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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-08
(54)【発明の名称】真空バルブおよび真空ドア
(51)【国際特許分類】
   F16K 51/02 20060101AFI20230201BHJP
【FI】
F16K51/02 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022520939
(86)(22)【出願日】2020-12-03
(85)【翻訳文提出日】2022-04-05
(86)【国際出願番号】 EP2020084511
(87)【国際公開番号】W WO2021115924
(87)【国際公開日】2021-06-17
(31)【優先権主張番号】102019133555.8
(32)【優先日】2019-12-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】593030945
【氏名又は名称】バット ホールディング アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】特許業務法人創成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マルク ヒュベナー
(72)【発明者】
【氏名】アルトゥール ブヘル
(72)【発明者】
【氏名】マルクス ポッペラー
【テーマコード(参考)】
3H066
【Fターム(参考)】
3H066AA03
3H066BA17
(57)【要約】
壁部(3、32)に対して閉塞プレート(7)を封止または密封するためのシールユニット(12)が設けられている。シールユニット(12)が支持フレーム(13)を備えている。支持フレーム(13)が、相互に対向する第1縦梁部(14)および第2縦梁部(15)、ならびに、これらよりも短く相互に対向する第1横梁部(16)および第2横梁部(17)を有し、かつ、一方側に環状の閉塞プレートシール部材(18)が取り付けられ、他方側に環状の壁部シール部材(19)が取り付けられている。支持フレーム(13)が壁部(3、32)の固定箇所に対して固定されているまたは固定可能であり、支持フレーム(13)の第1縦梁部(14)および第2縦梁部(15)が少なくとも中間部分において壁部(3、32)に対して自由である。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁部(3、32)に形成された開口部(4、29)を閉塞するための閉塞プレート(7)を備え、
前記開口部(4、29)が、相互に対向する第1縦縁部(4a、29a)および第2縦縁部(4b、29b)、ならびに、これらよりも短く相互に対向する第1横縁部(4c)および第2横縁部(4d)を有し、
前記閉塞プレート(7)が、前記壁部(3、32)の前記開口部(4、29)が開放されている開位置と、前記壁部(3、32)の前記開口部(4、29)が前記閉塞プレート(7)によって閉塞されている閉位置との間で変位可能な真空バルブであって、
前記壁部(3、32)に対して前記閉塞プレート(7)を封止または密封するためのシールユニット(12)が設けられ、
前記シールユニット(12)が支持フレーム(13)を備え、
前記支持フレーム(13)が、相互に対向する第1縦梁部(14)および第2縦梁部(15)、ならびに、これらよりも短く相互に対向する第1横梁部(16)および第2横梁部(17)を有し、かつ、一方側に環状の閉塞プレートシール部材(18)が取り付けられ、他方側に環状の壁部シール部材(19)が取り付けられ、
前記支持フレーム(13)が前記壁部(3、32)の固定箇所に対して固定されているまたは固定可能であり、前記支持フレーム(13)の前記第1縦梁部(14)および前記第2縦梁部(15)が少なくとも中間部分において前記壁部(3、32)に対して自由である、または、
前記支持フレーム(13)が前記閉塞プレート(7)の固定箇所に対して固定され、前記支持フレーム(13)の前記第1縦梁部(14)および前記第2縦梁部(15)が少なくとも中間部分において前記閉塞プレート(7)に対して自由である
真空バルブ。
【請求項2】
請求項1に記載の真空バルブにおいて、
前記第1縦梁部(14)および前記第2縦梁部(15)の自由な中間部分が、前記第1縦梁部(14)および前記第2縦梁部(15)の長さの半分以上にわたり延在している
真空バルブ。
【請求項3】
請求項2に記載の真空バルブにおいて、
前記第1縦梁部(14)および前記第2縦梁部(15)の自由な中間部分が、前記第1縦梁部(14)および前記第2縦梁部(15)の長さの2/3以上にわたり延在している
真空バルブ。
【請求項4】
請求項1~3のうちいずれ1項に記載の真空バルブにおいて、
前記固定箇所が、前記第1縦梁部(14)および前記第2縦梁部(15)と前記第1横梁部(16)および前記第2横梁部(17)との間の隅角領域、ならびに、前記第1横梁部(16)および前記第2横梁部(17)の領域のうち少なくとも一方に存在している
真空バルブ。
【請求項5】
請求項4に記載の真空バルブにおいて、
前記支持フレーム(13)が、前記第1縦梁部(14)および前記第2縦梁部(15)と前記第1横梁部(16)および前記第2横梁部(17)との間の隅角領域、ならびに、前記第1横梁部(16)および前記第2横梁部(17)の領域のうち少なくとも一方に穿孔部(21)を有し、
前記支持フレーム(13)を前記壁部(3、32)または前記閉塞プレート(7)に対して固定するためのねじが、前記穿孔部(21)を貫通し、前記壁部(3、32)または前記閉塞プレート(7)におけるねじ穴に螺合されている
真空バルブ。
【請求項6】
請求項1~5のうちいずれ1項に記載の真空バルブにおいて、
前記開口部(4、29)が形成された前記壁部(3、32)および前記支持フレーム(13)が平行な平面に存在している
真空バルブ。
【請求項7】
請求項1~6のうちいずれ1項に記載の真空バルブにおいて、
前記支持フレーム(13)が、前記閉塞プレートシール部材(18)および前記壁部シール部材(19)のそれぞれに隣接して配置された支持要素(20)を有している
真空バルブ。
【請求項8】
請求項7に記載の真空バルブにおいて、
