(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-07
(54)【発明の名称】サンプル処理バーコード付きビーズ組成物、方法、製造方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
C12Q 1/06 20060101AFI20230131BHJP
C40B 40/06 20060101ALI20230131BHJP
G01N 37/00 20060101ALI20230131BHJP
G01N 21/64 20060101ALI20230131BHJP
C12Q 1/686 20180101ALN20230131BHJP
C12N 15/11 20060101ALN20230131BHJP
【FI】
C12Q1/06
C40B40/06
G01N37/00 102
G01N21/64 F
C12Q1/686 Z
C12N15/11 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022533484
(86)(22)【出願日】2020-12-02
(85)【翻訳文提出日】2022-07-25
(86)【国際出願番号】 US2020062846
(87)【国際公開番号】W WO2021113330
(87)【国際公開日】2021-06-10
(32)【優先日】2019-12-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】502416811
【氏名又は名称】バイオ-ラッド ラボラトリーズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】特許業務法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】マッコイ,アダム
(72)【発明者】
【氏名】ハンディーク,カリヤン
(72)【発明者】
【氏名】ベル,ジョナサン
(72)【発明者】
【氏名】シャルマ,ヴィシャール
(72)【発明者】
【氏名】ワン,シダ
【テーマコード(参考)】
2G043
4B063
【Fターム(参考)】
2G043AA01
2G043DA02
2G043EA01
4B063QA01
4B063QQ42
4B063QQ52
4B063QR08
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4B063QR35
4B063QR55
4B063QR62
4B063QS25
4B063QX02
(57)【要約】
標的物質分離のための組成物の一実施形態は、本体と、本体に結合され、組成物を機能化するように構造化された1または複数の分子とを含む。実施形態では、1または複数の分子の各々が、リンカー領域、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)セグメントまたはオリゴ結合領域、1または複数のバーコード領域、一意の分子識別子、調製促進セグメント、活性セグメント、および分子ハサミまたは切断領域のうちの1または複数を含むことができ、種々の領域が組成物に機能性を与えるために一緒に結合され得る。本発明は、(例えば、単一細胞または他の生物学的物質からの)標的物質の捕捉のコンテキストにおいて、組成物の製造および使用の様々な用途も対象とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体と、前記本体に結合された分子のセットとを有する組成物であって、
前記分子のセットのうちの1または複数が領域のセットを含み、この領域のセットが、
前記本体に結合されたリンカー領域と、
結合領域と、
バーコード領域と、
一意の分子識別子と、
捕捉配列と、
前記領域のセットのうちの少なくとも1つを前記本体から分離するように構成された切断領域とを含むことを特徴とする組成物。
【請求項2】
請求項1に記載の組成物において、
前記本体が、切断可能な要素を含むポリアクリルアミド材料からなることを特徴とする組成物。
【請求項3】
請求項2に記載の組成物において、
前記本体が、還元剤のある環境下で溶解するように構成されたポリアクリルアミド材料からなることを特徴とする組成物。
【請求項4】
請求項2に記載の組成物において、
前記本体が、組成物の使用中に蛍光シグナルを発するように構成されたフルオレセインアミダイト(FAM)化合物でタグ付けされていることを特徴とする組成物。
【請求項5】
請求項1に記載の組成物において、
前記バーコード領域が、バーコード単位部分配列の2以上のセットを含み、前記バーコード単位部分配列の2以上のセットのうちの複数が、組立中にバーコード単位部分配列のセット全体で共有される共通のハンドルを含むことを特徴とする組成物。
【請求項6】
請求項1に記載の組成物において、
前記バーコード領域が、単一の本体に付着した2以上の非ランダム配列を含むことを特徴とする組成物。
【請求項7】
請求項6に記載の組成物において、
前記分子のセットが、第1の配列を有する第1のバーコード領域を備えた分子の第1のサブセットと、第2の配列を有する第2のバーコード領域を備えた分子の第2のサブセットと、第3の配列を有する第3のバーコード領域を備えた分子の第3のサブセットとを含むことを特徴とする組成物。
【請求項8】
請求項6に記載の組成物において、
2以上のバーコード領域が、2以上のポリメラーゼ連鎖反応(PCR)ハンドルまたはオリゴヌクレオチド結合領域と配列特異的に連結されていることを特徴とする組成物。
【請求項9】
請求項1に記載の組成物において、
前記結合領域が、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)ハンドルおよびオリゴヌクレオチド結合領域のうちの少なくとも一方を含むことを特徴とする組成物。
【請求項10】
請求項1に記載の組成物において、
前記切断領域が、USER配列のためのdUを含むことを特徴とする組成物。
【請求項11】
請求項1に記載の組成物において、
前記切断領域が、制限酵素認識部位を含むことを特徴とする組成物。
【請求項12】
請求項11に記載の組成物において、
前記制限酵素切断部位が、対応する制限酵素によって認識される一過性のヘアピン構造を形成することを特徴とする組成物。
【請求項13】
請求項1に記載の組成物において、
前記切断領域が、切断可能な要素を含み、この切断可能な要素が、切断可能な要素の第1の末端に位置する第1のフルオロフォアと、切断可能な要素の第2の末端に位置する蛍光クエンチャとの間に位置することを特徴とする組成物。
【請求項14】
請求項13に記載の組成物において、
クエンチング要素が、切断前に前記第1のフルオロフォアから放出される蛍光シグナルを消光するように構成された第2のフルオロフォアを含むことを特徴とする組成物。
【請求項15】
請求項1に記載の組成物において、
前記切断領域が、前記本体とフルオロフォアとの間に配置された切断可能な要素を含むことを特徴とする組成物。
【請求項16】
請求項1に記載の組成物において、
前記切断領域が、熱不安定性部位を含むことを特徴とする組成物。
【請求項17】
請求項1に記載の組成物において、
前記切断領域が、一連のRNA塩基を含むことを特徴とする組成物。
【請求項18】
請求項1に記載の組成物において、
前記捕捉配列が、ポリA相互作用によるmRNAの結合、および捕捉したmRNAからのcDNAの合成のうちの一方のために構成されていることを特徴とする組成物。
【請求項19】
請求項1に記載の組成物において、
前記リンカー領域が、デンドリマーを含むことを特徴とする組成物。
【請求項20】
組成物を生成するための方法であって、
ベース基材として本体のセットを生成するステップと、
前記本体のセットの各々について、
リンカーのセットを前記本体に結合させるステップと、
分子のセットを前記リンカーのセットに順次付着操作で結合するステップとを備え、
前記分子のセットの1または複数が、領域のセットを含み、この領域のセットが、
前記本体に結合されたリンカー領域と、
結合領域と、
バーコード領域と、
捕捉配列とを含むことを特徴とする方法。
【請求項21】
請求項20に記載の方法において、
前記分子のセットが、一意の分子識別子、および前記本体から前記領域のセットの少なくとも1つを分離するように構成された切断領域のうちの少なくとも一方を含むことを特徴とする方法。
【請求項22】
請求項20に記載の方法において、
前記本体を生成することが、アシルアミド溶液を含むある量の材料成分を、開始剤とともに、第1のマイクロ流体経路内に送り、前記量の材料成分を、加圧ガスポンプにより、集束チャネル内に通して、前記本体を生成することを含むことを特徴とする方法。
【請求項23】
請求項20に記載の方法において、
前記バーコード領域が、バーコード単位部分配列の2以上のセットを含み、前記バーコード単位部分配列の2以上のセットのうちの複数が、組立中にバーコード単位部分配列のセット全体で共有される共通のハンドルを含むことを特徴とする方法。
【請求項24】
請求項20に記載の方法において、
前記バーコード領域が、単一の本体に付着した2以上の非ランダム配列を含むことを特徴とする方法。
【請求項25】
請求項24に記載の方法において、
前記分子のセットが、第1の配列を有する第1のバーコード領域を備えた分子の第1のサブセットと、第2の配列を有する第2のバーコード領域を備えた分子の第2のサブセットと、第3の配列を有する第3のバーコード領域を備えた分子の第3のサブセットとを含むことを特徴とする方法。
【請求項26】
請求項20に記載の方法において、
前記順次付着操作が、バーコード単位部分配列の第1のセットを前記本体のセットに加えることを含み、前記バーコード単位部分配列の第1のセットが、前記バーコード単位部分配列の第1のセットの中に複数のハンドルを含むことを特徴とする方法。
【請求項27】
請求項26に記載の方法において、
バーコード単位部分配列の第2のセットを、ライゲーションハンドルのセットに基づいて標的ライゲーションで、前記バーコード単位部分配列の第1のセットに連結するステップと、
バーコード単位部分配列の第3のセットを、ライゲーションハンドルのセットに基づいて標的ライゲーションで、前記バーコード単位部分配列の第2のセットに連結するステップと、
以上により、2以上の配列からなるバーコード領域を形成するステップとをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項28】
請求項20に記載の方法において、
前記結合領域が、2以上の異なる配列を含むことを特徴とする方法。
【請求項29】
請求項28に記載の方法において、
前記順次付着操作が、バーコード単位部分配列の第1のセットを前記本体のセットに加えることを含み、前記バーコード単位部分配列の第1のセットが、前記バーコード単位部分配列の第1のセットの中に複数のハンドルを含むことを特徴とする方法。
【請求項30】
請求項29に記載の方法において、
2以上の結合領域に対する前記バーコード単位部分配列の第1のセットの標的ライゲーションを実行するステップをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項31】
請求項30に記載の方法において、
バーコード単位部分配列の第2のセットを、ライゲーションハンドルのセットに基づいて標的ライゲーションで、前記バーコード単位部分配列の第1のセットに連結するステップと、
バーコード単位部分配列の第3のセットを、ライゲーションハンドルのセットに基づいて標的ライゲーションで、前記バーコード単位部分配列の第2のセットに連結するステップと、
以上により、2以上の配列からなるバーコード領域を形成するステップとをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項32】
請求項1に記載の組成物において、
前記本体が、マイクロウェルの表面であることを特徴とする組成物。
【請求項33】
請求項20に記載の方法において、
前記本体が、マイクロウェルの表面であることを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、細胞捕捉および細胞処理分野に関し、より具体的には、標的物質反応のためのサンプル処理バーコード付きビーズのための新規で有用なシステム、方法および組成物に関する。
【0002】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年12月6日に出願された米国仮出願第62/945,006号の利益を主張するものであり、その全体がこの引用により本明細書に援用されるものとする。
【背景技術】
【0003】
細胞特異的な薬物検査、診断および他のアッセイへの関心が高まるにつれ、個々の細胞の分離、識別および回収を可能にするシステムおよび方法が非常に望まれるようになってきている。単一細胞捕捉システムおよび方法は、これらの用途に特に有利であることが示されている。しかしながら、単一細胞の捕捉とその後の分析のための関連プロセスやプロトコルは、多くの場合、細胞を適切に維持するために、特定の方法により高い精度で実行する必要がある。さらに、高密度のプラットフォームから標的物質を効率的に回収することは、多くの課題を抱えている。さらに、単一細胞の分析を可能にするように、標的物質の捕捉および回収を含む用途のために、物質の組成を大幅に改善することができる。そのため、それらのプロセスは、ユーザにとって時間がかかり、広範かつ反復的な手動のライブラリの調製および選択プロセスを必要とし、自動化に適さない可能性があり、細胞の損傷(例えば、生存率の望ましくない損失の観点から)、高いバックグラウンドノイズ率、誤検出率の上昇、または他の信頼性の低い実験結果をもたらす可能性がある。
【0004】
したがって、細胞捕捉および細胞処理分野において、サンプル処理および標的物質回収のための新規で有用なシステムおよび方法を創出し、標的生体材料のライブラリ調製に必要なステップを最小化する必要性がある。いくつかの実施形態は、(例えば、機能性粒子を含む反応環境に通常送達されるワークフローにおいて、バーコード付きオリゴヌクレオチドを使用することにより)分子バーコードを利用する。バーコード付きビーズの開示の実施形態を合理化して大量に製造するための方法を作成する必要性も存在する。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1】
図1は、標的物質反応のための組成物の一実施形態の概略図を示している。
【
図2】
図2は、標的物質反応のための組成物の代替的な実施形態の概略図を示している。
【
図3】
図3は、標的物質反応のための組成物に含まれるリンカー分子の実施形態の概略図を示している。
【
図4】
図4A~
図4Cは、cDNA合成反応またはタンパク質タグ付け相互作用に対するmRNA捕捉に使用可能な組成物のバリエーションを示している。
【
図5】
図5は、ライブラリ調製操作の簡略化のための部分を含む組成物のバリエーションを示している。
【
図6】
図6Aは、cDNA合成反応へのmRNA捕捉に使用可能な組成物のバリエーションを示している。
図6Bは、タンパク質タグ付け反応に使用可能な組成物のバリエーションを示している。
図6C~
図6Eは、熱不安定性リンカー要素を含む組成物のバリエーションを示している。
【
図7】
図7は、分子ハサミ領域を組み込んだ組成物のバリエーションを示している。
【
図8】
図8A~
図8Mは、官能化された分子を基材にカップリングするバリエーションを示している。
【
図9】
図9Aおよび
図9Bは、ATAC-seq操作に使用可能な組成物のバリエーションを示している。
図9C~
図9Eは、制限部位を有する組成物のバリエーションを示している。
【
図10】
図10は、ATAC-seqのための方法の一実施形態のフローチャートを示している。
【
図11】
図11は、組成物を製造するための方法のフローチャートを示している。
【
図12】
図12Aは、組成物の粒子を製造するための方法のバリエーションのフローチャートを示している。
図12Bおよび
図12Cは、組成物を製造するためのステップのバリエーションを示している。
【
図13】
図13は、オリゴヌクレオチド分子の合成のバリエーションを示している。
【
図14】
図14は、オリゴヌクレオチド分子の一部の合成のバリエーションを示している。
【
図15】
図15は、オリゴヌクレオチド分子の一部の合成のバリエーションの詳細なステップを示している。
【
図16】
図16A~
図16Eは、粒子に結合された一意のバーコードを有するオリゴヌクレオチド分子のセットの合成のバリエーションを示している。
【
図17】
図17Aおよび
図17Bは、粒子に結合された一意のバーコードを有するオリゴヌクレオチド分子のセットの合成の代替的なバリエーションを示している。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本発明の好ましい実施形態の以下の説明は、それらの好ましい実施形態に本発明を限定することを意図したものではなく、当業者が本発明を作成および使用することを可能にすることを意図したものである。
【0007】
1.利点
開示の本発明は、先行技術のシステム、方法および組成物に勝るいくつかの利点を与えることができる。
【0008】
本発明は、サンプル中の個別の単一細胞であるサンプルのパーティションから回収される各バイオマーカー分子のためのバーコードを提供しながら、サンプルからの標的生物学的物質の捕捉、抽出および/または回収を促進するための非自然発生組成物を提供するという利点を与える。そのような組成物は、(例えば、自然の組成物との構造的差異を提供するという観点で)その自然の状態から改変された物質を含むことができる。さらに、本発明は、物質の組合せに関し、その組合せは、自然に発生するものではない(例えば、記載および特許請求される組成物に対応する自然発生物は存在しない)。
