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特表2023-504889ゴム組成物の製造方法、その方法により製造されたゴム組成物及びそれを用いて製造されたタイヤ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-07
(54)【発明の名称】ゴム組成物の製造方法、その方法により製造されたゴム組成物及びそれを用いて製造されたタイヤ
(51)【国際特許分類】
   C08J 3/21 20060101AFI20230131BHJP
   C08C 2/00 20060101ALI20230131BHJP
   C08L 21/00 20060101ALI20230131BHJP
   C08L 23/20 20060101ALI20230131BHJP
   B60C 1/00 20060101ALI20230131BHJP
【FI】
C08J3/21 CEQ
C08C2/00
C08L21/00
C08L23/20
B60C1/00 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022534340
(86)(22)【出願日】2020-07-06
(85)【翻訳文提出日】2022-06-06
(86)【国際出願番号】 KR2020008781
(87)【国際公開番号】W WO2021132822
(87)【国際公開日】2021-07-01
(31)【優先権主張番号】10-2019-0174540
(32)【優先日】2019-12-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515253049
【氏名又は名称】ハンファ トタルエナジーズ ペトロケミカル カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【弁護士】
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チェ チュン コル
(72)【発明者】
【氏名】リ ト フン
(72)【発明者】
【氏名】チョン ソン キョ
(72)【発明者】
【氏名】ユ ヨン シク
【テーマコード(参考)】
3D131
4F070
4J002
【Fターム(参考)】
3D131AA03
3D131BA01
3D131BA02
3D131BA05
3D131BA07
3D131BA08
3D131BA12
3D131BA18
3D131BA20
3D131BC02
3D131BC19
3D131BC33
3D131BC51
4F070AA06
4F070AA12
4F070AC32
4F070AC37
4F070AE03
4F070AE28
4F070BB05
4F070FA04
4F070FA17
4F070FC03
4J002AC00W
4J002AC02W
4J002AC03W
4J002AC08W
4J002BB15W
4J002BB17X
4J002BB18W
4J002BB18X
4J002BP01W
4J002BP02W
4J002GC00
4J002GJ01
4J002GJ02
4J002GM01
4J002GN01
(57)【要約】
本発明は、最終製品の物性を改善できるゴム組成物の製造方法に関する。本発明の目的を達成するため、本発明は、ゴムにポリマーが溶液状に分散したポリマー分散ゴム組成物を製造する段階を含み、前記ポリマー分散ゴム組成物の製造段階は、ゴム製造工程段階において、単量体、溶剤及び触媒を含むゴム組成物を重合反応させた後、残留単量体を回収した後、前記残留単量体を回収した後、残ったゴム溶液にポリマーを投入する段階を含むゴム組成物の製造方法を提供する。このように製造されたゴム組成物をタイヤトレッド複合材に適用すると、耐久性、グリップ(grip)性、低回転抵抗性が改善されて優れた制動性、低燃費性及び摩耗性が向上する結果が得られる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴムにポリマーが溶液状に分散した、ポリマー分散ゴム(polymer extended rubber)組成物を製造する方法であって、
ゴム製造工程段階において、単量体、溶剤及び触媒を含むゴム組成物を重合反応させる段階と、
残留単量体を回収する段階と、
前記残留単量体を回収した後、残ったゴム溶液にポリマーを投入する段階と、を含むことを特徴とする、ゴム組成物の製造方法。
