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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-07
(54)【発明の名称】湿潤性が向上した細粒フィラー
(51)【国際特許分類】
   C09C 3/00 20060101AFI20230131BHJP
   C09D 17/00 20060101ALI20230131BHJP
【FI】
C09C3/00
C09D17/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022534640
(86)(22)【出願日】2020-12-07
(85)【翻訳文提出日】2022-07-29
(86)【国際出願番号】 IB2020001022
(87)【国際公開番号】W WO2021116755
(87)【国際公開日】2021-06-17
(31)【優先権主張番号】63/034,582
(32)【優先日】2020-06-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/945,183
(32)【優先日】2019-12-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522226638
【氏名又は名称】アンケルポールト エヌフェー
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100148633
【弁理士】
【氏名又は名称】桜田 圭
(72)【発明者】
【氏名】エドワーズ、チャールズ
【テーマコード(参考)】
4J037
【Fターム(参考)】
4J037AA29
4J037CB04
4J037DD05
4J037DD07
4J037DD15
4J037FF01
(57)【要約】
実質的に遊離シリカを含まず、少なくとも5のモース硬度及び6ミクロン未満の制御された最大粒子サイズを有する火成岩から形成された粉末を備えるコーティング用のフィラーであって、前記粒子は、前記粉末の湿潤性を大幅に向上させる潤滑性流体の表面流体層を有する、フィラー及びその製造方法。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
実質的に遊離シリカを含まず、少なくとも5のモース硬度及び6ミクロン未満の制御された最大粒子サイズを有する火成岩から形成された粉末を備えるコーティング用のフィラーであって、
前記粒子は、前記粉末の湿潤性を大幅に向上させる潤滑性流体の表面流体層を有する、
フィラー。
【請求項2】
前記向上した湿潤性が、湿潤性を決定するIDF法によって測定されたときに60秒未満である、
請求項1に記載のフィラー。
【請求項3】
前記粒子の粒子表面積の少なくとも大部分が、前記流体層によって覆われている、
請求項2に記載のフィラー。
【請求項4】
前記粒子の粒子表面積の少なくとも大部分が、前記流体層によって覆われている、
請求項1に記載のフィラー。
【請求項5】
前記表面流体層は粘着性流体でもあり、前記粉末の密集は、前記粒子が多くの粒子を有するクラスターに凝集することによって特徴付けられ、前記粉末が前記コーティングに堆積するまで、前記多くの粒子の様々な粒子サイズが緩くまとまっている、
請求項2に記載のフィラー。
【請求項6】
前記表面流体層もまた粘着性流体であり、前記粉末のかさ密度は、前記粒子が多くの粒子を有するクラスターに凝集することによって特徴付けられ、前記粉末が前記コーティングに堆積するまで、前記多くの粒子の様々な粒子サイズが緩くまとまっている、
請求項1に記載のフィラー。
【請求項7】
前記潤滑性及び粘着性の流体は、プロピレングリコールと技術的に同等の潤滑特性及び粘着特性を有する処理液である、
請求項6に記載のフィラー。
【請求項8】
前記潤滑性及び粘着性の流体は、プロピレングリコールである、
請求項6に記載のフィラー。
【請求項9】
前記火成岩は、霞石閃長岩である、
請求項6に記載のフィラー。
【請求項10】
前記火成岩は、霞石閃長岩である、
請求項5に記載のフィラー。
【請求項11】
前記フィラーの水分含有量は、1.0パーセント未満である、
請求項6に記載のフィラー。
【請求項12】
前記フィラーの水分含有量は、1.0パーセント未満である、
請求項5に記載のフィラー。
【請求項13】
前記表面流体層は、前記フィラー中の1.0パーセント未満の重量の粒子を備える、
請求項5に記載のフィラー。
【請求項14】
前記表面流体層は、前記フィラー中の0.2~0.6パーセントの重量の粒子を備える、
請求項13に記載のフィラー。
【請求項15】
前記コーティングは、塗料、自動車用ベースコート、自動車用クリアコート、UV硬化性pudクリアウッドコーティング、従来のクリアウッドフロアコーティング、インク、着色剤、及び、粉体コーティングからなるクラスから選択される、
請求項5に記載のフィラー。
【請求項16】
コーティング用のフィラーを製造する方法であって、
(a)所与のレベルで最大粒子サイズD99を有する火成岩の粒子塊を、6ミクロン未満の減少した最大粒子サイズを有する乾燥最終粒子に変換することと、
(b)前記変換操作中に、前記乾燥最終粒子上に処理流体の表面層を塗布することであって、前記流体は潤滑性であり、前記乾燥最終粒子が大幅に向上した湿潤性を有し、前記フィラーを備える前記乾燥最終粒子の湿潤性の所望の増加を得るための量で前記処理流体を塗布することと、
を備える、
方法。
【請求項17】
前記変換操作は、前記最終粒子の湿った塊を有するスラリーを生成するための湿式粉砕操作であり、
(c)前記最終粒子の前記湿った塊を乾燥させて、前記最終粒子の乾燥凝集断片にすることと、
(d)前記乾燥凝集断片を個々の乾燥最終粒子に機械的に変化させることと、
(e)前記機械的に変化させる操作中に前記乾燥最終粒子に前記表面層を塗布することと、
を含む、
請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記変換操作は、前記乾燥最終粒子を形成するための単なる乾式粉砕操作であり、
(c)前記粉砕操作中に前記乾燥最終粒子に前記表面層を塗布すること、を含む、
請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記処理流体の量は、前記乾燥最終粒子の0.2~0.6重量パーセントである、
請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記処理流体は粘着性でもあり、前記乾燥最終粒子は互いに緩く付着しやすく、それによって多粒子クラスターを形成し、前記クラスターが前記コーティングに導入されると、前記クラスターが個々の最終粒子に急速に崩壊する、