【0009】
また、本発明は、ライブラリ調製プロセスを簡略化するためのベース物質および化学成分の新規組成物も含む。
【0010】
本発明は、切断を監視する機能および/または生物学的サンプルから処理された成分を定量化する機能を有する、標的物質の分離を可能にする切断可能な部位を有する新規組成物も含む。
【0011】
また、本発明は、高密度捕捉プラットフォームの高アスペクトウェルから標的物質(例えば、ビーズ、細胞、放出された核酸物質など)を効率的に回収するための機構を提供するという利点も与える。このシナリオでは、捕捉プラットフォームのウェルの密な充填に起因して、回収が典型的に困難であり、非効率的である。また、記載の回収機構は、標的物質に及ぼすせん断および他の潜在的な応力を許容量とする(そうでなければ下流の処理ステップが妨げられる)。
【0012】
本発明は、標的分子および/または基材(例えば、チャンバ壁)に結合した分子を捕捉するためのビーズを製造する方法を提供するという利点も与えるものであり、分子は、サンプル処理のために検出され得る固有のバーコードのセットを含む。
【0013】
本発明は、標準的なプロセスが非効率的/労働集約的である、ウェルからの標的物質回収プロセスに関して、システムオペレータの負担を軽減するという利点も付与する。
【0014】
本発明は、標的物質が回収される(および非標的物質が回収されない)効率を高めるという利点も与える。このため、選択的な回収効率により、(必要な量の減少に起因する)処理試薬および他の材料コストに関連する上・下流コストの低減、処理負担の軽減、および信号対雑音比の改善を図ることができる。例えば、本発明は、システムオペレータが、より少量の試薬を購入し、標的分子の増幅を成功させるために必要な分割の数を減らし、SPRIに基づくクリーンアップや、他のオリゴヌクレオチドタグ(産物を含まないがあるプロセスステップから次に持ち越されるオリゴヌクレオチドタグ)から標的オリゴヌクレオチド産物のサイズ選択を行う必要性を取り除くことができる。そのような標的産物の回収の改善および非標的産物のキャリーオーバーの低減により、データ分析の複雑さも低減し、また、所望のバイオマーカー分析に関連するより有用なデータを提供することも可能である。これは、コストを節約し、試薬の無駄を減らし、または他の任意の好適な結果をもたらすように機能することができる。
【0015】
本発明は、開示の組成物、方法およびシステムによって提供される標的読み取りの数がより多いことにより、所望の標的に関してより大きな配列決定深度を提供するという利点も与える。
【0016】
本発明は、単一細胞の捕捉、標的物質の回収およびその後の処理に関与するプロトコルの少なくとも部分的な自動化を可能にするという利点も与える。例えば、方法の一部またはすべてから人間のオペレータユーザを排除することができる。さらに、システムおよび/または方法は、先行技術のシステムおよび方法よりもプロトコルの実行においてより高い精度を可能にすることができる。これらの発明のいくつかは、液体処理ロボットによる完全自動化に遥かに適している。
【0017】
追加的または代替的には、本発明は、任意の他の適切な利益を与えることができる。
【0018】
2.機能的なビーズ組成物
図1に示すように、標的物質分離のための組成物100の一実施形態は、本体110と、本体110に結合され、組成物100の機能化のために構造化された1または複数の分子120とを含む。実施形態では、1または複数の分子120の各々が、リンカー領域130、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)セグメントまたはオリゴヌクレオチド結合領域140、1または複数のバーコード領域150、一意の分子識別子160、調製促進セグメント170、活性セグメント180、および分子ハサミまたは切断領域190のうちの1または複数を含むことができ、組成物に機能性を与えるために様々な領域を(例えば、順番に)一緒に結合することができる。アプリケーションでは、単一細胞分析のための、抽出操作、増幅プロセス、サイズベースの精製プロセス、結合プロセス、放出および回収プロセス、および他の反応(例えば、分子反応)を促進するように構成された様々なアッセイのための結合したオリゴヌクレオチド分子のセットをそれぞれ有する機能性粒子のセットとして組成物100を提供することが可能である。
【0019】
組成物100は、手動、半自動および/または自動操作モードで、単一細胞分析を実行するように構成されたシステムで動作するように構成することができる。そのようなシステムの実施形態、バリエーションおよび例は、2012年7月25日に出願された「Cell Capture System and Method of Use」という名称の米国特許出願第13/557,510号、2014年5月28日に出願された「System and Method for Isolating and Analyzing Cells」という名称の米国特許出願第14/289,155号、2017年2月24日に出願された「System and Method for Isolating and Analyzing Cells」という名称の米国特許出願第15/422,222号、2017年11月16日に出願された「System and Method for Retrieving and Analyzing Particles」という名称の米国特許出願第15/815,532号、並びに、2018年8月28日に出願された「System and Method for Isolating and Analyzing Cells」という名称の米国特許出願第16/115,059号のうちの1または複数に記載されており、それら出願の各々はこの引用によりそれらの全体が援用されるものとする。
【0020】
組成物100は、逆転写反応(RT反応)、免疫化学、DNA反応、mRNA FISH反応、近接ライゲーション反応、ブリッジ増幅反応、触媒酵素反応、ハイブリダイゼーション反応、制限消化反応、増幅反応(例えば、mRNAおよび/またはDNA PCR)および他の適切な反応のうちの1または複数に関連するプロセスおよび反応のために構成することができる。そのような反応は、オンチップおよび/またはオフチップで実行することができ、単一細胞分析のためのマイクロ流体チップの実施形態、バリエーションおよび例は、2012年7月25日に出願された「Cell Capture System and Method of Use」という名称の米国特許出願第13/557,510号、2014年5月28日に出願された「System and Method for Isolating and Analyzing Cells」という名称の米国特許出願第14/289,155号、2017年2月24日に出願された「System and Method for Isolating and Analyzing Cells」という名称の米国特許出願第15/422,222号、並びに、2017年11月16日に出願された「System and Method for Retrieving and Analyzing Particles」という名称の米国特許出願第15/815,532号に記載されており、それらはこの引用によりそれらの全体がそれぞれ援用されるものとする。
【0021】
2.1 機能性ビーズコア
本体110は、それぞれのアッセイおよび反応の実施に関して組成物に機能を提供するために、1または複数の分子120を結合させることができる基材を提供するように機能する。
【0022】
形態に関して、本体110は、ミクロスフェアの形態を有することができる。代替的には、本体110は、非球形(例えば、楕円形、角柱形、多面体、非晶質など)の本体の形態を有することができ、本体110を通る断面は非円形である。しかしながら、本体110は、代替的に、別の適切な形態を有することができる。寸法に関して、本体110は、5~50ミクロンの直径(または特徴的な幅)を有することができ、許容誤差は±0.05~5ミクロンである。代替的には、粒子の集団全体における本体110の均一性は、意図した単一細胞プロセスの様々なステップの完了時に、所望の回収効率挙動を可能にすることができる。具体的な例では、本体110は、20ミクロン±1ミクロンの直径を有するが、例示的な本体110のバリエーションは、他の形態を有することができる。
【0023】
実施形態では、本体110は、個々のウェル内で単一細胞・粒子のペアを共に位置特定および共に捕捉するために、組成物100の単一の本体110のみが、単一の標的細胞とともに、上述したチップのウェルに入ることができるように構成された特徴的な寸法を有する。しかしながら、組成物100の本体110は、他のマイクロ流体または非マイクロ流体アッセイ用途に構成された別の適切な特徴的な寸法を有することができる。
【0024】
密度に関して、本体110は、(例えば、特定の反応またはアッセイに関連して)組成物100と共に使用することを意図したプロセス液体の密度よりも大きい密度を有するように構成され、それにより組成物100が操作中に重力によってプロセス液体内に沈降するようになっている。一実施形態では、本体110の密度が1.02g/cm3より大きいが、本体110は、バリエーションにおいて、他の適切な密度を有することができる。例えば、本体110は、いくつかの実施形態では、(例えば、本体110がプロセス液体の流れと共に運ばれることが望まれるステップを促進するために)意図したプロセス液体と同じ密度を有するように構成され得る。さらに他の実施形態では、本体110が、プロセス液体に対して浮力を有するように構成することができ、それにより本体110が浮かび上がり、サンプルの標的物質または非標的物質の分離のために使用することができる。
【0025】
密度および形態に関して、本体110は、(例えば、ミクロンスケール、ナノメートルスケール、サブナノメートルスケールの)連続体とすることができる。代替的には、
図2に示すバリエーションでは、本体110が、(例えば、本体110の巨視的形態からスケールダウンした形態または他の形態を有する)より小さな本体115のクラスタで構成することができる。このような構成は、より小さな本体115の表面の集合に起因してより大きな全体的な表面積を提供することができ、オリゴヌクレオチド合成のための単一の本体の(例えば、おおよその剛性/他の機械特性に関して)巨視的挙動を生み出すことができ、かつ/またはアッセイにおける使用後に(例えば、捕捉後に)溶解して所望の表面化学挙動を提供することができる。より小さな本体115のクラスタは、クラスタのクラスタ形態を一時的または「恒久的」に維持することができるクラスタ化物質116によって取り囲まれる(例えば、包まれる)ことが可能である。例えば、クラスタ化物質116はヒドロゲルを含むことができ、このヒドロゲルは、組成物の意図した使用に対して(例えば、架橋に関して、溶解性に関して、多孔性に関して、密度に関して、熱特性に関して、光学特性に関して、荷電に関して、組成に関して、機械的特性に関して、他の物理的特性などに関して)適切な特性を有する。使用の関連用途において、クラスタ化物質116は、アッセイにおける使用の段階の間、より小さな本体115のクラスタ化形態を維持することができ、その後、より小さな本体115を非クラスタ化状態に移行させるために(例えば、より小さな本体の各々の表面化学構造へのアクセスを改善するために)溶解または他の方法で除去することができる。
【0026】
一例では、多数の小さなミクロスフェア(例えば、0.5マイクロメートルの直径を有する微小球)からなる複合ミクロスフェアは、より大きなミクロスフェア(例えば、19ミクロンの直径を有する微小球)の表面に反応し、それにより複合ミクロスフェアは20ミクロンの総直径を有していたが、複合粒子の表面の表面積は、より小さなミクロスフェアの存在または特定の予め設計された配列で並べられた特定の反応基の存在によって著しく拡大されていた。
【0027】
実施形態では、性能の大きな柔軟性を提供するために、ベース物質および表面特性を異なるものにすることができる。例えば、大きい方のミクロスフェアは硬質材料である一方、小さい方のミクロスフェアはヒドロゲルである。別の例では、大きい方のミクロスフェアは非磁性であるが、小さい方のミクロスフェアは磁性である。別の例では、大きい方のミクロスフェアは磁性であり、小さい方のミクロスフェアは磁性または常磁性である。別の例では、大きい方のミクロスフェアは透明な材料で作られるが、小さい方のミクロスフェアは光学的に(例えば、明視野または蛍光)コードされている。別の例では、大きい方のミクロスフェアは溶解可能であるが、小さい方のミクロスフェアは溶解不能である。複合ミクロスフェアの別の実施形態は、反応の表面積を増加させるヒドロゲルまたは他の物質の薄い(例えば、1~3ミクロン)層でコーティングされたベース硬質ミクロスフェアのセットを含むことができる。そのような革新的なミクロスフェアは、特定のサイズのバイオマーカーをミクロスフェアに浸透させ、特定の反応に参加させることを可能にするという追加の利点も提供することになる。複合ミクロスフェアのさらに別の例は、複合ミクロスフェアの表面からミクロスフェアの中心まで延びるマイクロトンネル(例えば、直径0.1~2ミクロン)を有する固体粒子(例えば、直径20ミクロン)を含むことができる。場合によっては、これらのマイクロトンネルは、粒子全体の直径を横切る。さらに他の実施形態では、マイクロトンネルは、複合材料の総表面積を増加させる細孔である。さらに他の実施形態では、大きいミクロスフェアは、内部の組成と比較して異なる機能組成を有する薄いコーティングを表面に有することができる。上面は架橋されていてもよいが、内部の材料は軟らかいか、溶解可能であってもよい。
【0028】
バリエーションでは、より小さな本体115の各々の特性および組成が同じであるが、他のバリエーションでは、アッセイまたは反応の異なる部分に対して異なる機能を提供するために、より小さな本体115のうちの1または複数を、クラスタ内で(例えば、コアから表面まで)異なる特性、組成および分布を有するように構成することができる。例えば、クラスタの第1の領域(例えば、表面)は、アッセイまたは反応の第1の部分を実行するための特性、組成および/または表面化学構造の第1のセットを有し、溶解または他の方法で除去されるものであり、そして、クラスタの第2の領域(例えば、コア)は、アッセイまたは反応の第2の部分を実行するための特性、組成および/または表面化学構造の第2のセットを有することができる。
【0029】
具体例では、(適切な許容誤差を有する)直径1ミクロンのジビニルベンゼン架橋(PS-DVB)を有するポリスチレンからなる約750個のより小さな本体115のセットは、溶解可能なヒドロゲル内でクラスタ化して20ミクロンの総直径を提供し、全体の表面積が単一の連続する20ミクロン粒子の約7.5倍となる。別の例では、本体110がヒドロゲルで構成され、より小さい本体がポリアクリルアミドマトリックスからなり、クラスタ化物質がジスルフィド架橋剤(例えば、BAC)を含む。しかしながら、実施例のバリエーションは、別の適切な方法で構成することができる。
【0030】
熱的特性に関して、本体110は、下限温度(例えば、低温反応およびプロセスに関連する温度、保存などに関連する温度など)と上限温度(例えば、高温反応およびプロセスに関連する温度)との間で操作するように構成されている。具体例では、下限温度が-20℃~4℃(例えば、低温保存用)であり、上限温度が90℃~120℃(例えば、変性反応用)である。しかしながら、本体110は、他の操作温度用に構成することができる。
【0031】
物理的性質に関して、本体110は、溶液内(例えば、保存中の緩衝液内、アッセイの実行中の溶液内)で構造を維持するように構成されている。このため、本体110は、非膨潤性および非浸出性を有するように構成されている。しかしながら、代替的な実施形態では、本体110が、所望の量(例えば、ある用途で処理または使用するための所望のサイズまたは形態を達成することに関連して)膨潤するように構成され、アッセイを実行するために特定の化合物(例えば、プロセス試薬)を浸出するように構成され、かつ/またはアッセイまたは他のプロセスの実行中に所望の方法で溶融するように構成されるものであってもよい。さらに別の実施形態では、特定の緩衝液および/または物理的条件における使用によって粒子がマイクロウェルに容易に入ることができるが、特定の緩衝液条件下でマイクロウェルに捕捉され得るように、粒子が十分に規定および調整された膨潤性を有することができる。さらに物理的特性に関して、本体110は、アッセイまたは他のプロセスの実行に関連して、(例えば、親水性から疎水性までのスペクトル上で)所望の程度の親水性を有するように構成され得る。流体接触に関連する表面特性に関して、本体110は、所望の濡れ性(例えば、接触角などに関して)を有するように構成することができる。本体110のバリエーションは、使用条件における所望のレベルの安定性を提供するために、適切なタイプの架橋(例えば、化学的架橋、物理的架橋など)および架橋の割合(例えば、アクリルアミドについては1~10%の架橋、他の材料については30~99%の架橋、架橋の別の適切な範囲)を有することができる。
【0032】
他の表面特性に関して、本体110は、所望の多孔率(例えば、200~2000Aなど)を有するように構成することができる。本体110は、追加的または代替的に、(例えば、使用中により強固な検出可能シグナルを提供するために本体110上に付着点を設けることによって)適切なリンカー密度の達成を可能にするために、所望の充填密度(LD)を有するように構成することができる。本体110への追加は、以下のセクション2.2でより詳細に説明されている。さらに、本体110は、以下のセクション2.2に記載のリンカー分子の結合のための表面基(例えば、ヒドロキシル基、アミン基、カルボキシル基、スルフィド基、シラノール基など)を含むことができる。例えば、所望の充填密度(LD)は、官能基密度が1umol/gと低くても、数百umol/gと高くてもよい。
