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特表2023-504986患者に対して個々の運動分析及び運動治療を実施するためのデバイス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-08
(54)【発明の名称】患者に対して個々の運動分析及び運動治療を実施するためのデバイス
(51)【国際特許分類】
   A61H 1/02 20060101AFI20230201BHJP
   A61B 5/11 20060101ALI20230201BHJP
【FI】
A61H1/02 N
A61B5/11
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022521310
(86)(22)【出願日】2020-11-13
(85)【翻訳文提出日】2022-05-27
(86)【国際出願番号】 DE2020100971
(87)【国際公開番号】W WO2021098914
(87)【国際公開日】2021-05-27
(31)【優先権主張番号】102019131703.7
(32)【優先日】2019-11-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518093178
【氏名又は名称】リアクティブ ロボティックス ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】ケーニヒ,アレクサンダー
【テーマコード(参考)】
4C038
4C046
【Fターム(参考)】
4C038VA04
4C038VB11
4C038VB12
4C038VB14
4C038VC09
4C038VC20
4C046AA03
4C046AA07
4C046AA09
4C046AA11
4C046AA13
4C046AA25
4C046AA33
4C046AA44
4C046AA45
4C046AA50
4C046BB07
4C046CC12
4C046DD32
4C046DD39
4C046EE02
4C046EE06
4C046EE12
4C046EE16
4C046FF25
4C046FF32
(57)【要約】
本発明は、患者に個々の運動分析及び運動治療を実行するためのデバイス(1)に関する。このデバイス(1)は、制御及び分析ユニット(6)が第1の介入手段(3)を、患者(90)の四肢(94)における運動の第1の軌道(T)が、運動モジュール(5)によって患者(90)の四肢(94)に加えられた力によって中断されるように制御するよう設計されることを特徴とする。この中断(P)に対する応答は、少なくとも1つの力センサ(41;51)、及び/または少なくとも1つの角度センサ(52)からの、変更された計測値を介して測定され、新しい第2の軌道(T)が、そこから計算される。第1の介入手段(3)を(さらに)制御するための新しい制御パラメータは、第2の軌道(T)を、第1の軌道(T)及び/または目標軌道(Tsoll)と比較することから計算されるか、または中断された計測値と、中断されない計測値との比較から計算される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者に対して個々に運動分析及び運動治療を実施するためのデバイス(1)であって、
計画に従って、患者(90)の脚(72)の少なくとも関節、筋肉、及び腱である四肢(94)の、自動化されたリハビリテーション運動のために好適に設計された、リハビリテーション機構(30)の形態である第1の介入手段(3)であって、
前記患者(90)の前記四肢(94)との、動作接続に至らせることができる、少なくとも1つの運動モジュール(5)を有し、
前記運動モジュール(5)は、前記運動モジュール(5)と前記患者(90)の四肢(94)との間における力(F(t))の絶対値を計測するための、少なくとも1つの力センサ(41;51)、及び/または、
前記運動モジュール(5)と前記患者(90)の前記四肢(94)との間における力(F(t))の方向を計測するための、少なくとも1つの角度センサ(52)、を備えた、第1の介入手段(3)と、
前記第1の介入手段(3)の制御、ならびに、少なくとも1つの前記力センサ(41;51)及び/または少なくとも1つの前記角度センサ(52)による実際の値から計算された、前記患者(90)の前記四肢(94)の運動における軌道(T;T...)の分析、を行なうための、制御及び分析ユニット(6)と、を少なくとも備え、
前記デバイス(1)は、前記制御及び分析ユニット(6)が、
