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特表2023-504860モジュール式投影レンズを用いた投影システムおよび方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-07
(54)【発明の名称】モジュール式投影レンズを用いた投影システムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   G02B 13/16 20060101AFI20230131BHJP
   G03B 21/14 20060101ALI20230131BHJP
   G02B 7/04 20210101ALI20230131BHJP
【FI】
G02B13/16
G03B21/14 D
G02B7/04 E
G02B7/04 D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022534211
(86)(22)【出願日】2020-12-03
(85)【翻訳文提出日】2022-08-05
(86)【国際出願番号】 US2020063169
(87)【国際公開番号】W WO2021113553
(87)【国際公開日】2021-06-10
(31)【優先権主張番号】62/944,931
(32)【優先日】2019-12-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/047,456
(32)【優先日】2020-07-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507236292
【氏名又は名称】ドルビー ラボラトリーズ ライセンシング コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100101683
【弁理士】
【氏名又は名称】奥田 誠司
(74)【代理人】
【識別番号】100155000
【弁理士】
【氏名又は名称】喜多 修市
(74)【代理人】
【識別番号】100188813
【弁理士】
【氏名又は名称】川喜田 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100202197
【弁理士】
【氏名又は名称】村瀬 成康
(72)【発明者】
【氏名】デウォルド,デュアン スコット
(72)【発明者】
【氏名】ジャクソン,ジョン デイビッド
(72)【発明者】
【氏名】ヘニガン,ダレン
【テーマコード(参考)】
2H044
2H087
2K203
【Fターム(参考)】
2H044BD06
2H044BE02
2H087KA06
2H087KA07
2H087LA23
2H087LA27
2H087PA06
2H087PA08
2H087PA14
2H087PA16
2H087PA18
2H087PA20
2H087PB07
2H087PB11
2H087PB18
2H087RA32
2H087RA34
2H087RA35
2H087RA41
2H087RA45
2H087SA24
2H087SA26
2H087SA29
2H087SA31
2H087SA62
2H087SA63
2H087SA64
2H087SA75
2H087SB06
2H087SB13
2H087SB23
2H087SB33
2K203FA25
2K203FA44
2K203FA62
2K203FB14
2K203GC03
2K203GC04
2K203GC09
2K203GC17
2K203GC19
2K203HA32
2K203HA53
2K203HA62
2K203HB13
2K203LA36
2K203MA02
2K203MA12
2K203MA23
(57)【要約】
投影レンズ系およびそのための方法は、第1の取り付け部を有し、前記フーリエレンズアセンブリの射出瞳に対象物のフーリエ変換を形成するように構成されたフーリエレンズアセンブリと、入射光の一部を遮断するように構成され、フーリエ変換面にほぼ位置する絞りと、前記第1の取り付け部に取り外し可能に取り付けられるように構成された第2の取り付け部を有するズームレンズアセンブリと、に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の取り付け部を有し、前記フーリエレンズアセンブリの射出瞳に対象物のフーリエ変換を形成するように構成されたフーリエレンズアセンブリと、
入射光の一部を遮断するように構成され、フーリエ変換面にほぼ位置する絞りと、
前記第1の取り付け部に取り外し可能に取り付けられるように構成された第2の取り付け部を有するズームレンズアセンブリと、
を備える、投影レンズ系。
【請求項2】
前記第1の取り付け部および前記第2の取り付け部は、ねじ山、締結具、ネジ、カム、フランジ、ピン、またはスロットの少なくとも1つによって嵌合するように構成されている、請求項1に記載の投影レンズ系。
【請求項3】
組み立てた状態において、前記フーリエレンズアセンブリと前記ズームレンズアセンブリとは実質的に同軸である、請求項1に記載の投影レンズ系。
【請求項4】
前記フーリエレンズアセンブリは複数のレンズを含む、請求項1に記載の投影レンズ系。
【請求項5】
前記面と前記複数のレンズのうちの最近位のレンズ面との距離は、12mmよりも大きい、請求項4に記載の投影レンズ系。
【請求項6】
前記フーリエレンズアセンブリは、前記フーリエレンズアセンブリの光軸に垂直な方向に投影画像をシフトさせるように構成された電子的結晶を含む、請求項1に記載の投影レンズ系。
【請求項7】
前記フーリエレンズアセンブリはテレセントリックである、請求項1に記載の投影レンズ系。
【請求項8】
前記フーリエレンズアセンブリは、前記ズームレンズアセンブリによって導入された収差を補償するように構成されている、請求項1に記載の投影レンズ系。
【請求項9】
前記ズームレンズアセンブリは、前記フーリエレンズアセンブリによって導入された収差を補償するように構成されている、請求項1に記載の投影レンズ系。
【請求項10】
前記絞りから放熱するように構成された放熱デバイスをさらに備える、請求項1に記載の投影レンズ系。
【請求項11】
