で保存した。凍結乾燥したサンプルを採り、注射用水で再構成した。測定した粒子径は115.2nmであり、PDIは0.102であった。
【0138】
[実施例11]
800mgのβ-エレメン及び2400mgのオリーブ油を秤量し、ジクロロメタン/ターシャリーブタノール混合溶媒(ジクロロメタン:ターシャリーブタノール=4:1、5mL)に連続的に添加し、渦によって混合して油相を得た。4000mgのヒト血清アルブミンを注射用水に溶解し、質量体積百分率(g/mL)が4%のヒト血清アルブミン水溶液を得て、水相を得た。油相を水相に滴下し、組織つぶし器を10,000rpmで使用して、10分間剪断し、一次乳化物を調製した。得られた一次乳化物を高圧ホモジナイザーに移し、高圧均質化した。均質化圧力は1000barであり、均質化回数は20回であった。回転式蒸発によって、均質化した系から有機溶媒を除去した。回転式蒸発させた薬液を濾過し、0.22μmの微小孔膜を通して滅菌し、エレメンアルブミンナノ粒子水溶液を得た。水溶液を希釈し、10mg/mLの薬物濃度に構成した。3%スクロースを添加して凍結乾燥し、凍結乾燥後に蓋をし、4℃で保存した。凍結乾燥したサンプルを採り、注射用水で再構成した。測定した粒子径は109.6nmであり、PDIは0.113であった。
【0139】
[実施例12]
800mgのβ-エレメン及び2400mgのゴマ油を秤量し、ジクロロメタン/テトラヒドロフラン混合溶媒(ジクロロメタン:テトラヒドロフラン=4:1、5mL)に連続的に添加し、渦によって混合して、5mLの体積の油相を得た。4000mgのヒト血清アルブミンを採り、注射用水に溶解し、質量体積百分率(g/mL)が4%のヒト血清アルブミン水溶液を得て、水相を得た。油相を水相に滴下し、組織つぶし器を10,000rpmで使用して10分間剪断し、一次乳化物を調製した。得られた一次乳化物を高圧ホモジナイザーに移し、高圧均質化した。均質化圧力は1000barであり、均質化回数は20回であった。回転式蒸発によって、均質化した系から有機溶媒を除去した。回転式蒸発させた薬液を濾過し、0.22μmの微小孔膜を通して滅菌し、エレメンアルブミンナノ粒子の水溶液を得た。3%トレハロースを添加して凍結乾燥し、凍結乾燥後、蓋をし、4℃で保存した。凍結乾燥したサンプルを採り、注射用水で再構成した。測定した粒子径は112.6nmであり、PDIは0.101であった。
【0140】
[実施例13]
500mgのβ-エレメン及び1200mgの大豆油を秤量し、イソプロパノール(5mL)に連続的に添加し、渦によって混合して油相を得た。1500mgのウシ血清アルブミンを採り、注射用水に溶解して、質量体積百分率(g/mL)が3%のウシ血清アルブミン水溶液を得て、水相を得た。油相を水相に滴下し、プローブによって8分間(250W)超音波処理して、一次乳化物を生成した。得られた一次乳化物を高圧ホモジナイザーに移し、高圧均質化した。均質化圧力は1400barであり、均質化回数は10回であった。回転式蒸発によって、均質化した系から有機溶媒を除去した。回転式蒸発させた薬液を濾過し、0.22μmの微小孔膜を通して滅菌した。濾液を希釈し、10mg/mLの薬物濃度に構成した。3%スクロースを添加して凍結乾燥し、凍結乾燥後に蓋をし、4℃で保存した。凍結乾燥したサンプルを注射用水で再構成した。測定した粒子径は128.1nmであり、PDIは0.132であった。
【0141】
[実施例14]
500mgのβ-エレメン及び1200mgの大豆油を秤量し、ターシャリーブタノール(5mL)に連続的に添加し、渦によって混合して油相を得た。1500mgのウシ血清アルブミンを採り、注射用水に溶解し、質量体積百分率(g/mL)が3%のウシ血清アルブミン水溶液を得て、水相を得た。油相を水相に滴下し、プローブによって8分間(250W)超音波処理して、一次乳化物を生成した。得られた一次乳化物を高圧ホモジナイザーに移し、高圧均質化した。均質化圧力は1400barであり、均質化回数は10回であった。均質化後、回転式蒸発によって有機溶媒を除去した。回転式蒸発させた薬液を濾過し、0.22μmの微小孔膜を通して滅菌した。濾液を希釈し、5mg/mLの薬物濃度に構成した。3%スクロースを添加して凍結乾燥し、凍結乾燥後に蓋をし、4℃で保存した。凍結乾燥したサンプルを採り、注射用水で再構成した。測定した粒子径は116.8nmであり、PDIは0.113であった。
