(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-07
(54)【発明の名称】共有結合性有機構造体及びポリマーを用いた経皮送達用複合体
(51)【国際特許分類】
A61K 8/73 20060101AFI20230131BHJP
A61K 47/40 20060101ALI20230131BHJP
A61K 47/30 20060101ALI20230131BHJP
A61P 17/10 20060101ALI20230131BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20230131BHJP
【FI】
A61K8/73
A61K47/40
A61K47/30
A61P17/10
A61Q19/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022534325
(86)(22)【出願日】2020-11-12
(85)【翻訳文提出日】2022-07-14
(86)【国際出願番号】 KR2020015919
(87)【国際公開番号】W WO2021112437
(87)【国際公開日】2021-06-10
(31)【優先権主張番号】10-2019-0161334
(32)【優先日】2019-12-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519051964
【氏名又は名称】エイチ アンド エー ファーマケム カンパニー,リミテッド
【氏名又は名称原語表記】H&A PHARMACHEM CO., LTD
【住所又は居所原語表記】48, Bucheon-ro 186beon-gil, Wonmi-gu Bucheon-si Gyeonggi-do 14558, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100159385
【氏名又は名称】甲斐 伸二
(74)【代理人】
【識別番号】100163407
【氏名又は名称】金子 裕輔
(74)【代理人】
【識別番号】100166936
【氏名又は名称】稲本 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100174883
【氏名又は名称】冨田 雅己
(74)【代理人】
【識別番号】100189429
【氏名又は名称】保田 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100213849
【氏名又は名称】澄川 広司
(72)【発明者】
【氏名】ジ,ホン グン
(72)【発明者】
【氏名】パク,ヨン ア
(72)【発明者】
【氏名】カン,ユ ジン
(72)【発明者】
【氏名】ソン,スン ヨン
【テーマコード(参考)】
4C076
4C083
【Fターム(参考)】
4C076BB31
4C076CC18
4C076EE01N
4C076EE39N
4C076FF34
4C076FF68
4C076GG05
4C083AD251
4C083BB51
4C083CC02
4C083EE05
4C083EE11
4C083EE14
4C083EE16
4C083FF01
(57)【要約】
本発明は、シクロデキストリンを基盤とした共有結合性有機構造体及びポリマーを含む経皮送達用複合体に関する。また、本発明は、前記経皮送達用複合体を含む化粧料組成物及び経皮送達用複合体を製造する方法に関する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シクロデキストリンを基盤とした共有結合性有機構造体(CD-COF)及びポリマーを含む経皮送達用複合体。
【請求項2】
前記シクロデキストリンが、α-シクロデキストリン、β-シクロデキストリン又はγ-シクロデキストリンであることを特徴とする請求項1に記載の経皮送達用複合体。
【請求項3】
前記シクロデキストリンが、γ-シクロデキストリンであることを特徴とする請求項2に記載の経皮送達用複合体。
【請求項4】
前記シクロデキストリンを基盤とした共有結合性有機構造体が、シクロデキストリン及びカリウム塩から製造されることを特徴とする請求項1に記載の経皮送達用複合体。
【請求項5】
前記カリウム塩が、水酸化カリウム(KOH)であることを特徴とする請求項4に記載の経皮送達用複合体。
【請求項6】
前記ポリマーが、キトサン、プルラン、ポリ乳酸、スクシニル化キトサン、プルラン-ポリ-(L)-乳酸、ポリエチレングリコール(PEG)-ポリカプロラクトン(PCL)-ポリエチレングリコール(PEG)のトリブロック共重合体及びそれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする請求項1に記載の経皮送達用複合体。
【請求項7】
前記ポリマーが、スクシニル化キトサン、プルラン-ポリ-(L)-乳酸、ポリエチレングリコール(PEG)-ポリカプロラクトン(PCL)-ポリエチレングリコール(PEG)のトリブロック共重合体及びそれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする請求項6に記載の経皮送達用複合体。
【請求項8】
前記シクロデキストリンを基盤とした共有結合性有機構造体10重量部に対して、0.01~10重量部のポリマーが含まれることを特徴とする請求項1に記載の経皮送達用複合体。
【請求項9】
有効成分をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の経皮送達用複合体。
