(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-07
(54)【発明の名称】角度フィルタ
(51)【国際特許分類】
G02B 3/00 20060101AFI20230131BHJP
H01L 27/146 20060101ALI20230131BHJP
【FI】
G02B3/00 A
H01L27/146 D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022534311
(86)(22)【出願日】2020-12-03
(85)【翻訳文提出日】2022-08-05
(86)【国際出願番号】 EP2020084543
(87)【国際公開番号】W WO2021110875
(87)【国際公開日】2021-06-10
(32)【優先日】2019-12-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513257535
【氏名又は名称】イソルグ
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】シュワルツ,ウィルフリッド
(72)【発明者】
【氏名】ブティノン,ベンジャミン
(72)【発明者】
【氏名】ローサ,オードリー
(72)【発明者】
【氏名】ゴメス,ジャン-イヴ
【テーマコード(参考)】
4M118
【Fターム(参考)】
4M118AB01
4M118BA14
4M118CA02
4M118CA14
4M118CB20
4M118GA09
4M118GD01
4M118HA23
4M118HA35
(57)【要約】
【解決手段】本記載は角度フィルタに関する。角度フィルタ(13)は、平凸レンズ(131、141)の第1アレイ及び第2のアレイと、開口部(137)のアレイとを備え、第1のアレイ及び第2のアレイのレンズ(131、141)の平面は対向している。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平凸レンズ(131)の第1のアレイと、
前記第1のアレイ及び画像センサ(11)の間に位置する平凸レンズ(141)の第2のアレイと、
開口部(137)のアレイと
を備え、
前記第1のアレイ及び第2のアレイのレンズ(131、141)の平面は対向しており、前記第2のアレイのレンズの数は、前記第1のアレイのレンズの数よりも大きい
角度フィルタ(13)。
【請求項2】
前記開口部(137)のアレイは、可視領域及び赤外領域において不透明な第1の樹脂で作られた層(135)に形成されている
請求項1に記載の角度フィルタ。
【請求項3】
前記アレイの前記開口部(137)は、空気、または可視領域及び赤外領域において少なくとも部分的に透明な材料で充填されている
請求項1または2に記載の角度フィルタ。
【請求項4】
前記第1のアレイの各レンズ(131)の光軸(143)は、前記第2のアレイのレンズ(141)の光軸(143)及び前記アレイの開口部(137)の中心と位置合わせされている
請求項1~3のいずれか1つに記載の角度フィルタ。
【請求項5】
前記アレイの各開口部(137)は、前記第1のアレイの単一のレンズ(131)と関連する
請求項1~4のいずれか1つに記載の角度フィルタ。
【請求項6】
前記第1のアレイの前記レンズ(131)の像焦点面は、前記第2のアレイの前記レンズ(141)の物体焦点面と一致する
請求項1~5のいずれか1つに記載の角度フィルタ。
【請求項7】
前記第1のアレイの前記レンズ(131)は、前記第2のアレイの前記レンズ(141)の直径よりも大きい直径を有する
請求項1~6のいずれか1つに記載の角度フィルタ。
【請求項8】
前記開口部(137)のアレイは、前記第1のアレイ及び前記第2のアレイの間に位置している
請求項1~7のいずれか1つに記載の角度フィルタ。
【請求項9】
前記第2のアレイは、前記第1のアレイ及び前記開口部(137)のアレイの間に位置している
請求項1~7のいずれか1つに記載の角度フィルタ。
【請求項10】
前記第1のアレイの前記レンズ(131)は、基板(133)の上にあり、且つ前記基板(133)に接触している
請求項1~9のいずれか1つに記載の角度フィルタ。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか1つに記載の角度フィルタを製造する方法であって、特に、
第2のレジスト(151)の膜を堆積させるステップと、
フォトリソグラフィによって第2のレジストのパッドを形成するステップと、
前記パッドを加熱してその形状を変更させることで、前記第2のアレイの前記レンズ(141)を形成するステップと
を備える方法。
【請求項12】
前記第1のアレイの前記レンズ(131)を介して、フォトリソグラフィによる露光を実行する
請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記第2のアレイをインプリントによって形成する
請求項11または12に記載の方法。
【請求項14】
前記第1のアレイ及び前記第2のアレイを個別に形成した後に接着膜(159)によって組み立てる
請求項11~13のいずれか1つに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、角度光フィルタに関する。
【0002】
より詳細には、本開示は、光学システム(例えば画像化システム)の内部で使用されること、または、光源の光線をコリメートする(有機発光ダイオード(OLED)による指向性照明、及び光学検査)ために使用されることを目的とする角度フィルタに関する。
【背景技術】
【0003】
角度フィルタは、入射した放射線をその入射角に応じてフィルタリングして、最大入射角度と呼ばれる所望の角度よりも大きい入射角を有する光線を遮断することを可能にする装置である。角度フィルタは、画像センサと組み合わせて使用されることが多い。
【発明の概要】
【0004】
既知の角度フィルタを改良する必要がある。
【0005】
一実施形態では、角度フィルタを提供する。該角度フィルタは、
平凸レンズの第1のアレイと、
第1のアレイ及び画像センサの間に位置する平凸レンズの第2のアレイと、