【0142】
[実施例15]
500mgのβ-エレメン及び1200mgのゴマ油を秤量し、ジクロロメタン/イソプロパノール混合溶媒(ジクロロメタン:イソプロパノール=4:1、5mL)に連続的に添加し、渦によって混合して油相を得た。1500mgのウシ血清アルブミンを注射用水に溶解し、質量体積百分率(g/mL)が3%のウシ血清アルブミン水溶液を得て、水相を得た。油相を水相に滴下し、プローブによって8分間(250W)超音波処理して、一次乳化物を生成した。得られた一次乳化物を高圧ホモジナイザーに移し、高圧均質化した。均質化圧力は1400barであり、均質化回数は10回であった。均質化後、回転式蒸発によって有機溶媒を除去した。回転式蒸発させた薬液を濾過し、0.22μmの微小孔膜を通して滅菌した。濾液を希釈し、1mg/mLの薬物濃度に構成した。3%スクロースを添加して凍結乾燥し、凍結乾燥後に蓋をし、4℃で保存した。凍結乾燥したサンプルを採り、注射用水で再構成した。測定した粒子径は121.8nmであり、PDIは0.111であった。
【0143】
[実施例16]
500mgのβ-エレメン及び1200mgの大豆油を秤量し、ジクロロメタン/ターシャリーブタノール混合溶媒(ジクロロメタン:ターシャリーブタノール=4:1、5mL)に連続的に添加し、渦によって混合して油相を得た。1500mgのウシ血清アルブミンを注射用水に溶解し、質量体積百分率(g/mL)が3%のウシ血清アルブミン水溶液を得て、水相を得た。油相を水相に滴下し、プローブによって8分間(250W)超音波処理して、一次乳化物を生成した。得られた一次乳化物を高圧ホモジナイザーに移し、高圧均質化した。均質化圧力は1400barであり、均質化回数は10回であった。均質化後、回転式蒸発によって有機溶媒を除去した。回転式蒸発させた薬液を濾過し、0.22μmの微小孔膜を通して滅菌した。濾液を希釈し、10mg/mLの薬物濃度に構成した。3%スクロースを添加して凍結乾燥し、凍結乾燥後に蓋をし、4℃で保存した。凍結乾燥したサンプルを採り、注射用水で再構成した。測定した粒子径は121.1nmであり、PDIは0.109であった。
【0144】
[実施例17]
500mgのβ-エレメン及び1200mgのオリーブ油を秤量し、ジクロロメタン/エタノール混合溶媒(ジクロロメタン:エタノール=4:1、5mL)に連続的に添加し、渦によって混合して油相を得た。1500mgのウシ血清アルブミンを注射用水に溶解し、質量体積百分率(g/mL)が3%のウシ血清アルブミン水溶液を得て、水相を得た。油相を水相に滴下し、プローブによって8分間(250W)超音波処理して、一次乳化物を生成した。得られた一次乳化物を高圧ホモジナイザーに移し、高圧均質化した。均質化圧力は1400barであり、均質化回数は10回であった。回転式蒸発によって、均質化した系から有機溶媒を除去した。回転式蒸発させた薬液を濾過し、0.22μmの微小孔膜を通して滅菌した。濾液を希釈し、12mg/mLの薬物濃度に構成した。3%スクロースを添加して凍結乾燥し、凍結乾燥後に蓋をし、4℃で保存した。凍結乾燥したサンプルを採り、注射用水で再構成した。測定した粒子径は109.7nmであり、PDIは0.105であった。
【0145】
[実施例18]