前記第1の介入手段(3)を、前記患者(90)の前記四肢(94)の運動軌道(T)が、前記患者(90)の前記四肢(94)において前記運動モジュール(5)によって加えられた力によって中断されるよう、制御するよう、
前記中断(P)に対する応答が、少なくとも1つの前記力センサ(41;51)及び/または少なくとも1つの前記角度センサ(52)の、変更された計測値によって計測され、新しい第2の軌道(T)が、それから計算されるよう、及び、
前記第1の介入手段(3)の(別の)制御のための、新しい制御パラメータが、前記第2の軌道(T)を、前記第1の軌道(T)及び/もしくは目標軌道(Tsoll)と比較すること、または、少なくとも1つの前記力センサ(41;51)及び/もしくは少なくとも1つの前記角度センサ(52)における、中断された計測値と、中断されない計測値との比較、から計算されるよう、
構成されることを特徴とする、デバイス(1)。
【請求項2】
前記リハビリテーション機構(30)は、少なくとも、
前記患者(90)の膝関節(93)との動作接続に至らせることを可能にする、1つの膝モジュール(50)であって、
前記膝モジュール(50)、及び前記患者(90)の膝関節(93)の間における力の絶対値を計測するための、少なくとも1つの力センサ(51)、及び/または
前記膝モジュール(50)、及び前記患者(90)の前記膝関節(93)の間における力の方向を計測するための、少なくとも1つの角度センサ(52)、を備えた、1つの膝モジュール(50)と、
前記患者(90)の足(91)を適応させるための、足モジュール(40)であって、
前記足モジュール(40)と、前記患者(90)の各足(91)との間における力の絶対値を計測するための、少なくとも1つの力センサ(41)を備えた、足モジュール(40)と、
を運動モジュール(5)として備えることを特徴とする、請求項1に記載のデバイス(1)。
【請求項3】
前記患者(90)と相互作用するための、少なくとも1つの第2の介入手段(7)を備え、前記第2の介入手段(7)は、(制御)データを、前記制御及び分析ユニット(6)と交換(制御)するよう構成されることを特徴とする、請求項1または2に記載のデバイス(1)。
【請求項4】
前記第2の介入手段(7)は、前記患者(90)の体、具体的には前記患者(90)の脚(92)、膝関節(93)、及び/または足(91)と相互作用するよう構成されることを特徴とする、請求項3に記載のデバイス(1)。
【請求項5】
前記第2の介入手段(7)は、振動を発生させるための手段(71)、及び/または電気筋刺激を実施するための手段(72)であることを特徴とする、請求項3または4に記載のデバイス(1)。
【請求項6】
前記第2の介入手段(7)は、視覚刺激を発生させるための手段(73)、及び/または、音刺激を発生させるための手段(74)であることを特徴とする、請求項3~5のうちいずれか一項に記載のデバイス(1)。
【請求項7】
前記第2の介入手段(7)は、計画的な薬剤投与のための手段(75)であることを特徴とする、請求項3~6のうちいずれか一項に記載のデバイス(1)。
【請求項8】
前記制御及び分析ユニット(6)は、筋電図検査を実施するための手段(61)であることを特徴とする、請求項1~7のうちいずれか一項に記載のデバイス(1)。
【請求項9】
前記デバイス(1)、具体的には前記第1の介入手段(3)を、ベッド(80)、詳細には垂直に駆動させることができる病院のベッドに、可逆的に接続するための装置(11)を備えることを特徴とする、請求項1~8のうちいずれか一項に記載のデバイス(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1のプリアンブルの特徴を有する、患者に対して個々の運動分析及び運動治療を実施するためのデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
寝たきり状態の患者、具体的には例えば脳血管障害の後、外傷性脳損傷の後、及び/または対麻痺などの、神経機能障害を伴う患者には、運動機能及び神経機能における両方の改善のための、運動治療の時宜を得た開始は、明白に役立つ。この場合、このような運動治療の成功は、各個人の患者における個々の状況に大きく依拠し、患者たちの治癒プロセスの初期段階においては、推定または評価することは非常に困難である。例えば、各々が脳血管障害を有し、例えばMRI撮像などから同等の身体障害及び同等の臨床所見を有する2人の患者は、同等の介入(例えば各々が、1日1時間、週5日で、3週間のリハビリテーション治療の場合)の場合において、全く別様に回復し得る。従来、回復しない患者は、「非応答者」と称され、一方で治療に応答して「意識を回復した」患者は、所謂「応答者」と称される。