開口部のアレイと
を備え、
第1のアレイ及び第2のアレイのレンズの平面は対向しており、第2のアレイのレンズの数は、第1のアレイのレンズの数よりも大きい。
【0006】
一実施形態では、角度フィルタを提供する。角度フィルタは、平凸レンズの第1及び第2のアレイと、開口部のアレイとを備え、第1のアレイのレンズの平面と、第2のアレイのレンズの平面とは対向している。
【0007】
一実施形態によれば、開口部のアレイは、可視領域及び赤外領域において不透明な第1の樹脂で作られた層に形成されている。
【0008】
一実施形態によれば、アレイの開口部は、空気、または可視領域及び赤外領域において少なくとも部分的に透明な材料で充填されている。
【0009】
一実施形態によれば、第1のアレイの各レンズの光軸は、第2のアレイのレンズの光軸及びアレイの開口部の中心と位置合わせされている。
【0010】
一実施形態によれば、アレイの各開口部は、第1のアレイの単一のレンズと関連する。
【0011】
一実施形態によれば、第1のアレイのレンズの像焦点面は、第2のアレイのレンズの物体焦点面と一致している。
【0012】
一実施形態によれば、第2のアレイのレンズの数は、第1のアレイのレンズの数よりも大きい。
【0013】
一実施形態によれば、第1のアレイのレンズの直径は、第2のアレイのレンズの直径よりも大きい。
【0014】
一実施形態によれば、開口部のアレイは、第1のアレイ及び第2のアレイの間に位置している。
【0015】
一実施形態によれば、第2のアレイは、第1のアレイ及び開口部のアレイの間に位置している。
【0016】
一実施形態によれば、第1のアレイのレンズは、基板の上にあり、且つ基板と接触している。
【0017】
一実施形態では、角度フィルタの製造方法を提供する。方法は、特に、
第2のレジストの膜を堆積させるステップと、
フォトリソグラフィによって第2のレジストのパッドを形成するステップと、
前記パッドを加熱してその形状を変更させることで、第2のアレイのレンズを形成するステップと
を備える。
【0018】
一実施形態によれば、第1のアレイのレンズを介してリソグラフィによる露光を実行する。
【0019】
一実施形態によれば、第2のアレイをインプリントによって形成する。
【0020】
一実施形態によれば、2つのアレイを個別に形成した後に接着膜によって組み立てる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
上記及び他の特徴及び利点は、添付図面を参照して本発明を限定するものではない実例として与えられる以下の特定の実施形態に詳細に記載されている。
【
図1】画像取得システムの一実施形態を示す断面図である。
【
図2】角度フィルタ製造方法の第1の実施態様のステップを示す断面図である。
【
図3】第1の実施態様に係る角度フィルタ製造方法の他のステップを示す断面図である。
【
図4】第1の実施態様に係る角度フィルタ製造方法の他のステップを示す断面図である。
【
図5】第1の実施態様に係る角度フィルタ製造方法の他のステップを示す断面図である。
【
図6】第1の実施態様に係る角度フィルタ製造方法の他のステップを示す断面図である。
【
図7】第1の実施態様に係る角度フィルタ製造方法の他のステップを示す断面図である。
【
図8】第1の実施態様に係る角度フィルタ製造方法の他のステップを示す断面図である。
【
図9】角度フィルタ製造方法の第2の実施態様のステップを示す断面図である。
【
図10】第2の実施態様に係る角度フィルタ製造方法の他のステップを示す断面図である。
【
図11】第2の実施態様に係る角度フィルタ製造方法の他のステップを示す断面図である。
【
図12】第2の実施態様に係る角度フィルタ製造方法の他のステップを示す断面図である。
【
図13】第2の実施態様に係る角度フィルタ製造方法の他のステップを示す断面図である。
【
図14】第2の実施態様に係る角度フィルタ製造方法の他のステップを示す断面図である。
【
図15】第2の実施態様に係る角度フィルタ製造方法の他のステップを示す断面図である。
【
図16】角度フィルタ製造方法の第3の実施態様のステップを示す断面図である。
【
図17】第3の実施態様に係る角度フィルタ製造方法の他のステップを示す断面図である。
【
図18】第3の実施態様に係る角度フィルタ製造方法の他のステップを示す断面図である。
【
図19】第3の実施態様に係る角度フィルタ製造方法の他のステップを示す断面図である。
【
図21】角度フィルタ製造方法の第4の実施態様のステップを示す断面図である。
【
図22】第4の実施態様に係る角度フィルタ製造方法の他のステップを示す断面図である。
【
図23】第4の実施態様に係る角度フィルタ製造方法の他のステップを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
同様の特徴は、様々な図面で同様の参照符号によって指定されている。特に、様々な実施形態の間で共通である構造的及び/または機能的特徴は、同じ参照符号を有し得、同一の構造的、寸法的及び材料的特性を有し得る。
【0023】
明確にするために、本明細書に記載された実施形態の理解に有用なステップ及び要素のみが図示され、詳細に説明されている。特に、画像センサの形成及び角度フィルタ以外の要素の形成は詳述されておらず、説明される実施形態及び実施態様は、センサ及びこれらの他の要素の通常の形成と互換性がある。
【0024】
特に明記されていない限り、接続された2つの要素に言及する場合、これは、導体以外のいかなる中間要素も伴わない直接接続を意味し、結合された2つの要素に言及する場合、これは、これら2つの要素を接続することができる、または、それらが1つ以上の他の要素を介して結合されることができることを意味する。
【0025】
以下の開示では、「前」、「後」、「上」、「下」、「左」、「右」などの絶対位置を述べる用語、または、「の上」、「の下」、「上方」、「下方」などの相対位置を述べる用語、または、「水平」、「垂直」などの方向を述べる用語に言及する場合、特に明記されていない限り、図面に示されている向きへの参照がなされる。
【0026】