500mgのβ-エレメン及び1200mgの大豆油を秤量し、ジクロロメタン/テトラヒドロフラン混合溶媒(ジクロロメタン:テトラヒドロフラン=4:1、5mL)に連続的に添加し、渦によって混合して油相を得た。1500mgのウシ血清アルブミンを注射用水に溶解し、質量体積百分率(g/mL)が3%のウシ血清アルブミン水溶液を得て、水相を得た。油相を水相に滴下し、プローブによって8分間(250W)超音波処理して、一次乳化物を生成した。得られた一次乳化物を高圧ホモジナイザーに移し、高圧均質化した。均質化圧力は1400barであり、均質化回数は10回であった。回転式蒸発によって、均質化した系から有機溶媒を除去した。回転式蒸発させた薬液を濾過し、0.22μmの微小孔膜を通して滅菌した。濾液を希釈し、10mg/mLの薬物濃度に構成した。3%スクロースを添加して凍結乾燥し、凍結乾燥後に蓋をし、4℃で保存した。凍結乾燥したサンプルを採り、注射用水で再構成した。測定した粒子径は112.7nmであり、PDIは0.112であった。
【0146】
[実施例19]
200mgのエレメン及び600mgの大豆油を秤量し、ジクロロメタン及びエタノールの混合溶媒(ジクロロメタン:エタノール=4:1、2mL)に溶解し、渦によって混合して油相を得た。650mgのヒト血清アルブミンを18mLの0.5%塩化ナトリウム溶液に溶解し、質量体積百分率(g/mL)が3.6%のヒト血清アルブミン溶液を得た。水浴超音波の処置下で、油相を水相に滴下し、プローブによって8分間(250W)超音波処理して、一次乳化物を生成した。得られた一次乳化物を高圧ホモジナイザーに移し、高圧均質化した。均質化圧力は1000barであり、均質化回数は16回であった。回転式蒸発により、均質化した系から有機溶媒を除去し、0.22μmの微小孔膜を濾過及び滅菌に使用し、エレメンアルブミンナノ粒子水溶液を得た。測定した粒子径は126.1nmであり、PDIは0.122であった。
【0147】
[実施例20]
500mgのβ-エレメン及び1500mgの大豆油を秤量し、5mLのジクロロメタン/エタノール(ジクロロメタン:エタノール=8:1)混合溶媒に溶解して、油相を得た。2500mgのヒト血清アルブミンを秤量し、45mLの水に溶解して、水相を得た。超音波の処置下で、二相を均一に混合し、得られた溶液を高圧ホモジナイザーに移して、400~500barで4~6回、及び1300~1400barで8~10回高圧均質化した。均質化後、回転式蒸発により有機溶媒を除去し、微小孔膜を濾過及び滅菌に使用し、調剤品中の気泡をしばらく静置して除去し、エレメンアルブミンナノ粒子の溶液を得た。ナノ粒子の測定した粒子径は99.4nmであり、PDIは0.096であった。得られたエレメンアルブミンナノ粒子の溶液を、10mg/mLの濃度に調整し、3%スクロースを添加し、凍結乾燥し、超純水を添加することにより再構成した。粒子径は101.6nmであると測定され、PDIは0.113であった。
【0148】
[実施例21]
対応するβ-エレメン、大豆油、MCT(中鎖トリグリセリド)、及び界面活性剤(HS-15、すなわちマクロゴール15-ヒドロキシステアリン酸;Tween 80;Poloxamer P188)を、表5に記載された成分量に従って秤量し、混合して油相を得た。20%ヒト血清アルブミン(表5に示すように質量換算された)を採り、超純水を加えて、総体積が50mLになるように希釈し、均一に混合し、ヒト血清アルブミン水溶液、すなわち水相を得た。適正量の界面活性剤を水相溶液に添加し、水相溶液を油相に注ぎ、ミキサー(IKA、T25)を用いて5,000rpmで1分間、及び10,000rpmで5分間剪断して、一次乳化物を形成した。得られた一次乳化物を高圧ホモジナイザー(ATS、AH-1500)に移し、250~300barの均質化圧力で2分間、及び1450~1550barで6分間高圧均質化した。均質化後、均質な溶液の総体積をメスシリンダーで測定し、10%(g/mL)のトレハロースを添加し、よく振盪して溶解させ、0.45μmの微小孔膜を用いて濾過し、エレメンアルブミンナノ粒子の溶液を得た。粒子径及びPDIを検出し、溶血値を決定した。具体的な結果を、表5に示す。
【0149】
【表5】
【0150】
[実施例22]
