(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-07
(54)【発明の名称】歯科治療のためのシステムおよび方法において使用される咬合面レスト咬合レジスタデバイス
(51)【国際特許分類】
A61C 19/06 20060101AFI20230131BHJP
【FI】
A61C19/06 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022533399
(86)(22)【出願日】2020-12-02
(85)【翻訳文提出日】2022-07-29
(86)【国際出願番号】 IB2020061378
(87)【国際公開番号】W WO2021111325
(87)【国際公開日】2021-06-10
(32)【優先日】2019-12-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522220658
【氏名又は名称】マーヴェリック デンタル システムズ リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Mavrik Dental Systems Ltd
(74)【代理人】
【識別番号】100139723
【氏名又は名称】樋口 洋
(72)【発明者】
【氏名】サンダース,ダニエル
【テーマコード(参考)】
4C052
【Fターム(参考)】
4C052AA06
4C052AA17
4C052MM05
4C052NN02
4C052NN03
4C052NN04
4C052NN07
4C052NN15
(57)【要約】
歯科治療を実施するためのマウスピースを含む、口腔を治療するためのデバイス、方法、およびシステムが提供され、マウスピースは、真空流体密閉を有する治療キャビティを形成および維持するための1つまたは複数の汎用のエラストマー歯科用カバー層を含み、歯科用カバー層は、上歯および周囲歯肉のすべての表面上の層および/または下歯および周囲歯肉のすべての表面上の層を含み、層の各々は、真空圧力にさらされるとカバー層の選択的および/または作動的圧潰性を可能にするための1つまたは複数の硬化された剛性または半剛性セクション;および、1つまたは複数の治療供給層、および治療キャビティと流体連通する1つまたは複数のフローチャネル、を含み、治療供給層は、1つまたは複数の流体密閉治療キャビティから1つまたは複数の治療流体を供給および/または除去することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
歯科治療を実施するのに適したマウスピースを含むデバイスであって、前記マウスピースが、
i.前記マウスピースに印加された咬合力とは独立して周囲圧力未満の真空を有する1つまたは複数の流体密閉された治療キャビティを形成するのに適した1つまたは複数の汎用圧縮性歯科用カバー層であって、各歯科用カバー層が、上歯および周囲歯肉上の層および/または下歯および周囲歯肉上の層を含む、1つまたは複数の汎用圧縮性歯科用カバー層;および
ii.1つまたは複数の治療供給層であって、該治療供給層が、前記治療キャビティと流体連通する1つまたは複数の流路を有し、前記治療供給層が、前記治療キャビティから1つまたは複数の治療流体を供給および/または除去することができ、前記治療キャビティ内への前記流体供給が、前記治療キャビティからの前記流体除去とは物理的に分離される、1つまたは複数の治療供給層
を含み、
各歯科用汎用カバー層が、真空力に暴露されたときに前記カバー層の選択的圧潰性を可能にするための1つまたは複数の硬化剛性または半剛性セクションを含み;かつ、1つまたは複数の咬合面レスト咬合レジスタ要素が、咬合力に抵抗するように前記カバー層に挿入される
ことを特徴とする、デバイス。
【請求項2】
前記1つまたは複数の剛性または半剛性硬化セクションが、前記マウスピースの圧縮性軟質本体部分に結合された外骨格であることを特徴とする、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記1つまたは複数の剛性または半剛性硬化セクションが、前記マウスピースの圧縮性軟質本体部分に部分的にまたは完全に埋め込まれた内骨格であることを特徴とする、請求項1に記載のデバイス。
【請求項4】
前記治療材料が、差動圧縮性カバー層の前記治療キャビティの頬側および舌側/口蓋側の両方の側面上に流され、真空力が前記マウスピースに加えられて維持される際に、歯および周囲歯肉の表面上に存在したままであることを特徴とする、請求項1に記載のデバイス。
【請求項5】
咬合力に抵抗するための1つまたは複数の咬合面レスト咬合レジスタ要素が、前記マウスピースの圧縮性軟質本体内に内部で配置され、前記マウスピースの治療キャビティ内への上歯および周囲歯肉ならびに下歯および周囲歯肉の両方の完全な挿入を可能にすることを特徴とする、請求項1に記載のデバイス。
【請求項6】
前記歯科用カバー真空が、前記歯科用カバー層の後方開口部のそれぞれにおいて密閉プラグと連動する圧縮性材料から形成される密閉リムを含む、連続密閉機構を使用して形成され、かつ、真空力が前記歯科用カバー層に内部で印加され、前記マウスピースに印加される咬合力とは独立して咬合力が前記マウスピースに印加されると、前記密閉機構が前記治療キャビティを流体的に密閉することを特徴とする、請求項1に記載のデバイス。
【請求項7】
前記密閉機構が、、唾液が前記治療キャビティに進入することを防止するように適合され、前記治療材料が前記治療キャビティから流出することを防止するように適合されることを特徴とする、請求項6に記載のデバイス。
【請求項8】
咬合力に抵抗するための前記1つまたは複数の剛性要素が、咬合力が前記カバー層に印加される際に、前記カバー層の真空流体密閉を維持するように設計されることを特徴とする、請求項1に記載のデバイス。
【請求項9】
咬合力に抵抗するための前記1つまたは複数の要素が、咬合力が前記供給層に印加される際に、前記供給層から前記治療キャビティへの1つまたは複数の治療流体の供給および/または除去を可能にすることを特徴とする、請求項1に記載のデバイス。
【請求項10】
咬合力に抵抗するための前記1つまたは複数のデバイスが、前記1つまたは複数の治療供給層を咬合力から保護し、前記治療供給層が、前記治療キャビティの異なるセクションと流体連通する1つまたは複数のフローチャネルを有し、それによって、真空力が前記カバー層に内部的に印加され、咬合力が前記治療供給層に印加されると、前記治療供給層は、前記治療キャビティから1つまたは複数の治療流体を供給および/または除去することができることを特徴とする、請求項1に記載のデバイス。
【請求項11】
前記治療供給層が、治療材料を加熱するため、前記治療キャビティの少なくとも一部分を加熱するため、または両方のための1つまたは複数のヒータを含むことを特徴とする、請求項1に記載のデバイス。
【請求項12】
前記デバイスが、以下に適した治療供給層に組み込まれたハンドル:前記1つまたは複数の歯科用カバー層を上歯および周囲歯肉および/または下歯および周囲歯肉の上に挿入すること、前記1つまたは複数の歯科用カバー層の位置を調整すること、歯科治療が完了した後に前記歯科用カバー層を除去すること、またはそれらの任意の組合せ、ならびに流体および/または真空供給ラインに接続された加熱ユニットに流体密閉を用いてしっかりと接続すること
を含むことを特徴とする、請求項1に記載のデバイス。
【請求項13】
前記デバイスが、上歯および周囲歯肉ならびに下歯および周囲歯肉を覆うための2つの歯科用カバー層;上歯および周囲歯肉ならびに下歯および周囲歯肉を同時に治療することを可能にするための、前記2つの歯科用カバー層の間に介在する少なくとも1つの治療供給層、を含み;前記デバイスは、歯科治療中に口の中へ空気通路を提供するために好適な1つまたは複数の呼吸ベントを前記治療供給層中に含むことを特徴とする、請求項1に記載のデバイス。
【請求項14】
前記歯科用カバー層が、真空形成カバー層の後側から材料が流出するのを防止するのに適している1つまたは複数の圧縮性後側キャビティプラグを含むことを特徴とする、請求項1に記載のデバイス。
【請求項15】
前記デバイスが、治療材料に対する追加の保護のために前記上側および/または下側歯肉隆起を選択的に覆うように適合可能である、エラストマー自己把持歯肉ガードバリア要素を含むことを特徴とする、請求項1に記載のデバイス。
【請求項16】
前記デバイスが、1つまたは複数の治療材料を前記歯肉に供給するための歯肉治療層をその内表面上に含む自己把持歯肉ガードバリア要素を含むことを特徴とする、請求項1に記載のデバイス。
【請求項17】
前記歯肉隆起の生体組織に実質的に適合するように設計された可撓性エラストマーアーチ形バリアを含み、流体密閉乾燥場を提供するように作用する個々の上歯および/または下歯の萌出した解剖学的クラウン部分の上かつそれを通るカスタマイズされた挿入のための事前構成された個々の切欠き孔を有する、自己把持歯科用歯肉ガードバリア。
【請求項18】
前記自己把持歯科用歯肉ガードバリアが、その頬側、咬合側、および/または舌側/口蓋側の側面に、上側および/または下側の歯肉隆起に対する歯肉ガードバリアの選択的な嵌合および選択的な流体密閉を強化するために光硬化性樹脂材料で予め充填された複数の内蔵チャネルを含むことを特徴とする、請求項17に記載の歯科用歯肉ガードバリア。
【請求項19】
歯科治療を実行するための方法であって、
i.上歯および周囲歯肉ならびに下歯および周囲歯肉を覆う1つまたは複数の歯科用カバー層を含むマウスピースを配置する工程;
ii.1つまたは複数の咬合面レスト咬合レジスタ要素を前記マウスピース内に配置する工程;
iii.流体密閉真空を前記歯科用カバー層に印加する工程であって、周囲圧力を下回る圧力を有するカバー層の流体密閉治療キャビティが、前記歯および周囲歯肉の周囲に形成される、工程;
iv.1つまたは複数の治療材料を前記流体密閉治療キャビティ内に流入させる工程であって、前記歯科用カバー層は、加えられた真空力にさらされたときに前記マウスピースの選択的/差動的圧潰性を可能にするための1つまたは複数の剛性または半剛性硬質部分を含む、工程;および
v.前記流体密閉治療キャビティから廃棄物容器へ1つまたは複数の治療材料を流出させる工程
を含む、方法。
【請求項20】
前記プロセスが、以下の工程:
i.上歯と下歯の両方の歯ホワイトニング治療のために設計されたマウスピースに接続するようにポンプモジュールをセットアップする工程;
ii.前記ポンプモジュールに結合された制御デバイス上で治療設定を構成する工程;
iii.上側および下側の自己把持歯肉ガードバリアデバイスを、萌出した歯が実質的に露出したままであるそれぞれの歯肉隆起上に選択的に適用する工程;
iv.1つまたは複数の咬合面レスト咬合レジスタを有するマウスピースを口内に挿入し、前記マウスピースと患者の歯肉ガードが覆われた歯肉隆起の生体組織との間に、真空流体密閉を生じさせるように流量制御を適用する工程;および
v.流量制御を適用して、前記治療設定に従って材料の供給を自動的に管理する工程、および/または、流量制御モジュールを使用して前記マウスピースから治療材料を除去する工程
の1つまたは任意の組合せを含むことを特徴とする、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、2017年11月24日に出願された「APPARATUS, SYSTEMS AND METHODS FOR DENTAL TREATMENTS」と題された米国特許出願第15/821,1989号からの優先権を主張する、2018年11月26日に出願された「APPARATUS, SYSTEMS AND METHODS FOR DENTAL TREATMENTS」と題された国際特許出願第PCT/US18/62412号の優先権を主張し、これらはいずれも参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
本発明の装置および方法は、歯科治療に関し、より詳細には、歯および歯肉治療に関する。
【背景技術】
【0003】
上顎および下顎のいずれかの右側および左側の末端歯の後方の解剖学的領域は、レトロモラーパッドと称される。カスタム歯科用トレイアプライアンスは、典型的には、これらの末端歯、およびレトロモラーパッドの周りのそれらの末端境界を覆うように作製される。患者の歯のサイズおよび歯列弓の形状に関して、患者間に著しいばらつきがある。任意の所与の歯列弓内に含まれる歯のすべての表面を適切に覆うようにトレイを作製することに関して、歯列弓の変動する幅および長さ、ならびに歯列弓と隣接するレトロモラーパッドとの間の解剖学的関係を考慮しなければならない。
【0004】
ユーザは、完全な歯列弓の歯科用トレイを穏やかなホワイトニング化学物質(ゲル)で充填し、トレイを歯の上に最低1~2週間にわたって毎日最大数時間置くように指示される。カスタム歯科用トレイは、上顎または下顎のいずれかのすべての歯を覆う。これは、上歯用に1つのトレイを用い、下歯用に1つのトレイを用いるこの治療方法によって、ユーザが前歯と後歯の両方を白くすることができることを意味する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施形態によれば、歯のホワイトニング、歯の過敏症、抗腐食、口腔衛生、歯肉治療などを補助するための装置、デバイス、方法、およびシステムの真空流体密閉を保存または保護するための、咬合面レスト(occlusal stop)咬合レジスタデバイスが提供される。デバイスは、歯科治療を実施するのに適した可撓性かつ適合性のマウスピースに挿入され、マウスピースは、マウスピースの1つまたは複数のカバー層の内側に1つまたは複数の流体密閉治療キャビティを組み込み、前記治療キャビティは、真空力が治療キャビティの内部に加えられたときに周囲圧力より低い空気圧を有する;かつ、マウスピースの各歯科用カバー層は、上歯および周囲歯肉の全ての表面を覆うカバー層および/または下歯および周囲歯肉の全ての表面を覆うカバー層を含む;また、1つまたは複数の治療供給層であって、治療供給層は、各治療キャビティと流体連通する1つまたは複数のフローチャネルを有し、治療供給層は、必要に応じて高容積量で、1つまたは複数の治療流体を、各流体密閉治療キャビティにまたはそこから供給および/または除去することができ、各歯科用汎用カバー層は、マウスピースが真空力にさらされるおよび/または口腔内のデバイスに咬合力が加えられたときに、選択/差動可縮性を可能にするための1つまたは複数の硬化セクションを含む。
【0006】
本発明の咬合面レスト咬合レジスタデバイスは、マウスピースに適切に挿入されると、ユーザがマウスピースの軟質本体に噛み合い、マウスピースの内部真空ラインの完全性を崩壊させることを防止し、それによって、マウスピースカバー層が真空を喪失することから保存または保護し、それによって、激しい咬合力がマウスピースに口腔内で加えられる場合でも、口腔に挿入されたマウスピースの治療キャビティ中にまたはそこから流体を流入および流出させることを可能にしながら、マウスピースの真空流体密閉を維持する。
【0007】
いくつかの実施形態では、2つの咬合レジスタが各マウスピースに挿入され、1つはマウスピースの右側にあり、1つはマウスピースの左側にある。
【0008】
いくつかの実施形態では、本発明の咬合面レスト咬合レジスタが挿入されたマウスピースは、軟質本体マウスピースに結合された剛性または半剛性の外骨格として機能する1つまたは複数の硬化セクションを含んでもよい。
【0009】
いくつかの実施形態では、本発明の咬合面レスト咬合レジスタが挿入されたマウスピースは、軟質本体マウスピースに内蔵または半内蔵された剛性または半剛性の内骨格として機能する1つまたは複数の硬化セクションを含んでもよい。
【0010】
いくつかの実施形態では、歯科用カバー層内に咬合面レスト咬合レジスタが挿入されたマウスピースは、カバーの頬側および舌側/口蓋側の両方の側面上に剛性補強要素を組み込む。これらの剛性要素は、それらが取り付けられるかまたは内蔵/半内蔵される(「外骨格」として外部的に、または「内骨格」として内部的に)カバーの特定の領域の圧潰(真空力が前記カバーの治療キャビティの内側に加えられる際)に抵抗するように設計され、それにより、口内に挿入されるときにそれらが覆う完全有歯、半有歯または無歯歯肉隆起に差動的に圧潰可能/適合可能であるカバー層を形成する。これによって、カバー層は、それらの周辺ロール境界縁またはエプロンセグメントにおいて歯肉隆起に緊密に適合し(圧潰および吸引されることによって)、剛性または半剛性補強部材が取り付けられるカバー層(デバイスの軟質本体)のそれらの領域が圧潰に抵抗する間に、上部および/または下部歯肉隆起の側面へカバーの良好な真空流体密閉を提供し、カバー層の内側の歯および/または周囲歯肉上への治療流体の流入および流出のために、被覆される歯および周囲歯肉とカバー層との間に負の空間(間隙)を維持することが可能となる。