【0033】
磁気特性に関して、本体110は、(例えば、標的または非標的物質の分離および/または回収を伴うアッセイに関連して)磁場に応答するように構成することができる。本体110の特定の領域(例えば、コア領域)は、磁性(例えば、磁性、常磁性など)であり、本体110の特定の領域(例えば、シェル領域)は、本体110のバリエーションにおいて、非磁性であってもよい。表面特性に関して、本体110は、標的材料への結合を容易にするために、または機能性を有する分子を含む製造を容易にするために、電荷を有するように、または電荷を有さないように構成することができる。
【0034】
光学特性に関して、本体110は、(例えば、光学ベースの検出アッセイに干渉しないように)非蛍光性であるように構成することができる。しかしながら、バリエーションでは、本体110は、例えば追跡目的のために、(例えば、非蛍光モダリティ、蛍光モダリティ、赤外線検出モダリティ、熱検出モダリティなどを介して)光学的に検出可能であるように構成することが可能である。
【0035】
機械的特性に関して、本体110は、使用の適用中に所望のレベルの硬度を保持するために、所望の硬度(例えば、モース硬度スケールで測定された硬度、別の硬度スケールで測定された硬度)を有するように構成することが可能である。追加的または代替的には、本体110は、剛性、弾性挙動(例えば、弾性率に関して、塑性変形および弾性変形等に関して)、粘弾性挙動、疲労耐性、破壊耐性、せん断強度、圧縮強度、引張強度、レオロジー挙動(例えば、摩耗条件下)および他の機械的特性のうちの1または複数に関連する所望の機械的特性を有するように構成することが可能である。
【0036】
組成に関して、本体110は、ポリスチレン、ポリスチレン・ジビニルベンゼン、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、シリカ、シリカゲル、無孔ガラス、多孔ガラス、被覆ガラス、アガロース、アクリルアミド、ポリアクリルアミド、鉄、鋼またはセラミック材料および/または1または複数の適切な材料の組合せのうちの1または複数から構成することが可能である。上述および後述するように、本体110の異なる領域は、異なる材料で構成することができる(例えば、コア領域は、第1の材料で構成することができ、シェル領域は、第2の材料で構成することができる)。いくつかの実施形態では、複数のシェル領域として、または非晶質若しくは秩序ある空間配置などの他の構成で、複数の領域が存在し得る。
【0037】
本体110の特定の例は、ポリアクリルアミド(例えば、以下でより詳細に説明するように、シリカ(例えば、シリカゲル)、ポリスチレン、またはPMMAからなり、直径15~25ミクロンであり(例えば、より小さな直径は、マイクロ流体構造内での使用に依然として適切である方法で僅かな膨潤を許容し)、表面多孔度は80~1500Aであり、ポリマービーズのために20~80%の架橋(例えば、ジビニルベンゼンによって60%架橋されたポリスチレンまたはジビニルベンゼンによって80%架橋されたポリスチレン)を有し、リンカー要素(例えば、C18タグリンカー)のカップリングのための表面基(例えば、アミン基、ヒドロキシル基、シラノール基)、および反応効率のためのポリエチレングリコール(PEG)機能化を有する。特定の例のバリエーションは、磁気機能(例えば、分離および回収のため)を可能にするために、磁性(例えば、磁性、常磁性)コアまたはシェルを有することができる。
【0038】
2.2 機能性分子
図1に示すように、組成物100は、本体110に結合され、組成物100の機能化のために構造化された1または複数の分子120を含む。実施形態では、1または複数の分子120の各々が、リンカー領域130、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)セグメント140、バーコード領域150、一意の分子識別子160、調製促進セグメント170、活性セグメント180および分子ハサミ領域190のうちの1または複数を含むことができ、様々な領域が組成物に機能性を提供するために(例えば、順番に)一緒に結合され得る。1または複数の分子120は、様々な反応またはプロセスに所望の化学的性質(例えば、結合特性)を提供するように機能することができ、バリエーションにおいて、1または複数の分子に特定のオリゴヌクレオチドを含むことは、mRNA結合、CITEシークエンシングプローブの結合、オリゴヌクレオチド標識抗体、オリゴヌクレオチド標識ペプチド、オリゴヌクレオチド標識脂質、オリゴヌクレオチド標識代謝物、修飾ゲノムDNA、非修飾ゲノムDNA、DNA ATACシークエンシング、g、Hi-Cシークエンシング、カットnタグシークエンシング、ブリッジ増幅、近接ライゲーション、他の分子反応、他のタンパク質タグ操作および/または他の反応に、1または複数の分子を適合させることができる。さらに、1または複数の分子は、様々なシークエンシングプラットフォーム(例えば、次世代シークエンシングプラットフォーム、Illumina(商標)シークエンシングプラットフォームなど)の領域(例えば、特定のアダプター、プライマー)を含めることによって、ライブラリ調製操作を円滑にするように適合させることができる。このため、1または複数の分子120は、特定のオリゴヌクレオチドセグメントの組込みにより、シークエンシングまたは他の反応に関連する手動または自動のステップを簡略化することができる。
【0039】
実施形態では、1または複数の分子120が、本体110全体に分布する、単一の分子、同一の分子のセット、または異なる分子のセット(例えば、第1の分子および第2の分子、複数の異なる分子)を含むことができる。例えば、mRNAの捕捉およびcDNA合成を伴う反応において、1または複数の分子120は、mRNA結合のための第1の配列を有し、相補的なcDNA鎖の生成に関連する第2の配列を有するオリゴヌクレオチド分子を含むことができる。同様に、タンパク質タグの結合を伴う反応において、1または複数の分子は、オリゴヌクレオチドタグで抗体のタグ付けを検出することによって抗体結合を検出するための第1の配列を有する分子と、合成のための第2の配列を有する分子を含むことができる。別の実施形態では、最初にミクロスフェアに結合した単一細胞からの特定の核酸断片を増幅するブリッジ増幅を可能にするために、フォワードプライマーだけでなくリバースプライマーも提供するための分子の異なるセットが1または複数の分子120に存在し得る。様々なフォワードまたはリバースプライマーの相対的な割合は、特定のサイズのcDNAのみがブリッジ増幅中に最大化されるように調整することができる(例えば、600塩基対未満または300塩基対以上の産物など)。しかしながら、1または複数の分子120の配列は、他の反応およびプロセスに適合させることができ、そのバリエーションは、1または複数の分子120の異なる構造的特徴に関連して以下に説明される。また、結合基は、酵素反応中に酵素がミクロスフェアに繋がれるために、ある割合で120中に存在することができ、それにより、それらの酵素が、mRNAが特定のサイズのみに達するように、または生成物が特定の塩基サイズを越えるのを防ぐように、反応生成物を処理および生成することができる。代替的には、構造的特徴は、保持される分子のサイズを望ましいサイズに調整するために(例えば、300bpより長いものは、より小さいサイズに消化される)、特定の酵素(例えば、ヌクレアーゼまたは制限酵素)または他の機能的部分を本体110の近傍から排除することができる。
【0040】
2.2.1 分子-リンカー
図1に示すように、本体110は、リンカー130を含むリンカーのセットを含むことができ、リンカー130は、反応が起きるために十分な数の分子/部位を提供するように、本体110に結合する1または複数の分子120の密度および間隔を制御するように機能する。また、リンカーのセットは、本体の表面で分子が折り畳まれたり、他の方法で望ましくない構造(例えば、二次構造、三次構造など)を形成したりするのを防ぐように、または他の実施形態ではそのような構造を促進する形で密度を制御するように、1または複数の分子120の密度および間隔を制御するようにも機能する。
【0041】
実施形態では、リンカーのセット中のリンカーの数が、結合反応の標的とされる単一細胞あたりの標的分子の数より大きくなるように構成される。一例では、細胞あたりの標的分子の数が、50万~100万の分子または分子断片のオーダーであり、よって、この例では、リンカーのセットが、本体110あたり107~1010個の完全長オリゴヌクレオチドを配置するための107~1010個のリンカーを含むことができ、過剰の完全長オリゴヌクレオチドは、反応中により多くのmRNA(または他の分子)が捕捉される結果となる。しかしながら、リンカーのセットは、他の実施形態において他の数のリンカーを含むことができる。
【0042】
実施形態では、リンカー130が、本体110の表面でオリゴヌクレオチド分子の適切な密度を提供し、隣接するオリゴヌクレオチド分子間に適切な間隔を提供するように構成された分枝リンカーを含む。バリエーションでは、分岐リンカーが、付着のノードを有する分岐を提供するデンドリマー(例えば、対称デンドリマー、非対称デンドリマー、ダブラー、トレブラー、標識、非標識など)である。バリエーションの1つでは、デンドリマーがY字形デンドリマーであり、ソースノード(例えば、本体110の領域または本体110に近接する領域での付着のためのノード)と、2つのターミナルノード(例えば、1または複数の分子120の機能性オリゴヌクレオチド分子への付着または本体110から遠位の後続デンドリマーへの付着のためのノード)とを含む。特定の例では、分岐リンカーが、対称的な二重化ホスホラミダイトデンドリマーであるが、特定の例のバリエーションでは、別のコア化学的性質(例えば、カルボシラン、チオール化など)および構造を使用することができる。このため、他のバリエーションでは、デンドリマーが、本体110に対するオリゴヌクレオチド分子の結合の間隔および部位を提供するために、任意の他の適切な数の付着点、化学的性質および/または構造を有することができる。
【0043】
さらに、分岐リンカーは、(例えば、特定の化学物質に特有の官能基で)選択可能な付着および/または(例えば、処理中に分子ハサミなど、オリゴヌクレオチドセグメントの放出のための)選択可能な切断のために構成することができる。
【0044】
図3に示すように、リンカーとして有用なデンドリマーは、最初の分岐中心で開始し、塩基試薬のセットを最初の分岐中心に結合し、所望のデンドリマーサイズおよび末端分岐の数(例えば、世代数の指数)が達成されるまで塩基試薬の世代を順次追加することによって形成することが可能である。塩基試薬の官能基の種類、世代数および分子量は、リンカーの設計によって、本体110に結合するオリゴヌクレオチド分子の所望の密度を達成するために、オリゴヌクレオチドヘリックス幅(例えば、約2nm)に対応する所望の直径に対応する流体力学的直径をもたらすことができる。しかしながら、デンドリマーリンカーの最終直径(または他の特徴的な寸法)は、別の設計制約に一致するように構成することができ、または別の適切な方法で構成することができる。
【0045】
2.2.2 分子-PCRセグメント
図1に示すように、1または複数の分子の各々は、PCR関連反応(例えば、増幅)の実行のために構成された1または複数のポリメラーゼ連鎖反応(PCR)セグメント140をさらに含むことができる。PCRセグメントは、PCR反応を実行するためのPCRプライマーを含むことができる。異なるタイプの核酸関連反応およびタンパク質関連反応に関連して上述したように(かつ
図4A~
図4Cに示すように)、1または複数の分子120の異なる配列に用いられるPCRプライマーは、互いに同一または異なるものであってもよい。例えば、第1のバリエーションでは、1または複数の分子120の第1の部分は、反応の第1の段階(例えば、mRNAの結合、抗体の結合、他のタンパク質タグの結合など)に関連する第1のPCRプライマーセグメント141を含むことができ、1または複数の分子120の第2の部分は、反応の第2の段階(例えば、cDNA合成、他の合成、他のタグ付け、他の結合など)に関連する第2のPCRプライマーセグメント142を含むことができる。
【0046】
他のバリエーションでは、1または複数のPCRセグメント140が、追加的または代替的に、検出可能であり、組成物の品質管理のために構成されたPCRハンドルセグメント143を含むことができる。しかしながら、1または複数の分子120のバリエーションは、追加的または代替的に、PCRハンドルセグメント143を省略することができる。
【0047】
実施形態では、1または複数のPCRセグメント140が、リンカー130のセットのうちの1つの末端部分(または他の部分)に直接結合される。しかしながら、他のバリエーションでは、1または複数のPCRセグメントが、別の方法でオリゴヌクレオチド分子の他の部分と相対的に結合される。
【0048】
実施形態では、1または複数のPCRセグメント140が、5~30塩基を有することができ、カスタムまたは非カスタムプライマーを含むことができるが、代替的なバリエーションでは、1または複数のPCRセグメント140が、他の適切な数の塩基を有することができる。
【0049】
2.2.3 分子-バーコード領域および一意の分子識別子(UMI)
図1に示すように、1または複数の分子120の各々は、組成物100の1または複数の分子120を使用して処理または誘導される(例えば、合成される)生物学的材料(例えば、細胞材料)の一意の識別を可能にするように機能する、バーコード領域150を含むことができる。バーコード領域150は、検出されるシグナルおよび使用可能な読み取りに関連して(例えば、シークエンシング読み取りの正しいバーコードへの割り当ておよび無駄な読み取りの減少に関連して)ノイズを低減するように構成することができる。以下により詳細に述べる製造方法400に関して、特定の本体110に結合されるのすべての分子にわたるバーコード領域150の正確性(意図しない削除、置換または追加を最小限に抑えることに関連して)は、誤検知(例えば、シグナルが誤ってバーコード化された分子に一致すること)に関する低いエラー率に繋がる可能性がある。
【0050】
図1に示すように、バーコード領域150は、PCRセグメント140(例えば、本体110に対してPCRセグメント140の遠位側)に結合され得るか、代替的には1または複数の分子120のうちの分子の別の部分に結合され得る。
【0051】
バーコード領域150は、1または複数のバーコードセグメントを含むことができ、バーコードセグメントの製造および組立については、以下のセクション4でより詳細に説明する。いくつかのバリエーションでは、バーコードセグメントが、組立に使用される部分(例えば、ライゲーションハンドルまたはPCR伸長ハンドルのようなハンドル)を含むことができ、これはバーコードの部分として、またはバーコードセグメントから独立して交互に使用することができる。バリエーションでは、各バーコードセグメントが2~20ヌクレオチド長であるが、代替的なバリエーションでは、各バーコードセグメントが別の適切な長さを有することができる。好ましくは、各バーコードセグメントは、2より大きいハミング距離(例えば、核酸の2つのストリングを同一にするために必要な置換の数)を有するが、代替的なバリエーションでは、バーコードセグメントが、別の適切なハミング距離を有することができる。さらに、各バーコードセグメントは、GG(または特定のシークエンシングプラットフォームにあまり適していない他の配列)で終わらないように構成することができるが、バーコードセグメントは、別の適切な方法で構成することができる。バーコード領域150は、適切な長さの100万~1億個の固有のバーコードを作成するために、1または複数のセグメントから構築することができるが、バリエーションでは、他の適切な数の固有のバーコードを作成することができる。特定の例では、バーコードセグメントが、配列が自然に存在しない、GG塩基における終端なしで2のハミング距離を有する875(またはそれ以上)の7merのセットから選択される。特定の例では、バーコード領域が、一緒に組み立てられたときに5000万個の固有のバーコードを作成する複数のセグメントで構成されている。しかしながら、特定の例のバリエーションでは、別の適切な方法で構成することができる。
【0052】
図1に示すように、1または複数の分子120の各々は、シークエンシングプラットフォーム(例えば、次世代シークエンシングプラットフォーム)が処理中の入力分子を識別することを可能にする分子タグとして機能する、一意の分子識別子(UMI)160を含むことができる。1または複数の分子120のうちの各分子は、単一のUMIまたは複数のUMIを有することができる。さらに、UMI160は、
図1に示すように、バーコード領域150(例えば、バーコード領域150の遠位側)に結合することができ、または1または複数の分子120のうちのある分子に沿った別の位置に結合することができる。
【0053】
2.2.4 分子-調製促進セグメント
図1に示すように、1または複数の分子120の各々は、任意選択的に、特定の操作に関連する処理ステップを簡略化または他の方法で削減するように機能する、1または複数の調製促進セグメント170を含むことができる。
【0054】
バリエーションの1つでは、
