(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-07
(54)【発明の名称】光学フィルタ要素を備える腕時計
(51)【国際特許分類】
G04B 37/02 20060101AFI20230131BHJP
G04G 17/08 20060101ALI20230131BHJP
【FI】
G04B37/02
G04G17/08
【審査請求】有
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022534380
(86)(22)【出願日】2020-12-09
(85)【翻訳文提出日】2022-06-07
(86)【国際出願番号】 EP2020085360
(87)【国際公開番号】W WO2021116220
(87)【国際公開日】2021-06-17
(32)【優先日】2019-12-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507276380
【氏名又は名称】オメガ・エス アー
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】フランツィ,エドアルド
(72)【発明者】
【氏名】デュンバル,アンドレア
(72)【発明者】
【氏名】スタデルマン,パトリック
【テーマコード(参考)】
2F002
【Fターム(参考)】
2F002AA12
2F002AB01
2F002AB06
2F002AC01
2F002AC03
(57)【要約】
本発明は、バンド(4)と、少なくとも1つの電気部品または電子部品(8aから8g)を含む腕時計ケース(6)と、を備える腕時計(2)であって、前記腕時計は、前記電気部品または電子部品(8aから8g)の少なくとも1つを収容するように構成される少なくとも1つのデュワー装置(10)を備え、前記少なくとも1つのデュワー装置(10)は、内壁および外壁(12a、12b)と、前記壁(12a、12b)間に画定された真空または準真空空間(16)と、を含み、前記内壁(12a)は、前記少なくとも1つの電気部品または電子部品(8aから8g)が配置されることが想定された区画(14)を画定し、前記腕時計(2)は、特に前記ケース(6)の可視外面の全体または一部に画定された光学フィルタ要素(22)を備え、前記フィルタ要素は、可視電磁スペクトルのみを発することが可能である、腕時計(2)に関する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バンド(4)と、少なくとも1つの電気部品または電子部品(8aから8g)を含む腕時計ケース(6)と、を備える腕時計(2)であって、前記腕時計は、前記電気部品または電子部品(8aから8g)の少なくとも1つを収容するように構成される少なくとも1つのデュワー装置(10)を備え、前記少なくとも1つのデュワー装置(10)は、内壁および外壁(12a、12b)と、前記壁(12a、12b)間に画定された真空または準真空空間(16)と、を含み、前記内壁(12a)は、前記少なくとも1つの電気部品または電子部品(8aから8g)が配置されることが想定された区画(14)を画定し、前記腕時計(2)は、特に前記ケース(6)の可視外面の全体または一部に画定された光学フィルタ要素(22)を備え、前記フィルタ要素は、可視電磁スペクトルのみを発することが可能である、先行する請求項に記載の腕時計(2)。
【請求項2】
前記光学フィルタ要素(22)は、干渉型フィルタを含む、請求項1に記載の腕時計(2)。
【請求項3】
前記干渉型フィルタは、前記電磁スペクトルの特定の所定波長のみを透過させるような寸法のメッシュを有するグリッドまたは格子を備える、請求項1または2に記載の腕時計(2)。
【請求項4】
前記干渉型フィルタは、プラズモンフィルタである、請求項3に記載の腕時計(2)。
【請求項5】
前記デュワー装置(10)の全体または一部は、前記腕時計ケース(6)によって形成され、前記電気部品または電子部品(8aから8g)の少なくとも1つを収容する、請求項1から4のいずれか一項に記載の腕時計(2)。
【請求項6】
前記デュワー装置(10)は、前記区画(14)を画定する、胴(20)、風防(18)、および裏蓋(19)という前記腕時計ケース(6)の部位を備える、請求項1から5のいずれか一項に記載の腕時計(2)。
