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特表2023-504978流体導管および/またはチャンバの連結器具
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-08
(54)【発明の名称】流体導管および/またはチャンバの連結器具
(51)【国際特許分類】
   F16L 25/01 20060101AFI20230201BHJP
   F16L 25/00 20060101ALI20230201BHJP
   F16L 27/12 20060101ALI20230201BHJP
【FI】
F16L25/01
F16L25/00 C
F16L27/12 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022520940
(86)(22)【出願日】2020-11-16
(85)【翻訳文提出日】2022-04-05
(86)【国際出願番号】 EP2020082188
(87)【国際公開番号】W WO2021110393
(87)【国際公開日】2021-06-10
(31)【優先権主張番号】102019132862.4
(32)【優先日】2019-12-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】593030945
【氏名又は名称】バット ホールディング アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】特許業務法人創成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】トーマス マイヤー
【テーマコード(参考)】
3H016
3H104
【Fターム(参考)】
3H016EA01
3H016EA04
3H104JA07
3H104JA08
3H104LB04
(57)【要約】
第1導管内壁(5)および第2導管内壁(7)が共同で、連結器具(1)を通じて流体を通過させるための内部空洞(9)を囲繞している。第1導管部材(4)および第2導管部材(6)がベローズ(8)によって相互に連結されている。ベローズ(8)が第1導管部材(4)および第2導管部材(6)を少なくとも部分的に外側から包摂している。第1導管部材(4)および第2導管部材(6)がベローズ(8)の弾性付勢力に抗して相対的に変位可能および/または傾斜可能である。第2導管部材(6)の第2導管内壁(7)が、第1導管内壁(5)により囲まれている内部空間(10)に部分的に導出されている。第1導管内壁(5)が、連結器具(1)の少なくとも1つの弾性変形可能なスライド接点(11)によって第2導管内壁(7)に対して電気的に接続されている。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高周波電磁場において流体の導管(2)およびチャンバ(3)のうち少なくとも一方を連結するための連結器具(1)であって、
前記連結器具(1)が、剛性がある第1導管内壁(5)を有する第1導管部材(4)と、剛性がある第2導管内壁(7)を有する第2導管部材(6)と、弾性変形可能なベローズ(8)と、を備え、
前記第1導管内壁(5)および前記第2導管内壁(7)が共に、前記連結器具(1)を通じて流体を通過させるための内部空洞(9)を囲繞し、前記第1導管部材(4)および前記第2導管部材(6)がベローズ(8)によって相互に連結され、前記ベローズ(8)が前記第1導管部材(4)および前記第2導管部材(6)を少なくとも部分的に外側から包摂し、前記第1導管部材(4)および前記第2導管部材(6)が前記ベローズ(8)の弾性付勢力に抗して相対的に変位可能もしくは傾斜可能または変位可能かつ傾斜可能であり、
前記第2導管部材(6)の前記第2導管内壁(7)が、前記第1導管内壁(5)により囲まれている内部空間(10)に部分的に導出されて終端し、かつ、前記第1導管内壁(5)が、前記連結器具(1)の少なくとも1つの弾性変形可能なスライド接点(11)によって前記第2導管内壁(7)に対して電気的に接続されている
連結器具(1)。
【請求項2】
請求項1に記載の連結器具(1)において、
