(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-07
(54)【発明の名称】光学管状スリーブのための洗浄機構
(51)【国際特許分類】
B08B 9/023 20060101AFI20230131BHJP
C02F 1/32 20230101ALI20230131BHJP
B08B 1/02 20060101ALI20230131BHJP
【FI】
B08B9/023
C02F1/32
B08B1/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022533417
(86)(22)【出願日】2020-12-07
(85)【翻訳文提出日】2022-07-22
(86)【国際出願番号】 GB2020053137
(87)【国際公開番号】W WO2021111153
(87)【国際公開日】2021-06-10
(32)【優先日】2019-12-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522220957
【氏名又は名称】エイティージー アールアンドディー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】ATG R&D LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100205833
【氏名又は名称】宮谷 昂佑
(72)【発明者】
【氏名】リチャード ジョッシ
(72)【発明者】
【氏名】ジョージ フォスター
(72)【発明者】
【氏名】トーマス クロックスソン
【テーマコード(参考)】
3B116
4D037
【Fターム(参考)】
3B116AA12
3B116AB13
3B116BA03
3B116BA23
3B116BB01
3B116BC01
3B116CD42
3B116CD43
4D037AA01
4D037AB03
4D037BA18
4D037BB02
(57)【要約】
管状部材の外面を横断するように構成されるスクレーパ組立体が開示される。スクレーパ組立体は、スクレーパ組立体を駆動して管状部材の外面を横断させるように構築及び配置されるケーシングと、ケーシングに固定される一次リングと、を含み、一次リングは、管状部材の外面に向かって内方に延びる、半剛性材料で形成される複数の突出部を有する。また、スクレーパ組立体を含む水処理システムが開示される。また、スクレーパ組立体を提供するステップを含む、水処理システムを改造する方法が開示される。また、石英スリーブの外面から有機材料ファウリングを除去する方法が開示される。本方法は、スクレーパ組立体を方向付けて、石英スリーブの外面を横断させるステップを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
管状部材の外面を横断するように構成されるスクレーパ組立体であって、前記スクレーパ組立体は、
前記スクレーパ組立体を駆動して前記管状部材の前記外面を横断させるように構築及び配置されるケーシングと、
前記ケーシングに固定される一次リングと、を備え、
前記一次リングは、前記管状部材の前記外面に向かって内方に延びる、半剛性材料で形成される複数の突出部を有し、
前記複数の突出部は、
前記複数の突出部が延長構成にあるときに、前記管状部材の外径よりも小さい前記一次リングの内径を画定するように選択される長さと、
前記複数の突出部が傾斜構成にあるときに、前記複数の突出部と前記管状部材の前記外面との間に約15°~約75°で形成される接触角を画定するように選択される長さと、を有する、スクレーパ組立体。
【請求項2】
前記一次リングから円周方向にオフセットした複数の突出部を有する、前記ケーシングに固定される補助リングをさらに備える、請求項1に記載のスクレーパ組立体。
【請求項3】
前記一次リングと前記補助リングとの間に位置決めされる、前記ケーシングに固定されるスペーサをさらに備える、請求項2に記載のスクレーパ組立体。
【請求項4】
前記管状部材の前記外径よりも小さい内径を有する、前記ケーシングに固定される可撓性リングをさらに備える、請求項1に記載のスクレーパ組立体。
【請求項5】
平行に配置される複数の管状部材の前記外面を横断するように構成されるスクレーパ組立体であって、
前記スクレーパ組立体は、一次リングのアレイを備え、
前記一次リングのアレイからの各一次リングは、対応する管状部材の前記外面を横断するように位置決めされる、請求項1に記載のスクレーパ組立体。
【請求項6】
前記半剛性材料は、約215MPa~290MPaの降伏強度と、約505MPa~620MPaの引張強度を有する、請求項1に記載のスクレーパ組立体。
【請求項7】
前記複数の突出部の前記長さは、前記半剛性材料の前記降伏強度及び前記引張強度に基づいて前記接触角を画定するように選択される、請求項6に記載のスクレーパ組立体。
【請求項8】
前記複数の突出部は、各々、約0.1mm~約2.0mmの厚さを有し、
前記複数の突出部の前記厚さは、前記半剛性材料の前記降伏強度及び前記引張強度に基づいて選択される、請求項6に記載のスクレーパ組立体。
【請求項9】
前記複数の突出部の各々は、約4°~約30°の前記一次リングの円弧長を構成する、請求項1に記載のスクレーパ組立体。
【請求項10】
前記複数の突出部の内面は、前記一次リングの対応する外径よりも小さい曲率半径を有する、請求項1に記載のスクレーパ組立体。
【請求項11】
入口及び出口を有する容器と、
前記容器内に位置決めされ、石英スリーブに収容される紫外光を含む少なくとも1つの光源組立体と、
前記少なくとも1つの光源組立体の外面を横断するように構成されるスクレーパ組立体と、を備える水処理システムであって、
前記スクレーパ組立体は、
前記スクレーパ組立体を駆動して前記少なくとも1つの光源組立体の前記外面を横断させるように構築及び配置されるケーシングと、
前記ケーシングに固定される少なくとも1つのリングと、を備え、
各リングは、対応する光源組立体の前記外面を横断するように位置決めされ、
各リングは、前記対応する光源組立体の前記外面に向かって内方に延びる、半剛性材料で形成される複数の突出部を有し、
前記複数の突出部は、
前記複数の突出部が延長構成にあるときに、管状部材の外径よりも小さい前記リングの内径を画定するように選択される長さと、
前記複数の突出部が傾斜構成にあるときに、前記複数の突出部と前記対応する光源組立体の前記外面との間に約15°~約75°で形成される接触角を画定するように選択される長さと、を有する、システム。
【請求項12】
前記水処理システムを通る紫外光強度を監視するように位置決めされる紫外光センサをさらに備える、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記紫外光センサ及び前記スクレーパ組立体に動作可能に接続される制御部をさらに備えるシステムであって、
前記制御部は、前記スクレーパ組立体を動作させて、監視された前記紫外光強度が閾値未満であることに応答して、前記少なくとも1つの光源組立体の前記外面を横断させるように構成される、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記スクレーパ組立体に動作可能に接続される制御部をさらに備えるシステムであって、
前記制御部は、前記スクレーパ組立体を動作させて、手動作動に応答して又は所定のスケジュールで定期的に、前記少なくとも1つの光源組立体の前記外面を横断させるように構成される、請求項11に記載のシステム。
【請求項15】
前記半剛性材料は、前記石英スリーブ及び処理される水の成分に対して実質的に不活性であるように選択される、請求項11に記載のシステム。
【請求項16】
前記容器に流体的に接続される化学洗浄剤の供給源をさらに備える、請求項11に記載のシステム。
【請求項17】
石英スリーブに収容される紫外光を含む少なくとも1つの光源組立体を含む水処理システムを改造する方法であって、前記方法は、
前記少なくとも1つの光源組立体の外面を横断するように構成されるスクレーパ組立体を提供するステップと、
ケーシングによって前記スクレーパ組立体を設置する指示を与えて、前記スクレーパ組立体を駆動して前記少なくとも1つの光源組立体の前記外面を横断させるステップと、を含み、
前記スクレーパ組立体は、
前記スクレーパ組立体を駆動して前記少なくとも1つの光源組立体の前記外面を横断させるように構築及び配置される前記ケーシングと、
前記ケーシングに固定される少なくとも1つのリングと、を備え、
各リングは、対応する光源組立体の前記外面を横断するように位置決めされ、
各リングは、前記対応する光源組立体の前記外面に向かって内方に延びる、半剛性材料で形成される複数の突出部を有し、
前記複数の突出部は、
記複数の突出部が延長構成にあるときに、管状部材の外径よりも小さい前記リングの内径を画定するように選択される長さと、
前記複数の突出部が傾斜構成にあるときに、前記複数の突出部と前記対応する光源組立体の前記外面との間に約15°~約75°で形成される接触角を画定するように選択される長さと、を有する、方法。
【請求項18】
前記水処理システムは、前記ケーシングによって前記スクレーパ組立体を案内して、前記少なくとも1つの光源組立体の前記外面を横断させるように構築及び配置される軌道を含み、
前記方法は、前記軌道と適合する前記スクレーパ組立体を提供するステップをさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
軌道を設置する指示を与えて、前記ケーシングによって前記スクレーパ組立体を案内して、前記少なくとも1つの光源組立体の前記外面を横断させるステップをさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
水処理システム内に位置決めされる石英スリーブの外面から有機材料ファウリングを除去する方法であって、
前記水処理システムは、前記石英スリーブに収容される紫外光と、前記石英スリーブの前記外面を横断するように構成されるスクレーパ組立体と、を備え、
前記スクレーパ組立体は、
前記スクレーパ組立体を駆動して、前記石英スリーブの前記外面を横断させるように構築及び配置されるケーシングと、
前記ケーシングに固定されるリングと、を備え、
前記リングは、前記石英スリーブの前記外面に向かって内方に延びる、半剛性材料で形成される複数の突出部を有し、
前記方法は、
前記スクレーパ組立体を方向付けて、前記石英スリーブの前記外面を第1の方向に横断させて前記石英スリーブの前記外面から前記有機材料ファウリングの少なくとも80%を擦り取るステップを含む、方法。
【請求項21】
前記スクレーパ組立体を定期的に方向付けて、前記石英スリーブの前記外面を所定のスケジュールで横断させるステップを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記所定のスケジュールは、12時間以上毎である、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記水処理システムを通る紫外光強度を監視するステップと、
前記紫外光強度が閾値未満であるに応答して、前記スクレーパ組立体を方向付けて、前記石英スリーブの前記外面を横断させるステップと、をさらに含む、請求項20に記載の方法。
【請求項24】
前記スクレーパ組立体を方向付けて前記石英スリーブの前記外面を横断させるステップの前に又は同時に、化学洗浄プロセスを適用するステップをさらに含む、請求項20に記載の方法。
【請求項25】
前記有機材料ファウリングが、硬化した堆積物、沈殿物、油、グリース及び微生物ファウリングのうちの1つ以上を含む、請求項20に記載の方法。
【請求項26】