【請求項10】
前記有効成分が、保湿剤、美白剤、抗シワ剤、UV遮断剤、育毛剤、ビタミン又はその誘導体、アミノ酸又はペプチド、抗炎症剤、ニキビ治療剤、殺菌剤、女性ホルモン剤、角質溶解剤、天然物、オイル、ワックス、バター、パラフィン、高級脂肪酸、エステル及びシリコーンからなる群から選択される一つ以上であることを特徴とする請求項9に記載の経皮送達用複合体。
【請求項11】
請求項9又は10に記載の経皮送達用複合体を含む化粧料組成物。
【請求項12】
経皮送達用複合体を1~60重量%で含むことを特徴とする請求項11に記載の化粧料組成物。
【請求項13】
i)シクロデキストリン、カリウム塩基及びポリマーを溶媒に溶解し、
ii)前記工程i)で得られた溶液から蒸気拡散晶析装置を使用して結晶化溶媒内で結晶を形成し、
iii)前記工程ii)で形成された結晶を洗浄し、乾燥する、
ことを含む経皮送達用複合体の製造方法。
【請求項14】
前記シクロデキストリンが、α-シクロデキストリン、β-シクロデキストリン又はγ-シクロデキストリンであることを特徴とする請求項13に記載の経皮送達用複合体の製造方法。
【請求項15】
前記シクロデキストリンが、γ-シクロデキストリンであることを特徴とする請求項14に記載の経皮送達用複合体の製造方法。
【請求項16】
前記カリウム塩基が、水酸化カリウム(KOH)であることを特徴とする請求項13に記載の経皮送達用複合体の製造方法。
【請求項17】
前記ポリマーが、キトサン、プルラン、ポリ乳酸、スクシニル化キトサン、プルラン-ポリ-(L)-乳酸、ポリエチレングリコール(PEG)-ポリカプロラクトン(PCL)-ポリエチレングリコール(PEG)のトリブロック共重合体及びそれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする請求項13に記載の経皮送達用複合体の製造方法。
【請求項18】
前記ポリマーが、スクシニル化キトサン、プルラン-ポリ-(L)-乳酸、ポリエチレングリコール(PEG)-ポリカプロラクトン(PCL)-ポリエチレングリコール(PEG)のトリブロック共重合体及びそれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする請求項17に記載の経皮送達用複合体の製造方法。
【請求項19】
前記工程i)の溶媒が、水、プロピレングリコール及びそれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする請求項13に記載の経皮送達用複合体の製造方法。
【請求項20】
前記工程i)の溶媒100重量部に対して、10~200重量部のシクロデキストリン、1~100重量部のカリウム塩基及び0.01~50重量部のポリマーを溶解することを特徴とする請求項13に記載の経皮送達用複合体の製造方法。
【請求項21】
前記工程ii)の結晶化溶媒が、メタノール、エタノール及びそれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする請求項13に記載の経皮送達用複合体の製造方法。
【請求項22】
前記工程i)において、有効成分をさらに溶媒に溶解することを特徴とする請求項13に記載の経皮送達用複合体の製造方法。
【請求項23】
前記有効成分が、保湿剤、美白剤、抗シワ剤、UV遮断剤、育毛剤、ビタミン又はその誘導体、アミノ酸又はペプチド、抗炎症剤、ニキビ治療剤、殺菌剤、女性ホルモン剤、角質溶解剤、天然物、オイル、ワックス、バター、パラフィン、高級脂肪酸、エステル及びシリコーンからなる群から選択される一つ以上であることを特徴とする請求項22に記載の経皮送達用複合体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シクロデキストリンを基盤とした共有結合性有機構造体(cyclodextrin-based covalent organic framework)及びポリマーを含む経皮送達用複合体に関するものである。
また、本発明は、前記経皮送達用複合体を含む化粧料組成物に関するものである。
さらに、本発明は、前記経皮送達用複合体を製造する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
化粧品の有効成分を皮膚に浸透させるのは容易ではない。有効成分を安定化させ、経皮透過効率を高めるために、経皮送達システム(transdermal delivery system;TDS)を機能性化粧品に活用するための努力と研究が積極的に行われている。機能性材料を開発するために、そのような材料により高い安定性を与えるための様々な機能化方法が広く研究されてきた。
【0003】