前記少なくとも1つの弾性変形可能なスライド接点(11)が、前記内部空洞(9)の反対側にある前記第2導管内壁(7)の外側面(12)に対して当接し、かつ、前記内部空洞(9)の反対側にある前記第1導管内壁(5)の内側面(13)に対して当接している
連結器具(1)。
【請求項3】
請求項2に記載の連結器具(1)において、
前記スライド接点が、前記内部空洞(9)の反対側にある前記第2導管内壁(7)の前記外側面(12)および前記内部空洞(9)の反対側にある前記第1導管内壁(5)の前記内側面(13)のうち少なくとも一方の溝状凹部(14)に配置されている
連結器具(1)。
【請求項4】
請求項1~3のうちいずれか1項に記載の連結器具(1)において、
前記第1導管内壁(5)が第1セクション(15)および第2セクション(16)を有し、前記第1セクション(15)における前記第1導管内壁(5)により囲繞されている開口断面(17)が、前記第2セクション(16)におけるそれよりも小さい
連結器具(1)。
【請求項5】
請求項4に記載の連結器具(1)において、
前記第1導管部材(5)の前記第2セクション(16)における前記第2導管部材(6)の第2導管内壁(7)が、前記第1導管内壁(5)により囲まれている前記内部空間(10)に部分的に導出されて終端している
連結器具(1)。
【請求項6】
請求項1~5のうちいずれか1項に記載の連結器具(1)において、
前記第2導管部材(6)が、前記第2導管内壁(7)において前記内部空洞(9)の反対側において前記第2導管内壁(7)と間隔(19)を存して配置されている導管外壁(18)を有し、前記第1導管内壁(5)が、前記第2導管内壁(7)および前記導管外壁(18)の間隙に(20)に部分的に導出されて終端している
連結器具(1)。
【請求項7】
請求項6に記載の連結器具(1)において、
前記第1導管内壁(5)が、前記連結器具(1)の前記少なくとも1つの弾性変形可能なスライド接点(21)によって、前記導管外壁(18)に対して電気的に接続されている
連結器具(1)。
【請求項8】
請求項1~7のうちいずれか1項に記載の連結器具(1)において、
前記第1導管部材(4)、前記第2導管部材(6)および前記ベローズ(8)のうち少なくとも1つ、または、前記スライド接点(11)(21)が金属により構成され、あるいは、電気抵抗値が少なくとも1×10[S/m]以上または10×10[S/m]以上である
連結器具(1)。
【請求項9】
導管(2)またはチャンバ(3)である第1構成要素および導管(2)またはチャンバ(3)である第2構成要素を有する連結システムであって、前記第1構成要素および前記第2構成要素の内部または外部において高周波電磁場が形成され、前記第1構成要素が、請求項1~8のうちいずれか1項に記載の連結器具(1)によって、前記第2構成要素に対して流体輸送可能に連結されている
連結システム。
【請求項10】
請求項9に記載の連結システムにおいて、
前記第1構成要素および前記第2構成要素がそれぞれ、シール部材(22)および電気的なスライド接点(23)によって連結器具(1)に連結され、前記シール部材(22)が前記電気的なスライド接点(23)により囲まれている
連結システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、
高周波電磁場において流体の導管および/またはチャンバを連結するための連結器具であって、
前記連結器具が、剛性がある第1導管内壁を有する第1導管部材と、剛性がある第2導管内壁を有する第2導管部材と、弾性変形可能なベローズと、を備え、
前記第1導管内壁および前記第2導管内壁が共同で、前記連結器具を通じて流体を通過させるための内部空洞を囲繞し、前記第1導管部材および前記第2導管部材がベローズによって相互に連結され、前記ベローズが前記第1導管部材および前記第2導管部材を少なくとも部分的に外側から包摂し、前記第1導管部材および前記第2導管部材が前記ベローズの弾性付勢力に抗して相対的に変位可能および/または変位可能である連結器具に関する。
【背景技術】
【0002】