【0011】
本発明の咬合面レスト咬合レジスタデバイスが挿入されたマウスピースのこの独特の設計は、真空力がマウスピースに加えられる際に、カバー層の軟質本体の治療キャビティの内側に(軟質本体カバー層の頬側および舌側/口蓋側の両方の側面に)大量の治療材料を流すことができ、かつ、真空力がマウスピースに内部で加えられる際に、カバー層によって覆われかつ治療キャビティ内に収容された歯および周囲の歯肉の表面上に前記治療材料が残り、口腔に挿入されたときにマウスピースに口腔内で加えられ得る咬合力から独立してそれによって影響を受けずに、マウスピースの流体密閉を作り出し、維持することができる。
【0012】
咬合面レスト咬合レジスタが挿入されたマウスピースの独特の設計は、歯肉隆起に対するマウスピースの周辺ロール境界の周りの流体密閉を維持するとともに、治療流体が治療を通して歯および/または周囲の歯肉を完全に覆うための強固な負の空間を維持しながら、陽圧下でマウスピース治療キャビティに治療材料が流れることを可能にする。
【0013】
いくつかの実施形態では、これらの剛性または半剛性補強要素は、カバー層(例えば、カバー層は、当該技術において周知であるように、剛性補強要素上にオーバーモールドされてもよい)に内蔵または半内蔵されてもよい(「内骨格」として内部的にまたは一部内部的に)。
【0014】
いくつかの実施形態では、これらの内蔵または半内蔵された剛性補強要素は、オーバーモールドを容易にするために単一の部品として互いに接続することができる。これにより、金型への内骨格のクランプおよび固定が容易になり、金型内にマウスピースの軟質本体のオーバーモールド材料が流れ込むときに、金型の内側のその適切な位置から内骨格が移動することを防止する。
【0015】
いくつかの実施形態では、咬合保護密閉機構は、唾液が治療キャビティに進入することを防止するように適合され、かつ、治療材料が治療キャビティから流出することを防止するように適合される。
【0016】
いくつかの実施形態では、本発明の治療供給層は、治療材料を加熱し、治療キャビティの少なくとも一部を加熱する、またはその両方のための1つまたは複数のヒータをその内部に含む(またはその内部に挿入される)。
【0017】
いくつかの実施形態では、本発明のデバイスは、以下に適した治療供給層に組み込まれたハンドルを含む:1つまたは複数の歯科用カバー層を上歯および/または下歯ならびに周囲の歯肉の上に挿入する、1つまたは複数の歯科用カバー層の位置を調整する、歯科治療が完了した後に歯科用カバー層を除去する、またはそれらの任意の組合せ。
【0018】
いくつかの実施形態では、本発明のデバイスは、治療供給層に電流を供給するための電力線、および、治療供給層に1つまたは複数の治療材料を供給および/または抽出するための1つまたは複数の管を含み(またはそれに挿入され)、ハンドルは電力線を含む;または両方である。
【0019】
いくつかの実施形態では、歯科用カバー層は、前述のように、完全有歯、半有歯または無歯歯肉隆起を実質的に覆う。
【0020】
いくつかの実施形態では、本発明のデバイスは、上歯および周囲の歯肉のすべての表面、および、下歯および周囲の歯肉のすべての表面を同時に覆うための2つの歯科用カバー層を含む;2つの歯科用カバー層の間には、少なくとも1つの治療供給層が介在し、上歯および下歯が同時に治療されることを可能にする。
【0021】
いくつかの実施形態では、ハンドルは、1つまたは複数の治療材料を治療供給層中に流入させるための1つまたは複数の流入管;および、治療供給層から1つまたは複数の治療材料を流し出すための1つまたは複数の流出管を含む。
【0022】
いくつかの実施形態では、本発明のマウスピースは以下を含んでもよい:治療材料を治療供給層から治療キャビティに流すための1つまたは複数の供給孔、および、治療材料を治療キャビティから治療供給層に流すための1つまたは複数の排出孔;治療供給層は、流入管から治療キャビティに治療材料を搬送するための1つまたは複数の供給チャネル、および、1つまたは複数の排出孔から流出管に治療材料を搬送するための1つまたは複数の排出チャネルを含む。
【0023】
いくつかの実施形態では、供給孔は、マウスピースの治療キャビティの前部に位置し、排出孔は、マウスピースの治療キャビティの後部に位置する。流入孔および流出孔の位置を物理的に分離することによって、マウスピース治療キャビティは、内部真空力が供給層を介して治療キャビティの後部に位置する排出孔に印加されると、材料が吸引される前に、前方に位置する供給孔を介して治療キャビティの前部に供給される治療材料で実質的に充填されることが可能になる。
【0024】
いくつかの実施形態では、歯科用カバー層は、キャビティを流体密閉して真空形成カバー層の背面からの材料の流出を防止するのに適した、圧縮性背面キャビティプラグ(治療キャビティの排出孔の遠位に位置する)を含む。
【0025】
いくつかの実施形態では、本発明のデバイスは、以下の設計特徴の1つまたは任意の組合せを含む:歯科用カバー層は、歯肉隆起に適合するように、高度に圧縮可能な周辺ロール境界エプロンまたはリムを組み込む;治療供給層は、1つまたは複数の個別に制御可能な加熱要素を内部に含む(または内部に挿入される);歯科治療層は、上部歯科用カバー層と下部歯科用カバー層との間にあり、マウスピースは、ヒンジ軸角度を反映するように成形され、自然な顎の動きを容易にする。
【0026】
いくつかの実施形態では、上記の真空流体密閉は、歯科治療キャビティ内の圧力を周囲圧力未満に低減させることによって、治療供給層を介して形成される。
【0027】
いくつかの実施形態では、1つまたは2つの咬合面レスト咬合レジスタがマウスピースに挿入される。
【0028】
いくつかの実施形態では、咬合面レスト咬合レジスタは、マウスピースの右側または左側のいずれかについて構成される。
【0029】
いくつかの実施形態では、咬合面レスト咬合レジスタは、それらが挿入されるマウスピースの異なる汎用サイズに適合するように、異なる汎用サイズで提供されるべきである。
【0030】
いくつかの実施形態では、本発明のデバイスは、各ゲル塗布の間に、治療キャビティに水または水/空気混合物または空気のみを流入させることができる。これにより、各治療材料(流体またはゲル)塗布の終わりに、治療キャビティ内の歯および周囲の歯肉を清潔に洗浄し、乾燥させることが可能になる。
【0031】
いくつかの実施形態では、デバイスは、以下を含んでもよい:1つまたは複数の治療材料をマウスピースの中へ圧送するためのポンプシステム;多位置流量制御モジュール;および歯科治療を自動化するための制御ユニット。
【0032】
いくつかの実施形態では、デバイスは、治療の自動化を可能にし、治療材料適用(流体またはゲル)の自動化された複数のサイクル、それに続く、処理毎に可変数のサイクルにわたって自動的に繰り返されてもよい、洗浄/乾燥サイクルを含む。
【0033】
いくつかの実施形態では、デバイスは、治療材料に対するさらなる保護のための使い捨てのエラストマー歯科用歯肉ガードバリア構成要素を含み、これは、歯肉隆起部上に挿入され、本発明の挿入された咬合面レスト咬合レジスタデバイスを有するマウスピースをかぶされてもよく、実質的または極端な噛む力が咬合レジスタデバイスに印加される場合であっても、前記材料が漏出することなく、前記治療キャビティ内への治療材料の流入および除去のために真空流体密閉治療キャビティを達成および維持するデバイスの能力を損なわない。
【0034】
いくつかの実施形態では、マウスピースに挿入される咬合面レスト咬合レジスタは、1つまたは複数の治療材料を歯肉に供給するために内表面上に歯肉治療層を含み得る、使い捨て歯肉隆起バリア要素を含む。
【0035】
いくつかの実施形態によれば、自己クランプ式の歯肉隆起バリアが提供され、これは、いかなる外部固定デバイスも必要とせずに、上顎または下顎のいずれかの歯肉隆起生体組織に実質的に適合し、ぴったりと自己把持するように設計された可撓性エラストマー性三次元アーチ形バリアを含んでもよく、歯にわたってかつ歯を介したカスタマイズされた挿入のための予め構成された切欠き孔を有し、これは、流体密閉された乾燥場を提供するように作用し、歯が前記孔を通して挿入されると、前記個々の孔は、これらの歯の歯肉線位置で歯の萌出した解剖学的クラウン部分を円周方向にぴったりと把持し、その結果、歯の萌出した部分は実質的に露出したままであり(バリアによって覆われない)、三次元形状のバリアは、それが覆う解剖学的歯肉隆起の周りに(かつ露出した歯の間を含む)実質的に流体密閉されたバリアを提供する。
【0036】
個別に萌出された歯のクラウンセクションを貫通して挿入するための個別の切欠き孔を有する歯肉隆起バリアは、歯間または隣接歯間の張力ブリッジと称される、歯間の空間(歯の間の隣接歯間空間)を覆うバリア材料を特徴とする。これらのブリッジは、個々の萌出歯のそれぞれの「ネック」(歯のセメント質-エナメル質接合部の高さ)またはより一般的に称される歯の歯肉線のレベルの周りに、自己把持バリアがぴったりと円周方向に嵌合することを可能にする。
【0037】
自己把持歯肉隆起バリアは、本発明の咬合面レスト咬合レジスタが挿入されたマウスピースを口の中へ挿入する前に上側または下側歯肉隆起上に、および、歯肉隆起バリアによって覆われた有歯または半有歯歯肉隆起上に、挿入することができる。
【0038】
さらなる実施形態では、以下を含む歯科治療を実行する方法が提供される:本発明の咬合面レスト咬合レジスタが挿入されたマウスピースを口腔内に配置する工程であって、マウスピースは、上歯および周囲歯肉および/または下歯および周囲歯肉を覆う1つまたは複数の歯科用カバー層を含む、工程;選択的に変形可能/折り畳み可能な歯科用カバー層に真空力を印加し、周囲圧力未満の圧力を有する流体密閉治療キャビティが、歯および周囲歯肉の周囲に形成される、工程;および、本発明のマウスピースの1つまたは複数の流体密閉治療キャビティ内に1つまたは複数の治療材料を流し込み、それらを除去する工程。
【0039】
さらなる実施形態では、以下を含む歯科治療を実行する方法が提供される:本発明の咬合面レスト咬合レジスタが挿入されたマウスピースを口腔内およびすでに挿入された歯肉隆起バリア上に配置する工程であって、マウスピースは、上歯および周囲歯肉および/または下歯および周囲歯肉を覆う1つまたは複数の歯科用カバー層を含む、工程;選択的に変形可能/折り畳み可能な歯科用カバー層に真空力を印加し、周囲圧力未満の圧力を有する流体密閉治療キャビティが、歯肉バリアに覆われた歯肉隆起の周囲に形成される、工程(歯は、カバー層の内側に露出されたままである);および、本発明のマウスピースの1つまたは複数の流体密閉治療キャビティ内に1つまたは複数の治療材料を流し込み、それらを除去する工程。
【0040】
いくつかの実施形態では、プロセスは、以下の工程の1つまたは任意の組合せを含む:歯のホワイトニング治療のために設計された本発明の咬合レジスタが挿入されたマウスピースに接続するようにポンプモジュールをセットアップする工程;ポンプモジュールに接続された制御デバイス上で治療設定を構成する工程;本発明のマウスピースと患者の歯肉隆起生体組織との間に真空を生じさせるように流量制御モジュールを適用する工程;歯の解剖学的に萌出したクラウン部分の上およびそれを通して歯肉ガードバリアを挿入し、歯を囲む歯肉の生体組織を実質的に覆い流体的に密閉する工程;本発明のマウスピースを口腔内に挿入する工程;流量制御モジュールを適用して、前記治療設定に従ってマウスピースへの材料の供給を自動的に管理する工程;および/または流量制御モジュールを使用してマウスピースから治療材料を除去する工程。
【0041】
いくつかの実施形態では、本方法は、前述のように、流動制御を適用して治療中に流動パターンを変化させ、治療計画への適合性を最適化する工程を含む。
【0042】
いくつかの実施形態では、本方法は、治療をモニタし、治療計画への適合性を追跡する工程を含む。
【0043】
いくつかの実施形態では、本方法は、治療をモニタし、治療中の問題を同定する工程を含む。
【0044】
いくつかの実施形態では、治療材料は、材料の温度に関して、材料の濃度に関して、材料の種類に関して、材料の粘度に関して、またはこれらの任意の組合せに関して、異なる。
【0045】
上述したように、いくつかの実施形態によれば、本発明の治療デバイスは、いくつかの汎用サイズで提供され得る汎用アイテムであってもよく、再使用可能または1回限りで捨てるアイテムのいずれかであり、シングル歯列弓またはダブル歯列弓マウスピースを含んでもよい。
【0046】
マウスピースデバイスは、口の上部および下部歯槽歯肉隆起に適合する高度に折り畳み可能な周囲変形可能なエプロンまたはロール境界を有する可撓性側壁を有する。各アーチ形成された治療キャビティは、その遠位端(右側および左側)に後部密閉プラグ特徴部を含有する。プラグは、高度に変形可能な材料から作製され、これは、きつく咬合されると、咬合されている歯のクラウンセグメントの生体組織に適合する。真空力が供給層を介して本発明のデバイスの内部キャビティに印加されると、遠位プラグは、デバイスの容易に変形可能な(真空力が適用されると折り畳み可能な)円周方向ロール境界リムと共に、マウスピースデバイスが、上および下歯槽歯肉隆起に緊密に適合し、マウスピースに適用される咬合力にもかかわらず、これらの解剖学的口腔内構造に対するマウスピースの緊密な連続的または選択的に持続可能な流体密閉を生成することを可能にする。いくつかの実施形態では、咬合面レスト咬合レジスタデバイスは、デバイスを咬合する患者上で遠位プラグが係合および変形される場合でも、デバイスの内部真空ラインを保護し、マウスピースの真空流体密閉を維持する。
【0047】
前述のように、マウスピースの他の剛性要素は、真空力がマウスピースに印加され、流体密閉が前記治療キャビティに達成されている間に、歯を囲み周囲歯肉を直接囲む治療キャビティに内部で対応するマウスピースの領域の圧潰変形を防止し、治療材料が流入される際に歯および周囲歯肉の周囲の内部負空間を維持するように設計される。本発明のマウスピースデバイスはまた、その中間層に、出口および入口を有する複数のフローチャネル、および、その温度が制御ユニット内に含まれるマイクロプロセッサユニットによって個々に制御され得る1つまたは複数の加熱要素(内部に挿入されてもよい)を組み込む。いくつかの実施形態では、これらの加熱要素は、金属管によって覆われた螺旋状金属要素を含んでもよい。螺旋状金属要素は中空であってもよく、電気的に加熱されると周囲の金属要素を伝導的に加熱する電気加熱要素を含んでもよい。
【0048】
層状の螺旋状要素を通って流れる治療材料は、層状の加熱螺旋状要素を通って直接流れる際に、伝導的に加熱される。プリント回路基板(可撓性であり得る)が組み込まれてもよく、加熱要素の温度制御を提供し、したがって、生じた加熱および前記加熱モジュールを通って流動されそれから流出するゲルの温度を制御する。
【0049】
加熱モジュールユニット全体は、いくつかの実施形態では、ハウジング(プラスチックまたは他の好適な材料の)内で層状であってもよく、加熱される際の加熱モジュールユニットの快適な取り扱いを可能にする。
【0050】
マイクロプロセッサユニットは、電力、持続時間、アラーム、センサ、個別または複数の熱放出要素、ポンプ、モータ、および他の制御装置を制御することができる。前述のように、いくつかの異なる種類およびサイズの使い捨てのカスタマイズ可能なまたは汎用の別個の自己把持歯肉保護/ガード要素が、マウスピースを挿入する前に口に挿入され、流体密閉治療キャビティを形成および維持するデバイスの能力を損なうことなく、デバイスと併せて使用されることができる。
【0051】
ポンプ構成要素を使用して、マウスピースデバイスの治療キャビティ内に真空を生成することができる。マウスピースデバイスに流体連結された加熱モジュールユニットに接続された前記ポンプおよび可撓性管を介して、異なる濃度の異なる治療材料を制御された態様で供給することができる。
【0052】
圧力センサがシステムに組み込まれ、治療材料がマウスピース内に供給されている間、ゲルの容積および流速、および口内のマウスピースの真空密閉の完全性を監視する。ホワイトニングゲル剤は、同様に、前記システムによって制御された態様で供給され、デバイスから除去され得る。同様に、新鮮な水または水および空気の混合物または空気のみがマウスピースデバイスに供給されそこから除去されて、残ったゲル残留物を歯からすすぐまたは洗い流し、各ゲル適用後に歯および/または周囲の歯肉およびマウスピースの治療キャビティの内面を乾燥させることができる。