【請求項7】
前記ケースの前記胴(20)および前記裏蓋(19)は、単一の部位を形成し、前記部位は、前記裏蓋(19)の反対側で、前記腕時計の前記風防(18)により特に取り外し可能に閉じられることが想定された開口を画定する、請求項1から6のいずれか一項に記載の腕時計(2)。
【請求項8】
前記腕時計ケース(6)の前記胴(20)および前記風防(18)は、単一の部位を形成し、前記部位は、前記風防(18)の反対側で、前記腕時計(2)の前記裏蓋(19)により特に取り外し可能に閉じられることが想定された開口を画定する、請求項6に記載の腕時計(2)。
【請求項9】
前記デュワー装置(10)は、互いに入れ子となった、2つの薄い内壁および外壁(12a、12b)を備え、前記内壁(12a)は、前記電気部品または電子部品(8aから8g)のそれぞれが内部に配置される前記区画(14)を画定し、前記外壁(12b)は、前記腕時計(2)の外側に配置され、前記真空または準真空空間(16)は、前記内壁(12a)を前記外壁(12b)から分離する、請求項1から8のいずれか一項に記載の腕時計(2)。
【請求項10】
前記少なくとも1つの電気部品または電子部品(8aから8g)は、ディスプレイ装置と、プロセッサと、メモリと、蓄電部品と、モータと、集積回路と、電子振動子とからなる群から選択される、請求項1から9のいずれか一項に記載の腕時計(2)。
【請求項11】
前記腕時計(2)は、クォーツ式腕時計である、請求項1から10のいずれか一項に記載の腕時計(2)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学フィルタ要素を備える腕時計に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、腕時計は、バンドと、機械式ムーブメントあるいは電子クォーツ式ムーブメントが配置された腕時計ケースとを備える。当該ムーブメントは多くの場合、温度変化に対して極めて敏感であるということが知られている。これは数多くの故障、およびその保管時の劣化につながり得る。一例として、温度上昇により、特に機械式ムーブメントのばね類およびテンプを構成する部材が膨張し得る。このような膨張は、ばねの強度と、テンプの慣性に変化をもたらし、これは機構の周波数に変化を生じさせる。このため、当該故障を防止するように、これらムーブメントの動作時のこのような温度変化の影響を打ち消す機構を使用することが知られているが、同機構は必ずしも効率的とは言えない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
これに対するソリューション、すなわち従来技術の欠点の解消が求められることが理解されよう。
【課題を解決するための手段】
【0004】
このため、本発明は、バンドと、少なくとも1つの電気部品または電子部品を含む腕時計ケースと、を備える腕時計であって、上記腕時計は、上記電気部品または電子部品の少なくとも1つを収容するように構成される少なくとも1つのデュワー装置を備え、上記少なくとも1つのデュワー装置は、内壁および外壁と、上記壁間に画定された真空または準真空空間と、を含み、上記内壁は、上記少なくとも1つの電気部品または電子部品が配置されることが想定された区画を画定し、上記腕時計は、特に上記ケースの可視外面の全体または一部に画定された光学フィルタ要素を備え、上記フィルタ要素は、可視電磁スペクトルのみを発することが可能である、腕時計に関する。
【0005】
腕時計ケース内に、腕時計の電気部品または電子部品を封入する少なくとも1つのデュワー装置と、フィルタ要素とが存在することで、当該部品が、-150℃から+125℃の間に含まれ得る、あり得る超高/低外気温から保護される。したがって、腕時計がこのように構成されていることで、例えば宇宙または月での任務など、超高/低温となり得る状況および環境下でも、一般的な電気部品または電子部品が使用可能となる。よって、これによると、コストが過剰にならないようにし、当該任務のための腕時計に使用される部品が過剰に複雑にならない状態を維持することが可能となる。さらに、腕時計ケース内に当該光学フィルタ要素が存在することで、腕時計内へと入る可能性の高い輻射または放射エネルギーの量が大幅に制限される。したがって、この腕時計のケースに含まれる腕時計の部品または電子部品は、これらを損傷する可能性の高い温度から保護される。