粒子加速器などの高周波電磁場のある環境では、流体導管および/またはチャンバの間の連結に際して、導管および/またはチャンバの内側および/または外側に印加される高周波電磁場の影響を可能な限り軽減する必要がある。さらに、導管および/またはチャンバが相互に連結されている場合、導管および/またはチャンバの位置ずれおよび/または角度ずれの補正機能が必要である。これを解決するための様々なアプローチが先行技術で知られている。例えば、連結器具の第1導管部材および第2導管部材の導管内壁が相互に間隔を存して配置され、かつ、囲繞するばね要素によって個々の弾性のフィンガーに対して相互に連結されている(例えば、特許文献1参照)。弾力性のフィンガーは、2つの導管を電気的に接続し、導管および/またはチャンバの組み立てに際して、ある程度の位置ずれおよび/または角度ずれの補償を可能にする。
【0003】
相互に連結されている導管のそれぞれが、シール部材の介在によって相互に直接的に連結されているフランジが設けられることが知られている(例えば、特許文献2参照)。シール部材により、フランジが連結される際にある程度の角度ずれおよび位置ずれが補償される。フランジの内側において、導管が、導電性かつ弾性のフィンガーにより相互に連結されている。フィンガーはスライド接点として機能している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第319173号公報
【特許文献2】実開平11-033999号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、導管および/またはチャンバが連結される際に角度ずれおよび/または位置ずれの補償を可能にし、かつ、内部および/または外部に存在する高周波電磁場の影響を可能な限り軽減しうる、前記タイプの連結器具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、この目的のために特許請求項1に記載の連結器具を提案する。
【0007】
具体的には、前記第2導管部材の前記第2導管内壁が、前記第1導管内壁により囲まれている内部空間に部分的に導出されて終端し、かつ、前記第1導管内壁が、前記連結器具の少なくとも1つの弾性変形可能なスライド接点によって前記第2導管内壁に対して電気的に接続されている。
【0008】
本発明の一実施形態によれば、高周波電磁場の干渉がほぼないような、流体導管および/またはチャンバの連結が実現される。さらに、本発明に係る連結器具によれば、第1導管内壁および第2導管内壁により共同で囲繞または包摂されている連結器具の内部空洞を通過する流体における乱流の発生が防止される。
【0009】
本発明に係る連結器具は、複数の流体導管が相互に連結され、流体導管がチャンバに連結され、または、複数の流体チャンバが相互に連結される場合、かつ、高周波電磁場の干渉を可能な限り軽減する必要がある場合に用いられる。高周波電磁場の発生源は、ダクトおよび/またはチャンバの外側に配置されていてもよい。導管および/またはチャンバを通じて輸送される流体は、液体であれ気体であれ、それ自体がイオン化または帯電しているため、高周波電磁場が発生する可能性がある。したがって、本発明に係る連結器具は、特に粒子加速器で用いられてもよい。流体導管および/またはチャンバが高周波電磁場において相互に連結される他の場合にも、本発明に係る連結器具が適用可能である。さらに、本発明に係る連結器具は、導管および/またはチャンバが相互に連結される必要がある場合またはすでに相互に連結されている場合、特定の位置ずれおよび/または角度ずれの補償が可能になる。導管および/またはチャンバが組み立てられる際、連結器具による位置ずれおよび/または角度ずれの補償が必要になる可能性がある。本発明に係る連結器具によれば、組み立てられた状態における導管および/またはチャンバの位置ずれまたは角度ずれが補償されうる。高周波電磁場の周波数スペクトルは、本発明の様々な応用分野において多岐にわたっていてもよい。電磁界については説明が容易である。
【0010】