【0053】
治療前および治療後の歯の色合い値を記録する任意の歯の色合いマッチングセンサユニットを制御ユニットに組み込むことができる。
【0054】
本発明の様々な態様によれば、歯科治療を提供するために上述のマウスピースに挿入される咬合面レスト咬合レジスタデバイスは、以下を含み得る:歯肉隆起を覆うための変形可能な歯肉密閉部分;1対の遠位歯密閉部分であって、歯肉密閉部分および遠位歯密閉部分が、デバイスの少なくとも一部とデバイスがその上に位置する歯との間に間隙を画定する、1対の遠位歯密閉部分;および、治療キャビティの中へまたはそこから流体を通過させるための少なくとも1つの流体導管部分;複数の歯および周囲の歯肉にわたる患者の口内の配置では、歯肉密閉部分は、歯肉隆起の両側との密接な接触を形成するために患者の歯肉隆起に接触して変形し、遠位歯密閉部分は、遠位歯または複数の歯における密閉を実質的に画定するために遠位に位置する歯に対して変形し、したがって、真空力が本発明のデバイスに内部で印加される際に、変形可能な歯肉密閉および歯密閉構成要素を用いてマウスピースに印加される咬合力にもかかわらず、流体密閉を維持しながら、治療キャビティから流体を導入、除去、または両方をすることができる。
【0055】
いくつかの実施形態によれば、歯科治療を実施するのに適したマウスピースを含むデバイスが提供され、マウスピースは以下を含む:i.内部真空力が加えられたときに周囲圧力未満の真空を有する1つまたは複数の流体密閉された治療キャビティを形成するのに適した1つまたは複数の汎用圧縮性歯科用カバー層であって、各歯科用カバー層が、上歯および周囲歯肉上の層および/または下歯および周囲歯肉上の層を含む、1つまたは複数の汎用圧縮性歯科用カバー層;および、ii.1つまたは複数の治療供給層であって、治療供給層が、治療キャビティと流体連通する1つまたは複数の流路を有し、したがって、治療供給層が、治療キャビティから1つまたは複数の治療流体を別々に供給および/または除去することができ、各歯科用汎用カバー層が、真空力に暴露されたときに選択的圧潰性を可能にするための1つまたは複数の硬化剛性または半剛性セクションを含み、かつ、1つまたは複数の咬合面レスト咬合レジスタ要素が、咬合力に抵抗するようにカバー層に挿入される、1つまたは複数の治療供給層。
【0056】
いくつかの実施形態では、1つまたは複数の硬化セクションは、マウスピースの圧縮性軟質本体部分に接着結合された剛性または半剛性の外骨格である。
【0057】
いくつかの実施形態では、1つまたは複数の硬化セクションは、マウスピースの圧縮性軟質本体に部分的または完全に埋め込まれた剛性または半剛性内骨格である。
【0058】
いくつかの実施形態では、治療材料は、差動圧縮性カバー層の治療キャビティの頬側および舌側/口蓋側の両方の側面上に流され、真空力がマウスピースに加えられて維持される際に、歯および周囲の歯肉の表面上に存在したままである。
【0059】
いくつかの実施形態では、咬合力に抵抗するための1つまたは複数の咬合面レスト咬合レジスタ要素は、マウスピースの圧縮性軟質本体内に内部で配置され、マウスピースの治療キャビティ内への上歯および周囲歯肉ならびに下歯および周囲歯肉の両方の完全な挿入を可能にする。
【0060】
いくつかの実施形態では、歯科用カバー真空は、歯科用カバー層の後方開口部に取り付け可能な1つまたは複数の密閉プラグと連動する、圧縮性材料から形成される密閉リムを含む、連続密閉機構を使用して形成され、密閉機構は、真空力が歯科用カバー層に内部で印加されると、治療キャビティを流体的に密閉する。
【0061】
いくつかの実施形態では、咬合力に抵抗するための1つまたは複数の剛性要素は、咬合力がカバー層に印加される際に、カバー層の真空流体密閉を維持するように設計される。
【0062】
いくつかの実施形態では、咬合力に抵抗するための1つまたは複数の要素は、咬合力が供給層に印加される際に、供給層から治療キャビティへの1つまたは複数の治療流体の供給および/または除去を可能にする。
【0063】
いくつかの実施形態では、咬合力に抵抗するための1つまたは複数のデバイスは、1つまたは複数の治療供給層を咬合力から保護し、治療供給層は、治療キャビティと流体連通する1つまたは複数のフローチャネルを有し、それによって、治療供給層は、真空力がカバー層に内部的に印加され、咬合力が治療供給層に印加されると、治療キャビティから1つまたは複数の治療流体を供給および/または除去することができる。
【0064】
いくつかの実施形態では、密閉機構は、唾液が治療キャビティに進入することを防止するように適合され、治療材料が治療キャビティから流出することを防止するように適合される。
【0065】
いくつかの実施形態では、治療供給層は、治療材料を加熱するため、治療キャビティの少なくとも一部分を加熱するため、または両方のための1つまたは複数のヒータを含む。
【0066】
いくつかの実施形態では、デバイスは、以下に適した治療供給層に組み込まれたハンドルを含む:1つまたは複数の歯科用カバー層を上歯および周囲歯肉および/または下歯および周囲歯肉の上に挿入する工程、1つまたは複数の歯科用カバー層の位置を調整する工程、歯科治療が完了した後に歯科用カバー層を除去する工程、またはそれらの任意の組合せ、ならびに流体および/または真空供給ラインに接続された加熱ユニットに流体密閉を用いてしっかりと接続する工程。
【0067】
いくつかの実施形態では、デバイスは、治療供給層に電流を供給するための電力線、および、治療供給層に1つまたは複数の治療材料を供給および/または抽出するための1つまたは複数の管を含み、ハンドルは電力線を含む;またはその両方である。
【0068】
いくつかの実施形態では、歯科用カバー層は歯肉隆起を覆う。
【0069】
いくつかの実施形態では、デバイスは、上歯および周囲歯肉、ならびに下歯および周囲歯肉を覆うための2つの歯科用カバー層;上歯および周囲歯肉ならびに下歯および周囲歯肉を同時に治療することを可能にするための、2つの歯科用カバー層の間に介在する少なくとも1つの治療供給層、を含み;デバイスは、歯科治療中に口の中へ空気通路を提供するために好適な1つまたは複数の呼吸ベントを治療供給層に含む。
【0070】
いくつかの実施形態では、ハンドルは、1つまたは複数の治療材料を治療供給層に流すための1つまたは複数の流入管;および、治療供給層から1つまたは複数の治療材料を流出させるための1つまたは複数の流出管を含む。
【0071】
いくつかの実施形態では、マウスピースは以下:治療材料を治療供給層から治療キャビティに流すための1つまたは複数の供給孔、および、治療材料を治療キャビティから治療供給層に流すための1つまたは複数の排水孔、を含み、治療供給層は、流入管から治療キャビティに治療材料を搬送するための1つまたは複数の供給チャネル、および、1つまたは複数の排出孔から流出管に治療材料を搬送するための1つまたは複数の排出チャネルを含む。
【0072】
いくつかの実施形態では、マウスピースは以下:治療材料を治療供給層から治療キャビティに流すためにマウスピースの前方セグメントに配置された1つまたは複数の供給孔、および、治療材料を治療キャビティから治療供給層に戻すためにマウスピースの後方セグメントに配置された1つまたは複数の排出孔、を含み、治療供給層は、治療材料を流入管から治療キャビティの前区画に搬送するための1つまたは複数の供給チャネル、および、治療材料をキャビティの後区画に位置する1つまたは複数の排出孔から供給層の流出管に搬送するための1つまたは複数の排出チャネルを含む。
【0073】
いくつかの実施形態では、歯科用カバー層は、1つまたは複数の圧縮性後側キャビティプラグを含み、これは、排出孔の遠位に位置し、キャビティを密閉して、口腔内レトロモラーパッドの解剖学的位置とは無関係に真空形成層の後側から材料が流出するのを防止するのに適している。
【0074】
いくつかの実施形態では、デバイスは、以下の設計特徴のうちの1つまたは任意の組合せを含む:歯科用カバー層は、歯肉隆起の頬側および/または口蓋/舌側面に適合するように、円周方向ロール境界エプロン設計を組み込む;歯科治療供給層は、上部歯科用カバー層と下部歯科用カバー層との間にあり、マウスピースは、自然な顎の動きを容易にするためにヒンジ軸角度を反映するように成形される。
【0075】
いくつかの実施形態では、流体密閉真空は、1つまたは複数の歯科治療キャビティ内の圧力を周囲圧力未満に低減させることによって、治療供給層を介して形成され、治療材料を前記歯科治療キャビティに流入させるときに前記真空を維持する。
【0076】
いくつかの実施形態では、デバイスは、治療材料に対するさらなる保護のために、上側歯肉隆起および/または下側歯肉隆起を選択的に被覆するように適合可能である、エラストマー歯科用歯肉ガード構成要素を含む。
【0077】
いくつかの実施形態では、デバイスは、歯科用歯肉ガード構成要素を含み、これは、歯肉に1つまたは複数の治療材料を供給するための歯肉治療層をその内側表面上に含む。
【0078】
いくつかの実施形態では、自己把持歯科用歯肉ガードが提供され、これは、歯肉隆起の生体組織に実質的に適合するように設計された可撓性エラストマーアーチ形バリアを含み、流体密閉乾燥場を提供するように作用する、個々の上歯および/または下歯の萌出した解剖学的クラウン部分の上およびそれを通したカスタマイズされた挿入のための事前構成された個々の切欠き孔を有する。
【0079】
いくつかの実施形態では、自己把持歯科用歯肉ガードバリアは、その頬側、咬合側、および/または舌側/口蓋側の側面に、上部および/または下部の歯肉隆起に対する歯肉ガードバリアの選択的な嵌合および選択的な流体密閉を強化するために光硬化性樹脂材料で予め充填された複数の内蔵チャネルを含む。
【0080】
いくつかの実施形態によれば、歯科治療を実行するための方法が提供され、以下の工程を含む:上歯および周囲歯肉ならびに下歯および周囲歯肉を覆う1つまたは複数の歯科用カバー層を含むマウスピースを配置する工程;1つまたは複数の咬合面レスト咬合レジスタ要素をマウスピース内に配置する工程;流体密閉真空を歯科用カバー層に印加する工程であって、周囲圧力を下回る圧力を有するカバー層の流体密閉治療キャビティが、歯および周囲歯肉の周囲に形成される、工程;および、1つまたは複数の治療材料を流体密閉治療キャビティ内に流入させる工程であって、歯科用カバー層は、加えられた真空力にさらされたときにマウスピースカバー層の選択的/差動的圧潰性を可能にするために、1つまたは複数の硬化した剛性または半剛性部分を含む、工程;および、流体密閉治療キャビティから廃棄物容器へ1つまたは複数の治療材料を流出させる工程。
【0081】
いくつかの実施形態では、プロセスは、以下の工程の1つまたは任意の組合せを含む:上歯と下歯の両方の歯ホワイトニング治療のために設計されたマウスピースに接続するようにポンプモジュールをセットアップする工程;ポンプモジュールに結合された制御デバイス上で治療設定を構成する工程;自己把持の上側および下側の歯肉ガードバリアデバイスを、それぞれの歯肉隆起部に選択的に適用する工程であって、歯の萌出部分が実質的に露出したままである、工程;マウスピースと患者の歯肉ガードが覆われた歯肉隆起の生体組織との間に、真空流体密閉を生じさせるように流量制御を適用する工程;および、流量制御を適用して、前記治療設定に従って材料の供給を自動的に管理する工程、および/または、流量制御モジュールを使用して前記マウスピースから治療材料を除去する工程。
【0082】
いくつかの実施形態では、本方法は、治療計画への適合を追跡するために治療を監視する工程を含む。
【0083】
いくつかの実施形態では、本方法は、治療中の問題を識別するために治療を監視する工程を含む。
【0084】
いくつかの実施形態では、治療材料は、材料の温度、材料の濃度、またはその両方に関して異なる。
【0085】
いくつかの実施形態では、本方法は、歯のホワイトニング治療を実行するために使用される。
【0086】
いくつかの実施形態によれば、以下を含むデバイスが提供される:a.歯肉隆起を覆うための変形可能な選択的エラストマー歯肉隆起密閉部分;b.一対の変形可能な遠位歯密閉部分を含む治療キャビティを有する変形可能なカバー層部分であって、歯肉隆起密閉部分および遠位歯密閉部分を有するカバー層は、デバイスの少なくとも一部と歯肉隆起密閉部分がその上に位置する歯および周囲歯肉隆起との間の間隙を画定する、変形可能なカバー層部分;および、c.カバー層の治療キャビティの中または外に流体を通過させるための少なくとも1つの流体導管部分;ここで、複数の歯および周囲の歯肉にわたって患者の口内に配置されると、歯肉隆起密閉部分は、患者の歯肉隆起に接触して変形し、歯肉隆起と密接な接触を形成し、一対の遠位歯密閉部分を有するカバー層は、歯肉隆起密閉部分および遠位に位置する1つまたは複数の歯に対して変形して、歯肉隆起密閉部分とカバー層との間の密閉を実質的に画定し、かつ、レトロモラーパッドの位置とは無関係に遠位歯における密閉を実質的に画定し、その結果、変形可能な歯肉隆起密閉部分とカバー層の歯の密閉および歯肉隆起密閉構成要素との間の密閉を維持しながら、カバー層の治療キャビティから流体を導入、除去、または両方をすることができ、変形可能なカバー層部分は、1つまたは複数の硬化した剛性または半剛性区分を含み、カバー層治療キャビティが真空力に内部的に曝露され、実質的な口腔内咬合力がデバイスに印加されるときに、歯肉隆起密閉部分に対するカバー層の選択的/差動的圧潰性が可能となる。
【0087】
本発明によるシステム、装置、および方法の原理および動作は、図面および以下の説明を参照してよりよく理解され得るが、これらの図面は、例示目的のためにのみ与えられ、限定することを意図しないことを理解されたい。
【0088】
説明を簡潔かつ明確にするために、図面に示される構成要素は必ずしも縮尺通りに描かれていないことが理解されるであろう。例えば、構成要素のうちのいくつかの寸法は、明確にするために、他の構成要素に対して誇張され得る。さらに、特定の実施形態によれば、特定の量の構成要素が示されているが、他の実施形態は、孔、ピン、加熱要素、管などのより少ないまたはより多い構成要素を備えてもよい。さらに、適切であると考えられる場合、図面間で参照番号を繰り返して、連続する図にわたって対応するまたは類似の構成要素を示すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【
図1a】4つの主要構成要素;すなわち、いくつかの実施形態によれば、シリコーンまたは熱可塑性エラストマーなどのエラストマー材料で作製された軟質本体2、硬質プラスチック材料で作製されたマウスピースカプラ3、軟質本体2の頬側の側面上の剛性補強要素4、および、軟質本体2の舌側/口蓋側の側面上の剛性補強要素5、からなる本発明のマウスピース1の一実施形態の側面図
【
図1b】いくつかの実施形態による、マウスピースの正面図
【
図2a】いくつかの実施形態による、
図1aの上面/正面図
【
図2b】いくつかの実施形態による、
図1aの上面/背面図
【
図3a】いくつかの実施形態による、
図1aの軟質本体2の傾斜上面図
【
図3b】いくつかの実施形態による、
図1aの軟質本体2の傾斜底面図
【
図4a】いくつかの実施形態による、
図1aの後部左部分の上面拡大図
【
図4b】いくつかの実施形態による、
図1aのマウスピース1の背面図
【
図5a】いくつかの実施形態による、マウスピースカプラ3の一実施形態の底面図
【
図5b】いくつかの実施形態による、マウスピースカプラ3の斜視正面図
【
図5c】いくつかの実施形態による、マウスピースカプラ3の背面図
【
図6a】いくつかの実施形態による、軟質本体2の一実施形態の正面図
【
図6b】いくつかの実施形態による、
図6aの軟質本体2の側面図
【
図7】いくつかの実施形態による、マウスピース1の構成要素の実施形態の分解側面図
【
図8a】いくつかの実施形態による、マウスピース1および加熱モジュールユニット30の実施形態の側面図
【
図8b】いくつかの実施形態による、加熱モジュールユニット30に接続されたマウスピース1の実施形態の側面図
【
図9a】本発明のいくつかの実施形態による、右側31および左側32の咬合面レスト咬合レジスタの正面図
【
図9b】本発明のいくつかの実施形態による、右側31および左側32の咬合面レスト咬合レジスタの上面図
【
図9c】本発明のいくつかの実施形態による、右側31および左側32の咬合面レスト咬合レジスタの正面/底面図
【
図9d】本発明のいくつかの実施形態による、右側31および左側32の咬合面レスト咬合レジスタの底面図
【
図10a】本発明のいくつかの実施形態による、右側31および左側32の咬合面レスト咬合レジスタの側面図