前記支持要素(20)がプラスチック製である、または、前記支持フレーム(13)が、少なくとも前記支持要素(20)の当接面の領域において摺動層により被覆されている
真空バルブ。
【請求項9】
請求項1~8のうちいずれ1項に記載の真空バルブにおいて、
前記第1縦梁部(14)および前記第2縦梁部(15)の少なくとも自由な中間部分の領域における前記支持フレーム(13)の厚さが、前記開口部(4、29)が形成された前記壁部(3、32)厚さよりも小さい、または、半分未満である
真空バルブ。
【請求項10】
請求項1~9のうちいずれ1項に記載の真空バルブにおいて、
少なくとも、前記支持フレーム(13)の前記第1縦梁部(14)および前記第2縦梁部(15)の自由な中間部分の領域において、前記支持フレーム(13)の平面に平行かつ前記第1縦梁部(14)および前記第2縦梁部(15)の延在方向に対して垂直に測定された、前記第1縦梁部(14)および前記第2縦梁部(15)のそれぞれの幅が、前記開口部(4、29)が配置された前記壁部(3、32)の厚さよりも小さい
真空バルブ。
【請求項11】
請求項1~10のうちいずれ1項に記載の真空バルブにおいて、
前記壁部(3、32)が、前記支持フレーム(13)の前記第1縦梁部(14)および前記第2縦梁部(15)の中間部分と相互作用するために設けられている壁部ストッパ(23)を備え、
前記壁部ストッパ(23)が、前記閉塞プレート(7)の閉位置および前記壁部(3、 32)の解放状態において、前記支持フレーム(13)の前記第1縦梁部(14)および前記第2縦梁部(15)のそれぞれから離間している
真空バルブ。
【請求項12】
請求項1~11のうちいずれ1項に記載の真空バルブにおいて、
前記閉塞プレート(7)が、前記第1縦梁部(14)および前記第2縦梁部(15)の中間部分と相互作用するための閉塞プレートストッパ(24)を備え、
前記閉塞プレートストッパ(24)が、前記閉塞プレート(7)の閉位置および前記壁部(3、32)の弛緩状態において、前記支持フレーム(13)の前記第1縦梁部(14)および前記第2縦梁部(15)のそれぞれから離間している
真空バルブ。
【請求項13】
請求項1~12のうちいずれ1項に記載の真空バルブにおいて、
前記閉塞プレート(7)が、開位置から中間位置を経由して閉位置まで変位可能であり、
前記中間位置において、前記閉塞プレート(7)が前記開口部(4、29)を覆う一方、前記閉塞プレート(7)および前記壁部(3、32)に取り付けられたシールユニット(12)の間、または、前記閉塞プレート(7)に取り付けられたシールユニット(12)および前記壁部(3、32)の間にあって間隙を残している
真空バルブ。
【請求項14】
請求項1~13のうちいずれ1項に記載の真空バルブにおいて、
前記開口部(4)が、前記真空バルブの基体(1、30)の壁部(3)に配置されている
真空バルブ。
【請求項15】
請求項14に記載の真空バルブを有する真空バルブシステムであって、
前記開口部(4)が形成された前記基体(1、30)の前記壁部(3)がねじを介して真空チャンバの壁部に対して連結されている
真空バルブシステム。
【請求項16】
請求項1~13のうちいずれ1項に記載の真空バルブとしての真空ドアであって、
前記開口部(29)が、前記真空ドアが取り付けられている真空チャンバ(25)の壁部(32)に配置されている
真空ドア。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、
壁部に形成された開口部を閉塞するための閉塞プレートを備え、
前記開口部が、相互に対向する第1縦縁部および第2縦縁部、ならびに、これらよりも短く相互に対向する第1横縁部および第2横縁部を有し、
前記閉塞プレートが、前記壁部の前記開口部が開放されている開位置と、前記壁部の前記開口部が前記閉塞プレートによって閉塞されている閉位置との間で変位可能な真空バルブおよび真空ドアに関する。
【背景技術】
【0002】
スクリーンパネルなど、比較的大きくて平坦な基板に対して真空プロセスを施す必要がある真空システムでは、真空チャンバは、基板を当該チャンバに導入できるようにするために、壁部に大きなスリット状の開口部を有している。これに対応して、特に輸送バルブとして、大きなスリット状の開口部を有する真空バルブおよび真空ドアが用いられる。真空バルブは、特に、バルブを介して連結された隣接する真空チャンバの間の輸送バルブとして用いられる。真空ドアは、チャンバの開口部を外部空間に対して開閉するために用いられる。したがって、チャンバの壁部または真空バルブの基体の壁部または真空ドアの基体の壁部に配置された略長方形状の開口部は、相互に対向する縦縁部と、これに比較して短く相互に対向する横縁部とを有している。縦縁部の長さは、例えば、1.5m~3mの範囲に含まれている。横縁部の長さは、例えば、10cm~20cmの範囲に含まれている。
【0003】
このような真空バルブを用いて、真空バルブまたは真空ドアが取り付けられている真空チャンバの内部空間が大気圧から減圧されると、真空チャンバの内部空間に形成される負圧によって真空チャンバが変形する。この結果として、スリット状の開口部の幅が中央に向かって低減する。すなわち、開口部の縦縁部の中間部分、ひいては当該中間部分の領域において開口部に隣接する壁部が相互に近接するように変位する。開口部の縦縁部の中間部分の変位量は、例えば、1.5mm~3mmの範囲に含まれている。真空チャンバの開口部を有する壁部と、真空バルブまたは真空ドアの基体の開口部を有する壁部とがねじを用いて連結されていることにより、真空バルブの基体に対して連結されている真空チャンバまたは真空ドアは、基体において開口部がある壁部の領域で同様に変形する。
【0004】
開口部に対してその縦縁部の中間部分において隣接している基体の壁部の部分の変位は、閉塞プレートに取り付けられ、開口部を有する壁部に当接しているシールリングに剪断荷重をもたらす。これにより、使用に際してシールリングが摩耗する。これは、一方ではシールリングの追加の摩耗を意味するため、相応のメンテナンス間隔でシールリングの交換の必要が生じる。さらに、シールリングの摩耗により望ましくないパーティクルが発生し、当該パーティクルが処理対象である基板に堆積し、その品質または機能に悪影響を与える可能性があす。
【0005】