導管とその導管内壁に関連して「第1」および「第2」という用語は、言語規則的に明確に割り当てるために用いられる。第1導管部材または第2導管部材という用語は、2つの流体導管および/またはチャンバの間の配置順序または流体の流れ方向とは無関係である。第1導管部材の導管内壁は第1導管内壁と表わされる。第2導管部材の導管内壁は第2導管内壁と表わされる。両方の導管の場合、導管内壁が導管の唯一の壁であり、ひいては同時に導管外壁であってもよい。しかしながら、本発明の好適な実施形態として以下で説明されるように、導管の1つが付加的な導管外壁を有していてもよい。本発明の場合、第1導管部材の第1導管内壁および第2導管部材の第2導管内壁は共同で、流体が輸送される連結器具の内部空洞を囲繞または包摂する。連結器具の内部空洞と、第1導管内壁に囲まれ、かつ、第2導管部材の第2導管内壁が部分的に導出されている内部空間とは、相互に重なり合っているが同一ではない。これには2つの理由がある。第1の理由は、第1導管内壁により囲まれている内部空間の内側に、第2導管部材の第2導管内壁の一部と、第2導管内壁により囲まれている部分空間が設けられるためである。第2の理由は、連結器具の内部空洞は、連結器具により導管および/またはチャンバが相互に流体輸送可能に連結される場合、流体が輸送される連結器具の空洞の全体を指すためである。
【0011】
第1導管内壁と第2導管内壁との間の電気的に変化可能なスライド接点には、2つの目的がある。第1の目的は、当該2つの導管内壁を電気導通状態で相互に連結することである。第2の目的は、当該2つの導管内壁が相互に傾斜すること、および/または、当該2つの導管内壁の押し合いまたは引き合いによって、角度ずれおよび/または位置ずれの補償を可能にすることである。この目的のために、スライド接点は、一方では弾性的に変形可能であるが、他方では可能な限り導電性がある。それは、周方向に閉じたまたは特に環状のスライド接点であってもよく、相互に間隔を存して配置された複数のスライド接点であってもよい。原則として、十分な弾性変形性および十分な導電性を有する部材がこの目的に適している。スライド接点は、例えば、環状に閉じられた連結ブリッジを有し、そこから弾性変形可能なばね脚が片側および/または両側に突出し、ばね脚が連結ブリッジを通じて2つの導管内壁を電気導通状態で連結してもよい。
【0012】
ベローズにも2つの目的がある。第1の目的は、第1導管部材を第2導管部材に対して機械的に連結することである。この目的のために、ベローズは弾性付勢部材を有していることが好ましい。ベローズが塑性変形可能であってもよい。ベローズにより、位置ずれまたは角度ずれを補償するため、2つの導管を相互に変位させることができる。例えば、相互に連結された導管および/またはチャンバの間の位置または角度の温度に由来する変化も、この方法で補償される。ベローズが弾性的に付勢またはバイアスされている場合、第1導管部材および第2導管部材が、初期位置に向かって付勢またはバイアスされていることが好ましい。ベローズの第2の目鉄器は、第1導管部材および第2導管部材を外側から封止または密閉し、これに応じて、少なくとも部分的に第1導管部材および第2導管部材を囲繞股は包摂することである。ベローズは、導電性を有するように構成されていることが好ましい。ベローズは特に好ましくは金属からなる。当該構成によれば、第1導管部材および第2導管部材の間に付加的な電気的な接続が構成される。
【0013】
本発明に係る連結器具によって相互に連結される流体導管および/またはチャンバは、異なる形状の開口断面を有していてもよい。導管は、例えば円形開口断面を持つ円筒状の導管であってもよい。
【0014】
本発明の好適な実施形態によれば、少なくとも1つの弾性変形可能なスライド接点が、内部空洞とは反対側にある第2導管内壁の外側面に当接し、かつ、内部空間の反対側にある第1導管内壁の内側面に当接している。
【0015】
スライド接点がその所定位置に維持され、予期せずに変位しないように、スライド接点が、内部空洞の反対側にある第2導管内壁の外側面および/または内部空洞の反対側にある第1導管内壁の内側面の溝状凹部に配置されていることが好ましい。スライド接点が溝状凹部に配置されることで、スライド接点の予期せぬ動きが防止される。
【0016】
合理的な設計の観点から、連結器具を通じて流体を輸送するための内部空洞が、可能な限りいずれの箇所においても同じ開口断面を有していることが好ましい。これを実現するため、本発明の好適な変形例によれば、第1導管内壁が第1セクションおよび第2セクションを有し、第1導管内壁によって囲繞または包摂された開口断面が第2セクションよりも第1セクションにおいて小さい。これにより、第1導管部材本体内壁の第2セクションにある第2導管部材の第2導管内壁が、第1導管内壁により囲繞または包摂された内部空間に部分的に導出されてそこで終端することが可能になる。第1セクションよりも開口断面が大きい第2セクションは、第2導管内壁が第1導管内壁の内部空間に導出かつ配置されうるエリアを第1導管内壁に形成する。これにより、流体が連結器具を通過するための内部空洞が、2つの導管のいずれの箇所においてもほぼ同じ開口断面を有することが可能になる。