表6に記載された成分量に従って、β-エレメン及び大豆油を秤量し、均一に混合し、油相を得た。ヒト血清アルブミン(表6に示されるように質量換算された)を測定し、超純水を添加することによって、総体積が50mLになるように希釈し、均一に混合して、ヒト血清アルブミン水溶液、すなわち水相を得た。水相を油相に注ぎ、ミキサー(IKA、T25)を用いて、5,000rpmで1分間、及び10,000rpmで5分間剪断して、一次乳化物を形成した。得られた一次乳化物を高圧ホモジナイザー(ATS、AH-1500)に移し、250~300barの均質化圧力で2分間、及び1450~1550barで6分間、高圧均質化した。均質化後、均質な溶液の総体積をメスシリンダーで測定し、トレハロースを10%(g/mL)の質量/体積比で添加し、よく振盪して溶解させ、0.45μmの微小孔膜を用いて濾過して、エレメンアルブミンナノ粒子の溶液を得た。粒子径及びPDIを検出し、溶血値を決定した。具体的な結果を、表6に示す。
【0151】
【表6】
【0152】
[実施例23]
3.33gのβ-エレメン及び8gの大豆油を秤量し、混合して油相を得た。50mL(10g)の20%ヒト血清アルブミン(HSA)を測定し、適正量の超純水を添加して均一に希釈し、質量体積百分率(g/mL)が3%のヒト血清アルブミン水溶液、すなわち水相を得た。水相溶液を油相に注ぎ、ミキサー(FLUKO、FA30/30F)を用いて10,000rpmで10分間剪断し、一次乳化物を形成した。得られた一次乳化物を、マイクロジェットホモジナイザー(Microfluidizer、M-110-EH)に移し、20,000psiの均質化圧力で30分間均質化した。均質化した溶液を、0.45μm及び0.22μmのPVDFプレートフィルターで濾過し、計量体積を調整し、表7に対応する種々の凍結乾燥保護剤(g/mL)をそれぞれ添加した。凍結乾燥保護剤を添加した均質な溶液を凍結乾燥し、凍結乾燥後、凍結乾燥粉末を滅菌した超純水で再構成した。粒子径、PDI、及び溶血値を検出した。具体的な結果を、表7に示す。
【0153】
【表7】
【0154】
[実施例24]
3.33gのβ-エレメン及び8gの大豆油を秤量し、有機溶媒に溶解し、混合して油相を得た。有機溶媒は、26.67mLのジクロロメタン及び6.67mLの無水エタノールの混合溶媒であった。50mL(10g)の20%ヒト血清アルブミン(HSA)を測定し、適正量の超純水を添加して均一に希釈し、質量体積百分率(g/mL)が3%のヒト血清アルブミン水溶液、すなわち水相を得た。水相溶液を油相に注ぎ、ミキサー(FLUKO、FA30/30F)を用いて10,000rpmで10分間剪断し、一次乳化物を形成した。得られた一次乳化物をマイクロジェットホモジナイザー(Microfluidizer、M-110-EH)に移し、20,000psiの均質化圧力で30分間、高圧均質化した。均質化後、薄膜エバポレーターにより、有機溶媒含有乳化物から有機溶媒を除去し、パラメータは、温度30℃、真空度4000pa、液体供給速度100rpm、スクレーパ速度50rpmであった。得られた乳化物を、0.45μm及び0.22μmのPVDFプレートフィルターで濾過し、計量体積を調整し、10%(g/mL)のトレハロースを凍結乾燥保護剤として添加した。凍結乾燥保護剤を添加した均質な溶液を凍結乾燥し、凍結乾燥後、凍結乾燥粉末を滅菌した超純水で再構成した。検出された粒子径は76.28であり、PDIは0.254であり、溶血値は16.3であった。
【0155】
[実施例25]
表8に記載された成分量に従って、β-エレメン及び大豆油を秤量し、有機溶媒を1mLのエタノール及び4mLのジクロロメタンの混合溶媒として、有機溶媒に溶解し、混合して油相を得た。適正量の20%ヒト血清アルブミン(HSA)(表8に示されるように質量換算された)を測定し、超純水、すなわち水相を添加することにより、総体積が50mLになるように希釈した。水相溶液を油相に注ぎ、ミキサー(IKA、T25)を用いて5,000rpmで1分間、及び10,000rpmで5分間剪断して、一次乳化物を形成した。得られた一次乳化物を高圧ホモジナイザー(ATS、AH-1500)に移し、250~300barの均質化圧力で2分間、及び1450~1550barで6分間、高圧均質化した。回転式蒸発器を用いて、35℃、150rpm、及び30mbarの真空で有機溶媒を除去した。完了後、均質な溶液の総体積をメスシリンダーで測定し、トレハロースを10%(g/mL)の質量/体積比で添加し、よく振盪して溶解させ、0.45μmの微小孔膜で濾過して、エレメンアルブミンナノ粒子の溶液を得た。