特に明記しない限り、「およそ」、「約」、「実質的に」及び「のオーダーで」という表現は、10%以内、好ましくは5%以内を意味する。
【0027】
以下の説明では、層または膜を通る放射線の透過率が10%未満であるとき、その層または膜は、放射線に対して不透明と呼ばれる。以下の説明では、層または膜を通る放射線の透過率が10%を超えるとき、その層または膜は、放射線に対して透明と呼ばれる。一実施形態によれば、同一の光学システムに関して、放射線に対して不透明な光学システムの全ての要素の透過率は、前記放射線に対して透明な光学システムの要素の最も低い透過率の半分より小さく、好ましくは5分の1より小さく、より好ましくは10分の1より小さい。本開示の残りの部分では、「有用な放射線」という表現は、動作中に光学システムを横切る電磁放射線を指す。以下の説明では、「マイクロメートル範囲の光学素子」という表現は、支持体の表面と平行に測定された最大寸法が1μmより大きく1mmより小さい前記表面に形成された光学素子を指す。以下の説明では、40℃での酸素に対する膜または層の透過率が1.10-1cm3/(m2・day)より小さい場合、その膜または層は酸素気密性とする。酸素に対する透過率は、「Standard Test Method for Oxygen Gas Transmission Rate Through Plastic Film and Sheeting Using a Coulometric Sensor」というASTM D3985法に従って測定することができる。以下の説明では、40℃での水に対する膜または層の透過率が1.10-1g/(m2・day)より小さい場合、その膜または層は水密性とする。水に対する透過率は、「Standard Test Method for Water Vapor Transmission Rate Through Plastic Film and Sheeting Using a Modulated Infrared Sensor」というASTM F1249法に従って測定することができる。
【0028】
光学システムの実施形態は、各マイクロメートル範囲の光学素子がマイクロメートル範囲のレンズ、または2つのディオプタによって形成されたマイクロレンズに対応する場合、マイクロメートル範囲の光学素子のアレイを備える光学システムについて説明されない。しかしながら、これらの実施形態が他のタイプのマイクロメートル範囲の光学素子でも実施可能であり、各マイクロメートル範囲の光学素子が、例えば、マイクロメートル範囲のフレネルレンズ、マイクロメートル範囲の屈折率分布型レンズ、またはマイクロメートル範囲の回折格子に対応し得ることは、明らかになるべきである。
【0029】
以下の説明では、「可視光」は、400nm~700nmの範囲内の波長を有する電磁放射光を指し、「赤外線」は、700nm~1mmの範囲内の波長を有する電磁放射線を指す。赤外線では、700nm~1.7μmの範囲内の波長を有する近赤外線を特に識別することができる。
【0030】
説明を簡単にするために、特に指定しない限り、製造ステップは、該ステップの終わりに得られた構造と同様に指定される。
【0031】
図1は、画像取得システム1の一実施形態を示す断面図である。
【0032】
図1に示す画像取得システム1は、図面の向きで下から上へ、画像センサ11及び角度フィルタ13を備える。
【0033】
画像センサ11は、光検出器とも呼ばれる光子センサ111のアレイを備える。光検出器111は、保護被膜(不図示)で覆われてもよい。画像センサ11は、導電性トラック及び光検出器111を選択することを可能にするスイッチング素子(特にトランジスタ、不図示)をさらに備える。光検出器111は、有機材料で作られてもよい。光検出器111は、有機フォトダイオード(OPD)、有機フォトレジスタ、TFT(Thin Film Transistor)もしくはCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)トランジスタのアレイと関連するアモルファスまたは単結晶シリコンフォトダイオードに対応してもよい。
【0034】
一実施形態によれば、各光検出器111は、可視光及び/または赤外線を検出するように適合される。
【0035】
画像取得システム1は、画像センサ11により供給された信号を処理するための、例えばマイクロプロセッサを備えるユニット(不図示)をさらに備える。
【0036】
角度フィルタ13は、
図1の向きで上から下へ、平凸レンズ131の第1のアレイと、第1の基板または支持体133と、開口部または孔137の第1の層135と、平坦化層及び/または他の基板及び/または接着膜を備え得る第2の層139と、フィルタによって透過された光のコリメーションに使用される平凸レンズ141の第2のアレイとを備え、レンズ141の平面はレンズ131の平面と対向している。
【0037】
第1のアレイのレンズ131の平面と、第2のアレイのレンズ141の平面とは、対向している。
【0038】
第1のアレイのレンズ131の直径は、第2のアレイのレンズ141の直径よりも大きいことが好ましい。
【0039】
各開口部137は、第1のアレイの単一のレンズ131と関連することが好ましい。レンズ131の光軸143は、第1の層135の開口部137の中心と位置合わせされることが好ましい。第1のアレイのレンズ131の直径は、開口部137の最大断面長さ(光軸143に垂直に測定される)よりも大きいことが好ましい。
【0040】
図1に示す実施形態では、第1のアレイのレンズ131の数は、第2のアレイのレンズ141の数と等しい。第1のアレイのレンズ131と第2のアレイのレンズ141とは、それらの光軸143によって位置合わせされている。
【0041】
変形例として、第2のアレイのレンズ141の数は、第1のアレイのレンズ131の数よりも大きい。
【0042】
図1の例では、各光検出器111が単一の開口部137と関連するものとして示されており、各光検出器111の中心は、それが関連する開口部137の中心と揃っている。実際には、角度フィルタ13の解像度は、画像センサ11の解像度の少なくとも2倍である。言い換えれば、画像取得システム1は、光検出器111として少なくとも2倍のレンズ131(または開口部137)を備える。よって、光検出器111は、少なくとも2つのレンズ131(または開口部137)と関連する。