【0017】
本発明の好適な実施形態によれば、第2導管部材が、第2導管内壁において内部空洞の反対側にあって、かつ、第2導管内壁に対して間隔を存して配置されている導管外壁を有し、第1導管内壁が、第2導管内壁および導管外壁の間隙に導出されて終端している。第2導管部材の導管外壁および第2導管内壁の間隔は、当該間隙に配置された第1導管部材が、角度ずれおよび/または位置ずれの補償のために第2導管部材に対して動くことができる程度に確保されている。連結器具によって高周波電磁場の干渉を最小限に抑えるため、連結器具の弾性変形可能な少なくとも1つの付加的なスライドによって、第1導管内壁が導管外壁に対して導電状態で連結されることが好ましい。
【0018】
本発明に係る連結器具の構成要素は、高周波電磁場の干渉を最小限に軽減するため、可能な限り導電性である必要がある。この観点から、第1導管部材および/または第2導管部材および/またはベローズおよび/またはスライド接点が金属からなることが好ましい。適当な金属には、アルミニウム、鋼、ばね鋼、銅などが含まれている。必要に応じて、導電性が高い金属合金が用いられてもよい。銀および/または金でコーティングされていてもよい。いずれの場合も、第1導管部材および/または第2導管部材および/またはベローズおよび/またはスライド接点は、1×10[S/m]以上、好ましくは10×10[S/m]以上の直流導電率を有していることが好ましい。
【0019】
本発明は、連結器具に加えて、導管またはチャンバである第1構成要素と、導管またはチャンバである第2構成要素と、を備え、第1構成要素および第2構成要素の外側および/または内側に高周波電磁場が形成される連結システムに関する。本発明に係る連結システムによれば、第1構成要素が、本発明に係る連結器具によって流体輸送可能に第2構成要素に対して連結されている。当該連結システムにおいて、第1構成要素および第2構成要素のそれぞれが、シール部材および電気的なスライド接点によって連結器具に対して連結され、シール部材が好ましくは電気的なスライド接点によって囲まれている。
【0020】
本発明の好ましい変形例のさらなる特徴および詳細は、本発明の実施形態にしたがって以下に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の一実施形態としての連結器具により連結されている2つの流体導管を外側から臨む側面図。
図2図1の断面線A-Aに沿った拡大断面図。
図3図2のエリアBの拡大図。
図4図2のエリアCの拡大図。
図5】本発明の一実施形態としての連結器具の分解図。
図6】本実施形態で用いられるスライド接点の正面図。
図7図6の断面線D-Dに沿ったスライド接点の断面図。
図8】連結器具によって連結され、前後に配置された複数の流体導管の縦断面図。
図9】連結器具によって連結された流体導管およびチャンバの縦断面図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1において、2つの流体導管2が、本発明に係る連結器具1によって流体輸送可能に相互に連結されている。すなわち、流体は、一方の導管2から連結器具1またはその内部空洞9を通って他方の導管2に流れ、これとは逆に他方の導管2から連結器具1またはその内部空洞9を通って一方の導管2に流れることができる。本実施形態では、導管2のそれぞれはフランジ24を有している。連結器具1は、第1導管部材4および第2導管部材6またはそれぞれの連結面25によってフランジ24のそれぞれに対して固定されるが、その固定方法は、例えば、ねじ式締結、溶接、接着、クランプおよびその他の方法などは既知の方法であるため、詳細な説明を省略する。フランジ24が省略され、それぞれの導管2の端面が、第1導管部材4または第2導管部材6またはそれらの連結面25に対して直接的に固定されていてもよい。
【0023】
