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特表2023-504952検出基板、その製造方法及び平板検出装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-08
(54)【発明の名称】検出基板、その製造方法及び平板検出装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 27/146 20060101AFI20230201BHJP
【FI】
H01L27/146 C
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021568343
(86)(22)【出願日】2019-10-14
(85)【翻訳文提出日】2021-11-15
(86)【国際出願番号】 CN2019111071
(87)【国際公開番号】W WO2021072604
(87)【国際公開日】2021-04-22
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510280589
【氏名又は名称】京東方科技集團股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】BOE TECHNOLOGY GROUP CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】No.10 Jiuxianqiao Rd.,Chaoyang District,Beijing 100015,CHINA
(71)【出願人】
【識別番号】520177079
【氏名又は名称】北京京▲東▼方▲伝▼感技▲術▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】BEIJING BOE SENSOR TECHNOLOGY CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】Room C-301,C-302,Floor3,Area C,Building 2, No.8 Xihuanzhong Rd.,BDA,Beijing 100176, CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シアンミー ジャン
(72)【発明者】
【氏名】シュエチョン ホウ
(72)【発明者】
【氏名】ジー ディン
(72)【発明者】
【氏名】グワン ジャン
(72)【発明者】
【氏名】ジエンシン シャン
(72)【発明者】
【氏名】ジンジエ スー
【テーマコード(参考)】
4M118
【Fターム(参考)】
4M118AA10
4M118AB01
4M118BA05
4M118CA03
4M118CA05
4M118CB11
4M118CB14
4M118EA14
4M118FB03
4M118FB13
4M118FB24
4M118HA26
4M118HA27
(57)【要約】
本公開の実施形態が提供する検出基板、その製造方法及び平板検出装置において、第1の電極104のベース基板100への順投影と薄膜トランジスタ103の活性層のベース基板100への順投影とが少なくとも一部重なり合い、かつ、第1の電極104がデータ線101に近接する側に第1の突出部を有し、第1の突出部のベース基板100への順投影が活性層のベース基板100への順投影とデータ線101のベース基板100への順投影との間に位置するように設置することにより、その後の光電変換構造105を作製する過程において水素元素の活性層への拡散を阻止し、薄膜トランジスタ103の安定性を有効に改善し、平板検出装置の性能を向上させた。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース基板と、
第1の方向に沿って延伸するデータ線及び第2の方向に沿って延伸するゲートラインと、
前記ベース基板上に位置する薄膜トランジスタと、
順次に積層して設置されて電気的に接続されている第1の電極、光電変換構造及び第2の電極と、
前記第2の電極と電気的に接続されているバイアス線と、
を含み、
前記第1の電極は、前記薄膜トランジスタと電気的に接続されており、かつ、前記ベース基板への順投影が前記薄膜トランジスタの活性層の前記ベース基板への順投影と少なくとも一部重なり合い、
前記第1の電極の前記データ線に近接する側に第1の突出部を有し、前記第1の突出部の前記ベース基板への順投影が、前記活性層の前記ベース基板への順投影と前記データ線の前記ベース基板への順投影との間に位置する、ことを特徴とする検出基板。
【請求項2】
前記データ線は、前記第1の突出部に近接する側に第1の凹溝を有し、前記第1の電極と前記データ線とは、第2の方向に沿った距離がほぼ等しい、
ことを特徴とする請求項1に記載の検出基板。
【請求項3】
前記薄膜トランジスタと前記第1の電極との間に位置する絶縁層をさらに含み、前記第1の電極が前記絶縁層上のスルーホールによって前記薄膜トランジスタと電気的に接続されており、
前記第1の電極は、前記ゲートラインに近接する側に第2の突出部を有し、前記第2の突出部が前記スルーホールを覆う、
ことを特徴とする請求項1に記載の検出基板。
【請求項4】
前記ゲートラインは、前記第2の突出部に近接する側に第2の凹溝を有し、前記第1の電極と前記ゲートラインとは、第1の方向に沿った距離がほぼ等しい、
ことを特徴とする請求項3に記載の検出基板。
【請求項5】
前記絶縁層は、順次に積層して設置された第1のパッシベーション層と、第2のパッシベーション層と、第3のパッシベーション層とを含み、前記第1のパッシベーション層及び前記第3のパッシベーション層は、いずれも酸化珪素及び窒化酸化珪素のうちの少なくとも1種を含む、
ことを特徴とする請求項3に記載の検出基板。
【請求項6】
前記第2のパッシベーション層は、樹脂材料であり、かつ、厚さが1μm~3μmである、
ことを特徴とする請求項5に記載の検出基板。
【請求項7】
前記光電変換構造の前記ベース基板への順投影が、前記スルーホールの前記ベース基板への順投影の少なくとも一部を囲む、
ことを特徴とする請求項5に記載の検出基板。
【請求項8】
前記光電変換構造の前記ベース基板への順投影が前記スルーホールと前記活性層の前記ベース基板への順投影を覆う、
ことを特徴とする請求項5に記載の検出基板。
【請求項9】
前記バイアス線の前記ベース基板への順投影と前記活性層の前記ベース基板への順投影とが互いに重なり合わない、
ことを特徴とする請求項8に記載の検出基板。
【請求項10】
前記活性層の材質が金属酸化物であることを特徴とする請求項1ないし9のいずれか1つに記載の検出基板。
【請求項11】
ボンディング領域に位置する透明リード線層をさらに含み、