前記有機材料ファウリングの量及び/又は組成は、ゴムスクレーパで実質的に除去することができない、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記スクレーパ組立体又は前記リングを交換する前に、前記水処理システムを少なくとも約6ヶ月間実質的に連続的に動作させるステップを含む、請求項20に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、米国特許法第119条(e)に基づき、米国仮特許出願(出願番号第62/7944,665号、出願日2019年12月6日、発明の名称「Cleaning Mechanism for Optical Tubular Sleeves」)に対する優先権を主張し、その全体が全ての目的のために参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
(技術分野)
本明細書に開示される態様及び実施形態は、一般に、光学処理システムに関し、より具体的には、光学処理システムのための洗浄組立体及び方法に関する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
一態様によれば、管状部材の外面を横断するように構成されるスクレーパ組立体が提供される。スクレーパ組立体は、スクレーパ組立体を駆動して管状部材の外面を横断させるように構築及び配置されるケーシングを備えることができる。スクレーパ組立体は、ケーシングに固定される一次リングを備えることができる。一次リングは、管状部材の外面に向かって内方に延びる、半剛性材料で形成される複数の突出部を有することができる。複数の突出部は、複数の突出部が延長構成にあるときに、管状部材の外径よりも小さい一次リングの内径を画定するように選択される長さを有することができる。複数の突出部は、複数の突出部が傾斜構成にあるときに、複数の突出部と管状部材の外面との間に約15°~約75°で形成される接触角を画定するように選択される長さを有することができる。
【0004】
いくつかの実施形態では、スクレーパ組立体は、一次リングから円周方向にオフセットした複数の突出部を有する、ケーシングに固定される補助リングを備えることができる。
【0005】
スクレーパ組立体は、一次リングと補助リングとの間に位置決めされる、ケーシングに固定されるスペーサを備えることができる。
【0006】
スクレーパ組立体は、管状部材の外径よりも小さい内径を有する、ケーシングに固定される可撓性リングを備えることができる。
【0007】
スクレーパ組立体は、平行に配置される複数の管状部材の外面を横断するように構成することができる。スクレーパ組立体は、一次リングのアレイを備えることができる。一次リングのアレイからの各一次リングは、対応する管状部材の外面を横断するように位置決めすることができる。
【0008】
いくつかの実施形態では、半剛性材料は、約215MPa~290MPaの降伏強度を有することができる。
【0009】
いくつかの実施形態では、半剛性材料は、約505MPa~620MPaの引張強度を有することができる。
【0010】
複数の突出部の長さは、半剛性材料の降伏強度及び引張強度に基づいて接触角を画定するように選択することができる。
【0011】
複数の突出部は、各々、約0.1mm~約2.0mmの厚さを有することができる。複数の突出部の厚さは、半剛性材料の降伏強度及び引張強度に基づいて選択することができる。
【0012】
いくつかの実施形態では、複数の突出部の各々は、約4°~約30°の一次リングの円弧長を構成することができる。
【0013】
いくつかの実施形態では、複数の突出部の内面は、一次リングの対応する外径よりも小さい曲率半径を有する。
【0014】
別の態様によれば、入口及び出口を有する容器と、容器内に位置決めされ、石英スリーブに収容される紫外光を含む少なくとも1つの光源組立体と、少なくとも1つの光源組立体の外面を横断するように構成されるスクレーパ組立体と、を備える水処理システムが提供される。スクレーパ組立体は、スクレーパ組立体を駆動して少なくとも1つの光源組立体の外面を横断させるように構築及び配置されるケーシングを備えることができる。スクレーパ組立体は、ケーシングに固定される少なくとも1つのリングを備えることができ、各リングは、対応する光源組立体の外面を横断するように位置決めされ、各リングは、対応する光源組立体の外面に向かって内方に延びる、半剛性材料で形成される複数の突出部を有し、複数の突出部は、複数の突出部が延長構成にあるときに、管状部材の外径よりも小さいリングの内径を画定するように選択される長さを有し、複数の突出部が傾斜構成にあるときに、複数の突出部と対応する光源組立体の外面との間に約15°~約75°で形成される接触角を画定するように選択される長さを有する。
【0015】
システムは、水処理システムを通る紫外光強度を監視するように位置決めされる紫外光センサをさらに備えることができる。
【0016】
システムは、紫外光センサ及びスクレーパ組立体に動作可能に接続される制御部をさらに備えることができる。制御部は、監視された紫外光強度が閾値未満であることに応答して、スクレーパ組立体を動作させて、少なくとも1つの光源組立体の外面を横断させるように構成することができる。
【0017】
システムは、スクレーパ組立体に動作可能に接続される制御部を備えることができる。制御部は、スクレーパ組立体を動作させて、手動作動に応答して又は所定のスケジュールで定期的に、少なくとも1つの光源組立体の外面を横断させるように構成することができる。
【0018】
いくつかの実施形態では、半剛性材料は、石英スリーブ及び処理される水の成分に対して実質的に不活性であるように選択することができる。
【0019】
いくつかの実施形態では、システムは、容器に流体接続される化学洗浄剤の供給源をさらに備えることができる。
【0020】
別の態様によれば、水処理システムを改造する方法が提供される。水処理システムは、石英スリーブに収容される紫外光を含む少なくとも1つの光源組立体を含むことができる。本方法は、少なくとも1つの光源組立体の外面を横断するように構成されるスクレーパ組立体を提供するステップを含むことができる。スクレーパ組立体は、スクレーパ組立体を駆動して少なくとも1つの光源組立体の外面を横断させるように構築及び配置されるケーシングと、ケーシングに固定される少なくとも1つのリングと、を備えることができる。各リングは、対応する光源組立体の外面に向かって内方に延びる、半剛性材料で形成される複数の突出部を有することができる。複数の突出部は、複数の突出部が延長構成にあるときに、管状部材の外径よりも小さいリングの内径を画定するように選択される長さを有することができる。複数の突出部は、複数の突出部が傾斜構成にあるときに、複数の突出部と対応する光源組立体の外面との間に約15°~約75°で形成される接触角を画定するように選択される長さを有することができる。本方法は、ケーシングによってスクレーパ組立体を設置する指示を与えて、スクレーパ組立体を駆動して少なくとも1つの光源組立体の外面を横断させるステップを含むことができる。
【0021】
いくつかの実施形態では、水処理システムは、ケーシングによってスクレーパ組立体を案内して、少なくとも1つの光源組立体の外面を横断させるように構築及び配置される軌道を含む。本方法は、軌道と適合するスクレーパ組立体を提供するステップを含むことができる。
【0022】
いくつかの実施形態では、本方法は、軌道を設置する指示を与えて、ケーシングによってスクレーパ組立体を案内して、少なくとも1つの光源組立体の外面を横断させるステップを含むことができる。
【0023】
さらに別の態様によれば、水処理システム内に位置決めされる石英スリーブの外面から有機材料ファウリングを除去する方法が提供され、水処理システムは、石英スリーブに収容される紫外光と、石英スリーブの外面を横断するように構成されるスクレーパ組立体と、を備える。スクレーパ組立体は、スクレーパ組立体を駆動して石英スリーブの外面を横断させるように構築及び配置されるケーシングと、ケーシングに固定されるリングと、を備え、リングは、石英スリーブの外面に向かって内方に延びる、半剛性材料で形成される複数の突出部を有することができる。本方法は、スクレーパ組立体を方向付けて、石英スリーブの外面を第1の方向に横断させて石英スリーブの外面から有機材料ファウリングの少なくとも80%を擦り取るステップを含むことができる。
【0024】
いくつかの実施形態では、本方法は、スクレーパ組立体を周期的に方向付けて、石英スリーブの外面を所定のスケジュールで横断させるステップを含むことができる。
【0025】
所定のスケジュールは、12時間以上毎とすることができる。
【0026】
いくつかの実施形態では、本方法は、水処理システムを通る紫外光強度を監視するステップと、紫外光強度が閾値未満であることに応答して、スクレーパ組立体を方向付けて、石英スリーブの外面を横断させるステップと、をさらに含むことができる。
【0027】
本方法は、スクレーパ組立体を方向付けて石英スリーブの外面を横断させるステップの前に又は同時に、化学洗浄プロセスを適用するステップをさらに含むことができる。
【0028】
いくつかの実施形態では、有機材料ファウリングは、硬化した堆積物、沈殿物、油、グリース及び微生物ファウリングのうちの1つ以上を含むことがある。
【0029】
いくつかの実施形態では、有機材料ファウリングの量及び/又は組成は、ゴムスクレーパで実質的に除去することができない。
【0030】
本方法は、スクレーパ組立体又はリングを交換する前に、水処理システムを少なくとも約6ヶ月間実質的に連続的に動作させるステップを含むことができる。
【0031】
本開示は、前述の態様及び/又は実施形態のうちの任意の1つ以上の組み合わせ、並びに詳細な説明及び任意の実施例に記載される実施形態のうちの任意の1つ以上の組み合わせを全て企図する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】一実施形態による、管状部材の一部分上に展開されたリングの概略図である。
【
図3A】一実施形態による、管状部材上に展開されたリングの断面図の概略図である。
【
図4】一実施形態による、管状部材の一部分上に延長形態で示すスクレーパ組立体の概略図である。
【
図5A】一実施形態による、
図4に示す例示的なスクレーパ組立体の写真である。
【
図5B】一実施形態による、
図4に示す例示的なスクレーパ組立体の代替写真である。
【
図6A】一実施形態による、スクレーパ組立体の概略図である。
【
図6B】一実施形態による、
図6Aに示す例示的なスクレーパ組立体の切取図である。
【
図6C】一実施形態による、
図6Aに示す例示的なスクレーパ組立体の上に適合するように構成されたリングの概略図である。
【
図6D】一実施形態による、
図6Aに示す例示的なスクレーパ組立体の上に適合するように構成された可撓性リングの概略図である。
【
図7】一実施形態による、複数の管状部材を横断するように構成されたスクレーパ組立体の概略図である。
【
図8A】一実施形態による、リングの概略図である。
【
図8B】一実施形態による、リングの概略図である。
【
図8C】一実施形態による、リングの概略図である。
【
図9A】一実施形態による、管状部材上に展開された例示的なリングの写真である。
【
図9B】一実施形態による、管状部材上に展開された例示的なリングの写真である。
【
図10】一実施形態による、水処理のための例示的なシステムのボックス図である。
【
図11】一実施形態による、水処理のための例示的なシステムのボックス図である。
【
図12】一実施形態による、先細装置上の例示的なリングの写真である。
【
図13】突出部長さの関数としての接触角のグラフである。
【
図14】一実施形態による、例示的なリングのためのレーザ切断設計である。
【
図15】一実施形態による、試験リグの写真である。
【
図16A】一実施形態による、サンプルファウラントを除去する前の試験石英スリーブの写真である。
【
図16B】一実施形態による、サンプルファウラントを除去した後の試験石英スリーブの写真である。