前記絞りは、前記フーリエレンズアセンブリおよび前記ズームレンズアセンブリから熱的に隔離されている、請求項1に記載の投影レンズ系。
【請求項12】
前記ズームレンズアセンブリは内部焦点を示す、請求項1に記載の投影レンズ系。
【請求項13】
前記ズームレンズアセンブリは、固定レンズ群および少なくとも1つの可動レンズ群を含む、請求項1に記載の投影レンズ系。
【請求項14】
前記ズームレンズアセンブリは複数の固定レンズ群を含む、請求項1に記載の投影レンズ系。
【請求項15】
前記フーリエレンズアセンブリは、前記フーリエレンズアセンブリの出力において第1のフラット窓を有し、前記ズームレンズアセンブリは、前記ズームレンズアセンブリの入力において第2のフラット窓を有する、請求項1に記載の投影レンズ系。
【請求項16】
第1の取り付け部を有し、前記フーリエレンズアセンブリの射出瞳に対象物のフーリエ変換を形成するように構成されたフーリエレンズアセンブリを用意することと、
入射光の一部を遮断するように構成された絞りをほぼフーリエ変換面に配置するすることと、
第2の取り付け部を含む第1のズームレンズアセンブリを用意することと、
前記第2の取り付け部を前記第1の取り付け部に取り外し可能に取り付けることと、
を含む、投影レンズ系を提供する方法。
【請求項17】
第3の取り付け部を有する第2のズームレンズアセンブリを用意することと、
前記第2の取り付け部を前記第1の取り付け部から取り外すことと、
前記第3の取り付け部を前記第1の取り付け部に取り外し可能に取り付けることと、
をさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記第1の取り付け部および前記第2の取り付け部は、ねじ山、締結具、ネジ、カム、フランジ、ピン、またはスロットの少なくとも1つによって嵌合するように構成されている、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記フーリエレンズアセンブリと前記第1のズームレンズアセンブリとが実質的に同軸になるように、前記第2の取り付け部および前記第1の取り付け部が取り外し可能に取り付けられる、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
ズームレンズアセンブリ要求を受け取ることと、
前記ズームレンズアセンブリ要求に応答して、前記第1のズームレンズアセンブリを用意することと、
をさらに含む、請求項16に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願との相互参照
本出願は、2019年12月6日付けで出願された米国仮特許出願第62/944,931号および2020年7月2日付けで出願された米国仮特許出願第63/047,456号に基づく優先権を主張するものであり、これらを参考のため本願に援用する。
【0002】
1.開示の分野
本願は、概して、投影システムおよび投影システムの駆動方法に関する。
【背景技術】
【0003】
2.関連技術の説明
デジタル投影システムは、典型的には、光源と光学系とを利用して、表面やスクリーンに画像を投影する。光学系には、ミラー、レンズ、導波路、光ファイバ、ビームスプリッタ、拡散器、空間光変調器(SLM)などの構成要素が含まれる。プロジェクタのコントラストは、プロジェクタの最も暗い出力に対する最も明るい出力を示す。コントラスト比は、コントラストの定量的な尺度であり、プロジェクタの最も暗い出力の輝度に対する最も明るい出力の輝度の比として定義される。このコントラスト比の定義は、「静的」、「ネイティブ」、または「シーケンシャル」なコントラスト比とも呼ばれる。
【0004】
投影システムの中には、デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)チップのような空間振幅変調を実現するSLMをベースとするものがある。DMDチップが光変調器として使用される場合、投影ディスプレイは、DMDの回折効果を利用して、高いコントラスト比を作り出すことができる。このようなシステムにおけるコントラスト比は、DMDの画素サイズ、傾斜角度、照明角度、照明f/#の特定の組み合わせなど、様々なパラメータに基づくことができる。投影システムの設計における他の関連要素には、フーリエフィルタ(絞り)が配置される、投影レンズが含まれる。フーリエ絞りは、画像のコントラストを低下させる可能性のある投影レンズの回折次数をブロックする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示の様々な態様は、高コントラスト投影アーキテクチャを用いた投影ディスプレイのための装置、システム、および方法に関する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のある例示的な態様において、投影レンズ系が提供される。前記投影レンズ系は、第1の取り付け部を有するフーリエレンズアセンブリであって、前記フーリエレンズアセンブリの射出瞳に対象物のフーリエ変換を形成するように構成されたフーリエレンズアセンブリと、入射光の一部を遮断するように構成され、ほぼフーリエ変換面に位置する絞りと、前記第1の取り付け部に取り外し可能に取り付けられるように構成された第2の取り付け部を有するズームレンズアセンブリと、を備える。
【0007】
本開示の別の例示的な態様において、投影レンズ系を提供する方法が提供される。前記方法は、第1の取り付け部を有するフーリエレンズアセンブリであって、前記フーリエレンズアセンブリの射出瞳に対象物のフーリエ変換を形成するように構成されたフーリエレンズアセンブリを用意することと、入射光の一部を遮断するように構成された絞りをフーリエ変換面に実質的に配置することと、第2の取り付け部を含む第1のズームレンズアセンブリを用意することと、前記第2の取り付け部を前記第1の取り付け部に取り外し可能に取り付けることと、を含む、
【0008】
このように、本開示の様々な態様は、高いダイナミックレンジ、高いコントラスト比、および高い解像度を有する画像の表示を提供し、少なくとも画像投影、ホログラフィ、信号処理などの技術分野において改善をもたらす。
【図面の簡単な説明】
【0009】
様々な実施形態についての、これらおよび他のより詳細かつ具体的な特徴は、添付の図面を参照しながら、以下の説明においてより完全に開示される。