【0043】
角度フィルタ13は、第1のアレイのレンズ131の光軸143に対する放射線の入射に従って、入射放射線をフィルタリングするように適合される。角度フィルタ13は、画像センサ11の各光検出器111が、光検出器111と関連するレンズ131のそれぞれの光軸143に対する入射角が最大入射角度よりも小さい光線のみを受けるように適合される。最大入射角度は、45°よりも小さく、好ましくは30°よりも小さく、より好ましくは10°よりも小さく、より好ましくはさらに4°よりも小さい。角度フィルタ13は、角度フィルタ13のレンズ131の光軸143に対するそれぞれの入射角が最大入射角度よりも大きい入射放射線の光線を遮断することが可能である。
【0044】
光線は、レンズ131に入射する光線のそれぞれの方向に対する角度αでレンズ131及び層135から出射する。角度αは、レンズ131に固有であり、その直径及び同じレンズ131の焦点距離に依存する。
【0045】
層135から出力した光線は、層139を横切り、そして第2のアレイのレンズ141に当たる。このように、光線は、レンズ141から出る際に、レンズ141に入射した光線のそれぞれの方向に対して角度βだけ偏向する。角度βは、レンズ141に固有のものであり、その直径及び同じレンズ141の焦点距離に依存する。
【0046】
総発散角度は、レンズ131及びレンズ141によって逐次生じる偏向に対応する。第2のアレイのレンズ141は、総発散角度が例えば約5°以下になるように選択される。
【0047】
図1に示す実施形態では、第1のアレイのレンズ131の像焦点面が第2のアレイのレンズ141の物体焦点面と同じである理想的な構成を示している。示された光線は、光軸に平行に到達し、レンズ131の像焦点またはレンズ141の物体焦点に集束される。よって、レンズ141から出射した光線はその光軸に平行に伝播される。この場合、総発散角度はゼロである。
【0048】
レンズ141の第2のアレイが存在しない場合、発散角度が大きすぎると、レンズ131から出射した特定の光線は、層135の開口部137の間の壁136によって吸収されないリスクがある。そして複数の光検出器111に照射するリスクがある。これにより、結果として得られる画像の品質の解像度が低下する。
【0049】
現れる利点は、レンズ141の第2のアレイの存在が、角度フィルタ13の出力における発散角度を減少させることである。発散角度の減少は、画像センサ11のレベルに現れる光線の交差のリスクを減少させることを可能にする。
【0050】
図2~
図8は、第1の実施態様による角度フィルタ製造方法の一例の連続するステップを模式的に、かつ部分的に示す図である。
【0051】
図2は、角度フィルタ製造方法の第1の実施態様のステップを示す断面図である。
【0052】
より詳細には、
図2は、レンズまたはマイクロレンズ131の第1のアレイ及び第1の基板133の初期構造即ちスタック21を部分的かつ概略的に示している。
【0053】
基板133は、少なくとも考慮される波長(ここで、可視及び赤外範囲の波長)を吸収しない透明なポリマーで作られてもよい。ポリマーは、特に、ポリエチレンテレフタレートPET、ポリ(メチルメタクリレート)PMMA、環状オレフィンポリマー(COP)、ポリイミド(PI)、ポリカーボネート(PC)で作られてもよい。基板133の厚さは、例えば、1~100μm、好ましくは10~100μmで変化してもよい。基板133は、カラーフィルタ、偏光板、半波長板、または1/4波長板に対応してもよい。
【0054】
基板133の上に基板133と接触するマイクロレンズ131は、シリカ、PMMA、ポジ型レジスト、PET、ポリエチレンナフタレート(PEN)、COP、ポリジメチルシロキサン(PDMS)/シリコーン、エポキシ樹脂、またはアクリレート樹脂で作られてもよい。マイクロレンズ131は、レジストブロックのクリープにより形成されてもよい。マイクロレンズ131は、さらに、PET、PEN、COP、PDMS/シリコーン、エポキシ樹脂、またはアクリレート樹脂の層にインプリントすることにより形成されてもよい。
【0055】
マイクロレンズ131は、収束レンズであり、各々は1μm~100μm、好ましくは1μm~70μmの範囲の焦点距離fを有する。一実施形態によれば、すべてのマイクロレンズ131は実質的に同一である。
【0056】
以下の説明では、構造体の上面は、
図2の向きでは、表側であると考えられ、構造体の下面は、
図2の向きでは、裏側であると考えられる。
【0057】
図3は、第1の実施態様に係る角度フィルタ製造方法の他のステップを示す断面図である。
【0058】
より詳細には、
図3は、
図2のステップの終わりに得られた構造体の裏側に、開口部137のアレイを備える第1の樹脂145の層135を形成するステップを示す部分概略図である。
【0059】
支持体133から測定された層135の厚さを「h」と呼ぶ。層135は、例えば、光検出器(111、
図1)によって検出される放射線に対して不透明であり、例えば光検出器によって検出される放射線に対して吸収性及び/または反射性を有する。層135は、可視及び/または近赤外及び/または赤外の範囲で吸収する。層135は、画像化(生物測定及び指紋画像化)に使用される450nm~570nmの範囲の放射線に対して不透明であってもよい。
【0060】
図3において、開口部137は、断面図において、台形の断面を有するように示されている。一般的に、開口部137の断面は、断面図において、正方形、三角形、長方形であってもよい。更に、開口部137の断面は、上面視において、円形、楕円形、または多角形(例えば、三角形、正方形、長方形、台形、または漏斗形)であってもよい。上面視における開口部137の断面は、円形が好ましい。
【0061】
一実施形態によれば、開口部137は、行及び列に配置されている。開口部137は、実質的に同じ寸法を有してもよい。開口部137の直径(開口部の基部、即ち基板133との界面で測定される)を「w1」と呼ぶ。一実施形態によれば、開口部137は、行及び列に規則的に配置されている。孔137の繰り返しピッチ、即ち上面視において1行または1列の2つの連続する孔137の中心間の距離を、「p」と呼ぶ。