前記データ線がボンディング領域まで延伸し、かつ、前記データ線は、前記ボンディング領域の上にある前記第1の電極の所在する層、前記バイアス線の所在する層および前記透明リード線層において、それに対応して電気的に接続されている第1の引き出し線を有する、
ことを特徴とする請求項1ないし9のいずれか1つに記載の検出基板。
【請求項12】
前記ゲートラインが前記ボンディング領域まで延伸し、かつ、前記ゲートラインは、前記ボンディング領域の上にある前記データ線の所在する層、前記第1の電極の所在する層、前記バイアス線の所在する層および前記透明リード線層において、それに対応して電気的に接続されている第2の引き出し線を有する、
ことを特徴とする請求項11に記載の検出基板。
【請求項13】
請求項1ないし12のいずれか1つに記載の検出基板を含むことを特徴とする平板検出装置。
【請求項14】
1つのベース基板を提供する工程と、
前記ベース基板上に、薄膜トランジスタの各膜層と、スルーホールを有する絶縁層と、第1の電極と、光電変換構造と、第2の電極と、バイアス線とを順次に形成する工程と、を含み、
前記第1の電極がスルーホールによって前記薄膜トランジスタと電気的に接続されており、前記バイアス線が前記第2の電極と電気的に接続されている、
ことを特徴とする請求項1ないし12のいずれか1つに記載の検出基板の製造方法。
【請求項15】
前記スルーホールを有する絶縁層を形成する工程は、
第1の製造所において、
前記第1のパッシベーション層を形成するステップと、
前記第1のパッシベーション層上に、前記薄膜トランジスタに対応する位置に第1のスルーホールを形成するステップと、
前記第2のパッシベーション層及び前記第3のパッシベーション層を形成するステップと、
第2の製造所において、
前記第2のパッシベーション層及び前記第3のパッシベーション層上に前記第1のスルーホールに対応する第2のスルーホール及び第3のスルーホールをそれぞれ形成するステップと、
を含むことを特徴とする請求項14に記載の製造方法。
【請求項16】
前記スルーホールを有する絶縁層を形成する工程は、
第1の製造所において、
前記第1のパッシベーション層と前記第2のパッシベーション層とを順次に形成するステップと、
前記第2のパッシベーション層を露光し、前記第2のパッシベーション層を貫通して前記薄膜トランジスタの位置に対応する第2のスルーホールを形成するステップと、
前記第1のパッシベーション層上に、前記第2のスルーホールに対応する第1のスルーホールを形成するステップと、
前記第2のパッシベーション層上に、前記第3のパッシベーション層を形成するステップと、
第2の製造所において、
前記第3のパッシベーション層上に、前記第2のスルーホールに対応する第3のスルーホールを形成するステップと、
を含むことを特徴とする請求項14に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本公開は、光電検出技術分野に関し、特に検出基板、その製造方法及び平板検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
X線検出技術は、工業上の非破壊検出、コンテナー走査、回路基板の検査、医療、安全防備、工業などの分野に広く応用されており、広い応用見込みがある。従来のX-Ray撮影技術は、アナログ信号撮影に属し、解像度が高いとは言えず、画像品質が悪い。20世紀90年代の末に現れたX線デジタル化撮影技術(Digital Radio Graphy,DR)は、X線平板検出装置を採用してX画像を直接にデジタル画像に変換し、変換したデジタル画像が明瞭であって、解像度が高く、かつ格納及び伝送しやすいので、従来の研究が盛んでいる。構造の相違点に応じて、X線平板検出装置は、直接変換方式(Direct DR)及び間接変換方式(Indirect DR)に分けられている。その中、間接変換方式のX線平板検出装置に関する技術が熟し、コストが比較的に低く、検出量子効率(Detective Quantum Efficiency,DQE)が高く、信頼性が良いなどの利点により、広く開発及び応用されている。
【0003】
X線平板検出装置は、主に薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor,TFT)及び光電ダイオード(PIN)を含む。X線照射により、間接変換方式のX線平板検出装置のシンチレータ層又は蛍光体層は、X線光子を可視光に変換し、その後、PINの作用により可視光を電気信号に変換し、最後に、TFTにより電気信号を読み取って電気信号を出力して表示画像を得る。
【発明の概要】
【0004】
本公開の実施形態は、ベース基板と、
第1の方向に沿って延伸するデータ線及び第2の方向に沿って延伸するゲートラインと、
前記ベース基板上に位置する薄膜トランジスタと、
順次に積層して設置されて電気的に接続されている第1の電極、光電変換構造及び第2の電極と、
前記第2の電極と電気的に接続されているバイアス線と、
を含み、
前記第1の電極は、前記薄膜トランジスタと電気的に接続されており、かつ、前記ベース基板への順投影が前記薄膜トランジスタの活性層の前記ベース基板への順投影と少なくとも一部重なり合い、
前記第1の電極の前記データ線に近接する側に第1の突出部を有し、前記第1の突出部の前記ベース基板への順投影が、前記活性層の前記ベース基板への順投影と前記データ線の前記ベース基板への順投影との間に位置する
検出基板を提供する。
【0005】
あるいは、本公開の実施形態が提供する上記検出基板において、前記データ線は、前記第1の突出部に近接する側に第1の凹溝を有し、前記第1の電極と前記データ線とは、第2の方向に沿った距離がほぼ等しい。
【0006】
あるいは、本公開の実施形態が提供する上記検出基板において、前記薄膜トランジスタと前記第1の電極との間に位置する絶縁層をさらに含み、前記第1の電極が前記絶縁層上のスルーホールによって前記薄膜トランジスタと電気的に接続されており、
前記第1の電極は、前記ゲートラインに近接する側に第2の突出部を有し、前記第2の突出部が前記スルーホールを覆う。
【0007】
あるいは、本公開の実施形態が提供する上記検出基板において、前記ゲートラインは、前記第2の突出部に近接する側に第2の凹溝を有し、前記第1の電極と前記ゲートラインとは、第1の方向に沿った距離がほぼ等しい。
【0008】
あるいは、本公開の実施形態が提供する上記検出基板において、前記絶縁層は、順次に積層して設置された第1のパッシベーション層と、第2のパッシベーション層と、第3のパッシベーション層とを含み、前記第1のパッシベーション層及び前記第3のパッシベーション層はいずれも酸化珪素及び窒化酸化珪素のうちの少なくとも1種を含む。
【0009】
あるいは、本公開の実施形態が提供する上記検出基板において、前記第2のパッシベーション層は、樹脂材料であり、かつ、厚さが1μm~3μmである。