【0010】
図1図1は、本開示の様々な態様による例示的な投影システムのブロック図である。
【0011】
図2図2は、本開示の様々な態様による例示的な投影レンズ系を示す図である。
【0012】
図3図3は、図2の例示的な投影レンズ系の一部の例示的なレンズ構成を示す図である。
【0013】
図4図4は、図2の例示的な投影レンズ系の別の部分の例示的なレンズ構成を示す図である。
【0014】
図5図5は、図2の例示的な投影レンズ系の例示的な組み立てられたレンズ構成を示す図である。
【0015】
図6A図6Aは、本開示の様々な態様による投影レンズ系を提供する例示的な方法を示す図である。
図6B図6Bは、本開示の様々な態様による投影レンズ系を提供する例示的な方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本開示およびその態様は、様々な形態で実施することが可能である。すなわち、コンピュータに実装された方法、コンピュータプログラム製品、コンピュータシステムおよびネットワーク、ユーザインターフェース、およびアプリケーションプログラミングインターフェースによって制御されるハードウェア、デバイス、または回路、ならびに、ハードウェアに実装された方法、信号処理回路、メモリアレイ、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)などである。前述の概要は、本開示の様々な態様の一般的な概念を与えることのみを意図しており、本開示の範囲をいかなる形でも限定するものではない。
【0017】
以下の説明では、本開示の1つ以上の態様の理解を提供するために、光学デバイス構成、タイミング、動作などの多数の詳細が記載されている。これらの具体的な詳細は、単に例示的なものであり、本願の範囲を限定することを意図したものではないことは、当業者には容易に理解される。
【0018】
さらに、本開示は、様々な回路がデジタル投影システムで使用される例に主に焦点を当てているが、これは単に実装の一例であることが理解されるであろう。開示されたシステムおよび方法は、光を投射する必要性がある任意の装置、例えば、シネマ、消費者用および他の商業用投影システム、ヘッドアップディスプレイ、仮想現実ディスプレイなどにおいて使用できることがさらに理解されるであろう。
【0019】
<プロジェクタシステム>
シネマ用途では、投影システムは、劇場に座っている観客に見てもらうために劇場のスクリーンに画像を投影する。劇場によって、物理的なパラメータ(例えば、部屋の大きさ、スクリーンの大きさ、スクリーンとプロジェクタとの距離、照明など)が異なる。様々な劇場に適合させるために、様々な焦点距離の投影ズーム系が提供されている。一部の投影ズームレンズ系では、フーリエ面(すなわち、対象物のフーリエ変換が形成される平面)は、レンズアセンブリに組み込まれているため、手の届かないところにある。いくつかの場合において、フーリエ面が実際に投影ズームレンズ系の光学素子内にあり、異なる投影ズームレンズ系においてはフーリエ面が焦点距離の異なる場所にある可能性がある。その結果、焦点距離ごとに適切なフーリエ絞りが異なり、各レンズ系に合わせた多くの異なる絞りサイズが必要となる可能性がある。
【0020】
フーリエ面および絞りを含む、またはそれらに関連するプロジェクタまたは他の表示システムが、同一出願人による特許および特許出願、例えば「Systems and Methods for Digital Laser Projection with Increased Contrast Using Fourier Filter」と題するWIPO公開第2019/195182号に記載されている。その内容の全体を参考のため本願に援用する。本質的にモジュール式ではない比較例の投影ズームレンズ系では、フーリエ面にアクセスしてフーリエ絞りを交換したり入れ替えたりすることはできない。さらに、そのような比較例のシステムでは、投影ズームレンズ系の全体を交換することなく劇場パラメータの全範囲に適合させることができない。
【0021】
フーリエ面へのアクセスを可能にし、全範囲の劇場に適合させる能力を提供するために、モジュール式投影ズームレンズ系を含む投影システムが提供され得る。図1は、本開示の様々な態様による例示的な高コントラスト投影システム100を例示する。特に、図1は、第1の光102を出射するように構成された光源101と、第1の光102を受光し、それをリダイレクトしたりして変更し、それによって第2の光104を生成するように構成された照明光学系103と、第2の光104を受光し、それを第3の光106として選択的にリダイレクトおよび/または変調するように構成されたDMD105と、第3の光106をフィルタリングし、それによって第4の光108を生成するように構成されたフィルタ107と、第4の光108を受光し、それを第5の光110としてスクリーン111上に投影するように構成された投影光学系109(本開示の様々な態様による投影レンズ系の一例)と、を含む投影システム100を例示している。投影システム100の様々な要素は、コントローラ112によって、あるいはその制御下で動作させることができる。コントローラ112は、例えば、投影システム100の中央処理装置(CPU)などの1つ以上のプロセッサである。
【0022】
3D投影の実装において、物理的プロジェクタは、隣り合って配置された2つの投影システム100を含み、個々の投影システム100は、視聴者の片方の目に対応する画像を投影するようにしてもよい。あるいは、物理的プロジェクタは、1つの結合された投影システム100を利用して、視聴者の両目に対応する個々の画像を投影してもよい。
【0023】
DMD105は、例えば2次元アレイに配置された複数の反射素子(マイクロミラー、または単に「ミラー」)を含んでもよい。いくつかの例では、DMD105の解像度(すなわち、反射素子の数)は、2K(2048×1080)、4K(4096×2160)、1080p(1920×1080)、民生用4K(3840×2160)などであってもよい。個々の反射素子は、照明光学系103から第2の光104の一部を受光し、フィルタ107を介して投影光学系109に選択的に光を伝える。したがって、反射素子は、アルミニウムや銀などの任意の高反射性材料で形成されるか、またはコーティングされることにより、光を鏡面反射させることができる。さらに、光を適切に伝えるために、個々の反射素子は、光がフィルタ107に向かって反射されるオン位置と、光が光ダンプに向かって反射されるオフ位置との間で切り替わるように構成され得る。このような切り替えは、コントローラ112の制御のもとで行われ得る。