【
図17】一実施形態による、サンプルリング設計の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
添付の図面は、縮尺通りに描かれることを意図していない。図面において、様々な図に示す各同一又はほぼ同一の構成要素を同様の符号で表している。明確にするために、全ての構成要素が全ての図面においてラベル付けされているわけではない。
【0034】
浄化システムにおいて紫外(UV)光を使用して、水又は空気等の流体中の細菌を死滅させ又は滅菌し、汚染物質を分解することができる。例えば、紫外線放射は、水中の特定の汚染物質を二酸化炭素及び水に変換することができる。別の例として、紫外線放射は、ハロゲン化化合物をハロゲン化酸に変換することができる。
【0035】
また、光合成反応に紫外光を使用して、化学反応を開始させ、引き起こして化合物を生成することができる。紫外光開始反応は、気相又は液相で起こり得る。一般に、流体は、実行線量の紫外光放射、すなわち所定の最小強度で所定の最小露光時間露光されなければならない。特定のプロセスに対する線量(最小強度及び露光時間)は、日常的な実験及び分析によって決定することができる。特定のプロセスに対する線量は、標的汚染物質の処理、例えば、流体中の標的微生物の滅菌の目標割合(例えば、90%超、95%超、99%超又は99.99%超)に基づいて選択することができる。一般的な相関関係として、所与の浄化又は反応目的物に対して、より大きな強度の紫外光放射をより短い露光時間適用することができる。
【0036】
紫外線ランプは、石英のようなUV透明材料の中空導管から形成される。中空導管は、両端をシールすることができ、電気接続部がシールを通って導管内に延在している。導管は、十分な電流で励起されたときに紫外光を発生させることが知られているガスで満たすことができる。紫外光は、電流が中空導管内のガスを通過するときに発生する。
【0037】
水等の液体に浸すように構成される紫外線ランプは、一般的には、紫外線透明材料の二次管に収容される。管に適した紫外線透明材料の例は石英である。石英は、紫外線及び可視光の両方に対して透明であり、ガラスに類似したいくつかの物理的特性を有し得る。UV透明材料ハウジングは、液密シールを有することができる。ハウジングは、ランプ及びランプの電気接続部から水を遠ざけるように位置決め及び構成することができる。
【0038】
水処理のためのシステムは、紫外線放射源で処理される流体を保持又は循環させるためのタンク又は他の容器を含むことができる。保護管に収容される紫外線ランプは、一般的には、反応容器内の流体が十分な線量の紫外線放射に露光されるように、容器内に位置決めされる。特定のシステムは、1つ以上の保護管に収容される複数の紫外線ランプを含むことができる。複数のランプは、より高い線量の紫外線放射を提供することができる。この構成をさらに採用して、システム内の紫外線ランプの交換を容易にすることができる。特に、複数のランプを有する処理システムについては、他のランプを中断することなく1つのランプを隔離及び/又は交換することができる。
【0039】
紫外線管状部材が直面する課題の1つは、ファウリング及びスケールの蓄積物(本明細書ではしばしば「ファウリング」と称する)である。汚染は、管状ハウジングの外面上に有機及び/又は無機材料が積み重なることによって生じる。特に水処理システムにおいては、汚染物への曝露が増えると汚染物及びスケールが蓄積する傾向がある。ファウリングは、水化学(例えば、有機及び無機化合物の濃度、pHレベル、酸化還元電位)、流体の水力学(例えば、速度、剪断、渦)、及び温度(例えば、UV照明による熱)によって影響を受けることがある。紫外光組立体の外面上にファウリング及びスケールが蓄積すると、積み重なったものがランプによって生成される紫外光をますます遮断し、時間の経過とともに紫外光処理の強度と効率を低下させる。ファウリング及びスケールを軽減又は除去するために、紫外光組立体の外装管状ハウジングを機械的及び/又は化学的に洗浄し得る。
【0040】
本明細書に開示されるシステム及び方法は、外装管状ハウジングの機械的洗浄のために採用することができる。特定の実施形態では、本明細書に開示される機械的システム及び方法と化学薬剤を組み合わせて使用することができる。
【0041】
紫外光組立体が直面する別の課題は、機械的洗浄のために水処理システム内にアクセスできないことである。例えば、処理容器を少なくとも部分的に分解しなければ、紫外光組立体にアクセスできないことがある。複数の紫外光組立体を有するシステム内の単一の紫外光組立体へのアクセスは、より困難な場合がある。このため、紫外光組立体の性能を維持するための洗浄プロセスは、時間と費用がかかり、水処理システムを停止する時間が必要な場合がある。
【0042】
従来のシステムは、一般に軟質ゴム材料で形成された、紫外光管の外面を横断しながらファウル及びスケールを拭き取るように構成されたワイパー器を採用していた。しかし、従来の器具は、特定の汚染物質を除去するのに有効ではない。例えば、従来のゴム器具は、ある程度の有機ファウリングを除去することができるが、汚れた残留物を残す傾向がある。さらに、従来のゴム器具は、特定の無機ファウラントに対して効果がない。その結果、従来のゴム器具を備えたシステムは、紫外光組立体を頻繁に交換する必要があり得る。前述したように、UV光組立体の交換は、システムを停止する時間が必要な場合がある。
【0043】
このため、紫外光処理システムの紫外光組立体を洗浄するための有効な器具及び方法が長年にわたって必要とされてきた。本明細書に開示されるシステム及び方法は、紫外光組立体の外面から有機及び無機ファウラントを除去するのにより有効であり、紫外光を交換する頻度がより少ない。いくつかの実施形態では、有機及び無機ファウラントは、硬化した堆積物、沈殿物、油、グリース及び微生物ファウリングのうちの1つ以上を含むことがある。本明細書に開示されるシステム及び方法によって除去可能な有機又は無機材料ファウラントの量及び/又は組成は、従来のゴムスクレーパでは実質的に除去できない量である。
【0044】
本明細書では、耐久性が向上し、単純な材料で形成され、改善した洗浄性能を示す改善されたスクレーパ組立体を記載している。本明細書に開示されるスクレーパ組立体は、一般に、従来の設計よりも多種多様な汚染物質の除去に使用するのに適している。例えば、本明細書に開示されるスクレーパ組立体は、従来の設計よりも石英管のファウリングを効果的に低減し、紫外線処理システムの性能、寿命及び効率を向上させることができる。本明細書に開示されるスクレーパ組立体は、水源の消毒及び全有機炭素用途の低減を含む、水処理における使用に適するように設計することができる。
【0045】
本明細書に開示されるスクレーパ組立体を使用して、既存の従来の装置を置換又は補完することができる。いくつかの実施形態では、組立体は、既存の水処理システムに後付けすることができる。
【0046】
本明細書に開示されるスクレーパ組立体は、延長された寿命、例えば、約6ヶ月を超える寿命、約9ヶ月を超える寿命、約12ヶ月を超える寿命、約15ヶ月を超える寿命又は約18ヶ月を超える寿命を有することができる。スクレーパ組立体の寿命は、装置の機械的安定性を判断することによって測定することができる。例えば、装置の1つ以上の部分が目に見えて割れ、欠け、又は望ましくない破損が生じたことを含めて、機械的に損なわれたときに、装置は消耗している可能性がある。スクレーパ組立体のいくつかの部分は、曲がるように設計されることがある。組立体の望み通りの柔軟性は、一般に、機械的損失の兆候ではない場合がある。しかし、スクレーパ組立体の1つ以上の部分の好ましくない曲げは、機械的損失の兆候である可能性がある。
【0047】
本明細書に開示されるシステム及び方法は、延長された寿命、例えば、約6ヶ月を超える寿命、約9ヶ月を超える寿命、約12ヶ月を超える寿命、約15ヶ月を超える寿命又は約18ヶ月を超える寿命を有する紫外光組立体を提供することができる。紫外光組立体の寿命は、外装管状部材の機械的安定性を判断することによって測定することができる。例えば、管状部材の表面がファウリングを蓄積させるほど十分損傷している場合、管状部材は消耗している可能性がある。いくつかの実施形態では、表面の損傷は、管状部材の擦過が増加した結果である。他の実施形態では、表面の損傷は、処理される流体の成分によって引き起こされる。表面の損傷は、ファウリングが蓄積する管状部材上の表面を非平坦化することで、ファウリングの一因となる場合がある。
【0048】
さらに、紫外光組立体又はスクレーパ組立体の寿命は、流体の紫外線放射処理の有効性を判断することによって測定することができる。処理される流体を通る紫外光強度を測定することができる。測定された紫外光強度が所定の閾値未満であるということは、管状部材の外面上にファウリングが蓄積していることを示す可能性がある。管状部材の外面を洗浄する間の期間がゼロになるにつれて、紫外光組立体又はスクレーパ組立体は消耗している可能性がある。
【0049】
したがって、一態様によれば、管状部材の外面を横断するように構成されるスクレーパ組立体が提供される。スクレーパ組立体は、スクレーパ組立体が管状部材の外面を横断する際に、管状部材上のファウリング及びスケールを除去するように構成することができる。いくつかの実施形態では、スクレーパ組立体は、紫外光ハウジングの外面を横断するように構成することができる。例えば、スクレーパ組立体は、紫外光源を取り囲む石英スリーブの外面を横断するように構成することができる。
【0050】
スクレーパ組立体は、リングを備えることができる。リングは、内装円形開口部を有する実質的に平坦な要素とすることができる。リングの外形は、任意の必要な形状を有することができる。図に示す例示的なリングは、円形の外形を有する。しかし、リングの外形は、任意の他の形状を有することができ、及び/又は、例えば1つ以上の外装突出部を含み、締結孔を提供することができる。
【0051】
例示的なリング110を
図1に示す。
図1のリング110は、管状部材200の一部分に展開されて示されている。例示的なリング110は、以下でより詳細に議論される複数の突出部120を備える。例示的なリング110は、締結孔122を含む。リング110は、
図1の孔122のような1つ以上の締結孔によってスクレーパ組立体に締結することができる。しかし、リングは、粘着剤(若しくは他の接着剤)又は溶接等の他の方法によってスクレーパ組立体に締結されてもよい。リングは、別の組立体要素の一部分から形成することができ、例えば成形されてもよい。
図1に示すように、展開されたとき、リング110は、管状部材200を取り囲むように、例えば管状部材200と実質的に同心円状に配置することができる。
【0052】
リング110は、
図1~
図2に示すように、管状部材200の外径よりも大きい外径126を有することができる。外径126は、所望のスクレーパ組立体に適合するように選択することができる。リング110は、管状部材200上に展開されていないときに、管状部材200の外径よりも小さい内径124を有することができる。いくつかの実施形態では、内径124は、管状部材200の外径よりも約0.1%、約0.5%、約1.0%、約1.25%、約1.5%、約2%、約3%、約5%又は約10%小さくすることができる。内径124は、管状部材200の外径よりも約0.1%~1%、約0.5%~1.5%、約1%~2%、約2%~3%、約3%~5%又は約5%~10%小さくすることができる。
【0053】
リングは、管状部材の外面を横断するように展開されたときに、管状部材の外面に一致するように寸法決めすることができる。したがって、いくつかの実施形態では、リングは、標的管状部材に対応するように寸法決めすることができる。
【0054】
リングは、リングの内装開口部に向かって内方に延びる複数の突出部を備えることができる。