皮膚は外部環境に常にさらされており、身体を保護するための重要な器官であり、体液の損失を防ぎ、有害な環境から身体を保護する最も重要な第一線の防御である。つまり、皮膚は水分と電解質の損失を抑制し、通常の生化学的代謝環境を提供し、機械的な刺激、紫外線及び様々な微生物から人体を保護するバリア機能を行っている。皮膚は、大きく真皮と表皮とに分けられており、真皮は、下の皮下脂肪と密接に接触している。表皮は、上皮組織の一部であり、基底層、棘層、顆粒層、透明層及び角質層の5つの細胞層で構成されている。皮膚の最も外側の部分に存在する角質層は、バリア機能を行う主要な防御膜である。Eliasらがしっくい(ケラチノサイト間質脂質)とレンガ(ケラチノサイト)の2つのコンパートメントモデルを提示した後、角質層と皮膚バリアへの関心が高まっている。即ち、角質層は、レンガが積み重ねられたようなケラチノサイトの形をしており、これらのケラチノサイトを支えるしっくいのように機能するのはケラチノサイト間質脂質である。角質層は、約40%のタンパク質、40%の水、及び10~20%の脂質で構成され、その構造は、タンパク質が豊富なケラチノサイトとそれらの間の空間を満す脂質で構成されている。この中でも、特に脂質がバリアとして大きな役割を果たしている。角質層には、皮膚保湿に重要な役割を果たす天然保湿因子(NMF)と呼ばれる親水性の吸湿物質が含まれている。NMFの組成には、アミノ酸類、ピロリドンカルボン酸、尿素、アンモニア、尿酸、グリコサミン、クレアチニン、クエン酸塩、ナトリウム、カリウム、カルシウム、塩素、マグネシウム、糖、有機酸、ペプチドが含まれる。有効成分の効果を最大化するために、皮膚細胞間質脂質の間にある100~200nm以下のサイズの場合、皮膚の奥深くまで容易に浸透させることができる。
【0004】
共有結合性有機構造体(COF)は、拡張構造を有する2次元又は3次元の有機固体であり、ビルディングブロック(又は構築ブロック;building blocks)は強力な共有結合によって連結されている。共有結合性有機構造体の合成は、金属有機構造体(metal-organic framework;MOF)と同様に、米国のOmar M.Yaghi教授により開発された網状化学(reticular chemistry)の原理によってデザインすることもできる。COF及びMOFの両方での設計の主な懸念事項は、多孔性(porosity)と構造の規則性(structural regularity)である。一方、配位結合を使用して結晶性MOFを形成するためのビルディングユニット(又は構築単位;building unit)を組み立てることは、共有結合を使用して結晶性COFを製造するよりも比較的簡単である。無機物ゼオライトを合成するための設計原則は、COF設計に追加のインスピレーションを与える可能性がある。
【0005】
他の多孔性有機ポリマーと同様に、COFを製造するには多孔性に注意を払う必要がある。共有結合を使用して多孔性固体を形成するための設計戦略は、次の2つのカテゴリに分類することができる。1つ目は、多孔性ゼオライトとメソポーラス有機シリカを合成する方法である鋳型法である。これは、構造指向剤を使用してビルディングブロックを形成する合成方法である。合成後、鋳型(template)を除去することにより、最終的な多孔性ポリマーを製造することができる。2つ目は、剛性のあるビルディングユニットを使用して多孔性構造を製造する方法である。カップリング反応により、剛直なモノマーから様々な種類の多孔性ポリマー複合体を合成することに成功した。多孔性COF合成のほとんどは、2つ目の方法を使用する。一方、使用されるビルディングユニットの分子長が生成されるCOFの細孔サイズを決定し、ビルディングユニットの形状(shape)が多孔性構造のトポロジーを決定する。ほとんどの結合基は、ボロキシン、トリアジン、イミン、ヒドラゾンなどの堅くて平らな構造である。多くの場合、硬質芳香族物質は、多孔性構造を効率的に形成できるため、ビルディングユニットとして好まれる。
【0006】
このような共有結合性有機構造体を使用する例として、特許文献1は、ガス捕集体としてのニトリル三量化によって形成されたトリアジン基を有する有機構造体の使用を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】韓国 公開特許公報第10-2018-0069242号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、本発明の技術的課題は、有効成分を安定した状態で効率的に皮膚に送達することができる新しい経皮送達用複合体を提供することである。
また、本発明の別の技術的課題は、前記経皮送達用複合体を含む化粧料組成物を提供することである。
さらに、本発明のさらに別の技術的課題は、前記経皮送達用複合体を製造するための製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するために、本発明は、シクロデキストリンを基盤とした共有結合性有機構造体(CD-COF)及びポリマーを含む経皮送達用複合体を提供する。
また、本発明は前記経皮送達用複合体を含む化粧料(cosmetic)組成物を提供する。
さらに、本発明は、i)シクロデキストリン、カリウム塩基及びポリマーを溶媒に溶解し、ii)前記工程i)で得られた溶液から蒸気拡散晶析装置を使用して結晶化溶媒内で結晶を形成し、iii)前記工程ii)で形成された結晶を洗浄し、乾燥する、ことを含む経皮送達用複合体の製造方法を提供する。
【0010】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の一態様によれば、シクロデキストリンを基盤とした共有結合性有機構造体及びポリマーを含む経皮送達用複合体が提供される。
本発明において、経皮送達用複合体の一成分として、シクロデキストリンを基盤とした共有結合性有機構造体(又はシクロデキストリン系共有結合性有機構造体;cyclodextrin-based covalent organic framework:CD-COF)を含む。
本発明では、シクロデキストリンを基盤とした共有結合性有機構造体を製造する。シクロデキストリンは、デンプンから酵素的転換(enzymatic conversion)によって生成される環状オリゴ糖(oligosaccharide)であり、5つ以上のD-グルコピラノシド単位が1→4結合で結合している。シクロデキストリンで6個、7個及び8個のグルコースサブユニットを有するものは、それぞれα-シクロデキストリン、β-シクロデキストリン及びγ-シクロデキストリンと呼ばれている。