【0024】
実用的な様態では、投影システム100は、より少ない光学要素を含んでもよいし、ミラー、レンズ、導波路、光ファイバ、ビームスプリッタ、拡散器などの追加の光学要素を含んでもよい。スクリーン111を除き、図1に例示された構成要素が筐体に統合されて投影装置を提供してもよい。そのような投影装置は、メモリ、入出力ポート、通信回路、電源などの追加の構成要素を含んでもよい。
【0025】
光源101は、例えば、レーザ光源、LEDなどであってもよい。一般に、光源101は、コヒーレントな光を出射する任意の発光体である。本開示のいくつかの態様において、光源101は、それぞれが異なる波長または波長帯に対応する複数の個別の発光体を含んでいてもよい。光源101は、コントローラ112によって供給される画像信号に応答して光を出射する。画像信号は、連続的に表示される複数のフレームに対応する画像データを含む。投影システム100における個々の要素(DMD105および投影光学系109を含むがこれに限定されない)は、コントローラ112によって制御されてもよい。画像信号は、ストリーミングまたはクラウドベースで外部源から得られてもよく、ハードディスクなどの投影システム100の内部メモリから得られてもよく、投影システム100に動作可能に接続されているリムーバブルメディアから得られてもよく、またはそれらの組み合わせであってもよい。
【0026】
図1には、概して直線的な光路が図示されているが、実際には、光路は概してより複雑である。例えば、投影システム100では、照明光学系103からの第2の光104は、DMDミラーのステアリング角によって決まる固定の角度でDMDチップ105(あるいはチップ群)に向けてステアリングされ、フィルタ107を通って投影光学系109に導かれる。さらに、図1は、フィルタ107を投影光学系109から光学的に上流のものとして図示しているが、実際には、フィルタ107は、以下により詳細に説明するように、投影光学系109内の場所に配置されてもよい。投影光学系109は、以下により詳細に説明するように、レンズなどの1つ以上の光学素子を含む。いくつかの様態では、投影システム100のフーリエ絞りは、投影光学系109を収容するアセンブリ内に配置される。
【0027】
<モジュール式投影レンズ系>
劇場間の違いに対応するために、投影システム100をセットアップするときにフーリエ絞りにすぐにアクセスできるようにするシステムおよび方法が提供され得る。絞りの位置(およびそのサイズ)は、投影光の波長、照明角度、およびDMD105の傾斜角度(これらはすべてプロジェクタごとに異なり得る)に依存するので、フーリエ絞りにアクセスできることは、装置の較正および調整を容易にし得る。いくつかの態様において、これらの調整が行われている間、画像のコントラストおよび/または効率を測定することがさらに可能である。
【0028】
図2は、本開示の様々な態様による例示的な投影レンズ系200の分解図である。投影レンズ系200は、図1に例示された投影光学系109の一例である。投影システム100をセットアップするときにフーリエ絞りにアクセスできるようにするために、投影レンズ系200はモジュール式の設計を有している。投影レンズ系200は、以下により詳細に説明するように、その射出瞳に対象物のフーリエ変換を形成するように構成されたフーリエ部201(フーリエレンズアセンブリとも呼ばれる)、絞り202、およびズーム部203(ズームレンズアセンブリとも呼ばれる)を含む。本明細書において、「フーリエ部」または「フーリエレンズアセンブリ」は、変調光をフーリエ面に集光することによって、変調光(例えば、DMD105からの光)を空間的にフーリエ変換する光学系を意味する。フーリエ部201によって課される空間フーリエ変換は、変調光の各回折次数の伝搬角度を、フーリエ面上の対応する空間位置に変換する。これにより、フーリエ部201は、フーリエ面における空間フィルタリングにより、所望の回折次数の選択、および、所望しない回折次数の除外を可能にする。なお、フーリエ面における変調光の空間フーリエ変換は、変調光のフラウンホーファー回折パターンに相当する。
【0029】
フーリエ部201は、第1の取り付け部204を含み、これは、ねじ山、締結具などを含み得る。ズーム部203は、第2の取り付け部205を含み、これは、第1の取り付け部204との嵌合を可能にするための、相補的なねじ山、締結具などを含み得る。ある例において、第1の取り付け部204が雄ねじ部分を含み、第2の取り付け部205が雌ねじ部分を含むか、またはその逆である。別の例において、第1の取り付け部204と第2の取り付け部205とは摩擦嵌合するように構成される。この場合、ネジ、カム、フランジなどの1つ以上の締結要素が設けられてもよい。さらに別の例では、第1の取り付け部204が1つ以上の放射状ピンを含み、第2の取り付け部205が対応する数のL字型スロットを含むか、またはその逆であり、それによって差し込み接続(bayonet connection)を用いてフーリエ部201とズーム部203とを接続してもよい。これらの例により、フーリエ部201は、以下でより詳細に説明されるように、モジュラーアセンブリを提供するためにズーム部203に取り外し可能に取り付けられることができる。
【0030】
図2では、フーリエ部201とズーム部203とが完全に分離可能であるように図示されているが、本開示はこれに限定されるものではない。いくつかの様態では、フーリエ部201およびズーム部203は、例えば、フーリエ部201およびズーム部203のうちの一方にアクセス部を設けることによって、部分的にのみ分離可能にされる。アクセス部は、スロット、扉、窓などであってよく、操作者がアクセス部を介して絞り202にアクセスおよび/または入れ替えできるようにする。これらの様態では、フーリエ部201とズーム部203とは、完全に分離しないように(例えば、第1の取り付け部204および/または第2の取り付け部205上の接着剤を介して)接合されてもよい。あるいは、フーリエ部201およびズーム部203に、取り付け部を含む一体型筐体が設けられてもよい。