【0156】
【表8】
【0157】
調製したサンプルを30℃のオーブンに入れ、0時間、24時間、及び48時間でサンプリングして、粒子径、PDI、及びβ-エレメン含有量を決定した。測定結果を、表9に示す。
【0158】
【表9】
【0159】
[実施例26]
表10に記載された成分量に従って、β-エレメン及び大豆油を秤量し、油相を得た。適正量の20%ヒト血清アルブミン(HSA)(表10に示されるように質量換算した)を測定し、超純水、すなわち水相を添加することにより、総体積が50mLになるように希釈した。水相溶液を油相に注ぎ、ミキサー(IKA、T25)を用いて、5,000rpmで1分間、及び10,000rpmで5分間剪断して、一次乳化物を形成した。得られた一次乳化物を高圧ホモジナイザー(ATS、AH-1500)に移し、250~300barの均質化圧力で2分間、及び1350~1450barで6分間、高圧均質化した。完了後、メスシリンダーで均質な溶液の総体積を測定し、表10に示される(g/mL)の質量/体積比でトレハロースを添加し、よく振盪して溶解させ、0.45μmの微小孔膜で濾過して、エレメンアルブミンナノ粒子溶液を得た。
【0160】
【表10】
【0161】
調製したサンプルを30℃のオーブンに入れ、0時間、24時間、及び48時間でサンプリングして、粒子径、PDI、及びβ-エレメン含有量を決定した。測定結果を、表11に示す。
【0162】
【表11】
【0163】
[実施例27]
2gのβ-エレメン及び1.5gの大豆油を秤量し、混合して油相を得た。45mL(9g)の20%ヒト血清アルブミン、すなわち水相を測定した。水相溶液を油相に注ぎ、ミキサー(IKA、T25)を用いて、5,000rpmで1分間、及び10,000rpmで5分間剪断して、一次乳化物を形成した。得られた一次乳化物を高圧ホモジナイザー(ATS、AH-1500)に移し、250~300barの均質化圧力で2分間、及び1450~1550barで6分間、高圧均質化し、均質な溶液を回収した。ホモジナイザーのパイプラインを、トレハロースの水溶液(25mLの水+10gのトレハロース)で流して、ホモジナイザー中に残存する均質な溶液を置換し、次いで、ホモジナイザーのパイプラインを、30mLの超純水を流して、トレハロースの残存水溶液を置換した。トレハロース水溶液を均質な溶液と合わせて、混合し、0.22μmの滅菌フィルター膜を通して濾過した。粒子径分析器で検出した粒子径は106.4nmであり、PDIは0.08であった。
【0164】
[実施例28]
【0165】
【表12】
【0166】
β-エレメン及び大豆油を表13に示すように秤量し、混合して油相を得た。20%ヒト血清アルブミン(50mL、10g)、すなわち水相を測定した。水相溶液を油相に注ぎ、ミキサー(IKA、T25)を用いて、5,000rpmで1分間、及び10,000rpmで5分間剪断して、一次乳化物を形成した。得られた溶液を高圧ホモジナイザー(ATS、AH-1500)に移し、250~300barの均質化圧力で2分間、及び1550~1550barで6分間、高圧均質化した。10gのトレハロースを秤量し、純水を添加することによって、50mLに溶解した(サンプル番号5は、15gのトレハロースを添加し、純水を添加することによって105mLに溶解した)。ホモジナイザーのパイプラインをトレハロース水溶液で流し、ホモジナイザーに残存する均質な溶液を置換し、残存する均質な溶液を均質な溶液と合わせ、混合し、0.45μmの滅菌濾過膜を通して濾過した。各サンプルを溶血値について試験した。サンプルをEP管に分け、30℃のサーモタンクに保存し、サンプルを0時間、24時間、及び48時間で採取し、粒子径、PDI、及びβ-エレメン含有量を決定した。結果を、表14に示した。