【0003】
したがって、治療介入、具体的には神経疾患患者のための治療介入の個別化は、実質的に存在しない。なぜなら、有効性/非有効性の予想は、回復期の開始においては困難であり、ほとんどの患者は、その時可能である治療形態か、またはそれぞれの病院における標準として実行されている治療形態を、受けるのみであるからである。個人の治癒予想を容易にする、統計的方法または論理的方法が公知である他の臨床像とは対照的に、このような方法は、神経疾患患者の事例では実質的に知られておらず、それは、患者に個別化された方法に適合され得ない治療介入、具体的には初期の運動治療をもたらす。
【0004】
例として、独国特許出願公開第102017114290号明細書は、寝たきり状態の患者の下肢における、長さ係数、位置、及び/または運動半径を判断するための計測方法、ならびにこのような計測方法を実行するためのデバイス、のみを開示している。そこで開示されたデバイスは、とりわけ、片持ち梁及び接続要素によって、膝装具に導入される力を監視する力センサを提供するが、個々の治癒予想を促進しない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】独国特許出願公開第102017114290号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
これを開始ポイントとすると、本発明は、先行技術よりも向上した、患者に対して個々の運動分析及び運動治療を実施するためのデバイスを提供する目的に基づく。このデバイスは、可能な治療介入の成功機会、個別化された治療戦略の開発、及び運動治療中における治癒プロセスの追跡、という観点で、詳細には患者の治癒プロセスの当初段階における試験を容易にする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目標は、独立請求項1の特徴を有するデバイスを用いて実現される。
【0008】
先行技術におけるデバイスに対して、本発明によるデバイスは、制御及び分析ユニットが第1の介入手段を、患者の四肢における運動の第1の軌道が、患者の四肢における運動モジュールによって加えられた力によって中断されるように制御するよう構成される点で、特色を示す。この中断に対する応答は、少なくとも1つの力センサ及び/または少なくとも1つの角度センサの、変更された計測値によって計測される。新しい第2の軌道は、そこから計算される。第1の介入手段の(さらなる)制御のための、新しい制御パラメータは、第2の軌道を、第1の軌道及び/もしくは目標軌道と比較することから、または、少なくとも1つの力センサ及び/もしくは少なくとも1つの角度センサにおける、中断された計測値と中断されない計測値との比較から、計算される。
【0009】
有利には、このようなデバイスは、特に寝たきり状態の患者の、リハビリテーションの初期段階における、個々の歩行分析を実施することを可能にし、かつこの分析が、第1の介入手段の支援、具体的にはリハビリテーション機構の支援と共に実施される別の(より詳細な)運動治療において、自動的に考慮されるのを可能にする。さらに、治療の成功は、治療者によって光学的に検出可能ではないが、既に検出された第1の介入手段によって患者に課せられた中断に対する、患者による小さい応答を伴って自動的に有利に判断することができる。
【0010】
この場合、中断は、第1の介入手段、具体的にはリハビリテーション機構によって、好ましくは「締付け試験」の形態、すなわち運動半径の制限の形態で、運動をより困難に、及び/または運動を防止する形態で導入される。分析は、対抗するために患者によって加えられた力を計測することによって、及び/または様々な軌道の逸脱を判断することによって、実施される。
【0011】
この場合、各個々の患者の計測値を有利に記憶し、患者自身の個々の治療のため、または彼ら自身の治療成果を判断するため、及び治療の「典型的な」進捗のデータベースを生成するため、の両方に使用することができる。これらデータの統計的評価のため、治療者/医者が、それぞれの患者の条件の変化を(さらに)光学的に識別することが既にできない時点においても、治療の様々な進捗についてのさらに精確な予想を、有利に実現することができる。
【0012】