【
図10b】本発明のいくつかの実施形態による、右側31および左側32の咬合面レスト咬合レジスタの背面図
【
図11a】本発明のいくつかの実施形態による、マウスピース1内に完全に挿入された右側31および左側32の咬合面レスト咬合レジスタの上面図
【
図11b】本発明のいくつかの実施形態による、マウスピース1内に完全に挿入された右側31および左側32の咬合面レスト咬合レジスタの底面図
【
図11c】本発明のいくつかの実施形態による、マウスピース1の透視図の内側の右側31および左側32の咬合面レスト咬合レジスタの傾斜側面図
【
図11d】本発明のいくつかの実施形態による、マウスピース1の透視図の内側の右側31および左側32の咬合面レスト咬合レジスタの背面図
【
図11e】本発明のいくつかの実施形態による、マウスピース1の透視図の内側の右側31および左側32の咬合面レスト咬合レジスタの底面図
【
図12】いくつかの実施形態による、本明細書に記載されるマウスピースおよび関連する構成要素を使用して歯肉治療を実施するプロセスの例を記載するフローチャート
【
図13】いくつかの実施形態による、本明細書に記載されるマウスピース、歯肉ガード、および関連する構成要素を使用して歯のホワイトニング治療を実施するプロセスの例を記載するフローチャート
【
図14a】いくつかの実施形態による、半内蔵された内骨格頬側補強要素が描かれたマウスピース1の正面図
【
図14b】いくつかの実施形態による、半内蔵された内骨格舌側補強要素が描かれたマウスピース1の上面図
【
図14c】いくつかの実施形態による、内骨格補強要素の上面図
【発明を実施するための形態】
【0090】
以下の説明は、当業者が、特定の用途およびその要件の文脈において提供される本発明を作製および使用することを可能にするために提示される。説明された実施形態に対する様々な修正は、当業者には明らかであり、本明細書で定義された一般的な原理は、他の実施形態に適用され得る。したがって、本発明は、図示および説明した特定の実施形態に限定されるものではなく、本明細書で開示した原理および新規の特徴に合致する最も広い範囲を与えられるべきである。他の例では、本発明を不明瞭にしないように、周知の方法、手順、および構成要素は詳細に説明されていない。
【0091】
好ましい歯科治療は、歯および/または歯肉と相互作用する1つまたは複数の化学物質、薬剤、または他の治療関連材料を、必要に応じて低容量、中容量、または高容量で使用する。本発明の実施形態は、軟質の圧潰性材料と、圧潰に抵抗する硬化した剛性または半剛性セクションとから構成されるマウスピースに真空力を加えることによって、歯科治療の効率および有効性を増加させることを可能にする。そのような実施形態は、選択的に加工または設計された密閉治療キャビティまたはゾーンの供給を可能にし、これは、咬合力に対して選択的に耐性であり得、治療材料が最適に適用され得、また、密閉治療キャビティの外側に漏出することが防止され得る。本発明の非限定的実施形態は、歯のホワイトニング、歯肉治療、歯石除去、歯の脱感作、抗崩壊、および他の治療が、1つまたは複数の選択された標的治療キャビティおよびその中に含まれる硬質または軟質組織に供給され得る、歯科治療装置またはデバイス、方法、およびシステムを含む。
【0092】
本発明の実施形態は、単一または二重の歯列弓カバー層を含み得る、咬合面レスト咬合レジスタが挿入された歯科治療マウスピースを含む。マウスピースは、上歯および周囲歯肉および/または下歯および周囲歯肉を覆うための1つまたは複数の歯科用カバー層を含んでもよい。好ましくは歯列弓などの弓状の歯科用カバー層が、下歯または上歯およびそれぞれの周囲歯肉のどちらかの上に適合するように構成されている。例えば、マウスピースは、上部歯科用カバー層および下部歯科用カバー層を含んでもよい(例えば、マウスピースは二重歯列弓を含んでもよい)。歯科用カバー層は、歯および周囲の歯肉を覆う歯列弓治療キャビティを有し得る。特に好ましいマウスピースは、それぞれが歯列弓治療キャビティを有する2つの歯科用カバー層を含み、2つの歯科用カバー層は、上部カバー層と下部カバー層との間に挿入された咬合面レスト咬合レジスタを有する単一のデバイスを形成するように共に接合される。本明細書の教示によれば、2つの共接合された歯科用カバー層は、1つまたは複数の治療供給層等の1つまたは複数の追加の層を介して接合されてもよいことが理解されるであろう。
【0093】
本発明のいくつかの実施形態によれば、マウスピースは、患者における一般的なまたは汎用の変形可能マウスピースの使用を可能にし、したがって、各患者のためのカスタムメイドのマウスピースを製作する必要なく、患者の全歯列弓の可変幅および可変長さを取り扱うことができる。そのような汎用マウスピースを使用するとき、本発明の実施形態は、マウスピースが置かれる所与の歯列弓隆起に対するマウスピースの連続的な真空流体密閉の維持を可能にする。マウスピースの遠位プラグは、高度に変形可能であり、患者がマウスピースを噛みしめるように指示されたときに、真空流体密閉を損傷することなく、末端歯の冠状セグメントの周囲でプラグが容易に変形する。本発明の改良されたマウスピースの任意の所与の歯列弓へのこの緊密な適合は、それが適合されるべき歯列弓の長さおよび幅とは無関係であり、任意の所与の歯列弓または半歯列弓の右または左の末端歯の、それらのそれぞれのレトロモラーパッドに対する位置とは無関係である。
【0094】
歯科治療マウスピースは、単回使用後に再使用可能または使い捨てであってもよい。マウスピースは、様々な一般的または汎用サイズ(例えば、小、中、大、特大)で構築されてもよい、または、歯肉隆起の上下の歯およびそれぞれの周囲の歯肉の両方を覆うためにカスタマイズされてもよい。マウスピースは、櫃尾用に応じて、本発明のマウスピースデバイスに流体接続された温度制御加熱モジュールユニットによって提供されるインライン直接伝導加熱を使用して、マウスピースに流入する前に歯科治療流体または材料を加熱するための材料を加熱するための1つまたは複数の加熱要素を挿入されてもよい。
【0095】
いくつかの実施形態によれば、本発明の剛性咬合面レスト咬合レジスタ(右側および左側)は、マウスピースの軟質本体の予め形成された真空管ボア孔キャビティ内に、遠位後方(右側および左側)密閉プラグに対して近位関係で挿入される。
【0096】
いくつかの実施形態によれば、咬合面レスト咬合レジスタは、上歯および下歯および顎および咀嚼筋によって咬合面レストレジスタに大きな咬合力が加えられたときでさえも、それらの構造的完全性および寸法に抵抗し、破壊または変形せず、維持するように充分に剛性である。場合によっては、これらの力は、500ニュートンまたは1,000ニュートン以上の咬合面レスト咬合レジスタに加えられる力に達し得る。
【0097】
いくつかの実施形態によれば、各剛性咬合面レスト咬合レジスタは、各デバイスの上下末端部上に咬合平面咬合停止部を組み込まれた中空剛性垂直支柱を含んでもよい。咬合レジスタがマウスピースのそれらのそれぞれのキャビティに完全に挿入されると、これらの咬合平面咬合停止部は、ユーザがマウスピースに咬合するときに、いずれも咬合面レスト咬合レジスタが挿入される、軟質本体真空管の後方ボア孔およびマウスピースの軟質本体の内部真空供給ラインの両方が圧壊されることを防止するように位置付けられる。
【0098】
いくつかの実施形態によれば、剛性咬合平面咬合停止部(上側および下側)は、上側および下側歯がマウスピースの上側および下側半分の中に完全に挿入することを可能にするように位置付けられる。これは、真空力がマウスピースの治療キャビティに加えられたときにマウスピースの上側および下側カバー層の円周方向の真空密閉を形成することによってマウスピースの右側および左側の良好な流体密閉を確立および維持するために、マウスピースの右側および左側の後方側面において(咬合停止部からのいかなる干渉もなく)後方上側および下側歯によって後方遠位プラグが係合、圧縮および変形されなければならないので、非常に重要である。
【0099】
咬合レジスタの剛性咬合平面停止部が、歯がマウスピースの内側で完全に係合および閉鎖されるときに歯の中心関係の咬合面を上回る高さにある場合、咬合平面停止部は、歯および周囲の歯肉がマウスピースの内側に適切に位置することを可能にせず、したがって、後方歯による遠位後方プラグの良好な係合および変形がなく、後方遠位プラグの良好な真空密閉がなく、ならびにカバー層による歯および周囲の歯肉の全ての表面の完全な被覆が不適切となる。逆に、剛性咬合平面咬合停止部が低すぎる場合、それらは、マウスピースの軟質本体の内部真空ラインを適切に保護せず、咬合時に、ユーザは、内部真空ラインを崩壊させ、マウスピースに治療材料を流入および流出するときに、ユーザの口の内側のマウスピースの真空流体密閉の損失をもたらし得る。
【0100】
マウスピース内の剛性咬合面レスト咬合レジスタの後方位置決めにより、レジスタは、ユーザが下顎の咬合/咀嚼筋に最大の力を及ぼすことを妨げるのに非常に効果的である。マウスピース内の比較的遠位の位置に咬合レジスタを配置することは、頭蓋骨の固定された上顎に対する下顎の顎関節のヒンジ軸の性質、ならびに上顎および下顎の咀嚼の関連する筋肉に起因して、効果的な咬合面レスト部を生成する。
【0101】
いくつかの実施形態によれば、咬合レジスタ剛性咬合平面咬合停止部(上側および下側)は、それぞれ、右および左上顎および下顎歯のための後方咬合停止部(咬合レジスタの垂直支柱によって剛性支持される)を作成する。
【0102】
いくつかの実施形態では、咬合面レスト咬合レジスタは、それぞれ(右側および左側)が、マウスピースの軟質本体のそれぞれの内部右側および左側真空管の中へ近位に突出するように角度付けられる剛性延長管を組み込む。
【0103】
いくつかの実施形態では、これらの剛性延長管は、さらに、マウスピースが口腔に挿入され、真空力がマウスピースに内部で適用されるときに、内部真空ラインがユーザの任意の咬合力によって圧壊することから保護し、治療流体のマウスピースへの供給およびマウスピースからの除去中に、マウスピースの上部カバー層および下部カバー層の流体密閉された上部治療キャビティおよび下部治療キャビティを作成し維持する。
【0104】
本発明のいくつかの実施形態によれば、剛性咬合面レスト咬合レジスタデバイスは、内部真空力がマウスピースの上側および下側カバー層の上側および下側治療キャビティに加えられるとき、マウスピースの特定の軟質要素、特に、上側および下側顎の歯槽歯肉隆起上へのマウスピースの上側および下側半体の頬側および口蓋/舌側ロール境界の、選択的圧潰を妨げないように設計される。
【0105】
本発明のいくつかの実施形態によれば、剛性咬合面レスト咬合レジスタデバイスは、上部および下部カバー層のマウスピースの上部および下部治療キャビティに内部的に印加される咬合力から後部ボア孔および内部真空ラインを保護し、その結果、カバー層が上部および下部歯槽隆起にぴったりと押し付けられて適合し、それにより、治療流体がカバー層のこれらの内部治療キャビティに流れ込み、そこから除去されるときに、マウスピースの上部および下部治療キャビティの流体密閉が維持される。
【0106】
歯科治療マウスピースは、マイクロプロセッサを含む制御ユニット等の1つまたは複数の制御ユニットを含むシステムで採用されてもよい。制御ユニットは、外部制御ユニットであってもよい。制御ユニットは、1つまたは複数の加熱要素の温度を制御してもよい。制御ユニットは、それぞれが歯列弓治療キャビティを有する二重歯列弓を有するマウスピースを制御して、上歯および下歯の両方および/またはそれぞれの周辺歯肉の同時治療を制御することができる。
【0107】
歯科用マウスピースのアーチ(例えば、共接合二重アーチマウスピースの各アーチ)は、好ましくは、アーチ形状ウェルを有する歯科用カバー層、またはその中に流入されると、1つまたは複数の歯科治療流体を含有し得る、治療キャビティを形成するために好適な他の設計を有する。例えば、アーチ形状のウェル治療キャビティは、所定の濃度の活性成分を含む歯科用流体を含有してもよい。活性成分は、その場で(in situ)歯をホワイトニングするのに、または他の歯科治療を行うのに好適な任意の化学物質であり得る。歯のホワイトニングに特に好ましい活性成分は、例えば、1つまたは複数の過酸化物を含む。活性成分は、熱によって活性化され得るか、またはそうでなければ促進もしくは増強される(例えば、触媒または別の方法によって)反応性を有し得る。治療流体(例えば、活性成分を含む治療流体)は、ポンピングシステム(例えば、自動ポンピングシステム)を介して、真空を介して、または両方で、マウスピースの治療キャビティセクションの中へ供給されてもよい。好ましくは、治療キャビティ内にある間、治療流体は、歯(例えば、治療を受ける歯)の自然なクラウン部分を実質的に覆う。あるいは、治療キャビティウェル内にある間、治療流体はまた、歯のクラウン部分(例えば、治療を受ける歯肉)を囲繞する歯肉組織のその部分を実質的に被覆してもよい。
【0108】
歯科用カバー層の治療キャビティウェルによって形成された歯および周囲歯肉の周りの密閉された区画(すなわち、密閉された治療キャビティ)を、1つまたは複数の治療材料を複数の歯の萌出した歯冠部分または周囲歯肉に供給するために使用してもよい。例えば、一連の2つ以上の異なる治療流体または清浄/洗浄流体または空気流が、密閉された区画を通過してもよい。限定ではないが、治療流体は、1つまたは複数の調製流体、1つまたは複数の活性治療流体、1つまたは複数の薬剤、1つまたは複数の中和流体、1つまたは複数のすすぎ流体、すすぎ流体と組み合わせた空気流、または乾燥のための空気流単独、またはそれらの任意の組合せを含んでもよい。好ましくは、治療流体は、1つまたは複数のホワイトニング治療流体、すすぎ流体、薬剤、または他の治療材料を含む。ホワイトニング治療流体は、例えば、歯をホワイトニングするための任意の当該技術で既知の活性成分および/または任意の非活性成分を含み得る。限定されないが、ホワイトニング治療流体は、例えば、以下に記載される流体組成物の特徴の1つまたは任意の組合せを含んでもよい:米国特許第7,189,385号明細書(例えば、第1欄第2行~第18欄第40行を参照);同第6,770,266号明細書(例えば、第2欄第9行~第6欄第35行を参照);同第6,746,679号明細書(例えば、第1欄第13行~第11欄第18行を参照);同第5,668,934号明細書(例えば、第1欄第33行~第16欄第10行を参照);同第7,601,002号明細書(例えば、第1欄第11行~第16欄第8行を参照);米国特許出願公開第2008/0063612号明細書(例えば、段落11~165を参照);同第2005/0214720号明細書(例えば、段落10~102を参照);同第2004/0185013号明細書(例えば、段落3~150を参照);それぞれは、参照により本明細書に組み込まれる。治療流体のいずれも、重力下で流動する液体、または重力下で流動しないゲルであってもよい。治療流体は、好ましくは、真空下で圧送および/または流動することができる。好ましくは、口腔の軟組織(例えば、歯肉または他の軟組織)に損傷を与え得る任意の治療流体は、流体が、治療される歯を囲繞する密閉区画から流出しないように、充分に高粘度の流体またはゲルの形態である。例えば、そのような治療流体は、約0.1Pa・s以上、約1.0Pa・s以上、約10.0Pa・s以上、約100Pa・s以上、または約1000Pa・s以上の粘度を有してもよい。
【0109】
治療流体のうちの1つまたは複数は、粘度を低下させるため、反応性を増加させるため、または両方のために加熱されてもよい。例えば、ホワイトニング剤(以下ではゲルと呼ぶが、本明細書の教示に従って高粘度流体を用いてもよい)等の治療流体の温度を上昇させることは、過酸化物分解速度を増加させて、ゲルからより大量の酸素フリーラジカルを生成することができ、したがって、歯のエナメル質表面における結果として生じるホワイトニング効果を増加させることができる。当然ながら、水、塩、ガス、化学および/または生物学的薬剤溶液、あるいは他の材料、化合物等を含む、他の治療材料が使用されてもよい。歯科用カバー層の各治療キャビティ(例えば、アーチ形治療キャビティ)は、各治療キャビティの中への治療材料の供給のための1つまたは複数の入口孔、ならびに、出口(すなわち、排液)孔(例えば、各歯列弓治療キャビティから治療材料を除去するための、治療キャビティアーチ形キャビティの右側および左側の各々の1つまたは複数の出口孔)を含んでもよい。
【0110】