図5に示すように、1または複数の調製促進セグメント170が、典型的には別個のステップで(例えば、そうでなければ手動で)実行される必要がある分子の配列を組み込むことによって、ライブラリ調製ステップを簡略化するように構成することができる。より詳細には、1または複数の分子120のうちのある分子は、(例えば、Illumina(商標)フローセル用の)P5アダプターに関連付けられた第1の調製促進セグメント170aを含むことができ、いくつかのバリエーションでは、第1の調製促進セグメント170aが、部分P5アダプターおよび関連するインデックスについての配列を含む。バリエーションでは、第1の調製促進セグメント170aを、バーコード領域150(例えば、本体110の近位側、別の適切な領域)に結合することができる。1または複数の分子120のうちのある分子は、(例えば、Illumina(商標)プラットフォーム用で、cDNA合成のために構成された)P7アダプターに関連付けられた第2の調製促進セグメント170bも含むことができ、これは、同じステップ中に、または逆転写プロセス若しくは他の別個のステップで追加されるものであってもよく、いくつかのバリエーションでは、第2の調製促進セグメント170bが、mRNA分子の3’末端に近い標的mRNA分子にランダムに結合し、mRNA分子の5’末端での伸長を防ぐよう構成されたランダムプライマーの配列を含む。そのため、逆転写中、cDNA鎖はランダムプライマーセグメントに隣接して終端することになる。その後、リガーゼ酵素は、促進セグメント170bが付着したランダムプライマーをcDNA鎖に連結する。P7およびP5プライマーによるその後の増幅により、インデックス作成中に断片化を必要とせずに、配列決定可能な断片が得られる。そのような構成では、信号の指数関数的増幅も生成されるが、ノイズの線形増幅のみが生成され、それにより信号対ノイズ比(SNR)が大幅に改善されるであろう。このため、調製促進セグメント170a、170bの組み込みにより、複数のステップを1つのステップに納め、(例えば、組成物の使用後に所望の産物が組成物100に結合される場合)そうでなければ実行する必要のある洗浄プロセスを合理化することができる。
【0055】
しかしながら、他のバリエーションでは、1または複数の調製促進セグメント170が、追加的または代替的に、操作(例えば、特定のプラットフォーム、特定のプロセスのための操作など)に関連するステップ(例えば、手動ステップ)を減らすように構成された他の配列を含むことができる。
【0056】
2.2.5 分子-活性セグメント
図1に示すように、1または複数の分子120の各々は、任意選択的に、所望のプロセス(例えば、核酸分子、タンパク質などに関連するタグ付けまたは合成を可能にする結合相互作用)の実行を可能にするように機能する活性セグメント180を含むことができる。
【0057】
バリエーションでは、
図6Aに示すように、1または複数の分子120のうちのある分子の活性セグメント180は、mRNA結合に適合させることができ、cDNA合成は、PolyA相互作用を通じてmRNA種の捕捉を可能にする、例えばPolyT配列(例えば、dTVNまたはTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTVN配列)などの、mRNA結合用の第1の配列180a、および捕捉したmRNAから合成されたcDNAと相互作用する第2の配列180b(例えば、逆転写酵素で合成されたcDNAに付加されたCCC領域との相互作用のためのrGrGrG基、逆転写酵素で合成されたcDNAに付加された別の領域との相互作用のための別の基など)のうちの1または複数を含むことができる。操作中、RT酵素は、cDNA合成中にCCC配列(または他の配列)を付加して終了することができ、その後、鋳型mRNAを除去するために後変性し、cDNA配列は、第2の配列180bのGGG含有基(または他の相補基)と相互作用し、第2の配列がリン酸または他の適切なブロッキング基(例えば、C3スペーサー、ジデオキシヌクレオチドなど)によって3’末端で伸長をブロックされる。CCCまたはGGG以外の特定の配列は、特定の分子相互作用機能を提供するためにビーズに付着したオリゴヌクレオチドタグに組み込まれてもよく、DNA基、RNA基または他の基を含むことができる。
図6Aに示すように、1または複数の分子は、(例えば、配列180aを有する)mRNA結合のための第1の配列を含む第1のサブセットと、(例えば、配列180bを有する)cDNA相互作用のための第2の配列を含む第2のサブセットとを含むことができ、それにより、合成されたcDNA産物がその後の精製ステップなしに組成物100で粒子上で捕捉および精製することができるが、他のバリエーションでは、第1の配列180aおよび第2の配列180bを選択的に異なる粒子に結合させることが可能である。他のバリエーションでは、第2の配列が3’ブロックされず、cDNA配列上に伸長し、第1の鎖の配列に対する相補体を形成することができる。
【0058】
図6Aに示すような追加のバリエーションでは、1または複数の分子120のうちのある分子の活性セグメント180が、mRNA、DNAまたは他の核酸標的上の特定の標的配列を結合するために適合させることができ、合成が、抗体に付着したオリゴタグの捕捉を可能にする、例えば、TotalSeqC捕捉配列(例えば、TTTCTTATATGGG)や、1またはいくつかのmRNA種、gDNA配列または他の配列の特定の部分を標的とする別の標的結合オリゴ(例えば、標的プライマー)などの標的結合用の第1の配列180c、および捕捉した核酸から合成したDNA(またはcDNA)と相互作用するための第2の配列180bのうちの1または複数を含むことができる。操作中、RT酵素は、鋳型cDNA合成後にCCC配列(または他の配列)の添加で終了することができ、その後、鋳型mRNAを除去するために後変性し、cDNA配列は、第2の配列180bのGGG含有基(または他の相補基)と相互作用でき、第2の配列は、リン酸または他の適当なブロッキング基(例えば、C3スペーサー、ジデオキシ核酸など)により3’末端で伸長をブロックされる。CCCまたはGGG以外の特定の配列は、特定の分子相互作用機能を提供するために、ビーズに付着したオリゴヌクレオチドタグに組み込まれるものであってもよく、DNA塩基、RNA塩基または他の基で構成されるものであってもよい。
図6Aに示すように、1または複数の分子は、(例えば、配列180cを有する)標的核酸結合のための第1の配列を含む第1のサブセットと、(例えば、配列180bを有する)核酸ハイブリダイゼーションのための第2の配列を含む第2のサブセットとを含むことができ、一般(例えば、rGrGrG)結合モチーフまたは別の特異的標的オリゴ配列の何れかを有し、得られた合成産物が、その後の精製ステップなしに、組成物100で(例えば、180cおよび180bの既知の配列要素間で)捕捉され、粒子上で精製されるが、他のバリエーションでは、第1の配列180cおよび第2の配列180bを選択的に異なる粒子に結合させることができる。他のバリエーションでは、第2の配列が3’ブロックされず、新たに合成された配列上に直接伸長し、第1の鎖の配列に対する相補体を形成することができる。
【0059】
実施形態では、
図6Aのように同じ粒子内に存在する2つの異なるオリゴヌクレオチドタグが、さらなる利点を提供するように構成することができる。オリゴヌクレオチドとcDNAを含む
図6Aで作成された鎖は、その後、第2の鎖の相補体であり続け、CBCを2回捕捉して終わる。第2は逆相補体である。そのような場合、同じビーズに由来する複数のバーコード領域を物理的に連結することで、データ分析を改善する手段を提供することができる(すなわち、バーコード領域が「一致」するはずである)。しかしながら、一致しないバーコード領域は、エラー(例えば、バーコードが大きく異なる場合はin vitro再結合、違いが1~2塩基しかない場合は他のエラー)を示す。これにより、小さなエラーを特定して、潜在的に修正することができるため、cDNA配列を正しいビーズに、ひいては正しい細胞にマッピングする能力が向上する。より詳細には、このような構成は、ある程度のエラー訂正を提供するための第2のポイントを提供する。さらに、バーコードが十分に一致しない場合、それらの配列を分析から除外することができる(または、それらを1つまたは他のバーコード領域に暫定的に割り当てることができる)。もう一つの利点は、データ中のこの種のキメラの割合を測定し、それらのデータを使用して、直接測定できないデータを訂正することができることである。例えば、複数のバーコード領域を有するビーズと同じワークフローで1つのバーコード領域のみを有するビーズを使用する場合、1つの配列につき2つのバーコード領域を付与するビーズで生成されたデータから1つのバーコード領域シナリオのキメラ現象の割合を推論することができる。両バーコードが一致するように同一である必要はない。バーコードが異なるように構成されていても、関連性が知られていれば、「一致」の利点は依然として可能である。
【0060】
他のバリエーションでは、
図6Bに示すように、1または複数の分子120のうちのある分子の活性セグメント180は、タンパク質タグ付けに適合させることができ、他の処理は、溶解した細胞からの抗体(例えば、表面抗体)の結合を可能にする、オリゴヌクレオチド抗体結合領域(例えば、TotalSeq(商標)領域)のような、標的タンパク質の抗体(または他のタンパク質成分)の結合のための第3の配列180c、および捕捉したタンパク質由来の産物との相互作用のための第4の配列180d(例えば、合成中に付加されたCCC領域との相互作用のためのrGrGrG基、合成中に付加された別の領域との相互作用のための別の基など)のうちの1または複数を含むことができる。操作中、RT酵素は、合成中にCCC配列(または他の配列)を付加して終了することができ、その後、合成されたタンパク質産物は、第4の配列180dのGGG基(または他の相補的な基)と相互作用することができる。
図6Bに示すように、1または複数の分子は、(例えば、配列180cを有する)抗体結合のための第1の配列を含む第1のサブセットと、(例えば、配列180dを有する)合成産物相互作用のための第2の配列を含む第2のサブセットとを含むことができ、それにより、合成産物は、その後の精製ステップなしに、組成物100で粒子上で捕捉および増幅することができるが、他のバリエーションでは、第3の配列180cおよび第4の配列180dを選択的に異なる粒子に結合させることができる。なお、特定の産物の精製または増強の一部は、他の配列よりも特定のオリゴヌクレオチド配列の増幅によって可能になることに留意されたい。
【0061】
組成物は、結合/他の相互作用を伴う他のプロセスを実行するために、1または複数の分子120に他の活性セグメントを追加的または代替的に含むことができる。
【0062】
2.2.5.1 切断可能なリンカー
例えば、
図6C~
図6Eに示すように、活性セグメント180’は、1または複数の切断可能なフルオロフォア・クエンチャ領域を組み込むことができ、これは、放出された蛍光シグナルに基づいて本体からのオリゴヌクレオチドの切断の確認を可能にするように機能することができる。
図6C(右上)に示すように、組成物の1または複数の分子は、分子を本体110’に結合するリンカー130’(上述)と、フルオロフォア180a’およびクエンチャ180b’を有する切断可能要素(例えば、切断可能な塩基またはリンカー)を含む活性領域180’と、PCRハンドル140’と、バーコード領域150’と、捕捉配列を有する一意の分子識別子(UMI)160’とを含むことができる。
【0063】
使用中、
図6Cおよび
図6Dに示すように、ビオチン化ヌクレオチドは逆転写中に組み込まれ、ある分子では相補的なRNA/DNAハイブリッド鎖の生成を伴い、ある分子は標的オリゴヌクレオチドを全く捕捉しない。その後、切断シグナル(例えば、94Cへの反応環境温度変化、熱不安定性リンカーに対する別の適切な温度への反応環境温度変化)により、活性領域180’の熱不安定性リンカーの切断が生じ、RNA/DNAハイブリッド鎖を有する分子の相補的RNA/DNAハイブリッド鎖の放出が生じる。
図6Dに示すように、熱不安定性塩基/リンカーが分離された後、クエンチャ180bが放出されて、フルオロフォア180aが励起時に蛍光を発することを可能にする。このため、フルオロフォア180aによって発せられる蛍光シグナルは、本体110からのオリゴヌクレオチド分子の切断を確認することを可能にすることができる。
【0064】
より詳細には、
図6Dに示すように、加熱により、反応環境中に複数の分子、すなわち、1)ビオチン化ヌクレオチドを有するバーコード領域150’および一意の分子識別子160’を含む逆転写オリゴヌクレオチドと、2)裸/空/未捕捉のオリゴヌクレオチド配列と、3)RNA-DNAハイブリッド相補鎖とが存在する。その後、反応環境から液相を除去した状態で、液相と分離粒子(例えば、引用により援用される出願に記載されているようなストレプトアビジン磁気ビーズ)との組み合わせと、それに続く(例えば、磁力による)分離とにより、2020年5月5日に出願された米国出願第16/867,235号および2020年6月19日に出願された米国出願第16/906,337号(それらはこの引用により全体が援用されるものとする)に記載されるように、ライブラリ調製を伴う下流処理および第2の鎖合成のために逆転写オリゴヌクレオチドを分離することが可能となる。
【0065】
熱不安定性機構が記載されているが、活性領域180’は、追加的または代替的に、切断を確認するために生成物を検出することができる他の切断可能な機構を含むことができる。例えば、活性領域180’は、追加的または代替的に、光切断可能領域、化学的に切断可能な領域、酵素的に切断可能な領域、または別の適切な機構によって切断可能な領域を含むことができる。
【0066】
さらに、上述したように、放出された蛍光シグナルで切断および/または捕捉を監視するために、フルオロフォア180a’とクエンチャ180b’の逆向きを実施することも可能である。
【0067】
関連するバリエーションでは、活性領域180’が、選択的にフルオロフォアを含むことができ、このフルオロフォアが、フルオロフォアおよびクエンチャの両方として機能する。特に、ビーズ上のフルオロフォアの密度が自己消光するのに十分に高い場合、ビーズからのいくつかのフルオロフォアの除去は、特定のクエンチャ分子が含まれない場合でも、総蛍光の増加をもたらすことになる。このため、監視されるビーズの数およびフルオロフォアの数が変わらない場合でも、蛍光の増加(例えば、ビーズからの蛍光、または上澄み液中のビーズおよび/または放出フルオロフォアを含むウェルからの蛍光)により切断を監視することが可能である。
【0068】
さらに代替的には、活性領域180’の別のバリエーションでは、クエンチャ180bはダーククエンチャではなく、操作中に反応から検出されるシグナルに影響を与える別のフルオロフォア(例えば、FRETパートナ)であってもよい。例えば、活性領域180は、切断後に本体110上に残るように構成された部分に第1のフルオロフォア(例えば、フルオレセイン)と、切断によって放出されるように構成された第2のフルオロフォア(例えば、TAMRA)とを組み込むことができ、その場合、近接したときに第1のフルオロフォアからのフルオロセインシグナルが消光するが、第2のフルオロフォアを有するオリゴヌクレオチドが放出されるとシグナルが増加する結果となるであろう。さらに、第2のフルオロフォアからのシグナルは、切断された構成と切断されていない構成の両方で監視することができる。
【0069】
図6Eに示す代替的な一構成では、組成物を、(例えば、全長のおよび切断された分子の両方の定量化を伴う)ビーズの直接定量化のために構成することができる。より詳細には、組成物の1または複数の分子は、分子を本体110’’に結合するリンカー130’’(上述)と、第1のフルオロフェア180a’’(例えば、フルオレセイン、Cy3等)および第2のフルオロフォア180b’’(例えば、TAMRA、Cy5、Cy7)を有する切断可能要素を含む活性領域180’’と、特定の用途に必要とされるように構成された追加の要素、例えばPCRハンドル140’’と、バーコード領域150’’と、捕捉配列を有する一意の分子識別子(UMI)160’’とを含むことができる。そのような構成は、切断後の組成物の切断部分の直接定量に使用することができ、組成物成分は、様々な波長レジームを用いて(例えば、蛍光顕微鏡、蛍光読み取り装置により)可視化して、未切断要素(FRETパートナが近接したままである場合)および切断要素(FRETパートナが分離してもはや相互作用しない場合)の両方を交互に検出するか、または2種のうちの一方のみを優先的に検出することが可能である。同一または類似の組成物は、(例えば、保存寿命試験のために)可視化せずに定量化することができる。さらに、そのような組成物は、ヒドロゲルからなる本体110と共に使用することができ、この場合、本体110に使用されるヒドロゲル材料は、半透明であり、自己蛍光を発しない。
【0070】
しかしながら、他の構成または開示の構成の組合せが想定され得る。
【0071】
2.2.6 分子-分子ハサミ
図1および
図7に示すように、1または複数の分子のうちのある分子のバリエーションは、追加的または代替的に、1または複数の任意の分子ハサミ領域190を含むことができ、これは、(例えば、合成後、反応後、産物の生成後、生物学的材料の処理中のある時点で)1または複数の分子120からの産物または他の標的分子の制御可能な切断を可能にするよう機能する。開示の実施形態、バリエーションおよび例に関して、分子ハサミは、NEBからの特定のUSER酵素ブレンドのみならず、制限酵素、亜鉛フィンガーヌクレアーゼ、タロン、アプタマー、トランスポゼース、RnaseH、CRISPR酵素、および特定のオリゴヌクレオチド(例えば、天然または非天然)配列を認識して配列の特定の位置で切断する能力を有する他の分子も広く含む。バリエーションでは、分子ハサミが、一本鎖または二本鎖であり得る。バリエーションでは、分子ハサミ領域190が、好ましくは、切断が所望の産物を損傷したり使用不能にしたりしない領域(例えば、リンカーのすぐ遠位側)にオリゴヌクレオチド分子に沿って配置される。しかしながら、1または複数の分子ハサミ領域190を、代替的に別の適切な方法で配置することができる。