【0006】
本腕時計の別の実施形態では、
・上記光学フィルタ要素は、干渉型フィルタを含み、
・上記干渉型フィルタは、上記電磁スペクトルの特定の所定波長のみを透過させるような寸法のメッシュを有するグリッドまたは格子を備え、
・上記干渉型フィルタは、プラズモンフィルタであり、
・上記デュワー装置の全体または一部は、上記腕時計ケースによって形成され、上記電気部品または電子部品の少なくとも1つを収容し、
・上記デュワー装置は、上記区画を画定する、胴、風防、および裏蓋という上記腕時計ケースの部位を備え、
・上記ケースの上記胴および上記裏蓋は、単一の部位を形成し、上記部位は、上記裏蓋の反対側で、上記腕時計の上記風防により特に取り外し可能に閉じられることが想定された開口を画定し、
・上記腕時計ケースの上記胴および上記風防は、単一の部位を形成し、上記部位は、上記風防の反対側で、上記腕時計の上記裏蓋により特に取り外し可能に閉じられることが想定された開口を画定し、
・上記デュワー装置は、互いに入れ子となった、2つの薄い内壁および外壁を備え、上記内壁は、上記電気部品または電子部品のそれぞれが内部に配置される上記区画を画定し、上記外壁は、上記腕時計の外側に配置され、上記真空または準真空空間は、上記内壁を上記外壁から分離し、
・上記少なくとも1つの電気部品または電子部品は、ディスプレイ装置と、プロセッサと、メモリと、蓄電部品と、モータと、集積回路と、電子振動子とからなる群から選択され、
・上記腕時計は、クォーツ式腕時計である。
【0007】
以下の説明により、例示的であり非限定的に、その他特徴および利点が明らかになる。説明は次の添付図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施形態に係る、ケースに光学フィルタ要素を特に備える、腕時計の上面概略図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る、
図1の腕時計の軸II-IIに沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1および
図2は、バンド4と、腕時計ケース6とを備える腕時計2を示す。本発明を限定することなく、本発明のより良い理解のため、本明細書において腕時計は、クォーツ式腕時計などの電子式腕時計2とする。
【0010】
ここで、腕時計ケース6は、従来のように、少なくとも1つの電気部品または電子部品8aから8gを含む。非限定的および非消尽的に、腕時計ケース6は、この腕時計2の精密部分を構成する、7つの電子部品8aから8gを含む。当然、腕時計ケース6は、これら図に示すよりも多くの電気部品または電子部品を含み得る。あるいは、部品8aから8gのうちの一部の部品群のみを含み得る。このような各形態において、例えば、腕時計ケース6は、ディスプレイ装置8aと、プロセッサ8bと、メモリ8cと、蓄電部品8dと、モータ8eと、集積回路8fと、電子振動子8gとを含む。
【0011】
本腕時計ケース6はさらに、特に当該ケース6の可視外面の全体または一部に画定された光学フィルタ要素22を含む。当該フィルタ要素は、可視電磁スペクトルのみを発することが可能である。この光学フィルタ要素22は、好ましくは干渉型フィルタである。当該干渉型フィルタは、電磁スペクトルの、特定の所定波長に対して遮蔽要素として機能できる。当該干渉型フィルタがあることで、腕時計ケース6に入る放射エネルギーの量が制限可能という利点が得られる。
【0012】
通常、この干渉型フィルタは、例えば、「可視電磁スペクトル」とも称される、390nmから750nmの間の可視範囲に含まれる波長である、電磁スペクトルの所定波長のみを透過させ、スペクトルのその他全ての波長、特に赤外線またはマイクロ波に対応する波長を反射するように構成され得る。干渉型フィルタは、腕時計ケース6の1つ以上の不透明部分内または上、あるいはその1つ以上の透明または半透明部分内または上に配置可能である。