図1に示すように、複数の突出部120は、例えば使用時に管状部材200の外面に向かって延びるように構成することができる。いくつかの実施形態では、複数の突出部120は、リング110の内装開口部から外方に向けて作られた半径方向の切り込みによって形成することができる。半径方向の切り込みの長さは、複数の突出部120の長さを画定し得る。複数の突出部120は、延長構成にあるときに、リングの内径124(突出部長径128も参照)を画定するように選択される長さを有することができる。例えば、複数の突出部120の長さが長ければ長いほど、内径124のより小さいリング110を製造することができる。
【0055】
本明細書に開示されるように、複数の突出部120の「延長構成」は、複数の突出部120がリング110と実質的に同一平面上にある構成を指し得る。複数の突出部120は、
図2に延長構成で示されている。一般に、複数の突出部120は、リング110が管状部材200上に展開される前に延長構成とすることができる。
【0056】
リング110は、リング110の内縁部と管状部材200の外面との間に接触角を形成することができる。
図3Aに示すように、接触角104は、一般に、リング110が管状部材200上に展開されるときの偏向によって形成される。リング110を管状部材200の上に適合させると、管状部材200の外径よりも小さい内径124を有するリング110は、管状部材200に対して曲線状に偏向する。リング110の内縁部は、管状部材200の外縁部に対して押し付けられ、管状部材200の表面を横断するときに、積み重なったファウラントに対するスクレーパとして作用する。
【0057】
接触角104は、約10°~約75°、例えば、約10°~約75°、約25°~約65°、約30°~約60°又は約40°~約50°となるように選択することができる。接触角104は、約10°、約15°、約20°、約25°、約30°、約35°、約40°、約45°、約50°、約55°、約60°、約65°、約70°又は約75°となるように選択することができる。
【0058】
複数の突出部120は、複数の突出部120の長さに比例して可撓性を有し得る。複数の突出部120は、傾斜構成にあるときに接触角104を画定するように選択される長さを有することができる。例えば突出部がより長いと、一般に、形成する接触角はより浅い。接触角104と複数の突出部120の長さとの関係を
図3Bに示す。
図3Bに示すように、
【数1】
θは、接触角である。
aは、突出部の基部と管状部材との間の隙間の長さである。
bは、突出部の長さである。
【0059】
本明細書に開示されるように、複数の突出部120の「傾斜構成」は、複数の突出部120がリング110の平面から偏向する構成を指し得る。複数の突出部120は、
図1に傾斜構成で示されている。一般に、複数の突出部120は、リング110が管状部材200上に展開された後に傾斜構成とすることができる。
【0060】
従来の紫外光石英管に適合するように構成されるスクレーパ組立体の複数の突出部の例示的な長さとしては、2.0mm~10mmが挙げられる。例えば、複数の突出部は、約2.0mm~約10mm、約3.0mm~約10mm、約4.0mm~約10mm、約4.5mm~約9.5mm、約5.0mm~約9.0mm、約5.5mm~約8.5mm又は約6.0mm~約8.0mmの長さを有することができる。複数の突出部は、約2.0mm、約2.5mm、約3.0mm、約3.5mm、約4.0mm、約4.5mm、約5.0mm、約5.0mm、約5.5mm、約6.0mm、約6.5mm、約7.0mm、約7.5mm、約8.0mm、約8.5mm、約9.0mm、約9.5mm又は約10mmの長さを有することができる。表1は、例示的な長さを有する突出部によって形成される例示的な接触角を含む。
【0061】
【0062】
リング110の内径124と管状部材200の外径との差は、リングの物理的特性(例えば剛性)並びに/又は管状部材の外面から除去される標的汚染物質の物理的及び化学的特性に基づいて選択することができる。特に、複数の突出部120の長さ及び接触角104は、リング及び/又は標的汚染物質の特性に基づいて選択することができる。したがって、リングを工学設計してもよく、リングの特性(例えば、寸法、剛性及び厚さ)は、標的管状部材及び/又は水処理システムによって処理される標的流体に基づいて選択することができる。例えば、リングは、管状部材の材料に基づいて、管状部材の構造的損傷を低減するように工学設計することができる。リングは、水処理システムで採用される管状部材で使用するために、より大きな剛性を有するように工学設計することができる。水処理システムは、可撓性スクレーパで除去することが困難な特定の有機及び無機汚染物質等の、問題のある汚染物質を有する流体を処理するように構成される。
【0063】
リング及び/又は複数の突出部は、半剛性材料で形成することができる。一般に、半剛性材料は、従来の可撓性材料ワイパーと比較して、洗浄機構に機械的な利点を与えることができる。例えば、半剛性材料は、油性及び脂性の汚染物質並びに硬化した堆積物等の、問題のある有機及び無機汚染物質の除去を改善することができる。
【0064】
半剛性材料は、所望の降伏強度及び/又は引張強度を有するように選択することができる。材料の降伏強度は、材料の降伏点に対応する応力である。材料により大きな応力が加わると、塑性変形が起こる場合がある(変形の一部は永久的であり、非可逆的である場合がある)。したがって、降伏点は一般に、材料の弾性挙動の限界を示す。材料の引張強度は、材料が破損することなく耐えることができる応力である。材料により大きな応力が加わると、破損する場合がある。
【0065】
半剛性材料は、傾斜構成における複数の突出部の不可逆的な偏向に対応する降伏強度を有するように選択することができる。降伏強度は、材料の厚さに基づいて選択することができる。いくつかの実施形態では、半剛性材料は、約200MPa~約300MPaの降伏強度を有することができる。例えば、半剛性材料は、約215MPa~約290MPaの降伏強度を有することができる。半剛性材料は、約215MPa、約275MPa又は約290MPaの降伏強度を有することができる。
【0066】
半剛性材料は、リングの材料を過度に損なう(例えば、性能に影響を及ぼす破損を引き起こす)ことなく、管状部材から問題のある汚染物質を十分に除去することに対応する引張強度を有するように選択することができる。引張強度は、材料の厚さに基づいて選択することができる。いくつかの実施形態では、半剛性材料は、約500MPa~約650MPaの引張強度を有することができる。例えば、半剛性材料は、約505MPa~約620MPaの引張強度を有することができる。半剛性材料は、約505MPa、約580MPa又は約620MPaの引張強度を有することができる。
【0067】
リング及び/又は複数の突出部を形成するために使用することができる例示的な半剛性材料としては、312ステンレス鋼、302ステンレス鋼、304ステンレス鋼及び316ステンレス鋼等のばね鋼が挙げられる。選択される降伏強度及び引張強度を有する他の材料も、本開示の範囲内である。例えば、リング及び/又は複数の突出部は、他のばね鋼、ステンレス鋼、天然ポリマー、合成ポリマー又はこれらの組み合わせを含み得る。
【0068】
いくつかの実施形態では、複数の突出部は、ポリマー部分を含んでもよい。例えば、複数の突出部の内面は、ポリマー材料で形成することができる。いくつかの実施形態では、複数の突出部を、ポリマー材料で少なくとも部分的にコーティングしてもよい。複数の突出部の内面をポリマー材料でコーティングしてもよい。例示的なポリマー材料としては、ポリ(メチルメタクリレート)等のアクリレートポリマー、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフルオロポリマー、ポリシロキサン、及び滑らかな外面を有する他のポリマー材料が挙げられる。
【0069】
いくつかの実施形態では、リングの半剛性材料を処理して、複数の突出部の偏向領域における引張強度を改善することができる。この処理は、例えば熱処理及び/又は焼鈍を含むことができる。この処理は、偏向領域における材料の破損の発生率を減少させるのに有効である可能性がある。
【0070】
リングは、管状部材上に展開する前に、さらに事前屈曲させることができる。例えば、複数の突出部は、展開前に少なくとも部分的に偏向させることができる。リングを事前屈曲させることによって、複数の突出部の偏向領域における機械的安定性を改善することができる。突出部を予め選択された条件下で少なくとも部分的に偏向させて、機械的安定性を制御し、管状部材上に展開する間の破損の発生率を減少させることができる。いくつかの実施形態では、突出部は、安定性を損なう傾向がある突出部の基部における鋭角を回避して、突出部の長さに沿って曲線を形成するように偏向させることができる。
【0071】
いくつかの実施形態では、接触角は、半剛性材料の降伏強度及び引張強度に基づいて選択することができる。特に、接触角は、既知の降伏強度及び引張強度を有する所与の半剛性材料について、管状部材に対して所定の抵抗を与えるように選択することができる。
【0072】
リング及び/又は複数の突出部は、各々、約0.1mm~約2.0mmの厚さを有することができる。例えば、リング及び/又は複数の突出部は、約0.25mm~約1.75mm、約0.5mm~約1.5mm、約0.75mm~約1.5mm又は約1.0mm~約1.5mmの厚さを有することができる。リング及び/又は複数の突出部は、約0.1mm、約0.25mm、約0.5mm、約0.75mm、約1.0mm、約1.25mm、約1.5mm、約1.75mm又は約2.0mmの厚さを有することができる。複数の突出部の厚さは、半剛性材料の降伏強度及び引張強度に基づいて選択することができる。特に、複数の突出部の厚さは、既知の降伏強度及び引張強度を有する所与の半剛性材料について、管状部材に対して所定の抵抗を与えるように選択することができる。
【0073】
したがって、スクレーパ組立体は、使用中に管状部材に対して所定の抵抗を与えるように工学設計することができる。所定の抵抗とは、管状部材を損傷することなくファウラントを除去するのに有効な抵抗であってもよい。スクレーパ組立体の1つ以上の特性は、所定の抵抗を与えるように選択することができる。例えば、半剛性材料の特性、リング及び/又は複数の突出部の厚さ、並びに複数の突出部の長さは、スクレーパ組立体の設計中に選択することができる。一般に、突出部がより長い(例えば6mm~10mmの長さを有する)と、管状部材に与える抵抗はより低くなる。このような突出部によって生じるより低い抵抗及びより浅い接触角は、管状部材に対する潜在的な損傷作用を低減しつつ、汚染物質を除去するのに有効である可能性がある。
【0074】
さらに、いくつかの実施形態では、半剛性材料は、管状部材の材料及び/又は処理される流体の成分に対して実質的に不活性であるように選択することができる。例えば、半剛性材料は、処理される流体の成分に対して化学的に不活性とすることができる。半剛性材料は、水処理システムの他の成分、例えば石英に対して化学的に不活性とすることができる。特に、半剛性材料は、処理される流体中に実質的に浸出しないように選択することができる。
【0075】
リングは、所定の数の突出部を有することができる。突出部の数は、リングの内面に施される半径方向の切り込みの数によって定めることができる。リングの所与の内径に対して、半径方向の切り込みの数は、各突出部の厚さを画定することもできる。一般に、より狭い突出部の量が多いほど、管状部材の表面により良く一致するリングを製造することができる。しかし、より狭い突出部の量が多いほど、突出部と直接接触することのない管状部材の表面積も大きくなる。
【0076】