【請求項2】
前記ポリマーは、C4系ポリマーであって重量平均分子量が300~20,000g/molであり、
前記ゴム含量に対して1~50phr(parts per hundred rubber)で投入されることを特徴とする、請求項1に記載のゴム組成物の製造方法。
【請求項3】
前記ポリマーは、C4系ポリマーであるポリブテン(PIB)であることを特徴とする、請求項1に記載のゴム組成物の製造方法。
【請求項4】
前記単量体は、スチレン、ブタジエン、イソブチレン、イソプレン、エチレン及びプロピレンなどからなる群から選ばれた少なくとも1種以上であることを特徴とする、請求項1に記載のゴム組成物の製造方法。
【請求項5】
前記ゴムは、エマルジョンスチレンブタジエンゴム(ESBR)、ソリューションスチレンブタジエンゴム(SSBR)、スチレン-ブタジエン-スチレンゴム(SBS)、スチレン-エチレン-ブタジエン-スチレンゴム(SEBS)、ブタジエンゴム(BR)、ブチルゴム(IR)、イソプレン-イソブチレンゴム(IIR)またはエチレンプロピレンゴム(EPM)、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)などのポリオレフィンエラストマー(POE)であることを特徴とする、請求項1に記載のゴム組成物の製造方法。
【請求項6】
前記ゴム組成物がタイヤトレッド用ゴム組成物、シーラント用ゴム組成物、ホットメルト(Hot-melt)接着剤用ゴム組成物、靴底用ゴム組成物、ベルト(belt)用ゴム組成物、ホース(hose)用ゴム組成物、またはシート(sheet)用ゴム組成物として使用されることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載のゴム組成物の製造方法。
【請求項7】
請求項1~5のいずれか一項に記載の製造方法により製造されたゴム組成物を含むことを特徴とする、タイヤトレッド用ゴム組成物。
【請求項8】
請求項7に記載のタイヤトレッド用ゴム組成物を用いて製造されたことを特徴とする、タイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、最終製品の物性を改善できるゴム組成物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的にゴムを用いた製品としては、耐久性に優れたタイヤ、靴底、ベルト(belt)、ホース(hose)、シート(sheet)、密閉剤(sealant)とともに、接着力に優れた接着剤など多様な製品がある。
【0003】
このような製品を最終的に完成するためには、原料となるゴムとともに補強材、添加剤をはじめとする加工助剤を配合機に直接投入してバルク状に混合するか、またはマスターバッチの製造後にともに混合させて最終ゴム複合材製品を製造することが一般的である。
【0004】
例えば、タイヤトレッド用ゴム組成物の改善に関しては、従来、韓国内特許登録番号10-1276654号に、原料ゴム100重量部に対して補強材50~150重量部、及びポリブテン(PIB)50~150重量部を含むマスターバッチ弾性体、これを含むタイヤトレッド用ゴム組成物、及びこれを用いて製造されたタイヤに関し、従来のタイヤトレッド用ゴム組成物のフリーオイル(Free oil)として使用していたポリブテン(PIB)をマスターバッチ弾性体に含めてマスターバッチ弾性体を製造し、これを使用することによりトレッドゴム組成物内でポリブテン(PIB)の全体的な含量を増加させ、タイヤトレッド用ゴム組成物における過量使用により発生する加工性の問題を解決し、タイヤのグリップ性能の向上及びグリップ性能の持続を維持できることが開示されている。
【0005】
しかし、前記方法は、原料ゴム、充填剤、ポリブテン(PIB)を用いてマスターバッチ形態の弾性体を製造するが、その理由は、充填材の分散性を高めるためである。しかし、この方法もポリブテン(PIB)をフリーオイル(Free oil)として使用する場合と同様に、接着性を有する液状のポリブテン(PIB)を取り扱うことが困難であり、ポリブテン(PIB)が50phr以上含まれるマスターバッチ形態の弾性体を製造するためには、多くの時間とエネルギーを消耗する。
【0006】