図7(上)は、組成物のユニットが、mRNA捕捉のための第1のオリゴヌクレオチド分子に沿って第1のリンカー130aのすぐ遠位側に位置する第1の分子ハサミ領域190aと、合成されたcDNA産物の捕捉のための第2のオリゴヌクレオチド分子に沿って第2のリンカー130bのすぐ遠位側に位置する第2の分子ハサミ領域190bとを含む実施例を示している。この実施例は、cDNA標的オリゴヌクレオチドとは別に、mRNA捕捉オリゴヌクレオチドの制御された切断を可能にする。
図7(中)は、組成物のユニットが、mRNA捕捉のための第1のオリゴヌクレオチド分子に沿って第1のリンカー130aのすぐ遠位側に位置する第1の分子ハサミ領域190aと、合成されたcDNA産物の捕捉のための第2のオリゴヌクレオチド分子とを含む実施例を示している。この実施例は、mRNA捕捉オリゴヌクレオチドの制御された切断を可能にする。
図7(下)は、組成物のユニットが、mRNA捕捉のための第1のオリゴヌクレオチド分子に沿って第1のリンカー130aのすぐ遠位側に配置された第1の分子ハサミ領域190aと、合成されたcDNA産物の捕捉のための第2のオリゴヌクレオチド分子に沿って第2のリンカー130bのすぐ遠位側に配置された第1の分子ハサミ領域190aの別の例とを含む実施例を示している。この実施例は、mRNA捕捉オリゴヌクレオチドとcDNA標的オリゴヌクレオチドの同時切断を可能にする。
【0072】
mRNA結合-cDNA合成反応に関して、1または複数の分子ハサミは、mRNAを除去するために変性前または変性後の産物の切断に使用されるように構成することができる。このため、1または複数の分子ハサミ領域190は、mRNA-cDNA産物、標的mRNA、および/または(mRNAを含まない)合成されたcDNA産物の両方を除去するために使用することができる。
【0073】
一実施形態では、ポリメラーゼ伸長または逆転写または同様のプロセスが第2の鎖を完成させた後にのみ鎖が放出されるように、二本鎖特異的分子ハサミを実装することができる。このようにして、未反応産物を洗い流し、その後、完成した産物を、1または複数の分子120または組成物100の他の部分からバックグラウンド汚染なしに選択的に放出および回収することが可能である。
図7に示す組成物の代替的なバリエーションでは、下の分子を省略して、上述した機能性を提供することができる。別のバリエーションでは、活性部分としてプライマーを有する分子が、所望の機能性を提供することができる。
【0074】
さらに、代替的な実施形態では、組成物100の1または複数の分子120および/または他の部分が、他の機構(例えば、光切断、熱切断、化学的切断など)を用いたオリゴヌクレオチド配列および/または他の産物の制御された切断のために設計された領域を含むことができる。
【0075】
2.2.7 組成のバリエーション-基材と結合した機能性分子
図8A~
図8Cに示すように、組成物のバリエーションは、(例えば、単一細胞からの)標的物質を捕捉および/または処理するために使用される基材110b(例えば、チャンバの壁、チャンバを覆う蓋、チャンバ内に突出する突起など)に1または複数の分子120を付着するように構成することができる。組成およびプロセスのバリエーションは、さらに、2019年8月27日に発行された米国特許第10,3891,492号に記載の方法および組成から構成することができ、この特許は、この引用によりその全体が本明細書に援用されるものとする。
【0076】
より詳細には、
図8Aおよび
図8Bに示すように、粒子組成物は、官能化オリゴヌクレオチド分子を基材110b(例えば、反応チャンバの壁)に送達するように構成することができ、粒子体に結合した分子は、基材の表面コーティング191にオリゴヌクレオチドを付着させるように構成された反応基6を(例えば、末端に)含む。非限定的な例では、表面コーティングが、アクリルアミドまたは同様の化合物を含むことができ、オリゴヌクレオチドに付着した機能的リンカーは、アクリダイト修飾を含むことができる。このため、オリゴヌクレオチドをウェル表面に付着させることは、複数のアクリルアミドおよびアクリダイト分子を重合させることを含むことができる。いくつかの実施形態では、アクリルアミドポリマーが、架橋剤(例えば、ビスアクリルアミド)、または可逆的架橋剤(例えば、[ビス(アクリロイル)シスタミン]、BAC)を含むことができる。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドが共有結合を介してウェルの壁に直接付着されるように、ポリマーマトリックスを重合させることができる。他の実施形態では、付着が間接的であってもよい。例えば、一実施形態では、オリゴヌクレオチドが、壁の表面に直接付着させることなく、マトリックス内に組み込むことによって付着させることができる。この構成では、BACとの重合による架橋はそのままであり、オリゴヌクレオチドは壁に機能的に付着したままであるが、BACの還元により、架橋が不安定化し、複数のオリゴが表面から溶液中に放出される。他の例示的な表面コーティング化学および/または機能的リンカー化学は、
図8Aに示す構成に関して、および
図8B~
図8Mに示す後続の構成において、実施することができる。
【0077】
図8Bに示すように、鎖の反応性基6は、本体110への共有結合を有するハイブリダイズされたオリゴヌクレオチドを介して相補鎖7と対にすることができ、本体110から反応性基6を有する鎖を放出することにより、基材110bへの付着に備えさせることができる。
図8Aおよび
図8Bに示す本体110(例えば、粒子110)から、粒子に付着したオリゴヌクレオチドの相補体を使用して、ウェル表面に全長オリゴヌクレオチドを転写することに関して、5’末端に反応性部位を有するプライマー(例えば、複数の本体/ビーズに対して一括して行うことができる)を使用して、ビーズをウェルに添加し、続いて変性して相補的オリゴヌクレオチドを放出し、それらのオリゴヌクレオチドをウェルに結合させることにより、(例えば、ウェルの外側、ウェルの内側に)相補体を構築することができる。ビオチン/ストレプトアビジンの実装は、最初のラウンドで再アニーリングされたオリゴヌクレオチドがその後のラウンドで外れ、基材110bの表面で利用可能なストレプトアビジンに結合できるように、ある数(例えば、1~5)のラウンドの変性で望ましい結合結果を提供することができる。
【0078】
図8Cに示すように、付着のための全長オリゴヌクレオチドは、液滴8でウェル9内に送達され、基材110b(すなわち、ウェル表面)への付着のために液滴からオリゴヌクレオチドの放出を伴う。液滴は、(例えば、液体処理サブシステムによって送達される)空気中の液体であってもよく、または様々な材料(例えば、界面活性剤または他の材料を含むまたは含まない、オイルによって結合された水溶液などのエマルジョンなど)により結合されるものであってもよい。液滴は、完全に液体であってもよく、代替的には、ヒドロゲルから構成されるものであってもよい。油滴中の水の場合、オリゴヌクレオチドは、エマルジョンを破壊する界面活性剤または化学物質の添加によって放出され得る。非限定的な一例は、低温で固体(例えば、ワックス)構造を形成するが通常の生物学的温度で流体に戻るオイルによって、結合された水性液滴である。
【0079】
代替的には、
図8D~
図8Mは、基材110bの表面で全長オリゴヌクレオチドを結合および/または構築するための付着プロセスのバリエーションを示している。
【0080】
第1のバリエーションでは、
図8Dに示すように、共通のスタブオリゴヌクレオチドを溶液中で提供して、基材110b(例えば、壁面)に付着させた後、基材110bから適切なプロセスを使用して(例えば、粒子、ビーズ、液滴などを使用して)構築し、完全長のオリゴヌクレオチドを生成することができる。
【0081】
図8Eは、基材110bの表面からの連続的な構築のそのようなバリエーションの1つを示しており、ここでは、最初のスタブオリゴヌクレオチドを、上述したようにウェル内の表面に付着させ、追加のオリゴヌクレオチドセグメントまたは鋳型(例えば、粒子上)をウェル内に送達して、付着したオリゴヌクレオチドを完全長の機能性オリゴヌクレオチドに伸長するものである。
【0082】
図8Fは、付着したオリゴヌクレオチドを伸長することができる機構を示している。より詳細には、ウェル内の表面に付着した最初のスタブオリゴヌクレオチドは、粒子上の追加のオリゴヌクレオチドセグメントの送達、粒子からのその追加のオリゴヌクレオチドセグメントの切断(例えば、化学的手段、熱的手段、光切断手段などによる)、その後のウェル表面におけるスタブオリゴヌクレオチドの機能的リンカーへの切断されたオリゴヌクレオチドセグメントの結合によって、伸長させることが可能である。
【0083】
図8Gは、
図8Fに示す機構の第1のバリエーションを示しており、ここでは、最初に粒子に結合された追加のオリゴヌクレオチドセグメントが、変性による粒子からの切断時に対応する機能的リンカーに付着するように構成された反応性基を含む。実施例では、反応性基が、ライゲーションのための5’リン酸を含むことができるが、代替的には、クリックケミストリーのためのアルキンまたはアジドを含むことができ、さらに代替的には、別の反応性基(例えば、カルバメートなど)を含むことができる。
図8Gによれば、反応性基/機能的リンカーは、反応性基/機能的リンカー化学のタイプに応じて、5’または3’方向に配置することができる(例えば、機能的リンカー上の5’リン酸に反応するように構成された3’OHなど)。さらに、オリゴヌクレオチドは一本鎖または二本鎖であり、
図8Hには、反応性基を有する二本鎖オリゴヌクレオチドの一例が示されている。
【0084】
図8Iは、
図8Gおよび8Hに示す機構の代替的なバリエーションを示しており、オリゴヌクレオチドを粒子に結合する切断可能部分の切断により、その後ウェル表面で機能リンカーに付着する反応性基がもたらされる。
図8Iに示すように、5’および3’の向きは、特にコールアウトされていない。非限定的な一例では、反応性基が、切断後に生成される5’リン酸であり、5’リン酸が、ウェル表面に付着したオリゴヌクレオチドの3’末端で機能的リンカーと反応する。そのような一例では、粒子上のオリゴヌクレオチドが、粒子に付着した5’末端で構築され、ウラシルDNAグリコシラーゼでの処理によって切断されるdU残基またはアバシン部位を含み、続いてバックボーンを切断するリアーゼ酵素(例えば、エンドヌクレアーゼIII、エンドヌクレアーゼVIII)により、結果として5’リン酸が得られる。その後、切断された産物は、利用可能な3’OH(例えば、壁面に付着したオリゴヌクレオチドの3’末端の3’OH)に連結する準備ができている。操作中、機能的リンカーへの付着は、ライゲーションを促進するためのスプリントを実装することができる。バリエーションでは、機能的リンカーが、スプリントとして機能するために部分的二本鎖構築物として構成され、粒子上のオリゴヌクレオチドが、所望のオーバーハングをもたらすために両方の鎖で(例えば、2つのdU塩基のオフセットによって)切られた二本鎖産物であってもよく、または追加のオリゴヌクレオチドがスプリントとして機能するように別々に加えられるものであってもよい。
【0085】
図8Jは、
図8G~
図8Iに示す機構の代替的なバリエーションを示しており、ここでは、オリゴヌクレオチドを粒子に結合する切断可能部分の切断により、オリゴヌクレオチドが粒子から切り離されて、機能的リンカーの3’末端にアニーリングされ、続いてポリメラーゼの使用により伸長される。
図8J(右下)に示すバリエーションでは、ウェルの形状、粒子の変形性、または機能的リンカーの密度が、粒子からオリゴヌクレオチドを切り離す必要がないような場合、オリゴヌクレオチドが、粒子に付着したままであってもよい。
【0086】
図8Kは、
図8G~
図8Jに示す機構の代替的なバリエーションを示しており、ここでは、一本鎖オリゴヌクレオチドが、粒子から切り離されて、ウェル表面で機能的リンカーの3’末端にアニーリングされ、ポリメラーゼの使用により伸長される。
図8K(右下)に示すバリエーションでは、ウェルの形状、粒子の変形性または機能的リンカーの密度が、粒子からオリゴヌクレオチドを切り離す必要がないような場合、オリゴヌクレオチドが粒子に付着したままであってもよい。
【0087】
図8Lは、
図8G~8Kに示す機構の代替的なバリエーションを示しており、ここでは、粒子上のオリゴヌクレオチドの相補体が構築され、相補体がウェル表面で機能的リンカーを伸長するための鋳型として機能する。より詳細には、相補体は、粒子オリゴヌクレオチドでプライマーをアニーリングして伸長させて相補体を形成し、次いで、変性させて粒子から相補体を解放することによって構築することができる。その後、機能的リンカーを伸長して、ウェル表面で全長オリゴヌクレオチドを生成することができる。
【0088】
図8Mは、追加のオリゴヌクレオチドセグメントをウェル表面に結合された機能的リンカーに付加することができる例示的な機構を示している。より詳細には、粒子からオリゴヌクレオチドセグメントを順次切断して実行中の構築体に付着させることによって、1~n個の追加セグメントをウェル表面におけるオリゴヌクレオチドの実行中の構築体に付着させることができる。
図8Mの方法に関して、上述した付着方法のいずれかを、連続的に、単独で、または組み合わせて使用することができる。例えば、各オリゴヌクレオチドセグメントは、クリックケミストリーによってライゲーションまたは結合することができ、各々を、鋳型をハイブリダイズした後に伸長によって加えることができ、またはオリゴヌクレオチドセグメントは、いくつかを伸長によって加え、他のものをライゲーションによって加えることができる。
【0089】
図8A~
図8Mに示す方法および構成は、他のステップまたは要素を含むことが可能であるが、そのうちのいくつかを、以下のセクションでより詳細に説明する。
【0090】
3.組成物の具体例-ATACシークエンシング、分子ハサミ、制限部位
図9Aおよび
図9Bに示すように、1または複数の分子120のうちのある分子のバリエーションは、ゲノムに関連するクロマチンアクセス性を評価するために(例えば、エピゲノム分析のために)、Assay for Transposase-Accessible Chromatin using sequencing(ATAC-seq)のために構成することが可能である。
図9Aに示すように、組成物200の一例は、本体210と、本体に結合されたリンカー230と、リンカーに結合された第1の分子ハサミ領域290と、第1の分子ハサミ領域290に結合されたPCRプライマー240と、PCRプライマー240に結合されたバーコード領域250と、PCRプライマー240に結合されたUMI260と、UMI260に結合されるATAC-seqのためのトランスポゼースアダプター(例えば、Tn5トランスポゼース1、Tn5トランスポゼース2)に相補的な配列を含む活性セグメント280とを含むことができる。この組成物は、最初の伸長反応を達成するために構成され、他のトランスポゼースアダプターは、最初のトランスポゼースアダプターに関連する挿入イベントの下流PCR濃縮のために使用される。
【0091】
図9Bに示すように、このような組成物200は、各フラグメントの各末端にアダプター(およびトランスポゼースアダプターに連結したバーコード)を加えることによる伸長を伴うクロマチンセグメントの周りのDNA配列の切断、それに続く増幅およびシークエンシングのために構成することができる。
【0092】
図9Aに示す例のバリエーションは、別の好適な方法で構成することができる。例えば、第2の構成では、1または複数の分子が、本体に結合されたリンカー230、リンカーに結合された第1の分子ハサミ領域290、第1の分子ハサミ領域290に結合されたPCRプライマー240、PCRプライマー240に結合されたバーコード領域250、PCRプライマー240に結合されたUMI260、およびUMI260に結合された第1のトランスポゼースアダプター(例えば、Tn5トランスポゼース-1)を含む活性セグメント280を含む1または複数の分子と、本体に結合されたリンカー230、リンカーに結合された第1の分子ハサミ領域290、第1の分子ハサミ領域290に結合されたPCRプライマー240、PCRプライマー240に結合されたバーコード領域250、PCRプライマー240に結合されたUMI260、およびUMI260に結合された第2のトランスポゼースアダプター(例えば、Tn5トランスポゼース-2)を含む活性セグメント280を含む第2の1または複数の分子とを含むことができる。この構成は、組成物200の同一粒子上で伸長およびPCR濃縮を実行するように構成されている。
【0093】