いくつかの実施形態では、複数の突出部の各々は、約4°~約30°の一次リングの円弧長を構成することができる。例えば、複数の突出部の各々は、約4°~約20°、約4°~約15°、約4°~約10°又は約4°~約8°の円弧長を構成することができる。リングは、約12~約45個の突出部を有することができる。例えば、リングは、約20~約45個の突出部、約25~約45個の突出部又は約30~約45個の突出部を有することができる。円弧長及び突出部の数は、管状部材の所定の表面積に接触するように選択することができる。いくつかの実施形態では、突出部は、管状部材の表面積の50%以上、表面積の60%以上、表面積の70%以上、表面積の80%以上又は表面積の90%以上と接触することができる。
【0077】
スクレーパ組立体は、ケーシングをさらに備えることができる。ケーシングは、他の組立部品のためのハウジング又はシェルとして採用することができる。ケーシングは、他の組立部品を少なくとも部分的に取り囲む1つ以上の部品で形成することができる。2つ以上の部品から形成されるとき、ケーシングの部品は、ねじ、ボルト、締結具、例えばスナップ締結要素、又は任意の他の締結方法によって一緒に締結することができる。
【0078】
ケーシングは、リングを含むスクレーパ組立体を駆動して管状部材の外面を横断させるように構築及び配置することができる。したがって、ケーシングは、リング等の組立部品のための機械的支持を提供することができる。ケーシング又はケーシング部品は、ステンレス鋼、ばね鋼、天然高分子、合成ポリマー又はこれらの組み合わせ等の任意の機械的に安定した材料で個々に形成することができる。例示的な鋼材としては、リングに関して上述したもの及び他の鋼材が挙げられる。ケーシングは、リングよりも大きな降伏強度及び引張強度を有することができる。例示的なポリマー材料としては、ポリ(メチルメタクリレート)等のアクリレートポリマー、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフルオロポリマー、ポリシロキサン、及び高い機械的安定性を有する他の材料が挙げられる。いくつかの実施形態では、ケーシングを実質的に透明な材料で形成して、リング及び他の組立部品を目視検査することができる。特定の実施形態では、ケーシング又はケーシング部品は、処理される流体中で化学的に安定な材料で形成することができる。例えば、ケーシング又はケーシング部品の材料は、処理される流体中に実質的に浸出しないものとすることができる。
【0079】
リングは、ケーシングに固定することができる。例えば、リングは、1つ以上の締結孔(例えば
図1に示す孔122)を通して、ねじ、ボルト又は他の締結具によって固定することができる。リングは、粘着剤若しくは接着剤、溶接又はケーシングとの一体成形等の任意の他の固定方法によってケーシングに固定することができる。いくつかの実施形態では、ケーシングの部品を締結するために採用されるねじ、ボルト又は締結具は、リングをケーシングに固定するために採用することができる。固定されたとき、ケーシングは、リングを少なくとも部分的に取り囲むことができる。例えば、ケーシングは、リングの外面を少なくとも部分的に取り囲むことができる。一般に、リング126(
図2に示す)の外径は、ケーシングの外径と等しいか、又はケーシングの外径より小さくすることができる。突出部長径128(
図2に示す)は、ケーシングの内装開口部の内径と等しいか、又はケーシングの内装開口部の内径より小さくすることができる。リングが既存のケーシングに後付けされるように設計されている実施形態では、外径及び突出部径はケーシングの設計によって決定されるので、リングの内径を小さくすることによって突出部長さを変化させることができる。
【0080】
図4は、管状部材200の一部分上の例示的なスクレーパ組立体100の拡大図である。例示的なスクレーパ組立体100は、リング110と、部品130、134から形成されるケーシングと、を備える。ケーシング部品130、134は、リング110上の締結孔122に実質的に対応する締結孔132を有する。一般的なネジ又はボルトを使用して、締結孔122及び締結孔132を介してスクレーパ組立体100を構成することができる。固定されるとき、ケーシング部品130、134はリング110を部分的に取り囲み、リング110を機械的に安定させる。例示的なケーシング部品134はステンレス鋼で作られ、例示的なケーシング部品130はアクリルで作られている。
図5A~5Bは、
図4の図面に示すような例示的スクレーパ組立体100の写真である。
【0081】
いくつかの実施形態では、スクレーパ組立体は、補助リングを備えることができる。補助リングは、一次リングから離間してケーシングに固定することができる。補助リング及び一次リングは、ケーシング内に実質的に同心円状に配置することができる。補助リングは、一次リングから円周方向にオフセットした複数の突出部を有することができる。特に、二次リングは、突出部が一次リング上の突出部間の任意の隙間に対応するように、円周方向に配置することができる。
【0082】
いくつかの実施形態では、一次リングと補助リングは、同様の寸法とすることができる。他の実施形態では、補助リングは、一次リングよりも大きい又は小さい内径を有することができる。補助リングは、一次リングよりも多い又は少ない突出部を有することができる。補助リング上の複数の突出部は、一次リング上の複数の突出部よりも長い又は短い円弧長を構成することができる。補助リングは、一次リングよりも厚い又は薄い厚さを有することができる。補助リング上の複数の突出部は、一次リング上の複数の突出部よりも長い又は短い長さを有することができる。さらに、補助リングは、一次リングと同じ又は異なる材料で形成することができる。例えば、補助リングは、一次リングよりも大きい又は小さい降伏強度及び/又は引張強度を有することができる。
【0083】
一般に、2つ以上のリングの特性を工学設計して、管状部材からの標的ファウラントの除去を最大にすることができる。一次リング及び補助リングの各々は、管状部材の表面積の少なくとも50%と接触するように構成することができる。いくつかの実施形態では、2つ以上のリングを備える組立体は、管状部材の表面積の少なくとも80%、例えば、管状部材の表面積の少なくとも82%、85%、87%、90%、92%、95%、97%、98%、99%、99.9%又は99.99%と接触するように構成することができる。
【0084】
スクレーパ組立体は、一次リングと補助リングとの間に位置決めされるスペーサを備えることができる。スペーサは、一次リングと補助リングを機械的に安定させることができる。いくつかの実施形態では、スクレーパ組立体は、一次リング及び/又は補助リングの外面、例えばケーシングの内側に面する表面上に位置決めされるスペーサを備えることができる。スペーサは、管状部材上の一次リングと補助リングとの接触点を分離するのに有効な厚さを有し得る。したがって、スペーサの寸法は、リングの寸法に基づいて選択することができる。スペーサは、約2mm~約20mmの厚さを有することができる。スペーサは、約2mm、約4mm、約6mm、約8mm、約10mm、約12mm、約14mm、約16mm、約18mm又は約20mmの厚さを有することができる。
【0085】
いくつかの実施形態では、スクレーパの厚さは、リングの突出部の長さに基づいて選択することができる。スペーサは、リングの突出部の長さの約0.5倍~2倍の厚さを有することができる。隣接するリングが異なる長さの突出部を有する実施形態では、スペーサは、より長い突出部の長さの約0.5倍~2倍の厚さを有することができる。したがって、スペーサは、リングの突出部の長さの約0.5倍、約0.75倍、約1.0倍、約1.25倍、約1.5倍、約1.75倍又は約2倍の厚さを有することができる。
【0086】
スペーサは、ケーシングに固定することができる。例えば、スペーサは、リングのいずれか一方又は両方と同じ方法でケーシングに固定することができる。いくつかの実施形態では、スペーサは、円形開口部を有し、一次リング及び補助リングと同心円状に配置することができる。スペーサは、スクレーピング組立体の使用中にスペーサが管状部材に接触しないように、管状部材の外径よりも大きい内径を有することができる。他の実施形態では、スペーサは、リングの円形開口部の円周の周りに互いに実質的に等距離に位置決めされる、1つ以上のスペーサ要素から形成することができる。例えば、スペーサは、リングの内装開口部の周りに互いに実質的に等距離に位置決めされる、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ又はそれ以上のスペーサ要素を備えることができる。1つ以上のスペーサは、使用中に管状部材に接触しないように位置決めすることができる。
【0087】
スペーサは、機械的に安定した材料で形成することができる。いくつかの実施形態では、スペーサは、リングに関して上述したような鋼材及び他の鋼材、又はポリ(メチルメタクリレート)等のアクリレートポリマー、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフルオロポリマー、ポリシロキサン及び他の材料のようなポリマー材料で形成することができる。
【0088】
いくつかの実施形態では、スクレーパ組立体は、移動減衰要素を備えることができる。移動減衰要素は、使用中に1つ以上の組立体要素による横方向運動の程度を吸収するように選択される材料を含むことができる。移動減衰要素は、ポリマー材料、例えばポリ(メチルメタクリレート)等のアクリレートポリマー、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフルオロポリマー、ポリシロキサン又は他の材料で形成することができる。いくつかの実施形態では、移動減衰要素は、半可撓性材料で形成することができる。例示的な半可撓性材料としては、ポリエチレン、ソルボタン、ゴム、ネオプレン、シリコーン又は他の材料が挙げられる。
【0089】
移動減衰要素は、スペーサに隣接して位置決めすることができる。移動減衰要素は、リングに隣接して位置決めすることができる。移動減衰要素は、ケーシングに隣接して位置決めすることができる。いくつかの実施形態では、移動減衰要素は、例えばスペーサのコーティング又は部分コーティングとして、スペーサと一体化することができる。移動減衰要素は、ケーシングに固定することができる。例えば、移動減衰要素は、リング又はスペーサと同じ方法でケーシングに固定することができる。
【0090】
いくつかの実施形態では、移動減衰要素は、円形開口部を有し、リングと同心円状に配置することができる。移動減衰要素は、スクレーピング組立体の使用中に移動減衰要素が管状部材に接触しないように、管状部材の外径よりも大きい内径を有することができる。他の実施形態では、移動減衰要素は、リングの円形開口部の円周の周りに互いに実質的に等距離に位置決めされる、1つ以上の要素から形成することができる。例えば、移動減衰要素は、リングの内装開口部の周りに互いに実質的に等距離に位置決めされる、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ又はそれ以上の要素を備えることができる。1つ以上の移動減衰要素は、使用中に管状部材に接触しないように位置決めすることができる。
【0091】
一般に、移動減衰要素は、スクレーパ組立部品の移動を減衰させるのに有効な任意の厚さを有することができる。いくつかの実施形態では、移動減衰要素は、リングの厚さの0.5倍~50倍の厚さ、例えばリングの厚さの2倍~10倍の厚さを有することができる。例示的な移動減衰要素は、約1mm~約5mmの厚さを有することができる。
【0092】
いくつかの実施形態では、スクレーパ組立体は、2つ以上のリングを備えることができ、各リングは、少なくとも1つの他のリングから円周方向にオフセットされている。いくつかの実施形態では、各リングは、任意の隣接するリングから円周方向にオフセットすることができる。いくつかの実施形態では、各リングは、組立体内の全てのリングから円周方向にオフセットすることができる。リングは、互いに実質的に同心円状に位置決めすることができる。スクレーパ組立体は、隣接するリングの各セットの間にスペーサをさらに備えることができる。いくつかの実施形態では、スクレーパ組立体は、外装リングとケーシングの内側との間にスペーサをさらに備えることができる。いくつかの実施形態では、スクレーパ組立体は、隣接するリングの各セットの間に移動減衰要素を備えることができる。スクレーパ組立体は、外装リングとケーシングの内側との間に移動減衰要素を備えることができる。