真空チャンバの変形量を低減させるため、追加の補強要素を装備してもよいが、比較的高いコストを要する。
【0006】
バルブ開口部を有するハウジングの壁部が薄い板金により構成されている真空バルブが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この真空バルブは、連結フランジを備えた頑丈な壁部を備えた真空チャンバなどの真空ユニットの間に配置される。真空バルブがこれらの真空ユニットの連結フランジに対して連結されることにより、真空バルブのバルブハウジングの安定性が実現されている。この目的のために、真空バルブには、真空ユニットの連結フランジにねじ止めされた頑丈なフランジリングを有し、板金製のハウジングの壁部が連結フランジおよびフランジリングの間で教示されている。各フランジリングと各ハウジングの壁部との間にエラストマーシールリングが設けられている。付加的なエラストマーシールリングが、フランジリングと連結フランジとの間に配置されている。真空バルブの当該フランジリングの少なくとも1つは、連結フランジに対して対向する側面においてバルブシートを構成している。真空バルブの閉状態において、連結フランジに対して閉塞部材を封止するためのエラストマーシールリングが、閉塞部材または連結フランジに配置されている。連結フランジおよびフランジリングの間の封止、ならびに、フランジリングおよび板金製のハウジングの壁部の間の封止のためのフランジリングは、連結フランジに対して全体的に堅固に連結される必要がある。このため、真空ユニットが減圧されることに応じて、連結フランジが変形した場合、フランジリングも連動し、真空バルブの閉状態においてフランジリングおよび閉塞部材の間で圧縮されているシールリングの剪断応力の問題がここでも発生する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】国際公開公報 WO2014/086458A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、コストの低減を図りながら、パーティクルの発生量の低減および/またはメンテナンスの時間間隔の延長を図ることができる真空バルブもしくは真空ドア、または、真空チャンバとそれに取り付けられた前述したタイプの真空ドアとの組み合わせを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、この目的は、請求項1に記載の特徴を有する真空バルブまたは真空ドアによって、または、真空チャンバと請求項2に記載の特徴を有する真空ドアとの組み合わせによって達成される。
【0010】
本発明に係る真空バルブもしくは真空ドア、または、真空チャンバおよび真空ドアの組み合わせにおいて、開口部を有する壁部に対して閉位置において閉塞プレートを封止するための、支持フレームを有するシールユニットが設けられている。支持フレームは、相互に対向する第1縦梁部および第2縦梁部を有し、これらよりも短く相互に対向する第1横梁部および第2横梁部を有している。
【0011】
特に、開口部の相互に対向する縦縁部は、開口部の相互に対向する横縁部と比較して5倍以上、好ましくは10倍以上長く、支持フレームの相互に対向する第1縦梁部および第2縦梁部は、支持フレームの相互に対向する第1横梁部および第2横梁部と比較して5倍以上、好ましくは10倍以上長い。したがって、開口部およびこれに対応して支持フレームによって囲まれたフレーム開口部はスリット状の開口部であるといえる。
【0012】
閉塞プレートと相互作用するために支持フレームの一方側に環状の閉塞プレートシール部材が取り付けられ、開口部を有する壁部と相互作用するために支持フレームの他方側に環状の壁部シール部が取り付けられている。
【0013】
第1実施形態によれば、支持フレームは、真空バルブの基体または真空ドアもしくは当該真空ドアが取り付けられているシンクチャンバの基体における、開口部を有する壁部の固定箇所において固定されている。ここで、支持フレームの第1縦梁部および第2縦梁部の少なくとも中間部分が壁部に対して自由である。第2実施形態によれば、支持フレームは、固定箇所において閉塞プレートに取り付けられる。ここで、支持フレームの第1縦梁部および第2縦梁部の少なくとも中間部分が閉塞プレートに対して自由である。
【0014】
支持フレームの縦梁部の「自由な」中間部分は、縦梁部の全長の半分以上、好ましくは2/3以上にわたって延在している。
【0015】
したがって、第1縦梁部および第2縦梁部のそれぞれの中間部分において、支持フレームは、(支持フレームが壁部に対して固定されている場合は)壁部に対して変位可能であり、または、(支持フレームが閉塞プレートに対して固定されている場合は)閉塞プレートに対して変位可能である。すなわち、第1縦梁部および第2縦梁部のそれぞれの中間部分が、支持フレームの変形に応じて、支持フレームが壁部に対して固定されている場合には当該壁部に対して変位可能であり、または、支持フレームが閉塞プレートに対して固定されている場合には当該閉塞プレートに対して変位可能である。支持フレームの当該変位は、支持フレームが存在する平面(=支持フレームの中央平面)において発生する。この平面は、開口部または当該開口部を有する壁部が存在する平面(=壁部の中央平面)に平行である、または、閉塞プレートが存在する平面(=閉塞プレートの中央平面)に平行である。
【0016】
閉塞プレートが閉位置にある際、真空バルブまたは真空ドアが連結され、かつ、真空バルブまたは真空ドアによって開口部が閉じられる真空チャンバが大気圧から減圧されることにより、開口部を有する壁部が変形し、当該開口部の相互に対向する第1縦縁部および第2縦縁部がそれらの縦方向の中心に向かって相互に近接するように変位する。すなわち、開口部は、縦方向の中心に向かって狭小する。本発明に係る構成によれば、支持フレームの縦梁部の中間部分が、壁部において開口部に隣接する部分の変位量を超えて連動することができ、各縦梁部の縦中心部における当該連動変位量は、壁部において開口部の各縦縁部に隣接し、各縦梁部が配置されている部分の、縦縁部の縦中心部の領域における変位量の1/3~2/3の範囲に含まれていることが好ましい。縦梁部は、縦梁部の縦中心部の領域にある。当該連動は、壁部シール部材と、閉塞プレートが閉位置にある際に当該壁部シール部材が当接する壁部との間の摩擦による、支持フレームの弾性復元力に抗して実行される。支持フレームが有する弾性復元力に由来して、当該連動変位量は、壁部における開口部の縦縁部に隣接する部分の全体的な変位量よりも小さい。