本明細書の教示による構成要素、デバイス、システム、および方法は、加速ホワイトニング治療、歯石除去治療、歯肉治療等の種々の歯科治療において有利に採用されてもよい。高温の活性成分を有する、高濃度の活性成分を有する、またはその両方を有する、低容積および高容積量の両方で治療流体(例えば、ホワイトニングゲルなどのホワイトニング流体、薬剤、治療材料など)を使用することによって、治療の効率を増加することができ、治療が加速および/または増強される。ホワイトニング治療は、例えば、光線力学療法を必要とせずに達成され得ることが理解されるであろう。加速された歯科治療は、歯科治療流体を加熱することによって達成されてもよい。室温治療を用いることができるが、治療流体のいくつかまたは全ては、好ましくは約27℃℃以上、より好ましくは約30℃以上、さらにより好ましくは約34℃以上、さらにより好ましくは約38℃以上、さらにより好ましくは約48℃以上、最も好ましくは約56℃以上の温度に加熱される。当然ながら、必要に応じて、より高いまたはより低い温度が使用されてもよい。治療ゾーン内(すなわち、歯科用カバー層によって形成された密閉された治療キャビティ内)の治療流体は、概して均一な温度を有してもよく、または様々な温度を有してもよい。治療流体中の活性成分のより高い濃度を使用して、治療速度の同様の増加が達成され得ることが理解されるであろう。
【0111】
歯科用カバー層は、好ましくは、充分に柔らかい材料で形成され、ロール境界リムが圧縮および変形して上顎および下顎の歯肉隆起部の側面にぴったりとフィットするように配置された、円周方向の周辺ロール境界リムを有する。したがって、ロール境界リムは、後部圧縮性プラグ(例えば、歯科用カバー層のキャビティウェルから形成される)と共に密閉されたキャビティを作り出すことができ、歯および周囲の歯肉の萌出したクラウンがキャビティ内に収容される。
【0112】
本発明の改良されたマウスピースは、1つまたは複数の空気呼吸ベントを組み込むことができる。好ましくは、呼吸ベントは、1つまたは複数の治療材料を歯科用カバー層の治療キャビティウェル(例えば、弓形キャビティウェル)に流すこの治療供給層の能力を損なうことなく、1つまたは複数の治療流体を歯科用カバー層から排出するこの治療供給層の能力を損なうことなく、またはその両方で、マウスピースの治療供給層を貫通するように設計される。例えば、呼吸ベントは、マウスピース内へまたはマウスピースから外への1つまたは複数の治療流体の流れを可能にする態様で、治療供給層に組み込まれてもよい。
【0113】
好ましくは柔らかい変形可能な材料で作製された密閉ロール境界リムは、概して丸みを帯びた形状を有することができ、そのような形状は、高度に変形可能なエプロンを形成し、その結果、真空力がマウスピースの内側に加えられると、これらのロール境界を歯肉隆起部上に圧潰し、本発明のマウスピースデバイス(例えば、歯科用カバー層)を、カバー層の後方遠位密閉プラグと併せて歯肉隆起部に流体密閉するように作用する。密閉は、好ましくは、患者がマウスピースに噛むことによって部分的または全体的に達成され得る。密閉リムは、マウスピースに供給される治療材料(すなわち、治療流体)が口腔内に漏出することを防止するように、歯科用カバー層の治療キャビティウェルを効果的に密閉してもよい。密閉は、真空の適用によって部分的または全体的に達成され得る。例えば、真空が適用されると、密閉ロール境界縁は、容易に圧潰され、歯肉隆起の側壁に対して吸い上げられ得る。歯科用カバー層の流体密閉治療キャビティウェルにポンプで送られる治療流体は、好ましくは、前面、上面、背面、またはそれらの任意の組合せ上のそれぞれの歯に接触する。より好ましくは、治療流体は、前面および後面で歯に接触する。さらにより好ましくは、治療流体は、歯の露出面の全てにおいて歯に接触する。高度に変形可能なエプロンおよび/または密閉ロール境界リムの密閉効果は、上部および/または下部顎の上部および/または下部歯肉隆起に対するマウスピースの真空流体密閉を達成するために、外部ポンプを利用してマウスピース内の空気を除去する(例えば、吸い出す)治療システムの能力によって達成または強化され得る。
【0114】
個人間で歯列弓の長さに大きな変動があるという事実のため、一般的な汎用歯列弓を効果的に使用して歯科用カバー層のウェルの最後方領域を密閉することは困難または不可能でさえあり得る。例えば、任意の所与の歯列弓内の終末右歯および/または終末左歯に対応する領域を効果的に密閉することは困難または不可能であり得る。これらの領域に充分な密閉がなければ、治療流体は、これらの大きな非密閉開口部を通って、上側または下側アーチウェル後部の一方または両方の1つまたは複数の側部(すなわち、右側、左側または両方である)から望ましくなく漏出する可能性がある。そのような非密閉開口部(すなわち、非密閉領域)はまた、これらの開放領域を密閉するためのいくつかの手段を提供することなく、歯科治療キャビティウェルの真空密閉の生成および/または維持を防止し得る。歯科用カバー層とレトロモラーパッドとの間に真空密閉を形成することは、充分な長さの歯科用カバー層を選択または準備しなければならず、レトロモラーパッドの軟組織が治療流体と接触する可能性があるなどの障害に直面し得る。
【0115】
これらの障害を克服するために、歯科用カバー層の後部における真空密閉は、好ましくは、歯列弓の両側に存在する大臼歯を用いて作製され、患者がマウスピースの上部および下部治療キャビティの中に上部および下部歯ならびに周囲歯肉を挿入し、遠位プラグの中に噛み込むときに、後部遠位プラグを圧迫および変形することを可能にする。硬質咬合面レスト咬合レジスタは、真空力が真空ラインを介して印加されると、それらが開放されたままであり、咬合力がマウスピースの軟質本体の内側に印加されるにもかかわらず、マウスピースの流体密閉が達成および維持されるように、上部および下部治療キャビティの両方と直接連通する軟質本体真空管後部穿孔ならびにマウスピースの内部真空ラインの両方の崩壊を防止する。これは、歯科治療を提供する能力を1つまたは複数の臼歯に限定し得るが、前述の利益は、概して、この懸念を上回る。それにもかかわらず、充分な密閉(例えば、真空を維持するために)を形成する必要性は、大臼歯を覆って密閉するときに特定の課題を提示し得る。驚くべきことに、治療キャビティウェルの後部領域に組み込まれた独特の遠位プラグ特徴を使用して充分な密閉が達成された。
【0116】
治療材料のそのような漏出を防止し、マウスピース内で連続的または選択的に持続される真空を生成および維持する能力を可能にするために、本発明の種々の教示は、1つまたは複数の遠位プラグ特徴(すなわち、遠位密閉プラグ)を組み込んでもよい。「選択的に持続される真空」という用語は、ユーザまたは施術者が、治療などにおいて真空を維持し、真空を複数回開始および解放する時間を決定する能力を指し得る。好ましくは、遠位プラグは、各歯科用カバー層の両端(右および左)で使用される。遠位プラグは、歯科用カバー層の治療キャビティウェルの後部を被覆するように設計されてもよい。好ましくは、遠位プラグは、これらの開口部を効果的に密閉する。例えば、遠位プラグは、患者がマウスピースに食い込むときに開口部を密閉することができる。いくつかの実施形態では、種々のサイズ(例えば、高さおよび長さ)の遠位プラグが、マウスピースの設計に組み込まれてもよい。
【0117】
各歯列弓マウスピース装置は、1つまたは複数の治療供給層を含む。治療供給層は、1つまたは複数の治療流体を歯科用カバー層に提供してもよく、熱を歯科用カバー層に提供してもよく、または両方であってもよい。マウスピースが2つの歯科用カバー層を含む場合、各歯科用カバー層は、別個の治療供給層を有してもよく、または単一の治療供給層が両方の歯科用カバー層のために使用されてもよい。例えば、単一の治療供給層を2つの歯科用カバー層の間に配置することができる。治療供給層は、1つまたは複数の治療流体を流すことができる内蔵流路または管を含むことができる。治療供給層の流路または管は、好ましくはマウスピースのこの層全体にわたって延びる。治療供給層は、好ましくは、歯科用カバー層のウェル(例えば、密閉キャビティ)に流体を供給するための1つまたは複数(例えば、2つ以上)の入口孔を有する。治療供給層は、好ましくは、歯科用カバー層のウェル(例えば、密閉キャビティ)から流体を除去するための1つまたは複数(例えば、2つ以上)の出口孔を有する。当然のことながら、流れの方向は、出口孔が入口孔として機能し得るように、入口孔が出口孔として機能し得るように、またはその両方となるように変更されてもよい。上部および下部歯科用カバー層にサービスを提供する治療供給層は、以下を有してもよい:(1)下部歯および周囲歯肉の歯科用カバー層の治療キャビティまたはウェルとの流体連通を提供するために、治療供給層の床の1つまたは複数の孔(例えば、入口および出口孔);(2)上歯および周囲歯肉を覆う歯科用カバー層との流体連通を提供するために、治療供給層の天井の1つまたは複数の孔(例えば、入口および出口孔)。流路または管は、好ましくは、1つまたは複数の治療流体を歯科用カバー層に搬送し、実質的に均等に分配する。治療流体は、本明細書で説明されるもの等の任意の当該技術で既知の治療流体であってもよい。例えば、治療流体は、ホワイトニング材料(ゲル材料など)、水、空気、医薬材料、治療材料、洗浄材料、すすぎ材料、またはこれらの任意の組合せを含んでもよい。治療供給層は、治療流体の1つまたは任意の組合せを歯科用カバー層の治療キャビティウェル(例えば、歯列弓ウェル)に供給してもよい。したがって、治療供給層は、ホワイトニングゲルまたは他の治療材料で、1つまたは複数(例えば、ウェル内の歯および周囲歯肉の表面の全て)を効果的に浸すことができ、歯科用カバー層によって覆われる。好ましくは、チャネルまたは管は、水または空気などの複数の治療流体を供給および/または除去することができる。
【0118】
マウスピースの治療供給層は、加熱モジュールユニットを通して、次いで、マウスピースの治療キャビティの中へ、流動する治療流体の制御された加熱のための加熱モジュールユニットを挿入するためのキャビティまたはポートを含んでもよい。治療供給層は、マウスピースの結合構成要素に組み込まれてもよく、加熱モジュールユニットのカプラへの確実な挿入、およびマウスピースの治療供給層のセグメントを含むカプラの加熱モジュールユニットへの確実な流体接続を可能にする。
【0119】
マウスピースのカバー層の軟質本体は、非常に柔らかく(例えば、VLRH-非常に低いゴム硬度)、口腔内への挿入時に患者の快適さおよび着用を促進することができる。マウスピースのカバー層の軟質本体は、非常に柔らかく、それらの容易な圧潰および歯肉隆起の側壁(上部および下部)への厳密に適合された形態を促進し、マウスピースロール境界リムがその上に吸い込まれて、歯肉隆起に対するマウスピースの良好な真空流体密閉を達成することができる様々な歯肉隆起の生体組織を有する患者の数を拡大し、ならびに、カバー層治療キャビティの内側に治療材料を流入させる際に陽圧が治療キャビティの内側で印加されるときでさえも、治療にわたって良好な真空流体密閉の許容可能なレベルおよび維持を達成する能力を強化する。
【0120】
軟質本体は、シリコーン材料または熱可塑性エラストマー材料または非常に低いショア硬度の他のエラストマー材料から作製され得る。
【0121】
カバーの頬側および舌側/口蓋側の両方の側面上の剛性または半剛性の補強要素が、マウスピースのいくつかの実施形態に組み込まれてもよい。これらの剛性または半剛性要素は、それらが取り付けられる(「外骨格」として外部的に、または「内骨格」として内蔵または半内蔵される)カバーの特定の領域の圧潰(真空力が前記カバーの治療キャビティの内側に加えられる際)に抵抗して、口腔内に挿入されるときにそれらが覆う歯肉隆起に対して差動的に圧潰可能/適合可能であるカバー層(軟質本体)を生成するように設計される。これは、カバー層が、それらの周辺ロール境界リムまたはエプロンセグメントにおいて歯肉隆起に緊密に適合し(容易に圧潰し、その上に吸引されることによって)、上部および/または下部歯肉隆起の側面へのカバーの良好な真空流体密閉を提供することを可能にする一方で、剛性補強部材が取り付けられるカバー(デバイスの軟質本体)のそれらの領域は、圧潰に抵抗し、陰圧を維持する歯と周囲の歯肉との間の空間は、カバー層の流体密閉軟質体によって覆われる。
【0122】
本発明のマウスピースデバイスのこの設計は、かなりの量の治療材料がカバー層(軟質本体カバー層の頬側および舌側/口蓋側の両方の側面)の軟質本体の治療キャビティの内側に流れ、真空力がマウスピースに適用されて維持される際にカバー層によって覆われ治療キャビティ内に含有される歯および周囲歯肉の表面上に存在したままであることを可能にし得る。
【0123】
マウスピースの設計はさらに、マウスピースの歯肉隆起への周辺ロール境界の周囲の流体密閉を維持するとともに、治療流体が治療を通して歯および/または周囲歯肉を完全に覆うための強固な負の空間を維持しながら、陽圧下で治療材料がマウスピース治療キャビティの中へ流動されることを可能にしてもよい。あるいは、これらの剛性または半剛性補強要素は、カバー層の内側に部分的または完全に内蔵されてもよい(「内部骨格」として)。
【0124】
マウスピースの実施形態は、マウスピースの上側および下側治療キャビティの軟質本体カバー層の上側床および下側天井に挿入されるか、または内蔵されるか、もしくは半内蔵される上側および/または下側「咬合プレート」を組み込むことができる。これらは、歯および歯肉隆起をマウスピースの内側に最適に位置付けるために、位置付けくぼみまたは隆起を組み込むことができ、また、咬合面レスト咬合レジスタに加えて、患者が過度に硬く陥没し、それによって、内部真空管供給層の管腔完全性および口の内側のマウスピースの真空適用流体密閉を達成および維持する能力を損なうことを防止することにおいて有用であり得る。
【0125】
マウスピースの実施形態はまた、軟質本体カバー層および供給層に流体接続する剛性マウスピースカプラ構成要素を組み込んでもよい。この剛性マウスピースカプラはさらに、それ自体が一組のチュービングを介して制御ユニットに流体接続される加熱モジュールユニットおよび制御ユニットに挿入され得る治療容器(または使い捨て治療カートリッジ)へのその流体接続を可能にし得る。治療容器または使い捨てカートリッジは、それ自体がチュービングに流体接続され、それを通して本発明の加熱モジュールユニットおよび接続されたマウスピースデバイスの治療キャビティに接続される。
【0126】
マウスピースカプラは、いくつかの実施形態では、供給層の真空管(マウスピースの軟質本体に組み込まれる)に途中まで挿入する剛性または半剛性の真空管延長部(右側および左側)を組み込むことができ、マウスピースが口に挿入され、患者が上顎および下顎を閉じて上側および下側の有歯状または部分的有歯状の上部および下部歯肉隆起を上部および下部カバー層治療キャビティウェル内に挿入する際に、真空管ラインの腔完全性を部分的に保護する。
【0127】
マウスピースカプラは、いくつかの実施形態では、加熱モジュールユニットおよび接続された制御ユニットチュービング(それ自体が真空ポンプおよび制御ユニット内部の流量制御機構に接続される)に流体接続する剛性または半剛性真空管を組み込むことができる。この特定の真空管は、いくつかの実施形態では、変形可能なOリング特徴部を組み込むことができ、加熱モジュールおよび制御ユニットの真空チュービングラインへのマウスピースカプラの流体密閉を強化する。
【0128】
本明細書の教示による構成要素、デバイス、システム、およびプロセスは、1つまたは複数の歯に治療を提供するため、歯肉に治療を提供するため、または両方のための歯科治療において採用されてもよい。これらの構成要素、デバイス、システム、およびプロセスは、歯のホワイトニング;抗生物質処理、抗菌処理、フッ化物処理、またはそれらの任意の組合せにおける用途を見出すことができる。歯科学の分野における他の用途が、本明細書の教示による特徴の使用を見出し得ることが理解されるであろう。歯科治療は、約10分以下など、概して短い治療であってもよく、または、10分超、好ましくは約20分以上、より好ましくは約30分以上など、概して長い治療であってもよい。歯科治療の持続時間は、典型的には約3時間以下、より好ましくは約2時間以下、最も好ましくは約1時間以下であることが理解されよう。3時間を超える持続時間の歯科治療も予想される(例えば、夜間の睡眠時間中など、約3時間~約8時間)。治療時間のかなりの部分(例えば、持続時間の少なくとも50%、持続時間の少なくとも70%、持続時間の少なくとも80%、または持続時間の少なくとも90%)の間、真空を歯科用カバー層に加えることができる。驚くべきことに、歯科用カバー構成要素は、歯科用カバー構成要素が汎用の一般的カバー(すなわち、特注のカバーではない)であっても、そのような長い持続時間にわたって真空を維持することができる。