したがって、最終ゴム製品の物性を改善するとともに、工程を単純化して製造単価を高めることなく、性能を改善させる新しい製造方法が必要となった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、工程は単純であり、既存設備の変更を最小限に抑えつつも、得られる最終製品の物性を大きく改善できるゴム組成物の製造方法を提供することである。
【0008】
また、本発明のさらに他の目的は、製品に応じて必要な物性が改善したゴム組成物を提供することである。
【0009】
また、本発明のさらに他の目的は、物性が改善したタイヤを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の目的を達成するため、本発明は、ゴムにポリマーが溶液状に分散したポリマー分散ゴム(polymer extended rubber)組成物を製造する方法として、ゴム製造工程段階において、単量体、溶剤及び触媒を含むゴム組成物を重合反応させた後、残留単量体を回収する段階、及び前記残留単量体を回収した後、残ったゴム溶液にポリマーを投入し、溶液上で均一に分散させる段階を含むゴム組成物の製造方法を提供する。本発明の一実施例によれば、前記ポリマーは、C4-9系ポリマーであって、重量平均分子量が300~20,000g/molであり、前記ゴム含量に対して0.1~100phr(parts per hundred rubber)、好ましくは1~50phrで投入される。
【0011】
本発明の一実施例によれば、前記ポリマーは、C4、C5、C9系ポリマーであることが好ましい。
【0012】
本発明の一実施例によれば、前記単量体は、スチレン、ブタジエン、イソブチレン、イソプレン、エチレン及びプロピレンなどからなる群から選ばれた少なくとも1種以上であることが好ましい。
【0013】
本発明の一実施例において、前記ゴムは、エマルジョンスチレンブタジエンゴム(ESBR)、ソリューションスチレンブタジエンゴム(SSBR)、スチレン-ブタジエン-スチレンゴム(SBS)、スチレン-エチレン-ブタジエン-スチレンゴム(SEBS)、ブタジエンゴム(BR)、ブチルゴム(IR)、イソプレン-イソブチレンゴム(IIR)またはエチレンプロピレンゴム(EPM)、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)などのポリオレフィンエラストマー(POE)であることが好ましい。
【0014】
本発明の一実施例によれば、前記ゴム組成物がタイヤトレッド用ゴム組成物、シーラント用ゴム組成物、ホットメルト(Hot-melt)接着剤用ゴム組成物として使用されることが好ましい。
【0015】
本発明のさらに他の目的を達成するため、本発明は、本発明により製造されたゴム組成物を含むタイヤトレッド用ゴム組成物を提供する。
【0016】
本発明のさらに他の目的を達成するため、本発明によるタイヤトレッド用ゴム組成物を用いて製造されたタイヤを提供する。
【発明の効果】
【0017】
本発明により製造されたゴム組成物は、最終ゴム製品の物性を増加させることができる。
【0018】
また、本発明により製造されたタイヤトレッド用ゴム組成物で製造されたタイヤは、加工性、グリップ性(濡れた路面の接地力)、低燃費性、摩耗性が改善される。
【0019】
また、本発明によるゴム組成物の製造方法は、従来の設備を用いることができるとともに、ゴム製品の物性を画期的に改善でき、単価を大幅に下げることができ、環境的にも優れている。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明を以下でより詳細に説明するが、これは本発明の説明のためのものであり、本発明の範囲を制限する方法として解釈されるべきではない。
【0021】
本発明は、ゴムにポリマーが溶液状に分散した、ポリマー液状分散ゴム組成物を製造する段階を含み、前記ポリマー液状分散ゴム組成物の製造段階は、ゴム製造工程段階において、単量体、溶剤及び触媒を含むゴム組成物を重合反応させた後、残留単量体を回収する段階、前記残留単量体を回収した後、残ったゴム溶液にポリマーを投入して溶液上で均一に分散させる段階、ゴム/ポリマー混合溶液において溶媒除去による固形化、乾燥、成形工程段階を含むゴム組成物の製造方法を提供する。
【0022】
(ポリマー液状分散ゴム組成物)
本発明と従来技術との相違点は、ポリマーの投入段階及び投入されるポリマーの性状にある。
【0023】