【0093】
スクレーパ組立体は、可撓性リングをさらに備えることができる。可撓性リングは、ケーシングに固定することができる。いくつかの実施形態では、可撓性リングは、管状部材の外径よりも小さい内径を有することができる。可撓性リングは、ゴム又は可撓性ポリマー材料で形成することができる。1つの例示的な可撓性ポリマー材料は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフルオロポリマーである。可撓性リングは、移動減衰要素よりも高い柔軟性を有する材料で形成することができる。
【0094】
可撓性リングは、管状部材の外面に接触及び横断するように構築及び配置することができる。一般に、可撓性リングは、組立体内で前進方向における任意のリングの前方に位置決めすることができる。したがって、可撓性リングは、複数の突出部を備える任意のリングの前方で管状部材を横断するように配置することができる。使用中、可撓性リングを採用して、容易に除去可能な汚染物質を擦り取ることができ、一方、複数の突出部を備えるリングを採用して、可撓性リングから下流側の、硬化した、脂性又は油性の汚染物質を除去することができる。
【0095】
例示的なスクレーパ組立体を
図6A~6Bに示す。
図6Aは、例示的なスクレーパ組立体100の概略図である。
図6Bは、
図6Aのスクレーパ組立体100の一部の切取図である。スクレーパ組立体100は、ケーシング130と、一次リング110と、補助リング112と、スペーサ114と、可撓性リング116と、移動減衰要素118と、を備える。スペーサ114と移動減衰要素118は、一次リング110の外側に示されている。しかし、スペーサ114と移動減衰要素118は、一次リング110と補助リング112との間に位置決めすることができ、又はスクレーパ組立体100は2つ以上のスペーサ114と移動減衰要素118とを備えることができる。スクレーパ組立体100の例示的な一次リング110は、10mmの突出部を有する。スクレーパ組立体100の例示的な補助リング112は、6mmの突出部を有する。突出部長さの任意の他の組み合わせを採用することができる。例示的スクレーパ組立体100は、可撓性リング116がリング110及びリング112の前方の管状部材を横断するように、
図6Aに示す矢印の方向に管状部材を横断するように構成されている。
【0096】
ケーシング130は貫通孔138を含み、この貫通孔を通してスクレーパ組立体100を駆動して、管状部材の外面を横断させることができる。
図6A~6Bの例示的なスクレーパ組立体100は、管状部材に平行に位置決めされる軌道を横断するように構成される。例示的なスクレーパ組立体100のケーシング130は、追加の締結孔132を含み、締結孔132を採用して、スクレーパ組立体100を処理システム内のさらなる駆動要素又は安定化要素に固定することができる。
【0097】
例示的なスクレーパ組立体100に適合するように構成された例示的なリング110を
図6Cに示す。例示的なスクレーパ組立体100に適合するように構成された例示的な可撓性リング116を
図6Dに示す。例示的なリング110と例示的な可撓性リング116は、それぞれ、リング110と可撓性リング116とをケーシングに固定することができる締結孔122と締結孔136とを含む。例示的なリング110と例示的な可撓性リング116は、それぞれ、ケーシング130上の貫通孔138(
図6A~6Bに示す)に対応する貫通孔142と貫通孔146とを含む。
【0098】
特定の処理システムは、複数の光学装置を備える。スクレーパ組立体は、平行に配置される複数の管状部材の外面を横断するように構成することができる。複数の管状部材を擦り取るように構成されるスクレーパ組立体は、リングのアレイを備えることができる。リングのアレイは、平面構成で配置することができ、複数のリングの各々の内装開口部は、共通平面に対して垂直に位置決めされる。一次リングのアレイからの各一次リングは、対応する管状部材の外面を横断するように位置決めすることができる。
【0099】
複数の管状部材の外面を横断するように構成されるスクレーパ組立体は、平面構成において複数のリングに適合するように構成されるケーシングを備えることができる。例えば、ケーシングは複数の開口部を含むことができ、各開口部の位置は、対応するリング及び管状部材と同心円状になっている。複数の管状部材のためのケーシングは、スクレーパ組立体が複数の管状部材の外面を横断するように駆動され得る単一の貫通孔を含むことができる。他の実施形態では、複数の管状部材のためのケーシングは、2つ以上の貫通孔を含むことができる。
【0100】
図7は、複数の管状部材を洗浄するためのスクレーパ組立体400の概略図である。スクレーパ組立体400は、リング及び他の組立部品を収容するように構成される、複数の開口部450を有するケーシング430を備える。スクレーパ組立体400のケーシング430は、スクレーパ組立体400が平行に配置される複数の管状部材の外面を横断するように駆動され得る貫通孔438を含む。スクレーパ組立体400のケーシング430は、締結孔422を含む。
【0101】
いくつかの実施形態では、複数の突出部は、管状部材との接触面積を増加させるように設計することができる。例えば、突出部の内面の曲率半径を変化させて、接触面積を増加させることができる。特定の実施形態では、突出部の内面は、リングの対応する外径よりも小さい曲率半径を有することができる。他の実施形態では、突出部の内面は凸状とすることができる。例示的な設計を
図8A~8Cに示す。管状部材に採用される例示的な設計の写真を
図9A~9Bに示す。具体的には、
図8B~8C及び
図9Aの設計は、曲率半径がより小さい突出部を示す。
図9Bの設計は、凸状突出部を示す。
【0102】
突出部は、ケーシング内又は管状部材の一端部において擦り取られた汚染物質が不要に蓄積するのを減らすように設計することができる。
図8A~8C及び9A~9Bの例示的な設計は、中央開口部付きの突出部を有する。中央開口部は、汚染物質が管状部材から擦り取られるときに突出部を通って流れることを可能にし、これらの汚染物質が蓄積するという問題を回避することができる。このようなリングは、より少ない量のより大きな突出部、例えば6~12個の突出部を含むことができる。例えば、このようなリングは、中央開口部を含む6、8、10又は12個の突出部を含むことができる。さらに、リングはより少ない数の突出部、例えば20個以下の突出部、12個以下の突出部又は8個以下の突出部を有するように設計することができる。一般に、突出部の数を減らすことは、突出部間の隙間の総面積を減らすことによって、管状部材上の突出部の接触面積を増やすことができる。
【0103】
別の態様によれば、紫外線照射による水処理システムのためのシステム及び方法が提供される。
図10は、例示的な水処理システム300のボックス図である。システム300は、入口及び出口を有する容器310と、容器310内に位置決めされ、石英スリーブに収容される紫外光を含む少なくとも1つの光源組立体330と、少なくとも1つの光源組立体330の外面を横断するように構成されるスクレーパ組立体100と、を備えることができる。
【0104】
システムは、スクレーパ組立体に動作可能に接続される制御部をさらに備えることができる。制御部は、スクレーパ組立体を動作させて、少なくとも1つの光源組立体の外面を横断させるように構成することができる。制御部は、手動作動に応答して、所定のスケジュールで周期的に、又は紫外光強度に応答して、スクレーパ組立体を動作させることができる。
【0105】
制御部は、コンピュータ又はモバイル装置とすることができる。制御部は、タッチパッド又は他の動作インタフェースを備えることができる。例えば、制御部は、キーボード、タッチスクリーン、トラックパッド及び/又はマウスを介して動作することができる。制御部は、当業者に既知のオペレーティングシステム上でソフトウェアを実行するように構成することができる。制御部は、電源に電気的に接続することができる。制御部は、1つ以上の構成要素にデジタル接続することができる。制御部は、無線接続を介して1つ以上の構成要素に接続することができる。例えば、制御部は、無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)又は短波長超高周波(UHF)電波を介して接続することができる。制御部は、例えば制御部が必要に応じて流体又は添加剤を方向付けることができるように、システム内の任意のポンプ又は弁に動作可能に接続することができる。制御部は、メモリ格納装置又はクラウドベースのメモリ格納装置に結合することができる。
【0106】
複数の制御部を協働するようにプログラムして、システムを動作させることができる。例えば、制御部は、外部コンピューティング装置と協働するようにプログラムすることができる。いくつかの実施形態では、制御部及びコンピューティング装置を統合することができる。他の実施形態では、本明細書に開示されるプロセスのうちの1つ以上を手動又は半自動で実行することができる。
【0107】
スクレーパ組立体を動作させて石英スリーブを横断させるための所定のスケジュールは、12時間以上の期間にスクレーパ組立体を動作させることを含むことができる。例えば、制御部は、12時間以上毎に1回スクレーパ組立体を動作させるように構成することができる。制御部は、12時間毎、15時間毎、18時間毎、21時間毎又は24時間毎にスクレーパ組立体を動作させるように構成することができる。所定のスケジュールは、水処理システムの動作期間に対応してもよい。特に、制御部は、システムの実質的に連続した動作の12時間以上毎に1回スクレーパ組立体を動作させるように構成することができる。
【0108】
いくつかの実施形態では、システムは、紫外光センサを備えることができる。紫外光センサは、水処理システムを通る紫外光強度を監視するように位置決めすることができ、例えば、処理される水に適用される紫外光強度又は線量を決定する。紫外光センサは、例えば、センサに動作可能に接続される表示ユニット上に、測定された紫外光強度を表示するように構成することができ、あるいは、例えば、コンピューティング又はモバイル装置への電子通知によって、測定された紫外光強度をユーザに通知するように構成することができる。
【0109】
ユーザは、測定された紫外光強度が所定の閾値未満であることに応答して、スクレーパ組立体を作動させることができる。一般に、スクレーパ組立体は、測定された紫外光強度が、適用される紫外光線量が水を処理するのに有効なレベル未満であることを示すことに応答して、石英スリーブを横断するように作動され得る。したがって、いくつかの実施形態では、本方法は、流量を測定するステップと、紫外光線量を計算するステップと、を含むことができる。システムは、表示ユニット及び/又は制御部に動作可能に接続される流量計を備えることができる。
【0110】
紫外線照射の有効量は、対象処理プロセスに対する紫外線照射の有効線量(最小強度及び露光時間)に関連し得る。例えば、紫外線照射の有効量は、標的汚染物質の処理、例えば既知の所与の速度でシステムを通過する、流体中の標的微生物の滅菌の目標割合(例えば、90%超、95%超、99%超又は99.99%超)に基づいて選択することができる。いくつかの実施形態では、閾値紫外光強度は、大腸菌、レプトスピラ属の種、サルモネラ属の種(例えばチフス菌)、赤痢菌の種若しくはコレラ菌から選択される1つ以上の細菌、大腸バランチジウム、小形クリプトスポリジウム、赤痢アメーバ若しくはランブル鞭毛虫から選択される原生動物、回虫、有鉤条虫若しくはヒト鞭虫から選択される寄生蠕虫、又はエンテロ・ウイルス属の種、A型肝炎ウイルス、ノーウォーク因子、ロタウイルスの種、コロナウイルスの種若しくはインフルエンザウイルスの種から選択されるウイルスの目標割合を滅菌するのに有効な線量に関連する強度とすることができる。閾値紫外光強度は、25mJ/cm2未満、20mJ/cm2未満、15J/cm2未満、10mJ/cm2未満又は5mJ/cm2未満の紫外光線量に関連する強度とすることができる。