【0167】
【表13】
【0168】
[実施例29]
2gのβ-エレメン及び1.5gの大豆油を秤量し、混合して油相を得た。50mL(10g)の20%ヒト血清アルブミン、すなわち水相を測定した。水相溶液を油相に注ぎ、ミキサー(IKA、T25)を用いて、5,000rpmで1分間、及び10,000rpmで5分間剪断して、一次乳化物を形成した。そして、5mLの注射用水を用いて剪断ヘッドを洗浄し、一次乳化物と合わせた。得られた溶液を高圧ホモジナイザー(ATS、AH-1500)に移し、250~300barの均質化圧力で2分間、及び1500~1550barで6分間、高圧均質化し、均質な溶液を回収した。ホモジナイザーのパイプラインを、22.5mLのトレハロース水溶液で流し、ホモジナイザー中に残存している均質な溶液を置換した。次いで、ホモジナイザーのパイプラインを22.5mLの超純水で流し、残存するトレハロース水溶液を置換した。トレハロース溶液を均質な溶液と合わせ、混合し、0.22μmの滅菌濾過膜を通して濾過した。サンプルをEP管に分け、2~8℃の冷蔵庫に保存した。それぞれ0日目及び2ヶ月目にサンプリングして、粒子径及びPDIを検出した。結果を、表12に示す。
【0169】
【表14】
【0170】
[実施例30]薬効試験
〔サンプルの調製〕
4.5gのβ-エレメン及び10.8gの大豆油を秤量し、混合して油相を得た。4mLのエタノール及び16mLのジクロロメタンを測定し、均一に混合して有機相Aを得た。有機相に油相を加え、計量体積を36mLに調整し、有機相Bを得た。
【0171】
13.5gのヒト血清アルブミンを秤量し、405mLの純水に加え、撹拌して溶解させた。有機相Bを水相に加え、高速剪断機を用いて、ギアAで2分間、次いで、ギアBで1分間撹拌して、一次乳化物Aを得た。一次乳化物Aを3分割し、細胞粉砕器により、250wで8分間処理して、一次乳化物Bを得た。一次乳化物Bを高圧ホモジナイザーに加え、まず200barで3サイクル、次に1300barで5サイクルにて、アルブミンナノ粒子を得た。上記ナノ粒子を、減圧下にて37℃で1時間濃縮し、12.30gの3%スクロースを添加し、0.22μmで濾過し、凍結乾燥した。粒子径は81.03nmであり、PDIは0.174であった。
【0172】
〔実験方法〕
ヒト由来脳腫瘍異種移植マウスモデルの構築:50匹のヌードマウスを、2.5%イソフルランを用いて麻酔し、ヌードマウスの頭蓋に小さな穴(<0.5mm)を開け、発光レポーター遺伝子を発現する細胞(5×10 U87MGR1 ヒト神経膠腫細胞)を、左額部(2.5mm側方及び0.5mm前方のブレグマ、深さ2.5mm)に注入した。
【0173】
in vivoにおける生物発光イメージング解析法:ヌードマウスに、D-ルシフェリン溶液(120mg/kg)を単回皮下注射した。フルオレセインの注射の10分後、1~5分の暴露時間の間、動物の明るい画像を暗い多彩の照明で撮った(Glucの生物発光イメージングのために、セレンテラジン(20mg/kg、総体積150μL)の単回静脈注射を与えた)。腫瘍内ルシフェラーゼ活性は、照明なしで5分間にわたって、CCDカメラを用いて光子カウントを記録することによって得た。画像強度は、Perkin Elmer’s Living image software 4.3.1を使用して定量的に分析した。
【0174】
注射の1週間後、ヌードマウスにおける腫瘍体積を評価するために、in vivoにおける生物発光イメージングを行い、ヌードマウスの腫瘍体積を評価した。類似した腫瘍体積を有する32匹のヌードマウスを選択し、無作為に8匹(雌雄半数)/群に分け、投与量を3週間、3回/週、尾静脈注射により投与した:
1)モデル群(コントロール)(PBSにより調製した0.1% DMSO)、n=8;