【0010】
あるいは、本公開の実施形態が提供する上記検出基板において、前記光電変換構造の前記ベース基板への順投影が、前記スルーホールの前記ベース基板への順投影の少なくとも一部を囲む。
【0011】
あるいは、本公開の実施形態が提供する上記検出基板において、前記光電変換構造の前記ベース基板への順投影が前記スルーホールと前記活性層の前記ベース基板への順投影を覆う。
【0012】
あるいは、本公開の実施形態が提供する上記検出基板において、前記バイアス線の前記ベース基板への順投影と前記活性層の前記ベース基板への順投影とが互いに重なり合わない。
【0013】
あるいは、本公開の実施形態が提供する上記検出基板において、前記活性層の材質が金属酸化物である。
【0014】
あるいは、本公開の実施形態が提供する上記検出基板において、ボンディング領域に位置する透明リード線層をさらに含み、
前記データ線がボンディング領域まで延伸し、かつ、前記データ線は、前記ボンディング領域の上にある前記第1の電極の所在する層、前記バイアス線の所在する層および前記透明リード線層において、それに対応して電気的に接続されている第1の引き出し線を有する。
【0015】
あるいは、本公開の実施形態が提供する上記検出基板において、前記ゲートラインが前記ボンディング領域まで延伸し、かつ、前記ゲートラインは、前記ボンディング領域の上にある前記データ線の所在する層、前記第1の電極の所在する層、前記バイアス線の所在する層および前記透明リード線層において、それに対応して電気的に接続されている第2の引き出し線を有する。
【0016】
本公開の実施形態は、本公開の実施形態が提供する上記検出基板を含む平板検出装置をさらに提供する。
【0017】
本公開の実施形態は、1つのベース基板を提供する工程と、
前記ベース基板上に、薄膜トランジスタの各膜層と、スルーホールを有する絶縁層と、第1の電極と、光電変換構造と、第2の電極と、バイアス線とを順次に形成する工程と、を含み、
前記第1の電極がスルーホールによって前記薄膜トランジスタと電気的に接続されており、前記バイアス線が前記第2の電極と電気的に接続されている
上記検出基板の製造方法をさらに提供する。
【0018】
あるいは、本公開の実施形態が提供する上記製造方法において、前記スルーホールを有する絶縁層を形成する工程は、具体的に前記のスルーホールを有する絶縁層を形成する工程は、具体的に、
第1の製造所において、
前記第1のパッシベーション層を形成するステップと、
前記第1のパッシベーション層上に、前記薄膜トランジスタに対応する位置に第1のスルーホールを形成するステップと、
前記第2のパッシベーション層及び前記第3のパッシベーション層を形成するステップと、
第2の製造所において、
前記第2のパッシベーション層及び前記第3のパッシベーション層上に前記第1のスルーホールに対応する第2のスルーホール及び第3のスルーホールをそれぞれ形成するステップと、
を含む。
【0019】
あるいは、本公開の実施形態が提供する上記製造方法において、前記スルーホールを有する絶縁層を形成する工程は、具体的に、
第1の製造所において、
前記第1のパッシベーション層と前記第2のパッシベーション層とを順次に形成するステップと、
前記第2のパッシベーション層を露光し、前記第2のパッシベーション層を貫通して前記薄膜トランジスタの位置に対応する第2のスルーホールを形成するステップと、
前記第1のパッシベーション層上に、前記第2のスルーホールに対応する第1のスルーホールを形成するステップと、
前記第2のパッシベーション層上に、前記第3のパッシベーション層を形成するステップと、
第2の製造所において、
前記第3のパッシベーション層上に、前記第2のスルーホールに対応する第3のスルーホールを形成するステップと、
を含む。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、本公開の実施形態が提供する検出基板の平面構造模式図である。
図2図2は、図1に示す検出基板における画素ユニットの第1の平面構造模式図である。
図3図3は、図2におけるI-I’線に沿った断面構造模式図である。
図4図4は、図1に示す検出基板における画素ユニットの第2の平面構造模式図である。
図5図5は、図4におけるII-II’線に沿った断面構造模式図である。
図6図6は、図1に示す検出基板における画素ユニットの第3の平面構造模式図である。
図7図7は、図6におけるIII-III’線に沿った断面構造模式図である。
図8図8は、図1に示す検出基板における画素ユニットの第4の平面構造模式図である。
図9図9は、図8におけるIV-IV’線に沿った第1の断面構造模式図である。
図10図10は、図8におけるIV-IV’線に沿った第2の断面構造模式図である。
図11図11は、図1に示す検出基板における画素ユニットの第5の平面構造模式図である。
図12図12は、図11におけるIV-IV’線に沿った断面構造模式図である。
図13図13は、本公開の実施形態が提供する検出基板のもう1つの平面構造図である。
図14図14は、図13におけるVI-VI’、VII-VII’及びVIII-VIII’に沿った断面構造模式図である。
図15図15は、本公開の実施形態が提供する検出基板の製造方法の第1のフローチャートである。
図16図16は、図15に示すフローチャートを採用して図8及び図9に示す検出基板における画素ユニットを作製する過程において各工程に対応する構造模式図である。
図17図17は、図15に示すフローチャートを採用して図8及び図9に示す検出基板における画素ユニットを作製する過程において各工程に対応する構造模式図である。
図18図18は、図15に示すフローチャートを採用して図8及び図9に示す検出基板における画素ユニットを作製する過程において各工程に対応する構造模式図である。
図19図19は、図15に示すフローチャートを採用して図8及び図9に示す検出基板における画素ユニットを作製する過程において各工程に対応する構造模式図である。
図20図20は、図15に示すフローチャートを採用して図8及び図9に示す検出基板における画素ユニットを作製する過程において各工程に対応する構造模式図である。
図21図21は、図15に示すフローチャートを採用して図8及び図9に示す検出基板における画素ユニットを作製する過程において各工程に対応する構造模式図である。
図22図22は、図15に示すフローチャートを採用して図8及び図9に示す検出基板における画素ユニットを作製する過程において各工程に対応する構造模式図である。
図23図23は、図15に示すフローチャートを採用して図8及び図9に示す検出基板における画素ユニットを作製する過程において各工程に対応する構造模式図である。
図24図24は、本公開の実施形態が提供する検出基板の製造方法の第2のフローチャートである。