【0111】
いくつかの実施形態では、制御部は、紫外光センサに動作可能に接続することができる。制御部は、監視された紫外光強度が閾値未満であることに応答して、スクレーパ組立体を動作させて光源組立体の外面を横断させるように構成することができる。特定の実施形態では、制御部は、流量計に動作可能に接続することができる。制御部は、測定された紫外光強度及び測定された流量から紫外光線量を計算するように構成することができる。制御部は、処理される水に適用される測定された紫外光線量に応答して、スクレーパ組立体を動作させて光源組立体の外面を横断させるようにさらに構成することができる。
【0112】
いくつかの実施形態では、システムは、容器に流体接続される化学洗浄剤の供給源をさらに備えることができる。化学洗浄剤の供給源は、制御部に動作可能に接続することができる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のシステム及び方法は、スクレーパ組立体で石英スリーブを横断する前、横断する間又は横断した後に、水処理システムに化学洗浄剤を投与するステップを含むことができる。化学洗浄剤は、消毒溶液の目標用途に基づいて選択することができる。いくつかの実施形態では、化学洗浄剤は、有害な又は有毒な副生成物を実質的に含まないものとすることができる。例示的な化学洗浄剤としては、亜硫酸水素ナトリウム、クエン酸及び酢溶液が挙げられる。本方法は、化学洗浄剤をシステム内に手動で排出するステップを含むことができる。他の実施形態では、制御部が化学洗浄剤をシステム内に排出するように構成することができる。
【0113】
図11は、例示的な水処理システム300のボックス図である。水処理システム300は、
図10に示す水処理システム300と同様であるが、制御部322及び表示ユニット324に動作可能に接続される紫外光センサ320をさらに含む。
図11の例示的な水処理システム300は、制御部322に動作可能に接続される流量計326をさらに含む。
図11の例示的な水処理システム300は、容器310に流体接続される化学洗浄剤の供給源334をさらに含む。
【0114】
特定の実施形態では、水処理システムは、平行に配置される2つ以上の紫外光組立体を備えることができる。このようなシステムは、複数の紫外光組立体の外面を横断するように構成されるスクレーパ組立体を備えることができる。他のシステムは、複数のスクレーパ組立体を備えることができる。システムは、スクレーパ組立体を独立して動作させるように構成することができる。例えば、システムは、交換又は保守のために1つ以上のスクレーパ組立体を隔離することができ、一方で残りのスクレーパ組立体は正常に動作し続けることができる。
【0115】
水処理方法は、処理される水の供給源を容器内に導入するステップと、処理される水に有効量の紫外線照射を照射して水を処理するステップと、を含むことができる。したがって、本方法は、紫外光照射を測定するステップと、容器を通る水の流量を測定又は制御して、適用される紫外光線量を決定するステップと、を含むことができる。本方法は、処理された水を容器から排出するステップをさらに含むことができる。
【0116】
本明細書に開示される方法は、石英スリーブの外面から有機材料ファウリングを除去するステップを含むことができる。本方法は、スクレーパ組立体を方向付けて、石英スリーブの外面を第1の方向に横断させて石英スリーブの外面から有機材料ファウリングの少なくとも50%を擦り取るステップを含むことができる。いくつかの実施形態では、本方法は、スクレーパ組立体を方向付けて、石英スリーブの外面を横断させて有機材料ファウリングの少なくとも60%、例えば有機材料ファウリングの少なくとも70%、少なくとも80%又は少なくとも90%を擦り取るステップを含むことができる。前述したように、スクレーパ組立体の設計により、石英スリーブから擦り取られるファウリングの量を増やすことができる。したがって、特定の実施形態では、本方法は、スクレーパ組立体を設計して、石英スリーブから有機ファウリングの少なくとも50%、60%、70%、80%又は90%を擦り取るステップを含むことができる。本方法は、スクレーパ組立体を方向付けて、第1の方向とは反対の第2の方向に石英スリーブの外面を横断させることによって、スクレーパ組立体をリセットするステップをさらに含むことができる。
【0117】
いくつかの実施形態では、本方法は、スクレーパ組立体を周期的に方向付けて、石英スリーブの外面を所定のスケジュールで横断させるステップを含むことができる。所定のスケジュールは、前述したように、12時間以上毎とすることができる。
【0118】
いくつかの実施形態では、本方法は、前述したように、水処理システムを通る紫外光強度を監視するステップを含むことができる。例えば、紫外光強度は、紫外光強度センサで測定することができる。紫外光強度は、測定された紫外光強度を定期的に通知することによって監視することができる。特定の実施形態では、本方法は、前述したように、測定された紫外光強度が閾値未満であることに応答して、スクレーパ組立体を方向付けて石英スリーブの外面を横断させるステップを含むことができる。スクレーパ組立体は、手動作動時に方向付けることができ、又は紫外光センサに動作可能に接続される制御部によって自動的に方向付けることができる。
【0119】
いくつかの実施形態では、本方法は、前述したように、水処理システムを通る水の流量を監視するステップを含むことができる。例えば、流量は、流量計で測定することができる。流量は、測定された流量を定期的に通知することによって監視することができる。本方法は、測定された紫外光強度及び流量に基づいて紫外光線量を計算するステップを含むことができる。紫外光線量は、手動で計算することができ、又は紫外光センサ及び流量計に動作可能に接続される制御部によって自動的に計算することができる。特定の実施形態では、本方法は、前述したように、測定された紫外光線量が閾値未満であることに応答して、スクレーパ組立体を方向付けて石英スリーブの外面を横断させるステップを含むことができる。スクレーパ組立体は、手動作動時に方向付けることができ、又は制御部によって自動的に方向付けることができる。
【0120】
いくつかの実施形態では、本方法は、スクレーパ組立体を方向付けて石英スリーブの外面を横断させる前に又は同時に、化学洗浄プロセスを適用するステップをさらに含むことができる。化学洗浄プロセスは、例えば、前述したように、紫外光源を備える容器内に、化学洗浄剤で処理される水を投入するステップを含むことができる。本方法は、スクレーパ組立体を方向付けて石英スリーブの外面を横断させる毎に、又はスクレーパ組立体を方向付けて石英スリーブの外面を横断させるよりも少ない頻度で、化学洗浄プロセスを適用するステップを含むことができる。いくつかの実施形態では、本方法は、12時間毎、15時間毎、18時間毎、21時間毎、24時間毎、36時間毎、48時間毎、72時間毎又は週1回、化学洗浄プロセスを適用するステップを含むことができる。
【0121】
本明細書に開示されるシステム及び組立体は、従来の石英スリーブ洗浄装置よりも長い寿命を有することができる。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される方法は、スクレーパ組立体又はリングを交換する前に、水処理システムを少なくとも約6ヶ月間、実質的に連続的に動作させるステップを含むことができる。例えば、本明細書に開示される方法は、スクレーパ組立体又はリングを交換する前に、水処理システムを少なくとも約6ヶ月間、約8ヶ月間、約10ヶ月間又は約12ヶ月間、実質的に連続的に動作させるステップを含むことができる。
【0122】
さらに、本明細書に開示されるシステム及び組立体は、従来の石英スリーブ洗浄装置よりも長い寿命を石英スリーブに与えることができる。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される方法は、石英スリーブを交換する前に、水処理システムを少なくとも約5年間、実質的に連続的に動作させるステップを含むことができる。例えば、本明細書に開示される方法は、石英スリーブを交換する前に、水処理システムを少なくとも約5年、約6年、約7年、約8年、約9年、約10年、約11年又は約12年間、実質的に連続的に動作させるステップを含むことができる。
【0123】
別の態様によれば、少なくとも1つの紫外光源を有する既存の水処理システムを改造する方法が提供される。本方法は、一般に、前述したように、少なくとも1つの光源組立体の外面を横断するように構成されるスクレーパ組立体を提供するステップを含むことができる。本方法は、前述したように、ケーシングによってスクレーパ組立体を設置する指示を与えて、スクレーパ組立体を駆動して少なくとも1つの光源組立体の外面を横断させるステップをさらに含むことができる。
【0124】
いくつかの実施形態では、本方法は、前述したように、複数の突出部を備えるリングを提供するステップを含むことができる。リングは、既存のケーシングに対応するように寸法決めすることができる。例えば、リングの外径126(
図2に示す)及び突出部径128(
図2に示す)は、標的ケーシングの外径及び内径に対応するように寸法決めすることができる。本方法は、前述したように、スクレーパ組立体のケーシングの上にリングを設置する指示を与えるステップを含むことができる。
【0125】
特定の水処理システムは、ケーシングによってスクレーパ組立体を案内して少なくとも1つの光源組立体の外面を横断させるように構築及び配置される軌道を含む。本方法は、既存の軌道と適合するスクレーパ組立体を提供するステップを含むことができる。他の実施形態では、本方法は、軌道を設置する指示を与えて、ケーシングによってスクレーパ組立体を案内して少なくとも1つの光源組立体の外面を横断させるステップを含むことができる。
【0126】
本明細書に開示される組立体又は構成要素は、既存の水処理装置又は石英スリーブ洗浄装置と適合するように設計することができる。例えば、リングは、従来のゴム洗浄装置に対応するように寸法決めすることができる。特に、リングは、ゴム洗浄装置用に設計されたケーシングに適合するように寸法決めすることができる。本方法は、本明細書に開示されるように、ゴム洗浄装置をリングで置き換えるステップを含むことができる。本方法は、本明細書に開示されるように、ゴム洗浄装置をリングで補うステップをさらに含むことができる。いくつかの実施形態では、本方法は、補助リング、スペーサ及び移動減衰要素のうちの1つ以上を提供するステップと、補助リング、スペーサ及び移動減衰要素のうちの1つ以上を、ゴム洗浄装置又は一次リングを含むケーシング上に設置するステップと、を含むことができる。
【0127】
さらに別の態様によれば、前述したように、スクレーパ組立体の製造方法が提供される。本方法は、内径又は厚さ等のリングの1つ以上の寸法を選択するステップを含むことができる。本方法は、リングの材料、例えば半剛性材料を選択して、リング及び/又は複数の突出部を形成するステップを含むことができる。
【0128】
本方法は、リングの1つ以上の寸法を選択するステップを含むことができる。例えば、本方法は、リングの内径を選択するステップを含むことができる。リングの内径は、リングの材料、標的管状部材の大きさ及び/又は目標接触角に基づいて選択することができる。したがって、本方法は、前述したように、リングの内径に対応する複数の突出部の長さを選択するステップを含むことができる。複数の突出部の長さは、リングの材料、標的管状部材の大きさ及び/又は目標接触角に基づいて選択することができる。