図9Cに示す代替的なバリエーションでは、本体からオリゴヌクレオチドを制御可能に切り離すために使用できる切断可能要素235’、290’を含むように組成物200’を構成することができる。より詳細には、制限酵素は、DNAを特異的に切断するために使用することができるが、切断するために二本鎖セグメントを必要とする。しかしながら、本明細書に記載の方法は、多くの場合、一本鎖の核酸を利用する。このため、制限酵素を使用するには、標的切断のための二本鎖要素を形成するために、多くの場合、第2の核酸を一本鎖分子に付加する必要がある。このプロセスは、複雑さを生じさせ、不完全な切断をもたらす可能性がある。組成物200’は、少なくとも1の切断部位をコードするように構成することができ、ここで、1または複数の分子は、本体に結合されたリンカー230’(例えば、曲げる柔軟性および長さを提供するスペーサー18(HEG)配列などの長い柔軟なリンカー)、制限部位290’をコードする一本鎖配列(例えば、タイプII制限エンドヌクレアーゼ、タイプI制限エンドヌクレアーゼ、タイプIIG制限エンドヌクレアーゼ、タイプIIP制限エンドヌクレアーゼ、タイプIIS制限エンドヌクレアーゼ、タイプIII制限エンドヌクレアーゼ、タイプIV制限エンドヌクレアーゼ)、および任意選択的な修飾コード領域235’(例えば、内部デオキシウリジン修飾コード)、フォワードプライマー240a’、リバースプライマー結合部位240b’、および任意選択的な蛍光プローブ標的295’(例えば、(FAM)標識5’ヌクレアーゼプローブ、別のプローブ)を含むことができる。
図9Cに示すバリエーションでは、オリゴヌクレオチド分子が、本体の表面から離れる方向に向く線形鎖として示され、制限エンドヌクレアーゼが、逆平行の向きのdsDNAを要求する。さらに、オリゴヌクレオチド分子は、互いに近接するオリゴヌクレオチド(例えば、組成物200’の第1の分子および組成物200’の第2の分子)が、制限酵素認識配列の領域において少なくとも一過性に、逆平行の二本鎖構造を形成し、それによってパリンドローム制限部位配列以外の明白な相同性がないにもかかわらず完全制限部位を形成することを可能にする様々な確認を取ることができる。このため、制限部位290’を用いた切断後、溶液中のオリゴヌクレオチドは、様々なアッセイを用いて(例えば、qPCRによって)検出、採取および定量することができる。具体例において、制限部位290’は、バチルスアミロリケファシエンス由来のBamHIタイプII制限エンドヌクレアーゼを含み、このエンドヌクレアーゼは核酸の短い配列(例えば、6bp)を認識して標的部位でそれらを切断する能力を有する。しかしながら、上述したように、他の制限エンドヌクレアーゼを使用することもできる。
【0094】
一実施例による実験中、表面上ssオリゴヌクレオチドを有する未処理のビーズは、BamHI切断によって解放される分子の数が最も多いことを示し(例えば、二本鎖産物がリバースプライマーのハイブリダイゼーションおよびポリメラーゼによる伸長によって作られる処理と比較して約2倍の数を有し)、一方、ssDNAを有し、制限消化の直前に水酸化ナトリウムで変性したビーズは、より少ない切断を示し、これは、切断が、再アニーリングに必要な時間を伴う二本鎖状態に依存することを示している。
【0095】
これらのバリエーションでは、1または複数の分子が、異なるオリゴ鎖間の一過性のハイブリダイゼーションによって正しい二本鎖モチーフを形成する(すなわち、一本鎖内でヘアピンまたは他の二次構造を形成しない)。さらに、制限部位を完成させる配列は、それぞれの分子鎖の残りの部分には存在せず、分子間相互作用が必要であることを示している。さらに、BamHI制限部位の使用はパリンドロームであるだけでなく、切断を容易にするためにGCリッチでもあるが、切断の効率は異なるものの、他の制限部位を使用することもできる。より詳細には、ssDNAは、ほんの一握りの塩基でループ構造を形成することができ、しばしば「ランダムコイル」構成をとることができるが、リンカー領域230’のリンカー長さと柔軟性は、標的切断を可能にするためにオリゴヌクレオチド対を一致させる役割を果たす。さらに、これらの実施形態では、すべての切断の前に両方の鎖を付着させる必要はない。例えば、BamHIの両方の鎖は、制限エンドヌクレアーゼが切断する方法によって同じ結果の産物で切断されるが、欠損塩基は切断を完全に阻害しすることはなく、よって、ある切断されたオリゴヌクレオチドは、未切断オリゴヌクレオチドとハイブリダイズし、先に切断されなかった鎖の第2の切断(例えば、ニック)を誘導することができるが、外因性の相補鎖を付加する必要性はない。このため、本体に結合したオリゴヌクレオチドの密度は、反応速度に影響を及ぼすが、切断を可能にするために厳密には必要とされるわけではない。
【0096】
図9Dには、切断可能なリンカーの別の具体例が示されており、この例では、切断可能なリンカー領域230’’を、本体からオリゴヌクレオチドを制御可能に解放するために使用することができる。
図9Dに示す組成物は、配列特徴231’’をオリゴに組み込み、この配列特徴が、少なくとも一過性に、制限酵素認識/切断部位を含む二本鎖要素(例えば、PacI制限部位)を生成するヘアピン構造を形成する。このため、一時的な二本鎖要素は、分子内で標的切断のために形成され、それにより、対応するオリゴヌクレオチド鎖の切り離しを可能にする。
【0097】
しかしながら、分子のセグメントは、追加的または代替的に、説明したような他の適切なセグメントを含むことができ、かつ/または別の適切な方法で本体210に結合することができる。非限定的な例として、
図9Cおよび
図9Eの制限部位290’および
図9Dの切断可能なリンカー要素は、本明細書に記載の他の組成物に対して(例えば、
図1に示す組成物100の分子ハサミセクション190、構築物200の分子ハサミセクション290、
図6Cに示す切断可能なリンカー要素、または切断可能要素が示されるか有益である他の組成物における切断要素として)制御可能な切断要素を提供するために使用することができる。
【0098】
一例では、組成物200の実施形態が、単一細胞ATACシークエンシングのための方法300で実施することができ、この方法300は、
図10に示すように、マイクロ流体基材の捕捉領域で標的細胞のセットを単一細胞形式で捕捉するステップS310と、捕捉領域で標的細胞のセットの核を保持しながら細胞質を除去するために標的細胞のセットを溶解するステップS320と、組成物200のユニットを単一細胞核と共捕捉するステップS330と、単一細胞核および組成物との転位反応を可能にし、それにより断片化DNAを生成するステップS340と、第1のトランスポゼースアダプターを使用して伸長操作を実行するステップS350と、バーコード領域およびUMIを含む組成物の一部を、分子ハサミ領域を介して組成物の本体から切断するステップS360と、伸長操作により断片化したDNAに第2のトランスポゼースアダプターを適用するステップS370と、断片化および処理したDNAに対して増幅反応を実行するステップS380とを含む。
【0099】
方法300のバリエーションは、ライブラリのクリーンアップおよび次世代シークエンシングローディングステップをさらに含むことができる。
【0100】
しかしながら、方法300のバリエーションは、別の適切な方法で(例えば、別の捕捉および処理プラットフォームを使用するなどして)実施することもできる。
【0101】
4.製造
図11に示すように、組成物を生成するための方法400は、ベース基材としての本体を提供するステップS410と、リンカーのセットを本体に結合するステップS420と、段階的/連続的な付着操作で、1または複数の分子をリンカーのセットに結合するステップS430とを含む。実施形態では、様々な分子生物学的反応(例えば、ライゲーションまたはポリメラーゼ伸長)または化学的合成法(例えば、クリックケミストリー)を利用して、長い(>50bp長)オリゴヌクレオチド分子を製造して、最小限のエラー率(例えば、5%未満のエラー、1%未満のエラー、0.5%未満のエラー)で非常によく規定された配列を有することが可能である。いくつかの例では、それらが、配列を規定するために使用される鋳型が最終産物に直接組み込まれない鋳型反応を含むことができる。他の例では、反応は鋳型化されていないか、または鋳型が組み込まれるように実施することができる。オリゴヌクレオチドは、成分のモノマー単位から、または部分的もしくは完全な配列の付加によって構築することができる。いくつかの例では、付加される単位が、部分的または完全に一本鎖であってもよい。他の実施形態では、付加される単位が、部分的または完全に二本鎖である。いくつかの実施形態では、付加される単位が大部分、二本鎖であるが、一方の鎖のみが本体および/またはリンカーと共有結合するようになる。いくつかの実施形態では、個々の単位に存在する誤差を低減することによって最終産物の誤差率を低減するように、鋳型鎖および/または付加される単位が、付着に使用する前に精製または品質管理の確認を受ける。場合によっては、個々の単位の製造方法が、(例えば、短いオリゴヌクレオチド単位を使用することによって)エラー率の低下を本質的に保証することができる。
図10のいくつかの実施形態およびバリエーションでは、最後から2番目のステップ(例えば、本体にリンカーのセットを結合させるステップS420)が任意である。例えば、ステップS430でセット内の各分子にリンカーを付着させることも可能である。
【0102】
方法400は、上記セクション1に記載の1または複数の利点に従って、サンプルからの標的物質の処理、分離および回収を可能にする組成物を効率的に作成するように機能する。方法400は、複雑なオリゴヌクレオチド構造を有する組成物を段階的に付着させる形で生成することができ、それにより、塩基ごとのオリゴヌクレオチド付着方法(例えば、ホスホロアミダイトベースのオリゴヌクレオチド合成)に付随する複合誤差を低減することができる。方法400は、シークエンシングプラットフォームに特異的な分子アダプター(例えば、Illumina(商標)アダプターなど)を含めることによって、ライブラリ調製プロセスを簡素化する組成物を製造することもできる。したがって、方法400は、スケーラブルな方法で、品質管理を提供し回収可能な産物の量を改善するように、機能性粒子の製造に使用することができる。
【0103】
実施形態では、方法400は、上述した実施形態、バリエーションおよび実施例の組成物100、200を製造することができる。しかしながら、方法300の一部は、他の関連組成物を製造するように適合させることができる。
【0104】
ブロックS410は、ベース基材としての本体を提供することを述べている。これは、様々なプロセスに特有の機能性分子を付着させるためのベース基材を提供するように機能する。上述したように、ベースは、連続した本体として提供することができ、代替的には、より小さな本体のクラスタとして提供することができる。連続形態またはクラスタ形態の何れかにおいて、ブロックS410は、本体の表面へのリンカー分子のその後の付着を容易にするために、本体に官能基(例えば、アミン、ヒドロキシル基、シラノール基など)を結合することを含むことができる。
【0105】
代替的なバリエーションでは、上述したように、ブロックS410が、本体を形成するためにより小さい本体のセットを集合させることを含むことができる。第1のバリエーションでは、
図12Bに示すように、ブロックS410は、マイクロ流体チャネルを使用して未重合および/または未架橋の材料の液滴を作成し(S414)、それにより材料が液滴状態で重合および/または架橋を受けて、より小さい本体のセットを形成することを含むことができる。ブロックS414によれば、所望のサイズの液滴を生成するために、材料を所望の速度でマイクロ流体チャネルを通して、所望の形態を有する開口部を介して、媒体(例えば、オイルなど)中に流すことができる。その後、化学的または他の手段により重合させることができる。同様に、架橋は、光活性化法、化学的方法、熱誘導法および/または他の任意の適切な方法のうちの1または複数を使用して達成することができる。
【0106】
別の代替的なバリエーションでは、
図12Cに示すように、ブロックS410が、プレポリマー化水溶液中の基材のウェルのセットにわたって、ウェルのセットの上に流体の水性層がある状態で、より小さな本体のセットを分配すること(S415)を含むことができる。その後、ブロックS410は、流体の水性層を分離層(例えば、シリコーンオイルなどの低密度オイルの層)と置き換えて(S416)、ウェルのセット内の小さい本体のクラスタを分離させることを含むことができる。その後、ブロックS410は、基材を反転させるか(S417)、または他の方法でウェルのセットからより小さい本体のクラスタを(例えば、遠心力、他の適用力で)変位させ、流体の分離層内の表面張力が、分離流体内のクラスタのセットの各々の球状の形態を促進することを含むことができる。ブロックS310のバリエーションは、(例えば、流体の分離層内の別の領域、流体の分離層の外側における)より小さい本体のクラスタの重合および/または架橋(S318)をさらに含むことができる。バリエーションでは、ブロックS416が、より小さい本体のクラスタのセットの各々の光重合(例えば、UV光、別の波長の光などによる)または化学重合を含むことができる。ブロックS316は、追加的または代替的に、架橋(例えば、照射による架橋、化学的架橋、熱ベースの架橋、酸化的架橋など)を含むことができる。
【0107】
しかしながら、ブロックS410の他のバリエーションは、オリゴヌクレオチドで機能化するための基材を提供するために、適切な表面化学特性(および/または磁性のようなコア材料特徴)を有するクラスタ化したより小さい本体のセットを形成するための追加的または代替的なステップを含むことが可能である。
【0108】
第1のバリエーションでは、ブロックS410が、ビーズの形態でベース基材を生成することを含むことができ、ビーズが、制御された環境で溶解するポリマーで構成されている。具体例では、ビーズが、アクリルアミド溶液(例えば、40%v/vのアクリルアミド、別の割合のアクリルアミド)、ビス(アクリロイル)シスタミン(例えば、0.8%w/vのBAC、別の割合のBAC)、脱イオン水、および緩衝液(例えば、Tris-HCL、NaCl、KCl、EDTA、Triton X-100および水からなる緩衝液、別の適切な緩衝液など)から処理されたポリアクリルアミド材料から構成され、ポリアクリルアミドビーズは、低酸素条件下(例えば、アルゴンガス下)で過硫酸アンモニウム(例えば、10%のAPS、別の割合のAPS)およびテトラメチルエチレンジアミン(TEMED)で重合し、その後ジチオスレイトール(DTT)などの還元剤存在下で溶解するよう構成されている。
【0109】
このバリエーションでは、
図12Aに示すように、ブロックS410に従うビーズの生成は、開始剤とともに材料成分を第1のマイクロ流体経路に伝達するステップS411と、回収中にTEMEDが油相に供給された状態で、得られた材料を第2のマイクロ流体経路(例えば、500umの回収量で終了する14umの集束チャネル)に通して(例えば、加圧ガスポンプで)送り込むときに、S411で得られた材料で液滴のセットを生成するステップS412と、マイクロ流体チャネルの特徴、マイクロ流体経路を通して材料成分を送り込むために用いられるガス組成(例えば、アルゴン、他のガス)に基づいて、液滴のセットの液滴サイジングを制御するステップS413とを含む。S410~S413の具体例では、圧力および流量の制御を有する加圧ポンプ(例えば、ヒドロゲルが重合するためにポンプチャンバからの空気を加圧および除去するための加圧アルゴンによる)が、第1の流路を含む第1のマイクロ流体チップおよび第2の流路を含む第2のマイクロ流体チップに結合され、フロー制御センタで制御される顕微鏡に取り付けられた高速カメラおよびX-Yステージを使用して、形成される液滴の品質およびサイズが監視された。実施例では、形成されたポリアクリルアミド液滴が、Tris-HCL、NaCl、KCl、EDTA、Triton X-100および水からなる緩衝液で洗浄され、Tris Tween-20の保存液に入れられた。形成された液滴は(例えば、膨潤を伴う水溶液中で)平均直径22.75um、標準偏差1.62umであった。実施例では、液滴が、30秒以内に、0.1MのDTTに1:1の体積比で溶解可能であった。
【0110】
図12Aに関連する実施例のバリエーションでは、ポリアクリルアミドビーズの配合が、アクリルアミドの量を減らし、アクリルアミドタグ付き(例えば、アクリダイト修飾)オリゴヌクレオチドを加えることにより調整され、ビーズ当たり約10
9個のオリゴヌクレオチドが提供された。いくつかのバリエーションでは、オリゴが、蛍光タグ付けおよび検出用途のために(例えば、フルオロフォアまたは他の修飾で)さらに修飾された。より詳細には、ビーズは、アクリルアミド溶液(例えば、40%v/vのアクリルアミド、別の割合のアクリルアミド)、ビス(アクリロイル)シスタミン(例えば、0.8%w/vのBAC、別の割合のBAC)、脱イオン水、アクリル化オリゴヌクレオチド(例えば、第1の末端に近接したアクリル化部位と第2の末端に近接したFAM部位とを有する250uMのアクリル化フルオレセインアミダイト(FAM)オリゴ)、過硫酸アンモニウム溶液(例えば、10%w/vのAPS、別の割合のAPS)、および緩衝液(例えば、Tris-HCL、NaCl、KCl、EDTA、Triton X-100および水からなる緩衝液、別の適切な緩衝液など)から処理されたポリアクリルアミド材料から構成することができ、FAMタグ付きポリアクリルアミドビーズが、テトラメチルエチレンジアミン(TEMED)と重合してジチオスレイトール(DTT)の溶液に溶解するよう構成されている。蛍光タグ付きビーズの例では、形成された液滴の平均直径は(例えば、膨潤を伴う水溶液中で)20.39umであり、標準偏差は1.25umであった。実施例では、液滴が(例えば、0秒、30秒、90秒、5分のイメージングで)0.1MのDTTに1:1の体積比で溶解可能であり、蛍光シグナルが溶解プロセスを示すものであった。この非限定的な例では、DTTが、BAC要素に起因して存在するジスルフィド架橋を切断し、それにより球状ビーズからより小さい本体(例えば、ポリアクリルアミド結合オリゴ)を放出する。この小さい本体は、溶液中を容易に拡散することができるサイズである。しかしながら、この非限定的な例のバリエーションも実装することが可能である。
【0111】