図25図25は、図24に示すフローチャートを採用して図8及び図9に示す検出基板における画素ユニットを作製する過程において各工程に対応する構造模式図である。
図26図26は、図24に示すフローチャートを採用して図8及び図9に示す検出基板における画素ユニットを作製する過程において各工程に対応する構造模式図である。
図27図27は、図24に示すフローチャートを採用して図8及び図9に示す検出基板における画素ユニットを作製する過程において各工程に対応する構造模式図である。
図28図28は、図24に示すフローチャートを採用して図8及び図9に示す検出基板における画素ユニットを作製する過程において各工程に対応する構造模式図である。
図29図29は、図24に示すフローチャートを採用して図8及び図9に示す検出基板における画素ユニットを作製する過程において各工程に対応する構造模式図である。
図30図30は、図24に示すフローチャートを採用して図8及び図9に示す検出基板における画素ユニットを作製する過程において各工程に対応する構造模式図である。
図31図31は、図24に示すフローチャートを採用して図8及び図9に示す検出基板における画素ユニットを作製する過程において各工程に対応する構造模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本公開の実施形態の目的、技術案および利点をより明らかにするために、以下、本公開の実施形態の図面を参照しながら、本公開の実施形態の技術案を明瞭、完全に説明する。明らかに、説明した実施形態は、本公開の全ての実施形態ではなく、一部の実施形態である。説明する本公開の実施形態に基づき、当業者が創造的な労働を行わずに得られたその他の実施形態は、全て本公開の保護範囲に属する。
【0022】
別途定義がない限り、ここで使用する技術用語又は科学用語は、当業者が理解し得る通常の意味を有する。本公開の明細書及び特許請求の範囲で使用する「第1の」、「第2の」及び類似する語は、何ら順序、数又は重要性を表すものではなく、異なる組成部分を区別するためのものに過ぎない。「有する」又は「含む」などの類似する語は、当該語の前に出現する素子又は物が、当該語の後に挙げられる素子又は物及びその同等物を含むことを意味し、その他の素子又は物は排除されない。「内」、「外」、「上」、「下」等は、相対位置関係を記述するための語に過ぎず、記述される対象の絶対位置が変化した後、当該相対位置関係が相応的に変化する可能性もある。
【0023】
関連技術において、平板検出装置に含まれるTFTは、非晶質シリコン(a-Si)TFTであってもよいが、a-Si TFTは、移動度が低く、特性サイズが大きいなどの欠点を有するため、このような平板検出装置のフレームレートが低く、ピクセルフィルレートが低い。非晶質インジウム・ガリウム・亜鉛酸化物(a-IGZO)TFTを代表とした酸化物TFTは、移動度が高く、透明度が高く、サイズが小く、製造温度が低く、コストが低いなどの優れた性能を有するため、a-IGZO TFTを含む平板検出装置のフレームレート及びピクセルフィルレートがいずれも高い。
【0024】
a-IGZO TFTを含む平板検出装置を作製する過程において、一般的に、a-IGZO TFTにパッシベーション層及びPIN膜層を蒸着する必要がある。しかしながら、パッシベーション層及びPIN膜層の蒸着過程において、水素元素がa-IGZO TFTのチャネル領域へ拡散し、a-IGZO TFTの安定性が悪くなり、さらに平板検出装置の性能が影響されてしまう。
【0025】
関連技術に存在する上記問題に対して、本公開の実施形態は、検出基板、その製造方法及び平板検出装置を提供する。
【0026】
以下、図面を参照しながら、本公開の実施形態が提供する検出基板、その製造方法及び平板検出装置の具体的な実施形態を詳しく説明する。図面において、各膜層の厚さ及び形状は、実の比例を反映するものではなく、本公開の内容を概略的に説明するものに過ぎない。
【0027】
本公開の実施形態が提供する検出基板は、図1に示すように、ベース基板100と、ベース基板100上に位置するソース電極駆動装置001、ゲート電極駆動装置002、バイアス電圧装置003、第1の方向xに沿って延伸するデータ線101及び第2の方向yに沿って延伸するゲートライン102と、検出領域AA内に位置する複数の画素ユニットPと、を含む。図2及び図3に示すように、各々の画素ユニットPは、
ベース基板100上に位置する薄膜トランジスタ103と、
順次に積層して設置されて電気的に接続されている第1の電極104、光電変換構造105及び第2の電極106と、
第2の電極106と電気的に接続されているバイアス線107と、
データ線101にデータ信号を提供するソース電極駆動装置001と、
ゲートライン102に走査信号を提供するゲート電極駆動装置002と、
バイアス線107にバイアス電圧信号を提供するバイアス電圧装置003と、
を含み、
第1の電極104が薄膜トランジスタ103と電気的に接続されており、ベース基板100への順投影と薄膜トランジスタ103の活性層のベース基板100への順投影とが少なくとも一部重なり合い、
第1の電極104は、データ線102に近接する側に第1の突出部を有し、第1の突出部のベース基板100への順投影が、薄膜トランジスタ103の活性層のベース基板100への順投影とデータ線101のベース基板100への順投影との間に位置する。
【0028】
あるいは、光電変換構造105は、PN構造であってもよいし、PIN構造であってもよい。具体的に、PIN構造は、第1の電極104上に順次に積層して設置されてN型不純物を有するN型半導体層、不純物を有さない真性半導体層、及びP型不純物を有するP型半導体層を含む。第1の真性半導体層の厚さは、P型半導体層の厚さ及びN型半導体層の厚さより大きくてもよい。
【0029】
光電変換構造105は、光信号を電気信号に変換することができ、かつ、第1の電極104によって電気信号を薄膜トランジスタ103に伝送し、さらに、データ線101により読み出した後に画像信号に変換することができる。
【0030】
第2の電極106と第1の電極104との間に対向面積が存在し、両者の間に記憶容量を形成することができ、光電変換構造105により変換された電気信号は、上記記憶容量に記憶され得る。具体的に、光の透過効率を向上させるために、第2の電極106は、透明材料、例えばインジウム・スズ酸化物(ITO)又はインジウム・亜鉛酸化物(IZO)で形成されてもよい。
【0031】
また、第2の電極106のベース基板100への順投影が光電変換構造105のベース基板100への順投影内に位置し、即ち、第2の電極106の面積が光電変換構造105の面積より少し小さく、図3に示すように、第2の電極106のエッジと光電変換構造105のエッジとの間の距離が1μm~3μmであり、例えば、1.0μm、1.5μm、1.8μm、2.0μm、2.5μm、3.0μm等であってもよい。上記設置により、PIN側壁がエッチング時に損なわれることによる電流漏れを減小することができる。