すなわち、本発明では、ゴム組成物の製造時にゴムにポリマーを直接混合するのではなく、ゴム製造工程段階において反応後に残った残留単量体を除去した後、残ったゴム溶剤の状態でポリマーを添加するものであり、ポリマーがゴム溶液に分散した形態で存在する段階を必ず経なければならない。
【0024】
このようにポリマーが液状に分散したゴム組成物を用いてゴムを製造した場合にのみ、最終ゴム製品を製造したときに所望の物性が得られる。
【0025】
前記溶剤は、ノーマルヘキサン、シクロヘキサン、混合ヘプタンなどのハイドロカーボン系有機溶媒を主に使用してもよい。
【0026】
ここで、最終的な所望の物性とは、最終ゴム製品の種類によって変わり得る。例えば、タイヤトレッドが最終ゴム製品である場合、優れた制動性及び低燃費性が要求されるため、耐久性、グリップ(grip)性、低い回転抵抗性が重要である。
【0027】
したがって、本発明では、タイヤトレッドを製造するため、タイヤトレッド製造用ゴム組成物を製造しなければならず、前記タイヤトレッド用ゴム組成物を製造するとき、使用されるゴムにポリマー、例えばポリブテン(PIB)を液状分散させてポリブテン(PIB)液状分散ゴム組成物を製造する段階を含むべきである。タイヤトレッドを製造するために使用可能なゴムは、合成ゴムまたは天然ゴムと合成ゴムの混合物を使用してもよい。
【0028】
前記天然ゴムは、一般的な天然ゴムまたは変性天然ゴムであってもよい。
【0029】
一般的な天然ゴムは、天然ゴムとして知られているものであれば、いずれでも使用されてもよく、原産地などが限定されない。前記天然ゴムは、シス-1,4-ポリイソプレンを主に含むが、要求特性に応じてトランス-1,4-イソプレンを含んでもよい。したがって、前記天然ゴムには、シス-1,4-ポリイソプレンを主に含む天然ゴムの他に、例えば、南米産サポタ科のゴムの一種であるバラタなど、トランス-1,4-イソプレンを主に含む天然ゴムも含んでもよい。
【0030】
前記変性天然ゴムは、前記一般的な天然ゴムを変性または精製したものを意味する。例えば、前記変性天然ゴムとしては、エポキシ化天然ゴム(ENR)、脱タンパク天然ゴム(DPNR)、水素化天然ゴムなどが挙げられる。
【0031】
前記合成ゴムは、スチレンブタジエンゴム(SBR)、変性スチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴム(BR)、変性ブタジエンゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴム、エピクロロヒドリンゴム、シリコーンゴム、ニトリルゴム、水素化されたニトリルゴム、ニトリルブタジエンゴム(NBR)、変性ニトリルブタジエンゴム、スチレンブタジエンスチレンゴム(SBS)、スチレンエチレンブチレンスチレン(SEBS)ゴム、エチレンプロピレンゴム(EPM)、エチレンプロピレンジエン(EPDM)ゴム、ハイパロンゴム、クロロプレンゴム、エチレンビニルアセテートゴム、アクリルゴム、ヒドリンゴム、ビニルベンジルクロリドスチレンブタジエンゴム、ブロモメチルスチレンブチルゴム、マレイン酸スチレンブタジエンゴム、カルボン酸スチレンブタジエンゴム、エポキシイソプレンゴム、マレイン酸エチレンプロピレンゴム、カルボン酸ニトリルブタジエンゴム、ブロミネートポリイソブチルイソプレン-コ-パラメチルスチレン(brominated polyisobutyl isoprene-coparamethylstyrene,BIMS)及びそれらの組み合わせからなる群から選択されるいずれか一つであってもよい。
【0032】
前記ポリマーは、ポリブテン(PIB)、好ましくは、高反応性ポリブテン(PIB)として数平均分子量が150~5,000g/molのポリブテンが使用されてもよい。高反応性ポリブテン(PIB)は、炭素-炭素二重結合の位置が主にポリブテン(PIB)の末端に位置するため、反応時の原料ゴムとの結合性が増加し、従来のポリブテン(PIB)に比べて耐久力の側面で有利に作用するためである。このようにポリマーも最終ゴム製品の所望の物性に応じて異なって使用してもよい。
【0033】
本発明の一実施例によれば、前記ポリマーは、C4-9ポリマーであって、重量平均分子量が300~20,000g/molであり、前記ゴム含量に対して0.1~100phr(parts per hundred rubber)、好ましくは1~50phrで投入されることが好ましい。
【0034】
ポリマーがゴム含量に対して1phrより少なく含まれると、最終ゴム製品の物性が著しく改善されず、50phrより多く含まれると、ゴム本来の物性が現れないことがある。