【0129】
上述のように、いくつかの実施形態によれば、歯科治療システムは、1つまたは複数の治療流体を圧送するためのポンプ構成要素を含んでもよい。例えば、ポンプ構成要素は、本明細書の教示に従ってマウスピースと流体連通することができる。好ましくは、ポンプ構成要素は、マウスピースの治療供給層と流体連通している。本システムは、ポンプ構成要素を制御するための制御ユニットを含んでもよい。ポンプ構成要素は、外部制御ユニットのハウジングに組み込まれてもよく、または別個の要素であってもよい。ポンプ構成要素は、折り畳み式アコーディオン型使い捨てカートリッジまたは制御ユニットに挿入された他のタイプのカートリッジを圧縮し、制御された容積および流量の治療材料を制御ユニット管を介して接続された加熱モジュールユニットに供給することができ、マウスピースカプラおよびマウスピースの供給層を介してマウスピース治療キャビティへの治療材料の加熱および供給を制御する。例えば、マイクロプロセッサを含む制御ユニットは、治療流体の温度を監視および/または制御してもよい。温度の制御は、好ましくはフィードバックループを用いる。温度制御を使用して、マウスピースに供給されている治療流体の温度を制御することができる。接続された加熱モジュールユニットは、有利には、施術者が、貯蔵から直ちにホワイトニング流体(例えば、ホワイトニングゲル)を利用することを可能にし、したがって、ホワイトニング流体を除霜する工程、ホワイトニング流体を加温する工程、歯科治療で使用するためのホワイトニング流体を調製する工程、またはそれらの任意の組合せの必要性を排除しうる。したがって、本明細書の教示による歯科治療プロセスは、前述の工程の組合せまたは全てを含まなくてもよい。ホワイトニング流体/ゲルの加熱を可能にすることによって、ホワイトニング流体/ゲルの化学活性およびホワイトニング能力を有意に増強することが可能である。
【0130】
治療材料の流入は、治療流体/ゲルが本発明のマウスピース装置内で循環することを可能にし得る。この流れは、連続的または散発的(例えば、パルス状または断続的)であり得る。例えば、ホワイトニング流体が、歯科用カバー層によって形成される密閉された治療キャビティ内で乱流様式で流動しているとき、歯のエナメル質表面に接触する化学的に活性な治療流体の量が、治療流体がマウスピースの中に供給されホワイトニング治療中に定位置に静的に留まる場合と比較して、大幅に増加させられる。歯の全てのエナメル質表面の周囲の治療流体のこの対流型流れは、マウスピースに供給される固定容積の治療流体のホワイトニング能力を増加させる。これは、対流式オーブン内で食品を加熱する場合のより高い熱流束に正確に類似している。例えば、マウスピースデバイスに含まれる治療流体を乱流の様式で歯の周りに流すことによって(熱風が対流式オーブン内を流れるのと同様)、本システムは、歯のすべてのエナメル質表面と接触し得る、マウスピースに供給される化学的に活性なホワイトニング流体の容積を著しく増加させる。歯の全てのエナメル質表面と接触する化学活性ホワイトニング流体の容積の増加は、歯の全てのこれらのエナメル質表面への流体のホワイトニング効果の有意な増加をもたらす。
【0131】
上述のように、治療流体の流れは、所与の時間間隔にわたって散発的またはパルス状に、マイクロプロセッサによって制御されるポンプ構成要素などのポンプ構成要素を使用することができる。これは、マウスピース装置内の設定期間にわたる(歯の周囲の)治療材料の交互の静的または対流流を可能にし得る。
【0132】
本システムおよび方法は、管内の圧力を測定するため、密閉されたキャビティ内の圧力を測定するため、マウスピースの層(例えば、治療供給層および/または歯科用カバー層)内の圧力を測定するため、またはそれらの任意の組合せのために、1つまたは複数の圧力センサを採用してもよい。圧力センサは、マウスピースに流体接続される制御ユニットおよび/または加熱モジュールユニットに組み込まれてもよい。圧力センサは、例えば、マウスピース内の真空度、1つまたは複数の流速、ポンプによってマウスピースデバイス内に供給されるか、または代替として、マウスピースデバイスから除去される治療材料の総量、またはそれらの任意の組合せを監視してもよい。センサはまた、「閉回路」治療サイクル中に治療流体の流速を監視してもよい。いくつかの実施形態では、磁石を使用して、マウスピースカプラのハンドル/結合機構(マウスピースカプラに組み込まれる)ならびに取り付けられた加熱モジュールユニットおよび制御ユニットチュービングセットの適正な閉鎖を検証してもよい。例えば、加熱モジュールユニットは、部品(例えば、加熱モジュールユニットおよびマウスピースカプラ構成要素)が適切に接続されているか否かを特定するための電磁センサを含んでもよい。
【0133】
歯科用マウスピースの歯科用カバー層の歯肉隆起に対する真空密閉を維持することによって、唾液中に天然に見出されるペルオキシダーゼ酵素が、密閉されたキャビティに浸透するか、またはそうでなければ貫通することを実質的にまたは完全に防止する。本発明のこの新規な真空密閉特徴は、化学的に活性な治療流体(例えば、ホワイトニングゲル)が唾液酵素ペルオキシダーゼによって化学的に不活性化されることから効果的に保護し得る。治療流体の化学的酸化電位が唾液によって実質的に損なわれることが決してないので、本発明のホワイトニング結果は向上する。加えて、唾液が常に口内に存在するため、歯肉隆起に対するマウスピースの効果的な真空流体密閉は、唾液が治療キャビティに進入し、治療材料の濃度を希釈することを低減または完全に防止し、それによって、未希釈の治療材料が治療キャビティ内にとどまり、標的組織(硬質または軟質または両方)と接触している間、未希釈の治療材料の有効性を向上させる。
【0134】
さらに、ポンプ構成要素は、治療の全体を通して、マウスピースの中および外への治療流体の連続流を可能にしてもよいことが理解されるであろう。したがって、完全な化学的活性を有する新鮮な新しい流体が、治療全体を通して、供給され、歯科用カバー層内に含有される歯のエナメル質表面の一部または全てに適用されてもよい。ホワイトニング治療において使用される場合、これは、既知の歯のホワイトニング治療の場合のように、治療材料の静的な一時的供給と比較して、本発明の設定された期間において得ることができるホワイトニング結果を有意に増加させ得る。
【0135】
いくつかの実施形態によれば、可撓性管は、新しいおよび使用済みの治療流体容器からのポンプ構成要素に接続されてもよく、可撓性管の別個のセットは、ポンプ構成要素に接続されてもよく、次いで、マウスピースの前部に統合された別個の流入および流出管にも接続する。これらの流入管および流出管は、加熱モジュールユニットと流体接続するようにさらに統合されてもよく、加熱モジュールユニットは、マウスピースデバイスの統合ハンドル設計(マウスピースカプラ)に流体接続される。
【0136】
制御ユニットのポンプアセンブリからマウスピースデバイスへの管のセットは、締付け装置または小型ハーネスを介して、患者の衣服、患者の歯科エプロン、または歯科椅子の何らかの構成要素もしくは他の固定点にクリップ留めされてもよく、それにより、それらがマウスピース上に作り出すあらゆる抗力が低減または排除され、その結果、管または管のセットがきれいに編成されるか、またはその両方となる。
【0137】
管は、治療材料流入のための別個の管ラインを含むマルチルーメンセグメント化管、マウスピース内の真空を開始および維持するために、ならびに使用済み治療材料をマウスピースから制御ユニット内の廃棄物容器に吸い出すために使用される真空ライン管、制御ユニット内の貯水器から、または歯科用椅子ユニットもしくは他のアクセス可能な水源の水ラインのいずれかから水を流すための別個の管類、マウスピース内に空気を流すための吸気ライン、電力ケーブル、ならびにセンサおよび照明ケーブルから構成されてもよい。
【0138】
本発明の別の態様は、マウスピースのカバー層によって覆われた歯肉が治療材料からのさらなる保護を必要とする場合における、別個の使い捨て可能な自己把持エラストマー歯肉保護またはバリア構成要素を対象とする。歯肉保護構成要素は、歯科治療流体とともに使用されてもよく、本発明のマウスピースは、その上に嵌合される。歯肉保護成分は、歯をホワイトニングするための1つまたは複数の流体/ゲルで歯を処理するプロセスにおいて使用され得る。歯肉保護構成要素は、挿入されたマウスピースによって覆われた歯肉のための充分なバリアを提供し得、その結果、高度に活性な治療流体が使用され得、マウスピースの治療キャビティに流入および流出し得る。歯肉保護構成要素は、上顎、下顎、またはその両方の歯肉隆起のそれぞれに別々に挿入するように設計され得る。歯肉保護構成要素は、好ましくは、マウスピースの治療キャビティの内側に位置する歯肉組織を損傷し得る治療材料を使用するときに、マウスピースを口腔に挿入する前に口腔に挿入される。例えば、歯肉保護/ガード/バリアは、マウスピースによって覆われる上顎歯肉組織および下顎歯肉組織の両方を、マウスピースデバイスのカバー層または他の潜在的に有害な治療材料の治療キャビティウェルに供給されるであろう高濃度過酸化水素ホワイトニングゲルからさえ隔離するように作用し得る。歯肉保護構成要素は、歯肉を充分に覆い、かつ流体的に密閉することができるが、歯の萌出部分を実質的に露出させたままにし、約15%以上、約25%以上、約35%以上、または約45%以上の濃度を有する過酸化物を使用して、マウスピース治療キャビティの内側に露出された歯肉組織をこれらの濃度の過酸化物に損傷させることなく歯をホワイトニングすることができる。
【0139】
歯肉保護構成要素は、複数の異なるサイズの歯肉保護構成要素を含むキットとして提供され得る。歯肉保護成分は、患者の大部分を治療するために少数の異なるサイズの汎用の一般的歯肉保護成分のみが必要とされるように充分に柔軟であり得る。例えば、キットは、約2以上の異なる汎用の一般的サイズ、好ましくは約3以上の異なるサイズ、より好ましくは約4以上の異なるサイズを有する歯肉保護成分を含み得る。異なる汎用の一般的サイズの数は、好ましくは約10以下である。使い捨て歯肉ガードはまた、異なるサイズの歯孔または可変数の歯孔(例えば、歯列矯正治療の一部として抽出された4つ全ての小臼歯を有する患者)を備えてもよい。
【0140】
別個の使い捨て自己把持歯肉ガードバリア(すなわち、歯肉保護成分または歯肉ガード成分)は、その実施形態の1つにおいて、伸縮性ポリマー材料から構成され得る。好ましいポリマー材料は、約100%以上、より好ましくは約200%以上、最も好ましくは約300%以上の破断点伸びを有する。好ましいポリマー材料は、材料が延伸された後にその初期形状を回復するように設定された充分に低い張力を有する。例えば、張力セット(材料を200%伸張した後10分、室温で測定した)は、約10%以下、好ましくは約7%以下、より好ましくは約5%以下、最も好ましくは約3%以下であり得る。ポリマー材料は、炭素含有骨格またはケイ素含有骨格を有し得る。ポリマー材料はエラストマーであってもよい。使用され得るエラストマーの例としては、シリコーンエラストマー、具体的には液体シリコーンゴム(LSR)または高粘度ゴム(HCR)シリコーン、天然ゴム/ラテックス材料、ポリイソプレン、スチレンブタジエンゴム;SEBSゴム、またはそれらの任意の組合せが挙げられる。歯肉保護構成要素は、その表面の1つまたは複数に適用および固定された化学的コーティングまたは層を有してもよい。例えば、層は、層が歯肉組織と接触するように、歯肉保護構成要素の内側(近位)表面に適用されてもよい。材料は、好ましくは、高い引裂強度の機械的特性を低いヤング率(低い反発力)と組み合わせる。
【0141】
歯肉保護/ガードのシリコーンおよび/またはゴム本体の各々は、これらの口腔構造に極めて密接に適合するように、上顎および下顎の各々の歯肉隆起の馬蹄形および三次元リッジ形態を反映するように事前成形され得る。
【0142】
歯肉保護/ガード構成要素の本体は、歯肉隆起の中心隆起線ならびに上顎および下顎の歯の位置を反映するガードのセクションに沿って、様々な直径およびそれらの間の様々な間隔の複数の歯孔切欠き(選択的除去のために完全に切欠きまたは穿孔される)を可能にするようにさらに修正されてもよい。これらの切欠きは、その形状が、治療される歯の歯肉線(歯間乳頭)のスカロップ(scalloped)形/形状を反映するか、または適合してもよい。
【0143】
歯肉ガードの本体は、様々な光硬化性ポリマー樹脂材料で予め充填され得る、頬側および舌側/口蓋側の両方の側面に複数の中空トンネルを内部に組み込んでもよい。
【0144】
上述のように、歯肉保護/ガード構成要素の内側コーティング(歯肉隆起に面する)は、糖ベースのゲルまたはスプレー式自己接着性コーティングなどの様々な化学化合物を含有してもよく、その目的は、活性な治療材料、例えば過酸化物ベースのホワイトニングゲルの化学的中和を提供することであり、したがって、治療材料から歯肉組織をさらに保護するための化学的バリアとして作用する。上述のように、歯肉保護/ガードは、例えば35%以上の過酸化水素ホワイトニングゲルなどの非常に高濃度の治療材料からさえも歯肉組織を保護する効果的なバリアを提供し得る。
【0145】
上記の必要に応じて使い捨て可能な自己把持型歯肉保護/ガード構成要素は、歯肉および歯槽歯肉隆起に可撓性であるがぴったりと適合するバリアを提供してもよく、これは、歯の発疹部分の上およびそれを通して配置され、次いで、治療される歯肉隆起上に着座され得る。口内の歯列弓内に位置付けられ、歯肉隆起上に完全に着座されると、歯の歯冠は、歯肉を被覆しながら、歯肉保護構成要素から突出し得る。この嵌合された自己把持バリア(使い捨て歯肉保護/ガード構成要素)はさらに、(特に、真空力がマウスピースに加えられるとき)単一または二重歯列弓マウスピースデバイスの変形可能な周辺ロール境界リムの上側および下側歯肉保護/ガードの両方への良好な嵌合および密閉も可能にするように成形される。これは、マウスピースデバイスに供給される治療流体の良好な密閉を可能にし、マウスピースデバイスと口腔からの下にある歯肉ガードへのその流体密閉された付着との間の治療材料の漏出を防止する(歯肉ガードは歯肉/歯肉隆起を保護する)。
【0146】
自己把持歯肉保護構成要素が歯科治療層とともに使用されるとき、歯列の周囲の空間の密閉は、マウスピースの歯科用カバー層の独特の変形可能フラップエプロン設計および周辺境界ロールリムによってさらに強化され得る。この密閉は、独特の遠位密閉プラグと併せて、マウスピースから空気を吸い出し、以前に配置された歯肉保護構成要素の外側側壁表面に対する歯科用カバー層の効果的な真空流体密閉を生成するポンプの能力を強化し得る。上部および下部歯肉保護構成要素は、本発明のマウスピースの治療キャビティに流入する苛性治療材料から上部および下部顎の歯肉隆起のそれぞれを保護するために使用され得ることが理解されるであろう。
【0147】
口腔内でのこれらの構成要素の互いに対するこの構成および関係は、歯に適用される様々な濃度のホワイトニング剤を軟組織(歯肉、舌、頬、口蓋、口腔粘膜)から効果的かつ安全に隔離し、したがって、これらの軟組織を、例えば、本発明の改善されたホワイトニング治療中に、これらの化学薬剤の高濃度の製剤の腐食効果からも保護することができる。
【0148】
上述のように、使い捨て可能な自己把持型歯肉保護の他の実施形態はまた、歯肉組織と接触して配置されたときに自己接着性コーティングである内側コーティングを含んでもよい。これらのコーティングは、歯肉組織へのこれらの様々な医薬または化合物の治療的供給のための様々な医薬または化合物を含み得る。使い捨て歯肉保護/ガードのさらなる実施形態は、所与の医学的/歯科的治療のために「ドライフィールド」として歯科分野で知られているものが必要とされるかまたは有利であるときはいつでも、より広い歯科的および医療的用途を有する。前記歯肉保護/ガードは、多くの歯科治療において、ラバーダムとして歯科分野で一般に知られているものの代替として利用することができる。それはまた、歯肉組織上に置かれるか、または歯肉「ポケット」(溝)に注射され、次いで予め形成された三次元歯肉バリアによって覆われる医薬品または他の治療材料の唾液希釈または「洗い流し」に対する有効なバリアを作成するために使用され得る。
【0149】
自己把持歯肉ガードバリアは、流体不透過性であるが気体透過性であるエラストマー材料で作製して、歯肉隆起上に長期間配置できるようにすることができる。これは、歯肉ドレープによって覆われた歯肉組織が、バリアが適用され、歯肉隆起を覆う全時間にわたって「呼吸する」ことを可能にしながら、前記材料または薬剤のいかなる希釈も伴わずに、歯肉組織の上または中の薬剤または治療材料の延長された暴露時間を可能にする。
【0150】