【0017】
支持フレームの縦梁部の中間部分が定義された領域の確実な連動のために、支持フレームの第1縦梁部および第2縦梁部の中央部分と、特にそれらの縦方向の中心の領域において相互作用する壁部ストッパが開口部を有する壁部に設けられ、かつ/または、支持フレームの第1縦梁部および第2縦梁部の中央部分と、特にそれらの縦方向の中心の領域において相互作用する閉塞プレートストッパが閉塞プレートに設けられている。
【0018】
本発明の好適な実施形態では、支持フレームが壁部または閉塞プレートに対して固定される固定箇所は、支持フレームの各縦梁部とこれに連続する横梁部との間に形成される支持フレームの隅角領域に配置されている。代替的にまたは付加的に、固定箇所が横梁部の領域に設けられていてもよい。例えば、固定箇所は、支持フレームの穿孔部を通過するねじにより構成されていてもよい。支持フレームの固定のため、代替的にまたは付加的に、スナップ要素が設けられていてもよい。各固定箇所は、支持フレームの多少の延在範囲にわたり延在していてもよい。
【0019】
支持フレームの厚さは、少なくとも支持フレームの第1縦梁部および第2縦梁部の自由な中間部分の領域において、開口部を有する壁の厚さよりも小さく、半分以下、好ましくは1/3以下である(これらの厚さは、開口部がある壁部の平面に垂直に、ひいては支持フレームの平面に垂直に測定される)。
【0020】
少なくとも支持フレームの縦梁部の自由な中間部分の領域において、支持フレームの平面に平行に、かつ、各縦梁部の延在方向に垂直に測定される当該各縦梁部の幅は、開口部がある壁部の厚さよりも小さいことが好ましい(壁部の厚さは、壁部の平面に垂直に測定される)。
【0021】
本発明の好適な実施形態によれば、支持フレームが、閉塞プレートシール部材および壁部シール部材に隣接して配置された支持要素を有している。閉塞プレートが閉塞位置で開口部を有する壁に対して押し付けられている場合、支持要素は当接面において、一方では壁部に当接し、他方では閉塞プレートに当接する。これにより、閉塞プレートシール部材および壁部シール部材の最大圧縮量が制限されている。
【0022】
支持要素は、当該支持要素を構成する支持フレームの母材の凸部または高低差によって構成されていてもよい。支持フレームの母材が金属、特に鉄鋼またはアルミニウムである場合、支持フレームは、少なくとも支持要素の当接面の領域において、壁部および閉塞プレートに対する摩擦を低減する滑り層により被覆されていることが好ましい。例えば、PTFE(テフロン(登録商標))またはPFAからなる滑り層が設けられていてもよい。
【0023】
変形実施形態では、プラスチック(例えば、PTFEまたはPFAまたはPEEK)からなる支持要素が設けられ、当該支持要素は、特に金属製の支持フレームの基体に対して接着等により取り付けられている。
【0024】
本発明の好適な実施形態では、基体または真空チャンバの壁部の開口部の縦縁部は、1mを超える長さを有している。横縁部は、好ましくは30cm未満の長さを有している。
【0025】
支持フレームは、壁部の平面に垂直な方向に見た際に、壁部の開口部の縁部を超えて内側に突出していない。支持フレームは開口部の幅を実質的に狭小化していない。
【0026】
閉塞プレートシール部材は、支持フレームの溝部に配置されたOリングにより構成されていてもよい。例えば、閉塞プレートシール部材が支持フレームに退位して加硫接着されていてもよい。
【0027】
壁部シール部材は、支持フレームの溝部に配置されたOリングにより構成されていてもよい。例えば、壁部シール部材が支持フレームに対して加硫接着されていてもよい。
【0028】
本発明の好ましい変形例のさらなる特徴および詳細は、以下の添付図面を参照して説明される。図面の縮尺は異なり、部分的に簡略化された概略図になっている。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明の一実施形態としての真空バルブの斜視図。
図2】真空バルブの分解図。
図3】異なる視線方向からの真空バルブの分解図。
図4】閉塞プレートが開位置にある際の真空バルブの側面図。
図5図4の断面線A-Aに沿った真空バルブの断面図。
図6図4の断面線B-Bに沿った真空バルブの断面図。
図7】閉塞プレートが中間位置にある際の図5に相当する真空バルブの断面図。
図8】閉塞プレートが閉位置(基体の弛緩状態)にある際の図5に相当する真空バルブの断面図。
図9図8の部分Cの拡大図。
図10】第1側面におけるシールユニットの側面図。
図11】反対側の第2側面におけるシールユニットの側面図。
図12】シールユニットの斜視図。
図13】本発明の第2実施形態としての第1側面におけるシールユニットの側面図。
図14図13の断面線D-Dに沿ったシールユニットの断面図。
図15図14の部分Eの拡大図。
図16】本発明の第3実施形態としての真空バルブの図6に相当する断面図。
図17】基体の弛緩状態における本発明の第4実施形態としての真空バルブの図9に相当する拡大断面図。
図18】基体の変形状態における本発明の第4実施形態としての真空バルブの図9に相当する拡大断面図。
図19】本発明の第5実施形態としての真空バルブの支持フレームの図15に相当する断面図。
図20】本発明の第1実施形態としての2つの真空チャンバと、真空チャンバの1つに対して取り付けられた本発明に係る真空ドアとの斜視図。
図21】閉塞プレートが開位置にある際の図20の装置の図5に相当する断面図。
図22】閉塞プレートが閉位置にある際の図21に相当する真空バルブおよび真空ドアの断面図。
図23】真空チャンバに取り付けられた本発明の他の実施形態としての真空ドアの斜視図。
図24】閉塞プレートが開位置にある際の図23の装置の断面図(図5に相当する)。
図25】閉塞プレートが中間位置にある際の図24に相当する真空ドアの断面図。
図26】閉塞プレートが閉位置にある際の図24に相当する真空ドアの断面図。