【0031】
絞り202は、図1に例示されたフィルタ107の一例であり得る。絞り202は、投影レンズ系200における光の一部(例えば、1つ以上の回折次数に対応する変調光)を遮断するように構成される。図2に例示されるように、絞り202は、例えば、長さ6mmの辺を有する正方形の開口部である。また、図2は、投影レンズ系200の光軸210を例示している。組み立てられたとき、フーリエ部201およびズーム部203は、互いに対して、および光軸210に対して実質的に同軸である。いくつかの様態では(例えば、照明角度に依存して)、絞り202は、さらに光軸210と実質的に同軸である。
【0032】
投影レンズ系200は、1つ以上の非光学素子を含むか、またはそれらと関連付けられ得る。非光学素子には、ヒートシンク(または冷却フィン)などの放熱デバイス、1つ以上の接着剤(または締結具)などが含まれる。いくつかの様態では、絞り202は、入射光の約15%を遮断し結果として吸収するため、ヒートシンクまたは冷却フィンは、絞り202から適切に放熱するように配置されかつ構成され得る。いくつかの様態では、絞り202は、投影レンズ系200の他の部分から熱的に隔離される。
【0033】
フーリエ部201および絞り202は集合的に、固定のスロー(fixed throw)の投影レンズとしても使用され得る、空間フィルタを有するフーリエレンズとして動作する。図2に例示されたズーム部203は、フーリエ部201に取り付けるように構成されたズームレンズアセンブリの1ファミリーのうちの1つであり得る。これによって投影ズームレンズ系のファミリーを作り、異なる劇場に適合させることができる。言い換えれば、フーリエ部201および絞り202は、任意の劇場セッティングに適用可能であり、一方、ズーム部203は、特定の劇場に合わせた特定の投影光パターンを提供する。したがって、ズームレンズアセンブリのファミリーから特定のズーム部203を選択し、選択されたズーム部203をフーリエ部201および絞り202に取り付けることによって、その特定の劇場に適合する投影レンズ系200が実現され得る。
【0034】
フーリエ部201およびズーム部203の両方が、複数の個別のレンズ要素を含んでもよい。フーリエ部201およびズーム部203のレンズ要素の例示的な構成が、それぞれ図3および図4に例示されている。
【0035】
図3は、プリズム301(図3ではその一部のみが示されている)および複数のレンズ(レンズ要素とも呼ばれる)を有するフーリエレンズ系302を含む例示的なフーリエ部300の例示的な光学系を図示している。フーリエ部300の光学的挙動を説明するために、フーリエレンズ系302のフーリエ面303も例示的な光線310とともに図示されている。フーリエレンズ系302は、図2に例示されたフーリエ部201の筐体内に収容され得る。いくつかの例では、プリズム301もフーリエ部201の筐体に収容されるが、他の例では、プリズム301は、投影レンズ系200から光学的に上流、かつDMD105から光学的に下流に位置してもよい。フーリエ面303は、絞り202の位置にほぼ(例えば、10mm以内で)対応していてもよい。
【0036】
フーリエレンズ系302を構成する個々のレンズ要素は、射出瞳がフーリエ面303に位置する状態で、無限遠に低い歪みの像を生成するように選択されてもよい。フーリエレンズ系302の収差を低減することで、関連するズーム部分(単数または複数)の設計のし易さを増大させ得る。図3に例示された特定のフーリエレンズ系302は、0.1%未満の歪みを有する。
【0037】
フーリエレンズ系302はテレセントリックであり、低い波面誤差を示すことによってフーリエ面303の結像へのあらゆる影響を最小化し、低い色収差を示し、低い歪みを導入し、最近位の光学素子から距離dの射出瞳(フーリエ面303とほぼ一致)を有することによって最近位の光学素子への小エリア熱負荷を緩和する。図示されているように、最近位の光学素子は、フーリエレンズ系302に含まれる最後のレンズの下流面である。熱負荷を十分に緩和するための距離dの最小の大きさは、フーリエレンズ系302のパラメータに依存する。パラメータには、フーリエレンズ系302内のレンズの材料タイプおよび/またはフーリエ面302にほぼ位置することになる絞り202の材料タイプが含まれる。d>12mmの大きさが小エリア熱負荷を緩和するのに十分であり得るが、いくつかの様態では、距離dは、好ましくは40mmにほぼ等しい(例えば、40mmの10%以内)。
【0038】
フーリエ部300は、プリズム301およびフーリエレンズ系302に加えて、他の光学素子を含んでもよい。いくつかの例では、フーリエ部300は、1つ以上の電子的結晶(electronic crystal)(例えば、印加された電圧プロファイルに基づいてそこを通過する光に偏向を与える透光性の液晶要素)または他の偏向要素を含んでもよく、それによってスクリーン111上の投影画像をシフトさせてもよい。
【0039】
さらに、フーリエレンズ系302は、リフォーカスされれば投影レンズとして使用可能であり、それによって、投影レンズ系200全体の分解を必要とせずにフーリエ絞りおよび/または投影画像のコントラストの調整を可能にし、較正または欠陥検出などを容易にすることができる。
【0040】
フーリエ部300は、投影レンズ系200の一部としての使用に加え、投影レンズ系200の他の要素から分離可能である結果、さらなる用途を有する可能性がある。そのようなさらなる用途は、投影システム100の較正または設置を容易にすることを含み得る。例えば、フーリエ部300は、以下のためのスタンドアローン光学系として使用されてもよい。すなわち、DMD105を含むがこれに限定されないDMDの集束およびフォーカスをテストするため;光源101、照明光学系103、DMD105、および/またはプリズム301を含むがこれに限定されない投影システム100の要素との、潜在的な画質の問題の初期的観察を行うため;フーリエ絞り202のサイズ決定および位置決めを容易にするため;または投影システム100のon/offコントラストを計測するためである。あるいは、較正、テスト、欠陥検出、サイズ決定および位置決め、測定などの目的で、簡略化された固定レンズがフーリエ部300に取り付けられてもよい。