請求項16に記載の方法。
【請求項21】
前記潤滑性及び粘着性の流体は、プロピレングリコールと技術的に同等の潤滑特性及び粘着特性を有する処理流体である、
請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記潤滑性及び粘着性の流体は、プロピレングリコールである、
請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記火成岩は、霞石閃長岩である、
請求項16に記載の方法。
【請求項24】
請求項1~15のいずれか1項に記載のフィラーを備えるコーティング組成物。
【請求項25】
前記組成物が、塗料、自動車用ベースコート、自動車用クリアコート、UV硬化性pudクリアウッドコーティング、従来のクリアウッドフロアコーティング、インク、着色剤、及び、粉末コーティングからなるクラスから選択される、
請求項24に記載のコーティング組成物。
【請求項26】
請求項16~23のいずれか1項に記載の方法を使用して得られるフィラー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本出願は、2019年12月8日に出願された米国仮特許出願62/945,183及び2020年6月4日に出願された米国仮特許出願63/034,582の優先権を主張し、これらは両方とも参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
(技術分野)
本発明は、塗料などのコーティングに使用されるタイプの鉱物フィラー、より具体的には、湿潤性が改善された細粒フィラーに関する。
【背景技術】
【0003】
塗料及び木材被覆の製造などの産業では、目的の特性を持つ選択されたフィラーを追加することにより、摩耗、硬度及びその他の物理的特性を向上させる方法で物質を改善することが望まれる。最も有利なフィラーの1つは、モース硬度が5.0を超え(実際には約6~7)、遊離シリカを実質的に含まないタイプの小粒子火成岩の塊であるため、環境に有害とは見なされない。これらの基準を満たすには、霞石閃長岩のような長石岩が好まれるが、他の同様の硬い火成岩も使用される。ただし、このようなフィラーは、技術的にはD99粒子サイズと呼ばれる、最大粒子サイズが非常に小さい場合に、より多くの利点がある。これらの小さなサイズの粒子は非常に低い湿潤性をもたらすため、フィラーは受容物質と効率的かつ自然に混合せず、単に液面に浮かぶだけである。火成岩フィラーの粒子サイズを実用的な値まで小さくすることが望ましいが、サイズが小さいほど湿潤性は低くなる。その結果、最大粒子サイズD99が6ミクロン未満、実際には4ミクロン未満であるが、高湿潤性を有し、そのため、フィラーは単に受容物質の上に浮くだけではないという、記載された火成岩のフィラーに対する大きな需要が(経済的に)存在する。本発明は、非常に高湿潤性を有する、6ミクロン未満の最大粒子サイズD99を有する火成岩フィラーを作製することによって、この商業的必要性を満たしている。新しいフィラーは(以前の小さな粒子のように)浮かないが、すぐに、自然に、そして急速に、受容液体、通常は塗料又はコーティングに分散する。商業的に受け入れられている標準的な湿潤性試験の1つは、IDF法である。この方法では、粉末が濡れたり水の容器に沈んだりするまでの時間(秒単位)として湿潤性を測定する。本発明によって得られる優れた湿潤性は、60秒未満の試験時間を有する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明によれば、火成岩フィラー(エクステンダーと呼ばれることもある)は、最大粒子サイズD99が6ミクロン未満の粒子を備え、粒子は、湿潤性を決定するIDF法で測定されたときに60秒未満などのように、向上した湿潤性を有する。この新規の目的は、最終粉末、すなわち新規のフィラーを備える小さな乾燥粒子の表面に液体又は流体処理剤を塗布することによって達成される。処理剤の表面塗布は、最終粉末の小さな乾燥粒子を生成するプロセス中に実行される。この業界で使用されている、乾燥という用語は、少量の水分、つまり1.0パーセント未満のわずかな水分を意味する。小さな乾燥粒子を生成するプロセスが、最大粒子サイズが5ミクロン未満の小さな粒子に大きな粒子を湿式粉砕することを含む場合、湿った小さな粒子は、それらが固い断片に凝集する場所で乾燥しなければならず、それによって湿った小さな粒子は機械的にオリジナルの小さな粉砕粒子に変化する。現在乾燥している小さな粉砕粒子の表面は、機械的交換操作で小さな乾燥粒子に処理剤を塗布することによってコーティングされる。しかしながら、小さな粒子を生成するプロセスが大きな粒子を小さな粒子に乾式粉砕することを含む場合、小さな粉砕粒子は、粒子が所望の小さなサイズ、すなわち6ミクロン未満、好ましくは4ミクロン未満に粉砕されるときに、粒子に処理剤を塗布することによってコーティングされる。処理剤は、個々の粒子が液体コーティングに入り、液体コーティングと反応するときに、個々の粒子の湿潤性を高めるために潤滑性がある。この概念は、本発明の基本的な側面を備え、新しいフィラーを形成する乾燥した小さな粒子の粒子表面をコーティングするために塗布される処理剤としてプロピレングリコールを使用するときに発見された。
【0005】
本発明によれば、主な利点は、新規のフィラーを備える個々の粒子の高湿潤性である。本発明の二次的特徴として、フィラーは、同じく粘着性でもある処理液又は処理流体を使用することによってさらに強調される。従って、フィラーの非常に細かい粒子は、一時的に種々の有効直径の多くのクラスターに形成され、それぞれのクラスターが非常に小さな力でまとまる多くの様々なサイズの乾燥粒子を含む。粒子の表面にコーティングされた処理液が粘着性であるという事実を考慮して、本質的に形成されたクラスターはすぐに崩壊するので、個々の高湿潤性コーティング粒子は、受容コーティングを構成する液体に分散される。処理流体は粘着性があり、毛細管圧によって「一時的な凝集」を引き起こし、クラスターが容易に分散する。その結果、粒子は最終粉末への粉砕の機械的作用中に容易に分離されるが、一緒にクラスター化して、最終粉末が処理及び輸送されるとフィラーのかさ密度を大幅に増加させる。本発明は、最大粒子サイズD99が6ミクロン未満、好ましくは4ミクロン未満の火成岩粉末から形成されたフィラーを備える。この粉末は、個々の粒子の非常に高湿潤性を有する。本発明の二次的態様によれば、新規の高湿潤性粒子は、クラスターがコーティング中に堆積されるまでこれらの新規の高湿潤性粒子を緩くまとめることによって形成されるクラスターに形成される。すると、緩く保持された粒子がすぐに分散するため、粒子の新規で高湿潤性が実現される。これは、プロピレングリコールを使用して湿潤特性を高めるときに発見されたもう1つの特性である。