図27】さらなる変形実施形態の真空ドアの図24に想到する断面図。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1図12には、本発明の第1実施形態としての真空バルブが示されている。真空バルブは、バルブハウジングを表わす基体1を有し、真空バルブの真空領域を表わす内部空間2を有している。内部空間2に真空領域が存在していてもよい。
【0031】
基体1は、相互に対向している壁部3を有し、各壁部3には開口部4が配置されている。
【0032】
支持ユニット6は、本実施形態では2つの板状の閉塞プレート7を支持しているバルブロッド5に対して取り付けられている。
【0033】
閉塞プレート7は、対応する各開口部4が開放されている開位置(図5および図6参照)と、閉塞プレート7が対応する各開口部4に対向している(=開口部4の軸線方向に見た場合に当該開口部4が覆われている)一方で、閉塞プレート7が対向している開口部4を有する壁部3に対して封止または密封されていない(したがって、閉塞プレート7および壁部3の間で間隙を有している)中間位置(図7参照)と、閉塞プレート7が対向している各開口部4を封止または密封する閉位置(図8を参照)と、の間で変位可能である。
【0034】
閉塞プレート7を開位置および中間位置の間で動かすため、バルブロッド5は、その縦軸線10に平行に(=軸線方向に)駆動される。本実施形態では、ピストンロッドがバルブロッド5を構成するピストンシリンダユニット8が、バルブロッド5の軸線方向の変位のために用いられる。ピストンシリンダユニット8に代えて、これとは異なる他の形態のアクチュエータがバルブドライバとして設けられていてもよい。
【0035】
各ピストンシリンダユニット9が用いられ、各閉塞プレート7が中間位置および閉塞位置の間で動かされる。ピストンシリンダユニット9のシリンダ空間は、支持ユニット6の中空空間により構成され、当該中空空間にはピストンシリンダユニット9のピストンが配置されている。閉塞プレート7は、ピストンシリンダユニット9のピストンロッドに対して取り付けられている。
【0036】
各閉塞プレート7は、中間位置および閉塞位置の間で、バルブロッド5の縦軸線10に対して垂直に動かされる。
【0037】
第1実施形態では、ピストンシリンダユニット9のシリンダチャンバは別個である。すなわち、各閉塞プレート7は、中間位置および閉塞位置の間で個別に動かされる。共通の駆動で十分である場合、ピストンシリンダユニット9のピストンは、共通の連続したシリンダ空間に配置されていてもよい。
【0038】
2つの閉塞プレート7のうちの1つが省略され、真空バルブが単一の閉塞プレート7および封止または密封可能な単一の開口部4のみを有していてもよい。閉塞プレート7が開位置にある際に基体1を貫通する貫通チャネルを形成するため、特に封止または密封可能な開口部4の反対側に、封止不可能な開口部が基体に設けられていてもよい。
【0039】
少なくとも1つの閉塞プレート7を開位置および閉位置の間で動かすため、第1実施形態では、Lバルブの方式が採用されている。既知のように、特にLバルブの方式にしたがって、真空バルブの少なくとも1つの閉塞プレートが開位置および閉位置の間で他の形態で動かされてもよい。例えば、真空バルブが単一のアクチュエータのみを有し、これによって少なくとも1つの閉塞プレートが、開位置から中間位置を経由して閉位置に動かされ、またはこれとは逆に閉位置から中間位置を経由して閉位置に動かされる。閉塞プレート7を中間位置および閉位置の間で動かすために、バルブロッドの縦軸線10に垂直であり、かつ、少なくとも1つの開口部4の軸線に垂直である揺動軸線まわりにバルブロッド5が揺動されてもよい。当該揺動運動は、スライドを使用して既知の方法で制御されうる。真空バルブが2つの閉塞プレート7を有している場合、当該2つの閉塞プレート7は、バルブロッド5が反対方向に揺動されることによって中間位置から各閉位置に交互に動かされる。
【0040】
メンテナンス作業を可能にするために、第1実施形態の基体1は、シール部材(図示略)によって封止または密封された取り外し可能な蓋部11を有している(固定ねじも図示略)。
【0041】
各開口部4は、相互に対向する第1縦縁部4aおよび第2縦縁部4b、ならびに、相互に対向する第1横縁部4cおよび第2横縁部4dによって画定されている。側面図(図4)で見ると、各開口部4は略長方形状であり、縦縁部4a、4bは、横縁部4c、4dよりも長く、特に5倍以上長く、特に好ましくは10倍以上長い。開口部4はスリット状であるともいえる。
【0042】
例えば、縦縁部4a、4bの長さは1m~4mの範囲に含まれていてもよい。横縁部4c、4dの長さは、例えば、10cm~30cmの範囲に含まれていてもよい。
【0043】
シールユニット12は、各閉塞プレート7と、対応する各開口部4を有する壁部3との間を封止するために用いられる。シールユニット12は、一の平面にある支持フレーム13を有している。支持フレーム13は、間隔を置いて配置され、第1縦梁部14および第2縦梁部15に平行である。相互に対向する第1縦梁部14および第2縦梁部15は、相互に対向する第1横梁部16および第2横梁部17によって縁部において接続されている。第1縦梁部14および第2縦梁部15、ならびに、第1横梁部16および第2横梁部17は、フレーム開口部を囲んでいる。第1縦梁部14および第2縦梁部15、ならびに、第1横梁部16および第2横梁部17は、仮想の長方形の辺にある。第1縦梁部14および第2縦梁部15は、開口部4の形状に対応して第1横梁部16および第2横梁部17よりも長い。特に、第1縦梁部14および第2縦梁部15は、第1横梁部16および第2横梁部17と比較して5倍以上、好ましくは10倍以上の長さである。
【0044】
シールユニット12の支持フレーム13の厚さは、開口部4を有する壁部3の厚さよりも薄く、半分未満、好ましくは1/3未満である(これらの厚さは各平面に垂直、ひいては各支持フレーム13の平面に対して垂直に測定される)。
【0045】
各支持フレーム13の少なくとも縦梁部14、15は、支持フレーム13の平面に平行に、かつ、各縦梁部14、15の延在方向に対して垂直に測定され、各開口部4を有する壁部3の厚さよりも小さい幅を有している。開口部4を有する壁部3の厚さは、壁部3の平面に垂直に測定される。
【0046】