【0035】
本発明の一実施例によれば、前記ポリマーは、C4、C5、C9系ポリマーであることが好ましく、より好ましくは、C4系ポリブテン(PIB)が好ましい。
【0036】
合成ゴムを使用した場合には、有機溶媒を使用するため、前記方法のように残留単量体の除去後、貯蔵タンクやブレンドタンクにポリブテン(PIB)を直接投入して混合後、製品化工程を経れば、ポリマーが液状に分散されたゴムが得られる。
【0037】
本発明の一実施例によれば、前記単量体は、スチレン、ブタジエン、イソブチレン、イソプレン、エチレン及びプロピレンなどからなる群から選択された少なくとも1種以上であることが好ましい。
【0038】
本発明の一実施例において、前記ゴムは、エマルジョンスチレンブタジエンゴム(ESBR)、ソリューションスチレンブタジエンゴム(SSBR)、スチレン-ブタジエン-スチレンゴム(SBS)、スチレン-エチレン-ブタジエン-スチレンゴム(SEBS)、ブタジエンゴム(BR)、ブチルゴム(IR)、イソプレン-イソブチレンゴム(IIR)またはエチレンプロピレンゴム(EPM)、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)などのポリオレフィンエラストマー(POE)であることが好ましい。
【0039】
本発明の一実施例によれば、前記ゴム組成物がタイヤトレッド用ゴム組成物、シーラント用ゴム組成物、ホットメルト(Hot-melt)接着剤用ゴム組成物として使用されることが好ましい。
【0040】
特に好ましくは、前記ゴムがイソプレン-イソブチレンゴム(IIR)である場合、シーラント用ブチルゴムとして用いることができる。
【0041】
また、特に好ましくは、前記ゴムがスチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体(SBS)及びスチレン-エチレン-ブタジエン-スチレン樹脂(SEBS)である場合には、ホットメルト(Hot-melt)接着剤の製造に用いることができる。
【0042】
本発明のさらに他の目的を達成するため、本発明は、本発明により製造されたゴム組成物を含むタイヤトレッド用ゴム組成物を提供する。
【0043】
本発明の一例によるタイヤトレッド用ゴム組成物は、前記原料ゴム及び高反応性ポリブテン(PIB)の他にも補強充填剤であるシリカ及び/又はカーボンブラック、軟化剤であるプロセスオイル、加硫剤である硫黄、加硫促進剤であるCBSと1,3-ジフェニルグアニジン(DPG)、加硫活性剤である酸化亜鉛、ステアリン酸、分散性向上のためのカップリング剤及び老化防止剤などのタイヤトレッド用ゴム組成物に一般的に使用されるゴム配合剤を含んでもよい。
【0044】
本発明において補強充填剤として使用可能なシリカは、その種類に特に制限はないが、表面積が175±5m/g、水分含量は6.0±0.5重量%、二酸化ケイ素(SiO)の含量は、90重量%以上であることが好ましい。
【0045】
本発明に用いられるカーボンブラックは、その種類に特に制限はないが、BET(Brunauer,Emmett,Teller)比表面積が80~90m/gであり、DBP(Di-n-bibutyl Phthalate)吸着価が100~110g/100gであり、ヨウ素吸着価が90~120mg/gの範囲であることが好ましい。前記カーボンブラックは、原料ゴム100重量部に対して40~100重量部を使用することが好ましいが、その使用量が40重量部未満であると、十分な補強効果を示せないため好ましくなく、100重量部を超えると、発熱及び耐摩耗効果を示せないため好ましくない。
【0046】
前記プロセスオイルは、軟化剤の役割を果たし、オイル内の芳香族系含量が5~25重量%であり、ナフタレン含量が25~45重量%であり、パラフィン系含量が35~65重量%であることが好ましい。その他、本発明で使用される多様な添加剤については、タイヤトレッド用ゴム組成物に用いられる一般的な成分として、その詳しい内容は、省略する。
【0047】
以上のように本発明による前記タイヤトレッド用ゴム組成物は、タイヤの諸般の基本物性に影響を与えずに自動車タイヤ、特に高速競走用自動車用タイヤのトレッド部でグリップ性能を向上させる一方、これを持続的に維持可能にする。
【0048】
本発明のさらに他の目的を達成するため、本発明によるタイヤトレッド用ゴム組成物を用いて製造されたタイヤを提供する。
【0049】