【0006】
本発明の一態様によれば、最終粉末中の粒子の少なくとも1.0重量パーセント、好ましくは0.2~0.6重量パーセントである量の処理流体を使用することにより、粒子の総表面積の少なくとも大部分を覆う粒子上の新規の処理剤液層である。細かく粉砕された乾燥粒子の表面上に層として塗布される処理剤の「量」は重要であり、湿潤性を測定するIDF法によって決定されるように60秒未満である所望の向上した湿潤性を得るために決定される。実際には、本発明を使用することにより、20~30秒未満を得ることができることが見出された。
【0007】
本発明によれば、処理液は、一次潤滑特性と粘着特性との両方を有することが発見されたプロピレングリコールである。実際には、本発明は、プロピレングリコールを使用して、霞石閃長岩粒子の表面に、6ミクロン未満の最大粒子サイズを有するフィラーとして使用するための薄層を作成するために使用されたときに発見された。
【0008】
本発明の主な態様は、湿潤性が向上した火成岩材料の細粒フィラーを提供することである。
【0009】
本発明の別の主要な態様は、プロピレングリコールを使用して向上した湿潤性を得ることである。
【0010】
本発明のさらに別の主要な態様は、フィラーを画定する粉末を備える粒子の表面をコーティングするためにプロピレングリコールが使用されるときに実現される粘着特性を有する、上記で画定されるような細粒フィラーを提供することである。
【0011】
本発明の別の主要な態様によれば、フィラーを規定する粉末の粒子の表面をコーティングする処理剤は、粉末の1.0重量パーセント未満、好ましくは0.2~0.6重量パーセントである。
【0012】
本発明の別の態様によれば、火成岩は長石岩、すなわち霞石閃長岩である。
【0013】
本発明の第2の態様によれば、新規のフィラーは、1.0パーセント未満の水分含有量を有する。
【0014】
本発明のさらに別の態様によれば、これまでのところ新規のフィラーを使用して優れた結果をもたらす実際のコーティングは、塗料、自動車用ベースコート、自動車用クリアコート、UV硬化性pudクリアウッドコーティング、従来のクリアウッドフロアコーティング、インク、着色剤、及び、粉体塗装である。
【0015】
本発明の一態様によれば、本発明のフィラーを使用することによって作成される新規のコーティング組成物があり、述べたように、新規の方法を使用してフィラーを作成し、コーティングに新規のフィラーを使用する。
【0016】
本発明のさらに別の主要な態様によれば、新規のフィラーは、より大きな霞石閃長岩粉末を新規のフィラーのサイズに粉砕し、乾燥粉砕粒子の表面に潤滑性及び粘着性の処理液を塗布することを含む方法によって調製される。処理剤液の塗布は、湿式粉砕後又は乾式粉砕中に粉砕された乾燥粒子に添加される。塗布は乾燥粒子に塗布して所望のコーティングを形成する必要があるため、湿式処理を使用して所望の小さな粒子を作成する場合、粒子を粉砕してから、処理剤を受容するオリジナルの粉砕サイズに戻す必要がある。
【0017】
本発明の主な目的は、火成岩から形成され、最大粒子サイズが6ミクロン未満、好ましくは4ミクロン未満であるコーティング用のフィラーを提供することであり、ここで、個々の粒子は、処理剤、処理液又は処理流体でコーティングされている。この剤は潤滑性があるため、粒子の湿潤性が大幅に向上する。湿潤性の向上は、湿潤性を決定するIDF法によって測定されたときに60秒未満の値になる。
【0018】
本発明のさらなる目的は、上で画定されたように、新規のフィラーを提供することである。ここで、粒子の表面上の処理液又は処理流体もまた粘着性であるため、乾燥コーティングされた粒子は、緩くまとまった粒子の異なる効果的なクラスターを形成し、それによって、新規のフィラーのかさ密度を増加させる。これらのクラスターは、フィラーがコーティングに導入されると、すぐに個々の高湿潤性の乾燥粒子に崩壊する。
【0019】
本発明のさらに別の目的は、処理液又は処理流体がプロピレングリコールである、上記で画定されたような新規のフィラーを提供することである。
【0020】
本発明のさらに別の態様は、大きな粒子を所望の小さな最大粒子サイズに湿式粉砕し、それらが粒子塊に乾燥された後、且つ、粒子塊がオリジナルの粉砕された小さな粒子サイズに機械的に戻される間に、粉砕された粒子に新規の表面処理剤を添加することによって、新規のフィラーを製造する方法である。これは、フィラーの製造において独特である。
【0021】
本発明のこれら及び他の目的、態様、特徴及び利点は、次のセクションで説明される図面と一緒に以下に記載される本発明の詳細な説明を読むことにより、当業者に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0022】
本発明は、特定の部品及び部品の配置において物理的形態をとることができ、その好ましい実施形態は、本明細書の一部を形成する添付の図面に詳細に説明及び図示される。
【0023】
図1】新規の処理液が多くの様々なサイズのクラスターに形成され、それぞれがいくつかの緩く一緒に細かく粉砕された乾燥粒子を有し、その1つのクラスターが概略的に示される概念図である。
図2】緩くまとまった乾燥粒子の各クラスターが、高湿潤性が採用されている受容コーティングの本体に瞬時に堆積及び分散される方法を示す本発明のさらなる概略図である。
図3】本発明の第1の実施形態の方法を示し、湿式粉砕を使用するブロック図である。
図4】本発明の製造実施形態の方法を示し、新規のフィラーの小さな乾燥粒子への大きな粒子の乾式粉砕を使用するブロック図である。
図5】本発明の実施形態の粒子分布のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