本発明の好ましい実施形態において、価値があると証明されたことは、リハビリテーション機構が運動モジュールとして、患者の膝関節との動作接続に至らせることを可能にする、少なくとも1つの膝モジュールを有することである。この膝モジュールは、膝モジュールと患者の膝関節との間における力の絶対値を計測するための、少なくとも1つの力センサ、及び/もしくは膝モジュールと患者の膝関節との間における力の方向を計測するための、少なくとも1つの角度センサ、ならびに/または、患者の足を適応させるための足モジュール、を備える。この足モジュールは、足モジュールと患者の各足との間における力の絶対値を計測するための、少なくとも1つの力センサを備える。運動モジュールとして、少なくとも1つの膝モジュール及び/または足モジュールを有するリハビリテーション機構は、脚の比較的大きい筋肉グループが有利に含まれた患者の脚運動における、個々の運動分析及び運動治療を実施するために、特に好適である。
【0013】
さらに、本発明の好ましい実施形態において、デバイスは、患者と相互作用するための、少なくとも1つの第2の介入手段を備える。第2の介入手段は、データを、制御及び分析ユニットと交換(制御)するよう構成される。少なくとも1つの第2の介入手段が提供された場合、例えば1つまたは複数のさらなる刺激を加えることによって、患者に対して、様々な治療要素または治療戦略及びコンセプトの影響を、試験及び/もしくは制御可能に変更することが可能である。その結果、患者のための個々で「最良」である最も有効な治療パフォーマンスを、有利に自動で判断することができる。
【0014】
この場合、価値があることが証明されたことは、第2の介入手段が、患者の体、具体的には患者の脚、膝関節、及び/または患者の足と相互作用するよう構成されることである。このように構成された第2の介入手段は、患者との直接的な機械的相互作用、または患者に対する影響の行使を有利に向上させる。この目的で、第2の介入手段は、好ましくは、第1の介入手段、具体的にはリハビリテーション機構に直接に配置するか、または第1の介入手段から離されたデバイスに配置するか、のいずれかとすることができる。
【0015】
この目的で、第2の介入手段は、好ましくは、振動を発生させるための手段、及び/または電気筋刺激を実施するための手段とすることができる。このように有利に具現化された第2の介入手段は、機械式もしくは電気式、または他のタイプの外部筋肉刺激を、有利に促進される。
【0016】
別の好ましい実施形態において、第2の介入手段は、視覚刺激を発生させるための手段、及び/または音刺激を発生させるための手段とすることができる。第1に、これは患者の視覚刺激及び/または音刺激を有利に促進させるが、第2に、患者のパフォーマンスに関する視覚/音の、あるタイプのフィードバックを患者に提供する選択肢ももたらす。
【0017】
さらに、第2の介入手段が計画的な薬剤投与の手段である本発明の実施形態は、価値があることが証明されている。計画的な薬剤投与の手段は、患者に対する薬理学的介入の制御された変更を容易にする。このように具現化された第2の介入手段の提供は、どの薬剤(またはどの薬剤の省略)が有利にリハビリテーションの進捗に影響を及ぼすことができるか、を試験することを可能にする。すなわち、例えば様々な鎮静薬剤、またはセロトニン、ノルアドレナリン、もしくはドーパミンなど特定の神経伝達物質のいずれが、運動治療の有効性を向上させる目的で、個々に基づいて選択されるべきであるか、を試験することを可能にする。
【0018】
別の好ましい実施形態において、価値があると証明されたことは、制御及び分析ユニットが、筋電図検査を実施するための手段を備えることである。制御及び分析ユニットが、筋電図検査を実施するための手段を備えた場合、患者の電気筋肉活動における小さい変化も計測することを有利に可能にし、具体的には脳血管障害直後における意識のない患者の、健康状態を試験することを可能にする。
【0019】
最後に、デバイス、具体的には第1の介入手段が、詳細には垂直に駆動させることができる病院のベッドに対して、可逆的に接続する装置を備えた、本発明によるデバイスの実施形態は、価値があることが証明された。具体的には第1の介入手段であるデバイスを、詳細には垂直に駆動させることができる病院のベッドに可逆的に接続するための装置は、本発明によるデバイスの可動実施形態を有利に促進させる。または具体的には病院の従来のベッドを、本発明による装置を用いて改良することで、病院及び/または介護施設における調達コストを有利に軽減させる。可逆的接続のための考えられる装置は、例えば本出願人による、独国特許出願公開第102018129370号明細書(DE 10 2018 129 370.4)で開示されている。
【0020】
本発明のこれら及び追加の詳細、ならびに別の利点を、本発明を制限せずに、好ましい例示的な実施形態に基づいて、添付の図面と共に以下で説明する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明によるデバイスの実施形態における側面図である。