加えて、使い捨て自己把持歯肉保護/ガード構成要素は、器具に不可欠ではないので、所与の汎用サイズのマウスピースデバイスに適合するようにいくつかの汎用サイズで提供されてもよく、したがって、各患者のためにマウスピースまたは歯肉保護ガードをカスタマイズする必要なく、現在専門的に施行されているパワーホワイトニング処理において通常使用されているように、硬化性発泡材料を手動で塗布する必要なしに、治療材料の高濃度配合物からさえも口の歯肉および他の軟組織を効果的に隔離する
【0151】
いくつかの実施形態によれば、任意選択の歯の色合い適合センサユニットを制御ユニットに組み込むことができ、これを使用して、治療前および/または治療後の歯の色合い値を記録することができる。
【0152】
本発明の別の態様は、本明細書の教示による複数のマウスピースなどの複数のマウスピースを含むキットを対象とする。キットは、好ましくは、汎用の一般的(すなわち、特注ではない)マウスピースを含み、異なるサイズを有するマウスピースを含む。キットは、歯列弓の異なる幅(例えば、対応する左臼歯と右臼歯との間で測定される)を有する口と整合するための異なる幅を有するマウスピースを含んでもよい。キットは、異なる長さのアーチを有するマウスピースを含み得る。本明細書の教示によれば、遠位密閉プラグの使用は、異なる長さを有するマウスピースの必要性を低減または排除し得ることが理解されよう。汎用の一般的マウスピースのキットを使用することによって、マウスピースのカスタム製造(例えば、歯科用型印象の使用)の必要性をなくすことができる。キットは、予め組み立てられたマウスピースを含んでもよく、または本明細書の教示による歯科用カバー層などの汎用の一般的歯科用カバー層を含んでもよい。キットは、下歯列弓に好適な、上歯列弓に好適な、またはその両方の歯科用カバー層を含んでもよい。キットは、好ましくは、異なる幅を有する歯列弓を有する個人において使用される異なる幅を有する歯科用カバー層を含む。キットは、本明細書の教示による治療供給層等の1つまたは複数の治療供給層を含んでもよい。治療供給層は、1つまたは2つの歯科用カバー層と接続するのに好適であり得る。異なる長さを有する歯科用カバー層の必要性は、歯列弓の後端を密閉するのに適した遠位密閉プラグを歯科用カバー層に採用することによって低減または排除することができる。好ましいキットは、2つ以上の異なる汎用の一般的サイズ、より好ましくは3つ以上の異なる汎用の一般的サイズ、最も好ましくは4つ以上の異なる汎用の一般的サイズを有するマウスピースおよび/または歯科用カバー層を含む。異なるサイズの数は一般に大きくてもよいが、好ましくは約20以上、より好ましくは約10以下、最も好ましくは約6以下またはさらには4以下である。
【0153】
さらなる実施形態では、歯のホワイトニング治療を実行するための方法が提供され、以下の工程のうちの1つまたは複数が実行されうる:同時カスタマイズされた歯のホワイトニングのための手順を構成する工程;歯のホワイトニング治療のために設計されたマウスピースに接続するポンプモジュールをセットアップする工程;ポンプモジュールに結合された制御デバイス上で治療設定を構成する工程;マウスピースを患者の口内に配置する工程;流量制御を適用して、マウスピースと患者の歯肉隆起の生体組織との間に真空を生じさせる工程;流量制御を適用して、治療設定に従って材料の供給を自動的に管理する工程;および、流量制御を使用してマウスピースから治療材料を除去する工程。当然ながら、他の工程または工程の組合せが使用されてもよい。例えば、治療の前に、それぞれの歯のベースライン陰影を測定して、それぞれの歯のカスタマイズされた治療を可能にすることができる。場合によっては、マウスピースに加えて歯肉ガードが使用されてもよく、マウスピースを口に挿入する前に歯肉隆起上に配置され、歯肉ガード保護歯肉隆起および関連する歯上に配置されてもよい。さらなる場合において、治療材料は、処理中に必要に応じて加熱されてもよい。
【0154】
ここで、本発明の複数の実施形態の構成要素または態様を説明するそれぞれの図を参照する。図面は、例示のみを目的として提供され、限定を意図するものではない。
【0155】
図1aは、以下の4つの主要構成要素からなる本発明のマウスピース1の一実施形態の側面図である;すなわち、シリコーンまたは熱可塑性エラストマーなどのエラストマー材料で作製された歯科治療を容易にするために口内に配置されるマウスピースとして機能する、軟質本体2、および、硬質プラスチック材料で作製され、治療材料をマウスピース内に移送しマウスピースから材料を抽出するための流体密閉導管として機能し、マウスピースのためのハンドルとして機能し、治療材料ヒータ(例えば、加熱モジュールユニット)の挿入を受け入れるように機能する、マウスピースカプラ3。また、頬側補強要素4および舌側/口蓋側補強要素5も示されており、これらは、マウスピース1の軟質本体2の選択された領域を拘束するよう作用するように設計された硬化した外骨格型要素であり、これらは軟質本体2に接続される。真空力がマウスピース1の上部治療キャビティ23および下部治療キャビティ24に加えられるとき、それらが連結される軟質本体領域の圧潰を防止する。軟質本体のこれらの硬化領域は、いくつかの実施形態では、マウスピース1内に収容された上下の歯および周囲の歯肉を覆うマウスピース1の領域に対応する。これらの領域の補強は、真空力がマウスピース1に加えられたときに、上側治療キャビティ23および下側治療キャビティ24の両方においてそれぞれ歯および周囲の歯肉の周りに空の空間を保つように作用する。頬側補強要素4は、軟質本体2の左右の頬側側面上の軟質本体のこの補強を提供し、補強要素5は、軟質本体2の左右の舌側/口蓋側面上の軟質本体の同じ補強を提供する。さらに、周辺頬側上側ロール境界リム6および周辺口蓋ロール境界リム7、上側治療キャビティ23、加熱モジュールユニット30(図示せず)への真空流体接続のためのカプラ加熱モジュール真空管3b、ならびにカプラ磁石孔3gが示されている。
【0156】
さらなる実施形態によると、頬側補強要素4および/または舌側/口蓋側補強要素5、または他の硬化要素は、軟質本体2内に埋め込まれ、それらが接続されるマウスピース1の選択された領域を抑制するように内部的に作用するよう設計される、内骨格型要素であってもよく、真空力がマウスピース1の上部治療キャビティ23および下部治療キャビティ24に印加されるときに接続される軟質身体領域の圧潰を防止する。例えば、全ての内骨格型補強要素は、軟質本体2とともに成形され、次いでオーバーモールドされてもよく、それによって、マウスピース1に真空を適用するときに、軟質本体2の選択的または作動的な圧潰性を提供する。
【0157】
図1bは、
図1aのマウスピース1の正面図であり、軟質本体上部セクション2a、軟質本体中間セクション2bおよび軟質本体下部セクション2cが示されている。また、頬側補強要素4、軟質本体2の治療材料ポート10、上側治療キャビティ23および下側治療キャビティ24をそれぞれ導く治療ポート上側孔11aおよび治療ポート下側孔11b、軟質本体上側プレナム切欠き12a、軟質本体下側プレナム切欠き12b、ならびにマウスピースカプラ3のカプラ加熱モジュール真空管孔3eが示されている。
【0158】
図2aは、
図1aの平面/正面図であり、ここでは、軟質本体上部小帯ノッチ12a、上部治療キャビティ23および/または下部治療キャビティ24からの治療関連流体の収集のために、硬質右31または左32咬合面レスト咬合レジスタ(図示せず)が挿入される、軟質本体真空管後方ボア孔16の部分が示され、これらは、マウスピース1の中央部分2bに配置された軟質本体真空管17に接続されて、マウスピース1から治療関連物質を除去するための真空および/または排液機能を容易にする。また、上側咬合プレート25および上側軟質本体後部真空プラグ21aも示されており、これらは、上側軟質本体後部セクション2eに配置され、患者がその上側後部歯をその中に閉じたときにマウスピース1の後部真空流体密閉を可能にする。
【0159】
図2bは、
図1aの上面/背面図であり、軟質本体上部セクション2aの頬側上側ロール境界6および口蓋側ロール境界7、ならびにマウスピース1が口腔内に挿入されたときに前上歯の頬側および口蓋側の両方で上側治療キャビティ23内に治療材料を流入させるための上側軟質本体前部孔13aの実施形態が示されている。また、上部軟質本体後方真空プラグ21a、および、マウスピース1が口腔内に完全に挿入されている間に患者が口から呼吸することを可能にする軟質本体呼吸通路22の実施形態も示されている。
【0160】
図3aは、
図1aの軟質本体2の角度を付けた上面図であり、頬側上側ロール境界6および口蓋ロール境界7が示されており、これらは、真空力が上側治療キャビティ23に加えられると、容易に圧潰し、各患者の上顎歯肉隆起の特定の生体組織に適合し、マウスピース1の上部2a内に流体真空密閉を提供する。また、頬側上側ロール境界外側リップ6a、頬側上側ロール境界内側リップ6b、上側軟質本体前部孔13a、上側治療キャビティ床14、軟質本体真空管後部孔16、中央部分2bに埋め込まれ、上部23および下部24治療キャビティの上部床14および下部天井15との間に延在する右31および左32右咬合面レスト咬合レジスタ(図示せず)の硬質の右31eまたは左32e咬合面レスト咬合レジスタ真空ライン管のいずれかが挿入される軟質本体真空管17、および、上部軟質本体後方真空プラグ21aの実施形態も示されている。さらに、軟質本体延長リング19および軟質本体延長リング密閉リップ20の実施形態が示されている。
【0161】
図3bは、
図1aの軟質本体2の傾斜底面図であり、頬側下側ロール境界8および舌側下側ロール境界9の実施形態が示されており、これらは、真空力が下側治療キャビティ24に加えられると、容易に圧潰し、各患者の下顎歯肉隆起の特定の解剖学的形状に適合して、マウスピース1の下側部分2c内に流体真空密閉を提供する。また、頬側下側ロール境界外側リップ6a、頬側下側ロール境界内側リップ6b、下側軟質体前方孔13b、下側治療キャビティ床15、および、患者が下後方歯を閉じるとマウスピース1の後方真空流体密閉を可能にする、下側軟質体後方セクション2gに位置する下側軟質体後方真空プラグ21bの実施形態も示されている。さらに、軟質本体延長リング19および軟質本体延長リング密閉リップ20の実施形態が示されている。
【0162】
図4aは、
図1aの左後部の拡大上面図であり、頬側上部ロール境界6、口蓋ロール境界7、軟質本体真空管後部ボア孔16の実施形態が示されており、上部治療キャビティ23および下部治療キャビティ24の両方から流入した治療材料は、軟質本体真空管後部ポート17に流入することができる。また、上側軟質本体後部真空プラグ21aの実施形態も示されている。
【0163】
図4bは、
図1aのマウスピース1の背面図であり、舌側/口蓋側補強要素5、頬側上ロール境界6および頬側上ロール境界内側リップ6b、口蓋側上ロール境界7、頬側下ロール境界8および舌側下ロール境界9の実施形態が示されている。さらに、上側治療キャビティ23および下側治療キャビティ24、軟質本体呼吸通路22の実施形態、ならびに上側軟質本体後方真空プラグ21aおよび下側軟質本体後方真空プラグ21bが示されている。
【0164】
図5aは、マウスピースカプラ3の一実施形態の底面図であり、患者がマウスピース1の上部14および下部15の軟質本体床に自身の歯を閉じるときに軟質本体真空管全体の圧潰の可能性を低減し、カプラ3をマウスピース1の軟質本体2に固定するのを補助するように、硬質プラスチックまたは他の硬質材料から作製され、軟質体真空管17の前区画の中に挿入する、カプラ軟質体真空管3c、および、軟質体真空管17の後区画の中に挿入する、右31または左32咬合咬合レジスタ(図示せず)の右31eまたは左32e剛性咬合面レスト咬合レジスタ真空ライン管、カプラ軟質本体真空管孔3d、加熱モジュールユニット30に対するカプラ加熱モジュール真空管3bの流体密閉を達成するのに役立つカプラ加熱モジュール真空管Oリング3f、制御ユニットからの印加された真空力によってカプラ軟質本体真空管を通してカプラ真空管ポート3k内に吸引され、次いでカプラ加熱モジュール真空管3b内に吸引された使用済み治療材料を収集する、カプラ真空管リザーバ3jの実施形態が示される。さらに、加熱モジュールユニット30(
図8aおよび
図8bに示す)が固定されるカプラ3のカプラ加熱モジュールクリップホルダ31の実施形態が示されている。
【0165】
図5bは、
図5aのマウスピースカプラ3の斜視正面図であり、カプラ加熱モジュール真空管3b、カプラ加熱モジュール真空管孔3e、カプラ加熱モジュール真空管Oリング3f、カプラ磁石ハウジング3h、およびカプラ磁石28(
図7に示す)を収容するためのカプラ磁石孔3g、および、加熱モジュールユニット30をマウスピースカプラ3に挿入するためのカプラ加熱モジュールポート3mが示されている。さらに、マウスピースカプラ3が軟質本体2に取り付けられたときに軟質本体2の軟質本体呼吸通路22と整列するカプラ呼吸通路孔3nの実施形態が示されている。
【0166】
図5cは、
図5aのマウスピースカプラ3の背面図であり、加熱モジュールユニット30を把持するためのカプラ加熱モジュールレセプタクル3aと、カプラ軟質本体真空管3cと、カプラ軟質本体真空管孔3dと、カプラ呼吸通路孔3nと、カプラ磁石孔3gとが示されている。いくつかの実施形態では、真空管3cは、マウスピースカプラ3が軟質本体マウスピース2に接続されたときに、患者がマウスピースの軟質本体要素を噛むかまたはそれに大量の圧力を印加しても真空管の閉鎖を防止する強化構造を提供するのに充分な長さで設計することができる。いくつかの実施形態では、真空管3cは、軟質本体マウスピース2に機械的に接続し、必要に応じてそれに係止するように設計されてもよい。
【0167】
図6aは、軟質本体2の一実施形態の正面図であり、軟質本体呼吸通路22、カプラ軟質本体真空管3cを軟質本体2に挿入するための軟質本体真空管入口孔27、およびマウスピースカプラ3を軟質本体2に正確に位置決めして接続するための軟質本体指標凹部29の実施形態が示されている。
【0168】
図6bは、
図6aの軟質本体2の側面図であり、軟質本体上部セクション2a、軟質本体中間セクション2b、軟質本体下部セクション2c、軟質本体上部前方セクション2d、軟質本体上部後方セクション2e、軟質本体下部前方セクション2f、および軟質本体下部後方セクション2gが示されている。
【0169】
図7は、マウスピース1の構成要素の実施形態の分解側面図であり、軟質本体2、頬側補強要素4、および舌側補強要素5、マウスピースカプラ3、およびカプラ加熱モジュール真空管Oリング3fを収容するカプラ真空管Oリングノッチ3o、およびカプラ真空管リザーバ3jを流体密閉するカプラ真空管リザーバプラグ3iが示されている。さらに、右側咬合面レスト咬合レジスタ31、左側咬合面レスト咬合レジスタ32、上側咬合プレート25、および下側咬合プレート26が示されており、上記の全ては、上側歯および下側歯のそれぞれのための静止停止部を位置決めおよび作成するための硬化プラスチックまたは超高ショアゴム/エラストマー材料から構築され、加熱モジュールユニット30へのマウスピース1の適切な接続を電磁的に検証するカプラ磁石28が示される。いくつかの実施形態によると、頬側補強要素4、舌側/口蓋側補強要素5、および/または他の硬化要素は、軟質本体2に埋め込まれるか、または別様に組み込まれてもよい。
【0170】
図8aは、マウスピース1の実施形態の側面図であり、マウスピースはマウスピースカプラ3に結合され、加熱モジュールユニット(HMU)30に隣接して見られ、これは、マウスピースに流入する処理および/または洗浄材料を加熱し、制御ユニット処理カートリッジからマウスピースへの流入および制御ユニット廃棄物容器(図示せず)への真空ライン流出のための接続された管セットへの導管として作用するように設計されている。
【0171】
図8bはマウスピース1の実施形態の側面図であり、マウスピース軟質本体2はマウスピースカプラ3に結合され、HMU30に接続される。
【0172】