表示が本発明の好ましい代替の実施形態を説明することのみを目的としており、それを限定することを目的としない図面を参照すると、新規のフィラーは、表面処理剤の潤滑性及び粘着性の流体層を、非常に小さい最大サイズのフィラー粒子の表面に塗布するという概念を含む。この処理流体は、フィラーの湿潤性を高める。二次的な利点によれば、処理剤は粘着性であり、粒子を自然に多数の容易に分離されるクラスターに凝集させ、それぞれが多数の非常に小さな乾燥粒子を含む。プロピレングリコールは、潤滑性及び粘着性の処理流体として使用される。本発明において、新規のフィラーの湿潤性は、湿潤性を測定する標準的なIDF法を使用して、60秒未満であることが見出された。実際には、それは30~20秒未満である。最大粒子サイズが4ミクロンの霞石閃長岩などであるが、新規の処理剤が表面に塗布されない、無機ロックフィラーは、実質的に3分より長く(つまり、この標準試験では180秒)、小粒子フィラーは単に浮くだけである。新規の粉末の含水率は1.0パーセント未満、好ましくは0.2~0.6パーセントであるため、新規のフィラーのコンシステンシー及び粒子拡散性は優れている。粒子表面に塗布された潤滑性及び粘着性の表面処理流体が、フィラーの粒子の塊を湿式粉砕又は乾式粉砕のいずれかによって小さなサイズに粉砕したときに生じる微粒子(0.5ミクロン未満の粒子)も物理的に捕捉するという事実によって、新規のフィラーは強調される。処理流体は、捕捉された微粒子をフィラー粒子の表面に対して保持する。要約すると、本発明は、湿潤性を大幅に向上させるという主な目的を達成する。しかし、他にも利点がある。たとえば、多くの粒子クラスターを形成することでバルク粒子サイズを大きくしたり、非常に小さな粒子によって生成されるダストを減らしたりする。図1に示すように、ダスト粒子12は、乾燥粒子10上の処理流体に引き付けられる。また、後で説明するように、新規の処理剤がフィラーの貯蔵寿命を延ばすことが発見された。
【0025】
その結果、本発明は、実質的に遊離シリカ(0.01重量パーセント未満のシリカとして画定される)を有さない火成岩粒子の塊から形成された乾燥粒子の表面を処理するという概念を採用する新規のフィラーを作成することを広く含む。新しいフィラーは、最大粒子サイズが6ミクロン未満、好ましくは4ミクロン未満の微粒子の塊である。表面処理とは、(a)粒子を湿式粉砕して所望の小さな粒子サイズにした後、乾燥させて乾燥粉砕サイズに変換する、又は、(b)非常に小さな粒子フィラーが乾式粉砕によって製造された場合、の乾燥状態のときに、粒子の表面に塗布される独自の流体を備える処理剤の表面層を塗布することである。流体は、表面に非常に薄い層として残り、最終的なフィラーの個々の粒子の湿潤性を大幅に向上させる。図1に概略的に示すように、粒子表面の処理流体層には、非常に小さな粒子フィラーを、クラスターAを画定する多数の密集に形成するという二次的な利点がある。各クラスターには多くの異なるサイズの粒子があり、粘着性流体層の保持作用が緩いため、粒子は簡単に放出できる。クラスターが塗料Pに堆積されたときの多くのクラスターAからの粒子10のこの新規の容易な放出能力は、図2に概略的に示されている。図2の下部にあるグループBの個別の粒子で示されているように、クラスターAが塗料Pに急速に堆積すると、多数の粒子を一緒に保持する小さな粘着力によってクラスターが急速に(すぐに)崩壊する。これは、処理剤又は処理流体の粘着特性によって引き起こされるクラスター化及び分散作用である。層の処理流体は粘着性であるため、クラスターAの粒子は非常に低い接着力でまとめられる。従って、小さな粒子の新規のコーティングは、湿潤性を高めるための潤滑性流体であるだけでなく、最大サイズ未満の様々なサイズを有する粒子を一時的に結合して複数のクラスターAにするだけの粘着性流体でもある。各粒子10は、粘着性の処理流体でコーティングされている。この作用は、概して、粒子間の毛細管現象を遮断するであろう空隙を排除する、ことが特定されている。これにより、小さな粒子間の静電相互作用も防止される。プロピレングリコールなどの粘着性の流体又は液体の層は、液体コーティングが粒子間を迅速に移動することを可能にする経路を作成し、それによって急速な分散をもたらす。表面処理剤は、小さな粒子の乾燥した表面上に残り、それによって、新規の高湿潤性を達成する。
【0026】
第1の好ましい実施形態は、図3に開示されるように、新規のフィラーの実験室生産を含む。湿式粉砕法100は、潤滑性の表面処理流体で粒子を処理するために使用される。この処理流体は、「新しい最終粉末120」とラベル付けされた新規のフィラーとして方法100によって生成された、結果として生じる小さな乾燥最終粒子の湿潤性を高める。実際には、操作110は、遊星ボールミルによって大きな霞石閃長岩粒子(Minex3)を5ミクロン未満の所望の最大粒子サイズに湿式粉砕する。これは、市販のMinex14(M14)の最大粒度である。操作110のこの湿式粉砕プロセスは、最終粒子120を規定する粒子を生成する。粒子は、スラリー又は湿った塊112内にある。ブロック112で指定された粉砕粒子の湿った塊は、高温操作114によって乾燥される。この乾燥作用は、固い構造又は「断片」に固く結合された膨大な数の粉砕された最終粒子を有する凝集断片又は塊(agglomerated pieces or chunks)116aを形成する。次に、凝集断片又は塊116aは、機械的交換操作116でブレンダーによって機械的に粉砕され、操作118でジェットミルによって別個の小さな最終粒子120に分離されて戻される。種々のジェットミルを操作118で使用することができる。新しい最終粉末120は、操作110で生成された乾燥粒子から形成される。これらの乾燥最終粒子は、約0.5パーセント(1.0パーセント未満)の水分含有量でジェットミルから出て来る。それらは、操作110で最初に作成されたように、4~5ミクロン未満の所望の最大粒子サイズを有する。
【0027】
操作110によって生成された最終粒子は、湿式バージョン112から、凝集硬質断片116aの形態の乾式バージョンに変換され、次いで、粉砕操作118で個々の乾燥粒子に変換される。ミル118によって生成された乾燥粒子は、粉砕操作110で生成され、操作114で乾燥されたオリジナルの粒子である。本発明は、乾燥最終粒子120の表面積に処理剤を塗布することである。実際には、本発明は、これまでに説明したように、プロピレングリコールなどの潤滑性及び粘着性の処理剤を使用することによって実施される。その結果、方法100は、大きな粒子M3を、「新しい最終粉末」120として、小さな粒子サイズM14を有する乾燥粒子を有する最終粉末に変換する。粒子M3を、粉末又はフィラー120を構成する粒子M14に変換する間に、湿った粉砕粒子は乾燥される。新規の処理剤は、粒子が乾燥しているとき、及び操作118のときに粒子に塗布される。最終的な粒子は乾燥しており、操作116及び118によって操作110の粉砕サイズにサイズを戻す必要がある。そうして初めて、粒子は、本発明を備える新規の表面コーティングを受け取り、保持する。この実施形態では、新規の処理剤又は処理流体は、操作116のブレンダーでの断片116aの最終粉砕後、及び操作118の粒子分離(ジェットミル)中に使用される。それは、それらが操作110から粒子サイズに戻された後、乾燥された粒子に塗布される。それらは、新規のフィラーの最終粒子120である。