2)50mg/kg テモゾロミド(TMZ),n=8;
3)50mg/kg Ailineng(ELE mic)、n=8;
4)50mg/kg(Alb)、n=8;
腫瘍体積は、毎週測定した。
【0175】
実験の間、動物の健康状態をモニターするために、動物を毎週体重測定した。
【0176】
投与の2週間後に投与を中断し、その後3週間観察した。各群のマウスの生存及び腫瘍体積を、Graphpadソフトウェアを用いて記録し、カプラン・マイヤープロットを作成した。マウス同所性腫瘍モデルの腫瘍増殖曲線を、図8に示す(腫瘍保有ヌードマウスを、Alb調剤品を用いて、3回/週×2週間(n=8、雌雄半数)処置した;テモゾロミド(TMZ)と比較して、p<0.01)。マウス同所性腫瘍モデルの生存曲線を、図9に示す(腫瘍保有ヌードマウスを、Albを用いて、3回/週×2週間(n=8、雌雄半数)処置した;テモゾロミド(TMZ)と比較して、p<0.01)。
【0177】
[実施例31]安全性試験
〔サンプルの調製〕
エレメン注射(商品名:Ailineng)):CSPC Yuanda(Dalian) Pharmaceutical Co., Ltd.、バッチ番号:17050302)
β-エレメンミセル調剤品:
17.08gのRH40を秤量し、60℃で加熱して溶解させた。2mLのβ-エレメンを加え、60℃で5分間加熱撹拌した。14.40gのプロピレングリコール及び38.72gの純水を秤量し、混合した後、60℃で10分間加熱した。β-エレメンを含むRH40溶液に、プロピレングリコール水溶液を加え、水浴中で、60℃で30分間撹拌し、β-エレメンミセルを得た。上記ミセルを0.22μmで濾過し、5mL/調剤品に分けた。
【0178】
β-エレメンアルブミン調剤品:
2.5001gのβ-エレメン及び6.001gの大豆油を秤量し、後の使用のために混合した。2mLのエタノール及び8mLのジクロロメタンを測定し、後の使用のために均一に混合した。油相の体積を、後の使用のために有機相によって12mLに調整した。
【0179】
4.5015gのヒト血清アルブミンを秤量し、135mLの純水に加え、撹拌して溶解させた。有機相を水相に加え、高速剪断機を用いて、ギアAで2分間、次いでギアBで0.5分間撹拌して、一次乳化物Aを得た。一次乳化物Aを3分割し、細胞粉砕器によって、250Wで8分間処理して、一次乳化物Bを得た。一次乳化物Bを高圧ホモジナイザーに加え、まず200barで3サイクル、次に1300~1400barで5サイクルにて、アルブミンナノ粒子を得た。上記ナノ粒子を、減圧下において、37℃で1時間濃縮し、1.20gのスクロースを添加し、0.22μmで濾過し、凍結乾燥した。
【0180】
〔溶液の調製〕
標準的な生理食塩水を用いて、3つの調剤品を6mg/mLに調製した。
【0181】
Ailineng:7.5mLの20mg/mLの商業的に入手可能なAilinenを採り、17.5mLの標準的な生理食塩水を用いて、25mLの6mg/mLサンプル溶液に希釈した。
【0182】
β-エレメンミセル調剤品:5.91mLの25.41mg/mLのβ-エレメンミセル調剤品を採り、19.09mLの標準的な生理食塩水を用いて、25mLの6mg/mLサンプル溶液に希釈した。
【0183】
β-エレメンアルブミン調剤品:12個のβ-エレメンミセル調剤品を採り、それぞれに2.01mLの標準的な生理食塩水を加えた後、混合し、24mLの6mg/mLサンプル溶液を得た。
【0184】
〔試験方法〕
雄のKMマウス(20~25g/マウス)を、体重に基づいて、各群7匹のマウスを用いて無作為に13群に分けた。マウスを、体重による所定の投与量に基づいて、グループ分けした。各サンプルの投与量は、100mg/kg、130mg/kg、170mg/kg、及び220mg/kgに設定し、別のブランク群を設定した。マウスを、尾静脈を通して注射し、投与後の投与部位、投与後の反応、及び投与後の死亡状態を観察した。試験結果を表15に示す。
【0185】
【表15】
【国際調査報告】