図2】デバイスをベッドに可逆的に接続するための装置を有する、本発明によるデバイスの別の実施形態を示す図である。
図3】例示的な方法でプロットされた軌道を用いて、個々の運動分析及び運動治療を実行している、本発明によるデバイスの別の実施形態を示す図である。
図4a】例示的な方法でプロットされた、股関節のステップ高さ及び屈曲角度を用いて、個々の運動分析及び運動治療を実行している、本発明によるデバイスの別の実施形態を示す図である。
図4b】中断前後の、図4aのデバイスによって計測されたステップ高の、例示的なプロットを示す図であり、ステップ高が中断後よりも中断前の方が高い第1の場合である。
図4c】中断前後の、図4aのデバイスによって計測されたステップ高の、例示的なプロットを示す図であり、ステップ高が中断後よりも中断前の方が低い第2のケースである。
図5a】四肢の運動を防止するデバイスから成る中断を伴い、個々の運動分析及び運動治療を実行している、本発明によるデバイスの別の実施形態を示す図である。
図5b図5aのデバイスに患者によって加えられた力の、デバイスによって計測された例示的なプロットを示す図であり、四肢の運動が中断されない場合、及び四肢の運動が特に完全に妨げられて中断された場合である。
図5c】時間の関数として、例示的に図5a及び図5bに示されたような、個々の運動分析及び運動治療のパフォーマンスに相当する、屈曲角度の例示的なプロットを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の好ましい実施形態における以下の説明において、同一の参照記号は、同一または同等の構成要素を表わす。
【0023】
図1は、本発明によるデバイス1の実施形態における側面を示す。本発明によるデバイス1は、少なくとも1つの第1の介入手段3を備える。それは、患者90の四肢94の脚92における、少なくとも関節、筋肉、及び腱の、計画に従って自動化されたリハビリテーション運動のために好適に設計されたリハビリテーション機構30の形態であり、患者90の四肢94との動作接続に至らせることを可能にする、少なくとも1つの運動モジュール5を有する。この場合、運動モジュール5は、運動モジュール5と患者90の四肢94との間における力F(t)の絶対値を計測するための、少なくとも1つの力センサ41;51(図3及び図5Aも参照)、及び/または運動モジュール5と患者90の四肢94との間における力F(t)の方向を計測するための、少なくとも1つの角度センサ52を備える。本発明によるデバイス1はさらに、少なくとも1つの制御及び分析ユニット6を備え、第1の介入手段3の制御と、少なくとも1つの力センサ41;51及び/または少なくとも1つの角度センサ52の実際の値から計算された、患者90の四肢94の運動における軌道T;T...の分析と、を行なう。
【0024】
本発明によるデバイス1の制御及び分析ユニット6は、患者90の四肢94における運動の第1の軌道Tが、患者90の四肢94における運動モジュール5によって加えられた力によって中断されるように、第1の介入手段3を制御するよう構成される。この中断Pに対する応答は、少なくとも1つの力センサ41;51及び/または少なくとも1つの角度センサ52の、変更された計測値によって計測される。新しい第2の軌道Tは、そこから計算される。第1の介入手段3の(別の)制御のための、新しい制御パラメータは、第2の軌道Tを、第1の軌道T及び/もしくは目標軌道Tsollと比較することから、または、少なくとも1つの力センサ41;51及び/もしくは少なくとも1つの角度センサ52における、中断された計測値と中断されない計測値との比較から、計算される。力センサ41;51は、詳細には、図1に示されるように運動モジュール5の片持ち梁、及び/または患者90の足91に近い領域、具体的にはリハビリテーション機構30の足モジュール40に、配置することができる(図2及び図3を同様に参照)。
【0025】