【0028】
方法100では、最終粉末120は、粉砕操作118で添加される新規の潤滑性及び粘着性の流体でコーティングされた乾燥粒子を有する。総量は、所望の結果を得るために選択され、実際には、最終粉末の1.0重量パーセント未満、好ましくは0.2~0.6パーセントである。
【0029】
実験室で開発され、図3に方法100として示されている本発明は、最大粒子サイズが約50~100ミクロンの霞石閃長岩粉末であり、操作110でオービタルボールミルによって湿式処理される。粉砕された粒子は、霞石閃長岩粉末の最大粒子サイズが4~5ミクロン未満のスラリーに含まれている。この細粒スラリーは湿塊112である。次に、この塊は、操作114において高温でしばらく乾燥されて、乾燥した壊れた塊の固い凝集物又は「断片」116aを生成する。次に、乾燥した細粒スラリー又は乾燥断片116aは、操作116において積極的に操作される機械的ブレンダーで処理される。乾燥断片116aは、操作118のジェットミルによってさらに処理され、そこで乾燥されたサイズの粒子が表面コーティングされて、最終的な細粒の乾燥粉末120が生成される。好ましくは、0.2~0.6重量パーセントのプロピレングリコールが操作118で導入される。実際には、本発明を実施するために、1.0重量パーセント未満のプロピレングリコールが使用されてきた。最終的な乾燥粒子は、操作114のようにもはや凝集されない。乾燥粉末120の各別個の粒子の表面は、処理流体又は処理剤の薄層でコーティングされており、好ましい実施形態では、それはプロピレングリコールである。
【0030】
要約すると、粉末120を生成するためのプロセス操作に関係なく、プロセスも新規で独創的であるが、新規の最終粉末は、粒子表面が少量の潤滑性の表面処理流体、すなわちプロピレングリコールでコーティングされた細粒霞石閃長岩乾燥粉末である。このような細粒霞石閃長岩粉末は、塗料などのコーティング材料用の鉱物「フィラー」として使用される。粒子表面がプロピレングリコールでコーティングされたこの新規の鉱物フィラー又は粉末120は、コーティングの硬度、耐引っかき性、透明性及び色を向上させる。最も重要なことは、プロピレングリコールコーティングにより、霞石閃長岩フィラーが容易に濡れて、図2に示す粒子分散手順によって塗料Pなどのコーティングにすばやく混合できることである。最終粉末は、優れた湿潤性を有する。さらに、表面コーティング層は、粉末を本質的にダストのないものにする。図1に示すように、粒子に追加された薄い表面コーティング層も粘着性があり、クラスターAを引き起こし、微粒子12を捕捉する。図2に示すように、クラスターは粒子10をすぐに崩壊させ、分散させる。従って、本発明の新しい鉱物フィラーは、コーティング材料への鉱物フィラーの効率的な混合を可能にしながら、受容性コーティングに所望の物理的特性を付与する。本発明の最終的な霞石閃長岩フィラー粉末は、現在商業的に生産されている最小の粒子サイズを採用している。すなわち、最大粒子サイズD99が4~5ミクロン未満であり、Minexの商標でサイズM14として商業的に画定されており、IDF湿潤性測定を使用して湿潤性が60秒未満、好ましくは30~20秒未満に増加する粉末である。
【0031】
従って、新規の処理剤は、非常に微細な乾燥鉱物粉末の表面を薄い層で覆い、それによって、新規の鉱物フィラー又は粉末120を作成する。処理剤は、図1及び2に示すように、高湿潤性とクラスター形成及び分散の概念の特性を生み出す。
【0032】
第1の実施形態の初期の実施において、操作110は、湿式粉砕された約100ミクロンのD99を有する200グラムのMinex3及び少量のプロピレングリコール(好ましくは、本発明で使用されていない、粉砕助剤としての0.25~1.0重量パーセントのMinex3)を含んでいる。操作110の機械的粉砕は、任意の標準的な湿式粉砕機構を使用した。霞石閃長岩粉末の湿った塊(スラリー)が約2~3時間後に生成された。湿った塊を100~2000℃で一晩乾燥させて、小さな乾燥粒子を有する乾燥した破片又は「塊」116aとして凝集した乾燥した塊にした。次に、これらの断片は、積極的な混合又は粉砕操作116に入れられ、次に、操作118のジェットミルに入れられる。操作116及び118の最終的な処理メカニズムは、乾燥した破片116aを最終的な均一に分散された乾燥粉末120に積極的に変換するためのブレンダー、機械的ミルなどであり得る。この粉末は、操作118で潤滑性及び粘着性の表面処理剤であるプロピレングリコールでコーティングされた乾燥粒子の新規な発明を構成する。
【0033】
開示され、開発された本発明の概念は、火成岩粒子の総質量中の個々の乾燥粒子の表面を処理して、最終粒子上に処理剤又は処理流体の表面層を作成することである。処理剤又は処理流体の層は、新規のフィラーの粒子を構成する各粒子上に残り、表面の大部分、すなわち、少なくとも50パーセント、好ましくは60パーセント超を覆う。要約すると、図2に概略的に示すように、粘着性、潤滑性の流体の層が、塊の高湿潤性乾燥粒子を自動的に膨大な数の小さなクラスターAに凝集させて迅速に分散させる、新規のフィラーが作成された。各クラスターAは、表面処理剤の層を備える処理流体の粘着特性によって非常に緩くまとまった別個の粒子を構成する粒子10として概略的に示される多数の異なるサイズの粒子によって形成される。それぞれが多くの粒子を備える多数の異なるサイズのクラスターAの形成は、塊の有効表面積を減少させ、従って、フィラー又は塊の「有効部分サイズ」又はかさ密度を増加させる。クラスターAは、乾燥最終粒子の最大粒子サイズよりも小さいサイズの膨大な数の粒子によって形成される。その結果、フィラーはより高密度になり、塗料Pなどの液体への取り扱いと塗布がより容易になる。クラスターAは表面積が小さいため、液体に急速に突入する。粒子10は、その後急速に(自然に)、潤滑流体によって各粒子に与えられる湿潤性の向上により、グループBとして液体に分散される。従って、分散が容易になる。クラスターAを形成する粒子の放出作用は、それらをまとめる非常に低い粘着力のために非常に迅速である。開発の驚くべき新規の特徴は、粒子が粘着性流体の表面層によって緩くまとまり、自然に多くの複数の粒子クラスターAを形成することである。このような粒子クラスターは、処理剤又は処理流体を制御する新規の湿潤性を使用して作成される。実際には、処理流体はプロピレングリコールである。新規のフィラーの物理的特性を作り出すための処理流体はまた、かさ密度を増加させて分布を改善する。ただし、新規の処理流体を多く使用した場合に発生するような非分散性の「ケーキング(caking)」は発生しない。各クラスターAには、未画定の数の多くの粒子があり、塊を粉砕するときに生成される緩い微粉12(ダスト)を収集又は捕捉する。要約すると、粒子の新規の表面処理により、クラスターが自然に形成される。さらに重要なことに、新規の表面処理により、クラスターが塗料Pに急速に侵入し、別々の粒子として分散するため、粒子が簡単に分離する。これらのクラスターの粒子10は、緩くまとまっており、操作116の乾燥した塊又は断片116aの固い凝集体のように、固くはまとまっていない。クラスターは、図2にBとラベル付けされた分離粒子のグループとして示されている分離粒子に急速に崩壊し、分離粒子は塗料Pの本体に急速に混合される。