【0041】
図4は、いくつかのズーム構成における例示的なズーム部400の例示的な光学系を示す。ズーム部400は、固定レンズ群401、第1の可動レンズ群402、第2の可動レンズ群403、および第4の可動レンズ群404を含む。ズーム部400の光学的挙動を説明するために、フーリエ面405も例示的な光線410とともに図示されている。図4に図示されたレンズ群は、図2に図示されたズーム部203の筐体内に収容されてもよい。ズーム部400がフーリエ部300と組み立てられるとき、フーリエ面303とフーリエ面405とは互いに対応していてもよく、さらに絞り202の位置に実質的に位置決めされてもよい。
【0042】
ズーム部400は、固定レンズ群401、第1の可動レンズ群402、第2の可動レンズ群403、および第3の可動レンズ群404に加えて、他の光学素子を含んでもよい。いくつかの例では、ズーム部400は、電子的結晶または他の偏向要素を含み、それによって、スクリーン111上の投影画像をシフトさせることができる。
【0043】
ズーム部400は、望遠鏡のような働きをする。すなわち、ズーム部400の対象物は無限遠付近にあると想定され、ズーム部400の像側は、一般的なスクリーン距離(例えば、10~30m)において実像を形成するように構成される。図4に例示されるズーム部400は、第1の可動レンズ群402、第2の可動レンズ群403、第3の可動レンズ群404の特定の位置に応じて、ある範囲のズーム構成に対応できるように構成される。第1の可動レンズ群402、第2の可動レンズ群403、および第3の可動レンズ群404を適切に移動させることにより、ズーム部400のスロー比(すなわち、ズーム部400とスクリーン111との距離をスクリーン111の幅で割ったもの)を変更することが可能である。図4に例示される特定の例では、ズーム部400は、例示的なDMDを用いて、2:1のスロー比(一番上の構成)から3:1のスロー比(一番下の構成)までの範囲のズーム構成を提供するように構成されている。しかしながら、実用的な様態では、ズーム構成の範囲はこれに限定されない。いくつかの例では、スロー比は、1.2:1以上4:1以下であってよい。
【0044】
いくつかの様態において、ズーム部400は、ある範囲のズーム構成を得るように構成されるのではなく、固定のスロー比を備える。そのような様態では、図4の第1の可動レンズ群402、第2の可動レンズ群403、および第3の可動レンズ群404は、対応する固定レンズ群に置き換えられてもよい。例えば、固定のスロー比が2:1のズーム部400を提供するために、図4の一番上の構成の第1の可動レンズ群402、第2の可動レンズ群403、および第3の可動レンズ群404を、それぞれ第2の固定レンズ群、第3の固定レンズ群、および第4の固定レンズ群と入れ替えてもよい。また、固定のスロー比は、1.2:1以上4:1以下であってもよい。ズーム部400は、ある範囲のスロー比を提供するために可動レンズ群を含むか、固定のスロー比を提供するために固定レンズ群のみを含むかにかかわらず、依然として「ズーム」部と呼ばれ得る。
【0045】
フーリエレンズ系302は、無限遠(そのように配置された場合)にあるDMD(例えば、DMD105)の像を生成するので、ズーム部400は、ズーム望遠鏡として動作する。さらに、ズーム部400のレンズおよびレンズ群の特定の設計は、フーリエレンズ系302の特定の設計とは無関係であり得る。ズームレンズアセンブリの複雑さは、得られる収差補正の程度に関係する。本開示のいくつかの態様において、完全な投影レンズ系200の性能は、Digital Cinema Initiatives(DCI)画像規格、例えば、DCI Digital Cinema System Specification(DCSS)バージョン1.3またはそれより新しい仕様に適合している。
【0046】
フーリエ部300とズーム部400とを組み合わせて、完全なレンズ系が実現され得る。図5は、そのような組み合わせによる例示的な組み立てられたレンズ構成を示す。図5において、先に説明したものと同じ参照符号を有する要素は、同じ参照符号を用いて示され、その詳細な説明はここでは繰り返さない。図5は、ズーム部400が2:1のスロー比構成である場合(上側、図4の一番上に対応する)、およびズーム部400が3:1のスロー比構成である場合(下側、図4の一番下に対応する)の組み立てられたレンズ構成を示す図である。
【0047】
フーリエ部300とズーム部400は、フーリエ部300のフーリエ面303とズーム部400のフーリエ面405が共平面になるように組み合わされる。2つの部品は平行化された(collimated)または実質的に平行化された光学空間で接合されるため、2つの部品を嵌合するための公差要件は緩くなる。例えば、開口スポットが光軸からずれるような、フーリエ部300とズーム部400との光軸のずれが生じた場合(例えば、部品の一方が光軸に垂直な方向にずれた場合)でも、スクリーン111上の投影画像のずれの可能性にもかかわらず、気付くほどの画質の損失はないと思われる。いくつかの例では、フーリエ部300およびズーム部400の光軸が平行で互いに1mm以内である場合、フーリエ部300とズーム部400とは実質的に同軸であると考えられる。
【0048】
フーリエ部300の出力とズーム部400の入力は、平行化されたまたは実質的に平行化された光学空間にあるので、この領域で露出したレンズ面に埃が存在しても、画像アーチファクトの問題は生じないであろう。所望であれば、フーリエ部300の出力とズーム部400の入力とにフラット窓を配置して、その中のそれぞれのレンズ要素を保護することができる。そして、システム全体を完全に分解することなく、フラット窓を清掃することが可能である。
【0049】