図1に示す例では、干渉型フィルタは、腕時計ケースの外面上、具体的には、この腕時計ケース6の胴の外壁面および風防の外面に配置される。この干渉型フィルタは、腕時計ケース6の外面に施されたコーティングを形成するグリッドまたは格子であり得る。このグリッドまたは格子は、電磁スペクトルの特定の所定波長、典型的には可視領域波長のみを透過させるような寸法のメッシュを有する。このグリッドまたは格子は、ファラデーケージのように作用する。あるいは、図示しないが、干渉型フィルタは、プラズモンフィルタであり得る。
【0013】
この腕時計2において、該ケース6は、少なくとも1つのデュワー装置10を含み得る。このデュワー装置10は、公知技術のデュワー管/瓶と同様の特性および特徴を有する。後述のように、このデュワー装置10の当該特性および特徴は、置かれ得る外部環境内の温度に対して、良好な断熱性を呈することに寄与する。この装置は、装置10内に画定され、上記電気部品または電子部品8aから8gの少なくとも1つを外部環境から熱的に分離するように、収容するために設けられた、本明細書では区画14とする収容/封入空間を含む。この区画14は、収容/封入区画14とも称する。実際、このデュワー装置10は、このように腕時計のこれら電気部品または電子部品8aから8gを封入することで、-150℃から+125℃の間に含まれ得る、外部がとり得るあらゆる超高/低温度から、当該部品8aから8gを保護することに寄与する。さらに、腕時計がこのように構成されていることで、例えば宇宙または月での任務など、超高/低温となり得る状況および環境下でも、一般的な電気部品または電子部品が使用可能となる。また、この構成によるとさらに、本腕時計の製造コストが過剰にならないようにし、当該任務のための腕時計に使用される部品が過剰に複雑にならない状態を維持することが可能となる。
【0014】
このように、本腕時計2において、腕時計ケース6は、この少なくとも1つの当該デュワー装置10を含む。より具体的には、デュワー装置10の全体または一部は、腕時計ケース6により形成され得る。当該デュワー装置10は、上記電気部品または電子部品8aから8gの少なくとも1つを収容するように事前に構成される。即ち、本装置10は、部品8aから8gがそれぞれ封入状態で配置可能な、空間14(または区画14)を含む。
【0015】
図1および
図2に示す本腕時計2の第1形態では、デュワー装置10は、腕時計2の電気部品または電子部品8aから8gの全てを封入可能である。このため、このデュワー装置10は、胴20、風防18、および裏蓋19などの、腕時計ケース6の部位により形成される。これら部位を組み立てることは、部品8aから8gを配置するための、本デュワー装置10の収容空間14または収容区画14の生成に寄与する。これら胴20、風防18、および裏蓋19という3つの部位は、個別で、後にこの封入空間14または封入区画14を形成するように組み付けられる部位であり得る。あるいは、本体の胴20および裏蓋19が一体として、
図2に示すように、単一の部位を形成し得る。この単一部位は、裏蓋19の反対側で、風防18により取り外し可能に閉じられることが想定された開口を画定する。あるいは、腕時計ケース6の胴20および風防18が一体として、単一の部位を形成し得る。この単一部位は、風防18の反対側で、裏蓋19により同様に取り外し可能に閉じられることが想定された開口を画定する。これら構成において、これら3つの部位の間に空間14または区画14が形成される。
図1および
図2に示すこの第1形態において、本デュワー装置10は、風防18、裏蓋19、および胴20の内部壁で形成された内壁と、同じく風防18、裏蓋19、および胴20の外部壁で形成された外壁12bとを含む。これら内壁12aおよび外壁12bは、真空または準真空空間16により分離される。さらに、この内壁12aは、電気部品または電子部品8aから8gが配置されることが想定された区画14を画定する。
【0016】
本腕時計2の不図示の第2形態において、デュワー装置10は、腕時計の電気部品または電子部品8aから8gのうちの少なくとも1つを封入する。このため、本デュワー装置10は、同装置10を形成するように組み立てられることで、協働可能な少なくとも2つの部位から形成される。当該部位は、以下の両目的のために、特定の形状となる、腕時計ケース6を区画する部位を含む。