【0034】
新規のフィラー又は新しい最終粉末120は、実質的に遊離シリカを含まない火成岩粒子の塊である。それは、5ミクロン未満の画定された小さな最大粒子サイズを有する粒子を有し、説明されるように、粒子塊に新規の特性を与える処理剤又は処理流体の層を有する表面を有する。この新しいフィラーは、硬くて小さな粒子のフィラーの特性を発揮し、粒子は高湿潤性を備えているため、粒子10の迅速な受容と分散が可能になる。二次的な利点として、この剤又は流体は、それぞれが緩くまとまり、個別に分散可能な粒子を有するいくつかの複数の有効直径クラスターAを形成することによってフィラーの密集を制御する。粒子は、図2に示すように、クラスターが液体物質に供給又は滴下されると、自動的に、そしてすぐに分離する。粒子塊又は新しいフィラー120の湿潤性は、未処理の粒子表面を有するフィラーよりも実質的に大きい。実際には、どのIDF法の試験でも、湿潤性は60秒未満、好ましくは30~20秒未満である。フィラーに使用されている火成岩の粒子は、表面に遊離のOH基を持っており、そのため、図1に示すように、薬剤又は流体は水素結合によって表面層を作成し、流体も捕捉して微粉(ダスト)12を除去する。表面処理剤は、粒子の表面の大部分にわたって潤滑流体の層を作成するので、粉末が前述のクラスターAの一般的な形態で塗料Pなどの液体の大きなバットに投棄されると、粒子10は分離して湿った。IDF法は、60秒よりはるかに短い許容可能な測定時間を明らかにするが、30~20秒未満の所望の測定時間は、本発明によって得られる。クラスターAを作成する粒子表面のプロピレングリコールによって引き起こされる粘着力は、クラスターに水を引き込み、クラスターを粒子グループBとして表される個々の粒子10に分解する。
【0035】
新しいフィラーを使用するコーティングは、種々のタイプ、すなわち、塗料、ウッドコーティング、又は他の表面コーティングであり得る。本発明は鉱物「フィラー」として記載されてきたが、微粉末の表面上にプロピレングリコールなどの処理剤を提供するために表面処理を含むように改変された新規の乾燥最終粉末120は他の用途を有し得る。潤滑性の液体又は流体を使用して超微細鉱物粉末(5ミクロン未満のD99の霞石閃長岩)の粒子をコーティングすることの発見によって得られた利点は、処理流体がプロピレングリコールの潤滑特性によって得られる湿潤性の値を有する限り、処理流体を使用することによって得ることができる。処理流体がプロピレングリコールの粘着特性を有することも有利であるため、図1及び2に記載された特徴が得られる。プロピレングリコールと技術的に同じ潤滑特性及び粘着特性を有する化学物質は、「プロピレングリコールと同等」であろう。プロピレングリコールは、1、2-プロパンジオール、1、2-ジヒドロキシプロパン、メチルエチルグリコール、メチルエチレングリコール、グリコールなど、多くの化学名で知られている。
【0036】
本開示において先に述べたように、図3の操作118において0.2~0.6の量のプロピレングリコールの使用は、新しい最終粉末120の貯蔵寿命を大幅に向上させることが見出された。過去には、最大粒子サイズが4~5ミクロン未満となるような霞石閃長岩粉末の製造では、多くの場合、図3の方法100と同様の湿式処理が使用されていた。操作118は、潤滑性の流体処理剤を使用せずに実行され、例示のために、操作118aとして示されている。この手順により、「古い」粉末120aと呼ばれるものが生成された。説明された理由のために、粉末120aは、商業的に許容できない低い湿潤性を有していた。以前に製造されたこのM14粉末は、6ヶ月未満の貯蔵寿命を有するマクロスケールの非常に硬い非分散性凝集物でいっぱいであるが、本発明の新しい最終粉末120は、概して、6ヶ月をはるかに超えても新規の状態のままである。実際には、それは、以前の粉末120aの許容できない状態に戻る兆候なしに、そのような新規の状態のままである。この大幅で明らかに継続的な貯蔵寿命の向上は、粒子の塩橋を制御するために処理液を使用することの効果である。さらに、以前の粉末120aの小さな粒子間の非常に反応性の高い部分、塩、及び静電相互作用は、粒子を互いに近づけて、多数の化学/イオン結合の形成/再形成を可能にし、粉末120aを概して短時間で使用できなくする。この短い貯蔵寿命の特徴は、以前の粉末120aの低い湿潤性に追加されている。プロピレングリコールの使用は、反応性の高い部分を鎮静化するようであり、従って、静電力又は塩橋が新しい最終粉末120の粒子を互いに密接に結合することを防ぐ。プロピレングリコールは、粒子の塩橋を効果的に低減する。貯蔵寿命が延びるというこの追加の理由により、新しい粉末120は、古い又は以前の粉末120aよりも大幅に改善されている。
【0037】
(製造工程)
本発明の実際の製造工程を図4に示す。本発明は、乾式粉砕を使用するので、新規の処理剤を塗布する前又は塗布中に粒子を「最終」粒子に乾燥させる必要はない。約20ミクロンの最大粒子サイズD99を有する霞石閃長岩粉末の供給202は、ライン204によって示されるように、好ましくは円錐粉砕機である乾式粉砕装置210に向けられる。しかしながら、様々な乾式粉砕装置を使用することができる。同時に、プロピレングリコールPGは、投与ポンプ208を経由してタンク206から送られる。実際には、PG投与量は、供給202からの粉末の0.5重量パーセントである。この方法は乾式粉砕であるため、プロピレングリコールは、本明細書でこれまでに開示されているように、新規のフィラーの乾燥最終粒子を生成するように機能するだけである。乾燥最終粒子は、6ミクロン未満、好ましくは4ミクロン未満の所望の最大粒子サイズD99に粉砕されるときにコーティングされる。
【0038】