いくつかの様態では、ズーム部400はさらに内部焦点を示す。いくつかの比較例のデジタル光処理(Digital Light Processing:DLP)シネマレンズは外部焦点を示すが、これは、任意のレンズマウントが、投影画像の位置決めのために、光軸に垂直な2方向(すなわち、直交座標系におけるx軸およびy軸)だけでなく光軸に沿った方向(すなわち、z軸)にも動かさなければならないことを意味している。ズーム部400が内部焦点を示す様態では、z軸に沿った方向の動きの要件はなく、したがって、投影レンズ系200は、より構造的に健全でありかつ複雑さが低くあり得る。これに比べ、外部焦点を示す比較例のDLPシネマレンズでは、レンズマウントのモータが完全なレンズ系を動かすことを必要とする場合がある。第3の可動レンズ群404の第1ダブレットレンズと第2ダブレットレンズとの間の空隙は、ねじ式フォーカスアセンブリでフォーカス機能を実行してもよい。いくつかの例では、この機構は、モータ駆動されてもよい。
【0050】
いくつかの様態では、ズーム部400は、フーリエ部300における誤差および/または収差を補償するように構成されてもよく、その逆もまたあり得る。例えば、フーリエレンズ系302の1つの特定のレンズによって導入される収差の量が既知である場合、固定レンズ群401のある特定のレンズは、収差を補償するように設計されてもよい。
【0051】
<投影システムの提供方法>
投影の個々の光学素子は、任意の公知の方法によって製造することができる。光学素子が製造された後、それらは、生産地点で組み立てられてもよいし、目的地点で組み立てられてもよい。図6Aは、生産地点で投影レンズ系200を作製する例示的な方法を示し、図6Bは、目的地点で投影レンズ系200を作製する例示的な方法を示している。
【0052】
いずれの方法においても、個々の光学素子は、例えば、製造施設において、初期的に作製され得る。その後、光学素子は、フーリエ部300およびズーム部400として適切に組み立てられ得る。いくつかの様態では、標準化された1つのフーリエ部300を利用してもよく、投影レンズ系200のモジュール性のため、複数(例えば、10~12)の異なるズーム部400のうちの1つと適宜対にされ得る。組み立て後、フーリエ部300およびズーム部400の各々は、上述したように、対応する取り付け部204および205を含むことになる。
【0053】
図6Aの方法において、投影レンズ系200は、エンドユーザにアセンブリとして提供されてもよい。例えば、製造者または供給元は、最初に、工程601aにおいてフーリエ部(フーリエ部201またはフーリエ部300など)を用意し、工程602aにおいて絞り(絞り202など)を用意し、工程603aにおいてズーム部(ズーム部203またはズーム部400など)を用意してもよい。この時点で、製造者または供給元は、例えば、絞りを間に挟んでズーム部をフーリエ部に取り外し可能に取り付けることによって、投影レンズ系200を組み立ててもよい。投影レンズ系200を組み立てることは、投影レンズ系200を較正することをさらに含んでもよい。その後、組み立てられた投影レンズ系200は、エンドユーザに提供されてもよい。
【0054】
図6Bの方法において、投影レンズ系200は、エンドユーザに部分ごとに提供されてもよい。例えば、製造者または供給元は、工程601bにおいてフーリエ部(フーリエ部201またはフーリエ部300など)をまず提供し、工程602bにおいて絞り(絞り202など)を提供してもよい。製造者または供給元は、どのズーム部がエンドユーザが望む特定の用途(例えば、特定の劇場)にとって最も適切であるかを前もってわかっていない場合があるので、製造者または供給元は、工程603bにおいて、エンドユーザから特定のズーム部(ズーム部203またはズーム部400など)についての要求を待ち、求め、および/または受け取ることができる。いくつかの例では、要求は、特定のズーム部に対するものでなくてもよく、代わりに、1つ以上のパラメータ(例えば、ズーム部のスロー比、劇場サイズ、スクリーンサイズなど)を含んでもよい。その後、製造者または供給元は、工程604bにおいて、適切なズーム部をエンドユーザに提供することができる。フーリエ部および絞りは、例えば、デフォルトの取り外し可能な取り付け部を有するデフォルトのズーム部と共に、組み立てられた状態で601bおよび602bにおいてエンドユーザに提供されてもよい。そのような例では、604bにおいてズーム部を提供することは、フーリエ部および絞りからデフォルトのズーム部を取り外すこと、およびデフォルトのズーム部を604bにおいて提供されるズーム部と交換することを含んでもよい。
【0055】
いくつかの例では、製造者または供給元は、例えば、開口部を間に挟んで、ズーム部をフーリエ部に取り外し可能に取り付けることによって、投影レンズ系200をさらに組み立ててもよい。上記のように、投影レンズ系200を組み立てることは、投影レンズ系200を較正することをさらに含んでもよい。その後、組み立てられた投影レンズ系200は、エンドユーザに提供されてもよい。
【0056】
<効果>
上記投影システムおよび方法は、第1の光学部品および第2の光学部品が互いに取り外し可能に取り付けられている、モジュール式投影レンズアセンブリを有する構成を提供し得る。それにより、上記の投影システムおよび方法は、フーリエ面へのアクセス、および様々な劇場セッティングへの適合を可能にし得る。
【0057】
本開示に係るシステム、方法、および装置は、以下の構成のうちいずれか1つ以上を取り得る。
【0058】
(1)第1の取り付け部を有し、前記フーリエレンズアセンブリの射出瞳に対象物のフーリエ変換を形成するように構成されたフーリエレンズアセンブリと、入射光の一部を遮断するように構成され、フーリエ変換面にほぼ位置する絞りと、前記第1の取り付け部に取り外し可能に取り付けられるように構成された第2の取り付け部を有するズームレンズアセンブリと、を備える、投影レンズ系。
【0059】
(2)前記第1の取り付け部および前記第2の取り付け部は、ねじ山、締結具、ネジ、カム、フランジ、ピン、またはスロットの少なくとも1つによって嵌合するように構成されている、(1)に記載の投影レンズ系。
【0060】
(3)組み立てた状態において、前記フーリエレンズアセンブリと前記ズームレンズアセンブリとは実質的に同軸である、(1)または(2)に記載の投影レンズ系。
【0061】
(4)前記フーリエレンズアセンブリは複数のレンズを含む、(1)から(3)のいずれか1つに記載の投影レンズ系。
【0062】
(5)前記平面と前記複数のレンズのうちの最近位のレンズ面との距離は、12mmよりも大きい、(4)に記載の投影レンズ系。
【0063】