【0032】
あるいは、ベース基板100は、フレキシブルベース基板、例えばポリエチレンエーテルフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルフォン又はポリイミド等、優れた耐熱性及び耐久性を有するプラスチック基板であってもよく、さらに剛性ベース基板、例えばガラス基板であってもよく、ここでは限定されない。
【0033】
本公開の実施形態が提供する上記検出基板において、第1の電極104のベース基板100への順投影と薄膜トランジスタ103の活性層のベース基板100への順投影とが少なくとも一部重なり合い、かつ第1の電極104がデータ線101に近接する側に第1の突出部を有し、第1の突出部のベース基板100への順投影が、活性層のベース基板100への順投影とデータ線101のベース基板100への順投影との間に位置するように設置することにより、その後の光電変換構造105を作製する過程において水素元素のチャネル領域への拡散を阻止し、薄膜トランジスタ103の安定性を有効に改善し、平板検出装置の性能を向上させた。また、第1の電極104の薄膜トランジスタ103を覆う部分は、薄膜トランジスタに補正電圧を提供することができ、薄膜トランジスタ103の臨界電圧を向上させ、電流漏れを減小することができる。
【0034】
あるいは、本公開の実施形態が提供する上記検出基板において、薄膜トランジスタ103は、金属酸化物、例えばインジウム・ガリウム・亜鉛酸化物(IGZO)により形成された活性層を含んでもよく、活性層は、チャネル領域とソース・ドレイン電極接触領域を含んでもよい。IGZO活性層は、優れたキャリア移動度を有するため、検出データの読取速度を向上させ、動的でリアルタイムの検出を実現することができる。
【0035】
あるいは、図3に示すように、本公開の実施形態が提供する上記検出基板において、シンチレータ層108をさらに含み、上記シンチレータ層108の材料は、X線を可視光に変換可能な材料、例えばCsI:Tl、Gd22S:Tb等であり、CsI:Na、CaWO4、CdWO4、NaI:Tl、BaFCl:Eu2+、BaSO4:Eu2+、BaFBr:Eu2+、LaOBr:Tb3+、LaOBr:Tm3+、La22S:Tb3+、YTaO4、YTaO4:Nb、ZnS:Ag、ZnSiO4:Mn2+、LiI:Eu2+、CeF3等であってもよい。
【0036】
入射したX線をシンチレータ層108に含まれるシンチレーション結晶において変換して得られる可視光の波長ピークが530nm~580nmであり、スペクトル範囲が350nm~700nmに達することができる。当該光線は非常に短い遅延効果を有し、X線が消えた後の1ms以内にX線照射強度の1%以下に減衰することができる。
【0037】
あるいは、図2及び図3に示すように、本公開の実施形態が提供する上記検出基板において、第1の電極104のベース基板100への順投影が、薄膜トランジスタ103の活性層のベース基板100への順投影を覆い、つまり、第1の電極104がチャネル領域A、及びチャネル領域Aの両側のソース・ドレイン電極接触領域を覆う。第1の電極104の活性層を覆う部分は、外部光線のチャネル領域への影響を有効に避け、信号対雑音比を向上させることができる。
【0038】
あるいは、図2に示すように、本公開の実施形態が提供する上記検出基板において、第1の突出部の第2の方向yにおける幅が2μm~4μmである。第1の電極104の第1の突出部の幅を2μm~4μmとすることにより、外部光線のチャネル領域への影響を有効に避け、信号対雑音比を向上させた。
【0039】
あるいは、図2に示すように、本公開の実施形態が提供する上記検出基板において、データ線101は、第1の突出部に近接する側に第1の凹溝を有し、これにより、第1の電極104とデータ線との第2の方向yに沿った距離をほぼ等しく保証し、データ線101の信号と第1の電極104の信号とのクロストーク影響を減小する。また、データ線101上の凹溝を有さない部分により、データ線101の抵抗が要求を満足することが保証され、即ち、第1の凹溝の設置によりデータ線101の抵抗が大きくなることは発生しない。
【0040】
あるいは、図4及び図5に示すように、本公開の実施形態が提供する上記検出基板において、薄膜トランジスタ103と第1の電極104との間に位置する絶縁層109をさらに含み、第1の電極104は、絶縁層109上のスルーホールHによって薄膜トランジスタ103と電気的に接続されている。
【0041】
第1の電極104は、ゲートライン102に近接する側に第2の突出部を有し、第2の突出部がスルーホールHを覆う。
【0042】
スルーホールHの存在により、薄膜トランジスタ103においてスルーホールHを支える部分が大きくなり、相応的に、第1の電極104のゲートライン102に近接する側にスルーホールHの第2の突出部を設けることにより、第1の電極104と薄膜トランジスタ103においてスルーホールHを支える部分間の電気的な接続を有効に実現した。
【0043】
あるいは、図4及び図5に示すように、本公開の実施形態が提供する上記検出基板において、ゲートライン102の第2の突出部に近接する側に第2の凹溝を有し、これにより、第1の電極104とゲートライン102との第1の方向xに沿った距離をほぼ等しく保証し、ゲートライン102の信号と第1の電極104の信号との間のクロストーク影響を減小した。また、ゲートライン102上において凹溝を有さない部分により、ゲートライン102の抵抗が要求を満足することが保証され、即ち、第2の凹溝の設置によりゲートライン102の抵抗が大きくなることは発生しない。
【0044】
あるいは、図5に示すように、本公開の実施形態が提供する上記検出基板において、絶縁層109は、順次に積層して設置された第1のパッシベーション層1091と、第2のパッシベーション層1092と、第3のパッシベーション層1093と、を含み、第1のパッシベーション層1091及び第3のパッシベーション層1093はいずれも酸化珪素及び窒化酸化珪素のうちの少なくとも1種を含む。酸化珪素及び/又は窒化酸化珪素を採用して第1のパッシベーション層1091及び第3のパッシベーション層1093を形成することにより、関連技術において窒化珪素を採用して第1のパッシベーション層1091及び第3のパッシベーション層1093を作製することにより引き起こされた、IGZO材質の活性層に含まれるチャネル領域が導体化される問題を有効に避けた。
【0045】