ブロックS420は、リンカーのセットを本体に結合させることを述べている。これは、本体に結合するオリゴヌクレオチド分子のセットの間隔および密度を制御して組成物の機能化をもたらすように機能する。実施形態では、リンカーを、上述した実施形態、バリエーションまたは実施例のリンカー130とすることができるが、リンカーは、別の適切なリンカーであってもよい。
【0112】
非対称リンカー(例えば、異なる長さの枝を有するリンカー、または同様の長さであるが異なる官能基もしくは保護基を有するリンカー)を含むバリエーションでは、ブロックS420は、第2の保護基で第2の枝を保護しながら非対称リンカーの第1の枝から第1のオリゴヌクレオチドセグメントを構築し、第1の枝を第1の保護基で保護しながら(かつ第2の枝を脱保護しながら)非対称リンカーの第2の枝から第2のオリゴヌクレオチドセグメントを別個に構築するステップS425を含むことができる。しかしながら、ブロックS425のバリエーションは、リンカーを使用せずに、または既に合成されたオリゴヌクレオチドを組成物の付着部位に結合させることによって、操作するように構成することもできる。
【0113】
ブロックS430は、1または複数の分子をリンカーのセットに段階的/連続的な付着操作で結合させることを述べている。これは、オリゴヌクレオチド鎖の典型的な化学合成に伴う複合誤差およびロット間変動を低減するように機能する。より詳細には、ブロックS430は、より高い精度のオリゴヌクレオチド分子、分子の設計に対するより多くの制御を達成するとともに、使用可能な全長産物の量(例えば、97%以上の使用可能な産物)に関して、合成のより高い効率を達成するために、追加のイベントが少なく、複合エラーを少なくする方法を提供するように機能する。いくつかの実施形態では、それはさらに、不完全な産物を単一の塩基よりも大きい別個の単位に閉じ込めて、部分的な産物を下流のワークフローに参加させないようにする利点を提供するとともに、下流プロセスのアーティファクトから製造エラーを区別することができるデータ分析を促進し、それによりその後のデータ分析を改善する役割を果たす。
【0114】
図13に示すように、バリエーションでは、ブロックS430が、上述した反応のために構成された所望のオリゴヌクレオチド分子のサブセグメントのセットを(例えば、並列に、直列に)生成すること(S431)を含むことができる。その後、ブロックS430は、サブセグメントのセットを、エラーが低減された全長産物として所望のオリゴヌクレオチド分子に組み立てること(S432)を含むことができる。いくつかのバリエーションでは、ブロックS430が、組立におけるエラーをさらに低減するために、サブセグメントのセットのユニットを精製すること(S433)を含むことができ、精製が、完全精製プロセスおよび/または脱塩ステップを含むことができる。追加的または代替的には、いくつかのバリエーションが、所望のオリゴヌクレオチド分子の組立後に精製関連ステップを含むことができるが、方法S430のいくつかのバリエーションは、ブロックS433に関連する精製ステップを省くことができる。バリエーションでは、ブロックS430の段階的付着方法が、長さが5~30塩基のサブセグメントの生成を含み、それらが、その後組み立てられるが、代替的なバリエーションでは、ブロックS430の段階的付着方法が、他の適切な長さのサブセグメントの生成を含むことが可能である。
【0115】
上述したバーコードセグメントまたは他のセグメントに関して、
図14に示すように、ブロックS430の具体例は、バーコードセグメント(例えば、約20塩基長のセグメント)の生成を含むことができ、
図14に示すように、バーコードセグメントは、96~384バージョンを有するバーコード配列のグループのうちから選択される。しかしながら、別の適切な数のバーコード配列バージョンを、自然に発生しない適切な長さの配列で生成することができる。
【0116】
具体例において、バーコード配列の3セグメントは、(例えば、関連する識別子を有する)固有のオーバーハングを用いて生成することができ、オーバーハングは、所望の順序のオリゴヌクレオチド分子の正しい組立を促進するために使用することができる。例えば、
図15に示すように、第1のバーコード配列435は、第2のバーコード配列436と結合するためのオーバーハングを含むことができ、第2のバーコード配列は、第3のバーコード配列および一意の分子識別子437と結合するためのオーバーハングを含むことができ、第3のバーコード配列は、活性基438(例えば、オリゴヌクレオチドTVN、TS GGG、TotalSeq Cなど)に結合するためのオーバーハングを有することができる。組み立てられたバーコードセグメントは、ブロックS410で提供される本体に結合される前駆体分子(例えば、プライマーに結合されたリンカー)に結合することができ、または別の方法で前駆体分子に結合される。
【0117】
具体例に関してさらに詳細には、組成物の前駆体は、プライマー結合部位(例えば、TSOプライマー)に続いて塩基のセット(例えば、8個のチミン塩基)を含むオリゴヌクレオチドに結合したリンカー(例えば、C18リンカー)に結合した本体(例えば、ビーズ)で構築することができる。その後、第1のバーコードセグメントの各側にオーバーハングを有する第1のバーコードセグメントをプレハイブリダイズした後、適切なリガーゼ酵素で組成物の前駆体に結合させることができる。その後、所望のバーコード領域の長さが得られるまで、オーバーハングを有する後続のバーコードセグメントを、バーコード領域の実行中の構築体に結合させることができる。バーコードセグメントの組立の各ステップについて、検出部分(例えば、フルオロフェアセグメント)を含む相補的なセグメントは、追加される現在のセグメント上にタグ付けすることができ、検出部分の(例えば、光学検出プロセスによる)検出は、段階的付着の各ステップで品質管理のために使用することができる。しかしながら、段階的付着方法の各段階における品質管理は、別の適切な方法で実行するも、省略することもできる。
【0118】
ブロックS430のさらに代替的なバリエーションは、ヌクレオチドの一塩基を付加するように構成された合成操作を実行して、オリゴヌクレオチド産物を形成することを含むことができる。代替的なバリエーションの具体例では、化学合成が、全長産物を生成するために、リンカー(例えば、C18リンカー)にヌクレオチドの塩基を1塩基ずつ付加することを含む。さらに、方法400のバリエーションは、ハイブリッドアプローチを含むことができ、それにより、オリゴヌクレオチド分子の一部(例えば、リンカーセグメントおよびプライマーセグメント)が、1塩基ずつの合成によって形成され、オリゴヌクレオチド分子の残りの部分が、オリゴヌクレオチドのより短いサブセグメントの組立を伴う段階的付着アプローチで形成される。
【0119】
方法400は、追加的または代替的に、他の適切なステップを含むことができる。例えば、方法400のバリエーションは、使用可能な産物の生成効率を向上させるために、製造、スケールアップおよび品質管理に関連するステップを含むことができ、それには、生成されたオリゴヌクレオチドセグメントを結合するために制御された環境で(例えば、生成される粒子数あたりの所望の濃度で)リガーゼ(例えば、NEB-M0202M)との反応を実行するステップ、生成される粒子数あたりの所望の濃度のオリゴヌクレオチド材料を提供するステップ、所望の反応量を(例えば、洗浄ステップのための十分なヘッドルームを可能にする容器内に)提供するステップ、反応効率を改善するために製造中に安定化試薬(例えば、ポリエチレングリコール)を提供するステップ、振盪手順(または所望の反応条件で十分に分散させるかまたは均一な産物を作成する他の手順)を実施するステップ、組成物の製造中にインキュベーション手順(例えば、16±5℃または16±1℃)を実施するステップ、および適切な数の洗浄ステップを実行するステップのうちの1または複数が含まれる。さらに、方法400のバリエーションは、DTTを含まないリガーゼで製造して、プロセス中の他の試薬からDTTを除去すること、または製造プロセスからより小さい本体のための他の潜在的な離型剤(温度、化学物質など)を除外することなど、製造プロセスから特定の要素を除外することができる。しかしながら、方法400は、組成物100、200の単位の大量生産のためのプロセスの他の適切なステップを追加的または代替的に含むことができる。
【0120】
4.1.1 第1の製造例-次世代バーコード付きビーズ
一例では、方法400’が、既知の固有の組合せで組み合わせたバーコードの限られた(例えば、いくつかの)セットを使用して、単一のビーズがバーコード配列の様々な組合せを有するように、各本体に複数のバーコードセットを作成するように適合させることができる。単一のビーズ上のバーコード配列の組合せのすべては、ビーズに固有であることができ、または他の方法で構成することができる。このため、方法400’は、単一の製造構築体が制御された予測可能な方法でビーズごとに複数のバーコード(CBC)をもたらすように、既知の組合せで一緒に組み合わせたバーコードの限られたセットを実装することができ、それにより、異なるバーコードのすべてが同じビーズにマッピングして戻すことができる。
【0121】
より詳細には、各バーコード単位は、塩基のセット(例えば、10塩基未満、10塩基以上)および1または複数のハンドル(例えば、様々なライゲーションハンドルのセットのうちの1つまたは両端のライゲーションハンドルのセットのうちの1つまたはポリメラーゼ伸長ハンドルなどの他のハンドル)を有するバーコード単位部分配列を含むことができ、バーコード単位部分配列は、主にハンドルによって規定されるセットとして構成され得る。バリエーションでは、ハンドルはそれぞれ、3~15塩基、または別の適切な数の塩基を有することができる。このため、組み立てられたセット内のバーコード単位部分配列の各々は、1または複数の同じハンドル(例えば、様々なライゲーションハンドルのセットのうちの1つ)で構成され、異なるセットが、様々なハンドルのセットのうちの他のハンドルを有する。したがって、ライゲーションハンドルの数は、ビーズごとに望まれるバーコード配列の数および全体的な必要なバーコード多様性に基づいて決定することができる。
【0122】
例えば、方法400’は、処理される1または複数のサンプルに対する所望のレベルの多様性およびビーズ当たりの所望の数の異なるバーコードを達成するために、ライゲーションハンドルのセット(例えば、4つのライゲーションハンドル、4未満のライゲーションハンドル、4を超えるライゲーションハンドル)と共に、複数のバーコード単位部分配列(例えば、96バーコード単位、384バーコード単位、別の数のバーコード単位)を実装することが可能である。各セットは固有のバーコードを持つことができるが、代替的には、同じセット(例えば、96個のバーコードの部分配列、384個のバーコードの部分配列など)をすべてのセットに使用することが可能である。一例では、7merのバーコードを有する96個のバーコード単位部分配列を4つの塩基ライゲーションハンドルとともに実装することができ、バーコード単位部分配列が、96個のバーコード単位部分配列の4つの異なるセットから選択される。しかしながら、ハンドル配列によってのみコンテキストで区別される単一のセットを含む、バーコード単位部分配列の他の数のセットを使用することも可能である。
【0123】
例を拡大すると、1つのビーズ上に4つの一意に異なるバーコード配列を提供するために、方法400’は、ライゲーションハンドルATCGを持ちXXXXXXXのバーコード部分配列を有する第1のセットであって、XXXXXXXが7merのバーコード配列(例えば、96個のバーコード配列のセットのうちの1つ、384個のバーコード配列のうちの1つ、別の数のバーコード配列のうちの1つ)である、第1のセットと、ライゲーションハンドルTCGAを持ちXXXXXXXのバーコード部分配列を有する第2のセットであって、XXXXXXXが7merのバーコード配列である、第2のセットと、ライゲーションハンドルCGATを持ちXXXXXXXのバーコード部分配列を有する第3のセットであって、XXXXXXXが7merのバーコード配列である、第3のセットと、ライゲーションハンドルGATCを持ちXXXXXXXのバーコード部分配列を有する第4のセット404’であって、XXXXXXXが7merのバーコード配列である、第4のセットとを実装することができる。このため、ライゲーションハンドルATCG、TCGA、CGAT、GATCはセットに固有であるが、部分配列XXXXXXXはセットに固有でない場合がある。この例では、特定の4塩基ライゲーションハンドルが、個々のビーズに関連する第1(例えば、ATCG、TCGA、CGAT、GATC)、第2(例えば、TCAG、AATC、ATTA、TCCT)、第3および第4のライゲーション反応について異なり、また、バーコード単位部分配列のセットごとにも異なる。このため、この構成は、4つのライゲーションイベントを有する4セットのバーコード単位部分配列にわたって16の異なるハンドルを提供する(例えば、ハンドルの数は、バーコード単位部分配列のセットの数と所望のライゲーションイベントの数との積である)。
【0124】
方法400’の実行中、バーコードバージョンの第1のセットのすべてを第1のウェルに提供することができ、バーコードバージョンの第2のセットのすべてを第2のウェルに提供することができ(以下、同様)、各ビーズに結合された異なるバーコードを有する一意にバーコードが付されたビーズを生成することができる(例えば、ウェル1は、バーコード1 ATCG、バーコード1 TCGA、バーコード1 CGAT、およびバーコード1 GATCを含み、ウェル2は、バーコード2 ATCG、バーコード2 TCGA、バーコード2 CGAT、およびバーコード2 GATCを有する)。代替的なバリエーションでは、各ウェルが各バーコードセットから一意に識別可能な1つのバーコードを有する限り、各セットからの異なるバーコードバージョンを各ウェルに提供することができる(例えば、ウェル1が、バーコード1 ATCG、バーコード25 TCGA、バーコード49 CGAT、およびバーコード76 GATCを有し、ウェル2が、バーコード2 ATCG、バーコード33 TCGA、バーコード82 CGAT、およびバーコード25 GATCを有し、代替的に各バーコードセットが96の異なるセットに由来する場合、例えば、ウェル1は、バーコード1 ATCG、バーコード97 TCGA、バーコード193 CGAT、およびバーコード290 GATCを有する)。
【0125】
図16A~
図16Dは、4つの異なるバーコードを有するビーズ(すなわち、本体110’)の作成シーケンスを示し、ここで、個々の各ビーズは、ライゲーションイベントのセットの後、4つの一意に識別可能なバーコード(CBC)のセットで終了している。
図16Aに示すように、例示的な方法400’は、3’末端で異なるライゲーションハンドルを有するバーコード単位部分配列の第1のセットを追加するステップS410’を含むことができ、バーコード単位部分配列の第1のセットの異なるバーコード単位部分配列411’、412’、413’、414’が、同じ重複配列を有するスプリントオリゴヌクレオチド415’とハイブリダイズされている。ステップS410’に関して、バーコード単位部分配列の第1のセットの各々は、異なるユニット間の所望の比率(例えば、1:1:1:1、非1:1:1:1の比率など)を達成するために一緒に追加することができる。最初のライゲーションラウンドの後の結果物は、各ビーズ上の4つの異なるオリゴヌクレオチド鎖(または他のバリエーションでは別の適切な数)であり、各々が異なるライゲーションハンドルを有する。バリエーションの1つでは、バーコード単位部分配列がウェル内で同一であり、セットを区別するために異なるライゲーションハンドルが使用される場合がある。別のバリエーションでは、バーコード単位部分配列が異なるが、同じウェルからのものであるため、関連性は既知である。
【0126】
図16Bに示すように、例示的な方法400’は、バーコード単位部分配列の第2のセットを、バーコード単位部分配列の第1のセットの対応する末端に追加するステップS420’を含むことができ、第2のバーコード単位部分配列は、
図16Bにおいて、421’、422’、423’、424’として示されている。ステップS420’に関して、異なるユニット間の所望の比率(例えば、1:1:1:1、非1:1:1:1の比率など)を達成するために、第2のセットのバーコード単位部分配列の各々を一緒に追加することができる。
【0127】
図16Cに示すように、例示的な方法400’は:バーコード単位部分配列の第3のセットを、バーコード単位部分配列の第2のセットの対応する末端に追加するステップS430’を含むことができ、第3のバーコード単位部分配列は、
図16Cにおいて、431’、432’、433’、434’として示されている。ステップS430’に関して、異なるユニット間の所望の比率(例えば、1:1:1:1、非1:1:1:1の比率など)を達成するために、第2のセットのバーコード単位部分配列の各々を一緒に追加することができる。さらに、
図15Cに示すように、バーコード単位部分配列の第3のセットは、上述したように、一意の分子識別子配列を任意選択的に含むことができる。
【0128】
図16Dに示すように、例示的な方法400’は、バーコード単位部分配列の第3セットの対応する末端に捕捉オリゴヌクレオチドのセットを追加するステップS440’を含むことができ、同様の捕捉オリゴヌクレオチドは、