【0062】
開口部137は、好ましくは、各マイクロレンズ131が単一の開口部137の表側にあり、各開口部137の頂部に単一のマイクロレンズ131が配置されるように形成される。マイクロレンズ131の中心は、例えば、それと関連する開口部137の中心と位置合わせされている。各レンズ131の直径は、レンズ131が関連する各開口部137の直径w1よりも大きいことが好ましい。
【0063】
ピッチpは、5μm~50μmの範囲であってもよく、例えば約15μmに等しい。高さhは、1μm~1mmの範囲であってもよく、12μm~15μmの範囲が好ましい。幅w1は、好ましくは5μm~50μmの範囲であってもよく、例えば約10μmに等しい。
【0064】
開口部137のアレイを備える層135の製造方法の一実施形態は、
遠心分離またはコーティングによって、基板133の裏側に第1の樹脂145の層135を堆積させるステップ、
マイクロレンズ131のアレイによって形成されたマスクを介してコリメートされた光に第1の樹脂145をその表側で露光すること(フォトリソグラフィ)により、層135に開口部137を形成するステップ、及び
現像によって、樹脂145の露光部分を除去するステップ
を備える。
【0065】
この実施形態によれば、マイクロレンズ131及び基板133は、透明または部分的に透明な材料で作られ、即ち、露光時に使用される波長に対応する波長範囲にわたって、対象分野(例えば画像化)に対して考慮されるスペクトルの一部において透明な材料で作られることが好ましい。
【0066】
開口部137のアレイを備える層135の製造方法の他の実施形態は、
遠心分離またはコーティングによって、基板133の裏側に第1の樹脂145の層135を堆積させるステップ、
マスクを介してコリメートされた光に樹脂145をその裏側を介して露光することにより、層135に開口部137を形成するステップ、及び
現像によって樹脂145の露光部分を除去するステップ
を備える。
【0067】
この実施形態では、レンズ131と位置合わせされた開口部137を形成するために、マスク上に描かれた開口部とレンズ131との位置合わせを予め行う必要がある。
【0068】
実際には、この位置合わせは、構造体の表面全体に分散された位置合わせマーク(好ましくは少なくとも4つの位置合わせマーク)によって実行される。
【0069】
開口部137のアレイを備える層135の製造方法の他の実施態様は、
フォトリソグラフィエッチングステップによって、基板133の裏側に、開口部137の所望の形状の透明なネガ型犠牲樹脂で作られた型(
図3に示されない)を形成するステップ、
型に第1の樹脂145を充填するステップ、及び
犠牲樹脂型を、例えば「リフトオフ」法によって除去するステップ
を備える。
【0070】
この実施形態でも、レンズ131と位置合わせされた開口部137を形成するために、マスク上に描かれた開口部とレンズ131との位置合わせを予め行う必要がある。
【0071】
開口部137のアレイを備える層135の製造方法の一実施態様は、
コーティングまたは遠心分離によって基板133の裏側に樹脂145の層135を堆積させるステップ、及び
樹脂145の層135を穿孔して開口部137を形成するステップ
を備える。
【0072】
この実施形態でも、レンズ131と位置合わせされた開口部137を形成するために、レンズ131と穿孔工具との位置合わせを予め行う必要がある。
【0073】
孔137の正確な寸法を得るために、穿孔は、例えばマイクロニードルを備えるマイクロ穿孔工具を使用することにより実施されてもよい。
【0074】
変形例として、層135の穿孔は、レーザアブレーションによって実行されてもよい。
【0075】
一実施形態によれば、樹脂145は、ポジ型レジストであり、例えば、着色もしくは黒色DNQ-ノボラック樹脂、またはDUV(深紫外:DeepUltraviolet)レジストである。DNQ-ノボラックレジストは、ジアゾナフトキノン(DNQ)とノボラック樹脂(フェノールホルムアルデヒド樹脂)との混合物をベースとする。DUVレジストは、ポリヒドロキシスチレンをベースとするポリマーを備えてもよい。
【0076】
他の実施形態によれば、樹脂145は、ネガ型レジストである。ネガ型レジストの一例は、エポキシポリマー樹脂(例えば、SU-8の名称で商品化されている樹脂)、アクリル樹脂、及び非化学量論的チオール-エン(OSTE)ポリマーがある。
【0077】
他の実施形態によれば、樹脂145は、レーザ加工可能な材料、即ちレーザ放射線の作用下で劣化する可能性がある材料をベースとする。レーザ加工可能な材料の例は、グラファイト、プラスチック材料(PMMA、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)など)、またはPET、PEN、COP、PIなどの染色されたプラスチックフィルムである。
【0078】
図4は、第1の実施態様に係る角度フィルタ製造方法の他のステップを示す断面図である。
【0079】
より詳細には、
図4は、
図2及び3のステップの終わりに得られた構造体の裏側に第2の層139を堆積させることにより平坦化するステップを示す部分概略図である。
【0080】
選択的に、開口部137は、空気、または光検出器(111、
図1)によって検出される放射線に対して少なくとも部分的に透明な充填材料(例えば、PDMS、エポキシまたはアクリレート樹脂、または商品名SU8で知られている樹脂)で充填される。変形例として、開口部137は、部分的に透明な材料で充填されてもよい。該材料は、角度フィルタ13によって角度的にフィルタリングされた光線を色彩的にフィルタリングするために、対象分野(例えば画像化など)に対して考慮されるスペクトルの一部で吸収する。
【0081】
図3に示すステップの後、または開口部137の選択的な充填の後に、構造体の裏側は、第2の層139で完全に覆われる。言い換えれば、第1の層135は第2の層139で覆われる。第2の層139の下面は、このステップの後に、実質的に平坦である。開口部137を充填するステップが事前に実施されていない場合、開口部137は、このように第2の層139で充填される。