あるいは、本公開の実施形態が提供する上記検出基板において、第2のパッシベーション層1092は、樹脂材料であり、かつ、厚さが1μm~3μmであり、例えば1μm、1.5μm、1.8μm、2μm、2.5μm、3μm等であってもよい。具体的に、樹脂材料は、ポリアクリル樹脂、ポリエポキシアクリル樹脂、感光性ポリイミド樹脂、ポリエステルアクリレート、ポリウレタンアクリレート樹脂、フェノールエポキシアクリル樹脂等の有機絶縁材料であってもよく、ここでは限定されない。樹脂材料で作製された厚さ1μm~3μmの第2のパッシベーション層1092は、外部水蒸気、及びその後の光電変換構造105の製造プロセスにおける、水素元素のチャネル領域への拡散を有効に阻止し、薄膜トランジスタ103の安定性を向上させた。
【0046】
また、第1の電極104が薄膜トランジスタ103を覆うため、薄膜トランジスタ103の電極との間に寄生容量を生じることとなり、樹脂材料で構成された第2のパッシベーション層1092を設置することにより、第1の電極104と薄膜トランジスタ103との間の距離を増大させ、さらに寄生容量を減小し、第1の電極104の薄膜トランジスタ103への悪影響を避けることができる。
【0047】
あるいは、図6図10に示すように、本公開の実施形態が提供する上記検出基板において、光電変換構造105のベース基板100への順投影がスルーホールHのベース基板100への順投影の少なくとも一部を囲み、フィルレートを向上させた。具体的に、本公開の実施形態が提供する上記アレイ基板において、光電変換構造105のベース基板100への順投影がスルーホールHのベース基板100への順投影の一部を囲み、測定結果から明らかなように、フィルレートが関連技術の59.87%から67.03%まで向上し、平板検出装置全体の性能を向上させた。あるいは、図11及び図12に示すように、光電変換構造105のベース基板100への順投影がスルーホールHのベース基板100への順投影を完全に囲む。
【0048】
あるいは、本公開の実施形態が提供する上記検出基板において、図11及び図12に示すように、光電変換構造105のベース基板100への順投影が、スルーホールHと活性層のベース基板100への順投影を覆う。光電変換構造105は、1つの画素ユニットP内に占める面積が大きいため、フィルレートを大幅に向上させた。
【0049】
バイアス線107は、第1の方向xに沿って検出領域AAを貫通し、透明材料、例えばインジウム・スズ酸化物(ITO)又はインジウム・亜鉛酸化物(IZO)等であってもよいし、金属材料、例えば銅、銀等であってもよい。透明材料を使用する場合、光電変換構造105の上方に位置するバイアス線107は、光線を遮蔽することなく、フィルレートを有効に向上させることができる。同時に、ボンディング(bonding)領域のITOとともに、一回パターニングプロセスにより作製してもよく、プロセス流れを節約する。金属材料を使用する場合、バイアス線107の抵抗を有効に低下させ、全検出領域AA内のバイアスを一致させるように保証することができる。また、高いフィルレートを保証するために、金属材料のバイアス線107のベース基板100への順投影と、活性層のベース基板100への順投影とが互いに重なり合わない。もちろん、透明材料のバイアス線107のベース基板100への順投影は、活性層のベース基板100への順投影と互いに重なり合わなくてもよく、高いフィルレートを保証する上、生産コストを節約した。
【0050】
あるいは、本公開の実施形態が提供する上記検出基板において、図1図12に示すように、一般的に、薄膜トランジスタ103のゲート電極の所在する層と活性層との間のゲート絶縁層110と、順次に第2の電極106の所在する層とバイアス線107の所在する層との間に位置する緩衝層111、樹脂層112及び平坦層113と、バイアス線107の所在する層とシンチレータ層108との間に位置する第4のパッシベーション層114と、を含んでもよい。
【0051】
高誘電率材料、誘電材料、その他の適用可能な材料又はこれらの組み合わせでゲート絶縁層110を形成する。上記高誘電率材料は、例えば、酸化鉛、五酸化タンタル、二酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、その他の適切な材料又はこれらの組み合わせを含む。上記誘電材料は、例えば窒化珪素、窒化酸化珪素、その他の適切な材料又はこれらの組み合わせを含む。
【0052】
誘電材料又はその他の適切な材料で緩衝層111及び第4のパッシベーション層114を形成してもよい。例えば、酸化珪素、窒化珪素、窒化酸化珪素、その他の適切な材料、又はこれらの組み合わせで緩衝層111及び第4のパッシベーション層114を形成する。
【0053】
有機絶縁材料又はその他の適切な材料で樹脂層112を形成してもよい。例えば、上記有機絶縁材料は、ポリアクリル樹脂、ポリエポキシアクリル樹脂、感光性ポリイミド樹脂、ポリエステルアクリレート、ポリウレタンアクリレート樹脂、フェノールエポキシアクリル樹脂、その他の適切な材料又はこれらの組み合わせを含む。
【0054】
平坦層113を用いて、その後のプロセスに平坦な表面を提供し、誘電材料又はその他の適切な材料で平坦層113を形成してもよい。例えば、酸化珪素、窒化珪素、窒化酸化珪素、その他の適切な材料又はこれらの組み合わせで平坦層113を形成してもよい。
【0055】
図9に示すように、薄膜トランジスタ103は、具体的にボトムゲート型構造であってもよい。あるいは、図10に示すように、トップゲート型構造であってもよく、ゲート電極は、水素元素の影響から活性層を保護することができる。モリブデン、アルミニウム、銀、銅、チタン、白金、タングステン、タンタル、窒化タンタル、これらの合金及びこれらの組み合わせ又はその他の適切な材料で薄膜トランジスタ103におけるゲート金属層及びソース・ドレイン金属層を形成してもよい。
【0056】
作製プロセスを簡略化し、作製コストを節約し、生産効率を向上させるために、一回パターニングプロセスにより、ゲートライン102及び薄膜トランジスタ103のゲート電極を製造してもよい。もちろん、2回パターニングプロセスを採用して、ゲートライン102、及び薄膜トランジスタ103のゲート電極をそれぞれ製造してもよく、ここでは限定されない。
【0057】
また、作製プロセスを簡略化し、作製コストを節約し、生産効率を向上させるために、さらに一回パターニングプロセスを用いて薄膜トランジスタ103のソース電極、ドレイン電極及びデータ線101を同時に製造してもよい。もちろん、2回パターニングプロセスを採用して、薄膜トランジスタ103のソース電極及びドレイン電極、並びにデータ線101をそれぞれ製造してもよく、ここでは限定されない。
【0058】
あるいは、本公開の実施形態が提供する上記検出基板において、図13及び図14に示すように、ボンディング領域に位置する透明リード線層115をさらに含む。
【0059】