以下、具体的な実施例と比較例を挙げ、本発明をさらに具体的に説明する。ただし、これは本発明をより理解しやすく説明するためのものに過ぎず、本発明の範囲を制限する方法として解釈されるべきではない。
【0050】
製造例1:ポリブテン(PIB)が液状に分散された(extension)ブタジエンゴム(BR)の製造
窒素で置換された10Lオートクレーブ反応器に、水分が除去された1,3-ブタジエン1500g、ヘキサン5250gを入れた後、反応器の温度を攪拌機で回しながら95℃に昇温した。温度が95℃で安定化した後、トリイソブチルアルミニウム/ニッケルオクタノエート/フッ酸を組み合わせた触媒を投入し、温度が急激に上がらないように調節しながら2時間ポリブタジエンゴム(BR)の重合を行った。その後、反応停止剤としてアルキルホスファイト系化合物2.5gとフェノール系酸化防止剤を5g投入して反応を終了させた。このように重合した重合物を50℃に冷却後、解圧して残留1,3-ブタジエンを除去したブタジエンゴム/ヘキサン溶液を製造した。製造されたブタジエンゴム/ヘキサン溶液は、固形分含量(TSC、total solid content)測定後に計量し、攪拌機付き5Lブレンドタンクに移送する。このブタジエンゴム/ヘキサン溶液に固形分に対して37.5phrの表1によるポリブテン(PIB)を加えた後、PIBが完全に溶解するまで攪拌する。製造されたブタジエンゴム/ポリブテン/ヘキサン混合物をスチームストリッパーを活用して溶媒であるヘキサンを除去し、ポリブテンが均一に分散したブタジエンゴム固形物を得て、固形物の水分は100℃の加工ロールを用いて水分を乾燥し、PIBが37.5phr分散された(extension)ブタジエンゴムのサンプルを製造した。
【0051】
比較製造例1:ポリブタジエン(BR)の製造
製造例1と同様の方法でポリブタジエンゴム(BR)を重合し、残留1,3-ブタジエンと溶媒を除去し、ポリブタジエンゴム(BR)を得た。
【0052】
比較例1及び2
比較例1は、比較製造例1で製造されたポリブタジエンゴムのみを使用し、比較例2は、比較製造例1で製造されたポリブタジエンと(株)ハンファトタルで製造したHRPIB470を混合した。
【0053】
実施例1~5
実施例1~5は、それぞれ製造例1によりポリブタジエンゴム(BR)を製造し、単量体を除去した後、表1に記載したように、それぞれ異なるポリブテン(PIB)を添加し、表1によるポリブテン(PIB)が液状に分散した(extension)ブタジエンゴム(BR)を製造した。
【0054】
使用した原材料の情報
【0055】
【表1】
-PIB:(株)ハンファトタルCPIB230,CPIB650,HRPIB190,HRPIB470
1)CPIB230:conventional PIB(Mn950g/mol)、PB950((株)大林産業)
2)CPIB650:conventional PIB(Mn1,300g/mol), PB1300((株)大林産業)
3)HRPIB190:high reactive PIB(Mn1,000g/mol),HRPB1000((株)大林産業)
4)HRPIB470:high reactive PIB(Mn1,300g/mol),HRPB1300((株)大林産業)
-Hx:(株)ハンファトタルn-Hexane
-CHx:(株)トクサンケミカルCyclohexane
【0056】
(実施例1~6)
表2の組成によりMoriyama社のMIX-LABO(Mixing capacity:0.5liter、Main motor:15HP)を用いて架橋前の複合材を製造した。
【0057】
表2において、実施例1~5は、PIBが分散されたBRは、製造例1で製造されたポリブテン(PIB)が液状に分散されたゴム(PIB extended rubber)を使用し、比較例1は、比較製造例1で製造されたポリブタジエンゴムのみを使用したものであり、比較例2は、比較製造例1で製造されたポリブタジエンゴムとポリブテン(PIB、HRPIB470)を混合したものである。
【0058】
配合は、2段階で行った。第1の混練では、0.5リットル配合機の体積基準75%充填し、ローター回転数を70rpmの条件でゴム組成物、充填剤(シリカ)、オイル、酸化亜鉛(ZnO)、ステアリン酸(stearic acid)、シランカップリング剤(Si-69)を入れて温度を制御し、140~150℃で1次ゴム組成物を得る。
【0059】