【0082】
層139の材料は、好ましくは、光検出器(111、
図1)により検出される放射線に対して少なくとも部分的に透明であり、例えば、PDMS、エポキシもしくはアクリレート樹脂、または商品名SU8で知られている樹脂が挙げられる。開口部137の選択的な充填時に使用される充填材料と、層139の材料とは、同じ組成を有してもよいし、異なる組成を有してもよい。
【0083】
図5は、第1の実施態様に係る角度フィルタ製造方法の他のステップを示す断面図である。
【0084】
より詳細には、
図5は、
図2~
図4のステップの終わりに得られた構造体の裏面に、第2の樹脂151の膜149を堆積させるステップを示す部分概略図である。
【0085】
一実施態様によれば、構造体の裏面は一体的に覆われており(フルプレート)、特に層139は第2の樹脂151の膜149で覆われている。第2の樹脂151はポジ型が好ましい。
【0086】
膜の厚さは、構造体全体にわたって実質的に一定である。厚さは例えば1μm~20μmの範囲であり、好ましくは12μm~15μmである。
【0087】
代替的な実施態様として、層149を支持膜(不図示)上に堆積させ、その後、
図2~
図4のステップの終わりに得られた構造体に層149及び前記膜の組立体を積層してもよい。層149は、この代替的な実施態様に従って、
図3に示すステップの終わりからすぐに堆積されてもよい。
【0088】
図6は、第1の実施態様に係る角度フィルタ製造方法の他のステップを示す断面図である。
【0089】
より詳細には、
図6は、層149の一部を除去して第2の樹脂151のパッド153を形成するステップを示す部分概略図である。
【0090】
パッド153は、例えば、上面視において、正方形または円形の形状、好ましくは円形を有するように形成されている。パッドは、例えば、2μmからレンズ131の直径までの範囲内の直径w2を有する。パッド153の数は、第1のアレイのレンズ131の数に対応することが好ましい。
【0091】
層149からパッド153を製造する方法の一実施形態は、
マイクロレンズ131及び開口部137のアレイによって形成されたマスクを介してコリメートされた光に第2の樹脂151をその表側で露光することによって、層149にパッド153を形成するステップ、及び
現像によって、樹脂151の非露光部分を除去するステップ
を備える。
【0092】
この実施形態によれば、マイクロレンズ131、基板133及び層139は、露光時に使用される波長に対応する波長範囲にわたって透明な材料で作られることが好ましい。
【0093】
層149からパッド153を製造する方法の他の実施形態は、
マスクを介してコリメートされた光に樹脂151をその裏側で露光することにより、パッド153を層149に形成するステップ、及び
現像によって樹脂151の非露光部分を除去するステップ
を備える。
【0094】
この実施形態では、レンズ131(及び開口部137)と位置合わせされたパッド153を形成するために、マスク上に描かれたパッド153とレンズ131(及び開口部137)との位置合わせを予め行う必要がある。
【0095】
図7は、第1の実施態様に係る角度フィルタ製造方法の他のステップを示す断面図である。
【0096】
より詳細には、
図7は、
図2~
図6のステップの終わりに得られた構造体を加熱するステップを示す部分概略図である。
【0097】
一実施態様によれば、構造体を加熱して樹脂151のパッド153を変形させる。実際に、熱の作用により、パッド153はクリープによって変形し、レンズ141を形成する。このステップ中において、温度は例えば100~200℃の範囲である。
【0098】
変形例として、パッド153をUVに露光して変形させて、レンズ141を形成する。UV源の開口角は、レンズ141の曲率を変更することを可能にする。
【0099】
図7に示すステップの終わりに、レンズ141は、例えば、球状または非球状のキャップ形状を有する。
【0100】
図8は、第1の実施態様に係る角度フィルタ製造方法の他のステップを示す断面図である。
【0101】
より詳細には、
図8は、
図2~
図7のステップの終わりに得られた構造体の裏側に、第3の層155を堆積させるステップを示す部分概略図である。
【0102】
構造体の裏側は一体的に覆われており(フルプレート)、特に、レンズ141及び第2の層139は、第3の層155で覆われている。
【0103】
第3の層155及び第2の層139は、同じ組成であってもよいし、異なる組成であってもよい。
【0104】
第3の層155は、第2の樹脂151の光学指数よりも小さい光学指数を有することが好ましい。
【0105】
図9~
図15は、第2の実施態様による角度フィルタ製造方法の一例の連続するステップを模式的にかつ部分的に示す図である。
【0106】
第2の実施態様は、レンズ131の第1のアレイが、基板133に接触するように、開口部137のアレイを備える第1の層135の形成前に形成されるという点で、第1の実施態様と異なっている。
【0107】
図9は、角度フィルタ製造方法の第2の実施態様のステップを示す断面図である。
【0108】
より詳細には、
図9は、
図2に示される第1の実施態様による方法の初期構造と同一の初期構造を示す部分概略図である。
【0109】
図10は、第2の実施態様に係る角度フィルタ製造方法の他のステップを示す断面図である。
【0110】
より詳細には、
図10は、
図9のステップの終わりに得られた構造体の裏面に第1の実施態様の膜149を堆積させるステップを示す部分概略図である。
【0111】
このステップは、第1の実施態様による方法の
図5に示すステップと実質的に同一であるが、
図10に示すステップにおいて膜149が基板133を覆うという点で異なる。
【0112】
図11は、第2の実施態様に係る角度フィルタ製造方法の他のステップを示す断面図である。
【0113】
図12は、第2の実施態様に係る角度フィルタ製造方法の他のステップを示す断面図である。
【0114】
より詳細には、
図11及び
図12は、