支持フレーム13の中央面に平行に配置されている、支持フレーム13の対向しあう側面のそれぞれにはシール部材が配置される。一方のシール部材は、閉曲線状(=環状)の閉塞プレートシール部材18であり、他方のシール部材は、閉曲線状(=環状)の壁部シール部材19である。シール部材18、19は、例えば、FKM(Viton社製)またはFFKMなどのエラストマー材料からなる。
【0047】
第1実施形態では、閉塞プレートシール部材18および壁部シール部材19は、支持フレーム13の溝に配置され、それによって支持フレーム13に保持されるOリングの形態である。変形実施形態では、閉塞プレートシール部材18および/または壁部シール部材19は、支持フレーム13に加硫接着されていてもよい。
【0048】
閉塞プレートシール部材18および壁部シール部材19が取り付けられている支持フレーム13の側面において、支持フレーム13は、シール部材18、19に隣接し、支持要素20を構成する高さを有している。これらは、各閉塞プレート7の閉位置における閉塞プレートシール部材18および壁部シール部材19の圧縮を制限する。
【0049】
第1実施形態では、支持要素20は、好ましくは金属、特に鋼またはアルミニウムである支持フレーム13の母材により構成されている。支持フレーム13の当該母材は、少なくとも閉塞プレート7または壁部3が当接する支持要素20の当接面の領域において、閉塞プレート7および壁部3に対する摩擦を低減するため、閉塞プレート7または壁部3よりも摩擦係数が低い滑り層または摺動層によって被覆されている。滑り層の材料、例えばプラスチックの閉塞プレート7または壁部3に対する摩擦係数は、閉塞プレート7または壁部3に対する支持フレーム13の母材の摩擦係数よりも低い。例えば、支持フレーム13を被覆するためにPTFEまたはPFAが用いられてもよい。
【0050】
支持フレーム13が全体的にプラスチック材料、特に熱硬化性樹脂で構成されていてもよい。
【0051】
壁部3および閉塞プレート7は、金属、特に鉄鋼により構成されていることが好ましい。
【0052】
第1実施形態では、複数の支持要素20が、第1縦梁部14および第2縦梁部15に隣接して、相互に離間して配置されている。例えば、連続的なストリップ形状の支持要素20が、第1縦梁部14および第2縦梁部15に隣接して延在していてもよい。例えば、環状のストリップが各支持要素20として、各シール部材18、19に隣接して延在していてもよい。
【0053】
第1実施形態では、支持要素20は、シール部材18、19の径方向外側に配置される。これに代えて、支持要素20は、シール部材18、19の径方向内側に配置されていてもよい。
【0054】
第1実施形態では、各支持フレーム13は、各壁部3にのみ取り付けられ、その結果、フレーム開口部は各開口部4を囲んでいる。支持フレーム13の縦梁部14、15が、少なくとも中間部分、好ましくは縦梁部14、15の長さの半分以上、特に好ましくは縦梁部14、15の長さの2/3以上にわたり自由であるように、壁部3に対して固定される。第1実施形態では縦梁部14、15および横梁部16、17の間の4つの隅角領域において、支持フレーム13の縦梁部14、15が壁部3に対して固定されている。この目的のため、支持フレーム13は、これらの隅角領域に穿孔部21を有している。ねじ22は、穿孔部21を介して各壁部3のねじ穴に螺着される。
【0055】
縦梁部14、15は、少なくとも中間部分において自由であるため、弾性変形可能な支持フレーム13の縦梁部14、15は、相互に縦方向に接近するように、支持フレーム13の変形に応じて曲がることができる。一方の縦梁部14の屈曲が図10の破線により概略的に誇張されて示されている。
【0056】
本発明に係る真空バルブは、例えば、2つの真空チャンバの間の輸送バルブとして用いられてもよい。真空チャンバは、開口部4に連通するまたは整列された開口部を有し、ねじ止めおよびシール部材により壁部3に対して連結されている。これは、既知の事項であり、詳細には図示されていない。
【0057】
真空バルブが2つの真空チャンバの間に配置され、かつ、当該2つの真空チャンバに対して連結されている状況について考察する。当該連結は、各開口部4の周囲の領域に配置された複数のねじによって実行され、開口部4を有する壁部3と、当該開口部4に連通する開口部を有するバルブチャンバの壁部とは、ねじで連結されている。
【0058】
真空バルブに対して連結された真空チャンバが大気圧から減圧されると、真空バルブの壁部3に連結された真空チャンバの壁部が変形し、当該壁部のスリット状の開口部の幅が中心に向かって若干低減する。すなわち、開口部の縦縁部の中間部分、および、それに対応して壁部において開口部の縦縁部の中間部分に隣接する部分が相互に近接するように変位する。真空チャンバの壁部が真空バルブの壁部3とねじで連結されていることにより、壁部3は、開口部の周囲の領域で同様に変形する。基体1の壁部3の開口部4の幅が低減する。すなわち、開口部4の縦縁部4a、4bの中間部分およびこれに対応する開口部4に隣接する領域における壁部3の部分が相互に近接するように変位する。
【0059】
縦縁部4a、4bの縦方向の中間部分では、当該近接距離は、例えば1.5mm~6mmの範囲に含まれている。図9には、壁部3の変形状態における開口部4の縦縁部4aの位置が破線で示されている。壁部3の弛緩状態からの変位量は「a」で示されている。
【0060】
壁部3の変形中に閉塞プレート7が閉位置にある状態、すなわち、シールユニット12が壁部3に対して押し付けられている状態で、壁部3において縦縁部4a、4bに隣接している部分が変位する際、支持フレーム13の各縦梁部14、15は、そこに作用する摩擦力によって少なくとも部分的に連動する。当該連動は、支持フレーム13の弾性復元力に抗して実行される。当該連動変位量は、壁部3において各縦縁部4a、4bに隣接している部分の変位量aよりも小さい。壁部3の変形状態における支持フレーム13の縦梁部14の位置が、図9に破線で示され、壁部3の弛緩状態(実線で示されている)からの変位量は「b」で示されている。
【0061】