データ線101がボンディング領域まで延伸し、かつ、データ線101は、ボンディング領域上の第1の電極104の所在する層、バイアス線107の所在する層及び透明リード線層115において、対応して電気的に接続されている第1の引き出し線を有する。第1の引き出し線は、それと電気的に接続されているデータ線101に電気信号を提供するように配置されている。ゲートライン102がボンディング領域まで延伸し、かつ、ゲートライン102は、ボンディング領域上のデータ線101の所在する層、第1の電極104の所在する層、バイアス線107の所在する層及び透明リード線層115において、対応して電気的に接続されている第2の引き出し線を有する。第2の引き出し線は、それと電気的に接続されているゲートライン102に電気信号を提供するように配置されている。具体的に実施する際に、上記各導電層同士は、スルーホールによって電気的に接続されている。透明リード線層115は、インジウム・スズ酸化物(ITO)又はインジウム・亜鉛酸化物(IZO)の透明導電材料で形成されてもよい。
【0060】
なお、図13及び図14に示す検出基板では、バイアス線107の材質が金属材料である例を挙げてボンディング領域の配線を説明する。バイアス線107の材質が透明材料であれば、バイアス線107は、透明リード線層115と同一の層に位置して設置されてもよく、さらに一回パターニングプロセスを採用してバイアス線107と透明リード線層115のパターンを作製し、ボンディング領域の配線が相応的に次のように変更される。データ線101は、ボンディング領域上の第1の電極104の所在する層、バイアス線107の所在する層(即ち、透明リード線層115)において、対応して電気的に接続されている第1の引き出し線を有し、ゲートライン102は、ボンディング領域上のデータ線101の所在する層、第1の電極104の所在する層、バイアス線107の所在する層(即ち、透明リード線層115)において、対応して電気的に接続されている第2の引き出し線を有する。
【0061】
本公開の実施形態が提供する上記検出基板に対して、本公開の実施形態は、
1つのベース基板を提供する工程と、
ベース基板上に、薄膜トランジスタの各膜層と、スルーホールを有する絶縁層と、第1の電極と、光電変換構造と、第2の電極と、バイアス線と、を順次に形成する工程と、
を含み、
第1の電極がスルーホールによって薄膜トランジスタと電気的に接続されており、バイアス線が第2の電極と電気的に接続されている、製造方法を提供する。
【0062】
あるいは、本開示の実施形態が提供する製造方法において、具体的に下記の2つの可能な実現方式により、スルーホールを有する絶縁層を作製してもよい。
【0063】
そのうちの1つの可能な実現方式は、具体的に、
第1の製造所において、
第1のパッシベーション層を形成するステップと、
第1のパッシベーション層上に、薄膜トランジスタに対応する位置に第1のスルーホールを形成するステップと、
第2のパッシベーション層及び第3のパッシベーション層を形成するステップと、
第2の製造所において、
第2のパッシベーション層及び第3のパッシベーション層上に、第1のスルーホールに対応する第2のスルーホール及び第3のスルーホールをそれぞれ形成するステップと、を含んでもよい。
【0064】
もう1つの可能な実現方式は、具体的に、
第1の製造所において、
第1のパッシベーション層および第2のパッシベーション層を順次に形成するステップと、
第2のパッシベーション層を露光し、第2のパッシベーション層を貫通して薄膜トランジスタの位置に対応する第2のスルーホールを形成するステップと、
第1のパッシベーション層上に、第2のスルーホールに対応する第1のスルーホールを形成するステップと、
第2のパッシベーション層上に第3のパッシベーション層を形成するステップと、
第2の製造所において、
第3のパッシベーション層上に第2のスルーホールに対応する第3のスルーホールを形成するステップと、を含んでもよい。
【0065】
なお、本公開の実施形態が提供する上記製造方法において、各層構造の形成に係るパターニングプロセスは、蒸着、フォトレジスト塗布、マスク板のマスキング、露光、現像、エッチング、フォトレジスト剥離などの一部又は全部のプロセス過程のみならず、さらに他のプロセス過程を含んでもよく、具体的に実際の作製過程においてパターニングしようとするパターンに準じ、ここでは限定されない。例えば、現像後とエッチング前に、後ベークプロセスをさらに含んでもよい。
【0066】
ここで、蒸着プロセスは、化学気相成長法、プラズマ強化化学気相成長法又は物理気相成長法であってもよく、ここでは限定されない。マスキングプロセスにおいて用いるマスク板は、ハーフトーンマスク板(Half Tone Mask)、半透過型マスク板(Modifide Single Mask)、シングルスリットマスク板(Single Slit Mask)又はグレートーンマスク板(Gray Tone Mask)であってもよく、ここでは限定されない。エッチングは、ドライエッチング又はウェットエッチングであってもよく、ここでは限定されない。
【0067】
本公開の技術案をより良く理解するために、以下、図8及び図9に示す検出基板の作製過程を詳しく説明する。
【0068】
図15に示す製造方法を採用して、具体的に以下の工程により図8及び図9に示す構造の検出基板を作製することができる。
【0069】
S1501
1つのベース基板100を提供する。
【0070】
S1502
図16及び図17に示すように、ベース基板100上にゲート金属層と、ゲート絶縁層110と、活性層と、ソース・ドレイン金属層とを順次に作製し、ここで、ゲート金属層はゲート電極及びゲートライン102を含み、ソース・ドレイン電極金属層は、ソース電極、ドレイン電極及びデータ線101を含み、データ線101上に第1の凹溝を有し、ゲートライン102上に第2の凹溝を有し、活性層の材料がインジウム・ガリウム・亜鉛酸化物である。
【0071】
S1503
図18及び図19に示すように、ソース・ドレイン金属層上に第1のスルーホールを有する第1のパッシベーション層1091を形成し、第1のスルーホールが薄膜トランジスタの位置に対応する。
【0072】
S1504
図20及び図21に示すように、第1のパッシベーション層1091上に第2のパッシベーション層1092と第3のパッシベーション層1093とを順次に形成する。
【0073】
S1505
図22及び図23に示すように、第2のパッシベーション層1092と第3のパッシベーション層1093上に、第1のスルーホールに対応する第2のスルーホール及び第3のスルーホールをそれぞれ形成する。
【0074】
S1506