図9aは、本発明のいくつかの実施形態による右側31および左側32の咬合面レスト咬合レジスタ咬合面レスト部の一実施形態の正面図であり、上顎および下顎の歯の右側に垂直咬合面レスト部を確立するための右側咬合面レストレジスタ上部咬合プレート31aおよび下部咬合プレート31b、垂直支柱チャネル31dを伴う咬合咬合面レスト部31の垂直高さ非咬合を画定する右側咬合面レスト咬合レジスタ垂直支柱31c、右側咬合面レスト咬合レジスタ真空ライン管31e、および、マウスピース1の上部23および下部24治療キャビティの右側からの空気および流体の自由流動を可能にする真空ライン管管腔31fが示されている。さらに、左側咬合面レスト咬合レジスタ上部咬合プレート32aおよび下部咬合プレート32b、左側上顎歯および下顎歯のための垂直咬合面レストを確立するための左側咬合面レスト咬合レジスタ垂直支柱32c、垂直支柱チャネル32dを伴う咬合咬合面レスト部32の垂直高さ非咬合を画定する左側咬合面レスト咬合レジスタ垂直支柱32c、および左側咬合面レスト咬合レジスタ真空ライン管32e、および、マウスピース1の上部23および下部24治療キャビティの左側からの空気および流体の自由流動を可能にする真空ライン管腔32fが示されている。
【0173】
図9bは、本発明のいくつかの実施形態による右側31および左側32の咬合面レスト咬合レジスタの上面図であり、右側咬合面レスト咬合レジスタの上部咬合プレート31aおよび下部咬合プレート31b、垂直ストマットチャネル31d、真空ライン管腔31f、および垂直ストマットマーカ31gが示されている。さらに、左側咬合面レスト咬合レジスタ上部咬合プレート32aおよび下部咬合プレート32b、垂直ストマットチャネル32d、真空ライン管腔32f、および垂直ストマットマーカ32gが示されている。
【0174】
図9cは、本発明のいくつかの実施形態による右側31および左側32の咬合面レスト咬合レジスタの正面/底面図であり、右側咬合面レスト咬合レジスタの上部咬合プレート31aおよび下部咬合プレート31b、垂直ストマットチャネル31d、ならびに真空ライン管31eが示されている。さらに、左側咬合面レスト咬合レジスタ上部咬合プレート32aおよび下部咬合プレート32b、垂直ストマットチャネル32d、ならびに真空ライン管32eが示されている。
【0175】
図9dは、本発明のいくつかの実施形態による右側31および左側32の咬合面レスト咬合レジスタの底面図であり、右側咬合面レスト咬合レジスタの上部咬合プレート31aおよび下部咬合プレート31bならびに真空ライン管腔31fが示されている。さらに、左側咬合面レスト咬合レジスタ上部咬合プレート32aおよび下部咬合プレート32bならびに真空ライン管腔32fが示されている。
【0176】
図10aは、本発明のいくつかの実施形態による右側31および左側32の咬合面レスト咬合レジスタの側面図であり、右側咬合面レスト咬合レジスタの上部咬合プレート31aおよび下部咬合プレート31b、垂直ストマットチャネル31d、ならびに真空ライン管31leの真空ライン管内腔31fが示されている。さらに、左側咬合面レスト咬合レジスタ上部咬合プレート32aおよび下部咬合プレート32b、垂直ストマットチャネル32d、ならびに真空ライン管32eの真空ライン管腔32fが示される。
【0177】
図10bは、本発明のいくつかの実施形態による右側31および左側32の咬合面レスト咬合レジスタの背面図であり、右側垂直ストラット31cの右側垂直ストラットチャネル31dおよび右側垂直ストラット31cの右側垂直ストラットマーカ31gが示されている。さらに、左側垂直ストラット32cの左側垂直ストラットチャネル32dおよび左側垂直ストラット32cの左側垂直ストラットマーカ32gが示されている。
【0178】
図11aは、マウスピース1の軟質本体2の右側および左側の軟質本体真空管後方孔16および軟質本体真空管17に挿入された右側31および左側32の咬合面レスト咬合レジスタの一実施形態の上面図である。
【0179】
図11bは、マウスピース1の軟質本体2の右側および左側の軟質本体真空管後方ボア孔16および軟質本体真空管17にそれぞれ挿入された右側31および左側32の咬合面レスト咬合レジスタの一実施形態の底面図である
【0180】
図11cは、一実施形態の斜視側面図であり、マウスピース1の透視図の内側に挿入された右側31および左側32の咬合面レスト咬合レジスタを見ることができる。
【0181】
図13は、一実施形態の背面図であり、マウスピース1の透視図の内側に、挿入された右側31および左側32の咬合面レスト咬合レジスタを見ることができる。
【0182】
図11eは、一実施形態による、マウスピース1の透視図の内側に挿入された右側31および左側32の咬合面レスト咬合レジスタの底面図である。
【0183】
図12は、いくつかの実施形態による、本明細書に記載されるマウスピースおよび関連する構成要素を使用して歯肉治療を実施するプロセスの例を記載するフローチャートである。図から分かるように、本明細書では、いくつかの実施形態による歯科治療を実行するための方法が提供され、この方法は、以下の工程のうちの1つまたは複数を含み得る:工程1200において、1つまたは複数の歯科用カバー層を含むマウスピースを上側および/または下側の歯の上に配置する工程;工程1205において、真空を歯科用カバー層に印加する工程であって、周囲圧力を下回る圧力を有する治療キャビティが、それぞれ、上および/または下歯および/または周囲歯肉の周囲に形成され、それによって、歯肉隆起に対するカバー層の流体密閉を生成する、工程;工程1210において、1つまたは複数の治療材料を密閉された治療キャビティの中へ流す工程;工程1215において、必要に応じて空気と混合された水などの洗浄材料を高速でマウスピースに流し、次いで空気のみを流して歯および/または周囲の歯肉を乾燥させることによって、マウスピースおよび/または生体構造を治療材料で洗浄する工程;工程1220において、治療を継続するかどうかを検討する工程;治療セッションを継続する必要性がある場合(「Yes」)、工程1225において、必要に応じて同じまたは新しいおよび/または代替の治療材料を使用して、事前に計画されたおよび/または動的治療計画に従って、随意にn回、工程1210に戻ることによって、サイクルが繰り返される工程;治療セッションを継続する必要がない場合(「No」)、治療セッションが工程1230で終了する工程。
【0184】
いくつかの実施形態では、工程1205の後、システムは、真空状態を検証し、必要であれば真空圧力を修正し、および/または必要であれば実際の真空圧力に関連して治療プロトコルを修正してもよい。
【0185】
いくつかの実施形態では、システムは、治療を通して真空状態を連続的に検証してもよく、治療を通して適正な真空レベルを維持するように真空ポンプの出力を修正してもよい。
【0186】
いくつかの実施形態では、マウスピース内の真空レベルを適切なレベルに維持して、材料または洗浄液を流すときにマウスピースの流体密閉を確保することができない場合、システムは、マウスピース内への材料の流入を自動的に停止する。
【0187】
いくつかの実施形態では、工程905は、硬化した補強要素においてまたはそれに隣接して、マウスピースの軟質材料の完全性を維持し、治療キャビティ、ポケット、ゾーン、または領域が、選択された場所、例えば、選択された歯、歯肉、隆起等の周囲で損傷されないままであることを可能にするように設計される。さらに、工程1205は、マウスピースの軟質材料を選択的に圧潰するように設計され、圧潰された構成要素が口内の選択された位置、例えば、選択された歯、歯肉、隆起部、または歯肉隆起部の選択された部分の周りに流体密閉を提供することを可能にする。このようにして、治療材料が最適に暴露され、治療材料を希釈または妨害しないように唾液が進入することが実質的に防止される、選択された治療領域を作り出すことによって、治療が最適化されてもよい。さらに、治療材料が暴露されることを防止する安全ゾーンを作成することによって治療が最適化されてもよく、それによって、これらの安全ゾーンにおける歯肉、歯等の安全性を向上させる。
【0188】
いくつかの実施形態では、工程1210において、新しいまたは代替の治療材料をマウスピースに流して、最適な量の活性治療材料を提供することができる。
【0189】
いくつかの実施形態では、工程1215において、洗浄材料は、水-空気混合物、または代替材料、液体、ゲル等を含んでもよく、必要に応じて、高速流、高温、および/または治療材料の望ましくない残留物を機械的および/もしくは化学的に除去するための他の手段を使用して、マウスピース、存在する場合は歯肉ガード、および/または標的歯もしくは組織上に残された残留治療材料の除去を可能にする。
【0190】
いくつかの実施形態では、工程1215において、洗浄材料の流動に続いて、マウスピースの中へ空気を流動してもよく、マウスピース、存在する場合は歯肉ガード、および/または標的歯もしくは組織の乾燥を可能にし、例えば、治療材料への暴露を損い得る任意の被覆層を除去することによって、追加の治療サイクルのための標的表面を準備する。
【0191】
いくつかの実施形態によれば、1つまたは複数のサイクルの実行は、事前設定された治療プロトコルによって定義される、完全に自動化されたプロセスであってもよい。他の実施形態では、1つまたは複数のサイクルの実行は、治療プロトコルによって定義される半自動プロセスであってもよい。他の実施形態では、1つまたは複数のサイクルの実行は、治療プロトコルによって定義される手動プロセスであってもよい。さらなる実施形態では、治療サイクル変更および修正は、サイクルおよび/または治療セッション中に適用されてもよい。例えば、必要性がある場合、セッションまたはサイクルは、一時停止または停止されることができ、その場合、システムは、指示されると、セッションを停止および/または再較正、リセット、点検、継続しうる。
【0192】
いくつかの実施形態では、工程1215および/または1230の後、治療および/または洗浄廃棄物は、廃棄物ユニット内に貯蔵されてもよい、および/または、必要に応じて治療サイクルの終了時および/または治療セッションの終了時に直接システムから排出されてもよい。
【0193】
図13は、いくつかの実施形態による、本明細書で説明されるようなマウスピースおよび関連構成要素を使用して、歯のホワイトニング治療を実施するプロセスの実施例を記載する、フローチャートである。図から分かるように、本明細書では、いくつかの実施形態による歯科治療を実行するための方法が提供され、この方法は、以下の工程のうちの1つまたは複数を含み得る:工程1300において、歯の萌出部分を露出させながら周囲の歯肉を保護したままにするために、歯肉ガードが選択された歯の上に配置される;工程1305において、1つまたは複数の歯科用カバー層を含むマウスピースを上側および/または下側の歯の上に位置決めする工程;工程1310において、真空を歯科用カバー層に印加する工程であって、周囲圧力を下回る圧力を有する治療キャビティが、歯および/または周囲歯肉の周囲に形成され、それによって、流体密閉を生成する工程;工程1315において、1つまたは複数の治療材料を密閉治療キャビティの中へ流す工程;工程1320において、水および/または空気と混合された水等の洗浄材料を流し、次いで、必要に応じて高速で空気のみをマウスピースの中に流すことによって、マウスピースおよび/または治療材料の生体組織を洗浄する工程;工程1325において、治療を継続するかどうかを検討する工程;治療セッションを継続する必要性がある場合(「Yes」)、工程1330において、必要に応じて同じまたは新しいおよび/または代替の治療材料を使用して、事前に計画されたおよび/または動的治療計画に従って、随意にn回、工程1315に戻ることによって、サイクルが繰り返される工程;治療セッションを継続する必要がない場合(「No」)、治療セッションが工程1335で終了する工程。
【0194】
図14aは、いくつかの実施形態による、半内蔵された内骨格頬側補強要素が描かれたマウスピース1の正面図である。
【0195】
図14bは、いくつかの実施形態による、半内蔵された内骨格舌側補強要素が描かれたマウスピース1の上面図である。
【0196】
図14cは、いくつかの実施形態による、内骨格補強要素の上面図である。図から分かるように、補強要素4、5、25および26は、マウスピース1の軟質本体2(図示せず)をオーバーモールドする準備ができている一体部品として互いに接続される。また、マウスピースカプラは示されていないが、これは、別個の部品であってもよい、またはオーバーモールドの準備ができている単一の剛性構造を形成するために、上記で示された内骨格部品に接続されてもよい。
【0197】
いくつかの実施形態では、圧力センサをポンプ機構に組み込んで、治療全体を通してマウスピース装置内部の内圧を監視することができる。一実施例では、マウスピースの内側の圧力の増加は、真空密閉の完全性の劣化を意味し、治療材料がマウスピースから出て患者の口の中へ漏出するか、あるいは唾液がマウスピースの中へ進入することを可能にする潜在的リスクを増加させる。いずれの可能性も望ましくない。
【0198】
化学活性治療材料、例えば、ホワイトニング剤は、例えば、その酸化/ホワイトニング反応中に酸素を放出し得る。ゲルからの遊離酸素のこの放出は、マウスピースデバイスの内側の内圧を増加させ得る。いくつかの実施形態では、内圧(圧力センサおよびマイクロプロセッサによって監視される)が臨界的に高い値に到達する場合、咬合面レスト咬合レジスタが、マウスピースの軟質本体に印加される咬合力にもかかわらず、真空ラインの完全性を実質的に維持しながら、患者は、マウスピースにより強く咬合するように指示されてもよい。それによって、システムは、マウスピース内に収容された治療材料の排出を自動的に開始し、歯をすすぐために水を送り込むか、あるいは新しい治療材料を送り込むかのいずれかを可能にする。あるいは、マウスピース内に存在する過剰活性治療材料を新鮮な治療材料で除去することは、マウスピース内の内圧を減少させるのに役立ち、したがって歯をすすぐ必要なく治療を継続することを可能にし得る。
【0199】
システムの上述の特徴は、マウスピース装置を患者から取り外す際に、マウスピース装置自体および治療される歯のエナメル質表面の両方に使用済みの治療材料がほとんど残らないように、治療材料およびマウスピース装置からの容易かつ迅速な除去を可能にする。これは、患者の口から任意の部分的または完全に消費された治療材料を除去するオペレータの作業を単純化する。いくつかの実装形態では、使用済み治療材料の制御された除去は、設定された期間の終了時に制御ユニットによって自動化されてもよく、または処理中の任意の時点で材料の除去/吸引を起動するボタンをオペレータが押すことによって手動で開始されてもよい。
【0200】
より重要なことには、各材料適用の間の洗浄/乾燥サイクルによって区切られる波またはパルスで材料を適用することは、材料の以前に適用された波またはパルスが実質的に除去され、新しい新鮮な材料と交換されることを可能にする。この適用および除去方法を使用して、歯および/または周囲の歯肉の表面への、利用可能な様々な治療材料の全容積の表面接触および露出を最大にすることが可能である。
【0201】
いくつかの実施形態では、オペレータおよび患者がホワイトニングに満足するか、または他の治療結果が達成されるまで、新しい治療材料の(マウスピースを充填するために必要とされるゲルの容積の)複数の適用が、適用および除去されてもよい。もちろん、上記の工程の任意の組合せを実施することができる。さらに、他の工程または一連の工程が使用されてもよい。
【0202】
本発明のそれぞれの実施形態において、上述の設計要素は、前歯および後歯の両方の歯列弓または複数の歯列弓の迅速、強力、かつ制御されたホワイトニング、ならびに前歯および後歯の両方の外側(頬側)、内側(舌側)および咬合側(上部/咬合側)の表面の両方のホワイトニングを可能にする。これらの実施形態はさらに、歯に適用される様々な濃度のホワイトニング剤の苛性効果から患者の軟組織を効果的に保護することを可能にし、同時に随意に、治療を通して患者の安全性、進行、および/または快適性をリアルタイムで維持および監視する。
【0203】
説明を簡潔かつ明確にするために、図面に示される要素は必ずしも縮尺通りに描かれていないことが理解されるであろう。例えば、構成要素のうちのいくつかの寸法は、明確にするために、他の要素に対して誇張され得る。さらに、適切であると考えられる場合、図面間で参照番号を繰り返して、連続図全体にわたって対応するまたは類似の構成要素を示すことができる。
【0204】
本発明による装置および方法の原理および動作は、図面および以下の説明を参照してよりよく理解され得、これらの図面は、例示目的でのみ与えられ、限定することを意図しないことが理解される。
【0205】
本発明の実施形態の前述の説明は、例示および説明の目的で提示されている。網羅的であること、または本発明を開示された厳密な形態に限定することを意図するものではない。上記の教示に照らして、多くの修正、変形、置換、変更、および均等物が可能であることを当業者は諒解されたい。したがって、添付の特許請求の範囲は、本発明の真の精神内に入るすべてのそのような修正および変更を包含することを意図していないことを理解されたい。
【国際調査報告】