図10のステップの終わりに得られた構造体の裏側に、膜149からレンズ141の第2のアレイを形成するステップを示す部分概略図である。
【0115】
この2つのステップは、第1の実施態様による方法の
図6及び
図7それぞれに示すステップと実質的に同一である。
【0116】
図13は、第2の実施態様に係る角度フィルタ製造方法の他のステップを示す断面図である。
【0117】
より詳細には、
図13は、
図9~
図12のステップの終わりに得られた構造体の裏側に、第2の樹脂151の光学指数よりも低い光学指数を有する第3の層155を堆積させるステップを示す部分概略図である。
【0118】
構造体の裏側は、一体的に覆われており(フルプレート)、特に、レンズ141及び基板133は第3の層155で覆われている。
【0119】
図14は、第2の実施態様に係る角度フィルタ製造方法の他のステップを示す断面図である。
【0120】
図15は、第2の実施態様に係る角度フィルタ製造方法の他のステップを示す断面図である。
【0121】
より詳細には、
図14及び
図15は、
図9~
図13のステップの終わりに得られた構造体の裏側に、開口部137のアレイを備える第1の層135を形成するステップを示す部分概略図である。
【0122】
この2つのステップは、第1の実施態様による方法の
図3に示すステップと実質的に同一であるが、第1の層135を第3の層155に形成するという点で異なる。
【0123】
これらのステップは、第2の層を堆積させるステップに続いてもよい。第2の層を堆積させるステップは、第1の実施態様による方法の
図7の第2の層139を堆積させるステップと実質的に同一である。
【0124】
図16~
図19は、第3の実施態様による角度フィルタ製造方法の一例の連続するステップを模式的にかつ部分的に示している。
【0125】
第3の実施態様は、レンズ141の第2のアレイの製造態様によって、第1の実施態様と異なる。
【0126】
図16は、角度フィルタ製造方法の第3の実施態様のステップを示す断面図である。
【0127】
より詳細には、
図16は、第1の実施態様による方法の
図4に示す構造体と実質的に同一の構造体を形成するステップを示す部分概略図である。従って、
図16に示す構造体は、第1の実施態様による方法の
図2~
図4のステップの実施結果に実質的に対応する。
【0128】
図17は、第3の実施態様に係る角度フィルタ製造方法の他のステップを示す断面図である。
【0129】
より詳細には、
図17は、
図16のステップの終わりに得られた構造体の裏側に第2の樹脂151の膜149を堆積させるステップを示す部分概略図である。
【0130】
このステップは、第1の実施態様による方法の
図5に示すステップと実質的に同一である。
【0131】
本実施態様では、第2の樹脂151は、非架橋エポキシ及び/またはアクリレートをベースとすることが好ましい。
【0132】
図18は、第3の実施態様に係る角度フィルタ製造方法の他のステップを示す断面図である。
【0133】
より詳細には、
図18は、膜149からレンズ141の第2のアレイを形成するステップを示す部分概略図である。
【0134】
このステップでは、レンズ141の第2のアレイは、インプリントによって形成される。より正確には、一定の初期厚さを有する膜149は、構造体への型157の圧力によって変形される。使用される型157は、レンズ141の第2のアレイのインプリントの形状を有することが好ましい。加圧時と同時に、構造体を光放射(例えばUV)、または熱源(熱成形)に曝すことで、第2の樹脂151を架橋させて硬化させることができる。その後、第2の樹脂151は、型157の形状と逆の形状になる。
【0135】
実際には、レンズ131の第1のアレイの損傷を避けるために、このステップ中において、構造体の表側に保護膜を取り付けてもよい。
【0136】
図18に示す構造体は、前述したステップの終わりに得られた構造体に対応し、型157は常に樹脂151に接触する。
【0137】
図19は、第3の実施態様に係る角度フィルタ製造方法の他のステップを示す断面図である。
【0138】
より詳細には、
図19は、
図18のステップの終わりに得られた構造体に存在する型157を除去するステップを示す部分概略図である。
【0139】
このステップでは、型157を除去して、レンズ141の第2のアレイを解放する。
【0140】
実際には、このステップの終わりに、レンズ141は必ずしも互いに分離されない。実に、後者は、膜149に由来する架橋膜によって結合されている可能性がある。この現象は、特に、型157の内面に存在する欠陥、層139の平坦化欠陥に起因するものである。
【0141】
このステップでは、レンズ131(及び開口部137)と位置合わせされたレンズ141を形成するために、型157とレンズ131(及び開口部137)との位置合わせを予め行う必要がある。
【0142】
【0143】
【0144】
図20に示すステップは、第2のアレイのレンズ141の数が第1のアレイのレンズ131の数と同一でないという点で、
図18及び
図19に示すステップと異なる。レンズ141の数は、レンズ131の数よりも大きいことが好ましい。一例として、レンズ141の数は、レンズ131の数の少なくとも2倍である。
【0145】
各レンズ141の光軸143(
図1)は、この場合、必ずしもレンズ131の光軸143(
図1)と位置合わせされない。
【0146】
従って、この変形例では、型157とレンズ131(及び開口部137)との位置合わせを予め行う必要はない。
【0147】
図21~
図24は、第4の実施態様による角型フィルタ製造方法の一例の連続するステップを模式的に、かつ部分的に示している。
【0148】
第4の実施態様は、レンズ131及び141の2つのアレイを個別に形成した後に接着剤によって組み立てるという点で、第1の実施態様と異なる。
【0149】
図21は、角度フィルタ製造方法の第4の実施態様のステップを示す断面図である。
【0150】
より詳細には、
図21は、第1の実施態様による方法の
図4に示す構造体と実質的に同一の構造体を形成するステップを示す部分概略図である。
【0151】