・腕時計ケース6の少なくとも1つの別部位と協働で、部品8aから8g(のうちの1つまたは複数)によって占められることが想定された区画を構成する、収容または封入区画とも称する、収容または封入空間14を画定する。
・本ケース6の胴20の内部壁の全体または一部、裏蓋19の内部壁の全体または一部、あるいはこの裏蓋19および胴20の内部壁など、腕時計ケース6の少なくとも1つの別部位に組み付け可能となる。
【0017】
本第2形態において、本デュワー装置10は、腕時計ケース6の少なくとも1つの別部位(風防18、裏蓋19、または胴20)の内部壁および区画部位の内部壁により形成された内壁12aと、少なくとも1つの別部位(風防18、裏蓋19、または胴20)の外部壁および区画部位の外部壁により形成された外壁12bとを有する。本形態においても、これら内壁12aおよび外壁12bは、真空または準真空空間16により分離される。さらに、本内壁12aは、部品8aから8g(のうちの1つまたは複数)が配置されることが想定された区画14を画定する。
【0018】
腕時計ケース6の本デュワー装置10は典型的に、互いに入れ子となった、2つの薄い内壁12aおよび外壁12bを備える。装置10の内壁12aは、電気部品または電子部品8aから8gのそれぞれが内部に配置される収容/封入空間14(または収容/封入区画14)を画定する。各形態において、装置10の外壁12bは、腕時計2の外側、または腕時計2の外側かつ腕時計ケースの外殻内に配置され得る。したがって、本デュワー装置10は、内壁12aを外壁12bから分離する中空または準中空空間16を画定する。この空間16は、密閉、すなわち真空または準真空下にあることが明らかであろう。これら壁12aおよび12bは、好ましくは、非限定的および非消尽的に、金属材料製、ガラス製、カーボンまたはガラス繊維で強化した熱硬化または熱可塑性ポリマー樹脂製、あるいはセラミック材料製である。
【0019】
なお、内壁12aおよび外壁12bは、例えばガラス製で、透明または半透明である場合、該内壁12aの外面および該外壁12bの内面は、例えば銀層のような反射性金属コーティングなどが施され得る。
【0020】
本腕時計2において、腕時計ケース6の風防18は、少なくとも1つの透明または半透明窓で形成される。この風防18がデュワー装置10内に含まれる場合、すなわち、当該装置10の一部を成す場合、デュワー装置10の内壁12aおよび外壁12bでもある内部および外部壁を備える。したがって、壁12aと12bとの間にも、中空(または真空)あるいは準中空(または準真空)空間16が画定される。
【0021】
本発明の本実施形態において、腕時計ケース6の区画部位と、胴、風防、および裏蓋により、デュワー装置10が形成されている場合、同様に、この区画部位の、さらにこれら胴、風防、および裏蓋の内部および外部壁が、本腕時計2のデュワー装置10の内壁12aおよび外壁12bともなる。したがって、区画部位、胴、風防、および裏蓋の、これら内部および外部壁が組み合わさって、デュワー装置10の内壁12aおよび外壁12bを形成することが理解されよう。
【0022】
したがって、このようなデュワー装置10および光学フィルタ要素22は、封入区画14からの放熱による熱損失を低減、または防止することで、外部環境に対して極めて良好な熱分離がなされた腕時計2を提供する。したがって、腕時計2外の温度が、典型的には-125から+125℃程度の超高/低値に達しても、封入空間14(または封入区画14)の内部温度は、典型的には20℃程度となる、封入が実施された周囲媒質の温度と略同等の温度に保たれる。したがって、当該構成が、腕時計2の電気部品または電子部品8aから8gの保護を可能とし、したがって、外部の超高/低温度条件下でもその動作を可能とすると考えられ得る。
【0023】
なお、デュワー装置10を有するこの腕時計ケース6において、光学フィルタ要素22が、腕時計ケース6の外面の全体または一部、特に当該ケース6の可視面の全体または一部に画定される。この可視面は、特に腕時計2が装着者により装着された状態で、電磁放射にさらされる可能性の高い腕時計ケース6の部位を含む。このフィルタ要素は、腕時計ケースの外面の全体または一部に画定される。同外面は、デュワー装置10の内壁12aおよび外壁12bと、中空または準中空空間16とを含む。このフィルタ要素、すなわち干渉型フィルタは、以下のいずれかに含まれるグリッドまたは格子であり得る。