【0011】
本発明による一実施形態では、シクロデキストリンは、α-シクロデキストリン、β-シクロデキストリン又はγ-シクロデキストリンである。本発明による別の実施形態では、シクロデキストリンは、γ-シクロデキストリンである。
本発明による別の実施形態において、シクロデキストリンを基盤とした共有結合性有機構造体は、シクロデキストリン及びカリウム塩から製造される。本発明による別の実施形態では、前記カリウム塩は、水酸化カリウム(KOH)である。
本発明において、経皮送達用複合体の一成分としてポリマーを含む。
【0012】
本発明による別の実施形態において、前記ポリマーは、生分解性ポリマーである。本発明による別の実施形態において、前記ポリマーは、キトサン、プルラン(pullulan)、ポリ乳酸、スクシニル化キトサン(succinylated chitosan)、プルラン-ポリ-(L)-乳酸、ポリエチレングリコール(PEG)-ポリカプロラクトン(PCL)-ポリエチレングリコール(PEG)のトリブロック共重合体及びそれらの混合物からなる群から選択される。本発明による別の実施形態において、前記ポリマーは、スクシニル化キトサン、プルラン-ポリ-(L)-乳酸、ポリエチレングリコール(PEG)-ポリカプロラクトン(PCL)-ポリエチレングリコール(PEG)のトリブロック共重合体及びそれらの混合物からなる群から選択される。
【0013】
本発明において、スクシニル化キトサンは、当技術分野で知られている方法に従って合成することができ、例えば、スクシニル無水物(succinyl anhydride)をキトサンと反応させることによって得ることができる。
本発明において、ポリ乳酸は、当技術分野で知られている方法に従って合成することができ、例えば、触媒としてトリエチルアミン(TEA)を使用して、プルランをラクチドと反応させることによって得ることができる。
本発明において、ポリエチレングリコール(PEG)-ポリカプロラクトン(PCL)-ポリエチレングリコール(PEG)のトリブロック共重合体は、当技術分野に知られている方法に従って合成することができる。例えば、トリブロック共重合体のPEG-PCL-PEGは、メトキシポリ(エチレングリコール)(mPEG)とε-カプロラクトンでPEG-PCLのジブロック共重合体を形成した後、それらを互いに結合することによって合成することができる。
【0014】
本発明において、ポリマーは、シクロデキストリンを基盤とした共有結合性有機構造体と複合体を形成して、経皮送達効果を向上させる。
本発明による別の実施形態において、シクロデキストリンを基盤とした共有結合性有機構造体10重量部に対して、0.01~10重量部のポリマーが経皮送達用複合体を形成する。
本発明による別の実施形態では、前記経皮送達用複合体は、有効成分をさらに含む。本発明において、有効成分は、例えば、保湿剤、美白剤、抗シワ剤、UV遮断剤、育毛剤、ビタミン又はその誘導体、アミノ酸又はペプチド、抗炎症剤、ニキビ治療剤、殺菌剤、女性ホルモン剤、角質溶解剤及び天然物からなる群から選択される一つ以上であってよいが、それらに限定されない。
【0015】
保湿剤の例には、クレアチン、ポリグルタミン酸、乳酸ナトリウム、ヒドロプロリン、2-ピロリドン-5-カルボン酸ナトリウム、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸ナトリウム、セラミド、フィトステロール、コレステロール、シトステロール、プロテオグリカン等が含まれるが、それらに限定されない。美白剤の例には、アルブチン及びアルブチン誘導体、コウジ酸、ビサボロール、ナイアシンアミド、ビタミンC及びビタミンC誘導体、プラセンタ、アラントイン等が含まれるが、それらに限定されない。抗シワ剤の例には、レチノール、レチノール誘導体、アデノシン、カンゾウ抽出物、オタネニンジン抽出物、コウライニンジン抽出物等が含まれるが、それらに限定されない。UV遮断剤の例には、ベンゾフェノン誘導体、パラアミノ安息香酸誘導体、メトキシ桂皮酸誘導体、サリチル酸誘導体等が含まれるが、それらに限定されない。育毛剤に特別な制限はないが、好ましくは、血行促進剤及び/又は局所刺激剤であってもよい。血行促進剤での例にはセンブリエキス、セファランチン、ビタミンE及びその誘導体、ガンマオリザノールなどが含まれるが、それらに限定されない。局所刺激剤は、トウガラシチンキ、ショウキョウチンキ、カンタリスチンキ、ニコチン酸ベンジルエステル等が含まれるが、それらに限定されない。ビタミン又はその誘導体の例には、ビタミンA(レチノール)及びその誘導体、ビタミンB1、B2、B6、ビタミンE及びその誘導体、ビタミンD、ビタミンH、ビタミンK、パントテン酸及びその誘導体、ビオチン、パンテノール、コエンザイムQ10、イデベノン等が含まれるが、それらに限定されない。アミノ酸又はペプチドの例には、シスチン、システイン、メチオニン、セリン、リシン、トリプトファン、アミノ酸エキス、上皮細胞増殖因子(EGF)、インスリン様増殖因子(IGF)、繊維芽細胞増殖因子(FGF)、トリペプチド-1銅、トリペプチド-29、トリペプチド-1、アセチルヘキサペプチド-8、ニコチノイルトリペプチド-35、ヘキサペプチド-12、ヘキサペプチド-9、パルミトイルペンタペプチド-4、パルミトイルペンタペプチド-3、パルミトイルテトラペプチド-7、パルミトイルトリペプチド-29、パルミトイルトリペプチド-1、ノナペプチド-7、トリペプチド-10シトルリン(citrulline)、sh-ポリペプチド-15、パルミトイルトリペプチド-5、ジアミノプロピオノイルトリペプチド-33、r-クモポリペプチド-1等が含まれるが、それらに限定されない。