供給物202における投入粉末の記載された粒子サイズ及びポンプ208のPG投与量は、製造方法200において使用される。しかしながら、供給物202における粉末の「粒子サイズ」は、約50ミクロンのD99粒子サイズを有するM-3、及び、約20ミクロンのD99粒子サイズを有するM-7など、製造工場で利用可能な任意のより大きなサイズの霞石閃長岩であり得る。一般的な発明の画定として、サイズは「100ミクロン未満」又は「50ミクロン未満」と表現することができる。タンク206からのプロピレングリコールPGの投与量は、供給物202からの投入質量の1.0重量パーセント未満であるため、最終的な乾燥粉末は、0.2~0.6重量パーセントの好ましいコーティングを有する。PGを使用した乾式粉砕は、方法100で湿式粉砕を使用する場合とは理論的に異なる。この方法100では、プロピレングリコールを湿式粉砕の補助として使用することもできるであろう(ただし、無関係である)。本発明は、新規の粉砕ではない。本発明は、薄層での表面コーティングによって引き起こされる新規の表面状態を有する乾燥粉末を有する非常に微細なフィラーである。方法200が供給202の大きな粒子を出力ライン222内の「最終的な」粒子に変換するときに、層は乾燥粒子の表面に積層される。
【0039】
ミル210は、霞石閃長岩粉末を細かく粉砕された粉末に乾式粉砕する。細かく粉砕された粉末は、ライン222を介して排出するための最終的な「目標サイズ」を持つ乾燥プロピレングリコールコーティング粒子(含水率0.5%未満)を分離するために、ミル210からライン212を通っていくらか標準的な粒子分類器220への空気の流れによって運ばれる。この送出は、6ミクロン未満又は好ましくは4ミクロン未満の粒子サイズを有する新規のフィラーである。実際には、5ミクロン未満である。従って、出力ライン222を通って排出される分離された粒子は、本発明のフィラー又は最終粉末である。実際には、ライン222からの粒子は、Minex14のサイズ、つまり最大サイズが4ミクロン未満である。SOPに従って、粗分画粒子は、出力ライン224を経由して分類器220からミル210に戻る。方法200は第2の実施形態であり、最終粒子を乾燥状態に変換するために乾燥を必要としないので、それらは本発明に従って処理することができる。従って、それは湿式粉砕法100とは異なる。
【0040】
記載された方法200の実行は、0.5重量パーセントの設定されたPG投与量を有し、最終的にコーティングされた粒子(フィラー)は、ライン222によって出口の容器に輸送される。最終粉末は、すでに説明したように、所望の最大粒子サイズを有していた。さらに、最終粉末のIDF法の試験は、60秒未満、実際には20~30秒未満であった。この所望の高い湿潤特性は、方法200で最大1.0重量パーセントのPGが使用されたときに得られた。商業的に使用可能な製品に必要な「制限された」量は、1.0重量パーセント未満であることが発見された。量が1.0%に近づくと、処理された粉末は「固まり」始め、浮遊「しない」特性が損なわれた。実際には、高湿潤性と商業的に使用可能な製品の両方を得るためには、0.2~0.6重量パーセントが好ましいことが発見された。
【0041】
方法200の1つの実施において、装置210は、8フィート×48インチ(外部)の寸法を有する円筒形セクションを有し、約21rpmで、危険速度の72パーセントで作動する円錐形粉砕機である。それは5インチのライナーを有する。ミル210には、排出端に3/4インチのオリジナルのスロットを備えた格子がある。それは45~50体積%のアルミナ小石媒体を有する。媒体の新たな(オリジナルの)チャージは、(a)3000ポンドの1-1/4インチの小石であり、(b)2500ポンドの1インチの小石であり、(c)1000ポンドの3/4インチの小石である。ミルの回転は、媒体のタンブリング動作を作成する。媒体は、供給物202からの投入質量の粒子に衝突し、また、タンク206からのプロピレングリコールの表面層で粒子をコーティングする。この動作は、粒子をコーティングしてより細かいサイズに分解する。実際には、プロピレングリコールは、新規の粒子表面処理を作成するために使用される。プロピレングリコールは、本発明を得るために、開示された生産開発方法200において使用される。ミルを通る空気の流れは、PGの表面層を備えた最も細かい粒子を運ぶが、粗い粒子は、最終的に空気の流れのアウトライン212によってミルから運ぶことができるサイズに達するまでミルに留まる。
【0042】
乾式粉砕を使用したバックグラウンド試験として、Minex-3霞石閃長岩粉末(50ミクロンを超えるD99)を、オービタルボールミルを備えるグラインダー210で、3mm(Yttria)を使用して350rpmで2.5時間粉砕乾燥し、D99が4ミクロン未満の微粉末を得た。これは「6ミクロン未満」であり、本発明の最も広い粒子サイズ制限であり、好ましい場合は5ミクロン未満である。潤滑性の表面処理流体を添加しない場合、粉末のIDF法の湿潤時間は3分をはるかに超えていた。粉末は単に試験水面に浮いただけであった。これは許容されなかった。乾式粉砕中に使用したMinex-3粉末の0.6重量パーセントのプロピレングリコールを使用して手順を繰り返した場合、粉末の湿潤性は、IDF法の湿潤性時間が30秒未満(許容可能な60秒を大幅に下回る)に大幅に向上し、含水率は約0.5%であったため、粒子の取り扱いが容易であった。驚いたことに、図1及び図2に示すように、塊は自然に多くのクラスターAに形成された。図2に示すように、これらのクラスターが塗料Pに急速に混合されることが分かった。図4の方法200によって得られた粒子分布のグラフFが図5に開示されている。粒子は4ミクロン未満であり、これは本発明の好ましい実施形態であり、また5ミクロン未満である。
【0043】
(処理流体の量)
処理流体は、粒子の表面の大部分を薄い層で覆う必要がある。これは、方法100又は方法200のように、粒子が乾燥し、「最終的な」粒子のサイズに変換されたときに行われる。乾燥粒子をコーティングするこの作用は、プロピレングリコールが粉砕助剤として使用されてきた湿式粉砕とは異なる。粉砕助剤は、粉砕後の目的を有していない。それらは粒子をコーティングしない。実際には、粒子が湿式粉砕されると、粉砕助剤が溶解する。操作114のように「最終的な」粒子が加熱されると、水とともに蒸発する。本発明において、本明細書に開示される本発明を得るために、粒子表面積の大部分は流体によって覆われなければならない。これには、「最終的な」乾燥粒子の1.0重量パーセント未満の表面処理剤が必要である。好ましくは、表面処理剤の重量は、粒子の0.2~0.6重量パーセントである。その結果、膨大な数の非常に小さな粒子の生成によって引き起こされる非常に大きな表面積は、処理剤の薄層によって覆われる。粒子をコーティングする処理流体の目的は、粉砕後の乾燥粒子の使用に関連している。目的は、最終的な乾燥粉末を形成する微粒子の表面にコーティングを塗布することである。流体の実際の量は、1.0重量パーセント未満、好ましくは0.2~0.6重量パーセントの本発明の範囲内にある。この量を超えると、フィラーが機能しなくなり、許容できない「ケーキング」のためにフィラーとして使用できないことが発見された。実際には、処理液の臨界量とその限界は、本発明の別の重要な側面を構成する発見である。