(6)前記フーリエレンズアセンブリは、前記フーリエレンズアセンブリの光軸に垂直な方向に投影画像をシフトさせるように構成された電子的結晶を含む、(1)から(5)のいずれか1つに記載の投影レンズ系。
【0064】
(7)前記フーリエレンズアセンブリはテレセントリックである、(1)から(6)のいずれか1つに記載の投影レンズ系。
【0065】
(8)前記フーリエレンズアセンブリは、前記ズームレンズアセンブリによって導入された収差を補償するように構成されている、(1)から(7)のいずれか1つに記載の投影レンズ系。
【0066】
(9)前記ズームレンズアセンブリは、前記フーリエレンズアセンブリによって導入された収差を補償するように構成されている、(1)から(8)のいずれか1つに記載の投影レンズ系。
【0067】
(10)前記絞りから放熱するように構成された放熱デバイスをさらに備える、(1)から(9)のいずれか1つに記載の投影レンズ系。
【0068】
(11)前記絞りは、前記フーリエレンズアセンブリおよび前記ズームレンズアセンブリから熱的に隔離されている、(1)から(10)のいずれか1つに記載の投影レンズ系。
【0069】
(12)前記ズームレンズアセンブリは内部焦点を示す、(1)から(11)のいずれか1つに記載の投影レンズ系。
【0070】
(13)前記ズームレンズアセンブリは、固定レンズ群および少なくとも1つの可動レンズ群を含む、(1)から(12)のいずれか1つに記載の投影レンズ系。
【0071】
(14)前記ズームレンズアセンブリは複数の固定レンズ群を含む、(1)から(13)のいずれか1つに記載の投影レンズ系。
【0072】
(15)前記フーリエレンズアセンブリは、前記フーリエレンズアセンブリの出力において第1のフラット窓を有し、前記ズームレンズアセンブリは、前記ズームレンズアセンブリの入力において第2のフラット窓を有する、(1)から(14)のいずれか1つに記載の投影レンズ系。
【0073】
(16)第1の取り付け部を有し、前記フーリエレンズアセンブリの射出瞳に対象物のフーリエ変換を形成するように構成されたフーリエレンズアセンブリを用意することと、入射光の一部を遮断するように構成された絞りをほぼフーリエ変換面に配置するすることと、第2の取り付け部を含む第1のズームレンズアセンブリを用意することと、前記第2の取り付け部を前記第1の取り付け部に取り外し可能に取り付けることと、を含む、投影レンズ系を提供する方法。
【0074】
(17)第3の取り付け部を有する第2のズームレンズアセンブリを用意することと、前記第2の取り付け部を前記第1の取り付け部から取り外すことと、前記第3の取り付け部を前記第1の取り付け部に取り外し可能に取り付けることと、をさらに含む、(16)に記載の方法。
【0075】
(18)前記第1の取り付け部および前記第2の取り付け部は、ねじ山、締結具、ネジ、カム、フランジ、ピン、またはスロットの少なくとも1つによって嵌合するように構成されている、(16)または(17)に記載の方法。
【0076】
(19)前記フーリエレンズアセンブリと前記第1のズームレンズアセンブリとが実質的に同軸になるように、前記第2の取り付け部および前記第1の取り付け部が取り外し可能に取り付けられる、(16)から(18)のいずれか1つに記載の方法。
【0077】
(20)ズームレンズアセンブリ要求を受け取ることと、前記ズームレンズアセンブリ要求に応答して、前記第1のズームレンズアセンブリを用意することと、をさらに含む、(16)から(19)のいずれか1つに記載の方法。
【0078】
本明細書に記載したプロセス、システム、方法、ヒューリスティックなどに関して、当該プロセスなどの各ステップは、ある順序のシーケンスに従って起こるものとして説明したが、各ステップを本明細書に記載した順序以外の順序で実行して当該プロセスを実施することもできることが理解されるべきである。さらに、特定のステップを同時に実行したり、他のステップを追加したり、本明細書に記載した特定のステップを省略したりすることも可能であることが理解されるべきである。言い換えれば、本明細書のプロセスの説明は、特定の実施形態を説明する目的で提供されており、決して特許請求の範囲を限定するように解釈されるべきではない。
【0079】
したがって、上記の説明が限定的ではなく例示的なものであることが理解される。説明した各例以外の多くの実施形態および用途が上記説明を読めば明らかになるであろう。上記範囲は、上記説明を参照するのではなく、添付の特許請求の範囲、ならびに、当該特許請求の範囲が権利を有する均等物の全範囲を参照して決定されるべきである。本明細書で議論した技術が今後発展し、本願に開示したシステムおよび方法がそのような未来の実施形態に組み込まれることは予期および意図されている。要するに、本願は、修正および変形が可能であることが理解されるべきである。
【0080】
特許請求の範囲で使用されているすべての用語は、本明細書においてそれに反することが明示されていない限り、本明細書に記載されている技術に精通している者が理解するような最も広い合理的な解釈と通常の意味が与えられることを意図している。特に、「a」、「the」、「said」などの単数形の冠詞の使用は、請求項にそれに反するような明確な制限が記載されていない限り、示された要素の1つまたは複数を記載していると読み取るべきである。
【0081】
要約(Abstract of the Disclosure)は、読む者が技術開示の性質を迅速に確認できるように提供されている。これは、特許請求の範囲または意味を解釈または制限するために用いられないという理解の上で提出されている。さらに、前述の詳細な説明(Detailed Description)においては、開示を合理化する目的で、様々な特徴が様々な実施形態にまとめられていることがわかる。このような開示の方法は、請求項に記載された実施形態が、各請求項に明示的に記載されている以上の特徴を備えているという意図を反映していると解釈されるべきではない。むしろ、以下の請求項が示すように、発明的主題は、単一の開示された実施形態の特徴のすべてよりも少ない特徴に存する。したがって、以下の請求項は、各請求項が個別に請求された主題として独立しているものとして、詳細な説明に組み込まれる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
【国際調査報告】