さらに図1は、デバイス1が好ましくは、患者90と相互作用するための、少なくとも1つの第2の介入手段7を備えるのを示す。第2の介入手段7は、好ましくはデータを、制御及び分析ユニット6と交換(制御)するよう構成される。詳細には、第2の介入手段7を、患者90の身体、具体的には患者の脚92、膝関節93、及び/または足91と相互作用するよう、構成することができる。それによって例えば、力を患者90の四肢94に加えることによって、四肢94の運動に対して別の機械的中断Pを発生させる。この目的で、第2の介入手段7は、詳細には、振動を発生させるための手段71(図3参照)、及び/または電気筋刺激を実施するための手段72、とすることができる。好ましくは、制御及び分析ユニット6は、後者の場合において、筋電図検査を実施するための手段61も備え、電気式または他のタイプの外部筋肉刺激を、制御及び評価するよう有利に働く。第2の介入手段7はさらに、代替または重複して、示されるように視覚刺激を発生させるための手段73、及び/または音刺激を発生させるための手段74としてもよい。本発明のこのような実施形態において、第2の介入手段7は、中断Pとして、視覚及び/または聴覚など患者90の他の感覚に、有利に作用することができる。特に神経障害を有する患者90の場合、異なる感覚器官を介した作用は、より良好な(脳)刺激をもたらし、それは次にリハビリテーションの進捗を有利に支援し得る。次にデバイス1は、このような中断P、具体的には上述のような、患者90に対する音及び/または視覚中断の影響を、有利に計測及び評価することができる。最後に、第2の介入手段7は、代替または重複して、計画的な薬剤投与のための手段75としてもよい。この場合、中断Pは、薬剤の目標とする投与、及び/または目標とする省略、すなわち薬理学的介入から成る。例として、このような第2の介入手段7は、どの薬剤が治癒プロセスに対して有利または不利であるか、どの有効成分の服用量が有効であるか、及び、例えば鎮静剤の変更、またはセロトニン、ノルアドレナリン、もしくはドーパミンなど特定の神経伝達物質の投与が、治癒プロセスに(好ましくは有益に)影響を及ぼすことができるか、を試験することを有利に促進させる。本発明によるデバイス1は、患者の挙動の逸脱、詳細には患者の運動シーケンスにおける逸脱を有利に計測することができる。これらの逸脱は小さすぎて、従来の運動治療中には、治療者によってさえ気付かれない場合がある。これによって、得られた結果の精度は有利に向上する。
【0026】
図2は、デバイス1、具体的には第1の介入手段3をベッド80に可逆的に接続するための装置11を備えた、本発明によるデバイス1の別の実施形態を示す。この場合、ベッド80は、好ましくは垂直に駆動させることができる病院のベッドとすることができる。図2に示されるように、デバイス1は、可逆的な接続のための、このような装置11の支援を伴う可動設計とすることができ、かつ個々の運動分析及び運動治療を実行するために、ベッド80に接続することができる。デバイス1は、分析または治療が完了した後に、再び取り外すことができる。考えられる装置11は、例えば本出願人による独国特許出願公開第102018129370号明細書(DE 10 2018 129 370.4)で開示されており、装置11の機能に関するこの接合点において、包括的参照が成される。
【0027】
図2はさらに、デバイス1が運動モジュール5としてリハビリテーション機構30も有し得ることを示す。このリハビリテーション機構は、患者90の膝関節93との動作接続に至らせることを可能にする、少なくとも1つの膝モジュール50を備える。膝モジュール50は、好ましくは、膝モジュール50と患者90の膝関節93との間における力F(t)の絶対値を計測するための、少なくとも1つの力センサ51、及び/または膝モジュール50と患者90の膝関節93との間に置ける力F(t)の方向を計測するための、少なくとも1つの角度センサ52、を備える。代替または重複して、リハビリテーション機構30は、患者90の足91を適応させるための足モジュール40も備え得る。足モジュール40は、好ましくは足モジュール40と患者90の足91との間における力の絶対値を計測するための、少なくとも1つの力センサ41を備える。
【0028】
次に図3は、例示的にプロットされた軌道Tsoll、T、Tを用いて、個々の運動分析及び運動治療を実行している、本発明によるデバイス1の別の実施形態を示す。運動分析を実行するために、ここでは脚92の例を使用して示された、患者90の四肢94は、運動モジュール5との動作接続に至らせてもよい。この目的で、図3は、例示的に膝関節93の領域における大腿部の動作接続を示す。しかし脚92を、図1図4a、及び図5aに示されるように下腿において、ならびに/または別の箇所において、第1の介入手段3との動作接続に至らせてもよい。少なくとも1つの力センサ41;51の支援を伴い、図3は、運動モジュール5の片持ち梁における力センサ51、及び足モジュール40の領域における力センサ41、ならびに/または少なくとも1つの角度センサ52を示す。このとき、運動モジュール5と四肢94との間の力F(t)の絶対値を計測することによって、または四肢94の運動中における力F(t)の方向を計測することによって、制御及び分析ユニット6による軌道T;T;...を判断すること、ならびに別の使用のために上記の軌道を記憶すること、が可能である。このように、デバイス1は、例えば健康なヒトの中断されない「通常の」軌道T;T;...のデータベースを、第1の介入手段3、詳細にはリハビリテーション機構30を用いて作り出すことを有利に促進させる。このような記録中には、対象の運動にいかなる中断Pも加えず、代わりに、この運動に付随するのみである。