図2には、図1の断面線A-Aに沿った縦断面図が拡大されて示されている。図2には、図1と同様に、第1構成要素(ここでは一方の導管2)および第2構成要素(ここでは他方の導管2)が連結されている連結システムが示されている。第1構成要素は、本発明に係る連結器具1によって第2構成要素に対して流体輸送可能に連結されている。この連結により、本発明に係る連結器具1によれば、相互に対向している導管2の位置および/または角度の偏差の補償が可能である。さらに、本発明に係る連結器具1は、高周波電磁場による干渉または悪影響が最大限に軽減されるように構成されている。図示されていない高周波電磁場の発生源は、導管2の外側または内側に配置されている。導管2および連結器具1は、イオン化粒子または帯電粒子を有する気体および/または液体の流体を通過または流通させることができる。
【0024】
図2に示されているように、連結器具1が好ましくは弾性変形可能なベローズ8によって相互に連結されている第1導管部材4および第2導管部材6を備え、ベローズ8が第1導管部材4および第2導管部材6を少なくとも部分的に囲繞または包摂し、外側に対して封止されている。前述したように、ベローズ8は、金属製のベローズとして構成されていることが好ましく、弾性を有していることが好ましい。この場合、2つの導管部材、すなわち、第1導管部材4および第2導管部材6は、中立位置に向かう方向へのベローズ8による弾性付勢力によって、相互に付勢またはバイアスされる。第1導管部材4および第2導管部材6は、中立位置に対して偏向していてもよい。すなわち、連結された導管2の位置ずれまたは導管2の熱膨張もしくは熱収縮を補償するために、第1導管部材4および第2導管部材6は、押し合い、引き合いまたは相対的に揺動または傾動する。図2に示されているように、第1導管部材4は、剛性がある第1導管内壁5を有し、第2導管部材6は、剛性がある第2導管内壁7を有している。当該2つの導管内壁、すなわち、第1導管内壁5および第2導管内壁7は共同で、連結器具1を通じて流体を通過させるための内部空洞9を囲繞または包摂する。第1導管部材4および第2導管部材6は、ベローズ8の弾性付勢力に抗して、相互に変位および/または傾斜することができる。
【0025】
本発明によれば、第2導管部材6の第2導管内壁7が、第1導管内壁5により囲まれた内部空間10に部分的に導出されてそこで終端している。さらに、第1導管内壁5は、弾性変形可能なスライド接点11によって、第2導管内壁7に対して電気的に接続されている。換言すれば、第1導管部材4および第2導管部材6は、スライド接点11を介して相互に電気的に短絡されている。スライド接点11の弾性により、位置ずれ補償のためだけでなく角度ずれ補償のためにも、第1導管部材4および第2導管部材6の間の相対的な動きが可能とされている。
【0026】
内部空洞9および内部空間10の関係については、前記した対応する説明を参照されたい。当該説明事項は、図2を参照することにより容易に理解することができる。
【0027】
図2に示されているように、弾性変形可能なスライド接点11が、内部空洞9の反対側にある第2導管内壁7の外側面12に対して当接し、かつ、内部空洞9の反対側にある第1導管内壁5の内側面13に対して当接している。ここでは第1導管部材4の第1導管内壁5に形成され、スライド接点11を収容する溝状凹部14により、第1導管部材4および第2導管部材6の押し合いもしくは引き合いによる位置ずれ補償または相対的な傾動による角度ずれ補償に際して、スライド接点11が過度に変位することが防止される。図2において、第1導管内壁5は、相互に異なる開口断面17を有する第1セクション15および第2セクション16を有している。開口断面が大きい第2セクション16は、第2導管内壁7が部分的に導入されて終端している、第1導管内壁5のセクションである。図2に示されているように、第1導管内壁5の開口断面17の階段状の構成により、内部空洞9が、連結器具1において基本的にその延在範囲の全体または大部分にわたって一定の開口断面で構成されることが可能になる。
【0028】