【0044】
(発明の記載)
A. 実質的に遊離シリカを含まず、少なくとも5のモース硬度及び6ミクロン未満の制御された最大粒子サイズを有する火成岩から形成された粉末を備えるコーティング用のフィラーであって、
前記粒子は、前記粉末の湿潤性を大幅に向上させる潤滑性流体の表面流体層を有する、
フィラー。
【0045】
B. 前記向上した湿潤性が、湿潤性を決定するIDF法によって測定されたときに60秒未満である、
付記Aに記載のフィラー。
【0046】
C. 前記粒子の粒子表面積の少なくとも大部分が、前記流体層によって覆われている、
付記Bに記載のフィラー。
【0047】
D. 前記粒子の粒子表面積の少なくとも大部分が、前記流体層によって覆われている、
付記Aに記載のフィラー。
【0048】
E. 前記表面流体層は粘着性流体でもあり、前記粉末の密集は、前記粒子が多くの粒子を有するクラスターに凝集することによって特徴付けられ、前記粉末が前記コーティングに堆積するまで、前記多くの粒子の様々な粒子サイズが緩くまとまっている、
付記Bに記載のフィラー。
【0049】
F. 前記表面流体層もまた粘着性流体であり、前記粉末のかさ密度は、前記粒子が多くの粒子を有するクラスターに凝集することによって特徴付けられ、前記粉末が前記コーティングに堆積するまで、前記多くの粒子の様々な粒子サイズが緩くまとまっている、
付記Aに記載のフィラー。
【0050】
G. 前記潤滑性及び粘着性の流体は、プロピレングリコールと技術的に同等の潤滑特性及び粘着特性を有する処理液である、
付記Fに記載のフィラー。
【0051】
H. 前記潤滑性及び粘着性の流体は、プロピレングリコールである、
付記Fに記載のフィラー。
【0052】
I. 前記火成岩は、霞石閃長岩である、
付記Fに記載のフィラー。
【0053】
J. 前記火成岩は、霞石閃長岩である、
付記Eに記載のフィラー。
【0054】
K. 前記フィラーの水分含有量は、1.0パーセント未満である、
付記Fに記載のフィラー。
【0055】
L. 前記フィラーの水分含有量は、1.0パーセント未満である、
付記Eに記載のフィラー。
【0056】
M. 前記表面流体層は、前記フィラー中の1.0パーセント未満の重量の粒子を備える、
付記Eに記載のフィラー。
【0057】
N. 前記表面流体層は、前記フィラー中の0.2~0.6パーセントの重量の粒子を備える、
付記Mに記載のフィラー。
【0058】
O. 前記コーティングは、塗料、自動車用ベースコート、自動車用クリアコート、UV硬化性pudクリアウッドコーティング、従来のクリアウッドフロアコーティング、インク、着色剤、及び、粉体コーティングからなるクラスから選択される、
付記Eに記載のフィラー。
【0059】
P. コーティング用のフィラーを製造する方法であって、
(a)所与のレベルで最大粒子サイズD99を有する火成岩の粒子塊を、6ミクロン未満の減少した最大粒子サイズを有する乾燥最終粒子に変換することと、
(b)前記変換操作中に、前記乾燥最終粒子上に処理流体の表面層を塗布することであって、前記流体は潤滑性であり、前記乾燥最終粒子が大幅に向上した湿潤性を有し、前記フィラーを備える前記乾燥最終粒子の湿潤性の所望の増加を得るための量で前記処理流体を塗布することと、
を備える、
方法。
【0060】
Q. 前記変換操作は、前記最終粒子の湿った塊を有するスラリーを生成するための湿式粉砕操作であり、
(c)前記最終粒子の前記湿った塊を乾燥させて、前記最終粒子の乾燥凝集断片にすることと、
(d)前記乾燥凝集断片を個々の乾燥最終粒子に機械的に変化させることと、
(e)前記機械的に変化させる操作中に前記乾燥最終粒子に前記表面層を塗布することと、
を含む、
付記Pに記載の方法。
【0061】
R. 前記変換操作は、前記乾燥最終粒子を形成するための単なる乾式粉砕操作であり、
(c)前記粉砕操作中に前記乾燥最終粒子に前記表面層を塗布すること、を含む、
付記Pに記載の方法。
【0062】
S. 前記処理流体の量は、前記乾燥最終粒子の0.2~0.6重量パーセントである、
付記Pに記載の方法。
【0063】
T. 前記処理流体は粘着性でもあり、前記乾燥最終粒子は互いに緩く付着しやすく、それによって多粒子クラスターを形成し、前記クラスターが前記コーティングに導入されると、前記クラスターが個々の最終粒子に急速に崩壊する、
付記Pに記載の方法。
【0064】
U. 前記潤滑性及び粘着性の流体は、プロピレングリコールと技術的に同等の潤滑特性及び粘着特性を有する処理流体である、
付記Tに記載の方法。
【0065】
V. 前記潤滑性及び粘着性の流体は、プロピレングリコールである、
付記Tに記載の方法。
【0066】
W. 前記火成岩は、霞石閃長岩である、
付記Pに記載の方法。
【0067】
X.付記A~Oのいずれか1項に記載のフィラーを備えるコーティング組成物。
【0068】
Y.前記組成物が、塗料、自動車用ベースコート、自動車用クリアコート、UV硬化性pudクリアウッドコーティング、従来のクリアウッドフロアコーティング、インク、着色剤、及び、粉末コーティングからなるクラスから選択される、
付記Xに記載のコーティング組成物。
【0069】
Z.付記P~Wのいずれか1項に記載の方法を使用して得られるフィラー。
【0070】
本明細書に例示及び記載された本発明の好ましい実施形態にかなりの重点が置かれているが、他の実施形態及びそれらの同等物は、本発明の原理から逸脱することなく、好ましい実施形態において多くの変更を行うことができ、また行うことができる。さらに、上記の実施形態を組み合わせて、本出願の本発明のさらに他の実施形態を形成することができる。従って、前述の説明事項は、限定としてではなく、単に本発明の例示として解釈されるべきであることが明確に理解されるべきである。さらに、特許請求の範囲は開示の一部を形成する。
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】