抗炎症剤では、例えばβ-グリチルレチン酸、グリチルレチン酸誘導体、アミノカプロン酸、ヒドロコルチゾン、β-グルカン、マデカサイドゥ、カンゾウ等が含まれるが、それらに限定されない。ニキビ治療剤の例には、エストラジオール、エストロゲン、エチニルエストラジオール、トリクロサン、アゼライン酸等が含まれるが、それらに限定されない。殺菌剤の例には、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、ハロカルバン等が含まれるが、それらに限定されない。女性ホルモン剤に特別な制限はないが、エストロゲンが好ましい場合がある。エストロゲンとしては、エストラジオール、エチニルエストラジオール、植物性エストロゲンであるイソフラボンなどが好ましい。角質溶解剤の例には、硫黄、サリチル酸、アハ(AHA)、バハ(BHA)、レゾルシン等が含まれるが、それらに限定されない。天然物の抽出エキス又はそれらから得られた成分の例には、マンサク、オドリコソウ、フタバムグラ、ダイオウ、甘草、アロエ、カモミール、ローズヒップ、トチノキ、コウライニンジン、ヘチマ、キュウリ、ノリ、ワカメ、アサ、カタツムリ、ナガイモ、緑茶などの抽出物、又はクルクミン(curcumin)、ヒノキチオール、β-カロテン等が含まれるが、それらに限定されない。
【0016】
また、有効成分として、オイル、ワックス、バター、パラフィン、ステアリン酸などの高級脂肪酸、エチルヘキサン酸セチルなどのエステル、シリコーンなどの化粧成分を使用することができる。オイルとして、例えば、オリーブ油、カメリア油、アボカド油、マカダミア油、ヒマシ油、ヒマワリ油、ホホバ油、アモンド油、アプリコット種子油、緑茶油、メドウフォーム種子油又はアルガン油等が含まれるが、それらに限定されない。ワックスとして、例えば、カルナバ・ワックス、カンデリラ(candelilla)ワックス、ホホバ油、蜜ロウ、ラノリン、大豆ワックス、米ワックス、シリコーンワックス等が含まれるが、それらに限定されない。バターとして、例えば、シアバター、マンゴーバター、緑茶バター又は大豆バター等が含まれるが、それらに限定されない。炭化水素として、例えば、流動パラフィン、パラフィン、ワセリン、セレシン、微結晶ワックス(microcrystalline wax)又はスクアラン等が含まれるが、それらに限定されない。高級脂肪酸として、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、リノール酸又はリノレン酸等が含まれるが、それらに限定されない。高級アルコールとして、例えば、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール又はベヘニルアルコール等が含まれるが、それらに限定されない。エステル類として、例えば、2-オクチルドデシルミリステート、セチル2-エチルヘキサノエート、ジイソステアリルマラート(malate)又はセチルエチルヘキサノエート等が含まれるが、それらに限定されない。シリコーンとして、例えば、ジメチコン類、シクロメチコン類、シリコーンポリマー類又はシリコーンオイル等が含まれるが、それらに限定されない。
【0017】
前記に加えて、酵母エキス、コラーゲン、エラスチン、スクロースオクタ硫酸Al、DHA、EPA、香料成分等を使用することができる。
本発明の別の態様によれば、本発明の経皮送達用複合体を含む化粧料組成物が提供される。本発明において、化粧料組成物は、例えば、トナー、ローション、ボディローション、クリーム、エッセンス等に製剤化することができるが、これに限定されない。
化粧料組成物には、本発明による経皮送達用複合体が、好ましくは1~60重量%、より好ましくは2~50重量%で含まれる。本発明において、化粧料組成物が経皮送達用複合体を1重量%未満含む場合、有効成分による効果が弱くなり、60重量%を超えると、その添加量に見合った有効成分による効果の増大は期待できないため、経済的に好ましくない場合がある。
【0018】
本発明の別の側面によれば、i)シクロデキストリン、カリウム塩基及びポリマーを溶媒に溶解し、ii)前記工程i)で得られた溶液から蒸気拡散晶析装置を使用して結晶化溶媒内で結晶を形成し、iii)前記工程ii)で形成された結晶を洗浄し、乾燥する、ことを含む経皮送達用複合体の製造方法が提供される。
本発明による別の実施形態では、前記シクロデキストリンは、α-シクロデキストリン、β-シクロデキストリン又はγ-シクロデキストリンである。本発明による別の実施形態では、シクロデキストリンは、γ-シクロデキストリンである。
本発明による別の実施形態において、前記カリウム塩基は、水酸化カリウム(KOH)である。
【0019】
本発明による別の実施形態において、前記ポリマーは、生分解性ポリマーである。本発明による別の実施形態において、前記ポリマーは、キトサン、プルラン(pullulan)、ポリ乳酸、スクシニル化キトサン、プルラン-ポリ-(L)-乳酸、ポリエチレングリコール(PEG)-ポリカプロラクトン(PCL)-ポリエチレングリコール(PEG)のトリブロック共重合体及びそれらの混合物からなる群から選択される。本発明による別の実施形態において、前記ポリマーは、スクシニル化キトサン、プルラン-ポリ-(L)-乳酸、ポリエチレングリコール(PEG)-ポリカプロラクトン(PCL)-ポリエチレングリコール(PEG)のトリブロック共重合体及びそれらの混合物からなる群から選択される。