図2に示されているように、本実施形態では、第2導管部材6が、第2導管内壁7の内部空洞9の反対側において第2導管内壁7に対して間隔19を存して配置された導管外壁18を有している。第1導管内壁5は、第2導管内壁7および導管外壁18の間隔19によって形成されている間隙20に配置されている。第1導管内壁5は、間隙20に導入され、間隙20において終端している。これにより、本発明に係る連結器具1が、外側および/または内側に印加された高周波電磁場との干渉を可能な限り軽減されうる。ここで実現されているように、第1導管内壁5が、連結器具1の弾性変形可能な少なくとも1つの付加的なスライド接点21によって導管外壁18に対して電気的に接続されていることが好ましい。
【0029】
付加的なスライド接点21は、サイズの若干の相違を除いて、スライド接点11と本的に同様に構成されていてもよい。溝状凹部26は、前記したスライド接点11の溝状凹部14の機能と同様に、スライド接点21を再び所定位置に維持する機能を有する。これは、本実施形態とは異なる他の変形例にも適用されてもよい。
【0030】
第1導管部材4および第2導管部材6とそれぞれのフランジ24またはそれぞれの導管2との間の連結を封止または密封するため、本実施形態では円環状リングとして構成されている、既知のシール部材22が設けられている。シール部材22は、それぞれの場合において、電気的なスライド接点23により囲まれている。当該電気的なスライド接点23は、フランジ24または導管2と、本発明に係る連結器具1の第1導管部材4および第2導管部材6との間の適当な電気的接続を確立する役割を果たす。スライド接点23は、連結スライド接点23という用語によって表現される場合もある。スライド接点23は、弾性変形可能に構成されていることが好ましい。スライド接点23は、サイズの若干の相違を除いて、スライド接点11と基本的に同様に構成されていてもよい。
【0031】
図3には、図2のエリアBにおけるシール部材22およびスライド接点23の拡大図が示されている。図4には、図2のエリアCの拡大図が示されている。2つの導管内壁、すなわち第1導管内壁5および第2導管内壁7を電気的に接続する一方で弾性的に変位可能に連結するため、電気的なスライド接点11が、一方では第1導管内壁5の内側面13に対して当接し、他方では第2導管内壁7の外側面12に対して当接している。
【0032】
図5には、本発明に係る連結器具1が各構成要素に分解された図が示されている。図6には、半環状に構成されているスライド接点11が示されている。図6の断面線D-Dに沿った断面図が示されている図7には、図6と同様に、スライド接点11の環状に形成された連結ブリッジ27が、その両側に連続し、連結ブリッジ27に対して弾性的に撓むことができるばね脚28を有していることが示されている。ばね脚28によって、スライド接点11は、一方では第1導管内壁5に対して当接し、かつ、他方では第2導管内壁7に対して当接する。
【0033】
前述したように、スライド接点21および23は対応して構成されていてもよい。適当な導電性を有する弾性的な変形可能な他の形態のスライド接点が採用されてもよい。とりわけ、スライド接点11は半環状に形成されている必要はない。一方では高い導電性が確立され、他方では第1導管部材4および第2導管部材6が弾性的に変位可能に第1導管部材4と導管2とを適当に連結するために、相互に離間した別個のスライド接点11が設けられていてもよい。
【0034】
図8には、本実施形態の2つの連結器具1により、3本の導管2が流体輸送可能に相互に連結されている様子を表わす縦断面図が示されている。
【0035】
図9には、中央に配置されたチャンバ3が、本発明に係る連結器具1の介在により2本の導管2に対して連結されている様子が示されている。もちろん、2つのチャンバ3が相互に直接的に連結されていてもよい。
【符号の説明】
【0036】
1‥連結器具
2‥導管
3‥チャンバ
4‥第1導管部材
5‥第1導管内壁
6‥第2導管部材
7‥第2導管内壁
8‥ベローズ
9‥内部空洞
10‥内部空間
11‥スライド接点
12‥外側面
13‥内側面
14‥溝状凹部
15‥第1セクション
16‥第2セクション
17‥開口断面
18‥導管外壁
19‥間隔
20‥間隙
21‥付加的なスライド接点
22‥シール部材
23‥スライド接点
24‥フランジ
25‥連結面
26‥溝状凹部
27‥連結ブリッジ
28‥ばね脚。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【国際調査報告】