各支持フレーム13の各縦梁部14、15の中間部分の変位量bは、好ましくは、対応する壁部3の変位量aの1/3~2/3であり、約1/2であることが特に好ましい。壁部3および閉塞プレート7の間に作用する単一のシール部材と比較して、2つのシール部材18、19のそれぞれが受ける剪断荷重は低い。その結果、使用中の摩耗量が低減され、パーティクルの発生量も低減される。パーティクルの発生量は、未使用のシール部材よりも摩耗が進行したシール部材の方が大幅に多いことに注意されたい。したがって、本発明によって達成されるパーティクル発生量の低減効果は、シール部材の耐用年数にわたって発揮される。よって、従来のバルブよりもパーティクル発生量が低減されたまま、メンテナンスの時間間隔の延長が図られている。
【0062】
図13図15には、シールユニット12の第2実施形態が示されている。第1実施形態との相違点が以下に説明される。その他の点では第1実施形態の構成と同様の構成である。第2実施形態では、支持要素20は、支持フレーム13の母材に取り付けられたプラスチック部品によって構成されている。当該プラスチック部品は、支持フレーム13の母材よりも、壁部3および閉塞プレート7に対して低い摩擦係数を有している。
【0063】
図16には、本発明の第3実施形態としての真空バルブが示されている。第1実施形態との相違点が以下に説明される。その他の点では第1実施形態の構成と同様の構成である。各支持フレーム13は、各壁部3に対して固定されておらず、各閉塞プレート7に対してのみ固定されている。閉塞プレート7に対する固定方法は、第1実施形態における壁部3に対する固定方法と同様の方法で実行される。したがって、支持フレーム13は、閉塞プレート7のねじ穴に螺着されたねじ22が通過する穿孔部を隅角領域において有している。したがって、支持フレーム13の縦梁部14、15の少なくとも中間部分は、縦梁部14、15の長さの好ましくは半分以上、特に好ましくは2/3以上にわたり閉塞プレート7に対して自由である。
【0064】
各閉塞プレート7の閉位置において、フレーム開口部は、壁部3の開口部4を囲んでおり、壁部3に対して連結された真空チャンバが減圧されることによって壁部3、ひいては開口部4が変形することにより、縦梁部14、15の中間部分は第1実施形態とまったく同様に曲がることができる。
【0065】
図17および図18には、本発明の第4実施形態としての真空バルブが示されている。第1実施形態との相違点が以下に説明される。その他の点では第1実施形態の構成と同様の構成である。
【0066】
第4実施形態では、各壁部3において各開口部4に隣接している部分が変形する際、各縦梁部14、15の連動変位量が所望範囲に含まれるように、壁部ストッパ23および閉塞プレートストッパ24が設けられている。例えば、各縦梁部14、15の縦中心部の連動変位量が、各開口部4の各縦縁部4a、4bの縦中心部の変位量の1/3~2/3の範囲に含まれている。
【0067】
壁部ストッパ23および閉塞プレートストッパ24は、特にこれらの縦中心部の領域において、支持フレーム13の縦梁部14、15の中間部分と相互作用する。
【0068】
図17には、閉塞プレート7が閉位置にあり、基体1が弛緩している状態が示されている。図18には、壁部3に連結された真空チャンバが減圧されることによって当該壁部3が変形している状態が示されている。
【0069】
図17において、開口部4の縦縁部4aの変位量aは、その縦中心部において生じている。壁部ストッパ23も、図17の状態および図18の状態の間で変位量aだけ変位する。さらに、壁部ストッパ23および支持フレーム13の第1縦梁部14の初期間隔(=基体1の弛緩状態に存在する)がcで示され、閉塞プレートストッパ24および支持フレーム13の第1縦梁部14の初期間隔がdで示されている。ストッパ23、24は、支持フレーム13の該当する縦梁部14、15の両側にあり、間隔cおよびdは、変位量aよりも小さい。間隔cおよびdのそれぞれは、変位量aの1/3~2/3の範囲に含まれていることが好ましい。間隔cおよびdの合計は、変位量a以上であり、(変位量aの許容誤差が与えられた場合、縦梁部14、15のデッドロックを回避するために)好ましくは変位量aよりもある程度大きい。好ましくは、間隔cおよびdの合計は、変位量aの4/3未満である。
【0070】
基体1が減圧されることにより、各縦縁部4a、4bに連結されている壁部3が変位する際に、縦梁部14、15に対する摩擦が非常に低いため、縦梁部14、15が連動しないまたはほぼ連動しないので、壁部3の変位の過程で(初期間隔cの直後の時点で)ストッパ23は、該当する縦梁部14、15に当接し、壁部3のさらなる変位によって縦梁部14、15を変位させる。図18には、当該状況の終点状態が示されている。
【0071】
壁部3の変位に際して該当する縦梁部14、15に対する摩擦力が強く、少なくとも大部分が壁部3の変位に連動する場合、壁部3の変位過程で、該当する縦梁部14、15は、(初期間隔dの直後の時点で)閉塞プレートストッパ24に当接し、壁部3がさらに変位した場合にそれ以上の変位が防止される。この場合、最終状態では、該当する縦梁部14、15は、閉塞プレートストッパ24に対して当接している(図示略)。
【0072】
図17には、縦中心部の領域における縦梁部14の変位量bが示されている。前述したように、変位量bは変位量aの1/3~2/3の範囲に含まれている。
【0073】
図19には、本発明の他の変形実施形態としての真空バルブが概略的に示されている。ここでは、シール部材が支持フレーム13に対して加硫接着され、当該シール部材は、支持フレーム13の一方側から狭小部を経由して他方側まで延在している。支持フレーム13の相互に反対側にあるシール部材の部分は、閉塞プレートシール部材18および壁部シール部材19を構成している。
【0074】
図20図22には、2つの真空チャンバ25の間に取り付けられた真空バルブ50が示されている。真空バルブ50は、本発明の第1実施形態にしたがって構成され、閉塞プレート7は、図20および図21において開位置にあり、図22において閉位置にある。真空バルブ50の基体1は、開口部4を有する壁部3により、真空チャンバ25に隣接する壁部27に対して取り付けられている。真空バルブ50の基体1の壁部3の開口部4は、真空チャンバ25の壁部27の開口部28に連通している。すなわち、基体1の開口部4および真空チャンバ25の壁部27の開口部28は同じ形状およびサイズを有し、それらの縁部は相互に同一平面にある。真空バルブ50の壁部3と真空チャンバ25の壁部27との間の真空気密な連結のために、ねじおよび開口部4、28を囲むシールリングが用いられる(図20には示されていない)。ねじは、例えば、各真空チャンバ25の内部空間26から、壁部27の開口部を通って、真空バルブ50の基体1の壁部3のねじ穴に螺着される。開口部4、28を(シールリングの内側または外側で)環状に囲むように配置された多数のネジが設けられている。ねじが、基体1の内部空間2から壁部3の開口部4を通って壁部27のねじ穴に螺着される、これとは逆のねじ連結方式が採用されていてもよい。