【0029】
回復期にある患者90の場合、四肢94の運動における実際の軌道T;T;...は、初めに本発明によるデバイス1の支援による簡単な方法で計測することができ、その時の治癒状態を推測する目的で、上述のデータベース項目、すなわち健康なヒトの目標軌道Tsollと比較することができる。次に、患者90に作用する中断Pも、第1の介入手段3によって、具体的には運動モジュール5によって、及び/または1つまたは複数の第2の介入手段7によって、四肢94の運動前及び/または運動中に発生させることもでき、それによって誘導された比較軌道からの考えられる逸脱を、計測することができる。この場合、詳細には比較軌道は、データベースに記憶された健康なヒトの目標軌道Tsollか、または以前において既に計測された患者90自身の軌道T;T;...のいずれかとすることができる。このように、それぞれの患者90における個々の治癒の進捗を、個々に基づき有利に記録する。
【0030】
さらに本発明によるデバイス1は、少なくとも1つの力センサ41;51及び/または少なくとも1つの角度センサ52の、中断されない計測値及び中断された計測値の定量化によって、中断Pに適応する患者90の能力についてのステートメントを作ることを可能にし、それによって、この患者の健康状態及び/またはリハビリテーションの成果を調査することを可能にする。これら2つの定量化方法は、以下で例示的に表わされる。
【0031】
図4aは、個々の運動分析及び運動治療を実施している、本発明によるデバイス1の実施形態を示し、例示的にプロットしたステップ高Hup;H、及び股関節95の屈曲角度φup;φを伴う。この定量化方法において、デバイス1によって制御及び/または適応された複数の連続した運動サイクル(「ステップ」)の間に、患者90に作用する中断Pを発生させることが可能であり、それは第1の介入手段3で力を加えることによるもの、または第2の介入手段7における別の中断Pによるもの、である。この場合、股関節95のステップ高Hup;H、及び/または屈曲角度φup;φを、好ましくは計測パラメータとして選択することができ、中断P、具体的には患者90の四肢94における力の行使が、股関節95の計測されたステップ高Hup;H、または屈曲角度φup;φに影響を及ぼすことを可能にする。患者90の健康状態に依拠して、特定の期間後に、患者90の運動適合が存在し得る。その間、中断Pは患者90に作用し、及び/または中断Pは再び取り除かれる。患者90はそれぞれの中断Pから回復し、それは次に前述の計測値の変化に反映され得る。
【0032】
図4bは、第1の場合の中断P前後における、図4aのデバイス1によって計測されたステップ高Hup;Hの、例示的なプロットを示し、中断P前のステップ高Hupは、中断P後のステップ高Hよりも大きい。
【0033】
図4cは、中断前後の図4aのデバイス1によって計測されたステップ高Hup;Hの、例示的なプロットを示し、中断P前のステップ高Hupは、中断P後のステップ高Hよりも小さい。両方の図において、H(n)は、それぞれのステップ回数nのステップ高を示す。
【0034】
図4b及び図4cの両方から、中断Pの開始後のステップHが、中断されないステップ高Hupから大きく異なることが明白である。ステップ回数nが、中断Pの開始後に増加するにしたがって、計測値は、中断されないステップ高Hupに再び接近する。しかしこの適合のスピード及び/または範囲は、患者90のその時の個々の健康状態に依拠して生じ(=「回復する能力」)、したがって、適用された治療の形態(運動治療、薬剤治療など)の有効性に関する症状を提供することができる。
【0035】
本発明によるデバイス1によって促進される、第2の考えられる定量化プロセスは、図5a~図5cで概説される。
【0036】