【0020】
本発明による別の実施形態において、前記工程i)の溶媒は、水、プロピレングリコール及びそれらの混合物からなる群から選択される。
本発明による別の実施形態では、前記工程i)において、溶媒100重量部に対して、10~200重量部のシクロデキストリン、1~100重量部のカリウム塩基及び0.01~50重量部のポリマーが溶解される。
【0021】
本発明において、前記工程ii)は、工程i)で得られた溶液から蒸気拡散晶析装置を使用して結晶化溶媒中に結晶を形成することにより進む。
本発明において、蒸気拡散晶析装置を使用した結晶の形成は、蒸気拡散晶析装置の中央にカラムを立て、工程i)で得られた溶液を加え(キャップは閉めない)、カラムの周囲に結晶化溶媒を置いた後、次に空気が通過しないように蒸気拡散晶析装置を密閉して放置すると、結晶化溶媒が拡散され、カラム内に結晶が形成される。
【0022】
本発明による一実施形態では、工程ii)の結晶化溶媒は、メタノール、エタノール及びそれらの混合物からなる群から選択される。
本発明による一実施形態では、前記工程i)において、有効成分をさらに溶媒に溶解させることができる。
本発明による一実施形態において、前記有効成分は、保湿剤、美白剤、抗シワ剤、UV遮断剤、育毛剤、ビタミン又はその誘導体、アミノ酸又はペプチド、抗炎症剤、ニキビ治療剤、殺菌剤、女性ホルモン剤、角質溶解剤、天然物、オイル、ワックス、バター、パラフィン、高級脂肪酸、エステル及びシリコーンからなる群から選択される一つ以上であってもよい。
【発明の効果】
【0023】
本発明の経皮送達用複合体は、有効成分を非常に安定した形で皮膚内に効率的に送達することにより、少量の有効成分でも長期間にわたって優れた効果を発揮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】シクロデキストリンを基盤とした共有結合性有機構造体の構造を示す模式図である。
【
図2】(a)スクシニル化キトサン及び(b)プルラン-ポリ-(L)-乳酸の化学構造式である。
【
図3】PEG-PCL-PEGトリブロック共重合体の合成過程を示した概略図でる。
【
図5】蒸気拡散晶析装置を使用した結晶の形成を示す概略図である。
【
図6】レチノールを含有するシクロデキストリンを基盤とした共有結合性有機構造体とスクシニル化キトサンとの複合体の粒子径をPhotal、ELS-Zを使用して測定した結果である。
【
図7】レチノールを含有するシクロデキストリンを基盤とした共有結合性有機構造体とスクシニル化キトサンとの複合体の安定性測定のためにゼータ電位をPhotal、ELS-Zを使用して測定した結果である。
【
図8】レチノールを含有するシクロデキストリンを基盤とした共有結合性有機構造体とスクシニル化キトサンとの複合体の安定度をタービスキャンで測定した結果である。
【
図9】粉末X線回折試験(XRD)を行った結果である(γ-CD:γ-シクロデキストリン、COF:共有結合性有機構造体、PEG-PCL-PEG:PEG-PCL-PEGトリブロック共重合体、SC:スクシニル化キトサン、PL:プルラン-ポリ-(L)-乳酸)。
【
図10】実施例3で製造された、クルクミンを含有するシクロデキストリンを基盤とした共有結合性有機構造体とポリマーとの複合体をフーリエ変換赤外線分光法で測定した結果である。
【
図11】製造例及び実施例で製造された、シクロデキストリンを基盤とした共有結合性有機構造体及び複合体を、凍結電子顕微鏡法を使用した拡大写真である(γ-CD:γ-シクロデキストリン、COF:共有結合性有機構造体、PEG-PCL-PEG:PEG-PCL-PEGトリブロック共重合体、SC:スクシニル化キトサン、PL:プルラン-ポリ-(L)-乳酸)。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明を以下の例でより詳細に説明する。しかし、本発明の保護範囲は下記の例に限定されないことを理解しなければならない。
【0026】
製造例1:スクシニル化キトサンの製造
40mLの乳酸水溶液(5%v/v)に160mLのメタノールを加え、0.5gのキトサンを撹拌しながら溶解させた。1.0gのスクシニル無水物(succinyl anhydride)を加え、得られた溶液を撹拌しながら室温で24時間放置した。5N NaOHでpHを7.4に調整することによりスクシニル化キトサンを沈殿させ、37℃で5分間、5,000rpmで遠心分離した。遠心分離物を蒸溜水に再懸濁し、続いて蒸溜水に対して72時間透析し(透析チューブセルロース、分子量カットオフ14,000)、次に3日間凍結乾燥した。
【0027】
製造例2:プルラン-ポリ-(L)-乳酸の製造
乾燥窒素下、室温で撹拌することにより、0.2gの精製プルランを11mLのDMSOに溶解させた。得られたプルラン溶液に1gのL-ラクチドを加え、70~75℃に予熱した油浴で撹拌した。混合物が完全に溶解した時、触媒として0.17mLのトリエチルアミン(TEA)を導入した。12時間の反応後、反応溶液を0.5μmシリンジフィルターでろ過した。ろ液を、透析膜(MWCO:10,000)を使用して蒸溜水に対して2日間透析し、蒸溜水は最初の12時間は2時間ごとに交換した。生成物を3日間凍結乾燥し、使用するまで-20℃で保管した。
【0028】