【0129】
本方法は、複数の突出部の寸法を選択するステップを含むことができる。例えば、本方法は、各突出部の円弧長を選択するステップを含むことができる。各突出部の選択される円弧長は、目標の大きさ及び/又は突出部の数に基づいて選択することができる。各突出部の選択される円弧長は、管状部材上の複数の突出部の目標接触面積に基づいて選択することができる。さらに、本方法は、
図8A~8C及び9A~9Bに示すように、突出部の内面に対する設計を選択するステップ、及び/又は突出部の内部開口部に対する寸法を選択するステップを含むことができる。
【0130】
本方法は、所望の厚さを有する選択された半剛性材料のシートから、選択された寸法の設計をレーザ切断することによって、リングを形成するステップを含むことができる。本方法は、突出部の偏向領域における選択された材料の破損の発生率を減少させるのに有効な程度までリングを熱処理又は焼鈍するステップを含むことができる。本方法は、管状部材上に展開する前に突出部を事前屈曲させて、突出部の偏向領域における機械的安定性を改善するステップを含むことができる。本方法は、
図12に示すように、先細装置500を用いて突出部を事前屈曲させるステップを含むことができる。先細装置500を使用して、管状部材上に展開する前に突出部120を事前屈曲させることができる。他の実施形態では、先細装置500を使用して、(
図12の写真に示すように)管状部材200上にリング110を展開する際に、突出部120をその場で曲げることができる。
図12の写真は、事前屈曲前のリング110(左)と、事前屈曲中のリング110(先細装置500に装填されている)とを示す。先細装置500は、鋼又はポリマー材料で形成される円錐形状の装置とすることができる。いくつかの実施形態では、先細装置500を3D印刷することができる。
【0131】
本方法は、リングとケーシングとを締結することによってスクレーパ組立体を組み立てるステップを含むことができる。本方法は、補助リング、スペーサ及び移動減衰要素のうちの1つ以上をリング及びケーシングに締結して、スクレーパ組立体を形成するステップを含むことができる。
【実施例】
【0132】
これら及び他の実施形態の機能及び利点は、以下の実施例からより良く理解することができる。これらの実施例は、本質的に例示的であることを意図しており、本発明の範囲を限定するものとは考えない。
【実施例1】
【0133】
[突出部の偏向角度]
突出部長さがより長いと、石英スリーブの表面に対する突出部の偏向がより大きくなり、石英スリーブとの接触角がより浅くなることが期待される。
【0134】
偏向角度を測定するために、小型の試験リグを製作した。試験リグを
図5A~5Bに示す。鋼管を使用して石英管をシミュレートした。透明なアクリル部品と鋼部品で試験リングの上にケーシングを嵌めた。試験リングは、ケーシングにボルト止めされ、カラーと小さな保持リングとの間に挟まれて、安定性と剛性が得られた。
【0135】
試験リングは、ダンボールからレーザ切断した。試験リグに対する突出部の偏向を測定した。これらの測定から、石英管に対して突出部が作る接触角を計算した。結果を下記表2及び
図13のグラフに示す。接触角は、
図3Bの図から得られる幾何学的量と上記の式を用いて測定した。
【0136】
【0137】
この結果から、突出部長さの関数としての接触角の大まかな尺度が得られる。表2及び
図13のグラフに示すように、突出部長さが長くなると、接触角が小さくなる傾向がある。
【実施例2】
【0138】
[リング材料]
予備試験のために、下記表3に示すように、様々な厚さの316ステンレス鋼及びポリテトラフルオロエチレン(PTFE)でリングを形成した。
【0139】
【0140】
リングは、0.1mmの切り込みで、
図14に示す設計に従ってレーザ切断した。リングの外径は、既存のキャリアの外径と一致するように選択した。突出部径は、既存のキャリアの内径と一致するように選択した。
図14の設計では、突出部長さは4.5mmである。
【0141】
このリングを、
図15の写真に示す試験リグで試験した。問題のあるファウリングをシミュレートするために、石英スリーブに多数のコーティングを施した。
1.修正液(ヘキサン溶媒):析出した沈殿ファウリングをシミュレートする。
2.エマルジョン塗料(水溶媒):析出した沈殿ファウリングをシミュレートする。
3.口紅:油、グリース及び微生物ファウリングをシミュレートする。
【0142】
エマルジョン塗料及び補正液を石英スリーブの一部にハケで塗布した。口紅を石英スリーブの一部に塗り付けた。
【0143】
試験リグは、2本の短い石英管(外径49mm)と、ウォーム駆動機構に取り付けられたケーシング(Evoqua Water Technologies LLC, Pittsburgh, PAが販売するATG-UV W5449999)と、を有する。ウォーム駆動機構は、小型の電動モータによって駆動されるとき、ケーシングが石英管の長さにわたって横断し、次いでその開始位置に戻るようにする。ATG-UVケーシングは、ゴムスクレーパを内部溝に保持するように設計されている。リングを収容するために、試験リグの両側に穴を開けて改造した。
【0144】
2つの試験組立体を作成した:(a)2つのリング、及び(b)1つのリングと1つの可撓性リング(ゴム)。両方の組立体に対して、荷重によるリングの歪みを最小限に抑えるために、リングの前方にスペーサ(鋼製保持リング)を配置した。
【0145】
試験組立体をリグに装填した。突出部を前方に曲げるために、石英管をリグに入れ、ケーシングの背面から試験組立体を貫通させた。標準的なねじ付きエンドキャップを使用して、石英管を所定の位置にロックした。
【0146】
より太いリング及び/又は突出部がより短いリングは、石英管の上に適合させるのがより困難であった。この困難を軽減するために、先細装置を設計した(
図12に示す)。先細装置を使用して、リングを装置に手で押し込むか、又は石英管をリングに挿入する前に石英管の一端部に先細装置を配置してその場で突出部を曲げることによって、突出部を事前屈曲させることができる。先細装置は当初、3D印刷で製造された。3D印刷装置は、FDM3D印刷特有の隆起が形成され、リングを先細装置から外すのが困難であるという問題があった。その後、鋼製のものを製造した。このように、先細装置は滑らかな外面を有し得る。
【0147】
次のステップで試験走行を行った。先細装置上で突出部を手で事前屈曲させた。リングをリグ上のその場でケーシングに取り付け、スクレーパ組立体を形成した。石英管をリグに入れ、スクレーパ組立体を貫通させ、エンドキャップを使用して所定の位置にロックした。モータをかみ合わせ、スクレーパ組立体を石英管の一端部の開始位置に移動させた。サンプルファウラントを石英管の上に塗布し、少なくとも1時間乾燥させた。写真を撮影する前に、モータをかみ合わせて、スクレーパ組立体を石英管の1つの完全な横断方向に移動させた(すなわち、管の遠端部に移動させて、開始位置に戻した)。移動中、静止写真又はビデオを撮影した。スクレーパ組立体を石英管の最初の端部の開始位置に戻した後、写真を撮影した。特定の試験では、スクレーパ組立体の第2の横断を行った。除去効率を前後の写真の比較及び/又はビデオ録画の検討により分析した。
【0148】
結果を下記表4に示す。表4において、「C」は修正液を表し、「E」はエマルジョン塗料を表し、「L」は口紅を表し、「nd」は試験が行われなかったことを表し、「x」は失敗を表し、「v」は除去が成功したことを表す。
【0149】
【0150】
表4に示すように、厚さ0.2mm又は0.5mmのPTFEリング、及び突出部長さ4.5mmの316ステンレス鋼リングは、石英管に装着することができなかった。厚さ1.5mmのPTFEリングは、修正液又はエマルジョン塗料を除去しなかったが、口紅を除去することに成功した。316ステンレス鋼リングは、修正液、エマルジョン塗料及び口紅を除去することに成功した。
【0151】
図16A~16Bは、サンプル試験走行の前後の石英管の写真である。具体的には、
図16Aは、試験走行前のサンプルファウラントが付着した石英管の写真である。
図16Bは、試験走行後のサンプルファウラントが付着した石英管の写真である。上側の画像は、PTFE1.5mmリングで擦り取ったものである。下側の画像は、7.5mmの突出部を有する316ステンレス鋼0.2mmリングで擦り取ったものである。
【0152】
実施例5
[二次曲率半径を有する突出部]
擦り取ったファウラントのクリアランスのための内装開口部を有する、突出部がより大きいリング設計を作製し、試験した。突出部は、内側端部に二次曲率半径を与えた。設計の目的は、内装開口部を通して擦り取ったファウラントのクリアランスを保ち、突出面の幅にわたって圧力を集中させることであって。試験した設計を
図17の図面に示す。
【0153】
実施例2に記載されたサンプルファウラントに対してリング設計を試験した。表面を横断した後、リング設計は、擦り取ったサンプルファウラントのクリアランスを保った。残念なことに、リング設計は、突出部の中心に十分な圧力を加えず、突出部の端部によってサンプルファウラントを擦り取るだけであった。このリング設計では十分なサンプルファウラントを除去することができなかったが、二次曲率半径を変化させる(減少させる)ことで、より多量のファウラントを除去するように二次曲率半径を最適化できると考える。
【0154】
本明細書で使用される表現及び用語は、説明のためのものであり、限定するものとみなされるべきではない。本明細書で使用される場合、「複数(plurality)」という用語は、2つ以上の項目又は構成要素を指す。「備える(comprising)」、「含む(including)」、「運ぶ(carrying)」、「有する(having)」、「含む(containing)」及び「含む(involving)」という用語は、明細書又は特許請求の範囲等のいずれに記載されているかにかかわらず、限定されない用語であり、すなわち「含むがこれに限定されない(including but not limited to)」を意味するものである。したがって、このような用語を使用することは、その後に列挙される項目及びその均等物、並びに追加の項目を包含することを意味する。「を含む(consisting of)」及び「を本質的に含む(consisting essentially of)」という遷移句のみが、特許請求の範囲に関して、それぞれ閉じた又は半分閉じた遷移句である。特許請求の範囲における請求項の要素を修飾するために「第1の」、「第2の」、「第3の」等の序数用語を使用することは、それ自体では、ある請求項の要素の他のものに対する優先順位、先行順位若しくは順序、又は方法の動作を実行する時間的順序を意味するものではなく、単に、請求項の要素を区別するために、特定の名前を有するある請求項の要素を、同じ名前を有する別の要素(ただし順序用語を使用する)から区別するためのラベルとして使用するに過ぎない。
【0155】
このように、少なくとも1つの実施形態のいくつかの態様を説明してきたが、当業者であれば、様々な変更、修正及び改良を容易に思いつくであろうことを理解されたい。任意の実施形態に記載される任意の構成は、任意の他の実施形態の任意の構成に含まれてもよく、又は代替されてもよい。このような変更、修正及び改良は、本開示の一部であることが意図され、本発明の範囲内であることが意図される。したがって、上述の記載及び図面は、単なる例示である。
【0156】
当業者は、本明細書に記載されたパラメータ及び構成は例示的であり、実際のパラメータ及び/又は構成は、開示された方法及び材料が使用される具体的な用途に依存することを理解すべきである。また、当業者は、日常的な実験のみを用いて、開示された具体的な実施形態に対する等価物を認識し、又は確認することができるはずである。
【国際調査報告】