・デュワー装置10の内壁12aの外面上(第1態様)
・デュワー装置10の外壁12bの外面上(第2態様)
・デュワー装置10の内壁12aの内面上(第3態様)
・デュワー装置10の外壁12bの内面上(第4態様)
・デュワー装置10の内壁12a内(第5態様)
・デュワー装置10の外壁12b内(第6態様)
・デュワー装置10の中空または準中空空間16内(第7態様)
・これら態様の2つ以上の組み合わせ
【手続補正書】
【提出日】2022-06-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バンド(4)と、少なくとも1つの電気部品または電子部品(8aから8g)を含む腕時計ケース(6)と、を備える腕時計(2)であって、前記腕時計は、前記電気部品または電子部品(8aから8g)の少なくとも1つを収容するように構成される少なくとも1つのデュワー装置(10)を備え、前記少なくとも1つのデュワー装置(10)は、内壁および外壁(12a、12b)と、前記壁(12a、12b)間に画定された真空または準真空空間(16)と、を含み、前記内壁(12a)は、前記少なくとも1つの電気部品または電子部品(8aから8g)が配置されることが想定された区画(14)を画定し、前記腕時計(2)は、特に前記ケース(6)の可視外面の全体または一部に画定された光学フィルタ要素(22)を備え、前記フィルタ要素は、可視電磁スペクトルのみを発することが可能である、腕時計(2)。
【請求項2】
前記光学フィルタ要素(22)は、干渉型フィルタである、請求項1に記載の腕時計(2)。
【請求項3】
前記干渉型フィルタは、前記電磁スペクトルの特定の所定波長のみを透過させるような寸法のメッシュを有するグリッドまたは格子を備える、請求項1に記載の腕時計(2)。
【請求項4】
前記光学フィルタ要素(22)は、干渉型フィルタであり、当該干渉型フィルタは、プラズモンフィルタを含む、請求項1に記載の腕時計(2)。
【請求項5】
前記デュワー装置(10)の全体または一部は、前記腕時計ケース(6)によって形成され、前記電気部品または電子部品(8aから8g)の少なくとも1つを収容する、請求項1に記載の腕時計(2)。
【請求項6】
前記デュワー装置(10)は、前記区画(14)を画定する、胴(20)、風防(18)、および裏蓋(19)という前記腕時計ケース(6)の部位を備える、請求項1に記載の腕時計(2)。
【請求項7】
前記デュワー装置(10)は、前記区画(14)を画定する、胴(20)、風防(18)、および裏蓋(19)という前記腕時計ケース(6)の部位を備え、当該ケースの前記胴(20)および前記裏蓋(19)は、単一の部位を形成し、前記部位は、前記裏蓋(19)の反対側で、前記腕時計の前記風防(18)により特に取り外し可能に閉じられることが想定された開口を画定する、請求項1に記載の腕時計(2)。
【請求項8】
前記デュワー装置(10)は、前記区画(14)を画定する、胴(20)、風防(18)、および裏蓋(19)という前記腕時計ケース(6)の部位を備え、当該腕時計ケース(6)の前記胴(20)および前記風防(18)は、単一の部位を形成し、前記部位は、前記風防(18)の反対側で、前記腕時計(2)の前記裏蓋(19)により特に取り外し可能に閉じられることが想定された開口を画定する、請求項1に記載の腕時計(2)。
【請求項9】
前記デュワー装置(10)は、互いに入れ子となった、2つの薄い内壁および外壁(12a、12b)を備え、前記内壁(12a)は、前記電気部品または電子部品(8aから8g)のそれぞれが内部に配置される前記区画(14)を画定し、前記外壁(12b)は、前記腕時計(2)の外側に配置され、前記真空または準真空空間(16)は、前記内壁(12a)を前記外壁(12b)から分離する、請求項1に記載の腕時計(2)。
【請求項10】
前記少なくとも1つの電気部品または電子部品(8aから8g)は、ディスプレイ装置と、プロセッサと、メモリと、蓄電部品と、モータと、集積回路と、電子振動子とからなる群から選択される、請求項1に記載の腕時計(2)。
【請求項11】
前記腕時計(2)は、クォーツ式腕時計である、請求項1に記載の腕時計(2)。
【国際調査報告】