図5aは、四肢94の運動を防止するデバイス1から成る中断Pを伴い、個々の運動分析及び運動治療を実行している、本発明によるデバイス1の1つの実施形態を示す。この目的で、患者90は本発明によるデバイス1に、具体的には第1の介入手段3に、好ましくは運動モジュール5を介して動作接続させることができる。その後、運動モジュール5と患者90の四肢94との間における力F(t)を、少なくとも1つの力センサ41;51の支援を伴って、運動サイクルすなわち中断されない状態の「ステップ」の間、計測することができる。次のステップにおいて、四肢94、具体的にはここで示されるように脚92は、第1の介入手段3によって、好ましくは運動モジュール5によってしっかりと保持され、そのため脚92は、その運動を実行することを実質的に完全に防止される。次に、第1の介入手段3による妨害に抗い、それに関わらず動く患者90によって生成される力F(t)を、力センサ41;51の支援を伴って計測することができる。
【0037】
図5bは、四肢94の中断されない運動の場合、及び中断された、具体的には四肢94の運動が完全に防止された場合において、デバイス1によって計測された、図5aのデバイス1に患者90によって加えられた力F(t)の、例示的なプロットを示す。図5は、例示的に図5a及び図5bに示されたような、個々の運動分析及び運動治療のパフォーマンスに相当する、時間tの関数としての、屈曲角度φ(t)の例示的なプロットを示す。この場合、Fup(t)及びφup(t)の各々は、中断されない状態を示し、F(t)及びφ(t)は、中断された状態を示し、ここで第1の介入手段3は、実質的に完全に運動を防止する。ここで示される例において、患者90の脚92は、中断された状態において伸ばされたままであり、股関節95の屈曲角度φ(t)は、そのために中断Pの期間tを通して、0°または180°(ゼロの定義に依拠)で一定を保つ(=脚92をしっかりと保持する)。患者90が中断Pに対抗して働く力F(t)は、その時の個々の健康状態に依拠し、中断されないステップFup(t)の計測値、及び/または健康なヒトまたは他の患者のデータベースと比較することができる。
【0038】
本発明は、患者に個々の運動分析及び運動治療を実行するためのデバイス1に関する。このデバイスは、制御及び分析ユニット6が第1の介入手段3を、患者90の四肢94における運動の第1の軌道Tが、運動モジュール5によって患者90の四肢94に加えられた力によって中断されるように制御するよう設計されることを特徴とする。この中断Pに対する応答は、少なくとも1つの力センサ41;51、及び/または少なくとも1つの角度センサ52からの、変更された計測値を介して測定され、新しい第2の軌道Tが、そこから計算される。第1の介入手段3を(さらに)制御するための新しい制御パラメータは、第2の軌道Tを、第1の軌道T及び/または目標軌道Tsollと比較することから計算されるか、または中断された計測値と、中断されない計測値との比較から計算される。有利には、本発明によるデバイス1は、考えられる治療介入の成功機会という観点で、治癒プロセスの初期段階にある患者を試験することと、個別化された治療戦略の改善と、運動治療中における治癒プロセスの追跡と、を特に容易にする。本発明によるデバイス1によって向上された、個別化された運動分析及び運動治療の範囲内で、特にそれぞれの患者90が「応答者」として最も反応しそうな、治療介入のタイプまたは治療構成要素を推定することが可能であり、すなわち、様々な治療構成要素の、目標とする追加また省略によって、リハビリテーションの確実な進捗を伴う。
【符号の説明】
【0039】
1 デバイス
11 デバイス(1)、具体的には第1の介入手段(3)を、ベッド(80)、特に垂直に駆動させることができる病院のベッドに可逆的に接続するための、装置
3 第1の介入手段
30 リハビリテーション機構
40 足モジュール
41 力センサ
5 運動モジュール
50 膝モジュール
51 力センサ
52 角度センサ
6 制御及び分析ユニット
61 筋電図検査を実施するための手段
7 第2の介入手段
71 振動を発生させるための手段
72 電気筋刺激を実施するための手段
73 視覚刺激を発生させるための手段
74 音刺激を発生させるための手段
75 計画的な薬剤投与のための手段
80 ベッド、具体的には垂直に駆動させることができる病院のベッド
90 患者
91 足
92 脚
93 膝関節
94 四肢
95 股関節
soll;T;T;... 軌道
F(t) 運動モジュール(5)と患者(90)の四肢(94)との間の力
up(t);F(t) それぞれ中断されない力(F(t))、及び中断された力(F(t))
up(n);H(n) それぞれ中断されないステップ高、及び中断されたステップ高
φup(t);φ(t) それぞれ中断されない股関節(95)の角度、及び中断された股関節(95)の角度
T 時間
n ステップ数
P 中断
図1
図2
図3
図4a
図4b
図4c
図5a
図5b
図5c
【国際調査報告】