第3のパッシベーション層1093上に第1の電極104、光電変換構造105、第2の電極106、緩衝層111、樹脂層112、平坦層113、バイアス線107及び第4のパッシベーション層114を順次に作製し、ここで、第1の電極104が薄膜トランジスタ103と電気的に接続されており、第1の電極104のベース基板100への順投影と薄膜トランジスタ103の活性層のベース基板100への順投影とが完全に重なり合い、第1の電極104は、データ線101に近接する側に第1の突出部を有し、第1の突出部のベース基板100への順投影が、活性層のベース基板100への順投影とデータ線101のベース基板100への順投影との間に位置し、第1の電極104は、ゲートライン102に近接する側に第2の突出部を有し、第2の突出部がスルーホールを覆い、光電変換構造105は、スルーホールの一部を囲み、薄膜トランジスタ103の活性層を覆い、バイアス線107は、データ線101と延伸方向が同じであり、かつ、第2の電極106と電気的に接続されており、バイアス線107のベース基板100への順投影と活性層のベース基板100への順投影とが互いに重なり合わない。
【0075】
これまで、図8及び図9に示す検出基板の作製を完成した。
【0076】
なお、図15に示す製造方法において、工程S1501から工程S1504は、第1の製造所において行われ、工程S1505及び工程S1506は、第2の製造所において行われる。
【0077】
図24に示す製造方法を採用して、具体的に以下の工程により図8及び図9に示す構造の検出基板を作製することができる。
【0078】
S2401
1つのベース基板100を提供する。
【0079】
S2402
図16及び図17に示すように、ベース基板100上にゲート金属層、ゲート絶縁層110、活性層、ソース・ドレイン金属層を順次に作製し、ここで、ゲート金属層は、ゲート電極及びゲートライン102を含み、ソース・ドレイン電極金属層は、ソース電極、ドレイン電極及びデータ線101を含み、データ線101上に第1の凹溝を有し、ゲートライン102上に第2の凹溝を有し、活性層の材料がインジウム・ガリウム・亜鉛酸化物である。
【0080】
S2403
図25及び図26に示すように、ソース・ドレイン金属層上に第1のパッシベーション層1091及び第2のパッシベーション層1092を順次に形成し、第2のパッシベーション層の材料が樹脂である。
【0081】
S2404
図27及び図28に示すように、第2のパッシベーション層1092を露光し、第2のパッシベーション層1092を貫通して薄膜トランジスタ103の位置に対応する第2のスルーホールを形成する。
【0082】
S2405
図29及び図30に示すように、第1のパッシベーション層1091上に第2のスルーホールに対応する第1のスルーホールを形成する。
【0083】
S2406
図20及び図31に示すように、第2のパッシベーション層1092上に第3のパッシベーション層1093を形成する。
【0084】
S2407
図22及び図23に示すように、第3のパッシベーション層1093上に第2のスルーホールに対応する第3のスルーホールを形成する。
【0085】
S2408
第3のパッシベーション層1093上に第1の電極104、光電変換構造105、第2の電極106、緩衝層111、樹脂層112、平坦層113、バイアス線107及び第4のパッシベーション層114を順次に作製し、ここで、第1の電極104が薄膜トランジスタ103と電気的に接続されており、第1の電極104のベース基板100への順投影と薄膜トランジスタ103の活性層のベース基板100への順投影とが完全に重なり合い、第1の電極104は、データ線101に近接する側に第1の突出部を有し、第1の突出部のベース基板100への順投影が、活性層のベース基板100への順投影とデータ線101のベース基板100への順投影との間に位置し、第1の電極104は、ゲートライン102に近接する側に第2の突出部を有し、第2の突出部がスルーホールを覆い、光電変換構造105は、スルーホールの一部を囲み、薄膜トランジスタ103の活性層を覆い、バイアス線107は、データ線101と延伸方向が同じであり、かつ、第2の電極106と電気的に接続されており、バイアス線107のベース基板100への順投影と活性層のベース基板100への順投影とが互いに重なり合わない。
【0086】
これまで、図8及び図9に示す検出基板の作製を完成した。
【0087】
なお、図24に示す製造方法において、工程S2401から工程S2406は、第1の製造所において行われ、工程S2407及び工程S2408は、第2の製造所において行われる。
【0088】
製造過程という点で、第1の製造所におけるすべての製造工程を完成した後、一部形成された検出基板を第2の製造所に搬送する。第2の製造所は、第1の製造所と異なる部分であってもよいし、あるいは物理的に第1の製造所から離れる製造所であってもよい。また、第1の製造所と第2の製造所とは異なる生産ラインに位置してもよいし、1本の生産ラインにおける異なる製造所であってもよい。
【0089】
あるいは、本公開の実施形態は、さらに平板検出装置を提供し、当該平板検出装置が課題を解決する原理と、上記検出基板が課題を解決する原理とは類似しているので、本公開の実施形態が提供する当該平板検出装置の実施については、本公開の実施形態が提供する上記検出基板の実施を参照することができ、ここでは省略する。
【0090】
本公開の実施形態が提供する検出基板、その製造方法及び平板検出装置において、ベース基板と、第1の方向に沿って延伸するデータ線及び第2の方向に沿って延伸するゲートラインと、ベース基板上に位置する薄膜トランジスタと、順次に積層して設置されて電気的に接続されている第1の電極、光電変換構造及び第2の電極と、第2の電極と電気的に接続されているバイアス線と、を含み、第1の電極が薄膜トランジスタと電気的に接続されており、かつ、ベース基板への順投影と薄膜トランジスタの活性層のベース基板への順投影とが少なくとも一部重なり合い、第1の電極がデータ線に近接する側に第1の突出部を有し、第1の突出部のベース基板への順投影が、薄膜トランジスタの活性層のベース基板への順投影とデータ線のベース基板への順投影との間に位置する。第1の電極のベース基板への順投影と薄膜トランジスタの活性層のベース基板への順投影とが少なくとも一部重なり合い、かつ、第1の電極がデータ線に近接する側に第1の突出部を有し、第1の突出部のベース基板への順投影が、活性層のベース基板への順投影とデータ線のベース基板への順投影との間に位置するように設置することにより、その後の光電変換構造の作製過程において水素元素の活性層への拡散を阻止し、薄膜トランジスタの安定性を有効に改善し、平板検出装置の性能を向上させた。
【0091】
明らかに、当業者は、本願の実施形態の趣旨及び範囲を逸脱することなく本願の実施形態に対して各種の変更及び変形を行うことができる。このようにして、本願の実施形態のこれらの変更及び変形が本願の特許請求の範囲及びその同等技術の範囲内に含まれていれば、本願はこれらの変更及び変形も含む。
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【国際調査報告】