【0075】
真空チャンバ25の1つが大気圧から(大気圧の1/10未満の圧力まで)減圧された場合、開口部28が変形し、当該開口部28の縦縁部が中間部分において相互に近接するように変位する。当該領域の開口部28に隣接する壁部27の一部は、相互に近接するように変位し、基体1の壁部3に対してねじ式で連結されている当該壁部3の該当する部分が連動し、すでに説明したように、開口部4も同様に変形する。
【0076】
図20の右側に示されている真空チャンバ25は、本発明に係る真空ドア51によって閉じることができるさらなる開口部29を壁部32に有している。真空ドア51が開いているとき、真空チャンバ25は、開口部29を介して周囲の空間に連通されている。処理対象の基板は、開口部29を介して真空システムに導入される。
【0077】
真空ドア51は、前述した本発明の第1実施形態としての真空バルブとほぼ同様に構成されている。以下では、この真空バルブとの相違点について説明される。真空ドア51には、真空バルブと同じ参照番号がいくつか援用されている。
【0078】
本発明に係る真空ドア51の一実施形態では、真空バルブとは対照的に、基体30は、閉じられた内部空間を有するハウジングとして設計されていない。真空バルブとまったく同様に、、真空バルブに関連して説明されたのと同様に構成された、開口部4を有する壁部3を備えている。基体30の壁部3の開口部4を開閉するために、開口部4が開放されている開位置と、開口部4が真空気密に閉塞されている閉位置との間で変位可能である閉塞プレート7が用いられる。閉塞プレート7の駆動は、真空バルブに関連して説明したのと同様に、中間位置を経由して実行されうる。この目的のために、ピストンシリンダユニット8、9が用いられる。閉塞プレート7の駆動は異なる方式で実行されてもよく、これに関して真空バルブに関連する説明が参照される。
【0079】
真空バルブに関連して説明されたシールユニット12と同様に構成されたシールユニット12は、閉塞プレート7の閉位置において、閉塞プレート7および壁部3の間を封止する役割を果たす。
【0080】
本実施形態では、本発明の第1実施形態としての真空バルブに関連して説明されたように、シールユニット12が壁部3に対して取り付けられている。真空ドア51の場合も、本発明の第3実施形態としての真空バルブに関連して説明されたように、代替的にシールユニット12が閉塞プレート7に取り付けられていてもよい(図16参照)。
【0081】
真空バルブに関連して説明された他の変形事項は、真空ドア51に対しても適用可能である。例えば、支持フレーム13の縦梁部14、15の屈曲が所望の範囲に含まれることを保障するため、真空バルブの壁部ストッパ23および閉塞プレートストッパ24と同様の壁部ストッパおよびバルブプレートストッパが設けられていてもよい。支持要素20は別個の要素により構成されていてもよい。
【0082】
真空ドアにおいて、ハウジングの形態の基体1が設けられていてもよい。バルブプレートおよび閉塞ユニットによって密閉された開口部に対向する開口部は、開放されていてもよく、バルブプレートによって密閉されていてもよい。前述した真空バルブの実施形態は、真空ドアにも適用可能である。
【0083】
図23図26には、本発明の他の変形実施形態としての真空ドア51が示されている。ここでの真空ドアの前記実施形態との相違点は、シールユニット12が真空チャンバ25の壁部32と直接的に相互作用する点である。真空ドア51は、基体31を介して真空チャンバ25に対して固定されている。基体31は、真空チャンバ25の壁部32の開口部29に連通する(または位置合わせされた)開口部4を有する壁部3を有していない。
【0084】
真空チャンバ25が大気圧から減圧された場合、第1縦縁部29aおよび第2縦縁部29bの中間部分が相互に近接するように開口部が変形する。シールユニット12の壁部シール部材19は、壁部32に対して直接的に当接している。その作用機序は、真空バルブに関連して説明されたものとまったく同様である。
【0085】
図23図26に示されている例示的な実施形態では、シールユニット12は、前記同様の形態で構成され、(同様に、既に説明したように)閉塞プレート7に対して取り付けられている。
【0086】
図27には、さらなる変形実施形態としての真空ドア51が示されている。シールユニット12は、基体1の壁部3に対して取り付けられる場合とまったく同様の方法で、真空チャンバ25の壁部32に対して取り付けられている。支持フレーム13は、フレーム開口部によって真空チャンバ25の壁部32の開口部29を囲んでおり、支持フレーム13の第1縦梁部14および第2縦梁部15の少なくとも中間部分は、壁部32に対して自由である。したがって、支持フレーム13の壁部32に対する固定箇所は、特に、縦梁部と横梁部との間の隅角領域および/または横梁部の領域に存在している。
【0087】
真空バルブに関連して説明されている他の変形事項が同様にここで適用可能である。
【符号の説明】
【0088】
1‥基体
2‥内部空間
3‥壁部
4‥開口部
4a‥第1縦縁部
4b‥第2縦縁部
4c‥第1横縁部
4d‥第2横縁部
5‥バルブロッド
6‥支持ユニット
7‥閉塞プレート
8‥ピストンシリンダユニット
9‥ピストンシリンダユニット
10‥縦軸線
11‥蓋部
12‥シールユニット
13‥支持フレーム
14‥第1縦梁部
15‥第2縦梁部
16‥第1横梁部
17‥第2横梁部
18‥閉塞プレートシール部材
19‥壁部シール部材
20‥支持要素
21‥穿孔部
22‥ねじ
23‥壁部ストッパ
24‥閉塞プレートストッパ
25‥真空チャンバ
26‥内部空間
27‥壁部
28‥開口部
29‥開口部
29a‥第1縦縁部
29b‥第2縦縁部
30‥基体
31‥基体
32‥壁部
50‥真空バルブ
51‥真空ドア。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
【国際調査報告】