製造例3:PEG-PCL-PEGトリブロック共重合体の製造
ポリエチレングリコール(PEG)-ポリカプロラクトン(PCL)-ポリエチレングリコール(PEG)トリブロック共重合体は、2つの工程に分割して製造した。最初の工程は、メトキシポリ(エチレングリコール)(mPEG)及びε-カプロラクトン(ε-CL)のジブロック共重合体の形成であり、2番目の工程は、ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)を使用した2つのジブロック共重合体分子の結合である。
まず、ディーン・スタークトラップを使用して残留水分を除去した後、mPEG8.06gを無水トルエン80mLに25分間完全に溶解し、次に3時間真空乾燥した。その後、モノマーとしてε-CL4.03gと、触媒として1.61gのSnOct
2をそれぞれ加え、140℃で14時間反応させた。その後、HMDIを反応混合物に加え、60℃で8時間反応させた。得られた生成物をジエチルエーテルで単離し、残留溶媒を真空下に除去して、PEG-PCL-PEGトリブロック共重合体を得た。すべての反応は窒素雰囲気下で行った。PEG-PCL-PEGトリブロック共重合体の合成概略図を
図2に示した。合成されたPEG-PCL-PEGトリブロック共重合体の重量平均分子量は10,000に設定された。
【0029】
製造例4:シクロデキストリンを基盤とした共有結合性有機構造体(以下、「CD-COF」という)の製造
390gのシクロデキストリン(α、β又はγ)及び135gのKOHを600gの蒸溜水に溶解した。
図4に示すように蒸気拡散晶析装置を準備した後、中央にカラムを立て、シクロデキストリン及びKOHが蒸溜水に溶解した溶液を加え、キャップを閉めずに、カラムの周囲には結晶化溶媒(エタノール又はメタノール)を加えた。蒸気拡散晶析装置を、空気を通さないように密封した後に放置すると、結晶化溶媒が拡散するにつれ、室温で12時間後に結晶がカラム内に形成され始めた(
図5)。24時間後に実験を終了し、形成された結晶を洗浄し、24時間乾燥した。
【0030】
実施例1:CD-COF及びポリマー複合体の製造
390gのシクロデキストリン(α、β又はγ)、135gのKOH及び5gのポリマー(スクシニル化キトサン、プルラン-ポリ-(L)-乳酸又はPEG-PCL-PEGのトリブロック共重合体)を600gの蒸溜水に溶解した。蒸気拡散晶析装置を準備した後、中央にカラムを立て、シクロデキストリン、KOH及びポリマーが蒸溜水に溶解した溶液を加え、キャップを閉めずに、カラムの周囲には結晶化溶媒(エタノール又はメタノール)を加えた。蒸気拡散晶析装置を、空気を通さないように密封した後に放置すると、結晶化溶媒が拡散するにつれ、室温で12時間後にカラム内に結晶が形成され始めた。24時間後に実験を終了し、形成された結晶を洗浄し、24時間乾燥した。
【0031】
実施例2:レチノールを含有するCD-COF及びポリマー複合体の製造
390gのシクロデキストリン(α、β又はγ)、135gのKOH、10gのポリマー(スクシニル化キトサン、プルラン-ポリ-(L)-乳酸又はPEG-PCL-PEGのトリブロック共重合体)及び20gのレチノールを700gの蒸溜水に溶解した。蒸気拡散晶析装置を準備した後、中央にカラムを立て、シクロデキストリン、KOH、ポリマー及びレチノールが蒸溜水に溶解した溶液を加え、キャップを閉めずに、カラムの周囲には結晶化溶媒(エタノール又はメタノール)を加えた。蒸気拡散晶析装置を、空気を通さないように密封した後に放置すると、結晶化溶媒が拡散するにつれ、室温で12時間後にカラム内に結晶が形成され始めた。24時間後に実験を終了し、形成された結晶を洗浄し、24時間乾燥した。
【0032】
実施例3:クルクミンを含有するCD-COF及びポリマー複合体の製造
390gのシクロデキストリン(α、β又はγ)、135gのKOH、10gのポリマー(スクシニル化キトサン、プルラン-ポリ-(L)-乳酸又はPEG-PCL-PEGのトリブロック共重合体)及び20gのクルクミン(curcumin)を700gの蒸溜水に溶解した。蒸気拡散晶析装置を準備した後、中央にカラムを立て、シクロデキストリン、KOH、ポリマー及びクルクミンが蒸溜水に溶解した溶液を加え、キャップを閉めずに、カラムの周囲には結晶化溶媒(エタノール又はメタノール)を加えた。蒸気拡散晶析装置を、空気を通さないように密封した後に放置すると、結晶化溶媒が拡散するにつれ、室温で12時間後にカラム内に結晶が形成され始めた。24時間後に実験を終了し、形成された結晶を洗浄し、24時間乾燥した。
【0033】
実施例4:植物天然物を含有するCD-COF及びポリマー複合体の製造
下記表1の組成で実施例2と同様の方法で製造した。
【表1】
【0034】
実施例5:海洋天然物を含有するCD-COF及びポリマー複合体の製造
下記表2の組成で実施例2と同様の方法で製造した。
【表2】
【0035】
実施例6:オイルを含有するCD-COF及びポリマー複合体の製造
下記表3の組成で実施例2と同様の方法で製造した。
【表3】
【0036】
実施例7:ワックスを含有するCD-COF及びポリマー複合体の製造
下記表4の組成で実施例2と同様の方法で製造した。
【表4】
【0037】
実施例8:バターを含有するCD-COF及びポリマー複合体の製造
下記表5の組成で実施例2と同様の方法で製造した。
【表5】
【0038】
実施例9:パラフィンを含有するCD-COF及びポリマー複合体の製造
下記表6の組成で実施例2と同様の方法で製造した。
【表6】
【0039】
実施例10:高級脂肪酸を含有するCD-COF及びポリマー複合体の製造