図16Dにおいて、441’として示され、異なるスプリントオリゴヌクレオチド(すなわち、445’、446’、447’、448’)が実装されている。バーコード単位部分配列の3つのセットが記載されているが、方法400’は、所望の多様性を達成するために、バーコード単位部分配列の任意の他の適切な数の追加を含むことができる。例示の方法400に関して、ラウンド間のプールおよび分割を伴うライゲーションの3回(またはそれ以上)のラウンド後の結果は、単一のバーコード配列で得られるのと同じバーコード多様性を有するビーズであるが、各ビーズ上に4つの異なるバーコード配列がある。また、異なる末端を使用してそれらビーズに4つの異なる捕捉配列を配置することが可能であり、バーコード単位部分配列の関係は既知であるため、何れのバーコードセットも、単一のバーコード位置だけでなく、集合バーコード配列を構成する3つのバーコード単位部分配列のセットにわたっても一致するはずである。
【0129】
より詳細には、同じ捕捉配列が特定のビーズのすべてのオリゴヌクレオチド鎖に適用される場合、それらが異なる複合バーコードを含むとしても、任意の細胞からの配列のプールはすべて、その特定のビーズに関連するバーコード部分配列の限られたホワイトリストのセットのうちの1つにマッピングし、シークエンシングエラーまたはキメラ配列のより良好な識別を可能にする。さらに、使用されるライゲーションハンドルは、個々のバーコード単位部分配列から集められた集合バーコード配列のすべての位置について、特定のセットに対応する。そのため、セットの交差を検出し、それらの配列にフラグを立てることができる。臨床用途では、すべて同じビーズ(よって同じ細胞)にマッピングする複数の異なるバーコードが存在するため、比較的まれな(例えば、1より大きい)捕捉配列(例えば、転写物)であっても、それを同じ細胞に由来すると確認する能力は、バーコードに関連する任意の呼び出し、よって任意の潜在的な診断の確実性を大幅に向上させることができる。集合バーコード配列と関連するがUMIが異なる特定の転写物または転写物のセットは、単一の標的細胞からの異なる転写物である可能性が高いが、キメラ配列に起因する可能性もある。このため、すべてが単一のビーズに関連する4つの異なる集合バーコードにマッピングすることで、それらが単一の細胞に由来するという遥かに大きな確信が得られる。
【0130】
例示的な方法400’に従ってバーコード単位部分配列の個々のセットを使用することの追加的な利点は、「不変の」ライゲーションハンドルが、ここで、集合的に単一の各ビーズと関連して、多様性を有し、よってシークエンシングフラッグを回避し、それにより下流プロセスのよりコスト効率の高い使用を可能にすることである。
【0131】
バーコード単位部分配列の3つのセットが記載されているが、方法400’は、任意の他の適切な数のバーコード単位部分配列の追加を含むことができる。例示的な方法400に関して、ラウンド間のプールおよび分割を伴うライゲーションの3回(またはそれ以上)のラウンド後の結果は、単一のバーコード配列で得られるのと同じバーコード多様性を有するビーズであるが、各ビーズ上に4つの異なるバーコード配列が存在する。また、異なる末端を使用してそれらビーズに4つの異なる捕捉配列を配置することが可能であり、バーコード単位部分配列の関係は既知であるため、何れのバーコードセットも、単一のバーコード位置だけでなく、集合バーコード配列を構成する3つのバーコード単位部分配列のセットにわたっても一致するはずである。
【0132】
図16Eに示すように、方法400’のバリエーションでは、方法が、捕捉オリゴヌクレオチドのセットを、バーコード単位部分配列の第3セットの対応する末端に加えるステップS440’’を含むことができ、捕捉オリゴヌクレオチドは、
図16Eにおいて441’、442’、443’、444’として示されるものに対応している。ステップS440’は、最終ライゲーションステップの後、得られた組成物が、ビーズごとに複数の異なる集合バーコード配列(CBC)を含み、それらが同じPCRハンドルを有するが、各集合バーコード配列上に異なる捕捉配列を有する点で、上述したステップS440’と相違している。このため、この構成は、集合バーコード配列が同一でない場合でも、各細胞に確実にマッピングして戻るように対応する能力により、異なる標的の同時捕捉を可能にする。
【0133】
方法400’のさらに別のバリエーションでは、
図17Aに示すように、方法が、3’末端に異なるライゲーションハンドルを有するバーコード単位部分配列の第1のセットを、異なるPCRハンドルに加えるステップS410’’を含むことができ、バーコード単位部分配列の第1のセットの異なるバーコード単位部分配列411’’、412’’、413’’、414’’が、相補的な重複配列を有するスプリントオリゴヌクレオチド415’’とハイブリダイズされている。ステップS410’’に関して、異なるユニット間の所望の比率(例えば、1:1:1:1、非1:1:1:1の比率など)を達成するために、バーコード単位部分配列の第1のセットの各々を一緒に追加することができる。その後、上述したステップS420’~S440’に関連して述べたものと同様に、
図17Bに示すように、方法は、ステップS410’’において適用された異なるPCRハンドルに起因して、各ビーズが独立して処理され得る異なるバーコード配列を有するビーズ組成物を生成することができる。特に、最終的な1または複数の捕捉オリゴヌクレオチドは、用途に応じて同じであっても異なっていてもよい。さらに、それぞれは異なるPCRハンドルを使用して別々に処理されるが、それでも同じビーズにマッピングして戻すことができる。このため、サンプルが(例えば、逆転写またはポリメラーゼ伸長による最初の捕捉および伸長の後に)異なる下流ワークフローを使用して処理される場合であっても、特定の細胞/ビーズとのリンクおよび関連付けが存在し得る。
【0134】
上述したように、方法400’、400’’は、オリゴヌクレオチド配列をビーズに付加することが示されているが、方法400’、400’’は、追加的または代替的には、様々な上記バリエーションで述べたように切断部位(例えば、分子ハサミ、制限部位など)を組み込むように適合させることもできる。さらに、いくつかの用途では、オリゴヌクレオチドが、5’末端によりビーズに付着され、遊離の3’-OH基を有することができる。他の用途では、オリゴヌクレオチドが、3’末端によりビーズに付着するようにしてもよい。他の用途では、異なるバーコードセットが、ライゲーション後に同一の配列を潜在的に有するように組み立てられたオリゴヌクレオチドを含むことができるが、1つのバーコードセットが、オリゴヌクレオチドを5’から3’方向に沿って伸長することによって加えられ、他のオリゴヌクレオチドが、3’から5’方向に沿って伸長されるように構成されている。
【0135】
上述した方法400’、400’’のステップに関して、ライゲーション中にビーズを懸濁状態に保つことは、全体のライゲーションに有益であり、ビーズ間のライゲーションの均一性に役立つ可能性がある。正確な速度は、容器のサイズおよび形状、反応中のビーズの数によって変化する。関連する混合物は、一例では、振盪装置において1500RPMで振盪されるが、他の振盪パラメータを実施することもできる。各ライゲーションステップのタイミングに関して、1時間未満のライゲーション時間は、全体のライゲーション効率を低下させるか、同じ効率を達成するために追加の酵素を必要とする場合がある。一例では、ライゲーションごとに4時間~24時間のライゲーション期間を実施し、16℃でインキュベートしたが、他のライゲーション時間およびインキュベーション温度を実施することも可能である。
【0136】
不完全なオリゴヌクレオチドを有するビーズが一緒に組み合わされることは、ビーズ製造のための分割およびプール合成アプローチに固有のことである。このため、あるウェルからのライゲーションされていないバーコードが、元々異なるウェルにあったビーズ上のオリゴにライゲーションされる可能性がある。これは、「スタブ」(すなわち、ビーズに付着した不完全なオリゴ)の数が、バーコードで完全に飽和していない場合に特に当てはまる。その結果、同じビーズに複数のバーコードが付いたビーズになり、それにより分析中に配列データが誤って割り当てられる。このタイプのコンタミネーションは非常に好ましくない。複数のウェルからのビーズ(およびライゲーション反応成分)をより大きなチューブ内に集める場合、ビーズを回収し、続いてペレッティングによりビーズを保持して上清を除去し、続いてビーズを洗浄することにより、(例えば、迅速に実行した場合には)クロスコンタミネーションを大幅に減らし、上述した作用を軽減することができる。代替的には、自動化システムの場合、あるいは中間状態で混合溶液中にビーズが残される場合には、(例えば、停止溶液で、酵素の熱殺で、バーコードオリゴヌクレオチドの脱リン酸化で、ブロッキングオリゴの添加で、ライゲーション溶液からのATPの枯渇で、別の適切な方法で)ライゲーションを阻害する必要がある。例示的な停止溶液は、存在するMg++の約2倍のモル当量と組み合わせたEDTAを含むことができる。
【0137】
ビーズ当たりのオリゴヌクレオチドの理想的な数は、ビーズ組成および最終的な使用用途に基づいてさらに異なる。例えば、最大量以下のバーコードオリゴヌクレオチドを使用したライゲーションでは、性能の向上およびコストの削減を達成することができる。例示的なプロセスは、約350万個のビーズを用いたライゲーション反応において850ナノモルの部分的二本鎖オリゴヌクレオチド、またはビーズあたり約0.25ピコモルを実装した。ビーズ350万個あたり172ナノモル、つまりビーズあたり約50フェムトモルにまで部分的二本鎖オリゴヌクレオチドの量を減らすことで、性能を改善しつつ製造コストを大幅に削減することができた。この例では、各ビーズの周囲にオリゴヌクレオチドをより最適に分布させ、立体障害が問題となる隣接するオリゴヌクレオチドをより低い速度でライゲーションし、全長のオリゴヌクレオチドのセットをより分散させた結果、立体障害をより少なくすることができた。リガーゼの量は、ビーズの数およびビーズあたりのライゲーションイベントの数によっても変化する。実施例では、350万個のビーズあたり33,333個の凝集性末端ユニット、またはビーズあたり約0.0095個の凝集性末端ユニットを実装した。
【0138】
ライゲーションを改善できる他のライゲーション反応成分には、最終濃度10%w/vのPEG6000、濃度10mMのMg++(またはマグネシウムの最大約50%を別の二価陽イオンで置き換えること、または一価=120*[二価]の平方根である場合、遥かに多量の一価陽イオンで置き換えることによる)が含まれる。他のライゲーション反応成分を追加的または代替的に実施して、適切な反応環境を作り出すことができる。
【0139】
さらに、ライゲーションは例示的な方法400’、400’’に記載されているが、他の組立または伸長の方法(例えば、鋳型ポリメラーゼ伸長またはクリック付着などの化学的付着など)を実施することも可能である。
【0140】
上記方法に関連して説明したバーコード単位部分配列リストに関して、様々な例示的リストは、96(またはそれ未満)~932(またはそれ以上)のバーコード単位部分配列を含むことができる。特に、セットは、シークエンシング後の分析によって容易に修正可能な特性を提供するために、ハミング距離、レーベンシュタイン距離、または他の距離を大きくするように構成することができる。セットは、追加的または代替的には、全体的なバーコード多様性がより低いビーズを製造するように構成することができる。
【0141】
しかしながら、他の適切な構成および/またはリストごとのバーコード単位の数を実施することもできる。
【0142】
4.1.2 第2の製造例
例えば、製造方法は、複数のウェル(例えば、96のウェル)から開始することができ、各ウェルが、100万以上のミクロスフェアと、時間、温度および振盪および組成(例えば、酵素濃度、オリゴヌクレオチド濃度、反応増強剤、密集をもたらす分子)の最適条件下で各ビーズに(例えば、ライゲーションによって)付着された1つの固有のオリゴヌクレオチドセグメントとを含む。各チューブ(例えば、96のチューブ)に存在するすべての粒子への固有のオリゴヌクレオチドタグのライゲーション後、96のチューブからのすべてのビーズが一緒にプールされる(例えば、チューブあたり100万のビーズ×96のチューブ=9600万のビーズがプールされる)ときに、産物のキャリーオーバーが洗浄後に生じないようにビーズを洗浄することができる。
【0143】
さらに追加で洗浄した後、ビーズを、固有のバーコード付きオリゴヌクレオチドセグメントを含む96本の異なるチューブに再分配し、さらに追加の試薬(例えば、リガーゼ、ATP、PEG、反応促進剤)を加えて第2段階の付着が継続される。このバーコードセグメントの反応、洗浄、プール、再分配のプロセスは、すべての異なるオリゴヌクレオチドセグメント領域が追加されて全プロセスが完了するまで継続される。ビーズの分割-プール-洗浄および反応のための液体処理プロセスは、96のウェルプレートで自動化されるか、384のウェルプレートまたは1536のウェルプレートなど、他のサイズのプレートで自動化され得る。各ウェルへの試薬の分注は、液体ピペッタで行うか、インクジェット式ノズルなどの他の方法で行うか、あるいは逆さまにしたウェルプレートから音響的に排出することができる。ビーズのプールはピペッタで行うか、96のウェルプレートに載せることができる特別設計の受け蓋プレートを使用し、プレートと蓋のアセンブリを反転させて振り、受け蓋プレートにすべてのビーズを集めることによって行うこともできる。液体処理操作は、操作全体の間のステップのコンタミネーションが最小限に抑えられて、プロセス全体を通じてエラーが伝播するのを防止するように設計されている。本明細書に記載の本発明により、それらのバーコード付きビーズを製造するためのワークフローを大幅に合理化することが可能となる。製造可能なビーズの総数は、最小で1000万個、最大で100億個になり、ビーズの多様性が、10万を超える(または100万の、または1000万個を超える)様々な固有の組合せになる。
【0144】
いくつかの実施形態では、各ウェルに存在する固有のオリゴヌクレオチドが、異なるウェルに異なるサイズの断片を含むことができる。明確にするために、具体例は、32のウェルの各々が、ライゲーションを促進するために前のセグメントと重複する6つの塩基と、バーコードセグメントを規定する7つの固有の塩基と、次のセグメントと重複する4つの塩基とを含む部分的二本鎖構築物を含むことができる。追加の32のウェルは、前のセグメントと重複する同じ6つの塩基と、バーコードセグメントを規定する8つの固有の塩基と、次のセグメントと重複する4つの塩基とを含む部分的二本鎖構築物を含む。32のウェルの第3のセットは、それぞれ、前のセグメントと重複する同じ6つの塩基と、バーコードセグメントを規定する9つの固有の塩基と、次のセグメントと重複する4つの塩基とを含む部分的二本鎖構築物を含む。上述した製造方法で使用される場合、異なる長さの断片が含まれることにより、長さが異なる全長オリゴヌクレオチドをもたらすであろう。その後、バーコード領域を読み取る配列が生成される場合、この方法で製造されたバーコードは、配列生成および分析のために、通常の製造プロセスにはない複数の明確な利点を有するであろう。特に、複数の配列が複数のビーズから生成される場合、上記のプロセスによって生成されたものは、配列の一部またはすべてについて重複セクションが同一でなければならないという有益な属性を有することができる。このため、それらは、アライメントマーカーとして機能し、キメラ分子の識別、シークエンシングまたは製造エラーなどの分析に対する他の利点、および他の利点を提供することができる。
【0145】
これらの分析に通常使用されるシーケンサーは、配列の大部分がすべて特定の位置に同じ塩基を含む場合、エラーを生じて実行を終了するため、所望の実験データを収集することができない。そのため、すべての配列が同じ長さである場合、前述の同一の重複領域のような同一の配列を含めることが問題となる可能性がある。本明細書に記載の方法で一定領域に先行するバーコード単位の長さを変化させることにより、結果として得られる配列はオフセットされる。1または複数の重複領域は、複数の配列にわたって基本的に不変であるが、それらは、シークエンシングプロセス自体にエラーを引き起こすことなく、同一またはほぼ同一のマーカーの利点を達成することができるように、事実上位相がずれている。これは、説明のために本明細書で使用したものと異なる数のウェルまたはチューブの数および配列長変化の異なる構成により(それらがシークエンシング機器の制限の制約に対処するとともにシークエンシング後に改善された分析を提供するという二重の利点を提供するのに適している限りにおいて)、記載した製造プロセスにおいて実施することができる。
【0146】
5.結び
図面は、好ましい実施形態、例示的な構成およびそれらの変形例に係るシステム、方法およびコンピュータプログラム製品の可能性のある実装のアーキテクチャ、機能および動作を示している。この点に関して、フローチャートまたはブロック図の各ブロックは、モジュール、セグメントまたはコードの一部を示し、指定された1または複数の論理機能を実装するための1または複数の実行可能命令を含む。また、いくつかの代替的な実装形態では、ブロックに記載の機能が、図面に記載される順序とは異なる順序で行われ得ることにも留意されたい。例えば、連続して示される2つのブロックは、事実上、実質的に同時に実行され得るか、あるいはそれらブロックは、関連する機能に応じて時に逆の順序で実行され得る。また、ブロック図および/またはフローチャートの各ブロック、並びに、ブロック図および/またはフローチャートのブロックの組合せは、指定された機能または動作を実行する専用ハードウェアベースのシステム、または専用ハードウェアおよびコンピュータ命令の組合せによって実装され得ることにも留意されたい。
【0147】
当業者であれば、前述した詳細な説明、並びに、図面および特許請求の範囲から認識されるように、特許請求の範囲で規定される本発明の範囲から逸脱することなく、本発明の好ましい実施形態に対して修正および変更を加えることができる。
【国際調査報告】