図22は、第4の実施態様に係る角度フィルタ製造方法の他のステップを示す断面図である。
【0152】
より詳細には、
図22は、スタック23を形成するステップを示している。スタック23は、上から下へ、
接着膜159、
第2の基板161、及び
レンズ141の第2のアレイ
を備える。
【0153】
第2の基板161は、第1の実施態様による方法の
図2に示す第1の基板133と実質的に同一である。
【0154】
一実施形態によれば、レンズ141のアレイの形成は、第1の実施態様による方法の
図5~
図7に示すステップで説明したレンズ141のアレイの形成と実質的に同一であるが、
図22のステップにおいてレンズ141の第2のアレイを基板161に形成するという点で異なる。レンズ141の第2のアレイは、レンズ131の第1のアレイを備えない構造体に形成されるが、レンズ141は、フォトリソグラフィエッチングによって、レンズ131の第1のアレイによって形成されたマスクを介してコリメートされた光の作用により形成されなくてもよい。
【0155】
他の実施形態によれば、レンズ141のアレイの形成は、第3の実施態様による方法の
図17~
図20に示すステップで説明したレンズ141のアレイの形成と実質的に同一である。
【0156】
図23は、第4の実施態様に係る角度フィルタ製造方法の他のステップを示す断面図である。
【0157】
より詳細には、
図23は、
図21及び
図22に示す2つの構造体を組み立てるステップを示している。
【0158】
このステップにおいて、スタック23の表側に位置した接着膜159で、
図21に示す構造体の裏側にスタック23を配置して接着する。
【0159】
【0160】
【0161】
図24に示す構造体は、第2のアレイのレンズ141の数が第1のアレイのレンズ131の数と同一でないという点で、
図23に示す構造体と異なる。レンズ141の数は、レンズ131の数よりも大きいことが好ましい。
【0162】
図24に示すレンズ141は、第3の実施態様による方法の
図20に示すレンズ141と実質的に同一である。
【0163】
従って、この変形例では、レンズ141のアレイとレンズ131のアレイ(及び開口部137)との位置合わせを予め行う必要はない。
【0164】
様々な実施形態及び変形例が説明されている。当業者は、これらの様々な実施形態及び変形例の特定の特徴が組み合わせられてもよく、他の変形例が想到されることを理解するであろう。特に、第2及び第3の実施態様は組み合わされてもよく、第3の実施態様で
図20に示す変形例は、第1及び第2の実施態様に置換されてもよい。さらに、説明された実施形態は、例えば、ここで言及された寸法の例及び材料の例に限定されるものではない。
【0165】
最後に、本明細書で説明した実施形態及び変形例の実用的実現は、本明細書で提供した機能表示に基づいて、当業者の能力の範囲内である。
【0166】
本特許出願は、参照によって本明細書に組み込まれる仏国特許出願第19/13892号明細書の優先権を主張している。
【手続補正書】
【提出日】2022-08-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平凸レンズ(131)の第1のアレイと、
前記第1のアレイ及び画像センサ(11)の間に位置する平凸レンズ(141)の第2のアレイと、
開口部(137)のアレイと
を備え、
前記第1のアレイ及び第2のアレイのレンズ(131、141)の平面は対向しており、前記第2のアレイのレンズの数は、前記第1のアレイのレンズの数よりも大きい
角度フィルタ(13)。
【請求項2】
前記開口部(137)のアレイは、可視領域及び赤外領域において不透明な第1の樹脂で作られた層(135)に形成されている
請求項1に記載の角度フィルタ。
【請求項3】
前記アレイの前記開口部(137)は、空気、または可視領域及び赤外領域において少なくとも部分的に透明な材料で充填されている
請求項
1に記載の角度フィルタ。
【請求項4】
前記第1のアレイの各レンズ(131)の光軸(143)は、前記第2のアレイのレンズ(141)の光軸(143)及び前記アレイの開口部(137)の中心と位置合わせされている
請求項
1に記載の角度フィルタ。
【請求項5】
前記アレイの各開口部(137)は、前記第1のアレイの単一のレンズ(131)と関連する
請求項
1に記載の角度フィルタ。
【請求項6】
前記第1のアレイの前記レンズ(131)の像焦点面は、前記第2のアレイの前記レンズ(141)の物体焦点面と一致する
請求項
1に記載の角度フィルタ。
【請求項7】
前記第1のアレイの前記レンズ(131)は、前記第2のアレイの前記レンズ(141)の直径よりも大きい直径を有する
請求項
1に記載の角度フィルタ。
【請求項8】
前記開口部(137)のアレイは、前記第1のアレイ及び前記第2のアレイの間に位置している
請求項
1に記載の角度フィルタ。
【請求項9】
前記第2のアレイは、前記第1のアレイ及び前記開口部(137)のアレイの間に位置している
請求項
1に記載の角度フィルタ。
【請求項10】
前記第1のアレイの前記レンズ(131)は、基板(133)の上にあり、且つ前記基板(133)に接触している
請求項
1に記載の角度フィルタ。
【請求項11】
請求項
1に記載の角度フィルタを製造する方法であって、特に、
第2のレジスト(151)の膜を堆積させるステップと、
フォトリソグラフィによって第2のレジストのパッドを形成するステップと、
前記パッドを加熱してその形状を変更させることで、前記第2のアレイの前記レンズ(141)を形成するステップと
を備える方法。
【請求項12】
前記第1のアレイの前記レンズ(131)を介して、フォトリソグラフィによる露光を実行する
請求項11に記載の方法。
【請求項13】
請求項1に記載の角度フィルタを製造する方法であって、特に、
前記第2のアレイをインプリントによって形成する
ステップ
を備える方法。
【請求項14】
前記第1のアレイ及び前記第2のアレイを個別に形成した後に接着膜(159)によって組み立てる
請求項1
1に記載の方法。
【請求項15】
前記第1のアレイ及び前記第2のアレイを個別に形成した後に接着膜(159)によって組み立てる
請求項13に記載の方法。
【国際調査報告】