下記表7の組成で実施例2と同様の方法で製造した。
【表7】
【0040】
実施例11:エステルを含有するCD-COF及びポリマー複合体の製造
下記表8の組成で実施例2と同様の方法で製造した。
【表8】
【0041】
実施例12:シリコーンを含有するCD-COF及びポリマー複合体の製造
下記表9の組成で実施例2と同様の方法で製造した。
【表9】
【0042】
実施例13:保湿剤を含有するCD-COF及びポリマー複合体の製造
下記表10の組成で実施例2と同様の方法で製造した。
【表10】
【0043】
実施例14:美白剤を含有するCD-COF及びポリマー複合体の製造
下記表11の組成で実施例2と同様の方法で製造した。
【表11】
【0044】
実施例15:UV遮断剤を含有するCD-COF及びポリマー複合体の製造
下記表12の組成で実施例2と同様の方法で製造した。
【表12】
【0045】
実施例16:ビタミンを含有するCD-COF及びポリマー複合体の製造
下記表13の組成で実施例2と同様の方法で製造した。
【表13】
【0046】
実施例17:アミノ酸を含有するCD-COF及びポリマー複合体の製造
下記表14の組成で実施例2と同様の方法で製造した。
【表14】
【0047】
実施例18:ペプチドを含有するCD-COF及びポリマー複合体の製造
下記表15の組成で実施例2と同様の方法で製造した。
【表15】
【0048】
実施例19:抗炎症剤を含有するCD-COF及びポリマー複合体の製造
下記表16の組成で実施例2と同様の方法で製造した。
【表16】
【0049】
実施例20:ニキビ治療剤を含有するCD-COF及びポリマー複合体の製造
下記表17の組成で実施例2と同様の方法で製造した。
【表17】
【0050】
実施例21:殺菌剤を含有するCD-COF及びポリマー複合体の製造
下記表18の組成で実施例2と同様の方法で製造した。
【表18】
【0051】
実験例1:粒子分布の測定
実施例2で製造されたレチノールを含有するCD-COF及びスクシニル化キトサン複合体の粒子分布をPhotal、ELS-Zを使用して測定し、
図6に示した。測定結果、複合体の平均粒径が408.8nmであることが分かった。
【0052】
実験例2:レチノールを含有するCD-COF及びポリマー複合体の安定性測定
実施例2で製造されたレチノールを含有するCD-COF及びスクシニル化キトサン複合体の安定性測定のために、ゼータ電位をPhotal、ELS-Zを使用して測定し、その結果を
図7に示した。測定結果、粒子の電位が-60.55mVで安定していたことが分かった。
【0053】
実験例3:レチノールを含有するCD-COF及びポリマー複合体の安定度測定
実施例2で製造されたレチノールを含有するCD-COF及びスクシニル化キトサン複合体の安定性測定のために、タービスキャンを使用して測定した結果、△T、△BSの経時変化がほとんどなく、複合体が安定していたことが分かった(
図8)。
【0054】
実験例4:粉末X線回折試験
実施例2で製造されたレチノールを含有するCD-COF及びポリマー複合体及び実施例3で製造されたクルクミンを含有するCD-COF及びポリマー複合体の粉末X線回折試験(XRD)を行い、その結果を
図9に示した。
図9の結果から分かるように、特定のピークが現れたので、各複合体が十分に合成されたことが分かった。
【0055】
実験例5:フーリエ変換赤外線分光(FTIR)試験
実施例3で製造されたクルクミンを含有するCD-COF及びポリマー複合体をフーリエ変換赤外線分光法(FTIR)によって測定した結果を
図10に示した。
【0056】
実験例6:凍結電子顕微鏡撮影
製造例及び実施例で製造されたCD-COF及び複合体を撮影した。一般的な光学顕微鏡では粒径が細かすぎて測定できないため、凍結電子顕微鏡(JEM1010、JEOL社製、日本)を使用して撮影した(
図11)。CD-COF及びポリマー複合体がよく形成されており、レチノールがそれらによく付着していることが分かった。
【0057】
実験例7:経皮吸収促進効果実験
下記表19の組成で10%のレチノールを含有するCD-COF及びスクシニル化キトサンの複合体を有するリポソーム(リポソームA)及び一般的なリポソーム(リポソームB)をそれぞれ製造した。
【表19】
【0058】
人工皮膚Neoderm(Tego Science社製、韓国)をフランツ型拡散セル(Lab Fine Instruments社製、韓国)に取り付けて実験した。フランツ型拡散セルの受容体セル(5mL)に50mMリン酸塩バッファー(pH7.4、0.1M NaCl)を加えた。次に、拡散セルを32℃、600rpmで混合、分散させ、リポソームA及びリポソームBをそれぞれ50μLドナーセルに加えた。所定の時間に吸収・拡散を行い、吸収・拡散が行われた皮膚の面積は0.64cm
2であった。有効成分の吸収と拡散が終わった後、吸収されずに皮膚に残った残留物を、乾燥したKimwipes(登録商標)又は10mLのエタノールで洗浄した。チップ式ホモジナイザーで有効成分が吸収され拡散した皮膚をホモジナイズし、皮膚内部に吸収されたレチノールを4mLのジクロロメタンで抽出した。次に、抽出液を0.45μmナイロンメンブレンフィルターでろ過し、レチノールの含量を以下の条件で高速液体クロマトグラフィーにより測定し、その結果を表20に示した。
【表20】
【0059】
前記表20から分かるように、本発明において、レチノールは、CD-COF及びポリマーの複合体にカプセル化され、皮膚に効率的に送達されたことが分かる。
【国際調査報告】