第2の混練では、配合物を室温まで冷却し、90℃以下で硫黄(sulfur)とDPG(Diphenyl Guanidine)、CBS(N-cyclohexyl-2-benzothiazole sulfonamide)、酸化防止剤(6-PPD)を添加し、50rpmの条件で2分間混練した。
【0060】
配合されたゴム複合材の架橋のためにラバープロセスアナライザ(Rubber Process Analyzer:RPA)で160℃、40分、ひずみ率1%の条件で加硫特性を測定して得られたT90の時間に2分を加えた時間の間、それぞれのゴム複合材を160℃高温プレスで架橋し、タイヤトレッド用ゴム複合材の試片を製造した。
【0061】
その他の添加剤として、SBR、BR及びPIBを含むゴム組成物100重量部に対して、ジンクオキシド(ZnO)3重量部、ステアリン酸(St-A)2重量部、シリカ(ULTRASIL 7000Gr)70重量部、シリカカップリング剤(SI-69)5.6重量部、TDAE(treated distillate aromatic extracted)オイル10重量部を添加し、1次配合物(SMB,silica master batch)を製造し、1次配合物に対して硫黄1.5重量部、加硫促進剤であるジフェニルグアニジン(DPG)1.8重量部、シクロヘキシルベンゾチアゾールスルフェンアミド(CBS)1.8重量部、酸化防止剤(6PPD)0.2重量部をさらに添加して2次配合物(FMB、final master batch)を製造した。ただし、実施例5において、硫黄の含量は1.8重量部であることにのみ差がある。
【0062】
(比較例1)
ポリブテン(PIB)を含まないBRを使用することを除き、実施例1と同様にしてゴム複合材の試片を製造した。
【0063】
(比較例2)
表1の組成において、HRPIB470のポリブテン(PIB)を別途に液状分散化させる段階を経ずに配合機に直接投入してゴムと配合することを除き、実施例4と同様にしてゴム複合材の試片を製造した。
【0064】
【表2】
【0065】
実験例:
前記比較例と実施例により製造された各ゴム複合材の試片をASTM関連規定により次のように物性を測定し、その結果を下記表3に示す。
【0066】
(1)配合粘度(Mooney viscosity、MV):ムーニー粘度計(MV2000、アルファテクノロジー社)を用いて100℃で大きなローターで予熱1分からローターの始動後4分後の値を測定して読み取り、ムーニー粘度を測定した。
【0067】
(2)硬度:硬度試験は、JIS K6253(2001年)に準拠して行い、ばね硬度HA(ショア-A硬度)を測定した。
【0068】
(3)モジュラス:モジュラス測定は、試片をダンベル型に切り取り、インストロン社製の引張試験機で行った。100%及び200%モジュラスとは、試片を100%及び200%それぞれ伸張させた場合、試片に作用するストレスをいう。
【0069】
(4)引張強度:引張強度は、加硫ゴムシートを抜いてJIS K6251(2001年)に記載されている3号型ダンベル試験片を製造した。この試験片を用いて同JIS K6251に規定される方法により、測定温度25℃、引張速度500mm/分の条件で引張試験を行い、100%モジュラス(M100)、200%モジュラス(M200)、300%モジュラス(M300)引張破断点応力TB及び引張破断点伸度EBを測定した。
【0070】
(5)伸び率:引張強度の測定時、破断点までのひずみ率(%)で測定した。
【0071】
(6)粘弾性:粘弾性は、動的機械分析(Dynamic mechanical analysis:DMA)を用いて測定し、0℃Tanδは、濡れた路面でのタイヤの制動性能の代用数値として用いられ、その数値が高いほど優れた性能を示す。60℃Tanδは、タイヤ回転抵抗値の代用数値として使用され、その数値が低いほど回転抵抗に優れており、燃費効率が上昇することを示す。
【0072】
(7)摩耗:摩耗は、DIN摩耗試験機を用いて5N荷重を与えながらASTM D5963法により摩耗して減った重量を測定し、相対指数で表示してその数値が大きいほど摩耗性に優れていることを示す。
【0073】
【表3】
【0074】
表3のようにPIBをゴムに溶液状に分散して製造した試片が、PIBを含まないかまたは同量のPIBを配合機に直接投入したものに対して、耐久性、グリップ性、低い回転抵抗性が改善されて優れた制動性、低燃費性及び摩耗性が向上する結果が得られた。
【国際調査報告】